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[6943] 俺はドワーフ(VRMMO)習作
Name: のなめ◆ae0415db ID:98911a80
Date: 2009/03/15 22:46
『製作依頼 依頼主セリス
 依頼料700G
 ショートソード(外装はオリで)
 できれば斬撃補正付でお願いします』

これは、ゲームが発売されて三日目に町の掲示板にぽつんと張られた依頼書だ
アイテム製作、それもショートソードというRPGにおいて定番中の定番ともいえる武器の依頼
この依頼書は、『デザインカスタマイズ機能』を試すいいチャンス
俺も含めた多くの鍛冶屋がそう考えていた
だが、このなんてことのない一枚の依頼書が、多くのプレイヤーを悩ませた『ショートソード事件』の発端だった


俺はドワーフ



「なんだこれは。こんなものを商品として並べられるか!
 これなら果物ナイフのほうがよっぽどマシだ」
そう言って、俺の武器を酷評する目の前の親方ドワーフ
これで4本目の失敗
今まで作ったショートソードは
すべて武器として売る許可を得ることができなかった
なぜかって?

店売りショートソード
攻撃力:20
耐久力:50/50
必要技量値:12

俺の考えたかっこいいショートソード
攻撃力:5
耐久力:12/12
必要技量値:22
斬撃補正:+7%

細かい数値はさておき武器としての性能が雲泥なのは言うまでも無い
ほかの作品も似たような感じだ
ここまで店売りに差をつけられてしまっては許可されないっぽい
俺の数値が足りていないのか?
ためしにノーマルデザインのショートソードを作ってみると

普通のショートソード
攻撃力:32
耐久力:65/65
必要技量値;10
攻撃補正:+12%

と、大変使い勝手のよい品物が出来上がる。正直依頼主に売りつけたい
しかし、武器製作に相性抜群である、俺がこうなのだ
ほかの種族だと、もっとひどい事になっているんじゃないか?
そう思い、FTOの掲示板の鍛冶屋スレを覗いて見ると、思ったとおり多くのorzが書き込まれていた。
まぁおれも、オリデザショートソード製作に2500Gかかっている時点で十分orzなのだが
あっ、俺の次に親方に武器を見せたプレイヤーがorzっている


ここで簡単に、
このVRMMO『ファンタジー・テイル・オンライン(FTO)』の説明をしておこう

VRMMO『ファンタジー・テイル・オンライン(FTO)』は、大きく分けて三つの特徴がある
一つ目は、名前のとおり、御伽噺に出てくるようなファンタジー要素あふれる世界観と、それにあわせた種族および職業のキャラメイク

二つ目は、ゲーム内での1日は現実の六時間という時間差設定
どういう仕組みなのか少し調べて見たんだが、なんか難しい理論でよくわからんかった。
とにかくすごいらしい

三つ目にして、このゲームが売れた最大の理由
それは、自分でデザインしたアイテムや、作曲したものなどをゲーム内に取り込む、カスタマイズ機能の高さだ
これに、多くのプレイヤーが期待し、胸を膨らませていた
実際俺も、この機能が気になって購入した口だ

今度は俺の説明
俺の種族はドワーフ、職業は鍛冶屋だ。

『ドワーフ』

人間よりも少し小さい伝説上の種族。
矮躯でありながら屈強、豊かな髭を生やしている
大酒飲みで手先が器用であり、鉱夫あるいは細工師や鍛冶屋などの職人であると同時に戦士でもある。
職人・技術者のイメージから発展して、銃砲や機械類などの知識を持つとされる
魔法など神秘的な知識には無関心であり霊的な能力にも劣るとされるが、
信仰系の魔法に限っては使えるとしている場合もある。〔WIKI抜粋〕

普通の人の思い浮かべるドワーフのイメージは、上記に挙げたとおりだろう
俺自身もそうだと思っているし、俺の外装もそんな感じだ
このVRMMO『ファンタジー・テイル・オンライン(FTO)』において
高い種族補正にもかかわらず一・二を争う不人気種族だ
理由は簡単、
外見がまぁ、正直に言えばかっこ悪いの一言ですむ
多くのVRMMOは、容姿を目の色から指の形にいたるまでキャラメイクで弄る事ができる
要するに、自分の理想の外見になることが可能だ
そんなゲームで、チビとデブを兼ね備えたドワーフになろうとする物好きは、かなり少数だからだ
まぁ、俺もそんな少数派だが

リアルにおける三日=ゲーム時間における十二日
それだけの時間があれば、
職業『鍛冶屋』の基本スキルである『武器作成』で、ショートソードを製作できるようになるには十分な時間。
作成が可能になった多くの鍛冶屋が、オリジナルデザインのショートソードを作った。
しかし、発売から今まで、オリジナルデザインのショートソードは販売の許可された物は0
全ての武器で考えると、いくつかは通った物もあったようだが、出来自体もあまりよくはなく
通ったものと、通らなかったものの違いが何だったかも不明

問題はオリデザにあるのは間違いない
しかし、自らの理想を変更したくはない

多くの鍛冶屋が、『僕の考えたかっこいい武器』の誘惑に勝てず
有効な解決策を打てないまま失敗を繰り返し、出費を重ね続け、
ついには耐え切れず一人、また一人とキャラクターを作り直す
発売から現実時間において十日たった今では、鍛冶屋の数はスタート時の2割近くまで減少し、当然作り手が減ったため原因究明のための人手も減少
といったまさに負の連鎖が起こっているのが現在のFTOの現状だ

とにかく、これ以上失敗を重ねるわけにはいかない
もう一本ロングソードを作るにしても
成功につながるものを作らなければ

いろいろ考えたが、何も思い浮かばん
とりあえず、一度ログアウトし取り説を読み直してみるかなぁ

アイテムクリエイト:武具製作
いろいろな武器や防具を、自分のデザインした外装を取り込んで作ることが可能
剣:金属の種類、刀身の長さ、柄や鞘の細かい形に至るまで自由に設定できます
  ただし、作ることの出来る剣の種類は武具製作の熟練度に依存します


うん、説明不足なんだな
おそらく製作者の頭の中には
悩むのも楽しみの一つとかいう考えがあるのだと思う
楽しむ前に力尽きたやつがほとんどだったがな

しかし、いったい何が違うんだ?
PCの画面に表示された、オリデザと店売りとを見比べてみる
店売りのデザインは
刀身に柄という、まさに剣といったシンプルなものだ
大して俺のデザインしたものは
剣先は、10センチくらいで、刀身が十字になっていて、そこから細くなり先っぽの2/3位の太さ
そして、鍔は大きな星型、そして柄頭には、大きな玉がついている
そんなに変なデザインってわけでもないんだがなぁ・・
うーん、これの何がいけなかったんだ
少々奇抜すぎたかなぁ・・・・

とりあえず、明日は仕事休みだし
ゆっくり考えるか

あとがき
初小説で初投稿
読みやすい文章の書き方とかがよくわかりません

修正 ゲームの名前を変更  
   




[6943] 俺はドワーフ 第二話
Name: のなめ◆ae0415db ID:98911a80
Date: 2009/03/08 13:54
朝起きて、飯食って、そのままネトゲにログイン
人として間違っている気もするが気にしない


改めて、店売りと失敗作を並べて見比べてみる
冷静に店売りと比べると俺のデザインは派手というか、装飾過多というか
うーん・・・、あれ?
そういえばこの世界の武器の重心ってどうなってるんだ?




俺はドワーフ





工房にいってみると、プレイヤーは誰一人いなかった
最初は、大混雑だったんだけどなぁ・・・
おーい親方
「ん、なんだ?」
ショートソードの重心ってどうなってます?
すると親方がニヤッといやな笑みを俺に向けてくる
「ようやく気がついたか、いいか武器において重心というものはとても重要なものだ
 たとえば剣なら、剣先よりなら斬撃の威力が上がるが、その代わりに扱いが難しくなる
 逆に、鍔側に重心がよれば武器に振り回されることが少なくなり扱いやすさが増す
 ようするに、重心の位置で機能性が大きく変わってくるって事だ。」
なるほどメモメモ
それはどうやって調べることが出来るんだ?
「この本を読んでみろ」
そういって本を渡された
何々、スキルの書『武具解析』
この世界のスキルは、熟練度をあげて覚えるタイプと
書を入手して覚えるタイプの二種類あると聞いていたけど
これがそうなのか
「その本は、『武具解析』といって
 武器の全長に重量、重心位置や金属比率など、
 武具製作に欠かせない要素を調べることが出来るスキルだ 
 鍛冶屋の必須スキルだな」
そんなものがあるのなら、最初に教えてくれ
すると、また親方はニヤッと笑い
「自分で、物事を追求しないやつに鍛冶屋はむかんよ」
それもそうだけどな



とりあえず、いったん宿に戻って
スキルの書を使ってみることに
本を開いてみる。すると

常時発動スキル『武具解析』を覚えました
スキル効果により武具のステータスに表示される項目が増えます
といったシステムメッセージが聞こえてきた

とりあえず、最初に通常デザインの店売りソードを調べてみるか
アイテム表示っと

ショートソード
重量:1.5
全長:60
攻撃力:32
耐久力:65/65
必要技量値;10
鍛錬可能回数:7
攻撃補正:+12%

確かにパラメータの項目が増えてるな
重心位置はどうやって・・・お?
よく見てみるとアイテムの絵が表示されているウインドに
重心位置と書かれたボタンが追加されている
ポチっとな
すると、絵に丸い円が表示され、その中心に光の点が浮かび上がった
どうもこれが重心位置らしい
次に、失敗作の重心を表示っと
思いっきり光点が円の外にあった
残りのも失敗作も同様に調べてみると、全て光点が円の外にあった
どうも
この円の範囲がアイテムごとに設定された武器として使用可能な重心位置で
そその範囲を超えると、販売不許可になるみたいだ
とりあえずこれを考慮して、
ためしに一本作ってみるかな、工房に引き返すことに

工房にある炉の前にすわった
それじゃ、さっそくショートソード製作っと・・ん?
アイテム製作の項目になんか変化があるな
『重心位置を設定してください』
円が表示されて、重心位置を自由に設定することが出来るようになってるな
とりあえず、剣先方向に円ぎりぎりまでよせて
それじゃあ、製作開始だ

これでよしっと
とりあえず最初のと、出来上がったやつとの外装を見比べてみると、
微妙に先のほうが大きくなってる
剣のパラメータを表示してみると

ショートソード
重量:1.7
全長:65
攻撃力:32
耐久力:45/45
必要技量値;12
鍛錬可能回数:7
斬撃補正:+18%

重心が中心にあった最初のと比べると、あきらかに、違った性能の物が出来た
おおー!!!
これが重心設定の効果か
テンションあがってきたぜー!!!!


ついでなんで、
同じように、のこり3方向に重心を設定したものを作ってみた
刃のほうだと、基礎攻撃力が、鍔に近いほうだと耐久値と使いやすさがあがっていた
やっべ超楽しい

とりあえず、他の同業者のために
掲示板のほうにヒントだけ書き込んでおくか



【極貧】FTO鍛冶屋スレ8【嘆き】

654 名無しの鍛冶屋
また失敗orz
これで何本目だ

655 名無しの鍛冶屋
南無
俺も似たような状況さ兄弟

656 654
南無あり
いい加減キャラクリやり直すかなぁ

657 655
俺もそろそろ限界


658 ドワーフの鍛冶屋
>>654、655
待てぃ
はははははは
どんなに冷たい氷でも、燃える心には勝てはせぬ。嵐にも消えぬ火…人それを『情熱』という。

659 654
誰だ!

660 655
名を名乗れ!

661 ドワーフの鍛冶屋
貴様らに名乗る名はない!

冗談はさておき
謎は全て解けた!

662 名無しの鍛冶屋
詳細plz

663 654
wktk
詳しく教えてくださいorz

664 655
同じく
665 ドワーフの鍛冶屋
ふっ、なぜ俺が答えなければならん
武具作成について質問があるのなら
俺ではなく、『工房の親方』にしてみるんだな!
ではさらば
HAHAHAHAHAHA

666 654
ありがとう
わからない事は、『工房の親方』に聞けばいい・・か
光明が見えた
667 655
ありがとう、ツンデレドワーフ
 

さて、少し遊んだから満足だ
今度は、オリデザで重心位置を調整しながら作ってみるか
おっ、GJが連発されてるな♪

結果として、
俺の書き込みが切っ掛けになりアイテム製作の謎は解かれた
俺の場合は重心だったが、
あのイベントの発生条件は、正確には『物づくりに必要な具体的な条件を親方に聞く』という物だったらしい
イベント条件が発見されたことにより、
一度、鍛冶屋をあきらめた人がまたキャラを作り直したり、新たに鍛冶屋を目指した人が出てきたりと
最初の六割近くまで数が戻った
そして、工房に活気が満ち、町のいたるところで、露天商がオリ武器を売りに出すようになった



やっぱり情報を公開して正解だったな
後でわかったことだが、やっぱりというべきか
表に出てこなかっただけで、何人かのプレイヤーはすでに気がついていたらしい
こっそり裏でオリ武器を流すことで、かなり多くの利益を得ていたみたいだ

他の人の考えに口を挟む気はないが
ゲームを楽しむための情報は、公開した方が良いと俺は考えている
遊びに制限がかかるのは、好きではないからな
それに、ライバルがいた方が刺激が生まれて、俺もより楽しめるだろうし


俺のドワーフ生活はこれからどうなっていくのやら
そう考えるだけでも、テンションがあがっていくのがわかった



そうそう、ショートソード事件なんだが
依頼主にオリデザショートソードを、もっていったところ
「ごめwwwwww俺今クレイモアwwwwww」
と言って、断られた。どうも依頼を取り下げるのを忘れていたらしい
おいおいと抗議してみたら、日数が立ちすぎてると言われた
確かに、ゲーム内じゃ一月以上前の話だからなぁ。。。。
結局骨折り損のくたびれもうけだったよorz  




あとがき
大体の人の予想通り
多くのプレイヤーが機能美無視でデザインしてたのが原因

今度は誤字脱字がなければいいなぁ・・orz



[6943] 俺はドワーフ 第三話 【修正と追加】
Name: のなめ◆ae0415db ID:98911a80
Date: 2009/03/15 22:48
FTOが開始されてリアルで一月がたった。
そろそろ廃人と一般人の差が、顕著になってきたところだ。
えっ、俺の接続時間?
社会人の平均ぐらいだと思っている。



俺はドワーフ




俺は、相変わらずの鍛冶屋生活を送っている。
今日も親方の下、工房でトンテンカンテンと鉄をたたく。
そんなことをやっていると、今から会いたいとメールが来た。


少し武具作成について説明しておきますか。
この世界の武具素材の種類を、大まかに分類すると、『植物』『鉱物』『モンスターの皮』『魔法石』の四種類が存在する。
それに、生産スキルの『武器製作』『防具製作』『アクセサリー製作』などを組み合わせしてアイテム製作を行う
作る種類や素材によって熟練度が違うため、得意分野があるのが殆どの生産職だけど
おれは、いろいろやって見たかったからバランスをとってあげている。
そのため器用貧乏と、常連客に言われているが気にしない。
それに、デザインは自由に出来るので、たとえ能力値が低くても常連がつくからな。
そして俺にも二・三人位は、常連さんがいたりする。
メールの送り主もそんな中の一人だ。



工房で少し待っているとメールの送り主がやってきた。
「武器の修理を頼む」
「わかった、少し待ってろ」
そういって俺に、バスタードソードを渡してくる。
こいつの名はレン、狼人族の戦士だ。

狼人族は、筋力・敏捷・耐久に多くの補正がかかるという優秀な種族だ。
しかし、アイテム使用制限がある事や魔法がまったく使えない事と、顔が狼そのものになるため、不人気度ではドワーフに並ぶ種族でもある。


例の事件のときに、大量に作ったショートソードを、金がないため在庫処分価格で売っていたところレンが現れ、ふむと頷いた後
「全部もらおう」
と言って、そのまま買い取っていったのがレンだ。

それから数日後に、レンから俺にメールを送ってきた。
内容を確認してみたら、『鍛錬をお願いしたい』とメールには書かれてある。
どうもレン曰く、作り手が鍛錬すると通常よりも高い数値が出るらしい。
この間発見されたばかりの新事実だそうな。
最近リアルが忙しかったからなぁ、と情報収集を怠っていた考えつつそういうことならと、俺も快く引き受けた。
そしてそれが切っ掛けで、いろいろと話すようになり、そのまま俺の常連になった。
このバスタードソードも当然俺の作品だ。

レンと俺は、レンから鍛錬や、武具の製作を安値で引き受ける代わりに、素材の調達を頼んだり新作の武具の試しを頼んだりと、いろいろと持ちつ持たれつの関係だ。
それに、俺と、ログインしている時間ちょうど同じくらいで、同じくらいのペースで強くなっていってるの理由のひとつ。
このゲームは、リアルとの時間に差があるため数日で、差がついてしまうから。
俺も一応社会人だから、そんなに長くはプレイしないし、レンも社会人のため同じくらいのプレイ時間だ。



「ついでに、鍛錬も頼む」
あいよー、さて、鍛錬をしますか。
トンテンカンテンと何度かたたいていると、俺の武器作成の熟練度が上がった。
ウィンドが目の前に表示される。なになに?

<『魔法石合成』のスキルを覚えました>と書かれてある。

スキルの説明を見てみると、どうやら魔法石を武器に合成できるようになったらしい。
魔法石とはその名の通り、魔法を閉じ込めた石だ。
それを武器や防具に合成する事によって様々な効果が得られる。
レンに、何を覚えたかを説明すると、
「おめでとう。これでいろいろとやれることが増えるな」
ありがとうとレンに礼を言う。
行動の選択肢が増えることは、やっぱりうれしい。
「そいつに何か合成できるものはないか?金なら払う」
うーん、そうは言っても俺の手持ちに魔法石はないからなぁ。
あの言い方だと、レンも持ってないらしい。
買うしても、魔法石はそこそこ値が張るからなぁ・・・。

そう考えていると、レンがふむとうなずき、
「今日、これから時間の都合はつくか?」
と聞いてきた。おう、明日は休日だからな。
「魔法石の取れる場所を知ってるから、二人で取りに行かないか?最近冒険してないんだろ?」
ふむ、確かに最近は、そういった事にはご無沙汰だったからなぁ。
たまにはいいかと、返事をすると、それじゃあ広場で30分後に落ち合おうと言い残し、レンは準備のため、工房から出て行った。


さてさて、俺も準備に取り掛からないと。
最近本当に冒険してなかったからなぁ・・。
鍛冶屋だけに、武具等はあまり心配してないが、プレイヤースキルが低い。
というかリアルと身長差がありすぎるからなぁ、そのせいでどうしても違和感がある。
普段は何てことないが、戦闘になると、細かい重心が違ってたりしてとっさに動きづらい
それを補うためのオートバランスシステムをONにしているけど、やっぱりそれも慣れがないとなぁ・・。
この辺が、身長制限があるドワーフの不人気な理由のひとつだ。
まぁ、戦闘はレンに任せるとしますか。
そんな他力本願な事を考えながら、俺は工房に預けているアイテムを調べることにした。


武器に防具の耐久度良し。
地図にランタン等、冒険道具。
回復剤および各種装備アイテム、整備道具や予備の武器もカートに積み込み完了。
食料にテントも簡易結界もオールOK。
それじゃあ広場に向かいますか。
しかし、商人や職人にはカートの貸し出しが出来るのはやっぱり便利だよなぁ。
足が多少遅くなるデメリットを差し引いても十分メリットがある。


キーコキーコとカートを引きながら歩いていると、すぐに広場に着いた。
時間は約束の時間の五分前、待ち合わせ場所にはすでにレンが到着していた。
レンもすぐにこちらに気づき手を上げる。
待たせたか?と尋ねると、「俺も今来たところだ」と返事が返ってきた。
準備はOK、それじゃ、ポタ子さんの所に行きますか。


ポタ子さんとは、ワープポータルというスキルを覚え、それを使って商売をする聖職者のことだ。
移動手段は、徒歩や馬車、船などがあるが、やっぱり全体的に遅い。
通常ならば、何日も掛けて移動しなければならない事もざらにある。
だからこそ、自分が刻印を刻んだ場所に瞬間移動できるこのスキルが重宝される。
一人につき三箇所しか、移動できる場所をメモすることができないが、広場の北には多くのポタ子さんがいるためあまり不自由しない。
聖職者が金儲けってどうよ?とか、歩いてこそ冒険!という批判的なプレイヤーもいるが、需要と供給が成り立っているし、俺のようなゲームをする時間が限られている社会人プレイヤーにはとてもありがたい。
それに聖職者が金に汚いのはリアルの歴史が証明してるしね。



レンとポタ子さんとの交渉が終わったようだ。
目的地まで、一人300Gか、財布の中から取り出したお金をポタ子さんに手渡し、まいどありというポタ子さんの営業スマイルに見送られながら、なんていい笑顔とか思いつつ、足元に出来たワープポイントに足を踏み入れた。


さてさて着いた先には、多くの木々。
ここは『ウェルダンの森』。
今回の目的地は、森の奥にある暗黒教団の神殿だそうな。
何でも、そこに出てくるモンスターから魔法石が取れるとのこと。
どうせなら神殿に出てほしいと思うところだけど、ダンジョンのすぐ近くは刻印を刻むことが出来ないらしい。
「先に進むぞ」
と言って、レンが歩き始めた。あいよ、返事を返し俺も追いかけた。

この森は、コボルトやボブゴブリンなど、そんなに強い敵は出てこない。
なので、レン一人でも問題ない場所なので戦わなくても大丈夫
そう思っていた時期が俺にもありましたorz
「くっ、数が多い」
そう、なんかやたらと一回の敵の数が多いのだ。
レン曰く、ここは大体一匹から二匹、多くても三匹なのに、今回は平均で五~六匹も出てきている。
数は力だとどこかの偉い人がいっていたように、厄介なことこの上ない。

「そっちに二匹行ったぞ」
わかってる。自分の体との違和感とも戦いながら、コボルトの頭をハンマーで叩き潰す。
体がハンマーを振り下ろした反動で固まっている隙に、別のコボルトが俺の腕を鋭い爪で引っかいてくる。
くっ、いくら一匹一匹が雑魚とはいえ、複数に囲まれるのは正直かなりきつい。
それに、普段はもう少しおとなしいはずなのに、今日は妙にモンスターが活動的だ。
もう一度、俺に飛び掛ってくる敵を、ハンマーの柄で受け止め、先ほどのお返しだと俺は、その腹を腰から引き抜いたショートダガーで切り裂く。
キャイーンと吼えて、痛みを感じているコボルトの頭をハンマーで叩き割ってこっちは退治完了と。
レンのほうもどうやら終わったようだ。

これは何かあるなと感じた俺たちは、HPをアイテムで回復させながらゆっくり進む。
モンスターは、音に敏感に反応したりするからなぁ。コボルトとか耳がかなりいいし。

ベキッ

うん、『また』なんだな。済まない。
仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。
そんな開き直っている俺を見つめる、モンスター+1の睨みつけるような目線がとても痛いです。


あれからまた何回かの戦闘を経て、やっと神殿に着いた。
まさに、神殿といった
体力というか精神的に疲れてきたため、今日は神殿の入り口で野営だ。
レンは簡易結界をはり、火と食事の準備、俺は耐久の減っている二人分装備の手入れだ。
しかし、レンは狼男なだけに肉を焼く姿が妙に似合っているな。

火を囲み、二人で向かい合いながら状況を整理する。
1敵の数が増えている
2モンスターが活発に行動している
この二つは間違いない。
ではその理由は何か?
うーんと俺がひねっていると
「これは仮説だが、ここの神殿のボスが現れているのかもしれない」
どういうこと?
「お前は生産職だから、知らないのも無理は無いな。
 そのエリアのボスが出現すると、周りのモンスターまで活発になる。
 まぁ魔力が高まっているとかそういう設定なんだろう」
なるほど、そのせいで厄介な状況になっているのか。
ちなみに、ボスの情報はどれ位わかっている?
レンは首を振りながら、
「あまりわかっていない。実は目撃談が二つしか無くてな。
 しかもどちらもPTがすぐに敗北し、たいした情報は得られなかったらしい。
 唯一わかっているのは、馬鹿でかい石像ということだ。 SS付で掲示板にあがっていたからいるのは間違いないのだが・・」
なるほど、レアボスに討伐されたケース自体がゼロ、他のダンジョンなどでは何回かボスが討伐されてたりするんだけどなぁ。
そんなことを話していると、神殿の奥のほうから馬鹿でかい叫び声が聞こえてきた。
確定だなこれは。レンにどうすると尋ねたら、ニヤッと笑っている。
聞くまでも無かったな。
野営を中断し、俺達は装備を身に着けて、善は急げと神殿の中に入っていった。

後書き
主人公の身長は170㎝
キャラクターの身長は150㎝
この身長差は結構でかいと思う
追記
句読点を気にしつつ文章を修正していくと想像以上に文章が少なくなったため
4話を後に付け足すことに
読みにくかったかぁ・・・orz




[6943] 俺はドワーフ 第四話
Name: のなめ◆ae0415db ID:98911a80
Date: 2009/03/13 07:06
目的の魔法石をあっさりGET。
通常時よりも、敵の数が多かった事がプラスに働いたみたいだ。
それに戦闘回数をある程度こなしたので、体のほうも最初に比べると違和感も感じなくなっている。
そしてたどり着きました最深部。
目の前には大きな扉があり、中から戦闘を行っている音が聞こえてくる。
「準備は良いか?」
「ああ、いつでも死に戻りの準備はOKだ。」
デスペナ上等という俺の返事に苦笑しながら、レンは扉を勢いよく開け放った。



俺はドワーフ


始めてみたボスの姿は、聞いていた通り悪魔の形をした石像だった。
でかいとは聞いていたけど、幾らなんでも俺の10倍以上ってどうよ?
現在、8人のプレイヤーがボスと戦闘中のようだ。
俺にとってこれははじめてのBOSS戦。
ハンマーを両手に持ち、気合を入れてさぁ突撃と言うタイミングで、
「おい、そこのドワーフは鍛冶屋か!!」
と、騎士の叫び声が聞こえてきた。
そうだけど、それがいったい?
「急いで、俺たちの装備を修理してくれ。装備の耐久を削るスキルを使ってきて、このままじゃ長くは持たないんだ。」
 何だって!その言葉を聴いたとたんにレンは
「俺が時間を稼ぐ。壊れそうなやつから修理に行ってくれ!」
そう言って、剣を両手で持ちボスに突撃した。
俺は取り合えず、こちらに向かってきたプレイヤーの装備の修理の準備を始めた。

「こいつを頼む」
最初に先ほどの騎士の両手剣を俺は修理に取り掛かる。
さすがボスを倒しに来るだけ、あってかなりの上物を使っているな。
「料金は幾らだ?」
修理代は終わってからまとめてくれ。
「わかった。」
はい完了っと。
「済まない、助かった」
礼は良いから次の人を頼む。
「わかった」
そう言って、またボスの方に駆けて行った。


次に現れたのは黒髪の女剣士で、装備は日本刀のような剣だ。
急いで修理し、手渡すと
「修理ありがとう。ついでに回復アイテムありますか?」
あいよー、白ポで良いか?
「はい、お願いします!」
後で、武器見せてー。

エルフのレンジャーが、ボウガンを片手に
「矢の補充をお願いしたいのですが?よろしいでしょうか?」
普通のでよければ、カートの隅っこに入ってるぜぃ。
「それで十分です」

屈強そうな重戦士が、完全に破壊された棍棒を持ちながら
「打撃系の武器が破壊されちまった。代わりになりそうなものは無いか?」
俺のハンマー使うかい?打撃補正+20%の優れものだぜ?
「後で売ってくれ!」
交渉は後でなー。

服がぼろぼろになったシスターが
「防具が壊されて、私が着れそうな服をお願いします」
 店売りのローブがありますぜー(石像GJ!半裸シスターktkr)

そんな風に何回も修理やアイテム販売を繰り返し、なんとか全員の装備を修理し終え、さぁ改めてBOSS戦に参加するぜ!
こんなこともあろうかと、持ってきていた秘密兵器!その名もモーニングスター『室伏』だ。
説明しよう、室伏とは鉄球の部分の重量を1.7倍にし、威力を2.5倍にまで高めた俺の持つ武器の中で最高威力のものだ。
まぁそのせいでバランスを度外視しされ、必要技量が通常の2倍になり、耐久が三分の一まで減ってしまったが気にしない。
室伏を肩に担いでさぁ行くぜ!っというところで、
GRYOOOOOOOOEEEEEEEEEE
断末魔の叫びを上げながらBOSSはその場で砕け散った。
BOSS戦オワタ\(^o^)/


ボスを撃破し、戦闘を行っていた彼らのテンションは最高潮。
MVPを取ったらしい騎士は、勝鬨の声を上げ、それ以外のメンバーもそれにあわせて大声を上げて喜んでいる。
レンもレンで先ほどの重戦士と、拳をあわせて互いの健闘を称えているようだ。

うん、なんだろうこの疎外感。
役に立ってなかった訳じゃないってのもわかっている。
俺がいなかったら全滅してただろうね。
俺の行動は正しかった、間違いなんかじゃない。
でもね・・・・。
いや、レンが参加していたから、俺も経験地はもらえたよ。
MVPアイテムを鑑定スキルを使用させてもらって、BOSSレアアイテムの作成方法もわかった。
騎士の人にあんたのお陰だと、お礼として修理等にかかった費用+2万Gももらえたしね。
でも・・・すこしは戦いたかったなぁ(´・ω・`)ショボーン

さて、気を取り直して、さっきの剣士の武器を見せてもらいますか。
俺も日本人だから、日本刀の重心は気になる。
後、ハンマーを売るかどうかも考えないと。
そう思い、二人のいる所に近寄ろうとしたとき、砕け散った石像のかけらに、アイテムマークが出ていることに気がついた。
他の人は気がついて無いっぽいので、とりあえずほっとくと消えるから拾っとこう。


『邪神像の影光石』を手に入れた



後書き
ボス戦に参加しようとしたらすでに終わっていた。
オンラインゲームにはよくある事です


指摘された文章を修正
日本語って難しいorz



[6943] 俺はドワーフ第五話
Name: のなめ◆ae0415db ID:98911a80
Date: 2009/03/15 22:44
『邪神像の影光石』
なんか如何にもアレな名前だ。
きっと製作者は邪鬼眼持ちに違いない。
まぁそんなことはどうでも良い。
問題は、全員に聞いてみたところ、アイテムドロップ表示が、俺にしか出てなかったことだ。
なんでだ?



俺はドワーフ






さてさて、戻ってきました神殿前。
俺とレン、それに先ほどのPTのメンバーも全員一緒だ。
どうも、このアイテムが全員気になっている様子。
まぁ、レアアイテム、しかもボス戦で取得したものだからなぁ。
俺も逆の立場なら、気になって仕方が無いだろうし。

野営の火を囲んで、全員が向かい合って座っている。
先ほどのシスターが、どうぞといって飲み物を配ってくれた。
おおっシナモン味のお茶か、俺好みだ。
調理スキルをあげているんですよーとのこと。
もう一杯下さいというと、わかりましたーと笑顔で注いでくれた。
料理+お色気+気配り担当か、レベルが高いなこのシスター。
さて、おいしいお茶を飲みながら、意見を出し合いますか。


話し合いを始めてすぐに騎士は、
「それって限定アイテムなんじゃないのか?」
そう言ってきた。

騎士曰く、これは、どうやら取得条件付アイテム?らしい
ほかのVRMMOに、そういうものがあったそうな。
ある特定のモンスター(主にボス)を倒したときに、特定の条件を備えたキャラがそのPTに存在した場合、取得出るとの事。

なるほど、俺がその特定の条件を備えていたというわけか。
それなら、俺だけに表示されていた理由に説明がつくしな。
他のメンバーもその答えに、頷きながら賛同している。

なら、その条件は?
そう俺が尋ねると、騎士は、
「考えられるのは四つある」
ふむふむ
「一つ目は、種族がドワーフ。
 二つ目は、職業が鍛冶屋。
 三つ目は、ボスを攻撃しない。
 四つ目は、ボスのいる場所でアイテム修理を行う。
 この四つが考えられる可能性かな」
ふむ、確かに、そのどれかがキーになってる可能性があるな。
「まぁ三つ目の、ボスを攻撃しないというのは除外してもいいと思うけどね」
何で?そう俺が聞くと、シスターのほうを見ながら
「ルナリスも攻撃してなかったからな。」
なるほどね。

「まぁ、あれこれいっても結論は出ないだろうさ」
まぁ今回が、このゲームが始まって初のボス撃破だからなぁ。
これから徐々にわかっていくだろうさ。
俺がそういうと、騎士が真剣な顔でこちらを向きながら
「今回が初撃破だ。」
そう言った。


「気がついてないようだけど、俺のMVPアイテムとそのアイテムは、現在このゲームには一つしかない」
確かにそうだが、それがどうかしたのか?

「今回戦ったボス、『ロプトの邪神像』は、どうやらゲーム内の満月の日にしか現れない敵。
 今までの出現時期から、俺たちはそう予測して、今日に絞り込んでここに現れたんだ」
ふむふむ、なるほど

「次に、このボスが現れるのは、ゲーム内で30日後、それまでこのアイテム二つが増えることは無いんだ」
なるほど、激レアも激レアというわけか
「俺のMVPアイテムはともかく、その素材アイテムは、作り手しだいでどんな武具にもなる」
まぁ、製作条件とかあるから、どんなものとまでは言わないけど、それに近い物はあるな

「あなたは、またそのアイテムを取得できると思う?」
無理だろうな。今回は偶然が偶然を重なって感じで、たまたま居合わせただけだからな。
それに、今回倒されたことによって、このボス退治の競争は必ず起きるだろうし。
「そう、、あなた自身がその素材を使って武具製作を二度行うことは限りなくゼロ。
 つまり、その素材使ってあなたのデザインで作られるアイテムは、俺のMVPアイテムと違って、文字通り、唯一無二の存在となるだろうね」
そう言われるとすごいな。

「後悔しないように、相当考えて作ったほうがいいと思う。」
了解、変なものを作らないようにしよう。 
ところで、作ったアイテムって俺の自由にしてもいいのか?

「確かにそいつを使って作られたアイテムが、欲しくないと言えば、嘘になる。
 けど、限定アイテムは、それをもらう資格がプレイヤーが貰うべきだ。
 というか、それ以外の人物が貰おうとすれば、必ず争いの元になる」
そういうと全員がうなづいた。
良い人たちでよかった、みんなありがとう。

「いいって、こっちもアイテム一つでもめたくはないからね。
 だから、そいつはそっちのPTで話し合ってみるべきだと思うよ」
そう言って、騎士はレンのほうを指差した。

するとレンは、
「お前の好きにしてくれ」
そう言ってきた。
いいのかレン?
「凡庸の中の最良を見つけることが、俺の目標だからな」
なるほど、だから大量に同じ剣を買ってったのか。
俺がそう聞くと、レンが頷き
「俺は出来上がったものを、一度見せてもらえれば十分だ。
 そのかわり、今回手に入れた魔法石で付与した、バスタードソードを何本か頼む」
了解!そん時は安くしとくぜ
そう答えると、サンキューという答えが返ってきた。


『邪神像の影光石』が完全に俺のものになった。
こいつの使い道は後で考えるとして、とりあえず今は、日本刀を見せてもらうのとハンマーの交渉をしないと。
あ、その前にルナリスさんお茶もう一杯下さいなー。



今回知り合ったプレイヤー達に、商品のPRをしつつフレンド交換を行った後、俺たちは、ルナリスさんのワープポータルで町に帰ることにした。
町に着いた後、広場で解散し、レンにアイテムは後日とのやりとりをしてから、皆と別れた俺は工房に一人戻ってきた。

今回はいろいろ会ったなぁ、お金も経験値もだいぶ溜まったし。
そんなことを考えつつ、武具を修理。
そういえば、このアイテムについて親方に聞いてみるかな。
おーい親方、このアイテム知ってるか?
「ん?どうした・・ってそれは『邪神像の影光石』!」
おおー、知っているのか親方

そいつは『ロプトの邪神像』が落としたんだが、何か知ってる?
「『ロプトの邪神像』は、かつて世界を滅ぼそうとした邪神を祭った石像だ。
 その石像は『影光石』という、邪神の加護を得た鉱物から出来ていると言われている。
 人が作り出したものとは言え、邪神の力の欠片を宿した物だったはずだが、よく倒せたな」
俺が倒したんじゃないがな。
そんなことはともかく、こいつはいったい何が作れるんだい。
「そいつは言わば邪神の欠片の欠片だ。
 そんな代物、うちの工房では加工することは無理だ。
 どうしても加工したいのなら、腕を磨いて『自分の店』を持てるようになってから、『自分の工房』で作るんだな。」
了解、ありがとう親方ー。
そう言って、親方の下から俺は離れた。


こいつを加工するのは当分先ってことかぁ。
自分の店とか作る気はあまり無かったんだけど、いい機会だからそれを目標にしてみますか。
まぁ、何を作るかとか、考えるのも楽しみってことで、とりあえず今日は落ちますか。


ログアウトしますか? 
→ はい
  いいえ 


後書き
フラグ立ての回。
皆誤字脱字チェックってどうやってるんだろうか?
何回読み直しても出てくるorz



[6943] 俺はドワーフ 第六話
Name: のなめ◆ae0415db ID:98911a80
Date: 2009/03/27 00:03
あれから半月が経過した。
あの時のパーティーのメンバーの中に、ホームページで体験記を書いていた人がいたようで、ボスの攻略法などが書かれて公開されていた。
その中に俺の名前や、俺がレアアイテムを入手したことも書かれていたらしく、いろいろな人からメールやそのアイテムについての質問が大量に送られてきた。
それに対応するのに、かなりしんどい思いをした俺は、現時点で予想される限定アイテムの取得条件などを全て掲示板に書き込んだ。
そのため、あれから二回あったボス戦は多くのパーティーで込み合い、かなりの争奪戦になったそうだ。
だが、なぜか誰も取得することが出来なかったらしい。
まぁ、しばらくしたら、何人も取得する人が出てくるだろう。
レアの価値が下がるだろうけど、俺はそんなことを気にせずのんびり待ったり生活中だ


俺はドワーフ



トンテンカンテンと、今日も俺は鉄を打つ。
これで完成と、出来上がったバスターアクスを持ち上げて、その全容を確かめる。
ステータスや、外形ともに良い出来に仕上がっている。
これを販売しようと、親方に見せたところ問題ないと言われ、販売許可をもらう。
今度はロングスピアでも作ってみるかなと、俺は材料を取りに、倉庫に向かおうとしたら、その時、メールの着信音と共に、フレンドからメールが届いた。
誰からだろう?と確認してみると、この間ハンマーを売ってあげた戦士の人からだった。
何々?と、メールを開けて中を確認してみると
『この世界には無い武器の製作をお願いしたい バーツ』
という内容だった。
一体どういう意味だ?と考えた俺は、とりあえず話を聞きたいというメールを送り返事を待った。
すると、すぐに、今からそっちに行ってかまわないかと書かれていた為、了解という返事を送り、彼が来るのを待つ事にした。
しかし、この世界には無い武器とは一体何のことをさすのだろうか。
そんな事を考えながら待つこと数分、バーツが工房にやってきた。

「久しぶりだな有名人。掲示板での活躍は聞いてるぜ」
そう言ってニヤッとした顔でこちらを見てくる。
「御蔭様で、自称レアハンターや、トップクラスの鍛冶屋の方々に、毎日のように売ってくれと催促のメールが来ている」
誰かさん達のせいでねと付け加えて返すと、バーツは苦笑しながら、
「それは、きっついねぇ、あいつも反省してるようだから勘弁してやってくれ」
わかっていると返事をし、俺はとりあえず、話が長くなるようなので近くにある、お気に入りの喫茶店で話そうとバーツと二人で向かうことにした。


店に入った俺達は、窓際の席に迎え合わせに座った。
店員に注文をし、それを待ってから本題に入ろうと、俺はバーツに声を掛けた
「それで、俺に何を作れと?」
するとバーツは、
「手斧だ」
手斧?手斧って
「手斧って、ひょっとしてゲームとかで使われている、投げるほうの手斧か?」
「ああ、知っているのなら話が早い。あの手斧を作ってほしい」
手斧ねぇ、要するに投斧か。
「しかし、単純に遠距離攻撃の方法がほしかったのなら、ボルトアクスとかのように、
魔法攻撃のできる斧とかの方が手軽でいいんじゃないのか?」
この世界には装備することによって、魔法を使用することのできる武器があリ、そのうちのひとつがボルトアクスだ。
「重戦士は魔力が低い。敵によってはほとんどダメージが通らなかったりするからな。
それに、斧の熟練度が適用されないのも厳しい」
確かに、重戦士等の戦士系は基本的に魔力なんて鍛えない。
理由は言うまでも無く、魔力を必要とする技能は極めて少ないからだ。
「しかし、わかっているとは思うが、投げる斧は作れても、手元に戻ってくるブーメランのような斧は物理的にありえないぞ」
基本的にこのゲームは物理法則からを守っていて、そこから逸脱するような行動は出来ない。
「それはわかっているが、それでも使ってみたいんだ」
「何でそこまでこだわる?」
俺がそう尋ねるとバーツは、親指を立て、満面の笑みを浮かべながら
「それは、男の浪漫だからだ」
それを聞いた俺は、ため息を漏らしつつ、
「男の浪漫じゃあ仕方が無いな。まったく、そんなことを言われて断れるか。わかった、やれるだけやってみるさ。」
そう答えた。それを聞くとバーツはあんたならやってくれると思ってたぜとガハハと笑っている。
「その代わり、幾つか言っておきたい事がある。まず、今まで存在しなかった種類の武器等来るということは、多くの失敗作を生み出すということだから、かなりの金額がかかるということ。それと、そちらが払った金額に見合う品はまず出来ないということだ」
わかっているとバーツもうなずいている。
「了解。そこまでわかっているのなら、俺は自分の全力を尽くすだけだ」
その言葉にバーツは
「その言葉に、期待させてもらうぜ鍛冶屋の旦那!」
そう答えた。


それから俺達は、予算や期限等を話し合った後、解散した。
手斧か、『この世界に存在しないものを作ってくれ』とは、またえらい難題を持ってきたな。物理的に戻ってくるはずのないものを、戻ってくるようにしなければいけない。
どこから手をつけて良いのかが、さっぱりわからない。
とりあえず、参考までに、ブーメランを一度作ってみる事にした俺は、多くのプレイヤーが物品の販売を行っている、市場へと向かうことにした。




工房を出て、十分ほど歩いたところにある市場がある。
市場といっても、運営会社が作ったものでは無く、プレイヤーが集まって作られた物だ。
最初は、販売NPCが二人居ただけの、只の広場だったのだが、そこで商人プレイヤーが店舗を出し始めたのが切欠で、販売する店舗を持たないな多くの商人系のプレイヤーが集まって少しづつ大きくなっていった。
今では、ここで手に入らないものは、ゲームの中では流通していないとまで言われている。
とりあえず俺は、ブーメランを売っている店が無いかと、顔見知りの情報屋を訪ねることにした。


「よう、情報屋泣かせ」
「男を鳴かせる趣味は無い」
顔見知りの情報屋は、俺を見つけるなりそう言ってきた。
美味しい情報は俺に売ってくれよなと、皮肉混じりに言ってくる
こいつは、情報屋としては優秀なのだが、皮肉屋なのが玉に傷だ。
「情報で儲ける気は無いからな、俺は。
 性能のいいブーメランを売っている店の情報が知りたい。
 出来れば、設計図の販売を行っている店がいい」
欲がないねぇと言いつつ、自分が持っている情報が書かれたノートを見始めた。

『情報を調べる』
それはVRだけにかかわらず、MMORPGにおいてとても重要なことだ。
ある人は効率のいい狩場を探し、またある人は流行のアイテムの相場を調べる。
情報屋は、多くの人脈などを使って、攻略サイトよりも早く情報を仕入れ、それをネタに商売を行う。
前に、こいつに情報屋プレイって面白いのか?と尋ねた事がある。
すると、リアルでも情報を扱う仕事だからその練習の為という返事が返ってきた。
どんな仕事をしているのだろうかと、気にはなったが、リアルに触れるのはノーマナーだからやめておいた。
MMOでの人間関係は、ビジネスライクが一番というのが俺の考えだからだ。

「ブーメランの設計図を買いたいのなら、ここじゃなくて、ランスターの町あるブーメランの専門店を訪ねるたほうが良いな」
「了解、ランスターだな」
「料金は500Gだ。今度はブーメランを作るのか?作るのなら、お前の販売リストに加えとくけど良いか?」
500Gを払った俺は、情報屋にこう言った。

「いや、俺のリストには、『この世界に存在しないもの』って付け加えておいてくれ」
まだ存在しないけどなと付け加えて。



後書き

文章の書き方を模索中
今回が一番突っ込まれそうだ






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