F-3
・ 用途:戦闘機
・ 分類:第五世代ステルス戦闘機
・ 設計者:三菱重工業・川崎重工業(主要設計者)
・ 運用者:日本(航空自衛隊)
・ 初飛行:2026年8月24日
・ 生産数:46機(低率初期生産型14機を含む)最終的に196機(予定)
・ 運用開始:2028年4月1日
・ 運用状況:現役
・ ユニットコスト:177億円~192億円
F-3は航空自衛隊が配備する戦闘機である。第五世代ジェット戦闘機に分類される。ステルス戦闘機でもあるが、前進翼に機首カナードを装備するその形状から、そのステルス性を疑問視する声もある。
開発計画は元を辿れば2010年代の後半、F-4EJ改戦闘機の後継機としてF-Xに選定されたF-35Jの配備が、遅々として進まない状況にあったという。この状況に対して、防衛省関係者の中には、当初より国際情勢に大きく影響を受け、また国防の主力を外国に依存する状況を危惧する声は強く存在しており、果たして以前研究が進められていた先進技術実証機計画(ADT-X“心神”)の継続研究という形で、国産戦闘機の研究が進められていた。
2021年頃にF-35の配備の遅れ、F-15J戦闘機のF-15J改への改修の遅れに後押しされる格好で、防衛省が次期主力戦闘機の国産開発を決定。開発は驚くほど滞りなく進み、初飛行に成功したのはそれからわずか五年後の2026年4月の事であった。
防衛省や開発企業は特に愛称を定めていないが、“神狼”という非公式の愛称を持ち、最近では自衛隊内部でもこの愛称を用いる事が増えているという。
>開発の経緯
前述の通り、2010年代後半の、防空構想における対外圧力への危惧から計画が始まったと言われている。
正式な開発開始の時期は不明だが、2010年代末には、一度終了していた先進技術実証機研究に再度予算が割り振られていることから、このとき既に防衛省上層部の中では、次期主力戦闘機を国産化する計画が存在していたのでは無いかという声もある。
2020年代に入り、航空自衛隊の保有する戦闘機はF-15J改とF-15J(F-15DJ)、F-35、F-2の四機種であった。このうち対艦攻撃に主眼を於いて開発され、マルチロール機といえども攻撃機的性格が強いF-2をのぞけば、純然たる要撃戦闘機は残りの三機種である。
F-15Jは老朽化、陳腐化が進み、また大規模な近代化改修であるF-15J改への改修も、そのコストの高さから進捗率は高いとは言えなかった。またF-4EJ改の更新で配備が始まったF-35Jも、その配備が遅れていた上に最終的な調達機数が50機前後であった事から、要撃戦闘機の不足が危惧されていた。
そんな中で2021年2月15日、アメリカで訓練飛行中のF-35が空中分解を起こして墜落する事故が発生し、更にF-15J改に使用されていた構造部材の一部に不具合が見つかる事態が重なって、一時的に日本の防空は老朽機であるF-15と、攻撃機的性格の強いF-2のみに委ねられる事態となった。
上記の問題が解決した後もこのような事態に対する懸念は消えず、周辺諸国にT-50やJ-20と言った最新型のステルス戦闘機が配備されつつある状況を鑑み、防衛省はこれらに対抗できる国産戦闘機の開発を行う事を決定した。
一般には公表されていないが、F-3は性能に比して、その開発期間のあまりの短さから、軍事評論家の間では、このとき既にADT-Xの後継研究を名目として、F-3の雛形が出来上がっていたのではないかという意見がある。
2021年9月に、三菱重工業、川崎重工業を主契約者として、時期主力戦闘機開発計画は正式に開始された。
このときの防衛省の要求は、
・ 世界各国の第五世代戦闘機に匹敵、あるいは凌駕するだけの格闘戦能力を有する。
・ 基準装備重量において3000㎞以上、フェリーで3500㎞以上の航続距離を持つこと。
・ F-35Jに匹敵するか凌駕するレーダー性能を持つこと。特に高度差のある敵機に対する索敵能力に優れること。
・ 超音速巡航能力を有する。
・ ある程度のステルス能力を有し、武装の一部を胴体内部に格納出来る。
上記の通りであったと言われている。
結果として現在のF-3の構成である、ステルス構造を持ちながらも機首カナードに前進翼を備える三翼面機という特異な設計が選定された。これに対して防衛省は、ステルス性に関する懸念を最後まで払拭出来なかったが、結果として格闘戦能力を優先する格好となり、設計は承認された。
しがらみの少ない純国産開発機という性格上、開発は驚くほど順調に進んだ。
最終的な問題となったのは、外交圧力である。日本に対する武器輸出国であるアメリカと、日本の先進武装化を危惧する中国・韓国は、露骨なまでの政治的圧力を掛けようとしたと言うが(そもそも自国で戦闘機を開発するという行為には、国際法上の問題などある筈はないが)結果として防衛省はそれを押し切る格好となった。
F-3はその任務の性格上必要のない対地攻撃力を持たず、また日本で独自開発する事が難しかったエンジンは、アメリカ製をライセンス生産するという最後の妥協と共に、F-3は正式に航空自衛隊に配備されることが決定した。
配備が急がれる現状から、F-3は試作機の制作を行わず、いきなり量産型をスローペースで生産し、問題を洗い出していくと言う所謂クック・クレイギー方式が採用された。これはかつてアメリカの艦上戦闘機F-14などにも用いられ、一定の効果を上げた手法である。
これに則してまず4機が製作され、各種試験に供される事が決定した。
内約は以下の通りである。
初号機……設計強度実証機 各種強度実験に使用され、その後破棄
2号機……飛行特性検証機 各種飛行状況による機体特性の確認
3号機……アビオニクス実験機 あらかじめ用意されたプログラムテスト
4号機……兵装実験機 各種兵装との適合テスト
低率初期生産型と言えども製作機数が少ないが、これはエンジンやレーダーと言った機体主要部分に、輸入品を使わざるを得なかった副次的効果であると言われている。F-3に使用されるエンジンとレーダーは、アメリカのF-22改修型で既に十分な実績を上げている製品であり、2号機と3号機のテストのみで問題なしと判断された。
2号機の初飛行は2026年8月26日に行われ、航空自衛隊百里基地を離陸した2号機は約40分間の飛行を終え、無事に着陸した。
4号機のテストが半ばにさしかかる頃には、更に8機の低率初期生産型が製作され、各種のデータ収集が行われた。2027年1月のテスト飛行に於いて、戦闘機動の実験を行っていた9号機がエンジン停止によりあわや墜落の危機に陥ったが、空中で体勢を立て直して緊急着陸に成功した。これにより図らずも、F-3の空力特性の優秀さが実証される結果となった。
これら低率初期生産型と量産型では、コックピットの計器盤まわりと、キャノピーを開閉する可動部に若干の差異が見られるという。
2028年4月1日、航空自衛隊新田原基地に於いて、航空自衛隊への引き渡し式典が行われ、制式化の為の軽微な改修を終えた6号機と7号機が航空自衛隊に納入された。
なおこの式典を見ようと詰めかけた航空ファンと、F-3配備に反対する人権団体や在日外国人団体の間で小競り合いが起き、式典が十数分に渡って中断するというハプニングが起きた。
2028年内に初号機から4号機をのぞく初期生産型の14号機までが航空自衛隊に納入された。正式な量産型が自衛隊に納入されたのは、翌2029年2月の事である。
2030年2月現在、46機が製造されている。最終的な調達数は、当初計画では247機であったが、諸般の事情から196機(A型146機、B型50機)にまで削減されている。これにより1機当たりの単価が上昇することなった。防衛省は2040年を目処に、随時配備を進めて行く予定であるが、F15J改とF-35が想定されていた防衛能力を満たしていることから、最終生産数は100機前後まで削減されるのではないかという意見もある。
>機体構成
機体形状
前進翼に機首カナードを装備し、全遊動型の水平尾翼を持つ三翼面機である。平面形は、20世紀末にロシアが開発した概念実証機Su-47ベルクトに似ているが、ステルス能力を意識した形状であるため、外見から受ける印象はかなり異なっている。
通常任務では、全ての武装を胴体内部格納とする。またF-35の程ではないが明確に機体の上面と下面を分けるチャインや、直線と曲線を滑らかに融合させたシルエットは、明らかにステルス性の向上を狙ったものである。
ただ機首後方に備わる、僅かに上半角を持つ大振りなカナード翼と、前縁フラップを持たないシンプルな構造の前進翼である主翼により、相当にステルス性能が損なわれていると考えられる。特にカナードの付け根にある大きな切り欠きが、レーダー反射面積を増大させるのでは無いかと考えられているが、これに対して防衛省は「無視できるレベル」だと発表している。
果たして公開された形状から非公式に行われた電波反射実験に於いて、F-3のレーダー反射面積は中型の鳥よりは大きいが、大型の鳥やハンググライダーなどよりは小さいという結果が出ているという。
前進翼は、気流の剥離が翼の根本から始まり、翼端には最後まで気流が留まっていると言う特性上、戦闘機には適していると言われている。だが十分な強度を翼に持たせていない場合は、翼が完全に負荷により破壊されてしまうという特性がある。また、前述の通りにレーダー反射面積をも増大させる。
実用的な前進翼機を制作した実績のない日本において、強度的な問題は危惧されていたものの、主要な素材である炭素複合材に於いて日本が開発先進国であった事が幸いした。実機を用いた強度試験では、仮に機体に致命的な破壊が生じたとしても、主翼が破壊されるのは最後の段階となるであろうという結果が出ている。
ステルス性に関しては、これを損なう形状であることは否定できない。主要設計者は「要求に応えるだけのステルス性は確保している」とコメントしている。
F-3の主翼は、外見上最も大きな特徴である前進翼を採用している。前進翼は失速状態に於いて、最後まで翼の先端に気流が残っているため、回復不能なスピンに陥る可能性がある翼端失速を原理上起こさない。だが、空力負荷からかつては実現困難とされ、実現を可能とする素材が開発される頃には戦闘機のステルス化が進み、ステルス性能を損なう形状である前進翼を採用した実用戦闘機は他に存在しない(実験機に於いてはロシアのSu-47をはじめいくつか存在する)。
主翼はストレーキを介して胴体と繋がる。このストレーキは空力特性とステルス性の確保を目的に付けられたものだが、これにより胴体面積が拡大して燃料搭載量が増加している。
主翼の根本には可動ヒンジがあり、駐機状態においては翼を折りたたむことが出来る。重量を増加させる機械的構造は搭載せず、簡易なロック機構を介して、駐機状態では自重で翼を折りたたむ。一説にはこの主翼を折りたたんだ姿が、耳を立てた狼の顔に似ていた事から、「神狼」の愛称が付けられたとも言われる(主要開発企業は、愛称の出処については特に説明していない)。
しかしこれは、十分な駐機スペースを確保できる空軍機であるF-3には本来不要な機能である。当初の計画では、この部分で飛行中に翼を可動させることにより、機動力を上昇させることが目的であったといわれる。実際、開発当初の案ではアクチュエーターにより飛行中に可動するようになっていた。だがシミュレーションの結果、飛行特性の悪化を招く上に翼の強度を低下させるおそれがあったため、前進翼の可動化は果たされていない。
とはいえ実際の運用上、省スペースの為に駐機中に翼を降りたたむ事は、実際に多々ある事であるという。
主翼前方には大振りなカナード翼を備える。このカナード翼にはわずかに上半角が付けられている。
カナード翼は機体前方の気流を積極的に制御する事で機動性の向上に寄与するが、反面ステルス性を大きく損なう。近年では、フライ・バイ・ワイヤによる動翼制御技術の向上から、たとえカナード翼を外しても、それに匹敵するだけの空力制御を残りの舵面だけで補えると言う理由から、多くの戦闘機はカナード翼を装備せず、かつてカナード翼を装備していた機体ですら、それを省略する傾向にある。しかしF-3では敢えてカナード翼を装備することにより、より高度な気流制御を実現しているとされている。
このカナードはフライ・バイ・ワイヤによって制御され、左右独立可動する。また、着陸時には俯角を一杯にしてエアブレーキの役割を果たす。
垂直尾翼は43度の外反角が付けられた双式である。ロシアのT-50や中国のJ-20のように全遊動式ではなく、垂直尾翼後方の舵面のみが可働するオーソドックスな形式を採用している。
全遊動式に比べて舵面が小さいために翼面積は全遊動式垂直尾翼を持つ戦闘機よりも大きいが、F-3はこの尾翼内のスペースを利用して、後方警戒レーダーと赤外線センサの一部を、左右の尾翼内に分けて搭載している。
水平尾翼は、後方に大きく翼端が張り出した三角形で、全遊動式を採用している。前縁と後縁の角度はどちらも41度で、垂直尾翼との干渉を避けるために、俯角方向への可動範囲は狭い。
エンジン
エンジンは、IHI-F255ターボファン・ジェットエンジンを二基搭載している。これはアメリカのステルス戦闘機F-22の改修型に搭載される、F119-PW-100の能力向上型であるF119-PW-255の輸出型を、国内でライセンス生産したものである。
後述の対外的問題から、ほぼ競合することなく選定されたエンジンであるが、原型であるF110-PW-225E(Eは輸出仕様を示す)は、オリジナルと比較して15パーセント以上の出力低下仕様であると言われる。今のところプラット・&・ホイットニー社はその正確な出力を公開してはいない。IHI-F255は、その所謂モンキーモデルをライセンス生産する上で、出力向上改修を加えたモデルである。
防衛省もまた、その正確な出力を公開してはいないが、超音速巡航能力を持ち、諸外国の最新鋭戦闘機に遜色ない機動性と加速力を発揮することから、オリジナルに匹敵する出力向上が施されていると言われている。
エンジンは機体下部に装着され、側面から見るとその取り付け角は、僅かに後ろに向かって緩やかに登る傾斜になっている。また左右のエンジンの間には間隔が付けられ、その間に武装や増槽を懸架する事が可能である。
エンジンを左右離して搭載した場合、片方のエンジンが破滅的な故障を起こした場合でも、もう一方のエンジンに損傷が及ぶ危険性を低くできる。しかし出力軸線が機体の中央からずれるため、操縦は困難になる。F-3ではこういった場合、動翼が自動で最適位置に調整され、パイロットの操縦負担を軽減するように設計されている。
エンジンノズルは、通常のノズルの上にパドルをかぶせたような独特の形状をしている。
これはロシアのように複雑に稼働するエンジンノズルは部品点数の増加を招き、最終的には故障の危険を高めるという危惧からだと言われている。F-3のノズルは推力偏向機能を持つが、その機構はただ根本が稼働するだけの機能を持つ通常型のノズルを、3枚のパドルが押す事によって推力を偏向しており、類似の機構を持つ推力偏向ノズルは世界で他に存在しない。
エアインテークには複雑な可変機構が用いられている。これとエンジン側の可動するファン軸を組み合わせる事により、ある程度バイパス比を自在に変えることが出来る。バイパス比を最大にした場合の航続距離は、未確認ながらスペック上限値の3900㎞を越えたという記録もある。
アビオニクス
アクティブ・フェイズドアレイ式レーダーであるAN-AGP95E改レーダーを機首に搭載している。
これはF-22改修型に装着されるAN-AGP95の輸出仕様であり、特にライセンス生産は行われていない。この経緯は後述する。
操縦系統には、フライ・バイ・ワイヤ方式を採用する。動翼は三重のフライ・バイ・ワイヤによって制御され、秒間最大で75回の動翼の微調整を自動で行い、最適な飛行姿勢を維持する。これによって機体形状には静的安定性弱化を付加する事が可能となり、高い機動性を発揮するに至っている。
また、メインコンピュータに新規開発された超高速演算装置を搭載していると言われ、機体そのものが高度な状況判断能力を有する。これにより非常時、たとえばパイロットが意識を喪失した場合などは、操縦装置の状況から自動的にそれを判断して自動操縦に切り替え、危険が無ければ最寄りの空港、軍事基地への自動着陸が可能である。機体の損傷が激しいとき、あるいは当該空域のでの継続飛行が危険だと判断した場合は、パイロットを自動で射出する。
コックピット
タッチパネル式の大型ディスプレイを一基、サブディスプレイを三基備えるグラスコックピットである。ヘッドアップディスプレイではなく、ヘルメット投影式のヘッドマウントディスプレイを採用し、視線誘導式の武装を運用する能力を持つ。
操縦桿はサイドスティック式を採用し、擬似的な操縦付加が掛かるように設計されている。自動操縦時に於いても、動翼の動きが操縦桿にフィードバックされるようになっており、パイロットが一定以上の力でこの動きを阻害する、あるいはそれに逆らう動きをすると、自動操縦が解除される。
所謂「ケアフリーハンドリングシステム」が搭載され、パイロットが空間識失調(機体の体勢がわからなくなり、計器も冷静に判読出来ない状態)を起こした際、操縦桿から手を離すと、自動で機体は水平に戻る。この際障害物が存在していても、機体の判断で自動回避行動を取る。
射出座席は国産の15式射出座席を装備する。F-15J改の為に開発された座席であり、高度ゼロ・速度ゼロでも射出可能な「0/0システム」の射出座席である。それに加え、パイロットの意識が無いような非常事態でも機体の判断でパイロットの射出が可能であるため、射出時にキャノピーとの激突で致命傷を負わないよう、キャノピーの開閉装置には、キャノピーが機体から完全に外れた事を感知するセンサが搭載されている。
>外交圧力
先述の通り、導入に際して、アジア諸国やアメリカから強い圧力があったと言われる。
戦闘機を国産開発するという行為は、独立国家にとって当然認められるべき行為であるが、政府はF-3の制式採用に際して、以下の発表を行っている。
・ F-3は、陳腐化が進んだ航空自衛隊の戦闘機を置き換え、高性能化が進む空の脅威に対応する為の装備である。その目的はあくまで既存の制空戦闘機の置き換えである。既に対地・対艦能力を必要十分に備えるF-2との組み合わせが可能なため、現時点での対地攻撃能力は持っていない。
・ レーダーは国産開発で所定の条件を満たすことが出来ず、戦闘機用の小型・高出力ジェットエンジンの国産開発も要求を満たす水準にない。これらを国産開発している時間的余裕が無いため、レーダーとエンジンは外国製の輸出仕様を選定する。
果たして対地攻撃能力の一切を持たないというのは、最終的なF-3の性能と価格を考えれば看過できないレベルである。武器格納庫の大きさから、十分爆装に耐えうるだけの基本性能は備えているが、火器管制システムに大幅な書き換えが必要となるため、現時点での改修予定はない。
また、エンジンに関しては、過去にアメリカ製戦闘機のライセンス生産を行ってきた実績を考えても、「開発力が要求水準に満たない」事は考えにくく(無論開発期間の余りの短さに“間に合わない”事は十分考えられるが)、レーダーに至っては、F-2開発時に最先端の性能を持つフェイズドアレイ・レーダーを国産開発した実績があり、いわばこれらはF-3というパッケージを表に出したときの「言い訳」として用意されたものだと考えられる。
結果として、特にレーダーの選定に関しては、以下で述べる事件に発展した。
レイセオン事件
F-3に搭載されるレーダーは、F-22の改修型に搭載されるAN-AGP95の輸出仕様であるAN-AGP95Eが選定された。AN-AGP95はそれまで単体で輸出されたことも、これが搭載された戦闘機として輸出された事も無かったため、事実上F-3の為にわざわざ輸出仕様が開発された事になる。
AN-AGP95は、次世代型のアレイ素子による極小レベルでのレーダー波の感知と、2020年頃から実用化が始まった三次元結晶型集積回路の情報処理能力により、旧世代の航空用レーダーとは一線を画す能力を発揮し、一説には有効探知距離300㎞超、255目標同時捕捉、120目標同時交戦が可能だと言われている。これは一世代前の艦船用レーダーに匹敵する能力である。また同時交戦能力に於いては、脅威の高い目標を優先的に選択、自機からの攻撃や防衛行動だけでなく、データリンクによって味方機からの援護を受ける事が可能であり、パイロットはそれらの操作をコンピュータに任せて操縦に専念できる。
このように高い能力を持つAN-AGP95であるが、実際にF-3のレーダーとして受領する筈だったAN-AGP95Eは、名前と外見こそオリジナル由来のものであるが、探知能力は100㎞に満たず、同時捕捉能力12、同時交戦能力4と、もはや性能劣化仕様とも言えない代物であった。なおこの数値は、既に退役した第四世代戦闘機であるF-14のレーダー性能に及ばず、F-3が装備する99式空対空誘導弾の射程距離に届かない。
当初この仕様は公開されず、実際にほぼ完成した機体を抱える開発企業にさえも知らされていなかった。
しかし実際に第一陣が日本に輸入されてくるのとほぼ同時に(一説には空輸されてきたレーダー本体が空港に到着するのと同時だという説もある)、何者かの手によってこのレーダーの性能がインターネット上に流出した。
通常戦闘機のレーダーの性能など、一般市民が知るところではないが、その性能の余りの酷さと、軍事関係コミュニティがこぞって参加した情報拡散作戦により、主に若い世代の対米感情が急激に悪化した。
この対応に苦慮したアメリカ政府は、事態を製造元が独断で行った行為であり、同盟国を侮辱するに等しい恥ずべき行為だと非難した。しかし、実際にはそれを判断したのは誰なのか、企業首脳部はそれを知るところであったのかと言った事はその後公表されていない。また、このレーダーを実際に製作したのは、原型を開発したレイセオン社の関係会社であるとされているが、その企業名やその後の処分もまた公表されていない。
結局AN-AGP95Eは、一度オリジナル型を生産するレイセオン社に戻された上で性能向上改修が行われ、AN-AGP95E改としてF-3に搭載される事となった。このレーダーはオリジナルに匹敵する性能を持つと言われ、また前述の事件に対する「誠意」としてアメリカ政府が資金援助を行い、一基100ドルという破格でF-3開発企業に納入されている。これにより図らずも、F-3は少なくないレベルでのユニットコストの削減に成功した。
この一連の事件は原型であるAN-AGP95を開発したレイセオン社にちなんで「レイセオン事件」と呼ばれているが、前述の通り実際にAN-AGP95Eを開発したのはレイセオン社そのものではない。
現在もレイセオン社は、この事件の報道に社名が使われる事に遺憾の意を表している。
エンジン
エンジンに関しても、ライセンス生産品であるIHI-F255は、原型であるF119-PW-255の性能劣化型であると言われる。しかしこちらに関しては、ライセンス生産を請け負った石川島播磨重工が、出力劣化仕様であることを承知で生産を承諾し、その上で性能向上改修を行ったために、オリジナルと遜色ない出力と、オリジナルに勝る即応性を持つに至ったと言われている。
>形式・派生型
F-3A
……単座の基本型。146機が生産予定。初号機から14号機までは低率初期生産型で、量産型とは細部が異なる。初号機は強度試験に供され、スクラップとして処分。2号機から5号機は、日本各地の航空博物館などに寄贈され、一部機密部品を取り外した状態で公開されている。実際にフライトモデルとして航空自衛隊に納入されたのは6号機から。
F-3B
……副座の訓練機型。50機が生産予定。訓練機型であるが、A型と性能に大差はなく、後席に情報分析専門のフライトオフィサを同乗させることで、高度な戦場分析を行う事を念頭に設計されている。後部座席にも操縦装置はあるが、基本的にフライトオフィサは操縦に関与しないため、F-15DJやF-2Bと言った自衛隊が配備する副座型戦闘機よりも、後部座席の前方視界は悪い。ただ後部座席からはほぼ前が見えないF-4とは比べものにならない程度ではある。
RF-3B
……副座型F-3Bのうち数機を改修にあてる予定で計画が進められている偵察型。機体下部に外付け式の偵察ポットを懸架し、専用の通信装置とアビオニクスが用意される。また自機防衛の為に最高速度が引き上げられ、これに伴って機体各部に改修が加えられる予定である。
F-3BAG
……新田原基地飛行教導隊専用に改修が施されるF-3B。4機が2031年度予算に計上されている。模擬戦闘を記録する装置と、機体各所に高感度センサが設置され、格闘戦で機体に掛かる負荷等を検証することが出来る。
QF-3A
……F-3Aをベースにした無人機。強度試験に使用された初号機を修理して改修、先進的航空機としての実験に供される計画であったが、実現しなかった。
F-3B“blue”
……航空自衛隊ブルーインパルスに於いて曲技飛行を専門に行うための改修型。F-3Bのうち、最終的に6機が改修される予定で、2040年頃の配備を目標としている。機内・機外に次世代型の高解像度カメラを装備し、またエンジンノズル内部にスモークオイル燃焼装置を装備する。この装置は現在アフターバーナーの無いT-4で使用されているものと大差無いため、アフターバーナーを使用した際には器機冷却の為に常にオイルを噴出状態にする必要がある。その為その際にはオイルに引火し、T-2時代以来の「トーチング」が復活する予定である。
>仕様
F-3
・乗員1(A型)2(B型)
・ 全長 18,8メートル
・ 全高 6,25メートル
・ 全幅 14,5メートル
・ 空虚重量 17700キログラム
・ 最大離陸重量 32500キログラム以上
・ 動力 IHI-F255推力偏向・アフターバーナー付ターボファン・ジェットエンジン×2
・ 最大速度 M1,7以上(高高度)
・ 巡航速度 M1,2(高高度)
・ 実用上昇限界 31500メートル以上
・ 航続距離 3900㎞(機体内部タンクのみ)4300㎞(フェリー時)
・ 空中給油 機体背面にフライングブーム式の給油ダクトを装備
・ 要求滑走路長 290メートル
兵装
・ 24式20㎜航空機関砲(固定武装)最大装弾数700発
・ 90式空対空誘導弾
・ 90式空対空誘導弾改
・ 99式空対空誘導弾(胴体中央部ウェポンベイのみ)
・ 15式空対空誘導弾(胴体中央部ウェポンベイのみ)
・ 32式広範囲空域制圧弾(予定)
ただ設定をつらつらと書いただけではつまらないので、wikipediaの記事風に書いてみました。
いろいろ戦闘機の記事を参考にしたのですが、どうやらあれはあれでテンプレートがあるわけではないらしい。
いろいろ突っ込みどころはあると思いますが、試験的に上げてみる。