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[27117] 【オリ+東方+世界樹+リリなの】主人公;TEHHORE≠悪厄束【Fate+上条(略)+PS0】
Name: 典play◆3c72f4f5 ID:d7559a34
Date: 2012/02/29 22:19
 ※この物語は転生トラックテンプレでよく見かける、テンプレの神様が、チート能力をくれて好きな世界に行かせる。という流れを
断っても行かせる、やる気がなくても行かせる、何が何でも問答無用で行かせるのをちょっとどうにかしようとしてこうなりました。(自サイトを作って其処にも載せた(ボソッ

―――以下、転生トラック後の【神(笑)】と【転生トラックA男】との会話簡易抜粋。



「ごっめぇーん、手違いで死ぬはずじゃないけど殺しちゃった♪
 ―――お詫びに好きな世界に転生させてあげるよ♪ プ・ラ・ス、今迄の記憶引き継ぎ、使いたい超☆パゥワー、なんでも言うこと来たげルンっ♪」

「すいませんそういうの間に合ってるんで」

「えっ☆えっつー? NA★N★DE? 二次的な世界観限定で君のためにだけ作った THE†WORLD で二次でのあーんな子やこーんな子とドゥフフゲッヘッヘピーができるのにぃ↑ーーーいい? しんじ↑らんな↑ーい↓っ!」

「いえ、自分。現実と仮想の区別ついてるんで、そういうのはちょっと想像の中だけでいいです。」

「うーっふーん、そ・ん・な・こ・と言われたら僕ちんこまっちゃーう♪ だってもう君が逝ってくれないとぉーぉお私、魂の存在数の帳尻合わせで消滅しちゃうの―ん。 お・ね・が・い♪ 私を助けると思ってぇーぇええー♪」

「いや自分の不始末で他人の都合を勝手に決めないでください。というかそのまま消滅しろよ」

「いやぁーーーーぁあああん…」

「あ、消えた。」


※次回予告 消えた【神(笑)】
      残された【転生トラックA男】のための空間【THE†WORLD】
      途方に暮れた主人公しかしそこに 

――――ピンポーンパンポーン error発生 error発生 力場【THE†WORLD】が崩壊します。 
                 error発生 error発生 力場【THE†WORLD】が崩壊します。

次回! 【習作・短編】神様になったけど、死んだ【ネタ】
   第01話---【転生トラックA男】と【THE†WORLD】とそれによる大災害

―――発言の利用は計画的に
何となく発した言葉、それが、誰かの人生を狂わせることがある…



[27117] 【転生?】01話---【転生トラックA男】と【THE†WORLD】とそれによる大災害
Name: 典play◆3c72f4f5 ID:d7559a34
Date: 2011/05/11 17:20
※この物語は転生トラックテンプレでよく見かける、テンプレの神様が、チート能力をくれて好きな世界に行かせる。という流れを
断っても行かせる、やる気がなくても行かせる、何が何でも問答無用で行かせるのをちょっとどうにかしようとしてこうなりました。

―――以下、謎空間に残されて途方に暮れる【転生トラックA男】と【THE†WORLD】の会話簡易抜粋。


「消えちゃったよ、どうすりゃいいんだ…?」

――――ピンポーンパンポーン error発生 error発生 力場【THE†WORLD】が崩壊します。
                  error発生 error発生 力場【THE†WORLD】が崩壊します。

――――ファンファンファンファンファン  力場【THE†WORLD】崩壊の影響で四界に修復不可能な世壊震が起動する可能性が高いです。
                    力場保持者は直ちに力場【THE†WORLD】へ想念を送信してください。

「いいじゃん、俺死んだし。世界も死ねばいいよ」

――――パンポロピンピラパンポンピン 想念を受信しました。
                     力場【THE†WORLD】はその全てを以て、【問答無用の概念武装:世壊震】へと変化し保持者と同化します。

「えっ」

――――ダンダラダンダラダンダラダン 【問答無用の概念武装:世壊震】同化完了、実行完了。貴方以外の全ての世界は滅びました。

「なにそれこわい」

――――ピンポンパンポーン error発生 error発生 【問答無用の概念武装:世壊震】の存在意義が消滅しました。
                error発生 error発生 【問答無用の概念武装:世壊震】の存在意義が消滅しました。

「いやなんで俺を消さないまま存在意義がなくなるんだ…? 問答無用はどうした」

――――ジュゲム ジュゲム ゴコウノスリキレ カイジャリスイギョノ スイギョウマツ ウンライマツ フウライマツ クウネルトコロニスムトコロ ヤブラコウジノブラコウジ
                 パイポ パイポ パイポノシューリンガン シューリンガンノグーリンダイ グーリンダイノポンポコピーノ ポンポコナーノ チョウキュウメイノチョウスケ

存在意義保持の為、恒久的に世界を生み出し、永久的に世界を自動壊震し続けます。
概念変化…【問答無益の概念武装:世界再生世壊震】
世界の誕生は世壊震で消えた世界をモデルとして構築します、実行完了。

「なんだそのラスボス」  

――――ポピン♪テレレレーッテテテテレッテーテレッテテテー♪ダン! 存在意義に関するerror発生、存在意義に関するerror発生。
                                 概念変化…【解決不要の概念武装:いきもののサガ】
                                 こちらの存在を認識し、絶滅の意思を持って侵攻する複数個体を確認、消去、消去、消去…
 
「消しまくってるなぁ…」

――――プツン               失敗。失敗。強力な複数個体がこれを突破。ひな――――ぁ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ” 

「あ、バグッたっていうかそいつらに殺されるんじゃないの俺? しがない【転生トラックA男】だよ? いや、ほんとどうしよ…」


※次回予告 【THE†WORLD】と同化した【転生トラックA男】!
      【転生トラックA男】の無責任な発言によって世界は滅びまた再生する!
       そして【転生トラックA男】の前に【勇者パーティ的な何か】が立ちふさがる…!
       
「おまえがっ・・・!
 おまえがっ・・・!
 そうなのかっ・・!」

次回! 【習作】神様になったけど、死んだ【ネタ】
   第02話---【転生トラックA男】と【勇者パーティ的な何か】とLast†Battle

―――今ここに明かされる真実
真実とは時には知らなくていいことがあることを、誰もが、まだ知らない…



[27117] 【転生?】02話---【転生トラックA男】と【勇者パーティ的な何か】とLast†Battle
Name: 典play◆3c72f4f5 ID:d7559a34
Date: 2011/05/28 14:26
 ※この物語は転生トラックテンプレでよく見かける、テンプレの神様が、チート能力をくれて好きな世界に行かせる。という流れを
断っても行かせる、やる気がなくても行かせる、何が何でも問答無用で行かせるのをちょっとどうにかしようとしてこうなりました。

―――以下、事態を全く把握してないラスボス【転生トラックA男】と事態を把握してる主人公【勇者パーティ的な何か】の会話簡易抜粋。



「おまえがっ・・・!
 おまえがっ・・・!
 そうなのかっ・・!」
「よう主人公たちようやくお出ましか」

あぶねぇこいつら物騒な得物持ってるどうしよう。

「なにが主人公だっ・・・!
 お前はそうやって俺たちを 嘲笑ってきたのかっ・・・?
 俺たちを出来の悪い物語に乗せて楽しんでたのかっ・・・!?」

「あっはっはっは!
 きみたちが あがく 姿は
 さいこう だったよ!」

そんなつもりは微塵もなかったが、面白そうなのでノリノリで乗ってみる。
というかどうせ勝てないしいいよね、悪ノリしても。

「ふざけないでっ、何の為にそんなことをっ・・・!」
「げぇむ です」
「げぇむ、だぁ・・・?」
「そう せかい 全部を つかった
 壮大な 物語を ながめる ためですよ 
 おめでとう
 きみたちは 見事に これを かちぬき さいごの しんじつに たどりついた
 いやぁ めでたい」
「ッ・・・・そんなことで済ませられるはずがっ・・・!」
「わたしは 世界を つくります。
 そして はかい します。
 意味なんて ありません。
 それが わたしの 役目。
 でも まいにち まいにち
 同じことを するのって 
 つまらなくないですか?
 つまらないですよね。だから―――」

―――作ったんですよ、真実に気がつく物を
―――真実に気が付き絶望する者を
―――絶望にあらがうために必要なモノを
―――ここまでたどり着くために必要な物と者とモノを

「きみたち は おもしろいように 慌て ふためき
 あらそい いさかい ころしあい めつぼうさせあい、
 とても とても おもしろい ものを みせてくれました。
 すべてを まきこんだ どうらん の れきしを。
 さいこう の ショウ は たのしんで いただけましたか?」

「……俺が、俺たちが、ここにこうして立ってるまでの全ての筋道も、全てお前が・・・」

大丈夫かこいつら?顔が真っ白だ。
最初に自分で言ってたじゃん。知ってたんじゃないのか?
俺はとある古いゲームの台詞をリスペクトしただけで、何が起こってとか、俺がそもそもなにになってるのとか全く知らないよ?
知らないけど、まぁこの反応で大体分かる。
ぁー死にたくないんだけどな―…。

「そう! その とうり!!
 すべて は よていどうり!」
「………………………………」
「おおくの モノたちが 望みを 果たせずに きえていきました。
 限られた 生を いきることしか できない ちりあくたが
 ひっしに あがく その すがたは わたしに
 おおくの かんどうを あたえて くれました。
 わたしは このかんどうを あたえてくれた きみたちに おれいがしたい!
 どんな のぞみでも かなえて あげましょう!」
「…俺は」
「?」
「…俺たちは、ここにたどり着くまで数えきれない絶望を見てきた!
 俺たちはここにたどり着くためにかけがえのない全てを捨ててきた!
 その結果が俺たちを玩具にして楽しんでたっていうのか!
 ふざけるなぁっ…!ふざけんなよっ…!」
「なにが ふまんなのですか?
 せかい(モノ)を つくったのは わたしです
 つくった モノで あそんで なにが わるいのですか?
 ちゃんと げぇむが なりたつように せっていはしましたし
 ここまで これれば どんな ねがいでも かなえるという
 たっせいもくひょう も ようい しています
 さぁ ねがいは なんですか?」
「俺は、俺たちはモノじゃないっ!
 人間だっ! 意思のある、感情のある。
 嬉しいことがあったら笑って、
 許せないことがあったら怒って
 哀しいことがあったら泣いて、
 そうやって楽しく暮らしている
 人間なんだっ・・・!
 ・・・だから俺の願いは―――」
「ききましょう ちりあくたの えいゆう」 
「お前に、
 今までの俺たちの全てが、
 無駄じゃなかったってことを、
 証明してやることだっ・・・!」

言い終わるや否や得物で斬りかかってくる。
うん。
ノリノリでやっといてなんだが、そりゃ怒よね。
俺だったら途中で飛びかかってる。そしてボコボコにするいや殺す。
でもこれで負けたらこいつらかわいそうすぎるな。
喋ったこと全部ウソだし。
いやこいつら【勇者パーティ的な何か】にとっては真実もあるのか。俺は知らないけど、当たってるって感じ?

「そんな こうげきを うけたら しんでしまいます」

ヒョイっと避ける。
さて、最期だ。
せいぜい無様にカッコよく決めよう。ほぼ台詞パクリで。

「――――」

「どうやら わたしに しんでほしい ようですね
 それが ねがいなら しょうがありません
 これも いきもののサガ か‥‥
 よろしい。 かみの ちからの まえに しぬがよい」


※次回予告 【転生トラックA男】と激突する【勇者パーティ的な何か】
      【転生トラックA男】は把握してなかった神パゥワーを超絶的に駆使し【勇者パーティ的な何か】を追い詰めていく…
      だがその時、【勇者パーティ的な何か】は新たな力に覚醒する…!
       
「どうにか勝っちまったか・・・まだ自分が生きてるのが信じられないぜ」

次回! 【習作】神様になったけど、死んだ【ネタ】
   第03話---【勇者パーティ的な何か】と【THE†WORLD】の始まり

―――いやぁ【転生トラックA男】は強敵でしたね
真実は全て霧の中へ、そして新たな創世の神話が今ここに、開闢する…



[27117] 【転生?】03話---【勇者パーティ的な何か】と【THE†WORLD】の始まり
Name: 典play◆3c72f4f5 ID:d7559a34
Date: 2011/05/28 14:38
※この物語は転生トラックテンプレでよく見かける、テンプレの神様が、チート能力をくれて好きな世界に行かせる。という流れを
断っても行かせる、やる気がなくても行かせる、何が何でも問答無用で行かせるのをちょっとどうにかしようとしてこうなりました。

―――以下、激突する【転生トラックA男】と【勇者パーティ的な何か】………………………………の全てが終わった後。俯角描写。




―――かみはバラバラになった

「どうにか勝っちまったか・・・まだ自分が生きてるのが信じられないぜ」
「…………」

レオンの方を見やると、俯いて静かに涙を流していた。
仕方のないことだ。世が世なら平和な片田舎で平和で平凡なでも幸せな生活を送っていたはずのガキなのだから。
やれやれと、ザックは肩を竦めているとリーンがしぼんだような声を上げた

「これから、どうしよっか。この世界も。私達も。
 彼、彼女?を斃したことによってその存在は消滅したけど…」
「――――その力は、残ったまま。」

ユキが補足するように付け加えた言葉に、ザックは忌々しそうに唇を歪め、剃り上がったスキンヘッドをボリボリとかく。
そう、まだ問題は残っている。
世界の再生と破壊を司る創造神の意識体を斃したことで、最早これまでのような悲劇が生まれる事はないだろう。
だが、その意識に解放された力は残ったままだ。
この力をこのまま放置した場合、長い長い時を経て創造神はその力を取り戻す。
そうなれば今迄の全てが無に帰す。
確かな力量と心を持った者。
創造神を斃すために作った物。
認識歴史外に出るために払ったモノ。
その全てに掛った幾星霜を考えれば、ここでその力を放置するのは悪手どころではない。
だが、

「――――この力は万能すぎる」

それが全てだ。
世界の再生と破壊を司る創造神、つまり神のことを再生と破壊程度にしか認識していなかったのが問題だった。

「あぁ、こいつはちょいと近づいただけで分かったよ。こいつがあれば、なんでもできんだろうな。それこそ、なんでも。」
「・・・なんでも、か」
「妙なことは考えるなよ、レオン。なんでもってのは本当になんでもできちまうから、なんでもって言ってるんだ」
「――――そして力の行使には代償がいる」
「それが、役目。永遠の世界の破壊…そして新たな再生ね…。 それを多用してまで、ここまで私達が来て、こうなることも予定通りだったのかしらね・・・」
「なるほど、な。伊達に長くは生きてなかった、っつーことか」
「――――あれは、正気ではなかった」
「間違いなく、正気だったさ。 正気だからこそああなったんだろう。だから、そうならないために、この力は俺達で分けるしかない」
「――――おそらく、一人で全てを取りこめば力に取り込まれる可能性大、四人でもその可能性は非常に高い」
「じゃあ、あれだ、その飲み込まれる前に他の誰かに分けちまうって言うのはどうだ?」
「ザック……。肉を取り分けるのとはわけが違うのよ?」
「つってもよう、今ここで取り込めるのが四人しかいねぇんだからそうする他しょうがねぇだろう。なぁレオン」
「そうだな…。ユキ、なんとかならないか?」
「――――理論的には可能」
「ほらみろ」
「――――でも問題がある」
「何が問題なの?」
「――――・・・・・・それは」
「なんだ? そんなに言いにくいことかよ」
「俺たちと同じ存在を作らなきゃいけないんだろうさ」
「――――ッ!」
「・・・やっぱり、そうなのね」
「おいおい。お前らだけで納得してねーで俺にも分かるように説明してくれよ」
「簡単なことだ、ザック。俺たちは器なんだ。そしてこの力は水。この水は俺たち四っつの器に無理矢理入れることはできる・・・」
「相性のいい部分を見定めて四人で本当にギリギリってところだけどね」
「――――その場合、暴発寸前の力を全力で制御することだけに精神を集中させ続けなくてはならない」
「なるほどねぇ、それで逆に呑まれちまう、か。 となると、おいおいっ、マジかよ・・・」
「………………………」
「それしか手段はないわ」
「――――――――――」
「なんてこった・・・」
「まぁ、それしかねぇっていうんならしょうがねぇ。ここまで成ってもどうにもできねぇことがあるってわけだ
 俺達でギリギリっつーんなら俺たちみてーなのを探しゃあい・・い・・・・・わけ・・・・・」
「………………………」
「フフッ、復活するまでに見つかるかしら」
「おいおいおいおいおいおいっ」
「――――かの存在が復活するまでに見つかる可能性なら十二分にある」
「どれくらいかかりそう?」
「――――10の無限大数乗の無限大数乗の無限大数乗の無限大数乗の無限大数乗の無限大数乗の無限大数乗の無限大数乗の無限大数乗の…」
「もういいわ、ユキ。時間を聞くだけで復活するぐらいの時間がたちそうよ」
「復活するまでに見つかる可能性は?」
「――――99999990%」
「ならいいじゃないか、探そう」
「いやレオンな? 探すっつったって迷子探すわけじぇねぇんだから、それにそんなに時間経ったら俺が俺でなくなっちまうんじゃねーのこれ」
「あら、でもそれだけ時間があればいやがおうにも大人になれるってことでしょ。貴方にはぴったりじゃないの?」
「・・・そうだな。そう、なのかもしれないな」
「おいおい、レオンまで勘弁してくれよ」
「いや、そういうつもりで言ったんじゃなくて・・・。
 俺たちは今まで自分の大切なもののを守るために戦ってきた。
 だけど今度は違う。護る、戦いだ。」
「世界を永遠に護り続ける戦士ね。
 うーん、リーダーのレオンが剣使いだし、これから先、神の力を使っていくことになるんだから
 ――――私達の武器の名前は永遠神剣、それを扱うモノを神剣使いって呼ぶのはどうかしら?」

目をキラキラさせながら、ねぇそうしましょそうでいいわよね、わたしいまいいこといった ドヤァアアアアアといった感じの得意げな顔だ。
確かに、いい言葉だった。なかなかセンスもいい。
だがリーン、すまんが、それは ”どつぼ ”もいいところだ…。


「――――リーンにしてはなかなか洒落てる」
「―プッ、プククククク」
「―ブッッ、ブハヒヒヒ」
「ちょ、ちょっと笑うことないでしょ!」
「だ、だってブハッ、プクククククククク、その言葉ってあのノートに…」
「み、見たの…?」
「我が名はリーンフォース、幼いころから殺し屋をしてたんだけどドジって(笑)死んじゃったんだけどハッピー☆神様が出てきてこういったの♪…」
「ちょっ、やめなさぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!」


※次回予告 それは【神なる聖なる書:新世界の神の書】
      そこに描かれているのは、世界を救い、世界を安定と繁栄に導いた【勇者パーティ的な何か】の話があった。
      そう、その一文はここから始まる!【我が名はリーンフォース、幼いころから殺し屋をしてたんだけど………】

「悪いな、これで話は一端終わりなんだ。」

次回! 第一部完だからタイトル変わるよ!【習作】神様になったけど、死んだ【ネタ】
   第04話---まだ考えてない、あと最期は辻褄合わせのために-The Spirit of Eternity Swordに走ったオリジナルにしきれなくてごめんなさい!

―――俺たちの戦いは、これからだ! 
ご愛読ありがとうございました。典playの第二部(が思いついたら)にご期待下さい。



[27117] 【第二部】上条当麻は上条当麻である、故に上条当麻である【習作】
Name: 典play◆3c72f4f5 ID:81683474
Date: 2011/05/21 04:53
 ※この物語は転生トラックテンプレでよく見かける、テンプレの神様が、チート能力をくれて好きな世界に行かせる。という流れを
断っても行かせる、やる気がなくても行かせる、何が何でも問答無用で行かせるのをちょっとどうにかしようとしてこうなりました。

 ※第二部からは、全然活躍してなかった【転生トラックA男】がバラバラの【欠片】となっていろんな世界に行きます。
ここで重要なのは【転生トラックA男】に自身の色欲物欲金銭欲といった俗物的なことへ基本的に力を使いさせたくない、という点にあります。
転生オリ主チートのキャラを見ていると、どうもその作品の作者が好きな二次的キャラとくっつけてドゥフフゲッヘッヘピーをさせることに固執してるように見えるんですよね・・・。
あぁ、典型的な例がそんなのが多いというだけで、そういう作品が別に悪いとは言いません。好きですよ?私もできるならドゥフフゲッヘッヘピーしたいです。でも書けません。
口から砂糖が出そうなんです。というか自分で書いてて吐きそうになりました。甘い・・・甘すぎる・・・俺が描いてて恥ずかしくて耐えられない。おっと地が出てしまいました。
こほん。えっとつまり、恋愛ものには私向いてませんね。

 話が横にそれました。 
ようするに言いたかったのは、第二部からも典playはまだまだ続きますよー、ということとと、
PVが5千超えしたのに一向に感想が来ないので温めていたネタを出して反応をみたいなーという思惑があります。
とにかくなんでもいいので感想が欲しいのですよ私。

    ―――くだらねーよ削除しろとか
     (どこがですかすいませんが教えてくださいお願いします土下座もできます)

    ―――くそつまらねぇ二度と来んなとか
    (どのへんがだめでしたかお願いです教えてくださいところで焼き土下座の為のプレートはどこでしょう?)

    ―――ねぇねぇ?黙読って知ってる?文章支離滅裂だよ(笑)?声に出して文章読んだらおかしいところ見つかるから一回やってみ(嘲笑)?
    (すいませんちょっとその辺走り回って大きな声で音読してきます)

 そんな感じです。
あぁそうそう、これからの展開に【勇者パーティ的な何か】も【THE†WORLD】ももう登場しません。
絶対必ず登場するのは、最初から出てる【転生トラックA男】のバランバランにされてばら撒き政策された【欠片】です。
これで多重クロストリップが合法的にできるぜ・・・ククク、でも【欠片】は【欠片】としての記憶しか基本持ってないんで、【欠片】の記憶は基本初期状態ですが。
まぁジャンルはそんな感じで多重クロストリップでいいでしょう。
この場合のジャンルの分類が細かく言うと私には分からないのでこの作品のジャンルはここから多重クロストリップです。私が言うんだからたぶん間違いはないです。


 それでは。
長々と二度目の前書きを見てくださった方ありがとうございます。
そしてお待たせしました。
ここから【転生トラックA男】の、いえ【転生トラックA男】の欠片が関わることになったいくつもの物語が始まります。
あ、すいません今回は、出すのはほんの、ほんの序章です。ここまで引っ張っといてなんですが。
それでもよろしければよろしくお願いします。














※次回予告 それは不幸な物語。
      ただそこにあるというだけで、ただそれがそれであるというだけで不幸になったそんな救われない物語。
      ならば、彼はなぜそのようなイカレタ原風景を持つようになったのか。

「―――君が周りの全てを不幸にするなんて言う馬鹿げた幻想を持っているっていうんなら、まずはその幻想をぶち殺してあげるよ」

 
次回! 【習作・第二部】神様だけど無限なんか生温いレベルの可能性の世界にばら撒かれた【ネタ】
   真01話---【上条当麻】は【上条当麻】である。故に、【不幸】である。 

―――彼が、其れに気付いたのは偶然で、だからこそ必然だった
上条当麻は上条当麻であるが故に、昨日今日あった修道女のシスターを救ったわけではない…



[27117] 【原風景】01話----【上条当麻】は【上条当麻】である。故に【不幸】である。 
Name: 典play◆3c72f4f5 ID:81683474
Date: 2011/05/11 17:17
――――【不幸】とはなんだろうか。
【不幸】という言葉で連想すると、老衰で死んでしまった祖父や祖母のことが思い浮かぶだろうか。
いや、それがなにか治療のしようのない病魔だっていいし、避けようの無かった【事故】でも構わない。
と、なると。
人間とは、人間一人ひとりとは。人類の、その、全ての、極々身近にあるもの。
それが、【不幸】と呼ぶものになるのだろうか。
つまりそれは、【不幸】というのものは、【日常】の一部だということになるのだろうか。
信じられないような【幸福】がもたらせられるのと同様に、信じられない【不幸】が起きてしまうのも等しく【日常】なのだということなのだろうか。
それはなぜか? 人生に塵一つも【不幸】である時期がなかったなんて、言える存在は、存在しないからだ。
だから【不幸】なんてものは【日常】の中に埋没したひとつの【欠片】に過ぎない。
全ては、【現実的】に進む。どんな物事であろうとそれは残酷なまでに【現実的】に進むしか道はない。
ただ、或るのは【現実的】なことであるだけなのだ。何を喚こうと叫ぼうと、それは等しく霧散する。





   ――――何度も言ってるじゃないか? なぁ?


それは【現実】なんだよ?【日常】なんだよ?
ただ、それは【現実】という分類に属する、【非常事態】なだけさ。だから何の問題もない。大丈夫さ。これはただの【現実】で【日常】だから。
だからそんなに泣きそうな顔をしないでくれ。








この世には、【不幸】あるいはその対極である【幸福】による【非常事態】はあっても。【非現実的】なことは【存在しない】。
そう、【不幸】も【幸福】も地球に人類と呼ばれるものが誕生してから、いや生命というものが誕生してから連綿と続いてきた、惑星に刻まれた【歴史】なのだ。







―――だから、これは【日常】だ・・・。
【日常】、なんだ・・・。
ただの【非常事態】なだけで。

   ―――【誰だろうと】容赦なく、
   ―――【なんであろうと】構わない、
   ―――【いつだとしても】起こりえる、
   ―――【どこでだって】発生する、
   ―――【どうして?】なんて理由はなんの慰めにもならない。

 そんな、ただの、当たり前に始まって当たり前のように終わる【日常】でしかない。
その【日常】が、例え、家から出て。

    ―――毎日違う道と方法を使って登校せねば、【事故】のせいで登校できなくて、
    ―――その一日が休校になるほどの【事故】がよく発生して、
    ―――その【事故】の話を聞きに来た人が次々【事故】で消えいって、
    ―――家への帰り道が【事故】のせいで非常事態になっていて、
    ―――親の仕事の都合が【事故】で悪くなって、引っ越しを一週間と経たず繰り返す、のだとしても。

・・・それは、【日常】で、しかないんだ。

だからね――――――――――――――――――――――――







 ▼▼▼

 ―――上条当麻の父、上条刀夜は、自分の息子が周囲の人間から【疫病神】と呼ばれる度、そう言い聞かせていた。
上条当麻の【名前】とその【不幸】が知れた土地ではその顔を見られただけで大の大人から子供までに石を投げられ、
逃げるように引っ越した先では、既に”【不幸】が引っ越してきた!”という情報が回り切っていたが、
そんなものは迷信だろうと、最初は友好的に接してくれたそこの住民達の態度は、1か月も経たないうちに、皆、掌を返した。
それは、何処に行っても同じだった。何処に逃げても同じだった。

   ――――石を投げる彼らはこう言う「この疫病神め!」と
   ――――それを遠巻きに見やる彼女らはこう言う「あの疫病神から離れないと【不幸】な【事故】に巻き込まれるわよ!」と

その言葉も、行動も。
決して、上条当麻に対する、子供が言うような悪意のないイタズラではなく。
理由など無く。
原因など無く。
ただ、上条当麻が、上条当麻であったというだけで。
そこにいるだけで。
周囲を巻き込んだ、【不幸】な【事故】が必ず発生するだけ、というだけで。
上条当麻は【不幸】の代名詞となった。
ただ、それだけ。それだけの話・・・。
本当に、ただ、それだけの、オハナシ・・・。






 だから、石を投げられて、傷ついた上条当麻の体の傷は、【不幸】を遠ざける手段で、
心にもない言葉を投げかけられて、傷ついた上条当麻の心の傷は、【不幸】を遠ざける手段だった。
上条当麻を遠ざけるという目的そのものが、手段になって、上条当麻をただ、ただ、傷つけ続けた。
いつ、心が壊れても―――いや、その前に体が壊れても―――おかしくなかった。



 だから、上条当麻がもし仮に孤児であったのならば、その人生はいち早く終焉を迎えていたかもしれない。いや迎えていた。
なにせ、上条当麻はそもそもこの世に生まれる前に、死んでもおかしくなかった、と断言できる程度には、本領である【不幸】の猛威をふるわせていたのだから。
だが、そうはならなかった。
それは、それを必死に押し留める者がいたからだ。
今までも、そしてこれからも、多くの人からの奇異なモノを見るような視線と直接的な暴力から、一番近くで護ってきた二人が常にいたからだ。


     ――――家族だ。



 父・上条刀夜と母・上条詩菜。
上条当麻の両親に当たる人物であり、彼と彼女と、その両親に備わった並はずれたバイタリタリティが無ければ、
上条当麻はこの世に生を受けることすらできなかったというのが、冗談では済まされないほどに、その生誕の瞬間から、上条当麻の【不幸】は猛威をふるっていたのだ。
これはとても大事なことで何度言っても言い足りないぐらい重要なことだ。簡易的に記すとこのような経緯を辿った。

 上条詩菜(旧性無し、名前:シーナ)は出産秒読み前であるのにも関わらず、世界でたった一人愛する上条刀夜と共に、これから生まれる、もう一人の愛する子を無事に出産するため、
銃撃の嵐の中を激しく立ち回り、出産に必要な人員を救出・確保し、斃しても斃しても襲い掛かってくる狼藉者を捌きながら、子供が生まれるまでに掛った8時間を、
狼藉者の全てを殲滅し終えるまで戦いぬき、1つの病院を救い、1つの陰謀を抹殺した。

  ―――そんな上条刀夜と上条詩菜だから、上条当麻によってもたらされたと考えられる【不幸】程度なら、なんとかなってしまう。
だが、それは、上条刀夜と上条詩菜が愛しい我が子である、上条当麻に24時間365日を、比喩ではなく付きっきりで過ごすという前提に成り立つものだ。
上条当麻の【不幸】には一分の隙も許されず。 
上条当麻の【不幸】には一部の隙もなく護らなければならない。
それが、可能か不可能かと聞かれれば、上条刀夜と上条詩菜は、絶対の自身への自信と、我が子を愛する親の絶対の愛を以てこう答えることができる。

「できるにきまってるじゃないか・・・どうしたんだ?当麻。 そんな結果が分かり切ってることを聞いてもしょうがないだろう」
「あら。あらあら、当麻さん的には私達の愛が重すぎるのかしら」

 そして怒る。
このような台詞をまるで、明日の天気はなんだろうかといった気軽な風に応えながらも、上条刀夜と上条詩菜は舌を噛み千切りたいほどに憤怒している。
そう言わせてしまう、自らの至らなさに。
そう思わせてしまう、自らの不甲斐なさに。
だからこそ、いやそういった台詞が幼い愛しき我が子から出るようになる前に、その【不幸】があり得ないと断じつつもそこまでは割り切れず、
だからといって決して諦めるわけにはいかないが為に、上条刀夜と上条詩菜はすぐさま行動を開始した。
そしてその1つのポスターに書かれた、説明文が、その【不幸】を【学園都市】へと導くことになる。












  ――――東京西部に位置する完全独立教育研究機関。
東京都のほか神奈川県・埼玉県・山梨県に跨る円形の都市。
あらゆる教育機関・研究機関の集合体であり、必要な生産・商業施設や各種インフラも都市内に完備されている自己完結した都市。

     ―――  【学園都市】 ―――

最先端の科学技術が研究・運用されており、都市の内外では数十年以上の技術格差が存在し、
さらに科学として超能力研究を行い、脳を開発することで超能力者を作り出している。














 以前からその話題事態は知悉していた上条刀夜は、いよいよ以てそんな現実的ではない【非現実】に頼らねばらなぬ程、疲弊していた。
なぜならば、上条刀夜は上条詩菜と共に、我が愛しき息子上条当麻が生まれてから数カ月と絶たないうちに我が子の異常に気が付き、解決の手段を模索するためなんでもやった。
その中での、上条夫妻の働きっぷりは、上条当麻生誕の時と比べると、3倍厳しい初期状況で、10倍もの敵を斃さねばならなかった程度の難易度であったが、結果は実らなかった。
似たような状況をいくつも潜り抜け、20日が経過した頃、上条夫妻は唐突にその我が愛しき息子が上条当麻であるからこそ【不幸】であるということについて疑念を抱いた。
そして、辿りついた場所が【学園都市】。

 上条刀夜は上条詩菜と共に第六感とでも称すべきであろう直観に従って、すぐさまこの地への侵入を試みた。
所詮は、日本の一都市。なんてことはないだろうと、気を抜かずに、しかし完成された準備と絶対の自信を持って学園都市の情報を軽々と入手し、
あとは帰ってコーヒーでも飲みながらゆっくり情報を吟味する。それが、上条夫妻の【学園都市】への潜入ミッションの、始まりと終わりの予定だった。
だが、其れは、初期の初期の段階で、あえなく失敗する。


   ―――――あり得なかった。


 だが、『ありえないなんてことは、ありえないんだよ』というまだ上条刀夜も上条詩菜も未熟だった頃に、優しく語りかけてくれた恩師の身に染みる言葉が、バブロフの犬のように染み入っていたことが、
使う予定の無かった、過去、日本各所にあくまでも念の為の装備として用意していたものを全て使い切ったとしても、あやうく・・・といった状況を逃走可能なものへと導いた。
・・・敗北。あまりにもあっけない、それは敗北だった。だが上条夫妻は止まらない。
事態は拙速を要しているように感じる。
今も、第六感とでも言うべき直感が、学園都市の中を示している。
だがこれほどの広大な、学園都市の中であるということしか第六感が反応しない。
だからこそ、妙に思った上条夫妻は、このような結果的には永遠にこの世から消え去ってしまっても不思議ではなかった程度の学園都市への潜入を試みたのだ。
そして、出会ってしまった。
いや、【不幸】な【事故】で出遭ってしまった、というべきか。
侵入した上条夫妻を迎撃した【白い子供】・・・恐らくはあれが、あれこそが【学園都市】。

・・・この時、上条刀夜と上条詩菜は知りようもなかったが、【白い子供】とは、上条夫妻の我が愛しき息子【上条当麻】が、その成長した未来で対峙することになる【学園都市最強】。
未だ、その能力の全貌を掌握し、【学園都市最強】と呼ばれるようになるまでには経験が圧倒的に足りていなかったのだとしても、その恐るべき能力を発する彼の行動を、
一目見ただけで、最早第六感と称されるべき直感で回避し、戦闘に入った。一方的な、余りにも【一方通行】な戦闘を。
もしも、仮に、があるのだとしたら。
上条夫妻が、もし、バブロフの犬の如き反射で立ち回らなければそこに生存はなかっただろう。
そして、【白い子供】が、もし、一回でも対人間との戦闘を経験していれば、【白い子供】の勝利と、血ぬられた死で幕を閉じていたに違いない。
どちらか一つが欠けていただけで、その結末は変わっていたのだ。


 だからこそ、上条刀夜と上条詩菜は【学園都市】への侵入は不可能と判断する。
【学園都市】が【学園都市】とよばれるものの、その最先端と対峙したことで生き延びたことは、上条夫妻に【学園都市】が太刀打ち出来ないもの、として「参った。参った。世界は広い・・・」とあっさり見限った。
こうして【学園都市】への侵入をあっさりと諦めた上条夫妻だが、だからといって【学園都市】に入ること自体は諦めてなかった。
【違法(イリーガル)的】な手段は不可能だ。ならどうするか。簡単簡単、その反対だ。【合法(リーガル)的】な手段を取ればいい。
多少時間はかかってしまうだろうが、上条夫妻にはもはやこれしか残されていなかった。そして、最早第六感と称されるべき直感は、それが正しいと判断していた。
そして上条夫妻は驚愕する。
【学園都市】その一種、異様でありながら、余りにも世界が違う、世界を感じて。






  ――――大覇星祭。
それは【学園都市】すべてを使って開催する、年に一度行われる超能力をフルに使った運動会だ。
この日、この時のみ、【学園都市】は一般にも開放され、最先端技術の機密の部分まで見ることはかなわないが、その一端に触れることができる。
そして、最初に上条夫妻がとった行動は、この【学園都市】の価値観を調べることだった。なんといってもこれが一番重要だ。
異国の地では、知らなかったでは済まされない、そして殺されても文句は言えないような、その土地独特の価値観というものが存在する。
 ここは、所詮、日本の一都市。
その認識を一夜にして塗り替えられた上条夫妻は、誰もが飛び着くような見世物用ために用意された最先端の機械や超能力を使った迫力の運動会には目も暮れず、
そういうことをしっかりと説明できる【大人】を探し求めた。
【白い子供】のような存在がいくらいても不思議ではない場所なのだ、その程度の能力行使で興奮する二人でもないし、買って帰れない玩具を触っても仕方がない。
なによりも、常に一緒にいる愛しい我が子上条当麻の【不幸】によって何が起こるのか分かったものではない。

 ―――そして上条夫妻は【彼女】を見つけた。
その小さくて可愛い女の子は「私ならその辺のひとよりも、この都市について詳しいのですよー。あでもでも話せる範囲なので・・・あ、ご入学を考えてるんですか、わ。かわいいのですよー」
月詠小萌と名乗ったその【彼女】は冗談のようにこの都市に対しての知識が豊富にあり、上条夫妻が多少突っ込んだことを聞いても、其れが全ては愛しき息子の入学の為だという愛の姿勢を真摯に見せることで
「わ。わ、わ、わ。そ、その、まってくださいのです、ちょ、ちょーっとわたしにはそこを話してもいい部分なのかわかりませんのですので、え。息子さんの為? え・・・あ・・・、はい!信じますのですよ!」
そういうことならじゃんじゃん聞いてくださいのです、という頼もしい言葉にそれからも満足のいく、そしてとても実りのある一日を過ごすことに成功した上条夫妻は【彼女】にいつか必ずお礼はする旨と、
教師になりたいという夢を持つその年で既に好ましい精神性を持つ【彼女】が、いつか息子を担任にできるくらいになっていて下さいね、と本気で約束し合い、別れた。それが、永遠の別れにならなかったのは本当に、幸いだったと言える・・・。



 ―――そして、上条刀夜と上条詩菜は我が愛しき息子上条当麻を、本気で【学園都市】に送り込むための準備に入ることになる。
さて、ここで問題なのは、上条刀夜と上条詩菜が【彼女】、月詠小萌という可憐な処女から「あら。あらあら、刀夜さん的にはああいう子が好みなのかしら。ふふふっ」もとい少女から、
入手できた情報が、上条当麻という【不幸】を解決してくれるに足る場所であると判断したからである。


 まずは、上条刀夜と上条詩菜が聞いたのはこの【学園都市】の価値観だ。
そしてそれは、とても信じられないような既存にはない驚くべき価値観であった。
月詠小萌に出会い、その話を聞かされるまでは、生徒や教師の自然と口にする【中】と【外】という、【学園都市】と【それ以外のもの】という意味での代名詞、といった当たり障りのない情報ばかりであった。
価値観は?と聞いても首をかしげられる。 では、どんなことが当たり前としてこの【学園都市】では当たり前となっているのか。と聞いてもいまいちピンとこないようで明確な答えを得ることはできなかった。
だが、【彼女】、月詠小萌、彼女の言葉は含蓄と説得に満ち溢れたものであった。


  ――――曰く、この都市に住んでいる学生は幼等学校時代から【全ての事象、全ての結果、全ての現象は【科学】で論理的に解明することができる】と
         生徒一人一人の全てに【常識】として認識してもらうための方針で教育を行っていること


 上条夫妻はその言葉を聞いた途端、雷を打たれたかのように直立し、【彼女】、月詠小萌へ深い感謝を捧げた。
その言葉だけで、その声だけで上条夫妻には理解できたのだ。ここ【学園都市】が我が愛しき息子上条当麻の【不幸】に対処するのにどれほど適切な場所であるのかを


  ――――【学園都市】を住処にする人々は、【子供から老人】まで【科学】が世界を便利に覆っていることが世界の真理であるかのような態度で、
      【科学】という一神教を信じて疑うことを知らないのだ。


 大人が子供に教える、教育方針。それすなわち、教えている側もその教育方針に内在する価値観に縛られている、ということがこれほど愉快な出来事だと感じたのはいつ以来だろうか。
聞くところによるその余りの【科学】への傾倒ぶりにはさすがの上条刀夜も気を呑まれてしまうほどで、横で嬉しそうにニコニコと笑いながら我が愛しき息子上条当麻になにやら話しかけている上条詩菜と顔を見合わせ破顔。
【学園都市】がどういうものであるのかということを理解した上条刀夜はもう一つ重要なことを聞かねばならない。
そうして、上条刀夜は緩んだ精神に活を入れなおし、口を開いたその瞬間




           【不幸】は【彼女】、月 詠  小         萌、を―――――――――――――――――――――――








































 彼は、自分のことを【冥土返し(ヘブンズキャンセラー)】と名乗った。
信じがたいことに、非常に信じがたいことに、彼は、そんな、ばかな、ありえない、あぁっ・・・彼女はっ・・・。
「私は医者だよ」そう言った。「傷ついた人を助けるのが医者の仕事だ。・・・そろそろ、落ち着きましたか?」
力なく項垂れながらも、ただ首をコクリと動かすのも辛いといった動作で緩慢に了解の意を示す。
「なるほど。ご夫妻は、外から来られたんですか。・・・さぞ、驚かれたでしょう」コーヒーを手渡される。
もはや頷く気力もない。なんてことだろう、一瞬の気の緩みが、あんな、あんな・・・
「だけどご安心を。私がいる限り、息さえあればすぐに元気に走り回れるようになりますよ」
だが・・・あれでは、もう・・・「いいえ」一息「貴方がたご夫妻の適切な処置と、初めてにもかかわらず迷わずにここまで駆けつけることが出来たのは、【彼女】にとっても貴方がたご夫妻にとっても、【幸運】でした」
【幸運】ですか・・は、は、は。「息子さんのことですが」はい「奥様からお話は伺いました、ご入学を考え、下調べに来ていて彼女に会いそして――――」沈黙。
彼女は、本当に治るんでしょうか・・・「えぇ。といっても、殆ど貴方がたご夫妻の御蔭ですがね」そうだとしてもあの傷ではっ・・・「それが、できるんですよ」しかしっ・・・!



    ――――静寂。


・・・すみません、お見苦しいところを「いえいえ、【外】からきなさったのですから当然の反応です」それで、その・・・「そうですね」一息
「こういうのは、実際に見て、感じて、触った方が早いでしょう」は・・・?「一晩、ここへ泊っていってください、それで全てが分かります」しかし許可は今日しか・・・「問題ありません」
ないのですか「えぇ。こういう時、貴方はここで帰ってしまわれれば、例え彼女が生きていて元気に走り回れるようになったとしてもその姿を確認しなければ後悔し続けるでしょう」そんな理由では・・・
「そんな理由、だからこそです」と申しますと「心を治すのも、傷を治して元気に走り回れるようになるまでにするのも、私の、医者の仕事です。刀夜さん、貴方は私から仕事を取り上げてしまう気ですかな?」
それは・・ははっ、これは、一本とられました「えぇ、貴方は大分落ち着いてきたようだ。さ、すっかりさめてしまいましたがコーヒーでも飲みましょう」はい・・・。































 ―――そして
 



【不幸】は相変わらず続いた。
それでも、【学園都市】がたとえ今にも消えそうな希望のひと【欠片】だとしても、たとえその光が偽物だったとしても上条刀夜と上条詩菜は後悔しない。
少なくとも【学園都市】は安全だと考えられる。
なぜならば、未だに続く、陰湿な【イジメ】の【原因】となる【思想】が【学園都市】には【存在しない】のだ。これが理由の一つである。
いや、殆ど決め手のようなものの1つだった。
実際、いつも道理、【不幸】な【事故】が起こっても、【学園都市の彼ら】は【科学的】にしか物事を量ろうとしない。
そして、【外】より発達した【中】の技術は【不幸】な【事故】で非常事態が起きてしたとしても【息をしてなくても絶対に治せる医者】が存在したのだ。
 

 そう、その界隈で、【冥土返し(ヘブンズキャンセラー)】の異名で半ば伝説化している医者に、まるで上条当麻の【不幸】と引きあうかのように、【冥土返し(ヘブンズキャンセラー)】は奇跡的に登場した。
そして、【幸運な】ことに【冥土返し(ヘブンズキャンセラー)】に強力なコネを作ることに成功したのである。
【冥土返し(ヘブンズキャンセラー)】は真剣に上条刀夜と上条詩菜の話を聞いてくれた。
全ての話を聞き終わった後、暫く考え込むように【冥土返し(ヘブンズキャンセラー)】は目を瞑り、唐突にどこかに電話を掛け、
話終わると、今すぐにでも【学園都市】が上条当麻のカウンセリングとその上条当麻が上条当麻であることによる事象への科学的検証及びそのフォローとここでの生活をしてもらえる準備がある旨を告げた。

上条夫妻はとんとんとんと余りにも【幸運的に】事態の解決口が見つかりそうなことに今迄の人生で最大の喜びを表した。
そして、 愛しき我が息子である、上条当麻が後5日で学園都市に入学するところまで迫った時、ようやく、学園都市に入学させる準備が確実に整った旨を【冥土返し(ヘブンズキャンセラー)】に伝えることができた。
・・・この流れだけを見ると上条夫妻がここまでたどり着くのにそんなにかかっていないように見えると思われるが、そんなことはない。
上条刀夜と上条詩菜から上条当麻が生まれ、すぐに【不幸】な【事故】の【全ての責任】が愛しき息子に降りかかったその瞬間から、残りの問題をどうにかするために動き出していたからである。


それは、上条当麻が幼稚園を卒園するまでにかかった程度の時間。
つまり、約5年かかった。
だが、あと、上条夫妻と、上条当麻には何が必要だったというのだろうか?



          ――――学費だ。




 よってそれ以降、五年間、上条夫妻は、我が愛しき息子を護ることと学費を調達することにかかりきりになってしまうことになった。
というか【学園都市】の【白い子供】からなんとか逃げ去る際に、今まで大事に取っておいた、緊急事態にすぐ金銭に変換できる金銀宝石の類が、装備と共に全て消し飛んでしまったため碌な貯蓄が残ってなかった。
普段の上条夫妻なら、ここで金銀宝石がなければ、更にその予備として控えている不動産を売りに出すところなのだが――――売れたと仮定すると教科書でしか見ないような、
それが現実的にあったとして、一般人が使うことをためらってしまうほどの――――恐ろしいほどの高額になるのだが。上条夫妻はその案を跳ねのけ、こう判断した。



       ――――本業で稼いだ方が早い。



 上条刀夜と上条詩菜がどんな職業に就いているのかは、ここで明かすべき話ではないし、ここで話すような内容でもないので割愛するが、要するに【そういう】仕事である。
つまり、堅実に、確実に進む上条夫妻の判断は今回はこのように拙速を選んだということになる。
それを、軽々に過ぎる判断だと、誰が、嗤うだろうか。
それを、余りにも過保護な判断だと、誰が、哂うだろうか。
上条夫妻が、我が愛しき子を思う気持ちが本物であることは疑いようのないことであり、そのために努力を惜しまず全力を尽くすという姿は、ただ、ただ、尊いものではないだろうか。







 そして、もうすぐ、あともうすぐ・・・上条当麻が、幼稚園を卒園、という時まで時は流れる・・・。
あと、【学園都市】に入学するまで、5日となったその日。上条刀夜と上条詩菜は電話の前で座り込みそわそわと、落ち着かない態度で人を待っていた。
その、人が、電話のベルを鳴らすのを。


        そして――――


         「―――あぁ、まぁ君に見せてあげるよ」    「幻想を」
 「君が幻想と思ってる幻想を」            「幻想ってさ、日本だからこそ言える言葉だね、だから僕は日本が好きなんだ」
              「その土地独特からくる風習なんか痺れちゃうね、現代の幻想郷だよ、日本ってところは」 
 「その日本に住んでる君が幻想を否定しているってのはなんともおかしな話だ」                「君はありもしない幻想にとらわれてる」 
                             「ははっ、聞けば聞くほど洒落た話だ、現代の幻想郷、日本に住んでる君がそんなことをいうなんて傑作だよ」



  「――――なら、あんたなら」
             「俺が囚われてる幻想を、解き放ってくれるのかよ・・・!」


                         「君は」
  「誰に口をきいてるのか分かってないねぇ」 「いいね、若い、いやまだまだガキだが見込みがある、気迫もいい」   「ははっ」
      「それじゃあさ、坊主、勝負と行こう」             「現代の幻想郷を、理解するための、そして」
   「折角の馬鹿弟子がここまで頼むんだ」     「坊主、君は実に――――」
    



                 「【運】がいい」





  「あぁ、刀夜、それにシーナも」       「いい息子だ」       「ちっ、親ばかどもが・・・」
      「わかってる、わかってる委細、全て承知したさ」   「だから」 「だからこそ完全無欠に努めて見せるさ」
                            「俺は」






  「―――君が周りの全てを不幸にするなんて言う馬鹿げた幻想に囚われてるっていうんなら」
                                                 「まずは、その幻想を」














                         「ぶち殺してやる」


















―――そして、長い長いプロローグは終わりを迎え、舞台は【学園都市】へと移る。
登場人物は【上条当麻】、【上条刀夜と上条詩菜の恩師】、そして【欠片】――――

           科学と奇跡が交差する時、物語は始まる――――――――――――









※今回は次回予告する体力がありません。
すみませぬ・・・すむませぬ・・・、次回は時間が出来たら書いて、投稿しようと思います。ええこれ書くの目茶目茶時間かかったんで
書きだめしてからの方がいいかなぁ(これを書くのに二日つぶれました



[27117] 【原風景】02話----上条当麻はいかにして【不幸】を握りしめたか・前
Name: 典play◆3c72f4f5 ID:81683474
Date: 2011/05/28 15:13
    
   零  
  
  ――――【上条当麻】の定義。
 それは、なんてことはない数式のように、それこそ1+1=2であることが必然であるように定義が可能な事柄である。
 しかし、それを説明する為に、【上条当麻】という存在を知悉していない諸兄の為に、【上条当麻】がその未来の成長した姿において、どのような行動を起こし、
 どのような結果を残したのかを説明しよう。実に簡潔で、単純だ。

  ――――【上条当麻】とは世界を救った【英雄】である。
 昨日今日知り合った、世界大戦の引き金になりかねない機密レベルの【修道服のシスター】の境遇を救うために全力を尽くした。
 10分ほどしか出遭っていない、【巫女服の少女】を右腕を斬り落とされながらも全力で助けた。
 難癖しかつけられたことのない、【自分より遥かに格上の年下の少女】を、【白い子供】が成長した【学園都市最強】と死闘を繰り広げ、これを下すことによって、助けた。 
 敬愛してやまない【上条刀夜】を救うことが出来なかった。助けてくれたのは【上条当麻】の悪友【土御門元春】だった。合理的な格闘術を我流で探し求めた。
 敵意を向けられて攻撃された上に、救い続けることを誓った【修道服のシスター】を奪われたのにもかかわらず、その男、【闇咲 逢魔】の事情を一聞きして全てを許し、ともに【闇咲 逢魔】のヒロインを助けに行った。
 この頃になると【上条当麻】は世界中に強いコネが出来ていた。このままいけば【世界】を相手にしても渡り合える存在と成ると危惧されるほどに。故に暗殺者に狙われたが、これを撃破した。
 【学園都市の深部】、その真実の恐ろしい一端との邂逅を受け入れ、更に、自らの八当たりを晴らすために世界大戦を目論んだ【シェリー・クロムウェル】と死闘を繰り広げ、これを撃破した。
 あって間もない【修道服の尼さん】を救うためだけに、【一個師団の少女の軍隊】の中へ単身突撃、今までの事件で出会った仲間たちの力を借り、それを成功させた。
 事情を何も聞かずに、【座標移動能力】によって空間自体が歪み始めた不安定な空間へ単身突撃し、これを正常化。はじめましての少女と必ず果たす約束を当たり前のように行った。
 【学園都市】が一番賑わう【大覇星祭】。突き立てるだけで全世界の支配が可能な特殊な十字架の運搬を阻止するため、久しぶりの両親との再会を優先事項から外してまで、【学園都市内部】を駆けまわった。
 旅行で北イタリア。【修道服の尼さん】を救う時に撃破した【一個師団の少女の軍隊】が緊急事態であることに気が付くと、その場に偶然そろっていた仲間の力を借りてこれを救出した。
 9/30.それは世界第三次大戦の序章だった。今までの全ては前座であり、本当の戦いはここから始まった。


 ――――これ以上語る必要はないだろう。
 これ以上なく、【上条当麻】が【英雄】である事に疑いようがないはずだ。
 詳細がもっと知りたい人は、【上条当麻】の歴史が描かれた【とある魔術のインデックス】を読むといいだろう。
 そうすれば分かるだろう。
  ――――【上条当麻】とは世界を救った【英雄】の【一人】であることが。
 ”世界を救った”ということがどういうことであるのかを。
 【上条当麻】がいかなる【英雄】であったのかを、ここでこのような前座の前座を眺めているよりかは、嫌というほど理解できるだろう。
 だけど、それを読んで疑問に思って欲しいことがある。
 なぜだ?
 なぜ、上条当麻は、自ら、そんな行動を取ることができる?
 頭が狂ってる? 体の構造がおかしい? 人間じゃない? それともそれとも君たちはこう言う言葉で片付けてしまうだろうか?



                 【主人公である】



 【上条当麻】は【主人公】であるが故に、物語を動かす1つの役割をするためにそのように動いている。
 とメタファー的なことを言って、思考を放棄してしまわないだろうか?
 いや、もしかしたらこう言うかもしれないね。【歴史書】もこう言ってる。


            【神ならぬ身にて天上の意思に辿り着いたもの】


 そう思った君。君は、恐らく正解している。
 一部の隙もなく説明し終えているからね、この一文はその全てを表しているといってもいい。
 分からないそこの君は、これから始まる、【上条当麻】の物語を全て読み終わる頃には一分の隙もなく理解していることだろう。
 そう、まずは【上条刀夜と上条詩菜の恩師】が入学の四日前に【上条家】を訪れ、【上条当麻】を連れて、学園都市のバスへ乗り込んだところから始まる――

 







  1

  ――――ニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤ。
 その男はずっとそんな調子だった。終始、上の空ながら楽しそうにしている。何がそんなに楽しいのだろうか。【上条当麻】には理解できない。
 だけど、そんなわけのわからない男が、これから始まる【学園都市】での、ほぼ卒業まで同居が決まっている相手だった。
 正直、気味が悪かった。
 そして、なによりも気持ち悪かった。
 この男は、【上条当麻】の顔を見た瞬間からこうなって、そしてそれが止まらなくなって、もう最初にどんな顔をしていたのか忘れてしまうほどに、その男の印象は変わってしまった。
 名前は――――なんといったか、そういえば、教えてもらっていなかった。
 いや、聞きたくない。例えこれから一緒に暮らしていくことが長い付き合いになるであろう人間であっても、こんな妙な人間の名前は聞きたくもなかった。
 どうせ、そのニヤニヤとした顔の下に見え隠れする表情は、いままで【上条当麻】を排斥してきた連中と同じ思考で満たされているのだ。
 【上条当麻】はそのことに深く安堵すると、無視することに決めた。
 一緒に暮らすのはいい。父さんと母さんが信頼して【上条当麻】を預けるような人間だ、ならせいぜい護ってもらおうじゃないか。だからと言ってお礼を言うつもりも起きないが。
 そう結論付けると、そのニヤニヤとした顔から、視線を離して窓の外を見る。

   ――――あれが。
 
 ゴクリ、と息をのむ。
 あれが、父さんと母さんが言っていた、【上条当麻】の【不幸】を治すことができるかもしれないという【学園都市】―――――













         一

       ・・・さて、【歴史】を知悉している方々には、もうこの時点で例えようのないズレ、を認識していないだろうか。
       こいつは、本当に、あの【上条当麻なの】か?その一点。
       そんな感じを受けただろうか。
       だが、ちょっと待って欲しい。
       こんな調子の【上条当麻】に少しでも疑問を持った人がいるなら
       【歴史ログ】:真01話---【上条当麻】は【上条当麻】である。故に【不幸】である。 を見直してほしい。
       【上条当麻】は未だに人間としてまともな分類に入る思考の流れを辿っていないだろうか?
       さて、ここまで読めば、この物語が【歴史】の中でどういう働きをしたかは分かったであろうと思う。 
       これは、成長の物語だ。いや、変化の物語だ。【主人公】が【主人公】たるに至るまでの【変遷】の物語だ。
       人間的成長なんてものはこの世に存在しないのだ。 人は何処まで行っても人である。成長するのは身長か胸か尻のでかさぐらいだ。
       だから、【上条当麻】が【主人公】をする、ということがどういうものの上に成り立っているのか、それを一緒に考えていただければ、幸いである。







  2

 「――――は?」  
 今、この男は何と言った?なんといった?ナントイッタ?
 男は、なんだ、きこえてねぇのか?と呟くと、道の真ん中までわざわざ行くと大きな声でこう叫んだ

 「【上条当麻】ちゃんの両親! 【上条刀夜】と【上条詩菜】は人間として最高のクソ野郎で―す!」

 楽しそうだ。楽しそうだ。楽しそうだ。楽しそうだ。楽しそうだ。楽しそうだ。楽しそうだ。楽しそうだ。タノシソウダ。
 ――――ニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤ。


      コ イツ     ハ    ナ      ニ ヲ      イ ッ        テ イ       ル?
  
      ナ ニ      ヲ ワ       ラ ッ      テ イ     ル?    


 それが、その男性と女性が【上条当麻】にとって、いかにかけがえのないものだと知った上で? こんなことを? なぜ?
 なぜ? なぜ。なぜ。なぜか。それはなぜか?決まっている決まっている、決まっている。決まっている決まっている決まっている決まっている決まっている決まっている決まっている決まっている。
 


   ――――【不 幸     】が 男               を――――――――――――――――――――――ヒョイッ



  あぁ、そういうこと?  避けた。助けた。皆無事だった。あっけなかった。
 へぇーほぉーふぅーん?ふんふん。なるほどなるほど、さっぱりわからんがわかった。【現代の幻想】ってやっぱお前のことだったな。   
 うんうん、よーし次はなお前の両親がガキ産んだらよ、絶対【こうなってる】っておもったからずぅぅぅぅぅうううううーーーーっと考えてた文句が山のようにあるんだよっ!
 聞きたいか?そうかそうか最後まで余すことなく完全無欠に聞きたいってか?分かってる分かってるみなまで言うなお前の心は理解した人間のクズ。いやクズの人間?どっちでも同じか?ヒャハハッ
 さぁさぁよってらっしゃい見てらっしゃ――――【不 幸     】がヒョイッいみてらっしゃ――――【不 幸     】がヒョイヒョイッいこれから始まるの――――【不 幸     】がヒョイッ
 どれだけ面白――――【不 幸     】がヒョイッいのかしらな――――【不 幸     】がヒョイッんて問題ない、さぁさ――――【不 幸     】がヒョイッぁ見てく――――【不 幸     】がヒョイッ
 だ――――【不 幸     】がヒョイッさいここにお――――【不 幸     】がヒョイッわすわ【上――――【不 幸     】がヒョイッ条当――――【不 幸     】がヒョイッ麻】なん――――【不 幸     】がヒョイッと
 こ――――【不 幸     】がヒョイッのガキの両――――【不 幸     】がヒョイッ親は人――――【不 幸     】がヒョイッ間――――【不 幸     】がヒョイッとして最――――【不 幸     】がヒョイッ高のク――――【不 幸     】がヒョイッ
 ソ――――【不 幸     】がヒョイッ野――――【不 幸     】がヒョイッ郎――――【不 幸     】がヒョイッなんですよ?それはね―――――【不 幸     】がヒョイッヒョイッヒョイッヒョイッヒョイッヒョイッヒョイッヒョイッヒョイッヒョイッヒョイッヒョイッヒョイッヒョイッヒョイッヒョイッヒョイッヒョイッヒョイッヒョイッヒョイッヒョイッヒョイッヒョイッヒョイッヒョイッヒョイッ

  ――――さすがにもう無理だな。
 そもそもまともに喋れねェ。うーんこれ以上なくよく分かったわ。行くぞ【上条当麻】。サーカスの時間は終了だ。
 ほらてめぇらもしっしっ、見世物の時間は終わりなんだよこれ以上見ようっつーんなら払うもんもん払ってから・・・なに払うだって?よーし500万から貰おうか一芸でそれだ。
 そして払えなきゃあ、2度と見せてやらねぇ。 ミコトじょうちゃんとやら――――










[27117] 【原風景】02話----上条当麻はいかにして【不幸】を握りしめたか・後
Name: 典play◆3c72f4f5 ID:fc2f219c
Date: 2011/05/28 15:39
    零
 
   文言とは力ある言葉なり
 力ある言葉とは、人が生まれし時すでに用意されたしものなり
 用意されたものを使う人間とは、身づからい出たものを使うことなく一生を終えるものなり
 なれば、人という器に満ち満ちるもの足るは、全て其、借り物であるや
 其はオリジナルに依らず、身づからの言の覇に依って、世界を変革せしめし者なり
 ………なれば、彼の者――――――――



     1


   質量とは、1gであっても、その全てをエネルギーに変換することができれば大量のエネルギーとなるそうだ。
  1g=100000000000000000J?まぁなんでもいい。そんだけどでかいってことだ。それだけ分かれば十分だろう
  【重要なのはそこじゃない】
  その糞バカでかいエネルギーが1g当たりにあるとして、だ。
  ――――その逆の発想だ。

  【不幸】というエネルギーが逆に質量化した場合はどうなるんだ?
 いちいち計算しないでも分かるから省略するが、それは莫大な【不幸】というエネルギーになるんじゃあないか?
 右手1つだって、結構な重量だろう?1gがどれだけあれば?てめぇの右手になる?
 加えてそのエネルギーは人間の肉という質量に肉質化したことで消費されることなく【上条当麻】の成長と共に増大することは確定事項だっつーんだから。
 人間が生きていく上で必ず起こる、ありがたーい新陳代謝のおかげで、消費された【不幸】は【垢】となって腐り新しい【不幸】が次々と誕生する。
 つまりお前は生きる【不幸】量産型【不幸】だっつーこったなぁ。
 【あぁ?なんで科学的根拠もないのにそんな事が言いきれるのかって?】
 根拠もくそもねぇよ。
 【重要なのはそこじゃない】
 仕組みなんかわかりゃあしねぇよ。ただ、【そうなんじゃねぇのかなぁ?】と思ったのさ。
 【科学なんてものでも未だ解明できてないてめぇのその右手に相応しい見解だとは思わねぇか?】
 【俺はあながち間違ってるとも思えないけどねぇ?】

  「・・・ぁ、ぁ”ぁ”あ”・・・」

 おいおいどうしたぁ?そんな瘧のように全身震わしちまって。
 さっきまで俺に威勢良く吠えてたかわゆいかわゆい【上条当麻】きゅんはどーこいったぁ?


  「――――――――――――――――――――――――――――――!」

  はいすと―ップ。躊躇なく手首切り落としにかかる、か・・・。
 へぇぇえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ?ヒュー、いかすねぇ?
 ふぅんふんんほぉおおおおおおおん? まぁ?別に俺としてはおめぇが生きようが死のうが知ったこっちゃねぇんだが?
 【お前の両親にお前を護るよう言われてっからなぁ】 

  「―――――――――――――――――――――――――――!!!!!!!!!!」

  おやおや今度はピクリとも動かなくなったと思ったらぐしゃぐしゃに顔を歪めて泣き始めやがった。
 んー?まぁ【お前が考えそうなことは大体分かるから止めやしないがね】 【具体的にいわねぇだけでも慈悲があるだろう?】
 って、おい!
 ……………………………。
 ・…………・。
 ・……。
 


  ・・・・・・・・・。
 フン。飛び出すくれぇの根性は残ってたか。
 さて、【ここからはどうなろうが俺は知ったこっちゃねぇ】 【契約外だからな】
 【上条当麻が庇護下にその意思でとどまる場合のみ、これを護るものとする】 【迷子のガキを逐一構ってられねぇからな】
 【怨むなよ、上条刀夜、シーナ】      【あいつがここで終わるようなら】



 【てめぇらが大事に大事に育てた、アレの可能性は】       
                         

                             【幻想でしかなかっと俺が断じる】






























 

 ――――本当にそれでいいの?おにぃーさん?【姉妹兄弟(ブラザーズズ)か。何の用だ?】やだなぁやだなぁこまっちゃうなぁ、僕たち(私たち)の為の戦場と言って連れてきたのはおにーさんじゃないかぁ
 【なんだぁ?欲求不満が抑えきれなくなってきたのか?】分かってるのにイジワルしないでよぉそれに【ココ】は相手が事足りないってゾクゾクするようなことを言ったのもおにーさんだよ?発言には責任を取ってくれないとぉ
 殺すよ?【はっはっはっは。そうかそうか。ふーむ?】それに女郎蜘蛛(マーダーホリック)もそろそろ限界みたいでぇ、私達が殺されそうで濡れちゃいそうなのぉ。でもでもそうするとお楽しみが減ってつまらないじゃない…
 【ククククククククク、そうかそうか、ククククククククク】まーたニヤニヤしてるや。おにーさんは私達より頭が犯シイからしょうがないわよ。【お楽しみが減るのは逝け亡ぇなぁ、よし。偶憎崇拝(ドクトル)を呼べ、仕掛けるぞ】
 ありゃ、本気でやるんだ【ガス抜きだガス抜き、敵度のガスを諏訪ねぇと狂っちまうんだからしょうがねぇ】じゃあまたやるのね!【あぁ―――――――】
 楽しい【愉しい】。逝偽【の未過】多コ【゙ッコの始ま】りハジ【マリ】と以降【】。


































 【其れはとても楽しそうだね!アヒャハオァオsダオpjcジョpアヒャハオァオsダオpjcジョpアヒャハオァオsダオpjcジョpアヒャハオァオsダオpjcジョpアヒャハオァオsダオpjcジョpアヒャハオァオsダオpjcジョpアヒャハオァオsダオpjcジョpアヒャハオァオsダオpjcジョpアヒャハオァオsダオpjcジョpアヒャハオァオsダオpjcジョpアヒャハオァオsダオpjcジョpアヒャハオァオsダオpjcジョpアヒャハオァオsダオpjcジョpアヒャハオァオsダオpjcジョpアヒャハオァオsダオpjcジョpアヒャハオァオsダオpjcジョpアヒャハオァオsダオpjcジョpアヒャハオァオsダオpjcジョpアヒャハオァオsダオpjcジョpアヒャハオァオsダオpjcジョpアヒャハオァオsダオpjcジョpアヒャハオァオsダオpjcジョpアヒャハオァオsダオpjcジョpアヒャハオァオsダオpjcジョpアヒャハオァオsダオpjcジョpアヒャハオァオsダオpjcジョpアヒャハオァオsダオpjcジョpアヒャハオァオsダオpjcジョpアヒャハオァオsダオpjcジョpアヒャハオァオsダオpjcジョpアヒャハオァオsダオpjcジョpアヒャハオァオsダオpjcジョpアヒャハオァオsダオpjcジョpアヒャハオァオsダオpjcジョpアヒャハオァオsダオpjcジョpアヒャハオァオsダオpjcジョpアヒャハオァオsダオpjcジョpアヒャハオァオsダオpjcジョpアヒャハオァオsダオpjcジョpアヒャハオァオsダオpjcジョpアヒャハオァオsダオpjcジョpアヒャハオァオsダオpjcジョpアヒャハオァオsダオpjcジョpアヒャハオァオsダオpjcジョpアヒャハオァオsダオpjcジョp】【あ、ごめんねごめんね?興奮し過ぎて死ぬところだったよ?】








 ………勝たれるべきでない物語と、語られなかった物語は、そうして終息していく。収束していく、集約していく。終訳していく。
 結果は二通り以外に逃れ得ない確定未来として。千変をモタラス殻変過程として。【右手】は【世界すべてを呑みこむ】
 呑みこまれた事に誰しもが気づけぬまま、気付いた者はそれを舞台に。狂ったように、踊り続ける。【汝、欲望で世界を為せ】
 依り手生る物、組織≪君臨する星屑(エンペラー)≫。【動く】
























     二

 
 【不幸】は【彼女】、月 詠  小         萌、を―――――――――――――――――――――――


     3

 それは、何処にでもあるような光景だった。
余りにも幼い少年が、余りにも【不幸】な目に遭い続けてきた少年が、その原因が【偶然】ではなく
【必然】でしかなかった、という事実を突き付けられただけのオハナシ。
護られてきたのは偶然ではなく、必然性があったということに、少年がどこかで護り続けていた感情の結界は崩壊した。
自らを見失うほどに。その幼さ故に真実と事実と虚偽と嘘偽の区別が本能で理解できるが故に。
そして躊躇なく原因を排除に掛れるほど、少年の心は闇に呑まれていた。絶望に囚われていた。悲しみに囲われていた。
泣いた。喚いた。走った。どこへ行けばいいのかもわからないまま。誰に頼ることもできないことを理解して。
――――【不幸】が 【上条当麻】を殺してくれる事  に望みを託して。


 そして幼い少年は夜の公園へとたどり着く。
学生の為の都市であるため、【上条当麻】のような年齢の子供は今の時間帯は入れない建物の方が多い。
そして、【上条当麻】はあずかり知らぬ所だったが、現在の時刻は深夜の0時近く。
入れない建物の方が多い、というか、何処にも入れない。
仮に建物に這入れたとしても、深夜帯に目を光らせている、警備員(アンチスキル)に補導されるか、風紀委員(ジャッジメント)に補導されるかの二択しかない。
しかし【不幸】にも、そういう【大人】に見つからなかったせいで【上条当麻】は。
そういうわけで、【上条当麻】が腰を落ち着けて落ちつける場所というのは、公園以外の選択肢がなかったのである。
【不幸】にも。【それ以外の選択肢しかなかったのだ】
だから、この出会いも、だから、きっと、【不幸】なものであったのだ・・・。


              月明かりが照らす公園の、ブランコの下

                         「こんなところで、なにをしてるのですか?」


なぜなら、【上条当麻】は【不幸】にも【上条当麻】の【生涯の恩師となる】、     【月詠子萌】と邂逅する事が出来たのだから。
例え結果的に、その事を【上条当麻】が【不幸】にも【忘却】してしまったとしても。
今の【上条当麻】が【上条当麻】であるには【彼女】 【月詠子萌】がいなければ、【上条当麻は上条当麻たり得なかったのだ】


   
    2

  言い合いになった。
 【上条当麻】はその幼さ故に、【月詠子萌】は未だ未完の器で遭ったが為に。
 明確な指針や、答を示す事も出来ず、【上条当麻】の叫びを解決するすべを【月詠子萌】は持たない。
 それ故に、言い逢いは終わらない。終えれない。

 応えが欲しくて泣き叫ぶ【上条当麻】を【月詠子萌】は、【もっともらしい言葉で繕うことしかできない】

 もつれてもつれて、ついに耐えきれなくなったかみ合わせは、別たれる。
 それはまさしく、必然のように。
 感情の滾りを抑えきれない、幼い【上条当麻】は【初めて】 【自分の為に】



                右の拳を放った。



     三

 
 【不幸】は【彼女】、月 詠  小         萌、を―――――――――――――――――――――――





















        死?史?私?始。

 【上条当麻】の【右手】について。その【存在】を【彼】は何故【理解の匣】に押し込めたのか。 
と、いうよりも【何故】そのような結論に至ったのであろうか?【上条当麻】を台風の目渦として【不幸】は巻き上がる。
猛威を篩い、猛火を叫び、盲想を掻き立てる。誰しもが【上条当麻が上条当麻であるが故に上条当麻でしかない】と言うだろう。
【不幸は不幸であるが故に不幸でしか成り得ない】と言うだろう。しかし、はたしてどうであろうか?【決めつけて】いないだろうか?
【理解できない匣を幻想の匣に押し込めていないだろうか?】。そうしてだからこそ【上条当麻】は一種の【偶像と化す】。
それが例え【本当】に【不幸】な【偶然】であったとしても。それが例え【本当】に【不幸】な【必然】であったとしても。
【憶測が推察を呼び、推察が確定推理に掏り変えられ、確定推理は大衆群理を症疳する】【多数の認識が偶像を仕立て上げる】
【依って偶像は力を持つに至る】【人が臨んだ通りの、人が考えた旋理の幻想と生って】【幻想は肉を以て受胎する】
それこそが【上条当麻】。それこそが【幻想殺し(イマジンブレイカー)】

 依って、【上条当麻は上条当麻である、故に上条当麻であり】【上条当麻とは不幸である、不幸は不幸であり不幸である】
【幻想を以て幻想を殺す】【否定された全てに対する反逆の証こそが、彼の魂を今までハググン出来た生涯そのものが】【上条当麻であり、幻想殺し(イマジンブレイカー)】
つまり、【上条当麻とは世界で唯選であり、其れは他の物統べて凡てに言える程度の凡百でしか成り得ない】
だからこそ、彼の行動の結末には確定未来以外になり得ない。【上条当麻が確定未来以外を許可し得ない】
己の最善を尽くし、己が己たらんと有らんが為に忠死も辞さぬ、その【上条当麻】という【セカイ】は【右手】は『その幻想を、ぶち殺す』
【彼が否定されてきた物すべてのモノの為に、【上条当麻】はこの日、この時。【幻想殺し(イマジンブレイカー)を理解する】】
それは、赤ん坊が四足をするのと同じく、幼子が二足歩行を叶えるのと同じく。
【上条当麻は上条当麻であり、幻想殺しは幻想殺しであるのなら】 【上条当麻は、ようやく二足歩行を叶えたのだ】


                      だから―――――――






























     寿・表  
  
 「ハッピィイイイイイイイイイイイイイイバァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアスデェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエイイ! 気分はどうだ?生年、上条当麻?」
 
 「お前…いや、あんた…。あんたは…。」

 「あ”?どうした?」 

 「【全部、分かってたのか?】」

 「【いいや?】」

 「…なんなんだよ、あんたは。一体なんなんだ…」
 
  男は、ニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤしている。
 「ほれ、はやく蝋燭消しちまえ」楽しそうだ、嬉しそうだ、犯しそうだ、嗤ってる、嘲笑ってる?哂ってる。だがそれは【上条当麻】に向けられたものではない事を【上条当麻】は理解していた。
 この男はただ楽しいから顔を歪めてるのだ。全てに間違いながら正しく感情を顕している。【上条当麻】は理解する。まだこの男の足元にすら及んでない事を理解せざるを得ない。
 理屈では説明できない。ただ、【上条当麻】の魂が叫んでいる。【こいつはなにかの間違いだ!】と叫んでいる。
 だが其れがどういうことなのか理解できない。分からない。「おら、とっとと喰え」分からないこいつは一体何なのか。想像の範疇を超えている。

 「ただ、俺に言えるのは【上条当麻】は、身に降りかかる危機を【どうこうできちまうようになった】っつー事実だけだ。だろ?」

 「…………………………………………」
 
 何を、何処まで知っているのか。男が、最初に言ったのだ【上条当麻】の【右手】を。
 【右側】に【不幸】が【集中しているような気がする】という理由だけで、もっともらしい説明をも付け加えた。
 その上で、あろうことか、【上条当麻】の理性を消し飛ばし【無意識下】での【右手】の威力さえ測った、いや謀ったということになる。
 あの時、【上条当麻】の【右手】は確かな手ごたえと共に【この男】に当たり…、【不幸】な【事故】が男を突き殺そうとした。
 今なら分かる、あれは【不幸】な【事故】なんかじゃなかった。この【右手】が、【幻想殺し(イマジンブレイカー)】が、【上条当麻】が、殺そうとしたのだ。
 憎しみでもなく、哀しみでもなく、ただの、八当たりで。そしてそれは、あの小さな先生にも。

 「フン。雄弁な沈黙だな。その様子だと【自分を或る程度全て把握できたか?いや?まだ足りないか?この辺りは人生経験か?】まぁ、そんなところだろう」

 「…………………………………………あん、た、は。分かるのか。【これが】 【なんなのか】」

                             「【いいや?】」

                 「さっきも言ったろう。」
  
          「俺に言えるのは」 
  
                                          「【上条当麻】は」

                   「身にに降りかかる危機を【どうこうできちまうようになった】」

                                       「っつー事実だけだ」

                                                  「これ以上もこれ以下も説明は不要で、これ以上の詮索に必要十分性は感じられねぇな。」

                       「【それがなんであろうが俺には関係のないことだしな】」

                             「そして、【そのことを俺が知っていたとして、それはどこまで重要なことなんだ?】」

             「【どうでもいい事を聞くなよ】」


 「…………………………………………」

 「さぁて、お仕事は終わりだぁ。後はてめーがどうなろうが俺の知ったことじゃねぇ。俺はこの最先端都市で遊び手ぇことが山ほどあんだ、てめぇへの小学生日記はこれで終わりだわ」

  男は言いたいことだけ言うと部屋を出て行こうとする。
 ちなみに、今までケーキを二人で喋りながら食べていた。
 皿は空で、コップにわずかに残った牛乳が男がそこにいた事を示している。
 そこまで考えて、【上条当麻】は初めてその【男】の姿をマジマジと観察した。
 【普通】 の 【どこにでもいそうな】  【ただの男だった】
 街中で見かけても、すぐに忘れ去ってしまいそうな、【そんなただの男に見えた】
 【上条当麻】は急に【焦り】のような物に襲われた。なぜだかは分からない。だから、気が付いた時には走り出していた。


 「――――待ってくれ!」

 「あ”ん?なんだよ。まだなにかあんのか? あぁお仕事終わりってのが気になんのか? でぇじょーぶだよ、まだ要保護観察期間って奴だ、【俺が魔ぁ大丈夫だと確信できたその日が中学生日記終了だ】」 

 「そうだったのか…って、そうじゃなくて!」

 「んだよ?ケーキ喰ったろうが。まさかお前はこれ以上の出費を俺に嵩ませやがる気なんですかね?」

 「名前!」

 「あん?」

 「あんたの、名前。俺、しらないんだよ! おれは、俺は! 上条当麻! 上条刀夜と上条詩菜の一人息子だ!」

 「ふん。ふんふんふんふんうんうんうんうんうんへぇへえへぇへぇへへへへへへへそうかそうか。いいぜ俺の名前をてめぇの魂に刻んどけ。 【決して忘れるなよ?】」

 「あ、あぁ。」

 「俺の名前はな――――――――――――――」






















































    寿・裏

 「まさか、呼ぶまでもなく君が直接ここまで来るとは思ってもみなかったよ、【木原悟】」

 「……………………………」「どうした?そう、言いたかったんじゃないのか?【アレイスター・クロウリー】? 言罪の科学者にして鬼胎の魔法使い」 

 「――――私が話すまでもなく、想像だけで私の意図を解くか」「「この化け物め」」

 「そうそう、そんなどうでもいいことはともかくよ。アレイスター、てめぇだらしねぇなぁ。【世界最先端が聞いてあきれるぜ?】 【たった四人】に押し負けてんじゃねぇよ?」 

 「そのようだ」「淡々としてるねぇ、ま、【これから俺が手目ぇにいうことが分かってるからこそのその余裕なんだろうが】、まぁいい。まぁいいさ」

 「「瑣末なことだ」」「だが、分かってるからこそ、【アレイスタ-・クロウリー】、これは手目ぇが言うことだ。手をもがれ足をもがれ、目を潰され耳を潰され鼻を潰され。今や手目ぇは脳みそだけだ」

 「だからそのかしこいかしこい頭脳で考えな。手目ぇが【敗者】として【俺に取るべき態度って奴をな】」「………――――私の【計画】………を、手伝っ、て、くれ、ないだろうか」
 
 「ふぅううん? カエル野郎が考えてたアレか? いいぜ、【その態度に免じて】手伝ってやるよ」
 
 「ただし、金と住処と戦場という餌を過不足なく過剰なく適切適度に俺に与える事が出来りゃあな?」

 「俺は、好きなことしかしたくねぇんだ。【機嫌を損ねるなよ?】 【アレイスター・クロウリー?】」



























  【勝たれるべきではない物語】も同様に。語られなかった物語と同様に。
 世界は常に表裏一体だ。だがそれは表と裏に分かたれるというわけはない。表は表で裏は裏で表裏一体と生る。
 太極、両儀、四象、八卦。全て等しく無価値である。全て等しく勝ちがない。価値がない。
 【期待も絶望も、等しく無価値である】。では価値とは何か
  

















































  【上条当麻】は【右手】を大きく広げて、天にかざした。
 部屋の天井に嵌った円形の電燈を包み込むかのように、大きくその【右手】を広げる。
 そして、握りしめた。
 眩い光は、【右手】に収まらず、無常にその光を部屋の中へ等しく注いだ。
 【上条当麻】はそれを見て満足そうにほほ笑んだ。届かぬ【光】を掴めなかったのに【ただ微笑んだ】
 

 【握りしめた右手】 【堅く、強く、握りしめられた右手】
 【上条当麻】は【其処】に或るモノがなんなのか、なんとなくわかったような気がした。
 それがなんとなく嬉しくて【上条当麻】は微笑んだ。






                                   【ただ、それだけの、オハナシ】













































     【上条当麻は上条当麻である、故に、上条当麻である=(●)】










     【上条当麻は如何にして、その【不幸】を握りしめたか?=上条当麻は上条当麻である、故に、上条当麻である=(○)】





     

     【主人公は主人公である、故に、主人公である=上条当麻は上条当麻である、故に上条当麻である=(◎)】

















     ――――【欠片】は。
                 【上条当麻】のかざした方向で
                                      【奇跡の輝きを放っていた】
                                                          …fin.









※感想が1つ増えてたのでムシャクシャして書いた。
【主人公の定義、上条当麻君の原風景編】終了。いうまでもなく全て捏造であることに疑いはない。
そしてこの物語はこれにて過不足なく説明の必要十分性なしに終了である。なんかあったら考える。
さぁ次は要望の有った永遠のアセリアネタか、PSZEROネタだぜヒャッハー。(ギャグが書きたい。



[27117] 【第三部】ファンタシスター外史”零”【PSZERO】
Name: 典play◆3c72f4f5 ID:81683474
Date: 2011/05/28 15:59
 0

 ――――大海の王者、鯨。クジラ。所詮それでも池の中の蛙。お山の大将。
  クジラが真に王者足りえるには、海から出ないこと。
海から出たいなら、足を生やせ。それでようやく地上を蹂躙できる。
     陸と海の王者がこれで完成するが、空は鳥のものだ。
ならば、翼を生やすしかない。翼を生やせ、これでようやく地球の覇者となる。
   しかしこれでもまだ、地球という枠に囚われたままだ。宇宙は広大である。
        ならば、宇宙クジラになるしかない。だが宇宙クジラになったところで宇宙は本当に広大だ。宇宙の覇者になるにはどうすればいいのだろうか?
     宇宙そのものになるしかない、そうすれば、すべてはクジラのものだ。
                  だが、それでもまだ足りないだろう、所詮宇宙という世界一つ。その程度で満足していいのか?
 



さぁ、次はどこへ行く?さぁ、次はどうしたい?どうすれば?どこまで行けば?果てはあるのだ?いいや?それとも果てなんてないのか?





 
 1

 ――――歴史の話をしよう。
これは、そう。さっきも言った通り、【クジラ】達の物語だ。
身づからが信じる物を信仰し、死んでいった者たちの物語だ。
後に残るものに、その全てを託すしか術のなかった、無念を抱えた物語だ。
だからこの物語は最初から終わりは決まっている。
【希望が残っただけの】 【BADENDだ】
【そして、希望を――――――】 【      】









【序論】 【ファンタシースター外史"零"】 【聖者必衰の理を顕す】











「――――惨事元に絶ッ棒したぁぁあああああああああああああああああ!!!」

 魂の雄たけび。
まぁそうも言いたくなるだろう。
地球に棲んでいた人類は暮らしを豊かにすることのみに目を向け続け、棲むべき在り処が汚染され続けるのを、常に次世代へと託してきた。
科学が魔法の如き力を持ったが―――フォトン粒子を用いた最先端科学があるとはいえ――――何事にも限界はある。
その結果が、母なる大地を眼下に見据えながらの月面都市でヒッキー状態だ。

――――地球は、生命が存命できるような環境を残していなかったのである…。

こんな状況で、さらに言うならこんな負の遺産をどうにかするために、地球をテラフォーミングしろなんていうのが世論の動きで通ってしまい
なまじ、そんな荒唐無稽が実現可能な程度には天才的な頭脳と奇想天外な技術開発の腕があったがために、全ての矢面に立たされることになってしまったヒキコモリはこう言う。


『――――絶望したっ! ボクに全部放り投げようとする世界に絶望したっ!』


旧時代カセットゲームでやったドラゴンにクエスチョンしちゃう作品の一作目の主人公もこんなかんじだったのだろう。
そんなこんなで、やってられなかった少年は真剣に自殺しようとしたが、家族や幼馴染にティロフィナーられて、物理で殴られるとモヤシな少年は拘束された。

『人権はっ?! 僕の人権はいずこにぃいいいい?!』

などと喚き散らしていたが、人類は生きるか死ぬかの存亡、分岐点にあり、いくら技術があっても基となるものがなければどうにもならない。
所詮、人類は地球という恵まれた環境がなければ生きていくことはできないのだ。


『いやしらね―からっ!しったこっちゃねーからっ!勝手に滅んどけよ!ぼくはエロゲーをしたいんだぁああああああああああああ!』


だが断る。
あ、子孫のことだけど、幼馴染のあの子、顔真っ赤にしてOKサインだしてくれたから、精々励みなさい。


『う、うそだ・・・うそだぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!』


――――チーン。


「絶対引き籠ってやる絶対引き籠ってやる絶対引き籠ってやる絶対引き籠ってやる
 絶対引き籠ってやる絶対引き籠ってやる絶対引き籠ってやる絶対引き籠ってやる
 絶対引き籠ってやる絶対引き籠ってやる絶対引き籠ってやる絶対引き籠ってやる
 絶対引き籠ってやる絶対引き籠ってやる絶対引き籠ってやる絶対引き籠ってやる
 絶対引き籠ってやる絶対引き籠ってやる絶対引き籠ってやる絶対引き籠ってやる」

「えへへぇ、はかせぇ・・・」


 何度も言うが、人類存亡の危機である。
個人の事情にイチイチ構ってたら全滅するので、これはいた仕方ない処置なのである、まる。












 2

 一夜にして少年から大人への階段を昇った青年は、もうなんか悟ってしまったようで気安く自分の名前を呼んでくる幼馴染の存在を
半ばあきらめと共に受け入れ・・・たくないけど、受け入れるしかなかった。認知ってなんだよ!責任ってなぁにそれぇ?泣きそうな顔で上目遣いするなぁあああああ!!
とにかくそんなわけで、次の日から嫌々ながらも助手たる幼馴染に付きまとわれつつ、地球復興プロジェクトを開始することになった。


「・・・正直、ここ数日でボクの心はチリヂリに散らされた。よってボクは基本的に何もしたくない」
「ぇえっ! そんなのだめですよーぅ!」
「オマエもその一因だろうがっ!」
「ひゃうっ・・・」
「とにかくっ!ボクは働きたくないっ!そもそも手段を委ねるしかない愚民共の為に何故ボクが動いてやらねばならんのだ」
「それはー、その、ハカセ以外に出来そうな人がいないから・・・」
「それだよ」
「ふぇ?」
「創ってやる・・・ボクより頭がよくて、ボクを押しこめるDQN共なんか目じゃない暴力を持って、どんなことだろうが問題にならない奴をなぁ・・・!」
「ハ、ハカセが燃え萌えですぅ・・・」

以上のようなピロートークから、創られた三つの種族。
ニューマン、キャスト、ビースト。
それらを創ったのは、人類たるヒューマン・・・なのだが、
造物主たるハカセが人間的にアレだったがために、出来た最初のオリジナルはどいつもこいつもぶっ飛んでいた。


 ――――最初に創られたのはニューマンである。
最初にニューマンだったのは、ハカセは産みの苦しみに自分だけがウンウン唸るのは不公平だと考えて創ったのである。
コンセプトは頭脳領域の限界までの到達。つまり人工的な先天的天才を創る為の研究でできちゃった子供である。
ちなみに遺伝子は月面都市中の遺伝子の頭脳労働方面の優性遺伝子で組み上げた上に、フォトン粒子で加工。あとはハカセ好みにした。
当然女の子である。エロゲーから飛び出してきたような純真無垢なロリーを欲望のままに創り上げようとして・・・失敗した。いやある意味大成功だった。


『天上天下唯我独尊!』


 ――――誕生の瞬間これである。
胎教にいいからと、ハカセの好みを催眠術にフォトンを組み合わせてやってたのだから完全に確信犯だ。
その事実を知った家族と幼馴染にティロフィナーられて、物理で殴られた後、家族会議である。
全ての事情をゲロさせられて、身も心もズタボロになったハカセであったが、誰が何と言おうと育児権利は主張した。
まぁ今まで周囲がハカセに求め過ぎた結果がこれであるので、そうそうにとき伏せられ、ニューマンオリジナルはハカセ色に染まりつつ、その天才性をなんなく発揮していった。


「とーちゃん、とーちゃん」
「んー?」
「精密作業と決められた動作過程を効率的に行う為の失敗を極力起こさない存在を私は誕生日プレゼントとして欲しいのだが手伝ってくれないだろうか?」
「仕様書はー?」
「これ」
「そういやぁー、もうすぐ一歳だったなぁー。ふぅーん。ふむふむ。ペラペラ」
「………ドキドキ」
「ふんふん。まぁ細かいミスは見受けられるが概ねこれで行けるだろうな、よぉおおしっ!いくぞっ!日曜大工っ!」
「にちよーぅだぁーぃくぅー!」


 ―――で、身も蓋もないが、次に出来たのはキャストであった。
自分の子供も出来て、人生経験的に考えてなんか悟っちゃったハカセは若気の至りの頃と比べると大分その精神性に落ち着きを持ったが
同時に完全に燃え尽きる直前のジジイ精神だった為、かわいい孫が玩具を強請ってくる時にだけやる気を出すような枯れ枝になっていた。
それを見ながら幼馴染もとい妻はニコニコ笑い、家族連中は【計画道理っ!】と嗤うのであった。ちなみに主犯格はハカセの妹である。
ニューマンオリジナル、略してユオルにどうこうすれば、ハカセを動かせるわよ?とか扇動しまくりの煽り屋、それがハカセ妹であった。















 3

 それはともかく。
それはともかくで出来たのがキャストという新人種である。
ユオルが言っていたように、コンセプトは【精密作業と決められた動作過程を効率的に行う為の失敗を極力起こさない存在】
要するにロボットである。しかし、ハカセとそれに毒されたユオルの【浪漫仕様】によって、人型ロボット【銅鑼衛門】を目指し鋳造された。


「ごごっごー!」
「まじんっごー!」
「「どらえもーぉおおおおん、ぜぇええええっと!」」


・・・ノリノリ過ぎた為に、頭部着脱式になったのは御愛嬌・・・だ!
こうして誕生した、昭和と現代を融合した超キャストも、その生涯で尊敬してやまなかったヒューマンとニューマンのTOPがまさか、旧時代の作品に影響されてノリで創ったなんて思わなかっただろう。
この流れのせいで超キャストは一度ならず家出したりグレたりするという、機械らしかぬ突飛な行動に出るのだが本筋にあんまり関係ないので割愛する。
ちなみに名前はハカセとユオルの二人で考えた。


「キャストオリジナルだから略してヤオルでいいだろう」
「とーちゃんそれ危ない!」
「・・・確かに、801のあだ名で呼ばれていじめられたら確かにことだな」
「ガガガギギーンってかんじがするから! オガギギギギーン!」
「なんだそのネーミングセンスは・・・」
「だめ?」
「ださい」
「(´・ω・`)ショボーン」
「オガギ・・ウギギ・・・イギ・・・。うーむ。オーガ、オーギ、オーン、オガ、オギ・・ふむオギか・・・」
「オギ?」


「オギは河原などに生育する多年草。
 ススキによく似ているが、草丈は2mを越える。
 種子でも繁殖するが、群落の拡大は地下茎で行うので、
 土壌は粘土質から砂質であることが必要で、礫を多く含む河原では生育しない。
 洪水などの増水には耐えることができるが、地下部が長期にわたって水没するような場所にも生育できない。
 したがって、広い群落を形成する場所は、中流の下部から下流の上部までの範囲であり、通常水位から高い高水敷などである。
 下流の感潮域では、ヨシ群落よりも高い場所に生育する。
 ススキとよく似ており、区別に迷うことがあるが、オギは地中に横走する地下茎から地上茎を立ち上げるので、
 群落を形成していても株立ちすることはない。
 茎は堅く、ササの幹のようであり、簡単には引きちぎることができない。
 葉の幅も広く、花穂もより大型である。もちろん草丈も高くなる。
 オギは洪水によって倒匐しても、節から新たな地上茎を発達させて回復することができる。
 オギ群落が発達している場所は、増水時にも緩やかに水位が上下するような立地であり、濁流が流れるような場所ではない。
 増水時には砂やシルトなどが群落内に堆積するのが普通であり、倒れた茎から新芽を出すことができる能力は、
 このような堆積環境によく適応している。
 ススキも河原には生育は可能であるが、草丈と堆積・埋没に対する適応能力ではオギに負けている。
 しかしながら、オギは刈り取りには弱く、地上部を年1回刈り取られると、数年で急激に勢力が弱くなってしまう。
 この点ではススキに負けている。
 したがって、刈り取りが行われるとススキが優勢となり、放置されるとオギが優勢となる。
 オギは漢字で書くと「荻」であり、地名や名字でお馴染みである。
 昔は洪積平野などに広く生育していたのであろうが、水田や畑地として開墾されてしまったものと思われる。
 オギ群落の発達している場所は、土壌が砂質から砂質粘土であり、根菜類の栽培にはもってこいの土壌である。
 最近は放棄水田などに群生しているのを見かけることも多くなった。
 本来はこのような時折冠水するような低湿地に広く群落を形成していた。」

「――――長いよ」

「お前が考えた開発コンセプトと同じだろうが・・・」

 

 そんな意味合いを持たされて超キャストの名前は『オギ』と決まった。
後の、【第二の復興の歴史の中での最終決戦】で『オギ』はこの幸福だった時のことを思い出し・・・。
それはともかく、ヒューマン至上類稀を見ない後天的天才、ニューマン至上度々発生した突然変異型天才、キャスト内最高命令権持ちロボット。 
が、揃ったことで・・・ハカセは燃え尽きの枯れ枝だったからケツを蹴っ飛ばされなけりゃエロゲーをしてたが。
とにかく。
これだけのメンツが揃ってもまだまだ無理な物は無理なのだ。
事態は拙速を求めていたので、培養層で一定肉体年齢まで即席ラーメンなニューマン量産。キャストも同様にガンガン創っていった。
人が増えると仕事が増える。人が多いと管理が面倒。人が多すぎて把握できるってレベルじゃねーぞおい!
という未来がハカセには容易に想像できたので、その辺も楽にして自分が楽するために、ユオルとオギとの三人でどうにかすることにした。

が。


「ハカセもユオルもオギちゃんも最近構ってくれなくて寂しいですよーぅ」


 あーでもないこーでもないとうんうん唸ってたら半月も妻を放置プレイにしていたという。
まったくの素人である妻なんかいても邪魔にしかならないだろうと先入観で決めつけていたが、この時三人に電流が走る―――――。
そうっ・・・! 我らを楽に暮らさせてくれる存在っ・・・! 寛容っ・・! 全てを受け入れる心っ・・・! つまり母性っ・・・!
母性が何質問しても応えてくれる超甘えられる存在。つまりマザー。 機械だし人間じゃねぇし、でも求めてるのは限りなく人間に近い思考だから皮肉として脳みその意味のブレインにするべ!
で、マザーブレイン爆タンである。
このマザーがどんな感じかと言うと、BARDSKYで出てきた『マザー』みたいなもんである。
要するに、月面都市内ならその管理権限に及ぶ限りどんな質問にも応えることが可能で、どんな複雑な計算でも瞬時に計算可能という人と機械を融合したかのような万能戦士なのである。
あんまりにも万能すぎたのでハカセは狂喜乱舞し、もう全部こいつに任せてしまおうかと思うほどの万能ぶりだった。
マザーの八面六臂の活躍により、『欠陥天才計画』、『画一機械計画』、『学習装置計画』・・・etcと次々と夢想でしかなかった計画が実現されていった。
そして、身の回りの生活に余裕を持てるようになってやっと地上復興の先導種族、ビーストが誕生する。
ビーストは、ヒューマンやニューマンよりも運動性能に性能全てを傾けたかのような種族であり、キャストのような精密機械の固まりが探索できないような
水の中や砂漠、熱帯や寒冷地など環境の厳しい中でも生き抜ける強靭な種族として地上復興にその現場で主な役割を果たした。
 ――――そして、地上復興は無事に進んでいった。
これ、異常、亡い、くれ言うあ二尾亜dcpヴェjlqsfくぇrlくぃlrヴぃおjヴぇ。











































  死

 「―――いやだ!ハカセ殿!ユオル殿!ビスチェ殿!何故だ!何故私をも一緒に死なせてくれなかったんだぁあああああああああああああああああああああああああああ・・・・ぁ”ぁぁ・・・」

 百光を放つ放雷は地上を焼き尽くし、母と父なる座は民を滅ぼした。
無念を抱えた人形は、全ての望みを託され、独り地上へ流星となりて堕つる。
かの人形が彼らの無念を果たすのは百年後。

 ファンタシースターZERO。
全てのZEROが明らかになったのは、百年後のことであった。







※【上条当麻の物語・序論】は一応プロットは【捏造!PSZERO物語】と同様仕上がってるんですが。
二次創作でPSUものがあったから投稿してみたテスト。
やる気が出ないので手をつけてないという…。
最近ニコニコで執筆のやる気が出る曲を見つけたので、それでどうにかするか…。




[27117] 【第四部】世界樹に呪われたある独りの人生【世界樹の迷宮】
Name: 典play◆3c72f4f5 ID:4708d59b
Date: 2011/05/21 04:52

 生まれて育って十数年           右往左往しつつも、
           この世界から命を授かり
                      どうにかこうにかやってこられたのは、
    
ひとえに
    料理に対する知識の深さと
                技術向上におけるゲーム性のおかげだった。


 ――料理 ――調理 ――包丁 ――まな板 ――火加減
  ――微塵切り ――千切り ――三枚に下ろす  ――解体

 まだまだあるが、主に使うことの多いそれら全ての単語の後ろに、

                      『マスタリー』という言葉がつく。





これら『マスタリー』は、
            日々を過ごす中で該当する項目を経験すればするほどレベル
                                    熟練度が向上し、

 最低レベルである1から始まり、
 最高レベルの10になる頃には、
               この場合料理に関することであれば
 レベル10に達するころには
              宮廷料理人にすら引けを取らないほどの腕になっているのだ。


 …現実的に考えて、
         人間の能力を数値に変換することなど               この数値は全ての技能に対して存在する。
                          できないはずであるのに関わらず、
                          
               
  ドラゴンボールのスカウターで戦闘能力を測るかのように計測できるのだ。





 その事実の意味を知るただ一人の存在としての言葉だからおそらく間違いないだろう。
毎日のようにやってくる彼ら彼女ら
           人々の頭右上に見える『名前』『性格』『HP/MP』『技能詳細』
からもそれは明らかだ。

 私は容易に人の情報を知ることができる。
 私は機械のように料理を作ることができる。
                    だから。

 【できることもないから】  料理人になり、
  【世界の異常性を認めたくないが故に】  人から離れることを選んだ。


               その辺境の名はエトリア。
 後に世界樹の迷宮と呼ばれ、
   東西問わず人の集まる場所になるところである。
 ただし、ここが有名になるのは、まだ、少し先の話――――。





              【第四部】世界樹に呪われたある独りの人生【世界樹の迷宮】

   



                  ――――森の奥に人工物が見つかった。
朝早く、
   駆け込むように家に入ってきた
   一組の男女は興奮したようにそう言うと、
                     二人揃って崩れ落ちてしまった。
 迷惑なことだ、と思いつつも
       私の足は自然と厨房に向かい、 
              何か精のつくものはなかったかと厨房を漁る。

  「これは本当にすごいことなのよ!
   なにせこんな何もないような
         片田舎にあんな精巧な人工物が存在するなんて…
         伝承を詳しく調べに現地に来ただけなのに、
         まさかフィールドワーク一日目であんなものが見つかるなんて!」


 床にへばりつきながらも、
   どうにか顔をあげてまくしたてるのは女性のほうか。
                    彼女の名前はサクヤという。そして――――

  「ごめんね。サクヤさん
        話し出すと止まらなくてさ…あ、
                     できればお水もらえないかなぁ…」

 その横で完全にへばっている
     彼はジロウという名前らしく、
       二人してアカデミーの卒業論文を書くためにここに逗留している。
                              逗留しているといっても、
                  エトリアのような辺境に、宿泊施設なんてものがあるわけもなく、
                              彼らは私の家で毎日を過ごしている。

 私としては、
 人とかかわるのは極力避けたかったのだが、
   「アカデミー」という言葉に懐かしいものを感じ、
               「研究内容を提示すること」を条件に、
               【研究発表の為】に頑張っている彼らを応援することにしたのだ。

 私は彼らの疲労具合を見て、
      先日取得したばかりの
     「調合」マスタリーで作製した
                   二種類の飲料水を手に取った。
                   味は片方が桃で、もう片方がグレープだ。
     …今の調合の腕では、
                   味にまで気を向けることができず、
                   相当まずいものに仕上がってしまったので、ジュースに混ぜてみたのだ。

 ――1つは、【HP回復効果】
 ――1つは、【MP回復効果】

 まだ名前を付けていないので、
      正式な名前は無いが。
       その容器に入ったモノはそれぞれ備考欄に
                         【――滋養強壮剤】 
                         【――精神安定剤】
                         という風に暫定的な説明が付いている。
                      まぁ、【名前なぞどうでもいいことだ】。
                          要は役に立てばいいのである。
                          者と挟みは使いようとも言う。
 

  「飲んでみてくれ、
      おそらく、
      疲労が回復するはずだ」


 特にサクヤの
   超舌口を遮るように。
   そう勧める。
     サクヤは話を遮られたのが
         不満なのかおずおずと、
     ジロウは待ってましたとばかりに容器を手に取る。


  「――――それで、
       ええっと、
       さっき言ってた人工物ってのは
              一体何のことなんだ?」


 彼らが容器を空にし、
    満足そうな表情になるのを確かめ、
         何気なく『HP/MP』メーターが
             上昇したのを確認したうえで口を開く。
    しかし、
       その質問は
         失敗だったようだ。
         容器の中身を飲み干して
               ご満悦だったサクヤの顔が
                     見る見る不機嫌なものに変わり、
               一気にまくし立ててくる。


  「もう、ちゃんと
      聞いてなかったでしょ!
   いい?
      荒れ果てた、
      人の手が入ってない、
      けもの道がかろうじて
      確認できるかどうか、っていうレベルの未開の森の中に

      明らかに人の手の入った、

                    ――人工建造物があったのよ! 


   し・か・も、
        そこには
        どんな図鑑でも
        見たことのないような

                    ――動植物が群生していたわ!

   これは、             ――世紀の大発見よ!
                      入口部分だけでも精査して調査結果を持ち帰れば……フフフフフフフフフフフフフ」







 一転、さっきまでの
     不機嫌さはどこへ行ったのか、目が逝っている。
                   …対応に困る。
     どうにかしてくれ。
              とジロウに視線を送ると、
               困ったように臍をかきながらその続きを話し始めた。







 「…うん、確かに
      これは
      大発見なんだよ。
      明らかに僕たちの
          今の世界の技術では
                   制作できないような
               人工物がそこかしこにゴロゴロ転がっててね…
  それに植物もそうだけど、
              特に動物でまだ発見されてないものが
                  【あれほど】或るだなんて、思いもしなかったんだよ。
      信じられないかもしれないけれど、 
                  巨大なカニ
                  巨大なもぐら
                  莫迦げた大きさの蝶々
      なんてものもいてね……
         望遠鏡があったから、
                  木の上から遠目に
                       撮影しただけなんだけれど、
      人間の空想が具現化したような
            混沌とした場所だったよ…」












これが望遠で撮った写真さ、といって手渡された一葉の中には確かに、そう、としか表現できない空想があった。


  「……よく怯えもせずに撮ってこれたものだ」


 素直に感心する。
凶暴性のある動物の前に立つことは自殺行為であり、生態も実態も調査段階の未確認動物に不用意に近づくなんて正気の沙汰ではない。
驚愕の発見に興奮するのは理解できるが、ここまでくると命をかけるほどの情熱を感じられる。
こういうのを世間では、天才だとか先駆者だとか発明の母だとか言ったりするんだろうが、どっこい【彼らは彼らの好きなことをやっているだけだ】
こう言った方向性の、【欲望】に【忠実】な【ヒト】は私は好ましいと想うのだが。
いやはや中々いないモノで、こんな辺鄙な所で一生を終えてしまおうと考えていた事がバカバカしくなってくる爽快さが或る。
――久しぶりに父や母、弟に妹。村に置いてきてしまった皆の顔が見たくなったような気がする。


  「うーん。本当に凄いじゃないか…。でも大丈夫だったのか?」

  「な、なにがかな・・・?」

  「いや、なにせこいつらは【未知】だ。ということは【とんでもなく凶暴】だったりするかもしれないだろう?」

  「そ、そういう見方もあるわよねっ…!」

  「見方って、いや【用心に越したことは無いだろう?】 もしお前らが【襲われたりして死んだら】俺は悲しむぜ?」

  「………う、うん! あ、ありがとう………」

  「(ズーン)」

  「? なんだ? どうし――――」





                           ―ズドンっ!




 突然の地響き。
そして、これは…、偉く懐かしいモノを【感じる】
それは【殺意だとか悪意だとか敵意だとか】、そういった【悪感情から来る】感情的なモノだ。
それは【飢餓だとか傲慢だとか嫉妬だとか】、そういった【本能から来る】行動的なものだ。
……例の如く、礼に依って、【何時も道理に】、【嫌な予感しかしない】


  「………お前ら」

  「(サッ)」
  「(サッ)」

  「目を逸らすな」


 ガシっと、二人の顔を鷲掴みにし目と目を無理矢理合わさせる。
後は、そいつの目に【さぁなにをやった?】と子供を咎めるようなきつい視線で何も言わずに見つめ続けてやれば大抵の莫迦は囀りだす。
二人が観念するのにそう時間は必要とせず、そして――






















   事態は最悪の一言だった。



          -MONSTER 毒アゲハ   -MONSTER 毒アゲハ
             Lv.4                Lv.4
             HP ???              HP ???
             MP ???              MP ???

   -MONSTER 穴モグラ   -MONSTER 甲殻カニ    -MONSTER 大ネズミ
      Lv.1              Lv.5                 Lv.2
     HP ???             HP ???               HP ???
     MP ???             MP ???               MP ???






  「……じ、冗談だろ…?」

  「「ご、ごめんなさい…」」



 そして、冒険が始まる。
その未来において、数多のヒトの業を吸って行った、【施界呪の命吸】を【どうにかしようと】立ちあがらざるを得なかった
               


                  【独りの世捨て人と、その仲間の冒険譚が】



















※黒歴史を掘り返したら世界樹モノ発見であるな。
(前半文章が犯しいのはそのまま載せたら糞文章ぽかったので、実験的表現措置使ってみた。=もう二度とやらねぇ

これも一応プロットだけはできてる。そして仲間をガンガン殺すのは決定事項である。
一応、世界樹1~3までの流れで全部通して大体の流れを創ったはいいが、書くのが面倒だ。需要あったら考える。
ATLUS様の初見殺しhage満載なだけに。
【そろそろジジババを活躍させる物語が書きたくなってきた今日この頃】



[27117] 【第五部】無常徒は悪戯に屍を築く【Fate/stay night】
Name: 典play◆3c72f4f5 ID:4708d59b
Date: 2011/05/28 16:25
   零

 ≪業火がセカイを包み、僕をかばった父さんと母さんは死んだ≫


 僕は一人っ子だ。
現代日本人として、何不自由なく暮らしていたし。
我儘を言う僕には、何故それがいけないことなのかということを、両親は根気強く僕に教えてくれた。


 なんだったっけ、そう。僕は病気じゃないけど、病気なんだそうだ。
医者も匙を投げた、モノ遅れ?知能が足りない?考え方がおかしい? なんだかよくわからなかったけど。
最期まで僕のお話を聞いてくれたお医者様はそう言っていた。
僕はおかしくないと言う風に想う。でも周りから見たらそれは異常なんだそうだ。
でも僕の両親は、それでも僕は僕でしかなく、僕は僕でいいと、受け入れてくれた。


 だから、僕は家族に迷惑を掛けないように、家の中では犯しな僕で居続け、外の生活では親に迷惑を掛けないように生きた。
そうやって育ててくれた僕の両親は、業火に包まれたセカイを必死に僕を抱えて逃げて。
死んだ。


 僕は生き残った。両親が僕だけでも生きて欲しいと願い、その為に死力を尽くしたから。
ヒトの持つすべての力を、いやそれすらをも超えた僕の両親は、僕のヒーローだった。
いや、今までも、周りの視線や悪意や敵意を受けても、僕を護ってくれたのは両親だけだったから――


 
               【僕にとっての正義とは、両親だった】





   0

 僕は孤児として寺に引き取られた。
教会の方にも受け入れ先があったらしいが、【やってきた大人】が胡散臭かったので止めた。
もう独り、【自分の事を魔法使いと言い張るおっさん】がいたけど、頭がおかしなおっさんとの暮らしは御免だった。
とにかく、僕は寺へ引き取られた。

 別段理由は無い。
遭えて言うなら、【自分の事を両親の友人だった】と言い張る妙に【善意の塊のようなおっさん】が気に入ったからだ。
僕は小坊主として、将来やりたいこともなかったので、とりあえずはおっさんの言う事を聞いて、仏教的なモノに務めた。
【無常】という言葉が僕の心の中で、とぐろを巻いて蠢き始めたのはその頃だったように思う。
だってね――

 「これはお前の為でもある、わかるな?」
 「はい! 僧上様!」
 「ならば耐えて見せよ」
 「はい! 僧上様!」

 僕の命を育てていることに恩を着せて、恩着せがましく、毎日毎日ボクの体に入れ墨を入れるのだもの。
痛くて痛くて何度も泣いたけど、痛くて痛くて何度も暴れたけど、痛くて痛くて何度も倒れたけど。止めてくれないモノ。
でも仕方ないよね? ボクは生かされてる。
両親が必死にボクを生かしてくれた、ついでとばかりに自称友人が生きる場所をくれた。
だからぁ――


         【断ったら殺されちゃいそうな命令に頷かない訳にはいかないよね?】【無常、無常】



あはっ
あはははははははははははははははっはhっは。
【いつか同じ目に遭わせてやる】












   1

 「ごめんなざいっ!ごめんなざいっ!許じでっ!ゆるじてくだざいっ!」

 「【何を言ってるんだい?】【君が先にやったことだよ?】【ボクの気が済むまで殴られてくれよ】」  

 「いだいっ!いだいよぉ!やだぁ、やだよぉおおおおおおおおお」

 「【あはっ】【あははははははははははははははははははhhhっはあぁ】【そうそうそれだよもっと泣いておくれ!】」

 「――止めなさいっ!」
  
 


  昼休み、校庭のグラウンド。
 血の池を渇いた砂の上に築きながら、笑い転げて殴り続ける少年がいた。
 抵抗を諦め、泣き喚く死なない少年もいた。
 そしてそれは、【勇敢な少女】が止めに入るまで、止める暇なく、断間なく、まるで作業のように行われていた。


 「【やぁやぁどうしたんだい委員長】【そんなに血相を抱えて】【なにか緊急事態でもあったかなぁ?】」

 「・・・――あんた、それ本気で言ってるの?」

 「【ええっ?本気ってなんだい?】【僕はいつも冗談しか言わないよ?】」

 「あんたはっ――・・・!」頬を力一杯叩く。

 「【・・・痛いよ】【なにをするんだい?】【僕は君に何も悪いことはしていないのに】」

 「この状況を見てよくそんな言葉が出てくるわねっ・・・! もういいわっ・・・!」




  【勇敢な少女】はボクを一瞥侮蔑すると、テキパキと血の海に沈んだ彼を助けるべくして周りの人間を動かしていく。
 その中には【血に沈んだ少年に苛められていた少女】の姿もあった。
 そして――


 「――藤野・・・」

 「【やぁ、士朗】」

 「・・・あれは、ちょっとやりすぎじゃなかったか? もう少しやりようってモノがあったんじゃないのか?」

 「【・・・そうだね、ボクもそう想うよ】」

 「だったら・・・!」「【でもね】」

 「【酷いことを言って、彼女を物理的に苛める彼に、君の言葉は届かなかったろう?】」
 「【そして、君の力も及ばなかった】」「【そういう文句は出来てる奴が言っていいセリフだぜ?】」
 「【正義の味方になりてぇんだろう?】」「【君はあらゆる意味で、正義が足りないよ】」

 「でも!それでも俺はっ・・・!」

 「【分かってる、分かってるよ】」「【別に士朗を否定しているわけでもなければ、非難しているわけでもない】」

 「なら尚更っ、分かってるんならっ・・・!」「【じゃあこうしよう】」

 「【君が決めてよ】」

 「・・・どういうことだ?」

 「【ボクはね士朗】【士朗が想う正義ってのは素晴らしいと想うよ】【でも君には正義を為す為の、暴力が足りない】」
 「【護る為の力が無い】」「【抵抗する為の力が無い】」「【――というか請われて色々教えてるけど、君って圧倒的に才能ないんだよね】」

 「・・・ぐっ、でも、でも俺は――」「【分かってる、分かってるよ】」

 「【だから士朗】【君が決めてよ】」「【君が言う事は恐らく正しい程に正しいんだろうね】」「【とても眩しいよ】」
 「【僕は君の言う事になら、或る程度までは従ってもいい】」
 
 「・・・・・・・・・分かった」

 「【うん!】【持つべきモノは親友だね!】」


  衛宮士朗。通称【正義の味方】(クレイジージャスティス)
  藤野花束。通称【逝偽の身型】(トリガーハッピーエンド)  
 後に、この町で開催された聖杯戦争の勝敗の最期を掛けて争った二つの正義は、幼いころより【親友】という関係に遭った。













   2
 
  後日、山門。

 「――・・・・・・・・・」

 「【おやおやぁ?】【誰かと想えば委員長じゃないか?】【こんなお休みの日に、わざわざこんな所までどうしたんだい?】」

 「――ぁ・・・・ょ」

 「【うん?】」「――ぁ・・・・ょ!」「【聞こえないよ?】」「――・・・・・・・・・」「【?】」


    ――ブォン!

 「【うわぁ!】【いきなりなにをするんだい?!】」「うるっさいのよ!この私が何回も言って上げてるんだから、察しなさいよっ!」
 「【そんな無茶な】」「【ってほんとにあぶなっ・・・!】」

  
   ――ブォン!――ブォン!――ブォン!――ブォン!――ブォン!――ブォン!――ブォン!――ブォン!

 「なんで一発も当たらないのよっ!当たりなさいっ!そして死ねっ!」「【委員長って意外と熱血だったんだねぇ・・・】」
 「うるさいっ! あんたのせいで私の猫かぶり作戦が台無しなのよっ! 桜と距離を置く為に私がモノすっごく苦心してやっていた事を無にしやがってぇ・・・!」
 「【完全に私怨だよね、それ】」「うるさいっ・・・!涼しい顔してヒョイヒョイ避けるんじゃないっ・・・!」「【やだよ、痛いし】」
 「くのっ・・・!くぬくぬくぬくぬくぬっ・・・!」


   ―ブォン!―ブォン!―ブォン!―ブォン!―ブォン!―ブォン!―ブォン!―ブォン!

 「【功夫が足りないんじゃない?】」「あ、当たらない・・・一発も当たらない・・・このぉおおおおおおおおおお!!」
 「【あっはっはっはっはっはっは】」「花束なんていう男らしくない名前してる癖にっ・・・!」「【あ”?】」


                     ――ズドンッ!

 「か、はっっつ・・・?!?」「【いまなんつったてめぇ】」「【両親が付けてくれたボクの名前を莫迦にしたか?】」
 「【答えろよ】」足を振り上げ、腹を叩き潰す「がっ・・・!」「【答えろっつってんだろ】」足を振り上げ、腹を叩き潰す「あ”っ・・・!」
 「【こたえろっていってるんだぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!】」
 足を振り上げ、腹を叩き潰す。足を振り上げ、腹を叩き潰す。足を振り上げ、腹を叩き潰す。足を振り上げ、腹を叩き潰す。足を振り上げ、腹を叩き潰す。足を振り上げ、腹を叩き潰す。
 叩き潰す。叩き潰す。叩き潰す。叩き潰す。叩き潰す。叩き潰す。叩き潰す。叩き潰す。叩き潰す。叩き潰す。叩き潰す。叩き潰す。叩き潰す。叩き潰す。叩き潰す。叩き潰す。叩き潰す。
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 「――止めろっ!もういいだろうっ!」「【士朗?】」「やり過ぎだっ、それ以上やったら、内臓が破裂して死んじまうだろっ!」
 「【・・・嗚呼御免御免、止めてくれてありがとう】」「【危うくこの年でヒト殺しになっちゃうところだったよ】」
 「・・・・・・・・はぁ。藤野、病院に電話を掛けに行ってくれないか?遠坂は俺が見てる」「【分かったよ】」


  幼き日の山門での一幕。
 後に聖杯戦争が勃発したとき、【藤野花束】の軍門に下らざるを得なかったのは【遠坂凛】が一番最初だった。
 三つ子の魂百まで。彼女はその生涯で彼になんとかして一泡吹かせようとするのだが、それはいつも【うっかり】するのであった。
 

 









  3

 とある休日。病院。

 「ひっ・・・!」

 「【やぁ、間桐】」 ――バッ 「【ん?君は彼に苛められてた子じゃないか】」
 「【なんでかばうんだい?】」 
 


                  「にぃさんを、いじめないで」


 「【――――】」「そうかい。 ――はははははははっはっはっはっはっはっはっはっはっは」
 「いや、今日は別に他意は無いさ、いやあるけど」 ――ジッ 「こわいなぁ、そんな目で睨まないでくれよ」
  

  バナナ リンゴ ナシ ミカン ヨウナシ パイナップル ニンジン ヨウカン キウイ アメ
 藤野花束はお見舞いとしてそれらの品を持って来ていた。士朗と大河姐に言い含められなければ来ようとも思って無かったが。
 行け行けと余りにもしつこいので、仕方が無いのでやってきたのだ。
 それに、今日はもう独り、行かなければいけない場所が或る・・・んだそうだ、二人に依ると。

 「ほら、お見舞いの品だ」「美味しそうだろう?」
 「ニンジン、ヨウカン・・・なんでアメ・・・?」「あぁそっちはちがう、其れはもう一人用だよ」
 「そうなの?」「そうさ、そしてボクはオジャマみたいだから」「彼に果物を切って食わせてやりな、妹さん」
 「ほら。危なくない果物ナイフだ」 ジーッ・・・ 「(ニコー)」「・・・わかった。わたしがおにいちゃんに切って食べさせる」
 「そうかい? じゃあボクはもう行くよ」










  違う階、違う病室。

 「入っても?」「・・・誰?」「あ。【ぁーぁーぁあああああー』『ボクだよ』」
 「嫌だと言ったら?」「【蹴破る】」「・・・普通にはいって来て頂戴」「【失礼します】」
 「・・・何しに来たのよ」「【クラスメイトのお見舞い】」「あんたは本当に平然と嘘をつくわねっ・・・!」
 「【冷たいこと言うなよ、僕は君を心配して来てやったんだぜ?】」「【喧嘩吹っ掛けておいて、無様にやられた負け犬の顔を拝みに来たんだよ】」
 「――アンタほんっとうに、最低野郎ね。どこぞの糞神父を思い出して頭が痛くなってきたわ・・・」「【?】」
 「【とりあえず、ほら、お見舞い】」「ロクでもないものじゃないでしょうね・・・」


          ニンジン、ヨウカン、アメ。

 「――微妙だわ。」「というかニンジンってなによニンジンって・・・」「【微妙な気分に成ってもらうために遭えてチョイスを】」
 「そんな気遣いは要らないわ・・・ぁーなんか、物凄く疲れてきたわ」



                    「【打撲だけだったのかそんなにショックかい?】」



 「・・・・・・・・・悪かったわよ」「【何が?】」「――こいつはっ・・・!」「【ねぇねぇどうしたの?ねぇねぇどうしたの?】」
 「ウギギギギギギギ・・・・。見てなさい・・いつか絶対ギャフンと言わせてやるんだから!」「だから!」
 「ごめんなさい!貴方の両親が付けた貴方の名前を莫迦にしたようなこと言って、御免なさい!」
 「それと・・・ありがとう。桜をかばってくれて」「【うん】」「【その謝罪と感謝、確かに受け取ったよ】」
 「ギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリ・・・いまにみてなさいよぉ・・・!」
 「けじめはこれでついたんだから、絶対あんたをひざまつかせてやるわっ!」


   
  ――という誓を彼女は白い部屋の中で、彼女の通りに堂々と宣言したモノの
 それは終に叶う事は無かった。
















   寿

 「ケジメ完了!」

  夜。寺。
 そこには死の海と、血の屍が転がっていた。
 それは独りの少年の手で為されたものであり、独りの大人の手を借りて行ったモノでもあった。
 なんでも、【藤野花束】とは【聖杯戦争】なんていう【人間の欲望】の為に用意された【器の一つだったそうだ】
 地脈のエネルギーを【藤野花束】を使う事で【効率的なエネルギー変換機】がどうのこうのと言っていたが、【どうでもいい話だった】
 【藤野花束】に【分かりやすいチカラ】を持たせた時点で【こうなる結果を分かっていてしかるべきだったのだ】
 以前から親交を温めていた暗殺拳法使いの彼は、二つ返事で快く協力する旨を貰えたし、召喚された彼女は今迄の藤野花束の全てを晒しだして上げると膝をついて頭を垂れた。
 その上でボクは言った。


                【ヒトに迷惑しか掛けない祭に関わるモノ全ては、皆殺しでいいよね?】


 ――是非も無し、私にはやりたいことなど無し。お前がそう言うのなら私はお前についていこう。
 ――そうねぇ。まぁその意見は少し逝き過ぎだとは思うけど、概ね問題ないんじゃないかしら?


 「【そう?】」「【じゃあ、そろそろ逝こうか】」
  ――第五次聖杯戦争。
 聖杯を争ったどの戦争の中でも、最もおぞましく、最も恐ろしく進行した、数多と語られる戦争のうちの一つである。 
 その全てをかき乱したのは【藤野花束(フジノ カバネ)】。最もおぞましく屍を築き、最も恐ろしく相手を下して逝った【恐怖】の代名詞であった存在である。














※上条(略)を書く気が起きないので、創った木原に連なるモノを聖杯戦争に突っ込ませてみた。
四人でた奴の中でこいつは【偶憎崇拝】に当たる。
当然だが、モデルは【球磨川 禊】。【西尾維新厨】だから、仕方ないね!
例によって例の如くプロットだけは出来てる、続きを書く気が起きないだけで。
後この作品は【擬音進行作品】を【応援しています】








[27117] 【誤―蜂】無常徒は悪戯に屍を築く-其の弐【PV2万超えてたので】
Name: 典play◆3c72f4f5 ID:4708d59b
Date: 2011/05/28 17:13







  誤

    ――雪の降る場所で。


                「【あっけなぁーい・・・】」



 古く依り連綿と続いてきた、1つの家が、滅んだ。






















  聖杯戦争の発端の1つ。 とも言えるアインツベルン家。
 15世紀ほど続いてきたその歴史は、最古最凶の魔術師の力に依って、あっけなく滅んだ。
 ・・・あれ?その半分だっけ?まぁ【いずれにしても滅んじゃったら、関係ないよね?】


                     「【ヒト様に迷惑をかけ続けた連中がこの程度なの?】」
     「【拍子抜けしちゃうなぁ・・・】」


  そして其れを為した少年は、買い与えられた新しい玩具に飽いたような態度で深々と溜息を吐くと、踵を返した。
 魔術師と、暗殺者を率いて。 
 既に金銀財宝、今まで培ってきたらしい技術、再現できない遺産。 と言った【たからもの】は回収済みである。
 文字通り、この場所は用済みであった。


 「―――おい、小僧」「【ん?】」
  
  
  降って沸いたかのような声に振り向くと、其処には熊のような壮年がいた。
 その顔には掘り深く人生が刻まれ、その頭を白雪のような毛でゴワゴワと覆い、その相貌を獣じみたモノにしていた。
 深深と雪が降る積もる中、壮年が独り、こちらを窄めた眼で見つめている。


 「【なんですか?お爺ちゃん】」「・・・・・・・・・なぜアインツベルンを滅ぼした」
 「【あぁ、あそこで燃えてる連中ですか】【理由ですか・・・遭えて言うなら】」










                                                「【気に入らなかったんですよ】」










 「【お爺ちゃん、僕は冬木という街に住んでるんですけどね】【そこで一般人をも巻き込んだヒトゴロシ祭りの主催者の元凶の大本の大基がアインツベルンだっていうじゃないですか】」
 「【だからぁ】【二度とそんな気も起きないように、滅ぼして上げたんですよ】【だってほら、ボク、臆病者ですから】【それに、モシモ友人が殺されちゃったら目覚めが悪いですよね?】」
 「・・・・・・・・・それだけか?」
 「【そうですねぇ・・・許せないですよね】【自分達の勝手な都合でボクが住んでいる冬木で暴れようって言うんですよ?】【じゃあ、自分勝手な理由で滅ぼされても、文句言えないですよね?】」
 「【彼らが一般人に迷惑かけたとか迷惑かけてないとかじゃなくてね】【冬木の街にそういういさかいを持ち込んだ時点でもうダメですよ】【だって、人道的じゃないでしょう?】」
 「・・・・・・・・・それだけか?」
 「【後はムカツクから】【何様のつもりなんでしょうねぇ、色々と調べたから分かったんですけど】【こいつらって命を何とも思わない糞集団だったみたいだし】」
 









                        「何よりも度し難いのは、残された娘をその祭の為の器にしようとしている所だっ…! 死すらも生ぬるいわっ!」
                        「永劫の炎に焼かれて苦しめ糞蟲どもっ…! 身づからが行ってきた諸行をその身を以て味わえっ…!」










 「・・・・・・・・・それだけか?」「【あぁはいおわりです】」 
                             

                      ――ツカツカツカツカツカツカツカツカツカツカツカツカツカ、ボコグシャア!



 「【痛い!】」「痛いように殴ったのだこのバカモンがっ・・・!」「【なんで殴るんです?】【ボクお爺ちゃんに何も悪いことしてないのに】」
 「オノレはあの状況を創っておいて、まだそのような莫迦げた戯言を吐くかっ・・・!」――ボコボコボコ、グシャアッ「【痛い痛い痛いよ!】」
 「痛いようになぐっとると言っておるっ・・・!」「【じゃあ、なんで殴るのさぁ、お爺ちゃん】【痛くて涙が出ちゃうよ】」
  一通り折檻が終わったのを見計らってそう文句を付けると、壮年はほとほと呆れた様子で幾つかの忠告をしてくれた。  
 

           ――奴らを滅ぼしたのは一向に構わん。むしろすっきりした、だがやり方がまずい。もう少しこっそりやれ。
           ――特にあの氷炎がまずい。周りから見えないようにするか、どうにかして隠しておけ。
           ――これからも似たようなことをする・・? ・・・こっそりやれ、こっそり。敵は作らぬに越したことは無い。
           ――後、生き残り?のその娘とやらに対しては責任をとれ。お前が滅ぼしたのだ、滅ぼすなり滅ぼされるなりなんなり。説明責任と自己責任だ。


  氷点下の中で正座をさせられた上に、1つ言葉を区切る毎に拳骨を落とし、文句を言おうものなら倍増しで拳骨が落ちてきた。
 藤野花束は、殊勝な態度で度々反論はしつつも、壮年の言葉に最終的に不満を顕すことなく全てを了解した。そうねんは まんぞく そうだ。

 「――ということだ、分かったか」「はい!師父!」「善い返事だ」
 「・・・ところで」「なんですか?師父」「お前、名をなんという」「藤野花束(フジノ カバネ)と申します!師父!」
 「そうか・・・では屍よ。わしの名をお前に預けておこう。何かあった時にはわしの名前を使うがよい」「いいのですか?大師父!」
 「構わん構わん。ジジイというのは若者を導くために生きてるようなもんじゃからの、迷惑にも思わん」「ありがとうございます!超師父!」
 「ち、超師父か…。うむ、悪い気はせんな」






























                     「わしの名前は、キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグという。覚えておけ、小僧」






































   碌

  「――お兄ちゃん、何読んでるの?」「【週刊少年ジャンプ】」
 日本、冬木の街。アインツベルン城。


   その後。
 

  気が済むまで欧州で暴れまわり、その結果、ロードエルメロイ二世に嫌というほど拳骨を喰らいながら常識を叩きこまれ、フラット・エスカルドスと親友に成り、
 日本に帰って来てイリヤスフィール・フォン・アインツベルンを懐柔し、あろうことか【お兄ちゃん】と呼ばせていた。   
 メイドはお茶の用意をするととっとと出て行った。従者の鏡のような態度に感銘を受けて、あのメイドが欲しいと言ったら殺意を向けられた。
 そんな感じの昼下がりである。


  イリヤ懐柔にはそれはもうすげーながーい時間と労力と、言葉で心を犯すことが必要だったのだが、花束はだるくて回想する気にもなれなかった。
 最近、【魔法使いどころか魔術師でもないのに】なんだかよく分からない【魔法】に目覚めてしまって、大抵の事がうまくいくので、余りのワンサイドゲームに飽き飽きしてきていたのだ。
 もしこれが物語だとしたら、読んでいる読者だって余りのワンサイドパターンにうんざりだよね、と去年号の【ブリーチ】を読みながら花束はぼやく。
 要するに、暇なのだった。 
 【話の通じる奴なら大体螺子伏せる事が出来て非常に詰まらない】【どこかに話の通じない奴はいないものか】【そしたら全力で滅ぼせるのに】
 後にも先にも、殴ってくれたのは あのお爺ちゃん と あの先生 だけだったし。ぁーつーまーんなーい。


 「【イリヤ】」「何?」「【学校行ってくるよ】」「どうして?」
 「【閉塞って言うのは時に行き止まりにぶち当たるからね】【ここじゃあ、想定外が余り起き得なくて、退屈で退屈でしょうがないんだよ】」
 「バーサーカーけしかける?」「死ぬよ」「でも、想定外でしょ?」「イリヤの思考は確かにいつも想定外だよ・・・』」
 「『そういうんじゃなくて、沢山の人に遭いに行くのさ』」「ここじゃだめなの?」「『ダメってことはないけど、関われる人が限られてるからね』『イリヤは下町に降りて見たくないかい?』」
 「でもセラがダメだーって、こーんなに恐い顔して言ってたし・・・」「『大丈夫大丈夫、僕がしっかり言い含めておくから』『それにバーサーカーがいれば安全でしょ?』」「うーん・・・」





















 バーサーカー。燕尾服にサングラス。
 イリヤ。冬のお嬢さんスタイル。
 花束。学ラン。
 in_the_冬木の街。

 
 「――くにとちとにこなすにしいきらつちすなみちぬ のちこちみいしらみらぬ」
 「『早速君と合うとは思わなかったよ、後藤君。』『本当に君はいつもネタに生きてるね』」
 「ちくくちくくちくくちくくちくくち」
 「【ツレが恐がってるから、そろそろ邪神が出てきそうな言葉づかいは止めようね?】」「わかったでござるよ」
 「・・・あ、日本語喋った」「『Alt+かな文字言語だよ、何言ってるか聞いただけじゃ分かんないよね…』」

  とりあえず、言語が通じてるようで通じない友人にいきなり遭えたことで花束の機嫌はそれなりによくなった。
 その後は、下校中の後藤君をそのまま拉致して、イリヤとバーサーカに冬木の街を案内した。
 なんでもない観光案内や、大衆食堂での食事、娯楽施設での遊戯と、まるで人間のように楽しんだ。
 独りは、もう人間ですらなく、
 独りは、そもそも人間なのか疑わしく、
 独りは、かつて英雄と呼ばれたヒトとカミの半神で、
 最期の一人だけが、【まともな人間だった】


































  その日の夜。
 「【――教会を滅ぼそう】」「・・・カバネ、私にはあなたが何を言ったのかよく聞こえなかったわ。もう一度言ってくれない? 聞き間違いよね、そうよね?」
 「【――協会も滅ぼそう】」「頭痛くなってきたわ・・・」「イリヤ、大丈夫?」「毎度毎度貴方の考えることは私達には理解しかねます・・・」
 「【いやいやまぁ待ってよ、よくよく考えて見るとさ】【こんな間抜けな戦争を暗黙している奴らにも僕は責任があると想うわけだよ】」
 「アインツベルンを滅ぼした理由も、子供や命を虐待するなんて許さない!だったものね・・・魔術師を莫迦にしてるのかしら・・・」「カバネ、いいひと」「あぁ、この莫迦を早くどうにかして下さい・・・」
 「まぁいいんじゃないの?いつもの想いつきにしてはいつも通り中々面白いし」「――キャスター! あなたねぇ・・・」「ヒトの業よ、ならそれを滅ぼすのもヒトの業。何ら問題はなくてよ?」
 「・・・・・・・・・」「■■■■■■■■■」「【反対意見は特にないのかな?】」

           「あ・る・わ・よ! 大アリに決まってるでしょう! あなたねぇ、セカイを敵に回すつもりなの?」
                                                                   「【――犯しなことを言うねぇ】」



































                          「【そもそもボクラに、味方なんて生易しいモノがいたのかい?】」

 








 「・・・それはっ・・・カバネとか、セラとかリズとか。バーサーカーもいるし、そこのキャスターやクズキだって」「【それで?】」「それで、って・・・」
 「【それだけ?】」「そうよ!それだけよ!それだけでいいじゃない!私に【家族】をくれるって言ったのはカバネで、【愛】を教えてくれるって言ったのもカバネで、私は今【幸せ】なのよっ…!」
 「なんで、それが亡くなってしまうかもしれないような事をしようとするのよっ!」一息「なんで、そう簡単に、貴方は死に迎えるのよっ・・・!」



  静寂。
 イリヤは今にも花束に飛び掛かりそうな憤怒の表情でその澄ました顔を見つめ、今にもバーサーカをけしかけてしまいそうな雰囲気だ。
 セラとリズも何かを咎めるかのような表情で花束を睨みつけている。暗殺者はいつもどおり黙して語らず。魔術師は含み嗤うだけ。
 そして、花束は嬉しそうに楽しそうに愉快そうに顔を満面の笑みに広げると、黒い闇い暗い笑顔で、いつも道理に、呪い(コトバ)を放った。

























 「ボクはねぇ、気にくわねぇんだよ」                           「ボクらみたいなのを作るセカイを許容できない」
                      「イリヤスフィール・フォン・アインツベルン」


                        

                                     「でも」
                                                     「所詮創られたボクラなんて」
    「生きることにも死ぬことにも価値なんて無いと僕は想う」






                    「でも生きている以上身づから意味を見出していかないと」


                                                  「ぼくは、それをねぇ」

 「ヒトは死と言う行き止まりに突き当たる」
                      


                       「とても、とても」「とても、とても」「とても、とても」












                                「哀しい事だと、想うよ」
                                「悲しい事だと、想うよ」
                                「寂しい事だと、想うよ」
                                「意魂事だと、想えるよ」  
























 「いつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつも」  

 「割を喰うのは、弱者だ」                
            「僕たちは、強者の喰い物でしかない」                                        「誰がそうしたんだい?」                 「じゃあ、誰だ?」 
                             「歯を食いしばることも許されず、泣き喚く事を禁止され、心で嘆く暇もない」               「誰でも亡いと、ボクは想う」 




                               「誰が、何の為に、どういった目標を以て、ボクタチをソウシタのかなぁ?」











  

























         
   7

 ――丘の上の教会、滅塵。
 ――間桐家、燃殺。
 ――遠坂家、空巣。
 
  話し合いの結果。
 考え亡しの練り練り計画をそのまま皆に伝えると、イリヤが『――魔術師に対し、なんたる冒涜かっ…!』と怒り心頭。
 欧州で、ロードエルメロイ二世率いる『王冠』に追い詰められた時以来の戦慄を以て、一晩中、説教。『――なんでこうも聞きわけはいいのに、常識が無いのよっ!』とのこと。
 そして改めて、アインツベルン家をキャンプファイヤーにした件について『物凄く、怒られた』
 とあるおじいちゃんに遭った事を、ついぽろっとこぼすと『更に、怒られた』 
 欧州で見境なく暴れまわったり、その結果『王冠』と正面から殴り合ったりしたことをも『魔術を使われて』喋らされて、イリヤは泣いた。
 泣きながら怒って、殴って、また怒って、泣いて、崩れ落ちてしまった。




  藤野花束は、なぜ彼女が泣くのか理解できなかった。
 昔から、そして今も、そしてこれからも、藤野花束は、藤野花束として生きてきた。
 そこに反省はあっても後悔は無く、反省があってもすぐに忘れてしまう。なぜならば、其処に意味は無いからだ。
 反省するのはいいだろう、失敗に学ぶとはそういうことである。
 しかしいつまでもグダグダと、ウダウダと、『反省』ばかりに時間を取られていると言うのは、なんとも無駄でしかない。
 だから、【藤野花束】は『彼女が何故泣くのか』が分からない。
 
  両親が死んだ時には涙を流した。理不尽な責め苦を受けた時にも涙を流し、やがて流すということに『無常』を感じた。
 涙を流す事に意味は無かった。泣き喚く事にも意味は無かった。心の中で嘆いたとしてもそれは何の意味も為さなかった。
 

                    『自分を取り巻く環境はその程度で変わりはしなかったからだ』


  ならば、なにもしないことこそが『無意味』、身づからに【日常のように】行われる【理不尽】こそが【無常】
 それは、原始依り変化することのない、【セカイ】の【シンリ】。少なくとも【藤野花束】にとっては其れが全てで、全てだった。
 だから【涙を流す】なんて【無駄】な行為は、【生まれて】オギャアと、【肉親や友人が死んで】シクシクと、【後は自分が死ぬ時に】グズグズと周りをせいぜい泣かせてやればいい。
 たらやればで、仮定や想定で、想像や妄想で、【涙を流す】だなんて【莫迦げている】
 ――――が、そういうの。  嫌いじゃないね。






     だから。  藤野花束は。  線の細い、儚げな少女を。
     ただ、ただ。そっ、と抱きしめた。            少女は更に泣いた。
     何も言わずに頭を撫でた。                          少女は少年にしがみつくように抱きしめてきた。
     仕方が無いので、同じようにして上げた。                                         





















  ――――それでも、やっぱり、分からない事は、分からないままだった。






































 

  イリヤは泣き疲れて眠ってしまった。
 バーサーカーの制御役たる彼女が一端抜けてしまうのは痛かったが、今すぐにでもやらないと、間に遭わないような【不吉】を感じ取った【藤野花束】の判断で、怒られた内容を吟味しつつ、断行する事に。
 結果は上記のとおり。
            ――丘の上の教会、滅塵。
            ――間桐家、燃殺。
            ――遠坂家、空巣。
 

 人道的見解からすると、人的金銭的被害は逝き過ぎだということで、『ヒト』と呼べるものがいない間に拠点と呼べそうなものを全部ぶっ潰して回すことで各拠点を潰していった。
 主な三拠点に立ち直れないほどのダメージを与えるのは当然のこと、『予備』の拠点と成っている所も重箱の隅をつつくかのように潰して回った上で、資料やら金銀財宝に技術に遺産を丁重にかっぱらう。
 『計画的』に『出払っている時』を狙った『遠坂家』はあっさり空巣。
 『気味の悪いのが常駐』している『間桐家』は、『未来或る若者』が『出払っている時』を狙った上で、『汚物を全て消毒』して傭兵稼業。
 『丘の上の教会』を遠距離滅塵したところで、キャスターがなんでもないことのように、こう言った。













                             してやられたわね。 と


                       































   蜂

  とある日。昼下がり。
 
 「今日から、お世話に成ります。 藤野花束です!」 
 「キャスターよ」
 「葛木宗一郎・・だ」 
 「イリヤスフィール・フォン・アインツベルン、よ」
 「リズ」
 「セラと申します」
 「■■■■■■■■■■■」

  
   その家主の居間は、本来の住人に新しい七人を加えて寿司詰めになっていた。
 『家が火事で無くなっちゃったんだ!助けて士朗!』という悪友の珍しく逼迫した声に、その家主は、応えなけりゃよかったと早くも後悔し始めていた。
 昨日から自分の現実はどうしてしまったのだろうか。次から次へと起こる変事に、自分なりに最善を尽くしてきたつもりであったが、この糞ボケだけはいつも士朗の頭を痛くする。    
 ちょっと待って、お願いだからちょっと待って欲しい。快く二つ返事をして置いてなんだが、ちょっと考える時間が欲しい。少し、少しだけ回想して見よう。
 


    セイバー、突然剣を引きぬいて玄関をぶっ壊した上で黒い巨人と死合。 
    そこに国語教師が参戦して、あっさり鎮圧。そして、ローブ被ってる人に何かされてた。
    全てを無視したかのような態度で、綺麗な外人の女の子を侍らせて、セイバーの頭をこれでもかとばかりに踏み抜いた上で、花束が登場。




  ふぅーやれやれ。
 「――とりあえず花束、一発殴らせろ」にこやかに「ええっ?!」「いや、よくよく考えたら俺はなんでさも当たり前みたいにお前らをおもてなししてたんだろう」
 「士朗だからじゃない?」「――殴っていいんだな?殴っていいと判断するぞっ…?」「わぁ、ごめんごめん!」「でも士朗も悪いんだよ?いきなり襲いかかってくるなんてひどいや」
 「あれはセイバーが勝手にだな・・・」「止めようよ」「いや、なんかもう玄関に『巨大な黒いの』が見えた時点で、どうせお前だろうと想って、大丈夫かなぁ、と」「それもそうか」
 「それもそうかで済むのね、可哀想に・・・」「シッ、私達も同類と想われますよ!」「どうるい?」「あっはっはっはっはっは。君ら後で話あるから・・・」



   「――――黙っていれば好き勝手をっ・・・! 士朗! 即刻、追い出すべきですっ!」



 「無様王だ」「無様に地を這った芋虫が何か言ってるわね」「敗者は黙して語らぬモノだ…」「無様…」「負けたんだから貴方は今日から私の着せ替え人形よ」「地面とのキスはおいしゅうございましたか?」
 「―――――――――――――――――――――――――――!!!!!!!!!!!!!!!!!!」「はいはい、動けない動けない」「うるさいから喋れないのも追加しとくわよ」「・・・・・・・・・」
 


  士朗は頭を抱える他なかった。なんだこのカオス。
 と、いい加減現状を考える事を放棄しよっかなぁと障子で遮られた空に向かって上の空になり、目が濁りかけてきた所に、電話のベル。
 士朗にはこの時、その音が福音の鐘に聞こえ『後で詳しく話を聞くからじっとしてろよ!』、と言い捨てるとお客を放置して電話に向かった。
 それが、更なる地獄への門だとも気付かずに。  











                 「もしもし、エミヤです」
                 
                 「あ、先輩。実は、その。ご相談が在るんですけど…」

























 ――こうして、結果的に、衛宮家で。

 魔術師:キャスター
 狂戦士:バーサーカー
 剣士  :セイバー
 騎乗兵:ライダー

  7騎中、4騎が衝突する事に成り、それを聞きつけた 弓兵+赤い悪魔 が参戦し、家亡き子と生った王様が其れを見て高笑いし、
 主を亡くした槍兵が辿りつき、その場で暗殺者が召喚されると言う、混沌具合が形成されるのだが、其れは割とどうでもいい話でしかなかった。
 問題なのは、その日のうちに、藤野花束に依って、それら全てが鎮圧された事にあった――――。


































※書く気が起きるか次第は作者の気分次第だとつくづく感じるこの頃。
何月までにはこれこれしますよ―、とか言ってますけど、『読者様がそれを指標にして期待して下さるのは嬉しいのですが』
作者自身があんまり気負い過ぎるのも問題だし、その約束が果たされなかったからと言ってギャーギャー喚くのは正直どうかと思うこのごろ。
つまり!人間いろいろなものに縛られ過ぎるのはよくないってことです。そういうわけでこの主人公は【縛られない】ことをテーマに書いております。
メガテン風に言うと、混沌・中立、ってところでしょうか?別に混沌・悪ではないと想うこの頃。どちらかと言えば、混沌・法?
あれですよ、悪党にも悪党の法が在るって感じで1つ。それでは、気が向いたらまた更新します。次は6月中かな? 



[27117] 【窮‐13】無常徒は悪戯に屍を築く-其の参【完結】
Name: 典play◆3c72f4f5 ID:4708d59b
Date: 2011/05/30 04:35







   窮

 「――九騎目の、サーヴァントですってっ・・!?」
 「【違う違う、違うよ】【ぼ・く・は】【ただの】【人間(ヒト)だよ】」
 「莫迦言ってんじゃないわよっ! アンタ、『じゃあ、"ソレ" はなんだっていうのよっ…?!』」
 「【ソレ?この死体のこと?】【それとも、この黒いモノのこと?】【そこの白くて赤い彼なら、分かるんじゃないのかなぁ】【久しぶり、それとも初めましてかなぁ?】」
 「なにを言ってるの…?」「・・・・・・・・・やはり、貴様は」
 「――キャスター!どういうこと?!」「こんなこと!【私も聞いてない!】」


  エミヤ家の庭を中心にして広がる汚泥。
 汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、
 汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、
 汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、
 汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、
 汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、
 汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、
 汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、
 汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、
 汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、
 汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、
 汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、
 汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、
 汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、
 汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、
 汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、
 汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、
 汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、
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 汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、
 汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、
 汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、
 汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、
 汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥。
 絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、
 絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、
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 絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、
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 絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、
 絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、
 絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、
 絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、
 絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、
 絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、
 絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、
 絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、
 絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、
 絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、





                                 文字道理、広がっていた。



  そして、その中心には、まるで近所の公園で戯れる童女のように無邪気に。 君臨する、藤野花束の姿があった。
 黒い学生服を着こんで高嗤いしていた金髪の青年は、嗤うのを止めおおいに笑い、愉快、愉快だ、この上ない愉悦で或る、と高らかに叫ぶと、一息に藤野花束を消し飛ばしに掛ったが、
 花束が負けじと、拳で嬲り掛り。


  既に汚泥に沈んだ、剣士(セイバー)
              暗殺者(アサシン)
              槍兵(ランサー) をけしかけ、圧殺する。 
        


   
 ―― 一国の英雄、騎士王。
 ―― 凡百たる英雄、暗殺一賊。
 ―― 忠死の英雄、光の御子。
 ―― 英雄の祖。英雄の英雄。



                 「【あっけない】」          「【英雄ってのは】【この程度なの?】」
                          「【実にあっけないね】」                 「【君たち、ちょっとモロすぎない?】」


                               「【歴史を罪重ねて着た英雄も、所詮はヒトの子か】」
             「【現代のヒト如きに敗北するなんて】」                       「【くだらない、実にくだらない】」
                               「【期待はずれもいい所だよ、役立たずの糞蟲ども】」

 
 
  ――あぁ、そういえば最期の蟲はさっき処分したっけ、と【間桐蔵硯】であったものを踏み抜いた。
 その横には、心臓を直接抉り取られた彼女。『かつて幼いころに他意なくその心を救った少女』の躯が横たわる。
 確たる敵意と殺意を以て覚悟に臨もうとした少女は、そのパートナーに体を拘束されながらも疑念を上げる他なく、花束を【よく知っていたつもりだった童女】は齟齬の軋轢に悲鳴を上げることしかできない。
 そして、【正義の味方】は、【親友】をただ、ただ、誰よりも不可苦、誰よりも負汚苦、何よりも離禍異した上で、強く、強く、睨みつけていた。 ――どういうつもりだ、と。
 その両の手に、白、と、黒、の、剣、を、堅く、堅く、握りしめながら。 黒い汚泥に沈みながらも屹立する、【悪友】を。



   「【・・・自分が置かれてる情況を弁えてる賢い子もいるみたいだから】」            「【僕が、なんで、なんで。なのかを】」
                                   「【少し説明してあげようか】」 


  その彼の背後にはいつも道理、黙して語らぬ暗殺者と、含み嗤う魔術師がいるだけで。
 雪の童女と、其れに従う狂戦士。そのシモベ二人は、コチラ側ではなく、アチラ側でそれを見つめるだけ。 
 聖杯戦争の総括は、早くも終わりを迎えようとしていた――
                                             
 






































   獣

  まぁちょっとした講釈だと想って聞き流してくれればいいさ、そうそう戯言だからね。傑作でもあるけど。
 何が戯言かって言うと僕らの事だよね、実に戯言でしかなく、戯言で顕される存在で、戯言に終わる存在だともいえるよね。
 何処が傑作かって言うと、まぁ全部だよね。
 その戯言でしかないって言う部分に、僕たち自身が気が付きもせずに呑みこまれていることにも気が付かずに、呑みこまれていて当たり前のような顔をしている時点で傑作だよね。
 最高に嗤える。ヒトって愚かで愚かで愚かでしかないよね。愚鈍で愚鈍で愚鈍でしかない。無知蒙昧ここに極められれりって言うのかな?まぁなんでもいいよ。
 要するに僕が君たちの事を蛆虫以下の塵芥にも劣る何かすらでもないナニモノにも生れない存在以下の存在以下の存在以下の存在以下の存在以下の存在だとも想ってないって思ってくれればいいよ。
 まぁ僕の君たちに対する所感だってどうでもいいよね。どうでもいい。ほんとうになにもかもがどうでもいいけど。

  ――あぁ、何言ってるのかわかないって? 当たり前だよ、分かってもらっちゃあ、困るんだから。
 むしろ僕は、ここまで言って上げたのに尚分かろうともしない考えようともしない知ろうともしない君たちをただただ侮蔑するばかりさ。
 位置・煮・参、死を学び寿。誤たち碌でもない7へ辿り蜂の巣。窮して獣を振りかざし十を一へ。十二分に満足して、13の通り裏切る。
 僕がやってきたのはそれだけで、これからやることだって、それ以上でもそれ以下でもない。過不足なく過剰せずにボクとしては説明し終えてるんだけど、分からないよねぇ。
 ・・・とりあえず、【この娘】は返して上げるよ。 ――やだなぁ、そう睨まないでよ。ちゃぁーんと生きてるよ。
 その娘、なんでか知らないけど、この【汚泥】と相性が良くてねぇ。無駄な部分をコレを使って、ぜぇーんぶ押し流して上げたよ。マジュツシ?ってやつとしてはもう終わってるんじゃないかなぁ。
 
  えーっとそれでなんだっけ。
 あぁ、この汚泥についての説明だったね! こいつはかつてアインツベルンがズルして呼び出した【最高傑作】【復讐者(アヴェンジャー)】。
 実にボク向きだよ。まぁ聖杯の願いそのモノになってたみたいだからキャスターにお願いして、【同化】させてもらったんだけど。【全部呑み込んだ、だけだけどね?】



                                  【セカイへのノロイは、ボクをハカカラとミトメテクレタみたいだ】



  ――狂ってるだって? その通り!狂ってるよ。 で? だからどうしたの?
 遠坂さぁ、戦争って分かるかなぁ。なにも聖杯戦争の事だけじゃなくてね。なんでもいいよ。
 今だって未だ、平和に殺し合ってる世界でしょう? 戦争ってのは実は全く終わってないし、これまでの歴史を振り返れば分かる事だと思うんだけど。
 なんでそもそも、【戦争】なんかするんだい? なんでだと思う? ボクは実に単純明快だと思う。 簡単に考えればいいのさ。 近所の公園でボクがマドウをボコボコにしてた時と同じように。
 突き詰めてしまえばあの程度でしかないんだよ。意見の相違、価値観の相違、既得権益の諍い。人は、ヒトとヒトとの間に横たわる溝が耐えきれなくなった時、別たれる。
 三人いれば派閥ができる、それが国家単位に成っただけの話さ。そして、君たち、現在進行形敗者がいくら負け犬のように正論を吼えたてようと、何の意味も為さないってことが分かってるかい?
 ここでボクの話なんかを糞真面目に聞いちゃって、突っ立ってることしかできない時点で君らはボクに対する有効な手段を見つけられてないってことだしねぇ。そこの弓兵君の判断はとても正しいよ。
 そこの騎乗兵さんも自分が置かれてる情況が分かる程度には優秀なようだ。この辺は、歳の甲から来る経験則かな?年寄りは大事にしなくっちゃねぇ。
 で、ぁーなんの話だっけ、そうそう【戦争】で、君らがその【敗者】だってこと。
 まぁよく言う【勝者が歴史を創る】とか【敗者は黙して語らぬ】とか【敗者は勝者に従え】とか色々あるけどね、これって全部正しいんだよね。
 【諸行無常】、【弱肉強食】・【食物連鎖】・【十人十色】・【思考錯誤】。そこにはこれらが関わっている。
 意味が分かるかな?これ以上説明が要るかな? あぁかしこいかしこい遠坂は、【言わなくても理解してたみたいだね】・・・というか【言われて初めて気が付いた】って感じかな?
 キミは本当に微妙に抜けてるよね。
 まぁ、そこでずーっとボクを睨んでる士朗なんか、言わずとも大体は分かってたんじゃないかなぁ。ただ、認められないだけで、まぁその認められないってのが重要なんだけど、分かってるよね?
 あらぁ、弓兵さんと騎乗兵さんの顔が物凄く恐いねぇ。【闘争のセカイに生きてたからこそ、貴方方には分かるのでしょうねぇ】【やり方がボクに言わせれば、下手糞どころかお嗤い草だけど】






あっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ




 で、えーっと、そうそう。
 これじゃあ、あんまりにもワンサイドゲーム過ぎてボクが詰まらないから、聖杯から汚泥が溢れ出る期限までは待ってあげるよ。
 修行編かぁ。いいねぇ、バトルモノの少年漫画っぽくて。待つのに飽きたら殺しに行くから、出来るだけ早く来てね?
 【無駄な努力って見ていて爽快だよね】、せいぜい【足掻いておくれよ】。ボクが詰まらないから。
 ――ん? 連れて逝ってだって? 駄目だよ。 【それは君の意志じゃない】 一歩を共に進めなきゃあ、ボクの傍にいる必要は無いのさ。
 嘘じゃない。 それも嘘じゃない。 それもモチロン、嘘じゃない。 嘘にするかどうかを決めるのは、キミ次第さ。
 じゃあね。

































   十→一

  ・・・貴方、本当に【アレ】に喧嘩を挑むのね。【んー、まぁ結果的に、そうなるね。】・・・結果的、結果的、ねぇ。いつもそうなって苦労する私達の身にもなって欲しい物なのだけれど
 ――別に、私は構わない。・・・ソウイチロウ様にはもう少し自分を持って欲しいですわ。――む。【自分、自分ねぇ。クズキは或る意味で身づからに忠実だと思うけどね】――む。
 【身づからに忠を尽くせ。ロードにやらされたゲームは素晴らしかったねぇクズキ】――む。・・・それは別に好き勝手にやっていいってことじゃないのよ、分かってるのか、分かってないのか…。
 【まぁ、ボクの行動がいつも思いつきで逝き遭ったり場ったりなのは、否定できない!】――む。・・・私がいつも詳細詰めてるものねぇ…。ところで・・・


















 
                              ――あなた、いつまで、ソレ、保つの?




















 【あ、バレてた?】――――。…………。【まぁまぁ常識的に考えなくても、無理だって分かるよねぇ】【エラソーに歳の甲とか言ったけどまさしくソレだよねぇ】
 【コレ、正直舐めてたわ】【久しぶりにシャレになって無い】――経験か。…そうね、貴方にはその英霊と比して、圧倒的に足りてないモノが、ヒトツだけあるものね
 【先人というか、先達の絶望ってのはムチャクチャだよ、思わず発狂死するところだった】――む。・・・道理で、演説してた時から、一歩も動かなかったわけね。 
  黒き太陽が光の届かぬセカイを照らす中で、藤野花束は、その太陽を支える柱に、まるで聖人が磔になるかのようにして、吊り下げられている。
 太陽から次々と流れ堕ちる、溢れ出でしモノを一身に受けながら、そんな身づからをも嗤って、尚も全てを笑い続ける。黒い闇い暗い笑顔で固定されてしまったかのように、哂い続ける。
 誰よりも嘲笑を放っているのは、身づからへ。何よりも劣っている侮蔑は、身づからへ。どれよりも莫迦であることを覚えていることを、思いだせないようにしない為に。



                        ・・・貴方、本当に莫迦よね。  ――私はお前について逝くだけだ。

 【あははははっ――】
             【ありがとう】
                      【罵倒は最大の褒め言葉だよ】                      【時期に、ボクは】

                                     【あと、莫迦に付き合わせてごめんねぇ】
                                      








































                                      【きっと、終わるから】






















































   十二全

 魔術師:キャスター、死亡。
 暗殺者:葛木宗一郎 、死亡。 


   ―― 一国の英雄、騎士王。敗北。
   ―― 凡百たる英雄、暗殺一賊。敗北。
   ―― 忠死の英雄、光の御子。敗北。
   
  そして、響く足音。
 「――思ったより早かったねぇ」「君が独りでここに立ってるって言う時点で【運命】めいたモノを感じずにはいられないけどね」
 「まるで、物語の魔王と勇者のようだとは思わないかい?」


                          「【――エミヤ士朗】」


 「いや、衛宮シロウ?」「どっちもでいいか」「キミタチの英霊の方は、アレを突破するのにみーんな。死んじゃったみたいだし」
 「従うモノとして、君たちの事はその誇りとやらに賭けて護ったみたいだけど」「・・・・わお」振り返ると



  
    両腕を聖骸布に包んだ、衛宮士朗。
    宝石剣をコチラに突き付けた、遠坂凛。 
    天の杯(ヘブンズフィール)、イリヤスフィール・フォン・アインツベルン。
    斬り抉る戦神の剣(フラガ・ラック)、バゼット・フラガ・マクレミッツ 。       
 



 「【そう言えば拠点潰して回ってた時に助けたっけ】【すっかり忘れてたや】」「【ぁー】」
 「【背中向けてカッコよく決めたボクの立つ瀬が無いや】」「【・・・予定変更―】」

















































 汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、
 汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、
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 汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、汚泥、
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 絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、
 絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、
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 絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、
 絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、
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 絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、
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 絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、
 絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、
 絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、
 絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、
 絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、
 絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、
 絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、
 絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、
 絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、
 絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、
 絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、
 絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、
 絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、
 絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、
 絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、
 絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、
 絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、
 絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、
 絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、
 絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、
 絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、
 絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、
 絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、
 絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、絶望が、慟哭が、切望が、無念が、怨念が、嫉妬が、醜悪が、


  「【――かかってきな】」
  激突。












































































  依って、【正義の味方】は全ての力を借りて【小悪党】に辿りつく。
 【理想】とはなんだろうか、【現実】とはなんだろうか。【藤野花束】はその二つを以て【大極論】と呼んでいる。
 【理想とは追いかけて追いかけて止まないものであるべきだ】【止めないものであるべきだ】【叶わないほど、高ければ高いほどいい】
 【その上で、現実の尺を考える】【今の自分が、出来る範囲で、生りたいモノがあるなら必死に】
 【理想を、現実の尺度に当てはめて、現実の限界まで当てはめる】【それが最善の妥協】【それが身づからに忠を尽くすと言う事】
 【この妥協とは、諦める事ではない】【諦めてはいけない】【諦める奴は諦めない奴に負けるのだ】
 【その上で、身づからが絶対に譲れない一線を、絶対に譲らない事】【ここまで出来ていれば、後は言う事は無い】
 【その上で尚、なんであってもだれであってもどれであってもいつであっても、寛容でアルことなんて】【キミタチにノゾムのは、まだ、早すぎるから】
 ――――だから。
 【努力とは、なんだろうか】【努力とは勝利するために行うモノではないだろうか】【全力でやって負けたのなら】【それはまだ努力が足りなかったのだ】
 【なぜなら、勝利を得た相手は】【相手に勝利する為に、相手以上に、努力した結果こそが、勝利なのだ】
 【勝者が歴史を創る】【敗者は黙して語らぬ】【敗者は勝者に従え】【諸行無常】【弱肉強食】【食物連鎖】【十人十色】【思考錯誤】
 ――――ゆえに。
 【藤野花束は身づからが言ったように】【好き勝手してきた報いを受ける】【彼ら彼女らにやってきた事と同様に、報いを受ける】


                  【ヒトの業に依って行われたのならば、それはヒトの業によって滅びを迎える】


 ――依って、必然。エミヤシロウの放った、必死の業撃は、たやすく・・・













































  【弾かれる】
 【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】
 【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】
 【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】
 【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】
 【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】
 【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】
 【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】
 【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】
 【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】
 【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】
 【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】
 【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】
 【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】
 【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】
 【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】
 【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】
 【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】
 【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】
 【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】
 【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】
 【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】
 【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】
 【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】
 【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】
 【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】
 【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】
 【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】【弾かれる】
 【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】
 【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】
 【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】
 【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】
 【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】
 【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】
 【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】
 【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】
 【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】
 【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】
 【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】
 【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】
 【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】
 【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】
 【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】
 【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】
 【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】
 【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】
 【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】
 【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】【足りない】
 
 「【――足りないよ】」「・・・」「【――がっかりだよ】」「・・・」「【――その程度なの?】」「・・・」「【――届かないよ】」「・・・」
  剣戟。剣戟。剣戟。剣戟。剣戟。剣戟。剣戟。剣戟。剣戟。剣戟。剣戟。剣戟。剣戟。剣戟。剣戟。剣戟。剣戟。剣戟。剣戟。剣戟。剣戟。剣戟。
 高らかに鳴り響く金属音は、セカイに木霊し、黒きモノの脈動を反響させる。だから「【――飽きた】」
 
  宝石剣は道を切り開くことしかできなかった。
  天の杯(ヘブンズフィール)、は汚泥の邪魔をした。
  斬り抉る戦神の剣(フラガ・ラック)、は攻撃する度に体を抉り取って行った。   

 そして、固有結界がセカイを満たし――それでも、辿りつけない。【その程度】では【駄目だ】
 士朗を磔にした。
 全力を使い力尽きた彼女らの腕や足を戯れにもいで、イイ声を聞いてやると言ってやった。実際にやってやっ――――



                         あれ?


































  白い十字の光射す十字架。
  黒き十字の闇挿す十字架。広がる、セカイ。
 そして、エミヤシロウの躯が、陰陽で満たされていく。エミヤシロウがセカイと生る。
 ――ははっ、なに。それ。シロウ、君自分がどうなってるか気づいて――――

  








































   13
  
  白。白い空間。
 上も下も右も左も無い、白。
 なにをどうしていいかは分からなかったけれども、そこに突っ立っていると言うのもなんとも暇で仕方なかったので、歩いてみた。
 行きたい場所など無く、行ける場所なんて見当もつかない、なんとなく、そうしたいから、そうする。
 いつまで或る居て、どこまで来た野か、なぜか白かったけれども、なにをすることも無くただ歩いた。

  そうやって或る居てると、皮肉気に嗤う背の高い男が、まるで、待っているかのように立っていた。
 よくここまで来れたモノだ、と一笑に付すと、お前が行きたいのはあっちだろう、と目的地らしい場所を示してくれた。
 ありがとう、と返事を返すと。それはコチラの台詞だ、と返された。おまえは、何処に行っても変わらないのだな、とも言っていた。

  何を言っているのかはいまいち理解できなかったけれども、覚えておく事にした。
 なんだかその声は酷く懐かしく聞こえ、【忘れてしまった大事な事を言っていたような気がしたから】
 そして、扉のモノのようなモノの前に辿りついた。なんともこじんまりしていて、ここが目的地だったのかと思うとがっかりした。
 しょうがないので、手を掛け――















































        【望みは?】
        【理性の調停者】
                  身づからの行動、全てを裏切る道を取る。
                                           …fin.







































※めだかボックスがアニメ化企画かもだとぉおおおおおお?!
という興奮にノリノリに生って書いてしまいました最終話。三話で完結ですね、上条(略)と同じだぁ。
私の作品は三位一体なんですよ多分。
いつも道理いつもの如く、色々と描写は省いてますが説明する気は無いです。私なんかより想像力豊かな読者様の想像力にお任せします。
まぁ、最期の部分ぐらいは軽く説明しときましょう。
「霊長の敵対者」「霊長の守護者」が要る割に、その中庸がいないのはなんでかな―と想って、これを書きました。以上説明終わり。
そういえば最近リアル友人に聞いたところに依ると、私の書く話って初見さんには【意味不明】だそうで。相当【敷居】が高いそうです。
あっはっはっはっはっはっは。まぁいいや。ポエムでいいですよ、もう。
・・・そういやうっかりさんが一時的に軍門に下らざるを得なかった部分書いてなかったけど、まぁいっか…。小噺にもならないので














[27117] 【第六部】ム意識は善想をもとめ彷徨う【魔法少女リリカルなのは】
Name: 典play◆3c72f4f5 ID:4708d59b
Date: 2011/06/09 17:21

  12 ――――

 英雄の居ない世界は不幸である
 しかし、英雄の要る世界は、不幸という言葉も生ぬるい





















  11 八神ヴィータ

「――ほっとけほっとけ。その内大怪我でもして自分の莫迦さ加減に気付くだろう」
「・・・はぁ?」


 放課後。学校。給湯室。
 八神ヴィータは、かつて高町なのはが通っていて、お世話になったという恩師に話を聞きに来ていた。
 魔導士育成学校。話し相手はそこの教師である。

  そして相談内容とは、正式に空魔導士として働き出した高町なのはが、余りにも働き過ではないのか、ということだった。
 深刻に真剣な表情で重々しく切り出したというのに、いきなりバッサリとこれである。
 あやうくつかみかかるところだったが、グッ、と我慢する。もう、あの時とは違うのだから。
 そう、今日は高町なのはの友人という立場として、身内ではない、第三者の意見を聞きにきているのだ。


 「――アレは魔導士としては天性とも呼べる才能を持っていたがな、エラーが足りん」
 「エラーがどうし・・いえ、どうしたんですか?」


  ぁー、別に敬語でなくてもかまわんぞ、と言ってカップに入ったコーヒーを手渡してきた。
 ありがとうござ・・じゃなかったありがとな。と返すと、そうそう大事な相棒(バディ)のこと話ってのに敬語はいけないよねぇ
 と呟いて、対面のソファにどっしりと腰を落ち着け、両手で手を組む。


 「――そうだな・・、まぁ簡単なことだが。トライ&エラー、って分かるか?」
 「分かるけど・・それがなんだっていうんだよ?」
 「――人生ってのは、エラーの積重ねで出来てる。エラーがなけりゃあ、そのエラーを次にしないが為に気がつくこともできない」


  言葉で分かっているような心算に成っていても駄目なのさ。と続けた。
 経験(エラー)を若いうちに沢山積んどけってのはそういうことなわけだ。
 次の経験(トライ)に経験(エラー)を生かして活けるだろう? そういう経験、ないか?
 【見に染みて理解した】 【自分の莫迦さ加減が分かった】 【考えが足りなかった】 【もっと考えてから行動するべきだった】


 「――後悔(ヒューマンエラー)ってのは、そういうことだな。
  ――大体の人間は後悔(ヒューマンエラー)を抱えたまま生きてくもんだから、いつかどこかで手痛い経験(エラー)に遭う。ように出来てる」
  
 
  人生、一生勉強ってのはそういう事だな。と続けて、
   

 「――そうじゃあないのかい? ベルカの騎士様?」  
 「――――っ?!」


  バッ、と。
 デバイスを即座に起動させ、男の首筋にあてがう。
 ――何故、知っている? 今にも射殺さんばかりの視線でそう問うしかない。
 かの事件が収束してまだ間もなく、その内容の渦中にいた人物は一部のモノと高い権限を持った者にしか知らされていない筈だ。
 事が公に露見すれば、復讐心を抱えたモノがいつ襲い掛かってくるか分からない。命の危険に関わるから。
 で、あるのにも関わらず、一教師如きが、なぜそこまで機密性の高い情報を知っている?


 「――ぁー。どうした? 図星だったか?」   

  問いを発する前に先手を取られ、しまった、と思う。仕掛けられた?いや仕掛けられただって?なぜ仕掛ける必要が――


 「――闇の書」

  ボソッ、と呟くように続けられた言葉に八神ヴィータの精神は限界を迎え――


 「なっ・・・?!」
 
  動けない。  魔法? いや違う。ヴィータが持つ魔力量なら、バインド如き力任せに引きちぎれる。
 では、レアスキル? いいや、ここに来るまでに相手のプロフィールや生まれ等の情報は確認してきたはず――


 「――ぁー。かつて失われし遺産と呼ばれたモノの1つでさえ、この世の理に縛られるのか。詰まらんな…。」
 
 「てめぇ・・・! なにをしたっ!!」
 
 「――なにもしてない」
  
  俺は座ってるだけだ。と両手を広げ、さっきと変らぬ態度のままコーヒーを啜る。
  

 「だいたい、ベルカの騎士。の一言でなにをそこまでいきり立ったのか理解しかねる」

  ベルカ保護区なんて大層な名前の付いた土地があり、そこには聖堂教会だとかいう宗教がお盛んだ。
 歴史の授業でも、一般的な事として就学する上に、より高等な授業を受ける中で、歴史を専攻しててもおかしくはないだろう
 その資料に乗っていた、とある四騎士の姿に余りにもそっくりだったから、そう、口に出ただけでしかないという可能性もある
 たまたま軽々に発した発言に、余りにも敵意剥き出しで来るものだから、曰く、禁忌と呼ばれるモノの、関係者だったら


 「――面白そうだ、と思ったのさ」

  お見事ビンゴだったのには、とてもとても驚いている。おどけたような態度で大仰に締めくくり
 


  
        「――勉強になったか? 経験(エラー)は積めたか? 後悔(ヒューマンエラー)はしたか? ならそろそろ、その殺気を収めてくれ」 


 恐くて怖くて、気絶しそうだ。と。笑い飛ばした。









  そして、殺気を収める気配のない八神ヴィータ相手に、その教師は淡々と続けた。
 「――ハラオウン一族。そのツテで、ここに高町なのはが就学しに来たことは分かっている。本人から言われたからな。
  ――そして、今日。
  ――先方から、また連絡があった。たいした説明もせずに、彼女の友達が相談をしたがっている、とな。
  ――舐められたモノだ。私は細かい事は聞きはしないが、勝手に調べるということぐらい、もう分かっていると思ったんだが・・・」

  そして、だ。
 調べて分かるような相手でなかった上に、機密と来ている。
 バカバカしい、そんな相手が私に相談だって? 私は身内には優しいが、それ以外は路傍の石だ。
 礼儀の成ってない、いつも道理のいきなりのアポイントメントに、素性の知れない相談相手。警戒しないという方が嘘だろう。
 そうそう、君が未だに1cmも身動きできないソレがその証しだな。おっと最期まで喋らせてくれよ?
 

 「――八神ヴィータさん、貴方が聞きたいのは、”何故?”。なんだろう?」


  何故、カマを掛けるなんて発想が出てきたのか。
  何故、今、動けないような目に遭っているのか。
  何故、私が貴方の存在定義に見当がついたのか。
 だいたい、そんなところでしょう。全部説明してあげるから、少し黙ってなさい。

 「――そもそも、闇の書事件なんて珍しくもなんともない。遥か昔から繰り返されてきたベルカに依るテロだ。
  ――歴史を紐解けば氷解することだが。
  ――あのような破滅が巻き起こるのは、ロストロギアとしても、かつての一デバイスとしても、何かがおかしい。
  ――意図的に創られたのならば納得もできるが、どうも、そうではなかったようだ。と、私は思っている。
  ――敗残者としての最期の維持。末期の維持とでも言うべきか。適格者がミッドの中に居たとして、絶対に使われたくなど、なかったのだろうよ」


  いいかー?と、続けると、部屋の隅からホワイトボードを持ってきて解説を始めた。
 途中で面倒臭くなったから、ミッドとベルカの戦争の詳しい結果や内容は勉強しなかったが、とにかく戦争したんだ。
 まぁ、そうなると双方、封印されていた武器やら兵器やら、人道的じゃない大量殺戮兵器までと、滅ぼし合う総力戦だったみたいだ。
 この戦争で、多くの人間が死んだが、同時に魔法学の大いなる発展にもなった。
 戦争末期に使われたアルカンシェル連発なんていい例だ。
 魔力的真空地帯を半径100km?だったか? まぁでかく創って其処に急激に流れ込む周辺魔力によって圧殺するって言う、トンデモ兵器だ。
 ベルカの兵器も大したものばかりだったが、どうにも対人・対個に特化したモノばかりだったようで、対軍・対量に特化したミッドには勝てなかったというわけだ。
 その辺はベルカの民俗性ゆえだろうな。 正々堂々一騎討ち、不意打ちは弱者のすることだとかなんとかのガチガチの考え方だったみたいだからな。
 だからこそ、闇の書。正式名称は夜天の書だったか――は、戦争末期に、その封印を解かれた。
 ベルカの歴史そのものと言っていいほどに、そこには太古から現代にかけての魔導が記されている。そうだ。
 そして、或る意味で、個人が持つモノとしては最終兵器扱いで禁忌扱いだったそうだ。 石化魔法、洗脳魔法、人形化魔法。
 他にも色々とあるが、”酷く残虐な殺し方”が出来る代物なんだと。
 ゆっくりと石化していく様を眺め、その悲鳴を被害者家族への慰めとするなんて刑が昔あったそうでな。そうやって出来た石像は、城前に飾るんだとよ。見せしめとしてな。
 洗脳なんかは分かりやすいな。戦後、敗北したはずのベルカは、未だ負けていなかった。なんて説もあるくらいだ。
 なんてたって、ベルカから釈放された捕虜のミッドの者たちが次々と利敵行動を取って、周囲を盛大に巻き込んで、果てて行ったんだからな。
 そして、その最期は、そこからながーく続くミッドの歴史の中で、”闇の書”が初めて顕れた日でもあった。
 今、ベルカ保護区やら聖堂教会に成っている辺りはな、かつて、闇の書で吹っ飛ばされたところなのさ。四人の騎士様の出現もその時に確認されている。 
 ”戦争”時、特に活躍し、果てて行ったはずの四将と、その司令がな。 人形化魔法ってのは恐らくそういうことなんだろう。 
 ま、子供か親戚かぶっ殺されて怒り心頭になったどこかの王族辺りが、そういう風に、未来永劫、ミッドに連なる物全てへ怨みつらみを果たせるように、組み上げたんじゃないのか、と思うわけだ。 
 だから、闇の書は古来から続く、ベルカに依るテロリズムの象徴であり、ミッドがいち早くベルカという民俗性を保護した原因でもある。
 反感情を抑えておかないと、いつ第二、第三の闇の書が出現しないとも限らないからな。ちなみに闇の書の名称は、いろいろ吹き飛ばした時の光景が、世界を統べて呑みこむかの如き闇に見えたから、だそうだ。


  ちなみに今迄語ったのは全部、俺の妄想な。
 全部が全部ってわけでもないが、殆ど歴史的根拠なしの想像の類だ。そういう考え方もあるかもしれない、って話。
 で、えーっとそんな感じで、歴史的不明点が多すぎて経過がさっぱり分からない、ミッドとベルカの戦争と歴史だが、1つはっきりしてることはあった。 
 闇の書は、そうやって考えると、ミッドに連なるモノがが関わった場所でしか発生してないんだ。
 当たり前過ぎて誰もが気にしないが、この余りにも意図的で故意的な事象に着眼点を置く歴史学者は余りにも少ない。
 そして、その一番最近の事件はどこで発生したのかと言うと、先日どうにも不明な理由で引退した、ギル・グレアム提督及び、かの提督が世話をしたハラオウン一族に関わってくる。
 年齢が年齢だからという理由も分からなくもないが、あれほどの傑物が今更その程度の理由で第一線を引く理由が分からない。
 更に言えば、管理外世界でスカウトしたという”高町なのは”。 半年もたたずに起こった”連続魔導士襲撃事件”。 
 ハラオウン提督からわざわざ推薦されてまで私なんかの所に押し付けられるってことはだ、”活躍する場が豊富にあったんだろう”と、思うわけだ。 
 そして、あの諦観と義務を抱えた深緑の眼をキラキラ輝かしちゃって、人が変わったかのような態度で話を通してくるんだから、なにかしら過去の決着がついたんじゃないのか、と思うわけだ。
 で、彼女にとってのその過去ってのは闇の書で、”リンカーコアから魔力を奪われるなんて”いう特異な事が起きてた時点で資料を漁ってみれば、 



              闇の書は人の魂を呑み込む、だなんて御伽話みたいな記述があってな。



  そこには、書に記された呪文は一定の法則なんてなくて色とりどりで、呪文の長さもまちまちで、分類や順番なんてモノが無視されている代物なんだそうだ。
 なぜそんなにもバラバラなのか。回復は回復だけでまとめられず、攻撃は攻撃だけでまとめられていないのか。原理や仕組みはさっぱりだが、こう考えると辻褄が合う。
 あれは、歴代のベルカの偉人の魂(リンカーコア)を全て呑んだモノなんかじゃないか、ってな。
 リンカーコア、魔力殻。
 これは生きて行くのに別段必要ないが、或るモノにしてみれば今まで培ってきた魔法が刻まれていく記憶回路のようなものなんだそうだ。
 身体強化魔法の正当な進化魔法として、バリアジャケットなんてモノが普及してからは”魔力に依って或る程度以上、生存活動や戦闘行動を補強する”なんてことがまかり通っている。
 魔力持ちにしては、日常的に行っている当たり前のことなんだろうが。そこに依り過ぎた故に、魔力殻を抜かれると、急激に身体活動が低下する、なんて症状が起こりうる。
 つまり、抜かれちまうと、場合によっては救命活動をするまでもなく、身体活動が低迷していって死に至るわけだ。


  闇の書ってのはな、そういった記憶回路を丸ごと蒐集する”魔法大全”みたいなもんなのさ。
 その気になれば、アルカンシェルだって蒐集出来てしまうほどに、その潜在力、その展開力は計り知れない。
 故に、故の、ロストロギア指定。 保持者が碌でなしだったならば、碌な結果になりゃしない。
 闇の書から展開される対軍魔法に加えて、対個戦闘に特化した熟練のストライカー級をも退ける四将。そして、敗北すなわち死につながる。
 今回の”連続魔導士襲撃事件”では、幸い死者は出なかったようだが、過去のどの”連続魔導士襲撃事件”では、死者が出なかったことはない。



 「――つまり、だ。俺は恐いが怖い。
  ――死ぬのが怖い、暴力をふるわれるのは嫌だ、睨まれたら恐くてすくみ上がっちまう
  ――だから、自分に降りかかる可能性の在りそうな脅威には、念を入れて念を振るう。
  ――分からないから、で済ませるのは一番危険だ。分からないままで死んで逝くのは御免被る
  ――だから。俺には、貴方が恐い怖いテロリストにしか見えないのさ。それが、あなたが今そうなっている理由だ。八神ヴィータさん」


  ちなみに、今まで述べた話は殆どが私の所感。
 想像に、盲想。たらにれば。仮定と想定で過程を定義しただけで、応え合わせをしてくれる人はどこにもいません。
 ――あ、もうしゃべってもいいですよ。


 「・・・おまえ、なんなんだ?」

 「――教師だよ
  少し、多趣味なだけの、ね・・・」











  その後、八神ヴィータ自身から自身の詳細な事情を聞き終えたその教師は、一発殴らせろ、という当然の暴言に快く応じ、床がへこむほど殴られ続けた。
 結果、臆病野郎呼ばわりされることになり、高町なのはの説得に付き合わされることで今回のことを手打ちとするという話になったのだが、


 「ぁー、その程度だと悪いから、今度何か困ったことがあったら、私にできる範囲ならなんでもするよ」


  自身の情報収集能力と、危機管理意識に相当な自信があったらしく、それが全て杞憂で遭った事が相当耐えたようで、えらく殊勝な申し出を八神ヴィータに申し出ることで
 ひとまずの決着を迎えた。
 しかし、結局、八神ヴィータが動けなくなった要因については何も説明されなかった。――ということに気がつかぬまま、ヴィータはその教師を連行していった。




























  13 高町士朗






          ――お子さんの事でお話しが在ります。






  先日、高町家に電話を掛けてきた男の声はそう言っていた。
 どうにもかつて高町なのはが在籍した学校の教師らしく、高町なのはの御友人、八神ヴィータさんから、最近の彼女がどこかおかしい、と相談に乗られ、
 そのことについて少し伺いたいので御都合のつく時に、お時間をもらえませんか? というものだった。
 時間を貰うほどなのか、その男自身妙に想ったようだが、八神ヴィータさんの表情や口ぶりが尋常ではなく、本気で心配している風である、ということで
 まずは高町なのはさんの御両親のお話を伺いたい、ということだった。

  その言葉に、高町夫妻はいてもたってもいられず、本来営業日であるはずの平日を緊急休業にしてまで、かの男を歓待する準備を済ませた。
 全ては可愛い我が娘の為である。
 そして、その当日。
 スーツにネクタイ。片手に仕事用のバッグを下げて、その男が表玄関を控えめにノックしていた。

 「っす、すいませーん。高町夫妻の御自宅はこちらでよろしかったでしょうかー・・・」









  ただし、翠屋、と看板に描かれた玄関を。  
 あっれー?と首をかしげ、休業日って書いてある?!と今更その事に気が付き始め、とうとう大声を上げ始める

 「すいませーん! 高町ふさ「――何やってんだこのバカ!」あいたっ」

  振り向くと、そこには普段着になった八神ヴィータの姿があった。
 何やら怒っている様子である。

 「なに・・・って、居ないみたいだから聞こえるように大声を」
 「近所迷惑だ」
 「ならどないせいと」
 「・・・そもそも、ここは店であって家じゃねーんだよ。タカマチの家はあっちだ」

  その指差す方向は住宅街。
 今いる場所は商店街から少し外れたところ。
 その言葉に愕然としたらしい男は、手に提げていたバッグを地面に下ろすと、そこからメモ帳を取りだし、せわしげにペラペラとページをめくる。
 目当てのページをじっくりと読み、今度はこの辺りの住所マップを取りだして、現在位置と目的地を見比べて汗をかき始めた。 

 「――さ、気を取り直していこうか」
 「・・・昨日言ったことも忘れるってのは本当だったんだな」
 「――大丈夫だ、今度は分かる。ちゃんと記録に残してあってよかった」
 「・・・そもそも翠屋は待ち合わせ場所だったじゃねーか」

 あさっての方向を見ながらなんとか誤魔化そうとしたが、追撃の手は高町家に辿りつくまで止むことは無かった。













       ――――話が全く噛み合わなかった。
 




 それもその筈、高町なのはが働いている時空管理局の事自体を、なんと信じられない事に両親が知らなかったというのだ。
 正直あり得なかった。――というかどう考えても事前情報の調査不足だった。
 ミッドチルダの常識と、この管理外世界の常識。
 つまり価値観の相違を勉強した上で今回の事に臨んだはずなのだが、どうやら何も分かっていなかったという事を思い知らされた。


 特にこの日本、という国では一定の年齢になるまで義務教育が課せられ、その後の進路は自由。
 一般的には、高等学校や研究機関へ進み、将来を模索するという非常に平和で素晴らしいモノ、という所ばかりに目が行っていて、
 バイトや労働に関しての既定事項について読み込んでおくのをさっぱり失念していたのである。
 ミッドチルダは魔力至上主義の価値観で在り、年齢がどうあれ適性の或るモノから次々と第一線へ進んでいく。
 要するに生まれ持った時に持つ魔力量が多ければ多いほど、伸びしろがよければよいほど。出世の段階や、労働の機会が早まる、ということだ。 
 そしてそこには、親の了解どころか、世間一般で言う所の暗黙の了解がまかり通っていて、齢10に満たなくても現場に出る事が認められており、名誉なことだとされている。

  高町夫妻の話を聞いているとまーったく違うようだった。
 労働基準法とやらについて言及され、日本内での価値観道徳倫理観を以て、説教されることになった。
 15にもならない子供が働いていい道理にはならないのは何故なのか、日本の戦前戦後の話を踏まえつつ、どうしてそういった倫理観が発達していったのかという話に発展した。
  そして、八神ヴィータはミッドチルダ側の意見として、高町なのはがそこで働きたがっているという点で発言。
  対する、高町夫妻は、管理外世界の日本での子供の親側として、まだ幼い我が子には早すぎるという点で発言。
 その二つの相違と、妥協点を探して一教師が話をまとめていった。――高町家に訪れた時刻は1400頃で、話が一端まとまるまで4時間と少しが必要だった。


  家庭訪問をしに来た筈が、話した内容と言えば。
 ミッドチルダや次元世界についての説明と、魔法実演。
 知らされていなかった事実に驚く自らの不甲斐なさに憤慨する高町夫妻をなだめる。
 双方の価値観倫理観道徳観念について意見を争わせる。
 そういうモノだとお互いが理解が及んだ所で、争点は高町なのはをこのまま働かせるか止めさせるかという話に。
 長い長い言い争いを経て、まずは本人に直接聞く前に周囲の意見を聞いて回って、外堀を埋めて行くという結論に達した所でカラスが鳴いた。
 本人不在で話を進めていいものなのかと思ったが、高町なのはと言う人物は一度”こう”と決めた事はテコでも動かないほど決意を固めてしまい話を聞かないのだそうだ。
 そして、翌日から”高町なのは包囲網”が敷かれることになり――


 「――えーっと、じゃあ私は”部外者”なんで、後の事は御家族や御友人の方にお任せしてもよろしいですか?」

 
  面倒な事になりそうだったので、早々にこの舞台から降りようとしたのだが、そうは問屋が許さなかった。


 「・・・何言ってんだよ。おまえ関係者じゃねーか」
 「――えっ?」
 「そうね、先生みたいな方が手伝って下さると心強いですわ」
 「――ぇえっ?」
 「先生、どうか、なのはを宜しくお願いします――」
 「――ぇー・・・」

  普通、普通の世間一般の教師はここまで頼られもしなければ、親身になって頑張ってくれる人なんていないのだとか何とか。
 赤の他人であり、第三者でしかなく、たかが一度教鞭を振るった程度の”当たり前の善意で動く”学校教師に包囲網が敷かれていた。
 できれば今すぐ家に帰ってゲームがしたかった。最近ミッドに整備され始めたネットサーフィンでもいい。みっチャンネルの荒波にもまれたい。
 仕事の忙しい合間を縫って、やり残している積みゲーも沢山ある。なぜか男女問わず相談される事で溜まりがちな色欲を祓っておきたいところでもある。
 私的全開の個人的な事情が次々と頭に浮かんでは消えて行き――


 「・・・・・・・・・分かりました、私が出来る範囲で最期までやってみましょう・・・」


  首を縦に振る以外の選択肢が、思い浮かばなかった。
 男は観念したかのような諦観の色を一瞬抱えたが、すぐさま消し飛ばし、ゴソゴソと懐を探り、そこから名刺を取り出した
 改めてもう一度の自己紹介と、公的な立場の書かれたソレを夫妻に手渡す。
 八神ヴィータが、あたしにはないのか? という視線でこっちを見ていたので同じ言葉と共に手渡す。

 














  そしてその日は、それでお開きとなった。
 その帰り道。
 ズーンと、明らかに落ち込んでいる様子で、背中を丸め、とぼとぼと言った様相で夕日に向かって歩く背の高い影。
 その高い背中をバンバンと叩きながら、慰めている小さな影があった。


 「――なんでこうなるんだろう・・・」

 さっきからずっとこれだった。


 「・・・そんな風に思うんなら、なんでキョウシなんかやってるんだ? センセー?」

 いい加減らちが明かなくなってきたので、そう、問いを発した。


 「なんでって、そりゃ・・・」

  顔に一瞬暗い影がよぎったが、すぐにそれを消し、慌ててヴィータの方を見やる。
 眼を窄めてこちらを見ていることから察するに、どうやら逆光でしっかりとは見えていなさそうだった事に、ほっ、と息を吐くと


 「――それが俺のやりたいことだったから。かな・・・」
 「・・・ならテンショクなんじゃねーのか? あたしにはセンセーが矛盾してるように見えるぜ」
 「ムジュンかぁ・・・そうだな・・・」
 「・・・・・・・・・?」   
 











 「――昔、面白いドラマがあってなぁ。 教師と生徒の仲のいいドラマで、その生徒は教師の背中を見て人間を学んで行く、っていう内容だったんだよ。
  ――当時の俺は、それにいたく感動してな。 学校に入るのをワクワクしながら、そしてワクワクしたまま入学して。
  ――それが、ドラマ(虚構)でしかなかったというフィクション(現実)を叩きつけられて、思い知ったよ。
  ――人間(ヒト)ってのはその基本は汚くて、嫉妬深くて、簡単に逆恨みする。 そこには法なんてモノは有名無実で、ドラマ(虚構)の教師は出てこない。

    ずーっとな、俺は待ってたんだ。 俺の。俺だけの。英雄(ドラマ)が突然現れて、ドラマ(虚構)みたいに、俺を救ってくれる事をな、待ってたんだ。」













  八神ヴィータは、その黒く染まった姿が、なぜか泣いているように見えた。
 夕陽を背にして、逆光によって輪郭しか捉える事の出来なくなったその男の姿は、陽が沈むように、消え行く儚いようなモノのように思えた。
 暫くこちらを見るかのようにして口を開いていたその男は、踵を返すと夕陽を見上げるかのようにして、空を見上げ、続けた。












 「――まぁ、乞食だったわけだ。 ご飯を椅子に座って口開けて待ってるだけの、求めるばかりで自分から動こうともしない、そんなのだった。
  ――だから、ドラマ(虚構)が其処らに転がってないかって思って、色々練り歩いたよ。 でも、そんなのはいなかった。 求めるばかりの俺には、土台無理な話だった。
  ――なら、話は簡単だ。 何処にもいない、探しても見つからない。 なら”俺が成るしかないな―、やるしかないなー”ってな。 自然と、そう思えるようになった。」








         あれだよ、ほら。 最期にアテにできるのは自分だけってことかな
      















  そう言葉を結ぶと、振り返り、照れくさそうに微笑むと、すぐさま踵を返して、沈み行く太陽を追いかけるかのように、先へ進んでいく。
 八神ヴィータは、その姿にセナカを見た。目指すべき、将来の姿を垣間見たような気がした。とても大切な事を、今この男は言っている。そう感じた。
 だから――


 「――――お、おい。待て! 先に独りで行くんじゃねぇ!」


  日が沈み、一層暗くなって行くその背中を求めて、手をそのセナカに伸ばして、暗い夜道を歩むその男を追いかけた。
 ただ、陽はまだ沈んだばかりで、夜明けは、ひどく、ひどく、遠かった。 だけど――
 


























  18 月村すずか











          ――――下見のつもりだった。








  八神ヴィータとそのあと話し合った結果。
 全員が全員、それぞれが思う最善で事を進めて行く事になった。
 電話向こうの高町夫妻も、最善を尽くす、と言っていたので、もうほおっていおいても安心じゃないだろうか、と思ったのだが。
 なんだか必死な声を聞いていると、途端に何もしていない自分が申し訳なくなってきて、管理外世界、日本内での交友関係を調べることにしてみた。
 高町家の隣近所の方に話を聞いたり、彼女の母校に行って、どんな生徒であったのかの話を聞かせてもらったりしていた。
 やっていることがストーカー臭い上に、探偵紛い染みてきた事に辟易としつつ、高町夫妻のツテで教えてもらった彼女の親友であるという家を見て回った。 

  一軒目は豪邸だった。
 それこそドラマ(虚構)でしかお目にかかれないような、まるで王族がそこに住んでますと言わんばかりの敷地面積に、建造物。
 犬の鳴き声と、黄色い声が聞こえた辺りで撤退した。
 こう言う家に棲んでいる犬は、悲しいかな、木っ端の給料で日々を凌いでいるペーペーより良いモノを食べていると相場は決まっているのだ。途端に虚しくなった。
 どう考えても偏見による決めつけであったが、どうにもそういうイメージが拭えず、早々に退散する事になった。

  二件目でとっ捕まった。
 あっという間だった、ぐぅの音を言う暇も無かった。質問以外の返答をしたら骨を折るそうだ、勘弁してほしかった。
 何者ですか? 何が目的ですか? 何処から来たんですか? という質問に正直にホイホイと応えてたら更に厳しい目で見られ、集めた資料を全部奪われた上で
 一軒目に勝るとも劣らない洋館内部に連行された。 


  暴漢制圧はお手の物らしい、無機質な表情を崩さない侍女らしき人物に連行されて、奥間まで連れて行かれた。
 判断しかねるので、主人に裁決を任せるとかなんとか。男は主人なんて居るんだすげー、と関心しているだけだった。
 緊張感皆無のその態度に腹を立てたのか、侍女は背中に捻った両腕を更に捻り上げて黙らせるように動いた。
 微妙なコントを描きながら、テラスに通され、椅子に縛り付けられた。 そして侍女に呼び出された月村の長女と次女は開口一番こう言った。


 「・・・えーっと、その。ロリコン?」
 「・・・ストーカー」


  グサっとくる言葉だった。  
 どうやら、大まかな事情はここに来るまでに侍女から伝え聞いていたようで、其処から導き出される端的な事実とも言えなくはない言葉に屈するわけにはいかなかった。
 こちらを見る六つの眼が軽蔑に染まり切っているのは断固として許すわけにはいかない。
 故に、非常に面倒くさかったが、これまでの経過と、これからやって行こうと思っていた事を、資料を交えて、事実確認をしたければ連絡を取ってくれて構わないという態度を見せつつ
 およそ三時間を掛けて説明を行った。 彼女たちは非常に念いり深かったようで、しっかりと連絡を取って事実確認をしていたことで、ようやく解放された。
 正直、館の周りで写真を撮っていたのは見る人が見れば不審な行動でしかなかったので、拘束したことについて謝罪する彼女らを攻める気にはなれなかった。
 その上、そんな不審人物によって親友の過去があらいざらい調べられようとしているとなれば、まぁ、拘束してもしょうがないような気がした。
 ちなみに説明に時間がかかったのは、月村妹は魔法関連のことをそれとなく知悉していたようだが、月村姉が知らなかった事により色々と脱線したからである。
 ようやっと、説明と納得が終わり、協力を求めると、快く返事を返されて非常に助かった。
 月村姉には、その後もしつこく技術提供を求められたが、専門分野ではない以前に面倒だったので、自分よりも魔導士としての権限が高い高町なのはに言った方が早いと伝えると、何やら考え込んでいた。
 そして、話たいことも聞きたかった事も全て終わりそろそろお暇しようかと席を立ったら――
 

  「私の話を聞いていただけませんか・・・?」


  態度が180度変わった月村妹に連れられてなぜか彼女の自室だと思しき場所へ連れ去られていた。
 自制する、一教師として自制は大事だ。教師じゃなくても人間として常識は大事だ。
 例え彼女の容姿相貌性格髪毛がどれほどのクリティカルヒッツを放とうとも、なにかしら話を聞いて欲しいという目下のモノにはやましい気持ちを持って挑んではいけない。
 眼がちょっとうるんでるな―、とか。服装がさっきと違ってお洒落だね。とか四苦情的な事を懸想して、未だに中学生の年齢だそうだようだらしい、にはとても見えない色香に惑わされてはいけない。
 しかし、本当に中学生が持つ精神性にはとてもじゃないが見えなかった。
 部屋の様相は基本紫色で統一されており、薄く柔らかくした印象の優しい落ち付いた色で彩られているように感じる。
 例えるならばそれは、中に入ったモノを喰らう食虫植物の甘い香りにも似て、異常な危うさのようなものを感じさせた。 
 そして、なぜ彼女はベッドに腰掛けている、誘って――――待て。 そこまでだ。 香り・・・そうだ、この香りは何だ・・・?
 
  揺らぎそうな意志に喝を入れて、改めて部屋を見渡すと、よくよくみなければ気がつかないような場所に、紫色の煙を放つ置物があった。
 ザッ、と。徐々に後退り。ジっ、と、彼女の目を見つめながら口を開いた。
 
 
 「――かえ、らせてもらいたいんだが・・・」 


 なにがまずいって、なにかがまずい。口を開くのもおっくうで、目の前のモノに飛び付きたくなる衝動を必死に抑える。
 必死に後ろ手でドアノブを探し、掴み、一気に押しあけ――――られない・・・? 情況がさっぱり理解できないが、自分がナニかの虎口に居る事だけは何となく理解できる。
 言葉だ、何時も道理、言葉を紡がなくては。
 説得する必要がある。
 人は理性に依って生きる者であり、本能に依って動いていては、そこらの犬畜生と変わらないのだ。
 自分を納得させることも出来ずに、後々で後悔してしまうような行動は慎むべきであるのだ。
 時には思いきった行動も必要ではあるが、それを叱責された所で、それは身づからを信じ、身づからに依った、身づからの裡から出た、言葉と行動でなければ意味が無い。
 身づからに正直に生きるという事は、身づからの行動を身づから誇れることであり、身づからを好きでいられるという事なのだ。
 自分で、自分を貶めるような行動は、故に、取るべきではない――


 「・・・・・・・・・分かりました。今回は諦めます」


  今回って何だ今回って。
 

 「・・・・・・・・・私は、先生が言ったように、私を信じる私の裡から出る行動をとったんですけど――」


                   先生って、私より、臆病なんですね


  臆病で結構。
 他人の人生背負うなんて、自分の面倒も見きれてない俺に出来るわけないんだから、本当に勘弁してほしい。”よくこういう目に遭うからもう慣れたもんだけど”
 ピクっと。その最期の言う筈ではなかった言葉に、月村すずかは敏感に反応した。へぇ――、と。底冷えするような声をあげて。
 そしてようやく、話がえらくスムーズに進んだ理由をその男は理解する。・・・どうやら、誤解が或る程度解けてからも彼女たちはこれっぽッちも油断してなかったということだろう。
 恐らく、出された飲みモノか食べモノに、自白剤のようなものでも容れられてたんだろうなぁ、と。恐らくその時にでも、余計なことを口走って、思った事をそのまま言ってたりしてたんだろう。 
 なんだか、ドッと疲れた。
 なんでしたら、休んで行かれますか? と妖艶な笑みをたたえて微笑む月の美女の如きが其処に居たが、骨まで溶かされつくされそうな揺り籠臭い匂いのする居場所は未だ必要なかったので
 後ろの扉に向かって、開けて下さい、帰ります。と言うと、扉はあっさり開いた。
 其処にはチェシャ猫笑いをした月村姉がいた。確実に確信犯だった。そう言えば飼っている動物も”甘え上手な猫”だった気がする。要するに、そういうことなのだろう。
 肩を怒らせて、風を切って長い長い廊下を後にする。 そのセナカを含み笑いながら月村姉が追いかけてきた。


  「なによー、手を出さないのー?」
  「――本気で言ってるんなら正気を疑います・・・」
  「本気よ」
  「――急に真面目な顔にならないでください」
  「引っ込み思案なあの子が、あそこまでするのに私は驚いてるのよ」
  「だとしても」



  よく知りもしない女の子に手を出すとか莫迦じゃないですか。
 そして、よく知りもしない男を誘惑するとか莫迦じゃないですか。
 私は、女の子にキスをするのも関係を持つのも、結婚すると決めて、その人を愛すると自分に誓った方にしかするつもりはないんです。
 自分にも、相手にも、誠実でいたいので。――なんですかその鳩が豆鉄砲食らったかのような顔は。
 
  「あはっ」
  「・・・?」
  「あはははははははははっ・・・オカシっ・・・どこのお嬢様よあなたっ・・・」
  「いや、普通でしょう・・・」
  「そ、そうねっ・・・普通、普通っ・・・あはははははっ・・・天然記念物がいるわっ・・・」 
  「・・・」 
  「ちょ、ちょっと待ちなさいよっ・・別に莫迦にしたわけじゃなくって・・・」


  後日、同じく高町なのはの親友、アリサ・バニングスの下を訪れた時、面白おかしくその時の話を暴露され、同じように笑い物になったのは言うまでもない。
 黄色く、明るい声が上がる中で、独りブスっとした男が、黙々と出された茶菓子(茶化詩)を頬張るほかない光景が、其処にはあった。









 ・・・彼の見えない所でも世界は動いている。
 高町なのはの為に、高町なのはが関わってきた人間者界が、最善を心に抱いたその男を引き金(トリガー)として、”勝手に良い方向へ、変化しつつあった”
   




   

                                                                                 ・・・to be continued for "Nanoha Takamati"





























※そういうわけで今回からは二次創作の多いリリなのものを取り扱います。いつも道理展開がジェットコースター作風っぽいのは変わりなく。
まぁテンプレでよくつかわれる焦点は、勝手に幼年期から19歳まで盗撮ビデオが創られていたと発覚した、とあるStSですよね。
働き過ぎて過労で仕事中に失敗。大怪我を負う高町なのはをその前に救え!的なアレですよアレ。憑依とか転生じゃなけりゃ救えない系でよく見かけるアレ。
私が書く作品はそういったテンプレに喧嘩を売りまくる作品だぜフゥーハハー。
余りにもポエム的で、かつ分かりにくいという事で、分かりやすいようにいつもよりたくさん書いたよ! 青少年の主張乙。
ちなみにハーレムとか恋愛関係のイベントの予定は全くないです。
なんでかって俺に彼女がいないからだよ言わせんな恥ずかしい。物語上とはいえリア充にさせてたまるかfuck me.
あと、キャラ名の前についてる数字は分かる人には分かるようにしてます。多分分かるよね・・・? 
次はまた気が向けば書きます。









[27117] 【A’s~】ム意識は善想をもとめあらがう【~空白期Sts序】
Name: 典play◆3c72f4f5 ID:0272e74c
Date: 2011/06/27 18:52
  14 ――――

  求める者は幸いである。求める事の出来る環境が在るのだから。
 奪うモノは幸いである。奪えるだけの力を持ち得ているのだから。
 与える者は幸いである。与えられるだけの人生を歩めたのだから。
 故に、抗うモノは妬み嫉み怨み羨む故に、その欲望は止む事のない故に――――







 01 高町なのは

  
  「・・・うっ、うっ、うっ・・・」

  少女は泣いていた。
 もう空を飛べないかもしれないと言われて。
  少女は泣いていた。
 こんな時でも、頼ってすがれる人がいない事に絶望して。
  少女はまだまだ泣いていた。
 なんで泣いているのかのさえ、もう分からなくなってしまって、泣いていた。
  どうしたらいいのか、幼い高町なのはには、わからなかったから。




  



























  「………なるほど。そのまま症状をアレに伝えた、と。」
  「――えぇ、正直、私達の落ち度だったわ。あんなになるなんて…」

  次元航行艦、アースラ。艦長室。
 砂糖入りの緑茶をありがたく頂きながら、男は頭を人差し指でつついていた。
 正直に言わなくても、頭が痛かったからである。余りの論理展開に。
 魔力至上主義が悪い意味で定着してしまっている弊害とも言えるのだが、ここで木っ端艦長に言ってもしょうがない上に本題はそこではない。
 今回の件は、高町なのはを現場に復帰させるためのカウンセラーとして呼ばれていたのである。
 八神ヴィータが行動するのは、遅すぎたのだろう。
 そして伝聞の情報であったが為に、判断を見誤った。完全に己の失態でもあった。
 説得包囲網で囲いこもうなどとせずに、無理矢理にでも親御さんに止めて貰うべきであったかと少しばかり後悔したが、後々利用できる可能性を考え、思考を切り替える。

  「………といっても私は専門家じゃないですよ? 資格無し。しかもただの一教師。 あの頃と同じく、多少手荒くなります」
  「――私が貴方が適任だと判断したからお呼びさせてもらったのよ。 そのあたりの許可は出ているわ」
  「出ているわ、って・・・」

  海の恐い所はここだ。
 より現場での判断性に重きが置かれる為に、その現場の責任者がその責任を以て上伸をすれば、よっぽどの事が無い限り通ってしまう。
 過去に起こった大規模な次元震が、現場の判断を取らず、上の判断を仰具に任せた為、遅きに失したことから取り入れられていった制度なのだが、これでは職権濫用ではないだろうか。
 と、吼えたてた所で、しっかりした理由も付属していなければ通る事はないという厳正さもあるので、それが通ったという事は、要するにそう言う事なのだろうが。

  「………相変わらずなことで。ハラオウン艦長」
  「――いつもいつも申し訳ないとは思うのだけれど・・・」
  「………いいえ、それが生き甲斐みたいなもんですから」  「やらせてもらいましょう。糞餓鬼のケツを蹴飛ばすのは得意ですから」
  「――彼女は今非常に不安定な状態にあるわ、くれぐれも、ね」
  「了解しました」





































  「――歩けるようになる方法ならある」

  部屋に入っていきなりこれだった。
 そして、全く忠告を聞いていないとしか思えない態度でズカズカと病室に踏み込んでいく。
 白い白い床を、外から来た靴の汚れが穢していく。

  「………………………………」

 しかしそう言葉を掛けられた空のエースは、申し訳程度にこちらを一瞥するも、膝元で組んだ手元へと目を俯けさせ、何の反応も起こさない。

  「――絶望的と言われて絶望したか」

 ピクッ、と。その身体が動いた。ブルブルと体が震え、静かに光るモノがその頭から流れ落ちる。
 
  「――泣くほど悔しいか」

  その言葉に、とうとう嗚咽を漏らして泣き始めた。
 事前にリンディさんから言われたのは、高町なのはの足を治すためのスペシャリストを呼んだとのことだったはずだ。
 なのははその言葉に何の反応もできず、そんなこと出来るわけないと諦観を抱えた顔でその好意に頷いただけだった。
 なのに、なんでこの人はこんなに酷い事を言うんだろう。
 一番その事を私が分かっているのに、なんでわかっていることをわざわざ言うんだろう。
 私が一番聞きたくない言葉を、訳知り声で、なんでそこまで淡々と言えちゃうんだろう。

  「………そうか。泣くほど悔しいなら、お前は歩けるようになるだろう」

  嘘だ。
 そうやって、在りもしない未来を浮かべて、私を慰めて、悦に入ってるだけなんだ。
 私が、はやてちゃんに、車椅子での生活と両親が居ない事で、自分よりかわいそうな人をお見舞いに行く事で、自分を慰めていたみたいに。
 そうやって、思ってもいない言葉を、さも思っているような言葉を、吐けちゃうんだ。
 
       「俺は仕事で来ている」 
       「金を貰ってココに来ている」
       「高町なのはを歩かせる事が出来れば大金を貰えるという話でここにきている」
       「その魔導師の活躍に今まで投資した金が莫迦にならないから何とかしろと言われて、ここにきている」                  
 
  そこで、初めて高町なのはがこちらを向いた。
 怒りの瞳だった。  

  「お金…」
  「そう、金だ」

  世の中金だ。お前のデバイスに掛った莫大な費用も金だ。お前の活動の為に掛ったアースラの費用も金だ。
 金、金。金だ。どれだけの費用が高町なのはのデバイスに掛けられているか知ってるか?
 最新技術であるカートリッジシステムを湯水のように使ったことで掛った費用の事は知っているか?
 高町なのはが負傷した事で掛った治療費の詳細を知っているか? それら全てが何故無償で行われていたか理解しているか?
 全ては、高町なのはという存在に付属していた魔力資質というモノの為だ。
 魔力至上主義の価値観の御蔭で、魔力という価値だけを見られていて、高町なのはという個人はどうでもいいんだ。
 魔力を沢山持っていて、都合よく言う事を聞いてくれるいい子ちゃんで、自主的にいいなりに成ってくれる正義感に誘導されてその結果が見ての通りだ。
 お前、歩けなきゃ。空を飛べなきゃ。魔力を以前のように使えなきゃ、自分の事が――

  「やめっ…!」
  「――無能以外の何物でもないと、理解出来ているから、泣きじゃくってるんだろう?」
  「ちがうっ!」
  「何が違う?どこが違う?お前がお前自身を無能と決めつけてしまっているというのに、何がどう違う要素が介在するんだ?」
  「お金に目が眩んで此処に着た貴方に言われたくないっ!」
  「だからどうした。それがどうした。俺はお金を貰う事で、貰える分の仕事をしに来たんだ。それのどこがおかしい」

  世界が無償で自分に優しくしてくれると勘違いしてないか?
 だとしたらおめでたい頭をしている。ちゃんちゃらおかしいヘソで茶が沸く。
 お前は優しさを掴みとるために何をしてきた? お前は優しさを掴みとるために何をしてこなかった?
 自分より哀れそうで、自分より劣っていそうで、自分より物事が分かっていなさそうな奴らを、上から見おろしていたんじゃないのか?
 そうやって友達を作ってきたんだろう? 
 無理矢理やる事はよくない事が分かっていたから、哀れみで仲裁に入った。
 悲しい目をしていたから、悲しいはかからが欲しかったから、同類相哀れみたかったんだろう?
 そうして肥大した自己完結が、身づからとの正しさと食い違う相手の意味が分からなくて、高町なのはを押し付けた。

 それがいま、己自身にされている事の、何がおかしい? どこがおかしい? 故に歩けるように成れと言われる事の、どこが間違っている?
 極々当たり前の、迷惑な正義を押し付けられたからって、駄々をこねるのか? 
 今までの高町なのはが、それをやり続けていたというのに? 己にやられることは認めないのか? 許せないのか? 受け入れられないのか?
 いい子にしろよ、わがままはいけないぜ









































  
  締められた最後の言葉に――     ビクッ、と高町なのはが震えた。
 何かを畏れるように、何かを恐れるように。何かにすがるかのように。

  「わた、わたし、わたしは、わ、わた、わた、わた、わたしっ……?!」
  「どうした、声が震えてるぞ? ん?」

 仕事が終わった。と、”そうなった”高町なのはの状態を見て男は思った。
 後は、彼女の家族の仕事だ。
 そう。この会話を、最期まで我慢して聞いていてくれた、ご家族の仕事になる。
 自分の娘の本音が何処にあるのか、その口から出ずとも、その態度で理解したであろう家族の。 


































  だから、次の瞬間”打ち合わせ道理”に殴り飛ばされ、意識が彼方へ飛び去って行くのも”自分の中では”打ち合わせ道理だった。
 そして、斜めに傾いだ視界の中で、家族と抱き合う彼女をどうにか視界に収めると、意識が失せて行くに、体を任せることは”予定道理だった”


















































  12 カリム・グラシア


  首にギプス。
 片腕を包帯でぐるぐる巻きにされ、片足を吊っていた。  
 それがお見舞いで見えた光景だった。

  「・・・また面白い事に成ってますね、先生」  
  「――グラシアか」

 古武術の使い手にボコボコにされたんだと、嬉しそうに笑う。
 救いようのない馬鹿ですね、と返すと見舞品として持ってきた果物を、既に山のように置かれているお見舞いの山の端に乗せる。

  「・・・それで、いつも通りですか」
  「――せめて計算通りと言え」
  「・・・先生のそれは、行きあったりばったりというんです」

 それに、と山と積まれた見舞いの品々に眼を走らせる。

  「・・・大層な人気振りですね」
  「――殆ど男だけどな」 
 
 男は苦々しく笑う。 
 だから私は笑えない。
 本当に、いつも通りだから。

  「・・・私、聖堂教会でやって行く事に決めました」
  「――そうか」 

  持ってきた林檎をかつら剥きにしながら、最近の私の報告をする。
 生まれてから死ぬまで決まっていた道と、別に欲しくもなんともなかった能力を活かしていく事を。
 酷い言葉をぶつけられて、感情のぶつけどころを履き違えた私の、決めた道がそれだから。

  「・・・ま、殴られ損じゃなくてよかったってことかな、お前に関しても」
  「――本当にいつも道理で忌々しいですね」

 どうぞ林檎です、と当てつけに剥いたりんごをそのまま手渡すと、ありがとな、とさっそくかぶりつく。
 色々と間違っている気はするが、私の恩師は、色々な所でバカみたいなことを平然とする人であることは間違いないだろう。
 気がつけば病院に居るのだから。

  「・・・それで、今回は何をしたんですか?」
  「――色々だ、色々。 お前の時も別にお前だけじゃなかったしな、問題児は」
  「・・・問題児で悪かったですね」
  「――悪かない。悪いのは、それを導けない教育者さ」

 まぁ要するに俺の事だが、と快活に笑った。
 だから、いつも通り、私には笑えなかった。

  「いつか痛い目に…もう何度も遭ってましたね。凝りませんね、学習能力零です。とてもじゃないけど教師と呼べません」
  「――首になった」
  「・・・は?」
  「だから、首になった」

 あっはっはっはっはっはっは、と笑った。
 頭痛くなってきた。

  「・・・どうするんですか、これから」
  「ぁー、昔世話になった連中の所に里帰りしようかと思ってる。仕事貰いに」
  「・・・うちで面倒見ても構いませんよ。先生が来るとなれば、皆も喜びます」
  「ダメだろ」

 俺そこも首になったじゃねーか、と笑った。
 また首に成る為に職場を変えるんですか、と私は笑わなかった。
 どうせ、言っても聞いてくれないのだろう。
  
  「・・そういえば」
  「なんだ」
  「・・・闇の書、いえ夜天の書ですか。解析と復元に関して、本当に先生の名前を出さなくてもよろしいのですか?」
  「そういや、そんなこともやったな…」

 八神ヴィータがその男を襲撃する前に、既にあらかた終わっていた諸々。
 そういう研究分野の一線を張っているからこそ、為し得る事の出来たベルカ史の第一人者の一人。
 と、見なされているというのに、当の本人はどこ吹く風で、議論の場を用意しては他の人の想像力を刺激しては勝手に論文を発表されている。
 今回の解析と復元に関しても、ブレイクスルーとなったのはその一言からだったというのに

  「いいんだいいんだ。そういう名誉欲とかいらねーからな。めんどくさそうじゃんか、目立つの」
  「本当にいつも道理過ぎて忌々しいですね、だから殺されかけたりしたんです」
  「・・・ぁー、俺が首になったのって俺を護る要素もあったな…」

 やりたいやつがやりたいことしてんだから、邪魔するのもどうかと思うしなぁ、とぼやくと
 実際は細かい所を詰めるのが面倒だから投げただけでしょうに、と諦めたような目つきで溜息を吐かれる

  「・・・それで、面倒くさがりの学習能力零な先生が次に逃げる勤務地は何処ですか?」
  「――いやいや、逃げるんじゃなくてな? 先生も人間だからな? お金稼がないと生きていけないから致仕方ない処置なんだよ」
  「だったら」

 だったらどうして、ベルカに留まってくれないんですか。
 ジッ、と。逃げる事は許さないというかのように、青い瞳が、教師の目を捉えて離さなかった。
 その教師は強い意志の籠められたその瞳をしばらく見つめてはいたが、やがて眩しいモノから眼を逸らすかのように、その眼を伏せた。

  「――臆病者」
  「・・・そうだな。そうかもしれんな」
  「――意気地無し、甲斐性無し」
  「・・・返す言葉もねーよ」
  「どこまで逃げるんですか?」























































                                      「何処まで貴方を、追いかければいいんですか?」
































  「直球ですね、グラシアさん」
  「鈍いわけでも天然なわけでもない癖に、しっかり言わないと貴方は逃げますからね」 
  「まぁ、ほら。あれだ。お前が諦めなければいつか俺も折れるんじゃないか? 正直、グっときた」
  「私は辛いです」
  「俺だってつれ―よ、お断りします。だからな」
  「いつも道理ですね」
  「いやな、お前独り立ちしたとはいえ教会のお偉いさん所の子。俺は一般人に毛が生えた現在無職、止めとけ止めとけ。人生損する」
  「私の事はどうでもいいんです」
  「お前の親御さんが可哀想だろうが」
  「両親は関係ありません、私は貴方に話しているんです」
  「お前恐くなったなぁ・・・」 
  「誰のせいですか」


  全部貴方が教えたことでしょうに、と。ほとほと呆れたようなように溜息を吐く。
 愛だの恋だのと抜けす暇があるのなら、それは夢を追う事と同じ事だと考えろと言ったのは。どこのどいつなのだろうか。
 諦めなければ叶うのではない。諦めなかったから、叶えるために進んでいく。  
 一度や二度の挫折で簡単に折れてしまう程度では、"本気"とは言えない。
 たかがその程度でつぶれてしまうような"情熱"では、何をするのもうまく行くわけがない。
 そうやって、叶える為の無茶を繰り返して、叶える為の手伝いばかりして、自分の事はそれが夢だという。
 夢は叶わない方がいい。叶ってしまうと途端につまらなくなるから。
 叶え続けられるような夢を追いかけていた方が、人生有意義だ。 成長する生徒を育て続けて行くのはだからこそ楽しい。だなんて――

  「………俺は教えるのは得意だが、教えられるのは苦手でな」
  「だから逃げるんですか」
  「いや逃げたんなら、放っておけばいいだろ。そうしてくれよ。 お前以外は皆、諦めて出て行ったよ」

  其処に置いてある、お土産は全部そう言う事さ。
 心配は嬉しい、近況をうまくこなせていることが聞けるのは教師冥利に尽きる。
 だからこそ、いつまでも俺にこだわっているべきではない。俺を心の拠り所にするべきではない。
  
  「社会的には独り立ちできたのかも知れんが、精神的にはまだまだだ。心の独り立ちができたんなら、いつでも嫁に貰ってやるよ」
  「なんですか、それ」
  「簡単に言えば、今も昔も、俺にはグラシアが生徒にしか見えないって事だ。 手の掛る妹、手の掛る弟。もしくは息子か娘。そう言う対象にはまだまだほど遠い」
  「――でも色仕掛けには弱いですよね」
  「止めろ。マジ止めろ。お前ら聖職者なのになんでハニートラップを平然と仕掛けてこれるんだよ…」
  
  それにな、前も言ったが。
 俺は自分に誓った相手しか愛したくないんだよ。

  「――臭いです」
  「うるせぇよ」






























  数週間後、その教師は病院を退院していった。
 連絡先も残さず、行き先も告げず、ただこれからどうするかは考えている、とだけ言って。
 毎日大勢の人間が利用する、ミッドチルダの転送装置に、移動先の履歴だけを残して。 

  「――? カリム? どないしたんや?」
  「………いえ、なんでもありませんよ。騎士はやて。 少し、考え事をしていただけです」
  「ふぅん?」

 そう言って、めくったカードには、飼い犬に尻を噛まれる、愚かな旅人の姿が、描かれていた――  
































































  09 レジアス・ゲイズ

  「――泣くな」
  「うっ・・・ぐっ・・・だって、だって・・・」

  白い部屋の中で、少年は泣き、青年は語りかけていた。
 ただ、語りかけられる少年の、その肩には腕は無く、その腰には足が無かった。
 つまりは、そういうことだった。
























  場所は、ミッドチルダ。中央病院。
  時は、少し、昔の話。
 その少年に語りかける時はまだ、年若い管理局員であったレジアス・ゲイズは真っ直ぐな人間であった。
 いや、彼は彼が死ぬその時まで、真っ直ぐな人間であった・・・。
 身づからが信じる正義を信じ、魔力適性が無くても、力が無いものなりに出来る事はある筈だ、と。
 そういう考えを以て行動と言動を行い、常に実行者であらんとするその姿は、多くの人と物を惹きつけた。
 だが、魔力至上主義の世界の中で、力こそが全てと言う傲慢な世界の中で、その姿勢は反発を呼び、幾度も酷い目に遭うこともあった。
 魔力の無い彼に魔力を振るう彼らはこう言った。


         ――――ゲイズ。口だけの落ちこぼれが、生意気言ってんじゃねぇ!
         

  だが、レジアスはそれを鼻で笑った。
 どれだけボロボロなっても、どれほど血反吐を吐こうとも、幾度も幾度も同じ言葉で返した。
 

         ――――力の無い私に成果が出せて、力の或るお前たちが結果を残せないのは何故だ? 


  私とて力が在れば、お前のように身づからが望むように暴力を振るうだろう。
 お前は何の為に私を殴る? 魔力が無い癖に、と。 魔力が無いなりに必死にやった上での私の成果を何故妬む?
 力が在るからと驕り昂り、戦列を乱し、周囲を顧みることなく単騎で突っ込み、手痛い目に遭ったのは当然の結果だ。
 私には力が無い。 お前のように魔力が無い。 力無き大義は害悪でしかない。 大義なき力は災厄でしかない。
 だから私は頼るのだ。力持つモノを。 だから私は学習するのだ。力が無いなりに力あるモノの力になれる役目を探して。

  私にはこの頭が在る。手が在る。足が在る。口が在る。
 無いのは魔力だけだ。ならば何かできるだろう。頭を使えばいい。その為に手と足を動かすのだ。口を開くのだ。
 そして無いのなら、在る所から持ってくればいいのだ。
 持って来れないのならば、持っている奴を連れてくればいい。私はいつもそうしてきた。
 私に足りない物を補うために。地上に足りない者を補うために。市民の信頼に足り得るために。


         ――――うるせぇ! 結局てめぇはなにもしてねえじゃねぇか! この口だけ野郎!


  その通りだ、私は何もしていない。
 何かを為し、何かを行ったのは、私が足りないと思ったから連れてきた者たちばかりだ。
 現場の人間が、私の想う所を為してくれた。故に、真に称賛されて然るべきは彼らだ。私ではなくな。
 そしてなぜお前はひたすら私に口だけだというのだ? 私にはこの口だけしかないというのに。魔力の無い私に。
 魔力が無いからこそ、戦力に足り得ないからこそ、その他の部分で実績を残している私にお前はこれ以上何を求める。
 現場に出て死ねと言うのか? 戦力にすらならない私に?
 お前は私に口だけだという。ということは私を口だけだ、と罵るに足る根拠があるのだろう。
 数字と報告しか上がってこない此処に、お前が求めるのは何だ? 私は、其れに全力で応える準備を、いつも万全に怠っていない。
 



















 






  そしてレジアス・ゲイズは、その理想を貫き通し、『ミッド地上の守護者』と呼ばれるまでに至った。
 舐められぬよう髭を生やし、大きく見せるために体を鍛え抜いて、太く堅く、どっしりとした人間に見えるようにした。
 そこには多くの人が集い、力無き頂点が語る、力持つモノへの羨望と、果たすべき役割への英雄論は、その発言力と実行力を増大させた。  
 自らの故郷を護るために。身づからの家族を護るために、身づからの隣人を護るために。 
 だからその日は、かつての三提督と同じく。同じ志を抱いた三人のハジマリの日であったのだ。
 
  レジアス・ゲイスは行政の頂点に立つことでの理想の施工を
  ゼスト・グランガイツはその理想を現場で体現していく事を
  そして、最期の独りがその二人に誓ったのは、その理想の手助けと生れるような人材を育成することだった。




   「――腕が無くとも、口が在る」
   「――足が無くとも、頭が在る」
   「――命が足りないのならば、その限られた時間を精一杯生きろ」


  次元犯罪者の行いによって、生きる時間の大半を失い、手と足を亡くした少年にその大人はそう言った。
 私の責任だ、市民を護れなかったのは、未だに私が怠慢でしかなかったからだ。細部まで目を向けれてなかったからこその管理局の怠慢だ。
 私がやる。私が行う。私にしかできない。私がしたいからやるのだ。私がやらねば、誰がやるというのだ。 
 俺には難しい話は分からない。だが、分からないなりに分かる事もある。だから俺はこいつについていく。
 僕はこんな目に遭うのは哀しいと思います。悲しい人をこれ以上作りたくないって想います。だから――








































  ――だから、三人とも死んだ。
 悩みながら、間違いながら、必死に現実に、抗って、抗って。
 理想を叶えぬまま果てて逝った。
 その後に続くモノが、その先を行くと信じる他なく、無念を抱えたまま、精一杯やったと、満足そうに果てて行った。

  ミッド地上の守護者
  地上最強のストライカー
  教師

 お互いに足りないモノを補い合ったその男たちは、その歴史に特に顧みられることなく、埋もれて行った。
 なぜならば、それは仰ぎ見るモノとしての礎として、下に敷く土台でしかないのだから。当たり前を、誰もが顧みない。
 だが、それでいいのだ。それこそが、顧みられすらされないことこそが、その望みだったのだから。
 その背中が魅せた高みが、歩いてきた道が、後に続くモノへの標になればいいのだ、だから――




























  「――構わん」
  

  この判断は間違っていない。
 どう転んでも、最終的に目的を達する事が出来ればいいのだ。清も濁も呑み込んでこその守護者であるべきだ。
 このままでは、あの至上主義者共が上に立ち続ける限り、新しい時代は訪れない。そして罪科の科学者にも未来が無い。


  「・・・ほう、貴方はアレらと違って話ができるようだね。レジアス・ゲイズ」
  「――ふん。何を言ってるのか分からんな。お前に力が無ければ、見放すだけの話だ」
  「・・・なるほど。ギブ&テイクということか。実に分かりやすくていいね」
  「――我々の関係に、それ以上もそれ以下も無い。私の目的はそれだけだが、貴様が違うのだろうな」

  ・・・。鋭いね、地上の守護者。 と、その科学者は返す。その顔は笑っていながらも、その眼は相対するモノに向けて燃え盛っていた

  「・・・だが分かっているのに、止めなくてもいいのかい? 君の大好きな地上が滅んでしまうよ」
  「――構わん」
  「・・・ほう。 何故? と聞いても?」  
  「――ふん」

  地上を舐めるな化石風情が。
 世界と言うのは画面に向かって引き籠るしか術のないお前が想っている以上に、慮外の上を行く。

  「――無限の欲望などと言う大層な名前の付いた者が居た文明が何故滅んだのか、その応えが、出る時が来るだろう」
  「・・・ふむ。 ならばこれは、君と私の戦争というわけか」
  「――勝ちも負けもあるものか。価値を創るのは、自分自身だ。負けを認めるのは、己の心だ」

  だから、やれるものならやってみせてみろ。
 最善を尽くして世界をお前の想うように染めて見せろ。この世界では、力がモノを言うのだ。







    「・・・ククククッ。いいだろう、それならば、この私の欲望が、どこまで世界に通じるのか、試してやろうじゃあないか!!!」




























  依って、役者はそろうべくして揃う。
 それぞれの思惑を持って。夢地図を追いもとめ。
 最期の独りは、無限の探究者。
 誰もが、降りかかる理不尽に抗った中、果てて行った中で、唯一、生き残った。
 彼が敗北を知る事で、世界が広い事を知るのは、もう少し、先の事――






























 










  いいや、そんなわけがない。
 敗北を知る前に、敗北したとしても、勝利条件を十全に満たすために、無限の欲望を世界に魅せつけるための
 表も裏も知り尽くすための、教会と地上と海の内部を知り尽くした、裏切りの協力員は。 その最高の人材は、既に手中にあるのだから。
 負ける可能性は0%ではない。
 だからこそ、その可能性を限りなく0%にするための方策を、完全に練り上げるための遠大な計画は、既に始まっているのだから。
 己の欲望に邁進する科学者は、故に。振り返ることなく、今までの顛末を見護っていた裏切者に問いかける。
 ――いいのかい? と。 

  「構う事はない」

 ――かつての恩師に、現場を体現していく戦士。そして恐らくは君も、死ぬ可能性が非常に、高いとしても?

  「だからどうした。その程度、誰であっても分かっている筈だ」

 ――そうかい。 君はとても、平等に、厳しいね。

  「他人のことを気にかける余裕がお前にあるのか? ジェイル・スカリエッティ。 精々、有用な道具を有効に使い潰せ。」

 ――言われるまでも無い。精々、楽しませてもらおうじゃあないか






  そこはこの世を羨望する者が住まう棲家。
 ・・・陽の届かぬ暗闇の底で、闇が月を求めて、胎動を始めていた。故に、無限の欲望を満たさんが為に。
 








































  ………世界とは、折れ曲がる己に克つ強き意思に依って、動いて行くのである。動かして活けるモノとなる。
 世界を己がままにするには、新たな一歩を、己から歩んでいく気概が必要となる。 
 臆病にへたり込みながらも、なお前に進んでいく事の出来るモノが、次を創って逝く。
 だから――



                        
                                                                    ・・・to be continued for "Unlimited Desire"











































 ※ハァイ! 理想郷&なろう読者の面白い話なら何でもいい方、某板でつけられたあだ名的にのりぴーです
 今回も難産ではありませんでしたが、正直疲れました。
 べっ、別にマブラブ板の不良の背中という作品がカッコイイ樽ーとか思って面白い是参考に成るぜなんて思って、放置していたわけじゃないんだからねっ!
 後、恋愛を書かないと言っていたが、あれは嘘だ。ま、でも結局付き合わせない上に、ハーレムとかふざけた事はやらせねぇ…っ!俺にやらせろっ!リアル的な意味でっ…!
 ヒモになってハーレム築いて一生ゲームとか女で遊ぶって、言ってる事最低ですけど、漢にとっては最高の浪漫的欲望ですよねー。
 要するにそう言う作品にはしません。させてたまるかっ…!
 そういうわけで、なのはさん救済は原作の流れを補完する形で行いました。家族愛乙。
 ことばだけではなく、みをもっていたいめにあわないと、莫迦はりかいできないから、しかたないね!
 でも、あれ?これってよくよく考えたら再構成じゃね…?
 ま、まぁいっかぁ。この作品の主題はみなさん忘れてるかも知れませんが、”多重クロストリップ”です。作者が言うんだからきっとたぶんそうだよ!
 その割には欠片が欠片も姿を見せませんが。
 ところで、誰もキャラ名の前についてる数字について言及してくれなくてカナシス。そして主人公の名前は、多分次回が第六部完になる三話で出す予定であるな…。
 それでは、次もまた気が向けば書きます。









[27117] 【空白期Sts序~】ム意識は善想を叶え遺志とする【~Sts完結】
Name: 典play◆3c72f4f5 ID:0272e74c
Date: 2011/07/18 07:19
  21 ――――

  路傍の石ころを知っているか
 砕かれた石ころを知っているか
 そうなったものがどうなるか知っているか
 それは砂となるのだ、大地となるのだ、惑星(ホシ)となるのだ 

  そして、石ころの大元とは、惑星(ホシ)そのものなのだ
 だから、幾らでも砕ける。幾らでも粉々になる
 そうして結局は、同じモノの元へと還って行く
 そうして、人類の叡智に依り、砂と石によって数多の利具が創られる

  故に。我が名は、砂と石に依る辺を持つモノ
 全てを亡くしたあの日に、目指し続けると己の魂に誓った、路傍の意志だ
 その標から頂戴した、我が魂に刻まれた芯名、我が名は――
 



























  15 ティーダ・ランスター

 
  「――ランスターの風は…っ! ティーダの陽或る名は…っ! 闇に堕ちた手前なんかには負けねぇんだよっ…!」


  それが、一つの答えを。己の裡に見つけたモノが放った、激突の言葉だった。
 次元犯罪者と死遭った際に、その魂を天高く響かせ、轟かせた。魔力ランクが一段高い相手だろうと、己がやるべきことは、決まっていたから。
 教えてもらった事と、己で気がつく事の出来たモノ。 
 それは、ティーダ・ランスターという名前に、心に、魂に、命に、最初から備わっていたモノ。
 その人生に祝福或らん事を願われて付けられた命銘。その銘に授けられた芯命。陽照らす青嵐。




     ――光射す、風と成れ! Setup! ライジングストーム! 




 執務官と言う将来の夢が、魔力適性が低いが為に諦める他なくなったと自分で決めつけ、腐っていた時に。顕れたのがその人だった。
 魔力がなんだ。魔力適性がなんだ。そんなものなくなって、成りたい者には生れる。
 お前は諦めているだけなんだよ。


     夢を追う事を勝手に諦めて、
     夢が叶わないと勝手に絶望して、
     夢を追いかけたいと勝手に切望して、
     己の心の中で、行き場の無くした夢を夢見る事で、己を慰めてるだけの負け犬だ
 

 うるせぇ負け犬の何が悪い。
 所詮、俺は負け犬だ。だから負け犬は負け犬なりに道の隅っこに体を寄せて、縮こまって、日向を羨み陰に隠れる事の何が悪い。 
 
 悪くはない。悪くはないが、実に、カッコ悪いね。
 お前自身もそう思ってるんじゃないのか? 自分の事、好きか? 自分で自分を誇れるか? 今の自分に満足してるか? 
 お前の妹はお前の夢を応援してくれているのに、手酷く扱っていないか? お前はそんな自分に嫌気がささないか?
 何故妹に当たるんだ? それはお前が妹ぐらいの子供の頃は、ああいう風だったから。あのように或れたから、眩しくて仕方が無いんじゃないのか?
 幼い心に抱いた夢を、何の疑問もさしはさむ余地もなく、信じる事が出来たからじゃないのか?
 笑われたって、馬鹿にされたって、苛められたって、そういう夢を言い切れる頃がお前に遭ったからじゃないのか?
 なんで。今のお前はそうじゃないんだ?

 な…。

 なんだ。図星過ぎて言葉も出ないか。
 若いな。何故お前が勝手に夢を諦めたのか当ててやろうか。
 魔力がないだの、魔力適性がないだのと言うのは嘘だろう? お前が夢をあきらめたのは”妹のせいさ”  
 幼い妹を残していく事が出来ない。信頼のおける親族はいない。上司は推薦してくれている、つまり見込みはあるから、ここで夢を求めるのは止めよう。
 見込みがあっただけでも十分だ。
 己と妹の境遇を言い訳にして、一度ならずとも推薦された事を慰みにして、魔力や魔力適性が僅かに足りない事を建前にして、惨めに生きて行こう。
 そうなんじゃないのか? 負け犬。

 て、めぇ…っ!

 なんだ。その程度は分かっているって面だな。へぇ。そこまで己の人生で辿りつけたのに、その先の道が見えないか。
 若いな。

 …今更、いまさらなんだよ。なんなんだよ! いまさら、そんなことが分かったって、”どうにもならないこと”が”絶対的に”あるんだよ!
 そもそもあんたは、俺を見透かして何がしたい! 負け犬をせせら笑いに来たのか?!

 いいや。 俺はお前の夢を手伝いに来たのさ。

 何を言って――

 つべこべ言わずに付いて来い。お前の夢は、お前が諦めない限り、お前が叶えるまで付き合ってやる。 それが、俺の仕事だ――

 



 




































  そして、ティーダ・ランスターは執務官になるという夢を、止めた。
 諦めたのではなく、止めたのだ。
 信頼のおける親族がいないのなら、そのたった独りの兄が、妹の傍にいなくてどうする。と、己を叱咤して。
 だからこそ、一度ならず執務官に推薦された身で、妹の住む地上を護って行こう。と、己の職務に誓いを立てて。
 魔力や魔力適性が足りないのは仕方がない。仕方が無いモノにこだわっていても仕方が無い。


    仕方が無い俺が、仕方がないと己に言い訳をしなくてもいい人間に生る為に。


 叶える為の夢ではなく、叶え続ける為の夢を追う為に。
 だから、戦力が少なくて”仕方が無い”地上の一助になれれば。それでいいのだ。それがいいのだ。
 今の、それが、夢が、俺が。 俺が、夢になるのだ。

 ――例え、その結末が、死という”仕方無い”に覆われたとしても
 最期まで己の魂に嘘をつかずに生きていたい、だから俺は妹にこう言われても、笑って返す事が出来たんだ――――



  「――ねぇ。お兄ちゃん、シツムカン目指すのをなんで、やめちゃったの? やっぱり、私のせい…?」


 その瞳に一杯の涙をためて、兄が夢を追う事を止めてしまった事を、我が事のように心配してくれるからこそ、笑って逝ける


  「――俺がそうしたいからそうするのさ。お前を置いて行くことなんて、にーちゃんには考えられない。シツムカンになれなくても――」


 その小さな頭をなぞるかのように撫で、その暖かさを実感し、真に護るべきはなにであるのかを、履き違えない為に。
 俺は、俺の目指す。俺が目指したい。俺にしかできない。
 俺がやりたくてやりたくて

            ”仕方が無い”

                  生涯の夢を、やっと、見つけることができたから――
 























































                                  ――この無能が
  














































  
   このような役立たずの為に、わざわざ葬儀を開く準備とは片腹痛いわ。
   この無能は、己の役目を果たせず、捕まえるべき犯罪者を取り逃がした上に、無様に死んだというのに。
   そう言えば将来、執務官になりたいなどという抱腹絶倒モノの莫迦げた戯言も吐いていたな。
   分相応と言うモノを弁えないからこうなるのだ、この無能。

   管理局員が取り締まるべき犯罪者を捕まえるどころか取り逃がし、挙句の果てに自分のミスで死に果てている。
   この死には何の意味も無い。意味もなく命を散らせただけだ。この世で最も不名誉で、侮蔑されて然るべき、何の意味ももたらさなかった無意味な死でしかない。
   あぁつまり、こいつが目指していたシツムカンとやらにも結局なれなかっただろうから、その夢事態も無意味でしかないという無様ぶりだったという事なのか。
   実に愚かな屑だ。
   力を持たない屑が、魔力を持たない屑が、分相応を履き違えた屑が、先走った屑が、意味もなく無意味に迷惑だけをまき散らした屑が勝手に死んだ。
   死んでまで迷惑を掛ける屑とは、本当に屑でしかないな。
   この屑のせいで、犯人を取り逃がしたという実績が管理局にできてしまったではないか。全くなんという屑だ。私の沽券にかかわってしまう屑ではないか。
   出世に響く。
   ん? あぁそうか、今後はこういった屑が私の所にまわってこないようにすればいいだけではないか。
   いやぁ、ありがとう屑。屑と言うどうしようもなく救い難い屑のような無能でも反面教師として最悪の結果しか残せないが為に最高に不名誉な前例を残す屑ができて良かったじゃないか。

























































  10  I II III




  そこは、時代の亡き骸が、世界を俯瞰する場所。
 死して尚、身づからが創り上げた愛しき世界の行く末を見護りたいと。

 
   死ぬべき時に逝けなかったことで、
   生き残ってしまった役目を果たすまでは、
   死ぬに死ねないが為に。
 

 故に、彼らは、全体から動かす己とその為の代表としての志を持った壮年、レジアス・ゲイズの後援に建った。
 故に、彼らは、個人レベルで動かす己の代弁者としての小さな小さな救いの志を持つ”闇の書の被害者”の延命処置を行った。
 全ては次元世界の更なる発展の為に、善意や好意は其処になく、純粋な打算と妥協と計算が其処にはあった。


   有用な道具を有効に使い潰すのではなく、
   道具自身に道具をさせる。
   なぜならば。
   自己判断性の高い道具が、
   その意志を以て意を行う其れが、
   最も効果が高い事を知っているからだ。


  地上の治安にその魂を燃やすレジアス・ゲイズ。彼は実に都合のよい駒である。 
 その人格に惹かれた者も集まり今後もミッドを発展に導くだろう

  個々の救いにその魂を馳せる名前を亡くした男。彼は実に忠実な管理局の駒である。
 善意であれ好意であれ、優秀な人材が潰れないように駆けずり回っている。


 此処まで用意したのだ。此処まで此処まで掛ったのだ。もう良いだろう。
 その影響力が十分に整ったと判断した三つの魂は、次の為の、新時代への計画を執行する。  

    時代にそぐわぬ者は消え去るのみ。

 その時代時代に依って、
 やり方とは出来て行くものなのだ。

 だからこそ、今頃身づからの計画に高笑いをしているであろう我が子を、
 ほほえましく思いながら、三つの遺志は身づからが死ぬための計画を、断行する。
 此処を統べて行く者の後窯も既に決まっている。
 決まっているというよりも、本人が直接此処まで来て、我々を殺した後に、そうするだろう。
 そして惑星(ホシ)の記憶と、ここに居る存在そのものが現象でしかなく、果たすべき役割に役割を強要される意味に気が付いた時にはもう遅い。



  全てに報いを魂に誓ったジェイルス・カリエッティ。
 彼は何も知らずに踊る真実の道化師である。
 その複製された魂が此処に座った時、彼は全てに気がつくだろう



































    ――故に、おまえの独断も我らの計画の裡で或る



  「・・・食えねェ、こいつらマジで喰えねェ」


  『人生経験の違いというモノだ』
  『ひよっこが我らを出し抜こうなどと片腹痛い』
  『予定が狂ったとしても、どうにかなる為の”保険”は幾重にも掛けておる』



   全てが終わった後、データベースで見つけたそれらは”後は任せた”とばかりにに捨て台詞を吐いて行く


  『ジェイル・スカリエッティが大人しく独房に居るのはそういうわけでもある』
  『確かにあれは天才であるよう創ったが、所詮は生まれたばかりの赤子同然』
  『今まで我らの掌で踊っておった事が相当耐えておるのだろうよ』



    ――ナンバーズの胎に己を植え付ける事及び、全ての騒乱をブラフとし、本命として脳をコチラに持ってきたようだが


  『ここまで素直に踊ってくれるとはな、天才』
  『流石は”我らに都合のいい”天才』
  『内に爆弾をワザワザ抱える理由程度、考えると思っていたのだがな、天才』


   完全に苛めだった。
  脳味噌だけになったジェイル・スカリエッティは先程からピクリともしていない。気持ちは分からんでもなかった。


  『ナンバーズも一部はともかく、これで魔力至上主義に関する一滴にはなろう』
  『遺失物(ロストロギア)に関する事に対して、鈍っていた地上の体制も引き締まることだろう』
  『そして、おまえが教育した”天才”が、あとは我らの代わりとなるだろう』

  
   ――おめでとう、おまえの勝利だ、無限の欲望。 後はお前の好きにするがいい。
  



































  そうやって。
 あらかじめ、全てが計算づくで用意されていた玉座に、
 無限の欲望が君臨し、”すまないが、暫く独りにしてくれないかね”と言われたので
 流石に空気を呼んで退出した。
 今頃、”レジアス・ゲイズ”と”ゼスト・グランガイツ”と会話している事だろう。
 そして、その生涯を存在しない者として、死者として。


          ――誰からも称賛されることなく
          ――誰もその功績を知る事はなく
          ――誰もその生涯を知る事を許されず
  

 知られる事のない歴史として、誰にも記される事の無い。
 そんな、最期を迎えに行くのだろう。誰の為でもなく、己の為に。

 
   地上を護りたいという遺志が
   現場を引っ張って行きたいという遺志が
   望まぬ生き方を強いる事のない世界を創りたいという遺志が


 これからを、創って行くのだろう。
 石のように堅いが、脆く、崩れ、削れ、粉々になり、砂になる。
 砕け散った石を集めた砂で、その人間に合った形を型作っていく。
 それが意志と呼べるものなのだろう。遺志を継ぐという事なのだろう。
 俺は、俺も。でも。                       もう俺には、時間が無かった。
                        


















































                       寿命と言う、決められた、その、時間が。





























































  00 ――――

  
  雨に振られて、
  太陽が眩しくて、
  地面に固まった足が離れない
  空に掛った虹が、
  七色に魅せつけるように手が届かなくて、
  雲を掴んだ































  それはその男に頼まれていた詩だった。
 ”俺が死んだら、墓石に、其処に書いてある字を書いてくれ”。と言われて書いたものだった。
 言われて、渡されて、事情を説明されて、泣いて怒って縋ってキレて。
 結局その男は私に負けて、私が想うようにしてやった。
 とてもじゃないけど、 死ぬなんて風に思えないような感じだった男は、それでもある日あっさり逝ってしまった。
 とても自然に。眠るように、悔しそうに、でも安らかに。
 悔いを残して無念に死んだ。
 まだまだ死んでも死にきれない、
 そんなことを見知らぬ誰かの為ではなく、愛する一人の為にその最期を生きた彼はそう言っていた。



  最後だから、もうやれることもそうないから、最期くらいは。
 己の時間が短いからと自分に言い訳をして、相手に悪いからと相手に責任をなすりつけて自分を誤魔化して、俺にはやる事がまだまだあると己の矜持の為に意地を張って素直になれなくて。
 自分の為に。そして相手の為に。幸せの為に、最期くらいは生きてもいいだろう、と。
 そうやって、短くはあったけど、幸せな時を過ごした。
 

  葬儀の日には、沢山の人が訪れた。
 ”葬儀の日はにぎやかな方がいい、俺の為に泣いてくれる奴が沢山居て、そうやって泣けるそいつらがそいつ自身を誇れる己として生きている姿の報告が聞きたい”
 だから、供養はそれぞれがどういう風に、自分が頑張っているか。頑張ってきたか。そんな報告会となった。
 ”おまえらの事だから、どうせ俺が死ぬまで意地張ってこられるわけないんだから、死んだ後ぐらい、素直になってくれよ” 
 そうやって、私が全ての遺言を読み終えると、誰とは言わないが、棺にしがみついて泣く者もいた。



  泣き崩れ落ちるほど、その別れを惜しめる人のなんと多い事だろうか。
 それは、葬儀にきたかたの殆が、後から続くモノを育てる職業に就いていたことが、その全てを顕しているように見えた。
 次世代を育てる役割を。次の時代を創っていく者たちへの。
 それは――
































































    路傍の石ころを知っているか
   砕かれた石ころを知っているか
   そうなったものがどうなるか知っているか
   それは砂となるのだ、大地となるのだ、惑星(ホシ)となるのだ 

    そして、石ころの大元とは、惑星(ホシ)そのものなのだ
   だから、幾らでも砕ける。幾らでも粉々になる
   そうして結局は、同じモノの元へと還って行く
   そうして、人類の叡智に依り、砂と石によって数多の利具が創られる

    故に。我が名は、砂と石に依る辺を持つモノ
   全てを亡くしたあの日に、目指し続けると己の魂に誓った、路傍の意志だ
   その標から頂戴した、我が魂に刻まれた芯名、我が名は――
































                                                …fin
                        




















































  ※第六部終わったぁああああああー(でも前話で全く感想つかネ―のはなんでだ
  まぁ、感想なくても書くけどね。ただしやる気とスピードが違ってくるんだぜ!っていうか誰か感想書いてよーぅ
  感想乞食に某板でなり果ててやろうかそれとも自分HPに2ch形式の感想板いい加減建てようか誰か意見をくださいぃいいいい……。
  まぁそれはともかく
  以上で、第六部リリなの編は終了とさせていただきます、いかがだったでしょうか?
  いやーしかし予定が狂う狂う。書き終わったから話ますが、かなりの文量が没になりました。
  本当はティアナだったりヴァイスだったりフェイトだったりあったんですが、私が私の文章に妥協できなくて没にしました。
  展開的に無理があったのと、他の二次様でやられてることなんだからやんなくてよくね? というテンプレ回避嗜好に依り書いてもしょーがないし書いてて詰まんなかったからです。
  そうそう勘のいい読者様なら、各話でついてる数字の意味にそろそろお気づきかと思いますので深く説明はしませんが、まぁ要するにそう言う事です。
  簡単に言うと、22×21の組み合わせなアレなわけですよ。以上説明終わり。
  さて次の話は何を題材にしましょうかねぇ。一通り、流行ってる二次モノはやりつくした感があるんですよね…
  そういう意味でも、なにか題材的な意味でも御意見が在れば、是非感想をっ・・・! 一心不乱の感想をっ・・・!(割と切実に感想が欲しい
  そういや主人公の名前結局出さなかったけどいいよね! その方が綺麗に終わるから!
  それでは、次は夏が沸き終わるまでに何か書く…かな?
  






[27117] 【東方project一遍】言魂通化意の足跡
Name: 典play◆3c72f4f5 ID:4708d59b
Date: 2011/05/28 17:28



  【還〇】

 始まりに、初まりに、本能があった。
現代で言う所の動物的本能。喰う、寝る、犯す。
――その三つだ。
三つを汲みこまれた数多たる生命は、やがて高次の生命を生み出した。
大地が学習したのだ。


 魂として還って行った、本能によって。
数多なる屍をその殻、核、格とし、円環たる理を以て、球と為す。
それは無限円環の永遠なる繋がりであり、生命の奔流である。
円環の一部たる魂が点たる天と生って、円環はその和、輪を広げて逝く。
その一円の意思の基にバベルが築かれる。


 三次に顕現しながらも、二次的な力を以て頂きに触れようとした行いは円環を乱す理と成り得る。
四元的であれば、近似ながらも全てを満たし得た。
依りて、より多様性を生み出す為の能的裁決に依り、人は言の覇を失い、世界と成る。
そして、原型の根源たる言の覇は、幻想と成り得る。






 我が名は、言の覇。能の覇の対極にして相克にして同一。概念世界遍く須らく失せし幻想生り。
ヒトよ、間違え給え――――。















  【一ず】

 古き池の明り。古明池。お前たち一族はこれからそう名乗るといい。 
「い、いやっ!なにっ!なんなのこれっ!」失われし現実の…いや幻想の一つさ。
「なんで?なんで、【考えてる事が伝わってくるのっ?!】」君が望んだ、いや臨んだことだ。
世界太平を願い、その為の力を得る為、魂の殻をそこまで罪上げて着たんだろう?
それが、代償だ。其れが、君と言う存在に心撃たれた私からの呪いの贈り物だ。ははははっ、はは…。
「………。貴方は、貴方は…【諦めて、いるのですか?】」うん、うん。そうだね。人は神を万能だのというが、まさに私にことであるが。
そうだね…、何千何万何億何兆何京

 【――垓 ――■ ――穣 ――澗 ――正 ――載 ――極 ――恒河沙 ――阿僧祇 ――那由他 ――不可思議 ――無量大数】

「止めて下さい。【もう止めて下さい!】」うん・・・?あぁ、すまないすまない。まぁそういうわけだ。
「【…………………………………………】」後は宜しく頼んだよ、初代。「【私では、無理だと言いたいんですか?】」
層は言って無い。だが、可能性は刹那も無いだけで、逆に言えば刹那も或るということだ。「【…………、無理、なんです、か?】」
私は、無理だと、想うよ「【じゃあ!じゃあ!私のやる事に、やってきた事に!やってきた事が!】」意味はない。
「【――――!!!!!!!】」私殻擦レ場、全手覇等死苦、意味我無意。礎と成れ、気高き少女よ。
私はそれを特等席で映画でも眺めながら、待たせて貰う事に擦るよ。「【貴方には、私の行いさえも、こうして力を与えることさへ】」
道楽の一環でしかない。「【私!行きます!】」あぁ、そうするといい。「【絶対に・・・】」・・・?


               「【――――絶対に!吼え面掻かせてやります!何年掛ろうと!何代かかろうと!】」


嗚呼。ありがとう。私の絶望を理解する少女よ。私の切望を理解する少女よ。私の羨望を理解する少女よ。
私より出でた、這いよる混沌の相克たる少女よ。私のカタチ亡き遺志を汲んでくれて、ありがとう。
どうか、出来るのならば。【彼女】も慰めてやってほしい。私の絶望に依って、慟哭を嘲笑に代え、泣き喚きながら童女のように世界を滅ぼす【彼女】をも。
「【嫌です】」え?「【そんな見も知らぬ、それに女を助けるなんて絶対に嫌です】」そ、そうか…「【でも】」


              「【――――私は貴方を救いたい】」


これは・・・。これは、はははははははっ。これは驚いた
【ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!ハハオgハdガサアアダsdハハッ!】
「【―――――!?!?!?!?!?!?ぐっ…】」
【そうかそうか私を救うといいいいいいいいいいいいいいいい言うのか。】
【なるほどなるほどなるほどなるほどどddddddddddddddddddddddd。】
【身の程知らずの身の丈知らずの塵芥が!生の尺も弁えず私を救うと言うのか!】【いいだろう!】【ありがとう!】
【汝に、我が知る限り最大の恩恵を与えよう】「【えっ・・・!えっ!えっ!えっ!えぇえええええええ?!!!】」


              【我が精を、汝の胎に受け、子を孕むがいい】「【えちょまっ・・・!】」【聞く耳持たん】「【あっ・・・】」


初代。古き古き時代。天を貫く世界の塔。
ヒトとヒトは、意思なく、意志によって統一されていた。
分かり合えるが故にではなく、限られた権力の為に。
心を読む力、能力。悟り悟られ。人心掌握。故に依って。
古代の失われし力、能力。古き力。
それはヒトの歩く夜道を明るく燦々と照らす。しかし、それは統一されては成らぬモノ。
ヒト独りの源泉たる湖、海。それでは同じ過ちを奉る。依って池。溜められ、いずれは淀んでいく池。
池はいずれ干上がり、地を剥き出しにして、世界と同一するだろう。池の底たる地が見える程度に。
依って、古明池。そして古明地へ。
汝の、人生に幸有らん事を。





















  【無2】

 鬼に、天狗。揃いも揃って、私などに何の用かな。君は、君たちは、私のような傍観者こそ最大に嫌悪していたと記憶しているが。
『それどころではなくなったのよ』なんだね?君に与えた頭脳が或れば、大抵の事は解決できる。そう言って私の下を飛び出したのは君ではないか。
『あなた。わかっていて放置したわね?』なんのことやらさっぱりだ。一から説明してほしいね。それも私が与えた力ではあるが、おおっと。
暴力は止めたまえ、私は暴力が嫌いでね『やっぱり、イミはない・・・かぁ』意味はあるさ、無駄でしか無いということが認識できたという無駄な意味が。
『あんた、ほんっ――――っとうに癪に障るわね!』私は事実を言ったまでさ。真理とも言う、いや君らに言わせれば神理であるのかな?『…二人とも少し黙って、哲学をしに来たわけじゃないのよ』
『…』『…』それで?『私達が今後如何すべきか…違うわね、私達は恐らく今後こういう風に動く事になるわ』ふむふむ、なんとも哀れで愚かなことだ『…私もそう思うわ』
『…!』『抑えて。ね?』で?それだけかい?『………そうね、【貴方】はそういう【モノ】だったわね』私は君たちが創り上げた理でしかないからね。そしてそれが偶像に依っているものでしかない。
『あんたっ…!あんたっ…!』『あっ・・・』…………………………………………。痛い、な。『なんでっ…!なんでっ…!』なんで、か。本当、なんで私はなんでなんだろうね。
『悲しみなさいよ…!怒りなさいよ…!なんで、なんでっ…!あんたはこんな時までっ…!』『ね?ね?もう止めよう、やめて…』『うっ…うっ…うっ…』すまない。
『どうして?と聞いていいかしら』――私も、君たちと別れるのは確かに辛い。辛いと想う私は居る。だが、私は君たちを見ていると、常々想う事があるのだよ。
『えぇ』期待も、失望も、等しく無価値だ。『…そうね、私たちをここまでよくしてくれた、貴方からすると。何もしないのではなくて』何もしたく亡いのさ。
『…私には想像もできないわ。盲想は出来るけど』そうだね。『最後に、1つだけ』あぁ。


                        『――――私達と一緒に、月に行きませんか?』



いや、【だからこそ】。【私は離れる事が出来ないよ】『そう、そう。ね…。貴方ならきっと。そう言うだろうと思ってはいたわ』【意味は無く、無駄だったかな?】
『いいえ…。とっても有意義な時間でしたわ』そうかい。『本当は…、ヒトの勝手の許しを請いに来た心算だったんだけどね…』いつものことだ。
『悠久を生きる貴方にはこれさえも【いつものことでしかないのね】』もう慣れてしまったよ『そう。そう…なの。御免なさい』なぜ君が謝る?『御免なさい』【…………………………………………。あぁ。】
『力が及ばず、もうこうするしか、他に方法を取れなかったの』うん『御免なさい。約束を破ってしまって、御免なさい…』いつものことだ。私は気にしていない『………』『………』
だが許そう、ヒトの子よ。君たちは私が見てきたヒトの子の中でも、最上の部類に当たる動きを魅せてくれた。私に【刹那】を魅せてくれた。それだけでも私は感謝するには十分だ。だから、ありがとう
そして、あちらに行っても、元気に過ごしてくれ。君たちのようなヒトが死んでしまうのは余りにも、忍びない。私に悔いがあるというなら、またいつか元気な姿を見せてくれ。
それだけでも約束してくれれば、私はまた待とう。諦観を抱えたまま、次が顕れると信じてまた気長に待つとしよう。
『………』『……』『…』やれやれ泣き虫なのはいつまで経っても変わらないね。『うっ…うるさいっ!』


 ヒトが繁栄を謳歌した頃。
それは同時に、ヒトが滅亡の危機に遭った事を示していた。
異能を持つヒト成らざる者、妖怪。
【這いよる混沌】依り漏れ出したそれらは、余りにも強大で、ヒトは抗う術を持たず、そのまま滅びを迎えるかと思われた。
しかし、大地に依って生まれし三のヒトが【ソレ】に辿りついたことで状況は一変する。
【幻想】を【理解】という名の体系付けられた【科学】という名の【匣】に押し込め、貶めることで引き摺り下ろし、同等以上の【チカラ】を手に入れた。
しかし、【個体】としての強さを持たない【群体】たるヒトでは抗うにも、護るのにも【限界】があり、結果、大地を離れる結論へ達する。
穢れた地上を離れて、穢れ亡き宇宙へ。
月と言う、かつての母星がよく見える大地へ根を下ろし。妖怪ごと、大地を薙ぎ払った。そして、薙がした。
その一連の流れこそ、第一次人妖大戦。
知と智を持った者が月面へと昇り、地と血を選んだ者が迫りくる妖(文化死)を捌いた。
大地は血に数多の染まり、血の涙を流す者が全てを薙ぎ払った。そして、流した。薙がした。
古き古き時代。
余りにも早すぎた、理想の世界は、刹那も持たなかった。






















  【再3】

『――――協力して頂戴』…………。――なにを?と聞いても?『――貴方。以前私に幻想は成り得ない、って言ったわよね』
何年前だったかな?君はまだまだ童女で…『昔話をしに来たわけではないの』そうかい。『私は、私は。ようやくその意味が分かったわ』
へぇ。『――――だから、協力して頂戴』なにを?『私は、私が、【幻想】を創る』ふむ。『貴方が言っていた、【幻想】を取り戻して見せるわ』
どうやって?『その為の力を頂戴』おやおや、おやおやおやおやおやおや。ふむ。なるほど。『早かろうが、遅かろうが、結果は同じなんでしょう?』
確かにそうだが、それではつまr『寄こせ…』…。『寄こせと言って要るのよっ…!』ふむ…。だm『親友が死んだわ』…。
『私に力が無かったからっ…!分かってあげれなかったからっ…!』…。『私は、【本当に大切な物が手から毀れ墜ちなきゃ】気が付けなかったっ…!』
『あたしは…なんにも、わかっちゃいなかった…』…ふむ。『"当たり前”がどれだけ大切かよく分かったわ、えぇ貴方の言う通り思い知った』


                   【―――で?】


バッ、っと。彼女は私の足元まで駆け依り、投げ出すように膝を落とし、綺麗な両手を踏みしめるように地に付け、額を地面に擦りつけるように押し付けた。
『お願い…しますっ…!私を、私を助けて下さいっ!』…。『私はっ、私がっ、私の為に、私の意志でっ!』…。
『私の為のっ…。私が想うっ…! 決して亡くなってはいけないと想えるモノを護りたいんですっ…!』大地と一体化するかのように、全てを曝け出す。
『私は礎と成るっ…!ここで生れなかったとしても死ぬまでに絶対に成ってやるっ…!でもっ…でも!【今】の私じゃあ、【このまま】のんびりしてたら【手遅れに成るっ…!】』
『私は其れが分かるから無念で無念で口惜しいっ…!死んでも死にきれないっ…!』ふ、   む。『だから化して下さい言の覇の王、私を貴方に、捧げますっ…!』
【】ふはっ。
 

             ――――ふははははははははははははっははははははははははははっはははははははっはははははははっははははははははははhyっははh!
       

涙を流したのは何時振りだろうか。そうだ。思いだしたぞ
【うぉぉぁおあおあおあこあおあおあおあおsdぴこ0あぱああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!】
これはっ…! そうだ、これが、【嬉しくて波が出るということなのか】はっ、ははは。
【ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”ぁ”あ”】
そして、【私】は。私は、ようやく【殻の中】の【傍観者】を止めることを決意する。
いいだろう、生誕の時依り、【諦める他なかった私の心を救うと決意したものの系譜に連なる者よ】
私はお前を逃がさない。
せいぜいお前が無様に足掻く姿を、その一番傍で、常に見護っていてやろうではないか。
【お前にひつような全てを持って逝け。壊れるなよ? 私を失望させるな?】 【その程度の星の業。呑み干して見せろ】【我が巫女よ】
『あがっ・・・ぐ、ぐぅううううううううううううう…!』【そらそらどうしたぁ! 大言壮語は口だけかぁ!】『負けるっ…もんですかっ…!』


                『まけてやるものかっ…! 彼女のイタミはっ…、こんなものなんかじゃあっ…! なかったのよっ…! ぐ が  あが  うぐ  う ううう  ううううう う  うう うううううう   う うう』


【くくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくくく】
【其れが馴染むまで】 【お前が全力で想えば】 【およそ100年と逝った所か】
【その間、ロクな見動きなどできないだろうさ、我が巫女よ】【その間の、面倒は見てやろう】【狂ってくれるなよ?】ふはっ。


             ――――ふははははははははははははっははははははははははははっはははははははっはははははははっははははははははははhyっははh!
       

【その間の幻想の回収は】【私が兼任してやろう】
【さぁ口を開け、その程度はやって見せろ、私に理想を魅せて魅せろ】【さぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁ】
【イタミもがくような無駄な時間を過ごしてる場合ではないのだろう?遅いか早いかなら早い方がよかろう?私は合わせてやってるのだ我が巫女よ】
【そら、言葉を紡げ、理想を束ねろ、言葉足らずとも私が覇たるものとして意図を十全余すことなく汲んでやる】【さぁ、我が巫女よ。私を歓ばせてくれ】


 ヒトが争い、覇権を掛けた時代。
隙間に攫われた少女は、独り異なる時代で深く、深く踊った。
興味本位で事件に墓を建て、好奇心で猫を食べた。価値観の違いが、徐々に彼女を正常に狂わせていった。
その余りにも残酷な振る舞いは、砂場で遊ぶ童女のようで、穢れを知らぬ子供ともいえた。
そして、しばらくして家族を得るに至り、そして全てを失った。
その親友は、今を生きる彼女にとって全てであったのだろう。何物にも代え難い唯一にして無二のもの。
そして、その事実が【彼女自身】を【幻想】へと変貌させる。
そこにあるようでそこにないもの、確固として存在するが、存在することに誰もが気が付きようのないモノ。
【境界線】-【平行線】-【世界線】、全ての線上を身づからに依って解脱為し得た【境界線上を操る程度の能力】
彼女は全ての理解者であり否定者である。
彼女は全てを嫌悪し、同時に賛美する。
そしてそれには、傲慢生る無数の視を必要とする。故に彼女は彼女足る深淵こそを心淵として常に理解し、常に変遷し続ける必要があるのだ。
依って、心には情熱を、頭には冷静を。燃え盛り続ける魂を無常の思考に依って過たず導く力と成り得る。故に、紫。
そして、【カミと呼ぶ物にゆかりある物】として。紫(ゆかり)。
そこに冠するのは、カタチなく幾層にも連なった雲の如きものであることの意の、八雲。
【八雲紫】。後に幻想郷の母と成る、偉大なる尊大である。
……その末期は、どうにかなる部分は全て式神に任せ、身づからの子を護るべき所は護り続ける、母であり続けた。
【我が子を愛しく思わぬ、母がどこにおろうか】




















  【4後】

 …なるほど。たかがヒトの子が、その理想を為そうとした場合は、やはり、こうなる、か…。だが、これは余りにも惜しい。
身づからが信じる者と、自らを信じる物によって支えられた、尊っき意思が、石の中に封じられてしまうとはね…。そうは想わないかね?
『あなたは、ナンなのです…?』君にゆかりあるモノだよ。あれからどれだけの時が流れたのか、私は忘れてしまったがね。
ところで、説明はしたろう? この石の中に封ぜられし意思を、余りにも世界が遅すぎた為に【排斥されし意思たちのことをね】。引き取ってくれるかな?
『いいんじゃないのぅー?』『うにゅー』『にゃー』『…。分かりました、彼女たちがそういうのなら、そうなんでしょう』心が読めないのがそんなに怖いかね。
『…貴方は【分かったような事を言いますね】』【それが君が排斥された理由だよ、勉強になったね?】『…っ!』まぁ、そんなことはどうでもいいのさ。
君たちにはしかるべき時が来るまでは『幻想郷』で暮らしてもらう事に成るだろう。【…あぁ、以前話していた、あの御伽話のような場所の事ですね】
恐らくだが、【君たちのような存在】はあそこであっても【疎まれるだろうからね】、更にそこにきみたちだけの【楽園】を創る事に成るだろう。
【…本気で言ってるんですか…?】【おや?私が今まで君たちに一度でも嘘を付けた事があったかな?】【…】まぁ、そんなことはどうでもいいのさ。
君たちは安心して棲める住処を手に入れる、私は【幻想】を護れる。そして【我が巫女】は【目的にまた一歩近づく】。誰も損せず笑って過ごせる素敵な未来だとは思わないかね?
【…癪に障りますが、貴方の言う通りのようです。今まで通り【私達】は貴方に従います】『おねえちゃんみつめあってるー!』『う、うにゅ』『にょ…』そうかね。
まぁ、やるべきことはこれだけではないがね。
【君たち】には、【全ての材料】が手に入るまで、【同じ思いを抱いた同胞が限りなく揃うまで】、【手伝ってもらうとしよう】【………貴方は…】うん?【いえ、なんでもありません】
そうかい、では征くとしよう。次は――――


























 【5事】

 目に見える欲望とはなんだうろか? 逆に目に見えない欲望とは何だろうか?
喰う、寝る、犯す。そんな単純なものではない。目に見える物ではなく、目に見えないからこそ肝要なのだ。
目に見えないから、目に入れて欲しいと願うだけで、願うだけだから、欲望は霧散する。誰にも届かず、誰にも顧みられない。
声に出すことは泣く、心に出すしかない想いというのは、確かに存在するのだ。
【心の絶叫】‐【魂の慟哭】 そう言った物が可視化さて、肉を受胎した時、それは一体誰の為の願いが集まった物なのだろうか?


 【一欠片】では絶対に足りない。
沢山の【信仰】が、大勢の【想い】が、無数の【願い】が。だが、それでも、足りなかった。
受胎化することは叶わない。だから、それらは【理解者】を【本能的】に求めた。

  
  ――【願い】が【消えてしまわないうちに】
  ――【託す】ことしか【できない己への無念を呪って】


ニヤニヤと全てを嗤うモノの裡に、【全てに復讐を誓ったモノを器として】
復活の時は近い。
そう、【幻想】と【切り捨てた】者共全てへの、復讐を――――




































                                  【to be next continue "東方神霊廟 ~ Ten Desires. "】
 
















※以前から書いていた東方projectモノage
台本形式で某板が騒いでいたので、なんかやってみた。基本信仰台詞オンリー。
情景描写は、全て読者へ分投げると言う、無責任文章であるな。
まぁ、誰が誰なのかは分かるようにしたつもりです。そしてこの東方モノは一発で終わりだぜ!



[27117] 【Life-O】HOle iN THe hoLE【オリジナル】
Name: 典play◆3c72f4f5 ID:4788f56b
Date: 2012/02/29 22:20
  ■;前提

    ――忌々しい。
  己の心が、二つ或る。





    □;Epilogue Bridge I

 やめてくれよ他力本願に程があるぜ、そういう戯言を吐いてもいいのは赤ん坊だけだと気づけよ間抜け。

 この世界には実に便利で使い勝手がよく、
その一言だけでありとあらゆる抗弁が泡沫と化す、なんとも無常な事実がある。

 自己責任。そう、自己責任。
なんでもかんでも自己責任であって、それ以上でも無ければそれ以外にはなり得ないという強弁にしか聞こえない。あの自己責任。
よく人間と言う生き物は何かのせいにしたり誰かのせいにしたがるが、あれはただの責任転嫁。
健康的なまでに不健康になった証とも言える。 


 過程の環境のせい? 莫迦を言っちゃあけない。
その過程におんぶに抱っこをされたまま、抵抗せずに流されて、そうなったからというのを何かのせいにするとは片腹痛くて泣けてくる。

     己から何か行動を起こした?
     自分から進んでそれを改善する為の行動を行った?
     なに? なにもしてない?

じゃあ、今の君が君なのは全て君のせいだ。 

 不満しか出てこない環境下で、文句を糞のように垂れ流すだけで、でもそれを受け入れたまま受け入れられずにそのままだったんじゃあないの?
その環境は君が選んだ選択で、そのままにしたのも君が選んだ選択で、結果的にそうなったのも君が選んだ選択だ。
誰も教えず、何も導かず、どれも選ばなかった、選ばなかったという選択の結果が今の君で在り、今が君でしかない。
詰まるところ自己責任とはそういう意味さ、どんな己で遭ってもだからこそ受け入れるのは常識と言える。


  不満があるなら改善したら? 常に、選択肢と言う名の可能性は、君の眼の前に示されているように見えるよ。
  文句があるなら矯正したら? 君がやらなければ始まらないし、君が決めなければ進めない。


勿論、この程度の、戯言にもならない程度の低い、自明の理と呼ぶのもおこがましい常識以前の問題にもならない事実なんて―― 

    身づから何かを為さんとし、
    身づからナニモノとなる事を目指し、
    身づからの裡に従って世界を見聞してきたのなら ――気に留める筈もないよね?

違うの? そうなんじゃないの?

 喋ってるだけでも恥ずかしくなるような当たり前を、真に理解できているなら。
不満にも不平にも折り合いを付けて俯いて惨めったらしく生きるか、上を向く為に積極的な行動をしている二択なんじゃあないの?
諦めてるか、納得してるか、受け入れざるを得ないか、諸処諸々の場合わけが、どれも嫌だからにもなれない負け犬の遠吠えは自分の為の言い訳ばかりだね。


 自分で選んだ選択で、自分が考えた行動で、自分が残した結果なのに、
その中を駆け抜けたのはその人間の責任で、その道を進むと決めたのはその人間の責任で、だからどうなったって責任はそいつ自身の責任なのに、
聞いてなかった知らなかった考えた事も無かったこんな結末望んじゃいなかった、と喚くのは、浅慮に過ぎないとしか言えない。
実に浅はかに愚かで愚鈍に蒙昧で盲目に思考能力の欠如した愚かに愚かで愚かしいほどまでに哀れを誘う愚かな結末でしかない。
結果的にそうなったのは、

    今までの過去という人生の積み重ねの全ての御蔭で、
    今からの現在という選択の積み重ねの全ての御蔭で、
    今の為の未来という責任の積み重ねの全ての御蔭でしかないというのに――

 君が君になる為に、君が君と言う存在になる為に、君が君と言う今の位置に居る為に、
何を為したか、何を選んだか、何を行ってきたか、何を想ってきたか、その全てが、結果的には君が君の責任で君が選ぶ他ない。
選択の余地が無かった、テキトーに選んだ、流されるままに流された?
どれだって、最終的には君の決断が必要な事で、強制されようが矯正されまいが、それは未来の君への選択でしかなかった責任だ。

    過去の決断は現在を経て未来の行き先を決定づける。

それは誰の為でもなく君の為の決定事項で、決定事項を決定したのは君でしかない。

 自己責任、だ。君が、君を創った。
言い訳するなよカッコ悪いみっともない惨めだね悲しくならない? 自分が哀れで哀れでしょうがないんじゃないの?

    今、君が自分の事を可哀想だとか、こんな筈じゃなかったとか、もっと違う未来があった筈とか思うのはだからこそ、勘違いだよ。

 君を可哀想にしたのは君の責任じゃないの?
こんな筈じゃなかった結果を創ったのは君の責任じゃないの?
もっと違う未来にできなかったのは君の責任じゃないの?

違うとして、何を以て違うと言えるの?

              過程の責任?
        環境の責任?
  国家の責任?
           大人の責任?
                 教育の責任?

 君は何の責任にしたい?誰に責任を押し付けたい?
で、責任を押し付けて、それからどうするの? どうにもならないんじゃないの? どうにかして欲しいんじゃないの?
どうにもならないならどうするの? 責任責任と泣き喚くだけで? 延々と泣き喚くだけで? で? で、終わり?
それとも自分で自分を終わらせるの? 哀れだね、実に哀れだ。 哀れだなぁ。 可哀想に。 お悔やみ申し上げます。 

     哀れだね、実に哀れだ。 哀れだなぁ。 可哀想に。 お悔やみ申し上げます。 
     哀れだね、実に哀れだ。 哀れだなぁ。 可哀想に。 お悔やみ申し上げます。 
     哀れだね、実に哀れだ。 哀れだなぁ。 可哀想に。 お悔やみ申し上げます。

だってそうなんじゃないの? 君は、君が君であるということでさえ、君自身で背負う事もできないじゃあないか。


    何かのせいにして、誰かのせいにして、生きて行くのはそんなに楽しい?


 そう言う風に生きるのは別に悪くはないよ。
カッコ悪くてみっともなくて惨めで可哀想で哀れで愚かに愚かで愚鈍でしょうがないゴミ屑以下の塵芥にも見えないだけだから大丈夫。
存在にもなれない君は何も悪くない。
せいぜい僕がこうやって、一生。嘲嗤ってあげるだけだから。



       せいぜい惨めったらしく生きればいいと思うよ?



 あはっ、あははははははっ、アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!
ねぇ、怒る? 怒っちゃう? 怒っちゃうの? その怒るっていう感情表現が、僕の言葉に怒りを覚えるっていう意味が、君には正しく理解出来てる?
八当たりしてもしょうがないって事、理解出来るよね? じゃあ、何に対して八当たってるか、何に対して怒ってるか、当然、分かるよね?
説明して欲しい? して欲しくないでしょう? なんでして欲しくないの? されるまでもなく、するまでもなく、その説明文を、君が君という今までの

    過去が
         現在が
              未来が

 証明してくれてるからなんじゃないのかなぁ? 証明を認めないといけないからなんじゃないのかなぁ? 君が君自身の立証人じゃあないのかなぁ?
君の怒りは、なぜ? どうして? どこから? なんのために? だれにたいして? 怒りを覚えているのか? よぉおおおおおおく、知っている筈だ。
分からないとは言わせない、分かりたくないと言うならそれは現実逃避だ、分からないんじゃあなく、出来るだけ考えないようにしているだけだろ、なぁ


        反論しろよ、敗北者。



























  ■;Prologue


      家畜を知っていますか? 箱庭の中で出荷の為に養殖される、言うなれば、…豚、牛、山羊――そう云った”人種”の事です。



 白馬の皇子様症候群とでも適当に名前を付けて呼んでいますよ、私はね。
え、ぇえーっと、この呼称が元になった噺はどのようだったものか、うろ覚えなのですが、御伽噺でしたかね。
皇国の、娘の美貌に老婆が嫉妬して、恵まれた生活から一転、着の身着のままで森の奥深くへ追放されたのでしたか。
この辺りに他人の都合で人生を左右されると言う理不尽が窺えるようです。
事実、森の中で獣やら虫やら臭いやらで汚い気持ち悪い気色悪いという、もう、散々な目にあっていたようですし。
ひぃひぃと、彷徨ったその末に、森に棲む炭鉱で生計を立てている七人の世捨て翁に拾われてどうにかなった、という流れでしたか。
この辺りを、人情が大事であるという見方をすればよろしいのでしょうか。
そんな暖かい生活も毒を盛られて棺の中へ、困ったところで白馬に乗った皇子様が登場し、愛の接吻を以て王妃へと永久就職に。
じつにめでたいですね、めでたい、めでたい。

 ――とまぁそんな感覚の流れがソレに当たるわけですが。
勘違いした頭の愉快な方々は男であろうと女であろうと思うところが同じなわけでして、肝心要を理解していないのではないかと思うのです。
白馬の皇子様はデウスエクスマキナではなく、彼女であったからこそ引き寄せることの出来た特別でしかないのだということを。
…と、結論だけを述べても納得も理解も共感でさえも得られる所ではないでしょうから、そうですね、分かりやすく両方の立場について冷静に考えてみましょうか。


 皇女というのはもうそれだけで特別ですよね。まず外せないのは何と言ってもその生まれ。
皇家の生まれを祝うといいですよ。
国民の血で育ち、国民の血で高等な教育を施され、国民の血でその才能を引きだされる。

    高貴の赤。

それは至極当然。いずれは国政に関わる者としての教育や自覚を持ってもらわねばなりませんし、それだけの責任を伴った未来が待っているわけですから。

 そうそう、元となった噺では国一番の美貌を持っていたとありましたね。
人生は第一印象がないと旨く回らないのは語るまでもありません。
概要を色々と省略した部分では追求しなかった事ですが、国民からの指示も大層厚く、なんとその御心まで愛されていたと云うのですから、もはや向かうところ敵なしですね。
いやぁ、見事にバラ色の人生と云ったところでしょうか。
唯一で希少な誰からも求められる他人とは隔絶する特別を、これ以上ない程までに持っています。


 ……先程まで、私がビデオカメラを持って此処で撮らされたソレなんですけどね。
生まれは大衆的、容姿は平均以下、特別な技能やら武技やら芸術やら教養やらを持つわけでもなく、
他人に嫉妬して努力をすればよかった物を、拗ねちゃって何もしなくなったゴミ屑にもなれない様がこれでして。
色々な事を喚き散らしていて大変嗤わせてもらいました、お腹を抱えてね。
親の金で育ち、親が子の将来の為に心を配って教育に金を掛け、親が子の才能を試す為に金をばらまく。

    凡俗の金吊。

何と言っていましたか、俺の居る家庭が悪い環境が悪い教育が悪い社会が悪い、俺の才能を引き出せない教育者が悪い、俺のやる気を引き出せない教育の仕方が悪い。

 俺が困ってるのに誰も助けてくれない、俺の育て方が悪かったかだからこうなった親が悪い。
俺をそう言う気分にさせた社会が悪い世界が悪いから俺は何も悪くない。
特別を持たず求められる物もなく才が或るわけでもないのに探す事もせず、何もしない事で自分に溺れたゴミクズ以外にもなれない無様がこの有様ですよ。
今までの人生に掛った金銭を、二束三文の縄で吊るしてりゃあいいんですから気楽なモノですよね。



    要するにこれはアレですか? 勝手に嫉妬して、勝手に絶望して、勝手に自殺したと言うのですから、
    最早笑う以外に選択肢のないよくできた喜劇でもみせられてるんでしょうか?



 建設的な見方をするとすれば”この世が気に入らないからあの世へ出て逝った”という遺志の表れと取れなくもありませんね。
まぁ、勝手にすればよろしいのです。
注文を付けるとするなら、お願いですから誰も知らない所で誰にも見つからないように誰にも迷惑をかけずにひっそり死んでくれるとありがたいですね。
 ……そうそう、白馬の皇子様症候群の事を忘れていました。
貴方はどう思いました? 比較対象が極端だと思いましたか?
ですが求められる者と求められないゴミの本質はありていにいえばそのようなものなのです。
格別な運動性能の或る者、特殊な資質を持つ者、希少な技能を持つ者、隔絶したセンスを持つ者、輝かんばかりの相貌を持つ者、生まれついての意義を与えられた者。
そのようなモノたちには自然と手が延ばされるのが現実と云うモノでしょう?
ここで勘違いして欲しくないのは、輝く綺羅星の群れが一朝一夕の自助努力でそれを為したなどと夢想しないで欲しいところです。

  運動性能が鈍いのは鍛えなかったから、
    資格を持たないのは勉学に励まないから、
      技能を持たないのも同じく、
   センスの向かう先を探さかったから、
       相貌に手を入れようともしなかったから

      生まれを嘆いてる暇があるなら意義を作りなさい。

 だから私は嗤うのです。
己の為に己を救う行動を、何一つとして行おうとしなかった愚鈍な鈍磨を。
己の為の言い訳で自己を満たし、溺れて酔い痴れた蒙昧に思慮の欠如した無恥を。




 ――付け加えるのならば。
そのように履き違えた愚物のなれの果てがどうなるかと云いますと、最終的に異世界で転生をしたいと言うようになります。
異世界で転生と云うその意味をも、私は白馬の皇子様症候群の一種だと思っていましてね、勘違いの蒙昧の一種だと捉えていましてね、
これもこれだけでは分からないでしょうから順繰りに行きましょう。


 そも、此処での異世界とはどう言う意味を持たされた物でしょうか?
剣と魔法が支配する幻想世界? 機械とAIが支配するSF世界? あるいは両方を混濁した、もしくはどちらでもない世界?
世界。
なるほどなるほど、具体例の使い古された陳腐具合は吐き気がするとしても、どの設定で構成されようと本質とする意味、また意義は同義を以て居ると言う事が分かりますか?

  ――閉鎖環境。人の属する共同体。
   故郷、都会、里帰り。
   旅先、旅中、お祭り催し。
   施設、組織、人と人。
  つまりはその間で生きること。

 ――と、このように人間と云うモノは共同体を作って生きる者であり、そして様々な共同体に参加する事に依ってその見識を深めて行くわけなのですが。
逆にいえば、人に依って固定された共同体が全てでしかないわけです。
それらがその人間の、価値観、つまり閉じた世界観として内在するわけで、
学校、近所付き合い、職場、親戚付き合い、大別して大きく四つで終わりでしょうか?
…あぁ違いますね、底で転がってるゴミの場合の話でした。
いわゆるそう言った限られたコミュニティで生きて行く中で、閉鎖環境で生きていく上で、場所が嫌になった者から、異世界へ。
つまり、異なるコミュニティに属する事でかつての、もしくはこれからも続く不平不満と縁を切りたいと思うようになるわけです。



     ま、しかし現実でうまくいってない程度の塵芥が、新しい現実で上手く行くとは到底考えられない訳ですが、
    その辺りはどのように解決されているかと云うと実に分かりやすいですね。



 格別な運動性能、特殊な資質、希少な技能、隔絶したセンス、輝かんばかりの相貌、生まれついての意義。
実に嗤える話だとは思いませんか?
拗ねて妬んで僻んで怨んでいるその要素こそが、本当に必要なものだと分かっていながら、その実何もしないだけで求めているだけの乞食のようなその性根が明らかでしょう?
そしてそれすらも不可解な事に、何の努力もせずに獲得できると言うのが前提として話が進むのですから、
その類の話を思いつく人間の現実を思い浮かべるだけで可笑しくて犯しくてオカシクテ嗤い転げそうになるんですよ。


   …はぁ、私が言っていることは持っている者の言葉に過ぎない? 強者の言葉である、と?


 ははぁ、なるほど、要するに貴方は馬鹿なのですね?
強者になりたい同じ穴の狢が何をとち狂って意見を述べてるんです? 素直にこう言いなさい「羨ましい」と。
そして弱いのなら強い物に従い、気に入らないならこの世から出て逝きなさい。
あぁ、もしくは貴方が満足できる異なる共同体を探しに消えればいいと言う話ですよ。
そういえば。別段、特別な能力でもなく、生きているだけでテキトーに手に入れた基礎的な知識を活かすための舞台として、明らかに文明の遅れた世界観に行くと言うのも定番ですね。



    何もしなくてもその知識を求められる地位に収まり、
       何もしなくてもその能力を求められる地位に収まり、
          何もしなくてもその技能を求められる地位に収まりたい。



 これが勘違いされた異世界への憧憬、「白馬の皇子様症候群」。本質は其処らに転がる乞食よりも酷い物ですが。
所詮その程度で終わる俗物なんぞ誰も求めやしませんよ。

    ”求められたい”のなら、”求められるような存在”になれば全てが解決する事を理解しておきながら、
    ”誰にも求められない”何もしない堕ちた乞食の分際で”求めて欲しい”と喚き散らす。

 それが既知害、自己世界の既知を振りかざしていないと、溺れて死んでしまいますから、その害悪振りが一層酷くなるのなら排除されるしかありません。
ま、ありえないとは思いますが、この類が下手な力を持って逆に排除し返せると云うのなら、それは最早害ではなく、害悪こそが世界の法です。
誰にも求められないのなら、誰しも滅ぼしてしまえば、求められないと言う事実は消え失せるわけですから、
そうして満足を得てしまうのも一つの道でしょうが、”力”が必要な事に変わりはありません。
何もしなくても全てを排除できるだけの力を授けられるだなんて、そんな乞食の発想では一生かかるどころか、何度輪廻を繰り返しても何も出来やしませがね。

 つまるところ、皇子様(ヒーロー)になりたいわけではなく、
まず最初の前提第一に己を救えとも言えずに悪い悪い都合の悪い現実と云うお城に囚われている御姫様(ヒロイン)を気取りたい所から始まるわけなのですね。
分かりやすい、実に分かりやすいですねぇ。


     ………。
    なるほど、なるほど。
    危機に瀕している人”誰か”がいるのなら、"誰だって"助けるだろう、と貴方は言いますか。
    蘇生と云う一点にのみ、能のない低脳が言いそうな事ですね。


 えぇ、そうですか、そうですね。
あぁ、早々全く関係はないのですが。女の子が、そうですね可愛い可愛い女の子がおそわれている所を通りかかったら貴方どうします?
私は無視します。通り過ぎます。見て見ない振りをします。勝手にやってくれと私の為の時間に関与しないのならばその末路がどうなってもいいと考えます。
そもそも通りかかったら、と云う時点で私は何らかの用事を済ませる為に動いている最中ですし、もしくは限られた時間内で行動しなければいけないのかもしれません。
いえいえ、それは言い訳ですね、私はまず考えるのは”その女に掛ける時間の価値はいくらほどの物か”と云うことを前提に置いて物事を考えるのを進めます。
襲っている連中とやり合って、大切な服を台無しにしたくありませんし、もし負けたりすればどんな目に遭うかも分かりませんし、
間に入った官憲が来るまでの時間を稼げたところで事情を話す為に時間を取らねばなりません。

 まっぴらです。面倒です。私は、私の時間を、私の為に使いたいのですから。
情けは人のためならずとは言いましょうが、そんな不確定事項にに時間を割いている暇があるなら私は私の為に私の事を行うことを優先するでしょう。
私は私が大好きですから、私は私が大事ですから、私は私を優先します。
私は、私の都合を最優先に、物事を考えます。ただし。


  ――というような想いを、私は”誰だってそうでしょう?”と安易に置き換えたくはないのです。
誰だってそうだろうと言うのは実に便利な言葉ですよね。
見たことも無ければ聞いたこともなく知ったこともない大多数不特定をまるで己と同じようであるかのように語ると言うのは、一種の責任の放棄のように私は感じるのです。

  
     誰だってそうなら、私がそうしないといけない理由になりますか?
     誰だってそうなら、私もそうしないといけない理由がありますか?
     誰だってそうなのだから、仕方がない、だなんて。実に実に実に実に実に実に実に実に実に実に実に実に実に実に。負け犬が遠吠えそうな発想でしょう?
     なぁああぁぁにが仕方が無いのですか、仕方が無いのは貴方ですよ。なぁああぁぁにを”だれかれ”に勝手に責任投棄をしているんですか?


 私はそのような歪な考え方を、”衆教”と密かに呼んでいるのですが、浅く広く卑しくも愚かな責任投棄、責任転嫁と言ってしまえばそちらの方が正しい認識なのですよね。
口頭の前置きに”誰だって”なんてものを置く輩は基本的に被害者を気取って、
加害者であることを都合の悪いお城の建築材にしてしまいますから自業自得の自縛自縄でしかないのです。
そんな者と比べれば、勝手に嫉妬して、勝手に絶望して、勝手に自殺した、底のゴミクズの勝手な都合のほうが、よほど尊い。
そこには己がある。そこには己の為の意志が或る。そこには逃げようがない己が居るでしょう。


    私はそれが如何なる行為であろうとも、底に己があるのならば全てを肯定しましょう。


  誰かに、何かに理由や責任を棚上げしている者ほど、うまくいかなかった時に己の責任と云うモノを見つめようとしないと、私は思います。
見つめようとしない癖して、何かに、誰かに、助けてもらうことばかりを考えている。
うまくいっている者が、どうしてうまくいったのかを考えようともしないで、結果だけを欲しがる。
彼が、あるいは彼女が、彼自身に、もしくは彼女自身の為に、何をしたから望みの未来を手に入れたのかすらも知ろうともしない。
あるいは知っていながら、何をしようとする気を興そうともしない。
馬鹿らしい、実に実に実に実に実に実に実に実に実に実に実に実に実に馬鹿らしい。


    貴方が、貴方の為に、貴方の行動を考えてやらねば、誰が貴方を幸せにしてくれると言うのでしょうか。


 貴方の幸せは、貴方にしか分からないと言うのに。
ある日突然に、貴方の眼の前に現れた皇子様が、何も言わずとも全てを与えてくれるとでも思っているのでしょうか。
まるで御伽噺の御姫様を救い出した皇子様のように、突然何かの魔法のように、一撃で全てが劇的に天変し地異を築くとでも?
預言しますよ。

   ”どうして死なせておいてくれなかったんだ”
   ”余計な事をしてくれなければよかった”
   ”生きなきゃあいけないなんて、また苦しまなければいけない”
   ”あんたなんかいなければよかったんだ”

 さぁ、貴方はそのようになった時、どうしますか?
”誰だって”という言葉に縋って助けた結果が、その様なら一体どうしますか?
貴方はゴミクズを助けるべきではありません。 貴方の負幸が其処には圧倒的に広がる事でしょう。


 ………貴方がそうしたいのなら、蘇生なさい。
底のゴミクズがそうしたいから自殺した、その意志を”誰だって”という責任転嫁で軽々に、それでも尚掬いあげると言うのなら。
私は私の為に貴方に立ち塞がります。
この程度の愚行に、愚鈍に、鈍磨に、愚物に、汚泥に、汚物に、”誰だって”なんて理由で、手を差し伸べるだなどと、私は許しません。
いえいえ、またしも語弊がありました。
気にくわないから、私が私の手で、私の責任で、貴方を殺したい。
気に入らないから、私が私の手で、私の生命で、貴方を殺したい。



     ”私”と云う欲望を前に、誰でもない他者に理由を預けた貴方が、どこまで貪欲になれますか?







































  □;Epilogue Bridge II


 当たり前の話だが、人が付いて来ないのには明白な理由がある。
付いて来れないか、付いて行きたくないか、付き合いきれないか、だ。
君は三つ目だと僕は思うけどね、とてもじゃないけれど付き合いきれない、そう言ったものを感じるよ。
おいおい、なんでそうなってるのかっていう理由を僕に言わせる気なのかい?
その程度、君に知性の欠片でも残っていれば容易に結論に辿りつける筈なんだけど、分からないっていう事は、そう言う事なんだろうね。

 うるさいなぁ、そう我成り立てるなよ、めんどくさい。
今の今まで、僕は君の耳にタコができるくらい言い聞かせてきたんだから、一つも改善出来なかった君が、見捨てられるのは当然の帰結だろう。
寧ろ、昨日の今日まで君に付き合ってきたことを感謝してほしいくらいだよ。まぁ、そうなるまで気が付く事が出来なかった僕の落ち度でもあるんだけど。
・・・はぁ、分かった分かった、ならこれが最期のアドバイスだ。
君のどこがダメで、君のそれをどうすればいいのか教えてあげるから、お願いだからこれ以降は僕に面倒を掛けないでくれ。
僕は、もう君に関心を失ったんだから。


・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・。
――――以上だ、これで君と僕は絶交だ。
話しかければ相手をしてやるし、話題があるなら応えてもやるが、君が何を失敗し、君が何か不味い事をしてももう言葉を掛けたりはしない。
愚かだと、哀れだと、君の後ろで嫌らしく口を歪めて、惨めでみじめで可哀想だとニヤニヤニタニタニヤニヤニタニタしながら見護ってあげる事にするよ。

    君の痴態を眺めては、君ではない友人と共にそれを陰で嗤い、
    君の醜態を見下しては、君ではない友人と共にそれを酒の肴にし、
    君の愚行を思い返しては、君ではない友人と共にそれを共通の話題にして。

 嗤って嗤って嗤い転げて、
楽しく楽しく楽しく愉悦の優越感に浸り、
君という低辺で低辺な低辺の存在がいてくれた事に感謝しながら、
嗚呼、自分より下で下で下な下を、つまり下がいるから自分は上だと、さも、己が上であることを強調するかのように思い返しては
そんな醜悪で下劣で悪態しか出てこない君という存在がいてくれた事に世界に謝罪しながら生きて行く事にするから安心してくれ。
君という下種にも劣る哀れな存在定義を、忘れずに莫迦にし続けてあげるから感謝してくれ。

 …と、ここまで言っても、何故そこまで言われてるのか君は理解しないし、分からないんだろうけどね。
僕はサルに芸を仕込むほど暇ではないし、犬を躾けるより無意義な時間に手間を取りたいとも思えない。
実にうるさいなぁ、君はそういった人間に意図的に活かされてる動物や家畜よりも可愛げがなくて、
面倒を見るより殺してしまった方が早いと思える程度には関わりたくないんだよ。
そもそもだ、人間というのは他人に相対する際に感情を以て接するのが常道だけど、特殊な例は省くとして、この場合での僕と君、そして周りの反応を見て君はどう想った?
どうも思わなかったんだろうね、きっと。

 僕は君と長期的に同じ活動帯に入る事が少なかったから、分からなかったけど其れを想うと、
君の周りが、君の事を注意すらせずに流していたのがどう言った理由から来ていたのかも分かっていないんだろう?
君は厚顔無恥を地で行っていた。
何度も何度もそんな莫迦げた人間がいるわけないと自問自答を繰り返しては、
過去の僕は君の為に色々と奔走したものだけれど、こうまで全てが無駄になった今を想うと、もう言葉もないよ。
何言っても無駄とか嗤えないよね。

 飽きたよ。
注意をされるという事は何故なのか、もしくは何故そう言われるのかという事について、少しは考える頭を持っていてくれると僕としては助かったんだけど。
君に何度も同じ事を言って、君に何度も注意をして、君に何度も改めるように僕は努めたのにも拘らず、君は僕を殺そうとした。

 まさか、首を絞められるとは思わなかったよ。
思えば、君は僕に随分と甘えていたからね、鳴る程。君に甘かった僕の誤算なわけか、これも。

   僕は君の親類じゃないのにね。
   僕は君の親じゃないのにね。
   僕は君とキョウダイでもないのにね。
   僕は君の先生でもないのにね。
   僕は君と血が繋がってもいないのにね。
   僕は君と…友人だったか、なんてこった。

 君と友達になった僕が悪かったよ、全面的に僕の選択ミスだ。ごめんなさい。
僕が君に、もっと素晴らしい君であって欲しかったというのはだから、君には押し付けにしか成らなかったんだろう。


 ごめんなさい。

 さようなら。

 二度と、会いたくない。



























                                                                  (続く)































※自分の語りたいことを自分の語りたい言葉で自分のために書いてる。
よくよく考えてみると私がしたかったのはまさしくその通りで、長々しい長編物語を書くよりも、
その長編であるいは中編でテーマとして冗長に生っている部分のみを抽出して短編にし、叩きつけるように描き上げる
それが私がしたかった事なのだと言う事に気がつくのにえらく時間を掛けたモノです。
 内容密度に関しても、物事の過程や、様々な人の流れを書くのがもどかしくて仕方がなかったので、これまでと同じように時系列をすっ飛ばして
今回が初めてのエピローグとプロローグのみで構成することになりました。
想像力を欠き立てると言う意味では、文章で表現できる状況や環境は一応、設定として存在していますが、
そんなものはむしろ無粋だろうという意義を籠めて、曖昧模糊の五里霧中に三三五五を自由自在といった跳梁跋扈でした。
そういうわけで和訳”穴の中に穴”、今回のコンセプトは、前提の選定通り、幾らでも反論できそうな脆弱風味の前提論でした。
要するに次の話辺りが、そういう内容になると思われます。


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