2001年10月25日 日本武尊艦長室
***********side 佐藤's memo***********
帝国海軍北方艦隊の西崎艦隊司令か受けた連絡では、帝都、東京に向かうように。との事だった。
当艦が最優先に移動出来る様、他の船舶の日本近海の航海については制限を掛けて頂けるとの事だったが、
しかし万が一の他の船舶が有った場合の事を考え、日の出の1時間後の07:09に行動開始とする事とした。
その後、福島県沖で帝国海軍の巡洋艦らと一時合流、明日10時より歓迎式典があるとの事。本日は当海域にてにて投錨。
***********side end***********
2001年10月25日 15:12 東京湾 大和武尊 第一艦橋
***********side 佐藤 大輔***********
タン・・・・ タン・・・・ タン・・・・
窓の外から戦艦が空砲を撃つ音が響き渡る。
はっきり言おう。 俗に言う"ぴんち"である。 と。
なぜなら。
なぜなら、当艦には 信号弾発射装置を積んでいないのである。
タン・・・・
タン・・・・
タン・・・・
「艦長。礼砲7発、確認致しました。答砲はいかがしますか?」
・・・・・・・・・・・・・やらない訳にはいかないだろう。
しっかし。CIWSでやる訳にもいかないし、もちろん対空ミサイルや対艦ミサイルを使うわけにもいかない。
「主砲、1番,2番,4番,5番,7番,8番,10番。射撃命令」
「方位角、1814。1発射角、1427。発射間隔5秒。・・・・射撃用意」
【2番砲、準備ヨシ】
【5番砲、準備ヨシ】
【8番砲、準備ヨシ】
【1番砲、準備ヨシ】
【4番砲、準備ヨシ】
【7番砲、準備ヨシ】
【10番砲、準備ヨシ】
『艦長。1番,2番,4番,5番,7番,8番,10番。 全門準備完了しました。』
「射撃用意・・・・・・ 用意・・・・・撃て!」
***********side end***********
2001年10月25日 15:12 東京湾 大和 第一艦橋
***********side 帝国海軍大佐・上林 浩***********
直径1m~2m。長さ70mはある砲がまるでオーケストラの指揮者が振るう指揮棒のように軽やかに、そして即座に旋回し、仰角をとる。
普通の(?)艦載砲が1400ミル(80度)近い仰角を取れるか?そして1800ミル(100度(3時半方向))程度旋回して仰角を取るまでに掛かった時間が
1秒以下、などと言う事が、ありえるか?
ドォン・・・・ ドォン・・・・ ドォン・・・・ ドォン・・・・ ドォン・・・・ ドォン・・・・ ドォン・・・・
先日の"北海道の奇跡"(北海道の悪夢)の教訓で、十分な距離を離れていたため、転覆はせずに済んだ。
***********side end***********
2001年10月25日 17:22 東京 帝都城 謁見の間
***********side 佐藤 大輔***********
「それは、我々に帝国斯衛軍に入れ、と言う事でしょうか?」
東京湾で歓迎を受けた我々は滞りなく式典を消化し、帝都城にて私、佐藤
目の前にはこのご時世にも拘らず過美に着飾り、前時代的な言い回しの、自称"征夷大将軍"煌武院 悠陽
その横の護衛
その3人だけの密会となった。
広間は縦に長く板張り。その先が一段高く、其処だけが畳張りと成った、いわゆる小中学校の体育館のステージの様なつくりと成っていた
「左様。今回新たに帝国斯衛海軍を設立しますゆえ、其処に将軍直属の遊撃艦として所属していただきたく思います」
つまり。だ。 斯衛軍 と言うのが征夷大将軍の護衛であり、私兵。
その中に我々も加われ。との事か?
「お断りします。我々は天皇陛下の軍隊です。そして我々は裕人陛下の恩義に報いるべく行動するものであり、
それ以外の、ましてや征夷の侵略者共に付き従うために存在するのではありません」
「貴様!」
眼鏡の護衛・・・・ 月詠と言ったか? が怒り立ちそうになるが悠陽に手で制される。
しかし、その程度で済ませる気は更々無い。
「そもそも、征夷大将軍とは何でしょうか? 蝦夷地、つまりは東北、北海道それらを制圧する為の軍隊。その大将の呼び名と言う事はご存知のはず。
つまり、何故、天皇陛下ではなく、忌むべき征夷大将軍に付き従わなければならないのか。つまりはそう言う事です。」
「殿下を愚弄する気か!」
辛抱堪らん。と言った様子で踏み込み、柄に手を掛ける。
「月詠 真耶中尉、と言われましたか。貴女にも少々お尋ねしたい。
私には貴女が刀の柄を手にしている様に見えますが。何をなさるおつもりですか?
私の首を刎ねる御積りかな? それも選択肢の一つではありますが、その場合、報復が有る事は予想に難しくないかと思いますが、其処までお考えになりましたか?」
ちなみに、報復手段としては、オーソドックスに艦砲、及び巡航ミサイル等による関東以南への無差別・飽和攻撃です。
当然、我々としては帝国を相手に戦争を行う等と言う無駄な事をする気は毛頭御座いませんが、何事にも例外ということは御座います。
もし、貴女が賢明な方であれば良いのですが、そうでない場合、我が艦が砲撃をここ、帝都城に行う可能性も全く無いとは言い切れません。
もし、万が一にもそうなってしまった場合、貴女は煌武院 悠陽さんを守りきれますか?
前回は使用しませんでしたが、我が艦には核弾頭を限定的では在りますが、生産・核弾頭ミサイルとして運用を運用する能力もあります。
そして例え地下シェルターに逃げるから問題ない、と考えられるかも知れませんが、50秒後に第1波の砲弾が着弾。それから1秒以内に第3波までの砲弾が着弾します。
その最中に地下シェルターに、僅か数分の内に避難をすることは可能ですか?
そして、攻撃開始から3分以内に巡航ミサイルも飛来する。その様な状況が約1時間半は続くとすれば?
貴女と、煌武院 悠陽さん別として他に大勢の人命が犠牲に成るのでしょうね。
もっとも、その様な事態に成る事を我々が望んでいるわけでは有りません。ですが、貴女の今後の行動次第ではどうなるか分かりませんよ?」
「ふん!世迷い事で我々を愚弄するか!!」
「それでは・・・・ この話が与太話だとして。昨日の大規模なBETAと言いましたか。それらの南下、及びそれらの撃破に付いてはどの様に?
話によると、人類の軍で言う2個旅団から1個師団に相当する戦力だったとか。
まさか、北方艦隊の狂言だとでも仰るのですかな? 月詠"中尉"」
「くっ」
「おやめなさい 月詠さん」
「佐藤どの。月詠が失礼を致しました。ですが、これも私を思っての事。どうか平にご容赦下さいませぬか?」
凛とした声。只の驕れる少女と思っていた煌武院 悠陽の意外な一面を垣間見た一瞬で有った。
「容赦も何も。 私はただ単に起こり得る事象と、其れへの対応をお話したに過ぎません。」
「そうでしたか。それでは佐藤さん。 私はこの日の本の国を守るべく、力を欲しています。
どうか、あなた方の力を貸していただく訳には参りませぬか?」
元々正座であった煌武院 悠陽が深々と頭を垂れる。 つまりは土下座の状態となった。
「・・・・・・・・・あれだけ言われてなお、我々に力をかして欲しいと頭を垂れる事が出来るのですか。
それが貴女の覚悟ですか?
非常に興味深いですね。 では、そうですね
皇帝陛下と、この日本。そして、征夷大将軍としてでは無く"煌武院 悠陽" それらの為に微力ながら手をお貸ししましょう。
先ほど貴女の言った、"帝国斯衛海軍・遊撃艦"ですか。名目はあなたがたで決めていただいて結構です。ただし
一つ。我々は皇帝陛下の平穏を最優先します。従って、何らかの作戦中であれ、皇帝陛下に大事があれば、作戦を放棄も止む無しとします。
一つ。我々は東北、北海道の地を優先します。従って、何らかの作戦中であれ、彼の地に大事があれば、作戦を放棄も止む無しとします。
一つ。上記二点の際に、我々の作戦放棄を防ぐ為に情報を秘匿したことが発覚した場合、征夷大将軍以下帝国総理大臣等を敵と断じ、最悪関東以南への無差別・飽和攻撃
を実施します。
四つ。非公式で結構ですので、皇帝陛下から、日本帝国国務全権を政威大将軍に代行させている。とのお言葉を頂きたい。
五つ。我々の母港となる専用の港および関連施設を用意していただきたい。規模としては、全長2km程度の湿ドック又は浮きドックを用意していただきたい。
六つ。松型駆逐艦・・・・・ いや、予備役艦でも老朽艦でも、駆逐艦クラス以上の船体をを3隻譲渡していただきたい。
七つ。合同で作戦を行う場合、観測用として3隻用意していただきたい。これは、三角測量に従事していただく予定のため、作戦の際に派遣いただきたく。
八つ。我々は、作戦に協力はしますが、いずれの指揮下に入る予定もありません。全ての指示などは、協力要請という形をとっていただきます。
九つ。本来船舶に使用する物資以外の物資も必要に応じてある程度用意していただきたい。又、作戦実施に当たってある程度の軍資金を用意していただきたい。
十 。我々の居た世界と異なる武装、例えば戦術機等について、有る程度の情報を開示していただきたい。例えば運用する機体の最大離陸重量など。
とりあえずは以上です。要するに、協力はしますが、有る程度自由に動けるよう、便宜を図っていただきたい。と言うことです。」
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 戦艦大和武尊 砲配置(主砲のみ) @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
● => 艦橋
→ => 砲配置方向
=> => 進行方向
ヲ→リ→ヘ→ハ→
●ヌ→ト→ニ→イ→ =>
ル→チ→ホ→ロ→
このような砲配置。
イロハ~ヲ が1番砲~12番砲
11,12番砲が艦橋の左右に来る配置で、主砲は全て進行方向に向けて配置されており、主砲での後方への砲撃は考慮されていない。
これは、旋回能力の高さと、艦載の誘導兵器等で対処可能と考えられたためである。