高度4,000m、本来なら地球の丸みが実感出来る高度。
そこには二人の男がおり、その下では二人の女とロボと人形とオコジョが見守る。
「3カウント後、降下開始」
「ホ、ホ、ホントに降りるの?止めようよぉ」
子供の方はすっかり怯えた声を出すのに対して、
「これぐらいで怖がってどうすんだ。慣れたら12,000でこれやるぞ。ああ、杖呼んでも無駄だからな。メイちゃんがチェーンバインドで岩に縛り付けてあるからな」
まったく怖じ気のない声を出す少年、と対照的であった。
それも当然、同じぐらいの年頃に同じようなことを幾度もやらされており、慣れきっていたのだった。
無論の事ながら、空挺軍出身の祖父の考えが発端である。
「降下始めましたね。ネギ君、飛ぶ前から泣きそうでしたけど…、茶々丸さん?」
「はい、望遠で確認。現在ネギ先生は泣きながら降りています」
「おい、佐倉。朱に交われば赤くなると言うが、お前もすっかり赤くなってしまったな。お前も最初はピイピイ泣いてたじゃないか、それが平然とした顔で人の心配が出来るようになったか」
「アノボーヤモアカクナルノカネェ。御主人モ大変ダ」
「…いくら度胸付けや空中機動の訓練のため、たぁ言えなあ。アレはキツいだろ」
地上のものは各々好き勝手なことを言う。
当事者達はと言えば、
「あわ、わわわ、あばばば@☆★◎▽※!?」
「舌噛むなよー、今回はぎりぎりまで減速しないからなー」
相も変わらず対照的である。
****
女子中等部、3年A組。
ここ最近、子供先生に関する二つの話題がおしゃべりの中心となっていた。
一つは、ここ最近窶れがちで疲れている担任について。
「五月病か?」や「気の早い夏バテとかー」とか言われてたりする。
もう一つ、こっちの方が気になる生徒が多い。
「とある2年と親しく話をしていたり、一緒にどこかに向かっていたりした」
目撃者でウワサ好きのPさん曰く「ネギ君、二年のいくつかのクラスでも授業受け持っているけど、アレは教え子と生徒って感じじゃないねー。それよりも親密な関係って感じだったさっ!」
とのこと。
「ネ、ネギ先生は教師として良く出来たお、御方で、ですわ。せ、生徒にし、し、慕われるのも当然のことか、あがっ!」
「いいんちょ、分かり易いぐらいドモってるし噛んでるよー」
「うーん、こればっかりはネギ君次第だよ」
この話題は(極めて一部の生徒に)多大なまでの動揺を与えていた。
異様なまでの疲れっぷりと謎の2年生、その二つが気になる神楽坂明日菜他五名による尾行が開始されたのは必然の理であるとも言えよう。
「でも、その2年ってどっかで聞いたことがあるような気がするんだけどね」
ちょっとした引っかかりを感じながら。
「あれは・・・、佐倉さん?」
「せっちゃん、知ってるん?」
合流した二人の内一人、桜咲刹那は前を歩く2年生を知っていた。
この面子の中では唯一裏に携わっていたため、魔法関係者の幾人かを知っていた、その一人だ。
「はい、私と同じく警備に携わっている生徒で、魔法使いです。コンドラチェンコの弟子の一人だったと記憶しています」
「つまりはネギ先生の姉弟子という事ですか?それなら一緒にいるのも納得です」
「この前コンドラチェンコさんが言ってた人ですかー」
「オオ、そう言えばアリョーシャと一緒にいるトコを何度か見た事アルね!今思いだしたヨ」
「くーちゃん、そう言うことは早く思い出してよー」
そんな会話をしながら尾行になっていない尾行は続く。
「皆さん、いったい何をしているのでしょうか…。撒きますか?」
「知らんよ。あいつらはノー天気だからな、何を考えているのかは私にも良く解らん。撒く必要もないだろ、放っておけ」
ネギ以外の二人にはばっちり気付かれていたが。念話を使用していたのもあって、気付かぬはネギばかりなり。
余談だが、アンドレイが祖父に教わった事の一つに「尾行の撒き方」がある。拠点等を割り出される危険性を低減させるための技能だ。
野戦用の方法だが、基本は似たようなもの。それをキッチリ教えたために彼の弟子達(三号除く)は素人の尾行なら十二分に撒くことが出来た
りする。
****
エヴァンジェリン邸地下、その部屋には一つの球型瓶が置いてある。
実は部屋の隅に似たようなものが幾つか置いてあったりするが、今は使っていないために7人には気付かれなかった。
現在使用中の別荘に次々吸い込まれる7人、そこでとんでもない会話を聞くことになってしまうのだった。
「はあぁ、うんっ!あん、そこぉ…」艶の入った、有り体に言えば感じちゃってる子供先生の声。
それだけでも女子校育ちの彼女たちを赤面させるのに足るというのに。
「ここか?じゃあ次はこうしてと」
兄貴分で、教官で、7人共通の知人の声と「ひぃやあぁぁ、うん、そこ、気持ちいい…」どう聞いても連動してる子供先生の声。
「ま、まさか、男同士で…?」
十代前半の妄想力をフル動員した想像図を思い浮かべた時、更にとんでもない声が聞こえてきたから、さあ大変。
「ふふふっ、ネギ君気持ちよさそー。教官ー、次は私の方もお願いしますねっ」
聞き覚えのない女の子の声、これまたちょっと艶が入ってるっぽい声だから余計に大変。
「さ、三人で!?まさか両刀遣い?」
「あわわわわわ」
妄想が妄想を呼び、エロい構図以外思い浮かばなくなる直前(宮崎のどかと綾瀬夕映はとっくにそうなっていたが)、
ブチッと神楽坂明日菜の何かが切れた。
「コ、コココ、コラーッ。一体何やってんのよーっ」
「何って…、按摩と鍼ですが何か?」
そこには、俯せで揉まれている子供先生と、
「は、初めまして…、ネギ君の姉弟子で佐倉愛衣と申します…。寝転がったままでスミマセン、針が刺さってますので」背中に魔力鍼が刺さっている弟子二号、
揉んでいる時空管理局所属魔導師、
「…なんだ、お前達」呆れ顔の家主の4人がいた。
言っておくが、バカイエロー以外の6人が妄想していた様なことは一切無い。無いったら無い。
****
「ハイハイ、じっとしててねー」
只今、リンカーコアの簡易検査中。
このかちゃんに医学的知識と経験と技術を教えてあげる約束をしていた。
丁度いい機会なので検査をすることにしたのである。あれば、ミッドチルダ式魔法も教えてあげられるからね。
7人全員するハメになったりしたのはご愛敬。
とは言え、器具を使って調べるのが一般的なこのご時世。
使わずに調べる方法は有ることはある。先生が知っていて、教えてもらったのは肌に触れてそこから魔力の流れとかで調べていく方法、つまりは触診である。
リンカーコアがあるのは胸部中央付近、必然的に胸の谷間に手を当てるのだ。
こっちは真面目にしており、このかちゃんもそれが解ってくれているので、こちらは問題ないのだが、
せっちゃんが「本来ならば許さないが、今は我慢してやろう。ただし、変なことを少しでもしてみろ、即刻叩き切る」と言わんばかりの視線を送ってくるのがなあ。
『具体的且つ、現実的な解釈ですね』
「検査のついでで揉んじゃったら?」と、パパラッチが煽るから余計に…。
せっちゃん、せっちゃん、匕首出さないで、構えないで。
「もー、せっちゃん。アリョーシャさんは真面目にしてはるんやから、そないなことしたらアカンでー」
とまあ、全員の検査終了。
途中、せっちゃんに喉元に匕首突きつけられながら検査したりもした。
せっちゃんの時な。揉むわけ無いじゃん、揉むほどもな…、
「何か失礼なことでも考えたか?そんな気がしたのだが…」
何でもありません。だから後頭部の匕首引いて。
『このような時の女の感という物は恐ろしいというのが実感出来ましたね』
そんな苦労の結果、
有り:馬鹿デカそうなこのかちゃん、そこそこっぽいせっちゃん、普通らしいゆえっち、弱目な本屋ちゃん。
無し:残り。文句言うな、ミッドチルダでも魔力資質持ってない奴多いんだから。
との結果、ゆえっちと本屋ちゃんが意外だったな。
で、神楽坂が一寸変、動きを見るために細工した魔力が消えていくような感じ?がした。
詳細に調べてみたいが、機材も知識もないから別にいいや。
で、せっちゃん。きちんとした下地があるからベルカ式の基礎教えた上で、コネを利用してシグナム一尉に鍛えてもらうと面白いかも。
無事に帰れてお咎め無しだった場合の話だぞ。
どんなコネかって?実は祖父さん、八神一佐や高町三佐とは昔から親しい。同じ地球出身なのであれこれ世話を焼いてたとか。
一年次の夏に初めて一佐にお会いした時曰く
「ユーリのおっちゃん?んー、会うたび小遣いとかくれる気のいい親戚のおっちゃん、ちゅー感じやな。私が六課作るゆうた時も、あれこれ応援してもろたし。当時の陸の将官(当時准将)としてはかなり珍しい擁護派やったんやで」
で、そんな仲の祖父さんと八神一佐経由で頼めば可能、と言う話。
余談だが、エヴァに弟子二号と三号に明石教授等の調べさせてくれる魔法使いを調べた結果、こっちの魔法使いにもリンカーコアが備わって
いた、調べさせてくれた魔法使い限定の話だが。
魔力素を体内魔力に変換させるのに使っていた。その魔力を触媒として少量使うか、直接変換して作用させるかの違いはあるが蓄積・放出機関として使っているところも同じ。
更に、今回の調査で陰陽師の血統のこのかちゃんや補助に陰陽術を使っているせっちゃんにもあることが判明。
どうやら、自前での魔力運用にリンカーコアが必要なのはここでも変わらない模様。
咸卦法とかの自前魔力運用は出来るが、詠唱出来ない(触媒への変換不全か?)弟子一号にもあるからな。
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エヴァとかわりばんこで行っているネギの修行、今日は僕の日。
基礎訓練に戦術講習に図演、サバイバル講習に家事全般と、色々と教えている。
後、いろんな人の逸話とか。
この前は某次元世界の諜報機関所属、殺人許可持ちで男色家で少佐で浮気癖なエージェントの話をした。
次元世界って広くてね、どっかで見たことがある人とかが実際にいたりするの。
へちゃむくれで守銭奴な人間コンピュータ国王もセットでいるしな!
その中でも模擬戦や演習は時間を決めずに行っているのが特徴だ。
睡眠途中、食前職昼食後、訓練中、気の向くままに行う。
戦闘はTPOをわきまえない奴ですから、やって来る時はお茶の時間であろうが関係なくやってきます。
お昼は元気だが夜はダメとか、お腹が空いて戦えないとか、顔が濡れて力が出ない、は通じません。
だから、時と場合を選ばずに行うことにしてある。場所はここしか無いがな。
今日は皆との夕飯前、いつもより多いギャラリーの前で行うことにした。
まあ、パパラッチが「そう言えばさー、アンタの魔法って見たこと無いんだけど、見せてくれない?ここならいくら使ってもバレないからいいじゃん
」と言ってきたのもあるんだがな。
その意見に「あー、ウチも飛んでる所しか見たことあらへんー」このかちゃんと、「一からちゃんと見てみたいです」ゆえっちに「わー、私も見たいですー」本屋ちゃんが賛同。
せっちゃんは微妙な顔していたが反対はせず、残りも同意したためにやむやく行うこととなった。
今回は眠りについて2時間ぐらいしてからやってやろうと思ってたのに。
「Борьба готов(戦闘用意)」『Да(はい)』
一瞬で展開されるバリアジャケット・アブマット(突撃)モードとミーシャ。
「まるで蒸着ネ」『では蒸着プロセスをもう一度見てみよう!』
…僕はどこぞの宇宙刑事か。
て言うか、知ってたのね古ちゃん。そしてこの前CSで見たからって乗るなミーシャ。
「前にハルナに「日本文化の勉強」で見せてもらたヨ。夕映と本屋も見てるネ」
パルめ、貴様が元凶か。
近いうちにギャフンと言わせて…やらんでもいいか、パルだし。
「にしても、アンタの持ってる銃みたいなの。元はドッグタグ型でしょ?軍服みたいなのと合わせて魔法とほど遠いカッコのクセに魔法としか言えないのよね、ソレ」
『AK-74をモデルにしてはいますが、あくまでも「魔法使いの杖」ですから』
「オマケにしゃべるし」
「SFと魔法を無理矢理合わせた感じです」
外野があれやこれや言ってるが、無視して準備を進める。
これから5分連続で全力砲撃をする。
それに耐えきるか、逃げ通せるか、一発でも反撃出来たらネギの勝ち。
当たっても動けりゃあ宜しい。
逆に耐えきれなかったら負け。
使用する魔法は各種TP(演習弾)シェル・バレット、当たってもそんなに痛くない。…デコピンぐらい?
ただし1/1,000の確率で各種非殺傷設定弾が混入してある。当たると滅茶苦茶痛いのが、ショック症状を起こさないように調整してはあるが。
更に1/1,000,000の確率で各種殺傷設定弾が混じっているかもしれない仕様。
先に言っておこう。これは祖父さんが考案したもので、元部下や影響を受けた奴らで構成される派閥では一般的となりつつある訓練法だ。
導入した部隊曰く、「訓練での真剣度合いが跳ね上がった」とのこと、痛かったり死ぬのは誰でも嫌ですからね。
ホントに殺傷設定弾が混じっているか真偽はさておき、「ひょっとしたら」という気持ちと生死が懸かっていれば嫌でも真剣になるだろ?
さて、皆を流れ弾の心配のないところに移動させた上で始めますか。
『TPクラスターシェル・スメルチシフト』
濛々と立ちこめる砲煙、未だ飛び交う弾雨、地形を変えんとばかりに叩き付けられる魔力弾、遠雷の様なひびきを見せる砲声。
その様相はパパラッチ曰く「…戦争だね」
弟子と家主一家の反応はわかりきっているが、ギャラリーの皆さんの反応がちょっと気になるので、よく使う盗聴機能付サーチャーを皆の所に
置いておいた。
ゆえっちが呟く、「なるほど、質量兵器を駆逐出来るはずです。一人であれだけの火力を投射出来るのですから」
これぐらいで驚いてちゃあいけないよ、SランクだとかSSランク連中(殆どいないけど)の攻撃は例えて言うなら
「戦艦(16インチ級)部隊による艦砲射撃」
「戦略爆撃機(B-52クラス)一個大隊による絨毯爆撃」
に例えられるほど。
僕は最大出力がさほど高くない(B+)ので精々155mm榴弾砲クラス、良く言って227mmロケット弾。
大容量(AAA+)による手数で補ってるけどな。
「あ、あわわわわ、ネ、ネギ先生がー」
「ネギ君大丈夫やろか。あないにどっかんどっかん鳴っとるけどー」
大丈夫、大丈夫、死なないように気を付けてるから。
フォローを隣にいる弟子二号に指示する。
「大丈夫ですよ、私もアレやらされましたし。最初はパニック起こしちゃうんですけど、何回かすると割と冷静に判断出来るようになるんですよー」
そうそう、最初は本気で泣かしちゃったのもいい思い出。
「教官ー、それは言わないでくださいっ。教官にとっていい思い出でも、私にとっては恥ずかしい思い出ですーっ」
今じゃ、弾道から着弾点見切って適切な回避行動取れるようになったもんよ。
「…あの時はスッゴク頼もしかったけど、こうして見るとねー。イジメ?」
砲撃ってのは味方から見るととてつもなく頼もしく、敵や端からから見ると恐ろしいもの。
戦場ってのはこんなもので、攻勢の矢面に立たされた部隊ってのもこんなもんよ。
「ね?どうも好きになれないのが判るでしょう?鍛えた意味が無くなりますよ…」
失敬な、こっちはこっちで反吐が出るような訓練を受けた成果がこれだぞ。
近接戦闘に置いて、僕が本気のせっちゃんに敵わないように中遠距離戦で強いだけだ。
「うむ、屋内とか森とかの飛び道具が苦手とする場所に引きずり込むしかないネ」
残念、その手の場所用訓練も行ってるし、いざとなれば手榴弾代わりの炸裂魔法弾や炎熱魔法の応用で火炎放射器代わりと、そんな手も使うぞ僕は。
殴り合いでは確実に勝てないからだけどな!
呆然と観戦するギャラリー、弟子や家主は見慣れた光景であるが為に平然としている。
「あれだけやって死なないんだから便利だよな、非殺傷設定は」
「俺ハイクラヤッテモ殺セネエノハイヤダナ。カワリニイクラデモ切レルカラ興味ハアルゼ」
「3分40秒が経過、記録更新中です」
****
演習終了後、今日は惜しくも4分30秒でノックダウン。
砲撃下で精神力を大いに消耗し、障壁を持続させられなかったのが原因。
もうちょっと神経野太くさせなきゃな、と思いつつ皆と早めの夕飯と酒盛り中。
「わ、バカ、未成年がそんなもん飲むんじゃないっ」
「え?でもジュースって書いてあるよ」
「ただのジュースじゃないんだよ」
「まあまあ、堅いコト言わないの。エヴァちゃ~ん。それにアリョーシャの奴は平気で飲んでるけど?」
「小僧にとってはジュースみたいなものだと言えるが…、とにかく飲むなっ。アレは単なるザル…、いやワクだな」
多少飲んでもいいじゃん、今の内から下戸か上戸か判ってたら将来楽になると思うよ?多分。
「うーん、ほとんど酔わない教官が言っても説得力がないと思いますよー」
アイスヴァインの炭酸割り飲みながらそんなこと言われても説得力がないと思いますよ、弟子二号。
酒を教えてるのは僕だけどな!飲みやすいのから教えるのさ!
さて、めでたくミッド・ベルカ式魔法が使えることが判明したこのかちゃん、せっちゃん、ゆえっち、本屋ちゃん。
とは言えネギ達の魔法にも興味があるらしく、エヴァに教授を頼むも断られ、ネギに押し付けられる。
そうして始まる「初心者のための魔法講座」懐かしいなあ、最初の呪文「プラクテ ビキ・ナル 火よ灯れ」アレで苦労したなあ。
「苦労したって?あんなすっごい魔法使ってたのにどして?」
「コイツは詠唱が下手くそだったんだよ、二回に一度は噛んでたぐらいだ」
「ミーシャさんの方が上手いですからね、今でも」
人の心の古傷に塩をすり込むな、この悪幼女と不肖の弟子め。
「うーん、上手く行かないねえ。あ、メイちゃん、アンタ魔法使いでしょ?お手本見せてよ」
弟子二号に声かけるパパラッチ、この調子なら早々に仲良くなれそうなので非常に宜しい。
こういう場合、グループの仲で一番社交的な奴が受け入れてくれれば後はすんなりと行くものです。
「ええっ、私ですか?ネギ君ほど上手に先輩方に教えられるかどうか…」
「メイさんはスゴイですよ。僕の無詠唱魔法の先生ですから!」
ネギは只今各種訓練と並行で魔法剣士の必須技能、無詠唱魔法の練習もしている。
詠唱という言霊を使い自らの魔力を触媒へと変化させる工程を省く。
これが此方の魔法使いにとっては一種のハードルとなっているらしく、なかなか上手く出来ないのが現状である。
その無詠唱魔法の先生がメイちゃん、エヴァの奴に「昔のこと過ぎて忘れた。メンドいから佐倉、お前教えてやれ」との横暴な鶴の一声でそうな
った。
「まあ、無詠唱でもこの通り出せますが。私の始動キーと合わせるとこうなります。メイプル・ネイプル・アラモード 火よ灯れ」
「オオッ、カコいいネ!!」
「そー、その始動キーって言うのは-、自由に決められる物なんですかー?」
本屋ちゃんの質問に僕が答える。
「うん、言霊と語呂の関係だから次に繋げやすくて自分にとって意味がある言葉なら何でもいいの。僕の場合は、フレブ・ザ・フレブ クロフ・ザ・クロフ 火よ灯れ。って感じ」
『私の場合は、アフタマート・カラーシュニカヴァ 火よ灯れ。です』
ミーシャ、待機モードのまま火を出さない。アゴを火傷させる気か?
この後起こる騒動も知らず、何処までも平和な一時であった。
外は雨、其れは恵みの雨か涙雨かは神のみぞ知る。
あとがき:最近またまた忙しいです。来月は大きい予定が入っているので余計に…。
月に数回の更新を心がけていますが、出来ない場合は平にご容赦を。