【入学】織斑一夏を応援するスレpart2【おめでとう!】
18:ナインティーンボール 20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
今日は待ちに待った初授業だね!織斑一夏くん!
19:毎日がエブリデイ 20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
イェ~イ、織斑一夏くん見てるー?
20:エクストリーム山田 20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
女の子いっぱーい(`ω´)グフフ
21:月兎20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
計画通り……!
22:ワンダフル田中20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
>>なん……だと……
23: 縦に三段腹20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
>>月兎さんチーっす
こいつら好き勝手言いやがって。
IS学園入学式の本日、俺こと織斑一夏は窮地に立たされていた。
周囲から感じる視線、視線、視線。しかもそれが全部異性のものであるため圧力はまた格別である。
視線に攻撃力がもしあったならすでに死んでいる。
そう、俺は今、IS学園一年一組の教室にいる。もちろん一生徒としてだ。
例の安価の後、見事に世界唯一の男性IS操縦者としてデビューを果たした俺は、見事に大変な目にあった。
家をマスコミに取り囲まれ、謎の訪問者と謎の電話に追い立てられ、IS学園の保護を求め遁走した。
IS学園には特記事項の第21項に“本学園における生徒はその在学中においてありとあらゆる国家・組織・団体に帰属しない。本人の同意がない場合、それらの外的介入は原則として許可されないものとする。”という条文が記されているため、少なくともIS学園内部は俺にとって安全地帯なのだ。
現在は始業式の真っ最中、といっても流石は世界最先端の学校だけあって、みんなで仲よく体育館に並んで、先生のお話を聞くなんてことはしない。
目の前の電子黒板に映像が流れ、それを席に座ったまま見ることができるという仕組みだ。
教室自体もまるで近未来SFのような風情で、椅子や机のデザインはもちろんのこと、ノートや筆記具、教科書のたぐいは電子化されている。
教科書に限れば紙のものも配布されているのだが、ビブリオマニアからの要望でもあったのだろうか?
座ったまま入学式を済ませるなんて、楽で良いと思うかもしれないが、そんなことはない。
肉体的疲労を考えなくてよい代わりに話の長さに自重というものがないのだ。
しかも一般的な入学式とは違い、話すのは校長やPTA会長だけではなく、企業の社長や代理人らが、将来有望な学生たちへの宣伝活動、もとい祝辞を読み上げている。
ほかの生徒も暇を持て余しているせいか、クラスのほとんどが俺を観察しているようだ。
確かに、クラス、いや学校唯一の男子生徒が珍しいのはわかる、だから問題は俺をこの席にしたやつだ。
最前列ど真ん中ってどう考えてもおかしい。準備不足で入学した俺が授業をより受けやすいようにした配慮なのかもしれないが、気遣うべきところはもっと他にあるということを考えて欲しかった。
この後のスケジュールは、IS学園の諸説明を同じく映像でながし、そこからは各クラスで自己紹介、授業へと移っていく。
入学式から授業があるとは流石エリート校、本当にやめてほしかった。
後で疲れるだろうから今は休憩ということで、俺は携帯で久しぶりに“NHK”の掲示板を見ている。
そろそろスレに追いつきそうだ。
しかし何やら少し前くらいから空気が変わってきていた。
194: インポッシブル佐藤20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
てかここんとこ大分盛り上がってるけど、本人の状況って具体的にどんな感じなの?
195: 戦艦黒猫大和 20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
まぁ冷静に考えてマジヤバいよな
196:毎日がエブリデイ 20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
整理してみた。
・文字通り世界で一人だけの特別な存在となったため、行動がひどく制限される。マスコミや企業に追いかけられるだけではなく、場合によっては尊女主義者から命を狙われる可能性もある。
・遺伝子情報を狙われるため、近づいてくる女の子は全員ハニートラップの可能性あり。オナヌーすら気を付けなければいけない。
・IS学園本来超高倍率の学校で、入るためには並々ならぬISの知識と肉体的な強さが必要。後者は男だから良いものの、前者は致命的。小学生がいきなり大学の授業を受けるようなもの。
・将来は絶対に普通の職には就けない。普通の生活をすることすら困難である可能性が高い。
・IS学園は当然のことながら女子高。教員も職員もほとんどが女。そこに放り込まれる男一匹。そして全寮制。
197:ナインティーンボール 20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
>>うわぁ……
198: エクストリーム山田 20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
>>こう考えると月兎の戦犯っぷりはやばいな
199:大海の蛙 20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
>>一番目はIS学園に入れば、まだ大丈夫だろうが、二番目と五番目がやばいな。
けっこーイケメンなのにもったいねぇ。
200: タニポン20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
>>なんか洒落にならんな……
201:ワンダフル田中20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
>>普通に可哀そうになってきた
おいおい違うだろお前ら。
こんな安い同情されるために、俺は安価を守ったわけでもないし、散々今までふざけておいて今更それは無いだろう。
月兎を責めるのも間違っている。
良識ぶるなら最初からふざけるな、ふざけるのなら真面目にふざけろ。
(ったく、しょうがねぇな)
俺は久しぶりの書き込みをした。
202:ワンサマー20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
新しいクラスに馴染むために大事なのは、やっぱりファーストコンタクト!
というわけで安価で自己紹介するわ。
バッチリキメるぜ、お前ら!
まずは質問>>211
203:インポッシブル佐藤 20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
>>202ちょっ何やってんのwwwwwwwwwwwwwwwwww
204: 毎日がエブリデイ20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
>>202まるで懲りてねぇwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
205:月兎 20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
>>202濡れた
206: ワンダフル田中20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
>>202そうか、お前が修羅の道を行くというのなら
207:エクストリーム山田 20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
>>202俺らはそれを全力で支えてやる!
208: インポッシブル佐藤20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
>>202いくぞ!
209:超力若本20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
好きな体位
210: 安部部の部20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
好きな男性のタイプ
211: 大海の蛙20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
好きなポケモンの技
212: 毎日がエブリデイ20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
お前ら本当に容赦ないな
213:ワンサマー 20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
次その答え>>216
214: エクストリーム山田20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
かたくなる
215:毎日がエブリデイ 20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
したでなめる
216:縦に三段腹20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
すてみタックル
217:ワンダフル田中20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
はかいこうせん
218: 縦に三段腹20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
まぁセーフ?
219: タニポン20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
お前ら言っとくけど女子高だからな
220:ワンサマー 20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
俺の自己紹介の番がくるまでな、後は適当に付け足すわ。
次の質問>>222
221: 安部部の部 20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
好きな男性のタイプ
222: ハミリン20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
特技
223: 戦艦黒猫大和20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
好きなドラクエの技
224:ワンダフル田中20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
今悩んでいること
225: ナインティーンボール20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
>>222おおおおお普通のキターーー!
226: 超力若本20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
>>222まぁ問題は答えだが
227:ワンサマー 20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
>>222の答え>>229
228:毎日がエブリデイ 20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
時計を巻くこと
229:ミスターバレット 20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
家事
230: エクストリーム山田20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
セパタクロー
231:ワンダフル田中20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
>>229これは……普通と言えば普通だが、見方を変えれば本人のハードルをガン上げしたことになるな。
232: ハミリン20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
>>229確かに、ワンサマーは家事得意なの?
233: ワンサマー20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
家に一人でいることが多かったし得意だよ。
次質問>>236
234:ナインティーンボール 20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
何このイケメン
235:毎日がエブリデイ 20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
もげろ
236:ピュア☆フレグランス 20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
好きな女性のタイプ
237: 安部部の部20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
好きな男性のタイプ
238:ワンダフル田中20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
好きなカップ
239:毎日がエブリデイ 20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
>>236なんか起爆剤を放り込むような気がしなくもないが、普通っちゃ普通、いい調子!
240: ナインティーンボール20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
>>236おお、なんとかここまではギリギリセーフ
241:インポッシブル佐藤20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
>>236よし答えだ!
242:ワンサマー20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
>>236の答え>>246
243: 縦に三段腹0xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
石川さとみ
244: ミスターバレット20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
姉
245:ナインティーンボール 20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
二の腕がキレイな人
246:タニポン 20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
副担任の先生
247:エクストリーム山田 20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
>>246ちょっwwwwwwwwwwww
248: 超力若本20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
>>246起爆剤どころじゃねぇwwwwwwwwwwww
249:ワンダフル田中20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
>>246ついにやっちまったな……
250:ワンサマー20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
んじゃ次>>254
251: インポッシブル佐藤20xx/xx/xx(木) xx:xx:xx.xx
冷静だなワンサマーwwwwwwwww
「……くん、織斑一夏くんっ」
「っあ、はい!?」
いきなり大声で呼ばれたせいで、思わず声が裏返ってしまった。
周りからはクスクスという笑い声がもれる。羞恥心がリミットブレイクした。
「あっ、あの、お、大声出しちゃってごめんなさい。お、怒ってる?ゴメンね、ゴメンね!でもね、あのね、自己紹介、『あ』から始まって、今『お』の織斑くんなんだよね。だからね、ご、ゴメンね。自己紹介してくれるかな?だ、ダメかな?」
八つ当たり気味に、キッと視線を上げると、副担任の山田真耶先生がぺこぺこと頭を下げていた。
若干体が震えている。
微妙にサイズの合っていないメガネがずり落ちていた。
年上に見えない童顔も相まって、なんだか自分が幼い子供を苛めているような気分になってきた。
(え?なんでこんなにビビられてんの?俺なにかしたか?それともデフォルトでこんな卑屈な人なの?)
「いや、そんなに謝られなくても……っていうか自己紹介しますから、先生落ち着いてください」
「ほ、本当?本当ですか?本当ですね?や、約束ですよ、絶対ですよ!」
ガバッと顔をあげ、メガネの位置を直しながら、上目遣いでこちらを見る先生。
今のやりとりで物凄い注目を浴びてしまった……
これを狙っていたとしたら、見事としかいいようのない手際だ。
振り返ると、さらに高まる視線圧力。
(ったく、なんか逆に気持ちよくなってきたぞ)
眼だけでこちらを注目するクラスメイトを一通り確認すると、意を決して口を開いた。
「どうも、俺の名前は織斑 一夏です。唯一の男子生徒ということで、これからなにかと迷惑をかけることがあるかもしれませんが、どうか一年間よろしくお願いします――」
さてここからが本番だ。
「――好きなポケモンの技はすてみタックル、特技は家事全般、好きの女性のタイプは――」
圧力が最高潮に達するのを感じる。
「山田真耶先生です!」
一拍おき
「「ええぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」」
クラス中が大きくどよめいた。
背後からは先生の「えっ!?えっ!?」という戸惑う声が聞こえる。
戸惑うクラスメイトを見てニヤリとしながら最後に一言付け加えた。
「嘘です。」
がたたたっ。思わずズッコケる女子が結構いた。
なんてノリの良いクラスなんだ……と感動し、これなら一年上手くやっていけると俺は自信を深めた。
IS学園に入るにはリアクション芸も必要なのだろう。流石エリート。
安価?ちゃんと守っただろ、最後にちょっと付け加えたが。
そんなことを思いながら、振り返り席に着こうとすると、何やら前から暗いオーラを感じた。
「うぅ、ひどいです。ほんのちょっとだけですけど、本気にしちゃったじゃないですか。でもそれはそうですよね、この年にもなって男性とお付き合いをしたことがない、こんなメルヘン処女は誰も相手にしないですよね、このまま私は売れ残り死んでいくんですね、そうですね、うううぅ」
涙目になりながらブツブツと小声で呟いている山田真耶先生がそこにいた。
やばい。
「いやいやいやいや!そんなことないですよ先生!先生は十分魅力的ですって、ただ職場の関係で出会いがないだけで、ちょっと外に出たら引く手数多の争奪戦ですよ!だから元気だしてください――」
今日一番で俺は慌てていた。
織斑 一夏は口が悪いことに定評があるが、相手に落ち込まれるのに物凄く弱い人間である。
よって子供やメンタルの弱い人間は苦手なのだ。
なんとか元気づけようと、見て取れる山田先生の魅力を一通り語り、次はメガネを誉めようとしたあたりで
バァン
いきなり頭を叩かれた。
「いてっ」
俺は知っているぞっっ。
この一切容赦のない威力、躱すことなど考えるのもおこがましい速度、芸術的なまでの打撃角度……
おそるおそる後ろを振り向くと、すらりとした長身、鍛え上げられつつもどこか女性的な細さを感じる奇跡のボディライン、それをつつむ黒のスーツにタイトなスカート、思わず跪きたくなる鋭い吊り目。
我が実姉、織斑 千冬がそこにいた。
「おぉ、一騎当千、勇往邁進、その猛々しさはもしかして、三国に名高き関羽雲長殿であらせられるか!」
ドフッ
「うぐっ……さ、さすがに喉は……まずいって……」
「誰が関羽だ」
トーン低目のクールボイス。相も変わらず、実の弟には容赦がなかった。
「あ、織斑先生。もう会議は終わられたんですか?」
「ああ、山田君。クラスへの挨拶を押し付けてすまなかったな」
その鋭い目つきには似合わないくらいの優しい声で千冬姉は話かけた。
「い、いえ。副担任ですからこれくらいのことはしないと……」
さっきの涙声はどこへやら、副担任の山田先生は若干熱っぽいくらいの声と視線で
担任の先生へと応えている。
なにやら怪しい雰囲気を感じた。
「諸君、私が織斑 千冬だ。君たち新人を一年で使い物になる操縦者に育てるのが仕事だ。私の言うことはよく聞き、よく理解しろ。出来ないものは出来るまで指導してやる。私の仕事は若干15歳を16歳までに鍛えぬくことだ。逆らっても良いが、私の言うことは聞け。いいな。」
おうおう、最初から飛ばしてきますね千冬姉さん。
だがしかし、教室には困惑のざわめきではなく、黄色い声援が響いた。
「キャー――――千冬様、本物の千冬様よ!」
「ずっとファンでした!」
「私、お姉さまに憧れてこの学園に来たんです!北九州から!」
「キマシタワー」
「あの千冬様にご指導頂けるなんて嬉しいです!」
「私お姉さまのためなら死ねます!」
ほのかな百合の香りを漂わす女子たちの熱狂を、千冬姉はかなりうっとうしそうな顔でみる。
「……毎年、よくもこれだけ馬鹿者が集まるものだ。感心させられる。それとも何か?私のクラスにだけ馬鹿者を集中させているのか?」
これがポーズでなく、本当にうっとうしがっているのが千冬姉だ。
まぁ確かに同性から、妙な熱気を伴った目を向けられるのは勘弁してほしいかもしれないが。
それでも先生が生徒から人気なのは悪いことではないだろう、だからそういう厳しいことばっかり言ってないで……
「きゃあああああああっ!お姉様!もっと叱って!罵って!」
「でも時には優しくして!」
「そしてつけあがらないように躾をして~!」
……歪みねぇな。
しかし俺もなんだかんだで自分のクラスの担任が千冬姉だったことに驚愕していた。
IS学園に勤めているのは、前に出勤する千冬姉をストーキングしたときに知ったが、まさか自分の担任になるとは思わなかった。
俺がいるからだろうか?もしそうなら学園側にナイス配慮だと言っておこう。
「で?入学早々何をやっているんだお前は。山田先生をあまり困らせるんじゃない」
真にその通りでございます。
「ごめん、千冬ね――」
パァンッ!本日三度目。まぁまだ頭だからダメージは少ない。
「織斑先生と呼べ」
「はい、マイラブリーシスターちふゆん」
ドムッ!
喉はまずい、だから喉はまずいって千冬姉……
「あの息の合った遣り取り、やっぱり織斑くんって、千冬様の弟なのね……」
「世界でただ一人、男で『IS』を使えるっていうのも、それが関係して……」
「ああっ、いいなぁ。代わってほしいなぁ」
代わらん。
千冬姉と俺が姉弟だというのは、ニュースやなにやらで既に有名な話だ。
元日本代表でISの世界大会、第一回モンドグロッソ総合優勝&格闘部門優勝者の姉と、世界唯一ISを起動させることに成功した弟、このことに何か関連を感じずにいられるものは少ない。
とにかくこれで、俺が千冬姉と姉弟であるということは、十分にアピールできた。
ニュースで千の言葉を聞くより、こういう遣り取りを一度見せた方が効果的なのだ。
ただ会話の種になるだけではなく、このIS学園においてその事実は大きなアドバンテージを持つ。
千冬姉は姉弟だからといって贔屓をするような人ではないが、そうであるということ自体が重要なのである。
姑息といえば姑息かもしれないが、使えるものはなんでも使うというもったいない精神の現れだということにしておこう。
喉を押さえて蹲りながら、そんなことを考えているとチャイムが鳴った。
「さぁSHRは終わりだ。諸君にはこれからISの基礎知識を半月で覚えてもらう。そのあと実習だが、基本動作は半月で体に染み込ませろ。いいか、いいなら返事をしろ。よくなくても返事をしろ。私の言葉には返事をしろ。」
「「Yes, Ma'am!!」」
このクラスのノリの良さは異常だ。
こうして俺のIS学園での生活が始まったのだ。
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今回のオリ設定という名の作者の妄想
・電子黒板、電子机、電子筆記用具。
原作ではシャーペンとか使っているのですが、アニメだとどう考えてもそれどころじゃない設備なんですよねー。
まぁ技術の粋を集めたIS学園ということで、アニメ遵守にしてみました。かっけーしな!
原作遵守しろやファックという要望が多ければ変えます、ぶっちゃけ重要度は低いんで。
・一夏のやばい状況
実際こんなんじゃね、みたいな。