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[5939] この先生きのこる為に 
Name: デットコピーK1戦車◆1f150335 ID:0f1192b6
Date: 2010/05/15 18:29
中世系ファンタジーなんかやってみる件について
:クウォリティは期待しないでください。:


旧一神教圏内中規模王国の上級貴族令嬢の日記______


 今日は久しぶりに朝から雨が降っています。 最近になって領内で量産が始められたと聞くガラスの窓を雨粒がささやかな音で叩いています。

唐突ですが私は雨の日が好きです。

雨自体はあまり好きでは無いのですが、雨の日ですと“お父様”が外回りを控えて屋敷内に居て下さるからです。


“お父様” 血縁関係に有る訳ではないのですが、幼き頃に養子として拾われたと聞いていますが、

お父様自身妻を娶っているわけでも男性の養子を貰う予定も無いとの事で。

そのような状況で私を拾われた理由がはっきりと致しません。

それでも私に十分以上の愛情と面倒を見てくださいました。

私自身領内出る事が公用と身内の晩餐会ぐらいのしかありませんが、お父様の噂はいくつか聞き及んでいます。

製鉄産業の先駆者、農業躍進の根幹、王国新軍事体制の立役者、火力絶対主義の権化

最後の一つはともかく王国内での重要人物になっているのでしょう。

しかし、私にとっては力強い優しい父親です。

今日のような雨の日は執務室で羊皮紙と書簡に目を通していることがほとんどなので、

気兼ねなく会いにいける数少ない日なのです。

この後でお茶でも持ってお父様の顔を見に行きましょう。



______火力絶対主義貴族の手記(なにやら王国圏で使われているモノとは違う言語で書かれている)

 こちらに来た当初はどうしたものかと思ったが、必死こいて知識を捻り出した結果。

なんとかマジで破産街道まっしぐらの領地経営を立て直すことに成功したな。

いやいや本当にちょっとばかり軍オタやってて良かったと実感したよ。

先代の領主(というかこの体の親父)がアホの極みだったらしく

代々受け継いできたの領地の重要性をまともに考えていなかったみたいで、

毎日社交界の出ていただけのだったそうだ。

おかげで私は馬鹿のケツ拭きの為に親父が死去した直後から

下準備だけは念入りにしていた仕事を毎日馬車馬でさえ死ぬほど働いていた。

速攻で債務の処理を済ませる為に不用財産を処分するのに始まり

農業を酪農式と組み合わせ、領地内で温暖湿潤な地帯で稲作・痩せた土地で

トウモロコシと馬鈴薯の生産を開始させて、税としての小麦を確保させるべく奔走したものだ。

酪農式にして牛乳を確保することで農民のカロリーを確保することは最初の二、三年で目処は立ってきたが、

トウモロコシと馬鈴薯の元が見つからなかったのは痛手だった。

米は私の知っている中世でも病薬などの一種として入手出来た筈なので、こちらでも医療関係を当たった結果

陸稲の稲を入手できたのでなんとかなった。

しかしトウモロコシと馬鈴薯は原種を王国からかなり離れたこの文明圏ギリギリで取り寄せているが、

とてもではないが私の要求する期日中に届くことは無かった、遅すぎて餓死者が出る寸前だった(´・ω・`)

しかし稲作はなんとか形になったのでなんとか酪農の乳製品も合わせて税は安定的に確保出来るようになった。

その後は農業の近代化をする為に魔法というチートが存在する事を最大限有効活用させてもらった。

簡易量産を前提とした魔法アイテムによる農作業の高効率化を推進。

他に都市部の衛生状態の改善。(だって都市内部で糞尿垂れ流されているんだぜ?リアル中世って)

屋敷の保守点検から汚水処理まで管理体制をしっかり整えないと本気で悪臭だけで自殺したくなりそうだったからな。

もちろん汚水はしっかりと都市外部に専用の施設を作り完全に発酵させた後農村部に密閉樽に詰めて送っている。

人間が分解できない燐などの植物の成長に不可欠な栄養を自然の形であれば安定して土地に含ませられるからでもある。

この手の汚水は完全に発酵させれば悪臭はしなくなるので使えるものはしっかり使わないといかんしな。

他にも国家の礎とも言える製鉄に全力を投入した。

必死こいてパドル法に魔法を加えて良質だが少量の鋼鉄を作っている現場を見て少し泣けてきたので

高炉+平炉形式で鋼鉄を作れるように理論研究に口を挟みまくり、

その間に、リン含有率が高くて使い物にならないとされている

燐鉄鉱を大量に産出する領地付近の鉱山をなけなしの資金で拡張し、

そこそこ良質な石炭を産出可能な炭鉱も拡張した。

毎日視察と理論研究や書類確認で死にそうになったが。

あまりにもいろんな意味で危険だということで

上位怪物に殲滅された近隣貴族の生き残りの娘を養子にしたのだがこの娘さんが萌えること萌えること!

かわいいから暇さえあれば構ってやったりちょっとした社交界へ連れて行ってやったり

その子の反応を楽しむことが今の私の数少ない楽しみの一つですよ!


ふぅ、なに書いているのだろうか。

しかし、いい加減に中世欧州の食い物には飽きてきたところだ。

何年も似たような味を食べていたのである程度は気にならないが、唐突に米と味噌汁と沢庵が死ぬほど喰いたくなる事はある。

日本人ならば誰しもが必ず陥る症状だろう。

一定期間日本の味を味あわないと禁断症状のようなことが起きるのだ。

別に中毒性はあるといっても軽度だし精神的な問題なのだろうが、やはりおにぎりは食べたくなるのは仕方が無いだろう。

 いい加減現実逃避代わりの手記をやめて目の前の羊皮紙の山を攻略しようか。





[5939] その2 経済と軍事と外交は常に影響しあいます
Name: デットコピーK1戦車◆1f150335 ID:0f1192b6
Date: 2010/05/15 18:30

やぁ、ようこそ第一自動車化師団へ(´・ω・`)

このウォッカはサービスだからまずは飲んで落ち着いて欲しい。

うん、今軍事作戦中なんだ。

騙して悪いとも思ってないし反省もしていない。

じゃあ自動車化師団と一緒に三馬鹿伯爵の陰謀を潰しに逝こうか。


 成人の儀を終えてから二十年掛けて作り上げた産業を元になんとか漕ぎ着けた内熱機関自動車。
それと同じく二十年掛けて交通網を整備しておいた領内と魔法というチート使った測量済み王国地図を使って
中世レベルでは考えられない速度で現在行軍中といった感じだ。
巡航速度や整備性を根幹において製造していたので戦略的機動性十分。
金が掛かる上にまともな機械化が出来るほど基礎工業力が無いのが痛いけどな。

しかし、まるで野盗のように下品なやり口をしてくれる。

モリブデン、カーバイト、イオン伯爵家は私の公爵領地の付近に連なっている貴族達だ。
金と名誉が大好きな連中だが
そこそこやることはやっているので領地は直接繋がっていない事を考えて最低限の関わりで済ませていた。

だが、この三伯爵家領地との間にあったタンタル侯爵家が五年前に上位怪物の襲撃で内政中枢の城と侯爵関係者を大半破壊・殺害したので
なんとか確保できた当時10歳の長女一人を上位怪物の襲撃を一個連隊で迎撃しつつ自領地に撤退。
それ以降領地経営能力を喪失したタンタル侯爵家領地を私が王からの信託を受けて管理していた。
しかし、半年前に王が病気で急逝してから世継ぎ問題で荒れ始めた。

私は自領地さえ安堵されるのならばどうでも良かったのでスルーしていたのだが。
三伯爵家が支持する長男が前王の適当な内政の見直しを掲げた為、
私が前王から信託されていた旧タンタル侯爵家領地の管理権を三伯爵家が密かに無効にしたのだ。
これで一時的にしろ空白地帯となった侯爵家領地を切り取る為に三伯爵家が動き出して来た。

 まぁ、諜報と推察から導き出した連中のシナリオはこうだ。

適当な傭兵や傭兵崩れの野盗を私に隠れながら雇って、侯爵領地で暴れさせる。→
鎮圧の為に正規軍を編成して鎮圧→実効支配→権益ゲット。

なんともまぁ露骨過ぎることで。

しかし、今私の庇護下で養子として貰っている娘の領地でもある。

娘が聡明に育ち、一人立ちが出来るときまでしっかりと管理せねば成らいけない。
義理とはいえ親として。

そこで、現在神速の速さで侯爵領地を暴れ回っている雇われ捨て駒どもを殺戮して回っている途中だ。

所詮は鉄の規律もまともな組織戦能力も持たない捨て駒は歯ごたえが無いが、最近執務室に篭りきりの体への体操代わりにはなるだろうか。

もっとも私は戦場の熱気やら殺気が怖くて前線にはまったく出れないんだけどな!

こらそこ!チキンとか言わない!マジで怖いんだから。

私も剣技や銃の訓練と基礎訓練は欠かさず行なっているからそこそこは戦えるだろうけど正直兵士とのガチ戦闘は無理です、精神的な意味で。

 なにか政治的に重大な事を忘れている気がするが、それはこの殲滅戦が終わってからでも良いか・・・。




[5939] その3 現場の勝手な戦略的判断は帝國陸軍のお家芸です
Name: デットコピーK1戦車◆1f150335 ID:0f1192b6
Date: 2010/05/15 18:57
やぁ、ようこそ私の会議室へ(´・ω・`)

この緑茶はサービスだからまずは飲んで落ち着いて欲しい。

うん、今王位を継承した前王の長男(現王)からの抗議の使者と会談中なんだ。すまない。

仏の顔も三度までって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。

でもこの抗議文を見たときキミはきっと「やっちまった」的な気持ちを味わってくれたと思う。

この殺伐とした謀略戦の世界の中でそういう気持ちを忘れないで欲しいと思ってこの妄想に浸っているんだ。

さぁ、戦争の準備と外交交渉をしようか。


 割と本気で拙い事になっています。
幾ら元管理領地だからといっても正規ルートで王に申請を出しているわけではなかったので(そんな時間も無かったのだがな)
金を使って無理やり申請を捻じ込んでいた三伯爵家と比べて軍派遣の正当性に欠けていた。

 おまけに三伯爵軍の侵攻を警戒すべく領地境界線付近に一個自動車化大隊・一個騎兵大隊・一個砲兵大隊・観測小隊・通信小隊・偵察小隊・工兵小隊・戦闘工兵小隊・輜重小隊・糧食中隊
と中世(敵味方総数で千人集まれば十分戦争)においては十分以上な諸兵科連合部隊を展開していたから私が侵攻する野心があるのかと認識されるには十分だったのだろう。

抗議文には心優しい(純朴とも言えるが)現王らしい兵力展開の理由を求める文と兵力撤収を求める文がやんわりと書いてあった。

しかしなぁ。

諜報部からの報告と展開部隊からの偵察報告を考えると、王国正規軍の増援が三伯爵正規軍と合流して3000まで増えたとの話が上がってきているのも加味すると
三伯爵軍が先走って王国正規軍を巻き込んで戦端を開きそうな気配がムンムンするんですが。
もちろん目の前でこちらを見ている使者である現王の側近の女性や王国正規軍は私と戦端を開く気はサラサラ無いのは分かるんだが。







 王から預かり、先ほど私が渡した抗議文を受け取った公爵様は疲れたように感じる顔で文を眺めています。
正直ごく最近王の側近として召抱えられた私が会うには格が高すぎる相手でしたが、
王が「かの公爵なら大丈夫ですよ、話をするだけでしたら邪険にする方ではないから」と仰っていましたので少しおどおどしながらではありましたが無事に抗議文を届けることが出来ました。

そういえば公爵家領内に入った直後に十人程の騎乗兵が私の乗る馬車へ近寄ってきた時は怖かったですが、身元確認をした後の対応は他の領地よりはるかに規律正しかったように感じました。

それより驚いたのは彼ら警備兵全員が読み書き出来るらしいとの事でした。
興味を持って出身となぜ読み書きが出来るのかと聞いてみたところ全員農村の三男四男などで、
村の役所(各村に置いてあるのですか!?) で志願制の公爵家直轄軍に志願したところ一番近い駐屯地までの旅費を渡してもらって、
そこで読み書きや基本的な計算と知識を三ヶ月もの長時間無料で教えてもらい、さらに公爵家直轄教練所に移動したのち
半年間本格的な軍事訓練を叩き込まれて今の部署に配属されたそうです。
驚くことに昼食休憩付きの清掃員が近くの村落や街から雇われている兵舎で四人部屋を兵卒が宛がって貰っているそうで、
軍事教練期間から節約すれば家族に仕送り出来る程度の月給まで支給されているなどのとんでもない厚遇ぶりと話していました。

とてもでは無いですが唯の一兵卒にそこまで厚遇などすれば経営が崩壊する筈ですが、公爵家はそれどころか莫大な利益を領地経営と公営売買で農村や街から過度の負担を掛けずに儲けています。

物心ついたころからお師匠様と一緒に暮らして勉学に励んでいたので王に頼まれてお仕えするまで世俗に疎かった私ですが、普通に考えればそんなことありえない筈です。
というか今目の前で抗議文を面倒くさそうに自らの側近に渡した筋骨隆々の一歩手前の男がそんな知恵を出せたら参謀の意味がないです!
この世の全ての参謀と官僚に謝りなさい!



なんだかものすごく腹が立つような罵倒を聞いた気がしたが、とりあえず目の前の使者へ返答を返さなければなるまい。
羊皮紙なんぞではなく現代の用紙が使いたいが、そこまで技術が上がっていないので仕方なく羊皮紙に、期日を決めて自領地へと兵力を段階的に後退させると確約する文章を記入した。
 当然のように後退時がもっとも軍事組織が脆くなるので旧侯爵家と私の領地の境界に一個自動車化連隊を根幹にした
諸兵科連合部隊を一個展開して三伯爵家の追撃に対応させるつもりではあるが、
恐らくは解答が三伯爵家に知れた直後か第一段階後退時に攻撃を仕掛けるつもりなのだろう。

いくらこちらが三個自動車化連隊(5760人・80mm迫撃砲48門など)と一個砲兵連隊(105mm牽引榴弾砲36門・155mm牽引榴弾砲12門)を主軸にした一個自動車化師団であり
向こうが私の領地に踏み込む前に砲兵陣地を作成し、踏み込んだ瞬間肉と泥のパテに変えられるとは言え、それでは王国に反旗を翻す事になる。

この王国は東西に山を隔ててそれぞれ大国があり、北は海に面しており南は小国の集まった平野部の真ん中に位置している。
今政変の直後でやや国内が混乱している時期に東西両大国と面している大領地を保有している私が王国正規軍と内戦に突入すれば両大国からの介入でこの国が切り取られてしまう可能性が高い。
それは外交により優れ大国相手に立ち回った前王と親交があった私としては許しがたい事態だ。

殺るなら速攻で三伯爵を撃破して領地に引きこもり交渉で蹴りを付けるか思いつかない。
三伯爵が王国正規軍を巻き込んで戦端を開いてしまえば三伯爵軍のみを撃破することは難しすぎる。
どうしたものか・・・。


そうして思考に耽っていれば、会議室のドアがノックされた。

「使者殿、申し訳ないがなにやら連絡が来たようなので入れます。 入れ」
木製のドアを開けて入ってきた侍従が一礼をして近くにいた側近に何事かを耳打ちする。
その側近が私のそばにきて小声で喋り出した。
聞いた内容は私の予想は上回るほどの馬鹿げた話であった。

「使者殿、申し訳ないがどこぞの伯爵達のせいで王国の命運は終わったようです。
貴方には今書いたばかりで無用の長物になってしまったこの書類を持って帰ってもらうしかない、早く王都にお帰り願います」



 なにやら側近から聞いた公爵様は疲れた表情から一変して顔全体で怒りを抑え損なった渋顔で王都に帰るよう言い渡し、会議室から出て行かれた。
とんでもない事が起きてしまったようだ。
すぐにでも王都に戻り情報を収集しなくてはならない!
 私はすぐに屋敷の外に停めていた馬車に乗り、今すぐ王都に帰るよう行者に言いつけた。




[5939] その4 公海上で所属旗を偽ったり掲げていないと海賊認定されて撃沈推奨です
Name: デットコピーK1戦車◆1f150335 ID:0f1192b6
Date: 2010/05/15 19:00

やぁようこそ防御陣地へ(´・ω・`)

この重機関銃弾と迫撃砲弾はサービスだからまずは落ち着いて喰らって欲しい

うん、鉄条網と地雷原と機関銃座増し増しなんだ、すまない

全力突撃も三度までって言うしね、誤っても突撃させようなんて思っていない

でもこの全面陣地を見たとき君は「モグラかよプゲラw」と感じてくれたと思うんだ

そんな無知を知ってもらいたくて別に造らせたわけじゃないけどね

でもこんなチートだらけの世界でそういうユーモアも忘れないで欲しいんだ

じゃあ、とりあえず死んでもらおうか



 私が王都に戻った時には既に戦端が開かれ、とうに趨勢が決まったあとだった。
王城にいらっしゃる王に会談の内容を伝えましたが、大変心苦しそうな顔で私の話を聞いてくださっていました。


私たちが予想していた会戦の結果は、王国正規軍お抱えの王宮魔導師がおらず魔法の直援・火力支援を受けられない公爵軍の最終的な敗走かと考えていました。

しかし、公爵軍は以前より公爵様が提唱なさっていた野戦築城理論を活用し塹壕と公爵家公営のみで販売されているマスケット銃なる猟銃をさらに発展させた火器を
陣地内に配置し、
陣地前面の強化点を撃破しようと迫る伯爵軍を火網で捉え釘付けにしたうえで
正面に見える陣地の遙か後方からの常識外の砲撃にて先頭を突き進んできた騎兵部隊を纏めて吹き飛ばしてしまったとの事です。
 その後は横隊で突撃を開始しようとした所で思わぬ攻撃に浮き足立った歩兵部隊が一度敵高速部隊(なにやら馬もいないのに四つの車輪を動かしかなりの速度で動く箱だとか)
と会敵した直後に再度の超遠距離砲撃を密集した歩兵部隊が受け壊走。

現場を離れた安全な場所だからこそ、このように分析出来ていますが戦場においてはさぞ恐ろしかったことでしょう。
今までの常識外の防御とそれに続く攻撃を受けて相手になんの損害も与えられず敗走する事になってしまったのですから。

また歩兵部隊に直援として付いていた魔導師隊の被害も大きく撤退時は殿の伯爵軍に攻撃が集中した結果、損耗はなんとか年間許容範囲内に収まりました。
しかし、この後も公爵軍と戦闘を行なわなければ成らないのであれば、なんとしてでも対抗策を見つけ出さなければならないことが陰鬱です。



旧一神教圏内中規模王国の上級貴族令嬢の日記2______

今は冬ですが今日も良いお天気です。

お父様は相変わらず領内の視察などで屋敷を離れる事が多いですが、最近になってお父様の元に届く書簡と羊皮紙の量が膨大になってきています、少々盗み見たところあまりよろしくない事が書かれていました。

私の盗み見た羊皮紙には砲弾備蓄量減少の報告と増産させる兵装の目録が書いてあっただけでしたが、お父様から嗜む程度に軍事知識を教えられている私でも明らかに一会戦は有ったと考えられる量の砲弾が減っていました。

増産される兵装の種類から負け戦では無いと考えられますが非常に心配です。

お父様は普段から良く国防省に足を運ばれますがここ最近は回数が増えています。

外出の際に何処に出かけ何時ごろ戻れるのか聞くのですが、身内の晩餐会で知り合った方にお願いして調べてもらったところ、領内の視察と言われても実際は国防省に出向かれていたようです。

私に嘘をつく理由はお父様のことでしょうから心配させたくない、との事でしょうが既に一会戦。

しかもそれなりどころか年に一度行なう領内の教導部隊同士の模擬演習並みに相当量の砲弾を使用していますからどこかの正規軍と戦闘になったと考えられます。

一週間前の晩餐会で耳に挟んだ伯爵家とのいざこざ絡みではないかと思います。

まかり間違ってもお父様が敗北するなどありえませんが、私をここまで育て下さった愛しいお父様が万が一にでも、し、死ぬことなどあっては今までの恩が返せなくなります!

今の私には軍事的な能力もお父様を直接守れる程の魔法の力もありませんが知識だけは幾らでも詰め込める筈です!

それにはお父様には内緒で借りた地下のお父様の禁書庫の鍵を有効活用させてもらうとします。

集められている禁書は今でこそ教会の権威が落ちているから焚書の憂き目に会っていないものの、全盛期ならば一冊残らず焼き捨てられる物と聞いています。

信仰心も政治の道具だと教えられている私でも少し躊躇いが生まれないわけでもありませんが、お父様の為です!頑張りましょう!

さて、日記を書くのもこれくらいにして魔法の先生の出した宿題を先に片付けてしまいましょうか。

・・・何分数も多いですし。



[5939] その5 「で予算足りんの?無理だろ」 「出来ます、民意なんで」
Name: デットコピーK1戦車◆1f150335 ID:0f1192b6
Date: 2010/05/15 19:07


やぁようこそ行政府へ(´・ω・`)

この方針会議の紛糾具合はサービスだからゆっくり頭を痛めていってくれ。

うん、講和を蹴られたんだ、すまない。

向こうも緒戦ボコられただけじゃ引いてくれないしね。

下手すれば王国を公国にするような事態になっちゃうかもしれないんだ。

わざと負けてもこちらの技術と戦訓流出が痛すぎるから偽装敗走も嫌だしね。

だけどこの殺伐とした世界でそんな\(^o^)/な事態に慣れてもらおうと思わなくも無いんだ。

じゃあ、方針を決めようか。


「これ以上戦線を広げる事は継戦能力から言って下策です、対等な講和とすれば相手も折れなくも無いでしょう」

「今以上に講和条件を緩めれば領地の経営が悪化するだけだぞ!戦費もギリギリで廻している我々にそんな余裕があるとでも言うのか!」

「だからこその講和と言っているだろうが!領内の永久陣地との連携した機動防御と砲火力支援からの自動車化部隊での縦深突破戦術の我々に戦線拡大は自殺行為だ!」

 はい、どう見ても会議は紛糾していますね帰って良いですか?

王国に全力で叛旗を翻すのも筋が通らない上に対費用効果が悪いから取りたくないし、半端に負けてあげるなんて政治的に宜しくない。

このまま講和にいけたら一番楽なんだけどねぇ。

いっそ何もせずに領内に引き篭もって事態の沈静化まで待つか?

この場合の強者は私であり時間は強者に味方するのが常だから大丈夫っぽいな。

よしこれでいこう、あと国外からの介入が無いように王都にも釘刺しておかないと。

ちょっとした内乱で国家崩壊するほど柔な国じゃないけど国外勢力の介入で政情不安や代理戦争の舞台にされるのは勘弁願いたいからな。

そろそろいい時間でもあるし、ここで一声掛けて帰るとしようか。

「意見が纏まらないなら会議をしてもどうにもなるまい、それぞれ自らの案を吟味し現状で把握できる全ての利点と欠点や不確定要素を纏めて後日提出せよ」

そういって立ち上がると会議室でテーブルに座っていた将校や官僚も立ち上がり敬礼や目礼をして私を見送る。

昔はそんなに偉い人間な風に扱われると反応に戸惑っていたが今はだいぶ慣れてきた。

さすがにもう30半ばを過ぎたおっさんがおろおろしているのは格好がつかないからな。



そうそう、結構工業化は思ったより順調なんだよ?

石炭をコークスに変える製法というよりも蒸し焼き(300~500℃以上)にしただけなんだが、これで製鉄時に鉄を脆くする硫黄などの不純物を取り除けるので鉄の強度は上がるし、

石炭より炭素純度が高いから高炉の温度が上がりやすくなる。

さすがに水性ガスは使い道がまだ無くて一応溜めさせる為にタンクは作っているけど、早く照明ランプに使いたい・・・。

でも硫黄やベンゼンをゲット可能になったのは美味しい。火薬の補給はかなり切実なんで、硫黄でも十分使い道はあるからな。

それと何気にこの土地は地下資源がそこそこあるみたいで、伝承や地域の言い伝えを参考に資源を探させたら天然ガスが少量出る所があったのだ!

でもガス原油セパレータなんて造れねーし活用は無理臭い(´・ω・`)

とりあえず近隣住民に危ないから近寄らないようにお触れを出しておいた位か。

それと自動車化師団を維持する為にガソリンか軽油が必要なんだけど、近くに樺太と満州油田を合わせたくらい並の産油量は期待できそうな油井はあるんだが、こいつの原油が結構重油の割合が大きくて

ガソリンの精製量がかなり少ないんだなこれが、常圧蒸留装置は基本的に水の蒸留と大きく変わらないから精製自体はなんとかなったけど重油やアスファルトが大量に余りました。

なにこれ、私にアスファルトで道路整備しろと?ボイラー式の艦艇揃えろと?馬鹿なの?死ぬの?

おまけに軽油は勿論不純物が混ざって使いづらい上に量も少ない。

静岡の超軽質油(無精製で自動車動かせる)とまで行かなくても重質油は勘弁して欲しかった。

文句いってもしょうがない、ということで今は色々と農業と漁業、ついでに航空関連に力を入れています。

農業と漁業は当たり前にしても、なんで既に圧倒的な陸軍持っているのに航空まで?と思われるかもしれないけど、稀に出るんですよ。

龍が。

今のところ確認されている種が知能が低めの翼竜と人並みに頭の回る龍がいまして。

翼竜なら軍事的には設営式の対空機関砲や自走対空砲で追い払うなり撃ち落とすなり出来るけど、

さすがに龍は大きくて硬くて機関砲じゃ致命傷まで時間が掛かって回りに被害が出るんですよ、かといって高射砲は予測射撃が難しいし、近づかれたらどうにもならん。

なので航空関連と言っても偵察機や観測機的なものや高射砲の徹甲弾としてAPDS(装弾筒付徹甲弾)関連なんかをすすめていると言った感じです。

APDSが完成すれば対空機関砲で龍なんて生物位速攻で蜂の巣にしてやりますよ。

機関砲の原型? ボフォース40mmL60の劣化コピーですがなにか?

だってAC-130ガンシップの地上攻撃用火砲やら歩兵戦闘車用の機関砲やら汎用性有り過ぎだろ常識的に考えて。



ともかくこの戦乱もさっさと終わってくれないかねー。領地経営に支障出杉で私涙目wwwwくやしいのうwwwwくやしいのうwwww








当事者の癖に他人事のように言ってみた



[5939] その6 「予算まったく足りてないけど全部できんの?」 「やりません、俺が民意だ」
Name: デットコピーK1戦車◆1f150335 ID:0f1192b6
Date: 2010/05/15 19:06
 
やぁ、ようこそ私の国防省執務室へ(´・ω・`)

 この、一般的なニュースペーパー(笑)はサービスだから

 まずは安心して電波浴をしていって欲しい。

 うん、「いつか来た道」なんだすまない。

 でもこのクオリティペーパー(笑)を見たとき、君は言いようの無い「リアル愚民化」→扇動による戦争 といったコンボの予兆を感じてくれたと思うんだ。

 この殺伐とした情報社会のなかで、旧態依然な体制の影響を見逃さないで欲しい。

 そう思ってこんな前書きにしたんだ。

 じゃあ注文を聞こうか。



「なんなんですかこのふざけた新聞は!」

あぁ、今日も国防省でマスゴミに憤慨する将兵の愚痴を聞く仕事が始まるお・・・。

 「公爵様!連中こんな根も葉もない話をでっち上げて首都にばら撒いてます!どうか対策の御裁可を!」

執務机に座る私の目の前に、ニュースペーパー(笑)を突き出す女性将校。

ハイハイワロスワロス。

新聞の一面には「衝撃!! 公爵家私設軍の横暴!」などと書かれている。

実際に目を通すと中身は【とある筋】【身分を伏せた上で】【街の噂】【とある外交筋】【厚生労働省の某官僚】など一切真実味や信憑性に0点が付けられるような人物からの暴露話が主体で、最後あたりにいかにもといった私への公然とした誹謗中傷が書かれていた。

お前らはあれか?本気で一流紙を名乗っているのか?最近の週刊誌並の低俗性だなおい。

「捨て置け、奴らも経済的に駆逐され始めている害虫に過ぎん。既に教育機関への梃入れ(情報選別の科目追加)と下請け販売店の転業事業は順調だ。そのうち消滅する」

もっとも地方には新聞など殆ど無く、新聞を読む余裕も無い家庭ばかりだったが。

首都近郊の都市住民にはかなりの影響があり、反公爵の雰囲気が形成されつつあるのが面倒だが。

これだから損得ではなく感情で物事を判断して粘着するアホは嫌いなんだ。

「しかし!公爵様をこうまで公然と中傷するのは最早許しがたい所業です!ぜひとも王と連絡を取り持ち自体を収拾するのが先決かと!」

 「いいか、ココは国防省。そしてお前らは軍人であり官僚だ。お前らは政治に関わらず軍事にのみ最大の労力を注ぐのが仕事だ。」

 「そのお前らが政治に口出しすれば官僚機構に歪ができる。それと近いうちにもう一度方針会議を行なうが、お前は軍事的見地でのみしか質疑応答するな。」


“ギリッ”


目の前の将校が今にも憤怒でマスゴミを殺しに行きそうな顔を続けているのが地味に怖い。

だがここで国防省だけが動いてでも見れば慣例が出来てしまい、気に入らないなら高圧的に排除すれば良い。なんてことがまかり通れば国内が荒れてしまう。

それはやはり「いつか来た道」ではないのか?

省庁がそれぞれまともな能力を持ち連携して外交と内政を行い、信賞必罰と生活保障を行なえなければ官僚機構が崩壊してしまう。

そうなれば立て直すことは至難だろう、立て直せても国が衰えることは確実だ。

二年制の官僚養成校を造ってはいるが、国防省はそれとはまた別に自前の養成校を持っている。

そこにも梃入れして外交と国政の初歩を教えるべきだな。


そんな風に思考を巡らせていると、机越しに立っていた女性将校が顔を俯けているようで紫色の前髪に隠れて顔が見えていなかった。

 「心配することなど無い、既に手は打っている。時間は少々掛かるが時期に収まる」

 そういって私は立ち上がり、壁際の柱時計を確認する。もう昼ご飯には遅い時間帯だ。

 「お前は自らの仕事に力を尽くせ、それが同僚や私への功だ」

 話しかけながらも将校の後ろの扉へと特別意識せずに歩いていく。

 「私はちと遅いが昼食に行く、その後は外回りをして直帰するぞ。お前も自分の仕事に戻れ」

 すれ違うときに小声でなにか言っていたような気がする。しかし独り言なら私が気にするのも無粋だろう。

そう思って直ぐに忘れた



 「・・でもわ・・は公爵・が・・・・」




私の病気が妄想でコジマ爆発しています。
このままではインモラル一直線とな?




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