中世系ファンタジーなんかやってみる件について
:クウォリティは期待しないでください。:
旧一神教圏内中規模王国の上級貴族令嬢の日記______
今日は久しぶりに朝から雨が降っています。 最近になって領内で量産が始められたと聞くガラスの窓を雨粒がささやかな音で叩いています。
唐突ですが私は雨の日が好きです。
雨自体はあまり好きでは無いのですが、雨の日ですと“お父様”が外回りを控えて屋敷内に居て下さるからです。
“お父様” 血縁関係に有る訳ではないのですが、幼き頃に養子として拾われたと聞いていますが、
お父様自身妻を娶っているわけでも男性の養子を貰う予定も無いとの事で。
そのような状況で私を拾われた理由がはっきりと致しません。
それでも私に十分以上の愛情と面倒を見てくださいました。
私自身領内出る事が公用と身内の晩餐会ぐらいのしかありませんが、お父様の噂はいくつか聞き及んでいます。
製鉄産業の先駆者、農業躍進の根幹、王国新軍事体制の立役者、火力絶対主義の権化
最後の一つはともかく王国内での重要人物になっているのでしょう。
しかし、私にとっては力強い優しい父親です。
今日のような雨の日は執務室で羊皮紙と書簡に目を通していることがほとんどなので、
気兼ねなく会いにいける数少ない日なのです。
この後でお茶でも持ってお父様の顔を見に行きましょう。
______火力絶対主義貴族の手記(なにやら王国圏で使われているモノとは違う言語で書かれている)
こちらに来た当初はどうしたものかと思ったが、必死こいて知識を捻り出した結果。
なんとかマジで破産街道まっしぐらの領地経営を立て直すことに成功したな。
いやいや本当にちょっとばかり軍オタやってて良かったと実感したよ。
先代の領主(というかこの体の親父)がアホの極みだったらしく
代々受け継いできたの領地の重要性をまともに考えていなかったみたいで、
毎日社交界の出ていただけのだったそうだ。
おかげで私は馬鹿のケツ拭きの為に親父が死去した直後から
下準備だけは念入りにしていた仕事を毎日馬車馬でさえ死ぬほど働いていた。
速攻で債務の処理を済ませる為に不用財産を処分するのに始まり
農業を酪農式と組み合わせ、領地内で温暖湿潤な地帯で稲作・痩せた土地で
トウモロコシと馬鈴薯の生産を開始させて、税としての小麦を確保させるべく奔走したものだ。
酪農式にして牛乳を確保することで農民のカロリーを確保することは最初の二、三年で目処は立ってきたが、
トウモロコシと馬鈴薯の元が見つからなかったのは痛手だった。
米は私の知っている中世でも病薬などの一種として入手出来た筈なので、こちらでも医療関係を当たった結果
陸稲の稲を入手できたのでなんとかなった。
しかしトウモロコシと馬鈴薯は原種を王国からかなり離れたこの文明圏ギリギリで取り寄せているが、
とてもではないが私の要求する期日中に届くことは無かった、遅すぎて餓死者が出る寸前だった(´・ω・`)
しかし稲作はなんとか形になったのでなんとか酪農の乳製品も合わせて税は安定的に確保出来るようになった。
その後は農業の近代化をする為に魔法というチートが存在する事を最大限有効活用させてもらった。
簡易量産を前提とした魔法アイテムによる農作業の高効率化を推進。
他に都市部の衛生状態の改善。(だって都市内部で糞尿垂れ流されているんだぜ?リアル中世って)
屋敷の保守点検から汚水処理まで管理体制をしっかり整えないと本気で悪臭だけで自殺したくなりそうだったからな。
もちろん汚水はしっかりと都市外部に専用の施設を作り完全に発酵させた後農村部に密閉樽に詰めて送っている。
人間が分解できない燐などの植物の成長に不可欠な栄養を自然の形であれば安定して土地に含ませられるからでもある。
この手の汚水は完全に発酵させれば悪臭はしなくなるので使えるものはしっかり使わないといかんしな。
他にも国家の礎とも言える製鉄に全力を投入した。
必死こいてパドル法に魔法を加えて良質だが少量の鋼鉄を作っている現場を見て少し泣けてきたので
高炉+平炉形式で鋼鉄を作れるように理論研究に口を挟みまくり、
その間に、リン含有率が高くて使い物にならないとされている
燐鉄鉱を大量に産出する領地付近の鉱山をなけなしの資金で拡張し、
そこそこ良質な石炭を産出可能な炭鉱も拡張した。
毎日視察と理論研究や書類確認で死にそうになったが。
あまりにもいろんな意味で危険だということで
上位怪物に殲滅された近隣貴族の生き残りの娘を養子にしたのだがこの娘さんが萌えること萌えること!
かわいいから暇さえあれば構ってやったりちょっとした社交界へ連れて行ってやったり
その子の反応を楽しむことが今の私の数少ない楽しみの一つですよ!
ふぅ、なに書いているのだろうか。
しかし、いい加減に中世欧州の食い物には飽きてきたところだ。
何年も似たような味を食べていたのである程度は気にならないが、唐突に米と味噌汁と沢庵が死ぬほど喰いたくなる事はある。
日本人ならば誰しもが必ず陥る症状だろう。
一定期間日本の味を味あわないと禁断症状のようなことが起きるのだ。
別に中毒性はあるといっても軽度だし精神的な問題なのだろうが、やはりおにぎりは食べたくなるのは仕方が無いだろう。
いい加減現実逃避代わりの手記をやめて目の前の羊皮紙の山を攻略しようか。