side/カグツチ・釜――
「ヒッヒヒヒ・・・どうやらここまでみてぇだなぁ?子犬ちゃんよぉ?」
碧いオーラを纏った男が自らの目の前で跪いている男を嘲笑する。
「クゥッ・・・!テルミィ・・・!」
黒きオーラを纏った男は自らの目の前の男を射殺さんと睨みつける。
「だぁから最初に言っただろうがよぉ!?オレ様には絶対ェ勝てねぇってよぉ子犬ちゃんよぉ!」
「ク・・クソ野郎が・・・!」
事実、逆立つ緑の髪の男――ユウキ=テルミの「碧の魔道書」(ブレイブルー
)に、
銀髪のオッドアイの男――ラグナ=ザ=ブラッドエッジの「蒼の魔道書」(ブレイブルー
)は無力化されている。
「ガントレット!」
「うざってぇんだよ!」
ラグナの抵抗にユウキ=テルミの「ウロボロス」が押さえつけ、地に叩き伏せる。
「ガァッ・・!」
「ハァー・・・・いつまでも諦めの悪ィ奴だなあオイ・・・
ま、それはそれで嬲れるから良しとするけどね!ヒャ―ッハッハッハァ!!!」
(ちくしょう・・・!何も・・できねぇ・・・・!)
「あれあれぇ?諦めちゃったかなァ?ラグナくん?」
(ちくしょう・・・・!ちくしょう!!!)
悔しさ――ラグナの脳内の思考はその感情が支配していた。
「・・・チッ、んだよぉ、ホントに諦めたのかよ?ハァー・・・・んじゃ殺すか。」
ズズズ、とユウキ=テルミの力が蛇竜(みずち)と型を成し、ラグナに迫る。
「じゃあ・・いい感じに死ねやぁ!」
ゴゥッ!と轟音と共に蛇竜が迫る、その刹那―――
ドクンッ―――!
「あぁ?」
ビシィッ!ガッシャアアアアン!!!
―――何か胎動する音と共に、空間が砕け散る。
「ッち!何が起きやがった!?こんな確率事象(コンティニュアムシフト)は知らねぇぞ!!!」
「うおおっ!!?」
ユウキ=テルミは「ウロボロス」を用いて砕けた空間から脱出するが・・・
ラグナは砕けた空間に落ちていく―――
side/タカマガハラ――
「・・・意味が解らねぇな、こんな確率事象は聞いてねぇ・・・」
真っ白い空間の中で一人、否、一つの緑色のヒトガタが思案していた・・・
「まさか予想外が起きるとは・・・あの空間に紛れて釜ごと壊れてしまいましたし、
この確率事象は諦めますかねぇ・・・・クソッタレがぁ!!!!」
白い空間の中で緑のヒトガタは吼える、自らが掌握していた確率事象の一つが潰された事に――
side/???――
ゴオオオァァァァッ!!!!
「グアアアアッッッ!!!?」
ラグナが落ちた空間は、力の奔流という言葉が相応しい荒れ狂う空間であり、ラグナを苦しめていた。
ザァァァァァァ!!!!!
「ガアアッ!!?やめろぉぉぉぉっ!!!!」
戦争や人のありとあらゆる感情、色々な人々の記憶から、世界その物の成り立ちから全て――
境界と呼ばれる場所の魔力が全て――
―――ラグナ=ザ=ブラッドエッジに流れ込む、その身を中からも外からも傷つけて・・・
「――――――――」
ラグナはもはや、人として成り立っているかも、ワカラナイ。
ただ、最後に、その空間の中で――
「ラグナ・・・」
――眼帯をした、女の声を聞いて、意識を閉じた――
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