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[23391] 零の空1 伝説との邂逅(レジェンド オブ ZERO)
Name: raven1◆40c042cf ID:5a25e6ea
Date: 2010/11/03 18:32


初めまして、raven1と申します。
ここで1年ほど前からいろいろな方々のSSをみて自分も書けたら…と考えていました。
まだまだ素人臭さMAXな私でありますが、ここでいろいろと叩かれて修業したいと思います。
感想や批評、アドバイスなどお願いします。
では拙い文ではありますが、お願いします。


青々とした空。
雲一つないその天空の海でちらりちらりと閃光が迸る。

……それは儚く綺麗な星の瞬きのようだった。

チラチラと輝いていた光の中から一際大きな光が尾を引きながら地面へと消えていく。

少しの空白と共に盛大な爆発音が鳴り響き、また、一つの命が華のように散って
行った。

彼はそれを見下ろしながらその命の華の最後を見届ていた。

「……神原少尉……くそっ!」

明るく、皆を励ましてくれていたお調子者の先輩はもういない。

彼はそんな感傷に浸る間もなくスロットルを引き上げる。
コックピット内にけたたましく鳴り響くロックオン警報。
f22、某国最新型である我が愛機のスロットルを思い切り横に倒し、フラップブ
レーキをかけ大きく右に旋回。

自機を追ってくるミサイルをかわすが、なおもまだビーッ、ビーッ、というロッ
クオン警報は鳴り止まない。

レーダーを確認するが味方を示すシグナルはなに一つない。
そこには敵の機体を示すシグナルが自機の回りに10個程点滅しているだけであっ
た。

「……絶対絶命って訳か……」

残り一機の彼の機体をほふるように鳴り響く警報。

……遊ばれているのだろう。

「くそぉっ!……せめてっ、せめて一機だけでもっ!」

彼は自機を思い切り右に旋回させ、敵機の背後に回り込む。
敵機をミサイルのロックオンサイトが捉え、サイトは赤くそまる。

「ケイオス4……FOX2!」
彼は自機のコールサインとミサイルの発射コールを祈るように唱え、トリガーを
引いた。

……しかしその彼の祈りも虚しくミサイルは敵機の後ろを掠めもしなかった。

アクティヴステルスシステム。
敵機に搭載されているロック妨害システムだそうだ。
彼の放ったミサイルは敵機とは完全に逆方向へと飛んで行った。

彼は思い切り舌打ちをしつつスロットルを左に切る。

相変わらず、アラートが鳴り続け、完璧に背後をとられた事が理解できた。

……どうやら遊びは終わりらしい。

警報音が完全にロックされたという音に変わる。

俺はこの広い空の中で小さく消えていくのであろう。

レーダーを見る。

高速で一つのシグナルが接近してくる。

もう終わりだ。

無慈悲なロックオンアラートが俺にそう告げている気がした。
敵機が接近しているという警告音が騒ぎ、直後に盛大な爆発音が鳴り響く。

彼は死を覚悟した。


しかし、彼はこの空に投げ出されることは無かった。

そして自機の後方からヒュゥンという風切り音が聞こえた。

そして懐かしさのある鈍いプロペラエンジンが響きわたり。

緑の翼に日の丸のカラーリングをした機体が。

彼の横をかすめて行った。

「……零……戦?」

ふと、レーダーを確認すると敵機を表すシグナルが一つ消え、代わりに未確認機
体を表すシグナルが増えていた。

敵機はその未確認機体に照準を変え、彼の事など気にもかけずにその機体を追い
始める。

未確認機体は敵機の注意を引き付ける様にして飛びながら彼の機体に向けて軽く
翼を振ってきた。
彼にはそれが敵ではないと思えた。

敵機達は未確認機体の後ろにつきミサイルを一斉に放つ。

未確認機体は翼を振り、機体を垂直に上昇させて風に乗ったかのようにミサイル
を振り切っていく。

敵機達もその後に続く様に上昇していく。

ふと、未確認機体は遥か上空から木の葉の様に機体を宙返りさせて機首を上昇し
てくる敵機達に向けた。

そして敵機とすれ違う。
その機体が敵機とすれ違った時に、そいつの機首と翼の機銃がチラッと光った気
がした。

その刹那、未確認機体を追いかけていた9機のうち4機が空中で宙返りしながら火
を吹き失速、鈍い爆発音と共に空に散って行くのが見えた。

まるで日本刀の居合い切りとでもいうかの様なすれ違い様の銃撃。

残りの機体は戦意を失ったのかこの空域から離脱していく。

未確認機体は俺に向けて翼をを数回降ると加速して地平線の彼方へと消えていく。

どうやらあの謎の未確認機体によって助けられてしまったらしい。

生き残った喜びと共に失った仲間の喪失感を感じながら俺は基地へ帰還するした。

この空域、ミッドウェイから…







[23391] 零の空2 亡霊(the ゴースト)
Name: raven1◆40c042cf ID:5a25e6ea
Date: 2010/11/03 18:36


ミッドウェイの英雄。
彼は基地に帰還してからそう呼ばれた。

10機の敵に囲まれ、圧倒的に性能で劣る機体を使い、5機を落とし単機帰還。
はたからみればエース級の働きであろう。
彼自身の実力も低くはない。

しかし、彼はそれを否定した。

俺が落としたんじゃない。
零戦が落とした。
と。

もちろん彼の主張は誰にも相手にされなかった。

いつしか彼は隊内で浮いた存在になり、誰からも相手にされなくなった。

…たった一人を除いて。

「よう、調子はどうだい?ミッドウェイのエースさん。」

格納庫にて、自分の愛機の整備をしていた彼に声がかかる。

「……やめてくれ空野……俺はエースなんかじゃない。……俺は一人で逃げ帰っ
て来た卑怯者だよ……。あいつらを落としたのだって……。」

空野と呼ばれた彼の親友に彼はぶっきらぼうな返事を返す。

「落としたのは零戦ってか?……ふぅ、いつからお前はそんなファンタジー野郎
になっちまったのさ。」

頭を片手でポリポリ書きつつ空野は彼に話しかける。

「嘘じゃないっ……本当に零戦が居たんだ。」
あまりにも軽く話す空野に彼は若干腹をたてながら彼は整備を続ける。

「……悪かったよ……ミッドウェイ、神原さんも、落とされたんだよな。」

「……っ。」

空野と彼の先輩でありいつも隊の空気を明るくしてくれた先輩は空に散っていっ
た。

「ああ……榊も松石も…井上少佐も……皆逝っちまったよ。……俺はあいつらを
助けられなかった。
こんな俺がエースな訳がない……。」

愛機の整備を終えて、彼は空野からドリンクを受けとる。

「でも、お前は生き残った。そうだろ?なら逝った奴らの分まで生きるのがお前
の役目さ。」

「……ああ。わかってる。」
彼はドリンクを飲み終え空野と別れ、格納庫から出て基地内に設けられている自
室へと戻った。


彼はシャワーを浴び、ベッドへ寝転がる。

天井を見ながら彼は一週間前の戦いを思い出していた。

あのミッドウェイでの死闘がつい先日のように感じられた。

鳴り響く警告音。
落とされて行く僚機達。
接近してくる敵機。
そして、木の葉のように舞う零戦。

全てが悪い夢のような感じがした。

あの、零戦はいったいなんだったのだろうか。

……ゴーストフライヤー、よく戦闘機乗りの間で怪談として話される幽霊飛行機
の話を思い出した。

昔の戦争で無惨に散った戦闘機乗りの霊が漂いゴーストフライヤーとして現代に
蘇る。
そしてそのゴーストフライヤーは今を生きている戦闘機に戦いを挑んでくる。
ゴーストフライヤーからの攻撃はこちらに当たるが、こちらの攻撃はゴーストフ
ライヤーに当たらない。

結果勝つことは出来ず、逃げるか落とされてゴーストフライヤーの仲間入りをす
るか、という話だ。
真偽は解らない。
……ただ、あの零戦からは確固とした生を感じることが出来なかった。

……なぜ、俺を助けたのであろうか。

そんな事を考えつつ。
彼は深いまどろみの中に落ちていった。




[23391] 零の空3 蘇る伝説(ZERO リヴァイヴ)
Name: raven1◆40c042cf ID:5a25e6ea
Date: 2010/11/03 18:37


夜は終わりを告げ、陽が昇る。
彼の自室に一筋の光が差し込み彼をまどろみの中から現実に引き戻す。

……朝である。

彼はいつものように顔を洗い、携帯電話をチェックする。

特にメールが有るわけでもなく適当にニュースを見たあと着替え、朝食を取りに
休憩室へと向かった。

……ふと、朝食をうけとり自室に戻ると扉の下に一枚の紙が挟まっていた。

……招集令状である。
内容はミッドウェイへの偵察任務、任務参加は自由だそうだ。

「……また、あそこに行くのか。」

彼は少しブルーな気持ちになりながらもその任務を受けに行くことにした。

格納庫で空野と出会い声をかけられる。
「おおっ、久々の任務ですかい?羨ましいですな。……こっちの子はまだ治って
ないから任務に行けんのよ。」

空野は自分の愛機を指差しながら笑って言った。
……片羽が無惨にも取れている。
彼はそんな空野の機体を見つつ自機の最終チェックを始める。

「空野、この任務が終わったら久々に飲まないか?」

自機のコックピットで全ての最終確認を終え、外にいた空野にそう声をかけた。

「そいつはいい相談だが、その発言は死亡フラグだな。……まぁ考えておくよ。
せいぜい死なないように頑張りな。」

そう言って空野は彼の愛機から放れて行く。

彼は管制塔に連絡を入れた。
「ケイオス4、発進する。」

管制塔からの許可をもらう。
メインエンジンは唸りをあげ、彼の愛機は滑るように滑走路から舞い上がってい
った。


午後2時、ミッドウェイ上空

彼は管制塔に異常なし、我帰還すると連絡を入れる。

「……ここで神原さんが落とされていったんだよな。」

あの時を思い出す。

神原少尉はその日は休暇だったのだが、特にする事もないという理由でいっしょ
にミッドウェイの哨戒任務を受けてくれた。
そして、偵察中に敵機と遭遇し落とされて逝ったのだ。


……仲間に祈りを捧げ帰還しようとしたその時だった。

「……レーダーに反応?」
レーダーコンソールにちらりと反応があった気がした。

「……っまた。」

今度はしっかりとした反応が映し出される。
場所は……彼の真上だった。

「なっ、上だと?」
彼は反射的にスロットルを倒し急旋回をする。
急激なGが彼を圧迫していく。

その直後、つい一瞬前までいた場所に銃撃が降り注いだ。
そしてレシプロ機特有のプロペラ音を響かせながらあの機体が通り過ぎる。
……どうやらやる気らしい。

彼は管制塔に連絡を入れた。

敵機発見、エンゲージ!
これより戦闘を開始する。
目標、ゴーストフライヤー。
と。





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