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[29310] 【習作】 バインドマスター(リリカルなのは オリ主)
Name: castake◆d6014dec ID:025b4777
Date: 2011/09/10 22:37
はじめまして。

castakeです。

注意事項

・オリジナル主人公です。
・チート能力を持ちあわせています。
・ある意味最強系かもしれません。
・かなり不定期更新です。
・キャラ崩壊があるかもしれません。
・サンホラが好きなのでところどころにサンホラネタを仕込んでいます。
・魔法の解釈や世界観設定に作者オリジナルの解釈が加わるかもしれません。

以上が苦手な方は別の作品を読むことをお勧めします。


現在進行形でゼロ魔で

ゼロのひどい使い魔

を執筆中です。

しかし、リリカルなのはを見てからどうしても書きたくなってしまったので同時進行で書いていこうと思います。

作者より伝言
感想について
基本的に見ています。
返信コメントなどはしないと思います。


2011/08/20
一話追加
タイトルに習作と入れました。
主人公キャラの性格がつかめません。
書きながら修正していくと思います。

2011/08/21
感想が書かれていることに感謝。
本当はアニメいう三期からはじめようと思っていましたが、何故か無印から始めてしまった。
主人公については作者自身も未だ確立したキャラとして成立していないと思っています。
とりあえず不定期更新なのでゆるりとお待ちください。
修正報告
一話ちょっと修正

2011/08/28

2話アップしました。
誤字修正
3話あたりまでは週一で更新できそうです。

2011/09/05
3話アップ
今までの投稿分の誤字脱字修正

2011/09/08
4話アップ
とらは板に行くタイミングを測りかねている

2011/09/10
4話修正。



[29310] プロローグ
Name: castake◆d6014dec ID:025b4777
Date: 2011/08/21 16:04
プロローグ

お約束な展開というものは物語の導入において必要である。

例えば、主人公は遅刻で急いで学校に向う。曲がり角を曲がると美少女とぶつかりその美少女が実は転校生であり、その上、というか、当然、主人公と転校生の席が隣になるという在り来りな展開。

なんのへんてつもない少女がある日、声が聞こえて向かった先にはフェレットが倒れており、その後、色々あって魔法の存在を知る。

日常的な生活から一変して、何らかのきっかけで物語が進む。

自称「平凡な小学3年生」高町なのはの物語はココから始まったのだ。


出会いは突然だったが、ユーノ・スクライア、フェイト・テスタロッサなどの主要人物とロストロギアであるジュエルシードに関わり、「PT事件」に介入。高町なのはが「魔導師」となり、フェイト・テスタロッサや「時空管理局」と出会うきっかけとなったのである。


その後、「闇の書事件」にも関わり傷つきながらもなんとか事件を解決。

主要人物たちはその後、時空管理局に入隊し、JS事件と関わっていき無茶な戦い方ではあるが主犯格の人物達を無事に逮捕したのである。

と、大まかなあらすじは覚えているものの、細かな部分は覚えていないのだ。

一度目は友達が進めるので見た。

その数年後、映画化されたというので再度じっくりとアニメDVDを見たのだがそれも既に何年も前のことになる。

そう、"アニメの世界の話"だったはずの高町なのは達が住む海鳴市に来たのは俺の記憶ではもう10年前になるのだ。

精神年齢は肉体年齢とは別ものである。

私立聖祥大学付属小学校3年生。

年齢、9歳。

田村紡(たむらつむぐ)

得意な授業、体育。
嫌いな食べ物、きのこ類。
成績、常に満点。
家族、両親、姉、兄。
女装させたら右にでるものがいない美少女になれる特技がある。

中性的な顔立ちに、艶やかな黒髪は肩口あたりまで伸ばされてる。いや、伸ばすように強要されている。
しなやかな身体つきに加え、引き締まった太ももに、キュッと締まった腰回り。
割とスベスベの白い肌。整えられた眉に透き通った声質。
パッと見ボーイッシュな女の子に見える。
というか、初対面ならほぼ間違いなく女の子と間違われる。

姉曰く「リアル男の娘ハアハア」

くそっ!腐女子で年の離れた姉を持ったことがこんなにも妬ましいとは。

どんな因果か、俺は元いた世界から気づいたらこの田村紡として転生した。
というか転生したとしか考えられなかった。
目が覚めたら知らない家の赤ん坊用のベッドにいたのだ。
いや、まあ、愛情を持って育てられたので両親には感謝している。
姉と、兄にもそこそこ感謝している。
しかし、元いた世界では現在19歳の姉より年上の26歳だったのだ。

オタクでもあり、腐女子などの免疫もあったが、実害を被られると堪ったものではない。

閑話休題

自我を持ち始める年齢というのは人それぞれだと思うが、俺の場合0歳から自我を持っていた。
どうも、転生モノの話にありがちな展開で元いた世界の記憶はバッチリ残っている。
そして、ココがアニメの世界、つまりはリリカルなのはの世界だと知ったのは生後三ヶ月の頃に両親が家族が増えたから引っ越すという話を聞いていたからだ。
引っ越すと言っても手狭なアパートから一戸建ての家に変わっただけで海鳴市内の移動である。
赤ん坊である俺を連れて市役所で住所変更手続の際にリリカルなのはの世界に来たと確信した。
なぜなら、海鳴市など、俺の世界には存在していなかったし、帰りに翠屋に寄ったからである。

奇数な運命に囚われているのだと自覚したのは、私立聖祥大附属小学校に入学してからである。
なにせ、高町なのはが同じクラスにいて、なおかつ3年連続同じクラス、席も常に隣なのである。
そう、何度席替えをしようと必ず高町なのはが隣の席になるのだ。

「にゃはは~、また隣の席だね~」

慣れたものだと言わんばかりに3年生最初の席替えが終わった後に俺に声をかけてきていた。

「ああ、高町とは切っても切れない縁があるらしいな。俺は諦めたよ」
「もう!なのはって、呼んでよ~」

元いた世界で十年後の姿を知ってるので高町教官、白い悪魔、なのはさんと呼びたいと密かに思いつつも、この可愛らしい高町なのはを呼び捨てにするのはどうも気が引けた。というか、元いた世界の記憶があって、なおかつ精神年齢はかなりイッてるので小学生同士のやりとりをするのは勘弁して欲しかった。

なにやらブツブツと言っている高町なのはを放っといて俺は思考する。

魔法少女リリカルの物語に俺がどうやって関わっていくのか。
そもそも俺が魔法が使えるのか。
管理局をどうするのか。
フェイトたん可愛いとか。
シグナムの胸に飛び込みたいとか。
アリサ・バニングス、くぎゅううううとか。

思考しながら適当に学校を過ごし家に帰り、姉に今日のコスプレ撮影会を強要され、それも終わり風呂に入って着替え終わる。

シャツにGパン。

パジャマを着ると姉が一緒に寝たがるのでもう何年もパジャマを着るという文化は俺の中では終わっていた。
夜九時を周り、そろそろ寝るか、パソコンでネットサーフィンをするか迷っていた処で頭に声が聞こえた。

【聞こえますか、僕の声が……、聞こえますか!?】

この声が聞こえるということは俺に魔力があるって証明にもなるわけで。
やはり魔法少女リリカルなのはの世界に、高町なのはに縁があるらしい。

春とはいえ夜は肌寒いのでジャケットを羽織り家を出る。
家族にはコンビニに行くとだけ言い訳しておいた。

これから始まる魔法でリリカルな物語に少しだけ高揚した口調でつぶやく

「さあ、物語をはじめようか」

―――――――――――――――――――――――
あとがき

はじめまして。こんにちは。
終着点の見えないまま始めてしまった魔法少女リリカルなのはのSSのプロローグになります。
知らない人もいると思いますが別作品も書いていますのでよろしく。

毎回サブタイトルを書いている人はすごいと思います。

―――――――――――――――――――――――



[29310] 第1話
Name: castake◆d6014dec ID:025b4777
Date: 2011/08/21 16:08

高町なのはの特筆すべき点は不屈の精神と類稀な魔法の才能である。

噛み砕いて言うなれば、お話ししたいは、暴力で相手を黙らせて無理やり話を聞かせる。
魔法の才能に関しては初めて使ったその日に飛び回り、戦闘し、更には砲撃をかましてジュエルシードを封印することまでやってのける。

ユーノ・スクライアは優秀であるが、補助系の魔法が得意なため戦闘には向いていない。
そして、事件の発端になるロストロギアを地球に持ち込んだ人物である。
だが、ロストロギア紛失及び拡散は事故のせいであり、当人はそのことを自分の責任だからといって自分で解決するのではなく、管理局に連絡して事件の解決を早期に頼むことが彼の一番初めにすることであった。

少なくとも事件が起きてそれを解決する機関があるのならばそれに頼るべきであった。

もっとも、今更文句を言ってもしょうがない。

うねうねしたモンスターに襲われていたユーノフェレットスタイルを拾い上げて更に、そこに居合わせたあたふたしている高町なのはの手を無言で引っ張って強引に走り、うねうねモンスターから少し離れた物陰に隠れたところで少しばかり説教をした。

「すいません。巻き込んでしまって」
「ふええ、どうしよう?どうしよう?」
「落ち着け。高町。ったく、お互い、巻き込まれた以上現状を把握し、問題を解決する方法を考えないと……」
「考えないと?」
「あのモンスターに食われるか、取り込まれるか、碌な事にはならないだろうね」

ロストロギアの暴走を放っておくと世界が滅びるか、次元が歪んで世界がおかしくなると思う。
少なくともジュエルシードは強大な魔力の結晶体で、周囲の生物が抱いた願望を叶える特性がある。
たまたま悪意のもった願望を叶えてしまった日には目も当てられない。

「その、お二人のどちらかに僕に協力して欲しいんです」
「うむ」

SIDE:高町なのは

「うむ」

そう顎に手を当てて考えこむ。
私は知っている紡くんが考え事をしている時の癖だ。

――田村紡ってどういう人?

いつも隣の席で、よくお話をする私にいつだったか聞かれたことがある。

一言で言うならすごく頭のいい人。
常にテストでは満点をとっているからそれは間違いがない。
次に思い浮かぶのは、面倒見のいいお兄さんみたいな存在。
同い年なのにクラスメイトの男の子達と違って落ち着いている。
男の子達が危ないことをしようとしたり、暴れたりしているとやんわりとそれを止めて違う遊びをやるように誘導していたり、喧嘩をしていたらすぐにそれを止めたり、嫌いな物を残さず食べろと注意したり、まるでクラス全員の父親か、お兄さんのようだった。

そして、ものすごく、女の子にモテる。
成績もいい、かけっこも誰よりも早い。
面倒見も良くて、他の男の子達よりも落ち着いていて大人びている。
なにより、中性的な顔で男の子の制服を着ていないと普通に女の子に見えるのだ。
可愛くてかっこいいとクラスの女の子達で人気がある。
一度私服で家の店に来た時なんか……。

「―――、高町って、なにトリップしてやがる」
「え?あ、ごめん」
「考え事もいいが、話を聞いていなかったな。時間が無いから簡潔に言うと、このフェレット、ユーノ・スクライアという名前で、あのモンスターが現れた原因と言い張っている。が、それは単なる事故だ。そして、現状であのモンスターに対抗することのできる手段を持つユーノでもあのモンスターには勝てなくて勝てそうなポテンシャルを持った人に向けてあの救難信号を出していた。それに釣られたのが俺と、高町ってわけだ。要は自分じゃ勝てないから何とかしてくれっていう完全に他人任せ、運任せの出来事に巻き込まれたわけだ。最後にユーノのいう協力とは魔法の力を貸すからモンスターを倒してくれというものだ」

私がお話を聞いていなかったのはほんの少しの間だけだったはずである。

「すごい、たったあれだけの僕の説明でそこまでわかるなんて」
「うん、紡くんはよく、先生に、1つ聞いたら10理解する天才児だって言われてるもんね!」
「高町が威張ってい言うことじゃないだろ……。しかし、フェレットが喋ってるにも俺が説明した魔法の力ってのにも高町は案外驚かないんだな」
「そういう紡くんだって驚いてないじゃん」

私が何より驚いたのはモンスターに襲われていた時に颯爽と現れフェレット、ユーノくんと私を助け、私の手を握ってくれたことだ。

紡くんは誰とでも仲良くしているが、誰とでも一線を引いている。

クラスメイトの誰でも苗字か、フルネームで呼ぶ。

それが、なんだか悲しかった。

私が何度名前で呼んでほしいと言っても呼んでくれない。

そんな紡くんが私の手を握ってくれた。

それに、私に説明している時に見せた滅多に見れない紡くんのどこか嬉しそうな顔。

モンスターに追われているのに私には緊張感がなかった。

SIDE:ユーノ・スクライア

どうして助けを呼んだ?
あのモンスターは?
原因は?
モンスターを何とかする方法は?

矢継ぎ早に飛んでくる質問に僕は混乱しながらも答えた。

助けを呼び現れた"二人の少女"

初めに現れたのは栗色の髪の毛でぴょこんとサイドに髪をまとめた女の子。
次に現れたのはボーイッシュな感じの一人称を俺という、男勝りな女の子。

高町なのは、田村紡。

この二人の少女。

とりわけ、ボーイッシュで男勝りな田村紡という少女は僕と同い年くらいなのに、ものすごく頭の回転の速い子だった。

まるで現状を予め予想していたような感じさえした。

そして、魔法を扱うなら、協力者として僕は田村紡を選びたかった。

「高町、お前が、適任だ」
「ふぇ?」
「え?」

僕となのはは驚いた。
てっきり、紡が魔法に、協力者として立候補してくれるものだと思ったから。

「なんで?」

理由を聞こうとしたが、ドカン、という建物の壊れる音と共に暴走体が現れた。

「ユーノ・スクライア、さっさとしろ」

ハッとなり、僕はなのはにデバイスを渡す。

「これから僕の言うとおりに言葉を言って」
「わ、私が?いいの?」
「いいんだよ。俺は俺の役割をこなす」

そう言って紡は暴走体の前に走り出した。

「あ、危ないよ~」
「なのは!彼女は時間稼ぎに行ったんだよ!早く、早く僕の言うとおりに!」

紡はそのへんに落ちていた瓦礫を拾っては投げ、襲いかかってくる攻撃をうまく避けていた。

「我、使命を受けし者なり
 契約の元、その力を解き放て……」

僕の言葉を繰り返すようになのはも言葉を続ける

「風は空に、星は天に、そして不屈の心はこの胸に。この手に魔法を。レイジングハート、セットアップ!」

SIDE:田村紡

いやまあ、時間稼ぎはそれほど難しいことではなかった。
相手の元になったのが知性が低かったのか、攻撃は短調だし、見きれないほどスピードがあるわけでもない。
女装させようと鬼のように追いかけてくる姉のほうが動きがいいくらいだ。

さて、高町なのはの方は

「風は空に、星は天に、そして不屈の心はこの胸に。この手に魔法を。レイジングハート、セットアップ!」

ま、当然ちゃあ当然の結果だ。
しかし、突然俺の胸の奥が熱くなる。
ドクンドクンと――。
高町なのはがバリアジャケットに変身し終えたと同時にユーノが叫んだ。

「これは!共鳴覚醒?」

聞いたことのない単語がユーノから発せられた。
とりあえず、モンスターから一旦離れてユーノを拾い上げる。
どうやら逃げた俺を無視してモンスターは高町なのはに狙いを定めたらしい。

「共鳴覚醒ってなんだ?身体からこう、迸る何かを感じる」
「ええっと、かなり希少な事例なんだけど、魔力に目覚める方法が幾つかあって、本来の目覚め方っていうのは、ちゃんとした魔法を収めた人のもとで徐々に覚醒させていくものなんだけど……」
「あぁ~、わかった。皆まで言うな。つまりは、高町の魔法覚醒の余波で俺も魔法覚醒したみたいなことだろ?」

ハンター×ハ●ターの念能力の目覚め方にそっくりね!
ユーノの反応を見る限り、俺の推測は正しいらしい。
って、こんな設定原作にあったか?
そういえば、魔法でドンパチ戦ってはいたが初心者にもわかる魔法入門的な話はなかったな。
強いて言えばレイジングハートが魔法訓練を行っていたくらいか。
さらに言えば、俺という存在そのものがいる時点でこの世界はリリカルなのはの物語に似て非なるモノとなっていてもおかしくはない。
そのへんの齟齬は後々解決していくとして、今、俺のすべきことは?
高町なのはは放っておいてもあのモンスターに勝つだろう。
そして、戦い続ける。
俺はリリカルなのはのアニメを見て思っていたことがあった。
いくら適性があって戦えるとはいえ、子供に前線で戦わせるというのは気に入らなかった。
管理局も自分たちのルールを押し付けるし、何より、まだ、高町なのは達は小学生だ。
大人が守るべき子供に、守られてどうする。

「ユーノ・スクライア。魔法の使い方を教えろ」
「え?」
「できれば、高町をサポート、もしくはモンスターの動きを止める類の魔法が最適だ」

ユーノは驚いた顔をしていた。というか、フェレットなので表情はあまりわからないが、驚いている様子だ。
この様子だと、デバイスを俺に渡したかったのか?
渡されても困る。
一つは、俺が上手くデバイスを扱えるか、
一つは、俺がデバイスを持つことにより、高町なのはにどのような変化が起こるのか、
それがわからない以上、今現在、最も高確率であのモンスターを倒せるはずである高町なのはにデバイスを渡すように仕向けた。
都合のいい言い訳だ。
俺のやっていることは管理局のやっていることと変わらない。
あとで、謝らないと。
この戦いが終わったら、謝ろう。
俺も、協力して、早く終わらせよう。

カチリと、何かがはまった音が聞こえた。

体内から湧き出てくる魔力。
ユーノ・スクライアに教わるまでもない。
頭の中に勝手に構築されていく魔法式。

「まずは体内にある魔力を感じて……」

高町なのはを見る。
彼女は、デバイス。レイジングハートに魔法の使い方を教わりながら試行錯誤しながらもなんとかモンスターの攻撃を躱していた。

「高町は魔法の天才か……、だとしたら俺は何なんだろうな?」

自然と口から言葉が出た。

「え?」
「飛ぶぞ!しっかり捕まれよ。ユーノ・スクライア!」

ふわりと、一瞬浮き上がり、高町なのはの居場所に目標を定め、加速する。

「うわぁああ」
「うるせぇえええ」

ロー、ファースト、セカンドのように加速するならまだしも、ロー、マックススピードで加速するとは思わなかった。

「え?えぇええ?」
「バインド!」

高町なのはの横に並びそして、モンスターにバインドをかける。
頭の中に流れる魔法式ははっきり言って理解不能。思い描いた魔法を感覚的に使ったが、なんの問題もなく魔法が使えた。

「驚いてる時じゃないぞ高町、動きを止めたあとはわかるな?」
『マスター、封印処理を』
「あの、どうゆうことなの?」
「アイツを倒したら全て話す……」

高町なのはは疑問の顔、疑惑の顔、そして、納得してどこか、決意を秘めたような顔をしたあと、レイジングハート指示の下、杖を構え、砲撃を撃った。
バインドで動きを封じられたモンスターは簡単に撃ちぬかれ、封印された。

「信じられないかもしれないけど、僕はこの世界の外、別の世界から来ました……」

ユーノが語る。
別の世界から来たこと、魔法のこと、ジュエルシードのこと。

ひと通り、話が終わり高町なのはは驚きながらもユーノの話を聞いていた。

「で?紡くんはいつになったらお話聞かせてくれるの?」
「うん?ああ、そんなことより、家に帰らないと怒られる時間だぞ」

時間は既に夜10時を回るかどうか。
小学生の身でこの時間帯に外に出歩いていると補導される恐れがある。

「家まで送ろう。その道中に話す。ちなみに、ユーノ・スクライア、俺は男だぞ」

高町なのはが紡くんといったことでフェレットのユーノは固まっていた。
たぶん俺を女だと勘違いしていたのだろう。

高町なのはの家に向かう道中、あの時起きた魔法覚醒の話をした。
ユーノは驚き、そんなのありえないよ。とぶつくさ言っていた。
高町家につき、高町兄、姉に見つかり俺が適当に言い訳をして、それに納得したのか、二人は高町なのはに小言を言った後、高町姉のほうが俺を家まで送るという話になった。

「田村くんの弟くんか~。これからもなのはと仲よくしてね」

そう、高町姉は俺の兄と同じ高校に通っている。
俺の存在は知っていたようだが、兄よ、俺の事をどう話した。
高町姉は俺がコスプレ趣味のある女の子みたいな男の子と勘違いしていた。
少し凹んでチキンとそれは俺の姉の趣味であり、俺はしぶしぶその趣味に付き合っているだけだと言っておいた。

家につき、高町姉と分かれ、帰りの遅い俺を待っていたのは両親と姉と、兄。

「紡にしては珍しく、いや、初めて家族に心配をかけたな」

父親の言葉はどこか嬉しそうだった。

「そうだね。紡がねぇ。ガールフレンドでもこさえたか?」

妙なところで鋭い兄。

「お姉ちゃんは許しません。一緒に……」

相変わらずの姉。

「まあまあ、いいじゃない」

ほのぼのとした母親。

まったくもってこの家族は温かい。

「ごめん。遅くなると連絡すべきだった」

素直に謝り自室に戻る。
初めての魔法を使ったことで疲れたのかすぐに眠りについた。

――――――――――――――――
あとがき

オリジナル魔法設定&解釈

魔法覚醒うんぬんと、共鳴覚醒は最近ハンター×ハンターが復活したからハンターの念能力覚醒から拝借。
デバイスを持たなくても魔法をバンバン使っているキャラ(ユーノとか、アルフとか)がいるのでデバイスなくても問題ないはず。というかリンディさんとかお偉いさん達は持ってない様子だし。

アニメ、劇場版の話からSSを構築しています。

主人公のキャラ設定がいまいち安定しない。
チラシの裏板にいる間に練っておきます。
3話ほど書いてその後、修正を加えとらハ板に移動予定

2011/08/21
少し修正。
――――――――――――――――



[29310] 第2話
Name: castake◆d6014dec ID:025b4777
Date: 2011/08/28 03:30

SIDE:田村紡

二度目の小学生の授業ははっきり言って退屈である。

担任は若い女性で恐らく教師になって間もない。恐らく20代後半に入ったばかりか、少なくとも30代には見えない若さだ。
教育システムはリリカルなのはの世界も元いた世界と変わらずであった。

中学生までは義務教育であり、俺の場合テストの時だけ主席して点数を稼ぐだけでもよかったのだが、世間体というものがあり、少なくとも今の家族に迷惑をかけないつもりで学校に行っていた。

しかし、というか、意外にも授業以外の時間の小学生たちとの交流はなかなか興味深いものがあった。

元いた世界で彼女もいなければもちろん子供ももいなかった。

年齢=彼女いない歴=童貞であったが、それなりに親しい女性はいた。

いや、まあ、風俗にお世話になったことがあるのでニア童貞?

どうでもいい話だ。

ところで、俺はロリコンではない。

守備範囲として年齢16~30と広かった。

さすがに年齢が二桁にもなっていない女の子に性的な興味はない。

それでもパンチラや胸チラに眼が言ってしまうのは男の性というものだろう。

さて、前置きが長くなりすぎたが何が言いたいかというと、小学生3年の女の子は守備力が低かった。

校内での階段でパンチラ、校庭で遊んでいてパンチラ、教室の椅子に大股で座っていてパンチラ。

俺がパンチラ見たいわけじゃない。お前らがパンチラ見せてんだ。

こと、高町なのはにいたっては羞恥心がないのかと疑うほどである。

今日は休日であり、高町なのはは私服。

ピンク主体の上着に、ミニスカートに白のニーソックス。
絶対領域に当たる太ももは小学生らしい健康的な脚である。
可愛らしい格好をしてきているのだが、識者(ロリコン)の眼から見ればこれほど興奮させる格好はないのではないかと思う。

場所は人気のない広場、アニメでレイジングハートと魔法を訓練していた場所である。

そこに俺と高町なのはは集合していた。
目的は魔法の訓練だ。
昨日の夜に魔法を使い始めた。魔法になれるためにも訓練が必要である。
そのため、土日を使い魔法を訓練しようと俺から高町なのはに連絡したのであった。
本来、高町なのはからレイジングハートを回収し、魔法を使っていくのを止めさせようと思っていたのだが、原作と同じく高町なのはは頑固であった。
結論から言うと高町なのはは魔法を学び、それを正しく使う。そのために俺が監視し、危ないことには極力参加しないということで意見は合意された。
今ではレイジングハートの元、高町なのはは魔法を訓練。
ユーノの元、俺は魔法講義を受けていた。

魔法の訓練の最中に風が吹いてスカートがめくれようが、私服のまま飛行しようが、こけてスカートの中が見えようがお構いなしだった。

ピンクのパンツか。

少しは隠そうと努力したり、恥ずかしがったりしないのは俺がパンチラをしていることに気づいていないのか、それとも見えているのに気づいていないのか。
注意したほうがいいのか、それとも言わないほうがいいのか。
将来的に考えてここは注意しておこう。

「高町、パンツ見えてんぞ」
「え?」

3メートルほど浮いてディバインシューターの練習をしていた高町なのはは顔を赤らめてすぐに地面に降りて俺の前に来た。

「つ、紡くんのえっち!」

怒ったとはいえディバインシューターで攻撃してくるとは思わなかった。
さすが、白い悪魔。
だが、俺には魔法があるのだ。

「プロテクション」

相変わらずどういう仕組で発生しているのか理解できないのだが、頭に盾を思い浮かべトリガーになる言葉を発するだけでこうして魔法の盾。プロテクションが発生する。はずであった。

――ジャラ

展開された魔法の盾は通常のプロテクションではなく、魔法の鎖が重なりディバインシューターを防いでいた。

魔法が使えると思っていたが、そうじゃなかったのか?

「魔力変換資質……??」

ユーノがなんじゃこりゃみたいな口調で呟いた。

本来、魔力変換資質というのは「炎」「電気」が比較的多く、「凍結」は稀。それ以外の魔力変換資質というものは聞いたことも見たこともないと、ユーノが説明した。

「しかし、俺が聞いたことも見たこともない魔力変換資質でしたっと?」
「たぶん、レアスキル系かな?それとも遺伝的なものかも……。でも紡の家族は魔法使いじゃないし……」

ユーノは歯切れの悪い口調で考えていることを述べているようだった。

とりあえず、重要なのは『能力』を手の内に納める事だ。
誰もが知る能力だろうと、誰も知らない能力だろうと自分の魔法を知ることが今最大の重要点だ。
俺の魔法の威力はどの程度になる?
最大魔法は?
最小魔法は?
魔法の範囲は?
どういう魔法をどれだけ発動できる?
発動するためにかかる時間は?

検証――。

対象者。
高町なのは
戦闘条件。
高町なのはは及び、レイジングハートは俺の攻撃魔法に対して防御魔法を展開すること。

飛行、問題なく飛べた。

攻撃魔法は高町なのはを参考に砲撃魔法から始める。
イメージしたのは高町なのはのスターライトブレイカー。
右手から砲撃を出す感じで高町なのはに掌を向け、魔法を発動。

ジャラ、ジャラジャラ、ジャラジャラララ――

魔法の鎖は複数の芽が発芽し成長するように増殖して、大量の鎖は砲撃と遜色ない威力で高町なのはに襲いかかる。

チェーンバインドを100~200ほど発動したような大量の鎖に飲み込まれた高町なのははプロテクションを展開させて俺の"砲撃"を防いでいた。
砲撃というか、大量のチェーンバインドを勢いをつけてぶつけた、それが俺の砲撃魔法であった。
しかも、俺が魔力供給を止めない間は大量のチェーンバインドは消えなかった。

つまり、プロテクションを展開している高町なのはごと、遥か上空まで押し出していた。

まずいと思い、砲撃したチェーンバインドで高町なのはを覆い尽くし、手元まで引き寄せた。
右手から展開されていた大量のチェーンバインドはどうやら俺の意思通りに動くようだ。

「ある意味すごいよ……」
「しばらく鎖はみたくないの……」

SIDE:ユーノ・スクライア


特殊魔力変換資質呼べばいいのだろうか。
紡の魔法は飛行以外、バインド系の魔法に変換されてしまうようだ。
主にチェーンバインドで攻守を行っていたが、ありえないよ。
発動、速度に優れないはずのチェーンバインドを一瞬で発動、最高速度で動かせるなんておかしいよ。
紡は自分の能力を調べていた。検証するたびに僕の常識は崩れていく。

紡の魔力はなのはと同等くらい。
だが、魔法の理解力、応用力、判断力が圧倒的に紡が上。
たった一日。そう、たった一日で僕は紡に教えることが殆どなくなった。

なのはと模擬戦をしている内に紡はどんどん成長していったのだ。

チェーンバインドの攻撃は模擬戦を重ねるごとに鋭さを増し、防御も捌き、見切りが上手くなっていた。

なにより、チェーンバインドの使い方が普通の魔道士、魔法使いとは別であった。

紡の左腕には左手首から肘までにかけて腕を中心にチェーンバインドが高速回転している。単純な魔法砲撃はこれで弾くか捌いていた。
大きな砲撃は高速回転されたチェーンバインドを紡の正面に展開させ円を作り出し防御。
同時に、右手から大量のチェーンバインドが飛んで来る。

どうやら紡は両腕を起点に魔法を使用するのを好んでいるようだ。

それにしても、チェーンバインドがココまでやっかなものだとは思いもしなかった。

SIDE:高町なのは

何度目の模擬戦になるだろう?
たぶん10回以上。

紡くんとの模擬戦はワクワクする。
回数を重ねるごとに手ごわくなる紡くん。
その顔は楽しそうだった。
私はそれを見て頬が緩む。

もっと続けたいと思ったけど、そろそろ終わりが近い。

「高町、次がラストだ。魔力が底を付きそうだ」
「うんっ!私もそう思ってたの!」

紡くんは左腕のチェーンバインドを消した。

「?」

防御を捨てて攻撃?

「ゲートオブバビロン!」

えぇえええ??
紡くんの背後の空間から大量のチェーンバインドが襲いかかってくる。
いや、チェーンバインドだけじゃない。リングバインドだったり、魔法の輪だったり、それこそあらゆる拘束系の魔法が飛んで来る。
避けようとしたが、右足が動かなかった。
不可視のリングバインド?
そう思った瞬間に私は衝撃を受け眼の前が真っ暗になった。

――――――――――――――――
あとがき

オリジナル魔法設定&解釈
ゲートオブバビロンはやりたかったからやった。後悔はしていない。
原作を見ていて複数の拘束魔法をいっぺんに発動すればいいのにと思っていたので使ってみました。
タイトルのバインドマスターの意味は主人公の魔力変換資質を示していたんだよ!
な、なんだってー
とうわけで、バインドマスターの名前の由来は主人公がバインド系の魔法しか使えないという設定からタイトルをつけました。
ちなみにパンチラのくだりはグループ魂のパンチラオブジョイトイという曲を参考にしています。
主人公は表向きは冷静沈着だが、心の中ではむっつりスケベみたいな感じになりつつある。
今後、オープンスケベの変態紳士になるかもしれません……。
――――――――――――――――



[29310] 第3話
Name: castake◆d6014dec ID:025b4777
Date: 2011/09/05 01:15
SIDE:田村紡

魔法テラ楽しすww

現在、土曜午後。

午前中は高町なのはと魔法の訓練をした。

高町なのはは疲れたので家に帰って寝ると言って帰宅した。

魔法を使いきって魔力量が空っぽだと思っていた時期が俺にもありました。

収束魔法。

というか、幽白で桑原が四天王の虎?と戦ったときに拡散した霊力を集めてある程度霊力を回復していたので魔法でもできるんじゃね?と思ってやってみたら上手く行った。

とはいえ、完全回復するわけでもなく、魔力量マックス100とすると10~20くらいの回復だ。

身体強化の魔法で走ったけど全然疲れない。疲れないマラソンは案外楽かった。
そのせいで、目的地に早く到着してしまった。

市立図書館で待つこと30分。

異世界とは言え、元いた世界と同じタイトルのライトノベルがあったのは嬉しかった。

とある魔術の続きが気になっていたんだ。

「なんや? 今度はラノベやね?」
「俺はなんでも読むのさ」

八神はやて。
不遇な境遇に置かれながらも明るく、元気な少女だ。
割とハードな人生を送っているのだがそれを感じさせないのはこの子の良い所であり、悪い所である。
辛い時、辛いと言わない。悲しいとき、悲しいと言わない。苦しい時、苦しいと言わないのである。

八神はやてとの出会いは割と最近だ。

実は小学1年から図書館に通っていたのだが八神はやてが何時迄経っても現れず、小学2年の3月中頃になってひょっこりと現れた。4月には小学3年。原作の力か、それとも偶然か。
さてどうやって話しかけようか観察していたら本棚上部の届かない本を取ろうとしていたので、それをとってあげて話始めるようになった。

そして、通い妻。もとい、通い夫の様にほぼ毎週土曜に八神家に泊まる。

小学3年生がたった一人で暮らすのは寂しい。

知りあって1ヶ月ちょいだが、メールのやり取りは八神はやてが一番多い。

二番目は念話があるのに高町なのは。

さて、今日は何を作るか……。

週に一回のお泊りで晩ご飯担当は俺だ。

元の世界で自炊していたこともあり、ある程度料理はできたが、こちらの世界でかなりはまり、今では主婦並には料理はできるつもりだ。

「カレーだな。カレーな気分だ。そうだ。カレーを作ろう。俺のカレーは……うまいぞっ」
「何のネタなん?それ?」

某気持ち悪い人です。
八神はやての前ではわりと素の自分を出してしまうのは何故だろう?

「全ては愛のターメリックッ!」
「チョコは美味いぞ~」

何故知っている!
貴様見ていたな!

小学生ニートの八神はやては結構オタク的な所があった。親近感というか、たぶん素の自分を出してしまうのは同士だからだろう。

八神家に到着して手慣れた動作で車椅子ごと、玄関から家に入る。

雑巾で車輪と床を拭いて一息。

小学3年生が一人で暮らしているのに周りの家や人がどうして何もしないのかがわかった。

ある程度予測していたが、当たっていた。

人の認識を誤解させる魔法。

どんな魔法かわからんが、恐らく八神はやてが一人で暮らしているのが普通だという認識を与える魔法だろうか。

魔法が使えるようになったおかげで感知できた。

両親が死んでいて、悲しむ人が少ないから犠牲にする……。

静かな、それでも確かな怒りは元凶にあったときに発散させよう。

「なんや、紡?自分、一瞬鬼のような顔しとったで」
「般若のモノマネ。そうだ、カレー甘口?中辛?」
「中辛やね。って般若のモノマネなんて、ウケへんよ」
「鬼瓦!」
「トゥース!それはもう過去の栄光や!最近は若林くんの味が出てきたから安泰やな」

そうだね。もういいよね。このくだり。

「うっま!このカレーうまっ」
「落ち着いて食えよ……。うまっ、俺のカレーうまっ」
「自画自賛かい!んぐ、なんやこれ……。トロける鶏肉なんてミスター味っ子かいな!」
「うーまーいーぞー」
「あかん、口からビームとか吐き出しそうや」

あっという間に夕食終わり。
食器を洗い、片付けてまったりタイム。

「この満腹感とマッタリ感は誰にも邪魔させへん……」

ソファーで八神はやてとテレビを見ながらまったりと過ごす。
やっぱり、一人より、二人。八神はやてには愛情と家族が必要だ。
まあ、もうしばらくすれば四人ほど現れるからそれまでは俺が一緒にいてやろう。

「ありがとう」
「ん?」
「友達になってくれてありがとうって、紡と知り合ってから退屈せーへんわ」
「ああ……」

肩を寄り添わせ八神はやては嬉しそうにつぶやいた。

「一人は、寂しい。紡の言うとおりやわ。初めてあった時は女の子と間違えてもうたのもいい思い出や」
「そうか……、別にお礼を言われるほどじゃない」

『ありがとう、綺麗なネーちゃん』
『俺は男であり、同い年くらいのやつにネーちゃん呼ばわりされたくない』

確かこんな感じが初めての八神はやてとの会話だった。

「ゲームすっか!」
「そやね!ぷよぷよはあかん。アンタ強すぎや、止まらない連鎖、降り注ぐ邪魔ぷよ。封印や」

湿っぽい話とシリアスな雰囲気が苦手な八神はやてと俺だった。

ゲームのあと、一緒に風呂に入り、布団を並べて就寝。
一緒に風呂にはいるのは勘弁して欲しかったが脚がうまく動かない人間を一人で風呂に入らせるのもあれだし、本人も『別に気にせーへんよ。顔だけ見てればアンタ女の子やし』とのことです。

俺の精神上かなり来るものがあったがよくよく考えれば小学3年生だったらまだそれほど異性を気にしないはず……。

それに、情操教育をこれから徐々に行えばいいだけの話。


日曜の昼。

「じゃあ、また来週~」
「ほな、さいなら」

あっさりと八神はやてと別れを告げて帰路につく。

寄り道ついでに原作でジュエルシードが発動された神社に寄った所、無造作に落ちていたジュエルシードを拾った。

「これがジュエルシード。しかし、俺だけでは封印できないのよね、これ……」

とりあえず、ユーノを呼んでそれについてきた高町なのはに封印処理をしてもらった。

「昨日は何してたの?」

土曜のあとの話を聞いているのだろうか?

「友達の家に泊まって今はその帰りだ」

高町なのははふ~んと言うだけでそれっきり話すこともなく帰宅した。


SIDE:高町なのは

土曜の魔法訓練のあと、たまたま、図書館から車椅子に乗った知らない女の子と紡くんが出てくるのを見てしまった。

楽しそうにお話している二人を見て、私は……。

たぶん、初めて嫉妬した。

心に渦巻く感情は複雑。

『友達の家に泊まって今はその帰りだ』

その友達とはあの車椅子の女の子の事だろう。

私は「あの車椅子の女の子は誰?」と聞きたかったが、それを聞いてどうなるわけでもないし、答えが怖かった。

紡くんが泊まりに行くほど仲がいい女の子の友達……。

好きな人なのか?
それとも家族ぐるみの付き合い?

答えのでない考えでせっかくの紡くんとの帰りも黙りきりになってしまった。

「はぁ……」

自室につきため息をついてしまった。

「なのは?どうしたの?」

ユーノくんが聞いてきたが、答える気にもなれず、ベッドで横になる。

「紡は、すごいよね。もうジュエルシードを見つけるなんて……」

たぶんユーノ君は勘違いをしている。
私が魔法で役に立てていないことを励まそうとしてくれているのだろう。

「魔法に関してはなのはと紡では比べない方がいいよ。そもそも紡の魔法はなのはとは違ってレアスキルの部類に入るしね」
「レアスキル?」

レアスキルとは稀少技能のことであり、未来を予測したり、他人の魔法を収集して自分のモノにしてしまったりなど色々なレアスキルがあるらしい。

特に魔力変換資質のせいで扱う魔法が拘束魔法に変換されてしまうというのは今まで存在しなかったはずである。

そのため、紡の魔法はレアスキルになるであろうと。

「というわけで、扱う魔法に関しては紡となのはは全く別物だと思ったほうがいいよ」
「でもでも、紡くんはとっても強いよ?」
「そっちについては僕も疑問に思っているけど……」
「けど?」
「なのはも負けてないよ」

普通は私の魔法訓練内容を行うだけでも人によるが膨大な時間がかかるらしい。

それをわずか一日足らずで魔法を扱っているので魔法センスはかなりあるとユーノ君は言ってくれた。

少しだけ心が楽になった気がする。

それと同時に私の携帯がメールが来たと知らせる。
送信者は紡くんだった。

『明日、学校の昼食時に話したいことがあるので屋上にくるように』

SIDE:月村すずか

昨日の夜、私とアリサとなのはに同じ内容のメールを送った人物。

田村紡。

私と、アリサの揉め事でなのはとアリサが大喧嘩をした時に仲裁してくれた以来、私たちと仲良くなった人物。

時たま、ふらりと私の家に来ては猫をかわいがっていく。

仲はいいと思うが、紡の本心はわからない。

紡から話がしたいというのは今回が初めてであり、私は結構驚いた。

昼食時、指定通りに屋上でご飯を食べながら紡の話を聞くことになる。

「俺の友達に脚の悪いやつがいる、そいつは車椅子生活を強いられている。それに両親は他界していて、友達も少ない。同い年で女の子だが、女友達がいないから友達になってやってくれないか?」

アリサとなのはは驚いていたが私には心当たりがあった。

「もしかしてその子、図書館によく行ったりする?」
「ああ、俺が出会ったのも図書館だったな」

私は確信する。可愛らしい車椅子の女の子だ。

「すずかちゃんその子しってるの?」
「うん、前に図書館で見たよ」

なのはが驚いて聞いてきた。その顔は少し怒っているようだった。

「その子、可愛いの?」
「うん、可愛い子だったよ」
「へぇ~、紡って面食い? まあ、私たちみたいな美少女と仲良くしてるからね~」

アリサは胸を張って自分を美少女という。
なのはの怒りのボルテージはまた上がったという感じだった。

「自分で美少女とか言うか……。まあ、月村すずか、アリサ・バニングス、高町なのは、そいつを今度紹介するから友達になってやってくれよ」
「それはいいけどっ!紡とその子、どういう関係?」

アリサの発言になのはがピクリと反応した。

「八神はやてというんだが、友達だ。それ以上でもそれ以下でもない。が、小学3年で天涯孤独ということで同情しているかもしれんな」

それを聞いて私は考える。
もし、私が一人で生きるとしたら?
たぶん、無理。
そして、悲しい。寂しいと思うだろう。
アリサもなのはも同じ様に考えこんでから三人とも同じ答えを出した。

「お友達になりたい」

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あとがき

ネタが多かった今回。
主人公についてはキャラ立ちが未だにはっきりしない。
フラグ建築は順調。
ハーレム系の要素も含みつつ今後どうしようか思案中。
管理局があるところって重婚だめなのだろうか?

感想について

誤字脱字の報告、指摘など、ありがとう。
文章量についてですが、私も短いとわかっています
3話くらいまでは私の話に興味を持ってもらうつもりで書いており、サクっと読める量にしています。

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[29310] 第4話
Name: castake◆d6014dec ID:025b4777
Date: 2011/09/10 22:37
SIDE:田村紡

現在、月村すずか家に絶賛不法侵入中。

平日で本来は学校にいなければいけない時間。

原作では休日で月村すずか宅でお茶をしている時に発動するはずのジュエルシードを捜索していた。

家、というか屋敷というか、とにかく広かった。

「あ、見っけ」

闇雲にこのクソ広い庭を捜すのでは効率が悪いので、原作でお茶会をしていた辺り周辺から捜索。

おかげで3時間ほどで見つかった。

見つけたと同時に、魔法の反応がした。

どこからともなく現れたのは黒いマントを羽織った少女。

フェイト・テスタロッサだ。

「それ、危ないものだから」
「うむ」

はっきり言って、フェイト・テスタロッサの格好は水着にマントを羽織って申し訳程度にスカートを履いているといったイカレタ格好だと思う。

「あの、魔導師ですよね?」
「田村紡だ」

自己紹介をするのならまず自分の名前から。
フェイト・テスタロッサは戸惑いながら問う。

「ロストロギアの探索者?」
「で、君の名前は?」

きょとんとした顔をしたフェイト・テスタロッサは答える。

「デバイスなし、ロストロギア、ジュエルシード。申し訳ないけど頂いていきます」
「名前は?どうしてジュエルシードを集める?」

フェイト・テスタロッサは無表情になり杖を構えた。
無視ですか、そうですか。

「バルディッシュ」
『イエス、マスター』

杖、バルディッシュは形を変え死神の鎌のようになる。

どうやら接近戦で挑んでくるようだ。

魔法で身体強化をかける。

それと、目に多めに魔法での強化をかけた。

ハンター×ハンターで言う凝みたいなものだ。

この魔法の利点と効果はまだテストもしていなかったが、すぐに結果はわかった。

フェイト・テスタロッサが杖を構えたと同時に踏み込み、魔法で加速か、ブーストで一気に距離を詰めてきた。

そして脚を刈り取るように鎌を振ってきた。

ここまでの流れを眼で追えた。

フェイト・テスタロッサの考えは恐らく脚を攻撃することで、相手は上に回避させる、その後、飛び上がった相手に何らかの攻撃を仕掛けるつもりなのだろう。

予測しておいて何だがフェイト・テスタロッサの考えに乗ってみた。

鎌を飛行で回避して上空へ。

しかし、追撃がない。

フェイト・テスタロッサは攻撃した位置から動かずにいた。

避けられると思っていなかったのか?

その考えと同時にフェイト・テスタロッサは杖を構えなおし、鎌を振るう。

その先端、鎌の刃がクルクルと周り勢いをつけて俺に向かってくる。

プロテクション、鎖の盾で防ぎ、爆発から逃げ出した。

逃げ出した先にフェイト・テスタロッサが既に待ち構えており、死神の鎌を振り降ろしてきた。

それをまた鎖の盾で防ぐ。

「チェーンバインドを盾にしてる?」
「いや、まあ、説明が面倒だからそんな感じで」

鎖の盾から数本だけフェイト・テスタロッサの身体に伸び、捕らえる。
この鎖の盾のイヤラシいところはガードとカウンターを一つの魔法で出来てしまうところだ。
本来、ガードと同時にカウンターを放ち相手を拘束できるのだが、敢えて隙を与えてフェイト・テスタロッサの動きを観察した。
どうも、フェイト・テスタロッサは驚いて拘束から逃れられなかったようだ。
ガードからカウンターまでにわざと間隔を開けたのだが、逃げれないかったことでこの戦法が有効であると確信。

「油断……っ!圧倒的油断……っ!」
「くっ、こんなものっ!」

残念っ……。逃れられないっ……。これが現実っ!

さて、バインドに魔法が変換されてしまう人間がバインドを使った場合どうなるのか?

答えは明白。

逃れられない。

原作では設置式のバインドとか力技っぽい方法で脱出していたが、俺のチェーンバインドからは逃れられない。

恐らく、バインド系の魔法から抜け出すにはバインドに込められている以上の魔法力開放でバインド魔法を壊して脱出というプロセスか、術式を解析して開放処理をして拘束が弱まったところで魔力で破壊するというプロセスになる。

何故そんなことがわかるかというと、バインドに流れる魔力の流れを解析していたからである。

フェイト・テスタロッサは後者のプロセス。
つまり、術式を解析して拘束を弱めようとしている。

だが、今は戦闘中であり、余力など考えずに一気に魔力を開放して強引にバインドを破壊したほうが正解だと思う。

敵である俺が大人しくしているわけがないので、とりあえず急降下。

「えっ?きゃああああ」

当然、チェーンバインドで拘束されているフェイト・テスタロッサも急降下されるわけで。

地面にふわりと着地。

フェイト・テスタロッサも同じくふわりと地面に落とす。

チェーンバインドはフェイト・テスタロッサの身体を徐々に侵食していくように絡まり、既に両うでは身体に縛り付けられ、両足もぴったりとくっついて、蜘蛛に囚われた獲物状態になっていた。

「は、離せっ」
「だが断るっ!」

フェイト・テスタロッサに近づき、デバイスを取り上げる。

「さて、落ち着いて話そうか?」

地面に座り込み、芋虫の様に地面に寝転がっているフェイト・テスタロッサに話しかける。

SIDE:フェイト・テスタロッサ

デバイスを取り上げられたことで術式を解析するのが困難になった。

ただでさえ、かなり複雑な術式で普通のチェーンバインドと思っていた私は完全に囚われてしまった。

魔法を覚えて間もないという感じだったが、擬態だったのかな?

アルフとは連絡は取れないし、どうやって切り抜けようか……。

「さて、落ち着いて話そうか?」

私の考えを遮るように正面に座り込んで"女の子"は話しかけてきた。

同い年くらいのボーイッシュな女の子だ。

「まあ、そんなに睨むな。こちらに敵対する意思は無い。それに、俺が聞きたいのは君の名前と目的だ。ああ、目的はジュエルシードか。まあ、聞きたいことに答えてくれればコイツはくれてやる」

ポケットからジュエルシードを取り出して私の前においた。

この子は何を考えているのだろう?

私の名前を聞くためだけに戦ったと言っているのだろうか?

「名前は?」
「……、フェイト・テスタロッサ」

名前を言ったら、チェーンバインドを解いてくれた。

「さっきも言ったが俺は田村紡だ。私立聖祥大附属小学校3年生。魔導師じゃないが、とある事情でジュエルシード集めの手伝いをしている」
「えっ?」

魔導師じゃない?

「ハイ、デバイス」
「あ、うん。ありがとう」

デバイスを渡されてついついお礼を言ってしまった。

「ジュエルシードを集める目的は?」
「それは、お母さんが集めてこいって……」
「何に使うかは?」
「……」

何に使うかまでは知らない。
お母さんに集めて来いと言われたから集めているだけだ。

「うむ。何に使われるかまでは知らないと、まあ、俺では封印処理できないし、このままだと危ないから封印処理してくれ。その後は勝手に持っていけばいいよ」
「あ、うん。ありがとう……。でもどうして?ジュエルシードを集めていたんじゃないの?」

田村紡はとある事情でジュエルシードを集めていると言っていた。ジュエルシードを集めているのにそんな簡単に私に渡していいのであろうか?

「ああ、それか……」

田村紡の説明によるとジュエルシードは事故でばらまかれた。それを放っておくと危険だから集めている。
事の発端であるユーノ・スクライアという人物ともう一人の魔導師がいることも教えてくれた。

「あと、管理局に通報してあるから悪用するなら早めに集めた方がいいよ」

田村紡は地球で危険が及ぶのが嫌らしい。そのため、封印処理をした後の使用については地球で悪用しないなら別に誰が持っていようが関係ないらしい。

変わっている人だと思う。

協力している魔導師が3つほどジュエルシードを封印していることも教えてくれた。

「フフッ」
「ん?」

ついつい笑みが零れてしまう。
この人は可笑しい。協力がいるのに、あっさりとジュエルシードを渡してくれた。
普通は協力者のことを考えてジュエルシードは渡さないだろう。

「あと、連絡先を教えておく。まあ念話でもいいか。俺一人でジュエルシードを見つけたらまた連絡するよ」
「いいの?」
「ああ、フェイト・テスタロッサは笑っている方が可愛いぞ」

カッと顔が熱くなる。

「早めにジュエルシードを集めれることに越したことはない、それに素敵な出会いもあった」

というわけで、と連絡先が書かれた紙を渡された。

「じゃ」

シュタっと飛び上がりそのまま私を置き去りにして田村紡は飛んでいった。

「田村紡……」
「フェイト!」
「あ、アルフ」

田村紡と入れ替わりに使い魔であるアルフが駆けつけてきた。

「今のは?」
「うん、たぶん、ジュエルシード集めを手伝ってくれる協力者……、かな?」

SIDE:田村紡


建てられるフラグは建てておく。

フェイト・テスタロッサとの邂逅から一週間。

サッカー観戦をしている間にジュエルシードを盗み出し、高町なのはに封印処理をしてもらった。

現在は高町なのはの両親が経営している翠屋で八神はやてを紹介しているところだ。

「へー、ここの娘さんやったんか~」
「うん」

同い年であり、女の子同士。
八神はやて、高町なのは、アリサ・バニングス、月村すずかはすぐに仲良くなっておしゃべりをしている。
男である俺は蚊帳の外。

既に俺の出る幕はなかった。

「紡は、アレやな。女たらしやな」
「おい、こら何言ってやがる」
「いや、紡の知り合いの女の子は美人さんばかりや。私も含めてな」
「はは、君が何を言っているのかわからないな」
「紡くんって、はやてちゃんと話す時はいつもの感じじゃないね」

高町なのはが、おかしな事をいう。

「うん、そうよね。なんか、いつもより砕けた感じじゃない」
「そうだよね。いつもは丁寧な言葉使いだもんね」

アリサ・バニングス、月村すずかの順で、追い打ちをかけてきた。

「クールを演じてんねん。はじめは私もそやった。けどな~、擬態やで。紡のボケとツッコミはなかなかのもんや」

「「「へぇ~」」」

ジド眼で三人が見てくる。

「あー、シュークリームがうまいなぁ」
「あ、露骨に話をそらそうとしてるの!」
「はやてとの会話くらいに砕けてるほうが私たちも気楽よね?」
「うん……、今通りだといつまでたっても他人行儀だし」

そしてまた、四人でゴニョゴニョと話始めてしまった。

SIDE:高町なのは

「はやてちゃん、どうやって仲良くなったの?」
「え~と、すずかの言ったみたいに、他人行儀やな~、泣いてまうで~とかいったらああなった」
「へ~、紡ってはやてみたいなのがタイプなのかしら?」
「たぶん、違いと思う」

すずかちゃんの答えに皆が注目する。

「紡くんってどこか大人びてるから、ちゃんとお願いすれば聞いてくれるんじゃないかな?」
「あ~、私も人を馬鹿にするような態度はやめろって怒られたっけ」
「私とアリサちゃんとの喧嘩も仲裁してくれたよね」
「おお、その話詳しく聞かせてや」

私は、二年生の時にあったアリサちゃんとのやり取りを説明した。

「なのはちゃん、そうかアンタが、白い悪魔かいな」
「え?」
「紡曰く、お話=武力制圧の脳筋といっとったで、まさかこんな可愛い子がそうとは思わんかったわ」

カッと顔が熱くなる。
私のことお話してたんだ。

「兵法三十六計、逃げ……」
「ちょっと、お話しようか……」
「なんだと……」

逃げようとした紡くんを捕まえる。

「どういうことかな?かな?」
「それキャラ違うくね? アーッ」
「悪魔や、悪魔がおる……」
「なのはって怒ると怖いもんね」
「うん……」


SIDE:八神はやて

「友達増えたで!」
「月村すずかとアリサ・バニングスはお家の事情で今回はお泊り見送りっと」
「へー、ここがはやてちゃんの家か~」

紡に紹介された三人の女の子は美人か可愛い子ばかりだった。
でも、それほど仲がいいわけではないらしい。
どうも私が一番仲がいいという認識だが、それは違うと思う。
たぶん、紡は誰にでも優しい。

こうして私に友達を作ってくれたことに感謝しているが、本命は誰なんやろ?

しかし、このなのはちゃんが白い悪魔か。
紡がお泊り会をするといって参加してくれた。残り二人も次回から参加してくれる。
こんなに嬉しいことはない。
って、どこぞのガンダムの主人公か私は。

「まー、急な誘いに乗って来るのはさすがやね」
「何の話?」
「いや、こっちの話や」

私を含め、紡に好意的な視線を向けていた三人。
一番手ごわいのはなのはちゃんや。

「夜は鍋だ。ウインナー入れようぜ」
「何鍋やねん?」
「紡くんて料理できるんだ」

初めて紡が料理ができることを知ったらしい。
あかん。この子、惚れとるな。

「デザートは翠屋のシュークリームとケーキ。余り物と言って渡されたが、高町なのはに感謝」
「え?うん。どういたしまして?」
「裏を読むと、娘の面倒を頼むってことかいな」

私は危機感を覚えた。どうもなのはちゃんの両親は紡の事を気に入っているっぽい。

「まあ、八神はやてのデザートもうまいが、それは今度だな」
「そやね。料理手伝うわ」
「私も手伝う~」

なのはちゃんはハイっと手を上げて主張した。

「なら配膳の手伝いね。それ以外は俺の……俺だけの世界だ」
「ええぇ?」
「あかんで、なのはちゃん。紡一人のほうが旨いし早い。悔しいけど認める所は素直に認めたほうがいいで」

キッチンに入ると自分の世界に入ってしまう紡の悪い癖や。
まあ、奇っ怪な叫び声までは無いが、邪魔すんなオーラが半端ない。

なのはちゃんと二人で配膳の準備。
テーブルを拭いて鍋の用意をした。

トントンと食材を切る音が聞こえる。

配膳準備が住みソファーで座っているなのはちゃんに話しかける

「なあ、なのはちゃんって紡の事どうおもてる?」
「え?」
「頼れるやろ?優しいやろ?惚れてまうやろ?」
「うん……」

やっぱり、私と同じか。

「はやてちゃんも?」
「うん。早めにつばつけといたほうがいいで」
「ライバルだね。私たち」
「そうやね。残りの二人もそれっぽいし、ライバルと友達がいっぺんにできてもうた」
「誰が選ばれても恨みっこなしだよ?」
「抜け駆けは……」
「「許さない」」

ココに同盟ができた。

やっぱ、友達ができると楽しい。

「仲良くなってんじゃん。俺、料理作り終えたじゃん。鍋ウマそうじゃん」
「自画自賛乙!」

鍋はうまかった。どんどん料理が旨くなる。

「締めはリゾットか、雑炊か、麺はないのでパスタで締めてもいいな」
「雑炊でリゾットで」
「何その旨そうなもの」
「えーと、雑炊にしてお皿に分けたときにリゾットにしたい人はすればいいと思うの」
「「それだ」」

なのはちゃん、あなどれんな。

食後のマッタリタイム。

「ねぇ、紡くんってなんで名前で呼んでくれないの?」
「そや、今時フルネームで呼ぶなんて流行らんで?」
「気にするな」

カフェラテを飲む紡はそう答えた。

何かの暗示か、それとも単なるはずかしがりなのか?

「なんや、恥ずかしいんやな?」
「そうなの?」
「ち、違うもんね」

あー、そうかそうゆうことか。

大人びている割に子供だ。

「ほら、はやてって呼んでみ?」
「なのはって呼んで?」
「八神さん、高町さん」

ぷいっと顔を逸らして苗字で呼ぶ紡。
なんや、かわいいやんけ。

「男のツンデレはキモいだけや」
「しるか」
「ツンデレ?」

なのはちゃんはツンデレがわからないらしい。

「恥ずかしがっとるだけや、時間をかけて攻略できるとわかった。なのはちゃんも時々でいいから名前で呼んでと要求するんや」
「わかったの」
「さー、寝よ寝よ」

紡は耐え切れなくなったのか、寝る準備を始めてしまった。

「紡の仲が良くても一線を越えようとしない壁を壊すで」
「うん!」

SIDE:田村紡

名前を呼んで、か。

確か原作一期の最終回のタイトルだったはず。

女子を呼び捨てにするというのは元の世界でも抵抗があった。

正直、惚れた相手や家族以外で呼び捨てで女性の名前を読んだことがなかった。

精神年齢が高町なのは達より、一回りも違う。

その上、彼女たちは正直言って美少女だ。

俺の感覚では芸能人を名前で呼び捨てにする位抵抗がある。

まー、拘っているわけではないが、名前を呼ぶべき時は決まっている。

その時までは待ってくれ。

さて、三人で雑魚寝状態なのだが、ユーノ・スクライアはどうした?

『家でお留守番だよ』
『そいつは残念だったね』

念話でユーノ・スクライアに呼びかけたら置いてきぼりを食らったらしい。

『で紡、話って?』
『ああ、魔導師にあった』
『え!ほんと?』
『ジュエルシードを集めてるって。一つプレゼントしたけどいいよね?』
『えぇえええ?』
『そのかわり、名前を教えてもらった』
『紡、ジュエルシードは危険なんだよ……』
『暴走したら危険だね。それより今後も現れると思うよ』
『紡は……、いや、そうか、ジュエルシードを安全に集めるのが最優先ってことだね?』
『理解が早くてよろしい。悪用されてもそれは俺達がどうこうするわけじゃなく、管理局に任せよう。そのための管理局だろ?』
『そうだけど、規模によっては地球にも影響が……』
『それはその時に管理局になんとかしてもらおう』
『他人任せだね』
『地球の危機を救うってか?それも少数で?そのための手段は?方法は?』
『うっ、ない……よ』
『そういうことだ。もう少しは自分が子供だと自覚しろ』
『紡だって同い年じゃないか……』
『自分のできること、できないことくらいの分別はわきまえている』
『どうしたら、紡みたいになれるかな?』
『自分で考えろ』
『厳しいね。ま、そうゆう所も含めて見習うよ』
『勝手にしろ』
『うん』

念話を終えて寝た。

――――――――――――――――――

あとがき

無印の間は変態プレイに当たる、バインドによる亀甲縛り等のロープを使った特殊な拘束プレイは出ないと思います。

SM系のロープの縛り方を調べてないとか、R15になるかもしれないとか思ってるわけじゃないんだからねっ!

縛られるフェイトをペロペロ。

二期、三期に当たる話を未だにプロットすらできてません。
無印の管理局が現れるところまでは考えてますが勢いとノリで書いてます。

感想への書き込みしてくれている方々へ感謝。

当分は勢いとノリで書いて行きますが、不評が多ければ削除、修正をしていくつもりです。

――――――――――――――――――



[29310] バインドマスター StrikerS第1話
Name: castake◆d6014dec ID:025b4777
Date: 2011/09/13 23:34
事件ある所にバインドマスターの陰がある。

そう噂が広まり始めたのは、時空管理局のエースオブエース高町なのはの危機が救われた事件からである。

その事件は管理局のエースオブエースである前の高町なのはがまだ11歳であり、闇の書事件終結から二年と少しの冬に起きた。

カートリッジシステムと戦闘で今まで溜めてきた無茶と負担のツケがまわり、とある任務中に現れたアンノウンに攻撃され、あわや直撃かと思われたが、その攻撃から高町なのはを守る様にチェーンバインドと思われる鎖の壁が現れたのであった。

攻撃したアンノウンはチェーンバインドと思われる鎖で締め上げられ、行動不能になっている所を当時一緒に任務に当たっていた、ヴィータが殲滅。

これにより、高町なのはは傷つくことなく、任務を終了した。

その後、無茶を重ねている高町なのはは半年ほど休暇、更に半年を魔法訓練に当てランクS取得する。

しかし、アンノウンから高町なのはを守った人物は目撃されたものの、接触はできなかったのだ。

正体不明のバインド使いはこの事件を皮切りに、色々な事件で目撃されることになる。

そして、扱う魔法が全てバインド系ということから誰がつけたか、バインドマスターと呼ばれることとなった。

目撃証言

黒髪、顔は謎の仮面で隠され、わからないが、男と思われる。

年齢は16~20。

体型は普通。

特徴は扱う魔法が、拘束系のバインドであるということ。

魔法ランクは推定Sランク。

移動方法は転移魔法と思われる。

行動する際は一人だが背後に何らかの犯罪組織が付いている可能性があると思われる。

行動動機について謎が多い。

若手ナンバーワンと言われる高町なのはが一番、関わりが深いと言える。

4年前の空港火災時にも高町なのははバインドマスターに邂逅していたのだ。



休暇を利用して私の指揮官研修を見学に着ていたなのはとフェイトがこの事件に協力して人命救助に当たったのだが、その際に高町なのははバインドマスターにあったと報告された。

この事を知っているのは私、なのは、フェイトと当時の指揮官などだったはずだが、どこからかマスコミにリークされ、バインドマスターの名は一気に知れ渡ることになったのだ。

マスコミにリークしたのは恐らく一般市民からである。

人命救助の際に、少女を助けていたり、残っていた人間を助けていた。

壁抜きと呼ばれる高町なのはが行った救出方法とは別にバインドマスターはチェーンバインドと思われる魔法で壁を壊し、その上で鎖で洞窟の様に道を作り外への脱出経路から歩ける人間を脱出させていた。

そして、素顔のしれないバインドマスターだが、唯一高町なのはだけ、その素顔を一度だけ見ていたのだ。

救出活動の際、瓦礫がバインドマスターの顔に当たり、仮面がとれたのだと言う。

「それで?顔はどないやった?」
「うーん……。第一印象は童顔の男の子、たぶん私とはやてちゃんと同じで地球出身の日本人だと思うの」

黒髪に、黒い眉、黒い瞳、どれも日本人特有の特徴が見て取れたとなのはは言った。

しかも、年齢が私たちと変わらない位かそれよりも下かもとの事。

バリアジャケットなしで、デバイスも見当たらなかった。そのことから高レベルの魔導師であると予想できるのだが……。

「私達以外に地球出身で魔導師がおるとは聞いとらへんし、管理局でもそんな人物はおらんかったと」
「うん、あの時、無理やりにでも捕まえておけばよかったの」

高町なのはがバインドマスターと出会った時にパンツを見られたらしい。

『白じゃないだと……。淡黄色のパンツなんて。ありだと思います』

レイジングハートに録音された音声だ。

動画や画像の方は、なのはがド忘れしていて気をきかせたレイジングハートが当時の救出作戦時の音声録音のみ行っていたのだ。

「音声だけだと変態さんや。だけど、魔法ランクや、魔法技術に関してはかなりの高レベルや。無理やり捕まえようとして戦闘にでもなっていたらえらいことになっとったで」
「あはは、そうだね。でも、お礼、言いたかったな」

バインドマスターはなのはがスカートを抑えてほんの一瞬、目を離した隙に逃げたらしい。

その後、様々な事件にバインドマスターは神出鬼没に現れては管理局に有利な様に事件に介入しては解決してきた。

しかも、必ず、マスコミが取り上げるような事件ばかりにバインドマスターは関わるのだ。

そのため、民衆の人気は高い。

謎の正義の味方、というのが一般市民の協力認識であるが、管理局側は違う。

バインドマスターの使う魔法は非殺傷設定ではない。

バインドマスターが関わって捕まった犯人は必ず重症を追う。

そのことが防犯対策になっては非殺傷設定で敵を捕縛することを常とする管理局側は困るのだ。

だが、犯罪者にとってはバインドマスターは恐怖と畏怖の対象であり、水面下では防犯対策になってしまっているのが現状である。

此処数年のバインドマスターの活躍により、犯罪発生率が減っているのは確かだ。

「しっかし、目的がわからへん。慈善で正義の味方か?管理局側に有利にするのは何故や?そもそも管理局に入らんのはなんでや?」

随分前になのはは部屋から退出しており、今は私一人だ。誰もいない部屋で一人考えていがのだが、答えは見つからない。

できれば新しく設立する私の部隊にバインドマスターの人気と力が欲しい。

そう思い、過去の事件を洗い直し、バインドマスターを捕らえるべく、なのはと相談していたのだ。

そして、なのはには伝えていなかったが、バインドマスターは日本人の恐らく、学生であると予想している。

3月、4月、5月、8月、12月、1月、2月と、バインドマスターの関わった事件を時空系列で並べると日本の学校の長期休暇の時期に多くバインドマスターは現れていることがわかる。
さらに土日や休日、連休を日本のカレンダーとバインドマスターの事件介入の日付を見比べて予想した結果、バインドマスターは日本の学生である可能性が高いと予想した。

私達と同い年と考えた場合、大学生か。

日本全ての男子大学生を調べるとなるとかなりの時間が掛かる。

地球は管理外世界だ。管理局員に調べさせるのにも余程の理由がない限り派遣は不可能。

個人レベルで調べるしか無い上、今は機動六課設立の大事な時期である。

となると、日本の協力者である、アリサとすずかにお願いしてみるかなぁ。

さて、勧誘する新人たちの目星もついたし、がんばりますか。


SIDE:高町なのは


はやてちゃん。バインドマスターさんを仲間にしたいみたい。

私もそれは賛成だ。

4年前にパンツを見られた件は、11歳の頃に助けられた事でチャラにしようと思う。

でも、あの素顔、日本人で同い年くらいの男の子。

顔立ちは可愛いといった方がいいのだろうか?

男の子らしくない顔であったが、私を見てかなり驚いていたような気がする。

その後の、パンツ発言がなければ好印象だったかもしれない。

魔法レベルでいえば、私と同じくらい強いかも。

はやてちゃんには言ってなかったけど、対峙した時、すごく強い感じがした。

一度、手合わせしてみたいの。

いけない、いけない。

それよりも今はテストの準備をしなきゃ。


障害の配置も完了。あとは全体を見ていればいいだけ。

この子たち、結構やる、いいコンビだね。

と思っていたけど、ティアナの方、これ足を挫いたかな。

「一応、セットアップしておこうか、レイジングハート」
「イエスマスター」

へぇ、あの二人、やっぱり、いいコンビ。

ただ、ブレーキの事は考えておこうか。

アクティブガード、ホールディングネットもいるかな。

リインに怒られている、二人は再試験かな。

「二人共おつかれさま」

四年ぶりに合うスバル。

大きくなった。

うん。こういうのっていいな。

私を目指してバスターまで使ってくれるスバル、その相棒であるティアナ。

二人を一人前にしようと心に誓う。


SIDE:フェイト・テスタロッサ

新人二人に機動六課の経緯を説明した。4年前の空港火災時からの話でスバルの方は当時の被害者である。

「と、まあ、そんな経緯があって八神二佐は新部隊設立のために奔走」
「四年ほどかかってやっとそのスタートをきれたというわけや」

その後、登録や部隊説明をした後、最後にはやてが二人に質問をする。

「二人はバインドマスターを知っとるか?」

二人がピクリと反応する。

「私は4年前の空港火災時になのはさんに助けられる前にバインドマスターにあいました」
「私は、兄を救われました。面識はありませんが、兄は命の恩人だと言ってました」

初耳だ。二人共バインドマスターに関わっていたのか?

「スバル・ナカジマ二等陸士とティアナ・ランスター二等陸士いや、個人的な話や、スバルとティアナ、その話を詳しく聞かせてもらおうか?」
「はい、私の場合、兄から聞いた程度ですが、唐突に現れて犯人をバインドで拘束、その後、いつの間にかいなくなっていたと」
「うん、いつも通りって感じやね」
「私は、少しお話しました」

それを聞いたはやて、ティアナそれと私は驚いた。

「話?」

はやてが興味津々といった感じで聞いた。

「はい、私に向かって倒れてくる銅像をバインドで止めてくれた後に、ここは危ないから少し移動しようかって」
「それで?」
「少し移動してから、『あと少ししたら白い魔導師が来るはずから助けてもらってね。俺は他の人を助けてくるから』って言って物凄いスピードでビル内に消えてしまいました。その後、本当になのはさんが来てくれて……」
「救出された、と」

その後、もう一度なのはが残された人を救出するために戻った時にバインドマスターに会った。

「またや、バインドマスターはなのはちゃんが来ることを知っとった?いや、魔法感知能力が高いのかもしれへん。でも、白い魔導師、という発言はバインドマスターの落ち度や」
「どういうことはやて?」

バインドマスターの落ち度?

「当時、フェイトちゃんとなのはちゃんは休暇中や。なのに、なのはちゃんが救出活動に参加していることを知っとったって事は、バインドマスターはあの時、あの空港か空港周辺におった可能性が高い」
「そうか、その当時の観光者リストか事件当時の映像が手に入れば……」
「そう、その中にバインドマスターがおるかもしれん」

バインドマスターの素性を調べる。
機動六課の本来の業務には全く関係ないことなので、興味がある人はバインドマスターの素性を調べることが許されている。

ちなみに、バインドマスターの情報には懸賞金が付いており、素顔写真は一般局員のボーナス3回分もの金額が付いている。

「お小遣い稼ぎ程度に考えて本来の業務に差し支えなければ存分に調べてええよ~。後スバルには臨時ボーナスや」

バインドマスターに関する情報で有益だとはやてが判断したものはポケットマネーで支払っている。

今回のスバルの情報は有益だと判断されたみたい。

「あ、ありがとうございます。すごいよティア、3万も入ってる!」
「こら、今開けて見るんじゃないわよ!」

私は、苦笑いを浮かべた。

それにしてもバインドマスターは尽く、機動六課の主要メンバーに繋がりがあると思う。

エリオとキャロも私が保護する前の少しの間だけバインドマスターにお世話になっていた。

キャロは少数民族「ル・ルシエ」から追い出された際にバインドマスターに捕まって少しの間一緒に行動した後に施設に送られた。
エリオも同じように、両親の元を離れる際にバインドマスターに捕まって施設に預けられた。
エリオの時に管理局員とバインドマスターの間で戦闘があったのだが、管理局員は全員あっという間に拘束されて、エリオが奪われたという事になっており、誘拐犯として当時、指名手配された時期があるが、管理局員が務める研究所が違法性の高い非人道的な人体実験場となっているとわかったため、バインドマスターは人体実験にされる人間を助けだした正義の味方と当時のマスコミは世間に広めた。

そのため、指名手配は取り消され、当時の研究所の責任者であった人物は首となった。

キャロとエリオのバインドマスターの印象は二人共同意見で『変な仮面をつけた気のいいお兄さん』だった。

当時、幼かった二人は相手がバインドマスターとは知らず、現在では、自分達を助けだしてくれた人物であり、いつかお礼を言いたいと言っている。

「こうも見事に機動六課メンバーに関わりがあるバインドマスターは何者や?」
「悪い人ではないと思う。けど、偶然にしては出来すぎだよ」
「新人メンバー全員と関わりがあるのはいただけん。まるでこのメンバーが機動六課に入る事をわかっていて動いていたとしか思えんわ。だとすると、機動六課の裏の顔も知っとる可能性が高い。どこでどう漏れたかわからんが、機密はかなり高いと自負しとる。なら、予測した?そうなると私の頭の中まで読まれとることになる。レアスキルの持ち主だとしたら厄介やな~」

流石、19歳という若さで二佐まで上り詰めたはやては少ない情報で犯人像をプロファイリングしていく。

「性格が掴みきれん、片や、気のいいお兄さんで、片や、非殺傷設定で重症者を出す冷徹な人物。身内には優しいタイプか?そもそも、事件をどうやって察知してる?やっぱ、バインドマスターには仲間がおるな。それも、管理局に内通しとる人物やと思う。現在務めている局員と、最近退職した局員……。恐らく後者か、それも管理局での立場が高い人物で退職した局員に絞って調べてもらえるか?フェイト執務官」
「いいけど、今勤めてる局員は調べなくても?」
「やぶ蛇になりそうやから時期をみてから調べるしかあらへん」

機動六課に良くない印象を持っている人物が思い浮かぶ、確かに今は動くべきではない。

もっと実績を作り、はやての言うとおり、時期を見てからじっくり調べよう。




SIDE:????


「ぃらっしゃしぁせぇ~」

店に入ったお客を迎える挨拶とは思えない。

「あじゃじゃしたー」

店から出るお客に対してのお礼には聞こえない。

大体、いつもヤル気が見えない。

全く、魔法訓練の時だけ楽しそうにするのはダメだと思う。

闇の書事件発生後、数ヶ月たったある日、主と共にイギリスで隠棲生活を初めて半年くらいだったか。

この人物が現れた。

『じじぃ、隠居なんかしてねぇで陰から八神はやてをサポートしろよ。どうしてそこで諦めるんだよ!もっと熱くなれよ!』

確かこんな事を言っていた。

当時、9歳だったはずの少年とは思えない、なんか、暑苦しさと凄みを発していた。

私達、姉妹は一年ほど、イギリスから転送魔法で日本に頻繁に移動しては、アイツを鍛えこんだ。

たぶん、クロノより、かなり厳しく、鍛えたつもりだが、持ち前の気力?

いや、ぶっ飛んだ魔力量と、魔法センスは確かに認めよう。

しかし、事あるごとに私達を縛るのは悪趣味だ。

日本には義務教育というものがあり、アイツはそれが終わって高校に進んだ。

てっきり管理局に務めると思っていたのだが、陰から八神はやてをサポートするのに管理局に入っては意味がないと言われて納得した。

その頃から私達は日本に移り住み、アイツと共に管理局で起こる事件に介入していくことになる。

私は管理局のシステムに侵入しては事件発生をアイツに伝え、転送魔法で現地に送る。

ロッテの方は何か会った時のために待機が多い。

戦闘後のカモフラージュや後処理がロッテ担当なので仕方のないことだ。

まあ、下調べの潜入捜査もすることがあるので負担は同じ位になるか。

しかし、アイツが魔法を覚えて約10年か。

アイツの持つ魔力変換資質により、飛翔以外の魔法が全てバインド系に変化するという現象は改善されていない。

アイツ自体は『だってしょうがないじゃない。使えないんだもの』と魔法を覚えて1年もしない内に他の魔法習得を諦めた。

それでも、バインド系から派生させた攻撃、防御、回復、移動方法を確立し、今や、ミッドチルダではバインドマスターと呼ばれている。

端から見れば今のアイツはただの大学生がアルバイトしているように見える。

見えるというか、絶賛アルバイト中なのだ。

「田村く~ん、これ3番テーブルにお願いね~」
「うい~す」

うん、やる気なし。
あ、ケーキおいしいなぁ。

「ねぇ、アリア。次はどうしようか?」
「そうねぇ、しばらくは待機かな……」
「何普通にケーキ食ってるんだよ。手伝えよ」
「「今日は休みだし」」

私達もこの喫茶、翠屋でアルバイトしているのだが、今日は休みだった。

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あとがき

一期を書いてたのに何故かStrikerSを書いていた。
プライベートが忙しくなりそうなので書きたいように書いてみました。
次回更新はいつになることやら……。


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