ちびせつながちびチルノになったのだが、式神のコントロールを奪い取った千雨は何もしていなかった。
「……? なんか向こうに引っ張られてるような気がする」
ダダ漏れになっている魔力が勝手にちびチルノを生み出し、維持している状態なので本人は全く知らない。
「とと、それより奴を何とかしないと」
氷弾で敵が放った棒手裏剣を打ち落としつつ、刹那を追いかける千雨。ためしに2,3回敵に氷弾を打ってみたが、あっさりはじかれてしまった。
「……さすがに殺す気で行くわけにもいかんしなあ」
威力を上げて撃てば防御貫通してミンチにできるとは思うが、街中でそんなことはグロすぎて無理だ。
それに一応相手も関西呪術協会の一員なわけで、仲良くしましょうと親書を渡しに来たのに、ケンカ売ってきたから構成員をぶっ殺しましたなんて出来ない。
「面倒な話だよ全く」
まあ何とか近づいて両足凍らせるくらいが妥当か。そう考えた千雨は機会をうかがうことにした。
刹那がシネマ村に逃げ込んだ結果、千雨が刹那を見失ってしまった。
「あれ、私戦力に数えられてない? それともぬけてるから見失っただけ?」
どちらにせよ千雨としては傷つく話だ。
トボトボ探し回って見つけたのは正門横の「日本橋」の上。すでに敵に見つかっていた様子。
なんだか今にも戦い始めますよ的な雰囲気だったので、千雨は敵の背後に回って冷凍ビーム発射。
「ぴぎゃっ!?」
「月読はん!?」
木乃香の後ろにいた女性が凍ってしまった少女の名前? を呼んだので、こいつも敵と判断。即座に冷凍ビーム発射。
「ぎゃぴっ!」
そうして敵二名を捕まえた千雨であった。
「ちょっとちうっち! 今いいとこだったのに何してんの!」
なぜか合流していたらしいハルナ達3-A生徒にKY扱いされる千雨。
話を聞いていると、どうも刹那と木乃香が百合百合な関係で、月読とか呼ばれた少女が二人の間に割って入ろうとしていたとか。
「そうなのか、桜咲!?」
「違います! 長谷川さんには事情を説明したじゃないですかあ!」
そうして刹那が魔法関係をぼかして説明しているときに、あることを思い出した。
「そ、そうだ! ネギ先生たちがまだ敵の術中に! 長谷川さん、すみませんがついてきてください!」
そういって刹那は木乃香の手を引いて貸衣装屋に飛び込んでいった。
「着替えを手伝え……ってことじゃないよな」
凍らせた敵はどうしようか考えようと、そちらのほうを向くと、なぜか二つの氷塊は忽然と消えていた。
「あれ? ……そうか、まだ敵がいるのか」
まだ騒動が終わりそうにないので、千雨はため息を吐いた。