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[27904] 習作 キャスト?いいえ、ネクストです(ACfa→ファンタシースターポータブルシリーズ)
Name: ヘタレイヴン◆68301820 ID:dcfd38fc
Date: 2011/05/21 20:18
・オリ主物となります。
・なぜが自我をもって、グラールでキャストとしてネクストが頑張ります。
サイズは人間サイズです。
・時間系列的にはファンタシースターポータブルの頃です。
それでも良いと言う方はどうぞ。



[27904] 1話
Name: ヘタレイヴン◆68301820 ID:dcfd38fc
Date: 2011/05/21 07:34
「…なんだいこりゃ…。」

ライアの第一声。モトゥブの砂漠地帯で、原生生物が凶暴化し、危険なので駆除に訪れたのだが…。
現場に着けば、確かに原生生物が居た。…全て、息絶えた物ばかりなのだ…。
銃で撃ち抜かれたものや、何かで切断されたような死骸ばかりだ。

「あしたが来る前に…誰かがやったって事か…?」

ライアは注意深く周囲を見渡すと、岩陰で何かが動くのを見つけた。
生き残りの原生生物か…と、ツインクローを装備すると慎重に岩陰に近づく。
だ゛か、そこに居たのは原生生物などではなく…

「…キャスト…?」

拍子抜けしたように呟くライアの前には、黒いボディのキャストらしきヒトが座り込んでいた。
見たことも無い流線型で尖ったボディ、脚部や異様に細く、全体的に色は黒い。…例えるならば…鴉だろうか?
隣には、ライフルが転がっており、このキャストが原生生物を駆除したのだろうとライアは結論付けた。
だが、先ほどから動かないところを見ると…何か重大な怪我をしたのかもしれない。ヒューマンやニューマン、そして自分自身もそうであるビーストと違い、
キャストの怪我等は、外部からわかりにくいものもある。
側に駆け寄り、肩をゆすり意識があるのか、無いのかを確認し始める。








「そうか…。企業連は、完全にこちらを潰す気か。」
「そのようだな。…君には世話をかける。…ビックボックスでは2人を助けてくれた。…まさかアンサラーを短時間で撃破するとは、驚きだったよ。」
「結構…てこずった。…けど、2人は見捨てられなかった。みんな…全員で生きて、空の向こうの行くんだろ?」
「…そうだな。新たなるフロンティア…。私達は世紀の大罪人になるだろう。だが…全ては人類と…」
「未来の為。…だからこそ、ここでエーレンベルクを破壊される訳にいかない。」
「最後まで、本当に世話をかける。………メルツェルからの通信だ。全員、配置についたようだ。…私も出るとしよう。」
「…テルミドール。…またみんなで…食事でもしよう。ヴァオーとラスターの一気飲み対決も…オールドキングとジュリアスのデュエットも…また聞きたいな。」
「あぁ、今度は私の美声を聞かせてあげよう。…カラードのリンクス。…いや、君はレイヴンと呼ばれる方が好きだったな。…また会おう。」


「ストレイド。今までありがとう。」
……?
「お前のお陰で、俺は今まで戦ってこれた。お前は、俺の大事な相棒だ。…はは、セレンに聞かれたら、怒られそうだけどな。」
だったら…最後まで一緒に連れて行ってくれ…。
「…ごめんな。お前と戦っても勝てる。けど、今回は、絶対に勝たないといけないんだ。…だから、俺はあれに乗るよ。」
待って…待って。それに乗ったら…お前は…。
「00-ARETHA。…最悪にして…最強の兵器だ。…俺の最期を飾るにはふさわしい機体だろ?」
駄目だ。絶対に駄目だ。…俺はまだ戦える。…だから、だから…!!
「…またな、相棒。……さようなら、ストレイド。」









「い…。お…おい、大丈夫か!?」
「…だ…れ…?」
「ふぅ、意識はあるみたいだね。…今、救助が来るから…それまで我慢するんだよ。」

俺の視界に広がるのは、一面の荒野と…見知らぬ女性の姿。
…彼女は小さな機械で…何処かに連絡をしている。

「あたしだ。任務地に遭難者を発見。あぁ、意識はあるみたいだ。…うんうん…種族はキャスト。…名前は…ちょっと待ってな。おい、名前は?」
「名前……?」
「あぁ、身元確認で必要になる。ほら、早くしな。」
「俺は……」

俺の…名前?…名前ってなんだ?
その前に、俺って誰だ…?いや…俺って…なんだ?

「…もしかして、あんた…なんにも覚えてないとか?」
「そうみたい…です。…あの、俺って…なんですか?」
「はぁ?…こりゃ完璧にだめだね。…もしもし、どうやら記憶喪失みたいだ。うんうん…OK。ここで待機してるよ。」

女性は、通信機の電源を切ると、呆れた顔で見てため息をついた。
どうやら…俺は妙な事を聞いたらしい。

「キャストって言ったって…どっかぶつけりゃ、こうなんのか。…まぁ、仕方が無いね。」
「えっと…さっきから、キャストって言ってますが…なんですそれ?」
「はぁ…。お前みたいなヒトの事をキャストって言うんだよ。…本当に大丈夫かい?」
「…俺みたいなのですか?」

改めて俺は…自分の身体を眺めてみる。…異様に流線型で尖ったボディ。脚部はなんだか鴉みたいに細い。目の前の女性とはまったく違う…生物じゃ…ない?

「あの…」
「はいはい、質問は後にしな!!迎えが着たみたいだからね。」

女性の視線の先には…小型の航空機らしき機影が見えた。





ガーディアンズコロニー。

「レイド…おい、ストレイド!!」
「うえ?」
「ったく…ボケッとしてるんじゃないよ!!」

ため息をつきながら、ラィアは自分の生徒であるキャスト…ストレイドの頭を軽く小突く。
殴られた本人のストレイドは、その独特の複眼を器用に細めると、軽く頭を下げる。

「すいません。…ちょっと、昔の事を思い出してました。」
「昔の事?…なにか思い出したのか?」
「いや…ライア教官に助けて貰った時の事です。…まさか俺自身がガーディアンズに入るなんて…思いもしませんでしたから…。」
「なんだい、そんな事か。…まぁ、あんたは他の奴らに比べると…見込みがある奴だったね。勿論、まだまだひよっ子だけどね。」

記憶を失い、行く宛も無いストレイドをガーディアンズに誘い、入隊してからも色々とライアは面倒を見てあげていた。
助けた責任感からもあるだろうが…一重に困った人を見捨てて置けない…と言うガーディアンズの精神と彼女の性格なのだろう。
一風変わったキャストのストレイドだが…その性格はいたって温厚であり、色々と細やかな気が利くヒトであった。
彼女の指導は厳しく、多くの生徒達が脱落していく中、彼だけは最後まで残り…こうしてガーディアンズに入隊まで出来るようになったのだ。
なお、ストレイド・アリーヤと名乗っているが、これが唯一覚えていた事のようだ。


「けど…ライア教官の指導は、思い出しても震えが止まらない内容ばかりでしたね。」
「はん!!あんなのが乗り越えなけりゃ、ガーディアンズなんて勤まんないよ!!」

鼻で笑うライアを見て、ほんの少し肩を下げてため息をつくような仕草をするストレイド。
教官としても、ヒトとしてもライアの事を尊敬しているが…ホンの少し気苦労が多いようである。


「そんじゃ、改めて…ストレイド。研修終了おめでとう。
「はい。ありがとうございます」
「今日からは、研修生と教官って立場からじゃなく、対等なガーディアンズの一員って関係になるんだ。」
「ライア教官と対等…ですか。…全然、実感がわかないですね。」
「そのうち慣れるさ。…けど、早いもんだね。」
「…年より臭いですよ?」
「あんだって?」

にこやかに、額に青筋を浮かべて手をポキポキと鳴らすライアと、複眼を点滅させ物凄く焦っているストレイド。
周囲に居るガーディアンズの面々は何時もの光景と、笑いながら眺めていた。
その視線に気が付いて、ライアはコホンと咳払いすると、ストレイドの肩にポンと手を置き、笑顔を作る。

「あ~…よく厳しいシゴキに耐えたね。…あんたは本当に見込みがある奴だよ。あんたなら、立派なガーディアンになれる。あたしが言うんだから、間違いないよ。」
「ライア教官…。はい、ライア教官の生徒として…恥かしくないように、頑張ります!!」
「その意気だよ。さぁ、受付に行ってライセンスを受け取ってきな。」

バシンと彼の背中を叩き、送り出してやる。ライアにとってストレイドは自慢の生徒である。
最初こそ、他の生徒達と同じで脱落するのかも…と思っていたから、なおさら、彼の独り立ちが嬉しいのだ。
その思いもストレイドには充分に伝わっている。恐らく…涙を流せるのなら…彼は嬉し涙を流しているだろう。


ガーディアンズ本部。

「グラールの未来を作るガーディアンズにようこそ!!」
「こんにちわ、ミーナさん。」
「ストレイドさん、こんにちわ。研修終了おめでとうございます。これから、よろしくお願いしますね!」
「はい。…えっと、ライセンスを貰いにきたんですが…。」
「あ、そうだしたね。」


軽く挨拶を交わすと、ミーナは手元の端末を操作し、幾つかの情報を出していく、
本部にはライアと何度か来たことがあり、ミーナとも雑談程度をする仲になっていた。
ストレイド自身、結構、目立つボディをしているが、先に述べたとおり、温厚な人柄なので、人に好かれやすいのだ。

「ストレイドさんの配属は…機動警護部になりますね。はい、こちらが正式ライセンスです。」
「はい。…機動警護部かぁ。」

機動警護部とは最も一般的な部署であり、護衛や原生生物の駆除など、一般人とも接触する機会の多い部署である。
大抵の新人はここに配属され、数人でミッションを遂行したりする。恐らく、最も人員が多い部署であろう。

「これで正規のミッションが受けれますね。ちょうど1つありますので、受けてみますか?」
「あ、それじゃ、お願いします。」
「はい、ええと、今回の内容は…」

ミーナが端末を操作し始めると、ストレイドの背中をポンと叩く人物が居た。
誰かと思い振り向けば…先ほど分かれたばかりのライアが腰に手を当てて、たっていた。

「ライア教官、どうしたんですか?」
「ミーナ、そのミッション、あたしも入れてもらえるかい?」
「ライアさん、良いんですか?」
「ま、こいつのお手並み拝見って奴さ。」
「あはは…。ライア教官…ありがとうございます。」
「なぁに、心配はしてないけど、一応ね。今回はあんたがリーダーだ。しっかりやりなよ。」

再び、ストレイドの背中を叩き、気合を入れる。
今まで、ライアの指示でストレイドは行動してきたが、今回は逆になる。
今更ながら、教官と研修生という立場ではないのだと…理解してきたようだ。

「そうであれば早速、今回のミッションの説明をしますね。」
「お願いします。」
「現在、ガーディアンズコロニー内で、ガード用のマシナリーが制御不能になっています。」
「マシナリーが?…それの破壊か?」
「制御不能の場合は、そうしてください。それと暴走の原因究明が任務ですね。」
「なるほど。…コロニーの保全が第一ですものね。わかりました。」
「そうそう、ストレイドさんのパートナーをご紹介します。」
「俺のパートナー?」
「ヴィヴィアンさん、こちらに。」

ミーナが声かけると、奥のほうから、白いボディの女性のキャストが歩いてきた。

「始めまして、ヴィヴィアンです。先日、基礎教育課程を終えました。よろしくお願いいたします。」
「あ…ストレイドです。よろしくお願いします。」

ヴィヴィアンと名乗ったキャストが一礼するのを見て、ストレイドもあわてて一礼すると、右手を差し出した。
だが、彼女はその手を握らずに、何故か興味津々に眺めていた。

「これが握手と言う行為ですね。敵意が無い事を示して、相手に信頼を期待している。」
「え?」
「そう解釈しても、構いませんよね?」
「あぁ、もう。さっさと握り返しな!!そっちが握らなきゃ、信頼も信用もあったもんじゃないだろ!!」
「あ、失礼しました!」

ライアがヴィヴィアンの手を掴むと、ストレイドの差し出していた右手と重ねる。流石に、まどろっこしかったようだ。
ストレイドも苦笑するような雰囲気で、その手を優しく握り返す。

「あの…ストレイドさん、ライアさん。よろしくお願いいたします。」
「はいよ。よろしく、ヴィヴィアン。」

ライアとも握手を交わし、ヴィヴィアンはストレイドをしげしげと見つめる。
流石にジッと見つめられるのが恥かしいのか、ストレイドは頬を書くような仕草をして、困ったように声をかける。

「…俺がどうかした?」
「あ、すいません。私、社会に出たばかりで…」
「あぁ。俺は変わったボディしてるから。けど、基礎教育がすんだばかりなんだ。」
「はい。私は、製造されて一月も立ってませんから。至らない所もあると思いますが、よろしくお願いします。」
「…?キャストにしては…雰囲気と言うか、物腰が柔らかいね。」

本来キャストとは合理主義者であり、極端に無駄を嫌う思考がある。恐らくは、自分達が生物ではない…と言う思考から来ているのだろう。
だが、ヴィヴィアンにそんな雰囲気は見て取れなかった。ライア自身、こんなキャストと会うのはある意味で久しぶりなのだ。
そんな彼女の疑問に答えるようにして、ミーナが補足を入れる。

「ヴィヴィアンさんは、情報処理も戦闘力もルウタイプを凌ぐ、次期汎用モデルの1号なんですよ。」
「ルウさんを!?…それは凄いな。だから、感受性も高いのか。」
「よりヒトらしく…か。」
「…良くない事ですか…?」
「そんな事はないさ。こいつもよっぽどヒトらしいよ。」

ストレイドに眼を向けて、ライアは面白そうに笑う。
こう見えても、ストレイドは料理や掃除が得意という…本当に変わりすぎているキャストなのだ。
性格自体、本当にヒトっぽく。時々、本当にキャストか?と言うことを疑いたくなるほどだ。

「ストレイドさんもですか?」
「俺の場合は、記憶が無いからね。…何度かライア教官の部屋の掃除もしたし…ご飯も作ったし…。」
「余計な事は言わなくて良いんだよ!!」
「あだだだ!!!」

青筋を浮かべたライアのアイアンクローがストレイドの頭を掴み、ギシギシと音を立ていく。
ヴィヴィアンはオロオロとしたようにするのを見て、ミーナは優しく声をかけ、安心させる。

「何時もの事ですから。ライアさんは本当に良い教官なんですよ。それに、ストレイドさんも良いヒトです。」
「…はい、少しだけですが、話してみてよくわかりました。」
「きっと、ヴィヴィアンさんも、うまくやっていけますよ!!」



エントランス

「く…砕けるかと思いました。」
「はん、あんたが余計な事を言うからだろ。」
「ストレイドさん、大丈夫ですか?」

弱弱しく、複眼を点滅させるストレイドに心配そうに声をかけるヴィヴィアン。
流石に、罅こそは入らなかったものの…結構、いや、かなり痛かったようだ。

「大丈夫…。そう言えば…ヴィヴィアンって、社会に出るのが初めてなんだよね?」
「はい、まだ経験も少なく、世の中の事も良く知りません。ですが、色々な経験をしながら、立派なガーディアンになれればと思います!」
「なるほど。…俺も負けないようにしないと。…これから、よろしく、ヴィヴィアン。」
「はい、ストレイドさんも…よろしくお願いします!!」





白いキャストと…黒いネクスト。本来ならば…意識持たぬ兵器と彼女は出会った。
何故、彼がここに居るのか…何故、心を持ったのか…それはわからない。
ただ…彼が兵器であった事を知るのは誰も居ない。…彼自身…自分が何者なんのすら理解はしていない。
これが…どのような道を歩むのだろうか…









ストレイド・アリーヤ。
フレーム、AALIYAH
本作主人公。ライアとは某首輪付きと某オペレーター的な師弟関係。
何故、グラールに居るのかは不明。機能の大半は停止中。
種族的には一応、キャスト。


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