<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

チラシの裏SS投稿掲示板


[広告]


感想掲示板 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[21827] 【習作】魔法少女リリカルなのはTUBAME【オリ主】
Name: 草食系肉食獣◆1a430306 ID:b7a78f55
Date: 2010/09/12 02:11
魔法少女リリカルなのはTUBAME

「痛!」
何か柔らかいものの上に落下した衝撃で、少女は目を覚ました。
「ここは……知らない天井です……」
少女が目を覚ますと、そこは今まで来た事もないような場所だった。
取りあえず、現状を確認しようと辺りを見回すも、そこは一切の光も無い暗闇だった。
「取りあえず、歩きますかね……そのうち壁に当たるでしょう。あれ?私、靴履いてたはず……」
柔らかいものを直に踏みながらしばらく歩くと壁に当たり、そのまま壁を辿って歩き続け、出口らしき大きな扉を見つけた。
少女が扉を開け、明るさに目を眩ませながら、そこで見たものは顔が映りそうな程に磨き抜かれた、無機質な廊下や壁だった。
取りあえず、歩き疲れて一休み。
取りあえず自分が今まで居た場所を振り返ろうと、後ろを向こうとした瞬間、
『管理局の強制捜査!総員至急退避せよ!繰り返す管理きょぐわぁぁぁぁっ!』
「大丈夫!?」
施設のスピーカーから流れる、男の悲鳴に驚き、咄嗟に前を向いた少女は、何故か猫耳を着けた女性に声を掛けられた。
「あ、はい。ちょっと背中が痛いですけど大丈夫だと思います」
「そう、良かった……取りあえず、私と来てくれない?」
「?……分かりました」
少女は女性に手を引かれ、結局振り返る機会も無かった扉の前を後にする。
振り返らなかったので、知ることも無かった。少女が歩きながら踏んでいた『柔らかいもの』は人の形をしていた事に。
「ところでお姉さん」
「?」
「とんでもなく背高いですよね。何食べたらそんなに?」
「身長?普通位よ?」
「え、じゃあなんでそんなに高く……」
「貴方が小さいからよ。見たところ、8歳位?」
「嘘だっ!」
「ホントよ?あと目が怖い」
「鉈が無いのが残念です……」
目が覚めたら幼女になっていた。その事に今気付いた少女であった。



白髪が混じり始めた紳士然とした男が念話を受けていた。
『こちらアリア。お父様、プロジェクト「F.A.T.E」で生み出されたと見られる女の子を保護したわ』
「何!?……了解した。すぐそちらへ向かう。今あるデータを私とロッテに送って、その子と一緒に安全な所で待機してくれ」
『了解』
違法技術、プロジェクト「F.A.T.E」の実験で秘密裏に生み出された人間という事は、本来生まれるはずの無かった、社会に存在を認知されていない人間だ。
それも、現在の所彼女を見たのは彼の娘、リーゼアリアと違法研究施設の関係者のみ。前者は彼にとって信頼できる人物で、後者は捕まるか、逃げ延びても表舞台には出て来られない人物。
ならば彼の意思で自由に出来る。もちろん違法だが。
「偽善と、分かってはいるさ……
だが少しでも孤独なあの子の救いになるならば……」
ギル・グレアム提督は、リーゼアリアの元へ急いだ。



違法施設から大分離れた林の中で少女とギル・グレアムは出会った。
「初めまして。私はギル・グレアムと言う。君は?」
「……」
「お父様、この子の話を聞いたんだけど、どうもお父様の故郷、「第97管理外世界『地球』」と凄く似てるけど違う世界に居た記憶があるみたい。
同じ『地球』っていう名前の世界で、この子の家が地球で言う鳴海市の辺りにあったらしいんだけど、この子の世界では名前が違うらしいの。それに容姿も記憶とは全く違うらしいわ。8歳位に見えるけど記憶では16歳みたい」
「……その世界にイギリスはあるかね?」
「あるわ。そしてイギリスと言う地名がある世界は「第97管理外世界『地球』」だけ。でもこの子の居た地球には海鳴市は無い……
多分これからも発見されないわ」
「馬鹿な……この次元世界以外の住人の魂だと言うのか……」
「私は……」
アリアとグレアムが少女について話していると少女が突然口を開いた。俯いたまま、目に涙を浮かべながら。
「誰なんでしょうか?最初は『起きたら身体が縮んでたぜ何処のバーローだよw』位に思ってましたが、以前の私は多分死んじゃったんですね……なんだか凄く朦朧としたのを覚えてます。
死んじゃいそうな要因もたくさんあったんです。不健康な生活とか……そして気付いたらこの身体でした……
……ねえ、私、この子の身体、乗っ取っちゃったんですか?それじゃあ私、人殺しに……」
ポンと、グレアムの大きな手が少女の頭に置かれる。
「大丈夫。君の身体は非人道的な実験の為に生み出されたクローンで、意識と呼べるものは最初から無かったらしい。
誰の身体でも無い。誰も殺していないよ。
それと、申し訳無いが、君が元居た世界も、元の君が死んだかどうかも調べる手段が無い。この世界の住民として生きるしか無いようだが、どうする?」
「……」
「もし良かったら、私の頼みを聞いてくれないか。当面の衣食住は約束するよ?」
「分かりました。どうせ失うものなんて何もないですし」
顔を上げ、少女は即答した。
「内容も聞かずに即答かね……
私が頼みたいのは、ある孤独な少女と一緒に居てあげて欲しい。広い家に一人で住んでいる車椅子に乗った少女で、名前は八神はやて」
グレアムは、自分の頼みごとを話し始めると同時に何故か少女に背を向けた。
「……すいません、家事は出来なくても可ですか?」
「可だ。何年も一人だからな。特に料理はプロ級と言っても過言ではない。さて、君の戸籍を用意するから、名前だけ教えてくれるかね?後は適当にやっておこう」
少女は考え込んでしまった。
「どうかしたかね?」
「いえ、ちょっと前の名前を使うのもどうかなと思いまして。この身体の子も、せっかくこの世に生まれてきたなら、この子の名前で呼ばれないと可哀そうです。
この子と私の新しい名前で生きても良いですか?」
「構わないよ」
グレアムは内心驚いていた。自分が死んだと知ってそれほど時間は経っていないのに、目の前の少女は自分の身体となった少女への気遣いが出来ている。
そして確信もしていた。絶望の中での優しさを持ち、取り乱すことも無い彼女になら、孤独と絶望の中で苦しむ八神はやてを任せられる。
「ではヒエン・ヤヨイ(弥生 飛燕)でいきます。由来は外国のエンジンを積んだ、私が生きていた国の古い戦闘機です」
グレアムは手元の端末に彼女の、ヒエンの名を打ち込んだ。
「……よし。これで戸籍は用意出来た。分かってるとは思うが、違法だから他言無用だよ?」
「了解です」



~数時間後~
「さて、これではやての所へ行く準備は完了だ」
「ありがとうございます。では、寂しがってるでしょうからとっとと行きますかね……」
「ちょっと待った~!」
ヒエンを呼びとめたのは、アリアによく似た猫耳娘。
「ロッテ、研究所の制圧、お疲れ様」
「うん。で、あんたがヒエン?これ、この研究所で研究されてたデバイス。かなり高性能だから持ってく?」
ロッテが差し出したのは、プロペラをモチーフにしたペンダント。
「同じの何本もあるし、ロールアウトしたてだから魔法の初歩と、近代ベルカ式とミッド式の魔法のデータ以外はほとんどまっさらだからね。
父様、あげちゃっても良いよね?」
グレアムは少し悩んだが、了承した。
「万が一の時は、これではやてを守ってやって」
「これなんでs『Call my name』うわっ!日本語でおk!」
『名前を呼んでください』
突然喋り出したデバイスに驚くヒエンの言葉に、デバイスが瞬時に日本語で言い直す。
「ほう、日本語で話してくれるデバイスとは珍しい。それもインテリ型か。ヒエン、名前を付けてやってくれないか。君の相棒だ」
「名前……ツバメで行きましょうかね。よろしくツバメ、貴方の相棒のヒエンです」
『よろしくお願いします、マスター』
一度終わった少女の時間が、生まれたばかりのデバイスと共に、再び動き出した。



と、ヒエンの顔が急に気まずそうになる。
『どうしました?マスター』
「あ~、ところでデバイスって何ですか?名前付けてから聞くのもアレですけど」
『……』
「……八神邸に着いてからその子にゆっくり教われば?」






【後書き】
どうも、絶賛就活中の作者です。SSの投稿は初めてです。
未熟者ですがよろしくお願いします。
さて、本編に直接絡むのはA's始まってからになりますが、無印関連のイベントもちょくちょく入る予定です。



[21827] 2話
Name: 草食系肉食獣◆1a430306 ID:414723f4
Date: 2011/06/12 01:39
「ヒエン、一緒にお風呂入らんか?」
「ご一緒しましょう」
ヒエンは八神家で世話になっていた。
グレアム達と出会った世界から、無事に八神家前に到着したヒエンだったが、
新しい人生が始まってから何も口にしていなかったことから、空腹で倒れてしまった。
そこにタイミング良く帰宅した八神はやてに保護されて今に至る。
「誰かと一緒にお風呂入るの久しぶりや。来てくれてありがとうな、ヒエン」
「お礼を言うのはこちらです。はやてが居なかったらどうなっていたか…
それにしても、私なんか拾って良かったんですか?私、家事も何もできませんよ?」
「私と一緒に居てくれるやろ?後はできることからやってくれれば良いし、新しいことも教えていくから」
「分かりました。さて、のぼせる前に上がりましょうか。
はやて、ちょっと持ち上げますよ」
「え?ひゃっ!」
ヒエンははやてを軽々と持ち上げるとそのままお姫様だっこの体勢で風呂場から出た。
「ヒエン力持ちやね。見た目私とそんなに変わらんのに」
「ああ、別に特別鍛えてるわけじゃないですよ。
夕飯の時に説明した魔法の1つ、身体強化です」
ヒエンははやてと出会うまでの空腹で動けない間にツバメから魔法やデバイスについての説明を受けていた。ヒエンの才能か、ツバメの性能からか、すでに簡単な魔法を使えるようになっていた。
「それって私にもできるん?」
「ツバメによるとはやてにもできる可能性はありますよ」
「ほんまか!?やってみたいなぁ」
ツバメによって、はやても魔法を使うために必要な器官、リンカーコアを持っていることが確認されている。
ただ、まだリンカーコアが未発達なのか、現状では魔法が使えるほどの出力は出せないようだ。
「さて、そろそろ寝ようか。まだベッドの用意ができてないから、悪いけど私と同じベッドで良いか?」
「大丈夫です。では寝るとしましょうか」


『マスター、起きていますか?』
「…ん、ツバメですか。何か?」
夜の12時、ツバメは異変を察知し、ヒエンを起こした。
『かなり大きな魔力反応を感知しました。現時点では実害は無さそうですが数が多いようです。
普通に物が落ちるような軌道なのでおそらく人ではない何かです』
「魔法関連ですか…
今後に備えて戦闘訓練しておいた方が良さそうですね。明日は5時くらいに起こしてもらえますか?
庭で練習したいので」
普通より広い八神家の庭で結界を張ってしまえば練習の環境には困らない。
できる限りはやてから離れたくないヒエンにとって、この環境はありがたかった。
『了解です』
「ではおやすみなさい、ツバメ」
『ええ、おやすみなさい、マスター』


『では、バリアジャケットを展開してください』
「了解」
早朝、ヒエンは八神家の庭で魔法の訓練をしていた。
初めて展開したヒエンのバリアジャケットはたすき掛けした和服。セットアップされたツバメはサーベルの形をとっている。
また、サーベルの鞘と平行に銃が取り付けられている。
使用時には腰から鞘を抜いて敵に向けて発砲する形になる。
しばらく色々試してみた結果、ツバメがヒエンの適性を語った。
『マスターは近代ベルカ式とミッド式の適性があります。
両方使いこなせるようになれば戦い方に幅が出ます。ただし誘導弾は使用不可能なようです。
また飛行魔法もなかなかですね。魔法を始めたばかりの段階としては、速度は平均より上、運動性も相当なものです。
ただ防御力はやや低いので強引に突っ込むような戦法は避けてください』
「了解。では射撃訓練からですかね。空を飛ぶターゲットって出せますか?」
『了解』
ヒエンの発砲音とターゲットが砕ける音が、結界が張られた八神家の庭に響いた。



グレアムはアリア、ロッテとテーブルを囲んでいた。
「ねえお父様、何故あの子をはやてのところに?」
「あの年頃の少女を孤独にさせておくのはあまりにも酷だからな」
「でもはやてに関わったら計画の最後に…」
「分かっているさ。ただはやての最期の瞬間まで付き添ってやる人間が1人くらい居ても良いだろう。
闇の書を封印するためとは言え、はやてを殺してしまう側の私が言うのも何だがね」
グレアム達が進めている計画とは、転生を繰り返しながら破壊の限りを尽くす上に、完全な破壊も不可能な恐るべきロストロギア、闇の書の完全な封印。
この闇の書に部下を殺されたグレアムは、闇の書について徹底的に調べるうちに闇の書を封印する術にたどり着いた。

闇の書の特性を簡単にまとめると、

1・元は様々な魔法を集めて研究するためのデバイスであった名残からか、魔法の蒐集を最優先の目的とし、全ての機能は魔法の蒐集のために使われる。
リンカーコアを蒐集することで魔法を蒐集し、ページが埋まる。全ページを埋めると持ち主と融合して暴走、破壊の限りを尽くす。

2・守護騎士と呼ばれる魔法生命体を生み出し、他の生物や魔導師からリンカーコアを蒐集しつつ持ち主を守る。

3・完成前に持ち主が死亡するか、闇の書が破壊されると次の持ち主の下へ転生する。
持ち主の死亡か、闇の書の破壊以外で転生した事例は確認されていない。

このようになる。
ここでグレアムは3の特性に目を付けた。
現状のデータでは完成して暴走が始まった後に何らかの形で動きを止めてしまえば転生することはないとされる。
グレアムは暴走した闇の書の動きを完全に止める方法を模索し、強力な凍結魔法に特化したデバイス、デュランダルを開発し、暴走後の闇の書を破壊することなく完全に凍結させることで封印する計画を立てた。
これで外部から何もされなければ闇の書を永遠に封印し続けられるはずだ。

この計画で犠牲になる、今の闇の書の主は八神はやて。担当医以外と関わることはなく、たった1人で生きている孤独な少女。
闇の書の犠牲になるはやてに、せめて死ぬ前くらいは幸せな生活を送らせてやりたかった。
そこにヒエンが現れた。
グレアム達以外でヒエンの存在を知っている人間は塀の中。好都合だった。
「でも闇の書の封印の時に邪魔されたら厄介だよ?
私達って傍から見ればはやてを凍らせる悪人だからヒエンも死に物狂いで掛かってくると思うし。
負ける気はしないけど封印した闇の書に何かされたら…」
「私が確実に墜とす。いや、殺す」
「「!!」」
「闇の書の封印のためなら何だってやるさ」





あとがき
どうも、恐ろしく筆が遅い作者です。
前回とまとめて1話にするか迷っていましたが、ある程度切った方が読みやすいと思い、分けてみました。
ではでは…


感想掲示板 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.012270212173462