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[22069] 【リトバス×遊戯王】リトルバスターズ!アフターサマー【完結】
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:d975b5ac
Date: 2013/07/23 19:44
どうもこんにちは、グルナードと申します。
リトバスと遊戯王のクロスSSです。
といっても、キャラはリトバスのキャラしか出てきませんが。

注意点
・時間軸はRefrainの後で現実世界。一応ネタバレ注意?
・日付と曜日は本編にあわせて2007年のものを適用。
・この世界での遊戯王の扱いは現実世界のものと基本的に同じのはずでした。
・一応キャラ崩壊注意報。研究はしてるつもりではいますが…。

沙耶関係補足
・あくまで名前は「朱鷺戸沙耶」で。
・回想シーンのりき=理樹という解釈。
・理樹以外のメンバーとの面識は無し。

デュエル関係補足
・禁止・制限カードは基本的に執筆時の物を適用しています。
・ライフは初期4000ポイント。

他、デュエル関係でミス等あれば指摘してくださるとありがたいです。

7/9
70~72話、エピローグ追加。
2年と9カ月続いたこの作品も、ついに完結です。
思えばここまで本当に長かったですね。
飽き症の自分がよく最後まで書き遂げられたな、と自分でも少し感慨深いです。

クドの最終デッキは日本のイメージで武神。デッキ名「武乃神々」
そして"世界"のデッキは地風火水全てを操る征竜。デッキ名「世界の理」

7/4
66~69話追加。
実は恭介の差し金でした。
理樹の最後のデッキは生まれ変わったジャンクドッペル。デッキ名「最高の仲間たち」
マスク・ザ・斎藤のデッキは恭介との対比でヴェルズ。デッキ名「イロージョン・ヴェルズ」

7/3
63~65話追加。
実はこの辺は大分前から書きあがっていたんですが59、60話の展開がなかなか決まらなかったという。
クロのデッキは鈴のデッキを少し弄った物。デッキ名「ブラック・ジュエル・ニャット」

6/30
連続になりますが61話、62話更新。
美魚VS美鳥の水属性ミラーは初期段階から考えていたんですがやっと書けました。
美鳥は美魚のリチュアとの対比で水精鱗。
デッキ名は「夢幻の蒼」。
美魚の初期デッキと同じ読みの文字違いにしています。

6/29
正直分割しなくても良かったかな?という感じで59話、60話更新。
全ての終わりに向けて、動き出します。

6/4
御無沙汰してます、58話更新です。
いつの間にか魔導が環境トップになってしまいましたね…当初はそんなつもりは全くなかったのですが。

4/23
アニメも終わり2期も決定したのでとりあえず生存報告を。
一応アニメから入った人向けに注釈加えておくと、こちらは原作準拠なので一部キャラの呼び方がアニメと違いますがご了承を。

1/19
57話追加。
結局デートシーンを考えるだけで年を越してしまいました。
BK→真人はマドルチェ→小毬くらいのハマり役。
デッキ名「灼熱筋肉バーニング・マッスル」。
あと、追記になりますが指摘のあった51話のデュエル内容修正してます。

12/19
56話追加。
自分にはデートシーンは書けないと悟った。
ホラー映画なのは申し訳程度にKanonのオマージュ。

次回作も徐々に構想固めてます。
この感じで行くと直接の続編になりそうですが。

11/1
55話追加。
繋ぎの回なので短め。
最近は理樹の声がアニメ版の声で再生されるようになってきました。

10/22
54話追加。
ちなみに関西じゃジョジョ→リトバスの流れでアニメ放送中。
なにげに福寿草ネタが被るんですこの人。
氷室のデッキイメージはズバリ「宇宙」。
デッキ名「コズミック・フォトン」。

10/17
53話追加。
彼女の曲、何気に好きです。

51話のデュエルパートに不備があったので修正。
困った時の貪欲な壺。

10/16
52話追加。
わふたーのキャラもちょっとだけ絡めて行きます。

10/4
51話追加。
これもずっと書きたかった話の一つです。
古式のデッキは死者、ということでアンデット。
デッキ名は「絶たれた命」。

ちなみに古式に関してはあの事件で亡くなっているという解釈ですね。
というか、そうでないと「茶番だぁぁぁぁぁぁ!!」の件の説明がつかないってのもありますが。

10/3
50話追加。

9/19
49話追加。
夜会(?)はもうちょっとでお終い。
そろそろ物語も動き出します。

9/4
48話追加。
長くなりそうなので2分割。

9/1
47話追加。
セイクリッドも最近よく使うので勝ちパターン、負けパターン共に良くわかります。
先攻プレアデスやった時点で恭介は勝ちを確信してしまった感じですね。

8/31
45、46話追加。
地下迷宮編も終わり一段落。
時風のデッキは、ラストで沙耶にあれをやらせるためだけのデッキです。
デッキ名「ゲームオーバー」。

8/28
44話追加。
自分も理系なのでクドには妙な親近感が沸くんですよね。
結構自分なりの「科学観」が入ってます、今回。

8/27
43話追加。
NYP濃度、上がってます。

8/26
42話追加。
鈴木の発言が徐々に意味を持ち始めます。
ついでに、今まで使ってた曲が「MY BRAVE SMILE」「密やかなさざめき」「スローカーブ」「幻日」に偏っていたので、他の曲も使えるような構成を考えていたりします。
最も、BGM指定のあるSSというのもあれですが…この辺は動画で作ろうとしていた時の名残もあるので。

8/15
41話追加。
ここからどんどんカオス度が増していく…予定。

8/12
気がつけばもう40話。
そして確実に近付く2周年。
詰めデュエルは多分他にいくらでも攻略法あると思いますがその辺の突っ込みはナシの方向で。
ちなみにみおちんの装備はヴァイスの「サイバー?美魚」のイメージで。

8/7
39話追加。
多分この流れだと沙耶パートだけ異常に長くなる。

8/5
38話追加。
この1日は長くなる…予定。

7/27
時間があるうちに書いておこう!
ということで36、37話追加。
なんかもう小毬にぴったり過ぎるテーマが出てきちゃいましたね。デッキ名は「はっぴー☆まどるちぇ」。
一方拓也のデッキはタイムリミットを重視した構築に。デッキ名「デステニー・カウントダウン」。

7/26
最近なんか重い?
35話追加。
沙耶の新デッキは機皇。デッキ名「ミッションコード・2」

少し質問があったので補足。
デュエルパートに関しては、「どっちが勝つか」「互いのデッキテーマ」「デュエル中のドラマパート」くらいしか実は決めてなくて、結構書きながら決めてる節が多いんです。
特に今回の二重召喚なんかも辻褄合わせで入れてたりするんで現実だとあまり使わないようなカードもちらほら出てきてます。
最初からオチが決まってたデュエルは23話のタッグデュエルのラストくらいです。

6/25
34話追加。
朝パートをこれだけしっかり書いたのって初めてかも。
あと理樹のデッキが何気に強化されてます。

6/20
ペース上げると言ったのはどの口だ。
ということで33話追加。

5/8
31話、32話追加。
ずっと来ヶ谷のターン!
一番ネタに困るのが彼女でした。
残りのメンバーの話はだいぶ固まってきたのでここからちょっとぺース上げていきたいです。

4/17
30話追加。
そして祝アニメ化決定!
理樹のデッキの変わり方はわかる人にはわかるはず。
無くなった前のデッキもどこかで…?
新デッキは最近のカテゴリの中で主人公っぽいものを選択。
デッキ名は「AliceMagic」。

3/12
29話追加。
伏線回という位置づけになってます、一応。
佐々美のデッキは鈴の宝玉獣との対比で同じ宝石モチーフのジェムナイト。
デッキ名「クリスタル・ジェム」。

2/20
26話~28話追加。
お待たせしました、クド編です。
プレイ済みの方には明らかに本編意識してるの丸わかりでしょうが。
わふたーの中で宇宙に上がった的な話があったので。
チェルヌシカのデッキはクドルートのキーワード「歯車」から代償ガジェットを。デッキ名「噛み合う歯車」。

ちなみに、これとは全く別に新作SSの構想も2つほど考えていたりします。
掲載するかはどうかはこれが完結してからの話になりますが。

1/31
イメージしろ!女子達のその後の光景を!
と、いうわけで25話追加。
ちょっと補足を加えておくと、彼女達は「世界」の中で(鈴は現実世界で)「一線」を超えている上にヒートアップしていることも加わって、「理樹君にならべつにいいや」状態に陥ってたりします実は。
ちなみにこのお茶会、もうちょっと続きます。

1/29
ソーラー・エクスチェンジの処理を修正。
それだと墓地が足りないので微妙に手も変えてあります。

1/28
24話追加。
ギガンテック・ファイターは効果破壊されるために存在する。
小毬の新デッキはDT地属性繋がりでX-セイバー。ナチュルシンクロ採用型。デッキ名「Xの剣士さん」。

1/21
22、23話追加。
葉留佳奈編は最初から二人一緒にやる予定だったんですが、開闢復帰がラストの演出構成に一役買ってくれました。
ちなみに、敵側は禁止制限を1枚だけ無視して使用してきます。
葉留佳の新デッキは魔法使いデッキ。実はまだ出してない「裏切り札」もあります。デッキ名「はるちんミラクルマジカルデッキ」。
佳奈多のデッキは「正義」のイメージで組んでます。デッキ名「ジャッジメント・レイ」。
フタキのデッキは新カテゴリ「聖刻」のデッキ。デッキ名「神聖なる光」。
サイグサのデッキはドラゴニック・レギオンの改造型。デッキ名「堕落の闇」。

実は先にクド編をやる予定で組んでいたんですが、作中の曜日の都合で変更。
クド編は作中で土曜日か日曜日になるように調整し直してます。

そして12話のミスを修正。
テトラオーグルじゃゲイルで倒せないですね。

12/30
21話追加。
真人の戦士単デッキは実は自分の愛用デッキなので凄く書きやすいんです。
勝ちパターン、負けパターン共に。
理樹のデッキはより高速化したクイックダンディに。デッキ名は「リトルバスターズEX」。

12/2
19、20話追加。
皆デュエルランキングに合わせて思い思いのデッキを持ってきています。
恭介の新デッキのイメージは「結束」。デッキ名は「ユナイト・セイクリッド」。
来ヶ谷の新デッキのイメージは「鬼畜闇」。あのカテゴリは絶対に何かがおかしい。デッキ名は「絶望と戦慄」。
小毬のデッキも何気に新しいのに変えてますが、それは追々。
しかし、真人にやらせても画になりませんねほんと。
とりあえずこんな感じ(?)で個々のキャラを掘り下げていくつもりにしてます。

11/27
お待たせしました、18話です。
少し私事で色々あり滞ってましたが、とりあえず片付いたので再開していきます。

8/28
17話追加
デュエルパートは無しで、第2部の導入編といった感じです。
1話で恭介が言っていたデュエルランキングをスタート。
またこの先シリアス展開を増やしていくつもりです。

8/25
なんだかんだで半年開いてしまいました。
今回で一応の区切りになるのですが、その先の構想がなかなか固まらず遅くなってしまいました。
次回からは佐々美ルートを跨いでしばらく先の話にする予定です。
あと次回から禁止・制限を2011年9月版に移行します。
追記:指摘のあったダンディライオン関係を訂正。
意外と便利ですよあのカード。

4/29
生きてます。問題ないです。
16話以降は近いうちにアップするつもりです。

2/13
15話追加。
説明は失敗フラグ。
沙耶のデッキはスパイから連想した機械デッキ。デッキ名「ミッションコード・1」
ちなみに14話とあわせてこっそり13話のネタ回収してたりします。死んでないけど。
また少し指摘があったので、デュエル時の手札や伏せカードの枚数の表示形式を変更してみました。
各ターンの開始時にターンプレイヤーの手札と伏せカードの枚数を表示しています。

2/10
14話追加。
沙耶を何とかして入れたかったので若干無茶してますが。

2/9
13話追加。
繋ぎの回なので少し短めです。
…下の広告の筋肉には軽く戦慄します。

2/6
指摘のあったガスタの巫女 ウィンダ関係の点を修正。

2/5
お待たせしました、12話です。
年末からしばらくインターネットが使えない状況が続き更新が大幅に遅れてしまいました。
今回のデュエルでは美魚と謙吾、真人に新デッキを。
またクドのデッキを大幅強化。
美魚は「鏡」のイメージのデッキに変更。デッキ名「鏡面の蒼」
謙吾は「巫女好き」のイメージデッキに変更。デッキ名「緑風一閃」
真人はトールを没収されたため新たな筋肉を。デッキ名「マッスル・ファイターズ」
クドは「六人の侍」を最新カードで強化。デッキ名「真・六人の侍」

12/8
第12話編集中
デュエル終盤を丸々作り変えることになったためもう少しかかりそうです。
そしてクドのガチ六武衆が大変なことに…。

12/7
第11話追加
デュエルパートが想像以上に長くなりすぎたため分割。
後半は細かい部分の修正ができ次第投稿するつもりです。

11/14
第10話追加。
最近忙しくて投稿が大幅に遅れてしまいました。

10/3
第9話追加。
当初の予定だとビーチバレーだったのですが、話の辻褄が合わなくなるため変更。

9/30
第8話追加。
今回はデュエルターミナルです。
勝手なイメージですが、美魚は絶対こういうの得意だと思いますね。

9/29
指摘があった4話、5話のデュエル内容を修正。
師範は回収しなくても手札が足りたのと、牡蠣トークンはどの道ネオダイダロスで消えていたのでそれほど影響はありませんでしたが。

9/26
第7話追加。
今回はデュエル無しで本編関連のネタをいくつか。

9/24
各キャラにデッキ名追加。現在7話製作中。

9/23
第4~6話追加
鈴は「猫」のイメージで選択。レスキューキャットの禁止化で猫シンクロが構築不可なのでこのような形に。デッキ名「ジュエル・ニャット」
クドは「日本好き」のイメージで選択。じゃぱにーず・さむらい・ぱわーなのです!デッキ名「六人の侍」
恭介は「初代社長」のイメージ。声ネタです。デッキ名「百獣の王」
美魚は「青」のイメージで。美魚ルートのクライマックスシーンが海辺だったのでそれもイメージしてます。デッキ名「夢幻の青」
謙吾のイメージは「堅実」。武士デッキは先にクドでやってしまったので。実を言うとトラスト・ガーディアンの兼ね合いもあってなのですが。デッキ名「トラスト・ハート」
真人のイメージはもちろん「筋肉」。今回はある意味本編最強の筋肉に登場願いました。デッキ名「筋肉神降臨」

9/22
第2話、第3話追加。
理樹のデッキは「主人公」のイメージで遊星風ローレベルシンクロ。デッキ名「リトル・バスターズ」
小毬のデッキは「絵本」のイメージ。デッキ名「なちゅらる・ふぁんたじぃ」
来ヶ谷は「外道黒」、葉留佳は「トリッキー」のイメージで。とりあえず葉留佳には無意味に叫ばせたかった。
デッキ名は「黒き絶望」と「はるちんスペシャルデッキ」
2話誤字修正。指摘ありがとうございます。

9/21
早速第1話投稿。
予め用意しておいた筈のテキストが途中で途切れてしまっていて遅くなってしまいました…。



[22069] 第1話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:d975b5ac
Date: 2010/09/22 20:45
「よう、皆揃ってるな」
「きょ、恭介!」

9月8日
あの修学旅行の事故から何ヶ月か経った。
クラスの皆も少しずつ戻ってくる中、僕達の―リトルバスターズの、最後の1人が帰ってきた。
そして彼は、教室の中の僕らにこう告げた。

「俺たちだけで、もう一度修学旅行だ!」


リトルバスターズ!アフターサマー


土曜日の放課後、僕達は恭介の運転するワゴンに乗り、学校から1時間半ほどの海辺に来ていた。
恭介が言うには、この辺りにある知り合いの宿を格安で借りられたという。
今年の夏は足早に去っていった。
さすがに海に入るには少し寒いかもしれない。
それでも、恭介は何か考えているんだろう。

「うわ~、おっきい建物~」
「むむむー、なんというかお城みたいですなァ」
「わふー、じゃぱにーず・きゃっするなのですかー?」

僕達のたどり着いたのは、このあたりではそこそこ名の知れた名門旅館だった。
正直、このでかさは想定外だ。
本当に知り合いだから、という理由で格安で借りられたのだろうか?
…本当にそうらしい。恭介がその旅館の人と思しき男性と親しげに話している。

「とりあえず真人少年、それも頼むぞ」
「うおぉぉぉー!!なんでオレばっかこんな役回りなんだよぉー!!」

真人が来ヶ谷さんに大量の荷物を持たされていた。

「仕方ないだろう。俺は退院したてだし、完治したとはいえまだ今の謙吾の足で4階までそれだけの荷物を運ばせるのは酷だろう?」
「こ、こういう時のための筋肉だよ、真人。頼りにしてるよ」

とっさにフォローに入る。

「へ、ありがとよ。よっしゃぁ!どんどん持って来い!」
「うむうむ、素直な子は好きだよ、おねーさんは」

ドカドカドカッ
真人の背中にさらに荷物が乗せられる。
さすがにバランスを崩したのか真人が前のめりになって倒れ、崩れてきた荷物の下敷きになる。

「うおぉぉぉっ!乗せすぎじゃー!!」
「おや、どんどん持って来いといったのは君じゃなかったか?」
「い、井ノ原さん!大丈夫ですかー!?」

ドンマイ、真人。
僕は心の中でそう呟くしかなかった。


恭介が借りたのは隣同士の和室2部屋。
人数の関係上広いほうを女子が使うことになった。
窓を開けると、海が一望できた。

「ほぉ、なかなかいい部屋だな」
「だろぉ?」

格安とは言っていたが、いったいいくらかかってるんだろうか…。
僕達の部屋は6、7畳くらいの和室だ。
といっても、奥に縁側があるので実際はもう少し広い感じだ。
みんなで集まって座ることができる位の広さはあるだろうか。

「さて、と」

荷物をひとしきり運び終え、僕達が着替え終わったところで恭介が携帯を取り出す。(ちなみに謙吾と真人はいつものままだ)
誰かに…おそらく隣の部屋の女子の誰かにメールをしているのだろう。
程なくして、皆男子部屋にやってきた。
女子も皆私服に着替えていた。

「さて、とだ」

皆が揃ったところで、恭介が話を始める。

「…久しぶりだな、こうして皆で集まるのも」
「なんだ?いきなり神妙な顔しやがって」
「まぁ、こういう場だ。明るく行こうじゃないか、恭介」
「あぁ、すまんすまん。おほん!」

わざとらしく咳を一つ。

「さて、今日は一つ新しい遊びを提案しようと思う」
「はぁ、またなんで」

真人が微妙な声を上げる。

「まぁ聞けって。まぁこうやって久しぶりに皆で集まったわけだが、さすがに今の体ですぐに野球はできないだろう」
「まぁ、そうだろうね」
「それに、バトルもしばらくはダメだ」
「何でだよ?」
「考えても見ろよ。俺たちはまだ病み上がりなんだぜ?お前や謙吾くらい鍛えているなら別として、女子にはまだ酷だろう。それに西園は足を折っていたと聞くからな。まだ激しい動きはダメだろう。野球ほどではないとはいえ、バトルでもそれなりに動くからな。それと、俺自身背中の傷がまだ完治していない」

恭介の背中の傷。
横倒しになったバスから漏れ出る燃料を、意識を失いながらも押さえつけていた恭介の姿を思い出す。
あの時恭介がそうしてくれていなかったら、僕達はここにいなかったかもしれないんだ。

「じゃ、今度は何するんだ?恭介?」
「…鈴、たまにはお兄様とか」
「やじゃ」

言い切る前に一蹴された。

「…(21)」
「はぁ?」

西園さんが謎の単語を呟く。

「いくらかわいいからといっても、能美さんに手を出してはダメですよ? もちろん、妹の鈴さんにもです」
「…何が言いたい、西園?」
「いえ、お気になさらず」

なぜ一瞬クドの名前が出たのかは謎だが、とりあえず深く考えないことにしよう。

「とりあえずだ。野球に代わるイベントはもう考えてあるが、それはまた向こうに帰ってからだ。それにもう外に出るには時間も遅いしな。今日は少し、バトルに代わる遊びの準備をしたい」
「それってなんなのさ、恭介?」

その質問に答える前に、恭介は荷物の中の巨大なダンボールを僕達の前に置き、開封した。
中にあったのは大量の…カードだった。

「おろろ、これまた懐かしいものを持ってきましたネ」
「そうか?新しいのも大方取り揃えてあるぞ?」
「あのー、これは一体なんのでしょうか?」

クドは知らないみたいだ。

「クド、これは最近流行ってるカードゲームだよ。って恭介もしかして…」
「その通り!今度は皆でこの『遊戯王5D'sオフィシャルカードゲーム』をやろうと思う!」
「え、えぇー!?」
「そして今回もランキング制だ!題して…デュエルランキングだ!」

続く



[22069] 第2話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:d975b5ac
Date: 2010/09/22 20:54
とりあえず、恭介の言われるままにデッキを作ることになった。

「枚数は全部で40枚から60枚、エクストラデッキは上限15枚だ。同じ種類のカードは3枚までだが、ここのリストにあるカードは上限枚数が制限されているから気をつけろよ」

カードの山を漁る前に、恭介から全員に同じカードが配られた。
死者蘇生と聖なるバリア―ミラーフォースの2枚だ。
曰く、「使う使わないは自由だが全員もっていないとフェアじゃない」とのことらしい。
そしてその後は、皆思い思いにデッキを組んでいく。
ただ1人を除いて。

「う~ん、う~ん?」
「どうした、小毬?」

小毬さんは何故か鞄を見ている。

「あー、あったー」

小毬さんが取り出したもの…それは紛れも無く一つのデッキだった。

「おや、珍しいな小毬。どこで手に入れたんだ?」
「うーん、ずいぶん前なんだけど、バトルの時に拾っちゃって。投げた人に返そう、って声をかけたんだけど、なんか別にいいからってくれちゃって」

で、その絵柄がかわいかったからなんとなく持ち歩いていたという。
一体小毬さんはどんなデッキを貰ったのだろうか…。
すると、小毬さんの目の前に1匹の蝿が。

「ほわぁっ!」

バラバラバラッ
小毬さんが驚いて飛び跳ね、カードが飛び散る。
中にはシンクロモンスターらしき白い枠のカードもあった。どうやらエクストラデッキも込みだったらしい。
そのうちの1枚を拾った恭介が…固まっていた。

「…小毬、これ…本当に貰っただけ、なのか?」
「うん、そうだよ~」
「あ、ありえねぇ…こんな代物を易々と手放す奴がこの世に存在するなんて…」
「うん~?」
「と、とりあえず返すぜ、小毬…」
「どうしたの?恭介?」
「あ、あぁ…理樹、小毬と戦うときは十分気をつけろ…」
「…?」

恭介は何を見たんだろうか?
僕に知る由も無い。

「あたしこのカードもーらいっ!」
「あーっ!三枝てめぇっ!それオレが取ろうと思ってたのに!」
「ふっふっふ、真人君は甘いなァ。何事も弱肉強食なのですヨ」

なぜか「ご隠居の猛毒薬」のカードをめぐって葉留佳さんと真人が戦っていた。
どんなデッキを作るつもりなのだろうか…。

「ま、こんなもんでいいだろう」
「デュエルをするのが楽しみだ。はっはっは」

謙吾と来ヶ谷さんはもう完成しているようだ。
一方、クドと鈴、そして西園さんは…。

「おー、かっこいいのですー」
「うーみゅ…」
「…ぽ」

何かのカテゴリーデッキを作ろうとしているクド、いろいろと迷っている鈴、そして…「神聖魔導王エンディミオン」のカードを見つめ固まっている西園さん、と反応はさまざまだった。
1時間ほどたち、皆のデッキが一通り完成する。
我ながらなかなかのものができたと思う。

「さて、ここで一勝負…と行きたいところだが、そろそろ飯の時間だ。一旦解散して、夜8時にここに集合な。デッキ忘れんなよ?」

食事を終え、再び集まる。
皆が戻ってくるまでの間に、恭介が何かを書いていた。
…どうやら、対戦表のようだ。
その後皆にくじを引かせ、対戦相手が決定する。
僕が引いたのは…1番。
となると、初戦の相手は2番のくじを引いた人になるわけだけど…。

「む、4番か。不吉だな…」 謙吾。
「8番」 鈴。
「7番ですー!」 クド。
「10番…最後、ですか」 西園さん。
「6番なりー!」 葉留佳さん。
「3番か」 真人。
「5番だ」 来ヶ谷さん

と、なると残っているのは小毬さんと恭介だ。
小毬さんがくじの入った箱に手を伸ばす。

2番。

となると、初戦の相手は小毬さんか。
ふと、恭介の言葉を思い出す。

「小毬と戦うときは気をつけろ」

恭介が固まるほどショックを受けたカードって一体なんなんだろう。
いや、今は深く考えないでおこう。

「なら、俺は余った9番か」

そして全員の番号が決定する。

「よし、なら早速1戦目だ。まずは1番と2番だから、理樹と小毬だな」

恭介が手際よく机上にデュエルシートを広げていく。

「ルールはさっき説明したとおりだ。わからないことがあればいつでも俺に聞け」
「よぉーっし、がんばろー」
「行くよ、小毬さん!」
「お、ノリノリだな2人とも。よし、デュエルスタートだ!」

※BGM:勇壮なる戦い

ターン1:理樹
「僕のターン、ドロー!」
手札5枚→6枚
「手札のボルト・ヘッジホッグを墓地に送り、クイック・シンクロンを特殊召喚!」
ATK700 DEF1400 ☆5(チューナー)
手札6枚→4枚
「さらに墓地のボルト・ヘッジホッグの効果を発動し、特殊召喚!」
ATK800 DEF800 ☆2
「レベル2のボルト・ヘッジホッグに、レベル5のクイック・シンクロンをチューニング!シンクロ召喚、ニトロ・ウォリアー!」
ATK2800 DEF1800 ☆7
「カードを1枚伏せて、ターンエンド」
手札4枚→3枚

ターン2:小毬
「それじゃ、私のターンだよー。ドロぉー!」
手札5枚→6枚
「ナチュル・パンプキンを召喚するよー」
ATK1400 DEF800 ☆4
手札6枚→5枚
「えっとね、ナチュル・パンプキンの効果で、ナチュル・トライアンフを特殊召喚~」
ATK600 DEF1500 ☆2(チューナー)
手札5枚→4枚

「ほぉ、小毬君のデッキはナチュルか」
「確かに、絵本のような絵ではあるなぁ」

来ヶ谷さんと謙吾がなにやら話している。
この2人絶対経験者だよなぁ…。

「よぉーっし!レベル4のパンプキンに、レベル2のトライアンフをチューニングー。シンクロしょーかん!ナチュル・パルキオンー!」
ATK2500 DEF1800 ☆6
「待った!罠発動、奈落の落とし穴!」
「のんのん、理樹君。ナチュル・パルキオンは墓地のカードを2枚除外して、罠の発動を無効にできるのですよー」
「え、えぇっ!?」
「うーん、でも攻撃力が足りないなー。カードを2枚伏せて、ターンエンドかな」
手札4枚→2枚

ターン3:理樹
恭介が言っていたのはこれのことなのか?

「僕のターン、ドロー!」
手札3枚→4枚
「手札からチューナーモンスター、ターボ・シンクロンを召喚!」
ATK100 DEF500 ☆1(チューナー)
手札4枚→3枚
「それじゃー私は、手札からナチュル・コスモスビートを特殊召喚するよー」
小毬 手札2枚→1枚

「ん、なんだ?なんでこまりちゃんは今モンスターを出したんだ?」
「確か、ナチュル・コスモスビートは相手の通常召喚時に手札から特殊召喚できるモンスターだったな」

鈴の疑問に謙吾が即答する。
案外やりこんでいるのかもしれない。

「バトル!ターボ・シンクロンでナチュル・コスモスビートに攻撃!」
「ふぇ?」

「なぁ恭介、なんで理樹はあの弱っちいモンスターでわざわざ攻撃してるんだ?」
「まぁ見ていればわかるさ」

「ターボ・シンクロンのモンスター効果!攻撃対象モンスターを守備表示にして、受けたダメージ以下の攻撃力を持つモンスターを手札から特殊召喚する!チューニング・サポーターを特殊召喚!」
ATK100 DEF300 ☆1
手札3枚→2枚
理樹LP4000→3400

「おぉー、なるほどぉ。守備表示にしてニトロ・ウォリアーでぼがーん!!ってわけですネ」
「ふふ、果たしてそううまくいくかな?」

「ニトロ・ウォリアーでナチュル・パルキオンに攻撃!」
「はわわっ、罠カード、和睦の使者!」
「えぇっ!」

「ありゃ、止められちまった」
「さすがに予想外だな。意外な強敵かも知れないな神北は」

「だったら、レベル1のチューニング・サポーターにレベル1のターボ・シンクロンをチューニング!シンクロ召喚、フォーミュラ・シンクロン!」
ATK200 DEF1500 ☆2(チューナー)
「チューニング・サポーターとフォーミュラ・シンクロンの効果で2枚ドロー!」
手札2枚→4枚
「さらに手札から魔法カード、死者蘇生発動!ターボ・シンクロンを特殊召喚!」
手札4枚→3枚
「レベル7のニトロ・ウォリアーに、レベル1のターボ・シンクロンをチューニング!シンクロ召喚、スターダスト・ドラゴン!」
ATK2500 DEF2000 ☆8
「罠カード、奈落の落とし穴を使うよー」
「スターダスト・ドラゴンのモンスター効果!このカードをリリースすることでカードを破壊する効果を無効にして破壊する!」
「ふ、ふえぇっ!?」

「でも、場のカードは減ってしまいましたよ?」
「いや、これは今ある意味とんでもない状況かもしれないぜ、西園」

「僕はこれでターンエンド。このとき、墓地のスターダスト・ドラゴンを特殊召喚!」

ターン4:小毬
「ふぇーん、これじゃ勝てないよぉ。ドロぉー」
手札1枚→2枚
「…あ、手札からナチュル・フライトフライを召喚するよー」
ATK800 DEF1500
「レベル8、スターダスト・ドラゴンにレベル2、フォーミュラ・シンクロンをチューニング!」
「ふ、ふえぇ!?」

「なんだ、理樹のやついきなり何をしているんだ?」
「フォーミュラ・シンクロンを素材としたシンクロ召喚は相手のメインフェイズにも行うことができるからな」
「そ、そーなのか!?」
「あぁ」

すると恭介が携帯を取り出し、音楽を流し始めた。

BGM:Clear Mind

「うぉ!なんかすげー熱い曲だな!」
「ほぉ、Clear Mindとはなかなか粋な選曲ではないか、恭介氏」
「やっぱりあのカードといえばこの曲以外考えられないだろう」

「シンクロ召喚、シューティング・スター・ドラゴン!」
ATK3300 DEF2500 ☆10
「で、でもナチュル・フライトフライの効果で攻撃力が900ダウンするよー」
シューティング・スター・ドラゴン ATK3300→2400
「ナチュル・パルキオンでシューティング・スター・ドラゴンに攻撃ぃー」
「シューティング・スター・ドラゴンの効果を使うよ!このカードをゲームから除外して攻撃を無効!」
「よぉーし、それじゃぁナチュル・フライトフライで理樹君に攻撃ー」
「うっ、まだまだ!」
理樹 LP3400→2600
「私は、これでターンエンド」
「エンドフェイズに、自身の効果で除外したシューティング・スター・ドラゴンを特殊召喚!」
「ほわぁっ!?」

「…どう思うよ、クド公」
「わふー、なんだかよくわからないですけど、とってもすごーいどらごんさんなのですー!」

ターン5:理樹
「僕のターン、ドロー!」
手札3枚→4枚

「ジャンク・シンクロンを召喚!」
ATK1500 DEF500 ☆3(チューナー)
手札4枚→3枚
「ジャンク・シンクロンの効果で、墓地のチューニング・サポーターを特殊召喚!レベル1のチューニング・サポーターにレベル3のジャンク・シンクロンをチューニング!シンクロ召喚、アームズ・エイド!」
ATK1800 DEF1200 ☆4
「アームズ・エイドのモンスター効果、自分のモンスター1体に装備することで攻撃力を1000ポイントアップし、さらに戦闘破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与える!」
シューティング・スター・ドラゴン ATK2400→3400

ここは一か八かに賭けるしかない!

「シューティング・スター・ドラゴンのモンスター効果、デッキの上から5枚のカードを確認して、その中のチューナーの数だけ攻撃できる!」

「ってことは、えーっと…どうなるの?みおちん」
「2枚出れば直江さんの勝ちです」
「ほぉほぉ」

デッキの上5枚を確認する。
エフェクト・ヴェーラー、リミット・リバース、聖なるバリア―ミラーフォース、ドリル・シンクロン、スターライト・ロード。
…よし!

「チューナーは2枚だから、このターンシューティング・スター・ドラゴンは2回まで攻撃できる!まずはナチュル・フライトフライに攻撃!」
「ひゃぁっ!」
小毬 LP4000→1400
「さらにアームズ・エイドの効果も発動するよ!」
「はうぅぅ」
小毬 LP1400→600
シューティング・スター・ドラゴン ATK3400→4300
「そして2回目の攻撃!ナチュル・パルキオンに攻撃だ!」
小毬 LP600→0
「はうぅぅぅぅ、ま、負けちゃいました~」

「デュエル終了!勝者、理樹!」
恭介が高らかに叫ぶ。


「う~ん、あそこはシンクロ召喚しておいたほうがよかったかなぁ?」
「あれ、まだ何かあったの?」
「うんー。フライトフライで攻撃力下がっちゃったからもういいかな?って思ってたんだけどね」

そう言うと小毬さんは自分のエクストラデッキからカードを1枚取り出して見せてくれた。

ナチュル・ビースト(シークレット)

恭介の言っていたのはこれの事だったのか…。

続く



[22069] 第3話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:d975b5ac
Date: 2010/09/23 11:16
BGM:チクタク・ルーチン

「さぁって、時間もまだまだあることだし、もう一勝負するか?」

相変わらず場を仕切っているのは恭介だ。

「次は3番と4番の勝負になるわけだが…大丈夫か?」
「俺は大丈夫なんだが…あの馬鹿にカードゲームなんてできるのか?」

真人が頭から煙を噴出しながらルールブックを見つめていた。

「ぬがぁぁー!!スペルスピードとか特殊召喚とかわけわからねぇぇー!!」
「うっさいわボケェ!もう少し静かにしろ!」

ゲシッ
鈴のハイキックが真人の後頭部に炸裂する。

「はい、ごめんなさい…」
「うーん、実際にもう1試合くらい見たほうがいいんじゃない?さっきのはシューティング・スター・ドラゴンであっさり終わらせちゃったから…」
「そうだな…なら、先に5番6番の試合をやってしまうか。っと…」
「5番は私だ」
「げぇっ!ってことは姉御とっスか!?」

6番は葉留佳さんだった。

「しかしいいのか恭介氏?私のデッキだと一瞬で終わってしまうが」
「何?まぁいいか。とりあえず、先にそっちをやってくれ。真人にルールを理解させる時間がほしいからな」
「ま、まぁ別にいいが…」
「むきーっ!なんで姉御が勝つ前提なんですかっ!このはるちんスペシャルデッキで今日こそ勝って見せるのですよっ!」
「ほぉ、威勢のいいことだな、葉留佳君」
「よし、じゃぁ早速始めるか!デュエルスタート!!」

BGM:勇壮なる戦い

ターン1:葉留佳
「あたしの先攻!ドロー!ずびしゃぁぁぁん!!」
手札5枚→6枚
「モンスターをセット、カードを3枚伏せてターンエンド!」
手札6枚→2枚

ターン2:来ヶ谷
「私のターン、ドロー」
手札5枚→6枚
「速攻魔法、ご隠居の猛毒薬発動!ずびしっ!」

「あれって、真人と取り合ってたカードだよね?」
「ん?あぁ、そうだっけ?」
覚えてなかった!
「あほだな」

「さらに罠カード、チェーン・ブラスト発動!ぼぉーん!それからそれから速攻魔法連鎖爆撃発動!すびっしゃぁぁぁん!!」
「連続バーンカード…なるほど、葉留佳君のデッキはチェーンバーンか」
「合計2500ダメージ!それからチェーン・ブラストはデッキに戻る!」
来ヶ谷 LP4000→1500
「なかなか面白いな…だが、一撃で仕留められなかったことを後悔するがいい」 

BGM:死闘は凛然なりて

「は、はい?」
「手札から永続魔法、黒い旋風を発動!」
手札6枚→5枚
「さらに相手の場にのみモンスターが存在することにより、BF-暁のシロッコをリリース無しで召喚!」
ATK2000 DEF900 ☆5
手札5枚→4枚
「黒い旋風の効果でデッキのBF-そよ風のブリーズを手札に加える。そよ風のブリーズはカードの効果でデッキから手札に加わったとき特殊召喚できる」
ATK1100 DEF300 ☆3(チューナー)
「さらに場に他のBFが存在する時、手札からBF-黒槍のブラストを特殊召喚できる」
ATK1700 DEF800 ☆4
手札4枚→3枚
「同じ条件でBF-疾風のゲイルを特殊召喚」
ATK1300 DEF400 ☆3(チューナー)
手札3枚→2枚
「BF-暁のシロッコのモンスター効果、自分フィールド上のBF一体を選択し、そのモンスター以外の攻撃を封じる代わりに、選択したモンスターにそれ以外のBFの攻撃力を加える。私はBF-黒槍のブラストを選択」
BF-黒槍のブラスト ATK1700→6100
「うえぇっ!?」
「まだだ、まだ終わらんよ…。本当の絶望はここからだ。手札から速攻魔法、スワローズ・ネスト発動」
手札2枚→1枚
「このカードの効果で場の鳥獣族モンスター1体をリリースし、そのレベルと等しいレベルを持つ鳥獣族モンスター1体をデッキから特殊召喚する。BF-暁のシロッコをリリースし、もう1体のBF-暁のシロッコを召喚。さらに効果を発動しBF-黒槍のブラストに攻撃力を集約」
BF-黒槍のブラスト ATk6100→10500
「さらにもう1枚のスワローズ・ネストを発動、BF-暁のシロッコをリリースし3体目のBF-暁のシロッコを特殊召喚。もう一度効果を発動しBF-黒槍のブラストに攻撃力を集約」
手札1枚→0枚
BF-黒槍のブラスト ATK10500→14900
「ひえぇっ!姉御、ちょっとやりすぎですってば!」
「真の絶望を味わえ。BF-黒槍のブラストで伏せモンスターに攻撃。ブラック・スパイラル!」
「マー!マシュマロンの効果発動!戦闘でリバースしたとき相手に1000ダメージ!」
ATK300 DEF500 ☆3
来ヶ谷 LP1500→500
「ふん、その程度か。止めだ!」
「ひゃぁぁぁぁ!!」
葉留佳 LP4000→0
「しょ、勝者、来ヶ谷!」

BGM:チクタク・ルーチン

「な、一瞬だっただろう?恭介氏」
「あ、あぁ…まさかここまでスムーズに終わるとは思っても見なかったぜ…」
「ひどいっすよ姉御ー!ぶーぶー!!」
「だが、もしあれがミラフォだったらまずかったんじゃないか?」
「ま、その時はその時さ」

すると来ヶ谷さんはデッキの一番上のカードを裏返した。

死者蘇生。

「ひゃぁぅ!完敗っスよ姉御!」
「さて、葉留佳君にはこの後楽しい楽しい罰ゲームだな」
「えぇ!?そんな話聞いてないっスよぉ!」
「ま、ほどほどにしとけよ」
「なぁに、無理はさせんさ」
「えぇぇ!?ちょっと恭介くん!?」
「三枝さん、どんと・まいんどなのですー!」
「お気の毒に」
「ちょーっとぉー!誰か止めてよぉー!!」

「それにしてもすごいね~、ゆいちゃんのデッキ」
「だからゆいちゃんと呼ぶなと…」
「あ、あまりに速すぎてなにがなんだかよくわからなかったのですー」
「BF(ブラックフェザー)…流石ですね」

「で、わかった?真人?」
「ダメだ…あんまりに複雑すぎて状況もルールも何が起こったのかも全く把握できねぇぜ…」
「こいつ馬鹿だ!」
「り、鈴も新種の生物でも見つけたような目で見ないであげて…。真人こういうの苦手なんだから」
「なんだよ、どうせ脳みそ筋肉なオレには複雑なカードゲームのルールなんかこれっぽっちも理解できないから、おとなしく縁側で筋トレでもしてろって言いたげじゃねぇか、あぁ!?」
「うっさいわボケェ!」

ゲシッ!
今度は顔面に鈴の蹴りが入る。

「はい、すいません…」

とりあえず、真人がルールを理解するにはもう少し時間がかかりそうだった。

続く



[22069] 第4話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:d975b5ac
Date: 2010/09/29 21:03
BGM:チクタク・ルーチン

「…で、どう真人、わかった?」
「一応流れまではわかったが…その後がさっぱりわかんねぇ。なんだよエクストラデッキって」
「あほだな」

真人にルールを理解させるのは予想以上に至難の業だった。

「…で、どうする謙吾?」
「真人のほうが準備できないのならば仕方あるまい。次の試合を先にやってしまったほうがいいんじゃないか?」
「そうか。お前がいいならそうさせてもらうぜ」
「あぁ」
「と、なると、次は7番8番か」
「ん?8番はあたしだが」
「わふっ!あいては鈴さんなのですかー!?」

7番はクド、8番は鈴だ。
見たところクドは初心者らしい。
鈴もはじめて見た訳ではなさそうだが…。

「恭介」
「ん?なんだ鈴」
「馬鹿2人の試合はいいのか?」
「っても、真人がルールを把握できない以上仕方ないだろう」
「ま、そうだな」
「わふー、ちゃんとできるか心配なのですー」
「安心しろ能美。わからないことがあったらいつでも訊いてくれ」
「はいなのですー」
「よし、準備はできたな?デュエルスタートだ!」

BGM:勇壮なる戦い

ターン1:クド
「どろーなのですっ!」
手札5枚→6枚
「六武衆―ザンジを召喚です!」
ATK1800 DEF1300 ☆4
手札6枚→5枚
「さらに手札から六武衆の師範を特殊召喚なのです!」
ATK2100 DEF800 ☆5
手札5枚→4枚

「ほぉ、能美のデッキは六武衆か」
「いやー、クド公ったら渋いねェ」

「かーどを1枚伏せて、たーんえんど、なのですっ!」
手札4枚→3枚

ターン2:鈴
「うーみゅ、最初から攻撃力2100か…ドロー」
手札5枚→6枚
「宝玉獣 トパーズ・タイガーを召喚」
ATK1600 DEF1000 ☆4
手札6枚→5枚
「宝玉の解放をトパーズ・タイガーに装備。攻撃力800アップだ!」
宝玉獣 トパーズ・タイガー ATK1600→2400
手札5枚→4枚
「バトルだ!トパーズ・タイガーで師範に攻撃!このとき、トパーズ・タイガーの攻撃力が400アップだ!」
宝玉獣 トパーズ・タイガー ATK2400→2800
「わふっ!!」
クド LP4000→3300
宝玉獣 トパーズ・タイガー ATK2800→2400
「カードを1枚伏せてターンエンド」
手札4枚→3枚

ターン3:クド
「わたしのたーん!どろー!なのですっ」
手札3枚→4枚
「永続魔法、六武の門発動、なのです!このかーどは、六武衆が場に出るたびに武士道かうんたーを乗せていくのです!」
手札4枚→3枚

「なんだありゃ?」
「永続魔法だよ、真人。発動したらカードの効果で場を離れるまで一定の効果を持ち続けるんだ」
「へぇー」

BGM:えきぞちっく・といぼっくす

「手札から六武衆の師範を特殊召喚です!それから、真六武衆―キザンも特殊召喚なのです!」
ATK1800 DEF500 ☆4
手札3枚→1枚
六武の門 武士道カウンター 0→4
「場に他の六武衆が2体以上いるので、キザンの攻撃力と守備力が300あっぷするのです!」
真六武衆―キザン ATK1800→2100 DEF500→800
「六武の門の武士道かうんたーを4個取り除いて、でっきから六武衆―イロウを特殊召喚なのです!」
ATK1700 DEF1200 ☆4
六武の門 武士道カウンター 4→2
「場に六武衆が2体以上いるから、大将軍 紫炎を特殊召喚なのです!」
ATK2500 DEF2400 ☆7
手札1枚→0枚

「わー、クーちゃんすごーい!」
「たった1ターンで場を埋め尽くしてしまうとはな」
「どうやら、いらぬ心配だったようだな。相変わらず能美の隠された才能には驚かされるぜ…」

「ばとるなのですっ!紫炎でトパーズ・タイガーに攻撃!なのですっ」
鈴 LP4000→3900
「宝玉の解放の効果で、デッキから宝玉獣 ルビー・カーバンクルを魔法・罠ゾーンに置く。それとトパーズ・タイガーも墓地に送らず魔法・罠ゾーンだ」
「真六武衆―キザンでだいれくとあたっくなのです!」
「罠カード、和睦の使者!」
「うーん、たーんえんどなのですっ!」

「鈴さんは、どうしてトパーズ・タイガーが攻撃されたときに和睦の使者を使わなかったんでしょうか?」
「おそらく、宝玉の解放の効果を使用するためだろう。宝玉獣は魔法・罠ゾーンに宝玉獣が増えれば増えるほど有利になるからな」

その後も西園さんに宝玉獣について解説を続ける謙吾。
なんであそこまで詳しいんだろう。

ターン4:鈴
「このままじゃまずいな…ドロー」
手札3枚→4枚
「ふふふふー、大将軍 紫炎がいる限り、魔法・罠は1ターンに1枚しか使えないのですよー」
「なにっ!」

鈴がしまった、という表情をする。

「魔法・罠でのサポートが途絶えると、宝玉獣にとっては辛いな」
「どゆこと?」
「ドロー加速や除去に関しては、レア・ヴァリューや宝玉の祈りといった魔法・罠に頼りっきりだ。宝玉獣の中にそんな効果を持ったカードは無いからな」
「ふーん」

謙吾が今度は葉留佳さんに解説を始めた。

「手札から宝玉獣 サファイア・ペガサスを召喚だ」
手札4枚→3枚
ATk1800 DEF1200 ☆4

「サファイア・ペガサスの効果で、デッキの宝玉獣 アメジスト・キャットを魔法・罠ゾーンに」
「おーっと!ここでまさかの罠かーど、落とし穴なのですっ!」
「!!」
「サファイア・ペガサスを破壊なのです!」
「そのまま魔法・罠ゾーン行きだ!」

すると、鈴の表情がさっきまでの不安そうな表情から、一気に自信に満ちた表情になった。

BGM:死闘は凛然なりて

「クド、あたしの勝ちだな。魔法カード、宝玉の氾濫!」
手札3枚→2枚

「宝玉の氾濫だと!?」
「まさか能美の使った落とし穴を逆手に取るとはな…上手いぞ、鈴!」
「これって、どうなるの?」
「鈴君の勝ちだ」
「ふぇ、そうなの?」

「宝玉の氾濫の効果で、場のカードを全て破壊。それから、あたしの墓地の宝玉獣を可能な限り特殊召喚する!宝玉獣 ルビー・カーバンクル!」
ATK300 DEF300 ☆3
「宝玉獣 アメジスト・キャット!」
ATK1200 DEF400 ☆3
「宝玉獣 サファイア・ペガサス!宝玉獣 トパーズ・タイガー!」
「わ、わふー!?」
「バトル!トパーズ・タイガーでダイレクトアタック!」
クド LP3300→1700
「サファイア・ペガサスでダイレクトアタック!」
クド LP1700→0
「わふーっ!負けちゃいましたなのですぅ!」
「勝者、鈴!」

BGM:RING RING RING!

「しかし、また宝玉獣とは複雑なデッキを選んだな、鈴。というか、よく使い方わかったな?」
「当たり前だ。あれだけ見せられたら嫌でも覚える」
「はい?」
「よくわからない理由で何回も遊戯王デュエルモンスターズGXのヨハン対カイザー戦のビデオを見せたのを忘れたのかっ!この馬鹿兄貴!」
「ありゃ、そうだっけ」

「で、真人、どう?」
「何でモンスターが魔法・罠ゾーンに…うおぉぉぉ、余計にわけわかんなくなってきやがったー!!」

宝玉獣の特殊な立ち回りを見て混乱していた。

「うっさいわボケェ!いい加減静かにしろ!」

ゲシィッ!!
今度は脳天に踵落としが炸裂。

「ごめんなさい…」

「わふー、じゃぱにーず・さむらい・ぱわーも猫さんたちの前には叶わなかったのですぅー」
「まぁ、氾濫が決まったらほぼ決着のついたようなものだからな」
「そ、そーなのですか!?」
「あぁ。そもそも…」

今度はクドに解説を始める謙吾。
多分暇なんだろうな…。

続く



[22069] 第5話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:d975b5ac
Date: 2010/09/29 21:01
BGM:チクタク・ルーチン

「…しかし、あの馬鹿が理解できるデッキってあるのか?」
「さ、さぁ…とりあえず、カードの種類を絞ったほうがいいんだろうけど…これだけは入れたいって譲らないんだ」
「だってよぉ、この筋肉見てみろよ!すばらしいじゃねぇか!」
「おまえ、いっつもそればっかりだな。他に考えてることは無いのか?」
「へっ、俺から筋肉を取ったら何が残るってんだよ」
「見事に何も残らないね…」
「うーむ…恭介、悪いが次の試合も先にやっておいてくれ」
「あ、あぁ…」

半ば呆れたようにも見える恭介。
とりあえず僕と鈴が簡単に実戦形式で教えることになった。

「じゃ、準備は言いか?西園」
「はい、私はいつでも」
「よし、じゃあデュエルスタートだ!」

BGM:勇壮なる戦い

ターン1:美魚
「私のターン、ドローです」
手札5枚→6枚
「手札からアトランティスの戦士を墓地に送り、伝説の都アトランティスを手札に」
「ありゃ、魔力カウンターじゃないのか。エンディミオンのカードを見てたからついそっち組んでるのかと思っちまったぜ」
「フィールド魔法、伝説の都アトランティス発動。手札及び場の水属性モンスターのレベルが1下がり、攻撃力と守備力が200ポイントアップします」
手札6枚→5枚
「手札からギガ・ガガギゴを召喚」
ATK2450→2650 DEF1500→1700 ☆5→4
手札5枚→4枚
「カードを1枚伏せて、ターンエンドです」
手札4枚→3枚

ターン2:恭介
「俺のタァーン!」
手札5枚→6枚
「正義の味方カイバーマンを召喚!」
ATK200 DEF700 ☆3
手札6枚→5枚
「カイバーマンの効果発動!カイバーマンをリリースして、手札から青眼の白龍を特殊召喚!」
ATK3000 DEF2500 ☆8
手札5枚→4枚
「さらに儀式魔法、白龍降臨を発動!」
手札4枚→3枚
「手札の青眼の白龍をリリースし、白竜の聖騎士を儀式召喚!」
ATK1900 DEF1200 ☆4
手札3枚→1枚
「さらに白竜の聖騎士の効果、このカードをリリースすることでデッキから青眼の白龍を特殊召喚!」

「青眼の白龍か…恭介氏もまた珍しいチョイスだな」
「ただ単に、正義の味方を入れたかっただけのような気もするが…」

「さらに魔法カード、死者蘇生を発動!墓地の青眼の白龍を特殊召喚!」
手札1枚→0枚
「なるほど、そういう手がありましたか」
「といっても、白竜の聖騎士の効果でこのターン攻撃できないからな。ターンエンドだ」

ターン3:美魚
「私のターンです。ドロー」
手札3枚→4枚
「魔法カード死者蘇生発動。アトランティスの戦士を特殊召喚」
ATk1900→2100 DEF1200→1400 ☆4→3
手札4枚→3枚
「だがそいつじゃこの青眼の白竜は倒せないぜ?」
「わかっています。手札からチューナーモンスター、氷結界の風水師を召喚」
ATK800→1000 DEF1200→1400 ☆3→2(チューナー)
「レベル4のギガ・ガガギゴとレベル3のアトランティスの戦士に、レベル2の氷結界の風水師をチューニング。シンクロ召喚、氷結界の龍 トリシューラ!」
「うえぇ!マジかよ!?」
ATK2700→2900 DEF2000→2200 ☆9→8
「トリシューラのモンスター効果。相手のフィールド、墓地、手札からそれぞれ1枚ずつまでゲームから除外します。墓地の白竜の聖騎士を除外です。トライデント・ブリザード!」
「ぐおっ!くそ、まさか箱の一番奥に潜ませていたカードを掘り当てるとは…」
「本を探すのに比べれば、この程度朝飯前です。私はカードを1枚伏せてターンエンドです」
手札3枚→2枚

「あれー?なんでブルーアイズを除外しなかったんだろ?」
「ふむ、美魚君にはあの3体のブルーアイズを倒す策があるのかもしれないな」

ターン4:恭介
「ったく、冗談じゃねぇ。ドロー!」
手札0枚→1枚
「バトルだ!青眼の白龍でトリシューラに攻撃!滅びのバーストストリーム!ふははは、すごいぞー!かっこいいぞー!」
「永続罠、竜巻海流壁を発動します。これで私への戦闘ダメージは全て無効になります」
「だがトリシューラは破壊される!」
「問題ありません」
「カードを1枚伏せて、ターンエンドだ」
手札1枚→0枚

ターン5:美魚
「私のターンですね。ドロー」
手札2枚→3枚
「永続魔法、ウォーターハザードを発動します」
手札3枚→2枚
「ウォーターハザードの効果で、手札のオイスター・マイスターを特殊召喚」
ATK1600→1800 DEF200→400 ☆3→2
手札2枚→1枚
「さらに罠カード、フィッシャーチャージを使います。オイスター・マイスターをリリースして伏せカードを破壊、それからカードを1枚ドローします」
「ちっ、攻撃の無力化が…!」
手札1枚→2枚
「さらにオイスター・マイスターの効果でオイスタートークンを召喚します」
ATK0→200 DEF0→200 ☆1
「オイスタートークン1体をリリースして、海竜-ダイダロスをアドバンス召喚」
ATK2600→2800 DEF1500→1700 ☆7→6
手札2枚→1枚
「それからダイダロスをリリースして、手札から海竜神-ネオダイダロスを特殊召喚」
ATK2900→3100 DEF1600→1800 ☆8→7
手札1枚→0枚
「ネオダイダロスの効果発動。海…この場合伝説の都アトランティスですね、を墓地に送って、このカード以外のフィールドと手札のカードを全て墓地に送ります」
「な、なにぃ!?」
「ネオ・ダイダル・ウェイブ!」
恭介 手札1枚→0枚
海竜神-ネオダイダロス ATK3100→2900 DEF1800→1600 ☆7→8
「伏せカードはスターライト・ロードでしたか。でもネオダイダロスの効果は破壊ではないので、無意味でしたね」
「う、うおぉぉ…」

恭介が声にならない呻き声を上げる。

「バトルです。ネオダイダロスでダイレクトアタック」
「うおぉ!」
恭介 LP4000→1100
「私はターンエンドです」

「い、今何が起こったのですかー!?」
「海竜神-ネオダイダロスは、海のカードをコストに、自分以外のカードを全部墓地へ送っちゃうんだよー」
「そ、それはすごいかーどなのですねー…」

ターン6:恭介
「くそ、このままじゃ…ドロー!」
手札0枚→1枚
「!!」

BGM:神の怒り

「ふふふふ…ふはははは!俺は手札から魔法カード、龍の鏡を発動!」
「!!」
手札1枚→0枚
「墓地に存在する3体の青眼の白龍を除外して融合!現れよ、青眼の究極竜!」
ATK4500 DEF3800 ☆12
「海竜神-ネオダイダロスに攻撃!アルティメット・バースト!!」
「きゃっ!」
美魚 LP4000→2400
「強靭、無敵、最強!粉砕、玉砕、大喝采!!ふははははは!!!」

「なぁ、なんか様子が変じゃねぇか?恭介の奴」
「ま、どうせ漫画の影響だろう。デッキの構成に見覚えがある」
「あほだな」

「ふっ、俺はターンエンドだ」

ターン7:美魚
「…っドロー」
手札0枚→1枚

BGM:死闘は凛然なりて

「墓地のアトランティスの戦士を除外して、水の精霊アクエリアを特殊召喚」
ATk1600 DEF1200 ☆4(守備表示)
手札1枚→0枚
「ターンエンドです」

ここは少しでも時間を稼がないと…。

ターン8:恭介
「俺のターン、ドロー!」
手札0枚→1枚
「アクエリアのモンスター効果発動。相手スタンバイフェイズ時にモンスター1体の表示形式を変更し、そのターンの表示形式の変更を封じます。青眼の究極竜を守備表示に変更します」
「む、俺はターンエンドだ」

ターン9:美魚
「私のターン、ドロー」
手札0枚→1枚
「モンスターを伏せて、ターンエンドです」
手札1枚→0枚

ターン10:恭介
「俺のタァーン!ドロー!」
手札1枚→2枚
「手札からブラッド・ヴォルスを召喚!
ATk1900 DEF1200 ☆4
手札2枚→1枚
「さらに青眼の究極竜を攻撃表示に変更、バトルだ!伏せモンスターに攻撃!アルティメット・バースト!」
「ですが、グリズリーマザーの効果で、もう1体のグリズリーマザーを特殊召喚します」
ATK1400 DEF1000 ☆4
「ならブラッド・ヴォルスでアクエリアに攻撃!」
「きゃっ!」
「これでターンエンドだ」

ターン11:美魚
「私のターン、ドロー」
手札0枚→1枚

…来ました!

「手札から魔法カード、サルベージを発動します。墓地に存在する攻撃力1500以下の水属性モンスターを2体まで手札に加えます。私は墓地のグリズリーマザーと氷結界の風水師を手札に加えます」
美魚 手札1枚→2枚
「チューナーモンスター、氷結界の風水師を召喚します」
手札2枚→1枚

「ここでチューナーを出すとは…まさか!?」
「どうしたの謙吾?」
「俺の予想に狂いが無いなら…この勝負、西園の勝ちだな」

「レベル4のグリズリーマザーにレベル3の氷結界の風水師をチューニング。シンクロ召喚、氷結界の龍 グングニール!」
「うげぇっ!?」
ATK2500 DEF1700 ☆7
「グングニールのモンスター効果を使います。1ターンに1度、手札を2枚まで捨てることでその枚数分だけフィールド上のカードを破壊します。私はこのカードを捨てて、青眼の究極竜を破壊します」
手札1枚→0枚
「な、な、そんな、お、俺のブルーアイズが、ぜ、ぜぜぜ全滅めつめつめつ…」
「グングニールでブラッド・ヴォルスに攻撃。この瞬間、墓地のスキル・サクセサーを発動して攻撃力を800ポイントアップします」
氷結界の龍 グングニール ATK2500→3300

「墓地から発動する罠ですかー!?」
「あれ?みおちんあんなのいつの間に墓地に送ったんだろう?」
「おそらく、美魚君がネオダイダロスの効果を使ったときだな。伏せカードが1枚残っていた」
「ほぅほぅなるほどなるほど」

「エターナル・コフィン!」
「へあぁぁぁぁぁぁぁ!!」
恭介 LP1100→0
「しょ、勝者、西園!」

恭介に代わり謙吾が宣言する。

BGM:光に寄せて

「馬鹿な、俺のブルーアイズが敗れるなんて…」
「いえ、たまたま私の運がよかっただけです」
「それにしてもトリシューラにグングニールとは、また強烈なチョイスだが…」
「もちろん他のカードも入っていますよ?」

そう言って差し出したカードは…氷結界の龍 ブリューナク。

「…できれば、あまり戦いたくないデッキではあるな」
「それにしても、なんでトリシューラでブルーアイズを除外しなかったんだ?そうしたらあの馬鹿兄貴も変な合体モンスター出さなかったのに」
「だって、そうしたら展開的に面白くないじゃないですか」
「そーいうものなのか?」
「そういうものなのです」

続く



[22069] 第6話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:d975b5ac
Date: 2010/09/23 20:36
BGM:密やかなさざめき

「…ほんとに大丈夫?」
「あぁ。なんとか俺のカードの使い方くらいは覚えた」
「不安だなぁ…」

真人がようやく理解…してくれたのだろうか?
妙に自信満々なのが逆に不安だ。
それもこれも、真人が「絶対に入れる!」といって訊かなかったとあるカードのせいである。
あれだけ複雑なカードを理解させるにはもう少し時間がほしいのだが…。
結局妥協して、そのカードの専用のデッキを組ませてその中のカードの使い方だけ把握させたのだ。

「大丈夫だ!俺とこいつとは筋肉で語り合える!」

…もうなるようになれ。

「で、本当に大丈夫なのか?」

謙吾も不安そうだ。
対戦相手がこの調子だとやはりやり辛いのだろう。

「へっ、なめてもらっちゃ困るぜ…なんせ俺とこのカードたちとは筋肉で語り合ってるからな」
「…」
「あほだな」
「わかってねぇな、鈴。鍛え上げた筋肉同士は互いに対話しあうことができるんだぜ?」

謎の筋肉理論が始まる。

「わかったわかった。とりあえず、皆を待たせるのは悪いだろうから始めようぜ」

恭介が半ば強引に事を進める。

「おっしゃぁ、今度こそ決着をつけてやるぜ、謙吾!」
「あ、あぁ…」
「よし、デュエルスタートだ!」

BGM:勇壮なる戦い

ターン1:謙吾
「俺のターン、ドローだ」
手札5枚→6枚
「モンスターをセット、カードを1枚伏せて、フィールド魔法、天空の聖域発動!俺はこれでターンエンドだ」
手札6枚→3枚

ターン2:真人
「俺のターン!ドロォー!」
手札5枚→6枚
「極星獣タングリスニを召喚!」
ATK1200 DEF800 ☆3
手札6枚→5枚

「おや、特に筋肉と関係ないようにも思えるのだが」
「ですねぇ…井ノ原さんは、どんなでっきなのでしょーか?」

「バトルだ!極星獣タングリスニで、伏せモンスターに攻撃!」
伏せモンスターは…コーリング・ノヴァ。
ATK1400 DEF800 ☆4
「コーリング・ノヴァの効果で、天空騎士パーシアスを特殊召喚」
ATk1900 DEF1400 ☆5
「ちっ、カードを1枚伏せて、ターンエンドだ」
手札5枚→4枚

ターン3:謙吾
「俺のターン、ドロー!」
手札4枚→5枚
「何のつもりかは知らんが、容赦はしない!トラスト・ガーディアンを召喚!!」
ATK0 DEF800 ☆3(チューナー)
手札5枚→4枚
「レベル5の天空騎士パーシアスに、レベル3のトラスト・ガーディアンをチューニング!シンクロ召喚、神聖騎士パーシアス!」
ATK2600 DEF2100 ☆8

「へぇ、謙吾にしちゃまたファンタジーなカードを使うな」
「なかなか読めないですネ、人って」
「それを君が言うのもどうかと思うが、葉留佳君」

「バトルだ!神聖騎士パーシアスで、極星獣タングリスニに攻撃!」
「おぉっと!ここで罠発動、極星宝ブリージンガ・メン!こいつは自分のモンスター1体の攻撃力を、相手モンスター1体と同じにするカード!俺はおまえのえーっと、なんだ、今攻撃してきたモンスターと、俺のタングリスニを選ぶぜ!」
極星獣タングリスニ ATK1200→2600
「相打ちか…だが、トラスト・ガーディアンを素材としたシンクロモンスターは1ターンに1度だけ、攻撃力を400ポイント下げることで戦闘による破壊を無効にできる!」
神聖騎士パーシアス ATK2600→2200
「おぉっと、まだ終わらねぇぜ。タングリスニが戦闘で破壊され墓地へ送られたとき、俺の場に極星獣トークン2体を召喚するぜ!」
ATK0 DEF0 ☆3
「む…俺はターンエンドだ」

「わふー、なんだか白熱した展開なのですー」
「それにしても2人とも読めないな…」
「ていうか、真人の言っていた筋肉ってなんなんだ?」

ターン4:真人
「俺のターン、ドロー!」
手札4枚→5枚
「悪いけど勝たせてもらうぜ、謙吾。手札から極星獣グルファクシを召喚!」
ATK1600 DEF1000 ☆4(チューナー)
手札5枚→4枚

BGM:Mission Possible~but difficult tusk~

「極星獣グルファクシ…まさか!?」
「どうした、恭介氏?」
「これは、とんでもないものが出るかもしれないぞ…」

「レベル3の極星獣トークン2体と、レベル4の極星獣グルファクシをチューニング!筋肉が呼ぶ、筋肉が語り掛ける、筋肉が唸りをあげる!」

ゴゴゴゴゴ…

「ほわぁっ!じ、地震?」
「な、なんだぁ!?」

ピシャァッ!!

「ふにゃっ!?」
「こ、今度は雷ですよぉ、姉御!」
「そうだな」
「なんで冷静なんですか!姉御ぉ!!」
「な、何が起こってるんだ!?」
「わ、わふーっ!あれを見てくださいなのですっ!」

クドが指差す窓の外。
夜の闇に地響きと雷鳴が響く中、海上の空が割れ巨大な影が…神が姿を現した。

「シンクロ召喚!極神皇トール!!」
ATk3500 DEF2800 ☆10

えぇぇぇぇぇぇぇ!!??
一同、絶叫。

「あわてるなよ…これが筋肉の力だ!さぁトールよ、共に筋肉旋風(センセーション)を巻き起こすぜ!!極神皇トールで、神聖騎士パーシアスに攻撃!サンダー・パイル!!」
「ぐおぉぉあっ!だが、トラスト・ガーディアンの効果で破壊を無効にし、さらに天空の聖域の効果でダメージも無効だ!」
神聖騎士パーシアス ATK2200→1800
「ぐっ、なんだこの衝撃は…まるで実際に攻撃を受けたかのようだ…」

BGM:幻日

「まさか、神の力は物理的ダメージも引き起こすというのか!?」
「えぇ!うそぉっ!?」

だが、神のもたらす影響はそれだけではなかった。

「…んに…い…いいぇー…」
「…クド?」
「わふーっ!筋肉いぇいいぇーい!なのですっ!」
「うわぁっ!どうしちゃったのクド!?」
「まさかこれは…!!」
「そうそのまさかだ!オレの筋肉と共鳴した神の力が、世界に筋肉旋風を巻き起こす!」
「謙吾、このままじゃ危険だ!デュエルを中止しろ!」
「だ、だめだ恭介…。神と対峙しているからこそわかる…。いまデュエルを中断したら、神と共鳴し膨大なまでに膨れ上がった真人の力が行くあてをなくして暴走する…!」
「も、もしそうなったら…どうなっちゃうの!?」
「おそらく、ここにいる全員…いや、もっと広い範囲の人間が、今の能美と同じような状態に陥るだろう」
「う、うそー!?」
「…わかった。絶対に勝て、謙吾!」

「ふっ、オレはカードを1枚伏せて、ターンエンドだ」
手札4枚→3枚

BGM:死闘は凛然なりて

ターン5:謙吾
「俺の、ターン!ドロー!」
手札4枚→5枚
…よし!
「神聖騎士パーシアスで、極神皇トールに攻撃!」
「はっ!その攻撃力じゃトールには敵わねぇぜ!」
「手札からオネストの効果を発動!パーシアスの攻撃力をトールの攻撃力分アップ!」
「な、なにぃっ!」
神聖騎士パーシアス ATK1800→5300
「うおっ!」
真人 LP4000→2200

その瞬間、神の姿が消えた。

「やった…のか?」
「で、でもクドが元に戻らない!」
「筋肉いぇいいぇーい!なのです!」

「さらにモンスターをセット、カードを1枚セットしてターンエンドだ」
神聖騎士パーシアス ATK5300→1800
手札5枚→3枚
「ふっ、甘いな。この神なる筋肉…いや、筋肉神は不滅だぜ!極神皇トールの効果を発動!このカードが破壊されたターンのエンドフェイズ時に墓地の極星獣1体をゲームから除外することで、トールは復活する!オレは極星獣タングリスニを除外するぜ!」

今度は眼前の海が割れ、神が姿を現す。

「じ、自己再生能力!?」
「オネストを使っても倒しきれないとなると…まずいぞ、謙吾!」

「この効果で特殊召喚に成功したとき、相手に800ポイントのダメージを与える!」
「なにっ!?ぐあぁぁぁっ!」
「はうぅぅっ!?」
謙吾 LP4000→3200

トールの角から放たれた雷が謙吾を襲い、そして…小毬さんにも当たった。

「謙吾っ!小毬さん!」
「筋肉いぇいいぇーい!筋肉いぇいいぇーい!」
「うわっ!こまりちゃんまでおかしくなってしまったぞ!?」
「この調子だと、全員こうなるのも時間の問題か」
「えぇー!?私やだよこんなのー!」

ターン6:真人
「オレのターンだ!ドロー!」
手札3枚→4枚
「手札から極星獣グルファクシを召喚!さらに永続罠、神の威光を発動!」
手札4枚→3枚
「バトルだ!極神皇トールで、パーシアスに攻撃!サンダー・パイル!」
「甘い、罠はつ…」
「おぉっと、神の威光が場に存在する限り、オレの神はカードの効果の対象にならない!」
「なんだとっ!?ぐあぁっ!」
神聖騎士パーシアス ATK1800→1400

「ぐおっ!?」

衝撃波が今度は来ヶ谷さんを襲う。

「ぐっ、私が、こんな屈辱的な真似を…筋肉いぇいいぇーい!」
「わわっ、来ヶ谷さんまで!?」
「来ヶ谷でも抵抗しきれないとは…」

「そして極星獣グルファクシでパーシアスに攻撃!」
「罠発動、炸裂装甲!グルファクシを破壊!」
「ちっ、やっぱりか…まぁいいや。オレはターンエンドだ」

ターン7:謙吾
「俺のターン、ドロー!」
手札3枚→4枚

くそ…俺自身もこれ以上ダメージを受け続けるとまずい。
現に…すでにあの神の肉体を直視できない…!!

「手札から速攻魔法、サイクロンを発動!神の威光を破壊!」
手札4枚→3枚
「セットされたモンスター、ジェルエンデュオをリリースし、天空勇士ネオパーシアスをアドバンス召喚!」
ATK2300 DEF2000 ☆7
手札3枚→2枚
「場に天空の聖域が存在し、自分のライフが相手のライフを上回っているとき、その差の数値分ネオパーシアスの攻撃力はアップする!」
天空勇士ネオパーシアス ATK2300→3300 DEF2000→3000
「さらに手札から速攻魔法、エネミーコントローラーを発動!トールの表示形式を変更する!」
手札2枚→1枚
「バトル!ネオパーシアスで、極神皇トールに攻撃!ホーリー・ブレイブ・ブレイド!!」
「ぬわっ!」
真人 LP2200→1700
天空勇士ネオパーシアス ATK3300→3800 DEF3000→3500
「神聖騎士パーシアスでダイレクトアタック!」
「速攻のかかしの効果発動!バトルフェイズを終了する!」
「なにっ!?」
真人 手札3枚→2枚
「くそぉっ!ターンエンドだ」

ターン8:真人
「オレのターン、ドロー!」
手札2枚→3枚
「罠カード、ミョルニルの魔槌を発動!この効果によりこのターン、トールは2回の攻撃ができる!」
「なんだと!?」
「さらにトールの効果発動!相手モンスター1体の効果をエンドフェイズまで無効にする!対象はネオパーシアスだ!エフェクト・アブゾーバー!!」
天空勇士ネオパーシアス ATK3800→2300 DEF3500→2000
「トールでネオパーシアスに攻撃!サンダー・パイル!」
「うおあっ!」
「続けて神聖騎士ネオパーシアスにも攻撃だ!サンダー・パイル!」
「ぐおあぁぁぁっ!」
神聖騎士ネオパーシアス ATK1400→1000

2連続で放たれた衝撃波が、恭介と葉留佳さんを襲う。

「はうぅっ!筋肉いぇいいぇーい!」
「こ、この俺が、そんな、馬鹿な…筋肉いぇいいぇーい!」
「葉留佳さん!恭介!」
「理樹、逃げるぞ!」
「でも、鈴!謙吾が!」
「仕方ない、お前達だけでも逃げろ!このままじゃ全滅だ!」
「わ、わかった!行こう、鈴!西園さん!」

ガチャガチャガチャッ!

「あれ、扉が開かない!?」
「待てよ3人とも。まだ筋肉旋風は始まったばかりだぜ?」
「ぐっ、どうやらこのデュエルが終わるまで、ここから出ることはできないようだな…」
「え、えぇっ!」
「は、早く何とかしろ、謙吾!あんなの絶対に嫌だからな!」
「ふっ、俺はターンエンドだぜ」

ターン9:謙吾
「俺のターン…ドローッ!!」
手札2枚→3枚

この際800ダメージなど気にしてはいられん…!!

「魔法カード、精神同調波!極神皇トールを破壊!」
「ぬおっ!」
手札3枚→2枚
「バトルだ!神聖騎士パーシアスでダイレクトアタック!」
「ぬっ!」
真人 LP1700→700
「惜しい!」
「くそっ、俺はこれでターンエンドだ」
「この瞬間、墓地の極星獣グルファクシを除外して、トールは蘇る!そして800ポイントのダメージだ!」
「ぐおあぁぁっ!」
謙吾 LP3200→2400

トールから放たれた雷が、西園さんに向かって飛ぶ。

「はうっ!」
「西園さんっ!」
「筋肉…いぇいいぇーい」
「あぁっ、西園さんまで!」

ターン10:真人
「悪いが、俺は筋肉旋風を起こし、筋肉革命を成功させる!ドロー!!」
手札3枚→4枚
「手札から速攻魔法、サイクロンを発動!天空の聖域を破壊!!」
「なにっ!?」
手札4枚→3枚
「これで筋肉革命は完成する!トールで、神聖騎士パーシアスに攻撃!」
「罠発動!バスターランチャー!!」
「何っ!?」
「発動後攻撃力1000以下のモンスター専用の装備カードとなり、戦闘を行う相手モンスターが攻撃表示なら攻撃力、守備表示なら守備力が2500ポイント以上の場合、装備したモンスターの攻撃力は2500ポイントアップする!」
神聖騎士パーシアス ATK1000→3500
「くそっ、相撃ちかっ!」
神聖騎士パーシアス ATK3500→600
「だがエンドフェイズ時、墓地の極星獣グルファクシを除外して、再度トールは蘇る!」
「ぐあぁぁぁっ!」
謙吾 LP2400→1600
雷が鈴に向かって飛ぶ。

「っ!」

鈴っ!
反射的に僕は鈴に覆いかぶさり、トールの雷を背に受けた。

BGM:降り続く雨の街で

「ぐあぁぁっ!」
「り、理樹!」
「り…鈴…だいじょう…ぶ?」
「理樹っ、しっかりしろ、理樹っ!」
「よかった…無事で…」
「いいことあるか!理樹が、理樹が…」
「僕は…もう…ダメだ…鈴…皆を…きん…にく…いぇいいぇーい!」
「理樹ぃぃぃぃぃぃっ!!」

「筋肉いぇいいぇーい!筋肉いぇいいぇーい!」
「筋肉いぇいいぇーい!筋肉いぇいいぇーい!」
「筋肉いぇいいぇーい!筋肉いぇいいぇーい!」
「筋肉いぇいいぇーい!筋肉いぇいいぇーい!」
「筋肉いぇいいぇーい!筋肉いぇいいぇーい!」
「筋肉いぇいいぇーい!筋肉いぇいいぇーい!」
「筋肉いぇいいぇーい!筋肉いぇいいぇーい!なのですっ!」

「くそぉっ、真人ぉぉぉぉぉぉっ!!」
「後はお前達2人だけだ…そして俺は、世界を筋肉旋風に包み込む!」

BGM:死闘は凛然なりて

ターン11:謙吾
「真人…これが、ラストターンだ!ドロォォォォォッ!!」
手札2枚→3枚

…!!

「天空聖者メルティウスを召喚!」
ATK1600 DEF1200 ☆4
手札3枚→2枚
「パーシアス…お前のその力、存分に使わせてもらうぞ!魔法発動、シンクロ・ギフト!」
「シンクロ・ギフト…だとぉ!?」
手札2枚→1枚
「シンクロ・ギフトは自分のシンクロモンスター1体の攻撃力を0にし、自分フィールド上の他のモンスターの攻撃力を、選択したシンクロモンスターの元々の攻撃力分アップさせるカード。神聖騎士パーシアスの攻撃力を0に!」
神聖騎士パーシアス ATK600→0
「そしてその元々の攻撃力である2600ポイントを、天空聖者メルティウスに与える!」
天空聖者メルティウス ATK1600→4200
「馬鹿なっ、トールの攻撃力を上回っただとぉ!?」
「これで終わりだ!天空聖者メルティウスで、極神皇トールに攻撃!」

一筋の閃光に貫かれ、轟音と共に神が崩れ落ちる。
その瞬間、大地は唸り、海は揺れ、天は叫びをあげた。

「うおぉぁぁぁぁぁ!!」
真人 LP700→0
「勝者、謙吾!!」

最後は鈴が締めくくった。

BGM:雨のち晴れ~instrumental~

「これは…?」
「わふー、私たちは一体、なにをしていたのでしょうか…?」
「う~ん、なんか気持ち悪い~」
「…頭がくらくらします」
「何故だ…おねーさん今もの凄い屈辱を味わっていたような気分だ…」
「う~、あんまり思い出せないのですヨ~」
「う、うーん…」
「理樹っ!!」

鈴が泣きそうな声で抱きついてきた。

「理樹っ、良かった、理樹っ!」
「鈴…僕なら大丈夫だよ」

「で、この馬鹿はどうすればいい?」

謙吾の指差す先には…放心状態の真人がいた。

「オレのトールが…筋肉の神が…筋肉旋風が…」
「とりあえず、トールは没収だな。しかしまた、なんでこんなことになったんだ?」
「おそらく、極神皇トールの力と井ノ原さんの波長が偶然一致して、このようなことになったのかと思います」
「加えて、デュエルの神であるトールと同調したことにより高度なプレイングも可能になったわけだ…」
「恐ろしい奴だな、全く…ぐっ」
「大丈夫!?謙吾!」
「あ、あぁ。なぁに、この程度、剣道の練習に比べれば…ぬっ」
「無茶するな。少し休んでろ」
「あぁ…すまない」

「トール…オレの…筋肉革命…」
「いい加減うっとぅしいわボケェ!」

スガンッ!
鈴が真人の顎を蹴り上げる。

「はがぁっ!はっ、オレは今まで何を…」
「白々しいんじゃ!ボケェ!!」

ドガッ!ズガァッ!バキィッ!
怒涛の蹴り連打。

「ぐおっ!ぐあっ!ちょ、ちょっとタンマ、うげぇっ!」
「お前のせいで、みんながっ!理樹がっ!うあぁぁぁん!」

鈴はその後しばらく泣きながら真人を蹴り続けていた。

続く



[22069] 第7話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:d975b5ac
Date: 2010/09/26 22:55
BGM:チクタク・ルーチン

「…さて、これで一通り戦ったわけだが…どうだ?特にクドなんかは初めてだったみたいだが」

恭介が皆に意見を求める。

「わふ、すっごく楽しかったのです!」
「うむ。たまにはこのようなカードゲームも悪くないな」
「まぁ、真人の暴走さえなければ完璧だったんだがな」

受けは割とよかったらしい。

「で、これからどうするの?恭介?」
「あぁ。それなんだが…わりぃ、何も考えてねぇ」
「えー」
「そういえばさ、お風呂まだじゃない?」
「あー、いけねぇ忘れてた。そういやここ露天風呂だったな」

露天…!!

皆の視線が一瞬で恭介に向く。

「それも海を眺める天然温泉だ。加えて今日は珍しく客も少ないからな。もしかしたらもしかするかもしれんぞ?」

その言葉を聞くや否や、女子陣が一斉に動き出した。

「僕たちも行こうか」
「だな」
「おうよ」

僕たちも1階の大浴場へ向かった。

この旅館は海を眺める露天風呂が人気の宿だ。
それを目当てにはるばる北海道からやってくる人も中にはいるという。
しかし今日は…。

「…冗談で言ったつもりなんだがな」
「見事に誰もいないね」

貸切だった。

「ま、俺はこっちのほうが落ち着けていいがな」
「なんでぇ。俺の筋肉が見せ付けられねぇじゃねぇか」

真人は微妙に不服そうだった。

一方女子サイド。

BGM:少女達の午後4時半

Phase:鈴

「まさか本当に貸切とはな…」
「いーじゃないっすか姉御!思う存分ゆっくりできますヨ、やはは」

くるがやが意外そうな顔をしてる横ではるかが騒いでた。
言ってることとやってることが違うぞ。
壁の向こうでは男子が騒いでた。

「覗くなよ!」

一言声をかけた。
理樹…はしないと思うが、見られても今更別に…。
真人と謙吾も大丈夫だろう。あいつらにそういうシュミがないのはわかってるからな。
問題はあの馬鹿兄貴だ。
いつだったかロリロリハンターズとか大声で叫んでたからな…。
あれ、いつだったっけ?

「りんちゃーん、一緒に入ろうー」
「はいるですっ!」
「あ、ちょっと、引っ張るな!」

体を洗い終わったあと、こまりちゃんとクドに連れられて湯船につかる。
うーみゅ、お湯が透明だからなんか恥ずかしい…。

「わふー…」
「どうしたの?クドちゃん?」
「ふー…」
「??」

クドがこまりちゃんを、ていうかこまりちゃんの胸を見つめていた。

「ど、どーしたらこまりさんみたいになれるでしょーか…?」
「どうしたの?クドちゃんはクドちゃんだよ?」
「わふー…コポコポ」

通じてないのかも。

「おや、どうしたクドリャフカ君?浮かない顔をして」
「っ!」

いつの間にかくるがやも入っていた。
っていうか回り込まれてる!?

「あ、あのっ!どうやったら来ヶ谷さんみたいな、そのー、ボン、キュッ、ボン!になれますか!?」
「なんだ、そういうことか。ま、私としてはクドリャフカ君にはそのままでいて欲しいのだが…ま、適度な運動は大事だな。前にも言ったかもしれないが、腹筋、背筋、胸筋はスタイルの維持には不可欠だからな」
「ふむふむ」
「ところで…葉留佳君は何をやっているのだ?」
「ギクッ!あーいや、なんでもないですヨ、はははは」

みおが体を洗っている後ろではるかがコソコソとなにかしていた。

「ふむ、ならいいのだが。で、鈴君はどう思う?」
「ふにゃっ!?」

突如脇から腕を回された。

「はなせっ!この馬鹿っ!」
「うーむ、鈴君もクドリャフカ君に負けず劣らずだな。萌え萌えだな」
「はーなーせーっ!」
「ま、それはそうとしてだ。筋肉についてなら、真人少年に訊くのが一番早くて確実だと思うぞ」

そのころ男子サイドでは…。
Phase:理樹

「…真人少年に訊くのが一番早くて確実だと思うぞ」

なぜか女子風呂から聞こえてくる会話に真人の名前が入っていたような気がするが、深く考えないで置こう。

「いい加減はなせっ!!」
「はははは、やっぱり鈴君もクドリャフカ君も萌え萌えだなぁ」
「わ、わふー」

断片的に聞こえてくる会話から察するに、いつものごとく来ヶ谷さんが鈴やクドにちょっかいをかけているのだろう…全裸で。
いけない、うっかりその場面をイメージしてしまうところだった。

「ぐほぁっ!」

…イメージしてしまったであろう人がここに1人。
恭介が鼻と口を押さえながらうずくまっていた。

「お、おい、大丈夫か?恭介」
「あ、あぁ。少し長く湯につかりすぎたみたいだ。俺はそろそろ出るわ」
「じゃ、俺もそうするかね。風呂上りの筋トレが待ち遠しいぜ」
「俺も出るが…理樹はどうする?」
「僕はもうちょっと入ってるよ。まだゆっくり浸かれてなかったから」
「そうか」

そういうと3人は出て行った。
…突如湯船で真人と謙吾のバトルが勃発してしまったので、まともに浸かれてなかったのだ。

「ふぅー…」

1人夜空を見上げる。
以前何かで見た星座図によるとペガススの四辺形が見えるはずなんだけど…どれだかよくわからない。

「さて、私たちはそろそろ上がるとするか」
「あいあいさー!」
「では私もそろそろ」
「クーちゃんもそろそろ上がる?」
「はいです!」
「鈴君はどうする?」
「もう少し浸かってる」
「そうか。のぼせないようにだけ気をつけるんだぞ」

他の3人が出て行ったからか、女風呂の会話がさっきよりもよく聞こえる。

「理樹、いるか?」
「うん」

柵の向こうから鈴の声。

「あの馬鹿どもは?」
「先に上がったよ。恭介がのぼせちゃって」
「てことは、1人か?」
「うん」

ガサッ
柵に何かが寄りかかったような音。

「理樹」
「何?」
「こっち…背中合わせ」
「あ、うん」

僕も柵に寄りかかり、鈴と柵を介して背中合わせに座る。

「…」
「…」

沈黙が続く。
僕たちを隔てているのは厚さ数センチの柵だけだ。
そう考えると、妙に緊張してきた。
と、とりあえず裏返っても大丈夫なように、極力低い声で…。

「ボドドドゥドァー」
「っ!?」

まずい、裏目に出た。
でもなんでだろう。前にもこんなことがあったような気がする。

「…」
「…」

結局、僕たちはまともな会話を交わすこともなく浴場を後にした。

BGM:チクタク・ルーチン

「くーっ!やっぱ風呂上りの1杯は格別だぜ!」
「恭介、それサラリーマンのセリフ」

恭介がコーラを飲みながら唸っていた。

「で、次は何をするんだ?」
「っと、そうだった。ちょっと持ってきた荷物を見てみたら、こんなのがあってな」

と言うと、恭介は何かを取り出した。
携帯やウォークマンに取り付けるスピーカーのようだ。

「デュエルの雰囲気を盛り上げるために、BGMをつけようと思う」
「は、はぁ…」
「びーじーえむ、ってなんですか?」
「クーちゃん、BGMっていうのは、Back Ground Music、つまりはテレビなんかで後ろに流れてる音楽のことだよ」
「日本語では劇判、ともいいますね」
「で、そのBGMを…どうするって?」
「デュエルに使うんだよ。そのほうが雰囲気出るだろ?例えば…」

BGM:遊星バトル

「こんな感じに、だ」
「なるほど」
「他にもいろいろあるから、適当に流してみてくれ」

そのままいろいろな音楽を流すことに。

BGM:勇壮なる戦い

「んー、なんか初めて聴いた気しないネ、これ」
「何故だ…この曲を聴いてると、無性にバトルがしたくなってくるぜ…」
「奇遇だな、俺もちょうどそう思っていたところだ」
「やっぱりみんなもそう?」

BGM:神の怒り

「恭介だな」
「恭介だね」
「恐らくこのあと、圧倒したように見せかけて結局負けるな」
「エグゾディアとか?」
「いや、生贄の抱く爆弾で自滅、ってのもありじゃねぇか?」
「おいおい、なんでそうなるんだよ?」

そんなこんなで何曲か聴き、とあるトラックに差し掛かったとき…。

BGM:Sha ra ra extacy

しゃ~ら~ら~ら~ら~ら~う~あ~

「っ!?」
「わふぅ…」
「なんだ、この気分は…」
「あうぅ、なんか変な感じ…」
「……ぽ」
「ふぇ?みんなどうしたの?」

女子…何故か小毬さん以外…に異変が。
鈴は耳まで真っ赤にして僕と目をあわせようとしない。
クドは目がとろんとなっている。息遣いも荒い。
来ヶ谷さんや葉留佳さんも様子がおかしい。
西園さんはも真っ赤になっているが…普段から時折あるのでこれのせいなのかはわからない。

「きょ、恭介、止めて止めて!」

BGM:スローカーブ

「ん、あぁ。どうしたんだ急に?」
「なんだか、すごく後ろめたい気分になったよ…」
「なんじゃそりゃ?」

あの曲は一体なんだったのか、僕達に知る由もなかった。

結局、曲選びは明日以降にして今日は寝ることに。
机を移動させ、4人で布団を敷く。

真人はほんの数分で眠りに付いたらしい。
謙吾や恭介も早いうちに寝入ったようだ。
…僕も寝るとしよう。

こうして夜は更けていく…。

続く



[22069] 第8話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:d975b5ac
Date: 2010/09/30 00:57
9月9日(日)

BGM:目覚めた朝に

あまりの寝苦しさに目が覚めた。
何故か全身汗だくだ。
ふと縁側を見ると、恭介が既に着替えて外を見つめていた。
真人は大いびきをかきながら寝ている。
謙吾の姿も既になかった。

「お、理樹。起きたか」
「なんだか寝苦しくてね。謙吾は?」
「さぁ。俺が起きたときには既にいなたっかたが…外で素振りでもしてるんじゃないか?」

それにしても…昨日の涼しさからは考えられない暑苦しさだ。
携帯の天気予報を見てみる。

予想最高気温35度(前日比+9)
予想最低気温25度(前日比+4)

…そんな馬鹿な。
手動更新してみる。

予想最高気温36度(前日比+10)

…上がった。

「なんだ、真人はまだ寝てるのか?」

謙吾が戻ってきた。

「それにしても今日はやけに暑いな?」
「予想最高気温36度だってさ…」
「それは…ただ事じゃないな」

携帯サイトの情報によると、上空の気流の乱れの影響で数日は天気が乱れるとのことらしかった。
この突然の猛暑もそのせいだろう。

「…冗談で言ったつもりだったんだがな」
「なんか今回それ多くない?」

それは出発前のことだった。

「せっかく海に行くんだ。水着くらい持っていけよ?」

昨日は9月上旬にしては結構涼しかった。
一応皆持っては来ているらしいが、まさか本当に使うことになるとは誰一人思っていなかっただろう。

朝食を食べに、1階の食堂に皆が集まる。
和風旅館だけあって、朝食もご飯に味噌汁、焼き魚といかにも日本の朝食、と言った感じだ。

「皆、落ち着いて聞いて欲しい」

恭介が話を始める。

「まず今日の予定だが、海に出ようと思う」
「海ったって、なにすんだよ?」
「一応水着は持ってきてありますが…」
「なぁに、心配するな。いろいろと使えそうなものは持ってきてある」

流石に準備がいい。

「だが、問題はそこじゃない。もう一つ伝えておくことがある」
「なんだよ?」
「明日月曜日、臨時休校が決定した」
「…はい?」

場の空気が凍りつく。

「待て恭介氏、それはどういうことだ?」
「あぁ。皆、化学科の佐々木、と言う教師は知っているか?」
「佐々木先生って、隣のD組の担任だよね?」
「確か、長身で常に白衣を着ている教師だな」
「うんうん。ちょっと怖そうだけど、とってもいい先生ー」
「あたしはクラス違うからしらないなァ。あたしんトコは化学の担当渡辺先生だし」

葉留佳さんのクラスは化学の担当教師が違うらしい。
渡辺…知らないなぁ。

「で、その佐々木先生がどうかしたのか?」
「それなんだが…科学部の連中と早朝からとある実験をしていたらしいのだが、薬品の配合を間違えて爆発させたらしい」
「ば、爆発ですかーっ!?」
「なんでも、新しいNYP兵器の研究をしていたそうです。鈴木さんからメールが来ていました」

鈴木…例のマッド鈴木さんのことだろう。
NYP(なんだかよくわからないパワー)研究の第一人者である。
西園さんがそのメールを見せてくれたが、相当焦っていたのだろう、誤字だらけだった。

「幸い、教師生徒ともにけが人はなかったそうだが…それに反応してプールしていたNYPが暴走したらしくてな。特別教室棟を中心に各校舎の1階全域と2階の一部が、泡状の物質で覆われてしまったらしい。業者に頼んで撤去してもらっているそうだが、1日で終わるものではないらしい」

それで臨時休校、ということらしかった。
というか、一体何を作ろうとしていたのだろうか…。

「寮は大丈夫なのか?」

鈴がたずねる。
たしかに、その謎の物質が寮にまで及んでいたら何かと面倒だ。

「大丈夫だ。寮に被害はないと連絡があった」

ちなみに恭介に連絡をしたのは男子寮長らしかった。

「ちょっと待って、てことはまた補修増えるのかぁーっ!?」

事故の後、メンバーの中でも比較的病院生活が長かった真人にとってはある意味致命的ダメージだった。
謙吾も一瞬凄く嫌そうな顔をしたが、すぐに平静を取り戻していた。

「ま、今補修のことを嘆いても仕方ないさ。せっかく明日休みなんだからな、思いっきり遊ばなきゃソンだぜ?」
「でも、宿はどうするの?」
「なぁに、心配ないさ。平日で予約もなかったからな、もう1泊くらいなら大丈夫だそうだ」

ホントどこまで手回しがいいんだこの人は。

BGM:BOYS DON'T CRY

一度部屋に戻り、準備をする。
真人と謙吾は早々に済ませ下に降りていった。

「ねぇ、恭介」
「なんだ?理樹」
「まさかとは思うけど、これも恭介の思うがまま?」
「何言ってんだ理樹。ここはあの『世界』じゃないんだぜ?」
「あ、うん。ごめん、変なこと聞いた」
「…理樹」

少し、真剣な表情になる。

「やっぱり覚えてるんだな、あの『世界』のこと」
「まぁね。全部、ってわけじゃなくて、ほんとに断片的にだけど」
「…そうか。いや、俺自身もう殆どあの『世界』で起こったことについては記憶に残ってないからな。今思い出せるのはその『世界』を俺たち8人が作って、お前達を強くしようとした…その事実だけだ。他の連中がどこまで覚えているのか、俺にもさっぱりだがな」

恭介たちが、ただ2人生き残るはずだった僕と鈴のために死の淵で作り出した『世界』。
あの『世界』の礎がなんなのか、そしてあの時何が起こっていたのか、僕たちに知る由もなかった。
でも、あの『世界』があったからこそ死の運命にあった皆が、今ここでこうして生きている。一緒にいる。
今はその事実だけで十分だ。

「さぁて、皆が待ってるぜ。いくぞ理樹!」
「う、うん!」

BGM:密やかなさざめき

「いやー、それにしてもほんと暑いですネ」
「夏だ…夏が帰って来やがった…」

気温30度。
日ざしが真っ白な砂浜を照らす。
遠くを見ると少しだが海水浴客のものと思われるパラソルがあった。

「ところで恭介さん、着替えとかお昼ご飯とかはどうするですか?」
「海の家があるじゃないか」
「いや、海の家というものは普通夏が終わると営業を終了するものだと思うのだが…」
「ふふふ、あれを見よっ!」

恭介が指差した先には海の家が。
そしてその前にはでかでかと書かれた「年中無休」の4文字。
…海の家って、そんな物だったっけ?

「よーっし、泳ぐか!」

鈴が突然上着に手をかける。

「ちょ、ちょっと鈴!?」
「ん、どうした理樹?」

そのまま上着を脱ぎ捨てる。
…どうやら、既に中に水着を着ていたらしい。
上下一体の紺の水着だ。

「いや、なんでもない…」
「…?変なやつだな」

僕自身中に水着を着ていたのに、何故その考えに至らなかったのか。
一瞬よからぬ想像をしてしまった自分が情けない。

しばらくして、着替え終わったメンバー戻ってくる。

「おや、謙吾少年はてっきりふんどしかと思ったのだが」
「流石に人前ではしないな」

ということは1人のときはするのだろうか。滝行とか。
というか、数人姿が見えない。

「他の皆はまだ着替え終わってないのかな?」
「いや、あれだよあれ」

真人が指差す方向…海の家。
その前に置かれた謎の機械。
そこに恭介、クド、西園さんの3人がいた。

 放っておく
ニア様子を見に行く

…なんだ今の。

「ごめん、ちょっと見に行ってくる」
「お、おう」

海の家に向かった。

「…出ました。イビリチュア・ソウルオーガです」
「わ、わふーっ!キラキラなのです!」
「凄いな西園…これでリチュアもコンプリートだぜ…」
「何やってるの?3人とも?」
「あ、リキ。これはですね、デュエルターミナルというのですよ」
「簡単に言えば、遊戯王のアーケードゲームです」
「いや、それは知ってるんだけど…なんでこんなところに?

海の家にデュエルターミナルなんて、聞いたこともなかった。

「細かいことを気にしてはいけません」
「…そういうものなの?」
「そういうものなのです」
「なのです!」
「いやな、せっかくだからと1000円分投入してみたんだが…西園がすさまじい勢いでレアカードを引き当てるもんだからな、ついつい調子に乗っちまった」

カードケースの中には今回の戦利品と思しきカードが。
確かにレアカードの数が半端じゃなかった。
ダイガスタ・イグルスに至ってはシークレットレアだ。

「皆待ってるよ?」
「ちょっと待ってください。この勝負だけ…」

BGM:熱き決闘者達

どうやらアクションデュエルの…それもエクストラステージに突入したところらしかった。

「で、相手は…」

画面を覗き込む。

「百獣の王たるこの俺に、叶う道理などありはしない!」
「うわぁ!?」

相手は海馬瀬人だった。
あいかわらずやかましい。

「恭介さん、例のカードを」
「はいよ」

恭介が西園さんにカードを手渡す。
そしてそのカードをスキャンする。

「光来せよ、セイヴァー・スター・ドラゴン」
☆10 風属性

「青眼の究極竜(ブルーアイズ・アルティメット・ドラゴン)!!」
☆12 光属性

海馬の声が響き、青眼の究極竜が姿を現す。

「今回のミニゲームは、これだぁーーーっ!!」

MCの声が響き…。

「エネミーコントローラー!!」

すぐさま海馬に乗っ取られた。
ミニゲーム・エネミーコントローラーは、海馬の指定するコマンドを制限時間内に入力していくゲームだ。
画面上に表示されるA、B、Cボタンと、手元のアクションボタンを使用する。
明らかに狙っているとしか思えないセリフチョイスが気になるゲームである。
そして海馬の声が響いた瞬間、西園さんの目つきが変わった。

「始まるぞ、西園の戦いが…!!」
「どきどき」

カカッ!カカカカカッ!!
画面にコマンドが表示されるや否や、ものすごい勢いコマンドを入力していく。
画面を左手で叩き、右手はアクションボタンの上に置かれていた。

「ふはははー!すごいぞー、かっこいいぞー!!」
「全速前進だ!!」
「粉砕、玉砕、大喝采!!」

やかましいまでの海馬の声が響き渡る。
結果は…もちろんパーフェクト。
だが、本当に凄いのはここからだった。

アクションデュエルはモンスターのレベルとフィールド相性、そしてミニゲームの結果によって長さと色が変化するバーが現れ、線上を動くカーソルをタイミングよく止め、その結果で勝敗が決定する。
今回西園さんがスキャンしたセイヴァー・スター・ドラゴンのレベルは10。
バー全体の長さは非常に短いが、中央の青いバー、つまりは最高威力の攻撃を繰り出す部分が大きい。
ハイリスク・ハイリターンというやつである。

「うわぁ…」
「すごいな」
「わふぅー」

僕らはその結果に、ただただ驚くしかなかった。
5回全てど真ん中、完全勝利だった。

「シューティング・ブラスター・ソニック」

BGM:チクタク・ルーチン

「…この程度、朝飯前です」
「っと、そうだ。こうしてる場合じゃなかったんだ」
「おぉっと、そうだったな。よし、行くぞ、能美、西園」
「はいなのですっ!」
「…コクリ」

荷物を抱えた恭介と共に、僕らは皆の待つ浜辺へ向かった。

続く



[22069] 第9話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:d975b5ac
Date: 2010/10/03 17:10
BGM:心色綺想曲

「あ~つ~い~暑いっスよ姉御~」
「さっきからそれしか言ってないんじゃないか?葉留佳君」

戻ってくると葉留佳さんがうなだれていた。
確かに昨日とは比べ物にならない暑さだ。

「鈴さんたちみたいに泳ぎに行けばいいじゃないですか?」
「だってさー、姉御が逃がしてくれないんだもーん」

珍しく葉留佳さんが絵のモデルにされていた。
少し気になったのでキャンバスを覗いてみる。

…水着姿の樋口一葉が描かれていた。

「ふむ、こんなところか」

そしていつもの調子で右下に文字を書き加える。

夏の樋口ver.5000

相変わらず意味がわからない。
何故この人が描く絵は顔だけ偉人や有名人になってしまうのだろうか。
僕には少し理解の追いつかないセンスだった。

BGM:かけっこ

海辺には鈴、クド、小毬さん、そして真人の4人がいた。
明らかに1人だけ異質である。

「ちょっ、やめっ、ちょっ、おわーーーーっ!!」

…真人が埋められていた。

「これ乗せるとかわいいかも~」

小毬さんが真人の頭に貝殻を乗せる。

「井ノ原さんっ!ファイトです!筋肉ぱわー全開です!」

クドはどうやらここから真人が脱出するのを心待ちにしているようである。
そして言葉の節々に、トールの暴走の後遺症が若干見られた。

「しねっ」
「ふがぁっ!」

鈴が(どこから持ってきたのか)バケツいっぱいの海水を真人に浴びせる。

「ぬあーーーっ!なんで俺ばっかこんな扱いなんだよぉーーー!!」

ズボォッ!!

「ほわぁっ!」
「わふっ!?」
「っ!?」

なんと首だけの状態から砂を突き破って真人が飛び出した。
あいかわらずデタラメな筋力だ。

「で、お前は泳がないのか?恭介」

海から謙吾が海藻にまみれて戻ってくる。
一体どこでどう泳いだらそうなるんだろうか。

「昨日も言ったじゃねぇか。背中の傷に沁みるんだよ、海水は特にな」
「まぁ、お前のことだからまた何か別のことでも考えているのだろうがな」
「お、察しがいいな。よし、わりぃ、理樹、謙吾、皆を呼んできてくれ」

BGM:少女達の午後4時半

「よし、これで全員揃ったな」
「して恭介氏、これから一体なにをするつもりなのだ?」
「まぁそう急かすな。理樹、そっち持ってくれ」
「あ、うん」

いつもの要領で台紙を走りながら広げていく。

「第1回!夏だ!海だ!水着だ!リトルバスターズ、浜辺の5番勝負!!」
「…」

全員反応に困っていた。

「待て待て待て、私には何がなんだかさっぱりわからんぞ」
「くるがやのゆーとーりだ。今回は何をする気なんだ?」
「まぁそれは自ずとわかるさ。とりあえず、チーム分けだな」

そういうと恭介は9枚のカードを取り出した。

「同じ属性のカードを引いた3人がチームだ」

そして全員がカードを1枚ずつ引く。

「ガスタの巫女 ウィンダか」 謙吾。
「インヴェルズ・ガザス…ってなんだこりゃ?」 真人。
「イビリチュア・マインドオーガスです」 西園さん。
「ガスタ・ガルドだ」 来ヶ谷さん。
「ダイガスタ・ガルドスだね」 葉留佳さん。
「リチュア・アビス…モンペチにしても美味くなさそうだな」 鈴。
「インヴェルズの斥候…斥候ってなんだろ?」 小毬さん。
「インヴェルズ・ギラファですか…なんだか強そうなカードなのです」 クド。
「僕のは…リチュア・ヴァニティだね。って、このカードって…」
「さっき当てた奴だ」
「あ、やっぱり…」

僕のチームには鈴と西園さんが。
他の2チームは真人、クド、小毬さんと、謙吾、来ヶ谷さん、葉留佳さんという組み合わせになった。

「さぁ、野郎ども!ついてこい!」
「圧倒的に女子のほうが多いけどね…」

恭介に誘導され、着いたのは先ほどの海の家。
そして恭介に1人100円ずつ小銭を渡される。

「恭介、まさかとは思うけど…」
「そう、そのまさかだ。5番勝負、最初の勝負で試されるのはズバリ『運』だ!各チーム順番に1人ずつそこのデュエルターミナルでカードを手に入れる。最もレアリティの高いカードを引いたチームの勝利だ!」
「なるほど、この勝負なら体を動かす必要もないというわけか」
「よし、まずは順番を決めないとな」

じゃんけんの結果、最初に真人のチーム、続いて謙吾、僕のチームという順になった。

「よし、それではミッションスタートだ!」
「あ、これミッション扱いなんだ…」

BGM:Mission Possible~but difficult tusk~

「よっし、まずは100円玉を入れて…ここを押せばいいんだよな?」

ガシャン。
真人はTHE トリッキーを手に入れた。

「なんだ、外れか?」
「いいや、大当たりだ」
「へ?」
「こ、こいつは1箱200枚中1枚しか入っていないノーマル仕様のレアカード、通称ノーマルレアカード!」

一番驚いていたのは謙吾だった。

「なんだかよくわかんねぇが、とりあえず凄いってことだな?」
「あ、あぁ…次は俺だ」

ガシャン。
謙吾はアームド・ドラゴン Lv10を手に入れた。

「ふ、不覚…!!」
「それじゃあ次は僕だね」
ガシャン。
リチュアの儀水鏡を手に入れた。

「次は私なのです!」
クドはスター・ブラストを手に入れた。

「ならば次は私が行こう」
来ヶ谷は生贄の抱く爆弾を手に入れた。

「あたしの番だな」
鈴はセンジュ・ゴッドを手に入れた。

「よぅしっ!次は私の番!」
小毬はインヴェルズ・モースを手に入れた。

「あたしの番だね!100円ボーン!!」
葉留佳はクレボンスを手に入れた。

そして、最後に西園さんの番が回ってきた。

「それでは…」
遊星のセリフと共にカードが排出される。
西園はインヴェルズ・ガザス(シークレット)を手に入れた。

「んなっ!?」
「おいおい、本日2度目かよ…」
「ん、なんだ?こいつより凄いカードが出たってのか?」
「あぁ…このインヴェルズ・ガザスはただのインヴェルズ・ガザスじゃない。超激レアのシークレット仕様だ!勝者、理樹チーム!!」

なんだかよくわからないまま勝ってしまった。

続く。



[22069] 第10話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:d975b5ac
Date: 2010/11/14 16:11
BGM:かけっこ

「さぁて、2回戦と行くぜ!」
「いやまぁ」

最初の勝負を終えた僕達は、浜辺に戻ってきていた。

「で、今度は何をすればいいのだ?恭介氏」
「まぁ焦るなって。今度は『器用さ』の勝負だ!」
「ふぇ?」
「制限時間30分で、砂の像を作る。その出来栄えを競ってもらうぞ!」
「はぁ…」

最初は皆微妙な空気だったが、いざ始めてみたらなんだかんだで盛り上がってきていた。

「理樹!そっちもうちょっと太く!」
「こ、こうかな?」

僕達は砂を固めて、そこから削っていく方式で作ることにした。

「い、井ノ原さん!そっちじゃないです!」
「ん?」

ザバァッ!

「ほわぁっ!」
「あ、わりぃ」

真人には絶対に向いていなさそうな作業だった。

「どきどき…」
「そこだ、謙吾少年!」
「…見えたっ!!」

シュバババババッ!!
葉留佳さんが持ち前の素早さで砂を運び、来ヶ谷さんが設計の指示を出す。
そして謙吾が手先の器用さと精神力を生かして像を作っていく。
見ているだけで勝てる気がしなかった。

なんだかんだで、あっという間に時間になった。

「会心のできだな!」
「そうですね」

僕達が作ったのは、1/1ドルジ像。
我ながらなかなかのものだとは思う。

「…」
「う~ん…」
「わふぅ…」

真人チームのは…なんだろうこれは。
クドが言うには、ヴェルカとストレルカの像を作りたかったらしい。
真人が何度も崩したせいか、最早何がなんだかわからなくなっていた。

「完璧だな」
「おぉー…」
「ま、こんなものだろう」

謙吾チームは…これまた凄まじいものを作っていた。
3枚の細長い尾羽。
大きく広がった28枚の翼。
そして鋭い眼に鋭いくちばし。
浜辺にブラックフェザー・ドラゴンがそびえ立っていた。

「謙吾チームの圧倒的勝利だな」
「いやまぁ」

というか、どうやってあのバランスで自立しているのだろうか。
そもそも、あの翼が自重に耐えられるとは到底思えないのだが…。

「さて、もうこれに用は無いな?」
「ん、あぁ」

来ヶ谷さんの問いに答える恭介。

「極神皇ロキの攻撃、ヴァニティ・バレット」

来ヶ谷さんが足下にあった小石を投げつけた。
するとバランスを崩したブラックフェザー・ドラゴンが一瞬で崩れ去った。
というか、相変わらずこの人の行動は読めない。

「さぁて、今度は…ん?」

恭介が意気揚々と次のゲームの説明に取り掛かろうとした時だった。
ポツ、ポツと雨が降り出した。

BGM:幻日

「まずいな、これは嵐になるぞ」

来ヶ谷さんが海の方を指差した。
風上には真っ黒な雲が。

「仕方ない、一旦宿に戻るぞ」

恭介は至極残念そうな顔をしながらみんなにそう継げた。

BGM:チクタク・ルーチン

「で、どうすんだよ恭介?」
「うーむ…」
「といっても、この部屋でできることってかなり限られるんじゃないか?」

謙吾の言うとおりだ。
これだけの大所帯で、部屋1つでできることはあまり無い。
すると、誰かの携帯の着信音が響いた。

BGM:明日への道~Going my way~

鳴り響く歌。

「あ、もしもし?」

どうやら葉留佳さんの携帯だったようだ。

「これだ!」

恭介が何か閃いたらしい。

「チームデュエルっていう手があったじゃないか!」
「チームデュエル?」
「あれだよ、ほら、アニメでやってるさぁ」
「あー」

そのまま説明に入る恭介。

「よし、じゃあこうしよう。各チーム3人で順番を決め、まずは一人目がデュエルをする。一人当たりの持ちライフは4000、無くなった時点で次のプレイヤーに交替だ。ライフポイントが0になった場合でもフィールドのカードは引き継げる。それからバーンカードはプレイヤー一人だけを対象に発動な」
「なるほど、それならチーム対抗でできるというわけか」
「だが、お前はどうするんだ、恭介?」
「俺はジャッジをやるよ。色々と複雑だからな」

真人が若干混乱しているようだが、みんな概ねルールは把握できているようだ。

「よし、じゃあ始めるぞ!」

続く



[22069] 第11話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:d975b5ac
Date: 2010/12/07 23:15
BGM:チクタク・ルーチン

そんなこんなで、チームデュエルをすることになった。
僕のチームは鈴、西園さん、僕の順。
真人のチームは小毬さん、クド、真人の順、謙吾のチームは葉留佳さん、来ヶ谷さん、謙吾の順だ。

「恭介はどうするの?」
「俺はジャッジをやるよ。色々と複雑だからな」

そして各チーム1番手の鈴、小毬さん、葉留佳さんの3人と、ジャッジの恭介が机を囲んで座る。

「よし、デュエルスタートだ!」

BGM:勇壮なる戦い

Turn1:鈴
「あたしのターン、ドロー!」
手札5枚→6枚
「手札から宝玉獣トパーズ・タイガーを召喚!」
ATK1600 DEF1000 ☆4
手札6枚→5枚
「カードを2枚伏せて、ターンエンドだ」
手札5枚→3枚
伏せ2枚

Turn2:小毬
「私のターン、ドロォー」
手札5枚→6枚
「ナチュル・パンプキンを召喚っ!」
ATK1400 DEF800 ☆4
手札6枚→5枚
「ナチュルパンプキンの効果で、ナチュル・スティンクバグを特殊召喚!」
ATK200 DEF500 ☆3
手札5枚→4枚
「レベル4のナチュル・パンプキンにレベル3のナチュル・スティンクバグをチューニング!シンクロ召喚っ!ナチュル・ランドオルス!」
ATK2350 DEF1600 ☆7
「カードを1枚伏せて、ターンエンドだよー」
手札4枚→3枚
伏せ0枚→1枚

Turn3:葉留佳
「私のタァーン!ドロー!ジャキーン!!」
手札5枚→6枚
「モンスターをセット!」
手札6枚→5枚
「カードを5枚伏せて、ターンエンド!」
手札5枚→0枚

「あれ、謙吾、何やってるの?」
「ん、あぁ さっきのカードでデッキを強化しようと思ってな」

Turn4:鈴
「あたしのターンだな ドロー!」
手札3枚→4枚
「手札から宝玉獣サファイア・ペガサスを召喚!」
ATK1800 DEF1200 ☆4
手札4枚→3枚
「宝玉獣サファイア・ペガサスの効果…」
「ちょぉーっとまったー!ナチュル・ランドオルスの効果を発動するよ!手札の魔法カードを1枚捨てて、モンスター効果の発動を無効にして破壊!」
小毬 手札3枚→2枚
「よしきたぁー!罠発動、ファイアーダーツ!サイコロを3回振って、その目の合計×100のダメージ!」
サイコロの目は…5,4,6
「合計15で1500ダメージ!さらに速攻魔法発動、ご隠居の猛毒薬!さらにさらに罠発動、積み上げる幸福!それからそれから罠発動、チェーン・ブラスト!そんでもって速攻魔法発動!連鎖爆撃!!」

「うおっ!なんかすげぇことになってんぞ!」
「三枝の本領発揮って所だな」

「連鎖爆撃の発動チェーンは7だから2800ダメージ!よって鈴ちゃんと小毬ちゃんにそれぞれ2800ダメージ!すびっしゃぁぁぁん!!」
「ふにゃっ!?」
鈴LP4000→1200
「ほわぁっ!?」
小毬LP4000→1200
「さらに積み上げる幸福の効果でカードを2枚引いて、チェーン・ブラストを手札に戻ーす!」
葉留佳手札0枚→3枚
伏せ5枚→0枚

「あれ、今誰のターンだっけ」
「鈴のターンのはずだが…だよな、恭介」
「あぁそうだ」
葉留佳さんの怒涛のチェーン連打で微妙に場が混乱していた。

「トパーズ・タイガーを守備表示にして、ターンエンドだ」

Turn5:小毬
「私のターン、ドロォー!」
手札2枚→3枚
「バトル!ナチュル・ランドオルスではるちゃんの伏せモンスターに攻撃!」
「あまぁーい!アルカナフォース0 THE FOOLは戦闘で破壊されない!」
ATK0 DEF0 ☆1
「うーん カードを1枚伏せてターンエンドぉ…」
手札3枚→2枚
伏せ1枚→2枚

Turn6:葉留佳
「私のターン!ドロー!」
手札3枚→4枚
「魔法カード発動、ハリケーン!さらに手札から速攻魔法ご隠居の猛毒薬!それからさらに手札から速攻魔法、連鎖爆撃発動!」

「連鎖爆撃2枚目だと!?」
「ふむ、今日の葉留佳君はなかなかいい引きをしているようだな」

全ての伏せカードが手札に戻る。
鈴手札3枚→5枚
伏せ2枚→0枚
小毬手札2枚→4枚
伏せ2枚→0枚

「こまりんに1200ダメージ!それから鈴ちゃんにも800ダメージ!」
「あうぅう…」
小毬LP1200→0
「うにっ!?」
鈴LP1200→400
「カードを1枚伏せて、ターンエンド!」

小毬さんのLPが0になったことで、二番手のクドへとバトンタッチする。
しかし問題はここからだ。
鈴の伏せカードが全て失われた状況で、葉留佳さんの伏せカードは間違いなく「チェーン・ブラスト」。
…万事休す。

Turn7:鈴
「あたしのターン、ドロー!」
手札5枚→6枚
「罠発動!チェーン・ブラスト!鈴ちゃんに500ダメージ!」
「鈴!」
葉留佳伏せ1枚→0枚

これを受けたら、鈴のライフは0。
しかもこの場の状況では…!!

「速攻魔法発動!エネミーコントローラー!FOOLを攻撃表示に!」
「あぁうっ!しまったぁ!」
「さらに速攻魔法、死者への供物!次のドローフェイズをスキップする代わりに、相手モンスター1体を破壊する!ナチュル・ランドオルスを破壊!」
「はうっ!?」
「これで最後だ!速攻魔法、奇跡の蘇生!墓地のサファイア・ペガサスを特殊召喚!」
鈴LP400→0

鈴のライフが尽きたことでターンはエンドフェイズに移行し、西園さんへとバトンタッチする。

「うーみゅ、すまない、みお」
「いえ。場の状況は悪くありません。あとは…」

どうやら西園さんには何か策があるようだ。

Turn8:クド
「私のターン、ドロー!なのですっ!」
手札5枚→6枚
「手札から永続魔法、六武の門を発動するです!」
手札6枚→5枚
「さらに永続魔法、六武衆の結束を発動するです!」
手札5枚→4枚
「真六武衆-カゲキを召喚なのです!」
ATK200 DEF2000 ☆3
手札4枚→3枚
六武の門 武士道カウンター0→2
六武衆の結束 武士道カウンター0→1
「真六武衆-カゲキの効果で、手札から真六武衆-ミズホを召喚なのです!」
ATK1600 DEF1000 ☆3
手札3枚→2枚
六武の門 武士道カウンター2→4
六武衆の結束 武士道カウンター1→2
「真六武衆-カゲキは、他の六武衆がいるとき攻撃力が1500あっぷするです!」
真六武衆-カゲキ ATK200→1700
「さらに真六武衆-ミズホが場に存在するとき、手札から真六武衆-シナイを特殊召喚するです!」
ATK1500 DEF1500 ☆3(守備)
手札2枚→1枚
六武の門 武士道カウンター4→6
「六武衆の結束を墓地に送って、カードを2枚ドローするです!」
手札1枚→3枚
「六武の門のカウンターを4つ取り除いて、デッキから真六武衆-キザンを手札に加えるです!」
手札3枚→4枚
「真六武衆-キザンを特殊召喚なのです!」
ATK1800 DEF500 ☆4
手札4枚→3枚
六武の門 武士道カウンター2→4
「真六武衆-キザンは他の六武衆がいるとき、攻撃力が300あっぷするです!」
真六武衆-キザン ATK1800→2100
「カードを1枚伏せて、バトルです!」
手札3枚→2枚
「真六武衆-キザンでFOOLに攻撃です!」
「はうぅあぁ!」
葉留佳LP4000→1900
「さらに真六武衆-カゲキで攻撃するです!」
葉留佳LP1900→200
「真六武衆-ミズホで攻撃なのです!」
「あうぅぅぅー…」
葉留佳LP200→0
「これでターンエンドなのです!」

「ひえぇ…おっそろしぃ」
「なんていうか、やっぱり凄いよね…」
六武衆改め真六武衆の展開力に、ただただ僕たちは驚くしかなかった。

続く



[22069] 第12話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:d975b5ac
Date: 2012/01/21 00:02
BGM:勇壮なる戦い

葉留佳さんのライフが0になり、二番手の来ヶ谷さんに交代する。

「あうぅー、すまないっす姉御ぉー」
「大丈夫だ、たいした問題じゃないさ」

Turn9:来ヶ谷
「私のターン、ドロー」
手札5枚→6枚
「永続魔法、黒い旋風を発動」
手札6枚→5枚
「手札からBF-暁のシロッコを召喚」
ATK2000 DEF900 ☆5
手札5枚→4枚
「おーっとぉ!ここで速攻魔法、月の書を発動するです!」
「なにっ!?」
「暁のシロッコを裏側守備表示に変更するです!」
「…くっ」
クド 伏せ1枚→0枚

「能美のやつ、考えたな。裏側守備表示になれば黒い旋風の効果は発動しない」
「へぇー」
珍しく真人が理解している…と見ていいのだろうか。
思ったよりトールの影響は大きいらしい。

「…カードを1枚伏せて、ターンエンドだ」
手札4枚→3枚
伏せ0枚→1枚

Turn10:西園
「では、わたしのターンです。ドロー」
手札5枚→6枚
「儀式魔法、リチュアに伝わりし禁断の秘術を発動します」
手札6枚→5枚
「このカードは相手の場を含めた全フィールド上のカードからコストを選択し、儀式召喚を行うカードです。真六武衆-ミズホと真六武衆-キザン、そしてアルカナフォース0 THE FOOLをリリースして、イビリチュア・ソウルオーガを守備表示で儀式召喚します」
ATK2800→1400 DEF2800 ☆8(守備表示)
手札5枚→4枚
「儀式魔法、リチュアの儀水鏡を発動。シャドウ・リチュアは水属性の儀式モンスターを儀式召喚する際、レベルに関係なくこのカード1枚で儀式召喚を行うことができます。イビリチュア・マインドオーガスを儀式召喚」
ATK2500 DEF2000 ☆6
手札4枚→2枚
「イビリチュア・ソウルオーガの効果を発動。手札のリチュアと名のついたカード1枚を捨てることで、フィールド上のカード1枚をデッキに戻します。真六武衆-シナイをデッキに」
「はわっ!?」
手札2枚→1枚
「カードを1枚伏せて、ターンエンドです」
手札1枚→0枚
伏せ0枚→1枚

Turn11:クド
「私のターン、ドロー!なのですっ!」
手札2枚→3枚
「手札から六武衆の師範を特殊召喚するです!」
ATK2100 DEF400 ☆5
手札3枚→2枚
六武の門 武士道カウンター4→6
「六武の門のカウンターを4つ取り除いて、デッキの真六武衆-シナイを手札に加えるです!」
手札2枚→3枚
六武の門 武士道カウンター6→2
「真六武衆-シナイを召喚なのです!」
手札3枚→2枚
六武の門 武士道カウンター2→4
「六武の門の効果で、墓地の真六武衆-ミズホを手札に加えるです!」
手札2枚→3枚
六武の門 武士道カウンター4→0
「手札から真六武衆-ミズホを召喚するです!」
手札3枚→2枚
六武の門 武士道カウンター0→2
「真六武衆-ミズホの効果発動なのです!自分の場の六武衆1体をリリースして、フィールド上のカードを1枚破壊するです!真六武衆-シナイをリリースするです!さらにここで真六武衆-シナイの効果も発動なのです!このカードがリリースされたとき、墓地から真六武衆-シナイ以外の六武衆1体を手札に加えるです!真六武衆-キザンを手札に加えて、来ヶ谷さんの伏せカードを破壊するです!」
手札3枚→2枚
「しまった、デルタクロウ-アンチリバースが…!」
来ヶ谷 伏せ1枚→0枚
「真六武衆-キザンを特殊召喚です!」
手札3枚→2枚
六武の門 武士道カウンター2→4
「さらに六武の門の効果で、墓地の真六武衆-シナイを手札に加えるです!」
手札2枚→3枚
六武の門 武士道カウンター4→0
「真六武衆-シナイを特殊召喚なのです!」
手札3枚→2枚
六武の門 武士道カウンター0→2
「バトルなのです!真六武衆-シナイで来ヶ谷さんのモンスターに攻撃!」

伏せモンスターは、先ほど裏側守備表示になったBF-暁のシロッコ。
もちろん破壊される。

「六武衆の師範でダイレクトアタック!」
「くっ…手札からバトルフェーダーの効果発動、このカードを特殊召喚し、バトルフェイズを終了する」
ATK0 DEF0 ☆1
来ヶ谷 手札3枚→2枚

「うーん、カードを1枚伏せて、ターンエンドなのですっ」
手札2枚→1枚
伏せ0枚→1枚

Turn12 来ヶ谷
「私のターン、ドロー」
手札2枚→3枚
「BF-黒槍のブラストを召喚」
ATK1700 DEF800 ☆4
「黒い旋風の効果で、デッキのBF-疾風のゲイルを手札に」
手札3枚→4枚
「BF-疾風のゲイルは、自分フィールド上の他のBFがいるとき特殊召喚できる。BF-疾風のゲイルを特殊召喚」
ATK1300 DEF400 ☆3
手札4枚→3枚
「BF-疾風のゲイルの効果発動。相手モンスター1体の攻撃力と守備力を半分にする。イビリチュア・マインドオーガスの攻守を半分に」
イビリチュア・マインドオーガス ATK2500→1250 DEF2000→1000
「バトル!BF-疾風のゲイルでイビリチュア・マインドオーガスに攻撃!」
「…っ!」
西園 LP4000→3950
「さらにBF-黒槍のブラストで宝玉獣-サファイア・ペガサスに攻撃」
西園 LP3950→3450
「さらにメインフェイズ2に入る。BF-黒槍のブラストにBF-疾風のゲイルをチューニング。BF-アーマードウィングをシンクロ召喚」
ATK2500 DEF1500 ☆7
「カードを1枚伏せて、ターン終了だ」
手札3枚→2枚
伏せ1枚→2枚

Turn13 西園
「…わたしのターン、ドロー」
手札0枚→1枚
「カードを1枚伏せ、ターンエンドです」
手札1枚→0枚
伏せ1枚→2枚

「これは、西園が少々きつい状況だな」
「ん?どういうことだよそれ?」
「儀式召喚は手札消費が荒いからな。一度劣勢にたたされると立て直しが難しい」
「西園さん…」

たしかに、せっかく召喚したイビリチュア・マインドオーガスもイビリチュア・ソウルオーガも破壊されてしまった。
少々まずい状況なのは間違いない。

Turn14:クド
「私のターン!ドローなのですっ!」
手札1枚→2枚
「真六武衆-エニシを召喚なのです!」
ATK1700 DEF700
手札2枚→1枚
六武の門 武士道カウンター2→4
「そこですっ!罠発動、激流葬!」
「わふぅっ!?」
「んなっ!?」
「激流葬の効果で、全てのモンスターは破壊されます!」
西園 伏せ2枚→1枚

フィールド上の全モンスターが消滅する。

「あうぅ、こうなったら最後の手段です!井ノ原さん、後はお願いします!」
「え、お、俺!?」

突然次のプレイヤーである真人に声をかけるクド。

「まずい!」
「この状況とあの台詞から察するとあの伏せカードは…!!」

恭介と謙吾は何かに気づいたらしい。

「罠発動!究極・背水の陣!」
「究極…」
「背水の陣だと…!?」
「究極・背水の陣は、自分のライフを100まで削って、墓地の六武衆を可能な限り特殊召喚するカードなのです!」
クドLP4000→100
「復活するです!真六武衆-キザン!エニシ!シナイ!ミズホ!そして六武衆の師範!」
伏せ1枚→0枚
六武の門 武士道カウンター 4→6

「うおっ!クド公のライフが一気に減っちまったぞ!?」
「チーム戦だからこその思い切ったプレイか…」

「真六武衆-キザンで、西園さんにダイレクトアタックなのです!」
「っ!」
西園 LP3450→1350
「さらに真六武衆-シナイでダイレクトアタックなのです!」
「…っ!!」
西園 LP1350→0

「恭介氏、西園女氏のライフが0になったが、この場合どうなる?」
「まだもう一人プレイヤーが残っているからな。バトルフェイズは続行だ」
「…マジなのかかそれは」
「あぁ、マジだ」

どうやら来ヶ谷さんは、西園さんのライフが尽きた時点でエンドフェイズに移行すると思っていたようだ。

「六武衆の師範で、来ヶ谷さんにダイレクトアタックなのです!」
「ぐぅっ!」
来ヶ谷 LP4000→1900

だめだ、ここで罠カードを使って凌いだところで、六武式三段襲の餌食…なら!

「真六武衆-エニシでダイレクトアタックなのです!」
「ぐあぁっ!」
来ヶ谷 LP1900→200
「これで最後なのです!真六武衆-ミズホでダイレクトアタックなのです!」
「…ただでは終わらせない!罠カード発動、破壊指輪!六武衆の師範を破壊して、互いに1000ポイントのダメージを受ける!」
来ヶ谷 伏せ2枚→1枚
「わふぅっ!?」
来ヶ谷 LP200→0
クド LP100→0

確かに繋いだぞ、謙吾少年…!

西園さん、クド、そして来ヶ谷さんの3人が共倒れになったことで、全チームが三番手にそれぞれバトンタッチ。
謙吾のターンから再スタートとなる。

Turn15:謙吾
「俺のターン、ドロー」
手札5枚→6枚
「永続魔法、アポート発動」
手札6枚→5枚
「こいつは自分の場にモンスターがいないとき、800ライフ支払うことで手札からサイキック族モンスターを1体特殊召喚するカードだ。ライフを800払い、ガスタの巫女 ウィンダを特殊召喚」
ATK1000 DEF500 ☆2
手札5枚→4枚
LP4000→3200

「巫女…だと?」

恭介がなぜか反応した。

「あー、あれ?そういえば前にそんなこと言ってなかったっけ?」
「ん、そうだったか?」

若干あやふやだが記憶の片隅にあるような気がする、謙吾の巫女趣味。
そういえば昨日西園さんが何か言っていたけど…まぁいいか。

「さらに手札から、ガスタ・ガルドを召喚」
ATK500 DEF500 ☆3(チューナー)
手札4枚→3枚
「レベル2のガスタの巫女 ウィンダに、レベル3のガスタ・ガルドをチューニング!シンクロ召喚!ダイガスタ・ガルドス!」
ATK2200 DEF800 ☆5

「の、」
「の、」
「乗っただけぇぇぇぇぇ!?」

まさかのタイミングで全員の息があった。

「おいおい、その言い草はないだろう?とりあえずダイガスタ・ガルドスの効果発動だ。墓地のガスタ2枚をデッキに戻し、相手の表側表示モンスター1体を破壊する。真六武衆-シナイを破壊だ」
「うおぉっ!?」
「バトル!ダイガスタ・ガルドスで理樹にダイレクトアタック!」

やはりそうくるか。
当然だ、僕の場は今がら空き。
ここを狙わないわけがない。

「手札の速攻のかかしを墓地に送って、バトルフェイズを終了する!」
理樹 手札5枚→4枚
「さすがに、そう簡単にもいかないか。カードを1枚伏せて、ターンエンドだ」
手札3枚→2枚
伏せ1枚→2枚

Turn16:理樹
「僕のターン、ドロー」
手札4枚→5枚
「手札からサイバー・ドラゴンを特殊召喚!」
ATK2100 DEF1600 ☆5
手札5枚→4枚
「さらにジャンク・シンクロンを召喚!」
ATK1300 DEF500 ☆3(チューナー)
手札4枚→3枚
「ジャンク・シンクロンの効果で、速攻のかかしを守備表示で特殊召喚!」
ATK0 DEF0 ☆1
「レベル5のサイバー・ドラゴンに、レベル3のジャンク・シンクロンをチューニング!シンクロ召喚!スターダスト・ドラゴン!」
ATK2500 DEF2000 ☆8
「バトル!スターダスト・ドラゴンで、ダイガスタ・ガルドスに攻撃!」
「んなっ!?」
謙吾 PL3200→2900
「カードを2枚伏せて、ターンエンド」
手札3枚→1枚
伏せ1枚→3枚

Turn17 真人
「ついに俺を解き放つか…俺のターン、ドロー!」
手札5枚→6枚
俺の場にはクド公の残したキザン、シナイ、ミズホ、それに六武の門か…。
「手札からチューナーモンスター、トラパートを召喚するぜ!」
ATK600 DEF600 ☆2 チューナー
手札6枚→5枚
「レベル3の真六武衆-シナイと真六武衆ミズホに、レベル2のトラパートをチューニング!屈強なる白亜の豪腕、大地を砕き勝利をもたらせ!唸れ筋肉!シンクロ召喚!ギガンテック・ファイター!!」
ATK2800 DEF1000 ☆8 シンクロモンスター
真六武衆-キザン ATK2100→1800 DEF800→300
「ギガンテック・ファイターの効果!こいつは互いのプレイヤーの墓地の戦士族モンスター1体につき攻撃力100ポイントアップする!オレの墓地には4体、理樹の墓地に1体で計500ポイントアップだ!」
ギガンテック・ファイター ATK2800→3300
「さらに六武の門の効果を発動!武士道カウンターを2個取り除いて、キザンの攻撃力を500ポイントアップだ!」
真六武衆-キザン ATK1800→2300
「ギガンテック・ファイターで謙吾のダイガスタ・ガルドスに攻撃!ジャイアント・マッスル・ブロー!!」

いつの間にか攻撃名も考えていた!

「ぐぅっ!」
謙吾 LP2900→1800
「真六武衆-キザンでダイレクトアタック!」

「この攻撃が通れば謙吾のライフは…!」

あまり使いたくはなかったが…仕方あるまい!
「リバースカードオープン!速攻魔法発動、緊急テレポート!」
謙吾 伏せ3枚→2枚
「手札、またはデッキから、レベル3以下のサイキック族モンスター1体を特殊召喚する。そして、この効果で特殊召喚されたモンスターは、エンドフェイズ時にゲームから除外される!ガスタの巫女 ウィンダをデッキから守備表示で特殊召喚!」
「へっ、ならその出てきたモンスターに攻撃だ!」
「ガスタの巫女 ウィンダのモンスター効果発動!相手モンスターの攻撃によって破壊され墓地へ送られたとき、デッキからガスタと名のついたチューナー1体を特殊召喚できる!ガスタ・スクレイルを特殊召喚!」
ATK0 DEF1800 ☆2 チューナー
「ちっ、ターンエンドだ」

Turn18 謙吾
「俺のターン、ドロー!」
手札1枚→2枚
「ガスタの静寂 カームを召喚!」
ATK1700 DEF1100 ☆4
手札2枚→1枚
「ガスタの静寂 カームの効果発動!墓地のガスタと名のついたモンスター2体をデッキに戻し、カードを1枚ドローする!俺はダイガスタ・ガルドスとガスタ・ガルドをデッキに戻す!」
手札1枚→2枚
「レベル4のガスタの静寂 カームに、レベル2のガスタ・スクレイルをチューニング!シンクロ召喚!ダイガスタ・スフィアード!」
ATK2000 DEF1300 ☆6
「ダイガスタ・スフィアードのシンクロ召喚に成功したとき、墓地のガスタと名のついたカード1枚を手札に戻すことができる。ガスタの静寂 カームを手札に」
手札2枚→3枚
それにしても、何故来ヶ谷はこの伏せカードを…?
…まぁいい、使わせてもらうぞ。
「リバースカードオープン、永続罠、エンジェル・リフト発動!自分の墓地に存在するレベル2以下のモンスター1体を特殊召喚する!ガスタの巫女 ウィンダを特殊召喚!」
伏せ2枚→1枚
「勝負ありだな、真人。バトル!ガスタの巫女 ウィンダで、ギガンテック・ファイターに攻撃!さらにこのとき罠発動、アルケミー・サイクル!俺の場のモンスターの攻撃力は0になる!」
伏せ1枚→0枚
ガスタの巫女 ウィンダ ATK1000→0
ダイガスタ・スフィアード ATK2000→0
「は?」
真人 LP4000→700

BGM:幻日

「うみゅ!?今何が起こったんだ!?」
「い、井ノ原さんのライフが減っちゃったなのですー!?」
「どういうことだ、謙吾少年?」
「ダイガスタ・スフィアードがフィールド上に存在する限り、ガスタと名のつくモンスターの戦闘によって俺が受けるダメージは、全て相手が受ける」
「げぇっ!?」
「さらにアルケミー・サイクルの効果で1枚ドロー」
手札3枚→4枚
「えーっとぉ、ということは…」
「勝負ありだな」

BGM:死闘は凛然なりて

「ダイガスタ・スフィアードでギガンテック・ファイターに攻撃!ちなみに、ダイガスタ・スフィアードは戦闘では破壊されない」
「うおぉぉぉぉぉ!なんでじゃぁぁぁぁぁ!!」
真人 LP700→0
「カードを2枚伏せてターンエンドだ」
手札4枚→2枚
伏せ0枚→2枚

Turn19 理樹
なんとかして謙吾のダイガスタ・スフィアードを倒さないと…!
「僕のターン、ドロー!」
手札2枚→3枚
…よし、このカードに賭ける!
「手札から魔法カード、調律を発動!」
手札3枚→2枚
「デッキからシンクロンと名のついたモンスター1体を手札に加えてデッキをシャッフルし、デッキの1番上のカードを墓地に送る!クイック・シンクロンを手札に!」
手札2枚→3枚
墓地に送られたカードは…ダンディライオン!
「ダンディライオンの効果発動!このカードが墓地に送られたとき、綿毛トークン2体を召喚する!」
ATK0 DEF0 ☆1
「手札のグローアップ・バルブを墓地に送って、クイック・シンクロンを特殊召喚!」
ATK700 DEF1400 ☆5 チューナー
手札3枚→1枚
「クイック・シンクロンはシンクロ素材になるとき、シンクロンと名のついたモンスターの代わりになることができる!僕はレベル1の速攻のかかしとレベル1の綿毛トークン2体にレベル5のクイック・シンクロンをチューニング!シンクロ召喚!ジャンク・デストロイヤー!!」
ATK2600 DEF2500 ☆8 シンクロモンスター
「ジャンク・デストロイヤーのモンスター効果発動!このカードのシンクロ素材となったチューナー以外のモンスターの数まで、フィールド上のカードを破壊する!ダイガスタ・スフィアードと伏せカード2枚を破壊!」
「罠発動、サイコ・ヒーリング!自分フィールド上に存在するサイキック族モンスター1体につき、1000ポイントライフを回復する!」
謙吾 LP1800→2800
「さらに速攻魔法発動、念導収集機!自分の墓地に存在するレベル2以下のサイキック族モンスターを任意の枚数特殊召喚し、そのレベルの合計×300ポイントのダメージを受ける!ガスタの巫女 ウィンダを守備表示で特殊召喚し、600ポイントのダメージを受ける!」
謙吾 LP2800→2200
伏せ2枚→0枚
「手札からチューニング・サポーターを召喚!」
ATK100 DEF300 ☆1
手札1枚→0枚
「デッキの一番上のカードを墓地に送って、グローアップ・バルブを墓地から特殊召喚!」
ATK100 DEF100 ☆1 チューナー

「お、今度はターボ・シンクロンが落ちたね」
「というか理樹のやつ、デッキに何枚チューナー入れてやがるんだ?」
「というより恭介氏、この展開はもしかするともしかするかもしれないぞ?」
「お、それもそうだな」
恭介がなにやら準備を始める。
そして、例の曲が流れ出す。

BGM:Clear mind
「レベル1のチューニング・サポーターに、レベル1のグローアップ・バルブをチューニング!シンクロ召喚!フォーミュラ・シンクロン!」
ATK200 DEF1500 ☆2 シンクロチューナー
「フォーミュラ・シンクロンとチューニング・サポーターの効果でカードを2枚ドロー!」
手札0枚→2枚
「手札から魔法カード、シンクロキャンセルを発動!フォーミュラ・シンクロンをエクストラデッキに戻し、素材となったグローアップ・バルブとチューニング・サポーターを特殊召喚!」
手札2枚→1枚
「さらにもう一度フォーミュラ・シンクロンをシンクロ召喚し、カードを2枚ドロー!」
手札1枚→3枚
「レベル8のスターダスト・ドラゴンにレベル2、フォーミュラ・シンクロンをチューニング!シンクロ召喚!シューティング・スター・ドラゴン!」
ATK3300 DEF2800 ☆10 シンクロモンスター
「手札から魔法カード、貪欲な壺を発動!」
手札3枚→2枚
「墓地のモンスター5枚をデッキに戻してシャッフルし、カードを2枚ドローする!僕が選択するのは、この5枚だ!」
選択したのはジャンク・シンクロン、グローアップ・バルブ、ターボ・シンクロン、フォーミュラ・シンクロン、クイック・シンクロンの5枚。
「そして2枚ドロー!」
手札2枚→4枚
よし、チューナーは来ていない!

このターンを凌げば死者蘇生でダイガスタ・スフィアードを特殊召喚し勝負を決められるが…俺のデッキに残っているのはイグルが1枚と、ウィンダ、ガルドが2枚ずつ…なんとか凌げるか。
手札にサンボルトが来てしまっているからな…。
「魔法カード、星屑のきらめきを発動!」
手札4枚→3枚
「墓地のサイバードラゴン、速攻のかかし、チューニング・サポーター、ダンディライオンをゲームから除外して、墓地からスターダスト・ドラゴンを特殊召喚!」
「なっ!?」

「おいおい嘘だろ?1ターンで何回シンクロモンスター出す気だ!?」
「クドリャフカ君の六武衆にも引けを取っていないな…」
「わ、わふぅ…」

「シューティング・スター・ドラゴンの効果発動!デッキの上から5枚を確認して、その中のチューナーの数だけ攻撃することができる!」
確認したカードは…クイック・シンクロン、ドリル・シンクロン、チェンジ・シンクロン、エフェクト・ヴェーラー、死者蘇生。
「4回攻撃か…だが惜しかったな、理樹!その総攻撃でも俺のライフを0にすることはできない!」
「そうかな!?バトル!シューティング・スター・ドラゴンでウィンダに攻撃!」
「ウィンダの効果で、ガスタ・ガルドを特殊召喚!」
「2回目の攻撃でガスタ・ガルドに攻撃!」
「ガスタ・イグルを特殊召喚!」
「3回目の攻撃!ガスタ・イグルを破壊!」
「ウィンダを特殊召喚!」
「4回目、ウィンダに攻撃!」
「3枚目のガスタ・ガルドだ!」
「スターダスト・ドラゴンでガスタ・ガルドに攻撃!」
「3枚目のウィンダを特殊召喚!」
「ジャンク・デストロイヤーでウィンダに攻撃!」
「ぐっ…だが、もうこれでお前に攻撃できるモンスターは残っていない!」

「おー、謙吾くん凄いねェ」
「あの怒涛のラッシュを耐え切るとは…」
「いや、まだだ」
恭介の言うとおり…僕には最後の手がまだ残っている。

「手札を1枚捨てて速攻魔法、超融合発動!!」
手札3枚→1枚
「超融合だと!?」
「融合モンスターによって決められたモンスターを自分、または相手のフィールド上から墓地に送って、そのモンスターを融合召喚する!僕はスターダスト・ドラゴンとジャンク・デストロイヤーを融合!波動竜騎士 ドラゴエクィテス!」
ATK3200 DEF2000 ☆10 融合モンスター
「波動竜騎士 ドラゴエクィテスで、謙吾にダイレクトアタック!」
「う、うおぉぉぉっ!!」
謙吾 LP2200→0
「勝者、理樹チーム!!」

BGM:MY BRAVE SMILE
「さすがだな、理樹。完敗だ」
「いや、僕もまさかあそこまで上手く回るとは…」
正直、あの回りようは想定外だった。
「しかし理樹君、なぜ超融合なんてものを入れていたんだ?」
「クドの六武衆の対策用に1枚だけ入れてたんだけど…まさかあんな場面で使うことになるとは思わなかったよ」

「恭介」
「ん、どうした、鈴」
「明日はどうするんだ?雨だけど」
「大丈夫。朝までには止むそうだ」
「そうか。じゃあ大丈夫だな」
「あぁ。また海で思いっきりはしゃごうぜ?まだやってない企画もあるわけだしな」
海の家のデュエルターミナルは大丈夫だろうか…。
ふとそんな考えが浮かんだ。
そして、気がつけば時計の針は11時半を指していた。
「よし、今日はそろそろ解散するか」
「そうだね」

女子が部屋に戻ると、僕たちも寝る準備をする。
布団を敷いて、部屋の電気を消す。
「それじゃ、おやすみ」
明日もめいっぱい遊べるよう、すぐに寝ることにした。
こうして今日も更けていく…。

続く



[22069] 第13話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:d975b5ac
Date: 2013/07/09 03:22
9月10日(月)

BGM:目覚めた朝に

「ふあぁ…」

窓から降り注ぐ日差しで目が覚めた。
恭介が窓際で海を見ている。

「どうしたの?恭介」
「あぁ、理樹か、おはよう。いや、少しまずいことになってな…海が荒れてる」

昨日の雨のせいだろう、波がかなり高かった。

「これじゃ海へ行くのは無理かな?」
「だろうな」

恭介は少し残念そうだ。

「ま、とりあえず飯行こうぜ」
「そうだね。ほら真人、起きて!」
「んー…」

真人を起こし、食堂に向かう。

食堂にはすでに謙吾の姿があった。
そして僕たちが着いた直後に女子も降りてきた。

「で、恭介、今日は何をするんだ?」

真っ先に謙吾が訊く。

「まぁそうあわてるな。海はあの調子だから無理だ。だから今日は、街に出ようと思う」

このあたりは観光地として有名で、商店街も活気付いているという。

「といっても今日は夕方までだ。明日からはまた授業があるからな」

すると真人と謙吾が固まる。
入院期間の長かった彼らにはまだ補修が残っているようだった。
成績も割りと優秀な謙吾はともかく、真人にとっては苦痛だろう。

「そういえば先ほど鈴木さんから連絡がありました。例の作業は夕方くらいには終了する見込みとのことです」
「そうか、わかった」
「そいやさ姉御、これとこれ、どっちがいいかな?」

いきなり話題を変える葉留佳さん。

「無謀な欲張りと強欲な瓶か」
「いやー、手札が尽きちゃうと辛いからさぁ」
「チェーンバーンなら素直に積み上げる幸福でいいと思うのだが」
「おー、それもそうだねェ」

…どうやら葉留佳さんはチェーンバーンが気に入ったようだった。

BGM:MY BRAVE SMILE

恭介の先導で街に出る。
駅前の商店街とは比べ物にならないくらい活気に満ち溢れている。
平日だというのにどこの店にも人がいた。
休日はもっと人多いんだろうな…。

「そういえばさ、恭介。ここには来た事あるの?」
「ん?あぁ、就活の時にな」

恭介の就活はある種の旅行のようなものだ。
旅費を浮かせるために徒歩でいつも回っている。
東京の出版社まで徒歩で行ってたこともあったっけ…。

「姉御姉御、こんなんどうです?」
「うむ、悪くないな」
「これはヴェルカのでー、それからこれはー…」
「あ、このお菓子おいしそうー」
「猫はこれ食べるかな?」
「大丈夫だと思います」

女子はすでに買い物を始めていた。

「なぁ、この辺の地域限定の筋肉グッズとかねぇのか?」
「ないと思うよ…」
「恭介、このあたりで何か、美味いものとかはないのか?」
「お、興味ありますね、それ」

謙吾の質問に葉留佳さんが食いついてきた。
そういう謙吾の手には、なにやら片手でもてるくらいの箱が2つ。

「あれ、どうしたの?それ」
「あぁ、これか。新しいカードが出てたんでな、奮発して2箱ほど買ってみたんだ」

その後、使う当てのない金ばかり溜まっていくからな、と付け加えた。
そして時計を見るとすでにお昼をまわっていた。

「お、もうそんな時間か」
「そろそろお腹も空いてきたね」
「よし、ならこの先に美味い飯屋があるんだ。そこにでも行こうぜ?」
「うん、そうだね」

恭介に連れられて、大通りから外れたところにある料理屋に入る。
採れたて魚介を安く美味く、と看板を掲げた店だ。
安い丼ものなら400円程度、高いものでも一人1000円あればお釣りが来るくらいだ。
座敷が空いていたので、10人でそこの机を囲む。
海鮮掻揚げ丼なるものがあったので、それを頼むことにした。
みんなもみんなで思い思いの品を頼んでいた。

「ん、めぇーーー!!」
「これで550円とは、なかなか良心的だな」
「それにこれ、安いのにめちゃくちゃうめぇぞ!」
「そりゃそうさ。採れたてそのままだからな」

何故か鈴と葉留佳さん以外の女子はみんなウニの入ったメニューを頼んでいた。

「ところで、鈴さんはウニはお嫌いなのですか?」
「嫌いも何も食べたことがない」
「だったら1回食べてみるといいよ~」

小毬さんが差し出したウニを鈴が一口食べる。
以前では考えられなかった光景だ。

「ん、なかなかいけるな」
「でしょ~」
「ありぇ、なんか疎外感…」

BGM:スローカーブ

食事を終えて一頻り買い物を済ます頃には、すでに日が傾き始めていた。
僕たちは宿の荷物を車に載せ、名残惜しいながらもその場を後にした。

「しかし、車の中だとできることも限られるな」

謙吾が一言。
買ったカードパックを開けようとしていたが、スペースが足りなかったらしい。

「恭介氏、携帯とスピーカーを貸してくれないか?」
「ん?どうしたんだ、いきなり?」
「一昨日の続きをしようと思ってな」
「あぁ、あれか。変なところ弄るんじゃないぞ?」
「なに、目的のフォルダしか見ないさ」

赤信号で止まったと同時に、恭介が来ヶ谷さんに携帯とスピーカーを手渡す。

「折角だから、BGM決めの続きでもしようじゃないか」
「お前にしては珍しい提案だな、来ヶ谷」
「なに、車の中で騒がしくするわけにも行かないからな。届く範囲にいるのに少し惜しいが」

瞬間、鈴が少し身を引く。
だが、何もしてこないとわかるとすぐに元の場所に戻った。
その間に来ヶ谷さんは手早くスピーカーをセットしていく。

「この間はたしかここのトラックまで聞いたな」
「あの妙な曲だね…」
「い、言うな…」

Sha ra ra ecstacy。
あの曲は一体なんだったのだろうか…。
何故かあの曲を聴いていると、不思議と後ろめたい気持ちになってしまう。
…深く考えないことにしよう。

BGM:鬼柳京介

「ライディングデュエル…それはスピードの中で進化したデュエル。そこに命を賭ける伝説の痣を持つ者たちを、人々は5D'sと呼んだ…ずばぁーん!」

葉留佳さんがお決まりのセリフを。

「よく考えたら、この曲とライディングデュエルって何の接点もないよね…」
「牛尾さんもあんまり関係ないと思うです」

BGM:運命のテーマ(仮)

「恭介だな」
「恭介だね」
「仮面被ってデュエルすりゃ勝てるんじゃねぇか?」
「白いコートもいるね」
「おいおい、何でそうなるんだよ?」

BGM:渇いた叫び

「これまた、一気に時間がさかのぼったものだな」
「トラックに法則性が全く無いな」
「そ、そうだね…」

BGM:Clear mind

「直枝さんの勝ちですね」
「うむ、そうだな」
「うおぉぉ、なんかテンション上がってきたぁ!」
「ちょ、恭介!?」
「何物をも恐れぬ境地、クリア・マインド!!」
「ちょちょちょっと恭介!!」
「と、止めろォォォォォ!!」

恭介の暴走は間一髪で制止できた。
仕切りなおしと行こう。

BGM:予告(5D's)

学園に現れた謎の美少女!
転校生の彼女は、突如私達と接触を図る。
彼女の目的は何なのか!?
そして彼女に隠された秘密とは一体!?
次回、リトルバスターズ!【謎の転校生】、ライディングデュエル、アクセラレーション!

「こんな感じでどうですかネ?」
「ライディングデュエルはしないけどね…」
「じゃあこんなのはどうだ?」

BGM:予告(GX)

こまりちゃんはどんなカードが好きなんだ?
え、あ、あたし?うーん、やっぱりかわいいカードかなぁ。
たとえば、どんなだ?
うーん、これとか…かな?
次回、リトルバスターズ!【謎の転校生】!
それは強いのか?
うーん…わかんない。

「これでどうだ!」
「転校生関係ないよね…」
「ならば、これでどうだ」

BGM:予告(DM)

学園に現れた謎の転校生。
彼女は闇のゲームで次々とリトルバスターズの仲間達を傷つけていく。
そして仲間を庇い窮地に追いやられる真人。
負けるな真人、お前の筋肉は何のためにある!?
次回、リトルバスターズ!【真人死す】、デュエルスタンバイ!!

「って、謙吾!勝手に俺を殺すんじゃねぇ!!」
「ていうかサブタイトル変わっちゃってるよね…」

続く



[22069] 第14話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:d975b5ac
Date: 2013/07/09 00:39
BGM:スローカーブ

夕方ごろに学校に戻ってきた僕たちは、とりあえず各自の荷物を自分達の部屋に運んだ。
そして夜になると、いつものように恭介たちが部屋に来るのだが…。

BGM:MY BRAVE SMILE

「あれ、鈴のやつはどうした?」
「寝ちまったってよ。よっぽど遊び疲れたんだろ」
「へー」
「そうだ恭介、折角だし4人で開けないか?」

そういう謙吾の手には朝方買っていたカードの箱が。
EXTREME VICTORYだ。

「一人15パックってところだね」
「よし、なら誰が一番レアカードを多く当てられるか勝負しようぜ」
「基準はどうするんだ?」
「スーパーレア1点、ウルトラレア2点、アルティメットレア3点、ホログラフィックレア5点でどうだ」
「まぁ、ホログラフィックレアが入っているとも思えないがな」
「それは開けてみないとわからないさ」

みんなで15パックずつ取り、開けていく。
ウルトラレアもスーパーレアも1箱実質3枚ずつなのに、スーパーレアのほうが種類が多いのはどうかと思うのだが。
10分ほど経ち、みんなの戦果を報告しあう。

「じゃ、まずは真人」
「スーパーレアが機皇神竜アステリスクの1枚、ウルトラがTG ブレード・ガンナーとメンタル・オーバー・デーモンの2枚」
「5点だな。次、謙吾」
「スーパーはTG サイバー・マジシャンとTG レシプロ・ドラゴン・フライ、ウルトラが無しでアルティメットがTG ハルバード・キャノンだな」
「同じく5点。次、理樹」
「えっと、スーパーレアがTG ワンダー・マジシャンとTG パワー・グラディエーター、ウルトラレアがジャンク・バーサーカーでアルティメットがライフ・ストリーム・ドラゴンだね」
「7点か…」
「で、恭介はどうなんだよ?」
「…ミスティック・パイパーとメンタル・オーバー・デーモン…くそぉっ!何だよこれ!!」
「となると、残りは沈黙のサイコウィザードと透破抜き、BF-天狗風のヒレンの3枚か」
「くそ…納得いかねぇ!」

そんなこんなでこの日は早々に解散したのだった。
そして今夜も更けていく…。


9月11日(火)

BGM:目覚めた朝に

目が覚める。
いつもどおりの朝だ。
食堂に向かうことにしよう。

「おはよう、みんな」
「うっす」
「おぅ、遅かったじゃねぇか」
「おはよう」
「おはよう」

朝食の盆をもっていつもの席に着く。

「そういえば、お前たちのクラスに今日転校生が来るそうだ」
「へ?」
「は?」
「え?」
「ん?」

一瞬皆の箸が止まる。

「なんでも、海外からの帰国子女だそうだ」
「確かに、うちの学校には帰国子女の編入受け入れ制度はあったが…よりによって俺たちのクラスとはな」
「で、なんで恭介が知ってんだよ?」
「寮会のやつにちょっとな。何でも部屋の手続きとかで女子側はおおわらわだったみたいだぜ」

今の女子寮長は二木さんだ。
部長さんからの引継ぎが全て完了したのは最近らしかったし、そのタイミングでいきなりこんな大仕事となると大変だっただろう。

「っていうことは女の子?」
「みたいだぜ」
「仲良く…なれるかな?」
「それはお前次第だな、鈴」
「うん…がんばる」

鈴が自分からこんなことを言ったのは初めてのことだった。
恭介は少し感慨深そうな表情をしていた。

BGM:騒がし乙女の憂愁

「やーやー、おはよーガイズ!」
「おぅ、三枝か」
「おはよう、葉留佳さん」

いつもどおりの騒がしい朝だ。

「あれ?謙吾くんは?」
「謙吾のやつなら、なんかいっぺん部室寄って行くって言ってたぜ?」
「何か取りにいったみたいだけど」
「んー、じゃーまたあとでいいや。じゃねー、あでゅー」

葉留佳さんは去っていった。

「謙吾に用って、なんだったんだろう?」
「さぁ」
「ん、どうしたんだ?お前たち」
「あ、謙吾、用事終わったんだ」
「三枝のやつが探してたぜ?」
「三枝が?…うむ、また後で訊いてみるか」

すると教室のドアが開く音が。

「お前たち席に着けー!HRはじめるぞー!」

担任が教卓に立ち、HRが始まる。

BGM:無し

「えー、早速だが、今日このクラスに転校生が来ることになった。本当なら昨日入る予定だったんだが、臨時休校になってしまったからな」
「どんな子なんだろうね?」
「さぁ」
「では、入ってくれ」

教室のドアが開き、女生徒が入ってくる。
ブロンドの長髪の女生徒だった。

BGM:駆ける

「えー、今日からこのクラスで一緒に過ごすことになる…」
「朱鷺戸沙耶です、よろしくお願いします」
「…!!」

何故だろう。
僕は彼女を知っている気がする。
そして…確めなければなけないことがある気がした。

「とりあえず一番後ろに席を用意してあるが、視力は大丈夫か?」
「はい、問題ありません」
「じゃ、あの窓側の一番後ろの席ね」
「はい」

席の間を歩いてくる。
そして僕の席の横を通るとき…一瞬目が合った。
青みがかった翠緑の瞳。
不思議な既視感を覚えた。

…。

BGM:MY BRAVE SMILE

休み時間になった。
とりあえず、恭介に相談してみよう…。

「恭介!」
「お、なんだ理樹、こんなところまで」
「今日の転校生のことなんだけど…」
「お、どんなやつだった」
「…多分、僕は彼女を知っている」
「…どういうことだ?」
「わからない…」
「…名前は?」
「朱鷺戸沙耶さん」
「へぇ、珍しいこともあるもんだな」

恭介の深刻な態度が一変、いつもの感じに。

「朱鷺戸沙耶っていやぁ、学園革命スクレボの登場人物と同じ名前じゃねぇか。お前も前に読んだことあるだろ?」
「あ、うん、そうだけど…」

確かに修学旅行に行く前に恭介に進められて途中までは読んだ。
それでも、何か違う気がした。

BGM:幻日

「それとも…また別の何かか?」

そうだ。
何かが違う。
しかしそのときチャイムが鳴った。

「ごめん、恭介。また後で」

何故、どうして。
僕は彼女を知っていると感じたのか。
まだその答えはわからない。
とりあえず教室に戻ろう。

…。

休み時間になる。
もう一度恭介と話をしよう。

「理樹か」
「うん」
「…やっぱり気になるか」
「そりゃそうだよ」
「…理樹、落ち着いて聞いて欲しい」

BGM:何も起こらなかった世界

「以前、俺たちが作った世界のことだ」
「うん」
「そこに一人だけ、イレギュラーがいたことを思い出した」
「イレギュラー…?」
「あぁ。あの世界は俺たちが過ごしてきた1学期をトレースして組み上げた世界だ。だが、その中に現実の1学期には存在しなかった人物がいた」
「もしかして、それが…」
「俺の推測が正しければ、彼女だ」
「うそ…でしょ?」
「いや、裏づけはもう一つある。事故の前日の夜、トンネル工事の作業現場で土砂崩れが起こった。俺たちが事故にあったときも、救出活動は続けられていたはずだ…その中に、俺たちと同年代の女の子がいたそうだ」

恭介は続けた。

「だが、事故の後…お前と鈴が皆を救い出した後、事実は変わっていた。土砂崩れは発生していたが、誰も巻き込まれていなかった、と」
「え…?」
「…もし彼女がそのイレギュラーだったとすれば、こう仮説が立てられる。彼女を救ったのは理樹、お前だ」
「どういうこと?」
「あの世界は時間を遡る」
「…!!」
「実際、お前と鈴が作った世界がそうだった。あの時すでに俺たちは死んでいたはずだ…だが、お前たちはあの世界を通じてあの時に戻った。だとすれば、同じことが彼女に起こっていたという可能性も考えられる。もっとも、あの世界の礎がわからない以上、仮説を立てることしかできないが…」
「でも、だったら彼女はなんであの世界に?」
「そこまではわからん。もしかしたら、お前を含む誰かと過去に面識があったのかもしれないがな」
「そう…ありがとう、恭介」

もうすぐ授業が始まる。
少し急ぎ足で教室に戻ることにした。

…。

BGM:密やかなさざめき

休み時間に隣の真人と談笑。

ニア真人と遊ぶ
 ジュースを買いにいく

「真人!筋肉召喚だ!」
「うおっ!なんだかよくわかんねぇがすごそうじゃねぇか!」

BGM:遊星のテーマ

「集いし筋肉が、新たに輝く星となる!光さす道となれ!筋肉召喚!!」
「うおぉぉぉぉぉっ!!」
「真人!シューティング・筋肉だ!!」
「おりゃぁぁぁぁっ!!」

「ふぅ、楽しかったな」

真人と遊んだ。

BGM:駆ける

昼休み。
彼女に…朱鷺戸さんに声をかけてみる。

「朱鷺戸さん」
「あれ、君は…」
「直枝理樹」
「そう、直枝くん…ん、理樹?」

朱鷺戸さんの表情が変わった。

「…もしかして、昔○○市に住んでなかった?」
「え、そうだけど…」
「で、小さい頃××公園で女の子と一緒にサッカーしてなかった?」
「あー、うん、たぶんそう…ってもしかして!?」
「そう!私よ私!」
「あー!!」

恭介の言ったとおりだ。
ずっと昔のこと。
家の近くの公園で一緒にサッカーをした女の子。
名前は思い出せなかったけど、金髪の女の子だった。

「いやー、もう何年ぶりかしら!?」

あの世界で何があったかは思い出せない。
でも、彼女は僕を知っていて、僕も彼女を知っていた。
とりあえずは、それで十分だ。

「おーい、理樹、学食行こうぜ」
「あ、うん。今行くー。朱鷺戸さん、また後で」
「下の名前でいいわよ。昔もそうだったんだし」
「そう?じゃ、沙耶さん、また後で」

そしていつもどおり、みんなと一緒に学食で昼食をとることに。
放課後、暇だったら連れてこようかな…。

BGM:スローカーブ

放課後になる。
さっそく僕は沙耶さんに声をかける。

「沙耶さん、ちょっといいかな」
「どうしたの?理樹くん」
「この後何か予定ある?」
「ううん、特に無いけど」
「ちょっと来て欲しいところがあるんだけど、いいかな?」
「…?まぁいいけど…」

BGM:駆ける

沙耶さんを連れて、皆がいるグラウンドへ。
本格的な練習はせず、女子は木陰でまったりしてたり、謙吾と真人は二人で全力キャッチボールをしたりしている。

「と、いうことで転校生の朱鷺戸沙耶さん」
「…」
「…」

みんな一瞬固まっていた。

「まてまてまて、話がさっぱり読めないぞ」
「なんだ、早速仲良くなっちまったか」
「んー、なんていうか、初対面じゃなかった」
「ふぇ?」
「ど、どういうことなのでしょうか?」

Phase:恭介

朱鷺戸沙耶…間違いない、あの時のイレギュラーか。
あの世界は現実にどれだけの影響力を持っているというのか…。
…今確める術は無いがな。
だが、今の彼女なら大丈夫だな。
いつものノリで接してやるか。

Phase:理樹

「朱鷺戸とかいったな」
「はい」
「3年の棗恭介、そこの鈴の兄だ。で、これから入団テストを行う」
「入団テスト?」

BGM:Mission Possible~but difficult tusk~

「問題!学園革命スクレボ、闇の執行部部長の名は!?」
「時風瞬!」
「合格!!」
「おっしゃぁぁぁ!!」
「えー」

こうして、リトルバスターズに新たなメンバーが加わることとなった。

続く



[22069] 第15話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:d975b5ac
Date: 2011/02/14 11:10
BGM:スローカーブ

新しいメンバーを加えたリトルバスターズ。
しかし、一つ問題が発生していた。

「ねぇ、恭介」
「ん、どうした」
「これからどうするの?」
「どうするって、何が」
「カードするにしても、外じゃできないでしょ?」
「まぁそうだな」
「僕の部屋にはさすがにこれだけ大勢は入らないと思うんだけど」
「…!しまったぁぁぁぁぁ!!」

BGM:えきぞちっく・といぼっくす

「リキ、棗さん、どうかしましたか?」
「うん、皆でカードをする場所が無いなって」
「そうですか…あ!」

クドが携帯を取り出してどこかへ。
しばらくするとすぐに戻ってきた。

「お昼休みと放課後なら、家庭科部の部室をつかってもいいそうです!」
「その手があったか!ねぇ、聞いた!?恭介!」
「ん、あ、あぁ」

皆を連れて家庭科部室に。
女子寮の横を抜けていった所にあるそこは、他の場所とは少し違う雰囲気を醸し出していた。

「お茶淹れてきますね」
「あたしも手伝う」
「はい!助かります!」
「ところで朱鷺戸」
「なんでしょう?」
「カードゲームとかはやるのか」
「カードゲーム…何のですか?」
「遊戯王」

瞬間、沙耶さんの目つきが変わった。

BGM:Mission Possible~but difficult tusk~

スカートの中(のホルスター)からデッキを取り出す。
全く気づかなかった…。

「井ノ原くん…だったわね?」
「ん?あぁ、そうだ」
「デュエルしましょう!」
「へ?」
「デュエルよデュエル。あなたも持ってるでしょう?」
「まぁいいけどよ。恭介、ジャッジ頼む」
「あぁ、任せろ。よし、デュエルスタートだ!」

BGM:勇壮なる戦い
真人VS沙耶

Turn1:真人
手札5枚
「オレの先攻、ドロー!切り込み隊長を召喚!」
ATK1200 DEF400 ☆3
「切り込み隊長の効果発動!こいつは召喚に成功したとき、手札からレベル4以下のモンスター1体を召喚できる!もう1体の切り込み隊長を召喚!」

「これで、沙耶君は攻撃ができなくなったな」
「へ?どういうこと?」
「切り込み隊長は他の戦士族への攻撃を封じる効果を持ったモンスターだ。このカードが2枚並ぶと、互いの効果によって攻撃対象にならなくなる。つまり、朱鷺戸はあの2体のうち最低でも1体を処理しないと攻撃宣言ができないということだ」
「ほぇー…」

「カードを1枚伏せて、ターンエンドだ」
手札3枚
伏せ1枚

Turn2:沙耶
手札5枚
「あたしのターン、ドロー!相手の場にのみモンスターが存在する場合、サイバー・ドラゴンは手札から特殊召喚できる!」
ATK2100 DEF1600 ☆5
「さらに手札からチューナーモンスター、ブラック・ボンバーを召喚!」
ATK100 DEF1100 ☆3 チューナー
「レベル5のサイバー・ドラゴンにレベル3のブラック・ボンバーをチューニング!シンクロ召喚!ダーク・フラット・トップ!」
ATK0 DEF3000 ☆8 シンクロモンスター 守備表示
「さらに速攻魔法、手札断殺を発動!互いのプレイヤーは手札を2枚捨て、2枚ドローする!」
「ならオレはこの2枚を捨てるぜ」

「お、不死武士とドッペル・ウォリアーがおちましたネ」
「ということは、井ノ原さんのデッキは戦士族ですかー」

お茶を淹れに行っていたクドと鈴も戻ってきていた。

「ダーク・フラット・トップのモンスター効果発動!1ターンに1度、墓地のリアクターと名のついたモンスター1体を特殊召喚する!トラップ・リアクター・RR!」
ATK800 DEF1800 ☆3
「カードを1枚伏せて、ターンエンドよ」
手札2枚
伏せ1枚

Turn3:真人
手札3枚
伏せ1枚
「オレのターン、ドロー!手札からチューナーモンスター、X-セイバー パシウルを召喚するぜ!」
ATK100 DEF0 ☆2 チューナー
「レベル3の切り込み隊長2体に、レベル2のパシウルをチューニング!屈強なる白亜の豪腕、大地を砕き勝利をもたらせ!唸れ筋肉!シンクロ召喚!ギガンテック・ファイター!」
ATK2800 DEF1600 ☆8 シンクロモンスター
「ギガンテック・ファイターの攻撃力は、互いの墓地の戦士族1体につき100ポイントアップする!オレの墓地の5体分で500ポイントアップだ!」
ギガンテック・ファイター ATK2800→3300

「真人のモンスターの攻撃力が沙耶さんのモンスターの守備力を上回った!」
「これが通れば朱鷺戸のシンクロモンスターはやられるが…」

「バトルだ!ギガンテック・ファイターでダーク・フラット・トップに攻撃!ジャイアント・マッスル・ブロー!!」
「罠発動、フェイク・エクスプロージョン・ペンタ!相手の攻撃宣言時に発動し、その戦闘ではあたしのモンスターは破壊されない!」
「ちっ、倒し損ねたか…」
「さらに手札か墓地から、サモン・リアクター・AIを特殊召喚できる!墓地からサモン・リアクター・AIを特殊召喚!」
ATK2000 DEF1200 ☆5
「ちっ、オレはターンエンドだ」
手札3枚
伏せ1枚

Turn4:沙耶
手札2枚
「あたしのターン、ドロー!マジック・リアクター・AIDを召喚!」
ATK1200 DEF900 ☆3

「AI、RR、AID…なるほど、朱鷺戸はあのモンスターの召喚を狙っているな」
「ん?なんだ恭介、わかるのか?」
「まぁ見てろ、鈴」

「サモン・リアクター・AIのモンスター効果発動!自分フィールド上のこのカードとトラップ・リアクター・RR、マジック・リアクター・AIDを墓地に送り、デッキ、手札、墓地から、ジャイアント・ボマー・エアレイドを特殊召喚できる!」
ATK3000 DEF2500 ☆8

「ジャイアント・ボマー・エアレイド…まさかここまでスムーズに召喚するなんて…」
「そんなにすごいのか?」
「凄いも何も、場の特定のモンスター3枚を墓地に送ってのみ召喚できるモンスターで、しかも1体はレベル5だよ?」
「そ、それはえらいことじゃないか!?」
「うん」
「あたしのレインボー・ドラゴンにも負けてないな…」

「さらにジャイアント・ボマー・エアレイドの効果発動!手札を1枚捨て、相手フィールド上のカード1枚を破壊する!」
「なにぃ!?」
「ギガンテック・ファイターを破壊!」

「戦闘には強いギガンテック・ファイターも、効果破壊には無力だ。朱鷺戸のやつ、上手く突いて来たな」
「君の場合は、まさかの自爆特攻だったがな」
「ウィンダを特攻させるのは、少し気が引けるがな」

そういえばカードのこととなると謙吾と来ヶ谷さんが大抵2人で話している。
2人とも詳しいのだろうか?

「バトルよ!ジャイアント・ボマー・エアレイドでダイレクトアタック!」
「ちぃっ!罠発動、聖なるバリア-ミラーフォース!」
「しまった!…なんて言うと思った?」
「へ?」
「メインフェイズ2にダーク・フラット・トップの効果を使うわ。この子はリアクターだけじゃなく、一度召喚したジャイアント・ボマー・エアレイドも復活できるのよ!」
「な、なんじゃそりゃ!?」
「ジャイアント・ボマー・エアレイドを特殊召喚!そしてカードを1枚伏せてターンエンドよ」
手札0枚
伏せ1枚

Turn5:真人
手札3枚
「オレのターン、ドロー!墓地の不死武士の効果を使うぜ!こいつはスタンバイフェイズに自分の場にモンスターが存在せず、かつ自分の墓地が戦士族のみの場合、墓地から特殊召喚できる!」
ATK1200 DEF600 ☆3 守備表示

BGM:Thinking time

この手のカードは破壊したところでスタンバイフェイズ中なら再度効果を使えるはず…ならばここは破壊しないほうがいいわね。

「カードを1枚伏せる」

さぁ、ここが問題よ…彼の手札は残り2枚、伏せカードはブラフか本命か…。
本命だとすればエアレイドをやフラット・トップを除去するようなカード…次元幽閉かサンダー・ブレイクってところかしら。
もしくはギガンテック・ファイターを蘇生させるカード…。
いや、ここはまだダメね。

「手札から魔法カード、死者蘇生を発動!ギガンテック・ファイターを墓地から特殊召喚!」

よし来た!

BGM:死闘は凛然なりて

「ジャイアント・ボマー・エアレイドのモンスター効果発動!1ターンに1度相手のモンスターの召喚、反転召喚、特殊召喚及びカードのセットのいずれかを無効にしてそのカードを破壊し、相手に800ポイントのダメージを与える!」
真人 LP4000→3200
「…へっ、かかったな」
「!?」
「手札からチューナーモンスター、ジャンク・シンクロンを召喚!」
ATK1300 DEF500 ☆3 チューナー
「ジャンク・シンクロンの効果で、墓地のドッペル・ウォリアーを特殊召喚するぜ!」
ATK800 DEF800 ☆2
「教えてやるぜ、俺の切り札がギガンテック・ファイターだけじゃねぇってことをよ!レベル3の不死武士とレベル2のドッペル・ウォリアーに、レベル3のジャンク・シンクロンをチューニング!」

「あいつ、一体なにを召喚する気なんだ?」
「うーん、なんだろう?」

「交差せし漆黒の豪腕、仇なす者を薙ぎ払え!砕け筋肉!シンクロ召喚!ジャンク・デストロイヤー!!」
「うそっ!?」
ATK2600 DEF2500 ☆8 シンクロモンスター
「ジャンク・デストロイヤーのシンクロ召喚に成功したとき、素材となったチューナー以外のモンスターの数まで、場のカードを破壊する!ジャイアント・ボマー・エアレイドとダーク・フラット・トップを破壊だ!ダイダル・エナジー!」
「そんなっ!?」
「これでてめぇの場はがら空きだ!ジャンク・デストロイヤーでダイレクトアタック!デストロイ・ナックル!」
「くぅっ!」
沙耶 LP4000→1400
「これでオレはターンエンドだ」
手札1枚
伏せ1枚

Turn6:沙耶
手札0枚
伏せ1枚
「あたしのターン、ドロー」

「あれ、沙耶さんの様子、なんか変じゃない?」
「確かにさっきとは雰囲気が違う気もするが…」

「手札から魔法発動、貪欲な壺」
デッキの戻されたモンスターは、サモン・リアクター・AI、トラップ・リアクター・RR、マジック・リアクター・AID、サイバー・ドラゴン、ブラック・ボンバー。
「そして2枚ドロー」

BGM:Shadow Buster

「モンスターを守備表示で召喚、ターンエンド」
手札1枚

Turn7:真人
手札1枚
伏せ1枚
「オレのターン、ドロー!」
すぐに使えそうなモンスターが来ねぇな…まぁいいか。
「バトル!ジャンク・デストロイヤーで伏せモンスターに攻撃!デストロイ・ナックル!」
破壊されたモンスターは…UFOタートル。
ATK1400 DEF1200 ☆3
「UFOタートルの効果で、デッキからきつね火を特殊召喚」
ATK300 DEF200 ☆2

「きつね火…炎族のモンスターか」
「さっきのとは関係ないんじゃないのか?きょーすけ」
「直接は関係ないな。だが…」
「…?」

「なんだ?まぁいいや。モンスターをセットして、ターンエンドだ」
手札1枚
伏せ1枚

Turn8:沙耶
手札1枚
「あたしのターン、ドロー」
…!!
「よっしゃきたぁぁぁぁぁ!!」
「うおっ、なんだ!?」
「手札から魔法カード、融合を発動!手札のA・ジェネクス・クラッシャーと、場のきつね火を融合!」

「機械族と炎族の融合なのですか!?」
「これはまた、凄いものが出てくるぞ…」

「融合召喚!重爆撃禽 ボム・フェネクス!!」
ATK2800 DEF2300 ☆8 融合モンスター
「な、なんじゃそりゃぁ!?」
「炎族モンスターと機械族モンスターの融合によって召喚されるモンスターよ。さぁ行くのよ、ボム・フェネクス!ジャンク・デストロイヤーに攻撃!」
「ぬおぉっ!?」
真人 LP3200→3000
「あたしはこれでターンエンド!」
手札0枚

Turn:9:真人
手札1枚
伏せ1枚
「オレのターン、ドロー!」
ここは耐えるしかねぇ…!
「モンスターを守備表示で召喚!」
X-セイバー パシウルならやつの攻撃でも耐えられるはずだ…後の処理が問題だがな…。
「ターンエンドだ!」
手札1枚
伏せ1枚

Turn10:沙耶
手札0枚
「あたしのターン、ドロー!カードをセット!」
彼の伏せモンスターが気になるわね…ま、そんなときは…。
「重爆撃禽ボム・フェネクスの効果発動!場のカード1枚につき300ポイントのダメージを相手ライフに与える!」
「なにぃ!?」
「あたしの場のカードは2枚、そして君の場には3枚!よって計1500ポイントのダメージよ!」
「ぬおぉぉっ!」
真人 LP3000→1500
「あたしはこれでターンエンド!」
手札0枚
伏せ1枚

Turn11:真人
手札1枚
伏せ1枚
「くっ、オレのターン!ドロー!」
…来た!
「X-セイバー パシウルとジャンク・ディフェンダーを反転召喚!」
ジャンク・ディフェンダー ATK800 DEF1800 ☆3
「さらに罠発動、トゥルース・リインフォース発動!デッキからレベル2以下の戦士族1体を特殊召喚する!マッシブ・ウォリアーを召喚!」
ATK600 DEF1200 ☆2
「手札から魔法カード、戦士の生還を発動!墓地のジャンク・シンクロンを手札に加える!そしてそのまま召喚だ!さらにこいつの効果で、ドッペル・ウォリアーを特殊召喚するぜ!」

「一気に真人少年の場にモンスターが並んだな」
「さて、ここからどう出る…?」

「レベル2のマッシブ・ウォリアーにレベル3のジャンク・シンクロンをチューニング!力繋ぎし蒼茫の豪腕、全ての敵を打ち払え!貫け筋肉!シンクロ召喚!ジャンク・ウォリアー!」
ATK2300 DEF1300 ☆5 シンクロモンスター
「ジャンク・ウォリアーのシンクロ召喚に成功したとき、こいつの攻撃力は自分の場のレベル2以下のモンスターの攻撃力の合計分アップする!合計で900ポイントアップだ!」
ジャンク・ウォリアー ATK2300→3200
「さらにレベル3のジャンク・ディフェンダーとレベル2のドッペル・ウォリアーに、レベル2のX-セイバー パシウルをチューニング!刃構えし翠緑の豪腕、不退転の決意を示せ!切り裂け筋肉!シンクロ召喚!不退の荒武者!」
ATK2400 DEF2100 ☆7 シンクロモンスター
「バトルだ!ジャンク・ウォリアーで重爆撃禽 ボム・フェネクスに攻撃!スクラップ・フィストォ!!」

「この攻撃が通ればボム・フェネクスは破壊されるな」
「あとは真人がダイレクトアタックを決めれば…!」
「沙耶さんのライフは尽きます。ですが…」

「罠発動、魔法の筒」
「…へ?」
「相手モンスター1体の攻撃を無効にし、その攻撃力分のダメージを与える!」
「なんっじゃそりゃぁぁぁぁぁ!?」
真人 LP1500→0

「勝者、朱鷺戸!!」
「おっしゃぁぁぁぁ!!」

BGM:MY BRAVE SMILE

「なんだか、あっけない幕切れだったね」
「あ、あぁ…大丈夫か?真人」
「…」

燃え尽きていた。

「それにしても強いね、沙耶ちゃん」
「でも彼もいい線行ってたわ。あそこで魔法の筒なかったら負けてただろうし」
「だってさ、真人」
「お、おぅよ…」
「最初のフェイク・エクスプロージョン・ペンタといい、伏せカードを全く警戒しないあたりが真人らしいな」
「あほだな」
「ところで、そろそろいい時間ですね」

見ると、もうすぐ夕食の時間だった。
僕たちは部室を後にし、食堂へ向かうことにした。

続く



[22069] 第16話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:a88f9fcd
Date: 2011/08/25 23:26
BGM:スローカーブ

いつも通り、僕たちは食堂に集まっていた。
いや、こうやってここでみんなで夕食を食べるのは久しぶりのことだった。
修学旅行の事故…。
あれを境に僕たちは暫くバラバラになってしまっていた。
ようやく恭介が戻ってきて、いつもの日常が返ってきたのだ。

「あれ、どうしたの真人」

珍しく真人が項垂れていた。

「補習の確認テストの点が散々だったらしくてな。追加課題だそうだ」
「あー」

ちなみに謙吾は問題なく合格だったそうだ。

「宮沢、ちょっと隣いいかしら」
「ん、あぁ」
「あれ、二木さん珍しいね」

これまた珍しいことに、二木さんが僕たちのいるテーブルにやってきた。

「ここしか空いてなかったのよ。早く済ませてまた寮会の仕事に戻らないといけないし…あれ、葉留佳は?」
「三枝なら、やることがあると先に出ていったぞ」
「そう…」

そう呟くと、二木さんはそばを啜り始めた。
二木さんも、なんだかんだでこっちに馴染みつつあるのかもしれない。
風紀委員長を辞めてからは随分丸くなったし、事実夏休みの時は何かと世話になったし。
後から聞いた話によると、僕たちの部屋はあれでもまだ被害はましな方だったらしいけど…。

「それじゃ、真人の手伝いもしないといけないだろうし、先に部屋に戻ってるね」
「おう」

食事を終えると、死にそうな眼をしている真人を連れて部屋に戻る。

BGM:MY BRAVE SMILE

「で、課題ってなんなのさ」
「これなんだが…さっぱりわかんねぇ」

物理のプリントが数枚。
力学の範囲だった。
夏休みにクドとロケットを飛ばした経験が、まさかこんな所で活きることになるとは。
真人がずっと項垂れているのも嫌だから、アドバイスをしつつ早めに片づけることにした。

2時間くらいたって、ある程度目処が付いてきた頃。
突然ドアをノックする音が。
恭介と謙吾だ。

「よう。そろそろ終わりそうか?」
「まぁなんとかね。大方の目処はついた感じかな」
「…大丈夫か?真人」
「もうだめだ…頭が爆発しそうだ」
「こんな感じだからちょっと休憩してたんだけどね。そういや、葉留佳さんの用事ってなんだったの?謙吾」
「ん、あぁ。少し貸してほしいカードがあるとかでな」

貸したカードはこの間買っていたEXTREME VICTORYのことだろうか。

「よし真人、あとちょっとだし終わらせちゃおう」
「お、おぅ…」

相変わらず死にそうな目になっているが、終わらせない事にはどうしようもない。
結果的に最後の問題はほとんど僕が解いて終わってしまった。

「くぅーっ、終わったー!」
「ほとんど僕がやってた気もするけどね…」
「まぁ細かいことは気にすんなって。サンキュな、理樹」
「よし、終わったなら早速デュエルだ!」
「またいきなりだね」
「いいじゃねぇかよ。やろうぜ、理樹」
「わかったよ。ちょっと待って、デッキ持ってくるから」

半ば強引に恭介とデュエルをすることになってしまった。

「よし、デュエルスタートだ!」
BGM:勇壮なる戦い

Turn1:理樹
「先行は僕がもらうよ。ドロー!」

とりあえずまずは様子見かな…。

「モンスターをセットしてターンエンド!」
手札5
伏せ0

Turn2:恭介
「俺のターン、ドロー!手札から魔法カード、古のルールを発動!手札のレベル5以上の通常モンスターを特殊召喚するぜ!来い!青眼の白龍!!」
ATK3000 DEF2500 ☆8
「青眼の白龍で、セットモンスターに攻撃!滅びのバーストストリーム!!」

セットモンスターは…シールドウィング
ATK0 DEF900 ☆2

「シールドウィングは1ターンに2度まで戦闘で破壊されない!」
「なら俺は、カードを1枚伏せてターンエンドだ」
手札3
伏せ1

Turm3:理樹
「僕のターン、ドロー!」

あのブルーアイズをどうにかしないと…。

「ローンファイア・ブロッサムを召喚!」
ATK500 DEF1400 ☆3
「ローンファイア・ブロッサムの効果発動!自分の場の植物族モンスター1体をリリースして、デッキから植物族モンスター1体を特殊召喚する!ダンディライオンを特殊召喚!」
ATK300 DEF300 ☆3
「さらに手札から魔法カード、ワン・フォー・ワンを発動!手札のボルト・ヘッジホッグを墓地に送り、デッキからグローアップ・バルブを特殊召喚!」
ATK0 DEF0 ☆1 チューナー
「手札から速攻魔法、スター・チェンジャーを発動!ダンディライオンのレベルを1下げる!」
ダンディライオン ☆3→2
「レベル2のシールド・ウィングとレベル2になったダンディライオンに、レベル1のグローアップ・バルブをチューニング!シンクロ召喚!TG ハイパー・ライブラリアン!」
ATK2400 DEF1800 ☆5 シンクロ
「墓地に送られたダンディライオンの効果で、綿毛トークン2体を特殊召喚!」
ATK0 DEF0 ☆1
「墓地のグローアップ・バルブの効果発動!デッキの一番上のカードを墓地に送り、このカードを墓地から特殊召喚する!」

落ちたカードは…ゾンビキャリア。

「レベル1の綿毛トークンとグローアップ・バルブをチューニング!シンクロ召喚!フォーミュラ・シンクロン!」
ATK200 DEF1500 ☆2 シンクロチューナー
「TG ハイパー・ライブラリアンとフォーミュラ・シンクロンの効果で2枚ドロー!さらに手札1枚をデッキの一番上に戻してゾンビキャリアを墓地から特殊召喚!」
ATK400 DEF200 ☆2 チューナー
「自分のフィールドにチューナーモンスターが存在する場合、ボルトヘッジホッグは墓地から特殊召喚することができる!」
ATK800 DEF800 ☆2
「レベル1の綿毛トークンとレベル2のボルト・ヘッジホッグに、レベル2のゾンビキャリアをチューニング!シンクロ召喚!A・O・Jカタストル!」
ATK2200 DEF1200 ☆5 シンクロ

「理樹のやつ、カタストルでブルーアイズを破壊するつもりか?」
「いや、よく見てみろ真人。あいつの場にはフォーミュラ・シンクロンが出ているぞ」
「でもよ、シューティング・スター・ドラゴンは出せねぇだろ?」
「確かにそうだが…もっと恐ろしい奴が出てくるぞ」

BGM:死闘は凛然なりて

「TG ハイパー・ライブラリアンの効果で1枚ドロー!そして、レベル5のTG ハイパー・ライブラリアンとA・O・Jカタストルに、レベル2のフォーミュラ・シンクロンをチューニング!シンクロ召喚!シューティング・クェーサー・ドラゴン!!」
ATK4000 DEF4000 ☆12 シンクロ
「攻撃力4000だと!?」
「それだけじゃないよ、恭介!シューティング・クェーサー・ドラゴンは素材となったチューナー以外のモンスターの数だけ攻撃できる!」

「ってことは、どういうことだ?」
「つまり、今のシューティング・クェーサー・ドラゴンは1ターンに2回の攻撃が可能だということだ」

「シューティング・クェーサー・ドラゴンで青眼の白龍に攻撃!」
「そう簡単にいかせるか!罠発動、次元幽閉!攻撃モンスターを除外する!」
「シューティング・クェーサー・ドラゴンの効果発動!1ターンに1度だけ、相手の魔法・罠・効果モンスターの効果のいずれかを無効にして破壊する!」
「はぁぁぁ!?なんじゃそりゃぁ!?」
恭介 LP4000→3000
「シューティング・クェーサー・ドラゴンの2回目の攻撃!恭介にダイレクトアタック!」
「へあぁぁぁぁぁぁ!!」
恭介 LP3000→0
「勝者、理樹!」

BGM:チクタク・ルーチン
「くそ、なんか最近負け通しじゃねぇかよ」
「こ、今回はたまたま回っただけだって」
「でもよ、こないだの時も随分とハイペースで回してたよな」
「案外才能あるんじゃないか?お前」
「そんなことないと思うけどなぁ」

こうして夜は更けていく…。

続く



[22069] 第17話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:a88f9fcd
Date: 2011/08/28 07:19
BGM:生まれ落ちる世界

僕たちの、「2度目の修学旅行」から1カ月と少しが過ぎた頃。
1匹の黒猫をめぐる不思議な事件を経て、笹瀬川さんが僕たちの仲間に加わった。
それから、半月ほどたったことのことだ。
学校内で起こった、不思議な事件。
僕たちはまだ気づいていなかった。
それがリトルバスターズにとっての、大きな試練になるということに…。

11月7日 水曜日

BGM:デーゲーム

「うりゃっ!」
「それっ!」

カキィン!
乾いた音と共にボールが飛ぶ。

「能美さん!そっちに行きましたわ!」
「わふーっ!」

クドがボールをキャッチする。
…あの事故からもうすぐ半年になる。
僕たちはしばらく前から野球の練習を再開した。
でもあの時とは少し違う。
沙耶さんと笹瀬川さんの二人を加えての練習だ。

「よし、そろそろ今日はこの辺にしておくか」
「そうだね」

こうやって野球の練習ができるのも、あの時起こった「奇跡」のおかげなんだ。
でも、考えれば考えるほどにわからない。
あの世界はなんなのか。
あの世界で何が起こったのか。
世の中には現代科学だけでは証明できない何かがあるとは言うけど、あの世界もそういう類のものなのだろうか。

BGM:スローカーブ

「どうした?理樹」
「あ、ううん、なんでもないよ」
「そっか。とりあえず飯まで時間あるけど、どうするよ?」
「とりあえず部室にこれ戻しに行ってくるよ」
「おう。俺は部屋で筋トレでもするかな。じゃ、後でな」
「うん、また後で」

バットを片付けるために、真人と別れ部室へ向かう。

部室には恭介と西園さんがいた。
珍しい組み合わせだな…。

「…という感じだと思うのですが」
「なるほど、確かにその説も一理あるな」

何やら論議をしているようだ。

「で、理樹はどう思うよ?」
「どう思うって、何が」

急に話を振られても困る。

「前に貸した学園革命スクレボの第2巻、闇の執行部の会計が使ったあの技についての考察だ」
「えーっと、なんだっけ」

記憶をたどる。
確か、物や人の影の中に入り込んで移動する技だっけ。

「って、完全に漫画的展開で考察も何もないじゃん」
「そうか?」
「ちなみに私は、NYP次元を用いた空間転移の類かと」
「いやいやいやいや…」

NYP…なんだかよくわからないパワー。
この学校の一部で研究されている謎のエネルギー。
鈴木さん曰く、なんだかよくわからない次元になんだかよくわからない作用を与えることによりなんだかよくわからないプロセスを経て取りだされるなんだかよくわからないエネルギー…つまり、何も分かっていないのだ。
ただ、どういうわけか西園さんはそのNYPを扱う適性が高いらしい。
ある意味で、これも現代科学では説明のできない何か、なのかもしれない。
恭介たちの会話を聞きながら、ぼんやりとそんなことを考えていた。

「そういえば、NYPと言えば」

西園さんが話を切り出す。

「鈴木さんが皆さんに見せたいものがあると言っていました」
「見せたいもの?」
「なんでも、凄くエンターテイメントな物だそうです」
「なんだろう。夕食まで時間あるし、行ってみない?」
「そうだな。よし、ちょっと行ってみるか」

BGM:Thinking time

「お、棗か!いい所に来てくれた」
「で、見せたいものってなんだ?鈴木」

恭介が訊く。

「まぁそうあわてるなって棗。みんなに見せたいものはこれだよ。D-ゲイザーとD-パッド!」
「お、ついにできたのか!」
「元々NYPを使った光学兵器を作ろうと思っていたのだが、その過程で偶然装着型のディスプレイができてな。で、棗からアイデアをもらってこうなったわけだ」
「デュエルにも臨場感がほしいだろ?だが3Dホログラフィックディスプレイはまだ実用段階じゃない。で、偶然その知らせを聞いて俺が頼んだってわけだ」
「ところで、それはどうやって使うのでしょう?」
「使い方は簡単!デュエルの際にプレイヤーがこのD-ゲイザーとD-パッドを装着すればいい。細かいことはコンピューター制御で自動でやってくれる。で、デッキはここにセット。前方に展開したパネルの上面がモンスターカードゾーンで、下のスロットが魔法・罠ゾーン。で、こっちが墓地だ」

鈴木さんが解説を始める。

「…といった具合だ。説明書も用意してあるからそっちも呼んでほしい。とりあえず人数分作ってあるから、後で皆にも渡してやってくれ。えっと、13台でよかったか?」
「いや、12台だ」
「おっと、1台余分に作ってしまったか。置いておくのももったいないし、トラブルがあった時の予備にでもしてくれ」
「おう。サンキュな、鈴木」
「なぁに、礼には及ばないよ。私としても、なかなかいい勉強になったしな」

そして箱に詰められたデュエル道具を抱えて、僕たちは一旦部室へ戻った。

BGM:チクタク・ルーチン

「で、どうしようこれ」
「今から渡しに行くわけにもいかないしな…」

部室の机に置かれた箱を囲んで、3人で悶々としていた。

「謙吾と真人は帰った時に渡せるけど、女子はどうしよう」
「能美さんの分は私が渡しておきますけど…」

同室のクドの分ならともかく、他の女子の分まで西園さんに持って行かせるのは酷だろう。
かといって、僕たちが女子寮に入るわけにもいかないし…。

「他の皆には明日の昼休みにでも渡す?」
「それがいいな」
「そうですね」

とりあえず、昼休みに皆を集めて渡すことになった。

「そうだ、折角だし、後で4人で集まった時に試してみようぜ」

そういう恭介の眼はいつも以上に輝いていた。
それはまるで新しいおもちゃを買ってもらった子供のようだった。
…そのとき。

バン!!

BGM:幻日

破裂音のような、何かが壊れるような、そんな音が響いた。

「なんだ?」
「化学室の方です」
「行ってみよう!」

僕たちは大急ぎで化学室へ向かった。

化学室では、入口の扉が吹き飛んで壁に叩きつけられ、ひしゃげていた。

「鈴木!大丈夫か!?」

恭介が駆け寄る。
部屋の中で鈴木さんが倒れていた。
部屋の中を見渡してみると、めちゃくちゃに荒れていた。
ただ、何かが爆発したような荒れ様ではない。
まるで、大型動物か何かがこの中で暴れたような荒れ方だった。

「くそ、なんだったんだ今のは…」
「何があった?」
「わからない。お前たちが去った後、突然私と同じ姿のやつにデュエルを申し込まれた…」
「デュエルを?」
「あぁ。なんとか勝てたが…この惨状だ」
「どういうことだ?」
「これもさっぱりわからん。何故かデュエルのダメージが現実になっていた…D-ゲイザーやD-パッドにはそんな機能は無いはずなのに…」
「となると、他の何かか?」
「恐らくそうだが…そこまではさっぱりわからん。NYPの計測器が破壊されたせいで、NYPによるものなのかすらもわからん」
「自分と…同じ…」
「どうしたの?西園さん?」
「いえ、なんでも…ありません…」

西園さんが何かを考えているようだった。

「とにかく、D-ゲイザーやD-パッドによるものではないことは確かだ。お前たちも気をつけろ…ぐっ!」
「鈴木さん!」
「保健室に連れて行くぞ。理樹、そっち持ってくれ!」
「わかった!」

二人で鈴木さんを抱えて保健室へ連れて行く。
打撲が数か所あったが、幸い軽傷だったそうだ。

「だが、気になるな…」
「自分と同じ姿の相手、それとデュエルのダメージ、ですか…」
「偽ジャックの回じゃあるまいし、一体何が起こってるんだ…?」
「とにかく、ここで考えてても始まらないし、一旦寮に戻ろうよ」
「そうだな」

とりあえず、僕たちは一旦寮に戻ることにした。

食事を済ませた僕たちは、一度食堂にみんなを集めて状況の説明をした。

「とりあえず現状ではわからないことが多すぎるな…」
「で、どうするんだ?恭介」
「ま、わからないことをいちいち考えていてもしょうがない。とりあえず、兼ねてからの計画を実行に移す」
「と、いうと?」
「どきどき…」
「第1回!デュエルランキングだ!!」

…。

BGM:チクタク・ルーチン

「は?」
「へ?」
「ほぇー?」
「え?なになになになに?」
「突然…ですね」
「どういうことだ、恭介氏」
「話がつながってないぞ!馬鹿兄貴!」
「あいきゃんのっとあんだーすたっど、なのです…」
「わ、わけがわかりませんわ!」
「ごめんあたしもちょっとわかんない」

当然の反応だった。

「…どういうことなの?恭介」

とりあえずみんなと同じ反応を返してみる。

「まぁ聞け。まず第1に、これ自体は前々からバトルランキングに代わるものとして計画していたものだ」
「それは前に聞いたが…」
「で2つ目、これが重要だ。鈴木の話によると、その正体不明の輩はデュエルで勝負を申し込んできたそうだ。仲間内で積極的にデュエルして経験を重ねれば、もし仮にそいつに勝負を挑まれてもなんとかなる、って訳だ」
「なるほど…確かにそれなら、理にかなっているな」
「で、そのランキングはどうするんだよ?」
「とりあえず、暫定だが初期ランキングを作ってみた」

恭介が携帯を取り出す。
1週間前に買い換えたばかりだというスマートフォンだ。

「やっぱスマフォは便利だなぁ。ランキングが一発でわかる」

恭介自作のアプリには現在のランキングが示されていた。

デュエルランキング
1位:来ヶ谷唯湖
2位:宮沢健吾
3位:棗恭介
4位:能美クドリャフカ
5位:朱鷺戸沙耶
6位:西園美魚
7位:三枝葉留佳
8位:棗鈴
9位:神北小毬
10位:笹瀬川佐々美
11位:井ノ原真人
12位:直江理樹

「とりあえず、現在の戦歴と諸々を照らし合わせて作ってみた」
「相変わらず僕は最下位スタートなんだね…」
「理由はもちろん…」
「燃えるから、でしょ?」
「わかってるじゃねぇか」
「はぁ…」
「ってちょっと待て!なんで俺が笹瀬川より下なんだ!?」

よく見ると、確かに真人のランキングが笹瀬川さんより下になっていた。

「だってお前、なんだかんだでほとんど負け越しじゃねぇか」
「とゆーか、はじめてやったささみにも負けたじゃないか、おまえ」
「くそぉ…」

笹瀬川さんは小毬さんの勧めで始めたらしい。
初めてのデュエルで真人に勝ったんだとか。

「それにしても、例のチーム戦以外無敗の来ヶ谷には驚かされるぜ」
「なぁに、たまたま運が良かっただけのことさ」

それでもキーカードに制限指定のカードが多く、全盛期のようには回せないBFを安定して扱っているのはやっぱり凄いと思う。
それにあのチーム戦の際も、来ヶ谷さんに限って言えばクドと引き分けた状態なので、実質負けは無いのだ。

「ランキングのルール自体はバトルランキングとほぼ同じだ。挑戦できるのは自分より2つ上の相手まで。上のやつは下のやつに勝負を申し込まれたら拒否できない。あとそれから、同じカードでの連戦はなし、だ。それと、ライフポイントは4000制でやる。休み時間は限られてるし、回転率上げたいしな」

みんなおおむね理解したようだった。

「でも、ばとるとは違って、でゅえるができる場所って結構限られてるのではないのでしょーか?」
「だからこその、これだ」

恭介が全員に、先ほどの機械を手渡す。

「恭介さん、なんですか?これ」
「恭介氏、これはまさか…」
「そ、D-ゲイザーとD-パッド…要はデュエルディスクだ。詳しい説明は同封の説明書を読んでくれ、だってさ」
「まさか本当にデュエルディスクをつけてのデュエルができるとは…感動だ」

謙吾がえらく喜んでいた。

「よし、それじゃあ明日から早速始めるぞ!というわけで今日はこれで解散!」

とりあえず僕は部屋に戻ることにした。

部屋に戻ると真っ先にランキングを見直してみる。
六武衆使いのクドが上位に入っている。
謙吾のガスタへのこだわりも凄いし、それでここまで上位につけてるのも凄い。
でも最近新しいデッキを思いついたとか言ってたっけなぁ。
5位から9位は大体横並びな感じがする。
この辺の順位は恭介が適当に決めたのかも。

「ぐがー…」

昨日の反動か、すでに真人は寝ていた。
僕も今日はなんだか疲れたし、早めに寝ることにしよう。
こうして夜は更けていく…。

続く



[22069] 第18話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:a88f9fcd
Date: 2011/11/27 18:28
11月8日 木曜日

BGM:目覚めた朝に

目が覚める。
昨日とは打って変わって雨模様だ。
予報だと今日1日雨らしい。

「…はぁ」

昨日の一件もあるし、すこし気分が下がる。
とりあえず真人を起こして食堂に行こう。

「ほら真人起きて、朝だよ」
「ぐごー…あとスクワット100回だけ…」

うわ!寝言でまで筋トレしてる!
なんとか起こすことには成功した。

「うっす」
「おはよう。あれ、謙吾は?」

食堂に来たのはいいが、珍しく謙吾の姿が無い。

「あいつならなんか用事があるとか言ってすぐにいっちまったぜ」
「なんだ?部活か?」
「なんだろ?とりあえず何か買ってくるね」

あまり沢山食べる気もしなかったので、ミックスサンドを買ってテーブルに着く。
真人は相変わらず朝から定食だ。

「ふえぇぇ…」
「…」
「うっす」

小毬さんと笹瀬側さんがやってきた。
朝からずいぶん疲れた様子で…。

「…何かあった?」
「何かあった?ではありませんわ!なんなんですの!?」
「昨日の夜ね、早速例のあれをさーちゃんと試してみたんだけどねー…」

例のあれ、とはD-パッドのことだろうか。

「そしたらもう部屋の中が滅茶苦茶に…」
「あぁ、ナチュル・パルキオンが女子寮の天井突き破ってたな」
「ふえぇ!?なんで知ってるんですか恭介さん!?」
「あれは鈴木の奴がアニメを見つつ完成させたARビジョンシステムだ」
「ARビジョン?」

なんでも、周囲の空間を読み取ってそれに対応した立体映像を装着型のディスプレイに投影する技術らしい。
既にゲーム機やスマートフォンにも似たようなものが搭載されていて実用化されているのだけど…。

「この学校の科学部の技術力ってどうなってるんだろうね…」

朝食を終えて、いつものように校舎に向かう。

「わかってるとは思うが、今日から早速デュエルランキング開始だ」
「昼休みからだよね?」
「あぁ。例のごとく、ランキングは逐一メールで送るからな。っとやっべ、課題の提出あったんだ。じゃな」

そう言うと恭介は先に行ってしまった。
僕たちも教室に向かおう。

BGM:密やかなさざめき

「やは、おはようみんな」
「おはよう、葉留佳さん」
「げっ、また三枝かよ」
「あーっとぉ!何ですか朝っぱらからその態度はぁー!?」
「朝っぱらだからなんだよこちとらねみぃんだ」

そう言うと真人は葉留佳さんをほったらかしたまま自分の席で爆睡しだした。

「しかし、あの馬鹿があそこまでテンションが低いとはな。何か悪いものでも食ったか?」
「特に心当たりはないけど…」

悪い夢でも見たのだろうか。
真人に限ってそんなことであそこまでテンションが下がるとも思えないんだけど。

「っと、そろそろホームルームの時間じゃないのか?三枝」
「おーっとぉ。それじゃ、また後でね!」
「うーっし、お前ら席につけー。ホームルーム始めるぞー」

葉留佳さんが教室を出るのとすれ違う形で担任が入ってきた。



休み時間。
ニア屋上に行く
 真人と遊ぶ
…今日は雨じゃないか。
他にすることもないし真人と遊ぶとでもしよう。

「やっほー、真人。筋肉筋肉~」
「…」
「あれ、どうしたの真人?ほら、筋肉筋肉~」
「…真人?」
「…お、理樹か」
「どうかしたの真人?具合でも悪いの?」
「ん?いや別に何ともねぇが」
「そう?ならいいんだけど」

変だ。
いつもなら真人が食いつかないはずが無いのに。
眠そうにしてたしただ聞こえてなかっただけなのかもしれないけど…。
そうこうしているうちに2限目のチャイムが鳴る。



「神北、問3の英文を訳して見ろ」
「えーっとぉ、『ジョンが家に帰った時、彼の母は夕食を作っていた』かなぁ」
「その通りだ。…井ノ原、寝るなら静かに寝ろ」
「ぐごぉー…」



「筋収縮の際にはサルコメアの明帯の長さが短くなり暗帯の長さには変化が生じないが、これはなぜだ?井ノ原、得意な筋肉の話だが、わかるか?」
「そんなの簡単じゃねぇか。それはだな…」
「…」
「…あり、忘れちまった」
「珍しいな、井ノ原が筋肉の事で答えられないとは。来ヶ谷、わかるか?」
「ふむ、確かそれは『滑り説』なるものだったな。暗帯を形成するミオシンフィラメントに…」



「ねぇ、今日真人くんなんだか変じゃないかな?」
「そーいえばそうなのです」

みんな少なからず真人に違和感を感じているようだ。

「確かに、あの筋肉馬鹿が筋肉のことで答えられないことがあるとは思えんな」
「むしろ、さっきの内容はこの間の授業で自分から話していた気もするがな。私も彼の話を聞いて知ったのだから」
「さっきも声かけたけどなんだか反応薄かったし…」
「『筋肉筋肉~』、という直江さんのフリもどうかと思いますが」
「いつものことだ」
「えぇ~…」

悪意はないんだろうけど、ちょっときた。
すると突然、あたりが閃光に包まれた。

「はるちんフラーーーーーーッシュ!!」
「うわぁっ!?」

葉留佳さんが大きな懐中電灯でこちらを照らしていた。

「な、何するのさ葉留佳さん!?」
「いやぁー、様子をのぞきに来たらなんかしんみりした様子だったから、つい照らしちゃったのですヨ」

突然すぎて皆突っ込む言葉すら浮かんでこない。
…一人、西園さんを除いては。

BGM:幻日

「…三枝さん、もう一度、皆さんを照らしてくれませんか?」
「…?いいよ。ほれっ!」

葉留佳さんがもう一度懐中電灯のスイッチを入れる。

「皆さんの足元、よく見てください」
「…!!」
「わふっ!?」
「な、なんだこれは!?」
「よっ、元気に…うおっ、まぶしっ!?」
「きょ、恭介!これ!」

丁度窓から恭介が入ってくるところだった。

葉留佳さんが懐中電灯照らしてできた影。
だけど、明らかにあるべきはずのものが無かった。
上着の上の頭、袖の先の手、スカートの下の足…。
僕たちの「影」が消えていた。

「雨で暗くて気付かなかったな…」

この場で影が消えているのが確認できたのは、僕、恭介、真人、謙吾、鈴、小毬さん、クド、来ヶ谷さん、西園さん、葉留佳さん、そして沙耶さん…全員リトルバスターズのメンバーだ。

「恭介、これって…」
「いや、まだ確証は持てない。ただ、他の奴らが気付いている様子はなさそうだ」
「あ、あたしたちどーなるんだ?きょーすけ?」
「…お前ら、昨日話したこと覚えてるか?」
「科学部の鈴木氏のことか」
「あぁ。もしかしたら今回のは…」

その瞬間、4限目のチャイムが鳴る。

「っと、そろそろ戻らねぇと。とりあえず、例のは予定通りやるからな!」
「やるんだ…」

むしろ、こんな時だからこそいい気分転換になるかもしれない。
今のところ変に深く考えない方がいいのかも。

続く



[22069] 第19話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:a88f9fcd
Date: 2011/12/03 01:29
BGM:MY BRAVE SMILE

昼休み。
デュエルランキングが始まる前にとりあえず食事でも済ませてこよう。

「真人、謙吾、食堂行こう」
「うっす」
「すまない、理樹。少し部活の用事を済ませておきたいのでな。昼食はそっちで食べる」
「わかった。じゃ、行こう、真人」
「おう」

雨で少し肌寒い。
こんな時は暖かいうどんでも食べるとしよう。

「おばちゃん、カツ頼むぜ!」
「はいよ」

相変わらず真人は昼から重い。

「そういえばさ、真人」
「ん?なんだよ」
「珍しいね、筋肉のことでわからないことがあるって」

それとなく今日感じていた違和感をぶつけてみる。
真人の筋肉の知識は専門家並みで一切ボケが無い。
筋収縮の話も以前得意げに語ってたのに、何故答えられなかったのか。

「そうなんだよ。なんかこう、急に抜けちまってよ。気持ちわりぃったらありゃしねぇ」

単なるど忘れだろうか。
得意なことでも急に抜けてしまうということは確かにある。
でも、今まで真人にそんなことがあっただろうか?
それとも、ただ僕が考えすぎなのだろうか…。
結局答えは出ないまま、食事を終えた。

「さてと…」
 教室に戻る
ニアさすらう

BGM:勇壮なる闘い

ついにデュエルランキングが始まる。
強い奴を求めて校内をさまよってみよう。

プルルル…プルルル…
恭介からメールが届く。
ランキングの確認メールだ。

1位:来ヶ谷唯湖 「デュエルランキング暫定王者」
2位:宮沢健吾 「最強の男児にして真人のライバル」
3位:棗恭介 「あらゆる日常をミッションにするリーダー」
4位:能美クドリャフカ 「えきぞちっく(自称)なマスコット」
5位:朱鷺戸沙耶 「完全無敵ミリタリー少女」
6位:西園美魚 「日傘を差した物静かな天然素材」
7位:三枝葉留佳 「お気楽 極楽 騒がし乙女」
8位:棗鈴 「なかなか人に懐かない気高き仔猫」
9位:神北小毬 「ほんわりきゅーとなメルヘン少女」
10位:笹瀬川佐々美 「唯我独尊の女王猫」
11位:井ノ原真人 「憎めない筋肉馬鹿一直線」
12位:直江理樹 「バトルランキング王者」

ランキングに称号が追加されている。
そしてその下には但し書きが。
『言い忘れていたが、今回も称号ルールありだ。勝った奴は負けた奴に好きな称号をつけられる、OK?』
ならばますます負けるわけにはいかない。
バトルランキング王者の名にかけて、今度は2冠を達成せねばならない。

棗鈴(8位)と遭遇。
「なんだ、理樹か」
「なんだって酷いなぁ…」
「うーみゅ、こういうときはどうすればいいんだ?」
「バトルランキングと違って交換するものも無いしね…」
そのまま別れた。

プルルル…プルルル…

食堂で来ヶ谷唯子(1位)と棗恭介(3位)が対決。
面白いカードだ、見に行ってみよう。

「ふっ、まずは暫定王者の座、頂かせてもらうぜ」
「そう簡単に行くかな?」

丁度始まるところだった。

「ついでに、こいつの性能を試す絶好の機会だ。機械もデッキも両方な!」
「奇遇だな、私も今日新しいデッキを作ってきたところだ」
「ならばいくぞ!D-ゲイザー、セット!デュエルターゲット、ロック・オン!」

D-ゲイザーを通してARビジョンが投影される。
デュエル開始の合図だ。

「「デュエル!」」

「デュエルランキング暫定王者」来ヶ谷唯子(1位)VS「あらゆる日常をミッションに変えるリーダー」棗恭介(3位)

Turn1:恭介
手札5枚
「俺のターン、ドロー!セイクリッド・グレディを召喚!」

ATK1600 DEF1400 ☆4

「このモンスターの召喚に成功した時、手札のセイクリッドと名のついたレベル4モンスター1体を特殊召喚できる!セイクリッド・カウストを特殊召喚!」

ATK1800 DEF700 ☆4

「さらに永続魔法、セイクリッドの星痕を発動!セイクリッドと名のついたモンスターのエクシーズ召喚時にカードを1枚ドローできる!」
「ほぅ」
「そして俺は、セイクリッド・グレディとセイクリッド・カウストをオーバーレイ!2体のモンスターで、オーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れろ、セイクリッド・ビーハイブ!!」

ATK2400 DEF800 ランク4 ORU2

「セイクリッドの星痕で1枚ドロー!カードを1枚伏せて、ターンエンドだ」

手札3
伏せ1

俺の伏せたカードは「突進」。
次のターン、来ヶ谷が攻撃してきたならセイクリッド・ビーハイブの効果と手札のオネストで4100ダメージ…。
さぁ、どう出る…?

Turn2:来ヶ谷
手札5
「私のターン、ドロー。恭介氏、悪いが私の勝ちだ。甲虫装機 ダンセルを召喚」

ATK1000 DEH1800 ☆3

「甲虫装機 ダンセルのモンスター効果発動。手札または墓地から、甲虫装機と名のついたモンスターを装備することができる。甲虫装機 ホーネットを装備。このカードを装備したモンスターの攻撃力・守備力は、このカードの元々の数値分アップし、さらにレベルが3アップする」

甲虫装機 ダンセル ATK1000→1500 DEF1800→2000 ☆3→6

「へっ、たかが攻撃力1500じゃ、セイクリッド・ビーハイブには勝てないぜ?」
「戦闘で勝とうという気は毛頭ない。甲虫装機 ホーネットの効果発動、装備カードとなったこのカードを墓地に送ることで、フィールド上のカードを1枚選択し破壊する。まずはセットカードを破壊させてもらおう」

破壊→セットカード「突進」
甲虫装機 ダンセル ATK1500→1000 DEF2000→1800 ☆6→3

「さらに甲虫装機 ダンセルの効果発動。装備カードが墓地へ送られたことにより、デッキまたは墓地から同名カード以外の甲虫装機を特殊召喚する。甲虫装機 センチピードをデッキから特殊召喚」

ATK1600 DEF1200 ☆3

「甲虫装機 センチピードの効果で墓地の甲虫装機 ホーネットを装備」

甲虫装機 センチピード ATK1600→2100 DEF1200→1400 ☆3→6

「さらに甲虫装機 ホーネットを墓地に送りセイクリッド・ビーハイブを破壊」

甲虫装機 センチピード ATK2100→1600 DEF1400→1200 ☆6→3

「全滅か…だがそいつらの総攻撃でも俺のライフを削りきることはできないぜ?
「それはどうかな?甲虫装機 センチピードの効果発動。デッキまたは墓地から、甲虫装機と名のついたカードを1枚選択し手札に加える。甲虫装機 ギガマンティスを手札に。そして甲虫装機 ギガマンティスの効果発動。手札のこのカードを自分の場の甲虫装機に装備することができる。そしてこのカードを装備したモンスターの元々の攻撃力は2400になる。甲虫装機 ダンセルに装備」

甲虫装機 ダンセル ATK1000→2400

「はぁ!?」
「甲虫装機 センチピードでダイレクトアタック」

恭介 LP4000→2400

「これでトドメだ。甲虫装機 ダンセルでダイレクトアタック」
「へあぁぁぁぁ…」

恭介 LP2400→0
勝者:来ヶ谷唯子

「ふむ、恭介氏にはこんな称号がいいだろう」
「うおぉぉぉ…」

恭介は[↓こいつえろい人です]の称号を手に入れた。

ランキング変動
→1位:来ヶ谷唯子 「デュエルランキング暫定王者」
→3位:棗恭介 「↓こいつえろい人です」

プルルル…プルルル…

廊下にて能美クドリャフカ(4位)と朱鷺戸沙耶(5位)が対決。
これは結果だけ見ておこう。



クドは沙耶に勝利した。

ランキング変動
→4位:能美クドリャフカ 「えきぞちっく(自称)なマスコット」
→5位:朱鷺戸沙耶 「不発弾でした」

今回はこの辺にして教室に戻ろう。

BGM:MY BRAVE SMILE

5限目が終わって休み時間。

「う~ん…」

さっきの時間は古典の小テストだった。
あまりできなかったのか小毬さんが教科書を読み返していた。

「どうかしましたか、小毬さん?」
「あ、クーちゃん。さっきの小テスト、あんまりできなかったなーって思って。でも何回読んでもわからないんだよぉ~…」
「えっとですね、この単語はサ行の変格活用なので…」
「はるちんミラクルチョーップ!」
「痛っ!」

突然後頭部に手刀が飛んできた。

「何するのさ葉留佳さん!?」
「いやー、ぼーっとしてたみたいなのでつい。とー、姉御ー」

食らわせるだけ食らわせて行ってしまった。
特にすることもないし次の時間の予習でもしておこう。



放課後。

「この雨じゃ、練習はできないな」
「そうだね…」

相変わらず雨がやむ気配が無い。
すると、恭介からデュエルランキングのメールが。

「ま、やることもないし丁度いいだろう。理樹、お前はどうするんだ?」
「一応その辺ぶらついてみようかな。今僕最下位だからランキング上げていかないと」
「それもそうだな。じゃ、俺は先に行ってるぞ」

さて、どうしようか。
僕が今勝負を挑めるのは真人か笹瀬川さんだけど…。

プルルル…プルルル…
メールが届く。
誰かの勝負があったらしい。

食堂で神北小毬(9位)と井ノ原真人(11位)が対決!

真人が小毬さんに勝負を挑んだのか。
となると、笹瀬川さんを探すことになる。
どこにいるんだろう…ん?

「あれ、真人…?」
「おう、理樹じゃねぇか」

BGM:幻日

そんな馬鹿な。
真人は今小毬さんとデュエルしているはず。
いくらなんでもこんなに早く終わるわけがない。
そもそも、どちらが勝ったかというメールが届いていない。

「真人、小毬さんとのデュエルは?」
「へ?」
「いや、デュエルランキング」
「は?俺は教室でてそのままトイレに行ったんだが」

どういうことだ?

「と、とにかく真人、食堂まで来て!」
「お、おう…」

とにかく事の真意を確かめなければならない。

BGM:ぼくのいやなこと

「A・O・J カタストルでナチュル・ビーストに攻撃!」
「XX-セイバー フラムナイトの効果で無効にするよ!」
「ほう、なら俺はカードを1枚伏せターンエンドだ」

既にデュエルが始まっていた。
デュエルしているのは小毬さんと…真人。

「小毬さん!」
「うぇ!?どういうことだこりゃ!?」
「ふえぇぇ!?!?ま、ままま、真人君が、ふふふ二人いる!?」
「ちっ、罠発動、破壊指輪!俺の場のA・O・J カタストルを破壊し、互いに1000ダメージ!」
「ほわぁっ!?」

小毬 LP800→0
真人 LP1000→0

「逃げた!校舎の方だ!」
「おいこら待ちやがれぇっ!」

事の真相を確かめるためにも、とにかく追いかけないと!

続く



[22069] 第20話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:a88f9fcd
Date: 2011/12/06 14:29
BGM:ぼくのいやなこと

兎にも角にも異常事態だ。
皆に連絡はついたけどとりあえず逃げた方の真人を捕まえないと。
すると、反対側からちょうど謙吾が。

「理樹、だいじょ…んなっ!?」
「謙吾!とりあえず前走ってる真人止めて!」
「わ、わかった。せぇぇいっ!」

パシィィン!
竹刀の音が響き、先を走っていた真人がよろめく。
その隙に、追いかけていた真人が捕まえる。
そしてちょうどいい具合に皆集まってきた。

「しかし、これは一体どういうことなんだ?」
「…くっそ、まさかこんなに早く表れるとはな…」
「こんなに早くって…まさか、鈴木さんの時と同じ?」
「恐らくな…」
「しかし、こんなの増やしてどーするつもりなんだ?」
「「おい鈴、こんなのってなんだよ」」

まったく同じタイミングで返答した。

「うわっ!こわっ!」
「ちっ、ったくよぉ、こんなに集まるたぁ正直予想外だったぜ…ついでに見かけたからって余計な勝負するんじゃなかったぜ」
「余計な勝負だと?」
「ほぇ?それって、私のこと?」
「あぁそうだ。ったく計算外だぜ」
「…もしかして、あなたは…」
「あぁうっせぇなだぁってろ!」
「っ…」

これは…本当に真人なのか?
たしかに、姿や声は真人だ。
見間違えるはずもないし聞き間違えるはずもない。
でもこの違和感はなんだ?
…まず真人が2人いる時点で明らかに異質な光景なんだけど。

「俺が用があんのは、お前だ、真人」
「なに?」
「俺とデュエルしろ」
「…は?」
「聞こえなたっかのか?俺とデュエルしろっつてんだよ!」
「いや、なんでデュエル?」
「横から口出ししてんじゃねぇっ!」

バシィン!
強烈な裏拳を食らい吹っ飛ばされた。

「っ…!」
「理樹!」

幸い、丁度飛ばされた位置に謙吾がいたおかげで怪我はせずに済んだ。

「…いいじゃねぇか。受けてやるよ。」
「真人?」
「俺のダチ傷つけといて、ただで済むと思ってんじゃねぇぞ!」
「それでいい…かかってこぉい!」
「「デュエル!!」」

BGM:勇壮なる闘い

井ノ原真人VS"マサト"

Turn1:マサト
手札5

「先攻は俺がもらう!ドロー!モンスターをセット、カードを1枚伏せて、ターンエンドだ!」

手札4
セットモンスター1
伏せ1

Turm2:真人
手札5

「俺のターン、ドロー!手札から、ゴブリンドバーグを召喚!」

ATK1400 DEF0 ☆4

「ゴブリンドバーグの効果発動!こいつの召喚に成功した時、守備表示にすることで手札からレベル4以下のモンスターを特殊召喚する!来い!復讐の女戦士ローズ!」

ATK1600 DEF600 ☆4 チューナー

「レベル4のゴブリンドバーグに、レベル4のローズをチューニング!屈強なる白亜の剛腕、大地を砕き勝利をもたらせ!唸れ筋肉!シンクロ召喚!ギガンテック・ファイター!」

ATK2800 DEF1000 ☆8 シンクロ

「ギガンテック・ファイターのモンスター効果!こいつは墓地の戦士族1体につき攻撃力を100ポイントアップさせる!墓地には戦士族が2体、よって攻撃力は200ポイントアップだ!」

ギガンテック・ファイター ATK2800→3000

「バトル!ギガンテック・ファイターでセットモンスターに攻撃!ジャイアント・マッスル・ブロー!」

戦闘破壊→極星獣タングリスニ DEF800

「極星獣タングリスニが戦闘で破壊された時、場に極星獣トークン2体を特殊召喚する!」

ATK0 DEF0 ☆3

「まさか、あのデッキは!?」
「…嫌な予感がします」

「なら俺はカードを1枚伏せ、ターンエンドだ」

手札3
伏せ1

Turn3:マサト
手札4
伏せ1

「俺のターン、ドロー!俺は手札からチューナーモンスター、極星獣グルファクシを召喚!」

ATK1600 DEF1000 ☆4 チューナー

「あのチューナーは…やはり!」
「気をつけて真人!トールが来る!」
「レベル3の極星獣トークン2体に、レベル4のグルファクシをチューニング!筋肉が呼ぶ、筋肉が語りかける、筋肉が唸りを上げる!シンクロ召喚!降臨せよ、極神皇トール!!」

ATK3500 DEF2800 ☆10 シンクロ

「バトル!極神皇トールで、ギガンテック・ファイターに攻撃!サンダー・パイル!」

校舎を粉砕しトールの一撃が迫る。
ARビジョンによる立体映像とはいえ、恐ろしいまでの威圧感、そして破壊力だ。

「ぐおぉっ!」

真人 LP4000→3500

「ギガンテック・ファイターのモンスター効果!こいつが戦闘で破壊され墓地へ送られた時、墓地の戦士族モンスターを特殊召喚する!選択するのは、ギガンテック・ファイターだ!甦れ、ギガンテック・ファイター!」
「俺はこれでターンエンドだ」
手札4
伏せ1

Turn4:真人
手札3
伏せ1

「俺のターン、ドロー!モンスターをセット、ギガンテック・ファイターを守備表示にしてターンエンドだ」

手札3
セットモンスター1
伏せ1

Turn5:マサト
手札4
伏せ1

「俺のターン、ドロー!極星天ミーミルを召喚!」

ATK600 DEF0 ☆2

「リバースカードオープン!罠発動、極星宝レーヴァテイン!極星獣タングリスニをゲームから除外し、ギガンテック・ファイターを破壊!」
「ちぃっ!」
「バトル!極神皇トールで、セットモンスターに攻撃!サンダー・パイル!」

戦闘破壊→ドッペル・ウォリアー

「ぐあぁぁっ!…くそっ、ダメージが現実になって襲ってきやがる!」
「真人っ!」
「カードを1枚伏せてターンエンドだ」
手札3
伏せ1

Turn6:真人
手札3
伏せ1

「俺のターン、ドロー!切り込み隊長を召喚!」

ATK1200 DEF400 ☆3

「切り込み隊長の効果で、もう1体の切り込み隊長を召喚する!」
「ほぉ」
「カードを1枚伏せてターンエンドだ!」

こいつで時間を稼ぐしかねぇっ…!

手札1
伏せ2

Turn7:マサト
手札3
伏せ1

「俺のターン、ドロー!…へっ」
「あぁ、何がおかしい」
「俺のデッキに神が1体だけだと思ったか?」
「何?」
「見せてやるよ、2体目の神を!極星霊ドヴェルグを召喚!」

ATK100 DEF1000 ☆1

「極星霊ドヴェルグの召喚に成功したターン、自分はもう1度だけ極星と名のついたモンスターを召喚できる!極星霊リョースアールヴを召喚!」

ATK1400 DEF1200 ☆4

「極星霊リョースアールヴの効果発動!こいつの召喚に成功した時、自分の場のモンスター1体を選択し、そのモンスターよりレベルが低い極星と名のついたモンスター1体を手札から特殊召喚する!俺はレベル10のトールを選択し、極星霊デックアールヴを特殊召喚!」

ATK1400 DEF1600 ☆5 チューナー

「レベル1のドヴェルグとレベル4のリョースアールヴに、レベル5のデックアールヴをチューニング!シンクロ召喚!極神皇ロキ!!」
「なにぃっ!?」
「ロキだと!?」

ATK3300 DEF3000 ☆10 シンクロ

「極星霊ドヴェルグが墓地に送られたことにより効果発動!墓地の極星宝を1枚手札に加える。俺は極星宝レーヴァテインを手札に。カードを1枚伏せてターンエンドだ」
「この瞬間、速攻魔法サイクロン発動!今伏せたカードを破壊する!」

破壊→極星宝レーヴァテイン

手札2
伏せ1

Turn8:真人
手札1
伏せ1

「俺のターン、ドロー!モンスターをセットして、ターンエンドだ」

手札1
伏せ1

Turn9:マサト
手札2
伏せ1

「俺のターン、ドロー!罠カード、神の桎梏グレイプニルを発動!デッキから極星天ヴァナディースを手札に加える。極星天リョースアールヴを召喚、効果発動!レベル10の極神皇トールを選択し、手札からレベル4の極星天ヴァナディースを特殊召喚!」

ATK1200 DEF400 ☆2 チューナー

「さらに手札から魔法カード、死者蘇生を発動!墓地の極星獣タングリスニを特殊召喚!そして極星天ヴァナディースの効果発動!デッキから極星と名のついたモンスター1体を墓地へ送ることで、エンドフェイズまでこのモンスターのレベルは墓地に送ったモンスターのレベルと同じになる!俺はデッキからレベル3の極星獣ガルムを墓地に送る!」

極星天ヴァナディース ☆4→3

「3体目の神を見せてやる!レベル3のタングリスニとレベル4のリョースアールヴに、レベル3となったヴァナディースをチューニング!シンクロ召喚!極神聖帝オーディン!!」

ATK4000 DEF4000 ☆10 シンクロ

「3体の神を場に揃えてきやがったか…こいつはまずいぞ!」
「だが、今は切り込み隊長の効果で攻撃できない…!」
「あぁ。だから俺はターンを終了する。この瞬間、極星宝レーヴァテインの効果で除外されていた極星天ミーミルが場に戻る」
手札1
伏せ0

Turn10:真人
手札1
伏せ1

「俺のターン、ドローっ!ジャンク・シンクロンを召喚!」

ATK1300 DEF500 ☆3 チューナー

「ジャンク・シンクロンの効果発動!墓地のレベル2以下のモンスター1体を特殊召喚する!ドッペル・ウォリアーを特殊召喚!」

ATK800 DEF800 ☆2

「レベル3の切り込み隊長とレベル2のドッペル・ウォリアーに、レベル3のジャンク・シンクロンをチューニング!交差せし漆黒の剛腕、仇なすものをなぎ払え!シンクロ召喚!ジャンク・デストロイヤー!」

ATK2600 DEF2500 ☆8 シンクロ

「ジャンク・デストロイヤーの効果発動!シンクロ素材となったチューナー以外のモンスターの数まで、場のカードを破壊する!俺はトールとオーディンを破壊!ダイダル・エナジー!」
「ほぉ」
「そして永続魔法、一族の結束を発動!俺の墓地は戦士族のみ!よって俺の場の戦士族モンスターの攻撃力は800ポイントアップする!」

ジャンク・デストロイヤー ATK2800→3600
切り込み隊長 ATK1200→2000

「バトル!ジャンク・デストロイヤーで極神皇ロキに攻撃!デストロイ・ナックル!」

マサト LP4000→3700

「切り込み隊長でミーミルに攻撃!」

マサト LP3700→2300

「俺はこれでターンエンドだ」
「この瞬間、オーディン、トール、ロキの効果発動!墓地の極星天ヴァナディース、極星霊デックアールヴ、極星獣グルファクシを除外し、墓地より特殊召喚!トールの効果により800ポイントのダメージを受けてもらう!」
「ぐおぉっ!」

真人 LP3500→2800

「ロキの効果により、神の桎梏グレイプニルを手札に。さらに、オーディンの効果により1枚ドローだ」

手札0
伏せ1

「か、神様が復活しちゃいましたー!?」
「こいつは本格的にまずいぞ…」

Turn11:マサト
手札3
伏せ0

「俺のターン、ドロー!バトルだ!オーディンでジャンク・デストロイヤーに攻撃!ヘブンズ・ジャッジメント!!」
「ぐぅぉっ!」

真人 LP2700→2300

「さらにトールで切り込み隊長に攻撃!」
「ぐあぁっ!」

真人 LP2300→800

「トドメだ!ロキでダイレクトアタック!」
「まずい!こいつが通ったら…!」
「井ノ原さん!」
「罠発動、ガード・ブロック!この戦闘で受けるダメージを0にし、デッキからカードを1枚ドローする!」

…っ!

「ちっ、カードを1枚伏せてターンエンドだ」
手札3
伏せ1

Turn12:真人
手札1
伏せ0

「おい」
「あぁ?」
「てめぇはなんで俺を狙うんだ?なんで俺の姿をしていやがるんだ!?」
「なんだよ、何かと思えばそんなことかよ。そんなこと、今ここで『消える』お前に言ってなんになるってんだ?」
「なっ、消えるって、どういうことだ!?」
「やはり…そうだったんですね」

BGM:いつか気付くかな

「あなたは…美鳥と同じ…」
「…どういうこと?西園さん」
「あなたは井ノ原さんであって井ノ原さんでない存在。井ノ原さんの中にいるもう一人の井ノ原さん。つまりは…井ノ原さんの、心の闇」
「心の闇…だと?」
「言いようによっちゃそうだろうな。以前お前は言ったはずだ。俺と共に筋肉旋風を巻き起こし、筋肉革命を成功させると!だが今のお前はなんだ!?他の奴らとつるんでうつつを抜かし、筋肉革命の事など忘れきって居やがる!」
「!!」
「だから俺はこうして現れた!お前の筋肉に関する知識と力を持ってな!そして俺はお前を倒して真の『井ノ原真人』となり、この世界に筋肉旋風を巻き起こして筋肉革命を成功させる!」
「へっ、なんだ。そんなことか」
「何がおかしい?」
「てめぇは何もわかっちゃいねぇ!筋肉革命は力だけで起こすものじゃねぇ!仲間との絆があってこそ初めて成功させられんだよ!ついでにいうと、てめぇは筋肉革命の本当の意味を履き違えてるんじゃねぇか?」
「なんだと?」
「筋肉革命とは他人に押し付けるもんじゃねぇ。自分自身の筋肉の限界を突破すること、それが筋肉革命だ!俺はお前の力を一度浴びて、俺自身が間違っていたことに気付いた!そうだろ!?トールよぉ!」
「トールだと!?」
「どういうことだね、真人君」
「こいつはあんとき俺と戦ったカード…極神皇トールだ」
「そんな馬鹿な!?カードの意思が実体化したとでも言うのか!?」
「…『夢が叶う世界』」
「リキ…?」
「あの『世界』の中で、誰かから聞いた言葉だよ。それが誰なのかははっきりとはおもいだせないけど…」

あの「世界」の礎がなんなのか、未だにはっきりしない。
だけどこの世のどこかに、あの「世界」を形作っていた大いなる力があることは疑いようが無い。

「…だが!俺は筋肉革命を成功させる!俺自身の手で、俺による筋肉革命をなぁ!」
「まだそんなこと言ってやがんのか!だったらよぉ…決着をつけようじゃねぇか!」
「望むところだ!真人ぉ!」

BGM:死闘は凛然なりて
「俺のターン、ドロォーッ!!」

…来た!

「手札から魔法カード、戦士の生還を発動!墓地のゴブリンドバーグを手札に加え、そのまま召喚だ!」

ゴブリンドバーグ ATK1400→2200

「そしてゴブリンドバーグの効果発動!こいつを守備表示にし、手札からジャスティス・ブリンガーを特殊召喚する!」

ATK1700→2500 DEF1000 ☆4

「一気にモンスターを展開したが…」
「一番攻撃力が低いミーミルは守備表示…ダメージは与えられないか」
「それに神の中で一番攻撃力が低いのはロキの3300だから…」
「ジャスティス・ブリンガーでも800ポイントたりないです…」
「俺はレベル4のジャスティス・ブリンガーとゴブリンドバーグをオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!現れろ、No.39 希望皇ホープ!!」

ATK2500→3300 DEF2000 ランク4 ORU2 エクシーズ

「一族の結束で攻撃力はロキに並んだが…」
「それでも相打ち…それに、攻撃無効効果を使っても3体の神の攻撃は防ぎきれないか」
「ど、どっちにしろ勝てないではありませんの!?」
「いや、真人のデッキにあのカードがあれば…!」

「はっ!今更時間稼ぎか!?だがどの道トールの効果で無効にすればそれで終わりだ!」
「いや、まだだ!」
「何!?」
「俺はNo.39 希望皇ホープをカオスエクシーズチェンジ!」
「なんだと!?」

「エクシーズモンスターを素材にエクシーズ召喚されるカオスエクシーズモンスター…そいつの力ならな!」

「来い!CNo.39 希望皇ホープレイ!!」

ATK2500→3300 DEF2000 ランク4 ORU3 エクシーズ

「なんだよ、ビビらせやがって。攻撃力も守備力も変わってねぇじゃねぇかよ!」
「ホープレイのモンスター効果発動!自分のライフが1000以下の時にこいつのオーバーレイ・ユニットを1つ取り除くごとに、相手モンスター1体の攻撃力を1000ポイントダウンさせ、こいつ自身の攻撃力を500アップさせる!」
「なんだと!?」
「俺は全てのオーバーレイ・ユニットを取り除き、トールの攻撃力を3000ポイントダウン!そしてホープレイの攻撃力は1500ポイントアップする!」

極神皇トール ATK3500→500
CNo.39 希望皇ホープレイ ATK3300→4800

「馬鹿な!?」
「こいつでトドメだ!ホープレイで、トールに攻撃!ホープ剣カオススラァァァッシュ!!」
「ぐおあぁぁぁぁぁ…」

マサト LP2300→0
勝者:真人

BGM:Song for friends~instrumental~

「真人!大丈夫!?」
「あぁ。これくらいなんてことねぇ」
「…完敗だよ。真人」
「トール…」
「やっぱり、本当の筋肉革命はお前にしか起こせないってことか…しゃーねぇ。俺はお前の中に戻るとするぜ。そして見せてくれよ。本当の…筋肉革命ってやつをよ」
「…おうよ」
「へっ、じゃあな…」

そう言うと、もう一人の真人は光となって消えた。

「あ、井ノ原さん!影が!」
「ほんとだ、影が戻ってく!」
「ん?影?何のことだ?」

そういえば結局真人には話せてなかったっけ。

「さて!そろそろいい時間だ。飯食いに行こうぜ!」

気が付けば既に日も沈んでいた。
僕たちは、そのまま皆で食堂へと向かった。

続く



[22069] 第21話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:a88f9fcd
Date: 2011/12/30 02:29
BGM:スローカーブ

夕食。
こうして見ると、いつの間にか随分とリトルバスターズも大所帯になったなぁ。

「そーいえば、井ノ原さんの目指してる筋肉革命とは何なのですか?」
「ふむ、確かにあそこまで言われると少し気になるな」
「で、どうなんだ?井ノ原君」
「みんな、トールの攻撃食らってないよね…?」
「へっ、あんまり人に話すもんじゃねぇんだがそこまで言われちゃしょうがねぇ。筋肉革命とは、おのれの筋肉の限界と突破し、筋肉旋風を巻き起こすことだ。だが俺自身まだ真の…」

それにしても不可解なのが消えた影ともう一人の真人の関係性だ。
カードの意思はともかくとして、それが実際の物理現象として現れたこと。

「ん?どうした、理樹」

…何か嫌な予感がしてならない。

「恭介はどう思う?今日の事」
「正直、俺にもさっぱりわからん。ただ…」
「…ただ?」
「例の『世界』…あれと何か関係があるのかもしれないがな」

確かにあの「世界」の出来事は、僕たちに降りかかった一番の非現実的な出来事だ。
でも、そこで何があったか…それが思い出せない。
もし何か思い出せれば鍵になるかもしれないんだけど…。
そんなこんなで夕食を終える。
とりあえず部屋に戻ろう…。


BGM:MY BRAVE SMILE


「うっす」
「あ、恭介」

いつも通り鈴を連れて部屋にやってくる恭介。

「…」
「どうした?鈴。俺の顔になんか付いてんのか?」
「なんでこんなのが二人になったんだ…」
「おい、今こっそり俺の事こんなの呼ばわりしただろ」
「まぁまぁ、そうカリカリするなよ」
「で、今日は何しに来たの?」
「ん?あぁ」



「何も考えてない」
「えー」
「謙吾の奴が来るまで、デュエルでもして時間つぶそうぜ」
「最近そればっかだな…」
「いいじゃねぇか。そうだ、理樹と真人でやったらどうだ?ちょうど順位も隣り合ってるしな」
「そういえばそうだね。今日一戦もしてないし、丁度いいかも」
「なんか俺ばっかハードスケルージュじゃねーか」
「…それを言うなら、ハードスケジュールじゃないのか?」

丁度謙吾がやってきた。

「ん?あぁ、そうだっけか。とりあえずやるならとっとと始めようぜ」
「「デュエル!!」」

BGM:勇壮なる戦い

直枝理樹(12位)VS井ノ原真人(11位)

Turn1:真人
手札5

「俺の先攻、ドロー!ゴブリンドバーグを召喚!」

ATK1400 DEF0 ☆4

「ゴブリンドバーグの効果発動!こいつを守備表示にして、復讐の女戦士ローズを特殊召喚!」

ATK1600 DEF600 ☆4 チューナー

「レベル4のゴブリンドバーグにレベル4のローズをチューニング!屈強なる白亜の剛腕、大地を砕き勝利をもたらせ!唸れ筋肉!シンクロ召喚!ギガンテック・ファイター!」

ATK2800→3000 DEF1000 ☆8 シンクロ

「さらに永続魔法、一族の結束を発動!俺の場の戦士族の攻撃力は800ポイントアップするぜ!」

ギガンテック・ファイター ATK3000→3800

「俺はこれでターンエンドだ」

手札3

Turn2:理樹
手札5

「僕のターン、ドロー!魔法カード調律を発動!デッキからクイック・シンクロンを手札に加えて、デッキの一番上のカードを墓地に」

墓地→グローアップ・バルブ

「手札のダンディライオンを捨てて、クイック・シンクロンを特殊召喚!」

ATK700 DEF1500 ☆5 チューナー

「ダンディライオンの効果で、綿毛トークン2体を特殊召喚!」

ATK0 DEF0 ☆1 トークン

「さらにレベル・スティーラーを召喚!」

ATK600 DEF0 ☆1

「レベル1の綿毛トークン2体とレベル1のレベル・スティーラーに、レベル5のジャンク・シンクロンをチューニング!シンクロ召喚!ジャンク・デストロイヤー!」

ATK2600 DEF2500 ☆8 シンクロ

「ジャンク・デストロイヤーの効果発動!素材となったチューナー以外のモンスターの数まで、フィールド上のカードを破壊する!ギガンテック・ファイターと一族の結束を破壊!」
「うおっ!?」

効果破壊→ギガンテック・ファイター、一族の結束

「さらにレベル・スティーラーの効果発動!ジャンク・デストロイヤーのレベルを1下げて、墓地から特殊召喚!」

ジャンク・デストロイヤー ☆8→7

「さらに墓地からモンスターが特殊召喚されたことにより、ドッペル・ウォリアーを手札から特殊召喚!」

ATK800 DEF800 ☆2

「墓地のグローアップ・バルブの効果発動!デッキの一番上のカードを墓地に送って、墓地から特殊召喚!」

ATK0 DEF0 ☆1 チューナー
墓地→ボルト・ヘッジホッグ

「ボルト・ヘッジホッグは自分フィールド上にチューナーが存在する時、墓地から特殊召喚できる!」

ATK800 DEF800 ☆2

「レベル2のボルト・ヘッジホッグとレベル2のドッペル・ウォリアー、そしてレベル1のレベル・スティーラーにグローアップ・バルブをチューニング!シンクロ召喚!氷結界の龍 ブリューナク!」

ATK2300 DEF1400 ☆6 シンクロ

「さらにドッペル・ウォリアーの効果で、ドッペル・トークン2体を特殊召喚!」

ATK400 DEF400 ☆1 トークン

「そして手札から魔法カード、死者蘇生を発動!墓地のクイック・シンクロンを特殊召喚!レベル1のドッペル・トークン2体にレベル5のクイック・シンクロンをチューニング!シンクロ召喚!ジャンク・バーサーカー!」

ATK2700 DEF1800 ☆7 シンクロ

「バトル!ジャンク・デストロイヤーでダイレクトアタック!」
「うおぉっ!?」

真人 LP4000→1400

「ジャンク・バーサーカーでダイレクトアタック!」
「ぐおぉぉぉぉぉ…」

真人 LP1400→0

「勝者、理樹!」

「うーん、意味のない二つの単語を組み合わせてみよう」
「なんじゃそりゃぁぁぁぁ!?」

真人は「過激な牛丼」の称号を手に入れた。

ランキング変動
↑11位 直枝理樹「バトルランキング王者」
↓12位 井ノ原真人「過激な牛丼」

BGM:MY BRAVE SMIRE

「うおぉぉぉぉぉ!!俺最下位かよぉぉぉぉ!!」
「仕方あるまい。それがお前の実力だ」
「くっそぉ、こっからのし上がってやる…!」
「ささみにも勝てないのにか?」
「言うな…鈴…」

こうして夜は更けていく。

続く



[22069] 第22話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:a88f9fcd
Date: 2012/01/21 05:40
11月9日 金曜日

BGM:目覚めた朝に

目が覚める。
雨は止んだが曇り空だ。
少し肌寒い。
とりあえず真人を起こして食堂へ向かおう。

「おはよう」
「うっす」
「おはよう」
「おはよう。今日は少し遅かったんじゃないか?」
「真人がなかなか起きてくれなくてね…」
「勘弁してくれ…昨日ので疲れてんだ…」

むしろ、最下位に落ちたのが思いのほかショックだったようだ。

「で、今日は何かするの?」
「そのことなんだが…少し気になることがあってな。理樹、少し頼みたい事があるんだが」
「どうしたの?恭介」
「…」
「恭介?」
「理樹、お前にミッションを言い渡す。昼休み、部室に二木を連れてくるんだ」
「え?」
「理由はその時になればわかる」
「えー」

BGM:MY BRAVE SMILE

…と、いうことで休み時間に二木さんを探す羽目になってしまった。
でもどうして二木さんなんだろう。

キーンコーンカーンコーン…

「よし、今日はここまでだ。月曜日の小テスト、ちゃんと勉強してこいよー」

1時間目の授業の終わりを告げるチャイムが響く。
とにかくまずは二木さんの足取りを掴まないと。

「お、理樹くん、めずらしいねこんなとこで」

教室の前で葉留佳さんに遭遇。

「あれ、二木さんは?」
「お姉ちゃんだったら、授業終わった後すぐに教室でて行っちゃったよ」
「そうなんだ…行先心当たりない?」
「さぁ、あたしにはわかんないなァ…ってか、理樹くんがお姉ちゃんに用事って珍しいね?」
「ちょっと恭介に頼まれたことがあってね…」
「ふぅーん」

と、葉留佳さんの表情が少し変化する。

「よーし、それならあたしが手伝ってあげるのですヨ。なんか面白そうだし」
「そう?助かるよ、葉留佳さん。っと、そろそろ時間だね。じゃ、また」
「はいはーい、あでゅー」

2時間目が始まるので急いで教室に戻る。



3時間目が体育だということをすっかり忘れていた。
結局、チャンスは昼休みだけになってしまった。

「理樹、早くグラウンド行こうぜ。俺の筋肉が疼いて仕方ねぇんだよ」
「ところで、例の恭介の頼みは上手くいきそうなのか?」
「葉留佳さんが手伝ってくれるとは言ってくれたんだけど、体育あることすっかり忘れてたよ…」
「となると、昼休みになんとかして捕まえないといけないわけだな」
「そういうことになるね…」



「あ、リキ!よけてください!」
「え?」

スコン

「いててて…」
「大丈夫か、理樹!?」
「あわわわ、ごめんなさいなのです」

何かが遠くから飛んできて、後頭部に直撃する。
どうやらクドの投げたボールがすっぽ抜けてこちらに飛んできたらしかった。



昼休み。
とりあえず葉留佳さんのところに向かおう。

「あ、理樹くん。もー、さっき教室行ったら着替え中だったじゃないですかー」
「ごめんごめん」
「それはそうと、お姉ちゃんなら今教室にいるよ」
「あ、ありがと」
「でも、恭介さんも何の用事だろうね?」
「さぁ…」

相変わらず恭介の行動は読めない。
でも、無意味なことはしない…それが恭介だ。
今回も何か意図があるんだろう…。

BGM:Will&Wish

「二木さん」

教室の奥、窓際の席の彼女に声をかける。

「直枝?」
「ちょっと今いいかな?」
「珍しいわね。あなたがわざわざ私のところに来るなんて」
「用があるのは正確には僕じゃないんだけどね」
「どういうこと?」
「恭介がなんか用があるって」
「棗先輩が?」
「うん。今大丈夫?」
「私は別にかまわないけど…どこへ行けばいいのかしら?」
「とりあえず部室に来てって」
「…わかったわ」

二木さんが立ち上がる。
しなやかな長髪に、葉留佳さんと同じ髪飾りが揺れる。
そしてほのかにさわやかな香りがした。

「さて、それじゃ行きましょうか」

BGM:少女たちの午後4時半

「恭介、二木さん連れてきたよ」

部室に入る…が、恭介の姿が見当たらない。

「恭介?」

そして部室に入ると、何となく違和感を感じた。
いつもより少し薄暗い。
理由はすぐに分かった。
窓の前に段ボールが積まれている。
とりあえず電気を点けようとした…その時だった。

「いまだ、鈴!」
「えいっ!」
「うわっ!?」
「きゃっ!?」

物陰から鈴が懐中電灯で僕たちを照らす。

「な、何なのよ一体!?」
「…やっぱりか」
「…恭介?」

BGM:幻日

「二木、今懐中電灯で照らされている自分の影を見てくれ」
「影?影に一体何が…っ!?」
「きょ、恭介、これって!」
「あぁ…俺たちと同じだ」

鈴の電灯に照らされた二木さんの影は…僕たちと同じように消えていた。

「…二木さん?」
「あ…あ…」
「おい、大丈夫か二木!?」

二木さんが急におびえた様子でその場に座り込んでしまった。

「急にこんなもの見せられちゃ無理もないか…」
「違う…違うの…」
「…二木さん?」
「い、今…そこ、そこの影から…何かが見てた…私の顔の影があるはずのところから…」
「っ!?」
「…どういうことだ?」

たしかに、丁度二木さんの顔の影が来るべき場所の壁には5センチほどの小さな傷があった。
でも、その傷は表面だけのもので反対側には貫通していない。

「うー…」

その手の話が苦手な鈴も懐中電灯を持ったまま硬直していた。

「…どうやら、やるしかないようだな」
「恭介?」
「二木をデュエルランキングに参加させる」
「…え?」
「既に真人が奴らと戦っている…いつ奴らが襲ってくるかわからんからな。それに、今二木が見た"モノ"がそれなら…あまり時間は残されていない」
「でも、どうするの?」
「二木が落ち着いてからルールを叩きこませる。デッキは地盤の強いデッキをすでに用意してある。奴らの実力が測れない以上、どこまでやれるかはわからんがな…」
「…わかった」

BGM:いつか気付くかな

部室の外に出ると、葉留佳さんの姿があった。

「葉留佳…」
「…やっぱり、お姉ちゃんも"見た"んだね、あれ…」
「…もしかして、葉留佳さんも?」
「うん、さっき理樹くんの教室に行った時にね。廊下の影から何かがずっとこっち見てた」
「…あれに心当たりがあるのか?三枝」
「わかんない…でも、心当たりがないわけじゃない」
「…もしかして、当家の…?」
「…わかんない。でも、あの目は私を憎んでいるような、殺してやりたいっていうような…そんな目だった」
「…昼休みは残り20分…」
「二木さん?」

急に二木さんの声のトーンが変わった。

「棗先輩、方法はあるんですよね…?奴らと戦う方法は」
「あぁ」
「…お願いします。私にデュエルを教えてください!」

二木さんと恭介が部室に残り、僕たちは一旦教室に戻ることにした。
他のメンバーはどうやらデュエルランキングを進めていたようだった。

ランキング変動
→1位:来ヶ谷唯子「デュエルランキング暫定王者」
→2位:宮沢謙吾「痛快ヘッポコ侍が斬られる!」
↑9位:笹瀬川佐々美「唯我独尊の女王猫」
↓10位:神北小毬「夢見る綿羊」

BGM:MY BRAVE SMILE

放課後。

「うし、天気も良くなってきたことだし、練習行こうぜ。謙吾、今日もキャッチボール勝負だ!」
「いいだろう。今日は距離を前に2倍にしてみないか?」
「お、悪くねぇな。よし、行こうぜ、理樹」
「そうだね。行こう、鈴」
(チリン)

BGM:デーゲーム

1日ぶりの練習。
相変わらずどこを目指してるのかははっきりしないけど、恭介曰く「年明けくらいに何かしたい」そうだ。
…とりあえず、二木さんの事についてはまた会えば何かわかるだろう。

「んにゃっ!」
「それっ!」

事故以来ずっと不発になっていた鈴のライジングニャットボールのキレも戻ってきた。

「真人!そっち行ったよ!」
「よっしゃぁ!謙吾!」
「よしきた!」

真人が打球をキャッチし、謙吾に投げる。

「三枝!」
「あいよっ!」

そのまま葉留佳さんにボールが渡る。

「姉御っ!」
「うむ」

来ヶ谷さんが空中でボールをキャッチする。

「理樹君!」
「よし!」

そのまま体を1回転させボールを投げ返す。
そして戻ってきたボールを、タイミングを合わせて打ち返す。
しかし当たりが良すぎたのか、甲高い音と共にボールは天高く飛んでライト線のはるか頭上を越えていく。

「お、やってるな」

それをキャッチしたのは、二木さんを連れてグラウンドに入ってきた恭介だった。

「紹介…するほどでもないか」
「ちゃんと見たこと無かったけど、思ったより本格的にやってるのね」
「…さて。俺が連れてきておいてなんだが、一応入団テストを受けてもらう」
「…はぁ」
「問題!ダーウィンの進化論の決め手となったともされるガラパゴス諸島に生息する多数の亜種を持つ鳥の総称は!?」
「フィンチ…だったかしら?ダーウィンフィンチ」
「合格!」
「いつも思うんだが、それ途中から野球と全然関係ねぇよな」
「むしろちゃんと野球でテストしたのって、小毬さんとクドくらいだよね…」
「あほだな」

恭介の思惑はまだ計り知れないが、二木さんが新たに僕たちの仲間に加わった。

続く



[22069] 第23話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:a88f9fcd
Date: 2012/02/06 17:49
BGM:スローカーブ

練習を終えて、道具を片づける。

「それにしても、二木さんと葉留佳さんが見たのってなんだったんだろうね?恭介」
「さぁな。ま、そのうちわかるだろ」
「…たしかここだったよね」

二木さんが何かを見たという、部室の部屋の壁を調べてみる。
特に変わった点は見当たらない。

「どうだ?」
「特に何もないね。真人の時はカードの意思だったから、カードか何か挟まってるんじゃないかとも思ったんだけど…」

その時だった。

BGM:幻日

「恭介っ!」
「どうした、鈴!?」
「な、なんか変なのがグラウンドにっ!」
「変なの?よし、行くぞ理樹、鈴!」
「う、うん!」

急いでグランドに戻ってみると、ピッチャーマウンドのあたりに何かが蠢いていた。
それはゲームで見る影のモンスターみたいに、真っ黒でうねうねと常に形を変えていた。

「はわわわ、な、なんなのこれ??」
「き、気持ち悪いですわね…」
「…1発ぶち抜いてみようかしら。あたしの正面に入らないで!」

沙耶さんが懐からエアガンを取り出し、その影に弾を撃ち込む。

「…当たった…の?」

確かに弾は当たったはずだが、全く反応がない。

-カナタ…-
-ハルカ…-

突然、声が頭の中に響く。

「っ!?」
「誰!?誰なの!?」
「ちっ、謙吾!ぶちかますぞ!」
「応!」

すかさず真人が蹴りを、謙吾が竹刀を打ち込む。
…が、手応えなし。

「なんだこれ?グニャグニャとして全く手応えがねぇ!」
「こっちもだ。なんなんだこれは?」

-ナゼダ…-
-ナゼオマエハ…-

"ウラギッタ"
"イキテイル″

突然影が形を変え、二人の人間の姿を形どる。

「っ!?」
「あんたたちは…!」

二木さんが驚くそばで、葉留佳さんはこれまでに見たことも無いような眼でそれを睨んでいた。
まるで、それが親の敵かの如き憎しみの感情をこめた眼で。

「我は『フタキ』」
「我は『サイグサ』」
「さぁ、迎えに来たよ…佳奈多」
「…黙れ…」
「そして…なぜ生きている、葉留佳」
「…黙れ…」
「我ら二木の家を汚す、汚れた血の子よ」
「所詮出来損ないなのだ、お前は」
「黙れぇっ!」

二木さんが叫ぶ。

BGM:勇壮なる闘い

「あなた達に何がわかるって言うの!?私の、葉留佳の、母さんや父さん達の何がわかるって言うのよ!」
「お姉ちゃん…」
「…失望したよ佳奈多。どうやらお前は長く外に居すぎたようだ」
「おい恭介、これって…」
「あぁ、こないだのと同じだ」
「ということは…」
「二木!受け取れ!」

恭介が二木さんにデュエルディスクを投げ渡す。

「ほぉ…札遊びとは、我らはそんな俗世の物を教えた覚えはないが?」
「あんた達のいいなりになんかならないわよ!これは私の意思、私が棗先輩に頼んだのよ、教えてほしいって!」
「…よかろう。ならば我らも同じ土俵で勝負してやろう」
「…葉留佳、タッグデュエル、大丈夫?」
「タッグデュエルですか!?」
「おい、二木!それは無茶だよせ!」
「無茶なのはわかってる!でも、これは私一人の戦いじゃない。私と葉留佳、二人の戦いだから…ね、葉留佳」
「お姉ちゃん…うん!」
「茶番は済んだか?ならば始めるぞ…」
「ルールはタッグフォースルールで行う!ライフは4000×2の8000!フィールド、墓地は互いに共有だ!」

恭介がルールを宣言する。

「いいだろう…さぁ、来い!」
「行くわよ、葉留佳!」
「うん!」

「デュエルディスク、セット!D-ゲイザー、セット!デュエルターゲット、ロック・オン!デュエル!」

佳奈多&葉留佳VSフタキ&サイグサ

turn1:佳奈多
手札5

「私のターン、ドロー!魔法カード、光の援軍を発動!デッキからライトロード・ハンター ライコウを手札に加え、デッキのカードを上から3枚を墓地へ送る!」

墓地→ライトロード・パラディン ジェイン、カオス・ソーサラー、次元幽閉

「モンスターをセットして、ターンエンド!」

手札5

turn2:フタキ
手札5

「我のターン、ドロー。エクリプス・ワイバーンを召喚」

☆4 ATK1600 DEF1000

「バトル。エクリプス・ワイバーンでセットモンスターに攻撃」

セットモンスター→ライトロード・ハンター ライコウ
☆2 ATK200 DEF100

「ライトロード・ハンター ライコウの効果発動!フィールド上のカード1枚を破壊し、デッキの上から3枚を墓地に送る!エクリプス・ワイバーンを破壊!」

効果破壊→エクリプス・ワイバーン
墓地→ライトロード・ビースト ウォルフ、ソーラー・エクスチェンジ、ライトロード・エンジェル ケルビム

「ライトロード・ビースト ウォルフは、デッキから墓地に送られたときに特殊召喚される!」

☆4 ATK2100 DEF300

「エクリプス・ワイバーンのモンスター効果発動。このカードが墓地へ送られた時、デッキからレベル7以上の光または闇属性のドラゴン族モンスター1体をゲームから除外する。我は聖刻龍-セテクドラゴンを除外」

「なんだあのカード?」
「見たことないカードなのです…」

「カードを1枚伏せ、ターンエンド」
手札4
伏せ1

turn3:葉留佳
手札5

「私のターン、ドロー!フィールド魔法、魔法都市エンディミオンを発動!そして手札から、召喚僧サモンプリーストを召喚!」

☆4 ATK800 DEF1600

「サモンプリーストの効果!手札の魔法カードを1枚捨てて、デッキからレベル4モンスターを特殊召喚する!マジカル・コンダクターを特殊召喚!」

コスト→地砕き
☆4 ATK1700 DEF1200

「そして手札から魔法カード、魔力掌握を発動!エンディミオンに魔力カウンターを一つ乗せて、デッキから魔力掌握を手札に!そして魔法カードが発動されたことで、エンディミオンとマジカル・コンダクターに魔力カウンターが乗る!」

魔法都市エンディミオン 魔力カウンター0→2
マジカル・コンダクター 魔力カウンター0→2

「バトルフェイズ開始前に罠カード、威嚇する咆哮を発動。このターン相手は攻撃できない」
「カードを1枚伏せて、ターンエンド!」

手札2
伏せ1

turn4:サイグサ
手札5

「我のターン、ドロー。バイス・ドラゴンを守備表示で特殊召喚。このカードは自身の効果で特殊召喚された時、攻守は半分となる」

☆5 ATK2000→1000 DEF2400→1200

「バイス・ドラゴンをリリースし、ダークフレア・ドラゴンをアドバンス召喚」

☆5 ATK2400 DEF1200

「ダークフレア・ドラゴンのモンスター効果発動。手札とデッキからドラゴン族モンスターを1体ずつ墓地へ送る。我は手札のアックス・ドラゴニュートとデッキのレッドアイズ・ダークネスメタルドラゴンを墓地へ送る。そして手札からダーク・アームド・ドラゴンを特殊召喚」
「しまった、墓地闇3体か!」

☆8 ATK2800 DEF1000

「ダーク・アームド・ドラゴンのモンスター効果発動。墓地のバイス・ドラゴンを除外しサモンプリーストを破壊する」
「手札からエフェクト・ヴェーラーを墓地に送って効果を無効化!」

葉留佳 手札2→1

「バトル。ダーク・アームド・ドラゴンでマジカル・コンダクターに攻撃」
「っ…!」

佳奈多&葉留佳 LP8000→7100

「ダークフレア・ドラゴンでサモンプリーストに攻撃」

戦闘破壊→召喚僧サモンプリースト

「カードを1枚伏せターンエンド」

手札1
伏せ1

turn5:佳奈多
手札5
伏せ1

「私のターン、ドロー!手札のライトロード・モンク エイリンを捨てて、魔法カード、ソーラー・エクスチェンジを発動!デッキからカードを2枚ドローして、デッキの上から2枚を墓地に送る!」

墓地→グローアップ・バルブ、死者蘇生
魔法都市エンディミオン 魔力カウンター2→3
マジかル・コンダクター 魔力カウンター2→4

「手札からチューナーモンスター、ジャンク・シンクロンを召喚!」

☆3 ATK1300 DEF500 チューナー

「ジャンク・シンクロンの効果で、墓地のライコウを特殊召喚!さらにマジカル・コンダクターの魔力カウンターを4つ取り除いて、墓地のサモンプリーストを特殊召喚!」

マジカル・コンダクター 魔力カウンター4→0

「手札のライトロード・レイピアを捨てて、デッキからライトロード・マジシャン ライラを特殊召喚!」

☆4 ATK1700 DEF200

「ライラの効果発動!このカードを守備表示にすることで、フィールド上の魔法・罠カードを1枚選択し破壊する!セットカードを破壊!」

効果破壊→竜の転生

「レベル4のライラとレベル2のライコウに、レベル3のジャンク・シンクロンをチューニング!」

「さて真人少年、ここで問題だ。4+2+3=?」
「9だろ?…あ」

「シンクロ召喚!氷結界の龍 トリシューラ!」

☆9 ATK2700 DEF2000 シンクロ

「氷結界の龍 トリシューラのモンスター効果発動!場のダーク・アームド・ドラゴンと墓地のレッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン、そして手札を除外するわ!」

除外→ダーク・アームド・ドラゴン、レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン、トレード・イン

「バトル!トリシューラでダークフレア・ドラゴンに攻撃!」

フタキ&サイグサ LP8000→7900

「マジカル・コンダクターでダイレクトアタック!」

フタキ&サイグサ LP7900→6200

「さらにウォルフでダイレクトアタック!」

フタキ&サイグサ LP6200→4100

「やった!一気にライフを半分近く削った!」
「だが、あの片割れのカード…あれはなんだ?」

「カードを1枚伏せてターンエンド!」

手札3
伏せ2

turn6:フタキ
手札4

「我のターン、ドロー。聖刻龍-ドラゴンケイヴを召喚」

☆4 ATK1800 DEF400

「手札から魔法カード、モンスター・スロットを発動。選択するのは場の聖刻龍-ドラゴンケイヴと墓地のエクリプス・ワイバーン。エクリプス・ワイバーンを除外し、デッキからカードを1枚ドロー。ドローしたカードはレベル4のドラゴラド。よって手札から特殊召喚される」

☆4 ATK1300 DEF1900
魔法都市エンディミオン 魔力カウンター3→4
マジカル・コンダクター 魔力カウンター0→2

「エクリプス・ワイバーンが除外されたことにより、除外されていた聖刻龍-セテクドラゴンを手札に加える。そしてドラゴラドのモンスター効果発動。自分のドラゴン族モンスター1体をリリースし、モンスター1体のレベルを8にする。ドラゴラドのレベルを8に」

ドラゴラド ☆4→8

「聖刻龍-ドラゴンケイヴの効果発動。このカードがリリースされた時、デッキ、手札、墓地から聖刻と名のついた通常モンスター1体を特殊召喚する。神龍の聖刻印を特殊召喚」

☆8 ATK0 DEF0

「は?レベル8攻守0の通常モンスター?」
「…一体何が狙いだ?」

「レベル8のドラゴラドと神龍の聖刻印をオーバーレイ。2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築。聖刻神龍-エネアードをエクシーズ召喚」

ランク8 ATK3000 DEF2400 ORU2 エクシーズ

「手札から魔法カード、トレード・インを発動。
聖刻龍-セテクドラゴンを捨て、デッキからカードを2枚ドロー」

魔法都市エンディミオン 魔力カウンター4→5
マジカル・コンダクター 魔力カウンター2→4

「聖刻神龍-エネアードの効果発動。このカードのオーバーレイユニットを1つ使い、手札と自分フィールド上から任意の枚数自分のモンスターをリリースする。そしてその数だけ、フィールド上のカードを破壊する。神龍の聖刻印をコストに手札の聖刻龍-ネフテドラゴンと聖刻龍-シユウドラゴンをリリースし、氷結界の龍 トリシューラと召喚僧サモンプリーストを破壊」
「っ!」

効果破壊→氷結界の龍 トリシューラ、召喚僧サモンプリースト

「聖刻龍-シユウドラゴンと聖刻龍-ネフテドラゴンがリリースされたことにより、手札、デッキ、墓地のいずれかからドラゴン族の通常モンスター1体を攻守を0にして特殊召喚する。エメラルド・ドラゴン2体を特殊召喚」

☆6 ATK2400→0 DEF1400→0

「レベル6のエメラルド・ドラゴン2体をオーバーレイ。2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築。聖刻龍王-アトゥムスをエクシーズ召喚」

ランク6 ATK2400 DEF2100 ORU2 エクシーズ

「バトル。聖刻神龍-エネアードでマジカル・コンダクターを攻撃」
「つぅっ…!」

佳奈多&葉留佳 LP7100→5800

「マジカル・コンダクターが破壊されたことによって、マジカル・コンダクターに乗っていた魔力カウンター2つが魔法都市エンディミオンに乗せられる!」

魔法都市エンディミオン 魔力カウンター5→9

「聖刻龍王-アトゥムスでライトロード・ビースト ウォルフを攻撃」
「くぅっ…!」

佳奈多&葉留佳 LP5800→5500

「カードを1枚伏せターンエンド」

手札0
伏せ1

turn7:葉留佳
手札1
伏せ2

「私のターン、ドロー!魔法都市エンディミオンの魔力カウンターを6つ取り除いて、手札の神聖魔導王エンディミオンを特殊召喚!」

☆7 ATK2700 DEF1700
魔法都市エンディミオン 魔力カウンター9→3

「神聖魔導王エンディミオンの効果で、墓地の死者蘇生を手札に!そして死者蘇生を発動!ライトロード・マジシャン ライラを特殊召喚!」

魔法都市エンディミオン 魔力カウンター3→4

「さらに魔力掌握を発動!エンディミオンに魔力カウンターを置く!」

魔法都市エンディミオン 魔力カウンター4→6

「そして神聖魔導王エンディミオンの効果!手札の魔法カードを1枚捨てて、場のカードを1枚破壊する!聖刻神龍-エネアードを破壊!」

墓地→魔力掌握
効果破壊→聖刻神龍-エネアード

「バトル!神聖魔導王エンディミオンで、聖刻龍王-アトゥムスを攻撃!」

フタキ&サイグサ LP4100→3800

「ライラでダイレクトアタック!」

フタキ&サイグサ LP3800→2100

「デッキの上から2枚を墓地に送って、ターンエンド!」

墓地→ナイトエンド・ソーサラー、スキル・サクセサー
手札0
伏せ2

turn8:サイグサ
手札0
伏せ1

「我のターン、ドロー。墓地のドラゴラドと聖刻龍-セテクドラゴンをゲームから除外し-」

「ふむ、あのデッキの構成からするとライト・パルサー・ドラゴンあたりか?」
「あれー、でもさっきのダークフレア・ドラゴンも同じ効果持ってなかった?」

「混沌帝龍-終焉の使者-を特殊召喚」

☆8 ATK3000 DEF2500

「何!?」
「おいおいおいおい!?」
「っくそ、何でもありと来たか…!」
「え、ちょっと、なにこれ!?」
「棗先輩!知ってるんですか!?」
「気をつけろ!そいつは最強の禁止カードとも呼ばれる究極のドラゴン…一撃で決めに来るつもりだ!」

「リバースカードオープン、強欲な瓶。デッキからカードを1枚ドロー。魔法カード、原初の種を発動」

「ピンポイントで引いてきたか…!」

「ゲームから除外されている聖刻龍-セテクドラゴンとトレード・インを手札に。トレード・インを発動。聖刻龍-セテクドラゴンを捨て2枚ドロー」

BGM:降り続く雨の中で

「佳奈多、我らの勝ちだ。だが最後に一度だけチャンスをやろう」
「なんですって…?」
「佳奈多、葉留佳を殺せ」
「っ!?」
「そして二木の家へ戻れ。そうすればお前だけは助けてやろう」
「家へ戻ればお前は二木の家の当主となる。男などいくらでも用意してやる。そして跡取りとなる子を産むのだ」
「だがその前に今この場で葉留佳を殺し三枝晶の汚れた血を二木の家から消すのだ」
「あ…あ…」

葉留佳さんが憔悴し切った表情で座り込む。
その二人…「フタキ」と「サイグサ」はまるで氷のように冷めた、だが明確な殺意をこめた眼で葉留佳さんを睨み続ける。

「ここで葉留佳を殺し家へ戻るか」
「それともこの場で二人とも死ぬか」
「賢いお前ならどちらを選ぶべきかわかるな?」
「…ふざけんじゃないわよ」
「…何?」
「誰があなた達のいいなりになどなるものですか…葉留佳は…葉留佳は私のたった一人の妹!葉留佳を失ったら、私に生きている意味なんてないのよ!」
「お姉ちゃん…」
「しっかりしなさい、葉留佳!…わかってるわね、ここが勝負よ!」
「…愚かな。ならば二人揃って消え失せるがよい。バトル。混沌帝龍でライトロード・マジシャン ライラに攻撃」
「うぁっ!」

佳奈多&葉留佳 LP5500→3700

「メインフェイズ2、ライフを1000払い混沌帝龍の効果発動」

フタキ&サイグサ LP2800→1800

「来るぞ、二木!三枝!」
「「混沌帝龍はライフを1000払うことで互いの場と手札のカードを全て墓地に送り、1枚に付き300ポイントのダメージを与える。よって3000ポイントのダメージを受けてもらう」」

混沌帝龍が全身から禍々しい気を纏った炎を放ち、フィールドのすべてを焼き尽くす。

「きゃぁぁぁぁぁっ!」

佳奈多&葉留佳 LP3700→700

「っ、熱っ、熱いっ!」
「二木さん!」
「お姉ちゃん!」

炎が二木さんの右腕を襲う。

「う、うあぁぁぁぁぁぁぁ!!」

悲痛な叫びを上げ崩れ落ちる二木さん。

「てめぇっ!二木に何をした!」
「何、少し彼女のトラウマを刺激してやっただけだ。それに、その腕は当分動かない」
「ひどい…」
「り、理樹!か、かなたは、大丈夫なのか…?どうなっちゃうんだ!?」
「鈴…」
「手札から墓地へ送られた伝説の白石の効果で、青眼の白龍を手札に加える。我はこれでターンエンドだ」

手札1

turn9:佳奈多
手札0

「さぁ、カードを引くがよい。もっとも、その腕が動けばの話だがな」
「カードを引けないのであれば放棄とみなす」
「てめぇっ!きたねぇぞ!」
「…っ!」
「二木さん!」
「くそっ、酷い火傷だ…小毬!来ヶ谷!バケツに水を汲んできてくれ!」
「りょ、りょうかいっ!」
「承知した」
「謙吾と真人は上着か何かで即席の担架を用意、もしものときに備えてくれ!」
「おう!」
「任せろ」
「…っ!」
「葉留佳さん!?」

葉留佳さんが二木さんの肩を抱えて立ち上がる。

BGM:Will&Wish

「…何のつもりだ?」
「あたしがお姉ちゃんのデッキからカードをドローする」
「葉留佳…あなた…」
「お姉ちゃん、言ったよね。葉留佳は私のたった一人の妹だって。私も同じ。お姉ちゃんは…二木佳奈多は…私の、世界でたった一人のお姉ちゃんだから!」
「葉留佳…!いくわよ、葉留佳!これが、ラストターン!」
「うん!この1回で、全てが決まる!ドローッ!!」

BGM:Aliccmagic

「墓地のライトロード・エンジェル ケルビムと!」
「神聖魔導王エンディミオンをゲームから除外し!」
「カオス・ソルジャー-開闢の使者-を特殊召喚!」
「な、何だと!?」
「まさか、この局面で引き当てたというのか!?」

☆8 ATK3000 DEF2500

「ぐ、墓地のドラゴン・アイスの効果発動!相手がモンスターの特殊召喚に成功した時、手札を1枚捨てることで墓地から特殊召喚する!」

☆5 ATK1800 DEF2200 守備表示
墓地→青眼の白龍

「バトル!カオス・ソルジャー-開闢の使者-で、ドラゴン・アイスを攻撃!」
「ぐぅっ…!だが、守備表示のモンスターを破壊したところで…」
「カオス・ソルジャー-開闢の使者-のモンスター効果発動!」
「相手モンスターを戦闘で破壊し墓地へ送った時、もう1度だけ続けて攻撃を行うことができる!」
「ば、馬鹿な!?」
「この一撃で、過去の因縁を断ち切る!いくわよ葉留佳!」
「うん、お姉ちゃん!カオス・ソルジャー-開闢の使者-でダイレクトアタック!時空!」
「突刃!」
「「開闢双破斬!!」」
「ぐおぉぉぉぉぉ!!」
「馬鹿な、我らが敗れるというのか!?こんな、こんな小娘どもにぃぃぃ!!」

フタキ&サイグサ LP1800→0

BGM:Little Melody

「…終わったね」
「…うん、終わらせた」
「葉留佳さん!二木さん!」
「理樹君…」
「直江…」
「大丈夫!?」
「ま、なんとかなりましたヨ、ははは」
「…ケリ、付けられたみたいだな」
「…はい」
「っ!はるかとかなたの影が!」

鈴が二人の足元を指さす。
二人の足元には、いつの間にか夕日で伸びた影が戻っていた。

「おーい!恭介さーん!」

水を汲みに行っていた二人も戻ってきた。

「どうやら、一番いいところを見逃したらしいな。残念だ」
「まったくだぜ。ったく、ちったぁ見直したぜ、三枝」
「あはは~」
「っ」
「二木、大丈夫か?」

よろけた二木さんを謙吾が支える。

「…ごめん、宮沢…」
「何、幽霊部員とはいえ、同じ剣道部だからな」
「…素直じゃないわね、相変わらず」
「とりあえず、左腕の応急処置だけ済ませてしまおう」
「それなら私におまかせなのです!」
「お願い、クドリャフカ」

二木さんの腕は見た目の割に軽症だったらしく、夜には動かせるようになっていたそうだ。
そして、あの影の正体…。
今朝、二木と三枝の家を仕切っていた二人の老人が自殺したそうだ。
残された遺書には、葉留佳さんと二木さんへの恨みの言葉が延々とつづられていたという。
葉留佳さん達の家は色々と複雑な事情を抱えていたらしい。
知らないはずなのに、知っている気がする、二人の間。
でもこの出来事が、葉留佳さんと二木さんの絆をより確かなものにしたことは疑いようがなかった。

続く



[22069] 第24話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:a88f9fcd
Date: 2012/02/20 01:14
BGM:MY BRAVE SMILE

夕食を終えて部屋に戻る。

「ふあぁ~…」

なんだか今日はずいぶんと疲れた気がする。
襲ってくる眠気に逆らうことなく、僕はベッドに横たわり眠りに着いた。


BGM:生まれ落ちる世界

白い。
見渡す限り真っ白な空間。
ここは…どこだろう。
眼を凝らすと、そこは徐々に見覚えのある景色へと形を変えていく。
校舎。
グラウンド。
寮。
日常の景色。

解放しろ…。

「!?」

突然、声が響く。

その闇…解放しろ…!


11月10日 土曜日

BGM:目覚めた朝に

ガバッ
布団を撥ね退けるようにして起きる。
…今のは、ただの夢なんだろうか?

「おう理樹、起きたか」
「おはよう真人。今日は早いね」
「ちょっとクド公のランニングに付き合っててな。とりあえず腹減ったし、飯食いに行こうぜ」
「それもそうだね」

「うっす」
「おはよう」
「おはよう」
「おはようございますなのです」

いつもの顔触れに交じって、クドの姿が。

「おはよう、みんな」

挨拶を交わすと、朝食のサンドイッチとコーヒーを持って席に着く。

「あれ、珍しいなコーヒーなんて」
「うん、なんかきょう寝起きが悪くて…」
「悪い夢でも見たのか?」
「多分、そんな感じ」
「夢…ですか。それってどんな夢だったのですか?」
「よくは覚えてないけど…何かを言われたような気がするんだ」
「何か?」
「うん。そこだけぼやけててはっきりと思い出せないんだけどね…」
「そうなのですか…」

兎にも角にも、あの夢は何か根源的な恐怖を感じるものがあった。
ナルコレプシーを克服してから、時折夢を見るようになった。
悪夢を見ることもなかったわけじゃない。
でも、今回の夢は今までのものとは何かが違っていたような気がする。

校舎へ向かう渡り廊下。

「そういえば恭介、今日は昼から何かやんのか?」
「いや、今日は特にこれといって考えてはいないな。いつも通り練習でもしようぜ」
「まぁ、毎日特別な事をする必要もないしな。それがいいだろう」
「そういえばきょーすけ」
「ん?なんだ、鈴」
「最近レノンがいないんだが、知らないか?」
「別に猫が全員そろわないのはいつものことだろう?」
「どこか、お気に入りの場所でも見つけたんじゃないか?」
「…そうだな。あいつがいいならそれでいい」


BGM:騒がし乙女の憂愁

「やーやー、おはようガイズ」
「おはよう、葉留佳さん」
「昨日は大変だったな。二木の腕の具合はどうなんだ?」
「あー、それなら大丈夫だよ。見た目ほど大したこと無くって、もう普通に動かす分には問題ないみたい」
「そっか、良かった…」
「でもびっくりだよ。お姉ちゃん昨日の一件でデュエルにハマっちゃったみたいでさ。昨日ずっと夜遅くまで相手させられてて寝不足なんだよねー」
「おいおいマジかよ!?」
「あの二木がか!?」
「っとー、そろそろ時間だから教室戻るね。じゃねー」

なんだか、徐々に僕たちの中で二木さんのイメージが変化していっているのがわかる。


BGM:密やかなさざめき

休み時間。

「直枝、ちょっといいか」
「なんですか?」
「すまない、さっき回収した課題プリント運ぶの手伝ってくれないか?」
「あ、はい。わかりました」

化学の佐々木先生の手伝いで職員室に。

「悪いな、手伝わせて」
「いえいえ。では失礼します」

さて そろそろ時間だし教室に…。

「直枝さん」
「あれ、西園さんどうしたの?こんなところで」
「…いえ、なんでもありません。教室に戻りましょう」



放課後。
久々に屋上にでも行ってみようか。

屋上へ続く階段は相変わらず薄暗く、隅にはクモの巣が張っていた。
そして奥の窓はネジが一つ外されて開いていた。
どうやら小毬さんが先に来ているようだ。

BGM:魔法のアンサンブル

「あ、理樹君」

予想通り、先に小毬さんが来ていた。

「隣いいかな?」
「どうぞどうぞ~」

貯水タンクの下、いつものポジションに座る。

「理樹君はお弁当ですか?」
「お弁当…って程のものでもないけどね」

今日の昼食は月曜日にクドのところで作った佃煮の残りと、食堂で買ったおにぎりだ。

「小毬さんはお弁当?」
「そうだよ~」

そう言う小毬さんは、カラフルなお弁当を持ってきていた。
いかにも女の子らしい盛り付けだった。

「理樹君も一口どうですか?」
「ん、それじゃもらおうかな」

卵焼きを一切れ口に放り込む。
そして、何となく感じる違和感。

「関西風?」
「そのとおりなのですよ~」

この辺りで卵焼きといえば、甘めのいわゆる「関東風」が主流だ。
関西風の卵焼きは殆ど食べたことがないから新鮮だ。

「そういえば小毬さん」
「ん?なぁに?」
「小毬さんはどう思う?その…例の」
「んー、あんまりよくわかんないかな。真人君やはるちゃん、かなちゃんはもう戦ってるけど…私のところにも来るのかなぁ?」
「どうだろう?…っていっても、二人ともまだ影は戻ってないけどね」
「まぁ、その時はその時だよ」
「それもそうだね」

今朝の夢がやっぱりどこかで引っかかっているのかもしれない。
今回の件とは無関係とはどうしても思えない…。
そんなことを考えていると、デュエルランキングのメールが。

BGM:勇壮なる闘い

1位:来ヶ谷唯湖 「デュエルランキング暫定王者」
2位:宮沢健吾 「痛快ヘッポコ侍が斬られる!」
3位:棗恭介 「↓こいつエロい人です」」
4位:能美クドリャフカ 「えきぞちっく(自称)なマスコット」
5位:朱鷺戸沙耶 「不発弾でした」
6位:西園美魚 「日傘を差した物静かな天然素材」
7位:三枝葉留佳 「お気楽 極楽 騒がし乙女」
8位:棗鈴 「なかなか人に懐かない気高き仔猫」
9位:笹瀬川佐々美 「唯我独尊の女王猫」
10位:神北小毬 「夢見る綿羊」
11位:直枝理樹 「バトルランキング王者」
12位:井ノ原真人 「過激な牛丼」
13位:二木佳奈多 「素っ気無し 愛想無し 配慮無しの女子寮長」

…驚いた、二木さんがランキングに参加している。
葉留佳さんの言っていたことは本当だったのか…。

「そうだ、小毬さん」
「ん?なぁに?」
「僕が11位で小毬さんが10位、そして今届いたバトルランキング開始宣言…と、言うことは?」
「と、いうことは…はっ」
「小毬さん、デュエルだ!」
「よぅしっ!受けてたとう!」
「「デュエル!」」

11位:直枝理樹「バトルランキング王者」VS10位:神北小毬「夢見る綿羊」

turn1:小毬
手札5

「私の先攻!どろぉー!フィールド魔法、セイバー・ヴォールトを発動ぉ!」

屋上の風景が姿を変えていく。

「ここが私たちの戦うフィールド、セイバー・ヴォールトだよー!そして手札から、XX-セイバー ボガーナイトを召喚!セイバー・ヴォールトの効果で、レベル×100ポイント攻撃力がアップして、同じ数値分守備力がダウンするよー」

☆4 ATK1900→2300 DEF1000→600

「さらにXX-セイバー ボガーナイトの効果発動ぉ!手札のレベル4以下のX-セイバー1体を特殊召喚するよー。XX-セイバー フラムナイトを特殊召喚!」

☆3 ATK1300→1600 DEF1000→700 チューナー

「カードを2枚伏せて、ターンエンドだよー」

手札1
伏せ2

turn2:理樹
手札5

小毬さんのデッキはX-セイバーか…となれば…。

「僕のターン、ドロー!手札のボルト・ヘッジホッグを墓地に送り、クイック・シンクロンを特殊召喚!」

☆5 ATK700 DEF1400 チューナー

「さらに墓地からボルト・ヘッジホッグを特殊召喚!」

☆2 ATK800 DEF800

「手札からチューニング・サポーターを召喚!」

☆1 ATK100 DEF300

「レベル1のチューニング・サポーターとレベル2のボルト・ヘッジホッグに、レベル5のクイック・シンクロンをチューニング!シンクロ召喚!ジャンク・デストロイヤー!」

☆8 ATK2600 DEF2500 シンクロ

「おーっと!ここでカウンター罠、セイバー・ホール発動!ジャンク・デストロイヤーのシンクロ召喚を無効にして破壊するよー」
「ええっ!?」

効果破壊(召喚無効)→ジャンク・デストロイヤー

「カードを1枚伏せて、ターンエンド」

手札2
伏せ1

tuen3:小毬
手札1
伏せ1

「私のターン、ドロォー!XX-セイバー・フォルトロールを特殊召喚!」

☆6 ATK2400→3000 DEF1800→1200

「レベル4のボガーナイトに、レベル3のフラムナイトをチューニング!シンクロ召喚ー!X-セイバー ソウザ!」

☆7 ATK2500→3200 DEF1600→900

「さらに罠カード、ガトムズの緊急指令発動ぉー!墓地のフラムナイトとボガーナイトを特殊召喚!そしてX-セイバー ソウザの効果発動ぉ!フラムナイトをリリースすることで、このターンソウザは罠カードの効果で破壊されないよー。XX-セイバー フォルトロールの効果で、フラムナイトを墓地から特殊召喚!さらにっ!手札からXX-セイバー ガルセムを召喚!このカードの攻撃力は、自分フィールド上のX-セイバーの数×200ポイントアップするよー」

☆4 ATK1400→2600 DEF400→0

「バトルっ!ソウザでダイレクトアタック!」
「罠発動、くず鉄のかかし!攻撃を無効にする!」
「それじゃあ、ガルセムでダイレクトアタック!」
「うわっ!」

理樹 LP4000→1400

「フォルトロールでダイレクトアタック!」
「うわぁぁぁぁっ!」

理樹 LP1400→0

勝者:小毬

「よーし、理樹君にはこんな称号を上げましょー」
「あわわわわ…」

理樹は「地球にやさしい」の称号を手に入れた。

ランキング変動
→10位:神北小毬 「夢見る綿羊」
→11位:直枝理樹 「地球にやさしい」

「負けちゃった…」
「どんまいなのですよ」

プルルルル…

中庭で佳奈多と真人が対戦!

佳奈多さんのデュエルか…少し見に行ってみよう。

「一瞬で片付けてやるわ」
「お前ってそんなキャラだったか?」
「「デュエル!!」」

12位:井ノ原真人「過激な牛丼」VS13位:二木佳奈多「素っ気無し 愛想無し 配慮無しの女子寮長」

turn1:真人
手札5

「俺のターン、ドロー!ゴブリンドバーグを召喚!」

☆4 ATK1400 DEF0

「ゴブリンドバーグの効果発動!こいつを守備表示にして、手札から復讐の女戦士 ローズを特殊召喚!」

☆4 ATK1600 DEF600 チューナー

「レベル4のゴブリンドバーグに、レベル4のローズをチューニング!屈強なる白亜の剛腕、大地を砕き勝利をもたらせ!轟け筋肉!シンクロ召喚!ギガンテック・ファイター!」

☆8 ATK2800→3000 DEF800

「カードを1枚伏せてターンエンドだ」

へっ、俺の伏せたカードは「聖なるバリア -ミラーフォース-」…。
次のターン一撃で…。

手札3
伏せ1

turn2:佳奈多
手札5

「私のターン、ドロー。手札のライトロード・ビースト ウォルフを捨てて、ソーラー・エクスチェンジを発動。デッキからカードを2枚ドローして、デッキの上から2枚を墓地に」

墓地→ライトロード・マジシャン ライラ、裁きの龍

「魔法カード死者転生を発動。手札のライトロード・ハンター ライコウを捨てて、裁きの龍を手札に戻すわ。魔法カード、おろかな埋葬を発動。デッキからライトロード・ドラゴン グラゴニスを墓地に。そして墓地にライトロードと名のつくモンスターが4種類以上存在する時、裁きの龍は手札から特殊召喚できる」
「はぁ!?」

☆8 ATK3000 DEF2800

「裁きの龍のモンスター効果発動。ライフを1000払うことで、このカード以外のフィールド上に存在するカードを全て破壊する!」
「はぁぁぁぁぁ!?」

佳奈多 LP4000→3000
効果破壊→ギガンテック・ファイター、聖なるバリア-ミラーフォース-

「ライトロード・サモナー ルミナスを召喚」

☆3 ATK1000 DEF1000

「ルミナスの効果発動。手札を1枚捨て、墓地のライトロード・ビースト ウォルフを特殊召喚」

☆4 ATK2100 DEF300
墓地→ネクロ・ガードナー

「バトル!裁きの龍でダイレクトアタック!」
「うおぉっ!?」

真人 LP4000→1000

「ウォルフでダイレクトアタック!」
「ぐおぉぉぉぉぉぉっ!!」

真人 LP1000→0

勝者:佳奈多

「あなたにはこんな名前がお似合いね」
「うおぉぉぉぉ!嫌じゃぁぁぁぁ!!」

真人は「デクの棒」の称号を手に入れた。

ランキング変動
↑12位:二木佳奈多 「素っ気無し 愛想無し 配慮無しの女子寮長」
↓13位:井ノ原真人 「デクの棒」

「結局俺最下位かよぉぉぉぉ!!」
「…どんまい、真人」

他対戦結果
8位:鈴VS6位:美魚
勝者:鈴

ランキング変動
↑6位:棗鈴 「なかなか人に懐かない気高き子猫」
↓8位:西園美魚 「このミステリーを読め!2012選考員」

…さて、そろそろいい時間だし練習に向かおう。

続く



[22069] 第25話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:a88f9fcd
Date: 2012/01/31 05:16
BGM:えきぞちっく・といぼっくす

「ふぅー、いい汗かいたな」

練習を終える。
土曜日の授業は午前だけなので、めいいっぱい練習できた。

「あの、みなさんっ!」
「ん?どうした、能美?」
「この後、家庭科部室でお茶でもしませんか?」
「偶然いい茶葉が手に入ったのでな。私とクドリャフカ君だけで飲むのももったいないだろうと思ってな」
「それじゃ、僕も行こうかな。みんなはどうするの?」

女子はクドと来ヶ谷さんの他に鈴、小毬さん、西園さん、葉留佳さん、そして二木さんが参加することに。

「すまない、俺はこの後剣道部の後輩の練習を見てやらないといけないんでな」
「わりぃが俺もパスだ。いきてぇのはやまやまなんだが、さっき体育の内藤に雑用押しつけられちまってよ…」
「わっり、俺もこれからちょっと野暮用で」

一方で男子は全滅。
結局、僕と女子メンバーで家庭科部室へ向かうことに。

BGM:少女達の午後4時半

家庭科部室に着く。
畳部屋の真ん中にちゃぶ台が置かれていて、奥には調理室がある。
それなりに人数はいるはずだけど、不思議と窮屈さは感じない。
意外と広いのかなこの部屋…。

「みなさん、お茶が入りましたよー」
「お、待ってましたー!」

クドと来ヶ谷さんがお茶の入った人数分の湯呑みをお盆に乗せて運んでくる。
吸い込まれそうな深い緑の緑茶だった。

「それじゃ、いただきます」

一口飲んでみると、口の中全体にお茶の葉の香りが広がる。
しつこすぎない、質素な味わい。
その中になんともいえない深い趣が感じられる。
お茶にはあまり詳しくは無いけれど、このお茶がおいしいということは確かにわかる。

「しかしこうして理樹君とこのメンバーで揃うと、あのお泊まり会を思い出すな」
「そういえばそんなこともありましたね」
「お姉ちゃんはいなかったけどね」
「えっ、お泊まり会?」
「当時の君に知られたら、どうなるかわからなかったからな。知らなくて当然だ」
「そーだ。あの頃のかなたくちゃくちゃこわかったからな」
「…その…粗相は、なかったわよね?」
「粗相、というと?」
「その…なんというか…だ、男女間の!」
「無論だ。私とて、超えてはならない一線くらいはわきまえている」
「そ、そう。ならいいわ。どうせ過ぎたことだし、私ももうそんな事を言う立場でもないしね」

僕のあの女装はその一線よりもずっと手前なんだろうな…。

「…」

鈴が少し俯いている。
よく見ると耳まで真っ赤だ。
…確かにその一線超えちゃってるもんな、僕たち…。
多分皆は知らないと思うし、そう思いたいけども。

「鈴ちゃんと一緒にお風呂も入ったよね~」
「!?」
「そ、そうだな。洗いっこしたな。ちょっと恥ずかしかったけど…」
「く、来ヶ谷さん!?」
「そう過敏に反応するな佳奈多君。理樹君にはきっちりと目隠しして監視をつけてあったからな」

あの時のなんとも言えない感じは今でも覚えている。
…視界が無いのをいいことに色々されそうで怖かったのもあるけども。

「そうだ、ここで少しゲームをしないか?」
「ゲーム、ですか?」
「うむ。みんなデッキを出してほしい。デッキをシャッフルして、カードを5枚引く。そしてそのレベルの合計を競うゲームだ。ちなみに魔法カードが出た場合はレベルを倍に、罠カードが出た場合は逆に半分にする。そして下位2名は上位1名の命令に従わなければならない…どうだ?」
「王様ゲームみたいなものだね」
「うむ。そういうことだ」
「おもしろそーだな」
「やってみましょー!なのですっ!」

皆デッキを取り出し、入念にシャッフルする。
そして始まってから思ったことが一つ。
…これ、凄く不利な気がする。

「よし、では互いに引いたカードの確認だ。まずは私から」

甲虫装機ホーネット(☆3)、甲虫装機ギガマンティス(☆6)、甲虫装機の宝珠(魔法)、ヴァリュアブル・フォーム(罠)、終末の騎士(☆4)

「レベル合計が13、魔法罠は互いに打ち消しあってそのままか」
「じゃ、次はあたしだ」

究極宝玉神 レインボー・ドラゴン(☆10)、宝玉獣 トパーズ・タイガー(☆4)、宝玉獣 ルビー・カーバンクル(☆2)、聖なるバリア-ミラーフォース-(罠)、宝玉獣 アンバー・マンモス(☆4)

「レベルが全部で20、でも罠があるから半分で10か…」
「では次は私なのです!」

真六武衆-キザン(☆4)、真六武衆-カゲキ(☆3)、六武衆の影武者(☆2)、六武の門(魔法)、真六武衆-ミズホ(☆3)

「門カゲキ影武者シエンキザンミズホシナイ師範、の流れまでは見えたね…」
「レベル合計が12、魔法カード1枚で24なのですっ!」
「じゃ、次は私のターンっ!」

神聖魔導王 エンディミオン(☆7)、ブリザード・プリンセス(☆8)、魔力掌握(魔法)、漆黒のパワーストーン(罠)、テラ・フォーミング(魔法)

「レベル合計15、魔法2罠1だから2倍で30!」
「それじゃ、次は私ね」

裁きの龍(☆8)、ライトロード・ハンター ライコウ(☆2)、ライトロード・マジシャン ライラ(☆4)、創世の預言者(☆4)、ゾンビキャリア(☆2)

「レベル合計は20、魔法・罠は無しね」
「よぅしっ、それじゃあ私の番だね~」

X-セイバー パシウル(☆2)、XX-セイバー フォルトロール(☆6)、X-セイバー エアベルン(☆3)、XX-セイバー ガルセム(☆4)、XX-セイバー ボガーナイト(☆4)

「レベルの合計は19だよ~」
「では次はわたしが」

イビリチュア・ジールギガス(☆10)、リチュアの儀水鏡(魔法)、シャドウ・リチュア(☆4)、サルベージ(魔法)、儀式の準備(魔法)

「レベル合計は14、魔法カードが3枚なので8倍の112です」
「ひえぇっ!?みおちんすごっ!」
「リチュアは魔法比率が高いですから」
「それじゃ、最後は僕だね」

エフェクト・ヴェーラー(☆1)、調律(魔法)、ボルト・ヘッジホッグ(☆2)、くず鉄のかかし(罠)、ジャンク・シンクロン(☆3)

「…合計が6で、魔法罠が1枚ずつで変化なし、と」

…なんとなくこの展開は読めていた。
僕のデッキは低レベルモンスターを中心に大量展開し、シンクロ召喚を狙うデッキだ。
実際のデュエルなら理想的な初手だけど…。

「ならば美魚君が理樹君と鈴君に命令する権利を得たわけだ」
「わかりました」
「うー…」
「それでは…席替えしましょうか。直枝さんを鈴さんの隣に」
「あれ、それだけ?」
「はい。あとは他の人に任せます」
「それでは、2回戦と行こうか。まずは私が」

ダーク・アームド・ドラゴン(☆8)、闇の誘惑(魔法)、おろかな埋葬(魔法)、死者蘇生(魔法)、明鏡止水の心(魔法)

「8×2の4乗で128だ」
「おぉー、さすが姉御!」



「モンスターがレベル1が1体だけ、魔法2枚罠2枚で1、だね…」
「おやおや理樹クン、調子が悪いんじゃありませんか?」

だめだ、完全にはめられている。

「私が佳奈多君と理樹君に命令するわけだな。よし、それでは…まずは上着を1枚脱いでいただこうか」
「い、いいけど…」

…この流れはまずい。
不意にそんな考えがよぎる。

「次は美魚君と小毬君の上着だ」
「わかりました」
「私はセーターでいいのかな?」

「来ヶ谷さんと三枝さんの上着を」
「ふむ、仕方あるまい」
「おっけーおっけー」

何順かして、とりあえず全員上着を1枚脱いだ形に。
そして予想通り、事は徐々にエスカレートしていくことに。

「さぁクドリャフカ君、理樹君、何か1枚脱ぐがいい!」
「ええっ!?」
「マントをぱーじするです!」

「さぁ今度のターゲットは美魚ちんとお姉ちゃんだよ!」
「ではまずは靴下から」
「そ、そうね…」

「さぁ観念しなさい葉留佳!靴下はもうないわよ!それからクドリャフカも!」
「うぅーっ、こーなったら、はるちんお下げバースト!説明しよう!はるちんお下げバーストとは、トレードマークのお下げを犠牲にする代わりにダメージを無効にする究極の防御技なのであるっ!」
「考えたわね…」
「私はまだ靴下が残ってるですっ!」

女子同士でどんどんヒートアップして、男子の僕がいるにも関わらず野球拳状態に。
そうなると、やはり「それ」を強いられる人が順に出てくるわけで…。

「よし、次はかなたとはるかだな!」
「はるちんお下げバースト2段目!」
「私は…っ!」

葉留佳さんと二木さんのヒット回数は同じ。
でも、髪飾りの付け方の差で二木さんの逃げ道が無くなってしまった。

(どうしよう…上は暖かいインナー着てるから脱いでも即下着にはならないけど…腕の傷が…仕方ない…か)

二木さんがスカートのジッパーに手をかけて下ろしていく。
座っている位置的に僕からは見えないけども、彼女の後ろに確かにスカートは脱ぎ棄てられた。
すると、何かが二木さんの中で切れたようだった。

「さぁ、もう怖いものは無いわ!バンバン行くわよ!」

二木さんって…こんなキャラだったっけ?
結果として、僕はその後1位になることも下位になることも無く、女子の脱がせ合いがヒートアップしている様をただただ傍観していただけだった。
…最終的に上着と靴下を片方脱いだだけの僕に対し、女子は二木さんを除いたほぼ全員が下着姿になっていた。
正直、目のやり場に困る。
あまり見るのも悪いから、ずっと僕は黙々とカードを切り続けていた…。

続く



[22069] 第26話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:a88f9fcd
Date: 2012/02/20 02:58
BGM:少女達の午後4時半

…さすがにこのまま置いておくわけにもいかないのだが、どうやら向こうは続ける気満々らしい。
しかし、流石にこれ以上はまずいような気がする。
なんでみんなは僕がいるのに平気なんだろうか…。
…むしろ存在忘れられてそうで嫌だな…。
すると、入口の扉が開く音が。

「たしかこっちに置いたままだったのよね…」

何かを探しに来たのか、部長さんが。

「あらみんないらっしゃ…何やってるの?」

当然の反応だった。
結局部長さんはそのあと目的のものを取ると変な笑いを浮かべたまま去って行った。

「…とりあえずさ、みんな服着ようよ」

部長さんの登場でクールダウンしたのか、結局ゲームは中断することに。

「そういえば、そろそろ夕食の時間ですね」
「ふむ。確かにいい時間だな」
「でしたら、ここで食べていってはどうですか?ちょうど冷蔵庫に材料もありますし」
「たまには自炊というのも粋な物だな。理樹君、手伝ってくれないか?」
「いいけど、なんで僕?」
「部屋にガスコンロがあるということは、そう言う事なのだろう?」
「…あー」

あれ、カップ麺作るためのお湯沸かすのが主な用途なんだけどね…。
結局僕は有り合わせの野菜で野菜炒めを作ることに。

「できました!」
「おぉー」
「旬のカレイの煮付だ。クドリャフカ君のとっておきらしいからな」
「料理は旬を活かすことが大事なのです!」
「じゃ、早速いただきましょーか!」



「あー、美味しかったー」
「流石ね、クドリャフカ」
「褒めても何も出ないのですよー」
「そういえばクドリャフカ、例のっていつだったかしら?」
「多分、明日の今くらいですねー」
「例の?」
「お母さんのいる宇宙すてーしょんが、明日の夜日本上空を通過するのですよー」
「クーちゃん、それって目で見えるの?」
「はい!肉眼でも光の点ではっきり見えるのですよー」

食後に少し雑談をしていると、真人からメールが。

ヘルプミー

そう言えば、課題を手伝うのをすっかり忘れていた。
多分真人も謙吾あたりに指摘されて思い出したんだろうけど…。

「いい時間だしさ、そろそろお開きにしないかな」
「ふむ、確かに今日はもういい時間か」
「そうなのですねー」

時計を見ると既に8時前を指していた。
僕だけ寮の前で別れ、部屋に戻ることに。

BGM:MY BRAVE SMILE

「おかえり、理樹」
「ただいま。で、ヘルプって課題?」
「そうなんだよ。頼むぜ、理樹」

いつも通りお手製のちゃぶ台にノートを広げてスタンバイしている。

「わかったよ…で、どれからするの?」
「物理で」
「即答だね…」

今日出ている課題は物理と世界史だ。
世界史のプリント課題は教科書を見ればできるし、先に物理から片付けた方が確かに良い。
とりあえず真人に説明しながら自分の分も消化していく。

「…ってわけ」
「なるほど…さっぱりわからん」
「えー」

物理…とりわけ力学に関してはやっぱり夏休みにクドに色々教えてもらったのが活きる。
そういえば、クドリャフカのお母さんのいる宇宙ステーションが日本上空を通過するって言ってたっけ。
…方角も訊いておいた方が良かったかな?



「ふぃー、終わったー!」
「相変わらず僕しかやってないけどね…」
「サンキュな、理樹」
「そういやさ、恭介達は?珍しく来てないけど」
「さぁ。なんか忙しそうにしてたぜ」
「部活か何かの用事かな?」
「とりあえず、俺は寝るわ。おやすみ」

疲れたのか、真人はベッドに入るとすぐにいびきを立てて眠ってしまった。
…今日は僕も寝るとしよう。
こうして夜は更けていく…。

続く



[22069] 第27話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:a88f9fcd
Date: 2012/03/12 21:24
11月11日 日曜日

BGM:目覚めた朝に

目が覚める。

「あれ…?」

真人の姿が無い。
またいつものように筋トレにでも行っているのだろうか?


Phase:真人

BGM:えきぞちっく・といぼっくす

「おっ、やるな、新タイムじゃねぇか」
「わふー」

久々にクド公とランニング。
俺のリハビリも兼ねて一緒にやり始めたが、なんだかんだで長続きしてる。

「そういやよ、クド公」
「なんでしょう、井ノ原さん?」
「お前、なんでわざわざ鍛えてるんだ?まさかお前も筋肉革命を起こそうとしているのか?」
「わふー、筋肉革命ではありませんが…こすもなーふとになるには、体力も必要なのです」
「こすも…なんだそりゃ」
「宇宙飛行士さんの事なのです」
「そういやクド公の母ちゃんは宇宙飛行士だっけか」
「はいなのです。今頃は宇宙そらでお仕事してるのです」
「へー」
「今日の夜、お母さんのいる宇宙すてーしょんが日本からも見えるのですよ」
「へぇ、そりゃすげぇな」

そんなこんなでランニングを終え、食堂へ。

「ふー、朝っぱらからいい汗かいたぜ」
「なのですっ」
「ク、クドっ!」

理樹が血相を変えて走ってきた。

Phase:理樹

BGM:幻日

「どーしたのですか?リキ」
「テ、テレビっ!ニュース見てっ!」

とにかく緊急事態だ。
説明するよりも早いと思い、クドにニュースを見るよう促す。

『…繰り返します。日本時間の今日午前7時13分頃、国際宇宙ステーション、ISSから異常事態を告げる連絡のあと、通信が途絶えました』

「っ…!!」
「おいおい、これって…」

BGM:ともしび

『国際宇宙ステーションには現在、長期滞在中のテヴア共和国の宇宙飛行士、チェルヌシカ・イヴァノヴナ・ストルガツカヤ博士を始め6人のクルーが滞在しており、現在安否の確認が…』

「あ…あ…」
「おいクド公!大丈夫か!?しっかりしろ!」
「クド、気をしっかり!」

クドはテレビを見たまま膝をつき、呆然としていた。
そしてテレビからは、同じ情報が延々と繰り返し報じられていた。

「…っ」
「クドっ!」

ショックのせいか、気を失ってしまった。

「一旦保健室に連れて行こう…真人、手伝って!」
「お、おう!」

クドを担いで、保健室へと連れて行く。
大変なことになってしまった。

「…井ノ原さん…リキ…?」
「クド!」
「おう、目が覚めたか」
「おかあ…さん…」
「だ、ダメだよ無理しちゃ!」

ベッドから降りようとするクドを制止する。

「でも…おかあ…さんが…お母さんが…っ、うっ、えぐっ…」

ベッドに座り込んだまま咽び泣く。
宇宙ステーションが存在するのは人がそのまま生きることが不可能な高度400kmの上空。
少しのミスが命取りとなる…そんな世界だ。
そして今、そこで最悪の事態が起こっているかもしれないのだ。

「ここにいたか」
「恭介…」

ドアが開くと、恭介の姿があった。

「能美が倒れたって聞いたんでな…何があった」

事の経緯を説明する。

「…理樹、ちょっといいか」
「?わかった」

一度部屋の外に出る。

Phase:真人

「…落ち着いたか、クド公」
「はい…」
「なんか、えらいことになっちまったみてぇだな」

ふと、ニュースに映っていたクルーの顔を思い出す。

「…お前の母ちゃんってあの中の誰なんだ?能美って名前は無かったような気がするんだけどよ」
「…クドリャフカ・アナトリエヴナ・ストルガツカヤ…私のテヴア人としての名前です」
「ストルガツカヤ…ん、まさか…」
「はい。長期滞在中のチェルヌシカ・イヴァノヴァナ・ストルガツカヤ博士が…私のお母さんです」
「そうだったのか…」
「私…これからどうしたらいいんでしょう…」
「…こういうことは、理樹に訊いた方がいいかもしれねぇぜ。俺なんかよりもよ」
「井ノ原さん…?」
「理樹の奴、俺たちと出会うよりずっと前に親二人とも交通事故で亡くしてんだ。だからさ、あいつの方が今のおまえの気持ち、分かってやれると思うぜ。よくわかんねえけどよ」
「…はい…?」

ケータイの音…クドのか?

Phase:理樹

「奴らの仕業の可能性?」
「あぁ…あくまで可能性の一つだ。それもあまり現実的ではないが、それ故に最も危険な可能性だ。それに、直接関与していなくとも精神的に擦り減っている今は能美を襲うのに絶好のチャンスだ。奴らにとってはな。だから、能美を守ってやれ。あの時、お前が鈴や俺達にしたように…。」
「恭介…」
「これは恐らく、お前にしかできないことだ。何故かはわからんが、そんな気がする。勿論、俺たちも全力でバックアップするから安心しろ」
「…わかった」
「よし、それじゃ能美のとこに戻ってやれ」
「うん」

話を終え、クドの傍に。

「わり、理樹、ちょっとトイレ行ってくるわ」
「あ、うん」

真人が席をはずす。

「リキ…」
「クド?」
「私…どうすればいいんでしょう…」

クドの手には、携帯が握り締められていた。
そして、クド当てへのメールが届いていた。
テヴアの宇宙局の方からのメールだった。

「…信じよう」
「リキ…?」
「まだ希望が絶たれたわけじゃないんだ。もしそれが限りなくゼロに近い可能性だとしても、信じよう」

Phase:真人

「…お前らしいな」
「へっ、あぁいうしんみりした場が嫌ぇなだけだよ。で、これからどうすんだ?」
「とりあえず情報を集めないとどうにもならない。それと奴らの襲撃の可能性もある。真人、お前は謙吾と一緒にこっちをみはっててくれないか?」
「OK。任せろ」

Phase:理樹

「…眠っちゃったか」

あの時の自分に、周りは何と声をかけただろう。
僕も両親を交通事故で亡くしている。
二人とも即死だった。
『かわいそうに』?
『残念だったね』?
正直、あの後のことはよく覚えていない。
だけど…クドのお母さんが亡くなったと決まったわけじゃない。
まだ絶望するには早い。



「理樹、飯どうするよ」
「しばらくはいいかな。ここから離れたくないし、クド起こすわけにもいかないし」
「わかった。食堂でサンドイッチかなんか買ってくるわ」
「ありがとう」

Phase:真人

ここから離れたくない、か。
あいつらしい。

「おばちゃん、カツ頼むぜカツ」
「はいよ。君はほんといつも良く食べるねぇ。元気で何よりだよ」

昼飯を持って席に着く。
恭介が他の奴らも集めていた。

「ずっとニュース見てたけど、あれから新しい情報は入ってないみたい…」
「そうか…」
「ネットだと余計情報が錯綜してて全然わかんないね」
「デマや憶測が飛び交っていて、あまり参考になりそうな情報は無かったな」
「ところで、能美さんはいまどうしていらっしゃるのでしょうか…」
「今は理樹が側に付いてる」
「そうですか…」
「クド、大丈夫かな…」
「鈴…」

飯を食い終えると、理樹とクドの分のサンドイッチを持って保健室に戻る。
飲食はダメらしいんだが…細かいことも言ってられないか。

Phase:理樹

「おう理樹、サンドイッチ買ってきたぜ」
「ありがとう」
「井ノ原さん…」
「おうクド公、起きたか。ほれ、お前の分も買ってきてるぞ」
「ありがとうです」
「…お前も無理すんなよ、理樹」
「うん…」
「じゃ、俺は表にいるから、何かあったらいつでも言えよ」
「うん、ありがとう」

真人が部屋から出て、戸を閉めようとしたその時だった。

「理樹!窓の外だ!」
「えっ!?」

BGM:幻日

急いで窓の外を確認すると、昨日グラウンドに現れたものと同じような黒い塊が蠢いていた。

「あれってもしかして…」
「ちっ、よりによってこんな時に…!」
「おい待て能美、どこへ行く!?」
「どうした、謙吾!?」
「すまん、能美の奴が突然外に出て行った」
「まさか…」
「ちっ、探すぞ、理樹!」
「謙吾はみんな呼んできて!」
「任せろ!」

最悪の事態だ。
よりによってこんな時に奴らが現れるなんて。
ターゲットは…誰だ?
僕なのか、謙吾なのか…あるいは、クドなのか。
この中ではやはり、クドの可能性が一番高い…。
とにかく急いでクドを探さないと…!

続く



[22069] 第28話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:a88f9fcd
Date: 2012/02/20 21:28
BGM:幻日

どこだ。
学校の敷地はそんなに広くないはずなのに、一向にクドの姿が見当たらない。
焦りばかりが募る。
その時だった。

「直枝!」
「二木さん!」
「ヴェルカがクドリャフカを見つけたみたい」
「ばう!」
「よし、行こう!」

ヴェルカに導かれるまま中庭へと向かう。
そこには、先ほどの黒い影とクドの姿が。

「理樹!」

道中メールで知らせたみんなも集まってきた。
そして、それを見計らっていたかのように影は姿を変えていき…背の低い、黒の長髪の女性の姿になった。

「っ!」

クドの表情が変わる。

「誰?あの人」
「さ、さぁ…」

『クドリャフカ…』

「お母さん…」

その女性はまぎれも無く、クドのお母さん…ストルガツカヤ博士だった。
そしてストルガツカヤ博士が何かを話し始める。

「なんて言ってるんだ?理樹」
「さぁ…」

日本語でも英語でもない…恐らく、あちらでの公用語であるロシア語だろうか。

「そ、そんな…嘘…ですよ…」
「クド!?」
「お母さんが死んだなんて…そんな…そんな…」

そうだ、二木さんならロシア語が分かったはず…!」

「二木さん、なんて言ってるかわかる?」
「意訳だけど…私は宇宙ステーションで死んだ、そして私はその残留思念が形になったものだ…って感じかしらね」
「お姉ちゃん、もしかして…」
「二木と三枝の老人の件もあるから、簡単に嘘と言えないのが辛い所ね…クドリャフカ!」
「っ!」
「そいつの言葉に惑わされてはダメよ!真実を確かめなさい、あなたの手で、あなたのデッキで!」
「佳奈多さん…はい!」

そうだ。
奴らの真の狙いはクドとデュエルすることのはずだ。
そうすれば何かわかることがあるかもしれない。
相手もデッキを構える。

「クド公!しっかりやれよ!」
「ここが正念場だ!踏ん張っていけ!」
「がんばって!」
「がんばれ!」
「皆さん…」

「用意はいい?クーニャ」
「…はいです」

「「デュエル!!」」

BGM:勇壮なる闘い

クドVSチェルヌシカ

Turn1:チェルヌシカ
手札5

「私のターン、ドロー。グリーン・ガジェットを召喚」

☆4 ATK1300 DEF600

「グリーン・ガジェットの召喚に成功した時、デッキからレッド・ガジェットを手札に加える。カードを2枚伏せてターンエンド」

手札3
伏せ2

Tuen2:クド
手札5

「私のターン、どろーなのです!手札から六武の門を発動するです!このかーどは六武衆と名のついたもんすたーが召喚、特殊召喚されるたびに武士道かうんたーを置いていくです!真六武衆-カゲキを通常召喚!」

☆3 ATK200 DEF2000
六部の門 武士道カウンター0→2

「カゲキは召喚に成功した時、手札から六武衆と名のついたもんすたー1体を特殊召喚できるです!六武衆の影武者を特殊召喚するです!」

☆2 ATK400 DEF1800
真六武衆-カゲキ ATK200→1500
六部の門 武士道カウンター2→4

「罠発動、激流葬。フィールド上に存在するモンスターを全て破壊する」
「っ!?」

効果破壊→グリーン・ガジェット、真六武衆-カゲキ、六武衆の影武者

「六部の門の効果発動、でっきから真六武衆-キザンを手札に加えるです!かーどを3枚伏せて、たーんえんどなのです!」

手札1
伏せ3

Turn3:チェルヌシカ
手札3
伏せ1

「私のターン、ドロー永続魔法、マシン・デベロッパーを発動。フィールド上の機械族モンスターの攻撃力は全て200ポイントアップする。さらに永続罠血の代償を発動」
「血の代償…まさか代償ガジェか!?気をつけろ、能美!一気に決めに来るつもりだ!」
「自分のメインフェイズまたは相手のバトルフェイズ時にライフを500払うことで、手札のモンスター1体を通常召喚する。レッド・ガジェットを召喚」

☆4 ATK1300→1500 DEF1500

「レッド・ガジェットの効果発動。デッキからイエロー・ガジェットを手札に加える。血の代償の効果でライフを500払い、イエロー・ガジェットを召喚」

☆4 ATK1200→1400 DEF1200
チェルヌシカ LP4000→3500

「イエロー・ガジェットの効果でグリーン・ガジェットを手札に。そしてイエロー・ガジェットとレッド・ガジェットの2体をオーバーレイ。2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築。エクシーズ召喚!発条機甲ゼンマイスター!」

ランク4 ATK1900→2700 DEF1500 ORU2

「さらに血の代償でライフを500払いグリーン・ガジェットを召喚、レッド・ガジェットを手札に」

チェルヌシカ LP3500→3000
グリーン・ガジェット ATK1400→1600

「さらにレッド・ガジェットを召喚、イエロー・ガジェットを手札に」

チェルヌシカ LP3000→2500
レッド・ガジェット ATK1300→1500

「イエロー・ガジェットを召喚」

チェルヌシカ LP2500→2000
イエロー・ガジェット ATK1200→1400

「途絶えた、ということは6ガジェか」
「謙吾くん、6ガジェって何?」
「ガジェットを使ったデッキの組み方の一つだ。一般的に各種2枚ずつ計6枚を投入する6ガジェと各種3枚ずつ計9枚を投入する9ガジェに大きく分かれるな」
「そーなんだぁ…」

「そして手札から穿孔重機ドリル・ジャンボを召喚。このモンスターの召喚に成功した時、自分の場の全ての機械族モンスターのレベルを1上げることができる」

☆4→5 ATK1800→2000 DEF100
グリーン・ガジェット ☆4→5
レッド・ガジェット ☆4→5
イエロー・ガジェット ☆4→5
チェルヌシカ LP2000→1500

「レベル5のグリーン・レッド・イエローの3体のガジェットでオーバーレイ。3体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築。エクシーズ召喚!重機王ドボク・ザーク!」

ランク5 ATK3200→3400 DEF2000 ORU2

「重機王ドボク・ザークのモンスター効果発動。このカードのオーバーレイユニットを一つ使い、相手のデッキの上から3枚を墓地に送る」

発動コスト→グリーン・ガジェット
墓地→真六武衆-ミズホ、真六武衆-シナイ、六武衆の結束

「そして墓地に送られたモンスター1体に付き1枚、相手フィールド上のカードを破壊する!」
「っ!?」
「六武の門と一番右のセットカードを破壊!」
「罠発動、六武衆推参!墓地の六武衆と名のついたもんすたー1体を特殊召喚するです!真六武衆-カゲキを守備表示で特殊召喚!」

効果破壊→六武の門、六武衆推参!

「バトル!ゼンマイスターでカゲキに攻撃!」
「っ!」

戦闘破壊→真六武衆-カゲキ

「罠発動、紫炎の計略!六武衆と名のついたもんすたーが戦闘で破壊された時、手札の六武衆を2体まで特殊召喚するです!真六武衆-キザンを攻撃表示で特殊召喚です!」

☆4 ATK1800 DEF500

「ドリルジャンボでキザンに攻撃!」
「っぅ…!」

戦闘破壊→真六武衆-キザン
クド LP4000→3800

「ドリルジャンボは攻撃後守備表示になる。そしてドボク・ザークでダイレクトアタック!」
「きゃぁぁぁっ!」
「クド!」

クド LP3800→400

「カードを1枚伏せてターンエンド」

手札0
伏せ1

Turn4:クド
手札0
伏せ1

BGM:降り続く雨の街で

ダメ…。
手札は0枚、残されたカードもあの2体のエクシーズモンスターに勝てない…。
お母さん…。
お母さん…!!

「っ、くぅっ…!!」

急に苦しみ出すストルガツカヤ博士。

「お母さん!?」
「ぐぅっ、どうやって…ぐぅっ!」
「様子がおかしいぞ…!」
「一体何が…」
「お前…っ、どうやって…っ!」

クーニャ…それから、お友達のみなさん…。

「この声、どこからだ!?」
「頭の中に直接響いてるみてぇだ…!」

どこからともなく声が響く。

私はチェルヌシカ・イヴァノヴナ・ストルガツカヤ…クドの母です。
今、『彼女』に私の夢からアクセスをかけて語りかけています。

「恭介、これって…!」
「あの時と同じってことか…!?」

よく聞いて、クーニャ。
私は大丈夫。
通信系統のトラブルで地上との連絡が一時的に途絶えただけだから。

「お母さん…良かった…」

それよりも問題はこっちね。
どうしてかわからないけども、直感的に分かったことがあるの。
こいつを倒さないと、恐らく死んでしまうわ。
私も、クーニャも。

「…どういうことだ?」

はっきりとはわからない…けども、こいつが事象そのものを捻じ曲げている可能性があるわ。
そしてその捻じ曲げた先は多分クーニャ、あなたの中にある「最悪のイメージ」だと思うの。

「最悪のイメージ…ってことは、チェルヌシカさんが亡くなってしまったかもしれないという!?」

この状況で生まれるイメージの中で最悪、かつ最も自然なのがそれね。
もしこの仮説が本当ならば、最悪の結末はあり得るわね。

「チェルヌシカさん…」

クーニャ!
まだ勝負は付いていないわよ!

「お母さん…」

こんなとこでへこたれてないで!
最後まであきらめないで突っ走るのよ!
50ノーティカルマイルの空をめざして!
あなたは、私の娘なんだから!

「お母さん…はいです!」
「ぐぅっ、おのれぇっ!まさか夢を使って本物がコンタクトをかけてくるとはぁっ!」
「やれるな、能美!
「はいです!」

BGM:死闘は凛然なりて

「私のたーん、どろーなのですっ!」

…来ましたっ!

「りばーすかーどおーぷんっ!罠発動、究極・背水の陣!自分のらいふぽいんとを100にして、墓地の六武衆を可能な限り特殊召喚するです!」

クド LP400→100

「甦るです!真六武衆-カゲキ!真六武衆-キザン!六武衆の影武者!真六武衆-ミズホ!」

☆3 ATK1600 DEF1000

「真六武衆-シナイ!」

☆3 ATK1500 DEF1500
真六武衆-カゲキ ATK200→1700
真六武衆-キザン ATK1800→2100

「れべる3の真六武衆-カゲキに、れべる2の六武衆の影武者をちゅーにんぐ!孤高の刃よ、今こそその力を振るい戦乱の世を統一するです!しんくろ召喚!真六武衆-シエン!」

☆5 ATK2500 DEF1400 シンクロ

「罠カード発動、奈落の落とし穴!召喚、特殊召喚された攻撃力1500以上のモンスターを破壊し、ゲームから除外する!」
「真六武衆-シエンのもんすたー効果を発動するです!1たーんに1度だけ、魔法・罠の発動を無効にし破壊するです!」
「なんだと!?」

効果破壊(無効)→奈落の落とし穴

「真六武衆-ミズホのもんすたー効果発動です!真六武衆-シナイをりりーすして、重機王ドボク・ザークを破壊するです!」
「ぬぅっ!」

効果破壊→重機王ドボク・ザーク

「シナイの効果発動です!このかーどがりりーすされた時、墓地のシナイ以外の六武衆と名のついたもんすたー1体を手札に戻すです!真六武衆-カゲキを手札に!さらに手札から魔法かーど、紫炎の狼煙を発動です!でっきに存在するレベル3以下の六武衆1体を手札に加えるです!六武衆の影武者を手札に!そしてカゲキを召喚、効果で影武者を特殊召喚です!」

真六武衆-カゲキ ATK200→1700

「れべる3のミズホとれべる3のカゲキに、れべる2の影武者をちゅーにんぐ!しんくろ召喚!ギガンテック・ファイター!」

☆8 ATK2800 DEF1000 シンクロ

「ギガンテック・ファイターは、墓地の戦士族もんすたー1枚に付き攻撃力が100ぽいんとあっぷするです!墓地の戦士族もんすたーは4体、よって400ぽいんとあっぷするです!」

ギガンテック・ファイター ATK2800→3200

「ばとるです!ギガンテック・ファイターでゼンマイスターに攻撃するです!」
「ぐぅっ!」

戦闘破壊→発条機甲ゼンマイスター
チェルヌシカの影 LP1500→600

「真六武衆-キザンでドリルジャンボに攻撃です!」

戦闘破壊→穿孔重機ドリルジャンボ

「これで最後です!真六武衆-シエンでだいれくとあたっくなのです!」
「うあぁぁぁぁぁぁ…!!」

チェルヌシカの影 LP600→0

シエンの一撃を受けると同時に、影は一撃で粉々に吹き飛び消滅した。

BGM:雨のち晴れ~Instrumental~

いつの間にか、あたりは真っ暗になっていた。

「能美さーん!」
「あ、部長さん!」
「今ニュースに出てたけど、宇宙ステーションのクルー、全員の無事が確認されたって!」
「本当ですか!?よかったね、クド!」
「はいです!」
「そういやさクド公、そろそろ時間なんじゃねぇか?」
「そういえばそうなのですね」
「ん?何のことだ?」
「あ、見えてきたです!」

空をゆっくりと横切る一筋の光。
宇宙ステーションが、空を横切っていく。
僕たちはその姿が空のかなたに消えるまで見つめ続けていた。

続く



[22069] 第29話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:a88f9fcd
Date: 2012/03/12 22:31
11月12日 月曜日

BGM:目覚めた朝に

「んーっ…」

いつもより早く目が覚める。
昨日は色々と忙しかったからか、夕食もろくに食べずに寝てしまった。
そういえば昨日は殆ど何も食べてないな…。
とりあえず食堂に向かおう。

いつもより早いからだろうか。
食堂に人は殆どいなかった。

BGM:光に寄せて

朝食を買っていつもの席に向かうと、西園さんの姿が。

「あ、おはよう、西園さん」
「おはようございます。今日はお早いですね」
「うん、なんだか随分早く目が覚めちゃって」

向かいに座る。

「…直枝さん、すこしよろしいでしょうか」
「…?いいけど、何かな」
「直枝さんは、あの『世界』での出来事は…どこまで覚えているのでしょうか?」

驚いた。
恭介以外からあの「世界」について訊かれるとは思っていなかった。

「かなり曖昧かな?言葉の断片だけが頭の中に張り付いてる感じ」
「そうですか…直枝さん、美鳥、という名前に聞き覚えはありませんか?」
「美鳥…?」

何故だろう。
少なくとも、クラスメイトや知り合いの中にそんな名前の人はいない。
なのに…知っている気がする。

「ごめん、よくわからないや」
「そうですか。それでは私はこれで」
「そういえば今日日直だっけ、西園さん」
「はい」

去り際に西園さんが何かをつぶやいているのが見えた。
しかし、その声は人の増えだした食堂の喧騒にかき消されてしまった。

BGM:RING RING RING!

「うっす、今日はやけに早いな」
「おはよう、恭介、鈴」
「おはよう」
「そういや、真人と謙吾の奴がいねぇな」
「真人はまたクドとランニングに行ってると思うよ。謙吾は朝練かな」
「しっかし、あいつらがいないとずいぶん静かだな」
「ま、そうだね」
「そーだ、きょーすけ、りき」
「ん?どうした、鈴」
「最近レノンの奴を見なかったか?」
「さぁ…俺は知らんが」
「僕もみないね」

レノンは、今年の春ごろから鈴が連れている白い猫だ。
いつも鈴の頭の上に乗っていたりするんだけど…。

「それと、猫たちの様子が最近変なんだ」
「どういうこと?」
「んー、なんだか怯えているような」
「怯える?何にだ」
「わかんない」
「うーん…」

今回の事件とも何か関係があるのだろうか。
今のところ影が戻ったのは真人、葉留佳さん、二木さん、クドの4人。
同じように僕らにも戦うべき相手がいるとするならば…。
そしてやはり気になるのがチェルヌシカさんの言葉。
イメージ。
捻じ曲げられる事象。
あの「世界」との共通点は…?
でもやはり不可解なのは、なぜ彼らが「遊戯王カード」という手段を用いているのかと、いうこと。
明確に勝敗がつくものが必要な理由でもあるのだろうか。

「なぞは深まるばかりだ…」

偶然、鈴の言葉が僕の思考と一致する。
鈴の猫が今回の事件に関係しているとしたら…?

「っと、そろそろいい時間じゃねぇか?」
「そうだね」

今ここで考えていても始まらない。
とりあえず教室に向かうことにしよう。

BGM:MY BRAVE SMILE

午前の授業が終わる。
鈴の猫の件がどうしても気になる。

「鈴」

鈴を呼んでみたものの、すでにその姿はなかった。
猫といるなら中庭だろうか。

「…とりあえず行ってみようか」
「ん、理樹。どこへ行くんだ?」
「あ、謙吾。ちょっと中庭にね。気になることがあって」
「そうか」
「何かあるの?」
「いや、大したことではない。また時間があるときに聞いてくれ」
「わかった」

なんだろう?
急ぎではないらしいけど。
とりあえず中庭に行こう。

BGM:幻日

教室を出た瞬間、何とも言えない…寒気のようなものを感じた。
…嫌な予感がする。
急がないと…何故かそんな考えが浮かぶ。

階段を下り、1階の廊下に出る。
ふと中庭を除くと…鈴の姿が。
そして鈴と対峙する…もう一人の鈴。
しまった。
まさか一人になったところで狙われるなんて。
とにかく急ごう。

早足で廊下を駆けながら、D-ゲイザーをセットする。
浮かび上がるレインボー・ドラゴン。
相手の場にはモンスターの姿は見えない。
優勢ならばいいのだが。

「あたしのターン、ドロー。あたしは…」

もう一人の鈴が何かを召喚するのが見えた。
だがそれはちょうど壁とレインボー・ドラゴンの死角に入ってしまい見えなかった。
そして扉を抜ける一瞬の間に…状況は一転していた。

「ナチュル・ビーストで、攻撃力0となったレインボー・ドラゴンに攻撃」
「うあぁぁぁぁぁぁっ!」
「鈴!」

鈴 LP700→0

鈴が…負けた…!

「あたしの勝ちだな」
「う…」
「これであたしは完全な存在になる…!」
「う、うあぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「鈴!」

瞬間、相手の姿がぐにゃぐにゃと変化し、鈴に襲いかかる。
そしてそこに立っていたのは…鈴だった。
影も元通りになっている。

「鈴!大丈夫!?」
「う、うん…あたしは何ともない」
「よかった…」

鈴に変化はなかった。
だとすれば、今のは何だったんだろうか。
結局として、わからないことが増えただけだった。

「とりあえず、もうすぐ昼休みも終わるから教室に戻ろうか」
「わかった」



BGM:密やかなさざめき

放課後。
あれから鈴に変化はない。
とりあえず、恭介に相談してみよう。

「恭介」
「ん?どうした、理樹」
「鈴のことなんだけど…」



「なるほど、状況は分かった。だが変だな…」
「だよね。チェルヌシカさんやトールの言葉からすると、鈴の体を乗っ取りに来るものかとも思ったんだけど」
「とりあえず、今は対処のしようがないな。しばらくは様子を見よう」
「わかった」

とりあえず練習に向かう。

BGM:猫と硝子と丸い窓

グラウンドに戻ると、クドと笹瀬川さんがキャッチボールをしていた。

「あ、笹瀬川さん。今日はソフト部の練習はないの?」
「えぇ。3年生が引退されてこの先しばらく試合がございませんの。今は個人練習ばかりですわ」
「そうなんだ」
「ところで、少しよろしいですの?」
「ん、何?」
「棗鈴の連れている黒猫…心当たりはございませんの?」
「え、鈴の…?」

鈴の黒猫?
そういえばさっきからあまり見ない黒猫を連れている。

「そういえば、あんまり見ない子だね」
「…私、何故かあの猫を見たことがある気がするんですの」
「うーん、学校の敷地内にいる猫だろうし、前に何かで見かけてても不思議じゃないと思うけど…」
「私の思い違いでしたらよろしいのですが…」

BGM:スローカーブ

そんなこんなで練習を終える。
結局鈴については特に変化もなかった。
恭介の言うとおり、今は追及すべきではないのかもしれない。
さて…。

BGM:勇壮なる戦い

強い奴を求めてさすらってみよう。

笹瀬川佐々美(9位)と遭遇。

「笹瀬川さん、デュエルだ!」
「…よろしいでしょう。受けて立ちますわ!後悔しても知らないですわよ!」
「「デュエル!!」」

11位:直枝理樹「地球にやさしい」VS9位:笹瀬川佐々美「唯我独尊の女王猫」

Turn1:理樹
手札5

「僕の先攻、ドロー!カードを2枚セットしてカードカー・Dを召喚!」

☆2 ATK800 DEF400

「カードカー・Dの効果発動!このカードをリリースしてカードを2枚引き、ターンを終了する!」

手札5
伏せ2

turn2:佐々美
手札5

「私のターン、ドローですわ!手札から魔法カード、ジェムナイト・フュージョンを発動!フィールド、手札から指定されたモンスターを融合し、ジェムナイトと名のついた融合モンスターを融合召喚するカードですわ!私は手札のジェムナイト・ルマリンとジェムナイト・オブシディアを融合して、ジャムナイト・パーズを融合召喚しますわ!」

☆6 ATK1800 DEF1800 融合

「ジェムナイト・オブシディアのモンスター効果発動ですわ!このカードがカードの効果によって手札から墓地へ送られた場合、墓地に存在するレベル4以下の通常モンスター1体を特殊召喚しますわ!ジェムナイト・ルマリンを特殊召喚!」

☆4 ATK1600 DEF1800

「バトルですわ!ジェムナイト・ルマリンでダイレクトアタック!」
「ぐっ…!」

理樹 LP4000→2400

「ジェムナイト・パーズでダイレクトアタック!」

理樹 LP2400→800

「まだ終わりませんわよ!ジェムナイト・パーズは1ターンに2度の攻撃が可能なモンスターでしてよ!ジェムナイト・パーズで2回目のダイレクトアタック!」
「そうはさせない!罠カード発動、くず鉄のかかし!相手モンスターの攻撃を無効にして再度セットする!」
「やりますわね…私はモンスターをセット、カードを1枚セットしてターンエンドですわ」

手札1
伏せ1

Turn3:理樹
手札5
伏せ2

「僕のターン、ドロー!手札のレベル・スティーラーを墓地に送って、クイック・シンクロンを特殊召喚!」

☆5 ATK700 DEF1400 チューナー

「さらに手札からチューナーモンスター、ジャンク・シンクロンを召喚!」

☆3 ATK1300 DEF500 チューナー

「ジャンク・シンクロンの効果で、墓地のレベル・スティーラーを特殊召喚!」

☆1 ATK600 DEF0

「レベル1のレベル・スティーラーにレベル3のジャンク・シンクロンをチューニング!シンクロ召喚!アームズ・エイド!

☆4 ATK1800 DEF1200 シンクロ

「魔法カード、ワン・フォー・ワンを発動!手札のダンディライオンを墓地に送り、デッキからエフェクト・ヴェーラーを特殊召喚!」

☆1 ATK0 DEF0 チューナー

「ダンディライオンの効果で2体の綿毛トークンを特殊召喚!」

☆1 ATK0 DEF0

「レベル1の綿毛トークンに、レベル5のクイック・シンクロンをチューニング!シンクロ召喚!ドリル・ウォリアー!」

☆6 ATK2400 DEF2000 シンクロ

「さらにもう1体の綿毛トークンと、レベル1のエフェクト・ヴェーラーをチューニング!シンクロ召喚!フォーミュラ・シンクロン!」

☆2 ATK200 DEF1500 シンクロチューナー

「フォーミュラ・シンクロンの効果で1枚ドロー!そしてレベル6のドリル・ウォリアーとレベル4のアームズ・エイドに、レベル2のフォーミュラ・シンクロンをチューニング!シューティング・クェーサー・ドラゴン!」

☆12 ATK4000 DEF4000

「バトル!シューティング・クェーサー・ドラゴンで、ジェムナイト・パーズに攻撃!」
「させませんわ!罠発動、聖なるバリア―ミラーフォース―!あなたの場の攻撃表示モンスターをすべて破壊しますわ!」
「そうはいかないよ!シューティング・クェーサー・ドラゴンの効果発動!1ターンに1度、相手の魔法・罠・効果モンスターの効果のいずれかの発動を無効にして破壊する!」
「うそっ!?きゃぁぁぁっ!」

効果破壊(発動無効)→聖なるバリア―ミラーフォース―

佐々美 LP4000→1800

「そして、シューティング・クェーサー・ドラゴンはシンクロ素材となったチューナー以外のモンスターの数まで、1ターンに攻撃することができる!シューティング・クェーサー・ドラゴンで、ジェムナイト・ルマリンに攻撃!」
「きゃぁぁぁぁぁぁっ!!」

佐々美 LP1800→0

「うーん、意味のない適当な単語を組み合わせてみよう」
「く、屈辱ですわ…!」

佐々美は「できたてほやほやの石ころ」の称号を手に入れた。

順位変動
↑9位:直枝理樹「地球にやさしい」
↓11位:笹瀬川佐々美「できたてほやほやの石ころ」

他結果
→7位:三枝葉留佳「お気楽 極楽 騒がし娘」
→8位:西園美魚「リリカル☆みおちゃん」

…今日はこの辺にしておこう。

続く



[22069] 第30話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:a88f9fcd
Date: 2012/04/17 02:43
BGM:スローカーブ

夕食を終え、部屋に戻る。

「んんーっ…」

大きく伸び。
…一人でいるうちに、今の状況を整理しておこう。
今のところ例の影と戦ったのは真人、葉留佳さん、二木さん、クド、そして鈴。
鈴以外は勝利して影が戻った。
鈴は負けたにもかかわらず特に変化はなし、それどころか影が元に戻っている。
…どういうことなんだろうか。

「みゃー」
「ん?」

どこかで猫の声が聞こえたような…。
窓を開けてみると、見覚えのある猫が。

「あれ、レノン?」

そこにいたのはレノンだった。
だが次の瞬間レノンは、どこかへ誘うようにゆっくりと歩き出した。

「あ、ちょっと待って!」

靴を持って外に出る。

BGM:何も起こらなかった世界

レノンはゆっくりと、僕が見失わないようにしているかのように歩いていく。
そして僕が導かれたのは…裏庭。

「っ!?」

突然、強烈な頭痛に襲われる。
そして、頭の中に凄まじい量のイメージが流れ込んでくる。
-付き合おう、理樹-
-私は…どうすればいいんでしょう…-
-お兄ちゃん…-
-私は、やはりそういう人間なのかもしれないな-
-二木佳奈多ぁぁぁぁぁ!!-
-もう、間違っちゃ…-
-お前たちと出会わなかった人生なんて考えられない-
-あばよ、理樹-

カキーン…

-この世界には、秘密がある-

11月13日 火曜日

BGM:目覚めた朝に

「っ!?」

朝…。

「おい、大丈夫か理樹?」
「あ、うん。確か僕…」

まだ頭がくらくらする。
たしか、あの時中庭にいたはずじゃ…。

「部屋に戻ったらお前いねぇしよ、一向に戻ってこねぇから恭介と謙吾と鈴で探してたんだぜ。で、謙吾が中庭でお前が倒れてんの見つけてここまで連れてきたんだぜ」
「そうなんだ…ありがとう」
「しっかしお前、なんであんなところにいたんだ?」
「うん、それが…」

…おかしい、よく思い出せない。

「…ごめん、なんだかよく思い出せなくて」
「そか。ま、無理はすんじゃねーぞ」
「うん、ありがとう」

外で倒れていた…。
ナルコレプシーが再発でもしたのか?
でもあれは単純に眠りに落ちるだけだから、前後の記憶が消えたことは今までないはず…。
昨日の鈴の件も含め、またよくわからないことが増えてしまった。

「あ、そうだ、デッキ」

こんな時のデュエルだ。
いい気分転換になる。
確か机の上に…。

BGM:幻日

「…あれ?」

確かに机の上にデッキはある。
だけど…なんだか違う気がする。
デッキ内の構成がかなり変わっている。
「魔導法士ジュノン」
「魔導書士バテル」
「魔導弓士ラムール」
どれも見たことないカードばかりだ。
何より…エクストラデッキがエクシーズモンスターばかりになっている。
おかしい。
少なくともNo.33先史遺産-超兵器マシュ=マックなんかは入れていなかったはず。
何より…エースカードのシューティング・クェーサー・ドラゴンの姿がない。
どういうことなんだ…?

「恭介っ!謙吾っ!鈴っ!」
「理樹か、おはよう」
「おはよう」
「おう理樹、おはよう。どうだ、身体の調子は?」
「そ、それは大丈夫だけど…それより見てよ、僕のデッキが!」
「ん?お前のデッキがどーかしたのか?」
「僕のデッキが変わってるんだよ!」
「は?何言ってるんだお前?」
「え?」
「俺の記憶では、お前は最初のデュエルからずっとその魔導デッキを使っていたと思うのだが」
「あたしもそーおもう」
「だよなぁ。やっぱりまだ調子悪いんじゃねぇのか?」

わけがわからない。
僕の使っていたデッキはクイックダンディだったはず…。
…いや、逆かもしれない。
もし、自分が何かによって大きな思い違いをしているのか…?
昨日の夜のことも引っかかる。
…細かい詮索は今はなしにしよう。

「…あ、あれ?あー、ごめん、なんか昨日見た夢とごっちゃになってたみたい」
「あー、たまにあるよな。変にリアルな夢見たりすると」
「確かに、俺も経験がある。剣道の試合の夢を見て、試合の日を間違えたことがあったな」
「そ、そうなんだ。はは、ははは…」

BGM:密やかなさざめき

午前の授業を終えて昼休み。
ふと考えてみる。
昨日のことがどうしてもひっかかる。
昨日、僕は何をした?
練習を終えて、夕食を食べて、部屋に戻って、それから…。
…だめだ、そこから先がどうしても思い出せない。

「なぁ理樹、飯食いに行こうぜ」
「あ、うん」

真人に声をかけられ、食堂へ向かおうとした…その時だった。
ふと外を見ると、廊下には白い猫…レノンの姿が。

「あれ、レノン?」
「ん、どうした、理樹?」

次の瞬間、レノンの姿はなかった。

「…今、レノンいなかった?」
「いや?見てないが」

見間違い…なのか?

食堂で昼食を終える。

「なぁ、なんか今日お前変だぞ」
「え、そうかな?」
「そうだな。何と言うべきか、ぼーっとしている時間が多いような気がするな」
「なんか考え事か?」
「ん、まぁ、そんな感じかな」
「へぇー」

とはいえ、誰しも時折物思いに耽ることはあるだろう。
特に不審に思われたわけでもないようだ。

「そういやよ、デュエルランキングは順調か?」
「そういえば、あんまり上げられてないかな」
「期間についても謎が多いな」
「そういえばそうだね…」

バトルランキングは野球の試合まで、という目安があった。
ただ今回に関してはゴールがない。
どうするつもりなんだろう…。
と、噂をすればデュエルランキング開始のメールが。

「せっかくだし、行ってこようかな」
「おう、頑張れよ」

BGM:勇壮なる戦い

三枝葉留佳(7位)に遭遇。

「葉留佳さん、デュエルだ!」
「よーし、このはるちん受けて立ちましょー!」
「「デュエル!!」」

7位:三枝葉留佳「お気楽 極楽 騒がし乙女」VS9位:直枝理樹「地球にやさしい」

Turn1:葉留佳
手札5

「わたしのターン!ドロー!フィールド魔法、魔法都市エンディミオンを発動!さらに召喚僧サモンプリーストを召喚!」

☆4 ATK800 DEF1600 守備表示

「カードを1枚伏せて、ターンエンド!」

手札3
伏せ1

Turn2:理樹
手札5

魔法使い族同士の戦いか。
早く新しいデッキに慣れないと…!

「僕のターン、ドロー!魔導書士バテルを召喚!」

☆2 ATK500 DEF400

「このモンスターの召喚に成功したとき、デッキの魔導書と名のついた魔法カード1枚を手札に加えることができる!トーラの魔導書を手札に!カードを1枚伏せて、ターンエンド!」

手札5
伏せ1

Turn3:葉留佳
手札3

「わたしのターン、ドロー!手札の魔法カード、シンクロキャンセルを墓地に送ってサモンプリーストの効果発動!デッキからレベル4のモンスターを特殊召喚する!ただし、そのモンスターはこのターン中攻撃できない!ライトロード・マジシャン ライラを特殊召喚!すばぁーん!」

☆4 ATK1700 DEF200

「ライラの効果発動!このカードを守備表示にして、相手フィールド上の魔法・罠カード1枚を破壊!ばしーん!」
「速攻魔法発動、ディメンジョン・マジック!場の魔導書士バテルをリリースして、手札の魔導剣士シャリオを特殊召喚!」

☆4 ATK1800 DEF1300

「さらに、サモンプリーストを破壊!」
「うおっ!?」

効果破壊→召喚僧サモンプリースト
魔法都市エンディミオン 魔力カウンター0→1

「だったら、チューナーモンスター氷結界の風水師を召喚!」

☆3 ATK800 DEF1200 チューナー

「レベル4のライラに、レベル3の風水師をチューニング!シンクロ召喚!アーカナイト・マジシャン!」

☆7 ATK400 DEF1500 シンクロ

「アーカナイト・マジシャンはシンクロ召喚に成功したとき、魔力カウンターを2つ置く!そしてこのカードの魔力カウンターの数だけ、このモンスターの攻撃力は1000ポイントアップ!」

アーカナイト・マジシャン ATK400→2400

「さらに、アーカナイト・マジシャンの効果発動!魔法都市エンディミオンの魔力カウンターを取り除いて、魔導剣士シャリオを破壊!」
「ぐっ…!」

魔法都市エンディミオン 魔力カウンター1→0
効果破壊→魔導剣士シャリオ

「アーカナイト・マジシャンで、ダイレクトアタック!」
「うわっ!」

理樹 LP4000→1600

「ターンエンド!」

手札0

Turn4:理樹
手札5

「僕のターン、ドロー!手札の魔導書3枚を相手に見せることで、魔導法士ジュノンは手札から特殊召喚できる!」
「なんですとぉ!?」

☆7 ATK2500 DEF2100
手札公開:トーラの魔導書、ヒュグロの魔導書、グリモの魔導書

「ガガガマジシャンを召喚!」

☆4 ATK1500 DEF1000

「さらに手札からグリモの魔導書を発動、デッキからネクロの魔導書を手札に!そしてガガガマジシャンの効果発動!ガガガマジシャンのレベルを7に!」

ガガガマジシャン ☆4→7

「レベル7のガガガマジシャンとジュノンをオーバーレイ!2体のモンスターで、オーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!No.11ビッグ・アイ!」

ランク7 ATK2600 DEF2000 エクシーズ

「ビッグ・アイのモンスター効果発動!このカードのオーバーレイユニットを1つ使い、相手のモンスター1体のコントロールを得る!」
「な、なんですとぉー!?」

コントロール変更→アーカナイト・マジシャン
コスト→魔導法士ジュノン

「さらに手札から魔法カード、ネクロの魔導書を発動!手札の魔導書1枚を相手に見せ、墓地の魔法使い族モンスター1体を除外して、墓地に存在する魔法使い族モンスター1体を特殊召喚する!魔導法士ジュノンを特殊召喚!さらに、このカードが装備されたモンスターのレベルは、このカードの効果で除外したモンスターのレベル分アップする!」

除外→魔導剣士シャリオ
魔導法士ジュノン ☆7→11

「バトル!魔導法士ジュノンで、ダイレクトアタック!」
「はうぅっ!?」

葉留佳 LP4000→1500

「アーカナイト・マジシャンで、ダイレクトアタック!」
「ほぉぁぁぁぁぁぁっ!?」

葉留佳 LP1500→0

「それじゃ、葉留佳さんにはこんな称号を上げよう」
「うー、はずかしー!」

葉留佳は「チャーミングなピン芸人」の称号を手に入れた。

順位変動
↑7位:直枝理樹「地球にやさしい
↓9位:三枝葉留佳「チャーミングなピン芸人」

他結果
→1位:来ヶ谷唯湖「デュエルランキング暫定王者」
→3位:棗恭介「シスコン大魔神」

→11位:笹瀬川佐々美「できたてほやほやの石ころ」
→13位:井ノ原真人「粗大ごみ」

続く



[22069] 第31話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:a88f9fcd
Date: 2012/05/08 21:22
BGM:MY BLAVE SMILE

デュエルを終えて教室に戻る。
もうすぐ午後の授業が始まる。
予習でもして気を紛らわせておこう…。



授業中。
5時間目は古典。

「…で、この動詞の主語に当たる人物は誰だ?能美、答えてみろ」
「はい!えっと、この場合は光源氏が主語になると思うです」
「その通りだ。この場合は…」
「ぐごー…」
「…ったく。おい井ノ原、寝るなら静かに寝ろー」



6時間目は数学。
相変わらず来ヶ谷さんの姿がない。
多分このまま放課後まで戻って来ないんだろうなぁ…。



授業を終え、放課後に。

「さてと…」

結局来ヶ谷さんは戻ってこなかった。
火曜日の午後はいつもこんな調子だ。

「そういやよ、理樹。今日は自主練だったか?」
「あー、たしかそうだね」

今日はみんな全体的に予定が合わず、自主練の予定だった。
折角だし、たまには来ヶ谷さんのところにでも行ってみようかな。
気分的にコーヒーも飲みたいし。

「で、お前はどうすんだ、理樹?」
「僕は後から行くよ。ちょっと寄っていきたいところがあるから」
「そか。よし、じゃ行こうぜ、謙吾」
「昨日のキャッチボールの続きなら、いつでも受けて立つぞ」

練習に向かう二人と別れる。

BGM:心色綺想曲

中庭の、いつもの場所に行ってみる。

「やっぱりここにいた」
「おや、理樹君の方から来るとは珍しいな」
「なんとなくね」

自販機のコーヒーを買って、席に着く。

「久しぶりだね、こうして二人でここに座るのって」
「言われてみればそうかもしれないな。ま、とりあえずキムチでも食べていくがいい」
「それは遠慮しておくよ…」

相変わらず謎のキムチ推しは健在だ。

「ふむ、それは残念だ。時に理樹君、こうしているのもなんだ。私と1戦デュエルしてくれないか?」
「良いけど、なんで?」
「いや、デュエルランキングといっても、私が戦うのは謙吾少年か恭介氏ばかりだ。頂点にいると戦う相手が固まってしまって少し退屈なのだよ」
「あー、たしかに」

僕がバトルランキングの暫定王者になった時も、結局最後の数日は2位3位の来ヶ谷さんや謙吾としか戦ってなかったし。

「あれ、デュエルディスクは良いの?」
「たまにはこうやって、机の上でやるのも乙なものだと思うのだがな」
「それもそうだね」

互いにデッキを机の上に置く。

「「デュエル!」」



「魔導法士ジュノンの効果発動!墓地の魔導書1枚を除外して、甲虫装機ダンセルを破壊!」
「ふむ。だが罠カード、ヴァリュアブル・フォームを発動。装備カードとなっている甲虫装機ギガウィービルを守備表示で特殊召喚する」



「甲虫装機エクサビートルのモンスター効果。墓地の甲虫装機ギガマンティスを装備。互いの効果により攻撃力は3600となる。バトル。エクサビートルで、魔導剣士シャリオに攻撃!」
「防げない…僕の負けだね。さすがに強いや、来ヶ谷さんは」
「そんなこともないさ。あの場面で神の宣告を使うタイミングを誤っていたら、負けていたのは私の方だったからな」

そう言ってデッキを片づける。

「そういえば、ここには前は昼休みに来てたけど、放課後に来た事ってあんまりなかったかな」
「うむ。いつもは練習に行っていたからな」
「でも、この時間に来るのもなんかいいね」

木々を潜り抜ける風が心地いい。
校舎からは丁度死角になる場所。
学校の中にいるのに、どこか全く違う場所にいるような感じさえする。

「…ときに理樹君、少し訊きたいのだが」
「ん?」
「私たちの戦う相手は…いったい誰なのだろうな」
「戦う相手って…あの影のこと?」
「うむ。あれが私たちの心の闇なのであれば…私の心の闇とは、一体どのことを指すのだろう、と思ってな」

来ヶ谷さんの闇。
僕にはよくわからない。
来ヶ谷さんにはいつも隙がないからだ。
でも…何故だろう。
何か、大切なことを忘れている気がする。

「なに、訊いてみただけだ。気にしないでくれ」
「そ、そう…あれ?」
「ん?どうした?」

BGM:幻日

中庭に目を向けると…レノンの姿が。
思わず駆け出す。

「お、おい!?どこへ行く、少年!?」

来ヶ谷さんも着いてきた。
さっきと違い、レノンは僕たちが見失わない距離を保って走っていく。
まるで、僕たちを導くように。

校舎裏に入ったところでレノンの姿が見えなくなった。
そしてそこには…不気味に蠢く影が。

「…噂をすれば、というやつか」

その影はゆっくりと人の姿を形どって行く。
だが、何かが違う。

「分裂した…?」
「これは、少し厄介な相手かもしれないな」

そしてその二つの影はある人物の姿を形どって行く。

「高宮と…勝沢か」
「えっ?」

高宮さんと勝沢さん。
僕たちのクラスメイトだ。
でも、どうして来ヶ谷さんの戦う相手が彼女たちなのだろうか。

「…いいだろう。二人まとめてかかってくるがいい」
「来ヶ谷さん!?」
「心配ないさ、理樹君。一瞬で片をつける」

phase:唯湖
一瞬で倒す。
それが重要だ。
ならば…!

続く



[22069] 第32話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:a88f9fcd
Date: 2012/05/08 22:39
BGM:勇壮なる戦い

「デュエル!」

来ヶ谷唯湖VS高宮&勝沢

Turn1:来ヶ谷
手札5

「先行は私が貰う!ドロー!カードカー・Dを召喚!」

☆2 ATK800 DEF400

「手札を2枚伏せ、カードカー・Dの効果発動!このカードをリリースしてデッキからカードを2枚ドローし、このターンを終了する!」

手札5
伏せ2

Turn2:高宮
手札5

「私のターン、ドロー。魔法カード、手札抹殺を発動。互いの手札をすべて捨て、同じ枚数デッキからカードをドローする」

高宮→手札から捨てる:魔轟神獣ケルベラル、魔轟神ソルキウス、魔轟神レイヴン、墓穴の道連れ、魔轟神トピー

「魔轟神獣ケルベラルを特殊召喚」

☆2 ATK1000 DEF400 チューナー

勝沢:手札から捨てる→暗黒界の軍神 シルバ、暗黒界の尖兵 ベージ、暗黒界の武神 ゴルド、軍神ガープ

「暗黒界の軍神 シルバ」

☆5 ATK2300 DEF1400

「暗黒界の尖兵 ベージ」

☆4 ATK1600 DEF1300

「暗黒界の武神 ゴルドを特殊召喚」

☆5 ATK2300 DEF1300

「ふむ」

来ヶ谷:手札から捨てる→甲虫装機 ホーネット、甲虫装機 ギガマンティス、甲虫装機 グルフ、サイクロン、甲虫装機 ダンセル

「手札の魔轟神と名のついたモンスター2体を墓地に送り、魔轟神ソルキウスを墓地から特殊召喚」

☆6 ATK2200 DEF2100
コスト→魔轟神獣ガナシア、魔轟神トピー

「手札から墓地に送られたことにより、魔轟神獣ガナシアを特殊召喚」

☆3 ATK1600→1800 DEF1000

「魔轟神レイヴンを召喚」

☆2 ATK1300 DEF1000 チューナー

「手札を1枚伏せる。レベル3のガナシアに、レベル2のケルベラルをチューニング。シンクロ召喚、魔轟神レイジオン」

☆5 ATK2300 DEF1800 シンクロ

「このモンスターのシンクロ召喚に成功したとき、手札が2枚になるようにデッキからカードをドローする。レベル6のソルキウスに、レベル2のレイヴンをチューニング。シンクロ召喚、魔轟神ヴァルキュルス」

☆8 ATK2900 DEF1700

「凄い展開力だ…」
「ふむ。だが残念だったな。罠カード発動、激流葬。全てのモンスターを破壊する」
「!!」

効果破壊→魔轟神レイジオン、魔轟神ヴァルキュルス、暗黒界の武神 ゴルド、暗黒界の軍神 シルバ、暗黒界の尖兵 ベージ

「…ターンエンド」

手札2
伏せ1

Turn3:勝沢
手札5

「私のターン、ドロー」
「えっ!?」
「ふむ、やはりそういうことか」

奴らなら…そういう行動に出てもおかしくないか。
だが、こいつらはおそらくデッドコピー…所詮敵ではない。

「フィールド魔法、暗黒界の門を発動。暗黒界と名のついたモンスターの攻撃力・守備力が500ポイントアップする。そして、暗黒界の門の効果発動。墓地のベージを除外して手札を1枚捨て、1枚ドローする」

捨てる→暗黒界の龍神 グラファ

「暗黒界の龍神 グラファの効果発動。手札から捨てられた時、フィールド上のカード1枚を破壊する」
「罠カード発動、威嚇する咆哮。相手はこのターン攻撃できない」
「…暗黒界の斥候 スカーを召喚」

☆4 ATK500→1000 DEF500→1000

「スカーを手札に戻し、墓地のグラファを特殊召喚」

☆8 ATK2800→3300 DEF1800→2300

「手札を2枚伏せて、ターンエンド」

手札2 伏せ2

Turn4:来ヶ谷
手札5

「私のターン、ドロー」

BGM:死闘は凛前なりて

理樹君の前でこいつらに口を開かせるわけにはいかない…。
1ターンあれば十分だ!

「魔法カード、大嵐。フィールド上の魔法・罠カードをすべて破壊する」

高宮:効果破壊→奈落の落とし穴
勝沢:効果破壊→暗黒界の門、闇次元の開放、聖なるバリア-ミラーフォース

「甲虫装機 ダンセルを召喚」

☆3 ATK1000 DEF1800

「甲虫装機 ダンセルのモンスター効果発動。墓地の甲虫装機 ホーネットを装備」

甲虫装機 ダンセル ☆3→6 ATK1000→1500 DEF1800→2000

「手札から装備魔法、明鏡止水の心を甲虫装機 ダンセルに装備。このカードは装備モンスターの攻撃力が1200以上の時破壊される。そして甲虫装機 ダンセルの効果発動。デッキから甲虫装機と名のつくモンスター1体を特殊召喚する。甲虫装機 センチピードを特殊召喚」

☆3 ATK1600 DEF1000

「甲虫装機 ホーネットの効果発動。このカードを墓地に送ることで、フィールド上のカード1枚を破壊する。暗黒界の龍神 グラファを破壊」

甲虫装機 ダンセル ☆6→3 ATK1500→1000 DEF2000→1800

「甲虫装機 ダンセルのモンスター効果。デッキから甲虫装機 センチピードを特殊召喚。さらに手札から魔法カード、死者蘇生を発動。墓地の甲虫装機 ダンセルを特殊召喚。甲虫装機 センチピードの効果発動。墓地の甲虫装機 ホーネットを装備」

甲虫装機 センチピード ☆3→6 ATK1600→2100 DEF1000→1200

「魔法カード、共振装置を発動。同じ種族、属性を持つ2体のモンスターを選択し、片方のレベルをもう片方のモンスターと同じ数値にする。甲虫装機 センチピードと甲虫装機 ダンセルを選択」

甲虫装機 ダンセル ☆3→6

「レベル6となった甲虫装機 ダンセルと甲虫装機 センチピードでオーバーレイ。2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築。エクシーズ召喚!蹂躙せよ、甲虫装機 エクサビートル!

ランク6 ATK1000 DEF1000 ORU2

「甲虫装機 エクサビートルのエクシーズ召喚に成功したとき、自分または相手の墓地のモンスター1体を装備カード扱いとしてこのカードに装備し、そのモンスターの攻撃力・守備力の半分の数値分このモンスターの攻撃力・守備力をアップする。私の墓地の甲虫装機 ギガマンティスを装備。甲虫装機 ギガマンティスは装備カードとなっている時、装備モンスターの元々の攻撃力を2400にする」

甲虫装機 エクサビートル ATK1000→3600

「甲虫装機 ダンセルの効果発動。墓地の甲虫装機 グルフを装備」

甲虫装機 ダンセル ☆3→5 ATK1000→1500 DEF1800→1900

「甲虫装機 グルフの効果発動。このカードを墓地に送り、甲虫装機 センチピードのレベルを2上げる」

甲虫装機 ダンセル ATK1500→1000 DEF1900→1800
甲虫装機 センチピード ☆3→5

「甲虫装機 ダンセルの効果。デッキから甲虫装機 ホーネットを特殊召喚」

☆3 ATK500 DEF200

「墓地の甲虫装機 グルフを甲虫装機 センチピードに装備。墓地に送って甲虫装機 ホーネットのレベルを2上げる」

甲虫装機 ホーネット ☆3→5

「甲虫装機 センチピードの効果で、デッキから甲虫装機 ギガマンティスを手札に。レベル5となった甲虫装機 ダンセルと甲虫装機 ホーネットでオーバーレイ。2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築。エクシーズ召喚!甲虫装機 エクサスタッグ!」

ランク5 ATK800 DEF800

「甲虫装機 エクサスタッグの効果発動。オーバーレイ・ユニットを1つ使い、相手のフィールドまたは墓地のモンスター1体を選択し装備する。そしてその攻撃力・守備力の半分の数値分このモンスターの攻撃力・守備力をアップする・まぁ、この場合何でもいいのだがな。グラファでも頂こうか」

甲虫装機 エクサスタッグ ATK800→2450 DEF800→1700
コスト→甲虫装機 センチピード

「甲虫装機 エクサスタッグを素材とし、迅雷の騎士 ガイアドラグーンをエクシーズ召喚!」

ランク7 ATK2600 DEF2100

「手札の甲虫装機 ギガマンティスを甲虫装機 ダンセルに装備」

甲虫装機 ダンセル ATK1000→2400

「装備魔法、甲虫装機の魔剣 ゼクトキャリバーを甲虫装機 エクサビートルに装備。装備したモンスターの攻撃力は800ポイントアップする」

甲虫装機 エクサビートル ATK3600→4400

「バトル!甲虫装機 エクサビートルで高宮にダイレクトアタック!」
「…!」

高宮 LP4000→0

「迅雷の騎士 ガイアドラグーンでダイレクトアタック!」

勝沢 LP4000→1400

「止めだ!甲虫装機 ダンセルでダイレクトアタック!」
「!!」

勝沢 LP1400→0

BGM:スローカーブ

「す、すごい…1ターンで二人とも倒しちゃうなんて…」
「私にも、意地というものはあるからな」
「意地?」
「いや、何でもない。忘れてくれ」
「…?」

Phase:唯湖

彼女たちには、あの「世界」では道化を演じてもらうことになってしまったがな…。
あまり好いていたわけではないが、少し悪い気もするな。
それが私の心の闇なのだとしたら…。
…それも全て過ぎたことだ。
だが…どこかで引き摺っていたのかもしれないな…。

続く



[22069] 第33話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:a88f9fcd
Date: 2012/06/20 00:14
BGM:心色綺想曲

そろそろいい時間だと思い食堂に来てみたものの、少し早かったのか他のみんなの姿はなかった。

「まだ誰も来てないみたいだね」
「ふむ。ならば折角だ。偶には二人で食事というのも悪くないだろう」
「そうだね」

思えば、夕食はいつも恭介、謙吾、真人、鈴…少なくともこのうちの誰かが一緒にいることが多かった。
来ヶ谷さんと二人で、というのは多分初めてだと思う。
とりあえず、食券を買いカウンターへ。

「理樹君は何を頼んだんだ?」
「偶にはカレーでも食べようかなって」

ここのカレーは確かにおいしいのだが、カレー自体そんな毎日食べるようなものでもない。
数週間に1回くらいだろうか。

「奇遇だな。私もだ」

…まぁ偶には、その数週間に1回が重なることだってあるだろう。

カレーを持って、席に付く。
今日は福神漬が妙に多かった。

「そういえば理樹君、少し訊きたいのだが」
「ん、どうしたの?」

食事をしていると、不意に来ヶ谷さんが質問を投げかけてきた。

「鈴君とはあれからどうなっている?」
「え、あれって?」
「あれといえばあれではないか」

まさか。
例の夜の事を知られてしまったのだろうか。
流石にあの夜のことはいくらリトルバスターズのメンバーとはいえあまり知られたくない事実ではある。
いろんなことがあった上での事だけども…。

「あ、あぁ、な、なんともないよ。別に夜に鈴の部屋がどうとか、そんなことはないから、はは、はは」

酷い棒読みだ。

「…理樹君、もしかして私の知らない全く別の何かと勘違いをしていないか?」
「…え?」

…違うの?

「いや、少し小耳に挟んだのだが、鈴君が例の影と戦って敗れたそうだな。だが私には鈴君の変化がどうも感じ取れなくてな。理樹君なら何かわかるかとも思ったのだが」
「あー…」

完全に僕が自爆しただけだった。

「鈴に関しては今のところこれといって変わったことは…あ」
「ん?どうした」
「笹瀬川さんに鈴の連れてる黒い猫について知らないかって訊かれた」
「黒い猫?」
「うん。あまり見ない猫だったな…多分新入りだと思うんだけど」
「ふむ。少し気にはなるが別段不自然でもない、か。で…一体さっきはどうしてあんなにうろたえていたんだ?」
「あ、いや…」
「まぁいい。人間誰だって知られたくない事の一つや二つはあるだろう。理樹君がどうしても知られたくない事ならば、私は余計な詮索はしないでおこう」

助かった…のだろうか。

BGM:シンクロニクル

ふと視線をずらすと、食堂の丁度反対側の端に西園さんの姿が。
一緒にいるのは…同じクラスの女子数名のようだ。

「あれ、西園さん…?」
「ん?西園女史がどうかしたのか?」

何故だろう。
どういうわけか違和感を感じる。
何かが足りない。
何かが多い。
まるで西園さんの姿をした、別人のような気がして…。
そう考えを巡らせていると、こちらに気付いたのか、笑顔で返してきた。
そしてそのまま食堂の外へと去って行ってしまった。

Phase:美魚
BGM:幻日

「…で、久しぶりだね、お姉ちゃん」
「やっぱり…出てきてしまったんですね…美鳥」
「まぁね」
「…あなたは他の影と違って…あなた自身の人格を持っているはずです。この出来事について、何か教えてはいただけないでしょうか…」
「他ならぬお姉ちゃんの頼みでも…それは聞けないかな。それに、あたしまだやらなきゃいけない事があるから」

やらなければならない事…?

「それって、一体…」
「…また時が来ればわかるよ。でもその時は…ね」

すると美鳥は煙のように消えてしまった。

「美鳥…」

Phase:理樹
BGM:スローカーブ

夕食を終え、部屋に戻る。
真人はまだ帰ってきていないみたいだ。

「ふ、あぁ…」

少し眠い。
真人が帰ってくるまで横になるとしよう。



―その…の…解…しろ―

「!?」

ガバッ

「おう理樹、起きたか。ってどうしたんだ?すげぇ顔してるけどよ」
「あ、真人、お帰り…」
「お、おう。大丈夫か?」
「あ、うん…多分悪い夢でも見たんだと思う」

何だ今のは。
誰かが呼びかけてきた?
それも…前にもこの声は聞いた気がする。
一体なんなのだろうか…。

「そか。顔色悪いし、今日はもう休んだ方がいいんじゃねぇか?」
「ありがとう。そうするよ」

続く



[22069] 第34話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:a88f9fcd
Date: 2012/06/25 00:56
11月14日 水曜日

BGM:目覚めた朝に

朝。
何やらリズミカルな音で目が覚める。

「ふんっ、ふんっ、ふんっ」

真人が朝っぱらからスクワットをしていた。

「おう理樹、起きたか」
「うん、おはよう」
「ふぅー、朝からいい汗かいたぜ。飯行こうぜ」

とりあえず食堂へ向かおう。

少しして、みんなが集まってくる。

「おはよう諸君」
「おはよう、恭介」

最後に来たのは恭介だった。

「今日は遅かったね。何かあったの?」
「いやな、こないだ出た学園革命スクレボの設定資料集を読んでいたらつい時間を忘れちまってな」
「あー」

ちなみにアニメ化が決まったらしい。

「そいやよ、謙吾」
「どうした?」
「鈴の奴、あんな黒猫連れてたか?」
「…そういえば初めて見るな。恭介は何か知ってるか?」
「いや」
「ん、こいつがどーかしたのか?」
「なぁ鈴、そいつは何て名前なんだ?」
「こいつか?こいつは…」
「…」
「…」
「名前、まだ決まってないんだね」
「じゃあ命名しよう。今からそいつの名前はセトだ」
「社長じゃねぇか」
「何言ってんだ。エジプトの神様だぞ?」

確かに、エジプト神話にもセトという神がいる。
エネアド九柱神の一柱で、オシリスの弟神だ。

「セト、か…うん、悪くないな」
「ん、鈴、ちょっといいか」

恭介がセトの顔を覗き込む。

「ほぉ、オッドアイか」
「あ、ほんとだ」

セトの瞳は、右目が青で左目が赤のオッドアイだった。

「なぁ理樹、オッドアイってなんだ?」
「左右で瞳の色が違うんだよ」
「白猫では時折みられると聞くが、黒猫のオッドアイは初めて見るな」
「へぇ。どれどれ」
「にゃー!」

さくっ

「うおーーーーー!いってーーーーーー!!」
「ん、もしかしてお前、馬鹿が嫌いなのか?」
「おい鈴、今こっそり俺の事馬鹿って言ったろ?」
「にゃー!!」

さくさくっ

「いってーーーーーーー!!」

相変わらず真人は猫に好かれないようだった。
とりあえず、時間も時間なので教室へ向かうことに。

「あ、そうそう。野球は今日も自主練な」
「そいやよ、恭介」
「ん、どうした」
「今やってる野球だけどよ、次の試合とかは決まってんのか?」

確かに、真人の言うとおりだ。
今は前みたいに試合の予定がない。

「心配するな。まだ交渉の段階だが、次の試合は考えてある」
「交渉って、どことだよ?」
「それは決まってからのお楽しみだ」
「まぁ、考えがあるなら俺は一向に構わないが」

流石に恭介に限って何も考えてないなんてことはないだろう。

「んじゃ、俺は先に上がってるわ」

そう言い残すと恭介は先に行ってしまった。
僕たちも教室へ向かおう。

BGM:えきぞちっく・といぼっくす

「おはようです、リキ」
「おはよう、クド」
「あのー、リキ、ちょっとよろしいでしょうか?」
「ん、どうしたの?」
「あのー、今日の放課後、英語の勉強につきあってほしいのです」
「あー、明日の小テスト?」
「はい。小毬さんにも声はかけたのですが、大丈夫でしょうか?」

多分、後で真人からも同じこと言われるんだろうな。
かといって、断る理由もない。
教えるついでに自分のわからないところも確認できれば一石二鳥だ。

「僕なら別に大丈夫だよ。今日も自主練みたいだし」
「あ、はい!ありがとうございます!」
「うーっしお前ら、席に着けー。ホームルーム始めるぞー」

丁度担任が入ってきた。

「それじゃ、また後でね」
「はいです」

BGM:密やかなさざめき



休み時間。

「なぁ理樹」
「ん、どうしたの?」
「今日の放課後、暇か?」
「どうしたのさ」
「英語の勉強付き合ってくれ」
「…」

まさかものの1時間で来るとは思わなかった。

「急にどうしたの?」
「いやさ、流石に今回ばかりは点とらねぇとヤバいみたいでよ…」
「あー…」

恐らく、点数が足りないからここで稼いでおきたいということだろう。
僕からしても真人に留年なんてしてほしくないし。

「今日放課後クドの英語見る約束してるんだけど、一緒に来る?」
「おぉ、そりゃ助かるぜ!」

なんだかんだでメンバーが一人増えてしまった。
小毬さんも来るみたいだし、大丈夫…だよね?



「さて、明日は予告してた通りユニット9の小テストやるからな。しっかり勉強してこいよ」



休み時間。
特にすることもない。
そんな時は…。

BGM:勇壮なる戦い

強いやつを求めて校内をさすらってみよう。

鈴(6位)と遭遇。

「鈴、デュエルだ!」
「いいだろう」

「なかなか人に懐かない気高き仔猫」棗凛(6位)VS「地球にやさしい」直枝理樹(7位)

Turn1:鈴
手札5

「あたしのターン、ドロー!永続魔法、宝玉の樹を発動!さらに宝玉獣サファイア・ペガサスを召喚!」

☆4 ATK1800 DEF1200

「サファイアの効果で、デッキからルビー・カーバンクルを魔法・罠ゾーンに。この瞬間、宝玉の樹にジェムカウンターが一つ乗る!」

宝玉の樹 ジェムカウンター 0→1

「あたしはこれでターンエンドだ」

手札4

Turn2:理樹
手札5

「僕のターン、ドロー!魔導書士バテルを召喚!」

☆2 ATK500 DEF400

「デッキから魔導書と名のついたカード1枚を手札に加える!ヒュグロの魔導書を手札に!そして手札の魔導書3枚を相手に見せることで、魔導法士ジュノンを特殊召喚!」

☆7 ATK2500 DEF2100
開示→ヒュグロの魔導書、ネクロの魔導書、トーラの魔導書

「バトル!ジュノンでサファイア・ペガサスに攻撃!」
「破壊されたサファイア・ペガサスは魔法・罠ゾーンに置かれる!」

鈴 LP4000→3300
宝玉の樹 ジェムカウンター 1→2

「バテルでダイレクトアタック!」

鈴 LP3300→2800

「カードを1枚伏せて、ターンエンドだ!」

手札4
伏せ1

Turn3:鈴
手札4

「あたしのターン、ドロー!宝玉の樹の効果発動!このカードを墓地に送って、乗っていたジェムカウンターの数だけデッキから宝玉獣を魔法・罠ゾーンに置く!エメラルド・タートルとコバルト・イーグルを魔法・罠ゾーンに!さらに魔法カード、レア・ヴァリューを発動!相手が魔法・罠ゾーンの宝玉獣1枚を選択して墓地に送って、2枚ドローする!」
「なら僕はルビー・カーバンクルを選択するよ」
「魔法カード、宝玉の契約を発動!魔法・罠ゾーンの宝玉獣1体を特殊召喚する!サファイア・ペガサスを特殊召喚だ!そしてサファイアの効果で、デッキからアンバー・マンモスを墓地に!そして宝玉獣 アメジスト・キャットを召喚!」

☆3 ATK1200 DEF400

「バトル!サファイア・ペガサスでバテルを攻撃!」

理樹 LP4000→3200

「さらにアメジスト・キャットでダイレクトアタック!このカードは効果でダイレクトアタックしたとき、与えるダメージは半分になる!」

理樹 LP3200→2600

「カードを1枚伏せて、ターンエンドだ」

手札2
伏せ1

Turn4:理樹
手札4
伏せ1

「僕のターン、ドロー!魔法カード、おろかな埋葬を発動!デッキの魔導皇子アンプールを墓地に!そして装備魔法、ネクロの魔導書を発動!墓地のバテルを除外して、アンプールを特殊召喚!この効果で特殊召喚したモンスターのレベルは、このカードを発動する時に除外した魔法使い族モンスター1体のレベル分アップする!」

☆5→7 ATK2300 DEF2000

「レベル7のジュノンとアンプールでオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚!魔導法皇ハイロン!」

ランク7 ATK2800 DEF2600 ORU2

「魔法カード、ヒュグロの魔導書を発動!ハイロンの攻撃力を1000アップさせる!」

魔導法皇ハイロン ATK2800→3800


「さらに魔導法皇ハイロンのモンスター効果発動!オーバーレイユニットを一つ使い、墓地の魔導書の数までフィールド上の魔法・罠カードを破壊する!セットカードとエメラルド・タートルを破壊だ!」
「っ!」

効果破壊→聖なるバリア―ミラーフォース―、宝玉獣エメラルド・タートル

「バトル!ハイロンでアメジスト・キャットに攻撃!」
「うあっ!」

鈴 LP2800→800

「そしてヒュグロの魔導書の効果でトーラの魔導書を手札に!カードを1枚伏せて、ターンエンドだ」

手札2
伏せ2

Turn5:鈴
手札2

「あたしのターン、ドロー!魔法カード、宝玉の導きを発動!デッキからトパーズ・タイガーを特殊召喚だ!」

☆4 ATK1600 DEF1000

「フィールドと墓地に7つの宝玉がそろった時、究極宝玉神レインボードラゴンを特殊召還する!」
「!!」

☆10 ATK4000 DEF0

「バトル!レインボードラゴンでハイロンに攻撃!」
「うあっ…!」

理樹 LP2600→1400

「トパーズ・タイガーでダイレクトアタック!」
「罠カード、リビングデッドの呼び声発動!墓地のアンプールを特殊召喚!」
「う…バトルはキャンセルだ。ターンエンド」

手札1

Turn6:理樹
手札2
伏せ1

「僕のターン、ドロー!」

…来た!

「手札を1枚捨てて、THE トリッキーを特殊召喚!」

☆5 ATK2000 DEF1200
コスト→トーラの魔導書

「レベル5のアンプールとトリッキーをオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!現れよ、No.61 ヴォルカザウルス!」

[61]

ランク5 ATK2500 DEF1000 ORU2

「ヴォルカザウルスのモンスター効果発動!このカードのオーバーレイユニット1つを使って、相手モンスター1体を破壊!そしてそのモンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える!僕はレインボードラゴンを破壊する!」
「う、うあぁぁぁぁぁ!!」

鈴 LP800→0

「うーん、意味のない単語を合わせて見よう」
「やじゃぼけー!」

鈴は「青い忍者」の称号を手に入れた。
ランキング変動
↑6位 直枝理樹「地球にやさしい」
↓7位 棗凛「青い忍者」

他結果
↑2位 能美クドリャフカ「えきぞちっく(自称)なマスコット」
↓4位 宮沢謙吾「超必殺剣使用できません」

→11位 笹瀬川佐々美「できたてほやほやの石ころ
→13位 井ノ原真人「廃品回収行き」

今回はこの辺にして教室へ戻ろう。

続く



[22069] 第35話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:a88f9fcd
Date: 2012/08/05 01:57
BMG:密やかなさざめき

「-で、結果として彼は捕らえられ処刑されたわけだが、その時の絵が資料集の142ページのだ。ちょいとショッキングだから苦手な奴は注意な。で-」



休み時間。

「うぅー…」
「あれ、どうしたのクド、元気ないけど」
「わたし、ああいうの苦手なのです…」
「あー、さっきの絵か」

たしかにあの絵は女の子には少々ショッキングだったかもしれない。
思いっきり斬首されてたもんなぁ…。

「ところでさ、クド」
「はい、なんでしょう?」
「今日の英語の勉強だけどさ、真人も一緒でいいかな?」
「はい!勉強はみんなでやった方がいいのです」

とりあえず本人の了承も得られたし大丈夫だろう。
変な方向に脱線しなければいいけど。



昼休み。

「さて…」

食堂で何か買ってこようかな。

食堂は相変わらず人で賑わっていた。

BGM:駆ける

その中に、沙耶さんの姿があった。

「あ、沙耶さん」
「誰かと思えば理樹君じゃない。どうしたの?」
「いや、たまたま見かけたから」
「ふーん」
「これからお昼?」
「そうね。ただ人が多すぎて買えたものじゃないわ」
「まぁ、そうだね…」

ここの食堂は利用者の多い少ないの差が日によって激しい。
運悪く、今日は特に多い日だった。

「そうだ、理樹君。ゲームをしましょう」
「ゲーム?」
「そう。ここにさっきたまたま謙吾君がくれたパン無料券が2枚あるわ」

どういう意図で渡したんだろう。

「で、あのワゴンからより良いパンを持って帰ってきたほうの勝ち」
「なるほど。でもさ、折角勝負するんならさ」
「ん、なによ」
「何か見返りがあった方がよくない?」
「それもそうね。確かに勝敗を決するだけで見返りのない勝負なんて非生産的この上ないわね」
「かといって物をかけるのもどうかと思うし」
「そうね…そうだ、今あたしと理樹君のランキングが隣り合わせなわけでしょ?」
「うん」
「次のデュエルの先攻を賭けましょう」

なるほど。
確かにそれなら明確に損得が分かれたうえで金品の損得は生じない。

「わかった、それでいこう」
「それじゃ、先どっちから行く?」
「うーん、じゃ僕からでいいかな?」
「わかったわ」

人込みをかき分けパンのワゴンへ。

……

「取ってきたよ」
「どれどれ…」

僕が取ってきたのは焼きそばパン。
ある種定番メニューだ。

「可もなく不可もなくって感じねー。イマイチ面白みに欠けるわ」
「うん、僕もそう思う」
「それじゃ、次はあたしの番ね」

同じように沙耶さんもパンを取りに行く。
しばらくして。

「…」
「あ、お帰り沙耶さん。どうだった?」
「…たまたま掴んだのがこれだった…」

沙耶さんの手には、ふな寿司パイが握られていた。

「また珍しいものを取ってきたね…」
「ピンポイント過ぎるわよなんなのよこれ…」
「あれ、沙耶さんってふな寿司ダメなタイプ?」
「ダメも何ももう存在自体が不快。あんなもの食べ物じゃないわよ」

流石にそこまで言うと滋賀の人に悪い気もするが。

「とりあえず今回は理樹君の勝ちで良いわ。これあげる」
「あ」

ふな寿司パイを手に入れた!

「…」

真人に提供して見ようか。
…いや、後でいつもの変なドリンクの素材にされるだけだろうけど。

とりあえず昼食を終える。
さて…先攻も貰ったことだし沙耶さんとデュエルしようかな。

「沙耶さん、それじゃデュエルしようか」
「…そういえばランキング隣合わせだったわね。迂闊だったわ…」

BGM:勇壮なる戦い

5位「不発弾でした」朱鷺戸沙耶VS6位「地球にやさしい」直枝理樹

Turn1:理樹
手札5

「先攻は貰うよ、ドロー!手札の魔導書3枚を相手に見せ、魔導法士ジュノンを手札から特殊召喚!」

☆7 ATK2500 DEF2100
手札公開→トーラの魔導書、ヒュグロの魔導書、ネクロの魔導書

「カードを1枚伏せて、ターンエンド!」

手札4
伏せ1

Turn2:沙耶
手札5

「折角だし上位陣に挑む前の肩慣らしにさせてもらうわ!私のターン、ドロー!速攻魔法、サイクロンを発動!セットカードを破壊するわ!」
「リバースカードオープン!速攻魔法、トーラの魔導書!このターンジュノンは魔法カードの効果を受けない!」
「フィールド魔法、機動要塞フォルテシモ発動!1ターンに1度、手札から機皇兵1体を特殊召喚できる!機皇兵ワイゼル・アインを特殊召喚!」

☆4 ATK1800 DEF0

「さらに手札から機皇兵グランエル・アインを通常召喚!ワイゼル・アインとグランエル・アインは他の機皇1体につき100ポイント攻撃力をアップする!」

☆4 ATK1600→1700 DEF1200
機皇兵ワイゼル・アイン ATK1800→1900

「グランエル・アインの効果発動!このモンスターの召喚成功時、相手モンスター1体の攻撃力を半分にする!」

魔導法士ジュノン ATK2500→1250

「まだまだいくわよ!レベル4のグランエル・アインとワイゼル・アインをオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!ギアギガントX!」

ランク4 ATK2300 DEF1500 ORU2

「ギアギガントXの効果発動!このカードのオーバーレイユニットを1つ使い、デッキか墓地からレベル4以下の機械族モンスター1体を手札に加える!デッキから機皇兵スキエル・アインを手札に!」

発動コスト→機皇兵ワイゼル・アイン

「さらに魔法カード、二重召喚を発動!あたしはこのターンもう1度通常召喚を行うことができる!」
「えぇっ!?」
「機皇兵スキエル・アインを召喚!」

☆4 ATK1200 DEF1000

「そしてこのカードは自分フィールド上に機械族が存在する場合のみ発動できる!手札から魔法カード、アイアンコールを発動!墓地のレベル4以下の機械族モンスター1体を特殊召喚!ただし、この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化され、エンドフェイズに破壊される!」

機皇兵スキエル・アイン ATK1200→1400

「バトル!ワイゼル・アインでジュノンに攻撃!」
「ぐっ!」

戦闘破壊→魔導法士ジュノン
理樹 LP4000→3450

「スキエル・アインでダイレクトアタック!」
「うわっ!」

理樹 LP3450→2150

「とどめよ!ギアギガントXでダイレクトアタック!」
「うわぁぁぁぁぁ!」

理樹 LP2150→0

勝者:沙耶

「そうね、こんな称号はどうかしら」
「あわわ…」

理樹は「変な置物」の称号を手に入れた。

→5位:朱鷺戸沙耶「不発弾でした」
→6位:直枝理樹「変な置物」

BGM:駆ける

「あたしの勝ちね!」
「流石に引きが悪かったかなぁ」

最近どうも上級モンスターがダブついてしまう。
まだ特殊召喚できるジュノンがあっただけまだ良かったものの…。
とりあえず上級モンスターの配分を見直す必要がありそうだった。

続く



[22069] 第36話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:a88f9fcd
Date: 2013/07/09 00:45
BGM:密やかなさざめき

昼食を終えて教室に戻る。
見たところ、他にも何組かデュエルランキングを進めていたようだった。

ランキング変動
↑1位:能美クドリャフカ「デュエルランキング暫定王者」
↓2位:来ヶ谷唯湖「ふぃっしゅあんどちっぷすのおいしくない方」

↑8位:神北小毬「夢見る綿羊」
↓10位:西園美魚「かわいいふくろうさん」

クドが暫定トップに上り詰めていた。
来ヶ谷さんの甲虫装機をどうやって倒したのだろうか…。
とりあえず授業も始まることだし席に戻ろう。



午後の授業を終えて放課後。

「さてと…」

クド達はもう先に家庭科部室へ向かっているようだった。
僕たちも行こう。

BGM:少女たちの午後4時半

「あ、リキ!どうぞなのです」
「うっす、小毬もいんのか」

僕たちがついたころには、クドと小毬さんは既に勉強を始めていた。

「で、調子どう?」
「なんとか文章の大まかな意味は理解できたんですが、細かい文法がまだいまいちよくわからないですね…」
「どの文も基本は一緒だから、名詞と動詞をまず掴むようにすればいいと思うよー」
「そ、そーなのでしょうか?」
「うん。例えば、ここの文だね。that以降が関係詞で前の語を修飾してるから、ここから文末までを括って前のgardenに結べばいいんだよ。そうすれば、『しかし、彼は息子が手掛けた庭を目にすることなく息を引き取った』という文になるんだよ」
「なるほどー」
「それじゃぁ、こっちもおんなじように訳せるよー」
「やってみます」
「…真人、大丈夫?」
「だめだ、さっぱりわかんねぇ…」

テスト範囲の英文を丁寧に訳していく。
文法の再確認にもなるし、自分が覚え間違えていたところのチェックもできる。
何より小毬さんがいるのが心強かった。

そんなこんなで1時間が過ぎ。

「こんな感じかな。どう、クド?」
「はいっ!これだけ分かれば明日のテストもなんとかなりそうです!」
「…」
「…真人は…部屋帰ってからもうちょっと続きやろうか」
「あ、そぉだ。真人君にプレゼントなのですよー」
「ん、なんだこれ」
「教科書の参考書の問題集のコピーだよー。多分、この問題やっておけば大丈夫だとおもうから」
「おう、サンキュな」
「それなら井ノ原さん、私と一緒にやりませんか?」
「クー公とか?」
「はいです。自分がちゃんとわかってるかも確かめたいので」

確かに理にかなった方法だ。
なんだかんだでクドは頭が回る方なんだと思う。

「それじゃ僕らはあっちの部屋で待ってようか」
「そうだねー」

二人の邪魔をしないように、隣の部屋へ移る。
この家庭科部室は3つの部屋に分かれている。
和室が2つと、調理場。
普段は2つの和室の間の襖は開いていて繋がっているが、閉めれば完全に隔てられた空間となる。

「…さて、何しよう」
「別にあんまりやることもないよねー」

ふと、窓の外を見上げてみる。
丁度南館の端が見える。
その上に…何やら人影が。

「あれ、何してるんだろう?」
「んー?理樹君どうしたの?」

小毬さんもこっちに来た。

「いや、屋上に」
「屋上?あ、ほんとだー。何してるんだろうね?」

BGM:幻日

その瞬間だった。

一瞬、二人の時間が止まった。

飛び降りたのだ。
その影が。

「ッ…!」

正直な話、僕でも直に見るのは相当エグイ物があった。
だけど、それ以上に…。

「あ、あ、あっ、あ…あああっ…!」
「小毬さん!気をしっかり!」
「ど、どうしましたか、リキ!?」
「おい、どうしたんだよ小毬!?しっかりしろ!」

-壊れゆく心-

「!?」

今、一瞬脳裏に強烈なビジョンが浮かんだ。
これはまさか…あの『世界』での出来事…?

「真人、クド、小毬さんをお願い」
「おい、どこ行くんだよ理樹!」

確かめないと。
あの影の正体を。

「…落ちたのはこの辺りだよね…?」

校舎の側面を探る。
どこだ…?

いくら探してもそれらしき影は見当たらない。
それなら、僕たちが見たものは一体何だったんだ?
その時、携帯が鳴る。
真人からだ。

「どうしたの、真人?」
「どうしたもこうしたもねぇ!小毬の奴が突然走って出て行きやがった!クドが今追いかけてる!早く合流してやってくれ!」
「わ、わかった!今どのあたり!?」
「多分校門の方に向かってるはずだ!」
「わかった、ありがとう!」

とにかく追いかけよう。

校舎前で小毬さんを見つける。
クドとストレルカが何とか足止めをしていた。

「ど、どこ行くのさ小毬さん!?」
「行かなきゃ…」
「行く!?」
「おにいちゃんのところに…」
「え!?」

-コマリ…-

「っ!?」

頭の中に声が響く。
それも、割れるように響く声。

「おにいちゃん…」
「まさか、あなたは…」

…ここで僕は一つの答えにたどりついた。

「神北拓也さん…ですか?」
「かみきた…たくや…さん?」

-ソウダケド…キミハ?-

「僕は直枝理樹っていいます。小毬さんのクラスメイトです」

-ト、イウコトハ…コマリノトモダチナノカイ?-

「まぁ、そんなところです」

-ソウカ…ヨカッタ-

「いい友達を持ったみたいだ」

いつものように影が姿を表し、形を変えていく。
小毬さんと同じ髪色。
小毬さんと同じ色の瞳。
小毬さんのお兄さん…神北拓也さんの姿に。

「…あいつめ、余計なことを…すまない、直枝君。本当はこうなるはずじゃなかったんだ」
「…どういうことですか?」
「小次郎爺ちゃんに昔聞いたことがあるんだ。こまり婆ちゃんの病気の事」
「こまり…?」
「あぁ、そうか。俺の妹と祖母は同じ「こまり」って名前なんだ。で、本題に戻るけど…やっぱり「同じ」だったみたいだね」
「同じってまさか、小毬さんの?」
「あぁ。恐らく小毬は…死を受け入れることができない」
「それって…」

徐々に思い出してくる。
小毬さんの「悩み」。
それは…死を受け入れられない事。
人や動物の死を目にすると、錯乱状態に陥ってしまうという。

「俺は小毬に俺の死を受け入れてもらいたかったんだ。俺と戦い、対話することで。でも…」
「でも…?」
「君達もそろそろ感づいてるんじゃないかな?特に直枝君、君なんかは。この一連の事件には黒幕が存在する」
「黒幕…って、まさか…あの声の?」
「…君の言う声が『夢の中の声』なら正解だ」
「なら、拓也さんは何か知っているんですか!?」
「…すまない、どうやら時間のようだ。だがその前に…!」

その瞬間、拓也さんの目から光が消える。
と、同時に小毬さんにも変化が。

「あれ、私…何してたんだろ?」
「小毬さん!大丈夫!?」
「あ、うん。でもどうしたの?」
「小毬…」

拓也さんが虚ろな目でデッキを構える。

「…どうやら小毬さんの戦う相手みたいだね」
「なんだろう…私と似てる気がする…」

まさか、小毬さんは拓也さんのことを…?

「よぉしっ!それじゃー!」

「「デュエル!」」

続く



[22069] 第37話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:a88f9fcd
Date: 2013/07/09 00:44
BGM:勇壮なる戦い

Turn1:小毬
手札5

「私のターン、ドロォー!マドルチェ・マジョレーヌを召喚!」

☆4 ATK1400 DEF1200

「小毬さん、いつの間に新しいデッキを!?」
「昨日宮沢さんからカードを分けてもらったそうですよー」

「マジョレーヌの効果発動ぉ!デッキからマドルチェ・メッセンジェラートを手札に加えるよー。カードを1枚伏せて、ターンエンド!」

手札5
伏せ1

Turn2:拓也
手札5

「俺のターン、ドロー。おろかな埋葬を発動。デッキからヘルウェイ・パトロールを墓地へ送る。さらに手札から魔法カード、トレード・インを発動。手札のヘ闇の侯爵ベリアルを墓地へ送り、2枚ドロー。永続魔法、デビルズ・サンクチュアリを発動。場にメタルデビルトークンを特殊召喚する」

☆1 ATK0 DEF0

「メタルデビルトークンをリリースし、死霊操りしパペット・マスターをアドバンス召喚」

☆6 ATK0 DEF0

「死霊操りしパペットマスターの効果発動。このモンスターのアドバンス召喚に成功したとき、2000ライフを払うことで墓地の悪魔族モンスター2体を特殊召喚する。闇の侯爵ベリアル」

☆8 ATK2800 DEF2400

「ヘルウェイ・パトロール」

☆4 ATK1600 DEF1200

拓也 LP4000→2000

「手札から魔法カード、ギャラクシー・クィーンズ・ライトを発動。場のモンスターのレベルを全て8にする」

「レベル8のもんすたーが3体ですか…」
「一体何をする気なんだ…?」

「レベル8のベリアル、パペットマスター、ヘルウェイ・パトロールをオーバーレイ。3体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築。エクシーズ召喚。現れよNo.88 ギミック・パペット-デステニー・レオ」

ランク8 ATK3200 DEF2300 ORU3

「デステニー・レオのモンスター効果。自分の魔法・罠ゾーンにカードが存在しない場合、このカードのオーバーレイユニットを1つ使いこのカードにデステニーカウンターを1つ置く。そしてこのデステニーカウンターが3つになった時、僕はデュエルに勝利する」

発動コスト:闇の侯爵ベリアル

「特殊勝利モンスター!?」
「し、しかもすっごく強いのです!」

「カードを1枚伏せターンエンド」

手札2
伏せ1

Turn3:小毬
手札5
伏せ1

「いっくよー、私のターン、ドロー!マドルチェ・ミィルフィーヤを召喚!」

☆3 ATK500 DEF300

「マドルチェ・ミィルフィーヤの効果発動ぉー!手札からマドルチェと名のついたモンスター1体を特殊召喚っ!マドルチェ・プディンセスを特殊召喚するよー!」

☆5 ATK1000 DEF1000

「プディンセスは墓地にモンスターが1枚もないとき、攻撃力が800ポイントアップ!」

マドルチェ・プディンセス ATK1000→1800

ここは自爆特攻でもデステニー・レオを倒さないと!

「マドルチェ・プディンセスでデステニー・レオに攻撃っ!」

「プディンセスの効果は戦闘を行ったモンスターを破壊する効果!これなら攻撃力に劣るプディンセスでもあいつを倒せる!」
「それと残りのもんすたーの攻撃力の合計が2100だから、小毬さんの勝ちです!」

「速攻魔法発動、禁じられた聖衣。モンスター1体の攻撃力を600ポイントダウンさせ、このターンカードの効果の対象にならずカードの効果で破壊されない」

No.88 ギミック・パペット-デステニー・レオ ATK3200→2600

「あうぅっ!」

小毬 LP4000→3200
戦闘破壊:マドルチェ・プディンセス

「っ…プディンセスは相手に破壊されたとき、デッキに戻る…!」

「これじゃプディンセスの破壊効果で倒せない…!」

「う…ターンエンド」

手札3
伏せ1
No.88 ギミック・パペット-デステニー・レオ ATK2600→3200


Turn4:拓也
手札2

「俺のターン、ドロー。デステニー・レオの効果発動。デステニーカウンターを1つ置く」

発動コスト:ヘルウェイ・パトロール

「あと一つか…」
「つ、次のたーんで3つ溜まっちゃうのです…」


「魔法カード、死者蘇生を発動。闇の侯爵ベリアルを特殊召喚。このカードが場に存在する限り、相手は闇の侯爵ベリアル以外のモンスターを攻撃対象に選択できず、魔法・罠の効果の対象にできない。そしてカードガードを召喚」

☆4 ATK1600 DEF500

「このカードの召喚に成功したとき、このカードにガードカウンターを1つ置く。そしてこのカードのガードカウンターを1つ取り除き、自分のモンスター1体にガードカウンターを1つ置く。ガードカウンターはモンスターが破壊される時、その身代わりとなる。ベリアルにガードカウンターを」

闇の侯爵ベリアル ガードカウンター1

「俺はこれでターンエンド」

手札2

Turn5:小毬
手札3
伏せ1

「小毬」
「えっ」
「…いや、何でもない。デュエルを続けよう」

「拓也さん、今一体何を…?」

「わ、私のターン、ドロー!」

BGM:死闘は凛前なりて

「お願いっ!罠発動、マドルチェ・ハッピーフェスタ!手札からマドルチェを任意の枚数特召喚するっ!マドルチェ・メッセンジェラート!」

☆4 ATK1600 DEF1000

「マドルチェ・メェプル!」

☆4 ATK0 DEF1800

「マドルチェ・マーマメイド!」

☆4 ATK800 DEF2000

「メッセンジェラートの効果発動!自分フィールド上に獣族のマドルチェがいるときにこのモンスターの特殊召喚に成功したら、デッキからマドルチェの魔法・罠カード1枚を手札に加えることができる!マドルチェ・シャトーを手札に!そしてフィールド魔法、マドルチェ・シャトーを発動!このフィールド魔法が存在する限りっ!私のマドルチェは墓地からデッキに戻るとき、代わりに手札に戻すことができる!そしてこのカードが場にある限り、私のマドルチェの攻撃力と守備力は500ポイントアップする!」

マドルチェ・マジョレーヌ ATK1400→1900 DEF1200→1700
マドルチェ・ミィルフィーヤ ATK500→1000 DEF300→800
マドルチェ・メッセンジェラート ATK1600→2100 DEF1000→1500
マドルチェ・メェプル ATK0→500 DEF1800→2300
マドルチェ・マーマメイド ATK800→1300 DEF2000→2500

「一気にもんすたーが増えました!」
「でもデステニー・レオはまだ突破できない…!」

「レベル4のマーマメイドとマジョレーヌでオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!クィーンマドルチェ・ティアラミス!」

ランク4 ATK2200→2700 DEF2100→2600 ORU2

「ティアラミスの効果発動!このカードのオーバーレイユニットを1つ使い、墓地のマドルチェ2枚をデッキに戻して発動!戻した枚数まで相手フィールド上のカードを手札に戻す!」

発動コスト→マドルチェ・マジョレーヌ

「マドルチェ・ハッピーフェスタとマドルチェ・マジョレーヌをデッキに戻して効果発動!この時、マジョレーヌはシャトーの効果で手札にっ!そしてカードガードとベリアルをデッキに戻すよ!」

デッキバウンス→闇の侯爵ベリアル、カードガード

「マドルチェ・マジョレーヌを召喚!デッキからマドルチェ・バトラスクを手札に!そしてレベル4のマジョレーヌとメッセンジェラートをオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!妖精王アルヴェルド!」

ランク4 ATK2300 DEF1400 ORU2

「アルヴェルドの効果発動!このカードのオーバーレイユニットを1つ使い、場の地属性以外のモンスターの攻撃力と守備力を500ポイントダウンさせるよ!」

発動コスト→マドルチェ・メッセンジェラート
No.88 ギミック・パペット-デステニー・レオ ATK3200→2700 DEF2300→1800

「レベル3のメェプルとミィルフィーヤをオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!No.20 蟻岩土ブリリアント!」

ランク3 ATK1800 DEF1800 ORU2

「ブリリアントの効果発動!このカードのオーバーレイユニットを1つ使って、自分のモンスター全ての攻撃力を300ポイントアップさせる!」

クィーンマドルチェ・ティアラミス ATK2700→3000
妖精王アルヴェルド ATK2500→2800
No.20 蟻岩土ブリリアント ATK1800→2100

「バトル!ティアラミスでデステニー・レオに攻撃!」
「…」

戦闘破壊→No.88 ギミック・パペット-デステニー・レオ
拓也 LP2000→1700

「アルヴェルドで、ダイレクトアタック!」
「そうだ、それで、いいんだ…」

拓也 LP1700→0

勝者:小毬

BGM:Little Melody

「…お別れだ、小毬。最も、俺のことなんか…」
「ううん、ちゃんと覚えてるよ、お兄ちゃん…」
「え…」
「…ううん、正しくは、今思い出した、かな。いままでずっと忘れてて…ごめんね…」
「…悪いのは俺の方さ。小毬を置いて先に死んでしまった。でも安心したよ。いい友達を持ったみたいだ」
「拓也さん…」
「直枝君、それと…」
「あ、申し遅れました。能美クドリャフカです」
「能美さん、小毬のこと、よろしく頼むよ。甘えん坊で泣き虫だけど、芯は誰よりも強い子だ」
「…はい」
「それじゃ、小毬。今度こそちゃんとお別れを言えるよ。さよなら…元気で」

消えていく拓也さんの頬には、一筋の涙が流れているのが見えた。

「お兄ちゃん…」

続く



[22069] 第38話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:a88f9fcd
Date: 2012/12/19 01:45
11月15日 木曜日

BGM:目覚めた朝に

目が覚める。
なんだかんだであの後部屋に戻ってすぐに寝てしまった。
夕食も食べていないものだからお腹が空いて仕方がない。
真人がもういないけど…今日もクドとランニングだろうか。
とりあえず食堂へ行こう。

食堂に行くと鈴と沙耶さんが。
また珍しい組み合わせだな…。

「おはよう、鈴、沙耶さん」
「おはよう」
「あら、おはよう、理樹くん」

とりあえず朝食を持って席に着く。

「ん?今日はパンじゃないのか?」
「昨日夕食食べないまま寝ちゃったからお腹が空いててね…」

真人ではないが、朝から定食を頼んでいた。
最も、軽めの和風焼き魚定食だけど。

「…で、沙耶さんのそれは…焼きサンマパン?」
「そうだけど、どうしたの?」

焼きサンマパン。
この時期になると時折購買に置かれる謎メニューの一つ。
ふな寿司パイ、シシャモ冷麺に並ぶこの学校の三大謎魚メニューの一つである。
焼いたサンマをそのままパンで包んでいる物だからでかいのなんの。
小骨とか刺さらないのかな…。
…というか、

「沙耶さん、魚大丈夫なの?」
「大丈夫って?あたし魚は好きだけど」
「じゃあ、この間のは?」
「…ふな寿司だけは例外。あれは無理」

あ、そういうことか…。

「そーいえば理樹、昨日はるかから変な話を聞いた」
「変な話?」
「なんでも…この学校の地下には巨大な迷宮が広がっているらしい」
「えぇー…」

それって、例の家具部室に向かうあの迷路じみた通路の事なんじゃ?

「そしてその奥には、伝説の秘宝が眠っている、ってか?」
「あ、恭介、おはよう」
「うっす」
「地下迷宮、秘宝…」
「あれ、どうしたの、沙耶さん?」
「あ、ううん、なんでもない」

Phase:沙耶
…まさか、ね…。

Phase:理樹

とりあえず、朝食も終えたことだし教室へ向かおう。

BGM:騒がし乙女の憂愁

「やーやー、おはよーガイズ」
「あ、葉留佳さん、おはよう」
「ねーねー聞きました?例の噂話?」
「地下迷宮のこと?鈴から聞いたけど」
「おー」
「…それ、どこ情報よ」

真人が問う。

「いやー、それが実はですね」
「実は…何だよ」
「お姉ちゃん情報なのですよ、実は」
「…は?」
「…え?」
「…ん?」

横で聞いていた鈴も首をかしげている。

「えーっとよ、三枝」
「ん、何?真人くん?」
「それマジで言ってんのか?」
「うん、マジ」
「マジのマジか?」
「マジのマジ」
「マジか…」
「マジですよ」

なんでも、風紀委員をはじめ委員会の間で古くからある噂話らしい。

「確かにこの辺って史跡多いからその上に立ってるって可能性も無くは無いんだろうけど…地下迷宮って、ねぇ」
「正直な話、お姉ちゃんからそんな話題が出てきたことがびっくりなのですヨ」
「まぁ、そうだね…」

一学期のころの二木さんのイメージだと、冗談や噂話なんて絶対口にしないようなイメージだった。
風紀委員を辞めてからは確かに丸くなってきてたけど…流石に最近の二木さんの行動や言動が読めない。
…やっぱり双子なんだな、この二人。

「っとー、そろそろ時間だから戻るね」
「あ、うん」
「よーっし、そんじゃホームルーム始めるぞー」

担任が入ってきた。
とりあえず席に戻ろう。

BGM:密やかなさざめき



1限目が終わる。

「さて…」

BGM:勇壮なる戦い

強いやつを求めて校内をさまよってみよう。

謙吾(4位)と遭遇。

「謙吾、デュエルだ!」
「いいだろう、受けて立つ」

4位「超必殺剣使用できません」宮沢謙吾VS6位「変な置物」直枝理樹
Turn1:謙吾
手札5

「俺のターン、ドロー。機甲部隊の最前線を発動。さらに手札から、可変機獣ガンナードラゴンをリリースなしで召喚。この効果で召喚したとき、こいつの攻守は半分になる」

☆7 ATK2800→1400 DEF2000→1000

「カードを1枚伏せてターンエンドだ」

手札3
伏せ1

Turn2:理樹
手札5

「僕のターン、ドロー!召喚僧サモンプリーストを召喚!」

☆4 ATK800 DEF1600

「サモンプリーストの効果発動!手札の魔法カード1枚を墓地に送り、デッキからレベル4モンスターを特殊召喚する!魔導戦士フォルスを召喚!」

☆4 ATK1500 DEF1400
墓地→ヒュグロの魔導書

「手札を1枚捨て、THE トリッキーを特殊召喚!」

☆5 ATK2000 DEF1000
墓地→魔導老子エアミット

「フォルスの効果発動!墓地のヒュグロの魔導書をデッキに戻し、サモンプリーストのレベルを1上げる!」

召喚僧サモンプリースト ☆4→5

「レベル5のトリッキーとサモンプリーストでオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!No.61 ヴォルカザウルス!」

ランク5 ATK2500 DEF1000 ORU2

「ヴォルカザウルスの効果発動!エクシーズ素材を一つ取り除き…」
「罠発動、デモンズ・チェーン!相手の効果モンスター1体の攻撃と表示形式の変更を封じ、そしてモンスター効果を無効にする!」
「それなら、ヴォルカザウルスをエクシーズ素材にして迅雷の騎士ガイアドラグーンをエクシーズ召喚!」

ランク7 ATK2600 DEF2100

「バトル!ガイアドラグーンでガンナードラゴンに攻撃!」
「ぬっ…!」

謙吾 LP4000→2800

「機甲部隊の最前線の効果発動!自分の機械族モンスターが戦闘で破壊されたとき、デッキから破壊されたモンスターの攻撃力以下の攻撃力を持つ同じ属性の機械族モンスターを特殊召喚する!俺はリボルバードラゴンを召喚する!」

☆7 ATK2600 DEF2200

「くっ、カードを1枚伏せてターンエンド」

手札1
伏せ1

Turn3:謙吾
手札3

「俺のターン、ドロー!リボルバー・ドラゴンのモンスター効果発動!相手モンスター1体を指定してコイントスを3回行い、2回以上表ならそのモンスターを破壊する!俺はガイアドラグーンを指定する!」

コイントスの結果は…表裏裏。

「失敗か…ならバトルだ!リボルバー・ドラゴンでフォルスに攻撃!」
「罠発動、聖なるバリア-ミラーフォース!」
「何っ!?」

効果破壊→リボルバー・ドラゴン

「くっ、ターンエンドだ」

手札4

Turn4:理樹
手札1

「僕のターン、ドロー!バトル!ガイアドラグーンでダイレクトアタック!」

謙吾 LP2800→200

「フォルスでダイレクトアタック!」
「…」

謙吾 LP200→0

「うーん、意味のない二つの単語を組み合わせてみよう」
「仕方ない、か」

謙吾は「柔らかいエリマキトカゲ」の称号を手に入れた。

↑4位:直枝理樹「変な置物」
↓6位:宮沢謙吾「柔らかいエリマキトカゲ」

さて、そろそろ教室に戻ろう。

BGM:密やかなさざめき



2時間目を終えて休み時間。
次の時間は例の小テストだ。
クドは…あの様子だと心配はなさそうかな。



「よーし、そろそろ終わっただろ、後ろの奴悪いが回収してきてくれ」



BGM:えきぞちっく・といぼっくす

休み時間。

「どうだった、クド?」
「あ、はい。昨日の勉強のおかげでなんとかできました!」
「そっか、良かった」
「リキはどうでしたか?」
「僕?まぁ普通かな」

実は回収が始まってから1か所だけスペルミスがあることに気付いたのだが、時既に遅し。
…まぁ多分そこだけだと思うし大丈夫だとは思うけど。

「…で」

真人の方に目をやると、思いっきり項垂れていた。

「井ノ原さん、大丈夫でしょーか…?」
「まぁ、真人は後で慰めておくよ」
「あ、そーいえばリキ、話は変わるのですが」
「ん、どうしたの?」
「地下迷宮の噂、聞きましたか?部長さんが何やら面白そうにはなしてくれたのですが」
「あー…」

もう凄く納得の経路だった。
この手の話絶対好きだもんあの人。
なんとなくその辺のベクトルは恭介に近いのかもしれない。

BGM:駆ける

「ん、何の話?」
「あ、沙耶さん」
「朱鷺戸さん朱鷺戸さん!地下迷宮の噂、聞きましたか!?」
「地下迷宮?あー、そういえば朝の。なんか凄いお宝が眠ってるか持って言う?」
「あ、はいです」
「…調べてみる価値、ホントにあるかもしれないわね」
「え?」
「さて、そろそろ授業始まるし、戻りましょうか」
「あ、うん」

続く



[22069] 第39話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:a88f9fcd
Date: 2012/08/22 23:58
BGM:密やかなさざめき

昼休み。
たまには中庭にでも行ってみようかな。

BGM:光に寄せて

「あ、やっぱりここにいた」

いつものように、木陰に西園さんがいた。

「隣、良いかな」
「はい」

隣に座る。
裏庭には秋の風が吹き抜ける。
木々も色付き、冬ももうそう遠くない。
でも、この木陰は変わらなかった。

「ここに二人で座るのも久しぶりだね」
「はい」

…少し時間をおいて。

「直枝さん」
「ん、どうしたの?」
「白鳥は 哀しからずや 空のあを 海のあをにも 染まずただよふ」
「…短歌?」
「聞き覚えは…無いでしょうか?」
「いや…」
「そうですか」

そう言う西園さんの顔は少し寂しそうだった。

「…もしかして、あの『世界』での?」
「どうでしょうか。私にもよくわかりません」
「そう…」
「それともう一つ」
「ん、どうしたの?」
「これを…持っていてほしいんです」

そう言って渡されたのは、一冊の文庫本。

「これが、どうしたの?」
「…私がもし私でなくなったら…もし、あの子が私になったなら…」
「え…?」
「…いえ、なんでもありません」

あの子?
どういうことなのだろうか。
…ダメだ。
何か引っかかっているはずなのに、思い出せない。
すると。

BGM:心色綺想曲

「おや、理樹君と美魚君ではないか」
「あ、来ヶ谷さん」

来ヶ谷さんの姿が。

「木陰の男女二人か。なかなか乙なものではないか」
「いやいや」
「私も混ぜろ」
「えー」
「私は構いませんよ」
「だ、そうだ」
「別にいいけどさ…」

何故か二人に挟まれる形になる。

「おや、理樹君、何か不満そうだな?」
「いや、別にそんなことは無いけど」
「普通ならこの状況は喜ぶべきだと思うぞ?女子二人に囲まれて、むひょっす最高だぜ!とか叫んでみるといい」
「いや、叫ばないから」
「私としては…」
「?」
「…いえ、なんでもありません」
「しかし、いつもの場所も良いがこうして少し場所を変えてみるのも良いものだな。地理的位置はさほど変わらないはずなのに、こうも違って見えるとは」
「そうだね」
「ばう!」
「あれ、ストレルカ?」

BGM:かけっこ

と、いうことは。

「あ、リキ!」
「あら、直枝じゃない。そんなところで何してるの?」

予想だにしないタイミングで元凶が現れた。

「丁度良いところに来た。クドリャフカ君も佳奈多君もこっちへ来るがいい」
「どうしましょう?」
「別に用事もないしね…まぁ、たまにはいいかしら」

二人だけのはずだった木陰はいつの間にか大所帯になっていた。

「どういうことなの…」

どうでも良い雑談がしばらく続き。

「あ、そういえば二木さん」
「どうしたの、直枝?」
「例の地下迷宮の噂なんだけど…」
「…葉留佳に話したの失敗だったかしらね…」
「え、どういうこと?」
「葉留佳君にその手の話をするとたちまち学校中に広がると思うぞ」
「そうよね…」
「その話、そろそろ全員に行きわたったか?」
「あ、恭介」
「ってなんだ理樹、両手に花どころか両手両足に花状態じゃねぇか。うらやましいぜ」
「いやいやいや…で、どうしたの?」
「っと、そうだった。今日の夜、地下迷宮探索ミッションを行う!」
「えー…」
「参加不参加は自由だが、できるだけ連れてこいよ?じゃな」

そういうと恭介は去って行った。

「…あいかわらずね」
「ま、あの強引さが彼の魅力なのかもしれないがな」
「そろそろ昼休みも終わりますし、戻りましょうか」

時計を見るとそろそろいい時間だった。
教室へ戻ろう。

BGM:密やかなさざめき



5限目が終わって休み時間。
特にすることもないし、次の授業の予習でもしておこう。
ふと教室の前の方を見てみると、小毬さんと鈴、沙耶さんに来ヶ谷さんの4人で何やら話をしていた。
…地下迷宮の話なんだろうか…。



放課後。
今日は久々にみんなで練習だ。

「理樹、練習行こうぜ」
「うん」

BGM:デーゲーム

いつも通り練習を続けていると…。

「ふんっ!」

バシュゥゥゥゥッ!
ズドォン!

「え、えぇっ!?」

…何だ今のボール。
もはや視認すらできなかった。
そして後ろを見ると、木にボールが突き刺さっていた。

「きょ、恭介、今のやつ速度測ってたか?」
「あ、あぁ…」

そう言って恭介の持っていたスピードガンの数値をのぞいてみる。

「じ、時速300キロ…」
「新幹線並みじゃねぇかこれ…」
「あぁ…正直、ありえねぇ。よし、この球はライジングニャットボールを超えたライジングニャットボール…ライジングアルティメットニャットボールと命名しよう」
「ん?そこはアルティメットライジングニャットボールじゃねぇのか?」
「いや、そこであえてのライジングアルティメットニャットボールだ」
「まぁ、何でもいいけどよ」

鈴はライジングアルティメットニャットボールを習得した!



「ふー、いい汗かいたな」

BGM:スローカーブ

「全員集合」

恭介の号令でみんなが集まる。

「皆、例の話はもう聞いてるか?」
「地下迷宮の話か?」
「あぁ。さっき何人かには言ったが、改めて通達しておく。今日の夜、地下迷宮の探索を行う」
「だが恭介氏、一ついいか」
「ん、どうした来ヶ谷」
「その地下迷宮と言うのも、佳奈多君がたまたま持ちこんだ噂話でしかないのだろう?実在するのかどうかすらあやしい代物なのではないか?」
「いや、だからこそだ」
「というと?」
「噂の真相を確かめる、それが面白いんじゃねぇか。別にあるかないかってのは些細な問題に過ぎねぇよ」
「なるほど、そういう捉え方もあるな」
「と、言うわけで飯食ってから渡り廊下集合な。時間は…7時くらいでいいだろ」
「懐中電灯か何か持って行った方がいいんじゃない?」
「お、そうだな。ナイス朱鷺戸。ってわけだ。遅れんなよ?」

一度解散し、後でまた集まることとなった。



夕食を終え、一度部屋に戻る。

「懐中電灯ってあったかな?」

戸棚の中を調べてみる。
大分前に買った物だが、非常用の懐中電灯が2つ出てきた。
電池も丁度使ってない物があった。
準備もできたしそろそろ向かおう。

続く



[22069] 第40話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:a88f9fcd
Date: 2012/12/19 01:52
BGM:少女たちの午後4時半

「全員そろったな」

丁度7時を回ったころに全員がそろう。
前に夜こうして集まったのは肝試しの時だろうか。
その時に比べるとさらにメンバーが増えてるわけだけども。

「理樹、そっち持ってくれ」
「あ、うん」

いつもの要領で台紙を広げていく。

「第1回!噂は一体嘘か真か!?地下迷宮探索!ひゅーひゅー!」

相変わらず恭介一人だけやけにテンションが高かった。

「うおっしゃー!」

…前言撤回。
なぜか沙耶さんも妙に張り切っていた。

「しかしだな、恭介」
「ん、どうした謙吾」
「行くのは良いんだが、探すあてはあるのか?」
「正直に言おう、無い」
「えー」
「佳奈多君、例の話で何か手掛かりになるようなものは無いのか?」
「手掛かりって言われても…地下迷宮なら入り口は必然的に1階にあると思うけど」
「他には?」
「他…ごめんなさい、そこまではわからないわ」
「ふむ」
「で、どうするんだ恭介?手掛かりが無いままだと夜が明けてしまうぞ?」
「あのー」
「ん、どうした、能美?」
「部長さんの言うには、南校舎の空き教室に何かあるって噂があるそうなんですけど、何か関係ないでしょうか?」
「そういえばあったわね、そんな話」
「決まりだな。とりあえずそこを当たって見よう」

空き教室に着く。
この部屋はもう2年くらい使われていないらしい。
教室の中には他の教室同様机と椅子が並べられているが、どれも埃を被っている。
そして何よりも、微妙に平衡感覚が狂うようで気持ち悪い。

「いかにも怪しそうな雰囲気だな」
「でも、見たところ特に入口らしいものは見当たらないけど…」
「ん、何かしら」

沙耶さんが何かを見つけたようだ。

「ん、さや、なんだそれ?」
「何かのメモみたい。…なんで古代神官文字で書かれてるのかしら」
「な、なんだ?そのこだいしんかんもじって」
「ヒエラティックテキスト。古代エジプトで使われていた文字ね。ナポレオンがエジプト遠征で持ちかえったロゼッタストーンによって解読されたと言われているわ」
「うーみゅ、なんのことか全くわからん…」
「で、なんて書いてあるの?」
「はるちゃん、いくらさやちゃんでも…」
「『我の墓標をここに示せ。さすれば至宝へ続く道への扉開かれん』って書いてあるわね」

…え?

「よ、読めんのか朱鷺戸!?」
「まぁね」
「すげぇ…」
「でもさ、墓標って何のことだろう?」
「簡単な話よ。エジプトでお墓って言ったら?」
「あ、ピラミッド?」
「そう。それと、みんな気付かない?ここの床、少し沈むわよ」

確かに、足元に変な感じはしていたが床が沈んでいたせいだったとは。

「なら、この机でピラミッドを作ればいいんだな?」
「そういうこと。みんな、手伝って」

沙耶さんの指示の元、ピラミッドを組み上げていく。
すると、ガゴン、という音と共に教室の後ろの黒板が開き入口が。

「まさかこれって…」
「地下迷宮の入り口…ですの?」
「恐らくそうだな。よし、みんな懐中電灯は持ってきてるな?」
「で、どういう順番で入るんだ?」
「とりあえず俺らが最初だろう」

入口の高さは存外低く、四つん這いにならないと通れなさそうだった。

「…流石にこの道で女子の後につくのは色々とアレだろうからな」
「確かにな…」

恭介を先頭に、中へ入っていく。

「お、ここから降りられるぞ」

少し進むと突き当たりに梯子が。
そしてその梯子を下ると何やら広い空間に出た。

BGM:Thinking time

[地下1階]

「驚いた。まさか学校の下にこんな場所があったなんてな」

懐中電灯で辺りを照らしてみる。
四方はコンクリートの壁で囲まれている。
部屋自体はほぼ立方体のような作りになっているようだ。

そして皆が揃う。

「…さて、どうしたものか」
「とりあえず、迂闊な行動はしない方がいいわね」
「確かにな。一体何があるか分かったものじゃねぇからな」

一方で。

「りんちゃーん」
「ん、どうした?こまりちゃん」
「キャンディはいかがですか?」
「お、うまそうだな。ひとつもらおう」
「小毬さんっ、私にも一ついただけませんか?」
「はい。クーちゃんもどうぞー」
「ありがとうなのですっ!」

「なんか、緊張感無いというか」
「ま、良いんじゃねぇか?」
「…ところでよ、西園」
「どうしました?井ノ原さん」
「なんでお前フル装備なんだよ」

正直今真人が指摘して初めて気づいたんだけど、西園さんは全身に何やら武器のようなものを身に着けていた。

「それって、科学部の?」
「はい。以前頂いたものですが。NYPレーザーブレードにNYPリボルバー、NYPランチャーとNYPスカウターです」
「なんかよ、恭介の持ってる漫画に出てきそうな武器ばっかだな」
「あー」
「ちなみに全て合体させるとNYPメガバスターキャノンになります」
「えー…で、来ヶ谷さんのは?」
「これか?前に見せたことがあったと思うのだが」

一方で来ヶ谷さんは日本刀を一振り持っていた。

「何、模造刀だ。切れはしないが打撃武器にはなるだろう」
「わたくしも一応バットを1本持ってまいりましたが、役に立ちますでしょうか?」
「いやいやいや…」

なんでこの人たちは戦闘する気満々なんだろうか。

「皆、聞いてくれ」

恭介が一言。

「どうやら、あれが奥に進む扉らしい。とりあえず進むが、くれぐれも慎重にな」

部屋の一角に鉄の扉があった。
それを開け、進んでいく。



「分かれ道か」
「どっちへ進んだらいいんだろう…?」
「多分だけど…どっちかが正しい道で、もう一方にはトラップか何か仕掛けてあるんじゃないかしら」
「トラップ?」
「えぇ。この手の迷宮にはトラップが付き物でしょ?」
「まぁ、確かに…」
「で、どうするんだ?」
「俺は真っ直ぐ進んだ方がいいと思うぜ!」

真人。

「俺は曲がった方がいいと思う」

謙吾。

「いきなり意見が割れたね…」
「どうする?」
「ここは多数決で決めましょう」
「そうだな。あの二人じゃ言い合ってもきりがねぇ。じゃ、真っ直ぐ進むべきだと思う奴」

真人一人。

「曲がるべきだと思う奴」

他全員。

「おい!どういうことだこりゃぁよ!」
「信頼の差、という奴ではないか?」
「くそぉ、ここでもこんな扱いかよ…」

とりあえず多数決の結果右折して進むことに。



通路の突き当たりの扉に着く。

「入るぞ」
「トラップがあるかもしれないから、くれぐれも気をつけてね…」

奥へと進んでいく。

「これは…なんだ?」

部屋の中央には石でできたテーブルが。

「な、なんなのでしょうかこれは…?」

よく見ると、テーブルに向かい合うようにして、部屋の奥に石像があった。
…それも「アステカの石像」が。

「なんでアステカの石像なんだ…」
「ん、なんだ?そのアステカの石像って」
「レベル4、地属性、岩石族、攻撃力300、守備力2000。守備表示で相手に与える戦闘ダメージを倍にするカードだね」
「へー」
「しっかしよくできてんな。カードの絵まんまだぜ」
「だが、これがどんな意味を持っているというのだ?」
「恐らく、これが下の階に進むための仕掛けってわけね」
「どういうことだ?」
「テーブルを見てみて」
「どういうこと?」
「いいから」

言われる通りテーブルを見てみる。
よく見るとカードが置かれていた。

「なるほど、詰めデュエルか」
「そう。その詰めデュエルが下の階に進むための鍵ってわけ」

詰めデュエルの内容はこうだった。

相手:LP2000
場:アステカの石像(守備)×3、伏せカード×2

自分:LP700
場:レッド・デーモンズ・ドラゴン、バイス・ドラゴン
伏せ:スカーレッド・カーペット
手札:死者蘇生、炎龍
墓地:バリア・リゾネーター、ウォール・リゾネーター、ダーク・リゾネーター
エクストラ:任意

条件:このターン中に勝利せよ

「ぱっと見、大分簡単だな」
「てゆーかよ、こうすりゃ終わりじゃねぇか」
「あ、ちょっと待って真人!」

真人チャレンジ!

「バトル!レッド・デーモンズ・ドラゴンでアステカの石像に攻撃!」
『罠カード、聖なるバリア-ミラーフォースを発動します』
「へ?」
『相手の攻撃表示モンスターをすべて破壊します』
「うおーーーっ!」

チャレンジ失敗!

「ある意味でぶれないな、君は」
「僕のミラーフォースに突っ込んできたり」
「私の魔法の筒に突っ込んできたり」
「す、少しは攻撃反応系罠を警戒した方がいいと思うのです」
「いや、でも今ので伏せカードの1枚目が何かはわかった。あとはあれをどうやって突破するかだ」
「じゃ、今度は俺がやってみる」

謙吾チャレンジ!

「スカーレッド・カーペットがあるのなら、使わない手はあるまい。スカーレッド・カーペットを発動し、墓地のダーク・リゾネーターとウォール・リゾネーターを蘇生する。そしてダーク・リゾネーターとバイス・ドラゴンをチューニングしてスクラップ・ドラゴンをシンクロ召喚だ。スクラップ・ドラゴンの効果でウォール・リゾネーターとミラーフォースを破壊する」
『罠カード、偽物のわな。自分の場のセットされた罠カードはカード効果では破壊されない』
「何っ!?」
「これではまた攻撃時にミラーフォースの餌食だな」

チャレンジ失敗!

「…しまったぁぁぁぁー!!」
「偽物のわなとは…また珍しいカードを使う」
「少しいいですか」
「どうしたの?西園さん」
「答えがわかりました」
「え?」

そのままテーブルに着く西園さん。

西園チャレンジ!

「みなさん、このカードの事を忘れていませんか?炎龍を召喚」

☆2 ATK1400 DEF600 チューナー

「そしてスカーレッド・カーペットを発動して、ダーク・リゾネーターとバリア・リゾネーターを特殊召喚します」

バリア・リゾネーター ☆1 ATK100 DEF100 チューナー

「スカーレッド・ノヴァ・ドラゴンか?」
「でもそれじゃぁアステカの石像が倒せないよ?」
「いえ。戦闘ダメージで倒す、という時点ですでに間違いです」
「どういうことだ?」
「レッド・デーモンズ・ドラゴンと炎龍をチューニングしてトライデント・ドラギオンをシンクロ召喚します」

☆10 ATK3000 DEF2800 シンクロ

「効果は使用しません。バイス・ドラゴンとダーク・リゾネーターをチューニングしてスクラップ・ドラゴンを出します。ここで死者蘇生を使い炎龍を特殊召喚します。そしてスクラップ・ドラゴンと炎龍をチューニングして2体目のトライデント・ドラギオンをシンクロ召喚します。さらにレベル10のトライデント・ドラギオン2体で超弩級砲塔列車グスタフ・マックスをエクシーズ召喚します」

ランク10 ATK3000 DEF3000 ORU2

「グスタフ・マックスのモンスター効果を使用します。オーバーレイユニットを一つ使い2000ダメージを与えます」

LP2000→0

ガゴン…

石像が後方にスライドし、下へ降りるための梯子が現れた。

「やるわねー」
「しかしよく思いついたな、そんな方法」
「グスタフ・マックスはよく使いますから」
「とにかく、先に進もうよ」

続く



[22069] 第41話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:a88f9fcd
Date: 2012/09/19 20:01
[地下2階]

BGM:何も起こらなかった世界

「っ!?」

階下に降りた途端、頭痛に襲われる。
と同時に、凄まじい量のイメージが頭の中に流れ込んでくる。

-そろそろじゃないか?-

誰だお前は。

-強情だな。やはりもう少し時間がかかるか―

何を言っているんだ…?

BGM:Thinking time

「おい、大丈夫か?理樹」
「っ!」

真人の声で我に返る。

「なんか急にぼーっとしちまってよ、どこか具合でも悪いのか?」
「あ、いや、大丈夫。ちょっと考え事してただけ」
「そか。あんま無理すんじゃねぇぞ」
「うん」
「それにしても…」

階を一つ下っても景色は代り映えしない。
相変わらずコンクリートの壁と天井、そして奥には仮面の男と黒い影がいる。
…ん?
もう一度。
コンクリートの壁と天井、そして奥に立つ仮面の男と黒い影。

「ちょっとまってあれ何!?」
「どうしたの理樹くん?急に大きな声なんか…!!」
「そうよ直枝。別に何も…っ!?」

BGM:Labyrinth

沙耶さんと佳奈多さんも気づいたようだ。

「ちょっと何よ、あれ…どういうことなのよ…」
「え、どうしたの?お姉ちゃん?」
「どうして…どうして闇の執行部がここにいるの!?」
「闇の執行部だと!?」
「恭介、知ってるの!?」
「ああ。鈴木や田中から伝え聞いた話でしかないが…部活として正式登録されていながら、部長会などには一切姿を現さず、その活動内容や構成人員等が一切謎の部活…それが闇の執行部だ。まさか本当に存在していたとは…!」
「よく来たな、リトルバスターズの諸君」
「しゃ、しゃべったのですっ!?」
「俺の名は時風瞬。闇の執行部の部長を務めている」
「時風瞬…」
「スクレボの宿敵の名前語ってラスボス気取りかい?…いや待て、今俺たちの事をリトルバスターズって呼んだな?」
「あぁ」
「…俺たちの事をどこまで知っている?」
「全部知っているさ、棗恭介。直枝理樹、井ノ原真人、宮沢謙吾、棗鈴、能美クドリャフカ…いや、ここはあえてクドリャフカ・アナトリエヴナ・ストルガツカヤと呼んだ方がいいか?そして来ヶ谷唯湖、西園美魚、三枝葉留佳、二木佳奈多、笹瀬川佐々美、朱鷺戸沙耶。お前たちの事は全て知っている」
「あなた…一体何者なの?」
「俺は闇の執行部の部長…それ以上でもそれ以下でもない」

仮面の男…時風は淡々と話を続ける。

「…はい…はい…わかりました。回線をオープンでつなぎます」
「西園さん?」
「みなさん、鈴木さんから連絡が入りました。今出します」

西園さんの持っていた通信機から鈴木さんの声が聞こえてくる。

「棗!そしてリトルバスターズの諸君!西園くんから送られてきたデータを解析したところとんでもないことが分かった!」
「どうした!?」
「その地下迷宮は、地下に進むほどNYPレベルが上昇している!これは非常に興味深いデータであると同時に、何が起こるか分からないということでもある!みんな、くれぐれも注意してくれ!以上だ!」
「丁度良い、お前たちに良いことを教えてやろう」
「何?」
「この地下迷宮の奥には宝が眠る。それもこの世の全てと等しい価値を持っているともいわれるものだ。加えてこの迷宮には…お前たちの『真実』も眠っている」
「真実…だと?」
「直枝理樹、棗鈴。お前たちは世界の『秘密』を知ったな?」
「う、うん…」
「ならば、その世界の『真実』を知りたくはないか?」
「どういうこと!?」
「その答えを確かめたくばこの迷宮を踏破し俺の元へ来い。もっとも、こいつらに勝てたらの話だがな。ふははははははは!!」

高笑いを上げながら仮面の男はどこかへと消えていく。
そしてそこには不気味な影が残されていた。
その影は何故か制服を着ている。
それでいて顔は真っ黒で表情は感じ取れない。
不気味だ。
その影が無数にわかれ、こちらに向かってくる。

BGM:Shadow Buster

「こいつら、やろうってのね…良いわ、相手してあげる!」

沙耶さんがホルスターからエアガンを取りだし臨戦態勢に入った…その瞬間だった。

「成敗!」
「斬っ!」

正面の影を来ヶ谷さんの刀と謙吾の竹刀が断ち切る。

「謙吾!上!」
「ぬっ!」

影の攻撃を竹刀で受け止める謙吾。
その背後から影が襲いかかる。

「これを使え!少年!」

来ヶ谷さんが刀を投げ、その刀が謙吾の背後の影に突き刺さる。

「おう!はっ!」

その刀を影から引き抜き、正面の影の首を撥ねる。

「来ヶ谷さん!危ない!」
「しまった!」

武器を失った来ヶ谷さんに影が襲いかかる。
だがその影を光の帯が貫く。

「美魚君、ナイスフォローだ!」
「くそ、そっちに何体か向かった!」

謙吾や来ヶ谷さんの攻撃をかいくぐり、影が何体かこちらに向かってくる。

「おりゃぁっ!」
「しねっ!」

真人のパンチと鈴のハイキックが炸裂する。
影が変な方向へと折れ曲がり吹き飛ぶ。

「こっちは大丈夫だ!」
「よくやった真人、鈴!よし、決めるぞ来ヶ谷!」
「ああ!」

謙吾が来ヶ谷さんに刀を投げ返す。
そして最後の影を前後から貫いてフィニッシュ。

BGM:Thinking time

「えっと…」

一方沙耶さんは、エアガンを構えたまま硬直していた。

「どうしてあなたたち、そんなに強いのよ…」
「どうして、と言われてもな…」
「日々の鍛錬の賜物、というやつだ」
「いやいやいや…」

とりあえずこのまま進むこととなった。



通路自体はどこを進んでも同じような風景だ。
とくになにか仕掛けがあるわけでもなさそうだ。
そうこう考えているうちに次の部屋へとたどり着いた。

「行くわよ」

扉を開け、部屋の中に入る。

「敵…はいないみたいね」
「でも、さっきのはなんだったのでしょうか?」
「私にも何が何やらさっぱりですわ…」
「顔ものっぺらぼうみたいだったし、なんかもうくちゃくちゃ怖かったぞ…」
「あれは影だな」
「影?」
「あぁ。これも噂に聞いた話なんだが…闇の執行部の連中は影を飛ばし実体化させる能力を持つという」
「そ、そんな非現実的な…」
「確かに非現実的だ。だが実際目の前で起きたことに変わりはない。それに鈴木が言っていただろう?ここは何が起こるか分からない、と」
「う、うん…」
「とりあえずこの部屋には奥に進む扉以外何もないみたいね。いったん休憩して対策を練りましょう」

とりあえず一度腰を落ち着ける。
相変わらず代り映えしないところだけど、不思議なことに温度や湿度等環境は割と快適だ。
なにかこれにも理由があるのだろうか…。

「さて、そろそろ行きましょうか」

しばらくして、沙耶さんが声をかける。

「そうだな。あんまりだらだらしてたら夜が明けちまう」
「そうだね」

そして奥の扉を開け、進んでいく。



やはり道を進むと奥には扉が。

「相変わらず、どこを進んでも代り映えしないね」
「迷宮とは割とそんなものだよ」
「その割に、殆ど一本道な気がするんだけど…」
「確かに、言われてみればそうだな」
「ん?それじゃ迷宮でもなんでもないんじゃないか?」
「だよね…とりあえず入って見ようか」

扉を開け、中へ。
部屋の中央には地下へ進む穴が開いていた。

「えーっと…」
「逆にオープンすぎて怖いね…」
「むしろ何かトラップでもあるんじゃないか?」
「よし、じゃあ任せた、真人」
「おう…ってなんで俺なんだよ!?」
「なぜって…他に選択肢はあるまい?」
「どういうことだよ?」
「知恵勝負でダメならこういう仕事しか無かろう」
「なになに、真人君の筋肉なら多少トラップが飛んで来ても問題ないですってー」
「むしろそのまま帰ってこなくても良いぞ」
「お前らぁぁぁ!筋肉いじめて楽しいかぁぁぁ!?」
「とっとと行ってきなさいっ!」
「ぐぼぁ!」

沙耶さんの蹴りが真人に炸裂し、そのまま穴に吹っ飛んでいく。

「うあぁぁぁぁぁ…」

そして真人が穴に落ちて行った。
しばらくして、下から声が。

「べ、別に何にもねぇぞー…」
「大丈夫!?真人!?」
「へっ、今回も筋肉に助けられちまったぜ…」
「あ、そう…」

続く



[22069] 第42話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:a88f9fcd
Date: 2012/12/19 02:00
[地下3階]

BGM:Thinking time

真人を追って次の階へ。
相も変わらず殺風景な空間だ。
しかし進むたびに疑問が沸く。
この空間は一体何なのか?
誰が、何のために作ったものなのか?
闇の執行部とは一体何者なのか?
…その答えも、この奥にあるのだろうか。
とにかく先に進むしかない。



BGM:魔法のアンサンブル

「ねぇ、理樹くん」
「どうしたの、小毬さん?」
「なんだか、いい匂いがするよー」
「いい匂い?」

そう言われて鼻を利かせてみる。
かすかにだが、甘い香りが感じられる。
まるで、お菓子のような香りだった。

「変だねー。こんなところで」
「うん…」

この地下迷宮の存在そのものが謎なのに、中にある物までおかしいとなればますますわけがわからなくなる。

BGM:お砂糖ふたつ

「そうだ、理樹くん。この間のお爺ちゃんとのお話、楽しかったね」
「僕は前に何回か会ってたんだけど、変わった人だよね」
「でも、いいお爺ちゃんだよー」

二人で小次郎さんに会いに行ったのも随分前になる。
思えば、あの時はいろいろと大変だった。
絵なんてまともに描いた事のない僕が一から絵本を描くのは相当な苦行だった。
でも、小毬さんのためだからできたんだと思う。
昨日の一件を経て、もう少しだけ前に進めただろうか。
僕が今ここでそれを知る術は無い。
ここからは小毬さん次第だ。

「そういえば、夏休みに一度小次郎さんのところに行ったんだ」
「へ?そうなの?」
「うん。相変わらず元気そうだったよ」
「そっかー。よかったー」

夏休みの間は事故の事もあってあまり会えなかった。
でも、小次郎さんからはいろんなことを聞いた。
小毬さんの事。
拓也さんの事。
夏は暑くて体調管理が大変だったらしいけど、見た感じだと顔色は良かった。
冬ももう近いけど、元気にしているだろうか。

「理樹くん、手、繋いでもいい?」
「うん」

手をつなぐ。
小次郎さんと会いに行った時と同じように。
そして一学期にあった出来事を思い出しながら、いろんな話をした。
そうこうしているうちに、奥の扉にたどりつく。

「匂いはやっぱりここから来てるのかな?」
「そうみたいだね…入って見よう」

BGM:シンクロニクル

扉を開け入って見ると…突如カラフルな色彩に包まれた。
壁や天井に絵の具か何かでびっしりと絵が描かれている。
まるで、絵本の中に入り込んだようだった。
そしてその時、何か違和感を感じた。
この階に下りてから小毬さんと話したこと。
確かに以前に経験した出来事だ。
だけど…何かが引っかかる。
しかし、今はその答えを導き出すことはできなかった。
…そして。

「甘い匂いの正体はこれみたいだね」

部屋の中央のテーブルを指さす。
そこには色とりどりのお菓子が置かれていた。

「うわー、すごーい…」
「でもこれにどういう意味があるんだろう…」

お菓子が明らかに意味深に置かれているが、これだけでは何のことかさっぱり分からない。
と、なると…。

「やっぱり周囲の絵も関係あるのかな?」

一面の絵をもう一度よく見てみる。
パステル調の色彩に包まれた部屋は、先ほどまでの冷たいコンクリートの部屋とは大違いだ。
じっくりと絵を眺めていると、ある法則性があることに気付く。

「この絵ってさ、四方で主線の色が違うんだね」
「あ、ほんとだー」

四方の壁には人や動物などが描かれている。
背景はどれもまるでスケッチブックを乱暴に絵の具で塗りたくったような、不規則な模様だ。
しかしそこに書かれた物の輪郭の色は、壁の方向によって異なっていた。
扉の側から見て正面が赤、右が青、後ろが黄、左が緑といった具合だ。
そして、円いテーブルの上には8種類のお菓子。

「なるほど、わかった」
「ふぇ?」
「色をこの主線に合わせればいいんだ」
「でも、お菓子の数が合わないよ?」
「よく見て。お菓子の色は赤、青、黄、黒、紫、黄緑、そして緑が2つだ。だからまずは主線の色に合わせたお菓子を四方に配置して、その間の色のお菓子を対応した場所に置けばいいんだ」
「間の色?」
「うん。例えば青と赤の間なら、間に来るのは紫だ。それなら緑が2つあるのも説明がつく」
「でも、黒はどこに使うの?」
「多分、赤と緑の間だと思う。緑は青と黄色を足してできる色だし、それに赤を足せば赤青黄全てが揃うから、無彩色の黒になると思うんだ」
「なるほどー。さすが理樹くん。よぅし、やってみようー」

先ほどの理論通り、お菓子をテーブルに配置していく。
するとガゴン、という音と共に次の階へ降りるための梯子が現れた。

「おー。すごーい」
「よし、それじゃ先を急ごう」

[地下4階]

BGM:騒がし乙女の憂愁

とにかく次の階へ。

「お、来た来た。おーい、理樹くーん」
「あれ、降りるの速いね葉留佳さん」
「もー、理樹くんが遅いんだよー」
「ごめんごめん」
「とりあえず、井ノ原の言う通りここには何もないみたいね」
「そうみたいだね」

一緒にいた二木さんとも合流する。
入口の部屋には例のごとく仕掛けらしいものもない。

「とりあえず、進もうか」



「分かれ道ね」

少し進むと、道が左右に分かれていた。

「右か左か、だね。どうしよう?」
「右ね」
「右!」
「はやっ」

妙なところで息が合う。
流石は双子だけあるということだろうか。



奥に進むと扉が。

「入るよ」
「おっけー」
「気をつけてね」

扉を開け、中に入る。
その瞬間、何かを踏んだ。

「トラップ!?」
「直枝、大丈夫!?」
「あ、うん…これって…バケツ?」

足元にあったのは水の入ったバケツ。
思いっきり足を突っ込んだものだからびしょびしょになってしまった。

「中には…なにもなさそうね」
「どうやら、外れだったみたいだね」
「そーだね。反対側行ってみようか」

とりあえず元来た道を引き返し、反対側へ。

「ねぇ、理樹くん」
「ん、どうしたの?葉留佳さん」
「理樹くんってさ、あたしとお姉ちゃんだとどっちの方が好きなの?」
「は、葉留佳っ!?」
「えぇっ!?」

また葉留佳さんらしい唐突な質問だった。
しかも、またこの場面で答えづらい質問だった。

「…そ、そうね。実際のところはどうなのかしら?」
「ふふふー」
「ふ、二木さんまで…」
「ちなみにだけど、胸はあたしのほうがちょーっとだけ大きいですヨ」
「あら。胸は大きいからっていいわけじゃないわよ?もしかしたら直枝が貧乳派って可能性もあるじゃない」
「なにーーーっ!」
「いやいやいや…」

どうしたものか。

「で、どうなの?直枝」
「どうなの?理樹くん」
「えー…」

これは答えなきゃいけない感じなのだろうか。
…それにしても。
家のしがらみから解放された二人は今本当に輝いて見える。
眩しすぎるくらいだ。
何気ない会話が本当に楽しそうで。
過去の対立していた時のことも今は笑って話せて。
家族って、こういうものなんだろうな。
僕の家族はもういない。
だから、もしかしたらその光景が羨ましいのかもしれない。

「あ、扉が見えたよ。行ってみよう」
「あー!理樹くんが逃げたー!」

…とりあえず今ここで結論を出すわけにもいかない。
葉留佳さんも佳奈多さんも、どちらも大切な仲間だから。
逃げているだけかもしれないけど、結論を今急ぐ必要もないと思う。

BGM:ともしび

扉を開け中に入る。
急に重苦しい雰囲気に包まれた。

「なんだ、ここは…?」

天井の高さは他の部屋に比べるとかなり低い。
とはいえ、普通の家の天井の高さくらいだろうか。

「…ねぇ、お姉ちゃん、ここって…」
「…ここを作った人間は悪趣味ね…ほんと、悪趣味…」
「どういうこと?」
「…二木の家だよ、ここ」
「二木って…葉留佳さんと佳奈多さんの?」
「えぇ。嫌に忠実ね…誰もいなさそうなのが救いだけど」

二木の家。
かつては地元で権力を持った家だったらしいが後に没落。
過去の栄光にしがみ付こうと、後継ぎとなる子達を酷い目にあわせて来た。
それが葉留佳さんであり、二木さんなのだ。

「っ!!」
「どうしたの葉留佳さん!…!!」

襖をあけた先の部屋では、二人の老人が死んでいた。
それも、見覚えのある顔の。

「お姉ちゃん、これって…」
「…じじ様とばば様ね。あの時襲ってきた影の正体よ」

やはりそうだった。
ここは…あの影が現れた日の二木家なのだ。

「ホント、どこまでも悪趣味な奴らだわ。どこまでも…」
「…」
「葉留佳さん?」
「…なんでだろう、身内が死んでるのに何とも思わない」
「どういう…こと…?」
「目の前に血の繋がりのある人間の死体がある。今この瞬間の出来事じゃないけど、身内が死んでる。なのになんでだろう、全然悲しいとか思わない。むしろ…」
「葉留佳」
「お姉ちゃん…?」
「…それ以上は、思っていても言っては駄目。それは…あたしだって同じだから」
「…うん」
「…早く出よう、ここから。どこかに次の階に進むための仕掛けがあるはずだよ」

そう言って周囲を見渡す。
窓の先はコンクリートの壁で覆われている。
どうやらこの疑似的な家はあの部屋の中に作られているようだ。

「…ちょっと待って、直枝」
「どうしたの?」

ある部屋に差し掛かった時、急に呼びとめられた。

「ここ…覚えてる?葉留佳」
「うん…忘れるわけないよ」

髪飾りを外す二人。
普段は髪型が違うから見た目の印象も違うけど、こうして見れば本当にそっくりだ。
ただ一つ、瞳の色を除いては。

「私と葉留佳の、思い出の場所」
「お姉ちゃんがこの髪飾りをくれた場所」
「…変わってないわね」
「うん…それだけはよかったかな」

過去の辛い出来事。
その中に隠されていた、見失っていた光。
その光を見つけ出したからこそ、今の二人があるんだろう。

「葉留佳さん、二木さん、さっきの話だけど…」

僕なりに、今出せる最大限の回答。

「僕は…二人だから良いんだと思う。どっちかが欠けてしまってはダメなんだ。こうして二人一緒にいて、笑いあえて…僕は、葉留佳さんと二木さんのそういう姿が好きなんだと思う」
「…卑怯ね。全く…」

そうだ。
見方を変えれば…本当に卑怯な答えだ。

「本当に…卑怯よ。…でも、直枝はそういう人間だものね。あなたらしいわ。嫌いじゃない」
「ま、私も同意見かな。ちょっと残念ってのと、ちょっと嬉しいってのと…半分半分かな?」
「二木さん…葉留佳さん…」
「…直枝、一つだけお願いがあるの」
「何?」
「私の事も…名前で呼んでほしいの。葉留佳に、そうしてるみたいに」
「…わかった、佳奈多さん」
「直枝…ありがとう」

その言葉に、何と返せばいいかわからなかった。
だから、今は先を急ぐことにした。

もう一度、家の隅々を探す。

「そういえば、お姉ちゃん」
「どうしたの?」
「お姉ちゃんは知らないかもしれないけど、えーっとこの辺りに…あった」

葉留佳さんが台所の床板の隅をひっかけて外す。
すると、下へ降りる入口が見つかった。

「これ…地下室への入り口?」
「うん。正しくは懲罰房だけどね。ずっと下に下にって進んできたから、もしかしたらここから下に行けるんじゃないかなって」
「…どこまでも悪趣味ね。ここの作成者は」
「でも、これで道が開けた。先を急ごう」

この先に待つ真実。
僕たちの、リトルバスターズの真実。
今はまだ立ち止っていられない。
そう思いながら、次の階への入口へと進んでいった。

続く



[22069] 第43話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:a88f9fcd
Date: 2012/12/19 02:03
[地下5階]

BGM:Thinking time

「遅いぞ、理樹くん」
「ごめんごめん」

先に降りていた来ヶ谷さんと合流。

「しかし、真人少年の言う通り本当に何もないな」
「基本的に入口に仕掛けは無いんじゃない?」
「かもしれないな」
「とりあえず、進んでみようか」



BGM:心色綺想曲

「ところでだ、理樹くん。正直今どういう心境だ?」
「どういう…って?」
「暗がり、二人きり、そして一緒にいるのが私だ。何か思うところは無いか?」
「いや…まぁ」
「暗がりだぞ?」
「う、うん」
「二人きりだぞ?」
「まぁ」
「…あんまり反応が面白くないな」
「いやいやいや…」
「ここはどこぞの赤コートの怪盗のように、即座にパンツ一丁になってダイブするところだと思うのだが」
「えー…」

どこのナントカ3世だ、それは。

「はっはっは、冗談だよ。理樹くんがそういう性質の人間でないのは承知の上だからな」
「いやいやいや…」

本当に掴みどころがない人だ。
そこが来ヶ谷さんの魅力でもあるのだが。



間の部屋に入ると影が数体いた。

「敵か」
「さっきの階にはいなかったよね」
「まぁいい。一瞬だ」

来ヶ谷さんが刀を抜くや否や、そこにいた影の胴と首が一瞬で切り離された。

「この程度か。つまらん」
「いやいやいや…」

流石に強すぎる。
というか、あの刀は模造刀じゃなかったっけ?



BGM:Thinking time

しばらく進むと、横に逸れる道が。

「何かありそうだね」
「少し様子を見てみようか」

扉を開け、部屋の中へ。

「理樹君、危ない!」
「うわっ!」

その瞬間、袖口をつかまれ引きもどされる。
見ると、部屋の中央に大きな穴が開いていた。

「間一髪、だったな」
「あ、ありがとう…来ヶ谷さん」

一度戻り、元の道を進む。

「しかし、妙に広いなこの階は」
「そうだね…」

道は一直線なのだが、どこまで行っても終わりが見えない。
何部屋くらい進んだだろうか。

「少し目印でも付けておこうか。これなんか良いだろう」

そういうと持っていたマジックペンで床に×印を書き込んだ。

「どうしても道がわからなくなったらここに一度戻って考えるとしよう」
「そうだね」

こういう探索では定石だろう。
むしろ今までが単純すぎたのだろうか。

時折横に扉が見えるが、どの部屋も同じように穴があいていて通れない。
仕方なくずっと直進を強いられている。

BGM:無題「恋心を奏でる綺想曲」

「…理樹君」
「どうしたの?」
「…似ていると、思わないか?」
「似ているって…?」
「…そうか。やはり、覚えていないのだな」

あ。
そういうことか。

「…6月23日、だね」
「…うむ」

雪の6月。
あの、歯車が狂ってしまった世界の中。
僕たちだけが、一緒にいた。

「あの時は、君を出すために自らの心を押し殺すしかなかった。だけど、今は違う…。理樹君、私は…」
「来ヶ谷さん…」
「…いや、やっぱりやめておこう。流石にこれは私だけは決められることではない。だから、私はいつまでも待ち続ける。いつか…待ち人が現れることを」

来ヶ谷さんは強い人だ。
でも、その中に一瞬見せた弱さ。
謙吾が言うなら、隙、というやつだろう。
その隙もまた、来ヶ谷さんの魅力なのかもしれない。

「…理樹君、この階の仕掛けがわかった」
「え…?」
「この階の通路はループしている。直線に進むと反対側の出口に着く。まるで一昔前のゲームのようにな」

よく見ると、先ほど床に刻んだ×印が見えた。

「だから、答えは…ここだ」

横に逸れる扉を開く。
そしてそのまま踏み出す。

「来ヶ谷さん!?」
「先ほどは気付かなかったが、この床はよくできたトリックアートだ。入口の角度から見れば穴に見える。だが、これはただのペイントだ。そして階下への入口は…」

床の中央の窪みに刀を突きたてる。
同時にカチッ、と何かが押される音が聞こえた。

「迷宮が巧妙ゆえに、仕掛けは単純…お約束と言う奴だ」

とにかく先に進もう。

[地下6階]

BGM:Thinking time

「遅いです、直枝さん」
「ごめんごめん」

先に降りていた西園さんと合流。

「それにしても、井ノ原さんの言う通りですね」
「最初の部屋に仕掛けやトラップを置くつもりはないのかな…」
「かもしれません」
「とりあえず、進んでみようか」
「はい」



BGM:光に寄せて

「…直枝さん、少しいいですか」
「どうしたの?」
「…丁度いい機会なので、話しておきます。…美鳥が、再び現れました」
「え…」

西園美鳥。
西園さんと同じ姿をした存在。
西園さんの中にいる、もう一人の西園さん。
言うなれば、西園さんの…影。

「美鳥は、まだやらなければならない事がある、と言っていました」
「どういうこと?」
「わかりません。ですが…この一連の事件には、何か黒幕がいると見て間違いなさそうです」
「さっきの時風って奴?」
「流石にまだそこまでは」
「そうだよね…」
「…直枝さん。私の事を思い出している今だからこそのお願いがあります。もし、美鳥が現れたら…止めてください。あの子を…いいえ、私を…」
「どういうこと…?」
「…細かいことは気にしないでください。もしものときには…あの本が役に立つと信じています」

本。
今朝西園さんから託された物。

「あれが、私が私であった事の証明になるのなら…」
「それって…?」
「…その時が来れば、自ずとわかります」

ふと、今回の事件を振り返ってみる。
僕たちから影が消えた。
そして、僕たちの中にある心の闇が具現化し襲いかかってきた。
消えた影。
姿を現した同じ姿の少女。
…そうか。
同じなんだ、あの時と。
故に、美鳥が再び現れたのだろう。
しかし、何故今なのだろうか。
美鳥はあの時…西園さんと一つになった。
それを再び二つに別ったのも…その「黒幕」の仕業なのだろうか。

BGM:チクタク・ルーチン

「それと、もう一つよろしいでしょうか?」
「どうしたの?」
「この階の解析が終わりました」
「…え?」

か、解析!?

「どうやらこの階の部屋は2つしかないようです。そちらの部屋には巨大な石像のようなものがありますが…どうやらそれが仕掛けのようです」
「石像…ねぇ」

とりあえず話をしているうちに扉の前にたどりついた。
中に入ってみる。

「…たしかにあるね、石像」
「外見は石像ですが、関節部に駆動用のモーターがあるようですね。来ます」
「え?」

BGM:勇壮なる戦い

突如、石像が立ち上がる。
そして右腕をこちらに向けて振りおろしてきた。

「うわっ!」

互いに横っとびに避ける。

「大丈夫!?西園さん!」
「はい。次の攻撃がきます」

今度は左腕でなぎ払ってきた。
避けきれずに食らってしまい、壁に叩きつけられる。

「ぐっ…」

どうやらこちらに照準を定めたらしい。
ゆっくりとこちらに向かってくる。

「直枝さん、お願いがあります。1分間時間を稼いでください」
「どういうこと!?」
「NYPメガバスターキャノンで吹き飛ばします。ですがNYPのチャージに時間がかかるので、その間敵の攻撃を引きつけておいてください」
「わかった。やってみる」
「お願いします。各武装回路接続良し、セーフティシステムオールリリース、NYPチャージ開始」

幸い、敵はこちらの方を向いている。
正面からなら動きがわかりやすい。
大振りのパンチをかわすことはさほど難しくない。

「ぐっ…」

先ほどのダメージが少々響く。
あまり長期戦はできないだろう。

「30…35…40…45…50…」

すると敵の方が西園さんの方に振りかえった。
今西園さんはチャージ中で動けない。

「そうはさせない!」

とっさに、足元に落ちていた鉄パイプを投げつけ気を引く。
石像の頭部に当たったことで一瞬体勢が崩れる。
だが、すぐさま持ち直しこちらへと向かってきた。
しかし立ち位置が悪かった。
このままでは部屋の角に追い込まれてしまう。

「しまった…!」
「直枝さん!伏せてください!」
「!!」
「チャージ完了、NYPメガバスターキャノン、発射します!」

その瞬間強烈な閃光が石像を貫き、一撃で上半身を蒸発させた。

BGM:Thinking time

石像が倒れると同時に、次の階への入り口が開く。

「す、すごい…」
「流石は鈴木さんです」
「と、とりあえず次行こうか」
「はい」

続く



[22069] 第44話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:a88f9fcd
Date: 2012/08/29 01:58
[地下7階]

BGM:Thinking time

「リキー!こっちなのですー!」

先に降りていたクドと合流。

「それにしても、井ノ原さんの言う通りなんにもないですね」
「やっぱり入口は安全なのかな?」
「そうだといいのですが…」

とりあえず先に進むことに。

BGM:えきぞちっく・といぼっくす

しかし、何故だろうか。
妙な違和感を感じる。
確かに階下には進んでいるはずなのだが…。

「どうしました?リキ?」
「あ、ううん、大丈夫」
「それにしても、凄いところですねー」
「そうだよね…学校の地下になんでこんな迷宮があるんだろう」

学校の歴史はそこまで長いわけでもない。
学力も中堅レベルだし、校長が有名な研究者とかそういうわけでもない。
言うなれば、どこにでもある平平凡凡な学校というわけだ。
そこに一体何を隠す必要があるのだろうか。
時風は、あの世界の『真実』が隠されていると言った。
考えれば考えるほどわからない。
あの世界がどういうものかはっきりしない以上、詮索のしようも無かった。

「氷室さんが知ったらどうするだろうね」
「きっと、見たこともない機械をたくさん持ってくると思います」
「だろうね…」

あの人、いろんな意味で鈴木さんに匹敵するからな…。
鈴木さんといい氷室さんといい、高校生の技術力の域をはるかに超えているんだけども。

「…?私の顔に何か付いてますか?」

だが専門分野に関してはクドの知識量も負けていない。
事実、物理に関しては転入以来不動の学年一位だ。
夏休みの間に色々教えてもらったり、一緒にやったおかげか僕もそれなりに得意科目になった。

「…クド」
「どうしました?」
「その…なんて言うかな、科学者目線だとこういうのってどう映るんだろう?」
「そーですね…『科学は便利だけど万能ではない。今の科学からはみ出たことだってまだまだたくさんある』。昔お母さんがよく言っていた言葉です」
「と、いうと?」
「今の人類がこの世のすべての出来事を説明することはできないですし、わからないこともいっぱいあるから何が起こるか分からない、ということなのです」
「なるほどね…」

この世には科学では説明のつかない何かがある、とはよく言う。
例えば、超常現象や心霊現象の類。
でもそれは、見方を変えればまだ今の人類がその領域にたどりついていないだけなのかもしれない。
もしかすると何十年、何百年先の未来では普通に学校で教えられているのかもしれない。
科学とはそういうものなのだ。
今は携帯やパソコンを使うことで地球の裏側の人とも話ができる。
もし100年前にタイムスリップしたとして、当時の人にその事を言っても夢物語と思われるだろう。
だから、逆に今夢物語と思っていることも将来は当たり前の事になっているのかもしれない。

「逆に、突き詰めれば今は解らない事でもいずれは科学で説明できるようになるかもしれない、ってことだね」
「はい。でも私は、全てが科学に収まってしまうのは少しさびしいような気もします。なんといいますか、その…説明のつかない奇跡、というのがあってもいいと思うのです」

BGM:お砂糖ふたつ

「あの時、リキの声が聞こえました」
「あの時って…テヴアの?」
「はい。あの惨劇の中で絶望していた私を、リキの声が救ってくれたんです」

届くはずのなかった声。
世界の枠組みを、世界のルールを超えて届いた声。
あの世界の中で起った奇跡、とでも言うべきなのだろうか。

「リキ、ありがとうなのです」
「クド…」

僕はあの時、不安だった。
遠い異国の地で、クドはどうしていただろうか。
今のテヴアは情勢も安定しているそうだ。
クドのお母さんも宇宙飛行士に復帰し、宇宙に上がっている。

「あ、部屋が見えてきました。いってみましょう、なのです」
「あ、クド!…」

そのままクドを追って部屋に入る。

BGM:Thiiking time

「わ、わふっ!?」
「うわわっ、なんだこれ!?」

部屋に入った瞬間、体が宙に浮く。
どうやらこの部屋には重力が無いらしい。

「わ、わわわっ、み、見ないでくださいーっ!」
「見てない見てない!大丈夫!」

上も下も無くひっくり返る部屋の中で、クドは必死にスカートを抑えていた。
無重力なのは良いが、仕掛けは一体どうなっているんだろうか。
ふと床を見ると、何やらスイッチらしきものがあった。

「…無重力なのに重さで作動するスイッチか」
「だと、この無重力を解除しないといけませんね」
「そうだよね…どうしようか」

部屋を見渡す。
壁や天井には様々な工具がフックで固定されていた。
少し手を加えればすぐに取り外せそうだ。
だが肝心の無重力を解除するための仕掛けが見当たらない。

「結構難問だね」
「…」
「どうしたの?クド」
「リキ、あのスイッチってどれくらいの重さで作動すると思いますか?」
「どれくらい、って…」

スイッチには一人分の足形が描かれていた。
恐らく人一人が上に乗るくらいの重さがあれば作動するのだろう。

「人一人って考えると、4、50kgくらいの重さなら作動するんじゃない?」
「ちょっと待ってくださいね、今計算するのです」
「計算?」
「はい。1G状況下で質量40kgの物体の持つエネルギーを計算すれば、ここの仕掛けは解けると思うのです」

そう言うと、クドは壁の工具箱からペンと紙を取り出し、バインダーに固定して計算を始めた。
もうすでにスカートがめくれ上がっていることなんかどうでも良いようで、白いそれがちらちらと見えている。
流石に気まずいので後ろを向いて待つことにした。



「できましたっ!」

しばらくして、クドが言う。

「スイッチの高さが20cm程だったので、思いのほか少なくて済んだのです」

計算式をみると、スイッチに乗った際に生じる位置エネルギーを求めた上で、それに相当するエネルギーを与える方法を示しているようだ。
ただ、計算式の途中から何がどうなっているのか僕には理解できなかった。

「ある程度の質量の物体を一定速度以上まで加速してぶつければスイッチは動かせるのです」
「でも、どうするの?」
「リキ、周りの工具を集めてきてくれませんか?」
「わかった」

部屋の周りに掛けられている工具を集めてくる。
なるほど、確かに合計重量はそれなりにある。

「持ってきたよ」
「ありがとうなのです」

そう言うとクドはマントに工具を包んでいく。
すると結構な重さになったであろう、工具の塊ができた。

「あとは、反対側の天井から私がこれを持ってぶつかるだけです。リキ、天井のフックに足をかけてくれませんか?」

クドの指示通り、天井に足を固定する。

「そのまま私の足を裏から掴んでください」
「こう?」
「はい。そんな感じです」
「あ、なるほど。僕とクドの身体のバネでクドを押し出すわけだね」
「はいです。タイミングは任せます」

もはやぱんつの事なんかどうでもいいみたいだった。

「わかった。それじゃ行くよ…3、2、1、ゴー!」

二人が屈ませた身体を伸ばすと同時に、掴んでいた手を離す。
するともの凄い勢いでスイッチに向かってクドが飛んでいく。
そのままクドが抱えていた工具の塊がスイッチにぶつかり、押される。
ガゴン、という音と共に次の階への入り口が開かれる。
…と同時に、無重力状態が解除される。

「うわぁぁぁぁっ!?」

当然のことながら、天井にいた僕は真っ逆さまに落下する。
ボフンッ。

「だ、大丈夫ですか!?リキ!」
「あ、うん」

どうやら床がクッション素材だったらしく大した痛みも無かった。

「とりあえず、次に進もうか」
「はいです」

[地下8階]

BGM:Thinking time

「おう、遅えじゃねぇか」
「ごめんごめん」

先に降りていた真人たちと合流。

「しかし不思議な所だな、ここは」
「だよなぁ。俺の扱いは相変わらずだけどよ」
「うー、なんか不安になってきた…」
「へっ、いざとなればこの筋肉で何とでもしてやるよ」
「それが余計不安なんだ…」
「大丈夫だよ。僕が付いてる」
「…うん」
「相変わらずこの扱いかよ」

すると、上の方で何か声が聞こえた。

「まだ降りてきてない人がいるのかな?」
「にゃぁぁぁぁぁぁ…」

上の階から猫が降ってきた。

「ふべっ!」

真人の顔に一度着地すると、そこから飛び降りそのまま華麗な身のこなしで床に着地した。

「セト…じゃないな。誰だお前?」

なんとなく見覚えのある猫だった。

「はぁ…またですのね…」

猫がしゃべった。
猫がしゃべった!?

「うわわっ!なんだこいつ、こわっ!」
「ど、どうなってんだよこりゃ!?」
「訊きたいのはこっちの方ですわ!」
「あれ、その声…」
「もしかしてお前、さしすせささこか?」
「さ・さ・せ・が・わ・さ・さ・み、ですわ!…って棗鈴、私の声が聞こえましての?」
「うん。で、なんでお前猫になってるんだ?」
「訊きたいのはこっちの方ですわ…」

ぼふんっ

「あ、戻った」
「…なんというか、生きた心地がしませんでしたわ」
「なんだかヤバそうだな。とっとと進もうぜ」
「うん」

とにかく先に進もう。

BGM:RING RING RING!

「理樹」
「ん、どうしたの?鈴」
「なんだか最近あたしの扱いが悪い気がする」
「どういうこと?」
「理樹と二人っきりになる時間がほとんどない」
「あー、確かに…」
「いっつもあの馬鹿どもがいっしょにいるから…」

あのバス事故の時。
僕たち二人が恭介達を救うために世界を作る直前。
今思えば本当に不器用で不格好なプロポーズだったと思う。
だけど、その想いは確かに通じていた。
だからあの時、二人の愛を確かめ合うことができた。

「そうだ、今度の休みだけどさ、二人でどこかに遊びに行かない?」

その瞬間、鈴の鈴(すず)がチリン、と鳴る。

「それは、その…デートか?」
「別に改まることも無いと思うけどね。長い付き合いなんだし」
「そ、そーだな」

思えば、学校の外に二人だけで出かけたことってなかったような気がする。
折角だし、良い機会だろう。

「う、うみゅ…デート…でーと…」

見ると鈴の顔が耳まで真っ赤になっていた。
鈴らしいというかなんというか。

BGM:チクタク・ルーチン

恭介達の方に目をやる。
いつも通り謙吾と真人が何やら言い争いをしているようだった。
珍しく謙吾の側には笹瀬川さんが加勢しているが。

「めーーーーん!」

スパァン!という音を立て竹刀が真人の頭頂部に炸裂する。

「てめぇ!何しやがるんだ!」
「いや、すまない。何か善からぬものが見えた気がしたのでな」
「なんだそりゃ」
「どうも気のせいだったようだ。申し訳ない」
「…。なんか、お前に謝られる事ってあんまねぇよな」
「まぁ、ほとんどは宮沢様に非はございませんからね」
「ま、そういうことだ。ただ今回に関しては非礼を詫びよう」
「なんか、変な感じだぜ…。まぁいいけどよ」

そんなこんなしているうちに奥の部屋にたどりついた。

「入るぞ」

扉を開け、中に入る。

BGM:Shadow buster

「くそっ、敵か!」

中には影が待ち構えていた。

「来るぞ!」

不気味な動きで影が迫る。
前に戦った時はあまり意識して見ていなかったが、あの影は移動する際足を動かさず滑るようにして移動していた。

「うりゃぁっ!」
「とあぁぁっ!」

真人のパンチと謙吾の竹刀が炸裂し、影を吹き飛ばす。

「お、なんだ?いつもより力がみなぎってくるぜ」
「同感だ。これならいけそうだ」
「油断するなよ、結構多いぞ」

影の数は前の階で戦った時よりも圧倒的に多かった。

「何か、使えそうなものは…ん?」

そして部屋の隅を良く見ると、籠のようなものが。
良く見るとその中には野球ボールが入っていた。
…これは使えるかもしれない。

「鈴!笹瀬川さん!」

二人に野球ボールを投げ渡す。

「真!ライジングニャットボール!」

鈴の豪速球が影を貫く。

「笹瀬川さん!こっちはいつでも大丈夫だよ!」
「ソフトボール部エースで4番の意地、見せてやりますわ!行きますわよ…千本ノックを食らいなさい!」

鈴と笹瀬川さんにボールを渡しつつ、周囲の警戒をする。
幸い壁際を陣取れたおかげでバックアタックの心配もない。
鈴と笹瀬川さんの遠距離攻撃のおかげで順調に影はその数を減らしていた。

BGM:死闘は凛前なりて

一方で、恭介達はある意味で暴走していた。

「ターゲット確認、お前を…殺す」
「そう簡単には落ちん、これがな!」
「我は悪を断つ剣なり!」

なんだか、違うものが憑依しているかのようだった。

「謙吾!竹刀貸してくれ!」
「わかった!」

謙吾が恭介に竹刀を渡す。

「食らえっ!ディスカッター、乱舞の太刀!」
「えぇっ!?何あの動き!?」
「こわっ!なんかこわっ!」

それもそのはず。
恭介が竹刀を受け取るや否や、空中を縦横無尽に駆け回り影に対して連撃を浴びせていた。

「こいつで止めだっ!」

猛スピードの連撃であっという間に数体の影を倒してしまった。

「俺も負けてられねぇな。いくぜ!コード・麒麟!」

真人も普段からは考えられないような猛スピードで敵に突進していく。

「この一撃で、極める!でいぃぃぃぃやっ!」

そこから強烈なアッパーが炸裂。
その一撃は影を吹き飛ばすどころか一撃で真っ二つにしてしまった。

「恭介!」
「あいよっ!」

謙吾に竹刀を返す。

「謙吾、あれやるぞ!」
「承知している!」

二人が最後の影に突っ込んでいく。

「飛べ!」
「任せろ!」

影を挟み込むように移動し、謙吾がジャンプする。

「輝け!」
「極光!」

真人が影を打ち上げ、それを謙吾が竹刀で攻撃する。

「込めろ!」
「「虎牙破斬・あぎと!!」」

真人と謙吾の同時攻撃で影に止めを刺す。
…と、同時に下の階への入り口が開く。
どうやらこの影の大群がカギだったらしい。

BGM:Thinking time

「しかし、恭介の持っていたゲームの技を使う日が来るとはな」
「いやいやいや…」

最早あの三人には別の魂か何かが宿っていたかのようだった。
…深く考えない事にしよう。

続く



[22069] 第45話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:a88f9fcd
Date: 2012/08/31 15:12
[地下9階]

BGM:Thiking time

一番先に降りた僕に続いて、皆が降りてくる。

「しかし、随分と長いね、この迷宮」
「そうか?あんまそんな気しねぇけど」
「え?」

…いや、さっき妙にハイテンションだった真人の事だから、感覚がマヒしているのかもしれない。

「クド、どう?」
「私もそこまで長くは無いと思うのです」
「え…」

何故だろうか。
僕だけがただ単にそう感じているだけなのか。

「いまって地下何階だっけ」
「確か…4階層目では?」
「え!?」

BGM:何も起こらなかった世界

「ちょっと待って!?どういうこと!?」
「いや、訊きたいのはこっちの方なのだが…」
「理樹、お前の視点だといま何階層目だ」
「…9階層目」
「…マジかよ」

どうやら僕だけがここを「地下9階」だと認識しているようで、他のみんなは「地下4階」と認識しているようだ。
何故僕の認識だけがずれているのか。
その時だった。
前の階までで感じていた、ある違和感の正体に気付く。

「そうだ、真人だ」
「ん?俺がどうかしたのかよ」
「どの階でも皆、『真人の言う通りこの部屋には何もない』って言ってた。でもそれを真人が言ったのってどのタイミングだった?」
「そりゃお前、真人が朱鷺戸に蹴っ飛ばされて落ちて行った後だろ」
「うむ。私もそのつもりで話していた」
「そうだね。私もそうだよ」

皆、同様の意見だった。

「ということは、真人が落ちて行ったあとの階を皆地下3階と認識してるわけなのかな?」
「まぁ、そう言うことになるな」
「…理樹、お前はどうなんだ?」
「僕は…」

地下3階から8階までの様子を思い出す。
甘い匂いの立ちこめる地下3階。
二木の家が再現された地下4階。
ループ仕掛けが施された地下5階。
動く石像と戦った地下6階。
無重力の仕掛けがあった地下7階。
そして、恭介達のテンションがおかしくなっていた地下8階。

「あれ?私たちとこまりんじゃ地下3階別物?」
「それどころか、私たち全員地下3階の内容が違います」
「なんなんだ一体…」

考えを巡らせる中で、僕は一つの仮説を導き出した。
この迷宮の作りは、あの世界に似ているのではないか。
異なる可能性に分岐した未来。
そして最終的には一つの結末…「あの日」へと収束する。
時風は何と言った?
ここには世界の「真実」が眠る、と。
もしかしたら、この迷宮はあの世界とかかわりがあるのではないか。
この迷宮を踏破すれば、答えが見えるのではないか。
そう、考えた時だった。

「そう言えばよ、朱鷺戸はどこ行ったんだ?」
「…え?」

ここにいるメンバーを見渡してみる。
真人、謙吾、恭介、鈴、小毬さん、クド、来ヶ谷さん、西園さん、葉留佳さん、佳奈多さん、そして笹瀬川さん。
沙耶さんの姿はどこにもなかった。

「…まさか…!」

この迷宮が世界の形と似ているとしたら。
沙耶さんのあの世界での立ち位置は?
恭介があの時言っていた。
沙耶さんは「イレギュラー」だったと。
だとすれば、今沙耶さんはどこに?
そして、もう一つ。
「朱鷺戸沙耶」と、「時風瞬」。
偶然の一致なのかは解らない。
ただ、この二人は…別の世界では宿敵なのだ。

「みんな、急ごう!沙耶さんが危ない!」

何故かそう思った。
直観的なものだった。
とにかく急いで先へ向かうことにする。
皆もすぐに付いてきてくれた。

BGM:Shadow Buster

道中、何度も影に襲われる。

「流石に、敵の攻撃も激しくなってきたな」
「だが、私たちの敵ではない。そうだろう?少年」
「あぁ。この程度、全く問題は無い」
「ふ、その意気だ。さぁ、刀の錆となるがいい!」

相変わらず来ヶ谷さんと謙吾は圧倒的な強さだ。
次々と襲い来る敵を難なく蹴散らしていく。



襲い来る影の大群を振り払い、いくつもの部屋と通路を抜けていく。
もうどれだけ走っただろうか。
今自分たちがどちらを向いているのかもはっきりしない。
とにかく前へ、前へと突き進んでいた。

BGM:Labylinth

しばらく進むと、開けた空間に出た。
そしてそこには…沙耶さんと時風が。

「大丈夫!?沙耶さん!」

だが、沙耶さんから返事は帰ってこない。

「遅かったなリトルバスターズ。今終わるところだ」

見ると、沙耶さんは既に全身傷だらけだった。
そして時風は手にしていたもの…拳銃を沙耶さんの額に突き付ける。

「やめろっ!」

バン!

乾いた音が部屋中に響き渡る。

「…っ、貴様!」

だが、それは時風の拳銃の音ではなかった。

「間一髪、間に合いました」

西園さんの銃撃が間一髪、時風の拳銃を弾き飛ばした。
その一瞬の隙を突き、謙吾と来ヶ谷さんが沙耶さんを救出する。

「観念しろ、時風。この数だの差だ、まともにやり合ってお前に勝ち目など無い」
「ふむ。やはり実力行使では無理だということか」
「何…?」
「…時…風…」
「沙耶さん!大丈夫!?」

沙耶さんが目を覚ます。

「起きたか」
「あなたにここまでやられるなんて…屈辱だわ」
「ふっ、所詮、ここまでは余興のようなものだ」

時風が銃を拾い上げて引き金を引く。
パン、と乾いた音が響く。

「空砲だ」
「…舐められたものね、あたしも」
「時風、お前の目的はなんだ」
「目的などあってないようなものだ。むしろ俺は操られる側だからな」
「何だと…?」

そう言うと、時風はデュエルディスクを取りだした。

「なるほど、そう言うこと。あなたが私の戦うべき敵ってわけね」
「そうだ。来い、朱鷺戸」
「「デュエル!!」」

続く



[22069] 第46話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:a88f9fcd
Date: 2012/09/04 02:53
BGM:勇壮なる戦い

朱鷺戸沙耶VS時風瞬

Turn1:時風
手札5

「先攻は俺が貰う。ドロー。カードを5枚伏せ、ターンエンドだ」

手札1
伏せ5

Turn2:朱鷺戸
手札5

「そんな及び腰じゃあたしには勝てないわよ!ドロー!フィールド魔法、機動要塞フォルテシモを発動!1ターンに1度、機皇兵と名のついたモンスターを手札から特殊召喚できる!機皇兵スキエル・アインを特殊召喚!」

☆4 ATK1200 DEF1000

「ブリキンギョを召喚!」

☆4 ATK800 DEF2000

「ブリキンギョの召喚に成功した時、手札のレベル4モンスター1体を特殊召喚できるわ!機皇兵ワイゼル・アインを特殊召喚!」

☆4 ATK1800→1900 DEF0
機皇兵スキエル・アイン ATK1200→1400

「バトル!スキエル・アインでダイレクトアタック!」
「罠カード、魔法の筒。攻撃を無効にし攻撃モンスターの攻撃力分のダメージを与える」
「きゃぁっ!やったわね!」

沙耶 LP4000→2600

「あいつ、完全に頭に血が上ってやがる!」
「落ち着いて、沙耶さん!」

「ワイゼル・アインでダイレクトアタック!」
「無駄だ。永続罠、グラビティ・バインド-超重力の網-を発動。互いのレベル4以上のモンスターは攻撃できない」
「だったら、レベル4のブリキンギョとスキエル・アインをオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!ギアギガントX!」

ランク4 ATK2300 DEF1500 ORU2
機皇兵ワイゼル・アイン ATK1900→1800

「なるほど、確かにエクシーズモンスターならグラビティ・バインドの効果を無視して攻撃できる」
「攻め手が遅れるのは痛いけど、これでその防御は意味を成さないわ!」
「だが甘いな。永続罠、デモンズ・チェーンを発動。ギアギガントXの効果と攻撃、表示形式の変更を封じる」
「うそっ!?」

「沙耶君、完全に丸めこまれているな」

「ぐ…手札を1枚伏せて、ターンエンドよ」

手札1
伏せ1

Turn3:時風
手札1
伏せ2

「俺のターン、ドロー。手札を1枚伏せ、ターンエンドだ」
「またセットカードだけ…」
「お前が動けば動くほど、それはお前自身を傷つける。諦めろ、今のお前に勝ち目はない」
「…言ってくれるじゃない。でもあたしは…!」

あの時、何故だか助かった命。
そして、いつの間にか変わっていた「名前」。
どっちが正しい「名前」だったのか、今ではもうわからない。
だけど、あたしは知りたい。
あの世界の…真実を!

手札1
伏せ3

Turn4:沙耶
手札1
伏せ1

「あたしのターン、ドロー!」
「罠発動、仕込みマシンガン。相手の手札とフィールド上のカードの数×200ポイントのダメージを与える」

「えっとよ、朱鷺戸の手札が2枚で、場のカードが3枚だから…」
「1000ポイントのダメージだな」

「きゃぁぁっ!」

沙耶 LP2600→1600

何故だろう。
ダメージが現実となって襲ってくる。
痛い。
苦しい。
でも、それが徐々に快感へと変わっていく。
この感覚は…!

「無駄だ。お前では俺に勝てない。スタンバイフェイズ終了時に罠カード、破壊輪を発動する」

「破壊輪だと!?」
「ねぇねぇ謙吾くん、それってヤバいカードなの?」
「フィールド上のモンスター1体を破壊して、そのモンスターの攻撃力分のダメージを互いのプレイヤーに与えるカードだ。たった1枚でデュエルを終わらせることも容易い、強力なカードだ」
「うわ、なんが凄いねそれ」

「破壊対象はワイゼル・アインだ。これにより互いに1800ポイントのダメージを受ける」

効果破壊→機皇兵ワイゼル・アイン

「沙耶さんっ!」

ワイゼル・アインが爆破され、フィールドが爆煙に包まれる。

「くそっ、デュエルはどうなった!」

「ゲーム…オーバーだ」

時風 LP4000→2200

訪れる…エクスタシーが!

BGM:Sha La La Ecstacy

沙耶 LP1600→3400

「何っ!?」
「あんた、チェーン確認くらいしっかりしなさいよ。あたしが破壊輪にチェーンして発動したのはこのカードよ」
「レインボー・ライフ…だと!?」

「レインボー・ライフ?」
「手札を1枚捨て発動する罠カードだ。このターン受ける効果ダメージを無効にし、回復効果へと転換する」
「へー」

「仕込みマシンガンをあえて通したのは正解だったわね。あのタイミングなら手札の少ないあなたは十中八九勝負を急ぐ!そしてもう一つ、あなたは大きなミスを犯したわ」
「何…?」
「破壊輪を仕込みマシンガンにチェーンしなかったことよ。一件些細な違いだけども、このカードにとっては都合がいいわ!」
「どういうことだ?」
「自分フィールド上に表側表示で存在するモンスターがカード効果で破壊されたとき、機皇帝ワイゼル∞を手札から特殊召喚することができるわ!」

☆1 ATK2500 DEF2500

「レベル1…攻撃力2500だと!?」
「さぁ、バトルよ!ワイゼル∞でダイレクトアタック!」
「ぐっ、速攻魔法発動、月の書!ワイゼル∞を裏側守備表示にする!」
「無駄よ!ワイゼル∞は1ターンに1度、相手の魔法カードの発動を無効にし破壊することができる!」
「馬鹿なっ!?」

効果破壊(発動無効)→月の書

「これで、ゲームオーバーよ!」
「ぐおあぁぁぁぁぁっ!!」

時風 LP2200→0

勝者:沙耶

BGM:駆ける

「やった…!時風を倒したわ!!」
「ぐっ、まさか…こんなことが…」

崩れ落ちる時風。

「…約束だ、この奥の先の通路にあるエレベーターで階下へ迎え。そこに、秘宝が隠されている」
「言われなくてもそうさせてもらうわよ」
「沙耶さん!大丈夫だった!?」
「えぇ、まぁなんとかね。時風に撃たれたときは流石にヤバいかもって思ったけど」
「良かった…無事で…」
「それよりも秘宝よ。どうやらこの先にあるみたいよ」
「そうだね…よし、皆行こう!」

皆が異口同音に賛同の声を上げる。
倒れた時風を横目に、先へと進む。

Phase:恭介

BGM:いつか気付くかな

「無様なものだな、時風」
「ぐ…棗…恭介…か…」
「あの時の結末と違うか?」
「…あぁ、そうだ」
「だが、それが世界の出した答えだ。受け入れるしかない。それと…一つだけ訊く。何故今ここに現れた?」
「…『奴』からの伝言だ。そのヒントはこの先にある」
「…そうか」

時風の懐にあった拳銃を手に取り、引き金を引く。
乾いた音と共に、時風の身体が跡形もなく消滅する。
…俺の影はそのままだ。
恐らく、奴が戻ったのは朱鷺戸のもとだろう。
これであいつは…「朱鷺戸沙耶」は、この世で確かな存在になれたわけだ。

「…行くか」

先に向かった理樹たちを追うとしよう。

Phase:理樹

BGM:Thinking time

「遅いよ、恭介!」
「わりぃ!途中でライト落としちまってな。拾いに戻っていた」
「何でもいいけど、早く来いよ!」
「これがあいつの言っていたエレベーターね…」

しばらく通路を進むと、エレベーターの扉が見えた。
中には全員が乗るのに十分なスペースがあった。
どうやら荷物運搬用のエレベーターに近いようだ。
でも…どこかで見覚えがあるような気もする。
だけどここまできた以上引き返すわけにもいかない。

「みんな…行こう!」

BGM:生まれ落ちる世界

エレベーターに乗り込み、下へ下へと下っていく。
窓の外は当然のごとく真っ暗だ。
時間の感覚もまるでない。
一体どれだけ下っただろうか…最下層へとたどり着く。

「何よ…これ…」
「きれい…」

エレベーターを降りた僕たちは一瞬、目を疑った。
そこには…夜空が広がっていた。
上から下ってきたはずなのに、エレベーターの建物には天井がありまるで小屋のようだった。

「あれは、なんなのでしょうか…?」

クドが夜空を指さす。
空中に漂う光の玉。
良く見ると、その玉には何やら映像らしきものが映し出されていた。

「…恭介」
「どうした、理樹」
「今思ってる事、そのまま行っていい?」
「…ああ」
「これが…あの『世界』の正体なのかな」
「さぁな。俺にもわからん。だが…懐かしい感覚だ」

だが、わからない事はまだたくさんある。
何故この『世界』が僕たちに作用したのか。
何故この『世界』が学校の地下に存在しているのか。
そして…この『世界』の源は何なのか。
その時だった。
空に浮かぶ一つの光。
その光が徐々に大きくなっていく。

「な、なんだ恭介、なんか怖いぞ…」
「っ、皆伏せろ!」

その光が皆を包む。
そして…久しぶりに訪れるあの感覚。
あらがうことのできない感覚。
どうして。
もう克服したはずなのに。
だが、何故だろう。
嫌な感じがしない。
そのまま身を委ねたくなるような…心地よい感覚。
そして僕は、眠りの世界へと落ちて行った。




…くん!…えくん!…

BGM:スローカーブ

「直枝くん!」
「っ!?」

目が覚める。

「ここは…?」
「家具部室よ」
「あ、部長さん…」
「もう、びっくりしたわよ。ここに良い感じの椅子があったと思って取りに来たら、皆倒れてるんだもの」
「そうだ!皆は…!?」
「向こうにいるわよ。全く、何やってたのよ皆して…」
「う、うーん…」

記憶が飛び飛びで断片的にしか思い出せない。
時計を見ると、午後7時半を指していた。
時間がほとんど進んでいない?
体感時間としては3、4時間はいたように感じるのだが。

「まぁ何より、皆何ともないみたいで良かったわ。エレベーターで降りてきたところだし、戻りましょう」
「はい」

結局、あの地下迷宮が何だったのかは分からずじまいだった。
ただ、一つだけ確かなことがあった。
それは…この世には理屈では説明できない何かが確かに存在するということ。
…今はとりあえず休もう。
そう思いながら、エレベーターへと向かった。

続く



[22069] 第47話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:a88f9fcd
Date: 2012/09/22 00:47
11月16日 金曜日

BGM:目覚めた朝に

目が覚める。
真人は相変わらずクドとランニングだろうか。
食堂へ向かうことにしよう。

朝食のトーストを持っていつもの席に向かう。

「おはよう」
「おはよう、理樹」
「あれ、今日は謙吾だけ?」

いつもは皆いるはずだが、今日は謙吾しかいなかった。
真人はクドとランニングに行っているからだろうけど、恭介と鈴はどうしたんだろうか。

「謙吾、恭介と鈴は?」
「鈴の奴は、さっき神北と先に出て行ったぞ。たしか、今日はあいつ日直ではなかったか?」
「あー、そういえばそうだね」
「恭介は昨日戻るときに何やら二木と話をしていたな。その件かもしれん」

昨日の地下迷宮の一件。
考えれば考えるほどわけがわからなかった。
だけど、一つだけ分かったことがある。
最後のエレベーターが、家具部室の物と同じだったということ。
そして、家具部室周辺の通路はかなり迷路じみていた。
そこで、僕は一つの仮説を組んだ。
あの地下迷宮は、家具部室への道に何らかの力が作用してできたものなのかもしれない。
考えてみれば、通路の雰囲気や壁の素材等似通った点は多い。
だとすれば、あの入口は何だったのか。
考えれば考えるほどわからない事が増えて行く。

「さて、そろそろいい時間だな」
「そうだね」

朝食を食べ終えた僕らは、食堂を後にする。
時間もあまりないし、教室へ急ごう。

BGM:密やかなさざめき

すこし朝食をゆっくりとりすぎたせいか、教室に着いたのはホームルームが始まる前ギリギリだった。
急いで授業の準備をする。



金曜日は3限目に体育があることも相まってあまり自由に動ける時間がない。
なんだかんだですぐに昼休みに。
食堂に行こうか。

「真人、鈴、謙吾、食堂行こう」
「おうよ」
「わかった」
「すまない、今日は俺は別で食べる」
「ん、どうしたんだよ」
「偶には剣道部の奴らと飯でも食おうと思ってな」
「なるほどな」

結局食堂には3人で行くことに。

食堂に行くと恭介の姿が。

「よう」
「朝、何かあったの?」
「ん、あぁ。あれな。ちょいと寮会の事で二木に訊いておきたいことがあってな」
「なんで恭介が?」

寮会の事なら男子寮長に任せてもいいと思うんだけど。

「だってよ、あいつ二木に頭上がらねぇだろ?」
「あー」

言われてみればそうだった。
夏休みも佳奈多さんに思いっきりこき使われていたっけ。

「ところで理樹、謙吾の奴はどうした?」
「謙吾なら剣道部のみんなと食べるってさ」
「ま、偶にはそんな日もあるか」

結局いつも通り他愛のない会話をしながら昼食を食べ終える。

「恭介、この後大丈夫?」
「ん、あぁ。どうした?」
「この後どうせデュエルランキングでしょ?デュエルしよう、恭介」
「そうか、今俺3位でお前4位か。良いぜ、受けて立とうじゃねぇか」

食堂を出て、校舎裏へ移動する。

BGM:勇壮なる戦い

「「デュエル!!」」

3位「ダメな方の棗さん」棗恭介VS4位「変な置物」直枝理樹

Turn1:恭介
手札5

「先攻は俺が貰うぜ!ドロー!秘書にしてはごつすぎやしないか?セイクリッド・レオニスを召喚!」

☆3 1000 DEF1800

「レオニスの効果!こいつが場にいる限り、このターンもう一度だけセイクリッドと名のついたモンスターを召喚できる!まさかお前が江本教授でタチバナさんだったとはな。レオニスをリリースして、セイクリッド・スピカをアドバンス召喚だ!」

☆5 ATK2300 DEF1600

「スピカの効果発動!手札からセイクリッドのレベル5モンスター1体を特殊召喚するぜ!結局いい感じにネタキャラになったな校長。セイクリッド・エスカを特殊召喚!」

☆5 ATK2100 DEF1400

「エスカの効果発動!こいつの召喚、特殊召喚に成功した時デッキからセイクリッドデッキからセイクリッドと名のついたモンスター1体を手札に加えることができる!セイクリッド・カウストを手札に!さらに永続魔法、セイクリッドの星痕を発動!セイクリッドのエクシーズモンスターの特殊召喚に成功した時、1ターンに1度デッキからカードを1枚ドローできる!レベル5のスピカとエスカをオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!セイクリッド・プレアデス!」

ランク5 ATK2500 DEF1500 ORU2

「デッキから1枚ドロー!俺はこれでターンエンドだ」

手札4

Turn2:理樹
手札5

「僕のターン、ドロー!」

セイクリッド・プレアデスは場のカードを手札に戻す効果を持っている。
早く何とかしないと、展開が阻害されるか…。

「手札から速攻魔法、月の書を発動!プレアデスを裏側守備表示に!」
「ちっ…」
「召喚僧サモンプリーストを召喚!」

☆4 ATK800 DEF1600

「グリモの魔導書を発動!デッキからヒュグロの魔導書を手札に!手札の魔法カードを1枚捨ててサモンプリーストの効果発動!デッキからレベル4モンスター1体を特殊召喚する!ライトロード・マジシャン ライラを特殊召喚!」

☆4 ATK1700 DEF200
発動コスト→ヒュグロの魔導書

「ライラの効果発動!このカードを守備表示にして、セイクリッドの星痕を破壊!」

効果破壊→セイクリッドの星痕

「フィールド魔法、魔導書院ラメイソンを発動!カードを2枚伏せて、エンドフェイズにライラの効果発動、デッキの上から3枚を墓地に」

墓地→アルマの魔導書、魔導戦士フォルス、ゲーテの魔導書

「僕はこれでターンエンド」

手札1

Turn3:恭介
手札4

「俺のターン、ドロー!プレアデスを反転召喚!」
「永続罠、デモンズ・チェーン発動!プレアデスの攻撃と効果、表示形式の変更を封じる!」
「やるな。だがまだ甘いぜ!俺はセイクリッド・プレアデスをエクシーズ素材とし、セイクリッド・トレミスM7をエクシーズ召喚!」

ランク7 ATK2700 DEF2000 ORU3

「闇ユウキはマジで怖かったぜ?セイクリッド・ポルクスを召喚!」

☆4 ATK1700 DEF600

「ポルクスの効果!このターンもう一度セイクリッドと名のついたモンスターを召喚できる!良いラスボスだったぜ、理事長。セイクリッド・カウストを召喚!」

☆4 ATK1800 DEF700

「カウストの効果発動!1ターンに2度まで、場のセイクリッドのレベルを1上げるか下げることができる!カウストのレベルを1上げるぜ!」

セイクリッド・カウスト ☆4→5

「手札からエフェクト・ヴェーラーの効果を発動!カウストの効果を無効に!」
「ありゃ、これじゃレベルが合わねぇ。仕方ねぇ、バトルだ!ポルクスでサモンプリーストに攻撃!」
「罠発動、攻撃の無力化!攻撃を無効にしバトルフェイズを終了する!」
「ちっ、だったらこれでターンエンドだ」

手札2

Tuen4:理樹
手札0

「僕のターン、ドロー!魔導書院ラメイソンの効果発動!自分のスタンバイフェイズに墓地の魔導書1枚をデッキに戻すことで、カードを1枚ドローする!」

デッキ→アルマの魔導書

「グリモの魔導書を発動!デッキからヒュグロの魔導書を手札に!さらに手札の魔法カード1枚を墓地に送って、サモンプリーストの効果発動!デッキから魔導戦士フォルスを特殊召喚!」

☆4 ATK1500 DEF1400
コスト→トーラの魔導書

「レベル4のフォルス、サモンプリースト、ライラの3体をオーバーレイ!3体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!アルケミック・マジシャン!このモンスターの攻撃力は墓地の魔法カード1枚につき200ポイントアップする!」

ランク4 ATK1500→2500 DEF1400

「ヒュグロの魔導書を発動!アルケミック・マジシャンの攻撃力を1000ポイントアップ!」

アルケミック・マジシャン ATK2500→3700

「バトル!アルケミック・マジシャンでトレミスに攻撃!」
「ぐっ…!」

戦闘破壊→セイクリッド・トレミスM7
恭介 LP4000→3000

「ヒュグロの魔導書の効果発動!デッキからアルマの魔導書を手札に!そしてエンドフェイズに、アルケミック・マジシャンの効果を発動するよ!このカードのオーバーレイユニットを一つ使い、手札を1枚捨ててデッキから魔法カード1枚をセットする!禁じられた聖杯をセットするよ!僕はこれでターンエンドだ」

アルケミック・マジシャン ATK3700→3100

手札0
伏せ1

Turn5:恭介
手札2

「ぐっ、俺のターン、ドロー!セイクリッド・カウストの効果発動!」
「無駄だよ!速攻魔法、禁じられた聖杯を発動!カウストの効果を無効に!」
「ちっ…!」

セイクリッド・カウスト ATK1800→2200
アルケミック・マジシャン ATK3100→3300

「仕方ねぇ、モンスターを守備表示にしてターンエンドだ」

手札3

Turn6:理樹
手札0

「僕のターン、ドロー!魔導書院ラメイソンの効果、アルマの魔導書をデッキに戻して1枚ドローするよ!」

アルケミック・マジシャン ATK3300→3100

「装備魔法、ビッグバン・シュートをアルケミック・マジシャンに装備!攻撃力を400ポイントアップして、貫通効果を与える!」
「何!?」

アルケミック・マジシャン ATK3100→3500

「バトル!アルケミック・マジシャンでポルクスに攻撃!」
「うおぉぉぉぉぉ!!」

恭介 LP2800→0
勝者:理樹

「うーん、関係のない2つの単語を組み合わせてみよう」
「うおぉぉぉぉ…」

恭介は「病み上がりのDJ」の称号を手に入れた

ランキング変動
↑3位:直枝理樹「変な置物」
↓4位:棗恭介「病み上がりのDJ」

↑6位:神北小毬「夢見る綿羊」
↓8位:宮沢謙吾「寂しがり屋のスペード10」

→12位:西園美魚「本の虫」
→13位:井ノ原真人「犯人と思われていて殺される役」

BGM:密やかなさざめき

「やった、恭介に勝った!」
「くそ、なんか調子悪いぜ」

そろそろ良い時間だし教室に戻ろう。

続く



[22069] 第48話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:a88f9fcd
Date: 2012/09/19 20:05
BGM:MY BRAVE SMILE

午後の授業もあっという間に終わり、放課後。
思えば、今日ほど何も起こらない日というのも逆に珍しい。
嵐の前の静けさでなければいいのだが…。

「理樹、練習行こうぜ」
「うん」

とりあえず、平和が一番だ。
グラウンドへ向かうとしよう。

BGM:デーゲーム



野球の練習もいつも通りだ。
…ただ二人。

「よし、行くぞ謙吾!」
「おうよ!」

キャッチボールの距離がグラウンドいっぱいにまでなってしまった二人を除いては。

「なんというか、薄々予想はしてたけど…」
「あぁ。まさかあんな距離にまで伸びるとはな」
「あほだな」



「ふぅ、いい汗かいたな」

BGM:スローカーブ

練習を終える。
特に変わったことも無く時間だけが過ぎて行った。

夕食も特に変わったことなく終える。
逆にそろそろ怖くなってきた。
いや、むしろ最近いろんなことがありすぎただけなのだろうか。

…思えば、この半年は思いがけないことの連続だった。
リトルバスターズの再結成。
新メンバーの加入。
野球の試合。
修学旅行のバス事故と、そこで起った奇跡。
男子寮の浸水事件と、併設校からの変わった客人。
恭介が帰って来てからの、僕たちだけの修学旅行。
本当にいろいろなことがあった。
毎日がお祭り騒ぎで、それが本当に楽しくて…。
この先、僕たちはいずれ離れ離れになる。
高校を卒業して。
大学へ進学して。
あるいは就職して社会人になって。
皆別々の道を歩いていくことになる。
だけどその時に悔いを残さないように、今この時を楽しもう。
このリトルバスターズの絆がいずれ人生の糧になると、僕はそう信じているから。

BGM:MY BRAVE SMILE

「よう」
「うっす、恭介」

恭介が部屋にやってくる。

「あれ、謙吾は?」
「さぁ」
「ま、どうせ外で素振りでもやってんだろうよ」

バス事故の怪我が治ってからは、謙吾も剣道部に戻っていた。
だが10月の大会では惜しくも決勝で敗れてしまった。
明らかに本調子ではなかったが、本人は「まだまだ鍛錬が足りない」と言い訳はしなかった。
謙吾らしいというか何と言うか。

「さて、今日は何をしようか」
「相変わらずネタないんだね…」

すると、ドアをノックする音が。

「ん、誰だろう」

扉を開け廊下に出る。

「あれ?」

扉の外に人の姿は見えない。

「少年、こっちだ」
「うわぁっ!?」

直後、背後から来ヶ谷さんに声をかけられる。

「ちょっと来い」
「え?」
「いいから来い」
「えー…」

部屋の中の恭介を見ると、「行って来い」といわんばかりの表情だ。
…とりあえず付き合うことにしよう。

「いや、なんで謙吾の部屋なのさ…」

何故か謙吾の部屋に連れてこられる。

「ん?あぁ、単純に誰もいないからだが」
「いやいやいや…」

そう言うと来ヶ谷さんは持っていた袋の中から女物の制服一式を取りだした。

「ま、まさか…」

BGM:勇壮なる戦い

「まぁ、少しわけありというわけだ」

なんとなく読めていた。
だがこのまま抵抗せず女子制服を着るというのも癪だ。
僕にも男のプライドと言うものがある。
…来ヶ谷さんの最大の武器はそのスピードだ。
力強い脚力としなやかな全身のバネを生かした高速移動。
バトルや野球において残した戦果は非常に大きい。
だが幸いこの部屋ならば少し位置取りを変えれば背後に回られるのを防ぐことは容易い。
僕は来ヶ谷さんから視線をそらさず、一挙手一投足を真剣に観察する。
…だが、それが仇となった。

「スキありぃーーーっ!」
「なっ!?」

机の影に隠れていた葉留佳さんに羽交い絞めにされてしまった。

BGM:チクタク・ルーチン

「勝負あり、だな」
「うう…」

まさか、伏兵が潜んでいるとは思いもしなかった。

「いやー、上手くいきましたねっ!姉御!」
「うむ。君の作戦には毎度のことながら驚かされるよ」
「やははー」
「さて。理樹君、観念するんだな」
「う、うわぁぁぁぁぁ…」

そのまま抵抗もままならず、女子制服に着替えさせられてしまった。

「というか、なんでこんなことに…」

しかも今回は丁寧にウィッグやつけまつげといったメイクまで用意されていた。

「さて、折角だし今の君の姿を見てみるといい」

そう言うと来ヶ谷さんはポケットから手鏡を取り出し僕に向けた。
…誰だこいつ!?
自分で見てそう思うほど、僕は別人と化していた。
そこには最早「直枝理樹」という男の面影はまるでなかった。

「さて、行くぞ」
「いや、行くってどこに」
「どこって、女子寮に決まっているではないか」
「あー」

なるほど、だから僕をこんな格好にしたのか。
女子寮の前の境界線「2003UB313ライン」…通称UBライン。
基本的に男子はそのUBラインより先に進むことはできない。
…最もクドの引越しの手伝いをした時なんかは何故かそのまま通してもらえたのだが。
時と場合により、ということなのだろうか。

UBラインを難なく通り抜ける。
最早完全に女子として見られているようだった。
そしてそのまま連れてこられたのは、鈴の部屋だった。

「入るぞ、鈴君」

BGM:少女たちの午後4時半

部屋に入ると、リトルバスターズ女子部が勢ぞろいしていた。

「来ヶ谷さん、お帰りなさい」
「ん、くるがや、そいつ誰だ?」

鈴が僕を指さし言う。

「鈴、僕だよ、僕」
「あ、あたしの知り合いに自分の事僕っていう女子はいないぞ」
「いやいやいや…」

もう完全に女の子扱いだった。

「僕だよ、理樹だよ」
「…んっ!?」

どうやら気付いてくれたようだ。
鈴が丸い目をしている横で、

「…っ!?」

佳奈多さんが驚いていた。

「ほ、本当に直枝なの…?」
「うん」
「か、完全に女子だと思ってたわ…」
「えー…」
「理樹君って結構声たかいもんねー」
「加えて童顔です」
「うむ。こうして見れば完全に女の子だな」
「いやいやいや…ところでさ」

そうだ、今はそんな問答をしている場合じゃないんだ。

「…これ、何の集まり?」

前にもこんな光景を見たことがある。
あの時はクドの歓迎会、という名目だった。

「うむ。今日は11月16日だ」
「うん、そうだね」
「今からちょうど半年前、5月16日には何があった?」
「5月16日?えーっと…」

恭介がリトルバスターズの再結成を宣言したのが13日。
そこから野球のメンバー探しを始めて。
数日間成果が無くて。
そして…。

「あ!」

思い出す。
そうだ。
このリトルバスターズに新メンバー1号、小毬さんが仲間入りした日だ。

「うむ。その日から私たちは順にこのリトルバスターズに入っていくこととなる」
「その始まりの日を記念して皆さんで祝いましょう、ということなのです」
「でも、どうして女子だけで?」
「私たちは皆君に誘われてここに入ってきたようなものだからな。何、恭介氏達とはまた別の機会にするとするよ。最も、恭介氏ならもう何か考えているとは思うがな」

確かに。
だとすれば野球の試合から半年になる23日あたりだろうか?

「…それにしても、随分大所帯だね」

前回のお泊まり会やこの間のお茶会の時も結構な人数だったが、今回はフルメンバーだけあって相当な人数だった。

「て言うかさ、佳奈多さん…」
「わ、私は…その、葉留佳がどうしてもって言うから…って、そうじゃなくて!あ、あなたたちがその、そういうことをしないか監視に来たのよ!」
「ふむ、そういうこととはどういうことかね?」
「っ!」

顔を赤らめ硬直する佳奈多さん。

「そ、それは…その…」
「ゆいちゃーん、あんまりかなちゃんをいじめちゃだめだよ?」
「いや、小毬君、ゆいちゃんと呼ぶのはだな…」
「か、かなちゃんって…」
「ゆいちゃんはゆいちゃんだよー。それに、かなちゃんは、かなちゃん」
「「ーーー!!」」

二人して同じようなポーズで硬直していた。

「さて。ではみんな揃ったところだが…」

皆を見渡す来ヶ谷さん。

「くるがや、あたしまだ風呂入ってない」
「私もー」
「私もなのです」

どうやらまだ入浴を済ませていなかったらしい。
夕食からそれほどたっていないし、当然だろうか。

「…てことは」

また目隠しか…。
当然だとは思うんだけど、あの感覚は慣れそうにもない。

「いや、今回は目隠しはいい」
「…え?」
「リキは覗きなんてしませんよね」
「うん、まぁ」

その代わりに、といわんばかりに来ヶ谷さんがもう一つの紙袋から何かを取りだした。

「来ヶ谷さん、なにそれ?」
「流石に脱衣所まで扉1枚だと抵抗を感じる者もいると思ってな。カーテンを用意してきた」
「あー」

そのあたりの配慮は流石に来ヶ谷さんといったところだろうか。

「では、順番に入るとしようか。まずは誰からだ?」
「あ、ちなみに私はもう部屋で済ませてますので」

相変わらず西園さんはその辺のガードが固い。

「あたしは何番目でもいいぞ」
「じゃ、行くわよ、葉留佳」
「お、いきなり?」
「部屋の主がいいって言っているんだもの。ここはお言葉に甘えましょう」
「あいあいさー!」

佳奈多さんが葉留佳さんを連れて脱衣所へ向かう。
と、同時に来ヶ谷さんの設置したカーテンを閉める。
そして僕は何となく部屋の手前側…使われていない方のベッドに腰かけた。

「ふむ、流石だな理樹君。いい位置取りだ」
「感動的ですが、無意味です」
「いやいやいや…」
「その位置だとよく聞こえるんじゃないか?」
「え?」

…言われてみると、背後から声が聞こえる気が。

『こら葉留佳っ!動かないの!』
『もー、自分で洗えるってばー』
「…」
「無意識のうちに風呂の中の声が聞こえる位置を陣取るとは、流石ですね」
「リキ、えっちなのはいけないと思うのです」
「そうだよー」
「いやいやいや…」

特に他意は無いのだが、確かにこの場所はまずいかもしれない。
そう思い場所を移動しようとするが、

「動くな。面白くないだろう」
「えー」

来ヶ谷さんに動きを止められる。
結局、そのままの位置で話を続けることに。

「ふー、いいお湯だった」

しばらくして、葉留佳さんと佳奈多さんが出てくる。

「次はどうする?」
「では、私が行ってまいりますわ」
「笹瀬川さん、あたしも一緒に行っていい?」
「…?ええ、かまいませんが…」

笹瀬川さんと、それに続く沙耶さん。
どういう括り何だろうか…。
少しして、中から会話が聞こえてくる。

『それにしてもあなた、いい足してるわよねー』
『と、朱鷺戸さんっ!?』
『やっぱり毎日部活でトレーニングしてると筋肉って付くものなのかしらね?』
『まぁ、確かにそうですわね。スポーツ選手としては立派なことですが、女としては…足は太くなりますし、その…』

…。
普段なら何気ない会話なのだろうけど、風呂場だと状況が違う。
…いけない。
雑念を振り払う。

「お先に頂きましたわ」
「次どうぞ」

しばらくして二人が上がってくる。
先ほどと同じような流れで次にはいる人を決める。

「鈴君はどうしたい?」
「あたしはいつでもいいが…」
「ふむ。なら私と今から…」

その瞬間、ふかーっ、と威嚇する。

「それはいやじゃっ!」
「む、それは残念だ。それなら…」
「あたしは今日はクドと入る」
「む、珍しいな」
「いいか?クド?」
「のーぷろぶれむ、なのですっ!」
「ならば小毬君、行くとしようか」
「おっけーですよー」

…これはこれで危険な気もするが、あえて何も言わない事にした。

『ははは、小毬君はかわいいなぁ』
『もー、ゆいちゃーん、自分で洗えるってばー』
『む、だからゆいちゃんと呼ぶのはだな』

雑念を振り払うんだ…。
煩悩を捨てろ…。

「いいお湯だったー」
「今上がったぞ」

やはり同じくらいの時間で二人が出てくる。
そして鈴とクドが風呂場へ向かう。

『鈴さんっ!お背中流しますですっ!』
『う、うん、じゃあ頼む』

雑念を捨てろ雑念を捨てろ雑念を捨てろ…。
どうすればいい…!?
そうだ、こういうときは座禅だ。

「…直枝さんは、悟りを開くつもりなのでしょうか?」

聞こえない。
そうだ、何も聞こえない。
それでいい。

………
……

どれだけ時間が経っただろう。
あまり長い時間はたっていないはずだ。
しかし今の僕には果てしなく長い時間に感じた。

「上がったぞ」
「いいお湯でしたー」

しばらくして、二人が出てきた。
それを確認すると同時に、僕も緊張を解く。

「なんだか、何もしてないのにすごく疲れたよ…」
「素直に役得に甘んじればよいものを、頑固だな、君は」
「その辺真面目よね、直枝って」
「いや、まぁ…」

続く



[22069] 第49話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:a88f9fcd
Date: 2012/09/19 20:09
BGM:少女たちの午後4時半

とりあえず、最後に僕もいただくとする。

「少年、せいぜい女子の残り香を嗅ぎながら全裸で悶絶してくるといい」
「しないよっ!」

…で、脱衣所に行ったは良いものの。

「このメイクってどうやって落とせばいいのさ…」

ふと見回すと、来ヶ谷さんが持ってきたであろうメイク落としが置いてあった。
正直あまり使い方は解らないが、やるだけやってみようか。
…わかっている、無心だ無心。



風呂から上がり脱衣所に戻る。

「…あれ?」

ふと籠を見ると、いつも部屋着代わりに着ているスウェットが置かれていた。
来ヶ谷さん…だろうか?

「ふぅ」

とりあえずスウェットを着て皆の元に戻る。
皆思い思いの場所に腰掛けてくつろいでいた。

「さて、今回の議題は理樹君は実はえろえろなのではないかということについてだが」
「いやいやいや…」

もとよりそんなネタ振りはしていない。

「…で、どうするの?みんな集まってるけど」
「普通に話すだけではあまり面白みがありませんね」
「うん。それはいつもやってるからな」

西園さんや鈴の言う通りだ。
ただここでおしゃべりするだけというのもなんだか味気ない。
もちろん普段しないような話題を振ってもいいのだろうが、あいにくながらこの状況で出せるような気前のいいネタは持ち合わせていない。

「なら、私から提案があるわ」
「ほう、佳奈多君からとは珍しいな」
「この間のゲーム、もう1回やってみない?」
「この間のって…」

お茶会の時のあれだろうか。

「おー、いいねそれ」
「ん、ゲームって?」
「簡単に説明しますと、デッキの上からカードを5枚引いて、その中のモンスターのレベル合計を競うゲームです。魔法カードがあれば1枚につき2倍に、罠カードがあれば1枚につき2分の1になります」
「OK。わかったわ」

都合のいいことに…というかこのあとやるつもりだったのだろう。
皆ちゃんとデッキは持ってきていた。

「今回の罰ゲームはどうする?」
「罰ゲームとは少し違いますが、負けた人が会話のネタを振る、という形はどうでしょう?」
「うむ。それがいいな」
「よし、それじゃあゲーム…スタート!」
「まずは私が引こう」

甲虫装機ギガマンティス、甲虫装機ダンセル、甲虫装機ホーネット、大嵐、甲虫装機センチピード

「レベル合計が15、魔法が1枚で30だ」
「間違いなくこのデュエル来ヶ谷さんの勝ちだよね…」
「じゃ、つぎはあたしだ」

究極宝玉神レインボー・ドラゴン、宝玉の契約、宝玉の祈り、虹の古代都市-レインボー・ルイン、宝玉獣サファイア・ペガサス

「基本形、といったところでしょうか?」
「初手にレインボードラゴンは少し重たくないかしら?」
「レベルが14、魔法2と罠1で28だ」
「それじゃー次は私の番ー」

二重召喚、マドルチェ・ミィルフィーヤ、マドルチェ・クロワンサン、マドルチェ・メッセンジェラート、マドルチェ・チケット

「1ターンで何体出せるんだろう…」
「メッセンジェラートでシャトーを引っ張って来れるのは強いかもしれないわね」
「レベル合計が10、魔法が2枚で40だねー」
「では次は私が」

イビリチュア・ジールギガス、イビリチュア・ジールギガス、シャドウ・リチュア、ヴィジョン・リチュア、リチュア・アビス

「ギガスギガスグスタフオラァ、って奴ね…」
「最近のみお、イカみたいなのが出なくなったと思ったら凄いパワーになった…」
「残念ながらガストクラーケは制限カードになってしまいましたから。レベル合計は28ですね」
「じゃあ次私やるー!」

魔法都市エンディミオン、おろかな埋葬、マジカル・コンダクター、トゥーンのもくじ、奈落の落とし穴

「おろかな埋葬で何を落とすか、悩ましいところですわね」
「エンディミオンを墓地に送って、効果で特殊召喚を狙う形かな?」
「レベルが4、魔法が3枚と罠が1枚で16かー」
「では次は私の番なのですっ!」

六武衆-ヤリザ、真六武衆-カゲキ、六武衆の影武者、六武の門、六尺瓊勾玉

「…ヤリザ?」
「はいです。影紫炎と相性がいいと恭介さんに教えてもらったのですが…」
「流石はヤリザ殿。新しいメンバーと早速コンビを組むとは最強の六武衆は伊達ではないでござるな」
「ヤリザ殿、自演はやめるでござる。2回攻撃ができるニサシ殿の方がダメージ効率が良いでござるよ」
「ニサシ殿、嫉妬は見苦しいでござる。そんな姑息な手を使うとは武士の風上にも置けない輩でござるな」
「いや、来ヶ谷さんも西園さんもなにやってるのさ…」
「む?私はヤリザの素晴らしさを説いていただけだが」
「いやいやいや…」
「えーっと、とりあえずれべる合計が8、魔法と罠が1枚づつで相殺なのです」
「つぎは私ね」

ライトロード・パラディン ジェイン、ライトロード・ハンター ライコウ、光の援軍、裁きの龍、ライトロード・マジシャン ライラ

「さすがおねえちゃん、安定感ありますネ」
「レベル合計が18、魔法が1枚で36。まぁこんなところかしら?」
「では次は私が参りますわ」

ジェムナイト・フュージョン、ジェムナイト・オブシディア、ジェムナイト・ガネット、ジェムナイト・ラズリー、ジェムナイト・アレキサンド

「ふむ、実にジェムジェムしているな」
「いや、変な擬音語作らないでよ…」
「レベル合計が14、魔法が1枚で28ですわ」
「それじゃ、次はあたしの番ね」

マシンナーズ・フォートレス、マシンナーズ・フォートレス、マシンナーズ・フォートレス、マシンナーズ・ギアフレーム、アイアンコール

「ん?さやのデッキってマシンナーズだったか?」
「いや、機皇だったと思うんだけど…」
「機皇といっても、マシン機皇って感じだけど。まぁフォートレス展開できるし悪くないわ。レベル合計が25で魔法が1枚の50…って何気にトップなのね」
「それじゃ最後は僕だね」

召喚僧サモンプリースト、ネクロの魔導書、月の書、魔導書士バテル、ヒュグロの魔導書

「レベル合計が5、魔法カードが3枚で8倍だから40だね」
「おー、理樹君も結構いきますネ」
「まぁ今のデッキは魔法偏重だしね」

ついでに葉留佳さんとはデッキの内容やコンセプトも一部被っている。
それにしても前のデッキはどこに行ってしまったんだろう。
恭介の持っていたカード以外に自分で買い足したカードもあるから結構愛着のあるデッキだったんだけども。

「と、いうことは…」
「クドリャフカが最下位ね」
「わ、わふぅ…」
「ではクドリャフカ君、ネタ振りを頼むぞ」
「えーっとですね、それでは…その、どーすればすたいるが良くなるのかみなさんの意見を訊きたいのですが…」

クドが日頃から言っていることであると同時に、女性にとっては永久の命題なのだろう。
…僕がいる場でやっていいのだろうか。

「来ヶ谷さんは当然ですが、三枝さんや佳奈多さんも結構すたいるいいですよね?何か秘訣とかあるんですか?」
「うーん、運動するといいとはよく言うよねー。私なんかはしょっちゅう動き回ってますヨ」
「それに付き合わされて私もずいぶん走らされたわよね」
「あははー」
「運動はいつもらんにんぐをしているのですが…」
「それなら、食のバランスを考えてみるというのはどうかしら?」
「あまり食べる方ではないですが、好き嫌いは無いです」
「ふむ」
「リキはどう思いますか?」

いや、なんでそこで僕に訊くのさ。

「うーん、どうだろう。姿勢を良くしてみるとかはどうだろ?あとは…そうだ、何かいいトレーニング法が無いか真人に訊いてみたら?」
「うむ。筋肉の事については真人少年に訊くのが一番だろう」
「随分と信頼されてますのねあの筋肉ダルマ…」
「こと筋肉の事に関しましては専門家レベルですから」

真人が筋肉のことで知らない事は無いといっても過言ではないだろう。
最近は腕や足に触るだけでその人のスポーツ歴まで分かるようになってきたらしい。

「なるほどー。それではまた井ノ原さんに訊いてみます、なのです」
「さて、それではそろそろ2回戦と行こうか」

正直な話、来ヶ谷さんに回ると面倒なことになりそうな気がする。
西園さんも大概な気がするけど、儀式モンスターの関係上デッキ内の平均レベルが高めでかつ魔法カードを多く使うデッキだから最下位になる可能性は恐らく低い。
だが来ヶ谷さんの場合は事情が違う。
甲虫装機は基本的にレベル3以下のモンスターが主戦力となる。
加えて来ヶ谷さんの事だろうから罠カードもきっちり投入しているだろう。

「ふむ、レベル合計が4で罠が3枚、1未満切り上げで1か」
「…」

…早速恐れていた事態が起こってしまった。
さて、一体どうなる事やら。

「さて、今回の議題は理樹君は実はえろえろなのではないかということについてだが」
「いやいやいや…」

結局そこか!

「地下迷宮の探索の時は女子と二人きりになる機会が多かっただろう?何もなかったのか?」
「いや、別に何もなかったけどさ…」
「…そういえば、昨日の一件の後から二木さんの事を『佳奈多さん』と呼ぶようになっていますが…」
「ふむ。一体何があった?」
「いや、だから別に何もなかったから」
「そ、そうよ。ただその、葉留佳は名前で呼ばれてるのに私は名字でっていうのも変かな、って思っただけで…」
「そういえば、みんな呼び方ってバラバラだ」

確かに鈴の言う通りだ。
個人の性格や当人との親しさの度合いの差もあるのだろうけど。

「そうだね。例えば…みんな、真人の事なんて呼んでる?」
「真人」
「井ノ原さん、です」
「真人君、かなぁ」
「真人くん、だね」
「真人少年、が多いか」
「井ノ原さん、ですね」
「筋肉ダルマで十分ですわ」
「井ノ原、ね」
「井ノ原君、かしら」
「ね、結構パターン分かれるでしょ?」
「確かに、言われてみればそうですね」

やっぱり、こういうのって性格出るんだろうな。

「さて、じゃそろそろ次行こうか」
「まてまてまて、話題が逸れたままだぞ」
「いいからいいから」
「む…」

何とか逃げ切った。
…そんなこんなで話題トークは進んでいき、

「ラパンデ1枚に罠3魔法1か」
「お、理樹君珍しいね」

5順目で最下位に。

「…少し真面目なネタでもいいかな?」
「うむ。今は理樹君がネタを振る番だ。理樹君の思ったようにするといい」

BGM:お砂糖ふたつ

「それじゃ…今日、ある意味でこのリトルバスターズが動き出して半年なわけだけど、そのさ、みんなは…今後の事って考えてるのかなって」
「今後…ですか?」
「うん。まだ少し先の話にはなるけど、進学したり、就職したり…色々あると思うんだ。…正直、僕はまだあんまりはっきりと決められてないんだ」
「来年のクラス分けは理系選択でしたよね?リキ」
「うん。今なんとなくで考えてるのは、理工系…かな。それでも色々あるからオープンキャンパスとかも行ってみないとわからないけど」

この辺りは理系の強い大学は公立、私立問わず結構多い。
だけど一口に理系と言ってもその種類は山ほどある。
物理、化学、地学、生物、数学。
その中でも電気工学や薬学、遺伝子工学に食品加工学だったりと細分化されている。
受験…というよりセンター試験に関して言えば、物理と化学はそれなりに自信がある。
他の科目も基本的に点数は並だ。
少なくとも足を引っ張るような科目は特にない。
担任からは最近「点は取れるんだから早く行きたいところを決めるべきだ」とよく言われる。

「で、良かったら…だけど、みんなは考えてることとかある?」

この話は、謙吾と真人とは以前に一度やったことがある。
謙吾は家の道場を継ぐつもりだそうだ。
真人は何とかして筋肉について極められるところに行きたいと言っていた。

「私は…」

最初に話してくれたのはクドだった。

「私は、やっぱり宇宙に行きたいという夢を追いかけたいです。少し遠いですが、航空宇宙大に進学して、ロケットについて学びたいと思っているのです」

クドの夢、宇宙飛行士。
クドのお母さんは世界的にも有名な宇宙飛行士だ。
小さいころからずっとその背中を追い続けてきたんだろう。

「私は市内にある公立の大学で数学をやるつもりだ」
「実はですね、私とお姉ちゃんと姉御、3人揃っておんなじ所志望なのですよ。やはは」
「公立ともなるとセンター試験も受けないといけないし、今から少しずつ対策して行った方がいいのかしらね…」

来ヶ谷さん、葉留佳さん、佳奈多さん。
確かに言われてみれば3人とも数学が強い。
葉留佳さんは今年の夏に沖縄の数学オリンピックに出場していたくらいだ。

「…私は、文学部で図書館の司書の資格を取ろうと思っています」

西園さん。

「私は、幼稚園の先生になろうと思ってるんだー」

小毬さん。

「あたしはちょっとワケ有りで、成人したら海外に行こうと思ってるの。だから世界の経済とか情勢とか、そういうのを勉強しようと思ってるわ」

沙耶さん。

「わたくしは…動物関係の勉強をしたいと思っていますの」

笹瀬川さん。

「あたしもだ。猫についてもっといろいろ知りたいんだ」

そして、鈴。
みんなやっぱりおおよそのイメージというのはあるみたいだった。

「リキは、将来やってみたいこととかはありますか?」
「うーん…」

両親の影響で自分の進む道を決める人も少なくないだろう。
父親が医者だから自分も医者を目指す。
母親が教師だから自分も教師を目指す。
ここでいえばクドがそうだ。
一方で、自分の興味や秀でた分野で道を決める人もいる。
本が好きだから図書館の司書を目指す。
生物が得意だから動植物の研究職を目指す。
前者は鈴や笹瀬川さん、沙耶さんに西園さん。
後者は葉留佳さんと佳奈多さん、そして来ヶ谷さん。
また他には、なりたい物があってそこに向かっている人もいる。
小毬さんと、同時にクドもそうだ。
僕は…どうだろう?
早くに親を亡くし、仕事をしている姿というのは殆ど見たことがない。
近い親戚…今の後見人さんの家にお世話になっていた時も、意識して見たことはなかった。
一体僕は、どこに向かっているんだろう。

「意外と、教師なんかが向いているかもしれないですよ」
「ふむ。言われてみればそんな気がするな」
「まー、多分真人くんに毎晩勉強おしえてるだろうからねー」
「直枝先生、ですか…なんだか素敵なのです」
「そ、そうかな…」

教師、か。
今まで考えたことも無かった。
正直、今ここだけで明確な道が決まるわけでもない。
だけど、なんだろう。
この先に進むためのヒントを得られたような気がした。

「うん、なんだろう。ありがとう、みんな」

そして少しだけ、心の中のもやもやが晴れた気がした。

続く



[22069] 第50話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:a88f9fcd
Date: 2013/01/02 01:08
BGM:チクタク・ルーチン

「…さて。そろそろ良い時間だね」

時計の針を見ると、11時を指していた。

「む、帰るのか?」
「来ヶ谷さん、前にクドの部屋で泊った時、僕どうやって部屋に戻ったか知らないでしょ…」
「うむ。全く」
「いやいやいや…」

あの日は誰も起きてこないような時間を見計らって、日も昇りきらないうちに部屋に戻った。
最近は日の出も大分遅いけど、それでも不安だ。

「とりあえずさ、僕は男子寮に戻るよ」
「少し残念だが、無理強いはできまい。そうだ、よかったらこれをつけていくと良い」

そう言って渡されたのは、さっきのウィッグ。

「それを付けていれば、万一誰かの視界に入っても怪しまれることはあるまい」
「ありがとう」

そんなこんなで男子寮に戻り、そのまま寝床に就いた。


11月17日 土曜日
BGM:目覚めた朝に

目が覚める。
今日はなんでも教員全体が出払う必要があるとかで、臨時休校だそうだ。
課題も少し出ているが…その辺は今日の夜にでも真人と二人で片付けよう。

「さて…」

相変わらず真人はいない。
恐らく今日もクドとランニングだろう。
最近真人も早起きの癖がついてきた。
…とりあえず、朝食を食べに行こう。

「おはよう、みんな」
「うっす」
「おはよう、理樹」
「おはよう」
「おはようございます、リキ」

今日はクドも一緒にいた。
恰好からして、ランニング帰りだろう。
最近は涼しさも増し、少し肌寒いくらいだ。
逆に、早朝の運動にはもってこいなのかもしれない。

「おはよう、諸君」

少し遅れて、恭介がやってきた。

「今日は何かするの?」
「今日は1日休みだからな」
「だな」
「だから、あえて何もしない」
「は?」
「そろそろ面倒くさくなってきたんじゃないのか?」
「そんなことはないぞ、鈴。ただ、毎日あれだこれだとやっても疲れるだろ?充電期間ってやつだ」

確かに、ここ最近は例の影の事件もあってなかなかにばたばたとしていた。
少しゆっくりもしたい気分だ。

「なら、俺は少し外に出る」
「ん?珍しいな、謙吾」
「少し行きたいところがあるんでな。何、夕方には戻る」
「ま、いいけどよ」



朝食を終える。

「よし、んじゃもう1セット行くか!クー公!」
「はいなのです!」

食器を片付けるや否や、二人で校庭へ飛び出していった。
珍しく真人の朝食が軽めだと思ったら、そういうことだったのか。

「…偶には僕も参加しようかな」

BGM:えきぞちっく・といぼっくす

「真人、クド」

校庭横でストレッチをしている二人に声をかける。

「お、理樹。どした?」
「僕も一緒に走っていいかな?」
「おう、もちろんだぜ。な、クー公?」
「はいなのです!」
「とりあえず、準備運動は入念にやっとけよ。急に走ると筋肉がびっくりしちまうからな」
「うん、わかった」

屈伸や伸脚などの軽い準備運動をして、体を温める。

「クド、タイムお願いしていい?」
「もちろんなのです」

校庭の外周、白線で書かれたレーンに立つ。

「すりー、つー、わん、ごー!なのですっ!」

クドの合図とともに走りだす。
思った以上に体が軽い。
そのままぐんぐんと加速していく。
気がつけば、あっという間にゴールしていた。

「わふっ!私の最速タイムを越されちゃいました!?」
「おっ、すげーな、理樹」
「え、ホント?」

コンマ数秒の差らしいが、クドの最速タイムを上回っていたようだ。

「よっしゃ!俺も負けてられねぇぜ!理樹、タイム頼むぜ」
「わかった。任せてよ」

そのあとは同じようにタイムを計りながら、3人で交代しながら走った。

「ふーっ、いい汗かいたぜ」
「わふー…」
「ちょっと疲れたね」
「それに、そろそろちょうどいい時間なのです」

時計を見る。
時間的には30分くらいだろうか。
さっき真人が1セットと言っていたあたり、それくらいなのだろうか。

「実際はもう少し短いですけどね。今日はリキもいましたから」
「なるほどね」
「で、どうするよ?この後」
「私は一度部屋に戻ってシャワー浴びたいですね。服も着替えたいですし」
「僕たちも一旦部屋に戻ろうよ」
「そうだな。じゃな、クー公」

クドと別れ、部屋に向かうことにした。

BGM:MY BRAVE SMILE
部屋に戻る。
そういえば、鈴との件も考えないとな…。
ただ、いざ外を見るとさっきから雲行きがどうも怪しい。
いざ二人で出掛けるとなって雨降られるのもな…。
鈴が機嫌を損ねてしまわないうちに、何か考えておこう。

少しすると、扉をノックする音が。

「理樹、真人、いるか?」
「うん」
「入るぞ」

恭介と鈴が入ってきた。

「どうしたんだ?急に」
「今日の活動について、少し話をしにな」
「なんだ?今日は自由行動じゃなかったのか?」
「…いや、それがそうもいかなくなってな」
「…どういうこと?」
「考えてみろ。謙吾が1人で外出って、おかしいと思わないか?」
「まぁ、確かに珍しいけどよ」
「そこで、謙吾が何をしに出かけるのかをチェックしようと思う」
「それって…」
「名付けて、第1回、謙吾の休日を探れ作戦だ!」
「なんというか、安直なネーミングだね…」
「ん?なんだ、あたしも行くのか?」
「当然だ」
「なんであたしが野郎の休日を観察せにゃならんのだ!」
「まぁまぁそう言うなって。よし、それじゃあ…ミッションスタートだ!」

BGM:Mission possible ~but difficult tusk~
「鈴、様子はどうだ」
『こちら鈴。謙吾が校門に向かっているのが見える。オーバー』

前にメンバー勧誘で使っていたマイクセット一式を使い鈴と通信する。
一方で僕たちは謙吾から見えない位置に身を隠している。

「なにか変わった物を持っていたりしないか?それと、オーバーはいらんからな」
『特に怪しげなものは持ってない。おー…さだはる。ふぅ…危なかった』
「いやいやいや…」
『あっ、外に出るぞ!』
「よし、俺たちも行くぞ!」

学校を出て、駅前の商店街に出る。
さっきと同じように僕たちは身を隠し、鈴を先行させる。

「商店街まで来たか。鈴、そっちはどうだ」
『今のところ変わった動きは見られない。おー…くましげのぶ』
「しかし、あいつが商店街まで来る用事ってなんかあるか?」
「さぁな…俺もいまいち心当たりがない」
『謙吾が店に入った』
「何っ!?」
「何の店に入ったの?」
『あれは…花屋?』
「花?」
「ますますわかんなくなってきたぜ…」
「謙吾が花、か…」
『出てきた』
「どんな花を持っている?」
『袋に入っててわからん。ただ、結構大きい』
「でかい花?」
「なんだろう…花束か何かかな?」
「鈴、謙吾の向かう先はわかるか?」
『今駅の方向に向かってる』
「駅…電車か?」
「よし、俺たちも行くぞ」

駅に着く。

「鈴、謙吾が買っている切符はわかるか?」
『んーっと…一番上の左から5つ目のボタンを押してた。おー…ぜきしょうしん』
「となると、320円区間か」
「とりあえず、僕たちも買おうよ」

みんなで320円の切符を買い、ホームへ向かう。

『下り線ホームの一番端にいる』
「下りで320円つったらどこだよ?」
「えーっと…ここだね」

路線図を指さす。

「ここって何かあったか?」
「さぁ…心当たりはないけど」
「ん、電車が来たな」
『謙吾が電車に乗ったぞ』
「よし、お前は謙吾が見える位置にいろ。俺たちは一番遠い車両に乗る」
『了解』

乗ったのは急行電車だった。
そのまま数駅電車に揺られる。

『謙吾が降りるぞ』
「よし、俺たちも行くぞ」

そして予想通りの駅で降りる。
…空を見ると、少し雲が厚くなっているようだった。
雨、降らないといいけど…。

「…で、いつまで着いてくるつもりだ?鈴」
「!?」
「ありゃ、見つかっちまったか」
『すまない、ドジった』
「で、そこにいるんだろ?理樹、真人、恭介」
「バレてたか…」
「まったく、何をこそこそしているのかと思えば…何をしている?」
「いや、それむしろ俺たちが訊きてぇんだがよ」
「お前が花を持って遠出…ただ事ではなさそうだが?」
「…そうか。そうだな。いまさら隠すこともあるまい。ついてこい」

BGM:ともしび
謙吾が僕たちを連れてきたのは、市営墓地だった。

「親戚か誰かの墓参りか?」
「いや、そうじゃない」

しばらく歩いて、とある墓石の前で立ち止まった。

古式家乃墓

墓石にはそう刻まれていた。

「古式…まさか…」
「そうだ。…あいつの、墓だ」

古式みゆきさん。
実家が弓道の道場で、入学当初から弓道部の期待のエースと呼ばれていた。
だけど、ある時病気が原因で弓道を辞めたと聞いていた。
とはいえ直接会って話したことはなかったし、噂で聞いたことがある程度の人だった。
…あの日までは。

「あいつは、弓道家の命である目を失ったんだ」
「え…」
「それで…あいつは…」

今年の春…彼女は屋上から飛び降り、自ら命を絶った。

「…あいつは俺と同じだった。俺が剣道をやるように、あいつにとってはそれが弓道だった。もし俺があいつと同じ立場だったとしたら…例えば、この腕を失うようなことがあれば…俺は、あいつと同じ道を辿っていたかもしれない」
「…心配すんなって、謙吾」
「真人…」
「そん時のために俺たちがいんだろ?たまには俺の筋肉にも頼ってくれよ。な?」
「…ああ。ありがとう」

花を供え、線香を焚く。
そして墓前に手を合わせ、去ろうとした…その時だった。
眼前に、あの影が現れた。

「ちっ、こんなときに…!」
「…お前は…」
「どうしたの、謙吾?」
「…古式…」

続く



[22069] 第51話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:a88f9fcd
Date: 2013/01/02 01:14
BGM:ともしび
そこに立っていたのは、僕たちの学校の制服を着た、黒髪の女生徒だった。
そして、その右目には眼帯をしていた。

「…そうか、やっぱり…お前だったんだな。俺の戦うべき相手は…」
「…宮沢さん…」
「何も言うな。ただ…ここでけりをつける。それだけだ」
「…やれるか?謙吾」
「ああ」

「「…デュエル」」

宮沢謙吾VS古式みゆき

Turn1:謙吾
手札5

「俺のターン、ドロー。モンスターをセット。そして手札から永続魔法、機甲部隊の最前線を発動。俺はこれでターンエンドだ」

手札4

Turn2:古式
手札5

「私のターン、ドローします。手札のスカル・コンダクターの効果を発動します。このカードを捨てることで、手札から攻撃力の合計が2000になるようにアンデット族モンスター2体を特殊召喚します。私はボーンクラッシャーと、」

☆4 ATK1600 DEF200

「ペインペインターを特殊召喚します」

☆2 ATK400 DEF200 チューナー

「さらに手札から馬頭鬼を通常召喚します」

☆4 ATK1700 DEF800

「ペインペインターのモンスター効果を発動します。自分フィールド上のアンデット族モンスター2体を指定し、エンドフェイズまでレベルを2に変更します。私はボーンクラッシャーと馬頭鬼を選択」

ボーンクラッシャー ☆4→2
馬頭鬼 ☆4→2

「ペインペインターはフィールド上に存在する限り、カード名をゾンビキャリアとして扱います。レベル2のボーンクラッシャーと馬頭鬼に、レベル2のペインペインターをチューニング。シンクロ召喚…アンデット・スカル・デーモン」

☆6 ATK2500 DEF1200 シンクロ

「アンデット・スカル・デーモンがフィールド上に存在する限り、私の場のアンデットモンスターはカードの効果では破壊されません」

「ってことは…!」
「謙吾のリボルバー・ドラゴンが通じない…」

「バトルフェイズに入ります。アンデット・スカル・デーモンでセットモンスターに攻撃」

A・ジェネクス・クラッシャー ☆4 ATK1000 DEF2000

「機甲部隊の最前線の効果発動!デッキから、戦闘で破壊された機械族モンスターより低い攻撃力を持つ、同じ属性の機械族モンスター1体を特殊召喚する。俺はデッキから攻撃力200の、レイアル・ジェネクス・コーディネイターを特殊召喚する」

☆2 ATK200 DEF100

「レアル・ジェネクス・コーディネイターの効果発動。このモンスターの召喚、特殊召喚に成功した時、手札からレベル3以下のジェネクスと名のついたモンスターを特殊召喚できる。A・ジェネクス・チェンジャーを特殊召喚」

☆3 ATK1200 DEF1800

「カードを1枚伏せて、ターンエンドです」

手札2
伏せ1

Tuen3:謙吾
手札3

「俺のターン…ドロー。ジェネクス・ワーカーを召喚」

☆3 ATK1200 DEF1200

「A・ジェネクス・チェンジャーの効果発動。1ターンに1度、自分の場のモンスター1体の属性を変化させることができる。俺はチェンジャーの属性を風に」

A・ジェネクス・チェンジャー 闇→風

「レベル3のA・ジェネクス・チェンジャーとジェネクス・ワーカーに、レベル2のレアル・ジェネクス・コーディネーターをチューニング。シンクロ召喚…レアル・ジェネクス・ヴァインディカイト!」

☆8 ATK2400 DEF1000

「こいつは攻撃対象にならない…カードを2枚伏せ、ターンエンドだ」

手札1
伏せ2

Turn4:古式
手札2
伏せ1

「私のターンです。ドロー。永続魔法、生還の宝札を発動」
「何っ…!?」

「ん、なんだあれは?」
「生還の宝札…自分の墓地からモンスターが特殊召喚されるたびに、デッキからカードを1枚引くカードだ」

「手札からチューナーモンスター、ゾンビキャリアを召喚します」

☆2 ATK400 DEF200 チューナー

「…フィールド魔法、アンデットワールドを発動します」
「なっ…!」
「このカードがフィールド上に存在する限り、互いのフィールドと墓地のモンスターは全てアンデット族となり、さらに互いのプレイヤーはアンデット族以外のモンスターのアドバンス召喚ができません。墓地の馬頭鬼の効果を発動します。このカードを除外し、墓地のボーンクラッシャーを特殊召喚します。墓地からモンスターの特殊召喚に成功したためカードを1枚引きます。そして、ボーンクラッシャーの効果を発動します。アンデット族モンスターの効果で墓地から特殊召喚に成功したので、相手フィールド上の魔法・罠カード1枚を破壊します。私は機甲部隊の最前線を選択します」
「ぐっ…」

効果破壊→機甲部隊の最前線

「レベル4のボーンクラッシャーに、レベル2のゾンビキャリアをチューニング。シンクロ召喚…デスカイザー・ドラゴン」

☆6 ATK2400 DEF1500

「デスカイザー・ドラゴンのシンクロ召喚に成功した時、相手の墓地からアンデット族モンスター1体を特殊召喚します。宮沢さんの墓地から、アンデット族になったA・ジェネクス・クラッシャーを特殊召喚。手札から魔法カード、死者蘇生を発動して墓地からゾンビキャリアを特殊召喚します。生還の宝札の効果で1枚引きます。そしれレベル4のクラッシャーにレベル2のゾンビキャリアをチューニング…シンクロ召喚、蘇りし魔王ハ・デス」

☆6 ATK2450 DEF0

「手札のカード1枚をデッキの一番上に戻し、ゾンビキャリアを特殊召喚します。そして生還の宝札で今戻したカードをドローします。レベル6のハ・デスにレベル2のゾンビキャリアをチューニング…シンクロ召喚、ブラッド・メフィスト」

☆8 ATK2800 DEF1300

「魔法カード、死者蘇生を発動。墓地のペイン・ペインターを特殊召喚し、生還の宝札の効果で1枚引きます。レベル6のデスカイザー・ドラゴンに、レベル2のペインペインターをチューニング…もう1体のブラッド・メフィストをシンクロ召喚します」

「一気に展開してきやがるな…」
「でも、謙吾の場にはレアル・ジェネクス・ヴァインディカイトがいる」
「あぁ。だが…」

「…私は、レベル8のブラッド・メフィスト2体でオーバーレイ。2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築…エクシーズ召喚、No.22 不乱健」

ランク8 ATK4500 DEF1000 ORU2

「なんて巨大なモンスターなんだ…」

「不乱健の効果を発動します。手札を1枚捨て、このカードのオーバーレイ・ユニットを一つ使うことで、フィールド上に存在するカード1枚の効果をエンドフェイズまで無効にします。レアル・ジェネクス・ヴァインディカイトの効果を無効にします」

コスト→ブラッド・メフィスト
手札コスト→邪炎機-極炎

「まずいっ!」

「そしてこの効果を使った不乱健は守備表示になります。では、バトルです。アンデット・スカル・デーモンで、レアル・ジェネクス・ヴァインディカイトに攻撃」
「ぐぅぅっ…!」

戦闘破壊→レアル・ジェネクス・ヴァインディカイト
謙吾 LP4000→3900

「私はこれでターンエンドです」

手札0

Turn5:謙吾
手札1
伏せ2

「俺のターン、ドロー。速攻魔法、サイクロンを発動。アンデットワールドを破壊する」

効果破壊→アンデットワールド

「手札から魔法カード、闇の誘惑を発動。カードを2枚引き、手札の闇属性モンスター1体をゲームから除外する。ただし、除外するカードが存在しない場合、手札を全て捨てる」

「今の謙吾の手札はゼロ…」
「一か八かの賭けってわけか」

「デッキから2枚ドロー。手札からこのカードをゲームから除外する」

除外→The big SATURM

「…永続罠、闇次元の開放を発動。ゲームから除外された闇属性モンスター1体を特殊召喚する。来い、The big SATURN!」

☆8 ATK2800 DEF2200

「あれ、あのカード…」
「ん、どーした?理樹?」
「…雨、か」

「手札から魔法カード、貪欲な壺を発動。墓地のモンスター5体をデッキに戻し、カードを2枚引く」

デッキに戻す→レアル・ジェネクス・ヴァインディカイト、レアル・ジェネクス・コーディネイター、ジェネクス・ワーカー、A・ジェネクス・クラッシャー、A・ジェネクス・チェンジャー

「The big SATURNの効果発動。ライフを1000払って手札を1枚捨て、こいつの攻撃力を1000アップする」

謙吾 LP3900→2900
The big SATURN ATK2800→3800

「バトルだ。SATURNで、アンデット・スカル・デーモンに攻撃!そしてこの瞬間罠カード、スキル・サクセサーを発動!SATURNの攻撃力を400ポイントアップさせる!」

The big SATURN ATK3800→4200
戦闘破壊→アンデット・スカル・デーモン
古式 LP4000→2300

「おいどうした謙吾!?なんで攻撃力の高い不乱健を狙わない!?」
「ん?」
「あいつの守備力は1000だ!だったら今のでとっとと破壊しちまえばよかったじゃねぇか!」
「横から口出しをするな!」
「なっ…!てめぇ!」
「待て、落ち着け、真人。これは…あいつの戦いだ」

そうだ。
これは…俺の戦いだ。
全てを…終わらせるための。
あと…100ポイントだ。

「…なぁ、鈴、どう思うよ」
「あたしに訊かれてもよくわからん…」
「…あいつ、もしかして…わざと負けようとしてるんじゃねぇか?」
「なっ、どうして!?」
「なんか…そんな気がしてな。よくわかんねぇけどよ…」

「俺はカードを1枚伏せ、ターンエンドだ」

The big SATURN ATK4200→2800
手札0
伏せ1

Turn6:古式
手札0

「私のターン、ドロー。手札から魔法カード、貪欲な壺を発動します。墓地のモンスター5体をデッキに戻し、カードを2枚引きます」

デッキに戻す→ボーンクラッシャー、スカル・コンダクター、ブラッド・メフィスト、デスカイザー・ドラゴン、蘇りし魔王ハ・デス

「…不乱健を攻撃表示に。邪神機-極炎を特殊召喚します」

☆6 ATK2400 DEF1400

「速攻魔法、禁じられた聖杯を発動。The big SATURNの効果を無効にします」
「カウンター罠、魔宮の賄賂を発動!魔法・罠の発動を無効にして破壊し、相手はカードを1枚ドローする!」
「…では、これでターンエンドです」

手札1

Turn7:謙吾
手札0

「俺のターン、ドロー。…古式、最後に一つだけいいか?」
「なんでしょう、宮沢さん?」
「…本当に、すまなかった。あの時お前がどれだけ悩み、苦しんでいたか…俺は気付いてやることができなかった…お前を…救えなかった…っ!あの後、俺は一度全てを失った…失ってからわかった…当たり前に有る物が、どれだけ大切か…どれだけ尊いか…」
「謙吾…」
「…今更、許してもらおうなんて思わない。ただ、これが俺にできる…最後の事だ。俺はThe big SATURNの効果を発動!ライフを1000払って手札を1枚捨て、このターン中攻撃力を1000ポイントアップする!」

謙吾 LP2900→1900
The big SATURN ATK2800→3800

「…っ、思い出した!あのカードの持つ、もう一つの効果!」
「どうしたんだよ理樹、急にでけぇ声上げてよ」
「The big SATURNは破壊されたとき、互いのライフに攻撃力分のダメージを与える効果があるんだ!」
「なにっ!?」
「まさか…謙吾の奴…っ!やめろ!謙吾!お前まで死にたいのか!」

「古式…これが俺にできる、せめてもの償いだ。バトル!The big SATURNで、不乱健に攻撃!!」

「くそぉっ!」
「謙吾っ!」

「…宮沢さんは優しいんですね。でも…今はまだ、受け取れません」
「何っ…?」
「…不乱健の効果は、相手ターンでも発動できるんです」
「まさか…やめろ!古式!」
「…手札を1枚捨ててオーバーレイユニットを1つ使い、SATURNの効果を無効にします」

The big SATURN ATK3800→2800

「そして…不乱健は守備表示になります」
「やめろっ…止まれ!止まってくれぇぇぇぇ!!」

しかし、一度宣言した攻撃を止めることはできない。
SATURNの攻撃が、不乱健を打ち砕く。

「ぐっ…うっ…くそっ…くそぉっ…!」
「…エンドフェイズ時に自分の場に他のアンデット族モンスターが存在しない場合、邪炎機-極炎は墓地に送られ…私はその攻撃力分のダメージを受けます」
「っ!!」
「…ありがとうございます、宮沢さん…」
「古式ぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!」

古式 LP2300→0
勝者:謙吾

「くそっ…くそっ…俺は、あいつを…あいつを…っ!」
「謙吾…」
「…おい謙吾、ちょい面貸せ」
「何?」

ドカッ!
真人のパンチが謙吾の顔面にヒットする。

「ぐっ!」
「お、おい真人!」
「何やってんだ急に!?」

BGM:遥か彼方~instrumental~

「いつまでめそめそしてやがんだ!お前らしくもねぇ!」
「…知った風な口をきくなっ…!」
「確かに古式の事は俺は知らねぇ!だがな、それ以上に今のてめぇはわかんねぇ!俺が知ってる宮沢謙吾はな、過ぎたことをいつまでも悔やむような、そんな弱ぇ男じゃねぇんだよ!俺が生涯、唯一ライバルとして認めた男が、何ぐじぐじ泣いてやがんだ!」
「貴様…言わせておけばっ!」

バシンッ!
謙吾の竹刀が、真人の脇腹を叩く。
思わず脇腹を押え、うずくまる真人。

「へっ、やっぱそうでなきゃな…それでこそ、リトルバスターズ最強の男だ」
「真人…」
「…たまには、良いこと言うじゃねぇか」
「…うん、あの馬鹿のこと、少し見直したかもしれない」
「ふ、まさか、お前に説教される日が来るとはな。だが、おかげで目が覚めた。ありがとう」
「へっ、礼なんかいるかよ、気色悪ぃ。さて!帰ったらいつものやつやるぞ!」
「ああ、受けて立とう!」

いつの間にか雨も止み、濡れた大地には光が差し込んでいた。
それはまるで…その一刀で過去を断ち切った一人の男を、祝福するかのように…。

続く



[22069] 第52話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:8a7817a6
Date: 2013/06/04 00:52
BGM:MY BRAVE SMILE

謙吾の一件に片をつけた僕らは、一路電車でいつもの商店街に帰ってきた。

「そういや恭介、今何時だ?」
「1時の5分前」
「そうか、まだお昼だったね」

朝から色々あったせいで忘れていたが、時間的にちょうどお腹も空いてくるころだった。

「この辺になんか食えるところってあったか?」
「近くに喫茶店がある」
「喫茶店?」
「そうだ。まえにこまりちゃんと来た事がある」
「よし、じゃ行ってみるか」

鈴に連れられ、喫茶店へとやってくる。

「いらっしゃいませー、何名様ですか?」
「5人で」
「かしこまりましたー。こちらの席へどうぞー」

ウェイトレスの案内で席に着く。

「何食うかな…鈴、なんかオススメとかねぇか?」
「ここはパスタがおいしいんだ」
「へー」
「そういや、普段からあまり食べるものではないな」

食堂の日替わりメニューで偶に出されるくらいで、僕たちには普段からあまり馴染みのあるものではなかった。
僕らにとって麺料理といえばもっぱらうどんか焼きソバ、それと夜食に食べるカップラーメンくらいのものだ。

「みんな決まったか?」
「うん」
「おう」
「うむ」
「ばっちりだ」
「よし、じゃ店員呼ぶか」

恭介がスタッフの一人に声をかける。

「ご注文をお伺い致します…って、直枝くん?」
「あ、有月さん。今日もバイトなんだ」
「ええ」
「ん、なんだ理樹、知り合いか?」
「うん。夏休みにちょっとね。椎菜ちゃん元気にしてる?」
「もう元気すぎて困るくらいですよ。たまの休みに家に帰ってみたら、もう凄いことになってて…」
「あはは…」
「その辺はまた後で。私今日はもう少しで上がりなので。注文、訊いておきますね」
「俺はミートソースで!」
「んじゃ俺はきのこパスタ」
「あたしはペペロンチーノだ」
「俺はこの、和風おろしパスタというものを頼む」
「僕はカルボナーラかな」
「かしこまりました。ドリンクはどれにされますか?」
「ん?いや、単品で良いんだが」
「私の奢りです。折角ですので」
「すまないな。じゃ、俺は…」

みんなそれぞれ注文を終える。

「ドリンクは料理と一緒でよろしいですか?」
「あぁ」
「かしこまりました」

そう言うと、有月さんはレジの方へと消えて行った。

「そういや、夏休みどうなってたかあんまり訊いてねぇな」
「うん、僕もあんまり話した記憶ないや」
「折角だ。で、どうだったんだ?」
「まぁ話せば長くなるけど…」

BGM:At the Mountain Behind

夏休みは色々なことがあった。
男子寮の浸水事件。
その結果、僕たち居残り組の男子は寝る場所を失ってしまった。
その時、手を差し伸べてくれたのは意外にも佳奈多さんだった。
彼女の発案で、殆ど誰もいない女子寮旧館の空き部屋を男子寮が使えない間貸してくれることになったのだ。
一応その際の取り決めとして「紳士協定」というものも結ばれたが、寝泊まりする場所を確保できた男子にとってその程度の制約はさして問題ではなかったようだ。
一方僕は部屋が足りなかったため、よく出入りしていた家庭科部室を使うことにした。
家庭科部室はある意味でクドのテリトリーだったわけで、夏休みの間は良くいろんなことをした。
課題を一緒に進めたり、街のペットボトルロケット大会に出場したり。
その時に出会った小さな友達、有月椎菜とその姉の有月初。
そして併設校からの奇妙な客人、氷室憂希。
極めつけは恭介並に面白い事好きの部長さん。
リトルバスターズのいない夏休み。
でも賑やかさは普段と同じか、それ以上だったと思う。

「お料理をお持ちいたしました」
「お、来た来た」

有月さんが料理を運んできた。
そして各々の料理を配り終える。

「ごゆっくりどうぞ」

そう一言だけ残すと、有月さんは次の客の元へ向かっていった。

「で、理樹」
「どうしたの?恭介」
「…さっき、氷室って言ったよな」
「うん。どうしたの?」
「…『あの』、氷室憂希か?」
「いや、いまいち意味が分かんないんだけど…」
「…以前、鈴木の紹介で会ったことがあるんだが…」
「…あー」
「ん?私がどうかしたって?」
「!!」

BGM:Tranpoline Girl

「聞いたことある声がすると思ったら直枝くんじゃない。久しぶり、どうしたの?」
「いや、どうしたも何もここでお昼食べてるだけですけど」
「なーんだ。つまんない」
「いやいやいや…」
「ん、理樹?また知り合いか?」
「おっと、紹介がまだだったわね。併設校3年、氷室憂希よ」
「氷室さんは併設校の科学部部長で、クドの幼馴染なんだ」
「クドの友達なのか?」
「そーそー。あなたは?」
「…な、棗、鈴…」
「なるほど、鈴ちゃんか。よろしくね」
「う、うん。よろしく」
「俺は宮沢謙吾。で、こっちの筋肉が井ノ原真人だ」
「ていうか氷室、お前こんなとこで何やってんだ」
「何やってるって、昼食」
「いや、そりゃ見てわかるけどよ…」
「ってのは冗談で、鈴木くんが新しい発明を完成させたって大はしゃぎで連絡してくるものだからさ。どんなものか気になってね」
「てかお前、学校は大丈夫なのか?日帰りでどうこうできる距離じゃないだろ?」
「試験は一昨日で終わったし、結果も昨日返ってきたわ。それにもう大学も決まってるし、実質自由登校なの。そういう棗くんは就職決まったの?」
「まぁとりあえず一社内定はもらってる」
「にゃにぃっ!?」
「おいおい、初耳だぞそりゃ」
「う、うむ」
「あれ、言ってなかったけっけか。春先に行った出版社あるだろ?」
「あー、あの徒歩で東京まで言った奴?」
「そそ。とりあえず今のところそこから内定はもらっている」

最近就活に時間割かないと思っていたら、いつの間にか決まっていたのか。

「これから学校に帰るところ?」
「うん」
「だったら一緒に行かない?折角だし」
「いいよ。別に断る理由も無いし」

そんなこんなでまたメンバーを加えて学校に戻ることに。

BGM:密やかなさざめき

学校に着くと、氷室さんは来客の受付をするために職員室に向かっていった。

「で、どうするの?」
「とりあえず、ランキング一戦やるか」
「だな」

BGM:勇壮なる戦い

よし、そうとなれば強いやつを求めて校内をさすらってみよう。

クド(1位)と遭遇。

「クド、デュエルだ!」
「ちゃんぴおんとして、受けて立つのです!」

「デュエルランキング暫定王者」能美クドリャフカ(1位)VS「変な置物」直枝理樹(3位)

Turn1:クド
手札5

「私の先攻、どろー!なのですっ!手札から永続魔法、六武の門を発動するのです!そして手札から、真六武衆-カゲキを召喚なのですっ!」

☆3 ATK200 DEF1700
六武の門カウンター 0→2

「カゲキの効果で、手札から六武衆の影武者を特殊召喚するのです!」

☆2 ATK400 DEF1800 チューナー
六武の門カウンター 2→4

「れべる3の真六武衆-カゲキに、れべる2の六武衆の影武者をちゅーにんぐ!孤高の刃よ、今こそその力を振るい戦乱の世を統一するです!しんくろ召喚!真六武衆-シエン!」

☆5 ATK2500 DEF1400
六武の門カウンター 4→6

「六武の門の効果発動するです!武士道かうんたーを4つ取り除いて、でっきから六武衆と名のついたもんすたーを手札に加えるです!そして真六武衆-キザンは場に六武衆が存在する時、手札から特殊召喚することができるのです!」

☆4 ATK1800 DEF500

「さらに六武の門の効果でもう1体のキザンを特殊召喚、なのですっ!」

真六武衆-キザン ATK1800→2100

「かーどを2枚伏せて、たーんえんどなのです!」

手札1
伏せ2

Turn2:理樹
手札5

「僕のターン、ドロー!手札の魔導書3枚を相手に見せることで、魔導法士ジュノンは手札から特殊召喚できる!」

☆7 ATK2500 DEF2100
手札公開:グリモの魔導書、ヒュグロの魔導書、魔導書院ラメイソン

「魔導戦士ブレイカーを召喚!このモンスターの召喚に成功した時このカードに魔力カウンターを1つ置き、このカードに置かれた魔力カウンター1つにつき攻撃力を300アップする!」

☆4 ATK1600→1900 DEF1000

「手札から魔導書院ラメイソンを発動!」
「真六武衆-シエンの効果を発動するです!1たーんに1度だけ、相手の魔法・罠かーどの発動を無効にして破壊するのです!」

破壊(発動無効):ヒュグロの魔導書

「こっちが本命!魔法カード、二重召喚を発動!ガガガマジシャンを通常召喚!」

☆4 ATK1500 DEF1000

「ガガガマジシャンの効果発動!1ターンに1度、このカードのレベルを任意に変更できる!ガガガマジシャンのレベルを7に!」

ガガガマジシャン ☆4→7

「レベル7のガガガマジシャンと魔導法士ジュノンでオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚!No.11 ビッグ・アイ!」

ランク7 ATK2600 DEF2000 ORU2

「ビッグ・アイのモンスター効果発動!このカードのオーバーレイ・ユニットを一つ使い、相手モンスター1体のコントロールを得る!僕はシエンのコントロールを得るよ!」

No.11 ビッグ・アイ ORU2→1 発動コスト:ガガガマジシャン
真六武衆-キザン ATK2100→1800

「さらに魔導戦士ブレイカーの効果発動!このカードの魔力カウンターを1つ使って、相手の魔法・罠カード1枚を破壊するよ!僕は右のセットカードを選択!」
「あうっ!?」

魔導戦士ブレイカー ATK1900→1600
効果破壊:聖なるバリア-ミラーフォース-

「手札からグリモの魔導書を発動!デッキからヒュグロの魔導書を手札に!そしてそのまま発動、対象はブレイカーだ!」

魔導戦士ブレイカー ATK1600→2600

「バトル!ブレイカーでキザンに攻撃!」
「あぅっ!」

クド LP4000→3200

「ヒュグロの魔導書の効果でトーラの魔導書を手札に!シエンでもう1体のキザンに攻撃!」
「わふっ!」

クド LP3200→2500

「カードを1枚伏せてターンエンドだ」

手札1
伏せ1

Turn3:クド
手札1
伏せ1

「私のたーん、どろー!なのですっ!こうなったら最後の手段です!罠かーど、究極・背水の陣を発動なのです!」
「真六武衆-シエンの効果を発動!」
「そうはさせないのです!手札から速攻魔法、禁じられた聖杯の効果を使うのです!これでシエンの効果は無効になるです!」

クド LP2500→100
真六武衆-シエン ATK2500→2900

「墓地に存在する4体の六武衆を特殊召喚するです!」

六武の門カウンター 0→2

「れべる4のキザン2体でおーばーれい!2体のもんすたーでおーばーれい・ねっとわーくを構築、えくしーず召喚!六武衆の影-紫炎!」

ランク4 ATK2500 DEF400 ORU2
六武の門カウンター 2→4

「六武衆-ヤリザを召喚なのです!」

☆3 ATK1000 DEF500
六武の門カウンター 4→6

「六武の門の武士道かうんたーを4つ取り除いて、でっきからキザンを手札に加えるのです!」

六武の門カウンター 6→2

「そしてキザンを特殊召喚なのです!」

六武の門カウンター 2→4

「さらに六武の門のかうんたーを取り除いて、真六武衆-エニシを手札に加えるです!」

六武の門カウンター 4→0

「れべる3のカゲキにれべる2の影武者をちゅーにんぐ!しんくろ召喚!X-セイバー ウェイン!」

☆5 ATK2100 DEF400 シンクロ

「ウェインの効果を発動するのです!このもんすたーのしんくろ召喚に成功した時、手札から戦士族もんすたーを特殊召喚できるのです!真六武衆-エニシを特殊召喚!」

☆4 ATK1700→2200 DEF700→1200

六武の門カウンター 0→2

「エニシの効果を発動、なのですっ!墓地の六武衆2体をげーむから除外して、ふぃーるど上のもんすたー1体を手札に戻します!ビッグ・アイを手札に戻すのです!」
「えぇっ!?」

バウンス:No.11 ビッグ・アイ

「れべる4のエニシとキザンでおーばーれい!2体のもんすたーでおーばーれい・ねっとわーくを構築、えくしーず召喚!H-Cエクスカリバー!」

ランク4 ATK2000 DEF2000 ORU2

「エクスカリバーの効果を発動するです!このかーどのおーばーれいゆにっとを2つ使って、次の相手たーんのえんどふぇいずまで、このもんすたーの攻撃力を2倍にするです!」

H-C エクスカリバー ATK2000→4000 ORU2→0 発動コスト:真六武衆-エニシ、真六武衆-キザン

「そして六武衆の影―紫炎の効果を発動するです!このかーどのおーばーれいゆにっとを1つ使って、自分の場の攻撃力1000以下の六武衆の元々の攻撃力をこのたーん中2000にするです!ヤリザの攻撃力をあっぷするです!」

六武衆の影―紫炎 ORU2→1 発動コスト:真六武衆-キザン
六武衆-ヤリザ ATK1000→2000

「ばとるです!エクスカリバーで、ブレイカーに攻撃!」
「ぐっ…!」

理樹 LP4000→1600

「ヤリザでだいれくとあたっくです!」
「うわぁぁぁぁぁ…」

理樹 LP1600→0
勝者:クド

「しょーごー、ふぉーゆー、とぅーゆー、なのですっ!」
「あちゃー…」

理樹は「ヤリザに負けました」の称号を手に入れた!

ランキング変動
→1位:能美クドリャフカ「デュエルランキング暫定王者」
→3位:直枝理樹「ヤリザに負けました」

↑4位:朱鷺戸沙耶「不発弾でした」
↓5位:棗恭介「時風のニセモノ」

→9位:三枝葉留佳「チャーミングなピン芸人」
→10位:二木佳奈多「エクササイザー」

今日はこの辺にしておこう。

続く



[22069] 第53話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:8a7817a6
Date: 2012/12/17 01:37
BGM:Trampoline Girl

「手続き、終わったわよ」
「それにしても来るなら一言連絡くらい入れてください、氷室さん」
氷室さんと佳奈多さんが職員室から戻ってくる。
なんでも寮会の資料を提出に行った時に出くわしたらしい。

「まぁまぁそう硬いこと言わないの。リャーチカはいる?」
「さっきまで一緒にいたんだけど、すれ違いになっちゃったかな」
「あら、残念。それじゃ、先に用事の方済ませてこようかな」
「…くれぐれも、前みたいなことはやめてくださいって鈴木さんに伝えておいてください」
「あぁ、あれね。わかったわ」

前、というのは例の僕たちだけの修学旅行の最中に起こった事故の事だろう。

「あ、そうだ、氷室さん」
「ん、どうしたの?」
「用事終わったら、食堂に来てもらっていいかな?折角だからクドも呼びたいし」
「オッケー」

そして氷室さんは足早に科学部の部室の方へと歩いて行った。

BGM:チクタク・ルーチン

「…で」

食堂にはリトルバスターズのメンバーが勢ぞろいしていた。
そして僕は、集合場所に食堂を選んだことをひどく後悔した。
事の顛末はこうだ。

氷室さんたちと別れてから、食堂に向かった。
なんとなく喉が渇いていたので裏の自販機でジュースを買うことに。
校舎裏の自販機でコーラを買って食堂へ。

食堂に戻ると先にクドがいつもの場所に座っていた。
約束通り、氷室さんが来るまで待つことに。
…その時、後ろから「にゅっふっふっふー」という笑い声が聞こえたような気はしていた。
直後、葉留佳さんと佳奈多さんがやってきた。
昼食がまだだったらしく、サンドイッチを買ってきて食べていた。
そしてそれを皮切りに、どういうわけかぞろぞろと食堂に集まって来てしまった。

「…」
「あのー、どうしましたか?リキ」
「ごめん、ちょっとだけいいかな」
「?」

電話を取り出し、とある番号にかける。
以前寮会の手伝いをする際に交換した番号だ。

『あー、もしもし、直枝くん?どうしたの?』
「…部長さんですよね?みんなに集まるよう声掛けたの」
『げ、一瞬でばれちゃった』
「いや、まずいつもの笑い声が聞こえてましたし…」
『あちゃー』
「で、何のつもりなんですか?」
『何のつもりって酷いなぁ。折角氷室さんが来てるんだから、せめて紹介の場でもって思ってね』
「あー…」
『んじゃ、そういうわけだからよろしくっ!』
「あ、ちょっと部長さ」

ブツッ。
切られてしまった。

「…はぁー」

何だかわからないけど気が重い。

BGM:Trampoline Girl

「おっと、なんだか大所帯になってるね」

しばらくして、氷室さんが戻ってきた。

「あ、氷室さん!」
「リャーチカ!久しぶりー!」
「あたたた、痛いです氷室さん…」
「あ、ごめん!」
「もー、前も言ったじゃないですか。強く握る癖、なおした方がいいですよ」
「頭ではわかってはいるんだけどねー」
「え、えーっと…誰?」

葉留佳さんが素っ頓狂な声を上げる。
当然だ、突然違う学校の制服に白衣を着た見知らぬ女子がクドと仲良く話しているのを見れば誰だってそう思う。

「おっと、紹介が遅れたわね。中にはさっき会った子もいるけど、改めて。併設校の3年、氷室憂希よ。所属は科学部、階級は部長。身長165cm、体重45kg、スリーサイズは上から89、58、84のナイスバディ。好きなタイプは…」
「あーあー、その辺でその辺で」
「なんか今日の直枝くんノリ悪いわね」
「いやいやいや…」
「それはともかく、今日からしばらく厄介になるからよろしくね」
「え」

一瞬、場の空気が凍りつく。

「え、佳奈多さん、それって…」
「併設校…というよりもっと上の組織からの刺客、とでもいうべきかしら」
「どういうこと?」
「なんでもうちの科学部の視察でしばらくこっちにいるそうよ」
「鈴木くんのNYP研究が大学の研究者の目に止まったみたいでねー。それにそれを差し引いても彼の持つ技術力は是非欲しいってことでね」
「どういうこと?」
「私が行く予定の大学、航空宇宙大だけど…そこの教授にテヴア空軍出身の技術者がいるの」
「テヴア?どこだそれ?」
「クドの故郷だよ」
「はいなのです。あれ、ということは…お母さんとお知り合いの方ですか?」
「そう。元テヴア空軍宇宙開発局技術士官、アレクサンドル・イワノフスキー教授よ。リャーチカも会ったことあるでしょ?」
「はい、小さい頃は良くお世話になりました。でも日本の大学で先生をしているなんて知りませんでした」
「まぁ来てからそんなに年月経ってるわけでもないしね」
「それにしても、あの鈴木さんに目をつけるとはどういうことなのでしょう?」
「彼、そのNYPとかいう研究の過程で反重力フローターを作り上げちゃったのよ。表沙汰にはなってないけど、そのせいで学会がひっくり返るほどの大騒ぎになってね。実は今、いろんな研究施設が彼の技術を掌握しようと躍起になってるのよ。それこそ大学のような研究機関だけでなく一民間企業から世界的大企業、果てには各国の軍さえもね」

この学校の科学部ってそんなにすごかったのか…。
もはやわけがわからない。

「反重力フローターなんて、航空学会の根底をひっくり返すような大発明よ。揚力や作用反作用以外で空に飛ぶ手段なんて今までそう無かったもの。なにより、未だに正体がよくわかっていない重力を操るなんて芸当未だに成功例なんて無いもの」
「う…なんかもうわけわかんねぇ…」
「つまりは、我が校の科学部は世界の最先端技術者が驚くほどの技術を持っているということなのだな?」
「端的にいえばそうなるわね」
「なんかよくわからんが、くちゃくちゃすごいってことだな」
「…ちなみに」

西園さんが持ってきていた何かを机に置く。

「このNYPグラビティ・プレッシャー・キャノンもその応用例だそうです」
「グラビティ・プレッシャー・キャノン!?」
「はい。着弾地点周辺の重力を操作して物理的ショックを与える武器です。現在は半径1メートルほどの空間に軽い振動を与える程度の威力ですが、理論上は超小型のマイクロブラックホールを造り出すことも可能…だそうです」
「ブラックホールって…」
「ちなみに今は縮退炉の理論を組み立てているところだそうです」
「なんだ?しゅくたいろって?」

急に聞いた事のない単語が飛び出してきた。

「ブラックホールの放射エネルギーを使った動力炉だそうです」
「鈴木の奴…ヒュッケバインかグランゾンでも造る気なのか?」
「もう私からしてもわけがわからないわね…」
「氷室さんを超えるとは、さすが科学部恐るべし、なのです」
「あ、ちなみに言っておくけど大学進学はコネじゃなく実力だから、その辺り変な勘違いしないように」
「いやいやいや…」
「でも、お部屋はどうするの?もう開いてる部屋は無いと思うんだけど…」
「リャーチカの部屋に泊めてもらうわ」
「いいのかよ?クー公」
「元々故郷ではルームメイトでしたから」
「んまぁ、クー公がいいなら別に良いんだけどよ」
「ところで、これって何の集まり?」

あ、やっぱり食いついてきた。

「それは俺が説明しよう。俺たちは草野球チームだ」
「草野球?あれ、この学校野球部なかったっけ?」
「前にゴタゴタがあってからは事実上の廃部状態だね。今は部員もいないし」
「あらそうなの」
「ちなみに、チーム名はリトルバスターズだ」
「へー、面白そうじゃない。私も仲間に入れてもらっていいかしら?」
「いいだろう。ただしこのチームに入団するにはテストを受けてもらう必要がある」
「テスト?へぇ、この私にテストで挑もうだなんて面白いじゃない」
「ふっ、ならば行くぞ」

BGM:Mission possible ~but difficult tusk~

「問題!オレイカルコスの結界の効果は!?」
「このカードの発動時に、自分フィールド上の特殊召喚されたモンスターを全て破壊する。このカードがフィールド上に存在する限り、自分はエクストラデッキからモンスターを特殊召喚できず、自分フィールド上のモンスターの攻撃力は500ポイントアップする。1ターンに1度、このカードはカードの効果では破壊されない。自分フィールド上にモンスターが表側攻撃表示で2体以上存在する場合、相手は攻撃力の一番低いモンスターを攻撃対象に選択できない。「オレイカルコスの結界」はデュエル中に1枚しか発動できない。」
「合格!」
「えー」

こうして、リトルバスターズにまた新たなメンバーが加わった…。

続く



[22069] 第54話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:8a7817a6
Date: 2012/10/22 09:43
BGM:Trampoline Girl

一通り氷室さんへの自己紹介を終える。

「それにしても、棗君にこんな可愛い妹さんがいたなんてねー」
「っ!?」
「ほう、君にも鈴君の良さがわかるか」
「えっと、たしかあなたは唯湖ちゃんだっけ?」
「ぐ…あまり下の名で呼ばれるのは慣れないのだが…」
「あらそうなの?」
「うむ。できれは私の事は来ヶ谷と名字で呼んでくれるとありがたいのだが」
「だが断る」
「何っ」
「この氷室憂希が最も好きな事の一つは、自分で強いと思っている奴に「NO」と断わってやることだ…ってのは冗談だけど、なんだかね」
「ふむ。ならこうしよう。とりあえず私の事はリズベスで頼む」
「リズベス?」
「私のミドルネームだよ。そちらの方が呼ばれ慣れているのでな」
「リズベス、ってことはエリザベスか。わかったわ。よろしくね、リズベス」

何やら妙な友情が生まれたようだった。

「そういえばリャーチカ、さっきのだけど」
「どうかしましたか?」
「なんだか面白い遊びやってるみたいじゃない。遊戯王?」
「あ、はいなのです」
「なんだ氷室。お前も興味あるのか?」
「たまにはいいかな、って思ってね。ついでにさっき鈴木君からこれ渡されたし」

氷室さんが手に持っていたそれは、僕たちと同じD-ゲイザーとD-パッド。

「私のクラスでも一時期流行ってね。なんかみんな持ってるんだけど」
「よし、じゃ折角だ。お手並み拝見と行かせてもらおう」
「いいじゃんいいじゃん。言っておくけど、そう簡単に私は落とせないわよ?」
「言ってくれるじゃねぇか」

BGM:勇壮なる戦い

「「デュエル!!」」

棗恭介VS氷室憂希

Turn1:恭介
手札5

「俺の先攻、ドロー!セイクリッド・レオニスを召喚!」

☆3 ATK1000 DEF1800

「こいつがフィールド上に存在する限り、俺は1ターンに1度通常の召喚とは別にセイクリッドと名のついたモンスターを召喚できる!セイクリッド・シェラタンを召喚!」

☆3 ATK700 DEF1900

「シェラタンの効果発動!こいつの召喚に成功した時、デッキからセイクリッドと名のついたモンスターを手札に加える!俺はセイクリッド・カウストを手札に加えるぜ!レベル3のレオニスとシェラタンでオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚!発条機雷ゼンマイン!」

ランク3 ATK1500 DEF2100 ORU2

「俺はこれでターンエンドだ」

手札5

Turn2:氷室
手札5

「私のターン、ドローよ。魔法カード、フォトン・サンクチュアリを発動。自分フィールド上にフォトントークン2体を守備表示で特殊召喚するわ」

☆1 ATK2000 DEF0

「自分フィールド上の攻撃力2000以上のモンスター2体をリリースすることで、手札から銀河眼の光子竜を特殊召喚するわ!」

☆8 ATK3000 DEF2500

「銀河眼の光子竜でゼンマインを攻撃!破滅のフォトンストリーム!」
「甘い!ゼンマインは破壊される時、素材を1つ取り除くことでその破壊を無効にできる!そしてこの効果を適用したターンの終了時、場のカード1枚を破壊する!」
「残念だけどそうはいかないわ。銀河眼の光子竜の効果発動!このカードが戦闘を行うとき、バトルしているカード双方をゲームから除外することができる!」
「何!?」
「カードを2枚伏せて、ターンエンド。この瞬間、効果によって除外されたモンスターはフィールド上に戻るわ。そしてこの効果で除外したモンスターがエクシーズモンスターだった場合、除外時に相手が持っていたオーバーレイユニット1枚につき500ポイント攻撃力をアップさせるわ」

銀河眼の光子竜 ATK3000→4000

手札2
伏せ2

Turm3:恭介
手札5

「くそっ、俺のターン、ドロー!セイクリッド・ポルクスを召喚!」

☆4 ATK1700 DEF600

「こいつが召喚に成功したターン、俺はもう1度セイクリッドと名のついたモンスターを召喚できる!来い!セイクリッド・カウスト!」

☆4 ATK1800 DEF700

「セイクリッド・カウストのモンスター効果発動!1ターンに2度まで、自分フィールド上に存在するセイクリッドのレベルを1上げるか下げることができる!俺はこいつとポルクスのレベルを1上昇!」

セイクリッド・カウスト ☆4→5
セイクリッド・ポルクス ☆4→5

「レベル5のカウストとポルクスでオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚!セイクリッド・プレアデス!」

ランク5 ATK2500 DEF1500 ORU2

「永続罠、デモンズチェーン発動。プレアデスの効果を無効にし、表示形式の変更と攻撃を封じるわ」
「そうは行くか!チェーンしてプレアデスの効果発動!このカードのオーバーレイユニット1つ使い、フィールド上のカード1枚を持ち主の手札に戻す!」
「残念だけど、それも無理ね。速攻魔法、禁じられた聖杯を使うわ」
「はぁ!?」

セイクリッド・プレアデス ATK2500→2900

「くそっ、なら俺はセイクリッド・プレアデスをオーバーレイ!オーバーレイ・ネットワークを再構築、カオスエクシーズチェンジ!セイクリッド・トレミスM7!」

ランク6 ATK2700 DEF2000

「バトルだ!トレミスで銀河眼の光子竜に攻撃!」
「銀河眼の効果を使うわ」
「そうはさせねぇ!速攻魔法、禁じられた聖杯を使わせてもらうぜ!」

銀河眼の光子竜 ATK4000→4400

「でも、恭介さんのモンスターの方がずっと攻撃力が低いのです」
「いや、あいつの事だ。恐らく…」

「…ダメージステップ、いいか?」
「まさか…!?」
「手札からオネストの効果を発動!自分の光属性モンスターが戦闘を行う時、このカードを手札から捨てて発動する!俺のモンスターの攻撃力は、戦闘を行っている相手モンスターの攻撃力分アップする!」
「くっ…やるわね」

セイクリッド・トレミスM7 ATK2700→7100
戦闘破壊:銀河眼の光子竜
氷室 LP4000→1300

「手札から光の護封剣を発動し、ターンエンドだ」」

手札2

Turn4:氷室
手札2

「私のターン、ドロー。アクセル・ライトを発動。このターンの通常召喚を封じる代わりに、デッキからフォトンまたはギャラクシーと名のついたモンスター1体を特殊召喚するわ。銀河の魔導師を特殊召喚」

☆4 ATK0 DEF1800

「銀河の魔導師の効果発動。1ターンに1度、このモンスターのレベルを4上げることができるわ」

銀河の魔導師 ☆4→8

「どんどんいくわよ!魔法カード、銀河遠征を発動!自分フィールド上にレベル5以上のフォトンまたはギャラクシーと名のついたモンスターが存在する場合、デッキからレベル5以上のモンスターを特殊召喚するわ。銀河騎士を特殊召喚!」

☆8 ATK2800 DEF2600

「装備魔法、銀河零式を発動!墓地に存在するフォトンまたはギャラクシーと名のついたモンスター1体を特殊召喚して、このカードを装備するわ。ただしこのカードを装備したモンスターは攻撃できず、効果も無効化されてしまうけどね。銀河眼の光子竜を特殊召喚するわ!」

「一気にモンスターを並べてきたね」
「でもよ、並べたは良いけどあれじゃ攻撃できねぇだろ?」
「お前、バカだろ」
「んだと鈴!?てめぇはこっから何かできるってのかよ!?」
「ひむろのモンスターのレベルを良く見てみろ」
「レベル?」
「全部8だ」
「ってことは、エクシーズでもすんのかよ?」
「姉御、ランク8って何がいたっけ?」
「有名どころではNo.15 ギミック・パペット―ジャイアント・キラーあたりだろうな」
「確かに、ジャイアントキラーでも出せば勝負は付けられるな」

「あー、ちなみに私ジャイアントキラー持ってないから」
「何?」
「Vジャン買い損ねちゃったのよ。残念ながら」
「お前、随分余裕だな…」

BGM:死闘は凛前なりて

「余裕も何も、あそこでオネストを使わせた以上私の勝ちよ。レベル8の銀河眼の光子竜、銀河騎士、銀河の魔導師でオーバーレイ!3体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚!超銀河眼の光子龍!」

ランク8 ATK4500 DEF3000 ORU3

「攻撃力4500だと!?」
「超銀河眼の効果発動!銀河眼の光子竜を素材としてエクシーズ召喚された場合、フィールド上に存在する全てのカードの効果を無効にするわ!」
「何!?」
「さらに超銀河眼のもう1つの効果を使うわ。このカードのオーバーレイユニットを1つ使い、相手の場に存在する全てのオーバーレイユニットを取り除くわ。そしてこの効果で取り除いたオーバーレイユニット1つにつきこのモンスターの攻撃力を500アップさせ、さらにその数だけこのターンこのモンスターは攻撃宣言を行うことができるわ!」
「はぁ!?何だよそれ!?」

超銀河眼の光子龍 ATK4500→6000

「さぁ、滅びなさい!超銀河眼でセイクリッド・トレミスM7に攻撃!アルティメット・フォトン・ストリーム!」
「うわぁぁぁぁぁぁ…!」

恭介 LP4000→0
勝者:氷室

BGM:チクタク・ルーチン

「ま、ざっとこんなものね」
「へぇ、やるじゃねぇか」
「流石は氷室さんなのです」
「ひむろ」
「ん、どうしたの?鈴ちゃん」
「馬鹿兄貴に称号でも付けてやってくれ。せめてもの弔いだ」
「称号?そうね…こんなのはどうかしら」

恭介は「白色矮星」の称号を手に入れた!

「安らかに眠れ」
「恭介さんはお星様になってしまったのですか…」
「てか、なんだ?そのハクショクワイセイって」
「長い時をかけて内部の水素が尽き、核融合反応を行えなくなった恒星の末路ね」
「簡単にいえば、恒星の燃えカスです」
「いや、そのまずコーセイってのがわかんねぇんだが」
「太陽のような星の事だ。というかそれくらい習っただろう?」
「アディオス、ミスター恭介。君の事は忘れない」
「ってお前ら!勝手に殺すんじゃねぇ!」
「わふっ!?」
「いやまぁ」

続く



[22069] 第55話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:8a7817a6
Date: 2012/11/01 02:51
BGMチクタク・ルーチン

「さてと、だ」

なんとか立ち直ったらしい。

「なんか折角みんな集まっちまったわけだしな。練習でもするか」
「今日は自由行動じゃなかったのかよ」
「不満か?」
「いや、別にそういうわけじゃねぇけどよ」
「なら別に良いじゃねぇか。よし、グラウンドに行くぞ!」

BGM:デーゲーム

思えば、僕たちが試合をするために練習していた時のメンバーよりもさらに人数が増えていた。
相変わらずピッチャーマウンドの鈴とバッターボックスの僕以外はみんな自由気ままに動き回っている。
そして木陰のお茶会には氷室さんが加わった。

「理樹、いくぞっ!」
「いつでもいいよ!」
「うにゃっ!」

カキンッ!
乾いた音を立てて白球が飛ぶ。
落下地点には丁度恭介が。

「ディスアド承知で最終戦争が使いたいのかい?球筋に出てるぜ!」

相変わらずこの返しだけは全く意味がわからない。
今度は右方向にボールを打ち返す。
そこには葉留佳さんが。

「おちゃのこさいさいっ!理樹くん、返すよっ!」

少し角度が急だったのか、振るタイミングがずれて詰まった当たりに。
すると、丁度タイヤを引いて走っていた真人が。

「よっしゃぁっ!」

真人の返しは相変わらず勢いがあるから、少し早めにバットを振る。
今度は左側、来ヶ谷さんの守備範囲だ。

「容易い」

初速からトップスピードになるあの歩法は一体なんなんだろうか。
今度また訊いてみよう。
良い位置にボールが来たのもあってか、センターやや右方向に。
鈴の脇を抜けたボールは、佳奈多さんの手元に。

「これ、なんか変じゃない?」

投げ返しつつ呟く佳奈多さん。
うん、確かにかなり変則的だとは思う。
僕たちはもう慣れてしまっているけど。
今度はセンターやや左方向、笹瀬川さんの位置に。

「硬式の球は少し慣れませんわね」

それでも確実にキャッチして返してくれる。
流石、エースで4番の肩書を持つだけのことはある。
今度はセンター手前側、鈴の後ろの辺りだ。

「ごめん棗さん、ちょっとだけ伏せて!」

鈴が体勢を低くしたのと同時に、その上を通るようにして沙耶さんがボールを投げ返す。

「謙吾っ!」

上手く引っ張って角度を調整し、謙吾の方へ打ち返す。

「よしきたっ!」

それをバットで打ち返す謙吾。
丁度良い角度で戻ってきた。

「鈴、フィニッシュ行くよ!」

帰ってきたボールにやや軽めにバットを当て、鈴に向かって打ち返す。

「うにゃっ!」

そしてそれをキャッチする鈴。

「なんか今日はすげぇな」
「ここまで繋がったのって久しぶりだよね」
「もうこれは、なんか称号を与えないと申し訳ないレベルだな」

理樹は「コンボマスター」の称号を手に入れた!

「あ、そうそう。称号と言えば、デュエルランキングだけど」
「どうしたの?」
「随分人も増えてきたしな。挑戦可能順位を2つ上から最大3つ上まで引き上げる」
「また唐突だな」
「氷室の奴がやるって聞かねぇんだよ…」
「あー…」

あの人がこういうイベントに首を突っ込まないはずが無い。

「ま、そういうわけだ。よし、続けるぞ!」

…そんなこんなで、いつものように練習は続くのだった。



「よし、今日はこの辺にしよう」

BGM:スローカーブ

最近は日が落ちるのも随分早くなった。
既に外は暗くなりだしていた。

「ちなみに、今日の日没時間は16時34分ね」
「随分と早くなってますよね」
「そろそろ冬至が近いもの。最終的にこの地域だと、16時28分まで早くなるわ」
「相変わらず、氷室さんにはかなわないのです」
「理樹、氷室、ちょっといいか」

恭介に呼び止められる。

「どうしたの?」
「氷室自身には多分関係無い事だろうが、一応今俺たちの身に起こってることについて簡単に話しておこうと思ってな」
「あ、なるほどね」
「ん、何の話?」
「ま、話せば長くなるが…」



「また、珍妙不可思議な事件ね」
「今のところ各自対処で乗り切ってはいるが、今後何が起こるかもわからん。一応、頭には入れておいてくれ」
「わかったわ」



BGM:チクタク・ルーチン

夕食を終え、部屋に戻る。

「なんか結局濃い1日だったね…」
「ま、別に良いんじゃねぇか?」

とりあえず出されている課題に手をつける。
課題、と言っても英語のテキストの問題と物理の課題プリント1枚だけだから量自体は知れている。

「真人もほら、筋トレばっかやってないで課題やらないと。またテストで赤点取って居残り食らうよ?」
「う…」

流石に赤点というワードが効いたのか、向かいに座る真人。

「理樹、頼みがある」
「何?」
「どっちかだけ写させてくれ」
「えー…」
「頼むっ!」

なんかそんな事で真剣に頼まれても…。

「とりあえず、英語はちゃんとやること。物理は式ぐらいなら写していいから」
「流石は理樹だぜ!」
「いやいやいや…」



「真人、起きてる?」
「…はっ」
「寝てたでしょ?」
「い、いや」
「…寝てたでしょ?」
「はい、すいません…」

そんなこんなで何とか課題を終わらせる。

「ふー!終わったー!」
「結局物理は全写しだったけどね…」
「そういや、今日は恭介達はこねぇのか?」
「そういえばそうだね。どうしたんだろう?」
「ま、時間も大分おせぇし、今日は寝るか」
「そうだね」

こうして夜は更けて行く…。

続く



[22069] 第56話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:8a7817a6
Date: 2012/12/19 01:26
11月18日(日)

BGM:目覚めた朝に

目が覚める。
…なんだかいまいち頭がはっきりしない。
一度外に出よう。

「うわ、さむっ」

寮の庭に出て、急に目が冴えてきた。
それもそのはず、昨日に比べ大分気温が下がっているようだった。
真人がいないってことは…多分またクドと走ってるんだろうな。

「ん、理樹か。おはよう」
「あ、謙吾。おはよう」

竹刀を持っている辺り、寮の前で素振りをしていたようだ。

「今日はずいぶん寒いね」
「あぁ。あまりに寒くて目が覚めたものでな。こうやって素振りで体を温めていたところだ」
「人によっては布団にくるまっていたいって人も多いだろうけどね」
「だろうな」

何故か、こたつに潜り込んだ鈴の姿が浮かんできた。

「とりあえず、食堂行かない?」
「そうだな。じきに皆も揃う頃だろう」

「うっす」
「うー」
「おはよう、鈴、恭介」
「おはよう…」
「真人は?」
「さぁ。さっき能美といるのは見かけたが」

まだ走ってるのかな。

サンドイッチを買っていつもの席に着く。

「理樹」
「ん、どうしたの、鈴?」
「その、今日、時間あるか?」
「特に予定はないけど…」
「その、約束…」
「約束?なんだよ、理樹」
「わかってるよ、鈴。今日この後で良いかな?」
「うん」
「そうなると、今日は自主練だな」

朝食を食べ終え、一度部屋に戻る。

「特に持っていくものとかはないよね…」

こうやって二人で出掛けるというのは今まであまりなかったことだ。
考えてみれば、鈴や恭介たちと出会ってからもう10年になる。
でもいつも何かをするときはみんな一緒だった。
こうして誰かと二人きりになるということ自体、今まで無かったのかもしれない。

『それは、その…デートか?』

…自分から発案しておいてなんだけど、妙に意識してしまう。
とりあえず、校門に向かおう…。

BGM:RING RING RING!

しばらく待っていると鈴が。

「待ったか?」
「ううん、そうでもないよ」

思えば、鈴の私服姿を見るのもいつぶりだろうか。
普段は休日でも制服でいることが多いからだ。

「行こうか、鈴」
「うん」

学校を出て、河原の方へと歩いていく。

「どこか行きたいところとかある?」
「んー…」

出かける、といってもこの辺りは大して遊ぶような場所があるわけでもない。
一応駅前にゲームセンターはあるけど。

「そうだ、買い物に付き合ってくれ」
「買い物?」
「うん。今日は新しいモンペチの発売日なんだ」
「へー。どんなの?」
「なんでも、味噌カツ風味らしい」
「味噌カツ…」

不意に、学校の自販機に売っている味噌カツジュースを思い出した。
ああいうのは誰が考えてるんだろう?

商店街に付く。
目指すは鈴がいつも足を運んでいるペットショップ。

「おや鈴ちゃん、いらっしゃい」
「新しいモンペチを買いに来た」
「そろそろ来るころだと思って、用意しておいたよ。はい、これ」
「ありがとう」

目的のモンペチを買い、店を後にする。

「なんだか、すること無くなっちゃったね」
「うーみゅ…」
「お昼まで時間あるし、どうしよう?」
「うーん…」

そもそも、プランも何もあったものではない。
しばらく何を探すわけでもなく商店街を二人でうろつく。

「そういえば、駅前に映画館があった」
「映画館か…鈴は何か見たい映画はあるの?」
「いや、特にない」
「うーん、でもこうやって何もしないでいるのもどうかとおもうし、行くだけ行ってみようよ」
「うーん、わかった」

「ふかーーーーっ!」

…何故かホラー映画を見ていた。

『こんなところにいたらどうにかなっちまう!俺たちはとっととトンズラさせてもらうぜ!』
『ええ、行きましょう、ジョン』
『あ、あれ?おかしいぞ?エンジンがかからない』
『ジョ、ジョン!前!』
『え…う、うわぁぁぁぁぁぁ!!』
「みゃうーーーーーーーーっ!?」

…なんてベタな内容なんだろう。
映画の大筋の内容は、パーティ会場になっている館にゾンビが現れて、そこの人々を次々と殺していくというものだった。
最後は結局朝日を浴びたゾンビが消滅して終わり、というもの。
随分と凝ったCGを使う割に話の整合性が微妙にとれてなかったり、なんとなく消化不良な感の残る映画だった。

「うー…くちゃくちゃこわかったぞ…」
「いや、だったらなんであれにしたのさ…」
「他に無かった」
「いやまぁ…」

入った時間が悪かったのか、他の作品は上演時間が随分と後だったり既に満席だったりで見れる状態ではなかったのだ。

「良い時間だしさ、お昼にしようよ」

とりあえず僕らは、この間にも立ち寄ったレストランに入ることにした。

続く



[22069] 第57話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:8a7817a6
Date: 2013/01/19 02:35
BGM:RING RING RING!

入ったのは昨日も来たレストラン。

「というか、なんで今日もここ?」
「他に知らない」
「いやまぁ」
「あれ、今日は二人だけですか?」
「あ、有月さん。今日もバイト?」
「ええ。お母さんの絵本の売り上げが軌道に乗ったとはいえ、お金は貯めておくにこしたことはありませんから。注文、何にします?」
「それじゃ僕はミートドリアにしようかな。鈴は?」
「あたしもそれにする」
「かしこまりました」

ブブブ、ブブブ

「あれ、メールだ。なんだろ…」

ランキング変動
↑9位:笹瀬川佐々美「できたてほやほやの石ころ」
↓11位:三枝葉留佳「本気で猫と勝負して負ける」

↑13位:氷室憂希「退屈を持てあます天才○○?」
↓14位:井ノ原真人「一番最初にやられる四天王」

真人…。

…数分後。

「お料理をお持ちしました」
「ありがとう、有月さん」
「いえ。では、また学校で」

「なぁ、理樹」
「ん、どうしたの?」
「あいつの下の名前ってなんて言うんだ?」
「有月さん?」
「うん」
「初、だね。初めてって書いて初」
「そっか、ういか」

リトルバスターズを再結成したのが半年前。
そしてあの修学旅行の事故から5カ月。
その前後で一番変わったのは鈴だ。
名前を聞いたりすることなんて、以前じゃ考えられなかったからだ。

食事を終え、レストランを後にする。

「これからどうするんだ?」
「うーん…」

例のごとくどこか行くあてがあるわけでもない。
だけどふと広場に差し掛かった時、ある物が目に入った。

「あ、あれ…」

どうやら小物を売っている露店のようだった。

「鈴、ちょっと見て行こうよ」
「う、うん」

その小さな小物屋には一人の初老の男性が座っていた。
どうやら彼の店のようだ。

「いらっしゃい」
「少し見て行ってもいいですか?」
「どうぞどうぞ。ゆっくり見て行っておくれ」

置いてある商品はどれも小さいながら丁寧な作りだった。
その中に、目に留まるものがあった。
鈴が付いたブレスレット。
赤と青、同じつくりのものが2つ並んで置かれていた。

「おじさん、これいくらですか?」
「150円だよ。2つで300円だね」
「手作りか?」
「ああ、そうだよ。いやー、おじさんの趣味に付き合って貰って悪いね」
「ううん。すごくいい」
「はっはっは、喜んでくれたようでなによりだよ」

「はい、鈴」
「ん」

赤のブレスレットを鈴に渡す。

「お揃いか」
「うん」
「そっか…」

鈴と鈴(すず)。
見たまま、直観的な選択だ。
正直センスはあまりないと思う。
でも、鈴は気に入ってくれたようだった。

BGM:スローカーブ

「おう、理樹と鈴か。おかえり」

何故か校門前には真人が。

「あれ、どうしたの真人?こんなところで」
「いや、西園を見た気がしたんだが…気のせいだったか?」
「西園さん?」
「おう。ま、なんでもいいや。飯までまだ時間あるし、ちょっと走ってくるわ」
「わかった」

そう言うと真人はグラウンドの方へと走って行った。
そして僕は一度鈴と別れ、寮に戻ることにした。



BGM:MY BRAVE SMILE

夕食を終えて部屋に戻る。

「で、今日はどうだったんだ?」
「どうもこうも、これと言って特別なことはなかったかな」
「その割には、なかなか洒落たもん付けてんじゃねぇか」
「帰りに街中で見つけたんだ」
「へー。で、それ何キロあるんだ?」
「いや、筋トレ用のリストバンドじゃないんだからさ…」
「そういやよ、理樹、デッキ改造したんだがちょっと見てくれよ」
「いいけど…どうして?」
「いや、ここのところ負け続きだからいっそのこと思い切って一から見直してみたんだがよ…これでいいかどうも不安でな」
「どれどれ…BKバーニングナックラー)?」
「おう。今日の昼に恭介の奴が新しいパック山ほど買ってきてよ。で、使わねぇ分分けてもらったんだ。理樹にもあるぜ、魔導」

何枚かカードを渡される。
魔導書の神判…これ結構強いんじゃないかな。

「折角だし1戦やってみる?」
「そうだな」



「BKスイッチヒッターの効果発動!墓地のBKカウンターブローを特殊召喚!レベル4のスイッチヒッターとカウンターブローをオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召還!BK拘束蛮兵リードブロー!」
「罠発動、奈落の落とし穴!」
「おっとそうはいかねぇぜ!リードブローの効果だ!こいつは自分のBKが破壊されるときにオーバーレイユニットを一つ使うことでその破壊を無効にできる!そしてこいつのオーバーレイユニットが一つ減るたびに、こいつの攻撃力は800ポイントアップする!」
「くっ…」



「No.11 ビッグ・アイの効果で、リードブローのコントロールを得る!」
「げっ!ちょっと待てよ、リードブローの攻撃力は今3800だから…」
「リードブローでヘッドギアに攻撃!」
「うおぉぉぉぉぉ!」



「くそー、なんで勝てねぇんだ?」
「いや、でもこっちも結構危なかったよ。最後のドローでガガガマジシャン引かなかったら負けてたし」
「とりあえず、明日西園あたりに挑んでみるぜ」
「氷室さんじゃなくて?」
「だってよ、あいつ笑いながらエクシーズモンスターでボコボコにしてくるんだぜ?タキオンも入ったっつってたしよ…」
「あー…」

こうして夜は更けていく…。

続く



[22069] 第58話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:8a7817a6
Date: 2013/06/04 00:07
11月19日 月曜日

BGM:目覚めた朝に

目が覚める。
最近徐々に寒くなって来ているようだ。
真人は相変わらずランニングだろうか。
食堂へ向かおう。

「おはよう…あれ?」

誰もいない。
珍しいこともあるものだ…。
結局誰にも会わなかった。
教室へ向かおう…。

BGM:MY BRAVE SMILE

「うっす、理樹」
「おはよう真人、謙吾。今日はどうしたの?食堂に誰もいなかったけど」
「俺はクー公と走ってた」
「俺は剣道部の朝連にな」
「そういや鈴の奴がいねぇな。どうしたんだ?」
「鈴なら、神北といるのを見かけたな。何、じきに来るだろう」
「まぁなんでもいいけどよ」



午前中の授業はすぐに終わり、昼休みに。
屋上にでも行ってみようかな。

BGM:魔法のアンサンブル

「あ、理樹くん」
「やっぱりここにいた。鈴も一緒なんだ?」
「うん」
「そういえば、3人でここに来るのって久しぶりだね」
「一学期に1回来ただけだと思う」
「そういえば、最近ちょっと寒いね」
「そうなんだよー」

今日は少し風が強いのか、いつもよりも肌寒く感じる。
風をさえぎるものがない屋上ならなおさらだった。

「今日は二人でお弁当?」
「理樹くんもおひとついかがですかー?」
「それじゃ、お言葉に甘えて」

小毬さんの弁当箱から昆布の煮絞め(恐らくクドに教わったのだろう)を一口取って口に放り込む。
肌寒い空気とは違って、空は晴れ渡っていた。
小毬さんと鈴は相変わらず本当に仲がいいようだった。

ふと、何気なしに視線を下に向けてみる。
4階建ての校舎の屋上ともなると、なかなかに壮観だ。
そして視線を元の高さに戻したその時、あるものが目にとまった。

BGM:幻日

「西園さん…?」
「ふぇ?理樹くんどうしたの?」
「あ、いや…」

見間違いか、人違いかもしれない。
だけど、反対側の校舎の屋上にいた…ような気がした。
なんだろう。
不思議な感覚だった。

BGM:密やかなさざめき

放課後。
練習に向かおう。



BGM:スローカーブ

夕食を終え、部屋に戻る。
少しベッドに入って休もう…。



コンコン

扉を叩く音で目が覚めた。

「恭介?入っていいよ」
「それじゃ、遠慮なく」

BGM:Trampoline Girl

「Добрый вечер(こんばんは)、理樹くん」
「氷室さん!?」
「あれ、真人君はいないんだ。ま、いっか。それよりさ理樹くん、一戦デュエルしない?折角だし」
「いいけど、どうして急に?」
「今日は恭介君がメール撒くの忘れててランキングできなかったでしょ?なんか消化不良でね。折角ってことで」
「まぁいいけど…」

BGM:勇壮なる戦い

「「デュエル!!」」

直枝理樹VS氷室憂希

Turn1:氷室
手札5

「私のターン、ドロー!このモンスターは自分の場にモンスターが存在しない時、手札から特殊召喚できる!フォトン・スラッシャーを特殊召喚!」

☆4 ATK2100 DEF0

「さらに手札からフォトン・クラッシャーを召喚!」

☆4 ATK2000 DEF0

「レベル4のフォトン・スラッシャーとフォトン・クラッシャーでオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚!輝光帝ギャラクシオン!」

ランク4 ATK2000 DEF2100 ORU2

「ギャラクシオンの効果発動!オーバーレイユニットを2つ使い、デッキから銀河眼の光子竜を特殊召喚する!」
「1ターン目から銀河眼!?」

☆8 ATK3000 DEF2500

「カードを1枚伏せてターン終了よ」

手札3
伏せ1

Turn2:理樹
手札5

「僕のターン、ドロー!魔導書士バテルを召喚!」

☆2 ATK500 DEF400

「バテルの効果でデッキから魔導書を1枚手札に加える事ができる!僕はグリモの魔導書を手札に。そして手札から速攻魔法、魔導書の神判を発動!さらに手札からグリモの魔導書を発動、ヒュグロの魔導書を手札に!」
(魔導書の神判…?発動したけど何も起こらないわね…?)

「セフェルの魔導書を発動!自分フィールド上に魔法使い族モンスターが存在する場合、手札の他の魔導書を相手に見せ墓地の魔導書1枚を選択することで、選択したカードと同じ効果を得る。僕は手札のヒュグロの魔導書を見せて、墓地のグリモの魔導書を選択。デッキからトーラの魔導書を手札に加える。フィールド魔法、魔導書院ラメイソンを発動!カードを3枚セット、そしてエンドフェイズ時に魔導書の神判の効果が発動する!このターン発動された魔法カードの数までデッキから魔導書を手札に加え、加えたカードの数以下のレベルを持つ魔法使い族モンスター1ターを特殊召喚する。このターン発動した魔法カードは3枚!よってデッキからグリモ、セフェル、ゲーテの3枚の魔導書を手札に加える!」
「3枚サーチ!?なにそれ!?」
「そしてデッキからレベル3の魔導教士システィを特殊召喚!」

☆3 AT1600 DEF800

「さらに魔導教士システィの効果発動!魔導書と名のついた魔法カードを使用したターンのエンドフェイズ時にこのカードをゲームから除外することで、デッキから魔導書1枚とレベル5以上の光または闇属性の魔法使い族モンスター1体を手札に加えることができる!僕は魔導書の神判と魔導法士ジュノンを手札に。これでターンエンドだ」
「おかしいでしょ何アド!?1枚消費5アド!?」

手札6
伏せ3

Turn3
手札3
伏せ1

「私のターン、ドロー!手札からトレード・インを発動!手札の銀河眼の光子竜を墓地に送って2枚ドロー!手札から魔法カード、銀河遠征を発動!デッキから2体目の銀河眼の光子竜を守備表示で特殊召喚!さらに手札から銀河騎士を召喚!このモンスターは自分フィールド上にフォトンまたはギャラクシーと名のついたモンスターが存在する場合、攻撃力を1000下げることでリリースなしで召喚できるわ!」

☆8 ATK2800→1800 DEF2600

「さらに銀河騎士の効果で墓地から銀河眼の光子竜を特殊召喚!」
「銀河眼が3体…!」
「私は2体の銀河眼と銀河騎士でオーバーレイ!3体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚!超銀河眼の光子龍!」

ランク8 ATK4500 DEF3000 ORU3

「超銀河眼の効果発動、このカード以外のすべてのカード効果を無効にする!バトルよ!銀河眼でバテルに攻撃!」
「罠発動、和睦の使者!このターンあらゆる戦闘ダメージは無効になる!」
「ぐ…ターンエンドよ」

手札2
伏せ3

Turn4 理樹
手札6
伏せ2

「僕のターン、ドロー!手札の魔導書3枚を見せ、魔導法士ジュノン2体を特殊召喚!」
「はぁ!?」

☆7 ATK2500 DEF2100

「手札から速攻魔法、魔導書の神判を発動!そしてグリモの魔導書を発動、デッキからヒュグロの魔導書を手札に、そして速攻魔法、ゲーテの魔導書発動!墓地の魔導書3枚をゲームから除外し、超銀河眼の光子龍をゲームから除外する!」
「うそぉ!?」

除外:グリモの魔導書×2、魔導書の神判

「手札からヒュグロの魔導書を発動、ジュノンの攻撃力を1000ポイントアップする!」

魔導法士ジュノン ATK2500→3500

「手札からセフェルの魔導書を発動!トーラの魔導書を見せて、ヒュグロの魔導書の効果をコピーする!対象は同じジュノン!」

魔導法士ジュノン ATK3500→4500

「さらに魔導法士ジュノンの効果発動!墓地の魔導書1枚をゲームから除外してフィールド上のカード1枚を破壊する!銀河眼の光子竜を破壊!さらにもう1体のジュノンの効果でギャラクシオンも破壊だ!」

除外:セフェルの魔導書、ヒュグロの魔導書

「バトル!ジュノンでダイレクトアタック!」
「そう簡単にははやらせない!罠発動、次元幽閉!攻撃モンスターをゲームから除外する!」
「読んでたよ!速攻魔法、トーラの魔導書を発動!自分の魔法使い族モンスター1体はこのターン中魔法、罠のいずれかの効果を受けない!僕は罠カードを選択、よって次元幽閉の影響は受けない!」
「うっそぉ!?」

氷室 LP4000→0
勝者:理樹

BGM:Trampoline Girl

「うん、なんかごめん」
「いや、そのカードおかしいでしょ…なんだっけ、魔導書の神判?」
「それは…うん、そうだね…」
「って、そうじゃなくて」
「?」
「リャーチカから伝言。明日放課後和室でお茶会するから来て欲しいってさ」
「あ、うん、わかったよ」
「用件はそれだけ。そんじゃね」

そう言うと氷室さんは部屋へと帰って行った。

続く



[22069] 第59話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:8a7817a6
Date: 2013/06/29 23:01
11月20日 火曜日

BGM:勇壮なる戦い

昼休み。
いつものように僕らはデュエルランキングに興じていた。
勝負を挑んできた恭介に勝ち、これでまたクドに挑める。
クドはたしか中庭の方に行っているはずだ。

「いた!」
「見つかっちゃいました!?」
「今日は勝たせてもらうよ、クド!」
「こうなったら仕方無いです、受けて立つのです!」
「「デュエル!!」」

1位:能美クドリャフカ「デュエルランキング暫定王者」VS3位:直枝理樹「コンボマスター」

Turn1:クド
手札5

「私の先攻、どろー!なのですっ!手札から真六武衆―カゲキを召喚!」

ATK200 DEF2000

「このもんすたーの召喚に成功した時…」
「手札からエフェクト・ヴェーラーの効果を発動!相手メインフェイズ時にこのカードを手札から捨てることで、相手モンスター1体の効果を無効にする!」
「わふっ!か、かーどを2枚伏せてたーんえんど、なのです!」

手札3
伏せ2

Turn2:理樹
手札5

「僕のターン、ドロー!魔導書士バテルを召喚!」

ATK500 DEF400

「バテルの効果発動!デッキから魔導書と名のついたカード1枚を手札に加える!僕はヒュグロの魔導書を手札に!そして手札の3枚の魔導書を相手に見せることで、魔導法士ジュノンを手札から特殊召喚する!」

ATK2500 DEF2000
公開:ヒュグロの魔導書、セフェルの魔導書、ネクロの魔導書

「と、とらっぷ発動!激流葬!もんすたーを全て破壊するです!」
「手札から速攻魔法、トーラの魔導書を発動!この効果によりジュノンはこのターン、罠の効果を受けない!」
「わふっ!?」
「さらに手札から魔法カード、ヒュグロの魔導書を発動!ジュノンの攻撃力を1000ポイントアップ!」

魔導法士ジュノン ATK2500→3500

「さらに手札から魔法カード、セフェルの魔導書を発動!墓地の魔導書1枚を選択し、その効果を得る!僕はヒュグロの魔導書を選択しジュノンの攻撃力をさらに1000アップ!」

魔導法士ジュノン ATK3500→4500

「バトル!ジュノンでクドにダイレクトアタック!」
「わ、わふーっ!?荒行じゃ守れませんーっ!?」

クド LP4000→0
勝者:理樹

「うーん、意味のない二つの単語を組み合わせてみよう」
「わふぅー…」

クドは「今が旬の焼き芋」の称号を手に入れた!

ランキング変動
↑1位:直枝理樹「デュエルランキング暫定王者」
↓3位:能美クドリャフカ「今が旬の焼き芋」

→5位:棗恭介「地獄から這い上がってきたビジュアル系ボーカリスト」
→8位:宮沢謙吾「あさがおの成長日記つけてます」

↑11位:氷室憂希「退屈を持てあます天才○○?」
↓13位:三枝葉留佳「廃棄ロケット」

BGM:チクタク・ルーチン

「よし!これで1位だ!」
「さすがはリキなのです。やっぱり狙うは2連覇なのですか?」
「うーん、まぁそうかな。折角やってる以上は、ね」

とりあえず、教室へ戻ろう。

BGM:えきぞちっく・といぼっくす

「リキ!」

放課後。

「あの、氷室さんからお話は聞いてますでしょうか?」
「うん。家庭科部室でいいんだっけ?」
「はい。お茶の準備があるので私は先に行ってますね」
「わかった。また後で」

そう。
昨日、氷室さんが持ってきた伝言でお茶会に誘われたのだ。
見てみると、教室に皆の姿はもうなかった。
そろそろ向かおうか。


BGM:mini glamor

「いらっしゃい、直枝くん」
「これで揃ったかな?」
「なるほど、最後の一人ってこういうことですか氷室さん」

家庭科室にいたのはクド、氷室さん、佳奈多さん、部長さん、そして有月さん。

「こうして皆で集まるのは夏休み以来かな?」
「そうですね。元々普段は氷室さんいませんし」
「皆さん、お茶が入りましたよ」
「ありがと、リャーチカ」



「最近椎菜ったらまたロケットを作るって言いだして」
「お母さんはなんて?」
「それがもうお母さんも乗り気になっちゃって、この間帰ったら家の中ペットボトルだらけで」
「あはは、椎菜さんらしいですね」



「…それで真人が火だるまになって、鈴がそれをずっと蹴って消してたんだよ」
「そんなことがあったんですか…」
「それにしても殺虫スプレーにライターなんて、恐ろしいこと考え付くわね」
「まぁ、棗君らしいといばそうなんだろうけど」



「時期にもよるけど、もう少し明りのない場所なら双眼鏡でも観察できるわよ」
「天体観測って思ったより簡単にできるんですね」
「特別な道具が無くても、星を楽しむ手段はたくさんありますよ」



こうして、楽しいお茶会の時間はあっという間に過ぎて行った。

続く



[22069] 第60話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:8a7817a6
Date: 2013/06/29 23:48
11月21日 水曜日

BGM:密やかなさざめき

「んーっ…」

昼休み。
昨日、一昨日と何も起こらなかった。
影と戦っていないのは、僕をはじめ恭介、西園さん、そして笹瀬川さん。
そして、いくつかきがかりなこともある。
あの時屋上で見たのは…なんだったんだろう。

「理樹、飯行こうぜ飯」
「あ、うん」

考えていてもはじまらないか。

BGM:駆ける

食堂には沙耶さんの姿が。

「あら、理樹くんじゃない」
「沙耶さんもこれから?」
「そうよ。とりあえず席はとってあるわ」

僕と真人、そして沙耶さんの3人で席に着く。

「そういえばさ、ちょっと気になることがあるんだけど」
「ん?どうしたよ」
「美魚って子のことなんだけど…」
「西園さんがどうかしたの?」
「最近、あの子をよく見かける気がするのよ」
「よく見かけるっつってもよ、西園は大体いつも練習には顔出してるだろ?」
「んー、そういうのじゃないの。もっとこう、なんていうか…いるはずのない場所にいる感じ?」
「どういうこと?」
「なんだろう、あの子って授業中抜けだしたりする子じゃないわよね」
「だな。西園がサボってるとこなんて見た事ないぜ」
「でしょ?でもこの間体育の授業の時に、グラウンド脇にいるのを見たのよ」
「他人の空似、とかじゃなくて?」
「あたしの知る限り、あんなきれいな青髪の子ってあの子しかしらないわね。それに赤いカチューシャも見えたし…間違いないと思うわ」
「と、なると…」
「西園さんの、影?」
「かもしれないわね」
「まぁ、なんとかなるだろ。あいつの事だしよ」
「だといいんだけど…」



BGM:MY BRAVE SMILE

午後の授業が終わって放課後。

「理樹、練習行こうぜ」
「あ、うん」

いつものように練習に向かった。

BGM:スローカーブ

「ふぃー、いい汗かいたな」
「鈴、大丈夫?」
「だいじょばない…」

今日はちょっと無理をしすぎたかもしれない。
既に辺りは真っ暗になっていた。
ふと、何気なしに校舎を見上げてみる。

「…え?」

Phase:???
BGM:何も起こらなかった世界

「あ、みてみて。こっち見てるよ」
「そうか」
「うっわ、何その返事。それにしても良かったの?あの子の分放っておいて」
「何、全ての行動には意味がある。いずれ分かることだ」
「ふぅーん…ま、あたしはなんでもいいけどさ」
「それより、お前はどうするんだ?」
「いい加減見てるだけってのも飽きてきたし、そろそろ動こうかな?」
「そうか。だが、侮るなよ」
「わかってる」
「ふ、ならばいい。健闘を祈るぞ…うまうー」
「相変わらず変なしゃべり方するよね、君」
「ふ、なんとでも言え。これが"俺"だからな」
「まぁ、なんでもいいけどさ。さて、待っててね…お姉ちゃん」

Phase:理樹

今、誰かいた。
屋上に、人影が、二人。
片方は女の子のようだった。
もう一人は…分からなかった。
何かを被っているようにも見えた。
そして…僕はそれを知っているような気がした。

「ん、どうした理樹?校舎なんか見て」
「恭介」
「ん?」
「今の、見た?」
「…何か見たのか?」
「わからない…だけど、何かがいた」
「なんだ理樹、怖いぞ…」
「…そろそろか」
「え?」
「いや、なんでもない。そろそろ寒くなってきたしな、戻るぞ」
「あ、うん…」

あれは…なんだったんだろう。
嫌な胸騒ぎがしていた…。

続く



[22069] 第61話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:8a7817a6
Date: 2013/06/30 00:23
BGM:生まれ落ちる世界

夢を、見ていた。
どこか、懐かしさを感じる夢。
一面の、青の世界。
白い日傘。
美しい光景。
だけど、何故だろう。
不安に押しつぶされそうになる。

水面に映る、二つの影。
影は己の身を映す物。
同じ姿の、「二人」。
彼女の名は…。

11月22日 木曜日

BGM:目覚めた朝に

「ん…」

朝。
夢を見た…ような気がする。
ナルコレプシーを克服して、半年近くになる。
あれからは人並みに夢を見るようになった。
だけど…今日の夢は、また何かが違っていた気がした。

午前中の授業は殆ど頭に入らなかった。
今日の夢の事が、どうしても引っかかる。
そして、昨日見た影。

「…き…り…」

何かが繋がっている。
そんな気がしていた…。

BGM:密やかなさざめき

「おい、理樹!」
「あ、真人。どうしたの?」
「どうしたの?はこっちの台詞だよ。どうしたんだ朝からぼーっとして?」
「あ、ううん。なんでもない。ちょっと考え事」
「して、これから食堂に行くが、理樹も来るだろう?」
「あ、うん。もちろん」
「おっしゃ。鈴も行こうぜ」
「うん」

食堂で、いつもの席に着く。

「そういえば、今日西園はどうした?」
「え、西園さん?」
「言われてみれば、見てねぇな」
「休み…かな?」
「風邪でもひいたのか?みお」
「さぁ…そういえば、昨日の練習の時っていたっけ?」
「俺は見た覚えはないが…」
「最近の練習は自由参加だからなー。日によっている奴いない奴まちまちだしよ」
「どうしたんだろう?」

何か。
嫌な、予感がした。


午後の授業も身が入らなかった。
あまりにも気になることが多すぎる。
そして、この3日間。
何も起きなかったことが、まるで嵐の前の静けさのような気がして…。


BGM:スローカーブ

放課後。

「理樹、練習どうすんだ?」
「うーん、今日はパスかな」
「そっか。じゃ、また後でな」

今日は練習に向かう気分にはなれなかった。
西園さんの事がどうしても気がかりだったからだ。

「来ヶ谷さんあたりなら何か知ってるかな?」

そう思い、来ヶ谷さんに電話をかける。

「私だ」
「あ、もしもし、来ヶ谷さん?」
「どうした、理樹くん。急に電話などかけて」
「今日西園さん見てない?」
「西園…?」

BGM:幻日

その次の言葉に、耳を疑った。

「それは、誰だ?」
「…え?」
「西園…と言ったか。私の知り合いにはいないが」
「何言ってるのさ!?西園さんだよ!西園美魚!」
「…すまない、話が見えないぞ理樹くん」

来ヶ谷さんの声はいつものような冗談を言っている風ではなかった。
珍しく、本気で困惑している声だった。

「何のことか分からないが、私が力になれることではないようだ」
「あ、うん…ごめん」
「何、君が謝ることではないだろう。では、切るぞ」
「うん」

何なんだ。
何なんだろう、これは。
急に、世界から自分だけが切り離されたような感覚がした。
…確かめないと。

「にしぞのさん…ですか?すみません、よく分からないです…」

クド。

「にしぞのさん?はて、そんな子いたっけな…?」

葉留佳さん。

「にしぞの…名簿、当たってみた方がいいかしら?」

佳奈多さん。

どういうことなんだ。
何が起こっているんだ、一体…。
そして、もう一つ気付いたことがあった。
最後に彼女を見たのは…いつだった?

BGM:降り続く雨の街で

「恭介!謙吾!真人!鈴!」

グラウンドで練習している皆に声をかける。

「西園さん、見なかった!?」
「西園がどうかしたのか?」

よかった。
恭介はまだ覚えていてくれた。

「それが…おかしいんだ。みんな、西園さんの事を忘れてる」
「は、どういうことだそりゃ」
「みんなは覚えてるの?」
「あぁ。というか、今日の昼に話をしたばかりだろう」
「うん」

よかった。
まだ、みんながみんな忘れたわけじゃなかった。
だけど、もしかしたら時間の問題かもしれない。
…今、探さなきゃ。
そんな考えが、浮かんだ。

「あ、おい理樹!どこ行くんだ!?」
「西園さんを探してくる!」

教室。
廊下。
屋上。
中庭。
裏庭。
寮。
いつしか、雨が降り出していた。

「西園さーん!!」

雨音に、声がかき消されていく。
不安だった。
西園さんが、どこか手の届かない場所に消えてしまいそうな気がしたから。
それは…あの夢のせいかもしれない。

「理樹!」
「恭介…」

恭介に肩を掴まれる。

「一体どうしたんだ理樹」
「いないんだ…西園さんが…
「…この雨だ、一旦戻った方がいい」
「…うん」

…今日、西園さんの姿を見ることはできなかった。
そして、西園さんの事を覚えていたのは僕の他に恭介、真人、謙吾、鈴の4人だけだった。
…結局、この日の夜は殆ど眠ることができなかった。
雨音だけが、空しく響いている…そんな気がしていた。

続く



[22069] 第62話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:8a7817a6
Date: 2013/06/30 02:32
11月23日 金曜日

BGM:いつか気付くかな

朝。
雨は夜のうちに上がり、晴れ間が見えていた。

「…」

居ても立ってもいられなくなって、外に出た。
みんな、西園さんのことを忘れていた。
彼女の存在が、まるで最初からなかったかのように。
西園美魚という存在は、本当にそこにあったのか。
だけど、僕は彼女が存在したという証拠を持っている。
一冊の読み込まれた文庫本。
それは僕がまぎれもなく彼女から受け取った物だから。

白鳥は 哀しからずや 空の青 うみのあをにも 染まずただよふ

どれくらい時間が経っただろう。
いつの間にか日も傾きかけていた。
気がつけば、裏庭に来ていた。
教室以外で西園さんに会える場所。
もう、ここしか残っていなかったからだ。

BGM:何も起こらなかった世界

「…」

一瞬、言葉を失った。
彼女は…いや、彼女「たち」は…そこにいた。

「直枝さん…」
「理樹くん、久しぶり」
「君は…」

瞬間、頭に電撃が流れたような感覚。

「う、うあぁぁぁあぁぁぁぁあぁぁ!?」
「直枝さん!?」

痛い。
痛い。
痛い。
イメージが。
流れ込んで…。
そして、僕は全てを思い出した。

「…美鳥」
「やっと思い出してくれた」
「これは、どういう…」
「一緒だよ。他のみんなと。あたしはお姉ちゃんの影。それだけだよ」
「美鳥…」
「…わかってるよね、お姉ちゃん」
「…はい」
「そうこなくっちゃ」

そう言うと、二人はデュエルディスクを構えた。

「「デュエル」」

西園美魚VS西園美鳥

Turn1:美魚
手札5

「私の先攻、ドローします。儀式魔法、リチュアの儀水鏡を発動。手札のヴィジョン・リチュアをリリースしイビリチュア・ジールギガスを儀式召喚」

☆10 ATK3200 DEF0

「いきなり攻撃力3200か…やるね、お姉ちゃん」
「カードを1枚伏せて、ターンエンドです」

手札2
伏せ1

Turn2:美鳥
手札5

「あたしのターン、ドロー!手札の水属性モンスター2体を墓地に送り、水精鱗-メガロアビスを特殊召喚!」

☆7 ATK2400 DEF1900
手札コスト:水精鱗―オーケアビス、水精鱗-アビスパイク

「メガロアビスの効果発動!自身の効果で特殊召喚に成功したとき、デッキからアビスと名のついた魔法、又は罠カード1枚を手札に加える!アビスケイル-ミズチを手札に!さらに手札の水精鱗1枚を墓地に送り、水精鱗-ディニクアビスを特殊召喚!」

☆7 ATK1700 DEF2400
手札コスト:水精鱗-アビスグンデ

「ディニクアビスの効果発動!自身の効果で特殊召喚に成功したとき、デッキからレベル4以下の水精鱗を手札に加える!アビスタージを手札に!さらにアビスグンデの効果発動!手札から墓地に送られたとき、墓地の水精鱗1体を特殊召喚する!アビスパイクを特殊召喚!」

☆4 ATK1600 DEF800

「アビスパイクの効果発動!このモンスターの召喚、特殊召喚に成功したとき手札の水属性モンスター1枚を墓地に送ることでデッキからレベル3以下の水精鱗1体を手札に加えることができる!手札の海皇の竜騎隊を墓地に送り、アビスヒルデを手札に。さらに海皇の竜騎隊の効果でメガロアビスを手札に!そして水精鱗-アビスタージを召喚!」

☆4 ATK1700 DEF1100

「アビスタージの効果発動!手札のアビスヒルデを墓地に送り、墓地のアビスグンデを手札に戻す!さらにアビスヒルデの効果で手札からメガロアビスを特殊召喚!」
「一気に5体のモンスターを…!」
「まだだよ!レベル4のアビスパイクとアビスタージでオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚!出でよ、バハムート・シャーク!」

ランク4 ATK2600 DEF2100 ORU2

「さらにレベル7のメガロアビスとディニクアビスでオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚!水精鱗-ガイオアビス!」

ランク7 ATK2800 DEF1600

「手札から魔法カード、アビスケイル-ミズチをガイオアビスに装備!装備モンスターの攻撃力は800ポイントアップする!」
「させません!速効魔法、サイクロン発動!」
「あちゃー。アビスケイル-ミズチは魔法を無効にする効果があるけど、どの道墓地に送られちゃうか。それじゃ、バハムート・シャークの効果発動!エクストラデッキからランク3以下で水属性のエクシーズモンスター1体を特殊召喚する!水精鱗-アビストリーテを守備表示で特殊召喚!」

ランク3 ATK1600 DEF2800

「あたしはこれでターンエンド!」

手札1

Tuen3:美魚
手札2

「私のターン、ドローします」

BGM:光に寄せて

「美鳥」
「ん、どうしたの?お姉ちゃん」
「私たちは、本来一つの存在。私はあなたで、あなたは私」

僕は、その言葉を聞いてあの光景を思い出した。
水面に映る、西園さんの姿。
そうだ。
美鳥は、鏡の様な水面に映った西園さんそのものなのだ。

「…イビリチュア・ジールギガスのモンスター効果発動。ライフを1000払いカードを1枚引きます。そのカードを互いに確認し、リチュアと名のついたモンスターであればフィールド上のカード1枚を持ち主のデッキに戻します」

美魚 LP4000→3000
手札公開:イビリチュア・ジールギガス

「ガイオアビスをデッキに戻します。この効果は対象をとる効果ではないので、アビストリーデで対象を移しかえることはできません」
「うそっ!?」
「手札から儀式魔法、リチュアの儀水鏡を発動します。手札のシャドウ・リチュアをリリースし、イビリチュア・ジールギガスを儀式召喚します。そして再度、ジールギガスの効果を使います」

美魚 LP3000→2000
手札公開:リチュア・ビースト

「アビストリーテをデッキに戻します。さらにリチュア・ビーストを召喚」

☆4 ATK1500 DEF1400

「このモンスターの召喚に成功したとき、墓地からリチュアと名のついたモンスター1体を特殊召喚することができます。シャドウ・リチュアを特殊召喚します」

☆4 ATK1200 DEF1000

「レベル4のシャドウ・リチュアとリチュア・ビーストでオーバーレイ。2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚。イビリチュア・メロウガイスト」

ランク4 ATK2100 DEF1600 ORU2

「バトルです。ジールギガスでメガロアビスに攻撃します」
「っ!」

美鳥 LP4000→3800

「もう1体のジールギガスでバハムート・シャークに攻撃します」
「うわっ!」

美鳥 LP3800→3200

「メロウガイストでダイレクトアタックします」
「きゃあっ!」

美鳥 LP3200→1100

「同じ二つの物が一つになる。それをこのカードで例えるのは些か無骨すぎる気もしますが…。メインフェイズ2、レベル10のジールギガス2体でオーバーレイ。2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚。超弩級砲塔列車グスタフ・マックス」

ランク10 ATK3000 DEF3000 ORU2

「グスタフ・マックスの効果を使います。このカードのオーバーレイ・ユニットを一つ使い、相手ライフに2000ポイントのダメージを与えます」
「…やっぱり、お姉ちゃんは強いや」

美鳥 LP1100→0
勝者:美魚

「…お姉ちゃん、それと理樹くん…最後に一つだけいいかな」
「…なに?」
「みんなを…ここに呼んでほしいんだ。もうあまり時間が無いから、大至急お願い」
「わかりました」


美鳥の頼みを受けて、リトルバスターズのみんなを裏庭に集めた。

「西園、こいつは…」
「美鳥。私の影です」
「マジでそっくりだな…」
「えーっと、そろそろいいかな。あんまり時間無いから」
「あぁ…それで、用って何だ?」
「全部話すよ。あたしが知っていることを、全部」

続く



[22069] 第63話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:8a7817a6
Date: 2013/07/04 01:49
BGM:何も起こらなかった世界

全てを話す。
それは、どういうことなのだろうか。

「まず、あたしたちが何者なのかってところからかな。あたし達は元々、みんなの心の中にある「闇」なんだよ」
「心の闇?」
「そう。トラウマやコンプレックスといった負の記憶や感情。そういった物が形になった物なんだよ」
「…最初に三枝や二木の老人と戦った時から思っていたけど、あまりにも非現実的すぎるわね」

佳奈多さんの言うとおりだ。
心というのは本来実態をもたない物だ。
だとすれば、あのとき現れたモノやここにいる美鳥は何なのか。

「うーん、その意見ってあながち間違ってもないんだよね」
「え、どういうことなの?」
「もしかしたら、これも全部夢かもしれないから」
「夢…って、どういうことだよ!?」
「まさか…あの『世界』に関わることか?」
「ピンポーン、正解。理樹くんなら心当たりあるんじゃないかな?みんなが戦った相手のこと」
「え…」

そうだ。
今なら分かる。
あの影たちは…あの世界で、みんなが抱えていたもの…小毬さんの絵本で例えるなら「小人の悩み」そのものじゃないか。

「彼らはね、みんながあの世界に置いてきたものなんだよ。みんなが心の中に抱えていた最も大きな悩みなんだよ」
「じゃあさ、真人くんのトールはなんだったの?」
「あれは真人くんの「強くありたい」っていう感情だよ。トールの姿をとったのは偶々その力が重なったから…先に実体化していた真人くんの影に、トールがくっついたってところだろうね。あたし達は本来みんなの中にあるべき存在なんだよ。だけど、みんなはあの時それを捨ててきてしまった。理由は簡単だ。この世に未練を残したくなかったから」

そうだ。
あの時、恭介たちが作りだした世界。
それは、みんながもう助からないと知って…。

「だけど、みんなは生き残ってしまった。そして生と死の狭間の世界に、心の一部を置いてきてしまった」
「だけどよ、今まで何ともなかったじゃねぇか?」
「どうして急に影が消えて、皆さんが現れるようになったのですか?」
「…時間切れ、なんだよ」
「何…?」
「あの世界は、完全に『あちら側』寄りの物なんだよ。今まではなんとかこちら側との繋がりを保っていたけど、もうそれが限界に近付いている。そして、みんなはまだあの世界と繋がったままなんだよ」
「!!」
「もし今このままあの世界が消滅すれば…」
「最悪の場合俺たちも消滅する、ということか」
「そういうこと」
「なら、何故あいつらは俺たちを取り込もうとした?」
「それが、世界の意思だからだよ。今の状態は、どちらの世界に対しても良い影響を与えない。本来死んであの世に行くはずだった魂が、あの世界を仲立ちにしてこっちに留まっている。だから今、この世とあの世の間にわずかな隙間が生じてるんだ。その隙間から魂のエネルギーが漏れ出して、いずれはこの世界全体に悪い影響を与えかねない。だから世界は、全てを正しい状態に戻そうとしてる」

にわかには信じられない話だった。
しかし、それが事実だとすれば全てのことが繋がる気がした。

「だが、それでもわからないことがある。何故鈴木にも同様の現象が起こった?」
「あれは一種のパフォーマンスだよ。それに、他の人物では一番彼が真相に近付いていたから」
「真相…?」
「NYP、って聞いたことあるよね?あれは世界を形作るエネルギーそのものなんだよ。一体彼がどうやってそこにたどり着いたのかは正直見当もつかないけど…。あ、そうだ。今時計ってどこにある?」
「なっ…!?」
「…恭介?」
「時計?時計ってなんだよ」
「今世界の管理者権限は誰が…っ!?」

突然、美鳥の表情が変わった。

「…ごめん、そろそろ時間みたい。理樹くん、最後に一つだけ…お姉ちゃんを…よろしくね…」

最後にそういうと、美鳥は他の影同様に消滅した。

「美鳥…」
「西園さん…」


11月24日 土曜日

BGM:目覚めた朝に

朝。
結局、昨日はあの後夕食を食べてすぐに寝てしまった。
一日中歩き回ったせいもあるかもしれないけど。

「うっす」
「おはよう、理樹」
「おはよう」
「おはよう。あれ、恭介は?」
「恭介ならさっき出かけたぞ」
「随分と深刻そうな表情をしていたが…」
「学校は?」
「訊いたけど、それどころじゃないって言ってた」

何だろう。
やはり昨日の美鳥の言葉に関係あることなんだろうか。

「とりあえずよ、飯にしようぜ」
「そうだね」

帰ってきたら訊いてみようか。



BGM:MY BRAVE SMILE

「ふぃー、終わった終わった」

放課後になる。

「練習、どうする?」
「いつも通り自主練で良いんじゃねぇか?恭介いねぇんだしよ。なぁ謙吾、来ヶ谷」
「うむ。特に異論はない」
「何故そこで私に振ったのかは些か不可解ではあるが、そうだな。私も異論はない」
「だってよ。理樹はどうすんだ?」
「うーん、別にすることもないし、今日は行こうかな。とりあえず先にお昼にしようよ」
「だな」
「いこう、鈴」
「うん」

BGM:デーゲーム

最近は練習、といってもグラウンドで各々思ったように動いているだけだ。
相変わらず、僕と鈴は二人で投球練習と打撃練習だけど。

「どう、鈴?ちょっと休憩する?」
「うん」
「ん、休憩か?」
「なら、俺たちも少し休むとするか」
「だな。三枝もいいだろ?」
「いいよー。じゃ、あたしはあっち行ってようかなー。クド公ー、こまりーん、みおちーん」
「元気なやっちゃ」
「全くだ」

今日の参加メンバーは僕のほかに鈴、真人、謙吾、来ヶ谷さん、葉留佳さん、クド、小毬さん、そして西園さんだ。
冬も近付くこの頃、徐々に気温も下がってきていた。



「よし、それじゃそろそろ…」
「理樹っ!」

突如、鈴の声。

「どうしたの?鈴」
「ちょっと来い!」
「え、ちょっと、鈴、どうしたの!?」
「レノンだ!」
「え!?」

BGM:Mission possible~but difficult tusk~

鈴に手をひかれ、グラウンドの外に。
校舎の方を見ると、レノンらしき姿が見えた。

「レノン、どうしたんだろ急に?」
「わからない」

レノンは、僕たちが近付くとゆっくりと歩き出した。

「あっ!」
「追いかけよう!」

その後、レノンは僕たちに追いつかれずかつ僕たちが見逃さないような速度で移動を続けていた。

「なんだろう、どこかへ連れて行こうとしている…?」
「あら直枝さん」
「笹瀬川さん!」
「どうかされましたの?」
「ちょうどよかった、ちょっと手伝ってほしいんだ」
「手伝う?」
「うん。レノン…あの白猫なんだけど、一緒に追いかけてほしいんだ」
「なんだかよくわかりませんわね…」
「もしかしたら、何か大事なことが分かるかもしれないんだ」
「…わかりましたわ。行きますわよ、棗鈴!」
「お前が命令するなっ!」

BGM:幻日

そして、レノンに導かれるようにして校舎裏に。

「ここは…」
「あれ、レノンは?」
「…え?」

気付けば、レノンの姿は消えていた。

「おかしいな…さっきまでは確かにいたのに」
「ん、セト!どうしたんだ、こんなところで」

代わりに、鈴が最近連れてきた黒猫…セトの姿があった。

「セト…黒猫…校舎裏…っ!」

瞬間、脳裏に浮かぶイメージ。
…クロ。

「ダメだ、鈴!」
「え?」

だが、時すでに遅し。
鈴の肩に、セトが乗っていた。

「っ…!」
「棗…さん?」
「…久しぶりだね、佐々美ちゃん」
「っ!?」
「あ、あなたは…!?」
「僕の顔、覚えてるよね…?」
「そんな、あなたは…たしかにあの時…!」
「笹瀬川…さん?」
「…そうですの。あなただったのですね…私が戦うべき相手は…クロ」

やはりそうか。
笹瀬川さんの影、それはやはりクロだった。

「それより、棗さんをどうなさるおつもりで?」
「猫の姿のままじゃデュエルできないからね。彼女の身体を少し貸してもらうよ。ちょうどいい状態だったしね」
「…棗さんは私がライバルと認めた数少ない人ですわ。いくらクロでも、棗さんを傷つけるようなことは絶対に許しませんわ!」
「「デュエル!!」」

続く



[22069] 第64話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:8a7817a6
Date: 2013/07/03 06:12
BGM:勇壮なる戦い

笹瀬川佐々美VSクロ

Turn1:クロ
手札5

「先攻は僕が貰うよ、ドロー!手札からフィールド魔法、アドバンスド・ダークを発動!」
「アドバンスド・ダーク…?」
「このカードがフィールド上に存在する限り、互いの場と墓地の宝玉獣は全て闇属性になる。手札から宝玉獣サファイア・ペガサスを召喚!」

☆4 ATK1800 DEF1200

「サファイア・ペガサスの効果発動!このカードの召喚、反転召喚、特殊召喚に成功したときデッキから宝玉獣1体を魔法・罠ゾーンに置くことができる。僕はルビー・カーバンクルを魔法・罠ゾーンに!カードを1枚伏せて、ターンエンドだ」

手札3
伏せ1

Turn2:佐々美
手札5

「私のターン、ドロー!ジェムナイト・アレキサンドを召喚しますわ!」

☆4 ATK1800 DEF1200

「アレキサンドのモンスター効果発動ですわ!このカードをリリースして、デッキからジェムナイトの通常モンスターを特殊召喚しますわ!現れなさい、ジェムナイト・クリスタ!」

☆7 ATK2750 DEF1950

「いきなり上級モンスターか」
「バトルですわ!クリスタでサファイア・ペガサスを攻撃!」
「罠発動、キャトルミューティレーション!自分の場の獣族モンスター1体を手札に戻し、同じレベルの獣族モンスター1体を特殊召喚する!サファイア・ペガサスを守備表示で特殊召喚、効果でデッキからコバルト・イーグルを魔法・罠ゾーンへ!そして戦闘破壊されたサファイア・ペガサスの効果発動!破壊されたこのカードを墓地へ行く代わりに魔法・罠ゾーンに置くことができる!」
「カードを1枚伏せて、ターンエンドですわ」

手札4
伏せ1

Turn3:クロ
手札3

「僕のターン、ドロー!宝玉獣アメジスト・キャットを召喚!」

☆3 ATK1200 DEF400

「アメジスト・キャットは戦闘ダメージを半分にする代わりに、相手に直接攻撃できる!アメジスト・キャットでダイレクトアタック!」
「きゃっ!?」

佐々美 LP4000→3400

「カードを1枚伏せて、ターンエンドだ」

手札2
伏せ1

Turn4:佐々美
手札4
伏せ1

「私のターン、ドロー!」
(ガネットにアイオーラ…攻撃に使用するより、今は温存してジェムナイト・フュージョンを引き込むまで待った方がよさそうですわね)
「バトルですわ!クリスタでアメジスト・キャットに攻撃!」
「アドバンスド・ダークの効果発動!自分の宝玉獣が戦闘を行うダメージステップにデッキから宝玉獣1枚を墓地に送ることで、その戦闘で発生する自分へのダメージを0にする!僕はデッキからアンバー・マンモスを墓地に送ってダメージを無効化!」
「ダメージを回避するフィールド魔法…厄介ですわね。カードを1枚伏せて、ターンエンドですわ」

手札4
伏せ2

Turn5:クロ
手札2
伏せ1

「僕のターン、ドロー!手札から魔法カード、宝玉の導きを発動!魔法・罠ゾーンに宝玉獣が2枚以上存在するとき、デッキから宝玉獣1体を特殊召喚する!現れよ、宝玉獣トパーズ・タイガー!」

☆4 ATK1600 DEF1000

「手札から魔法カード、レア・ヴァリューを発動!魔法・罠ゾーンに宝玉獣が2枚以上あるときのみ発動できる。相手に魔法・罠ゾーンの宝玉宝玉獣を選ばせ、そのカードを墓地に送り2枚ドローする」
「ではアメジスト・キャットを墓地に送りますわ」
(直接攻撃できるあのカードを残しておくと、万が一セットカードが攻略されたときに被害を被りかねませんわ…)
「さらに魔法カード、宝玉の契約を発動!魔法・罠ゾーンの宝玉獣1体を特殊召喚する!僕はルビー・カーバンクルを特殊召喚!」

☆3 ATK300 DEF300

「ルビー・カーバンクルの効果発動!このカードが魔法・罠ゾーンから特殊召喚されたとき、魔法・罠ゾーンに存在する宝玉獣を可能な限り特殊召喚する!僕は魔法・罠ゾーンのサファイア・ペガサスとコバルトイーグルを特殊召喚!」

☆4 ATK1400 DEF800

「さらにサファイア・ペガサスの効果でエメラルド・タートルを魔法・罠ゾーンに!そして罠発動、宝玉の祈り!魔法・罠ゾーンの宝玉獣1枚を墓地に送り、相手フィールド上のカード1枚を破壊する!エメラルド・タートルを墓地に送ってジェムナイト・クリスタを破壊!」
「っ!?」
「バトル!トパーズ・タイガーでダイレクトアタック!」
「そうはいきませんわ!罠発動、聖なるバリア-ミラーフォース-!相手モンスターが攻撃宣言を行ったとき、相手の攻撃表示モンスターを全て破壊しますわ!」
「宝玉獣は破壊される時魔法・罠ゾーンに置くことができる。なら…メインフェイズ2。自分のフィールド、墓地に宝玉獣が7種類揃っている時、手札から究極宝玉神レインボー・ドラゴンを特殊召喚する!」
「来ましたわね、宝玉獣のエースモンスター!」

☆10 ATK4000 DEF0

「僕はこれでターンエンド」

手札1

Turn6:佐々美
手札4
伏せ1

「私のターン、ドロー!モンスターをセットしてターンエンドですわ」

手札4
伏せ1

Turn7:クロ
手札0

「僕のターン、ドロー!バトル!レインボー・ドラゴンで伏せモンスターを攻撃!オーバー・ザー・レインボー!」
「かかりましたわね!罠発動、邪神の大災害!」
「邪神の大災害…!?」
「このカードは相手の攻撃宣言時に発動できる罠!この効果により、全ての魔法・罠カードを破壊しますわ!」

相手ターン中に破壊することで宝玉の数を減らし戦術を崩すカード!
やはり入れておいて正解でしたわね…!

「宝玉は全て墓地送りか…だが戦闘は続行される!」
「ジェムタートルのリバース効果を発動しますわ!デッキからジェムナイト・フュージョンを手札に!」
「カードを1枚伏せて、ターンエンドだ」

手札1
伏せ1

Turn8:佐々美
手札5

「私のターン、ドロー!」

レインボードラゴンの攻撃力は4000…。
この手札でそれを突破する組み合わせは、これですわ!

「魔法カード、ジェムナイト・フュージョンを発動しますわ!フィールド、手札から特定のモンスターを墓地に送り、ジェムナイトと名のついた融合モンスターを融合召喚しますわ!手札のジェムナイト・ガネットとジェムナイト・アイオーラを融合!融合召喚、ジェムナイト・ルビーズ!」

☆6 ATK2500 DEF1300

「墓地のジェムナイト・フュージョンの効果発動!墓地のジェムナイト1枚をゲームから除外して、このカードを手札に戻しますわ!私はアイオーラを除外してこのカードを手札に、そして再度発動!ジェムナイト・サフィアとジェムナイト・オブシディアを融合!融合召喚、ジェムナイト・ジルコニア!」

☆8 ATK2900 DEF2500

「オブシディアの効果を発動しますわ!このカードから墓地に送られたとき、墓地のレベル4以下の通常モンスター1体を特殊召喚しますわ!ジェムナイト・ガネットを特殊召喚!」

☆4 ATK1900 DEF0

「ルビーズの効果を発動しますわ!1ターンに1度、フィールドのジェムと名のついたモンスター1体をリリースすることでこのモンスターの攻撃力をそのモンスターの攻撃力分アップしますわ!」

ATK2500→4400

「バトルですわ!ルビーズでレインボー・ドラゴンに攻撃!」
「っ…!」

クロ LP4000→3600

「ジルコニアでダイレクトアタックですわ!」
「ぐぅっ…!」

クロ LP3600→700

「カードを1枚伏せて、ターンエンドですわ」

手札1
伏せ1

Turn9:クロ
手札1
伏せ1
「僕のターン、ドロー。アドバンスド・ダークを再度発動!さらに自分の墓地の闇属性モンスター7種類をゲームから除外することで、究極宝玉神レインボー・ダーク・ドラゴンを特殊召喚する!」

☆10 ATK4000 DEF0

「黒い…レインボー・ドラゴン…!?」
「さらに!罠カード、異次元からの帰還を発動!ライフを半分払い、ゲームから除外されたモンスターを可能な限り特殊召喚する!甦れ、宝玉獣たちよ!サファイア・ペガサス!トパーズ・タイガー!コバルト・イーグル!アンバー・マンモス!」

☆4 ATK1700 DEF1600

「ですが、攻撃力ではまだ劣るはず…!」
「甘いよ!僕はアンバー・マンモス、トパーズ・タイガー、コバルト・イーグルの3体でオーバーレイ!3体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚!現れよ、ガガガガンマン!」

ランク4 ATK1500 DEF2400 ORU3

「バトル!ガガガガンマンでジェムナイト・ジルコニアに攻撃!」
「攻撃力の劣るモンスターで攻撃!?」
「この瞬間、ガガガガンマンの効果発動!オーバーレイ・ユニットを一つ使うことで、このモンスターの攻撃力を1000ポイントアップし、戦闘を行う相手モンスターの攻撃力を500ポイントダウンさせる!」
「なっ!?」

ガガガガンマン ATK1500→2500
ジェムナイト・ジルコニア ATK2900→2400

「っ…!」

佐々美 LP3200→3100

「レインボー・ダーク・ドラゴンでジェムナイト・ルビーズを攻撃!レインボー・リフレクション!」
「くぅっ…!」

佐々美 LP3200→1700

「トドメだ!アンバー・マンモスでダイレクトアタック!」
「罠発動、ガード・ブロック!戦闘ダメージを1度だけ0にし、カードを1枚ドローしますわ!」
「凌いだか…ならばメインフェイズ2、レインボー・ダーク・ドラゴンの効果発動!自分のフィールドと墓地に存在するこのカード以外の闇属性モンスターを全て除外して、1枚につき500ポイント攻撃力をアップする!」

究極宝玉神レインボー・ダーク・ドラゴン ATK4000→5000

Turn10:佐々美
手札2

フィールドは全滅、ガード・ブロックでドローしたカードはオブシディア…。
手札のサニクスと組み合わせても、マディラかジルコニアくらいしか出せませんわね…。
こうなれば、最後のドローに全てを賭けるしかありませんわ!

「私の…ターン!」

…!!

BGM:Alice magic-Rockster Ver-

「墓地のジェムナイト・フュージョンの効果を発動!墓地のサフィアを除外して、このカードを手札に戻しますわ!そしてそのまま発動!手札のジェムナイト・ラズリーとオブシディアを融合!融合召喚、ジェムナイト・ジルコニア!」
「今更攻撃力2900のモンスターを出したところで何になる!?」
「いえ、本命はこちらですわ!オブシディアの効果を発動!墓地からガネットを特殊召喚!さらにラズリーの効果発動ですわ!このカードが手札から墓地に送られたとき、墓地の通常モンスター1体を手札に加えますわ!クリスタを手札に!そして墓地のオブシディアを除外してジェムナイト・フュージョンを手札に戻し、再度発動しますわ!」
「何っ…!?」

私のエクストラデッキにルビーズは1枚!
でしたら、あのモンスターを呼ぶしかありませんわ!

「私は手札のクリスタ、サニクスと場のガネットを融合!」
「ジェムナイトの3体融合!?」
「全ての輝石戦士を統べる、金剛の騎士!融合召喚!煌めけ、ジェムナイトマスター・ダイヤ!」

☆9 ATK2900 DEF2500

「このモンスターの攻撃力は、墓地のジェムと名のついたモンスター1体につき100ポイントアップしますわ!私の墓地のジェムは7枚、よって700ポイントアップですわ!」

ジェムナイトマスター・ダイヤ ATK2900→3600

「だがそれでも攻撃力は3600!レインボー・ダーク・ドラゴンの5000ポイントには及ばない!」
「全てのジェムナイトの頂点に立つ存在であるこのカードの力が、攻撃力上昇効果だけだとお思いで?」
「何?」
「ジェムナイトマスター・ダイヤの効果を発動しますわ!墓地に存在するレベル7以下のジェムナイト1体をゲームから除外して、エンドフェイズまでそのモンスターと同名カードとして扱いその効果を得ますわ!私は墓地のルビーズを除外!」

ジェムナイトマスター・ダイヤ ATK3600→3500

「そして除外したルビーズから得た効果を発動しますわ!自分フィールド上のジェムと名の付くモンスター1体をリリースし、その攻撃力を得ますわ!私はジルコニアをリリース!自身の効果と合わせ、攻撃力を3000ポイントアップしますわ!」

ジェムナイトマスター・ダイヤ ATK3500→6500

「攻撃力…6500!?レインボー・ダーク・ドラゴンを超えた!?」
「バトルですわ!ジェムナイトマスター・ダイヤで究極宝玉神レインボー・ダーク・ドラゴンに攻撃!レインボー・プリズム、レッド・ルビー・ブリリアント!」
「うわぁぁぁぁぁっ!」

クロ LP700→0
勝者:佐々美

BGM:glassware

「クロ!」
「…佐々美ちゃん…ありがとう」
「え…?」
「あのとき、最後に僕と遊んでくれたよね。本当に嬉しかった。だけど、猫の姿じゃお礼は言えなかったから…」
「…クロ…」
「多分、僕は他のみんなとは逆なんだと思う。僕の心残りが、こうして出てきたのかもしれないね…僕にはあんまり難しいことはわからないけど。それと、このデュエル…凄く楽しかったよ」
「…私もですわ」
「そう…なら良かった。それじゃ、この子の身体をそろそろ返してあげないと。理樹くん、終わったらこの子にお礼だけ言っておいてほしいんだ…お願いしていいかな?」
「うん、もちろんだよ」
「ありがとう。それじゃ…っ!?」

BGM:幻日

急に、クロの様子が変わった。

「…まさかここまで順調に物事が進むとはな」

違う。
これはクロじゃない。

「誰だ!?」
「直枝理樹か…この者と同じく、世界の理から外れた者」
「えっ…!?」
「この寄代はそろそろ消えるか…なら、この者の光を道連れにでもしておこうか!」
「っ!?」

次の瞬間、クロは光となって消えた。
そして、その場に倒れ込む鈴。

「鈴っ!」
「棗さん!」
「一旦ベンチに寝かせよう。佐々美さん、毛布とあとカイロか何かあれば持ってきてもらっていいかな?」
「わかりましたわ」

今、下手に鈴を動かすのは得策じゃないと考え、その場にいったん寝かせることにした。



BGM:降り続く雨の街で

「…う、理樹…?」
「鈴っ!」
「棗さんっ!」

どれだけの時間が経っただろうか。
鈴は目を覚ました。

「う…真っ暗だ」
「もう夜中だからね」
「というより、そろそろ夜が空けますわ」
「うわ、もうそんな時間なんだ…」
「違う…理樹、あたしの目、開いてるか?」
「何言ってるのさ、鈴」
「理樹…っ、あたしのこと見えてるか!?見えないくらい真っ暗なのか!?」
「…っ!!」

あのとき、奴は何と言った?
光を道連れ…。
つまり、それは…。

「まさか鈴…見えて、ないの…?」
「っ!?そ、そんな…ことって…!?」
「真っ暗だ…理樹とささみの声は聞こえるのに、二人の顔が見えない…怖い…理樹、理樹っ…!」

…最悪の、事態だった。

続く



[22069] 第65話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:8a7817a6
Date: 2013/07/04 02:02
11月25日 日曜日

BGM:ともしび

間もなく、夜が空けた。
僕はリトルバスターズの全員に連絡を入れた。
みんなはすぐに集まってくれた。
そして、同じころ恭介も戻ってきた。

「恭介…」
「…笹瀬川から聞いてな…何があった?」
「…」

僕は、ことの顛末を全て話した。
レノンのこと。
クロのこと。
そして…鈴のこと。

「理樹…っ!!」

恭介の声が聞こえた瞬間、頬に鋭い痛み。
そして口の中に、血の味がした。

「お、おい恭介!」
「何やってるの!?恭介さん!?」
「理樹…てめぇが付いていながら…何やってんだよ、てめぇはよ!?」
「恭介…」
「…もういい。今この時をもって、リトルバスターズは…解散だ」
「えっ…」

今、恭介はなんて言った?
リトルバスターズは…解散?

「恭介!?そりゃどういうことだよ!?」
「言葉どおりの意味だ。後はお前たちで好きにやればいい」

心臓の鼓動が速くなるのを感じた。

「俺は抜ける。もうここに戻ることは無いだろう」

恭介が…抜ける?
そう考えたとき…意識が…遠のいていくのを感じた。

「理樹!」
「理樹くんっ!?」
「リキ!?」

みんなの声に交じって、最後に恭介の声が聞こえた気がした。

「妹を守れなかった俺は…兄として失格だ」


BGM:降り続く雨の街で

「う…」
「目、覚めたか」
「真人…」

気が付くと、自分の部屋にいた。

「時間は…?」
「昼前だ。一晩中あそこにいたんだろう?無理が祟ったな、理樹」
「謙吾…鈴と恭介は?」
「鈴は神北と笹瀬川が部屋に連れていった。恭介は…」
「…」
「…そう」
「あー、腹減った。飯食いに行こうぜ、理樹。とりあえずよ、腹はいっぱいにしておこうぜ」
「真人…うん、ありがとう」
「へっ、別に礼言われることなんて何もしてねぇよ」


「あ、理樹くん…」
「みんな…」

食堂には、小毬さんたちの姿があった。

「…鈴の様子はどう?」
「見たところ、完全に視力を失っているようだ。本人は視界が「真っ暗」だと言っている」
「真っ暗となると、光の方向すら分からない完全失明ということになるのです…」
「…恐らく、このままではこの学校にはいられないわね。軽度の視覚障害程度ならまだしも、完全失明となると…」
「そんな…」

状況は、絶望的だった。
今、僕にできることは何かないのだろうか…。

「鈴ちゃん、ずっと理樹くんの名前を呼んでるんだ…」
「え…」
「あたしが行った時も、ずっと理樹、理樹って言ってたわ…」
「正直、見ていて辛かったよ…」
「鈴…」
「直枝、あなたが付いていてあげなさい。寮長として、特別に女子寮への立ち入りを許可するわ」
「佳奈多さん…」
「でもその前に、一つだけ条件があるわ」
「条件?」
「お昼ご飯くらい、しっかり食べて行きなさい。また倒れるわよ?」
「…うん…ありがとう」


鈴の部屋の扉を開ける。
部屋は、明かりが点いていなかった。

「鈴…」
「理樹、か…?」
「うん。僕だよ」

ベッドの横に椅子を置いて腰掛ける。

「理樹、どこだ、理樹…」
「僕はここにいるよ」

そっと、手を握る。

「理樹…」

鈴の目は空を見ている。
どうしてこんなことになってしまったのか。
後悔の念だけが募る。
もう少し早くあの影の目的に気づいていれば。
そして、もう少し早くセトの正体を看破できていれば。

「大丈夫だよ、鈴。僕はここにいるから…」
「うん…」

何度も呼びかける。
その呼びかけに何度でも答えてくれる。
姿は見えていなくても、繋がりあえる。
それをもっと確かなものにしたくて…僕はそっと鈴にキスをした。

「んっ…ぷはっ、り、理樹っ!?」

ただの自己満足かもしれない。
あるいは、それで自分を正当化しようとしているのかもしれない。
だけど…今は、そうすることしかできなかった。


Phase:恭介

全く、俺も酷い男だ。
世界のルールを滅茶苦茶にして、それでも妹一人守れないなんてな。
何が神の力だよ。
何が世界の管理者だよ。
何が人の理を超えた力だよ。
肝心な時に、全然役にたたねぇじゃねぇかよ!

「…くそっ」

雨、か。
心の涙、とかセンチメンタリズムなことを言う気はないが…。
気がつけば、日はとうに沈んでいた。

「…いるんだろ?そこに」
「良く来たな、棗恭介」

せめて、俺自身の決着だけでもつけないとな。

「…マスク・ザ・斎藤とはな。舐められたものだ」
「何を言う。この姿は最強の証だろう?うまうー」
「…そう、だったな」
「ここに来たということは、俺と戦う決心がついたということか」
「あぁ」
「良いだろう。受けて立つ」
「「デュエル!!」」

棗恭介VSマスク・ザ・斎藤

Turn1:恭介
手札5

「先攻は俺が貰う、ドロー!永続魔法、セイクリッドの星痕を発動!1ターンに1度、セイクリッドのエクシーズモンスターの特殊召喚に成功した時カードを1枚ドローできる!さらに俺は手札から、セイクリッド・ポルクスを召喚!」

☆4 ATK1700 DEF600

「セイクリッド・ポルクスこの召喚に成功したターン、俺はもう1度セイクリッドと名のついたモンスターを召喚できる!セイクリッド・カウストを召喚!」

☆4 ATK1800 DEF700

「セイクリッド・カウストの効果発動!1ターンに2度まで、自分フィールド上に存在するセイクリッドのレベルを1上げるか下げることができる!俺はこいつとポルクスのレベルを1上昇!」

セイクリッド・カウスト ☆4→5
セイクリッド・ポルクス ☆4→5

「レベル5のカウストとポルクスでオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚!輝ける金牛の使徒、セイクリッド・プレアデス!」

ランク5 ATK2500 DEF1500 ORU2

「ほう、バウンス効果をもったエクシーズモンスターか。面白い」
「セイクリッドの星痕の効果で1枚ドロー!カードを1枚伏せ、ターンエンドだ」

手札3
伏せ1

Turn2:斎藤
手札5

「俺のターン、ドロー。俺は…」


Phase:真人

「なぁ、謙吾よ」
「ん?」
「俺たち、どうなっちまうんだろうな」
「…さぁな」
「今更消えるのは怖かねぇけどよ…どの道俺ら一遍死んでるようなもんなんだからよ」
「そうだな」
「だけどよ…あいつらはどうすんだよ。結局俺たちゃ理樹と鈴を置き去りにして逝かなきゃなんねぇのか?」
「…このままでは、そうなるな」
「くそっ…なんかねぇのかよ、なんか…」


Phase:恭介

Turn8:斎藤

恭介 LP2200
手札1
伏せ2
フィールド:セイクリッド・トレミスM7、セイクリッドの星痕

斎藤 LP300
手札1
伏せ1
フィールド:ヴェルズ・サンダーバード

このターンを凌げば、次のターンにトレミスの攻撃で奴のライフは0。
それに伏せカードは強制脱出装置と奈落の落とし穴、手札にもドロール&ロックバードを温存してある…万が一もない。
待ってろ、鈴…。

「俺のターン、ドロー。ヴェルズ・カストルを召喚」
「罠発動、奈落の落とし穴!攻撃力1500以上のモンスターが召喚、特殊召喚されたとき、そのモンスターを破壊しゲームから除外する!」
「甘いな。速効魔法、侵略の汎発感染を発動。このターン、俺の場のヴェルズはこのカード以外の魔法・罠の効果を受けない」
「何だと!?」
「そしてこのカストルの召喚に成功したターン、もう一度手札からヴェルズと名のついたモンスターを召喚できる。ヴェルズ・カイトスを召喚。俺はレベル4のサンダーバード、カストル、カイトスをオーバーレイ。3体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚!現れよ、破滅の邪竜―――――!!」
「何だ…このモンスターは…!?」


Phase:理樹

気がつけば、雨が降り出していた。

「鈴…」

いつの間にか、鈴は眠っていた。
そして僕は…何もできないままでいた。

続く



[22069] 第66話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:8a7817a6
Date: 2013/07/04 01:38
11月26日 月曜日

BGM:いつか気付くかな

「ん…」

気がつけば、朝だった。

「…寝ちゃってたのか」

見れば、鈴もまだ眠っていた。
…顔、洗ってこよう。


しばらくして、小毬さんとクドが部屋に。

「鈴さんの様子は…?」
「…」
「…そっか…」
「小毬さん、クド…ちょっと、伝言頼まれてくれないかな?」
「なぁに?」
「…できるだけ、鈴の傍に居てやりたいんだ」
「そういうことなら、お任せくださいなのです」
「ありがとう」
「それじゃ、私たちそろそろ授業だから行くね」
「うん。また後で」

二人を部屋の外に見送って、また鈴の傍に。

「ん…」
「鈴、目が覚めた?」
「うん…」
「…どう?」
「ダメだ。真っ暗だ」
「…そう…」

状況は改善の兆しすら見えない。
そして…なにかもっと悪いことが起こりそうな予感がしていた。

何かをしたわけではない。
むしろ、何もできなかったという方が正しいか。
気がつけば、もう日も傾きかけていた。

「理樹、ちょっといいか」
「謙吾?」

佳奈多さんと一緒に謙吾と沙耶さんが部屋に来た。

「二木が立ち会うことを条件に、特別に立ち入りを許可してもらった。理樹…あれから、恭介からは何もないか?」
「え、どういうこと…?」

BGM:ともしび

「恭介の奴…昨日の夜から戻ってないらしい」
「っ!」
「彼のルームメイトから聞いたそうよ」
「そんな…」

恭介…どこに行ってしまったんだろう。
…行かなきゃならない。
そんな気がした。

「ごめん、ちょっとここお願い!」
「あ、ちょっと直枝!?」
「待って、理樹くん」
「え…?」
「今あなたを行かせるわけにはいかないわ」
「沙耶さん…」
「…今のあなたじゃ、あいつらには勝てない」
「!!」
「その理由を見せてあげる。あたしとデュエルして、理樹くん」
「…」
「鈴ちゃんの前で君を死なせるわけにはいかないもの」
「…わかった」
「「デュエル」」

直枝理樹VS朱鷺戸沙耶

Turn1:理樹
手札5

「先攻は譲るわ!」
「…僕のターン、ドロー!手札から永続魔法、魔導書廊エトワールを発動!自分または相手が魔導書を使うたびに魔力カウンターを一つ置く。そして自分フィールド上の魔法使い族モンスターの攻撃力はカウンター1つにつき100ポイントアップする!速効魔法、魔導書の神判を発動し、さらに魔導書士バテルを召喚!」

魔導書廊エトワール カウンター0→1
☆2 ATK500→600 DEF400

「このモンスターの召喚に成功したとき、デッキから魔導書1枚を手札に加えることができる!僕はグリモの魔導書を手札に!」

あとは手札のセフェルの魔導書と合わせて布陣を整えれば…!

「今理樹くん、手札のセフェルと合わせて手札を整えようって考えたでしょ」
「っ!」
「神判に頼っているようじゃ、あいつらに勝つなんて絶対に無理よ。手札からドロール&ロックバードを墓地に送り、効果発動!相手がデッキからカードを手札に加えたときにこのカードを墓地に送ることで、そのターン中相手はドロー以外の方法でデッキからカードを手札に加えることはできない!」
「くっ…カードを1枚伏せ、ターンエンド」

Turn2:沙耶
手札4

「あたしのターン、ドロー!手札から速効魔法、サイクロンを発動!セットカードを破壊させてもらうわ!」
「っ!」

効果破壊:聖なるバリア-ミラーフォース-

「幻獣機ブラックファルコンを召喚!」

☆4 ATK1200 DEF1700

「バトル!ブラックファルコンでバテルに攻撃!この瞬間、ブラックファルコンの効果発動!このモンスターの攻撃宣言時、幻獣機トークン1体を特殊召喚する!」

☆3 ATK0 DEF0

「くっ…!」
「幻獣機はトークンが存在する限りあらゆる手段で破壊されず、さらに幻獣機トークンのレベル分自身のレベルをアップするわ」

幻獣機ブラックファルコン ☆4→7

理樹 LP4000→3400

「カードを2枚伏せ、ターンエンドよ」

手札0
伏せ3

Turn3:理樹
手札3

「僕のターン、ドロー!手札からグリモの魔導書を発動!デッキから魔導書1枚を手札に加える!僕は魔導書の神判を手札に、そして発動!」

魔導書廊エトワール カウンター1→3

「魔導教士システィを召喚!」

☆3 ATK1600→1900 DEF800

「手札から魔法カード、セフェルの魔導書を発動!手札の魔導書1枚を相手に見せ、墓地の魔導書1枚の効果をコピーする!グリモの魔導書の効果をコピーし、デッキからゲーテの魔導書を手札に!」

魔導書廊エトワール カウンター3→4
魔導教士システィ ATK1900→2000

「手札から速効魔法、ゲーテの魔導書を発動!墓地の魔導書3枚を除外し、ブラックファルコンをゲームから除外する!」

魔導書廊エトワール カウンター4→5
魔導教士システィ ATK2000→2100

墓地除外:グリモの魔導書、セフェルの魔導書、魔導書の神判

「バトル!システィで幻獣機トークンに攻撃!」
「永続罠、空中補給エアリアル・チャージを発動するわ!1ターンに1度、自分フィールド上に幻獣機トークン1体を特殊召喚することができる!さらに速効魔法、緊急発進スクランブル!自分フィールド上のトークン以外のモンスターが相手より少ない時、自分フィールド上の幻獣機トークンを任意の数リリースして、デッキから同じ数の幻獣機と名のついたモンスターを特殊召喚する!緊急発進の効果でトークンを1体リリースしデッキから幻獣機メガラプターを守備表示で特殊召喚、空中補給の効果で幻獣機トークンを特殊召喚するわ!」

☆4→7 ATK1900 DEF1000

「メガラプターの効果発動!トークンが特殊召喚されたとき、自分フィールド上に幻獣機トークン1体を特殊召喚する!」

幻獣機メガラプター ☆7→10

「バトルは続行、攻撃対象は幻獣機トークンだ!」

幻獣機メガラプター ☆10→7

「このターンのエンドフェイズ、魔導書の神判の効果発動!デッキからこのターン発動した魔導書の数までデッキから魔導書を手札に加え、その枚数分以下のレベルをもつ魔法使い族モンスター1体をデッキから特殊召喚することができる!デッキからグリモ、ヒュグロ、トーラの魔導書を手札に加え、魔導弓士ラムールを守備表示で特殊召喚!」

ATK600→1100 DEF2000

「さらにシスティの効果発動!このカードをゲームから除外して、デッキから魔導書の神判と魔導法士ジュノンを手札に!これでターンエンドだ」
「空中補給は維持コストを払わずに破壊するわ」

手札6

Turn4:沙耶
手札0

「あたしのターン、ドロー!幻獣機テザーウルフを召喚!」

☆4→7 ATK1700 DEF1200

「テザーウルフの召喚に成功したとき、幻獣機トークン1体を特殊召喚するわ」

幻獣機テザーウルフ ☆7→10
幻獣機メガラプター ☆7→10

「メガラプターの効果発動!幻獣機トークン1体をリリースして、デッキから幻獣機1体を特殊召喚するわ。幻獣機グリーフィンを特殊召喚!」

☆7 ATK1000 DEF2500
幻獣機テザーウルフ ☆10→7
幻獣機メガラプター ☆10→7

「レベル7のメガラプターとグリーフィンでオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚!幻獣機ドラゴサック!」

ランク7 ATK2600 DEF2200 ORU2

「さらに罠カード、異次元からの帰還を発動!ライフを半分払い、除外されているのブラックファルコンを特殊召喚!」

沙耶 LP4000→2000
幻獣機ブラックファルコン ☆4→7

「幻獣機ドラゴサックの効果発動!自分フィールド上の幻獣機1体をリリースして、フィールド上のカード1枚を破壊する!ラモールを破壊するわ!」
「っ…!」

幻獣機ブラックファルコン ☆7→4
幻獣機テザーウルフ ☆7→4

「さらにドラゴサックのもう一つの効果発動!このカードのオーバーレイ・ユニットを一つ使い、自分フィールド上に幻獣機トークン2体を特殊召喚するわ!」

幻獣機ブラックファルコン ☆4→10
幻獣機テザーウルフ ☆4→10

「レベル10のブラックファルコンとテザーウルフでオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚!超弩級砲塔列車グスタフ・マックス!」

ランク10 ATK3000 DEF3000 ORU2

「バトル!グスタフ・マックスでダイレクトアタック!」
「っ…!」

理樹 LP3400→400

「メインフェイズ2、グスタフ・マックスの効果発動!相手ライフに2000ポイントのダメージを与える!」
「くっ…」

理樹 LP400→0
勝者:沙耶

「朱鷺戸…」
「これでわかったでしょ?今の理樹くんでは誰にも勝てない。自分を見失って、カードの力に頼ってる今は」
「…」

なんて、不甲斐ないんだ。
大切な人が苦しんでいる時に、僕は…。

続く



[22069] 第67話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:8a7817a6
Date: 2013/07/08 23:18
11月27日 火曜日

BGM:伝えられないメッセージ

2回目の朝。
ずっと、沙耶さんの言葉の意味を考えていた。

-今の理樹くんでは誰にも勝てない。自分を見失って、カードの力に頼ってる今は-

カードの力。
考えてみれば、このデッキは元々僕の物じゃない。
これは…僕の力じゃない。

「…」

たかがカードごときで、なんて言われるかもしれない。
だけど…今は、これに縋るしかなかった。

「鈴…」

鈴はまだ眠っていた。
…今日も、授業には出れそうにない。
少し、外の風に当たってこよう。


「理樹」
「真人…」

女子寮の外には、真人がいた。

「朱鷺戸のやつに負けたんだってな」
「真人は」
「ん?」
「真人は…どう思ってる?」
「どう思ってるって、何がだよ?」
「…今回のこと、それに…」
「デッキのこと、か?」
「え…」

BGM:Song for friends~instrumentai~

「…正直、俺にはよくわかんねぇ。だけどよ、今の鈴に何かしてやれるのはお前だけだと思うぜ」
「それって…」
「強く生きる、って約束したじゃねぇかよ。忘れちまったのか?」

そうだ。
あの、生と死の狭間の世界での誓い。
たとえ二人だけになっても、強く生きていくと…。

「…へっ、恭介の奴には止められてたんだけどよ…そろそろいいだろ。ほらよ」
「えっ?」

何かを投げ渡される。
これは…デッキケース?

「真人、これって…?」
「前に恭介の発案で、理樹のデッキをすり替えたんだ。まぁなんかすっとぼけろってのは漫画の影響だろうけどよ」
「そうだったんだ…」
「理樹、それはお前が自分で考えて組んだデッキだろ?それなら行けると思うぜ、よくわかんねぇけどよ」
「真人…」
「ってわけだ。一戦どうだ、理樹?」
「…うん、お願い」
「っしゃぁ!行くぜ!」
「「デュエル!!」」

直枝理樹VS井ノ原真人

Turn1:真人
手札5

「先攻は俺が貰うぜ!ドロー!BKヘッドギアを召喚!」

☆4 ATK1000 DEF1800

「ヘッドギアの効果発動!こいつの召喚に成功したとき、デッキからBK1枚を墓地に送るぜ!BKスパーを墓地に!そして手札からBSスパーを特殊召喚!」

☆4 ATK1200 DEF1400

「レベル4のヘッドギアとスパーでオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚!拘束蛮兵リードブロー!」

ランク4 ATK2200 DEF2000 ORU2

「カードを1枚伏せて、ターンエンドだ!」

手札3
伏せ1

Turn2:理樹
手札5

「僕のターン、ドロー!手札からボルト・ヘッジホッグを墓地に送り、クイック・シンクロンを手札から特殊召喚!」

☆5 ATK700 DEF1400 チューナー

「手札からチューナーモンスター、ジャンク・シンクロンを召喚!」

☆3 ATK1300 DEF500 チューナー

「ジャンク・シンクロンの効果発動!このモンスターの召喚に成功したとき、墓地のレベル2以下のモンスター1体を特殊召喚できる!ボルト・ヘッジホッグを特殊召喚!」

☆2 ATK800 DEF800

「レベル2のボルト・ヘッジホッグにレベル5のクイック・シンクロンをチューニング、シンクロ召喚!ジャンク・アーチャー!」

☆7 ATK2300 DEF2000 シンクロ

「ジャンク・アーチャーの効果発動!1ターンに1度、相手フィールド上のモンスターをエンドフェイズまで除外する!リードブローを除外!さらに墓地のボルト・ヘッジホッグの効果を発動!自分フィールド上にチューナーが存在する場合、墓地から特殊召喚することができる!そしてレベル2のボルト・ヘッジホッグにレベル3のジャンク・シンクロンをチューニング、シンクロ召喚!ジャンク・ウォリアー!」

☆5 ATK2300 DEF1300 シンクロ

「バトル!ジャンク・アーチャーでダイレクトアタック!」
「罠発動、和睦の使者!このターン受ける全てのダメージを0にするぜ!」
「カードを2枚伏せて、ターンエンド!」
「この瞬間除外されたリードブローがフィールドに戻ってくるぜ!」

手札2
伏せ1

Turn3:真人
手札3

「俺のターン、ドロー!BKスイッチヒッターを召喚!」

☆4 ATK1500 DEF1400

「こいつの召喚に成功したとき、墓地のBK1体を特殊召喚するぜ!ヘッドギアを特殊召喚!さらに魔法カード、死者蘇生を発動!墓地からスパーを特殊召喚するぜ!レベル4のスパー、ヘッドギア、スイッチヒッターでオーバーレイ!3体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚!来い!No.105 BK流星のセスタス!」

ランク4 ATK2500 DEF1600 ORU3

「さらに手札からRUM-リミテッド・バリアンズ・フォースを発動!」
「ランク・アップ・マジック…?」
「こいつは自分のランク4エクシーズモンスター1体をランクが1高いCNo.に変化させるカードだ!流星のセスタスをオーバーレイ!1体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを再構築、カオスエクシーズチェンジ!CNo.105 BK彗星のカエストス!」

ランク5 ATK2800 DEF2000 ORU4

「カエストスの効果発動!このカードのカオスオーバーレイ・ユニットを一つ使い、相手フィールド上のモンスター1体を選択して発動!選択したモンスターを破壊し、そのモンスターの攻撃力分のダメージを与える!」
「えぇっ!?」
「ジャンク・アーチャーを破壊だ!」
「うわっ!」

理樹 LP4000→1700

「バトル!彗星のカエストスでジャンク・ウォリアーに攻撃!」
「罠発動、和睦の使者!」
「やるじゃねぇか。これで俺はターンエンドだ!」

手札1

Turn4:理樹
手札2

「僕のターン、ドロー!」

いつ以来だろう。
こんな、楽しい気持ちでデュエルできるのは。

「手札から魔法カード、調律を発動!デッキからシンクロンと名のついたチューナー1枚を手札に加え、その後デッキの一番上のカードを墓地に送る!僕はクイック・シンクロンを手札に!」

墓地送り:ジャンク・シンクロン

「手札のチューニング・サポーターを墓地に送って、クイック・シンクロンを特殊召喚!さらに手札から魔法カード、死者蘇生を発動!墓地のチューニング・サポーターを特殊召喚!」

☆1 ATK100 DEF300

「チューニング・サポーターはシンクロ素材になるときレベルを2として扱うことができる!レベル2となったチューニング・サポーターにレベル5のクイック・シンクロンをチューニング、シンクロ召喚!ジャンク・バーサーカー!」

☆7 ATK2700 DEF1800 シンクロ

「チューニング・サポーターの効果発動!シンクロ素材としてこのカードが墓地に送られたとき、デッキからカードを1枚ドローする!さらにジャンク・バーサーカーの効果発動!墓地のジャンクと名の付くモンスター1体をゲームから除外して、その攻撃力分相手モンスター1体の攻撃力をダウンさせる!ジャンク・アーチャーを除外して、カエストスの攻撃力を2300ダウンさせる!」

No.105 BK彗星のカエストス ATK2800→500

「さらに墓地のジャンク・シンクロン2枚を除外して、リードブローの攻撃力を2600ダウンさせる!」

BK拘束蛮兵リードブロー ATK0

「バトル!ジャンク・ウォリアーでカエストスに攻撃!」
「うおっ!」

真人 LP4000→2200

「ジャンク・バーサーカーでリードブローに攻撃!」
「うおぉぉぉぉっ!?」

真人 LP2200→0
勝者:理樹

「なんだよ、まだそうやって笑ってデュエルできるじゃねぇか」
「え…」
「なんつーかよ、最近つまらなさそうにデュエルしてる感じがしたからよ。ま、今の理樹なら大丈夫だろ。行って来い」
「真人…うん!」

今の僕なら、大丈夫。
そう言ってくれた真人。
その言葉を無駄にしないためにも、僕は…!

続く



[22069] 第68話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:8a7817a6
Date: 2013/07/04 13:10
BGM:生まれ落ちる世界

「…レノン」

校門に向かって歩くと、レノンの姿を見つけた。
…行こう。

レノンはいつものように僕を導くような足取りで進んでいく。
だけど、学校の外に出たのは今日が初めてだった。
河原を越えて。
商店街を抜けて。
辿り着いたのは…とある空き地。
ここは…僕たちが、初めて出会った場所だった。

「…ここに…いたんだ」
「良く来たな」
「なんで、そんなマスクなんか被ってるのさ、恭介」
「恭介…?誰だそれは」
「え…」
「俺の名は斎藤。マスク・ザ・斎藤だ」
「なに言ってるのさ、恭介…」
「棗恭介という人間はもうこの世には存在しない」
「え…」
「奴は俺に敗れ消滅した」
「そんな…嘘だ!」
「今ここでお前に嘘をついて何の得がある?」
「きょう…すけ…」

恭介が…負けた!?
にわかには信じられないことだった。

「…恭介…いや、マスク・ザ・斎藤」
「どうした?」
「デュエルだ」
「ほう?」

恭介を、取り戻す。
手段があるとすれば、これだけだ。

「いいだろう。世界の理から外れた者よ」
「「デュエル!!」」

直枝理樹VSマスク・ザ・斎藤

BGM:勇壮なる戦い

Turn1:斎藤
手札5

「先攻は俺が貰う。ドロー。ヴェルズ・カストルを召喚」

☆4 ATK1750 DEF550

「このモンスターの召喚に成功したターン、通常の召喚に加え一度だけヴェルズと名のついたモンスターを召喚することができる。ヴェルズ・サラマンドラを召喚」

☆4 ATK1850 DEF950

「レベル4のカストルとサラマンドラでオーバーレイ。2体のモンスターで、オーバー・ネットワークを構築、エクシーズ召喚。闇に身を堕とせし氷天の魔竜、ヴェルズ・オピオン!」

ランク4 ATK2550 DEF1650

「ヴェルズ・オピオンの効果発動。このカードのオーバーレイ・ユニットを一つ使い、デッキから"侵略の"と名のついた魔法・罠カード1枚を手札に加えることができる。俺は侵略の汎発感染を手札に加える。カードを2枚伏せ、ターンエンドだ」

手札3
伏せ2

Turn2:理樹
手札5

「僕のターン、ドロー!」
「おっと、言い忘れていたが素材をもったヴェルズ・オピオンが場に存在する限り、レベル5以上のモンスターを特殊召喚することはできない」
「…!」

シンクロは封じられた?
いや、違う。
今のデッキなら…!

「魔法カード、調律を発動!デッキからシンクロンと名のついたチューナー1枚を手札に加え、デッキの一番上のカードを墓地に送る!アンノウン・シンクロンを手札に!」

墓地送り:スポーア

「相手フィールド上にのみモンスターが存在する場合、アンノウン・シンクロンは手札から特殊召喚できる!」

☆1 ATK0 DEF0 チューナー

「さらにもう1枚の調律を発動!ジャンク・シンクロンを手札に!」

墓地送り:神の警告

「手札から魔法カード、おろかな埋葬を発動!デッキからボルト・ヘッジホッグを墓地に送る。手札からチューナーモンスター、ジャンク・シンクロンを召喚!」

☆3 ATK1300 DEF500

「このカードの召喚に成功したとき、墓地のレベル2以下のモンスター1体を効果を無効にして特殊召喚することができる!僕はボルト・ヘッジホッグを特殊召喚!」

☆2 ATK800 DEF800

「墓地からモンスターの特殊召喚に成功したとき、ドッペル・ウォリアーを手札から特殊召喚することができる!」

☆2 ATK800 DEF800

「レベル2のドッペル・ウォリアーにレベル1のアンノウン・シンクロンをチューニング!シンクロ召喚!霞鳥クラウソラス!」

☆3 ATK0 DEF2300 シンクロ

「ドッペル・ウォリアーの効果発動!このカードがシンクロ素材として墓地に送られたとき、自分フィールドにドッペルトークン2体を特殊召喚する!」

☆1 ATK400 DEF400

「クラウソラスの効果発動!1ターンに1度、相手フィールド上のモンスター1体の攻撃力を0にし、効果を無効にする!対象は、ヴェルズ・オピオンだ!」
「何…!?」

ヴェルズ・オピオン ATK2550→0

「これで特殊召喚を封じるものは無くなった!レベル1のドッペル・トークン2体にレベル3のジャンク・シンクロンをチューニング、シンクロ召喚!ジャンク・ウォリアー!」

☆5 ATK2300 DEF1300 シンクロ

「ジャンク・ウォリアーの効果発動!このカードのシンクロ召喚に成功したとき、自分フィールド上のレベル2以下のモンスターの攻撃力の合計分このモンスターの攻撃力をアップする!」

ジャンク・ウォリアー ATK2300→3100

「さらに手札から魔法カード、死者蘇生を発動!墓地のジャンク・シンクロンを特殊召喚!レベル3のクラウソラスとレベル2のボルト・ヘッジホッグに、レベル3のジャンク・シンクロンをチューニング、シンクロ召喚!スターダスト・ドラゴン!」

☆8 ATK2500 DEF2100 シンクロ

「バトル!ジャンク・ウォリアーでヴェルズ・オピオンを攻撃!」
「罠発動、ガード・ブロック。戦闘ダメージを1度だけ無効にし、カードを1枚ドローする」
「スターダスト・ドラゴンでダイレクトアタック!」
「…」

斎藤 LP4000→1500

「カードを1枚伏せて、ターンエンド!」

手札0
伏せ1

Turn3:斎藤
手札3
伏せ1

「俺のターン、ドロー。レスキューラビットを召喚」

☆4 ATK300 DEF100

「レスキューラビットのモンスター効果発動。このカードをゲームから除外することで、デッキからレベル4以下で同じ名前をもつ通常モンスター2体を特殊召喚する。ヴェルズ・ヘリオロープ2体を特殊召喚」

☆4 ATK1950 DEF650

「2体目の龍を見せてやろう。レベル4のヘリオロープ2体でオーバーレイ。2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚。呪われし牢獄の竜神、ヴェルズ・バハムート!」

ランク4 ATK2350 DEF1350 ORU2

「バハムートの効果を発動する。このカードのオーバーレイ・ユニットを一つ使い、手札を1枚捨てて発動する。相手フィールド上のモンスター1体のコントロールを得る。手札からヴェルズ・アザトースを墓地に送り、貴様のジャンク・ウォリアーを頂く」
「っ!」
「バトル。ジャンク・ウォリアーでスターダスト・ドラゴンを攻撃」
「罠発動、聖なるバリア-ミラーフォース-!相手の攻撃表示モンスターを全て破壊する!」
「速効魔法、侵略の汎発感染を発動。このターン俺の場のヴェルズはこのカード以外の魔法・罠の効果を受けない。だが、攻撃力では劣るか。カードを1枚伏せ、ターンエンドだ」

手札2
伏せ1

Turn4:理樹
手札0

「僕のターン、ドロー!バトル!スターダスト・ドラゴンでヴェルズ・バハムートを攻撃!」
「…」

斎藤 LP1500→1350

「カードを1枚伏せ、ターンエンド!」

手札0
伏せ1

Turn5:斎藤
手札2
伏せ1

BGM:リグレット

「俺のターン、ドロー。サイクロンを発動、セットカードを破壊」
「っ!」

効果破壊:奈落の落とし穴

「ヴェルズ・ケルキオンを召喚」

☆4 ATK1600 DEF1550

「ケルキオンのモンスター効果を発動する。墓地のヴェルズ1枚をゲームから除外し、墓地からヴェルズ1枚を手札に加える。俺はヴェルズ・ヘリオロープを除外しヴェルズ・カストルを手札に。この効果を使用したターン、手札から通常の召喚とは別にヴェルズと名のついたモンスターを召喚することができる。ヴェルズ・カストルを召喚。さらにヴェルズ・カストルの効果によりヴェルズ・ヘリオロープを召喚」
「一気に3体のモンスターを…!」
「レベル4のケルキオン、カストル、ヘリオロープでオーバーレイ。3体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚。現れよ、世界を周辺へと導く破滅の邪竜…ヴェルズ・ウロボロス!」

☆4 ATK2750 DEF1950 ORU3

「このカードこそが棗恭介を葬ったエクシーズモンスターだ」
「っ!」
「その力を見るがいい。ヴェルズ・ウロボロスの効果発動。このカードのオーバーレイ・ユニットを一つ使い、三つの効果から一つを選択して発動する。俺は第1の効果を適用。相手モンスター1体を手札に戻す。スターダスト・ドラゴンをエクストラデッキに戻してもらおうか」
「…!」
「バトル。ヴェルズ・ウロボロスでダイレクトアタック」
「くっ…!」

理樹 LP4000→1250

「ターンエンドだ。さぁ、せいぜいあがいてみるがいい」

手札0
伏せ1

Turn6:理樹
手札0

手札もフィールドも無し…。
単純に考えれば絶望的…だけど、諦めない!
鈴のために。
恭介のために。
そして…仲間たちのために!

「僕のターン…ドロー!」

BGM:Clear Mind

「手札から魔法カード、貪欲な壺を発動!墓地のモンスター5枚をデッキに戻してシャッフルし、デッキからカードを2枚ドローする!」

デッキに戻す:霞鳥クラウソラス、ドッペル・ウォリアー、ジャンク・シンクロン、ジャンク・ウォリアー、アンノウン・シンクロン

「手札から魔法カード、調律を発動!デッキからクイック・シンクロンを手札に加える!」

墓地送り:ダンディライオン

「ダンディライオンの効果発動!このカードが墓地に送られたとき、綿毛トークン2体を特殊召喚する!」

☆1 ATK0 DEF0

「墓地のスポーアの効果発動!墓地のダンディライオンをゲームから除外して、このカードを墓地から特殊召喚!この時このモンスターのレベルは除外したモンスターのレベル分アップする!」

☆1→4 ATK400 DEF800

「レベル1の綿毛トークンにレベル4となったスポーアをチューニング、シンクロ召喚!TGハイパー・ライブラリアン!」

☆5 ATK2400 DEF1800

「手札のレベル・スティーラーを墓地に送り、クイック・シンクロンを特殊召喚!」

☆5 ATK700 DEF1400 チューナー

「レベル1の綿毛トークンにレベル5のクイック・シンクロンをチューニング、シンクロ召喚!ジャンク・ガードナー!」

☆6 ATK1600 DEF2600 シンクロ

「ハイパー・ライブラリアンの効果で1枚ドロー!さらにレベル・スティーラーの効果発動!自分フィールド上のレベル5以上のモンスターのレベルを1下げて墓地から特殊召喚する!」

☆1 ATK600 DEF0

「さらに手札からチューナーモンスター、エフェクト・ヴェーラーを召喚!」

☆1 ATK0 DEF0 チューナー

「レベル1のレベル・スティーラーにレベル1のエフェクト・ヴェーラーをチューニング、シンクロ召喚!フォーミュラ・シンクロン!」
「シンクロチューナーだと…?」

☆2 ATK200 DEF1500 シンクロチューナー

「フォーミュラ・シンクロンとハイパー・ライブラリアンの効果で2枚ドロー!レベル4のTGハイパーライブラリアンとレベル6のジャンク・ガードナーにレベル2のフォーミュラ・シンクロンをチューニング、シンクロ召喚!シューティング・クェーサー・ドラゴン!」
「攻撃力…4000!?」

☆12 ATK4000 DEF4000 シンクロ

「バトル!シューティング・クェーサー・ドラゴンでヴェルズ・ウロボロスに攻撃!」
「罠発動、次元幽閉!相手の攻撃モンスターをゲームから除外する!」
「シューティング・クェーサー・ドラゴンの効果発動!1ターンに1度、魔法・罠・効果モンスターの効果の発動を無効にし破壊することができる!次元幽閉を無効にして破壊!」
「何っ!?」

斎藤 LP1350→100

「ぐぅぅっ…だが…!」
「まだだよ」
「何…?」
「シューティング・クェーサー・ドラゴンは、素材となったチューナー以外のモンスターの数だけ1ターンに攻撃宣言を行うことができる!」
「馬鹿な!?」
「シューティング・クェーサー・ドラゴンでダイレクトアタック!天地創造撃ザ・クリエーション・バースト!」
「ぐぉぉぉぉぉっ!」

斎藤 LP100→0
勝者:理樹

BGM:BOYS DON'T CRY

勝利の瞬間、斎藤の仮面は粉々に砕け散った。

「恭介!」
「…理樹…か…」
「大丈夫!?」
「俺は…そうか、お前が…よくやった。礼を言う」
「何いってるのさ。僕たちは、リトルバスターズの仲間じゃないか」
「リトルバスターズ…一方的にその名を捨てた俺を、まだ仲間と呼んでくれるのか…?」
「当然だよ!僕の中で、リトルバスターズはずっと恭介と一緒にあったんだから。それに…恭介はリトルバスターズのリーダーじゃないか」
「…ふ、そうだな。そうだ、いい機会だ。俺たちが初めて出会ったこの場所で、というのも何かの縁かもしれないな」
「…?」
「理樹、今この時をもって…お前を正式にリトルバスターズのリーダーに任命する!」
「え…?」
「これからは、お前が引っ張っていくんだ。頼んだぞ、理樹」
「…うん!」

こうして…恭介が帰ってきた。
いつしか、僕たちの影は…みんな、元通りになっていた。

続く



[22069] 第69話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:6627006a
Date: 2013/07/08 23:20
BGM:お砂糖ふたつ

「鈴!」
「理樹…それと…恭介、か?」

恭介の一件の後、僕はもう一度鈴の部屋を訪れた。
今度は、恭介と一緒に。

「調子はどうだ、鈴?」
「…」
「…その様子だと、まだダメみたいだな」
「そんな…」
「…理樹、みんなを食堂に集めてくれないか?」
「どういうこと?」
「…少し、心当たりがある。それをみんなに話したい。頼めるか?」
「…うん、わかった」
「鈴は俺が連れていく。後は頼んだぞ」

恭介の心当たり。
一体、なんなんだろう…。

BGM:BOYS DON'T CRY

「みんな、集まったね」
「おう」
「うむ」

放課後、食堂にリトルバスターズのみんなを集める。

「で、なんだよ話って」
「…話をする前にまず、最初に謝らないといけないな。すまない」
「恭介…」
「ふむ、皆を集めておいてそれだけか?」
「…どういうことだ?」
「恭介氏がわざわざ皆を集めるよう頼んだということは、そういうことだろう?それに…」
「誰も恭介さんが悪いなんて思ってないよ」
「神北…」
「偶然の不幸が重なってしまっただけなのです」
「それに、帰ってきたってことはまだ希望があるということなのでは?」
「いつまでもへこんでるなんて、恭介さんらしくないですヨ!」
「能美…西園…三枝…」
「三枝の言うとおりだな。はしゃぎすぎくらいの方がお前らしいぞ、恭介」
「だな」
「謙吾…真人…ふっ、そうだな。ありがとう」
「別に礼なんていらねぇよ。気色悪ぃ」
「ふっ、よし、それならそろそろ本題に入ろうか」
「鈴を助ける心当たり、だよね?」
「あぁ。だがそれだけじゃない…良く、聞いてほしい」

恭介が、話し始める。

BGM:少年たちとの別れ

「土曜日、俺はあの場所に向かった」
「あの場所って…」
「俺たちが、死ぬはずだった場所だ」

そう、それはあの悲劇の現場。
バスが道路から転落し爆発、炎上。
本来なら僕と鈴以外はそこで…。

「そこで…これを見つけた」

恭介が取り出したのは、機械の部品の様なもの。
歪な歯車の塊で、それなのに規則正しく動いていた。

「なっ…」
「おいおい恭介、それは…!」
「え、何?どうしたの?」
「理樹と鈴は知らないだろうが、他の奴らは見覚えがあるはずだ」
「だが、これが現実に存在しているというのか?」
「ですが、今目の前にある以上、そういうこととしか考えられないのです…」
「なんだか、不思議な感じだね」
「うん…」
「恭介…何なの、これは?」
「正確なところは俺にもわからないが…俺たちは"時計"と呼んでいる」
「時計…?」
「あの世界は何度も繰り返していた。その繰り返しを成していたのが、この時計だ。時が来れば時間を5月16日の朝まで戻す。そうして何度も俺たちはあの1カ月を繰り返した」
「あの世界でこいつを自由に使えたのは恭介だけだ。後は…」
「恭介以外の奴がこれを使えるのは一度きりだった」
「あぁ、そうだ。だから俺はみんなに言った」
「渡された"時間"は一度きり。その間に悔いを残さないようにしろ、とな」

来ヶ谷さんが言う。

「結局、私には時間が少なすぎたようだったがな…」
「来ヶ谷さん…」
「でもよ、今更それを見つけて何の意味があるってんだ?」
「この時計の機能に必要性はない。本当に重要なのは、この時計が今ここにこうして存在しているということだ」
「て、ことは…」
「…あの世界は、まだ存在している」
「やはり、か」
「もし奴の言うとおりだとすれば、俺たちは世界の崩壊と同時に消滅する可能性が高い。だが、まだこうして存在できているということも一つの根拠となる。鈴を救えるとすれば、もうこれしか方法はない」
「だが、具体的に何をすればいいのかがわからなければ行動も起こしにくい」
「それについても考えてある。あの世界に置いてきたものは、俺たちの心残りだと言った。確かに、個人の悩みはあの世界で解決し忘れていた物も取り戻したかもしれない。だが、あの世界で新たに生まれた感情もあるんじゃないか?あの世界で、俺たちが理樹と鈴を強くしようとしたように…」
「…」
「それを取り戻すなり手放すなりして、あの世界と俺たちの関係を完全に断つ。そうすればまず、俺たちの消滅を回避することはできるはずだ。そして鈴についてだが…」
「あたし…か…」
「奴らに囚われていてわかった。鈴が失ったものは、あの世界にある。だから、それも一緒にとり返す。そのためには…」
「もう一度、あの世界に行く必要があるってことだね」
「その通りだ、理樹」
「でもよ、そんなのどうやったらできるんだよ?」
「…夢、だよ」
「夢?」

そう。
あの世界は夢なのだ。
3度、あの世界に入った僕ならわかる。

「夢の中で、強く念じるんだ。そうすれば、世界は生まれる」
「朱鷺戸の存在から、やりようによっては既に存在している世界に外部から干渉することもできるはずだ。今回はその方法を使う」
「決行は今日の夜。これが、最後の戦いになるはずだ。僕たち、リトルバスターズにとっての…」
「最後の戦い、か」
「へっ、燃えてくるじゃねぇか」
「じゃ、いつもの音頭を頼むぞ、"リーダー"」
「うん。いくよ、みんな。ミッション…スタート!」


BGM:お砂糖ふたつ

夜。
いつものように、布団に入る。
これから、あの世界に突入しようとしている。
とてもこれから最後の戦いに挑む、という風には見えないだろう。

「なぁ、理樹」
「ん?」
「…ありがとな」
「急にどうしたのさ」
「いや、なんか言いたくなっただけだ。よし、んじゃ寝るか!」
「真人…」

この戦いは、絶対に負けられない。
鈴のために、みんなのために。
決意を固め、僕は眠りに落ちた…。


BGM:生まれ落ちる世界

まどろみの中で見た景色は、あの日地下迷宮の奥で見た物に似ていた。
上も下もない空間と、そこに浮かぶ光。
それはまるで、小さな宇宙のようだった。

―みんな、いる?―
―あぁ。他の奴らも、無事に入れたようだな―

声…とは違う。
だけど、会話ができる。
形容しがたい、不思議な感じ。

―そう、良かった―
―で、どうすんだよこれから?―
―とりあえず、ここからは各自に任せるよ―
―何?―
―みんな、残してきたものは違うだろうから。一緒に行動するより、そっちの方がいいと思うんだ―
―なるほどな―
―理樹はどうするんだ?―
―僕は…―

僕が向う場所。
それは、最初からわかっていた。

―…なるほどな―
―それならば、俺たちも付き合った方がいいだろう―
―うん、そうだな。恭介の言うとおりだ―
―みんな…よし、行こう!―

無数の光の一つに、僕らは飛び込んだ。

続く



[22069] 第70話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:6627006a
Date: 2013/07/09 00:14
Phase:クド
BGM:生まれ落ちる世界

私は、お母さんみたいになりたかった。
お母さんは、私の憧れだった。
私の夢…宇宙飛行士こすもなーふと
一度は、諦めかけた夢。
だけど、今は…。

「また、来たんですね」

そこにいたのは、私と瓜二つの存在。
私が、ここに置き忘れた物。

「私は…ここに、すごく大事な気持ちを置いてきたんだと思うのです」

宇宙飛行士への夢。
それだけじゃない。
もっと、大切な何かを…。

「それを…取り戻しに来ました」
「そうですか…でしたら、やっぱりこういうことなのですね」

デュエルディスクを構える。
今、私たちの戦いの手段は…。

「…はいです」
「「デュエル」」

BGM:勇壮なる戦い

能美クドリャフカVSくど

Turn1:クド
手札5

「私の先攻、どろー、なのです!武神-ヤマトを召喚!」

☆4 ATK1800 DEF200

「かーどを1枚伏せ、えんどふぇいずにヤマトの効果発動です!でっきから武神と名の付くかーど1枚を手札に加え、手札を1枚墓地に送ります。でっきから武神器-ハバキリを手札に加え、手札の武神器-ヘツカを墓地に送ります。私はこれでたーんえんど、なのです」

手札4
伏せ1

Turn2:クド

「私のたーん、どろー、なのです!手札からアンノウン・シンクロンを召喚なのです!」

☆1 ATK0 DEF0

「さらに手札から魔法かーど、おろかな埋葬を発動!でっきのもんすたー1体を墓地に送ります!私はレッド・ガジェットを墓地に!そして墓地のもんすたーが機械族のみの場合、ネジマキシキガミは手札から特殊召喚できるのです!」

☆8 ATK100 DEF100

「れべる8のもんすたーをこすと無しで特殊召喚ですか!?」
「ネジマキシキガミの効果発動、なのです!相手ふぃーるど上のもんすたー1体の攻撃力をえんどふぇいずまで0にします!」

武神-ヤマト ATK1800→0

「さらに手札から魔法かーど、タンホイザー・ゲートを発動!自分ふぃーるど上の攻撃力1000以下で種族が同じ2体のもんすたーのれべるを、互いのれべるの合計の数値にします!ネジマキシキガミとアンノウン・シンクロンのれべるを9に!私はれべる9となったネジマキシキガミとアンノウン・シンクロンでおーばーれい!2体のもんすたーでおーばーれい・ねっとわーくを構築、えくしーず召喚!No.9 天蓋星ダイソン・スフィア!」

ランク9 ATK2800 DEF3000 ORU2

「大きい…です…」
「かーどを1枚伏せて、たーんえんど!」

手札1
伏せ1

Turn3:クド
手札4
伏せ1

「私のたーん、どろー、なのです!ばとるです!ヤマトでダイソン・スフィアに攻撃!」

ヤマトの攻撃力は1800、ですが手札のハバキリを使えば3600まで上がります!
これならダイソン・スフィアでも…!

「ダイソン・スフィアの効果発動!おーばーれい・ゆにっとを持つこのもんすたーが攻撃された時、その攻撃を無効にすることができるのです!」
「なっ…!」
「ダイソン・スフィアは星を包み込む宇宙規模のもんすたー!地上からの攻撃は早々とどかないのです!」
「かーどを1枚伏せて、えんどふぇいずにヤマトの効果発動なのです!でっきからハバキリを手札に加えて、手札のムラクモを墓地に送ります。私はこれでたーんえんどです!」

手札4
伏せ2

Turn4:くど
手札1
伏せ1

「私のたーん、どろー!」
「すたんばいふぇいずにムラクモの効果を発動です!自分ふぃーるど上に獣戦士族の武神が存在する場合、墓地のこのかーどを除外することで相手ふぃーるど上に表側表示で存在するかーど1枚を選択して破壊するのです!ダイソン・スフィアを破壊!」
「かうんたー罠、透破抜き!手札または墓地で発動するもんすたー効果を無効にし、そのかーどをげーむから除外するです!」
「っ…!」
「かーどを1枚伏せ、たーんえんどなのです」

手札1
伏せ1

Turn5:クド
手札4
伏せ2

「私のたーん、どろー、なのです!武神器-ムラクモを召喚!」

☆4 ATK1600 DEF900

「れべる4のヤマトとムラクモをおーばーれい!2体のもんすたーでおーばーれい・ねっとわーくを構築、えくしーず召喚!武神-スサノヲ!」

ランク4 ATK2400 DEF1600

「スサノヲの効果発動!このかーどのおーばーれい・ゆにっとを一つ使って、でっきから武神1枚を手札に加えるか墓地に送ることができます!武神-ミカズチを手札に!さらに手札から武神器-オロチの効果発動です!このたーん、自分の武神1体は相手に直接攻撃できます!」
「なっ…!」
「武神-ヤマトでだいれくとあたっく!」
「っ…!」

くど LP4000→1600

「たーんえんど、なのです!」

手札3
伏せ2

Turm6:くど
手札1
伏せ1

「私のたーん、どろー、なのです!手札から速効魔法、禁じられた聖槍をダイソン・スフィアに発動!このたーん、選択したもんすたーの攻撃力は800ぽいんとだうんして、他の魔法・罠の効果を受けません!」

No.9 天蓋星ダイソン・スフィア ATK2800→2000

「自分から攻撃力を…?」
「ダイソン・スフィアの効果発動!相手ふぃーるど上にこのカードよりも攻撃力が高いもんすたーが存在する場合、このかーどのおーばーれい・ゆにっとを一つ使うことでこのたーん相手に直接攻撃することができます!」
「直接攻撃!?」
「ばとるです!ダイソン・スフィアでだいれくとあたっく!」
「うぁっ…!」

クド LP4000→2000

「かーどを1枚伏せて、たーんえんど、なのです!」

セットしたカードはリミッター解除。
たとえヤマトがハバキリの効果で攻撃力を倍にしてきても、このカードで返り討ちです。
さらにもう1枚の伏せカードはナンバーズ・ウォール。
ムラクモの効果にチェーンして発動すれば、ダイソン・スフィアを守ることができる…。
そしてリミッター解除のデメリットもこれで相殺すれば、次のターンにダイレクトアタックで私の勝ちです。

「っ…」


Phase:唯瑚
BGM:無題「恋心を奏でる綺想曲

私は、空っぽだった。
喜怒哀楽というものが欠落していた。
それが面白いことであるとか、あるいは悲しいものだということは理解できる。
しかし、理解したところで何も感じなかった。
彼らに、出会うまでは。

Turn4:唯瑚

唯瑚
LP3400
手札:2
フィールド:甲虫装機エクサビートル(甲虫装機ギガマンティス装備)
伏せ:1

ユイコ
LP1200
手札:3
フィールド:暗黒界の武神ゴルド、暗黒界の門
伏せ:1

「バトル!エクサビートルでゴルドに攻撃!」

彼らと出会って、自分が持っていないものに初めて気づけた。

「速効魔法発動、サイクロン!ギガマンティスを破壊する!」

そこで初めて、自分が失ってきたものに気づいた。

「ギガマンティスの効果を発動する!墓地から甲虫装機センチピードを特殊召喚!」

辛かった。

「だが、戦闘は続行される!」

失ってきたものは、あまりにも多かった。

「罠発動、奇跡の残照!このターン戦闘破壊されたモンスターを特殊召喚する!」

だが、彼はそれを埋めてくれた。

「メインフェイズ2、センチピードの効果を発動し墓地のホーネットを装備。さらにホーネットの効果を発動、ゴルドを破壊する!」

楽しかった。

「センチピードの装備カードが失われた時、デッキから甲虫装機1枚を手札に加えることができる。甲虫装機ダンセルを手札に!」

嬉しかった。

「カードを1枚伏せて、ターンエンドだ」

Turn5:ユイコ
「私のターン、ドロー!手札から暗黒界の取引を発動。互いに1枚引き、1枚捨てる。手札から墓地に送られたことで暗黒界の龍神グラファの効果が発動する。伏せカードを破壊!」

こんな私に、手を差し伸べてくれた。

「罠発動、和睦の使者!このターン受ける戦闘ダメージは0になる!」

こんな私を、仲間だと言ってくれた。

「暗黒界の尖兵ベージを召喚。そして墓地のグラファの効果を発動する!場の暗黒界1枚を手札に戻し、このモンスターを墓地から特殊召喚する!カードを1枚伏せて、ターンエンドだ」

こんな私に、振り向いてくれた。
彼の名は…。

Phase:葉留佳
BGM:Litlle Melody

Turn8:ハルカ

葉留佳
LP1000
手札:1
フィールド:魔法都市エンディミオン(魔力カウンター7)、アーカナイト・マジシャン(魔力カウンター2)
伏せ:1

ハルカ
LP2100
手札:1
フィールド:F・G・D
伏せ:無し

ずっと、喧嘩してばっかりだった。
佳奈多のことが、嫌いだった。。

「バトル!F・G・Dでアーカナイト・マジシャンに攻撃!」

あの時は、どうしようもないと思ってた。
私が佳奈多の顔に泥を塗り、佳奈多が私を捕まえる。
この学校にいる限り、ずっとこんなことが続くと思ってた。

「リバースカード…オープン!」

だけど、それは間違いだった。
髪飾りの誓い。
"お姉ちゃん"と、お揃いの髪飾り。

「速効魔法、ディメンジョン・マジック!」

あの日、誓った約束。

「アーカナイト・マジシャンをリリースして、手札からライトロード・マジシャン ライラを特殊召喚!さらに、F・G・Dを破壊する!」
「っ…カードを1枚伏せ、ターンエンド!」

それを思い出させてくれたのは…。


Phase:美魚

Turn7:美魚

美魚
LP200
手札:2
フィールド:無し
伏せ:無し

ミオ
LP2000
手札:0
フィールド:水精鱗-メガロアビス、No.47ナイトメア・シャーク、No.11ビッグ・アイ、イビリチュア・マインドオーガス、深海のディーヴァ(守備表示)
伏せ:無し

「私のターン…ドローします」

私たちは、二人でひとつでした。

「手札から魔法カード、サルベージを発動します」

内気な私と、活発な美鳥。

「墓地からシャドウ・リチュアとリチュア・アビスを手札に戻します」

瓜二つだけど、正反対だった私たち。

「リチュア・アビスを召喚。このモンスターの召喚に成功した時、デッキからリチュアと名のついたモンスター1体を手札に加えます」

どちらも私で、どちらも彼女。

「私は、シャドウ・リチュアを手札に加えます」

彼女のことを思い出させてくれた。

「墓地のリチュアの儀水鏡の効果を発動します。2枚の儀水鏡をデッキに戻し、イビリチュア・ジールギガス2枚を手札に戻します」

そして、私が歩む道を示してくれた。

「手札の2枚のシャドウ・リチュアの効果を発動します。デッキからリチュアの儀水鏡と…」

その人の、名前は…。


Phase:小毬
BGM:たったひとつの魔法の言葉

Turn9:小毬

小毬
LP700
手札:4
フィールド:マドルチェ・ホーットケーキ(守備表示)
伏せ:1

コマリ
LP3200
手札:2
フィールド:冥府の使者ゴーズ、冥府の使者カイエントークン(攻守1900)
伏せ:1

私のせいで、いろいろ迷惑かけちゃったよね。
お兄ちゃんのこと。
それに…あの日のこと。

「私のターン、ドローッ!」

私の、我儘だった。

「魔法カード、テラ・フォーミング!デッキからマドルチェ・シャトーを手札に加えるよ!」

鈴ちゃんたちと、さよならしたくない。

「フィールド魔法、マドルチェ・シャトーを発動!」

でもそれは、当然私だけじゃなかった。

「全てのマドルチェの攻撃力と守備力は500ポイントアップするよ!」

そして、それは…きみも一緒だったんだよね…。

続く



[22069] 第71話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:6627006a
Date: 2013/07/09 01:04
Phase:クド
BGM:雨のち晴れ~instrumental~

私には、もう一つだけ捨てきれない思いがありました。
でも、それは私だけではどうにもならないことでした。
私には、好きな人がいました。

Turn6:クド

だけど、その恋が叶うことはありませんでした。

「私のたーん…どろー、なのですっ!」

でも、あの人と一緒にいられて…本当に楽しかったです。
だから、今は二人の幸せをただただ願うだけです。

「ムラクモの効果発動!ダイソン・スフィアを破壊するです!」
「永続罠、ナンバーズ・ウォール!ふぃーるど上のNo.と名の付くもんすたーはかーど効果では破壊されません!」
「ばとるです!」

リキ。

「スサノヲで、ダイソン・スフィアに攻撃!」
「攻撃無効効果は使用しません!」
「だめーじすてっぷ、手札からオネストの効果を発動!」
「オネスト!?」

へんてこりんな私を、笑わずに受け入れてくれた。

「自分の光属性モンスターが戦闘を行う時、このかーどを手札から捨てることでその攻撃力を戦闘を行う相手もんすたーの攻撃力分あっぷするです!」

私を、仲間に誘ってくれた。

「っ…速効魔法、リミッター解除!ダイソン・スフィアの攻撃力を2倍に!逆順処理で攻撃力はこっちのほうが…」
「読んでました!手札から武神器-ハバキリの効果を発動!」
「しまった!」

向こうでもこっちでも、私には殆ど友達なんていなかった。

「ハバキリの効果で、スサノヲの攻撃力は元々の攻撃力の2倍になるです!」

武神-スサノヲ ATK2400→4800

「リミッター解除の効果でダイソン・スフィアの攻撃力は倍化っ…!」

No.9 天蓋星ダイソン・スフィア ATK2800→5600

「オネストの効果で、スサノヲの攻撃力はダイソン・スフィアの攻撃力分、つまり5600あっぷです!」

武神-スサノヲ ATK4800→10400

だけど今は、たくさんの仲間に囲まれています。

「攻撃力…10400…!!」
「スサノヲの攻撃!十握の剣!」
「っ、うあぁぁぁぁぁ…!!」

私は今、幸せです!

くど LP1600→0
勝者:クド

Phase:唯瑚
Turn6:唯瑚
「私のターン、ドロー!ランク6のエクサビートルをオーバーレイ!1体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚!迅雷の騎士ガイアドラグーン!」

理樹くん。

「甲虫装機ダンセルを召喚!墓地の甲虫装機ホーネットを装備、さらにホーネットを墓地に送りグラファを破壊!デッキから甲虫装機ギガマンティスを特殊召喚!」

私の我儘にも、応えてくれた。

「さらにセンチピードにホーネットを装備、墓地に送ってセットカードを破壊だ!」
「っ…!」

何度も。

「センチピードの効果でギガマンティスを手札に加え、装備する!」

何度も。

「バトル!」

何度でも。

「ガイアドラグーンで、ダイレクトアタック!」

私も…君のことが、好きだったのかもしれないな。

「っ…!!」

ユイコ LP1200→0
勝者:唯瑚


Phase:葉留佳
Turn9:葉留佳

「私のターン、ドローッ!」

他でもない君なんだよ、理樹くん。

「ライラの効果発動!このカードを守備表示にして、セットカードを破壊!」

行き場のない憎しみと怒りに囚われていた私たち。

「手札から魔法カード、ミラクルシンクロフュージョンを発動!」

私たちに、暗闇を抜ける道しるべをくれた。

「墓地のアーカナイト・マジシャンと…」

ずっとお姉ちゃんを誤解して悪者に徹していた私。

「フィールドのライトロード・マジシャン ライラを融合!」

私のために悪者を演じていたお姉ちゃん。

「融合召喚!覇魔導師アーカナイト・マジシャン!」

だけど誰も、悪者なんかじゃなかった。

「覇魔導師アーカナイト・マジシャンの効果発動!エンディミオンから魔力カウンターを一つ取り除き、F・G・Dを破壊!」

ただみんな、少しだけ間違っていただけなんだ。

「覇魔導師アーカナイト・マジシャンで、ダイレクトアタック!」

…好きだよ、理樹くん。

ハルカ LP2100→0
勝者:葉留佳


Phase:美魚

「…リチュアに伝わりし禁断の秘術を手札に加えます」

直枝さん。

「手札から儀式魔法、リチュアの儀水鏡を発動します」

この言葉は、あなたには届かないかもしれません。

「手札のヴィジョン・リチュアをリリース、儀式召喚…イビリチュア・ジールギガス」

直枝さん…ありがとうございます。

「さらに儀式魔法、リチュアに伝わりし禁断の秘術を発動します」

あなたのおかげで、私は忘れていたものを取り戻すことができました。

「そちらのフィールドのイビリチュア・マインドオーガスと深海のディーヴァ、そして私のフィールドのリチュア・アビスをリリースし、もう1体のイビリチュア・ジールギガスを儀式召喚します」

今、私の中にはあの子がいます。

「レベル10のジールギガス2体でオーバーレイ。2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚。超弩級砲塔列車グスタフ・マックス」

そして今、私の中にある感情。

「グスタフ・マックスの効果を発動します。このカードのオーバーレイ・ユニットを一つ使い、相手に2000ポイントのダメージを与えます」
「っ…!!」

直枝さん、私は…あなたのことが、好きです。

ミオ LP2000→0
勝者:美魚


Phase:小毬

「罠カード、マドルチェ・ハッピーフェスタを発動!」

ねぇ、理樹くん。

「手札からマドルチェと名のついたモンスターを可能な限り特殊召喚するよ!」

鈴ちゃんとは、この先上手くやっていけそうかな?

「手札からシューバリエ、バトラスク、クロワンサン、マジョレーヌの4体を特殊召喚!」

私たちが離れ離れになっても、理樹くんと鈴ちゃんは歩いていけるかな?

「クロワンサンの効果を発動!マジョレーヌを手札に戻して、レベルを1、攻撃力を300アップするよ!」

私は、まだちょっとだけ心配です。

「マドルチェ・マジョレーヌを召喚!効果でデッキからマドルチェ・ミィルフィーヤを手札に加えるよ!」

でも、大丈夫だよね。

「レベル4のマジョレーヌとクロワンサンでオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚!クイーンマドルチェ・ティアラミス!」

だって、理樹くんと鈴ちゃんは奇跡を起こしたんだもん。

「さらにレベル4のシューバリエとバトラスクでオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚!H-Cエクスカリバー!」

だから、私は信じるよ。

「ティアラミスの効果発動!このカードのオーバーレイ・ユニットを一つ使って、墓地のマドルチェと名のついたカードを2枚までデッキに戻すことでその枚数分相手フィールド上のカードをデッキに戻すよ!ゴーズと伏せカードをデッキに!」

二人が、この先歩いて行けるって。

「さらにH-Cエクスカリバーの効果発動!このカードのオーバーレイ・ユニットを2つ使って、相手ターン終了時まで攻撃力を2倍にするよ!」

でも、もしも二人が道に迷ったら。

「バトル!ティアラミスで、カイエントークンに攻撃!」

その時は、いつでも相談に乗るよ。

「H-Cエクスカリバーで、ダイレクトアタック!」

二人とも、私の大切な人だから。

コマリ LP3200→0
勝者:小毬

「終わった…のかな」

みんなは、それぞれの所にいるのかな。

「…よぅしっ」

…待っててね、みんな。
私も、すぐにそっちに行くから…。

続く



[22069] 第72話
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:6627006a
Date: 2013/07/09 03:34
Phase:理樹
BGM:生まれ落ちる世界

「ここは…」
「グラウンド、か」

気が付けば、僕たちは学校のグラウンドにいた。

「あれ…見えるぞ、理樹!」
「鈴…!」
「恐らく、現実世界ではないからだろうな」
「ていうか、やっぱりここなのな」
「あぁ…」

そう。
ここは、僕たちの始まりの場所。
そして、終わりの場所でもある。

「空が…白い」
「恐らく、あの時のままなんだろう」
「良くもった方だ、というべきなのかもしれないな」

-よく来ましたね-

「っ!?」

声が、聞こえた。

「聞いたか?今の」
「うん…」
「頭の中に直接話しかけてきてるみてぇだ」
「なんか、こわいぞ…」

-これより、あなたたちに最後の試練を与えます-

「最後の…試練?」

その時、グラウンドに一つの影が現れた。

「これは…僕?」

そこにいたのは、僕と瓜二つの存在。

「君は…誰?」
「私には名前はありません。あなたたちの言葉を借りるならば、"世界"というべきでしょうか」
「と、いうことは…」
「こいつが…!」
「貴方達の闘争の方法は実に個性的、かつ効率的なものでした。ですので、貴方達を試すのには丁度いいものでした」
「何…?」
「そして今、貴方達はここまで来ました。貴方達には、この試練を受ける資格があります」
「資格、だと?」
「その中で、貴方達の本当の姿を見せていただきます。準備はよろしいですか?」
「…うん」
「では、始めましょう」
「「デュエル!!」」

BGM:勇壮なる戦い

直枝理樹VS「世界」

Turn1:理樹
手札5

「先攻は貴方に譲ります」
「なら…僕のターン、ドロー!モンスターをセット、カードを1枚伏せてターンエンドだ!」

手札4
伏せ1

Turn2:世界
手札5

「私のターン、ドロー。速効魔法、超再生能力を発動します。このターンリリース、手札から墓地に送られたドラゴン族モンスターの数だけエンドフェイズにカードをドローします。手札から水征竜-ストリームの効果を発動します。手札のこのカードと厳征竜-レドックスを墓地に送り、デッキから瀑征竜-タイダルを特殊召喚」

☆7 ATK2600 DEF2000

「魔法カード、封印の黄金櫃を発動。デッキから焔征竜-ブラスターを除外。除外された焔征竜-ブラスターの効果を発動します。このカードがゲームから除外された時、デッキから炎属性・ドラゴン族のモンスター1体を手札に加えます。焔征竜-ブラスターを手札に。さらに墓地の厳征竜-レドックスの効果を発動。墓地の水征竜-ストリームと手札の嵐征竜-テンペストを除外し、このカードを墓地から特殊召喚」

☆7 ATK1500 DEF3000

「さらに除外された嵐征竜テンペストの効果を発動します。デッキから風属性・ドラゴン族のデブリ・ドラゴンを手札に加えます。レベル7の厳征竜レドックスと瀑征竜タイダルでオーバーレイ。2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚。幻獣機ドラゴサック」

ランク7 ATK2600 DEF2200 ORU2

「幻獣機ドラゴサックのモンスター効果を使用します。このカードのオーバーレイ・ユニットを一つ使い、自分フィールド上に幻獣機トークン2体を特殊召喚します」

☆3 ATK0 DEF0

「バトルです。幻獣機ドラゴサックでセットモンスターに攻撃」

戦闘破壊:ダンディライオン

「ダンディライオンのモンスター効果発動!このカードが墓地に送られた時、綿毛トークン2体を特殊召喚する!」

☆1 ATK0 DEF0

「私はカードを伏せ、エンドフェイズに超再生能力の効果を発動。この効果によりデッキからカードを2枚ドロー。ターンエンドです」

手札4
伏せ1

Turn3:理樹
手札4
伏せ1

「僕のターン、ドロー!手札のボルト・ヘッジホッグを墓地に送って、クイック・シンクロンを特殊召喚!」

☆5 ATK700 DEF1400 チューナー

「レベル1の綿毛トークン1体にレベル5のクイック・シンクロンをチューニング、シンクロ召喚!ドリル・ウォリアー!」

☆6 ATK2400 DEF2000 シンクロ

「このモンスターは攻撃力を半分にすることで、このターン相手に直接攻撃することができる!」

ドリル・ウォリアー ATK2400→1200

「バトル!ドリル・ウォリアーでダイレクトアタック!」
「永続罠、スピリットバリア。モンスターが自分フィールド上に存在する限り、戦闘によるライフダメージを無効にする」
「ならメインフェイズ2、ドリル・ウォリアーのもう一つの効果を発動!手札を1枚捨ててこのカードをゲームから除外する!」

墓地送り:チューニング・サポーター

「手札を1枚伏せて、ターンエンドだ」

手札1
伏せ2

Turn4:世界
手札4

「私のターン、ドロー。手札の焔征竜ブラスターと嵐征竜-テンペストをゲームから除外し、墓地の厳征竜-レドックスを特殊召喚。嵐征竜-テンペストの効果でデッキから風征竜-ライトニングを手札に加え、さらに焔征竜-ブラスターの効果でガード・オブ・フレムベルを手札に加えます。手札からチューナーモンスター、ガード・オブ・フレムベルを召喚」

☆1 ATK0 DEF2000 チューナー

「レベル7の厳征竜-レドックスとレベル1のガード・オブ・フレムベルでチューニング。シンクロ召喚、クリムゾン・ブレーダー」

☆8 ATK2800 DEF2600

「バトル。幻獣機ドラゴサックで綿毛トークンを攻撃」
「っ…」
「クリムゾン・ブレーダーでダイレクトアタック」
「くっ…!」

理樹 LP4000→1200

「カードを1枚伏せ、ターンエンド」

手札3
伏せ1

Turn5:理樹
手札2
伏せ1

「僕のターン、ドロー!この瞬間、ドリル・ウォリアーはフィールドに戻ってくる!そして墓地のモンスター1体を手札に加える!僕はダンディライオンを手札に!バトル!ドリル・ウォリアーで幻獣機トークンに攻撃!」
「…」
「メインフェイズ2、手札のダンディライオンを捨ててこのカードをゲームから除外!ダンディライオンの効果で綿毛トークンが2体生成される!カードを1枚伏せて、ターンエンドだ!」

手札1
伏せ2

Turn6:世界
手札3
伏せ1

「私のターン、ドロー。封印の黄金櫃で除外されていた焔征竜ーブラスターを手札に加える。手札の風征竜-ライトニングの効果を発動。このカードと焔征竜-ブラスターを墓地に送り、デッキから嵐征竜-テンペストを特殊召喚」

☆7 ATK2400 DEF2200

「幻獣機ドラゴサックの効果を発動。幻獣機トークン1体をリリースしセットカード1枚を破壊」

効果破壊:奇跡の残照

「デブリ・ドラゴンを召喚」

☆4 ATK1000 DEF2000 チューナー

「このモンスターの召喚に成功した時、墓地の攻撃力500以下のモンスター1体を効果を無効にして特殊召喚することができる。墓地の風征竜-ライトニングを特殊召喚」

☆3 ATK500 DEF1800

「レベル3の風征竜-ライトニングにレベル4のデブリ・ドラゴンをチューニング、シンクロ召喚。エンシェント・フェアリー・ドラゴン」

☆7 ATK2100 DEF3000 シンクロ

「幻獣機ドラゴサックの効果を発動。幻獣機トークン2体を生成します。バトル。エンシェント・フェアリー・ドラゴンで綿毛トークンに攻撃。さらにクリムゾン・ブレーダーで綿毛トークンに攻撃」
「トークンは破壊されても墓地に行かないからクリムゾン・ブレーダーの効果は発動しない!」
「カードを1枚伏せて、ターンエンドです」

手札1
伏せ1

Turn7:理樹
手札1
伏せ2

場には破壊されないドラゴサック、そして特殊召喚を封じるクリムゾン・ブレーダー…。
ドリル・ウォリアーとダンディライオンのコンボではあまり時間は稼げない…どうすればいいんだ…?

BGM:遥か彼方

―リキ!―

…!?
今、声が…。

―がんばって!理樹くん!―
―少年、この程度で負ける君ではないだろう?―
―姉御のゆーとーりですよ!ファイト!―
―まだ手はあるはずです、直枝さん―

「聞こえるか?」
「おう」
「みんなの、声だ…」
「っ、おい、あれを見ろ!」

謙吾が指さす先。
空に空いた小さな綻びから、光が差し込んできた。

「何とか間に合いました!」
「クド!みんな!」
「最後の戦い、見届けさせに来てもらったぞ」
「その様子だと、そっちは大丈夫だったようだな」
「はい」
「もうばっちしですよ!」
「みてーだな」
「よぅしっ!みんなで理樹くんを応援だ!」

みんなの声が届く。

「みんな…ありがとう。僕のターン、ドロー!ドリル・ウォリアーは再びフィールド上に舞い戻る!そして墓地からダンディライオンを手札に戻す!手札から魔法カード、調律を発動!デッキからシンクロン1体を手札に加え、デッキの一番上のカードを墓地に送る!僕はアンノウン・シンクロンを手札に!」

墓地送り:レベル・スティーラー

「よし!手札から魔法カード、ワン・フォー・ワンを発動!手札のダンディライオンを墓地に送って、デッキからスポーアを特殊召喚!」

☆1 ATK400 DEF800

「ダンディライオンの効果で綿毛トークン2体を特殊召喚!レベル1の綿毛トークンにレベル1のアンノウン・シンクロンをチューニング!シンクロ召喚!フォーミュラ・シンクロン!」

☆2 ATK200 DEF1500 シンクロチューナー

「フォーミュラ・シンクロンの効果で1枚ドロー!さらにレベル6のドリル・ウォリアーにレベル2のフォーミュラ・シンクロンをチューニング!シンクロ召喚!スターダスト・ドラゴン!」

☆8 ATK2500 DEF2000 シンクロ

「手札からチューナーモンスター、アンノウン・シンクロンを召喚!」

☆1 ATK0 DEF0 チューナー

「墓地のレベル・スティーラーの効果発動!スターダスト・ドラゴンのレベルを1下げて、墓地から特殊召喚する!」

☆1 ATK600 DEF0
スターダスト・ドラゴン ☆8→7

「レベル1のレベル・スティーラーとレベル1の綿毛トークンにレベル1のアンノウン・シンクロンをチューニング!シンクロ召喚!霞鳥クラウソラス!」

☆3 ATK0 DEF2300

「手札から魔法カード、貪欲な壺を発動!墓地のモンスター5体をデッキに戻し、カードを2枚ドローする!」

デッキに戻す:ダンディライオン、アンノウン・シンクロン、スポーア、チューニング・サポーター、レベル・スティーラー

「手札から魔法カード、おろかな埋葬を発動!デッキからロード・シンクロンを墓地に送る!さらに手札から魔法カード、死者蘇生を発動!フォーミュラ・シンクロンを特殊召喚!さらに霞鳥クラウソラスの効果発動!このターン中相手モンスター1体の効果を無効にし、攻撃力を0にする!ドラゴサックの攻撃力を0に!」

幻獣機ドラゴサック ATK2600→0

BGM:Clear Mind

「行け!理樹!」
「お前の力を見せてやれ!」

「レベル3の霞鳥クラウソラスとレベル7となったスターダスト・ドラゴンに、レベル2のフォーミュラ・シンクロンをチューニング!心を繋ぐ絆の力が、大いなる奇跡を呼び起こす!シンクロ召喚!シュティング・クェーサー・ドラゴン!」

☆12 ATK4000 DEF4000 シンクロ

「シューティング・クェーサー・ドラゴン…!」
「バトル!シューティング・クェーサー・ドラゴンでドラゴサックに攻撃!天地創造撃ザ・クリエーション・バースト!」
「スピリットバリアの効果でダメージは無効となる!」
「シューティング・クェーサー・ドラゴンのモンスター効果!このモンスターはシンクロ素材となったチューナー以外のモンスターの数だけ攻撃宣言を行うことができる!シューティング・クェーサー・ドラゴンでエンシェント・フェアリー・ドラゴンを攻撃!」
「手札からオネストの効果を発動。エンシェント・フェアリー・ドラゴンの攻撃力を4000アップします」
「シューティング・クェーサー・ドラゴンの効果発動!1ターンに1度、魔法・罠・効果モンスターの効果の発動を無効にし破壊する!」
「っ!?ぐぅぅっ…だがこの瞬間罠発動、自由解放!自分フィールド上のモンスターが戦闘で破壊され墓地に送られたときに発動し、場のモンスター2体をデッキに戻します!シューティング・クェーサー・ドラゴンと私の場の幻獣機トークンを選択!トークンはそのまま消滅します」

眩い閃光がカードから放たれ、シューティング・クェーサー・ドラゴンを包む。

「これで貴方のモンスターは失われた…」
「それはどうかな?」
「…!?」
「シューティング・クェーサー・ドラゴンがフィールドを離れた時、エクストラデッキからシューティング・スター・ドラゴン1体を特殊召喚できる!」

☆10 ATK3300 DEF2500 シンクロ

「馬鹿な…!?」
「そしてシューティング・スター・ドラゴンにはまだバトルが残されている!シューティング・スター・ドラゴンでクリムゾン・ブレーダーを攻撃!スターダスト・ミラージュ!」
「罠発動、聖なるバリア-ミラーフォース-!相手の攻撃表示モンスターを全て破壊する!」
「シューティング・スター・ドラゴンの効果発動!1ターンに1度フィールド上のカードを破壊する効果をもつカード効果の発動を無効にし破壊することができる!」
「何っ!?ぐっ…!だがこの瞬間、もう1枚の自由解放を発動します!対象は貴方のシューティング・スター・ドラゴンと私の幻獣機トークンです!」
「罠発動、竜の転生!」
「何っ!?」
「竜の転生は自分の場のドラゴン族モンスター1体をゲームから除外し、自分の手札・墓地からドラゴン族モンスター1体を特殊召喚するカード!シューティング・スター・ドラゴンをゲームから除外して、墓地のスターダスト・ドラゴンを特殊召喚する!」
「っ…!?」
「バトル!スターダスト・ドラゴンでダイレクトアタック!この瞬間、速効魔法イージーチューニングを発動!自分の墓地のチューナーモンスター1体をゲームから除外し、その攻撃力を自分のモンスター1体に与える!墓地のロード・シンクロンを除外して、スターダスト・ドラゴンの攻撃力を1600アップさせる!」

スターダスト・ドラゴン ATK2500→4100

「私のライフを…越えてきた!?」

「行っけぇぇぇぇぇぇ!!」

みんなの声が、背中を押してくれる。
これが、最後の一撃。

「行け、スターダスト・ドラゴン!シューティング・ソニック!!」
「ぐっ、うぉぁぁぁぁぁぁ!!」

世界 LP4000→0

BGM:Song for friends

「やった…!」
「理樹が…勝った!」
「うおっしゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「…よくぞ私を倒しました、世界の理より外れし者」
「ずっと気になってんたんだけどさ、理から外れたってどういうことなの?」
「それは、貴方自身が一番わかっているのではないのですか?貴方は…世界の枠組みを超え、消えゆくはずの命を救った。それは…とても良い記憶です」
「良い、記憶…?」
「はい。もう少しだけ、人類にこの星を任せてもいいでしょう」
「それって…?」
「貴方達の様な存在がまだいるなら…希望を捨てるのは、まだ早いでしょう。預かっていた物を全てお返しします」
「君は、どうするの?」
「私は、我が主の下に戻ります」
「主…?」
「この星の意思。人は主を鍵、と呼ぶそうですが」
「鍵…?何のこと…?」
「貴方達が今ここで全てを知る必要はないでしょう。ですが、いずれ知らなければならない時が来るかもしれません。もしその時が来るのであれば、また会いましょう。素晴らしき人類…リトルバスターズ」

そう言うと、世界と名乗った彼は…光となって消えていった。
それは、まるでオーロラのような輝きを放っていた…。

続く



[22069] エピローグ
Name: グルナード◆0b0f3a7c ID:6627006a
Date: 2013/07/09 03:37
BGM:生まれ落ちる世界

ズズッ
世界が、揺らいだ気がした。

「な、なんですか!?」
「今揺れなかった!?」
「これは…恭介氏、一体何が起こっている?」
「まずいな…この世界が崩壊をはじめている」
「えっ…!?」
「ど、どどどどどーしたらいいの!?」
「みんな、落ち付いて!」
「理樹!?」
「とにかく校門まで走るんだ!そこから外に出られる!」
「みんな、聞いたな!走れ!」

校舎が、体育館が、そしてグラウンドの地面が光となって消えていく。
そして僕らは、なんとかこの世界からの脱出に成功した。


12月4日 火曜日

BGM:密やかなさざめき

あれから、一週間がたった。
鈴の目も元通り見えるようになり、無事戻ってくることができた。

「あー、腹減ったー。理樹、飯行こうぜ飯」
「うん。謙吾、鈴、行こう」
「うむ」
「わかった」

「おや、理樹くんではないか」
「あれ、来ヶ谷さん。それにみんなも」

食堂には来ヶ谷さんのほか、クドと小毬さんの姿もあった。

「偶然皆居合わせたようでな」
「そうなんだ。こっち、いい?」
「うむ」

向かいの席に腰掛ける。

「あら、直枝」
「みんないつの間に来たの?」
「今の今だよ」

料理を取りにいっていた葉留佳さんと佳奈多さん、そして西園さんが戻ってきた。

「お、なんだみんな揃ってるじゃねぇか」
「恭介、それに沙耶さんと笹瀬川さんも」

暫くして、恭介と沙耶さん、そして笹瀬川さんもやってきた。

「珍しい組み合わせだな」
「偶々そこで会ったのよ。ね」
「えぇ」

いつの間にか、食堂にはみんなが揃っていた。

「リトルバスターズ、全員集合だね」
「あぁ」

こうして、何気ない穏やかな時間が過ぎていく。
僕たちの、最高の仲間…リトルバスターズ。
これからも、みんなで。



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