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[33] コレもEOEあとのシンジ君
Name: たいら
Date: 2003/08/01 01:33
あの、約束の日からどのくらいたったのだろう。
世界はすでにボク・・・ってもうそんな一人称使う年じゃないね、ってことで「俺」一人。
時刻案内もないし、時計だって当てにならない。標準時計がやられたらそれ以外はずれてしまってそれまでだしね。
感覚も当てにならないから数えるもやめたけど、少なくとも数年はすぎてるだろうね。


海は相変わらず赤いし
赤いプラグスーツはそろそろ自然にかえるころかな?


それにしても暇だね。やることがない・・・正確には「やりたいことは全部やり終えた」んだけど。


理屈はよくわからないけどたぶんサ-ドインパクト?のせいで知識やら力を手に入れて、出来ること皆やったから


・・・最初は絶望して死のうかとも思ったんだけどね。
どうも不死身に近いからだになったみたいで断念。
そのとき思ったんだよ、どうせなら今までやりたくても出来なかったことやろうと。
え? 復讐? 断罪? なんでいまさらそんなめんどくさいこと。
確かに力と知識を手に入れたときはその髭と老人どもには頭きたけど、その場で思いっきり暴れてそれで流した。
海岸がひとつ消しとんだけどそれくらいなら安いものだよね。
・・・けっこう自分でも大人になったと思う。


過去に戻って歴史を変える? あんな連中のために働く義務も義理もないよ。あんなばかげた茶番の相方担ぐなんてもうまっぴらだ。


え? じゃあ今まで何をやっていたかって?
・・・まあ俺も当時は思春期まっさかりだったからねえ・・(遠い目
ちょっとHな本やらビデオ見て、ゲームをやったりね(ごにょごにょ


うるさいな! 何をどうしようと俺の勝手だよ!!


だって「一応」女性と同居してたし、多分監視カメラなんかもあったんだろうから、あの時はしたくてもできなかったんだよ!!


考えてみれば俺の周りには碌な女が居なかったって思う。確かに漫画やゲームに出てくる女の子キャラだって極端だけど、それに勝るとも劣らないひとたちばっかり・・・
綾波? まあ「無口系」っていえなくもないけどそれ以外に多分に電波系な気もするしねぇ。
アスカ? 頭脳明晰で気が強いどころか・・・ある意味じゃかなり「イタイ」よ。あの頃の俺じゃ無理だけど、今距離とって見れば、絶対付き合いたくないタイプ。デザインだけよくても、ねえ?
他にも誰か同年代の娘が居たようなきがするけど・・・もうあんまり覚えてないな。


そんなわけで俺は半壊したNERV本部にずっと住み着いてマギにゲームインストしてプレイしてビデオ見て漫画読んでぐーたら生活してたのさ。セカンドインパクトのせいで2000年より前の漫画って何気にプレミアついちゃって簡単には読めないのも多かったからけっこう充実してたよ。
それはゲームもアニメもそうなんだけどね。


でもそれももう飽きた。
今度は何しようか・・・
そんな感じで穴のあいたジオフロントからねっころがって空を眺める。
月だけは何も変わってないな・・・


あ!


唐突だけど、今さら思い出した!
そういえば初号機ってどうなったんだろう?
確か俺、あのとき最後に乗ってたのに。
でっかい綾波がカヲル君でそのあと気が付いたら浜辺だったんだよな。
思い出したら急に相棒の顔が見たくなったよ。


・・・最後まで共にいたのは・・・初号機だけだったからな
別に会話とかしたわけじゃないけど、やっぱり相棒ってのが一番しっくりくる間柄な気がする。
まあ後で知ったとはいえ遺伝子上では実の母親が溶けててそれとシンクロしてたらしいけど、ソイツ以外の感覚も確かにあったからな。
もしかしたらあれが初号機の本来の意思だったのかもしれないね。
今ならきっとおしゃべり出来そうな気がする。


え? 星が光った? 流れ星かな? ・・・って!?


ずどぉぉぉおん


・・・そう遠くない位置に落ちたよ、流れ星。
燃え尽きずに地表に落下するものもあるって聞いたけど、この目で見ることになるとは・・・
おお、少しは暇つぶしになりそうだ。


俺はその落ちた流れ星を一目見ようと、起き上がって走り出した。
まあ10分も軽く飛ばせば見える位置だしね。


そして俺はその流れ星が生み出したクレーターの傍にやってきた。


「え・・・?」


そのクレーターのど真ん中にあったのは・・・


純色な紫の鋼鉄の衣に身を包んだ一本角二つ目の巨人・・・


紛れも無く俺ががあのとき乗っていた、初号機だった。
おまけに手には(ロンギヌスの)槍「オリジナル」つきで。


これはなんつータイミングかね。出来すぎててちょっち怖いよ。
ま、退屈しのぎにはなるかな?
そう思って俺は初号機に近づく。


あれ? 背中からプラグが飛び出てる。おまけにハッチも空いてる。
当時の俺が無意識に抜け出したままなのかな。
それによく見ればなんかコアらしきものも丸見えだね。
何気に興味も湧いた。
そして初号機の間近で目が合って正面から見据える位置に来たとき――


ピカッ!


コアが一度大きく発光した。


・・・今のは何だ、いったい?
そう思いながら俺はコアに近づくが、傍まで行っても触っても何の変化も無い。
わけわからん。
なら次はプラグまで行ってみるか。
ロッククライミングみたいに初号機の体を登って、イジェクトされたプラグのところまで行く。


やっぱり懐かしいねー
プラグを間近で見た俺の正直な感想。
そして俺は何気なしにかつて乗り込んでいたその中を覗き込んだ。
「・・・・・・・・・・・・・・・ダレ?」


そこには、今まで見たこともない女の子が一人、眠ってた。








[33] Re:コレもEOEあとのシンジ君
Name: たいら
Date: 2003/08/01 12:39
・・・はい
正直にイイマス
かなり好みのタイプデス。
肌の色が程よい白さで、肩までの髪の色が紫だろうと関係ナッシング。
だって今まで綾波の青髪やらゲームの赤髪緑髪見てるからぜんぜん気になんないよ。
それに前は使徒やらサードインパクトやら補完計画つったわけのわからないものに(無理やり)付き合わされてたんだ。もうこのくらいじゃぜんぜん驚きには値しないね、平然ってことさ。
それにこの娘が誰なのかも、なんとなく予想つくし。
てか、ここまでくれば考えられるパターンとしては決まってるじゃないか。
気分としてはいきなり妹が12人できるとか、ママが5人できるのとかと変わらないよ。空から女の子が降ってくるのはある意味漫画の世界のお約束、不問律ってやつじゃないか。


おっと、そんなことよりこれからどうしよう。
まあ起こすのもかわいそうだし、彼女が起きるのを待つかな。
好みのタイプの女の子に優しくするのは男として当然だしね!(・・・亜神だけど)
話し相手、欲しかったし。


「う~ん」
おや、お目覚めかな。
プラグの中からそんな声が聞こえたので、俺は体を起こして彼女の次なるリアクションを待つ。
「・・・・・・」
半分寝ぼけ眼でシートから起き上がった彼女はきょろきょろと辺りを見回して、それから俺と目が合った。
「・・・・・・」
「おはよう」
俺はにっこり笑って挨拶をしてみた。まずは基本でしょう。・・・でもgoodmorningかぐーてんもるげんにするべきかも多少迷ったんだけどね。
「ご主人様~~」
うわ! いきなり飛びついてくるなんてそれは予想外!?


避ける暇なくダイビングボディプレスの下敷きにされました・・・
てゆーかそれよりもメイドさんなの!? 俺そーいう趣味はないよ? 確かに昔はいじめられっこなタイプだったけど・・・
「ちょ、ちょっとどいてよ~」
うわ、パニくってるせいか昔みたいな情けない声になってしまった。
「やっと会えた!」
人の話を聞いてくれず、彼女はより強く抱きついてくる。
あああああああ
そういえば彼女は生まれたまんまの姿だし、けっこースタイルもよかったから・・・あ、あたってるよーーーーーーーー!!
意識しちゃダメだ意識しちゃダメだ意識しちゃダメだ意識しちゃダメだ意識しちゃダメだ意識しちゃダメだ意識しちゃダメだ意識しちゃダメだ意識しちゃダメだ意識しちゃダメだ意識しちゃダメだ意識しちゃダメだ
・・・


・・・最低だ、俺って(TT


五分ほどしてようやく説得完了し、とりあえず彼女には俺の着ていたYシャツを着てもらっている。
・・・裸Yシャツ、ぐっ!
と影ではこっそり拳を握り締めて男のロマンに打ち震えていたりするけど。
「で、つまり君は初号機の意識から生まれたんだね?」
こくりと小さく頷く彼女。
予想通りだ。まあサードインパクト経験したらいまさら何が起きても不思議じゃない。得に困ることでもないし。
「・・・ご主人さ、じゃなかったえっと、シンジ・・・さんに会いたかったから」
・・・そのうるるん瞳で見上げるのは反則って言うのに・・・それされたら男は拒むことなんか出来ません。
それにやっぱし素直で一途な女の子っていいよね~
俺の周りにかつて居なかったタイプ。
無論タイプであることはいまさら言うまでも無いね。
「? でもなんで女の子になったの?」
「私の中にいた意識が女性体だったから。それ以外に参考になるものなかったし・・・」
・・・母親失格の男見る目ナシ科学者よ、今だけ一生に一度、最初に最後で感謝してやる。
「それにこれでもずっとあなたの傍に居たから・・・こういう姿の方が喜んでくれるんじゃないかとも思って・・・」
ぐわ! そうかもともと母親介してとはいえ彼女とは「シンクロ」してたんだ。俺の意識とかにあったものが伝わっててもおかしくない。
・・・なんにしろ、結果オーライ。終わりよければってね。


そしてまた何か尋ねようとして、ふと気づく。
「そういえば、いつまでも君って呼ぶのもおかしいね。名前とかってあるの?」
「・・・無い。でも初号機って呼ばれるのはイヤ」
それは当然だね。俺も彼女をそんな風に呼びたくなんか無い。
「それじゃ、まずは名前考えないとね」
「・・・考えて、くれる?」
「もちろん!」
さてと、どんな名前がいいかな・・・初号機、紫、エヴァ・・・この辺りから変換したりアナグラムとかすると・・・候補はイブ、紫苑、初音あたりかな?
とりあえずその三つを候補として出してみる。
「・・・紫苑が、いい」
やっぱり一番初号機関連から遠いのを選んだか。
「じゃ、これからよろしくね、シオン」
「はい」




それから多分二ヶ月くらい、俺はずっと喋ってた。
ずっと誰かに聞いてもらいたかったことを。
・・・昔の待遇の不満も多かったけどね。
シオンはそれをちゃんと聞いてくれた。時に笑い、怒り、涙しながら。


「本当に禄でもない人間ばかりですね」
「でもまあそこまで嫌悪感覚える人ばかりでもなかったよ。例えばオペレーターの人なんかは巻き込まれてかわいそうとも思った。仮に復讐を考えても軽く文句いって終わりじゃない、邪魔しなければ」
「シンジさんは優しいんですね」
「そうかな?」
昔の俺は多分自分が傷つくのが怖いから起こられないように顔色伺ってただけだろうし。
「でもまず許せないのは髭と電柱と老人どもと牛かな、それと元凶たるあの愚女」
あんなやつらもう名前すら呼びたくない。
「金髪マッドはある意味被害者でもあるからちょっと保留。綾波は髭の計画の柱にならなければそれでいいし、アスカはもう関わらなければそのあとどうなろうとしったこっちゃない。かってに自滅でもなんでもしてくれ。加持さんは・・・これも微妙だな。三重スパイだし牛苦しめるためには使えるけど、少しはお世話にもなったしね」
ベッドの上でねっころがって天井を見ながら独白する。
ちなみに今は一つのベッドにいて、お互い服着てない。
「しかし、せっかくかわいい女の子と一緒なのにまともなデートスポットひとつもないとはつまらないな」
「私はシンジさんと一緒に居られるだけで十分ですよ?」
そう思ってもらえるのはありがたいんだけどね、さすがにそれでは男の甲斐性ってものが・・・


そうだ!


「過去に戻ろう!」
「え?」
俺の突然の発言に戸惑うシオン。
「別にNERVも使徒も関係ない。過去に戻って存分に青春溢れる生活を満喫するだけだから」
もうNREVには関わるつもりなんてこれっぽちもないんだから
 



[33] Re[2]:コレもEOEあとのシンジ君
Name: たいら
Date: 2003/08/01 13:34
今の俺は確かに『碇シンジ』の記憶を持っているけど、遺伝子的にはもう別人だ。
だから仮に過去に戻っても、そっちにいる14歳のシンジとフュージョンすることもない。
せっかく戻っても向こうのシンジとひとつになったらイヤでもネルフと関わることになる。そんなのごめんだね。
「確かに過去に戻っても遺伝子的なものは大丈夫かもしれません。でもそっちに居る使徒はどうします?」
シオンに言われるまで気が付かなかった。
あ、確かにそうだ・・・
「NERVが負けるかもしくは髭の野望がかなえば結局この赤い海になるのでは?」
そうかも。なにしろ牛の指揮能力のダメダメさは折り紙付だしね。碌な作戦も立案しなきゃ満足に指示すら出来ない。俺のとき最後の使徒までたどりつけたのは絶対に奇跡だしな。二度も同じことが起きるとは思えないし。
「かといってネルフに潜り込んで使徒を殲滅するのも癪だ。立場や形式はどうあれ、あいつらと同じ場所に居るのは御免だ!」
どうしよう・・・



閃いた。
「ウルトラマン方式にしよう!」
俺って天才かもしれない。
「え?」
俺の意図するところが掴めず、シオンは困惑するだけ。
「別の特務機関作ってもいいんだけど、交渉とか優先権争いとかめんどくさいんだ。だからどこからともなく現れて使徒をやっつけて消えていく。それでいいよ、黄金バットみたいに」
ネルフが役立たずになって立場的にも困るだろうし、一石二鳥だ。
復讐ってほどでもないけど、あいつらの目的もメンツも丸つぶれだろうしね。仕返しにもなるし、直接手を下すわけでもないから完璧。それに人類を護る行為も同時にするんだから非は無いよ。
普通の人たちから見れば、使徒さえ居なくなれば誰が倒してくれても同じだろうし。
「髭の計画もちょこっと介入するだけで潰せるし、大丈夫だよ」
「でも、組織に対抗するのは個人では無理では?」
それは確かに。
かといって他人をこの計画に入れるわけにもいかない・・・どうしよう。
でも仲間は必要だ。
あ、なら作ればいい。
今の俺にはそれくらいの力はある。
「じゃ、今から手伝ってくれる仲間を生み出そう」
幸いネタもあることだし。


ぐっと右手に力を込めること数秒。
それからそっと手のひらを開くと、そこから現れたのは赤く輝く小さな球体が14、ふわりと浮かび上がってくる。
「われに集いし兄弟の魂よ、我が力で今一度肉体を受け入れよ!」
俺の力ある言霊と共にその光球たちは、勢いよく赤い海に飛び込んでいく。
「後は待ってればいい」

それから数時間後。
俺とシオンの前には新たに14人の姿があった・・・








■・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・■
初めまして、たいらといいます。
実はネットでEVASS書いたのは初めてです。EVASS自体書くの六年ぶりくらいですしw
普段は別PNで他のジャンルのSS書いてます。

逆行モノになります。
カップリングは多分LOSとLMSの両方になります。
今回最後に出てきたのはこの手のSSおなじみの皆様です。
一人足りないのは仕様です。今回はちょっと使いにくい気がしたので・・・
これから過去に戻るシンジくんにとって、もはや彼の存在はそれほどまでに重要視されていないのです。

それでは稚拙な作品ですが最後までお付き合いください



[33] Re[3]:コレもEOEあとのシンジ君
Name: たいら
Date: 2003/08/13 02:16
…見た目からして実に「個性的」な美女・美少女が全部で14人。
それは俺の記憶もいくらか与えたせいなのか?

それぞれの自己紹介を一通り聞いてから、俺は皆にとりあえずの計画を伝える。

「…とまあ、おおむねこんな感じでやろうと思う。戻る前にこっちで必要な装備は出来る限り作っていくけど、協力のほうよろしくね」
「「「「「「「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」」」」」」」
物分りがよくて助かる。


そして俺たちは戦艦やら機動兵器を幾つも作り上げた。…システムの都合で完成に時間がかかりそうなものだけ向こうで完成させるつもりで、出来る限りハイピッチで作業を進める。
こんな(娯楽が)何も無い世界から早く抜け出したいからね。
それはどうやら皆同じ考えのようで。
まあ俺が生み出したんだからある程度は記憶と知識を与えているから当然だよね。

そして過去に戻る決意をしてから主観時間でおおよそ半年…
ようやく準備が完成した。
「それじゃあ行きますか。2005年へと」

作り出した次元の裂け目に、用意した装備と皆で意気揚揚と入っていく。
俺が消えればこの次元は崩壊するみたいだけど、まあ今の次点で殆ど崩壊してるからあとくされは無い。
さよなら、赤い世界。もう会うことも無いけど。
俺は異なる世界で楽しく生きるよ。前みたいな生き方はごめんだからね。
それに向こうに居るかつての「僕」にもこんな思いはさせないよ…




そして黒い黒いトンネルを抜けると
「そこは雪国だった」
「?」×15
皆が不思議そうに俺を見るけど、まあこれはお約束だよね、やっぱり言わないと。
今僕らの目の前に広がるのは緑の大地と青い空と…海。
還ってきたんだ…その景色がその事実を強く思い浮かべさせる。
「現在時刻と現在地は?」
『2005年の日本デス』
メインAIがすぐに報告する。
「じゃあさっそく行動に移ろう。まずこの基地を落ち着けないとね」
そう、俺たちは機動兵器と戦艦を格納する大型基地ごと時間を超えてきたのだ。

予定通りの場所に基地を固定する。
隠蔽技術は完璧だから見つかる心配は無いし、第一にこの時代の武器で敗れるような防御システムは搭載してない。
「じゃあさっそく『プロジェクト』を開始しよう。皆予定どおりに頼むよ」
皆がそれぞれの持ち場に散っていく。

そして俺はシオンと共にある場所へと向かう。
そう、ここから始めるために。
かつての自分との決別を。




ひっ、ひっく…
人気の無い小さな裏山で、幼い子供が膝を抱えて泣いている。
「ん? こんなところでどうしたんだい?」
突然声をかけられたのに驚いたのか、その子供はびくりと大きく体を震わせ、怯えた眼で突然の来訪者を見あげる。
「ああ、驚かせてごめん。そんなつもりはなかったんだよ」
見た目からして十代後半から二十歳あたりでそれなりに引き締まった体をしていた少し薄い茶色の髪と黒い眼の男はごめんごめんといいながら、その子供の50センチほどとなりに腰をおろす。
「君はなんでこんなところで泣いているの? もし迷子になったのなら家まで送っていくよ?」
「………」
子供は戸惑っていた。『妻殺しの息子』と忌み嫌われている自分にこんな優しく話し掛けてくる相手にはじめて出会ったのだから。
「…どうやら、何かワケがありそうだね」
そういいながらも男は優しい目で子供を見ていた。
「俺はこの辺りに住んではいない。まあ通りすがりだね。何かいいたいことがあるなら聞くことぐらいはできるよ。いいたいことを溜め込んでいても何も解決はしない、それは大人も子供も関係ない」
「…でも」
「まあ誰かに話すだけでもすっきりすることがあるってことさ。聞くだけなら通りすがりの赤の他人でもできるし、そのほうがいいときだっとてあるんだよ」
男の目は子供をまっすぐ見ている。一人の人間として。
(…なんでだろう…このひとは、信じられる気がする)
その眼をみた子供は、男が自分を『妻殺しの息子』というレッテルではなく自分を一人の対等な相手として見てることを心で感じていた。
「…実は…」
そしてその子供はぽつりぽつりと自分のことを話し始める。
名前は碇シンジといい、母を失い、父に捨てられ、今居る場所では『妻殺しの息子』として大人たちには忌み嫌われ同年代の子供たちからはイジメられていることを…
「そうか…辛かっただろう…」
男はシンジをぎゅっと抱きしめた。
「お、お兄さん?」
突然のことに慌てるシンジ。しかしそのぬくもりに心地よさを感じたので嫌がる真似はしなかった。
「…実は俺もな、幼い頃に身勝手な両親に捨てられたんだ」
「ええ!?」
「確かにそのときは絶望したよ…でも俺は生きてきた、それでも必死に。なぜそうしたのかは覚えてないけど、多分このまま何もせずに終わるのが嫌だったんだと思う。そのおかげか今は、大切な人や仲間がいるよ。人生ってヤツはそう捨てたものでもないって思えるようになった」
「お兄さん…」
「…シンジを見たら、急に昔を思い出してな。特にそうやって泣いてるところなんか昔の俺によく似ていた」
そういって男は苦笑する。
「で、シンジ」
そして真剣な目で男はシンジを見据える。
「…俺はお前の父親にはなれない。だが、兄・家族にはなれる。だから俺といっしょにくるか? 少なくとも俺は、俺たちはお前を捨てたりしない。昔の俺みたいな思いは絶対にさせない、約束する」
「…え?」
突然の申し出に眼を白黒させることしか出来ないシンジ。
だが、それはとても魅力的な言葉だった。
出会ったばかりだが、この男の言葉は信じられると理性でなく心がもう認めていたから。
男は立ち上がってシンジを見る。そしておもむろに手を伸ばした。
その意味は子供のシンジにもわかった。
この手をとることは、目の前の男と家族となって共にすごしていくことになることを。
幼い頭で必死に考えるシンジ。
(…このまま先生の場所に戻っても今までどおりの苦しい生活が続くだけ。それなら…)
そして…
ぐっ
今までの弱弱しい顔を拭い払い、シンジは決意を秘めた眼で、男の手を握り返した。
「…それじゃあ今から俺たちは家族だな。ああ申し送れた、俺の名前は神無月シンだ。これからはシン兄さんって呼べよ」
シンは子供のように無邪気に笑ってシンジの頭をなでる。
「…はい、シン、にいさん…」
照れくさそうに言うシンジだが、それはどこか嬉しそうで。
もう二人が出会ったときの悲壮な感じはどこにもなかった。
「じゃあ、いこうか」
シンはシンジの手をとって歩き出す。先生の家とは反対方向に。
だがシンジはもう一度も振り返ることは無かった。
(…僕も変わるんだ、シン兄さんみたいに…)
その決意は本物だった。

「シンさん」
裏山を降りたところで二人を待っていたのは紫色の髪を持つシンと同じくらいの綺麗な女性だった。
「シンジ、彼女は神無月シオン。つまりお前のお姉さんだ」
「え? じゃあ…」
「そう、俺たちの家族だよ」
「はじめまして、シンジ君。神無月シオンです。これからよろしくね。お姉ちゃんの言うことはちゃんと聞かないとダメだぞ」
微笑みながらシオンはシンジを抱きしめる。
(…あったかい)
「…碇シンジです。これからよろしくお願いします、シオン姉さん」
「ええ」
そして停めてあった車に乗り込んで三人はその場を後にした…

シンが運転する車の助手席で、シオンにだっこされるかたちで眠っているシンジ。
久しく忘れていた温もりに包まれたその顔は幸せだった。
「…で、髭の監視は」
「全部処理してあります」


時に2005年。
NERVは、最大の切り札と最大の鍵の片割れを永遠に失ったことになる。
それがこの先の流れをどう歪めていくのか。
臆病者の楽園に隠れ潜む輩は知る由も無かった…



[33] Re[4]:コレもEOEあとのシンジ君
Name: たいら
Date: 2003/08/19 19:17
そして、月日は流れ、2014年・3月。

某所の一角にある執務室にて。
「…なるほど、こう変わったわけね…」
神無月シンは集めさせた最新の情報に眼を通して呟いた。
「全て予想の範囲内ですね」
傍に立っていたシオンがそう答える。
「所詮あの髭に出来ることっていったらこのくらいのものだよ」
シンはデスクの上にその調査書類を無造作に放り投げる。
そこに記されてるのはSSSランクを含めたネルフの詳細な情報である。
「こっちの準備はどうなってるの?」
「”クサナギ”と”アマテラス”はすでに完成しています。”スサノオ”もラミエル戦までには間に合うかと。ただ”カナヤゴ”にはもう少し時間がかかりそうです」
シオンはそう報告する。
「各機動兵器は?」
「ベースの102を元に、103と105はロールアウトしています。フレームの異なる207と303もサキエル戦までには完成するでしょう」
「となると問題は”G”だけだね」
「”G”も完成はサキエル襲来前に終わるはずですが?」
シンの言葉に疑問符を浮かべるシオン。
「違う、問題はパイロットのほうだよ」
「あなたが乗るのでは?」
「それでもいいんだけどね…ちょっと思うことがあってねぇ」
シンはなにやら複雑そうな顔を見せた。




「ただいまぁ!」
何処にでもある平凡な一家屋(ただしそれなりに大きい)に明るく元気な声が響く。
碇シンジ改め神無月シンジ、12歳。
小学校卒業を間近に控えた、笑顔が素敵で実に将来が楽しみなナイスガイ(死語)である。
親代わりの兄・姉たちに愛情たっぷりと育てられた彼は本来持つ輝きを損なうことなく成長し、学校でも人気者であった。
「体を鍛えて損は無い。そして何でも学べ、きっと役に立つ」
という教育方針の家庭で育った彼は、教えた教師代わりの兄姉がよかったのかはたまた才能があったのか、小学生離れした体力と知力の持ち主でもあったのだ。
それに加え本来持つ優しさとそれなりに整った顔立ちが見せる柔和な笑顔で特に女子の注目をも一身に集めていたりする。
「あれ? 誰もいないや」
いつもなら一人の兄に15人の姉という大家族である以上、誰かは必ず家にいるのだが…今日はどうも違ったようだ。
「シエルねえさんもエルねえさんもリエねえさんもいないなんて珍しいなあ」
そんなことを思いつつも、自分の部屋にランドセルを放り込むとおやつを求めてシンジはキッチンに向かうのだった。
用意されていたドーナツを見つけ、頬張りながらリビングに来たシンジはテーブルに置かれたメモに気づく。
「何だろう?」
そこにはこう記されていた。
『シンジにとても大事な話がある。五時ごろ誰かが迎えに家に戻るから今日は遊びに行かず家に居なさい シン&シオン』
「? にいさんたち僕に何の用だろう?」
確かに色々連れまわされて少々死ぬような思いもしたが、それも今では楽しい家族の思い出である。
シンジは血こそ繋がっていないが、この兄・姉たちを心のそこから本当の家族と思っていた。全幅の信頼を置いているのである。
すでにシンジの頭の中では、自分を駅のホームに置き去りにしたり何処ぞに溶け込んだ身勝手極まりない遺伝子提供者のことなど微塵にも残ってもはいない。




そして今、シオンに連れられてシンジは今まで来たこともない場所にいた。
「…すごいや…」
いくら知識があろうとまだ12歳。
見たことも想像もつかない技術のある場所に連れてこられればこんな平凡な感嘆しかでてこない。
漫画やアニメに出てきそうな秘密基地に実際に足を踏み入れれば。
事実として兄や姉が何でも出来そうな人種とは思っていたが、さすがにコレはシンジにも予想できなかった。

そしてシンジは執務室でシンと向かい合っていた。
「にいさん、お話って何?」
「その前に聞いておきたいことがある。碇ゲンドウって覚えてるか?」
「? 碇ゲンドウ………ああぁ、僕の一応”遺伝子提供者”の片割れの名前ですね」
少し間を空けてシンジは答えた。が、それはとても嫌そうな顔で心底どうでもいいといった感じの声での返答だった。
「まあそーいうことだ。一応それを頭の片隅に置いた上でコレ、読んでくれ」
そういってシンジが手渡されたのは厚い紙の束だった。
「これですか? なんかやたら多くて難しそうですけど…」
やや文句を口にしながらもシンジはその束を読み始める。
そこには…


セカンドインパクト

使徒

EVA

ゼーレ

ネルフ

人類補完計画

などといった、世界で最高クラスの機密が余すことなく記されていたのだ。
それらを読み進めていくうちにシンジの顔が無表情から次第に激怒を必死に抑えている形相へと変わって行った…

「ふざけるな!!!」
読み終えた瞬間、シンジは怒りのあまり机を思い切り叩いて叫んだ。
普段が温和な分、滅多に見せることのないその怒りは並大抵のものではなかった。
「自分勝手な欲望で他の生命全て巻き込むなんて何様のつもりだ! そんな身勝手なことの為に僕は…」
あの男の血を引くと言うリ湯だけでその計画に否応なしに巻き込まれることを知ってしまったシンジの怒りは止まらない。
「落ち着けシンジ。俺たちは可愛い弟をそんなことに巻き込ませるつもりは断固として無いぞ」
シンはそん弟に優しく語り掛ける。
「にいさん…」
見慣れた顔にある真実と優しさに気が付いたシンジは、ようやく落ち着きを取り戻す。
「でも相手が国連じゃあ無理やりにでも連れて行かれるんじゃ…」
「その心配は無用よ。実はあなたというか”碇シンジ”は戸籍の上ではもう鬼籍に入っているから」
「なるほど」
シオンの言葉にある程度納得してしまうシンジ。
(そうだ…僕は”碇”シンジなんかじゃない。僕は”神無月”シンジだ。僕の家族はシン兄さんとシオンねえさんたちだ。あの髭なんかじゃない!)
今見た資料の碇ゲンドウの顔を思い出したシンジはその顔を頭の中で真っ黒に塗りつぶし、その上のスペースに兄と姉を改めて念入りに書き込んだ。

「あ、でもにいさん。これだけ知っているのに誰にも知らせたりはしなないんですか?」
「それはもっともな疑問だね。ただコイツラは表向き”だけ”国連の機関だからうかつにパッシングできないんだよ」
「かといって放っておいたら間違いなくこの計画は実現してしまうわね」
シンとシオンはそう言い切る。
「じゃあ…」
打つ手無しなのか…とシンジが半ば思い始めたとき、シンは言った。
「だからといって俺はこれっぽっちも手をこまねいて見ているつもりは無いぞ」
「え?」
「その後の話も含めて俺は今日シンジを呼んだんだ」
シンはじっとシンジを見据える。
「知ってしまえばお前はもう今までのような単純で平凡な生活だけを過ごすことは出来なくなる。その覚悟があるなら先の話をしよう。だがその覚悟が無いなら今見たことは全て忘れろ。お前には何も言わず、俺たちだけで進めるから。今までずっとそのために動いてきたからな」
「………」
(…なるほど、僕をああやって歳不相応に鍛え上げて来たのはこのためだったのか…)
思っていた以上にシンジは冷静に現状を把握・分析していた。
(…悔しいが僕があの髭の遺伝子を受け継いでる事実は消せない。だから寝惚けた計画を止める義理は少しはあるよな…それに今知ってしまったことだけでも見知らぬ真似なんてできない…何より僕の力が、敬愛するにいさんねえさんの役にたつなら…)
ぎゅっと強く手を握り締めるシンジ。
(弱い自分に負けちゃだめだ。僕はあのにいさんねえさんの弟だ!僕に出来ることがあるならそれをすべきなんだ!!)

「…その先まで、お話、聞かせてください…」
そういってシンジは兄と姉を正面から見据える。
その目つきは、まさに一人の男の目だった。

「わかった、ついてこい」
シンとシオンは執務室を出て行く。
「はい!」
シンジは大きな返事と共にその後を追った。



[33] Re[5]:コレもEOEあとのシンジ君
Name: たいら
Date: 2003/09/12 01:25
そして時は又流れ、2015年…

「よく頑張ったな、シンジ」
シンはシュミレーターから降りてきたシンジを笑顔で迎える。
「ううん、兄さんたちが小さい頃から僕をちゃんと育ててくれたおかげですよ」
裏の無い兄の賞賛に照れるシンジ。
「で、”G”はどうだ?」
「ばっちりです! これならいつでも出撃できます!」
兄の問いに、今度は自信たっぷりで応えるシンジ。
「言うなコイツ、でも皆がちゃんとシンジをサポートする。俺たちは決してお前一人に戦わせはしない。だから無理はしなくていいんだぞ」
「無理なんかしてません。それに兄さんたちを信頼してますから」
「こいつ」
シンはシンジの頭を上から押さえつける。
シンジは逃れようと体を捻るがシンの力は強く、なかなか振りほどけない。
しかし、そんな二人は偽りの無い笑顔を浮かべていた…


その日の夜。
執務室にシンとシオンの姿があった。
「早いものだ、こっちにきてもう10年になろうとしている…」
手にしたコーヒーカップをデスクにそっと置いて、シンはなにやら感慨深く言葉を口にする。
「明後日には、サキエルがきますね…」
シオンは窓の向こうの月を見ながらそう言う。
「ああ、これが俺たちの新たなる第一歩だよ」
「10年、待ったんですもの。長かったですね…」
「そうだね。本当に長かったよ…途中で何度あの髭と老人どもをこの手で捻り潰してやろうかと思ったことか」
シンはこの10年を思い返して険しい表情になる。
それはシオン以外誰も見たことの無い、”憎悪”を秘めた修羅の顔。
一度は消えたと思った怒りの感情だが、過去に帰還し、その感情を向けるべき相手が確固として存在するとなれば話はまた変わってくるようだ。
「私たちが知る歴史と、殆ど変わりがなかったんですものね…」
シオンはそっとシンの震えかけたその手を握る。

迂闊に干渉して余計な流れを作るつもりがなかったので、自分たちの足場固め以外はノータッチできたツケだったのだろうか?
そもそもにシンたちは他人のことなどお構いナシが基本スタンスではあるが、流れがそのままイコール悲劇の種が巻かれるのを見て見ぬ振りをしたきたということだ。
「ネルフやゼーレと関わるのが嫌でこうしてきたけど、ヤツらと関わららないことは同時に何の罪も無い人々を見殺しにするのと同じか…他人にそうこだわるつもりもないけど…結果的にあいつらと同じ行為をしちまったことだけが気に食わねぇ…」
例えばかつてのクラスメート。彼らは皆パイロット候補だった。
考えてみればコアが用意できるということはその彼らの親の命をどうこうしたのは間違いなくネルフの連中だろう。
彼らに罪は無い…だがネルフの身勝手に否応ナシに巻き込まれてしまったのだ。
「マジ碌なことしねえんだな、あの老人と髭どもは…」
「…でもだからこそ、きついお灸を据えてやる必要があるんですよ」
シオンは優しい笑みを浮かべてシンを見つめる…
「そうだったね…俺は自分の都合で君やかつての使徒たちや、過去の自分まで巻き込んだ。今更自己嫌悪でブルーになるほど無責任になるわけにはいかないな」
「私は私の意思で、あなたのそばにいることを選びました…気にしなくていいんですよ?」
そのシンの言葉にごまかしのない言葉を紡ぐシオン。
「それでもやっぱり、こんな道に着き合わせたのは俺だから。…なんか甲斐性ナシでちょっと情けないかな?」
苦笑するシン。
「やっぱり優しいんですね…”シンジさん”は」
”かつての名”で彼を呼ぶシオン。彼を見つめるその瞳は何処までも透き通っていて…
「そんな大層な人間じゃないよ”僕”はね…」
「でも、そんなあなただから私は…」

二人だけの部屋。
月だけがが見つめるその場所で
影が重なる。




「俺は当日、イルとリエと一緒にドグマに潜る。”リリス”対策とMAGIの制圧をするから。…シンジのバックアップ、頼んだよ」
「はい…」
ベッドの上で、二人は算段をする…
「イザナギとシオンの303があればサキエル戦は問題ないよね? まだ弐号機はドイツだし、初号機は怪我した綾波だからすぐに止まるでしょ。万一暴走したところでシンジの”G”にあのガラクタが敵うわけないしね」
「…ちょっと複雑です、その言われよう…」
かつての自分を卑下されて、シオンはあまりよい気がしないようだ。
「…時期がきたら、こっちの初号機もちゃんとサルベージするから」
拗ねたような眼で見つめられ、腰が少しばかり引けたシン。
「うー」
シオンはまだ完全には納得できなかったらしい。
「明日、サキとラミは102&103でアマテラスと南極に”鑓”の回収にいってもらう。シエルは207でドイツへ、ディアとミサのサポートつけて”アダム”回収してもらうよ」
「忙しくなりますね」
「でも、これでようやく舞台の幕が開くんだ。さあ出演者の皆さん、俺が脚本・演出・監督を務める史上最大の演劇にふるってご参加願いますよ」
そういいながら少々意地悪く笑うシン。
シオンはそんな彼の横顔を、ちょっとばかり困ったような笑みで見つめるのだった。


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