「知らない……」
気がつくと、なぜか白い世界にいた。となれば、ここはこの台詞を言っておかねば。
「気がついたようだな」
言う前に見事に遮られました。orz
まあいい。それよりも聞いておかなくっちゃ。
「あのぉ、ここはいったい」
「ああ、ちょっとすまない。答える前に一つ質問させて貰うが良いね。君は、気がつく前の事を覚えているかな」
頭に響くようなこの声は……まさかして、ひょっとして、もしかして……
「ひょっとして、死ん……」
「ああ、最後まで言わずとも、その通り。まあ、質問に答えて貰ったことになるかな」
やっぱりこれはテンプレ。
「じゃ、あなたは神様か何かですか」
「啓典の民の言う神ではないので、何かの方に当たるかな。覚者と呼ばれている」
「各社?」
「君が今想像しているのとは異なる。"目覚めた人"と言う意味だ」
目覚めた人……よくわからんけど、神様みたいな存在だと思えばよいのか。
「で、その神様みたいな方がいったい?
「私の方から説明いたします」
みたいな存在の後方から、女性とおぼしき存在が進み出てくる。
「えーと、あなたは? 神様みたいなお方の部下みたいな存在ですか? それとも、マリア様みたいなお方?」
「覚有情と申します。覚者様が神様みたいな存在とすれば……性別は異なりますし、差異も大きいですが、マリア様みたいな存在というのが近いかも知れませんね」
「マリア様みたいな存在、略すとマリみたですね」
「いえ、根本的に違います。で……」
「では、改めて、ここにはボク以外誰もいないんですが、ボクはどこにいるんでしょうか」
「略すと、ここは誰ボクはどこと言う事ですね」
言葉を遮った仕返しだろうか変な略し方をしたマリみたさんが指を鳴らすと、同時にウインドウが開くように画面が出現した。
「あなたは今、輪廻の輪から外れた状態になっています。」
テンプレきた−!! とワクテカしまくりなところに、神様みたいな存在、略してみたいな
「あなたが想像しているのとは若干異なります。別に、ミスでとか楽しみでとかそんなわけでこの場所にと言う事ではありませんし、生前の行いに感動仕手というわけでもありませんので」
ちょっと残念。
「通常であれば、天国と地獄と呼ばれる場所へ輪廻するのですが、あなたの場合、本来起きえない事が起きてしまったのです」
「起きえない? 解脱とか言うやつですか」
「いえ、それであれば問題ないのですが、魂が留まると言う、不自然きわまりない状態へこのままだと陥りそうだったので」
「留まると言うと、幽霊とか」
「そのようなモノだと。まあ、幽霊の類は残骸の一部が色となったモノですが」
「とにかく、そういうわけで、君には通常とは異なるが、転生というモノをして貰うこととなった」
「えーと、特典とか」
「本来なら、むしろ消去すべき対象なところ、転生することで再度輪廻可能と言うだけで特典といえるのですが……」
「よろしい、君の言うところの特典だが、流石に三つもとなると手に負えない。せめて一つだな」
「その転生先ですが、危ない世界ですか?
「いえ、あなたの言う"ギャルゲー"の世界と思っていただければ」
ギャルゲーか。型月とかマブラブとかあるけど、まあ大概のはあっても味付け程度だろう。あんまりよく知らないけど。
「それなら一つで充分です」
「で、どのような特典が欲しい」
「なでポ・にこポで」
ある意味、ギャルゲー世界なら究極のスキルだよね。なでなでだけで女の子の好意勝ち取れるなんて。コレなら、最悪戦等とかでも、仲良くなった女の子が助けてくれるはず。……ちょっと情けないけど、まあ死ぬよりはましでしょう。
「うーん、流石ににこポは如何南無のでしょう」
「うむ、確かに。微笑むだけで好意というのは、心を操る術に値する」
拙い、最近の二次創作のお約束、踏み台・咬ませ犬系のお約束だから意識してなかったけど、確かににこポだと、単なる洗脳以上に強力かも知れない。にこっとするだけで最低限以上の好意が得られるんだから、その後の進め方さえ間違えなければ、これくらい強力なスキルは無いか。
だが待てよ。
「えーと、流石に無理でしょうか。にこポ駄目ならせめてなでポを」
そう、なでポなら、少なし相手の頭を撫ぜると言う好意を行うため、最低限の行為を持たれないと成立しないはず。って、好意と行為が逆だ。
「なでポですか。まあ、それなら問題ありませんね」
「確かに、にこポは拙いが、それならば問題無いな」
「じゃあ、それでお願いします。ところで、転生のお約束とかは……」
「安心して良い。足下が、云々は無い」
「そうですか」
「単に、背後の"窓"に吸い込まれるだけだ」
「なんだって−」
背後を振り返ると"旅の扉"もどき。そこへ吸い込まれていくのに気がついた。
流石に、赤ちゃん時代はキングクリムゾン!!
今、俺は大学生。
確かに、ギャルゲーの世界に転生したらしい。
どう考えてもブラコンな可愛い妹に、勝ち気な眼鏡っ娘な委員長タイプの幼なじみ。そんな素敵な彼女たちに囲まれる主人公
……の友達。
だがしかし、忘れて貰っては困る。特典内容は、まさしく逆転ホームランなスキル!!
……のはずでした。
「どうしたんだい」
「いや、何でも……」
「どうでもいいけど、あっち行ってくれないかい。ボクは、そこのプラトーと話があるんだよ」
「そうです。ファーはこれからお兄ちゃんとデーとしなければなりません」
……よりによって、ReAngelの世界でした……