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[11839] [ネタ]史上最強の強敵 ケンイチ(真剣で私に恋しなさい!オリ主転生)
Name: ジョン◆62bea973 ID:1de9db2b
Date: 2009/12/12 23:34
 今書いている作品の息抜きに書いてみました。作者は最強の弟子が好きです。だって師匠は全員最強。すごいと思いませんか?

 そして最近見つけたこの作品。明らかに最強すぎる設定に思わず面白そうだと思ってしまいました。

 なら最強同士の戦いを書いて見たいと思うのもしょうがない事でしょう。

 因みにぶっちゃけ「ネタ」です。どうかお付き合いください。

 一言、兼一ではなく謙一にしたのは兼一が女性を殴ったりすることを自分は認めないからです。ゆえにオリ主としました。ご了承下さい。

 この作品はさまざまなご意見、感想を心待ちにしております。



[11839] 転生するなら天才に
Name: ジョン◆62bea973 ID:1de9db2b
Date: 2009/09/14 21:24


転生という言葉を聴いたことがあるだろうか。今自分はその状況にある。



 零話 どうせなら



 神様って存在したんだな。ふとそんな事を考えた。

 「存在したりするんだよこれ。何気に意外といるんだよ?」

 勝手に心を読むのかよ。そんな事を考える。

 「いや、気のせいだから。別に読んじゃいないよ?」

 何故に疑問系?

 「…ま、そんな事より希望ある?有るよね。無いなんていわないよね?」

 何故そんなに必死?

 「いや、手違いで人殺しした知られたくないでしょ?」

 あんたの責任で俺死んじゃったのか。

 「ごめんね。奴をもっと早く片付けられたら。」

 いや、あんたじゃなく悪魔の所為だしいいや。

 「ありがとう。けどこのままじゃ魂が冥界の悪魔に食われるから別世界に転生させるよ。」

 ありがとうございます。何から何まで。

 「いいよ。いつもこんな事なければ下界でのんびり過ごすだけだし。」

 へぇ~、うらやましいな。いろんな世界に家持っているんだ。

 「おっ、よく分かったね。確かにいろんな世界に持っているぞ。」

 どんな世界?

 「りりか○とかネ○まとかゼロ○とかかな。」

 …なんかオタクみたいな感じな世界ばっかじゃ…

 「……それはそうとそろそろ決めた?どこに転生するか。"家"がある世界ならどこでも良いけど。」

 ……転生する世界はお任せするんでお願いしても良いですか?

 「いいけど何?」

 一、転生するとき才能を付ける事。二、武術の師匠を付ける事。三、原作に関与しても何も言わない事。

 「一はOK。二も大丈夫。三は個人の自由だから何しても良いよ。」

 ならどこにでも良いんでお願いします。

 「じゃ早速転生に移るぞ。記憶は持ったまま転生させるから安心しろ。」

 ああ、ありがt……

 こうして無事に転生は行われた。



-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------

 主人公 神対悪魔の戦いに巻き込まれ死亡。その時死んだ魂を冥界に引きずり込まれる呪いを掛けられ神様に転生することで呪いを解けることを聞き神様の配慮で転生。ちなみに武術の心得ゼロ。スキル不明




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 暇だったので書いてみました。



[11839] 強敵と書いてともと呼ぶライバル?を探せ
Name: ジョン◆62bea973 ID:1de9db2b
Date: 2009/09/14 21:30
 「もうお前に教える事はない。これからも鍛錬を欠かすんじゃないぞ。」

 「ありがとうございます。あのときから此処まで。今自分があるのは貴方のおかげです。」

 「それは違うぞ。お前が頑張ったから、あの漫画じゃないとありえないような修行に耐えらたんだ。そしてお前だからこそその体の才能を十二分に使う事ができるんだ。誇るがいい。」

 「はい、師匠。」

 「もはや、会う事も無いだろうから師匠と呼ばずとも良い。土地も自由にしろ。お前の転生の為に用意したのだから。住んでもよし売ってもいいから、自由に生きろ。手続きは既に済んでいる。」

 そう言って、虚空に手をかざし虚空の扉をつかむ。

 「お前は力をこれ以上もとめる事はないかもしれん。しかし更なる力を求めるなら、強敵(とも)を探せ。この世界のどこかにいる筈だ。」

 見ると、体の半分以上が消えていた。もう時間も無いのだろう。

 「神である以上弟子など持った事もなかったが、お前は私の自慢だ。誇れ。」

 目に涙が浮かぶ。

 「十五年間。ありがどうございまじた。」

 涙が溢れてくる。

 「なに、約束を果たしたまでじゃ。何より私も楽しかったぞ。」

 そういって完全にこの世界から姿を消した。

 第一話 強敵と書いてともと呼ぶライバル?を探せ。



 初めまして。悪魔に殺され転生した元一般人です。この世界でも表向きは一般人をしています。

 しかし家では違います。神様はわざわざ自分の為に新しい世界を探し、自分の居場所を作ってくれました。そしていわゆる養父という立場から自分に色々な事を教えてくれました。

 精神が肉体に影響を受けたようで、年相応な精神を持っていた自分に養父、こと神様は某最強の弟子にでて来る様な修行をさせてきました。世直し旅行よりは楽でしたが某弟子のようにサンドバック状態になってしまいました。

 しかし、神様は限界を超えないよう自分の事に気を使いつつ、某最強の弟子の修行を続けました。前世の死に方を覚えていた自分はたとえ悪魔に殺されたといえどもあのように簡単に殺された自分が許せず、修行に明け暮れました。

 しかし道を失わなかったのは神様がこの世界に留まっていてくれたからに過ぎなかった。世界を見て回る神が不在になり、世界のバランスが崩れそう。自分があのときの神様だと語った養父はすまなそうな顔をしていた。そしてこの世界に来るのがいつになるか分からない、といったときは言葉に表せない気持ちになった。恩返しが出来ずに帰ってしまう神様に俺は、

 「一つお願いしても良いでしょうか。」

 「ああ、いいぞ。」

 「此処に俺がいた事を覚えていてもらえませんか?」

 此処に俺がいて、一緒に過ごした事を覚えてもらいたかった。人とは違い寿命などない神にたかだか一人の人間を覚えていろということはわがままかもしれない。しかしなにか思い出にして欲しかった。

 自分の責任で不幸にしたのではなく幸運にしたのだと。






 そして、神様は元の空間に戻りいつもの日常が続いた。そんな中自分の武に疑問を持った。

 この武は師匠こそ神様だがそれ自体は某最強の弟子のそれと同じ多くの流派を使う。というか前世で何気に好きだった事が神様にばれていたらしくどうせなら自分で使いたいだろうと思いそれらを教えてくれていたそうだ。弟子が習っていなかったのも含めて。

 そしてこの世界にはあれのようなものがある。挑戦したいと思うの普通だろう。力を持った者には。



 まるで"梁山泊"に近いそれを人はこう呼ぶ。川神院と。






 そして調べた限り彼女もいるようだ。偶然にも(神様との契約のおかげ)来年にも彼らが二年に上がるのでその時編入する事になっている。楽しみだ。自分と近い力を持つ人間と戦うのは。武士として強い奴と戦いたいと思うのは本能に近いのかもしれない。









 ~数ヵ月後~




2009/4/20


見るからに不良な男達が集団(12,3人)で1人の女の子を囲んでいた。しかもバットとか武器を持っている。

 周りで見ている生徒達は誰も助けようとはしない。

 その女の子は

 「テトリスか、なつかしいな。協力してくれ。」

 そういって不良たちをフッ飛ばす。

 観客からは歓声が聞こえる。男女ともにその光景を日常の一部として捉えている。

 「まさに覇王。」

 「日本じゃ敵なしだ。」

 そんな声さえ聞こえる。

 そして男達は縦に積まれていく。

 「ふっ、美しく積みあがったな。」

 そして思い出したかのように、

 「おっとテトリスは並んだら消さないとな。」

 積みあがった男達を回し蹴りで吹っ飛ばす。

 そして何事も無かったかのように歩き出す。仲間と話しながら。

 そして妹に合流する。それはいつもの光景。日常の風景。そして、




 「貴方が川上百代か?」



 唐突に挑戦を受けるのもまた日常。 



----------------------------------------------------------------------------------------------------------------

主人公は才能○(天才レベル)打たれ強さ○(某弟子並)回復○(漢方、針、医療系、瞬間回復では無い)


 使う武術? ?まだ不明


 神様が主人公の為に色々武術を叩き込んだ。やりすぎて悪魔も倒せるんじゃね?位まで強くしてしまう。特A級の達人級


 容姿は某弟子に似た感じ(才能とか以外はほとんど似た感じ)神様に土地を譲り受けちょっとした金持ち。


 しかし誰にも実力を言っていないので強さは誰も知らない。学力、芸術は某柔術の師匠並。


 感想があったら続きを書くかも。あくまで息抜きなので文章短めです。



[11839] 中国拳法は強いかも?
Name: ジョン◆62bea973 ID:1de9db2b
Date: 2009/09/14 21:34

 つまらない。不良たちを一瞬で片付けた後も残るものなどない。

 最強であるが故の孤独。それは自分にしか味わう事が出来ない感覚。

 いや、自分に共感してくれる人はいた。しかし今あの人はいない。

 誰かこの渇きを静めてくれる人間はいないのか。




 その出会いがすぐ其処に迫っている事に百代は気づかない。



 第二話 中国拳法は強いかも?




 そこには、黒髪の青年が立っている。
 身長は、自分たちと同じくらい。見た感じは武術をやっているようには見えない。
 しかし外見では判断できない事を仲間達が教えてくれる。柔道の道着、カンフーパンツ。さらに手にはバンテージが巻かれ中には帷子を着ている。

 そして一番気になるのは顔にある祭りで見かけるお面だろう。仮面○イダーみたいな仮面をなぜか被っていた。

「誰だ、あいつ。変な格好しやがって。」

「しかもちぐはぐな胴着着てるぜ。」

ガクトと大和はすでに相手の事を唯の馬鹿と判断していた。百代に勝てるわけが無い、そう思って。

「失礼する。私の挑戦者とみて、間違いはないか?」

「……そうだ。あんたは、川神百代だろう?
 今ここで、この瞬間、勝負を希望する」

 ご丁寧に声まで変えてある、その人物を戦いの後、公衆の面前に正体をばらそうと考えている風間ファミリー達。

「良いだろう。すぐにでも始めようじゃないか」

 まぁ、姉さんは異常なほどノリノリのようだが。不良たちの戦いだけでは満足できなかったのだろう。



 (だめだ、こいつ。まるで草食動物を相手にしているような感じ。さっきの不良たちのほうがましじゃないか?)


 最強の噂に自分が一番だと思い込んだ馬鹿が挑んでくる事がある。

 こいつもそうか。と、せっかくの勝負に楽しむ時間が無い事にため息をつきそうになる。

 しかし正々堂々と挑んできた相手にそれは失礼だ。




 そう思うと拳を握り、


 「―――――――仕掛けても良いだろうか?」


 「どうぞ。好きなように。」


 その言葉と同時に稲妻が駆ける。


 手加減されているとはいえ最速の一撃。数多の挑戦者たちを葬ってきた必殺の一撃。

 この一撃を見る事が出来る者は数少ない。

 観客も自分自身さえ次の瞬間には挑戦者が吹っ飛ぶ姿を予想していた。








 しかし、現実は、


 「さすがに早いですね。」

 完璧に攻撃を受け流し、その場に立っていた。








――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 百代side


 (な、何だと!?)


 あまりの事に驚きを隠せない。ありえない。ある程度実力を測ることが出来るはずの自分が今の一撃、並の人間には視認すら困難な一撃をさばく実力を持っている人間だと見抜けなかった事に。ある程度は仕方ない。しかし不良レベルだと思っていた相手に今の攻撃がかわされたことには予想外にもほどがある。


 (……しかし、こいつの今の動き。確か"化剄"だったか?太極拳の?)

 しかし頭の中では今の技から相手の武術を予測する。

 見切りの速さ。それが若くして武神の称号を得た百代の武器の一つだ。


 「まさか、今の一撃を防ぐとは思わなかったぞ。どうやら甘く見ていたようだ。」

 「此方も貴方の事甘く見てた。手加減してあの威力とは恐れ入る。」
 
 「しかし太極拳を使うとは。チャイニーズか?」

 「いや、純粋な日本育ちの日本人だ。技術は本場のだが。」

 日本においては健康体操などで行われる太極拳。しかし健康のためだけの武術がそんなに広まるわけが無い。

 しかし本来は必殺の残酷な実践武術。それをあの年で極めている事に驚きを隠せない。


 (もしかすると、こいつなら……いやそんなに簡単に見つかるものか。)

 まだ見ぬ強敵になるかもしれない相手に百代は目が離せなかった。






 「今度は此方の番でいいのか?」

 「ああ、いいさ。好きなようにな。」

 しかし防御は確かにすごいが攻撃は如何なのか?

 相手の発言に好奇心を隠せない。こいつはどんなものを見せてくれるのか。

 中国の武術家とは何度もやった事はあるが此処までの実力者とはいまだに無い。

 ならばまだ見ぬ技があるかもしれない。そう思うと笑いが止まらない。


 「――――それは余裕の笑みかい?」

 「おっと、気分を悪くしたなら謝るぞ。久しぶりに楽しくてな。ここまで楽しい戦いは久しぶりだ。感謝する。」


 本当に面白い。一般人のようでこれほど強い男に出会えるなんて。


 「――――ならば此方も全力で攻撃いたそう。」

 「――――来い!!」



 男が構える。同時に呼吸法も変わる。

 (何だ?あの呼吸は。……!!まさか!!)

 一昔前、とある武芸者と戦ったとき、似た呼吸をした事があった。戦いの後、それが気になりたずねてみると、




 「―――――――――雷声という秘法があります。土壇場なら出来ると思いましたが、やはり形のみの技が出来るわけ無かったのですね。自分の技で戦えばよかった。」


 そう語った。まさかこんな所で使える奴に会えるとは。運命に感謝したいぐらいだ。


 「行きます。」




 その言葉と同時に百代の体は飛ばされていた。






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 続きを書いてみました。意外と感想が多い事に驚きもっと構想を練ったほうがいいかと思いました。前の話も少しずつ直していきたいと思います。文章短くてすいません。ちなみにこの主人公FとSどちらがいいと思いますか?初めてなので中国三大武術からはいってみました。



[11839] 瞬間回復?それなんてチート?
Name: ジョン◆62bea973 ID:1de9db2b
Date: 2009/09/19 07:26

 誰が予想しただろう。

 誰もが逆の考えをしていた。

 ただ一人を除いて。

 第三話 瞬間回復?それなんてチート?


 side????


 完全に入った。あの某弟子ですらまともに受ければ危険だったあの一撃を。

 しかし何故この技を使ったか。

 それは瞬間回復。

 それを知っているものからすればこの位しなければまともにダメージを与えられない事くらいわかる筈だ。


 本編では地震が起こるほどの連撃をくらっても一瞬で回復するというチートな技である。

 そんな相手にダメージを与えるならこのくらいは当たり前だろう。初日から遅刻はしたくないし。




 しかしギャラリーから視線を感じる。

 ま、百代が飛ばされたと知れば米国もビックリなことなわけだし。(火柱も、なんだMOMOYOか。で片付ける国だし)


 ああ、お面付けといてよかった。転校初日からこれじゃ友達作れないし。

 ちなみにお面は某長老を意識してみた。…何か毒された気になった。





 しかし反応無いけど大丈夫か?いまさら心配になってきたけど。さすがに達人級の一撃は回復できないか。


 そう思い飛ばされた方向に足を進めようとするととんでもない量の気に襲われた。

 "気当たり"。それこそ並の人間のそれを越える気は回りの観客を襲い次々に押し倒していく。(幸い何故か全員意識を失っていない)


 其処には傷などもとより無かったかのように武神が立っていた。



-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------


 百代side


 いつ以来だろう。こんな気持ちになったのは。

 世界の狭さに絶望する前からだろうか。

 チャンピオンが私の攻撃を一撃も受けられず倒れていく姿を見る前だろうか。

 私は仲間達と遊ぶ以外、最近では楽しいと思った事が無かった。

 格下との戦い。それが世界クラスと聞いて世界の狭さに絶望したはずだった。



 ならば今、目の前にいるのは?

 どこから来たかは知らない。しかし日本人ならそう遠い距離でもないだろう。

 ああ、そうか。笑える話だ。

 世界が狭いわけではなかったのだ。

 世界は限りなく広かったのだ。

 この男の存在が教えてくれる。少なくともこいつの師匠もこいつレベルのはずなのだから。



 「くっ……くっくっく……ははははっ!!!」

 「――――――何がおかしい?」

 「だってそうだろ?私は世界の狭さに絶望していたんだぞ。それが日本にまだこんな使い手がいたなんて。」

 「これがおかしくないわけ無いだろう?」





 男は少し驚いたように

 「…そうか。なら続きを始めますか!」

 私の待ち望んだ言葉を続ける。

 「!!ああ。勿論だ。」

 世界の前にこの男との戦いを楽しむ事にしよう。







-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------


 side????


 ああ、やばいよな。

 どれくらいやばいかって?いきなりフカヒレが食べたい!!って師匠に鮫を狩りに行かされたときよりもやばい。


 一応、言って置こう。

 雷声は秘法です。一撃必殺です。

 それをまともに受けて何あれ?

 さっきよりも強そうなんですけど?



 ……やっぱり、一瞬で意識を駆らなきゃ無理かな?


 だけど当身意味ないし。というか奥義より下のレベル届きそう無いし。

 さっきの一撃も油断してなきゃ避けられただろうし。




 しかしこれが、望んだ結果だ。ならば戦ってみようではないか。


 「さて、時間もないし感謝もこめてこの一撃で終わりにしようか。」

 なんて声をかけられる。

 ってまだ奥の手も出してないのに。

 「化剄だよな?さっきの技。凄まじい"功夫"だったぞ。」

 「はぁ、ありがとうございます。」

 「しかし、いかに化剄といえども受け流せない威力で攻撃すれば破れる。」

 って一応練度的に達人級の技を簡単に破れるとか言うなよ。いくら何でも無理があるだろう。

 「安心しろ。治療は家で面倒見てやる。金は心配しなくて良いぞ。」

 あ、少しカチンと来た。

 「もしかして、自分が負けるとか思っていませんか?」

 「いや、ぜんぜん。」

 まさに即答。何当たり前の事聞いてるの?みたいな顔してやがる。

 「ああ、遅刻したくなかったけど、もういいや。」

 「?お前、学生だったのか?」

 「ああ、皆勤賞目指すつもりだったけど、もうどうでもいいや。」

 そして構えを解く。

 「まさか、私に勝つつもりか?」

 「ああ、お前に敗北というものを教えてやるよ。」



 その瞬間、二つの影が交差する。



 そして武神と後に無敵超人と呼ばれる男との本当の戦いが始まった。






-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------



 「はぁぁぁぁ!!!」

 刹那に繰り出される二十を超える連撃。

 「ふっ!!」

 そしてそれらを全て受け流していく。

 「そろそらそらそら~~~」

 先の攻撃を上回る回数の攻撃。しかしそれでも一撃を与える事はできない。



 「思った以上にやるじゃないか。ここまでやるとは思わなかったぞ。」

 「伊達に鍛えていないからな。しかし反撃させてくれないのか?」

 「さすがに二度もあれをくらいたくないからな。」

 どうやら先の一撃ダメージこそ残らなかったが相当な衝撃を与えていたようだ。


 「しかしそろそろ破るとするか。」

 ちょっとコンビニ行ってくる、みたいなのりで言われた言葉に、

 「ならば、やぶってみせろ!!」

 と挑発で返す。

 「ははははっ。やはりお前は面白いな。」

 その言葉と同時に攻撃が始まる。

 先ほどと同じ連撃。しかし、

 (威力が段違いだ!)

 先ほどとは違い、拳圧すらも凶器のレベルに達している。

 徐々にだが捌いていた攻撃が体に掠りはじめる。

 「そろそろ締めだ。…本当に楽しかったぞ。」

 そう言って距離をとる。

 まずい。これが最初に言っていた奴の切り札だ。

 構えを太極拳から空手に代える。

 「川神流! 無双正拳突きぃぃぃっ!!」

 百代の渾身の一撃。まさに必殺の一撃に。

 「前羽の構えから十字受け!!」

 必勝の防御に切り替える。


 「!!前羽の構えだと!!何故その構えが出来る!?」


 鉄壁の防御とされる前羽の構え。そして全ての力を受けに集中させる十字受け。

 どちらも空手の技であり、太極拳、まして中国拳法ですらない。


 「まさか、これを使わされるなんて。さすがは武神。ここからは梁山泊の技を使わせてもらうぞ!!」


 その言葉に男からの気が静かになる。 
 
 唯でさえ、謎の強さを持っていた男は更なる力を隠していた。

 百代にまた笑みが浮かぶ。


 「面白い!!来い!!倒してくれる!!」

 逆に気を高め対抗する百代。




 最後の戦いが始まる。観客は見逃すまいと二人を見守る。

 この二人の戦いは神以外に防ぐ事はできまい。




 そんな雰囲気に詰まられる。


 「いくぞ!」

 「応!」


 その言葉と同時に両者が空に駆け出す。


 


 二人が激突するであろうその瞬間、



 






「顕現の三・毘沙門天!!」

突如現れた巨人による不可避の鉄槌により二人は地面に叩きつけられた。





――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 これで連続投稿も終わりにします。たくさんの感想ありがとうございました。続きは気が向いたら書きたいと思います。あと感想と一緒に主人公のクラスを書いていただけるととても参考になると思います。(できれば誰ルートかも)。

 息抜きの投稿でしたが時間があれば続きを書いていくんでよろしくお願いします






2009/9/14







[11839] そんな可能性もあるだろう。いや無かったら原作と変わらなくね?
Name: ジョン◆62bea973 ID:1de9db2b
Date: 2009/09/15 23:31

 今日は生徒達がまったく登校しておらんのう。

 じゃが、何故あんなに橋に気配が集まっておるのじゃ?

 今日は挑戦者の予定も無いはずじゃし。

 まさか、またどこからか不良が来たのか?

 また、悪い癖が出てしまっておるのか。

 まったく、強敵がいないというのは悲しいものよ。

 最強という孤独をを持ったのは不幸じゃな。




 しかし、今日は本当に長いのう。

 流石に遅すぎるのでは無いかのう。

 先ほどの気と良い今日の不良は良く耐えとるものじゃ。





 遅い遅すぎる。

 早めに登校した生徒たちまで不思議がっておるではないか。

 いくら何でもおかし過ぎる。


 そう思い、学長室から出て橋を目指し歩き出した。

 校庭に出た辺りで生徒達の声がする。

 「おい、百先輩が本気出してるらしいぜ!」

 「おいおい、マジかよそれ。」

 「ああ、今日の挑戦者は今までで最強らしいぜ。」

 「おい、早く行こうぜ。」


 何じゃと!百代が本気を出そうとしているじゃと!

 それを聞いた瞬間わしは全力で橋に向かった。

 橋には一瞬で着いた。

 同時に圧倒的な気が周りを覆いつくす。

 まずい。これでは相手が死んでしまう。



 そう思ったわしは、

 「顕現の三・毘沙門天!!」

 具現化させた巨人による不可避の鉄槌により二人を地面に叩きつけた。




 …二人?




 第四話 そんな可能性もあるだろう。いや無かったら原作と変わらなくね?




 「顕現の三・毘沙門天!!」

突如現れた巨人による不可避の鉄槌により二人は地面に叩きつけられた。


 この状況に一番驚いてしまったのは技を出した鉄心である。


 「し、しまった。まさか、百代の近くに誰か居ったとは。」

 気配を小すぎ、いる事に気づかず、技を放ってしまった。

 「……こん、の…じじい…何しやがる。」

 百代が利いてなかったかのように立ち上がる。

 「お前がこんな場所で本気を出そうとしたから止めに来たのじゃ。」

 「だからって、勝負の最中に攻撃してくる事無いだろう!」

 「あんなのくらえば相手が死んでしまうわい。…!!それより対戦相手は無事か!」

 「自分でつぶしといてよく言う。私は瞬間回復があったから助かったが普通なら死ぬぞ?」

 まずい、不味過ぎる。生徒達からもいやな視線を感じるし。

 急いで川神院に送らねば。

 そう思って、相手の元に行こうとしたが、百代に止められる。

 「何をするのじゃ!早くしなくては本当に死んでしまうぞ。」

 「うるさい、じじい。今の闘いを見てなかったくせに喋るんじゃない。」

 今の闘いじゃと?……まさか百代と闘えるものがいたというのか。

 「百代、それはほ「い…や、今の…はや…ばかっ…た。」う…何じゃと。」

 まさか、瞬間回復なしにあれを耐えるとは。奴ですら耐えることができなかったというのに。

 「おい、じじい。流石に何か言うべきではないか?」

 「おお、そうじゃった。すまなかったのう。悪気は無かったのじゃ。許してくれないかのう?」

 さすがに此方が悪いので謝っておく。必要なら治療する必要もあるし。

 「…いえ、こ…んな所で戦っ…ていた自…分たちが悪かったのです。此方こそすいません。」

 ……びっくりじゃ。逆に謝られてしまった。

 礼儀が正しい人間じゃのう。 というか、すでにダメージらしきものが残っていないのじゃが。

 「しかし、よく今の一撃を耐えられた。瞬間回復を覚えているのか?」

 「いえ、唯単に打たれ強いだけです。」

 いや、流石にそんなレベルじゃ無いのじゃが。

 そんな事を考えているうちに男は百代に向かい、

 「興が削がれた事で今日はここまでとしよう。」

 と言った。

 「待て、私はまだ闘えるぞ。」

 百代はやり足りないと思っているようだ。

 「流石に、今は時間的にもきついだろう。これが最後というわけではないだろう。どこかで戦う可能性だってあるさ。」

 男はそういうと背を向けて歩き出す。

 何故だろう。その背中を追おうとする者はいない。

 誰もが戦いの結末を見たいと思っているのに、言い出すことが出来ない。





 ―――― 一人を除いて

 「やいやい、お前名前くらい名乗っていけよな。」

 その言葉に、その場にいた全ての人間は彼のほうを見た。



 風間翔一の事を




-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------


 side????


 ああ、そうだった。こいつはそういう性格だった。

 「百先輩の名前だけ知っておいて、自分の名前を名乗らないってのは、流石にせこくないか?」

 そう言われると確かにそうだった。

 戦いに夢中になりすぎて、名乗るの忘れてた。

 「ちなみに俺は風間翔一。風間ファミリーのリーダーだ。」

 しかも聞いてもいないのに名乗ってるし。

 確かに名乗っておく事は大事かもしれないな。これから学校に行くのにこっちの印象が強ければばれないし。




 「風間と言ったか?確かにお前の言うとおりだ。ならば俺も名乗ろう!!」

 この仮面を被っている限りこの名前以外の選択肢など無いがな。

 「我が名は…」

 息を呑む声が聞こえた。

 「我流~~~Xだ。覚えていろ。百代。そして風間。」

 「我流Xか。その名確かに刻んだぞ。」

 「我流X…畜生。カッコいいじゃねぇか。」

 …風間は長老と気があうかもしれない。



 「今度こそさらばだ。また会う事を楽しみにしているぞ。」

 そしてそのまま町に消えていった。

 というか意外と簡単に帰ってこれたな。なんか追ってこられてもしょうがないと思ったのに





-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------


 
 ああ、あのまま追いかけて闘えたらどれだけ楽しいか。

 せっかくのチャンスが…

 じじいとの約束で此方からは挑めないし。目の前で見張られたままだし。

 



 「さ~て、学校に行きますか。」


 そんな声が聞こえる。

 先ほどの戦いの衝撃も無くなり、学校に向かっていく者達。

 すでに時間は過ぎているが、これだけの数なら何か学校側も対策を執らねばいけないだろう。

 「…百代、後で話がある。」

 そういうとじじいも戻っていく。

 じじいさえいなければ決着はついていた筈なのに。

 この鬱憤。大和をいじってまぎらわせるか。

 いつもはこんな事があるならすぐに戦いたくなるのに今はそんな事は無い。

 戦闘意欲が少し少なくなった事にまだ誰も気づいてはいない





 そして、いつもと変わらぬ日常が過ぎていく事になる




-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------

 おまけ


 「我流X…調べておくとするか。」

 軍師は人知れず行動を始める。自分が攻撃される原因を作ったものへの報復を果たすため




 始めるのか?


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 鉄心口調無理すぎる。自分で書いてておかしすぎると思った。けど直せない。ちょっと悲しくなった。


 少し休憩です。
 ミス・キシドーの変装?に百代が変装は完璧だが、と言っているので、主人公に気づかない人も多いのではないでしょうか。
 ちなみに感想の多さに驚いています。おかげでこの主人公にぴったりなルートがあることに気づきました。それに少し他ルートの設定を入れて。ちなみに次話からは少し不定期更新になるかもしれません。理由としてもともと書いているほうを進めるためと、ケンイチを全巻読み直し、ついでにバ○を読んだりして構想を練ってから本編を書き始めたいと思っているからです。最後に大和が誰を好きになるかはある程度決まっていますが本編主人公は決まっておりません。ご意見楽しみに待っています。
 

 2009/9/15



[11839] ボクサーは僕さ?…ゴメン実はボクサーじゃないんだよ
Name: ジョン◆62bea973 ID:1de9db2b
Date: 2009/09/17 23:34

 さて遅くなったが、転校初日。

 思っていた以上にあのクラスは面白そうだ。

 エリート達なんかよりも充実した日々を送れそうだ。



 けど初日は何で登校しよう。

 馬よりもインパクトが大きい物は無いだろうか?



 第五話 ボクサーは僕さ?…ゴメン実はボクサーじゃないんだよ


 皆でだらだらと登校した。

 ・・・朝のHRは、いつもよりも早めに始まった。

 「それでは、お待ちかね。転入生を紹介しよう。」

 ざわ…ざわ…生徒達が騒ぎ出す。

 「始めに言っておくが、本来は女子一名のみの転入だったが、急遽このクラスに転校する事になった生徒がいる。」

 その言葉にざわめきが増す。

 周りからは、

 賭けに負けた。あ、俺もぼろ負けだといった声がする。といった声が聞こえる。

 「ま、もともと、ドイツからの転入生が対象の賭けだし大丈夫か。」

 これで賭けは勝った。

 そしてドアを開けるとおっさんが立っていたことには驚いた。

 しかし馬で登校してくることには、さらに驚いた。今時、馬はやりすぎだろう。

 もう一人の転校生はどうなったのだろうか。

 「そして、もう一人の転入生だが、実はまだな「すいません、遅れました。」も…今来たな。」

 其処には我流Xに似た体格の男が立っていた。




-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------



 side風林寺謙一


 やってしまった。

 原作キャラぐらいのインパクトをどう与えるか、悩んでいたら遅くなってしまった。

 お馴染みの大学館シリーズの「目立つ登校の仕方」を見過ぎていたのがいけなかったのだろうか。

 初日から遅刻なんて最低だ。

 「始めまして。自分は風林寺謙一といいます。」

 第一印象を大切に、と思い挨拶をする。

 しかし、周りの反応が薄い。














 やばい、なんかしたのかと思ったら、

 「良かった。二人目は普通だ。」と声がした。

 ―――――――やっぱり馬で来たのか、クリス。…見たかったな。



 「おほん。え~、風林寺は県外から最近引っ越してきた。仲良くするように。」

 説明をされている中、自分は周りを見渡していた。

 見た感じ疑いの目線を向けている奴が何人かいる。

 やっぱり、まともな奴からすれば、我流Xだと疑ってもしょうがないか。

 しかし、今百代と戦うわけにもいかないだろう。

 どうにかして、誤魔化す事はできないものか。

 



 そんな事を考えているうちにクリスへの質問が始まっていった。

 「なんと誇り高い!ボクサーまでサムライとは。」

 え、これって腹切りの話だったっけ。

 一応ボクシングを学んだものとしては此処は訂正するべきなんだろうか。

 そしてクリス父が帰っていき、俺への質問に変わる。

 「では、風林寺に質問があるものは挙手をしろ。」

 その質問に何人かが手を上げる。

 「はいはい、貴方何か武術やってる?」

 ワン子、もとい一子から質問からの質問だ。

 「やっているけど、腹切りはしないよ。」

 なにかクリスからいわれると思い言っておく。

 ワン子の目が光った。いやな事を考えている顔をしている。

 「YES!梅先生提案!転入生達を歓迎してあげたいと思います。」

 何でさっき言わなかったのかと思ったけどこっちも見てたんだ。



 「クリス、戦闘で勝負よ!」

 「分かった、受けて立つ!!」

 俺はしなくてもいいんだよな。

 「お前の相手は俺様がやってやるよ!」

 別に頼んでないよ。





 そんなこんなで"歓迎"始まります。




-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------



 「ドイツから来たんだよ。」

 「あの金髪は見事なもんだよな。撫で撫でしたい。」

 転校生の歓迎を見に来て見ればなかなか。

 あれも相当鍛えているな。

 見た感じ相当な使い手なのが良く分かる。

 しかし、自分の相手にはまだ物足りない。






 そしてワン子が負けてしまった。

 もっと本能で戦えば負けなかったのに。

 「本日二戦目!!」

 二試合目?

 「今回転入生は二人だったんだ。」

 それを先に言え義弟よ。

 「その転入生だけど我流Xに似ている気がするんだけどどう思う?」

 我流Xだと!いまだに見つからない奴が転入生!



 「島津 岳人対風林寺 謙一  両者前へ!」

 そこで転入生を見る。

 !!!こいつは!!!

 「どう?姉さん?」

 「ふっ、はははははっ。」

 笑いが止まらない。

 「残念ながら奴ではないぞ。奴の気はもっと静かだったからな。」

 確かに近づかないと探れない辺りは奴に似ているが奴の気は静かだったからな。

 「だが、奴の実力は師範代クラスかもしれないぞ。」

 「えっ?」

 奴とはまったく違うがこいつも相当な腕前だ。

 この勝負しだいでは…




-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------


 「いざ尋常に、はじめい!!!!!!」

 「いくぞ!!」

 凄まじい剛拳が放たれる。

 「甘い!」

 それをぎりぎりの所でかわしていく。

 「今度はこっちの番だな!」

 その言葉と同時にジャブを繰り出す。

 プロボクサーのそれを超えた速度で打ち出されるそれを正面から受けてしまう岳人。

 「……痛ぇ…けど足りないぜ…!!」

 強烈なボディーブローが炸裂する。

 「入った!!」

 「いや、まだだ。」

 見ると片手でそれを止めている。

 「やるな、お前。名前は?」

 「俺様の名前は島津 岳人。って言うかさっきアナウンスで言ったじゃん。」

 「聞いてなかったし。」

 此処までは岳人が微妙に押されている。

 しかし、奴はまだ本気を出していない

 「浮沈艦ラリアット!!」

 凄まじい勢いで放たれたそれをしゃがんでかわし、

 「ジャイアントネコメガエルーパンチ」

 下から全身のばねを使って伸び上がるカエルパンチが腹にヒットする。

 「ぐはぁぁ…まだまだ…」

 凄まじい剛拳の嵐が続く。

 「そんな本気じゃないパンチじゃ俺は倒れないぜ!!!」

 見た感じは凄まじい速さのパンチの数々。しかし速さだけで力はそう強くは無かった。

 「タフガイな俺様を倒したいなら本気で来な!!!」

 その間もラッシュは続く。

 「――失礼した。どうやらお前を馬鹿にしていたみたいだ。ボクサーじゃない俺がボクサーの真似事をするなんて、確かにやる事ではないな。」

 そう言うと今までスウェーでかわしていたそれを半歩踏み出しただけでかわす。

 「これも一応ボクシングの技だが、お前に敬意を込めて俺の得意技で止めを刺そう。」

 その言葉とほぼ同時構えてない状態からの一撃。

 その一撃が岳人を吹き飛ばす。

 「……オートゥリズム。」

 ノーモーションから放たれたそれは一撃で岳人の意識を奪っていた。






――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 どうもお久しぶりです。クリスがボクサーの話をしていたのでこんな感じにしてみました。しかし主人公は別にボクシングはしていません。
 最後の技だけ別で後は真似事です。なので岳人の大して聞きませんでした。
 気についてですが、主人公は動の気と静の気を自由に切り替える事にしました。風林寺の時は動、我流Xの時は静。こうすればばれないのではないでしょうか?
 あと感想ありがとうございます。週末に話を改訂したいと思いますのでその時に入れる技もあるかもしれません。
 次回はこっちの状態で百代と戦う事にするかもしれません。何を主体にするか決めてないので次はいつになる事やら。
 後、戦っているときレベルが違のにと思ったときは手加減しているものとしてください。基本的に主人公は梁山泊に世界の修正力を加えたレベルで人外です。

 主人公の名前ですが兼一ではなく謙一にしたのはワザとです。某弟子ではないので変えました。

 最後までお付き合いいただきありがとうございました。




2009/9/17






[11839] 早すぎた再戦!?ゴメンどうしよう
Name: ジョン◆62bea973 ID:1de9db2b
Date: 2009/09/18 23:45


 最初はこいつもだめだと思った。

 我流Xのように自分と戦えるレベルではないと。

 確かに奴は強いが川神院で言えばそうでもない。

 ルー師範代なら圧勝できるだろう。

 しかし、岳人の言葉の後の一撃は違った。

 確かに、威力は必殺というほどではない。

 しかし、あの技の真髄は連射にある筈だ。

 事実、奴はその後同じ構えを取っている。

 つまり、あの威力を連射できるほどの達人だといえるだろう。

 やはり、世界は広い。

 奴が此処に転入してきた事に感謝しよう。




 そして私は奴の前に出てワッペンを置いた。



 第六話 早すぎた再戦!?ゴメンどうしよう



 岳人が保健室に運ばれていく。

 やはりこのクラスを選んでよかった。

 闘いの後俺を待っていたのは、畏怖などではなく称賛の言葉だった。

 特に風間ファミリーからは文句を言われると思っていたが、いつも行動を同じにしているもの立ちからすれば女子から以外で倒したものを見たのは久しぶりだと、べた褒めだった。

 ま、あの面子からすれば男子が弱く見えるのは当たり前だと思うし。

 そして無事に俺はクラスから歓迎してもらったのだった。

 そして、クラスに戻り授業が始まり、新しい日常を迎える。



















 筈だった。




 「風林寺だったな。私は三年の川神百代だ。お前に決闘を申し込む。」

 この一言さえ無ければ。




-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------


 「あほか、そんな事を言わずに授業に戻れ。」

 わしは内心の動揺を見せないように百代を説得する。

 此処に転入してきた以上、百代の名を知らないという事は無いだろう。

 あれほどの腕前じゃ。神童などと呼ばれていてもおかしくないじゃろう。

 そして、百代に挑戦したいと思っていても仕方が無い。

 じゃが、今の百代は先日の勝負で戦いに飢えている。

 表には出さないが、あのものとの再戦を心待ちしているのは良く分かる。

 今の百代と戦って無事で済むわけがない。

 例え、無事に済んだといっても骨が何本か折れることくらい間違いなくおきるだろう。

 それだけは阻止したい。

 せっかく、クラスに歓迎されているのに、入院などさせたくは無い。

 そう思った。

 「うるさいぞ、じじい。これは私と奴との問題だ。」

 そう其処が問題だ。

 この決闘が両者同意の下で行われる以上わしらが口を出せるのは決着がついてから以外にはない。

 周りからも自分のことではないため戦えなどといった言葉が出始めている。

 百代の実力を知っているのに、何故そんな事がいえるのだろうか。

 ワシはは彼が了承しない事を祈っていた。








 「いいでしょう。その決闘お受けします。」



 ……その祈りが届く事は決してなかった





-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------


 「本日の第三試合――――――川神百代対風林寺謙一の試合を始めます。両者前へ。」


 ああ、自分でも馬鹿なことをしたと思う。クラスのみんな、もとい風間ファミリーでさえ止めても良いんだと言ってくれた。

 相手が百代であるならば逃げてもしょうがないで済むかもしれない。

 しかし、例え誰が相手でも絶対に逃げてはいけないときもある。今がそのときだ。そう思ったのだ。

 この世界ではない、世界で行われている活人拳対殺人拳の闘い。そして百代の気は殺人拳のそれに近い。

 もし挑戦を断り、何かのきっかけでその道に行ってしまったら自分に助ける事は出来ない。

 善悪の問題ではない。其処に入ってしまえば、全てが変わってしまう。



 自分に出来ることは、力だけが全てではない事を証明する事、意外にはない。

 この勝負に負けは許されない。だから逃げなかった。


 「はははっ。気分がいいな。」

 「?どうしてですか?」

 俺は気になって聞いてみた。

 「私は、少し前まで世界に絶望していたんだ。だがある男との出会いが、世界の広さを教えてくれた。」

 …意外と我流Xの影響は大きいようだ。

 「そして、今日はお前に出会えた。こんなうれしい事はないだろう?」

 「つまり、自分の評価は高いんですね?」

 「ああ、高いぞ。」

 此処がある意味一番重要だ。あのときみたいな答えなら…

 「じゃあ、勝負したらどちらが勝つんですか?」

 「そんなの決まっている。」



 「いざ、尋常に始め。」



 「私だ!!」


 「そうですか、それが貴方の答えですか。」

 力だけで勝てるほど武術の世界は狭くない事を教えてやる!!











 神速の一撃をかわしていく。観客からはもはや見えていないだろう。

 ときに捌き、ときには避け、距離をつめていく。

 始まりは前回と同じ攻撃。しかし、今回は避けられた後も続いている事が前回と大きく違っていることだろう。

 しかし、今回は最初から本気である。

 まだジャブ程度の攻撃に当たるわけには行かない。

 「いいな、お前。奴みたいに気が見えにくい上にいくつかの技が混ざり合った感じがする。」

 「そりゃ、凡人が強くなるためには学ぶ事が必要だからね。同じ事をしても勝てないから。」

 いくら才能があっても理解できなければ、意味が無い。故に、俺は鍛錬を欠かさない。

 「……凡人が強くなるためにか…」

 その言葉に百代は何かを考え込んだ。

 しかしそれも一瞬。

 「―――しかし、避けてばかりで私は飽きてきた。この一撃に対抗できなければ終わりなるぞ。」

 そんな言葉をかけてくる。

 放たれるのは先日の一撃。全ての気を集中させなければ受けきれないあの一撃だろう。攻撃を当てても生半可な攻撃では衝撃は殺せないし、打ち負けてしまうだろう。しかも、それでダメージを与えなければ意味が無い。勝負を決めるためにも。


 そんな技があるものだろうか。威力負けしない程度の力があり、なおかつ負けているのに相手にダメージを与えるなんて技が。





 しかし、その注文どおりの事ができる技を自分は使える。威力があり、相手の拳の勢いを殺し、なおかつ相手にダメージを与えることができる、ありえないような技が。

 …まぁ、禁じ手に近いが百代なら大丈夫だろう。

 「いくぞ!」

 百代が声をかける

 その言葉とともにためていた息を吐く。 

 「川神流 無双正拳突き!」

 それはまさに神速の一撃。受けてしまえば即病院送りになるだろう。

 しかし、

 「ちぇす!」

 放たれた一撃もまた必殺。



 そして拳と拳が正面からぶつかり合う。












 百代は半ば確信していた。いやそばで見ていた鉄心ですらも、ルーもそう思っていた。

 放たれた一撃は確かに強かった。しかし、それは百代に及んではいなかった。

 それが見えている者の視点であった。

 普通に考えれば威力で負ければその分、吹き飛ばされる。

 その瞬間で勝負が決まる。

 それが結末。

 そして拳がぶつかり、
















 「…不動砂塵爆。」

 百代が大きく吹き飛ばされる。






-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------



 私はどうしてこうなっているのだろう。

 確かに奴の拳よりも早い一撃を放った。

 そして奴が吹っ飛び勝負が終わる。

 そのはずだった。



 しかし、自分はありえない衝撃を食らい吹き飛ばされている。

 奴も飛んでいるが自分に比べれば少ないだろう。

 なぜかは分からない。しかし此方の技が完全に決まる前に体にだけ衝撃が来た。

 奴の拳に触れた瞬間、拳に衝撃が無いのに体だけが飛ばされた。

 結果、威力を十分に出し切れず奴はまだ立っている。



 しかも、奴のほうが一瞬はやい。

 しかし、放たれた一撃は遅く簡単につかめてしまう。

 「凄まじい一撃だったが詰めが甘かったな。これで終わりだ!」

 そのまま、やつの懐に拳を入れようとした瞬間、

 「残念。それはワザとだ。」

 気づいたときには自分が投げられている。

 「岬越寺無限生成回帰!」

 奴から離れる前での一瞬に数回は投げられていた。

 「これで終わりだ!」

 その言葉とともに奴が突っ込んでくる。

 まだ、完全に回復していない。ダメージと違い、意識を失いかけたことで失った空気は元に戻らない。結果、少し意識が朦朧としている。

 ならば、




 「―――――――川神流大爆発!」

 自爆して奴を吹き飛ばす。

 相当な威力を持つこの自爆技。しかしあの男なら、



 その爆発の中、立っている男の姿を見つける。

 ああ、やはりこんな技では倒れないか。

 やはり倒しきるには全力の技をぶつけないといけないか。



 ああ、楽しいな。

 お前は本当に楽しませてくれる。

 さあ、勝負を続けようではないか!!!!








































 「――――――――――この馬鹿たれが!!!!!!」

 その言葉とともに頭を殴られる。

 「何をしやがる、じじい!」

 「何をとは、こっちの台詞じゃ!!こんな所でなんて技を使うんじゃ!」

 …………………あ、

 急いで周りを見渡す。グランドは半球状に穴が開き、ガラスは衝撃で全て割れている。

 



 「決闘は中止じゃ。百代、お前は反省文を提出。あと小遣いもしばらくなしじゃ。」


 ってちょっと待て。


 「風林寺、お主は戻ってもいいぞ。ほかの者も授業を始めるから戻るんじゃ。」


 って本当に待てよ。


 「百代、とりあえず穴を埋めてから授業に出なさい。」


 そう言うとじじいが去っていく。いつの間にか誰もいなくなっていた。



 「何なんだよ~~~~~~~~」
 

 結論 学校では自爆しない。




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 どうも批判覚悟で投稿してみました。考えているうちにおかしな文章になっている感じがするのですが、投稿してしまいました。
 少しだけ文章量を増やし、誰かをはっきりとさせてみましたけどどうでしょか?
 今回少しやらかした感があったのですが、感想の多さに負け質よりも速さを選ぶ感じになってしまいました。
 本当はもっと構成を練りたいのですが、書いている時間が二時間ほどしかなく急ぎ足の執筆になってしまいます。
 この話の後ですが、日常編(プロローグの話)を入れてから選択画面(攻略のところ)に移るべきでしょうか?自分的にはルート固定を早めにしたいのですが、やはり流れも重要ですし…
 とりあえず今回もお付き合いありがとうございました。

 感想がある限りしばらくの間は頑張って続けたいと思います。



 使って欲しい技などは参考になるので書いていただけるとうれしいです。


 改定などは時間があれば連休中にしたいと思います。


 

2009/9/18



[11839] 猫大好き??英雄登場
Name: ジョン◆62bea973 ID:1de9db2b
Date: 2009/09/20 12:59
 あの後、自分は建物の影に入るなり気絶した。

 おかげで午前の授業には全て出られなかった。(午後は何とか出たが。)

 あの闘いの後、何故だか知らないが視線を感じるようになった。

 しかも、それらは一つ一つぜんぜん違う感じがするからたちが悪い。

 恐怖や畏怖なら分かるが其れは小数に過ぎない。

 後の視線はいったい何なんだ?


 第七話 猫大好き??英雄登場



 転入から数日が経った。

 クラスの奴とは、だいぶ仲良くなったといってもいいだろう。

 特に岳人。あいつとは筋トレ(鍛錬)についての話をよくする。

 主にあいつの筋トレに自分に鍛錬メニューを比較するような感じで。

 しかし、何故か岳人は俺のメニューを信じようとしない。

 別に足に、バーベル括り付けて、逆立ちのまま走るのって、普通じゃね?

 ボーリングの玉でリフティングぐらい普通だろ?

 それなのに、

 「馬鹿だな。いくらお前が強くたってそんなの無理だろう?いくらタフガイの俺様でもそんなの無理だぜ。」

 だって。



 やっぱり、おかしいのかな。大和たちは笑って答えてくれないし。

 そんなこんなで、やっぱりこのクラスを選んでよかったと思う。

 何度も思うがSではなくFを選んだのは一つの運命かもしれないな。

 あの日ではなく前日に百代に挑んでいたら、風間に出会わないでSに入っていただろう。

 もしかするとそういう可能性もあったかもしれない。


 ちなみに、風間ファミリーとは仲がいい。大和辺りとはイカサマ(超スピードでカードを入れ替える)の話をしたり、色々な分野について詳しいから専門的なことを語ったり。


 「ってそんな事より急がないと。」


 最近充実しているからと、鍛錬に気が入りすぎて気がつけば遅刻していた。

 家で部活の作品を仕上げていた事も原因の一つだ。

 …部活動にはこの学園には園芸部が無かったため、芸術部に入った。

 運動部からは色々なスカウトがあったが自分が入らないほうが、結果としていいだろう。

 しかし芸術部も部員が無し。つまり一年で部長になってしまったのだ。

 一人だけの部活だし、楽ではいいが作品を一つ提出する事が活動の条件だった。

 流石に一人の部活を認めるのは難しいのだろう。


 (顧問は麻呂です。しかしほとんど出ません。)




 何か電波が流れた気がする。



 考えているうちに橋につく。

 もう少しで学園に着く。

 しかし、自分の目にある姿が映る。



           猫だ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!



 やばい、前世はそうでもなかったが今は、


           猫が好きだ!!!!!!!!!!!!!!!!!!


 そのまま思わず猫観察を始めてしまう。



 和む~~



 しかし、突然その思考の時間は終わりを告げる。



 何かがこっちに近づいてくる。その視線の先にいたのは、


 
「金ぴかの人力車と、それを引くメイドだと…?」

 現代の日本。しかも早朝。

 誰が黄金色に輝く人力車が車と同じくらいのスピードで爆走すると理解できるだろうか。


 しかもその進路上には自分と”猫”がいる。

 「って、ちょっと待て!!!!!!!!」

 軽く人が走るスピードを超えているそれを寸前でかわす。

 同時に猫を助ける事を忘れない。

 
「む? あずみ、後ろで何者かが喚いているが。よもや轢いたのではあるまいな」

「そんな感触はありませんでしたが…ひょっとしたら轢いたのかもしれませんね☆」

 怒鳴る謙一の声が届いたのか、人力車は一時停止する。

 人力車の中からこれまた金ぴかの男が顔を出し、人力車を引いていたメイドと顔を見合せた。

 「うむ…しかしながら、我の行く手に立ち塞がったのが悪い!」

 「その通りです英雄様!」

 「――――だが我は寛大なので、様子を見てやろう。万が一怪我をしていたら面倒を見てやろうではないか!!」

 そして此方に歩いてくる。

 謙一はブチぎれそうになった。

 「朝っぱらから俺と”猫”を轢き殺そうとした馬鹿にはお仕置きが必要かなー?キッチリ半分だけにするから。」

 「――――!」チャッ

 「あずみ、どうした?」

 謙一は朝の偶然に得た安らぎの時間を邪魔にされた事で、少しだけ気がもれる。

 だがそれだけで十分の脅威と認識したのか、あずみは無言で忍刀を構える。

 ただ一人英雄と呼ばれた男だけが状況を理解できていないのか、首を傾げた。

 「……お前、この間モモ先輩と戦った奴だよな。何のようだ。」

 「別に用は無かったんだが、いま少し用事が出来てしまった。」

 あずみからすれば、いきなり要注意人物から半殺しにするといわれたのだ。

 何があったかそれを聞くのが一番重要だ。

 「なんで、そんなに怒っているんですか?」

 英雄の前では脅す事もできず(どちらからしても意味も無いが)敬語で聞く。

 「なんでだと!?それはお前が猫を引きそうになった。それだけで十分だろ?」

 あずみは混乱した。

 あの百代とまともに戦った男が猫一匹の為にけんかを売ることに。

 しかし、どちらからしても戦いを避けられる雰囲気ではなくなっている。ならば英雄だけでも逃がさなければ。

 「――英雄様お逃げください。ここ「それはすまないことをした。」は!英雄様!!」

 その言葉の前に英雄は男に謝っていた。

 「英雄様が謝る事ではありません。」

 「いや王たるもの、時には自分の過ちに気づかなければいけないのだ。例え小さな存在といえども価値観は人によって違うのだからな。」

 その言葉にあずみは感動した。相手の事を立てるその器の大きさに。

 「申し訳ありません、英雄様。このあずみ、考えが及びませんでした。」

 「よいのだ、あずみ。」

 「英雄様~~~~~」

 今度は謙一が混乱した。

 さっきまでの雰囲気が見事にかき消され、其処には馬鹿っぽい光景が残っていたのだから。

 「という事ですまなかったな庶民よ。」

 「いや、分かればいいんだけど…」

 なんか怒る気無くしたし。



 改めて英雄の事を見る。

 ……金ぴかである。一言で言うと金ぴかだ。

 その態度といい某慢心王の事が思い出されてしまう。

 しかし、一つだけ気になる事がある。


 「なあ、一つ聞いてもいいか?」

 「なんだ、庶民よ。詫びの変わりに一つぐらい答えてやら無くもないぞ?」

 「じゃあ、一つ聞くけど。」








 「お前、腕いためてるだろ。」








-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------


 何なのだ、こいつは。

 我の周りでもあまり知られていないはずのことを知っているのは。

 今のS組でこれを知っているのは我が友冬馬ぐらいのはず。

 「……確かに、我は腕を痛めているがどうして分かったのだ?」

 それは純粋な興味。

 この男が何であれ、何かしら大きな力を持っているはずだ。(英雄は百代との決闘を見ていない。)

 「別に唯プロだからね。」

 …プロか。それは医学関係なのか、それとも人体破壊からの知識なのか。

 どちらにせよ、只者ではない。

 「しかし、それがどうしたのだ?」

 「ちょっといいか?」

 その言葉の瞬間、目の前にこいつが現れた。

 隣にいるあずみですら反応できていない。

 ビキィッ!!

 そんな音が響く。

 首元を押され痛みが体を走る。

 「英雄様!」

 「ええい、何をするか!!」

 我は全力で男を殴った。



 全力で


 「これは、いったい!!」

 確かに今全力で腕を動かしていた。しかも痛みなどは無い。

 「やはりな、藪医者というわけではないが、脊髄の歪みを完全に直せていない。それが原因で神経が圧迫されている。」

 なんだと!!

 「そんな、九鬼の技術は完璧のはず。そのようなミスがあるわけありません。」

 「否、これは機械などで分かるものではない。本当に小さな歪みだ。もしもう少し大きければ腕が完全に動かなくなって、しかし歪みに気づけただろうに。」

 腕に今までの感覚が戻る。

 「そんな、九鬼の医術を超える医術があるなんて。」

 「常識ではありえない事もあるという事だ。」

 「一つ聞いてもいいか?」

 どうしてもこれだけは聞いておきたい。

 「この腕は元の状態に戻るのだろうか?」

 「…直るよ、当然のように。俺的には普通レベルの問題かな?」

 まさか、

 「…もしも、野球をするというならどれ位持つ。」

 「野球だと!!!とんでもない。」

 ああ、やはり最後までは無理なのか。

 「十二回の延長戦まで投げられるさ。」


 ……何故だろう。急に野球をしたくなった。





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 「という事でさようなら~~」

 メイドのほうにどのような症状か教えておいたから、あとはあっちで何とかするだろう。

 流石にこれ以上時間をかけていると三時限目に間に合わなくなる。

 「…………」

 英雄は漠然とした感じで立ちつくしている。

 そしてその場から猫を持って学園に向かう。

 誰か飼える人を探さないとな!






 あれ、何か忘れてないか??



-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------


 結局あの男はなんだったんだろうか。

 最後は英雄様の怪我についても教えてくれたし。

 感謝しきれないぞ。

 「英雄様、そろそろお時間が。」

 「……ああ、分かった。」

 流石にまだ驚きを隠せないようだ。

 もしもあの男に、もしくはあの男の師匠に会えていれば。

 英雄様は今も野球を続けられていたはずなのに。

 そうして学園に人力車を進めようとしたら道にかばんが落ちている。

 大きめなそれを落として気づかないわけが無い。

 …そういえばあの男、猫を持って学園に行ったな。


 「―――英雄様、あの男の荷物どうしましょう?」

 「…そうだな。礼にはならないが、我直々に持って行ってやるとしよう。」

 という事で荷物確認。

 一応危険物が無いか見ておかないとな。

 そうして中を見てみると入っていたのは一枚の絵巻がある。

 「英雄様、手荷物の中にこんなものが。」

 「何、…絵巻ではないか。……!!!この筆使い、この品位。もしやあの男が。」

 何か分からない。しかし、英雄様が何かを悟っていた。

 「成程あの有名なあの芸術家なら…」

 芸術家?あの男が?桃先輩とまともに戦うあいつが?

 「急げ、あずみ。急ぎ確認するぞ。」

 「!!はい、分かりました英雄様!!

 急ぎ学園に向かった。







-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------


 やっちゃった。普通に考えてこれは無い、書きながら思ってしまった。九鬼の技術なら分かりそうだし、失敗かも。感想を見て消すか決める事にします。ちなみに今回戦闘は無し!!二話から戦闘を続けていましたが日常編を一つぐらい入れたくて書いてしまいました。次回は戦闘を書きたいとと思います。(もしかするとこの話が消えるかもしれませんが)

 言葉使いがおかしい中最後までお付き合いありがとうございました。







2009/9/19









[11839] 風林寺の正体??天才芸術家の秘密
Name: ジョン◆62bea973 ID:1de9db2b
Date: 2009/09/20 20:09


 急いで学園に行き猫の飼い主を探した俺だったが、何故か飼い主は簡単に見つかった

 何人か、名乗り上げてくれたが結局その中の一人に飼ってもらう事になった。

 しかし、この学園猫好き多いのかな?

 第八話 風林寺の正体??天才芸術家の秘密


 教室に入るとすでに授業が終わっていた。

 そこで、大和たちに朝の九鬼のことを話した。


 「って事があったんだけど…」

 「はいはい、すごいすごい。」

 って大和信じてないだろ。

 「いや、ちゃんとしんじてるよ?」

 何故に片言。しかも疑問系!

 「まず、九鬼の腕が悪いなんて聞いた事無いぜ。」

 「それに今の話じゃ、お前の医術は九鬼のレベルを超えているんだぜ?」

 「姉さん並の実力でそれは流石にないだろ?」

 「確かにいくら俺様でもそれは無いと思うな。」

 周りで聞いていたほかの連中も頷く。

 「というか何で、医者でもないのにそんな事が出来るんだ?という事から今の話が嘘だと分かる。」

 いや、実際出来るんだけど。

 師匠の非常識振りをなめるなよ! 

 「別にいいけど、本当なんだからな!」

 「はいはい。」




 そんな中一人黙々と鍛錬をこなしていく一子。

 (ああ、こんな時期もあったな。)

 過去の地獄を振り返る俺。

 ……トラウマを思い出しそうになったから止めておこう。





 「フハハハハ、我降臨。」

 そんな中一人の男が現れた。朝見かけた金ぴかだ。つまり九鬼だ。

 「げ、S組の。」

 ああ、あいつS組だったんだな。

 「おお、おはようございます。一子殿。」

 「あはは、おはよう九鬼君…」

 あれ、一子が苦手意識を持っているなんて珍しい。

 「申し訳ない一子殿。今回は貴方と話しをするために来たのではないのです。」

 そう言うと隣のあずみが、

 「此方をどうぞ☆」

 と言って鞄を出す。



 ……あ、忘れてた。無いと思ったら橋に忘れていったのか。

 猫の事しか頭に無く完全に忘れてた。


 「サンキュー。助かったよ。」

 「いえ、貴方様のなされた事を思えば小さな事です。」

 その言葉に、あの話しマジか。とか聞こえる。


 常識だと思うけど。

 「其処で一つたずねたいのだが…」

 「いいけど、何?」

 何か聞きたいことあるのか?

 「貴方様が何故、岬越寺秋雨の絵巻を持っているのですか?」

 え、なんでそっちの名前を知ってるの?

 「あれ、何でその名前を知ってるの?」

 「あの筆使い、そして品位。どれをとっても一流。最近は活躍こそしていないが日本にこの人ありとさえ言われた、岬越寺秋雨の事ぐらい知っていて当然だ。」

 「……え?あれは俺が書いたものでそんな大層な物じゃないけど?」

 「な、何だと…」

 あれ、何か凄いくらい驚いてる感じがする。

 「な、何じゃと!!!」

 …着物を着た変なのまで現れた。

 「そんな訳、あるはずが無いのじゃ。

 「…どうしたのだ。庶民A。勝手に話しに混ざろうとするとは無礼だぞ。」

 「誰が庶民じゃと、誰が。高貴なる血筋であるこの不死川心を庶民呼ばわりじゃと。」

 …不死川。どこかで聞いた気がしなくも無いな。

 「不定期に数々のコンテストに参加し、賞を総なめ。しかし、まったくといって良いほど情報が無かったあの岬越寺がこんな所に、低レベルクラスに何故いるのじゃ…」

 え?何それ。確かに何個か参加しろって言われて出した事はあったけど、師匠は

 「お前の腕前はまだまだだな。予選落ちだ。」

 って言っていたんだけど。

 「高貴な血筋の此方ですらも認める作品を作る男が何故F組なんぞに!」

 って、何かいつの間にか俺有名人に。

 だったらあのときを教えてくれても良いんじゃないか。F組のみんな。



 そう思って周りを見るが…


 ……ごめん、芸術に詳しそうな人いない。唯一詳しそうな大和が知らない時点で知ってそうな人いないな。


 「何故じゃ、何故そなたがこんな低レベルクラスにいるのじゃ!」


 うわ、周りの視線が痛い。この子一応褒めてくれているんだろうけど、目の前で自分達を馬鹿にされているクラスの仲間は、少しむかついているようだ。

 「そういえば、九鬼は何しに来たの?」

 俺の荷物と岬越寺の事を聞くだけなら其処のメイドに頼めば良いのに。

 「フハハハハ、そんなものは決まっておる。先ほどの礼が済んでおらぬからだ。」

 …意外と律儀だな。

 「礼を言うぞ、岬越寺。そなたのお陰で挑めるかもしれん。」

 いや、俺は風林寺なんですけど。というか何に?

 「一つ礼代わりに、将来九鬼に来るが良い。その能力、我が存分に生かしてやろう。」

 …九鬼の長男から直々のオファー貰っちゃった。

 「さらばだ、岬越寺。…一子殿また会いましょう。」

 「それでは、さようなら☆」

 そのまま来たときと同様にいなくなった。

 …結局何をしたかったんだ?


 それと俺の名前岬越寺で固定??


 「ええい、そなたは高貴なるS組にこそふさわしいのに。」

 って言うかこの子どうにかして。

 「もう良い。決闘じゃ!!」

 「どうしてそうなるのさ。」

 モロGJ!

 「もしもそなたが負けたらSに来るのじゃ。」

 だから勝手に決めるなよ。

 「高貴なる「はいはい、帰りましょうね。」…な、何をするのじゃ。離せ、離すのじゃ。」

 ハゲGJ!

 そのまま、着物っ子、もとい不死川はS組に連行されていった。

 「ふ~助かった。」

 「おつかれ。というかそんなに有名だったんだ。」

 モロ、お前の優しさが心に沁みるぜ。

 「いや、実を言うと初耳だったんだ。」

 「?なんで。それだけ賞を取ったら普通知っているでしょ?」

 「いや、親に任せたのがいけなかった。賞金とか、ばれないようにするために俺に言わなかったみたいだ。」

 結果、今日始めて知ったわけだ。

 「上を目指すために、自分よりも上の存在がいたほうが更なる高みを目指させる。そういうことを言いたかったんだと思うけど。」

 「厳しいね…」

 そのおかげでこうして頑張っているのだが。

 「そういえばあの二人が言っていたけど俺の作品ってどのくらいの評価なんだろうな?」

 「じゃあ、明日まで調べといてあげるよ。」

 「サンキュー」



 そんな日常の一幕








-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------



 そして放課後。

 作品を提出してそのまま帰宅しようとした。

 今日の猫の動きを見ていたらピンとくるものがあったので、挑戦しようと思ったからだ。

 出来ないだろうが、やる事に意味がある!!

 そんな感じで急いでいると、


 「へへっ、あいつが川神百代の妹か。」

 なんて声が聞こえる。

 橋の下では一子が走っているが、周りには風間ファミリーの姿は無い。

 「あいつを人質にして川神百代をおびき出して。」

 「この前の仕返しをしてやるぜ。」

 そんな事を言っている不良たち。

 その不良たちに共通している事は一つ。

 全員が包帯をあちこちに巻いている事だ。

 ……仮面パーティならぬ包帯パーティー?

 「あの女、なにが人間テトリスだ!おかげでこっちは全員入院になっちまったろ!」




 つまり百代に挑み、返り討ちにあって入院した?そんな所か。

 「いいか、あの女が疲れ果てたところを狙うぞ。」

 「じゃ無いと、またやられるからな。」

 しかも相手が疲れたところを狙う辺り、邪道みたいだ。

 OK理解した。

 つまりあいつらは”敵”だ。



 「すいません~一つ聞きたいのですが。」


 「あん、何だ?」

 「俺達を原点回帰の本格派ってしって話しかけてるのか?」

 「今、丁度イラついてるしこいつ時間つぶしにぶちのめさね?」

 「おお、いいね。悪いな、話しかけたことを後悔しろよ。」

 そう言って俺を囲む。

 「ああ、そうかせっかく聞いてやろうと思ったのに。」

 「あん、何をだよ?」

 いや、せっかくだし。

 「誰が一番下が良いかさ。」

 その言葉と同時に相手の指を外す。

 それで不良たちは武器を落としてしまう。

 「ぐわ~~指がーー」

 「痛ぇ~~~」

 まだまだ、

 「こんな事を考える時間があるなら、少しは自分の人生を思索でもしていろ。」

 全員を投げ飛ばす。同時に関節をを決めておく事を忘れない。

 「時間を与えてやる、そこで仲良く反省していろ。」

 岬越寺…責人自重山。

 人間テトリス、作川神百代に対抗して、

 人間ピラミッド、作岬越寺秋雨(風林寺謙一)が出来る。

 「誰かが見つけてくれるまでそうしていろ。」

 その山に

 「私達は関係の無い人を誘拐しようとしました。」

 という紙を貼り付けておく事を忘れない。

 「これで良し!」



 そして、折角だからと一子の訓練している場所まで歩いていった。






――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 どうも、意外と前話が好評だったので残す事にしました。あと、やはり時間をかけずに投稿した為分かりにくかった事と、自分の試書きにあった設定が入ってしまっていたために書き直す事にしました。因みに健一の投稿した流れは、

 作品を投稿====合格===しかし謙一には落選と伝える==そのまま入賞===それで更なる作品を作る

 といった感じでしょうか。今回はあまりうまく書けませんでしたが次は一子との話なので頑張りたいと思います。

 今回の事で自分が甘かった事を自覚しました。さまざまなご意見ありがとうございました。感想は何度もみて、本編に生かしているのでどうか色々な意見を頂けると自分的には書きやすくなります。

 最後まで読んでいただきありがとうございました。

 感想などお待ちしています、誤字報告ありがとうございます。




2009/9/20




[11839] 達人の道は登るもの??いや自分的には落ちるもの
Name: ジョン◆62bea973 ID:1de9db2b
Date: 2009/09/21 22:29


 最近、お姉さまは風林寺君の事を良く聞いてくる。 

 確かに風林寺君は凄い。

 お姉さまとまともに戦える事自体すごいのに九鬼君の話じゃ芸術の世界では知らない人がいないくらい凄いらしいし(本人は知らなかった)

 けど、今は無理でも私も其処まであがって見せるんだから。


 第九話 達人の道は登るもの??いや自分的には落ちるもの


 しかし、凄いものだ。

 不良たちを山積みにしてから十分ほど。

 時間的に学校が終わってから始めたとすれば一時間ほどか。俺が作品を出しに言っている間もこいつは頑張っていたのだろう。

 手に握られている薙刀。それを振るう姿はまさに真剣。

 しかし、何故外で薙刀の練習しているんだ。ま、唯振っているだけで技の練習している訳じゃないからいいかもしれないけど。

 しかし、こうしてみるとあれだ。

 一言で言うとなってない。

 あれでは全然意味が無い。

 あの真剣な姿を見ているとつい応援したくなってしまう。助言もしてやりたい

 しかし、憧れの姉と(大和曰く俺はターゲットになったが学園長に止められているらしい)まともに戦いあった男がさらに武器まで使えるとなると流石に落ち込んでしまうだろう。

 どうにかしたいと思ったその時、ふと手元にあるものがあることに気づく。

 そうだ、これを使えば。

 一応あっちでもいけない気がするがそこ等辺は大丈夫のはずだ。

 何故なら……




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 今日も鍛錬を続ける。予定されている訓練も終わり今日は薙刀を振る事にした。

 しかし、自分の技はじいちゃんのそれにはまったく及んでいない。

 何が悪いのだろう、そう思い自分の努力が少ないと結論付ける。

 自分の頑張りが少ないからじいちゃんみたいに出来ないのだ。そう思って薙刀を振る。

 それでも、じいちゃんのようには出来ない。

 「なっとらんわ。」

 その言葉に驚く。いつの間にか自分の目の前には一人の人物が立っている。

 先日とは違う柔道の格好。

 しかし、顔の仮面でよく分かる。

 お姉さまが探し続けている一人の男。

 我流Xが此処にいた。





 「なっとらんわ。大事な事だから二回言ったぞ?」

 こっちが何も言わないから聞こえないと思ってもう一度言ってくれた。

 「え、貴方本物?」

 川神院が真剣に探しているのに見つかっていない、それが目の前にいる事に驚きを隠せない。

 「私のほかにこの仮面をしている者がいるだと?まさかXが現れたのか!?」

 え、我流Xじゃないの?

 「私の名は我流ピンク。Xと同じ世界を守るヒーローの一人さ。」

 え、ピンク。そう言えば確かに我流Xと違いそのお面にはピンク色が入っている。

 「偶然にも此処に来たら君が鍛錬している姿が映ったのでな。気になって話しかけてしまった。」

 そうなんだ~~けど色々と我流Xと似ているけど兄弟か?

 「あ、それでなっていないって何がですか?」

 「何がだと思う?」

 え、なっていない事……!!

 「分かった!!」

 「分かったか。」

 そういえば忘れてた。

 「まだ休憩していない。」

 適度に休憩を取らないと鍛錬の意味が無いからね。

 あれ、何で転んでいるの?

 「……それもあるが違う。」

 え、違うんだ。これじゃないとすると…

 「……ごめんなさい。思いつきません。」

 そう答えた。

 「まあ、そうだろう。これは簡単な事だが、達人といわれる者は間違いなくやっている事だ。」

 !!それがまさかじいちゃんと私の違い!!

 「教えてください!!」

 「よし教えてやろう。その為に話しかけた訳だし。」





 「まず、お前は武器に頼りすぎている。」

 ??武器に頼りすぎている??

 「武器を唯振り回すだけならそこ等の不良にも出来る。しかしそれでは意味が無いのだ。」

 「えっと、どう違うんですか?」

 「武器とは自分の体の一部。すなわち空手家の拳、ムエタイの膝である。」

 ??つまり、

 「武器を唯振り回すのではなく、自分の体の一部として扱え、って事ですか?」

 「おお、よく分かったな。」

 頭をなでられる。

 「そう、武器を扱うという事はすなわちその武器を体の一部として扱うことなのだ!!」

 成程。つまり闇雲に振り回しても意味が無いのね。

 「いいか、武器を扱うものとして武器に頼ってはいけないぞ。それでは武器の主にはなれない。」

 「??どうすればなれるの?」

 「いいか、武器を己の一部とする以上、一番大切なのは己自身の主になる事だ。」

 己の主??

 「今は分からないかもしれないが、それを頭に入れて訓練するんだ。」

 そういうと、ピンクは私から少し離れる。




 …己の体の一部。

 そんな事考えた事なかった。

 唯自分さえ鍛えていればいずれ届くと思っていたけど、甘かったみたいだ。

 ゴメンね?今まで気にしないで。

 これから一緒に頑張ろう?

 そう思いながら薙刀を振る。

 それは確かにじいちゃんに及ばなかった。

 しかし、今までのそれに比べると明らかに何かが違っていた。



 「…見事。まさかあの言葉だけで理解するとは。その集中力はすばらしい。」

 ピンクは褒めてくれた。

 「ありがとう、おかげで何かつかめたわ。」

 何かは分からない。だが何かがつかめた気がした。

 「そうか、それは良かった。」

 少しうれしそうにそう言った。

 「最後に少し稽古を付けてやろう。」

 稽古??

 「いつか、達人と戦った経験が生きる、そんな可能性もあるかもしれないだろう?」

 …達人。もしかするとお姉さまと戦うときの練習に。Xの仲間ならお姉さまに近い力を持っているかもしれない。

 「…はい!!お願いします!!」

 「いい、返事だ。一つ条件を付ける。三秒で終わりにする。その間は投げ技以外の攻撃はしない。そしてそっちが私に少しでも触れたらそっちの勝ちだ。」

 三秒間のうちに少しでも触れれば勝ち。…何だ簡単じゃない。投げ技だって掴まれない様にすれば良い訳だし攻撃をしないなら、少しぐらい触れる事ぐらい簡単でしょ。

 「それではいくぞ。」

 「!!お願いします。」

 「始め」



 その瞬間目を疑った。目の前には寸止めされた拳がある。

 「っつ!!!」

 そのまま、薙刀を振る。しかし掠りどころか振った時にはすでに姿自体ない。

 一秒、その間で後頭部、顔面、鳩尾などを数回寸止めされている。

 二秒、寸止めされたはずの拳で飛ばされている。

 三秒、何時掴んだかすら分からない、気がつけば投げられていた。



 結局、最初の一回以外まともに攻撃を出来なかった。

 これが私とお姉さまの差。

 「これで達人のレベルが分かったか?」

 絶望的だ。今の私じゃまったく届いていない。

 「…何を言いたかったのですか?」

 声が自分でも気づくほどに低かった。

 「今の君では達人にはなれない。」

 !!!

 「しかし、今日私と会ったことで上を知ったな?」

 ???

 「良いか、達人への道は登るものじゃない。落ちるものだ。中途半端に落ちるな。思いっきり落ちろ。」

 上るのではなく落ちろ?

 「今日、上の存在を知ったな?才能なんて関係ない。其処に誰かがいるなら其処にいけないわけが無い。」

 だんだんと言いたい事が分かってきた。

 「あきらめるな。頑張れ。君には努力という才能がある。」

 その言葉とともに我流ピンクは歩き出す。

 「いつか、達人の世界でまた会おう。」

 夕日に向かって歩き出すピンク。

 「……ありがとうございました。」

 私はその背中に出来る限りの声で礼を言う。



 その背中はとても大きく見えた。

 そのときから心の中で師匠と呼ぶ事に決めた





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 これからどうなるかはあいつ次第。

 達人との壁の大きさにあきらめるか。

 それとも自分の限界にくじけるか。

 達人になる事はとても難しい。

 しかし、彼女ならなれるかもしれない。

 謙一の頭にはこの世界にはいない筈の兼一の姿が一子に被って見えた。




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 謙一は気づかない。

 素顔を見られてはいないが、孫の成長を見守っていた人物に見られていた事を。

 謙一は知らない。

 この時の事を、その人物は感謝していた事を。

 その事が後にもたらす事にまだ気づいてはいない。






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 やっちゃった、やっちゃった。今日の投稿第二段。やばい、九鬼の話じゃないけどやり過ぎた。何かご都合主義が入っている気がするし前話の件もあるので様子を見たいけどだが書きたかった。この小説を書き始めようとしたきっかけの一つがこの話。まだまだだと思いますがこれは有りでしょうか?無しなら明日変更したいと思います。

 実を言うと我流ピンクっているとすると時雨だと思うのは自分だけでしょうか?
 この話は後にどうなるのか。

 因みにこの主人公は野球には出れません。…何故かってそれはホームランどころかヒットすら打てないからです。
 ~~丸いバットで丸いボールが真っ二つ~~~って感じになります。

 因みに三十一日のイベントの一つを一週間ほどずらし、イベント二つにしてもいいと思いますか?これで最後が思いっきり変わりますが…

 最後までお付き合いありがとうございました。

 ご意見、要望、必殺技などお待ちしています。

 感想ありがとうございます。とても参考になります。






2009/9/20



[11839] 親不孝通りの攻防?変態にする加減など無い!
Name: ジョン◆62bea973 ID:1de9db2b
Date: 2009/09/22 23:37


 今回は感想の中から技が出ます。色々考えてみたのですがおかしい様ならご指摘お願いします


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 次の日、クラスの中では何故か三つの話題で持ちきりだった。

 一つ、先日モモ先輩に返り討ちに会った不良たちが今度はピラミッド状に積まれ、道端にいた。

 二つ、昨日一子が我流Xではなく、我流ピンクに会った事。(この話に一番食いついていたのはクリスだった。)

 三つ、これはおれ自身のことだけどモロに調べてもらった、俺の作品の評価だ。


 何故か知らないうちに世界中に知られているらしく、作品自体も高値で売買されている事が分かった。
 (後でモロに値段を聞いたら、驚いた。九鬼が褒めるわけが判った気がする。)



 この事でクラスの評価がモモ先輩並の武術家から戦う芸術家に変わったりしなかったり。

 (なお、この後しばらく百代は放課後の橋の下で誰かを待っている姿が目撃される事になる。)



 第十話 親不孝通りの攻防?変態にする加減など無い!


 
 ゴールデンウィーク真っ盛りの今日。

 本来なら友人達と出かけたりするのがいい事なのだろう。

 しかし、風間ファミリーの連中は箱根に行くことになっていて無理。

 その他の連中も用事が有ったりして無理だった。

 (因みに風間ファミリーからは誘ってもらっている。百代から直々に。何故か知らないが、山奥という事を強調していたので断った。危険度センサーが振り切れるほどの身の危険を感じたからだ。)

 という事で、今日は町を見てまわることにした。

 後一つだけ予定もあるしな。






 そして、各所を回り最後についたのはこの親不孝通り。

 先日の闘い(百代との)で有名になった自分に挑戦状が届いたのだ。

 別に行かなくてもいいのだが、此方の名前を知っている上、性質の悪い連中が後ろにいるらしいので”OHANASHI”に行くことにしたのだ。

 「…で廃工場ってのは此処でいいのか?」

 指定されたのは第五十一番工場。

 すでに廃棄されて長いのだろう。

 あちこちに廃材が目立っている。



 「へへっ、よく来たな。お前があの百代とやり合ったっていう風林寺か?」

 「そうだがお前か?お前が竜兵か?」

 「いや、けど呼び出したのは俺だ。俺も此処にお前を呼び出せって言われただけなんだがな…」

 確かに目の前の男が百代と戦ったと知っていながら、呼び出すとは考えにくい。

 暴力に長けていなければ、そんな事を考えないだろう。そして目の前の男にはそのどちらかも感じない。

 「俺を呼び出した理由は何だ?」

 「そんなのはあの人に聞いてくれ。俺は命令されただけだ。最も聞けたらだが…」

 その言葉とともに大柄な男が現れる。

 「もしあの人が来る前にお前を倒せたら金がもらえる事に成ってるんだよ。弱い奴に興味がないって事で俺等に負けるようなら必要ないからってな。」

 

 その言葉とともに巨体が駆ける。

 そのスピードは巨体に反して速い。

 そして、放たれる拳もまた速い。

 「クラエッ!!」

 「や~だよ。」

 しかしすでに其処に姿は無い。

 あわてて辺りを見渡す男に、

 「加減はしてやるよ。」

 その言葉とともに相手の体の側面と前部に三回の攻撃を当てる。

 「兇叉!!!」

 その攻撃に男は数メートル吹き飛ばす。

 「ハ…ハ、タイ…シタコトぐっ!が!ぎ!げぇ!」

 男は口から血を吐き倒れこむ。

 「馬鹿な。イノシシすら倒して犯したルディが…」

 「どうする、逃げ出すか?」

 「こりゃあ、仲間集めといて正解だったかな」

 「おいおい、今の見て逃げ出さないのかよ?」

 わざわざ奥義を使って倒したのに逃げる気配がない事に少し驚く。(逆鬼式ケンカ大原則、第二章「竜の巻」代三項ケッヘル番号551)によるとこれで戦意を無くして逃げ出すはずなのに。


 「へっ、そっちこそこの人数に全くびびってねーな。確かにルディーを倒した実力は認めてやる。だがな、数の暴力には勝てないだろう。」



 その言葉とともに不良たちが謙一を取り囲む


 「……」

 「どうした、怖気づいて声も出ないか?」

 「…いや、違う。唯人数を数えていただけだ。二十人か。」

 「どうだ、しかもこの辺でも凄腕の不良達だ。」

 「成程、なら少しぐらいなら大丈夫か。」

 「…はっ?何を言って…」

 次の瞬間、謙一は男たちに向かって走り出す。そのスピードは先の男を軽く越えている。

 「フッハアアア!!」

 その声が聞こえた時には周りの男達はすでに半分になっていた。

 驚きのあまり声を無くしていると、最後の一人が投げられる。

 先程までは、男を取り囲んでいたのに対し、今はまるで円を描くように倒れている。

「岬越寺無限轟車輪。お互いに関節を極めた状態で車輪を作り上げている。互いの体重で関節を極めてあるから、外から他人に外してもらわない限り技はとけることはない。」




 「…マジかよ。こいつら、弱くないんだぜ。」

 「残念ながら、これで終わりだ。」

 「ああ、そうだな。……お前がな!リュウさんお願いします。」

 男が一人廃工場に入ってくる。

 暴力の気配がにじみ出る、野獣のような男だ。

 「こいつか……例の武神と引き分けた奴は…」

 男は値踏みするようにこちらを見て、そして足元の男達を見る。

 「…成程、噂どおりの腕前らしいな。活きの良い獲物だ。」

 「可哀想に、俺達にやられていたほうが幸せだったのに。」

 男はすでに竜兵の後ろに移動している。

 「お前が竜兵か?」

 「そうだ、お前強いんだろ?同じ雄としてどっちが上かはっきりさせようぜ。」

 どうやら、せこい真似をせずに戦いを挑んでくるタイプらしい。

 「いいぜ、来な。」

 その言葉とともに放たれる丸太のようなけりが腹を直撃する。が、

 「輪唱アタック!。」

 地面に倒れこんでいたのは竜兵のほうだった。

 「ぐっ、何だと?…」

 「危ない危ない。あんなのまともに食らったらアバラ折れちまうぜ。」

 対して謙一にダメージを食らった様子は無い。

 「く、俺の攻撃を受け流したのか?」

 「よく分かったな。そう、お前のタイミングに合わせて攻撃を受け流し、その流れで攻撃する。名を輪唱アタックと言う!」

 竜兵は自分の攻撃が読まれた事に驚きを隠せないがそれ以上に、


 「……ははは!いいぞ最高の獲物だ!!」

 「何だと!今の攻撃が効いていないのか。」

 すでに竜兵には極度の興奮状態により痛みを感じていない。

 「くっ、今度はこっちから行くぜ。」

 その言葉とともに走り出す謙一。

 「しっ。」

 あまり加減していない一撃。川神流の師範代のレベルに近い速さを持ったそれを、

 「甘いんだよ。」

 その言葉とともにかわす。

 謙一は知らない。竜兵の姉達が武術を習っているのが元川神流師範代だと言う事を。

 その為に修行を横で見ている竜兵がそのスピードには慣れていることを。

 「なっ!!」

 今の一撃で終わりと思っていた謙一は思わず動きを止めてしまう。

 「気を緩めてんじゃねえ!!」

 その言葉とともに竜が昇るような勢いを持ったアッパーが炸裂する。

 「…こいつは驚いた。まさか今ので骨にひびが入らないとは。」

 あたる寸前にぎりぎりの位置でジャンプする事で何とかなった謙一だった。








「それでも今のは痛えだろ。もう意識も無いんじゃねえか?」

 自分の一撃が決まり気絶させたと思い、謙一を見下ろす竜兵。それに、

 「~~~痛え~~~~~」

 と予想外の声がする 

 「…おいおい、嘘だろ。今ので無傷かよ。」

 其処には顎を押さえている以外先ほどと代わらない謙一が立っていた。

 「無傷じゃねー。顎が少し痛いじゃねえか。」

 「普通なら顎が砕ける一撃だぞ。頑丈過ぎるにも程があるだろ。」

 「これでも頑丈さには自身があるんだぜ!!」

 と胸を張る謙一。

 「…成程な…これは今まで有った中でも一番の上物だな…お前を犯せば、獣の飢えを満たせるだろう。」

 その言葉とともに謙一に近寄る。しかし、その言葉に謙一は驚きを隠せない。

 「??犯せば??あれ、俺と闘いたくて呼び出したんじゃないの?…」

 「勿論それもある。しかし敗者をどうするかは勝者の自由だろ?」

 くくく、と怪しげに笑う竜兵。

 その顔を見て謙一は悟る。

 奴は○○だと。

 万が一にも負ければ……その光景を想像しようとすると震えが止まらない。

 「…因みにどんな事をするつもり?」

 嘘であって欲しい。そう思って答えを聞く。

 「くくく、それはお前が思っているとおりだと思うぜ。」

 その瞬間、謙一の中で何かが壊れた。

 それは手加減という一つの押さえだった。

 謙一がふらりと動き出す。

 その動きは先ほどのような動きではない。

 「なんだ、もうぎりぎりか?」

 その動きを見て先の言動がやせ我慢だったのでは、と考える。後一撃入れれば終わるだろう、と。

 「ならもういち!!」

 言葉を続ける事はできなくなった。

 投げ、当身、関節技を同時に仕掛けられ、竜兵は既に人の形をとどめていなかった。

 謙一が嫌いなものには緑の物体。お化け、外道。そして最後にHENTAIが入っている。

 竜兵は死んではいないが意識を失っている。

 悶虐陣破壊地獄。手加減と言う枷を外した謙一の一撃は、竜兵を倒すのには十分な威力を持っていた。





 人の形を留めていない竜兵の姿を見て流石にやりすぎたのではないかと思った。

 悶虐陣破壊地獄を使ってしまった事に後悔しながら、しかし悪は滅びたと安堵する謙一。

 外道や変態に加減をするような気持ちを謙一は持っていなかった。

 それでも、気になるのは先の一撃をかわした事だ。

 あれを見切ると成ると日ごろからあの速さに慣れていないと避ける事などできないだろう。

 この町にはまだ見ぬ強敵がいる事に謙一は武者震いを隠せない。

 そんなことを考えながら竜兵の体を元に戻していく。

 ついでに途中で倒したまま気絶しているほかの男達の治療をしていく。

 治療といっても外れた関節を元に戻す程度の事だが、一人一人こなしていく。

 先ほどまで残っていた男は既にいなくなっていた。

 「うう…」

 と軽く意識を取り戻した竜兵に、こんな事が二度とおきないようにある技をかけもう一度眠らせる。





 変態は滅びた。



 これにて、親不孝通りの攻防は終わりを迎えた。









 「へぇ~やるじゃねえか。」



 この一言さえなければ。






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という事で修正版です。気絶したのではなく変態には手加減などしない。って感じで全力で攻撃をした感じです。普通に考えればそんな反応も有ると思ったのですが、やり過ぎでしょうか?

 ふと思ったのですが何かを極めた人って意外とお化けの類が苦手ですよね?

 今回も駄文ながらお付き合いありがとうございました。

 ご意見、感想、必殺技をお待ちしております。




2009/9/21

   22修正



[11839] 親不孝通りの釈迦堂との闘い!?
Name: ジョン◆62bea973 ID:1de9db2b
Date: 2009/09/22 23:35


注意 この話には良い子は見ていけない表現が入っています。ご了承ください。


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 第十一話 親不孝通りの釈迦堂との闘い!?



 「へぇ~やるじゃねえか。」


 こいつは驚いた。

 あの百代とまともに闘ったなんて噂、信じちゃいなかったがまさか竜兵を倒すとは。

 技こそ教えちゃいないが、たまに訓練を付けてやったりするし才能も姉達と同じ程度有るのに。

 しかもこいつ、明らかに竜兵の攻撃を受けてからの気配が変わったしな。

 分かるぜ。こいつは、


 明らかに達人だ。しかも戦いの喜びを知っている。



 すぐにその気配は消えたが、あいつは面白い。

 そう思った。





 「いや~竜兵を倒すなんて君、やるね~」


 こいつなら俺の飢えを消せるのではないだろうか。




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 いきなり中年のおっさんが現れた。

 普通の人間なら何も思わないかもしれない。

 しかし、武術をしているものならいやでも気づく。

 この禍々しい気に。



 「…あんた、何者だ?」

 「いや、何。ただ百代と闘ったって言う眉唾物の話を確かめに来ただけだったんだがね?」

 百代だと?

 「あんた、百代を知っているのか?」

 「そりゃー知ってるぜ。何せ俺は川神院の師範代だったんだからな。」

 !川神院の元師範代だと。

 何故此処に川神院の元師範代がいるのかも気になるが、一つ分かった事がある

 「あんたがこいつの師匠か。」

 「いんや、師匠はやっては無いな。たまに組み手なんかはやってやるけどな。」

 …やはり。確かに川神院の師範代クラスならあのレベルの攻撃を放てるだろう。





 「しかし、百代と闘ったなんて嘘だと思っていたけどまさか本当だったと思わなかったぜ。」

 だんだんと距離が近づいてくる。

 「あいつの実力は知ってるからな。唯の噂話だと思ったんだが…」

 既に距離は数メートル。

 一瞬で縮められる距離にまで近づいていた。

 「さっきのお前さんの姿を見て真実だって分かったぜ。」

 退路は無い。

 正直な話、まさかこんな相手がいるとは思ってもいなかった。

 「いっちょ、俺と殺し合いをしてくれよ。…」

 気がだんだんと高まっていく。

 「俺は、生まれてからヨォ……満ち足りてねぇんだ。」

 その気は既に竜兵のそれを遥かに超えている。

 「敵を倒しても…倒しても…満ち足りなかったぜぇ。」

 自分もそれに合わせて気を高める。

 「お前を倒せば、少しは疼きも止まるかもなぁ。」

 「おいおい、この気は何だよ?あんたは化け物か?」

 「さあな、本当に俺はなんだろうな…」

 その言葉をきっかけに戦いの火蓋は気って落とされた。





 お互いの気のぶつかり合い。

 高位の者同士の戦いならこれで勝負がつく可能性がある。

 しかし、達人同士の戦いにはその上が有る。



 技撃軌道戦である。

 達人同士の先の読み合い。その極みである技撃軌道戦。

 お互いの機動を先読みしあい、牽制する。

 まるで積み将棋のようなものである。


 「こいつは驚れえた。まさか此処までとはな。」

 此方のレベルに素直に驚いているようだ。



 「けど、そろそろこれも飽きてきた。」

 その言葉と共に、

 「先読みだけじゃなく、遣り合おうぜ!」


 凄まじい勢いを持った手刀が放たれる。

 「甘い!」

 その言葉と共に此方も手刀で迎撃する。

 お互いの手刀が激突し相殺される。

 加減など一切無い攻撃。

 このレベルにおいて手加減などは死につながる。

 「食らえってんだっ!!」

 即座に放たれる数千の手刀。

 それを、時には捌き、時には受け、全てを迎撃する。

 「そこっ!!」

 その攻撃の一瞬の隙をついて正拳を放つ。

 「おっと!」

 しかしそれを予測していたかのように軽くかわす。否、実際に予測していたのだ。

 「いいねぇ。やっぱり迷いの無い攻撃ってのは。」

 今の短い攻防。それは釈迦堂を満足させるレベルのものだった。

 「いいねぇ、もっと俺を楽しませろ!」

 その気配と共に再度攻撃を仕掛ける。

 しかし、

 「ぬっ……!?こいつは……」

 刹那、釈迦堂は顔面に拳を受けていた。

 いや、実際に受けたわけではない。殺気を飛ばされた。それだけで攻撃を受けたと感じてしまった。

 「…こりゃあ面白過ぎるんじゃねえか?」
 
 それでもその程度で臆する釈迦堂ではない。すぐにまた攻撃を仕掛けようとする。

 「はあぁぁ!!!」

 それを超える速度で謙一はその場に音を置き去りにした。

 即座に先の攻撃を超える威力の拳が放たれる。

 「おおっとお!やるじゃねぇかよ。」

 捌ききれずにあたった一撃にたまらずに交代する。

 「まだまだ!!」

 しかし、すぐさま追撃をかける謙一。

 (手刀、正拳、肘、裏拳、右の蹴りだ!)

 それを驚異的な速さで先読みする釈迦堂。

 「おっしゃ、ビンゴ!…ぐふ!!」

 確かに読みきったはずの一撃。

 しかし最後の一撃が読みとは違い左で放たれたことが釈迦堂にダメージを与えた。

 「……今のは…ガマクか?」

 「その通り。今の一瞬で見切るとは。流石に元師範代なだけある。」

 古流空手の身体操法であるガマク。これを使い重心を誤魔化し釈迦堂の読みを外させたのだ。

 「まさかガマクなんての使えるなんてな。」

 「知られた以上もう意味も無いけど…」

 既に釈迦堂の読みの中にはガマクを想定し、攻撃を考えている。

 先のように攻撃を当てる事は難しいだろう。

 「さぁて今度はこっちのば…」

 「まだ、俺のバトルフェイズは終了していないぜ!!」

 神速の手刀。

 それをぎりぎりの位置でかわす。

 「まだだ、俺のターンは終わらない。」

 烈火のような猛攻が始まる。

 「ぬぅおおおおおおおお!?」

 0.1秒をきるスピードで放たれる攻撃を釈迦堂はかわしきれない。

 しかし釈迦堂もそれを見越して体にはまったく当たらないように避け、結果見た目こそぼろぼろだがかすり傷一つで今の攻撃をしのいだ。

 「この間合いはやってられなぇ!」

 なんとか攻撃範囲から出る釈迦堂。

 「こういう技に、びっくりすんなよ!」

 釈迦堂の両腕に気が凝縮されていく―――。

 「いけよぉ!リングっ!」

 チャクラム状のエネルギー弾が健一を襲う。

 「劣化相剥斬り!!」

 腕を剣に見立てて鋭い手刀を放ち全てを切り落とす。

 「おいおい、気を手刀で切り落とすなんて非常識過ぎないかい?」

 「言葉など無用。この戦いに言葉など無用だ。」

 「そりゃあごもっとも。」


 お互いが構えなおす。


 「こんな楽しい戦いは初めてだったぜ。」

 釈迦堂は心からそう思った。

 「だが、こういうものにはどう対処する?」

 釈迦堂が構える。挑戦者達を葬ってきた必殺の型を。

 川神流無幻の構え。この勝負にけりをつけるつもりで構える。


 (山を覆うかのような闘気。望むところだ。)


 (俺はそれすらも打ち砕く技を放つのみ!!)


 謙一も構える。それは百代と我流Xとして闘った時も、風林寺謙一として戦ったときも、否この町では誰もが見た事はない構えだった。


 それを見た釈迦堂に電撃が走る。

 「こいつはいけねぇ。やばすぎるのが来る!」

 野生じみた本能がそれを伝える。

 繰り出されるであろう必殺の一撃。しかしそれさえよければ釈迦堂の勝ちのはずだ。

 (難しい事じゃねぇ。避けて蹴りを入れておしまい…)

 それで終わりのはずである。しかし本能はそれではいけないと語る。

 (…確かに、こいつの今までの技を見たら油断ができねぇ。なら…)


 釈迦堂は目をつぶる。



 「ぬあ~~~~~~~~~~!!」

 それはまさに神速の一撃。神速の手刀に匹敵するほどのスピード。

 しかし、それを。

 「――――ここだろ!!」

 視界を閉じ気配のみで受けてみせる。勝利を確信する釈迦堂。

 しかし、気配は止まない。

 否、それは加速度的に数を上げていく。

 「あ~ぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱ!!」

 「ぬおおぉ!!」

 それを捌ききろうとする釈迦堂。

 しかし、徐々に捌けなくなってついにはまともに食らってしまう。

 「あ~ぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱ!!」

 しかし攻撃は止まらない。

 途中の壁すらも破壊し、釈迦堂は地面に叩き付けられたまま攻撃され、そして廃工場の外へとはじき出される。

 「いーやばだばだどぅ~~~~!!」

 既に釈迦堂に意識は無い。

 しかし何故かその顔には笑みが浮かんでいた。

 意識を失う間際、自分の中の疼きが止まったように思えたからだ。

 「秘技 よい子には見せられないパンチ!!」



 そして、ついに釈迦堂との戦いは終幕を迎えたのだった。 





――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 どうも、なんとかぎりぎり書き終わりました。今までで一番の難題でした。色々と書きたい事はあるしどんな闘いが面白いか考えないといけないし。しかし、頂いた感想の中にあったさまざまなご意見のおかげで何とか書き終わりました。ありがとうございます。次の話でプロローグは終わります。次の次からキャラ選択に入りたいと思います。

 因みに感想の中に多かった闇の奥義について、これは出します。しかし今の段階ではどこでとはいえません。しかし絶対に出すので安心してください。他の必殺技も似た感じになります。

 あと連休が明けたら色々と忙しくなってしまって毎日更新から不定期に代わると思います。散々不定期に成るとか言っておいて成らなかったのに、またかと思うかもしれませんが、今回は真剣です。十月は色々と忙しくなるので。

 長々と成りましたが前話を修正しましたので何か不備があるようならご意見お願いします。

 今回も駄文にお付き合いありがとうございました。

 感想、ご意見、必殺技を心待ちにしています。ではまた会う日まで



2009/9/22




[11839] 戦いも終わりつかの間の休み!?新たなる戦いの予感
Name: ジョン◆62bea973 ID:1de9db2b
Date: 2009/09/23 09:49


 戦いは終わった。

 激闘を終えたとき、廃工場は既にぼろぼろだった。

 後始末を終え、外に出た謙一の耳には崩れ行く工場の音が聞こえた。




 第十二話 戦いも終わりつかの間の休み!?新たなる戦いの予感



 その後謙一は先ほどの男を気配探知で探し出し脅す事で二度と自分に係らない事を約束させた。

 しばらくして目を覚ました釈迦堂は、

 「……ありがとよ…」

 唯一言そう言った。

 何に対して言ったかは分からない。

 しかし込められたその思いを謙一は確かに受け止めた。



 (起きた竜兵は何故か記憶が無くなっていた。HENTAIの末路は外道と同じ!)



 そんな事もあり家に着けば既に夜となっている。



 しばらくすると大和から電話がかかってきた。

 どうやらあっちも普通の旅行とはいかなかった様だ。

 何で旅行で軍隊と闘っているのか百代?

 お前そんなキャラだったか大和?

 やっぱりどっちに行ってもろくな休日にはならなかったのかもしれない。



 特に近くにある山のふもとで、

 「此処でなら全力で戦えるのに……」

 と川神のほうを向いて百代が呟いていた事から勘が正しかった事がわかる。

 武神と川神院の師範代クラス。どっちも正直ぎりぎりの戦いになるからな。




 大和との会話も終わり、此処に越してきてからの事を思い浮かべる。

 百代との決闘から始まり、クラスからの歓迎、百代との決闘、英雄の治療、百代から隠れる日々、一子を指導、百代からの誘い、親不孝通りの決闘。

 ……なんて事だ。半分が百代のことで埋まっている。



 百代か……

 最初は理不尽な事を無くしたいと思って始めた武術だった。

 しかし、今ではただ純粋に欠かす事のできないものと成っている。

 それのおかげで色々な出会いがあったわけだし…


 師匠の言ってた強敵とは百代の事だったのだろうか…

 しかしその有り方はどこか危ない気がするのだ。

 善人とも悪人とも言えぬその有り方は……



 今もどこかに居るであろう師匠が教えてくれた事。

 殺人拳の無意味さを自分は知っている。

 そして、百代の周りに風間ファミリーがいる以上そっちを目指す事はないだろう。

 しかし百代のあの気配。

 道を踏み外さないとは限らないだろう……



 そして、一つの心得を教えた一子の事を思い浮かべる。

 あのひたむきな姿は自分には他人のように見ることは出来ない。

 どうしても彼と重ねてしまうからだ。

 自分は彼ではないし、彼は俺ではない。

 しかしどこかで俺達は似ているのかもしれない。


 これが一種のシンパシーなのだろうか。

 自分が言うのもなんだが、彼女には努力の才以外目立った才能が無い。

 しかし才能が有るからといって達人になれるのか?と言ってもそうではない。

 その逆もそうである。

 彼女の努力は並大抵のものではない。

 ならば、これからの訓練しだいでは、達人になることも出来るかもしれない。

 あくまで可能性の問題だが……




 そんな事を考えながら、家事をこなしていく。

 今はまだ分からない。

 この先がどうなるかは。

 もしかするとこの二人のどちらかとさらに仲良く?成るかもしれないと。

 しかし、もしかするとまだ見ぬ強敵(とも)との出会いがあるかもしれない。

 いろんな可能性がまだまだ残っている。


 「やっぱり此処に来て正解だったな…」

 これからのことを考えると、楽しそうだと思える。

 どちらにせよ、忙しい毎日になりそうだ……




 しかしその楽しい日々を守るならば闘わなければいけない。

 自分の信念を守り抜くには闘わなければいけない。

 可能性を守っていくには教えなければいけない。

 まだ知らぬ可能性を求めるなら探さなければいけない。



 己の信念を貫く為に闘った侍のように――――――――





 


-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------

 出会いは無かった。もしかするとこのまま出会わないかもしれない。

 だがもし、彼が、彼の友人に戦いを挑むとしたら彼らは出会うだろう。


 もしかするとそんな可能性もあるかもしれない。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 という事でプロローグ完。如何だったでしょうか。いや~ネタでのんびり書いていくつもりがいつの間にか連日投稿に…
 今回の話である程度方向は決めてみました。しかし、まだ会っていない主要キャラもいるのでこの先どうなるかは分かりません。しかし完結できるようには頑張りたいと思います。最後のあれも半分のりですが本当にそんな可能性も有るかもしれません、

 しかし、書いてて思いましたがあの闘いの後百代に追われ続けるなんと事もありえると思いませんか?じじいの見えないところでとかそんな感じで…しかしこの先はどうなるかな。決めてるのはイベントだけだしはてさていったいどうなる事やら…

 しかし此処までこれたのも多くの感想に励まされたからなので此処でお礼を申し上げます。次も話も出来るだけ早めに投稿したいと思っています。

 という事で早く休日が来ないかと思ったりします。

 クライマックスまであと日付的には三ヶ月以上。……え、こんなに。最初の選択画面に五月七日と書かれているのでクライマックスの八月三十一日?までは長すぎるほど時間が有ります。

 ……書いていけるかな?いや成し遂げよう!

 という事で急ぎ足になりましたがプロローグは終わり。今までの話の修正意見があったら参考にしますのでお願いします。

 次回はどんな話になるのやら

 感想、ご意見、必殺技をお待ちしています

 では次の投稿までまた…………



2009/9/23







[11839] プチ人物紹介?
Name: ジョン◆62bea973 ID:1de9db2b
Date: 2009/09/23 10:34


感想にあったのでここまでの人物紹介を書いてみました。



 主人公

 風林寺謙一

 元一般人。理不尽なものに対抗するために武術を学ぶ。その力は前世で謙一を殺した悪魔を倒せるほどに。

 多数の武術をマスターしているがその数は不明。各地に土地を持っており意外と資産家。

 武術以外に芸術、学問共に優れており元はS組に入ろうとしていたが風間の雰囲気にF組に行ったほうが面白そうだという利用で変更する(わざわざクラスを調べて)

 趣味はいろいろ 花や盆栽 猫観察(ある技の会得を目標としているうちに好きになってしまった。)

 嫌いなものは緑の物体。お化け、外道、変態など意外と多い。

 実は外科医の資格を持っていると噂もある


 我流X

 なぞのヒーロー。中国拳法、空手に優れていると思われる。達人であり百代と闘った姿からもその力は図りきれなかった!

 実は学園の中の誰かだという噂もあったが、あれ以来出てこないので忘れられそうになっている。



 我流ピンク

 なぞの師匠。一子に武器の事について語る。実はXの仲間である。さまざまな技術を知っておりまた自分もまた達人である。

 一子の中では師匠になっている。


 なぞのヒーロー達

 まだ見ぬヒーロー。もしかすると出ないかもしれないが、出るかもしれない。





 川神 百代

 戦闘では、その戦闘力と川神院流武術を使って敵を圧倒するタイプ。 

 世界の狭さに絶望していたがXとの出会いで広さを知る。

 謙一との再戦を楽しみにしているが学園長が禁止している。

 一子の話で時々ピンクを探しているが見つからない。

 何気に最強



 川神 一子

 戦闘スタイルはスピード重視の速決タイプ。

 ピンクとであって以来技の切れがあがっている。

 心の中で師匠と読んでいる。

 某弟子と色々なところが重なって助けたくなる。

 努力家



 川神 鉄心

 数十年前までは最強と言われていた男で、武術の総本山とも言われる川神院のトップ。

 一子に指導するピンクの姿を見て何かを思う。

 実は悪巧み?




 直江 大和

 原作の主人公。

 謙一の良き話し相手。

 さまざまな面について詳しいのでよく話す。

 軍師


 
 風間 翔一

 謙一にF組行きを決意させた人

 自由人であり彼を止められる人はいない。

 キャップ



 島津 岳人

 決闘で分かり合った友(強敵ではなく)

 筋トレの話をよくする。

 しかし、謙一の鍛錬方法は信じてもらえない。

 タフガイ


 師岡 卓也

 モロ

 何気に謙一と仲がいい。

 ツッコミ役が少ないときに重宝する存在

 アキバ系


 九鬼 英雄

 九鬼財閥の御曹司。

 2-Sのリーダー。

 偶然であった事がきっかけで腕を謙一に直してもらう。

 謙一を岬越寺と呼ぶ。

 金ぴか


 忍足 あずみ

 メイド。

 英雄の腕を直した謙一に対しては感謝しきれない。


 不死川 心

 着物。

 あんな扱いでも名門と言われた不死川家の娘である。



 板垣 竜兵

 何故か最近の記憶がなくなっている。

 それが原因で同性愛者でなくなった。


 釈迦堂 刑部

 川神院の元師範代。

 天才。





 紹介文なんて書いたことが無いのですいません。



[11839] 始まる日常?…まともな日々に久しぶり?
Name: ジョン◆62bea973 ID:1de9db2b
Date: 2009/09/25 23:13

 今回からはキャラクター選択に入れます。何回になるかわかりませんし、原作よりも期間が短くなる場合があります。
 決して間違ったとかではないと思うので大きなミスでもない限りスルーしてください。


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 「お、目覚めたか弟。よしよし。」

 気がつけば其処には姉さんがいた…

 第十三話 始まる日常?…まともな日々に久しぶり?

大和side

 今日は姉さんを屋上に呼んでいる。

 「じーさん(学長)に言われんのよ。姉さんがあんまり低い点とってるなら喝をいれとけって。」

 今までしてくれていた膝枕を解除してしまう。

 「おお~やだやだ!権力の手先がここにいるぞ」

 「ま、俺も言われたからには一応ね。」

 「大きなお世話だな。フン(ぷいっ)」

 …少し気分を悪くしたようだ。

 最近ただでさえ、挑戦者が不甲斐無い連中であきれているのに、近くに強者がいるのに闘えない現実。

 それが姉さんの機嫌を悪くしているのだった。



 「え~そんなひくいてんすうのやつとはたたかえないな(棒読み)」

 「いきなり出てきてなんだよ、謙一?」

 いきなり現れたこいつこそが姉さんと互角に戦う事ができる人間。

 風林寺謙一である。

 転校初日から姉さんと決闘した話は数週間経った今でも語り継がれている伝説である。

 「!謙一。勝負する気になったのか?」

 先ほどまでの雰囲気が嘘のように謙一に近づいていく姉さん。

 あの日から会う度に決闘の約束を取り付けようとしているのだが、じーさんが禁止しているために校内では決闘ができなくなった。

 しかし、川神院の敷地内でなら立会いの元で決闘する事が認められたのだ。

 「いや、そんなことをいってもそんなてんすうをとるひととけっとうすることできない(棒読み)」

 ……さっきから気になるがこのしゃべり方は何なんだ?

 不自然すぎる口調に違和感を隠せない。

 「くっ、結果を残せば勝負するのだな?」

 「できるようにぜんしょします?」

 明らかにする気無いな。こいつ。

 最後なんて疑問系だぞ。

 これじゃいくら何でも姉さんが勉強するはずが…

 「!!言ったな。高得点とったら私と勝負しろよ!」

 !信じた~~~~~~~~~

 その言葉とともに風のように消える姉さん。

 後には俺達しか残らない。

 「…謙一。お前何しに来たの?」

 ふと、疑問に思い聞いてみた。

 「いや、学長に頼まれてな?お前だけだと勉強する気がおきないと思うから、声をかけてやってはくれないかって…」

 …成程。そういうことだったのか…俺信用されてない?

 「だけど、あんなこと言っていいのか?お前闘う気無いんだろ?」

 流石に闘いの後、倒れたので友人として止める。

 …姉さんの舎弟としては、戦ってほしい気もしなくも無いんだが…

 「いや、そんな事ないんだぞ。あいつには言いたい事があるし。それにどうせ…!」

 …それにどうせ?

 実は戦う予定があるのか?

 「…それにどうせ、今あんな事を言っても学長が止めさせるだろうからな…」

 …今の少しの間が気になる。

 本人の顔には動揺した感じもないから考えすぎかもしれないが。

 「…そんな事よりも宿題大丈夫なのか?」

 「それなら既に終わらせたけど?」

 「…お前の仲間にやっていない奴がいそうだが?」

 頭の中にはワン子の姿が思い浮かぶ。

 「………大丈夫?」

 「…俺も戻るから様子でも見に行くか?」

 一応、やっているかもという希望を捨てないで置こう。

 「そんな事言ってお前こそ終わらせていないんじゃないか?」

 もっとも、こいつがやっていないわけ無いが。

 「ちゃんと予習込みで終わらせたから大丈夫だぜ!」

 ははは、と気楽に笑う姿が目立つ。


 …ときどきだがこいつが本当に姉さんと闘ったって事が嘘に思えることがある。

 どこかが姉さんと違う、そんな感じがする。

 しかし、それでいて姉さんと似ている。

 そんな気がする…






 クラスに戻ってみればワン子が当然のように、宿題をやっていなかったので課題を出した。

 (その光景を暖かい目線で見守る謙一だった。)





-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------


 その日の帰り道、謙一は買い物をしていた。

 何時もと変わらない光景である。

 周りを見なければ……



 (何だ?あんなに睨んで?恨みでもあるのか?)

 其処には凄い形相で商品を睨んでいる女性がいた。

 制服からして俺と同じ学園だ。

 しかし、何故あんなに睨んでいるのだ?

 (しかも、あの袋。分かりにくいが本物じゃないか?)

 移動しつつ商品を比べていく。

 しかし、その動作一つ一つが洗練されていた。

 (見た感じ少なく見積もって、クリス以上か…)

 あの手のタイプは自分からじゃないと力を出さないから分かり難いが、全力を出せばあの元師範代と闘えるぐらいでもおかしくないだろう。

 そう思った。

 間違いなく達人級の彼女。

 しかし、

 (何故そんなに睨んでいるんだ…)

 茶を選んでいるのか、それとも睨んでいるのか。

 近くにいたおばさんが逃げ出す程度に顔が怖かった。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 日常編に突入。何も本編に関係ないのもこれが初めてですね。今回は大和視点からほとんどお送りしました。

 日常編はあまり決まっていませんが、大きなイベントは無事に決まりました。どうなるかは秘密です。

 初めて日常の話を書いたのでほとんどが原作のパクリ。しかも出番を奪ってしまった……

 彼らが好きな人ごめんなさい。

 あと日常編は決まっていない場所が有るので、どんな日常がいいでしょうか?(勿論決まっているのもあります。)

 しかし今日も投稿できたけど、これでいいのか…忙しいのは本当なのに。

 今回は短めな文章になりましたが次回はもう少し多めに書ける様に頑張りたいです。

 初めての日常編なので誤字・脱字などおかしい部分があったらご指摘お願いします。

 感想・ご意見・必殺技をよろしくお願いします(実際に新しい話を思いつくので)


 2009/9/24



[11839] ワン子の成長!?そのとき彼は何を思うのか……
Name: ジョン◆62bea973 ID:1de9db2b
Date: 2009/09/25 23:11


 忙しいけどネタを書きたい。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



 「ふぁーあ、……そろそろ体がなまってきたな。」

 ああ、近くに強敵がいるというのに闘えないというのは悲しいものだ。

 「大和、あいつはそろそろOKしたか?」

 少しだけ希望を持って弟に聞いてみる…無いとは思うが。

 「いや、ぜんぜん。いつもみたいにそのうちとしか答えないよ…」

 はー、あいつとなら心躍る闘いができるというのに。

 これも全てじじいが川神院以外で闘うな、なんて言うからだ。

 「こんな日はあれだ、弟いじり。ふふふ。」

 気分を紛らわせるしかないな、こんな時は。

 「それよりも先に片付ける問題があるみたいよ。」

 「川神百代と見た!私と手合わせ願いたい!」

 おお、こんなときに挑戦者とは!

 「待ってろよ。ちょっと倒してくるからな。」

 うきうきしながら挑戦者のほうに歩いていく。





 だめだ、こいつ。少し前なら分からなかったが、今なら分かる。

 こいつは弱い。

 と言ってもそれでも十分に強いのだが、一撃も持たないだろう。

 浮かれていた気持ちが沈んでいく。

 しかし挑戦を断るわけにも行かない。

 そんなことを考えていたが、

 (そういえば最近の……)

 少し試してみるのいいかもしれない。

 そう思った。



 第十四話 ワン子の成長!?そのとき彼は何を思うのか……





 今日は急がずとも遅れる心配は無いだろう。

 そんなことを思っているうちに橋が見えてくる。

 しかし、橋の下から何か聞こえてくる。

 気になって見てみると、



 「せぇい!!!」

 「ヘルバウ……なっ!?」

 挑戦者を倒している学生の姿があった。

 それが百代ならばおかしい光景ではないだろう。

 しかし、挑戦者と戦ったのは一子であった。




 見た感じあの武芸者も弱くは無い。

 場所によっては最強を名乗れる程度の実力があるはずだ。

 しかし、一子は怪我をした様子も無く、百代にほめてもらっている。



 一子の実力は知っている。

 確かにこの男に勝てるだろう。

 しかし、今の闘いの様にきれいに勝つ事ができるだろうか?

 敵の攻撃を紙一重でかわし、攻撃をしつつ、相手が技を使う一瞬の隙をついて攻撃する事が…

 しかも今の太刀筋は前見たときよりも鋭さが増している。

 これだけの短い期間でよく其処まで努力したものだ。

 そう思った。




 もしもあの技をマスターしたら……

 いや、さすがにやり過ぎだろう。

 一子は川神院の門弟。

 勝手に技を教えるのはよくないのだ。

 それは自分のすることではない。

 そう思って、俺は学園に足を向けた。



  


 「……ん?」

 ふと、誰かの視線を感じた気がした








 帰り道、また彼女にあった。

 今度は何かあったのだろうか?

 虚空に向けてしゃべっている様だ。

 一人でしゃべっているけど友達はいないのだろうか?

 知り合いの多い大和なら彼女の事も知っているかもしれない。

 何でかって?刀を持っているような奴を大和が知らないはずが無いと思ったからだ。

 明日大和に聞いてみようかな?




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 更新といっても凄く短い話です。この話はつなぎみたいな感じで少しフラグっぽいのを色々と作ってみました。
 いや~流石に今回はやりすぎたでしょうか?ムヤチャ名前の挑戦者だったのですが明らかにあの人ですよね。
 明日は更新できない可能性が高いのでよろしくお願いします。
 何時ごろからキャラルートに入ろうかな?あと、何か一子にぴったりな技は無いでしょうか。(謙一が言った技ではありません)あったら感想にお願いします。

 今回は短めでしたが、次回は普通に書ければいいと思います。

 感想、要望、必殺技、ご意見などをお待ちしています。



 2009/9/25




[11839] 信念とは何か?こんな事いう言う柄じゃないのに…
Name: ジョン◆62bea973 ID:1de9db2b
Date: 2009/09/27 09:43


 今日はいつもよりも早く登校出来たな。

 ん?あそこにいるのは……



 第十五話 信念とは何か?こんな事いう言う柄じゃないのに…


 今日はいつもよりも早かったからか風間ファミリーと一緒に登校している。

 しかし、さっきから百代の視線が気になるのだが……

 「皆、おはようー!!!」

 「よー、ワン子」

 一子が来た事によりその視線も無くなった。

 大和が普通に挨拶を返している。

 「わぁぁー……凄い練習量ですね毎日毎日。」

 「オラごっつ尊敬するぜ。まさに修行一筋だな!」

 そんな風に言っているのは一年のまゆっち。

 刀を持っていて気にはなっていたが、風間たちの知り合いだったとは。

 因みにもう一人?は松風。

 九十九神?らしい。



 しかし彼女は昨日思ったとおり、友達がいないらしい。

 最初はあたふたしていたが、少し気を出したら一瞬で切り替えていた。(百代も過剰に反応していた)

 相当な使い手のようだ。

 
 これからよろしくって言ったら驚きながらも答えてくれた。





 そんなことを考えていたらいつの間にか一子がいなくなっていた。

 「あれ、一子は?」

 「おいおい、また考え事か?もう行っちまったよ。」

 頑張るものだな。

 しかしタイヤか……



 「500やれと言われれば700はやる」

 百代が一子について語っている。

 「己の限界ぎりぎりで組まれたメニューにたいして、そんな馬鹿な真似をするのはあいつぐらいさ。」

 ………己の限界か。

 (本当にあれが限界か?)

 「努力が実っていつかモモ先輩に肩を並べられたりして。」

 モロがそう言った。

 確かにそうなればいいだろう。しかし今のままでは……

 「あ~それは面白い展開だな、ははは。そうあってほしいぐらいだな、むしろ。」

 百代は何かを考えるようにそういった。

 「燃えるな姉妹対決!チケットは俺が売りさばく。」

 …風間。お前の商売根性はすごいな。

 「……うん、燃えるな。」

 百代は何かを考えている。

 「しかーし!その前にモモ先輩と謙一の対決のチケットを売るぜ!!!」

 「…!っておい!」

 風間に文句を言おうとした瞬間、



 「ああ、燃えるな!!!」

 後ろには武神がいた。

 まてまて、ちょっと待て。

 あわてて、周りを見渡す。

 皆がいっせいに視線をずらす。

 ちょ、ひどくね。



 大和がこっちも見て口ぱくで、

 (逃げろ!!)

 何その適切な判断。

 え、慣れてる。

 ……お互いに大変だな。

 少し、大和との仲がよくなった気がする。


 「という事で、謙い「んじゃそういうことで!!」……っち!」

 その場から一陣の風となってその場を離れた。

 



 学校に着くとルー先生と一子が話している。

 「ダーッシュ!」

 「廊下を走ったらダメでしょッ!」

 しかし、一子はすぐにいなくなる。

 「……夢は素晴らしいな、人を輝かせル。それだけに……」

 「……武術において才能が全てとは限らない。」

 思わず、その後に続く言葉を想像してしまい、口を挟む。

 「…君は風林寺…」

 「人に教える立場の貴方がそんなことを考えてはいけない。」

 今の先生の顔には複雑な感情が入り混じっている。

 なぜ百代のように天才であるはずの彼がいきなり話しかけてきたのか。

 なぜこんな事を言うのか。


 「……君には関係の無い話だヨ。」

 「努力は嘘をつかない。」

 「…君にはこっちの考えている事なんて分からないネ。」

 そうかもしれない。

 だが、

 「ある人は言った。」

 「………」

 これだけは言っておきたい。

 いや、言わなければいけない。

 「才能がある者がみな大成するかといえば、答えはノーだ!だが…技を極めた達人に、共通するものが一つだけある!それは…信念!!それを彼女は持っているんじゃないのか?」

 「!!!」

 「…………それだけは覚えといて欲しい。才能だけが全てではない事を。」

 そう言うとその場を離れる。


 「待つネ。何故私にそんなことを言う?」

 「…貴方が努力する事の意味を知っているのに、一子の事をあきらめた感じがしたからかな?」

 「何故一子の事をそんなに心配する。」

 「……ただ知り合いに似ているからかな…」

 俺は足早にその場を離れた。








-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------


 風林寺がその場を離れて、

 「……総代。やはり私は一子にまだチャンスを与えたいと思います。」

 其処にはいつの間にか鉄心がいた。

 「…技を極めた達人に、共通するものが一つだけある、それは…信念!!…か。」

 鉄心には何故彼が一子にものを教えたのか分からなかった。


 確かに彼のおかげで此処最近の一子の成長はすばらしいものがある。

 …しかし、もう決まっている事だ。

 「……決定は変わらずじゃ。後日予定通りに行う。」

 「!!総代!!」

 そのまま学長室へ向かう。

 「チャンスか……」

 ……信念か。

 その言葉が鉄心の頭から離れなかった。 




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 時間が無いので見直している時間がありません。編集は帰ってきてからやりたいと思います。
 少し、文章を訂正しすぎたのでおかしい表現があるかもしれません。ご指摘お願いします。
 これからどうするのか?出来たら期待しないで待っていてください。

 なお、体育祭は何が良いですか?
 1、原作の中から何か
 2、作者オリジナルの競技
 3、雨で中止

 一番書けそうなのは2ですが皆様の意見を待っています。

 ご意見、感想などお待ちしています。

 謙一以外の技の使用はどうしたら良いでしょうか?


 2009/9/27




[11839] 制空圏!?戦いの中で感じろ!ワン子!!
Name: ジョン◆62bea973 ID:1de9db2b
Date: 2009/09/27 23:35

 おかしい部分があったらご指摘お願いします。
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5/14

 あれから数日が経った。

 代わらぬ日常が、


 まだある。


 第十六話 制空圏!?戦いの中で感じろ!ワン子!!


 なんだか外が騒がしい。

 一子が眠そうにしているが、修行の疲れが残っている事が一目で分かる。

 この間のあれを見れば確かに攻撃の面では強くなっている。

 時間さえかければ相当なレベルに達するだろう。



 ……攻撃の面でだが。


 正直な話、そこが一番の問題だと思う。

 例え攻撃だけを極めたとしても、それを防ぎ反撃できなければ、意味が無い。

 特に今の一子では防げない攻撃などがきたら間違いなく負けてしまうだろう。

 防御が疎かになりかけている今、何かを教えなければ…

 防げない攻撃を防ぐ…

 反射的に防ぐ…

 あれだ、

 つまり”あの技”をマスターさせれば簡単だ。

 奥義とも言えるあれは一子が”動”である以上、習得はまず無理だろう。

 だが、その前のあれならば……



 …いや、やはりよそう。

 これは既にあれの一個手前に来ることになる。

 そう、有料地獄(5000円)の。

 それに、何も無いときに一子にわざわざ教える必要も無いわけだ。

 まだ、正体を知られるわけにはいかないのだから……





 そんなことを考えているうちに梅先生が来てしまう。

 HRが始まる。

 いきなり一子が寝始めている。

 すぐさま大和がたたき起こす。

 (…なんか最近仲良いよな…)

 そう思った。

 「今、街ではかわかみ舞祭2009というものが開催されている。」

 かわかみ舞祭?

 何でも飛び入りで参加も自由だとか。

 別に踊ろうとするなら地躺拳を踊れば良いかな……


 そんな風に考えていた。

 「ん~~……あ、梅先生質問!」

 一子が勢いよく言う。

 「川神。発言を許可する。」

 「そのレプリカ武器もっていって、演舞したいわ。」

 ……!!何かひらめいた。

 キュピーン!って感じの擬音が聞こえた。

 武器を持つ=戦闘態勢

 演舞=踊り

 時に武術は踊りの中に動きを隠して伝承したという。

 これは良いかも。

 何故か、今日のかばんにはあれがあるから……

 ……毎回思うけど、俺が入れたわけじゃないのに入っているのって……

 しかし、クリスも一緒に出るか…

 クリスはクリスで正直すぎる戦いをするし、ここで言っておくのもまた運命か…

 見学も良いという事なのでいなくてもばれないだろう。


 皆が教室を出て行く。



 「さて、俺も準備をするか。」

 俺は隠してある胴着に着替えた………



-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------




         イタリア商店街


 「せやっ!」

 「はっ!」

 クリスと一子がお互いに舞っている。

 「あ、ちっくしょう目立っているな二人とも良いな。」

 そんな二人に見て悔しがる翔一。

 二人は明らかに周りの中で一番と輝いている。

 その動きに見とれるのもしょうがないのかもしれない。

 「フハハハハハ!これは僥倖!そして眼福!」

 そして一子の事を見ている男がいた。

 「一子殿!!!我が応援しているぞ!!!」

 「英雄様も舞われてはいかがですか?」

 九鬼英雄とメイドのあずみである。

 「うむ、降臨しその身に大喝采を浴びたいが…」

 そう言って一子の方を見る。

 「今はただ、美しい薙刀の舞を見ることにしよう。」

 その言葉に、

 (おのれ!ワン子ねたましや)

 などと考えるあずみ。

 「しかしF組がいるのに岬越寺は何故いないのだ?」

 「…あれ、そういえばそうですね。」

 どうせなら腕の治療の話を聞きたかったのだが。

 「九鬼のスタッフですら理解できないなんて…」

 「何、前よりもよくなっているのだ。急ぐ事ではなかろう。」

 謙一は簡単に言っていたが今の医術では説明できない事があったのだ。

 (謙一のあれには中国伝来の医術も使われています。)

 なので、正式に治療を依頼しようとしていたのだが…

 「腕のうずきもほとんど止まった。ならば我もまた一子殿のように頑張ろうではないか!!!」

 「英雄様!!!」

 そしてまた一子の方を見るのだった。







 「おっと俺も行くぜ!こういうときははしゃがねぇとな。」

 そう言うと翔一は駆けて行く。

  舞祭も盛り上がってきている。

 このまま、盛り上がってあと少しで終わりも迎えるはずだった。




 「こんなに早く出会うとはな」

 一人の男が乱入しなければ……



-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------


 クリとの勝負もいい感じで盛り上がってきた。

 お互いに演舞というよりも実践のようになってるのは見逃して欲しい。

 最近、ピンクのおかげで自分の実力は上がっている。

 もう少しでクリにも勝てるだろう。

 そんなことを思っていた…


 「こんなに早く出会うとはな」

 その声に私は聞き覚えがあった。

 振り返れば其処にはピンクがいた。

 「!!師匠!!」

 「!し、師匠?」

 あ、間違えた。

 「じゃなかった。お久しぶりです。」

 もう、あえないと思っていたのに。

 「いや、この舞祭に出ようかと思っていたのだが。」

 「?出ようと思っていたのだが?」

 「お前を見つけたのでな、一つ成長を見てやろうかと思ったのだ。」

 !!私の成長を見てくれる

 今、自分がどのくらいなのか正直言って気になる。

 なら、

 「はい!お願いします!!」

 断る理由も無いだろう。

 「ちょっと待て犬。」

 …あ

 「私のことを忘れていないだろうな?」

 クリが居たの忘れてた。

 「まあ、いい。貴方が犬じゃなかった一子の言っていた我流ピンクですね?」

 「そうだが、君は?」

 クリの質問に答えるピンク。

 「自分の名はクリスティアーネ・フリードリヒ。私にも稽古を付けてもらえないでしょうか?」

 !しまった。この前話したから、ピンクの指導を受けたいとか思っちゃったんだ。

 「……いいぞ。来い。」

 !いいの、ピンク。

 「では、まず私から…」

 「ちょっと待った!最初は私から。」

 この次は本当に無いかもしれないからいろいろ教えてもらっておかなければ。

 「お前は前に教えてもらったろう。ならばまず私が」

 「元々は私が教えてもらう予定だったの。」

 言い争いそうになる。

 「……ならば、二人同時に来い。」

 え、と思うときにはピンクは構えている。

 「……それは二人がかりで来いと?」

 侮辱だと思ったのだろう。

 クリが少し怒っているようだ。

 「そのままだ。」

 「ふざけるな!!」

 そのままクリが突っ込む。

 レイピアがピンクに刺さる。

 いや、そう見えた。

 実際には触れてすらいない。

 「なっ!」

 それを見た瞬間に私は走った。

 「せやっ!」

 薙刀を振るう。

 しかし、それは片手に阻まれる。

 「クリ、油断しないで!」

 「!ああ。」

 クリもようやく理解したようだ。

 二人同時に訓練を付けようとしている事に。



 「ふん!」

 私たちの間に手刀が走る。それをお互いに横にかわす。

 私はそのまま後ろに回りこむ。

 横と後ろからの攻撃。

 完璧に見えていないはずのそれを、

 「ふん!」

 正確に防ぐ。

 「まだまだ!」

 クリとの一緒の連撃。

 全てが体に届く前に防がれている。

 否、手に届く範囲に入った瞬間に防がれている。



 これは何なのだろうか。

 後ろに目がついているのだろうか。

 見えないはずの攻撃を防ぐなんて…



 「今、何故見えていないはずの攻撃を防げたと思う?」

 「……気配?」

 私には出来ないけどお姉さまなら…

 「確かにそれもあるだろうが、私は今それを使っていない。」

 ?気配を探らずに

 
 「先に開展を求め、のちに緊湊に至る。」

 ?

 「この中に入ったものは確実に掴み、払い、打ち砕く。その名を制空圏を言う。」

  制空圏?

 「自分のゾーンに入ってきたものを反射的に捕らえるこの闘い方には避けられない攻撃など無い。」


 !!

 「例え見えない攻撃といえどもな。」

 「!それを教えてくれるんですか!」

 これを覚えられれば…

 「教えない!!」

 ががーん!!

 「教えてもらうのではなく感じるのだ!!」

 「!!はい!!」



 場違いの修行が今始まる。



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 「正直すぎるわ!!」

 「ぐっ!」

 攻撃を食らってしまう。

 「内虚外実。高度な闘いには必ずフェイントが入ってくる。馬鹿正直な攻撃ばかりするな!」

 「…はい!」

 「良いか、考えろ。正直すぎる攻撃では全て防がれるときもある。」

 !

 「フェイントを使え!それだけでお前はさらに強くなる。」

 「はい!!」


 同じ場でまったく違う修行が始まる。



-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------

 !あの男は


 「英雄様お下がりください。」

 あずみにはピンクの強さが自分よりも強い事が分かった。

 故に英雄をその場から離れさせようとした。

 「良いのだ。あずみよ。彼が我を狙うなどありえない。」

 「!!何故ですか、英雄様。」

 簡単であろう。

 我が見間違う事などないのだから……




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 眠いです。やっちゃった第三弾!!無理無理ピンクを登場!!
 実を言うとノリで書いてしまったのでおかしくなってしまっていないか不安です。
 昨日も一日疲れたので息抜きに…ってもう今日投稿してたんだ!!
 これでも今日も色々あったのに…

 修正意見や改善意見をお願いします。

 最強の弟子でオーディーンが制空圏を使う辺り一子にも使えるんじゃないかと思ってこの話を書きました。(静動轟一は動

の気も使うので)
 そんなこんなで修行させてみました。本当はもっと後にする予定でしたが。

 そろそろ今日の更新も終わります。

 次回は明日かその次か。だんだんと不定期になるのでそのつもりでお願いします。
 あと作者オリジナルのは騎馬戦の騎馬を組まない奴。(はちまきを取り合う?)みたいなのを考えています。
 ドッチボールだとほとんどハ○ターハン○ーになるので考え中です。

 感想、ご意見、要望などお待ちしております。(ワン子は原作どおりにいこうかと思います。)



2009/9/27







[11839] 最初にして三度目!?逃げる超人追う武神
Name: ジョン◆62bea973 ID:1de9db2b
Date: 2009/10/02 23:40

 さて、二人とも感覚だけでも掴めた様だから、此処までかな?

 二人に指導しながら、終わりの近い演舞を続ける。

 この二人ならお互いに競い合って、高みにいけるだろう…




 この時、深くは考えなかった。

 二人が競い合い、自分達の見る世界を見ることが出来るとしか。

 この時、自分は知らなかった。

 この稽古で本来の出来事と違う結末を迎える可能性が生まれた事を。

 未来は姿を変え、一つの試練に近づける事を……

 そして、




 日常が終わりに近づく…



 第十七話 最初にして三度目!?逃げる超人追う武神


 「…此処まで!」

 俺は二人に呼びかける。

 既に二人は体力の限界に近づいている。

 息も途絶え途絶えに俺の言葉に耳を傾ける。

 「この時間でお前達に教えられる事は全て教えた。それをこれからどうするかはお前達しだいだ!」

 二人に「二重声法」と「肺力狙音声」を使い個別に教えた。

 周りからすればただ演舞を踊っているようにしか見えなかっただろうが、本当は個別に指導していたのだ。

 しかも、片手で一人ずつ相手をして。 

 「師匠…じゃなかった、ピンク。私は制空圏を極められたの?」

 一子が私に聞いてくる。

 「お前の注意力はすばらしかった。制空圏の感じをつかめている。」

 一子の集中力はすばらしいの一言だ。

 心を落ち着ける、感覚を研ぎ澄ます事に長けていた。

 「え、じゃあ私は制空圏を修められたの?」

 一子の顔に笑みが浮かぶ。

 そんな一子に手を伸ばす。

 俺はその顔に向けて、

 「てぇい!」

 ちょっと強めのデコピンを放つ。

 「あいた。」

 額を押さえる一子。

 デコピンといえども達人が放ったもの。

 凄く痛い。

 涙目になる一子。

 「勘違いしては困る!制空圏の修行とは本来ここから始まるのだ!!」

 制空圏は短期間で修められるものではない。

 彼も長老の地獄の訓練があったからこそあの短期間で物にできたのだ。

 「俺が教える事はできないが、完成させる事ができるよう祈ってるぞ。」

 彼女の努力しだいでこれから完成するかが変わる。

 「…これからもご指導いただけないでしょうか?」

 その言葉に、

 「君には君の道があるように俺には俺の道がある。この邂逅も、お互いの道が一瞬、すれ違ったに過ぎない。」

 「え、それじゃあもう会えないんですか?」

 「そんなことは無い。君が武術を続ける限りまた会うかもしれないだろう…そのときを楽しみにしているぞ?」

 「!はい!ご指導ありがとうございました。」

 一子がお辞儀をする。

 …ケンカ百段のあの人の気持ちが分かった。

 なんか照れる。


 「……クリス、お前には教えたとおりだ。武術の世界においてあれはとても重要な事だ。その事を忘れるな。」

 クリスは正直すぎるところがある。

 フェイントが無い攻撃ほどかわしやすいものはない。

 もっと実力がつけば、フェイントをかける必要など無いかもしれないが、とても重要な事に変わりはない。

 「はい!ありがとうございました。」

 クリスがお礼を言う。

 …やっぱりなんか照れる。



 周りからは盛大な拍手が沸きあがる。

 とても高度な舞に観客は胸をうたれたのだ。

 周りから一子たちに人が集まる。

 F組のメンバーである。

 二人は仲間達に囲まれる。

 まるで胴上げでも始めるかのようだ。

 風間なんかはとても悔しがってるが、みんなが賞賛の声が上がっている。




 ……そろそろ、時間も危ないだろう。

 しかも、大和がこちらのことを観察するように見てきているし。

 …もしかしてばれた?

 周りで見ていた人々も、自分の周りに集まり始めている。

 とにかく急いで離れないと。

 そう思い、気配を殺しつつその場を離れるつもりだった。

 一瞬前まで自分の目の前にいたはずの人間が消えている。

 周りの人間にはそう見えるはずだった。




 「見~つけた!」

 とてもうれしそうな声さえしなければ……







 振り向けば其処には満面の笑みを浮かべた、


 百代が立っていた……




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 周りの視線が自分達に集まる。


 指導に熱を入れすぎたか。

 いまさら後悔しても遅いが、接近に気づかなかった事が悔やまれる。


 「ははははは、なるほど。あいつらとはまた違う気がする。」

 其処に立つは生きた武神。

 自分の予定ではまだ闘わないはずの相手だ。

 「面白そうな事をしていたな?身中線を境に左右を完全に別の意思で統制するとは。」

 しかも、稽古も見られていたようだ。

 そして、その目には危険な光が宿りかけていた。

 明らかに戦いに魅入られている。

 その瞳を見たとき、此処で倒さねばという思いがあったが、此処で戦えばあたりに被害が及ぶ。

 幸い、既に興味を無くした人間もいるようで、少なくなりそうであるが川神学園の生徒達にこの場を離れようとするものはいない。

 いきなり現れた百代に驚いている生徒もいるが。

 風間ファミリーが止めに入ろうとするが、耳を貸さない。

 聞こえてはいるようだが、自分の事しか見ていない。

 既に目の前の闘いの事しか頭に無いようだ。

 

 

 「じじいとの約束にお前は入っていないからな。楽しませてくれよ?」

 百代は既に戦闘態勢だ。

 この場からの離脱方法を考えつつ、最良の選択を考える。

 今この場において重要なのは離脱。

 隙を作りさえすれば逃げ出せるだろうが、簡単にいく相手ではない。

 故にヒットアンドアウェー。

 一撃離脱が一番だろう。

 そしてチャンスは最初。

 百代の悪い癖とも言える、相手に対しての試の一撃。

 此処で大技をかける。

 勿論、被害が周りにはかからない奴。


 「せぇぇい!!」

 神速の一撃を放つ百代。

 周りの人間には見えていないのだろう。

 
 数多の挑戦者達を屠ってきた一撃。

 申し分の無い威力を持った一撃。

 しかし、此処にいるのはその一撃を二度も防ぎきった男である。

 完全に見切っている上に、あらかじめ知っていたのだ。

 例えその後に攻撃が続いても避けられない道理はない!



 「消えただと!!」

 百代の攻撃は当たった様に見えた。

 しかし、寸前に体が透け百代の拳は空を切る。

 残念ながらこの場には、百代の拳を正確に見れる人間はいない。

 もしも、この場にそんな人間がいたら、今の動きに気づいたかもしれない。

 実は百代の死角に回りこむようにして動いたのだと…

 周りで見ていたものも、百代も気づくのが遅れる。

 しかしその一瞬を逃す程甘くは無い

 「頂肘鬼哭…鳥龍盤打!!!」

 凄まじい威力を持った連激が百代を襲う。

 その威力は凄まじく振動としてあたりにつたわる。

 普通の人間なら死んでもおかしくない攻撃だが、禁じてすらも受けきった百代がこの程度で倒れるとは思わなかった。


 「……くくくく!」

 そんな声が聞こえる。

 「良いぞ。いい「戦略的撤退!」ぞ………」

 そのままその場から離脱する。

 「……」

 辺りはなんともいえない雰囲気に包まれる。

 周りにいた人間のほとんどの頭に今の行動が理解できないだろう。

 なにせ、攻撃を放って逃げたのだ。

 いきなり仕掛けたのは百代だといえども……

 しかし、一部の人間には此処では戦えないためだったと判断した。

 故に一撃離脱をしたのだと…

 「…成程な。だが逃がさないぞ!」

 しかし、それを追いかけてしまう百代。

 既に闘いの事しか頭に入っていないようだ。



 ふと、誰かが。

 「行くぞ。」


 と言った。




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 辺りにいる通行人達。

 自分が全力で走れば一瞬で追いつくが、通行人が邪魔で追いつくに追いつけない。

 「…く、奴はいったい何なんだ?」

 気配を追っているのだが、奴にはスピードが落ちた感じがしない。

 どんどんと距離を離されてしまっている。

 しかし、このあたりの地理に詳しくないのか。

 時々道を間違えているらしく、来た道を戻ってきたりしているので大きく離れる事はない。

 (イタリア商店街を出てからが勝負か!)

 商店街を出れば地理に詳しい自分のほうが有利。

 これだけのスピードであれば気配でも消せるはずが無いのだから。

 そうして、奴の気配がイタリア商店街の外に出る。

 商店街の外には此処ほど気配は無い。

 奴も止まっているようだ。

 追いつける!

 そう思ったとき、不意に、

 (?気配が消えただと?)

 商店街から出る瞬間に今まであった気配が消える。

 同時に自分もその場に着く。

 あたりを見渡すが、其処には奴はいない。

 気配を消すとなると、歩く以上のスピードは出せなくなる。

 自分の視界に入らなければおかしい。

 しかし、自分の周りには奴の気配どころか似たような服装の人間もいない。

 (くっ…)

 悔しさをこらえつつ、路地裏などを探す事にした。







 近くには、普段とは違いゆっくりと目的地に向かう人力車の姿があった…




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 どうも、お久しぶりです。明日かなんて書いてすいません。
 連休までは忙しくて更新が遅くなると思います。何とか投稿しましたが、急ぎ足で書いたために間違いなどが多いと思います。
 本当はあの時バックマシンガンアタックを使う予定でしたが見直すと相手の前方からかける技だったんですね?
 今回、百代は気配を消せる人間がいることは知っている事にしました。(原作では気配を消せないみたいになっていたような気がしたのですが)そろそろ、百代は危ないですね。
 あと何話かしたらルート編に入ります。実を言うと最終話をどうするか決めてしまいました。意外と面白そうなのですがかけるのは何時になるか…

 さて、今回、一子のレベルですが、一言で言うと魚を取れます。レベル2の特訓前ぐらいですかね?

 今一番悩んでいるのは謙一の家をどこにするかです。後どんな感じにするか。そこらへんについて何か参考になることがあったら教えてください。

 地文についてですが、自分の力不足なのですいません。基本的にストーリーは考えられても書くの苦手なんで…


 と言う事で最後までお付き合いありがとうございました。次回は、少し日が飛びます。
 最後の描写は後々に出てきます。

 感想、ご意見、要望をお待ちしています。



 2009/10/2






[11839] (外伝)思いついたら書いてみた!?ある日の夢!ゼロの世界
Name: ジョン◆62bea973 ID:1de9db2b
Date: 2009/10/06 22:18
 この話は本編と関係ありません。作者の思いつきで書かれたものなので軽い気持ちで読んでください…


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 ふとこんな夢を見た。

 ある世界に迷い込んだ夢を…






 (外伝)思いついたら書いてみた!?ある日の夢!ゼロの世界



 
 『神の左手』ガンダールヴ。


 その姿は勇猛果敢で、一騎当千。剣はその光輝く左手に、槍はその右手に持ち、あらゆる武器の悉くを例外なく使いこなすその様は、まさしく神の左手ガンダールヴ。

 その力はなるほど神がかっており、千のメイジを相手にしたとしても決して負けることはなかったといわれるほど。

 『神の盾』ガンダールヴ。

 魔法を扱う人間すべからくの祖である、始祖ブリミルに仕えし四つの使い魔の一角。それは数多の武器を用いた必殺の剣であり、それと同時に万の危難から主を守る絶対の盾であったと言われた。

 剣を片手に、戦場を駆けるガンダールヴ、それは比類なき敬愛を捧げる主のために。

 何人たりとも主に危害を加えることは罷りならぬ、と。

 ただ愚直に。ただ一途に。ただ一心に。迷うことなく。

 それは単純であるがゆえに、最も判りやすい行動原理であった。

 そして、それは単純であるがゆえに多くの者が出来ない、誰もが諦める道。

 “すべては、己が主のため。己自身が、主のことを想うために”

 それこそがガンダールヴの行動原理だった。

 それだけが、ガンダールヴの心の力だった。

 そして、それさえあればガンダールヴはガンダールヴたりえるのだろう。

 どれだけの時を経て、仕えるべき主と使い魔自身が別の誰かになったとしても、



  それだけが、ガンダールヴの証なのだから。










 彼我戦力差ははっきり言って馬鹿らしいとしか言いようがない。勝つとか負けるとかそれ以前に、まず生きていられるかどうかすら疑わしい。

 というより、誰もが口をそろえて言うだろう。

 殺される、と。

 しかし、それも当然だろう。

 戦力差は七万対一。

 これほど滑稽な戦場があるだろうか。

 結果なんて火を見るよりも明らかで、希望なんて欠片も存在しない無慈悲な戦場。

 敵は七万の兵。

 怯えて逃げ出すことが最良の選択だと一目でわかる戦場。

 しかし、そこにたった一人で向かう者がいた。

 ルーンの光が輝く左手に、ただ一本の剣だけを友にして。

 滑稽で無慈悲な戦場に、ただ一人向かう者がいた。




「――……あーあ。見ろよデルフ、なあ。七万だぜ、七万」


「ああ、そうだな相棒。七万だ。七万の敵だよ」




 小高い丘の上に立ち、剣を片手に佇む男。

 いや、年齢から見て少年と言ったほうがいいだろう。

 髪質が固いのかツンツンと逆立った漆黒の髪に、同じく黒い瞳をしているこの世界では一風変わった風体の少年。青と白のパーカーと呼ばれる服を着て、左手に剣を下げた姿で眼下を見据える。

 見下ろす先には、こちらへと着実に進軍してくる七万のメイジ。新生アルビオン軍、レコン・キスタ。

 対してこちらは一人の少年と一本の剣。

 平賀才人という名前を持つ少年は、極度の緊張感と死への恐怖心から、唾をごくりと飲み下して目の前の光景から目をそらした。


「……なあ、相棒。俺ぁよ、逃げてもいいと思うぜ」


 僅かに気遣わしげに声をかけたのは、その手に握られた剣。

 インテリジェンスソードの魔剣デルフリンガー。

 六千年もの時を過ごし、かつてはブリミルのもとでガンダールヴが振るったといわれている伝説の剣。

 時を越え、再びガンダールヴの手に握られた彼は、この相棒を気に入っていた。ゆえに。

「誰も責めやしねえよ。七万だ。逃げて当然だ。なあ、相棒」

 逃げて当然、というくだりに才人はぴくりと肩を震わせた。

 ぐっと腹に力をこめて、声が震えないように気をつけながら言葉を紡ぐ。


「……ダメだ。ダメさ、デルフ。ここで逃げちまったら、ルイズが危なくなる。俺が逃げたら、あいつらはきっとルイズの持つ虚無の力を使って足止めさせるに決まってる。……アイツを守るためなんだ。そのためなら……」

 声を震わせることもなく言い切った自分に拍手を送ってやりたい気分だ。

 しかしそんな余裕があるはずもなく、才人はそらした顔を元に戻し、目線の先も恐ろしい敵軍へと向ける。

 その瞳には、怯える内心とは違って確固たる意志が宿っていた。

「……なあ、相棒。怖いんだろ? 手、震えてるじゃねえか。」

 デルフリンガーの言葉に、はっとして才人は己の左手に目を向ける。

 カタカタと剣の柄が揺れる音が絶え間なく聞こえる。

 怯えと不安と恐怖。それらが入り混じり、本人が気付かないほどの深層意識下で死をイメージしていたのだろう。

 震える手は、どれだけ力を込めても止まらなかった。


 しかし、何てことはない。

 ふとよく見れば、右手も、両足も震えているじゃないか。


 は、はは。


 乾いた笑い声が才人の口から洩れた。


「無理すんなよ、相棒。はっきり言ってやる。このままじゃ、お前ぇ死ぬぜ」


 聞きたくなかった一言をはっきりと言われ、びくっと一際大きく才人の体が跳ねた。


 しかし、それも無理はないのだ。

 才人はほんの数か月前まで戦争なんて存在しない国である日本の、なんの力もない学生でしかなかったのだ。

 事件に巻き込まれることすらほとんどない。命の危機なんて意識することのない豊かな国。朝起きて、学校へ行って、友人と笑って喋って、授業は寝て、先生に怒られて、授業が終わったら家に帰り、パソコンでネットサーフィンをして、夕飯を食べて、風呂に入って、寝る。

 そんな生活だけを続けてきたのだ。変化はないけれど、それでも幸せだった今はもう夢でしかない世界。

 そんな世界を生きた才人にとって、今の状況は理解に苦しむものでしかない。

 死ぬかもしれない……いや、確実に死ぬのだ。

 このままここに留まり、戦えば。

 たとえ、ガンダールヴの力を持っていようとも。

 死ぬのだ。間違いなく。

「……は。はっきり言うなあ、お前」

 ひきつった笑みでデルフリンガーに答える。

 死ぬ。

 わかっているのだ、そんなこと。

 けれど――、


「そんなことは分かってる。でも、ひけないんだよ、俺は…」

 退くわけには、いかないのだ。

「デルフ……俺、さ」

「おう、なんだ相棒」

「俺、さ。アイツの使い魔になって、散々だったぜ」

 思い起こすのは、この世界に来てからの生活。

 波瀾万丈。変化なんていつでもどこでもやってきた。落ち着きのない、けれど飽きることのない楽しい生活。

「俺のこと犬って呼ぶし。言うこときかなきゃ鞭で叩くし。シエスタやキュルケと話してても叩くし。蹴るし。殴るし。……ホント、散々だった」

「そうか」

「でも、俺に二回だけだけど笑ってくれたし、俺が傷ついたら泣いてくれた。ゼロなんて馬鹿にされても、諦めずに誇りを持ってた。いい雰囲気になった時は、可愛く照れてもくれた」

「そうか」

 才人の言葉にデルフリンガーはただ相槌を返す。

 どうして才人がこんな話をしだしたのかは、わからない。

 けれど、これは恐らく大事な儀式なのだと思えたから。

「……アイツ、俺と結婚したんだぜ」

「そうか」

「……あんだけ俺のこと嫌ってたくせに、結婚だぜ」

「そうか」

「――……なあ、デルフ」

「なんだい、相棒」

 名を呼ばれ、デルフリンガーは応える。

 気がつけば、才人の全身を覆っていた身体の震えは止まっていた。




「俺、アイツのこと好きなんだよ」


「……そうか」




 震えが止まった左手が、力強くデルフリンガーを握る。

 左手のルーンが一層強く輝きだした。


「だから、ひけないんだよ。逃げるわけにはいかないんだよ。俺が逃げたら、ルイズが死ぬ。そんなこと、絶対許さねぇ。俺が死んでも守ってみせる!」

 左手の力は強く強く。

 震えなんて気力で抑える。

 恐怖なんて、幸せな思い出で忘れられる。

 死ぬことなんて、アイツの笑顔を思えば何ともない。

 アイツの笑っている顔が見れるなら、この命なんてくれてやる。

「何よりも、俺はアイツに好きだって言ったんだ。ここで逃げたら、嘘になる。アイツに好きって言ったこととか、アイツのこと滅茶苦茶好きなこの気持ちとか、全部嘘になっちまう」






 決意は持った。

 気持ちも固めた。

 自分が一番望む大切なものも見定めた。

 大好きな女の子。誰よりも愛しい女の子。

 その娘を守るため。その娘を大好きだと思った自分を貫き通すために。



「――だから、戦うんだ! 好きな女の笑顔も守れねえで、何がガンダールヴだよッ!」



 左手のルーンの光は最早直視できないほどの光を放っていた。

 ガンダールヴの力は、心の力。

 奮える心。猛る想い。それさえあれば、ガンダールヴは戦える。

 伝わる相棒の心に、デルフリンガーも思わず声が大きくなる。

 目の前には七万の敵。

 死を覚悟して、駆け下りるようとする。


 その時、

 「始めから、死ぬ気で戦うんじゃない!!」

 振り返れば其処には一人の男が立っていた。

 「好きな子がおるのだろう?ならば生きて見せろ。例え泥まみれになろうとも、生きて見せろ!」

 「あんたはいったい…」

 サイトの目の前にはこの世界には無いはずの服を着た男が立っている。

 「生きて生きて、生き抜いてみろ!」

 「…出来るんだったらそうするさ!…でも、そんなことが出来るわけ無いじゃないか!」

 七万の大群の前に一度飛び出せば、逃げることなど叶わない。

 「あんたが誰か知らない。だが、俺の事に口出しするんじゃない!」

 その言葉と同時に坂を駆け下りる、サイト。

 「……やれやれ、夢の中か知らないが見殺しにしたら寝覚めが悪いだろ!!」

 叫びながら、丘を駆け降りる。

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------

 デルフリンガーの笑い声は変わらず続いておりルーンの光も相まって、アルビオン軍も丘を駆け降りてくる小さな影に気づいたようだ。

 輝く光と笑い声をひきつれて、たった一人で向かってくる剣士。

 軍の前衛部隊の騎兵隊が、金属音を鳴らして槍を構えた。

 そんなことは気にせずに、才人はひたすら叫び続ける。

 心の奮えを。猛る想いを。

 ただ一心に。ただ愚直に。

 迷いのない、想いを。



「…俺は守ってみせる。……俺は、ゼロの使い魔だぜ!!」


「わっははははは!! 最高だぜ相棒! なあ、ガンダールヴ!」



 七万対一と一。

 絶望的なまでに結果の見えたその戦いの火蓋が切って落とされた。



-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------

  次から次へ押し寄せる敵兵に終わりは見えず、まるで嵐の如く攻撃魔法が降りかかる。

「───ファイアボール!!」

「───フッ!!」

 まだか……
 まだなのか…………

 いつになったら終わる?
 いつまで敵を倒し続ければ終わる?

 押し寄せる敵兵を次々に倒す才人ではあったが、徐々に体力が削られ、自慢のスピードに陰りが見え始めた。

 「!危ねぇ!」

 その言葉とともに降り注ぐ魔法。

 「!ちっ。」

 舌打ちとともにジャンプでかわす。

 敵を飛び越え、敵の後ろに移動する。


 「!馬鹿。そっちはだめだ!」


 気がつけば回りは既に囲まれている。

  「…………ル……イズ。」

 攻撃魔法が準備されている。

 矢を構えている。

 魔法と矢の攻撃に隙間など無かった。

 避ける事などできそうに無い。

 「…………………………あ」

 自然と目を閉じていた。

 自分の戦いは終わってしまったのだと…

 (ゴメン、ルイズ……)

 そうして、ガンダールヴの戦いは終わった……

 そのはずだった。




 待っても衝撃が来ない。

 目を開ける。

 其処には傷つき、死にたいの自分がいるはずだった。

 しかし、

 「我が名は我流~~~~~~~~~~X~~」

 先ほどの男が目の前にいた。



-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------



 手甲をはめ、準備を追えた自分の視線の先には、わずか一分たらずで数十人の敵を倒した男の姿だった。

 (…やるじゃん。)

 此処がゼロ魔の世界だという事は分かった。

 つまり、彼は才人。主人公である。

 知らん振りしても彼が生き残る事は分かっている。

 だが、

 「目の前にいる人間を助けないわけ無いだろ。」

 活人拳である以上この理不尽すぎる暴力を見逃す事はできない。





 走り出す。

 その速さは先のサイトよりも早かった。

 目の前には目を閉じ、諦めた顔をしたサイトがいる。

 面を被る。

 「地躺連環掌拳脚法!!!」

 球のように回転しながら手や足を全方位に向けて高速でなおかつ連続で繰り出す。

 突然の攻撃に多くの兵士が餌食になる。

 包囲が崩れた。 

 サイトが目を開ける。

 「我が名は我流~~~~~~~~~~X~~」

 名乗り上げる。

 突然の事に驚くサイト。

 「お前の名前は?」

 「…才人。平賀才人だ。」

 それは確認である。

 「ならば、サイト。行くぞ!」

 大丈夫か?などとは聞かない。

 この場において意味の無い質問である。

 「!応!」

 その言葉とともに戦いは再開した…





 「人手裏剣!」

 片手一本で軽々と兵士を掴み、そのまま振り回して手裏剣のごとく投げ飛ばす。

 そうしてできた道を、サイトが走り出す。

 「うおお~~~~~~」

 周りの兵士を倒していく。

 既に当たりは気絶した兵士で一杯だ。

 「―――う、撃てえ~~~」

 指揮官のおびえたような口調とともに繰り出される炎の魔法。

 「フン!」

 しかし、繰り出される拳の風圧にかき消される。

 そして、

 「真旋風残雲足登脚!」

 一瞬の間に敵の近くに移動し、蹴りを繰り出す。

 それは、鎧を着ている兵士にもダメージを与える。

 「サイト!耳を塞げ~~~!」

 その言葉と同時に、

 「恐怖のマントラ!」

 超音波のような奇怪な発声法によって、相手の脳を攻撃する。

 周りの兵士は一斉に錯乱状態に陥る。

 「いまだサイト!」

 「……!!次はもっと早く言えよ!!」

 耳を塞いでいたため何があったか分からないサイトだが、兵士達の様子に攻撃を再開する。

 「…っひ!」

 それは誰の声だったのだろうか。

 既に倒れた兵士の数は数百にも及ぶ。

 たかが二人でこれだけの被害に。

 ならば自分達の向かう先には……





 一人の兵士が武器を捨て走る。

 その姿を見た兵士が武器を捨て逃げる。

 それを見た兵士がまた…

 自分の装備を捨て逃げていく。

 「に、逃げるんじゃない!敵は二人だぞ。何故我らが逃げなきゃならん!」

 その言葉に、

 「お前が指揮官か?」

 目の前には男が立っている。

 「く、やらせはせん!やらせわせんぞ!!」

 指揮官直属の兵士達が男に襲いかかる。十人以上の兵士が一斉に襲い掛かる。

 「うおお~~~」

 其処の攻撃をかわし、

 「腕刀…足刀…」

 何人かの兵士が吹き飛ばされる。

 「コォォ………手刀背刀打ち!!」

 「グワワ---」

 その攻撃に残りの兵士達は倒れる。

 「な、何なんだよ!お前達は!!!」

 指揮官のおびえた声に、

 「ただの正義の味方だ!!!」

 「く!!死ねえ~~~」

 その言葉とともに魔法が放たれる。

 それは男に直撃した。

 「…これで、終わったのか?」

 あっけない幕切れに戸惑いを隠せない指揮官。

 「まあいい。後はあの「危なかった~~」…何だと?」

 目の前には無傷の男が立っている。

 「それしきの攻撃で燃え尽きるほどやわな手甲ではない!!」

 そして、

 「チャイシュート~~~~~~~~~!」

 男の蹴りに指揮官は遠くに飛ばされる。

 突然の事に声も出ない兵士たち。

 (今が好機!)

 指揮官が消え、戸惑っている兵士達に、気当たりをぶつける。

 その圧倒的な気の前に多くの兵士達が逃げ出した奴を追う。

 まるで、エルフにあったかのように先を争うように逃げ出す兵士達。






 周りには兵士の装備と気絶した兵士。



 ……致命傷ではないが大きな傷を負ったサイトが残った。

 ほんの少し目を放した隙に、サイトが傷を負っていた。

 やはり、未来を変えることは出来ないのかと、そう思った男に、

 「…ありがとよ。これで守る事ができたぜ……」

 満足そう顔をするサイト。

 「あんたが言ったとおり、生きようとしたら生き残れたぜ…」

 「……そうか。」

 自分の荷物はない。

 道具や漢方が無ければ助ける事は出来ない。

 「俺達は勝ったんだよな?」

 「ああ、そうだぜ。」

 いつの間にか手についていた腕時計が音を出す。

 「…行くのか?」

 「ああ、本来此処にいるべきじゃないからな。」

 本来いるべきは此処ではない。

 自分にはやらなければいけないことが残っている。

 そんな気がした。

 「…本名を聞いてもいいか?」

 その質問に、

 「俺の名は……」

 薄れ行く意識の中で、

 「謙一。風林寺謙一だ!」

 そう答えた…



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 昔書こうとした事がある奴を編集しました。後、禁書目録、恋姫とかもあったんですがこれを書いてみました。

 別に話が思いつかないからこれを書いたわけではなく、思い出したら書いてしまったネタです。気にしないでください。

 次回は何時になるか分かりませんが、感想にあったキャラクターのかかわりについては考えておきます。

 あと、大和のことですが、大和の話を書くとややこしくなりそうなので書かなくても良いでしょうか?その方が書きやすそうなので書いているうちに最初と違ってきてしまっているので何とかしたいのですが…

 さて、次回はまだ続く日常編。日常は終わりに近づく。その時、彼は……

 ではまた次回・

 この話はネタなので細かい事は気にしないでください。

 感想、ご意見、要望をお待ちしています。

 2009/10/6



 



[11839] 軍師の疑問!?やばいぞ謙一!!??
Name: ジョン◆62bea973 ID:1de9db2b
Date: 2009/10/08 22:11




 あの舞祭の翌日。

 学園では今日もあの話で持ちきりだった。

 見に行ったものは、熱く語り。

 見に行かなかったものは、悔しがる。



 だが、これは小さな話だ。

 後に川神学園に語り継がれるであろう、

 激闘に比べれば……


 日常は続く。

 まだ続く。



 始まりの鐘はまだならない…………



 第十八話 軍師の疑問!?やばいぞ謙一!!??


 「同士を得たな。自分と、とことん語りつくそう 。」

 クリスが楽しそうに語る。

 大和丸夢日記。

 結構有名な時代劇でありクリスが好きなものだそうだ。

 女子がその事について話しているが、自分はあまり詳しくは無いので大和たちと話をしている。

 「……そういえば、謙一。昨日お前はどこにいたんだ?」

 大和がいきなり話を変えてきたとき思わず驚いてしまった。

 昨日は何も言わなかったから気づいてはいないと思っていたのに。

 「そういえばお前俺らといなかったよな。」

 岳人の一言で、そういえば…といった感じの風間とモロ。

 …幸い今の話は周りには聞かれていないようだが、此処で話してしまっていいのだろうか?

 確かに大和達は信用できる。

 しかし、この先の事は何が起きるかわからない。

 …主にあの人に関係しているのだが…

 どうすれば良いのか悩んでいると、

 「フハハハハハ!!!我、降臨!!!」

 と英雄が入ってきた。

 「お、九鬼殿だ。」

 「うわっ……」

 クリスと一子はまったく違う反応をしている。

 「一子殿!!!今日もかわいらしい!!!」

 いつものように挨拶?を一子にしている英雄。

 「放課後、我も一子殿のトレーニングに付き合おうと思うのだが、どうか?」

 …ちょっと待て。

 「あはは、別に良いよ。一人で出来るし。」

 「時々そこの庶民が手伝っているではないですか。」

 大和と岳人を言っているらしい

 「何でしたら九鬼が世界に誇る最高最強豪華絢爛なトレーニング施設に招待しましょうか?」

 …こいつまじめに忘れてやがる。

 こっちは色々と準備しているのに。

 トラップの整備、罠を外したり、仕掛けを少なくしたり…

 「トレーニング施設だなんて。アタシは山一つさえあればその中で十分学べるし……」

 「自然が師…素敵だ!貴方の視線を独占したい!」

 何かだんだんと暴走気味だな。

 一子は微妙におびえてるし。

 「おい行こうぜ、ワン子。用事あるだろ?」

 そんなときの大和からの援護。

 此処は素直に乗るべきなのだが、

 「え、ないよ?」

 アホなのでそれに気づかない一子。

 しかし、だんだんをクラスのみんなもうるさいと感じてきたのだろう。

 英雄に文句を言い始める。

 …そろそろか。


 「おい、英雄。」

 「ん?おお岬越寺ではないか。どうしたのだ。」

 …やっぱり忘れてやがる。

 「おいおい、今日はうちで診察のはずだろ?」

 「…!おおそうだった。」

 完全に忘れてやがったな。

 …どっちからしてもあずみが覚えているから大丈夫だっただろうが…

 「では放課後にまた会おう。我はクラスに戻ろう。」

 一子に挨拶をして英雄はクラスに戻っていった。

 「ありがとう、謙一君。」

 一子が助かったと礼を言う。

 「なに、俺も言う事があっただけだから別に良いさ…」

 !これだ。後で英雄達には合わせてもらえば…

 「そうそう、大和。昨日なら俺は今日のことで英雄とスケジュール合わせをしていたぜ。」

 嘘には真実を混ぜると現実味を増す。

 確かにスケジュールの確認はしたし嘘ではない。

 「…そうか。」

 いまだ信じられないようだが、この場は引く大和。





 いつかはばれる日が来るだろう。

 しかしそれは今ではない。

 しかし、それは遠くないであろう……




 ……そういえば、何か一子の呼び方が変わっていた気がしたが気のせいだろうか……



-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------


 大和side


 昨日の事について確実な証拠が無い以上、あの場であれ以上は意味が無かった。

 ……って言うか明らかにあれは謙一ではないのだろうか?

 京ですら、

 「姿かたちは同じだけど、まったくといい程気が違っているから確実とはいえない…」

 なんていってるし。

 俺からすれば確実なのだが。

 …しかし、どうしてあんな格好をするのか。

 変装なら別の格好をすれば良いのに…

 謎だ……


 そういえば俺達は謙一の事をあまり知らない。

 人間国宝レベルの作品を作っているらしいが、実際に見たわけではない。

 そして、謙一の家がどこにあるかも知らない。

 学校で自分で話した以上の事は知らないな。

 …しかも英雄と仲が良いようだ。


 診察といっていたが、何故謙一の家なのだろう。

 九鬼の病院でもいいはずなのに。



 …やっぱり、謎が多すぎる。

 これは確かめにいくべきなのだろうか…


 秘密基地にいくまでの間、そんなことを考えていた…



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 どうも~~外伝を投稿したら本編を見たい!って観想が多いのにびっくりして急いで書きました。

 今回は軍師気づく!?見たいな話です。原作からしてこんな感じになると思い書いて見ました。

 よくよく考えてみると、この話京出ていませんでした(汗)このまま行くとこのままの扱いに……

 まゆっちに関してはまゆっちルートも考えていたため少なくなってしまいました。

 クリスについてはそろそろマルさんが…

 聞きたいのですが、クリスって忍者は好きだと思いますか?(手裏剣とかについて)

 とりあえず、もう少し日常が続きます。

 では、また会うその日まで。

 最後までお付き合いありがとうございます。


 感想、要望、ご意見、こんなイベントを…お待ちしています



 2009/10/8











[11839] 逃げる謙一?この世に安心できる土地はあるのか??
Name: ジョン◆62bea973 ID:1de9db2b
Date: 2009/10/15 22:21
 代わらぬ日常。

 変わらぬ毎日。

 それはとても大切なものである。

 しかし、その日常は時として唐突に崩れるものである。



 今はまだ、その事を謙一たちは知らない。

 ただ、この日常を過ごすだけである。



 第十九話 逃げる謙一?この世に安心できる土地はあるのか??


 朝の通学路。

 最近は余裕のあった登校が出来るおかげで、他の生徒の姿が見受けられる。

 しかし、だんだんと暑くなってきたな。

 衣替えは六月に入ってからだし…

 …ま、制服のうちしかこれを付けていられないしな…

 体に付けてあるギブスと重りの代わりをどうするか考えないと……

 そんなことを考えていると、自分の視界の中に見知った集団を見つける。

 どうやら、何かを見ているようだ。

 何を見てい…………………



 !!!!!!!!!!!!!!!!!!


 ね☆こ☆だ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 その瞬間、まるで風のように移動する。

 周りにいた生徒達はいきなりの突風に驚く。

 しかし、それが人間が動いたために起きた風だとは誰も気づかない。




 そして風間ファミリーの横に並ぶ。

 「危機感の無い…私が三味線業者じゃなくて良かったね。ククク……」

 と黒い事を考えている京。

 ……もしそんなことがあったら、



 物理的に地獄に落ちてもらう



 「はは、人なつっこいな。」

 「ははは、そうだな~~」

 クリスの呟きに思わず答えてしまう俺。

 「しかし、この人なつっこいところがまた良いんだよな。」

 「ああ、そうだ…な…」

 クリスは今誰と話しているのか不思議に思ったようだ。

 ぐるん、と大きく振り返る。

 「おはよ~~」

 挨拶をしてみる。

 「うわぁ!」

 こっちの予想よりも思いっきり驚くクリス。

 「おはよう、謙一。何時の間に来たんだ?」

 冷静に挨拶を返すところが非常識な者に慣れていると感じてしまう大和。

 「たった今さ。そんなことより…」

 大和との会話もそこそこに猫観察にうつる。





 猫を見る。


 


 和むわ~~~~~~~



 「にゃあ~~」



 ~~~猫万歳!!


 「お、おい謙一。」

 そんないつもとまったく違う雰囲気の俺に声をかける大和。

 「にゃあ~!」

 「謙一!」

 しかし、まったく反応しない俺に後ろから肩をたたく。

 その瞬間、大和の視界は反転していた。

 「え?」

 次の瞬間、大和の体は地面に叩きつけられていた。

 「ぐはっ!」

 「~~え?」

 その時になってやっと投げた事に気づく謙一。

 「す、すまん大和。」

 「……いや、何とか大丈夫だから…」

 この程度なら平気だという大和。

 「本当にゴメン!」

 「もういいから。……でもなんでいきなり投げたんだ?」

 「…いや、いきなり後ろを取られると、普通投げ飛ばさない?」

 「どこの殺し屋だよそれ!!」

 …ナイス突っ込みモロ。


 「……そうか!俺は殺し屋だったのか!!」

 「違うから!何か違うから!!」

 今日もツッコミが冴えるモロであった……

 









 「緊急連絡、緊急連絡。……………………は。引き続き監視を続けます。」





















 「そうか、そんなに猫が好きなんだ…」

 哀れみが含まれた言葉に、

 「ああ!一時間は軽いぜ!!」

 と当たり前のことを返す。

 …ち、って京さん。何ですか今の。

 「別に。ただ恥ずかしくないのかと思って。」

 そんなこと。

 「猫好きなのを隠す必要などどこにもありません!!」

 堂々と言い切る。某バルキリーみたいな感情は捨てたぜ!

 「大和、脅しのネタにならないって。」

 ちょ、黒くないすか。京さん。

 というか、大和お前もか!!

 …って、なんか普通に会話してるな。

 今まで話したことなんて無かった気がするのに。

 俺がいると極端にしゃべらなかったのに…

 「ねえn「モモ先輩も撫で……」……モモ先輩だと?」

 クリスの一言に今、自分は

 其処には、

 「わくわく、うきうき。」

 いやに上機嫌な百代がいた。



 もしかして俺、今ピンチ?


 すぐさま大和に視線を向ける。

 え、普段どおりにしろって?

 俺狙われるぞ?

 しかし、大和を信じ、普段どおりに何気なく話を続ける。



 「今日はアメリカから対戦相手が来るんだ」

 大和の指示は当たった。

 上機嫌な理由は俺ではなかった。

 何でも挑戦者が来たらしい。

 久々の闘いを今か今かと待っている。


 「ああ、楽しみだ。」


 凄いくらい上機嫌。

 しかし、カラカル兄弟か…



 ……やばい。絶対に落胆する。

 何かで聞いた話だと、


 兄の動きを弟の頭脳で補佐するとか何とか…


 相手の動きをコンピューターで予測するとか…

 確か、そんな感じの武術家だった気がする。





 …雑魚っぽいよな…

 わざわざ、コンピューターで予測する辺り達人との差が感じられる。

 つまり、戦いの後間違いなく落胆する。

 やばいなー。

 このままだと間違いなく道を踏み外すし。

 さてどうするか?



 「放課後に、川神院でやるんだが、見に来るか?」

 百代が風間ファミリーを誘っているようだ。



 既に橋の近くまで来た。

 学園はまで、もう少しだ。

 あと少ししたら逃げ出そう…




 「♪勝って勝って♪次には~謙一が待っている♪という事で謙一!放課後川神院に来い!」

 え?今なんか言った?

 「今日の手合わせにあわせて、準備は既にしてあるはずだから、お前とやり合っても大丈夫のはずだ!」

 狙われてた!?

 まさか、気づかない振りをしていたのか!

 大和の予想が外れていたようだ。ちょっとピンチ!!

 目の前には川。

 橋は百代の後ろ。

 「ふふふ、今日という今日は逃がさないぞ!」

 構えを取る百代。

 学校に行くには、百代の後ろにある橋意外に道は無い。

 だが、朝から闘うつもりなど無いから、

 腹をくくるしかない。



 「さあ、きょ「戦略的撤退!!」…おいおい、そっちは川だぞ?」

 思いっきり川のほうに走る。

 川の向こう側まで行ければ学園はもうすぐだ。

 しかも、今の自分の状態だと水走りも出来ない上に、川の長さの半分くらいしかジャンプできない。

 こんな事なら重りとギブス、外しておけばよかった。




 …しかし、最後の手段がある。

 これぞ秘儀、


 「風林寺川切り!」

 流石にこの大きさの川になると水を切れるのも一瞬だがその一瞬のうちに川底に着地してもう一度ジャンプする。

 「ええ~~~~~~い」

 そして対岸に着地。

 そして、あっちを見れば呆然とする風間ファミリー。

 いきなり川が割れた事に驚く生徒達。

 橋の上から何が起きたんだ、と見下ろす生徒達。

 ものすごい勢いで目立ってしまっている。

 ま、今のが俺のせいだと気づいている人なんて少ないだろ。



 そして、無事逃げ切れたことに安堵を覚えた。

 「良かった~~~~~~~~~~~」

 「ああ、お前の実力をまた一つ知れてよかったぞ。」




 ………………………



 え?


 「まさか、あんな真似までできるとは…」

 「何時の間に?」

 「今。」

 「どうやって?」

 「飛んできた。」

 対岸を指差す。

 文字通り飛んできたらしい。

 「そうですか。」

 「という事で放課後は開けておけよ?」

 「だが断る!!」

 そうして、鬼ごっこが始まる。





――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 すいません。一話で収めるつもりが二話になりました。しかも、色々違和感がある文に…
 時間が出来たら修正を入れたいのでご指摘をお願いします。
 さて、次の話ですが川神院が舞台です。
 まだ忙しいので、時間が出来たら書きたいと思います。
 忍者についてのご意見ありがとうございました。
 今回も駄文に語付き合いありがとうございました。

 感想、ご意見、イベントなどお待ちしています。



 2009/10/11 





[11839] 終わりを告げる日常!前編!俺がお前を止めてやる!
Name: ジョン◆62bea973 ID:1de9db2b
Date: 2009/10/11 23:03


 元々の構想と変えたので新変装は出しませんでした。申し訳ありません。表現についてのご指摘も出来たらお願いします。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 授業が終わり、生徒達は帰宅を始める。

 変わらぬ日常。

 そのはずであった。

 しかし、日常には無い光景があった。

 百代に連れ去られる謙一の姿である。


 しかし、それだけならば変わらぬ日常が続くはずだった。

 これがもしも、今の百代ではなく、4月の百代ならば。

 もしかすると、日常は続いたのかもしれない。



 だが、今の百代は誰よりも闘いに餓えていた。


 そして、変わらぬ筈の日常が突然と変わり始める。



 それに気づく可能性がある者はこの世界にはいない…………………



 第二十話 終わりを告げる日常!前編!俺がお前を止めてやる!



 放課後、クラスから逃げ出そうとする俺を、裏切った風間ファミリーが捕まえに来た。

 いや、元々あいつらは百代の仲間だから裏切ったにはならないか。

 しかし、あいつらに捕まるはずがないと遊んでしまったのが運のつき。

 大和の策か、気づけば校庭に誘導させられていた俺は其処に待ち伏せていた、百代に捕まってしまう。

 そして、そのまま引きずられるように、川神院に連れて行かれる。






 この時、逃げ出さなかったことを俺は良かったと思う。 





 川神院についた俺は、一応道着に着替えた。

 梁山泊の弟子の道着だ。

 因みに、最強の弟子の格好ではないため鎖帷子は着てはいない。


 この格好は我流Xのときにしていた為、時が来るまで封印するつもりだった。

 しかし、今回は我流Xとばれても、この格好をしなければいけない。

 そんな気がした。




 「西方 川神百代!」

 色々と考え事をしているうちに学園長(鉄心)が開始の準備を始めている。

 この場にいるのは風間ファミリーとルー先生と学園長、そして俺。

 後は百代と対戦相手のカラカル兄弟ぐらいだ。

 既に夕日が沈めかけている。


 「東方、カラカル=ゲイル!」

 「オーケー!」

 ゲイルは百代の実力を測れないのか、余裕そうに返事をする。


 さっきから、いやな予感がする。

 何かは分からない。

 しかし、それは起こる、起こらないに関係なく、危険な予感がした。

 そう、まるで、









 前世の最後のときのように…………









 「いざ尋常に!!!はじめいっっっ!!!」


 その言葉とともに百代に攻撃を放つゲイル。

 流石に百代に挑むだけ会ってその攻撃は、常人の域を超えている。



 そう、常人の域をだ。


 達人の域には達していない。

 故に、その一撃はあっさりと避けられてしまう。

 「あれ?」

 あっさりとかわされた事に戸惑うゲイル。

 その腹部に、

 「はぁぁっ!!」

 疾風のごとき一撃が突き刺さる。

 「ぎゃああーッ。」

 しかし、その一撃を声を上げつつ耐えたゲイル。







 耐えた?

 否、耐えられる攻撃をされたのだ。

 もしも百代が本気なら、閃光のごとき一撃がゲイルを一撃で倒しただろう。

 つまり手加減をされたのだ。

 何故?

 それは、久しぶりの闘いを楽しむために…



 しかし、加減したはずの一撃でゲイルはギリギリの状態であった。

 意識も半分は無い。

 それでも立っているところは、さすがだ。



 しかし、百代は加減した一撃で、ふらふらのゲイルに落胆の表情を隠していない。

 そして、既に次の闘い、風林寺謙一との決戦の事しか考えていなかった。

 故に、とどめの一撃を放つ。

 その時になって、百代の様子に気づいた鉄心が止めに入ろうとする。

 しかし、何の準備もなしに止める事はできなかった。

 加減など無い一撃は、ゲイルを襲う。

 その一撃には何のためらいも無かった。

 その一撃は当たり前のように、

 ゲイルの命を奪う。





 「覇ぁぁぁ!!」


 お互いの拳がぶつかる。

 この場にこの男がいなければ……







-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------









 そして、ゲイルはばたりと音を立て倒れ落ちる。

 「に、兄さん!」

 あわてて、弟のカラカル=ゲイツが助けに入る。

 「…それまで。勝者、川神百代。」

 鉄心が告げる。

 しかし、その目は、百代を見たままだ。

 「……百代、今何をしようとした?」
 
 その言葉には、どんな思いが込められていたのか。

 しかし、その思いは、

 「別に、止めをさそうとしただけだ…」

 その言葉の前にとどかなかった。

 「しかし、謙一。決闘の邪魔をするなんて悪い奴だなぁ?」

 その言葉とは裏腹に気にはしていないといった感じの表情をしている。

 「まあ、良いさ。お前と闘えるんだったら…」

 それらは全て、今から始まる戦いを楽しみにしているが故に、

 その為には、関係のない事だから気にしていないに過ぎなかった。

 「……なあ、お前がこんな風になったのは俺の責任か?」

 「さあ、どうだろう?お前がいなくてもこんな風になったかもしれないし、ならなかったかもしれない。」

 百代はそう答える。

 …まだ、相手を○していない為に、今は闇の世界と普通の世界の間にいるようだ。

 自分が前とは違うようになっていると分かる程度に、まだ落ちてはいない。


 「…そうか。ならばお前に、闘いに対する飢えを与えた以上、その責任を取って、お前の餓えを癒してやろう!!」

 「ハハハ!!!そうだな。もしもお前が勝てば餓えも無くなるかもな。


             勝てればな!!!!」



 そうして、此処に止める事ができない、戦いが始まった。



 もしもこの場でこの戦いを止めればいずれ道を踏み外す。

 故にこの戦いを止める事ができない、鉄心たち。

 どうしてこんなことになったのか分からない風間ファミリー。



 達人同士の闘い。

 今、始まる。







-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------


 鉄心side



 あの時、わしはしまったと思った。

 まさか、百代がこんなにも早く、道を踏み外しかけるとは…

 釈迦堂がいなくなり、百代のことを理解しようとする者がいなくなって、百代は危険な気をまとうようになった。

 しかし、それでも仲間達がいる限り道を踏み外す事は無いと思っていた。

 それだけ、百代にとってあの子達は大事だったのだ。

 しかし、4月のあの勝負。

 二本ともわしが治めてしまったが、あの時から何かが狂い始めていたのかもしれん。

 もしも、あの時、そのまま闘わせていれば…

 今となっては意味の無い事よ。

 しかし、風林寺に出稽古みたいに川神院で百代の相手をしてもらっていれば…



 …結局、わしは怖かったのかもしれん。

 あの二人を闘わせる事が、

 どんな形にせよ、百代と彼を闘わせていれば、共に修行するような間柄になれた可能性もあったのに…




 二人は疾風のごとき速さで闘っている。

 此処まできたら彼が止めてくれる事を祈るしかない。

 孫娘を頼む。

 鉄心は目の前の青年に全てを託すしかなかった…



-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------



 お互いの拳がぶつかり合う。

 その威力は一撃一撃が先のゲイルとのそれよりも遥かに早い。

 「っく、絶対に殺人拳になどさせないぞ!!」

 昔、ある事がきっかけで、道を踏み外しそうになったことがあった。

 しかし、そのときの自分には道を正してくれる人がいた。

 故に、今度は、俺がそれを間違っているといって、百代の道を正してやらなければ。

 その思いゆえに俺は負けられない。



 全力を持って!!百代を倒す。

 「はあーー!!」

 百代の懐に拳を入れる。

 しかし、

 「甘いぞ!!」

 それは百代の拳に止められる。

 「かかったな!!」

 そのままの状態で、

 「岬越寺無限生成回帰!」

 百代を投げ飛ばそうとする。

 しかし、

 「その技は前に見た!!」

 驚異的な反応スピードで投げる寸前で外される。

 っち、一回受けただけでこれをかわすか!!

 「今度はこっちから行くぞ!!」

 そして始まる怒涛の攻撃。

 一つ一つが必殺の威力を秘めている。

 それを最低限の動きで、捌き、避け、かわしていく。

 しかし、最後の一撃。

 此処に来て今までで一番早いそれをかわす事はできなかった。

 「ゲフッ!」

 あまりの威力に少しばかり血を吐き出す。

 「はあはあ…」

 まさか、これほどとは、

 一回で奥義を見切るとは…

 ある程度、呼吸も読まれ始めている。

 …少しやばいな。



 「……その程度か?その程度で私を止めるだと?」

 百代があきれた風に言う。

 「ははは、まさか此処まで強いと思っていなかったからな…」

 そろそろ、手札を切らなければいけないか。

 「終わりって言うわけではないだろ?」

 「勿論!」

 構えを代える。



 今までのそれとは違う。

 かかとを少し上げ、手も上に構えたそれは、

 「ほう、ダン・ガード・ムエイか。確かムエタイだったか?それは。」

 「さすがだ。知っていたのか。」

 「勿論。世界中のほとんどの武術とやったからな。」

 …意表をつくのは難しいか…


 「私がやった相手には強い奴などいなかったが、期待して良いのか?」

 「さあ、それは自分で判断してみろ。」

 第二ラウンド始めだ!!!




 「テッ・ラーン!」

 強力なローキックが炸裂する。

 今までの攻撃がほとんど手業だっただけに百代はそれをまともに食らう。

 「ぐっ!」

 すぐに回復するが、後退する。

 今までとは違い、手業、足技と切り替えつつ攻撃する。

 「ちっ。」

 勢いに押され後退する百代。




 百代が後退する中、此処で決めなければと思った。

 持久戦になれば、こちらが不利になる。

 ならば一撃で止めを刺すしかない。

 いかに、瞬間回復といえど、

 内部と外部、両方を同時に破壊するこれを受ければ……



 ムエタイのリズムに慣れてきた百代が反撃を始める。

 この瞬間を待っていたのだ!

 その瞬間、俺は構えを解き両腕を脱力する。



 「真・呼吸投げ!!」

 危機回避反射能力によって体を崩すように誘導させる。

 実際には手を動かさずに、体を崩す究極奥義だ。



 「ちっ、何だこれは。」

 手を使わずに投げられているのだ。

 流石の百代もこれを見切るのは難しいようだ。

 百代が驚いているうちに、柔術から中国拳法に切り替える。


 ムエタイ、柔術、中国拳法。まったく違うそれを合わせる。いうなれば三極の術?


 「くっ!」

 突っ込んできた俺に攻撃をしようとする百代。

 しかし、その一撃は威力が乗っていなかった。

 「何!!」

 上体をギリギリまで残し、一気に回転して相手の攻撃をかわす。

 一瞬で百代の側面に移動する。八卦拳の扣歩。

 このタイミングでならまるで消えたように見えるだろう。

 


 これが最後のチャンスになるかもしれない。

 望みを込め俺は奥義を繰り出す。



 「浸透水鏡双掌!!!」





――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 感想ありがとうございます。
 確かにそろそろ動くべきでした。
 予定では後数話の予定でしたが、急遽変更しました。
 百代の状態に関しては不自然ね点があったらご指摘ください。気がついたら思いついたって感じで一気に書いたので雑になっているかもしれません。
 変装に関してはまた機会があればにします。
 今回の話で少し内容が変わる場合があるかもしれません。たぶん変えないとは思いますが、そのときはよろしくお願いします。
 今回、バトルで初めて前編、後編で書きました。後編はまだ書いていませんが、黒くなります。少しぐらい期待してください。
 さて、長くなりましたが、また次話で会いましょう。

 貴重なご意見ありがとうございました。


 感想、ご意見、ご要望などをお待ちしています。



 2009/10/11
 











[11839] 終わりを告げる日常!中編!瞬間回復の脅威!力なき力!
Name: ジョン◆62bea973 ID:1de9db2b
Date: 2009/10/18 22:58
 何度も書き直したため文章がおかしくなっているかもしれません。ご了承下さい。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――




  「浸透水鏡双掌!!!」

 両手を突き出して表面を破壊する打撃と、内部を破壊する打撃の両方を同時に発する必殺技。

 特Aクラスの達人でも倒すことが出来る威力をもったこれに、全てをかけた。

 初めての闘いのとき、学園長の攻撃を受けた百代は確かにダメージを受けていた。

 つまり、瞬間回復といえども、圧倒的な攻撃力があれば倒せるのだ。

 しかも、内部と外部、外と内を同時に破壊したのだ。

 いかに瞬間回復といえども……



 第二十一話 終わりを告げる日常!中編!瞬間回復の脅威!力なき力!



 大和side

 少しずつ、辺りの風が収まっていく。

 ルー先生とまゆっちのおかげで、弱まっているはずの風だが、それでもすさまじかった。



 二人の闘いの影響でまるで台風のような風が辺りを包んだ。

 しかし、二人の周りはまるで台風の目のごとく風の影響が無い。

 二人の気がぶつかり合っているらしい。

 俺にはそんなことは分からないが、まゆっち達いわく、異常なほどの気らしい。

 二人は風の影響こそ受けてはいないが、お互いの攻撃で傷ついていった。



 俺には、姉さんを止める事もできない。

 道を踏み外しかけている、姉さんを止める事はできない。



 しかし、謙一だけを応援する事ができない。

 姉さんが負ける姿が想像できない事と同時に、負けないで欲しいと思ってしまうからだ。




 しかし、姉さんが元のようになるのなら……






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 鉄心side


 決まった!

 あの青年の一撃は確かに百代に決まっている。

 あの一撃は今までのものとは明らかに違う。

 あの動きは中国拳法だった。

 ならば、あれは中国武術の奥義。

 この状況で使うぐらいだ。生半可な技であるはずが無い。

 となると、秘伝中の秘伝。

 絶招なのだろう。

 百代にダメージを与えられるものなど限られているが、あれは…




 しかし、この闘いがどうなろうと、彼に百代とたまに闘ってくれるよう、説得する必要がある。

 別に毎回こんな風にする必要は無い。

 ただの組み手で良い。



 


 しかし、出来れば、川神院にも入ってもらいたいものだ。

 あの豊富な武術の量といい、それを適切に選択、使用する判断力。

 一人であれほど多くの武術を極めるものがいるとは……

 やはり、世界は広い。

 あの歳であれほど極めているのだ。これからどうなるのか…

 彼が入ってくれれば、川神院の門下生全員にいい刺激を与える事だろう。

 さて、どうすれば彼を説得する事ができるだろう……





 しかし、あの格好を見る限り、やはり彼は……







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 決まった。

 そう確信した。

 百代に動きは無い。

 微動だにしない。

 おれ自身、もう一度技を出す気力も無い。

 全力の一撃だった。

 「俺のかt「まだだ…」…ぐっ!」

 勝ちを宣言しようとした瞬間、百代がいきなり動き出した。

 構えを取ろうとしたが、一撃もらってしまった。

 百代は、体中を傷だらけにしてなお、動いている。

 (ばかな……)

 今の俺の中でも最強レベルの絶招を受けてなお、動く事ができるのか…

 「見事だったぞ。あの一撃は、私の今まで受けた攻撃の中でも、最強といっても過言でなかったぞ……」

 今の一撃は絶招を放って疲労し、油断していた俺に少なくないダメージを与えた。

 それに比べて、百代はだんだんと傷が回復していく。

 「それゆえに残念だ。攻撃の後に、私の意識を断つか、もう一撃与えれば勝てたものを……」

 く、考えこそ間違っていなかったが威力が足りなかっただと……

 そして、闘いは再開される。




 最初こそ、先ほどのダメージが残っている百代は、動きが鈍っていた。

 しかし、ものすごい勢いで回復していく百代と、何度も攻撃を受けた俺では、徐々に差が出始めた。

 最初こそ、押していたものの、いまや防戦一方になっていた。

 もうぼろぼろだ。

 「本当に楽しい勝負だった。」

 ついに、百代の傷が眼に見える限りで無くなる。

 おそらく、内部は完全に回復していないのだろうがそれでも十分だ。

 上段に手刀が迫る。

 とっさに、それを十字受けで受け止める。

 「終わりだ!」

 しかし、それはフェイントだった。

 がら空きになった中段を狙って百代が正拳を構える。




 …これは、負けたかな……

 ふと、百代の目を覗き込む。

 先程の、危ない気配は既に感じられなかった。

 どうやら、今の闘いで満足し、なくなったらしい。

 今のところは……

 …ならいいか。

 百代を満足させられたのだから……

 思わず目を閉じる。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 「やはり、私の勝ちか…」 
 
 
 
 
 
 
 
 …………………………………………?

 その呟きには、なにか、寂しさを感じた。

 何故だろう。

 その呟きを聞いた瞬間、負けてはいけないと思った。




 才能があるゆえの孤独。

 自分よりも強い者がいなかったことに、百代は何かを感じていたのかもしれない。

 多くの敵と闘い、勝ち続ける事を孤独に感じたのか。

 自分と互角に戦えるものがいないことをさびしく思ったのではないのだろうか

 力を隠し、生活していた自分には分からない孤独が百代にはあるのではないだろうか……

 本人は気づいてもいないかもしれないが……





 負けるわけは行かないと思った。

 



 目を開ける。

 百代が放った一撃がスローに見える。

 しかし、それは自分も同じ。

 両腕があがってしまっている以上ガードは出来ない。

 タイミング的にかわす事もできない。


 この状況をどうすればいいのだろう。

 ガードはできない、まともにかわす時間も無い。

 ……結論。
 
 
 
 
 
 
 
 
 人間諦めが肝心!!





 …ってちょっと待て。

 負けるわけには行かないんだ。

 どうすれば……


 中段に攻撃が迫る。

 無防備な状態である。

 (どうする、どうすれば……)

 避ける事も受ける事も……?

 (受ける?……!!)



 その直後、百代の攻撃が謙一を襲う。








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 百代side



 やはり、私と闘えるものはいないのか。

 最近の私は、戦いに餓えていたと自分でも分かる。

 しかし、久しぶりに強敵を見つけたのだからしょうがなかったと思う。

 強敵なんて数年ぶりなのだから。

 揚羽さんとの闘いを最後に強いと思う相手と闘った事はない。

 私は世界中の相手と闘った。

 しかし、私を倒せるものはいなかった。

 それは、世界の狭さを知るきっかけにもなった。

 私は、孤独を感じた。









 しかし、私の目の前に現れた、我流X、ピンク。

 そして、風林寺謙一。

 あいつらと闘ったとき、久しぶりに相手を強いと思った。

 同時に、あの闘いに私は最近感じた事がない、何かを感じた気がした。

 そして、私はもう一度、彼らと闘いたくなった。



 それからというもの、見つからない我流はおいておき、謙一に戦いを挑んだ。

 しかし、それは毎回断られた。

 なんとかして、闘いたいと思ったときに思いついたのが今回のこれだ。


 結果、予定通り闘いは始まり、謙一は予想以上の力で私と戦った。 
 
 
 
 
 
 
 こいつなら、私を満足させられるのではないか……







 しかし、結果私はぼろぼろであるが、攻撃のチャンスを得て、謙一は無防備。

 ……結局、こいつもこれで終わりなのか…

 私を追い詰めたところはすごかったが、詰めが甘かった。

 (結局、こいつも……)

 拳を振るう。

 その拳は、謙一の腹部を貫いた。

 しかし、その瞬間、





 彼は笑っていた。

 それと同時に私は攻撃を受けた。



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 回避も防御も出来ない俺が選んだのは、







 「……流水頭撃!!!」


 まったく、無防備な状態から力に身を任せ、己を捨てることだった。

 しかし、完全に己を捨てきったこれは、既に攻撃技であった。

 そして、今、俺の頭は百代の……


 「……やわらかい……」


 理想郷にあった。


 周りは、言葉を失っている。



 そして、百代は……



 「……死ね☆!」

 少し顔を赤くした後、


 頭をがし、と掴むと、野球のボールのごとく振りかぶり投げた。


 頭から地面に落ちるコースだ。

 「ぎゃあ~~~~」


 しかし、仮にも過去において、やられの達人の称号(師匠認定)も持っている俺。



 「受身のレベルは既に最強!!」


 受身においては若い時の鉄心すらも凌駕しているだろう。

 受身を取り衝撃を殺す。

 「セーフ~~~~~」


 絶体絶命の危機を脱出する事に成功したのだ。

 すぐさま追撃に備える。

 「さあ、勝負は此処から……?」

 視線が痛い。

 え、何これ?



 鉄心たちは今の技をどれ程高等な技か理解しているから良いのだが、

 「謙一~~~~~うらやましいぞ~~~~~~」

 涙を流す岳人。

 「ハ、ハレンチな……」

 顔を赤くするクリス。

 風間ファミリーは色々な反応を取っていた…

 一応今の極意の一つなんですけど……





 「……ゴホン!、今のことは忘れて、まだそんな技が残っていたのか…」

 まだ、恥ずかしいのか、顔を赤くしたまま百代が尋ねる。

 ……普通はいやだもんな……

 「ああ、負けるわけには行かないからな……」


 しかし、ダメージは大きい。

 大技を撃てるほどの余裕は無い。


 「ほう?まだ私に勝つ気なのか?」

 うれしそうに問いかける百代。


 「当たり前だ!我が奥義は108個あるのだ!!」

 内心、使う余裕無いけど!!と思う謙一。

 だいたい、あれ以上の攻撃を与えるとか……




 ………そういえば俺は何か勘違いをしているのではないだろうか?

 力で百代を倒す必要があるのだろうか?

 俺の武術は力が全てだったのか?



 「ははは、それは良いな。ではいくぞ?」

 ものすごい勢いで突っ込んでくる百代。

 同時にものすごい威力の突きが迫る。





 「退歩掌破!!!」

 またしてもカウンター。

 しかし、その威力は百代の一撃が強烈だっただけに、


 「ぐはぁぁぁ。」

 大きなダメージを与える。



 ……そうか、そうだった。

 体力も厳しい、ダメージも大きい。

 しかし、勝てる!!




 「……今のは?」

 「退歩を使ったカウンターだ。前しか見てない、力押しに頼っているあんたには効果覿面だな…」

 百代の攻撃の威力が高かっただけに、百代自身が受けるダメージも大きい。

 「しかし、その力押しに負けてるのは誰だ?」

 百代は既に立ち上がっている。

 「確かに、俺は傷ついている。」  

 「そうだな。」

 俺の目には百代が慢心しているように見えた。

 「だが、俺が勝つ!」

 その言葉に百代は、

 「は?……ハハハハハハ、勝つ?勝つだと、この状態から?」

 と答えた。

 既にぼろぼろの謙一。体の中は完全ではないが、怪我らしい怪我も無く体力も完璧の百代。

 勝敗は明らかに見えた。



 それは、外から見ている鉄心たちにも同じだった。

 「風林寺よ、もう十分じゃ。お前はよくやってくれた。」

 既に目から危険な色が消えている以上これ以上続ける必要は無い。

 「もう、止めてもいいのじゃぞ?」



 これは最後のチャンス。

 百代が口を挟まなかった以上、此処で止める事もできる。

 百代自身は満足した様子で俺がどちらをとってもいいといった感じだ。



 しかし、俺の選択は決まっている。



 「続けます!」


 その言葉と共に覚悟を決めた構えを取る。



 「……これが最後だな……」

 此方の覚悟を理解したのだろう。

 ものすごい気が百代の体からあふれ出る。

 その圧倒的な気に周りの人間は息を呑む。



 しかし、俺にはもう一点しか見えていなかった。

 確かに俺は力では百代に勝てないだろう。

 体力で、回復量で勝てないだろう。

 しかし、

 (俺にはまだ、”業”が残っているじゃないか。)

 確かに、どんな攻撃でも百代を倒すことは出来なかった。

 後一歩が足りなかった。

 しかし、力が全てではない!




 「「…いくぞ!!!」」


 最後の激突が起こる。

 そのスピードは今までの比ではない。

 残る全ての力を出したそれは、百代に匹敵するほどだった。

 お互いが交錯する。








 凄まじい衝撃が辺りを包み、



 片方は膝を突き、片方は立ちすくんだ……





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 もうだめだめです。だんだん文章がおかしくなって書き直す事、数回。とりあえず投稿しましたが、おかしかったら、ご指摘ください。
 ついに決着です。本当は、決着がついた後、暴走するとかの展開も考えていましたが、それはまた別の機会に…
 しかし、だんだんと書きづらくなってきました。謙一の新しい技とか出てこればいいのですが。
 感想ありがとうございます。とても参考になる意見が多く、勉強になります。色々、おかしい点もありますが、温かい目で見守ってください。
 後数話でこの章は終わりです。とりあえずこの話も終了になるのかな?続くと思いますが…
 今回の話で何人か、謙一の事がばれてしまったので後々、何かが起こると思います。


 次回の更新ですが週明けになります。早くても日曜、金曜と土曜には更新できません。

 最後までお付き合い下さりありがとうございます。



 感想、ご指摘、ご意見、要望などお待ちしています。



 2009/10/15
     18



[11839] 終わりを告げる日常!後編!一つの結末!
Name: ジョン◆62bea973 ID:1de9db2b
Date: 2009/10/24 23:01
 前回以上に誤字脱字、おかしな文章が多いかもしれません。ご了承下さい。

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 片方は膝を突き、片方は立ちすくみ、




 倒れこんだ……


 第二十二話 終わりを告げる日常!後編!一つの結末!



 
 「「…いくぞ!!!」」


 最後の激突が起こる。

 そのスピードは今までの比ではない。

 残る全ての力を出したそれは、百代に匹敵するほどだった。

 お互いが交錯する。




----------------------------------------------------------------------------------------------------------------



 (俺もまだまだだな……)

 多くの武術を会得して、守る力を得たつもりがその力に甘えていたとは……

 力だけで勝負するなら、”あれ”を使い、一瞬で勝負をつければよかった。

 あれを使えば、勝つ事はできるだろう。

 …無傷ではないが……

 

 しかし、俺はあれを使わずに百代に闘いを挑んだ。

 なぜなら、この場に必要なのは圧倒的な力などではないのだから。

 ならば、俺が必要とするのは力ではない。

 ”業”だ。



 (そんなことにも気づかないとはな……)

 瞬間回復の事を見くびっていた以上に、どこかで慢心していたのだ。

 俺が最強だと……






 (俺もまだまだ強くなれるか……)

 心技体、三つそろって一流の武術家と呼ばれるのに、俺は勝手に一流だと勘違いしていた。

 しかし、今回の事でよく分かった。

 俺もまだまだだという事に。

 そして、

 ……俺があの業ができなかった理由も……



 (活人拳が目指すのは心の強さだという事を、俺は忘れていた…)

 皮肉にも、百代の力のみを求めた拳が教えてくれた。

 優しさ、そして思いやりの心。これらが殺人拳ではたどり着けない境地への入り口だという事を……

 武術を極めるには思いやりが必要だという事を……


 実戦の極限状態で、相手の身になってモノを考える。



 俺は今、知識としてではなく、本当の意味で、



 流水制空圏の極意を知る事ができた気がした。










 お互いに走り出す。

 お互いに、これが最後の激突だと悟って……



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 鉄心side




 わしの最後の警告をけり、彼は闘いを選んだ。

 この闘いはほぼ百代の勝ちに決まっている。

 百代は疲労などしていないし、逆に風林寺はぼろぼろなのだから…

 わしは止めたかった。

 彼には未来がある。

 おそらく、いや確実に過去のわしに並ぶか、追い越すレベルの達人になる未来が。

 百代の横にいられるほどの達人になれる可能性が……



 しかし、ここでの敗北が後々の彼の成長に影響を与える可能性もある。

 一度の敗北が、後の成長を妨げることは少なくない。

 それだけは避けたい。




 わしは無理にでも、ここで止めるべきか真剣に悩んだ。

 激突までの、ほんの数秒で決めなければいけないのだ。

 わしは悩んだ。

 此処で百代が最後まで闘わせ、後にまた危険な道に進む可能性を無くすべきか。

 それとも、未来ある若者の可能性を取るか。

 わしは悩んだ。




 悩んだわしはふと彼の顔を見た。

 そしてその瞬間、わしは決めた。



 その時の顔をわしは忘れないだろう。

 そして、わしは新しい可能性にかけたのだ。

 この状況でありえないはずの選択に…



 (なぜじゃろう?あの自信に満ちた顔は……)

 この絶望的な状況。

 勝つ可能性など皆無の状況で彼は笑ったのだ。

 それは、百代のように闘いを楽しんでいるような笑いではなかった。



 その笑いはどこか、


 自信に満ちていた………



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 (こうしてみると隙だらけではないか……)

 瞬間回復、それがあることで百代は防御こそしていても意識下よりはずれ孤立しているところが多い。

 そう、”孤塁”が多いのだ。

 しかし、何故か警戒が強い場所もある。

 (逆を言うとこれに今まで気づけていなかったわけだが……)

 もしも、もっと早く気づけていればまた違う闘いができたのだろうが……



 しかし、警戒している場所は知る事ができた。

 自分の考えが正しい事がわかったことは大きい。





 だん、

 ぶつかる直前、今までよりも大きく踏み込み百代に急接近する。

 百代の目を見たまま……



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 「せいっ!」

 接近した謙一に、百代の容赦の無い攻撃が襲う。

 それは先ほどまで謙一が捌ききれず、攻撃を受けたそれと同じ威力を持った一撃だ。

 その攻撃が謙一を襲う。

 「ふはははは、どうやらこれで終わりのようだな!」

 しかも、攻撃は止まらない。

 まるで嵐のような連撃が謙一を襲う。








 (……此処までだな……)

 次々に決まる自分の拳を見て百代は思う。

 しかし、

 「…!何!?」



 謙一は攻撃を受けながらも常に私を見ている。

 ありえない。

 攻撃は当たっているはずなのに。

 この状況で、今まで、受け切れていないはずの攻撃を受けてなお、目をそらさない……


 (馬鹿な!何故、何故だ!これを受けて……!!まさか!!)


 「クリーンヒットしていないのか!!」

 「その通りだ!」



 ビッ、


 今まで見切れていなかったはずの攻撃を見切り、懐に接近した謙一の攻撃が決まる。


 「相手の目を見て、相手の立場に立って考え、そして一つになった。」


 一瞬の硬直。

 それで十分だった。

 「そして、次は俺の流れに乗ってもらう!!!」

 目を見続けて、百代に謙一の流れに乗せる。

 「流水制空最強コンボ!!!」

 流れるように攻撃が決まっていく。






 (な、何なんだこれは……)

 力を吸い取られるように技をかけられる百代は驚いていた。

 だが、

 「な、なめるな~~!!!!!」

 体を無理やり動かし、流れを脱出する。

 「ぐっ!」

 体が悲鳴を上げる。

 先ほどまでのダメージが完全には回復していないのだ。

 「くそ!!」

 苦し紛れの攻撃、しかし、それは謙一に避けられてしまう。

 (あいつはいったい何なんだ!)

 既に今まで闘った相手の何倍ものダメージを与えた。

 今までこれほど長く自分とやりあえた者などいなかった。

 自分の攻撃を此処まで見切れる者はいなかった。



 既に立っているのが不思議なぐらいに疲れ果てている。

 しかも、此方はダメージを受けても回復するのだ。

 精神的にもきついものがあるだろう。

 しかし、あいつは私に向かってくる。

 自分の奥義を受けても、闘いを続けられる相手に向かって。




 今、体の底から感じるこれは何だ?

 それは恐怖だった。






 それは、敗北への恐怖。



 武術をしている者なら誰もが感じた事があろうソレを百代は此処にきて初めて感じた。






-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------





 「あああああ!!!!!!!」

 その感覚を認めたくは無い。

 その一心で放った攻撃。

 先ほどまでの攻撃を上回る一撃が謙一を襲う。

 「ぐっ!」

 今までのダメージが謙一の動きを鈍らせた。

 勢いを殺しきれず、拳が謙一に届いた。

 

 「――――!まだまだ!!!」

 しかし、倒れない。

 もう余裕などは無い。

 限界は既に超えている。

 本来ならば今の一撃で倒れていただろう。

 だが、謙一にはそれすら超える思いがあった。





 今までの自分の思い。

 そして、百代のことを思っているであろう学園長たち。

 そして、なによりも、

 (孤独のままにはさせたくない!!)



 流水制空圏を発動させた今だから分かる、孤独。

 それは自分が考えたとおり、最強ゆえの孤独。

 それは、自分にもありえたことなのだ。

 ならば、自分が彼女を救わずに、



 誰が百代を救うのだ!!







 (何なんだ、この威圧感は……)

 百代は謙一に異様な威圧感を感じた。

 その威圧感に並みの攻撃では勝てないと悟る。







 「――――川神流……」


 その言葉は小さくても、はっきりと謙一の耳に届いていた。

 放たれるのは最強の突き。


 「――――無双正拳突き!」


 空気を裂き、全てを超えた一撃が近づいてくる。



 「うおおおお~~~~~~~!!!」


 その攻撃は謙一を的確に捉えていた。

 間違いなく、その攻撃は当たれば謙一を倒せるだろう。

 しかし、謙一が踏み込んだ事で、十分な威力を出せなかった。

 

 そして、

 「ぐっ――――!!」

 今までの攻撃のダメージ。

 瞬間回復といえども度重なる攻撃の前ではダメージを回復し切れなかった事。

 それが、百代の攻撃を鈍らせた。



 今までの攻撃は無駄ではなかったのだ。

 そしてそれらが重なった結果、受ける事も、避けることもできないはずの一撃を、




 「ああああああああああ!!!!!」

 謙一はかわした。


 
 
 そして、今まで警戒が激しかった上段の警戒が緩んだ事を謙一は見逃さなかった。
 


 お互いの位置が入れ替わる。

 
 
 
 
 
 
 
 
 ウワンッーーーーーー
 
 
 
 
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 衝撃が辺りを包む。


 先に膝を突いたのは謙一だった。

 「――――――――暗外旋風締め……」

 しかし、その言葉と共に、後ろからドンと百代が倒れる音がした。

 此処に勝敗は決した。







 瞬間回復の弱点、それは、

 一瞬で完全に意識を断つことである。

 浸透水鏡双掌を受けた後、百代は自分で言っていた。

 「私の意識を断つか、もう一撃与えれば勝てたものを……」と。 

 つまり、締め技が有効だという事を……



 一瞬の交錯。

 その一瞬で、すれ違いざまに締め上げた状態から急旋回する事で、一瞬にして落としてしまったのだ。

 気を失っては流石の瞬間回復といえども意味が無い。





 あたりからは音一つ聞こえない。



 「―――――――――!勝者 風林寺謙一!!!!!!」

 
 鉄心の声が聞こえた気がする。

 自分が勝ったと聞いた瞬間、俺は意識を手放した……








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 「うっっ!」

 目を覚ます。

 「知らない天井だ。」

 ネタではなく本当に知らない天井だった。

 和風の部屋である。

 「俺はいったい…」

 確か……

 「ほっほほ、目が覚めたのかのう?」

 そこには学園長がいた。

 「ここは川神院の中じゃ。そしておぬしが気絶してから既に数時間がたっておる。」

 外を見れば、既に星空が見える。

 「それよりも体はどうじゃ?」

 言われて、体を見る。

 あちこちに包帯が巻かれ、体中が痛いが、

 「……大丈夫みたいです。」

 家には秘伝の漢方もあるし回復にはあまり時間もかからないだろう。

 「そうか、良かった。」

 ホッと、胸を撫で下ろす学園長。





 沈黙が訪れる。

 「…どちらが勝ったか覚えておるかのう?」

 いきなりの質問。

 それに俺は、

 「……あれ?」

 最後のほうを思い出せない。

 暗外旋風締めを使ってから…

 「思い出せぬか…まあ良いかのう。」

 今までと違い真剣な顔つきになる。

 「風林寺殿、お願いじゃ。」

 その顔はとても真剣だ。

 「百代の相手になってくれぬか?」





 ・・・・・・・・・・・・・・・?


 「……何ですと!」

 「と言っても恋愛ではないぞ?」

 …知っていますよ。

 「……ようは組み手の相手になってくれということですか?」

 「うむ、今回のような事が二度と起こらないように、協力して欲しいのじゃ。」

 定期的に闘っていれば今回のように道を踏み外す事は二度と起こらないはずだ。

 活人拳を目指す自分からすれば、修行できるし一石二鳥だし引き受けても良いだろう。

 「今回見たいな死闘でなければ喜んで。」

 「ありがたい。ささ、この書類にサインしてくれ。」


 まるでどこかのビジネスマンのごとく書類を突き出す学園長。

 その行動が不自然に思えた。

 疑問に思い、書類を読む。


 よくよく考えれば何故、書類など書く必要があるのか。

 「川神院契約書だって?」

 それは、川神院の門下生になるための契約書だった。



 「じ~~~~」

 「ホッホホホホ。」

 此方の目を見ず、とぼける学園長。

 「……書きませんよ?」

 「――――ケチ!」


 ケチってなんだ。ケチって。

 「良いじゃん、減るもんじゃないし。」

 「減るもんですよ。時間とか。というか何でいきなり口調変わってるんですか!」

 突っ込みはモロの仕事だって言うのに。



 いったい何をしたいのか。

 「……次の機会にするかのう。」

 ボソっと、俺の耳にも聞こえない声がした。





 「とりあえず、話は終わりですか?」

 「うむ、まだ話も残っているのだが、時間も遅い。明日にしよう。」


 学園長が立ち上がる。

 「明日も学校じゃ、ゆっくり休めよ?」

 げっ!

 「これって特別休暇とかには……」

 「なると思うかのう?」

 ……希望は打ち砕かれた。

 「……思いません。」

 「まあ、明日は流石にいけないとは思うがのう。」

 そんな声を残し、学園長は部屋を去っていった。







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 とりあえず書き上げました。前回の感想の多さにとても驚きました。そして誤字報告ありがとうございます。
 前回同様、何度も書き直しているのでおかしい部分が多いです。ご指摘下さい。
 後数話でこの章も終わりです。気がつけばもう一ヶ月以上書き続けているんですね。驚きです。
 最後のところは正直あまり考えていなかったので少し雑になってしまいました。
 今日中に投稿しようと無理して書いたのですいません。
 次回は、いろいろと謙一のこれからが決まる?みたいな感じなのかもしれません。

 此処までお付き合いありがとうございました。

 では、また次回にお会いしましょう。


 感想、ご意見、ご指摘、要望などをお待ちしています。




 2009/10/18







[11839] 新たなる日常!?止まらぬ歯車!?
Name: ジョン◆62bea973 ID:1de9db2b
Date: 2009/10/27 20:09
 例のごとく、文章が荒れています。修正意見、誤字脱字報告などあったらお願いします。

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 目が覚めた。

 体の調子は悪くない。

 筋肉が疲労しているが日常生活に影響は無いだろう。

 昨日は川神院に泊めてもらったが、やはり習慣で日が出るくらいには起きてしまう。

 俺は体の調子を確かめようと外に出た。








 第二十三話 新たなる日常!?止まらぬ歯車!?












 ――――――軽く歩いてみたが、肉体的損傷は少ない。

 日頃からの鍛錬の賜物だろう。

 これならば今日も学園にいけるだろう。

 そんなことを考えていた。

 「………朝から決闘は勘弁して欲しいのだが?」

 「別にそんなつもりは無いさ。」

 後ろを振り向かず、声をかけるが、さして驚いた様子も無く返事を返してきた。

 「…あれだけ攻撃しても、完全に回復しているのか……」

 「私としては、瞬間回復無しにもう動けるお前のほうが凄いと思うが?」

 振り返るとそこには、百代が立っていた。

 「……再戦の申し込みか?」

 流石に今は勘弁してもらいたいのだが…

 「そうしたい所だが、流石に無理だろう?」

 此方の体調を気にしてか、いつもとは違う感じがする百代。

 何かが変わった気がする。

 「……まさか、負けるとは思わなかった……」

 何かを告白するように百代は言った。

 というか、勝ったのは俺だったんだ。

 「世界中の達人達と戦い、勝ち続けて自分こそが最強だと思っていた。」

 悲しそうな顔をしながら、

 「自分と闘えるものなどいないのだと……」

 「…………」

 俺はその話を黙って聞いた。

 「…子供のころから自分よりも強いものなんていないと思ってた。」

 「…ああ…」

 「出来ない技など無かった。やろうとすれば出来た。」

 ……どんだけ~~~

 「私は最強だと、そう思っていた。昨日まで……」

 百代が此方に近づく。

 「………初めてだった。勝負で負けたのは…」

 「そうか…」

 百代は近づいてくる。

 「気がついてから少しの間、負けた事を信じられなかった。」

 ……生まれて初めて負けたのだからしょうがないか……

 「あのなんともいえない感覚を感じるのは久しぶりだった…」

 ?百代は何かで負けた事があるのか…

 「悔しかった。」

 しかし、その顔は笑っていた。

 「だが、おかげで知る事ができた。」

 ???

 「私はまだ強くなれると……」

 「!!」

 「お前との闘いで私の限界はまだまだ上にあると知る事ができたからな。」

 いつもの百代の雰囲気が戻ってきていた。

 「謙一!!」

 拳を突き出す百代。

 「次に拳をあわせる時は、私が勝つ!!」

 「組み手ですぐ闘う事になるはずだが?」

 週末ぐらいにはもう一度闘う事になるはずだ。

 「そんなものじゃない。本気での勝負をもう一度するときだ!!」

 百代の目には危険な光は無かった。

 もしかすると、闘いに餓えていたのではなく、自分と闘える強敵に餓えていたのかもしれない。

 闘いの飢えではなく、強敵との戦いにこそ飢えを感じていたのかもしれない。

 流水制空圏を使ったときに感じた孤独こそが、百代の飢えの原因だったのかもしれない。

 そして、川神百代は人生で始めて武術における強敵を見つけたのかもしれない。

 そして、俺が挑戦を受けない理由も無い。

 「!!分かったぜ。ならば次に拳を見えるそのときまで、俺は絶対に他の何者にも決して負けない事を誓おう!!」

 俺も拳を突き出す。

 拳がぶつかり合う。

 此処に誓いはなった。

 次の戦いを約束して……









 「……なあ、何故仮面を被り、私に挑んだんだ?」

 何気ない事をしゃべりあっていると、百代は言った。 

 …もう完全にばれているのか…

 別に言っても良いか…

 「…俺は貴方とは違うから。」

 そう、違うから。

 「強すぎる力は人を遠ざけるから…」

 「???」

 百代には分からないようだ。

 「武人が一般人の真似をするには小道具が必要だから…」

 常に共にいてくれる友人が俺にはいなかった。

 「…そうか。」

 その言葉を聞いて言いたい事がわかったようだ。

 「転校生が、化け物みたいな力を持っていたら、誰も友達になんてなってくれないだろう?」

 それは時として、差別の原因にもなりえるから。

 「前の学校の時には完全に隠していたからどうなるか分からなかったけど、もしかするとと思うと…」

 別にそんなことは起こらないかもしれない。

 しかし、起こったときの事を考えると目立ちたいとは思わなかった。

 「だけど、どうしてもモモ先輩に挑みたくて仮面を被って戦いを挑んだんだ…」

 それが分岐点だったのだが。

 「闘いの後、おびえもせずに話しかけてくれる人がいなかったら、力を隠し普通の学生として生活をしていたと思う…」

 「…キャップか……」

 「ああ…」

 それが変わり目だった。

 あのときの反応。それが自分の力を隠す必要が無いかもしれないと思うきっかけだった。

 「岳人との決闘。そしてモモ先輩との闘いの後も、誰一人としてクラスに怯えているような奴はいなかった…」

 その時に思ったんだ。

 「目立ったて良いんじゃないかって。そう思えた。」

 目立たないで普通の学園生活をおくるつもりだったけど、自分自身を出しても良いんじゃないかと思えた。

 「だから、もう被る必要も無いかもしれない……」

 「……」

 だって、もう正体を知られても良いと思えるから………









 「しかし、お前も風間を認めているのか…」

 お前もって…?

 「貴方も?」

 「ああ、子供のころに色々な……」

 昔を思い出すかのように虚空を見上げる百代。

 「昔、風間ファミリーがあまりにも居心地が良いんで、キャップの座を奪おうとした事があったんだ。」

 「ガキ大将か、あんたは!!」

 「その時、いくら私が攻撃しても決してあいつは屈しなかった…」

 …成程…

 「そのときが初めてだった。力だけでは勝てないものがあると知ったのは…」

 さらりと言うが風間の奴は大丈夫だったのか?

 「初めて敗北感を感じたのもそのときだ。」

 …今回、負けたのに予想よりも立ち直りが早かったのはそれが原因か…

 「だから、私もキャップを認めているんだ…」

 …やっぱり凄いな、風間は…

 「勿論、お前の事も認めているんだぞ、謙一…」

 照れくさそうに言う百代。

 「…お前とは対等でいたいから敬語は使う必要は無いからな?」

 …今まで、結構為口だったんだけど…

 「これからもよろしくな、謙一。」

 百代が川神院の中に戻っていく。

 その後姿に、

 「……次こそは貴方の本気を倒して見せますから…」

 聞こえるか聞こえないかのぎりぎりの大きさで声をかけた。

 次は気弾とかが周りを気にしないで使える場所で勝負しようぜ…





 この時俺は勘違いしていた。

 百代はもう闘いに餓える事など無いと。

 俺は忘れていた。

 人は良くも悪くも簡単には変わらないことを。

 もしも、約束があろうと、機会があるなら闘いを求める事を……











 学園長に挨拶をして、俺は一度ダッシュで家に戻り、大和たちを待ち伏せしている。

 (学園長は、俺が動ける事に驚いていた。)

 昨日の事を口止めしておかないと、色々大変な事になるからな。

 しばらく待つと、

 「け、謙一!?もう良いのか!!」

 大和たちがやってきた。

 とりあえず口止めしておこう。

 「早速で悪いけど、昨日の事は誰にも話さないでくれ。」

 「昨日の事?」

 風間は何かを思い出そうと考え、

 「そうか、我流Xのしょうt「亡心波衝撃!!」ぐはっ…」

 ……何故か倒れた。

 「お、おいキャップ。どうしたんだ?」

 あまりのスピードに大和と岳人は何が起きたか分かっていない。

 しかし、まゆっちと京はいまのが見えていたようだ。

 此方を見ている。

 「う、うう…俺はいったい?」

 「キャップ、大丈夫か?」

 風間が目を覚ます。

 「あれ、大和。モモ先輩の決闘は、何時からだっけ?」

 「…え?」

 大和の顔が凍りつく。

 「ボケたキャップは置いといて、昨日の勝負自体しゃべらないで欲しい。」

 その言葉に皆が疑問を持った。

 「…なんで話して悪いんだ?」

 その疑問について問いかけてきたのは大和だった。

 「お前は姉さんに勝ったんだぞ?それを自慢しようとは思わないのか?」

 武術をしているものとして、MOMOYOに勝ったと言うのは全世界に名を轟かす事になる。

 世界中の武術家が、求めた栄光を謙一は要らないといっているのだ。

 「…栄誉が目的じゃ無かったからな。それに今回は運が良かったとしか言いようが無いし。」

 今回の勝因の一つは、相手のパターンが読めていたからだ。

 数回の闘いは圧倒的なアドバンテージだった。

 「次やったら負けるかもしれない。俺はたかが一回の勝ちで勝ったつもりでいたくないんだ…」

 百代が暴走する心配が少ない以上、手合わせの回数は多くはならないだろうが、これから何度も闘う事になる相手。

 もしも、百代が周りを気にせずに闘う場所でやったら、今の俺では勝てないだろう。

 それに、俺が勝ったとなったら、学園が大騒ぎになること間違いなし。

 これらを説明すると、みんなは秘密にしてくれる事に同意してくれた。

 (普通、こんな話は広めたがるであろう風間は記憶を失っており、何のことだか分からなくなっていた。)












 後から来たモロにも先ほどのことを説明し、秘密にしてくれるよう頼み、先ほど分かれた百代と合流。

 鍛錬で遅れた一子も来て、風間ファミリー全員と一緒に学園に登校した。

 昨日の決闘直前には考えられなかった光景がそこにあった。

 それは、昨日とは少し違っていて、それでも変わらない光景だった。

 願わくば、この光景が終わりを告げませんように。

 







 変わらない光景がそこにあった。

 未来は確実に良い方向に向かっていた。

 しかし、その道は決して楽な道ではない。




 楽しそうにおしゃべりをしている一子を見て百代は呟いた。

 「…そろそろ言わなければいけないか…」

 「ん?何か言ったか?」

 「…いや、何も言っていないさ…」

 「……なら良いけど…」

 隣にいた謙一にだけ聞こえた呟き。

 この呟きの意味を知っているものはこの場にはいない。






 未来は変わる。

 そして、歯車は止まらない。

 彼女の運命は変わるのだろうか?

 彼女の夢は届くのだろうか?

 彼女の信念は…

 未来は形を変えつつも、最悪の可能性を乗せて、



 近くまで迫ってきている。 




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 NGというか話に出来なかった話




 「何で正体を隠すんだ?」

 空気を読まないクリス。

 「お、おい今は止めとけ。クリス…」

 「それは身近の人間に危害が及ばないようにするためさ。」

 先程とは違い、少し笑いながら答える。

 「正義の味方は、知り合いに被害が及ばないよう正体を隠しているんだ…」

 「!成程、流石ジャパニーズヒーロー!!周りの為に正体を隠していたのか。ならば、私達は何も知らない事にしよう!」

 クリスは大和たちを説得した

 クリスの間違った日本知識のおかげで我流については誰も決して話さないことになった…


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 更新が遅れました。ここら辺の話は何回修正しても納得できるものが出来ません。よってある程度できたところで投稿しました。修正意見や誤字脱字、その他意見があったらお願いします。

 第二章完!!…でいいのかな?いろいろ書いていない気がするんですが…

 足りないイベントがあれば、書こうと思いますので、ご指摘お願いします。

 と言う訳でついに此処まで来ました。もともとネタのつもりで書き始めて早数週間。更新が止まったある作品にイラつき書き始めて、23話。外伝、他を入れれば25ぐらいになりました。

 こんなに早く書けたのも感想を書いてくれた方々、読んでくれた方々のおかげです。ありがとうございました。

 因みに今現在の予定では四章?構成になる予定なので半分くらい書いたのかもしれません。(自分的に此処まで続いた事に驚きました。)

 そして、話が盛り上がるのも当然此処から……

 と行きたい所ですが、少し用事がありまして勝手ながら、更新のペースを落とさせてもらいます。十一月中旬までは本当にスローで修正、加筆を中心に書いていきたいと思います。勿論本編も書きたいと思っています。そろそろ○さんとか出したいですし…


 最後に地文が足りない中、この作品を読んで下さりありがとうございました。

 では、また会うその日まで……



 2009/10/24
     27




[11839] 武術とは?迫る選択のとき!??
Name: ジョン◆62bea973 ID:1de9db2b
Date: 2009/10/27 20:13

 「はっ!」

 「せいっ!!」

 拳と拳。腕と腕。

 お互いの技が交錯する。

 二人の周りはまるでかまいたちのような現象がおきていた。

 近づこうとするものを切りつける、風の刃がそこに存在していた。

 ドオッ!!

 お互いの拳が空を切る音があたりに伝わる。

 「そこだ!!」

 百代の放った拳が謙一を襲う。

 シュルルルル。

 しかしその拳が謙一を捉えることは無かった。

 まるで地を滑るかのように高速で移動する謙一。

 中国拳法の泥歩である。

 ドウッ。

 攻撃した後の一瞬の隙をついた攻撃が百代に当たる。

 「ちっ!」

 堪らず距離を取る百代。

 しかし、距離を離したことが命取りとなった。

 「…梁山泊が奥義……」

 高速で移動する謙一。

 その動きと歩法が重なり合う事で、まるで三人に分身したかのように周りには見えた。

 「――――三頭竜六合陣!!!」

 ドオオオッ!!

 まるで交通事故にあったかのように吹き飛ばされる百代。

 壁に叩きつけられるようにぶつかる。

 「それまで。勝者風林寺謙一!」

 鉄心の声があたりに響き、組み手は終わった……


 第二十四話 武術とは?迫る選択のとき!??




 あの決闘から数日。

 俺は百代との手合わせをした。

 時間制の三本勝負。

 鉄心が審判を勤め、どちらかの攻撃が直撃したら負け。

 一回目は負けたが、二本目は判定勝ち。(投げの事をルールに入れていなかったため)

 最後の三本目で決着をつけるはずだったがやり過ぎた。

 ………ドンマイ!!





 勝負に負けた百代は、罰として鉄心に掃除を言い渡されたのだった。

 「いくら何でも分身は無いだろ!」

 道場を掃除しながら、文句を言う百代。その体には既にダメージなど無い。

 俺に文句を言いつつ掃除を続ける百代だが、残像が見えていることに突っ込んではいけないと思った。

 「しかも、最後のもなんだ!一人で中国三大武術を全て同時に使うな!」

 …それが分かるだけで十分凄いだろ。

 「…初見でそれが分かった時点で、お前も十分に凄い。」

 「黙れ!そもそも、何でそんなに多くの武術を極めたんだ!」

 何か前にも話した気がするが…

 「だから才n「うるさい猿真似野郎!!」

 その瞬間、俺は自分の目がキランと光った気がした。

 「甘い、甘すぎるぞ百代!!!」

 いきなり、気配が変わった俺に戸惑う百代。

 「武術の伝承とはソレ即ち、模倣から始まるのだ!猿真似の何が悪いんだ!!」

 その言葉に驚く百代。若干引いている。



 …やば、思わず岬越寺モードになってしまった。

 「おほん、それはそうと、そろそろ俺は上がらせてもらうぞ?」

 そろそろ、家に帰らないと、夕食が遅れてしまう。

 自分の生活リズムは可能な限り崩したくは無い。

 「―――もう、そんな時間か…」

 きれいになった道場で百代は言った。

 因みにこの道場、思いっきり動いても大丈夫なくらいに広い。

 それを話しながら掃除し終える百代にはあきれてくる。(俺も出来なくは無いけど)

 「今日は楽しかったぞ。また次を楽しみにしているぞ!」

 ……あれだけやってもう次とか……




 ただの組み手でこれなら次の決闘は…

 考えるだけで恐ろしい。





 「……っと、帰る前に一つ聞いていいか?」

 百代が俺を呼び止める。

 「お前にとって武術とは何だ?」

 なぜかは分からない。

 しかし、百代の顔には真剣さが感じられた。

 「…いきなり、何でそんな事を聞くのか知らないけど…」

 俺にとっての武術とは……

 「――――己が信念を貫く力……かな?」

 「信念を貫く力?」

 「誰にだって信念はあるだろう?俺にとって武術はそれを貫くための力であり、俺の誇りだ。」

 いきなり、聞かれるとこんな事ぐらいしか答えられない。

 「……なら、才能が無いものに武術を極められると思うか?」

 …ここは、あえて一つじゃなかったのかってツッコミを入れるか?

 ……いや、真剣な相手にそんな事を言うべきではないな。

 「…確かに才能が無いものには極める事は難しいだろう。」

 百代の顔には何故か悲しみの色が浮かぶ。

 「…だが、」

 その言葉に百代が此方を向く。

 「それはあくまで、努力しなければだ。」

 …そう俺は知っている。

 「あるところにこんな青年がいた。」

 百代はそれを黙って聞いていた。

 「その青年は間違っていた事に間違っているといいたかった。」

 それはこの世界には存在しない物語。

 「しかし、それを指摘するためには力と勇気が必要で…」

 それは一人の青年の物語。

 「正義を貫くための力をつける為に青年は道場の門を叩いた…」

 腑抜けの○○と言われ武術など知らない一人の男が。

 「…才能なんて青年には無かった。」

 友人達とは違い、才能のかけらすら感じられない男が。

 「しかし、青年は信念を貫く力を得るために地獄の特訓に耐えた…」

 しかし、一つだけ才能があった。一つだけ。

 「努力の達人とでも言おうか。彼は自分よりも早く武術を始めた才能ある者にすら勝った。」

 「……」

 百代は無言になった。

 その心中はどうなっているかは知らない。

 多くの感情がせめぎあっているのだけが分かる。

 それは何に、”誰に”対しての感情なのか。

 「……武術が何故何千年も伝えられてきたのか、分かるか?」

 「……」

 その質問にも無言の百代。

 「それは武術の世界において努力は才能を凌駕するからだ!!!」

 「!!!」

 衝撃を受けたかのような百代。

 「……ま、結局は努力しだいってことだ。」

 そういって、外に歩き出す俺。

 「――――――まて、さっきの話はまさか!」

 おまえ自身の話なのか?

 百代はそう聞いた。

 しかし、俺はそれに答えるわけには行かなかった。

 何故ならそれは俺であり、俺ではない人間の物語なのだから。

 なので俺は冗談を込め、こう言った。

 「――――禁則事項です!」

 …直後、百代の突っ込み(正拳突き)が炸裂した。




-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------


 謙一が帰ってすぐ、私はじじいの部屋に向かった。

 「じじい、話がある。」

 人に掃除をさせておきながらくつろいでいるじじいの姿にむかついたが、ソレは置いておこう。

 「何じゃ、百代?謙一君は帰ったのか?」

 とぼけてやがる。

 どうせ、帰った事にぐらい気づいているだろうに。

 「もう帰ったさ。それよりも、一子の件だ。」

 その瞬間、じじいの顔つきが変わる。

 「…伝えるのか…」

 その声には含みがあった。

 しかし、そんな事は気にしない。

 「ああ。近いうちにな…」

 「…そうか。」

 じじいの顔には悲しみが浮かんでいる。

 「しかし、流石にチャンスも与えないというのはだめだと思うんだ。」

 「…うむ、ならば七夕のときの川神武闘会ででも再戦の機会を与えるのか?」

 そう、始めはそれを考えていた。

 しかし、夏休みでもない以上、鍛錬できる時間が限られてくる。

 その限られた時間内で、出来る事は限られてくる。


 「その事で頼みたいのだが………」


 百代は鉄心に自分の考えを打ち明けた。









――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 どうも、この話が最後でしばらく更新を休みます。11月の半ばには復帰できると思います。

 あと三章に入った事により少し書き方を変えました。おかしい部分があったらご指摘下さい。

 今回は短めに後の展開のための間の話です。原作をやった人にはわかると思いますが、大幅に繰り上げてお送りします。

 それにより、いろいろと食い違いが生じるかもしれませんがご了承下さい。

 もしも、良いご意見がありましたら感想版にお願いします。参考にさせてもらいます。




 なお、天さんのバキについてですが、チートだと思いますね。

 あと、確かこんな台詞があった気がするのでおまけです。

 ネガが好きでない人はご遠慮下さい。(この話自体ネタですが)


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 「終わりだ謙一!」


 極大の気弾が謙一を襲う。

 後ろにはクラスの仲間がいる引く事はできない。

 「…しょうがない。」

 シャァァ

 気を込めた腕は極大の気弾とぶつかるが、方向を変えるだけで腕にはダメージは無い。

 「回し受け身こそ空手最強!ミサイルでもレーザーでも持って来いってんだ!!」

 闘いはまだまだ続く…


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 いかがでしょうか。今回初めてご意見を返す事ができましたが、今週以内に出来るだけ返したいと思います。最近やっと落ち着いてきたので返せるときは返せるようにこれからは努力していきます。

 無拍子などは後々になります。


 ではまた次回。




 2009/10/27





[11839] 動き出した歯車!?運命の闘い??
Name: ジョン◆62bea973 ID:1de9db2b
Date: 2009/11/24 23:00


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 歯車は動き出した。

 未来が急速に物語の終わりへと近づいていく。

 しかし、その事を知っているのは数人に過ぎない。




 男は道を踏み外さないように彼女を助けた。

 しかし、その闘いが試練を近づける事となった。

 その事を男が知るのはもう少し先のことである。



 少女の仲間達は知らない。


 幼き頃の夢を追いかける少女に試練が訪れたことを……


 彼らは知らない。


 自分を信じ足掻く少女の事を……



 


 未来はすぐそこまで迫っている。

 しかし、形を変えた歴史が、どのような結末を迎えるか、



 ”まだ”誰も知らない。




 第二十五話 動き出した歯車!?運命の闘い??



 大和side


 クリスとまゆっちが加入してから一ヶ月が過ぎようとしている。

 俺たちの周りは今まで以上ににぎやかになっている。

 今までに無いくらいに…

 その中心にはキャップではなくあいつがいる。

 闘う芸術家と呼ばれるようになった―――風林寺謙一だ。

 入学早々、姉さんとの激戦を繰り広げたと思ったら、S組の九鬼の治療をしたとか。

 さらに、既に芸術家としても有名になっているという、まさに超人だ。



 …そして、この間姉さんを負かした相手でもある。

 無敵だと思っていた姉さんが、負けてしまった事に俺は言い表せないような気持ちになった。

 しかし、姉さんはあれからも今までと変わらずに俺たちと行動を共にしている。

 負けたら何かが変わってしまうのではないだろうか、と思っていた俺としては良かったと思うが……

 だから、姉さんが気にしていないのに俺が気にしてはだめだと思って謙一と変わらない付き合いをしている。



 しかし、あれからと言うもの謙一も俺たちと前よりも関わりを持つようになってにぎやかになった。

 突っ込みも出来るのでモロが助かっていると言っていた。(同時にぼけもこなす。それが謙一クオリティー)

 最近では川神院によく通っているとか…

 おかげで、姉さんが毎日ご機嫌に。



 おかげで、俺に対するスキンシップ(内容は各自の想像に任せる)が少なくなった。

 うれしいような、さびしいような…







 姉さんといえば、今日は夕方に忙しいとか言っていたな。

 何でも川神院のほうで何かやるらしい。

 ワン子が張り切っていたのはこれに向けてとのこと…

 ……しかし、この時期に何か行事なんてあったっけ?



 ふと、窓から川神院のほうを見る。

 今頃何をやっているのか……



 …後で、聞いてみようか…


 ―――――――――――今年はどんな夏が待っているのだろうか………


 このとき軽い気持ちでそんなことを考えていた。



―――――――――――――――――――――2009年の夏が始まる。


-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------



 ――――川神院内―――――



 時は夕暮れ。

 川神院の中でそれは始まった。


 川神百代と川神一子。

 二人の闘いが、


 百代と謙一が闘ったときと同じ時間、同じ場所で始まった。



 二人が対峙する。

 お互いに素手での闘い。


 「いざ、尋常に勝負!!!」

 鉄心が開始を宣言し勝負は始まった。




 闘いは始まった。

 しかし、それは闘いと言えるのだろうか?

 一子の一撃一撃、鍛えぬいた努力の結晶が………

 「…×」


 稲妻が落ちるような蹴りが、


 「……×」


 あっさりとかわされる。

 次々と放たれる攻撃の隙を突き、

 「ふっ!」

 弾丸のような蹴りが一子を襲う。



 それを、まともに食らい吹き飛ぶ一子。

 しかし、すぐに体勢を立て直し、距離をつめ攻撃を続ける。

 だが、その拳が百代に当たることは無かった。


 「……これも×」


 次々と奥義を繰り出す一子。

 「川神流奥義、蠍撃ち!」

 「…×」

 「川神流奥義、蛇屠り!」

 「…×キレに欠ける」

 先ほどまでの攻撃を超えるスピードで放たれている奥義だが、防御どころか軽く横にかわすだけで百代に当たることは無かった。


 「は!!」

 逆に百代の攻撃のみがあたっていく。



 「素手では話にならん。薙刀でこい!」

 「くっ……」

 一子は薙刀を持ち構える。

 「せやあーーー!!」

 薙刀による斬撃乱舞が始まる。

 「……」

 しかし、それを無言で全てかわす百代。



 …分かっていた事ではあった。

 闘った所でまるで勝負にならないぐらい。

 ”あの人”に稽古をつけてもらったとき、実際に見ることが出来たから。


 実際にお姉さまの本気と闘ったときなど今までになかった。

 もし、あの時お姉さまとの差を知る事ができなければ私は最後の一撃に全てをかけただろう。

 必殺の一撃とは必殺であると同時に最大の隙なのだ。

 これだけの差があるのなら、もしかするとあっさりとかわされるかもしれない。 


 ……あの人があのときに稽古を付けてくれたから私は冷静でいられる。




 ………剣道三倍段という言葉がある。

 槍に対して剣が勝つには長さの不利ゆえに三倍の段位が必要とされた言葉である。

 また、武器を持った者に無手で勝とうとするには三倍の実力が必要だといわれた言葉である。

 攻撃の合間をぬって、一子に徐々にだがダメージを与える百代はソレを当てはめると九倍以上の実力を持っている事になる。

 それだけの実力差があるなら全力の一撃といえどもかすりもしないだろう。

 その面において一子の判断は間違っていなかった。



 しかし、間違ってはいなくても結果は変わらない。

 何故なら、体力で勝っているなら間違ってはいないだろうが長期戦になればなるほど、一子が不利になるのは目に見えてくる。


 その事を悟った一子は、それならと、

 「最速の一撃をもって―――」

 薙刀を上段に構えなおす一子。

 「はああ!!」

 気を高める一子。

 満ちた気が周囲を覆う。

 「なんと!!」

 それは誰の声だったのだろうか。

 辺りに満ちた気は先日よりも大きくなっていた。

 そして、その闘気もまた大きくなっていた。

 この一撃に全てを出し切る。

 ……避けきれない速度で攻撃すれば…

 先日よりもスピードを増した自分の一撃ならば…

 そう思って一撃に全てを込めた。



-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------



 百代side


 ……本当に強くなったな一子。

 目の前で気を高めている妹を見てそう思った。

 武術の道は険しい。

 それだけに才能というものは大成するかの鍵になってくるといっても過言ではない。

 まして、一子は約十年しか経っていないのだ。

 それで此処まで強くなるとは、秀才としか言い表せない。

 良くぞ此処までつらい修行を耐え、強くなったものだ。




 …………しかし、同時に伝えなければいけない。

 どんなに頑張っても川神院の師範代になることは不可能だということを。

 元々分かっていた事ではあった。

 一子に武道の才は無いという事は。

 しかし、それでもじじいの出した課題をやり遂げた一子を見て、じじいはその努力にかける事にしたのだった。

 そして、私も一緒に鍛錬をするうちに応援するようになっていたのだった。




 ……だが、私たちが思っていたような努力の天才ではなかったのだ。

 そして、じじいがそれを一子に伝えるといったとき私は抗議した。

 …しかし、同時に心の中で納得してしまう自分がいた。

 心の中で私も師範代になどなれないと思ってしまっていたのだ。

 結局、話し合いの結果夏休みに近づいたらこのことを伝える事になったのだった。



 私は諦めていた。

 あの時までは……



 先日の挑戦者との闘いのとき、私は驚いていた。

 一子の太刀筋が明らかに変わっていたのだ。

 それもよい方向に。

 そして聞いてみれば、通りすがりの我流ピンクなる人物に指導してもらったとか…

 そのときの心境をどうあらわせば良いのか。

 たかが一回の指導で一子を強く出来るとは… 

 私は、この男を捜した。

 無論、自分が闘いたかったからもあるが、闘いの後に聞いておきたかったのだ。

 才能が無くとも達人にはなれるのかと……






 一子が勢いよく走り出す。

 そして、薙刀を勢いよく振り下ろした。

 (…早い!!)

 4月までの一子の最強の"業"とは違い、ただ振り下ろすだけの一撃。

 しかし、それは明らかに今までの一子の必殺技、川神流大車輪よりも上だった。

 この今までに無い成長の速さこそが”あいつ”に賭けてみたい理由の一つだ



 ……だが、今はソレだけ。

 早いには早いがまだまだだ。

 ガードの必要性は感じなかった。



 紙一重でその一撃をかわす。

 ぎりぎりの所でよければ反撃が容易だからだ。

 「沈め!!!」

 一子の腹に蹴りがめり込む。

 崩れ落ちる一子。

 しかし、私は避けられた瞬間に腹部をガードしようと柄を動かそうとする一子の動きが見えていた。

 此処に勝敗は決した。

 しかし、可能性を感じられる闘いだった。





 本来、この闘いのあと、武術をきっぱりと諦めさせるつもりだった。

 元々決まっていた事だが、少しでも早いうちにという事で夏休み前にとなったのだった。

 …此処まで早くなったのにはほかに理由があってのことだが…



 しかし、私はチャンスを与えてくれと頼んだ。

 その事にじじいは驚き、そして簡単な質問の後に、

 「――――好きにせい。」

 と言って了承してくれた。

 反対されると思っていた分あっけなく感じたが、じじいにも思うところがあったらしい。

 …ソレがなんとなく同じ理由だと思ったのは間違いではないだろう。


 既に連絡はしてある。

 いくつかの条件と引き換えに既に了承は得ている。

 後は一子が奴をどう思っているかしだいだ。

 私からは言わない。

 …いや、言えない。

 ソレが条件の一つであるから。

 良くも悪くも此処から先は一子しだいだ。





 「私から伝えることは二つだ。」

 故に私は伝えよう。

 一子の努力への賛辞と。


 ……………川神院の師範代を諦めさせる事を……………





――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 本日のおまけ(没エピソード)


 桜咲く入学式。

 直江大和は入学式の案内をしていた。

 「ここは人通り少なくて暇だよな…」

 そんなことを考えていると、



 だだだだだだだだだっ!!!


 全力でかけてくる一人の生徒の姿が見えた。

 (ぶつかる!!)

 走ってきた相手とぶつかりそうになる。

 
 衝撃。



 俺はよろけたぐらいだったが相手はこけそうになって、


 「後ろ回り受け身!」

 こけてはいなかった。

 「ああああすすすすす、すみません。」

 申し訳なさそうに謝る女性徒。

 「おおう。」

 …可愛い…

 そんなことを考えたときだった。


 「……私とした事が~~~~~」

 と、まるで風のようにこちらに向かってくるもう一人の姿が見えた。

 その先にはさっきの女生徒が。

 「!おい、あb…」

 そこまで言おうとすると、

 「!!!」

 女生徒が向かってくる相手に気づきよけようとする。

 しかし、先ほどぶつかったさいにほどけたのだろう。

 靴紐をふみ、よろける。

 (まずい!)

 目の前には既に相手の姿があった。


 ……………


 ぶつかった音は聞こえてこなかった。

 目の前には先ほどの女生徒が先ほどの体勢のままでいて、違うのは先程までいなかった生徒がいることだ。

 金髪の長い髪に真新しい川神学園の制服。



 「ごめんなさい。怪我は無い?」

 「あ、い、いえ大丈夫です。」

 「…よかった。…………慰謝料って意外と高いんだよね…」

 最後の声は聞こえなかったが十人見れば十人がきれいだと答えるような美人がいた。

 「私の名前は新島美羽。あなたは?」



 これが、後に九鬼財閥に並ぶほどに成長する大企業、新泊連合の取締役新島美羽との出会いだった。


                                  続かない

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 どうも、お久しぶりです。予定よりも一週間遅くなってしまいすいませんでした。本当にすいません。

 久しぶりに書いたので色々とおかしい場所があると思いますが出来ればご指摘下さい。
 今回は、ついに三章が始まりました。ここからが一番と書きたかったところです。ゆえに原作と大きく離れるのもこれからとなるかと思います。しかし、ときどき一子が主人公のようにかかれる事があるかもしれないのでご了承下さい。
 さて、次回は三章に始まってすぐなのに一子ピンチに!?なるかもしれません。
 そして、ついにあのお方が登場します。お楽しみに。

 この作品はご感想、ご意見、要望などをお待ちしています。


 2009/11/16



[11839] ここはどこ!?見知らぬ天井と響く音???
Name: ジョン◆62bea973 ID:704ae330
Date: 2009/11/25 22:56
 内容がおかしかった為何度も書き直してあり、文章的におかしいかもしれません。ご了承下さい。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 七浜市のとある場所


 一人の少女がある場所を目指していた。

 川神一子である。

 何故彼女が隣町にまで来ているのかというと理由があった。

 「お前には武道の才はない――」


 闘いの後、姉に告げられた言葉が原因である。

 武道を捨て、別の道を探せ。

 そんなことを言われた。


 だが、そんなことを言われて十年間続けた武術を捨てる事ができるだろうか?いや、出来ない。

 彼女は自分の思いをありのままぶつけた。

 そして、チャンスを得た。

 七夕の日。

 川神院で行われる大会。

 ソレに優勝すると得られる挑戦権。

 「川神百代への挑戦権」

 その権利を得て、その場において百代に攻撃を当てる。

 防御でもいい。一撃を当てる。

 それが条件。

 出来なければ、あきらめなければいけない。

 自分の夢、川神院の師範代の道を…… 




 そんなことを思い出しているうちに地図に書かれていた場所についてしまう。

 「―――」

 思わず場所を確認してしまう。


 自分を追い込むため彼女は川神院を出る事にした。

 その事を祖父に伝えると、


 「……ならば、ここに行くといい…」

 そう言って一枚の地図を手渡した。

 彼女はソレを持って川神院を出た。

 外に出ると既に日が沈んでいた。






 「大きい……」

 自分の倍近くの大きさはある門が目の前にはあった。

 圧倒的な存在感。

 ただの門であるはずなのに、あるだけで来る人を圧倒しそうだ。

 中も川神院ほどではないだろうが、それでもかなり大きいと想像できる。

 ”川神鉄心”が勧めるほどなのだ。

 きっと凄い何かがあるに違いにない。


 「え~と、泊山梁(はくざんりょう)?でいいのかな?」

 目の前にある巨大な門の上にはそう書かれている。

 「たのも~とか言っても聞こえないよね?」

 見た感じこの門を自分で開けないといけない。

 だが、こんな大きな門を開けられるのか?

 「――――――――よし、行こう。」

 気を引き締め門を開けようとする。

 「―――――う~~~~」

 しかし、力を入れても門は少しずつしか動かない。

 「あ~~~~~~~~~」

 それでも徐々にだが開く門。

 そして体が通るくらいにまで開いた瞬間内側に入る。



 バアアァァン



 大きな音を立て閉まる門。

 「はぁっ、はぁっ、はぁっ。」

 予想外に門が重かったために息を切らす。

 「―――――よし。いk!!」

 息を整えさあ行こう!と一歩踏み出した瞬間、意識が遠のいた。

 何が!と薄れる視界に映ったのは大きな丸太だった……



 GAME OVER

 今回の失敗点 武闘家たるもの油断はしてはいけない。


























 う・そ!!!!!!!!!!!!



 第二十六話 ここはどこ!?見知らぬ天井と響く音???




 唐突に目が覚める。

 「知らない天井だ……」

 そこには見慣れた天井ではなく、見知らぬ天井が広がっていた。

 周りを見渡してみるが勿論見覚えが無い。



 「え~と、確か……」

 思い出されるのは大きな丸太。

 「あ~~~~~」

 今は何時かと思って外を見れば、今まさに日が昇ろうとしている。

 「ど、どどどうしよう……」

 戸惑っていた一子であったが、




 チン   キン   チョワン



 何かがぶつかり合っている音が聞こえる。

 何か金属のようなものがぶつかっているような音が……




 恐る恐る窓をあけ外をのぞいてみるがそんな音は聞こえない。

 その時今自分がどこにいるのか気づいた。

 目線の先には昨日の門があったからである。

 「じゃあ、ここは昨日の場所?」

 丸太に当たった後誰かが運んでくれた?

 誰が?と考えるがとりあえずお礼を言わねば。

 そう思い外に出る。












 「一体何の道場なの?」

 目の前にある大きな道場。

 そこから先ほど聞き間違いだと思っていた音が聞こえてくるのだ。

 しかも、先ほどの音とは違い何かを打ち抜くような音である。

 「も、もしかして幽霊とかじゃないよね?」

 そんなことを思いつつも道場に向かって歩いていく。


 ドッ  ドッ  ドッ



 規則的に聞こえるその音に思わず帰りたくなってしまう一子。

 (見知らぬ場所でそんな音が聞こえたら誰でも怖いと思う。)



 勇気を振り絞り道場の扉を開ける。


 「た、たのも~~~……?」


 が、目を開けてみれば中には折れた武器?(本物?)や穴の開いた畳以外何も無い。

 「え~~とこれはどうすれb「やっと目が覚めたか。」

 誰もいないことを確認した瞬間突然肩に手を置かれる。

 「きゃあ~~!!」

 仮にも制空圏を習った身。

 それが触れられるまで気づかない。

 いや、そんなことは関係無しに反射的に攻撃を入れてしまった一子。



 ドォォォン!!!



 相手は道場とは反対側。

 門に思いっきり激突した。

 (どどどどどうしよう!!)

 今日何度目か分からないが一子は焦った。


 「とりあえず警察n「落ち着け馬鹿」

 思いっきり拳骨を入れられた一子であった。












 そうして、ついにこの家(+道場)の持ち主に会うことが出来た。

 (さっきのは殴られデク君改を身代わりにしただけらしい。)

 しかし、それは予想外の人物だった。



 「ソレで結局昨日は何のようだったんだ?」


 目の前には自分の姉を倒し、”あの人”の正体、

               風林寺謙一がいた……
 




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 とある青年の話



 家に戻る俺。

 いつも通りに門を開けたそこには、

          変わり果てた一子の姿が……


 では無く、

 「むにゃむにゃ、ソレ貰っていい?」

 気持ちよさそうに眠っている一子の姿があった。

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 おまけ?

 彼女達が自己紹介しているとき大和は冷静に彼女達の持ち物を見ていた。

 (あれってもしかして…)

 「ねえねえ、もしかしてそれ真剣?」

 二人とも刀?らしきものを持っているので気になって聞いてみる。

 「こ、これですか?これh「そうだがどうしたのだ?」

 俺とぶつかりそうになった子の言葉をさえぎり、新島?さんが言った。

 「そう?あ、もしもし、こちr「あと私もまゆっちも許可なら貰っているから警備を呼ぶ必要ならないぞ?」

 此方が通信しようとした瞬間彼女はそういった。

 「ほれ、許可証。まゆっちも出す。」

 「は、はい。」

 そう言われて見せられた許可証?は本物っぽかった。

 一応、警官の方に来ていただき、確認を取ってもらったが本物だった。

 「…はい、じゃあ入学式はあっちだから急いでね。」

 在校生と新入生では集合場所が違う。

 なので集合場所を教えてあげる。

 俺とぶつかりそうになった子がお礼を言ってきた。

 「あ、あありがとうございます。新島さんこれからもよろしくお願いします!!」

 うれしそうに走っていく。

 「…一年生はあっちだけど?」

 新島?さんだけが何故かついてきた。

 「何を隠そう実は新入生ではなく転校生だったのだ!!」


 ババン

 と効果音が聞こえた気がした。

 「え?もしかして二年に?」

 「Yes!!これからよろしく!」





 物語は動き出した。彼女はこれからどのような活躍をするのだろうか。

 ただ分かるのは、

                   いつの間にか新泊連合に新しいメンバーが増えていたことだけだ…


       新島美羽の携帯には    新規登録 団員  まゆっち    と表示されていた。


                     今度こそ終わり?



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 とりあえずここまで。内容とかは決まっているのに文章とかが気に食わないために何度も書き直してしまいました。次回から本格的に動きます。そしてついにほとんど出番がなかったあの人が……

 という事で今回は短めにして次回を頑張りたいと思います。
 というか諸事情により更新スピードが上がらなくてすいません。これからまた不定期になってしまいます。
 あと、おまけに関してこれを続けるか、小ネタを書くかどっちがいいと思いますか?ご意見よろしくお願いします。


 感想、ご意見、ご指摘などお待ちしています。





 2009/11/23




[11839] 決断のとき!?前編??絶望??
Name: ジョン◆62bea973 ID:704ae330
Date: 2009/12/12 23:33

 「ソレで結局昨日は何の用だったんだ?」

 目の前には彼が立っている。

 お姉さまを倒した彼が。

 ”あの人”の正体である彼が。

 自分が”師”と思っていた人の正体である彼が。



 このとき私は少し慌てていた。




 知らない場所で寝ていた事。

 いきなり人を吹き飛ばした事。(殴られデク君にも人権を!!)

 目の前に彼が立っていたこと。


 これらが一気におきたことにより一子は混乱していた。

 だからだろう。


 理由も順序も関係なく、



 「で、弟子にして下さい―――――!!!!」


 そんなことを言ったのは……

 



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 第二十七話 決断のとき!?前編??絶望??



 「………成程、話は理解した。」

 場所を変えて話をする事になった私は、道場の中にて彼にほとんどのことを話した。

 お姉さまと決闘した事も、一度も攻撃を当てる事ができず負けた事も、七夕の日に行われる武闘祭で一撃を当てなければ武術を諦めさせられる事も。

 全てを話した。

 せめて最後の事だけは言わない事にしようかと思った。

 だが、謙一の出す雰囲気がソレを許さなかった。

 「つまり、”一ヶ月”の間で百代に攻撃を当てられるようになりたいから弟子にしろと、そういうことだな?」

 何故か”一ヶ月”というところを強調する謙一。

 「うん、そうだけど?」

 だが、彼が何を考えているか私には分からない。

 「…ふむ、ちょっといいか?」

 そういうといきなり、

 「持ってみろ。」

 何かを投げ渡す。

 反射的にソレをキャッチしようとするが、

 「うわぁ!!」

 危うく床に落とすところだった。

 「…ふむ…」

 どこから出しのか、そろばんで何かを計算し始める謙一。

 「次、これ。蹴ってみろ。」

 今度はサンドバックのようなものを投げてきた。

 「くっ!!」

 慌てて蹴り上げる。

 蹴り上げたソレは天井にぶつかると重力に従って床に落ちた。

 「…ふむ…」



 パチ パチ パチ パチ


 そろばんをはじく音だけが聞こえる。

 「…最近の練習メニューは?」

 そう聞かれてとりあえず2、3日ぐらいの練習メニューを教える。


 パチ パチ パチ


 そろばんをはじく音だけが聞こえる。



 パチン!!


 終わりを告げるかのごとく大きくはじかれた珠の音。



 「……結論から言おう……」

 顔を上げた謙一が言う。

 「仮に俺がお前を弟子にとることにしたことにしよう。」

 あくまで仮定だがな、という謙一。

 「おそらく、クリスには勝てるはずだ。」

 その言葉に思わずうれしくなる。

 再戦する機会が無く、今どちらが強いか分からない状況でその言葉をもらえることはうれしい。

 「川神学園でも十位以内の実力にはなるだろう…」

 だが、ふとお姉さまに才能が無いと告げられたときと同じ雰囲気を感じた。

 「……だがそこで終わりだ。一ヶ月では五本の指にも入る事はできないだろう…」

 その言葉に言葉を失う。

 「そして、その程度の実力では百代にかすらせる事すらできないだろう…………」


 唖然とした。


 心の中で彼なら、

 「HAHAHA!!分かったぜ、俺に任せろ!!」

 見たいな事を言ってくれると思っていたから。


 自分に道を指し示してくれる、そう思っていたから。

 「う、嘘だよね?」

 聞き間違い出会って欲しい。

 そう思いたずねてみるが、

 「事実だ。今の一子のメニューでは多少トレーニング時間を増やした所でイレギュラーが大会に参加すれば決勝にすら残ることは出来ない。せめて夏休みなら鍛錬の時間を大きく増やす事ができるのだが、あいにく、まだ夏休み前だからな…」



 カオス統計学に狂いが無ければな、そう言うと私の前に移動する。


 「だが、一つだけ方法がない事わけでもない……」

 「!!本当!!」



 ソレは甘い誘惑だった。


 「ああ、俺が知っている、



             ”殺法”を極めればな………」






――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 更新が遅れてすいません。今回は少なめおまけ無しです。兼一の方で新しい武器の技が出るのではないかと思って待っていたのですが、出ませんでした。
 後2、3話で修行編に入りたいと思っています。色々と立て込んでいて不定期更新になっていてすいません。

 とりあえず、今年中に後何話か更新したいところですね。ではまた次回。

 PSそろそろ我流に新しい仲間が現れと思いますか?

 2009/12/12


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