はじめまして。湿婆(シバ)と申します。
FFTのストーリーを基にした長編を書かせていただきます。
なるべく原作に忠実に書きたいと思いますが、独自の解釈やオリジナル設定・キャラが多分に含まれると思います。
あらかじめご了承ください。
2012/9/7追記:自サイト開設にともない、全般に段落下げや誤字修正を行いました。内容に大きな変更はありません。以降、自サイトとの同時更新になります。
サイト名:最下層-depth-(FC2ホームページ)
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~デュライ白書を紐解くにあたって~
イヴァリースには現在に至っても数多の神話や伝承が存在するが、中でも英雄王ディリータ・ハイラルに関する一連の記述は、私の最も興味を抱くところである。彼の輝かしい業績の数々は、自叙伝『ハイラル公記』に詳しいが、その記述は彼が英雄王となったのちの記録が主であり、平民階級出身の彼が英雄王と呼ばれるようになるまでの軌跡に関しては、彼の死後に多くの脚色がなされており、『英雄王の生涯』といったほとんど神話的なものを始め、その多くが信憑性に乏しいものであった。
しかし、五年前、グレバドス教会が公開したある文書の登場によって、そうした状況は一変した。長らく畏国政府最重要機密文書としてオーボンヌ修道院の地下書庫に眠っていた『デュライ白書』である。私はこの文書の著者であるオーラン・デュライの子孫として幸運にも最初にこの文書に触れる機会を得た。私は五年の歳月をかけてこれを精読し、考察を重ね、その英雄王に関する記述が、獅子戦争の史実と照らし合わせてもなんら矛盾しないことを確認した。もっとも、グレバドス教会が四百年の長きにわたってこの文書を隠蔽し続けてきたという事実からも、その真実性と政治的・教義的危険性は明白であるが。
あらためて、火刑の憂き目に遭いながらも、純白の真実を後世に伝えんとした我が祖、オーラン・デュライに敬意を表すとともに、全イヴァリース国民が、国史に重大な足跡を残した真の英雄を見極められんことを切に願ってやまない。
───畏国暦一四二五年金牛月五日 アラズラム・D・J・デュライ記す