<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

チラシの裏SS投稿掲示板


[広告]


感想掲示板 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[25637] 【習作】戦場のヴァルキュリアss~練習作追加~【取り敢えず完結随時修正予定】
Name: sanzou◆834dfb82 ID:9fc4ee8e
Date: 2012/01/15 22:03
はじめまして、こんにちは。
作者のsanzouと申します。

当作品は戦場のヴァルキュリアシリーズをやっててふと、~モブな人たちがどんな事やってるのかな?~
と言う疑問の元にうまれた作品です。

どうも私はひねくれているようで、素直に主人公と呼ばれる人間に心が動かなかった事と、作品として完結したストーリーをいじれるだけの力量が私には無いとも感じており、オリ主、オリキャラのオンパレードです。

また、どうも世界観がいまいちつかみ切れず、矛盾点などがあればビシバシと指摘していただきたいと思います。
また、歴史に残るような英雄的な活躍はしません。どちらかと言うと、ただの兵隊の日常と任務とちょっぴりな幸せを描けたらと思います。

とても遅筆な私ではありますが、根気よく待って頂けたら幸いです。

2011.2.9


追記…
研究室や自宅等をちまちまと移動しており、コメント返信には遅れが出ると思います。大変申し訳のない話ですが、返事は必ずしたいと思っているのでよろしくお願いいたします。

追記2…
se○aは…。
クリアさせる気がないのかそれともやりこめというのか…、どっちだ?
最終のダハウは無視して突っ込んでも火力が足りない…。
最終面だけeasyに変えたのは公然の秘密で…。

2011.2.18
友達から「お前恥ずかしい間違いしてるから直した方がいい」
と言われ、ほんのり修正。
まさか彼にばれているとは…。
誰にも教えてないんだがなぁ…。

2011.3.15
ホワイトデーなんてなかった。
猫なでながら猫に鳴かれると全身にサブいぼ出るんですけどこれは大丈夫かな…



2011.3.22
本編追加





シャイニングハーツに少し浮気したのはばれてないよね?


ボダブレのトッツキが楽しくて辛い…。

2011.2.10
1話後編追加
2011.2.17
2話前篇追加
2011.3.4
2話前篇追加

2011.9.4
没ネタ追加

2012.115
練習作追加




[25637] 【プロローグ】戦場のヴァルキュリア 
Name: sanzou◆834dfb82 ID:734b3b2a
Date: 2011/07/24 17:26
戦場のヴァルキュリア3が明日発売ですね。
そんな心とはやる気持ちが抑えられなくて書いてしまった。

────────────────────────
1936年××月○○日


ーーどうも。××出版です。本日は義勇軍第三中隊所属第11小隊の隊長であった~さんにお話を聞きたいと思い、伺いました。

ーえ?俺の話?

ーーえぇ。そうです。

ーあんたも奇特な人だねぇ…。
ー俺の話なんかよりほら、第七小隊の英雄さんに聞いた方が良いだろうに。

ーーいえ、彼は他社のアポで今捕まえられていまして。

ーえ?人が多く来すぎてアポが取れないの?大変だなぁ…。英雄さんも。
ーんで?どこを話せば良いんだい?

ーー~の森での防衛戦について話して頂けませんか?

ーえ?~の森での防衛戦の話?

ーーはい。

ー基本的に罠張って偽装して隠れて指揮官狙いだよ。全部の戦いでね。ほら、俺って突撃兵のみんなみたいにゴツく無いでしょ?だから近寄られたらその時点で終わりなのさ。

ーーそういえば小隊の殆どの方は狙撃担当でしたね。

ーあぁ。フランクとリーズが突撃銃担いで他は殆ど狙撃だったね。

ーー何か特殊な意味が?

ーいや、俺には戦略何て言うコジャレた知識が少なくてね。代わりに罠とか待ち伏せとかしか出来なくてね。

ーーそう言えば~さんは猟師の出身でしたね。

ーそうだね。銃の撃ち方と心構えと…。まぁ、他にも色々猟師のオヤジから教わったよ。

ーーえっと…。~さんはダルクス人なのですか?

ーあぁ、この髪色?でも瞳はこの色だろ?自分でも解らんのよ。オヤジが見つけてくれた時は認識標みたいなもんは身につけてなかったらしいし、全然未だに記憶は戻らんし。

ーーでは、お名前の方は…?

ーオヤジがつけてくれた。旧友の名前を取ったんだとさ。

ーーはぁ。ところで義勇軍を解散したらどうされるんですか?

ーん~?ランシールからお呼びがかかってるけど、ブリクサムさんが行くらしいからな。俺はまた山に籠もって猟師でもやるさ。小屋とか片づけなきゃならんし。

ーー忙しい中、どうもありがとうございました。

ーいえいえ。話のネタになれば良いと思いうけど、残念ながらネタにすら出来ないでしょう?申し訳ない。

ーーでは。

義勇軍第三中隊第七小隊…。公的に英雄として扱われ、一つのプロパガンダにもなっている存在。一種の伝説だ。
ガリア正規軍442隊通称“ネームレス”知る人ぞ知る…。いや、本来は懲罰部隊であり、知られる事は無い部隊。
しかしその活躍は目覚ましく、裏の英雄とも呼ばれている。


そんな目覚ましい活躍をしたわけでなく、そんな英雄と比べればそんなに活躍も目立った特異性があった訳でもない、
義勇軍第三中隊所属第11小隊。
でも私は知っている。彼らが私達の故郷を守ってくれた英雄だと。

これはそんな凡人だけど、小さな平和を守った人の物語。







ー貴様ダルクスか?
ーダルクスが部隊長?













ー××村に敵勢力の浸透を確認。11小隊は先行し、防衛戦を引け。

ーなお、他部隊は他作戦に向け準備中である。増援は送れない。注意しろ。















ーみんな想像してくれ。××村で貰った暖かいパンとシチュー…。ほくほくなパンをかじりながらシチューを食べる。
ーそれに、あそこの村のおばちゃん、俺がひょろひょろだってんでシチュー毎回大盛りにしてくれるんだよ。
ーたらふく食って原っぱに寝転がって昼寝…。良いだろう?



ーだけど、それを壊そうとしてる奴らがいる。ダルクス?思想?ンな物は関係ねぇ。
ー俺は、暖かい飯と、昼寝と、みんなの笑顔が見たいから戦う。
ーだから、みんな。守るぞ。






────


反省も後悔も推敲もお祈りも済ました。
さて。
理想郷紳士淑女の皆様、この尻どころか心まで真っ青な底辺に住みつつ這いずり回っているアホの子な私に感想や批評何かを頂けると,
アホな私は舞い上がりすぎて天井に頭をぶつけて陥没させてしまいそうなんだがどうしよう。

ps.
戦争に英雄だけなんてあり得ない。



[25637] 【習作】戦場のヴァルキュリアss 1話目前編?
Name: sanzou◆834dfb82 ID:734b3b2a
Date: 2011/05/10 09:48
side William.K Col

「ヨハン・ヒース准尉。貴官には南東部の森における敵浸透に対する防衛を任命する」


私は知っている。この義勇軍の准尉が良くも悪くも軍人に近い考えを持ち、任命した任務を実行出来る能力を持っていることを。


「なお、帝国軍に対する反攻作戦が間近である為、増援を送ることは出来ない」


だからこそ、この捨駒とも取れる任務をこの准尉に任せるしかない。
言い訳はしない。彼ら義勇軍を盾にして主戦力の温存と反攻作戦の次に備えているのは事実だ。

「はっ!!慎んで拝命致します」


この准尉は文句を言わない。


「また、可能な限り現地自警団の撤退支援と、住民の後退保護に勤めるように」


この准尉は非難しない。


「彼ら現地自警団の規模と住民の数は?」

「現地自警団は多くとも2小隊規模。住民については恐らく六十人未満と思われる」

「はっ!!了解致しました。これより、義勇軍第三中隊第11小隊は南東部の森付近における帝国軍浸透に対しての防衛に付きます!!」


この准尉は任務に全力を尽くす。


「うむ。退出していい」


義勇軍と言う各人の能力にムラがある中で彼らは正規軍と同じように戦える貴重なメンバーでもある。
そもそも、反攻作戦に全勢力をつぎ込む以上防衛に割ける人数は少なくなる。
反攻作戦後、南東部の森付近に敵がいると言う事は脆い背中を晒すのと同義だ。それは避けねばならない。

そのための、彼ら義勇軍第三中隊第11小隊。完璧に守れるとは思っていない。


だが、帝国軍は彼らを無視できない。
彼らが向かう村を落とさねば補給拠点を確保出来ないからだ。

…言い訳がましいな。


私は必死になって考えていたことを頭を振って切り替える。



「せめて…。3日…。保って…。5日か…。その間に…。決める」
反攻作戦への道は始まったばかりだ。


国を…。故郷を…。




取り返す。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
side Rola.H Sgt


「あ、隊長だ」
小隊のメンツでポーカーをしていると、リーズが司令部に呼ばれていた隊長が戻ってくるのを知らせた。

「ん~。まぁ、そろそろ任務かね?」
フランクがカードを引きながら言う。

「ちっ。ロクなカードがきやしねえ…。三枚よこしな」
小隊内一口の悪いキールがぼやく。
カードを三枚渡すと、カードを見ながら段々げっそりしていく。
カードをほうり捨てて、机代わりにしていた木箱に突っ伏した。
「チクショウ。厄日だ…」と言いながらうなだれ始めた。

「それにしても、反攻作戦が近いのに他の任務ですか?」
ダルクス人のムートが銃の整備を終え、私に聞いてきた。
同じように銃の整備をしていたダルクス人のリルケも合流した。

「確かに…。ウチらは参加しないで良いのかね…」
総力戦だとは聞いていたんだけど…。

隊長は近くまで来ると、

「第11小隊集合!!」と呼集をかけた。

やっていたポーカーを止め、すぐさま集まる。

「これより、南東部の森付近における帝国軍浸透に対する防衛に向かう。出発は二時間半後。全てにおいて万全の準備を整えておくように。以上。解散」
その言葉と同時にみんなが動き出す。

フランクとリーズは機関銃の弾、手榴弾や地雷などをトラックに積み込み始める。

私は装甲車の点検。測量機が壊れていないか、機関砲に油はちゃんと刺さっているか、タイヤの空気圧はしっかりしているか、などなど。

リルケとムートは医薬品やラグナエイドの確保。

キールは倉庫番に食料をせびりに行った。

隊長は地図を睨み、コンパスと定規を使いながら計算をしている。


“下らない事に時間をかけるなら各人の役割を果たせ。”隊長にダルクス人かどうかを訊ねると、“解らない”という前置きをしてから言われた言葉だった。
隊長は、ダルクス人の様に見えるが、その実本人も分からないらしい。元は捨て子なそうだ。名字があるのは養父が付けてくれたからだとか。


確かに、戦うに当たり味方を敵に仕立て上げるよりも、
そんなことを気にせずに目の前の敵に集中した方が効率が良い。
しかし、反発は多々あった。自分が何人かも解らない奴の言うことを聞けるか…と。


そんな意見も、彼に圧倒された。


ブリクサムもかくやと言わんばかりの狙撃技術と、戦地においての的確な指示。
最後まで反抗していたキールもつい先日、彼を認めた。
今では軽い冗句や軽口をたたきあう程度になった。

「ヒリングス軍曹」
隊長が私を呼ぶ。彼が人を呼ぶときに階級を付けるときは彼が私達に“軍人”として対応して欲しい時だ。

「はっ!!」

装甲車の近くで地図を木箱の上に広げて私に聞いてきた。
「司令部の話では中央部帝国側南東部付近からの浸透らしい。帝国軍の移動速度を鑑みて何日かかると思う?」

「はっ。恐らく偵察部隊と軽車両の組み合わせであれば2日、主力であった場合は4日、と思われます」

「この村についてから防御線と罠の構築が間に合うと思うか?」

…。恐らく飛ばして村に着くのに1日。
「防御線を引いている時間は無いかと思われます。恐らく、村に到着後半日しない間で接敵します。防御線構築中に戦闘開始と言う可能性もありとても危険です」

「解ったありがとう」
隊長は一言礼を述べるとまた地図を見ながらうんうん唸りだした。

「隊長!!」キールがなんか細長い木箱と弾薬箱と携行食の箱を台車に載せてやって来た。

「どうした?」
地図から目を離してキールに向き直る隊長。

「倉庫番に飯と対戦車槍をせびりに行ってきたんだけどよ、反攻作戦に備えて対戦車槍は渡せねー、って言われたんで変わりになるもん寄越せって言ったらこんなん渡して来たんだけどよ、使えかっかね?」
台車に載ってた細長い木箱を降ろして開いた。


そこに入っていたのはライフルのお化けだった。全長は恐らく1mを軽く超え、銃身の先には大きな分煙マズル。そもそもが、ただのライフルにしては口径が大きすぎる。しかもマガジンだけで辞書の様に大きく重そうだ。

本来、GSR系狙撃ライフルに乗っているスコープはとても大きく感じる筈だが、このお化けライフルに乗っていると小さく感じる。
何より、「これ専用弾ッス」と言って弾薬箱から取り出した弾をみて更に驚いた。




機関砲に使う大きさの、拳一握り分程の薬夾を持つ弾丸。


「「「でけぇな…」」」

奇しくもそれを見ていた私たちの反応は皆同じだった。


「で、コイツは何の?」
私がキールに聞くと、


「なんかよぉ、対戦車ライフルって奴らしいぜ。機関砲の弾を更に増薬して貫通力をガッツリ上げたって言ってやがった」


新兵器で倉庫に入ってたって事は…。
「使えんの?一発撃って壊れたんじゃ目も当てられないよ?」



「きっともんの凄く使いにくいんだろうな…」
隊長がぼそりと呟いた。


見るからにめちゃくちゃ重そうだし、長い。
まぁ、普通こんなクソ重そうなものは余程の事が無ければ持ち歩かないだろう。むしろ、定点固定用の武器に近い。
普通に狙撃用ライフルとして配られているGSR系よりも更に絶対的に重い。


「まぁ、マニュアル的には軽戦車の側面装甲と上部前装甲はぶち抜けるって書いてあるし。大丈夫じゃねぇ?」
キールがマニュアル見ながら言ってきた。


問題は…


「誰が使うか…。だね」

使い慣れた物を手放して新しい物に手をつけると言う事はなかなか難しい事だ。
何より、体得したすべてにズレが出来るのだから。
確かに、微妙な差異でしかないとも言い切れなくは無い。
ただ、それが競技中だったりすればまだ何とかなっただろう。


これから向かうのは戦場。
“あ、間違えた”が即、命に関わる。

まぁ…、普通の神経をしていたら誰も使わないのだろうが…。

「俺が使おう」

どうやらウチの隊長は普通じゃなかったようだ。

「恐らく、隊の中で一番見つかる確率が低いのは俺だろう。だから俺が使おう」

確かに…。確かに隊長の猟師生活で培ったであろう気配の消し方は訳がわからない位の高度な技術だ。

まぁ…。任せるしかないんだが…。
「「了解」」

「よし。じゃあ今回の作戦を伝えよう。今回の作戦はまず、中部帝国側南東部森からの浸透をしてくる帝国軍をこの地点の平原で待ち受けて迎撃殲滅する。ムートとヒリングスは俺らが迎撃中に市民の避難誘導と指示、出来れば町よりもこの平原よりの位置に自警団等と協力して罠の埋設をしてくれ」

…何て言うか…。

「今回の作戦はずいぶんと攻撃的だなぁオイ」

キール…。あんた口調…。

隊長は苦笑して言った。
「そうだな。今回の作戦はいつもに比べ随分と攻撃的ではあるな。まぁ、恐らくいつものように罠埋設後、陣にこもって戦闘の方式だと市民の保護が間に合わないだろう。だからこその前進迎撃だ。ついでに言うなら、新兵器の性能を後方に知らせられたら困ると言うのもある。恐らく、時間との勝負になる。ヒリングス。工作装置は要らないから代わりに増槽タンク乗っけて置いて。装甲車の足の長さはかなり重要になる。あと、各自武器慣らしが終わったら出撃するぞ」

「「了解」」

さて…。付け替えるか…。忙しくなるね…。

「キールも武器慣らしが終わったらヒリングスの手伝いをしてくれ」

「了解」
と言ってロッカーに武器類を取りに向うキール。


「隊長。物資の積み込みと武器慣らし、完了しました。いつでも動けます」
キールと入れ違いにフランクが戻ってくる。

「ん。了解。じゃあヒリングスの手伝いをしてくれ。作戦の概要はトラックの中でまとめて行うから」

じゃあ、増槽にする理由はワタシが先行して村に入る様にするのかな?
そのための先の説明か…。

「ヒリングス軍曹。手伝います」

「ん。さて…」




やりますか。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

やっと1話前篇みたいな物を書き上げられた。自分で読み返していて思うものですが…。薄っぺらい…。文量が少ない…。
1話前篇でこんなにも時間のかかってしまった拙作ですが長い目で見ていただけると幸いです。恐らく8話位を完結として完成させられたら良いなぁ…何て…。
それ以上に嘘予告・一発タグを付けたのに、期待して下さる方がいて、舞い上がりすぎて借家のアパートの天井にくぼみが出来てしまったんだけど…。どうしよう…。




それはともかく…。









     ☆
 (゜∀゜)∩ <オッパイ!!オッパイ‼‼
<|☆ ⊂彡
      <リエラ!!リエラ!!









はっ‼?私は何を…!?







失敬。ところでS○GAはゲームを作りたいのかギャルゲーを作りたいのか…。いや…、好きですよ?SE○A。
エントリーシートなんて書いてしまうくらい。むしろ、こう…。もっとヒロインの数(選択肢)があっても良いんj…んんん。
えぇ。…国境破壊なゲームにも大変お世話になってますし。むしろ、こう…、戦線維持に財布がブレイク!!な感じでもありますし。
それでもやってる私がいますし…。トッツキとかロマン溢れすぎて大好きで待ちに待っている私でございますが…。

(何をいっとるんだ私は…。)

続きは鋭意執筆中ですのでしばらくまたお待ちいただきたいと思います。


ps.
殺すのは意外に簡単。生き残るのはちょっと難しい。生き残らせるのが一番難しい。



[25637] 【習作】戦場のヴァルキュリアss 1話目後編 【ちょっぴりグロかも…】
Name: sanzou◆834dfb82 ID:734b3b2a
Date: 2011/03/04 12:18
side Schwarz.H topSgt

「今回の任務は簡単ですねシュワルツ曹長」
そう。今回の任務は比較的に容易な方だ。上層部の無茶な命令じゃなく、それに付き合わされる本隊の為に

強襲予定の村の偵察。可能ならば落としてしまっても問題はないというものだ。



あくまで、主戦力は本隊であり、無茶をする事はない。

「そうだな。だが、気を抜くなよ?いくらガリアの野郎どもは反攻作戦に夢中だからとはいっても取り返された土地だからな」
あくまで、上官としていさめる。

「了解です。曹長殿」
おどけて敬礼を返す上等兵。

ふと、後ろの方から腹の虫がなく音が聞こえた。小隊のみんなは吹き出してしまった。
「おい、誰だぁ?腹ぺこ欠食児童は?」

「はっ。自分であります。シュワルツ曹長殿」
どうやら同期のヒルトだったようだ。

「うむ。腹の音は誰にでもとめられるような物では無いな曹長。開けた場所に出たら小休止及び飯にしよう」
ハイルエム少尉がにやにや笑いながら言った。



「は。場所確保ののち昼食に移ります」

軽く敬礼をハイルエム少尉にし、上等兵に指示を出す。

「皆がくつろげる場所を探し、昼食の準備をする事」

「了解しました」
ニコニコ笑いながら敬礼をする上等兵。



ふと、また腹の音が鳴った。



上等兵が苦笑しながら、
「実は俺も腹が減ってて…」
といった。

「早く見つければ見つけるだけ、早く飯にできるぞ」
苦笑を抑えるのに苦労した。


「やったぁ!」
上等兵はあふれ出る喜びを体全部を使って表しながら、休憩地の探索を始めた。

5分もすると、少し広めの広場を見つけた。ここなら飯が食えるだろう。

上等兵も肩にライフルをかけて装甲車に積んである食材調理用機材を取り出そうと装甲車に向かう。

小隊長も銃を肩にかけ、もう休憩ムードだ。


さて、今日持ってきた食材は何だったか…。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
side Riruke



『ーー各自ポイント到着後、俺と同時に射撃開始』

『『「了解」』』

相手は気が緩んでいるのだろうか、銃を肩に掛けたまま歩いている。
確かに、反攻作戦に殆どの戦力を取られているとは言え、ここは敵地。
少々手痛い目に会いたいらしい。

『向かって右側の赤ヘルは俺が貰うぜ』キールから通信が来る。

『どうでも良いけどね、マシンガンと機関銃を持った奴は優先的に狙ってくれ。面倒くさいからね』
リーズから通信が返って来る。

「赤ヘルが二人、小隊機関銃が二人、マシンガンが三人、ライフルが三人、装甲車一台を確認」
2小隊規模か…。
大丈夫だな。

『リルケ。装甲車の周りは待て。装甲車の手前にいる機関銃持ちを狙え』

「了解」
装甲車の近くに立っている赤ヘルを狙おうとして隊長から通信が入る。



機関銃持ち…。
見つけた。


『リーズ』


『まだ撃たないの?待ちすぎて眠くなっちゃうよ』
とっくに配置にはついているようだ。


『悪いね。10秒待ってくれ』


『はいはい。10…。9…。8…』
ゆっくりと深呼吸をして狙いを定める。


『7…。6…。5…』
銃の反動に備える。


『4…。3…』
息を止め、引き金に指をかけ、ゆっくり引き始める。


『2…。1…』
再度良く狙う。


『0』
リーズのカウントと共に引き金を絞り切る。


いつも聞いているちょっと高めの発砲音と真っ直ぐに返ってくる反動。


それに加えて聞こえる雷が落ちた時のような大き過ぎる発砲音。
その発砲音を聞きながら、スコープの向こうで首から溢れ出る血を抑えて倒れる機関銃手を見る。

しまった…。苦しませた…。


二~三秒首を抑えてバタバタしたが、ゆっくりと動きが止まり、ヘルメットの間から苦悶の表情を浮かべて

倒れた。


手動で排夾し、倒した機関銃手の次にマシンガンを持った敵を狙う。


狙う途中で装甲の合間から煙を上げながら動こうとしている装甲車が見えた。
車体の側面上後方に大きな穴が空いている。


あれが…。隊長が使った新兵器か…。


駄目押しと言わんばかりにまた雷が落ちた様な音が聞こえた。


空いた大きな穴の少し隣にまた大きな穴が空いた。


燃料のラグナイトにでも当たったのか、装甲車が爆発四散した。
その爆風が近くで逃げようとしていた偵察兵を吹き飛ばした。


キールはしっかり赤ヘルを一人倒したみたいだ。木の間からこちらを探るもう一人の赤ヘルを見つけた。


深呼吸をして狙いを付けて引き金を絞る。


スコープの向こう側で赤ヘルの後頭部から脳漿が弾き飛ぶのが見え、赤ヘルが力なく地面に倒れるのを見た。



とっさに地面に伏せて爆発をこらえた偵察兵の胴体をキールが撃ち抜いたようだ。
撃たれた所を抑えて悶え転がる偵察兵を救おうと一人の突撃兵が走り寄るが、残念だ。


ゆっくりと突撃兵に照準を付けて発砲。

走る勢いをそのままに前のめりに倒れる突撃兵。
撃たれた突撃兵はピクリとも動かなくなった。


悶え転がっている偵察兵が撃たれた突撃兵に手を伸ばす。


このタイミングでリーズが帝国兵達の後方から機関銃で強襲。


無事強襲に成功。


帝国の2小隊の撃滅に成功した。


恐らく、敵の本隊がくるまでに2日の猶予があるだろう。その間に住民の退避と罠の埋設をやり切る。


なかなか大変だ。


『撤収する』
隊長からの通信を受ける。


『『「了解」』』
「さ…て、と」

通信機の電源を切り、狙撃銃を肩に掛けて集合地点に向かう。
集合地点にはキールが既にタバコなんか吸いながら座って待っていた。


「タバコ臭くなるんで近くで吸わないで下さい」
心底迷惑だ。


「うるせぇな。別に吸っても良いだろうが。落ち着くんだよ」

「そっちは良いかもしれませんが、煙いです。臭いです」

「ちっ」
と舌打ちを一回したが、まだ吸う。

「あのですね。タバコをすってると…、」
ちょっと説教しようとして、キールが倒れた。


「匂いが解らなくなってこんなんなるぞ」
隊長が後ろから肩を掴んで引き倒したようだ。


むしろ、私ですら近くにいるのに気づかなかった。
隊長は制服の上に地味な緑色のコートを着て、先ほど使っていた新兵器を肩にかけて腕を組んで立っている。


「それにな。隠れてる時に匂いでばれるって結構あるんだぜ?気を付けろよ?」
実際に引き倒されたキールはしぶしぶと


「了解」と言ったが、何となく不満げだ。


「街に戻ったら吸っても良いからちょっと我慢しようぜ?俺も暖かいコーヒー飲みてぇんだ」
キールを引っ張り上げて立たせる。


「へいへい了解」
あとはリーズだけか…。


それより…。
「な「何で狙撃ポイントが突撃班の私より遠かったのにもういるんですか?」…」
リーズに言われてしまった。


若干息が荒い所をみるに、走って戻って来たのだろう。


「ん?普通に走った」


「息が切れてませんけど…」


「スタミナだけは負けないよ」
そういう問題じゃない気がするが……。

「よし。全員揃ったな。撤収」


「「「了解」」」
走って村に向かう。

これから蛸壷の作成と地雷の埋設が残ってる。


普通の作戦なんかよりもこっちの方が重労働だし大変だ。


やる気がガリガリ削られて行くのが何となく自分で解る。


「あぁ…」











大変だ…。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

OVA…だと…?

se○aは鬼だな!!俺らにこれもすばらしいから買えと言う…。
まぁ、(買えたら)買うんだがね!!!





ps.
補給が一番難しい。



[25637] 【習作】戦場のヴァルキュリアss 2話目前編
Name: sanzou◆834dfb82 ID:9fc4ee8e
Date: 2011/02/18 10:23
side Ludera.M

それは、ちょうど朝日が上り、そろそろと商品の仕込みや畑を耕そうと村が起き始めた頃だった。

「~の村の方ですか?あの森から帝国軍が攻めてきます。被害を受ける前にここからユエル市まで退避して下さい」

ガリア義勇軍の紋章を付けた装甲車から降りてきた、義勇軍の制服を着た大柄で筋骨隆々な男が広間に出始めたみんなに言った。

「何だっていきなり…」「ガリア軍はこの町を守ってくれないのか…?」「病人がいるのに…」「またか…」
村のみんなは何となく不満げな空気を漂わせていた。

「軍はどうなっちょる!?助けに来ないのか!?」村の牛などの飼料を作っているジム爺が男に向かって怒鳴った。

それに同調するように村のみんなが声を上げる。

「そうだそうだ!!何故来ない!?」「助ける気が無いのか!?」など…。
声が大きくなり、男も必死にみんなを宥めるが、聞きはしない。

それが二分ほど続くと、さほど遠くない所から雷が落ちたような音と共に甲高いライフルの発砲音が聞こえた。

間があり、また、雷の落ちたような音とライフルの発砲音。
一瞬間があって爆発音。

「戦闘が始まっています。残念ながら軍は中部奪回に向け兵力を集めており、各所の防衛が後手に回っています。これは事実です。その為、各所の村に退避の勧告とそれの援助に我々は来ています」
男は極めて冷静にみんなへ説明する。

『ブッ…。こちらヨハン。フランクへ。敵の偵察隊を捕捉。撃破を完了。敵の兵装が軽装過ぎる。本体が中隊規模の可能性が出てきた。住民の撤退と妨害工作を急げ』
男の肩に着いている通信機から通信が来る。

「了解」男は短く返事を返すと、

「皆さん。聞いての通りです。帝国軍はこの村を拠点に、中部戦線の後方を突く考えです。今回は中隊規模ですが、断続的に帝国軍が攻めてくる可能性か高いです。皆さんは安全を考慮し、ユエル市まで退避して頂きます。女性、ご老人、子供から優先して退避して下さい」
男が伝達仕切るとジム爺はいつもとは考えられない位の速度で自宅に向かった。

情けない…。

さて…。朝から作ってたパンのタネとシチュー…。


作り終わった後でも逃げられるさね。


やることやろうかねぇ…。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
暗い暗い夜の洞窟の中、それはようやく生まれました。

それには大きな耳と小さな目、そして小さな牙と大きな翼を持った毛むくじゃらな何かでした。

それは思いました。
“さて、僕は何なのだろう?”と。
ふと気付くと自分を見つめている何かがいます。

“今晩は。はじめまして。”

“今晩は。どうもはじめまして。”

挨拶をすると暗がりからひょいと帽子を被ったクモが現れて帽子を脱いで挨拶をしました。

“君はここに来るのが初めてかね?”

帽子をかぶったクモが自分に尋ねてきました。

“えぇ。どうやら僕にも僕がなんだかわかりません。”

毛むくじゃらは困惑気味にクモに相談しました。

“僕はこれからどうすればよいのでしょう?”

するとクモは腕を組み、しばらく悩んだ後で、

“どうやら君には大きな翼が有るじゃないか。きっと君は“鳥”の仲間なのだろう。“鳥”の一族は皆西の楽園に住んでいるよ。そこに行けばきっと君の仲間も見つかるのじゃなかろうか?”

毛むくじゃらは帽子をかぶったクモに礼を言うと西に向かって元気よく羽ばたいて行きました。

毛むくじゃらはまだ見ぬ仲間を思い、三日三晩全力で空を飛び、“鳥”の住む楽園につきました。

“鳥”の楽園に着くと、毛むくじゃらは周りから奇異の目で見られました。

毛むくじゃらはスズメの元に行き、

“僕は君らの仲間かい?”と聞くと、

“確かに体の大きさは貴方と同じくらいさ。けど、僕らの仲間に君の様な大きな耳を持つ者はいないよ。”
と追い返されてしまいました。

毛むくじゃらはそれならばとツバメの元に行き、

“僕は君等の仲間かい?”と再度聞くと、

“確かに体の大きさと色は君と同じように黒いさ。けれど僕らの仲間に君の様な鋭い怖い牙を持つ者はいないよ。”
と追い返されてしまいました。

毛むくじゃらは色々な所に行き、同じように聞きましたが、彼は皆から追い返されてしまいました。
しばらくして彼は“鳥”の楽園を統べるオオワシに会う事が出来ましたが、

“我ら“鳥”の一族に貴様の様な大きな耳と恐ろしい牙を持ったものなどいない!!”と楽園から放り出されてしまいました。

彼は半ば追い回されるように“鳥”の楽園から追い出され、元にいた暗い暗い夜が覆う洞窟に逃げて帰りました。

めそめそと彼が泣いていると、帽子を被ったクモがやってきました。

“おや、そんな所で泣いていて…。どうしたのだね?君は“鳥”の楽園に行ったんじゃなかったのかい?”

““鳥”の楽園には僕の仲間はいなかったのさ。それに最後は追い回されてしまってとっても怖かったよ。”

“そうかい…。それは大変だったね。しばらくゆっくりしていくと良い。”

帽子をかぶったクモは彼を温かく迎えました。

しばらく彼がクモとともに暮らしているとふと、

“僕はいったい何なのだろう”と思いだしてきました。
彼がクモに聞くと、

クモは腕を組んでうんうん唸り、
“君には大きな耳があるね…。そういえば東に“獣”の楽園がある。西の“鳥”の楽園では見つからなかったかもしれないが、東の楽園ならば君の仲間が見つかるかもしれないよ?”
と教えてくれました。

彼は礼を述べると東に向けて大きな翼を広げて飛び立ちました。

毛むくじゃらはまだ見ぬ仲間を思い、三日三晩全力で空を飛び、“獣”の住む楽園につきました。

“獣”の楽園に着くと、毛むくじゃらは周りから奇異の目で見られました。

毛むくじゃらはネズミの元に行き、

“僕は君らの仲間かい?”と聞くと、

“確かに体の大きさは貴方と同じくらいさ。けど、僕らの仲間に君の様な大きな翼を持つ者はいないよ。”
と追い返されてしまいました。

毛むくじゃらはそれならばとモグラの元に行き、

“僕は君等の仲間かい?”と再度聞くと、

“確かに体の大きさと色は君と同じように黒いさ。けれど僕らの仲間に君の様な鋭い怖い牙を持つ者はいないよ。”
と追い返されてしまいました。

毛むくじゃらは色々な所に行き、同じように聞きましたが、彼は皆から追い返されてしまいました。
しばらくして彼は“獣”の楽園を統べるライオンに会う事が出来ましたが、

“我ら“獣”の一族に貴様の様な大きな翼を持ったものなどいない!!”と楽園から放り出されてしまいました。

彼は半ば追い回されるように“獣”の楽園から追い出され、元にいた暗い暗い夜が覆う洞窟に逃げて帰りました。

めそめそと彼が泣いていると、帽子を被ったクモがやってきました。

“おや、そんな所で泣いていて…。どうしたのだね?君は“獣”の楽園に行ったんじゃなかったのかい?”

““獣”の楽園にも僕の仲間はいなかったのさ。それに最後は追い回されてしまってとっても怖かったよ。”

“そうかい…。それは大変だったね。しばらくゆっくりしていくと良い。”
帽子をかぶったクモが彼を温かく迎えました。


しばらく彼がクモとともに暮らしているとふと、

“僕はいったい何なのだろう”と思いだしてきました。
彼がクモに聞くと、クモはうんうん唸りながら
“う~ん…。“鳥”でも“獣”でもない…。う~ん。わからないなぁ…。”
といいました。

“何か解る事はないか?”



と彼が尋ねると、




クモは、


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

side Keel.S

少し…。懐かしい夢を見ていたようだ。昔の童話で一番俺が好きだった童話だ。題名は覚えて無い。内容は覚えてる。
あの後は…。どうなるんだったかな…?どうだったかな?

………。


思い出せないな…。まぁ良いか。思い出せないって事はそのうちふとした時に思い出すってことだ。気にしてる必要はない。
頭を振って眠気を覚ます。


ふと、寝起きの嗅覚に香ばしいパンの焼けた匂いと、煮込み料理独特の色々な香りが凝縮された素晴らしく空腹を刺激する匂いが漂ってくる。


その時の俺はまさしく匂いに釣られたと言うんだろう。


蛸壷や地雷なんかの埋設が嫌になって木陰でサボって寝転がっていた時だった。
確かにサボってはいたが、最低限の仕事はした。

これは確かで、仕事をして腹が減ったんだから飯を食いに行くのは仕方ないんだ、と言い訳も考えて匂いの下にふらふらと歩いていく。



段々と強くなっていく匂いが俺の空腹度を更に刺激する。三回目の腹の虫が鳴くのを聞いて、やっと匂いの下に着いた。





「“ルデラ”…」






おかしいな…。


村人の殆どがユエル市まで退避し、店を開店出来るような状態じゃない筈なんだが…。


ドアにかかった小さな“open”のかかれた黒猫の標識がまるで“入らないの?”と言うようにこっちを見つめている。
まぁ、標識が出ている位だ。やっているんだろう。なんなら飯食って金払った後に退避を促すのも良いだろう。



そんな事を考えてドアを開く。






小さな、涼やかな音を立ててドアに付いていたベルが鳴る。
「ちょっと待ってな。後少しでシチューが出来るから」




まるでちょっと大きな都市にあるような小さなバーのような間取りをしたカウンターの奥で料理用の大きな寸胴の前でお玉を持ち、寸胴の中を睨んでいる壮年の恰幅の良い女性がいた。


退避は怪我人、子供、老人、女性の順で行っている筈だ。

そろそろ退避をし始めていても不思議じゃない筈…。


取り敢えずカウンター席に座る。

ふと、カウンターの周りにメニューが見当たらないのをみて、

「なぁ、オバチャン。ここってメニューみたいなもんねえの?」
と聞くと、

「オバチャン何て失礼だね。アタシャまだ45だよ」

「十分オバチャンじゃねぇかよ。俺、20だぜ?」

「うるさいね。オンナはね、いつでもワカく見られたいもんなのよ。で?」
不覚にもお玉をもったままエプロンを付けた女性を見るとお袋を思い出した。

「で?じゃねぇよ。メニューは?オバチャン」
テーブルを指で叩いて聞く。

「アタシャにはルデラって言う名前があるんだ。」

「んだよ。じゃあルデラオバチャ「カコンっ!!」」
キベラで頭叩かれた。

「いてぇじゃねぇかババ「カコン!!」」
更に強くキベラで頭叩かれた。

「ババァもオバチャンも余計だよ名前で呼びな」
両手を腰に当て、俺に向かって怒るババァ。

「うるせぇな。クソっ!地味にいてぇじゃねぇか」

「で?何だい。悪ガキ」

寸胴の中を改めて覗きながら聞いてくるババァ。

「メニューはねぇのかって聞いてんだよ」



カウンターの向こうには何本かのパンと、シチューが入っているだろう寸胴だけ。
俺的にはちょっとガッツリ肉とか食いたい。
そんな淡い期待を持ってババァに聞いた訳だが…。


「んなモノはないねぇ。ウチはシチューとパンしか出さないからね」




んだよ…。
期待して損した…。


「ぃよし。出来た。で?食ってくかい?」


「不味かったら金払わねーからな」


「上等」
とババァは不敵に笑いながら一言言うと、ちょっと大きめなプレートに野菜と肉がゴロっと入ったシチューと、
切り分けると未だ少し湯気が立つパンを乗せた皿を出してきた。



スプーンを持ち、シチューを掬って口に運ぶ。
運ぶ途中でも気づいたが、なかなか良い香りだ。ちょっぴり香りにスパイシーなのが含まれてんのもなかなか食欲をそそる。



スープと一緒に入っていたイモごと口の中に入れる。




「ホフホフハフハフヘホフ」地味にアチい。
けど、それよりも突き抜けるチキンの風味、野菜の旨味、ちょっとアクセントに付けただろうコショウの香りが漂う。
イモだって人参だって煮崩れるギリギリな茹で加減だ。


出されたパンも堪らない。
ちょっとバターの風味を強めに作られたそれは口の中に残ったシチューを残さず吸い取ると、更に風味を高める。




「ホフホフハフハフヘホフ」俺はガツガツとシチューを食ってパンを食ってを繰り返した。
食っているとシチューの底の方に少し小さめに切られたチキンがあったのは感激した。





「ホフホフハフハフヘホフングっ!!」
ちょっと慌てすぎて詰め込み過ぎた。
慌ててシチューを飲み、詰まりを直し、また喰い始める。
アっという間に無くなるシチューとパン。






ババァにおかわりを貰い、また同様にアっという間に喰いきる。


食いきって、
「フゥ…」と一息付くとババァがニヤニヤしながらこっちを見ている。



クソ…。
「負けたよ。うまかったよ畜生」


「はっ。アタシのシチューを舐めんじゃないよ」鼻で笑うババァ。
すると、ドアに付いたベルがなる。


入ってきたのは隊長だった。
「腹が減ってんだがね…。何か食いもんないかい?」

「クー…」と小さく鳴る腹の音も隠さずに入ってきた。


「あれ。キール?」

「ういっす」適当に敬礼する。


ババァは
「腹が減った人間がこの店のお客さ」
と言い、寸胴の中身を見始める。

「そりゃありがてぇ」
と言うと隣に座る隊長


(なんでありがてぇ何て?)
と声を潜めて隊長に聞くと、

(大体の店じゃ入った瞬間にダルクスに喰わせる飯はねぇって追い出せられるしな)
隊長は俺の耳元でボソッと呟いた。


世知辛ぇ…。


ちょっと前までは俺も似たこと考えてたな…、と思うと何か、こう、恥ずかしい。


「じゃあ、店長イチ押しを下さい」

隊長は良い笑顔で言うと、


「残念だったね。ウチにゃ一つしかメニューが無くてね。イチ押しと言うよりは全押しなのさね」
ババァが胸をはって言う。

「んじゃそれで」隊長もそんなに気にせずに了承すると、俺のと同じプレートと皿が出てきた訳だが…。

「……。俺の時より圧倒的に多くね?」
どう見ても多い。1.7~2倍近い。むしろ…、隊長食いきれんのか?

「そんなヒョロッヒョロな体じゃそんなに戦えないだろう?沢山食って力つけな」
ババァはフンと鼻を鳴らして言って来た。

「いやぁ、それでも多いですけど…。大丈夫なんですか?」
隊長がババァに聞いている。

「なめんじゃないよ。そんなやわな作り方してないんだよ。気にせず食いな。ウチの子達はこれを食ってタフになったんだ。あんたも沢山食ってタフになりな」
確かに。隊長の体格は少々軍人としては肉付きが薄い気がする。いわゆるカトンボとそう大差がなく見える訳だ。

「あははは…。じゃあいただきます」
隊長が乾いた笑いをもらしながらスプーンを取って食べ始める。

「好き嫌いと、お残しは許さないよ」
隊長の人参を食べる手が緩まったのを見てババァが口をはさむ。

「ンぐ…」
ちょっと詰まったような声を出し、人参を一気にかき込む隊長。


へぇ。人参嫌いなのか。

そうこうして、大きなゲップと共に食い終わる隊長。

「うぷ…。腹いっぱいだ…」


よく食ったな隊長…。






何か…。










忘れてる気がするんだが…?








━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


|゜д゜)




|(゜д゜≡)゜д゜)?<イナイヨネ





|´・ω・)つ二話前篇




|ω・)/~



[25637] 【習作】戦場のヴァルキュリアss~2話目中篇~
Name: sanzou◆834dfb82 ID:9fc4ee8e
Date: 2011/03/22 16:51
side Igole.J cap

「イゴール大尉。斥候に向かったハイエルム少尉からの連絡がありません。恐らく…」

最後までは言わせない。手を軽く上げて報告に幕営に入ってきた部下からの発言を遮る。
ハイエルムは決して無茶をしない奴だ。戦争が終われば生まれたばかりの子供が待っている。それをいつも楽しみそうに士官室で皆に語っていた。
そんな奴が高々自警団しかいないような村に後れを取るとは思えないし、何よりも絶対に生き残ると言っていたから多少の危険があるようならばすぐに撤退してくるだろうと思っていた。

だからこそ、彼らがやられた事が納得が出来ない。

高々自警団のみだとは思わない方がよさそうだ。

「大規模な待ち伏せをされていたか…、気付かないうちに殺されたか…」
自警団のみで待ち伏せをして全員倒れると言うほど我々はヤワではない。

となると…。

「最近聞く“蒼い死神”ですかね?」

部下のヒューイ准尉が聞いてくる。
「確かに、奴ならあり得るが、中部戦線で未だに戦っていると聞いている。奴じゃないだろう」
中部戦線にいる同期からの手紙で、奴に頭を押さえられていて満足に体を伸ばす事も出来ないと愚痴が来ていたからな。

「解らないが…。おそらく腕のいい狙撃手が部隊にいるだろう」
それに加えて装甲車が連絡すらできずにつぶされた事を考えると、腕の良い対戦車兵がいる可能性もある。

「面倒な…。いっそのことウチの中隊の戦車隊で突っ込んで引っ掻き回しますか?」

ヒューイ…。上官であるはずの貴様がそんな短気では困るんだがな…。
「いや、この村に続く道はぬかるみが酷くウチの重戦車隊では足手まといにしかならないだろう」

地図を指しながら話を進めていく。

薄く伸びたひげを弄りながら、
「それじゃぁ…。どうするんで?」
隠しきれない疑問を口から漏らすヒューイ。


私はニヤリと笑うと、
「簡単だ。我々第8重装甲兵小隊と剣甲兵たちで前線をジリ上げて叩く。チョコマカと隠れられない様にしてやる」


「なるほど、道理ですな」
納得したかの様に頷くヒューイ。


「そうだ。何時も通りに我々は戦線をごり押しでジリ上げて最後に全てを打ち潰す」
そうだ。ガリアの銃なぞ豆鉄砲でしかない。我ら重装甲兵部隊の掲げる楯を打ちぬけるものなんてありはし無いのだから。
恐れる事は何もない。


「すすめ、すすめ~♪我に続きてあの丘まで~♪ですな」
われわれの隊歌の一節を歌うヒューイ


なかなかに陽気な男だ。
暗くなったときはこいつに何度助けられたことか…。

少々短気なのがたまにきずだが。

よし。

「そうときまれば、作戦は明後日の明け方。それまでにこの地点。森の手前まで移動し、ハイエルム達の遺体を回収し作戦に備える。準備を怠るなよ?」
ヒューイに地図を見せながら概略を言う。

「了解!!」と元気のいい返事をして小隊長宿舎に向かっていくヒューイ。


「ハイエルムの仇…」













取らしてもらうぞ?
















ガリアの糞ガキ共め。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

side Real.K lieut

「と言うわけで貴様等には前線をこじ開けてもらう」



わざわざ中隊長付きの副官が来るって時点で前線任務だってぇのは解っていたから問題はねぇ。むしろガリアの腰抜け共をぶった切れるのはたまらない。…が。どう考えても偵察小隊の尻拭いにしか思えねぇ。


「了解しました。」心持ち真面目に敬礼する。


中隊長副官サマはそれに気を良くしたようで足取り勇ましく中隊長幕営に戻って行く。










「チッ。なんなんすかね。あの態度」

副官のヒューゴが悪態をつく。
まぁ、ヒューゴの気持ちも解らんではない。



「だいたい…、戦歴から言えば隊長の方が上じゃないすか」
確かに。本来であれば俺がそのまま昇格して中隊を率いる立場になるはずだった。
だが…。


「しゃあねぇべ。俺は学がねぇからな」
そう。俺がバカなのはどうしょうもねぇ。場末のチンピラでムショに入るかヘイタイになるか選べってくらいだ。ムショに入るよりヘイタイやってた方が楽しそうだからやってるだけだしな。こんな人間が中隊長なんてぇのは、上のお偉い方も納得しねぇだろ。


「それにな。ゴタゴタ考えるより前に出てぶった切った方がはえぇし単純で気が楽だ」
面倒な事は考えずにハッキリと白黒付ける。
今までもそうしてきたしこれからもそのつもりだ。


「ま、やることやるだけだ。出動になるまでのんびりしてりゃあいいさ」


脇によけて置いておいた剣を持ち上げて机の上に置く。ボロボロになった雑巾で泥とか血糊とか錆を丁寧に拭く。
血糊と泥は戦闘後には必ず拭き取っているから殆ど無いが、問題は錆だ。ほんの少し扱いが雑になるとうっすらと錆の膜が出来る。
まるで女を扱うように丁寧に細かく、それでいてしっかりと拭く。


「隊長って剣をかなり丁寧に整備しますよね…」







ヒューゴがなんか…。こう…。表現し辛い目で見てくる。






なんかケツの座りがわりいな…。



「きれいに磨いときゃそれ相応に長く保つしな。後は戦闘中にポッキリいってほしくねぇってのもある」

あと、

「女なんかより素直だから気分が良いってぇのもある」







おい。ヒューゴ。逃げんなよ。まるで俺が変人みたいじゃねぇか。




「アハハハハ。ジブンチョットヨウジオモイダシタンデ」


乾いた笑いを残しながらテントを出ていくヒューゴ。後でしっかりオハナシしとかないとマズいか?


気を取り直して携帯用の砥石を持ち、丁寧に研ぐ。この時が一番重要だ。余計な雑念が入れば砥石の当て方が変わり、一気に切れ味が落ちる。




そう。だからこそやかましくない



「うわぁ!!「ガチャン!!」」


…。やかましくな…。


「ヒャァ~!!「カランカラン!!」」


やかま…。


「うっうわぁぁ「ガチャガチャガラン!!」」


どうやら一時中断して原因を取り除かねばナラナイヨウダ…。


サテ。


外に出ると衛生道具をあっちこっちに散らかした上に恐らく本であったであろう紙の束を眺めて慌てているどアホウがいた。



「うるっせぇぞ!!」腹に力を入れて思いっきり怒鳴る。


どアホウは「ひっ!!」と身を竦めると恐る恐るとこっちに振り返る。


一瞬見ない顔だと思いながら…、
あぁコイツはたしか…。この前配属されたばかりのヒヨッコじゃねぇか。


色々と間抜けな無能なヤツだ。

臆病でいつもビクビクしやがって…。うぜぇ…。


「あ…。あの…。すみません。すみませんすみません」へこへこ謝りながらぶちまけたやつを集め出すヒヨッコ。

心底うぜぇ。




センスのねぇ丸眼鏡、ひょろっと細い体。顔に張り付かせた愛想笑い。





心底うぜぇ。



足元に飛んできた紙を拾い上げ、読む。


「ぁ?“生体における投薬反応”?」


なんだこんな小難しい見てるだけで眠くなるような題名は。


「あ、す、すみません。それ大事なんですみません。返して下さい」

慌てるヒヨッコ。



んだよコイツは…。俺がコレを破り捨てるとでも思ってんのか?




…。








チンピラやってたときならやってたな…。





喧嘩ふっかけて作戦の時に牢屋にぶち込まれてたら本末転倒だ。


近くに転がってる何枚かを拾い上げ、手渡す。


「これから集中してぇんだ。サッサと集めて消えな」


慌てて集めだす丸眼鏡。要領がわりぃ…。



適当に手伝って渡す。





やけに医学書の割合が多いな…。




現場の衛生兵レベルにはいらねぇ部類の医学書もある。
“内臓治療におけるラグナエイドの使用”、“手術縫合におけるラグナエイドの効果”などなど。



手伝ってやるとさっくりと終わる。


丸眼鏡は「いやぁ~。助かりました。大事な教本ばかりなので」頭を掻きながらぼやき始める丸眼鏡。






「さっき言った事が聞こえなかったのか?」コイツは俺に手伝わせた上にあまつさえ剣の整備時間を俺から奪うのか?


「へ?」
いきなり何を言っているのか解らないとでも言うように呆然とする丸眼鏡。



「集中してぇからさっさと片付けてどっか行けっつたんだよ!!」


丸眼鏡は
「ヒィ!?」
と小さく悲鳴を上げると走って逃げていった。



遠くでこけた音がしたが関係ねぇ。後はゆっくり剣に砥石を当てるだけだ。





そう。戦闘は早くて二日後、まだまだゆっくり出来るさ。






━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(´・Д・)
│つ且⊂│

ゆっくりしすぎてESが間に合わない?
良いさいいさ来年もどうせ学生さ。
再来年も多分学生さ。


orz

更新が遅くなってしまい大変申し訳ありません。やらなきゃならん事があるのに他のことに目が移る自分が辛い…。
さておき、自分で今話は短いかなとか思っています。たぶん後長くて4話…。
最後までお付き合いいただければ嬉しく思います。



[25637] 【習作】戦場のヴァルキュリアss~2話目後篇~
Name: sanzou◆834dfb82 ID:9fc4ee8e
Date: 2011/03/22 16:52

side Reezelia.B cap


簡易的に村の中心に設営した幕営地で先ほどの戦闘で使った「」を整備してると、ヒリングスが肩を怒らせて幕営に入ってきた。


「隊長とキールは?」


ヒリングスが不機嫌を隠そうともしないでこっちを見ながら聞いてくる。


「隊長は避難民の残りがいないかどうかの確認と、キールの捜索。キールはある程度の仕事が終わった後は知りません」


律儀に返答するムート。
キールのある程度って所が引っかかるが…。何とも言えない。


「ちょっと探しに行ってくるわ」


もしもの事があるといけないし…。

ホルスターに入った拳銃を確認する。

弾倉を抜きスライドを引いて初弾を抜き取り、薬室を確認する。スライドをゆっくりと元に戻し、ゆっくりと撃鉄を下ろす。弾倉を再度込め、腰に付けているホルスターに仕舞う。


この拳銃は帝国の赤ヘルが身に付けていた拳銃で、ガリアの拳銃の規格とは違い、若干口径が大きい。


護身用としては充分過ぎる。


「リーズ。お願い。隊長はともかく、キールは一度言わないと…」



「はいはい。了ー解」

ヒリングスの今にも噴火しそうな顔を見ながらてきとーに返事をしておく。
どうせキールはどっかの木陰でタバコ何てふかしながら寝転がっているだろうから煙があがってる所を探せば一発だ。
むしろ、隊長は真面目に仕事をしてるだろうから隊長の手伝いが急務だろう。


いや、もしかするともう終わって二回目の確認の為に歩き回っているかもしれないね。

そんな事を考えながら足を進める。ついでに行く先々の人家の戸を叩いて取り敢えずの確認をする。

この戦場から逃げる時というのは特に火事場泥棒が多く、戸を叩く前と戸を叩いた後で良く注意して中を探らなくてはならない。
治安がクソのように悪いところでは若いオンナをさらって無理やりって言うこともあり、随分と気を使わなければならない。




幸い、今回の村ではそのような事は無く、懸案事項の一つは無事に終わった。

むしろ、アタシ自身が仕事のせいで腹が減ってたまらなくなってしまった。


腹が減ると他の神経が敏感になるように、アタシのそれなりに利く嗅覚は煮込み料理の立てる素晴らしい香りを察知した。


匂いだけでも解るように、素晴らしく旨そうだ。
たまぁに、隊長もサボっている時がある。そんな時は大体…。


隊長とキールが一緒にサボって飯を作って喰ってるのかな…?


それならアタシはサボってる二人を見つけた功績として作ってる煮込み料理を食べても良いはずだ。



うん。



「問題ないね」
口に出して改めて確認し、アタシの空腹を刺激し続ける素晴らしい煮込み料理の匂いを追って歩き始める。


「……。“ルデラ”…?」

明らかに開店営業中の小さな店を見つける。なんとなぁーく嫌な予感がして来る。
現在、自警団の八割が避難民の護衛の為に避難民を乗せたトラックについて行っている。残りの二割は地雷の埋設や塹壕堀り、土嚢の組み立てで森よりの場所で汗を流している。


ヒリングス、ムート、リルケは軽く設営した幕営テントで地図とにらめっこ…。
フランクは塹壕堀りなどの監督兼指揮。
残っているのはキールと隊長。だけだと信じたい。


一番面倒なのが…。


土地を離れたくないと言う人たちだ。


店のドアを開け、中に入る。涼やかなドアベルの音が聞こえる。


「いらっしゃい。お嬢ちゃんも腹ペコかい?」
ちょっと太めのオバチャンが声をかけてくる。


何故まだ避難民が残っているとか、早く退避を始めて下さいとか、色々言いたいことはあったが取り敢えず…。



ツカツカとカウンターまで歩いていき、


「ゴッ!!」


カウンターで水を飲んでたキールの頭をブン殴っといた。


「いてぇ!?何しやがる!!」


直ぐに激高するキールだが、そのまま殴った手でキールの耳を掴んで引き寄せる。殴ったこっちの手だって痛い。


「アンタねぇ!!ちゃんと仕事したんだろうね!?」
耳を掴んだまま怒鳴る。


「うおぁ!?やったよやった!!地雷二十個と鉄条網ちゃんと埋めた!!」
…。ノルマは二十個…。
仕事はちゃんとしたようだ。


「で、アンタこんな所で何シテンノ?」



「「仕事して腹が減ったんで飯喰ってました…」」


隊長も同じ言い訳をしてきた。


「ハァ…。ヒリングスが手ぐすね引いて待ってますよ」
言うが早いか、


「ルデラさんお勘定。え?3DCT?5DCT札しかないや。いいや、お釣り要らないから」
と言って風の様に走って行く隊長。
あの足の早さとスタミナなら偵察兵も天職だろうに。パニックさえ起こさなければ…。
さて…。



「ガリア義勇軍第3中隊第11小隊所属のリーゼリア・ブルール伍長です」
敬礼を交えてオバチャンに挨拶をすませる。



「これはどうも。あたしはルデラ・エンダー。ルデラってよびな」
軽く手を上げて挨拶をすますオバチャン。

これだけ気軽な人なら…。メンドクサイ事にはならないかな…?

「早速ですが、帝国軍が迫ってきています。安全の為ユエル市まで後退して下さい」
頼むから厄介なことになるなよ…。


「あれ。そうなのかい?参ったね…」
本気で困ったような顔をするオバチャン。


「…。今すぐじゃないとダメかい?」
少し考えて聞いてくるオバチャン。

ほら来たメンドクサイ事だ…。
「えぇ。今すぐに。帝国との戦闘後の調査から判断するに、恐らく目と鼻の先にいると思われます」

頼むから…、これで引いてよ…?

「う~ん…。じゃあちょっと隊長さんに挨拶してからでもいいかい?」

お世話になるだろうし…。と付け加えるオバチャン。

ーーーーーーーーーまぁ…。それくらいなら…。

と思って許可をしてしまったアタシをぶん殴ってしまいたい。

オバチャンが手ぶらで、それなりに大きなバスケットとお鍋を持って歩き出した時点で止めておけばよかったのだろう。
いや、少しでも何かお腹に入れて空腹で回らない頭を少しでも回すべきだったか…?

まぁ、少々手間がかかったのは事実だった。

なんだかんだのすったもんだの挙句、隊長が一日のみならばと言う前提を確約し、オバチャンの作ったシチューを最後まで残っていた自警団の少年たちと一緒に食べて歩哨を当番制で行い、一日が終わった。

翌日には自警団の少年たちがオバチャンを連れてちゃんと避難地に向かってくれたから別に良いのだと信じたい。

その間に帝国軍も来なかったし。


解っている。

これは結果論だ。

でも…。まぁ、おいしいシチューとパンが食べれたから良かったと言う事にしたいと思う。




[25637] 【習作】戦場のヴァルキュリアss~3話目前篇~
Name: sanzou◆834dfb82 ID:9fc4ee8e
Date: 2011/03/22 16:58



side Mu^to

「ターーーーーーーーーーーーーーーン…!!」

それは確かにたった一発の銃声が戦端を始めた音だった。
それはいつも耳にしている自分の持つGSR系ライフルから上がる音と同じ発砲音で、部隊のみんなの注意を喚起させる音だった。

発砲音の方角から撃ったのはおそらくリルケ。
あいつは優しいから撃たれた人間は恐らく何が起こったのかすら分からずに地面に突っ伏す事になっただろう。


「ターーーーーン…!!」
「ターーーーーーーーーーーーーーーン…!!」

続いて発砲音が二回。キールとリルケだろう。隊長は持ってる武器が違うしな。

やや重なり気味の感じからして帝国の野郎どもは散開して展開し始めたようだ。あと、恐らく同時に何人かが前進して足がかりを付ける為に土嚢の近くに走り寄っているだろう。

だが、残念。そこはフェイク。

「ドムン…!!」やや遠くで土嚢の近くに隠れるように設置した地雷の音が響き渡る。
ざまぁみろ。俺が懇切心をこめて埋めた地雷だ。テメェらみたいな他人の玄関先をあらすような連中にはいいプレゼントだろうが。

これで奴等の意識は足もとに向いたはずだ。残念。足を止めた奴から終わらない旅路に招待してやる。


「ターーーーーーーーーーーーーーーン…!!」
「ターーーーーン…!!」


発砲音が二回。キールの野郎はともかくとしてリルケのは当たっただろう。

さて、そろそろ土嚢の影を利用して回りこもうとするコソ泥が出てくるはずだ。
でも残念。俺はリルケほど甘くないし、キールほど狙いが甘い訳でもないぜ?


伏せている体勢をそのままに若干身じろぎをして体の緊張をほぐして銃を構えなおす。
二脚で支えられた銃身をゆっくりと調整し恐らく出て来るであろう大体の方向にあたりを付ける。

このとき、両目は自然な形で開けてスコープを右目でのぞく。左目で粗方のあたりを付けながら敵を探す。

敵を探す時に便利な構え方だ。


ーーーーー土嚢の端がわずかに揺れるのが見える。

左目をゆっくりと閉じ、伏せている体にゆっくりと力をみなぎらせる。余りに力みすぎて変な形にならないように注意する。

構えているのに邪魔な左手を銃底にあて、さらに微調整を行い、引き金にゆっくりと指を掛ける。
ーーーーー深呼吸しながら。自分のリズムを整えるように…

自分に聞こえる位のとても小さな、いや口の中で消えていく様な小さな声で自分の行動を確認しながら右目で調整するように土嚢の影から見える赤いヘルメットを見る。

なんだ。指揮官様か。残念だったな。

ゆっくりとヘルメットを晒してあたりの安全を窺う赤ヘル。良かったな。俺はキールじゃねぇから頭を押さえような無粋な真似はしねぇよ。ゆっくりと全身を見せな。それで狙ってやるから。

ーーーーー緊張しながらも次の土嚢に向けて走り始める赤ヘル。

赤ヘルは左手に楯を持ち、右手にデカイ剣を持って走り始めた。
ーーーーーなんだよ剣甲兵か。ノロイな

体全体で銃身を微調整し、赤ヘルが次の土嚢とのちょうど真ん中くらいでゆっくりと引き金を絞る。



「ターーーン!!」
自分の銃の先から煙が見える。スコープを見ながら確認をする。


赤ヘルは右腿を押さえて倒れている。

ダクダクと地面の色を染める赤ヘルの血。まるで小さな池のように広がっていく。


ーーーーーさぁどうする。早く助けないと上官様が死んじまうぞ…?



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

side Ray.L.J Pte

「ターーーーーン…!!」
どこか現実味のない、遠くから響いた銃声は八歩ほど前を歩いていた剣甲隊副隊長の頭を吹き飛ばした。


ーーーなにが、起こって…。
思う間もなく剣甲隊の隊員に押し倒される。



前を歩いていた剣甲隊の隊員が走って土嚢の影に向かう。
土嚢に近寄り、しゃがもうとして




彼の足もとから爆発音がした。






彼が爆風で空中に高く放り投げられ、

彼の体から足が千切れ跳んで、肉のかけらと骨のかけらを近くにばらまく。

草むらに落下音が聞こえたが、地雷を踏んだ彼は悲鳴も叫び声もあげずにショック死したようだ。





「畜生。狙撃と地雷だ…。ラッド、ギリアム。同時に行け。芋野郎をぶっ潰してこい。地雷に気を付けろよ?」


僕の頭を地面に押さえつけながら自隊の隊長の命令を聞く剣甲隊の隊員。


剣甲隊の隊員が僕の頭から手をどかし、ジリジリと草むらの中を横に移動する。


ヘルメットの前面についた泥を払おうとして頭を上げると、今度は剣甲隊の隊長に引き倒された。


「ターーーーーン…!!」
「ターーーーーーーーーン…!!」

前を走っていたラッドさんとギリアムさんが撃たれた。どっちがラッドでどっちがギリアムかは解らないけど、左の土嚢に向かって走った方は頭を撃ち抜かれて死んでいた。右に行った方は胸を押さえて苦しそうにもがいている。





まだ、





生きてる。



撃たれた所を押さえて土嚢の影まで這っていこうとしている。
ラグナエイドを掴んで駆け寄ろうとして…、









また、引き倒された。





「貴様は馬鹿かアホウか?」
ヘルメットの覗穴をつかんで引き寄せられる。



首が若干痛い。


「で、ですが…。まだ生きてい「バカ野郎…‼ラッドを治すためにお前がやられたらどうしやがる!!衛生教育を受けているのは貴様しかいないんだぞ!?」」


そ…、そんな理由で…。

「それとな、たとえばラッドを治せたとしよう…」
剣甲隊の隊長が一呼吸おいて話し始める。


「奴を物陰まで運んで治すか?それとも隠れさせずに治すか?どのみち隠れさせるにせよそのまま治すにせよクソ芋野郎に狙われているのは変わりがねぇ…。わかるか!?」
ヘルメットの覗き穴を引き寄せる力が強くなる。剣甲隊の隊長のヘルメットとあたって小さい衝突音が鳴る。


「し、しかし…!?」

「しかしも、でもも、クソも、ストもねぇ!!理解しろ。ここは戦場だ!!」
そういうとヘルメットの覗き穴から手を離した。

「いかに損害を減らせるかじゃねぇ。いかに相手に痛手を与えられるかが俺らの寿命にかかってるんだ。理解しろ新兵。納得するな理解しろ」


ジェシー…。僕は、日常とは程遠い地に、いや、地獄という表現すら生温い場所に来てしまったようだ。
君に会いたいよ。ジェシー…。

「サイード、フォルクス、貴様らはここで待機して後方のお坊ちゃま達に連絡を入れろ。イズール、新兵、ついて来い。クソ芋野郎のケツに火を付けてやる」

土嚢の影をうまく利用して相手の射角に入らないようにして相手の西側に向かって動く。

頭を低く、それでいて早く。

頭を出した瞬間いつ撃たれるかとびくびくしながら走る。




剣甲隊の隊長について走っていると暫らくして開けた平地に出た。

見える範囲では土嚢が1,2,3,…6つ。縦に細長く、緩やかな上り坂…。いや、緩やかな小さな丘に続く道だった。

うまくいければ待ち構えている狙撃手の後ろを突ける位置だ。


「ちっ…」

土嚢の影からそっと丘の方を確認して頭を引っ込める剣甲隊の隊長。

「やばいですね隊長…」
イズールと呼ばれた隊員がつぶやく。

「あぁ。まずい…。最悪の場合、おまえはフォルクス達に合流してクソ芋野郎どもの位置をお坊ちゃま軍団に教えろ。ガリア軍の小隊編成的にあと車両系が一台と歩兵編成が5人ほどいるはずだ」
軽く地面にここから村までの見取り図を描き、先ほどの狙撃手の位置を入れる剣甲隊の隊長。


「車両が見える位置にいないのがかなり不気味ですね…」


「あぁ。まずは俺、次に新兵最後はイズールお前だ。ちゃんと確認してくれよ?」
と若干苦笑しているような雰囲気でこっちに告げる。


なにを…。



と思っている間に剣甲隊の隊長が走り出す。

次の土嚢と今僕らが隠れてる土嚢とのちょうど半分位で剣甲隊の隊長が前のめりに倒れる。




彼の右の腿からアカイ水が後ろに向かって延びる。





隠れている僕らの所にしか聞こえない位の小さな音で、





彼が、





倒れた音が響いた。




一瞬間が開き、



「ターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン……!!」



銃声が響く…。



「クッそ野郎!!一番最悪な状況かよ糞!!」




剣甲隊の隊長がゆっくりと手を動かして撃たれた腿を押さえて呻く。



ゆっくりと腕を動かして次の土嚢に向かって這い寄ろうとする剣甲隊の隊長。
彼の足からは少なくない出血が見て取れる。

長くは保たない…。


彼が這って行く後に赤い引きずった跡が残る。



ようやく、あと四分の一位の位置にきて、彼の右肩に赤い花が咲いた。


また、一瞬の間が開いて、








「ターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン……!!」

銃声が響く。

彼の肩からゆっくりとにじみ出て、赤い小さな池が出来始める。


「クソ!?隊長!!これじゃ…。これじゃなぶり殺しだ!!」

怖い。

まだ僕は死にたくない。あんな…。あんな死に方はしたくない…!!


あんな…。なぶられて死ぬなんていやだ!!

広がっていく赤い池を見ながら体を抱いて震えていると、

「新兵!!」

イズールと呼ばれていた隊員が僕のヘルメットを掴んで引き寄せた。

「ヒッ!!?」

自分でも情けない声が出ているなと、どこか現実味のない頭が動いていた。


「良いか…新兵。良く聞け」

どこか落ち着いた彼の瞳が僕のパニックに陥っていた目を射抜く。
それでいくらか落ち着いた僕はゆっくりと深呼吸をして何度も頷く。

「ガリアの狙撃銃の装弾数は3発だ。良いな?それで、あのクソ芋野郎は今2発撃った…。解るな?」

いつの間にかのどがカラカラに乾いている。ネバ付いた生唾を感じる。
生唾をゴクリと飲み込みながら何度も頷く。

「よし…。新兵。よく聞け…。狙撃銃は打ち切ったら弾を込め直さなけりゃならん。わかるな?」

イズールは僕のヘルメットから手を離してゆっくりと説明するように言葉を紡ぐ。
彼は…。何を…?

「俺が囮になってあのクソ野郎の最後の弾を吐き出させる。その間に隊長をあの次の土嚢まで連れて行け。良いな?」

ヘルメットの覗き穴を掴んで僕の目をまっすぐに見てゆっくりと、沁み渡らせるように言う。

僕は…、壊れた人形のようにカクカクと頷くことしかできなかった。

「良いか?よく聞け?大体40秒だ。それが限度だ。後ろを振り返るな。前を見て隊長を助けろ。良いな?」

僕はやっぱりカクカクと頷くことしかできなかった。


「新兵。名前は…?」

イズールが僕に訊ねて来る。

「…レ…。レイ…・L・…ジョンストン…」

乾いた口を必死に湿らせ、言葉を紡ぐ。


「レイか…。良い名前だ…。隊長を頼んだぞ?レイ」

そう、イズールは僕に言うともう一度、

「いいか?前を見ろ。絶対後ろを振り返らずに隊長を助けろ。良いな?レイ?」

そういうと僕の体を剣甲隊の隊長の方へと向けて、土嚢の端に押すイズール。

「後は頼む」

と小さく聞こえ、土をける音が聞こえる。

1歩…。

2歩…。

3歩…。

何かがドサっと地面に倒れた音が聞こえた。

一瞬の間をあけて、


「ターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン……!!」

銃声が響く。



僕は何が何だか分からないまま、走る。


いや、本当は理解していたのかもしれない。


ただ…。ただただがむしゃらに走った。


地面に倒れている剣甲隊の隊長の脇に手をいれて引きずるようにして次の土嚢まで連れて行き、隠れる。


何とかギリギリで土嚢に体を押し込め、伏せる。

地面を弾が穿ち、一瞬の間があって、

「ターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン……!!」

銃声が響いた。

頭を押さえて地面に伏せる。


…。





……。




………。



どこも痛くない。当たってないようだ。

急いで、土嚢の影に隠した剣甲隊の隊長の右腿を見る。
服の表側に穴があき、裏にも穴が開いている。穴の周りは血が滲み、這ったせいで付いた土がこびりついている。
穴にナイフを入れて覆っている服を切り開き、幹部を露呈させる。傷口に水をふりかけ、患部をさらに見やすくする。
白い肌に開いた直径3㎝くらいの穴からまた血がアカク滲み始める。
どうやら奇跡的に動脈類には傷がついてないようだ。良かった。助けられる。
後ろのポーチに入れておいた止血バンドを取り出して、患部の約7㎝ほど上をぐるっと巻く。強めに縛る。

「グゥっ…!!」

剣甲隊の隊長の口からうめき声が聞こえる。

止血剤を患部にふりまき、ラグナエイドを少し使って傷口の修復促進を促す。

今度は右肩に開いた穴を見る。背中側から開いていて、表側には穴が開いてない。
弾が…。体の中に残ってる…。

穴にナイフを入れて患部を覆っている場所を切り開く。傷口に水を振りかけて患部を見やすくする。

後ろの腰ポーチに入れているピンセットを取り出す。衛生的な問題があるが、時間も環境も無い。汚れているが、仕方がない。
指を患部に添えて無理やり開いて体に残っている弾を探す。

剣甲隊の隊長がわめいているがそれ所じゃない。

「痛くても我慢して下さい…!!もう少し…。もう少しですから!!」


やっと見つけた弾の後ろの部分をピンセットでつまむ。ゆっくりと真っ直ぐに弾を引き抜く。
弾とピンセットを放り投げて、患部に水を振りかけて、ガーゼで血ごと拭き取る。

「ビチャ」と血と水を存分に含んだガーゼを投げ捨て、右の腰に巻いたポーチの中から縫い針を取り出して患部を斜めに掛かる様に5針縫う。
にじみ出た血を水で洗い流し、止血剤を振りかけ、ラグナエイドを使って傷口の修復促進を促す。

終わって一息つこうと、頭を上げようとすると、剣甲隊の隊長に引き倒された。


ヘルメットが地面とハグして、開いている覗き穴から土が入り込んでくる。
湿り気を帯びた土の匂いがヘルメット中に入り込んで来て煩わしい。

ゆっくりと注意しながら頭を上げると、
「…バカ…野郎…。医者が…自分の手当は…誰が…するんだよ…」
かすれた声と出血による貧血で真っ青な顔で言葉を押出す剣甲隊の隊長。

そうだ…。忘れてた…。ここは戦場だ…。

ゆっくりと頭をまわし、周りを確認した後に、

「イズール…は…?」

と聞いてきた剣甲隊の隊長。

僕は…。首を横に振ることしかできなかった。

「そう…か…。無線を…貸してくれないか?さっき…ので…押し潰し…ちまったみたいだ…」

腰に巻いたポーチから無線機を手渡す。

剣甲隊の隊長はゆっくりと震える手で周波数を合わせると無線を開いた。

「サイード…フォルクス…。応答しろ…」

『……』

「サイード…フォルクス!!どうした!!応答しろ!!」

『………』
返ってくるのは砂嵐だけ。

「サイード!!フォルクス!!応答しろ!!」

全滅…。

頭を不吉な事がよぎる。

「ク…ソ…!!」

ふるえる手でもう一度周波数をいじる剣甲隊の隊長。


「こちら…第3剣甲隊…隊長、レアル・キングストン。橋頭保の確保に失敗…。繰り…返す…。橋頭保の確保に失敗…!!」
ふるえる手を隠さずに、押し出すように言うレアル隊長。


『こちら第3重装歩兵団。敵勢力と現在地を知らせ』
つとめて冷静な中隊付きの通信兵が連絡を入れて来る。


「敵…狙撃兵が…3人。その他は…解らず。目標村西側の…土嚢裏にて…警戒中。敵の狙撃術が…うますぎて頭も出せない…。応援を求む」



『了解。これより中戦車隊が前に出て防衛線を築く。その場にて待機せよ』


レアル隊長は無線機を投げ捨てると手で目を覆うようにし、小さく呼吸を繰り返していた。

…。彼がどんな気持ちでいるかなんて言うのは僕にはわからない。そもそも赴任して1か月とそこらだ。



けれど…。


彼ら剣甲隊の絆は端から見てもとても強く、そして隊員内での空気は正しく家族のそれだった。

僕に何かを言う資格はない。所詮は他の隊からの貸し出し品でしかないのだから。


「クソッ!!」

とレアル隊長が声を荒げて土嚢に拳を叩きつける。

二~三度深呼吸をすると、
「悪いな…。新兵。助けてもらって」
僕に向かって礼を言ってくれた。

大量に出血し、蒼白になった顔がやっと少しまともになり、普通に話せるくらいにはなったようだ。


タフな人だ…。

「いえ、僕の仕事は治療ですから…」

「はッ…。新兵。名前は?」

何か鼻で笑われたような気がしなくもないが…。

「レイ…。レイ・L・ジョンストンです」

「そうか…。…」

レアル隊長は名前を聞くと目を閉じ、深呼吸を1回した。

そのまま何も話しかけず、放っておくと


「キュラキュラキュラキュラキュラ」
戦車隊のキャタピラ音が聞こえてきた。

「無線で連絡をとりま…「カーン…」」

僕が、そう、レアル隊長に話しかけようとしたときだった。

甲高い。そして短い音がしたと思うと、

「ドゴォァー…ン!!」
と爆発が起こった。

何が起こった…。


と思う前に、

まるで、


雷が落ちた時の様な音が鳴り響いた。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



地震…怖いですね…。
自分は帰宅途中に電車が停止して一時避難を余儀なくされ、マックもネカフェもカラオケも閉じてて野宿をせざるをえませんでした。
まぁ、ビバーク訓練よりマシだと思いながら寝ましたが。



[25637] 【習作】戦場のヴァルキュリアss~3話目後篇~(加筆修正予定の為sage投稿)
Name: sanzou◆834dfb82 ID:d7f9ada6
Date: 2011/07/24 17:26
戦闘が始まる2時間ほど前



side Yohan.H Lieut

「さてみんな。仕事が終わったようで何よりだ。これで俺らの簡単な狩り場が出来上がった訳だ」

今この場に居てくれる仲間一人一人の目を見て言う。


「この戦争が終わったら土木屋として生きていけるぜ。俺ら」
フランクが茶々を入れてきた。

それにみんなして笑う。俺も笑う。

土木屋か…。

良いかもな…。土いじり好きだし。

「はいはい。フランク。俺が良いこと言おうとしてる時に茶々入れないの」
手を叩いて注意する。

「イエッサー親方」フランクがニヤニヤしながら言ってくる。

全く…。
「さてみんな。俺らは戦争をしている。何だか知らんが喧嘩をふっかけてきた帝国と戦争になっているワケだ」


一旦深呼吸をする。


「正直な話、お国のトップ同士が殴り合いなりチェスなりで勝負して勝敗なんざ決めりゃあ良いとか俺は思っちゃってたりする」
かなり本気で。

「ウチの大公が殴り合いに出たら大負けしちまうぜ」
ドッと大笑いが沸き起こる。


リーゼ…。茶々をいれないの…。

「まぁ、それはそれで見てみたいモンだが…。そうも行かないのが現状だ」
一旦言葉を切ってみんなの目をそれぞれ見る。


「みんな。ちょっと目を閉じて想像してみてくれ」
みんなが目を閉じたのを確認して俺も目を閉じる。


「ルデラのおばちゃんに作って貰ったシチューとパン。あれは旨かったよなぁ…」
良く素材が交じり、絶妙なハーモニーを作り出していたシチューと周りはカリカリで中はとってもふっくらと焼き上がったパン。バターが多目に入っているのか香りがとても良かったな…。


「おばちゃん、俺がひょろひょろだからって毎回毎回大盛に盛りつけんだよ。ちと多すぎるってーのにな…」


こんもり盛られるシチューと焼いた中でも大きめなパンを思い出す。
人の顔なみの大きさのパンなんて始めて見た。
ゴクリとどこかで唾を飲む音が聞こえる。


「おばちゃんのシチューとパンをたらふく食べた後にそこら辺の野っ原で寝っ転がって風に吹かれながら昼寝…。最高だな」
最っ高ーだ。是非ともやりたい。


目を開けてみんなを見渡す。
みんなも徐々に目を開けて俺を見る。


「それを壊そうって言う奴らがいやがる。思想?利益?ダルクス?」


「そんなもん関係ねぇ。俺はうまい飯と昼寝とみんなの笑顔の為に銃を取る」


「勝つためじゃない。守る為に戦うぞ」


「「「「守るために!!」」」」


みんなが銃を掲げて誓う。
鼓舞じゃない。応援でもない。ましてや演説でもない。


これは誓約。みんなでまた笑うための誓約。みんなが必ず集うと言う条件で成立する誓約。
みんながそれぞれの担当地区に向かっていく。


大丈夫。やれる限りの偵察は散々やった。情報は集めた。


罠も準備もちゃんとした。


いざという時の為に撤退用の下準備もした。


大丈夫。またみんなで集まれる。


だから、これからはやれるだけの事をやるだけだ。


やれることをやれるだけ。


そうだ。それが俺の役目だ。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


side Igole.J cap


『こちら…第3剣甲隊…隊長、レアル・キングストン。橋頭保の確保に失敗…。繰り…返す…。橋頭保の確保に失敗…!!』

先行させた剣甲隊の隊長からの連絡が緊急回線で入る。

「こちら第3重装歩兵団。敵勢力と現在地を知らせ」
中隊付きの通信兵が無線を片手に地図を開き、メモを取り始める。

『敵…狙撃兵が…3人。その他は…解らず。目標村西側の…土嚢裏にて…警戒中。敵の狙撃術が…うますぎて頭も出せない…。応援を求む』


敵の正確な位置は分からず…。狙撃兵ならば逐一と場所を変えているはずだ。撃たれた場所から推測し、あたりを付けて砲撃を叩き込むか戦車で装甲に物言わせて押し潰すしかできん。

通信兵がこちらを見て、どうするのかと視線で問いかけて来る。


やることは一つだ。

ハンドサインで“戦車隊・前へ”これしかない。
自分自身もヘルメットをかぶり、戦車に随伴するために準備を始める。

「了解。これより中戦車隊が前に出て防衛線を築く。その場にて待機せよ」



えぇい……。全く……。


後方指揮車両から降りて重機関砲をチェックしヘルメットをかぶる。

楯を左腕甲にしっかりと保持できたことを確認すると最後に重機関砲を持ち上げる。
この重機関砲の重みが考えと、気合いを切り替える。


後方指揮車両付近に待機していた重装甲兵分隊がゆっくりと近づいてくる。


「任務は」



決まっている

「前進あるのみだ」



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

命令を受けた戦車隊は一番機、二番機、隊長機の順に土嚢の積み上がる最前線へと足を踏み入れた。

彼らの任務は力の限りに前進し、敵へとその少々柔らかい横腹をさらしてでも後方部隊へ弾が流れるのを防ぐことだ。

今回もそれにならい、一番機と二番機は隊長機の左右から前進を始めいつもと同じようにその少々柔らかい横腹をさらして防御線を張ろうとした。
そう、張ろうとした。

一番機と二番機の砲塔が敵陣の機関銃が見えているところに向けられようとし、そのタイミングで隊長機は移動開始し始めた。






“いつも通り”


そのために自信のあった戦車隊隊長はパターン化された勝利と、その恩賞としてもらえるよく冷えた仕官用のビールに思いをはせていた。

このとき、彼が少しでも注意していることができたのならば戦況はひっくり返っていたかもしれない。


一番遠い村の付近に位置する土嚢近辺から狙撃銃のマズルフラッシュよりもかなり大きい発砲炎が上がった。

よく冷えたビールに思いをはせていた彼はそれを見逃した。


直後、少々柔らかい横腹をさらしている一番機の後部冷却用ラグナイトラジエーターに穴が開いた。


対戦車用に強化された徹甲弾が一番機のラグナイトラジエーターをぶち破ったのだった。

ラグナイトとは激物である。爆薬にも燃料にも使われる。

そのため、扱いは繊細でなければならない。そのラグナイトに想定以上の衝撃などを与えるとどうなるか……?











強烈な爆発を起こすのだ。




ラグナイトラジエーターに穴を開けられた一番機は一瞬の間の後にラジエーターからの高エネルギーの爆発によって車両内に高圧ガスが瞬間的に充満し、車両内に貯蔵されていた榴弾、徹甲弾、機銃弾、ラグナイト燃料に連鎖的に強烈な衝撃を与え、車両内部から一番機を食い破った。



擱座し、その場で巨大な炎を巻き上げる一番機。


慌てて二番機が動きだそうとするも、すでに時は遅い。



同じように横腹をさらしている中でもわずかに見えるラグナイトラジエーターに徹甲弾が着弾。同じように爆発炎上し、擱座する二番機。

慌てて後退しようとする隊長機であったが、すでに擱座し障害物へと成り下がった一番機と二番機のせいで通り抜けることができない。

焦った隊長機は速度を上げて障害物をよけるように後退しようとするが、それが仇となり戦車の弱点である後部ラグナイトラジエーターをさらしてしまう。


一番機と二番機同様にラジエーターを徹甲弾がぶち破り、中隊に所属する戦車は全滅してしまうこととなった。




すぐ後ろを戦車を楯に行動していた重装甲歩兵部隊であるが、彼らも油断していた。


“セオリー通り”

いつもの型にはまった典型的な勝利パターン。


それから外れた予測不可能な事態。


一番機がやられ呆然としてしまった一人が戦車の陰からの狙撃によって撃ち倒されてしまう。

二番機がやられて射線を確保しようと動いたヒューイ准尉が狙撃され、撃ち倒される。

ゆっくりと後退しようとした一人が楯ごとブチ破る徹甲弾により、頭を吹き飛ばされて倒れる。


イゴール大尉は力を振り絞って前進し、機関銃を土嚢からつきだして撃っているリーゼリアに向かって重機関砲の弾をぶち込む。



一弾倉を打ち切るのと同時に重機関砲のサイトの向こう側で機関銃を撃っているリーゼリアが崩れ落ちるのを確認し、装弾しつつ前へと進むが、2方向からの同じタイミングでの頭部への狙撃によって崩れ落ちる。


帝国軍側は負傷者の回収を行い次第退却を開始する予定で機を待った。
一方ガリア義勇軍側は負傷したリーゼリアの症状がひどく、フランクがリーゼリアを担いで装甲車まで移動し、そのまま町まで撤退。ムート、キール、リルケ、ヨハンの順に撤退を開始し町より1km地点まで撤退。

膠着状態が一時間ほど続くが、帝国軍装甲車両部隊が前線に置き去りになっている部隊の回収を強行。
それを皮切りに帝国軍は撤退を開始。

戦場より後方4km地点で再編成を行うも編成中にナジアル高原陥落の無線を受ける。

すぐさまに帝国領へと後退を始めるが、後退中にガリア正規軍残党処理部隊による強襲を受ける。
ギルランダオ要塞を前にして部隊は全滅。

これがこの作戦の顛末。


高々報告書“ナジアル会戦時後方警戒及び敵勢力対浸透任務”の一枚でまとめられる小さな事件。小さな作戦。


けれど小さな小さな村を守った“えいゆう”のお話。



[25637] 【エピローグ】戦場のヴァルキュリア(加筆修正予定の為sage投稿)
Name: sanzou◆834dfb82 ID:d7f9ada6
Date: 2011/07/24 17:29

Battle Report

ナジアル会戦での総力作戦時において全戦力を投入した場合に最前線の保持を行う部隊・及び遅滞行動を帝国軍に取らせる必要があった.

この事から,前線支援部隊・防御線構築部隊・精鋭部隊・懲罰部隊等の候補が挙げられたが,いずれも遅滞行動を行うには継続戦闘力がやや足りない傾向にあった.

そのため,義勇軍第3中隊第7小隊の快足を生かし,前線保持を狙う予定であったが彼等が最前線任務に就くこととなったため,代役として同中隊所属第11小隊の代替派遣を要請.

これの快諾を伴い,ナジアル会戦時後方警戒及び敵勢力対浸透任務として同小隊隊長ヨハン・ヒース准尉を任命した.

ヒース准尉は任務了承後5時間で当該村に向かって出発.
装甲車を用いての高速兵員輸送により,翌明朝に当該村付近に到着.付近に展開していた敵勢力を発見.敵勢力の強硬偵察を阻止に成功.
同日中に村人と自警団の避難を開始.避難先をユエル市とし,自警団とユエル市自警団との連絡を密にして警護輸送を行った.
同日中より敵勢力遅滞行動に向けての妨害工作及び防衛線の構築を開始.当日を含め2日間において構築を行い,これを完成.

構築終了翌日午前より敵勢力と会敵.
敵勢力は剣甲隊,重装歩兵隊,衛生兵,中量級戦車を主に構成され,構成と隊旗より第8重装甲兵隊と確認.

ヒース准尉は機関銃兵1名の負傷者を出すもこれの撃退に成功.
撤退中の同中隊を正規軍第28小隊が追撃.撃滅に成功.
これを持ってナジアル会戦時後方警戒及び敵勢力対浸透任務の完遂を表記する物とする.

William.K Col



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

side Melissa.E press

『“ナジアル会戦においての後方警戒任務及び避難民の護衛と保護を命じられ,これを受理.負傷者を2名出すも敵勢力の撃退に成功.撤退中の敵勢力を正規軍の追撃により撃滅に成功.”
要約をしてしまえばこれだけ。文章にしてしまえば短くて1~3行。長ければ…それでも紙1枚程度にまとめてしまう事が出来る。
最前線において華々しく活躍をした部隊と比べ、後方及びに最前線を支える部隊の報告書は皆この様な物である。
けれど、この村を守ったのは“義勇軍”であり、彼ら彼女らの思いはみんな唯一つに集約される。
“ガリアを守る。みんなの生活を守る”となる。ガリア戦役において代替的に報じられた“義勇軍第3中隊第7小隊”。彼等の奮戦ぶりはすさまじく、まさしく英雄と言えるものであった。
そんな彼らの思いも一つに集約する事が出来る。“ガリアを守りたい”これ一つであったように思われる。
このガリア戦役において数々の死傷者、建築物の損壊、資産紛失、列挙すればきりがない物である。
しかし、ガリアを救うために立ち上がった者もいた。このガリアを救うために立ち上がった数多くの戦士たちは“ガリアを守る”この一つの誓いを胸に戦場へと向かった。
その彼らの中には華々しい戦果を胸に飾り街を凱旋したものもいれば、怪我を負い元の生活を過ごす事が出来なくなってしまった者もいる。果てまた故郷と遠く離れ薄汚れ、砲撃痕の残る戦地に冷たく横たわり共に戦った戦友と眠る者もいるだろう。
だからこそ私たちは忘れてはならないと思う。
“ガリアを守る”と言って戦った年齢や性別、果てまた人種さえも関係なく、立ち上がり、泥をすすり、笑い、涙をながした存在がいた事を。
正しく彼等は皆“ガリア”を守った“戦士”であり、“英雄”だったことを。私たちは忘れてはならないのだ。
文責:メリッサ・エルダー』
「っと…」


「タタンッ」
私は記事を書き終えると会社支給のタイプライターの横に置いてある少し大きめのマグカップを取って口につける。

「ぬるい…」

一口口に含んで真っ先に思ったのがこれだ。インタビューの後に会社に報告し、自宅で記事にする文章を打ち始める前に入れたちょっと熱めの紅茶が今ではなまぬるい位の風味がかけらも残ってないクソ不味くなってしまったモノを一気にのどに流し込む。

「まずぅ…」
風味の無いただの色が付いた水を飲むのがどんなに苦痛か…。

私はブラウスのボタンを幾つか外し、インタビューの時に持っていった録音機とメモ帳を持ってベットに倒れ込んだ。



安いベットのスプリングがギシギシと音をたてて軋む。


初めてこっちに来た時、寝転がった時はもっと鳴ってたかもしれない。体重が減ったのかやつれたのか…。


そんな事は些細なことだ。




そう。些細なことなのだ。
“義勇軍第3中隊第7小隊”…。彼らの活躍によってこの戦争は終わったと言ってもいい。いや、一つ分かっていないのが黒い制服に身を包んだ部隊…。彼等も各地の激戦区に姿を現し、正規軍を救い、住民を救った。ただ、彼らの公的記録は残っておらず、ただ噂と、“助けてくれた”と言う事実しかない。

そんな彼らに比べ、話題性も華もない後方部隊へのインタビュー…。“ただの”兵士へのインタビュー。

だけれども、私は聞いた。“ただの”兵士が救った村の声を。

村を救った“英雄のお話”を。


私はインタビューの時に使った録音機をまわしながら目を閉じて文章をもう一回最初から考える。

もっといい表現がないか、もっと印象に残せるようにかけないか?もう一度考える。

日も落ち、すっかり暗くなった外に気を向けながら目をつむって深呼吸をする。

ゆっくりと息を吐き出した時には湧き上がる眠気とにじみ出る疲労に促されるままにベットで眠りについていた。




(あ…。録音機…再生…。止めなきゃ…)




と言うのがわたしの寝る瞬間の記憶。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━





ーーどうも。××出版のエルダーです。本日は義勇軍第3中隊所属第11小隊の隊長であったヨハン・ヒースさんにお話を聞きたいと思い、伺いました


ーえ?俺の話?


ーーえぇ。そうです


ーあんたも奇特な人だねぇ…
ー俺の話なんかよりほら、第七小隊の英雄さんに聞いた方が良いだろうに


ーーいえ、彼は他社のアポで今捕まえられていまして


ーえ?人が多く来すぎてアポが取れないの?大変だなぁ…。英雄さんも
ーんで?どこを話せば良いんだい?


ーー南東部の森での防衛戦について話して頂けませんか?


ーえ?南東部の森での防衛戦の話?


ーーはい


ーやれる事をやるだけだし、基本的に罠張って偽装して隠れて指揮官狙いだよ。全部の戦いでね。ほら、俺って突撃兵のみんなみたいにゴツく無いでしょ?だから近寄られたらその時点で終わりなのさ


ーーそういえば小隊の殆どの方は狙撃担当でしたね


ーあぁ。フランクとリーズが機関銃担いで他は殆ど狙撃だったね


ーー何か特殊な意味が?


ーいや、俺には戦略何て言うコジャレた知識が少なくてね。代わりに罠とか待ち伏せとかしか出来なくてね


ーーそう言えばヒースさんは猟師の出身でしたね


ーそうだね。銃の撃ち方と心構えと…。まぁ、他にも色々猟師のオヤジから教わったよ


ーーえっと…。申し訳ありませんが、ヒースさんはダルクス人なのですか?


ーあぁ、この髪色?でも瞳はこの色だろ?自分でも解らんのよ。オヤジが見つけてくれた時は身分を証明できるようなもんは身につけてなかったらしいし

ーーでは、お名前の方は…?


ーオヤジがつけてくれた。旧友の名前を取ったんだとさ


ーーはぁ。ところで義勇軍を解散したらどうされるんですか?


ーん~?ランシールからお呼びがかかってるけど、ブリクサムさんが行くらしいからな。俺はまた山に籠もって猟師でもやるさ。小屋とか片づけなきゃならんし。おやじが残してくれた思い出の場所でもあるし


ーーそうですか…。他にも色々とお聞きしてもよろしいですか?

ーえぇどうぞ。時間はまだまだありますし


ーーそれでは…………



(完)


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


拙作を読んでいたき大変ありがとうございました。
作者のsanzouであります。

始めた当初は終わり方だけ見えていただけの作品で、途中どうも自分でも性急過ぎた気がしてなりません。
もともと、嘘予告だけ書き逃げをしてしまおうとかも思っていて、どうも自分のモチベーションが高くない事もあり、見切り発車でありました。
設定をこねくり回すのは好きですが長く続かない性質で、プロローグ、本編とエピローグを足して10話と言う長いのか短いのか分からんような話で終わらせる予定でありました。
設定や、色々な詳細を吹っ飛ばして終わらせたこともあり、大変見目苦しい物であったと思いますが、そこは習作という区切りで見逃していただけたらと思います。
なんだか少々不完全燃焼気味なので随時加筆修正するかも知れません。

時間があればですが

P.S
P.Sの意見は私の物では無く、祖父と話していて妙に頭に残っている言葉です。
今思うに、もっと色々な事を聞いておけばよかったと最近ではつくづく思います。



[25637] 没ネタ~HELLSINGだったら……~
Name: sanzou◆834dfb82 ID:d7f9ada6
Date: 2011/09/04 21:59
*caution*

付け焼刃な軍オタが調子に乗って妄想した産物です。

お前、これはあり得ないだろうとか思ってもニヤニヤ笑いながらアホが釣れたとでも思ってプギャーして下さい。
それでもなお、読んでいただける心の広いお方はスクロールしてください。






あ、あと、クッソ短いです。





















~没ネタ“HELLSING”の場合~




良くも悪くも駆け抜けた人生だった……。


マリータ、クレタ島、オルトナ……。



そしてベルリン。

東西分断に、大国に巻き込まれた冷戦。壁がなくなり、今一度一つになった祖国。かつての栄光を胸に軍に招かれ早、20年。もう

息子達は独立し、たまの休みに孫を連れて三代揃って川で釣り。出来た嫁は早くに亡くし、ただひとりで暮らす毎日にも慣れた。



好きなだけ好きな生活をした。タバコ、酒に限らずだ。


そんな私も歳と病には勝てん。

気づけば遅かった。歳のせいか、手術に耐えられるような体では無くなってしまった。

薬を飲み、生き長らえてもどこか胸に寂寥感が漂った。
遂には体が耐えきれず、倒れ伏し気づけば私は酸素マスクをつけ、枕元で涙を流す息子達。


あぁ、私はもう、長くは無いのだな…。


息子達に遺書の存在を教え、少し寝かせて貰う。
後は息子達がどうにかするだろう。
生活に後悔は無い。

ただ……。ビットマン、ハインリヒ、クラッヅ…………。

そして………。
「………リップヴァーン・ウィンクル小尉」

「呼びましたか?イェーガー小尉」




あぁ、死の間際に神様も粋な計らいをするものだ。
あのかつてのダサい丸眼鏡と、ソバカス。どこか怯えたような情けの無さを感じる顔立ち。おさげにしていた髪の毛は今は下ろし

ているのか……。
似合っているものだ。



「あぁ、神もなかなか良い趣味をしている」
死んだはずのグラート、ユリウス、マーニ、イルリヒまで見える。
あの戦争を駆け抜けたあの格好で……。




「いえ、神ですら私達なら凌駕しましょう」
リップヴァーン小尉が枕元に寄ってきて耳元で囁く







--夢にも見た、あの大地をもう一度、血と闘争で踏みしめませんか……?--





あの、闘いを……。



あの興奮を………。



もう一度……。




「あぁ……。もう一度………」





全てを








取り戻したい………。









枕元に立った相変わらずダサい丸眼鏡をかけたリップヴァーン小尉がニコリと微笑んだ気がした。





「えぇ……。もう一度…………」




そして私は“死”んだ。







*************
言い訳と言う名の何か

後悔している。とても短い上に付け焼刃な知識。そこの知れる文章……。
呼んでいる人は苦痛で仕方なかったと思う。

落ち着いて、口直しにこのDr.ペッパーを飲んで、深呼吸して、



はい、一言。




ps.没ネタ集は基本sage更新





[25637] 練習作【SF・戦場系】
Name: sanzou◆834dfb82 ID:d7f9ada6
Date: 2012/01/15 22:01
「ズゴン!!」と一際大きな後頭部への衝撃で目が覚める。


何に頭が当たったのかと振り向き、確認する。


壁だ。


しかもコンクリみたいな壁じゃなく、何かの船の中のように、鉄板が剥き出しな壁だ。

頭の壁に当たっただろう所を軽くなでる。

周りを見渡すと同じように壁から出っ張った所に座り、後頭部に手を当てているのがそれなりにいる。


さて、なんでこんな所に居るんだっけ?


「ポイントαまで5分。各員戦闘準備を怠るな」船内にアナウンスが流れる。


あぁそうだ。

俺はここに戦争をしにきてるんだ。


船内の上天板にかけられているアサルトライフルを手に取り、初弾を装填する。足先から自分が身に着けている装備を確認する。
膝から下は両足共に頑丈な装甲。右腿にハンドブラスター、左腿に高振動ブレード。
腰回りにグレネードとワイヤーショット。上半身はアーマーの上にポーチが付き、ポーチ内に予備弾類。
ヘルメットのIFFと通信機能、サブウィンドウに表示されるミニマップも順調に作動している。

特に必要な物もなさそうだ。
船がよく揺れる。戦場が近くなってきているようだ。


「チェックバディ」と言いながら俺のヘルメットを触ってくる隣に座ってるやつ。
俺も「チェックバディ」と言いながら触り返す。

右肩の赤いやつが「チェックグループ」と言いながら両脇の奴らに触る。
『ピコン』軽快な音と共にミニマップに個人マーカーが表示され、色分けされた集団が出てくる。俺はグループNGS2らしい。
ヘルメットの左上の視界野に文字が表示される。

【敵勢力防衛外郭砲撃陣地の制圧】恐らくこれが作戦目標なのだろう。
やってやれない事は無い。「ポイントαまで30秒!!各員降下用意!!」
船の揺れが一際大きくなる。


降下用意って……。どうやるんだっけ…?


周りを見ると特に何もしていない。
はて…?と思っていると、船が止まった。

「降下開始!!」とパイロットから声がかかる。船の下側がいきなりバカッと開く。
あぁ、そうだ。こういう降り方だったな。

下を見れば高さはおよそ3メートルほど。アサルトライフルを抱えて自由落下に身を任せて地面に落ちる。
荒れ地に足を着け、とっさに前回りに受け身を取って腰だめに立ち上がる。


敵の砲撃陣地からの攻撃が今まさに次の部隊を下ろそうとしていた船に当たる。
爆炎を上げて吹っ飛ぶ操縦席。着弾の影響で前のめりにこっちに突っ込んでくる船。


赤肩の奴が叫んでる。


「退避!!退避!!」コントロールを失った船はフラフラと揺れながら、こっちに突っ込んで……。


こっちくんな!!




走って逃げようとするが、悲しいかな…。
それなりに速度の乗った船からは逃げられる筈もなく、背骨に走る嫌な衝撃と激痛に意識が刈り取られた。








******************************************************c? y/n ⇒y









「うわっ!?」自分の背骨が無事かどうかを触って確かめる。嫌な汗を掻いてはいるが、無事のようだ。


「各員降下用意。ポイントαまで残り少し」戦闘まえに嫌な夢を見たようだ…。

軽く装備を確認して隣の奴にタッチチェックを行う。
赤い肩をした奴がグループマーカーを起動させる。


NGT3:【敵勢力防衛外郭砲撃陣地の制圧】左上に作戦目標が表示される。


ひとしきり大きく船が揺れ、後頭部を『ゴッ!!』とぶつけてしまった。


何だかやたらと後頭部をぶつけてる気がする。


夢の中含めて。


ヘルメットの後頭部を少々さすりながら、舌打ちをする。



クソ、戦場に入る前にたんこぶ出来まくって死ぬ夢をみる訳じゃ無いだろうな。
死因:たんこぶによる頭部損傷とか洒落にすらならんぞ。



「降下五秒前!!HaveaniceHell!」船が急に減速し、戦場に向けてハッチを開く。
高さは大体3メートル。



着地の瞬間に前回りに受け身を取って力を殺す。そのまま立ち上がって全力疾走。


ヘルメットの中で上がる自分の呼気が少々うるさい。

前の方に先に降下を開始した時に被弾し、墜落したと思われる船の影に飛び込む。アサルトライフルを構えて見渡す。
ちょっと遠い所に囲む様にして、のっぺりとした建物に四角い穴が開いている物が……6つ。



恐らく機関銃トーチカだろう。撃って来ないのは射程圏外だからか、人数が少ないからか……。
と考えていると、赤肩が後ろにたどり着いていた。


「あの手合いは全自動化されてる機関銃だ。近付くのは厳しい。少なくとも2つを壊さねばならん」アサルトライフルをいじって銃身の先にアダプターを取り付けた。
その先にグレネードを取り付け、グレネードライフルにする。それを見ながら俺も同じようにグレネードライフルにする。


「おれから発射開始。他隊員は間接照準リンクを起動し、弾の軌跡を見極めろ」赤肩は船の陰から身を乗り出し、グレネードを発射した。
狙いとしては四角い穴の少し上になっていた。


グレネードはかなりの間真っ直ぐ飛ぶと、四角い穴の上側に当たって中に飛び込んだ。


一拍置いて、爆発音と共に穴から炎が逆流してきた。
「よし、つg…」赤肩がヘルメットごと頭だけ吹き飛ぶ。
血とその他破片が辺りに飛び散り、赤肩がドサッと倒れた。


「スナイP……!!」次にグレネードを撃とうと頭だけ出していた隊員が赤肩と同じように頭を吹っ飛ばされて倒れた。



弾け飛ぶように頭が吹っ飛んだ事からして、大口径のライフル。

下手すりゃ小型のレールガン……。


船の装甲をぶち抜いて来てないから多分、大口径のライフル。


どうする……。近付きすぎればトーチカに、モタモタしてればスナイパーに……。


「よし。先にあのトーチカを全員で壊してその後にダッシュで破壊トーチカの陰へ」誰かが意見を言う前に先に最良と思える作戦を言う。
チンタラしてたら砲撃陣地からの曲射が飛んでくる。それは避けたい。


後ろを見れば船があちらこちらに転がっていて、いまだに砲撃陣地は船を優先目標にしてるのが解る。
なら、なるべく早くに次に行くのがベストだ。周りを見渡すと、同じヘルメットを被った隊員達が頷いた。


「スリーカウントでいくぞ」隊員たちが準備出来たのを見計らい、カウントを始める「3、2、1」「0!!」


全員で船の陰から飛び出し、グレネードを発射。

無事に発射出来たのは俺含む6人中3人だけのようだ。
残りは発射前に頭を吹き飛ばされ、あらぬ方向にグレネードを散らした。狙って撃たれた残り3つのグレネードも一発はトーチカの手前で爆発。

残る2つはなんとかそれぞれ狙ったトーチカに潜り込んで爆発をおこした。

後は兎に角走る。ヘルメットのスレスレを弾がかすって飛び、ヘルメットの中で不気味な空気を切り裂く音が響く。


走る。


ただ走り切る。


未だに煙を上げるトーチカの陰に飛び込み、少し荒れた息を整える。
続いて俺の体にぶつかるようにして駆け込んでくる味方。

残ったのは二人だけか……。まだ体に覆い被さるようにする奴に振り返って見る。
右肩の付け根から右腕が無い。まだ、荒く呼吸はしているが、右肩から吹き出る血の量から長くないと解る。
ヘルメットから浅く、短い呼吸が連続して聞こえる。ハンドブラスターを抜いて奴の左胸に当てて「また会おうぜ」と呟きながら引き金を引く。

ヘルメットをひっぺがし、ライフルの先にヘルメットを乗っけてゆっくりと物陰から出す。


撃たれない……。


慎重に慎重にゆっくりとヘルメットを出していく。


撃たれない……。
これ以上出したらバレるか?


「ゴッ!!」とヘルメットが弾き飛ばされる。ヘルメットを撃ってきたのは3人……。一発は砲撃陣地の少し手前にあるなだらかな緩い傾斜の丘から。
もう一発はあっちの対空塔の上から。一拍おいて丘のさらに少し奥のバンカーから。



おいおい……。たかだか一人に多く付きすぎだろ……。
いや……、待てよ?



「マップ広域化、味方歩兵のみ表示」
ヘルメットに付いているマップを広域化し、周りを見る。付近機関銃トーチカ陣の影に一つ。2つ向こうのトーチカ陣地の影に4つ。
あ、2つに減った。トーチカを迂回して2つ……。船の残骸に隠れているのがチラホラと……。



半径100メートル前後の中で恐らく50人前後が生存……。何とかなるか……?



「こちらチームNGT3。こちらチームNGT3。広域マップ内チームへ、合図と共に後方船残骸で隠れている全員で突撃、トーチカ陣地に飛び込み、再度タイミングを合わせて塹壕まで突撃。後のことはまた後で考えるってのはどうだ?」

『こちらチームPTG2その話乗った』

『チームDEN2ジリ貧だけはイヤなんでな!!』

『チームAPH1とりあえず船が降ってくる所から逃げられるなら!!』

『MMW1!!取り敢えず!!『ドン!!』チクショウ!?シャワーじゃなくて乾いた場所に行けるなら構わん!!』

「こちらNGT3こちらNGT3。了解した。合図は任せろ。どこか狙撃銃を持ってきた奴はいないか!?」
少しでも成功率が上がれば良い。

『こちらAJM3。もってるぜ』
ヘルメットの通信に声が届く


「こちらNGT3、AJM3へ!!現在地知らせ!!」
少しでも成功率が上がれば次の攻勢の成功率が上がる。


『こちらAJM3、トーチカ陣3M9で浜辺の徒競走を観戦中』
よし!!


「こちらNGT3、AJM3へ。徒競走が始まったら邪魔するアホ共にお帰り願え。くれぐれも丁寧にだ」

『AJM3、了解』
よし、これで後は合図だけだ。

ベタつく口内を湿らせて声を出す。

「3、2、1」

慎重にカウントする。

「おら走れぇぇぇッ!!」
何ともしまりがない。


なぜか残念な気分になってしまった。
走ってトーチカの影に飛び込んでくる味方。


「NGT3か?」
一拍置いて体に付いた泥を払いながら立ち上がって聞いてくる


「あぁ、一着おめでとう。えーっと……」
ミニマップを見ながら確認する。


「チームDEN2ラストスタンドだ」
手を差し出してくるDEN2


「よろしくDEN2」
強く握り返し、敵陣を伺う。


何人だ……。何人スナイパーを潰せた……?

「DEN2、スナイパーを何人確認した?」

「さぁ……。多分9~11位だな……多分」


そうか……。結構いたんだな……。
「こちらNGT3、AJM3へ。聞こえてるか?」


『……』


「AJM3?」
まさか……。



『あんまりがならんでくれNGT3。こちらAJM3。4人は減らした、他は隠れやがって出てきやしねぇ』
ふぅ……。焦らせるなよ。
それにしても……。ちっ……。結構残ったな……。
どうするか……。



「DEN2、何人残ったんだ?」
振り返って船を眺めているDEN2に尋ねる。
人員を下ろすために高度を下げていた船に曲射砲が当たって一拍置いて爆散するのが見える。


「24人だ。このトーチカ陣付近にはな」
大体半分か……。辛いな……。


「赤肩組は?」
解ってはいる。


「真っ先に狙われてるよ」
だよな。

もう少し敵スナイパーをつぶせりゃあ……。まぁ、

「さっきと同じ様にやr……?」




「キィイィーーーーーーーーーーー……」
やたらと高い爆音を立て、上空から影が落ちる。



「何だ?」
少なくとも自軍のものじゃない。影は空中で小規模な爆発を起こすと、小さな球状の何かをバラまいた。
バラまかれた何かは空中で落下傘を開き、減速しながら落ちてきた。



一拍置いて




爆発。




爆発のついでに小指の先程の大きさの大量の鉄球をバラまきながら。
鉄球は身に付けたアーマーをやすやすとぶち抜き、そこら中に突き刺さった。


(クッソ……!!やられた!!)
たまたま下半身に集中した鉄球。こいつらはアーマーに包まれた俺の足をアーマーごと引きちぎり、ズタボロの布切れに変えた。


「DEN2……?」
返事は当然無い。振り返れば、体のアチコチに小指の先程の大きさの穴をあかせて血を垂れ流すDEN2がいた。


(クソッ!!クッソ!!)
ダメ押しとばかりに甲高い爆音が響く。



(いっそ船で高高度から敵陣裏に侵入した方がマシなんj)



「カッ!!」
という小さな音をヘルメットに感じ、そのまま意識が刈り取られた。









******************************************************c? y/n ⇒y
















「うおッ!!」とっさにヘルメットをさわり、足を見る。


良かった……。ある……。


さっきのは夢か。良かった……。


軽く装備の点検をし、マップを見ながら現在地を確認する。
敵陣裏の遥か後方の山岳地帯を低空飛行で侵入している。船の数は16。撹乱工作は間に合うだろうか?
範囲マップで敵砲撃陣と、他防御陣地の動きを見る。


どうやら砲撃陣地は海側を低空飛行で侵入して来る船を叩くのに夢中のようだ。他防御陣地は強化構築を積極的に行っている。
まだ見つかっていないのだろう。



『こちらAJN4。NGU3リーダーへ、パーティー会場にはそのまま乗り付けるのか?』


「こちらNGU3リーダー。会場にそのまま乗り付けるのは礼儀がなっちゃ居ない。少し離れた所で降りてさりげなく会場に混ざるぞ」


『了解』


さぁ、パーティー会場は直ぐ其処だ。



────────────────────────────────────────────
あとがきと言う名の作者の言い訳

久方ぶりにCoDをやる→割と観覧車でジャムをブチマケまくる→無限ループって端から見ると怖くね?→夢落ちとか更に怖くね?
→妄想広がりんぐ→もう一つが綺麗に纏められてない→こっちにsageでブチ込むべ(←今ここ)

見ている人がいたら嬉しいな。見てくれて無くてもいいけど、感想なんてもらえたら少しうれしいな。


死亡確定したけどゾンビになるか、マミーになるか、スケルトンになるかの瀬戸際。

まぁ、墓地行きだと言われればそれまでですが。


感想掲示板 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.10886693000793