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[19256] 【習作】HUNTER×HUNTERをプレイしてみた(仮)
Name: ユイ◆d2ec74bc ID:1dab45ea
Date: 2010/07/11 01:00
5/31  一話~三話まで投稿
6/2  誤って削除してしまい一話~三話を再投稿、四話を投稿
6/3  五話投稿
6/4  六話投稿
6/5  七話投稿、PVが1万を超えました、ありがとうございます
6/7  八話投稿
6/9  九話投稿
6/11  十話投稿
6/12  十一話投稿
6/14  十二話投稿
6/19  十三話投稿
6/22  十四話投稿
6/27  十五話投稿
7/2  十六話投稿
7/11  十七話投稿

HUNTER×HUNTERの現実来訪物二次創作です。

二次創作を書こうと思った理由はアニメでのおはよう。やEじゃんの最中に流れる映像、あそこで描かれているようなゴン、キルア、クラピカ、レオリオが4人揃った場面をもっと見てみたいと思ったことです。

あの映像の中では楽しそうに旅をしている彼らですが実際はヨークシン以降クラピカもレオリオも出てこなくなり、あぁいうシーンはハンター試験以降まったく見られなくなってしまいました。

なのでこのSSでは天空闘技場もヨークシンもG・Iもキメラアントも常に4人一緒に行動してもらおうと思います。

そうなるように話の持って行き方は色々がんばってみようと思います。

それだけであれば再構成でも良いのですが誰かの介入なくしてその流れに持っていくことは難しいと思ったので現実来訪物にしています。

どちらかというとオリ主よりも原作キャラの魅力で勝負したいと思っていますのでオリ主はおまけ程度に考えていただければ…




以下の内容に当てはまる方は読まれないほうが良いと思われます。

・オリ主が嫌い

・ご都合主義は嫌い

・レオリオは念能力を鍛えるくらいなら頭を鍛えて医者になるほうが先だと思う

・クラピカは仲間と楽しく旅するなんて似合わない、一人で孤高に戦いぬけ

・幻影旅団はいい奴らだと思う


以下の内容に当てはまる方は作者と話が合うかもしれません。

・主人公組って言われてるのになんでクラピカとレオリオ全然出てこないの?

・レオリオって念能力鍛えて大天使の息吹みたいな能力作ったほうが人助けできるんじゃない?

・クラピカはもっと幸せになって良いと思う

・幻影旅団は犯罪集団、全員死んでも文句は言えないと思う
















オリ主の念系統は作者が系統診断をした結果をそのまま使用しています。

操作系「コンピュータタイプ」(原作キャラではシャルナーク)

あなたのプラス面

・知的で冷静な判断力

・周囲への思いやりもある

・遊び心もある

あなたのマイナス面

・機械的である

・打算的である

・人間味に乏しい

よく見られるタイプ

・学者タイプ

・オールラウンドプレイヤー

・一匹狼

このタイプの特徴

自分だけの判断で行動しやすいので敬遠されるときがある

さらなるレベルアップの方法

他人の意見に耳を傾けたり、組織と協調するよう心がける






作者は現在大学生で大学と3つのアルバイトに振り回されています。

家にいるときは基本寝るとき、となっているため執筆はスローペースです。

時間のあるときに書いて文量がたまったら投稿するといった感じになるので気長にお待ちください。

ちなみに1話は20KBあります。もちろんもっと少なくて良いといわれればそれだけ更新速度は上がります、感想でお知らせください。



[19256] HUNTER×HUNTERをプレイしてみた(仮) プロローグ
Name: ユイ◆d2ec74bc ID:1dab45ea
Date: 2010/06/02 15:47
なにやら大掛かりな装置の横で画面に向かい何かを打ち込む女性の姿がある。

装置の中には人一人が寝られるシートがあり頭や腕に装着するらしき機械やコードが大量に設置されていた。

[>New Game Load Game

ピッ

あなたの名前を入力してください

「えーと、あ、カタカナか…ユイ=ミヤシロっと」

あなたの年齢を入力してください

「24…あ、でも好きに設定出来るんだからもっと年が近い方がいいかな」

「うん、やっぱり年上より同い年の方が良いよね、って訳で12歳っと」

あなたの性別を選択してください

「異性を演じてみるってのも面白そうな気もするけど…普通のゲームならまだしもこういうゲームだとちょっと無理があるかな?」

「う~ん、ここは素直に女性っと」

「初期設定は結構面倒だけど…まぁプレイし始めれば後は流れに任せるだけだし、あーもう早く始めたい!」

今女性、由衣が操作しているのは体感型シュミレーションゲームの初期設定であり、設定を終えたあと装置の中に入ることで夢を見るような形でゲームを体験できるようになっている。

脳に負担をかけないレベルで通常よりも早く疑似体験させているため1日の中の一部の時間でもう一つの1日をゲーム内で楽しむことが出来る「貴方にもう一つの人生を」とうたわれている科学の粋を集めた最新型ゲーム機だ。

ゲーム内にのめりこみ過ぎないように1日に出来る時間にリミットが設けられているが、一部ではリミットを無理やり外してしまう例もあり社会的にも色々問題を起こしているゲームである。

問題を避けるため個人への販売は禁止されており、許可のおりた店舗にのみ設置されている。

一部それを破り違法な方法でプレイしている者も居るが、もちろん由衣はきちんと許可の下りた店舗で合法的にプレイを楽しむ予定である。

「えーと、なになに『初プレイ時は主人公組ルートのみ選択可能、第3部ヨークシンシティ編をクリアした後再度最初からプレイすると旅団ルートが選択可能』…か、旅団とも絡んでみたかったけど最初は強制的に敵設定かぁ、残念」

「あとは…これか『第4部G・I編までは決められた初期設定によってストーリーに補正が働くが第5部キメラアント編までプレイしたい場合は初期設定時に一定以上の強さに設定することが前提となる』ね。まぁ確かに最強設定つけておかないと無理ゲーになりそうだもんねキメラアントなんて」

「でも最強設定ってようするに強くてNew Game状態ってこと?そんなの一度プレイしてからならともかく最初からやることじゃないよね……」

それにそんなことしたらキメラアント編はともかくそれ以前がまったく面白みのないものになってしまうはずだ。

まぁ原作知識がある強みを使えばキメラアント編もなんとかなるだろうし強さはそこそこな感じでいいだろう、たぶん。

その後も画面に現れる選択肢や質問に対してユイはその都度何かを考えながらキーボードを打ち込んでいった。

その量はとても多く由衣が全ての質問に答え終える頃には操作をはじめてから実に2時間が経過していた。

「う~ん、よしこんなものかな…」

後は初期設定と一緒に答えた質問でされた性格分析によって念の系統が決定するらしい。

もちろんゲームなので自分の好みで系統を決めることも出来るらしいがどうせなら分析結果に従った方が自分にあったものになるのだろう。

分かりやすい強さを求めるならば強化系かせめて放出系・変化系だと良いんだけど…それなら特に難しく考えなくても潜在オーラと顕在オーラが高いってだけで強くなれるのだろう。

『分析の結果、貴方の念の系統は操作系であると判明しました、分析結果に従いますか?それともご自分で系統を選択いたしますか?』

……さて、どうするか…

操作系ってことはガチンコ勝負をする場合、対変化系・放出系で約1.4倍、対強化系ともなると約1.7倍ものオーラ量が必要になるってことになる。

原作の操作系キャラクターで思い浮かぶのはまずイルミとシャルナークの二人、対象に針やアンテナを刺すことで身体を操作できるようになる。

人体操作自体はチート級の能力だとは思うが、しかしこれは念能力者を相手取るには中々厄介な制約だ。

例えば強化系能力者であるギトが飛ばした独楽はゴンによって軽く打ち落とされた。

もちろんギトが取るに足らない能力者であったということもあるがそれはあの時点のゴンにもいえることだ。

格下ならともかく格上の相手に針を刺すというのは中々難しいことであるだろう。

直接刺すにしても苦手な接近戦を挑まなくてはならなくなる、どちらとしても厳しいことに変わりはない。

二人があのような能力であるのは非念能力者や格下の能力者を操り利用することをメインの戦法にしているからだ、1対1には適さない。

あとは生物を操る能力者でスクワラやヒルがいるがこれもどちらかというと直接戦闘以外で役に立つ能力だ。

人体と生物の操作を除外すると残りの選択肢は物質の操作、カルトの紙を操る能力やモラウの煙を操る能力などだろう。

物を操る能力として紙や煙はすぐに思いつくものであるし汎用性も高いとは思うがさすがに原作キャラクターと被らせるわけにはいかない。

とすると他にすぐ思いつくような能力といえば…水流操作系能力者などだろうか?

炎などもありがちだがそうするとオーラを炎に変化させるか炎を熾してから操作することになる。

前者だと対極の変化系能力になるし後者は使い勝手が悪い。

その点、水であれば持ち運びもしやすいだろうし煙と同様汎用性もかなり高いだろう。

1対1、1対多双方で使えるバランスのとれた能力になるはずだ。

……あぁ、そういえば原作でモラウの知り合いに雨の日だけ使える水流操作系の能力者がいたな…ハギャに使われてたはずだ。

まぁ直接キャラクターが出てきているわけじゃないし良いか…

彼が操る水の量は膨大ではあったが雨の日だけしか使えないという制約は厳しすぎる。

もう少し制約を緩くして常に使える能力としないといけないな…



………

……………

『すべての設定が完了しました』

「ふぅ…」

初期設定の入力を終えると由衣は装置に寝そべり機械やコードを繋ぎ装置の電源をOnにする。

「じゃあ、おやすみなさい」

こうして由衣は夢の中へと、もうひとつの人生へと旅立っていく。

夢を追い求めるハンター達がいる世界へと。



[19256] HUNTER×HUNTERをプレイしてみた(仮) 第一話
Name: ユイ◆d2ec74bc ID:1dab45ea
Date: 2010/06/02 15:36

一度眠りについた体が目覚めるような感覚。

さて、一番最初に着くのはどこなのであろうか?

船の上?ザバン市の船着場や一本杉への道の途中?それとも…

「いきなりハンター試験会場前っと、面倒な予選は免除してくれるのね」

しかしこれで私が中に入ると受験者のプレート番号はどうなってしまうのだろうか?

どうでもいい人が一人減らされて辻褄が合わされる?一つずつずれるなんてなったらややっこしいからそれだったら最後に入りたいんだけど…

「おいそっちじゃないよ、こっちだよ」

ん?

「どう見てもただの定食屋だぜ」

あれ?この声は…

「冗談きついぜ案内者さんよ。まさかこの中に全国から無数のハンター志望者が集まってるなんて言うんじゃねーだろ」

おぉぉぉぉ?!レオリオー、ゴンとクラピカもいるし、さすがゲーム、さすがご都合主義。

「そのまさかさ、ここなら誰も応募者が数百万人とも言われてるハンター試験の会場だとは思わないだろ?」

とにかく今混ざっていかないと、ゴン達で最後なんだから迷ってたら置いてかれちゃうし。

「本当ですよねー、私もここって聞いて来たんですけどもしかして私の聞き間違いだったんじゃないかって悩んでたんですよ」

私もハンター試験受験者ですよーといった空気を全面に押し出して接触を図る、お願いゴン君乗ってきてー

「君もハンター試験受けるの?」

よっし!ナイスゴン君!

「はい、ユイ=ミズシロです。よろしくお願いします」

「俺はゴン=フリークス、よろしく!」

そういって握手のために手を差し出してくれる、やっぱいい子だー。

「クラピカという、よろしく頼む」

「俺はレオリオだ、しかしゴンでも驚いたってーのにまさかこんな小さいお嬢ちゃんまで受けに来てるたーな」

う、ポンズも16くらいはありそうだったしせめてそれくらいにした方が良かったかな、今更だけど…

「ほら、話は中に入ってからでも出来るからとりあえずおいでよ」

キリコさんが呼んでくれる、そういえばもう結構試験開始ギリギリだもんね、話こんでると危ないかも。



「いらっしぇーい!!」

扉を開けてもやっぱり普通の定食屋でゴン君たち3人は固まってる。そうだよね、何の前情報もなしにこんなところに連れてこられても絶対信じられないよね…

「ご注文はー?」

これは…私が言わないとダメだよね。キリコさんに連れてこられた訳じゃないからちゃんと予選通ってるって証明しないといけないし。

「ステーキ定食、弱火でじっくりで」

「あいよ」

「お客さん、奥の部屋どうぞー」

店員のお姉さんが通してくれた奥の部屋のテーブルにはホントにステーキ定食が乗っている、あ…美味しそう、ゲームの中なのに!

「1万人に1人」

いただきます。

「ここにたどり着くまでの倍率さ、お前達新人にしちゃ上出来だ」

おぉ!美味しい!

「それじゃがんばりなルーキーさん達、お前らなら来年も案内してやるぜ。お嬢ちゃんもがんばってな」

「ふぁい、ふぁりあとうごふぁいまふ」

私が落ちてもさすがに案内してくれないよね?というか私は今年落ちたらゲームオーバーで最初っからなんだけどね…

「って、もう食ってるのかよ!?」

ラストの階段の長さからして相当下まで降りるだろうけどエレベーターだし早く食べないと間に合わないかもしれないじゃん。

レオリオ達もすぐに席について食べ始める、原作見たときも思ったんだけどこれ疑いなく食べるって実際どうなの?食べるけど。

「失礼な奴だぜ。まるでオレ達が今年は受からねーみたいじゃねーか」

「3年に一人」

「ん?」

「初受験者が合格する確率、だそうだ。新人の中には余りの過酷なテストに途中で精神をやられてしまう奴。ベテラン受験者のつぶしによって二度とテストを受けられない身体になってしまった奴などざららしい」

改めて聞くとホント恐ろしい試験だよね…まぁ実力もなしにハンターとして活動しようとしたら十中八九死んじゃうだろうから試験で実力を測るのは理にかなってるけどね、試験なら運がよければ死なないし。

「でもさ、何でみんなそんな大変な目にあってまで、ハンターになりたいのかなぁ?」

おぉ、訪れる沈黙、さすがゴン君。

「お前本当に何も知らねーでテスト受けに来たのか!?」

「う………」

「「ハンターはこの世でもっとももうかる(気高い)仕事なんだぜ(なのだよ)!!」

………

「えぇかっこしぃめ」

「金の亡者が」

レオリオとクラピカがそれぞれの主張を必死にゴン君に説明しているけどゴン君はいまいち分かってないみたい?

あ、話の流れだともしかして私もどっちのハンター目指すか聞かれる?まずい、そういえば私志望理由考えてない!

えーと第5部までやったらキメラアント殲滅が目標だから…人類救済?ってそんなこと恥ずかしくて言えるかー!

G・Iは理由にし辛いし(念が絡む)旅団の話なんていきなり出来るわけない(というか私個人は旅団に恨みはない)

大変だ、最終面接までにちゃんとした回答を考えておかないと…

「どうだゴン!!」

「ゴンはどっちのハンターを目指すんだ!?」

「どっちって言われてもなぁ~」

ぐるんっ

ぎくっ…

「「ユイはどうなんだ!?」」

決まってない!全然決まってないけどあえて言うのであれば…

「クラピカさんの方…かな」

「なっ!?」

「ふっ」

あ、クラピカが勝ち誇った顔してる、ちょっとレアかも。

チン

「着いたらしいな……」

「話の続きは後だ!!」

ぇ?続くの?



「………」

扉をくぐった瞬間全身に突き刺さる視線、視線、視線。

既に400人を超す人間が居るその場所はさっきまで居た地上とはまったく異質な雰囲気だった。

ただ…目で見た感じはすごく強そうな人たちって思うのに感覚が大したことないって言ってる気がする。

まぁ、ハンター試験落っこちる人たちに気おされてたらゲームクリアなんて夢のまた夢なんだけどね。

「それにしても薄暗い所だな」

「地下道みたいだね、一体何人くらいいるんだろうね」

「君たちで406人目だよ」

出たな、性悪おやじ。

「よっ、オレはトンパ、よろしく」

あ、マーメンさん番号札ありがとう。うん、やっぱり406番だね、良かったずれなくて。

「新顔だね、君たち」

「分かるの?」

ここで新人つぶしのトンパさんですよねって言ったらどうなるかな?……大して変化ないか、どうせモブキャラだし…

ゴン君達が常連の説明を受けてる…ってことはそろそろ…

「ぎゃあぁ~~~っ!」

居た…ヒソカだ、敵か味方かといえば敵なのにヨークシンやG・Iのことを考えると排除するわけにもいかないし、なんて面倒な…

「ちっ……アブない奴が今年も来やがった」

たぶんあんたもウザい奴が今年も来たなって思われてると思うよ?

「44番奇術師ヒソカ、去年合格確実と言われながら気に入らない試験官を半殺しにして失格した奴だ」

「………!!そんな奴が今年も堂々とテストを受けられんのかよ」

「当然さ、ハンター試験は毎年試験官が変わる。そしてテストの内容はその試験官が自由に決めるんだ。その年の試験官が『合格』と言えば悪魔だって合格できるのがハンター試験さ」

そういえばヒソカに殺されるあの元試験官って念能力者だったのかな…?まさか操作系じゃないよね…普通に投げてたし。

「奴は去年、試験官の他に20人の受験生を再起不能にしている。極力近寄らねー方がいいぜ」

20人って結構我慢したんだなヒソカ…それとも1次試験で試験官襲っちゃったのかな?

「他にもヤバイ奴はいっぱいいるからな。オレがいろいろ教えてやるから安心しな!」

「うん!」

あぁ、ゴン君はいい子だなぁ、癒されるよ~。

「おっとそうだ…お近づきのしるしだ、飲みなよ。お互いの健闘を祈ってカンパイだ」

「ありがとう!!」

うわ…私にも普通に渡してきたよ、容赦ないな…

「れろ…トンパさん、このジュース古くなってるよ!!味がヘン!」

「え!?あれ?おかしいな~?」

おかしいのはあんたの頭の中でしょうが



………

……………

「申し訳ないっ!!」

「いいよ、そんなに謝らなくても。でも良かったよ、オレが最初に飲んでみて。山とかでいろんな草や芽をためし食いしてるから、大体味で変なものが分かるんだ」

ゴン君って意外と美食ハンターとか向いて…ダメか、料理できないだろうから。

「い、いや~、本当に良かったよ」

そういって何度も謝りながら去っていくトンパ、もっといろいろ教えてくれるんじゃなかったの?いらないけど。

「ゴン君のおかげで助かったね、ありがとう」

「しかしとんだ野生児だな、普通生えてる草なんか食べてみよーなんて思わねーっつーの」

ジリリリリリリリリリリリリリリリ

「ただ今をもって受付時間を終了いたします」

ピリっと空気が引き締まる感じがする。

「では、これよりハンター試験を開始いたします」

そういって上から降りてくるサトツさん、今から数時間マラソンかぁ…どうやって時間つぶそう?

「さて、一応確認いたしますが…ハンター試験は大変厳しいものもあり、運が悪かったり実力が乏しかったりするとケガをしたり死んだりします。先ほどのように受験生同士の争いで再起不能になる場合も多々ございます。それでも構わない、という方のみついて来て下さい」

「承知しました。第一次試験405名全員参加ですね」

「当たり前の話だが誰一人帰らねーな。ちょっとだけ期待したんだがな」

「それなら最初から来ないもんね」

「……おかしいな」

「?…おいおい何だ?やけにみんな急いでねーか?」

「やはり進むペースが段々早くなっている!」

「前の方が走り出したんだよ!!」

うわ、いきなりはやっ…ゲームじゃなかったら絶対ついていけないスピードなんだけど

「申し遅れましたが私一次試験担当官のサトツと申します。これより皆様を二次試験会場へ案内いたします。二次試験会場まで私について来ること、これが一次試験でございます。場所や到着時刻はお答えできません、ただ私について来ていただきます」

「なるほどな……」

「変なテストだね」

「さしずめ持久力試験ってとこか、望むところだぜ、どこまででもついて行ってやる」

体力には相当自身のある人たちが集まっている中であえての体力や精神力を測る試験。

湿原に出るまでは途中で脱落しても死ぬことはないし、実力が激しく足りてない者を安全に脱落させるための試験内容、優しいねサトツさんは…

体力なんて最低限備えていて当たり前のものだって最初っから厳しい試験内容にしたら初受験者は軒並みそこで命を失っちゃうだろうし、これなら鍛えなおして再度受けなおすことも諦めることも出来るって訳かな…

「おい、ガキ汚ねーぞ!そりゃ反則じゃねーか、オイ!!」

ぉ、考え事してたらいつの間にかキルア君登場。

「何で?」

「何でっておま…こりゃ持久力のテストなんだぞ!」

「違うよ、試験官はついて来いって言っただけだもんね」

「ゴン君正論、その通り」

「ゴン、ユイ!!てめーらどっちの味方だ!?」

「どなるな、体力を消耗するぞ、何よりまずうるさい。テストは原則として持ち込み自由なのだよ!」

「~~~~~!」

私も何か持って来ればよかったかな…でもキルア君もすぐ降りるしいっか

「ねェ君、年いくつ?」

「もうすぐ12歳!」

「……ふ~ん、そっちは?」

「一緒だよ12歳」

「…やっぱ俺も走ろっと」

「おっ、かっこいー」

さすが負けず嫌いキルア君、同い年が走ってるのに自分だけ楽はしたくないと。

「オレ、キルア」

「オレはゴン!」

「ユイだよ、よろしくキルア君」

そういえばこのスケボーって最後まで持ってたっけ?なんか途中から記憶にないよーな、曖昧だけど

「オッサンの名前は?」

「オッサ…これでもお前らと同じ10代なんだぞオレはよ!!」

「「ウッソォ?!」」

「あーーー!!ゴンまで……!!ひっでー、もぉ絶交な!!」

おっさんは言いすぎだけど10代には見えないよね…22,3が妥当なところだと思うけど…

あ、気づいたら原作通りクラピカがいない、薄情な…



………

……………

「大丈夫?」

ゴン君がレオリオの心配をしてる…たしかにかなり辛そう、というよりここまで誰一人脱落してない事実が恐ろしいんですが…人間ってこんなに走れたんだね。

そうこう言ってる間に立ち止まってしまうレオリオ

「レオリオ!!」

「ほっとけよ、遊びじゃないんだぜ、ゴン」

「……ざけんなよ。絶対ハンターになったるんじゃーーーーーー!!くそったらぁ~~~!!」

そういって雄叫びを上げながら一気に前を追い抜いていってしまうレオリオ、はやっ

ゴン君はゴン君でレオリオが置いていった鞄を釣竿で一発で回収するし、なにこの超人さん達、近くで見ると改めてすごすぎる。

「おー、かっこいいー、後でオレにもやらせてよ」

「スケボー貸してくれたらね」



………

……………

現在ゴン君とキルア君とサトツさんのすぐ後ろを走ってます。

クラピカやレオリオと一緒にいるとクラピカが緋の目の話とかレオリオに出来なそうだし…レオリオと違って私はついさっき会ったばっかりだからね。

試験が進んでいつか私にも話してくれたら嬉しいけど、信用してくれたってことになるし。

「いつの間にか一番前に来ちゃったね」

「うん、だってペース遅いんだもん。こんなんじゃ逆に疲れちゃうよなー」

相変わらずの速さで走り続けながら談笑を続けるお子様たち、末恐ろしいって言われるのも分かる気がするよ…

あ、そういえばこの会話の流れだとやっぱりまたハンターの志望理由聞かれるじゃん!

しまったー、エレベーター通り越したら会長の面談までないと思ってたけどここ忘れてた!

どうしよう、キルア君と同じって言っちゃおうかな、でもさっきはクラピカと同じって言っちゃったからもうそういうことにしちゃう!?

「ユイは?」

「はい!?」

「いやだからユイは何でハンターになりたいの?」

「えと…なんとなく」

「あはは、何それ、変なの」

うぅ…ゲーム始める前にもっとちゃんと考えて置けばよかった…

「見ろ、出口だ!!」



「うわーー」

薄暗い地下からやっと出られたと思いきやその先はじめじめとした湿原、なんという…

「ヌレーメ湿原、通称『詐欺師の塒』二次試験会場へはここを通って行かねばなりません。この湿原にしかいない珍奇な動物達、その多くが人間をあざむいて食糧にしようとする狡猾で貪欲な生き物です。十分注意してついて来て下さいね。だまされると死にますよ」

「おかしなこと言うぜ、だまされるのがわかっててだまされるわけねーだろ」

騙される人はみんなそう思ってるんです。

「ウソだ!!そいつはウソをついている!!そいつはニセ者だ!!試験官じゃない!オレが本当の試験官だ!!」

「ニセ者!?どういうことだ!?」

「じゃ、こいつは一体…!?」

一瞬で騙されてるじゃないですか…

「これを見ろ!!ヌレーメ湿原に生息する人面猿!!」

「人面猿は新鮮な人肉を好む。しかし、手足が細長く非常に力が弱い。そこで自ら人に扮し言葉巧みに人間を湿原に連れ込み、他の生き物と連携して獲物を生け捕りにするんだ!!そいつはハンター試験に集まった受験生を一網打尽にする気だぞ!!」

いやいやサトツさんここまでの長距離マラソンを顔色一つ変えず走り抜けましたからね、人面猿がひ弱なんだったらそんなこと不可能でしょ…

そんなことを考えている間に人面猿の顔面に突き刺さる数枚のトランプ、グロイよ…

「くっく♠なるほどなるほど♣」

仲間が殺されて逃げ出した人面猿もヒソカのトランプに後ろから殺される。

「これで決定♦そっちが本物だね♥」

「試験官というのは審査委員会から依頼されたハンターが無償で任務につくもの♠我々が目指すハンターの端くれともあろう者があの程度の攻撃を防げないわけがないからね♣」

「ほめ言葉と受け取っておきましょう。しかし、次からはいかなる理由でも私への攻撃は試験官への反逆行為とみなして即失格とします。よろしいですね」

「はいはい♦」

ヒソカがサトツさんから注意をうける横で殺された人面猿に鳥が群がって食べられている。

「あれが敗者の姿です」

「自然の掟とはいえ」

「えぐいもんだぜ」

「私をニセ者扱いして受験者を混乱させ何人か連れ去ろうとしたんでしょうな。こうした命がけのだまし合いが日夜おこなわれているわけです。何人かはだまされかけて私を疑ったんじゃありませんか?」

レオリオ…はともかくハンゾー…それでいいのか?

「それではまいりましょうか。二次試験会場へ」



………

……………

湿原に入ってすぐに霧が出てきて周囲の状況がかなり分かりにくくなってきた…

「ゴン、ユイ、もっと前に行こう」

「うん、試験官を見失うといけないもんね」

「そんなことよりヒソカから離れた方がいい。あいつ殺しをしたくてウズウズしてるから。霧に乗じてかなり殺るぜ」

「…」

「なんでそんなことわかるのって顔してるね。なぜならオレも同類だから、臭いでわかるのさ」

「同類…?あいつと?そんな風にはみえないよ」

「それはオレが猫かぶってるからだよ。そのうちわかるさ」

「ふーん」

「レオリオーーー!!クラピカーーー!!キルアが前に来た方がいいってさーーー!!」

ゴン君が後方にいるレオリオ達に何とか前に来るように呼びかけてるけど無茶言うなって返答が返ってきてる。

さて…この後はヒソカの大量虐殺か…レオリオもクラピカも、ゴン君も大丈夫なことは分かってるけど、さてどうするべきか…

「緊張感のない奴らだな、もー」

「あはは、そだね」

キルア君と一緒に前にいるかゴン君と一緒に後ろに戻るか…

でも私が後ろに行って変にヒソカと戦闘が始まっちゃったりしたらそれこそみんなが危険かな…

待ってれば多少の怪我はするとしても無事に帰って来るんだし行かないほうが賢明かも。



………

……………

「うわあああああああ!!」

「ひいいいぃぃぃ!!」

「なんであんな離れた方向から悲鳴が!?」

「だまされたんだろ」

後方の至る所から騙されたらしい人たちの悲鳴が聞こえてくる。

ゴン君がさっきからしきりに後ろの様子を心配してるし…クラピカ、レオリオ本当に大丈夫かな?

「ゴン…ゴン!!」

「え?何?」

「ボヤっとすんなよ、人の心配してる場合じゃないだろ」

「うん…」

「見ろよ、この霧、前を走る奴がかすんでるぜ。一度はぐれたらもうアウトさ。せいぜい友達の悲鳴が聞こえないように祈るんだな」

「!」

聞こえた、私にもレオリオの悲鳴、どうする?行く?行かない?

「レオリオ!!」

「ゴン!?」

悲鳴を聞いたゴン君が躊躇いなく後ろに向かって走っていく、仕方ない私も…

「ユイ、待てよ!」

とりあえずゴン君についていこうと振り返りかけたところをキルア君に腕をつかまれる。

「キルア君…」

「お前ら人の話聞いてなかったのかよ!?一度はぐれたらもう二度と戻ってなんか来られねーぜ」

「うん…」

「ったく、バカだよあいつは。仲間のために死にに行くなんてさ」

「心配?」

「ばっ!?ちげーよ、呆れてんだよ」

「大丈夫、戻ってくるよ」

「は?なんでそんなこと言えんの?」

「信じてるから」

「ふーん、わっかんね」

いつか分かるよ、きっと



………

……………

「みなさん、お疲れ様です。無事湿原を抜けました。ここ、ビスカ森林公園が二次試験会場となります」

「それじゃ、私はこれで。健闘をいのります」



「これで一次試験おわりー!?タルいだけで全然おもしろくねーじゃん」

「いやまぁ試験だし…、面白おかしいのもどうかと思うよ?」

「そうじゃなくてもうちょっと張り合いが欲しいってこと、こんなんじゃ楽勝で合格しちゃうじゃん」

「でもまだ一次試験だし、段々難しくなるんじゃない?」

「だと良いけどさー、ホント頼むぜマジで」

周囲には息を切らした人が大量にいるというのにそんな余裕の発言をするキルア君、さすがです。

さすがのハンゾーも少し息切らしてるし平気そうなのはヒソカとイルミとキルア君くらいか…

さて次は二次試験、ブタの丸焼きは問題ないけどお寿司なんてもちろん作れないしどうしようかなぁ…

まぁ最悪落ちても卵取ってくれば良いんだしそこまで深く考える必要はないだろうけどね。



[19256] HUNTER×HUNTERをプレイしてみた(仮) 第二話
Name: ユイ◆d2ec74bc ID:1dab45ea
Date: 2010/06/02 15:37

さて…さっきレオリオを担いだヒソカが来てたんだからゴン君とクラピカももうすぐ来るはずなんだけど…?

あ、来た来た、ヒソカに指差されてレオリオの様子を見に行ってる。

「キルア君、ゴン君たち戻ってきたよ」

「え?マジ?うわっ、ホントだ、どうやったんだよ」

どことなくホッとした顔でそんなことを言うキルア君、戻って来れないと思ってたのはたぶん本心なんだろうけどやっぱり無事帰ってきたのは嬉しいよね。

「聞いてみれば分かるよ、いこ」

「そだな」



「ところでなんでみんな建物の外にいるのかな」

レオリオの状態を確認した後、ゴン君が特にやることもなく立っているだけの受験生たちを見渡してそんな疑問の声を上げる。

「中に入れないんだよ」

「キルア!ユイ!」

「よ」

「おかえり」

「どんなマジック使ったんだ?絶対、もう戻ってこれないと思ったぜ」



「レオリオのニオイをたどったーーー!?」

「うん」

「お前…やっぱ相当変わってるなー」

「そうかなー」

ゴン君の周りにだって他にそんなことできる人なんていなかったろうに、なんでそこでそうかなーなんて疑問が出てくるんだろう…?

くじら島ではほとんど動物達と一緒にいたからゴン君の普通は動物たちの普通なのかな?

でもそれなら人と動物は違うんだから動物並なゴン君は普通とは違うって気づいて欲しいところだけど…

「ジュースの時といい今といいホント獣並みの味覚と嗅覚だね、耳と目もよさそう」

「うん、結構自信あるよ」

「犬だろホントは…」

人に化けてる犬型の魔獣…結構本気で疑ってもいいレベルかもしれない。



「で、なんで中に入れないの?」

「見ての通りさ」

二次試験会場の扉に張られた『本日正午 二次試験スタート』の張り紙を指差しながら言うキルア君。

しかしこの音は…ブバラさんのおなかの音だって知ってはいるけど…いや、知っているからこそ信じがたい、何これ?

人ってどれだけお腹すいたらこれだけの音が出るようになるんだろう…?

「変なうなり声はするけど全然出てくる気配はないし。まぁ、待つしかないんだろうな」

「もうすぐだね」

「うん」

周りの人も武器に手をかざしている人がほとんどだ。確かにこの音なら普通は試験開始と同時に獣が飛び出してくるんじゃないか?くらいには考えてもおかしくないものね…

正午が近くなるにつれ緊張感が高まってきて、なんかここに居る事自体が息苦しくなってくる…数は減ってるだけ試験開始前の空気よりはマシだけど…

「…周りが緊張してきたな」

「何が起きるかわからないからな」

クラピカとレオリオも何が起こってもすぐに対応できるように臨戦態勢だ。

ピーーーーー…ン

ギギギギギ…

あ、緩んだ、今扉が開いてブハラさんたちが視界に移った瞬間周りの空気が緩んだのが私でも分かった。

本来次の試験の試験官が現れて気が緩むなんてあってはならないことなんだろうけど…これはしょうがない?

「どお?おなかは大分すいてきた?」

「聞いてのとおり、もーぺこぺこだよ」

「そんなわけで二次試験は、料理よ!!美食ハンターのあたし達2人を満足させる食事を用意してちょうだい」

「料理!?」

「まずはオレの指定する料理を作ってもらい」

「そこで合格した者だけが、あたしの指定する料理を作れるってわけよ」

「つまりあたし達2人が『美味しい』と言えば晴れて二次試験終了!!試験はあたし達が満腹になった時点で終了よ」

周りが動揺しているのが分かる、確かにこういった試験で料理が出るなんてまったく予想もしないだろうし。

「くそォ、料理なんて作ったことねーぜ」

「こんな試験があるとはな」

それはクラピカたちも同様、顔には出さなくてもイルミとかもまずいとは思ってるんじゃないかな?遊びに来ているヒソカとは違ってイルミはホントに資格が必要らしいし。

「オレのメニューは豚の丸焼き!!オレの大好物」

「森林公園に生息する豚なら種類は自由」

「それじゃ…二次試験、スタート!!」

スタートの合図と共に受験生が一斉に森の中へと駆け出す、しかし一次試験は走っているだけだったから良かったけど今回はグレイトスタンプ捕獲かぁ…

ゲーム内のおかげで想像通りに身体が動くから突っ込んできても避けて額を蹴り飛ばせばいい…ってのは分かってるんだけど…

怖いんだろうな…実物は…



森に入って数分、グレイトスタンプを見つけたのは良いけれど…

「ブオオオオオオオオ」

やっぱり実物は漫画とは迫力が違うね…自分の身体より大きな動物なんて動物園以外で見るの初めてだし…

バイオハザードのシュミレーションゲームとか私には絶対に無理だなぁ、普通のゲームでも怖いのに。

突っ込んでくるのを避けて一撃加えるなんて怖くて絶対無理だから不意打ちで行こう、うん。

木に登って…上から一気にっ!

ドギャァッ!

これで良しっと、他の豚に気づかれないように森を出てから焼こう。



「キルア君…」

ある問題を抱えた私はとりあえず近くにいたキルア君のところに助けを求めに行く。

「あ?どうしたんだよ、捕まえたんならとっとと焼けよ、早いもの順だぜ?」

「火…貸して…」

「…はあ!?火を熾す道具すら持ってねーのかよ!?試験内容が非公開でもそれぐらいは持ってくるだろ、ふつー!」

「ごめんなさい…」

初期アイテムにライターを設定しなかった私のミスです…

「たくっ、ほら…」

「ありがと」

あぁ…4次試験どうしよう…や、ライターあってもサバイバルの知識ないから一緒か…

常に誰かにくっついてよう、そうしよう。



「うん、おいしい!」

「これもうまい!」

「うんうん、イケる」

「これも美味!」

今私の目の前でスナック菓子を食べるようなスピードで無くなっていくのは本当に人よりも大きな豚の丸焼きなんだろうか…

周りの人たちも信じられないものを見た目でブハラさんのことを見てるし…

「あ~~食った食った、もーおなかいっぱい!」

ゴオォォォォォン!!

「終ーー了ォーー!!」

食べきった…なんで最後まで見ちゃったんだろう、でもなんか目をそらせない何かがあった、すごかった…

「やっぱりハンターってすごい人達ばかりなんだね」

「ああはなりたくないけどな」

ゴン君すごい、本心からすごいって言ってるよね、いや私も本心からすごいと思ってるけどゴン君のそれとは大分ベクトルが違うと思うんだ。

クラピカは必死に考えてる、考えても答えは出ないことに頭使っても疲れるだけだよ…

「あんたねー、結局食べた豚全部美味しかったって言うの?審査になんないじゃないのよ」

「まーいいじゃん、それなりに人数はしぼれたし。細かい味を審査するテストじゃないしさー」

「甘いわねーアンタ、美食ハンターたる者自分の味覚には正直に生きなきゃダメよ」

「ま、仕方ないわね。豚の丸焼き審査!!71名が通過!!」

ゴオォォォォォン!!

私が入ったからキリのいい数字じゃなくなちゃったね…どうでもいいけど

「あたしはブバラとちがってカラ党よ!!審査もキビシクいくわよー」

「二次試験後半あたしのメニューは、スシよ!!」

ハンゾー以外が困惑した表情になる、でも現実ではお寿司は世界でも結構知られてる料理なんじゃないかって思ってたんだけど実際そうでもないのかな?

海外でお寿司を知ってる人って実際どれくらいいるんだろう?

「ふふん、大分困ってるわね。ま、知らないのもムリはないわ、小さな島国の民族料理だからね」

「ヒントをあげるわ!!中を見てごらんなさーーい!!ここで料理を作るのよ!!」

うわっ…すごい光景、調理台がいっぱい…

「最低限必要な道具と材料はそろえてあるし、スシに不可欠なゴハンはこちらで用意してあげたわ」

「そして最大のヒント!!スシはスシでもニギリズシしか認めないわよ!!」

「それじゃスタートよ!!あたしが満腹になった時点で試験は終了!!その間に何コ作ってきてもいいわよ!!」



さて、出来れば私はこの試験で合格したい。

別にこれで落ちても卵をとってくればいいのは分かってるけど、出来ることならあんなところに飛び降りたくは…ないな…

ハンゾーはお寿司を知っていた、でも知っていることを全面に出して持っていってしまったためメンチに味で審査されてしまい落とされた。

つまりお寿司を知らない人が試行錯誤の末お寿司にたどり着いた、という風に出来れば味が悪くても合格するはずだ、もともとはそういう試験だったんだし。

つまりこれは…口先の勝負!!

「お願いします」

「あら、ようやくまともなのが出てきたじゃない」

持って来るタイミングは何人かが持ってきた後、ハンゾー前、このタイミングしか合格はありえない。

クラピカ、説明借りるよ。

「文献で酢と調味料を混ぜたご飯に新鮮な魚肉を加えた料理、と書いてあったのは覚えていたのですが形状は乗っていなくて」

「そうなの?じゃあどうしてこの形に?」

よし、乗ってきた。

「ニギリズシという名前、そしてそれしか認めないという発言から固形の形状が決まっている料理で手で握るものだと言うのは想像がつきました」

「続けて」

「はい、そしてメンチさんが手に持っている道具と手元にある調味料の入れてある小皿、その2つから大きさは大体この程度であると考えました」

「うんうん」

「あとは魚肉をどう加えるかですがこの大きさでは一匹全部を使うのは難しいので切り身にして、中に入れるか上に乗せるかは迷ったんですが…この大きさで中に入れようとするとさすがに小さすぎると思ったので上に乗せました」

「なるほど、それでこの形にたどり着いたって訳ね」

「はい」

「うん、正解よ、形はこれであってるわ。じゃ、試食させてもらうわね」

「はい、お願いします」

味は…自信がない。お寿司なんて作ったことはないし試しに食べてみたけど余り美味しくなかった…さっきの説明でどれだけ加算してくれるかかな。

「そうねぇ…シャリ、あ、ご飯のことね?シャリはもうちょっと強く握ったほうが良いかな?潰れちゃわないように気をつけたんだと思うけどこれだと醤油をつけた時に崩れちゃうわ」

「はい…」

「タネの切り方は結構良いわね、体温が移ってないわ。早く正確に切ったのがわかる」

「ありがとうございます」

まぁ包丁くらいは使えるからね…

「あとスシっていうのは摩り下ろしたわさびを使うのよ、調理台に会ったでしょ?緑色したやつ」

「あ、はい、ありました」

使わないほうが知らない人っぽいと思って迷ったけど入れませんでした、とは言わないけどね。

「摩り下ろしたわさびを酢飯と魚肉の間につけるのがホントの作り方よ」

「はい」

「でもここまで正確にスシを作れた観察力と推理力は大したものね、いいわ406番二次試験合格!!」

「ありがとうございます!」

良かった、作戦通り、まぁさすがにメンチさんだって美味しいお寿司が出てくるなんてもともとは思ってなかっただろうし、ハンゾーが作り方をバラす前だったらこんなもんだよね。

「ちょっと待ちなさい406番、戻っちゃダメよ」

「え?」

「作り方教えられちゃったら試験の意味ないでしょ?合格者はここで待ってなさい」

「あ、はい、分かりました」

戻っても教える気ないけどね、これで下手に数人が合格しちゃったらそのまま結果が通っちゃうかもしれないし…

でも合格者1人だったら原作通り再試験になるだろうし、私は飛び降りなくてすむし万々歳と。



………

……………

あの後原作通りの展開を経てメンチさんのお腹は無事満腹に、ただいま若干キレ気味にハンター協会に電話しています。

「だからーしかたないでしょ、そうなっちゃったんだからさ、いやよ!!結果は結果!!やり直さないわよ!!」

「報告してた審査規定と違うってー!?なんで!?はじめからあたしが『おいしい』って言ったら合格にするって話になってたでしょ!?」

あ、私おいしいって言われてないや…黙ってよう…

「それは建前で審査はあくまでヒントを見逃さない注意力と…」

「あんたはだまってなーー!!」

口を出そうとしたブハラさんがメンチさんに怒鳴られる。間違ったことは言ってないんだけど頭に血が上ったメンチさんには通じない…

「こっちにも事情があんのよ、テスト生の中に料理法をたまたま知ってる奴がいてさーそのバカハゲが他の連中に作り方を全部バラしちゃったのよ!」

バカハゲ…まぁそのハゲ、もといハンゾーがバラす前だったから私のお寿司でも合格にしてもらえたんだけどね。

まぁ実際はハンゾーが大声で作り方をばらしちゃった時点で試験続行不可能だったんだろうね、作り方バレたら味で審査するしかないっていうメンチさんの言い分はある意味間違ってないし。

「とにかくあたしの結論は変わらないわ!二次試験後半の料理審査、合格者は1名よ!!」

痛い痛い痛い、視線が痛い。たった一人合格したからってそんなに睨まなくても良いじゃないかー!

睨むならハンゾーでしょ!?ハンゾーのせいで試験がおかしくなっちゃったんだから!

そしてハンゾーがバラさなかったら結局正しい作り方にたどり着かなかった人は注意力が足らないだけでしょ!

たぶんクラピカはあと2、3回くらい持ってきてたら正しいの持ってきてたと思うし…

ドゴオォォン!!

トードーが調理台を素手で破壊する、念も使ってないのにパンチで調理台破壊して自分はケガなしって…今考えると結構すごくない?

「納得いかねェな、とてもハイそうですかと帰る気にはならねェな」

「オレが目指しているのはコックでもグルメでもねェ!!ハンターだ!!しかも賞金首ハンター志望だぜ!!美食ハンターごときに合否を決められたくねーな!!」

「それは残念だったわね」

「何ィ!?」

「今回のテストでは試験官運がなかったってことよ。また来年がんばればー?」

内心はらわた煮えくり返ってるだろうに良く押さえてるって言うべきなのかな?

そこで大人な対応が出来るならもっと前で出来ればよかったのにメンチさん…

「こ…ふざけんじゃねェーーー!!」

そんなことは分からないトードーは怒りに任せて突っ込んでくる、けど飛ばされる、ブハラさんに…

ブハラさん…怒ってるな、そりゃそうか、自分の仕事バカにされて怒らない人なんていないよね…

メンチさんが余りに豪快に怒るから気づかなかったけどブハラさんも相当怒ってたんだね。

それでもトードーが死なないようにしてあげるのはやっぱり優しいからかな。

「ブハラ、よけいなマネしないでよ」

「だってさーオレが手ェださなきゃメンチ、あいつを殺ってたろ?」

「ふん、まーね」

「賞金首ハンターなんて笑わせるわ!!たかが美食ハンターごときに一撃でのされちゃって。どのハンターを目指すとか関係ないのよ、ハンターたる者誰だって武術の心得があって当然!!」

何本もの包丁を巧みに操りながら怒りも露に力説するメンチさん、トードーが吹き飛ばされた事実とその姿に騒いでいた受験生たちが押し黙る。

「あたしらも食材探して猛獣の巣の中に入ることだって珍しくないし、密猟者を見つければもちろん戦って捕らえるわ!!」

「武芸なんてハンターやってたらいやでも身につくのよ!あたしが知りたいのは未知のものに挑戦する気概なのよ!!」

ごもっともです、ズルして合格した身としては色々と耳が痛いですが…

その後は原作通りネテロ会長がやってきて審査やり直し、でもお寿司で合格していた私は再審査免除になった、良かった…



「キルア君、半分ちょうだい?」

「えー、取ってくりゃ良いじゃん」

それが怖いから言ってるのに…、半分くらい良いじゃないかお子様め!

「私のでよければ半分あげよう」

そう言って差し出してくれるクラピカ、やっぱりクラピカは大人だね!

「ありがとう!いただきます!…お、美味しい!!」

何これ美味しい、すごく美味しいんだけど!?

元々ゆで卵はかなり好きだけどこれはすごいわ…命がけで取りに行くのも分かる気がする、やっぱり行かないけど…

「もう何個かとってこよーぜ」

そう言って再度崖下に下りようとしたキルア君はメンチさんに貴重な食材を乱獲して良い訳ないでしょうがって怒鳴られてた…



























5/31投稿

地の文もっとあった方が良いかな?

指摘に従ってところどころまとめて飛ばしてみた、多分こんな感じだと思う。

ハンゾーの前であればヒントから正しい作り方をして持って行った受験生は味が悪くても合格になったと信じてる。

次はネテロ会長と遊んだ後トリックタワー。

トリックタワーではオリ主はトンパの代わりに多数決の道に行く、トンパは落ちるだろうけど気にしない、モブキャラだし。

ただそのせいで4次試験が面倒なことになるだろうけどそれが分かった上でオリ主は多数決の道に行く。

1人で違うルートに入ると最悪死ぬ可能性があるから、ゲームオーバーの可能性が低い道に行く、さようならトンパ。



[19256] HUNTER×HUNTERをプレイしてみた(仮) 第三話
Name: ユイ◆d2ec74bc ID:1dab45ea
Date: 2010/06/28 21:25

「ユイ!!ユイも一緒に飛行船の中探検しよーぜ!!」

そう素晴らしい笑顔で聞いてくるキルア君たちはきっと断られるなんて微塵も思っていないに違いない。
探検しない?ではなく探検しよーぜ!!というところがそれを物語っている。
どうしよう、行くべきか断るべきか。
ネテロ会長にはどうせ勝てないだろうからボール遊びは時間の無駄だし。
でも着いていけばキルア君が私にも家の話してくれるかな?
二人と仲良くなるためには着いていく選択肢以外ないんだろうけど。
正直めんど……コホン、疲れたから休みたいし沼地走ったからシャワーも浴びたいし……。
うん、迷うところだけどやっぱり断……

「ユイ、来ないの?」

「……行く」

ムリだ、断れない……
まぁ着いていったとしてもボール遊びに入る時に辞退すれば良いだけだし。

「まずどこ行くの?」

「やっぱ操舵室!これは外せないだろ!」

「でも入れてくれるかなー?」

どうだろう、私が子供だったころは飛行機でコクピット見せてもらったこともあるけど今はそれも出来なくなったって聞いたことがある気がする。
HUNTER×HUNTERみたいに現実以上に危険がありそうな世界だと無理かもしれないなぁ。
むしろハンター試験中の受験生を乗せた船な訳だし普段以上に無理って考えるのが普通かも。
私が入れてもらったときはちょうど山火事が起こってたり機器の説明とかしてもらったり面白かったから2人にも見せてあげたいけどなぁ。










あの後予想通りといえば予想通りだけど私たちは操舵室には入れてもらえなかった。
今は仕方なく飛行船の中を隅々まで探索中、この身体だと色々なところに入り込めるから確かにちょっと面白いかも。
ただちょっと、いや大分疲れてきたんですけど……。
お子様二人はまったく疲れる様子なく探検を継続中、まぁ私も身体的に疲れたわけじゃないんだけど……。
二人が何かをイジるたびに、壊しちゃわないかな?とかドコかに入ろうとするたびに、見つかったら怒られないかな?とか思ってたら何というか段々精神的に疲れてきたような感じだ。
ゴン君にも気付かれちゃったみたいで「大丈夫?疲れた?」なんて聞かれちゃうし、ちょっとだけって返せばキルア君が「この程度で情けねー」なんて言って笑ってくるし、あぁもう!疲れて休みたいけど二人が可愛いから一緒にもいたい、どうすればいいのか。

「おっ、あそこ窓際にベンチあるからちょっと休もうぜ」

「そだね」

気、使わせちゃったかな?でもまぁ、どっちみち立ち止まってたかな?やっぱり乗り物といえば窓から見える景色だしね。

「うわすげー」

「宝石みたいだねー」

「綺麗……」

飛行機よりも高度が低いからかな?すごく綺麗に見える。
そういえば最後に飛行機乗ったのってもう10年近く前だ、懐かしいなぁ……
でも飛行機の窓はもっと小さいしこんなすごい景色見るのは……生まれて初めてだな。



………

私が景色に夢中になっている間にもゴン君とキルア君は原作通りに話していたらしく意識が戻った時にはもう話も終わりかけていた。
この話を聞くために来たようなものなのに何をやってるんだろうか私は。
あれ?ってことはもうすぐネテロ会長がココに来る?たしか……っ!?
体が何かに反応したようについ左の方を見てしまうけどもちろんそこには誰もいない。

「どうかしたかの?」

後ろから掛けられた声にびくっと身体を震わせながらも振り返ればそこにいるのはネテロ会長。
知っていたはずなのにまったく分からなかった……ホントに今私たちの横を通り抜けて後ろに回ったの?
ネタの分かってないゴン君はまったく疑いもせずネテロ会長に問いかけるけど会長はそ知らぬふりをしている。
何をされたのか分かったキルア君は会長に噛み付いて不機嫌になるし、これ以上私を精神的に疲れさせないでよホントに。
そしてそのまま原作通りの流れで二人は会長とゲームという名の会長の暇つぶしの付き合いをすることに。
いやゴン君そんななんでついてこないの?みたいな目で見られても私はもう戻って休みたいわけでね?

「ユイ?どしたの?行こうよ」

「…………うん」

ダメだ……好きな作品の好きなキャラクターが誘ってきてるのに断れるわけがない……何これイジメ?私戻って休みたいんだけど?
でも三人でやればもしかしたらボール取れないかな?無理かな?無理だよね?無理だろうね。










キルア君が会長の足を狙って蹴りを入れるも逆に自分の足を痛めてゴン君と交代。
そのゴン君も会長の速さについていけず振り回されっぱなし、でもすごく楽しそう。

「う~ん、中々取れないなー、よし!作戦考えるから一回交代ね」

そう言って一度戻ってくるゴン君、まだ数分しかやっていないというのに相当汗をかいてる、確実に1次試験よりも疲れてる感じだ。
しかしネテロ会長どうなってるんだろう、あの人は……。
纏すらやってないのにあの速さと頑丈さはありえなくない?念を使わなければキルア君だって相当鍛えてるはずだというのに。
やっぱり天武の才も100年を超える研鑽には適わないってことかな。

「あれ?キルア君行かないの?交代でしょ?」

「は?次はユイだろ?」

……なんですと?
え?見学じゃなくて私もやるの?一人で?
三人で掛かってもダメだろうなと結論付けたのに一人でやれと?

「ユイ!頑張ってね!」

「………………うん」

え?だって、え?念つかっていいの?もちろん私が使った上で会長が使わないこと前提だけど……ないかさすがに。
こっちが使って会長にも使われたらお話にならないからつまるところ念なしなんだけど・
無理でしょう?
ちらりとゴン君たちの方を見ると対称的な二人の視線が眼に入る。
うん、キルア君はまったく期待してないね。反面ゴン君は純粋に応援してくれてるけど。
まぁ取れれば暗い塔に3日間閉じ込められることも、無人島に1週間閉じ込められることもないんだよね。
失敗しても何もデメリットはないんだし、どうせなら本気で……行く!



………

……………

一般人である私はただ走るだけならともかくこういったものでは本来速い動きには対応できないし目でも追えない。
それを可能にしているのは脳に直接働きかけるゲーム内であるからこその思考の加速。
自分含めて世界がいつもよりゆっくりと流れていくような感覚、思考だけが加速して他が置いていかれる状態。
擬似的な身体能力の向上、これのおかげで私は素早い動きと動体視力を確立できている。
会長の動きは目で追えてるはず、ボールの動きが予測できてるし体の動きもついていけてるはず。
にもかかわらずボールが取れないのはやっぱり私が素人だからだ。
きっと無駄な動きが多すぎる、後一歩ボールに届かない、なるほど遊ばれてるんだろう。
キルア君がイライラするのも無理ないね、こっちが取れないギリギリの速さでボールを操ってるのが良く分かる。
きっと私がもう少し早く動けても、会長はそれでも取れない速度でボールを動かすだけなんだろう。
とするとボールを奪い取るためには……予想外を使うしかない。
だとするとこれはやっぱり……

「これではらちがあかんのー、3人いっぺんにかかってきてもいいぞよ」

数で攻めて不意をつく!

「よし!!今度こそ!!」



………

……………

ゴン君が靴をずらした、ということは会長のあごを蹴り上げるシーンだ。
この後キルア君が後頭部を蹴りつけて、取られそうになったボールを会長が足で蹴り飛ばす、とすると方向は……あっちか!

………

よしキルア君がボールに飛び掛った、これでボールはあっちに蹴り飛ばされ、って逆!?
あれ?間違えた?いや違う、対応されたのか、こっちは会長の動き一つ追うだけで精一杯だっていうのにゴン君に不意をつかれた状態で冷静に私の動きまで目で追わないでよ!
でもまだだ、あのこぼれたボールをゴン君が靴をぶつけて跳ね飛ばすわけだから、ゴン君があっちにいるんだからボールはあっち!
よし!どんぴしゃ!原作の二人よりも先に動いた分だけ速い!取った!

「とっ……うわっ!?」

「努力賞……といったところじゃな」

うそぉ、今のタイミングでもダメなの?跳ね飛ばされる前からボールの動き予測して飛び出したんだよ?
体勢崩された状態からゴン君とキルア君押しのけてなおかつ私よりも速くボールにたどり着くとか、反則でしょ……。
もっと不意をつく意味でボールをゴン君とキルア君に任せて会長を押さえに行ったほうが正解だったかな?
いきなり念使って全力で飛び掛れば0.1秒くらい……稼げたらいいな。
結局手を抜かれて遊ばれてるわけだからどれだけ追い詰めてもその分だけ本気を出されておしまい……か。
そろそろ潮時かな……眠いし、それに……

「やーめた、ギブ!!オレの負け」

キルア君も止めるしね。
ゴン君がもう少し頑張ろうよって止めてるけど会長がほとんど右手と左足使わずにいることを言って無駄だと断るキルア君。

「私も止めるね、そろそろシャワー浴びて寝ときたいから、ゴン君はどうする?」

「んー、オレはもうちょっとやってく、残り時間でネテロさんに右手くらいは使わせてみせるよ」

「うん、頑張って、無理しないでね」

「大丈夫!絶対使わせてみせるから!」

前半部分にしか答えてないよね?それ……まぁ、ほどほどにね。





「キルア君、いこ」

「あぁ……」

さてと、あとはキルア君が誰ともぶつからないようにシャワー室まで行って、朝までぐっすり寝れば機嫌も治ってるでしょ、たぶん。

「イライラしてる?」

「別に」

あはは、してるね、すっごく。

「いーじゃん、一つやりたいこと見つかったよキルア君」

「は?なんで?」

「修行して強くなっていつか会長に一泡吹かせる、どう?」

「……いいね、それ。決定」

「でしょ?」

少しだけ笑ってくれたから、きっともう大丈夫だね。
こういう小さいことでいいんだ、きっとこれからもっとたくさん見つかる。
増やして行こうね、やりたいこと、そして一つずつ叶えていこう。
あぁ、うん、やっぱり着いてきてよかった。
キルア君が人殺し、しなくてすんだしね。

「さてと、シャワー浴びて寝ますか」

「ま、6時間は寝られるだろ」

「それだけ寝られれば十分かな?ゴン君は徹夜で来たりして」

「それしゃれになってねーっての、ありえそうで」

「あはは、ほんとだね」

隣で見せてね、キルア君がやりたいこと見つけていくところ。
私も出来るだけ、協力するからさ。




























5/31投稿

キリのいいところで切ろうとしてるから毎回文量が違う。
次とか3次試験全部書いたら結構長くなる気がする。
話の区切りよりも文量で投稿するタイミング決めたほうがいいだろうか?
今回は3次試験前のボール遊びだけで1話使ってみた。
何人増えようと会長からボール奪い取るのは無理な気がする。
きっとボール遊びのときは念は使ってないと信じてる、使ったのは飛行船から飛び降りたときだけかな?
もし飛び降りたときも使ってないっていったらもう会長を人間とは認めない。
150歳くらい生きてる時点で認めにくいけど。




[19256] HUNTER×HUNTERをプレイしてみた(仮) 第四話
Name: ユイ◆d2ec74bc ID:1dab45ea
Date: 2010/06/19 05:12
原作通り少し遅れてトリックタワーに到着、おかげでかなり眠れたので体調はバッチリだ。
ゴン君に聞いたらちゃんと会長に右手を使わせることには成功したらしい、すごく晴れ晴れとした顔で報告をされた。
そんなわけで今現在はトリックタワーの天辺に来ているのだけれども、高い、非常に。
外壁を伝って降りていくロッククライマーもすごいとは思うけれどそれを淵ギリギリで見ていられるゴン君とキルア君もすごいと思う。
あぁ、でもここに居る人たちはみんな卵取りに飛び降りたような人たちだし高いところは平気なのかな。
現在全員が隠し通路を探して探索中、私はというとゴン君たちと降りる気満々だし下手に歩き回って不意に落ちたりしたらたまらないから、なるべく動かないようにしてゴン君たちが扉を見つけてくれるのを待っている。
クリアまで一人でしかも得体の知れない道を降りるなんて怖すぎる、なるべく失敗する可能性は低くしておきたいからね。
まぁ代わりにトンパが高確率で落ちるだろうけど気にしない。
後は、四次試験が面倒になるっぽいけどそっちの方が色々やりようあるだろうし。
全員の6点分のプレートの集め方を思い出しつつ、どうすれば問題なくそこに自分を割り込ませられるか色々考えてたら原作通り多数決の道を見つけたらしく私にも声を掛けてくれた。
生きて必ず下で会おうとみんなと約束してから扉を降り、明かりがつくと全員が同じ場所。
原作との変更点がないことにほっとする、これで三次試験は特に問題なく通過できるだろうし私のやりたいことも出来るだろう。










左右の分かれ道ではトンパの代わりに説明をし原作通り5VS5の試練官戦の場所までスムーズにきた。
出来ればジョネスと戦いたい私は一番手に立候補することはなく代わりにキルア君が一番手で出てベンドットを圧倒。
ゴン君も二戦目を順当にとりあっという間に2勝0敗、三戦目も原作と変わることなくクラピカが出た。
今は気絶(したふり)をして起きないマジタニの回復待ち中だ。
ただここで勝たれてしまうとトンパの負けがないのでストレートで突破してしまう。
原作とクリア順やルートに違いが出るのは別に構わないんだけど、出来ればみんなの前で1回戦っておきたい私は早々に既に2勝していることを理由にクラピカからの棄権を推奨。
本来目覚めれば確実に勝ちが拾える勝負を捨てるのはありえないことだけどクラピカは自分のせいで時間を浪費していることは自覚しているし、ゴン君はレオリオや私を信じてくれてるから特に反対意見は出てこない。
レオリオも自分で決める気満々みたいだから乗ってくれたしね。
まぁそのレオリオはやっぱりレルート相手に賭けで負けて50時間のチップを失った、でも三戦目で気絶待ちをほとんどしていないので原作よりは時間が余っている、私が時間を掛けなければクリアに問題はないだろう。
最後の試練官が出てくる、拘束具を外されて出てくるのは……誰?
ジョネスではない、あいつは念能力者ではなかったはずだ、だが相手は念を纏っている。
さっきまでは確かに纏っていなかったはずだ、あの拘束具か?クラピカの鎖と同様捕らえた相手の念を封じ込める仕組み?
念能力者には念能力者をぶつける決まり?ヒソカのところには来ていたしまさかイルミのところにも居たのだろうか。
でもここは多数決の道だ、他に受験生が居るのに念能力者同士を戦わせるなんて、もっと臨機応変に出来ないのだろうか。
そりゃ肉弾戦だけならただ高レベルな勝負になるだけだけれど私は操作系なんだぞ?
まぁでもいい、私がやりたいことから考えればむしろ好都合だ、こんなところに捕まっているのだからきっと大した使い手ではないんだろう。

「ユイ、オレで決められなくてすまなかった、オレ達の負けでいい、あいつとは戦うな!!」

そういって私を止めてくるレオリオ、あいつのことも知っているのか、賞金首ハンター志望でもないのにすごいな。
見ればキルア君も汗びっしょりだ、彼が強者に対して一番反応するから。
ゴン君とクラピカも冷や汗を流している、念を使えない人にとって念能力者は相当なプレッシャーらしい。
レオリオの話いわく彼は連続放火魔、ただ対象は建物ではなくて人間。
数え切れない程の人間が彼の手によって無残な焼死体に変えられたらしい。
ただ謎なのは彼を捕らえようとした警察官が次々に焼死体に変えられたときの話。
明らかに炎に包まれたように苦しみ焼死体へと変わって行ったにもかかわらず彼らを包む炎がまったく見えなかったらしい。
見えない炎で人を焼く大量殺人犯、警察にも手に負えない彼は賞金首ハンターに捕まるまで一般市民の恐怖の対象であったらしい。

「なるほど……貴重な情報ありがとうございます」

炎が見えないのは恐らくオーラを炎に変える変化系能力者だから。
実際の炎ではなくオーラによるものなら念を使えない一般人には見えないはずだ。
変化と操作は遠いから自在に炎を操るというよりは触れた物を燃やすタイプの能力者のはず、近寄らなければ怖くはない。
変化系の相手と操作系の私、肉弾戦ではもともと不利である上にそんな能力、近寄られたらお終いと言ったほうが正しいか。
いかに距離をとったまま戦い相手を倒すか、操作系である私の本領発揮といったところか、やはり好都合。
どうせこの後無駄に50時間を過ごすのだ、ここで一度見せておいた方が説明もしやすい。
原作の流れなど知ったことじゃない、攻略法の知れたゲームに面白みはない。
私は私のやりたいことのために今ここでみんなに念をばらす、そのために彼には協力願おう。
あぁ、ネテロ会長と遊んでおいてよかった。
あれは遊びだけど、でも高速で動く感覚はつかめた、実践で始めてやるよりは安心できる。
尚も止めてくるレオリオに大丈夫だからと答えて中央へ向かう、近づいてくる相手のオーラを感じる、いやな感じだ。
怖いか怖くないかと言われたら怖い、でもこれはゲーム、失敗したらまた最初から始まるだけのそんなゲームだ。
大丈夫私はやれる、こんなところに捕まるような奴にやられるほど私は弱くないはずだ。
念能力者同士の戦いは必ず勝つつもりで……だったかな。

「勝負の方法はデスマッチ、オレかお前どちらかが死ぬまで戦う」

体格は私より大分いい、見た感じ強そうだ、けど念能力者の戦いは見た目の強さは関係ない。

「分かりました」

水筒から水を出す、量は2Lほど、これ以上は持ち運びにくい。
もう一つの能力は、間に合うかどうか分からない、相手には分からないだろうがこの場所は私にとって多少不利だ。
だから出来ればこれで決めるつもりで、体の回りに纏わせる、後ろで驚いている声が聞こえるけど後で説明するから待ってて。
私が操作系であることは目に見えてわかっただろう、相手は距離を詰めようとこちらに近づいてくる。
半分を体の回りに残しもう半分で相手を牽制、ただの水じゃないオーラで操っている水だ、尖らせれば刺さる、刃状にすれば斬れる。
纏っているオーラは大したことがない、操作系である私よりも下、これなら肉弾戦でも勝てるだろう能力を別にすればだが。
首や心臓を目掛けて針状の水を飛ばすが両手の炎で受け止められる、さすがにこの程度の水では凝をした部分を突破できるほど威力はないらしい。
距離を詰められないようにこちらも動きながら水を操る、両手で防ぎにくい足等も狙うがこちらは避けられる、初めてだからまだうまく動かせない。
水は私の思ったとおり動いてくれるが、相手の動きを予想するのと水を思い通りに動かすのを両立するのは難しい、2つのことをいっぺんに、慣れるまで時間がかかりそうだ。
結果攻撃は単調になる、うまく当たらない、避けられるか防がれる。
避けられるのはいいが防がれると段々水が蒸発していく、量が減っていく、私の生命線なのに……
距離を詰めようとする相手と距離をとろうとする私、水を飛ばす私とそれを防ぐ相手。
状況に変化がない、決め手がないから。やっぱりもっとちゃんと能力を吟味してから始めるべきだった。
漠然と水を操る能力としか決めず始めてしまった、オーラを込めた水は詰まるところ念弾のようなものだ基本技であり決め手ではない。
フランクリンのように数が増えればそれでも脅威となるだろう、純粋な放出系である彼は制約もあって威力も高い。
私は汎用性が高い分威力はそれほど高くない、手持ちの水が少ないから数も多く出来ない。
もっと考えなくてはダメだ、制約を増やすか技を考えるか、この程度の使い手に通じないとかこの先お話にならない。
考えているうちに隅に追い詰められそうになっていた、右に抜けようと身体をずらす。

「!?」

目の前に炎の壁、掴んだものを燃やす能力者だと決め付けてしまっていた。
放出も近くはないが出来ないわけではない、単調にまっすぐ伸びるだけの炎の壁、距離も大したことはない、なるほどこの程度なら可能だろう。
逃げ道を防がれた、接近を許す、体に纏った水で迎撃しようとするが一瞬固まった思考の分相手のほうが早い。
腕をつかまれる、とたんに感じる灼熱、私の反撃があたる前に相手は既に引いていた。
熱い熱い熱い、水を纏わせて炎を消すが酷い火傷だ、リミッターがあるから痛みはそんなに、でも腕は動かない、そのあたりは正確。
小さなころにした火傷を思い出しながらゲームでよかったと思う、あんな痛い思い仮想の世界でわざわざしたくはない。
そういえばこういう時は凝だったとゲンスルー戦を思い出して思う、私の攻撃を相手はちゃんと凝をした手で防いでいたのに忘れていた。
やはり私も修行が必要だ、格闘ゲームで強いキャラを使っても操作が下手なら負けてしまう。
今の私はそんな状態、知識はあれども身体は動かず、もっとスマートに勝つつもりだったのに舐めすぎていた。
相手は勝ちを確信した顔をしている、こちらの攻撃は相手に通らず、しかも水は段々減っていく。
狭いリングの上、また接近する機会もあるだろう、長期戦にはなるかもしれないが自分の勝ちは揺るがない、そんな顔だ。
そう、長期戦、代わり映えしない展開に気付けば結構時間もたっている、勝負を決められなかったのは残念だが、おかげで自分が大分未熟であることには気付けた。
ありがとう、あなたとの戦いは無駄じゃなかった、これからはもっとしっかり自分の能力を考えます。
相手の背後から噴出す大量の水、私のもう一つの能力がしっかりと役目を果たしたらしい。
これにて形勢は逆転、一つ一つの威力が低くてもこれだけの数の攻撃を防ぐ術は相手にはない。
大量の水を細かくわけ相手を囲うように包ませる、一つ一つを動かすなんて器用な真似は出来ないししていない。
芸もなくただいっせいに相手に殺到する無数の水泡、いくつかは避けられた、いくつかは防がれた、でも全てを避けきり防ぎきるほど相手は強くはない。

「勝ったよ」

みんなの方を見て言えば帰ってくるのは驚愕の表情、相手の炎は見えてなかったはずだけど私の水は実物だから見えたはず。
そんな顔をしないで、ちゃんと説明するから。
時間はたっぷりあるからね、今から50時間、理論の説明をするには十分な時間でしょ。
架け橋がかかりこちらに渡ってくる四人、ゴン君の目が相変わらずキラキラと輝いているのはさすがだね。

「すごいねユイ!それどうやるの?オレにも出来る!?」

どうだろう?ゴン君は強化系だからね、放出系寄りとはいえ何かを操るのは大分苦手そう。

「まったく同じことが出来るかどうかは分からないけどね」

キルア君がこっちに来ない、警戒されてる感じがする。

「なぁ、今の何?それと似た感じを前にも感じたことがあるんだけど」

イルミの念のことかな、試合中は練をしてたから似た感じがしたんだろうね。

「とりあえず先に進もう?50時間過ごす部屋があるはずだから、そこでちゃんと話すよ」

この試験中に念が使えるようになって欲しいわけじゃない、むしろ色々変わりそうでそこまではさすがにやる気はない。
ただゾルディック家からキルア君を連れ出したら、みんな一緒で天空闘技場にいけたらいいなって感じ。
レオリオは強化に近い放出だろうから能力しだいでは医者になるよりも多くの人を救えるはず。
クラピカも、原作では顧客を得るために別れたけど、9月に蜘蛛と遭遇する可能性が高いのならばそれよりも先に力を優先するはず。
今ここで見せて説明しておけば、みんなで一緒に行動できる可能性はかなり高くなる。
それが私のやりたいこと、原作にはなかった風景、アニメのOPで見た風景。
みんなが楽しそうに幸せそうに旅している景色、それが見たい。
原作通りの道筋を歩きたくてゲームをプレイしたわけじゃない、どうせなら原作になかった道を歩きたい。
とりあえず現時点でどこまで説明していいのか、頭の中で色々整理しながら待機部屋に行くために歩き出した。



























6/2投稿

三次試験試練官戦まで。
今後の為に自分の強さを見せておこうとしたオリ主、でも分かったのは自分が大して強くなかったという事実。
天空闘技場ではみんなは念の修行、オリ主は戦い方の修行。
オリ主にとっては190階までの方が為になるかも。





手違いで一度全部消えてしまいました、原因は良く分かりません。
感想で色々指摘をもらっていたのに申し訳ありませんでした。




[19256] HUNTER×HUNTERをプレイしてみた(仮) 第五話
Name: ユイ◆d2ec74bc ID:1dab45ea
Date: 2010/06/04 00:11

部屋に入り試験官からここで50時間待てば扉が開き先に進めるとのお達しがあった後訪れる沈黙。
全員が私の発言を待っているんだろう、さて、どこまで話していいのだろうか。
もしここで念について全てを話せば、ゴン君とキルア君なら部屋を出る前に、クラピカとレオリオでもゼビル島滞在中に念に目覚めるかもしれない。
それだけの素質をこの四人は持っているはずだ。
その際何か不都合は起きるだろうか?
何か変化があるとすればゼビル島でのヒソカの対応、最終試験でのキルア君とイルミの試合、そしてゾルディック家を出るときだろうか。
ヒソカは……問題ないかもしれない、ゴン君は纏を覚えたとしても元々絶ができる、プレート奪取には影響しないはずだ。
いや、だが念を覚えたことを悟られればヒソカの警戒度が上がるかもしれない。
ヒソカはG・I内で絶をしていたカルトの存在に気付いていた、ゴン君の存在がばれることもないとは言い切れない。
イルミの対応も予想がしにくい、原作ではイルミはキルア君に悪影響を及ぼすとしてゴン君を殺したがっていた。
ゴン君はヒソカのお気に入りということで断念したが、キルア君に勝手に念を教えた私もイルミにとっては殺害対象になるかもしれない。
その際ヒソカは止めてくれるだろうか?
一応私もゴン君たちと同年齢で念能力者、青い果実だと思われていても不思議ではないが……
どちらも確定しないうえに悪いほうへ転がればゲームオーバーに繋がる可能性が高い。
やはりハンター試験が終わるまでは念に目覚めないでいてくれた方がいいかもしれない。
しかしだとするとどこまでが話していい内容になるのだろうか。
ゴン君もキルア君も感性も勘もするどい、身体を流れるオーラや燃の話をしただけで独力で念に目覚める可能性もある。
念の話はもちろん燃やオーラの存在の話もせず、ただ特殊な力という話だけをして詳しいことは試験後に話すと約束するだけで許してくれるだろうか?
ゴン君は好奇心の塊だしキルア君も隠されるのは嫌いそうだ、追求してくるかもしれないがそれも話し方次第だろう。

「ユイ……」

大体の方針が決まり口を開こうとしたところで先にクラピカから声を掛けられる、待たせすぎてしまっただろうか?
しかしクラピカはこういう話を急かしたりするタイプではないはずだけど、どうしたのだろうか。

「先ほどの男のことは私も知っている、たしかB級賞金首であったはずだ」

クラピカも知っていたのか。確かに念能力者は数が多くないらしいしそれがあんなに目立つ形で犯罪行為を行っていたのなら知っていてもおかしくはないか、それこそハンター志望者のほとんどが幻影旅団の名を知っているように。

「あの男がやったであろうユイの腕の火傷、そして先ほどユイが見せた不思議な力……その力を…………幻影旅団も使うのだろうか」

なるほど、幻影旅団はA級賞金首だ、それはつまり捕まえる際の難易度を示している。
B級賞金首であったあの男が使ったクラピカにとっては未知の力、それを幻影旅団と結びつけたのか。
頭の回転が速いと称えるべきか、思考の全てが旅団に結びついてしまうクラピカの現状を嘆くべきなのか。

「旅団はA級賞金首だから、多分構成員全員がこの力の使い手だと思う」

「っ!ならば私にそれを教えてくれ!!私には奴らに対抗できるだけの力が必要なんだ!!」

普段冷静であるはずのクラピカにしては珍しく詰め寄るように叫びながら訴えてくる。
いや、冷静であろうとしているだけでクラピカの本質は先ほどの試合の時のように蜘蛛と結びつけるだけで憎しみと怒りに支配されてしまう、とても危ういものなのか。
紙面や画面越しでは伝わらないクラピカの思い、紅く染まったその眼がクラピカの激情を現しているようだった。

「クラピカ!」

「っ!……済まない、取り乱した」

レオリオに肩をつかまれてクラピカの瞳に少しだけ冷静さが戻る。
そして語られるクラピカの思い、仲間の瞳、それを奪った幻影旅団への復讐。
私はクラピカのこの思いを受け止めることが出来るのだろうか。
笑顔で四人がすごす景色が見たい、ただそう思い、でもそれはそんなに簡単な事ではないのだと気付く。
クラピカに笑顔を与えることは、力を与え復讐を手伝うことなのだろうか。
復讐を終えた先で、クラピカは笑っていてくれるだろうか、復讐をせずとも笑ってくれるようになるのだろうか。
どちらを選ぶのが正解なのだろう?少なくとも原作で復讐の一端を果たしたクラピカは……辛そうだった。
思いを打ち明けてくれたクラピカに、でも私はなんて返していいのか分からず思わず視線を逸らしてしまい、ゴン君と眼が合った。

「親父も、その力を使えるのかな?」

その瞳はキラキラと輝いていて、ワクワクという擬音が聞こえてくるようだった。

「ハンターならまず間違いなく使えるよ、二つ星のハンターだって話だったしきっと私なんかよりずっとすごく」

その言葉を聞いたゴン君はなにやらとても嬉しそうで、手の届かないほど遠くにある目標を、でも必ず掴んでやると言っているようだった。

「オレも知りたいね、その力の先にきっと兄貴たちがいるんだ」

そう言ってくるキルア君、自分では適わないと思っていた存在に近づくための方法が見つかった。
何を探しているのかも分からなかったものが見つかったみたいに、その瞳はまっすぐ前を向いていた。
三人が三人ともそれぞれの理由で、でも切実に力を得ることを望んでいる。
幻影旅団に復讐をするため、家族を見返すため、そして父親に会うため。
残るレオリオと眼が合うと、優しく微笑みながら話し出した。

「オレはこいつらみたいに大層な目的があってハンターを目指しているわけじゃねー。ハンターになればバカ高い授業料が免除になるからって資格を取りに来ただけだしよ」

力はあるに越したことはないと思うけどな、って笑って付け足すレオリオ。
でもレオリオはそういうけれどハンターを目指す目的が一番綺麗なのはレオリオだと思う。

「一つ言えることはこいつらはさっきのを見なくても自力でその力に辿り着いただろうし、ユイが教えなくてもきっとどこかで手に入れる。だからユイは深く考える必要はない、言いたくないなら言わなくても大丈夫だ」

そう言って頭を撫でてくれるレオリオ、本来の私よりは年下だというのにその姿を妹を気遣う兄のようだと感じる。
ただ違うんだ、確かにレオリオの言うとおり私がいなくてもみんな念に辿り着く、そこは変わらない。
でも私がみんなに念の存在を教えると言うことは、私がみんなの人生に対して責任が出るってことなんだよ。
きっとレオリオは分かってて言わないでいてくれているんだろう、そんなこと気にしなくていいって。
でも関わるつもりならちゃんと覚悟を決めなくちゃいけないってことが分かったんだ。
私が念を教えればみんな私についてきてくれていつまでも一緒に旅が出来るって深く考えず思ってた。
でもそんなわけなかったね、クラピカは自分の復讐に仲間を巻き込んだりしない、きっと覚えることを覚えたら離れていってしまう。
最後まで付き合うには、付き合わせてもらうにはきちんと覚悟を決めないとダメなんだ。

「大丈夫、ちゃんと話すよ。でも、試験が終わるまで待って。試験が終わったらちゃんと全部話すから」

原作と違いが出ないようにとか、もうそういう理由じゃなくて、これは私が覚悟を決めるまでの時間。
今からキルアがゾルディック家から出てくるまでの約1ヶ月、その間に私もしっかり覚悟を決めるよ。
ありがとう、感謝するとお礼を言ってくれるクラピカ、試験が終わったらちゃんと話せよなと念押ししてくるキルア君。
ゴン君はさっきのもっかいやってみせてよなんて言ってくる、結構マイペースだね。
レオリオはやっぱり優しい顔で頭を撫でてくれて普段との違いがなんかくすぐったい。
短期で大雑把、でも心が広く情に厚い、レオリオはまさに放出系の鏡だね。
とにかく今は三次試験を突破することを考えよう、原作より時間は余っているけどこの先の道は知らないから楽観は出来ない。
タワーに入るまではここで念の話する気満々だったのに無計画に考えすぎたなと反省。
これからはちゃんと考えて行動しないとね、難易度も上がってきてちょっとのミスがすぐゲームオーバーに繋がっちゃう。
とりあえずこの50時間は、ターゲットがどう変わっても全員で合格出来るように試行錯誤することに使わせてもらおう。
無理に聞かないでくれるみんなの優しさを感じながら意外と大変なプレート問題に頭を悩ませる二日間になりそう。






























6/3 第五話投稿

短いけどキリがいいし切っておく。
次はタワー突破して四次試験は一気に書こうかなと思い中。
トンパ待ちの2時間と気絶待ちの数時間がないので原作よりもクリアタイムは早い予定。
誰が何時間でクリアしたかは知らないけれど少なくともポックルよりは早くなる。
他にもモブキャラ数人よりは早いかも。
その分ターゲットに変更が出る、どう変わるかはクジやアミダでも作って決めようかな。
でもゴン君のターゲットはヒソカ固定の方がいい気がするからいじらない。



[19256] HUNTER×HUNTERをプレイしてみた(仮) 第六話
Name: ユイ◆d2ec74bc ID:1dab45ea
Date: 2010/06/04 17:02
現在最後の多数決の部屋、長くて困難な道と短くて簡単な道でもめております。
解決策を知っているんだからゴン君よりも先に教えてあげればいいのだけれど今の私は落ち込んでいてそれどころではありません。
ただいまの残り時間約6時間、原作に比べれば早いのだけれど待機部屋を出た時点では原作より10時間近く早かったはず。
つまりトンパよりも私のほうが3~4時間余計に時間がかかっているということに気付いて凹み中。
何がいけなかったのか、○×迷路や地雷つき双六はすごく面白かったんだけど……楽しんだのがいけないのだろうか。
落ち込んでいる間にゴン君の閃きで壁を壊し、5人で短くて簡単な道に行くことが決まったらしくみんなが壁を壊すために斧を手にし始めた、名誉挽回させてもらおう。
任せてと言って壁の前に立つ、斧は持っていない。
この程度の壁であれば硬をすれば壊せるはず、確か厚さ3~40cmくらいだったはずだ。
練をして壁を壊そうと思ったところでここでゴン君に硬を見せていいのだろうかとふと思う。
彼は審査前に自力で硬に辿り着き、愛着ある必殺技として完成させた。
ここで私が事前に見せてしまったらそれを自力で編み出した技のように使えるだろうか。
もちろんオーラの見えないゴン君に現時点で技の詳細は分からないだろうが思いつけば気付くかもしれない。
人の技を奪うのは良くないと思い直し練ではなく発で壊すことに予定変更。
本来地面に設置する私の発「何時でも何処でも私に水を(instant exvavator)」を壁に向けて発動、オートだと水源を求めて地上を目指してしまうのでマニュアルで水平に掘らせて壁に穴を開ける、大きさが足りないので少しずらして二度、三度と発動すればようやく人が通れるほどの大きさになる。
これは先の戦いでも使った私の具現化系能力だ、あまり得意ではない系統だが直接戦闘に使うわけではないので問題はない。
地面を掘り進んで地下水脈を見つけてくれるだけの穴掘り機だが水を使う私にとっての生命線だ。
水は使い勝手がいいが大量になると持ち運びはしにくい、この能力を使えば時間はかかれどたいていの場所で水を手に入れられる、天空闘技場は無理だがあそこは事前に水を用意していけば良いかなと思っている。
キルア君が今の一体どうやったんだと詰め寄ってくる、さっき試験が終わるまで待っててくれるって言ったじゃないか。
しかし自分が同じことをやられて後で説明するから待て、といわれたらふざけるなと思うだろうなと想像してごめんなさいと謝っておく。
謝らなくて良いからタネを教えろと言われるけれども私はイルミに殺されたくないから言わない、というか言えない。










気を抜けば滑り落ちそうになる滑り台を慎重に下って扉を開ければ試験通過という放送。
回りを見渡せばポックルを除く全員がいる、もう何人か抜けるかと思ったがそんなことはなかったらしい。
これで四次試験が面倒になる可能性があがってしまった。原作では5人が引いたプレートの中にトンパとレオリオの2つが入っていた。
原作通りにプレートが引かれていけば今回も私とレオリオのプレートが残るわけで、何人か抜けば被らない可能性も高まっただろうがポックルしかぬけなかった現状ではゴン君のターゲットが私、といったような状況になりかねない。
とにかく部屋で考えていた通り、ハンゾーに正規のターゲットであるアモリのプレートを入手してもらってなるべく1点プレートを浪費しないようにしてもらうしかなさそうだ。
キルア君はウモリのプレートだけ奪って残りを投げ捨ててしまったがおそらくあの時点でアモリとウモリの二人はターゲットのプレートを既に奪った後だったはずだ。
キルア君のターゲットが誰に代わるかは分からないがイモリのターゲットがキルア君であることは変わらないだろうからハンゾーに渡す分を差し引いてもあの3人から4枚のプレートを奪えるだろう、私たちの中の誰かがウモリがターゲットならそれで二人分だ。
最悪なのは私たちの中で2人が仲間内でターゲットにされることだがそうなったらボドロさんもポックルも落として1点プレートをかき集めるしかない、面倒そうだ……










プレートを引き終わり船の上、私のターゲットはウモリになった、しかしゴン君たちのうち最低でも1人は仲間のプレートを引いてしまったはずだ。
とりあえず二人並んで話しているゴン君とキルア君を見つけて声をかけるとちょうどプレートの見せあいっこをしているところだった。

「あ、ユイ、この番号誰だかわかる?」

そういってキルア君が見せてくれたのは105番、原作ではポックルのターゲットだった番号だ。

「ちょっと大き目の刀持った鼻が赤い人、ほら、あそこに座ってる」

名前は……確かキュウだったかちょうど見える範囲にいたので指差して教えておく、これでキルア君は問題なく合格するだろう。

「マジ!?やりー、聞いてみるもんだな、サンキュ」

「後で頼みごとするかもしれないからお礼に聞いてくれるとうれしいかも」

恐らく序盤はキルア君と行動することになるはずだ、三兄弟のプレート根こそぎ欲しいし。

「ゴン君は……死なない程度に頑張って?」

「あはは……やっぱそう思う?」

ゴン君のターゲットは変わらずヒソカだ、何か運命的なものでもあるのだろうか。
しかしこちらも原作通り問題は……一応ないはずだ。
落ち込む結果になってしまうのだろうがヒソカからプレートを奪えるのは賞賛ものである、借りも天空闘技場できちんと返せるのだから余計な手出しはしないでおこう、ゴン君もやりがいがあるといった表情で頑張るといってくれた。
これでこの二人は問題ない、あとはレオリオとクラピカの二人だ、きっと一緒にいるだろうから探しに行こう。










「クラピカ、レオリオ」

やはり一緒にいた二人に声をかける、表情が硬いがまさかクラピカ→レオリオ→私という最悪の展開になってしまっているのだろうか?

「二人のターゲット、何番?」

しかし聞いてみないことには分からない、気まずかろうがそういうことなら逆に言ってもらって協力しなければ全員突破は難しいのだ。

「私は246番だ」

クラピカの言葉にほっとする、これで最悪の展開だけは免れた、全員での合格もほぼ問題はないだろう。

「誰だかわかってる?」

「あぁ、頭に丸い帽子を乗せていた女性だ、見た目から戦い方も想像がつく、油断する気はないが注意して臨めば大丈夫だろう」

さすがクラピカ、24人しかいない受験生の番号はしっかりと記憶しているらしい。
いや、クラピカのことだからプレートNoを引いた時点で次の試験内容を想像し番号を確認していたのかもしれない、試験官が説明するまではみんな普通にプレートつけたままだったから。
しかしクラピカのターゲットがポンズということはレオリオのターゲットが私だろう、でなければレオリオは自分がターゲットになってしまう。
自分のプレートとターゲットのプレートが被って6点分、なんて展開だったら楽にクリアになるのだがさすがにそんな展開はないだろう。

「レオリオのターゲットは……私?」

「な!?」

驚愕の表情、でも言い当ててしまわなければレオリオは自力で3人分のプレートを集めようとするだろう。
ポックルに狙われながら自分のプレートを守りつつ3人分のプレートを集める、出来るのかどうかわからないが厳しいことに変わりはない。
私が入ったせいでターゲットに変更が出てしまったのだ、出来ることなら協力したい。

「さっきプレート引くとき一度つかんだ紙を試験官にそれはダメだから引き直せって言われた。誰が何を引いたかは機械が記録してるって話だからきっと自分のプレートを引いたんだと思う。私の後に引いたのはクラピカとレオリオと弓の人だけだからもしかしたらレオリオが私の番号を引いたのかと思った」

嘘だがもっともらしい説明だ、クラピカもレオリオもうまく騙されてくれたらしい。

「まぁ……な、引いちまったよユイの番号をな」

あげないよ?とふざけて言えばとらねーよ!と返された、やはり3人分を集めるつもりらしい。
クラピカとレオリオは原作と違って最初から協力していくらしい、レオリオだけだと不安だがクラピカもいるならポックルはきちんと返り討ちにしてプレートを奪えるだろう。
そういうことなら私はやっぱりキルア君と行動して三兄弟の持っているプレートをかき集めてからレオリオにプレゼントに行こう、それで全員合格できるはずだ。
一番の不安要素だった四次試験が無事突破できる目処がついてほっとする、これでハンター試験はもう問題はないだろう。
キルア君の下へ戻って一緒に行動させて欲しいと頼んで了承をもらう、理由はサバイバル知識がないから一人だと不安ということにしておいた、事実だが。
プレートが集まったらレオリオにあげに行くといって別れればいいだろう、その後はクラピカとレオリオにくっついていればやはり問題はないだろうし。
1週間お風呂なしは……ちょっと辛いけど。










「23番スタート」

お姉さんの合図に従い船を下りる、待っていてくれたキルア君と合流してとりあえずはキュウを探しに行く。
イモリはもうついて来ていているのだろうが良く分からない、気配察知とか出来るようにならないとダメなんだろうな。
私は放出に近い操作系なんだからきっと練習すればある程度円が出来るようになるはずだが、しかし半径数mくらいでは結局意味がない。
練習しても無駄とは言わないが今ここで役立つことはないだろう。

「なぁ後ろついてきてる奴やっちゃう?うざいだろ?」

やっぱりついてきてるのか、しかしここで排除されてしまうのはちょっと困る、せっかく芋づる式にプレートが集まる元なのに。
しょうがない、ここは分かっている振りをしよう。

「あの人私のターゲットの兄弟なの。多分キルア君を狙ってるんだと思うけど泳がせておけばじきに私のターゲットも合流してくると思うから、それまで放っておいてもらってもいい?」

ごめんね、と頼めばそういうことなら放っておくかと納得してくれた様子。
あぁでも付いてこられてる間水浴びとかどうしよう?確か合流してくるのは3日目の昼間だったはず。
キルア君はどこにいるのかちゃんと分かっているっぽいし死角になるようにしてキルア君に見張っててもらえば大丈夫かな。










現在3日目の昼過ぎ、必死にクラピカとレオリオを探して駆け回っています。
あの後無事にキュウを発見してキルア君は6点分のプレートを確保、予定通り合流してきたアモリ三兄弟も無事倒して彼らのプレートと彼らが奪っていた362と89のプレートもゲットし、私も6点分のプレートを確保した。
後はこれをレオリオに渡せば大丈夫だと思ったところで問題に気付き、慌ててキルア君にクラピカたちを探してプレートを渡してくると断って別れて以来ずっと探しっぱなしです。
その問題はと言うとクラピカとレオリオは今夜ヒソカに遭遇する可能性が非常に高いということ。
もちろん原作と微妙に変わっている以上もしかしたら遭遇しないかもしれないが楽観視は出来ない。
なぜなら仮にポックルを撃退して1点分のプレートを持っていたとしても原作と違って2人にはそれをヒソカに渡す理由がない。
原作ではポンズからプレートを奪えばクラピカもレオリオも6点分集まるため余分に持っていた1点分のプレートなら渡してもさほど問題がなかったためヒソカに渡した。
でも今回はポンズのプレートを奪っても6点集まるのはクラピカだけでレオリオはさらに2枚集めないといけない状況だ。
ターゲットが私で一気に3点たまるプレートがない以上、1点分のプレートであってもヒソカに渡すわけにはいかない。
ヒソカにとって青い果実である2人がプレートを渡さないからといって殺されるのかどうかは分からないが、もしかしたら力ずくでプレートを奪われる可能性なら出てくる、そうなるとまずい。
それにあそこで残り1点になったヒソカは2人の行動によってあふれ出た殺気を抑えるために281番を強襲、それがゴン君がヒソカからプレートを奪えるチャンスになったのだ。
つまりゴン君たちが無事に合格するためにはクラピカたちがヒソカと遭遇する前に2人と合流し、3点分のプレートを渡して原作同様1点分のプレートが余っている状態にしておかないとまずいっぽいのだ。
しかし見つからない、この島は思ったよりも広いし私はキルア君みたいに他人の気配になんて気付けない。
時間は刻一刻と過ぎていって焦りも出てきた、こんなことならキルア君に頼んで2人を探してもらったほうが良かっただろうか?と思い始めたところで目の前に救いが現れた。

「ストップ、止まってくれ嬢ちゃん。嬢ちゃんが持っているプレートのうち1枚を譲ってもらいたい」

現れたのはハンゾー、そういえばすっかり忘れていた、余分に奪ったプレートのうち197番はハンゾーにあげる分だった。
元々はタダであげるつもりだったが状況が状況だ、施しを受けるより取引であるほうがハンゾーも納得するだろうし協力してもらおう。

「あげてもいいですのでクラピカとレオリオ、3次試験を私と一緒に突破した金髪と黒髪の2人組を探すのを手伝ってください!2人を見つけてくれたらプレートは差し上げますから!」

余りにも私が必死に頼むので若干面食らったようだがそういうことならと2人を探すのを手伝ってくれるらしい。
見つけたら私に知らせに来てくれるそうだ、なんでみんなこんな広い島でそんな簡単に誰かを見つけられるのだろうか?
その後も私も探し続けたが結局ハンゾーが先に2人を見つけてくれた。
プレートを渡してお礼を言えば礼を言う必要はない、嬢ちゃんも頑張れよと言って去っていった、なんか格好いい。

「クラピカ!レオリオ!」

やっと見つかった2人に声をかける、もう夕方だ本当に危なかった。
ハンゾーに渡した分を除いた198番、89番、362番をレオリオに見せて余分に手に入れたからあげるといえば喜ばれた。
別に私が自力で手に入れたわけじゃなくてキルア君にもらったものだから後でキルア君にお礼を言ってねといえばそれでも助かった、ユイもありがとうと再度お礼を言われた。
この後のヒソカ遭遇は私が居たほうがいいのだろうか?居ないほうがいいのだろうか?
ヒソカに会うのもポンズからプレートをゲットするのも既に私が居なくても大丈夫なはずだ。
ポンズのプレートを奪うのがレオリオではなくクラピカになっているが恐らく原作と大差ない手順を踏んで手に入れることになるだろう。
残り3日間を一人で過ごすのは心細い、しかしヒソカに会うのも出来れば遠慮したい。
理想はここで2人と別れてヒソカと会わずに残り3日間を別の誰かと過ごすことだがキルア君もハンゾーももう何処にいるのか分からない。
ハンゾーに傍で待っていてもらえばよかった、一緒にいてくれと言えばきっと居てくれただろうに、ジャポンの話とか聞いてみたかった。
すぐに探しに行けば見つかるだろうか?
でも見つからなかったらこの薄暗い島で一人寂しく過ごすのだと思うと尻込みしてしまう。
迷いどころだがやはりヒソカにはお会いしたくない、退散させてもらおう。
プレートを渡したらキルア君のところに戻る約束だと嘘をついて2人と別れる。
さて、夜までに誰かを見つけなければ薄暗い森の中一人で野宿だ、私にとっては大変な問題にさっきと変わらない必死さで人探しを再開する。










今私の視界の先には一人の人間、もうあたりは真っ暗だ、今から他の人を探している時間はない。
しかしよりにもよって、いやいいのか?子供には優しそうだし既にプレートも集めているだろうから戦闘にもならないだろう。
1人で野宿は遠慮したい、私は覚悟を決めて声を掛けた。

「あの……ご一緒してもよろしいでしょうか?」

結局残り3日間、ずっと一緒に居させてもらった、食事も用意してくれたし私と同じくらいの年の孫がいる話までしてもらい残りの時間を寂しく過ごすことはなかった、ありがとうございます、ボドロさん。













































6/4投稿

なんかナチュラルにポックルが落ちてる。
まぁ合格してもキメラアントに殺されるだけだし別に落ちてもいいと思う。
合格しなくてもNGLに行くのかもしれないけどそうなったらもう知らないです。
モブキャラのアモリ兄弟ですらあの広い島でお互いを簡単に見つけあう、一体どうなっているのだろうか。
今回ユイの能力が名前つきで登場、括弧内はアルファベットよりも片仮名で書くべき?
直訳すると大体簡易掘削機みたいな感じです。
次は最終試験、ハンター試験がようやく終わる。
ゾルディック家はほとんど変更ないだろうしすっ飛ばしていいはずだからもうすぐ天空闘技場。
しかしクラピカはともかくレオリオは能力が出ていない、勝手に作っていいのだろうか?



[19256] HUNTER×HUNTERをプレイしてみた(仮) 第七話
Name: ユイ◆d2ec74bc ID:1dab45ea
Date: 2010/06/05 21:48
最終試験のトーナメント表、私の居る位置は原作で言うポックルの居る位置だった。
確かに注目している相手にゴン君とキルア君、戦いたくない相手にヒソカを選んだからポックルとまぁ似ているところも……あるかな?
何にせよ宣言どおりヒソカと別ブロックにしてくれたのはただただ嬉しい、戦いたくない相手にゴン君たちも入れなくて良かった、そうするとドコに入れられるか分からないから。
先ほどゴン君とハンゾーの試合、そしてクラピカとヒソカの試合が原作通り終わってこれから私とハンゾーの試合だ。
ゴン君のスピードはボール遊びの時の感じだと念を使ってない状態で私とほぼ同じ、ハンゾーはもちろんそれより上。
ただ1次試験の様子等を見た感じではキルア君の方が若干上に思える。
さて、とりあえずは念なしでやってみよう。
今の自分がどれだけ動けるのか、ちゃんと身体を動かすのはこれで3回目、殺されることのないこの状況で格上のハンゾーとやれるのは訓練としては申し分ない。
向かい合って顔を見れば若干疲れた感じに見える。
先ほどまで面倒なゴン君の相手をして次がまた子供の私だ、ハンゾーでも若干のやりにくさは感じているだろう。
しかし、だからと言って手を抜いてくれることはない、相手が誰であろうと必要ならば非情になれる人だ。
限界まで思考速度を上げる、パワースピードともに適わない相手に唯一勝るとすれば思考速度とそれにより擬似的にあがる反応速度。
まずはこの武器だけを頼りにどこまでやれるか試してみる。
ゴン君のようにあれだけ嬲られながらも意地で負けを認めないなんてこと私には出来ない。
組み伏せられたら終わり、首筋や側頭部に食らっても終わり、攻撃は全て避けるか逸らすか防ぐか。
相手を格上と認めながらこの条件はかなり厳しいと自分でもおかしくなる、しかしこれぐらい出来なければこの先が不安だ。

「第三試合、ハンゾーVSユイ 始め!!」

試験官の合図と共に動き出すハンゾー、対してこちらはその場を動かず。
回り込もうとするハンゾーに合わせ、体の向きだけをずらしてハンゾーを正面に維持する、視界から外れてしまったら反応できない。
いくらハンゾーの方がスピードが上でも回り込もうとする相手と身体をずらすだけの私なら遅れはとらない。
半周ほど回ったところで正面から向かってくる、放たれる右を腕でガードしながら反撃しようと試みる。
しかし腕に当たった瞬間に後ろに弾き飛ばされる私の体、攻撃の衝撃を殺しきれず受けてカウンターは無理と判断。
続けて接近し尚も放たれるハンゾーの打撃を、今度は腕を側面にあて外に逸らすことで懐にもぐりこもうとする、狙うは腹部。
うまく潜り込めそうだった、が予定をキャンセルし後ろへ後退、眼前すれすれのところをハンゾーの手刀が通り抜ける。
私程度の打撃なら喰らっても問題ないと判断されたのか防御をせずに斜め後ろから首筋を打ち抜かれそうになった。
前進をキャンセルしての急激な後退でバランスが崩れる、放たれるハンゾーの次の打撃、大きく横に凪ぐ手刀をどうすれば避けられるかを加速した思考で考える。
後ろに下がっていたら間に合わない、しかし攻撃の方向的に左右も無理、周りにしてみれば一瞬の判断で足を前に蹴り上げ自分から後ろに転ぶように回避する。
両手を地面につき体を伸ばしながら右足を蹴り上げる、狙うは顎、しかし身体を引いて避けられる。
そのままバク転をして後退、顔を上げるとハンゾーがいない、見失った。
視線を外す今の動きは失敗だったと自分を叱責、左右どちらに行ったかが判断できない、が後ろに回ろうとしていると予想をつけ、確実に居ないことが分かっている前方に全力で駆ける。
振り返りたいが左右を外すと背中をさらす、そのまま突き進み壁を駆け上がりつつ反転、視界におさめたハンゾー目指して天井を蹴りつけ突撃する。
体重を乗せた一撃、しかし難なく受け止められる、ガードを超えてダメージを与えるには力が足りていない。
振り払う動作に身を任せ一度距離をとる、ここまでで分かったことは反応は何とか出来る、しかし受けきれずこちらの攻撃が通じない。
釣竿を使わなかったゴン君に対し、相手を嘗める行為だと叱責していた姿を思い出す。
ゴン君同様私にとってもはるかに上の相手、念なしではやはり厳しいと判断しオーラを纏う。
練はしない、非念能力者に過剰にオーラを乗せた攻撃は命の危険を与える、殺したら失格のルール、纏の状態を維持する。
今度はこちらから向かい、放たれる打撃を外へと逸らしまた内部に潜り込む。
先ほど同様腹部への一撃を代償に首筋を狙うハンゾーに今度はオーラを乗せて威力の上がった拳を叩き込む。
吹き飛ばされるハンゾーの体、足が崩れ届かぬ位置にある顎が下がってくる。
追撃をしようと近づいた私に体勢を立て直したハンゾーから放たれる足による一撃、両腕でガードするが受けきれずに弾き飛ばされる。
蹴りは拳の数倍の威力があると言うが纏をしているおかげでガードは出来る様、しかし踏ん張りはきかない。
小さい身体はどうしても軽い、しかし小回りは利くので一長一短。
とにかく纏の状態ならば勝負にはなる、試合はまだ始まったばかり、次の一手を考えながら立ち向かう。










青い果実を探しに来て想像以上の豊作だった今年のハンター試験♦
その中でも彼女は異質でとても目に付く♥念が使えるというのに見たところ戦闘経験は皆無、とても美味しそうだというのにまるで実がついてすぐのようだ♣
彼との試合もまるで自分でも分からない自分の力を試しているよう♣
最初は念を纏わず、それでは適わないと理解してからは纏をしだした♦しかし僕の見たところ纏をしたとしても彼の方がやや優勢♣
だけど今僕の目の前で彼女は徐々に彼に追いついてきている♥一度交差し離れるたびに動きの無駄が減っていく、この短期間でスポンジが水を吸い込むように成長している♥
あぁぁぁぁ♥良い、すごく良いよ、さっきのゴンの試合も良かったけど君の試合も見ていて飽きないよ♥
一体どこまで美味しくなるんだろう♥今すぐ食べてしまいたいけどダメダメ、まだまだ熟してからじゃないと♥










何度目か分からない打ち合いからまた距離をとる、加速しっぱなしの思考にそろそろ脳が熱を持ってきた感じがする。
しかし動きについていけるようになってきた、まだやれるもう少しと思う反面脳と身体は休息を求めている。
判断をミスり一撃を喰らえばもうそれだけで私は戦えなくなる、そろそろ限界だろうかと考えている中ハンゾーが身体を起こし腕から刀を取り出した。

「なるべく後に残るような怪我はさせないように終わらせようと思ったが、認めよう、お前は強い。本気で行く、まいったというなら今のうちだ」

ちょっと待て、刃物はずるい、纏による防御力は一体どのくらいなのだろうか?
ズシは纏の状態でキルアのほぼ手加減なしの一撃を受け無傷だった、相当な防御力なのだろうが刃物を受けられるほどだろうか?
いや、練の状態ならともかく纏ではさすがに無理だろう、しかし私は刃物どころか武器になりそうなものを何も持っていない、水はあるが非念能力者に発による攻撃など出来る訳がない。

「ずるい!私は武器使ってないのにハンゾーだけ!」

刃物を見て混乱した頭が馬鹿な台詞を吐き出させるが殺す以外何でもありのルールだ、武器の使用は当たり前だろうと返され再度降参を促される。

「クラピカ!双剣貸して!」

それならば自分も武器を持てば大丈夫だろうと安易な思考がクラピカの持っていた双剣を求めるが試験官に試合開始後の武器の貸し出しは手助けにあたり失格になると注意を受けた、それはそうか。

「刃物ちらつかせて女の子を脅すなんて!鬼!!悪魔!!」

やはり長時間の思考の加速で脳がオーバーヒート気味になっているらしい、自分でも何を言っているのか分からなくなってきた。
武器は借りられない、生身では戦えない、これはもう無理ではないだろうか。
眼前に突きつけられる刃物、その眼は脅しでなく降参しないのなら斬りつけると言っている様だ。
さすがにいきなり足や腕を斬り飛ばされることはないのかもしれないが斬られるだけで十分嫌である。
練をしようか、いやまて死んだらどうするんだ、生身の相手にそんなことをしたらどうなるかは天空闘技場の3バカが十分に示してくれている。
ハンゾーも刃物ちらつかせて腕や足を斬り飛ばそうとしてるんだこちらもそれくらい、と黒い思考が流れそうになるのを慌てて止める、その考えはさすがによろしくない。

「う~……、参りました……」

負け上がりだと次はキルア君だ、もし次も私が負けてキルア君が合格したらイルミに殺されるんじゃないだろうか?
しかしそれはかもの話で今目の前に突きつけられてる刃物は降参しなければ私に降りかかるのは確定事項である。
とりあえず眼前の恐怖から逃れることを優先しよう、キルア君との試合は……また後で考えよう。

































6/5投稿

本当は最終試験は全部一度に書くつもりだったが夜勤に行かないといけない時間になってしまったのでここであげる。
最初はユイを勝たせるつもりで書き始めたのに書き終わったら負けていた、さすがハンゾー。
ハンゾーが負けるところがイメージできない、纏をしたズシは念を知らないキルアに負けた、そのせいでハンゾーがユイに勝つイメージしかわいてこない。
なんか1話書くごとにユイが弱くなっていく、ヨークシンとか大丈夫だろうか?
天空闘技場をかなり必死に書いてユイを強くしないと足を引っ張る気さえしてきた、頑張れユイ、というか頑張れ自分。



[19256] HUNTER×HUNTERをプレイしてみた(仮) 第八話
Name: ユイ◆d2ec74bc ID:1dab45ea
Date: 2010/06/09 00:24

現在ヒソカとボドロさんの試合中でこれが終わり次第私とキルア君の試合が始まる。
考える時間はほとんどないけど別にこれでキルア君が合格しても問題はない、と思うたぶん。
どうせ来年受かるんだし資格をとってしまったせいで何かが変わるわけでもないし、ただちょっとイルミに睨まれるだけ。
睨まれるだけ……ならいいな、でもどうしても資格取らせたくないならなんらかの妨害するだろうし、手を出してこなければ良いってことなんじゃないかな。
でも妨害ってどうするんだろう?試合中に変装を解いて声を掛けるとかだろうか。
私に手を出してキルア君の手助けをすればキルア君が落ちる?私を殺したらイルミが落ちてキルア君が合格だから殺されはしないだろうけど。
まぁいくら考えてもどうなるかなんて分からない、とりあえず私は勝つつもりで試合に臨むだけだ。
そういえばキルア君はどうだろう?
ハンゾーに負けた私はポックルと同じ戦うに値しない人だろうか、それとも念能力を見せた私は警戒すべき適わない相手だろうか。
このどちらかなら私の不戦勝にしてくれそうだが実際は両方あるせいでよく分からない相手になっているかも。
元々負けず嫌いな性格だし本当の実力を測ってみよう、みたいな感じになるのが一番可能性が高そうに思える。
念なしで16tもの扉を開ける力にハンゾーと同等かそれ以上の速度、不安だ、すごく。
これって原作で言うズシ君VSキルア君の再現なんじゃないだろうか?いや拳法が使えるだけズシ君の方が上か。
纏の状態で勝てる可能性はまずないだろう、つまり練を出さないと言うことはわざと負けると言うことだ。
でも練をしたらキルア君は戦えない、万が一戦いになったとしてもキルア君に勝ち目はないし最悪大怪我をさせてしまう。
どちらの選択が正しいのか、どちらも正しいようにも思えるしどちらも間違っているようにも思える。
練を出して不戦勝か、練を出さずに負けるか……答えが出ないまま時間だけが過ぎていった。










「第五試合、ユイVSキルア 始め!!」

やっぱり練は使えない、大怪我をさせるわけにはいかない。
ハンゾーとも段々とやり合えるようになっていってたんだ、キルア君が一気に決めようとせず様子見をしてきてくれれば慣れる時間もあるかもしれない。
そんな私の思惑とは違い一足飛びに近づいてくるキルア君、やっぱり速い。
次々と繰り出される攻撃に私の体が付いていかない、眼では見えているのに間に合わない体の動きがとてももどかしい。

「っ!!」

腹部に叩き込まれる一撃、後ろに弾き飛ばされるような一撃ではなく内部にめり込むような一撃に呼吸が止まり体が崩れる。
ついで首筋に叩き込まれる衝撃、完全に立っていられなくなり倒れ伏す。
視界が揺れる、キルア君は変わらず近くに立っているが追撃は来ない、降参するのを待っているのだろうか?
頭がくらくらして思考の加速が出来ない、なんとか身体を起こししかし立ち上がれないままもう降参しようかと考える。
思考の加速が出来なければキルア君の動きについていけない、それではもう勝負にならない。

「ねぇ、さっきのハンゾーとの試合見てるときから思ってるんだけどさ」

キルア君が話しかけてくる、何を言おうと言うのだろうか?しかし時間がたてば脳の揺れは収まる、ただ収まったとしてまた同じことになるだけではないだろうか?

「ユイ手抜いてるよな、何で?オレ達が本気を出すに値しないってこと?」

タワーで戦ってるときはもっと速かったしそれにヤバイ感じがしたと続けるキルア君、その言い方はイラだっているようであり本気を出されていない現状を怒っているのだと気付く。
今から練を、いやダメだ、念を使えない相手にそれをするのはもはや勝負ではなく一方的な蹂躙だ。
しかしそれだと確かに手を抜いていることになるしそれでは勝てないのも明白だ。
試合中だというのに答えの出ない思考の渦にまた飲み込まれる、私は一体どうすればいいのだろうか?

「やーめた、ギブ!オレの負け!本気でやってこねー奴とやっても面白くねーもん」

そう言って踵を返すキルア君、待ってと声を掛けようとするがそうしたところでどうするのだと自分に問いかける。
キルア君の負けの宣言で試験官が私の勝利を告げる、キルア君はそのまま振り返ることなく壁際まで下がり座り込んでしまった。
私は……選択を間違えたのだろうか?










レオリオがボドロさんとの試合の延期を要請しキルア君とギタラクル、イルミの勝負が始まった。
私は壁際に座り込んでそれをぼーっと見ているだけだった。
試合開始直後にキルア君が負けを宣言することになろうとも練をして全力で勝負に臨むべきだったのだろうか。
命を掛けて勝ち抜いてきたハンター試験の最終試験で手を抜くと言うのはとても失礼な行為だったんじゃないだろうか。
キルア君に怪我をさせたくないから……でもそれは本当にキルア君のためになることだったのだろうか。
次々と疑問が生まれてきては答えが出ないまま蓄積されていく、キルア君とイルミが話している内容も周りの声も良く聞こえない。
聞こえなかったはずなのに、でもその言葉だけは聞き取ってしまった。

「ゴンと……友達になりたい」

とても綺麗な言葉だ、そしてやっぱり私の名前がそこに入ることはなかった。
一緒に居て仲良くなれたと思っていた、笑ってくれていたし楽しそうに私の名前を呼んでくれた。
三次試験では試験が終わるまで待つといってくれたし四次試験では色々と世話を焼いてくれた。
でも私は最後の最後に最低なことをしてキルア君を怒らせた、ゴン君は友達になるのに資格なんて要らないって言っていたけど、きっと私にキルア君と友達になる資格なんてないんだ。
今こうしてキルア君が苦しんでいるときもそれを止めようとする事が出来ない。
それは私の力ではイルミに勝つことは出来ないという計算があり、このまま放っておいたとしても結局はうまくいくのだという打算があるからだ。
最終的に出てこられるとしてもここでキルア君はとても傷つくことになる、この先2,3週間ミルキの制裁を受けることになる。
それが分かっていてもやっぱり私の身体は動かない、レオリオが隣で怒鳴っている、どうして私はレオリオのように行動できないのだろうか。
イルミが試験官に針を刺しゴン君の居場所を聞きだした、ゴン君の下に向かおうとするイルミを止めるためにみんなが出口に立ちふさがる。
大丈夫、イルミはゴン君を殺せない、それはルール上そうだからではなくヒソカがいるから、ゴン君がヒソカのお気に入りである限りイルミにゴン君は殺せない、割に合わないから。
負けを宣言するキルア君を見ながらもう止めようかという考えが頭をよぎる。
ゴン君とキルア君が、クラピカとレオリオが、楽しく笑い会う風景を私が傍で見ようなんておこがましい考えだ。
もしハンター×ハンターの知識なんてなく4人に会うことが出来たら、もしそうなら私は4人とちゃんと友達になれただろうか。
お前に友達を作る資格はない、イルミの言葉が耳に残る、まるで私が言われているようだ。
――――結局その後も私はキルア君がボドロさんを殺して去っていくのを、何も出来ないまま見ているだけだった。










みんなと一緒に席に座って講習を受けている、何でまだ私はここに居るんだろう?
……あぁ、そうか、寝ないと現実世界に戻れないからか。
今夜戻ったら、もうこちらに戻ってくることはないだろう、だって私は間違えてしまったのだから。
――――講習の途中でゴン君が入ってきてイルミに詰め寄っていった。
友達になるのだって資格なんていらない、ゴン君のその言葉が胸に痛い。
そういえば試験が終わったらゴン君たちに念について教える約束だった。
……別にいいか、私が教えなくたってみんなちゃんと念に辿り着く、私が居ない方がみんなうまくいくんだ。
それもそうか、元々ここは私が居ない状態で完成されている世界、私が居た方が不都合が生じるのは当たり前のことだった。
――――講習が終わった、これでここを出てお終いだ、扉を開けて外に出ようとした私に後ろから声が掛けられた。

「ユイ!!ユイも一緒に行くよね!!」

それはもう問いかけではなく、当たり前のことを確認しているような言い方だったけれど、でも私はそれに頷くことは出来ない。
キルア君が太陽のようだといっていたのが良く分かる、眩しすぎて……直視できないけれど。

「私は……行けない、みんなだけで行ってきて」

眼を逸らしてそう言えば当然のように何で?と返される、断られるとは微塵も思っていなかったのはその顔はとても不思議そうだ。
でも理由は……言いたくない、最低なことをしてしまったから気まずくて会いにいけないなんて。
答えずに扉を出ようとするが腕をつかんで引き止められる。
なんでそんなに強引なの、行かないって言ってるんだからそれでいいじゃない!!

「私にキルア君に会いに行く資格なんてない!!」

とにかくはやく腕を放して欲しくて拒絶の言葉が口から出てしまう。

「友達に会いに行くのに資格なんていらないよ!!」

「私はキルア君の友達なんかじゃないもの!!」

ついそんな言葉が口から出てしまう、しかし本当のことだ、私はキルア君の友達になんてなれない。

「キルアのこと嫌いなの?」

静かに問いかけてくるゴン君に何度も首を振って答える。
嫌いなわけがない、みんなが好きだからこそ私はここに来ようと思ったのだから。

「私にそんな資格ない」

「資格なんていらないよ!!」

「いるよ!!もし蜘蛛のメンバーがゴン君と友達になりたいって言ってきたらどうするの!?クラピカがされたことを知っててそれでも友達になるって言えるの!?」

……最低の例を出してしまった、クラピカたちもすぐ後ろにいるというのに。
みんなの顔を見ることが出来なくて俯いた視線を上げられない、早くここから居なくなりたいのにゴン君は相変わらず腕を放してくれない。

「キルアに……悪いことしちゃったの?」

ゴン君に言い当てられてビクッと体が震える、分かったのなら早く腕を放して欲しい、もうここに居るのもつらいから。

「そっか、じゃあやっぱりキルアに会いに行かなくちゃね」

「え?」

思いもよらないことを言われてつい顔をあげゴン君の顔をまじまじと見てしまう、どこまでも透き通ったゴン君の眼がまっすぐに私を見ていた。

「友達に悪いことしちゃったなら謝らなくちゃ、大丈夫、キルアなら許してくれるよ」

笑顔でそう言ってくるゴン君に呆けて返事が返せない。
悪いことをしたら謝らなくてはいけない、確かにこれでもかというほどに正論だ、謝らずに逃げるなど最低なことだ、でも……

「会いたくない……」

それでも会わせる顔がない、このまま逃げさせて欲しい、それがさらに悪いことでも。

「ダメだよ、それにキルアにも試験が終わったらちゃんと話する約束でしょ、約束も守らないとダメ」

またしても正論、先ほど思いついて尚放棄しようとしていただけあって気まずい。
ほら、行こうと手を引くゴン君に抵抗できない、そう、確かにちゃんと謝らなくちゃ、謝るだけ……でも……

「諦めろユイ、こうなったゴンはてこでも諦めねーぞ、ユイも一緒に見てたんだから知ってるだろ」

レオリオが私の頭に手を置きながら言ってくる、確かにゴン君の頑固さは良く知っているけども……

「それに私もゴンの意見に賛成だ、きちんと事情を話せばキルアはちゃんと分かってくれるはずだ」

本気を出さないのはちゃんとそれなりの事情があったのだろう?と続けるクラピカ、さっきのこと怒っていないのだろうか。
そんなことを思いながら見つめていたのがバレたのだろうか、クラピカにも優しい笑顔で頭を撫でられた。

「先ほどのことは私は気にしていない。そうだな……友達になるのに多少の資格がいるというのは私も同意見だ。ただユイにはその資格はきちんとあると私は思う」

「ってゆーか、ゴンもユイもとっくにキルアのダチだろーってんだ。キルアもキルアだぜ、あそこでちゃんとユイの名前も出さねーからややこしーことになんだよ!」

「直前にあんなことを言ってしまった後だったからな、気まずかったのはキルアも一緒だったのだろう」

私の頭に手を置きながら両側でそんな話をするクラピカとレオリオ、手は相変わらずゴン君に引かれているし左右も塞がれ逃げ場がない。
というより逃げようという気が薄れてきている、そう、どんな結果になろうともとにかくきちんと謝らなければ、まずはそれからだ。

「ありがとう……」

小さな声でそう呟けばまた両側から頭を撫でられゴン君には振り返って笑顔を向けられた。
みんなからもらった勇気を持って、キルア君に謝りに行こう、パドキア共和国のククルーマウンテンまで。





































6/7投稿

この部分は大抵のSSでゴン君と一緒にオリ主も名前を呼んでもらえたり、殺されそうになったボドロさんをオリ主が颯爽と助けたりと原作の欝成分がなくなり爽やかになる展開が多い。
だというのになぜ私のSSではさらに悪化しているのでしょうか?
書く前はこんな展開にするつもりはなかったのに執筆中に勝手に展開が変更になり出来上がったらこんな感じになっていました。
前回といい今回といい行き当たりばったりに書きすぎている、こんなものを人様の眼に触れさせていいのでしょうか。
自己満足になっているのではないかという思いが捨てられません、批判が多いようなら全面的に書き直すことも考慮しています。
兎にも角にもこれにてハンター試験が終了、次回からゾルディック編が始まります。
しかし知ってのとおりゾルディック編は原作でも大した量がないのですぐに天空闘技場編が始まります。
原作と違った4人一緒での天空闘技場、やっとオリジナリティが出せる反面難易度も高まります。
がっかりさせる結果にならないように精一杯頑張りますのでよろしくお願いします。





[19256] HUNTER×HUNTERをプレイしてみた(仮) 第九話
Name: ユイ◆d2ec74bc ID:1dab45ea
Date: 2010/06/09 15:49


ただ今執事邸でキルア君が来るのをみんなと一緒に待っています。
ゼブロさんとシークアントさんの家で修行をし始めて20日目、ゴン君たちは全員試しの門を開けることに成功。
ただ観光ビザにまだ若干の余裕があったためみんな私が開けられるようになるまで待っているつもりだったよう。
片側だけであれば開けられるようになったので恐らくもう少しで1の扉は開けられたとは思うけど、これ以上待たせるのも忍びないのでこっそりと纏をして足りない分を補い私も1の門を突破、無事みんなで本邸を目指し始めました。
カナリアちゃんやキキョウさん、カルト君にも原作通り遭遇しカナリアちゃんに案内してもらって執事邸に来たところ。
コインゲームは思考の加速があればゆっくりに見えるので問題なく正解、ただもうすぐキルア君が来ると思うと色々なことを考えてしまい、なまじ思考の加速を行っているので考える時間は大量に、なんか段々怖くなってきた。
そうこうしている間にゲームは終了、近づいてくるキルア君の声が聞こえた。

「ゴン!!あと、えーとクラピカ!!リオレオ!!……ユイは?」

名前を間違えられるレオリオ、私はと言うとなぜか体が勝手にソファーの陰に隠れてついでに絶をしています、こんなことをしている場合じゃないのに、ちゃんと出て行って謝らないと……

「いた、ユイ」

あっという間に見つけられる、それはそうか、広いとはいえ部屋の中少し回り込めばもう姿が見えてしまう。

「あ……の……」

うまく言葉が出てこない、会ったらなんて言って謝ればいいか飛行船の中で散々考えていたはずなのに全て抜け落ちてしまった。

「ユイ、その……悪かったな」

「……え?」

一瞬何を言われたのか分からなかった、どうしてキルア君が私に謝る必要があるのだろうか?怒らせてしまったのもその後何も出来なかったのも私だというのに。

「あの時はじじぃの言葉にちょっとイライラしててさ、その後は兄貴と自分のことで頭いっぱいで周り見えてなかったんだけど……家に帰ってきてからあの時のこととか思い返してさ、壁際でうずくまってるユイの姿が浮かんで、オレが八つ当たりなんてしちゃったからさ、だから……」

ずっと謝りたかったけどもう会えないと思ってた、来てくれてすっげー嬉しい、と続けたキルア君。
あの状況で私のことを気にして、家に一人でいる間にも私のことを考えていてくれていたのか、私はキルア君に何も出来なかったというのに。

「……うっ……ぐすっ……うぅ、ふぇ……」

私のほうこそきちんと謝らないといけないのに、嬉しくて涙が止まらない。
キルア君が泣くなよ、悪かったって謝ってくる、違うそうじゃない、キルア君は何も悪くないの。

「ほらユイ、言うべきことがあるのだろう?」

クラピカにそう言われ何とか言葉にしようとしても、言おうと思っていた言葉は相変わらず抜け落ちたままで、私は涙で途切れ途切れになりながらただ2つの言葉を繰り返すだけだった。

「ありがとう……ごめんなさい、ぐすっ……ありがとう……」

こんな私のことを気にかけてくれてありがとう、キルア君が苦しんでいるときに助けてあげられなくてごめんなさい。
今度は間違えないから、間違えないように頑張るから、みんなが笑っていられるように私も精一杯のことをするから。

「ありがとう……」

これで仲直りだねってゴン君が笑顔で言ってくる、レオリオはゴンとユイと友達になりたいだろー、今からでも言い直せなんてキルア君に言って顔を真っ赤にしたキルア君から逃げ回ってる。
そこにいるみんなの顔は誰も彼も笑顔で、泣いていたはずの私も気付くと一緒に笑ってた。
みんなが笑っているところをただ隣で見ているだけじゃなくて、私もみんなに笑顔をあげられるように、みんなが私に笑顔をくれる分だけ私もきっと頑張るから。
歩いていこう、みんなで一緒に、どこまでも。










はやく出発しようぜとのキルア君の言葉で執事邸を出て試しの門へと向かう私たち、その途中で思い出したようにキルア君が話しかけてきた。
試験が終わったんだから早く念について話せと、その隣ではキルア君を連れ戻したら一緒に聞くと言っていたゴン君たちも待ってましたという顔をしている。
もう隠しておく必要はない、私はみんなに念についての説明をしながら実例として試しの門を練をしてあけてみた。
開かれるのは3の扉まで、地力の足りない私では練をしても念を知らないキルア君と同じ、でもみんなは確かに私が1の扉までしか開けられなかったのを知っているので例としては十分。
キルア君たちは練をしたらどこまで開けられるというのだろうか、やはり私はまだまだ修行不足なのだ、念を知っているというアドバンテージがなくなったらすぐにみんなに抜かれてしまうかもしれない。
……いや待て、3の扉だぞ、16tだぞ?うん、十分異常だ、私は異常、私は異常……ダメだ、なんか悲しくなってきた。
私の中の普通と異常の境目が限りなく上方修正されていることに若干のショックを感じフリーズしていたがキルア君たちに現実へと呼び戻された。
意識を取り戻した私はそれから纏・絶・練の説明をし、今のが練により自身の身体能力を強化した結果だと説明、水流操作は発と呼ばれるもので私特有の必殺技だという説明もした。
念と燃についての基本的な事柄を説明し終えたとき、みんなからあげられるのは当然どうすれば念を扱うことが出来るのか。

「念に目覚める方法は2通り、ゆっくり起こすかムリヤリ起こすか」

当然ゆっくり起こすほうが確実でムリヤリ起こす方には危険が伴う、だからみんなには出来ればゆっくり起こして欲しい。
でも当然ながら希望されるのはムリヤリ起こす方法、でも私はウイングさんのように自信を持ってみんなに念を送り込むことなどできはしない。
なのでみんなにはこれから修行として天空闘技場に向かうこと、それまではゆっくりと起こすようにして欲しいこと、そして天空闘技場の200階に辿り着くまでに念に目覚めなかったらムリヤリ起こすことも考えるといっておいた。
もちろんそんな事態になったらウイングさんに頼み込む気満々だ、言わないけど。
でもみんなならおそらくゆっくり起こすやり方で十分間に合うような気がする、みんなが200階に辿り着くまでの時間はおそらく10日ほどであるはずだ、そしてここから天空闘技場に行くまでも何日かかかる。
ゴン君たちはゆっくり起こすやり方でも1週間かからないかもしれないとウイングさんに言われていた、2週間あれば足りる可能性は高い。
ゴン君たちはそれで納得してくれたようだがレオリオは少し悩んでいるみたい。
それはそうだろう、レオリオは他の3人と違い医者になることが夢で直接力を求めているわけではない、ただ私はレオリオのような人にこそ念能力を覚えて欲しい。

「レオリオ、一緒に来るかどうか悩んでる?」

「まぁ……な、医者になるためには猛勉強しなきゃいけないしよ、念の修行と頭の修行を両立出来るって言えるほどオレは要領よくねーからなぁ……」

「確かに難しいだろうけど……念能力は基本的な技術はみんな同じ、でも発と呼ばれる必殺技は人によって違い千差万別、どんな能力にするかは全てその人次第。だから……レオリオが望むなら、そしてそのための修行を怠らないなら、瀕死の重症でも不治の病でも癒す力を得ることも出来るかもしれない」

治療に最適な系統は強化系だ、大天使の息吹の能力者も強化系である可能性は高い、でもレオリオはほぼ間違いなく強化に近い放出系だろう、治療系の能力にしたとしたら相当な効果を得ることが出来るはずだ。
制約とそして修練次第では本当に大天使の息吹並の回復力にすることも可能かもしれない。

「そんなことも出来るのか念ってのは!?」

「戦うだけが念の全てじゃない、人の内蔵エネルギーを使うわけだから分け与えるという考え方をすれば治療に使えるのはむしろ自然な考え方」

医者になるのに必要な時間、受験勉強に1年、大学に6年、インターンに数年そう考えるとものになるまでにかなりの時間が必要になる。
念であればものになるまでであればそう時間はかからない、それだけの時間があれば効果も確実にあげることが出来る、専門が出来る医術よりももしかしたら汎用性も高いかもしれない、何しろ外科と内科両方に効く能力に出来る可能性が高いのだ。
そういったことを説明する、無理について来させようとは思わない、4人が一緒にいるところがみたいとは言ったがそれはそれぞれの夢を邪魔してまで叶えたいわけではない。
ただ私は原作を読んでいるときからレオリオこそ念の習得をすべきだと、レオリオの夢の実現には念が一番近道だと思っているだけだ。










今は飛行船の中、パドキア共和国を出発してから今日で3日目の夜だ。
飛行機と違い飛行船は時間がかかる、パドキアから天空闘技場への移動は大陸をほぼ横断する、それでも明日の昼には天空闘技場へつけるらしい。
窓から外を眺めながらジュースを飲み、これからのことを考える。
結局レオリオは一緒に来てくれることになった、念を覚えて治療系の能力を作るらしい。
あれからみんなはずっと念に目覚めるための修行をしている、いつ目覚めてもいいように纏をする際のイメージは既に伝えてある。
なるべく一緒にいるようにはしているがいくらみんなでもやはりこんな短時間で目覚めることは無理なようで、やっていることも静かに座禅を組み瞑想することなので、その、何と言うか……暇になって外の景色でも見に来てしまったのだ。
とは言っても暗くてよく分からない、街明かりが綺麗だとは思うがずっと見ていては飽きてくる、気分転換も済んだしみんなのところに戻ろうかと持っていたジュースの残りを口に含んだ矢先後ろから声が掛けれた。

「ユイ!!見て見て!!」

近づいてくるオーラはゴン君と、キルア君だ、何か面白いものでも見つけたのかと振り返った私は危うく口に含んでいたジュースを噴出しそうになった。
纏が出来ている、2人ともだ、思ったより時間がかかっちゃったねーとかオーラに包まれた感触について話している。
確かにウイングさんは1週間よりも短い期間で目覚める可能性もあると言っていた、1週間以下ということはつまり7日以下で、だから7より小さい数字なわけで3日はそこに含まれるわけで、つまり何を言いたいかというと……

「はやっ!!」

もうその一言に尽きる、どうなっているのだろうかこの天才児2人は、これがビスケに原石と称えられる力なのだろうか。
次はどうすればいいの?と聞いてくる2人にどうすればいいかなと自分自身に問いかける。
この2人ならきっと練を教えれば着くまでに会得するだろう、実際原作でも知ったその日のうちに覚えていた。
いやしかし普通の勉強でも出来たからといってどんどんと次へ行かせるのはあまり賢いやり方ではない、纏を覚えてから練を習うまで2ヶ月に及ぶ点の修行をはさんで纏の性能をあげていたのだ、この2人は。
まずは自然体で纏が出来るようにそれこそ寝ていながらでも維持できるように纏と点の修行を繰り返させるべきだろうと考え、その旨を2人に伝える。
少なくとも200階に到達するまではひたすらに点と纏の修行だけを繰り返してもらおう、190階以下であれば練を使う必要もない。
さて、クラピカとレオリオの調子はどうだろうか、末恐ろしいという言葉の意味を深く深く理解しつつ2人に比べればまだ理解の範疇である2人の下へと向かった。
――――この後結局翌朝にはクラピカ、飛行船を降りる前ギリギリにレオリオが纏を覚えた時にはこの4人はそういう人たちなのだと、もうこの先何があっても驚くのは止めようと心に誓った。































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ゾルディック編ほぼ全省略、変更点がほぼないし書いても仕方がなかった。
1の扉開けられるか開けられないかだったのが3の扉が開けられたら大体4~5倍の強化がされている事になる。
通常状態と練の状態でどれだけ差がでるのだろうか操作系である以上肉体強化の性能は60%ほどのはずだが……
大体こんなものだろうという予想でしか書けない。
レオリオの資質が他3人に比べて低いと考える人もいるかもしれないが私は大差ないと考えている、短時間で2の扉が開けられるようになっていることからもレオリオも才能豊かな人であるのは確かだろう。
多少の差はつくかもしれないがこれからも4人はほぼ同じペースで成長してもらう、ゴン君とキルア君の方が速く成長するはずだと思う人もいるかもしれないが私のSS内ではそういうことにして欲しい。




[19256] HUNTER×HUNTERをプレイしてみた(仮) 第十話
Name: ユイ◆d2ec74bc ID:1dab45ea
Date: 2010/06/11 17:01

天空闘技場についてからは経験者のキルア君に案内を受けみんなで選手登録、いくら快勝しても一日に組まれる試合には限りがあるため一日のほとんどの時間を各自の修行に費やした。
みんなは基本毎日纏と点、私はそれに練も加えてみんなと一緒に基礎訓練、それからみんなに少しずつ時間をもらって組み手の訓練。
今までの私は相手の動きを眼で見て動きを予測、それに対して自分がとるべき行動を考えてから身体を動かしていた。
戦闘というものの経験がない私はそうするしかなかったのだが、それによって起こるのはわずかな初動の遅れ、それによって相手の動きが眼では追えているのに体がついていかないという状態になっていた。
それを解消するためにはとにかく戦闘というものに慣れ、頭で考えなくても反射で体が動くようになるようにするのが一番であると考えた私は念を使わない組み手をみんなにお願いしたと言うわけだ。
190階以下の戦いも参考になるかと思ったが相手の動きが遅すぎて参考にならない、みんな一撃でダウンしちゃうし。
キルア君とゴン君は原作通り通り名までついて注目されている、クラピカとレオリオも全ての試合を一撃で終わらせているが2人が注目されたのは子供であることが大きかったのだろう、ゴン君たちほどは騒がれていない。
私はと言うと恥ずかしい通り名で呼ばれるのは勘弁してほしかったので特に決まった戦い方はしていない、それでも階があがっていくとどうしても知名度は上がってしまうらしくすれ違いざまに振り返られたり遠目にひそひそと話されるようにはなってしまった。
そういえばキルア君は原作通りズシ君と戦っていた、まぁお互い纏を覚えた同士になってしまったせいもありやはり原作通り一方的な試合になってしまったが……ウイングさんの姿も確認したので天空闘技場での修行が終わったら裏ハンター試験の合格をもらうために会いに行こうとは思っている。
そして今日はとうとう私たち全員が200階へとあがる日、200階の闘士は全員が念の使い手であることは既に教えているのでゴン君などは楽しみで仕方がないといった表情だ、これはきちんと釘を刺しておかないと原作通り纏しか使えない状態で戦いかねない。
――――ヒソカの視線を身長の高いレオリオを盾にして受け流し、現在みんなで200階の闘士登録をしている。
後ろにはやはり天空闘技場の3バカたち、しかし今のみんなにとってはまだ格上の相手だ、まぁすぐに追い抜けることは確かだけど。
いつでもOKにサインしようとするゴン君を念を込めた拳で軽くはたいておく、原作と違い近くに念を教えている私がいるというのに何を考えているのだろうか、この子は。

「準備期間が3ヶ月もあるんだから焦らない、纏しか覚えていない今の状態で未知の相手と戦うのはリスクが高すぎる」

「でもオレこの力でどんなことが出来るのか、早く試してみたいんだ!!」

纏を完全にマスターするまで念による戦闘は控えようとしていたのが裏目に出たのだろうか、ゴン君にとってはお預けをくらったような状態であったらしい。
かと言って纏だけしか使えない状態で戦わせるわけには行かない、貴重な1ヶ月を怪我で失うわけにはいかないのだ、オークションまで後半年ほど、1日でさえも無駄にしたくない。
試合が明日になっても今夜練を教えれば勝てるかもしれない、いや勝てる可能性のほうが高いだろう。
しかし急いでるからといって焦って詰め込むのは良くない、それだけは絶対だ、今は纏を完全にすることが先決、だとすると……

「どうしても戦いたいなら私が相手になる、それでどう?」

あいつらと戦わせるくらいなら私が相手をしたほうが安全だ、ゴン君と私ではまだまだ私のほうが格上、大怪我をさせないように戦うことも出来る。
ゴン君もそれで了承してくれたのでまさかのゴン君VS私が実現、ゴン君が早く試してみたいというので試合日は明日だ。
ゴン君に許可した手前キルア君たちにもやりたいのなら相手になるといっておいたが、とりあえずゴン君の試合を見てから判断するらしい、賢明な判断だ。
明日はどうやって戦うか、予想外というかある意味では予想された展開に頭を悩ませながらとりあえず与えられた個室で休むことにした。










「さぁ、今日は大注目の一戦です!!破竹の勢いで勝ちあがってまいりましたゴン選手とユイ選手が早くも登場!!」

ノンストップで勝ち上がってきた新人、しかも2人とも子供とあってか会場内にはかなりの人がいる。
とはいえ、あらかじめ試合が決まると同時にチケットを買いに行ったためキルア君たちは最前列をキープしているし問題はない。

「ユイ選手の周りには大量の水!!姫に付き従いその身を守る騎士の如くユイ選手を包み込んでおります!!」

天空闘技場では地面が遠く、また壁に穴を開けるのもはばかられるためあらかじめ水を纏って試合に臨んだ、武器の持ち込みは自由なのだ何も問題はない。
好奇心旺盛も結構だが危険を顧みない行為がどれほど危険なものであるのか、怪我をしない程度に理解してもらおう。

「ポイント&KO制、ゴンVSユイ 始め!!」

手始めに10個の水弾を作り出しゴン君に向けて飛ばす、まだまだ複数の水弾をマニュアルで動かすのは難しいのでほとんどはオートだ。
込める命令は対象者を円周上に乗せての回転運動、そしてギトの独楽と同じくお互いにぶつかった際は方向転換。
縦横無尽に回る水弾に対応しきれず弾き飛ばされるゴン君、ほとんどは不規則ではなく規則のある動きをしているのだが今のゴン君はそれを瞬時に見切り対応できるほどではない。

「クリーンヒット、ユイ!!1-0!!」

そしてオートの水弾に対応できたとしても2~3個であればマニュアルで動かせる、私は操作系だ、遠距離勝負こそ私の土俵。
避けきれず攻撃を喰らうゴン君、クリーンヒットやダウンで私にポイントが加算されていく。
このままでは埒があかないと判断したのだろう、一直線に私に向かってくるゴン君。
強化系VS操作系であれば接近戦に持ち込むことが強化系の基本、しかしそれはゴン君がそれなりの使い手になってからの話だ。
練も使えない今のゴン君では……

「あーっと!!ゴン選手接近戦を試みるがユイ選手を包み込む水に取り込まれたー!!」

私の水を弾き飛ばすほどの力を出すことは出来ない、つまり今のゴン君では私に触れることすら出来ないと言うことだ。
水で取り囲んだままゴン君を場外まで運び壁に叩きつける、役目を終えた水は瞬時に私の元へ戻り再度私を包み込む。
これを弾き飛ばすには相応の力を込めるしかない、それこそゴン君のジャンケングーのような、水というのは衝撃を吸収させるにはかなり優秀だ、攻撃面はまだまだ考えることが多いだろうが防御性能は結構高いかもしれない。

「クリティカル&ダウン!!3Pユイ!!6-0!!」

ゴン君の修行になればとギト戦の再現になるように戦ってみたがこの戦い方はやはり強い、というよりもこの戦い方は操作系にこそあっている気がする。
操作と相性の悪い強化系では複雑な操作を行うことは出来ない、竜巻独楽は悪くない技だとは思うが舞踏独楽は一定以上の使い手には脅威ではないだろう。
ゴン君は回避に全力を注ぐためだろう、纏を解き絶をし精神を集中させる。
こちらに向かってきたときにも思ったが原作よりも対応が早い、間違った対応である以上褒めることは出来ないが……しかしどうしよう、絶の状態のゴン君に攻撃を当てたら大怪我をさせてしまう。
水弾に込めるオーラの量を減らし威力を下げる、形と操作性を維持できるギリギリまで、これで何とかなるだろうか?
ある意味こちらの方がヒヤヒヤしながらオートの水弾の中にマニュアルの水弾を織り交ぜゴン君を隅へ隅へと追いやっていく、自動で動く独楽じゃないんだ追い詰めるのに1時間もかからない。
――――当たる、ガードの上から当たるように意識して少し軌道をずらす、大丈夫だろうか、怪我をしないといいが……

「!!」

ポイントは……入らない、きちんとガードをしたしダメージもほぼないからだ、驚いた、纏を覚えた翌日に即戦ったのではなく約1ヶ月の期間があったことはきちんとゴン君の糧になっていたらしい。
避けられないと判断した瞬間纏をしてガードをしていた、威力を下げていたから弾き飛ばすことも出来ていない、あれほど素早く纏の状態に移れるようになっていたのか。
纏でガードされるのならばもう少し威力を上げなければ……失敗されたら怖いがこのままでは試合が終わらない、ゴン君を信じることにしよう。
――――リングの隅まで追い込んだところで自身を守っていた分の水も動員し逃げ場をなくした上でゴン君を水で包み込む。
そのまま場外に弾き飛ばして終了、マニュアル操作にも段々と対応されつつあったし少し長引いてしまった、操作系なのにほとんどオートで一定の動きなのはな……10個も20個もマニュアルで動かすのは無理があるだろうが少なくとも複数の指示を与えて水弾の動きをもっと複雑にしなければ、ギトのこと言ってる場合じゃなかったな。

「クリティカルヒット、ユイ!!10-0!!勝者ユイ!!」

さて、原作以上に口をすっぱくして念能力者との戦いの最中纏を解く危険性を言っていたというのに……結果大丈夫だったとはいえ勝負に夢中になって教えを破ったゴン君にはみっちりとお説教を受けてもらいましょうか。










私の部屋にみんなで集まって今日の試合の考察会、ゴン君は試合中に纏を解くなんて対戦相手が私でなかったら大怪我をしていたかもしれないと私に散々怒られたので私の隣で小さくなっている。

「ってゆーかあの水は卑怯だろ、ほとんど絶対防御じゃん!!」

各自思ったことを言って欲しいと言って始まった考察会でキルア君がいきなりそんなことを言ってきた。

「そんなことないよ、私が水に込めているオーラ以上の力を出すことが出来れば弾き飛ばすことも出来るもの」

修行して基本のオーラ量が同程度になったとしても、ウヴォーのビックバンインパクトやフランクリンの念弾はまず間違いなく防げないだろう、操作系はガチンコ勝負は分が悪いのだ、今回力押しで勝てたのはまだまだゴン君が未熟だったからだ。

「水流操作はユイ独自の能力だと以前言っていたな、私たちもユイのそれに匹敵、対抗できるような能力を会得する必要があるということか?」

「地力で上回れば能力がなくても勝てるようになる、念にも人によって得意不得意があるから接近戦が得意な人は能力を使わなくても十分勝てる可能性はあるだろうし」

とは言っても私も簡単に負けるつもりはない。
ただの接近戦なら強化系VS操作系は100VS60で打ち負けてしまうが、身体を覆う水で攻撃を緩和することができれば相手の100を下げることもできるということだから。
遠距離も近距離も一定以上に戦えるようにしなければ、少なくともみんなはそうなることが分かっているのだから。
あ、レオリオだけはまだどうなるのか分からないけど。

「その得意不得意ってのはどうすれば分かるんだ?」

「6種類ある念の系統を調べる手段があるからその結果で大体のところが決まる、それをやるためには練が出来ないといけないから今はまだ出来ないけど……」

練に移るタイミングが難しい、ヒソカとカストロの試合が1ヵ月後、そのときには練を習得して凝をしながら試合を見られるくらいにはなって欲しい。
みんなが纏を覚えてもうすぐ1ヶ月経つ、みんなとても自然に纏を行えるようになってきたしそろそろいいだろうか。
ゴン君も試合中に見せた絶から纏へのシフトは速く自然だった、毎日の纏と点をしっかりやっていた証だろう。

「後1週間くらいでみんなが纏を覚えてちょうど1ヶ月経つから、そしたら練の修行を始めよう」

練が扱えるようになれば水見式が出来る、クラピカは具現化系だ、鎖を具現化するのに時間が必要だからこのくらいでちょうどいいだろう。
その後も絶をして感覚で全部の水弾を捉えていたゴン君も、上から全体を見るようにしていたみんなにも分かっていたのだろう、水弾に込めたオートの命令、中に織り交ぜたマニュアルの水弾等についていくつか質問を受けてからまた各自基本の修行へと入っていった。






































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纏や練の性能が上がるということは力強さが上がることに加えその状態に移行する速度があがるということだと思う。
原作でもゴン君が2ヶ月に及ぶ点の修行の後、以前よりも速く自然に行えたとウイングさんに言っていた。
纏を覚えて1ヶ月、避けきれないと判断してから纏を行うくらいの実力はついたと思っている。
ゴン君たち4人にギトたちと戦わせようとしたら全員がやる前にギトたちが下に落ちてしまう、割り振ればいいのだろうか?




[19256] HUNTER×HUNTERをプレイしてみた(仮) 第十一話
Name: ユイ◆d2ec74bc ID:1dab45ea
Date: 2010/06/12 18:41


「今日から練の修行を始める。纏は自然とあふれ出ているオーラを肉体の周りに留める技術、それに対して練は通常以上のオーラを自分の意思で生み出す技術。でも大量のオーラを生み出せばそれは普段以上に外へと逃げ出そうとしてしまう、だからこそみんなにはこの1ヶ月ひたすらに纏の修行をしてもらった」

来る日も来る日も纏と点、190階以下にいるときと違い試合もないので毎日修行だけに費やしてきた。
その結果みんなの纏はとても綺麗によどみなく流れている。
これならば練で生み出した大量のオーラもきちんと扱うことが出来るだろうとこの間言ったとおり纏を覚えて1ヶ月、みんなに練の修行にすすむことを告げた。

「まずは体内にエネルギーをためるイメージ、細胞の1つ1つから少しずつパワーを集めどんどんどんどん増えていく感じ。そして蓄えたその力を一気に……外へ!!」

みんなの前で練を実演する、私もみんなと一緒に毎日纏と点、そして練の修行を行っていたためトリックタワーで初めて使ったときに比べ練の力強さが格段に上がっているのが自分でも分かる。

「分かる?」

「あぁ、纏と違って近くにいるとかなりの圧迫感がある、前にも感じたことのある感覚だ」

「うん、オーラが充満してるのがすごく分かるよ!」

クラピカとレオリオに視線で問えば2人ともうなずいてくれる。

「念での戦闘は練が基本、纏を覚えただけではまだ念を知っただけで入り口に立っただけの状態」

「ヒソカが纏を覚えたくらいでいい気になるなよって言ってたのが分かるぜ」

「念は奥が深い……か」

とはいえ練でさえもまだ入り口、纏、絶、練、発が全て出来てやっと基本を修めたことになるのだから。

「あと……これ、念で作り出した念弾、どのくらいの大きさに見える?」

「テニスボールくらい?」

「だな、それくらいだ」

「うん……じゃあ今度は?」

「ピンポン玉くらいだな」

「うん、実はこれさっきと大きさ変わらないの」

「えぇ!?」

驚いた声をあげ眼を凝らして念弾を凝視してくるゴン君、後ろで考え込んでいたクラピカが何かに気付いたように顔を上げた。

「念は……見えなくさせることが出来るのか」

「クラピカ半分正解、正確には見えにくくしてるの。絶を応用した高等技術、陰。これを使えば相手に気付かれずに念による攻撃をすることが出来る」

みんなの顔が若干強張る、陰を見破れないことの危険性を想像し理解することはできたみたい。

「これを見破るにはオーラを眼に集め眼の働きを強化してオーラを見やすくするしかない。そういったオーラを一箇所に集める技術を凝という。みんなのこれからの課題は練を出来るようにし凝を習得すること」

練と凝さえ覚えてくれれば天空闘技場レベルであればもうさほど問題はない、練が出来れば発の訓練も出来る。

「天空闘技場でみんなを安心して戦わせるには戦闘中にも凝が維持できるレベルになって欲しい。戦闘準備期間はまだ2ヶ月以上あるから、きっとみんななら余裕で大丈夫」

きっと練や凝を覚えるだけなら今日中にも終わらせてしまうのだろう。
しかし戦闘中練を維持し続けることが出来るか、常に凝を行ったまま戦闘をすることが出来るかといったらそれは否だ、みんなには出来ればそのレベルになってから試合に出て欲しい。
ギトたち以外にも闘士はいるのだ、もし原作に出てきていない敵と戦うことになったときに敵の能力を見破れない状態で戦うのは危険すぎる。

「じゃあまずは練の訓練から、いくよ」



………

……………

「力を蓄えるイメージは出来た?そしてその力を一気に外へ!!」

外への合図と同時にみんなからあふれ出る大量のオーラ、問題なのはあふれっ放しだということ。

「外へと逃げ出そうとするオーラを体の回りに留める!!留められないと全身疲労で立てなくなるよ!!」

徐々に徐々に、あふれ出ていたオーラが身体の周りに留められていく。

「出来た!!」

「うん、それが練、いつもより力が漲ってる感じがするでしょ?」

「あぁ、でもこれやってるだけで疲れていく感じがするぜ」

「それはそうだよ、纏は通常漏れ出してるオーラを留めているわけだから体力を温存できて疲れにくくなる、でも練は自分から大量のオーラを生み出してるわけだから」

「常に全力で走り続けているような状態ということか……」

「そ、だからこうやって立って会話をしているだけでも練をしっ放しだと……」

みんな練が解けひざをついてしまう、1分も経ってないけど最初はそんなものなのかな?身体の周りに留める前に大分あふれさせて無駄にしてたし。

「オーラの絶対量は体力と同じで訓練すればするほど増えていく、技術が上がれば無駄も減って消費するスピードも減っていく」

「ユイはどれくらい練を維持できるの?」

「ただ立って練を維持するだけでいいのなら30分くらい、でも全力で戦闘を行ったらたぶん10分もたないくらい」

「短いな!?」

「キルア君は練がちゃんと出来るようになってもたぶん今もって3~4分だよ?」

私たちはまだまだPOPもAOPも低すぎるのだ、私でたぶん5000くらい、キルア君たちはまだ1000くらいじゃないのかな?
原作でゴン君がナックルと戦う時点で約21500、これは堅、流などを交えた戦闘行為が3~40分程度持つレベル。
これで中堅ハンタークラスって呼ばれてるんだから発にはもっとオーラを食うことを考えると念能力者同士の戦闘は数十分、早いと10分程度で終わるのが基本なんだろう。
戦闘中、つまり堅を常に維持し場合によって流を行い、相手の攻撃を見破るために凝を維持しつつ水流操作も行うとするとPOP5000程度であろう私は確実に10分もたない。
キルア君たちはまだ応用技が使えないから逆に1秒に消費するオーラが少なくて、それでもPOPが低いから恐らくもって3~4分。
これでもう半年足らずで旅団に喧嘩を売ろうとしている、冷静に考えれば考えるほど自殺行為だ、出来ればもっと時間が欲しい。
でも旅団の動きが正確につかめるのはヨークシン編ぐらいしかない……でもそれを考えるのはもう少し後になってからだ、今は少しでも、少しでもみんなを強くすることを考えなくては。

「練が出来るようになったらとにかく毎日纏と練、体力トレーニングみたいな感じ、基礎体力をつけてオーラ量を増やす。私も含めて私たちはみんなオーラ量が今絶対的に足りてない、まともに戦おうと思うのなら30分は戦闘行為を維持できるようにならないとダメ」

ついでとばかりにMOP、POP、AOPの話もしておく、現時点大体みんながこれくらいであろうという予想も含めて。
旅団のPOPはどれくらいだろうか?モラウたちと旅団はどちらの方が強いのだろう、さすがにモラウたちかな。
だとすると大体5万くらいだと思っておけばいいだろうか、それでもはるか遠い話だ、頭が痛い。

「日々のトレーニングの結果でオーラ量が決まるんだろ?つまり先に念を覚えた奴に勝つのは難しいってこと?」

「オーラ量の伸び幅にもやっぱり個人差がある、みんなは確実に才能があるからいつまで経っても追いつけないってことはない。時間を掛ければ段々差は縮まっていくはず、でもさすがにすぐに埋まるわけじゃない」

クラピカが拳を握り締める、クルタ族が旅団に襲われたのは4年前だ、少なくとも4年前には旅団が念を使えたことになる。
対してこちらは念を覚えてからわずか半年で旅団に挑むことになるのだ、オーラ量では確実に勝てないのは理解できたのだろう。

「だから勝つのは難しいのか、という質問の答えはやっぱりYES、でも方法がないわけじゃない。念での戦闘の勝敗はオーラ量の多寡だけで決まるわけじゃない、長く戦い続けられるPOPがあっても短期決戦で負けたら意味ないし一度に大量のオーラをあやつるAOPがあっても当たらなければ意味はない、全ては戦い方次第」

発も覚えていない今の状態で話すことじゃないけど制約と誓約もある、戦い方は色々ある。

「そういった方法は説明できる時期になったらちゃんと説明する。今はとにかく自分のことに集中、練をもっと素早く出来るようにすることと凝を習得すること、この2つのことを今は考えて」

目の前にあることを1つずつこなしていって、そして9月1日の時点でもてる全てをぶつければいい、勝ってみせる、クラピカのためにも、私のためにも。

「1つの試合の間凝を維持できるくらいになったら、闘技場の他の闘士の試合を見に行く。戦いながら凝をするのは難しいからまずは人の試合を凝をしながら見続けられるようになろう」

「よし、じゃあ体力が回復するまで点の修行!回復したらまた練の修行をやるよ!」

「「押忍!!」」

あれ?なんか今聞きなれないことを言われたような?

「ゴン君?キルア君?どうしたの?」

「いや、なんかうつっちゃって……」

何が?

「ほら、オレが50階で戦ったズシっていう念を使えたやついたじゃん?」

「あぁ、うん。あの男の子ね」

「そいつが心源流って流派の師範代と一緒に修行にきてるらしくてさ」

ウイングさんっていうんだ、とゴン君が続けてくれる。あの2人と原作通り面識が出来てたのか。

「で、そのウイングさんの言葉にズシ君が押忍って答えてたのがなんかうつったと?」

「「押忍!!」」

「まぁ気に入ってるならいいけど……」

「なるほど、我々は教えを受けている身、きちんとした返答は必要だな」

「いや、やめて?2人はいいけどクラピカとレオリオはやめて?くすぐったいから」

「いや、やっぱりせっかく教えてもらってるってのにあぁとか分かったとかじゃしまらねーよな」

しまるとかしまらないとかどうでもいいから止めよう?

「とりあえず点の修行やるよ……?」

「「「「押忍!!」」」」

どうしてこうなった……。










トントントン

「はい」

扉が開かれる、そこに居るのは優しそうな顔のちょっと寝癖が目立つシャツのはみ出たお兄さん。

「こんにちはウイングさん、初めまして。私ゴン君とキルア君の友達でユイといいます」

みんなが部屋で修行している中、一人ウイングさんのホテルにお邪魔しに来ました。
原作通り面識がもてたのなら一度会ってみたいと思ったのだ、きちんとした師範代のお話をちゃんと聞いてみたかった。

「はい、初めまして、心源流師範代のウイングです。彼らから話は聞いていますよ、彼らに念を教えているそうですね?」

「はい、そのことで色々とご相談があってお邪魔しました」

「そうですか……どうぞ、入ってください」

「お邪魔します」

部屋に入るとズシ君が修行中だった、押忍と挨拶してくれる。
ウイングさんにズシ君のことを紹介してもらい、構わず続けてねと断ってからウイングさんに色々と質問をしていった。
私のやり方は所詮見よう見まねだ、みんな理解が速く才能もあるのできちんとついてきてくれているが感覚的にしか説明できない私の説明で本当に大丈夫なのか、実は結構不安だったのだ。



………

……………

「指導の内容に関しては特に問題ないと思います、言っていることは的確ですし、彼らの纏を見ればきちんと修練を行えているのがわかります」

「ありがとうございます」

貴方の受け売りをそのまま言っているだけですからと言う意味も一緒に込めてお礼を言う。

「ですがテンポが速いのは若干気になりました、才能豊かな彼らは問題なくそのペースについていけているようですが平均と比べるとはるかに早い、何か急ぐ理由があるのですか?」

なるべくゆっくりとするようには心がけていたがやはり早かったか、確かに纏から練に移るタイミングは原作に比べ1ヶ月早い。
でも出来れば9月までに、ある程度の使い手とも渡り合えるような、それが無理でも最低限逃げられるくらいの力をつけて欲しい、少しでも実力を上げておきたい、そういったことを伝える。

「そうですか……ですが焦りは禁物です。基礎が不十分なまま応用に手を出せばせっかくの才能が潰れてしまうかもしれない。まずは毎日ひたすら纏と練、そしてその間にも休息を挟むことを忘れてはいけません」

「休息……ですか?」

「君たちはまだ子供です、器も出来ていない。今は出来るだけ自分の器を大きく育てなさい。鍛錬に励むのは良いことです、ですがそれと同じくらい人生を楽しんで下さい。修行と息抜きと睡眠の時間は等しくとること、健全な成長の基本です」

そういえば最近は修行ばっかりの毎日だった……明日、みんなとどこかに遊びに行ってみようかな?

「ありがとうございます!ウイングさん、これからも何かあったらお邪魔してもいいですか?」

「えぇ、構いませんよ、私の携帯番号です、何かあったらいつでも連絡して下さい」

「はい!ありがとうございます!!」










「……あ、私携帯持ってない……」

宿に戻る途中、そんなことを思い出しレオリオに頼んで早急に携帯を手に入れようと心に誓ったそんな日でした。





































6/12投稿

POP計算を見よう見まねでしてみたら最初ギトのPOPがとんでもないことになった。
とりあえず私の中ではギトは竜巻独楽をやるとき意外は纏の状態で突っ立っているだけということで解決したが……
最初1時間に及んだゴン君VSギト戦を3600×10からやり始めて吹き出した、あれはなかった、ギトがモラウレベルの使い手になってしまった。
G・Iまではゴン君たちは基本纏の状態で戦ってたんだなぁと結論、パクの腕折ったときとかマチに蹴り入れたときとか部分的に練をしてたのかな?



[19256] HUNTER×HUNTERをプレイしてみた(仮) 第十二話
Name: ユイ◆d2ec74bc ID:1dab45ea
Date: 2010/06/14 23:55


「お、おはよう!」

修行はみんなが一つの部屋に集まってやることが多いけど大抵ゴン君の部屋に集まる、何故かは分からないけど。
今日もみんなで朝から修行だったんだけどちょっと遅刻しちゃって慌ててゴン君の部屋に駆け込んだところ。

「おはよう!ユイ!」

「おはよう、珍しいな、ユイがこんなに遅れるなんて」

「調べものしてたら寝坊した……」

昨日ウイングさんに息抜きも重要だと言われて、今日はみんなで遊びに行こうと天空闘技場の回りを色々調べてたら寝るのが遅くなって寝坊してしまった……。

「今何してたとこ?」

私が入ってきたときはみんな特に何かをしている風ではなかった、練の修行が終わって休憩がてら点の修行をしていたところかな?

「それなんだけどさ、ユイ、オレたち全員もう凝出来るぜ」

「……そう」

「なんだよユイ、リアクションうすいぜ」

「や、私はもうみんながどれだけすごいことをしても驚かないことに決めたから……」

その代わり呆れてるけどね、でも凝は原作で一晩で出来るの知ってたからまだ分かるかも。

「じゃあ、はい、何個見える?」

とりあえず私は右腕をあげ、みんなに見えるように念弾を何個か作り出した。
その際ちょっと仕掛けを施して、恐らくだけど正解するとしたらキルア君とクラピカじゃないかな。

「「3個!!」」

ほぼ同時に声が上がる、答えたのはゴン君とレオリオ、キルア君とクラピカはまだ凝をしていてレオリオにまだ見えないのかとからかわれている。

「「4個」」

今度はキルア君とクラピカから同時に声があがる。

「キルア君とクラピカ正解」

私の答えにレオリオはなにぃと叫んでもう一度凝をして今度は左腕の周辺も見たりしてるけどやっぱり3個だぜ、って呟いてる。

「私も最初3個だと思いそう答えようとした、だが奥にうっすらとだが何かが見えた気がしたんだ」

「オレも、でもっと眼を凝らして見てみたらさらに1個隠れてたってわけ」

そういわれたゴン君とレオリオも再度凝をして4個あることに気付いたみたい。

「気付いた?陰のレベルは一定である必要はない。見えなくさせたい部分だけを見えなくさせることが出来る。今みたいに少し見えにくくしたものを囮にさらに見えにくくしたもので攻撃することも出来る」

注意力や観察力ではキルア君たちに分がある、とはいっても正解するとしたらキルア君たちだと思っただけで全員間違えさせるつもりだったんだけどな……。

「キルア君とクラピカは正解したのはすごい、でも合格したわけじゃない」

「あぁ、今のでは時間がかかりすぎてとても実戦では使えない」

「その通り、練の状態に移るのもそうだけど自然に素早く出来て初めて実戦で使い物になる。実戦ではとにかく怪しいと思ったらすぐに凝!今日からみんな1ヶ月は毎日地道に纏と練、意識せずとも凝が出来るようになるまで訓練だよ!」

「「「「押忍!!」」」」

「うん、じゃあみんな今から遊びに行こうか」



………

「待て、ユイ、繋がりが分からない」

そんな深い何かがあるわけじゃないからそこにあるものを読み取れない自分が未熟なんだ、みたいな顔で話しかけてこなくてもいいんだよ?クラピカ。
とりあえず昨日ゴン君たちが言っていたウイングさんに会ってきたこと、そこで健やかな成長のためには鍛錬のしすぎは逆に良くないと助言をもらったことを話し、今日はみんなでどこかに遊びに行こうと思った旨を話した。
ゴン君やキルア君はすごい乗り気で今にも飛び出していきそうだ、レオリオが必死に止めてる。

「クラピカもいこ、なんでも詰め込みすぎは良くないってよく言うでしょ?」

「あぁ、そうだな、行こうか」



………

……………

「まずは何処に行くんだ?」

「んとね、あっちに大体3kmくらい」

天空闘技場の正面入り口から一方向を指差し大体の距離を告げる。

「駅前のほうだな、とりあえずバスを探そうぜ」

「何言ってるの?走っていくんだよ、目標は5分ね!」

あれ?レオリオが固まった。

「息抜きするんじゃないのかよ!?」

「遊びながら鍛錬できれば一石二鳥!ハンター試験のマラソンに比べれば一瞬でつく距離だよ、ほらいこ!」

言うが早いが全力で走り出す、一日を鍛錬と息抜きに分けるならともかく今日はほとんど何もしないまま出てきたのだ、遊びながら鍛錬するくらいがちょうどいい。










「到着!」

「ここは……」

「ボーリング場だな」

レオリオはやったことがあるようだが他の3人はやったことがないらしい、失礼な見解かもしれないが確かにくじら島にはなさそうだからね、キルア君とクラピカもこんなところに来るような感じじゃないし。
とりあえずボーリングの大体のルール、玉を転がしてピンを倒すゲームだという説明と点数の付け方だけ説明して後は実践練習あるのみと受付を済ましさっそく始めることにした。
レオリオがどうせならチーム戦にして何か賭けようぜと言い出し、経験者の私とレオリオを分け後はグッパーで分けて私&クラピカ&キルア君VSレオリオ&ゴン君、人数の違いは各チームの平均で勝負することに決定した。
開始早々お手本として最初に投げたレオリオのボールは綺麗にピンをなぎ倒しストライク、もしかしてレオリオってボーリングうまい?

「はーはっは、ハンター試験がダメならプロボウラーとして生計を立てようとした時期があったこのレオリオ様にかかればざっとこんなもんだぜ!!」

「っんなやつが初めてやる奴相手に賭け勝負なんて持ち掛けてんじゃねーよ!!」

レオリオにそんな隠された特技があったなんて……でもまぁいい、それなら少しは勝負らしくなるでしょう。

「キルア君、大丈夫、任せて」

今にもレオリオに殴りかかりそうなキルア君をなだめて投球、私の投げたボールもレオリオと同じく綺麗にピンをなぎ倒す。

「おっ、ユイも中々やるな。だがしかし!ユイの得点がチームに与える影響は3分の1、オレの得点は2分の1、チーム分けがこうなった時点で既に勝敗は決しているのさ!!」

「うん、だけどいくらプロ並の実力があってもボールやグローブが自分のじゃなければ200を出すのは相当難しいよ?」

「?そりゃまぁそうだが……」

頑張ってね、と声をかけてキルア君とクラピカに投げ方を説明しに行く、さてさて終わる前に気付くかな?



………

……………

たった今レオリオの第10フレームが終わったところ、ちなみに私はここまでパーフェクトだ。

「マイボールでもないのに187って……レオリオ本当にボーリングうまいんだね」

「パーフェクトたたき出してるやつに言われても嬉しくねーよ!!なんだよあれ!?1回くらいミスれよ!?」

そんなことを言われるけど300点出すと景品がもらえるらしいから最後まで手を抜かずやっちゃおうかな。

「レオリオ」

「あ!?なんだよ、クラピカ」

「凝だよ、ボールを投げるユイを凝をして良く見てみるんだ」

気付いたこともさすがだけどゲームが終わるこの時まで言わないってのも中々のものだね、クラピカ。

「ボールに……オーラが」

クラピカに言われてゴン君も凝をしたらしい、ボールに込めたオーラが見えたようだ。

「きったねーぞ、ユイ!!念使ってたのかよ!?」

「うん、念能力者同士の勝負だもん。さっきちゃんと言ったでしょ、マイボールもグローブもなしに200を出すのは相当難しいって、それは当然私にも言えることだよ?でも不可能を可能にするのが念だから、だから念能力者の戦いでおかしいと思ったらとにかく凝をしないと」

言われたらちゃんと止めるつもりだったもん、と続けて責任転嫁しておく。

「ちっくしょー!!」

ボーリングで負けることが相当悔しいのか激しく落ち込むレオリオ、でもその分きちんと意識できていいだろう。

「そうやって悔しがれるのはこれがゲームだから。もし実戦ならレオリオとゴン君は死んでるかもしれない。キルア君とクラピカは途中でおかしいって気付いて凝をしてた、経験者のレオリオの方がおかしいってことには先に気付いたはずだよ?」

「う……まぁ、確かに」

「何か違和感があったらとにかく凝、念能力者の戦いの基本だよ」

なんかレオリオが一番忘れそうだからこれを機によく注意しておく、まぁこれだけ悔しがってるなら絶対忘れないでしょう。

「よし、オレもやってみよっと」

……え?
慌てて顔をあげれば投球モーションに入ったゴン君の姿が。

「ゴン君、ダメ!!」 「とりゃっ!!」

制止の声はわずか間に合わずボールを投げてしまうゴン君。
投げられたボールはかなりの速度でピンに当たりピンを砕きながら弾き飛ばした後壁にめり込んで止まった。

「あぁ……やっちゃった……」

隣ではゴン君が若干慌てながらユイの真似してみようと思っただけなんだけど、とか何が悪かったんだろう、とか言ってる。
それは私がボールに込めてた念がボールの動きを操作する念で、ゴン君がボールに無意識に込めた念がボールの威力を強化する念だってことなんだけど……。
さすが放出に近い強化系だね、これ弁償いくらくらいかな……。
絶して気付かれないように逃げようかなという邪な考えが一瞬浮かんだけど、まぁ天空闘技場で稼いだお金があるしきちんと弁償しないとね。

「ゴン君、凝の大切さを分からせようと思ったとはいえ勝手に念を使ってた私も悪かったけど、見よう見真似でやってみるのは危ないから止めようね?」

「はい……」

その後はレオリオは念なしでリベンジしたかったみたいだけど壁を壊しちゃった手前居づらいので即座に退散、ゲームセンターに行ってみたりストリートボールをやってみたり色々なことをして遊んだ。
ダーツもやったけどキルア君の圧勝、あれは念使っても勝てないかも。










「あ、そうだ、レオリオ!あのね、私携帯買おうと思うの。でも全然分からないから選んでくれない?」

ビートルはちょっと持ちづらそうだからもう少し普通の形で使いやすいのを選んでもらおうかな。



………

……………

「ほらよ、ユイ!改心の値切りだったぜ!!」

「あ、ありがとう……」

私を含めてみんな天空闘技場で荒稼ぎしたのに携帯1個でそこまで値切らなくても……クラピカ途中でどっか行っちゃったし……。
そんなようなことを暗に言えばお金はいつまでもあるものじゃない、使わなくて済むところは使わないように心がけないといけないとオススメの節約術を天空闘技場に戻るまで伝授され続けることになった。
なんかこのメンバーだとレオリオはお母さんって感じがするなぁ、精神年齢的には私がそうなってもいいはずなんだけど……
その後天空闘技場に戻り、何食わぬ顔で出迎えてくれたクラピカに携帯番号を教え、ウイングさんにも今日みんなで遊びに行ったことも含めて携帯を買った旨をメールで教えておいた。





































6/14投稿

レオリオ、身をもって凝の大切さを理解するの回。
よく痛みを伴って理解する、なんて言うけど怪我をさせるのは忍びないので遊びの中で理解してもらった。
原作とは違いちゃんと凝の大切さを理解しながら成長していく、人数も多いしビスケとか仲間になってくれるかな?
ちなみに今3月後半くらい、原作ではギト戦が終わりゴン君は治療中な時、順調に前倒しで成長しております。



[19256] HUNTER×HUNTERをプレイしてみた(仮) 第十三話
Name: ユイ◆d2ec74bc ID:1dab45ea
Date: 2010/06/19 04:51


「「「「右腕3、左腕2!!」」」」

「うん、正解、15分だね」

常に凝を維持し、私が念弾を作り出したら瞬時に個数を答えること、というルールで始めた修行。
15分いけたら合格としてやり始め今日でみんなそれをクリアした。
相変わらずの驚異的な成長速度、凝だけとはいえもう15分も維持し続けることが出来るようになるなんて……
とはいえ練の状態を維持できるのはまだ6~7分ほど、1回の戦闘中持つかどうかは微妙なところだ。

「凝だけだったら結構持つようになったんだけどなー」

「練をしなくても出来るようになったからな、相変わらず練は10分ももたねーけど」

しかし他人の試合を見るだけでいいのなら凝だけ出来ればいい、ちょうどいい試合もあるしやっぱりみんなで見に行くべきだろうな。

「時間を延ばしたかったらとにかく鍛錬だよ、次は練の修行いくよ」

「「「「押忍!!」」」」



………

「ねぇ、ユイ」

みんなで練を維持する鍛錬中、ゴン君がこちらをじっと見つめながら話しかけてくる。

「ん?どうしたの?」

「う~ん、やっぱりさ、ユイとオレたちの練ってなんとなく違う気がするんだよね」

「あ、それオレも思った、ユイの練の方がなんか力強い感じがするんだよ」

ゴン君の疑問を皮切りにみんなからも連続して意見があがる。

「なんか見た感じ硬そうな感じがするよな」

答えるのは簡単だけど……疑問に思い自分で考え、答えに辿り着くほうが勉強になる……か。

「どうしてだと思う?」

「単純に考えればユイの方が我々より練がうまい、ということなのだろうが……ユイ、練とはオーラを自らの意思で大量に生み出す技術、そうだな?」

「うん、そうだね」

「だとすると練の性能があがるということはオーラを練り上げる時間が短縮されると言う意味合いと一度に生み出すことの出来るオーラの量が増える、以前ユイがした説明によればAOPが増える、ということになるはずだ」

「それはオレも思ったよ、ユイの練の方がオレたちよりも大きい感じがするもん」

「いや、でも考えてみるとそれは最初だけだ。確かに練をし始めるときはオレたちよりも多いオーラが見える、でも練を維持している間はむしろオレたちよりも小さく見えるんだ」

「え?あれ、ホントだ、もっと大きいと思ってたんだけど」

「確かにそうだな、けどよ、なんかこう実際の大きさ以上の厚みを感じるぜ?簡単には崩れないような、イメージとしてはそんな感じだ」

各自が思ったことを述べることで段々と真相に近づいてきている、しかしみんな良く見ている。

「……そうか、分かった!」

「オレも、分かった気がする」

クラピカと次いでキルア君が何かに気付いたっぽい、ゴン君が2人にオレにも教えてよって言ってる。

「思えば最初に練を教えられたときにも言われていたんだ、練は大量のオーラを生み出す技術、しかしその生み出した大量のオーラを留まらせておくのは纏だ」

「いくら大量のオーラを生み出してもすかすかじゃ意味がない、圧縮して体の周囲に纏う、纏の性能で同じオーラ量でも違いが出るんだ」

自力でここまで……みんなはやっぱりすごい。

「正解、纏と練の応用技、堅。練によって生み出した大量のオーラを全身に纏うことでかなりの攻撃力、防御力を得ることの出来る念における戦闘の基本、練っていうのは大量に生み出すだけのことでそれだけだと最初みんながやったようなだだ漏れの状態になっちゃうんだよ」

「つまりユイの練がオレたちと何か違う感じがしたのはユイの方が纏がうまいからってことだったんだね」

「うん、応用技の詳しい説明は基本の四大行、纏、絶、練、発を全て教え終えてからしようと思ってたんだけど……みんなすごいね」

目の前で実際に見せているとはいえ自ら考えそこに辿り着くなんて、私が近接格闘をするタイプの念能力者だったらもしかしたらゴン君との一戦だけで硬や流にも辿り着いていたかもしれない……
1つの試合中凝を継続できるようにもなったしそこから考え読み取る力もついた、ギリギリだったけど間に合ったかな。
今度行われる試合をみんなで一緒に見に行こう、そういえば即座に食いつくゴン君、しっかりとした凝が出来るようになるまで他人の試合を見ても理解できないだろうと今まで一度も試合は見に行っていない、きっと早く見に行きたくてしょうがなかったのだろう。
見に行くのはヒソカとカストロの試合、ここでヒソカと戦うときの為にこの試合を通してヒソカの能力を見破ること、そう告げれば滾るようにゴン君のオーラが増加する、集中し研ぎ澄まされていく、いい傾向だ。

「けどさ、ヒソカが能力を使うとは限らないだろ?」

キルア君からあげられる疑問、確かに格下の相手であれば能力を使う必要もない。

「相手のカストロ選手は現在9勝1敗、フロアマスターにもっとも近いと言われている人、現時点ではみんなよりはるかに格上の相手だからヒソカの本気の一遍くらいは見せてくれる可能性は高い」

それにゴン君が試合を見てる、ヒソカであればそれだけで能力を使う理由になるだろう。
ヒソカはゴン君を成長させたいのだ、しかもヒソカの能力はばれたからと言って不利になるようなものではない、出し惜しみはしないだろう。

「ヒソカの試合が終わったら練を覚えて約1ヶ月経つ、そうしたら基本四大行の最後の1つ、発の修行に入れる」

そこからみんなの期限の6月9日まで2ヶ月弱、それだけあれば十分だ、問題なく試合に送り出すことが出来る。
それからヒソカの戦績等の話をしながらまた日々の修行に戻っていった。










「さぁーーいよいよです!!ヒソカ選手VSカストロ選手の大決戦!!」

実況にも熱が入り会場の熱気も高まっている、さすが大人気選手同士の因縁の対決なだけのことはある。

「ヒソカはともかくカストロ選手くらいの使い手にはみんな勝てるようになって欲しい、この試合から吸収できるものは全部吸収するつもりでいてね」

そういってみんなの方を見るがいらないお世話だったらしい、どんな些細なことも見逃すまいといった感じだ、凝も問題なく出来ている。
審判の始めの合図と同時に飛び出すカストロ選手、横薙ぎに振るった手刀がヒソカの顔面を捉える。

「クリーンヒットォ!!」

みんなは自分の眼に映った光景が信じられないらしく困惑した表情をしている、さすがに答えが分かっていて見ていれば分身の存在はすぐ分かるな……
でももし知らないまま彼と戦っていたら私は戦闘中にその存在に気付けただろうか?
こうやって上から全体を眺めているのと違うリングの上で死角へと隠れる本体の動きに……いや、だが私は距離をとって戦うタイプだ、接近を許さなければ……
しかし私は彼相手に距離を保ったまま戦えたか?
出来れば彼くらいの実力の相手とは一度戦っておきたかったが、私たちが200階に来たときには彼はもう9勝をしていた、10戦目をヒソカと決めていたのなら試合を申し込んでも受けてもらえることはなかっただろう。
やれるとしたらヒソカに彼を殺さないように頼むしかなかった、しかしそれはない、ヒソカは借りを作っていい相手ではない。
彼に何かを頼むとしたらそれはお互いに対等な取引だ、蜘蛛を狩るために……そろそろ一度話をしに行くべきかもしれない。

「クリーンヒット!!&ダウン!!」

考え事をしている間にも試合は進みヒソカがダウンを奪われた、これでポイントは4-0、一見カストロ選手が優勢だ。
カストロ選手の本気、あれが虎咬拳か……あの威力だと私の水で防ぎきれないかもしれない、切り裂かれる可能性がある。

「手に……オーラが集まってる!!」

凝をして試合を見ていたゴン君たちもカストロの凝に気付いたらしい。

「オレは凝は目にオーラを集めて陰を見破る技術だと思ってたぜ、あんな使い方があったのかよ!?」

「最初にオーラをどこか一箇所に集める技術だと教えられただろうが……しかしあれは諸刃の剣だぞ」

「あぁ……目に集めるよりももっと大量のオーラを手に集めてる、あれじゃ他の部分のオーラが普段より薄くなる!!」

「あれを戦闘中に多用するには確かな体術と的確な判断力、素早いオーラ操作力が必要だな、しかし使いこなせれば有効ではあるだろう」

考え、話し合いながらもみんなの視線は片時も試合をしている2人から離れていない、リングではカストロ選手に右腕を切り飛ばされたヒソカが分身を見破った。

「念ってのはあんなことまで出来るのかよ!?」

「念はあらゆることが出来る可能性を秘めてるよ、未来予知や空間操作をする能力者もいるくらいだし」

ここからだ、ヒソカがバンジーガムを使ってカストロを倒す、陰を使われるその一部始終をみんなが正確に見抜くことが出来るかどうか。
ヒソカがスカーフで斬り飛ばされた右腕を覆い隠して放り投げる、みんなの目線は最初天井に貼り付けられた右腕に伸び、そして床に散らばったトランプとスカーフに伸びた、きちんと見えているらしい。

「トランプや腕にオーラが伸びてる!!」

「あぁ、なんだあれは、どうなってんだ!?」

みんなが考え込む間にもヒソカの悪魔じみた奇術は進み傷口から引っ張り出したトランプをカストロ選手に投げつける。

「!?床に散らばったトランプから伸びたオーラがカストロの全身に!!」

「なんであいつは気付いてないんだ!?あいつも凝は出来るんだろ!?」

「ヒソカのペースに振り回されている、ヒソカの悪魔じみた奇術と余裕の態度に冷静な判断が出来ていない、これもヒソカの作戦か!?」

ヒソカの左腕から伸びたオーラがカストロ選手に貼り付けられ、その左腕が斬り飛ばされた瞬間天井と床に張り付いたヒソカの右腕とスカーフがヒソカの元に戻ってきた。
速い、ほとんど一瞬の出来事だ、分かってみている私でも突然腕が治ったようにしか見えなかった……

「腕が……くっつきやがった……」

ありえない事態にカストロ選手が一歩引いて戦局を見直そうとした、がヒソカの話術がそれを阻止する。
言葉巧みにという言葉があれほど似合うやつもいない、まさに悪魔……心の底から敵に回したくない。
能力を見破られ冷静さも失った、終わりだ、周到に用意されたヒソカの攻撃がカストロ選手にヒットする。

「左腕まで勝手に、なんなんだヒソカの能力は!?」

「ヒソカの任意で伸び縮みするゴム状の能力といったところか、ヒソカの能力は……だとすると床に散らばったトランプが!!」

クラピカの言葉どおりにふらつき分身も出せなくなったカストロ選手に床に散らばっていた13枚のトランプが襲い掛かる。
そのままカストロ選手が起き上がることはなく試合はヒソカのKO勝利で終わった。










「ユイ、さっきヒソカが見せた能力、あんなことオレたちも出来るようになるの?」

会場から部屋へと戻る途中、ゴン君からそんな疑問があげられる。

「出来るか出来ないかで言えばたぶん出来るよ。でもカストロ選手の分身、ヒソカのオーラが伸び縮みする能力、そして私の水流操作、念能力は人それぞれ違って自分の資質にあったものが必ずある、ゴン君が念を極めようと思うなら自分にあった自分だけの能力を作ったほうがいいよ」

そんなことを言えば自分にあった能力かーと悩み始めた、きっとしばらくすると頭から煙を出し始めるだろう、原作でも相当悩んでたし。

「どんな能力が自分にあっているか、調べる方法があると以前言っていたな」

「うん、ゴン君との試合が終わったときに言ったね。実は今日これからみんなの能力の系統、どんなことが得意なのかを調べるために基本四大行の最後の1つ、発の修行に入ろうと思ってるんだ」

纏の修行に1ヶ月、練と凝の修行に1ヶ月、ヒソカの試合を観戦したしもうそろそろ発に入ってもいい時期だろう。
これで基本が全部終わる、そういえば応用も今日流の存在にわずかながら気付き、堅の存在は練の修行中に気付いた。
周はボーリング場で私が見せてしまったから実は硬と円以外の応用技はもう知っていたり気付いていたりするんだな……
ショートから帰ってきたゴン君にレオリオがこれから部屋でみんなの念の系統を調べるんだとよと伝えたため、テンションのあがったゴン君に部屋まで走って連れて行かれることになった。
今日が4月15日、ヨークシンに行くのは8月末、原作でクラピカは間に合っているんだしヨークシンまでにみんなが発を使えるようになれるだろうか?
すくすくと成長していくみんなに私も負けてられないなと意気込みながら腕を引くゴン君に合わせて部屋まで走って帰った。





































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バイトと大学がちょいと忙しく更新が少し遅れました、すみません。
ゴン君たち自力で堅の存在に気付くの巻。
目の前でやられていたら気付いてもおかしくないですよね?頭がいい人が原作より増えてますし……
クラピカのような生徒は教える側からすると大変貴重です、他の生徒の理解を高める要因となってくれますからね。
そしてゴン君のように疑問に思ったことをどんどん口にしてくれる生徒も重要です、それによりみんなが分からないことがなくなっていきます。
一番困るのは分かっていないのに声に出して聞いてくれない生徒、大丈夫?分かった?と毎回確認しないといけなくなります。
と、なんか話がそれてしまいました……次回、みんなが発を試します、結果は……分かりきってるけどね!




[19256] HUNTER×HUNTERをプレイしてみた(仮) 第十四話
Name: ユイ◆d2ec74bc ID:1dab45ea
Date: 2010/06/22 03:29


「じゃあ始めよう、基本四大行の最後の1つ、発の修行を」

水見式をやる前にまずは6つの系統の話と六性図の話をしておく、しかし毎回思うけどこの図は本当に良く出来ている。
隣り合う系統にきちんと関連性があっておかしなところが1つもなく、どんな能力も6つのうちのどれかに当てはめることが出来る。

「ということはユイは操作系か」

「そう、水を操る能力、便利だよ」

「ヒソカは多分変化系だよね?カストロは?」

「カストロ選手の能力は具現化と操作を両方使ってる、でも彼はおそらく強化系の使い手。苦手な能力を選んでしまったことがヒソカに負けた大きな要因の1つになっていたことは間違いない」

彼が強化やそれに近い変化、放出の能力を会得し、極めていたのならきっとヒソカと対等に戦える使い手になっていただろう。
相性の悪い具現化と操作の能力をあれほどの完成度まで極められる才能があるのならきっとそうなれたに違いない。

「ユイがさっき言っていたのからすればカストロは自分にあった能力を選べなかったってことだろ?」

「けどよ、あいつはなんでそんなに相性の悪い能力を選んだんだ?苦手な系統でも分身がよっぽど強い能力だと思ったのか?」

あげられるのは当然の疑問、その疑問に正確な答えを返せるのはカストロ選手本人しか居ないが、私の考えでは……

「おそらくだけど彼はちゃんとした念の師匠に師事していないんだと思う。天空闘技場には200階にきて念能力者と戦うことで初めて念の存在を知り、以後独自の修練によって念の使い手になっている人たちが多い。六性図のことを知らなければ自身にあった能力を選べなかったのも仕方のないことかもしれない」

彼はきっとゴン君たちと変わらぬレベルの才能を秘めていただろうに、もったいない話だ。
ヒソカががっかりするのも少し分かる気がする、でも強い使い手と戦いたいのなら自分で育てればいいのに、光源氏計画?

「自分のオーラがどの系統に属しているかなんて調べる方法なんてあんの?」

「あるよ、それを今からみんなにやってもらう、発の修行内容でもある水見式。グラスに水を入れて葉を浮かべる、そこに手をかざして練を行い、その変化によって自分がどの系統に属しているかを調べることが出来るの」

用意したグラスに手本として手をかざし練を行う、回り始める葉が私が操作系に属していることを教えてくれる。

「『葉が動く』のは操作系の証、じゃあみんなもやってみよう」

ジャンケンで順番を決め、ゴン君→レオリオ→キルア君→クラピカの順でやってみることになったらしい。
一番手としてゴン君が練を行い、グラスの水が増えて淵からこぼれていく。

「水が増えてる!!」

「『水の量が変わる』のは強化系の証、ゴン君の系統は強化系だね」

「つまりオレにあった能力はものの持つ働きや力を強くする能力ってことだよね?」

そうだね、と返せばまた悩み始めた、じきに煙を出すだろうけどしばらくすればショートした末に元に戻るだろうから放置しておこう。

「次はオレだな、ユイ、治癒能力ってのはどの系統に属する能力なんだ?」

「自己治癒能力を強化することで治療させるから強化系に属する能力だね」

キルア君が瀕死の重傷や不治の病まで自己治癒力の強化で治すのかよって言ってくるけど本来人間は自分の力だけで怪我や病気を治す力を持っているのだ。
それで間に合わない分を薬や外科手術に頼るのであって、優秀な使い手が自己治癒力を高めることが出来ればどんなものでも治せるようになるのである。
ならオレも水が増えるのが一番良いわけだなと言って練を行うレオリオ、しかしやはり水はうっすらと緑色に変色しレオリオが放出形であることを表す。

「『水の色が変わる』のは放出系の証、でも放出と強化は近いから……」

だから心配しないで欲しい、そう言おうとしたところをレオリオに遮られる。

「まったく問題ねーよ、それにオレはたとえ正反対の特質系だったとしても治療系の能力にするつもりだったぜ?」

「でも特質は強化系の能力を40%しか引き出せないよ?」

「それなら40%で何でも治せるくらい修行すればいいってことだろ?医術じゃ助けてやれない奴らを助けてやれる可能性があるんだ、たとえ無理だといわれてもオレはやってやるぜ!!」

「そっか……それなら放出なら余裕だね」

「おう!!レオリオ様に任せておけ!!」

制約をうまく考えれば放出系でも十分可能だろう、万能の治癒能力……会得させてみせる。

「よっしゃ、次はオレだ」

三番手のキルア君がグラスに手をかざし練を行う、時間がたつごとに不安げな表情になっていくところがちょっと可愛……コホン。

「何も変わんねーぞ」

「大丈夫、目に見えないタイプの変化もある、水を舐めてみて」

そういわれて水を舐めるみんな、ゴン君もショートから戻ってきたらしい。

「…………!?少し甘い……かな?」

「『水の味が変わる』のは変化系の証だから、目で見て分からないからちょっとビックリしちゃうよね」

「ヒソカと同じか……やっぱ似通ってるところがあると系統も同じになんの?」

自分とヒソカにいくつか共通点があるという認識があるのだろう、キルア君がそんなことを聞いてくる。

「う~ん、どうだろう?血液型と同じで系統でもある程度性格が分かるっていう説もあるけどね、真偽のほどは分からないけど」

「ちなみにそれだと変化系ってどんな感じ?」

「プレイボーイタイプ、天真爛漫で自己主張が強い、現実検討能力も高いがあまり他人のことを考えない節がある、明るくて面白く派手なため、わがままでも周囲から結構かまってもらえる。そのため、何でも思い通りになると錯覚して失敗することがある」

「もろキルアだな……」

レオリオがしみじみとそう口にする、そうかな?あってるところもあるけど間違ってるところもあると思うんだけどなぁ……

「ねね!!オレは!?」

ゴン君……そんな身を乗り出して聞くほど面白い?

「がんこ親父タイプ、責任感が強く何事もしっかりこなす、思いやりがあって面倒見もいい、反面融通の利かない面があり何でも自分でやらないと気がすまない」

「すげえな……まるでゴンのためにあるような診断結果だぜ」

「じゃあレオリオはどうなのさー」

全員分言うの?これ

「爆発タイプ、責任感が強く協調性も高い、明るくて陽気でムードメーカーになりうる、ただ他人の顔色を気にしすぎる節があり突然怒り出したりすることもある」

「面倒くさいやつだな」

「うるせーよ!!」

クラピカも結構容赦なく言うよね、そしてレオリオそういうところが爆発タイプって言われちゃうところなんじゃないかな?

「ねね、ユイは!?」

「あんまり言いたくないんだけど……」

「オレたちのことを好き勝手診断したんだから当然自分のも言わないとダメだろ!」

好き勝手って、聞かれたから答えただけなのに……

「知的で冷静な判断力が持ち味、周囲への思いやりや遊び心もある、反面物事を機械的、打算的に捉える節があり人間味に乏しいときがある、自分だけの判断で行動することがあるので敬遠されることもしばしば」

「「「「…………」」」」

「……なに?」

「いや、別に、なぁ?」

「え?あぁ、うん、そだね」

何が?いや、まぁいいけど……。

「さて、最後は私だな、ユイの系統診断では私の予想は何系なんだ?」

「……具現化系、自罰タイプ。責任感が強くけじめがある、協調性と現実検討能力が高い、感情を出さないので表面上は完璧な人。でも抑えた怒りが自分の内面に向かうから激しい衝動が隠されている」

なるほど、と返してグラスに手をかざし練を行うクラピカ、少量だがグラス内に不純物が形成されている。

「『水に不純物が出現』するのは具現化系の証」

「そうか、強化系が理想だったのだが……予想通りの結果になってしまったな」

「え?なんで強化系が理想なの?」

理想といわれて強化系のゴン君が反応する、もう少し踏み込んだ話もしておこう。

「こと戦闘において強化系が一番バランスが取れていて強いからだよ、いうなれば単純な強さ。念能力者はそれぞれ自分だけの必殺技を作ることが出来るけれど戦闘のメインは肉弾戦になることが多い、そして肉弾戦において最強の強さを発揮するのが強化系なんだよ」

「そうか……肉体強化は強化系の領分ってことか」

「そう、単純なガチンコ勝負では私のような操作系やクラピカのような具現化系は強化系を相手取るのは難しい、強化系の安定した単純な強さに対して操作や具現化はバランスが悪いことが多いんだ」

「えーでもなんか操作や具現化の方がすごい感じがしない?不思議な力って感じで」

「確かに非念能力者から見れば不思議な力かもしれない、けれど念能力者は決められたルールの中で能力を作る、あまりに神がかった力は作れないんだよ」

「ユイの能力にも制限はあるってこと?」

「うん、その話もしておこうね。制約と誓約、ルールを決めてそれを遵守すると心に誓う、そのリスクが高ければ高いほど念能力の威力は高まる。私の場合は水流操作のほかにもう一つ能力がある、『何時でも何処でも私に水を』(instant excavater)、地中を掘り進み地下水脈を見つけ私に水を届けてくれる具現化系能力。私はこの能力で掘り出した水か私がいつも持ち歩いている水筒に半日以上入れておいた水しか操作できない」

「!!水なら何でも操作できるのかと思ってた……」

「オレも、雨の日なんか無敵じゃんって思ってたけどそんなことなかったのか」

「水筒に入れられる量には限りがあるし地下から水を汲み上げるにはタイムラグが生じる、それは戦闘において致命的な問題にもなりかねない、そういったリスクを負うことで私は水流操作の性能と威力を高めてるの」

もしそういったリスクを負わずに能力を作っていたら私の水弾は強化系能力者にダメージを与えるほどの威力にはなりえないということも続けておく。

「確かにそう考えると強化系は強いな、なんの制約もなしに修練によって最強と呼べるほどの力を手に入れることが出来る」

「強化系じゃないけど分かりやすい例でそれを体現しているのがヒソカの能力、オーラを粘着性のあるゴム状に変化させるという能力は特に制約が必要な能力じゃない、にも関わらずヒソカの驚異的な肉弾戦能力が支えとなって近接戦において最強を誇れるほどの能力になっている」

ヒソカの類まれな戦闘センスが下支えになっているとはいえ天才的な能力だ、距離をとって戦う能力者以外はかなり有利に戦える。

「だが制約と誓約……それ次第では具現化系能力でも強化系能力者に渡り合える可能性はあるということだな」

「うん、でも制約はきちんと自分が守れる範囲で決めないとダメ、もし制約を破ってしまったらそれは念能力を失うことにもなりかねないから」

「制約が低すぎても威力が出ないしかといって高すぎても使えない、能力1個決めるには相当な時間がかかりそうだな」

「自身の能力は慎重に見極めないといけない、失敗したからといって簡単に作り変えられるようなものじゃないから」

そう言えばまたゴン君の頭から煙が上がり始める、強化系は単純な肉弾戦だけで最強を誇れるって言ってるんだからそれほど悩まなくてもいいと思うけど……
ゴン君とキルア君は自分の能力を見つけるまでまだ少し時間がかかるだろう。
しかしレオリオは最初から決まっている、治療系の能力、それ自体を作ることは簡単だ、後は性能を高めるためにどんな制約をつければいいか……
これからレオリオと共にそれを話し合おうかと考えたとき、クラピカが鎖がいいと呟いた、旅団を捕らえるために具現化系と聞いて鎖が最初に思い浮かんだと。
このまま緋の目の際の特質系への変化を見つけられれば、きっとクラピカは原作と同じように能力をつくり、そして原作と同じように1人で旅団と戦おうとするのだろう。
しかし私はそんなつもりはない、クラピカと一緒に旅団と戦う気満々だ、その話を今ここでしないといけないな。

「いいと思うよ、鎖。具現化した物体には制約次第で何らかの能力を付随させることが出来る、発想力の勝負だけどうまくはまればかなり強い能力になると思う、ただクラピカ」

「なんだ?」

「前提は間違えないでね、1人で旅団と戦い抜く力にする必要はない、少なくとも私はクラピカと一緒に蜘蛛と戦う」

そう言えばクラピカに激昂される、バカなことを言うなと、奴らと戦うことの危険性をきちんと理解しているのかと。

「クラピカと同じくらい理解しているつもりだよ、これでもクラピカよりも早く念を知っているんだから。でも私はクラピカに念を教えて欲しいといわれて時間が欲しいと答えた、そしてクラピカに念を教えると了承したときに旅団と戦う覚悟はもう決めたんだ」

「念を教えてくれていることには感謝している、しかしその覚悟は必要ない!!これは私の復讐だ!!他人を巻き込む気はない!!」

「巻き込まれているつもりはない、私にだって旅団と戦う理由はある。ハンターとしてA級賞金首である彼らを捕らえること、同じ念能力者として念能力を悪用している彼らを止めるということ、そして……赤の他人なんかじゃない、友達にひどいことされたんだ、ぶん殴って分からせる」

「な!?……考え直せ!!奴らと戦うということは死の危険が常に付きまとうということだ!!危険すぎる!!」

「死の危険が常に隣り合う仕事をしている人たちのことをハンターっていうんだ、それはどこにいても変わらない、なら私は私のやりたいようにする」

絶句するクラピカ、私は間違ったことは言っていない。そういった仕事に生きることを選んだ人たちをハンターと呼ぶのだから、でも同じ命をかける仕事をするのであれば友達の助けになる方を選びたい。

「オレもついていくよ、クラピカを1人で戦わせる気なんてない」

「オレも乗りかかった船だしな、最後まで付き合うぜ」

「何を……何を言っているんだ!?きちんと理解しているのか!?自分たちが何を言っているのか!!」

「どうせこいつら止めても勝手についていくぜ、だったら諦めて協力してもらった方が可能性高いだろ?」

「キルア……お前まで」

「どんな能力にも得手不得手はある、でも協力すればそれも補いあえる、私たちが全員一緒にいればきっと何でも出来る。お願いクラピカ協力させて、止めても勝手についていくけど」

「それはもうお願いではないぞ……ユイ」

「操作系は……理屈屋でマイペースらしいよ?」

「それは……性格診断か?」

私のじゃないけどね、と笑顔で言っておく、まったく納得していない顔だが、まぁこれから何度も同じ話すれば折れるかな?

「私は絶対にお前たちを巻き込むつもりはない……何度同じ話をされても断るぞ」

「私はクラピカを1人で行かせる気なんてない、何度断られても同じ話をするよ」

なんだろうこの掛け合いは、まぁこっちには最終兵器ゴン君がいるから勝てるでしょ、意地の張り合いなら絶対負けなそうだもんね。

「まぁ第二戦はまた後日、どっちの結果になるにしても途中で修行を投げ出していなくなるようなことはしないでよね、中途半端は大っ嫌いだから」

「あぁ、教えてくれと頼んだ身だ、通すべき筋は通す、しかし先ほどの話は了承するつもりはないぞ」

「その話はまた後日、とりあえずクラピカはこれから鎖を具現化できるようにするために1人別メニューね」

鎖を具現化し能力を決めるまでにタイミングを見て緋の目の話をしよう、トリックタワーで緋の目のクラピカは見てる、その時にオーラ量に変化があったとでも言えば気付かせることはたやすいだろう。

「ゴン君とキルア君はいつもと変わらず纏と練、レオリオはちょっと私と来て」

「お?オレも別メニューか?」

「レオリオはもう能力の方向性が決まってるから、それを煮詰めよう」

クラピカとレオリオが発を覚えれば、ゴン君とキルア君も触発されて早く覚えるだろうか?
ヨークシンに行く時点で全員が発を使えれば、勝てる可能性はまた少し上がる。
後は……そろそろヒソカと話をしに行こう、蜘蛛を倒すのにヒソカの協力は必要だ、利害は一致しているはず、交渉次第では何とかなるだろう。
































レオリオの念能力

『君にささやかな祝福を』(a small blessing to you)

対象者の怪我や病気を治療する能力

制約

・対象となる怪我や病気に応じて対象者にオーラを分け与えなくてはならない、全てを分け与えれば治療が終わるまで術者は絶状態となり、また不足しているのであれば治療できない。

・本来その怪我や病気が治るのに掛かる期間を30で割った日数だけ治療に時間が掛かりその間分け与えたオーラは戻ってこない。また本来完治まで10ヶ月以上、もしくは治療不可能な怪我や病気である場合治療に10日間掛かりその間オーラが戻ってこない。

・対象が術者から離れるほど治療に掛かる時間は増加し、100km離れれば1割治療に掛かる期間が延びる。

・治療を始めた後、術者の意思で治療を中断した場合渡したオーラは術者の元へは戻ってこない。



※クラピカのホーリーチェーンと違い、オーラ量が増加すれば何でも治療できる代わりに即効性はなく戦闘中に使える能力ではない。
医術では治せない怪我や病気に苦しむ一般人を治療するための能力である。





































6/22投稿

ついにレオリオの念能力を勝手に作ってしまった。
しかも戦闘中においてはまったく役に立たない、しかしレオリオの夢を叶える可能性のある能力である。
現在のレオリオのオーラ量では医術で治療不可能なレベルの怪我や病気まで治せるレベルではないが将来的にはそうできるようになる予定。
修行が終わる前にあんな話をしてしまったらクラピカは1人何処かへ居なくなってしまうのではないかと考える人もいるかもしれないが私は作中でクラピカに言わせたようなことを言うと思っている。
作中で系統別性格診断としてワンダーハンターの系統診断の結果を流用しました、キャラになりきって質問に答えてみたりあてはまる結果を探したりしていますがうまく当てはまらないと思ったものは付け加えたり消したりしています。






[19256] HUNTER×HUNTERをプレイしてみた(仮) 第十五話
Name: ユイ◆d2ec74bc ID:1dab45ea
Date: 2010/06/27 00:10


発を覚えて数日、といってもやることはあまり変わっていない。
毎日欠かさず纏と練、発の変化をより顕著にするために、そしてオーラの絶対量を増やすために。
そんな中私は今闘技場内のチケット売り場に来ている。
発の修行で合格点が出ればみんな基礎の修行は全てクリアしたことになるのだ、そろそろ実践練習もしておくべきだろう。
3バカでは既に相手にならない、もう少し手ごろな訓練相手がいないかどうか試合観戦をしたり売り子の話を聞いてみたりして探してみようと思ったのだ。
とりあえず向こうで大きな声でチケットを売っている売り子のお兄さんに少し話を聞いてみて実際に試合を見に行ってみよう、そう思って近づいていった。










扉を開けて部屋の中に入る、ゴン君たちはいつもと変わらぬ訓練、クラピカだけが一人鎖遊びをしている。
今はスケッチをしているらしい、既に書き終わった鎖の絵がクラピカの回りに数十枚散らばっていて中々にシュールだ。

「ゴン君、キルア君、少し聞きたいことがあるんだけど?」

そう言って私は手に持ったチケットをみんなに見えるようにひらつかせる、そこにはゴンVSギト、キルアVSリールベルトの文字が書いてある。
ちなみに一番試合日が近いやつを見せているだけで2人それぞれが3バカ全員と試合が組まれていた。
2人ともまずっといった表情、同じ闘技場内にいるのだからバレないわけがないだろうに。
基本四大行が全て終わってそろそろ自分の力を試してみたくなったなどとってつけたような言い訳を並べる2人、何となく予想はつくが正当な理由があるのならばそう言ってくれればいいだけなのに……。

「ちゃんとした理由があるなら言ってくれれば怒らないよ?」

そう言えばやはり本当の理由は原作通り2人と戦いたい3バカがズシ君にちょっかいを出してきたらしい。
あの3バカは新人と言うだけで相手の力量を測ることすら出来ないのだろうか、まぁだからこそ3バカなのだが。

「今の2人ならもうあの程度の相手なら何の問題もないから、二度とズシ君に手を出す気が起きないように徹底的に懲らしめちゃいな」

どことなくほっとした顔の2人、確かに私の許可なく戦ってはいけないとは言ったがここまで正当な理由があっても怒られると思っていたのだろうか?ちょっと心外である。
もしかしたら原作でもウイングさんに何も言っていなかったし心配をかけさせないようにしてくれただけかもしれないが。
オレはどうする?そう聞いてくるレオリオ、だが仮に戦ったとしても腕試しにもならないような使い手たちであるし今回は別にレオリオは戦わなくてもいいだろう。
天空闘技場を出る前に一度そこそこ腕の立つ誰かと戦っておいた方がいいのだろうが此処のレベルはそんなに高くないようでそれも難しい、どうやらヒソカやカストロが相当例外のようである。
これならお互いに模擬戦をやっていた方がいいような、いやしかし命をかけた実戦というものはきっと模擬戦とは違った何かがあるのだろう、もう少し探してみよう、きっと此処にも腕のたつ人はいるだろうから。










2人の試合は原作通りあっという間に終わった。
2人が出るから一応は見には行ったが正直何の勉強にもならない試合だった。
大体オーラバーストは技なのだろうか?いや、確かに念による洗礼を受けてしまって両足が不自由になってしまったのだからしょうがないことだが、電気を浴びせる鞭による戦闘ってもはや念が関係ないだろう、周も出来ていないし……
サダソだけは原作では不戦勝だったため少しだけ不安もあったが陰によって見えにくくされている以外は大きな手というだけである。
原作では捕まったら終わりという表現があったが2人とも捕まることなく倒してしまったので一体どういった能力があったのかはよく分からない。
もうみんなは自然に凝を行いながら戦闘をすることが出来るのである、多少陰で隠されているとはいえあんな目立つものであれば看破はしやすい、速度も段違いでありやはり2人の敵ではなかったようだ。
これは実戦を経験したと言っていいのだろうか?ダメだろうな……
そう言えば原作ではゴン君はG・Iでのゲンスルー戦でも、キメラアントのナックル戦でも実戦不足と言われていたっけ?
ゴン君がキメラアントまでにまともにやった実戦なんて天空闘技場でのヒソカ戦とG・Iでのビノールト戦とゲンスルー戦くらいだろう、キルア君にいたってはもっと少ない。
やはりこのまま試合観戦を続けてもう少しやりがいのある対戦相手を見つけることにしよう。
今回はズシ君の安全が確保できたことと新人ハンターなんて姑息なことをしている3バカを懲らしめられたことだけで満足しておこう。
ゴン君もヒソカから対戦OKのお墨付きをもらったからね、もちろんヒソカの準備期間ギリギリまで挑戦はさせないけど。








「オーラを……電気に?」

3バカとの試合が終わった後のある日、部屋でまたいつものように修行を開始しようとしたところでキルア君が思いついたアイデアを問いかけてきた。

「あぁ、リールベルトと戦った時に思ったんだけどさ、オレは電気も毒も訓練を受けてて喰らわないけど普通は鍛えていたってそういうのには弱いだろ?あんなやつでももしオレと戦るまえに先にゴンと戦ってたらゴンが負けてた可能性もあるぜ?」

「それは……確かに、そうだね」

「んで電気や毒を操る能力ってのを考えてみたわけ、ただ毒を操るのは操作系っぽいから没、でも電気だったらオーラを電気に変えるって考えれば変化系っぽいだろ?」

「そう……だね、念能力は本人と関わりが深かったり思い入れがあるものであればあるほど威力も精度も高まるし、キルア君のように生まれた頃から電気を浴びせられるような訓練を受けてきた人なら……オーラを電気に変えることも不可能じゃないと思う」

「だろー!!よっしゃ、じゃあオレはその方向で発を考えてみるぜ」

そう言って離れていくキルア君、あの試合を通してそんなことを考えついたのか……考えつけたのか……。
私は何も得るものがない試合と切り捨ててしまっていたのにキルア君はちゃんと……。
ハハッ、まったく脱帽だ、それに比べて私は一体何を見ていたのか。
原作と違って近くに私やクラピカやレオリオがいてキルア君もゴン君も発というものを必殺技を原作より意識している。
そんな中リールベルトと戦えばオーラを電気に変える発を考え付く可能性は十分あったじゃないか。
発というものは他人に考え付かれるのはきっと良くない、自分で思いつくのがいいはずだ。
そういう意味ではキルア君にそれとなく気付かせる為にリールベルト戦はとても大切な試合だったじゃないか。
もし彼らが行動を起こしてくれなかったら私は彼らと戦わせる気など微塵も起きなかったに違いない、それはキルア君の発を覚える時期を早める可能性をみすみす逃すということだ。
一見無為に見えることでも経験というものは確実に生きていくうえでの糧になっていくものなんだな……。
そして毒を操る能力は操作系っぽいから没……か、水に混ぜれば私にも毒を操ることが出来るだろうか?
もし出来るのならそれは旅団に届く刃になるかも知れない……試してみる価値はある。
キルア君に……教えられちゃったな、まったくダメな師匠だ私は。
そんな風に私が少しの自己嫌悪とキルア君への感服の念と今後試してみるいくつかのことについて考えていると隣から何かが爆発する音が聞こえてきた。

「……ゴン君大丈夫?」

「うあ~!!どうしよう、ユイ!!キルアまで必殺技のアイデア思いついちゃって、これでまだ何のアイデアもないのってオレだけになっちゃったよ!!」

それで自分も何か、って考えてショートしたわけね。

「う~ん、ちょっと一緒に考えようか?」

難しいこと考えるの苦手だもんね、原作でもキルア君やウイングさんに色々導かれていたし、失礼かもだけど1人放っておいたら一生思いつかないかもしれない。

「とりあえず必殺技は制約等のリスクを背負うことで通常以上の力を出すことが出来るようにするものなわけだけれど」

「うんうん」

「制約が厳しければ威力は上がるけど使い勝手は悪くなる、例えば一生に一度しか使えない、なんて能力にしたらきっととんでもない威力になるだろうけどそんなんじゃ意味ないよね?かといってリスクが軽すぎれば威力が低すぎてわざわざ必殺技として作る意味がなくなる、だからリスクはほどほどが一番」

「うんうん」

「で、もちろん自分の系統にあっていることも大事。ゴン君であれば理想は強化系で次点が変化か放出、具現化や操作にしたらカストロ選手のように才能を無駄にすることになっちゃうから」

「う……ん」

「あとはやっぱり応用力があること、一点に強化された能力は強いけれどもこれまた使い勝手が悪い、さまざまな状況に応用できてこそ必殺技の価値があると思うんだ」

「う……」

いけない、煙を出し始めた!

「ゴン君、順番!順番に1つずつ考えていこう!」

「うん……」

「まず一番簡単なところから、どんな能力がいい?例えるならクラピカは『旅団を捕らえる』ことを意識して鎖にしたわけだし、レオリオは元々治療系の能力にすることは決めてたよね。私は汎用性の高さを優先しようと思って能力を考えたし、キルア君は格上であっても通用する可能性のある能力を考えたわけだ。まぁ言うなれば能力の方向性みたいな?」

「どんな能力……か」

ちょ、こんな初歩から煙出さないで!?先に進めないよ?!

「ゴン君、ゴン君、難しく考えないで、とりあえず漠然とで良いんだよ漠然と」

「う~ん、とにかくすごい能力」

漠然すぎです……

「とりあえずゴン君は強化系だよね?強化系の特徴は何だったっけ?」

「え~と、ものの持つ働きや力を強める能力」

「うん、正解。今まで見てきた中ではカストロ選手の虎咬拳やギトの独楽が強化系の能力だね」

「う~ん、その2つならカストロさんの能力みたいな自分を強くする感じかなぁ」

「じゃあ、カストロ選手は手のひらのものを切り裂く力を強くしていたんだけど、ゴン君は自分の何をどう強くするの?」

うわ、ここでもうダメか……

「難しいよ~……」

「う~ん、でも必殺技は自分で思いついてこそ価値のあるものだしこれ以上は言えないなぁ……」

「う~~~~ん」

「それにそんなに躍起にならなくてもこの前言ったように強化系はとくに必殺技なんてなくても通常戦闘だけでやっていけるんだよ?」

「でもみんなちゃんと必殺技があるのにオレにだけないなんて悔しいじゃん!!」

「その気持ちは……まぁ、分かるけど」

「お願いヒント!!ヒントだけちょうだい!!」

ヒントって硬のヒントでいいんだよね?あれ?でも今思ったけど硬って必殺技なのかな?ゴン君のジャジャン拳ってグーはただの硬でパーはただの念弾なんじゃ……いやでも特定のモーションと掛け声が入るだけで必殺技として成り立つのかな?他のゲームでも魔法系じゃなくて武術系の必殺技って大抵名前がついてるだけだし。
そういえばフィンクスのリッパーサイクロトロンも特定のモーションを行うことで殴る力を強めていた、きっと強化系の自身強化というのはそういうものなのだろう。
ということはゴン君が必殺技を真に手に入れたのは選考会前ではなくビスケに邪拳の話をされてジャンケングーという掛け声を思いついたときなんだろうな。

「うん、じゃあ1つだけ、でもこれで必殺技が会得できるかどうかはゴン君次第だからね?」

「うん!!」

「ゴン君が現時点で出来ること、それを全部いっぺんにやることが出来れば、ゴン君のいうすごいことが出来るよ」

堅は練で増大させたオーラを纏で留めるもの、と覚えているだろうから重複することはないだろう。
周は……ボーリング場で一度見せただけできちんと技として説明はまだしてないから大丈夫かな、仮に取り入れても手に持った武器に硬をしているわけだからやってることは同じだけど。

「全部をいっぺんに?」

「そ、あとは自分で考えること!!考えることも修行だよ」

「押忍!!」

「うん、がんばれ!」

ヒソカとの試合まで2ヶ月ちょっとあるから硬を覚えた状態でヒソカと戦れるだろう、ただヒソカに硬……当たるかな?
そういえばヒソカか……最近毎日行かなきゃ行かなきゃ思って先延ばしにしているし、そろそろ本当に行くか……。










コンコン

「はいはい♦だれかな?」

「ユイ=ミヤシロです、ハンター試験でご一緒した」

ヨークシンにおいてヒソカと協力体制をひけるようにとはいえ、一人虎穴に突入しに来た気分だ。
扉が開かれればそこにはお決まりのピエロ衣装に身を包んだヒソカの姿が、まぁすっぴんだったら逆に緊張しちゃうからそれはいいんだけど……
この間ウイングさんの部屋にお邪魔したときとは緊張感が段違いだ、胃が痛くなってきた。

「いらっしゃい、良く来たね♥どうぞ、入って」

「お邪魔します」

やっぱり部屋じゃなくて外のどこか喫茶店とかそういうところの方が良かっただろうか?
でもヒソカが何処にいるかなんて分からないし此処に来る以外に会える場所が分からなかった。
せめて誰かと一緒に来たかったけど適任の人材が……あえて言うならレオリオだけど腹の探りあいになりそうだし一人の方がやりやすい、安全面ではともかくとして。

「好きに座っててよ♥紅茶でいいかな?」

「あ、はい、ありがとうございます」

部屋にヒソカと2人きり、台所には紅茶を煎れてくれるヒソカの後姿、うーむ不思議な光景だ。

「はい、どうぞ♥」

テーブルの上にティーセットと一緒にマドレーヌが置かれる、なんでこんなものを常備しているんだ?
自分が食べるのか……まさか本気でマチを誘おうとしてとかないよね?あれってどこまで本気なんだろう?

「すみません、いきなり押しかけておいてこんな……」

「良いんだ、これはお礼だから♥」

「お礼?」

私は何かヒソカにお礼を言われるようなことをしただろうか?
ゼビル島でヒソカに渡されるためにレオリオたちにプレートを届けたがそれはヒソカの知るところではない。
あとは特に思いつくことはないんだけど……

「ゴンたちを鍛えてるのは君だろ?この間の試合見たよ、とても美味しそうに育っていたからこれはそのお礼♥」

「ヒソカさんの期限ギリギリまで戦わせませんよ?」

「あぁ、構わないよ、待ってるから♥君の予想ではどれくらいまで行けそうだい?」

「相性が悪すぎです、あと2ヶ月程度じゃ取れて半分の5ポイントじゃないでしょうか?今回は味見だけだと思って我慢してください」

「ククク、楽しみにしているよ♥ところでボクは君とも戦ってみたいんだけどね♥」

「そんなこと言ってもヒソカさんもう9勝3敗で次で終わりじゃないですか、機会がないですよ」

「別に此処じゃなくたっていいだろう?」

「私はイヤです」

「それは残念♣」

当たり障りのない雑談で時間が進んでいく、とりあえず紅茶を飲んで一息。
しかしやっぱり私も目をつけられているのか、私がもっと強くなれればヒソカは能力の相性の良い相手だとは思うんだけど……

「それで、何しに来たんだい?雑談をするために来たんじゃないんだろう?」

「えぇ、まぁ」

さらに紅茶を一口、かなり美味しい紅茶だ、緊張していた気持ちが落ち着いてくる。

「蜘蛛について、お話がしたくて」

「そう♦」

ヒソカの表情に特に変化はない、相変わらず掴み所のない笑みでにこにことこちらを見ているだけ。

「クラピカに9月1日、ヨークシンで待ってると言ったそうですね?それは蜘蛛がオークションの競売品を狙って動くということですか?」

「何をするのかは知らないな♦ボクが分かるのは9月に蜘蛛はヨークシンにいる、それだけだよ♦」

「それが分かるヒソカさんは、蜘蛛のメンバーなんですか?」

「さぁ、どうかな?君はどう思う?」

「違うと思います」

「……何故だい?」

「貴方は誰かに付き従うような人ではありません、ただそんな貴方がもし蜘蛛に入っているのならば……」

「ならば?」

「何かヒソカさんなりの目的があってのことなのでしょう、そしてその目的の為にクラピカを利用しようとした」

「それが君の予想かい?」

「えぇ」

今度はマドレーヌを一口、これも美味しい、出来れば何処に売っているのか聞いていこう、近くなら買いに行きたい。

「それで?可愛い弟子をを巻き込むなって忠告に来たのかい?」

「いいえ、取引をしようと思いまして、私たちが貴方の望みを叶える為に協力する代わりに、貴方にも1つ聞いて欲しいお願いがあります」

「ボクの望みが分かるのかい?」

「私の勝手な予想でいいのならば」

ちなみにそれはどんな?と聞いてくるヒソカ、このまとわり着くようなオーラは何とかならないものなのか……

「蜘蛛のリーダーと戦うこと」

「それじゃボクがいつも誰かと戦いたがっているみたいじゃないか♦」

「違うんですか?」

「♥」

うわっ、今ぞくっとした、ぞくっとしたよすごく!

「ちなみに君のお願いは何なのかな?」

「それは状況次第で変わるので……蜘蛛が何をするのか教えてもらえない現状ではなんとも、私たちが無事貴方の望みを叶えられたあとの成功報酬ということにしていただけませんか?」

「ボクの望みは団長と戦うことで決定なのかい?」

「否定されませんでしたので」

「肯定もしていないけどね♣」

「沈黙は肯定という言葉もあるそうですよ?」

「ちなみに断ったらどうなるのかな?」

「仮に私たちが蜘蛛のリーダーを捕らえられたとした場合、生かしておく必要がありません、即座に殺します」

「捕らえられるのかい?」

「ヒソカさんが協力していただけるのであれば」

「結局ボクが協力しないとダメなんじゃないか♦」

「あら、そうですね、というわけで協力していただけませんか?」

「…………」

「…………」

「紅茶お代わりいるかい?」

「あ、お願いします」

紅茶を煎れなおしてくれるヒソカ、しばらくお互い何も言わない沈黙の時間が過ぎる。

「常に最低2人は団長の傍に居てね、仕事が終わるとどこかへ消えてしまう、1人では目標達成が困難だと思っていたんだ♣」

「……私たちは良い関係が築けると思いませんか?」

「そうだね♦団長のあとに君もボクと戦ってくれるのなら♥」

「……団員の特徴と能力を知っている限り教えていただけますか?」

「もちろん♥」

「分かりました、来年の8月以降でしたらお受けします」

「楽しみにしているよ♥」










ヒソカの部屋を出て自分たちの部屋に戻る途中、疲れた、本当に……
あれからもかなり色々なことを聞き、最後に携帯番号とマドレーヌのお店を教えてもらって部屋を出た。
今日は部屋に戻ったらみんなと雑談して過ごそう、修行は明日から再開しよう。
とにかくこれでヒソカの協力が得られるようになった、それと私が団員の特徴や能力を知っていたとしても、ヒソカに聞いた、と言えば不自然でなくなるように出来た。
あとはクロロを捕らえるタイミングが期間中にあるかどうか……
それと成り行きで決まったVSヒソカをどうするか、でもこれは一番先の話だから今は考える必要はない。
とにかくクロロだけでもこのヨークシン中になんとか倒しておきたい。
今現在で思いつくいくつかの方法を全て考えながらどうすればクロロを捕らえることが出来るか、部屋に戻るまで考え続けた。









































6/27投稿

2話くらい前からヒソカと話さなきゃ話さなきゃと言いながら(ユイが)気が重くて先延ばしにしていたのをようやく実現。
そしてキルア君が発を考案、ゴン君も硬習得の為に必死に悩み始めました。
クラピカも順調に鎖遊び中、みんなが発を覚えそしてヒソカが原作よりも協力的なヨークシン、一体どうなることやら。
天空闘技場でゴン君たちが戦うシーンをちょっと書いておきたいかなと思っているがオリキャラを考えるのが苦手なため対戦相手が思いつかない。
ユイは自分だったらどうするか、で考えられているため書けるがやられ役の雑魚キャラなんてうまく思いつけない。
誰かゴン君たちにやられてしまう闘士役でよかったら考えてください、なんて言ってみる。




[19256] HUNTER×HUNTERをプレイしてみた(仮) 第十六話
Name: ユイ◆d2ec74bc ID:1dab45ea
Date: 2010/07/11 01:00

あれからさらに2週間ちょっとが経ち現在5月の半ば、発を覚えてから1ヶ月念を覚えてからは3ヶ月が経った。
そして今日からゴン君たちはそれぞれ私が見つけてきた闘士との対戦予定が入っている。
天空闘技場の中でまともな念能力者を見つけるのは中々大変だったがそれでも根気良く探してみると予想外に強い人たちがいた。
元々200階に上り詰めてくるだけでもきちんとした武の才を持った人たちだ。
きちんとした師匠に師事出来なくても自己流とはいえちゃんと修練を積んでいる人たちは相応の使い手になるようだ。
それに自身の系統にあった念能力を偶然会得出来ていることもある、新人狙いなんて姑息なことをして修練を怠っていなければ強くなる人はどんどん強くなっていくのだろう。
今回私が組んだ人たちは戦績も良く、また対戦回数から念を覚えてからの期間もゴン君たちに比べれば長い。
素質ではゴン君たちが勝っているだろうが経験も実力も現状上の相手にどう戦うか。
負ける可能性は大いにあるがそれが糧になってくれるのであれば問題はない。
それよりもまともな念能力者との対戦経験なくヨークシンやG・Iに行くほうがよっぽど怖い。
原作ではもしビスケがいなければゴン君たちはビノールトに殺されて終わっていたのだから。
ただクラピカだけは試合を組ませていない。
鎖の具現化自体は出来るようになったし別に発がなかったとしても対戦することは出来るのだがクラピカは旅団に対する切り札である。
こんな情報がだだ漏れになりそうな所で鎖などという特徴的な能力を使ってしまったら敵の中に鎖を使う奴がいる、という情報が旅団にバレた時点でシャルナーク辺りに調べられて突き止められる可能性がある。
ゴン君は通常戦闘なので問題ない、キルア君の能力も例え使ったとしても傍目には良く分からないだろうしそもそも未完成で使う可能性は低い。
レオリオの能力はそもそも戦闘目的ではないため戦闘には使わない。
じゃあクラピカも能力を使わずに戦えば良いじゃないかとも考えられるが具現化系に能力使わずに通常戦闘だけやれというのは酷である。
緋の目を発動させれば肉体強化も100%の性能で発揮できるがそれで体調を崩されても厄介だ。
クラピカに実戦経験を積ませるのは別の方法を考えているので今回は見送りである。
とりあえず今日はまずキルア君の試合だ、対戦相手の成績は6勝1敗、初戦の負け以降無敗であるらしい。
1つ前の試合を観戦させてもらったが中々厄介な放出系能力者だ。
私は能力の相性的に良い勝負が出来るだろう、勝つつもりもある。
しかしキルア君は今の時点ではまだ相性的に不利な相手だ、この先キルア君が自分の能力をもっと鍛えればそうでもなくなるだろうが。
さてさて一体どういった結果になるだろうか楽しみである。










「さぁ!!いよいよ本日のメインイベント!!ノイ選手VSキルア選手の一戦が始まろうとしています!!ノイ選手は現在6勝1敗、初戦の負け以降全勝中、しかも最近の3試合は1ポイントも取られずの無傷の勝利と絶好調です!!対するキルア選手も200階に上がってきてから3戦して3勝と波に乗っております!!果たして勝利の女神はどちらに微笑むのか!?大注目の一戦の開始まであとわずかです!!」

ヒソカVSカストロ選手の一戦に負けず劣らず熱の入った実況の言葉、会場の高まりも相当なものである。
キルア君の対戦相手であるノイ選手はキルア君と大して変わらぬ子供である。
いや、実際の年齢は分からないがとにかく見た目は子供である、対戦を依頼しに行ったときには自分は大人だと言っていたがビスケのように見た目を変えている訳でもないようだし良く分からない。
格好は踊り子風で鞭を武器としている、肉弾戦能力は脅威といえるほどではないとは思うが能力がバランスよく考えられていてやりにくい、初見ではまず喰らうだろう。
その後キルア君が反撃できるかどうか、どっちが勝つか正直分からない、もちろんキルア君に勝って欲しいとは思うが。

「ポイント&KO制、ノイVSキルア 開始!!」

開始の合図と同時に鞭を振るうノイ選手、しかしキルア君は余裕で避ける。
その後も連続して振るわれる鞭の全てを見切り回避している、まずは様子見といったところだろうかキルア君からはまだ仕掛けていない。

「キルアの奴避けてねぇでリールベルト戦の時みたいに掴んじまえばいいんじゃねぇのか?」

横で見ていたレオリオがそんなことを言ったが斜め上から振るわれた鞭が地面を砕いたのをみて言葉を止める。

「キルア君なら出来なくはないだろうけどあの時ほど簡単じゃないよ、彼女はちゃんと周をしているもの」

そう、リールベルトと違って彼女はちゃんと鞭にオーラを込めている。
その破壊力はリールベルトとは段違い、いくらキルア君とはいえ掴み取ろうとしたら怪我を負うだろう。

「しかし、彼女のステップは独特だな、まるでリズムを踏んでいるようだ。踊り子風の見た目からしてそういう武術なのかもしれないな」

クラピカのいうとおり彼女は鞭を振るいながらも試合開始からずっと独特なステップ、まるで踊りを踊っているようなステップを踏んでいる。

「あ、キルアから仕掛けるよ」

雰囲気で感じ取ったのだろう、ゴン君がそう口にする。
様子見はすんだのだろうか、確かにキルア君が今度は自分から仕掛けようとしているのが分かる、彼女のスピードや反応速度から行けると判断したのだろう。










side キルア

下手な闘士と戦ったとしても意味はない、そう何度も口にしていたユイが見つけてきた相手だ、念能力者であることも合わせて見た目での判断は意味がない、とにかく最初は様子見をしようと避けることに専念する。
確かにオーラを込めた鞭は厄介だが避けられないほどじゃない、しばらく様子見をしてスピードも身体に纏ったオーラも十分自分の攻撃が通用するレベルだと判断する。
ならば能力を使われる前に倒すべき、そう判断してこちらから攻勢に出る。
一気にギアをあげ後ろに回りこむ、相手は反応できていない。
このまま接近し全力で手刀を叩き込む、うまくいけばこの一撃で終わるだろう、そう思って相手に近づく。

「!?」

突然何かに蹴躓いたかのように身体が泳ぐ、足元を見るがそこには何もない。
いや躓いたように感じたが少し違うように感じる、何かいきなり身体に違和感を感じたような……
違和感の正体は分からないが何かをされたのは間違いない、予定を変更して後ろに下がり距離をとろうとする。

「な、っんだよ!?」

相手はもう反応してこちらを向いている、さっさと後ろに下がろうと思うのに身体が思うように動かない。
遅い、それが違和感の正体だ、あきらかに自分の動きが遅くなっている、一体何をされたっていうんだ!?

「アローバルカン!!」

相手の鞭の先端に10を超える矢が生み出されそれがこちらに投擲される、放出系の念弾だろう、喰らうとまずい。
しかし遅くなった動きでは避けきれないし全てを叩き落すことも出来ない、とにかく致命傷になる部分を狙う矢だけでも叩き落さなければ、そう判断し遅くなった動きにイラつきながら身体を動かそうとする。

「コンタクト落としちゃった、動かないでーー!!!!」

いきなり脈絡なくそんなことを叫ぶ相手、一体何を考えてるんだ!?
そんなことをいわれて動きを止めるわけがないだろう、そう思う頭に反して身体は動きを止める、どうなってんだクソッ!!
とにかく全力で堅をする、動けない以上オーラで身を守る以外に出来ることがない。
痛みを覚悟し身構えたオレにいくつもの念弾の矢が突き刺さった。










「クリティカル!&ダウン!!3ポイントノイ、3-0!!」

複数の矢に弾き飛ばされてキルア君がダウンをする、ほとんどガードも出来ずに直撃を喰らったみたいだけど大丈夫だろうか?

「アホかー!!キルアの奴あんなことで動きを止めやがって!!」

「バカか、貴様は!!今のは明らかに相手の能力によるものだろうが!!」

何が起こったか分かっていないレオリオにクラピカがそう指摘する。

「出ましたー、ノイ選手の必殺技!!アローバルカンにスクリーム!!スクリームで動きを止めた相手にいくつもの矢が襲い掛かる、ノイ選手の必勝パターン、これは決まってしまったかー!?」

解説が実に分かりやすく説明してくれる、ゴン君は本当にコンタクトを落としたのだと思っていたらしい、ゴン君なら発じゃなくても引っかかってくれるかもしれない。

「多分声にオーラを乗せて空気の振動か何かで相手の動きを一瞬止めてるんだと思う、厄介だよ」

「最初キルアの動きが急に遅くなったけどそれもあの子の能力?」

「多分そうだろう、恐らく特定のステップを踏むことで自身の周囲にいる者の動きを遅くする能力だ、踊りとして完成することが条件であるため最初鞭による攻撃を避けていたときは発動していなかったのだろう」

クラピカ恐らく正解、現時点で彼女の能力は踊りを踊ることで自身の周囲に居るものの動きを遅くする能力、声にオーラを乗せて叫ぶことで相手の動きを一瞬止める能力、そして矢の形をした念弾だ。
遠距離に秀でた放出系らしい能力に近接のこともしっかり考えられた能力、非常に厄介だ、バランスが取れている。

「おーっとキルア選手立ち上がりました!!しかし出血をしふらついています!!試合続行できるのかー!?」

審判がキルア君に近寄って試合続行できるか聞いたのだろう、キルア君がうなずいている。

「立ち上がったのはいいけどよ、一体どうすんだ!?近寄ったらノロくされちまうんじゃ接近戦は出来ねーし遠距離戦は相手の土俵、これじゃ勝ち目なんてねーぜ!?」

そう叫ぶレオリオ、確かにキルア君にはまだ遠距離の相手を攻撃する手段がない、とはいえ勝ち目がまったくないわけでもない。

「確かに厳しいだろうが……しかし手がないわけではない。彼女の能力のうち少なくとも後者2つは発動条件があり重複は不可能だ。今は起き上がるまでの間にまた踊りを完成させる間を与えてしまったが、それをさせなければあるいは……」

「後者2つ?条件があるのは踊りで相手の動きを遅くする能力だけじゃないの?」

「いや、彼女のスクリームといった能力、使用する際身体の動きを止めて息を大きく吸ってから叫んでいた。そしてキルアが倒れている間にまた最初から踊りなおした、つまりこれはスクリームが踊りながらの使用が不可能ということを表している」

私もそう思う、でなければ発動まで時間のかかる能力を一回止める理由がない、恐らくクラピカの言うとおりスクリームと踊りは両立不可能なのだろう。
つまり何らかの方法でもう一度踊りを止めさせることが出来れば勝ち目はある。
立ち上がったキルア君がゆっくりとした動きで歩き出す、彼女が踊りなおしたということは一度発動させたからといってその後永続的に効果が続くわけではないはずだが……。
そしてゆっくりと歩いていたキルア君が段々と何人も居るように見えてくる。

「肢曲だ!!ネテロ会長と勝負してたときに使ってた!!」

なるほど、緩急をつけた動きで相手を惑わす独特の歩法、これならば動きを遅くされても問題はない。
鞭を振るうが本体を捉えられていない、鞭の当たったキルア君の残像は掻き消えてお終いだ。
このままではいずれ接近されて攻撃を喰らう、彼女もそう判断したのだろう、踊りを止めて息を大きく吸う。

「き…むぐっ」

すっ、っといきなり現れたキルア君が後ろから彼女の口をふさぐ、そのまま足を払って腕を押さえつけ地面に押し倒す。
欲を言えば一撃で気絶させたかっただろうが動きの遅くなった手刀で一撃で昏倒させられるかは分からない、それよりも叫ばせずに踊りを止めればいずれ身体の動きは元に戻る、それにこの体勢になればそれを待つまでもないだろう。

キルア君が何かを口にし彼女が首を振る、恐らくまだやる?みたいなことを聞いたのだろう。

「試合放棄により勝者キルア!!」

審判がキルア君の勝ちを告げる、しかし勝ちはしたがキルア君のほうがボロボロだ、とにかく早く手当てをしないと。
しかしもう少し苦戦するかもと思ったがなるほど肢曲か……もしゴン君やレオリオが彼女とやったらどうなったかな?
ゴン君は釣竿や石版で遠距離から踊りを止めて何とかしたかもしれない、レオリオも念弾を飛ばすことなら出来るしナイフも投擲できる。
遠距離での攻撃と接近戦対策の能力、隙のない能力者だと思ったけど逆に遠距離から攻撃されることが弱点、ってことだね。
しかし優れた能力者であることは確かだ、今後の成長次第ではその隙もなくなってもっと強くなるだろう。
スクリームとアローバルカンだけでも十分脅威だ、純粋な格闘能力がもっと上がったら今度はキルア君に勝てるかもしれないな。










「キルア君、大丈夫?」

キルア君と試合後の選手控え室で合流、闘技場の職員に簡易的な治療はしてもらっているがそれなりに重傷のはずだ。

「あー、だいじょーぶだいじょーぶ、これくらい慣れっこだって」

そういうキルア君、本当に大丈夫そうだけどキルア君は痛いのとか平気で我慢出来ちゃうからキルア君の大丈夫はあんまり信用できない。

「……レオリオお願い」

「おうっ、まかせとけ」

そういってキルア君に能力を使うレオリオ、みるみるうちに完治、とはいかないがこうしておけば恐らく今日中に治るだろう。

「キルア!!おめでと!!」

「おうっ、サンキュッ!!」

ハイタッチを交わす2人、思ったより元気そうで良かった、レオリオのおかげですぐに治るし特に問題はなさそうだな。

「しかし直撃を喰らったときにはこれで終わりかとも思ったぞ、よく立ち上がれたな」

「あぁ、動きとめられる前になんとか急所だけは両腕で守れたからな」

彼女の念弾はまだそれほど威力が高いわけではなかったのも要因だ、もっと威力があがっていたらさすがにあの数を喰らって立ち上がることは出来なかっただろう。

コンコン

扉がノックされる、誰だろう?

「はい?」

「ノイですけど、キルア君の控え室はこちらですかー?」

キルア君に目線で了解をとって扉を開ける、そこに居たのはどう見ても私たちと同い年、下手したら年下の女の子、対戦相手のノイ選手だ。
私のことは対戦を申し込みに言ったので知られているが予想外にたくさんの人が居たからだろう、ちょっとびっくりとした顔をしている。

「いらっしゃい、私たち5人でここに来たから、試合が終わったキルア君に会いに来てたの」

「あ、そうなんだ。あの、大丈夫だった?怪我とか……」

「だいじょーぶ、鍛えてるからあれくらい何とも無いって」

そう言ってキルア君が出てくる、うーん結構出血とかしてたんだけどな……でも本人が大丈夫と言っているんだから外野がどうこういうことではないだろう。
その後は検討会のようなおしゃべりが続いた、ズシ君に続いて2人目の同年代の知り合いだ(本人は否定しているが)会話も弾むようである。



………

「ここに来て念を覚えて、能力を考えて……そういったことに集中しすぎて基本的なことを怠ってたのが敗因かな」

ノイちゃん(そう呼んでいいらしい)がそう口にする、確かにその通りかもしれない、能力は良く考えられていた、ただ……

「もっともっと鍛えなきゃね、能力に頼って普通の戦闘訓練を怠っちゃってたよ、今日はそれを気付かされた感じ」

その後もしばらくおしゃべりをして携帯の番号とアドレスを教えてもらってその日は別れた。
何かあったら呼んでね、そう言ってくれたのがとても嬉しい、そういえばここに来てから初めての同姓の友達だ。
さて、明日はレオリオの試合、明後日はゴン君の試合だ。
クラピカのための実戦訓練もしなくちゃいけないし……考えてなかったけどノイちゃんに闘技場以外での模擬戦を頼むっていうのもありかも。
キルア君が勝ったのでゴン君とレオリオもやる気十分、勝つ気十分だ。
さてさてどんな結果になるかな?



























本日のキルア君の対戦相手、元ネタはラグナロクオンラインの職業の1つジプシー

名前:ノイ

系統:放出系

能力:アローバルカン
    矢の形の念弾を作り出し飛ばす能力、ある程度の誘導性能がある
   制約
    鞭を手にしていなければならない

   スクリーム
    声にオーラを乗せて叫ぶことで相手の動きを一瞬止める能力
   制約
    使用時術者は動きを止めていなければならない
    叫ぶ内容はランダムで術者が選べない

   私を忘れないで
    自分の周囲3m内に居る者の動きを遅くする能力
   制約
    特定の踊りを踊っていなければならない
    生物限定である、念で作り出した物体にも効かない
































7/2投稿

うまいこと敵キャラが考えつかなかった時、ふっとずっとやっているオンラインゲームのことを思い出した。
RO(ラグナロクオンライン)の職業を念能力者に例えたらいい感じのキャラになるんじゃないか?
そう思って全職業の中からありえそうなものを探し最初にジプシーを出してキルア君と戦わせてみた。
自分でやっておいてあれだがこれは結構ありだと思う。
レオリオとゴン君の対戦相手もROの職業を元にしています、それぞれが誰と戦うかはお楽しみと言うことで。
このジプシーさんはGメンさんが元になっています。
最近忙しいらしく名前の使用許可をまだ取れていないのでとりあえず適当な名前をつけてます、許可が出たら名前だけ変えます。








同日23時過ぎ、再投稿&追記

22時頃アルバイトの帰りに感想を確認し指摘により致命的な過ちに気付きました。
即座に慣れない携帯で修正を試みるも携帯での投稿では字数制限があることに気付かず、該当部分の修正には成功するも後半部分がごっそり消えるというアクシデントに。
仕方なく携帯での修正を諦め一度16話を削除、帰宅した後再投稿しました。
あったはずの最新話が消えて驚かれた方、誤修正により途中で切れている変な最新話を読んでしまった方、申し訳ありませんでした。






[19256] HUNTER×HUNTERをプレイしてみた(仮) 第十七話
Name: ユイ◆d2ec74bc ID:1dab45ea
Date: 2010/07/11 18:23
「じゃあレオリオ、頑張って」

最後にそう告げて選手控え室を出る。
今日はレオリオの闘技場初試合、もちろん私もみんなと一緒に観客席で観戦するのだがその前に控え室に様子を見に来ていたのだ。
と言っても対戦相手の情報を与えたり対策を教えたりしていたわけではない、そういった情報なしにいきなりの対戦でしっかりと対応できる力をつけて欲しいから。
まぁ最低限の注意事項というか激励というかそんな感じだ。
こう言っては失礼かもしれないがレオリオには別に何が何でも試合に勝って欲しいとは思っていない。
能力から後衛タイプのレオリオは格上の相手と戦り合っても凌ぎきれるような、うまくいけば逃げられるほどの力をつけてくれればそれでいい。
とりあえず試合まであと30分を切っているくらいだ、急いでゴン君たちのところに行こう。

「おや、ユイさんじゃないですか」

観客席に向かおうとしていた途中、後ろから声を掛けられる。

「あ、ラウルさん」

振り返るとそこに居たのは今日のレオリオの対戦相手のラウルさん、一見すると眼鏡をかけた知的な男性だ、あまり戦うタイプには見えない。

「昨日のノイさんとキルア君の試合はボクも見させてもらいましたよ、あのノイさんに勝つなんてあなたのお弟子さんは素晴らしいですね」

手放しに褒めてくれるのは嬉しいけれども昨日のキルア君の勝利は私が教えたことよりもキルア君が元々持っていた力のおかげだ、そういったことを説明する。

「肢曲ですね、闇に生きる者の専売特許とも言える技術らしいですが、彼も中々複雑な人生を歩んできたようですね。ですがその前のノイさんの念弾を耐えることが出来たのは彼の堅が優秀であったからこそです、そうでなければあの時点で終わっていたでしょう」

「そう……ですね、ありがとうございます」

確かに念を教えているのは私だが本来別の人が教えるはずのものを受け売りでそのまま教えているようなものだし私の力でキルア君たちを成長させたという気はあまりしない、彼らが強くなったのは彼ら自身の努力と才能によるものだ。

「昨日の試合を見て今日の試合がますます楽しみになりましたよ、今日は良い試合が出来るようボクたちも精一杯頑張りますね」

「そんな……ラウルさんの方が一枚も二枚も上手ですよ、こちらとしてはポイント負けまで粘れれば上々だと思っていますから」

「そうですか?まぁボクたちは全力で試合に臨むだけですがね、ではまた」

そう言って一礼をし、去っていくラウルさん。
ととっ、話していてさらに時間をくってしまった、急いでゴン君たちのところに行かないと!










side レオリオ

目の前に立たれてもそんなに威圧感を感じねー、見た目も格闘家って感じじゃねーしどっちかっていうと研究者って言われたほうがしっくりくるって感じだな。
でもまぁ見た目優男ってことならクラピカの奴もそうだし、ゴンたちに至っては見た目はただのガキだ、ユイも念能力者は見た目で実力がまったく判別できないっつってたし、きっとこいつも見た目で判断するのは無駄なんだろうな。

「ポイント&KO制、ラウルVSレオリオ 始め!!」

ユイには負けてもいいから最後まで粘れって言われてるからな、期待されてねぇのは残念っちゃぁ残念だが実際そんなもんなんだろう。
まぁ、それでもやるからには勝つ気でやるけどな!!

「コールホムンクルス!!」

そう唱えるとあいつの横に現れたのは……なんだぁ!?

「おいっ、なんだそのもこもこしたのは!?ここの試合はペット同伴OKなのかよっ!?」

「ペットじゃないよ、この子はボクの大事な相棒の1人さ、名前はアミストル、よろしく頼むよ」

つまりカストロの奴と同じ念によって作り出されたものって訳か、具現化系能力……具現化系ってのは特殊な効果を付随させることが出来るって言ってたがそれはクラピカみたいな物質だけなのか?それともこういった生き物でも?クソッ、分からねぇ!!
分からねぇが本人を狙えばいいのはヒソカVSカストロの試合で見てる、カストロの奴みたいに本物と偽者が区別つかねーわけじゃねーからまだ分かりやすいぜ。

「ちなみにこの子はリモートではなくオートで動く。意志を持ち、もはや一つの生命体と言っても過言ではない。素晴らしいと思わないかい?生命の創造、神の御業とも等しき所業を念というものは可能にする」

「……じゃあ仮にオレがそいつを殺しちまったらどうなるんだよ?」

「ボクにとってペナルティは生まれるけれどこの子の命が失われることはないよ、しばらくすれば蘇生は可能だ。しかしそんなことをわざわざ聞いてくるなんて君は相当優しいんだね」

「うるせぇよ……だが大丈夫って聞いたからには遠慮する必要はなくなったぜ」

「あぁ、遠慮などする必要はないよ、全力でかかってくるがいいさ、ボクたちもそれに全力で答えるだけだ。と言ってもボクはほとんどこの子に頼りきりだけどね」

そう言うともこもこ羊が主人を守るように前に出てくる、おしゃべりは終わりってわけか。
オレは戦闘用の能力なんて持ってねぇし小細工も使えねぇ、武術を正式に習ったこともねぇ。
オレが出来るのは喧嘩に毛が生えた程度のもんだ。
正直こんなところで戦うなんてらしくねぇと思うし医者になるために資格がいるなんて考えなかったらハンター試験を受けることもなかっただろう。
だけどあいつらに出会っちまった、そして夢の実現のための力を教えてもらった。
だからこそオレもあいつらの役に立てるように、旅団を捕まえてぇってクラピカの願いを叶えるために、やれることはやっとかねぇとな。










「キルア君はこの試合、どっちが勝つと思う?」

戦い始めたレオリオとラウルさんの試合を見ながら横に居るキルア君に問いかける。

「んー、微妙、でもあいつ見た感じあんまり戦い慣れしてないと思うぜ?レオリオにも十分勝機あるんじゃねーの?ってゆーか、あのラウルってやつこんなところのいるタイプには見えねーんだけど」

「私もまだ少ししか話を聞いてないんだけど、ラウルさんはここにいる闘士の人としては珍しく此処に来る前から念を知っていた人らしいの」

「それってオレたちやズシみたいに誰かに念を教わってて修行で此処に来たってこと?」

キルア君の向こう側に居たゴン君が身を乗り出してそう聞いてくる。

「なんかね、ラウルさんいわく自分は戦う人じゃないんだって、なんかの研究をしていてその過程で自力で念に辿り着いたらしくて……此処には念獣、ラウルさんはホムンクルスって呼んでるけど、その子たちを成長させる為に来たんだって」

「え?念獣って成長するの?」

「う~ん、元々そういう風に作れば成長するんじゃないかなぁ、念獣は自意識を持っていて自動で動くようにも作れるから、というか分身みたいなものじゃなければそっちの方が多いんだと思うけど」

私も良くわかってないからなぁ……面目ないことに。

「しかし念獣をメインに戦わせるタイプといっても術者もリング上にいなければいけないルールだ、レオリオは念獣の攻撃にも注意しつつラウル選手本人を狙っていけばいいのだろう?彼が戦う者ではないというなら出来なくはないと思うが」

「オートなら術者が気を失っても動けるけど……でも闘技場のルールじゃ術者が気を失ったらKOになっちゃうから、そうだね野試合より闘技場のルールの中での試合の方がレオリオには有利……かな?」

「ただ念獣とやりあってる間は超不利だよな、レオリオが念獣にダメージを与えてもポイントにはならないけど念獣にダメージを与えられたらポイント奪われるんだろ?」

それは確かに……普通に念獣と戦ってたら一進一退のいい勝負をしたとしてもポイントは一方的に向こうに入るだけってこと。
ということは勝つためには多少無理をしてでもラウルさん本人を狙いにいかないといけない。

「念獣なしなら多分レオリオの方が強いはずだから、念獣に10ポイント奪われる前に念獣の攻撃を掻い潜りラウルさんにダメージを与えられるかどうか、ってとこだね」

そして実際に戦っているレオリオの動きも何とかラウルさんに接近しようという動きだ、まぁそうしなければポイントが入らないんだから当たり前なんだけど。
あの羊ちゃんはそんなに動きが早くない、ただもこもこな毛に覆われているせいかどうかは分からないけど防御力がかなり高そうだ、レオリオの攻撃を喰らってもそれほどダメージを受けている風じゃない。
念獣に存在を維持できないほどのダメージを与えるって勝ち方もあるんだけどそれはどうにも難しそうだ、それをやるにはゴン君のグーほどの破壊力がいるかもしれない。

「おっ、チャンスだぜ!!」

キルア君の言うとおり飛び掛ってきた念獣をレオリオが脇に蹴り飛ばした。
相変わらず大してダメージを受けているように見えないがレオリオとラウルさんの間を塞ぐような位置取りで戦っていた念獣が横に蹴り飛ばされたおかげでラウルさんに接近する隙が出来た。
レオリオも今がチャンスなのが分かっているからラウルさんに殴りかかる、これで予想に反してラウルさんが接近戦も得意でした、なんてことがなければ決められるかもしれない。

「!?」

「なっ、此処のルールでその能力は卑怯だろ!?」

た、確かに……本人にダメージを与えないと勝ち目がない此処のルールでそんなことをされたらちょっと難しいかも。

「瞬間移動……」

念獣と術者の位置を入れ替える能力か、そういえば原作にもいたなそんな能力者。
それがあの子の能力か……この間の試合で見た念獣とは違ったしこの間の子は何も能力を使ってなかったからスピード型、防御型ってタイプ分けがされているくらいで能力はないのかもしれないなんて思ってたけどそんなことはなかったか……。
ただ彼は恐らく具現化系で瞬間移動は放出系の能力だ、出来なくはないがそれなりにオーラは喰うだろう、際限なく連発できる能力ではないはずだ、攻め続ければ勝機はあるよ、レオリオ。










side レオリオ

「っ!!クソッ!!」

もう少しで手が届きそうな距離でまたもこもこ羊と入れ替わりやがった。
1日1回しか使えねぇなんて制約でもないかと期待したがこれで3回目だ、んなこたねぇらしい。
発動までタイムラグもねぇし、いやあるのかもしれねぇが少なくともその間には捕まえられねぇ。
どうする?相手にそんな能力がある以上もこもこ羊と引き離して本人を狙うって作戦はとれねぇ、むしろ一緒のところにいさせるようにしないとどうしようもねぇか。
よしっ、次飛び掛ってきたらとっ捕まえてあのヤローにぶん投げてやる!!



………

来た!!待ってろよ、今そのすかした面驚愕に染めてやるぜ!!
腹と腕にオーラを集めて避けずに受け止める体勢に入る、ご主人様のところに送り返してやるぜもこもこ羊!!

「っ、うおっ!?」

受け止めたはいいがそのまま後ろに転がっちまった、クソッ!!
腹にオーラを集めてたからダメージはほぼねぇがそのせいで踏ん張りがきかなかったのか。
よし、次こそは多少のダメージは覚悟の上でとっ捕まえてやる!!

「クリティカル&ダウン!!3ポイントラウル、10-0、TKOにより勝者ラウル!!」

「……なにぃ?!」

10ポイント、いつの間に!?そんなに溜まってたのかよ!?

「ちょっと待てよ、ダウンはしたが全然クリティカルなんかじゃねぇよ!!ダメージなんてほぼねーぜ?!」

あ、派手にすっ転んじまったからクリティカルになっちまったのか……ってふざけんなよ!!次こそ決めてやるってのに!!










「レオリオ……」

10ポイントで試合終了を告げられてもまだリング上で騒ぎながらラウルさんに詰め寄っているレオリオ、確かにもう少しってところで止められちゃって悔しいのは分かるけど……ルールなんだから仕方ないよ。
そういえば原作でゴン君もヒソカ戦でこれからって時にTKO負けになって困惑してたっけ?
ポイント制の試合じゃ本当の意味で真剣勝負にはなりにくいってことか……。
とりあえずレオリオを止めないと、他人の振りを決め込んでるクラピカは頼れないからゴン君手伝ってね。


























本日のレオリオの対戦相手、元ネタはROの職業の1つアルケミスト

名前:ラウル

系統:具現化系

能力:コールホムンクルス
    念獣を呼び出す能力、全部で3種類の念獣がいる
   制約
    誰が出てくるかは術者は選べない
    一度出てきた念獣は最低1時間は消せない
    術者の意思以外で念獣が消えてしまった場合、一週間呼び出すことが出来ない

念獣

アミストル

特徴:羊型の念獣

能力:キャスリング
    術者と念獣の位置を入れ替える能力
   制約
    術者と念獣の間を遮るものがあると使えない

   ブラッドラスト
    念獣が敵にダメージを与えた際、そのダメージ量に対して一定の割合でオーラを奪い取り念獣のものにする
   制約
    親密度が「きわめて親しい」ときにしか使えない
    一度使用すると念獣を消した際、親密度が「普通」(の最低値)に戻る


フィーリル

特徴:鳥型の念獣

能力:S.B.R.44
    親密度を犠牲に必殺の一撃を叩き込む、現在の親密度が高ければ高いほど威力が上がる
   制約
    親密度が「きわめて親しい」ときにしか使えない
    一度使用すると親密度が「嫌い」(の最低値)に戻る


リーフ

特徴:女性型の念獣

能力:治療の手助け
    薬品や治癒能力の効果を高める能力、それ自体に治癒能力はない

   メンタルチェンジ
    親密度を犠牲に攻撃力、防御力を大幅に高める能力
   制約
    親密度が「きわめて親しい」ときにしか使えない
    使用すると10秒ごとに親密度が1下がり、「気まずい」になると能力が解除される


※親密度

念獣と術者の仲の良さを現す数値、この数値が高ければ高いほど念獣は強くなる。
親密度は念獣を出している間10分に1ずつ増加し、出していない間1時間に1ずつ減少する。
術者の意思以外で念獣が消えてしまった場合(戦闘による敗北など)親密度が100下がる。

状態        親密度

嫌い         ~20
疎疎しい     21~100
気まずい     101~250
普通      251~750
親しい     751~910
きわめて親しい 911~1000




































7/11投稿

忙しすぎる、先月はバイトのシフトが若干少なかったので書く暇があったが今月はまた元の量に戻ったので本当に書く時間がない。
朝起きて大学もしくはバイトに行き、夕方一度帰ってきてまたバイトに行く、といった生活で家には本当に寝るためにしか帰っていない。
間に夜勤も入っていてあれ?なんで自分こんなに働いてるんだっけ……?
と、まぁそんなわけで投稿が遅れてしまって……すみませんでしたorz
しかも今回いつもみたいにゆっくり何度も見直しながら書いていないのでちょっと適当かもしれません……。
でももう一週間以上空いてしまってこれ以上空けるのも忍びなかったのでちょっと無理やりあげてみました。
今回はレオリオの初対戦です、対戦相手は錬金術師のラウルさん。
普段は自分の研究室にこもって薬品混ぜたり実験したりしているマッドサイエンティストチックな人です。
なのであまり戦闘は得意ではなく基本戦闘は念獣にまかせっきりです。
そんな彼ですが念獣に対しては家族のように接し親密度は着々と上昇中です。
ですが親密度低下が怖くてせっかく作った各念獣の奥義は1回も使ったことがありません。
この先彼が奥義を使わせることは果たしてくるのか!?
うん、どうでもいいですね。
次回はゴン君の対戦です、その後はユイかな?
そのさらに後はチーム戦とか考えています、もちろん闘技場の試合ではなく別の場所でですが。
それと板を移動するのはPV数の区切りじゃなくて話の区切りでってことで天空闘技場編が終わるタイミングですることにしました。
しばらくはチラシの裏でよろしくお願いします。




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