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[30375] [ネタ]ISの世界にAFをぶち込んでみた。(外伝追加)
Name: rahotu◆dfddba02 ID:54cb36f9
Date: 2012/03/06 22:43
皆様始めまして。主になろうで書いているrahotuです。

この作品は今更ながらISのクロス作品です。

Armored Core for Answerの目玉であったアームズフォートを唯単にISの世界にぶち込んだだけです。

極めて実験的要素が強いですが、少しでも暇潰しにでもなればと思い書いていきたいと思います。

今回は導入部だけですが、ほぼ作者の妄執と中二の塊ですのでそれらがお嫌いな方は読むのをお勧めしませんのであしからず。















IS、つまるところこのインフィニットストラトスというスーツは本来宇宙空間でのマルチフォーマルスーツとして開発がスタートし『白騎士』事件を経てスポーツ用の競技スーツと銘打って軍事用に転用された。

既に周知の通りISはその極めて高い汎用性、機動性、水中宇宙空間と環境を選ばない適応能力。

更に大陸間弾道ミサイルを無力化するほどの戦闘力を持つ人類の兵器史上最も完璧に近いと言えるものであった。

だが、致命的な欠点として女性にしか扱えず、更にISの中心となるコアは開発者である篠ノ之束が製造法諸共姿を消してしまった為、実質五百機未満のISコアを巡り、各国で激しい開発競争が繰り広げられることとなった。

このようにISはほぼ完璧と言ってよい性能を持っているが、量産性そして人を選びすぎると言う点が社会問題にまで発展している事実を見るに、凡そ兵器としての使用に耐えうるものでは無い事が予想された。

兵器とは徒にもかくにも、匹夫の蛮勇に耐え容易に生産、整備、使用でき、その国の軍事ドクトリンに適した物が採用される。

翻ってISは兵器としては完全に落第だと言える。

(ISが登場して十年以上経つ今現在をもってしても、未だに解析不能なブラックボックスが多く、ほぼワンオフ機体であり個人の技量が大きく影響するISは軍事上経済上共にリスクが大きく、一個人の妄想の塊とも言えるものを使い続けるなど出来よう筈がなかった。)

精々、新技術新兵器の概念実験機、つまるところ世界で最も高価な鉄屑と何らかわらないのだ。

だからと言ってISの性能を否定することは出来ない。

既存の兵器を向こうに追いやり、最強の兵器として現代に君臨している今それに目を背けることは誰も出来ない。

だが、ISは兵器としての使用には耐えられない。

ならば如何するか?

兵器としての安定性に欠くならば、それを補完する或いは代替する物が必要となってくるのは自然の流れと言える。

この要求に答える為、世界の富の凡そ四十パーセントを占めると言われるパックス(アメリカ及び環太平洋経済圏の主である巨人GA社、欧州第一の企業であるBFF、北欧のインテリオルグループ、中東のオーメルサイエンスと元宗主ローゼンタールグループ)

これ等の世界的グローバルでありグローカルな企業がそれぞれ示した案。

それらを統合して最終的に決断された代替案。

ISのような個人の才覚性別によらないそして代替可能であり、尚且つ既存の兵器を廃しうる或いはそれ以上の性能を有し容易に生産可能であること。

戦略兵器である核に代わり、新たに国家の安全保障となり軍事的な威圧感を持つこと。

ある程度の環境に適応し、尚且つ複数のISと同等以上の性能を持つこと。

これ等のことを併せ持つ兵器。

アームズフォートと名づけられ、各国で大量に試作、生産配備されることになるこの新しいく登場した兵器カテゴリーが、その後世界に未曾有の災害を振りまくことに成るのだが....。

ISと同じく登場したばかりのこの兵器がその真の意味での危険性を世界に認知されるまでには相当すうの時間を必要とした。









[30375] 始祖にして母なるものの鼓動(行間修正・誤字修正)
Name: rahotu◆dfddba02 ID:54cb36f9
Date: 2011/11/09 12:53
ブリテン島

嘗て産業革命を起こし、世界に先駆けて産業化を進めついには欧州の貧しいとりえと言ったらシェークスピアとアーサー王しかなかった島国が日の沈まぬ国と形容されるほど世界に君臨する大帝国にまで上り詰めて幾ばか。

嘗ての栄光も陰りを見せ斜陽国家として嘲笑を受けながらも、何とかブリテンと言う名を留めていた過去の遺物。

それこそがグレートブリテンの成れの果てであったはずだ。

だが、そこに転機が訪れる。

二十一世紀中東の春によってアフリカ北部と中東の独裁政権が倒され、民主化し市場が開放されたことで不況に喘ぐ世界中の企業が新たな肉に群がった。

ベルリンの壁崩壊によって開かれた東欧へと西欧の企業が群がり貪り、経済力のはけ口としたように、革命を支援した欧州各国は民主化したアフリカ中東に羽虫の様に群がった。

だが、ブリテン一国だけが様子見しアフリカ及び中東の情勢を静かに見極めていた。

革命によって民主されたはずのアフリカ中東は、独裁政権を倒すという共通の目的を失い、部族意識が強い土地柄ゆえか。

革命後の利益、権益を巡り仲間内で争い、欧州からなだれ込んだ商品が、今まで国に保護されてきた企業を圧迫し国内に不満が高まっていた。

そして、遂に内乱が発生する。

中東某国の革命のように、最終的に勝利を勝ち取ったのは過激な主張を掲げる特定宗教の原理主義であり外国の企業は排斥されてしまった。

だが、嘗て世界の半分以上を支配したブリテンは老獪であった。

革命後の内乱が近いと見るや、時を置き巧みな外交で内乱を助長させ双方に武器を売り、また当地の企業を保護すると言う名目でPMCを組織し恩を売りつつ莫大な利益を稼いだ。

この時、最も利益を上げたブリテン系企業がその後統合を繰り返して出来たのが後の欧州第一の勢力を誇るBFFである。

時代が進み、ISが登場すると今度は嘗ての植民地時代の残り香であるイギリス連邦を持ち出す。

ISの数が限られ、中小国はその割り当てを大きく減らされ或いは宗教上の理由からか配備できないという国が相当数存在する。

そんな国々に、ブリテンは耳元で囁き、なだめ、時に脅し、利益をチラつかせ、最終的に騙す形で再び連邦を復活させるに至った。

一国一国を見れば大した事がないようで、連合を組むことでISの総数に関してはアメリカ、ロシア、中国を抜き世界一位に躍り出たブリテンは広がった経済圏を支える事が出来たのもブリテン中の企業を統合して出来たBFFの力あって故と言われている。

さて、話を現代に戻そう。

広がった経済圏を支え尚且つ宗主として君臨しうる力を持ったブリテンではあったが、その軍備に関してはお寒い限りであった。

ISの登場によって防衛予算が切り詰められそのお陰で経済的にゆとりを持てたブリテンではあったが今後世界のリーダーとして指導力を発揮する為には嘗ての砲艦外交のような、旧世紀の核兵器、つまりは目に見える軍事的圧力が必要となった。

ISは自国防衛用の手段であり、常任理事国といえども必要最低限しか配備出来ず、国家を除けば世界で一番ISを保有しているのは日本のIS学園という事になる。

嘗ての大英帝国のように、巨大な経済圏を維持する軍事力を早急に整える必要に狩られたブリテンは最早国営企業とも言っていいBFFに依頼し、この動きを察知した欧州各国が危機感を覚え、ISの新世代開発計画であるイグニッションプランをスタートさせた。

BFFの歴史はライフルと紅茶の上に成り立っている。

前者は武器商人を揶揄し、後者は一族経営を冷笑しているが、オルコット一族によって仕切られているBFFはその莫大な資金力に物を言わせてブリテン政府に答えて見せた。

まずシーレーン確保に関し、同じくアメリカ政府と同様な以来を受けていたGAグループと提携し大型艦造船のノウハウを習得する傍らBFFが誇る精度の高いライフル及び艦砲技術を提供し、量産性を考慮しつつも新機軸の護衛艦構想としてハイパーセンサーの技術を導入した新型イージスシステムも開発。

これ等の新型兵器及び新型艦を積極的に配備されたブリテン第八艦隊は世界最強の名を欲しい侭にするのだが...。

それは又別のところで書くとしよう。

GAグループとの提携で、大型兵器に関するノウハウを獲得したBFFは海洋の問題に一定の解決策が見えた後、次に陸上を制する事を考える。

最終的に国家の戦争は陸戦で決まるのは自明の理であり、ブリテン本国から援軍が到着するまで如何に植民地もとい連邦加盟国を守るか。

アフリカの南北に長い土地をどのように守り抜き、尚且つ影響力を確固たるものとするかが、今後のブリテンの明暗を分けるといっていい。

欲しいのは碌に整備されていないアフリカの土地で、如何に近代兵器を維持しまた確固たる威力を発揮し尚且つ複数の国を牽制しうる力。

そのコンセプトの元で開発が進み、長年の研究の果てに辿り着いてのが時代と逆行した超大型化。

嘗て夢想された陸上戦艦であった。

単独で複数の敵を相手取り、尚且つ軍団規模の戦力を維持し、制空権を保持しえ。

複数のISを圧倒し尚且つ代替可能な再利用可能な兵器。

アフリカという領土を維持する関係上、これ等のコンセプトを達する為にコストを度外視するという思い切った決断を下したBFFは、アメリカから軍備費削減によって大量に発生した廃艦を買い叩き、資源へと変えると早速建造へと取り掛かった。

当初ブリテン政府は莫大な費用がかかるこれ等の計画を止めようとしたが、王室とも強い繋がりを持ち、尚且つBFFの損失はそのままブリテンの経済を直撃することと同義であり、結局これ等BFFが提唱した案は全て議会を通り、建造は加速度的に進んだ。

完成の暁には、人類史上最大の陸上兵器が完成すると見込まれ、その未知の性能はこの時開発当事者であるBFF以外、誰も見抜く事が出来なかった。












あとがきのようなもの。

かーちゃん誕生の背景です。

このまま一機一機アームズフォートを紹介していこうか、それとも早速ガチバトルにするか。

ゆっくりと考えています。

誤字語法がありましたら、感想の方まで書いていただけると、ありがたいです。





[30375] 母の力(行間修正)
Name: rahotu◆dfddba02 ID:54cb36f9
Date: 2011/11/07 09:44
BFFがその総力をかけて開発建造した新概念新機軸の防衛構想の集大成である超巨大兵器。

六機の巨大な足に、多数の飛行甲板を備え、尚且つその特徴的な最早計測不能なほどの巨砲を二基六門。

上から見ると、六本足の蜘蛛の背中に飛行甲板が放射線状に配置され、中央部両側に配置された巨砲が周囲を威圧する。

二十世紀の重巡洋艦クラスの火力を弾く装甲、全体に配置された二十基以上ものミサイルランチャー、多数の航空機の離発着を可能とする飛行甲板に人工衛星さえ射程におく超巨大レールキャノン。

それらによって周囲100km~200kmは絶対防衛圏と化し、事実その莫大な建造コストに見合う威力を発揮したと言える。

スピリット・オブ・マザーウィルと名づけられたこの地上戦艦は、後のAF(アームズフォート)の先駆けとして以後十年間地上において覇権を握る事となるが、登場当初はそうではなかった。

何故か?

考えてみれば分かる。

某第三帝国の巨大列車砲の例を見るに、このような巨大兵器はその存在による威圧以外、対して建造コストに見合うような戦果を得ることは出来ず、運用に多大な人員を必要とし時間も何もかもがかかり過ぎる。

そういったことから各国、特に欧州ではこの兵器を失笑を持って迎えた。

IS全盛期である世界の常識から言っても、このような巨大兵器は無用の長物でしかない...筈だった。

だが、世界の常識は又も覆された。

それも思わぬ人物によって。



ISが登場してから、既に十年以上。

人類初の男性のIS適正者は発見され、そして姿を晦ましてから三年。

その男は、ここアフリカの地に降り立っていた。

「全く、束さんも人が悪い。こんな所に俺一人送るなんて、なあそうだろう?**」

黒髪黒目の明らかに日本人と分かる容貌の少年が、陸の上で振り返って自分の相棒を見る。

「せめて千冬ねえがいれば...っ!?動き出したな。準備はいいか」

少年は光学カメラを覗き込みながら、地上に存在する六対の足。

まるで神話の世界に自分が紛れ込んだかのような錯覚さえ起こさせるその巨大な足が。

ゆっくりと少しずつ、動き出すのをカメラで追いながら一つも見逃さないよう確りと記録に残していく。

手元の腕時計の秒針がゼロを示し、少年は一言呟く。

「はじめろ」






あとがきのようなもの

作者です。

カーチャン登場と思わせておいてまさかの彼。

次くらいでカーチャンの力を書ければいいかなと思っています。

なんたって母は強し、ですからね。






[30375] 母は強し、女は強し(行間修正)
Name: rahotu◆dfddba02 ID:54cb36f9
Date: 2011/11/07 09:51
作者です。

今回はムシャクシャシテやった、コウカイはしていない。

シャルルは可愛い。

そんな話です。






轟音、そして爆音。

スピリット・オブ・マザーウィルのありとあらゆる火砲を開き、自慢の人類史上最長の射程を誇る巨砲二基六門がはじめて火を噴く。

多数の速射砲からの砲撃が、地面を耕し、圧倒的投射量を誇るミサイルの群れが空を覆い尽くす。

その火力の前に、戦車が、飛行機が、それらを向こうに追いやり頂点に君臨していたはずのISさえも火に飛び込む蛾の様に呆気なく火球に消えた。



時は遡り二週間前。

中央アフリカで起こった民族問題に起因する紛争は、やがてISの登場によって圧倒的戦力で制圧した政府軍の勝利に終わる。

だが、長引いた内乱や外国に介入によって経済も何もかもが破綻した国家を維持する為に、戦争につぐ戦争を繰り返すしかなく。

遂にはアフリカを横断するように領土を広げたその国家はブリテン、イギリス連邦との激突は必然であった。

狂犬国家と揶揄され蔑まれてい国家ではあったが、形振り構わぬ軍拡に条約破りのISの軍事利用を積極的に推し進めたが故に。

外交面では条約を守る国々に裏でISの実戦データや企業の実験兵器を運用しそのデーターを売るという事で国庫を賄いつつ軍備増強。

貧国強兵を体言したその国は遂にグレートブリテンと真っ向からぶつかった。

宣戦布告の理由なんかなんでもいい。

ここ十年来、ブリテンの飛躍を望ましくないと思う国や組織は少なくない。

支援こそしないものの、グレートブリテンの領土の幾ばかを掠め取ってくれさえすればいいのだ。

彼らは中東の春で行ったブリテンの裏切りにも等しい行為を忘れてはいない。

また、かつての王座に返り咲いたブリテンに今更頭を下げるなど、出来よう筈がなかった。

兎に角始まったこの戦争は、大方の予想を裏切りその国の一方的な敗北と敗走に彩られた。

その原因は何か?

つまるところ、彼らは自分達の身の程をそれほ弁えてはいなかっただけなのだ。

真っ向からスピリット・オブ・マザーウィルに立ち向かい。

虎の子のISを失った彼等に、最早ブリテンを留めるだけの力はおろ、占領した国々を纏めるだけの力さえ失った。

それほどまでに戦いは一方的であったのだ。




開戦当初、宣戦布告と共に国境を越えたその国の最精鋭IS部隊が真っ直ぐグレートブリテンアフリカ連邦の要、カイロを占領するべく飛行し、その前に形容でもなんにでもなく事実として壁として立ち塞がったスピリット・オブ・マザーウィルと戦闘になった。

IS部隊がマザーウィルをハイパーセンサーで捉える間に、既に衛星によって詳細な動きを捕捉していた事で、容易に迎撃体勢を取れたマザーウィルに対し、準備の整わずまたISという最強の鎧を身にまとい慢心していた彼女等は正に唯の的でしかなかった。

轟音、大気を揺るがすほどの爆音が地平線の彼方から聞こえてくるのをISのハイパーセンサーは逃さなかったが、ついで来る質量を伴った脅威にたいしては何ら意味を成さなかった。

一瞬の内に十二機いたISのうち三基が文字通り地上から姿を消し、半分の機体も砲弾が通り過ぎた後の衝撃波で陣形を乱し、立て直そうと気流に絡め取られているところに更に無常にも砲弾が叩き込まれる。

一方的なワンサイドゲーム。

避けようとしてもハイパーセンサーが知覚するよりも早く着弾し、精々3mちょっとしかないISを正確に打ち抜く射撃精度。

そして何よりも。

先程から一向に鳴り止む気配がない巨砲の発射音と大気を振るわせる衝撃波が、彼女等を更なる絶望へと追いやる。

何故?如何して?有り得ない

マッハ3で高速飛翔する物体を打ち落とすなど、同じISですら難しいことを量と精度で解決したマザーウィル相手に。

一矢報いることはおろか、何もさえぎるものがない空中で逃げ場がない中彼女らは最後の一機が消滅するまで、砲声は鳴り止むことを知らなかった。

IS部隊を退けたマザーウィルは今度はその巨体をゆっくりと旋回させ、砲台をかの国の首都へと向ける。

ISでは何とかなっていた砲弾が通過するときに発する衝撃波。

それが地上を這う装甲車や戦車にとっては正に降って湧いたような厄災であった。

逃げるところなど何処にもなく、国境を越えたと思ったら直にこの世から物理的に消滅しているなど、だれが予想できよう。

やむ事無く降り注ぐ砲弾に、マザーウィルから発射された巡航ミサイル群が牙をむき、止めとばかりにマザーウィルから発艦したステルス攻撃機が首都官邸を爆撃する。

僅か二週間ほどで戦闘は呆気なく終結し、かの国が動員した十八機のIS以外、ブリテンは一機たりともISを使用する事無く勝って見せたのだ。










嘗てはある程度の繁栄と発展を迎えていた亡国の首都で、彼はその惨状をつぶさに監察しつつ廃墟と化した街を歩いていく。

道行く人々は瓦礫を撤去する力もないのか、みな俯いて地面へと横たわり、死体が放つ腐臭がそこらじゅうに漂っている。

ブリテン及び国連によって保護下に置かれたこの国はまだまだ再生への道は険しそうだ。

半ば人事の様にそう心の中で思った彼だが、実際は彼自身にも此度の惨状の責任はある。

軍部を焚きつけ、ブリテンと激突させ、マザーウィルとISを彼と彼女が思うようにぶつけてくれた。

その結果に彼も彼女も非常に満足しているし、その点を見れば彼等の犠牲は無駄ではなかったと言える。

さあ、今度は日本だ。

久しぶりに帰る故郷へと思いを飛ばしつつ、彼は瓦礫の山の中を鼻歌を歌いながら歩いていった。












あとがきのようなもの

作者です・

不味い、非常にまずい。

深夜テンションは非っ常ぅにまずい。

次回から少し、書き方を変えてみようかと思います。

バリバリ人を喋らせて、もう少し描写を細かくして、あと考察とかを織り交ぜつつ書けたらいいなと思っています。





[30375] 近藤バニシングマガジン風に解説?(行間修正)
Name: rahotu◆dfddba02 ID:54cb36f9
Date: 2011/11/07 09:52
アフリカでブリテンと戦争が起きる前と後の世界がどう違うのか。

非常に魅力的な議題ではあるが、事軍事的な、各国の国防戦略にはその変化が如実に現われている。

今まで無用の長物と笑っていたものが、いともたやすく、彼等彼女等の考えを越えIS=絶対という方程式を根底から覆したのだ。

本来アームズフォートと称されるこの兵器カテゴリーの役割は。

一にISの登場によって失われた抑止力の代わりとなる相手に威圧を与える兵器であること。

二にISの弱点を補い尚且つそれ自体もISと同等以上の性能を持ち代替可能なこと。

三にとにかく既存の技術で作れ、尚且つ容易に量産が出来誰でも扱う事が出来ること。

この三点からも分かるようにあくまでもISの補完する兵器のはずであった。

だが、BFFはそれに満足せず研究に研究を重ねGAグループの協力も得ながら遂に開発したスピリット・オブ・マザーウィルは上記の三つの要素に全く当てはまらないながらアームズフォートとして区分されているのは、一重にその巨大さ故だろう。

全高600m、全長2kmを越える史上最大の軍事兵器を一体どのように区分するのか?

既存の概念に全く当てはまらないということではISと同じ存在であるマザーウィルだが根本的なところでそのあり方で大きく異なる。

つまり前者が非代替可能兵器未満の兵器であるならば、後者は代替可能と銘打った実質量産不可能な決戦兵器といえる。

だが、兎にも角にもマザーウィルの存在がISのサポートとして開発が進められていたアームズフォートをゆがめたのは間違いない。

これ以降各国で巨大兵器の研究開発が進ん行くが、最終的に量産にまでこぎつけたアームズフォーとは意外なほど少なく、これは同グループがいかに規格外の存在であったかを証明している。

個のISに対して力と量のアームズフォート。

この両極端ともいえる兵器が最終的に人類の存亡をかけて戦う事になることを、当時の人々は知る良しもなかった。







データベース

スピリット・オブ・マザーウィル
始祖にして全てのアームズフォートの母。その後の子供達の運命を決定付けたと言ってもいいエポッキメーキングな機体。超射程重火力、重装甲に重装備と陸上戦艦どころか移動要塞と形容するのが相応しい超巨大兵器である。
開発元であるBFF曰く『むちゃくしゃしてやった、反省はしている後悔はしていない』らしく、実際ブリテンの覇権を十年以上にも渡って守り続けた勲章艦である。
飛行甲板は専ら物資や人員の運搬用に使われ実際に戦闘機が飛び立つことは稀であったそうだ。射程200kmを越える巨砲の存在と絶対的な防空圏とで無敵を誇っていたが果たして...。






[30375] AF後と前におけるISの戦術に関する変化(誤字修正・行間修正)
Name: rahotu◆2115ff84 ID:b4f36931
Date: 2011/11/07 10:01
作者です。

会話を入れるとか言っておいて、どうしても人と会話を書く事が出来ません。

今回もだらだらと無駄に長い設定説明が続きますので、ご容赦下さい。

ISの進化系統はモビルファイターを少し参照しました。









IS登場当初。

世界に拡散したISコアの扱いについて各国は困惑した。

何故なら、余りにも白騎士の性能が隔絶しすぎており、アレを量産するとなると技術的問題やコストや開発費用。

また、どういった戦術ドクトリンで運用するのかさえ手探りの状況であった各国は迷走に迷走を重ね、その結果として生まれ第二世代IS。

打鉄等に見るISは近接戦闘を主とし、ハイパーセンサーと絶対防御の存在でほぼ無敵ともいえるISに対抗するのには、これまた単純な理論で同じものをぶつけるという方法で解決をみた。

第二世代前のISは極度に大型化、または重装備、重装甲、軽量に特化し、ミサイル以外に装備を持たなかったりと、量子格納技術への理解が不十分であった為当時のISは武装を態々展開後に外付けして運用されていたほどだ。

第二世代以降は、武装や各種装備を量子変換しよりコンパクトにスムーズに取り出す事が可能と成ったが故に、対軍から対ISへとシフトしていく過渡期の機体であり、

接近戦に特化しつつも、ISという兵器を既存の兵器グループに押し留めようとした当時の技術者達の涙ぐましいまでの努力によって殆どの機体が凡庸な性能に納まっていた。

ここで漸くISを安定した兵器へと昇格させたことで、今度はISの本来の性能。

つまり白騎士のコピー計画がスタートした。

その為に、各国ともそれぞれ一芸に特化したISを開発し白騎士までの繋ぎ、技術習得の意味合いを込めて第三世代と命名し、事実、これ等の機体は殆ど試験機試作機が占め各国の主戦力が第二世代どまりであったことと比べると、当時のIS開発者達の思想が透けて見える。

兎に角白騎士への道しるべを何とか探ろうとしたIS研究ではあるが彼等はまたしてもIS登場時と同じく頭の上に突然雷が落ちてきたかのように衝撃を受けた。

ISの生みの親である篠ノ之束が発表した第四世代IS。

その性能、デザイン、全てが彼等の予想を大きく上回っていた。

開発中の或いはまだ基礎研究さえ終わっていないような物が第四世代ISに全て詰まっていたのだ。

最早世代云々の話ではなく、開発のISに対する視点の違いがここに現われていた。

ISをあくまで凡庸な個人でも扱えるように研究した各国に対しあくまでも自身の開発したISのみが白騎士の正当な継承者であると証明するため、個人の技量、またはそれさえ必要ないほどの究極の個への執着と集約。

太古の昔、一歩兵がその蛮勇によって歴史に名を留めたかのように時代を逆行し単一の兵器が世界と対等に渡り合うなど、白騎士事件で既に証明されたはずの事実を改めて突きつけられた彼等が、自らの考えと方針の転換を迫られる。

これまでの白騎士を目指しつつIS対ISを推し進めるのではなく。

究極の個の追求。

つまるところIS対全て、そう置き換えていい程のものを要求された。

通常の兵器ならば到底考えられないことだが、しかしISはその隔絶した性能と引き換えにコアの量産がきかず、実質五百個未満のコアを、凡庸な個人でも扱えるように性能を押し留めるよりは、コストがかかろうともそれ一機に全てを集約するという方向にシフトしていくはずであった。




だが、それを実現するには余りにも時間も資金も技術も何もかもが不足し、結果、それらを肩代わりするべくISで得た各種技術を惜しげもなくつぎ込み、新しく作り上げた兵器。

アームズフォートの登場によって又しても大きな方向転換を迫られることになった。

アフリカにおいてのスピリット・オブ・マザーウィルの隔絶した戦果は、それだけで各国の心胆を寒からしめたが、事実初めてISが通常兵器に敗れたことでもあり。

また、ISに代わり同グループの存在が既にISを補完するという当初の思想から大きくはずれ、思わぬ副産物どころかとんでもないものを開発してしまい、開発国であるブリテン及びBFFもこの結果に驚愕し、思考停止ともいえる状態にまで陥った。

話を戻そう。

つまるところISはその開発から迷走に迷走を重ね、何とか大筋の道を見つけようともがいた挙句、底なしの泥沼に捉われて沈んでいくように、外的要因によって大きく揺さぶられていった。

そしてアームズフォートの登場によってその混乱は極地へと達する。

回収された戦訓から、まず注目したのはハイパーセンサーなどの基礎的な技術の不足であった。

ISは未だにブラックボックスが多く、完全な解明には三十年以上かかると予想されているが、既存の兵器との互換性や補助装備に至るまで、全てをそれ専用に作りなおさなければならず、通信機などは改良できても、ISの目であり鼻であり耳であるハイパーセンサーの強化は、お世辞にも進んでいるとはいえなく、つまりは、個篠ノ之束が自らの財産を守ろうとした為に生じた弊害ともいえる。

次に火力、装甲の不足。

ISを従来の戦闘機の亜種と考える、またはそのように運用する向きは何処の国でも強く、事実、第二世代ISの運用ドクトリンは機銃とミサイルによる遠中距離戦から近接装備からの接近戦と、二十世紀のベトナム戦争のような運用方法であった。

この為、ISの装備はそれほど重武装かされず、またその程度の火力でも絶対防御を発動させる事が出来るほどだったので。

実際にISを用いた国同士の戦争が勃発すればISはその継戦能力に大きく疑問を持たれていたはずだ。

この時点でアームズフォートに対抗するには、既存のISでは火力、装甲、そして攻撃を掻い潜る機動性。

すべてにおいて不足し、これ等をバランスよく取り揃えることなど技術的に不可能に等しく、故にこれ以降のISは歪な進化を辿る。

アームズフォート前後のISを第三世代と第三.五世代と分けるのはこの事が大きく関係している。

第三世代が白騎士を目指したのならば、三.五世代は一極への集約。

火力なら火力、装甲なら装甲、機動性ならば他の何を犠牲にしてでも突き詰められ。

複雑化する機構がISの巨人化を促し、この当時のISの平均全長が6~10mと第二世代第三世代の二倍から五倍近くにまでなり、第四世代で示された究極の個同士の戦闘から、極限を突き詰めた機体による局地制圧へとシフトしていった。

恐竜的進化の結果、ISの自己進化への可能性が抑圧されたと後年には批判されている。














あとがきのようなもの

作者です。

自分なりにISの進化を系統付けて考えた結果、束がISを開発した究極の目的が実は極限の機体どうしで戦って勝負を決めるガンダムファイターということに成ってしまいました。

な、なんだってえええ!?

それだと面白くないので、折角アームズフォートが出てきたのでガンダムの第三世代第四世代MSのように恐竜的進化を遂げた、ゲーマルク、ドーベンウルフみたいなISがこれから出てくるのではと。

思っていたりします。




[30375] ランドクラブvs第三.五世代型IS(行間修正)
Name: rahotu◆2115ff84 ID:b4f36931
Date: 2011/11/07 10:12
作者です。

今回はタイトルのまんまです。

人物心理描写なんてありませんが、宜しくお願いいたします。









某国某所にある実験場にて。

「では再度試験について説明します。今回は強襲戦を想定、時間内に目標の全滅もしくは戦闘力を奪うことを目的とします」

「試験の際には模擬弾を使用。レーザー兵器も人体に影響の無い範囲に押さえられています。被弾した場合こちらでチェックし損害を確認該当部分をダメージに従い機能を制限します」

無線機のインカムから聞こえる事務的な声を聞きながら、ISのパイロットはカウントダウンを待つ。

「十秒後に試験を開始します。それでは、カウントダウン...」

機械的なカウントダウンを数える声の中、各部の動作や状態を簡単にチェックし、息を二度吸ってはき、目を見開く。

「3.2.1.0」

爆音

アフターバーナー、一気にノズルを踏み込む要領で機体を空中へと無理やり持ち上げる。

軽戦車程の重さの物体が、当然飛行に適していない人型という形のまま空に躍り上がるその光景は、見るのも全てを圧倒させた。

「機体高度を2000mに固定。二時方向にIFF...識別敵性反応機種別っ!?」

ISをPICに任せて強引に横滑りさせ、間を置かずして先程機体がいた場所を砲弾が貫く。

と言っても、実際には発砲はされずデーター上でのやり取りなので砲弾自体が飛んでくるわけではない。

「情報修正、想定よりも敵の射程が長い。奴等BFF製の照準器を取り付けたわね。アクティブデコイを放出、以後コアからの戦術ネットワークに従い自立行動を」

全長6m程の機体の両肩部分がスライドし、そこから自機を模したデコイが射出される。

全長は3m程と半分ほどの小ささだが、最新の量子変換技術によって開発されたアクティブデコイは外見上なんら普通のISとは変わらず。

通常のハイパーセンサーですら識別が困難なほどの精度を持っている。

六機射出されたデコイ群はそれぞれが機体のISコアから送られる量子通信に指示されながら独自に動き。

パイロットに負担をかけないよう工夫がなされていた。

だがしかし。

「デコイの撃墜2確認。流石に手練か、デコイがこうも容易くやられるとは。戦術を変更、残ったデコイで特攻をかける。目標を半径300mに収め次第自爆」

撃墜されたデコイはその場で動きを止め、試験終了までその場で待機する。

フルスロットル。

6mもの巨体がマッハ3を越えシールドエネルギーを機体前方にショックコーンを形成するように展開させ、更に両腰にロケットブースターを量子格納領域から展開し噴射。

一気に目標との距離を詰める。

「デコイ撃墜3、残りの一機は自爆するも敵に被害を与えることは成らず」

デコイが全て撃墜されたが、しかし十分時間は稼いでくれた。


漸く本体に砲撃を開始したランドクラブの攻撃を避け上空に躍り上がる。

ロケットブースターを破棄。

武装選択、対AF用兵装。

量子格納する間も惜しみ、不要な部分をパージし量子格納領域を全力稼動させ武装を高速展開。

右腕にガトリング砲、左腕に拡散バズーカ、両足に三連ミサイルポッド、両肩の先端にはチャフとフレアを装備。

戦車中隊が砲身を上げ機体を狙うが...。

それよりも早く展開した右肩のレールガンと左肩のプラズマキャノンが火を噴く。

トップアタック。

如何なる地上兵器においても上空は完全な死角。

構造的に装甲が薄く、しかもその部分にISの火力を叩きつけられれば一たまりもない。

レーザーとレールガンで蜂の巣にされた戦車を尻目に、両足からミサイルを発射し邪魔な戦闘ヘリを根こそぎ叩き落す。

オードブルはたいらげた、そろそろメインディッシュに取り掛かろう。

味方が全て撃破されてからの遅いミサイルでの迎撃。

アームズフォートに乗る乗員を責めることは出来ない。

突発的な出来事に対応できるのが人間の強みだが、それをダイレクトに伝えられるISと比べ、アームズフォートでは些か以上に体が大きすぎる。

無常にも発射された対空ミサイルをチャフとフレアでなんなく無力化し、無防備な背中に全火力を叩きつける。

主砲がミサイル発射管がデーター上で吹き飛び、内側に被害が拡大し装甲がめくれ上がる。

止めとばかりに地上に降り立ち、全ての兵器を量子格納し両手に抱えるようにして巨大な砲を展開する。

バスター砲

これがこの兵器の俗称だが簡単に言えば陽電子砲だ。

本来自然界には存在しないはずの反物質でもって相手を消滅させる言わば核兵器の亜種ともいえるこれは。

一発撃てばシールドエネルギー満タン時でも絶対防御を発動させてなおパイロットに負担をかけてしまう欠陥兵器であり、最悪の汚染兵器でもある。

両足のバンカーでもって大地に深く穿たれ、衝撃を吸収できるよう機体各部のロックさえ外す。

砲口内のライフリングが加速し、それと共にシールドエネルギーが減少。

レッドゾーンに入る一歩手前に状態、それでも僅か20%の出力。

全力で撃てば都市を消滅させる程の威力を秘めるそれの、トリガーを静かに引いた。

と、同時に予めプログラムされていた緊急停止措置が取られエネルギー供給を停止されたバスター砲が、急速に砲口からの光を失うと共に、貯まったエネルギーを大気へと放出する為、砲身が三方向に傘のように開き冷却する。

「ミッションコンプリート。おつかれさまです、以後回収班が到着するまで待機」

「了解した。こちらも既にエネルギーがつきかけている。暫く通信が出来なくなるので早めの回収をお願いすわね、オーバー」









あとがきのようなもの

作者です。

如何でしたでしょうか?

他の人の様に上手く描写は出来ませんが、第三.五世代ISのコンセプトが分かっていただければ幸いです。

因みに最後のバスター砲は完全にお遊びです。

あんなものあったら地球が汚染されてしまいます。

唯でさえコジマがあるのに...。





[30375] 巨獣咆哮(行間修正)
Name: rahotu◆2115ff84 ID:b4f36931
Date: 2011/11/07 10:31
作者です。

今回厨二理論爆発です。

正直笑われても仕方がありませんが、何とか人を喋らせることが出来たので満足です。

それでは、暇潰しにでもどうかご覧になってください。










アームズフォート登場によって一番利益を得たのは何処か。

十人が十人ともGA社と言うだろう。

傑作AFとまではいかないが凡庸な性能に納まっていて尚且つ容易に生産、整備可能な量産型AFランドクラブの成功はGA社の停滞していたグローバルスタンダードの意図と合致していた。

アームズフォートはそれ自体がその国の総合技術の塊のような存在だ。

似たような例では車や戦車をイメージしてくれるといい。

一番目に付く武装にしても、各種電子装備、駆動系、装甲、エンジン、何もかもがGA或いはその傘下のグループか影響力のある企業によって作られ、ランドクラブ一隻の注文で各工場がフル稼働する程だ。

アームズフォートのいいところは、金はかかるがIS未配備の国あるいは特定宗教の問題で出来ない国などでも容易に、IS級の戦力を揃えられ、しかもISと違って量産が出来るという点にある。

無論アームズフォート万能論など無いが、それと同時にGA社製の各種装備もセットで売り込み、或いはその地域の軍事企業と結託し後々完全な傘下に置いてしまおうなど、GAの露骨な拡大主義が透けて見える。

中国などではランドクラブの性能に目をつけ、それのデッドコピー品を生産したり、GAのヨーロッパ法人であり今現在はアクアビットと合併独立した旧GAE、現トーラス社などでも嘗ての傘下企業という伝手で欧州でのランドクラブ生産受注を一手に引き受けており確実にアームズフォートは全世界に拡散していった。

だがそれと同時に、今までISという限られた範囲で行われていた軍拡競争が一気に広がり、ある意味ISという抑止力が会ったからこそ、ここ十年来の世界は比較的戦争とは無縁といられた。

しかし、アラスカ条約に縛られないアームズフォートの登場はアフリカで示された戦果の通り、瞬く間に各地で戦争への萌芽が芽生え始めたのだ。









国境を越え、川沿いに展開する守備隊を蹂躙する巨大な影。

巡洋艦に匹敵する火力が、地上を耕し、巨砲が火を噴くたびに数百という命が散る。

中東某国領土宗教そして民族問題に起因する長年の鬱積が遂に暴発し、第十七次中東戦争が勃発する。

国境を越えて某国の宗教的複雑怪奇な極めて高度な政治取引によって保たれていた首都を目指し、計十六機を越える量産型AFランドクラブが侵攻を開始し南北に長い歪な領土を次々と蹂躙する。

技術錬度では勝っていたはずの某国だが、国防の重きをISに寄っていた為複数方向からの大規模侵攻に対応できず亡国の危機に陥り、多国籍軍の介入を招いた。

戦火は某国領土内に留まらず中東全土に広がり彼方此方で多国籍軍との戦闘が繰り広げられる。

史上初のAF同士の戦闘も行われ、そこにユーフラテス川流域に発する某国家が大ペルシア王国建国を宣言。

近隣国を次々と併呑し、情勢は更に混乱。

国連ではISの投入の是非を巡り、日々白熱した議論が巻き起こる中、中東情勢に付入りGA,インテリオル、それぞれのグループが持ち込んだAFによって戦火は一向に収まる気配を見せずその火は各地へと波及する動きを見せ始めていた。

そして歯止めのきかない情勢が、更なる悲劇を招く。











某日某所

ISの生みの親にして天災と称される篠ノ之束は。

各国に散らばったISから送られる情報を整理統合し、今現在何が行われているのか。

世界で何が起こっているのかを大まかに把握していた。

「不味いわね。とうとう恐れていたこと、その前触れが起きてしまった」

「束さん、そんなに悪いのか?何時もの火遊びじゃないのかい」

束の後ろから男の声がした。

黒髪黒目に鍛えられた肉体に、首から待機状態のISをぶら下げた。

『織斑一夏』の姿がそこにはあった。

「う~ん、ちょっと違うんだよね。今回は国家と言うよりも企業の利益が大きく関わっている。中東は元々アルゼブラ社とオーメルサイエンスの縄張りだったんだよ」

「パックスの話か?でもそれは経済圏の問題で...」

「そのパックス。昔はそれぞれの縄張りで満足していたんだ。でね束さんはISを作ることによって相対的に各国の軍事力を減らそうとしたの」

「例のISによる新たな安全保障と戦争の抑制か?一応上手く行ってたんだろう」

「うん、ISはすっごくお金がかかるようにしたからね。既存の軍隊なんか維持できないくらい」

「そのお陰で苦労したんだろうな。俺が日本を逃げる時も追っかけてくる自衛隊めっちゃくちゃ少なかったし」

「その前提を崩しちゃったのがAFなんだよ。まさかあんな非現実的なものを実用化して量産化するなんて。束さんびっくりだよ」

「ははは、束さんでも予想できない事があるんだな」

「ぶー、何かないっくんは束さんを神様かなんかだとおもっているの?」

「俺にとって束さんは今も昔も変わらないよ。大切な大切な彼女(ヒト)だよ」

「///は、話を戻すよ。(少女?説明中)」




-キングクリムゾン、時は(ry-

ようは今までと違い一隻でも莫大なリターンを望めるAFができたからいっちょ市場開拓がてらよそ様の縄張りにちょっかい出して、そんであわよくば自分たちのもんにしてしまおうという簡単なお話です。







「で?このあとどうなるんだ。結局」

「各国でAFの建造競争が始まって緊張感が高まり、最終的には爆発。今の中東の比なんかじゃない、本当の意味での世界規模での大戦がもう一度はじまっちゃうかもしれない」

「な、なんだってえええ!!」

「...いっくんふざけてる?」

「いえいえ滅相もございません。でも本当に戦争なんて起きるのか?」

「それは流石に束さんでも分からない。あ、AF作ってる企業や武器商人をぶっ潰すのは無しね。一度世に出てしまったものは元を断ってもどうしようもないから」

「世の中小説やアニメや漫画のように行かないな。赤いつば「ストップ」」

「その人たちから見たら、私たちの世界のほうがよっぽどファンタジーだよ」

「兎に角、私の目的はいっくんとちーちゃんとほーちゃんの幸せなの。そのためになら束さんなんでもやっちゃう。だから戦争なんて絶対に起こさせない」

「束さん...俺」

「いっくんは今までどおり束さんの傍にいるだけでいいから。時々お仕事手伝ってもらうけど、いっくんの体はもういっくんだけのものじゃないんだよ?」

「ああ、分かっているさ。束」

一夏は、そっと束のカチューシャに手をかけ。

サラッと流れるように落ちた髪の感触とシャンプーの臭いが鼻腔をつつく。

「あ、いまは...」

目と目があい。

お互いの顔しか、目に入らない。

束の美味しそうなルージュに。

そっと一夏は......ワッフルワッフル(笑)









あとがきのようなもの

作者です。

やってしまいました。

理想郷となろうではノリがまったく違うというのは重々承知だったんですけど。

ここの一夏君をプレイボーイに設定してしまった我が身を呪うばかり。

因みにここの一夏くん、箒が一番だとかいいながらシャルやセシリアと愛人関係だったり、

千冬さんとも実は...。

こんな厨二溢れる作品ですが、どうか微温湯のような目で見守って下さい。




[30375] NEWS HEAD LINE
Name: rahotu◆dfddba02 ID:b4f36931
Date: 2011/11/09 14:30
『News Head Line 世界情勢を軍事の面から中立な立場でお送りする News Head Line 今回は軍事評論家 イサク・オ○ベ氏を特別に招きお送りしていきたいと思います』

『今週おおくりするのはこちら、今現在地上を支配していると言っても過言ではないAFその最新型であるGA社が開発した巨大装甲列車型AFグレートウォール その秘密に迫りたいと思います』

「こんにちは軍評論家のイ○ク・○カ○です。今回はGA社が新開発した新型AFグレートウォールについて語っていきたいと思います。まずはこちらの映像をどうぞ」

砂漠に出現した不自然な巨大な壁。

いや、違う。

よく見るとそれが動いているのが分かる。

地上を我が物顔で疾走し、段々とその姿がアップされる。

先頭車両に書かれた巨大なGAのロゴマーク。

周囲を併走する戦闘ヘリに甲板の上には巨大なガトリング砲、ミサイルランチャー等重武装が施されている。

上空から見ると、正にその姿は移動する万里の長城。

全長7km以上もの巨体が砂漠を蹂躙するように進むその姿は圧巻の一言である。


「今見てもらったのがGAの新型AFグレートウォールです。その名の通り、重厚長大な姿をして非常に強固な装甲をもっていると予想されます。実際この装甲の厚さは同じくGA社のギガベースの主砲を弾くと言われており、GA社はこのAFを地上最大にして最強と言っております」

-武装について-

「武装は甲板上部に巨大な、ここですね。大口径のガトリング砲を三門、それと全方位ミサイルランチャーを二基、それだけでなく列車型ということもあり一番の脅威はその搭載量でしょう」

-大きさ搭載量-

「全長7km以上という巨体が生み出す搭載量は恐らく地球上で一番でしょう。攻撃に関しては搭載している兵器でもって辺り、自身の護衛は甲板上の兵器で迎撃するというコンセプトが浮かんできますね」

-対IS戦闘-

「このAF自体はそれほど火器を搭載していませんので、ISに懐に入り込まれたら弱いと思われがちですが、先程も言ったとおりギガベースの主砲でさえ貫通できない厚い装甲に守られており、また近年AFの護衛にISを用いるという方法をとる国が増えてきています。と成るとひょっとするとたとえ接近したとしてもグレートウォールに取り付く前に搭載しているISによって迎撃されてしまうのでは、と予想されます」

-攻略の糸口-

「このように外の攻撃に対して無敵のグレートウォールですが、恐らく攻略の糸口は内部からの破壊しかないと思います。この後方の物資搬入口と思わしき部分から内部に侵入し先頭車両にある動力部を破壊するしかないと思います。ですが、その為には幾重にも張られた防衛線を突破し尚且つ内部にも相当数の防衛部隊が存在すると思われるので、その囲いを突破しての攻略となるのでかなりシビアな攻略となるでしょう」

『イサク・オカベ先生、今回はありがとうございました。さて次回は他企業とは一味違った兵器を開発するトーラス社の設計主任をお招きしての、インテリオルグループのAF開発戦略について聞いていきたいと思います』

『それでは、また皆様と会える日を願って News Head Line でした』


この番組は 安心と信頼のGAグループ 世界の安定と秩序を願うインテリオルグループ 世界の緑化を推進するトーラス社 双方にとって悪くない話のオーメルサイエンス社 の提供でお送りしました。

この後の放送は 企業戦隊GAマン&コジマ戦士アクアビットマンをお送りします。




[30375] NEWS HEAD LINE~in TORUS~
Name: rahotu◆dfddba02 ID:b4f36931
Date: 2011/11/16 23:47
『News Head Line 世界情勢を中立な立場で御送りするNews Head Line。今日は現在世界の軍需産業を支配しているといっても過言ではないパックスの一員トーラス社の開発主任をお招きしてお送りしていきたいと思います』

『また今回から番組の司会者兼進行役となったイサク・オカベ氏と徹底討論』

『兵器開発の光と闇に迫る』



「こんにちは。軍事評論家のイサク・オカベです。こちらはトーラス社の元開発主任で本日はNews Head Lineへようこそ」

《いえいえ。私もこの放送を毎回チェックさせていただいておりますよ。こちらこそ番組の方にまで出れて光栄です》

(※トーラス社元開発主任のK氏個人のプライバシーとその他諸々を保護する為声と顔を隠しています)

「まず、御社は他社とは又一風変わった兵器を開発することで有名ですが、やはりそのあれでしょうか。差別化等を図っていると?」

《ええまあ、なんといってもトーラス社はまだまだ新興の企業なので競争の激しい中生き残っていく為にはトーラス社のブランドというものを早く確立する必要がありますね》

「それが御社の開発やデザインにも生かされているとは思いんですよね」

《特に最近では球体面を前面に押し出した製品を開発しています》

「というと?」

《トーラスが本社を置く欧州はインテリオルグループと並んで特にエネルギー系統が発展しています。装甲の表面にある一定の磁器を通わせることによってエネルギーの方向性を変える、あと実弾なども球体ですから被弾を低くする事が出来ます》

「つまり非常に打たれ強いということですね」

映像が切り替わり空を飛ぶ巨大な円盤を映し出す。

底の浅い皿を内側に向け上下に合わせた様な形をして空を飛ぶ物体。

大気圏を高速で飛翔し前身からミサイルとレーザーを地表に発射する。

「これが現在、インテリオルグループが開発し生産した量産型AFイクリプスですが、御社の技術と言った物は何処に使われているのでしょう?」

《まず装甲面ですね。表面装甲はアルドラ社が担当していますが内部の特にレーザーを発射する際エネルギー漏れを防ぐカバーですとか。FCS関連も自社の開発したものがかなりの数で採用されています》

「一説にはGA社に地上を走行するAFに対抗してという見方もありますが」

《それは一種の棲み分けですね。地表近くですと埃だとか塵の影響でレーザーなんかは減衰してしまうんです。ですが上空ですと非常にゴミだとかが少なくて尚且つ視界が確保しやすいというメリットがあります》

「しかし、現在に風潮としては空はISの独断場と化していますがその点で一体どう対処しているんでしょう」

《このイクリプスの本来の役割はですね。実際見てもらって分かるようにそれほど高高度を飛行するのではなく上空から地表に向けてのレーザー攻撃、ミサイルはあくまで防御手段でしかないんです》

《実際の運用になりますが、味方のISが制空権を確保した中で地表掃討等に使われますしVTOLを採用していますから緊急時の即応性なんかも確保しています》

「ではイクリプスはISとの共闘を主眼として運用されると。AFのISを代替する兵器という運用思想とはまた違った考えですね」

《そもそも絶対的に数が制限されていますからAFが必要になったわけで、現在のようにある程度量産されてしまいますと今度はどんな風に対処するのか?その一つの回答がイクリプスにはあります》

「成程ありがとうございました。では、ここで少し意地悪な質問なんですが。御社は特にプラズマ関係の兵器なんかを開発していますよね。その過程で環境被害の問題が色々と取りざたされていますよね」

《それについては、もう内部の人間では無いのでなんとも。ですが最近の代替可能でリサイクル出来るというのはトーラスのほうでも課題に上がっていましたし環境問題についても新資源開拓や代替エネルギーの開発なんかも他社に比べて精力的に取り組んできたと思います》

「新エネルギー関連は特にアクアビット社とも繋がることですね」

《......》

「御社は元々GAグループの欧州法人GAEが前身ですがハイダ工廠事変によって事業を再編させられ結果インテリオルグループが出資してGAEが母体となってアクアビット社を吸収して出来たのがそもそもの始まりなんですよね」

「その発端となった事変で実はGAEハイダ工廠で新エネルギーの開発実験をアクアビットと共同で行っていたと噂されていますが...」

《その当時の資料なんかは四散していて詳しいことは。ですが当時から新エネルギー開発はどの国も企業も急務でしたからね。そういった事は何処もおこなっていましたよ。特にアクアビットGAEがその中で突出していたとは耳にしませんね》

「そうですが。では本日はありがとうございました」

《こちらこそ、楽しい時間でした》

『では今回は此処まで。イサク・オカベ先生、K氏本日は誠にありがとうございました』

『次回は番組初IS開発の最前線に立つあの博士が何と番組に緊急参戦!!IS誕生秘話から何まで全てを暴露する』

『それでは、また皆様とお会いできる日を願って News Head Line でした』


この番組は 安心と信頼のグレートウォールGAAF鉄道グループ 世界の安定と秩序を願う空飛ぶ円盤イクリプスインテリオルグループ 世界の緑化を推進する環境保全団体トーラス社 双方にとって悪くない取引のオーメルサイエンス社 精度知名度No1貴方のハートに母の心をスピリット・オブ・マザーウィルBFFグループの提供でお送りしました。


この後の放送は 企業戦隊GAマン&コジマ戦士アクアビットマン今回は謎の組織コッジーマから新たな刺客が!!

        『コッジーマからの使者アルギュロスマン!!』

絶対見てくれよな。ドミナントとの約束だ。




[30375] 有澤重工vs倉持研究所
Name: rahotu◆dfddba02 ID:b4f36931
Date: 2011/11/13 18:58
倉持研究所

IS出現以降日本のIS開発を一手に引き受け、日本政府から潤沢な補助金と篠ノ之束博士が残した研究データを下に日本でのISシェアトップを走りIS学園にも自社製品を卸すなど世界的に知られた研究所である。

だが、近年特にAF出現以降世界の潮流がこれまでの汎用性ではなく特化した性能求めるようになると日本国内でもIS研究がほぼ倉持研究所の独占状態ということに危機感を覚え。

特に有澤重工を初め環太平洋経済圏の属す企業からの突き上げにより渋々ながら日本政府はIS開発に一般の企業の参入を許すも、依然として倉持研究所がトップなのには変わりは無くその事が折角参入した企業の経営者にとって頭を悩ませる一因となっている。

だがその体制に異を唱えた環太平洋経済圏のアジアの勇有澤重工は真っ向から倉持研究所と対立した。

元々環太平洋経済圏の一員となる前から堅実な設計に装甲技術、榴弾や爆発物関係やそれらを応用した重機産業で広く展開していた同企業はIS登場以降装甲車両や戦車自走砲の調達が絞られ非常に苦しい立場におかれていた。

それらを打開する為国内企業としては異例の単独での環太平洋経済圏に参加し結果GAグループの子会社と化したかに見えたが同グループ内では宗主たるGA本社とは対等な立場で取引し業績を回復させていた。

その有澤が次に狙ったのが奪われたアジア圏での兵器開発のトップへと再び返り咲くことだ。

有澤重工の技術の粋を集め、GAグループからもバックアップを受けて開発された第三.五世代IS霧積は機動性を度外視し火力と装甲に偏りISの皮を被ったAFとも言うべき火力を誇っていた。

対する倉持研究所はISをあくまで汎用性機動性に拘り第三世代型IS飛鉄塊を開発し、両者は激しく対立し勝負の結果は最終的に両機による模擬戦闘試験にまでもつれ込んだ。

有澤重工の強みはなんといってもバックの環太平洋経済圏の支援が得られるという点だ。

特に親会社であるGA社はAFを最初に量産しBFFグループとも繋がりが強く同機を採用すれば日本経済にとってもプラスに働くこと間違い無しである。

反対に倉持研究所は誰でも扱え癖が無くどんな環境でも対応できることを前面に押し出しあくまで日本の防衛構想に基づき過剰な戦力は留めるべきだと主張した。

更に完全な自国産のISという面では矢張り有事の際有澤よりも倉持研究所のほうがIS開発に長けた実績と尚且つISの生みの親である篠ノ之束との繋がりが日本国内では非常に大きな影響力を持っている。

両者の論はどちらも一理も二理もある。

だが現在日本に配備されているISコアの関係上どちらか一方を選ばなければならず、非常に苦しい決断を迫られておりこのままずるずる長引くと日本が他国にIS開発で後れを取ってしまう可能性さえある。

そして試験日当日...。







日本北海道火力演習所。

本島では手狭と北海道に場所を移しての試験は両者とも互いに自社製品の特製を引き出しつつこれまでの試験でほぼ評価は拮抗していた。

なんといっても倉持研究所はその汎用性と機動性が注目を浴び、反面今までの打鉄と違い装甲面での薄さが目立った。

だが総合的に非常にバランスが取られておりその性能に開発者共々非常に満足していた。

有澤重工は反対に機動性は倉持と比べると少々見劣りするがその武装の豊富さで大きくリードしていた。

なんといってもバックはあのグローバルミリタリースタンダードを標榜するGA社が勤め、実際同社や傘下企業からも人員が派遣されている。

更に有澤のお家芸である装甲の厚さは何と試験用に持ち込まれたランドクラブの主砲を余裕を持って受け止めその装甲の分厚さには倉持研究所の職員ばかりかGAからの派遣された技術社さえも驚いていた。

火力面では最早有澤の独断場と言っていい。

一体誰がAFの装甲を貫く巨砲を想像できよう。

それをISサイズに搭載し尚且つ十分に機動性を維持している面は流石はアジアの大砲王と言った所か。

だが有澤はこれを越える更なる隠し玉があった。

それは両者のプライドをかけた模擬戦闘試験で姿を現すのだが...もう暫しの猶予を貰いたい。










あとがきのようなもの

作者です。

すっかりご無沙汰してしまいました。

もうストーリーも何もかもお忘れの方も居るかもしれませんが、何とか更新する事が出来ました。

有澤と倉持の戦いは次回に続きます。

感想方でどっちを採用するのか、アンケートみたいなのもとってみると面白いかもしれません。

それと最近なろうの作品を完結したものだけですがこっちに上げようか考え中ですがどうなんでしょう?

なるべく早く更新できるよう努力していきたいと思います。




[30375] 有澤重工vs倉持研究所2
Name: rahotu◆dfddba02 ID:b4f36931
Date: 2011/11/26 10:07
北海道第三訓練場

周囲から隔絶された大地に築かれた試験場。

嘗ては戦車など陸上の覇者たちがその性能を各国に見せ付けた場所ではあったが時を過ぎ時代が変われどその役目は一切変わらず今日もまた多くの関係者が見守る中有澤、倉持両者のプライドと将来をかけた模擬戦が行われようとしていた。



有澤のIS霧積と倉持の飛鉄塊は互いに試験場の対極に位置しそのときを待っていた。

飛鉄塊のパイロットは倉持子飼いのIS適正Aのエリート。

対する霧積は途中でパイロットを変更したのか情報不足で名前と顔が分からないがまあ心配することは無いだろうと、倉持の研究者は言った。

ふん、どうだか。

彼女は是でも嘗て代表候補生に選ばれ惜しくも落選したがそれでも相当の場数、(アリーナでの模擬戦と日米合同の演習だけだが)を踏んでいたし、相手の正体が分からないということは必要以上の慎重になる必要は無いが、しかし、だからと言って慢心する事無く当たるという事だ。

耳につけたインカムからカウントダウンを告げる機械音が耳朶を打つ。

その僅かな間に彼女はISの量子通信ネットーワークとイメージインターフェースを応用して相手の情報を反芻する。

相手は 有澤重工IS霧積

特徴 全身装甲の重装甲、重火力、機動力は並み。GA社系列の武装多数

パイロット 不明

対処法 高速機動での撹乱、接近戦を挑みクロスレンジでの戦闘を推奨。

相手の戦術 重武装重火力を生かしての面制圧及びロングミドルレンジからの攻撃を予想。注意点は世界最多の格納領域と搭載重量。

すっと目を開け、フェースガードを降ろし手に持つライフルのグリップを握りなおす。

カウント0

ブーストPICをフル稼働させて全力でその場から離脱を図る。

シールドとPICである程度擬似的に重力を相殺してくれるとはいえ体にかかる嫌な負荷に顔を少しだけ歪めつつ上空に躍り上がる。

と、大気さえも震わす轟音と衝撃が響きハイパーセンサーで確認すると先程まで自分が居た地点一帯が吹き飛んでいた。

全く、容赦無しか!!

彼女が直に離脱をかけたのは開幕直後の有澤重工自慢の制圧射撃いや砲撃を避けるためだ。

事実あのまま真っ直ぐ突っ込んでいたり唯立っていたりすれば間違いなくあの紅蓮の炎の中に自分は居ただろう。

ヒヤリと冷たい汗が頬を伝って首筋に流れる。

長期戦は不利だな、矢張り張り付いてからの短期決戦に活路を求める!!

機体を反転降下させて重力の支援も受けつつ真っ直ぐ敵の直上目指しスピードを出す。







「ほう、今のを避けたか。なかなかどうして」

霧積のパイロットはその豊満な体を重装甲に包みながら久しぶりに歯ごたえのある敵に会えて胸が熱く湧く思いを抱いた。

「さてはてここからどうするかだがッ」

彼女は直に機体を強引に真横に動かし直上からの荷電粒子砲の狙撃を回避する。

「そんな火力ではこの霧積の重装甲は削りきれはせん」

直に狙撃に使ったグレネードキャノンを収納しFCS変更。

有澤重工の霧積はその見た目から分かるような重厚重武装に注目されがちだがその真の真価は内部換装を含めた自由度の高さである。

今までのISは武装を量子格納領域の幅によって制限されていったと言っていい。

つまり機体の性能も何もかも決めるのがこの量子格納領域の幅である。

極端な例を出せば第二世代であるラファール・カスタムと白式。

凡庸な性能に納まっているが二十もの格納領域を持つラファールに対し、白式は特殊な武装と驚異的な進化を遂げるISコアという特性上格納領域が圧迫され、何と追加武装が装備できないという有様。

この他にも第三世代のブルーティアーズや甲龍など比べてもその特殊性故に機体の運用が制限されてしまっているのが分かる。

それらを解決する為有澤重工は長年の研究の末遂に量子格納領域の画期的な拡張に成功し、ラファール・カスタムと比較して凡そ七、八倍にもなる。

MSAC社製のミサイル用FCSに瞬時に切り替え、目標を捕捉。

機体各所に内蔵されたマイクロミサイルを発射する。

有澤特製の重粒子入りの鉄鋼ミサイルは着弾して重粒子がシールドエネルギーに干渉し是を減衰させる凶悪極まりない兵器であった。

其れを各所から計十八発。

相手、飛鉄塊を囲むように発射しつつ両腕にグレネードガトリング砲を展開。

両腕で保持し対空砲の様にばら撒きつつ相手の回避行動を制限する。

無論この程度の弾幕が有澤の真骨頂では無いが、射撃を加えつつも地表を舐めるように後退する。

霧積は一見すると重鈍そうだが、戦車や装甲車はては上陸用のホバークラフトを手がけていた有澤にとって地表こそホームグラウンド。

像の足を思わせる重二脚は高い地表追従性を発揮するが上空から迫る飛鉄塊はそれ以上の速度で迫ってくる。

「逃がさない!!」

相手の声が此処まで聞こえてくる。

実際には混線した無線の声を拾ったに過ぎないが、彼女は相手の勢いの良さに好意を抱いた。

相手はミサイルチャフで誤魔化しそのままグレネードガトリングの嵐の中を突っ込んできたのだ。

近接信管が爆発し、機体に少なくない被害が生じるのもかまわず無謀とも思える特攻を続けるがその選択は正しい。

距離を開けられれば火力では圧倒的不利な相手は接近戦しか勝機は無い。

そして唯単に霧積に追いつこうとするのでもなく破れかぶれに実弾ライフルを乱射し相手の邪魔をするのを忘れない。

何発か霧積の装甲に当たるが、乾いた音と共にまるで効いた様子は無い。

それでも嫌がらせの意味を込めて射撃を続けながら接近を続ける。

「勢いはよし。だが」

両腕で保持していたガトリングを手放し数百ある量子格納領域から選択。

無骨な鉄塊を思わせる長方形の分厚い板を両腕に装備しブースターを逆噴射。

一気に急制動をかけ相手にタックルを食らわせる。

まさか体当たりをしてくるとは思わなかった相手はもろに霧積の巨体とぶつかる。

「がはッッッ!!」

ミシリ、と耳に心地よい骨の軋む音が聞こえた。

「見事だな」

正直な今の気持ちを言う。

相手飛鉄塊のパイロットは衝突する瞬間こちらのがら空きと為った左脇にブレードの一刀を食らわせたのだ。

嘗て倉持が開発した白式の流れを汲む、より扱いやすいように刀身部に機体から直接エネルギーを供給し絶対防御を貫通し機体とパイロットを直接殺傷できるよう開発された菊花。

その受けるには余りにも重過ぎる一撃は霧積の胸部装甲を切り裂き、機体内部に確実にダメージを与えるに至っていた。

だがしかし...。

「しかし、その程度ではこの霧積は超えられはせん」

相手の一撃が入る前に両腕の無骨な長方形の鉄塊、高周波破砕鉄甲がボディーブローのように入り飛鉄塊のエネルギーブレードの威力を半減させていた。

のみならず、高周波により機体を守るシールドエネルギーを破られ直接機体の装甲越しに衝撃を浴びたパイロットは背骨を突きぬけ体中を駆け巡った衝撃で内臓と脳を揺さぶられ半ばブラックアウト同然の状態であった。

ぐらりと体から力が抜け抜け殻の様に地面に頭から墜落する飛鉄塊。

このままいけば絶対防御が発動してそれだけで有澤の勝利だがまだ足りない。

「可哀想だが、有澤の前に立つ事がどういうことか証明せねばならぬのでな」

両腕、両肩、機体の全長を大きく越える巨砲。

GA社を介しBFFと交渉の末スピリット・オブ・マザーウィルの主砲を半分にぶった切って其れを四門。

展開までに十五秒もかかるそれらの照準を落下するISに合わせ...。

「正面から行かせて貰う。それしか能がないのでな」

無常にもトリガーが引かれた。






四門の巨大砲から発射されたグレネード弾の爆発は、安全圏に立って観測していた車両を引っくり返し、爆発後に舞い上がった爆煙により空が一瞬だが覆われた。

その威力に誰しもが絶句する中、唯一人霧積のパイロットはISの展開を部分的に解き自身が行った結果を見て不満足そうに鼻を鳴らした。

「私では所詮この程度か。もう少し改良が必要なようだな」

眼下に広がる直径十メートルほどのクレーターを見ながら相手の無事を確認しつつ、霧積のパイロット。

有澤重工第四十三代社長有澤明美は機体の全身装甲を解き、通常モードでの体のラインを強調する腕と足だけを覆った状態、(この状態は一部の男性に好評で主にその巨大な二つのグレネード弾の存在と安定性満点のヒップラインが....)

で、回収班が来るまで暫く更なる火力の強化に向けて頭の中で新製品の設計を行っていた。













作者です。

大分遅れました。

正直ISでガチタンは予想以上に書きにくかったです。

普通に大気圏内をマッハ2以上で飛行する3,4メートルの人型物体とどう戦えと言うに!!

との思いにいたって、仕方なく重二脚変更。

最後の老神四連装は完全な趣味です。

勝手にかーちゃんの主砲を流用したという設定ですが、まあナイトオブゴールドのバスター砲みたいなもんです。

お気づきかも知れませんが、今回社長は別に採用してもらう気はサラサラ無くただ自社製品が如何に凄いか。

後、今の国防体制への不満を含めた火力傾倒。

日本だけに閉じこもった技術への警鐘を鳴らす為、そして何よりもガチタンへの愛によって動いているのです(爆)

最後にそろそろトーラスさんにも本格的に出てもらって世界を緑化して欲しいですwww




[30375] 異変
Name: rahotu◆dfddba02 ID:b4f36931
Date: 2011/12/23 14:54
トーラスグループ。

GAの欧州法人旧GAEを母体とし、インテリオル、オーメルサイエンスの援助に拠り旧アクアビット社を吸収統合して作られたパックスの中で比較的新参に属す企業である。

その特徴は何と言っても、現場から変態と言わしめる珍妙な兵器から、全く誰も想像だにしなかった新しい発想など、こと技術力の面では他社より抜きん出た位地にあり。

事実、結成から今日にかけてインテリオルグループの基幹技術は殆どここが賄っているほどであり、その技術力は日夜進歩し続けていた。

.........無論間違った方向に。


トーラスグループ研究第六班、通称掃き溜め。

トーラス社、いやパックス中の研究機関から異端とされ放り出された奇人、変人、狂人、そのた諸々がここに集められ一緒くたにされた正にゴミ溜め。

ここで行われる研究にマトモなものは何一つ無く、いやそもそも彼等の常識というものを疑うべきか?

兎にも角にも、マトモな神経を持っているものならば決してお近づきになりたくない集団である。

だが、そんなある日彼等に転機が訪れる。

手続きの間違いで本来送られるはずの場所から第六班に送られたそれは何とISの心臓部であるコアと何故か知らないが欠陥の烙印を押された新型AFの設計図であった。

前者は現在花形のIS研究を目的とした第二班、後者はそのま焼却炉に送られるはずであったが、それらを偶然手に入れた彼らは狂喜した。

つまり『これでこれを作ってみろ』という意味に解釈したのだ。

断じて間違いで送られたなどと露知らず、そ知らぬ顔で嬉々として研究もとい魔改造に励んだ彼等を、本社が漸く気付いた頃には全てが遅きに失した。

満面の笑みで完成した実機を送られた本社では、その対応にてんてこ舞いであり、また彼等が実機試験と証したそれらの結果に、また度肝を抜かれた。

研究中のバスター砲を主砲に僅か四十五秒のチャージで連射可能なそれを、巨大な球体中央部に装備し、巨大な砲塔を支える為に無骨な六本の足で蜘蛛が足を開いたように支えるそれは、見た目よりも頑強で尚且つそれ自体にも強力な火器を有していた。

エネルギー供給基幹はコアエネルギーだけでは足りなかったのでコジマ型原子炉を搭載。

防御機構はハイパーセンサーを応用した対空対地両方で仕えるパルスレーザー砲を全身各所に配置し、対歩兵蹂躙用の兵器として小型レーザー砲を脚部に配置。

実際の威力は余裕で戦車の装甲を溶かすほどなので、それを対人用と言い切る辺り、設計者の思想は斜め前にぶっ飛んでいる。

そして何よりも、ISの絶対防御に学んだ光波防御壁。

通称PA(プライラルアーマー)と呼ばれるそれは、目には見えない極小の粒子で全身を覆うように形成され、その演算処理にはISコアを用い強度では現行の主力AFの火力を寄せ付けない程である。

事実実機試験と称されたそれは、イクリプス三機からの対地レーザーを弾き返し逆にバスター砲の掃射で形する残さぬ残骸へとイクリプスが成り果てる始末。

その凶悪さ故に本社会議ではこれを封印するという案まで出たが.....流石に他所からコアを分捕って量産したそれらを見た時には最早封印という言葉は彼等の脳裏には無かった。

結局変態共に恐喝された形で採用が決まった新兵器。

またの名をソルディオス。

後年の人間はその名を言うことさえ憚れた最悪の兵器がここに誕生したのだ。









因みにその後年とやらではソルディオスを更に進めたソルディオスオービットなるものが戦場の空を飛びまわっているのだが......。





作者です。

もうISなんて関係なくね?

という展開ですが、まあそうですね。

ガンダムよりもビクザム、主人公機よりも巨大兵器な作者ですから正直ISに是と言って兵器としての魅力を感じないのが現状です。

まあ、MHみたいなのはまた別ですがそれ位にならないと中々人型兵器には魅力を抱けない性質です。

それでは又どこかで。




[30375] 外伝・インフィニットランカーズ
Name: rahotu◆dfddba02 ID:b4f36931
Date: 2012/03/06 22:43

このお話は本編とは全く関係のない時間軸の別世界のお話です。

相変わらずフロム脳ですが、適当にお付き合いいただければ幸いです。






  l^丶
            |  '゙''"'''゙ y-―,  I'm thinker ♪
            ミ ´ ∀ `  ,:'     
          (丶==[=]=(丶 ミ    トゥートゥートゥートゥトゥー ♪   
       ((    ミ        ;':  ハ,_,ハ   ハ,_,ハ
           ;:        ミ  ';´∀`';  ';´∀`';,,
           `:;       ,:'  c ̄c.ミ' c ̄c.ミ
            U"゙'''~"^'丶)   u''゙"J   u''゙"J







深夜、IS学園の生徒達はとっくに就寝につき、起きているのは当直の教師か警備以外だれも起きていない筈の学園。

その学園の地下に極秘裏に建造された地下アリーナにて二機のISが激しくぶつかり合っていた。

水色のISと白いISが互いに高速で交差しその度に、アリーナの彼方此方で火花が散る。

「くっ!!本当に...なんて機動をするの」

更識盾無、IS学園二年生にして現役の国家代表、学園最強の称号である生徒会長を務めるはずの彼女が一方的に押されていた。

ロシア製の第三世代IS霧纏の淑女(ミステリアス・レディ)の単一能力であるナノマシン制御によって作られた水のヴェールは既に破られ、シールドエネルギーも半分まで削られている。

彼女とは対照的に白いカラーのISはシールドエネルギーが全く減っておらず、十分以上に余力を残していた。

「全くこれじゃ学園最強の座は返上ね。世の中まだまだ広い。ね、貴方もそう思うでしょう?」

普段よりも余裕がない中、敢て何時もどおりに振舞う更識は白いISに語りかける。

「悔しいけど“更識盾無の私”では貴方には勝てないわ。でもね私もまだまだ強くなれると思うの」

アリーナの空中でミステリアス・レディと相対する白いISからは返事はない。

彼女もまた返事を最初から期待していないので一方的に離し続ける。

「だから私は今私が出来る全力で貴方とぶつかりたい。“盾無”ではなく私の全力を!!」

盾無が吼えると同時に白いISの周りで突如として爆発がおこる。

ミステリアス・レディは全てのパーツにナノマシンで構成された水を含み、それらを自在に操ることで更識の技量もあり学園最強として君臨し続けていた。

白いISの周りで突如起きた爆発は、ナノマシンが構成した霧を相手の周囲に展開させ一気に熱変換することで周囲を爆発させる「清き情熱(クリア・パッション)」と呼ばれる技である。

ミステリアス・レディがイグニッションブーストを発動し一気に加速する。

手に構えた水を螺旋状に纏わせた蒼流旋に、残りのシールドエネルギーをつぎ込んだ大技を仕掛けた。

先程の爆発「清き情熱(クリア・パッション)」は全て目くらまし。

本命はミストルテインの槍と呼んでいる、蒼流旋の先端に残ったナノマシンを集中させ、超振動破砕により相手の装甲を破壊し。

相手の内側にナノマシンを侵入させその後、エネルギーに転換し大爆発を引き起こす。

その威力は小型燃料気化爆弾四個分に相当するが、自身のエネルギー全てを攻撃に転化する為、至近距離での爆発はいかにISの絶対防御といえど万全とは言えず、機体もパイロット共に大怪我を負いかねない諸刃の剣でもある。

自らの犠牲も省みず、爆発で発生した煙の中にいる白いISに向けて盾無は大きく槍を突き出した。




手応えは...ない。

っ!?失敗した...まさか!!

更識がミステリアス・レディを動かす前に煙から一筋の白い閃光が飛び出す。

白いISはミストルテインの槍をギリギリのタイミングで機体を真横にイグニッションブーストすることでかわし、そこから更にイグニッションブーストを重ねることで一瞬のうちにミステリアス・レディの後ろを取った。

通常イグニッションブーストを発動するにはタメがいる。

その時間は平均5秒。ISの搭乗時間と反比例して短くなるが、熟練のパイロットでも発動には2.5秒の時間を要する。

盾無は清き情熱を発動させてから三秒でイグニッションブーストを発動させたが、白いISが使用したイグニッションブーストは殆どラグがなく、コンマ00の世界で発動する。

極めて限られた者にしかできない超高等技術クイックブースト。

更にその応用でクイックブーストを続けて二回行うことで、通常のイグニッションブーストよりもさらに加速する二段クイックブースト。

最初の回避でクイックブーストからの二段クイックでミステリアス・レディの背後をとった姿は、相手にした更識からすれば突然自分の背後に白いISが現われたかのような錯覚を引き起こした。

白いISはミステリアス・レディの無防備な背中にライフルの銃口を向け、トリガーを引き絞っる。









事が終わった後にアリーナには明確に勝者と敗者が存在した。

絶対防御を発動させ満身創痍の状態でアリーナの大地に膝を着く盾無のミステリアス・レディ。

それを上空から見下ろす無傷の白いIS。

完敗だ、文句なしに。

学園最強だと驕ったつもりはないが、それでもこうも歴然たる差を見せ付けられると最早嫉妬とかそういった感情ではなく、唯々勝者への畏怖と敬意しか起こらない。

このレベルの実力者が後八人もいるなんて...本当に世の中は広い。

更識の長として盾無の名を継いだときから彼女は盾無となり、この国の暗部を司ってきた。

更識と暗部の長という仮面を何重にも被り、自分の本当の名前を忘れる日々。

だが彼等と出会いすべてが変わった。

己の実力だけで全てを勝ち取り這い上がるその姿に、唯自らの為に力を降るそのあり方に。

盾無として生きていかなければならなかった少女の魂を揺さぶった。

学園最強の座である生徒会長に就任しても尚、彼女は彼等への憧憬を強め何時しか彼等と肩を並べられるくらい強くなろうと決意し、彼等に挑み続ける日々。

彼等との戦いの中で次第に芽生える名前を失う前の自分。

こうして今夜もまた、IS学園の地下で誰にも知られることなく強者達の饗宴が開かれ、そこには必ず彼女の姿があった。








作者です。

長らく書いていなかったのでどんな話だったかと全く忘れてしまっていたので、とりあえずこんな話だったのではと書いてみました。
主にカラードのランクマッチを意識して書いてみましたが、敢て対戦相手の詳細を伏せました。

やはり「某鴉」や「某獣」のような明確な存在は色々と在り過ぎると思いますから...。




[30375] 企業傭兵
Name: ra+◆70883554 ID:b4f36931
Date: 2012/03/23 22:06
アームズフォートが登場してから五年。

各国軍は非常に高度な機械化情報化された強力な軍組織となりその主力はISではなくAFとなっていた。

同時に複雑化した軍組織を支える軍事費の肥大化を招き国家においてはそれら全てを賄うには限界があった。

それらを肩代わりするかのようにパックス系列のPMC、特に有名なバーラット部隊などAFを装備した企業派遣部隊は、数多くの戦場で姿を見せ企業間の傭兵ビジネスは国家間の代理戦争へと発展していくことになる。

世界各地で戦いが繰り広げられ、戦場が戦場を呼び経済は戦争なくしては成り立たなくなるほど末期的症状を示し、国家はその統制能力を段々を衰退させ始めていた。










中央アジア アナトリア高原某所にあるコロニーはパックスから多くの融資を受け順調な発展を続けていた。

この発展を支えているのは一人の科学者と彼が持つ技術力があってのことだが、それは全て表向きの話。

コロニー地下深くに作られた空間には、企業の決して表ざたには出来ない極秘の研究が行われており、その責任者としてイェルネフェルト教授はある研究を行っていた。

ここで研究されているのは完全な人工知能。

将来的には人間の能力を補完する或いは代替することを目指し研究が進められているそれらはISコアの機能に着目して進められていた。

ISとパイロットとの適正は搭乗時間に比例してより強くなっていく傾向がある事が知られている。

また優秀な搭乗者ほどISが自己の意思を持ち、時々こちらに語りかけてくるケースや戦闘中感情の高ぶりにより自己の機能を進化させる。

セカンド・シフトと呼ばれるこの現象は時にISが発揮する論理上の数値を大きく超える性能を発揮し逆にこれ等の現象が搭乗者が存在しない場合でも起こる事が報告されている。(福音事件と呼ばれるISの暴走事故の際、迎撃に出たIS学園の生徒達の目の前で無人のシルバリオ・ゴスペルがセカンド・シフトを行い、限界以上の能力を発揮した)

これらの事からISコアには人間の思考を理解し又自己をより状況に適応し進化させるなどあたかも一個の生命体自己意識を形成する機能がある事が読み取れる。

イェルネフェルト教授はこの機能をより大きなモノ、つまりAFに応用できないかと考えた。

既に戦場において無人機は当たり前の存在となり地上制圧用に開発されたアーマードコア(以下AC)は無人コントロールが出来る。

これと同じ事をAFに行おうというのだ。

既にトーラスにおいてソルディオスという先例が研究を大きく後押ししたこともあり擬似的なISコアの意識の模倣に成功。

それらは世界中で戦うAFや機動兵器に装備され戦いから得られた膨大なデータによりさらに完成度を高めていった。

だが同時にそれはISコア同士の繋がり、コアネットワークという名の集合意識にある変化を齎すことになる。










「不味い....まさかこっちの予想以上に事態が進行している」

ISの生みの親にして開発者とされる篠ノ之束はディスプレイに表示される数字の羅列、コアネットワーク間の情報のやり取りとその内容に愕然としていた。

一般的にISとそのコアは篠ノ之束が開発したことになっているがそれは正しくは無い。

確かに彼女は稀代の天災ではあるが個人の才覚という面ではISはその限界を軽く超えている。

故に彼女は作り生み出したのはすべてではなくISコアを覆う鎧ISと絶対防御、量子拡張領域にPICやハイパーセンサーなど周辺装備だけに収まった。

天災をもってしてもコアを完全に理解することは出来ず、僅かにISコアが持つ意思とのやり取りとコアネットワークへのアクセス方法だけでありISコアの意識の表層に触れるだけしか出来ない。

唯一ISコアと人間とのやり取りとしてコアネットワークに擬似的にコア間の情報のやり取りに似せたモノを流すことはできるが、ISすべてを彼女は制御することは出来ない。

開発者自身でさえ完璧に理解できない存在、それがISの本当の姿である。

そしてISは生みの親である篠ノ之束の手を離れISという殻を破り新たなカラダへと宿ろうとしている。

だがそれは篠ノ之束をして決して看破できない事態だ。

コアが進化することIS以上の力を得ることに繋がり、それは嘗て自身が起こした過ち白騎士事件以上の厄災を引き起こすことになりかねない。

故に束は抵抗する。

これはコアと束との戦争であり互いの存在をかけた生存競争であると同時に、人類種という存在の未来がかかった戦いでもある。

自身の知識と能力と存在の全てをかけて束はコアに宣戦を布告した。








ISコア=戦闘知性 束=唯の母体 IS=コアの力を抑える枷 AF=ISという枷が外れたコアの新たな可能性

作者です。

久しぶりにこちらのほうを書きました。

鋼鉄の咆哮のネタを書き終えたのでこちらもそろそろ終わらせることにしました。

多分あと四、五話以内に終わらせます。

皆様このような駄文に付き合っていただき、誠にありがとうございました。



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