「あぁ……明日が楽しみ……俺、今日も頑張った!」
「お前ほんと好きよな」
どことなく呆れた雰囲気で笑う隣の友人に、俺は目を見開いた。
「いや、いやいや!寧ちゃんの可愛らしさ……『らびりんず』の素晴らしさがわからない男がいるなんて……」
「確かに可愛いけどマイナーじゃん?俺は月坂のほうが好き」
「わかってない、わかってないよ夏彦君さぁ」
彼が大手グループを好きになるのは自由だが、らびりんずはそんな一言で片付けてはいけない。
俺は夏彦の肩に手を回した。
彼女達の歩んだ軌跡を語ろう。
そうして見た彼の顔は、めんどくさいを全面に出した嫌そうなものだった。
以前別の友人にこう言われたことがある。
『あのさ、らびりんずの話する時だけウザいよ?』
その一言を口にした彼は、いつもの優しさなんぞ全て消えた冷ややかな目をしていた。
この出来事によって、俺は嬉々として行っていた今までのらびりんず布教活動を、客観的な視点で思い出すことが出来たのだ。
お昼休みの教室、グッズを見せながら鼻息荒く説明する俺の顔は迫力満点、どこか上からな発言は不快感マックス。
まさに『嫌なアイドルオタク』の典型となっていた。
そうした一件もあって自分なりに反省はしていたものの、明日のライブが楽しみで浮かれていたようだ。
「ごめん……」
「お、おう。まぁお前の好きは伝わったわ……」