このお話は本編とは全く関係のない時間軸の別世界のお話です。
相変わらずフロム脳ですが、適当にお付き合いいただければ幸いです。
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深夜、IS学園の生徒達はとっくに就寝につき、起きているのは当直の教師か警備以外だれも起きていない筈の学園。
その学園の地下に極秘裏に建造された地下アリーナにて二機のISが激しくぶつかり合っていた。
水色のISと白いISが互いに高速で交差しその度に、アリーナの彼方此方で火花が散る。
「くっ!!本当に...なんて機動をするの」
更識盾無、IS学園二年生にして現役の国家代表、学園最強の称号である生徒会長を務めるはずの彼女が一方的に押されていた。
ロシア製の第三世代IS霧纏の淑女(ミステリアス・レディ)の単一能力であるナノマシン制御によって作られた水のヴェールは既に破られ、シールドエネルギーも半分まで削られている。
彼女とは対照的に白いカラーのISはシールドエネルギーが全く減っておらず、十分以上に余力を残していた。
「全くこれじゃ学園最強の座は返上ね。世の中まだまだ広い。ね、貴方もそう思うでしょう?」
普段よりも余裕がない中、敢て何時もどおりに振舞う更識は白いISに語りかける。
「悔しいけど“更識盾無の私”では貴方には勝てないわ。でもね私もまだまだ強くなれると思うの」
アリーナの空中でミステリアス・レディと相対する白いISからは返事はない。
彼女もまた返事を最初から期待していないので一方的に離し続ける。
「だから私は今私が出来る全力で貴方とぶつかりたい。“盾無”ではなく私の全力を!!」
盾無が吼えると同時に白いISの周りで突如として爆発がおこる。
ミステリアス・レディは全てのパーツにナノマシンで構成された水を含み、それらを自在に操ることで更識の技量もあり学園最強として君臨し続けていた。
白いISの周りで突如起きた爆発は、ナノマシンが構成した霧を相手の周囲に展開させ一気に熱変換することで周囲を爆発させる「清き情熱(クリア・パッション)」と呼ばれる技である。
ミステリアス・レディがイグニッションブーストを発動し一気に加速する。
手に構えた水を螺旋状に纏わせた蒼流旋に、残りのシールドエネルギーをつぎ込んだ大技を仕掛けた。
先程の爆発「清き情熱(クリア・パッション)」は全て目くらまし。
本命はミストルテインの槍と呼んでいる、蒼流旋の先端に残ったナノマシンを集中させ、超振動破砕により相手の装甲を破壊し。
相手の内側にナノマシンを侵入させその後、エネルギーに転換し大爆発を引き起こす。
その威力は小型燃料気化爆弾四個分に相当するが、自身のエネルギー全てを攻撃に転化する為、至近距離での爆発はいかにISの絶対防御といえど万全とは言えず、機体もパイロット共に大怪我を負いかねない諸刃の剣でもある。
自らの犠牲も省みず、爆発で発生した煙の中にいる白いISに向けて盾無は大きく槍を突き出した。
手応えは...ない。
っ!?失敗した...まさか!!
更識がミステリアス・レディを動かす前に煙から一筋の白い閃光が飛び出す。
白いISはミストルテインの槍をギリギリのタイミングで機体を真横にイグニッションブーストすることでかわし、そこから更にイグニッションブーストを重ねることで一瞬のうちにミステリアス・レディの後ろを取った。
通常イグニッションブーストを発動するにはタメがいる。
その時間は平均5秒。ISの搭乗時間と反比例して短くなるが、熟練のパイロットでも発動には2.5秒の時間を要する。
盾無は清き情熱を発動させてから三秒でイグニッションブーストを発動させたが、白いISが使用したイグニッションブーストは殆どラグがなく、コンマ00の世界で発動する。
極めて限られた者にしかできない超高等技術クイックブースト。
更にその応用でクイックブーストを続けて二回行うことで、通常のイグニッションブーストよりもさらに加速する二段クイックブースト。
最初の回避でクイックブーストからの二段クイックでミステリアス・レディの背後をとった姿は、相手にした更識からすれば突然自分の背後に白いISが現われたかのような錯覚を引き起こした。
白いISはミステリアス・レディの無防備な背中にライフルの銃口を向け、トリガーを引き絞っる。
事が終わった後にアリーナには明確に勝者と敗者が存在した。
絶対防御を発動させ満身創痍の状態でアリーナの大地に膝を着く盾無のミステリアス・レディ。
それを上空から見下ろす無傷の白いIS。
完敗だ、文句なしに。
学園最強だと驕ったつもりはないが、それでもこうも歴然たる差を見せ付けられると最早嫉妬とかそういった感情ではなく、唯々勝者への畏怖と敬意しか起こらない。
このレベルの実力者が後八人もいるなんて...本当に世の中は広い。
更識の長として盾無の名を継いだときから彼女は盾無となり、この国の暗部を司ってきた。
更識と暗部の長という仮面を何重にも被り、自分の本当の名前を忘れる日々。
だが彼等と出会いすべてが変わった。
己の実力だけで全てを勝ち取り這い上がるその姿に、唯自らの為に力を降るそのあり方に。
盾無として生きていかなければならなかった少女の魂を揺さぶった。
学園最強の座である生徒会長に就任しても尚、彼女は彼等への憧憬を強め何時しか彼等と肩を並べられるくらい強くなろうと決意し、彼等に挑み続ける日々。
彼等との戦いの中で次第に芽生える名前を失う前の自分。
こうして今夜もまた、IS学園の地下で誰にも知られることなく強者達の饗宴が開かれ、そこには必ず彼女の姿があった。
作者です。
長らく書いていなかったのでどんな話だったかと全く忘れてしまっていたので、とりあえずこんな話だったのではと書いてみました。
主にカラードのランクマッチを意識して書いてみましたが、敢て対戦相手の詳細を伏せました。
やはり「某鴉」や「某獣」のような明確な存在は色々と在り過ぎると思いますから...。