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[9339] 墨染めのワンピース(ワンピース:オリキャラ憑依)
Name: 暇奇人◆9df5a484 ID:d009b573
Date: 2009/09/06 01:24
前書き&注意書き

これは題名の通りワンピースの世界の二次創作です。

オリジナルのキャラクターを出して原作とはほとんど関係のないところで話を進めていきます。

もちろん原作キャラと関わることもありますが、その場合結果的には原作通り話が進みます。

そのためネタバレがあります。

この作品にはオリジナルの悪魔の実が出てきます。

その他の設定は出来るだけ守りたいと思います。

基本強キャラですが、憑依でもありますのでネタ技が出てきて最強やったりします。

不定期更新ですので投稿に間が空いたりします。

つたない文ですが、お楽しみいただければ幸いです。
 
なお、歴史背景はWikipediaのONE PIECEの世界における年表を利用しています。

もっとも、時間的にズレは出てしまいますが、少しは黙認お願いします。


追伸

チラ裏より移動してきました。

まだまだ文章にあらが目立つと思いますが、ご容赦くださいm(_ _)m





[9339] 第一話:せめて悪魔の実は自分で選びたかったです
Name: 暇奇人◆9df5a484 ID:d009b573
Date: 2009/08/21 18:18





ゆさゆさ、ゆさゆさ

俺が寝ていると誰かが身体を揺すってくる。あげく耳元でギャンギャンと・・・。全く俺は眠いんだっつーの。

昨日仕事でへとへとになっても、根性でジャンプの新刊だけは読んで寝てー・・・。

てゆうか今日休みじゃねーか。くだらない事で起こしたんなら殴る、と意識を浮上させ始める。

「・・・・・・・きろ!起きろってキース!!」

キース?誰だそりゃ?人違いじゃねーか!!!オノレ許さん(怒)

「じいちゃん、キースが目ぇさまさねえよ!」

「落ち着かんかエース。脈もあるし息もしとる。・・・にしても泳ぎの得意なキースが溺れるとはのぅ。」

溺れた?確かになんか体が湿っぽくて気持ち悪い・・・ってことはキースってのは俺の事か?

「むぅー・・・」

まだ頭が少々ぼんやりするが目を開き周囲を確認する。

ってどこだよここ?!ジャングルのど真ん中?!

一瞬で目が覚め飛び起きる。改めて見回しても周りは写真でしか見た事が無いような風景だ。

訳が分からん、昨日は間違いなくベットで寝たはず。

「お、目が覚めたかキース」

混乱する俺に後ろから声がかけられる。慌てて振り返るとそこには・・・“拳骨”のガープ中将がいました。


あるぇー?










第一話:せめて悪魔の実は自分で選びたかったです















あの後パニックになった俺を落ち着かせる為ガープ中将の愛の拳骨をいただきそのまま気絶。

目を覚ました後、記憶が~という事をやってもう一発拳骨→気絶。

こっちにもショック療法があるのはともかく、一瞬の躊躇もなくそれを選択するとかアリエネエ。

もう一度目を覚ました後、もう拳骨をもらいたく無いので、色々ごまかしながら質問してみた。


何でも今の俺はモンキー・D・キースというらしい。名前から解るようにモンキー・D・ガープの孫で、エース、ルフィの従兄弟らしい。

今の年齢はルフィがゴムゴムの実を食った頃と同じくらいか・・・。あとエースとは同い年。

キース君の父親は海兵だったらしいが海賊にやられ、母親はその時のショックで病気となりそのまま・・・・・・・

その後じいちゃんに引き取られたそうな。



うん、どう考えてもオリキャラ憑依だね。マジアリエネェ・・・



で、キース君が俺に憑依されるようになった原因って言うのが悪魔の実なんだとか。


いや、元々の原因はガープ中将か。原作でもルフィがくらったじいちゃんの特訓、あれにエースとキースが強制的に参加させられたらしい。

今回の特訓内容は“ジャングルでのサバイバル”。あの年頃の子どもを二人ジャングルに置き去りとか酷すぎる。


サバイバル技術を教えられているとはいえジャングルは過酷すぎたらしい。

それで空腹になったキース君は宝箱に入ったいかにも怪しげな木の実を食べちゃったんだって・・・エースの目を盗んで。

その後川(結構深い)を見つけて魚を捕りに飛び込んだとか間抜けすぎる。


泳ぎは元々得意だったみたいなんだけど、悪魔の実食べたから溺れるという自業自得を発揮してくれた。

エース?ふざけてると思って笑ってたらしいですよ。さすがに沈んだまま浮かんでこなくて慌てて助けたみたいだけど。

それで、影ながら見守っていたガープ中将に救命措置を施され一命を取り留めたそーな。

ガープ中将もいきなり川に飛び込むとは思わなかったそうで、ぼーぜんとしちゃったらしい。というか悪魔の実食べる前に止めろよ。



迷惑な事にその時に俺が取り込まれたらしい。あれか?ジャンプを枕にした罰が当たったのか?



まあ俺の方の原因は不明だが、なっちまったもんはしょうがないと何時かは開き直れたらいいなー・・・。はぁー・・・。







で、ジャングルからの帰り道、海軍の船に乗ってたらいきなり海賊との戦闘になったよ・・・。

砲撃戦に始まり、銃撃戦、乱戦へと突入、俺は震えてるしか無かったですよ。

後で知った事だが、あの場所って新世界だったらしい。

道理で海兵も海賊もメチャクチャ強いはずだよ・・・

自分の世界との戦闘能力の差を思い知らされたよ・・・orz


ああ、鬱だ。私は貝になりたい・・・。引きこもり的な意味で(泣)


で、実際に引き籠もったらあっという間に襲撃されました。

やっぱ海軍中将相手にあの程度のバリケード何の意味もなかったようです。

制作時間3時間の巨大バリケードがこぶし一発で綺麗に吹っ飛びました。俺と一緒に・・・


じいちゃんと一緒にいた方が命が危険な気がするが、幸か不幸か今の生活は結構安全だったりする。


何せ今俺が生活しているのは海軍本部近くにある、海兵達とその家族の暮らす町マリンフォードだからだ。

さすがは中将だけあって中々良い暮らしをしてる。

聖地マリージョアが直ぐ近くにあり、海軍最高戦力が揃っているこの場所で騒動などほとんど無い。

ある意味世界で一番安全な場所だしね。天竜人にはマジでむかついたけど。

まあそんな訳で安全が保証された俺は改めてこの世界を見てみた。

周りに目を向けて見ると、元の世界とは違いおもしろさであふれていた。なにせ見る物ほとんど俺の元居た世界とは違うからね。

おまけに海軍本部ってマリージョアの海の玄関口も兼ねてるから、天竜人の元に運ばれる物の一部がここでも買えるんだ。

見て楽しい、食べて美味しいというのはうれしい限りだ。



あとこの家に住んでいるのは今ん所、俺とエース、それとじいちゃんだけだった。

それと俺たちの養育係が一人いる。

で、一番気になったルフィの行方だが既にフーシャ村に預けられているという話だ。

まだ3歳ぐらいらしいが、何か事情があるんだろうねー。

俺の知ったこっちゃ無いけどさ。

ホントはキース君とエースもフーシャ村で暮らしていたんだけど、特訓と言うことで連れてこられたんだってさ。

その後直ぐフーシャ村に帰される予定だったんだけど、海賊の活動が活発になって俺たちを送ることが出来なくなったんだと。

中将ほどの戦力を遊ばせて置けない状況って事らしい。

今でも時々帰ってきては稽古を付けてくれている。




さて、死んだら元に戻れるとは限らない以上この世界で生きて行くしかないわけだが、本当どうしよう。

海賊やらなにやら危険がいっぱいのワンピースの世界。うかつに生活していたら軽く死にかねんし、体を鍛えるのは必須事項だな。

文字とかはキース君が残してくれた知識で何とかなるけど。

まあどちらもガープ中将、いや、じいちゃんに頼めば色々教えてくれるだろう。

今の生活を考えると海兵になった方が安全な気がする。少なくとも海賊になるよりは生存率は上がると思う。

何せ原作のルフィの旅路を思い返すと、死亡フラグ満載すぎる。

インペリアルダウン脱獄編の時点で、王下七武海で遭遇してないのはドフラミンゴだけとかもうね・・・。

元のクロコダイル、新の黒ひげを考えると七人、会ったら死ねるレベルの連中とこんだけ会ってるんだもんなー。

全員と戦ったわけではないけど、くまには全滅させられてるし。

そういや三人しかいない海軍大将のうち青雉、黄猿の二人にも会ってたな。しかも両方負けてるっぽいし。

「うん、やっぱり海兵だな」

海軍ってやられ役のイメージがあるし、危険の最前線に立たなきゃいけないけど、中にはろくでもないのもいるみたいだし。

ある程度の強さがあれば支部長ぐらいにはなれるんじゃないだろうか。

そういやネズミとか言う金でのし上がったのもいたな。俺もじいちゃんのコネで何とかならないかなー。

でなけりゃ青雉とかの腰巾着にでもなって安全に行くかな?



「まあそれは追々考えよう。それよりも・・・」

そう、今一番気になるのはこの体に宿った悪魔の実の能力だ。

パラミシア(超人系)、ゾオン(動物系)、ロギア(自然系)。

三つのタイプで言えば当然ロギアが一番魅力的だ。撃たれたり斬られても死なないし、効果範囲も広い。

何よりその威力は強力の一言に尽きる。エースがいずれ食べる事になるメラメラの実は周囲一帯火の海に変えれるしね。


よーし、おらなんかわくわくしてきたぞ!






何はともあれいざ実践・・・とは言う物のどうやったら発動するんだ?

原作の連中とかぶる事は無いと思うが(物によってはかぶったらストーリーが大幅に変わっちまう)発動方法が微妙なのも多いんだよな。

ブルックのヨミヨミの実なんか本人知らずに食ったら死ぬまで解らんし。

まああれはブルックがすでに食って、現在も生存?しているから無いだろうけど。


俺をこの世界に呼んでお終いとか無いよね?


取り敢えず恐る恐る手を伸ばし何か出ろー、と念じてみる。すると段々と指先から体が黒く染まっていく。

まさかこれってヤミヤミの実?!原作変わっちゃうじゃん、と思ったが何かちょっと違う。

ヤミヤミの実は何かこう立ち上るような感じだが、俺の手はどちらかと言うと滴るといった感じ。

ドクドクの実真っ黒バージョンって感じ?

首をかしげつつ何かに付けてみれば解るかなーと思い、左手の方を元に戻し近くの紙切れをとってみる。

人差し指を紙に向けて見ると指先が見覚えのある形に変化する。

「えーっと、これってまさか・・・」

ひっじょーに嫌な予感がしつつ紙に指をはわせる。そしてそれは予想通りの効果だった。

うん、我ながら実にへたくそだ。震える指をはわせた為、判別に苦しむほどのいびつな形になっている。

俺はその効果を信じたく無かったのでもう一度指先を紙に向ける。今度変化したのは爪の部分。でもやっぱり見覚えがある。

今度は爪を紙にこすりつける。今度は震えが無かったので紙の上に思うとおりの物ができあがった。

だがそれを見て俺は絶望しか感じなかった。これでどうやって戦えっつうんだよ!!

紙の上には非常に綺麗な字でモンキー・D・キースと書かれていた。




「これ、きっとスミスミの実だ・・・(orz)」



















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今回の一言

大幅改訂してみました。



[9339] 第2話:能力は使い方次第だと身をもって知りました
Name: 暇奇人◆9abf2946 ID:d009b573
Date: 2009/08/12 23:05







ある日、俺の能力を知ったガープとエースに爆笑されちゃいました。チクショウ

その日から暇な時間は自分の能力の使えなさを再確認しては落ち込む、といった事を繰り返している。

あそこまで爆笑されるとマジ凹むわー。

うん?どんな能力かって?まあ順を追って説明していこうか。

前にも言ったとおり今の俺の体、その元々の持ち主キース君が食べた悪魔の実は“スミスミの実”らしいんだ・・・。


能力はズバリ“墨” 。うん、実にストレートだねー。


後付属効果として指先が筆記用具に変化したりした。

最初に能力発動させたとき指先に意識を集中したら毛筆に変化しちゃったんだ・・・。

他にも爪の部分は万年筆の先っちょみたいに変化します。

あと新たに確認できた能力だが、どうやら入れ墨もいけるらしい。自分限定で好きに体に入れ墨を浮かべられる。もちろん消す事も出来る。

だからどうした、といった程度の能力でしかないのが悲しいところだ。墨だけあって黒一色しか出せないから保護色にも出来やしねえ。

パラミシア(超人系)なので液体になって回避とか出来ないし・・・。

まあドクドクやドルドルみたいに遠隔操作出来るのはせめてもの救いだが、目つぶしくらいにしか使えねえ・・・・・




って、こんな能力でどーやってこの世界で生きていけっつーんじゃ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!

戦闘能力皆無じゃねーか!墨ぐらいはっちゃんだって出せてたよ?!

あれか?!ペンは剣よりも強しとでも言うつもりか?!!















第2話:能力は使い方次第だと身をもって知りました





















今日も今日とて落ち込んでみる。

一人ぽつんと部屋の隅っこで体育座りしながら紙くずに能力で落書きをする。

エースは薄情にも一人で遊びに出かけていったしさ。俺の出すオーラに耐えられなかっただけかもしれんが。

「エースはいいよなー。火だもんなー。うらやましー」

ぶつぶつと呟きながら指を動かす。

「火ー火ー火ー」

そう呟きながら紙に“火”と書いてみてまた落ち込んだ。

俺は親の敵といわんばかりにその字を睨み付ける。が直ぐに目をつぶりため息をつく。

「はぁー・・・・」

何か段々むなしくなってきたな・・・。

そろそろ前向きに体を鍛えるとするか。悪魔の実無しでも強い人はいっぱいいるしな。

そう考え目を開くと紙が燃えてました。しかもズボンに燃え移ってるし・・・・

「って、あっちゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」

俺七転八倒。ごろごろ転がってると何とかズボンの火が消えた。

そして慌てて紙から燃え移った火の消火を行った。








消火活動を終え、一息ついた後、俺は何でこんな事になったのか思い返してみた。

当然俺が落書き中に辺りに火の気は無かった。となると何か他に原因があることになる。


そして今までと異なった事は点はたった一つ。


はやる気持ちを抑え、燃え残った紙を手に取る。そして先ほどと同じく紙に“火”と書き込んでみる。

で、紙を皿の上に置き念じてみた。


そして次の瞬間字から煙が上がり、あっという間に火が熾り紙を燃やし尽くした。



それを見た俺は、

「いよっしゃ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!!!!!!」

喜びを押さえる事が出来なかったんだ。






「いよーーーーーーーーーっし!!これで勝つる!!」

今までの鬱状態とは打って変わって、超ハイテンションな俺。

だって今まで全く使え無いと思ってた能力が、使い方次第では強力な武器に変わると解ったんだ。

そりゃあテンションも上がるってもんですよ!!

今ん所“火”しか試してないけど、俺の“スミスミの実”で書かれた文字は、その意味道理に効果が発揮されるらしい。

一瞬これって実は“モジモジ(文字×2)の実”じゃね?とか思ったが、まあ使えりゃ良いやとスルー。

ただの絵の具で技出す人もいたしね(ミス・ゴーデンウィーク)。


そんな事より書いた文字で効果発動とか、これなんて文殊?

あれってほとんど不可能ないし、そこまで行かなくても汎用性が無茶苦茶高い。

俺ならば、この世界の人間がこの能力使うより、凶悪な使い方が出来る自信がある。



何故ならば!!俺には元の世界の様々なネタがあるのだから!!!




テンション上げてたら、いつの間にか帰ってきてたエースに「大丈夫か、こいつ?」的な目で見られてクールダウン。

さすがに気まずかったんだ・・・。最近鬱って心配かけてたし。

あと帰ってきたじいちゃんにはボヤの跡が見つかって、愛のGENKOTUをいただきました。

こっぴどく叱られたとき原因を聞かれましたが誤魔化しちゃいましたよ。

能力発動でボヤ騒ぎとか恥ずかしいじゃん。能力ショボイとまた笑われたら今度は立ち直れんかもしれないし。

ただ字が書けるだけの能力ではない事が解ったが、それが何処まで使えるのか解らなかったしね。


そう考えるとさっきまでテンション上げてたのがハズカシイ。





さて、ボヤ騒ぎの次の日、俺は町から離れた丘を流れる川、その川縁で能力の実験を始めた。

取り敢えず最初に発動した“火”の文字をおさらいしようと思う。持ってきた紙に書き込み念じると比較的簡単に発動した。

「でも大分ちっちゃいな、これ」

そう、発動した火の文字はマッチ棒程度の火をおこした程度で、紙を燃やして消えてしまった。

「ふむ、まあある程度は予想道理だな」

俺は次の紙を取り出し今度は“炎”と書き込み発動させる。

“炎”は焚き火ほどの火をおこし一瞬で紙を焼き尽くし消える。

「うーん、どうやらある程度字に対する俺のイメージが反映されるみたいだな。まずは一文字で色々発動さて見るか」

雷、爆といった文字は簡単に発動した。イメージを押さえたので雷は静電気程度、爆は爆竹ほどの爆発を起こして紙がはじけ飛んだ。

逆に水、土といった物は発動しなかった。さすがに紙から別の物を作り出すのは不可能だったようだ。

あと冷、震という文字は発動時間も長く紙自体も残った。冷えピタシートやマッサージ機代わりにちょうどいい。

ただ、紙が残っても効果が切れた後は字がにじんでしまい二度と発動しなかった。

「一回使いっきりか・・・」

重、硬といった物も紙は残った。紙自体の性質を変える文字な為若干発動が不安だったが問題なかったようだ。

重はただの紙切れが数㎏の重さに変わり、硬は簡単には曲がらないほどの強度を持った。

うれしい誤算だったのが、こういった性質変換は持続効果がすごく長い。それに効果のオン、オフが出来るようだ。

ついでに水で墨が落ちないか試してみたけど、予想道理アウトだった。まあ消したくなかったら防水加工すればいいし、防水の筒にでも入れればいいや。

丸めたり折りたたんだりしても発動するし。クシャクシャに丸めたら使えなかったけど。



んで、次はイメージを強めて同じ字を発動させてみたが、効果はそれほど変わらないみたいだった。

文字の大きさを変えたりしてみたが、若干効果に変動が出たがそれほどの差ではなかった。

「やっぱり強い意味を持つ字を使った方が効率的か・・・。それはともかく次からが一番重要だな」

そう、今書き込んだのは“火炎”。

これから行うのは複数の文字が複合して発動するか、尚かつどれほど効果が変わるのかの実験だ。

先ほどより離れて効果を発動させると、ゴウッという音と共に一メートルを超える火柱が上がった。

「うん、ここまで来ると戦闘でも使えそうだな。さて何文字までいけるか・・・」

こういった能力は文字を増やせば威力が増す物と相場が決まっている。だから、3文字、4文字と徐々に増やしてみることにした。

3文字は“火炎弾”を選択。ただ、これはそのままだと発動しなかった。

これは地面に置いて試していたので、自分の中の「飛んでいって炸裂」というイメージと離れていたのが原因だった

紙ヒコーキにして飛ばしてやったら燃え上がり加速。まさにファイヤーボールといった効果が出た。

4文字目は“火炎放射”。特大の火柱が上がったが、素材が紙の為一瞬で消えてしまった。

「次からは紙以外の素材も持ってこないとな」

5文字目は“蝦蟇油炎弾”、そうNARUTOで出てきたあれだ。

これが使えりゃジャンプ世界でもやっていける、そう思い書き込み、いざ発動させようとしたら滲んでしまった。

「精神力も減らないし、威力が強すぎて使えないって事かな、これは」

そう思い“風遁大突破”と記入して扇いだら発動したし。

試しに字数の少ない大技を色々書き込んでみたらやっぱり滲んでしまった。

「畜生、“重力波砲”も“波動砲”もダメか・・・。せめて“竜破斬(ドラグスレイブ)”が使えりゃ大暴れできんのにな・・・。

盗賊殺し(ロバーズキラー)ならぬ海賊殺し(パイレーツキラー)とかな。でもゾロの海賊狩りと被るか」

でもこんだけ使えりゃ何も海兵にならなくてもいいんじゃね?とか思った。

どうせなら冒険者としてこの世界を見て回りたい。新世界はともかくとして。

うん、海兵になるとしても、ルフィが海賊王になった後でもいいか・・・・・



ここまで実験してきて解った事がもう一つある。

ただ墨を出すだけならリットル単位で出しても疲れなかったんだが、文字として発動させると凄く疲れる。

一文字程度なら大したことではないんだが、字数が増えれば発動した瞬間精神力がゴッソリ持って行かれる。

それと性質変化みたいな効果の持続するタイプは、発動中常に精神力が削られるようだ。

現在精神疲労で倒れそうです。日も暮れてきた事だし帰るとするか・・・。

何とか家までたどり着いたが玄関先でぶっ倒れました。

















[9339] 第三話:ネタで実験するのは非常に危険でした
Name: 暇奇人◆9abf2946 ID:4a9fd7a9
Date: 2009/07/18 15:40




次の日の朝目が覚めたらエースとじいちゃんに凄く心配されました。

「だから大丈夫だって。昨日はちょっと遊びすぎただけだって!」

嘘は言っていない。最後の方のネタ技はほとんど遊んでたしね。

「ホントに大丈夫か?」

「無理をするなよキース」

何とか説得しないと実験が出来ないから結構必死なんだ。

それと今日の実験に必要な物も揃えなきゃダメだしな。

しょうがない。じいちゃんが喜びそうな言葉を交ぜつつおねだりしてみるか。

「ねえねえ、じいちゃん昨日は遊んだからさ今日は修行しようと思うんだ。
 それで剣の修行がしたいから剣か刀か貸してくれないかな?」

そう、今日の実験は武器類に付属効果を与えてみようと思うんだ。

昨日の実験で思いついたもう一つの使用法で、刀に最上大業物とか書いたらどうなるのかといった物だ。

それに斬魄刀とか再現できりゃあ怖いもんなんかほとんど無いしな。

「うーむ、そこまで言うのなら・・・」

倒れた件もあり大分渋っていたんだが何とか説得成功。

うれしい事に、予想に反して海軍の武器庫に連れて行ってくれるらしい。

職権乱用とか思ったが自分の為にも黙っておこう。

元一般人の俺が本物の武器を見る事なんてほとんど無かったならな。

今から楽しみだよ。
















第三話:ネタで実験するのは非常に危険でした

















さて、やってきました海軍本部武器庫。

いやあ流石は本部。今俺の目の前に並ぶ大量の武器も、いくつもある保管庫の一つにすぎないんだとか。

「武器を選んだら入り口の係員に言うんじゃぞ。ワシは仕事があるからこれでの」

じいちゃんはそういって出て行くが、俺はそんな事より武器に夢中だったんだ。

うーん、あるわあるわ。剣に槍、銃、鎧。数えるのも馬鹿らしくなるぐらい置かれている。

刀剣類だけで一体幾つあるんだ?

まあ今の体じゃあんまりでかいのは使えないんだけどさ

「そうだ、こんだけ武器あるんだ。見学しつつ倉庫内で出来るものを試していくか」

まずは男のロマン、銃のおいてある辺りに向かう。





「ふーむ、これがこの世界の銃か」

元の世界にもあったよな、この手の銃。フリントコック式だっけ?

銃も好きなんだけど、これ単発式だったよな。どっちかって言うと火縄銃に近い構造だっけ?

マシンガンとかなら撃ってみたいけど、これだと弾込め、めんどくさそうだな・・・・・

10年すればリボルバーみたいなのは出るんだったっけ?レーザーがあって、何で他の銃火気がこんなに貧相なんだか。

銃の開発しよっかな?でもなー、海軍に戦力傾きすぎんのもな。

それに、銃が出張りすぎると『英雄』ってやつが出てきにくくなるんだよねえ。参謀とかは別としてね。

軍人としては間違ってるんだろうけど、たった一人が戦列に並ぶだけで戦局がひっくり返るってのは憧れるのさ。

この世界なら能力者とかいるから一概にそうとも言えないけど、最強って言われた人間が一発の銃弾で終わりじゃあねえ。

ところでクリークとかあんだけ全身に装備して弾込め、めんどくさく無かったんだろうか?

そもそも銃って俺の能力とはあんまり相性良くなさそうなんだよね。銃弾にちまちま字書いてられるか!!

「よし、銃はパスで」





「やっぱ使うならこっちか・・・・」

接近戦闘は怖いんだけど、四の五の言ってられんな。弱けりゃリアルに死にかねんからな。

刀、剣、槍。その他近接武装。

間近で見ると、どれもこれも鈍い輝きを放ってて、見てるだけでゾワゾワくるよ。

これで人の命を奪わにゃあならんのか・・・・・・・

「出来なければ、これらで俺が殺される、か」

うう、ションベン漏らしそうだよ。

取り敢えず刀を手に取ってみるが、

「重っ!!」

何じゃこりゃ?!重すぎて持てんぞ!!

むう、これじゃ実験ができんだろうに・・・・・

「そうだ!いー事考えた(ニヤリ)」

俺は甲冑の並ぶ方へ向かう。その中でもハガレンのアルみたいなフルプレートの前に立った。

台座を使い、胸と腹の部分に“傀儡”とデカデカと書き込んだ。

「くくく、お前に仮初めの命を与えよう。さあ動き出せ鉄塊よ!!」

うーん、気分的には悪の総帥って感じだねえ。

ガチャンッ、と重そうな音を立てながら甲冑は動き出した。

うーん、ノリと思いつきでやってみたが上手くいったか。なんだかんだいってこれが最大の成果かも・・・・

今の俺じゃ10体も同時に動かしゃ混乱するだろうけど、慣れれば100はいけるだろ。

そうすりゃ、それだけでかなりの戦力になる。

おまけに鎧の内側に字を書いとけば、その部分が壊れない限りずっと戦い続けれるしな。

「まあいいや、そろそろ外に行くか」

俺は甲冑に色々武器を持たせ、受付に進む。

「すいませーん、受付さーん」

「はいはい、何だね坊や」

「こんだけ武器借りてきたいんですけど?あ、これ許可証」

「えー、ちょっと待ってね。ふむ、ガープ中将のか・・・・うん。持って行きなさい。
ただし、本部内からの持ち出しは禁止って書いてあるから、使い終わったら返してね」

「はーい、解りました」

そう言って、俺は甲冑を引き連れ保管庫を後にした。

「はて?あの子以外保管庫の中に入ってったけ?」

困惑する係員を残して。










俺は武器満載の重甲冑を借りて兵士の訓練場へ足を運んだ。

出来ればあんまり能力使ってるところ見られたく無かったんだけど、まあしゃあないでしょ。

それに、じいちゃんから修行するならここでやれと言われてるしね。昨日ぶっ倒れたのが心配だったみたいだ。

まあ隅っこの方で試せばいいか。試し切りの出来そうな丸太の方へ向かっていき、とりあえずナイフで色々試してみた。

元々の切れ味は木に傷を付ける程度だったけど、最上大業物と書いたとたん切れ味が大幅アップしました。

「元が刃物な分、言葉との相性が凄く良いな」

やはり書き込む物は重要だったようで、同じ文字でも紙に書くのとは違った使い方が出来そうな物もあった。

たとえば刀身に“火炎”と打ち込んだら燃えるナイフにバージョンアップしました。オンオフ機能まで追加されていたし。

書く文字の意味だけではなく、書き込んだ触媒の本質と組み合わされて発動するって事か。

文字自体が発動するんじゃなくて、触媒が能力を発揮しているんだな。

“火炎”なら火炎+刃物で火炎剣って所か。

この分じゃ“毒”とかって書いて、発動しても相手に毒の効果が移らないって事になりそうだな。

道理で紙じゃあ発動しないのが幾つもあるはずだよ。

「精神力の減りを考えなければ、だいぶ使えるな」

ふむ、だったらこういうのはどうかな。

“徹甲作用”をつけたナイフを投擲してみたんだが、的になった丸太に根本まで突き刺さり、もうちょっとで丸太を吹き飛ばすところだった。

「すげえ威力だな。元々徹甲作用は投擲技法だから不安だったんだけどな」

うーん、何か色々大雑把な所もあるのかこの能力・・・・・・

で、次の武器を見繕おうとしたんだけど、隅に置かれた箒に目がとまってしまった。

「ふむ、まさかな」

洒落をこめて、“飛翔”入れてみたんだけど、明後日の方向に飛んでいっちゃいましたよ。

ぽかーんとしながら、つい「宅急便」って言っちゃいましたよ・・・・・

大雑把な訳じゃなく、悪魔の実が何でもありって事でしたか・・・・・・・

「まあ、あの様子じゃ制御がめんどくさそうだ。次行ってみよーーー」

うん。見なかったことにしよう。






で、色々実験しててんだけどさ、ついネタに走ってやっちゃたんだ(笑)


「万象一切灰燼と為せ“流刃若火”!!」


効果を発動させた次の瞬間、俺の意識は途切れた。


















目を覚ました次の瞬間体を激痛が襲う。痛みに身をよじったらより一層痛みが襲ってきた。

しばらく声も出せず悶えていたが、時間が経つと少しは落ち着いてきた。

「ぐあ~~~っ。いって~~~っ。一体何があったって言うんだよ」

自分のみに何が起こったのかを思い出そうとしていると、


「ほう、それはワシも知りたいのう」


お話聞かせてくれるかな?状態のおじいさまと目が合いました。










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今回の一言

 改訂したは良いけど筆が進まない。ひょっとしたらまた直すかもしれません。

 ごめんなさい。



[9339] 第4話:肉体言語って書くと野蛮に聞こえるよね
Name: 暇奇人◆9df5a484 ID:d009b573
Date: 2009/08/21 19:04
どーも、現在包帯でミイラ一歩手前なキースです。

目が覚めたあとこっぴどく叱られ、意識のない間に何が起きたかを聞かされましたよ。

隅っこの方で実験してたとはいえ、子供が訓練所にいるのはそれなりに目立ってたんだって。

まあ能力見られたくなかったんで離れてたから、何してるか解らなかったらしいけどさ。

んで海兵の皆さんとは離れていたとはいえ、“流刃若火”の文字はヤバかったらしい。

一番近くの人達まで20メートル以上離れてたんだけど、それでも火傷をさせてしまった。


さすがに反省。あとで謝らないと・・・・。


一瞬で消えたとはいえ、辺り一帯を焼き払って訓練所は半壊。

地面は抉れ、石壁は溶解。屋外の訓練所じゃなかったら大惨事だったね。

十分大事になってるけどさ・・・・

「敵襲かっ?!」って大将まで駆けつけてきたって言うし。


始解にしてこの威力、炎熱系最強恐るべし。




そんな中俺はどうなったかって?

うん、もちろん大火傷さ。だって意識を失う直前の記憶がナイフの刀身が溶け崩れた所だしね。

能力を発動した所までは良かったんだけど、そのあとナイフが文字に耐えられなかったんだ。

結果暴走して一瞬で周囲の物を焼き払い、発動地点にいた俺は物の見事に吹っ飛ばされて気絶。

3日ほど意識不明になってたんだってさ。発動の時精神力をゴッソリ使ったのも原因だろうな。

発動が一瞬だったから良かったけど、下手すりゃ腕無くなってたね・・・

万象一切灰燼の下りは伊達じゃなかったようで・・・・

だが、刃物という事で刀剣類の能力を発動できるのはすばらしい。これでさらに戦術が広がる。

斬魄刀系は最上大技物に書き込んでも、刀身が保たんだろうがな。










第4話:肉体言語って書くと野蛮に聞こえるよね










一通り説教と説明を聞かされたあと、洗いざらい吐かされましたよ。

海軍もお役所仕事な分、今回の一件に対する報告書を上げなきゃいけないんだって。

記録として残る以上、海兵目指してる俺は後々まずい事になりそうだから、能力に関しては嘘を混ぜることなく全部正直に話しました。

海賊目指してたら絶対誤魔化してただろうけど、今回の一件で初手配で賞金1億越えとかって事になったかもなー。

それはともかく洗いざらい吐いた理由がもう一つある。

今回の事情聴取を行ったのはじいちゃんだけじゃなかったんだ。

じいちゃんも勿論だが、それ以上に後ろにいる二人が凄まじいオーラを放ってるんだ・・・

その二人ってのがセンゴク大将とクザン中将なんだよ。

二人が現れたときには、この世界に来たとき以来のポカーンをやってしまった。


何で子供の事情聴取に未来の元帥と青キジが来るんだよ!!!!


痛み我慢して土下座してひたすら謝りましたよ。

クザン中将は確実に七武海クラス、センゴク大将の実力は解らんが元帥にまで上り詰めた以上、クザン中将より上と見て良いだろう。

あとで聞いたら一族からドラゴンが出てるから、俺もそうなるんじゃないか警戒したんだってさ。

そんな二人に超警戒してますって視線を向けられたら、何だってしゃべっちゃいますよ。



もっとも、憑依云々辺りの事は俺のトップシークレットだから語れなかったけどさ・・・





そう言う事で今回の一件は悪魔の実の暴走という事で解決してしまった。

ずいぶんあっさりとした対応だが、実際の所初めて能力発動させるときって暴走する事が珍しくないんだってさ。

原作でもCP9のカクが、能力発動させてキリンになったとき床ぶち抜いてたしね。

だから海軍では初めて発動させるときや、能力の特訓するときは上の階級の者が着いてなきゃいけないんだと。

そこら辺を怒られたのは俺じゃなくて、じいちゃんの方だった。俺も秘密にしてた事怒られたけどさ。



それと事情聴取が早く済んだのは、俺が海軍志望って事も大きかった。

大海賊時代である現在、それなりに腕に覚えのある人は海賊になる事が多いんだってさ。

もちろん海兵を目指す人もいるけど、将校にまで上れる人はその中のさらに一部。

億越えの海賊に対抗できるのは海軍の中でもごく一部でしかない辺り、間違いなく強くなるであろう俺はお買い得なのだろう。

“流刃若火”はそれほどのインパクトがあったか。山本総隊長だもんなー・・・

司法の島で、一億の(そのあと直ぐに3億に上がったが)賞金首であるルフィ率いる麦わら海賊団。

そのメンバー達にすら、大佐・中佐の精鋭200名で取り押さえる事が出来ず、取り逃がしちゃったからな。

そりゃあ優秀な人材は、のどから手が出るほど欲しいだろうさ。

いざとなったらルフィ達の分含めて責任取らされそうだけどさ。

最後に、能力の練習するときは海軍将校付けるから勝手にやるなと釘を刺されました。

豪勢なこってと思ったが、失敗したときの被害を考えろと言われちゃいました・・・

あと、俺はセンゴク大将預かりという事になりました。









包帯まみれで動けない間にもう一つの能力である「入れ墨」を試してみようと思った。


指導の将校?包帯の下でやるんでバレっこないじゃん。


確信犯な俺は右腕に意識を集中し、“治癒”という文字を浮かべる。

いちいち書き込まなくて良いのが自分にかけるときの利点だな。

そして発動させたのは良いんだが、傷口の痛みが増した。無理矢理治せばそりゃ痛いか・・・・・・

おまけに何か右腕がだるくなってきた。

ひょっとして自分の体に能力かけるときは体力も減ってる?しかも治ったのは右腕だけだし・・・。

書いた辺りにしか効果でないんだろうか?そう思い体を治す為に背中に“治癒”を浮かべる。

今度は背中一面使って大きく書いた為か全身の火傷が治り始める。ただ、さっきと比べて治癒速度が遅い。

この辺りは能力の全身がけと部分分けが出来そうだな。でも全身が回復する反面、全身がどんどん疲労していく。

やっぱ体鍛えないとなー・・・

そして毎度の事ながら意識がブラックアウト・・・

ベットの上だから気絶じゃなくて睡眠と思われてバレませんでしたよ?

体力も精神力も足りてないせいで完治するのに三日もかかったがね。

それでも医者を驚かせるには十分だったけど




怪我が治ったら速効で修行をお願いしてみました。

センゴク大将には病み上がりだろうと言われたけど無茶はしないって事で許可が出た。

指定された訓練所に向かうとそこでクザン中将が立ったまま寝てました・・・・

「何であんたがおんねん!!!!」

そりゃー全力でつっこみましたよ。

「うん?指導員が着くって説明しただろ。だから俺が来たんだろーが」

「いやいや、何も中将自ら時間をさいていただかなくても・・・」

「あれだけの事をしでかしたんだから、生半可な者じゃ危ないでしょ?」

そこまで買ってくれるのはうれしいけど、だからってこの対応はまだ警戒されてるって事かな?

この人は海軍の中じゃまともな方だから嫌いじゃないんだけど。

せっかくだから実験につきあってもらいましょうか。ロギア系のこの人ならちょっとやそっとじゃ怪我しないでしょ。

「それじゃあ能力実験につきあってくれます?」

「あー、構わんよー」

どうでも良さそうって言うより、眠たいみたいだな。

さすがはモットーが「だらけきった正義」だけの事はある。

「じゃあ失礼して」

まずは人間に直接俺の能力を書き込めるかどうかだ。

まずは消すのが簡単そうな革靴に“足枷”と書き込んでみる。

「どうです?歩けますか?」

「んん?おお、足が動かん」

結果は良好、クザン中将ですら脚を上げる事が出来ない、と思ってたんだけど動かしてたら靴が脱げちゃいました。

「へえ、話には聞いてたけどずいぶんと面白い能力じゃないの」

能力が解除された様子で、足をプラプラさせてる。衣類に書いた場合脱いだら終わりか。

「すいません、もう一回良いですか?」

靴下を脱いで裸足になってもらい、足の甲に“足枷”と書き込んでみる。勿論効果は発動。

「ふむ、だけどこれって消したら終わりじゃないの?」

ごしごしと布で擦ってみるが消える気配が無い。用意していた水筒を渡し水をかけると文字と一緒に効果が消えた。

「水を使われない限り俺以外には消せないみたいですね」

その事はうれしいんだけど、これ生物にかけるときは直接書き込まないとダメなのか。

半裸の相手じゃないと使えないし、字を書き込んでる暇があったら普通に攻撃しかけた方が早いな。

使うんだったら敵に使うんじゃ無くって、味方に使って戦力アップをねらった方が良いな。

そう言うわけで今度は右腕に“剛力”と書かせてもらう。

「その状態で何か重たい物持ち上げてみてくれませんか?」

お願いしてみたところ片手だけで軽々と重り満載のバーベルを持ち上げて見せてくれた。

それって軽く10トン超えてません?左手だけでも少し浮く辺りとんでもないけど。

「うーん、疲れるけど凄いじゃないの」

「お褒めにいただき光栄です」

他人にかける事の利点として、俺が減るのは精神力が極わずかって所か。変わりに書かれた人の体力と精神力が減るみたいだ。

あとオンオフ機能は俺の元にあるから、自分の能力で攻撃される事がないのは良いな。




少し休憩を挟んで今度は自分への付与実験。

クザン中将は隅っこの方で横になってる。ひょっとして俺につきあってるのは仕事さぼる口実か?

それはともかく自分に能力をかけ、使用時と未使用時の差を試そう。

最初に試すのは先ほど中将で安全確認した“剛力”。

未使用時と比べると大幅な能力アップが確認できましたが、手に書いて部分発動させるより、

体に書き全体発動させた方が負荷が分散されて効率が良い事が解りました。

部分発動の方がパワーが上がったんだけど、他がついてこなくて肩が抜けそうになったからな。

「ここら辺は使い分けを考えないとな」

他にも色々試したが、原作技である「六式」は使い勝手が良かった。

両足に“剃”と浮かべ走り出したら、剃の原理である床を何回も蹴る事をオートでやってくれた。

体力の減りが尋常じゃあ無かったけどさ・・・・

体に相当の無理をさせましたが六王銃も撃てました。

ただ、六式全ての技名を一緒に書き込んでからじゃないと、書き込んでも発動しなかった。

これは六式を一つも習得してないのが原因だろう。足りない分を補わないとダメって事か。

「流石は六式最終奥義、発動制限があるとはね・・・」

これをやって解った事だが、自分にかける場合は無理をすれば複数の単語を扱えるという事だ。

単語数が増えればその分制御が大変だし、消耗も半端じゃないけど、いざというときには使えるか。

そこまで考えて恒例のブラックアウト・・・・・



side:クザン


「やれやれ、無茶はしないって約束だったのにねー」

寝たふりをしながら見ていたが、よもや六式を極めてみせるとはね・・・

「まだこんな年だって言うのにこれほどの力を使えるなんて、将来が楽しみじゃないの」





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今回の一言:何か気絶させてばっかりだなこのキャラ・・・・







[9339] 第五話:強くなる事=自由への道
Name: 暇奇人◆9abf2946 ID:4a9fd7a9
Date: 2009/06/14 01:22



自業自得とはいえ最近は寝起きの具合が最悪だ・・・・

能力の使いすぎで意識を失うと、一晩寝ただけじゃ回復しきらないんだ。

起こされたら起きるけどさ・・・・ほっといたら丸一日、やりすぎたときには数日寝たまんまだった。

元々『スミスミの実』は墨出すだけの能力な訳で、文字で発動させるのは所謂応用編って事にようやく気づいた。

ルフィがギア2や3使って修行してるのと同じようなモノだよな。そりゃ疲れるはずだよ・・・・



それと、クザン中将の評価によって俺の実力は、体術のみなら本部佐官クラスと判断されました。

ずいぶんと高い評価だが、これでも低く見積もったという話だ。前回の実験で六式使いの戦闘能力と比較した結果らしい。

原作の中での六式使い、その中で一番戦闘能力――道力だったか?が低いカリファですら、銃持った海兵60人以上の戦力だからな。

いや、これは体術のみの実力である以上、他の能力と組み合わせればもっと上かもしれんな・・・・


まあ、やろうと思えば彼女でも一騎当千出来るんだろうけどさ。


体を鍛えるのには時間がかかるが、俺の能力はパラメーターそのものを改ざんできるから、詐欺みたいなもんだろうな。

誰かが言っていたが、悪魔の実の力は鍛えれば性能が上がるという話らしいし、どこまでいけるのかさらに試していかないとな。

だけどまあ調子に乗るのは失敗の元って事を忘れてたんだ。

あんな所にこんなフラグが埋まってるとは思わなかったよ・・・・











第五話:強くなる事=自由への道











「うおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!こーろーさーれーるぅぅぅぅぅぅぅっ!!!!」

海軍のトップクラスとやりたくないから海軍志望なのに、組み手の相手がそんな連中ばっかなのは何でだ?!!!

現在全力でボルサリーノさんのレーザー(低出力)を避けてます。

「大丈夫だよー。この程度じゃー死にゃーしないよー」

当たっても爆発とかはしないレベルだけど十分に火傷するわ!!





何でこんな事になってるかって?全てはクザンのおっさんのせいだよ!!

あのおっさん俺のことを、『将来有望な海兵志望』ってことであちこちに触れ周りやがった。

これは俺の海兵以外の進路を断つためにやったんじゃないかと推測している。

で、俺実際に俺がボロボロになるまで修行(実験)しているのを見て一部から気に入られました。

まだ子供なのに海軍に入るために努力する姿が感動物だったそうだ。

おかげで時間が空いた暇な連中が出現するようになったんだ・・・

おまけに俺の能力が味方の戦力増加に役に立つとわかって、今のうちから色々仕込もうとじいちゃん中心に画策しやがりました。






ある日、いきなり新兵訓練に体験参加しろって言われたんだけど、それが地獄への入り口だった。

そうと知らない俺は、体を鍛えるのに丁度いいやと気軽な気持ちで門を叩いたら、ハートマン軍曹式訓練が待ってました。

いくら何でも子供相手にあの罵声は無いだろ?普通泣くぞ。中身俺でも泣きそうなぐらいだったからな。

教官の人もやりにくそうだったのが印象的だったよ。家の祖父がご迷惑をかけます。

そのあとは畳み掛けるように外堀を埋められました。

センゴク大将預かりという事もあって、正式な海兵にされそうになった。

せめてもうしばらく見聞を広めたいから正式入隊はもっと時間くれって、泣いて頼み込んだら、何とか海兵見習いということにしてくれた。

ただし、「自分たち相手に組み手でまともに一撃でも入れられるまでは本部で修行」と言って来やがった。

ダメだこいつら、逃がす気さらさらねえと理解したよ。

せめてエースの奴を道連れにしてやろうとしたら、「俺海賊志望だから」っていい笑顔で逃げやがった!

海賊志望の奴が海軍の船使ってフーシャ村に帰るんじゃねえよ。

俺置いてけぼりかよ!!





海軍って士官学校が無いみたいなんだ。海軍って階級=強さってのがあるからあんまり必要じゃないみたいだしな。

コビーやヘルメッポもじいちゃんの所に入隊して実力上げてたことから見ても、上官は師匠的な役割もしなけりゃいけないんだろうね。

現代の軍隊と言うよりは、中世の軍隊っていったほうが解りやすいか。

そのせいで今の俺の状況は正に『史上最強の弟子Ver海軍本部』状態ですよ・・・・・

もちろん外弟子じゃなくって内弟子の方ね・・・・・

師匠はじいちゃんメインで俺のことを気に入ったお偉いさん達。

中には司法の島バスターコール時の中将さん達もいましたよ。

いやまあ、この人達悪い人たちじゃ無いんだけど、自分たちの正義を押しつけるのは正直やめて欲しい。

修行漬けの毎日はまさしく地獄の日々。

一度全力で逃げだそうとしたんだけど、本部の海兵達全員に捕獲命令が出され、あえなくご用。

何でも「海軍本部に侵入者、目的を吐かせるために生け捕りにしろ」って言う演習扱いって事にしやがった。

俺の「職権乱用だろぉぉぉぉっ!!」っていう魂の叫びは無視しやがった。





でもこの演習は海兵さん達に好評だったと言う話だ。

本部待機って要は天竜人の警護って事なんだが、ここに攻めてくる馬鹿は今んとこ存在しない。

だからお偉いさんは書類仕事とかしかすることが無くてそれなりに暇な時間があるんだって。

見回りは下っ端さんたちの仕事なんだけど、変化のない毎日はダレる。

そんなときに降ってわいた抜き打ち演習。驚きながらもつい乗っちゃったんだってさ。

おまけに「給与査定」のおまけ付き。捕獲時間によって給料が上下されるって鬼か。

そりゃー全力で捜索するでしょうよ。人の欲望は恐ろしい・・・・・・

結果は±0だったっていうけど。





海兵さん達は待機時間に訓練してる。

そん中たった一人混じる俺。やってることは下っ端さん達よりよっぽどハードだけどさ。

俺は自由のために、大人達に混じって必死に訓練している。

精神力は能力を使うほど徐々に増えてきたのか、体外へ使用した場合の使用時間は増えてきている。

体力も使用する入れ墨の方は、体を鍛えんことには使用時間は増えないんで、こちらは地道に鍛えるしかないんだけどさ、

正しくは鍛えなきゃいけないのは、体力・持久力のためと言うより、筋力・耐久力のほうだ。

“剃”使って走ってるだけでガンガン体力減ってくんで、持久力とかは上がってくんだけど、体がボロボロになってくんだ。

元の耐久力が低いから、能力使って動きをブーストすると反動が凄まじい事になった。

能力使って耐久力を上げれば良いじゃないかって?そう思って一回だけ“金剛”と合わせてで試してみたよ・・・・

六式の“鉄塊”で試さなかったのは、あれを使うと動けなくなったからだ。そういやジャブラが、鉄塊使って動けるのは自分だけって言ってたな。

“鉄塊拳法”なら出来たけど四文字は消耗が激しくて、今のレベルじゃ他の文字と併用が難しかった。

結果は成功したんだけどさ、耐久力上昇系は発動してもあまり消耗しなかったんだけど、ダメージを受けた時に減っていった。

要は肉体のダメージを体力と精神力で代替わりしているってことで、元の耐久力を超えた分だけ消耗するって事だ。

つまり、

剃+金剛+耐久力オーバーのダメージ+同時併用=消費体力・精神力

ってことで消耗が半端じゃないんだ・・・。

おまけに文字効果の限界突破するとダメージに加え、体力・精神力が文字相応分消費されましたよ。

体力・精神力があれば多少無茶しても大丈夫と思って、勝負挑んで特攻かけたら死にかけましたよ・・・・

だが、それでも俺は確実に強くなっている。














そして今、俺は自由を得るためクザン中将と対峙している。

相手は自分より遙か上を行く化け物ども。真っ向勝負で勝ち目などゼロに等しい。

一撃を入れるためには罠を張り巡らさなければいけないんだが、その準備がとんでもなくめんどくさい。

いくら罠向けとはいえ、俺の能力は手書きでないと発動しないので、ひたすら書きまくらなけりゃいけない。

「今日こそ自由を勝ち取って見せます、クザン中将」

「どっからでもかかってきなさいな」

無造作に立つ中将に俺はカードを数枚投擲する。“炎弾”の文字が発動し燃えあがって飛んでいく。

このように遠距離戦闘は、カードにいろいろな効果の文字を書き、投擲することが多い。

俺意外に文字を書き込むのを『一筆入魂』と名付けた。解りやすいしね。

しかしあっという間に凍り付かされる。この程度では利きはしないか。

周囲を“剃”で走り回りながら様々な効果のカードを投擲していく。

加えてナイフを持ち、刃に墨を走らせ水(墨だけどさ)の刃として飛ばす。名付けて『流刃』

一筆入魂と違い消費が少なく、よく多用する技でもある。

「俺に水は効かないよ」

「ただの目くらましですよ!」

体に“疾風”と浮かべ一気に肉薄する。

対して俺自身に入れ墨として使用するのは『真言武装』とした。

此方は近接戦闘で使用する事が多い。今回は速度重視の武装疾風。

殴り合いは嫌いだが、最大の攻撃を当てるためなら手段を選ぶつもりはない。

「刀身入魂“灼熱”!!」

あらかじめナイフに仕込んでおいた文字を発動させ斬りかかる。

が、相手は中将俺のにわか剣術が通用するはずもなく、全て避けられる。

カードを絨毯爆撃みたくばらまいたけど、カスりもしねえ。

「クソ!弱体化してこのスピードかよ!」

そう、中将にはすでに“雑魚”の文字が書き込まれている。

手加減がめんどくさいからそっちで何とかしろって言われて書き込んだが、対して役にたってない。

能力上昇を他人にかけた場合その人の体力を使用して発動するんだが、低下させる場合は体力・精神力でレジストされてしまうんだ。

書き込む文字も悪かったな。この人と雑魚ってイメージが離れすぎてる。

俺の精神力程度でこの人を押さえ込むなんて出来るわけがなかったか・・・・

「まあこの程度の妨害なら、せいぜい数%減てとこらかね」

「そんだけ?!こんなんだったら解除して自分に回した方がいいじゃん!」

まったくそう言う事は早く言ってくれよ・・・・・

解除するため注意をそらした一瞬で中将のパルチザン(刃引き)が飛んでくる。

ほとんどを回避し、当たりそうなモノはナイフで弾く。だが一筆入魂を解除していなかったためにミスを犯す。

「水蒸気?!」

周りが見えない!“突風”のカードを取り出し吹き散らそうとし、

「はい、今回はここまで」

そう言われ頭を掴まれる。向こうも能力開放状態のため、頭がメチャクチャ冷えました。

「ダイアモンドダストが発生するような温度で掴まないでください」

「まったく、相変わらず可愛げがないねえ。でも頭は冷えたでしょ?」

腕を払いのけて見上げると、「ふふん」って面してやがった。

大人げないとは思わないのかね?

「く・・・・」

「く?」

「悔しくなんて無いんだからなーーーーーーっ」

何時か必ずあの面に一撃入れてやる!!!!








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今回の一言:ようやく能力設定的なモノが終わりそうです。我ながら設定メンドッ!

       長く続けて行けそうなら何時か主人公の能力表作ります。作れたらいいなー

       でも次ぐらいからようやくチートな能力が全開で行けそうです。








[9339] 第6話:いざ、下克じょぉぉぉぉぉ!!
Name: 暇奇人◆9abf2946 ID:4a9fd7a9
Date: 2009/08/30 00:26
自分の体を鍛え、あらゆる作戦を試したが、まだ誰にも一撃入れる事が出来ないまま1年が過ぎた。

俺はこの時すでに六式使いとなっている。一度使った技だから再現するのは難しく無かった。

必要なのは、それを再現するだけの肉体だけだ。同じ世界のキャラである以上、この世界の技が俺に使えぬ道理はない!

と、言えば格好いいんだが、要は文字ありバージョンの動きを体に覚えさせ、それを文字なしでも出来るようにひたすら反復訓練しただけだ。

ひたすらに地味な修行なのでここら辺は割愛させてもらおう。

『真言武装』使って戦闘すりゃ億越えでもなければそうそう海賊相手に引けはとらんだろ、と言うお墨付きをもらえる程度は強い。




だが、もう数ヶ月で9歳の誕生日を迎えようとしているんだが、正式に海兵にされそうです。

そろそろ諦めろだってさ。諦められるわけがないでしょ~に。

こちとらこの世界に来てから海に出たのは、最初のジャングル出てからマリンフォードに着くまでしかないんだっての。

海軍入隊前なら冒険だけど、海兵ならお仕事になるから、海の見え方が違うからね。

どうせなら好き勝手、色々な島を回りたいじゃない?

見たことのない風景、聞いたこともない動物、そして味わったことのない料理。

冒険あふれるワンピースの世界を、思う存分満喫したいじゃないの!

最初とこの世界に来た最初の頃と、言ってる事が違うじゃないかって?

そりゃそーだ。だって今そんじょそこらの奴らとやり合っても、負けるつもりは無いからね!!




けどまあ俺の相手は億越え数人相手にして、完勝するような化け物どもだ。試験突破はかなり厳しい・・・・・・

俺はほとんど、面に一撃入れると決めた青キジ大将と勝負している。作戦も一人に絞った方が効率的だしね。

そう、何時のまにやら、あのおっさん昇進してやがった。あんだけぐうたらしてても海兵屈指の実力者だもんな。

まあ、その頃からか。敬意と敵意を込めて青キジと呼ぶことにしたのは・・・・

まあ、そんなことは関係ねえ。奴は俺を地獄へ放り込ませる原因を作った男。

必ずこの恨み必ずはらして見せます!!

全ての準備を整えた俺は最終決戦に挑む!背水の陣を引いた人間の強さを見せてやる!!









第6話:いざ、下克じょぉぉぉぉぉ!!








さて、本部近くにある最大の演習場なんだが、この賑わいは何だ?

屋台立ってるし、観客席まで出来てる。おかげでかなりの人混みとなっている。

「あ、看板が立ってるな」

えーと、『青キジ大将vs海軍の秘蔵っ子  世紀の無謀な対決!!』だと・・・・

誰じゃ~~~~~~~~~~~~~~~~っ!こんな看板立てやがったのは!!

無謀って何やねん!!いや、それ以前にこのお祭り騒ぎは何だ!!

「はいはーい!今ん所のオッズは1035対1だよ~~。誰か他にこの大穴に賭ける奴はいないか!!」

賭け・・・・だと?

「おい、この賭は誰の許可を得てやってるんだ?」

「お?何だ坊主、知らないのか?これはガープ中将が企画したんだってさ。おまけに胴元もあの人さ。
 いやあ、見ての通り賭けるのは青キジ大将ばっかりでよ、賭けになんねえんだ。
 どうだ坊主、おまえさん秘蔵っ子とやらに賭けてみないか?」

ク、クハハ。そうかじいちゃんがこの騒ぎの原因か!しかも賭け事の対象にまでな・・・・

良いだろう!その挑発乗ってやる!!

「おっちゃん!秘蔵っ子の方に有り金全部!!」







グルリと観客席が(能力者やら職人達が一晩でやってくれました!)囲む訓練場の真ん中に立つ者が一人。

「レディ~~ス&ジェントルメン!長らくお待たせしました!!

これより世紀の無謀な挑戦を始めさせていただきます!!!」

ウォォォォォォォォォォォ!!

満席の観客席から歓声が帰ってくる。暇人どもめ・・・・・・・

まあこんな機会でもなければ、大将の戦いをのんびり見る事なんて出来ないのかもしれんがね。

「西ゲートから入場するのは我らが海軍大将!青キジ~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!!」

ウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!

先ほど以上の歓声で迎えられるおっさん。

さすがは大将、人気が違うぜ・・・・・

「東ゲートから入場するのは海軍の英雄ガープ中将の孫!
 海軍の秘蔵っ子モンキー・D・キ~~~~~~~~~~スっ!!!」

ウォォォォォォォォォォォ!!

同じく歓声で迎えられるが、どことなく探るような視線が多い。

一緒に訓練する人たちもいるけど、大多数は俺のこと知らないだろうからねぇ。

もっとも、一年前訓練所一つぶっ壊した奴って言えば有名だろうけど。

そうやって観客席に視線を向けていると、造りが違う部分があることに気づく。

師匠達でも座ってんのかと思ったら、なんと五老星と天竜人達でした!!

あとで聞いた話だが、家のじいさまが話したんで五人とも俺のこと知ってたんだって。

五老星は俺が危険分子でないか目で見て判断しにきたってことらしい。

天竜人は下々の連中が決闘するってんで、完全なる興味本位で見に来たんだってさ。

コロッセオで剣闘士達が戦ってるのを見るようなものか・・・・

世界が変わってもこういった連中は同じって事か。反吐が出るな・・・・・・

師匠連はこの人達の護衛として周囲に座っていて、さらにその周りを海兵が固めている。

ひょっとして観客席はこの人達のためか?

だとしたらなんて迷惑な・・・・。海軍はお前らの召使いじゃ無い筈なんだがね。







いや、それよりも目の前にいる相手に注意しないと。

相変わらず青キジさんはやる気なしですか。ポケットに両手を突っ込んだまま突っ立っている。

ちなみに俺の方は格好はズボンにシャツ、その上から着流しを羽織っている。

俺は持ってきた刀を向ける。

「今日こそは勝たせてもらいますよ、青キジさん」

「お前さんもしつこいねえ。いい加減諦めなさいよ」

とはいってもねえ・・・・

「いや、ここまで大事になっちゃったら、引っ込み着かないですよ」

「それもそうだよねー」

「はぁー」×2

大将と言っても見せ物になるのは嫌ですよね。

初っぱなからやる気の萎える。だがそれでもはじめなければね。

司会者に向かって離れているように合図する。彼は距離を取ったあと、振り返る。

「始め!!」

先手必勝!!

「武装“電光石火”!!」

武装だけでも剃並の速度を誇るこの文字に、俺はさらに剃を重ねがけをする。

その速さは正に神速!

初めのうちは止まりきれずに事故ったりしたが、今では黄猿さんの蹴りをよけれる貴重な技だ。

今まで青キジさんには見せたことがない武装でもある。

数十メートル離れていた距離を一瞬のうちに詰める。

「刀身入魂“炎熱波”!」

左横をすり抜けるような居合い。“耐熱”と書き込まれた鞘に押さえられた熱風が、刃と共に飛び出す。

たとえ刃が避けられたとしても、爆炎の範囲からは逃れられまい!

10数メートルを駆け抜け、居合いを放った地点を振り返る。

おお、見事な火柱が上がってるね。直接当てれば鉄すら溶けるこの斬撃。

使い続けると刀身が持たずに使い捨てる事になるが、観客も大満足な威力さ!!

悲鳴と歓声が聞こえるがこの程度じゃ終わらないだろうねぇ。何せ斬った手応えがない。

パキパキパキ

「っち、あの火柱を一瞬で凍り付かせるかよ」

火柱を含め周囲一帯が凍り付く。その中から氷がせり上がってきて人の姿を取る。

「おーおーずいぶんな攻撃をしてくれるじゃないの。下手したら死んじゃってるじゃないの」

「この程度じゃ死なないからやってるんですよ」

やっぱノーダメージか・・・・。予想の内だがとんでもねえな。

「っは!」

カードの束を紙で帯封をした塊を投げつける。

「ヒュウゥゥーー」

最近この人は俺がカードを投擲すると、発動前に息を吹きかけ凍り付かせようとする。

まあ、今まで結構えげつない効果のカードを使ってきたから警戒するのも当然か。

「“散”!」

だが、今回は氷つく前に帯留めに書き込んだ文字で散らす。

「“爆”!!」

一方向からでダメなら全方向でどうだ!威力より数で勝負、今回は百枚使ったがどうだ?!

煙が晴れると氷山の内に籠もった青キジさん。罅こそ入ってるが届いてはいないか・・・

消耗覚悟で“爆炎”ぐらいたたき込むべきだったか。

「うおっ!やべっ!!」

青キジさんに注意を向けていると目の前にまで氷が広がってきてやがる。

慌てて離れようとするが地面より氷の槍が飛び出てくる。

紙絵で回避し距離を取りながら、嵐脚・乱を放つ。

罅の入った氷山は砕け崩れるが、氷塵で姿を見失った。

「アイス塊 両棘矛(アイスブロック パルチザン)!!」

氷塵で姿を隠しながら氷のパルチザンを投げはなってくる。

「その程度!“衝撃波”!!」

懐にしまっていた扇子に刻まれた文字を発動させ吹き散らす。ちなみにオンオフ機能付き。

氷塵も晴れるがいない!?まさか・・・

「上か!」

アイスサーベルを振りかぶり落下してくる。空中じゃこれは避けれんでしょうが!

“炎熱波”でたたっ切ったが、

「身代わりだと?!」

そう、それは氷で出来た彫像だった。注意をそらしたなら次の攻撃は大抵対角線上・・・

下を向くと足下が氷で覆われており、その中から青キジさんが俺の足を掴んでいた。

「アイスタイム」

「“火炎”!!」

凍り付かされる前に着流しに仕込んだ“火炎”を発動させる。自爆技だが戦闘不能よりましだ!

剃で体を焼く炎を吹き散らしながら距離を取り膝をつく。

「っく!まさかこの手を使うことになるとは・・・」

一瞬とはいえかなり熱かった。火傷しないだけ俺も頑丈になったもんだ。



「粘るねぇ。でもその状態じゃカードの類はもう無いでしょ?ギブアップしなさいな」

そう、札や暗器は全て着流しに仕込んでいた。ゆったりとした服は隠すのに最適だったんだが、早々に潰すことになるとは。

だがカードだけが俺の攻撃手段じゃないぜ!

「まだですよ!」

立ち上がり剃をかけてヒット&アウェイを繰り返す。

武装に加え剃で動くと目で追うのが精一杯って所みたいだが、それでも必要最低限で避けてくれる。

普通は見えない筈なんだけどねぇ。観客からは俺の姿が見えなくてブーイングきてるしな。

ちなみに刀に『一筆入魂』はかけていない。何故なら今は一撃当てるのが目的じゃないからな。

100合以上切り込んで俺は動きを止める。

「ふう、諦めたのかい?」

「いえいえ、準備がようやく整った所ですよ。“捕縛”!!」

「?!」

無数の斬撃はこれを隠すための布石。俺は走り回りながら地面に字を書き込んでいた。

地面に書いたのは巨大な“捕縛”。

でかけりゃその分だけ範囲が広がるが、俺はその文字をさらに円で囲み範囲を限定し効果を上げてある。

そのため大将といえども動けない。

このままでは俺も入っていったとき捕縛されてしまうがカードだけが俺の攻撃手段じゃない!

「これが今使える中で最大の威力の技です。死んでも恨まないでくださいね!」

ズボンの後ろに耐火布で結びつけてある物を取り出す。それはただの銃弾だが今使う技には必要な物だ。

自分の射線上に青キジさんしかいないことを確認し、右手に指弾としてセットする。

右手に浮かべた文字のイメージは、学園都市の第三位!

「くらえ!!“超電磁砲”(レールガン)!!!」


ズドオォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!


大地を抉り空気を貫き青キジさんに向かって突き進む!



「っどうだ?!」

反動で痺れた右腕を押さえながら着弾地点を見る。粉塵で見えねえがゆっくりと晴れていく。

観客もあまりの威力に静まりかえる中、粉塵が晴れる。

「うそ・・・・、だろ・・・・・」

煙が晴れた先では斜線よりズレ、右手で氷の壁を作った青キジさんが無傷で立っていた。

ウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!

歓声に包まれる中俺は膝をついた。あれでも届かなかったってのかよ・・・・・・

「ふぅーーー。やばかった!ほんっとーにやばかった!!

おいコラ、キース。今のが当たってたらいくら俺でも死んでたぞ!!」

激高しているがそれよりも疑問がある。

「何で、何であれが避けれたんですか?」

射線から避けられることぐらいは予測していた。だから“捕縛”まで使ったってのに・・・・

「ああ、あれか。簡単なことだ。あの技、レールガンとか言ったか。
 あれを撃つときわずかだが体の押さえが軽くなったからだ」

くそ、そんなことで。多少弱まるだろうとは思ったが一瞬では避けれないと思ったのに。

「まあ、お前はよくやったよ。何で海軍に入るのをそんなに引き延ばそうとするのか解らんが、

 これからはその力を海軍のために役立ててくれや」

クソこれで終わりか。いや、これで本当に終わりなのか?

何か無いか、何か・・・・・・。その時唐突に脳裏にひらめく言葉があった。

『いいか、お前は戦う者ではない 生み出す者に過ぎん。余計なことを考えるな お前に出来ることは一つ
 その一つを窮めてみろ。忘れるな イメージするものは常に最強の自分だ
 外敵など要らぬ お前にとって戦う相手とは・・・自身のイメージに他ならない』

解りましたよアーチャー先生・・・・・・



ユラリと俺は立ち上がる。

「うん?まだやるの?最大の技が破れたんだからもう諦めなさいよ」

そんなことを言ってくるが、俺の耳には届かない。

「現実で勝てないのなら、勝てる者を生み出すしかない・・・・」

検索しろ!目の前にいる者を打倒しうる人を!!

想像しろ!その人になりきった自分を!!

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

「むぅ!雰囲気が変わった?!」

己の胸に刻むのは“東方不敗”!だが、俺ではあの人は再現しきれない!!

ならばさらに刻め!“明鏡止水”が背に刻まれる!!

「黄金の覇気だと?!」

ぐぅっ!精神力が削られ頭がクラクラする!圧力に負けて骨が軋む!

だが、まだだ。保ってくれよ俺の体!!

「流派、東方不敗が最終ぅぅぅぅぅうっ!奥義っ!!」

食いしばった歯から血が流れるのを感じる。視界がぼやけるが気合いで焦点を合わせる!!

くらえ!!魂の一撃!!!

「石破!!天驚けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!!!」


ゴオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!


視界が金一色で埋め尽くされ、体からあらゆる物が抜けていくのが解る。

膝から力が抜け倒れ込みそうになるが踏ん張る。

永遠とも思える一瞬が過ぎ、視界が元に戻る。

目に映ったのは、放射状にえぐり取られた大地。

そして、その中に煙を上げ倒れ伏す青キジさん。服は破れ体も傷だらけ、意識も無い様子だ。

「っへ・・・・・、ざまあ・・・・・・・」




それを確認した後、俺は満足して意識を手放した・・・・・・・・













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今回の一言:やりすぎた・・・・・

      後今回は今までと比べてちょっと長め。主人公全開の巻きでした。

      あと、石破天驚拳の下りはうろ覚えなので間違いの指摘受けたら直します。

      あの人好きだけど最後に見たのは何時だったか・・・・・・?

      それと、青キジの技の内いくつかは創作なのであしからず。







[9339] 第七話:出会いって突然ですよね
Name: 暇奇人◆9abf2946 ID:4a9fd7a9
Date: 2009/08/25 18:06




どーも、晴れて自由の身となったキースです。

自由の身となったって言うのに、現在ベッドの上で包帯ミイラです。

あの方を再現するのはやっぱり無理があったんで、大小含めて20カ所ぐらい骨逝ってるってさ・・・・・

おまけに全身打撲に、栄養失調。マジで命がけの大技だったって事だね。

あー、改めて考えると何も青キジさん倒さなくっても良かったんじゃん・・・・

一撃入れれば合格だったのに、会場の雰囲気に流されちゃったって事か。

で、何が言いたいかというと、

「マジすんません、青キジさん!!」

お隣のベッドで、同じく包帯ミイラと化している青キジさん。

この人も俺と同じく一週間意識不明となっていたらしい。

ダメージ具合も似たようなモノで、腕から放った俺と、腕で盾を作ったこの人。お互いに腕が特にボロボロになってるんだ。

放った方と喰らった方が同じダメージって、今の俺じゃ自爆技扱いかよ・・・・

すいません師匠。俺では力不足でした・・・・・・

観客の目に見えるほどの覇気放っておいて、それは無いだろうって言われたけどさ。





それに、早く怪我直さないとねぇ・・・・・

ここまで消耗したのは、実力付けてきたから久しぶりだな。

いや、気絶一週間は最長記録だな。鍛えてなかったら死んでたかもな。

“超速再生”使って一気に傷を治してるんだが、4文字回復は直り早いけど消耗が激しいね。

一緒に青キジさんも治療してますよ?最高戦力に穴あけっぱなしって言うのは不味いからね。

あの戦いなんだけど、結果としてはドロー。

レフェリーが判定を下す前に俺も気絶したからってことらしい。くそ、賭の金で豪遊するつもりだったのに。

あと、8歳が海軍大将と相打ちっていうのは世間体が悪いって言うんで、今回の戦いは箝口令が敷かれましたよ。

誰がやったって?勿論五老星のじいさまがたさ。いやあ、戦闘中はすっかり忘れてましたよ。

それと、あれだけ強いんで見習いにしておくのはもったいないって事で、海兵入り決定しましたよ・・・・・・orz

俺の今までの努力って一体・・・・・・・

ちなみに新兵って事で三等兵からの出発さ。実力的には大将に匹敵するような新兵って何だろね?

まあ、海兵になったとはいえ長期休暇、年単位で出させましたよ。

約束破って自由にさせてくれないって言うんなら、そのまま辞表書かせてもらいますって脅したしね。

それに、もし俺が革命軍の方に付いたらそれだけで、ミリタリーバランス崩れちまうしなぁ。

何時のまにそんな重要なキャラになったんだろうねえ。下手に関わりすぎると、原作変わってしまうのが難だな。

まあ、正義と書いてゴーイングマイウェイと読む、俺の海兵生活を始めますか。










第七話:出会いって突然ですよね








自由を経た俺は海軍本部を離れる準備をしていたんだが、いざ出発って時にあの事件が起きた。

そう、世界を震撼させた聖地マリージョア襲撃事件だ。

ボア・ハンコックが七武海になったのが原作の11年前だから、時期的にはこの辺りか。

もちろん俺も緊急事態だからって招集されたよ。よりにもよって初陣がこれとはね・・・・

クソ、海軍本部は安全だと思いこんでたよ。

殺らなければ殺られるような世界にマジで足を踏み込むことになるとはね。

俺に人が切れるのかと問われれば、答えはイエス。と、言うよりすでに俺は人一人殺しているからな。

相手は死刑囚でギロチンの紐を切っただけなんだが、その後で吐いたよ・・・・・

自分から頼んだこととはいえ、不眠症になったりと大変だったなあ。

暗い話なんぞ誰も聞きたくないだろうからハショらせてもらうけどさ。そんな訳で殺す覚悟は出来ている。

だが殺される覚悟が足りないんで実戦で戦えるか・・・・それが心配だ。

いざとなったら“無慈悲”とか書くか、殺し屋系のキャラでもなりきるか。

逃げ出す奴らを斬るつもりはないし、むしろ一般人からの奴隷なら積極的に解放する。

だが、海賊出身で、逃がして他人に迷惑をかける連中を見逃すつもりはない。

フィッシャータイガーって人が見境なしの馬鹿でないことを祈ろう。もっとも聖地に襲撃とか馬鹿としか言いよう無いがね。







俺は腰に2本刀を差し、左手にも刀を持って走る。

武装“電光石火”+剃がけで走りつつ、電伝虫で黄猿さんと連絡を取り合っている。

「いいかーい、今回の第一目標は天竜人様方の身の安全だよー」

「解ってますよ、第二に襲撃者の確保ですね。ついでに人命救助も行っても良いですよね?

 それより次は電伝虫間違えないでくださいよ!」

俺は第二陣としてマリンフォードからマリージョアまで駆けていく。第二陣と言っても俺だけなんだけどさ。

第一陣は黄猿さん、俺でも八咫鏡についていくのは無理です。

光速と超々高速に着いてこられる奴がいないってのが原因とはいえ、子供に先陣切らせるなよ。

「見えてきた・・・・」

このスピードで走るとマリージョアまであっという間だな。俺は一気に飛び上がり塔の上に着地する。

「おーおー、燃えてらぁーなぁー」

元は豪勢な宮殿が並んでたんだろうけど、見る影がないな。方々から火の手が上がり、所々壊れてら。

奴隷の中にも一人で建物解体できるような奴がいるだろうからな。そんな連中が暴れりゃこうなるか・・・・

「見たところ巨人やら魚人やらもいるな。面倒なことに能力者も混じってる」

ズドォッ!!バガァッ!!!

「あっちで暴れてんのは黄猿さんか。やりすぎないでくださいよ・・・・・」

オーケー、現状は把握した。さて行きますか。

左手に持った刀を抜き、鞘を投げ捨てる。この刀に書き込んだ文字は“高周波”

そう、よくSFで出てくる高周波振動刃を再現した代物だ。

鉄だろうと何だろうと切れるがやっぱり最終的には壊れるんで使い捨て。

ちなみに、文字が消えないように茎(なかご:握りの装飾の下)に書き込んである。

後の二本は予備なんだが、旅立ちの準備から持ち出してきたからな。荷造りし直さないと・・・・

さて、一応警告しとかないとな。喉に“拡声”と刻み大声を上げる。

「聞こえるか!此方は海軍だ!奴隷の人たちに告げます!火に巻かれるのを避けるため逃げだそうとするのは目をつむります!

 しかし!天竜人様方に危害を加える者に容赦するつもりはない!

 また!同様に武装している者は敵対の意志ありと見なして切り捨てる!!」

それだけ告げると俺は塔から飛び降り、いかにも柄の悪そうな連中の前に立つ。

「えー、先ほどの警告を無視して武装しているって事は、敵と認識して良いんですね?」

「うるせえ!!ガキが!!俺様は5000万ベリーの賞金を懸けられた事もあるんだ!テメエなんぞに」

ヒュカッ!!

別にこいつらの事なんぞ知りたく無かったんでまとめて刻む。

セリフの途中?モブの連中の情報なんてどうだっていいじゃん。時間の無駄だし。

ズ・・・・・ドチャッ

超々高速で切り刻んだんで、時間が経ってから崩れ落ちる。切れ味が良すぎるのも原因かもしれんが。

しかし、切れ味良すぎて人斬ったって感じがしないな。後から気分悪くなるだろうけど、少なくとも今は気にしないで済む。

“電光石火”+剃で駆け回りながら武器を持った連中を片っ端から斬っていく。

並の連中じゃ見ることできんから、いきなり人がバラバラになる怪現象と化してるがな。

「痛みも、苦しみも、恐怖も感じずさせずに殺してやるのが、せめてもの慈悲」

なーんてな。

おまけで一般人出身の人たちの爆弾を、切り落として投げ捨てると言ったこともしてます。

その時は姿を見せるけどさ。どうせなら海軍のイメージアップに貢献したいじゃん。

プルルルルルルルルルルッ

おっ、着信だ。

「はいはーい、こちらキース」

「キースか。青キジだ。今マリージョアの入り口に着いた。中の様子はどうだ?」

「中ですか?大混乱って所ですよ。襲撃者さん、結構見境なしに解放してくれるんでいかにも雑魚って奴から、
 
 手配書で見たことあるやつまで相当解放されてます。おそらく此方への足止めのつもりなんでしょうね。

 生存している天竜人様方にはまだ出会えていません。護衛が奴隷に死体を刻まれてるところには遭遇してるんですが・・・」

日頃から恨み買ってたんだろうね。死体は大体原型をとどめてなかったよ。

ホント天竜人じゃ無くって良かったよ。下手したら助け出した奴隷全員処刑って事になりかねん。

「そうか・・・・・」

「俺は引き続き聖地内を回り、海賊出身の奴隷の排除と、天竜人様方の探索に当たります。

 それと、一般人の奴隷は見殺しにするのは忍びないんで、解放してます。そちらに行ったら保護お願いします」

「解った。俺たちは入り口から消火をしつつ制圧していく」

「お願いします」

通話を終え電伝虫を懐に仕舞った後、再び駆け出す。

「しっかしどんだけ奴隷いるんだよ。もう何十人斬ったか解らんぞ?解放した人たちの数も大分だし」

おかげで刀がすでに1本つぶれたよ。

そんだけ天竜人がろくでもない連中ばっかって事か。





おっ、天竜人発見。しかも襲われてるなぁ。護衛の連中も奮戦してるが不甲斐ないな。

俺は一瞬で奴隷達の間をすり抜け、刻む。

驚いてる、驚いてる。そりゃ目の前で人間がバラバラになったら驚くよね。

「火急故立位にて失礼します!ご無事ですか?天竜人様方?」

っげぇ!こいつらロズワード一家じゃないか!原作に必要なキャラとはいえ助けるんじゃなかったかもな。

「お、遅いえ!余の命は貴様らがどれだけ集まっても釣り合わん事が解っているのかえ?!」

むかつくな。この場にいる奴らまとめて皆殺しにしてやろうか?

人を何人も斬ったことにより気分が高ぶってるのか、そんなことが脳裏をよぎる。

いかん、いかん。ここで切れたら終わりだ。最悪この場で青キジさんと黄猿さんの二人とやり合わなきゃ行けなくなる。

「おしかりは後ほど受けます。今は御身を、っむ?!」

ドドンッ!

「ヒィッ」

話の途中にうっとうしい。ロズワード聖を狙った銃弾を鉄塊で防ぐ。

「ノンビリと話している余裕はないか・・・おい護衛達、向こうで青キジ大将が防衛線を敷いている。

そこまで天竜人様方を命を懸けてでもお連れしろ。俺は連中を片付けてくる」

「なんじゃえ!貴様が連れてってくれるのでは無いのかえ?!余は一歩も動けんえ!」

何言ってやがる、このはな垂れが!チャルロスとか言ったな、今の状況解ってんのか?

今も俺が飛んでくる弾丸たたき落としてないんなら、とっくの前に蜂の巣だぞ!

「つかぬ事をお聞きしますが、あなた様は銃弾受けてもご無事ですか?

 ご無事だとおっしゃるならこの銃弾を無視して進めるのですが」

黙りこみやがったか。仕方がない、

「応答願います。こちら、キース三等兵」

「何だ?」

「天竜人様三名を保護しましたが、現在応戦中。応援お願いします」

「わかった、詳しい位置を知らせろ」

懐からカード“花火”を取り出し、上空に投げ炸裂させる。

「見えましたか?今の花火が俺の位置です」

しばらくの間、飛んでくる銃弾を叩き落とし、無謀にも斬りかかってくる奴を返り討ちにしていると、2個中隊の海兵がやってくる。

「連絡を受けてきたスモーカー少尉だ。天竜人様方は?」

うわーお、あんたですか!しかも後ろにいるのはヒナさんじゃないですか!

「ええ、此方に。ずいぶんと早かったですね」

「天竜人様方を丁重にお運びしろ!!

 いや、ここまで来るのにほとんど敵と遭遇しなかったんでな。その代わりに細切れの死体ならいっぱいあったが」

「あーすいません、それやったの自分です。自分は・・・・」

「いえ、自己紹介はいいわ。あなたは色々と有名だもの。あ、そうそう私はヒナ少尉よ」

その、色々の部分が非常に気にかかりますね。

「そうですか。でしたら、キース三等兵任務に戻らせていただきます」

敬礼すると消えるように移動する。

「とんでもねえな。三等兵であれか・・・・」

「ぼやいても仕方がないわ。それより護衛をしっかりしないと、私たちの首が飛ぶわよ」

「へいへい」




いやあ、あの二人にここで会うとはね。階級は少尉だったから原作ん時ほど貫禄無かったけどさ。

そんな事を考えながら走っていると、前方に人影が二つ。何やってんだ、あんな倒れた屋敷の前で?

速度を落とし近づいていくと、

「姉様、マリー、私の事はもう良いから二人だけでも逃げて!」

「何を言うソニア!わらわ達がそなたを見捨てて行けるものか!!」

「そうだよ姉様!こんな瓦礫直ぐに退けるから」

凄い美人発見!と思ったらボア・ハンコックじゃねーか!!

逃げたは良いが、建物の倒壊に次女が巻き込まれたって所か。うーむ、原作のためにも三人揃って脱出してもらわないとな。

「おーい、そこの人。何かお困り?」

「ッ!!」

おお!凄い警戒の眼差し向けられましたよ。マリーさんは獣人形態に変化してってるし。

「あー、安心してくれ。俺は避難誘導しているだけ何で、あんた方に危害を加えるつもりはないよ」

言葉だけじゃ信用してもらえないか。取り敢えず持っていた刀を捨て、着流しを脱ぐ。

「この通り俺は丸腰なんだ。少しは信用してくれよ」

「子供がこんな所で何をしておる?」

あ、そこも警戒してるんですか。当然だろうね。

「さっきも言いましたが避難誘導ですよ。それに子供でも俺は海兵だからね」

海兵と言う言葉に警戒を強めるが、俺は無視して近づいていく。

「そこの人を助けたいんでしょう?ちょっと退いていてもらえませんか」

「子供に何が出来る!私たちで出来なかったんだ!あんたみたいな子供に何が出来る?!」

マリーさんが言ってくるが、俺は“剛力無双”を背に浮かべ瓦礫の前に立つ。

「坊や、私の事は無理だから、姉様達を逃がしてやってくれないか?」

「大丈夫ですよ。直ぐに退けます。ぬうりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

ぐおぉぉっ!流石に重いなんてもんじゃない!!

だがここで助けられなかったら男が廃る!原作も変わっちゃうしね!!

踏ん張っていると、ほんの少しだけ瓦礫が浮き上がる。

「っ!今じゃ!!」

すかさず、ハンコックとマリーが引っ張り出す。

ズズンッ!!

「ハァッ、ハァッ、ハァッ!さすがに・・・、きつかったか・・・・」

うーむ、軍船ぐらいの重さがあったんじゃなかろうか?そう考えていると、

「礼を言うぞ少年。おかげで助かった」

そう言って頭を下げてくる。人を見下しまくってたこの人が頭を下げるなんて・・・・

「いえいえ、お礼は良いですから早く退避してください。他の建物が倒壊してこないとも限りませんし」

「そうだな、名前を名乗ることは出来んが、何時か必ずこの借りは返す」

「ありがとう、子供なのに凄い力ね」

「失礼な事を言ってごめんなさい」

「モンキー・D・キースです。また会える日を楽しみにしますよ」

「それと・・・・・私たちとここで会ったことは内緒にして欲しいんだが」

「俺は他に何人も避難誘導してますんでね。細かく覚えていられませんよ」

暗に口外しないことを伝える。

「ふっ、そうか。感謝する」

そう言って、一人一人と握手を交わし別れた。







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今回の一言:ネタ抑えたけど、殺り過ぎたかな?

      マリージョアがどんな所か詳しく知らないけど、ロズワード一家みたいな連中が暮らしてるんなら、

      こんくらい奴隷さん達いると思ったんだけど。

      原作でも海賊団作れるぐらいは逃げ出したんだから、

      逃げ出せなかった人たちの中にはろくでもないのがいたと思うんだ。

      あと、ハンコックは兎も角、シャルリア辺りにフラグ立てたほうが面白かったかな?

      何だったら後の話で登場させるかな?







[9339] 第8話:レッツ・ハンティング
Name: 暇奇人◆9abf2946 ID:4a9fd7a9
Date: 2009/08/25 18:06




原作の事件に初遭遇したんだが、あれで良かったんだろうか?

話の本筋変えないように、その他大勢でいるつもりだったんだが、ついやりすぎちゃったからな。

俺自身、自分の周りの平和を乱されるのは嫌いだから、小悪党ども斬った事に後悔はない。

でもまあ、周りからは、「やり過ぎ」だの「虐殺者」だの言われてるけど、しょうがないか。

もっとも、そんなのが通り名になるのだけは嫌だけどさ・・・・・・

そうそう。俺が蹴散らしてた雑魚どもなんだけど、元々懸かっていた賞金を計算してみたら、なんと10億ベリー突破してたんだって。

雑魚だと思って斬ってたんだけど、億越えが3人、一千万台が十数人も混じってたってさ。

そんなもん、首輪付けてるとはいえ連れてんじゃねえよ。そんじょそこらの猛獣の方がよっぽど安全だよ。

話によるとロズワード聖を含めた連中の、船長コレクションが多かったのが原因らしいけどさ。

自分の奴隷に殺されかけるんだから世話ねえやな。

て言うか、ロズワード聖みたいな趣味の奴が他にもいんのかよ・・・・・・

こいつらにとっては、海賊さん達が必死扱いて上げてきた悪名や賞金も、希少性の一つでしかないってか。







奴隷斬った事に対する俺へのお咎めはなかったよ。飼い主に刃向かうようなペットはいらないんだって

あと、今回の事件に関しては誰も昇進はなし。

だって聖地に襲撃者とか、どう考えても不手際だからね。むしろ天竜人達からきつくお叱りがあったそうな。

あんな連中のために、必死扱いて働くんじゃ無かったよ。腹立たしい。

ある程度は予測してたとはいえ、正義の欠片もない事しかしてないね。背中の正義の文字が泣くってなもんよ。

俺も人の事は言えんがねぇ・・・・

よくよく考えると、原作のシャボンディ諸島で逃げようとして爆発した船長さんも、家族の元に帰るのに必死だったからなぁ。

そんな連中も一緒くたに切り刻んじゃったからね。反省しないとな。

ま、家族の事を気にかけるぐらいなら、端から海賊なんて職業選ばなきゃ言い訳だからさ。斬られても文句は言えんだろうがね。

それに警告したのに武器持ってる方が悪い。武装してる暇があったらサッサと逃げろよ。

海軍本部の連中なんて、まともに相手するのがめんどくさいような武闘派がほとんどなんだからさ。











第8話:レッツ・ハンティング









そんな事を考えながら、海軍の船に乗ってカームベルトを横断しました。俺の目的地はもちろんフーシャ村。

現在行った事の無い故郷という矛盾した所へ、航海の真っ最中です。

フーシャ村への航海と言っても、俺が乗ってた船は直通便ではなかったんだ。

あの村って海軍基地無いみたいだし、それに海軍の輸送船に乗せてもらってただけなんで、目的の基地で乗り換えたんだ。

その後も巡視船や連絡船、商船などを乗り継いで行かなきゃいけない。この世界って海路が発達しているから良いんだけどさ。

じいちゃんの船に乗っけてってもらえりゃ早かったんだが、あんな事件があったばかりだから持ち場を離れさせる訳にはいかないってさ。

早く昇進して自分の船を手に入れないとね。自分の好きに動けないって言うのはどうもね。

でも元の世界で船旅ってした事がないんで中々に楽しい。ゆったりノンビリ風任せって言うのは元の世界じゃ無かったからな。

欠点と言えば安全性か。自然の驚異は元の世界とは比べものにならないし、それに・・・・・

「海賊だーーーーーーーーーーーーー!!!」

こういう馬鹿な連中がいる事か・・・・・







「なあ坊主!おまえ海兵だって話だよな?!」

そんな事を商船の船長が聞いてくる。初めて商船に乗ったんだがよもやいきなり遭遇するとはな。

さっきまでは海軍の船に乗ってたから、襲われる心配はなかったんだが。海軍はどっちかって言うと海賊を襲う側だしな。

「そーですけど?」

「だったら、あの連中何とかしてくれよ!!」

やれやれ、俺が三等兵って事できっちり乗船料取りやがったくせに、その上働けたあな。

客として乗ったんだから、代金分しっかり働いて欲しいもんだがね。

それに藁にもすがりたいのは解るけど、海兵とはいえ子供にたよんなよ。

「俺休暇中なんだけど?それに代金払ったんだから客の身を守るのはあんたらの仕事でしょ」

「そんな事言ってる場合か?!相手は穴熊海賊団なんだぞ!!頭は1300万ベリーの賞金首なんだぞ?!」

周りの乗客達からどよめきや悲鳴が聞こえる。っち、乗客を不安にさせてどうするよ・・・・

俺が子供とはいえ、正直猫の手も借りたいって所か。

「しょうがないな。解りましたよ。手伝いますよ」

「おお!助かるよ!!」





俺は甲板に上がると武装した乗組員達が整列していた。

「いいか!相手は悪名高き穴熊海賊団だ!!乗り込まれたら命はないと思え!!」

とは言ってもねえ。遠目だけど相手の船、この船のざっと倍はあるんだけど。

おまけにこっちは商船だから、大砲の数も向こうと比べりゃ大分少ないだろうし。

それに向こうは戦闘のプロだからな。武装した船員程度じゃ手も足も出ないだろうに。

下手に抵抗して怒らせるより、降伏して積み荷で命の保証をしてもらった方がまだ良いような気がせんでもないが、相手は海賊だからな。

逃げきれるに越した事は無いか・・・・

「撃ってきたぞ!!」

向こうは威嚇射撃のつもりなのか、数発の砲撃を撃ってくるんだが、一発当たるな。

ワザとなんだか偶然なんだか知らんが、ワザとならたちが悪い。偶然だったら腕が悪いな。

「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」

着弾地点から慌てて船員達が逃げ出すが、俺は逆に着弾地点に向かっていく。

「鉄塊、“剛力無双”ぬうりゃぁぁぁぁぁ!!」

飛んできた砲弾を鉄塊をかけた片手でキャッチし、“剛力無双”の 拳・骨・隕石で投げ返す。


ズドォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!


俺が投げ返した砲弾は敵船にジャストミート!!

船員さん達はポカーンとした顔をしているが、まあ当然だろうねぇ。数あわせのつもりで連れてきた子供がこんな事すりゃ。

「って、沈めたら連行するのが面倒だな。乗り込んで片付けるか」

あれだけの船なら100人以上乗ってるだろうから、この船に乗っけて行くには多すぎる。

船ごと制圧して曳航していくのが一番だな。海軍権限で船員何人か借りれば行けんだろ。

「船員さん、ちょっと良いですか?」

「な、何だ?」

子供相手にそこまで怯えなくても良いじゃないか。無理もないが。

「俺は今から向こうの船に乗り込んで、連中を壊滅させますんで、曳航お願いしても良いですか?」

「あ、ああ。それは構わんが大丈夫なのか?」

疑いの眼差し向けてくるけど、こんな所で燻ってるような海賊団に負けるつもりはないよ。

いざとなったら、禁断のキャラ憑依使うしね。

「ええ、大丈夫ですよ。それに俺が行かなきゃ追いつかれますしね」

「解った。それならばお願いする」

「ああ、そうそう。もし俺を置いて逃げたりしたら後ほど海軍から抗議行くと思うんであしからず」

そこで目をそらすなよ・・・・。こいつら俺を置いて逃げるつもりだったな。

「最悪、海賊確保の協力を断った場合、利敵行為として捕まるかもしれないんで気をつけて下さいね」

まあその辺りは口から出任せな所があるけど、ここまで釘差しときゃ大丈夫でしょ。

もし逃げたら、うっかり拳・骨・隕石が飛んでいっちゃうかもしれんな。

もちろん誤射ですよ?

「制圧したら合図として花火上げますんで来て下さいね。では、行きます」

それだけ言うと俺は船から海に飛び降りた。





海に飛び降りたっていっても、別に海の中に入った訳じゃないですよ。

“電光石火”で海面を走ってるんですよ。スピードのせいで水がコンクリート並みになってるからね。

あとは右足が沈む前に左足、という恒例のあれをやってるだけですよ。

原作でブルックがやってたあれだと思っておくんねえ。

「月歩が使えりゃ、この程度出来ない方が可笑しいわな」

水柱を上げながら一気に走り抜け、海賊船の甲板に飛び上がる。

何か海賊さん達右往左往してますよ。砲弾一発撃ち込まれただけでこれか。練度低すぎ。

俺があんだけ派手に接近したのに、砲弾の一発も飛んでこなかったのはそれでか。

それでも甲板のど真ん中に飛び降りりゃあ気づくか。

「てめえ!一体どこから来やがった!!」

「いや、普通に海の上走ってですけど」

自分で言っておいて、それって普通かなとか思ったけど。

「ふざけんなあ!!」

ズドン!

短気な事にいきなり銃をぶっ放してくる。普通は効くんだろうけど、俺には通用しない。

俺もこの世界に染まったもんだ。ちょっと前までは、銃口の前に立ったらガクブルってたのにねぇ。

飛んでくる銃弾を人差し指と中指で挟んで止めてみせる。

「そんなものが俺に効くか」

くぅーーー!一遍やってみたかったんだ!!

「銃弾受け止めやがった!!」「バケモンだ!!」

方々からそんな言葉が聞こえてくるが、グランドラインじゃこの程度出来なけりゃ、生きていけんと思うんだがね。

もっとも、ここで俺に潰されるこいつらにゃあ関係のない話か。

うるさいからそろそろ黙らせようかと思ったが、

「落ち着けテメエら!!」

ようやく船長のご登場ですか。

しっかし、モノの見事にありきたりな海賊スタイル。特徴なさ過ぎて直ぐに忘れちまいそうだ。

バギーやらフォクシーまでは求めないからさ、もうちょっと個性的なかっこうしてよ。

「あんたがこの船の船長ですか?」

「へへへ、いかにも。この俺様がこの穴熊海賊団の船長、穴熊の・・・」

「あーあー、自己紹介はどうでもいいから。そんな事よりあの船に手を出すのやめてくん無い?

 俺ってばようやくの休暇な訳よ。だから働きたくないんよ。武装解除して投降してくれないかな?」

毎度の事ながら、モブキャラの扱い酷いね俺。ムシって用件だけ告げてやったら、おお、顔が真っ赤。

ちゃっちゃと終わらせないと置いてかれちゃいそうだからね。

降伏してくれりゃ話が早いんだけど、やっぱそうはいかんか。

「ふざけやがって!おいテメエらやっちまえ!!」

セリフもひねりのない・・・・・。それに一遍にそんなに突っ込んできても、一度に攻撃できないでしょうに。

まあこんだけ周り囲んじゃったら銃とかは撃てないだろうけどさ。

「うおぉぉぉぉ!」「死ねやぁぁぁぁぁ!」「クソガキがぁぁぁぁぁぁ!」

ぼんやりとそんな事を考えていると、3人が武器を振り上げている。

やれやれ、戦闘中に考え事するのは良くないな。もっとも、今からやるのは一方的なリンチだがね。

「鉄塊」

ガギギギィンッ!

敵の攻撃をワザと受けた上で、俺は体を回転させる。

「八卦掌回天!!」

これはネタ技ではあるけど、能力は特に使っていない。強いて言うならば“剛力無双”で底力を上げているぐらいだ。

これは本家とは違って一瞬しか攻撃を弾けないって訳じゃ無いからね。なもんで結構使い勝手が良い。

しっかしこの武装、腕力上がりすぎだね。突っ込んできた三人、周りの連中巻き込んで盛大に吹っ飛んでら。

やられ役は宙を舞っている所こそ美しい。そうは思わんかね?

俺を中心に5メートルほど離れた場所に、次々と落下していくザコ達。

つーか弱っ!!メインマストの上ぐらいまで跳ね上がって、その後床に叩き付けられたぐらいで戦闘不能になるなよ!

俺なんか修行中、それ以上の喰らった後追撃までかけられたんだぞ!

「てっ、てめえ悪魔の実の能力者か?!」

この程度でびびんなよ船長さん。本部にゃ同じような事出来る人それなりにいましたよ?

悪魔の実食って無くても、やる人はやるからねえ。

「まあそうだけど?とは言っても、今のはほとんど体術だけなんだけど」

「へへ、そうかよ。ならお前さ、俺の船に乗らねえか?もちろん金はたんまり出すぜ。

 どうだ?あの船に雇われているよりもっと良い思いさせてやんぜ」

お決まりの金で片を付けようって話ですか。まあ船員とかなら何とかなったかもしれんが、相手が悪かったね。

「悪いんだけどさ、俺はもう海軍に就職しちまってるんでな。勧誘なら他当たってくれや」

「っへ!海軍の犬かよ!だったらここで死ねやあ!!」

隙を突いたつもりなのか、刀を振り下ろしてくるがノロい。船長でこの低度な訳?

モモンガ中将とかの剣技見てたせいか、ものすげー遅い。届くまでに100発くらい打ち込めそうだ。

ここまで弱そうだと“剛力無双”で殴ると死んじゃいそうなんで、俺はさっき見たく、人差し指と中指で挟んで止めてみせてやった。

「ぐっ!ぬうぅぅぅぅぅぅぅぅっ!動かん!!」

「実力の差が解りましたか?無駄な抵抗はやめてとっとと降伏して下さいな」

俺が優し~く対応してる間に降伏せんと、どうなっても知らんぞ。

「うるせえ!小僧!テメエみてえなガキに捕まったとあっちゃ、一生笑い者だ!サッサと死にやがれ!!」

よしボコろう。

「歯ぁ食いしばれ、“疾風怒濤”!!」

武装“疾風怒濤”。“電光石火”にはスピードでは劣るモノの、その分小回りがきく。

緩急をつけた動きが可能で、目にもとまらぬスピードも出せるが、緩めたときに残像を残す。

まあつまるところ、一人に向けて使用した場合、周りから見たら複数の俺によるリンチ空間へと変貌する。

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラッ!!」

ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!

「mklう゛@うぃmcmつbめそvごみう゛ywlっpdxう゛ぃpbk5えきょぴぃh」

おお、地球上じゃ絶対に聞けない声だなw。どうやって発音してんだ?

さて適当にボコってたら溜飲も下がってきたんで、首掴んでぶら下げてやったんだが・・・・

「えーっと・・・・・・・、誰?」

正直やり過ぎちゃったんだ!!

顔が2倍ぐらいに腫れ上がり、面影が欠片もねえ。手とか足とかも変な方向むいてら。

息はしてるから、死んじゃあいないみたいだけど。

うーむ、車にひかれてもこうはならんだろうな。頭からつま先までボッコボコ。

「よく考えたら、俺って強い人としか戦った事無いから、手加減の仕方って知らんのよね」

全力ださなけりゃいけない状態が続いたせいで、それが普通になってるんだろうねえ。

「それは今後の課題として・・・・・・、おい残りの連中。お前らもこうなるのと素直に降伏するの、どっちが良い?」

答えは全員一致で投降に決まりました。

奇しくも殺一敬百(シャーイージンパイ)みたいになっちまったな。

やっぱ、最初にトップを潰すのが効率的か。戦略の方も、もっと勉強しないとね。

そんな事を考えながら“花火”をあげた。






降伏した連中に“不動”を書きながら回っていると、商船がやってきた。

おっかなびっくり武装した船員が上がってきたが、船上の光景を見て逃げだそうとした。

無理もないか。ここは海賊船の上、しかも海賊達突っ立ったままだからな。

「おーい、大丈夫だからとっとと曳航してくんない?こいつらならサッサと退けるからさ」

そう言いながら、船内に適当に放り込む俺。

そう言うと再び上がってくる船員達。

「大・・・・丈夫なのか?」

「坊主、お前さんこいつらに何したんだ?」

“剛力無双”で数人まとめて持って歩いてると、そんな事を聞いてくる。

ここはあれでしょ!

「企業秘密です☆」







この後最寄りの海軍支部に引き渡して終―了―。俺が一人で制圧したっていったら、驚かれたよ。

あんなんでも、ここら辺じゃ結構有力な海賊団だって言う事を聞かされたよ。

そーいやイーストブルーって、4つの海の中でも最弱と言われてたっけ。

原作時点で賞金首の平均賞金額は300万ベリーとかってあったな。そりゃ1300万って言ったら大物だわ。

あとうれしい事に、巡視船でフーシャ村まで送ってくれるってさ。

それと、俺はこの功績により二等兵に昇進した。

さすがにポンポン昇進させるのはダメだってさ。

ま、ボチボチやりますか。




ところで何であいつら穴熊なんて名乗ってたんだろ?






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今回の一言:主人公の実力が馬鹿みたいだ。

      キース君少将ぐらいまで昇進させるつもりですけど、昇進部分は削ると思います。

      ついでにオラオラ喰らってた船長さんの悲鳴部分は超適当。
    
      適当にキー叩いたらあんなんになりました。

      あと、殺一敬百は一人を無残に殺して百人の敵に警告するだそうです。
      







[9339] 第九話:恨みはらさで置くべきかぁぁぁ!!
Name: 暇奇人◆9abf2946 ID:4a9fd7a9
Date: 2009/06/30 00:15




さあてやってきました、原作開始の場所、フーシャ村!

一応帰ってきたって言うべき何だろうか?『俺』自身は初めて来たからな。

「おーーーーーーーーーーい!キーーーーーースーーーーーーーーーー!!」

おおっ!この声は!!

港で両手ブンブン振ってるちっこいのって、主人公のルフィじゃないか!!

くぅぅぅーーーーーーーーーーーーーっ!!俺は今猛烈に感動している!!

今は俺だけしか知らんが、後々世界中で知らぬ者がいない男になるんだからな!!

そんな男が今俺の前に・・・・・・震えが来るぜ!!

いやあ、テンションが上がりすぎだ。




「いよう、ルフィ!久しぶりだな!」

ホントは初対面だけどさ・・・・

「久しぶりだなキース!じいちゃんの修行大丈夫だったか?」

「ふっ、大丈夫な訳が無いだろ・・・・・(泣」

心遣いが身にしみるね・・・・・

えーと、俺とエースが今9歳で、ルフィはエースの3歳下だから・・・・今6歳ぐらいか。

原作第一話で見たときよりも、ちょい小さいな。

この一年後ぐらいにゴムゴムの実を食べる事になるのか。

どうやらシャンクスさん達はいないみたいだな。もう来てると思うんだけど、航海中かな?

そういや、軍艦に乗ってきてるんだから、へたすりゃここでドンパチすることになってたのか。

アブネー、アブネー。

後の四皇相手にケンカ売るとか正気じゃないな。

送ってもらっといて悪いけど、この船にはサッサと帰ってもらわないとな。

この船の海兵さん達いい人ばかりだからな。俺の都合で巻き込みたくない。

シャンクスさん達も嫌いじゃないしねぇ。















第九話:恨みはらさで置くべきかぁぁぁ!!

















「ありがとーございまいまーーーーす!」

「おーーーーーーーーーう!またなーーーーーーーーー!!」

「配属されるんなら、うちの基地に来いよーーーーーーーーーー!!」

村で少々補給し、帰って行く軍艦に俺は手を振る。

いやあ、ホントいい人達だよ。こんな人たちばっかりなら、海軍もまともなんだろうに。

彼らの航海の安全を祈り、俺は港を後にした。

「さて、エースの奴をを捜さないとな」

1年前、俺を置いて逃げてくれたお礼をしないとね!

「で、ルフィ。エースの奴は何処行った?」

「エースならキースが帰ってきたって聞いたら、森の方に走ってったぜ?」

森の方か・・・・・・好都合だ。

「じゃあちょっとエースに礼をしてくるわ」

「あ、ああ・・・・・」

ルフィが大分引いてたな。後でゆっくり話した方が良さそうだ。








Side:エース

「ふう、キースの奴怒ってんだろうな・・・・」

森の中をトボトボと歩いて、詫びの言葉を考えてるけどいまいちパッとしない。

「やっぱ一人置いてったのはまずかったかな?でも、俺は海賊になりたいからな。

 あいつは海兵になりたいって言ってたから、問題ないよな」

俺悩む必要無いじゃん、そう思っていると森の空気が変わった。

「な、なんだ?!」

指一本動かしただけで殺されそうな濃密な殺気。

ねっとりと絡みつくような殺気は、自分が蜘蛛の巣に迷い込んだように思わせる。

「・・・・・・――――――スゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーー。

 エェェェェーーーーースゥゥゥゥゥーーー」

どこからともなく、地獄から響いてくるような声が俺の名前を呼んでくる。

「この声は・・・・・・・・、まさかキースか!!」

「そぉぉぉーーーーーーだぁぁぁぁぁーーーーーー」

「ま、まだ怒ってんのかよ?謝るからさ、早く出てこいよ!!」

どこだ?どこから話しかけてくるんだ?!さっきまで明るかった森が、薄暗く変貌している。

聞こえてくるのは自分の心臓の音と呼吸音だけ。鳥の鳴き声はおろか、葉のこすれる音すらしない。

このままじゃ気が狂っちまいそうだ!!

「俺ならさっきからお前の後ろにいるが?」

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」

びっくりした!びっくりした!!びっくりした!!!

さっきまで気配無かったぞ!何時のまに後ろに立ってたんだ?!

「うるさいぞ、エース」

そんな事言ってくるが、いきなり後ろに立つお前が悪い!!

「そんな事より、ただいまエース」

「あ、ああ。お帰り・・・・・・」

一見にこやかに見えるけど、さっきから凄い空気悪いんだけど。

「なあ、怒ってるよな?一年前に置いてったこと」

「オコッテナイヨ?」

嘘つけ!!

「じゃあその手に持っているナイフは何だ?」

キースが右手に持っているのは一本の無骨なナイフ。

まさか俺の事殺す気じゃ・・・・・・・・

「なに、お前が俺を置いてってくれたおかげで、俺がどんだけ強くなったか教えてやろうと思ってな」

「いい!そんなのいいから!!」

「遠慮するなって」

ナイフを逆手に持ちかえると、ゆっくりと見せつけるように構えてくる。

「ようこそ。このすばらしき惨殺空間へ」

黒く染まった顔の中で、丸い目と三日月のような口が赤く、アカク・・・・・


out






「やれやれ、情けないなあ」

俺の前にはパンツ一丁で気絶しているエースがいる。

まったく、“殺人貴”状態でうぶ毛剃ってやったってだけだって言うのに。

「漏らしてないだけ、根性はあるんだろうがね」

逃げても逃げても、姿の見えない相手から服やうぶ毛を刈られていくんだ。

自分でやっといて何だが、これは怖いだろうねえ。

直死の魔眼は使えませんでしたよ?

グウゥゥゥーーーーッ

「運動したら腹が減ったな。村に帰って何か作るか」

エースを担いだ後、俺は村の方向に歩き出した。







「なあ、ホントにエースの奴大丈夫なのか?」

俺たち兄弟は村長の家に間借りさせてもらっているって話だ。

詳しい話は知らないんだけどさ・・・・・・

「だーいじょぶだって。エースだって海賊目指してるんだ。この程度でどうにかなったりしないよ」

俺はフライパンを振りながら応対している。

俺の背には“特級厨師”と書かれているため、俺が考えなくても、ほとんど勝手に調理してくれる。

あと、中華は火力が命なんで、フライパンの裏には“加熱”が書き込んであったりする。

「でもさー、ものすごくうなされてんだけど?」

帰ってきた後ソファーにほかしといたんだが、ウンウンうるさいな。

「ふう、しょうがないな」

調理の手を止め、エースを“沈黙”させる。これで良しと思っていると、

「おいキース。今何やったんだ?」

「あん?俺の能力で黙らせただけだが?」

おおう、目ぇキラキラさせてんな。

あれ?ひょっとして聞いてない?

「エースから聞いてないのか?俺が悪魔の実食ったって」

「へ?悪魔の実って何だ?」

知らないのかよ?!そういや知らずに食ってたね!!

取り敢えず説明しながら調理を再開するが、あんまり教えすぎんのもな。

それはそうと、エースの奴俺のこと秘密にしてたらしい。

実物見せたほうが喜ぶだろうって事か。

さすがは長男。気遣いが違うね!




そうこうしていると、料理が完成したのでルフィには村長を呼びに行ってもらう。

「おーい、エース。起きろー」

「む、うぅぅぅ。ひぇっ!キース!!」

俺の顔見て怯えんなよ・・・・・

「はいはい、俺が悪かったから。何もしねえから、メシにすんぞ」

ルフィが村長を連れてきたので、エースも大分警戒していたが席に着く。

「では、いただきます」

「「「いただきます」」」

俺が作った中華料理、と言ってもあり合わせで作ったもんだが、各々手を伸ばす。

「「「うんま~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!」」」

「うん、口にあったようだね」

一気に食べ始める3人。最初にこれの使い方に気づいたとき、俺も似たような反応だったからねえ。

師匠連中すら黙らせた味だからな。どうせなら、こっちの腕で生きてきゃ平和だったね・・・・

元々の意味に加え、中華一番の連中も入ってるからさ、味が半端じゃない。

一遍伝説の厨具とかって使ってみたいな。

あと和食や中華は出来るけど、洋食系は苦手なんだよね。

どうも、英語とかは俺の英語の成績が悪かったせいか、印象悪くて能力とは相性悪いみたいだし。

カナ文字は字数が多くなりがちで、使いたくても使えないモノが多いんだよね。

特に洋食関係はネタあんま知らないんだよね。バンビーノは字数多いし、あんまり読んで無かったしな。

おっと、余計なこと考えてると食いっぱぐれんな。




「「「ごちそうさまーーーーーーーーーー!!」」」

「お粗末様でした」

いやあ、一気に食い尽くしたな。

さて、それはそうと、

「なあルフィ。この村って海賊が来てるって聞いたんだが本当か?」

「シャンクス達か?今は航海に出てるけど、どうかしたか?」

やっぱりか。それは良いんだが、

「いや、俺って海兵だからさ。休暇中とはいえ攻撃されないかなーと思ってさ」

「ええっ!キース海兵になったのか?」

それも聞いてないのかよ。村長も忘れとったみたいな顔しないで下さい。

「でも大丈夫だって!シャンクス達はそんな見境なしに暴れたりしないって!」

「そりゃ安心だ。まー俺一人でどうにか出来るわけ無いしな」

俺はそこまで自殺志願者じゃないよ。

それにルフィがゴムゴムの実食って、『麦わら』を名乗るのには絶対に必要な人だしね。

あと、今顔見知りになっとけば、もしも新世界で戦ることになっても、命まではとられんだろ。

そんな打算的な事を考えながら、『赤髪』のシャンクスとの出会いを想像していた。










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今回の一言:取り敢えずエースボコってみた。
  
      




[9339] 第10話:ついカッとなってやっちゃった
Name: 暇奇人◆9abf2946 ID:4a9fd7a9
Date: 2009/08/12 22:59






俺が帰ってきてから半月が経った頃、いよいよ待ちに待った人達が来た。

「おーーーーーーーーーーい!!シャンクスーーーーーーーーー!!!」

「ルフィ、はしゃぎすぎだぞ」

何か俺が帰ってきたときより、喜んでないかい?

まあそんなことは置いといて、これが後に世界最強の海賊団の一つとなる赤髪海賊団か・・・・・・

マンガの方では陽気なだけのように見えたが、実際に見るとこの時点ですげえプレッシャーだな。

なんて言うか、大将や中将直属の精鋭を見たときと同じような感覚だ。

そうか、これがグランドラインで生きていけるレベルってことか・・・・

うん、この感覚は大切にしておこう。この気配がしたら逃げ出さんと最悪死ねるからな。

基本俺はチキンだからね。勝てない戦いはしないんよ。

敵前逃亡?命あっての物種ってね。生きてりゃリベンジもできるしな。

おおっ!!向こうに見える赤髪と麦わら帽子は!!

「シャンクスーーーーーーーーー!!!」

「おっと、危ねえなルフィ」

この人が後の四皇、『赤髪』のシャンクスか・・・・・

うーむ、当然だが勝てる気が全くしねえ。

そういやこの人って、両手あったときは『鷹の目』とライバルだったんだよな。

世界最強の剣士と互角で見習いって、海賊王の船ってどんだけ敷居高いんだよ。
















第10話:ついカッとなってやっちゃった




















俺の探るような視線に反応し、彼はこちらに振り返る。

「あん?だれだ、オメエ?物騒な視線を向けて?」

「ああ、すいません。初めましてシャンクスさん。俺はルフィ達の従兄弟でモンキー・D・キースと言います」

「おお、お前がキースか!話には聞いてるよ。ガープのじいさんの生け贄にされたんだってな。」

誰だよそんな説明した奴は。ってルフィ、目え逸らして口笛吹いてたら丸わかりだぞ。

「ははは、まあそんなとこです。おかげでそれなりには強くなれたんですけどね・・・・・・はぁ」

「へえ、そいつは楽しみだな。どうだ?腕に自信があるなら、うちの入団テスト受けてみるか?」

「あー、残念ながら俺はじいちゃんのあとを継いで海兵になったんで・・・・一人ぐらいはあと次いでやんないとねえ」

「へぇーそうか。俺のことも捕まえるかい?」

「俺はそんなに命知らずじゃないですよ。もっと強くなるまでは保留させてもらって良いですか?」

「楽しみに待ってるよ。そうそう俺の事はシャンクスで良いぜ」

「では、お言葉に甘えてそう呼ばせてもらいます」

「礼儀正しい奴だねぇ。ん?どうしたルフィ」

うん?何拗ねてるんだルフィの奴?

「だってシャンクスは俺は海賊団に入れてくれないのに、キースの奴は誘うんだもん」

そこかよ・・・・。シャンクスも冗談で言っただけだと思うんだけどねえ。

で、ルフィは根性見せてやるってシャンクスさん連れて船の方にいっちまった。

あれ?ひょっとしてここって原作第一話の場面か?だとしたら・・・・・・

「いっっってェ~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!」

「バ・・・バカ野郎!何やってんだぁ!!」

「いてーーーーーーーよーーーーーーーーーーーー!!」

そうか、ルフィの顔面刺しか。なんであんな根性の示し方したんだろうねえ。

俺は甲板に飛び上がり、「こぉの、どあほーーーーーーー!!」拳骨を叩き込んだ。

「いでーーーーーーーーーーーー!!」

「ったく、根性の示し方が間違っとるわ!」

「おい!そんな事してる場合じゃ無いだろうが!!」

っは、取り乱してしまった。この半月で完全に弟として定着してるんで、つい反射的にやっちまった。





「野郎ども乾杯だ!!ルフィの根性と俺たちの大いなる旅に!!」

ルフィの治療も終わり酒場にやってきたんだが、俺はさっきの罰として料理番&皿洗いさせられてる。

「ごめんねキース。あなたに手伝わせちゃって」

「いえ、良いんですよマキノさん。一人じゃこのメンツの相手は大変でしょう?」

やーれやれ、楽しそうだねえ。俺も海賊になれば良かったかなぁ・・・・

まあ『赤旗』のドレークも海軍から転職したって言うし、居心地悪くなったら俺もそうするかね?

ルフィとシャンクスはカウンターで原作通りのこと会話してるんで、俺は戦利品の話をしている連中に意識を向ける。

「なあ、おめえらこれ食ってみる気あるか?」

「いやいや、ゴムゴムの実だろ、これ?カナヅチになるのと引き替えにゴムになるのはな」

「だよなあ。それに売れば一億ベリーはくだらねえんだろ?俺なら金の方が良いね」

不人気だなゴムゴムの実。ロギアとかなら喜んで食うんだろうけど、パラミシアって微妙だしな。

俺も原作でルフィが活躍しているとこ見てなかったら、食いたいとは思わんな。

おっ、椅子の横に無造作に置いた。チャーンス!

俺は出来上がった料理を持ち彼らの元へ向かう。

「あいよー!追加の料理お待ち!!」

「お!待ってました!!」

このテーブルの人間が料理に意識を向けたとき、俺はスプーンを落とし、

かがんだ際にゴムゴムの実を“認識阻害”を施した袋に一瞬で入れる。

そのまま調理台の裏に戻り、ミッションコンプリート!!

酒場から見えない位置で袋から取り出し皮をむき、そのまま綺麗に切り分ける。

確か悪魔の実は一口で効果が発生し、そのあとはただの実になったはず・・・・

「おらよ、ルフィ!さっきの詫びだ、口開けな」

さっきから泳ぎの練習云々話してたルフィの口の中に一切れ放り込み、残りを目の前に置いてやる。

許せルフィ。これもお前のためだ。

ってゆーか、俺が原作生で見たいだけなんだがね。





そんな事を考えていると、酒場の入り口が蹴り開けられる。

「じゃまするぜえ」

そういやいたな、こんな馬鹿。

「俺たちは山賊だ」

なんちゅう自己紹介だ。ふつー自分で山賊って名乗るか?

「が、店を荒らしに来たわけじゃねえ。酒を売ってくれ。樽で十個ほど」

すでに店壊れてるんだが?

俺はこいつらの応対をしようとするマキノさんを制し、前に出る。

「すいません。お酒は今出ている分でお終いです」

「あん?売り切れだと?」

「すまん、すまん。俺たちが飲み尽くしちまったみたいだな。これで良かったら飲むか?」

そう言ってシャンクスが酒瓶を差し出すが、それは山賊のこぶしで割られてしまう。

飲まないからって、割らんでもよかろうに。もったいね。

「これを見ろ。俺の首には800万ベリーが懸かっている。第一級のおたずねものってわけだ」

だから自分で言うなと・・・・・・

まあ、このあとはお決まりのやりとりが続くんで割愛させてもらうが・・・こいつらマジむかつく!!

このあとがどうなっても知るか!まとめて突き出して俺の手柄にしてくれる!!





マキノさんの制止を無視し、店から出て行った山賊どもの後を追う。

「もしもし?店の入り口を壊した修繕費払ってくの忘れてますよ」

「なんだクソガキ!俺と出会って命があっただけでもありがたいと思いやがれ!」

三下が・・・・・身の程ってモノを教えてやる。

「つまり払ってはもらえないと」

「っち!もう良いから死んどけや!!」

弱い犬ほどよく吠える。

俺は抜きざまに斬りかかってきた剣を鉄塊で弾く。

「っな!剣を弾きやがった!!てめえ一体なにしやがった!!」

「特に何も?この程度の事出来る人は、某所には結構いますよ」

CP9とかね。それに六式はCP9の専売特許じゃないしね。

「くそっ!テメエらやっちまえ!!」

ホントこういう奴らって代わり映えのしない。こないだも同じ事言ってた奴いたな。

まあ良いや。ちゃっちゃと片付けないとヌシイベントが発動しちまう。

とは言っても村ん中に血溜まり作りたくないし、建物も壊れるから大技は使えんな。

あんまりにもザコ過ぎてうっかり殺してしまいそうだしな。

なんてことを考えながら適当にカウンター入れてたんだが、

「あれ?もう終わり?」

弱っ!!子供の一撃で沈むなよ。まだ能力使ってないんだが・・・・・

よくこんなんで山賊やってこれたな。海だったら最初の戦闘で全滅すんぞ。

「っく!なんだこのガキは!!」

「ただの一般人ですがなにか?それより残るはあなただけですよ」

頭が一人残ったけど、原作みたいに煙幕使われたら面倒だな。そうこうしてる間に使おうとしてるし。

剃で一気に距離を詰め、煙玉を持った手を掴む。

「逃がさんよ。あんたには地獄の苦しみを味あわせてあげるよ」

掴んでいる手とは逆の方で斬ったり殴ったりしてくるが、“鉄塊拳法”で無視。

何が良いかな~~~?そうだ“悶絶躄地”(※1)にしよう。

上着を破り捨て、胸から腹にかけてしっかりと書いてやる。

「じゃあ逝ってこい」

「――――――――――――――――――――――――――――――――ッ!!!!!!!」

おお、痛みで声も出ないって言うのはこういう事を言うのか。

まあいいや、しばらくほっとこ。こいつが壊れても喜ぶ奴はいても悲しむ奴はいないだろ。

しっかし、あんまりにも弱すぎ。何か不完全燃焼気味だな。

ところで山賊って届けるの海軍で良かったんだっけか?賞金首だから政府関係なら何処でも良いのか?

そんな事を考えていると、歓声が聞こえてくる。

「やるじゃねえか坊主!!」「スゲェじゃねえか!!」「ほう、年の割にはなかなか・・・・」

見てたんですかあんたら。どうせなら手伝ってくれても良いじゃん。

「もう!!危ない事しちゃダメじゃない!!」

マキノさんには怒られましたけど、じいちゃん達の修行のほうがもっと危険だったんだがねぇ。

それはそうと、山賊どもほっとく訳にもいかんから、縄でも取ってくるか。

俺の能力で動けなくしておいても良いが、疲れるし効果が切れたら面倒だからね。






海賊さん達に背中叩かれたりしながら店に戻ったら、シャンクスとルフィがケンカしてましたよ。

シャンクス達が戦わなかった事に怒ってるみたいだけど、まあ相手が小物すぎたからな。

俺?俺も小物だからあいつらの相手ぐらいが丁度良いのさ。

「シャンクスのバカヤローーーーーーーーー!!!なんであんな奴らぶっ飛ばしちまわねえんだよ!!」

「おい、まてよルフィ」

びよーーーーーーーーーーーーーん

おお、伸びる伸びる。計画通りうまくいっていたか。これで原作通り事が進むはずだ。

俺が原作を守ろうとするのは、ルフィが旅に出ないと解決しない事が多すぎるからなんだよね。

麦わら海賊団のクルーが仲間になるときって、結構切実な問題が起きてるからねえ。

俺も色々仕込むつもりだけど、中には海兵の俺じゃ関わるのが難しいのもあるしな。ロビンの一件とかね。

「なんだこれはーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」

「ないっ!!敵船から奪ったゴムゴムの実が!!!」

それはそうと店内大パニックだねえ。うーむ、これは素直に白状したほうが良さそうだな。

「あー、あれって悪魔の実だったのか。そこら辺にほっといてあったから調理しちゃったよ」

「「「「「「オマエのせいかーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」」」」」」

おお、全員がシンクロしよった。まーそりゃそーだろうけどさ。

「いやあ、すんませんねえ。まさか悪魔の実がそこら辺に転がってるとは思わなかったもんで」

原作でも思ったが、一億ベリーのお宝をそこら辺に置いとくなよ。

結果を言えばシャンクス達は「喰っちまったもんはしょうがない」って言ってくれたよ。

おおらかな人たちだねえ。どんぶり勘定なだけかもしれんが。

まあ命がけとはいえ、元々が敵から奪ったもんだから元手タダだからね。他にも戦利品はあるらしいし。

ただまあ、ルフィがしつこいや。海賊になるのに一生カナヅチにしやがってとかさ。

そこら辺は予想していたんで、海兵やら海賊にも悪魔の実の能力者はいっぱいいるって事を教えてやった。

誰がどんな能力を持っているかまでは教えなかったが、それでも機嫌は直ったようだ。

現金なこって。











で、村の人に船を出してもらって、山賊どもを最寄りの海軍基地に送って帰ってきたんだが・・・・・・

何でシャンクスの片腕無くなってるんだ?!

でまあ、出航準備している本人に話を聞いたら、ぶっ倒れたよ。

要点だけまとめると、以下の通り。

・ シャンクス達がこの村を拠点にしていると気づいた海軍がやってきたが、シャンクス達不在。

・ 指揮官の大佐がろくでなしで、村人に危害を加えそうになった。

・ ルフィが俺は海賊見習いとか言って戦いを挑んだが敗北。シャンクス達到着。

・ 赤髪海賊団による蹂躙戦。大佐ルフィを人質に海へ逃走。→ヌシイベント

おおう。原作かわっちまってもいいやと思ったが、こんな修正力が働くとは・・・・

ルフィを助けてくれた事といい、海軍が迷惑かけたことといい。シャンクスには土下座して謝罪とお礼を言いましたよ。

まあ海軍はあんたら捕まえんのが仕事ではあるんだけどさ。

でも何考えてんだその大佐。海賊目指してるとはいえ、ルフィは海軍中将の孫なんだがねえ。

それにしても海軍、実力主義にも程があるだろ!!昇進にもうちょい人柄とか考慮しろよ!!

いやまあ、赤犬大将辺りだと、村ごと焼き払いそうだけど・・・・・・海賊に協力したとか言って。

海軍の立て直しはコビーに大将になってもらって、がんばってもらうか。

俺がやると恐怖政治みたいになっちゃいそうだからね。

気の長い話になりそうだ。





















※1【悶絶躄地】もんぜつ-びゃくじ
非常な苦しみの形容。立っていることができないほど悶え苦しんで、転がってはいずり回ること。
「悶絶」は悶え苦しんで意識を失うこと。苦しんで気絶すること。「躄地」は両足で立つことができず、地をはうこと。



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今回の一言:残念ながらシャンクス戦は出せませんでした。

      元々はシャンクスと互角に切り結ばせて、鷹の目フラグたてようと思ったんですけど。

      若干原作に絡めてみました。原作文があると自分の色が霞んでいるような気が・・・・

      






[9339] 閑話:ある修行の風景
Name: 暇奇人◆9abf2946 ID:4a9fd7a9
Date: 2010/01/26 21:15


「あーーーーーー、ねみーーーーーーーー」

朝日が昇ると共に俺は起き出すようにしている。

この世界で戦って生きていくことを決めてから、これは変わらぬ日課となっている。

六式を使えるようになってからというもの、この世界の戦闘能力の異常さが、身をもって体感できたからね。

だって剃使って走るだけで、瞬間的にはそこらの自動車より速いんだぜ?

能力者とかだったら絶対に戦車とか軽くつぶせるだろうね・・・・・

故に日々体を鍛えることだけは止められない。鍛錬をさぼれば間違いなく寿命が縮む。

自分が死ぬか、相手を殺すか。

海兵と海賊の関係って言ったらこんなモンだしね。

すでに俺の手は血で真っ赤に染まりきってるからな。後悔も今更だ・・・・・

それに、自分が生き残り、平和になった世界でこそ俺の野望は果たされる。

それまでは絶対に生き残らないと・・・・・・

「何より、ワンピースのファンとしては原作までは意地でも生きないとね」

ルフィが海賊王になってくれれば大海賊時代も終わって少しは平和になるだろ。

だから海兵の側から、ある程度サポートしていかないとね。

じいちゃんの例を見るに、ある程度海軍に利益がある存在なら、多少目こぼししても直ぐにはクビにならんだろ。

最低でもエース処刑を阻止するかどうかまでは、海兵でいないと・・・・・

そのためには昇進してかなきゃいけないんだが、そうなるとやっぱり強さが必要になってくる。

ま、ルフィのサポートするんだったら、弱かったらマズそうだしな。

「さて、体操は念入りにっ、と」
















閑話:ある日常の風景(修行編)

















朝飯までに日課の基礎鍛錬を行う。

「3倍にも慣れてきたから、今日から4倍試すか」

俺は基本的に基礎鍛錬の時は、某マンガのごとく体重を増加させて鍛錬する。

日常生活で使用しないのは、あんまりやりすぎると背が伸びなさそうな気がしたからだ。

“重”とかだといまいち細かな制御が効かないんで、“自重○倍”を使用している。(ちなみに○は漢数字)

いつも通り修行に使ってる広場まで駆けて行くんだけど、さすがに4倍はキツイ。

この鍛錬法のきっかけは、キロキロの実の能力者とかっていたのを思い出したからだ。

あっちは体重増えても自由に動けてたけどさ。そこら辺、さすがは悪魔の実って所か・・・・

昨日よりも遅いペースでゆっくりと走って村から出る。

「では・・・・・剃!!」

町の外に出ると。辺りのことをあんまり気にしないで良いんで、広場まで一気に駆け抜ける。

くっ、結構足に負担がかかってきてるな。でもあと少し・・・・

「とおっ・・・・・・・ちゃく!」

ぜーーー・・・はーーー・・・、ぜーーー・・・はーーー・・・

死ぬ・・・・・・。一分も走ってないけど、死ぬ・・・・・・・・・

「きっつ・・・・。4倍はまだ無理だな・・・・・。3倍に戻そう・・・・・」

少々休憩を挟み鍛錬を再開する。

「月歩!」

宙に浮いた状態を10分維持する。地味な訓練だが無駄に疲れる。

でもこれやっとかないと、海に落ちそうになったときやばいからな。

ちなみに、町の外で訓練するのはこの光景を人に見られたく無いからだったりする。

ふつー、人が宙に浮いてるのを見たらびっくりだからね。

こんな風に早朝訓練は人に見られたくないモノをもっぱら使っている。







その後、指銃、嵐脚と続ける。派生技をメインにして。

まあ、的用意するのがめんどくさいんで、指銃系は地面に、嵐脚系は空に打ち込んでるけど。

元ネタを知ってるんで、『武装真言』で体に覚えさせてから、実践してるんで習得率はまあまあ。

ただ、現在習得しようとしている『鉄塊拳法』は習得に苦心している。

これを覚えて、さらに防御力強化系の武装と合わせれば、かなりのモノになるんだが。

「それに『禁じ手』使うときでも、ある程度軽減出来るかもしれんし」

『禁じ手』はかつて使った“東方不敗”を初めとする、俺の内にある『最強』の体現者達をこの身に憑依させるモノだ。

シャーマンキングの『憑依合体』みたいなモンだね。めんどいからネーミングそのまま使わせてもらうことにしたし。

何人か憑依させてみたんだが、どれもこれも体に負担がかかりすぎて、全力が出せない。

完全憑依状態ですら、その人達の戦闘能力を100%の再現するのは無理。

完全憑依状態だと、オートで戦ってくれてるんだけど、俺の体が(筋肉の付き方とかで)再現しきれない。

憑依の割合を増やせば無理矢理に合わせてくれるけどさ。(結果体が壊れる)

まあ憑依させてる人たちが、ワンピースの世界に置いてさえ、『最強』と呼べるような人たちばかりだからな。

なので、自力がつくまでは、憑依の割合を減らして、彼らの技・技量を体に叩き込んでいる。

一人に絞ればその人になりきれるんだろうけど、状況次第で使い分けれた方が便利だ。

ってことで、自分の体でその人の力を引き出すための、最適な体の動かし方を研究している。

それにこれをやっていると、その人達の技術がぼんやりとだが解ってくる。

憑依する人が強いのは分かり切っているが、彼らの技を自分一人で発揮することが出来ればそれに越したことはない。

なので、剣の修行では“抜刀斎”や“騎士王”で練習してるが、レベルが高すぎてさっぱりだったり。

身体能力では一部上回ってる所もあるだろうけど、技量に差がありすぎる。

師匠達にも教わったけど、まだまだ基礎修行だったからな・・・・・

ま、俺の場合は武器に『一筆入魂』使って戦力底上げするから、焦らずやってるけど。

最後にシャドーを行い、朝飯前の鍛錬を終える。








食事の準備はもっぱら俺の仕事になっている。

一緒に生活しているメンツの中で、一番料理がうまいからね。

どうせならおいしいモノ食べたいし。片付けはお願いしてるけど。

朝食が終われば航海術の勉強を始める。これが出来ないと船長失格だからね。

ルフィはナミに任せっきりにしてたけど、指揮系統に混乱が生じるから船長が指示できないとマズイ。

海賊ならまだしも、海軍ならそこら辺しっかりしてないと昇進できん。

専門的なところはしょうがないとしても、大まかな指示ぐらいはできんとなあ。

俺元々勉強嫌いだけど、命がけだからそりゃ必死で覚えるよ・・・・・

ルフィやエースも一緒に勉強してるけど、ルフィはダメダメだな。

「ええい!!寝るなルフィ!!最低限こんくらい知ってなけりゃ死ぬぞ!!!」

海賊王になるどころか、海に出て一日保たんわ!!

ナミ仲間にするまでよく生きてたな・・・・・・

俺がいなかったらエース一人で教えてたんだろうなぁ・・・・・・ご苦労様です。









昼食後は村の子供達と遊びに出かけたり、鍛錬したり。

鍛錬の場合はバラバラにやることがほとんどだが、二人、もしくは三人でやることもある。

今のところ実戦、特に命のやり取りしたのは俺だけだから、戦闘能力は群を抜いてる。

「だからってさ、何も二人がかりで向かってくること無いじゃない?」

ま、今までやってきた相手が相手なんで、どうって事無いんだがね。

「くそっ!!少しは当たれ!!」

「はーい、ルフィ。相手が素直に当たってくれると思わないように」

「ぶべっ!」

「防御も意識しないとカウンターもらうぞー」

この年ならこんなモンだろ。

「エースも、隙がないからって様子見しすぎだ。自分でも動いて隙を作らないと」

結局二人は俺に一撃を入れることなく組み手終了。

六式も能力も使ってないけど、自力に差が大分ついたな。だてに地獄は見てねえってな・・・・・・

でも、そろそろエースには一撃もらいそうだな。

原作でルフィが、エースが旅に出るまで一度も勝てなかったって言ってただけのことはある。

でもま、二人ともまだまだ。

だがまー、負けられる内に負けときな。

海賊になるんなら、絶対に負けられない戦いに身を投じていかなけりゃいけなくなるんだから。

続いて反省可へと移る。

「ルフィよ、能力に頼って防御しないと危ないぞ。打撃は効かなくても、相手が刃物持ってたら意味無いんだから」

「解ってるよー。でも素手の攻撃だったら、避けるよりも受けて一撃入れたほうがいいじゃん」

「いーや解ってない。お前に打撃でダメージ与える方法なんていくらでもあるって事を忘れるなよ」

「えー?そんなのがあるのかよ?」

こいつは・・・・・信じてないな・・・・・

「ふう、しょうがない。ちょっと離れとけ」

俺は瓦割りでもするかのように拳を地面に向けて構える。

“明王”の力、目に焼き付けろ!!

「二重の極み!!」

ズズン!!

えぐれた地面、辺りにあった石は軒並み砂へと変わっている状況を見て唖然とする二人。

「ま、こんなモンだ」

「ス、スゲーー!!なあ、どうやったらこんな事が出来るんだ?!」

「うん?何でも一瞬のうちに二重の衝撃を叩き込むことによって爆裂するんだとか。ま、詳しくは知らんが」

「「って、よく解らんのかい!!」」

しょうがないじゃん。オートで発動するから深く考えたこと無いんだもん。

「ま、そう言うことで油断はしないこと。んで、エースだが・・・・」

ルフィと違ってアドバイスが難しいな。高水準にまとめられてて悪いところがあんま無いからな。

「うーん、まあこのままでもいいだろ。ただし、慎重すぎるとチャンスを失うぞ」

「ああ、肝に銘じておくよ」

同い年なんで大分ライバル視されてるな・・・・・・

うんうん、青いねえ。おじさんも鍛えがいがあるってなもんよ。

二人には強くなってもらはないとねえ。

少なくとも俺のせいで弱くなることだけは避けないとな。






「ああそうそう、ルフィお前の能力の利点言ってみ?」

「ん?ゴムみたいに伸びるから打撃が効かないってことだろ?」

やっぱその程度の認識か・・・・・

道理でルフィの代名詞とも言える、ゴムゴムのピストル使わないはずだよ。

「伸びるんだったらさ、何で攻撃を伸ばさないんだ?」

「へ?」

「通常、パンチってのは腕が伸びきったときが一番威力がある。
手が伸びきる前だったら力が乗らず、遠かったら届かないか、姿勢を崩して力が抜けてる。
でも、お前の体は伸びるんだからピストルの弾みたいに、力を乗せたまま遠くまで届くだろ?」

「おお!」

出来れば自分で気づいて欲しかったね。

いずれは気づくんだろうけど、早いほうがさらに発展させることが出来るからあえて教えておく。

「いいか、ルフィ。戦闘下では能力も武器の一つでしかない。
体を鍛えるように、能力自体とも向き合えよ。
どんな能力も使いこなせば立派な武器に変わるんだからな」











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今回の一言

 午後の修行がいまいち筆が進まない。

 それ以前は550話みる前に書いたからなぁ。

 ショックをひきずってんだろうか?







[9339] 第十一話:さーて、海兵生活と行きますか
Name: 暇奇人◆9abf2946 ID:4a9fd7a9
Date: 2009/06/30 00:49





シャンクス達が村を出てから半年ほど過ぎた。

この間俺がやっていた事は、修行と言ってルフィボコったり、組み手と称してエースボコったり、

お仕事として海賊をボコったりしていた。

休暇中なんで最後のはお仕事と言うより、修行と航海術の訓練を兼ねたボランティアみたいなもんだ。

賞金平均値が一番低いイーストブルーと言っても、10も海賊団潰しゃそれなりに名も売れてきたしねえ。

賞金稼ぎだったら、結構な稼ぎだったろうになあ。まあ、海兵だって事で無駄に昇進したけどさ。

そんなこんなで今准尉ですよ。塵も積もれば何とやらってか。

おかげで最初の頃は、村のぼろい船を“不沈”で強化して借りてたけど、海軍の小型艇借りれるようになったよ。

ちなみに遭遇率が高いのは“海賊探査”でダウジングしてるからですよ。

的中率は70%って所だけどさ闇雲に探すよりましだし、聞き込みと合わせりゃ的中率は上がる。

いやあ実に便利な能力だよ。この海だったらそれほど強力な賞金首いないからさ。

大雑把な位置が特定できれば、あとは面見て気に入らなかったらぶっ潰せば良いだけなんでね。







で、そのまま村でノンビリしていられりゃ良かったんだけど、俺は今カームベルトを横断しています。

「あーーーーーーーーーーーひまーーーーーーーーー・・・・・」

休みはまだ残ってるんだけどさ、じいちゃんからの連絡で、一遍こっちに顔を出してくれって呼び出されたんだ。

なもんで一時的に海兵に復帰し、本部に向かって航海中ですが現在非常に暇です。

「あのー、ホントに手伝わなくっていいんですか?」

一応客人扱いなんで、この船の船長は手伝わさせてくれない。

でかい船の操船には興味があるし、このまま昇進していけるなら、いずれは指揮取らなきゃいけないしね。

今のうちに覚えておいて損は無いと思うんだがなぁ。

「准尉。君はこの船の操船法を知らないだろう。いずれは覚えねばならんかもしれんが、今は見て覚えることだ」

「まあそうなんですけど・・・・・どうもじっとしているのは苦手で」

「ふむ、とは言ってもな、海軍の仕事は海とにらめっこするのが仕事のようなモノだぞ。今のうちになれておいた方が良い」

おおう、そういやそうですよね。海賊探して一週間以上海の上にいることなんざ、ざらだろうねえ。













第十一話:さーて、海兵生活と行きますか
















変化のない海をひたすら見続けて、憂さ晴らしの海賊出てこいと念じていたが、出てくることなく海軍本部に着いた。

おかげでフラストレーション溜まりまくりだよ。それにしても、

「あーーー、足下が揺れてないって久しぶりだな」

ほんっと落ち着く。船に揺られているのも良いもんだが、能力者である俺は船板一枚下は地獄だからな。

いつか海に落ちても大丈夫なような技でも開発してみるか。出来るかどうかはともかく。

「さて、勝手知ったる海軍本部っと」

俺は海軍本部トップ達の執務室がある区画に歩き出す。

ただまあ、私服のまんまで歩いてるもんだから目立つねえ。特に俺のいない間に配属になった人たちとかに。

俺の事知ってる人とかは手を振ってくれたりするんだけどさ。

「うーん、前に支給された制服着てくれば良かったな」

特に執務室辺りの区画の警備配置が少し変わってたのが痛かった。俺の事知ってる人を呼んでもらわなきゃいけなかったし。

子供だからってほいほい通すようじゃ警備の意味が無いんだけどさ。

途中でじいちゃんの所ではなく、センゴク元帥の所へ向かうよう言われ、そちらに向かう。




「モンキー・D・キース准尉まいりました」

服装はともかく、敬礼とかはキチっとしとかないとね。

「うむ、来たか」

うわ-お。師匠連勢揃いですか。

「ガープ中将より召還を受け参りました。私めにいかが御用向きでしょうか?」

「あー、楽に話してくれ。お前にそんな話し方されると体がかゆくなる」

でしょーね。半分は嫌がらせですし。

「りょーかいです。で、何のようです?青キジさん」

「それは、ワシから話そう。久しぶりだなキースよ」

元帥直々ですか。嫌な予感しかしねえ・・・・・・

「お前に伝えなければならぬ事は二つある。一つめはお前の今後についてだ。

お前は准尉にまで昇進したが、今だ部隊の指揮などは知らぬだろう?故に誰か適当な将校の副官となり、その者の元で学んでもらう」

あー、それですか。はっきり言ってめんどくせえ。

元々海軍志望したのは身の安全のためであって、人の上に立つとかガラじゃないんだがねえ。

「はあ、解りましたけど誰の副官になるんです?師匠連の副官だと階級が違いすぎますよね?」

「それはまだ決まっておらん。もっとも、お前の手綱を握らせるのはそれなりの者でなければな。希望があれば聞くが?」

うーむ、俺の階級で副官・・・・・・少尉~大尉ぐらいの人の副官になるのが妥当か。

そのくらいで知ってる人って言うと・・・・・・・・

「ああそうだ、マリージョア襲撃の際にスモーカー少尉とヒナ少尉って人に会ったんですけど、その人達ならどうです?」

「ふむ、調べておこう。さてもう一つの件だが・・・・・」

あれ?!何か空気が重くなりましたよ?!!

「キースよ、貴様新たに七武海に着任したボア・ハンコックを知っておるか?」

へ?何でその名前がここで出るわけ?

「まあ、新聞で見た情報くらいは」

あそこであった事は秘密だし、あの時は名前聞いてないしね。

「そのハンコックがキースと言う10歳ぐらいの海兵がいないか聞いてきてな、その者と話がしたいそうだ。

もしそれが出来ないのであれば七武海脱退もあり得る・・・・・だそうだ」

「それが七武海加入の条件の一つでもあった訳なんだが・・・・心当たりはあるか?」

うおう、青キジさん冷気漏れてますから!!

他の人ももうちょい落ち着いて欲しいねえ。空気ビリビリ言ってるからさ。

「三大勢力の一つに関わる事だ。虚偽はゆるさんぞ」

「さあ?あんな美人だったら一度会ったら忘れないと思うんですけどね?」

耐えろ俺!!もし彼女らが奴隷だった事がばれたら無用な争いが起きる!



何より!俺が彼女らに殺される!!!!



俺は“平常心”まで使ってポーカーフェイス保つ。その甲斐あってか徐々にプレッシャーが減ってきた。

「ふむ、本当に知らんようだな。まあ良い、事が事なのでお前には青キジと共に女ヶ島に向かってもらう」

「くれぐれも粗相をするんじゃないよ。お前は海軍の代表として行くんだからさ」

やれやれ、准尉にそんな大役を任せないでほしいねえ。

青キジさんが一緒ってことは、最悪ハンコックが七武海脱退した瞬間、女ヶ島殲滅戦とかってなりかねんな。

もし海上封鎖何て事になったら緩やかに滅亡するしな。九蛇って女ばっかりだし。

穏便に済めば良いんだがな・・・・・・・・・・



で、青キジさんとの話し合いにより、出航は明日にしようって事になった。

これは俺の都合って言うより、青キジさんのせい。あの人仕事溜めてやがった。

「あれで大将だもんなぁ。海軍の未来が非常に不安だよ」

それはそうと久しぶりの海軍本部。色々と見て回りますか。











俺は本部で一番よく足を運んでいた訓練所に来ていた。

「ここに来るのも大体1年ぶりか。懐かしいねえ・・・・・」

俺の前には新兵達が格闘訓練をしている。

思い出すなあ。じいちゃんに騙されて放り込まれた新人訓練・・・・・

子供なのにさ、一切の容赦なく青年達と同じ訓練させるんだもんな。あれ?何か目から汗が出てきたよ。

まあ、おかげで体力だけは滅茶苦茶ついたけどさ。

元の世界じゃ人並みの体力しかなかったのに、こっちで鍛えると非常識な力になるしな。

六式使いなんかその最たる例だろうねえ。月歩とかマジありえんし。

そんな事を考えながら新兵訓練を眺めていると、後ろから誰か近づいてきた。

「あん?何でこんな所にガキがいるんだ?」

そんな事を言ってきたので後ろを見ると、数人の海兵がおり、どっかで見覚えのある顔がまじってた。

「何かご用ですか?」

「そいつぁこっちのセリフだ。おいガキ、テメエ何でこんなとこにいやがる?」

ガキガキうるさいね。一応階級的には俺の方が上っぽいんだけどな。

って言うか俺の事しらんのか?まあ、あとで上司だって解った時の反応を楽しみますか。

「いえ、別にたいした用はないですよ。ただの見学です」

「ふん、邪魔だからあっちに行きやがれ」

「そうそう、フルボディってば酒場のミーシャちゃんに振られて気がたってんだ」

「だから、近づかねえほーが良いぞ坊主」

そうか、『鉄拳』のフルボディだ。10年後は片手に鉄が埋め込んであったけど、今はまだなんで解らなかったよ。

しっかし、また振られたのかよ。まあ、またって言っても俺が知ってるのは10年後の事だがね。

そのあと、ヒナ大佐に惚れるんだったよな。報われん恋だろうなぁ。

俺がそんな事を考えながら見ていると、俺の哀れみの視線に気づいたっぽい。

「あん?!なんだその目は!!俺に何か文句でもあんのか?!」

おお切れよった。短気だねえ。

「やめろってフルボディ!!」

「そうだぞ!もしこの坊主がお偉いさんの子供だったらどうすんだ!!」

「知るか!!こういう生意気なガキはぶん殴っとかなきゃいけねえんだよ!!」

他の連中に押さえ込まれてるけど、ちっとも落ち着く気配が無い。

それにしても怖いもん知らずだねえ。下手に上から睨まれるとろくな事にならんと思うんだがなぁ。

俺が全く怯えないんで余計に腹立て点だろうな。

ふう、しょうがない。

「良いですよ。殴りたいんなら訓練って事にしましょうか?もちろん反撃はしますが」

「上等だ!!!」







で、訓練所を借りてフルボディ2等兵達と対峙してるんだが、すでに向こうさん泣きそうです。

何でかって?そりゃあ俺の事を上司から聞かされたからですよ。

俺が准尉って事に加えて、青キジさんとの決戦まで耳にしているようだねえ・・・・・

うん、俺が始めて師匠連と組み手しなきゃいけない事になった時と、心境的には似てるんだろうな。

ちなみに他の二等兵達は、巻き添えですよ。

上の階級の人間に坊主呼ばわりとかしたんで、同罪って事らしい。かわいそうに。

別に良いんだけどね、見たとこ強い人いないみたいだしさ。

さて、彼らには船旅や師匠連で溜まったストレスも、まとめてプレゼントしてあげるとするか・・・・

「くくく、小便済ませたか?神様にお祈りは?部屋の隅でガタガタふるえて命乞いする準備はOK?」

俺が激・悪役っぽい顔してニヤリ笑いしてやると、彼らは真っ青になって震え出す。

いやー、実に楽しい。ちょっと癖になりそうだな。

「あー、キース准尉。どうか余りやりすぎないようにしてあげてくれ」

お優しい事に、彼らの上司である中尉がそんな事を言ってくる。

「だーいじょぶですよ。女にうつつを抜かしてると危ないって事を教えてあげるだけですから」

もっとも、そのあとで海兵が続けられるかは知らんが。

さて、そろそろ向こうも心の準備出来てるだろ。

「おーい、準備はどうだい?そろそろ始めたいんだが?」

そんな絶望的な顔すんなよ。始めたくないって全身で主張してるな。

もし逃げたら、敵前逃亡で容赦はしないって言ってあるから、絶対に逃げれんだろうがね。

「ふー、敵は待ってはくれないから、ちゃっちゃと行くぞ」

俺は妖刀“虎竹刀”で肩を叩きながら無造作に歩いていく。

俺が近づいていくと覚悟を決めたのか、各々武器を構え出す。

ちなみに俺は竹刀一本だが、向こうの武装は自由って伝えてある。なもんで普通に銃とか全員が持ってきてる。

味方に銃むけんなよな・・・・・もっとも俺にはそんなもん効かんが。

飛んでくる銃弾を紙絵でかわしながら近づいていくと、驚愕しながらも剣や槍を構えてくる。

「「「「うおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ――――――――っ」」」」

まさしく必死って感じで突っ込んでくるが、俺は“虎竹刀”の一撃で全員を吹っ飛ばす。

「「「「ぐはぁっ!!」」」」

うーん、見事な舞っぷり。

普通ならこれで終わりなんだろうけど、残念ながら俺が使ってんのは虎竹刀。

その効果はギャグ空間に引きずり込み、どれほどのダメージを受けようとも直ぐに復活させるというもの!!

さすがタイガー・・・・・・世界すらも歪ませるか・・・・・

エースやルフィもさんざん喰らった永劫ツッコミ空間!!

こいつらはいつまで耐えられるかな?!!





このあと10分ぐらい一方的にボコってたんだけど、そろそろ可哀相だからやめてくれってんで終了。

そんなこんなで俺の悪名がまた一つ増えてしまった・・・・・・・














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今回の一言:早々にハンコックイベント消化しようと思ったんで、その中継ぎの話です。

      思ったよりも書きにくかったデスよ・・・・・・・

      ちょっと話し的に短かったんでフルボディぼこっときました。

      戦闘シーン無しでも書けるようになりたいなあ。






[9339] 第12話:お久しぶりって気軽に言えんねえ
Name: 暇奇人◆9abf2946 ID:4a9fd7a9
Date: 2009/08/21 18:16




日付も変わり、俺は青キジさんが率いる戦艦に乗り、女ヶ島に出発した。

正義の門を使いインペルダウンの門からカームベルトに入り、戦艦2隻と合流した。

やっぱりハンコックが七武海脱退したら即座に戦争になるのか・・・・

七武海じゃなくなったら、殲滅すべき海賊だからねえ。徹底してるこって。

にしてもインペルダウンか。一遍見学してみたいねえ。

そんなことを考えていると、

「キース、見えてきたぞ。女ヶ島だ」

「おお、あれが・・・・・・」

山の中腹に大きく彫られた『九蛇』の文字・・・・・・間違いなく、女人国『アマゾン・リリー』

女達の楽園って言えば聞こえは良いけど、男が入ったら殺されるんだもんな・・・・・

って事はだ・・・・・・・

「ねえ青キジさん。女帝とは何処で会うんですか?」

「うん?ここまで来れば向こうからやってくるでしょ。なんせ島の3キロ以内に一切近づかないって協定結んでるんだからさ」

ふうん、じゃあここで話し合いか・・・・・

あんまり青キジさんには聞かれたくない話をしなきゃならん気がするんだがね。

でもまあ、味方が近くにいるのはありがたい。

「ああそうだ。女帝と話す前に聞いておきたい事があるんですけど」

「何だ?」

「もし俺との話し合いがこじれて、俺の命と引き替えに七武海残留するって言ったらどうします?」

俺が呼ばれたのは十中八九、俺が彼女たちの秘密を話したかどうかって事だろう。

もし信用を勝ち取れなかったなら、口封じされる可能性もあるからな。

使者をいきなり殺すことは無いと思いたいが、石にされて許可が出たとたんそのまま砕くぐらいのことはやりそうだ。

むざむざ石にされるつもりはないが、青キジさんの対応は聞いておかないとね。

俺を取るか、ハンコックを取るかを・・・・・・

「ん?おかしな事を聞くねえ。連中は海賊だよ。身内であるお前を優先するのは当然でしょうに」

本当に意外そうな顔をしながら答える青キジさん。

これは俺だからなのか、それとも海兵だったらって事なんだろうか?

前者だったら嬉しいねえ。














第12話:お久しぶりって気軽に言えんねえ















そんな話をしていると、九蛇の旗を掲げた船が海蛇に引かれてやってくる。

船が近づくにつれ海兵達の緊張が高まっていく。

そんな中船が横付けされ、一人の美女が乗り込んでくる。

「おい、モンキー・D・キースは何処?」

うーん、美人だけどこの人かなり強いな。少将、いや下手すりゃ中将クラス。

ハンコック以外にもこんな強者いるなんて聞いてないぞ?

「ああ、ここにいますよ」

「サッサと来なさい。蛇姫様がお待ちよ」

ぶっきらぼうな人だな。でも顔が赤いのは何でだ?

「はいはい。女帝殿を船で待たせるとそれだけで処刑されそうだからね」

「・・・・蛇姫様は島でお待ちよ」

は?男子禁制じゃ無かったっけ?ひょっとして人知れず消されるコース?

「気にしないで。別にどうこうするつもりはないわ」

俺の表情を見て答えてくれるけど、安心できねえ・・・・・・

いわば敵のど真ん中に行くわけだからな。しかも相手は七武海。

侵入者として処理するつもりじゃなかろうな?

「早くして。来ないのならば脱退もしかたがないわよ」

うわっ、短気な人だな。

「行きます、行きますって。じゃあ青キジさん行って来ますね」

「おー、行ってこい。くれぐれも女性に手え出すんじゃないぞ」








で、九蛇の船に乗った訳なんだけど、視線が痛いね。やっぱ男は珍しいんだろうね。

ましてや皇帝自ら呼び寄せ、おそらくは初めて上陸を許される男。そりゃ興味は尽きないだろうよ。

にしても、この人達の格好もう少し何とかならんかね?目のやり場に困るよ。

いや、男としては嬉しいんだけどさ。

お互いチラ見していると女ヶ島に到着した。

したんだけど・・・・・・・・・何か凄い人数ですよ?!

こっち指さしてるって事は、俺を見に来たって事か?俺は見せもんじゃないぞ!!

「こっちよ、付いてらっしゃい」

迎えに来た女の人が歩き出すと人垣は割れたんだが、視線は相変わらず。

人を見るって言うより、珍しい動物を見るような感じで非常に不愉快。

いや、むしろここまで来ると怖い。

内心ビクビクしながら九蛇城まで歩いていくが、まるで市中引き回しの刑にでもあってる気分だよ。

九蛇城まで来ると視線は無くなった。と言うより人払いされてて誰もいない。

やっぱ口封じされるんじゃ・・・・・・・

「蛇姫様参りました」

え?!もう着いたの?!まだ心の準備が・・・・・・

あーもうどうにでもなれ!!







入った部屋では蛇にもたれかかったハンコックがいた。

あの時はボロボロの服を着てなお美しかったが、着飾られた今の姿は美しさをさらに引き立てている。

あー、何か石にされても許せるって思えるくらい美人だねえ。

その隣に立ってる女性も十分美人だが、その上を行く美しさ。

「お初お目にかかりますとでも言った方が良いですか?女帝ボア・ハンコック」

「久しぶりで良いぞ、モンキー・D・キース。妾のことは蛇姫様と呼ぶがよい」

えー?客人にも様付けさせんの?!何という傍若無人

「解りましたよ、蛇姫様。ところで人払いの方はよろしいんで?」

俺は自分の隣に立つ女性と、ハンコックの隣に立つ女性を示した。

「何を言うておる?この者達も関係者じゃからここにおるのは当然じゃろうが」

は?関係者?

この件で関係者って言うとハンコックの妹2人しか心当たり無いんだけど?

「何じゃ、忘れたのか?この2人は妾の妹たちじゃ」

は?妹・・・・・・いもうと・・・・・・イモウト・・・・・・・・imouto?

「妹~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ?!!!」

え?だってソニアとマリーって言ったらマリージョアで会ったときですらハンコックより背高かったじゃん?!

それがどうやったらそんなサイズダウンするわけ?

女性を比較するのは失礼だけど、ハンコックには劣るけど2人ともかなりの美人よ?!

いくら何でも変わりすぎだろ!!『金棒』のアルビダ並のビフォーアフターだよ!!!

「あら、そんなに驚かなくても良いじゃない」

「そうよ、失礼しちゃうわ」

ちなみに俺を案内してきたのがサンダーソニア、ハンコックの隣に控えてたのがマリーゴールドでした・・・・・・








かなり驚いたけど何とか落ち着き話を切り出した。

「それで俺をこの島に呼んだのは・・・・・・」

「うむ。貴様に聞きたいのは妾達とあそこで会ったことを誰かに話したか、じゃ」

やっぱりその事か。

「安心してください。俺はあなた方の秘密を話していません」

「本当じゃろうな?もしそれが嘘であるならば・・・・・」

「そうはいっても、俺が話したかどうか何て確認のしようがないでしょう?」

しばしにらみ合っていたが、

「ふう、解った。信じよう」

「はぁーーーー・・・・。よかった信じていただけて何よりですよ」

「元々お主には恩がある身。今のはただの確認じゃ。お主の必死な姿、中々に面白かったぞ」

そう言って笑い出すハンコック。俺ひょっとしてからかわれた?

ソニアやマリーも笑ってるし。

「じゃが良かったの。もし話しておったら恩人とはいえ容赦はせんかったぞ」

うわっ、そんなさらりと釘刺さないでくださいよ。

「改めて名乗ろう。妾はボア・ハンコック。呼ぶときはハンコックで良いぞ」

「ふふ、そう言えば名乗るのはこれが初めてね。ボア・サンダーソニアよ。ソニアって呼んで」

「ボア・マリーゴールドよ。マリーで良いわ。」









その後、あらかじめ用意されてた食べ物や酒を振る舞われ、4人で話してたんだけど、何か忘れてるような・・・・・

「以上が妾達の能力じゃ。次はお主の番じゃぞ」

「ん、解りました。俺の能力はですねぇ・・・・・・」

俺の能力について話してたんだが、そう言えば、俺にはこういった交渉カードがあったんだった。

「そうだ忘れてた、あなた方が奴隷であった最大の証拠、天翔る竜の蹄。消しましょうか?」

ッブウウウゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーー!!!!!×3

「うわっ!吹かないでくださいよ!!汚いなぁ」

「ッゲホ!ゲホ!!ばかな!そんなことが出来るはずが無かろう!!!」

驚いてる、驚いてる。

でも、俺の能力舐めないで欲しいねえ。自分で実験済みだから間違いないんだよね。

そう、あれこそが一生消えない奴隷の証。ならばそれが消えたなら?

それこそ俺が何を言っても、よく似た他人でシラを切れることが出来るようになる。

そこら辺のこと話してやると、

「お主も大概化け物じゃのう。もし忌々しいこれが消えるのならば嬉しいが・・・・」

「出来ますよ。今すぐ消して見せましょうか?」

俺の言葉に考え込むが、まあ答えは決まってるだろうね。

「むう・・・・。お主の言う事じゃ。信じてみるとしよう」

「まって姉様。私が先に受けるわ」

「マリー」

ハンコックを制しマリーさんが俺の前に立つ。

「私はあの時この子を信じることが出来なかった。だから今度は信じたいの」

ああ、瓦礫退けたときのことか。義理堅いねえ・・・・

俺に背を向けて膝をつくマリーさん。その背に指を伸ばそうとしたら、

「キースよ。もしマリーに何かあったなら、永遠にいたぶってくれようぞ」

こわっ!!そんなに睨まんといてくださいよ・・・・・・字が歪んじゃうでしょうが。






気分を落ち着け、改めて“焼印消去”を背に書き込む。

「あ、そうだ。これちょっと痛かったりするんで我慢してくださいね」

「これが消えるんだったら多少の事なら我慢するわ」

さすがは戦士。肝がすわってんねえ・・・・・

俺は字の上に手を添えて能力を発動させる。

「では、いきますよ!」

「ぐうっ!!」

マリーさんが呻き声を上げるが、無視して集中する。すると徐々に焼き印が薄くなり、ついには消える。

焼き印と言っても要は火傷の痕跡。無理すりゃ消せる代物ではあるんだよね。

焼き印押された辺りの皮を肉ごと抉るとかさ。その分傷が残ることになるけど。

まあこんだけでっかい代物、俺の能力でも治そうと思ったら相当の苦痛がくるんだよね・・・・

治癒の類も結構痛いんだけど、焼き印は皮膚に定着しちゃってるぶん、その部分を無理矢理造り直してるようなもんだからさ、痛いなんてもんじゃ無いんだよね。

いってしまえば皮膚引っぺがして、新しく再生させるようなもんだ。

無痛とかと併用できればいいんだけど、傷とか残したくないんで細かい作業になる分、そちらに回す余力は無いんだ。

限りなく万能に近い俺の能力ではあるが、その分リスクもでかいのが難点だね。

「はぁっ、はぁっ、はぁーーーー・・・・」

「ふう、うまくいきましたよ」

あーしんど。でも、この人達のためだけにこの実験してきたからな。

ようやく努力が報われたってのは嬉しいねぇ。まあ、元々は俺の命を長らえるための交渉カードとして開発したんだけどさ。

「おお、これは・・・・・・」

「凄い・・・・・・。無くなってる・・・・・・・」

ま、こんなもんでしょ。

ルフィのフラグ潰したかもしれんが、美人が影背負ってるってのはどうもね。

男としてはほっておけんでしょ?

ガシッ!!

うわ!!いきなり手を掴まないでくださいよハンコックさん・・・・

って、あれ?泣いてる?

「ありがとう・・・・、ありがとう・・・・・・・・」

向こうではマリーさんとソニアさんが抱き合って喜んでるし。

彼女たちは海賊・・・・・海兵としては失格なのかもしれんが、彼女たちが喜んでる姿を見るのは嬉しいねえ。















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今回の一言

思わずやってしまったが、彼女たちの呪いを解いて良かったモノか?

ソニアとマリーが美しい理由は実に単純な理由ですけど、何時か出します。

出せたら良いなあ・・・・・













[9339] 第十三話:酒の勢いでつい語っちゃった
Name: 暇奇人◆9abf2946 ID:4a9fd7a9
Date: 2009/07/14 17:12






「皆の者!妾が国の禁を破ってまでこの者を呼び込んだのは、この者が世界屈指のまじない師であるからじゃ!!」

ハンコックさんが城のテラスから身を乗り出して演説してるけど、人を勝手にまじない師にしないで欲しいね。

まあ、魔法みたいって自分でも思うような能力だけどさ。

「この者のチカラによって、妾達は忌まわしきゴルゴンの目を消し去ることができた!!見よ!!」

バサァ、とマントを脱ぎ捨て背中を露わにするハンコック達。

一瞬目を背けようとする人もいたけど、全員ハンコック達の背中を見て目をハートにしてる。

「キャーーーー!!」「セクシーーーーー!!」「おお、ありがたや・・・・!!」

老若男女問わず凄い人気だな・・・・・・。でも、

「ハンコックお姉様・・・・・」「ハァハァ、蛇姫様のうなじ・・・・・・」「・・・・・・・・・ジュルリ」

この鼻血出してる連中大丈夫か?

むしろこの国大丈夫か?!

女の園だからある程度はいるかもとは思ってたけど、一角から放たれるピンク色のオーラが凄まじいぜ!!

おまけでその一角からは、俺に対して恐ろしいほどの殺気が向けられてきてるよ・・・・・

あの人達にとって俺は、お邪魔虫って事か。

一人で歩いてると消されそうだな・・・・・・

「みなのもの、今宵は宴じゃ!食料庫を空にしても構わん!存分に飲むが良い!!」

まあ、ハンコック達は浮かれてるせいか全く気づいて無いっぽいけど。

いやあ、背中の焼き印消えたのがよっぽど嬉しかったんだねえ。

でも、俺のことは無視ですか?そうですか・・・・・


寂しくなんか無いんだからね!!












第十三話:酒の勢いでつい語っちゃった

















取り敢えずこれでハンコックは七武海に残るだろ。任務成功って事で帰るかな・・・・

そう思ってきびすを返し、歩き出したけど、

シュルルル

「ん?うおおぉぉぉぉぉぉーーーーーー?!!」

体に何か巻き付いたと思ったら、一気に天井近くまで持ち上げられる。

巻き付いたモノを目で追っていくと、人獣形態のソニアと目があった。

「こんなにもめでたいって言うのに、何処に行こうって言うのかしら?」

「いや、本来俺はハンコックに七武海残留をお願いしに来ただけだから、残ってくれそうだし帰ろうかなーって」

昔懐かし顔合わせみたいな感じになってたけど、一応お仕事で来てるから、早く報告に帰んなきゃいけないんだが。

「あら、私たちのお酒は飲めないって言うのかしら?」

そう言って自身の数倍はあろうかという樽を抱えてるマリー。

その台詞を言っていいのは酔っぱらいだけなんだけどねー。

「いや、でも七武海残留の報告が・・・・・」

「そんなモノ他の者に行かせればよい。それに宴のメインがおらねば盛り上がらんじゃろう?」

おおう、ハンコックもノリノリかよ・・・・・

このまま断るとタダじゃ済みそうにないねぇ。

「ハァ、解りましたよ。お手柔らかにお願いします」

「ふふ、まかせておけ」

ダメだ。目がやばい。

覚悟を決めて飲むしかないか。念のため“酒精分解”は用意しておくかね。








ドンチャン、ドンチャン

うーむ、女性って言っても戦士だねぇ。宴の様子が男顔負けだよ。

飲みっぷりまで男らしい。樽片手に一気とか人間じゃねえ。

さすがにこの世界だけのことはある。体の大きさと飲み食いした量が明らかにおかしい。

「どうしたのぉ~、キースゥ~?酒が減ってないわよぉ~」

「ソニアさん飲み過ぎですよ」

ベロンベロンに酔っぱらってるよ。美人が台無しだ・・・・・・

「だってぇ~、今日は今まで生きてきた中で一番嬉しい日だものぉ~。だからあなたも飲みなさ~い」

嬉しい、ね。

天翔る龍の蹄は人間以下の証明。これが消えて彼女たちは晴れて人間に戻れた、か。

ロズワード一家の奴隷の扱いを考えるに、彼女たちも似たような目にあったと考えた方が良いな。

っち、何であんなのをのさばらせておくんだか。

「浮かれるニョはわかるけどニョ、飲み過ぎじゃニョ、サンダーソニア」

おお?この独特な話し方は、

「おニュしがモンキー・D・キースニャね?始めましてじゃ、ワシはニョン婆と言うもニョじゃ」

「ああどうも、始めまして」

確か先々々代皇帝グロリオーサだったっけ?このちっこいばあさん。

「お主には礼を言わねばニャらんの。よくぞこの者達の呪いを解いてくれたニョ」

「呪い、ですか」

ソニアさんに目を向けると、安らかに眠っている。

大分飲んだみたいだし。

「うむ、呪い、じゃ。あれニョせいでこの者達はこの島におりニャがら、心は天竜人達にとらわれておる。
ワシは逃げ出してきたこの者達をこの島に連れて戻ってきたニョじゃが、毎夜夢ニョ中で攻められて飛び起きておった。
それは今も続いておる。あれが消えればきっと少しは落ち着くじゃろうて」

記憶は終始よみがえる、ってやつか。十年後であれなら今はもっと酷いって事になるか。

背中のことがあるから、この国にいても油断できなかっただろうしさ。

心の中に刻まれた深い傷。俺なら能力で直せるのかもしれんが、この傷は自力で直してもらわないとね。

いくら俺でも人の心の中にまで土足で上がり込むような事はしたくないからさ。

もっとも、彼女たちが望むのならば何とかしようとするけどね。出来るかは知らんが。










「湿っぽい話にニャったの。今宵は宴、お主も飲みニャされ」

すでに結構飲んでるんだけどねえ。ハンコックさん達に勧められてさ。

それに、周りにボア三姉妹の誰かがいるからそれほどでもないけど、隙を見て何人かが俺の所に酒を注ぎに来るし。

思いっきり上座に座らされてるから目立ってしょうがないよ。

男が珍しいもんだから、すっげえ注目されてるし。

「あの、お酒をお持ちしました」

また来たか。もう腹ん中タプタプだから飲みたくないんだが。

そう思って振り返ると、俺と同じくらいのちびっ子達。

あれ?どっかで見たことがあるような・・・・・

「いや、もう腹一杯だからさ。もうお酒はいいですよ」

ああそっか。ルフィ助けた娘達か・・・・

「その代わりと言っちゃ何ですが、話し相手になってくれませんか?ソニアさんも寝ちゃったし」

男に対して変な認識を与えないために、ちょっと話してみたかったんだが、

「ならば妾が話し相手になろう」

「へ、蛇姫様!!失礼しました!!」

ああ、行っちゃった。タイミング悪いよハンコックさん。

ああ・・・・やっぱ男の基準がルフィになるのか。世の男達、ゴメン。

「何じゃ、妾は邪魔じゃったか?」

「いえ、そんなことはないですよ!だからそんな顔しないで下さい!!」

落ち込んでも美人!と思ったけど、一角から殺気が・・・・・・

その後、無理矢理酒飲まされてたんだけど、今度は嫉妬オーラが飛んでくる。

俺にどないせーちゅうねん。









「のう、キースよ」

「ん?何ですかハンコックさん」

うーん、肌にほどよく朱が入って色っぽいねえ。

「お主は何故海軍などにおるのじゃ?お主のチカラならば危険な目に遭わずとも、大抵の事なら出来よう?」

ああ、その事か。

そういや今まで誰にも聞かれたこと無かったな。

「うーん、なんと言っていいですかねえ・・・・・・・。まあ、最初は自分の身の安全のため」

「身の安全?海軍なんぞ進んで危険に首を突っ込むような仕事ではないか?」

「そりゃそうだけどさ、俺は祖父のコネを使って事務にでもなろうと思ってたんだ。
あの頃はそれほど強くなかったからさ・・・・」

ドンパチするだけが海兵の仕事じゃないからね。

それでも、もし入隊するのにある程度の強さが必要な場合は、政府関係の仕事に就くつもりだったし。

「だけどさ、悪魔の実を食べて、能力を手に入れてからはそれなりに強くなった。だからさ、欲が出た」

本当は能力が戦闘でも使えるって知ってからだけどさ。

「欲、じゃと?」

「そ、欲。世界を隅々まで見てみたいっていう欲。好奇心って言う名の欲」

この世界には未知がある。元の世界ではほとんど無かった未知が。

海底の島『魚人島』、雲の上の島『空島』、恐竜がいる島『リトルガーデン』

加えて悪魔の実やダイヤルといったアイテム達。

それら全てを見たい、知りたい、触りたい!!

何より、世の中の真理とか、小難しい理論なんて言う限りのないモノじゃなく、
地図の空白という、限りがありながら、なお埋められていない未知。

地図の空白を埋める、心躍るモノ。その名を『冒険』

「誰も踏みしめたことのない、まっさらな新雪の様な地図の空白に俺の足跡を残したい。そう思ってしまったんだ」

ゴールド・ロジャーはグランドラインを一週しかしてないからね。行ったことがない所も当然あるはずだし。

まあ、記録に残る前に誰かが通ったかもしれないけど、所詮は自己満足。

俺の持ってる地図の空白が埋められればそれで良いのさ。

「まるで子供じゃの」

「子供ですから」

ま、中身はもうちょい年いってるけど、今は、ね・・・・・

「じゃが、それならばなおさら海軍などにおらぬ方が良いのではないか?冒険家にでもなれば良かろう?」

「まあ俺も初めはそう思ってましたよ。」

だから海兵にされそうになって必死に抵抗したんだけどさ。

「でも逆だったんですよ」

「逆とは?」

「海軍にいた方が得なんですよ。よく考えてみてください?冒険家なら船のクルー集めたり、物資なども自分で用意しなけりゃいけません。
海兵だったら仕事ですけど、同僚とはいえ海兵って護衛付きで世界が回れますからね。島の上で休暇だって取れますし」

新世界はともかく、前半の海なら全ての島のエターナルポースぐらいあるだろ?

わざわざログ溜めて一から回り続けるよりは手っ取り早い。

楽できるところはしとかないとね。

「それに何より今は大海賊時代。生半可な事じゃ世界を旅するなんて出来ません。海賊が多すぎるんですよ。
だから俺は海兵として、自分が安全に航海するために間引いてるんです」

自分で言っといて何だけど最低だな俺。でも死にたくは無いんだよ。

略奪や、むやみに戦闘ふっかけてくる海賊の数が減らんことには危ないからね。

「安全になっても、もし政府が未開の地探索の許可くれなかったら、その時は冒険者に転職するよ。ワンピースも拝んでみたいしね」

「ほう、ひとつなぎの大秘宝を・・・・・・。お主も狙っておるのか?」

「いんや、俺は見るだけでいいや。貴重品はポケットに入るぐらいで十分さ」

まあ、ワンピースがどんなモンか知らんが、持ってるといろんな人から狙われて、気も休まらないだろうしね。

「おっと、酒の勢いでつい余計なことまで話してしまいましたね。これは秘密にしておいてくださいよ」

「ああ。お主は背中の秘密を黙っていてくれた。じゃから妾達もその秘密を守ろう」

「感謝します」













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今回の一言

 ニョン婆の話し方書きにくい・・・・

 あと野望を語ってみたり。キースのっていうより、未知云々は作者の本心だったり。

 前人未踏の地とか、秘境とかって憧れません?

 この地球に、人が歩いていけるところにはあんまり残ってませんけど。

 子供の頃は近所の林や廃墟を探検するだけでも『冒険』って言えたんですけどね。











[9339] 第14話:嘘のために嘘をつく、泥沼だ・・・・・・・
Name: 暇奇人◆9abf2946 ID:4a9fd7a9
Date: 2009/08/25 13:18









宴会の後、九蛇城で一泊させてもらいましたよ。

実は寝床は3人と一緒だって言うんで、イヨッシャーーーーーッ!!とか思ったんだけどさ、現実は甘くなかったよ・・・・・

原因はソニアさんとマリーさんなんだけどさ、あの二人寝ぼけて半獣化するんだもん。

あの人達、美しさはそのまま何だけどさ、サイズだけ原作並みになるんだ。そんなの二人に巻き付かれてみろ。

コブラツイストとかそんなレベルじゃ断じて無い!!(片方はモデル『コブラ』だけどさ)

普通に窒息するかと思ったわ!!“耐圧”無かったら死んでたかも・・・・・・

全身の骨が音を立てて軋むなんて本当にあるんだねえ。

なおハンコックさんは巻き付かれても普通に寝てましたよ。覇気ってマジスゲエと思ったよ。








で、朝になって軍艦に送り届けてもらった。

「ありがとうございました」

「うむ、達者でな」

「また会いましょうね」

「無理しすぎないでね」

ハンコックさん達が別れの言葉を贈ってくれるんだが、海兵連中が鬱陶しいな。

人が別れを惜しんでるってのに、キャーキャーと・・・・・・・・・

あ、中将に怒られてら。無視、無視

「ええ、また何時か一緒に飲みましょう」

「ああ、何時か、な」

何かしんみりしちゃったな・・・・・・・と、思ってたら、

「あー、悪いんだがね。今回の一件に関する詳細な報告が聞きたいんだが?」

・ ・・・・・・青キジさん。もうちょっと空気読んでくださいよ。











第14話:嘘のために嘘をつく、泥沼だ・・・・・・・











さて、報告か・・・・・・・・

朝食のとき4人で話し合って辻褄を合わせた話を作ったんだが、まるっと信じてもらえはせんだろうな。

ハンコックさん達には何とかするって言った手前、頑張らなきゃなあ。

ガッ!と靴のかかとを合わせ、姿勢を正し敬礼する。

「報告します、九蛇海賊団船長兼アマゾン・リリー現皇帝『海賊女帝』ボア・ハンコック殿、王下七武海への残留、承諾していただけました」

「ああ、ご苦労。七武海への残留感謝する、ボア・ハンコック」

そう言って敬礼する青キジさん。普段だらけているけど敬礼は凄く様になってるな。

額のアイマスクで台無しだけどさ・・・・・・・

「ふん、友の頼みじゃ。むげにはできぬ」

「ほう、それはそれは・・・・・・・。二人は何時友と呼び合うようになったんで?」

「昨日からじゃ」

「昨日から、ね。・・・・・・・・・・・・さてキース、お前に聞いておかなきゃいかんのだが、
お前は何故アマゾン・リリーに呼ばれた?ああ、楽に話して構わんから」

まあ、当然その話になるよねえ。

ハンコックさん達に事前に聞いた事情は、俺が秘密を守ったか、そして礼を言いたかったの2点。

そのまま話すことはできんから、誤魔化すしかないんだが、思いっきり軍規違反になるなぁ。

まぁ、しょうがないか。

「俺がイーストブルーで航海術の訓練、加えて実戦経験を積んでいた頃のことです。
あの頃に遭難した九蛇のクルーを見つけましてね、帰れなくて困っていたところをアマゾン・リリーまで送り届けた事があったんですよ」

「アマゾン・リリーまでねぇ。・・・・・・・どうやってそこまで?」

「船に“認識阻害”使って渡ったんですよ。まあ、海楼石と同じ様な効果を船につけたと思ってください」

船底に海楼石敷き詰めて、海と誤認させることによってカームベルトを横断出来るんだったら、“認識阻害”で十分同じ事ができらあな。

「で、無事送り届けたは良いんですけど、ハンコックさん達は初航海に行っちゃってて不在でしてね、
王としては礼を述べなければならぬ、って事で呼び出されたんですよ。色々省いて説明しましたけど、大雑把に言えばこんなとこです」

「ふむ・・・・・・・スジは通ってるな」

でも、まだ納得できないって顔してるな・・・・・・・。

まあ、七武海の事だから慎重にもなるんだろうけどさ。

けど、あんまり探られるとボロが出かねんから、話題を逸らすか。

「裏事情は訳あって話せないんですよ。青キジさんがニコ・ロビンを逃がしたときみたいにね」

近づいて耳打ちしたんだが、ロビンの名前が出たとたん一気に雰囲気が変わる。

「お前、それを何処で知った?」

「さあ?何処でしょうねえ?」

チリチリと殺気を向けて来るのが怖いが、後ろにハンコックさんがついてるから何とかなるだろ。

「俺の秘密は海軍に迷惑をかけるようなモノじゃないですから、見逃してもらえませんかね?」

バレても最悪海軍VS九蛇で済むからな。青キジさんとは秘密のヤバさが違う。

古代兵器の復活なんて事になったら、世界政府もどうなるか解らんからなぁ。

うん、青キジさんの秘密とは比べモンにならんな。

「あなたはお偉いさんの中でじいちゃんの次に信用できる人ですから、
秘密にしてくれるというのならあなただけになら話しても良いんですが・・・・・」

殺気を納めて、しばし考え込んでいる様子だったが、

「はぁー、まあ良いだろう。他の連中には俺の方から手を回しておいてやる。
秘密は俺にも言わんでいい。その代わり、男だったらその秘密、必ず墓まで持って行け。いいな」

「ええ、もちろんそのつもりですよ」

やれやれ、やっぱり腹の探り合いは俺には向かんな。

そう思いながら青キジさんから身を離した。









若干気まずかったけど、改めてハンコックさん達と別れの挨拶を交わした俺たちは、一路海軍本部へ。

「で、何で生まれて間もないお前が何でその事知ってるんだ?」

その間、ハンコックさん達の秘密はともかく、オハラの一件を何処で知ったか尋問されたよ。

ハンコックさん達の秘密の追求を避けるためとはいえ、食いつきすぎだろ。

まあ、あっちは世界を揺るがす大事件扱いだったからなあ。

青キジさんに至っては個人的にも色々抱えてるしね。

「あー、怒らないです?」

「怒られるようなことをしたのか?」

うー、元々知ってたとは言えんから、こう言うしかないんだけど、怒りそうだなあ・・・・

「一年前の手合わせで青キジさん回復させたでしょ。その時一緒に“読心”仕込んだんですよ」

「・・・・何でそんな事した?」

やっぱり怒りますよねえ。嘘を隠すための嘘って泥沼化するんだよね・・・・・・

「後ろ盾が欲しかったんですよ」

「は?お前にはじいさんが居るだろ。何でまた」

「俺の叔父の事知ってますよね?」

「ああ、その事か」

「それだけじゃないんですよ。その息子ってのも海賊になりたいなんて言うんでね。
もう、下手すりゃじいちゃんの首だけじゃなく、俺の方にまで飛び火してきそうで・・・・」

誰かが言っていたけど、嘘には真実を一さじ加えれば、騙しやすいってあったね。

まあ、飛び火云々は思いっきり本音だけどね!!

じいちゃんだってエースのこと秘密にしてるからなあ・・・・・

俺も中身が違うって秘密があるしな。うん、秘密だらけの一族だなあ・・・・・

「そうか・・・・・・。お前も苦労してんだねえ・・・・・・」

同情するなら明日を生きる権利をください。

いや、マジで。


















場面は跳んで、ここはセンゴク元帥の執務室。

「・・・・以上が今回の一件です」

「俺も確認したんで、まあ間違いは無いでしょう」

青キジさんの援護もあって何とか温厚なまま報告が終わりそうだよ。

いやあ、ついてきたのが青キジさんで良かった。赤犬さんとかだったら絶対一悶着あったな。

あの人“悪”と名のつく物はとことん嫌いだからねえ。七武海も所詮は海賊ってね。

「ふむ、まあそういった事情ならば解らんでも無い。あの女も一応は王だからな。
だがそういった事情があるのならば、何故話さなかった。軍艦一つ動かすのもタダでは無いのだぞ」

「それに関しては謝るしかないですねえ。帰省中は色々あったんで、忘れてたんですよ。
実際にハンコックさん達とは面識ありませんでしたからねえ。いやはや国を挙げて歓迎してくれるとは思いませんでしたよ」

「全く、貴様と言いガープと言い、貴様らの一族はもう少しまともなのはおらんのか」

自分で言うのも何だが、いやはや全くごもっとも。

「まあいい、貴様の所属する部隊が決まった。確認しろ」

そう言ってセンゴクさんは書類を放り投げてくる。

えーとなになに、『モンキー・D・キース准尉をシャボンディ諸島警邏隊第1部隊、第3分隊隊長補佐に任ずる』か。

「中隊長は貴様の希望通りヒナ中尉だ」

「へえ、昇進されたんですか」

付属の書類をパラパラとめくりながら何気なく聞いてみたんだが、

「いや、貴様を預けるのだ。少しは労ってやらんとな」

酷い言い様だねえ。まあ、十中八九迷惑かけるだろうから、それで良かったんだろうけどね。

「で、着任は何時からで?」

「今日、たった今からだ」

早!!準備も何もしてないですよ!

「すでに本部に呼び出してあるんでな。隊に合流するまでに武装を揃えておけ」

そう言って武器庫の使用許可証を放り投げてきた。









「さて、ここに来るのも久しぶりだな」

師匠連との試合や、組み手に使うエモノをここから借りてたんだよな・・・・

大体ぶっ壊して未返却のまんま何だけどさ。

1年ぐらいしか経ってないけどさ、やっぱ懐かしいな。

「俺の能力って、攻撃は武器があってこそ真価が発揮されるからね」

エモノがなけりゃ肉弾戦もするけどさ、身体能力上昇と武器強化の二段構えで行った方が攻撃力アップするんだよね。

憑依合体すれば自身の体が武器化するけど、エモノと違って使い捨てできないからねえ。

「それはさておき、武装しないとね」

今の俺の服装はズボンにTシャツ、その上から着流しを羽織り、腰の辺りをベルトで止めたと言うモノ。

別にコートでも良かったんだけど、袖に色々仕込めるんでこっちをチョイス。

すでに“一筆入魂”を施したカード類は仕込み済み。

だから今必要なのは刀剣類。すでに腰に二本差してあるけど俺の使い方だと足りないんだよね。

「だからこんなモノを用意してみました」

昨日出航する前に注文しておいて、港から来る途中で買っておいた『ソレ』

来るまでに奇異の視線を向けられたけど、こんくらいの物が丁度良いんだよねえ。

目の前に横たわっているのは、俺の身長に合わせて作ってもらった『棺桶』

多くの武器を納められて、尚かつ見た目にインパクトのある物を考えてたら、某ガンアクションゲームのキャラを思い出した。

棺桶に様々な銃火気を納め、鎖で背中に横に吊して持ち運んでたから、俺にピッタリだと思ったんだ。

俺の場合は、取り出しやすいように、かつ勝手に蓋が開かないように手を加えてある。

そして全力戦闘するときは外せるように、フック式にして腰のベルトにつけてある。

成長と共にサイズも大きくしていって、持ち運べる刀剣類も増やせるしねえ。

それにこれは自分への戒めでもある。

俺は弱い。強くなったと思っても油断すれば死ぬ。そういうことを忘れないための物。

『足掻くことを辞めたら背中の棺桶に入ることになる』ってな。

それはともかく武器を選ばないとね。

色々候補は考えてあるんで、選んだ武器に“一筆入魂”して、棺桶にポイッと。

暗器類はリストバンドや袖、懐やベルトへ。

総重量数十㎏になったけど、鍛えてるもんで何とかなったな。

4トンバット振り回すヤツが居るくらいだから、このくらい普通に持てなきゃ生きてけんわな。

「さて個人兵装はこんなとこだな。後はあれだな・・・・・」

そして俺は久しぶりに『彼等』の前に立った。

さあ、お前達。出陣の時間だよ・・・・・・・・・・











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今回の一言

あのままだと続きが書きにくくなってしまいましたので、差し替えさせていただきました。

大分間が開いてしまってすいません。

感想を見てから、この年でああいった話は早すぎるとは思ってはいたんですよ。

そう言ったわけで差し替え前の話は、改訂して後の話に使わせてもらいます。

今回の話ですけど、結構無茶な進め方になってしまいました。

我ながら広げた風呂敷を畳むのが下手すぎる・・・・・・・・(泣)

あと配属先の部隊名は適当です。上司スモーカーとどっちにしようか迷いましたけど、ヒナさんで。

まあ、2人とも配置が同じシャボンディ諸島なんであんま変わら無いんですけどね。

今回調べて初めて知ったんですけど師団とか連隊とかずいぶんややこしい分け方になってたんですね。



追伸

やっぱり、エース、ルフィとは従兄弟の設定に戻します。その方が動かし安いので・・・・・

それと、そろそろ板移動しようかと思います。








[9339] 第十五話:駄目出しって何気に凹みますよね
Name: 暇奇人◆9abf2946 ID:4a9fd7a9
Date: 2009/09/20 01:47




Side:ヒナ

あれは昨日の事だったわ。

いきなり警邏大隊の指揮官に呼び出されたと思ったら、いきなりの昇進。

続いて告げられたのは、本部まで新入隊員を連れに行けと言う物。

この時点で、絶対に厄介ごとを押しつけられたと言うことを確信したわ。

大方、海軍の上級将校の子弟でも押しつけられるんだろうと、その時は思ったわ。

2世3世の海兵なんて別段珍しい事では無いことだもの。

特にマリンフォードで暮らしているのは、海兵の関係者がほとんどである以上、親の後を継ぐ者は多いのだから。

その程度の認識で翌日の朝一で本部に向かったら、通されたのはセンゴク元帥の執務室。

執務室内には元帥閣下を始め、上級将校のお歴々。

と言うより、海軍の戦力の大半を集めました、っていうようなメンバーだったわ。

扉を開けた瞬間、思わず固まってしまったわ。ヒナ失態。

そして元帥閣下から直々に告げられたのは、『あの』モンキー・D・キースが私の隊に配属されるというモノ。

不敬とわかっていながら、つい聞き返してしまったわ・・・・・・

もちろん、返ってきたのは先ほどと全く同じもの。しかもしっかりと手綱を握るように、念を押されてしまったし。

その後、閣下より直々に辞令書を受け、執務室を後にしたわ。

とは言え、キース准尉は任務で出ていて、帰ってくるのは明日以降になるらしい。

辞令を渡すのもそれ以降になると言うので、数日はここで足止めか・・・・・

まあ、偶には実家に帰るのも悪くは無いわね・・・・・・・














第十五話:駄目出しって何気に凹みますよね














准尉が帰ってくるまでは本部待機と言うことになっているらしい。

とは言っても、実質ここでの仕事はないから休暇扱いと何ら変わりない。

これもあの子を部下に持つ事になるが故の、特別な計らいなんだそうだ。

「何気にVIP扱いね、あの子」

通常海軍ではどのような出身であろうとも、特別扱いはされない。

海軍は基本実力主義。たとえ元帥の子供であろうとも、急激な昇進はしない。

何故なら、実力が伴わずに指揮官などになった場合、あっという間に命を落とす。

故に、海軍将校は強くなくてはならない。でなければこの海の平和は守れないのだから。

それは海軍大将が海軍の最高戦力と呼ばれるゆえんでもある。

だけどあの子は違う。

わずか8歳にして海軍大将を(試合とはいえ)地に伏せさせるだけの実力を持つ。

私はかつて一度だけ目にした少年の事を思い出していた。

あまた死体の真ん中で年相応の顔つきのままたたずむ少年、そしてその場から一瞬で消え去った光景を。

悪魔の実の能力者という点を差し置いても、余りにも異常。

あの時点でこれほどの武力を誇る以上、後々確実に海軍大将にまで上り詰めるであろう。

もしそれが海軍以外の武力となったのなら、かの『白ひげ』に匹敵する脅威となる。

それが閣下達が下した結論。

「あの小僧を絶対に海軍から出すな」それが密かに伝えられた私への任務。

今更ながらに押しつけられた責任が重いモノである事を自覚する。

あの子の事だ。きっと数年と経たずに私の階級を超えて自分の部隊を持つ事になるだろう。

それまでの辛抱よ、ヒナ。



でも食後のコーヒー中、いきなり青キジ大将の訪問を受けるとは思わなかったわ・・・・・

Side out











Side:青キジ

ハンコックの一件の報告を終えた俺は、あいつの新しい上司となるヒナ中尉の元を訪れた。

「あー、君がヒナ中尉でいいのかね?」

「はっ!私はシャボンディ諸島警邏大隊所属「ああ、堅苦しい挨拶は良いから楽にしなさい」・・・・・了解しました」

うむ、見た目は合格。優等生然とした姿は好感が持てる。

問題は彼女があの非常識につきあわされて、体を壊さないかと言う事ぐらいだな。

まあ、仮にも中尉。心配は彼女への侮辱になるか・・・・・

「あの、閣下。小官に何の御用向きでしょうか?」

「ん?いや、キースのヤツの準備が終わり次第、港より出港してもらう事になるんでな。
その前にあいつの上司になる者の顔を見ておこうと思ってな。あいつは正直どうしようもないヤツだけれど、よろしく頼むよ」

「はっ!光栄であります!!」

「それじゃあ早速港に移動してもらう事になるけど、食事はもう良かったかい?」

「はい。これより鍛錬に向かおうと思っていたところです」

「ふむ、そうかね?なら俺と一緒に港まで行こうか。しばらく会えなくなるから、最後に面を拝んでおきたいし」

「・・・・・了解しました」

ありゃりゃ、肯定の返事は帰ってきたけど、何かあんまり歓迎されてないみたいだね。

まあ、ここまで昇進してしまってからというモノ、素で接する事が出来るのは少ないからな。

現に彼女も、港に着いてからも直立不動の姿勢を崩そうとしない。

「立ちっぱなしじゃ疲れるだろ。そこ座りなさいな」

「いえ、お構いなく」

「そうか?しかし、何やってんだか、あいつは」

そう言う意味ではキースのヤツは年の離れた友人と呼べるのかもしれんな。

かつて友だった、あいつの父親とはずいぶんタイプが違うがな・・・・・









ガシャン

「ん?やっと来たかキー・・・・ス?」

物音が聞こえたので、ようやくの登場かと思ったら、そこにいたのはフルプレートに身を包んだ何者か。

はっきり言って不審者以外の何者でもないな。

何せフルプレートに加えて、腰には剣2本にライフル2丁。

手には2メートルを優に超える長槍を持っているのだから。

「何者、いや、何だ貴様は?」

何より異様なのは、この甲冑からは生き物の気配というモノが全くない。

人形。そう、人の形をした何かというモノがしっくり来る。

甲冑自体が与える威圧感に対し、中身が空虚。まるで幽鬼のような印象すら受ける。

「おい、質問に答えろ。貴様は」

ガシャン、ガシャン

俺の詰問を遮ったのは、新たに現れたフルプレート。

「新手か?いったい何なんだこれは?」

一応敵意は感じないので、それほど警戒はしなくて良い様だったのだが、

ガシャン、ガシャン       

ガシャン、ガシャン、ガシャン

ガシャン、ガシャン、ガシャン、ガシャン    

ガシャシャシャシャシャシャシャ・・・・・・・・・・・・・・

俺は今きっと間抜けな顔をしているんだろう。何せ隣にいる中尉の顔がそんな感じだからな。

港を埋め尽くす鎧、鎧、鎧・・・・・・・・ざっと数えて100体は超えている。

そう、そこに広がるのは正に『騎士団』。

「あのう、閣下」

「何だ?」

「これらの幾つかは、本部の武器庫に保管されていたのを覚えているのですが・・・」

「武器庫の?あそこは今キースのヤツが物色しているはず・・・・・・・・・あいつが原因か」

「(あの子が原因って・・・・・・能力者とは聞いてはいたけど、こんな事が出来る能力っていったい何なの?)」

ズシャン・・・・、ズシャン・・・・・

「今度は何だぁ?」

地響きを伴う轟音に目をやると、巨人族サイズの巨大甲冑がこちらに向かってきていた。

その肩には、件のキースが腕組みして仁王立ちしていた。

Side out












Side:キース

いやー、つい楽しくって時間くっちゃったよ。ヒナさんには悪い事したねえ・・・・・・

でもさ、“傀儡”の限界数調べなきゃいけなかったから、しょうがないじゃないか。

ま、それはともかくとして、“傀儡”の限界操作数は最大500前後。

うーむ、もっといけるんだけど、これ以上は細やかな制御ができないんだよね・・・・・

「この数だと『王の軍勢』にしてはちょっと寂しいなあ」

制御の甘さをカバーするために“分割思考”を額に刻んでこの数だからなあ。

馬鹿みたいに突っ込ませるだけなら1000は軽く超えれるんだけどなあ。

ま、しょうがないか・・・・・・

「後はこいつか・・・・・」

目の前にあるのは『巨人族用戦闘重甲冑・ゴリアテ』とか言うとんでもない代物。

100年以上前の巨人族の大将が使ってた代物で、並の巨人では着用して動くことすらできないという。

ほとんど骨董品扱いで、倉庫の奥底に眠っていたんだけど、俺は一目で気に入っちゃったんだ。

だって見た目、ロボット何だもん!!

今は時間がないから弄れないけど、いずれはベガパンクとかに協力させて、スーパーロボットに改造予定!!

さらに重量増すことになるだろうけど、俺が着て動くんじゃないから関係ないし。

俺はこいつが『自ら動く』ように力を込めるだけだからな。

「さて、先に行かせた甲冑どもがそろそろ港に着くな。俺たちも行くぞ『ゴリアテ』」

ギシ、ギギギ・・・・・・・・・・・

丁寧に管理されていたのだろう。さび一つ浮いていない甲冑のパーツがこすれて不快な音を立てる。

だが、俺にはこの甲冑の歓喜の声をあげているように聞こえてならない。

かつての主を失い、ただ朽ちるだけだった己が、今一度戦いの場に立てる。

そう喜んでいるように見えた。

「さあ行こう、戦場へ」










「返してこい」

港に降り立ったあと、青キジさんの第一声がこれだった。

「ちょっ、せっかく準備したんです。そりゃ無いでしょう」

メインの『一筆入魂』に加えてサブ書き込んで、防水加工施したりと結構手間かかってんだぞ!!

「お前一体どれだけ持ち出してきたのか、解ってんのか?」

「む、失敬な。ちゃんと目録作ってありますよ」

そう言って、管理部の印が押された目録を渡した。

しばらくは普通に目を通していたんだけど、途中から何か震えだした。

「書類に不備でもありましたか?」

「ハァー・・・・、アホか貴様は」

「何ですかいきなり」

「一個人でこんなに武器弾薬持ち出して良い分けないだろうが」

そう言って胸ぐら掴み上げて持ち上げてくる。あ、静かに怒ってます?

良いじゃないですか、こんくらい。

「約、甲冑類400、刀剣類1000、銃300、大砲50・・・・・・・何処で戦争するのかしら?」

青キジさんが放り投げた目録を拾ったヒナさんがこっちを何とも言えない目で見てくる。

ああ、その目はやめて。何か開いてはいけない扉が開きそう・・・・・

「大体管理部は何してたんだ?」

あ、それですか、それなら・・・・・・

「青キジさん、元帥の使用許可証って凄い効力なんですね」

懐から使用許可証出して、目の前で振ってやったら何か天を仰いでるし。

「はぁー、何はともあれこれは持って行けんぞ」

「は?何でです?」

「准尉、悪いんだけど私たちがこれから乗っていくのは、この船よ」

指さす先にあるのは、海軍保有の高速連絡船。

サイズとしては、原作の『サウザンドサニー号』と同じくらいか、それよりやや大きい程度。

どう考えても、甲冑群全て乗らない上に、ゴリアテ乗っけたら確実に沈む。

「解ったか?解ったらとっとと返してこい」

「えー、せっかく準備してきたのに。・・・・・・そうだ!青キジさん軍艦一隻貸してください!!」

あれだったら全部持って行けるだろうし、ゴリアテだって乗っけられる。

「はっはっは、一昨日来やがれ」











ごねにごねたけど、最終的には本気の俺と一戦やるか?と言われて引き下がったよ。

武器庫に戻って能力解除した瞬間、自分がかなり疲弊していることに気づいた。

何か妙にテンション高いなとは思ってたんだよ。

慣れもしないのに“分割思考”で無理矢理思考能力強化すれば、そりゃ疲れもするか。

おまけに制御の方に思考を持って行かれて、かなりとんでもない事口走っていたな。

自重しないとなあ。

でも・・・・・

「せっかく準備したのにな・・・・・・」

「まあまあ。もっと昇進すれば、閣下も許可出してくれるわよ」

うう、ヒナさんは優しいねえ。今も甲冑の片付け手伝ってくれてるし。

「あ、そう言えば配属の挨拶がまだでしたね。
モンキー・D・キース准尉、シャボンディ諸島警邏大隊5中隊隊長ヒナ中尉の指揮下に入ります」

作業の手を止めて敬礼。軍隊じゃあやっぱこれをやっておかないとね・・・・・

「ええ、承ったわ。これからヨロシクね准尉」

「よろしくお願いします」

はてさて、武装の大半使用禁止になっちゃったんだけど、どうなるかねえ。












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今回の一言

戦闘シーンが書きたい。

合間の話も重要なのは解っているんだけど、考えながら書かなきゃ行けないから正直めんどい。

戦闘シーンだと一気に書けるんですけどね・・・・・まあ、戦闘描写は稚拙ですけど。

他の作者の方々に尊敬の念が募る一方です。

あと、原作キャラ部隊に引き込むと、余りにも話が変わってしまうので、オリキャラを出します。

そう言ったのが嫌いな人には申し訳ありませんが・・・・


追伸

554話の大将赤犬の顔が麻生総理に似ているって思ったのは私だけでしょうか?









[9339] 第16話:一応人にうらやまれる立場・・・・・なのか?
Name: 暇奇人◆9abf2946 ID:4a9fd7a9
Date: 2009/09/04 22:48




持ち出した甲冑を片付け終わった俺とヒナさんは、高速船で一路シャボンディ諸島へ。

そびえ立つレッドラインを見ながら、俺は甲板で一休みしていた。

「しっかし何度見ても凄い光景だな」

遙か上空まで絶壁が続いてるんだもんな・・・・タイガーさん、よくもまあこれを登ろう何て思ったな。

たぶん俺でも行けるんだろうけど、流石になあ・・・・・

そんなことを考えていると、ヒナさんが俺の方にやってきた。

「部隊配属の前に聞いておきたいことがあるんだけど?」

「はい、何ですか?」

「部隊では前衛とか色々とあるんだけど、あなたはどういった配置が良いのか聞いておきたいのよ」

ああ、そういやポジションってのを決めておかないといけないのか。

「んー・・・・、俺の能力を考えると、別に何処でも行けそうな感じですねえ。なので中尉におまかせしますよ。」

「そう?所であなたの能力って何なのかしら?その棺桶と何か関係があるのかしら」

ああ、そう言えば全く説明してなかったっけ。

「俺はスミスミの実を食べた筆人間です。能力は存在の本質を書き換えるって所ですか?」

俺の能力を説明するならこういう言い方が一番解りやすいかな?

取り敢えず論より証拠って事で、近くに置いてあった棒きれを“松明”にしてみた。

「こいつが俺の能力です。俺の能力でこの棒きれは松明に早変わりしたんですよ」

「ずいぶん便利な能力ねえ・・・・」

「色々と縛りはあるんですけどね。ちなみに人間にも有効で、やろうと思えば一般人を“一騎当千”の強者に変えられますよ」

「そんなことができるの?」

「できますよ。まあ、鍛えてないのにそんなことすりゃ一発で寝込むでしょうけどね」

俺の能力は人の限界を容易に超えるからなあ。自身の限界知らなきゃただじゃ済まん。

「棺桶の方は俺の能力で作り出したエモノが大量に入ってるだけですから気にしないでください」

まあ実際の所、これが弾薬庫って知られたら取り上げられそうだしね。

やろうと思えば、ちょっとした戦艦並みの火力になるからな・・・・・・























第16話:一応人にうらやまれる立場・・・・・なのか?




















「本日より配属となったモンキー・D・キース准尉です。若輩者ですがよろしくお願いします」

シャボンディ諸島に着いた俺はまず始めに隊員達との顔合わせを行っていた。

俺の前にはヒナ中尉の部下30名が整列している。

うーむ、階級准尉とはいえ部隊配属って初めてだから緊張するなあ。

「准尉は私の副官としてこの隊に配属となったわ。立場的には隊の№2よ。命令にはしっかりと従うように」

「「「「「はっ!!」」」」」

全員一糸乱れぬ敬礼。凄い練度だな。やっぱヒナさんの指揮レベルはずいぶん高いんだな。

俺みたいな子供が自分たちの上司になるって聞いても、表面上は何も感じさせないしねえ。

俺も見習っていかないとねえ。

ただなあ、俺が№2ねえ・・・・・・・

「あのー、中尉。ちょっと良いですか?」

「何かしら准尉?」

「あー、自分は部隊に配属されるのは初めてなので、できれば部隊のことを一から知りたいのですが・・・・」

下の階級思いっきりすっ飛ばして昇進したから、そもそも部隊で何すればいいのかさっぱりなんだよね。

部隊のトップ階級が指揮官てのは解るんだけど、それ以外の階級がどういう役割を担ってるのか知らないからねえ。

「・・・・・・部隊に配属されずにどうやってそこまで昇進したのかしら?」

「休暇中に出会った海賊を片っ端から捕まえてたら、いつの間にかこんな階級になってたんですよね」

あはは、いやー参った、って頭掻いてたらどうしようもないなコイツって目で見られたし。

「はあ、しょうがないわね。サンダース軍曹!」

「はっ!」

見たところ30歳ぐらいのおっちゃんが列から一歩前に出る。

「准尉に案内と部隊の説明を行え」

「了解しました!」

すげーなヒナさん。自分より年上の人間にあんだけびしっと命令できるんだからねえ。

俺もそうしなきゃ行けないんだろうけど、俺今10歳なんだよね。

周りから見たら痛い光景だろうなあ・・・・・この年で准尉になってマジすんませんって感じ?








「よろしくお願いします、軍曹さん」

「はい、どうぞこちらへ」

うう、気まずい。年上に(中身の実年齢的にも)敬語使われるのは何かな・・・・

「あのーすいません」

「はい、何でしょうか?」

「悪いんですけど、もうちょっと楽に話してもらえませんか?」

「いえ・・・・ご命令であろうとも、こればかりは軍の規律を保つ為に必要なことですので」

ダメで元々で聞いてみたけど、やっぱダメですか・・・・・

原作では愉快な海兵が多く出てきたけど、こういうのが普通なんだろうねえ。

もしくはヒナさんがこういう規律に厳しいだけかもしれんが。

まあ、慣れるっきゃないか・・・・・・

で、軍曹に連れられてあちこち回っていたんだけど、やっぱり目立つなあ。

子供であることに加えて、腰に棺桶ぶら下げたまんまだしなあ。

一応なんて話されているか聞いてみるか?丁度良いところにヒナさんの部隊の人が話てるし。

そう思った俺は“地獄耳”を発動させ、彼等の会話を拾う。

『なあオイ、あそこにいる棺桶背負ったガキは誰だ?』

『ああ、あれか。何でも上層部の肝煎りで入隊した天才児だそうだ』

『っは、天才ねえ。どうせ実戦を知らないボンボンだろ?』

『ボンボンなのは否定できんな。ガープ中将のお孫さんだそうだ』

『けっ!じいさんのコネで入隊したのか?何が天才だ』

『いや、それがそうでもないらしい。イーストブルーで結構な武功を上げて准尉にまで昇進したって話だ』

『イーストブルーねぇ。どうせ箔つけるために小物でも倒させたんだろ』

うーん、やっぱりあんまり歓迎されてないのかね?

他には『棺桶は虚仮威し』『ガキの命令なんぞ聞けるか』『ここは子供の遊び場じゃない』等々。

正直ムカッとくるのもあったけど、まあ解らんでも無いしね。

俺だって子供が自分の上司だって言われたら、すんなり受け入れられんだろうしねえ。

しょうがない。いずれ実力を示してグウの音もでないようにしてやるとするか。











そう新たに決意を固めていると、新しい場所に着いたみたいだ。

「准尉、こちらが訓練所になります」

へえ、ここが・・・・うん、悪くない。

さすがに本部が間近にあるだけあって、設備も充実している。鍛錬に励む海兵が何人もいるし。

おや?あそこにいるのは・・・

「次!」

「お願いします!!」

やっぱりスモーカーさんだねえ。部下をしごいてる真っ最中って所か。

うん、鬼のしごきだなありゃ。周りの海兵連中は死屍累々って感じだし。

ふむ、一応声ぐらいはかけておくかな。

「軍曹さん。悪いんですけど、知り合いがいたんでちょっと挨拶行って来ます」

「はっ!了解しました」

やっぱり硬いなこの人。少しは柔軟性も必要だと思うんだけどね。

さてそれはともかくとして、まずはスモーカーさんに気づいてもらわないとねえ。

「おーい!お久しぶりです、スモーカーさん!!」

「ん?お前キースか?ちょっと待て。・・・・・総員気を付け!!!」

スモーカーさんの一喝で、そこら辺に死体よろしく転がっていた海兵達が起き上がる。

ただまあ全員ヘロヘロなんで、気を付けって感じじゃないけどな。

「訓練は一時中断し、30分の休息をもうける!休息後再度訓練を再開するからしっかり休んでおけ!!」

「「「「はっ!了解しました!!」」」」

それだけ言って、海兵達はぶっ倒れた。

ヒナさんとこと違って、熱血根性路線だな・・・・・・・良かったヒナさんの部隊で。

もっとも、俺はちょっとやそっとの訓練じゃ疲れんぐらいには鍛えてるけどね。

「久しいな、キース。だが何でお前がここにいる?」

「ありゃ、聞いてませんか?俺はヒナさんとこの部隊に配属になったんですよ」

「ほう、あいつの所か・・・・・」

「部隊に所属するのは初めて何で、部隊の事とか色々覚えなきゃ行けなくて大変ですよ」

「おいおい、所属無しでどうやってそこまで昇進したんだ?」

「ああそれヒナ中尉にも聞かれましたよ。やっぱりおかしいですかね?」

うーん、俺の所属は元々海軍本部だけど、実際に昇進したのは支部でだからなあ。

本部と支部って同階級でも実際には3階級ぐらいの差があるって聞いてるんだけど、俺の場合どうなるんだろうねえ?

実際問題支部だろうが本部だろうが、将校でもない限り一人で海賊潰せないらしいとは後で知った。

かくかくしかじか、とスモーカーさんに説明したら、

「やっぱりお前は非常識だな・・・・・」

と言うコメントをいただきましたよ。

「そうですかねえ?まあ原因は間違いなく青キジさん達にあるんですけどね・・・」

あの人達のおかげでこの世界でも生きていける実力と自信はついたけど、常識から大分外れた存在になっちゃったからなあ。

思い出されるのはさっきスモーカーさんがやっていた訓練が遊びに思えるような地獄の鍛錬。

もう2年以上前になるけど、何で俺はあの年で海軍大将3人と手合わせしなきゃ行けなかったんだろう・・・・

「ほう、青キジ大将か・・・・・・そういやお前は俺より強いんだったな」

ああ、そうなるのかな?でもなあ、俺はあなたの能力の破り方知らないんだけど・・・・・ってあれ?

「そう言えばスモーカーさんって能力者じゃ無いんですか?」

「ああ。俺は食ってねえ」

まだ、食ってなかったのか。この分だとヒナさんも食ってなさそうだなあ・・・・

「所でお前は何の能力者なんだ?」

「スミスミの実を食べた筆人間って所ですよ」

「墨だあ?そんな能力でそんなに強くなれるのか?」

あ、やっぱり疑いますか。そりゃあ当然でしょうねえ。

俺も最初は戦えないって思ったしねえ・・・・・・・・

「ふむ、論より証拠。実際に見てみます?」











目の前に並ぶのは『一筆入魂』を施された海兵達。

「良いですか?絶対に無茶はしないでくださいよ。少しでも疲労、痛みを感じたらすぐ止めるように」

今回の形式は1対1の組み手。まあ書き込んだ文字からするとちょっと勿体ないかな。

使った文字は1対多数が一番の見所だからなあ・・・・・・

「では、始め」

俺の合図と共に各々の武器が激突する。

書き込んだのは“奥州筆頭”“天覇絶槍”“征天魔王”etc.

武装も文字のキャラに合わせた物を使ってもらっているんだが、目の前に広がる光景は、何て言うか、そう・・・・

「凄く・・・・BASARAです」

自分でやっておいて何だが凄い光景だな。

2等兵、3等兵ですら凄まじいオーラ放ってるしなあ。

「で、こんな感じですけどご感想は?」

隣でポカーンやってるスモーカーさんに尋ねてみるけど反応がない。

「もしもーし!スモーカーさん?!」

「あ、ああ。何というか・・・・・凄いな・・・・・・・」

ですよねえ。俺もそれ以外の感想でないし。

適当に割り振ったから同キャラ対決もちらほら見えるが、誰も彼も将校クラスの動きをしてる。

「って、あ・・・・」

20秒を過ぎた辺りから、一人、また一人と脱落し始めた。

やっぱり俺ですらキツイ『憑依合体』を初心者にやらせるのは無理があったか。

「そろそろ止めんとマズイかな?全員ストーーーーーップ!!」

俺の制止の声で全員が動きを止める。

んで、整列した海兵達にかけた能力を解除すると全員もれなくぶっ倒れた。

「「「ぐおぉぉ・・・・っ!!」」」「「「か、体いたい・・・・・!!」」」

あー、やっぱりこうなったか。

「おい、キース。これはどういう事だ?」

「なんだもクソも無いですよ。無茶をするなっていったのに、彼等はやっちゃったんですよ」

俺はちゃんと限界を見極めて能力を使うけど、あの人ら調子に乗って限界以上に動いたな。

「大丈夫なのか?」

「二、三日筋肉痛に悩まされるでしょうけど、ほっときゃ直りますよ」

やれやれ、無茶すると反動が来るって言っておいたのにねえ。

「まあ、今日は一日使い物にならんでしょうけどね」

「手っ取り早く強くなれるって聞いて飛びついたんだから自業自得だな」

うむ。君らの尊い犠牲は忘れない。

俺の部下を指導するときはもうちょっとおとなしい言葉にしよう。


















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今回の一言

 あれ?おかしいな。今回戦闘シーン入れるぜ!って決めてたんだけどな・・・・

 それはともかくとして、この世界の海軍の指揮系統が良く解らないんで、後々調整するかもしれません。

 現在は艦単位を1部隊扱いで書いています。

 大型の戦艦=将(部下1000ぐらい)、中型=佐(100~500)、小型=尉(数十人)

 って位だと思ってください。

 部隊の規模(大隊とか)も適当なので余り突っ込まないでもらえるとありがたいです。





[9339] 第十七話:さて、腕試しと行きますか
Name: 暇奇人◆9abf2946 ID:4a9fd7a9
Date: 2009/09/20 02:21
ヴ――――――――――――ッ、ヴ――――――――――――ッ

「何ですこの音?」

部下が全員使い物にならなくなったスモーカーさんと別れ、軍曹と2人であちこち回っていたら、いきなりけたたましい音が鳴り響く。

明らかに警報音っぽいけど、まさかな・・・・・・

『全部隊に通達!!現在16番グローブでバトー海賊団が暴れている!!第1隊出動せよ!!繰り返す・・・・』

ギャーーーーーーーーーッス!!着任初日でいきなりかい!!

いや待て。何も滅茶苦茶強いヤツとは限らないよな?

ここまで来れるんだったら間違いなくそれなりの実力者だけど、それなりに開きはあるはず・・・・あってくれ!!

「准尉、出動です!中尉の元まで戻りますよ!!」

「あ、了解です軍曹。所でどんな奴らなんです?そいつら」

ヒナさんの所まで走りながら軍曹に聞いてみたんだが・・・・・

「船長はバトー。『豪腕』の異名を持つ男で賞金は1億9千万ベリー」

ゴッド・・・・・・・・俺何かしましたか?







ヒナさんの所まで戻った俺達は16番グローブに向けて出動した。

走りながら聞いたんだが、ここで騒ぎを起こすやつってのは本当にマレなんだとか。

まあ、海軍本部目と鼻の先だしなあ。駐留している海兵も3000人はいるし。

今回出動した第1隊も1000人の大所帯だからな・・・・。ちなみに隊長は少将。

「准尉、取り敢えずあなたは遊撃をお願い。今回の動きで後の配置を決めるわ」

「了解です。今回は好きに動かせてもらいますよ」

でもあれだな、一人で行く分には全員で向かう10分の1の時間で済むんだけどな。

海軍の一番の強みは数と連携なのは解るんだけど、もっと早く走れんもんかね。逃げられるぞ?

まあ、実際には杞憂だったけどさ。
















第十七話:さて、腕試しと行きますか













16番グローブの状況はお世辞にも良いとは言えん状況だった。

何て言うか台風一過?倒壊した建物が幾つもあるし、今現在火の手を上げている建物もある。

っち、人の営みが壊されるって言うのは痛々しいな・・・・・・

「バトー!!おとなしく投降しろ!!」

「おう、出てきよったか。出てくる前に出航しようと思ってたのだがな」

あれがバトーか・・・・・・・しかし何て言うか、見た目GGXのポチョムキン?

身長は3メートルぐらいで、腰から上だけで2メートルはある大男。体格的には『暴君』くまを思い出してもらえれば解るか。

後クルー達も全員もれなくマッチョ・・・・ぶっちゃけ暑苦しい。

「貴様、よくも海軍のお膝元で暴れてくれたな・・・・・・・!!」

「なに、船のコーティングが終わったのでな。魚人島に向かう前に幾ばくか使った金を補填しようとな」

そんな理由でここで暴れんじゃねよ・・・・脳みそまで筋肉で出来てるのか?

「くっ、所詮は海賊か・・・・!総員戦闘準備!!」

俺は少将の命令通り戦闘準備しようと棺桶に手を伸し、「あ!」重要なことを思い出した。

「どうしたの准尉?」

「あー、そのー、ちょっと装備が・・・・・・」

「装備?何か不備でも?」

「なんと言うか・・・・、近接用の武装をあんまり持ってきてないんですよ」

「その腰の剣は飾りかしら?」

うう、それを言われると辛い所なんだけど・・・・・・・・今手元にあるのはほとんど弾丸用なんだよね。

発動させると暴発するんで、遠距離でしか使えないって言う・・・・・・

接近戦は甲冑兵団にやらせて、自分は後衛で済ますつもりだったからなあ。

「一応これも書き換えれば使えるんですけど、そんな時間は無さそうですし・・・」

「一体何を言っているのか解らないわ?」

まあ能力の事全部説明した訳じゃないからな、解らんのも無理は無いか。ぱっと見で解りそうなのは、と。ああ、これでいいや。

棺桶から取り出したのは一振りの鞭。

手持ちの武器の中でもトップクラスの破壊力だけど、まあいっか別に。

体に“絶縁体”を書き込み、人垣より一歩前に出て鞭を振り上げる。

「要はこういうのばっかりって事ですよ。“雷公鞭”!!」

能力を発動させた瞬間立ち上る雷。それを今だ睨み合いを続けていた海賊達に向けて振り下ろす!!

〈ピシャァァァァーーーン!!!〉

「「「「「「「「ギャアアァアァァァァァァァァァァアッ!!!」」」」」」」」

本物に比べりゃあ威力は半分にも満たんけど、それでも神の裁き(エル・トール)ぐらいの威力はあるだろ。

エネルの攻撃食らって生きてる人結構いたから、俺の“雷公鞭”でも死人はでんだろ?たぶん、きっと。

「こんな具合ですけど、どうしましょ」

「・・・・・・・取り敢えず使用禁止。いえ、没収!」

「ですよねー」

だから知られたくなかったのに・・・・・武器が無くなったら肉弾戦しか手段が無くなるじゃないか。

正直どつきあいが楽しかったのは最初だけなんだよね。俺って基本痛いの嫌いだし。

そのための甲冑であり、そのための剣弾だったんだがねえ・・・・

まあもっとも、痛いの嫌いな分接近戦の修練は遠距離戦以上に積んでるんだけどね。




「おのれ海軍!!不意打ちとはやってくれる!!!」

あ、無事だったんだ船長。適当に振り下ろしたから、半分ぐらい生き残りがいたようだね。

あー、でも船長以外逃げ腰だな。その程度の覚悟で新世界とか無謀じゃない?

そもそも、こいつらが暴れなかったら武器取り上げられることもなかったんだよな。

何か腹立ってきたな・・・・・

「何が起こったのか良く解らんが・・・・ともあれ敵は僅かだ!討ち取れ!!」

流石は少将、抜け目ない。でもこれで許可が出た、憂さ晴らし含めて派手に行きますか。

色々(九蛇の一件とか武装禁止とか)鬱憤が溜まってるからな。今からやるのは少々好戦的になるから、丁度良い。

服が破れると嫌だから着流し脱いで、シャツまくってと・・・・良し、これで準備完了。

「さていくか、熾きろ!“火山獣”(ボルカニカ)!!」

両肩から吹き上がる炎!隆起する筋肉!!そして何よりわき上がる闘争本能!!

こいつの凄いところは『一筆入魂』『真言武装』『憑依合体』の複合発動という点だ。

憑依による技能継承に加えて、武装による身体能力上昇に一筆の性質変化!! 本物より多少劣化するとはいえ十分すぎる!

“東方不敗”“明鏡止水”からヒントを得たこれこそ、フーシャ村での修行の成果だ!!

ただモノがモノだけに俺の方にも影響くるんだよ。則るのは破面(アランカル)だからな・・・

十刃(エスパーダ)クラスやると半分乗っ取られるし、5・6はほとんど暴走状態になるからな・・・・・・

4は発動させたら血反吐はいて3日寝込んだ。以来それ以上は試してないんだよね。

おまけに人格にも影響が出てくるのがな・・・・・最近どうも好戦的な性格になり始めてる。








発動直後、剃で誰よりも早く飛び出し、敵上空へ。そのまま月歩で敵の中心に向かって突っ込み両腕を地面に叩き付ける。

ズゴムッ!と爆炎が巻き上がり、周囲にいた海賊が吹き飛んだ。

武装のおかげで大して熱くはないんだが、炎のせいでちょっと酸欠でクラクラ。

「こんの!化け物がぁあぁーーーー!!」

勇敢な海賊が爆心地である俺に向かってくるけど、ごめん、今あんまり手加減できないんだよね・・・・・

軽く右腕を振るうと、火だるまになって吹き飛んだ。

あーやっぱ制御が難しいな。まだ使える程度で使いこなすのは無理か。

そのまま両足の“響転”(ソニード)で周囲の敵に向かい次々と蹂躙してるんだが、徐々に黒いモノがこみ上げてくる。

ああ、いかんなぁ・・・・大分ホロウとしての本能が俺を浸食してきてる。

こんなにも闘争と破壊が心地よいと感じるなんて・・・・・・・ああ、思わず笑みが・・・・・

「貴様ぁぁぁぁぁーーー!!よくもクルー達を!!」

おお?!何だ?この状態の俺がガードごと吹っ飛ばされるなんて。

せっかく良い気分で・・・・って、いかん、いかん、飲み込まれていたな。落ち着け俺、Coolに行こうぜ。

さて、俺を吹っ飛ばしてくれたのは誰かなー、ってありゃ?何で俺の所に船長が?他の人たちは何やってんだ?

船長に注意しつつ部隊の方を見ると、良い感じの炎上網に阻まれて右往左往してら。

あー、ひょっとしなくても俺のせいですね・・・・・・自業自得って事で、自力で何とかしますか。

「先ほどの雷といい、その炎といい、貴様何の能力者だ?!」

聞かれたら答えるのが礼儀かな?別に種が割れて不利になる訳じゃ無いしな。

「俺はスミスミの実の筆人間!俺の刻む言葉は全て真実となるのさ」

「墨か、なかなかに面白い能力だな。だが勝つのは私だ!!」

殴りかかってくる船長を紙絵で悠々と回避しつつ殴り返す。

散々練習した拳闘士(ボクシング)スタイル!俺のナックルパートから逃げられると思うな!!

繰り出された拳をカチあげ、がら空きのボディーに潜り込む。くらえ、必殺の・・・!!

「オォォ、デンプシィィー!!!」

〈ズゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・!!!〉

一撃の威力はボムボムの実?何それ、おいしいの?ってレベルだからね。あっという間にボロボロになっていく船長。

それでも立っていられるあたりは流石なんだけど、自分でやっておいてなんだが流石に痛々しくなってきたな。

「あのー、そろそろ投降してくれませんか?」

「ほ、ほざけ・・・・小僧!!この私がこんな所で(ry」

あーそうですか、可哀相に思った俺が馬鹿だったよ。まだ抵抗する気満々だし。

後半はもはや聞く気はない、どうせどいつもこいつも似たようなことしか言わないんだからさ。

にしても、頑丈だ事。あのデンプシー、ルフィのストーム以上の威力はあると思ってたんだがな。

しょうがない、大技で止め刺すかな?

腰を落とし、右正拳突きの構えを取る。更に右腕に文字を浮かせ、右手の爆炎を更に吹き上げる。

「もう一度聞いておきます。投降する気、あります?」

「くどい!!」

「ああそうですか、じゃあ散れ。見よう見まね!劣化“大噴火”!!」

〈ズゴォォォォォォンッ!!!〉

右腕から吹き上がった爆炎は敵船長を飲み込み、おまけに進路上にあった建造物を貫き、16番グローブを揺るがした。





「やれやれ、俺もまだまだだな」

この光景を見て俺の中で一番にわき上がった感情は不満。

普通に考えれば十分すぎる威力なんだろうけど、十年後に黄猿さんが一撃でグローブ折るの知ってるからな。

あっちは無造作に撃ってへし折れ、俺のは全力ではないとはいえ揺るがす程度。

億越えでも楽に勝てるのは解ったけど、まだまだ上がいるんだもんなー。

「遠いなー・・・・・・って、町のこと忘れてた」








Side:ヒナ

「熾きろ!“火山獣”(ボルカニカ)!!」

あの子がそう叫んだ瞬間、周囲を禍々しい空気が覆った。

今までも戦場で殺気を向けられたりしたことはあるけれど、それでもこれほど深く、狂気を含んだモノは感じたことはない。

その後の光景は惨劇と呼ぶほか無かったわ。

「鬼・・・・」

誰かがそう呟いたけど、戦場で炎と共に踊り狂う様は正に『鬼』と呼ばれるにふさわしい。

消えるように動き回り、天を焦がし、地を砕き、人を焼く。炎で遮られたあそこは、処刑場でしかない。

本部で准尉はホープ・・・・次世代の希望の星、なんて呼ばれているのを聞いたことがある。

けれど、あれは希望なんてモノじゃない。

私には海軍・海賊問わず、全てに絶望をもたらす凶星にしか見えなかった・・・・・・








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今回の一言

ころころと変えてすいません。

仕事で疲れが疲れが溜まっている状態でちょっと凹んでました。

で、あげようとしたところでリアルに風邪ひきました・・・・orz

後、自重するのを止めました。今後は開き直ってネタ全開の最強系で行こうと思います。

そもそも全力ではないにせよ、大将と戦えるんだから、そんじょそこらの海賊に苦戦してたらおかしいですよね・・・・・




[9339] 第18話:無法地帯にもうまい飯屋はあるもんだ
Name: 暇奇人◆9abf2946 ID:4a9fd7a9
Date: 2009/09/20 02:29
Side:青キジ

「さて、集まって貰ったのは他でもない、キースのことだ」

センゴクさんが全員集まったことを確認すると、おもむろに話し出す。

「あの小僧は・・・・また何かやったんですかい?」

「はぁ、何言ってるんだ赤犬。あいつが何もしでかさない訳がないだろうに」

あの生粋のトラブルメイカーは大人しくしていても何か起こすからな。

しかし、配属初日からとは飛ばすなーあいつ。

「もし、軍に不利益なことをしたんなら、あっしが行って灸を据えてやりますが?」

「不利益・・・・ではないな。奴は海賊を捕らえただけだ。相手は『豪腕』のバトー、1億9千万だ」

「結構なことじゃ~ないですか~。それが何か問題でも~?」

「問題なのは、たった一人で一味もろとも町一つ吹き飛ばした点だ!!」

たった一人で億の一味を壊滅か・・・・また腕を上げたな。しかしたった一人でってのはいただけんな。

そもそもあいつを部隊の副長に据えたのは、部隊での行動を学ばせるためだって言うのに、それを単独行動って言うのはな。

おまけに町一つ吹き飛ばすって、評判が悪くなるじゃないか・・・・・

「いっそのこと優秀な部下をつけて自由にさせちゃあどうです?」

「そうは言うが青キジよ、奴以下の階級で奴を止められるモノがいるとでも?」

「じゃあいっそのこと俺たちの中の、誰かの部下にするとか?」

「いや、我々の殆どは本部・聖地の守りだ。現状、戦力が整っている以上、奴には外で研鑽を積ませたい」

「確かに」

「それに、配属直後で移動となると奴の上司の責任能力を疑問視する者も出るだろう」

「あ~、そう言えば無理に命じたんでしたね~。そりゃ~確かに可哀相だ~」

「まったく、奴は腕は良いが扱いに困るな。取り敢えず奴の事は一時保留でよいな?
全く、よりにもよってガープに似おって、父に似ればもう少しまともだったろうに・・・・」

Side out










第十八話:無法地帯にもうまい飯屋はあるもんだ









最初の一戦の直後お休みをいただきました。

頑張ったご褒美って事らしいけど、何か少将始め大分警戒されてたんだよね・・・・

あと、こないだの一件で昇進して現在少尉。おかげさんで背中に『正義』を背負うことになりましたよ。

ホント、ガラじゃあ無いんだけどね・・・・

ていうか、俺のサイズなんか無いから将校用の服、普段は着てないんだけどさ。

「ともあれ昨日は安全地帯のメシや回ったから、今日は無法地帯の方を回るか」

やっぱり見知らぬ土地にきたら、まずは観光と食事でしょう?

この体ってなんだかんだ言って燃費が凄く悪い。さすがはルフィの親戚、食欲と睡眠欲が半端じゃない。

昨日の自慢の一皿巡り店数十件回ってやったけど、普通に入ったからな・・・・・・

「いろいろと物理法則が壊れてんなー」

明らかに自分の体重以上の食事とか、何処に隠してたのって言う武器とかさ・・・・

さすがはワンピースの世界、まだまだ不思議はいっぱいだぜってな。

あと、観光とは言ったけど実際の所としては地理の把握ってのが大きい。

一応詳細な地図は貰いはしたんだけど、無法地帯の辺りはほとんど空白のままなんだよね。

各マングローブと橋の位置こそ書き込まれてはいるものの、大雑把な建物の配置ぐらいしか書いてない。

名前が書いてあるのはヒューマンショップとあと幾つかってぐらいなんだよね。

「まあ海軍の地図だしな。非合法な店の名前乗せるわけにもいかんだろうし」







さて、やってきました無法地帯。とは言っても、そこまで無法ってイメージは無いな。

そりゃあ海軍本部目と鼻の先だし。一昨日みたいなのは例外って事かな?

「取り敢えずメシメシ」

外れを引かないために、秘技“嗅覚強化”で嗅ぎ当てた店に入ってみる。

カウンターとテーブルが3つと、こぢんまりした店だが漂ってくる香りはなかなかのモノだ。

まだ店を開けたばっかりの時間らしく、店の中に客は居らず店長だけだった。

「いらっしゃ・・・・坊主、おめえ一人か?」

「そうですけど?この店のオススメは?」

むう、この身長じゃカウンターの椅子に座るのは一苦労だな。飲食店で跳んだりはねたりするのはマナー的にね。

「あ、ああ。うちの店のオススメは温泉ワニのステーキだ」

「じゃ、それで」

「いやいや、そんなことより坊主。はやくこのあたりから出て行った方が良い。でないと「ほっほーう、良いことを聞いた」

後ろから誰かが近づいてきてるみたいなんで振り返ると、どっかで見たことがある男が。

「待ってくれピーターマン!うちの店の中でやるのは止めてくれ!!」

ピーターマン?あ、人魚のケイミーさらった人攫い屋か!!

ひょっとして俺をさらう気か?まあ、子供が一人で無法地帯歩いてりゃあ格好のエモノだろうなあ。

ふむ、こいつらがいなくなったところで誰か別の奴等がやるだろうけど、10年後の禍根は断っておくかな?

「安心しなよ店長。ここで問題を起こすつもりはないよー。
ねえねえ、坊や。ご飯おごってあげるからお兄ちゃん達のお仕事を手伝ってくれないかい?」

何てお約束なセリフを・・・・まあ良い、運動前にたっぷり食べさせて貰いますか。

「えー、良いんですかー?じゃあ店長さん、さっきのオススメ3皿とメニューに載っているの全部!!」

「ちょっ!!」

所詮は悪銭、俺の食事代に使われりゃあ本望だろう。



「げふっ、食った食った」

いやー、やっぱ俺の目・・・もとい俺の鼻に狂いはなかったね。あの店長さん、なかなかの腕前だったよ。

途中売られていく子豚を見るような目を向けてくるのは頂けなかったけどさ。

「ごちそうさん。また来ますね店長さん」

「ああ、達者でな(強く生きろよ・・・・グスッ)」

「とほほー、思った以上の出費だったよ。こりゃあ高く買って貰わなきゃ赤字だよ」

うーむ、奢ってくれた相手をあの世に送るのはちょっと可愛そうかな?ま、半殺しで勘弁してやるか。

店から出るとピーターマンを先頭にして手下が俺を囲むように歩き出す。

ひょっとしてこんな町のど真ん中でさらおうとか?流石無法地帯ってか・・・・感心する所じゃないんだけどさ。

「で、俺は何処に行って何をすれば良いんですか?」

「んー?とっても良いところさ。君はそこでじっとしていてくれればいいよ」

ふむ、これ以上周りを詰められるとめんどくさいな。先手必勝と行きますかね。

「嵐脚・周断!!」

「「「「「ギャァァァァァーーーーッ」」」」」

別にキリンの体じゃないんで威力としては大分下だけど、周囲を一掃するのには丁度良いんだよね。

「い、一体何が・・・・・?!」

「黙りなよ人攫い。狙った相手が悪かったね」

「子供がこんなに強いなんて・・・・・子供?まさか、海軍の!!」

「その反応を見るに、噂はあれど写真とかは出回ってないようだね」

「そ、そんな・・・・・どうかお助けを!!」

「だが断る!まあ、メシのお礼に半殺しで勘弁してあげるよ」

(残酷な表現が続くので、ここから先は音声のみでお楽しみください)

ドゴッ、メキッ、ズギューン、ギャリリリリリ、スパーンッ、メメタァ、パフーッ、ピーヒョロロロ(以下省略)



「ふう、いい汗をかいた」

俺の前にあるのは元人攫い屋、現ボロぞうきんの方々。

「いいか?今度見かけたら残り半分の命も取り立てるからね?」

「は・・はひ・・・」

やれやれ、無駄な時間を使ってしまった。けどまあ、今回の一件でここいらで俺に手を出してくるような奴は減っただろ。

しかし、一昨日の“火山獣”の影響がまだ残ってんな。無駄に好戦的になってるなー。

〈グウウゥゥーーッ〉

「おや、腹の虫が・・・・ほんと燃費悪いなこの体。まあいい、食事屋巡りを再開しますか」






Side:スモーカー

休息時間になり寮に帰ろうとしたら、ヒナの奴に捕まり酒場まで連れてこられた。

「珍しいじゃないか、お前の方から酒に誘うなんざ」

本当に珍しい。特に俺一人を呼び出すなんてな、ヒナの奴何かあったのか?

「ええ、ちょっとグチりたくなってね・・・・」

「グチ?あー、ひょっとしてキースのことか?」

「そうよ」

そう言って一気に杯を空ける。おいおい、ちょっとピッチが速いんじゃないか?

「私はね、あの子が怖いのよ」

「怖いだ?」

「あなたは一昨日出動しなかったから分からないでしょうけど、あの子は危険すぎる」

「そんな奴には見えなかったんだがな」

「笑ったのよ、あの子。敵を火達磨にして」

人を火達磨にして笑う10歳・・・・・・・ダメだ想像出来ん。

だがまあ、ホントだとしたら海兵失格としか言い様がないな。しかし・・・

「だからといってあいつを辞めさせる訳にもいかんのだろ?」

「・・・・・そうよ。元帥閣下直々に命じられたのよ、だから困ってるんじゃないの」

元帥直々に辞めさせるなってか・・・・流石に次世代の希望の星ってことか。

まあ一昨日の一件にしろ明らかに普通じゃないんだよな。噂では大将の技を使ったって話だし。

しかし、ヒナの奴がここまで怯えるとはな・・・・・この様子じゃまともに接すれるかどうか解らんな。

仕方がない。あいつらの要望もあるし、あれを提案してみるかな?

「なあヒナ、良かったらだがキースの奴を俺の部隊に出向させてくれんか?」

Side out







メシ屋巡りを終えて寮の自室に戻ってきた俺は、そのままベットに飛び込んだ。

「あー満足」

匂いで駄目出しした店はあれど、昨日と今日でほとんどのメシ屋が回れたな。

財布は大分軽くなったが、なんだかんだで結構稼いでるからな。

一人で海賊狩ってたころ、休職中って事で賞金の一部を貰ってたからね。

「でも賞金稼ぎだったら全額貰えたんだよなー」

くそう、五老星に海兵にされてなかったら楽に余生を暮らせる程度の金が手に入ってたのに。

まあ、海軍って組織に身を置くことで、既知の部分とはいえ楽に世界が見られるから良いか。

将校になったから給料も増えてるだろうしなー。

〈コンコンッ〉

「ん?こんな時間に誰だ?はいはーい、今開けます」

消灯時間(海軍の寮だから普通にあった)までもう少しだって言うのに。

扉を開けた先にいたのは、酒瓶担いだスモーカーさん。やべ、酒瓶メッチャ似合う。

「おう、今時間良いか?」

「はあ、構いませんけど?」

体を脇に退けて、入室を促す。

士官用とはいえ結構この部屋は狭い。ちょっとしたビジネスホテル程度の大きさ程度か。

家具もベットと机、椅子にクローゼット、あとはトイレが付いてるぐらいか。

まあ、下の階級だと四人部屋とかだから恵まれてるんだけどさ。

(後で聞いた話では船での生活と余り変わらぬ生活を、と言うことらしい)

俺はベットに腰掛け、スモーカーさんに椅子を勧める。

「で、何かご用でしょうか?」

「そう堅苦しくしゃべらんでも良いぞ。今俺とお前は同階級なんだからな」

「はあ、そうは言っても目上の人間相手には「良いって言ってるだろ」分かりました。それで、何のご用で?」

「ああそれなんだが、明日正式に命令が下されるだろうが、お前は俺の部隊に出向することになった」

「はあ?!」

いやちょっと待てや。まだ赴任して三日目だぞ?昨日今日休みだったから実質一日だけだし。

「ちょっ、俺何かマズイ事しましたか?!」

「いや、お前は大して悪くない」

「大してって事は俺にも何か原因が?」

「何と言っていいか・・・・・一昨日お前が戦っているところを見て、ヒナの奴お前のことを怖がってるんだよ。何か心当たりはあるか?」

「怖がって、って・・・・。心当たりは・・・・・ひょっとしてあれかな?」

「何かあるのか?」

うーん、誤解を解くためにも、ネタバレしない程度にぼかして話すか。

「俺の能力少し話しましたよね」

「ああ、モノの本質を書き換える、だろ」

「ええ。で、一昨日やったのはこの身を伝承にあった人食いの鬼に変えたんですよ。たぶん中尉はその気に当てられたんじゃ無いかと」

「ほう、鬼の力ねえ。ひょっとして戦闘中笑ったとか言うのも」

「おや、見られてましたか。そうです、精神の方がちょっと引きずられたんですよ」

「なるほど」

「で、後もう一個聞きたいことがあるんですけど、何でスモーカーさんの所に行くことになったんですか?」

「ああそれか、一昨日俺の部下達を鍛えただろ。あいつらがもっとお前に師事を受けたいんだとさ」

「へえ、物好きな・・・・・でも、必要とされるのは嬉しいですね。分かりました、誠心誠意教えますよ」

「頼んだぞ。さて、前祝いだ。飲むぞ」

やれやれ、ヒナさんには迷惑かけちゃったな。これで海軍内に俺の悪名が更に広がっちゃうんだろうな。

ワザとやってるわけじゃないけど、なんだか禍々しい技とかの方がなじみが良いんだよなあ。

やっぱり、『悪魔』の実だからなんだろうか?










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今回の一言

書いてみて改めて思った。自分に文才はない!!特に戦闘シーンなんかもってのほか!!

って事で戦闘シーン出来るだけさくさく進めたいと思います。

ワンピース自体も長いですからね。本編にたどり着く前に力尽きたら嫌ですから。







[9339] 閑話:ある小隊の風景
Name: 暇奇人◆9abf2946 ID:e6b9e63f
Date: 2010/01/26 21:14
俺は今数十人の人間に囲まれている。囲んでいる者達は全員思い思いの武器を構え、俺をきつくにらみ据えてくる。

「こぉぉぉ・・・・」

俺は空手の息吹法をまね、気合いを入れて構える。スッと右手を前に突き出し、指先でクイクイと合図してやる。

「ぜいっ!!」「ふんっ!!」「はぁっ!!」「うりゃっ!!」

瞬間、囲んでいた者達から4名が飛び出し、四方からエモノを振り下ろしてくる。

それら刃の腹を手で払い、背後から向かってきた者の手首を掴み、正面から向かってきた者へと叩き付ける。

その後即座に一歩後退。左右から向かってきた者達の第二撃が眼前を通り過ぎる。

さらにしゃがみ込んで背後からの横払い、おそらく槍や戦斧の類だろう、を回避する。

そのまま回転して足払い。宙に浮いた相手へと追撃の蹴りを放とうとするが、さらにその後ろにいた者と目があったため跳躍回避。

少々高く跳び周囲を見回そうとしたところ、飛ぶ斬撃が四方八方から飛んでくる。

うっとうしいので先ほどのように腹を払い、斬撃同士を衝突させたり、囲んでいる連中へと打ち返してやる。

数秒の滞空を終え、着地しようとしたところを前後から挟み打つように刃が振り抜かれた。

眼前から攻撃した者はおそらく驚愕の表情を浮かべているだろう。背後から仕掛けてきた者同様に。

何せ目の前にいた俺が消えたのだから。俺の現在地は眼前から仕掛けてきた者の刀の上、そこに片手倒立をして居る。

未だ俺のことに気付かず、無防備な後頭部を曝している者に向けて強かな一撃をくれてやる。

「い、一体今何を・・・・?」

「ああ、別に大したことじゃないですよ。逃げ場がなかったんでね、跳び箱の要領で刀の上に体を持ち上げ、そのまま運んで貰っただけです」

後ろから仕掛けてきた者も俺がどう動いたの解らなかったらしく、しょうがないので解説してやる。

「運が良かったですね?たまたまあなたの刀がこの人の刀の下をくぐって。でなければ倒れているのはあなたでしたよ」

後ろから仕掛けてきた者が俺の言葉に青ざめる。

「さて、続きです。どっからでもかかってきてください」









閑話:ある小隊の風景










「お疲れ様でしたー」

返事はない、ただの屍達のようだ。

「か・・・、勝手に殺すな・・・・・」

「おや、まだ意識がありましたか、スモーカーさん」

目の前で立ち上がろうとしているのは、ボロぞうきんの内の一人と化したスモーカーさん。

「おま・・・・気絶するほど続けさせるんじゃねえよ・・・・・あいててててて」

立ち上がるのを諦めたのか、スモーカーさんはその場で胡座をかいた。

「半分は“一筆入魂”の反動でしょうに。ま、スモーカーさんは能力強化だけでしたから反動も少ないでしょ」

ここはシャボンディ諸島の修練所。さっきまで俺が戦っていたのはスモーカーさんの部下達。

スモーカーさんの部隊に配属された俺は、約束通りこの部隊を徹底的に鍛え上げている最中なのだ。

以前のようにキャラ憑依させて戦闘経験を蓄積、加えて俺の組み手の相手にも最適と一石二鳥。

もっとも、全力で憑依合体させようモンなら未だに数分が限度。故にある程度抑えめにかけるよう心がける必要がある。

組み手相手の俺も、能力なんぞ使ったらあっという間に決着してしまうので使えない。

同様の理由で六式も使用できず。なお、武器は未だに使用禁止中です。

「でもまあ全員強くなりましたね」

「そうか?未だにお前に一撃たりとも入れられてないんだが・・・・・」

「気付いてませんか?徐々に能力をかけるの強めていってるんですよ」

「あー、道理で日に日に疲れるようになるわけだ」

「それに俺の能力に振り回されるんじゃ無くって、自分で動けるようになってきてますしね」

俺がここに配属されて早一月。余所から戦闘経験持ってきている海兵達は、日に日に実力を増していっている。

技量は言うに及ばず、体力、判断力、それらを使っての応用力。

こっちも攻撃貰わないようにするのが精一杯になってきたしな。反射的に致死レベルの攻撃を放つのを我慢してるのは秘密だ。

「それはそうと、そろそろコイツら治療してやってくれないか」

「そうですね、転がしとくのも何ですし」







「それで、お前は今何してるんだ?」

「んー?体から出した墨に攻撃力を持たせるバリエーションを訓練中」

治療と運搬を終え、あぐらをかいた俺は、手の平の上で墨の球体を維持しながら答える。

「墨ってただの液体だろ?文字として使わないと攻撃力なんて皆無だろ」

「そうでもないですよ」

左手を振って流刃を飛ばしてみせる。

「要はこんな感じです。でも、今のは腕の勢いで刃状になっただけです。体を動かさないで同様のことが出来るようになりたいんですよ」

文字を使えば早いけど、そればっかりに頼らずに自力も上げないとね。

「・・・・そこまで必要なのか?」

「強さに十分なんてモノはありませんよ。まだ死にたくはありませんからねー」

「感心な事だ。所で話は戻すが、その手の平の上のは何だ?」

「これですか?まだ未完成なんですけどね。でも名前はあります、螺旋丸って言うんですよ」

ナルトが苦労するはずだよ。制御が難しすぎて成功しないんだよね。今んところ一定方向に高速回転させるのが精一杯。

「俺にはただの球体に見えるんだがな」

「まあ見た目はねえ。うーん、これならそれほど危険じゃないから・・・・・パス」

「うおっ!!」

俺が放り投げた螺旋丸(未完成)をつい手を伸ばしてしまうスモーカーさん。

が、手と球が接触した瞬間思い切り腕がはじけ飛び、華麗にトリプルアクセルを決めて頭から着地する。

「あー、大丈夫ですか?大丈夫じゃない?そうですか、すいません」

地面に仰向けに倒れ、問いかけに対しブロックサインで答えてくるスモーカーさん。

声も出ないほど痛かったんですか・・・・




「あー、痛ってえな。何しやがる」

「あたっ!!」

再度“回復”をかけたスモーカーさんは俺の頭に拳骨を落とす。

威力を過小評価して余計なダメージを与えてしまった為、俺は大人しく拳骨を受けた。

じいちゃんの拳骨で慣れてるから、大して効かないしね。

「それで、あれはどういう技になるんだ?さっき食らって高速で回転しているのは解かったんだが」

「まあ墨を高速回転させる技であることに変わりはありませんよ。ただ完成版は乱回転してますけど」

「乱回転?」

「ただ回転させるだけじゃあ回転の当たる場所によって、どんな風に弾け飛ぶか解りませんからね」

墨である以上オリジナルと違って圧縮とかできないけど、質量がある分ちょっとした渦潮になったんだよね。

正式に名付けるなら水遁・黒色螺旋丸ってところかな?

この世界じゃオリジナル知ってるのは俺だけだから、黒色もなにも無いんだけどさ。

「いまいちどんな技か解らんな。見てみたいから完成したら教えてくれ」

「別に完成版見せるんなら今すぐ出来ますけど?」

「は?完成してるんだったら何で今訓練してるんだ?」

「完成したのは文字あり版ですよ。今やってるのは純粋な制御訓練です」

そう、さっきから螺旋丸の訓練には文字を使用していない。文字ありだと無しの時の数倍疲れるんだよね。

もっとも、無しの時は集中しなけりゃいけないことを考えると、今のところありの時の方が使い勝手いいんだけど。

「今の能力の使い方じゃ武器の消費も馬鹿になりませんからね。制御上手くなって1分ぐらいは使えるようにならないと」

「能力者っていうのも大変だな」

「いえ、たぶん武器のこと考えなきゃいけないのは俺ぐらいのモンです。
あと、武器を使うのは破壊力を上げるためじゃなくって、自分にダメージが来ないようにするためです。
それに武器を使うと戦闘スタイルのバリエーションが増えるんですよ」

刀一つ取ってみても、斬魄刀各種、名刀、妖刀その他諸々。科学技術・魔法要素を盛り込めば更に増える。

「っと、話が逸れましたね。これが“螺旋丸”です」

「さっきと変わらんように見えるが?」

「いえいえ、さっきと比べて破壊力は段違いですよ」

そう言って修練場に置かれた鎧に打ち付ける。

“螺旋丸”と胴体部分が接触した瞬間球体がほどけるように流れを変え、胴体を複雑な軌道を描きながら駆けめぐり、削る。

いや、削るではなく『抉る』が正解か。

胴体は跡形もなく砕け、墨が駆けめぐった四肢はズタズタに引き裂かれている。

・・・・思うに、金属製の鎧に打ち込んだためこの程度で済んだのだろうが、水分の多い人間等に打ち込んだ場合、
磨り潰された肉体によって更に肉体が磨り潰されるってことになりそうだな。

浮かんだ光景はミックスジュー・・・・止めよう。気持ち悪くなる・・・・・・

初めて当ててみたけど、一撃必殺過ぎて使えんじゃないか。

「未完成バージョンとはいえ、そんなモンを人に使うんじゃネエよ・・・・・」

「いやあすんません、物に当てるのは初めてだったモンで。でも墨だけでも結構いけるって解ったでしょ?」

「まあな、だがちゃんと加減しろよ?流石にそれは殺り過ぎだ」

何か知らんが俺が使える技ってオーバーキルなの多いな。自重しないとね・・・・・





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今回の一言

 お久しぶりです。何とか生きてます・・・・・・。風邪ひいた後パッタリと意欲が無くなっちゃいました・・・・・・・

 前作で力尽きたら嫌とか言いながらこの体たらく。ホント申し訳ないorz

 年が明けたので心機一転して別の作品を書いてリハビリ。別の名前使ってチラ裏で浮気してます。

 ちょっとやる気が出てきたので、1、2ヶ月に一本のペースで書いていこうと思います。

 今後もお目汚しさせていただきます。


 



[9339] 第十九話:探し人に会えました・・・・・
Name: 暇奇人◆9abf2946 ID:f1963d89
Date: 2010/04/01 20:58
ヒナさんとこの部隊はあっという間に追い出されちゃったけど、スモーカーさんの部隊は居心地が良い。

スモーカーさん自体があんな性格だから、部隊の人たちも大らかで話が合う。

どんだけしごき倒しても子供扱いしてくれるのは、嬉しいんだけど中身大人な分複雑。

「~~~~~♪」

シャボンディ諸島にも随分と馴染んだ。今ではこの島の有名人。あらゆる場所にuntouchableと書かれた顔写真が並んでいる。

子供だと侮って突っかかってくるバカども(犯罪者、賞金稼ぎ、一般人問わず)返り討ちにし続けていた結果だ。

七武海のドフラミンゴには「商売の邪魔したら殺す」と面と向かって言われるほどさorz

「おっちゃーん、いつものヤツ!!」

「あいよー!ご無沙汰だったなキース!!」

「いやあ、最近部隊の人たちも強くなってきてねえ。定期の休み以外が無くなちゃったんだよね」

部隊移動した後はスモーカーさん達良く行動不能になってたんで俺は休めたんだけどね。

おかげでこの店みたく馴染みの店が幾つも出来た。

ちなみに此処は歴とした無法地帯。店主のおっちゃんも料理界から追放の処分を受けてるらしい。

「ははっ!そいつはうちの店にとっちゃ大打撃だ!!お前さんは随分と売り上げに協力してくれてるからな」

「ま、たまにしか来れない分、たっぷりと食わせて貰いますよ」

「そりゃあ、頼もしいこった!!」









第十九話:探し人に会えました・・・・・







「うーい、すまんが酒をくれ」

皿が山ほど積み上がった頃、新たに客がやってきたようだ。こっからだと顔が見えんな・・・・

「おや、随分久しぶりですな。今日はちゃんと金あるんだろうね?」

「うむ、臨時収入があったのでな」

どれどれ・・・・ってあの人は。やれやれ、やっと会えたか。島中探したってのに会えなかったからね。

バーまで行ったけど留守だったからな。中にはいるとぼったくられそうなんで入ってないが・・・

「すいませんがご一緒させて貰って構いませんか?・・・・『冥王』シルバーズ・レイリー」

最後のは店長には聞こえないように声を抑えた。此処でその名前を大っぴらにしたくない筈だから、いきなり襲いかかってくるとはないと思うが・・・

「ガープの孫か。なんじゃ、ワシを捕まえに出も来たのか?」

レイリーさんは俺の顔を見て片眉を上げたが、俺何かよりも酒のほうが重要らしい。出された酒をグラスに注いでいる。

少々カチンと来たが・・・・・・・うん、戦っても絶対に勝てんな。ルフィが黄猿さんから助けられたときより10歳若いわけだから、その分衰えてないんだろう

「冗談、これでも小心者でしてね。勝てない相手と喧嘩する趣味はないんですよ」

「ならば何のようだ?」

「昔話、いえ伝説が聞きたいんですよ。海賊王の・・・ゴール・D・ロジャーのね」

「そうか・・・・・ならば河岸を変えよう」






俺とレイリーさんは傘を差して歩く。方角からしておそらく目的地はボッタクリバー。

だが、あと少しと言うところで俺たちは足を止めた。

「さて、どうやらお客さんのようじゃのう」

「ですね、まあ間違いなく俺の客でしょう」

冥王なんて言う、下手すりゃ四皇にも並ぶようなビッグネームに喧嘩得るようなヤツはまず居ないだろ。

今度の理由は何だ?生意気だから、敵討ち、名を上げるため?それとも聞いたこともない理由で絡まれるのか?

やれやれ、こちとら雨だからカードすら持ってないんだがねえ・・・・

何にせよ、身に降りかかる火の粉は払わにゃならんね・・・・

「下がっといてくださいねレイリーさん。隠れてる奴等、サッサと出てきな」

これだけ殺気を放ってたら、身を隠している意味が無いと思うんだがね。

「くくく、そうでなくてはな」

俺の声に反応して、マングロ-ブの影から続々と出て来る千を超える海賊達。俺はその中でも船長格の男に注目する。

どっかで見た顔・・・・そうそうこないだ潰したバトーとか言うやつに似てるんだ。

「俺の名は爆腕のギトー!!今日はバトー兄貴の敵討ちに来た!!」

正解は敵討ちか・・・・・結構な数の部下がいるな。ま、数だけ揃えても意味はないんだけどな。

「聞けば貴様の能力は墨を使うと聞く!ならば雨は貴様にとって弱点だ!!違うか!?」

「おしいなぁ、実におしい」

雨や水は『一筆入魂』の弱点たり得る。だけど『真言武装』には効果がない。更に言うなら・・・・

「確かに雨は俺の能力の一部を阻害する。だけど、物によっては強化もしてくれるんだよね」

じわりとにじみ出す墨が足下の水たまりを侵していく。

「墨と水の境界がどこか解るかい?水墨画なんかはかなり薄い墨を使う。それこそ殆ど色がついてないほどのね」

真っ黒に染まった水たまりは濡れた地面を伝って徐々にその範囲を広げていく。

「貴様、何を言っている」

「おや、まだ解らないかな?では答えを教えよう。俺の能力は墨を動かす流体操作でもある」

流体操作、その言葉を聞いてギトーはハッとなる。残念なことに俺の戦闘準備が終わった後に。

「お前ら!撃てぇぇぇぇ!!!」

ギトーの言葉に構えていた銃から放たれる銃弾。中々に射撃の腕はあるらしく、半分は俺の体に命中するだろう。

俺が何もしなければ。

「水遁“水陣壁”」

飛んでくる銃弾は俺と海賊達の間に出現した墨の壁に次々と着弾する。

銃声が聞こえなくなり、俺は壁を崩して再び海賊達と対峙した。

「いやあ、あなた方が来てくれて助かりましたよ。まだ流体操作を人間相手に使ったことが無くてねえ。あなた方は良い実験台になりそうだ」

「ふざけた物言いを・・・・・!!」

「ふざけた?いやいや、俺は実に大真面目だよ。何せ、あなた方にこれが通じないようでは、これから先使えないでしょうから」

「貴様に先など無い!!此処で死ね!!!」

銃が通用しないと思ったらしく、抜刀して海賊達は突っ込んでくる。

ギトー自身は動かず此方の出方を観察しているようだ。ふん、本気で俺を殺したいらしいな。

「水遁“水鮫弾”」

先頭に向かって術を叩き込み数十の内半数を蹴散らすが、残りはその事を気にもせず更に距離を詰めてくる。

中々に勇敢。だが愚か。

「水遁・秘術“千殺水翔”」

本来は囲い込んで放つ術だが、今回は前方へ向けての一斉射。狙いも適当だが次々崩れ落ちる海賊達。

「見事」

「そう思うんだったらご自分でどうぞ」

戦力の小出しは下策なのは言うに及ばず、何より部下を使い捨てにする気概が気に入らん。

「いやはや全く、たいした物だ。そのような若さでそれほどの実力を手にしているのだから」

何だ?ヤケに余裕だな。大抵こういう物言いするタイプは何か策を用意してあるもんだが、果てさて何が出るかな。

瞬間、頭上に莫大な殺気。間髪入れずに傘に衝撃が走る。

その衝撃が傘を押しつぶし、自身に到達する前に剃を使って大きく後退する。

先程まで俺が立っていた場所は、人一人入れるほどのクレーターができており、そこには人影が見えた。

「っち、今のをかわすとはな・・・・」

その人影はバトーやギトーに酷似した姿の男だった。

「ゴトー兄貴!しっかりと仕留めてくれ!!」

「すまんな。よもやあのタイミングでかわされるとは思わなんだ」

確かに結構きわどい一撃だったな・・・・にしても兄貴だと?

「まさか三兄弟だったとは思わなかったよ。だけど今の一撃が切り札か?だとしたら少々拍子抜け「いや、四兄弟だ」ガハァッ!?」

いきなり土手っ腹に一撃貰った!?今の一撃気配がなかったぞ?鉄塊が間に合わず、左のアバラにヒビが入ったか?

何とか足から着地し、顔を上げるとまたもよく似た顔が。

「俺の名は怪腕のザトー。長兄だ。弟のバトーが世話になったな」

一番上だから一番強いってか?そう言えばバトーは“火山獣”状態の俺にブロックさせることができるほどの実力者だったな。

「ゴトー、ギトーこちらへ来い、仕留める。他の者は円陣を組んでコイツを逃がすな」

はぁ、たった一月とはいえ全力出してなかったからな・・・・鈍っていたのかな?

「三人がかりとは些か気が引けるが、弟の仇だ。死ね!!」

だったら・・・・・・・久しぶりにエンジン回すか!!!

「“巌鎧”ウルリクムミ!!」

殺到してくる三人の初撃を鉄塊・空木ではじき返す。常人なら拳が割れると言うのは本当だったらしい。拳を押さえる三人。

なめんなよ、この状態で鉄塊かけた俺はダイアモンド並みじゃ!!

そのまま剃でギトーの懐に潜り込む。おそらくコイツが一番弱い。まずは数を減らさんと面倒だ。

「数え指銃!4・3・2・1!!」

俺のパクリ技が一つ、数え指銃。元ネタは無敵超人のアレだ。

合計10発の風穴を開けられその場で悶絶するギトー。

「貴様ぁ!!よくもギトーを!!「待て!ゴトー!!」止めるな兄貴!!」

ザトーの制止を振り切り突っ込んでくるゴトーだが、俺にとっては好都合でしかない。

俺は二人に対して背を向けており、ゴトーは上手く俺の後ろをとったつもりなんだろうが、生憎と後ろを向いてるのはこれを撃つための溜でしかない。

「嵐脚・斧断!!」

こちらはオリジナル技。蹴り脚を地面に引っかけ、デコピンの要領で打ち出される後ろ回し蹴り。

射程が短く、切れ味も悪いが、その分貫通力が桁違いだ。斬るのではなく叩き斬る、正に斧のような嵐脚だ。

事実、これを喰らったゴト-は錐揉みをしながら円陣を組んでいた海賊達の元へ吹き飛んだ。

吹き飛ばされたゴトーを見て囲んでいた海賊達が浮き足立つ。逃げ出されたら捕まえるのがめんどくさいなーと思っていたら・・・

「おのれぇぇぇぇ!!貴様ら加勢しろ!!」

ナイスタイミングでザトーの発破。一瞬逡巡するものもいたが、迷いながらも全員が向かってくる。

実にありがたい。わざわざ俺の技の射程圏内に入ってくれた。

「オオオオオオオオッ!!」

気合いを入れて周囲の墨に命令を下す。渦を巻いて駆け上がれと。

周囲の墨は敵を巻き込んで、俺を中心にした漆黒の竜巻を形成する。

「消し飛べ・・・ネサの鉄槌!!!!」

標的はわずかに取りこぼした海賊達。海賊達を取り込み膨大な質量となった墨の渦は、悲鳴さえ飲み込んで突き進んだ。





「ふーむ、些かやり過ぎではないか?」

「んー、確かに」

死屍累々。いや死人は(多分)出てないけど、表現する言葉は他にはない。

「だがまあ海賊である以上、この者達も覚悟の上じゃろ」

「経験者は語るですか?」

「そんな大層な物ではないわ」

やれやれ、海賊に怨まれるのも給料の内なんだろうけど、もうちょっと何とかならんかね?

「レイリーさん、すいませんけどコイツらの護送があるんで、今回は・・・・」

「うむ、解った。ワシのことは・・・」

「ええ、ちゃんと秘密にしておきますよ。ではまた」




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すんません、書けませんorz

だめだ、ネタはあれど指が動かない。何より書いていて燃えない。

1~2ヶ月ペースでなら書けるかと思ったけれど、ダメだこりゃ。

すいませんがほぼ凍結状態になると思います。

気分が乗れば一日で書けるんですけど、今はパソの前に座っても全然書けないので。

楽しみにしてくれている方、本当に申し訳ありません。





[9339] 作ってみました、主人公能力表(ちょっと修正)
Name: 暇奇人◆9abf2946 ID:4a9fd7a9
Date: 2009/07/29 22:49


主人公能力表

名前:モンキー・D・キース

   ルフィ、エースの従兄弟。(元々はエースの双子設定だったが、550話で泣く泣く変更)
   両親はすでに亡くなっており、祖父であるガープに引き取られる。
   年齢はエースと一緒。(マリージョア襲撃事件の関係でちょっと上がるかも)
   ガープに修行としてジャングルに放り込まれた際、悪魔の実を食べる。
   その後溺れて何故か、この世界の人間が憑依することに・・・・・

戦闘能力
『悪魔の実:スミスミの実』
・基本能力
  単に墨が出せるだけ。出した墨は少しは体外でも動かせる。
  他には体の末端部分を筆記用具(筆、ペン等)に変えられる程度。
  基本的には戦闘能力皆無。


・応用能力
   能力で出来た墨液を文字として書き込むことにより、効果が発動される。
   使用の際には精神力を使用。限界突破で気絶。
   文字の同時使用、文字を繋げて単語としても使用可。使えない場合文字が滲む。
   基本的に漢字以外での発動はしない。(カナ文字は字数が多くなりがち、英語とかは作者が苦手で・・・)
   応用能力使用の文字は“~”で括られている。


 「一筆入魂」
   対象物に字を書き込むことにより、文字通りの効果を発揮させられる。
   文字が効果を発動しているのではなく、対象物が効果を発揮。(例えば“治癒”と書いた紙を傷口に貼っても無意味。)
   要は足し算のようなモノで、“加熱”と書き込めば加熱され、“冷却”と書き込めば冷却される。
   文字が歪むので対象物が変形するような発動は出来ない。
   対象物の耐久力を超える効果を与えると、対象物は壊れる。
   紙ように書いたら消せないモノは使い捨てだが、洗って消せるようなモノは効果のオンオフが出来る。
   弱点は水。墨なので流せば消える。


 「真言武装」
   自分、もしくは他人に入れ墨として文字を刻む事により効果を発揮。
   精神力だけでなく体力も使用される。
   自分限定でいくらでも書き換えることが可能。
   身体強化や身体補助として使用することが多い。(“炎熱”とか書くと体が熱されることになり火傷するから)
   胴体部分に大きく書くと全身に、四肢等に書き込むと部分的に効果が発動。
   モノによっては動物系の身体強化レベルを超える。
   他人に刻んでしまうと消すことが出来ない。(なお、一筆入魂でも同様の効果を得られる。水で消せるのでもっぱら一筆入魂を使用)
   意識のある者に書き込むと、その者にもオンオフの切り替えが可能。(上位権はキース)
   ただし、相手に不利益させるタイプは、相手の精神力でレジストされる。
   一筆入魂と違い、水でも消えることはない。


 「憑依合体」
   基本的に禁じ手。
   「真言武装」により、自分に別のマンガのキャラクターを憑依させる。
   自分の限界を突破した力を出すことが出来るが、限界以上の力を出すと体が自壊していく。
   玉砕覚悟の特攻技。
   主に修行で体術、剣術を覚えることに使うことが多い。



『六式』
 9歳ぐらいで道力600ぐらい。
 ただし悪魔の実の能力使用時には数千まで跳ね上がる。
 能力発動させれば、原作に出てきた技のほとんどを使用可能。
 原作時点では能力無しで4000オーバーさせるつもりですけど。


 
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大雑把に書きましたけど能力設定はこんなモンで。

何か忘れていたら随時追加していきます。





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