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[28486] 【習作】俺の方がファンタジー
Name: ミケ◆8e2b4481 ID:9a8f54f5
Date: 2011/06/22 09:01
俺の方がファンタジー

 焚かれるフラッシュ。相次ぐ質問。俺は、壇上で気分よくそれに答えていた。
 俺の名は世尾遊太。新たなる筺体、バーチャルバーチャルの開発者である。
 ここまで来るのは長かった……。テストプレイには、既に一万人もの人が申し込みをしている。バーチャルバーチャルとは、ゲームの中に入って遊べる機体で、専用ゲームは今の所一つ。それが、VRMMO、「ウィザードオンライン」だ。魔術師となって謎ときをしつつ冒険をするという物で、俺はそれを世界一のゲームだと自画自賛していた。
「世尾さんは、全てのゲーマの夢と言ってもいいゲームを開発したわけですが、今後の目標は?」
「そうですねー。デスゲームとか、興味ありますねー。命がけの戦いとか、痺れちゃいます。実はバーチャルバーチャルには頭をレンジでチンする機能があるんですよー」
「またまたぁ、御冗談を」そんな返事が返ってくると思っていた。けれど、空気は凍ってしまう。俺は焦った。
「ほ、本気にしてるんですか? やだなぁ、単なる冗談ですよ。そんなわけないじゃないですか」
 俺は必死に言い募るが、探る様な目線は変わってはくれない。
 後日、会社に捜査が入ってしまった。
 警察が会社に押し寄せる中、俺は社長に説教を受けていた。
「全く、何を考えているんだね」
「すみません、社長……。でも、調べられて痛い事はありませんから、大丈夫ですよ」
「馬鹿もの、家宅捜索と言うのは、押収された物が戻って来るとは限らんのだ。最悪、パソコンや資料が押収となってデータの作り直しになる」
 その言葉に俺は蒼褪め、ぺこぺこと頭を下げる。
「まあ、デスゲーム疑惑は元からあったのだ。そう言う小説が氾濫しているからな。しっかり調べてもらうのは悪い事ではないだろう」
 そういって自分を納得させようとする社長。そこで、部下の机を漁っていた警察官が声を上げた。
「見つけました! デスゲームの計画書です!」
 俺と社長は目を点にした。
「み、見せて下さい!」
 俺が見ると、それはバーチャルバーチャルのブラックボックスの設計図……けれど、俺が作った物じゃない。正確には、俺の作った機能に、余計な機能がついていた。
 すなわち、頭をレンジでチンする機能。
「ええええええええ!? ち、違うんです! 俺はこんな機能つけていない!」
「署で話を聞かせてもらおうか……」
 警察官が俺の肩にしっかりと手を乗せる。
「世尾君、まさか……」
「本当にデスゲームを計画していたら、あんな場所で話す筈ないじゃないですか! 信じて下さい、お巡りさん!」
 必死で訴えるが、俺は署に連れていかれ、逮捕された。
 その上、今まで開発に全てを注ぎ込んできた事による緊張の糸が切れて過労で倒れ、病気を発症。俺は獄中で命を落とした。
 以上が、俺の前世である。
 

 荘厳な神殿で、俺は祈りを捧げていた。真正面には光の神、ライトモア様の像と祭壇があり、神殿は全体的に蔦の装飾がされている。俺の他にも、多数の一族……エルフ族が祈りを捧げていた。エルフ族。俺が生まれ変わった種族である。
 ライトモア様は、いつもこの世界を見守っているらしい。俺は全く信じていないが、異端者狩りが怖いので表向き信仰している事にしている。
 そして、エルフ族はライトモア様が生み出した生き物だという。
 長い耳と、額のここによって違う紋章が特徴だ。
 セレイン・ユーユーと言うのが俺に与えられた名前。
 この世界にはライトモアに作られたと主張するライトモア派と、ダークネスに作られたと主張するダークネス派がいて、緊張状態となっている。
 ライトモアには、エルフ族、獣人、ドワーフ。
 ダークネスには、ダークエルフ族、リザードマン、ホビット。
 それと、どちらにも属する人間。
 この七種族が、この世界の知的生命体である。
 エルフ、ダークエルフは魔法に優れ、獣人、リザードマンは力に優れ、ドワーフは鍛冶、ホビットは布製品を作るのにたけている。
 魔物も存在しているが、よくあるファンタジーの物語のような魔王はいない。
 ゲーマーがファンタジー世界に転生したのだから、本望だろうと思う人もいるだろう。
 しかし! しかしである。
 魔物と戦うと痛いのである。魔物を殺すって事は、生物を殺すって事なのである。
 更に言えば、俺は二次元ラブである。エルフぅ? 三次元のエルフなんてみて楽しいものか! ここじゃない、俺の理想郷はここじゃないんだ。俺の理想郷は、いつだって想像の中にある。
 祈りの時間を終えると、俺は研究室に急いだ。
 研究室の右側面には大きな檻があり、その中に多数の鳥がいる。
 三対の羽をもち、頭に宝石を嵌めた色取り取りの鳥。
 俺の作った人工生命体、ネットワークバードである。
 こいつらは頭の宝石でネットワークを形成する。人工衛星の代わりだ。
 半径十キロ以内の媒体と通信が出来るようになっているのだ。こいつを作り、繁殖するのに二百年ほど掛かっている。エルフの長い寿命には心から感謝だ。
 俺はそれらの鳥には見向きもせず、データ媒体である宝石を鞄に入れた。
 俺の目標は、打倒ダークネスを隠れみのに、VRMMOを作る事。
 ライトモアとダークネスの争いになんぞ、興味はないのだ。
 いつか、この世界をゲームで席巻してやる。
 それが俺の目標だ。



[28486] 2話
Name: ミケ◆8e2b4481 ID:9a8f54f5
Date: 2011/06/22 22:07
 俺はまず、冒険者ギルドへと向かった。依頼は既に出してある。
 薄暗い酒場、乱雑に依頼書の張られた掲示板。そして、ガラの悪い男達。
待ち合わせの場所には、人間、獣人、ドワーフが集まっていた。
ガラの悪い者達の間をすり抜ける。この辺はもう慣れた。
「やあ、依頼を受けてくれてありがとう。じゃあ、早速向かおうか」
 データ取りは難航した。魔術師、戦士、鍛冶士、全てが自分の技術を見せるのを嫌がった。本気で弟子入りすれば話は別なのだろうが、俺はそんな事に時間を割くつもりはなかった。だから、見る事が出来る資料、両親から教えてもらえるだけの知識、それと前世知識で今まで頑張ってきた。それは一定の成果を上げたが、やはりまだ心もとない。それで、考えた苦肉の策が冒険依頼を出して、連れて行ってもらう事だ。他に、騎士団の戦闘訓練などもエルフの権力を駆使して見学させてもらっている。
 これで、少なくとも戦っている間、彼らの技術が見る事が出来るというわけだ。
 それに、冒険者ギルドで様々な武器を見るのも勉強になるのだ。
「あんたがネットワークバードを開発したエルフ様か。変わり者って聞いていたが、本当に変わり者なんだな」
「おい、やめろ」
 人間の魔術師が問いかけ、獣人が止めようとする。
 エルフの地位は高い。ヒエラルキーがあるとしたら、ダントツで強い魔力を持つエルフ、次に大分間を置いて鍛冶能力の高いドワーフ、人間。そこから少し開いて獣人だろうか。
 もっとも、俺はそんな事は気にしない。獣人は犬の顔に人間の体と言ったらわかるだろうか。割と可愛いと思っているが、口に出さない程度の良識はある。
「俺は気にしないよ。それより、しっかり働いてくれよ。俺は戦えないから、そのつもりで」
 一応、剣と弓矢は一通り出来る。それどころか、面白武器に至るまで一通り出来る。これはVRMMOの開発者として当然の事だ。しかし、それと殺しが出来るかどうかは別である。更に言えば、ゲーム世界の武器の習熟に長けているからと言って、現実世界の武器が扱えると思ったら大きな間違いである。リアルは、動けば疲れるし、武器は重すぎるのだ。
 喧騒と露天の並ぶ道を抜け、大きな門をくぐって外に出る。
 草原には、そこかしこに魔物がいた。町の近くはさすがに少ないが、今回は遠出をする予定だ。
 早速、近づいてきた豚のような魔物を倒す護衛達。
 俺は冷静にそれを観察した。ネットワークが完成し、それを使って会話が出来る媒体、電話球を開発してばら撒くのに、要した時間、二百年ちょい。大容量データを扱える魔法式コンピューターを作りだすのに百年。
 端末を作りだすのに百年。
 そして、基礎プログラミングの魔法を編みだすのに百年。
 活動できるようになったのが百年だから、もう俺は六百歳だ。
 それでも、データ取りは始めたばかりだった。この依頼もまだ十回目。
 それでも、わかった事がある。
 実際の魔物との戦いは……つまらない。痺れないのだ。ドキドキしないのだ。ただ、怖いだけ。
 そこにあるのは、泥臭い命の取り合い。それのみである。
 今回はちょっと遠出して、強い魔物を倒して貰うつもりだし、強い護衛を雇ったつもりだ。
 しかし、それでもあまりインスピレーションが刺激されないとなると困ってしまう。
 ファンタジー世界に産まれて来た意味が無いというか。
 魔法とかを見ても、特に魔法陣が展開されるわけでもなく、火の玉が相手に向かっていって終わりなのだ。美麗なエフェクトは? 派手な効果音は? 使っててしょんぼりしない? それが俺の感想だった。
 まあいい。現実が糞なら糞な程、俺のゲームに食いついてくれるはずだ。
 一か月ほどで依頼は終わった。
 俺に興味を寄せて来た魔術師は、最後に俺に告げる。
「あんた、やっぱりエルフだな。ずっとつまんなそうな顔して俺達を見ていたな。エルフは皆つまんない顔してる。やっぱり人生が長すぎると何もかもに飽きちまうのか?」
「そうだな。いずれそのつまんない顔を塗り替えてやろうと思うよ」
 魔術師は、目を輝かせた。
「あんたの魔法でか? 電話球とネットワークバードは素晴らしい発明だった。その上、電話球の作り方を公開するなんて常人にできる事じゃない。だからこの依頼にわざわざ参加したんだ」
 俺は僅かに目を見開く。
 そして、腕を組んでとんとんと指を叩いた。
 部下に裏切られた事は、記憶に深く刻みつけられている。しかし、魔術師のアドバイザーは欲しかった。
「俺の次の発明品の試作品が出来たら、その時にまだお前が生きていたら、見せてやってもいい」
 魔術師は、目を見開いた。
「本当か? 楽しみにしている」
 俺は魔術師と握手して別れる。
研究室に帰ると、聖女ラブリィが待っていた。ラブリィは美しい黄金の髪、白い肌に特に長い耳と、エルフの中でもトップの美しさを誇る。神の信託を直接受ける立場の人間で、エルフの中でも最高峰の権力を持つ。
俺の作ったキャラの方が可愛いがな!
「……今回は、長かったのですね」
「ああ、まあな。ラブリィ。研究の進み具合を聞きに来たのか? まだ大分掛かるぞ。これから、缶詰だ」
 ラブリィは悲しげな瞳で問うた。
「今度は、どのような物を作るのですか。まさか、兵器とか?」
「いや、電話球の応用」
 その言葉にも、ラブリィの憂鬱は張れない。俺だって知っている。ネットワーク網は、防諜や魔物退治など、幅広く利用されている事を。
 むしろ、俺はそれを表向きの理由としてやってきた。この世界、遊びと言う概念が無いのである。いや、あるにはあるのだが、子供の遊び位しかない。
「ねえ、セレイン。貴方ほど優秀なエルフなら、ダークネス様の頑なになった御心を溶かし、共に歩みよって行けるように出来ないのですか」
「ライトモア派の使命は、ダークネス派を、魔物を排除する事のみだ。……けどまあ、電話球のデザイアのアドレスを調べれば、対話をする事が出来る。デザイア当てに電話球を送ってもいい。ただ、俺を巻き込むなよ」
「セレイン……ありがとう」
 ぱあっと花が咲くように、ラブリィは微笑する
 可哀想な獣人が、その電話球を届けに行く危険な役目を担うのだろう。お姫様の我儘で。
 俺はまだ時期尚早だと思っている。
 向こうから寄って来るようになってもらわないと、な……。
 体よくラブリィを追い出すと、俺はデータ媒体を台座のような場所にセットし、データをメインパソコンに流す。パソコンと言っているが、精霊石や魔石という魔力を持つ石を組み合わせて作った魔具である。
 今、俺が使っている大容量パソコンは、メインサーバーが十台、テストサーバー二台、メインパソコン一台、バックアップ一台の十四台。
 端末はテストプレイヤー用……いわゆるチートが出来る物五台、GM用三台、テスト環境用十台、本番環境用十台、俺用が一台である。テスト環境用は徐々に増やしていくつもりだ。
 メインサーバーは日々拡張中で、まずは一万人が快適にプレイできる環境を目指している。
 パソコンには思考を流す事で操作する。これが非常に難しいが、百年単位でやってりゃ慣れる。とはいえ、それ以外の人にはキーボードを用意する予定である。
 俺はメインパソコンにデータを突っ込み、今までの戦闘データをざっと見て……呟いた。
「やめ! やっぱりリアルはつまんねーわ。そもそもリアルと同じでいいなら、ゲームの必要性は0。実用的な戦術? いらねーよ! 格好良ければいいの、格好良ければ」
 俺は鼻歌を歌いながら、ファイル「強欲王」をクリックする。強欲王とは、様々な要素を思い切り詰め込みまくったプログラム集で、俺のネタ帳みたいなものだ。ここから、データをコピー、再構築してリリース予定のプログラムを作って行く事にする。
 名前は、「フリーゲームオンライン」。タダで、どこまでも自由にというのがコンセプトだ。
 さて、リアルさをかなぐり捨てた以上、戦闘訓練と言う言い訳は出来なくなる。
 それなりに守秘義務は守ってもらわねばならないだろう。
 俺はそんな事を考えながら、テスト用サーバーにざっくばらんに作ったプログラムを放りこみ、展開する。
 そして、俺専用の端末を起動。俺の体は端末に吸い込まれた。
 ゲームの中に入った状態で、ゲームを構築して行く。この瞬間が一番気持ちいい。
 俺が手を振る。それだけで、俺のイメージする通りににょきにょきと町が生えてくるのだ。
まるで、神にでもなったような気分だ。
 加速された時間の中、ひたすら世界を構築して行く。
 疲れきってゲームの世界から出ると、一晩熟睡し、俺は冒険者ギルドへと向かった。
 ちょうど、酒場にあの魔術師がいた。
 俺は手を上げ、挨拶する。
「発明品が出来たんだ。ちょっと試してほしい。そうだな、魔力を持つ者と持たない者がいるといい。お前とお前、俺の依頼を受けるつもりはないか」
 俺は魔術師ヒューズのほかに、元鍛冶士で剣士のドワーフ、ドワド。吟遊詩人と並行して剣士をやっている獣人のジュークを呼んだ。研究室に向かうように告げ、冒険者ギルドの売り物の一角へと向かう。
「ちょっと危険な実験を行う。ライトモア派だと心が痛むから、ダークネス派の奴らが欲しい。そうだな、そいつとそいつとそいつが良い」
「兵器ですか!」
 喜色満面に問う冒険者ギルドの親父。
「いや? 個人的な魔法の実験だ。そうだな、扱い易い子供が良い」
 俺は出来るだけ悪そうに笑い、奴隷にされていたダークエルフとリザードマン、ホビットを首尾よく手に入れた。奴隷なんてとんでもない? ありふれすぎてて、助ける事なんて出来ないんだよ。
 ダークネスもライトモアにそうしている。どちらかと言うとダークネスはライトモアを殺す傾向が強いけど。
 呪文を使えないよう口に猿轡をされたダークエルフ、縛られたリザードマンとホビット。彼らもまた連れて行った。
 一気に大所帯となった俺達は、研究室の隣の部屋へと向かう。
 そこにあるのは、テスト環境用端末が十台。俺はまず、奴隷三人の戒めを解いた。
「そこにある端末に触れてくれ」
 まず初めに、ヒューズが触れた。次にドワド、ジューク。
 俺が意味ありげに鞭を触ると、怯えたようにホビットが、それを気遣いながらリザードマンとダークエルフが触れた。
 端末が起動して出るのは、多目的掲示板と書かれた四角いウィンドウが出る。
「まず、多目的掲示板を選んで」
 俺の言葉に、六人が触れる。すると、そこに掲示板が現れた。ついで、半透明のキーボードが中に現れ、俺はそれの使用方法を説明した。途中、ジュークとホビットとリザードマンが文字がわからないという事がわかったので、テレパシーの出入力も考慮する事にする。
「よし、今やったのが表向きの任務。次、やるのは裏向きの任務だ。じゃあ、端の点に触れて、俺が言うパスワードを入力」
 ヒューズが、驚きの声を上げる。
「これは、一体……」
 そこには、フリーゲームオンラインと書かれた美麗なイラストと、攻略掲示板や雑談掲示板、仲間募集掲示板と言った様々な掲示板があった。
 ゲーム概要? そんな物は攻略掲示板を見るんだよ!
「じゃあ、そのイラストをクリック。クリックって言ったら、俺の指示した場所を触る事」
 六人がそれぞれ、イラストに触れる。途端、端末に六人の体は吸い込まれていた。
「俺のゲームの世界にようこそ、ってな。じゃあ、俺はGMモードで入りますか」
 俺が俺専用の端末に入ると、部屋には誰もいなくなった。



[28486] 3話
Name: ミケ◆8e2b4481 ID:9a8f54f5
Date: 2011/06/25 19:37
 他の六人の様子を見ると、当然だがチュートリアル画面の最中だった。
 全員、物凄い勢いで慌てているようだ。鏡に囲まれ、体が透明なのだから、当たり前だと思う。
 今されているのは、種族の説明。
 それは以下のようになる。
 ……エルフ族。治癒魔法と弓に長けている。
 ……ダークエルフ族。攻撃魔法と弓に長けている。
 ……ドワーフ族。鍛冶に長けている。
 ……コボルト族。裁縫・木工に長けている。
 ……獣人族。物理攻撃力特化。
……リザードマン。防御力特化。
……人間。全てが平均的。
俺のお勧めは人間だ。この世界は遊べる要素がいっぱいある。可能性を絞るのはもったいない。
説明の後に産まれてくる種族を選んでくださいと出て、種族のウィンドウが出てくるはずだ。文字のわからない組には俺が直々に音声でアナウンスした。
待つ事しばし、彼らは暴れたり戸惑ったりした挙句、とりあえず、自分の産まれた種族を選んだようだ。……つまらない。
性別を選んでくださいと出て、これも生来の物を選択。
すると、外装ウィンドウと年齢調節レバーが出る。ちなみに外装は、精巧なCGである。そこそこリアルだけど、本物と間違える事はない。俺が最も美しいと思うグラフィック。ゲーム内で遊ぶのだから、リアルでないと違和感がある。しかし、三次元の現実と変わらんキャラ、変わらん映像なんぞ、意味が無い。俺のこだわりが光った部分だ。この頃には彼らはシステムを理解し始めて、外装を決めて終了ウィンドウをクリック。
すると、出てくる数値の羅列。これはちょっと難しいかな……。
一応、ステータスの説明がアニメーション付きで流されるし、種族と希望するプレイスタイルにより、お勧めステータスを選ぶこともできる。
案の定意味がわからなかったらしく、お勧めステータスを選択していた。
ヒューズだけが、なにかとステータスをいじっている。
それが終了したら、名前を聞かれる。そして、これでいいか確認をして、ストーリー説明。
邪神が復活し、魔物が活性化する。冒険者たちは、邪神を封印する為に世界を巡る。うんたらかんたら。
俺から見たらありきたりすぎるストーリーだが、こちらの世界では斬新だろう。
 始まりの神殿で待っていると、六人が次々と入ってきた。
「来たか」
 今の俺は人間の魔術師風。もちろん、物凄い美形だ。
六人は、非常に戸惑っていた。目眩を起こしている者もいる。それも当然か。突然、視界が3Dポリゴンになったら驚くだろう。俺は、恭しく礼をする。
「ほっほっほ。ようこそ、フリーゲームオンラインへ。わしは案内人のエレインじゃ」
「エレイン? エレインなのか!?」
 ヒューズが駆けよってきて、俺は笑った。
「ワシの発明はどうかな」
「何故人間の姿を!?」
 ジュークの言葉に、俺はくるりと回って見せる。
「格好良い外装じゃろう? 開発者として教えてやろう。この世界だと、人間が若干有利じゃ。それと、爺なのはワシの趣味じゃ。みよ、この溢れ出る貫禄」
「この世界? 人間が有利? 一体……」
 戸惑うヒューズに、俺は答える。
「これは、夢を見せる装置なのじゃ。遊びの為だけの、無意味な装置。……それこそが、ワシの本当に作りたかった物。ワシの夢の世界へようこそ。おいで。チュートリアルはまだ作っていなくての。ワシ自ら、案内してやろうかの」
 俺は彼らに向かって手を一振りする。
「まずは、装備と道具を整えようかの。一通り楽しめるだけの金は今、渡しておいたから、ステータス画面と言ってみるんじゃ」
 六つのステータス画面が開く。中身は本人以外には見えない。今、ステータスのあれこれを言っても理解出来ないだろう。字が読めないのもいるし。まあ、最低限、数字位は読めるはずだ。
 俺は可視設定でステータス画面を出し、一部分を指差す。
「ここの数字が所持金じゃ。通貨の名はドリ。一万ドリと言ってみるんじゃ」
 金貨が一枚、彼らの手の内に落ちてくる。
 ヒューズだけは全額引き出していた。
「念じればまたステータス画面に戻せるが、それはまた後で。今は買い物じゃ。そうだな、まずは服を買いに行かねばの。下着姿では恥ずかしかろう?」
 そして、無人の街を歩いて行く。いくら俺でも、AIを作るのには時間が掛かるのだ。
 今いるAIは、店主位か。
 俺は防具屋へと向かう。
 彼らは、人の姿の見えない町を不気味そうな顔で見回しながらついてくる。
 防具屋では、色々な装備品が売っていた。
 キグルミから鎧、布の服からローブ。様々な物が展示してある。まあ、最初の町だから強いのはないけど。
 それぞれ、手を取って驚いた。物体を持つと、そのステータスが流れるようになっているのである。ホビットが、興味深く色々と眺めていた。まあ、ホビットは布製品好きだからな。
「サイズは気にせんでいい。ほら、さっさと服を決めるが良い」
 ダークエルフが立派なローブを持って店主の元に行くと、店主は気の良い笑顔で値段を告げ、装備の仕方を教えた。
 ほどなく、全員が装備を終えた。
 次は、武器屋。
 武器屋は、隣に広い試験場がある。
 ドワドが、店を鋭く見渡した。面白武器の数々を、一つ一つ見ながら言う。
「馬鹿な、こんな軽い金属、あるはずがない」
「そりゃ、夢の中の世界じゃからな。そこで武器の使い道を試せるぞい」
「これはどう使うのだ?」
 おずおずとダークエルフが銃を持って聞いて来た。
「ほっほっほ。よかろうよかろう。爺の腕、見るが良い。試験モードオン。パターン一」
 すると、俺の言葉に答えてスライムが湧いてくる。
 俺は炎の魔弾を次々と撃って敵を殲滅した。
 モンスターが現れた事、そして魔銃の両方に驚いているのだろう。
「お、俺もやっていいか!?」
 ヒューズが言う。
「呪文を覚えてない内は普通の弾しか出んよ。それとこれはMPを消費する。ステータスのこの部分の数字じゃ。普通の弾はアイテム欄のこの数字。無くなったら使えなくなるから注意じゃ。ああ、呪文とはこの世界の呪文じゃ」
「なら、教えてくれ!」
「魔弾の撃ち方の本が一緒に売っているであろう。それを読むんじゃ。さあ、他に使い道の知りたい物はあるかの? 何でも好きな武器を持ってくるが良い。ここの武器は一通り使えるでのぅ」
 その言葉に、ドワドが大剣を持ってきた。
「こんな大剣、どうやって使うんだ?」
「しっかり見ておくんじゃな」
 俺が使うキャラは魔術師が多いが、もちろん開発者として全ての武器とその技に精通している。リアルでは重さなどがあって出来ないが、ここはゲームの中。どんな装備もどんとこいだ。その上、人間なら初期武器は全て装備できる。
 俺は全ての武器で応用技を使って見せて、彼らの拍手を受け入れた。
 ヒューズとダークエルフは銃と杖、ドワドとジューク、ホビットとリザードマンは使いなれた剣を装備する事となった。
「では、それぞれの剣の使い方を教えよう。それぞれの武器には、必殺技が設定されておる。ステータスの武器の詳細選択を選び……」
 そうして俺は武器の必殺技の使い方を教える。
「体が勝手に動く!?」
「運動した事のない人間も一流の剣士に。それがこの世界の利点じゃ。ま、重さのある現実世界では通用しない技じゃがのう。ほっほっほ」
 俺はもう大得意である。
 ヒューズは、本を読み終わった途端に消えた事に焦っていたので、心配ないと告げる。
 ちなみに俺は指輪。弓は銃に比べて若干不利だが、優れた弓は量を撃つ事が出来る。これは、銃の機能につけていない。
 ドワドは武器屋を見て非常に名残惜しげにしていたが、後でまた来ればいいと引きずって魔術屋へ行く。武器屋のとなりだ。試験場は共通。
「ここでは魔術を買う事が出来る。ここは夢の中の世界じゃから、現実の呪文は使えんぞ。ただし、種族ごとによって使える呪文は異なるのじゃ。一番多いのは人間、ついでダークエルフ、次にエルフじゃな。獣人とリザードマンは、武器を使って戦う性質故、少ないのう」
「人間が一番多いのか?」
 ヒューズの質問に、俺は微笑する。
「言ったろう、この世界では人間有利じゃ。浅く広く、全ての種族の初期呪文が使えるのじゃ。全部を遊びたいなら、人間がお勧めじゃ。人間は全てのパラメーターが平均値じゃからのぅ。ただし、他の種族の得意分野で勝つ事は出来んな。まあ、魔法の使えない超凄腕の戦士と回復魔法の使える凄腕戦士が戦えば、勝つのは後者じゃからの。やはり人間優位じゃ。ヒューズ、お主が万能魔術師になりたいなら人間は正解じゃ。ただし、治癒特化ならエルフ、攻撃特化ならダークエルフになるべきじゃな」
 ヒューズは考え込む。
「エルフや、ダークエルフに……?」
「所詮夢の世界じゃ。ワシの作ったルールに反しなければ、どんな姿も想いのままじゃよ。おお、男女の違いでもステータスは変わるぞい。ただ、この世界はエッチな事は出来んの。エッチなのはいけないと思います、じゃ。結婚システムはあるがの」
「子供を作るときにはどうするんだ」
「夢の世界で繁殖する必要が無い。人口を増やしたければ、あの端末を現実の人間に使わせればいいのじゃ。さて、試し方じゃが。使いたい魔法の書物を選んで、使い方を読んで試験場で使うのじゃ。買う前なら、書物は消えないが、覚えた呪文を試験場以外で使っても発動せん。また、試験場で魔法を発動させるには魔法の書物の所持が必要じゃ。買った後は、一度読めば消滅するから注意するんじゃ。その代り、その後はずっと使えるようになる」
 そして、俺は試しに呪文を使ってみる。
『火の精霊よ、集い集いて我が魔力を代償に願いを叶えたまえ』
 俺が言うと、炎の精霊である小さな光が集まって来るエフェクトと、展開する魔法陣。
『出でよ、聖なる炎。全てを焼きつくす業火よ、ファイヤーボール!』
 風が吹き、炎が魔法陣に向かって寄り集まり、それを俺が放つ。
 それは案山子に向かって飛んでいき、大爆発を起こした。
「ふふん。こんなもんじゃ。かぁっこいいじゃろう?」
「しかし、呪文を唱えている間に殺されるのでは。それに精霊とは?」
「そりゃそうじゃ。だから、戦士が魔術師を守り、魔術師が戦士を補佐するのじゃ。精霊はワシの考えた魔法を補佐する生き物じゃ。万物に宿っておる設定じゃ。さ、やってみるんじゃ」
 ヒューズが呪文を使うと、案山子が凍る。
 ダークエルフは案山子を黒こげにした。
 次に道具屋。これはステータスと照らし合わせて説明するだけで終わった。
 鍛冶屋で鍛冶スキルを試した時、ドワドは怒った。
「こんなのは鍛冶ではない!」
 割りとリアル思考を追及しているんだが。それでも本職にとっては業腹か。
「だって夢の世界じゃもの。お手軽に鍛冶屋気分を楽しめればそれでいいんじゃ」
 次に木工スキル、縫栽スキル、料理スキルを試す。ホビットは逆に、楽しそうにしていた。
 町の外には、ダンジョンが一つある。
 回復役がいなかったので、ヒューズに回復呪文を覚えさせてそのまま連れて行った。
 攻撃されても、痛みの無い違和感。
 敵がポリゴンになって美しく消えて行く事。
 その後に素材が落ちている事。
 全てに、彼らは驚いていた。
「まあ、こんな所じゃの。十日ほどここで遊んでおくれ。外ではちょうどそれで一日が経過するはずじゃ。この世界はまだこの始まりの町と旅立ちのダンジョンしか出来ておらん。まあ、楽しんで、不満だった点を掲示板に書いてくれればよい。テスト用端末は配るし、あれは5人まで取り込める。信用出来る奴を呼んで一緒に遊んでくれれば嬉しいの。それと、これは秘密厳守じゃ。わかったの?」
「夢の中に、世界を作る……。素晴らしい道具です、エレイン様」
「今更様付けなどくすぐったいのぅ、ヒューズや。テストプレイヤー、しっかり呼んでくるんじゃぞ。では、最後に課題じゃ。宿を探して休むんじゃ。まあ、この町小さいし、すぐ見つかるじゃろう」
 そして俺は外から眺める事にする。
 ドワドとホビットは鍛冶や縫栽スキルを磨く事にしたようだ。
 ヒューズとダークエルフは魔法を色々試している。
 リザードマンとジュークは剣術を極める事にした模様。
 俺は時々それを眺めながら、町の住人を作る事に専念した。
 奴隷のベットと食事も手配しなくてはならない。
 夕方、俺はログアウトしてくるのを待ち、ついでログアウト方法を教えるのを忘れていた事を思い出す。幸い、一定の時間が経つと強制ログアウトされるように出来ている。
 出て来た6人に食事をご馳走し、三人を送りだした。
 翌日から、奴隷三人にテストプレイを手伝わせながら、ゲームを作りこんでいく。
 それと同時に、テスト端末の作り方を裏でわざと漏らした。もちろん、ダークネスサイドにもゲームを広める為である。テストプレイヤーが充実し、掲示板にも要望も増えた頃。
 俺の耳に噂が届いた。
「ドワーフのドワドが新しい鉱物、ミスリルや新しい武器、刀を作った」
「ジュークが新しい剣術を生みだし、道場を作った」
「ヒューズが神の僕、精霊の存在を発見し、新たな魔法を編みだした」
「最近、食堂で珍しい料理が出るようになった」
 うん、とりあえず、話を聞こうか。



[28486] 4話
Name: ミケ◆8e2b4481 ID:9a8f54f5
Date: 2011/09/13 08:21

 俺はVRMMOに入り、ヒューズ達のIDを検索して引っこ抜いた。
 驚いているヒューズ、ドワド、ジュークに笑顔で聞く。

「最近、気になる噂が聞こえて来ての。詳しい事を聞きたいと思ったのじゃ」

 ジュークはそっと顔を逸らしたが、ヒューズは興奮して言い放った。

「精霊学についてなんだけどね。ゲームを参考に現実で色々試してみたら、なんと成功したんだよ! やはりセレインは天才だ! 心配しなくても、このゲームを作ったのがセレインだという事は皆知っている。手柄については、山分けと言った所だ」

「この世界には色々な武器があるからの。それらを参考にしたのは否定しないが、それを元に実際に作りだしたのはワシだ。鍛冶の手順とか、色々抜けていたり温度が間違っている所もあったからな。それを乗り越えたのだから、ワシの手柄だ」

 ドワドがそれに続き、俺は冷ややかに微笑んだ。

「……で?」

 その俺の声に感ずるものがあったのだろう。三人は目を逸らした。

「ワシは言ったはずだが……。この事は内密にとな。ワシが作ったと皆知っているとはどういう事じゃ! これはまだ早すぎるんじゃ。密かに密かに広めるべきじゃった。一時の欲で、それらを台無しにするとは何事じゃ!」

 俺が一喝すると、三人は縮こまった。

「セレイン、今のままでも十分に凄い発明品だ。これ以上、何を望むんだ?」

「目の前の物しか見えぬ凡愚めが……。ワシの偉大なる目標がわからぬか。ヒューズ、お主には失望した。これで、色々と妨害が入る様になるじゃろうて……」

 俺には目標があるのだ。ゲームを広めて皆でプレイするという夢がな!

 ヒューズは、少し考えた後、唇を震わせた。

「まさか……いや……この発明品から推測できる夢は複数ある……しかし、そのどれも……」

 そう、俺の夢はいくつもある。ネトゲ廃人を量産する事もそうだし、課金制のゲームもいずれは行うつもりだ。一家に一台はゲーム機がある様にもしたい。ふはははははは、俺は今でもゲームプログラマーなのだ!

「セレイン、貴方の目的は……」

 俺はにやりと笑って言った。

「全部じゃよ、ヒューズ。全部じゃ」

 それに彼らはビビった。恐ろしかろう、恐ろしかろう。しかし、俺はお前達も既に立派な―ゲーマーだと推測する!
 一転、俺はしかめっ面になる。

「しかし、困ったのう。こうなった以上、計画を早めるしかあるまい。強欲王を持ちだすしかあるまい……。世界の構築を急がなくては。そして、端末の作り方を全ての場所に一気にばら撒くのじゃ」

 何故かガタブルし始めたヒューズ達。用はすんだので、手を振って戻らせた。
 そして、急いで世界の構築を始めたのである。
 もちろん、忙しかった俺は、ラブリィ達やダークネス達が神々と会話する儀式に気付くはずはないのだった。
 作業していた俺は、ある日突然ハックの知らせを受ける。
 なんだ、このばかでかい魔力は!?

「馬鹿な、端末なしで単体でデータ網に侵入? ここに、来る!」

 現れたのは、ローブ姿の美青年だった。

「……君が、セレインか?」

「お前は誰だ」

「我が名は……ダークネス」

 俺は、即座に傅いていた。

「ようこそいらっしゃいました、ダークネス様」

「……私を排除しようとは、しないのか?」

「神に逆らう程愚かではありません。……ここへは、何ようで?」

「新しい、魔術。興味深い」

「魔術がお気に召したのでしたら、GMキャラとして全ての魔法と試作品の魔法を扱えるキャラをご用意致しましょうか。対外的には、新種のキャラのテストと致します」

「頼む」

 俺が用意したキャラに、ダークネス様は乗り移る。俺は、自ら色々案内した。
 ダークネス様は、俺のゲームを楽しんで下さった。
 魔術を一つ使う度、目を輝かせるダークネス様はどこか幼く、俺は以前のゲームプレイヤーたちを思い出していた。
 こっちの奴らは、実益に結び付けようとするのがいかん。
神にさえ気にいられるとは、俺はとんでもないゲームを作ってしまったかも知れん……むふふ。
 ダークネス様は魔術を大いに気に入り、新たな魔術を作られると仰った。あ、あれ……?
 これって凄すぎる事なんじゃないのか?
そして、ゲームで遊ぶ事を推奨して下さった。
 その代り、俺はダークネス様と時々狩りに行くようになった。
 俺の別キャラと奴隷のリザードマンが前衛、奴隷のダークエルフとダークネス様が後衛だ。当たり前だが、奴隷どもはかなり恐縮してた。
 その際に、ダークネス様が考案した魔術のテストも行う。
 二人でまったりとしていたその日、またもハックが感知された。
 ダークネスが、突如として俺のローブの中に隠れたので、俺は驚く。
 光の塊がエルフの形を形作り、そこに残念な胸の可愛らしい女の子が現れた。

「ダークネス――――――――! 婚約者の私を差し置いて、私の種族と遊んでいるなんて酷いわ!」

 瞬時にライトモア様だと判別した俺は、ライトモア様に傅く。
 そうか、神様たちは残念な美青年と残念な美幼女か……。

「五月蠅い死ね。お前が婚約者だと僕は認めてない。帰れ」

「……そいつなの? そいつがダークネスの大事な人なの? わかったわ。じゃあ、そいつの体を乗っ取って……」

 物騒な事を言うライトモア。

「ダークネス、ダークネス、ダークネスぅ。愛してるわ。愛してるわ。ずっと閉じ込めて手足を折って愛で続けたい……。いい加減、諦めて私の物になってよぉ、ダークネスぅ。デザイアを捕えさせる時が楽しみだわ。その時は、大人しく物になる約束よね」

 病んデレかYO!
 そんな事で俺らの種族は長きにわたりいがみ合ってきたのかYO!
 俺のローブに頭を突っ込みつつガタガタ震えるダークネス。

「あ……あの。とりあえず、友達からって事で、ゲームしませんか?」

 俺は、恐る恐る提案した。
 ライトモアからは何言ってんのこいつ、と言う目で睨まれ、ダークネスからは売るのか!? という視線を感じる。
 だ、大丈夫。俺のゲームで遊べば、きっとちいちゃい事なんぞ忘れるさ……。
 でも念の為、ライトモアの周りは美青年のNPCで固めよう。
 少しでも異常過ぎるダークネスへの興味を薄れさせる事が出来たらおんの字である。


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