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[27910] 【ネタ】熱血だよバナージくん(機動戦士ガンダムUC 断空我)
Name: 空はなび◆b37c9f04 ID:97593af0
Date: 2011/05/21 21:51
インダストリアル7、アナハイム・エレクトロニクスが運営する工業コロニーのひとつ。基本的に中立の立場を保ち平和を享受していたが今、戦火に包まれていた。


ラプラスの箱、宇宙世紀を変えることの出来る力を持つ。それを求めて《彼女》が訪れた事から、だが火種は既に点火している。もう誰にも止められない。


バナージ・リンクスは彼女を探しつつ、それに出会った。白い一角獣のモビルスーツ、清らかなる乙女にしか乗れない伝説の獣をモチーフにしたのだろう。その足元に男性が倒れている、バナージは慌てて駆け寄り介抱した。応急手当ては母から習っている、自分の中に眠る――を信じろ。それが母の口癖だった、バナージには父がいない。


否いたと言うべきか、その辺の事情は子供だったバナージには分からなかった。成長した今も分からない、父が何を思っていたのか。そこまで思考してバナージは男性を慎重に起こしその場を後にしようとする、男性が目覚めた。


「うっ……止めてくれアンナ、鞭は嫌だ鞭は嫌だ鞭は嫌だ鞭は嫌だ鞭は嫌だ鞭は嫌だ鞭は嫌だ鞭は嫌だ鞭は嫌だ」


見捨てようか、一瞬バナージはそう思ったが。アンナ? それは母の名だ、まさか。この男性は。
男性はバナージを見る、表情がさっと変わる。具体的には真っ青に、人の顔が青くなるのをバナージは生まれて始めて見た。


「バナ、いや少年。何故此処にいる」


「何を言い掛けたのかともかく、父さんは母さんから鞭で打たれていたのか」


父? は動揺した、何か言い訳じみた言葉が出てくる。バナージは戦場にいることを忘れため息を吐きたくなった、父? はカーディアス・ビスト。あのビスト一族の血を引いている事に思うことはあったが、カーディアスはバナージにこう言ってきた。


ユニコーンに乗る覚悟はあるか? と。


いきなりの問いにバナージは困惑する、俺があのモビルスーツを動かす? 確かに工業系のハイスクールに通っていたし操作も一通りは出来る、そもそもこのコロニーはモビルスーツを開発するアナハイム社の傘下だ。


バナージは振り向きユニコーンを見る、白い巨人は何も言わずバナージ達を見下ろしていた。再びカーディアスに向き直り、自分の中に眠る何かが動くのを感じたバナージは頷いた。


カーディアスはコクピットへとバナージを誘導しディスプレイのパネルを操作する、しばらくしてモニター上に〈COMPLETE〉の表示が点滅し幾つものチェック・ウィンドが現われては閉じ三百六十度映像が映った。


ジェネレーターが唸りを上げる、いつのまにかバナージは操縦桿を握り締めていた。カーディアスは操作を終えバナージを見つめる、これが最初で最後の邂逅。父と子の会話が紡がれる、出来ればこんな形で会いたくなかった。それも今更か、カーディアスは告げた。


「これでユニコーンはお前にしか動かせない、乗り手と認められたらユニコーンは真の力を解放する」


バナージは静かに聞いていた、彼も直感していたのかもしれない。これが最後だと。


「いいかバナージ、自分の中の野性を信じろ。内に眠る力を呼び覚ませ、人を越え獣を超え神の戦士となれ。お前なら出来る、合い言葉は母さんから聞いているな? ……信じているぞ、宇宙世紀に光明を。今まで済まなかったな」


そしてカーディアスはコクピットから離れる、バナージは思わず父の手を握ろうとしたが不意に爆風が全てを奪った。モニターから父が流れていくのを見る、瞳から雫がこぼれながらバナージは「父さん!」と叫んだ。


ユニコーンが動く、父を失った子を乗せて。


涙を堪えバナージは操縦桿を握りペダルを踏む、ユニコーンが唸り一歩足を踏みしめた。父が遺した思い、母がくれた生きる術。宇宙に煌めく敵を見据えバナージは吠えた。


「やあってやるぜ!」


同時刻、クシャトリヤに乗るマリーダは不吉な予感を感じ取ったらしい。赤い彗星はくしゃみした、ただそれだけの事。




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