<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

チラシの裏SS投稿掲示板


[広告]


感想掲示板 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[25582] 【ネタ】夢喰いメリー対仮面ライダースカル【ネタ】
Name: yasu◆2f76073d ID:212e4db4
Date: 2011/01/22 20:03
至高のヘソというものがあるならば、自分がいま目にしているものがそうなのだろう。
ウォータービジネスの店が軒を連ねる繁華街の路地裏で山と詰まれたゴミ袋に埋まり、カラスに突き回されている無駄に薄着な少女の露わになった腹部を凝視しながら、鳴海荘吉はそんなことを思った。
できれば見なかったことにして事務所に直行したかった。
ナスカ・ドーパントとタブー・ドーパントとウエザー・ドーパントの三つ巴の痴話喧嘩に割って入ったと思ったらクレイドールとイエスタデイまで乱入してきてあやうく風都タワーが吹っ飛びかけたところを、ジミー中田の毒電波ソングの力を借りてなんとか事を収め、疲れきって家路を急ぐその途中のことである。
せめて今日一日、もう厄介ごとはカンベンしてほしい
「だが見つけてしまった以上放置しておくわけにもいかないな」
肉付きの薄い少女の身体を、荘吉は羽根のように持ち上げる。
「もう少しむっちりしてるのが好みなんだが…」
鳴海荘吉、実は結構ムッツリなのかもしれない。

AM7:58 鳴海探偵事務所
ヘソ出し少女はくたびれたソファーの上で目覚めた。
「知らないて-」
「それは使い古されたネタだ」
振り向くとそこにはどことなく歴史を感じさせるデスクに腰掛け、コーヒーカップを片手にした白いベストのダンディーな中年。
「ここどこ?アンタ誰よ?」
「コイツを飲んだら質問に答えよう」
押し付けられたマグカップの中身を口に含んだ少女は、次の瞬間盛大に吹いた。
「ブ――――――――――ッ!」
「お嬢さんには大人の味は早すぎたか」
「お嬢さんじゃない!」
少女が投げ返したマグカップを、空いているほうの手で苦も無くキャッチする鳴海荘吉。
「アタシはメリー、メリー・ナイトメアよッ!」
無意味に大きく胸を反らし、両手を腰の横にあて、高らかに宣言するメリー。
うら若い乙女がいちいち剥き出しのヘソを強調するポーズをとるのはいかがなものか。
そんなセリフを胸の中に仕舞って、鳴海荘吉はコーヒーを飲み干した。
「僕は鳴海荘吉、ここは僕の事務所だ」
この世界の鳴海荘吉の一人称は僕である。
ロバート・B・パーカーの愛読者としてはハードボイルド小説の主人公に「僕」以外を名乗らせるわけにはまいらぬのである。
「それでメリー、家はどこだ?」
「知らない」
「両親は?」
「わかんない」
「国籍は?」
「なにそれおいしいの?」
「……………」
微動だにせず睨み合う二人。
裂帛の気合が火花を散らす。
「アッ――――――――――!」
突然メリーが大声を出した。
「帽子!アタシの帽子がないッ!」
頭に手をやりみっともないほどうろたえるメリー。
荘吉は視線を逸らした。
湯気を立てるコーヒーメーカーを、それが万能の聖杯であるかのようにじっと見つめ、ついでコーヒーカップに煮えたぎった黒い液体を満たす。
火傷するほど熱いコーヒーを一気に飲み干した荘吉は、ルビコン川の水際に並んだ第10軍団に号令するジュリアスのように宣言した。
「警察に行こう」

「それがなんでこんなところに来るワケ?」
白ずくめの中年とヘソ出し少女は九州から上京してきた苦学生が、押し入れの中のパンツの山にキノコを生やしていそうな年代もののアパートの前に立っていた。
「こういう時は搦め手からいくものなんだ」
ここは刃野巡査の下宿なのだった。
「刃野巡査、ちょっと相談が…」
ドアを開けた荘吉はいきなり畳に密生したカビに足を滑らせた。
「うをぉ!?!」
左足を踏み出しかけたポーズのまま、荘吉は右足一本で滑走し、カビに埋め尽くされた四畳半を横断して押入れにタックルを決める。
押入れの戸が外れ、溜め込んだ洗濯物を苗床とした原色バリバリのキノコ雪崩が荘吉を押し潰した
「くぁwせdrftgyふじこlp!?!」
キノコの山は食べ盛り…ではなくキノコの山に埋もれてもがく荘吉。
「先生~おいしいわぁ~」
どこからか水野久美の声まで聞こえてくる。
「ウエェェェ―――――イッ!」
火事場のクソ力を発揮し、キノコを掻き分け立ち上がる。
目の前に炬燵に入ってTVを凝視する、カビに覆われた刃野がいた。
『あなたが全部欲しいの!』
『メズールッ!』
つけっぱなしのTVではJCと銀色の怪人が、石原某が脳ミソを沸騰させそうなドラマを演じている。
「せいやぁ―――――つ!」
荘吉は刃野を炬燵から引っ張り出し、勢い余って窓から投げ捨てた。

AM10:10 喫茶「Seaside」
「『オレタマンネー』とか叫んで踊り狂うバカや、ところかまわずパンツを干そうとするアホが後を絶たないもんで、連日署に泊り込みで警備に当たってたんですよ」
ようやっと再起動を果たした刃野巡査は湯呑みに注がれた梅昆布茶を冷ましながら言った。
「それで久しぶりに戻った下宿は青カビやらシメジモドキの大発生で廃墟も同然、どこかで聞いた話だな」
コーヒーを飲む何気ない仕草にも男の色香が漂う鳴海荘吉。
「『ビューティフルドリーマー』ですよ、覚えてますか?」
「僕は同時上映だった『すかんぴんウォーク』のほうが思い出深いな」
それ言っちゃらめぇ!
「それでその子は?」
荘吉の隣でドーナツを貪るメリーに視線を移す刃野。
「愛人よ」
ブ――――――――――ツ!
盛大に噴いた刃野を黙殺し、荘吉はメリーのコメカミにハードボイルドなグリコを決める「やめてとめてやめてとめてやめてとめてやm-」
荘吉がメリーを解放すると、少女は見えそうで見えない絶妙なアングルをキープして長椅子に倒れこみ、頭を抱えて身悶える。
「なんにせよこのドタバタも今日までだ、明日は風都フェスタの初日…」
唐突に荘吉の中になんとも形容し難い違和感が生じた。
敢えて喩えるなら妹だと思ってパンツ下げたら岡田真澄だった、みたいな?
(僕がこの言葉を口にしたのは何回目だ?昨日は?一昨日は?その前は?)
「デジャビュは夢と現が交じり合う場所…」
何度聞いても背中を疾るものがあるジョージヴォイス。
「君たちが我々の世界を訪れるように-」
いつのまにか周囲の景色が一変していた。
「我輩も君たちの世界に参上仕tウボア――――――――――ッ!?!」
突如起こった爆発に名乗りの途中で吹っ飛ぶ“チェイサー”ジョン・ドゥ。
グライディングホイールを唸らせ、ガトリングガンから火を噴きながら、陸戦型ファッティの大群が突っ込んできた。
ロケットの直撃を受けた乾物屋の店先で、くさやの干物に混じって白い帽子が宙を舞う。
「アタシの帽sギニャ――――――――――ッ!」
帽子に向かってダッシュし通りすがりのペネロープ号に跳ね飛ばされるメリー。
「クレイジィ ユア クレイジィ ドッグ!オ―――ッノ―――――ッッ!」
パニック障害に襲われた刃野巡査は、雨あられと降り注ぐ砲弾がどんちゃかハジケる真っ只中を、ノーノーと叫びながら駆け抜ける。
BGMはドリフのコントからゲストの歌に切り替わるときのアレだ。
「まったくナニがどうなってるんだか」
どんな事態に陥っても心揺らさない鳴海荘吉は足元でトランスホームし、ズボンに潜り込もうとするバ■ブをハードボイルドに踏み潰すとタバコに火を点けた。
「街全体で夢が暴走してるんですよ旦那」
荘吉の背後からナイトメア・ドーパントが現れた。
そのときである!(ナレーション:政宗一成)
突然風都タワーが崩壊し、地下から出現する仮面ライダー・CORE。
「いきなりラスボス登場か、もう物語の体をなしてないな」
「真面目に考えるだけムダですよ、夢なんだから」
「こんなふざけた状況で使うのは不本意だが…止むを得ん」
荘吉はロストドライバーを腰に巻き、Sの飾り文字の入ったメモリを手にした。
【Skull!】
帽子を脱いだ荘吉は、スカルメモリを挿入した右手でドライバーを展開する。
「変身」
メモリが記憶する骸骨-死を司る冥界の使い-の力がドライバーによって具現化され、黒いボディスーツに鈍く輝く銀色の髑髏を象った仮面が装着される。
変身を完了した鳴海荘吉=仮面ライダースカルの姿に激しく動揺するチェイサー。
「その仮面…もしや貴方は生き別れの兄上!?!」
「そう言うお前は弟!?!…ってイヤイヤ、それはない」
律儀にノリツッコミをこなすスカル。
「なにやってんのよアンタ!?!」
怒鳴るメリー。
「ネタを振られたらきっちりボケる、それがエンターティナーの嗜みだ」
真顔で断言するスカル。
いろいろと無茶なセリフに無理矢理説得力を持たせてしまうのも男の貫禄というやつだろうか。

「とうっ!」
天高く跳躍したスカルはCOREの頭上から化鳥のように襲い掛かる。
弾丸のように空を切り裂く銀の仮面と黒のボディ
遠からんものは音に聞け、近きものはその目で見よ。
蹴り足をピンと伸ばしたその姿は、高岩成二の上腕二頭筋よりパワフルで芦名星のふくらはぎよりもエロティカル。
スカルメモリの力を借りて、いま必殺の-
「たんて―――――い きぃ――――――――――っく!!!」
マテ、番組が違う。
純白のケープを翻し、輪になって青空を舞う六組の双子をバックに爆散するCORE。
キメポーズで着地したスカルの目の前に、バラバラになったCOREの破片とともに人一人入れるサイズの黒い球体が落下する。
「G■N■Z?」
そう言ったのは誰だったか。
突然球体が二つに割れ、中から寝ぼけまなこの左翔太郎が現れた。
「おやっさん、オレ夢見てた…おやっさんがいて、刃さんがいて、ウォッチャマンや三太ちゃんや霧彦が…」
「翔太郎…」
鳴海荘吉にっこり笑って-
「このボケッ!」
BLAM!
ハードボイルドな右フックが炸裂する。
(チクショウいつか殺してやる…)

え、メリーの見せ場?
ヘソがあるでしょ。


感想掲示板 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.016741037368774