2010年… 現在もなお科学は発展を続けている… しかしこの科学の時代にも解明できない事がある。悪霊達は常に我々の日常に潜んでいる。だがそんな恐怖から我々を救う者達がいる。その者達は古代より悪霊達を鎮めてきた。彼らは獣騎士(じゅうきし)と呼ばれている。これは悪霊と若き獣騎士達の壮絶な戦い描いた物語である…
キィィィィィン!! ガキィィィィン!! キィィィィィィィィン!!
剣が交わる音が響く。
二人の男が剣と剣をぶつけ合っている。
一人はまだ若くもう一人は白髪が生えており老人だ。
若い男は黒髪で身長は180cmと言ったところだろうか
この若い男こそこの物語の主人公である辰巳龍二である…そしてもう一人の老人は龍二の育ての親である鮫島五郎である。
獣騎士は霊達との戦いに備えて日々厳しい鍛錬を積んでいるのだ。
暫くするとその音はやんだ…
そして老人が喋る声が聞こえる。
「龍二そろそろ時間だ。今日の修行はここまでだ」
龍二が剣をスッと振ると剣は青い炎となり一瞬で消えてしまった。
獣騎士は自分の意思で剣をいつどこでも取り出せたり消したりできるようになっているのだ。
龍二は下に落ちているブレザーを着ると一言…
「師匠行って来ます」
龍二の高校生活が始まった。
龍二は悪霊達との戦いを重視して小学校と中学校を経験していない。
今日から転校生と言う名目で東京都内の高校に編入する事になっている。
何故小学校や中学校に通わなかった龍二が編入できたのかというとコネ…つまりコネクションである。
実はその高校の校長はかつて龍二の父・新次郎に悪霊から救われた過去があり龍二が息子だとわかると編入させてくれたのである。
龍二が登校する最中自分と同じ制服を着ている二人の男がこちらも同じ制服を着た四人組に脅されているのが見えた。
どうやらカツアゲされているようである。
龍二は無視して通り過ぎようとしたがどうやら四人組の一人に見つかった。
「おい!ちょっと待て!ここを通るんなら通行料払え」
龍二は一瞬声のした方を向いたが相手にせず再び歩き出す。
「ちょっと待ちやがれ!!」
四人組の男達はあっと言う間に龍二を囲んでしまった。
「お前見ねぇ顔だな」
「会った事がないんだから見ないに決まってるだろ」
龍二が切り返すと四人組はゲラゲラ笑い始めた。
龍二はため息をついて言った。
「そこを退け…遅刻しちゃうんでな」
龍二がそう言うと四人組は眉間に皺を寄せながら言った。
「だったら金払えやぁ!」
龍二は冷静に切り返した。
「払いたいのはやまやまだが…お前らみたいな下衆野郎に払う金がないんでな」
「何だと!?」
龍二の目の前の男が龍二の顔を目掛けて殴ろうとした…
さっきまで脅されていた二人の生徒も目を背けた…
が…
相手の拳を龍二は片手で掴んでいる。
そしてその男と腕を捻った。
「あぁっ!!痛ぇぇぇぇぇ!」
腕を捻られた男は手を押さえている。
「テメェェ…」
後ろにいた男が殴りかかろうとしたが龍二は後ろを振り向かず脚を後ろに振り上げた。
「ぐげぇ!?」
その蹴りは相手の胸元にヒットしてその男はフッ飛ばされた。
そして残りの二人が一斉に殴りかかろうとしたが持っていたバッグで腹部を殴られた。
四人組の不良達は地面に寝そべって痛がっている。
獣騎士は人間のままでも厳しい修練を積んでいるため常人では相手にならない。
これでも手加減したほうだ。
その光景を脅されていた生徒は目を丸くしながら見つめた。
「大丈夫だ骨は折れていない…多分な」
そう言うと龍二は再び歩き出した。
脅されていた二人の生徒うちの一人が龍二の腕を掴んで言った。
「もしかしてうちの学校に転校してくるのって君?」
「あぁ…そうだ」
「俺は古田藤次って言うんだ!でこいつが井本拓也。さっきは助けてくれてありがとな」
「辰巳龍二だ…別に助けたわけじゃない」
表情一つ変えずに挨拶する龍二。
「ところであいつらは何者だ?」
龍二はさっき二人を脅していた四人組の方を見た。
四人組はまだ痛がっている。
藤次が言った。
「あいつらはこの高校の不良だよ…毎日あそこで弱そうな奴を見つけて金を獲るんだ…渡さないと殴られるから皆渡すんだよ」
「お前ら悔しくないのか?あんな連中の言いなりになって…何故戦わない?」
すると藤次と拓也は下を向いた。
そして藤次が言った。
「俺達は君みたいに強くないから…それに喧嘩したら先生達に怒られちゃうし進学とかに不利になっちゃうから…」
実は龍二は高校に行くことを最初は拒んでいた。
しかしこれから更に己を強くするためには行かなければならないと五郎に諭されたため嫌々ながらも行く事になったのだ。
「俺達が近道を案内するよ!さぁこっちだ!早くしないと遅れちゃうよ」
藤次と拓也に連れられ高校に到着する。
そして校舎内に入り階段を駆け上がる。
「ここさ」
そこにまだ20代の女性が通りかかる。
「君達!遅刻分前だよ!あっ!君が転校生の辰巳龍二君?」
「あぁ…そうだ」
「私が担任の加賀恵です。宜しく」
人の良さそうなこの女性はこの高校の教師・加賀恵である。
教室に入ると話をしている者、机に顔を伏せて寝ているもの、ふざけてじゃれあっている者、勉学に励む者と様々だ。
担任である加賀が教卓の前に来るといきなり静かになった。
そして加賀が喋り始める。
「今日は転校生を紹介します。どうぞ自己紹介して」
「今日からこの高校に転校して来た辰巳龍二だ」
周りから一斉に拍手が起きる。
加賀の指示によって決められた席に向かうその途中に空席が二つあった。
普通なら風邪や何か用事があって休んでいるものだと思うが龍二はそうは思わなかった。
何か胸騒ぎがしたのだ。
この高校に入った時から邪気を感じていたのだ。
とりあえず指定された席に座った。
左右共に女子が座っている。
左の席の女子が龍二の方を見るので龍二もその視線に気づく。
「何か用か?」
その女子は首を横に振った。
「いや別に…あっ!えっ…と…私、小川美咲って言うんだ。よろしく」
「あぁ…」
右の席に座る女子もこっちを見ながら何か呟いている。
「辰巳…龍二だと?…まさかね…」
その言葉は龍二には聞こえていない。
「お前も何か用か?」
「私は白鳥理恵よろしくね」
龍二は理恵の顔をジッと見つめる。
「ど…どうかしたの?…辰巳君?」
龍二は首を捻りながら言った。
「どこかで会った事あるか?」
龍二は理恵の顔をどこかで見たような気がしたのだ。
「さっ・・・さぁ?」
理恵も首を捻る。
そして昼休み…
龍二は拓也と女子二人とトランプをしている藤次に声をかけた。
「藤次…ちょっといいか?」
「えっ?何?お前も入れてほしいの?」
すると残りの女子二人はクスッと笑いながら顔を見合わせた。
この二人の女子、麻生彩と杉本早苗と言ってクラスでは有名な仲良しコンビである。
「辰巳君もやろうよ!」
「そうだよ!多い方がおもしろいし」
龍二は少し呆れたような顔をして言った。
「折角だが遊んでいる暇はないんだ…また誘ってくれ。ところで今日休んでる奴が二人いるようだがしつら何故休んでいるか知ってるか?」
すると藤次が言った。
「あぁ…確か昨日から二人共高熱が出て休んでるよ。多分肝試しするとか言って夜中まで遊んでたからな」
「肝試し?」
龍二がそう言うと彩がニヤッと笑った。
「辰巳君は知らないだろうけどこの高校には昔から七不思議の言い伝えがあるの」
龍二は眉間に皺を寄せて真剣な顔つきで聞いた。
「七不思議?どんな七不思議だ?」
彩は頷いて話を進める。
「へぇ…辰巳君ってこう言う話に興味あるんだぁ」
彩の話によると一つは誰もいない筈の音楽室からピアノの音が聞こえ飾ってあるベートーベンやモーツァルトなどの肖像が動き出すと言うもの
二つ目は理科室の人体模型が動き出す。
三つ目は家庭科室に現れる血まみれのエプロンをした女性が包丁を持って襲いかかる。
四つ目はトイレに花子さんが現われる。
五つ目は倉庫に収容されている骸骨が動き出す
六つ目は体育館のボールが勝手に動き出す。
どこにでもありそうな話だが龍二は真剣に聞いた。
「はい!これが七不思議」
「おい!これじゃ六不思議じゃないか?後一つは何だ?」
すると彩も真剣な顔をして言った。
「さぁ?…何だろうね?わかんない…最後の一つは謎なの。でも聞いた話によると七不思議を全て経験しちゃうとあの世に連れていかれるとか…」
「成る程な…邪魔したな」
そしてその日の夜…
美咲は今度の期末試験に向けて居残り勉強をしていた。
もう辺りは真っ暗である。
「さぁそろそろ帰ろっと」
電気を消して帰ろうと歩いていると音楽室からピアノの音が聞こえる。
美咲は恐る恐る音楽室の中を覗くと誰も弾いていないのに勝手にピアノから音がしている。
美咲は絶句した。
するとピアノからいきなり
ガァァァァァァァァァァァァァン!!
と言う大きな音がした。
思わず美咲は悲鳴をあげてしまった。
「キャァァァァァァァッ!!」
一目散に走って逃げ出した。
しかし走っても走っても何故か昇降口に辿り着かない。
普通なら昇降口に着いている筈だが何故か辿り着いた場所は何故か理科室。
「嘘でしょ!?どうなってるの!?」
美咲はパニックになっていた。
そんな美咲に追い討ちをかけるように理科室の扉がバァァァァァァァァン!!と開いた。
中から人体模型がゆっくりと近づいて来る。
「キャァァァァァァァァァ!!」
美咲は再び大声を出した。
その頃、龍二は高校の前まで来ていた。
「さて…一仕事してくるか」
そう言うと校舎内に入っていく。
この時、龍二は凄まじい邪気を感じていた。
すると音楽室に着いた。
「何で音楽室が?」
龍二は音楽室の扉を開けるとピアノが誰もいないのに響いている。
そして後ろを振り向くと飾ってあった音楽家達の姿があった。
龍二はいきなり首を絞められ体が宙に浮いた。
「ぬおっ!?」
しかし龍二の手の中に青い炎が現れ剣に変わった。
龍二はその剣で自分の首を絞めている手を叩き斬った。
声にならない声を出し蹲る音楽家達のゾンビ達…
「オラァァァァ!!」
剣でゾンビ達を一掃した…がゾンビ達は再び何事もなかったかのように立ち上がった。
「どうなってんだ!?」
少し龍二は考え込んだ。
そして閃いた。
「俺の勘が正しければ…ハァァァァァァァァッ!!」
龍二はピアノを剣で一刀両断した。
するとゾンビ達は消えピアノの音も鳴り止んだ。
静かな音楽室に戻った…
だが時間はない…
勿論、この邪気の中に人間がいる事はわかっている。
龍二は走った…
次は理科室に着いた。
「確か人体模型だったな」
扉を開けると人体模型が近づいてきた。
「オマエ…ノ…カラダ…ホシイ…」
「生憎お前にやる体は持ってないんだ」
体をくれないとわかると人体模型は龍二に向かって飛び掛ってきた。
しかし龍二はあっさりと一刀両断した。
人体模型の体が真っ二つになり床を転がった。
そして次の七不思議は…
龍二は風の如く走る…
「家庭科室か…」
家庭科室に入ると血まみれのエプロンを着た女がいた。
「ワタシ…ノ…リョウリ…ニシテアゲル…」
「出来るもんならやってみな」
龍二は剣を構えた。
血まみれの女は不気味な笑い声をあげた。
そしていつの間にか龍二の目の前にいた。
それには龍二も驚いた。
だがそんな暇はない。
その女は包丁を振りかざした。
龍二はそれを間一髪で交わすと包丁を持っている手を切り落とした。
そして一閃した。
その女は煙のように消えていった。
龍二は走って次の七不思議の場所へ向かう。
次の場所はトイレだった…
「花子さんか…」
龍二は何かに吸い寄せられるように三番目のトイレに入った。
そこは真っ暗闇の中で自分の姿以外何も見えない。
すると一人の女子高生がこっちを泣きながら睨んでいる。
龍二は剣をその女子高生向けた。
「お前が花子さんか」
その女子高生は涙ながらに訴えた。
「俊一…どうしてレミに酷い事するの?どうしてレミを殺したの?どうして道連れにするの?」
「俺は俊一じゃない…大人しく成仏するんだな」
その女子高生の霊の顔は美少女から見るも無残な化け物へと変容していた。
目は剥き出し肌が茶色くなっている。
「シュンイチ…ドウシテワタシヲコンナフウニシタノ?」
もうさっきまでの人間らしさは残っていない。
飛び掛ってきた女子高生の霊の腹に剣を突き刺した。
「グゲャャャャャ!!」
女子高生の霊の顔が元の美少女の顔へと戻った。
「私を救ってくれたのね…君…名前は?」
「俺の名前は…辰巳龍二…悪霊を狩る獣騎士だ」
その霊は苦しそうだが顔は笑っている。
「俊一は私みたいに一筋縄じゃいかない…気をつけてね…」
その霊は浄化され煙のように消えた。
龍二は呟いた…
「悪く思うな…悪霊を退治するのが俺らの仕事だ…成仏してくれよ」
龍二は再び走り出した…
そして辿り着いたのは倉庫だった…
龍二は人間の気配を感じた…
龍二は扉を開けた。
中には五体の骸骨が美咲を囲んでいる。
「お願い…誰か助けて」
美咲は目に涙を浮かべている。
「お前らの相手は俺がしてやる!そいつから離れろ!」
「えぇ!?辰巳…君!?」
いきなり龍二が剣を持って現れたので美咲は驚く。
骸骨は一斉に龍二の方に向かってきた。
「雑魚は失せろ!」
足技だけで骸骨を一匹残らず一掃した。
どうやら骸骨の体は脆く龍二の蹴りだけでバラバラになった。
龍二は美咲の方へ向かう。
「辰巳君…何で?…どう言う事なの?」
「小川美咲と言ったか?つくづく運が悪いようだな」
状況が理解できない美咲。
「話は後だ。先を急ぐぞ」
だが美咲はしゃがみこんで動かない。
「どうした?時間がない」
「動きたくない!!だってあんな化け物が出てきたら…もう…嫌!!」
龍二はため息をついた。
「このままだと俺ら二人共もうこの空間から出る事は出来くなる」
「そんな…」
「死にたくなかったら勇気を出せ…心配するな必ず俺が守る」
今までの恐怖が美咲に襲いかかる。
だが生きるには龍二の言葉を信じるしかない。
龍二は美咲に手を差し伸べた。
美咲は龍二の手を握った。
「俺の手を放すな」
そして美咲と手を繋ぎ走り出した。
次に着いたのは体育館…
「勝手に動き出すボールか…絶対俺から離れるんじゃないぞ」
龍二は集中して目を閉じた。
辺りの邪気を感じとるためである。
「そこだぁ!!」
剣を横に振り切るとバスケットボールからプシューっと空気が抜ける音がした。
しかし次から次へとバスケットボールやバレーボールが飛んでくる。
斬っても斬ってもボールが次々に飛んでくる。
バコッ!!
「ぐわぁ!!」
バスケットボールが龍二の顔面を直撃した。
「美咲!隠れてろ!!」
そう言うと美咲は慌てて物陰に身を隠す。
「クソッ!!これじゃキリがない!こいつの本体は何だ…もしや!?…ウォォォォォォォッ!!」
龍二はボールの飛び出してくる体育館備品倉庫にボールを剣で受け流しながらながら向かった。
そしてそこにあったのは空気入れだった。
「元凶はこれか…」
剣で空気入れをぶち壊すとさっきまで体育館に浮いていたボールが地面に落ちた。
「梃子摺らせやがって…」
龍二は備品倉庫を出て美咲のもとに向かった。
美咲は地面に伏せている。
「もう大丈夫だ」
美咲は立ち上がって安堵の表情を浮かべた。
「私達助かったの?」
すると龍二は険しい顔をして言った。
「まだ七不思議は終わってない後一つ残っている。俺にも最後の七不思議がどんなものなのかはわからない」
すると体育館の真ん中に青白い顔をした男子高生が現れた。
勿論この男子高生は霊である。
「おもしろくないなぁ…お前いったい何者?」
龍二は怒りに満ちた鋭い目でその霊を睨みつけた。
「お前が俊一かぁ!?」
「そうだよ…僕が俊一だよ」
「レミと言う奴を知っているな?」
「あぁ…あいつね…俺がいながら他の奴と付き合ってたからさトイレで顔を切り刻んだんだよ…そして俺とあいつは心中した事になってる。そして俺はあいつを現世へと閉じ込めたんだ。ギャハハハハハ」
「お前ぇ!!許さん!!ウォォォォォ!!」
龍二は霊に向かって走った。
「俺はあいつらみたいに雑魚じゃないぜ?」
龍二が振りかざした剣を受け止めると腹部に強烈な蹴りを入れた。
「ぐおぉぉぉぉ!!」
その蹴りによって龍二は吹っ飛ばされて体育館の壁にぶつかった。
「ぐぅ…」
立ち上がれない龍二をその霊は髪を掴み再び蹴りを入れた、
また龍二は吹っ飛ばされた。
龍二は何とか立ち上がり時計を見た。
後、数十分でこの空間から出られなくなってしまうのだ。
「後、10分…マズイな…こうなったら…」
龍二は目を瞑り剣に気を集中させた。
すると剣から青い炎が出た。
その炎は龍二を包み込んだ。
龍二の姿は青くメタリックなボディーに龍のような顔をした騎士に変わった。
その姿を見て美咲は絶句した。
「嘘…何で!?」
そう美咲の頭に今でも昨日のように現れる記憶…
一年付き合っていた恋人を獣騎士に殺された記憶。
その獣騎士の姿はぼやけているのであの獣騎士かはわからない。
だが彼女にとって獣騎士は誰よりも憎いものなのである。
「これが獣騎士か」
変身した姿に驚く霊…
「だが…俺の相手じゃない…何!?手が動かない!?」
何とさっき龍二が浄化した筈の女子高生の霊が手足を摑まえている。
「レミィィィィィ!!貴様ぁぁぁぁぁぁ!!」
「さあ…早くこいつを倒して!」
「お前…何でまた出てきたぁ!?お前…これで本当に成仏できなくなったぞ!?」
「いいの…さあ早く」
龍騎士の剣が青い炎で包まれた。
「オリャァァァァァァァ!!」
龍騎士の青い炎が霊を直撃した。
霊は声にならない奇声を発して消えた。
龍騎士の手から剣が消えた…
そして龍騎士の体は青い炎に再び包まれた。
炎が消えると龍二の姿が現れた。
龍二は美咲の方へ向かう。
「この事はくれぐれも黙って…」
美咲は泣きながら龍二を突き飛ばし体育館から走り去った。
龍二は美咲の去った方向を見つめる事しか出来なかった。
そんな龍二を理恵が物陰から見ていた。
「やっぱりあの龍二だったか…」
理恵の言葉の意味とは…
結局最後の七不思議は最後の悪霊だったのだ…
何故最後だけ伝わらなかったのかと言うと運悪く全ての六不思議を体験した者は最後の悪霊に殺されると言う事だったのだ…
七不思議を経験すると生きては帰れない…
だからこの高校は七不思議の最後の部分を知るものはいないのだ…
あなたの高校にももしかしたら恐怖は潜んでいるかもしれません…
続く