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[29548] 願いの代償【魔法少女まどか☆マギカ】
Name: でんでら野◆875c799b ID:13fb0c53
Date: 2011/09/01 00:55
※前書き※


初めまして。二次創作のSSは東方シリーズしかやってなかったのですが
まどまぎがあまりにも面白かったので一番好きなほむほむ主役で
やっちゃいました。内容は本編のアフターストーリーです。
大まかな流れは決まっていますが、連載形式はやったことがなく
途中での細かな修正やらがカオスになりそうな予感もするのですが、
出来るだけそうならないように慎重かつ
面白い作品に仕上がるように頑張りたいと思います。
意見や批判等も参考にしつつ仕上げるつもりです。
大体4話くらいで終わる見込みです。



[29548] 一章
Name: でんでら野◆875c799b ID:13fb0c53
Date: 2011/09/01 01:16
―悲しみと憎しみばかりが繰り返す、救いようのない世界だけれども。
 だとしても、ここはかつてあの子が守ろうとした場所なのだ。
 それを覚えている。決して忘れはしない。だから私は戦い続ける―




ここは見滝原市だった場所。いつも見慣れていたはずの光景は無く、
面影すらも残っていない。あるのは至る所で散乱している
瓦礫の山と、魔獣たちがひしめいている世界。

「ごめんなさいまどか。私は…。
 私はあなたの世界を守ることができなかった」

荒廃した地平線の彼方を眺め、私はぽつりと囁く。
幾多もの戦いでぼろぼろになった私の心と体は、既に限界が来ており
黒く歪んだソウルジェムによって、もうすぐ終わりが来ることを確信する。
やがて来るであろう終焉に自然と笑みがこぼれ、
走馬灯のように今までの記憶が溢れ出してくる。




まどかによって再構築された世界でも、
私は相変わらず魔法少女をやっていた。それはなぜか?
きっと選択肢としては、魔法少女とは縁のない
無垢な少女としての日常を選ぶこともできたはず。
そのときの自分が、どんな風になっているのかは、
想像は出来ないけれど。

結局私は、この世界でも魔法少女として戦い続けていた。
それが正しかったのか、間違っていたのかは今でもわからない。
いっそのこと何もかも無かったことにして、
すべて忘れしまっていたほうが
良かったんじゃないか、ふとそんな考えが頭をよぎる。


この世界での生活も、始めのうちは問題なんてなかった。
確かにまどかという存在は消えてなくなっていた。
それだけで、私にとっては耐え難いものだった。
それでも、あの時まどかが私にかけてくれた言葉を信じて、
いつか必ず会えると自身に言い聞かせ続けた。


ちょうど一ヶ月が過ぎようとした頃から、
私の記憶に異変が生じ始めた。
絶対に忘れないと誓った記憶が、徐々に
この世界から抜け落ちていくような感覚が強くなっていった。
あの世界で起こった事。いわばまどかが存在していたという証が、
実はものすごく現実的な夢だったんじゃないかと、
私の脳は、事実を妄想に染めるような認識を強制的に
受け入れつつあった。
時が経てば経つほど、彼女がどういう性格だったのかとか、
どんな特徴だったかとか、それらを
思い出すのにかかる時間が長くなっていく。

私は怖かった。このまま放っておけば、間違いなく鹿目まどかと、
かつて起こった世界の出来事が私の記憶から
ごっそり抜け落ちてしまうことになる。
そうなれば、彼女の存在はこの地球上、
いや全宇宙から抹消されてしまうことになる。
何も知らない他人から見れば、そんな部分的な記憶がなくなっても
日常世界に支障をきたすわけでもないし、
もう二度と思い出すことが無い状態であれば、
別の幸せを叶えながら適応していくんじゃないかと考えるかもしれない。
だけど、私は自分が死ぬよりも
まどかを忘れてしまう自分になるのがとても怖かった。

もともと病弱で自身にコンプレックスのあった私が
ここまで変われたのは、彼女の存在が非常に大きかった。
まどかがいない私なんて、それはまったくの別人。
私は何とかしてこの記憶の白痴を防ごうとした。
この時点での結果を言えば、記憶の白痴を防ぐ為に、
私は再びキュウべぇと契約を交わした。
私の願いによって、記憶の白痴を防ぐことに成功した。
そして私は、以前の様に魔法少女としての日常を選んだ。




「逝ってしまったのね…。円環の理に導かれて…」

巴マミが悲しみに打ちひしがれながら、力強く言った。


美樹さやかがソウルジェムの穢れから浄化されたとき、
私はふと、まどかの事を思い出した。
彼女は今、まどかと同じ時間を共有し、
ソウルジェムの穢れから開放されているのだろうか?

「まどか…」

とめどなく溢れる涙を出来るだけ抑えながら、
手に持っていた形見の赤いリボンを見つめ、
私はかつての親友の名前を呟いた。

以前の世界では、美樹さやかを救うことも考えて、
それなりに奮闘したこともある。
結局運命はそれを望まなないのか、彼女を救うことはできなかった。
彼女の叶わなかった願いの末路を知っている私は、
出来るだけ、ここでは幸せを感じていられる様、接してきたが、
やはりそりが合わないのか
彼女とは険悪な状態のまま、ここまできてしまった。


「希望を求めた因果は、この世に呪いをもたらす前に
 私たちは、ああやって消え去るしかないのよ」

「ちくしょうっ!……せっかく
 友達ができたと思ったのに…」

各々の表現でその悲しみを乗り越えようとしていた。
彼女がさっきまでいた場所を凝視し、私はこの結末こそが
美樹さやかにとっての最善の結果だということを信じて
そして、いずれ私たちにとっても、無条件でやってくるであろう
最期だということを強く受け止め、その場を後にした。





「今夜は随分と魔獣の瘴気が多いねぇ」

規則正しく人工的な直線で構成されている摩天楼が立ち並ぶ景色。
その中の高層ビルの屋上で、私達はその光景とともに
これから退治する魔獣達を見下ろしていた。



相変わらず隣にいる畜生は、
なにやら訳の分からないことを延々と言っている。
まどかの願いで魔法少女のシステムが若干変わった。
そのおかげで、この害獣にも多少の損が回ってきているらしい。
それが理由かは私には証明できないけれど、
ここでのキュウべぇは少しましな存在になっていた。
だからといって、この鬼畜生物が
散々犯してきた悪行を許したわけではない。
私はこいつを黙らせるために、
持っていたグリーフシードの欠片をすべて空中に放り投げた。
予想通り、私の周りで発生していた騒音は消えた。



「巴さん、杏子。準備はいいかしら?」

私はテレパシーで二人に呼びかける。
確かに今日は魔獣の数が多いように感じられた。
おまけに広範囲に渡って、その存在が確認されていたので
二人にも協力してもらうことにした。


「ごめんなさい。わざわざ呼び出してしまって…」


「いいのよ。だって私たち友達でしょう?」

そう言って巴マミはやさしく微笑んだ。
彼女のどこか哀愁を帯びた表情を、
私は忘れないようにしようと思った。



魔女と違い、個々の能力は低いけれど
その統率の取れた行動は、
時に魔女よりもやっかいなものだった。

「暁美さん。私はいつでもOKよ」

テレパシーを通じて巴マミの返事が来る。

「私も問題ないぜ。それよりもさっさとやっちまおうぜっ!
 眠くてしょうがないんだ。」

遅れて佐倉杏子の返事もやってくる。

「それじゃあ始めるわよ。いい?決して油断はしないで」

「よーし、じゃあ誰が一番多く魔獣を倒せるか勝負だ!」

佐倉杏子は相変わらず勢いだけはいい。
それが彼女のいいところではあると思う。

私はゆっくりと立ち上がり、まどかと交わした約束を思い出しながら
深い闇の底へ吸い込まれていく。
まどかの象徴である弓を握り締め、
願いによって新たに具現化された白い羽を使って
魔獣たちがいる地面に着地する。

「まどか。今日も私を見守っていて」

持っていた弓を構え、いつものように心を落ち着かせる。
いつものように何事もなく終わると思っていた。
だけど、今日起こる出来事がそれまでの私の考えを
根本的に覆すきっかけになるとは予想だにしなかった。


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