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[26261] 【ネタ】ちーとFantasy
Name: ちーたー◆7e5f3190 ID:84a555e7
Date: 2011/03/07 03:47
どうも、ちーたーと申します。
ファンタジーものを書いてみたくなり、書いてみました。

主人公はどこにでもいるサラリーマン。
しかし、彼は少しだけオタクだったのです。

例によってチート全開になる予定ですが、よろしければお付き合い下さい。

2011/03/03 第三話更新
システムメッセージが長くなりがちなので、省略する方法を考え中。

2011/03/07 第四話更新
感想掲示板にて指摘を受けていた第三話の数値とそれに伴う一部を修正しました。
装備品やスキルについてのシステムメッセージを文末に一括で記載するように変更しました。
それでも長いので、今後はその話の中でレベルや数値が変動しない限り、基本ステータスのみの記載となります。

★注意★
本作品にはグロテスクな表現が含まれますのでご注意ください。



[26261] 第一話『ありがちなスタート』
Name: ちーたー◆7e5f3190 ID:84a555e7
Date: 2011/03/09 23:00
「知らない天井だ」

 目が覚めると、自然とそんな言葉が口から飛び出した。
 しかし、この表現は正しくない。
 天井は無かった。
 というか屋内でもなかった。

「え?」

 目が覚めたらそこは深い森の中だった。
 分厚い枯葉の絨毯の上で、俺は横になっていたらしい。
 当然頭上には深い木立に囲まれているだけであり、天井などという上等なものはない。
 傍らには杖のような物と背嚢らしきものが置かれている。
 
「えーっと、とりあえず落ち着け俺、俺落ち着け」

 言葉に出すだけでは足らず、手足を忙しなく動かしつつ精神の均衡を保てるように必死になる。
 直前に覚えていることはなんだ?何をしていた?
 通勤だ、たしか会社へ行こうとして玄関を出たはずだ。
 それから?それからバスに乗り、最寄り駅から電車に乗った。
 覚えているぞ、さすが俺、覚えているじゃないか!やれば出来る子だって小学校の先生も言ってたもんな!
 それでどうした?何をした?会社に入って、同僚に挨拶をして、タイムカードを切った。
 そうだ、それでそれで?タイムカードを切って、席について、どうなった?

「それから先なんて、何も無かったじゃないか」

 椅子に座った直後からの記憶が全く無い。
 俺はいきなり有給を取り、会社を出てどこか遠くへ行き、森の中で横になっていたとでもいうのか?
 疑問は尽きないが、呆けていても始まらない。
 ここがどこなのか分からない以上、安全なのかどうかも分からない。
 周囲の安全確認、避難経路の確保。
 会社の防災訓練でもやっていたじゃないか。
 
「おいおい、これってライフルじゃねーか」

 周囲の状況を再確認しようと、とりあえず杖らしきものに手を伸ばした俺は思わず呟いてしまった。
 鉄製の筒、頑丈な木材で作られたストック。
 それは、ライフルというよりは、いわゆる火縄式鉄砲と呼ばれるものに酷似していた。
 点火こそしていないものの火縄らしきものはあるし、銃身の下には弾丸と発射薬を突き固めるためのさく杖がある。
 再度火縄を確認し、恐る恐る銃口を除いてみた感じでは、どう見ても本物のようです。
 それはさておき、俺はこのタイプの銃の扱い方は知らなかったはずだ。
 それなのに、どうして現在の状態も含めて使い方が理解できているのだ?
 手に持っている火縄銃は本物で、状態が良く、名前は鉄製の火縄銃(レベル1)である。

「オーケイ俺、落ち着くんだ。
 こいつは本物の火縄銃で、使用可能な状態だ。
 それでいいとして、ここはどこなんだ?」

 改めて頭上を見る。
 木々の隙間から見える空は、奇妙なほどに澄んでいるように見える。
 俺の知っている空は、ここまで綺麗なものだったか?
 改めて視線を巡らせると、森の木々も見覚えがあるものではない。
 それが木であることはさすがに理解できるが、全く見覚えがない。

 
「ヒャッハー!新鮮な肉だぜぇ!!」

 周囲を見回していると、急に元気の良い声で呼びかけられた。
 新鮮な肉、つまりフレッシュミートか、そこはかとなく不安を覚える呼び方だな。

「え?」

 声のするほうを見た俺は、思わず言葉を漏らしてしまった。
 そこにいるのは、控えめに言って盗賊だった。
 モヒカン、毛皮の粗雑な腰巻、錆の浮いた手斧。
 その数三名。
 全員が生理的嫌悪感を感じさせる笑みを浮かべて武器を構えている。
 視界の端にメッセージのようなものが見えるが、なんだこれは。


*****盗賊が三体現れた!*****


 どう見ても友好的ではなさそうなヒャッハーさんのお出ましだ。
 ここが異世界だろうと現実世界だろうと関係ない。
 この種の人物には関わってはいけない。

「まままままて!話せばわかる!分からなくても分かってくれ!」

 慌てて逃げ出そうとする。
 例えこれがテレビ番組でもいい、全国の皆様の笑いものになってもいい。
 とりあえずこれ以上この場に居たくない。

「ヒャッハー!どこへ、行くんだよ!」

 足に衝撃。
 世界が回転し、俺は顔面から地面へと着地した。
 気のせいか、視界の端でゲージのようなものが減っていくのが見える。


*****左足に重大な損傷!歩行不可!*****


 視界に映るメッセージに絶句する。
 まるで一昔前のRPGじゃないか。
 だが、湧き上がってくる痛みはこれが幻覚や夢ではない事を教えてくれる。
 まあ、世の中には幻痛というものもあるので断言はできないが。

「いいてぇええええええええええええええ!」

 痛い痛い痛い!
 恐る恐る足を見ると、投げつけられたらしい手斧が刺さっている。
 冗談じゃないぞ!殺されてしまう!本気で足が痛い!
 血が出てるし手斧は刺さってるし足は動かないし痛いしやつらはせまってくるしだれかたすけて!

「ヒャッハー!こいつが持っているの、銃だぜ!」

 モヒカン2が叫んでるけどなんなんだよ!畜生!これ絶対テレビじゃないぞ!
 銃?銃だって?そうだよ本物の火縄銃だよ!畜生!痛い!

「ヒャッハー!お前英雄気取りかよ!銃なんてもの、普通の人間が使って役に立つわけが無いじゃないか!」

 畜生!銃をなめやがって!足が痛い!
 こいつら、殺してやる。


*****装填チェック。問題なし、発砲可能!*****


 どこかで自分ではない自分が動き出している。
 丸く固められた装薬を入れ、弾丸を入れ、さく杖で素早く押し込める。
 スーツのポケットに入っていたジッポライターで火縄に火をつけ、銃を構える。
 全くもって驚くべきだが、この間に体感時間で十秒程度しかかからなかった。
 火縄銃の装填にはもっと時間が必要だったはずだが。
 それ以前に、俺は一体いつ火縄銃の使い方を覚えたんだ?

「ヒャッハー?」

 不思議そうにこちらを見るモヒカン1の頭に狙いをつける。
 痛みのせいか照準がふらつくが、丁度良いところで引き金を絞る。
 轟音、煙、肉と骨が砕ける音。
 今更気がついたが、モヒカン1の頭上にある体力ゲージらしいものが凄まじい勢いで減少し、消滅する。


*****即死ダメージ!モヒカン1の頭部を粉砕!*****


 鬱陶しいメッセージを信じつつ、二発目の装填に取り掛かる。
 俺とモヒカンたちの間には、発砲に伴う煙が立ち込めている。
 しかし、煙は視界を妨げてはくれるが、物理的な障壁とはならない。


*****装填チェック。問題なし、発砲可能!*****


 再びメッセージが現れる。
 その内容は先ほどと同じだ。
 装填動作を行い、晴れ始めた煙の向こうにいるモヒカン2を狙う。
 意識ははっきりしているつもりだが、妙に照準がブレるな。
 まあいい、ちょっとだけ待ち、筒先が良いところを向いたところで引き金を絞る。
 再び轟音。
 手斧をふりあげてこちらへ駆け出そうとしていたモヒカン2の額に大穴があいた。


*****即死ダメージ!モヒカン2の頭部を粉砕!*****


 飛び散る肉片がはっきりと見えた。
 奴も殺せたのだろう。
 さあ、最後の一発だ。

 
*****装填チェック。問題あり!*****


「マジかよ」

 メッセージに思わず反応してしまう。
 こちらが狼狽している貴重な時間を、モヒカン3は呆けたような表情で過ごしていた。
 至近距離で二度も発砲され、さらに仲間がいきなり即死したことに反応できないのだろう。
 とにかく相手が反応する前に再装填だ。
 筒先を下に向け、強く叩いて詰め込んだ銃弾を発射薬ごと地面に落とす。
 落ちたのを確認すると素早く再装填。


*****装填チェック。問題なし、発砲可能!*****


 狙いをつけて、再度発砲。
 今度は相手の胴体に当たったが、問題は無い。
 モヒカン3の背中から、内臓を含む多くの肉片が飛び散る様が見える。

「なんとか、勝ったか」

 吹っ飛ぶモヒカン3を見つつ、俺の視界は暗くなっていった。
 視界の端に、何か文字が見えた気がしたのだが、もう意識を保っていられない。
 おやすみ、俺。



*****レベルが2に上昇!ステータスポイントを5入手!*****
*****小銃スキルが2に上がりました!【銃撃スキル:スピードローディング】を取得!*****
*****小銃ポイント5を入手。装填速度が向上。照準速度が向上。装填成功率が80%に上昇!*****
*****耐ダメージスキルが3に上がりました!あなたは刃物に対する耐性が上がりました!*****
************************************************
名前 :****
HP  :5(現在1) →  9
MP  :5 → 8
筋力  :2
持久力 :1
素早さ :3
知力  :7*******(現代知識・高等教育・政治・経済・歴史・軍事・科学・化学)
器用さ :3
運   :0

残りポイントは 5 です
************************************************
装備 頭 :なし
首 :なし
肩 :なし
胴 :普通の布製の背広
腰 :損傷した布製のスーツのズボン
足 :普通の革の靴
右手 :火縄銃(残り四発)
左手 :なし
予備武器:なし
指 :なし
背中 :なし
************************************************
【レベル・称号】
・チーター レベル0  称号『普通の人』
・冒険者  レベル2  称号『雑魚冒険者』
・拠点   レベル0  称号『ホームレス』
************************************************



[26261] 第二話『ちーとはじめました』
Name: ちーたー◆7e5f3190 ID:84a555e7
Date: 2011/03/01 00:41

「ここは、どこだ?」

 目を覚ますとそこは見知らぬ部屋で、笑顔の美女がおり、さっそくナデポでニコポでお姫様とかロリババアな伝説の魔女を手懐けつつ俺は伝説の勇者としてハーレムを作るんだ。
 そして魔王を倒し元の世界へ戻るところでお姫様に声をかけられ戻る事を諦めるんだ。
 でもその後ろには同じく俺を狙う美女の仲間たちがいて俺を取り合い、あ、トイレ行きたいな。
 おはよう、俺。
 妙な妄想を弄んでいた意識を覚醒させつつ、苦労して立ち上がる。
 たしか、記憶が確かならば俺は危うく死ぬところだったはずだ。


「おお、やっべぇ」

 眼前に転がる三つの死体。
 二人は頭部が吹き飛んでおり、それがなんだか考えたくも無い粘性の何かが流れ出ている。
 もう一人は随分と風通しがよくなった腹を空に向けて倒れている。
 これ、間違いなく俺がやったんだよな
 相手がヒャッハーさんとはいえ、殺人をしたはずなのに、どうして何も感じないんだ?
 これでも俺は真っ当な文明人だったはずなのだが。

 それよりも足がいた、くない?
 左足の傍らには手斧が落ちている。
 だが、その足には怪我を負っていた痕跡すらない。
 よく見るとスーツが破けているので、そこに怪我があったのであろう。

「どうなっとるんだ?」

 唖然と呟いた俺に答えるかのように、視界にメッセージが現れる。


*****おはようございます!体力が全快しました!*****

 
 どうしても受け入れたくないのだが、これは現実なのだろう。
 俺は、恐らくはテレビゲーム的な異世界に来てしまったのだ。
 まあ、もしくは高度な科学技術を持つテレビ局のドッキリ番組かもしれないが。


*****コード ヲ センタクシテ クダサイ*****


 突然視界に現れたメッセージに首をかしげる。
 先ほどとは字体が異なっている。
 それにしてもどこかで見た事のあるフォントの半角カナだな。
 しかも選択しろと言いながら、項目が一つしかないじゃないか。
 
「初期スキル、全取得?」


*****ショキスキル ゼンブシュトク ヲ センタク シマシタ*****


 その瞬間に訪れた感覚は、平たく言うと泥酔時の眩暈によく似ていた。
 世界の全てが回転するような、歪むような感覚。
 思考が極めて混乱し、吐き気がこみ上げる。

「きもち、わるい。落ち着け俺。スーツで吐くな」

 思わず言葉が漏れ、そして胸を押さえた手が微かに光った。
 手が光った瞬間、吐き気は消えた。
 むしろ清々しいと形容できる程の清涼感がこみ上げてくる。

「回復魔法、ってことか?」

 唐突に俺は理解した。
 初期スキル全部取得。
 改造ツールを使って、ちょっとだけ楽をしたい時に使うコードじゃないか。
 そうなると、ここはゲームの中ってワケか?
 ヘルメット型の感覚器とか脳髄に直結する端子とか、その手の装置は持っていないんだがな。
 それはさておき、恐る恐る足に力を込めて立ち上がる。
 異常は感じられない。
 体を捻りつつ手斧が刺さっていたあたりを見てみるが、傷一つ存在しない。
 つまり、一泊したから体力が全快したわけだな。
 なるほどゲームだ。
 そして、回復魔法があるってことはだぞ。

「ファイヤァァァー、ボゥル!」

 咄嗟に片手を突き出して叫ぶ。
 サッカーボールほどの大きさの火の玉が突然現れ、目の前の木に着弾する。
 そのまま木は燃え上がり始めた。

「凄いけどヤバイ!」

 慌ててそれらしい水系の魔法名を叫んで消火を試みる。
 幸いな事に何とかなったが、危うく森ごと焼身自殺するところだった。
 しかし、凄いは凄いが、どうせならば初期スキルと言わずに全スキルを取得したかったな。
 
「ん?」

 真ん中あたりが焼け焦げた木。
 その根元に生える草が妙に気になる。
 
「これは、なんだ?」

 近寄って手を伸ばしてみると、例によってメッセージが現れた。


*****採取チェック。問題なし!体力回復の薬草(弱)を一個入手!*****


 なるほど、装填チェックだの採取チェックだの、スキルに応じて動作が行われるわけだな。
 この薬草が妙に気になったのも、恐らくはスキルの恩恵なのだろう。
 ああ、いかん。
 そろそろ現実を受け入れて、生存のために行動しなくてはいかんな。
 とりあえずは、視界の端で点滅している項目を見てみよう。


*****ステータスポイントを割り振ってください*****
************************************************
HP :9
MP :8 → (現在2)
筋力 :2
持久力:1
素早さ:3
知力 :7*******(現代知識・高等教育・政治・経済・歴史・軍事・科学・化学)
器用さ:3
運  :0

残りポイントは 5 です
************************************************


 なるほど、ステータスですね。わかります。
 先ほど魔法を連発したから、MPは現在2になっている。
 状態回復、ファイヤーボール、ウォーターと三連発だったから、一発の消費量は2か。
 なんとなく感じ取れるが、一分でMPが1回復しているようだな。

「…五十八、五十九、六十」

 念の為に確かめてみると、六十秒が経過したところでMPが1回復した。
 自分の体に関する感想は、基本的に信じておいてよさそうだな。
 それはそれとして、運のステータスがゼロってのはどういう事だ?
 確かにこんな目に合っているのだから運が悪い事には違いないが、これはあんまりだ。

「上等だ、全ポイントを投入してやろうじゃないか」

 俺のような貧弱日本人サラリーマンが運の助けを得られなければ、生き残れるはずが無いからな。
 その代償なのかどうかは知らないが、知力は高めで補正が色々掛かっているらしい。
 真面目に学校に通っておいて正解だったな。

「それで、武器ポイントとやらはなんなんだ?」

 思考を向けると俺の視界に火縄銃のイメージ画像が現れる。
 今直ぐ歴史博物館に飾りたくなるような見事なものだ。

********武器ポイントを割り振ってください********
************************************************
名前 :火縄銃 レベル1
命中 :1
威力 :3
銃身 :2
安定 :3
速射 :1

残りポイントは 5 です
進化には 10 ポイント必要です
************************************************


「へぇ」

 要するに、武器ポイントを手持ちの武器に振り分けてやればいいわけだ。
 そして、必要な数を割り振れば、進化して新しい武器になるわけだな。
 咄嗟戦闘であれだけ役立ってくれたのだから、威力と安定性は弄る必要は無いだろう。
 どうしてもと言えば、命中かな?
 頭蓋骨を一撃で粉砕できたとしても、当たらなければどうという事はない。
 全力で命中に振り分けさせてもらおう。


「命中に全ポイント、と」

 呟いた瞬間、手に持っていた銃が光った。
 見た目にはわからないのだが、これで何か変わるのかな?
 試しに構えてみると、違いがわからない。

「おいおい、どういうこったい?」

 狙っていないからダメなのかと近くにあった枝を狙うと、なるほど、心なしか狙いをつける速さが上がっている。
 元の世界に変えることが出来たら、競技射撃でもやってみるかな。
 出来るかどうかわからない事を考えるのはここまでにして、次はスキルとやらだ。
 初期スキルだけとはいえ、自分が出来る事が多様に存在する事は喜ばしい。

「さてさて、どれくらいの量なのかな?」

 どのような原理で動いているのかはわからないが、視界の端にある項目を選択する。
 その瞬間、俺の視界は文字で埋め尽くされた。
 素手ナイフ刀剣弓ボウガン拳銃小銃鞭矛杖槌斧鎌魔導具爆弾兵器などなどなどなど。
 武器だけでも数十種類。
 さらに防具だの衣服だの魔法だのと大量の項目が出現し、運動や料理、猟師や建築など、装備品以外の項目まで出現した。
 要するに、何かをしたいと思ったら、そのすべてにスキルが必要となるという事なのだろう。

 しかしまあ、これはもう見事に器用貧乏な存在が生まれたものだ。
 小銃と耐ダメージとやらはそれぞれのレベルが2と3だが、それ以外は全て1である。
 まあ、ある意味この世界に生まれたばかりのようなものだから無理もないか。
 しかし、冷静になって考えてみれば、これは大変にチートな状況だ。
 俺は全初期スキルを取得したことで、起きてから眠るまで、あらゆる行動にスキルの補正がつく。
 そして、生きているだけで経験値が貯まっていき成長していく。
 眠ったこと、起きたこと、歩いたこと、荷物を担いだこと、周囲を見回したこと、食事をしたこと、全てに補正がつき、さらに成長していくわけだ。
 この世界の一般人がどの程度かは知らないが、俺は有利な立場にいるはずだ。


「お?」

 さっそく上げたばかりの運の効果が出たのかは知らないが、周囲の状況を再確認しようとした俺は自分の鞄を見つけた。
 恐らく戦闘の際に蹴飛ばされたのだろう。
 もしこのまま立ち去っていれば、二度と見つけられなかったに違いない。
 中に何が入っているのかは良く覚えているが、念のためにもう一度確認しておこう。

 会社支給のノートパソコン、書類、経済新聞、手帳、ボールペン。
 うん、今すぐ出社しても問題が無い一式が揃っているな。
 簡易裁縫セット、飴玉、ガム、整髪剤、携帯電話、暇つぶし用の電子ブックリーダ、携帯ゲーム、太陽光発電式充電器、ジッポライター、タバコ。
 一部を除いて下らない物ばかりだが、外回りをする営業マンには必須のものだ。


「いよーし」

 鞄の中を改めた俺は、勇気を出してヒャッハーさん達の荷物を改める事にした。
 現在位置も含めてあらゆる情報が不足している以上、できる限り物品を収集しておいたほうが良い。
 飛び散った何かにできるだけ触れないようにしつつ、彼らの腰に下げられた袋を探る。
 何かの干し肉、おそらくは地図らしい布、小ぶりのナイフ、火打石、小型の砥石、ロープ、飲料水。
 うんうん、彼らの持ち物はとても役に立ってくれそうだな。
 中が汚れることは諦め、それらを鞄へと収める。

「不思議だ」

 鞄の中を見ると、どうにも納得がいかないことに全てが収まっている。
 確かに、今使っている鞄は最近新調したばかりの大きめの物だ。
 まあいいか。
 入らないよりは入ってくれたほうが有り難い。

「しかし、この足はちょっといただけないな」

 スーツの左足部分は見事に切り裂かれている。
 この状態で歩き回ったら、草木に皮膚が引き裂かれて残念な事になってしまうだろう。
 決して安いスーツではないのだが、諦めてヒャッハーさん達の服を貼り付けてしまおう。
 粘性の何かが張り付いていない部分を切り取り。

*****裁縫チェック。問題あり!*****

 何かが張り付いていない部分を切り取り。

*****裁縫チェック。問題あり!*****

 張り付いていない部分を切り取り。

*****裁縫チェック。問題あり!*****

 部分を切り取り。

*****裁縫チェック。問題なし!薄い獣皮(小)を入手*****

 脱いだズボンの切り裂かれた部分を埋めるように縫い付ける。

*****裁縫チェック。問題なし!スーツのズボン(ワイルド弱)を作成*****
*****裁縫スキルが1.10になりました!*****

 服が修繕できたことは嬉しいが、このメッセージは邪魔だな。
 まあ、それはさておき、移動を開始しよう。
 移動と言うからには、当然目的地がある。
 先ほど持ち物を改めて居たときに発見したのだが、ヒャッハーさんたちの持っていた地図らしい布切れにはこの森の周辺部分までの範囲が書かれていた。
 それによれば、この付近に彼らの住処があるらしいのだ。


************************************************
名前 :****
HP  :9
MP  :8 →(現在5)
筋力  :2
持久力 :1
素早さ :3
知力  :7*******(現代知識・高等教育・政治・経済・歴史・軍事・科学・化学)
器用さ :3
運   :5

残りポイントは 0 です
************************************************
装備 頭 :なし
首 :なし
肩 :なし
胴 :普通の布製の背広
腰 :修復された布製のスーツのズボン(ワイルド弱)
足 :普通の革の靴
右手 :火縄銃(残り四発)
左手 :なし
予備武器:錆びた銅の手斧×2
指 :なし
背中 :なし
************************************************
【レベル・称号】
・チーター レベル1  称号『コピペができるチーター』
・冒険者  レベル2  称号『雑魚冒険者』
・拠点   レベル0  称号『ホームレス』
************************************************



[26261] 第三話『ボス瞬殺』
Name: ちーたー◆7e5f3190 ID:84a555e7
Date: 2011/03/09 00:04
一日目 夕方 森の中

「喰らえっ!正義のっ!錆びた銅の手斧っ!」

 必殺の叫びと共に、錆びた銅の手斧が熊の頭部に突き刺さる。
 ウインドで切り刻まれ、ファイヤーボールで焼かれているそれは、さしたる抵抗も無しに攻撃を受けて倒れる。
 銃は大変に便利な武器であるが、魔法はそれに輪をかけて便利な攻撃手段だ。
 さすがに射程無限の弾数無限とまではいかないが、自分より遥かに優れる身体能力を持つ相手に、一方的にダメージを与えることが出来る。

「もういっちょ!もういっちょ!もういっちょ!」

 文字で表記すると随分と軽い印象だが、全身の力を込めて手斧を振り下ろす。
 既に熊の頭部はよく分からない肉の塊へと変化しており、この戦いは俺の勝利で幕を下ろした。
 周囲を伺うが、敵対的な反応は感知されない。
 またもや勝利してしまったらしい。

「フッ、敗北を知りたいものだ」

 縁起でもない言葉を漏らしつつ、ステータス画面を見る。
 

*****レベルが3に上昇!ステータスポイントを5入手!*****
*****斧スキルが2に上がりました!【斧スキル:脳天唐竹割り】を取得!*****
*****斧ポイント5を入手。振り下ろし速度が向上!*****
*****ファイヤーボールがレベル2に上がりました!温度が150度上昇、射程が15m延長しました!
*****耐精神スキルが2に上がりました!あなたはストレスに対する耐性が上がりました!*****
************************************************
名前 :****
HP  :9 → 11
MP  :8 →(現在4) →10
筋力  :2
持久力 :1
素早さ :3
知力  :7*******(現代知識・高等教育・政治・経済・歴史・軍事・科学・化学)
器用さ :3
運   :5

残りポイントは 5 です
************************************************
装備 頭 :なし
首 :なし
肩 :なし
胴 :普通の布製の背広
腰 :修復された布製のスーツのズボン(ワイルド弱)
足 :普通の革の靴
右手 :錆びた銅の手斧(耐久度85%)
左手 :なし
予備武器:錆びた銅の手斧・火縄銃(残弾四発)
指 :なし
背中 :なし
************************************************


 単なるレベル上げとしては満足すべき状況だ。
 特定の何かを使えば使うほどレベルが上がることは確認できたし、レベルが上がれば消耗した体力やMPが回復することも再確認できた。
 それだけではなく、武器を使用すれば消耗することも確認できた。

「エンチャント?エンチャーント!」

 独り言を言いつつエンチャントの魔法を手斧にかける。
 完全にシステム?の受け売りなのだが、エンチャントの魔法にはいくつかの種類がある。
 耐久力向上・回復、武器ステータスアップ、属性付与。
 属性付与はまだできないが、それ以外のおかげで俺は武器を無制限に使用できる。
 これは大変にありがたい話だ。
 とりあえず、筋力一筋であげておこう。
 脳筋は趣味ではないが、便利であることに間違いはない。

「それはそれとて、オーケイ、お相手しよう」

 藪の中から別の熊が現れる。
 ヒャッハーさんたちと交戦でもしたのか、片腕に裂傷を負っている。
 後退しつつ、魔法を唱える。

「ファイヤーボール!ウインド!ファイヤーボール!ウインド!」

 ステータス内のMPが急速に減少していくが、大切なのは目の前の熊にダメージを与えることだ。
 上半身が炎に包まれ、風魔法で切り裂かれ、更に下半身が炎で包まれ、上半身が更に切り裂かれつつ燃え上がる。
 追加で後退し、足元の石を拾いあげて投げつける。
 熊は痛みで暴れていて俺を狙ってこない。
 さらに石を拾って投げつける。
 もう一度、もう一度、もう一度。
 そろそろ止めを刺そうとして、熊の頭上のゲージを見て気がついた。

『死と絶望の森の主 地獄の豪腕 HP:500/1647 継続ダメージ』

 こいつは、ただの熊じゃない。
 火炎で継続ダメージを受けているとはいえ、危険にもほどがあるお名前だ。
 手斧を火縄銃に持ち替え、素早く狙いをつける。
 発砲。頭部に銃弾が突き刺さるが、即死効果は発動しない。
 さらに三歩下り、再装填。

『死と絶望の森の主 地獄の豪腕 HP:247/1647 盲目・継続ダメージ』

 行ける。
 銃弾の他に継続ダメージもまだ効果が残っている。
 再度発砲。
 熊は顔面が燃え上がっているのに目を開けてしまったらしく、盲目状態に陥っているようだ。
 銃弾が再び頭部に突き刺さる。
 これでも死なないとか反則だろう。

「死ね!俺のために死ね!」

 再装填、発砲。
 銃弾は確実に効果を発揮している。
 奴の残り体力は47だ。
 もう一度装填、発砲。
 放たれた銃弾は、正確に奴の頭に命中し、随分と損傷を受けていたそれを粉砕した。
 銃弾はなくなってしまったが、死ぬよりは随分とマシだ。
 崩れ落ちる巨体を眺めつつ、俺は内心で安堵した。
 この世界の人々から見た目の前の主の強さはわからないが、俺はともかくボス級の敵に対抗出来る能力を持っているようだ。
 

*****レベルが5に上昇!ステータスポイントを10入手!*****
*****斧スキルが3に上がりました!【斧スキル:部位切断】を取得!*****
*****斧ポイント5を入手。振り下ろし速度が20上昇!*****
*****小銃スキルが3に上がりました!【銃撃スキル:部位スナイプ】を取得!*****
*****小銃ポイント5を入手。装填成功率が95%に向上!*****
*****ファイヤーボールがレベル3に上がりました!温度が150度上昇、射程が10m延長しました!
*****ウインドがレベル2に上がりました!鉄までの物質を切り刻めます。射程が15m延長しました!
*****耐精神スキルが3に上がりました!あなたはストレスに対する耐性が上がりました!*****
************************************************

【ステータス】
名前 :****
HP  :11 → 18
MP  :10 → 20
筋力  :7
持久力 :1
素早さ :3
知力  :7*******(現代知識・高等教育・政治・経済・歴史・軍事・科学・化学)
器用さ :3
運   :5

残りポイントは 10 です

************************************************

【装備】
頭 :なし
首 :なし
肩 :なし
胴 :普通の布製の背広
腰 :修復された布製のスーツのズボン(ワイルド弱)
足 :普通の革の靴
右手 :錆びた銅の手斧(耐久度100%)
左手 :なし
予備武器:錆びた銅の手斧・火縄銃(残弾0発)
指 :なし
背中 :なし

************************************************

【レベル・称号】
・チーター レベル1  称号『コピペができるチーター』
・冒険者  レベル8  称号『新人冒険者』
・拠点   レベル0  称号『ホームレス』

************************************************
【スキルレベル】
斧  :3
小銃  :3
ファイヤーボール:3
ウインド :2
耐ダメージ:3
耐精神 :3
※それ以外の初期スキルは全て 1 です。

************************************************

【武器スキル】
銃撃スキル:スピードローディング
銃撃スキル:部位スナイプ
斧スキル:脳天唐竹割り
斧スキル:部位切断

************************************************

************************************************
********武器ポイントを割り振ってください********
************************************************
名前 :火縄銃 レベル1
命中 :6
威力 :3
銃身 :2
安定 :3
速射 :1

残りポイントは 5 です
進化には 5 ポイント必要です
************************************************
名前 :錆びた銅の手斧 レベル1
命中 :1
威力 :5
安定 :3
耐久度 :10
残りポイントは 10 です
進化には 10 ポイント必要です
************************************************



[26261] 第四話『俺無双』
Name: ちーたー◆7e5f3190 ID:84a555e7
Date: 2011/03/09 23:02
一日目 夜 森の中

 状況を簡潔に述べると、俺は選択を迫られている。
 別に幼なじみか金持ちの娘かを一晩で選べと言われているわけではない。
 崩壊する空中大陸で仲間をもう少し待つかどうかを聞かれているわけでもない。
 だが、結果次第では死に直結しかねない現状では、前述のものよりもよほど真面目な選択が必要だ。

「レベル2か、進化か、それが問題だ」

 大木の幹を背に悩んでいる俺の前には、先程まで大活躍していた火縄銃と手斧が置かれている。
 どちらも朝から続く激戦の結果、この度めでたくレベルアップに必要な経験値が溜まったのだ。
 止める間もなく上昇する自分自身やスキルのレベルとは違い、武器の場合には任意でのステータス振り分けが必要とされる、らしい。
 ポイントを必要分投入すれば進化出来ることは前に知ったが、進化だけではなくてレベルアップも選択できるようだ。
 レベルアップといえばステータスが上がると古来より定められている。
 だが、同時に進化とは一足飛ばしには起こらないというのも常識だ。

「取り敢えず手斧、お前は上を目指すんだ」

 独り言を呟きつつ手斧を進化させる。
 早く仲間を見つけて独り言以外を口にしたいものだ。
 5ポイントずつ威力と命中に振り分け、レベルアップを選択する。
 するとなんということでしょう、錆びた銅の手斧はレベルが2に上がったのです。
 歴史を感じさせる錆、銅ならではの優しい手触りはそのままに、全ステータスに2のボーナス。
 能力は上がるが素材や名前は一切変更しないという匠の細やかな心遣いを感じます。

「さすがは匠の技」

 レベルアップボーナスはレベル数だけ全ステータス上昇というわけか。
 比較例がないから断定はできないが、レベル3になったときに注意してみてみよう。
 それはそれとて、小銃である。

「レベルアップか、進化か、それが問題だ」

 こうして話は冒頭に戻るわけだ。
 別に刀剣類を見下しているわけではないが、銃の歴史は人類の科学技術の進歩をそのまま反映していると言っても過言ではない。
 アイデアだけでは現物が出来上がらないのはなんでもそうだが、銃は様々な技術の発展の延長線上に、戦術や戦法といった運用の進化も取り込まれて今がある。
 それを言えば剣も槍も弓矢も何でもそうなのだが、話が進まないので置いておくとして、とにかく、そういった事情が存在する。
 使い方はともかくとして、そりゃまあ、火縄銃より89式小銃の方が安心感があるのは言うまでもない事であるが、弾薬をどうするのかという問題がある。
 火縄銃用の弾薬の確保すら頭をかかえるレベルなのに、金属薬莢など購入できるはずもない。

「エンチャントで補修ができるなら、クリエイトで弾薬を製造とかできればな」

 突然だが、この世界の魔法の発動について説明したいと思う。
 この世界の魔法は極めて曖昧なイメージで発動する。
 例えば、俺は「ファイヤーボール」と唱えて火球を発射している。
 だが、これは「メラ」でも「ファイヤ」でも「火球」でも、俺がイメージ出来れば「FB(Fire Ball」と唱えただけでも発動するのだ。
 対象物を認識し、それに対してMPを用いて火球を発射するとイメージしていれば、それでいいらしい。
 これはチートが発動した際の強烈なめまいと吐き気を「落ち着け俺」で癒すことができた事からも推測できる。
 チュートリアル役の召喚者や老師や美少女天才魔術師がいないので断定は難しいが、少なくとも直近の事例からはそのように思える。

「とりあえず、威力に2、速射に3を振り分けて進化、と」

 おめでとう! 火縄銃 は マスケット銃 に進化した!
 弾薬が変わるがまあいい。
 名前こそマスケット銃と味気ないが、こいつは只者じゃねえぜ。
 点火方式は水に弱い火縄式から二段階アップして信頼と実績のフリントロック式に変更。
 銃身も命中精度の低い滑腔式から、現代の銃でも採用されている銃身に螺旋状の溝(ライフリング)が切られた旋条式に進化。
 装填方式はさすがに銃口から弾を押し込む先込め式のままだが、最後の手段である銃剣を取り付けられるようになった。
 2011年現在の武器を知る俺からしても、初期装備から考えればチート過ぎる武器である。
 
「銃剣もクリエイトが必要だな。
 あと、こいつのための銃弾もクリエイトが必要だ。
 ああ、点火用の火打石もいくらかクリエイトが必要だ」

 ありがたい話だ。
 これだけ連呼しているというのに、MP消費が少ないおかげでかなりの余裕がある。
 
「主人公をおはようからおやすみまでサポートできる便利な超魔法『クリエイト(創造魔法)』が初期スキルってどういうことよ?」

 使えないよりは使えるほうが確実に良いのだから別にいいが。
 ああ、自分のステータスについては筋力と素早さに5ずつ割り振っておこう。
 近接武器を使わないわけではないし、銃や魔法を使うにしても素早くて困ることもないだろうからな。




一日目 深夜 森の中 ヒャッハーさんたちのアジト付近

「しかしまあ、エンチャントで武器修理してクリエイトで弾薬補給してって、反則だよな」

 思わず小声を漏らしてしまう。
 そんな迂闊な俺はともかくとして、とにかくチート過ぎる。
 まるで銃を使ってこの世界で活躍していくために産まれてきたようなものだ。
 気配察知は『サーチ』で半径10m圏内を完全に把握。
 怪我は『ヒール』で治るし、恐怖は<耐精神スキル>で耐えられるし、時代はまさに、俺時代。
 MPと体力が尽きない限りは、無限行動ができてしまうわけなのですよ。

「前方目測100m以上、男性一人、飛び道具無し。ステンバーイ、ステーンバーイ」

 そんなチート状態テンションMAXの俺は、レベル上げのためにここへ来ている。
 今日一日の結果として、狼などの普通の野生動物よりも、人間相手のほうが経験値が多く入る事が判明したのだ。
 であるならば、戦った結果として十分に圧倒できるであろうヒャッハーさんたちには俺のために役立ってもらえばいい。
 数はそれなりにいるのだろうが、何もいきなり全員を相手に大立ち回りをする必要はない。
 一人か二人を射殺し、夜闇にまぎれて逃げ出せばいい。
 朝方に射殺したヒャッハーさん所有の下手くそな地図と現実の地形を見比べつつ訪れたそこは、どこからどう見てもアジトという感じだった。
 明かりのためか料理のためかは知らないが周囲を照らし出す焚き火。
 武装した男達。
 そして小屋。
 うむ、どこに出しても恥ずかしくないアジトだ。

「すまんが、成仏してくれよ」

 一番近くにいた男に狙いをつける。
 <部位スナイプ>を発動し、ランダムで場所を選ばれる中で頭が選択されるまでキャンセルを繰り返すという思いつきの裏技を実行してみたところ、その効果は絶大だった。
 引き金を絞る。
 銃声、悲鳴、怒号。
 放たれた弾丸は確実に男の頭部を粉砕したが、敵もさるもの一瞬で警戒態勢に入ったらしい。
 男達の怒号が響き渡る。
 金属がこすれる音、地面を踏み荒らす音、草木を掻き分ける音。
 人間が生存し、行動している事を示す音だ。
 そこに、新たな音が加わる。
 甲高い、人体ではないものが奏でる、しかし人の手が介在している音である。



「ヒャッハー!向こうだ!あっちから撃ってきてるぞ!」

 暗闇の中で発砲すれば、マズルフラッシュの閃光で射手の位置は簡単に暴露されてしまう。
 すぐさま剣や手斧を持った男達がそちらへ向けて走り出す。
 装填に大変な手間と時間が必要とされる銃は、ごく短い距離で多数と戦うには余りにも向かない武器である。
 だが、ここで発生している状況は少しばかり違った。
 あまりにも早すぎる速射の嵐。
 銃声が鳴り響くたびに一人、また一人と男達が倒れていく。
 とはいえ、多勢に無勢、現代の自動小銃と比べれば涙が出るほどに発射速度は遅い。
 結果として、男達は射手までの距離を確実に詰めていった。
 それからもう一度の射撃があったところで、最後尾を走っていた男が遂に射手の目の前へと到着した。
 
「ヒャッハー!覚悟しな!」

 撃ちすぎたのだろう、湯気を立てている銃を足元に置いた小柄な射手を見て、男は勝利を確信した。
 筋肉もそれほどついていない、杖が無いことから魔法を使うとも思えない。
 勝利は約束されたようなものだ。
 
「どっせい!」

 その瞬間、聞いた事の無い掛け声で射手は手斧を投げつけてきた。
 腰のベルトにくくりつけていたらしい。
 あれほど見事な射撃を見せていたというのに、手斧は男の手前に、それも柄の部分から落下する。
 銃は使えない、手斧は今投げ終えた。
 自身の勝利を確信し、男は剣を振り上げた。

「ファイヤーボール!」

 火球が発生し、男は凍りついたように動けなくなった。
 どこの世界にこんな短い詠唱時間で、それも杖も無しに魔法を唱えることが出来る存在がいるというのだ。
 剣を振り上げた彼の眼前に燃え盛る火の玉が現れ、避けるまもなく上半身に直撃を受けた。
 獣のような絶叫を上げて倒れる。
 魔力で生み出された炎の塊は、彼の肉体をあっと言う間に炎上させていく。
 最初の絶叫の後、肺の中の空気が無くなったらしく、既に声を出さず、全身を燃え上がらせながら筋肉の作用で奇妙な形になっていく。



「危ない危ない。ついカッとなってしまったよ」

 当初の予定は、一人目を射殺したところで速やかに撤退するというものだった。
 出来れば二人ぐらいは倒したいと考えていたが、一発目でこちらを発見されたことでいきなり頭の中が真っ白になる。
 命中を確認したら逃げるという自分で立てた予定を忘れ、ひたすらに目に付くものへ発砲を繰り返し続け、四人目を射殺したところで遂に目の前へ到達された。
 銃は発砲を繰り返しすぎたせいで冷却中、咄嗟に魔法を唱えたことが吉と出たが、魔力切れだったら今頃は自分が死んでいたところだ。
 それはともかくとして、耐精神スキル3で暴走状態になるということは、スキルの加護がなかったら最初の一発で茫然自失になって死んでいたのだろうな。

「反省が必要だな」

 ポツリと呟き、傍らの銃を見る。
 赤熱していた銃身はようやく元に戻ろうとしていた。
 どうやら、ステータスの速射はここに関わってくるようだ。

「こいつには感謝だよホント」

 このあまりにも絶望的な世界で、銃という科学文明の申し子である相棒のおかげで俺は楽に生き残ることが出来た。

「これで喋ってくれれば言う事ないんだがな」

 しゃべれますよー!という幻聴が聞こえたと思ったら目の前に可愛い銃の妖精が現れて、などという嬉しい展開は無く、俺は目の前の死体を見た。
 肉の焼ける嫌な匂いがしてくるが、死亡が確実な外見をしている上、仮に今死ぬことが出来ていなかったとしても直に死ぬだろう。
 周囲は静まり返っている。
 あれだけ賑やかなヒャッハーさんたちが、これだけ叩かれてからようやく身を潜めて様子を伺っているとも思えない。

「勝ったな」

 心の底からの安堵と共につぶやきが漏れる。
 周囲の安全確認とか埋葬とかアジトの接収とか、やるべき事は無数にあるが、取り敢えず今はレベルアップとステータス振り分けという幸せを噛みしめよう。


*****レベルが8に上昇!ステータスポイントを15入手!*****
*****小銃スキルが4に上がりました!【小銃スキル:スピードターゲッティング】を取得!*****
*****小銃スキルが5に上がりました!【小銃スキル:ターゲットスイッチ レベル1】を取得!*****
*****小銃スキルが6に上がりました!【小銃スキル:咄嗟射撃 レベル1】を取得!*****
*****小銃ポイント15を入手。装填成功率が98%に向上!*****
*****ファイヤーボールがレベル4に上がりました!温度が200度上昇、射程が2m延長しました!
*****耐精神スキルが4に上がりました!あなたはストレスに対する耐性が上がりました!*****


 今回は前回と違ってレベルアップ直後にステータス振り分けの時間が直ぐに取れたな。
 というわけで早速実行するわけだが、今回は入手ポイントもスキルも大量だ。
 『ファイヤーボール』が強力になったことと<耐精神スキル>が上がったことは素直に喜んでおしまいだな。
 ところで、初期値は不明だが『ファイヤーボール』の温度は500度以上になっている。
 500度以上の火球ってのは、当たれば即死できる威力なんじゃないか?
 フフフ、今のはメラゾーマではない、メラだ。

「よーし落ち着け、周辺警戒忘れるべからず」

 ファイヤーボールの非常識なレベルアップぶりにテンションが上がりすぎた。
 周辺警戒のための『サーチ』をかけ直し、念のため目視でも周囲を見回す。
 人間も動物も、エルフもモンスターも何も無しな事を確認して、ステータスを上げにかかる。
 まず優先するべきは、自分自身の能力だ。
 今回は15ポイントも獲得しているため、平均値が10になるように上げておこう。
 一点豪華主義も使い勝手がいいのだが、単独行動が長く続きそうな現在、あえて弱点を作るというのは褒められた行動ではない。
 能力が平均的になるように振り分けを終わらせ、お次は武器だ。
 新たに入手したスキルたちの効果を試してみよう。
 手頃な敵がいないので、何とか狙えそうな位置の枝をいくつか撃ってみるか。


「スピードターゲッティング!」

 別に叫ばなくてもいいのだが、気分で唱えつつ手短な枝を狙う。
 高速というより神速と言いたくなるような、自分でもいつの間に銃を構えていたのかも分からない速さで枝に狙いがつく。
 先の方は細くて狙いづらいので<部位スナイプ>で枝の太い部分に狙いをつける。
 だから先の方ではなくて太い部分だ、ええい、太い部分だよ、太い部分だって言ってるだろ。
 狙える場所はランダムなのか。
 銃弾など『クリエイト』でいくらでも補充できるし、銃の消耗は『エンチャント』で直せるため、無駄打ちをしてみよう。
 急に狙いをつけたせいで脳の処理が追いつかないため<咄嗟射撃>を使う。
 発砲、銃弾が飛び出し、やや太めの枝をへし折る。
 命中の音が聞こえた段階で<スピードローディング>を行う。
 このスキルを使用すると、使用した段階で装填が完了していることになるようだ。
 次に狙おうとしていた枝を思い浮かべると、勝手に<ターゲットスイッチ>が発動、手が次の枝を狙い、指が引き金を引く。

「なるほど」

 あれから二十発あまりの銃弾を消耗した俺は、スキルたちの共演が織り成す反則的な展開に慄然たる思いを抱いていた。
 つまり、スキルを組み合わせることにより、俺は多数の敵を瞬時に捌くことができるようだ。
 照準は<スピードターゲッティング>で一瞬、その後に<部位スナイプ>でランダムで一箇所を狙う。
 狙いがついた直後に<咄嗟射撃>を使い発砲。
 装填は<スピードローディング>でこれまた一瞬。
 どうやらこのスキルを使うと手持ちの荷物の中に銃弾があれば、勝手に銃の中に転送されているようだ。
 そして次なる目標へ<ターゲットスイッチ>で即座に発砲。
 前から言っているように弾薬の補充は『クリエイト』でいくらでもできるし、銃の消耗は『エンチャント』ですぐに直る。
 これなんてチート?と自問自答したくなるが、まあ、俺が便利である分には何の問題もない。
 
「これはもう、俺無双確定じゃないか」

 大いなる満足感を覚えつつ、銃のステータスを割り振りつつ今日の寝床を探すことにした。
 ヒャッハーさんたちの別働隊がいないとも限らないし、アジトの物色は明日からにしておくのが賢明だろうという判断からだ。



************************************************

【ステータス】
レベル :5 → 8
名前 :****
HP  :18 → 27
MP  :20 → 45
筋力  :12
持久力 :1 → 10
素早さ :8
知力  :7*******(現代知識・高等教育・政治・経済・歴史・軍事・科学・化学)
器用さ :3 → 9
運   :5

残りポイントは 0 です

************************************************

【装備】
頭 :なし
首 :なし
肩 :なし
胴 :普通の布製の背広
腰 :修復された布製のスーツのズボン(ワイルド弱)
足 :普通の革の靴
右手 :鉄の銃剣付きマスケット銃(残弾20発)
左手 :なし
予備武器:錆びた銅の手斧 レベル3 *2 
指 :なし
背中 :なし

************************************************

【レベル・称号】
・チーター レベル1  称号『コピペができるチーター』
・冒険者  レベル5  称号『新人冒険者』
・拠点   レベル0  称号『ホームレス』

************************************************

【スキルレベル】
斧 :3
小銃 :3 → 6
ファイヤーボール:4
ウインド :2
耐精神 :4
※それ以外の初期スキルは全て 1 です。

************************************************

【武器スキル】
銃撃スキル :スピードローディング
銃撃スキル :部位スナイプ
銃撃スキル :スピードターゲッティング
銃撃スキル :ターゲットスイッチ レベル1
銃撃スキル :咄嗟射撃 レベル1

斧スキル :脳天唐竹割り
斧スキル :部位切断

************************************************

************************************************
********武器ポイントを割り振ってください********
************************************************
名前 :鉄の銃剣付きマスケット銃 レベル1
命中 :6
威力 :5 → 10
銃身 :2 → 5
安定 :3 → 4
速射 :4 → 10

残りポイントは 0 です
進化には 35 ポイント必要です
************************************************
名前 :錆びた銅の手斧 レベル2
命中 :6 → 8 → 10
威力 :5 → 10 → 12
安定 :3 → 5
耐久度 :10 → 12
残りポイントは 0 です
進化には 50 ポイント必要です
************************************************



[26261] 第五話『愛しの我が家』
Name: ちーたー◆7e5f3190 ID:84a555e7
Date: 2011/04/04 00:31
二日目 昼 森の中 ヒャッハーさんたちのアジト

 俺は新たな住処である小屋へと足を進めた。
 元は宿屋かなにかだったのだろう、朽ちてはいるが、それなりの広さを持った物件だ。
 一階建てだが、散らばっている寝具から計算すると最低で八人のヒャッハーさんが暮らせるだけの広さがある。
 そこには崩れかけているが井戸があり、ボロボロながらも必要最低限の家具があり、奪ってきたらしい様々な物資が集められていた。
 斧、鋸、釘、木槌、砥石、釣竿、食料や武具、何故か農具や木材まである。
 どうやら、当たるを幸い片端から略奪しまくっていたようだな。
 これに加えて死体から剥ぎ取った武器防具もかなりの量だ。
 食料と水の問題さえ解決すれば一生ここに引き篭もりたい。

「とりあえずは、エンチャントと大工スキルだな」

 小屋の前に置かれている大工道具を見つつ呟く。
 この小屋は快適とは対局に位置する状態だ。
 天井には穴が開き、一部の壁は崩れている。
 床の一部も腐っているらしく、室内を歩いていると時折嫌な音がする。
 快適な拠点とするには随分と改築工事が必要だ。
 というわけで早速大工道具に耐久力回復のエンチャントを使いまくってスキルを上げていく。
 ひどく疲れるだろうが、快適な明日のためには欠かせない作業である。


「さてと、それではおっぱじめますか」

 どうでもいいが、話し相手がいないせいで独り言ばかりだな。
 内心で苦笑しつつ、大工道具を手に取る。
 
*****大工スキルチェック。屋根 を 修理しました!*****
*****大工スキルが1.50になりました!*****



*****大工スキルチェック。屋根 の 修理 が 完了しました!*****
*****大工スキルが2.00になりました!*****
*****大工スキルチェック。壁 を 修理しました!*****
*****大工スキルが2.50になりました!*****



*****大工スキルチェック。壁 の 修理 が 完了しました!*****
*****大工スキルが3.00になりました!*****


 とにかく一日かけての作業は効果が大きいようだ。
 まあ、現実世界であったとしても、丸一日かけて作業を行えばそれなりに経験を積むだろうから当然だろう。

「なんということでしょう。匠の自由な発想により、ただの廃墟が補修された廃墟へと生まれ変わったのです」

 俺にデザインのセンスがないことは知っていたが、まさかこれ程とは。
 補修された廃墟は、とりあえず雨風がしのげるレベルへと進化した。
 あちこちに色も長さも違う板が貼りつけられたその姿はみすぼらしい事この上ないが、まあそれは仕方がない。
 有り合わせの資材で、初期状態からのスキル上げを兼ねての作業で、雨風をしのげるところまで来たのだ。
 現時点でこれ以上を望んだらバチが当たる。
 そこまで考えたところでふと気がついた。
 もしかして、こんな面倒なことをしなくとも『クリエイション』でなんとかならないだろうか?
 思い立ったが吉日とはいい言葉だ。

「これが俺の全力全開、クーリエーイショーン!!」

 渾身の力を込めて魔法を唱える。
 全身から魔力がかき集められ、放たれたことが分かる。
 眼に見えるほどの魔力の塊が壁に命中し、そしてメッセージが現れた。

*****複合スキルチェック。大工スキル と エンチャント の レベル が 足りません!*****
*****複合スキルチェック。小屋 の 建設経験 が ありません*****
*****複合スキルチェック。対象 の 破損状況 が 酷すぎます*****
*****警告!魔力切れ で 意識 を 失います…*****

 そっかーそうだよなー、そう簡単には物事は進まないよなー。
 魔力切れによるらしい強烈な眠気に襲われつつ、俺の二日目は終わった。



三日目 昼 森の中 我が家

 今日も今日とて改装工事である。
 壁も屋根も穴は取り敢えず塞いだが、逆に言うとそれだけだ。
 明らかに腐っている部分はそのままだし、床も危険部位に印を付けただけになっている。
 今日の課題はここだな。
 そんな事を思いつつ表に出る。

「あー参ったねこりゃ」

 思わず声に出してしまったが無理もない。
 ヒャッハーさんたちの死体を食べにでも来たのだろう。
 家の周りには大量の狼がうろついていた。

「俺のかっこいい所を魅せつけてやるぜ!」

 念のためにと手に持っていた銃を構える。
 スキル発動、スピードターゲッティング。
 目の前にいた一匹に狙いを付けてそのまま発射。
 命中箇所は胴体だが、狼相手には十分な破壊力のおかげで即死。
 
「次!」

 テンションが上がることを止められない。
 スキルの恩恵があるにしても恐怖感しか感じ無いのだ。
 ターゲットスイッチで目標を切り替え、スピードローディングで再装填し、狙いが付いていることだけ確認して発砲。
 運良く頭部に命中したらしく、狼の頭が吹き飛ぶ。

「次!ああクソ!ウインド!」

 一瞬狙いをつけるが、直ぐに魔法へ切り替える。
 範囲攻撃と言えるほど立派なものではないが、一メートル四方の殺戮竜巻空間が発生して狼たちを絶命させる。
 その結果に満足する暇を与えずに次の狼が迫る。
 畜生、怖ぇしおもしれぇ。

「どんどん来い!次だ!」

 一箇所にこれ以上留まっているのは危険だ。
 挑発しつつ先ほど全滅させた狼たちの方へと駆け出す。
 ついでに一体左から来ていた奴に一発撃ちこむ。

「次、よし、次、死ねぇ」

 今さらながらこちらへ向き直ろうとしていた奴を仕留め、さらにその向こうから駆け寄ってきていた奴に鉛玉を叩き込む。
 背後が壁ではなくなったことから『サーチ』をかけ直して周囲を確認する。
 あと五体。

「次はお前!そしてお前も死ねぇ!」

 一瞬で銃弾を再装填でき、そしてすぐさま狙いをつけられる事は実に素晴らしい。
 スキルや魔法の恩恵なしでは、例え持っているのが自動小銃だったとしても助からなかっただろう。
 あと三体。
 
「この距離ならなんとかなるな」

 サーチが捉えた狼の場所に安堵する。
 三体とも離れた場所におり、先程の走る速さから考えて安全に処理できる。

「次!よし!おしまい!」

 スキルによる素早い行動のおかげで思考を書き留める時間すら無い。
 スイッチで次々と狙いを変え、どこを向いているのかも考えずに発砲を繰り返す。
 一人で行動している利点が最大限に発揮されているな。
 周囲の反応を確認するが、反応なし。
 さすがは俺である。
 あまりの格好良さにキメのポーズでも考えようかとアホな事を思ったが、そういうのは後でいいだろう。
 狼たちの死体をかき集め、何故か分かる牙や毛皮といった貴重な部位を苦労して切り取ると『ファイヤーボール』を撃ちこみ、形がなくなるまで焼いたところで『ウォーター』を撃ちこんだ。
 酷く疲れ果てたこの一件のおかげで、今日はここまでだ。



四日目 昼 森の中 我が家

 さて、今日こそは改築工事である。
 家屋の腐っている部位も何とかしたいが、それ以前に生活のための大切な水の確保をしなくてはならない。
 水筒の中身が無くなってしまったのだ。
 水瓶は『クリエイション』でなんとかなったのだが、井戸は残念ながら建築物扱いらしくどうしようもない。
 というわけで今日はこいつを何とかしよう。
 ちなみに、試しにと水瓶に『ウォーター』を打ち込んだところ、見事に粉砕してくれた。

「なんとかっていってもなぁ」

 自分に突っ込んでも仕方が無いのだが、しかしどうしようもないのだ。
 元々はレンガ造りだったらしいこの井戸は、暇人にでもたたき壊されたのか見るも無残に崩壊しており、屋根の部分など支柱ごと倒れている。
 なんというか、どうしたらいいのだろう。
 と、ここで閃いた事がある。
 レンガ造りの井戸は、なるほど建築物扱いでいいだろう。
 それでは、レンガはどうなのだ?
 足元に転がっていた一つを試しに手に取ると『エンチャント』を唱える。

「自分の才能が怖いな」

 色褪せ、ひび割れ、所々が欠けていたレンガはあら不思議、先ほど完成したばかりであるかのように綺麗な直方体になっていた。
 その外見は美しさすら感じるのだがそれはどうでもよく、俺は手斧を取り出しつつ我が家へと駈け出した。
 ドアの前へたどり着くと、錆びまくっている蝶番をテコの原理を使いつつ手斧で引き剥がす。
 腐りかけの木材に錆びた釘で取り付けられていただけあり、さほどの抵抗もなく取ることができた。
 手に持って『クリエイション』をかけると、新品同様の鈍く光る蝶番が現れた。
 引き抜いた曲がっている釘も同様だ。
 無駄にMPを消費しないように気をつけてドアにかけてみると、単体と判断されたからかこれにも効いた。
 素晴らしい、この力は素晴らしいぞ。
 早速ドアを付け直す。
 取り付ける先も随分と酷い事になっているのだが、この木枠まで取り外して直すのは直ぐには出来ない。
 そこまでやるには某リフォーム番組ばりに屋根や周囲の壁を全部ぶち抜くところから始めなければ危険だ。

「まぁ見てくれはアレだが、ドアだけでも新しいというのは前よりマシだ。
 そうだよね?そうだよ!さすがは俺!いやぁ照れるなぁ、ありがとう俺」

 現実逃避はそこまでにして、俺は井戸を素敵にリフォームした。
 レンガを次々と積み上げ、そこに同じく欠片から『クリエイション』したセメントに近い繋ぎを塗りたくっていく。
 チート的な能力のおかげで、俺は買出しなどは一切なしで井戸を再構築することができた。
 取り敢えず、今後の改築に役立つであろうから、レベルアップ分は全て器用さに注ぎ込むとしよう。




************************************************

【ステータス】
レベル :8 → 10
名前 :****
HP  :18 → 36
MP  :20 → 70
筋力  :12
持久力 :10
素早さ :8
知力  :7*******(現代知識・高等教育・政治・経済・歴史・軍事・科学・化学)
器用さ :9 → 19
運   :5

残りポイントは 10 → 0 です

************************************************

【装備】
頭 :なし
首 :なし
肩 :なし
胴 :普通の布製の背広
腰 :修復された布製のスーツのズボン(ワイルド弱)
足 :普通の革の靴
右手 :鉄の銃剣付きマスケット銃(残弾12発)
左手 :なし
予備武器:錆びた銅の手斧 レベル2 *2 
指 :なし
背中 :なし

************************************************

【レベル・称号】
・チーター レベル1  称号『コピペができるチーター』
・冒険者  レベル10  称号『新人冒険者』
・拠点   レベル1  称号『廃墟の主』

************************************************

【スキルレベル】
斧 :3
小銃 :6 → 8
ファイヤーボール:4
ウインド :2
耐精神 :4
大工 :3
エンチャント :4
※それ以外の初期スキルは全て 1 です。

************************************************

【武器スキル】
銃撃スキル :スピードローディング
銃撃スキル :部位スナイプ
銃撃スキル :スピードターゲッティング
銃撃スキル :ターゲットスイッチ レベル1
銃撃スキル :咄嗟射撃 レベル1

斧スキル :脳天唐竹割り
斧スキル :部位切断

************************************************

************************************************
********武器ポイントを割り振ってください********
************************************************
名前 :鉄の銃剣付きマスケット銃 レベル1
命中 :6 → 10
威力 :10 → 14
銃身 :5
安定 :4 → 6
速射 :10

残りポイントは 10 → 0 です
進化には 25 ポイント必要です
************************************************
名前 :錆びた銅の手斧 レベル3
命中 :6 → 8 → 10
威力 :5 → 10 → 12
安定 :3 → 5
耐久度 :10 → 12
残りポイントは 0 です
進化には 50 ポイント必要です
************************************************



[26261] 第六話『ヒャッハー!』
Name: ちーたー◆7e5f3190 ID:84a555e7
Date: 2011/05/05 18:06
七日目 早朝 森の中 我が家

「さてここで問題です」

 足から血を流して倒れている男に剣を向けている俺は、冷たい口調でそう言った。
 この家を手にいれてから5日間連続で改築工事を続行し続け、ようやく穴が開いている部分が無くなったことで休みを取れた。
 補強まで施された建屋の外壁は俺に安心感を与え、頑丈な床や天井は安全な場所にいる事から来る心のゆとりを提供してくれる。
 しかし、その安息はわずか数時間ほどで奪われてしまったのだ。

「俺はこの後なにをするでしょうか?三秒以内にお答えください」

 ヒャッハーさんたちの残党らしい男に向けて剣を振り上げる。
 俺が部屋でくつろいでいたところ、この男は勝手に家へと入ってきたのだ。
 いきなり押し入ることで奇襲を仕掛けようとしたのだろうが、残念ながら俺は魔法も使えるんだぜ。
 小屋に接近した段階でその存在は感知できていた。
 その後はあまり華麗とは言えないながらも剣を用いて無力化に成功した。

「な、なあ、取引しねぇか?」

 驚くべきことに、この男はヒャッハー以外の言葉を発した。
 衝撃のあまり剣を取り落としそうになるのを必死に抑える。
 まさか、まさか彼は意思疎通が可能なのだろうか。

「お話を伺いましょうか」

 言葉が通じるのであれば、殺すのは情報を聞き出してからでも遅くはない。

「アンタ、見慣れない格好だが冒険者だろ?
 しかも、この<死と苦痛の森>で一人でいるってことは腕利きのはずだ」

 ここは随分と恐ろしい地名の場所なんだな。
 明日にでも木を切り倒して窓に格子を付けよう。
 狭いとはいえ人間程度ならば飛び込めそうな大きさの窓は危険過ぎる。

「それで?私が冒険者だったとして、何か意味のあるお話をしていただけるので?」

 腕が疲れるので剣を少し下げる。
 相変わらず一撃で殺せるような姿勢は崩さない。

「俺達みたいなのが冒険者相手に出来る交渉なんて一つしか無いだろう?
 俺を奴隷として使ってくれ。
 永遠の忠誠を誓うから、助けてくれよ」

 永遠の忠誠とはまた凄いことを言い出すものだ。
 人を身なりで判断するつもりはないが、永遠とやらは俺が油断して殺されるまでの間という意味に決まっている。

「その永遠とやらはあまり長くは続きそうにないですね。
 さて、言い残すことはないですよね?」

 一撃で頭を潰せるように狙いをつける。

「お、おいおい!待ってくれよ!
 アンタ隷属の呪術も知らないのかよ!?」

 取り敢えず殺してから先の展開を考えようと思っていたが、この男は随分と魅力的な言葉を発するな。
 隷属の呪術ねえ。

「さすがにそれぐらいは知っていますが、試しに貴方が知っている内容を言ってみてくださいよ。
 当然、自分に価値があると思っているから言っているんですよね?」

 単なるハッタリだが、知識を収集しておくことには価値がある。
 呪文を唱えるだけで奴隷が手に入るのならばこれほどありがたいことはない。
 というのも、俺は様々な魔法をどうやら使えるようなのだが、確かめないことには実際に使えるかどうかが分からない。
 だが、俺の思いつく範囲外の事についてはどうしようもない。
 何しろ思いつかないのだから、確かめることが出来ない。
 今のように、あるという事を教えてくれる存在はありがたいのだ。

「隷属の呪術は知っているよな?
 従えという命令を相手が受け入れれば成立するアレの事だ。
 他のことを言っているんなら俺は知らないが、とにかく俺は価値があるぜ」

 言っていることが本当ならばありがたい情報だな。
 彼に価値があるかどうかはさておき、五体満足の逆らわない奴隷が手に入るのであれば、それだけで十分すぎる収入だ。

「取り敢えず、貴方にそれを行ってから先を考えましょう。
 “従え”で、いいんですよね?」

 魔法を使うと意識しつつ言葉に出した瞬間、明らかにMPが消費された。
 これは、本当だったんだな。

「ダンナ、何でも命じてくださいよ」

 目の前の男は、明らかに呪術にかかっていた。
 何しろステータス上の名前が『洗脳されたヒャッハー レベル2』に変わっている。
 さすがの俺も、これは信じてしまう。

「お前、俺のためにここで右腕を切り落としてくれ」

 試しにあり得ない命令を下してみる。
 自分を傷つけろ程度であれば、俺を信じさせるために実行する可能性がある。
 だが、油断させるために従ったふりをしている程度であれば、腕を切り落とせという命令は実行するはずがない。

「わかりました」

 止める間がなかった。
 目の前の男は、俺が身構える間も与えずに床に落ちている剣を拾い上げ、素早く右腕を切断してしまった。

「ご、ご命令を実行いたしました」

 大量の血液を床にぶちまけつつ、男は俺に笑顔で回答した。
 なんという魔法だ。
 一人の人間をここまで道具に落ちぶれさせるとは。
 なんと素晴らしい。

「ケアル!ホイミ!キュア!治れ!」

 思いつく限りの回復魔法を唱えつつ切断された腕をなんとか取り付けようとする。
 ヒャッハーは俺のその動作に傍から見ても分かるほどの感謝を顕にし、そして実際にくっついた自分の右腕を見て驚愕した。
 見ていて飽きない奴だ。

「あ、ありがとうございます。ダンナ、この御恩は必ずやお返しいたしますぜ」

 素直にありがとうができるのはいい子の証だ。
 そんな下らない事を思って現実逃避しつつ、俺は切断した腕すら修復するという魔法の素晴らしさに感動していた。

「感謝しろよ。それで、お前の価値ってのは一体なんなんだ?」

 命令一つで自殺すら実行する奴隷というのは随分とありがたい存在だ。
 依存にならない程度に、面倒な仕事はこいつに任せてしまおう。

「はい。あっしはこの森で二年と少しを過ごしております。
 この森に来たばかりと思われるダンナのために、見張りや食料調達など、面倒な仕事は全部まかせてくだせぇ」

 ありがたいお話だ。
 躊躇いなく自分の腕を切り捨てることの出来る奴隷が、自分の持つ限りの知識を提供してくれる。
 信頼度については、彼の能力はさておき非常に高い。

「とりあえず、お前の知っている限りの薬草の知識と食料の知識を教えてくれ。
 どれほど知っているのかを確認したいからな」

 これでスキルで見分けた薬草やら何やらが本当に正しいのかを確かめることが出来るな。
 本当にありがたい話だ。



七日目 昼 森の中 我が家
 
「これが何か分かるか?」

 ヒャッハーを連れて森の中を歩いていた俺は、スキルに反応した薬草を摘む。
 見るからに健康に良さそうな、青々とした草だ。
 これで葉っぱが綺麗な四角形でなければ自分で試してみてもいいのだが、余りにも外見が不自然すぎる。
 外見はそうなのだが、俺のスキルはこれを体力回復の薬草(小)だと告げている。

「嫌だなぁダンナ、これはスタルキじゃないですか。
 あっしはこう見えても怪力薬師で知られていたんです。
 こういったものはよく知っていますよ」

 なるほどねえ。
 俺のスキルでも鑑定したら同じ結果が出ている。
 なのでそこには問題はないのだが、怪力薬師ってのは称号としてどうなんだ?
 
「で?効果は?」

 名前がわかったのはいい。
 俺のスキルの正確さが確認されたのもいい。
 だが、大切なのは効果だ。

「スタルキの効果って言ったら、もちろん、傷の回復ですよね?」

 尋ねるような口調になっているということは、俺はよほど基本的なことを聞いているんだろうな。
 スタルキは薬草のこと、効果は小。
 加工せずにそのまま怪我に当てておけば、一週間ほどで多少の怪我は治る。
 加工することでヒールポーションになる。
 病気・呪いには効果なし。
 深い傷や化膿には気休め程度の効果しかない。
 他の薬草と混ぜることで、複数の効果を持ったポーションも作成可能。
 
「ダンナ?」

 名前と効果が一致したところで脳内に情報が流れてこんでくる。
 とても便利なのはありがたいが、まさか何かあるごとにこうなるんじゃないだろうな。

「いや、お前の言っていることは正しいよ。
 ちょっと基本的すぎたな。こっちは何か分かるか?」

 苦笑しつつ隣に生えていた草に手を伸ばす。
 ふむ、真っ赤な葉っぱが毒々しいこいつは、どうやら毒消し草のようだ。
 
「ああ、そいつはタイテルですぜ。
 毒草であるトルタにとても良く似てますが、こいつは茎の部分まで赤い。
 つまりタイテルで間違いない」

 タイテルとトルタは、どちらも麻痺毒に関わる薬草である。
 刻んで飲み下すことによって麻痺を治すタイテルと、汁が体内に入ることによって体を麻痺させるトルタは、茎が赤いか緑かで見分ける。
 知っているか知らないかで受けられる効果が正反対になるというこの草は、外見で容易に区別がつくということで難易度は低い。
 
「なるほど、随分と詳しいようだな」

 初歩的な薬草ばかりではあるが、こいつの判断は素早い上に必要な情報だけが出てくる。
 戦い方も知っているだろうし、俺に絶対の忠誠を誓う存在だ。
 これは随分といいものを手に入れた。

「よし、それじゃあ、伏せろ!」

 突然の命令にヒャッハーは質問すらせずに従う。
 こいつが逆らわないようになっていて本当によかった。
 彼の頭上を強力な一撃が空振りし、獣が発するものであってもよく分かる怒りの咆哮が聞こえてくる。

「後ろに敵!直ぐに離れろ!」

 肩にかけていた銃を構えて発砲する。
 スキルに任せてろくに狙いも付けずに放たれた銃弾は、俺に迫ろうとしていた死と絶望の森の主の右足に突き刺さる。
 連続でスキルを発動させつつ撃つ、撃つ、撃つ。
 左足に、もう一度右足に、そして左腕に銃弾が突き刺さり、主は再び怒りに満ちた咆哮を上げる。

「ダンナ!まずいですぜ!今の叫びで獣が集まってきやがる!!」

 ヒャッハーの言葉に周りを見ると、あちこちの藪から次々と熊が、いや、熊型のモンスターが飛び出してくる。
 その数五体、主を除けば全員が無傷だ。

「お前、主以外の熊相手に戦えるか?
 一対一の場合でいい」

 銃を構えつつ尋ねる。
 ヒャッハーは錆びた手斧を構えつつ、俺の背中を守るように移動する。

「正直言って、ダンナが『精霊の加護』でも使えない限りは無理ですぜ。
 使えたとしても、同時に二体が限界だ」

 背中から伝わる気配には濃厚な恐怖が感じ取れた。
 それはそうだろう、ここが現実世界で、敵が只の灰色熊だったとしても絶望を感じる状況だ。
 奴の言う『精霊の加護』とやらは使えるらしいが、どうしたものか。

「諦めるな、俺の前に出るなよ?
 そら『精霊の加護』だ、最後まで死なずに戦え!」

 意識だけを向けて魔法を発動させつつ、一番近くにいた熊に向かって発砲する。
 それが合図だった。
 
「ヒャッハー!新鮮な肉だぜ!!」

 全身に漲る力、周囲を飛び回る精霊の応援を感じてヒャッハーが雄叫びを上げる。
 こちらの都合などお構いなしに接近しつつあった熊の一匹に手斧を振りかざし、その左腕に強烈な一撃を加える。
 俺はスキルを全力で連鎖させて、手前の熊の胴体に三発、その右にいた熊の頭に一発、主の頭に二発の命中弾を与える。

「くたばれ!『ウインド!』『ウインド!』『ウインド!』オラ!もう一発だ!」

 一瞬の連続射撃に怯んだ隙を見逃さず、連続で魔法を唱える。
 指向性を持った強烈な烈風とカマイタチが吹き荒れ、二匹の熊が四肢を吹き飛ばされて肉達磨と化す。
 
「俺に続け!足を止めるなよ!」

 さらにもう一度射撃を行い、俺は駈け出した。
 前にいた二匹の熊は只の肉塊、主はもう一発を頭に受けて仰け反っている。
 この包囲を抜けて突撃するには十分すぎる隙だ。

「付いていきますぜダンナァ!」

 背後からはヒャッハーが喜び勇んで続いてくる声と気配が伝わってくる。
 倒れそうになっている主の脇腹に蹴りを喰らわせつつ前方へと駆け出す。
 もちろん、手負いの猛獣をそのままにするような無作法はしない。
 素早く『サーチ』をかけ直し、前方180度の安全を確認する。

「我が家まで案内するわけにはいかないからな!止めを刺すぞ!」

 ヒャッハーに命じつつ、真後ろを向き直る。
 姿勢が崩れたところに俺の蹴りを受けた主は地面に倒れて起き上がろうとしている。
 他の熊たちは追撃を開始しようとしたところだ。
 
「はい、おつかれさん」

 未だに倒れている主を除けば二匹のモンスターたちは、倒れている仲間が邪魔で直線ではこちらに来れない。
 腕から繰り出す強烈な一撃を届かせるには、あと十秒は接近しなければならないだろう。
 その時間は、俺にとって余りあると言うに十分なものだった。
 最初の一発が最も近い一体の頭部に命中し、二発目が頭蓋骨を食い破る。
 三発目が地面に外れ、四発目から六発目がもう一匹の生命活動を停止させる。
 正確に死亡を確認したわけではないが、敵の体力バーが0になっているので間違いないだろう。
 わずか八秒で俺の攻撃は二匹の熊を絶命させ、残った二秒で装填と主への照準を完了させていたのだ。

「わりぃな」

 ようやく上体を起こそうとしている主に短く詫びると、俺は二発の『ウインド』と三発の銃弾を発射した。
 まったくもってスキル連鎖さまさまだ。
 勝てるかどうかを論じる必要もないほどに絶望的な状況を、俺は一人の同行者も合わせて無傷で乗り切ってみせた。
 それも、余裕を持っての状態で、である。

「さすがはダンナ!絶望的な状況でもあっさりとひっくり返して見せる。
 そこにシビレル憧れる!」

 大喜びで叫ぶヒャッハーの言葉を聞きつつ、俺は今後のことを考えていた。
 いつまでも俺一人が強いだけでは生き残ることが出来ない。
 魔法の詠唱にしろ発砲にしろ、僅かながらも隙が生じる。
 その僅かな隙を完璧に埋めてくれる存在が必要不可欠だ。

「おいお前、あの二匹の肉達磨に止めをさしてこい。
 十分に気をつけてな」

 つまり、出来るかどうかは分からないが、ヒャッハーのレベル上げも必要となってしまったということだ。
 だからといって面倒なわけではない。
 いつ誰が死ぬか分からず、補充など望めるはずがない現状では、彼の存在は非常に貴重だ。
 大変申し訳ないが、俺の手駒として大いに成長してもらおう。



*****レベルが13に上昇!ステータスポイントを15入手!*****
*****小銃スキルが11に上がりました!【小銃スキル:咄嗟射撃 レベル3】を取得!*****
*****小銃ポイント15を入手*****
*****ウインドがレベル4に上がりました!射程が10m延長しました!
************************************************

【ステータス】
レベル :10 → 13
名前 :****
HP  :36 → 57
MP  :70 → 85
筋力  :12 → 17
持久力 :10
素早さ :8 → 10
知力  :7 → 10*******(現代知識・高等教育・政治・経済・歴史・軍事・科学・化学)
器用さ :19
運   :5 → 10

残りポイントは 15 → 0 です

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************************************************

【ステータス】
レベル :2 → 4
名前 :洗脳されたヒャッハー
HP  :7 → 12
MP  :1 → 3
筋力  :5 → 10
持久力 :4 → 6
素早さ :3 → 5
知力  :2**(初級薬学・常識)
器用さ :5
運   :1 → 2

残りポイントは 10 → 0 です

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************************************************

【スキルレベル】
斧 :3 → 18
小銃 :8 → 11 → 26
ファイヤーボール:4 → 19
ウインド :2 → 4  → 17
耐精神 :4 → 19
大工 :3 → 18
エンチャント :4 → 19
※それ以外の初期スキルは全て 16 です。

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【武器スキル】
銃撃スキル :スピードローディング
銃撃スキル :部位スナイプ
銃撃スキル :スピードターゲッティング
銃撃スキル :ターゲットスイッチ レベル1
銃撃スキル :咄嗟射撃 レベル3

斧スキル :脳天唐竹割り
斧スキル :部位切断

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【レベル・称号】
・チーター レベル2  称号『セーブデータを改造できるチーター』
→スキルチェーンに気がついたためレベルが上昇しました
→所持スキルのレベルが全て+15されます
→地形オブジェクト編集権限を獲得しました
→魔力枯渇時の昏睡が一時間になりました

・冒険者  レベル13  称号『初級冒険者』
→称号が初級冒険者に到達したため、市内設備の使用権利を持ちました
→初級加工物の販売権利を獲得しました

・拠点   レベル3  称号『小屋の主』
→廃墟が傷んだ小屋にレベルアップしました
→井戸の残骸がレンガ造りの井戸にレベルアップしました
→拠点レベルが3に到達したため、拠点イベントが発生する場合があります

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********武器ポイントを割り振ってください********
************************************************
名前 :鉄の銃剣付きマスケット銃 レベル1
命中 :10
威力 :14 → 29
銃身 :5
安定 :6
速射 :10

残りポイントは 15 → 0 です
進化には 10 ポイント必要です
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名前 :錆びた銅の手斧 レベル3
命中 :10
威力 :12
安定 :5
耐久度 :12
残りポイントは 0 です
進化には 50 ポイント必要です
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