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 ̄ ̄ ̄(_,ノ  ̄ ̄ ̄ヽ、_ノ ̄ ̄ ̄ ̄
↑箒
「・・・・・・どうしたんだ一体?」
「さ、さあ、僕にもさっぱり・・・・・・」
教室で刑執行目前の死刑囚みたいな風情を漂わせた箒の様子に誰も近づく事が出来ないでいる。
同室の一夏も似たようなもので、ミシェルの隣で頭を抱えながら悶々とした様子であった。近づきがたい雰囲気を発している箒よりは一夏に聞いた方が手っ取り早そうなのでそうする事にする。
「・・・・・・何かあったのか?」
「それがさ、昨日あの後箒と部屋に戻ってからなんだけど――――――」
2人分の呼吸音をシャワーの水音が掻き消す。大雑把に汗を洗い流し終えると、箒の細い指がシャワーのカランを捻り、お湯が止まる。
「わ、私が一夏の身体を洗ってやろう。一夏はそのままじっとしていてくれ」
「いや、箒がそこまでしてくれなくても――――」
「やらせてくれ。私が、そうしたいだけだから・・・・・・」
両方の肌が紅潮しているのは決してお湯を浴び続けていただけではあるまい。
箒はボディソープを手に取ると、それを自らの身体に塗りつけ始めた。瑞々しく張った肌が特徴的な光沢に包まれ、只でさえ艶めかしい姿がより一層色っぽさを増す。
「ほ、箒?」
「い、いくぞ」
箒は一夏の背中に抱きついた。ぬるりと肌と肌が滑り、擦れ合う度に白い泡が接触面の間に生じ始める。
箒が身体を動かす度、背中で潰れてぐにゅぐにゅ形を変える乳房の感触に一夏の本能が昂ぶる。箒も箒で一夏に直接自分の身体を擦りつけているという事への背徳感と、鍛えられた一夏の背中の筋肉の隆起に固くなった先端の突起が僅かに引っ掛かる度に伝わる刺激に、否応無しに下腹部が熱くなるのを自覚していた。
擦れ、ぶつかり合う度に泡のベールが互いの身体を包んでいく。胸だけでなく、同じように塗りたくった下腹部や太もも、自らの叢までも駆使して箒自らの肢体で一夏の垢を洗い落とす。
ぬちゅぬちゅと卑猥な音を立てて一夏の胸板をまさぐっていた箒の両手が、段々と下の方へと移動していった。とっくの昔に屹立していた男の証に触れた途端、素っ頓狂な声がシャワールームに木霊した。
「ちょ、箒、そこまではしなくていいから!」
「なあ一夏。私は、お前を満足させられているか?私は、ちゃんとお前を悦ばす事が出来ているのか?」
「あ、当たり前だろ。俺だって箒にこんな事してもらって嬉しいけど・・・・・・・・無理、しなくていいんだぞ」
「む、無理などしていない!私が一夏にこうしてあげたいんだ!もっと一夏に悦んでもらいたくて、もっと一夏と触れ合いたくて、もっと、一夏と―――――」
唐突だが、一夏は自分が箒の事を愛おしく思っている事にこの時ようやく思い至った。
凛々しく、強く、美しく。そんな彼女がここまでこんな自分に健気に、ここまで大胆に接してくれる。そう改めて理解した瞬間、無性にこの少女を抱き締めたくなって、迷わず実行に移した。
彼女の中で激しく脈打つ鼓動が伝わってくる。きっと彼女もとても恥ずかしかっただろうに、それを抑え込んでここまでしてくれてきた事をとても嬉しく感じた。
「いち、か?」
「ゴメンな、箒。ここまでしてくれるぐらい箒が俺をどう思ってくれてるのかとっくに気付いてたってのに、ハッキリ答えを出さないままで」
この気持ちが明確な恋心なのかはまだ分からない。
敢えて言うならこの感情は『独占欲』と呼ぶべきか。こうして身を捧げてくれる幼馴染を自分の物にしたい。彼女の気持ちが他の男に向かないようにしたい、そんな衝動。
――――それとも、この独占欲もまた恋心の一片なのかもしれない。
「い、一夏が謝る必要はない。これも、私の我儘だから――――」
「それでもさ、ここまで大胆な事してくれる可愛い女の子に答えを出さないままじゃ男としちゃ最低だろ?・・・・・・いや、とっくに最低かもな」
今なら五反田の気持ちが分かる。女の子と話をしたりする度しょっちゅう呆れられたりしてたけど、きっとそれはその女の子達がこんな自分に好意を向けてきていた事に気付いていたからだと思う。
事ある毎に「殴って良い?つか殴らせろ」とか言われてたのも懐かしい。ゴメン五反田、今ならお前に殴られても仕方なかったんだって理解出来たよ。
『――――上達したら、毎日あたしの―――――――』
思考にノイズ。何だか昔の記憶の断片が蘇ったが、今はそれどころじゃない。
「せめてこれだけは、俺の口から言わせてくれ」
「いちか・・・・・・」
ああもう、こんなに可愛かったって箒って?無性に抱き締めたくなったけど我慢。もし今実行に移したら告白する前に襲いかかりそうだから。耐えろ俺。
唐突に度々シャルロットの事でミシェルが脅しをかけてくる気持ちがよ~く理解出来た。
大事な大事な自分の伴侶に他の男が色目使って、そりゃあ怒髪天突くってもんよ。
「箒・・・・・・・俺は、お前の事が――――――」
一夏が言い切る前に。
シャワールームを隔てる扉が勢い良く開け放たれた。
「――――――教師からの呼び出しを無視して乳繰り合うとは、いい度胸だな。貴様ら」
「あ、ありのまま起こった事を話すぜ!
『俺から箒に告白しようと思ったら、気が付くといつの間にか千冬姉の部屋で正座させられていた』
な、何を(ry 」
「ポルポル乙・・・・・・で、告白のタイミングを潰されたせいで篠ノ之があんな風に燃え尽きている訳か」
「朝まで床に直接正座させられたよ・・・・・・今でも足の感覚がおかしいっての。結局言えずじまいになっちゃったしさあ」
椅子の上で足を揉みほぐしつつ溜息。ダウナーな箒とミシェルの顔から滲み出る無意識の威圧感により、周囲が遠巻きにしているせいで聞こえていないのは幸いだった。
一夏が箒に告白しようとしてた事を聞きつけたら最後、これまで以上の大騒動が勃発していたに違いない。
「しばらく箒は千冬姉の部屋で寝泊まりして俺1人であの部屋使えってさ。元々人数調節の問題で俺が1人部屋になるのは決定してたらしいんだけど」
箒があそこまで凹んでいるのは一夏と部屋を引き離された上に鬼教師の部屋で寝食を過ごさなければならない事への恐れもあるのかもしれない。
「本当、何でよりにもよってあのタイミングで千冬姉が来るんだよ・・・・・・」
「・・・・・・とりあえずは、ご愁傷様という他ないな」
机に突っ伏していた一夏が何処か恨めしげにミシェルを見上げる。
「あのさ、ふと気になったんだけど、ミシェルがシャルロットに告白した時はどんな感じだったんだ?今後の参考の為にも切実に聞かせてほしいんだけど」
「ふえっ?えっと、それは、言わなきゃダメかな?」
何故かシャルロットの方が照れている。問われた張本人は対して動揺した様子もなく肩を竦めてみせてから、
「参考にならんと思うぞ・・・・・・何せ、初めて出会って1時間足らずで即プロポーズしたからな」
そりゃ参考にならねぇや、と再度机にへばりつく一夏であった。
「ところで一夏は転校生の噂聞いた?」
「転校生?今の時期に?」
「ああ・・・・・・何でも、中国の代表候補生だそうだが・・・・・・」
「あら、わたくしの存在を今更ながらに危ぶんでの転入かしら」
話題転換したシャルロットとミシェルの言葉に首を捻っていると、話を聞きつけたセシリアが会話に加わった。
他のクラスメイト達が相変わらず彼らの周りに近付けていないことを踏まえれば中々の度胸と言える。
一夏の元にセシリア―間違いなく自分の恋敵の1人―に気付いた箒もorzモードからようやく復活して友人の輪に乱入。
「このクラスに転入してくる訳ではないのだろう?騒ぐほどの事でもあるまい」
「もしそうだったら幾らなんでも偏り過ぎだもんね」
「確かに、な・・・・・・」
ミシェルにシャルロット、セシリアという代表候補生が3人、専用機持ちなら一夏も加え4人。
一夏達の学年で専用機持ちが他に4組に1人しか居ない点を踏まえると、抗議が出てきてもおかしくない偏り具合だ。
まあそれはともかくとして。
「にしてもようやく復活したな箒―――――それでさ、昨日の事なんだけど」
「あ、あ、ああ、ああああああっ!?」
上ずっている。箒の声が激しく上ずっている。
身悶えしそうなのを必死に堪えているみたいにプルプル震えつつ真っ赤な顔の箒の様子に、ハイパーセンサーよりもより限定的かつ鋭敏なセシリアの恋する乙女センサーが緊急警報。
こ、この反応は一体何がありましたのっ!?とガクブルしながら今は展開を見守る事しか出来ない。
「・・・・・・ああクソっ、こういうのって時間が経つと決意が薄れるんだよな」
そう吐き捨て頭を掻き毟る一夏。セシリアの警戒レベル一段階上昇。
「必ず、俺の方から答えてみせるから。ちゃんと、俺から告げてみせるから―――それだけの決心がつくまで、待ってもらえないか?」
「も、勿論だ―――――これまで6年間も待ったんだ。もうちょっと位なら、待ってやらなくもないぞ」
「ホントごめんな、待たせてばかりで」
ミシェル達が見守る前で箒は口ではそう言いつつも、待ち遠しさと喜びで弾けるギリギリ手前な雰囲気を漂わせながらはにかんだ。
遠巻きに眺めていた同性のクラスメイト達さえ魅了しそうなくらい美しい笑み。セシリアの警戒レベルデフコン1.既に敵は警戒ラインを突破済み!
やはり同棲していると此処まで一気に差がついてしまうものなのか。いや、まだセシリアの戦いは終わっていない、筈!!
「そ、そうですわ一夏さん。クラス対抗戦に向けてより実戦的な訓練をわたくしと行いませんか?何せわたくしも専用機持ちですし、現在専用機を持っているクラス代表は1組代表の一夏さんと4組のみ――――」
「―――――その情報、古いよ」
一夏にはとても聞き覚えのある声がした。彼以外の人間は初めて聞く少女の声だった。
一夏達のみならずクラス中の千人が声の主へと振り向くと、小柄でツインテールで強気そうな少女が教室の入り口に王立ちしている。
「2組も専用機持ちがクラス代表になったの。そう簡単には優勝できないから」
「鈴(リン)?お前、鈴か?」
「そうよ、中国代表候補生、鳳鈴音(ファン・リンイン)。今日は宣戦布告に来たってわけ」
胸を張って(女性的に『胸』の範疇に入るかはともかく)そう堂々と言い放つ少女―――鳳鈴音に対し、
「何格好つけてるんだ?すっげぇ似合わないぞ。それからそこに立ってると通る人の邪魔だから」
「んなっ!?・・・・・・・あ、アンタってヤツは相変わらず人の上げ足を取って・・・・・・!」
「いやでも本当の事じゃん。ほら後ろ」
「おい」
「何よ!?」
ズベシッ!!
見事な出席簿による一撃が入った所で鬼教師、織斑千冬の登場である。
中学時代から苦手だった千冬に自分の教室に戻るように指図されて、結局その後は良い所を全く見せる暇もなくすごすごと退散した鈴であった。
一夏の説明曰く、鈴は箒と入れ違いになる形で転校してきた友人との事。
鈴も中2の終わりぐらいに中国に戻ってしまったので、再会するのは1年ぶりなんだとか。
昼休み、食堂で昼食を取りながら簡単に自己紹介をし合う。
「僕はシャルロット・デュノアっていうんだ。一応フランスの代表候補生なんだけど、よろしくね」
「こちらこそよろしくお願いね。で、こっちが・・・・・・」
含みの混ざった眼差しをシャルロットの隣に座るミシェルへと向ける。
仏頂面と勝気な瞳がぶつかり合い、ミシェルの方から大きな手がズイッと差し出された。
「・・・・・・ミシェル・デュノアだ。よろしく頼む」
「鳳鈴音よ。話はテレビ以外にも一夏からも色々と聞いてるわ。一夏の命の恩人なんだっけ?」
「ええっ、そうなんですの!?」
自己紹介の場で1人鈴からぞんざいな扱いをされたセシリアだったが、鈴はそっちは気にせずミシェルの額に深い皺が刻まれるのを見て取った。
「・・・・・・そんな大層なものじゃない。ただ友人を助けに入ろうとしただけだし、結局俺は何も出来なかったのだからな」
「でもさ、あたしも昔はよく一夏助けてもらったりしてたんだけど、しょっちゅうアンタや千冬さんみたいに誰かを守れるように強くなりたいって――――」
「すとーっぷ!もう言わないでくれ鈴後生だからお願いだから本人の前でそんな事言われるとスゲェ恥ずかしいから!」
「あっ、え、ええゴメン一夏。つい口が滑っちゃって」
必死にテーブルにひれ伏す勢いで頭を下げる一夏と咳払いで誤魔化す鈴。
「とにかくそっちも前からの一夏の友達みたいだし、仲良くしましょ」
「あ、ああ・・・・・・・」
手の平を叩きつけるような勢いで、躊躇い無く鈴はミシェルの手を握った。サイズが違い過ぎるせいで完全にミシェルの手を握れてないが、お構い無しに手をブンブン上下させる。
それから先に握手を求めてきた相手の方が、虚を突かれたような様子なので、首を捻った。
「何驚いた顔してるのよ?」
「・・・・・・・・・いや、な・・・・・・初対面の女性にこうして普通に接してもらえたのがもう何年ぶりな気がして・・・・・・」
くぅっ、と熱くなった目頭を押さえてミシェルは天を仰ぐ。鋭く細い眼の端が僅かに光っている。
泣くほどの事なんだろうか、と一夏やセシリア辺りはそんな考えを抱いたが、ミシェルの身なりを考えると嫌でも納得出来てしまった。自分達だってミシェルと発遭遇した時はやや腰が引け気味だったし。
シャルロットはあわあわとハンカチを取り出そうとしている。箒は箒で見た目超強面な同級生の中身のギャップに呆れ半分驚き半分。
鈴だけが、ふーんと興味なさげにラーメンを啜る。彼女の場合、国に居た頃は軍関係者ともよく顔を合わせていて彼の様な厳めしいタイプの人間にも慣れていた、というのが平然とミシェルに接せれる彼女の事の真相だったりする。
ちなみにミシェルもラーメンを注文していた。鈴は普通盛りの醤油ラーメンだがミシェルの方は大盛り豚骨ラーメンである。
「・・・・・・西洋人にしては箸の使い方上手いじゃない。麺も上手く啜って食べれてるし」
「確かに、外国の人って麺類とか啜って食べるのが苦手っていうよな。セシリアとかシャルロットとかもスパゲティとか食べる時凄く丁寧っていうかさ」
「それは当り前ですわ。淑女として礼儀作法をきっちり叩き込まれていますもの!何処かの誰かさんとは違いますのよ!」
「へーそれって誰の事言ってるのかしらねぇ?」
さっきまで豪快にラーメンを食べていた鈴の額に井桁マークが浮かぶ。
「むしろ僕らの方じゃあんまり音を立てて食べる事自体マナー違反って感じだからね。音を立てて食べるって文化は日本限定なんじゃないかな?」
某カップヌー○ルも西洋版では麺が短めに加工されているとか。
日本食の流行でそういった日本独自の食べ方も広まってはいるがそれはその店の中だけの話であって、それ以外の場では周囲の顰蹙を買うので海外旅行の際にはご注意を。
話題は再び変わり、
「一夏、アンタクラス代表なんだって?」
「まあな、半分成り行きだけど」
「でも何となく、一夏なら仕方ないって思えるわ。アンタ昔っから強かったもんね」
「そうそう、セシリアさんと戦ってた時の一夏、凄かったったんだよ」
「うむ、あれぞまさに武士と呼ぶに相応しい勇猛果敢かつ見事な戦いぶりだったな」
最早噛ませ犬状態で敗れた張本人であるセシリアが呻いていたが無視。
「ふーん・・・・・・あ、あのさぁ、ISの操縦、見てあげても良いけど?」
「いや、そっちはミシェルとかに見てもらってるから別にいいぞ」
快活な雰囲気からは珍しく歯切れが悪そうに、言ってしまえば恥ずかしそうにしながらも申し出た鈴の提案を一夏は一蹴してしまった。
椅子の上でこけそうになる鈴と、その反対側で彼女の考えに気付いた箒とセシリアが密かに邪笑。対照的な少女達の様子にシャルロットは苦笑し、ミシェルは黙って麺を啜る。
「そ、そう。それは仕方ないわね、残念だけど・・・・・・」
本当に、残念そうだった。
その後は鈴の実家が前は中華料理屋をやっていた事など、取りとめの無い話を交わしてから鈴と分かれる事になった
そして放課後の訓練タイム。
今日使用する第3アリーナには『5人分』の巨大な人影が存在した。
「ちょっと待てぇ!どうして貴様がここに居る、セシリア・オルコット」
訓練用の日本製第2世代型量産IS<打鉄>を身にまとった箒が、激昂しながら招かれざる客であるセシリアに巨大な刀を突きつけた。
向けられた側はしれっとした顔で、
「いえいえ、わたくしは一夏さんに直々に対遠距離射撃戦での手解きを行おうかとはせ参じただけですわよ?」
「その射撃戦で刀1本の一夏に負けた張本人が何を言う!」
「な、ぬぁんですってぇ!?」
「ええい此処から立ち去れ!一夏との訓練は私以外はあの2人だけで十分だ!ただでさえ千冬さんにいい所で邪魔された上に同じ部屋で共に過ごす事も出来なくなったばかりだと言うのに!」
「絶対後半部分の方が本音でしょうそれ!こちらこそ貴女ばかりに良い思いをさせる訳にはいきませんのよー!」
近接装備を展開したセシリアと箒がチャンチャンバラバラガチンコファイトをおっぱじめてしまった。ついでに2人共思いっきり一夏目当てである事を本人の前でぶっちゃけてしまっている。
あ、セシリアのライフルまで火を噴いた。流れ弾には注意してもらいたい。
「やっぱりモテてるねー一夏って」
「・・・・・・だが同じ男からしてみれば余り羨ましく思えないがな」
「スマン箒、あと1秒早く俺が決心して告白していれば・・・・・・」
そりゃ嫉妬とかに駆られて一々IS引っ張り出すような女子は冷静に考えなくても迷惑千万でしかなかろう。
一夏が女性関係で白黒つけてしまえば手っ取り早そうなのだが、箒はもうちょっと待たされる事になりそうだ。ゴメン箒、でも一旦告白するタイミング外すと告白し直すのってすっごい度胸が要るんだって!
――――人それを『ヘタレ』という。
と、ぶつかり合っている箒とセシリアを見たシャルロットが名案を想いついたとばかりに手を打った。
「ねえ皆、ペアを組んで2対2の模擬戦しない?丁度射撃型と格闘型が2機づつ居るんだし。僕が審判やるね!」
「「なら私(わたくし)が一夏(さん)と!」」
取っ組み合いながら立候補する雌豹2匹。互いの発言を耳にすると、お前が言うなと再度睨み合う。
肉体言語も交えた議論は平行線で、譲り合う気配は全く無い。これはしばらくかかりそうだ。
「なあミシェル、一緒に組んでくれね?」
「・・・・・・それは構わないが、お前が原因なんだからあの2人を止めに入るぐらいはしてくれ、色男」
一方一夏はミシェルを選んだ。