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[29981] 【説明不要の一発ネタ】とある魔術の沈黙目録【禁書目録クロスカオス原作崩壊】
Name: 義雄◆285086aa ID:b6606328
Date: 2011/10/02 00:17
予備知識としてスティーヴン・セガール、ケイシー・ライバック、沈黙の戦艦(某所で艦隊になってると指摘を受けました、痛恨のミス!)のどれかが必要です。
このSSに求めてはいけないもの

一、筆者の正気
一、禁書らしいラブコメとかうんちく
一、細かい描写

色々台無しなうえ超カオスです。
あわせて沈黙のハルケギニアを読むと少しは精神が回復します。
それでもよければとある魔術の沈黙目録をお楽しみください。

※当SSは小説家になろう様にも投稿しています。



**********



わたくし、上条当麻が不幸なことは百も承知です。

―――――だけど神様、これはあんまりじゃないかな?


*****


昨夜ビリビリ中学生に追い回されたり。
家電製品が昇天していたり。
担任から補習の電話がかかったり。
そんな些細なことがぶっ飛ぶくらいの衝撃だ。
朝起きた、電話来た、ここまではいい。
窓の外を見ると眩しいくらいの快晴だった。
折角だから布団を干そうとしたんだ。
ここまでもいい、むしろ俺はハッピーだった。
問題は、ベランダを開けた瞬間。

「……は?」

真っ白な何かがかかってたから最初は「あれ、もう布団干してたっけ? じゃあこの腕に抱えてるのは何だろ」とか思っちゃったんですよ。
でも違った。
全然違った。
むしろそんな若年性健忘症的なヤツの方が幸せだった。
つまるところ、やっぱりこの一言に集約されるんだろうな。

「ふ、不幸だ……」


***

コック服フル装備の大男がベランダに干されている、そんな情景を想像した人がいるだろうか。
きっといない。
だから上条当麻はこの日、現実でも想像上でも未踏の領域に踏み入ったことになる。

――どさっ――

しっかり持っていたはずの布団が落ちるのも当然のこと。
人は自分の理解を超えた現象を目の当たりにすると力なく崩れ落ちるものだ。
今の彼にぴったりな言葉は、呆然自失。
今日の星座占いが1位でラッキーアイテムはコック服、とテレビで言われていたとしてもまったく喜べなかっただろう。
たっぷり一分近く沈黙してから当麻の脳は働きはじめる。
じり、と思わず後ずさりしていた。
その微かな音をとらえ、コック服の大男が目をゆっくり開く。

「……」

鋭い眼光で当麻の瞳を射抜いた。
お互い何も言わず視線が宙でかち合うばかり。
コック服は短い黒髪に日本人離れした容姿、もっと言えばどんな敵であろうと容易くひねれそう。
そんな印象を当麻は受けた。
大男はしばらく目を瞬かせた後。

「おなかへった」

なんて、ものすごく可愛らしい声で言ってくれた。
おまけに。

「ご飯くれると嬉しいな」

美少女が浮かべたら天使の微笑みと言っても過言じゃない。
そんなキレイな笑顔を見せてくれたのだ。
ただ顔は完全無欠におっさんだったから当麻はげんなりした。


***


「今日は、疲れたぜ……」

当麻は魂が抜けきるほど疲れ果てていた。
あの後コック服を引っ張り上げようと手を伸ばせば手首をひねられたり。
Index-Librorum-Prohibitorum-Casey-Rybackと名乗られたり。
魔法名がSeagal410(献身的なコックは最強の技を持つ)とか良くわからないことをのたまったり。
とある戦艦でコックをしながら日本に来たとか自分語りをしたり。
学園都市には特急で来たとか日本の電車を褒めてみたり
ちょっぴり酸っぱい野菜炒めをごちそうしたら料理のうんちく垂れ流したり。
魔術師が云々言い出したり。
十万三千冊の魔道書がどうたらこうたら語ったり。
幻想殺しの話をしたり。
お互いの言い分を証明するためにも服を掴もうとしたら手首をひねられたり。
幻想殺しがホントならそれが幸せを打ち消していると断言されたり。
嵐のような数々のイベントをこなして大男は去って行った。
声が可愛い少女なだけ余計に辛かった。
むしろ補習や例によって電撃少女に追い回されたほうが精神的な疲労は少なかったくらいだ。
今日はこれ以上ないくらい不幸だった、でも明日はこれ以上不幸には絶対ならないだろ、と自分自身を慰める。
よろよろとエレベーターの壁にもたれかかって七階のボタンを押した。

「はぁ……ホントため息しか出ねえ」

極度に疲れきった当麻は、エレベーターの電子音に体を起こす。
開かれたドアに直線状の廊下。
自分の部屋の前で三台のお掃除ロボットがすごくがんばっているのが見えた。

「今度は何だよ……」

朝の一件もあって、当麻は今日何が起きても驚かない自信があった。
背中を老人のように曲げてゆっくりと足を進める。
朝とは違う大男がぶっ倒れていた。

「……今日は何かと大男に縁があるな」

自宅のベランダにコック服の大男が干されているか、自宅の前で赤毛の大男が行き倒れているか。
どっちが非日常かと言えば間違いなく前者だ。
お掃除ロボもこんな粗大ごみ相手じゃ意味がない。
当麻は仕方なしに大男を起こそうとし、異変に気付いた。

「な、あんた大丈夫か!?」

血だ。
左腕から真っ赤な液体がじわじわと染み出している。
当麻は知らず一歩後ずさった。
が、すぐに気を取り直して震える手をカバンに突っ込み、携帯電話を探り当て。

「っ、ビリビリめ!!」

それが役に立たないことに悪態をついた。

「土御門! いたら急いで出てきてくれ!!」

隣人のチャイムを猛烈な勢いで連打しても反応はない。
思いっきりドアを叩いても物音ひとつしてこない。
ただ倒れた大男のうめき声がしているだけだ。
ここにきて当麻は異常を悟った。
これだけ大声を出していれば一人くらいは様子を見に来る。
当麻の知り合いが多い学生寮ならなおさらのことだ。
だというのに人っ子一人現れない。
彼は舌打ちすると自室に飛び込み、日ごろからお世話になっている包帯と消毒液を持って飛び出した。

「応急処置、応急処置だ。まず呼吸、脈拍、意識の確認だっけ」

呼吸は問題ない。
脈拍は常人よりもかなり早い。
意識は、ない。

「ああくそ! まず服を脱がしてから」

ここで当麻は自室にとんぼ返りした。
戻ってきたその手にはキッチンばさみ。

「高そうだけど、命には代えられねえよな」

見たこともない服を脱がせるのは難しそうだ。
後で弁償しろとか言われませんように、と見たこともない神様に祈りながら服をじょきじょき切り刻んでいく。
身長のワリに肉付きの薄い体があらわになった。
出血は左腕、深そうな切り傷がある。
右腕は骨折していた。

「どうすりゃいいんだ。えっと心臓より高くして……」

とにかく血を止めなければならない。
あやふやな知識に、当麻はもっとしっかり勉強してこなかったことを後悔した。

「とりあえず根元をぐるぐる縛って血流を抑えないと」

包帯の扱いは慣れたものだ。
うろ覚えの応急処置をなんとかやり遂げ、当麻はどさっとしりもちをついた。
大男の出血は止まりあとはどこかから救急車を呼ぶだけだ。

――今日一日ヘヴィーすぎるだろ。

が、ことはこれで終わらない。

「す、ステイル!?」

びっくりした表情の、これまたびっくりするほどの美人がエレベーターから駆け寄ってくるのを見て、当麻はため息をついた。


***


「ありがとう、君の行いを決して忘れはしない」
「いえいえ、俺は当然のことをしたまでで」
「あなたの的確な処置のおかげでステイルが踏みとどまったのは事実です。人の命を救ったということは、誇ってもいいことですよ」

美人が笑えば空気も柔らかくなる。
神裂火織と名乗った長い黒髪が美しく、見ていると鼻の下が伸びそうになる服装の美女は「寮の管理人さんがタイプ!」と言ってはばからない当麻のドストライクゾーンだ。
ステイルというらしい赤毛の大男(十四歳)を自室に運び入れたあと彼女から事情を説明された。
なんと彼女たちは朝ベランダに引っかかっていたコックを保護しに来たというのだ。
当麻は保護いらないんじゃね? という言葉を飲み込むのに必死だった。
どうもインデックスは完全記憶能力がどーたらこーたらで儀式をしないとヤバいらしい。
神裂は教会の中でもトップクラスに強くて、その彼女がいてもインデックスを捕まえるのは非常に難しい、それどころか十中八九返り討ちにあうとか。

「……大変ですね」
「……はい」

ご苦労様としか言いようがない。
当麻はインデックスを見かけたら必ず連絡することを神裂に約束し、見事携帯番号をゲットした。
十八歳、お姉さんタイプの美人のハートをゲットするためにも当麻は明日から全力でインデックスを探そう、と誓う。
探して、どうすれば捕獲できるかは考えなかった。


***


「ひょっとして――」

インデックスはあっさり見つかって、あっさり捕獲できた。
何のことはない、食いしん坊だっただけだ。
ものすごーくレトロな方法、コンビニおにぎりを点々と置いて、最後らへんのに強力な睡眠薬を混入しておく。
十字教の二人はがっくり肩を落として今までの苦労を嘆いていた。
一番近いというのと大人だから、というので当麻の担任である永遠のロリっ子こと月詠小萌の部屋に運び込む。
先生は超迷惑そうな顔で受け入れてくれた。
ステイルの「この子はまだ十五歳だ」という言葉が決め手だったのかもしれない。
衝撃の事実を知らされた当麻は顎が外れてそのままヒュンヒュン飛んでいきそうなほど驚いた。
ただ、小萌先生は去り際に重要なことを教えてくれた。

『完全記憶能力で脳がパンクするなんてありえません』

二人組にすんごく頼み込まれて、当麻は嫌々ながら幻想殺しでぺたぺたインデックスの体を触る。
表面上は大体触りつくして、いよいよ禁断の領域に踏み込まねばならないのか、と身構えたとき、当麻は必死に考えた。

――口の中を見てない!

ステイルから手渡された懐中電灯で照らしてみると、見覚えのない記号があった。
ビンゴだ。
三人で頷き合う。
右手でその文字に触れた瞬間、バキンと世界が豹変した。
当麻の右手はナニかにはじかれ少しだけ血が滴る。
凄まじい威圧感に三人は身構えた。

「警告、第三章第二節。Index-Librorum-Prohibitorum-Casey-Ryback、禁書目録の保護のため、テロリストの迎撃を優先します」

三人は動けない。
動いた瞬間やられることをわかっている。
ふと、当麻はおかしくなった。
目の前のコック服の大男から目を離さずに、忍び笑いがどんどん大きくなって、しまいには高笑いになった。

「あははははははははは!!」
「か、上条当麻?」
「テメェら、ずっと待ってたんだろ? インデックスに手首をひねられなくても済む、インデックスのナイフに怯えなくても済む、そんな誰もが笑って誰もが望む最っ高に最っ高なハッピーエンドってヤツを!」

インデックスは動かない。
当麻は場の空気も読まず、この世の何にも構わず、自分の思いを吐き出しつくす。

「手を伸ばしてもひねられないんだ。いい加減終わらせようぜ、魔術師!」

その言葉に魔術師二人は勇気づけられた。
口にするのは自らの魔法名。
ここでインデックスの被害を食い止めるという決意。

瞬間、ズダン、とインデックスの床が抜けるほどの踏み込み。
当麻は動体視力が良い方だと自認している。
それでも目視が不可能なほど素早く、視界の端に移った影を追うのが精いっぱいだった。

「後ろだ!」

ステイルの叫び。
振り向こうとしても遅い。
がっしりと圧倒的な力で羽交い絞めにされたことを悟った。

「あれは『竜王の拘束<ドラゴン・スープレックス>』!?」

持ち上げられ、わけもわからぬままに叩きつけられたことを当麻は薄れていく意識の中感じていた。
だが、届く。
少し右手を伸ばせばワケのわからない魔法陣に届く。
当麻は全力を絞って左手を伸ばす。

「―――ッ!!!」

彼の想像通り、拘束もとかず理解不能な体勢で左手はひねられた。
痛みに意識がはっきりする。
今度こそ右手を伸ばす。

――これで、詰みだ。

パキン、と、幻想が砕ける音がした。
同時に当麻の意識も暗闇に吸い込まれ、ストンと崩れ落ちた。


***


「君、ほんとは何も覚えていないんだろう?」

さっきまで、上条当麻は見舞客を迎えていた。
赤毛の大きな少年と、黒髪の綺麗な美女、そして黒髪短髪の大男。
しきりに謝られたが彼は何がなんだかわからない。
それも当然だ。
彼は頭を強く打ち、以前の記憶を一切合財忘れてしまったのだから。
自分の行いを聞いてもどこか他人事、まるで映画のあらすじを聞かされているように感じていた。

「俺、あの大男にだけは逆らっちゃいけない、って思ったんです」

単なる強そうな外見に基づく第一印象なのか、それとも以前の記憶の残滓か、透明な少年には区別がつかない。
案外自分はまだ覚えてるのかもしれない、とカエル顔の医者に告げた。

「それじゃあ、君は一体人間のどこに思い出が残っていると思うんだい?」
「どこって、そりゃあ決まってますよ」

なんとなく、少年はぼんやりとした考えを答える。



「――――手首に、じゃないですか?」





**********





【オマケ】

第二巻 黄金錬成

「当然、私は妄想した。インデックスが天使のような少女であることを! だが無理だった、吸血鬼になって妄想力を補わねば、不可能なのだ」
「お前は何も間違っちゃいない―――!!」

第三巻 後回蹴撃<チャック・ノリーサー>

右の後ろ回し蹴り、左のハイキック。
共に触れただけで人を殺す後回蹴撃<チャック・ノリーサー>の両脚が時間差で当麻の顔面に襲い掛かる。
「歯を食いしばれよ、最強―――」
「―――俺のICHIGEKIは、ちっとばっか響くぞ」

第四巻 御使堕し

「い、インデックスが純白のシスター姿に!?」
「これ、戻す必要ないですよね。放置しましょう」


―――――終劇!―――――


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