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[30651] 【習作】転生者バトルロワイヤル
Name: クウン◆7d546636 ID:2b7ab2ea
Date: 2011/11/25 19:33
 夏。
 暑い、暑い、夏。
 そんな夏の日のビル街の一角に彼はいた。
 柄物のノースリーブを着込み、短パンを着て、日本人らしい黒い髪を束ね、ポニーテールのようにし、マグトナルドの容器に入ったコーラを飲みながら、ビル街を歩いている。
 彼の名前は鈴木秀雄。今年の春、大学生になったばかりの青年だ。
 何処へ向かっているかというと、彼の親友兼幼馴染に誘われ、新しいパソコンを買うの手伝うことにしたのだ。
 理由は簡単。彼の親友はパソコン関係に疎い部分があるのだ。そこでパソコンを何度か自作した経験がある彼が駆り出されたのだ。
 迷惑極まりないが、この頃、新型のパソコンが発売されたらしいので、それを親友に買わせ、ついでにそのスペックを確かめさせてもらおうと考え、このクソ暑い日にビル街に来たのである。
 暫く歩いていると、見慣れた金髪の青年がいた。

「おーい!秀!こっちだ、こっち!」
「凍夜、もういたのか」

 時神凍夜。それが秀雄の親友である。
 成績も、運動神経も、悪いとしか言いようが無く、顔も普通だが、無駄にカッコいい(厨二臭い)名前だけが取り得な青年だ。
 凍夜は高校卒業と同時に就職した為、ココ暫く会っていなかったせいか、最後に会ったのが、かなり昔のように感じた。だが、彼の基本は変わっていなかった。誰にでも見せる笑顔、警戒心の無いその瞳、何も変わっていなかった。

「お前って大工になったお陰か、少しは筋肉付いたな」
「はははは!そりゃそうだ!!今なら腕相撲でお前に勝てる自信があるぜ!」

 ははは、と軽く笑い飛ばすと秀雄は電化製品専門店に足を向ける。それに怒鳴りながらも、凍夜は後ろに付いてくる。
 そして、時間が過ぎ、夜の9時。最新のパソコンを買い、今から凍夜が親から借りた車でパソコンを家に運び、パソコンを使えるようにするのが、秀雄のやることだ。
 スペックを確かめるついでに、凍夜に頼まれてすることになった。それが終わったら、凍夜の家で酒を飲むことになった。彼らは19歳だが、19歳も、二十歳も変わらないので、二人は酒を飲むのだ。駄目駄目だが、気にしてはいけない。それが彼らの取り柄なのだから。
 ふと、店内で流れるテレビを見ると、そこにはニュースが流れていた。ニュースの内容はこの頃、出没するようになった連続通り魔の話題だった。その通り魔は足をナイフで刺し、相手を動けなくしてから、相手を殺すらしい。恐ろしいが、どうせ狙われない、彼らはそう思っていた。彼らにとって、テレビのニュースで起きる出来事は近い存在だが、遠い存在でもある。アニメや漫画のように通り魔に襲われないのが、現実。
 だが、この物語は彼らにとっては、現実でも見ている人物からすれば、現実ではない。だから、通り魔とも出会うのだ。それがテンプレートというものだから。
 二人が車で走っていると、滅多に車が通らないわき道にきた。そして事態は急変する。凍夜がいきなり、車を止めたのだ。

「………なぁ。女の人の泣き声が聞こえないか?」
「はぁ?んなの聞こえ……」

 耳を澄ますと、シクシクと泣く女性の声が聞こえた。秀雄は無視したかったが、凍夜がそれを許さなかった。車を降り、泣き声の下へと行く。凍夜のことを一人にするのが、心配だったのか、それに続き、秀雄も女性の泣き声の下に向かう。
 声の下は髪の長い、女性だった。顔は周りが暗く見えないが、声からして、年齢は20代前半だろう。

「どうしたんですか?」
「うぅ……実はね……」

 次の瞬間、嫌な予感が秀雄の身体を駆け抜けた。すぐに女性から、凍夜を離そうとするが、凍夜が耳を劈くような悲鳴を上げる。足を押さえ、何事かと思い、ケータイのライトで凍夜の足を照らすと、秀雄も足に貫くような痛みを感じた。
 声にならない悲鳴を上げると、その正体が何か分かった。女性の手には鋭いナイフ。形状から見て、サバイバルナイフだと分かる。尤も、秀雄はナイフの形状など、少しも勉強したこともないから分かりもしない。

「うふふふ……私ね。通り魔なの。人を殺すことが好きなんだ……」
「ひぃ……た、頼む……助けてくれ……」

 怯える凍夜。あまりの痛みで何が何だか、分からない秀雄。それを笑顔で見る通り魔。
 そして通り魔は、二人の心臓をナイフで抉り出し、二人を殺した。
 だが、これを境に通り魔は捕まり、世間は安堵した。通り魔を捕まえる為の犠牲となった二人の青年を忘れ……。

 ぷかぷかと身体を浮かばせる秀雄。
 可笑しな光景だが、この世界の主にとっては見慣れた光景だった。
 この空間の主は所謂、神様という奴だった。神様の手には、1から100まで書かれ、99までは○のスタンプを押された物が一枚。

「おい、起きろ。少年」
「……へ?ココは……」

 身体を起こすと、嫌な記憶が頭を過ぎった。足を刺された痛み。あの時、感じた恐怖。徐々に近づいてくる死の臭い。胃の中の物を吐き出そうとするが、胃に何も無いせいか、胃酸だけ口から吐き出し、意識を整える。
 周りを見渡すと一面、真っ白。立ち上がると、地面に立ってるようで、立っていないような矛盾した感覚。そして目の前にいる長い髭を蓄えた老人。
 老人の姿は一言で言えば、神様だった。尤も、実際に神様なので、秀雄のイメージは正しいと言える。

「汚いのぉ……。まぁ仕方ないか。少年よ、よく聞け。ワシは神様、そしてお主は死んだ。ワシはお主に、好きな世界に生き返る『チャンス』と特別な能力をやる」
「は?か、神様……?」
「そう、神様じゃ。詳しく説明すると、好きな世界とは漫画やアニメ、ライトノベルの世界のことを指す。特別な能力とは所謂、超能力や魔術を指すぞ」

 はっきりと言って、意味が分からなかった。秀雄はSSは読んだこと無かったので、この状況は意味の分からない。だが、ある一点だけなら理解できた。
 生き返る。この言葉だけが理解できた。

「取り敢えず、コレをやれ。話はそれからじゃ」

 そう言い、渡されたのは鉛筆と一枚の紙。そして紙の内容はまるっきり性格診断テストだった。
 それを受け取ると、直ぐに書き始め、5分くらいで書き終り、神に渡した。それを見ると、神様は顔を歪めた。

(コイツ……普通の人間じゃ!厨二病とかでもなく……!人選ミスったかな……)

 そう、秀雄は普通の人間だった。厨二病を拗らせてることも無く、至って普通。
 だが、普通の人間より違う所があった。それを見て、神様も安心した。
 神様がコレをやらせた理由は簡単。秀雄の能力を創る為の材料にするためだ。この結果をベースにして、本人の本質に合った能力を作り出すのだ。

「……お主の能力はコレじゃ。受け取れ」
「は?どう言う意味です……」

 神に手を向けられると、頭の中に何かが流れ込むのを感じた。それは能力。それは材料。それは名前。あまりもの情報に脳が処理しきれなくなる。呼吸できなくなるが、死ねない。体中の神経が引っぺがされるが、死ねない。
 数分後、身体中の痛みも引き、落ち着くと、それは秀雄の中にあった。能力の名は計算結果。その内容はあらゆる計算の答えを出す能力だ。

「じゃ、頑張ってね」
「はぁ!?いったいどう言う……」

 次の瞬間、突如、秀雄の足元に穴が開き、それに落ちていく。声を出す暇もなかった。
 そして、秀雄がいなくなると、神様は100番にスタンプを押すと、その口元が歪む。

「さてと、やっと暇つぶしが出来るのぉ」

 空間に穴を開け、それに手を突っ込み、何かを掴むと、それを引っ張り出す。それ無数のテレビ画面がある機械とマイクが出てきた。
 その機械には、島が映っていた。
 この島にて、転生者同士の殺し合いが始まる。生き返るために……たった一人の主人公になるために。


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