最近、なのはの様子がおかしい。
夜遅くに出掛けたり、ぼんやりしたり、にゃーと叫んだり。あ、最後のは口癖か。猫っぽいけど。
「ねぇ、なのは。最近帰りが遅いけど……何かやってるの?」
「え、えーっと……まほ、じゃなくて! うーんとお茶会!」
「なんというお嬢様」
あー、そうだった。なのはの友達ってお嬢様系だったね、どうやって知り合ったのか聞いてみたら。
ビンタでお話したらしい。
何か取り合っていた少女に近づいてグーじゃなくてパーでばちーんと相手の頬を叩いたそうだ、女の子の顔に云々とか突っ込みたいけどそれで築かれる友情ってどうかと思う。本人達が楽しそうなら、私が言う必要はないんだけど。今更ながら漢らしいなのはの行動に未来が心配になる、大丈夫かな。
そう話しながら階段を上がるなのはの後ろ姿を眼鏡をくいと上げて見守る、姿が見えなくなって溜め息を吐いた。
「何をやっているのか知らないけど、相談くらいはしてほしいなぁ」
そんなにもお姉ちゃんは頼りないのだろうか、確かに剣術の腕は未熟だけどお姉ちゃんぶりたいのだ。妙に大人びている妹、なのはだけどそれでも。
そういえば、なのはの様子が変わったのはフェレットを飼い始めた頃だった。よくは知らないけれどフェレットがキーポイントかもしれない、よしユーノに聞いてみよう。機会があったら。
そう決めて数日後、本屋に行ってフェレット飼育関連の書籍を立ち読みしてそろそろ帰ろうかと町に出たら。
どーんと聳え立つ木、樹海。
え?
「何これぇぇっ!?」
いつから海鳴市は樹海になったの! これは普通じゃない、非日常の予感がする。きょろきょろと周囲を見回し遠くに桜色の光が見えた、あれはな ん だ ろ う……って。
なのはぁっ!?
鍛えぬかれた視力は伊達じゃない、何より月村印の眼鏡。鮮明に見える世界に映るのは空を舞い、杖を持ち砲撃を放つ妹がいました。
はっ、解説風に分析してる場合じゃないよ。まさかなのはの様子がおかしかったのはこれが原因?
……。
帰ってから聞いてみよう、そう納得して私は帰路に……
「いつ出られるのよ……」
樹海の中を突き進むのだった、歩く途中で消えたが。
まるで魔法のようにパッと。
「これって、流行の魔法少女? いやいや、さすがにないよね」
一度浮かんだ疑念は消えない、振り払うかのように私は駆け出した。
高町美由希が衝撃の真実を知るまで、あと……