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[35488] 【ワンピース・TS転生】鴉は海に夢を馳せる【東方project】
Name: きな粉餅◆bd53e913 ID:fbc467fd
Date: 2012/10/13 22:52
えーワンピースと東方という組み合わせで投稿させてもらいますきな粉餅です。
一応ここでも初投稿ではないんで、まぁ気楽にやっていこうと思っています。


TS転生、クロス、多分俺TUEEは無いと思いますが一応
そういうのが苦手な人は今すぐ回れ右で!

更新は気が向いたらって感じです、ふでがのらないとかけないだめにんげんですゆえ。

この組み合わせはとあるSSより、パクリじゃないですオマージュです!

転生した先はワンピースの世界、気づくと東方のあややの姿!
どうすんのよこれ!ライフガード!
そんな物語です。

気長に待ったりお付き合いください。



パクリじゃないですパロディです!



[35488] 第一話 テンプレじゃなくって王道って言った方がなんかカッコイイ
Name: きな粉餅◆bd53e913 ID:fbc467fd
Date: 2012/11/23 15:25
あの普段寝ているふかふかベッドがなんということでしょう!自然を感じさせる荒々しい大地に大変身しているではありませんか!
そこにはフカフカの枕、温かい布団等の人工物は何も無く、ただごつごつとした岩の無機質な感触が頭を攻撃するだけです!
右隣には水平線まで見渡せる大海原が広がり、波の奏でるBGMが眠ろうとするものの睡魔を洗い流します。
さらに左隣には富士の樹海を髣髴とさせるジャングルまであるではありませんか!昼寝をしていたらいつの間にか永眠していましたなんて冗談のようなシチュエーションまで有り得てしまうかもしれません!
この全く新しすぎて誰もやらない改装には、流石の匠も苦笑い。
空には雨風を防ぐ屋根すらなく、死ぬほど開放的な空間を鬱陶しい太陽が照らしています。
超悲劇的微フォーア腐ター! 馬鹿か! 普通に訴えるわ!
んでこれはどういうことだよオイ! 夢の向こうは不思議な世界でしたってかふざけんな!
俺の家はいずこへ!?いや家が無くなっただけじゃあの五月蝿いDQN共が夜な夜な走り回る国道とか二十四時間営業俺の行きつけのスーパーとか優しかったお隣のおばさん家さんとか無いなんてありえないよね!?
ねーよ! ありえないなんてことはありえないとかいった奴ちょっと来い! たとえ指怪我しても右ストレートでぶっ飛ばす! 見開きで!
まさか拉致られたとか!? いやいやそんな馬鹿な! 見も知らない海の前に放置プレイされる位深い恨みを買った覚えはない!
いじめとかやられた覚えもやった覚えもないし! ていうかここ本当に日本!? 隣のジャングルっぽい何かから映画とかでしか聞かない鳥の鳴き声とか聞こえてくるんだけど!?
割とマジで何処だよここ! まさかまだ夢の中か!? いやいやさっきまで地面に転がってた頭がひりひりするから多分違う!
とりあえず立とう! んでとりあえず人がいるかどうか分からないけど探さないと!


……あれ? 今ここ何処だ? いや場所的な意味じゃなくてっていうかさっきまであったジャングルとか海とか無くなったし。
あーやっぱり夢だったのねはいはい、あー眼前に広がる空の広さよ……空が広い?
あー空が離れてくっていうか体がなんかふわってする気持ち悪ッ! ていうかまさかこれ落下して――
――ぐはっ……! はっ、がっ!? し、死ぬ!?
体中に衝撃!? 殴られた!? 違うなんていうか思いっきり背中から壁にぶつかったような!?
背中……確かに壁があるけど、なんか未だに押し付けられてるような感じがする。
……まて今俺寝てる? 横になってる、のか? んじゃ今の感覚って……?
とりあえず立とう、じゃなくて体起こそう。
よっこら……しょっと、ふう。
よし、なんとか体は起こせた……いや当たり前か、体が起こせないほど腹筋を退化させた覚えもないし。
あーでもなんか体が軽いな、こんな気持ちで……いや止めておこう、首を飛ばす気もないし。
体は軽いけど……なんとなく気持ち悪いな、逆に軽すぎて空に飛んで行きそうだ。
まさか俺死んだんじゃないだろうな? そういや俺何やってたんだっけか、全然思い出せない。
よし、なんとなく落ち着いてきたしまずは現在位置の確認だ。
いやさっきからやろうとしてるんだけどね、何故かできないんだようん。
ゆっくり立ち上がればなんて事はない……。
よっと……うわバランスとれな、痛い!
自分がはいていたのは赤色の普通のブーツにくっそ長い棒のようなものを底につけた物、立てるかこんなもん!
大体この靴ちっちゃすぎるだろ常考、俺の足28㎝あるんだぞ……あれぴったり?
つーか足細! すね毛が無い! 白い! 美しい……ハッ! 何を考えているんだ俺!
コレは自分の足で―――
















「自分の足ィ――!?」











――まてまていやなんでこんな白い足が俺の脚にくっついてるんだじゃ無くてこれが俺の脚で!?
訳が分からん! 誰かこの状況がわかる奴来てくれ! そして俺に説明しろ!
とりあえず確認、確認! 現在位置よりももっと確認しなくちゃいけないもんがたった今できた!
そこの海に自分の姿を映して見てみる! それがベスト!
動け俺の上半身! 数メートルだけ動けばいいから! うぐぐ……匍匐、前進ッ!
あーもう匍匐前進するのにもこの靴邪魔! 脱ぐ!
よし脱げた! 立てる! 歩ける! 走る……のは止めておこう!
あーもう落ち着け俺! 心臓煩い自重しろくそっ!


つ、ついた! たった数メートル歩いただけなのになんか自分的にはフルマラソン走りきった感触だぞ!
息切れしてるし! あ……ちょっと待って、心の休憩させてくれ。
……よし、落ち着いた人間いかなることがあろうとも落ち着くことってできるんだな。
海を覗き込み……波が立ってて全然自分の姿が映らんね、なんかぼんやりした影しか映らない。
静まれ波、なんて念じても意味無いから自分で手を使って波を遮る……よしこれで。



















結論から言うと、そこに映っていたのは俺ではなかった。
俺の姿を映してくれるはずの海面が映したのは無精髭生やした二十そこそこのおっさんではなく、目を丸くして驚く超絶美少女だった。
まさしく『えらい美人がそこにいた』という奴である、最初にこの言葉が思いつく時点で多分俺の脳は正常な働きをしていないな。
仕方ないよね?ポルナレフとかそんなもんじゃないぜ、だって一周回ってもうどうやって焦っていいのか分からないんだもの。
さっきグリードさん殴りたいとかいったけど訂正させてくれ、もう再生不能になるまで殺してやりたい。
さらば俺の常識的な日常、こんにちは俺の非常識的な非日常。
いかんいかん現実を、ていうか目の前の海面が映すものを見よう。
まず初めに言うと、俺はこの海面に映る姿を知っている。
三次元化されていないし、今言った台詞でまずこの人物が本当は存在してない人物だと分かるだろ?
そういや今思えばこの綺麗な海も空もジャングルも砂浜もどこか現実離れしてるな、でもなんとなく違和感は無い。
いかん、確認を続けようか。
この人物、いやキャラクターはアニメや漫画のものでなく、とあるシューティングゲームの者だ、確認OK。
そのシューティングゲームは俺の大好きな奴だ、最高難易度はできないが二番目に難しい奴ならギリギリクリアできる。
そしてそのゲームは複数のシリーズがあり、このキャラクターはその内のいくつかで主役、主人公をやっている。
では確認しよう、声に出そう、このキャラクターはまさしく――























「射命丸、文」




































鴉は海に夢を馳せる
第一話 テンプレじゃなくって王道って言った方がなんかカッコイイ




































十分後、そこには元気なく島の周りを歩き回る少女の姿が!
いやはや超展開、HHでゴンがゴンさんになった位の超展開だわこれ。
あのときの富樫さんって何考えてたんだろうね、あれ見て大爆笑しちゃったよ。
でも読み返してみるとキメラアント編より前は面白いんだよHH、困ったね。
……いかん現実を見なければ、いやもうここは現実じゃあなかったなぁ、あははは。
でも逆に考えるんだ、もうこれでもいいかと考えるんだ。
だってあれだよ、性別変わったとはいえ超かわいい顔だよ、胸も普通にあるよ。
イヤッホーヒャッハー!でも困ったことに精神が体に引っ張られているのか全然欲情はしない、まぁ自分に欲情するとかやばい奴だけどね。
ていうか割と本気でここ何処ですか?幻想郷?
答えはNO、なぜならなぜならそれは!幻想郷に海ーないー♪
いかん虚しい。
じゃあ外の世界?いやこのアニメチックな世界が外の世界だったら世界中のオタクが祭りを開催するね。
俺も祭りに参加するね、というわけでこれもNO。
というかなんかこの歩きづらいを通り越してネタでしかない靴でもうすんなり歩けているんですが、体の影響?
さっきみたいに驚きの動きをしたのもひねった足の痛みがもう無いのもこの体があややの体なら理解できる。
ちなみに持ち物は団扇のみで写真機も文花帖もなかった、ちょっと残念。









あれ、もしかして今なら飛べる?
Can I fry?
自力で空を飛ぶ……それは正に子供の頃だけでなく人間なら誰しもが望むであろう『Roman』。
僕らが目指したシャングリラ、桃源郷であり天竺であり新世界!
ドラゴンボールはあれはもうね、誰も彼もヒュンヒュン飛びすぎだろ常識的に考えて…悟飯くん俺にも舞空術教えてください。
天狗の体……アニメの世界、飛べないという道理は無い!
そんな道理があるなら! 私の無理でこじ開ける!
さぁ羽を広げろ俺! 目指すは悠々と広がるあの広い空!
いける! 俺はいける! 俺はやれる! 俺は……飛べる!
飛べよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!








約二秒で飛べました、人の夢って書いて儚いって読むんだね…あ俺もう人間じゃねーや。
直前の俺のテンション返せ、やばい恥ずかしい穴の中に飛び込んで蓋したい。
バサバサと風になびかれて揺れるスカートとしょんぼり垂れてる羽が何故か泣いているように思えた。
風が気持ちいいね……あ、でも俺準高所恐怖症だから降りよう。
なんか地面に足ついてたほうが精神的に安心するわ。


































お腹がすいたよパ○ラッシュ……なんだかとってもだるいんだ……。
ぐるっと回った結果、どうやら完全に無人島の様子。
ってか獣すらいないし、木には果物すら生えてないし何でこんなところ存在するんだよ沈んじまえこんな島。
湧水なんかも無し、餓死BAD ENDコーストップスピードで一直線。
潮水飲む? それこそ馬鹿だな……あーいつだか本で読んだ綺麗な水を取り出す方法ちゃんと覚えときゃよかった。
周りの海見ても水平線だけで飛ぶにしても目的地が見えない、今の状態で飛んだら落下して海に沈むのは目に見えてるしね……。
あはは夢にまで見た二次元に来たと思ったらこんな終わり方かよ……。
こんなのってないよ、あんまりだよ、酷すぎるよ……俺が何したって言うんだよ……。
肉体的にも精神的にも辛い、もう寝てすべて忘れてしまおう……。


「おめー、こんなトコでなにやってんだ?」


お腹すくと幻聴が聞こえるって本当なんだね~無人島なのに人の声が聞こえるよ~。
寝てるんだよ、見て分からないのか? お前は長谷川さんにどうしてマダオなのとか聞くのか?
当たり前のことを聞くんじゃあない、そういうのを馬鹿って言うんだよ。


「おーい、聞こえてねぇのかー?」


うるさいうるさいんですうるさいんだよ三段活用、もう寝かせてくれよ眠いんだよ。
真っ白に燃え尽きたんだよ、もうゴールしてもいいんだよ、俺はずっと寝てていいんだ。
おめでとう俺、おめでとう……。














「誰ぞ!?」


まさか哀れな俺を救いにきた救世主か! 神はいた!
お願いです助けてくださいなんか全てを諦めてたけど死にたくないです本当にお願いします!

最初に目に付いたのは麦藁帽子、農家の方ですか?
その次に目に付いたのは眼の下にあった縫い傷、893の方ですか?
後は赤いシャツに青っぽい千切れたジーパン(?)にサンダル、何だ農家か。

そして最後に声の主――少年の顔を見る。
なんか抜けてそうな顔だなー、なんか全体的に見たことあるなー。

「おれか?おれはルフィ、海賊王になる男だ」








空腹にまみれて歪な回転を続ける脳が、ゆっくり冷静に答えを出した。
あーそうだね、そういやどーりであややの感じがZUN絵っぽくないと思ったよ。
ここ、ワンピースの世界っすか。



[35488] 第二話 海上ぶらり二人旅~序盤は緊張感ないね~
Name: きな粉餅◆bd53e913 ID:fbc467fd
Date: 2012/11/23 17:13
目の前にいる少年、モンキー・D・ルフィ。
ていうことはここはワンピースの世界、週間少年雑誌ジャンプ掲載中の人気漫画の一つ。
マグマになったり光になったり大仏マンセー氷河でマンセーお店のカートで爆走ー。
いかん変な電波拾ってしまった、自重自重。
ていうかなんでワンピースであやややねん、何一つ被ってへんやんけ。
あーそういや目の前のルフィに対応しないと、ルフィかーなんかしっちゃかめっちゃかの勢い馬鹿みたいな感じになっちゃったよね。
アラバスタ編くらいまではすっげーかっこよかった覚えがあるんだけどなぁ、まぁ全然もう覚えてないけど。
最後にワンピース読んだのエースが死んだあたりだったかな?まぁそんな程度の知識。
魚人島編からうーんって感じになったよね、俺だけ? まぁいいや。


「海賊王……ですか」

「おう」


てかあややの口調ってどんなのだっけ、なんか人を小馬鹿にしたような感じだった気がするけどそんな勇気は俺には無い。
ここの海軍とか絶対喧嘩ふったらぶち切れそうな人たちばっかだよ、カルシウム取ってるぅ?
っつーわけでこの先生きのこるにはこのルフィ君についていくのが一番得策な気がする。
俺原作知ってるし、何よりお腹すいてやばい、死ねる。死にたくない! シニタクナーイ!
よし仲間にしてもらう! 異論は認めない! てかもう腹へって吹っ切れた! いろいろ吹き飛んだ!
助けてください! この空腹と孤島から俺を救い出してください! 仲間にでも何でもなりますから!


「それはそれは面白そう……です。どうd……ですか、おr……私を仲間にいれて、貰えませんか?」


……いかん噛みすぎだ俺!口調やっぱ即興じゃわかんないよやばいよ警戒されるよ!
あー終わったわまさかこんないきなり第三部完とは……。


「ん?仲間になりてぇのか?いいぞ」


いかんこの子馬鹿だ、真っ直ぐ過ぎだよ少しは疑いの心を持とうよ!この世知辛い世の中生きていけないよ!
いやこの世(界)の中生きていけないのどちらかというとミーだわ、現在進行形で死に掛けてるし。
というか今仲間たちは何処にいるんだ?ルフィ一人しか見えないけど。


「えーっと……お仲間はどちらで?」

「まだいねェ、お前が船員一号だ」

「……わーそれはうれしいなー」


……まだゾロもいないのね、どうすんだよ二人して生き残る力はあってもスキルが皆無だよ。
まぁルフィとゾロもそんな感じだったけど、んじゃ三人そろって駄目って事じゃん。
一応一人暮らししてたから家事はできるんだけどね……家計簿とかつけようってなって三時間で投げ捨てるくらいの生活スキル。
あ、そういや仲間にしてくれるんですかやったー。
あれ?なんか漫画でゾロと一緒に小船の中食糧不足で死に掛けてなかったか?
俺ピンチじゃね?鶏肉だよ、あやや一応鳥だって言ってたよヤバイよ。
まぁ流石にルフィが仲間食うとは考えにくいけどね、チョッパーとか無事だし、齧られたりしてたけど。
サンジには非常食扱いうけてたけど、ていうか食料あるのかどうかも危ういよ。


「あの…失礼ですが食料をいただけませんか?ご覧のとおり死にかけなので…」

「へ?死にかけてんのかお前?」

「yes yes yes、oh my godです助けてください」

「ちょっと待ってろ!」


おお、まだ食いきってなかったか!助かった!俺はまだ死なない…死なないっ…!
なるべく急いでください、愛じゃなくて空腹で空が落ちてきそうです、北斗七星の横に輝くあの星さえも…。








持ってきた袋にはパンパンに詰まった肉が、すごいな、骨付き肉とか焼肉で見てがっかりした記憶しかないよ。
これが噂のマンガ肉…存分に味わおう!


ンまァーーイ!!味に目覚めたァー!てか生き返ったッ!!
復ッ活ッ!俺復活ッッ!俺復活ッッ!俺復活ッッ!
してェ…冒険してェ~~~~~…。
などと最高にハイなテンションで復活、まぁ流石に声や表情には出さないよ、引かれそうだし。


「いやはや助かりました。ルフィさん、あなたは命の恩人です」

「そんなの気にしなくていいぞ、仲間だしな」


そういって二カッと笑うルフィ、馬鹿とかいったけどこの子ええ子や……でもやっぱり馬鹿や。
でもこんな性格だからこそあのメンバーが揃ったんだろうな……。
あ、そういやまだ名前も名乗ってなかったな。
えーと名前名前……。


「改めまして、私の名は……アヤです」

とりあえずワンピース側にあわせておこう、射命丸をなんかに変えようと思ったけど即興じゃ無理だったわ。
シャメーマル・アヤとか?なんか忍者をNINJAとか言ってる外国人みたいだから却下。
まぁ苗字は無くていいよね、ナミさんとかサンジとかウソップとかフランキーとか苗字無いしね。
メインキャラにも苗字有る無しあるんだよな、江戸時代の身分のアレでもないだろうしその点の違いって何なんだろうね。


「おう!よろしくなアヤ」

「えぇ、よろしくお願いします」


まずは居場所(寝る場所&食事)と船長をゲット!
原作麦わら一味離れ離れにされてから読んで無いけど……この体と能力なら、ワンピース世界も多分大丈夫でしょ。
いざとなったら頼れる船長に何とかしてもらおう! 外道? 汚いはほめ言葉だ……!
トラの威を借る狐ならぬ海賊王の威を借るカラス、狡猾なのは天狗のサガだから仕方ない仕方ない。





























鴉は海に夢を馳せる
第二話 海上ぶらり二人旅~序盤は緊張感ないね~





























わー渦巻きだー。
突然ですが皆さん、ポケモンのうずまきって使います?
波乗りならともかく金・銀・クリスタルとかのうずまきってないと海のあの島にはいれなくってなおかついざ伝説捕まえに行くぞーって時に覚えてる仲間いなくてテンション下がった記憶ありません?
しかも戦闘に使っても全く使い道が無い上に弱くて秘伝要因行きになるあの技ですよ、それが生意気にもこちらに牙をむいてるというわけですよ。


「というわけでルフィさん、この目の前の渦巻きどうする気で?」

「突っ込みゃーなんとかなんねェかな」


聞いた俺が馬鹿でした、考えてないよねそんな事。
人生かもしれない運転が大事だって習ってないのか、習ってないよねあのおじいちゃんだし。
ガープさん頼むからそこらへん教えてあげといてくれよ頼むから、海軍にも必須スキルだろ常識的に考えなくても。
まぁ教えてても聞かなかったと思うけどね、四面楚歌八方塞ワロス。


「んー…樽の中入ればなんとかなんねェかな?」

「それで何とかなるのは幸運Exのサーヴァントとあなた位です」


少なくとも俺は助からないよ絶対、二人で入るという選択肢ももちろん笑顔で却下。
心はあれでも体は女の子です、ハンコックのように行くと思うなだぜ。


「仕方ないですねー…よっと!」

「おわ!?」


とりあえずルフィの肩を持って飛翔する、おお軽い軽い。
多分あややの力が強い所為…いやおかげだが、いざとなったらこれはこれで使えるかもしれない。
手札は多いほうがいい、制限が無いときに限るけどね。


「おおーっ!スッゲぇー!!!」


わぁすごく目が輝いてらっしゃる、無邪気だなー下は君の天敵海だっていうのに。
暴れるな暴れるな落ちるって飛べるっていってもまだ慣れてないんだから!


「お前悪魔の実の能力者だったのか!!」


今さらですか、あなたこの背中にある羽見えてました?まぁ見てないよね、見た目で人判断しないし。
まぁそこら辺については面倒なので、適当に苦笑いを返しておこう。
下を見れば渦巻きに乗ってきた木製の小船が一瞬にして飲み込まれた、まぁ食料も水も無かったので特に送る言葉もなし。あ、やっぱ無茶しやがって…。
まぁそんな小船のことはDon't worry.Be happyで。
とりあえず向かっていた方向に変わらず飛翔し続けると、十分もしないうちに向こう側に島が見えた。


「島だっ!」

「島ですねー、まぁ一段落といったところですか」


ここで確かゾロが仲間になるんだっけ?確かそうだったような気がする。
とりあえず長時間飛行に慣れてないので早く地に足をつけたいぜ。






















ついたのは何も無い孤島、見えるのは森と森と森の木だけ。
うわつまらなーい、新八でもメガネという個性があるのにこの島ときたら。
とか思ってたら船発見、でかでかとハートマークの入ったどくろが書かれている旗があるので海賊船確定。


「あの船どうします?」

「ん?なんだなんかすんのか?」

「いえ食料とかもう完全に無いですし、貰えるなら貰っておきましょうよ」

「おお、そりゃいいな」


えー……もうちょっと考えようぜルフィ君、俺の言ってる貰う=奪うだよ?
というかこの後戦闘になるのは目に見えているので一応臨戦態勢に移行、おいこらルフィのんびり散歩するように歩いていくんじゃあない。
戦闘……といってもルフィの戦闘だからそれほどグロイことも無いだろうなー。
けどゾロ仲間になる前にグロイの覚悟しないとなー……グロ画像とかになら耐性あるんだけど……。
おそらくこの世界ではそうは行かないんだろうな……。
そう考えると少し憂鬱だなー、でも耐えられるようにならないとな。
飛ばされた先がジョジョや北斗の拳やベルセルクじゃなくてよかった、ありゃ耐えられる以前の話だ。













「「すいませーん、食料くださーい」」


我ながら軽い調子で海賊船に乗り込む、おおなんかいかついおっさん等が船掃除している似合わねー。
最初は皆さん意味が分からなかった様で、唖然とした滑稽な顔していらっしゃったが、まぁもちろん数秒で刀とかピストルとか持ち始める。
ピストルは怖いので弾除「ゴム船長の盾」を発動、要するに船長の後ろに隠れる。


「なんだお前ら…殺されてぇのか?」


いかにも海賊Aって一番手前にいたバンダナ巻いたおっさんがこちらに刀を持ってにじり寄る、テラコワス。
いやーリアルでも不良とかにカツアゲされた経験あるけど迫力が違うわー、まぁ今は逃げる以外の選択肢があるけどね。
すなわち船長に大体任せる、後は後方支援と応援。


「食料くれ」


流石船長!俺に言えないことを平然と言ってのけるッそこにしびれるあこがれるゥーッ!
まぁぶつかって後は流れでよろしくお願いします、脇役ABCさん達。


「ふざけてんじゃねぇぞコラァ!!」


その言葉を筆頭に餌にたかる蟻のように海賊達が俺たちめがけて襲い掛かる。
テンプレだね、フラグだね。



海賊ABCが あらわれた! ▼

ルフィの ゴムゴムの銃! ▼

海賊Aは 吹き飛んだ! ▼

海賊Bは 刀を持って 切りかかった! ▼

アヤは 団扇をふった! ▼

海賊Bは 海に落ちた! ▼

海賊Cは 海に落ちた! ▼

敵を やっつけた! ▼


経験値?こんな雑魚を倒したところであるわけ無いですよええ。
その代わりドロップアイテムはお前たちの船からたくさん貰っていきますぜぐへへ。
てか二人ほど風を吹かして海に落としてる間に後十人ほどいた他の船員が全員頭から突き刺さって船に生えてるんですが。
流石ですわやっぱり我が船長。
カッコイー! 惚れちゃいそうだぜ麦藁通行(ゴムセラレータ)! 敵じゃなくって本当によかった。


「んー結局食料くれなかったな」

「まぁちょっと貰っていきましょう、戦利品だと思って」


適当な理由をつけて船を漁ろうとすると、扉が変な音を立てて開いた。
うわデブッ!何あの体型、昭和時代にあった独楽かなんか? それかどんぐり?
何で首と頭と肩が一直線上にあるの? あれ人間じゃないよね?


「なんだい、騒々しいね」


キャアアアアアアアアシャベッタアアアアアアア!!!キモい主に体系がキモい!
んでもってその…形容しがたいそれが現れると同時に、岩板から生えていた者達が一斉に抜け出て「アルビダ様…」とかつぶやき出す、アルビダっていうのねふーん。
そんな奴いたっけ? 全然覚えてないや。
んでそのアルビダがこっちじろじろ見出す、こっちみんな。


「こんな餓鬼共にやられたってのかい!この役立たず共!」


おおすっげ、思いっきりその体型のまま金棒振り回してるよアレ。
てっきりそこからチェーンジレオパルドンでもするのかと思ったけどね。
わー金棒に当たった奴が綺麗な弧を描いて空を舞っては海に落下していく、すごいなー。
今度は最初のステージのボスか、まぁあんなのに触りたくないんで船長に任せるわ。


「ルフィさん、任せました、GOGOですファイトです」

「おお」


軽いですね、まああの金棒見たところ棘付いてますが尖ってないですもんね、打撃無効のゴムならパーフェクトケーオーですよね。


「ふん!」


アルビダのふった金棒は見事にルフィの頭にクリーンヒット、したのだがもちろん効かないルフィは金棒を頭に載せながらにっと笑った。


「俺はきかねぇ、ゴムだから」


十面相みたいにいきなり驚愕にかわったアルビダの顔が、ゴムゴムの銃を受けてそのままアルビダは船の上に倒れる、ご愁傷様です。
それにしても戦闘短いな、ワンターンキルですかそうですか。


「俺は負けねぇ!」


まぁこんな序盤じゃあ絶対負けないですよねー…まぁ始まりの町でて即魔王イベントなんてのもあるっちゃああるけど。
原作大体は知ってるから危険なイベントは回避しまくるけどね、欝展開大嫌いなんで。



[35488] 第三話 二人の夢、一人の生き様
Name: きな粉餅◆bd53e913 ID:fbc467fd
Date: 2012/11/23 23:40
「食料、ゲットだぜ!」

「うっしじゃあ次の島行くか!」

そこはピッピカチューでしょうが、まぁ絶対ありえないしそんな反応されたら絶対言葉返せないしね。
まぁこのアル……フォンスだっけ? の船中々食料積んでらっしゃった、まぁ数十人の男手とあのデブの食料だしね、大量大量。
まぁ大体はこの船長の胃袋に消えるんだけどね、まぁ俺自身そんなに食べる方じゃないけど自重はさせないとね。
あと船捜さないと、ご臨終なされた小船に変わる再び壊れるであろう犠牲になる小船はどこかねー。

「あ、あの!」

船捜索中にアル……なんとかの船に乗ってたであろうメガネの少年に話しかけられた、なんぞ? 敵討ち?
流石にあれの敵討ちは無いか、だってアレだしね。
てかこの丸メガネ少年……どっかで見たような。

「ん? なんだお前」

「ぼ、僕コビーっていいます」

ああ! コビーか! コビーは覚えてるわーってかここそうかコビーのとこか!
物事って一つ思い出すとなし崩しに思い出していくね、アル……何とかのことも完全に思い出したわうん。
原作でもルフィにワンパンKOだった気がするわ、おお哀れ哀れ。
まぁそんなどーでもいいキャラのことは置いといて、コビー助けないと原作変わっちゃうんだよなー。
あの成長コビーの変わりっぷりは誰お前レベルだったよね、六式まで覚えちゃってたし。

「ぼ、僕を一緒に乗せてってもらえませんか!?」

「?いいぞ」

早い早いよ!ルフィさん!速さが足りすぎているぜ!幻想卿最速の体を持つ俺がスローリィ!?
いやいやもっと常識的に考えようよ、転生者の魂と鴉天狗の体を持つ俺が言うのもなんだけど、本当になんだけどだな。

「え、い、いいんですか!?」

コビー君も戸惑ってるよ、その善意自覚無いんだろうけど逆に警戒されちゃってるよ。
どこぞの弓兵じゃないんだから無償の善意は危険だぜ、というわけで。

「もちろんお礼はいただきますよ?」

料金有りの船旅なら大丈夫だろ、善意なしアピール。
三途の川の渡し賃と海賊船での運搬はお高くつくぜ。
で、なぜに首をかしげるんだ船長さんよ。

「こいつ仲間になりたいんじゃねぇのか?」

「……多分違いますね、おそらく次の島までだけの案内でしょう」


あーはいはいついて行きたいってそういう意味で捉えたのね。
まぁ自分も出会って即仲間になったけどさ、そんな簡単に強そうだから海賊の手下にしてーなんて奴らは早々…。
あれ? もしかしてこの世界そんな奴らばっかなのか、麦わら一味がおかしいのか?
そうだな多分麦わら一味がおかしいのな、相手取る奴らに比べて仲間が少ないし。
いやむしろ三千人とか一体どうやって仲間にするんだろうな、名前が売れたらホイホイついてくるのかね。

ルフィが首傾げてるけどめんどくさい説明はカットカットカットォ! 原作知っている俺としてはさっさとこんなやり取りはとばしたい。
なによりコビー君もルフィに恩義を感じてるって訳じゃなくなったしね、残念だね。
……俺が樽に入らなかったからだけどね、気にしない気にしない一休み一休み。
あれ慌てないだっけ?というかこれの元ネタ忘れちゃったし。
あー眠い、なんか船に乗ってから生活リズムが崩れちゃった所為か一日中眠い。

まぁ奪えるもん奪ったし、さっさととんずらするとしますか。
んで船の上で一眠りしようかね、あーでもルフィとコビーの掛け合い見たいな。





























鴉は海に夢を馳せる
第三話 二人の夢、一人の生き様


























海の上なう。
結局掛け合い見ることにしちゃった、というわけで小船の真ん中で向かい合ってる二人を俺は縁っこの樽二つに寝転びながらのんびり見てます。
あーやばい樽のジャストフィット感がやばい、掛け合い見たいのにあわよくば参加したいのにこのまま寝ちゃいそうだ。

「海賊王になる……ですか」

「おう、だからつえー仲間が必要なんだ」

「今のところ強い仲間よりコックが欲しいですね、後普通の船」

てな感じで寝ないように二人の掛け合いに合いの手を入れる感じになっております。
コックかー……原作知っている俺はコックが出てくるのはまだまだ先だと知ってるんだけどね。
ていうかまずキッチンが欲しい、肉オンリーの生活からいい加減にグッバイしたい。
今朝なんか喉が燻製肉が! 燻製肉がこっちに迫ってくるよぅ! ってなってたよ、こちとら女子の体だっちゅーのに。
まぁ妖怪で鴉天狗だけどね、でもか弱くて可憐な女の子です異論は認めません。

「後音楽家が欲しいな!」

「欲しいだけで必要ではないですがね」

音楽家は気が遠くなるくらい先ですぜ船長、それまで俺が生きているのかどうかも不明だし。
ていうかさっさと常識的な仲間が欲しい、もどってこい俺の常識。
この世界に来たときに別れを告げたお前が恋しいぜ。

「んでさコビー、お前なんかつえー奴のことしらねぇか?」

「え、えと、次の町にある海軍基地、僕の目的地なんですけど、そこに"海賊狩り"と言われるロロノア・ゾロと言う人がいるらしいです」

お、来た来た性格は準常識人(?)で戦闘能力は常識にとらわれない仲間が。
まぁ生活能力は俺たちと肩を並べて皆無なんだけどね、あれなんだか目から汗が。
何とか二人には見られていないもののまだまだ続く生活に心の中では涙を浮かべる。
ああ……常識とは何ぞや。

「ロロノア?そいつつえーのか?」

「噂では魔獣と呼ばれ、海賊たちを次々に襲った恐ろしい奴だとか」

海賊襲ったら恐ろしい奴認定されるなら俺たちもそうなんじゃね?
ぷるぷるぼくわるいかいぞくじゃないよ。
海賊に悪いもくそも無いけどね。

「よし、そいつ仲間にしよう!」

はいはいですよねー。
まぁそうなってくれないと原作進まないしね。
どんとこい海賊狩り、カラスを狩るのには知恵がいるぜ?

「ええ!? む、無茶ですよ! 相手は海軍に捕まるほどの極悪人ですよ」

「まぁ適当にあってみて決めましょう」

つかまってても関係ないです、問答無用でお邪魔します。
いかん自分も常識的じゃなくなってきた、あれ元々だっけ?






「……そういえば、アヤさんでしたっけ?」

「へ? はいはいなんでしょうか」

そういや中心に入っては全然話してなかったな、心の中では自分中心にしゃべってるおしゃべりなんですがね。
どこぞやの獅子心じゃないけど考え出すととたんに口が動かなくなるのは生前の癖だ、生前あんまり覚えてないけど。
というか生前? いやいやまだ死んだとは限らないけど……まぁ今俺はここで生きてるし死んじゃったのかね。
まぁ今となってはどうでもいいね。

「あなたはどうして、ルフィさんについていこうと思ったんですか?」

「……どうして、ですか? なかなか難しい質問を」

正直大体が勢いですよ、いやいやもちろんルフィはカリスマ的なもんでいえば最高クラスだよ是非ともついていきたい魅力を持ってるよ。
んーでもそれだけじゃないんだよな、考えると結構いっぱいあるな……ワンピースの世界を楽しみたい、原作キャラに会いたい、あそういえば死にたく無かったってのもあるな。
それらをまとめていうなら……まー大体はこれに尽きるな。


「自由に生きたかったから、ですかね」


自由とは即ちやりたい事をやるという訳だ、まぁなりたくてなった反省はしていない後悔もしていないってこと。
別に船長の下についたからって束縛される訳じゃないし、むしろやれることはぐーっと多くなるでしょ。
それにあんなに魅力的な仲間たちがいるし、一人じゃつまらないことでも皆なら面白そう。
というかこの世界あまりにもかってが分からな過ぎて一人じゃ不安ってのもあるね。
うんまぁやりたいことがたくさんあるからそれを実行するために船長の下につくが縛られはしない!
まとめると我ながら最低の理論だね! だが俺の心理はそこにあるんだよ!

「自由、ですか……?」

「そ、生きるなら自由にね。飛べるならどこまでも飛んでいきたいし誰にも邪魔されたくない、やりたいようにやるのが生き物の性分」

ん?なんか今ごく自然に言葉が出たな、丁寧な言葉で話そうとしてたのに普通なしゃべり方になってた。
……まぁいいか、そんなことは、重要なことじゃない。
自分のやりたいようにやる、まぁ三次元だとそれが人の迷惑になって犯罪になるんだけどね。
ここでいう海賊がそんな感じか、迷惑になるから海軍が海賊を捕まえる……大体は迷惑ってレベルじゃないけど。
そう考えるとあややもそんな感じだね、人の迷惑考えずに強制取材&押し売り号外だしね、捕まえる人がいない分もっと迷惑だけどね。
その理論で行くと俺生前犯罪者……? いやいやそれはないってか有り得て欲しくない!
流石に人の迷惑は考えるよ俺! ルフィ船長は縛らないから俺も自分を縛らないって感じだし!
うん大丈夫俺は普通俺は普通……。


「……僕も、そんな風に生きられますかね」

「できるできないはやるやらないの選択肢を過ぎたときにやっと表示されるものです、やる以前にその選択肢を考えるのは阿呆のすること」

こんな体だから言える事、多分生前の自分なら言えなかっただろうなー。
自分に残っている人格的にそんな度胸のある人間じゃなかったっぽいし。
第一三次元ほど生きるのに必死な世界もないよ……いやあるか北斗の拳とか。

「……そうですね、そうですよね!」

おお?なんかいきなりやる気になったな、そんなにかっこいい言葉だったかな?
確かあややって人を煽るのがうまかったよな……やる気もあおる事ができたって事はそういうスキルもこの体に秘められているのか?
さっきの言葉とかも自然と出てきたから、そのうち東方のキャラがするような会話とかもできたりして。

……たぶんそれはないな。

「ありがとうございます、アヤさん。……あなたに言われるまで、勇気が出せませんでしたが、今ならきっとできるって思います!
 僕、海軍将校になります!なってみせます!!」

おお、熱血熱血。
よきかなよきかな少年よ、青春パワーは燃やすためにあるんだぜ。
青いうちに燃やしとかないと灰は肥料になってくれるが、腐った草は抜くのも燃やすのも大変で肥料になるのも時間がかかるしね。
まぁ風で散っちゃうと灰が害になっちゃうこともあるけどね。

「ま、その道を選んだのもやるやらないの選択をしたのも君の勇気です、後は頑張り次第です」

笑顔でそう返してやると、コビーの顔が真っ赤になっていく。
そういやあややの姿だったな、こやつめHAHAHA。
というか将校になるって言ってもルフィ笑ってるけど、敵になるって事分かってるのかね?
まぁ分かってても余り変わらないね、こう語り合った仲なのは。

「さて……そろそろ次の町ですね、心の準備はオッケ~ですか?」

「おうっ!」

「はい!」

うっし準備万端! んじゃ島に乗り込むぜ!
さて鬼が出るか蛇が出るか……いや出てくるのは魔獣だけどね。



[35488] 第四話 三人揃えば文殊の知恵って言うけど馬鹿三人集まってもうるさいだけ
Name: きな粉餅◆bd53e913 ID:fbc467fd
Date: 2012/10/14 15:08
船乗ってるときは気づかなかったけど降りた瞬間腰が痛いぜ。
こういう痛みって体が強い弱い関係ないのかね、まぁあややが船に乗りなれてるってのは考えにくいけど。
幻想郷の船ってこまっちゃんの三途の渡し舟くらいしか思いつかないし、あれ?あそこは幻想郷じゃないんだっけ?
まぁいいか、とりあえずRPGでいう最初の町、いわばマサラタウンにやってきたわけですはい。
そういえばこの世界に行き着いて初めての町だな、前文で言って気づいたけど。
この船長といると退屈はしないけど辛いね、中間管理職の性(サガ)かね、ああ今日も爪が伸びるのが早い。

「まぁ情報集めに最適なのは酒場ですね」

そんな事つぶやいてみるがこんな町で集まる情報なんてゴミ情報の何物でもないけどね。
メニューの開き方とかスタートボタンがどうとかかがくのちからってすげーとか。
ちょっと見てみたけどこの町の小さいこと小さいこと、マサラタウンも大概だけどね。
そこ等の中型スーパーマーケットのほうが町より面積でかいってどうなのよ?
いや海軍基地はでかかったよ?縦にだけど。

「腹減った!飯食おう」

あんたはぶれないなルフィ船長、ゾロさんは後回しですかそうですか。
まぁ三人で飯食うのはこれで最後になるんだっけ?いかん本当に原作をあんまり覚えていない。
まぁコビー君送別会ってことで、飯食いに行きますか。
うわちょっと見回したらすぐ発見、世間は狭いよ。












「この町でコビーとはお別れだな!」

「はい…次に会うときは、敵同士ですから」

「まぁ食事を共にした仲ってのは変わりませんよ、夢を目指す同士って事もね」

俺に夢は無いけど、まぁ再びコビーに会えるまでは生き残りたいってのは目標ではあるかもね。
この世界何が起こるかわからないけど、麦わら一味は妙に幸運だしそこら辺のおこぼれを授けて貰えれば上々だね。
泣くな少年よ、涙の数だけ強くなれるなら赤ん坊は数週間で天元突破するぞ。
でも俺も少し泣きそう…やっぱり別れっていうのは辛いね、別れの数だけ出会いもあるけどそうやって割り切ることができないのも。

「まぁ当面の目標はその『ゾロ』って人を仲間に――」

俺がその名を出した瞬間、同じ定食屋で食事をしたいた奴らがこぞってド○フよろしくずっこけた、びびった。
なんだ?魔法の言葉をつぶやいた覚えは無いけど、だっふ…>やめておこう。
もしかしてゾロの名前に反応したのか?原作でそんなんあったっけか。

気を取り直して。

「でも、本当に基地に忍び込む気ですか?ここの基地には『モーガン大佐』と言う人がいて――」

○リフ二回目、こいつら…できる。
いちいち皿やら食事やらひっくり返される店の主人の気持ちにもなれよな。
あ、店の主人もひっくり返ってるわ。








「面白かったなーあの店!アヤ!あとでもう一回行こうぜ!」

「お腹がすいたらにしといてください、あの店の損害が気になります」

こんな小さな町じゃただでさえ収入少なそうなのに、なおあんなことたびたびされた日には目も当てられない。
こういう損得を考えてしまうのも生前の思考だろうか?
いやまぁどうでもいいけどね。

「しかし…なぜ今つかまっているロロノア・ゾロの名前だけでなく、大佐の名前まで過敏に反応したのでしょうか…」

「古今東西そういうのは恐怖政治の特権ですゆえ、大方大佐の名を使って好き勝手しているのでしょう」

確かそんな感じだった気がする、あ、コビーが落ち込んだ。
まぁ自分が目指しているものがそんなことしてたら普通に落ち込むわな、大佐はあとで死刑確定です☆




そんなこんなでサクサク到着しました海軍基地。
ここにコビーを送り届けてゾロを仲間にすればミッションクリア。
その前に大佐は血祭りに上げるけどね。

「おい、あそこに誰かいるぞ」

「ちょ、ちょっとルフィさん!?」

早速我が船長は壁によじ登ってるし、気が早いね。
仲間が増えるかもしれないから嬉しいのか?まぁ貴重な戦力だし、ありがたやありがたや。
ちょ、まっておいてかないでルフィさんはやいはやい。
すんなり歩けているとはいえたまにこの靴足ひねるんだって、すぐ直るけどさ。






おお、あの貼り付けにされている黒の手ぬぐいは間違いない。
剣は無いけど腹巻とか結構特徴的だねゾロさん、全体的に格好がおっさんくさいけど。
ワンピースのキャラって結構特徴的な格好してるな今思えば、あのリーゼント海パンとか特にさ。

「あ…あれが"海賊狩り"、ロロノア・ゾロ…」

コビー君めっちゃビビッてますがな、大丈夫あの子見た目あんなんだけど怖くないよ。
てか若いな、そういえばまだ成人してないんだっけ。
生前の俺より年下かー…まぁ三十路過ぎて世界一の剣豪になるって言われてもね。

「おい、お前ら」

うおファーストコンタクト。
コビーが壁から落ちたよ、声怖いよドスきいてるよ目つき悪いよと数え役満。
まぁ多分今ガチで戦ったら一方的だろうけどね、ゾロ遠距離攻撃持ってないし。
空とんでハメ殺し余裕です。

「ちょっとこっちきてこの縄ほどいてくれねェか、もう九日間もこのままだ。さすがにくたばりそうだぜ」

九日って…人間三日くらいで胃がねじ切れるような痛みが走るってどっかの小説に書いてあったような気がするんだけどね。
さすが精神力は頭おかしい人、いや仲間になる人精神力だけは皆特におかしいよね。

さて解きに行きますか。
って壁を乗り越えようとしたらコビーにとめられた、スカートを持つんじゃありません!

「ちょ、だめですよアヤさん!?相手は魔獣です、解いた瞬間殺されますよ!!」

「大丈夫ですって、いざとなったら頼りになる船長が何とかしてくれます」

「ん?おう任せとけ!俺は強いからな」

強いって言った瞬間ゾロがルフィを睨む、いやいや剣の強さと拳の強さは違うからね。
そんな違うジャンルの強さを比べようとするなよ、日本刀と銃どっちが強いか比べるようなものだよ?

そんな事してたら三人の真ん中に入るように木製のはしごを立てかけて上ってきた少女の姿が。
右手の人差し指を立て口の前において「しー!」とか言ってる、口に出すなよかわいいだろうがテラモエス。
かわいいは正義だね、見たところ小学生になったばかりくらいの歳だから全然許されるね。
とか思ってたらなんか持って壁を乗り越えゾロまで近づいていく、なんか小学生とかの頃って異様に勇気ある奴いるよね。
コビーの説得に耳貸してないし、アワレコビー。

「オイなんだテメェ、殺されてェのか」

ゾロさんマジツンデレ、でも睨み怖いな。

「あのね、私おにぎり作ってきたの!お兄ちゃんずっとこのままでお腹すいてるでしょ?
 初めてだけど一生懸命作ったの、だから…」

「ハラなんかへっちゃいねェ!そいつ持ってとっとと消えろ!」

うわぁ…ツンデレVS純真だ。
眼福かな眼福かなっと。

「ひえっひえっ~ロロノア・ゾロォ!イジメはいかんねェ、親父にゆうぞ」

そんな押し問答を繰り返している二人を眺めていたら、気持ち悪い声で笑いながら気持ち悪い髪型をした気持ち悪い奴が入ってきた。
おいおいせっかく人が目を潤してるってのにお前のせいで全部とんじゃったよ、目が腐るよ畜生。
なにその頭?エリンギマイタケブナシメジ?お前はもう死んでいるの?

「なんですかねあいつ」

「変なのが出てきたな」

「アレはきっと海軍の偉い人ですよ…よかったあの子殺されないで」

コビー君絶賛勘違い中、まぁだれでもあんな人最初に見たら怖いわな、噂にもなってるし。
んであいつは誰だっけ?ウざいから記憶から抹消したのかまったく記憶にございません。

「チッ、七光りのバカ息子が…」

「バカ?こら調子に乗るなよ?おれの親父はかのモーガン大佐だぞ」

…あ~はいはいおk思い出しましたとも、あいつねあいつ。
親父にもぶたれたこと無いのに!って奴ね、ガンダム持ってこい初代の。
てかバカってきいた瞬間親父にゆうぞってすごいな、小学生が先生に言うぞみたいなノリで言ったぞこいつ。
そういや小学生でヘルメットみたいな髪型の奴いたいた、散髪失敗の典型的な例だよね。

「おやおやお譲ちゃん、おにぎり持って差し入れかい?」

うわ猫撫で声気持ち悪ッ!!駄目だ…吐くんじゃないこらえるんだ…。
俺は今あややなんだからそんなはしたないことしちゃいけないんだ…。
吐き気を催す邪悪ってあーいうことをいうんだな、理解したよアイアンダスタンド。
そんな事思ってたらキモいのあの少女のおにぎり食って吐きやがった、(#^ω^)ビキビキ。

「く…くそ甘ェ!塩じゃなくて砂糖入ってんぞこりゃ!」

「だ…だって甘いほうがおいしいかなと思って…」

甘いもんと炭水化物のミラクルコラボレーション、天然パーマに悪い奴はいねェ。
俺はどちらかというとマヨラーです。
ああ少し原作思い出してきたわ、この後って確か…。

――アクセル全開、サーキットの風になるわ俺!
思いっきり踏み込み靴の棒の先端で壁を思いっきり蹴り出す!



「こんなもん食えるかボケ「何さらそうとしとんじゃこのボケェ!」ッぐべぇ!?」



決まったッ!キノコの顔面にドロップキックをシューーーーッ!
超!エキサイティング!
おおすげえ、後ろにいた部下二人を飛び越えて基地の下の茂みまで飛んでった。
アレこれ死んでない?あとさっきちょっと素が出たけど…まぁいいや。

「き、貴様!自分が何をしたのか分かっているのか!?」

はははいやだな雑魚Aさん、そんなの決まっているでしょう?

「キノコ狩りですが、なにか?」

残念ながら蜘蛛でも白黒普通の魔法使いでもなくカラスですがね。




















鴉は海に夢を馳せる
第四話 三人揃えば文殊の知恵って言うけど馬鹿三人集まってもうるさいだけ



















セーフセーフ、おにぎりが叩き落される前にあのキノコを粉砕玉砕大喝采できたのでセーフ。
なんか海軍に喧嘩打っちゃった気がするけどかいぞくゆえしかたなしですはい。

「お前…自分がナニやったか分かってんのか?」

「だからキノコ狩りですってば、許可が要りました?」

でもそんなことはどうでもいいんだ、重要なことじゃない。
それより私は…あなたが欲しい。
うん精神的には気持ち悪いね、中に入ってるの二十後半のおっさんだしね、どこの蛇野郎だって話だよ。
さて縛られてる野獣さんに交渉タイムと行きますか、あれ魔獣だっけ?

「さてめんどくさいので本題に入りましょうか、あなたには二つの選択肢があります」

「あァ?」

「一つ、ここに縛られたままもうすぐ来る処刑までゆっくり過ごす」

「…処刑だと?」

今思うとゾロさんかなり健気だね、あのクソキノコが本気で約束を守ると思っていたのかな。
それとも単純なだけ?ああこっちの気がしてきたわ多分そうだわ。

「で、二つ目は…船長~こっち来てくれませんか~?」

なるべくでかい声で呼ぶと首をかしげたあとルフィがこっちに来る。
仲間の引き入れ交渉だってのに船長がいなけりゃ話にならないでしょうが。

「私たちの仲間になって、海軍に喧嘩を売ることです」

要するに死ぬか仲間になるかって事だ、我ながら鬼畜の所業だね。

「処刑ってのはどういうことだ」

「知らなかったんですか?あなたあと数日で処刑されるんですよ?」

確かこの事にルフィが切れてあのキノコ殴り飛ばすんだっけ、ちと予定変わっちゃったよ。
まぁ気にしない気にしない。

「町の人たちが噂してるのを耳に入れましてね、まさかあなたあいつらが素直に約束を守るとでも?」

もちろん噂ってのは真っ赤な嘘、でも少しでもそうかもしれないと思わせれりゃ万々歳。
なんかスイスイ交渉のノウハウが出てくるな、やっぱりあややの体だからかな?
ゾロが押し黙ったところをみると完全に疑ったな、この勝負…俺の勝ちだ。
そして更に追撃がそろそろ…。





「てめェらか、この俺に逆らおうってバカな反逆者は」


おお来た来た、なるべく大声で船長呼んだかいがあったというものよ。
ここでモーガン大佐+一般兵(銃)数名登場、これでゾロの怪訝はかなり強いものになる。
だって俺ら捕まえるんなら剣でいいしね、銃なんか使ったらゾロに当たるかもしれない。
もしかしたらついでに俺も殺す気か?という疑念が少しでも出てくれれば更に上々。

「フン…まぁいい、反逆者を殺すついでにロロノア・ゾロの処刑もここで行う」

おk、完 全 論 破。
おおゾロさんの目がかっぴらかれた、まぁ信じてた約束が一瞬で嘘って分かったんだからね。
さてこれでゾロが仲間になるのは確定として、この場は…。

「船長、あいつらの相手お願いできます?とりあえず私この子避難させてゾロさんの剣持ってきますんで」

「おう、任せろ」

肩回してやる気満々ですか、交渉では出番なくてすでに船漕ぎ出してたしね。
ホントそういうスキルは無いな、まぁ真っ直ぐ俺と一緒に来い!で大体付いてくるしね。

「では任せましたー」

とりあえずこの唖然としているロリ少女を避難させないと。
あ、その前に。

「ちょっとおにぎりいただきますね?」

まだ唖然としてる少女の持ってたおにぎりを二つ(一個はキノコが一口かじった奴)を手に持って、ゾロに向かい合う。

「えい」

「あ…モゴッ!?」

うし、押し込んだ。
せいぜいあのキノコとの間接キスでも味わっておくのだなフハハハ!
べ、別に幼女におにぎり作ってもらったお前に嫉妬してるわけじゃないんだからな!

そんな事を思いながら飛翔、さっさと町にこの子置いてこないと。
























おし、運送完了。
頭なでて帰ってきました、涙目だったけどそんなに安心したんだろうか。
あれだよね?高所恐怖症だったとか無いよね?そんなにスピード出してもないし高く飛んでもないし…多分。

さて次はゾロの刀だが、場所が分からないので適当に全部回りますか。


即効で屋上到達、何だこのでっかい像。
とりあえず無視して上の階から回ってみようか、てかここ異様に高いな!
探すのに時間か借りそうだな…あーめんどくさい。



早ッ!上から探したらめっちゃはやッ!
なんか偉そうな部屋のすぐ隣の部屋に三本の刀が立てかけてあんの発見。
そういや三刀流ってなんか意味あんのか?まぁ戦国には六刀流なんてハイカラな武将もいたけど。
さて現在の戦闘をちと窓から観戦…まぁ一般兵はもちろんそこらを転がってました、ゴムゴムの鞭で一掃されたんだっけ。
今我らが船長と右手を斧にした大佐が戦闘中、お前はフ○ク船長か何かかって切れ味やべぇ!柵が一直線上に裂けたぞ。
いかんこんなことしてないでゾロ逃がさないと。

早速窓から空高くスカイハイ、うおすごい風。



足首くじくことなく難なく着地、つまらないね。
ネタにするようなことでもないけどね、うん。


「さて、ゾロさん…どうします?」

できるだけ笑顔でサムズアップ、さぁ選ぶがいい。

「…チッ、てめェは気にいらねェが俺はこんな所でくたばるわけにはいかねェ…いいぜ、仲間になってやる」

「そうこなくては!」

うっしゃ仲間ゲット!やったねアヤちゃん仲間が増えるよ!
生活スキルはゼロだけどな!ここ大事だけどな!
縄解くのはめんどくさいので風でパパッと縄を切り裂く、うんお手軽だね。
実は船の上で考え事しながら風で舟押したりして練習してたんだよ。
この能力船の上だとかなり便利になりそうだし。

「…お前悪魔の実の能力者だったのか」

お前もかよ!ちゃんと羽出してるじゃん!気づけよ!

「ま、まぁそうですね…はい刀どうぞ」

「ああ…うん?」

そんなやり取りしてたらなにやら無効が騒がしい、何事ぞ。







あ、あのキノコ野郎まだ生きていやがった!じゃなくてコビーに銃突きつけてやがる!
モーガン一人ならルフィで余裕だって油断してたわ。
まぁここは…

「さてゾロさん、ルフィ船長はあのキノコをぶっ飛ばそうとしてますが、あの斧野郎は起き上がってきています」

ルフィ船長大ピンチ、ゴムじゃ斧は防げません。
つまり行ってこい、ハリー!ハリー!
え、お前が行け?
いやあれですよ新メンバーの活躍の場面を作ってあげているんです。

「チッ!」

おお、はやいはやい。

後は早かった。
あの斧野郎がルフィに斧を振り下ろす前にゾロがその背中を一閃し、ルフィはキノコがコビーに銃を打つ前にゴムゴムのピストルで殴り飛ばす。
ナイスコンビネーション、今回俺要らなかったね。
まぁそんな日もあるさ。
そんなことより新メンバー加入を喜ばないとね。
さ、寂しくなんてないし!



[35488] 第五話 別れと新たな島、あと本気で航海の心配
Name: きな粉餅◆bd53e913 ID:fbc467fd
Date: 2012/10/17 07:34
モーガンが倒されてから、現在町はお祭り騒ぎ状態。
なんせあの斧野郎自分の権力を利用して町の人々から金や食料を搾取していたようで、町を見ればどこもかしこも酒飲んで飯食っては笑いあっている。
いいね、こういうの。
達成感っていうか、やっぱりいてもいなくても一緒だったんだろうけどこの町の今の状態を作ったメンバーに参加できたってだけでこんなにうれしいもんなんだね。
さて、今俺はというとあのおにぎり少女(リカって名前らしい)の母親に町を救ってもらった礼として食事もいただいた後、ちと用事といってゾロとルフィを置いて海軍基地にお邪魔している。
まぁ理由は三つある。

「すいませーんおじゃましまーす」

最低限の挨拶はしっかりね、まぁ誰もいないんだけど。
ここにいた海軍さん達は町のお祭りに全員参加だ、ちと無用心すぎはしないかね?
部下にも容赦なかったらしいしね斧野郎、なんせ逆らったら死刑頭が高かったら死刑廊下で肩ぶつけたら死刑って有様。
どこの皇帝だよ、基地の大佐って結構階級低かったよね?
本部ならかなりの階級らしいけど、威張れるもんじゃないだろ常考。
まぁそんなクソ野郎は早々に他の海軍ががんじがらめに縛り上げて引き取っていきました、心の底からざまぁww


ああ話がそれた。
今やっているのは斧野郎が搾取していた金の回収と食料の確保。
金はもちろん町に返却、まだ俺たちに必要とは思えないし。
あの店の損害が地味に気になるしね、料理美味しかったけど。
どちらかと言うとメインは食料の確保、これについてはお察しください。
つーわけでレッツハンティング、あの船長といるといつの間にか主婦並みの家計能力を持っていたなんてことがありそうで困るね!
こんなことを気にしなければならない日が来るとは…世知辛い。











うし完了。
まさかご丁寧に一番上の奥の部屋に金庫があるとはね、こじ開けて回収回収。
んで食料は食料庫にあった肉と野菜と水を袋三つに片っ端から詰め込んだ。
食料庫に酒は無かったけどモーガンの部屋にそこそこ良さそうな酒がいくつかあったので回収、喜びたまえゾロ君。
べ、別にゾロの高感度を上げようとか思ってるんじゃ(ry
あ、今気づいたけど野菜どうしようかな。
海の上じゃ調理できないよね。
オレタチ ヤサイ マルカジリ?
野菜生で食べれるのかな、洗ったらいけるかな?玉葱とかあるけど。
あの二人じゃ毒見役になんないし、毒でも平気そうだからな。
あーあ、野菜が恋しくなるとは末期だな。











海まで飛んでいくと出港準備を始めている二人発見、どうやらコビーは無事に分かれられたらしい。
原作のあそこはちゃんと覚えてるぜ、まさかアホっぽいルフィがあんな事するなんてってね。
意外と頭いいのかなとか思ってたけど後半とかもうね、完全に考えなしだけどカッコイイキャラって俺の中で決めちゃったし。
あ、海軍基地に行った理由の三つ目はコビーが殴られるとこを見たくなかったからです。
結構派手に殴られてた覚えがあるし。
へたれですいません。

「お待たせしましたー」

上空から船に着地、おお揺れる揺れる。
転覆するかと思った。

「ん?なんだアヤその荷物?」

「金でもかっぱらってきたんじゃねェのか」

失礼な、俺をなんだと思ってやがる。
酒上げないぞコラ。
金はちゃんとあの定食屋の前に置いといたわコラ。

「まぁいろいろと準備ですよ…」

生活能力ゼロの二人と船旅するなら、備えあれば憂いなし。
石橋を叩き過ぎるという事もなかろう。

「んじゃ出航しましょうか、忘れ物は無いですか?」

「「ない」」

「オッケーです、長くいても出辛くなるだけですのでとっとと出航しましょう」

さらばマサラタウン、そういやここ本来の名前なんだっけ。
まぁいいや、定食屋は面白かったですハイ。
リカちゃんかわいかったよお持ち帰りしたかったよ。
コビー、さようなら、生きていたら会いましょう。
よし、いえることはこの位かな?あの屑共についてはノーコメントでお願いします。



「ル、ルフィさん!アヤさん!」

ちと港から出たところでコビーが走ってきた、あと海兵さん達が沢山。
おお感動のシーンktkr。
コビーが敬礼を決める、いいねあの敬礼カッコイイね。

「ありがとうございました!!!このご恩は一生忘れません!!」

いかん目頭が熱い、涙もろくていかんわ。
隣を見れば二人は笑っている、くそうこれが男の別れと言うものか…。
精神は男なんだけどね、でも涙が出ちゃう。
だって女の子だもん(体だけです)。

「また逢おうな!!コビー!!」

カッコイイな船長、俺はかっこいい言葉が見つからなかったので船の上で立ち上がって敬礼する。

「全員敬礼!!!」

その言葉を言った人を筆頭にそこにいた海兵がみんな敬礼をしだす、返してもらえてうれしい。
てかあの人よく見たらあのキノコと一緒にいた人じゃん、雑魚とか言ってごめんなさい、偉かったんだあの人。
ああいかん向こう見てたら泣きそうだ、後は背中で語るだけにしとこう。
さらばコビー、俺が生きていたら逢おうぜ。
今フラグ立てた気がするけど多分大丈夫だろ、うん。











鴉は海に夢を馳せる
第五話 別れと、出会いと













「このバカチン共が!!」

なんなの?なんで三日であんだけあった食料と酒がなくなるの?
念を押したよね?食いすぎるな飲みすぎるなって、話聞いてたのこいつら。
俺の怒りが有頂天だわ、この怒りはしばらく収まることを知らない。
二人は現在正座中、こいつら俺が寝ている隙に二人宴会なんか開いてやがったらしい。
はぶられた悲しみと忠告を無視された怒りで超野菜人に目覚めそうです。
神速で飛び回り一発一発が星を壊す威力とかそれなんてムリゲ?

「「だってこいつが」」

「言い訳しないでください、海に突き落とされたいんですか?」

「「…すんません」」

二人はDOGEZA体型に移行、だが許さない、絶対にだ。
特にルフィ、ゾロの酒は数本だったとしてあの大量の肉をよくもまぁ消費できたもんだなおい。
流石ゴム人間とほめてやりたい、ご褒美に深海ツアーに連れてってやろうか。
で?俺はこの生野菜で島に着くまで持ちこたえろと?
この船調理設備も何にも無いよ、切って食うくらいしかできないよ。
そのときには絶対にゾロの刀使ってやる、腹いせに。
ああ、空腹のせいも相まってイライラしてきたよ。

「はぁ…」

ため息一つはいて空を見る、嗚呼あの鳥はいいなぁ。
でっかくってそこそこ肉がついてて美味しそうだな~。



アレ食おう、そうしよう。
背に腹は変えられない、あの鳥さんには俺が明日に向かうための架け橋の犠牲になってもらおう。

「ルフィ船長、アレ取れます?」

「ん?あの鳥か、食うのか?」

「YES、取ってください」

「ん、じゃ取ってくる」

いうやいなや手をマストに引っ掛けてそのまま鳥にロケットダイブ。
いいなアレ、パチンコみたいで面白そう。
そういやルフィってどこまで伸びるんだろうか、今度試してみようかな。
あ、ルフィ鳥につかまった。
そのままどこかへgo away、そんなに急いでどこへ行く。

「見てくださいゾロさん、我らが船長が…飛ばされて行く…」

「言ってる場合かァ!!」

おおゾロさんいい漕ぎっぷり、ゾロさんのちょっといいとこ見てみたい。
ふれーふれーがんばれー。

「テメーも漕げ!!」

「えーそんな事言っちゃうんですかー?二人してお酒とお肉食べきっちゃってエネルギー有り余ってるくせにー?」

おお押し黙った、これでかつる。
こうなった俺はジョイ君で落ちない一日放置された油汚れ並みにしつこいぜ。
フハハハ精精俺の為に馬車馬のように働くがいい。
ああお腹が減って力が出ない。
とりあえず近くに転がってた人参を齧る、硬い。


「お―――いそこの船止まってくれェ!!」

追跡中溺れている奴ら発見、こんな海のど真ん中で水泳大会たぁ中々根性あるね。
海王類が怖くないのかね、まぁ溺れてるとこ見ると完全にアホだね。

「どうする?」

「スルーで」

割とどうでもいい、海は非常なんだよ。
変な帽子かぶってたり人相悪かったり変な髪形だったりしてるので海賊っぽいし。
何より船長がもう見えそうで見えない様な所まで飛ばされちゃってるからね。
急がないと見失っちゃうし。

「船は止めねェ!勝手に乗り込め!」

おお酷い酷い、まぁ乗せるチャンスを作っただけやさしい方か。
でも残念俺は優しくないんだ、団扇構えて準備万端。
風を適当に操って更に船のスピードを上げる、ヤバイ車並みのスピードでてる。

うわー案の定轢いた、でも上に撥ねたと思ったらそのまま船の上に乗ってきやがった。
物理法則を無視するんじゃない、雑魚キャラの癖になまいきだ。

「「「殺す気かァ!!!」」」

そうでしたが何か?チッ、なぜこの世界の雑魚は揃いも揃って頑丈なのか。
雑魚に用は無いのだよ雑魚には、大将首もってこい。
てか腹減ってるのか考え方が外道よりになってきたな、CHAOS寄りになってきてるのか。
妖怪だしね、仕方ないね♂
いやゾロさんも笑ってるんで俺も正常です、そうですよね?
んでもって案の定剣を取り出す雑魚面々、はいはいお約束お約束。

「おい船を止めろ、おれ達ァあの"道化のバギー"様の一味の者だ」

バギー?ああ、あのつけっ鼻ね。
あいつの能力って一般人からしてみるとそこそこ怖いけど悪魔のみシリーズじゃハズレそのものだよな。

「あァ?」

「あーゾロさんそのまま漕いでてください、私がやりますんで」

こんな雑魚共では船の上でも話にならんね。











「あ、あっはっはっは――っ、まさか海賊狩りのゾロさんとそのお連れ様だったとはつゆ知らず、しつれいしましたっ」

「そんな謝罪よりも誠意の行動で示して欲しいですねぇ?」

なるべく笑顔で、笑顔は人間の威嚇行為だって聞いたことがある。
現在ゾロと道化一味三人で船を漕いでる…というか漕がしている。
一応風を操って速度上げたりしているんだけど、何分腹が減って力が出ない。

「はいキビキビ漕いでくださいね~サボったら承知しませんよ~?」

いいね、強者の特権。
いっそこの力を使って天狗海賊団なんてのを作っても面白そうだったかな。
まぁ今の船長には一応借りがあるんでそれを返すまでは絶対しないけど。




そんなこんなで島に到着、やっぱ力を合わせると早いね。
そこそこ整った港に数個のでかい船、結構栄えてる町っぽい。
マサラタウンとは違うんだなうん。

「さて、うちの船長探しますか。ああ、あなた達はどうとしてもらってもかまいませんよ?」

そういった瞬間三人は覚えてろー!とか叫びながら逃走、逃げ足だけは速い。
逃げ足は雑魚敵の特権(名前がないやつに限る)。

「さーゾロさん、どこから探します?」

「お前が飛んで探したほうが早いんじゃねェのか」

それもそうですね、早速飛翔飛翔。
だがこの島マサラタウンと違ってかなり広い、人一人探すのはちょっと。
なんだけど、一軒の民家の上に何人か集まってるのを発見。
ルフィは波乱を呼ぶからね、そういう騒ぎの所に多分いるだろ。
もうここ全然原作覚えてないわ。

「ゾロさーん、なんか人が集まってる様なところ見つけましたー」

「そこにあいつがいるのか?」

「十中八九いるでしょうね、船長ある所に乱有りですから」

世紀末伝説麦わらの拳、最強の拳法殺しだな。
南斗聖拳にはめっぽう弱いけど。

「んじゃ行くぞ」

「イエッサー」

さーて面倒くさいことになってないといいなぁ。
有り得ないっていうのは分かっているんだけどね~。



[35488] 第六話 自由なのと常識にとらわれないことは紙一重
Name: きな粉餅◆bd53e913 ID:fbc467fd
Date: 2012/10/28 15:02
「いねェな」

「いませんね」

やって参りました騒ぎの源、うわー変な格好した奴がいるわいるわ。
町の奥のほうのでかい家の上でなんか海賊が沢山いました。
どうやらお食事中らしいです、どうでもいいね。
というか海賊ってのは何?変な格好しなくちゃいけない訳?
世紀末じゃモヒカンとスキンヘッドばっかりだけどそういう理屈ですかそうですか。
ざっと見た所四十人チョイくらい、クリークは三千人だっけ?
少ないなー、人望無いんじゃないの?いやなんか最新刊くらいで妙なカリスマ発揮してたっけ。
そんな事思いながらバギー見てたら睨まれました、ゾロのほうが十倍くらい怖いね。

「なんなんだてめェら、このバギー様の首でも取りに来たってのかァ?」

「人探しですよー、小物の首なんて興味ないんで」

「息を吐くように喧嘩売ってんじゃねェよ」

おお、面白いくらいに青筋立った。
でもこいつ手と上半身くらいしか空飛べないよね、雑魚乙。
でもこいつゲームだと異様に強かったんだよなー、くまとかエネルよりこいつのほうが強いってどういうことだよ油断して全滅したよ。
さて喧嘩を売るのはそれくらいにして、ルフィがいなけりゃいないでやることは有る。

「おー中々ですね、最近は調理もろくにしてない燻製肉とかしか食べてなかったので感動的です」

「「てめェはなにやってんだァ!!」」

ゾロとバギーの声がハモった、お前ら友達かなんかか?
何って飯食ってんだよ、こちとら空腹で食料取りにいった船長もいくえ不明(何故か変換できない)だよ、死ぬよ?
周りの雑魚共はバギーの邪魔するのが怖いのかかかってこないし、まぁかかってきたら風で屋根から叩き落すだけなんですけどねー。
もしくはゾロの刀の錆になるか、雑魚ってのは損な役割だね。

「てめェ無視すんじゃねェ!!」

「五月蝿いです、食事ってのは静かで一人で豊かなんです」

アームロックかけるぞコラ、まぁその体には無駄だろうけどね。
おお野菜がうまい、俺ベジタリアンになるかも。
でも困ったことに肉もうまい、でも肉とパンってあんまり合わないな。
多分日本人の味覚だからだけどね。

「ふう…満足満足、さて船長探しますか」

「お前どんだけ自由なんだ」

「自由に生きたいがためにうちの船長についていこうって決めたものですから」

助けてもらった借りもあるしね、そのうち返しますよそのうち。
んでそこの面白いくらい顔真っ赤にしているピエロさんはどうしますかね?
無視でいいや、相手にするの面倒くさいです。
お腹いっぱいになったら眠くなってきたしね。
ああでも船長探さないと、もうゾロに任せようかな。

「んじゃ後はごゆっく「まててめェ」うえ?」

なんかピエロに話しかけられた、おお立ち上がった。
ナイフまで持って戦闘準備満タンですか、まぁ喧嘩売ったの俺なんで自業自得だけどね。

「てめェ、このバギー様に喧嘩吹っかけといてただで帰れると思ってねェだろうな」

「えー見逃してくださいよー、鼻の大きさに比べて器は小さいんですか?」

ん?あれ?これ以上喧嘩吹っかける気は無かったのにな。
ごく普通になんか煽り文が出てきたぞ困ったな。
案の定マジ切れしてますし、あははは変な顔だなー。
いかんなんなんだ俺の思考、自由を通り越して別の何かになってきてるぞ。

「誰がデカッ鼻だァ!!」

んでもって飛んでくるナイフ複数、見事に俺の急所一直線。
だが残念、俺の前にはゾロがいる。
剣一本でらくらく叩き落とされるナイフ、実際見ると超人の域だね。
超人でした。

「悪魔の実か、めんどくせェ相手だな」

「バラバラの実のバラバラ人間、ゾロさんじゃ相性が悪いですね」

これ以上は流石にやばいので撤退、左手でゾロを持ち上げアイキャンフライ。

「!てめェも悪魔の実の能力者か!しかもゾロだと?」

なんで皆さん空飛ぶ前は俺の羽根を見ないのかね?
飾りもんとかだと思われてる?たまに動くだろよく見ろよ!
まぁそんな事はさておきさっさととんずらこきますかね。

ああ、でも飛び去る前に笑顔で右手をサムズアップ。

「それでは赤鼻さん御機嫌よーう」

なんか目覚めてきた。
人を煽るのって…楽しい。
うわーこれでもかってくらいに真っ赤だなーふふはははっ!
さて船長探さないと。

「…お前最低だな」

「いやですね、私は至って常識的です」

そうそう常識的常識的。
常識っていうのは非常識のことを言うのでしょう?
…ん?なんか変だな、頭が痛い。
俺こんな外道だっけ。












鴉は海に夢を馳せる
第六話 自由なのと常識にとらわれないことは紙一重












あ、いけね。
この後バギーにルフィ捕まるじゃん。
ヤバイヤバイ原作すっかり忘れてたよ、またあそこに戻らないといけないのかー。
でも結構町のはずれのほうに来ちゃったよ。
てかあそこに戻ったら面倒くさい目に合うんだろうなー。

「なんでお前あいつに喧嘩売ったんだ」

「ノリで」

ゾロさんの疑問には即答しました。
ていうか俺にもわかりません、ネラーの血が騒いだのかな。

「何はともあれ、船長を探さないといけませんねー」

露骨に話題をそらす、考えても無駄なことは思考停止するに限ります。
なんかゾロさんが怪訝な顔してるんだけど、俺の顔になんかついてる?


なんか変な足音が聞こえる、ああそういうことね。
どうやらあの赤鼻追っ手を出したみたいだ、まぁ黙ってはいないと思ったけどね。

通りの向こうに見えるのは…ライオンですね。
んでその上に乗ってるのは…え?なにあれUMA?
人間っぽいウサギのようなおっさん、間違いないあれはUMAだうん。
更にその隣にいるのは…普通のおっさんだがなぜ一輪車に乗ってる?
刀持ってるのはさておきなぜ一輪車に乗ってる?
海賊ってのは常識にとらわれない生き物なんだね、再確認したわ。

「んじゃゾロさんはあの一輪車の人よろしくお願いしまーす」

「結局こうなるワケか」

そんな事言いながらやる気満々じゃないですか。
どうやって刀咥えながらしゃべってるのとかは気にしないとして。
とりあえず二手に分かれる、二人とも俺を追ってくる可能性もあるけど…そのときはケースバイケース。












「余計な心配でしたね…」

俺を追ってきたのはライオン、グルルとか言っちゃってますよ。
サファリパークに帰れ。

「おれはバギー海賊団猛獣使いのモージだ」

「海賊団?サーカス団の間違いでしょう」

「…」

黙るなよ!否定しろよ!
なんでしょんぼりしてるの?おっさんのしょげた姿とか誰得?
少なくとも俺得ではないね、吐き気がするぜ。

「バギー船長の命令で、貴様を殺す」

「否定しないんですね」

「…」

一々しょげんな!もういいよ!
めんどくさいよこの子ー、ゾロお願いだから変わってくれ。

「どうやらお前は俺の恐ろしさを知らないらしい…俺はどんな動物も手懐けられる」

「で?」

「…」

この子の相手するの疲れたお( ^ω^)
もういいや、うん。
さっさとレッツパーリィしたほうが楽だと判断、戦闘体勢に入ります。
団扇持つだけだけどね。

「フハハハ…まさか俺とリッチーに勝てると思っているのか?」

「当たり前じゃないですか、獣如きにやられる覚えは無いのです」

「…そうか、やれリッチー!!」

いうやいなや襲い掛かるライオン、さてどうやって対応――







「お す わ り」









…ライオンが座った。
え?今の何?何が起こった?
今の声俺が言ったんだよね?
…え?

「な…」

ほらこの何とかって人も押し黙っちゃってるし。
ライオンに至っては頭抑えてるよ。
どうしてこうなった?どうしてこうなった!


「失せて下さい、邪魔です」


俺KOEEE!!!
何口走ってんだ俺!
Be cool!Be cool!落ち着くんだ…とにかく落ち着け。

ふう、あれ?あのライオンとおっさんどこ行った?
というか俺何するんだっけ?
そうだルフィ探さないと。
ルフィ探さないと。



[35488] 第七話 暴走(意味深)と航海士、まぁまだ重要じゃないけどね
Name: きな粉餅◆bd53e913 ID:fbc467fd
Date: 2012/10/17 07:36
気持ちが悪いです、喉が焼けるように痛みます。
吐き気がします、胃がねじ切れそうです。
え、何この状況。
ちゃんと地面に足付いてる?目の前が真っ白で見えないんですが。
熱中症でぶっ倒れた時ってこんな感じだったな、そういや。
でも妙に頭は冷静で、「ああこりゃ駄目かもしれないなー」なんて思ってしまうのでした。
あのよく分からんおっさんと戦ってからずっとこうだ。
もう十分位過ぎたのかそれよりもっと過ぎたのか分からないけど、とにかくずっとこうだ。
どうしよう、医者もいないし。
船長を探さないと。
探してどうにかなるって訳じゃないけど、とにかく探さなきゃ。
探さなきゃ、誰か。
誰かを。
誰を?
誰もいないのに。






吐き気がする。
誰か。
白い。
視界が白い。
真っ白な壁が目の前にあるみたいだ。
真っ白な。
誰もいない。
誰も。



そのまま地面に倒れこんだ痛みがまるで他人事のように感じた。
痛いけど、なんだか楽になるような気がして。
何から楽になるんだろう、この気持ち悪さからかな。
このまま少しだけ寝てしまおうか、ちょっとだけ楽になるかもしれない。
ちょっとだけ目を閉じるだけ――



「おい!アヤッ!?」

――ひゅい!?

耳元で大声出すんじゃありません!ビビるだろうが!
なんなんだよ、ちょっと寝るだけだって大丈夫大丈夫五時から起きて準備するって。
だから少しだけ寝かせて揺らすな揺らすな揺らすな!
気持ち悪いわ、てか仮にもぶっ倒れてるおなごの肩持ってガックンガックン揺らすってどういう頭の回路してんじゃコラ。
もしかして殺す気ですか?気に入らないって言ってたし。

「ああ――」

結局口から出たのは漏れるような声、一緒に吐瀉物噴出さなかっただけ良好。
んで誰ぞって思って半目開けたら、緑の短髪が目に入ったのですぐに分かった。
ゾロ君、心配してくれるのはいいが君は少し女性の体の気遣い方を覚えたほうがいい。
てか覚えてください現在進行形で死にそうですその肩揺するのを止めてください。
吐いて欲しいのか?吐いてやろうかコラ。

「大丈夫ですので、手を止めてください。吐いて欲しいなら別ですが」

「…無事か」

「微妙な線です、吐いたら女としては無事ではいられませんがね」

ふぅ、やっとガックン地獄から開放されたよ。
死ぬかと思った、二つの意味で。
あ――うん体のほうも楽になってきた、吐き気もおさまったし。
なんだったんだ一体全体、熱中症?
ああそうかもしれん、そういや船の上で食料食べるの自重してたら自然に水も飲む量少なくなってたからな。
海の上で熱中症、いや別にありえない話じゃないんだろうけどシュール。

「てっきりあのヘンテコなヤローにやられたのかと思ったぜ」

「失礼な、あんなしょぼいモブにやられるほど落ちぶれていません」

あんな雑魚にやられてたら先が思いやられるね。
ゲームにも出陣させてもらえなかったような雑魚には出番を作ってやることすらおこがましいのだよ、ハハハ!
じゃなくて、あれ?何するんだっけ。

「あ、そうだ船長」

ルフィの存在すっかり忘れてた。
ゾロもすっかりあの一輪車と戦うのに夢中になってたのかあ、とか言ってるし。
まずいなーまだ処刑されてないよね?
まぁそんな簡単に死ぬタマじゃないですよね。
なんせあの幸運Exのルフィだしね。
でも急がないと万が一ってこともありえるし。
















鴉は海に夢を馳せる
第七話 暴走(意味深)と航海士、まぁまだ重要じゃないけどね
















そんなこんなで再びやってまいりました屋根の上。
いや堂々といる訳ではございませんよ?屋根の縁から頭だけで覗いてる状態です。
俺は飛んでいる状態、ゾロは屋根縁の鉄柵に掴まって宙ぶらりん。
あ、あの帽子(赤いお茶碗ひっくり返したようなやつ)は外してあるよ、ばれない様に。
見るとなんか皆でお祭りやってるし、さっき飯食ってただろお前ら。
んで見回すと1.5立方メートル位の檻に捕まってるルフィ発見、雁字搦め。
ゾロが片手だけ離して頭抱えてるよ、すごいなその体制。

「なにやってんだあの馬鹿船長は」

「ばかゆえしかたなしです?」

そういう星の下に生まれたような男ですぜ、割と本気で。
某幻想殺しさん並みに波乱に巻き込まれる体質、いや戦争とかに巻き込まれてる所見るとルフィのほうが。
いや上条さんも戦争に巻き込まれてるわそういや、海賊と死線を超えた数が等しい一般学生ってすごいな!
その分いい思いもしてるけどね、死ね。

「さてどうやって助けましょうかね」

原作じゃあの変なおっさんのライオンがルフィの檻壊したんだっけ?
もう再起不能にしちゃった(・ω<)^☆
まぁいざとなったら妖怪パワーであの程度の檻ぶち壊してくれるわ。
今思うとまともじゃないね、まぁ上司は太陽を砕くようなお方だしね。

そんなこと考えてたら息を切らしたあの変なおっさん登場、手に一輪車の奴を抱えてる。
そういや逃がしたんだっけ、すっかり忘れてました。

ざわつきだす脇役共、顔真っ赤にする赤っ鼻。
どうしよう、宴会にまぎれて動こうと思ったけど動き辛くなっちゃった。
墓穴掘ったかね、まぁどうとでもしようはある。

叫びだす赤っ鼻、走って屋根から去っていく雑魚面々。
恐らく俺たちを探すために追っ手として総動員したんだろうが、いやー好都合好都合。

「いきますよゾロさん」

「あいよ」

全員が出てったところで屋根の上に飛び出す、屋根の上にいるのは檻の中のルフィとなんか戸惑ってるナミと赤っ鼻のみ。
飛び出した瞬間赤っ鼻の顔が十面相みたいに変わっていく、もうサーカスやれよ。

「てめェ、鳥野郎!それにロロノアァ!!」

「Yes,I am!チッチッチ♪」

ヤッテミタカッタダケー、うんちょっとだけすっきりした。
吐き気ももう完全になくなった、完全復活パーフェクトあややだぜ。

「アヤァ~!!それにゾロォ!!」

うちの船長も無事みたいだね、ならちょっとやりたいことがある。
とりあえず無言でルフィの檻の方まで近づく。

「よいしょ」

「うえ?」

ルフィの檻を肩に担ぐ、おお軽い軽い。
そのまま屋根の上からポーイ、うっしすっきりした。
ガシャーンといい音が下のほうから聞こえたので檻もついでに壊れてくれたんじゃないかな、原作でルフィがかじったりしてたから脆くなってる筈。
その程度で壊れるはずない?うちの船長の歯をなめるなよ。
骨付き肉の骨を噛み砕いて食ってたのはいささかびびったぞ。
てか二人くらいの悲鳴が聞こえたな、一人ルフィで後誰だろ。
大方そこらのバギー一味Aが巻き込まれたのかね、南無三。



「「だから何やってんだてめェはァ!!」」

再び被るゾロとバギーの声、だからお前らは友達かなんかか?
与えられたミッションもこなせず帰還も失敗するような船長にはお仕置きが必要なのだよ。
とりあえず口には出さすサムズアップしておく事にする。

とか思ったら腕伸ばして屋根の上に登ってくるルフィ、ケロッとしてやがる。
ロープまで解いたのか、ロープつかんで振り回してやろうと思ったのに。

「なんで落としたんだ?」

「ノリです」

「ノリか」

よし弁明完了、まぁする気なんかさらさらないんだけどね。
さて船長の封印が解けられた、これでかつる。
さぁ船長、町が破壊されないうちにさっさとあの赤鼻ぶっ飛ばしちゃってください。

「まさかてめェから殺されに来てくれるとはなァ!!鳥野郎ォ!」

野郎じゃないっちゅーのに。
心は野郎そのものなんですけどね、今は乙女ですぜ。

「船長ー、あのデカっ鼻が私の事殺すとか言ってきて怖いですー」

「…この女狐」

よしお前ら喧嘩しろ。
案の定バギーは『デカっ鼻』に反応してぶち切れ状態。
てかあれには何が詰まってるんだ、夢と希望?
そんなものお前にはないがな!
というかゾロ君人聞きの悪いことを言わないでくれたまえ、君の前にいるのはか弱き乙女なのだよ?
おそらくこの体人間の君より力強いだろうけどね。

「派手に死ねェ!!」

おおナイフと手がこちらに襲い掛かってくるよぅ。
だが反省しないなピエロ野郎、俺の前にはルフィがいる。

「お前の相手は俺だ」

手ごとナイフを叩き落とした、一歩間違えば手ェ切るぞあれ。
ワンピースの奴らはどうしてそこまで無茶をするのか、自信からかね。
なにはともあれ船長がんばれー。

「邪魔するんじゃねェ麦わら野郎!!」

「いやだ」

なにはともあれこの二人はぶつけておかないといけないしね。
だから決して俺が外道なんて事はないんDA☆
まぁグランドラインを目指す二人同士仲良くやっていてください。
どうせルフィが勝つけどね。
というわけで俺は一時退散。
いろいろとやることがあるんでね、まぁ分かると思うけど。














うっし大量大量。
やることっていうのはもちろんバギーの船から片っ端から食料と財宝を取ってくること。
どうせ盗んだか奪い取ったものだしね!盗っていいのは盗られていい覚悟のある奴だけだ。
うん俺いいこと言った、だからもらっていきますそうします。
…いかんなまた頭が痛い、そろそろ勝負も付いてるころだと思うしさっさと戻ろう。
しかしこれだけあると『重いな』、落としたら食料も財宝もパーだし気をつけないと。
てかバギー海賊団の海賊旗って鼻でかく書いてあるよね、自覚してんじゃねぇか。
まぁどうでもいいけどね、いいなーこの船でかいなー。
さっさとメリー号欲しいよ、でもその前にコックが欲しいよ。
まぁまだまだ苦戦はしないレベルの奴らばかりだろうし、どんどん進めてくかね。
でも無双したら原作壊れるし、今も結構な勢いで原作壊してるけどね。
原作にいないキャラ仲間にしてみるってのも面白そうかなー。
いや無理だろうけど、でもできたら面白いね。
ボス軍団で海賊団、あ駄目だ仲間割れすんのが目に見えてるわ。
外道ばっかりだしね、俺が言えた事でもないけど。
いや外道ってのは人の道を外れることだから俺はセーフ。
どう考えても人外だしね、精神も転生者だし。
さてくだらないこと考えてないで戻りますか。













バギーはお星様になったのだ…ド派手にね。
飛んでいったら少し横を小さくなったバギーが吹っ飛んでいきました、南無三。
それでも死なないんだよな、バギー。
ここの人間って本当におかしいよ(※←人外です)。

「ただいま戻りましたー」

「ん?お前どこいってたんだ?」

「この荷物を見てお察しください」

首をかしげながらいう船長、殴りたくなってくるね、効かないけど。
まぁあんだけ反省させたから次はないよね、多分。
んでそこらに大量にばら撒かれてる財宝といくつかの壊れた家、そこそこいい勝負だった様子。
ルフィ顔切れてるし…あ、抱えてる麦藁帽子に穴開いてる。

「船長、それ」

「ん?ああこれか、かぶれるからいいや」

「いや後で縫ってあげますよ」

「そうか?たのむ」

まぁルフィにとっては宝物だしね、その帽子。
さすがにそのままってのは忍びない。
裁縫は結構得意だった気がするから多分直せるはず。
いや記憶便りになるけどね、いざとなったらナミによろしくする。
…そういやナミは?

あ、散らばった財宝集めてるわ。
とりあえず手伝うか、この荷物は置いて、と。

「お手伝いしますよ」

「え?え、ええありがとう」

ありゃ、警戒されてる?
そういや最初ナミって海賊嫌いだったんだっけ。
ベルメールさんの話は昔読んでアニメで見て二回泣いたな、ナミさん…。
鬱イベントはなるべく回避したいけど、過去の話になるとどうしようもない。
過去変えちゃったら仲間になる人も仲間にならなくなるかもしれないし。
仕方ないことだとは思うんだけどね…。

「あなたも、海賊なの?」

「?ええ、そうですよ」

やっぱ聞いてきたか、まぁ海賊なんてろくでもないものだって思ってるだろうし。
この体だと結構若く見えるし、十代後半くらいか。

「…なんで海賊なんかやってるの?」

「…んーそうですねー」

そういえば結構勢いでなっちゃったけど、これといった目標ないんだよね俺。
自由に生きたいってのがあるけど、それも目標でも夢でもないし。
…まぁ今の所は

「今の船長に惹かれたから、ですかね?」

惚れたとかそういうんじゃないけど、命助けられてなんとなく?
んーもっとなんかある気がするけど、なぜか頭から出てこない。
まぁでも言葉にするならこんな感じかな。

「…そう」

「ええ、ルフィ船長はそこらの外道な海賊とは違いますし。なにより命を助けてもらった恩もありますので」

まともな海賊って赤髪海賊団と白髭海賊団と麦わら海賊団とって数えるくらいにしかいないよね。
いやこっちが普通じゃないんだけどね、恐怖で集めるかカリスマで集めるかっていったら恐怖で集めるほうが断然楽だし。
てかナミさん黙っちゃった、地雷だったかな。
でも本当のことしか言ってないし、いいよね?


とりあえず、財宝は集め終わった。
ナミさんの持ってる財宝が恐らく一千万ベリー、俺の持ってきた財宝が約二千万ベリーって所らしい(ナミさん計算で)。
あんまり盗らなかったんだねとか言ったら、そこまで踏み込めなかったしそんなにもってたら絶対捕まってたとの事だ。
いや一千万盗んでグランドラインの海図盗んだってだけで凄いけどね。
一歩間違えれば死ぬレベルだし。


「これであらためて仲間になるんだよな!」

「手を組むだけよ、あんた達といると儲かりそうだし」

チラッとこっち見たのばればれですぜナミさん、隙見て俺の財宝盗るつもりだな。
だがそうはい神埼、盗られるくらいなら交渉に使います。
どこの誰の交渉にかは決めてないけど、まぁナミさんに渡しちゃってもいいと思うけどね。
結局は取り返すし。

「で、ゾロさんは何故寝てらっしゃるので?」

「暇、寝る、って言って寝たわ」

まぁバギーはルフィと戦ってるし、ゾロはやることないわな。
肩に担いでいってやりたいが、あいにく食料と財宝で満員だぜ。

「…というか、あなたすごいわね。背中の羽根から見るにあなたも悪魔の実の能力者でしょ?」

「え、ええまぁ」

「…昨日まで、というかさっきまで悪魔の実なんて御伽噺だと思ってたのに」

まぁ物理学生物学科学とありとあらゆる法則に喧嘩売ってますしね。
漫画ゆえ仕方なしっていうのはあるけど、その世界に入ると理不尽この上ないのは否定できない。
まぁそんなこといったら東方なんて概念まで捻じ曲げちゃうしね、あややなんかやさしい方だよ。
運命を、生と死を、境界を操りありとあらゆるものを壊し、奇跡を起こす。
このうちのどれかのキャラになった瞬間無双どころの騒ぎじゃないからね?
一歩間違えれば分単位とかからずこの世界の住人皆殺しだよ。
バランスブレイカーどころの話じゃないよ。

さて、まぁそんなことはさておいてさっさとこの島出ちゃいますか。
感動的なこともなかったしね、欝なこともなかったけど。
まぁ気にしない気にしない。
悪いこと起きなかっただけましってもんよ。

「では、あらためてよろしくお願いしますね?航海士さん」

「ええ、よろしく」

二人目、といってもまだ本当に仲間になったわけじゃないけど。
賑やかになるのはいいことだね。



[35488] 第八話 さくせん>気楽に行こうぜ
Name: きな粉餅◆bd53e913 ID:fbc467fd
Date: 2012/10/24 06:42
「―――ですから―――――」

「それは――――だろう!―――」


二つの、二人の声が聞こえる。
怒鳴る様な男の声と、それをなだめるような男の声。
なんだか懐かしいような、声。
何が懐かしいんだろう。
駄目だ、全然思い出せない。

思い出せない?
何を?

見えない。
まるで霧がかかったみたいで、二つの影くらいしか見えない。
ここに聞こえるのもノイズのかかった雑音のような声。
うるさい。
ウルサイ。
キキタクナイ。

「―――――」












「アヤ!島だ!島が見えたぞ!」

「…んゆ~?」

うるさいなぁ、人が折角気持ちよく眠ってるって言うのに。
ていうか船長肩もって揺するのやめてくだしあ、流行ってんのそれ?
変な流行に流されちゃいけませんってテレビで習わなかったか。
あ、この世界にテレビ無いや。
ていうか太陽の進み具合的に昼寝してから一時間も立ってないよね。
やっぱ神様は俺のこと嫌いらしい、何度も言うが俺も嫌いじゃい畜生め。
おかげで変な夢見るし、全然覚えてないけど。
まぁ夢ってそんなもんだよね。

「島、ですか?」

「ああ、島だ」

…んー確かに見えるけど、どう見てもこじんまりした無人島じゃん。
あれ上陸するの?俺の記憶だと次って確かウソップの島じゃなかったっけ?
あんな場所あったっけな?全然覚えてない。
くそぅ、今更になって原作読みたいけどあるわけないし。
あったら未来書になるけどね。

「上陸するんですか?」

「するぞ」

「あんな島に?」

「島があったら上陸して探検するのが海賊だろ!」

そんな自信満々にいわれましても、それどっちかというと冒険家だよね。
島の人からすれば海賊なんて大部分が害悪でしかないし、あと酒場のカモ。
気乗りしないなぁ、寝たい。
船の上で寝ると揺れがいい感じで気持ちいいんだよね、ちょっと体痛いけど。
まぁいいや。

「ゾロさん、起きてくださ~い」

とりあえず腹部に一蹴り、軽めだったつもりだけどグホッ見たいな声でたね。
まぁ気にしない気にしない、こっちが嫌な気分で起きたのに目の前にぐーすかイビキかいてる奴がいたら誰だってそーする、俺だってそーする。

「ちったぁマシに起こせ…」

おやおや腹を押さえてどうしたんです?昼寝のし過ぎでお腹でも冷やしました?
こっちはルフィの麦藁帽子直してお前らが飯を食わないようナミが宝を盗らないよう後ろに荷物を置いて守護獣のように寝てたんだよ。
昼寝するのにもマジ寝するのにも安息なんてないんだよコラ。
ナミさんはバギーの所から奪った船に乗ってるから乗り移って来たら警戒できるけどお前らそうはいかんだろうが。
海の上では酒は一日一本、肉も一日三食、これ以上は認めません。

あれ?すでに家計スキルが急激にアッポしてきているんですがねぇ?
気にしたら負け…だよね。

「ナミさーん、上陸するらしいですよー」

隣を航海中のナミにそう呼びかける、本当に近いから軽く呼びかけるだけで聞こえる…はず。
なんせ向こうの船には一室寝室みたいな部屋があるからね、こっちは何もないからね。
テラウラヤマシス、メリー号はやくきてーはやくきてー。

「お待たせ、っていうかあれどう見ても無人島よ?猛獣とかいるかもしれないし…」

「うちの船長が行くって聞かないんで、まぁ猛獣に食われたら笑ってあげてください」

もうどうにでもな~れ。
てか一度猛獣の腹の中に入ってもらったほうが反省してくれるんじゃないかな。
あ、でも大蛇の中には入るね。















鴉は海に夢を馳せる
第八話 さくせん>気楽に行こうぜ













んで到着しました無人島。
辺りを見れば木と木と木と木、いいね資源満載だね。
フルーツでもなってれば最高だったけど、このあたりには見えない。

「という訳で、食料および…期待はしていませんが宝などの探索をお願いします」

「おう!任せろ!」

素直でよろしい、というか食料は君の分だからねルフィ君。
時分の食う分は自分でとってきてくれ、いい加減忍び込んで盗ってくるの嫌になってきたんだZE。

「食料なら十二分にあるだろ?」

「十八分食べる人がいるんですよ」

まぁゾロは保険で、食料はたくさんあって困るもんじゃないしね。
腐らせなければという前提は残念ながらこの一味にはありません、いい事なのか悪いことなのか。
まぁ酒の分文句言わずにいって来い腹巻。

「こんなところにお宝があるなんて思えないけど…」

「万が一、ってこともありますしね」

まぁないだろうけど、人生かもしれない運転で行けってね。
注意するにしても楽しむにしても可能性を考えるのは大事です。

「という訳でがんばってください」

「アヤは行かねェのか?」

「がんばろうと思ったのですが、やっぱり無理なようです」

眠い、超眠い。
ゆっくり眠るチャンスだ、絶対に逃さないぜ。
もう警戒しながら浅眠りをするのにも限度があるんだよ、お願い寝かせてください。

「ん、そっか。んじゃ行ってくる」

「安静にしとけよ」

「え~と、お大事に?」

うるさい原因三人集。
誰の所為だと思っているんだよこのやろう。
あ、駄目だわ眠いわもう寝ます。
ふらふらっと船に乗り込むと、やはり波の揺れがいい感じ。
ゆっくり…眠れ…そう、だ。


















「容態――――――は規則上―――」

「―――――!俺は―――――――!!」

うるさい、うるさい。
なんなんだよ、なんなんだよ。
聞きたくない。
話しかけるな!
黙れ。
黙れ!
ダマレ!

白い。
白い霧。
白い場所。
上も見ても下を見ても横を見ても前も後ろも白白白白白シロシロシロシロシロ。
見たくない、見たくない!
目を目をつぶらないと。
目が目が目の前がメノマエガ真っ白にマッシロニ。
白白白白白白シロシロシロシロシロシロシロシロシロシロシロ。
嫌だいやだイヤダ!

誰か――誰か!







船長!













…頭が痛い、ボーっとする。
今何時…って結構夜だな、月が見えるってことは。
ん?あれそういや無人島にいたんじゃなかったっけ?んー。
あ、もう探索して出てきたっぽいね、船の上に結構な量のフルーツが置いてあるし。
どうやら今回はミッションを無事コンプリートできたようだな、関心関心。
…てか結構無防備に寝てたんだな、ここまで起きないとは。
まぁ見たところ食料にも財宝にも手を出されていないっぽいし、いいか。
月が綺麗だなー、なんだか右手を振りたくなるね。
一人でやってもむなしいだけだけど。

うんナミさんは個室で寝てるから分かんないけど、男二人は寝てるから俺一人か。
ツマンネ、寝ようかな。
でも昼寝したから眠れないな、ゾロでも起こそうか。
…いや、今回はゾロも探索に同行したし勘弁しておいてやろうか。
てか迷子にならなかっただろうなこいつ、なっただろうな。
気にしない気にしない、『俺は悪くない』っと。
さて暇だし月も出てるし一人酒としゃれ込みますかね。
そういやこの世界に来てからは一回も酒飲んでないな。
お酒はいい、リリンが生み出したストレス発散の極みだよ。
飲んだら寝れるかもしれないしね。


「…アヤ?」

「へ?」

一度寝たら腹にナイフ当てられてても起きないルフィが起きるとは珍しい。
しかもこんな真夜中に、腹でも減ったのか?

「どうかなさいました?」

「…んー、なんか呼ばれた気がした」

テレパシーにでも目覚めたのか?
てか呼ばれたって誰によ。
少なくとも俺は聞いてないし、俺でもないがね。

「まぁそれはさておき、今日の無人島はどうでした?」

「珍獣のおっさんがいた」

珍獣のおっさん?屁怒絽閣下にでもあったのか?
よく無事でいられたものだ、あの方は一睨みでワニを殺すというのに。
まぁ冗談はさておき誰だっけ、珍獣のおっさん…。
オカマ野郎?こんなところにいる訳無いしな。
でも他に検索候補が無い、忘れているのかね。
まぁいいや、俺が忘れているという事は物語にさして影響を与える存在ではあるまい。
んじゃ勤労結果も報告してもらおうか。

「このフルーツ誰が取ったんですか?」

「珍獣のおっさんがくれた、いいおっさんだったな~」

もらい物ですか、まぁ収穫があっただけ文句はいわないけど。
てか本気で誰だろ珍獣のおっさん、気になってきたけど聞いたら負けな気がする。
ああでも酒飲んでるとどうでもよくなってくるな。

「アヤはなにやってんだ?」

「一人酒です、一緒にどうです?」

「肉なら食う」

「…まぁ今宵くらいは許しましょう」

「ホントか!?」

なぜか今日の俺は紳士的…じゃなくて今の俺は寛大だ。
少しばかりの肉は許してやろう。
つまむ程度だからね?止めてくれよ許した途端食料が空っぽとか。
まぁ勝手に取りそうだったので適当な分袋から出して渡してやる…前に。
フルーツの中からメロンを取り出し、肉の中からハムを出して二つを風で薄く切ってハムをメロンの上に乗せてやる。
『生ハムメロン』の完成だ、これリアルに上手いんだよね。
最初聞いたときは頭おかしいんじゃねーのみたいに思ったけど。

「なんだそれ?うまいのか?」

「生ハムメロンです、味は食べてからのお楽しみってことで」

さぁ召し上がれ。
ちなみに俺はハムだけ食べる、甘みは酒には合わないしね。
合うものもあるけど、今飲んでいるのはビールなので塩味の聞いたハムが最高。
ジャーキーとかでもいいね。

「んめぇ~!」

「それはよかった、でも少し静かにしてくださいね?」

どうやらお気に召したようだ。
しかしメロンは厚めに切ったのだが、一口で食べるってどうよ?
小柄なメロンだったけどさ、それを差し置いてもしかも皮ごとだよ。
メロンの皮って食べられるの?食べたこと無いな。
まぁ切ったメロン分は作るつもりだったので、別にいいか。


「…うるせェな、なにやってんだ?」

「おおゾロさん、どうです?一緒に」

「酒飲めるんなら付き合うぜ」

「…あなた達が気が合う理由がわかる気がします」

どっちも単純なんだね、いや分かってたけどさ。
再確認できたようん、まぁ楽しい分にはいいか。


「面白そうなことしてるじゃない、手を組んだわたしはのけ者?」

「おやおやナミさんまで、てっきり熟睡しているものかと」

「あんだけ声出せば聞こえるわよ、私もいいかしら?」

「ええ、もうどうせ島も近いですしこの際全部消費してしまいましょう」

こうなりゃもう宴会だ宴会。
飲めや食えや歌えや踊れ。
金なら食糧買う分には使ってもいいし、盛大にやろうぜ!

「肉も食いきっていいのか!?」

「まぁ、もういいでしょう。あなたにしては持ったほうだと思います」

「酒も飲みきっちまっていいんだな?」

「女といえど二言はありません、なんなら飲み比べでもします」

「へぇ、上等だ」

「じゃあわたしも、いっとくけど負けないわよ?」

「ふふ、私も負ける気は毛頭ありませんのでご心配なく」

結局こうなるわけね、まったく俺の家計スキルもまだまだだ。
まぁいいよね、たまにはこういうのも。
なんたって、俺達ゃ海賊。
自由に行こうか。



[35488] 第九話 ちょっと目覚めてきたかもしれない
Name: きな粉餅◆264e7e68 ID:fbc467fd
Date: 2012/10/24 06:41
現在俺は地図を片手にナミさんの方の船の上に座り、見張りを行なっております。
まぁ島の発見や海賊の発見、風を操っての方向転換とかいろいろあるから暇つぶしには事欠かないね。
んでもって他の皆さんは夜中に行なったプチ宴会の後ぐっすり寝てしまった。
てかバギー船から奪った酒ってかなりの量があったんだけど…あれ五十本くらいなかったっけ?
三人でしかも一晩で飲みきっちゃうってどうなのよ、いや大体飲んだの俺なんだけどね。
この体めちゃくちゃ酒が入るよ、しかも酔いつぶれることもないし。
さすが天狗、元々鬼の支配下にあったっていうか鬼に対し謙っていただけあるね。
もちろん飲み比べは俺の圧勝、割合で言うと俺:ナミさん:ゾロで7:2:1くらい。
今まで飲んでいなかったし、しかも飲むのを控えめにするよう言ってた立場だったのでゾロは俺が酒を飲めたことを異様に驚いていた。
ナミさんにいたっては負けると思っていなかったのか、かなり悔しがってたし。
でもアルコール中毒ってわけでもないんだよねこの体、便利。

それはさておいて大陸を発見、やっぱ今までとはスケールが違うね。
マサラタウンとは一体…うごご。
ていうか順番的に来たね、狙撃主&船。
特に船、やったね、やっとまともな居住ができるよ。
ちなみにウソップ編はよーく覚えている、なんか好きだったわ。
まぁ仲間になる人がいる場所は結構覚えているし、これで鬱展開も怖くない。
ワンピの鬱展開って大体過去編だけどね、ロビンとかロビンとかロビンとか。
くそっ、タイムパラドックス起こしたい。
だれかタイムマシンか電話レンジ(仮)かソウルジェム持ってきて。


ネタはほどほどに自重して皆さん起こすとしますかな。

「皆さーん、陸が見えましたよー」

まぁこれで起きるのナミさんくらいだろうね、という訳で男二人を起こします。
マストからぴょーんと飛び降りて向こうの船にダイブ、着地予想地点はルフィ。


「ぶべっ!?」

「朝ですよー陸ですよー」

グネっとした。
なんか嫌な感触だなぁ、あややの靴の所為でもあると思うけどね。
まぁちょうどルフィの顔に入ったので良しとしましょう、これ楽しい。
次はゾロ…どうやって起こそうかな(ニヤリ。
腹にキックは既にしたので、んーどうしようかなー迷うなー。
フフフクククハハハハハ。

「――ッ!?」

あ、起きた。チッ
なんだかまるで嫌な予感がして飛び起きたみたいな起き方だな、嫌な夢でも見たか?
まぁいいや、あーあ残念。
今ちょっといいアイディアが頭を掠めたというのに、タイミングの悪いやつだ。

「お二人ともおはようございます、陸が見えましたよ」

結構遠めで見たからまだ時間かかるだろうけど、細けぇこたぁいいんだよ。
さあ起きろ、構ってください寂しいです。
夜から朝までマストの上で一人ぼっちって拷問に近いね、精神的に。

「…お前変なことしようとしなかっただろうな」

「間違いなく気のせいです。自意識過剰ですか?ノイローゼになりますよ」

くそっ、勘が鋭くなってきやがって。
たった数日でなんて成長してやがる、流石ゾロとほめてやりたいところだ。
今度からはもっと慎重にならないといけないな、反省した。
俺は反省すると…強いぜ…。
よし反省もしたところでさっさと陸に上がろうかね。
おーい船長、いい加減寝ぼけてないで起きろー。













鴉は海に夢を馳せる
第九話 ちょっと目覚めてきたかもしれない














「あったなー本当に大陸が!」

「地図の通りに進んだんだから当然でしょ」

島ならまだしも大陸がなかったら欠陥ってレヴェルじゃねーぞその地図。
錨を蹴り落としてはい完了、上陸準備できました。
あ、でも財宝は念のため隠しておこう。
確か原作でも探りいれられてたからね、いや取り返すんだけど。
念のため念のため。
船の板をはずしてなるべく袋を平らに、よし入った。
二千万ベリーの小船の誕生である。

「この奥に村があんのか?」

「ええ、小さな村みたいだけど」

「それはいいですね、食糧を買い込んでおきましょう」

財宝は使わないけどそれ以外の資金もかなりあるからね。
こういうときしか使わないんだから買えるだけ買っとこう、どうせまた海賊相手に盗るんだし。
ふひひ、これだから止められないぜ。
それで買うのが食料ってのはなんとも悲しい話だけどね。
しっかし本当にでかいな、大陸だから当たり前だけど。
森、山、丘、これだけでかいのに地図を見れば村一つって。
寂しくない?ああでもこの大陸細長いしな、土壌の影響だろうか。
海の水吸ってる土じゃ家も建てにくいし野菜も育てにくいしね。
んでキョロキョロしてたら左手の崖の上の草の陰のところにウソップと子供三人見つけました。
名前なんだっけ?ピーマンとたまねぎと…。
そうだにんじんだ、この前齧ったじゃん、忘れるなよ俺。
ゾロも気づいてるっぽいな、んじゃ知らん振りしておきますかね。

「…さっきから気になってたんだが、あいつら何だ」

おおゾロナイス。


『うわああああ見つかったァ~~~~っ!!』

「おいお前ら!!逃げるな!!!」

うわ気づかれたとわかった瞬間子供三人が悲鳴を上げて逃走。
置いてかれているウソップにドンマイ&ざまぁ。
さてさて第一印象は大事だよね。
とりあえず仲間三人にも気づかれないスピードでウソップの後ろの林へ。
おそるおそる立ち上がったウソップの背中にゆ~っくり近づいて。


「おどろけ~!」

「ぎいやぁあああああああ!!!!?」

おお面白い、これは許されるね。
うお危ない危ない、崖から落ちる!
この崖結構高さあるよ、落ちたら多分骨折くらいじゃすまないかもしれないよ?
まったく気をつけたまえ。
俺が肩つかんで引っ張ってあげなかったら真っ逆さまだったよ。



「…あの馬鹿」

ゾロ君、残念ながら君の呟き聞こえているからね?ん?
その言葉を乙女に思ってるだけならまだしも言葉に出したらっ…戦争だろうがっ…!
ウソップ仲間になったら苛め抜いてくれるわ。

「お…お前さっきまでそこに…」

「さっきって『何秒前』ですか?」

悪いが天狗のスピードは音速だ。
体術面で言わせてもらえれば六式使いでも妖怪相手じゃ話にならないね。
新世界レベルの猛者ならちとやばいかもしれないけど、あれ人間じゃないよ。
さて肩をつかんだまま運送開始。
なんか叫んでるけど気にしない気にしない。


「船長~今日の晩御飯~」

「?そいつ食えるのか?」

真に受けるなよ。
妖怪…ていうか天狗なら食えるんじゃないかな?いや精神的に無理だ、SAN値が下がる。
いあいあはすたぁ、まぁウソップ君には俺の恐ろしさを理解してもらえたと思う。
第一印象って大事だね!

「おおおおお前ら!俺に手を出すのは止めておけ!俺の一万人の部下が黙っちゃいないぞ!!」

「おやおやそれほどすごい方の肉をいただけるとは光栄ですね~」

「うひぃぃぃいいい!!!」

にやにや、ああやっぱり人をいじるのって楽しいね。
癖になりそうだぜ!んー生前の性格なのかね、このSっぽいの。

「…そこまでにしておきなさい、アヤ」

「はーい」

ちぇっ、ナミさんからのストップが来たか。
しょうがないな~、まぁこれ以上怖がらせたらトラウマになりかねないし。

「あっはっはっは!お前面白ェなーっ!」

「う、笑うんじゃねェ!俺は誇り高き男なんだ!!!」

俺がべ○ータだ!!みたいな感じですか。
いかんいかんさでずむが疼く…静まれ俺の魂よ、素数を数えて落ち着くんだ。











「へー、仲間とでかい船をか!そりゃ大冒険だな!」

「ああ、グランドラインに行くんだからな!」

「グランドライン!?あそこは"海賊の墓場"って呼ばれてるくらいだぜ!?」

「でも行く、海賊王になるんだからな」

魚ウマス、そういや牛肉ばっかで豚肉も鶏肉も魚肉も食べてなかったな。
んー鶏肉はなー、なんとなく食べたくないんだよね。
あややって確かみすちーと鶏肉撲滅同盟組んでなかったっけ、その影響かな?
やっぱり妖怪の体と能力以外にも、あややの体に引っ張られてるのかね。
ていうかゾロ、お前は昼真っから酒かよ。
昨日さんざん飲んだだろうが、全体の十分の一くらい。
まぁいいけどさ、金払うの俺なんだけど。
盗ってきた金は身に付かないもんだね、まぁ使い道は(ry。

「――だが主といっても病弱で寝たきりの娘だがな」

ん?ああカヤの話か。
食事と考え事に夢中で話を聞くことを疎かにするとは、俺もまだまだだな。
まぁどうせ原作と変わらないだろうし聞かなくても一緒なんだけどね。
てかカヤ可愛いよね、最初ワンピース見てナミより好きになっちゃったわ。
病弱お嬢様って俺得、でも一番の好みは和服美人の大和撫子です。
どうでもいいけどね、超どうでもいいけどね。


「ん、もうこんな時間か。悪ィが時間なんでもう行くぜ」

「時間?一体何の?」

ああ、イッツライアータイムね。

「まぁまぁナミさんいいではありませんか、ウソップさんと言いましたか?
 お会計は一緒に払っておきますのでご心配なく」

「え?いいのか?」

「ええ、一人二人の食事を奢った位で揺るぐほどの経済状況でもありませんので」

「お、おう。すまねェな…お前いいやつだったのか?」

「からかえども意地が悪いわけではありませんので、それにたかが一食奢って
 貰っただけでいい人などといっていたら騙されますよ~?」

ニッコリ、笑顔は(ry。
おおすごい早さだ、そんなに怖いのか俺の…というかあややの笑顔。

「面白ェやつだったな!」

「ええ、愉快な方でした」

「…お前がいってんのは違う意味だろうが」

「おやおやばれてしまいましたか?」

「…時々アヤの事が分からなくなるわ」


すなわち激流に身を任せ同化せよ、考えるんじゃなくて感じろ。
少なくとも俺は勢いに身を任せて同化しています。
一時的なテンションに身を任せるやつは身を滅ぼすって聞いたけど気にしない。
そんな事を話してたら来客を告げるベルの音、喫茶店とかのこれ好きだよ俺。
んで入ってくる子供三人、ようやくきたか。

『ウソップ海賊団、参上っ!!』

もちろんたまねぎ、ピーマン、にんじんの三人。
いいね、いじり甲斐がありそうだぜ。
俺たち四人を見てざわざわしだす三人、ウソップを追って来たのに本人がそこにいなかったからだろう。

「お…おい海賊達っ!」

「われらが船長キャプテン・ウソップをどこへやった!」

「キャプテンを返せ!」

おーおー身の程知らずの子供は無邪気ですこって。
目の前にいるのが本当に非常な海賊だったらどうするつもりだったんだろうか。
まったく君たちは運がいい、ふふふははは!

「…はーっ、うまかった!肉っ!!」

その言葉に動揺しだす子供三人、ルフィその言葉をこのタイミングで言えるのは才能だと思うぜ。
まぁ本人まったくその気ないんだろうけどね、惜しいな。
ナミを見たらくすくす笑ってた、さっきはからかうの止めたくせにまったく。
そしてゾロにアイ・コンタクト。

「お前らのキャプテンならさっき……食っちまった」

再びナイスゾロ、もう一回言わせたらいじりの件は勘弁してやらん事もないかもしれない。
んでもって止めをいただきますのはもちろん。

「おや、先程の男と比べると随分食べ甲斐の無さそうな人間ですね~」

羽根を小さめに広げて満面の笑み。
おお、泡吹いて倒れるってこういうことを言うのか。
思いっきり地面に当たったけど大丈夫かね?しかし叫び声すら上げる暇なく倒れるとはね。
俺の威嚇スキルも上がってきたのかね、嬉しくないけど。



[35488] 第十話 誇りと夢と自由と、いるかもしれない神様と
Name: きな粉餅◆264e7e68 ID:fbc467fd
Date: 2012/10/24 06:40
いやはやどういうことでしょう、子供三人が俺の半径二メートルに入ってきません。
うわーショックだわー、今俺のガラスのハートにひびが入ったよ。
この心の傷は何とかして治さないといけないよねゾロ君。
もちろん協力してくれるよねゾロ君。
まぁそれはさておいて現在カヤ様のお屋敷の前に来ています。
なんでかっていうとうちのキャプテンが船貰いに行こうとか言い出したからです。
たぶんお嬢様に嘘吐きにいってるウソップを勧誘するための口実だろうけどね。
流石にドンだけうちのキャプテンが馬鹿でも病気のお嬢様に船よこせとは言いにいかんでしょ。
多分ね、多分ね!
うん、でもってそこそこ大きめの村(マサラタウン基準)から綺麗に整地された道を歩いて八分弱。




でけぇ。
どの位これ?
ていうか村から見えてたけどさ、五階建て(屋根裏&展望台付き)でさ?
学校くらいの広さでさ?高校野球やってるようなグラウンドくらいの広さの敷地?
ないわーないわー、ありえないわー。
だって村って広かったけどさ、三十数件くらいの一戸建てが疎らに建ってただけだよ?
何で同じ島にこれだけの格差があるのか…SHIT!
まぁ村でのカヤお嬢様の評判はかなりよかったけどね、村の人もいい人ばっかだったし。
病弱お嬢様って萌えるね、まぁ俺の(ry


「こんにちはーっ、船くださーい…さあ入ろう」

「あいさつした意味あんのか…」

あんたは本当にずれないなキャプテン、流石だぜキャプテン。
しかし鉄柵門を開けずによじ登るという発想はすごいね、五メートル近くあるのに。
お前の呟きはもっともだと思うよピーマン、だがこの世の中常識なんてものケツを拭く紙にもなりゃしねぇぜ。
大体海賊だしね、俺たち。
何かルフィと行動してると海賊だって忘れそうになるわ、海賊っぽいことしたっけ?
自由が海賊、規律が海軍って感じなのかね。
ガッチガチの規律の中生きてくくらいなら、せっかくだから俺はこの乱世を選ぶぜ。


あぁ考えてるうちにさっさと入ってっちゃうし、ルフィ気が早いよ。
てかゾロもナミさんも止めようよ、俺はどうせ無駄だから止めないけど。

「ああ…止めてもムダなのね」

「ムダだな、つきあうしかねェだろ」

二人も同じ考えでした、ドンマイ。
分かりやすい性格してるんだなルフィ、単純で単細胞だもんね。
いや単細胞は言いすぎか、ごめん単細胞。
まぁさっさと後を追いますかね、てか暴走する船長を止められない船員ってのも結構やばいかも。
ルフィを制御する方法ねぇ…あ、今の食卓事情俺が握ってるじゃん。
金銭面も大体俺だし、もしかして俺今実質この一味の裏支配者?
なんかテンションあがってきたうっひょい。




















鴉は海に夢を馳せる
第十話 誇りと夢と自由と、いるかもしれない神様と

















見っけたぜ、ウソップ&カヤお嬢様。
開いている窓越しに笑いあう二人、ピンク色のオーラ、死ねばいいのにね。
畜生…このあややの体かわいいけど寄ってくるの男じゃないですかやだー!
レズでもなんでもいいからかわいいお姉さんとイチャコラしたいです。
少なくとも男にアッーされるのは勘弁、本気と書いてマジで。
くそうどうやって邪魔を…

『キャプテーン』

「そう、キャプテ…」

餓鬼共ナイス、マジでナイス話の流れ壊されたウソップざまぁ。
ピンク色のふいんき(なぜか(ry)をぶち壊す空気の読めない子供を私は全力で応援します。
べ、別に悔しいわけじゃないんだからね!勘違いしないでよね!
ああ愛しのロビンちゃん早く来てくれ、ビビちゃんでも全然可。
ナミさんも可愛いけどね、こうなんとなく暴力のイメージが。
うう、世間は冷たいな…俺には。

「げっ!お前ら何しに来たんだ!」

『この人が連れて来いって…』

「誰?」

「おお、おまえがお嬢様か!」

もちろん子供三人が指差すのは我らが船長。
どうでもいいけど不法侵入だね、どうでもいいけど。
ていうか見知らぬ人に警戒も抱かず誰?で済ますカヤお嬢様かなり強かだね。
不法侵入されてるのに、どうでもいいけどね(三回目)。
自分がお嬢様である自覚は…まぁ見たところウソップと大体同じくらいだしな。
お嬢様であるが前に未成年の子供か。
…これから起こることを考えるとな、かといってルフィにはどんどん戦ってもらわないといけないし。
畜生、鬱イベント回避しつつ原作キャラの戦いを最低限邪魔しないってのはかなりきついぜ。
まぁこの世界に来た以上やるけどね、やり遂げるよ!
まぁ今回は特に介入もなにもないかな、ヘタこいたら船&狙撃主がいなくなるし。
うう、せめてあそこだけでも…。
ていうか船長、まず質問に答えようか。
いやここで海賊ですって言われても困るけどさ。

「あーこいつらは俺の噂を聞きつけ遠路はるばるやってきたウソップ海賊団の新たな一員だ」

「いや!違うぞおれは!!」

そんな強く否定しなくても、口裏あわせときゃ楽なのにさ。
さすがだね、なんかもう突っ込むの面倒くさくなってきたぜ。
カヤお嬢様もそんなに笑わなくても、何だこの不思議空間。
常識人はやくきてくれ…あれうちの一味で仲間になる奴でまともなのいたっけ。
どうして?涙が止まらない。
いやいきなり泣き出しても変人だから心の中でね?
十分変人だね、畜生初めてこの船下りたいと思ったよ。
とか何とか思ってたら早速うちの船長お嬢様に頼みがあるとか切り出したよ。
本当に強請る気だったのか、やっぱり海賊なのかね。

「頼み?私に?」

「ああ、俺たちはさでっかい船がほしいん「君たちそこで何をしている!!」」

うおうるさい、きたか黒猫野郎。
たしかこいつの杓死って速さだけなら六式とどっこいどっこいだっけ?
それを序盤から捕まえたルフィって結構すごかったんだな、今思えば。
まぁあややの力にはかなわんだろうという確固たる自信はあるがね。

「困るね勝手に屋敷に入ってきてもらっては!」

「げっ、執事…」

「クラハドール…」

「なんだあいつ」

屋敷には入ってません、まだ庭先です。
領地には入ってるけどね、不法侵入だけどどうでも(ry。
おーしっかり執事やってるなクラハドールさん、いまキャプテンクロって呼んだらどんな反応するかな。
いややりませんよ?この島では原作クラッシュは少ししかしません。
ああーでもうずくわー、俺の禁じられた口先(バージョン.2ch)がうずくわー。
いやいや仲間を失う気は…でも面白そう…。
く、ビアンカかフローラか位悩むわー。
まぁビアンカ一択でしたがね、あのちょうどいい位のツンデレが最高でした。
最近のツンデレときたらね、ネタにするくらいですようん。
てかみんな反応ひどいな、今は一応仕事やってんのになにこの空気。
でもかわいそうとは思えない不思議、むしろ腹のそこからスカッと&ざまぁ。
まぁ本人は気にしてないだろうがね、チッ。

「あのねクラハドール、この人たちは…」

「今は結構!理由なら後できっちり聞かせていただきます!」

こうやってみると案外はまってるねクラさん、海賊より天職じゃね?
少なくとも戦ってるときよりは違和感ないね、それが演技なら尚更すげえ。
まぁ明日には計画もおじゃんになる運命だがね、本当にざまぁに事欠かんな。

「さあ君達、帰ってくれたまえ。それとも何か言いたい事があるかね?」

「あのさおれでっかい船が欲しいんだけど「だめだ」」

綺麗な即答ですね、とりあえずルフィの肩をゾロと共に叩く、ドンマイ。
本気で落ち込んでるって事は本気で言ってたんだなあれ、馬鹿かこの子。
馬鹿の世界チャンピオンだよ、初対面で数分とたたずに船強請るとか。
あ、クラさんがウソップに気づいた。
いやいやウソップそんな顔そらしても意味ないだろ、どうせならもっと堂々としないと。
不法侵入だけ(ry。

「君は…ウソップ君だね、君の噂はよく聞いてるよ。…村で評判だからね」

「あ…ああ、ありがとう。あんたもおれをキャプテン・ウソップと呼んでくれてもいいぜ。俺をたたえるあまりに」

声が震えてますぜウソップさん、へたれ乙。
まぁウソップはこんな感じが平常運転だしね、へたれ乙。
そのままの君でいいと思うよ、へたれ乙。
まぁ口に出したりはしないけどね、ていうかさっきからしゃべる暇がなくてつまんないんだけど。
いやゾロとナミさんも傍観に徹してるけどさ、私は我慢弱い男だ。

「門番が君をちょくちょく見かけると言うのだが、この屋敷に何か用でもあるのかね?」

「あ、ああそれはだな…この屋敷に伝説のモグラが入っていくのを見かけてだな、そいつを追って…」

なんだよ伝説のモグラって、あの番長モグラか?
それともブチ消しをすると説教しにやってくるあの伝説のモグラか、そりゃ追いたくなるね。

「フフ…よくもそんなにくるくると舌が回るもんだね、君の父上の話も聞いてるぞ」

「何!?」

「君は所詮『ウス汚い海賊の息子』だ、何をしようと驚きはしないが…ウチのお嬢様に近づくのだけはやめてくれないか!」

「……ウス汚いだと…!?」

よくもそんなくるくると自虐が出てくるもんだね、ウソップが薄汚い海賊の息子だったらおまえ薄汚い海賊そのものじゃん。
ああーつっこみたいわーめちゃくちゃつっこみたいわー。
でもここでこの雰囲気ブレイクして空気読めないやつと思われるのも心外だしな。
人を煽るのも正論言うのも空気を呼んでから、ってのはこの世界では結構面倒くさい道理だね。
俺の無理でこじ開けてもいいけど、なかなかままならないものだよ。

「君とお嬢様では住む世界が違うんだ、目的は金か?いくら欲しい」

「!!言い過ぎよクラハドール!!ウソップさんに謝って!!」

「この野蛮な男に何を謝ることがあるのですお嬢様、私は真実を述べているだけなのです!」

本日のお前が言うなスレはここですか?
ていうかクラさんさりげなく全部自分に当てはめて言ってないかい?
野蛮だとか薄汚いだとか目的が金だとか住む世界が違うとかさ、主に目的は金って所とか。

「君には同情するよ…さぞ恨んでいる事だろう、君ら家族を捨てて海に飛び出した『財宝狂いのバカ親父』を!」

「クラハドール!!」

三年かけてお嬢様の財を手に入れようとしている狂人が何を言うか。

「てめェ!それ以上親父をバカにするな!!」

「何を怒っているんだ?こういうときこそ得意の嘘をつけばいいだろう、親父は旅の商人だとか実は血がつながっていないとか」

「……!!!うるせェ!!」

言うやいなやクラはドールを殴り飛ばすウソップ、うわ痛そう。
何でそうやって人を逆上させることをわざわざ言うかね、わけがわからないよ。
まったく理解ができないよ俺は、馬鹿だとしか言いようがないね。
案の定殴り飛ばされてるし、馬鹿みたいだね。
え?俺は違うよ、だって殴られないという核心の元やっているし。
たち悪い?外道?いやだなそんなに褒めてもらっては。

「う…く!ほ、ほらみろすぐに暴力だ。親父も親父なら息子も息子というわけだ」

「黙れ!!俺は親父が海賊であることを誇りに思ってる!!勇敢な海の戦士であることを誇りに思ってる!!それだけは偽わるわけにはいけねェんだ!!」

勇敢な海の戦士…ね。
そういえばウソップの夢は勇敢なる海の戦士になることだったか。



「俺は海賊の息子だ!!」






















































あの後ウソップは屋敷を追い出された、いや自分から出て行ったんだけど。
その後俺たちも屋敷を追い出され、そのまま村で解散って形になった。
ルフィはそのままウソップを追いに行ったし、ナミさんとゾロは村でのんびりするらしい。
子供たちは…わかんね、追い出された後『キャプテーん!』って叫びながら見当違いの方へ走って行ったし。
んでもって俺は現在船の上で一人、することもなくボーっとしていた。
いかんな、そろそろウソップが村に海賊が来るって知らせに行く頃なのに。
せめてウソップがメリーに撃たれる所くらいは阻止しないとって思ってたのに、体が動かない。






誇りって、夢ってなんだろ。
そういやここに来てそんなことまったく考えてなかったな。
ただ流されるままここに来て、適当に恩を返すという名目の元仲間になって。
七光りの息子と悪徳大佐ぶっ飛ばして、でかっ鼻煽って。
船に乗って、ルフィと、ゾロと、ナミさんと話して酒飲んで飯食って笑って。







俺は何がしたいんだろう。
頭が痛い、気持ちが悪い。
自由って…自由って何だろ、外にいるだけじゃ自由じゃないのか?
海賊ってのは自由なもんじゃないのか?
だってここから先はストーリーが進んで、俺はそれに沿って進むだけ。
原作を壊す?無理だ、できるわけない。
変えることはできるかもしれないけど、鬱イベントを回避することはできるかも知れないけど。
それって自由なのか?





頭が痛い。
おかしいな、飯食ってからそんなに時間たってないのに。
水分もちゃんととってあるのに、熱中症かな。
夢ってなんだ?俺は今いったい何を目指しているんだ?
鬱イベントを回避してどうなる?自分が優越感に浸りたいのか?スッキリしたいってだけか?
ああ、くそ、そろそろ夕方になるじゃん。
早く行かないと。



どこへ? ウソップが撃たれるのを阻止しないと。
なんで? …なんで?
それをしてどうなる? 鬱イベントを回避するのが俺の夢か?
誇りか?誇りって何だ?
誇りってのは、さっきウソップが見せたみたいにかっこいいものだろうが。
俺の誇りがそんなにかっこいいか?
そもそもこれが誇りなのか?



そもそも俺がいなくたって原作は進むんだ。
だったら俺は、俺がここにいることにいったい何の意味がある?
俺が生きて麦わら海賊団に入って、海を冒険してそれで終わりか?
そんなことをしていったい何になるんだ、馬鹿みたいじゃないかそんなの。



自由ってなんだ、誇りってなんだ、夢ってなんだ。
気持ち悪い思考に頭が飲まれそうになる。
考えをやめないと、自分が狂ってしまいそうでおかしくなってしまいそうで自分が変わってしまいそうで。






逃げるのか?今ここで考えをやめてもまた同じことが繰り返されるだけなのに。
また次も同じことを考えて、逃げ出すだけじゃないのか。











欲しい。
誇りが欲しい、自分だけが持っていて、自分を証明できるような誇りが欲しい。
夢が欲しい、自分の生き様が、自分を変えられるような夢が欲しい。
自由が…欲しい、目の前のどんなこともぶち壊してしまえるような自由が欲しい。






カランと、音が聞こえた。
船の上に響き渡る硬い音、何かが落ちてきたようなそんな音。

ああきっと神様ってのがいるなら、俺のさっきの戯言を聞いていたのだろう。
同情か、それともあざ笑っているのか。
それでも船の上に落ちてきたそれは――。












船の上に落ちてきたカメラは、まるで今の自分を変えてくれるような気がして。



[35488] 第十一話 活躍が欲しい…俺今メインキャラなのに表舞台に立てないって…
Name: きな粉餅◆264e7e68 ID:fbc467fd
Date: 2012/10/27 00:07
生憎俺はカメラに詳しくない。
しかも見たところ結構古そうなカメラだ、最近のデジカメならともかくこんなもの使えない。
とか思ってたんだけど、手に持ったらなんか反射的に手が動いて海を一枚パシャリ。
更に即効でカメラから写真が出てくる始末、あれ?現像とかそういうの必要なんじゃなかったっけ?
いやでもこれ…よし考えるのやめよう。
詳しくないもんについて考えても意味ないしね、困ったときは常識にとらわれてはいけないと考える。
便利だね、でもこの世界だと仕方ないよね。



で?このカメラなんで落ちてきたん?
やっぱり神様の悪戯かね、暇をもてあました神々の遊びかね。
それとももっと別のもんの遊びかね。
まぁどうでもいいね、せっかくこのカメラが落ちてきたんだ。
しかも自由に…というか反射的に使えるときた、有効活用しない手はないだろう。
どんとこい超常現象!すべてシャッターに収めてくれるわ!






…これ夢でよくね?
こう…世界一すごくて格好良くて超☆エキサイティングな写真を撮る!みたいな。
いいね格好良くて!
なんかこのカメラ持つとテンション上がってくるな!
さっきまで考え込んでいたのが馬鹿みたいだよあははは!
興奮してきたぜ!いやっほおおおおい!国崎最高ぉぉぉお!
じゃあさっそく今夜…じゃなかった明日の朝試し撮りと行きますかね!



あ、ちょうどゾロとナミさん来た。
Be cool.Be cool.
よし、俺はKOOLだぜ。





「おや、どうしましたか?」

「うちの船長が話があるんだとよ」

「あややや、私何か問題事でも起こしましたかね?全く記憶にありませんが」

「どの口が言うんだその台詞は…」

「あはは…」

心外だねゾロ君、私は人畜無害なとっても優しいただの乙女だというのに。
心は男だけど、まあそこは問題ないとして。
ていうかなんでナミさんまで苦笑してるん?わけがわからないよ。
うわー一味の皆が虐めてくるよーぅ。
あーあ、乙女の心がまたしても傷ついたわー。
こりゃもうやるしかないよね?レッツマインドクラッシュするしかないよね?
いやマインドは流石にやばいからプライドクラッシュくらいで許してやろう。
もうこれでもかって位に慰めてもらおうかうん。

「とにかく、こっちとは反対側の海岸線だ」

「了解ですー」

はぁ…まぁどうせクラさんとウソップの事だろうな~。
いっちょ飛んで行くとしますかね。
そろそろ夜だな…寒い、ていうか眠い。


















鴉は海に夢を馳せる
第十一話 活躍が欲しい…俺今メインキャラなのに表舞台に立てないって…




















もちろん向こうの海岸線に着いたときに行われていたのは明日来る海賊どうしよう会議だ。
いやどうしようもくそも追い返すしか選択しないけどさ、うん。
でも今回の戦闘じゃたいした写真取れないよねー。
どうせならロギアが絡んでくる戦闘が見たいなー。
パラミシアとかゾオンって地味になりがちなんだよね、覇気が絡むと別だけど。
覇気とかこのあややの体で使ったらどうなるんだろ?更に速くなったりするのかな。
やばい超チートじゃん、でもそれって素敵やん?
てかこの体だとロギア相手にするの結構きついな、殴れないし。
海楼石でも仕込もうかね?あ、でもそうしたら能力者じゃないってばれそう。
ばれるのはかまわないけど…でもなんか、隠しておきたい。
隠し玉は最後まで取っておきたいって言うのが男のロマンよ。
どっかのすぐに必殺技を撃つ外道な水色のヒーローとは違うのだよ。
デラックスーボンバー。
おっといかん、今はまじめな話をしているんだった。

「――だから!俺はこの一件を嘘にして俺の筋を通す!!」

座っていた岩から立ち上がり、右手を突き上げウソップが叫ぶ。
おお、かっこいいね。
ウソップ、お前は今世界一格好いい嘘つきだぜ。
村を海賊に襲われないために海賊と戦うなんてな、漢だね。

「よし、おれ達も加勢する」

「まぁ、そういうと思ってましたがね…」

「ふん…強ェ奴はいるんだろうな」

「言っとくけど、宝は全部私の物よ!」

まぁ全員一致ですよねー。
この海賊団は大体心意気で動くんで、後は自分の利益。
いいねなんか海賊っぽくて、海賊ってこういう自分勝手さだよね。
そう考えると麦わら一味って自分勝手ではあるね、善寄りだけど。

「お前ら…一緒に戦ってくれるのか…!?な…何で…」

「だって敵は大勢いるんだろ?」

「怖ェって顔に書いてあるぜ」

でもそれって根本的な答えになってませんよね?
ウソップが勇敢な奴で相手が少数だったらどうなってたんだ。
いやまぁいいけどさ、どうせ助けたんだろこのツンデレ共め。
男のツンデレとか誰得だよ、サイヤ人の王子かなんかか。
ていうか眠いんだけど、なんで夜明けに攻めてくるんだよ夜中に来いよ!
乙女の肌にダメージを与える作戦か、汚いなさすが海賊きたない!

ああなんだかもうどうでもいいよ眠いし、眠いし、寝たいし。
ていうか俺寝てていい?
どうせ俺が相手すんの雑魚じゃん、くそう出番がほしい。
でもその前に睡眠時間がほしい、あとはシャッターチャンスがほしい。
カメラ手に入れて初戦闘が地味ってどうよ、新武器が出て次雑魚戦って。
もうどうでもいいね、眠いね。




「後はこの坂を死守できれば村は襲われることはねェ!」

「シンプルですね、楽勝です」

「口で言うのはな…後は戦力しだいだ」

それこそ楽勝というものだよウソップ君。
ボーっとしてればうちの魔獣と船長が何とかしてくれるしね。

「念のために聞いとくが、おまえら何ができる?」

「切る」

「のびる」

「飛ぶ」

「盗む」

「…隠れる!」

『いやおまえは戦えよ!』

おおツッコミが重なった、いいね一味の絆だね。
こういうの重なると楽しいね。









んで今小細工用意中なう、いや黒猫海賊団…でよかったっけ?が攻めてくるの向こうの海岸線だから意味ないけどね。
というわけで意味のない作業を進んでやるわけがないので、ウソップとルフィが作業するのを黙々と見てる。
おいおいゾロ君、仲間が必死に作業をしてるんだからフォローしてあげろよ。
ナミさんや俺は乙女だからいいとしてお前は体力くそ野郎じゃないか。
てか油をまくってさ…壁でもつかんでこられたら終わりじゃね?
もっとこう…敵がたくさん上に来たらファイヤーして消毒するとかさ。
いやそんなことしたら少年漫画じゃ【見せられないよ!】で【見せられないよ!】な図の完成だけど。
いかんやっぱ俺眠いのかな、それとも疲れてるのかな。
そんなグロ注意な事少年漫画じゃ悪役のする事なのにさ。








いや普通海賊って悪役だけどね。











という訳で完成しました油坂。
もうそろそろ日も明けようという時間でちょうどよく完成しました。
いや無駄なんですけどねー。
でも仕方ないよね、海賊来るの向こうの海岸だからここに仕掛けても意味ないよとか言ったら変に思われるし。

「これで奴らはこの坂を登れない!!」

「逆に自分たちが滑り落ちないといいけどね…」

そうだね、この坂は登ってこれないねウソップ君。
後ナミさんそれフラグや…しかも落ちたの確か君だぜ。
フラグ回収乙。
さてと、そろそろ行きますかね。

「あーゾロさん、ちょっと私船の様子見に行ってきます」

みんなにばれると弁明するのが面倒くさいのでとりあえずゾロだけにそう伝える。
うん案の定怪訝な顔されたね、いや仕方ないことだけどさ。

「…コレ終わってからじゃ駄目なのか」

「いや~なんか急に気になりましてね、野生の勘とでも言いましょうか」

いかんこれはちょっと苦しいな、どうするか。
なんて考えてたら案外簡単に後ろを親指で指差して「行け」って言ってくれた。
マジカッケーっスよゾロさん、グレートだぜ。

「…お聞きしますが、そんな簡単に許してしまっていいのですか?」

「てめェがなんか隠してるって事くらいは知ってんだよ」

うへぇばれてたか、まぁゾロこういう直感だけは鋭いしね。
まぁ概要まではばれてないっぽいけど、いやばれてたら確実にさとり妖怪の仕業だけどさ。

「…一応は信用しといてやる」

畜生、なにこの漢前超かっこいいじゃん。
惚れるわー、いや精神的には掘れる♂になってしまうけどね。
いかん冗談言ってる場合じゃねえ。

「じゃあ、その信用に応えられるようにはしますかね」

「…フン」

んじゃいってくるか。
私の戦場はここじゃない。






















向こう岸に着きましたー。
坂の一番上で見る朝日の美しさよ、早起きはってこういうこと言うのかね。
寝てないんだけどね。
まだ黒猫海賊団の船は見えてはいるけど陸についてはいない様子。
っていっても後二分位だと思うけどね。
うし、さぁ今の俺は超スーパーガーディアンだぜ。
鉄壁などと…そんな生ぬるい表現じゃ味わえないほどの堅さよ。



「海岸に着いたぞォ―――!!!!上陸だ野郎共ォ!!!」

『うおおおお―――っ!!!!』


うっせェ!!でもいいよなーああいうノリのやり取り。
うちの海賊団だと人数少ないからこう…迫力無いよね。
ウォーターセブン編とか大人数のときにやってみたいな~。

さて、確か最初に来るのはウソップだっけ?
それまでに足止め兼少し足を竦ませてやるとしますかね。


「ぎゃ――っはっはっはっはァ!!!暴れてやるぜ!!!」

「おい女がいるぜ!どうする!?」

「かまわねぇぶっ殺せ!村を襲うのを優先しろ!!!」

おやおや物騒な事を言ってくれますね、おおこわいこわい。
という訳で懐から団扇を取り出し、一扇ぎ。

ずずずぁっ!とかいうよくわからない擬音で海岸の砂とか小石がひっくりかえり、前を走っていた十数人が坂の中腹から下までノンストップでどさどさと落ちていく。
すげぇ、大の大人が空を舞う風景とかめったに見られな…いやこの世界だとそうでもないな。
でも気に入ったので記念にパシャリ。
やばい楽しい。

「なんだァ!!!?なにがあった!!」

「わ、わかりません!!あの女が何かしたとしか!!」

「船長ォ!!あいつ能力者です!!!」

おお、あの催眠術師の登場か。
名前は…ジャンゴだよね?確か歌もあったはずだしね。
さて、もう数十秒たったがそろそろ駆けつけてくる頃か?

「どうします船長!このままだと…」

「…あの男に、殺されちまう」

ああクラさん?余裕で雑魚ですが何か?
はやく俺…ていうかこのあややの体と釣り合う敵が来てくれないかな。
まだまだ先になりそうだね、はぁ…憂鬱。

「くそッ!!かまわねぇ突破しろ!!!」

『うおおおおおお――――っ!!』


うわなりふり構わずきやがった!
五十人強くらいかー、んー。






余裕杉ワロタ。
団扇で一扇ぎすればそんな数余裕で吹き飛ばせるっちゅうに。
おおさっきよりすげぇ、パシャリ。
しかもさっきより高い所から落ちたやつもいたようで、もう大体満身創痍だ。

「さて、ここから先は一方通行となっていまーす」

通行は『禁止』ってなァ!!無様に海に引き返しやがれェ!!
いやーやってみたかったんだよねこれ。






…アクセラレータ?んーなんか今すごい発想がぴんと来たんだけど。
いやこいつらで試すのは流石に気が引けるからやらないけど。
あーあ、さっさとウソップこないかな。



[35488] 第十二話 本当に眠いと首って持ち上がらないよね
Name: きな粉餅◆264e7e68 ID:fbc467fd
Date: 2012/10/31 15:54
「な、なんじゃこりゃあ!?」

お、やっと来たのかねウソップ君。
ずいぶんと遅かったじゃないか…。
こっちはもうとっくに限界だよ(主に睡魔と闘うのが)。
だからもう、ゴールしてもいいよね?俺、がんばったから…。
まあ流石に坂の上の戦地ど真ん中で寝るほど勇者じゃないけどさ。

うんでもすごい状況だよね、坂の上で仁王立ちする少女に坂の下ですでに満身創痍の男達。
さらに男達は少女に「ば…化け物…」とか言っちゃってる始末だし。
俺が化け物?違う、俺はあややだ…!
しっかし化け物は酷くないかい?いや実際化け物というかあやかし物だけどね。
しかも天狗とかその妖怪の三大悪に入ってるしね。
まぁ幻想郷では天狗と河童が同じ地域に住んでて更に極まれに鬼が出ることもあるしね。
まぁ鬼の力で粉砕されたり河童に尻子玉抜かれるよりよっぽど良心的だと思うがね。
そういや天狗ってあんまりそういう特徴思い浮かばないな…。
鼻が高い位かな思いつくのって。
うんどうでもいいや、眠い。
現在眠すぎて全てがどうでもいいや。

「ではウソップさん、後はお任せします」

「へ?」

唖然とするウソップをガン無視で隣の森にダイブ。
そのまま少し大回り経由で海岸に止めてあるクロの船に乗り込む。
うんここならゆっくり眠れそう…。






「なんだ?お前」


ファッキンシット、神よ…あんたは俺の睡眠時間を削るのがお好きなようだ…。




















鴉は海に夢を馳せる
第十二話 本当に眠いと首って持ち上がらないよね













すっかり忘れてたわ、えーと、なんとかキャッツ?だっけ。
レディーキャッツ?キャッツアイ?あれ、思い出せない。
まぁキャッツ何とかの…こいつはシャムだったかな。

どうしようかなー、どうやって乗り切ろうかなー。

「通りすがりの新聞記者です」

「…新聞を取った覚えはねーなぁ」

「こちらも取られた覚えはありませんねー」

「…シャム、誰だそいつ」

うげ、新手。
こいつは確か…いやブチだ、絶対ブチだわ。
そんな感じがするもん、何だよその姿妖怪よりよっぽど人間離れしてんじゃん。
あのバギー海賊団の…モッチーとかいう奴も大概だったけどさ。
何で耳がそんなに下についてるんだよ…いや頭の上にも耳?
え?それ何?髪の毛?
なんか人外ファッションみたいなのが海賊ブームと共に到来してるの?
いやだわそんなブーム、あ~でもあややの羽もそれみたいなもんか。
強いて違うところを挙げれば本物ってとこかな。

「こいつどうするよ?」

「どうするったって、なあ?」

「できることならほっといてください…眠いです」

ふーっ、とりあえず横になるか。
しっかしなんにもないなこの甲板、枕になる物ロープくらいしかないよ。
もう少しサービス良かったっていいのにさ。
無駄にだだっ広いくせにさ、こんなんじゃお客来ないよ。
来るとしても仕方なく近いからここで寝るかって人くらいだよ。
何を隠そう私です。

「いやいやおれ達船の番人なわけだし…」

「ああ、寝てもらっても困るっていうか…」

「あと二時間したら起こしてください」

うへー、ねむねむ。
くそう海風が寒いし潮臭い、小船のほうが寝心地いいぞ。
あーでも意外とロープが枕の役割を果たしてくれてる。
朝日が昇ってあまりたってないから明るさもちょうどいいくらいだし。
もうちょいで寝れそう…。
.....zZZ。

『いやだから起きろって!!』






「五月蝿い!!!」
























ふー良く寝た。
…え?何この惨状、甲板が半分無くなってるんだけど。
ていうかここどこだ?…えーと。
そうだ、クロの船だ思い出した。
で?どうしてこうなっているんだ、まるで意味がわからんぞ。
うわーひどいなこれは、もう船って言うよりも歪な木の塊?
いやそれは言いすぎだとしても船上部の横半分が抉れて無いって。
マストも傾いてるし船首もないし…うん。
ガレーラにこれもっていっても苦笑いで帰れって言われるわ。
なんというか、ご冥福をお祈りします。


あーそろそろ決着ついてるころかね、日の昇り的に一時間も眠ってなさそうだけど。
チラッと船の上から観戦、おおルフィがクロを捕まえてた。
杓死をやぶったところだったっけ?
この調子じゃもうすぐだな、んじゃ恒例の敵船あさりといきますか。











んー…軽く見積もって一千万ベリーくらいかな?
やっぱりナミさんみたいには行かないもんだね。
えーと?今俺が船に持ってるのが二千万ベリーだからしめて大体三千万ベリーだね。
最初のルフィの手配額か、まぁ敵船二つでここまで集められるとはね。
おいしいおいしい、これだから海賊は(ry。
ていうか宝の中にブレスレットとかネックレスとかあるけど宝で一括りにして誰も使わないよね。
アイテムは装備しないと意味ないって言うのに。
っておお、黒猫海賊団がすごい勢いで走って戻ってきた。
こりゃ決着がついたな、ってことで俺はこの宝の袋持って退散退散。











「船長、お疲れ様です」

おとと、危ないな。
倒れそうになるルフィを難なくキャッチ、バランス崩して押し倒しなんてラノベ展開は無いぜ。
ていうかふらふらじゃんルフィ、っていうか頭からものっそい血が出てるんだけど。
あれ?その傷誰にやられたんだ?クロ?
まあいいか…ってうお、腹からも血がでとるやんけ。

「ん?アヤか、お前どこいってたんだ?」

自分の状況わかってるのかねこの人は。
わかってないだろうなー、まあしかたないねゴム人間だもの。
関係ないか、まぁ肉食えば大抵の怪我治すしね。
…RPGの薬草とかポーションとかじゃないんだからさ。
もう少し人間らしくしてほしいぜ…無理か。
あ、そういやどこ行ってたかだっけ。

「私は神出鬼没なのですよ」

「そっか」

誰かツッコミ要員をつれてきてください、計算ボケと天然ボケでバランスが取れません。
さすが船長、人のペースを崩すのがうまいぜ。
いいな、俺も真似したいな~。
人のペースを削ぎつつこちらのペースに乗せなおかつ人を煽る…素敵やん?
ていうか今回俺寝てただけじゃん、くそうせっかくカメラ手に入れたというのに。
まぁ次の機会のお楽しみかな…人がぶっ飛ぶ写真は取れたけどね。
まあこの世界だと(ry。

「あれ?アヤじゃない、どこにいたの?」

おおツッコミ役が来た、ていうかナミさんもどこにいたんだ?
とか思ったら向こうにゾロたち発見、おそらくあの二人と…子供三人とお嬢様をつれてきてたのかね。

「私は神出鬼没なのです」

「…アヤがいうと冗談に聞こえないわ」

裏方係はいろいろ忙しいんですよナミさん。
というかひどいな、人外扱いですか。
間違ってはいないんだけど精神的には貧弱貧弱ゥな一般人だからメンタルダメージは勘弁してください。
煽り耐性はあるんだけどね、仕方ないねあの掲示板にいたからね。


























「お前たちがいなかったら村は守れなかった、ありがとう」

…そうやって正面きって礼を言われると、なんか恥ずかしいね。
照れるわー。

「何言ってやがるんだ、お前が何もしなきゃおれは動かなかったぜ」

「おれも」

「まぁ私は何もしてないも同然ですがね…」

「まぁまぁ、お宝も手に入ったしいいじゃないそんなこと!」

まぁ一件落着…だね。
まぁ右手のカメラは次の島で火を噴いてもらうとしましょうかね。


「おれはこの機会にひとつ、ハラに決めたことがある」























「なにやってるんですか…」

「…!!」

現在定食屋で昼飯なう。
今ウソップはあの子供三人に話を付けに言ったので現在四人。
みんなで同じ魚定食を頼んだはいいものの、ルフィが魚を骨ごと食ってのどに刺さった小骨を必死に取ろうとしている。
ていうかなんで魚を骨ごと食べるんだぜ?カルシウム不足か?
食い意地の張りすぎ…とか思ったんだけどゾロも骨ごと食ってるし。
なんなの?ワイルドなの?わけがわからないよ。

「ふーっ!取れた」

「バカだなのどを鍛えねェから魚の骨なんかひっかかるんだ」

「あんたらに言っとくけどね、フツー魚を食べたらこういう形跡が残るもんなのよ」

「ていうか誰かのどの鍛え方を私に教えてください」

そこ人間の鍛えられる部位じゃねーから!
まぁそれはおいといて、みんな食い終わったか。
んーそろそろかなー。

「メシも食った、行くか」

「そうだな」

まてまて若い衆、俺の見込みだとそろそろ…。
おお来客を告げるベルの音、きたかな?

「みなさん、ここにいらしたんですね」

「ようお嬢様っ」

キター!カヤお嬢様!
いやお嬢様を待っていたというか…ねぇ?
きましたよ、ついにやっとこのときが来ましたよ!
My ship…いやour shipか!
ヒャッハー!船だー!やっと小船で雑魚寝する生活が終わる!
ふかふかベッドで寝れるよ!やったな俺!おめでとう俺!
なんかお嬢様が話してるけどごめんなさい、テンションがあがりすぎて聞こえてません。
いやー長かった!ていうか狭かったわ!
あんな小船で三人だったからな!息苦しさで死んでしまうわ!
いやー楽しみだな!

















後書きコーナー
はいこんにちわ、こんばんわの人はこんばんわ!
作者のきな粉餅と申します
えー勢いで始めた小説が…え?桁がひとつ多い?
五万って…え?
そんな感じの日々が続いております。
感想のほうも返信しきれない程皆さんたくさんの感想をありがとうございます!
楽しみにしています!とかおもしろかったです!とかそういう感想一つ一つで次の話書こー!とかなったりします
いや構成は妄想できるんですがね…文字になるとどうも難しいですね
精進はしていきますが…

さて、いろいろと感想で載せられている質問にいくつか気になることがあったので返答していきたいと思います。
といっても一人の質問を切り取るといいますか、皆さんが気になってることをでっかく返していく、という形ですが
まぁ作者の私が答えてもいいのですが…自身の小説のことですし自身のキャラに片をつけてもらうとしますかね!



アヤ「と、言う訳でここから先台本形式となっていきまーす」

アヤ「いやー一人きりの台本形式ほど寂しいもんはありませんね」

アヤ「…質問返信、いってみたいと思います」


Q:あややってどのくらい強いの?

アヤ「あややって公式で幻想郷最強レベルって明言されてるんですよねー」

アヤ「太陽砕いたり隕石粉砕したり幻想郷囲む大結界作ったりと同レベルって…」

アヤ「まぁ少なくとも油断しなくても六式レベルまでなら何とかなります」

アヤ「大将レベルになると…さすがにきついものがありますがね」



アヤ「え?まずはこれだけですか?」

アヤ「少なすぎじゃありません?ていうか本編でも台詞少ないんですけど」

アヤ「メインキャラとはいったい…うごご!」

アヤ「まぁ気になったことがあり次第返答いたしますので感想よろしくお願いします」



アヤ「…しかし露骨な感想ねだりだ、いやらしい」



[35488] 第十三話 海の半分を渡る船と『三人目』の仲間
Name: きな粉餅◆264e7e68 ID:fbc467fd
Date: 2012/10/28 13:19
「へえ…」

「キャラヴェル!」

「うおーっ!!」

パシャパシャパシャパシャパシャっと。
正面から一枚、側面から一枚、真上から一枚、斜めから二枚。
真下から…は無理か、流石に。
…落ち着いた、すごく落ち着いた。
いらっしゃいメリー号、ようこそメリー号。
いやーこれでようやく小船とおさらばか…胸が熱くなるな。
しっかし今見ると結構面白いデザインしてるなメリー号。
あと黒猫海賊団とかバギー海賊団の船に比べるとやっぱり小さいな。
だが、それがいい。
この小柄な船がグランドラインの約半分を超えていくのか…。

「お待ちしておりましたよ、これは私がデザインしました船で――」

執事なのになんで船デザインしてるんすかメリーさん。
なんかメリーさんってあれだな、羊より前にあっちがでてきたわ。
まったく怖くない上にむしろ来いと思ってしまう俺はもう末期かもしれないね。
でも俺だけじゃないって信じてる、うん。
ていうか今は俺が人外で人怖がらせる類じゃないですか…え?怖がらせちゃっていいのもしかして?
そういやゾロ君にOSHIOKIしなきゃいけなかったし、うふふふくふふふふ。
馬鹿っていったもんね?乙女に馬鹿って言ったもんね?
許されざるよ、絶対許早苗だよ。
ていうかメリーさんがなんか呪文唱えてるけどなんていってるのあれ?
ドラ○もーん、ほんやくコンニャクよろしくー。
絶対日本語じゃないよあれ、オンドゥル語とかハナモゲラ語とかだよ。
あいにく俺はブロ語とルー語にしか精通してないので理解できません。
うん予想通りルフィ首傾げてるし、いや俺はナミさんが何故理解できているのかが理解できません。
お前は悪くないよルフィ…多分、いやでも船長やるなら海の知識はもっといてよ。
ガープさんも何故に肉体ばっか鍛えてそういう知識をつけてやらなかったのか…。
まぁ教えても理解できてなかったとは思うけどね。

「いい船だなー!」

「航海に要りそうなものは全て積んでおきましたから…」

マジですか、カヤお嬢様マジお嬢様。
そういえば食料とかの買い物するの忘れてたよ、今思い出したわ。
船に浮かれて大事なことを忘れるとは…俺もまだまだ未熟か。
まぁ海賊で熟すってのもなんていうかこう…あれだけどさ。
ベテランの海賊って言われれば聞こえはいいけどね。
とりあえず金もあるし?特には問題ないかな…航海的には。
まぁ問題は山積みだね、全部一気に片付けんのは無理だから一個一個消費していくとしますか。
幸い時間はまだまだたっくさんあるしね、ゆっくりゆったりのーんびりいきますか。







「―――ぁあああああああ!!!」


…ウソップ君何してはるん君?バカジャネーノ?
うわーでっかいリュックだな、人間の倍あるリュックっておま。
名状しがたい光景だな、珍百景余裕でINだよウソップくんおめでとう。
リュックと共に転がる男、ギャグ絵にはなりそうだね。
もうなってるね。
あえてもう一回いうけどバカジャネーノ?

「船長、ゾロさん」



ガスッという重々しい音と共に止まるリュックwithウソップ。
蹴りで止めることないやん二人とも、かわいそうだよ。
でも顔面を蹴りながらあえて鼻は折らないというなかなかのファインプレー。
その無駄に洗練された無駄な技術に僕は敬意を表する!

「わ……わりぃな………」

「「おう」」

しっかし改めてテラヒドスこの二人。
まぁ俺だったら華麗にグレイズしたと思うけどね。
いやいや俺があんなことしたら俺じゃなくてウソップがただじゃすまないからそういうことだよ。
けっして面倒くさいからとかそんな悲しい理由じゃないよ。


















「…やっぱり海に出るんですね、ウソップさん」

「ああ、決心が鈍らねェうちに行くことにする…止めるなよ」

「止めません…そんな気はしていましたから」

「なんかそれもさびしいな」

お前はいったいカヤお嬢様にどうしてほしいのだ、泣きながら止めてほしかったのか?
そんな甘い色の空気になったら俺の右手に封印された漆黒の龍神がその場のピンク色の空気をまとめて食らい尽くすがな!
くそぅ…かわいい子がほしいよ、美しいお姉さんもいいけど可愛い子がっていうか癒しがほしい。
ああ、社会の風と世間の目が俺には冷たすぎるぜ…。
もう自分でも意味わかんなくなってきてるわくそったれ。
嫉妬の炎で身が焦げそうだ、鎮まれ…俺のダークドラゴンよ…。
あそこの空気を邪魔してはいけない…くっ、ダークドラゴンの力が…!


「――お前らも元気でな、またどっかで会おう」

お前は何を言っているんだ(AA略)。

「なんで?」

「へ?なんでってお前…」

「ほら、いきますよ?船長と狙撃主さん?」

「だとよ、さっさと乗れ」

「俺たちもう仲間だろ」

まったく、一度共に戦ったというのにわからない奴だな。
あ、ごめん俺は一緒に戦ってないわ。
俺寝てたわ。





「…キャ、キャプテンは俺だろうな!!」

「ばかいえ!!おれがキャプテンだ!!!」



やれやれ、また騒がしくなりそうで何よりだぜ。
俺たちの冒険はまだまだ始まったばかりなんだからよ…。


あ、記念に一枚撮っておくか。
カヤお嬢様とメリーさんも入るように…カシャッとね。


うん、みんな笑顔のいい写真が撮れたぜ。
残念ながら文花帖みたいに自分は入れないけど、まぁいいか。
























第十三話 海の半分を渡る船と『三人目』の仲間






















さてさて再び海の上だが、やっぱり小船とは揺れが違うね。
小船のときはすごかったけどこっちだと微かにしか感じないし。
あー潮風が気持ちいい、小船のときはべたつくし臭いしみたいに思ってたんだけどねー。
余裕があるからなんだろうね、主に広さの面でもさ。
あとキッチンに感動した、めちゃくちゃ感動した。
やっと生野菜以外に野菜の食べ方ができるよ、ありがとうメリーさん。
まぁ他にもいろいろあったしね、保管庫に食料とかたくさん詰め込んであったり。
医務室とかもあったな、今のところは需要なさそうだけど。
あ、あの三千万ベリーは宝物庫につっこんどいたぜ。
どうせナミさんに盗られちゃうけどさ…まぁあることに使う金は取っといたからまだ盗られてもおk。

小船?介錯は俺がしたよ。
一応敬礼もしておいた、そこそこお世話になった(?)しね。
まぁどうでもいいね、超どうでもいいね。
さようなら小船二号。










んでもって今五人集まって海賊旗製作中なう。
あと先に言っておくが私の画力指数は53(ゴミ)です。
もちろん変身or形態変化などあろうはずがございませんのでご心配なく…。
鉛筆とかで書くくらいなら少しは描けるんだけどね…色塗ると途端にね、うん。

で、うちの船長だが。

「できたぞ!!海賊旗!!!」



「コイツには…つまり絵心ってもんがねェんだな」

「ううん…これってもしかして芸術なんじゃないかしら」

「海賊旗ってのは"死の象徴"のハズだろ…まぁある意味恐怖だが」

「…なんというかその、ハイカラですね?」

どうしてそうなった?どうしてそうなった。
あ、もしかしてアレか!抽象画か!なるほどなーすごいなーあこがれちゃうなー。
もしくはアレだな!あの…心理テストのやつ、ロールシャッハテスト?だっけ。
うんそうだそうに違いない、ゲルテナさんマンセーみたいな。
芸術ってのは奥深いな、うん。
うんって言葉と芸術を合わせるとあいつ思い出すな…ジャンプつながりだが漫画違うな。
あの漫画は…最初はすっごい面白かったけど戦争編はいったあたりから読まなくなったなー。
ていうかあの漫画全然忍んでないよね?ていうか忍者漫画で忍んでるのあったっけ?
NA○TOに○空に烈火の○…あ、H×Hにも忍者いたな。
全員忍んでないね、忍者って何だったんだいったい。













で、紆余曲折あってマークができました。
ルフィの考えたマークをウソップが描いて完成。
ちなみに皆で海賊旗製作しているところの写真はもちろんいただきました。
抜け目はないぜ。

「まぁ、これで私達もようやく海賊の仲間入りって所ですかね」

「おう!海賊船もできたしな!!あとは音楽家だ!!」

なんでそこまで音楽家にこだわるんだYOU。
海賊っていったら音楽家は必須なのか?
えーと後はコックに船大工に考古学者に音楽家に医者に…。
巫女とか魔法使いとかメイドとか庭師とか欲しいね!
いやまぁ冗談だけど…いや欲しいってのは冗談じゃないけどさ。
一番欲しいのは癒し(可愛い子)ですハイ。







「んで、船長はなにをしているので?」

「大砲の練習だよ、せっかくついてるし」

「ばかめ、おれにかしてみろ」

なんという火薬の無駄遣い…ていうかこれってあのイベントかよ。
んーじゃあウソップに任せるか…まぁ自分は用意しているとしますかね。

「ん?アヤどこいくんだ?」

「少しキッチンの性能を確かめに」

まだ見ただけで料理してないしね。
見せてもらおうか、新型のキッチンとやらの性能を!

「メシ作るのか!?」

「マジか!俺たちも食いにいっていいか!?」

「大砲の練習をするのでしょう?ちゃんと食事として持っていってあげますから」

「「ちぇー」」

悪いな、今回作る料理一人用なんだ。
というか食事だけじゃ不満なのかお前ら、どうせつまみ食いするつもりだったんだろうが。
まったくしょうがない船員共だ…やれやれだぜ。















あややのパーフェクト三分クッキングー。
一応俺の料理の腕はそこそこってところ、たしか料理屋でバイトしてたし。
まぁサンジの腕にはかなわんだろうがね、相手は本職でこっちは元バイトじゃ比べるのもおこがましいが。
んで今作ろうとしているのは超健康促進野菜炒めです。
ライムだけってのもあれだしねー。
ていうかライムは俺が勝手にライムジュースにしちゃったぜ。
だって普通に絞って飲んでもおいしくないし、俺の好みではだけど。
だから砂糖とか塩と合わせて作ってみました、かなりの自信作だぜ。
さて野菜炒めだが…うん、よくできてるね。
まぁこんなもんは料理の腕関係ないけどね、健康によさそうな野菜適当にぶち込んで炒めてハイ完成。
やっぱ野菜炒めはごま油が一番かなー、作りたての香りがいいのが一番好きだ。
蒸してもヘルシーでいいが今回はヘルシーにしちゃうとまずいしね。
食べやすさ?男ならそのくらい我慢せんかい!
んでそこにビタミンCの詰まったレモンと塩を軽くしぼって隠し味。
野菜炒めとレモンって意外とあうんだよね…って教えてもらったことがあったはず。
あんま覚えてないぜよ。



お、なんか今物音したな。
ジョニーがやられた音かな、っていうことはまだ少し時間があるかな。
とりあえず野菜炒めは蓋をかぶせといて、ちょうどいい時間だし一味の食事もついでに作っておくか。
なんかあらかじめ分かっていたみたいに思われても困るしね。
まぁチャーハンでいいかな?簡単かつ手抜きに見えずおいしく。






















「食事の用意ができましたよー、今日は栄養たっぷりの野菜炒めとチャーハンとライムジュースですよー」

お、倒れたヨサクがいるってことはタイミング的にはピッタリかな。
ちょうどライムジュースも持ってますよー偶然ですよー。

「えーと、誰ですか?その人たち」

「説明は後!そのライムジュースもらえる!?」

「え、ええ飲む予定でしたし…」

ナミさん必死すぎワロエナイ、まぁ人命かかってるしね。
どうぞどうぞ、あと野菜炒めもどうぞ。

「…そのチャーハン食っていいか?」

「ええ、どうぞ。あと事情説明よろしくです」

念のためにね、まぁこれにはゾロの不信感を取り除く意味もあるけど。
ていうか船長たちはあとで食わせてやるからそんなに必死にヨサクにいろいろ詰め込まないであげテ!














後書き

アヤ「作者は犠牲となったのだ…私の出番、その犠牲にな…」

アヤ「ていうかたくさんの人から鷹の目との会合を楽しみにする声が…」

アヤ「ヤバイデスッテソンナコワイヒトニチョッカイカケルナンテデキマセンッテ」

アヤ「あ、あと天狗の特性を説明してくださいましたあらたかんがり様、わざわざありがとうございました」

アヤ「んー三年後まではちょっと…考えてませんね」

アヤ「そして通りすがりの白狼天狗君、君は首輪を持って港裏までくるように」

アヤ「まぁ今回から後書きが結構フリーダムになってくるかもしれません」

アヤ「もうなってる?はははまさか」

アヤ「ではでは今回はこれまでー、ご視聴ありがとうでしたー」



[35488] 第十四話 やりたかっただけなんだ、すまない。仏の(ry
Name: きな粉餅◆264e7e68 ID:fbc467fd
Date: 2012/10/31 15:49
「栄養全快完全ふっか「当て身」グホッ」

「相棒ーっ!!」

病人は寝ていなさい馬鹿者が、何の為にせっかく人が栄養満点の食事を作ってやったと思っているんだ。
まぁついでみたいなもんだったけどね、そこは気にしない気にしない。
あーチャーハン美味い…でもマヨネーズが欲しいな。

あれ?なんかヨサクの口から泡吹いてるけどこれ大丈夫?かなり加減したんだけど。
うーんまだ少し力加減ができてないのかな…まぁヨサクの犠牲を生かして今度から気をつけよう。
さらばヨサク、お前のことは次の食事の時間まで忘れないと思いたい。
いや多分死んでないよ?多分無事だと思う…多分ね。
ワンピースのキャラって丈夫だしね!あれ?前もこんなこと言ったような気が…。
あれれ~?なんかピクピク痙攣してるだけで動かない、おかしいぞ~?

「こ、これ死んでないよな?」

何を言ってるんだウソップ、その程度で人が死ぬわけないだろう。
ファンタジーやメルヘンやどこぞやの洞窟探検者じゃないんですから。
死んでたとしてもその程度で死ぬ軟弱物が悪いのだ、そうすなわち『僕は悪くない』。
そうそう俺は悪くない悪くない…。

「死…死ぬ…」

「ヨサク!生きてたか!」

なんだ生きてるじゃん、ビビるわーマジビビるわー。
ビビらせるなよなまったくよ。

「…お前悪魔だな」

「何を人聞きの悪い、私は病人を安静にさせただけですよ」

「…悪魔だ、悪魔がいる」

ほうほうゾロ君にウソップ君、君達はそんなに俺を怒らせるのが好きかね。
そういや忘れてたなー、ゾロ君へのOSHIOKIを。
何がいいかな?ふふふふはははははくくくくくくケケケケ。
あとウソップは島が見えたら真っ先に放り込んでやろうかね?
ああでもここの次は島でもないしなー…。

「しっかし、これは教訓ね…」

「長い船旅にはこんな落とし穴もあるってワケか」

「栄養失調…やはりコックが必要ですね…」






やべ、次海上レストランじゃん。
ってことはナミさんの一時離脱もあるし…どうしようかね?
まぁナミさんについていってもいいけど…それだと滅茶苦茶にしちゃいそうだな。
あんまり原作のそういうところを崩すのは俺としても不本意だし…。
…まぁ時間はあるからゆっくり考えるとしますかね。













鴉は海に夢を馳せる
第十四話 やりたかっただけなんだ、すまない。仏の(ry
















「着きましたぜ!兄貴達!!」


あん?もう着いたの?
早くね?まだ二日しかたってないんだけど心の準備が…。
考えも整理してないよ、もう行き当たりばったりしかないじゃんかよ!
くそう、まぁ数日くらいはかかりそうだから大丈夫かなーとか思っていた自分をぶん殴りたい。
でも多分姿はあややだから殴れない、ちくしょうめ!
行くしかないのか…あ、でも今までも特に考えてたことあんまりないし別にいっか。
ていうかその括りだと俺やナミさんも兄貴になるんだけど?
俺はともかくナミさんは可哀想だろ…、男勝りではあるけど。
あーマストの上で昼寝するの気持ちいいなー。




おお、見える見える。
いやー変な船だなやっぱり、製作者はどんな意図であんな形に作ったんだ。
あれってデザイン作ったのゼフさんなのかね?
もしそうだとしたら料理のセンスはあってもデザインのセンスはなかったっぽいな。

よ、っと。
マストの上から飛び降りるの結構体強張るんだよね。
いや、自分は大丈夫なんだけど船がね?壊れるんじゃないかとさ。
いらん心配かもしれないけどね、この靴も圧力的にやばいかもしれないし。
まぁそんなことはおいといて、来ましたよ海上レストラン。
えーっと、よし袋も持ったからおk。
準備万端…忘れ物ないよね、よし大丈夫大丈夫。

「うわー近くで見ても変なデザインですね」

「いいや、おれはファンキーなアートだと思うね!」

「おもしれーなーっ!でっけー魚だ!」

まぁデザインのことはこの際何も言うまい。
そんなことよりお腹がすいたよ。
…あー後ろから海軍の船、そういや何とかってやつが乗ってるんだっけ。
なんだっけ、フルボッコ?うんこいつもぜんぜん覚えてない。
いかんなー原作覚えてないってこれからの冒険致命的じゃん。

「皆さーん、後ろから海軍の船がー」

『へっ?』

おいおいお前らゾロ以外揃って気づいてないんかい。
結構音してたと思うんだけどなー、あややの体だからかな?
やっぱ便利だわこの体、服も揃って汚れないし。
いやでもなんかメリー号に乗ってからは(まだ数日しかたってないけど)寝る前に風呂はいらないと落ち着かないけどね。
うんもちろんあややの裸体をばっちり拝見しました、何も感じませんでした。
くそっ!夢にまで見た東方キャラのリアルボディなのに何も感じないなんて!
いやこれで欲情し始めたら救いようのないHENTAIですけどね。
あ、そんなこんな考えてたら海軍の船からフルボッコ出てきた。


「見かけない海賊旗だな…おれは海軍本部大尉"鉄拳のフルボディ"、船長はどいつだ」

あー!フルボディか!そうだそうだフルボディだよ!
なんだフルボッコって、そんなバカみたいな名前のやついるわけないじゃん。
そうそうフルボディね、うんうん。
どうでもいいや。

「おれはルフィ、海賊旗はおととい作ったばかりだ!」

あーなんか面倒くさいな。
レストラン入れるようになるまで寝るとしますか。
再びマストにジャンプ&ゴートゥーベッド、よし寝る。
あーでもこのままだとルフィがレストランに砲弾返しちゃうじゃん…。
ま、怪我するのゼフさんだけだし別にいいか。
ごめんよゼフさん、別にあんたのことが嫌いなわけじゃないんだ。
でも俺の頭の中の方程式じゃ『面倒くささ>ゼフさん』なんだ。
だから諦めてくれ…そしておやすみ…。










はいボーン。
三分も眠れなかった…頭が痛い。
まぁさっき昼寝してたんだけどね、眠いもんは眠いんだぜ。

よいしょっと。
はいはい無事着地、穴の開いたレストランから上がる煙。
あ、ルフィ跳んでった。
多分謝りにいったんだろうね、はぁ…今度はお腹すいたよ。
なんか皆硬直してるけど先にレストラン行ってるとしますかね。
















「こちらはイッカクフグの切り身、レモン添えとなりますお嬢さま」

「あやや、わざわざどうもありがとうございます~」

「いえいえ!あなたの様な美しい方の元になら僕はたとえ戦場にいたとしても駆けつけて見せましょう!」

「おやおや、なかなか嬉しい事を言ってくれますね~?…本気にしちゃいますよ?」

「ゴハァ!」

うぉあ、まさか吐血するまでとは。
そんなこんなでサンジ初対面、いやぁ面白いわ。
反応がいちいち楽しいね、ワンピースのキャラ全般に言えるけどね。
あの空島のエネルの大ゴマには初見は吹かざるを得ないよね、アレは仕方ない。
あーやっぱりここの料理美味しいよ、自分で作るのとはレベルが違うわ。
ド○クエの序盤のスライムと後半のスライムナイトくらい違うわ。
いいね、こんなメシが毎日食えるとかね。
女だから特別扱いしてくれそうだしね。
酷い?そんなに褒められると照れてしまうなぁ?

「貴方のお名前はなんというのですか?」

「サンジです、以後お見知りおきをマドモアゼル」

「サンジさん…ですね、まぁ貴方のような素敵な方なら早々は忘れないでしょう」

「グフゥ!!」

鼻血とかならまだ漫画表現として分かるけど、吐血するのは流石にやばいと思うぜ。
なんでそんなすぐに吐血してしまうのぜ?
見てて面白いからいいけど、食事にもかからないし。
ていうかこれ以上吐血すると本当に死んじゃうんじゃないかな?
まぁ東方キャラにそんな事言われたら俺だって吐血する自信はあるね。
今は無理だけど生前だったら多分余裕だったと思うよ。

んでサンジだけど、これから仲間になるんだからここで死んでしまうのは…。
いや冗談だようん、大丈夫大丈夫。
死因:萌えとかね、いやある特殊な方々には勲章かもしれないな。
無茶しやがって…、みたいな。



「おいサンジ!なにやってんだテメェ仕事しやがれ!!」

「うるせェクソ野郎!今俺は忙しいんだオロすぞ!!」

いやいや仕事はしようぜサンジ君、職務怠慢はいかんよ君。
あーでも今船長の危機だってのに悠々とメシ食ってる俺は職務怠慢かね?
そもそも海賊の職務ってなんだろ、町襲ったり人脅したりすることかな。
んじゃうちの海賊団は年がら年中職務怠慢だし問題ないか。

「失礼、あなたとのひと時を邪魔する輩を成敗してから参ります」

「おやおや、あまりレディを待たせないでくださいね?」

「うっひょーい!!貴方のためなら何なりとーっ!!!」

楽しいやつだね、サンジ面白いわやっぱり。

















そんなこんなでゆっくりデザートのフルーツケーキを堪能中。
やっぱりさ、ケーキにフルーツを入れるのはいいけどリンゴ入れるとどうもなー。
オレンジとかイチゴはクリームと食べても美味しいのに、なんでなんだろ?
あ、なにこれおいしい。
ブルーベリーかな?なんか青い実入ってるけど。
うーんなんか肉っぽいな、果肉って感じでもないけどなー。
ブルーベリーみたいな色をした全裸の巨人の肉でも入ってるのかな。
なんかウィルスに感染しちゃいそうだな、絶対勘弁するわ。
ん、なんか騒がしいね。



…あーあの人か、えーとフル…ボッコさん。
もうフルボッコでいいよね、俺が決めた今決めた。
今日からお前は富士山…じゃなくてフルボッコだ、前途多難な名前だが気にするな。
んでそのフルボッコさんが今机を叩き壊したところですねー、いやーこれはアウトですね。
おっとサンジ君蹴り上げたー!クリーンヒットアンドダウンで4Pッ!
うわーこれは酷い、やっぱりお前の名前はフルボッコだったわ。
その足跡は名前改変の判子だとおもって甘んじて受けるんだなうんうん。
あーでも軽く頭痛がするな、雲なしの午後には僕の修羅が騒ぐのかね。
どうしようかなー止めようかなーでも面倒くさいしなー。
よしやめよう、君子あやうきに近寄らずという名ゼリフもあるしな。




さてお次の災難は船長がゼフ氏と共に天井から落ちてきたことだな。
他人のフリ他人のフリ、帽子とって羽を服の下に隠してハイ完成。
あ、羽根が収納できるって最近知ったんだよね。
キッチン探索中に机の上にあった皿羽に引っ掛けて割っちゃってさ。
んで鎮まれー我が漆黒の羽ーみたいなことやったら収まったよ。
服に穴開いてるからアレだけどね、まぁ穴のぞいても小さくなった羽根しか見えないよ。
あーデザート美味い、残さず食べないと怖いしちゃんとケーキの中のリンゴも食べますよ?

おーっとフルボッコ君今度はゼフ氏の追撃が入ってダメージはさらに加速したァ!
ついでにサンジ君も顔面に蹴りを食らっているー!まるで交通事故です!
さすが赤足?のゼフ氏、おそろしやおそろしや。
ていうかフルボッコもう本当にフルボッコでいいよね、もう顔面血だらけなんだけど。




そして入ってくる海軍A!キタキタ待ってました!
ふふふ…落ち着け俺…自重するんだ。
まだ笑うな…しかし…。
袋は?持ってるな、中身は?入ってるな。
こんだけあれば…いけるいける、別にここは高級レストランじゃないんだから。



そして背後から撃たれる海軍A、乙。
まぁ撃たれたのは左肩だし、死んじゃあいないでしょう。
そしてくるのは…ギン!お前は覚えてるぜ、いぶし銀。
まさにギンに似合う言葉だよねいぶし銀って、昔辞書引いてちょうどピッタリコイツだーと思ったもん。
まだだ…まだ飛び出すんじゃあない、こらえるんだ。
タイミングは…あそこだ、あそこがいい。

ふらふらといすに座るギン、寄っていく…名前なんだっけ?パティ?
うん大柄なハゲ、いやスキンヘッドか…まぁ髪無しでいっか。
注文を聞く髪無し、銃を髪無しに向ける銀…もうちょい!もうちょい!

髪無しがギンと椅子を両手で殴りつけ、椅子が壊れギンが床に倒れこむ!
キター!!ここだ!!
原作が少し揺らぐだろうがそんなことオラしらねーよ!


「代金が払えねェんなら客じゃねェじゃねェか!!」

海賊を殴りつけたコックに対する歓声が飛ぶ…だがその空気が気に入らない!
確かにギンは今は悪者で海賊だが、後半の心意気に餓鬼の頃心打たれたんだよ!

「客じゃねェ奴ァ消えうせろ!!」

「ではでは、金があるなら客なんですね?」

つかさず倒れこむギンに足を蹴りだそうとするハゲ、だがそんなスピードじゃあ遅いな。
はいその足ストップ、とりあえず悠々とその足の進行方向に片足を出す。
この出された足が普通の『常識的な』少女の足だったらよかったんだけどねー。
あいにく『非常識な』もんだからね、おもいっきりあややの足を蹴ったハゲが足を押さえだす。
鉄より硬いもん蹴ったんだもんね、仕方ないよその反応は。

「サンジさん!!!」

俺が印象に残っているあの台詞…ワンピースじゃないけど!
いった奴は公式で恥知らずとか言われたけど!それでも!!
俺はこの台詞に魂をこめる!!
取り出すのは袋!手のひらサイズだが、お宝を無理やりパンパンに詰め込んだッ!
こんだけあれば多分この店の料理全部出しても欠伸が出るほど釣りがくるはず!
それをギンの近くにいた客の机にぶちまけッ!
あの憧れの台詞を叫ぶッ!




「この人にこの店で一番高いものを食べさせてやりたいんですが、かまいませんね!!」





「…!了解!!」

ナイスサンジさん!
ふぅーすっきりした、この台詞は生涯に一回は言ってみたい台詞だったからなー。
満足満足、わが生涯に一片の悔いなし…いやそれはないけど。

「あ…アンタ、なんで」

「え?いえなんとなく、死に掛けてたので気まぐれです」

うん…正直言うとあの台詞が言いたかっただけなんだ…。
いやギンを助けたいって言う気持ちはあったよ?台詞に匹敵するくらいあったよ?
ウソジャナイヨ?『俺は絶対嘘つかないことで有名なくらいだからね』。


「…テメェお客様、そのタコがどういう奴か分かってんのか?」

「さぁ?それにどちらかというとタコはあなたの頭では?」


ぶち切れて俺にまで襲い掛かってくるハゲ、おおこわいこわい。
人間ごときがかなうと思ってるのでしょうかね、命知らずが。
あ、でもあの船長様が見てるから加減しないといけないか。
やれやれ、まったくもって面倒くさい事この上ない。



[35488] 第十五話 カラスって近くで見ると可愛いんだね、初めて知った
Name: きな粉餅◆264e7e68 ID:fbc467fd
Date: 2012/10/31 16:44
いやーしかしよく食うねギンちゃん。
出てきたの俺の頭二個分位ある海王類の肉のステーキだったのに、出てきて数分でもう十分の一もないよ。
人間の追い詰められたときの食欲はやはりすごいな…本当にぎりぎりだったんだな。
そんな食糧難に陥ったことは…ごめんなさいちょっとだけ規模が小さいけどありましたわ。
まぁあれは俺の宇宙並みに寛大な心の広さで水に流してあげたけどね。
あ、パティさん?俺の足の下で伸びていますけど何か?
いやいや首筋にトンと当てただけだよ、うん。
ヨサクの犠牲は無駄にはならなかったようで、泡は吹かなかったよ。
いやぁやはり俺の成長スキルはA+といったところかな。


さて、正直俺どうしようかな。
なんかノリでパティのしちゃったけど、こっから先のこと考えてないし。
とか思ってたらルフィと一緒にさっきのやり取り見てたゼフ氏接近中、俺オワタ。
っべーこれはっべーわ、昨日実質三時間しか寝てないからなー頭痛いわー。
今日はちょっと調子悪くてゼフと戦うのはちょっと無理かなーほんのちょっとだけど。
いやーいつもなら余裕なんだけど昨日実質三時間しか寝てないからなー。
いやマジすいませんホント謝ります土下座しますんでその凄むのやめてください。



「…そのバカから足どけちゃあもらえねェか」

「へ?あ、いえ別にかまいませんが」

スタッと高速で飛び退き早足でルフィの後ろにささっと隠れる。
運がよかったな、今日はMPが足りないみたいだ。
昨日ぐっすり眠れてたらなー、七武海とか大将とか四皇とか全員相手でも余裕だけどなー。
いやーでも昨日実質(ry。


うわ、ゼフ氏容赦なくパティの頭義足で蹴ったぞ。
普通に痛いだろアレ…二メートルくらい床滑ってったよ。
あ、壁に当たって止まった。


「いでェ!?」

「なにサボってやがるパティ、さっさと厨房に戻らねェか!」

「い!?は、はいオーナー!!」

聞くやいなや厨房に飛び込むパティ、俺のかませ乙。
しかしテラコワスゼフ氏、さすがグランドラインの元猛者といったところか…。
うわこっち見た!ぷるぷる、ぼくわるいてんぐじゃないよ。
と思ったら一瞥だけしてさっさと向こうにいってしまった。
ふん、命拾いしたな(震え声)。
よし船長ガード解除、お疲れ様でした船長。



「ところで船長」

「ん?」

「結局あの後どうなったんですか?といいますかどうして天井から?」

「あのおっさんおれにここで一年働けって言うんだ」

「ほうほう」

「一週間にまけてくれっていったら蹴られた」

「あなたが悪いですよそれ」

まぁ数日後にはクリークも来るし、しっかり働いててくれ。
できればちょっとだけでもいいから家事スキルをあげてください。





















鴉は海に夢を馳せる
第十五話 カラスって近くで見ると可愛いんだね、初めて知った




































「…助かった、礼を言いたい」

「いえいえ、お礼なんていりませんよ?どうしてもお礼が言いたいならあなたの食べた料理を作ったこの人にどうぞ」

「悪ィが俺は注文されたモンを作っただけだ」

ごめんねギンちゃん、君を助けたのあの台詞の所為とノリの所為なんだ。
ジ○ジョの台詞って使いどころ難しいの多いよね、だからこそ使ったときに光るんだけどね。
なんか生前にジョ○ョの台詞をところかまわず使っていた奴見てバカだなーとか思ったし。
やっぱりここぞというときに言わないとね、うん。
んでサンジ君、君堂々とサボっていいのかね。
副料理長だろうが、しっかり働けよ…いや今更だね。
あ、なんかレストランにいるとやけに周りの目線が痛いので今は外に出てるよ。
人気者はつらいね、いやー困った困った。



「…アンタも海賊なのか?」

「はい、それがどうかしましたか?」

「なに!?アヤちゃん海賊なのか!!?」

あ、そういやサンジに言ってなかったっけ?
まぁいいか、別に。
ていうか普通の一般人が海のコックのせる訳なかろうが、そのくらい気づこうよ。
あーでもこの世界だと一般人にもそういう奴らがいそうで怖いわ。

「てことは、アンタもワンピースを目指してるクチか」

「そうなりますね、もうすぐグランドラインに突入予定ですし」


あ、ギンちゃんグランドラインって言葉ににびくっと反応した。
まぁ約五千人の仲間をたった一人にやられたんじゃトラウマにもなるかね。
あとサンジ君なんで落ち込んではるん?もしかして本気Loveだったのか?
なら一緒に来ちゃいなYOU、まぁ無理だろうけどねクリーク戦終了までは。


「アンタに忠告しとく…グランドラインだけは、やめときな」

「…なにやら恐ろしい目にでも遭われた様子ですね、化け物にでも会いました?」

「…ああ、あれは間違いなく化け物だ」

鷹の目…ミホークか、鷹とカラスってどっちが強いのかね?多分鷹だろうね。
だが人間と烏天狗なら…いやでもあれ人間っていえるのかなっていうかこの漫画に出てる奴ら人間なのか?
どいつもこいつも妖怪顔負けの化け物どもだからなー、最近のジャンプろくな人間いないよね。
まぁただの妖怪じゃないからまだ大丈夫かね、一般妖怪でここ生き残れはなかなかルナティックだけど。
すいませんハードが限界です勘弁してください。
さすがにここで喧嘩売るような真似はしないとこう…無理無理化け物だよ相手。
そんな相手と戦うとかね…あ、頭が痛い。
無理だこれは無理無理、戦わないっ…俺は戦わないっ…!

「まぁ、心にとどめておきますよ」

「ああ、ぜひそうしてくれ…」

本気でトラウマになってるな、いやいやさすがのグランドラインも一人一人あんなんじゃないよ。
たまたま運が悪かっただけだ、そう考えると自然災害となんら変わらないな。
ていうか鷹の目さん何故にそんなグランドライン序盤の海にうろついてるし。
初心者つぶし?なかなか外道だな鷹の目さん。


「じゃあ、俺はそろそろ行く…またここに来るかもしれないが」

そういいながら小さな小船に着々と荷物を乗せてくギン。
なるべくクリークはつれてきてほしくないけどねー。
でもクリーク来ないとゾロの決意も固まらないしサンジも仲間にならないし。
難しいもんだね、どうもね。

「数日留まる予定なので、会えるやも知れませんね」

「ああ…今度はメシ、奢らせてもらうよ」

「一番高いのを頼みます」

「だってさ、頼んでもいいか?」

「…おう、任せときな!」

お、サンジ君復活。
ギンのその笑顔もサンジのその笑顔も、シャッターは切れんかったがしっかり目に焼き付けたぜ。
んじゃ一旦おさらばだギン、また数日後に。
さて俺はまたネタでも考えておきますかね。





















































「さぁアヤちゃん!僕と君でスウィートタイムを…」

「サンジさん、お仕事はどうなされたので?私お仕事をサボるほど不誠実な男性は少し…」

「お仕事にいってまいりマス!!」


よし働いて来い、いい加減そのノリとシリアスのギャップがきついぜ。
ていうか本当にチョロいなサンジ…大丈夫なのかよ本当に。
あー女口調に慣れてきたな、我ながら気持ち悪いスキルを身につけたもんだ。










































あー一味の役に立たずにメリー号のマストの上でする昼寝は気持ちいいなー。
いやーそろそろなんか役に立ちたいとは思っているんですよ?明日からやります。
いやいや俺には資金稼ぎをするという重大な使命が…。

え?今の俺の一味の立ち居地って敵船荒らし?
二つ名に『荒らし屋』みたいなのついちゃうの?いやだなそれ。
文字違いで嵐なら格好いいのに、まぁ台風よりは風雨に近いんだけどね。
もしかしてすっげー役に立って無いですか俺?むぐぐ。
いかんなんとかしないと…あー難しいこと考えると頭が痛いよー!
別に⑨って訳じゃないんだけどね、あたいはできる子なんだけどね。
ただ少しだけ頭が不自由なんです、馬鹿ではないです。










ん?あの…あれあそこの店の名前なんだっけ?
パティシエ?…あ、バラティエか。
んでそのバラティエのマストに止まってるウミネコとは違う異様に目立った黒い鳥って…。





あれカラスじゃね?
この世界にカラスっていたのか?そもそもいたとして何で海の真ん中のレストラン近くにいるんだ?
店から出る残飯狙いかな?でもサンジとかゼフ氏とかいるからその辺厳しいよね?
ていうか潮風とか大丈夫なのかカラス、いや俺全然カラスについて知らないからなー。
んーどうなんだろ、ちょっと知的好奇心がうずく。

まぁ全然おれ自身が知的じゃないのでそれはおいといて、気になったことがひとつ。




今俺天狗のあややなんだからさ、カラス使役できるんじゃないかなって思ったわけです。
どうなんだろ、でもこのチャンスを逃したら結構痛いよな…。
幸いいるのは一匹だけ、これいけるんとちゃう?
思い立ったがラッキーデイ、男は度胸なんでも試してみるもんよ。
今女だけどね、さてどうやってあそこのカラス呼ぼうかな。
手招き?ダサいな、呼べたとしてもなめられそうなので却下。
とりあえず俺の存在に気づいてもらおうか、拍手…っていうか何回か手を鳴らしてみるか。





たぶん四回目くらいでこっち見た、早くね?
見たと思ったら飛んできた、いやいや早くね?
ご都合主義ってやつですかそれとも天狗補正ってやつですか。
幸運C-の俺に前者は無いのでたぶん後者だな、てんぐってすげー!
さてさて伸ばした俺の手に止まってくれたカラス君、可愛いね。


あと爪鋭いね、ちょっと痛いね。
うんでもカラスって生前詳しく見たこと無くて結構嫌な印象だったけど…。
可愛いな!つぶらな瞳がくりくりしてるじゃねえかこのやろう!
羽の手触りもいいじゃねえかこのやろう!ふわふわとごわごわの中間あたり!
ふう…ちょっとすっきりした、かわいいぜ…。
さてさて、そんじゃ本題に入ろうかね。

「私の言葉が理解できるのなら、両翼を広げなさい」


うおいきなりバサッとなった、ちょっとだけビビった。
あ、このポーズも可愛い…あれでもこの子くちばしに横線みたいな傷入ってるな。
可愛い顔が…そこに注目すると格好いいだと…?
くそっ、なんという癒しを見つけたんだ俺は!
僕らが目指したシャングリラはここにあったのか…欲望を抑えきれずもふもふしたい。

空想にまみれたフリーダムな妄想はさておいて、続き続き。

「お前は私の僕(しもべ)となり、私についてきなさい、天狗の命よ」

ちょっと強く言いすぎかなー…とか思ったけど結構素直だね。
ススッと首をこちらに持ってきて俺が伸ばした人差し指の腹にくちばしをつける、可愛い。
さてカラス初ゲット、ちょっといろいろお使いとかやってもらおうかな。
敵情視察、軍隊攻撃&総突撃…買い物、敵船荒し、荷物運び、食料調達、仲間の居場所確認…。
うはwww夢が広がりんぐwwwww....

あ、カラスの言葉分からない。
どうしようかな~しょうがないからこの子に特別な文字を教えるとか

『よろしくお願いします、天狗様』





What!?何事!?なんか頭が勝手に…うわなんか気持ち悪い。
相手がしゃべってる異国の言葉が聞き取れないのに理解できてるみたいな…。
これも天狗の特性かー…あーなんだろうこの気持ちは。
意思疎通できるのは便利だけど…うーん。

まぁそのうち慣れるかな…いまはひたすら耐え忍ぶのみよ。
我慢我慢。


「天狗様…んーどちらかというとアヤのほうがいいかな」

『了解しました、アヤ様』

やっぱなんか感覚的に気持ち悪い…でもこの子従順で可愛いな。
coolだね、俺クールな子って大の好みだわ。
和服の似合うクールな大和撫子…やばい想像しただけでテンションが!





落ち着け俺…素数を(ry。
さてさてまずはこの子に名前をつけてあげましょうか。
初の僕だしね、いずれはカラス軍団のリーダーとかにしてあげたい。
名前かー…一人でいたから孤高みたいな名前がいいなー。
でも俺がつけると中二くさい名前になりそうなので却下。
あーでもカラスっぽくカンクロウとか?
なかなか格好いい名前じゃん、ちょっと気に入ったじゃん。
でもなんとなくかませっぽい名前なので却下。
カラス…カラスかー、んーと…。

























ビビっとキター!!!
確か結構前にやったゲームのキャラクターの名前!!
確か名前は…、おk思い出した。


「今日から貴方の名は刃九郎です、私の僕としてしっかりと働きなさい」

そうそう刃九郎(じんくろう)だったわ、なんかカラスのキャラクターで名前が白狼って読めたからそれで覚えたんだっけか。


『はっ、素晴らしい名をありがとうございますアヤ様』

やだ…この子可愛い…。
カラスってもっとこう…誰にも従わぬ孤高の鳥みたいな感じかと思ってたけど…。
まぁいいや、これからよろしく刃九郎。













































後書きコーナー

アヤ「はいはい今回もですね、あー生きているのが面倒くさい」

アヤ「さてさて感想もいろいろありますが、通りすがりの白狼天狗くんはちょっとこっちで話をしよう」

アヤ「えーなんか前回はね、あれやりたかっただけなんですけど反応してもらってうれしい限りです」

アヤ「あ、あと小説の書き方について『文章の具体性』が欲しいという要望がありましたね…」

アヤ「これについては…んー作者が周りを描写するとどうしても三人称になってしまうんですよね…」

アヤ「今回ほんの少し周りを意識してみましたが、なんとなく説明口調に違和感が…」

アヤ「この小説読んでいる人でワンピースの原作知らねェ!みたいな人っていたりしますかね?」

アヤ「いたらちょっと感想に書いたりしてもらえると助かります」

アヤ「えー今回はここまで…ですね」

アヤ「いやー本当にこの小説勢いだけですわ、骨組みも揺らぎまくりな勢いです」

アヤ「どこまで突っ走れますかねーリアルとの相談しだいってのもありそうですが」

アヤ「ペース遅くなってもがんばっていくので、応援よろしくです~」





















アヤ「あーカラスかわいい、でもヒロイン的な癒しが欲しい」



[35488] 番外part1 刃九郎と我が仲間
Name: きな粉餅◆264e7e68 ID:fbc467fd
Date: 2012/11/04 10:24
いやーヤバいよ刃九郎マジヤバいよ。
どんぐらいヤバいかって言うとマジやばいってくらいヤバいよ。








うん落ち着いて事後報告をしていきますと、なんと刃九郎が妖怪になりました。
っていってもただの妖怪ガラスじゃなくてこう天狗に使役されるための妖怪ガラスみたいなのらしいね、式神みたいなものなのかな。
その方法なんだけど、なんかあややの血を飲ませるだけで全然妖怪になれるっぽい。
いや刃九郎に聞いたんだけど、なんか見た瞬間直感的なもので理解できたらしい。
あれなんだろうね、やっぱ天狗とカラスはどんな世界も主従関係にあるっぽいね。
存在と関係すら世界を凌駕するって…やっぱり妖怪ハンパないわ。
もっとこうなんというか儀式的なものが必要とか思ってたんだけど、刃九郎曰く

『アヤ様程の大妖怪の方でしたら、血の一滴ほどで十二分に唯のカラスを妖怪化させるに事足りるでしょう』

らしいです、流石あややパないの。
あ、あと刃九郎確認したところ男…っていうかオスらしいね。
いや確認したって言っても【自主規制】な所とか見た訳じゃないよ?
そもそも見たところでカラスのオスとカラスのメスなんて区別つかないしね。
本人ならぬ本ガラスに直接伺いました、ちょっとがっかりしたのはここだけの話。
でも大丈夫だ、お前は十二分に俺の癒し要素だ。



ああそうそう、何がヤバいかって言う話だっけ?
まず初めに妖怪化させるとき、一滴で充分だって聞いてたけどこの子をなんとしてもリーダにしてあげたい一心でね…うん。
指じゃなくて手のひら切って、そのまま拳ギュッと握って血を飲ませました。
刃九郎も唖然としてたよ、いやわかんないけど多分そんな感じじゃないかな。
だって初僕で初ガラスだよ?ちょっとうれしくってさ、ねぇ?
んで結果を話すと、別に姿が変わった訳じゃありません。
デカくなったりもしなかったし、話し言葉や性格が変わった訳でもございません。
ただ…その、スペック?っていうか能力がね。



まずスピードがヤバい、普通の人間じゃ絶対見えない反応できない。
あややの目だから結構とらえられてたけど、なんか黒い風が吹き荒れてる感じだった。
海を低空飛行させたら風圧で軽く海が割れた、奇跡もびっくりなソニックブームカラス。
第一音がおかしいもん、ブォンブォンって虫の羽音ですか?その何倍もでかいけど。
あと鮫持ってきた飛び方がバッサバッサって感じじゃなくてグライダーみたいな感じだった、カッコよかった。
速く飛ぶならそっちのほうがいいらしい、でもそれ普段は止めてね危ないから。





更に攻撃力がヤバい、軽く突っついただけで大砲の砲弾に穴が開いた。
冗談のつもりでなんか適当に魚取ってきてって言ったら四メートルくらいの角はえてる鎧みたいな鱗した鮫取ってきた。
海に飛び込んで十数メートル位の深度の所を泳いでたのを貫いたらしい、もうおかしい。
しかもその後足でつかんで海から引っ張り上げたらしい、どんな力してるんだ本当に。
んでマストで休んでた俺の所に鮫持ってきた、超ビビったマジでビビった。
だって海の向こうから四メートルくらいの鮫がこっちに飛んでくるんだぜ?
近づいてもっとびっくりしたんだけどね。
もうこの子妖怪どころの騒ぎじゃないよ、伝説の鳥ポケモンのレベルだよ。
ゴースト、ひこうの新しい伝説ポケモンの誕生だよ。
個体値は攻撃130素早さ140位だよ、チートとか厨ポケとかチャチなモンじゃあ断じてないよ。
分かってもらえたかなこの驚き、例えるならウォーズマンが1200万パワーを叩き出した時位の驚きだよ。
しかもグライダー飛行法にするとスピード×パワー=破壊力で前方に常に攻撃だからね?




そしてなによりヤバいのが愛くるしさだよ。
海から上がってこっち飛んできてマストに留まって俺にかからないよう水プルプル払ってるときの仕草がヤバい。
軽く死人が出るレベル、俺とか俺とかme。
いやこれは冗談…じゃないけど置いといて刃九郎かなり賢い、本当になんでも言うこと聞くし。
そういや地霊殿にいる子もカラスだよね?しかもかなりの力を持った太陽のカラスだよね?
なんであのことこの子ではこうもINTに決定的な差がついたのか…。
鳥頭って言うけどカラスって賢いらしいしそれだったらミスチーの方があれだよね?
うーんやはり常識に囚われてはいけないのか…。

























鴉は海に夢を馳せる
番外part1 刃九郎と我が仲間

























所変わってキッチンなう、ペットに餌をやるのは飼い主の役目。
後今刃九郎は俺の右肩の上、フ○ク船長スタイル、海賊だけに。

『主の肩の上に乗るなど…』

とか言っちゃって、やべえこの子可愛いわマジ天使だわ。
さっきからテンションがおかしいわ、スーパーハイテンションでギガスラッシュだわ。
でも仕方ないよね、今まで生きてきて生き物使役するとか考えてもいなかったし。
しかも初めての子が幼稚園のがきんちょみたいにわーわー騒いだりわがままだったりしない子だし。
むしろめっちゃいい子やん、言うこと聞くし従順だし可愛いし。
ていうかこの鮫どうしよう、血は抜けてるけどこんなの調理したことないしどこが食えるんだろ。
まぁ適当でいいか、食べるの刃九郎だから妖怪パワーで何とかなるよね?
妖怪って腹壊したりすんのかな…ていうか妖怪って人間の肉と恐れ食うんだっけ?
でも俺も今普通に人間と同じもの食べてるしな…ていうかこの世界だと妖怪信じる人いなくね?
なんで俺存在できてるんだろ…もしかして妖怪じゃなくなってるとか?
まぁそれはないな、こんなパワーもってんのが人間なわけないし。
あー深いこと考えると頭痛いな、どんだけ低スペックなんだ俺の脳。
とりあえず目の前の鮫の鎧鱗をあややの力で無理矢理引っぺがす、手でつかんでベリーっと。
んで骨に沿って切っていく、包丁は使わず風のカッターで。
はい完成、さぁ刃九郎食せよ。



『…これは料理ですか』

「解体しただけともいうけど、まぁ大丈夫でしょ」

何が大丈夫か自分でも分からんけど、別に毒持ってる訳でもないっしょ?
大丈夫大丈夫、男は度胸何でも試してみるもんさ。
















さて刃九郎について分かったことをいくつか述べてみるとでもしようかね。
鮫?刃九郎がおいしくいただきました。

まず視界共有や聴覚共有や念話が可能、しかもかなりの距離を。
あのスピードで真っ直ぐ飛んでいって1分くらい話せていたから実質無限っていってもいいと思う。
強さとかは前記したとおり、グランドラインまで通用する厨ポケです。
んで刃九郎の素性は、とある島の親玉気取ってたカラスらしい。
あまりにも退屈過ぎて俺より強い奴に会いにいくとばかりに島を飛び出したんだとさ。
んで腹空かせてバラティエについたら俺の姿を発見、直感的に色々と知って俺の周りうろうろしてたらしい。
かわいい、そんなことしてたのかよ全然気づかなかった。
どーりで手をたたいた瞬間飛んできた訳だよ、かわいいやつめ。
まぁ素性はどうあれ(たいした素性でもないし)部下一号だし、大事にしないとね。
あ、あとおまけでくちばしの傷は島の崖ボーッと飛んでたら上からの落石に気づかず掠ったんだと。
それ一歩間違えたら死んでたぞ。



うん少ないけどこんくらいかな?結論から言うとこれからの敵の命がヤバい。
一応無双はしないようにって事と俺が今海賊やってることは知らせてある。
ある人の仲間やってるって言ったら首かしげられた、まぁ一人でグランドラインいけるレベルだしね。
そこら辺は暇つぶしっていっておいた、実際そんな感じだしね。
所属してはいるんだけどね、何かいまいち輪の中に入りにくい。
あっちは壁作ってないんだけどこっちがなー、秘密持ちは辛いよ本当に。
話す気はないけどね今んところは、船長の熱いエールがあったら話すわ。

















そして数日間やることがないんだけど、んーとりあえず仲間の様子でも見てみようかね。
こういう普段のコミュを上げていくことによって俺の新たなるペルソナが…。
タロットに海賊とか新聞屋とか自由とかあればいいのに。
冗談はさておいて誰からいこうかな、まあここは…あ、みんな帰ってきた。
んじゃゾロにするかな、なんとなく一番最初に目についたから。














船のマストの近くの見張り台でさっそく昼寝してるゾロ発見。
俺の手に握られているのはサインペンではなく筆である、ここサインペン無いんだよ。
何て書こうかな、まずはスタンダートでお約束の落書きのお供である肉だな。
デコにちょちょいのちょい、っと。
うっし次は…いびきうっさいなゾロ、ヒゲ書いてやる。
ピカテューみたいに…なんかどっちかっていうとオラエモンみたいだな。
まぁいっか、んで最後の仕上げに…。


「おまえなにやってんだ」

「はい?」

あ、目覚ましちゃった。
ちっ、抽象画みたいにしてやろうと思ったのに…残念。

「ちょっと暇つぶしを」

「なにしてやがった?」

「…お絵描き?」

見せびらかすように筆をくるくる回す、アンド不意打ちショット。
うーんナイスアングルでナイスタイミング、マヌケな顔の落書きゾロ頂きました。
あとでこれを脅しの材料に…の前にちょっと遊ぶとするか。
できた写真をピラピラー、いえーい見えてるー?



「てめッ、このアマ!」

「乙女に向かってアマとはおお、ひどいひどい」

そのまま空に向かってスカイハイ!捉えられまい…。
ふふふ、ははは、ふはははははは!


『…文様』

「なに?」

『あの者が文様の仲間、ですか?』

「そうよ、それがどうかした?」

『あの者、刀を抜きましたが』

「だいじょーぶ、どうせ私に当てられないし」

もーまんたいもーまんたい、当たらなければどうということはない。
さて、次は誰をいじろうかな。



[35488] 第十六話 自分の思考がジブンのしこうがじぶ んが
Name: きな粉餅◆264e7e68 ID:fbc467fd
Date: 2012/11/04 11:00
ゾロから逃げつつふらふらとバラティエの裏側に入っていくと窓からいまだ食事中のウソップとナミさんを発見、ゾロ1人だけ食い終わったのか。
あ、店の近くっていうか上にカラスの刃九郎連れていけないのであの子は船の上でお留守番、ゾロの手によって焼き鳥にされていないことを祈ろう。
いや多分返り討ちだろうけどね…主要メンバーすら返り討ちにしてしまうってやばいな、今考えると。
あんまり適当なことすると即物語狂って主要メンバーが弱くなる可能性があるからなー。
かといってここを抜けるとやることがない…なければ作ればいいんだけどさ、夢とか。
でもここにきた以上物語にはからんでいきたいし…ワンピースの世界きて物語関係なく死んでいきましたってのはちょっと…。
あーでも一味抜けつつ物語の裏で暗躍するってのはちょっと格好いいかもしれない。
難しいもんだな、まぁそんなこと関係なく自分の楽しいことやっていけばいいんだろうけどさ。
とりあえず船長への借り返しておきたい…あれでも食糧難乗りきらせたってのは借り返したうちに入らないかな?
いかんいかん何で俺一味抜ける前提で話持っていってるんだ?からみたいっていったじゃん。
あーくそ頭痛い、こういう考え事するのは俺の性に合わないのか?ていうか最近変頭痛ひどいな。




「アヤ?そんなとこで何やってんだ?」

「うぇ?ああ、船長ですか…いえ少し考え事を」

船長…かー、何か適当についていくって決めたんだよなー。
自由に生きられそうだから、だっけ?海賊ってのは基本自由なもんだし面白そうだから…。



思えばあの時から自由になりたいとか言ってたんだよな…別に何かにとらわれてる訳じゃないのに。
自由か…自由って何だろうな。
あぁ今日は特別頭痛がひどい。


「で、船長はでっかい袋二つ持って何やってるんですか?」

「雑用」

「さいですか」


ゴミ捨てでもやってたのか、いややってるのか現在進行形で。
なんていうかこの人は…この人こそが自由って感じだよなー。
好き勝手に海を冒険して仲間作って…。
それに比べて俺は何やってるんだろうな、原作こわさないように気を配って仲間の成長に気をつかって…。


「船長」

「ん?」

「私、あなたの船降りさせてもらいます」


不意に自分の口からそんな言葉が滑り落ちた。
ついつい勢いに任せて言ってしまっただけだ、本当にそんなこと思ってるはずが…。
否定する材料を頭の中で探してもどこにも見つからない、ナニガシタイんだろう俺は。
自分でも意味が分からない、気でも狂ったか?



「…なんでだ?」

「少し、整理する時間が欲しいのです」


はは、口に出してみると馬鹿馬鹿しいな。
ルフィからすると何言ってるか分かんないだろこれじゃ、何考えてるんだ俺は。
でも、ルフィなら止めてくれるかね?俺が強くてアレでも受け止めてくれるかな?


「そっか」


…結構意外な反応だな、こう熱く止めてくれるのかと思ってた。
それこそ俺のおごりか、やることなくただボーッとしてるだけで働かない奴を止めておく義理なんてないしね。
夢もなく目指すものもなくただその時その時に気をつけて、ははずいぶん馬鹿らしい生き方だこと。
自分でも笑っちまうくらいに酷いわ。
勢いで突っ走ってぶつかったときにする行動は甘えってか、はは。
なんだろう、途端に自分がおかしくてたまらない。
まるでこの一味を抜けたくてたまらないみたいな自分と何すればいいかわからない自分がいる気がする。
ぬけたくてたまらないじぶんがじぶんをワラッテルきがする。



あーなんかあれだな、考えなおすと自分が阿呆みたいに見えてくる。
いや実際そうなのかな、俺何のためにこの世界に着たんだろうか。
そう考えてると今の自分が惨めで恥ずかしくて今すぐ海に飛んでいきたくなる。


ルフィはどう思ってるんだろう?勢いで入って勢いで抜けてく軽いやつだと思ってるかな?
いやそもそももう仲間とも思ってないかな、まぁ当然だよな。



「少しだけですが、貴方の仲間になれて楽しかったです」




「いや、それは違うぞ」




…そっか、こんな軽い奴仲間でも何でもなかったんだな。
ははは、何を自惚れてたんだ俺は馬鹿みたいじゃないか全部全部。
いいや、もう行こう自分がここにいる必要はもうないって叫んでるから。






「船降りてもお前はおれの仲間だ、帰りたくなったら帰ってこい」




「…ありがとうございます、ルフィ船長」






もう、いこう。
何をしたいのか考えよう、そして帰ってこよう。
仲間…仲間か、はは、は。



































鴉は海に を馳せる
第十六話 自分の思考がジブンのしこうがじぶ んが


































メリー号に降り刃九郎を呼ぶ、呼ばれた刃九郎はすぐに俺の肩に乗った。

『アヤ様、どうなされました?』

「この船を降りるわ、行くわよ」

『…この船の者たちは仲間じゃなかったので?』

「仲間よ?大事な 大事な」


さぁ、行こう刃九郎。
あまり俺にものを考えさせる事をいわないでくれ、頭が 痛いから。












ただ飛んだ、グランドラインまでまっすぐ。
グランドラインまでの方向は分かっている。
大丈夫だ、『あの人たち』とはすぐ会える、そんなに悲観することでもない。
何をそんなにあせっているんだ俺は、もっとゆっくりいかないと刃九郎が。





近くの孤島にそっと着地する、刃九郎を待たないと。

そんなことを考えた矢先、ぐるりと世界が回った。
空が真正面に着て、地が背中につく。
あ、そういえば昼寝の時間だ。
刃九郎がくるまで ゆっくり寝よう。



































いつもいつも夢を見るんだ、男二人が争う夢。
いつもは霧がかかって全然見えない夢、ノイズがかかって聞こえない夢。
昼寝をしても夜普通に寝ても二度寝してもいつもいつもいつも同じ夢を見るんだ。
いつもはボンヤリと影しか見えないのが、今日は少しだけよく見えた。
灰色の服を着た男が白衣を着た男の胸ぐらをつかんでいた。
ここは、病院?白い壁が周り一面を囲って白い花瓶に白い花が咲いていた。
よく見ると灰色の男は白いベッドに横になり上体を起こした状態で白の男に怒鳴りかかっている。
怒鳴っている声は相変わらずノイズばかりを吐いていて全然聞き取れない。

『――――――――――――!!!』

うるさい、でかい声を出すな頭が痛い。

『――――――――――――ま!!』

うるさい、静かにしてくれ。














『こんにちわ、調子はどうですか?』

夢の世界に声が響いた、耳障りは良くない、頭が痛い。

『良くはないようですね、どうしたのです?せっかく自由になれたのに』

自由って、なんだ?どういうことだ?あんた誰だ?

『さぁ、自分の脳で考えてみては?もっともその頭痛のひどい脳では考えられませんか?』

うるさい、だまれ。

『おやおやこわいこわい、与えられた自由は満足できませんか?』

自由に?そう思うのならここから出してくれ。
もう白いのを見るのも嫌なんだ、霧がかかって前が見えない。


『…どうやら頭がこんがらがっているようで、何を言ってるのか分かりませんよ?』

うるさい、頭痛を止めてくれ、手足の震えを止めてくれ。
もういやだ、助けてくれ。

『…貴方の従者が呼んでいます、そろそろよい子はお目覚めの時間ですよ』



















『アヤ様!どうなされました!?』

うるさい、静かにしてくれ…あん?ここどこだ?
メリー号は?皆は?
俺は一体、何してたんだ?



[35488] 第十七話 一匹鴉
Name: きな粉餅◆264e7e68 ID:fbc467fd
Date: 2012/11/04 15:25
白い波とーワイキキビーチー、浮かぶうーかぶーディナークルーズー。
わーすーれられないーおーもーい、でー?いきなり一味を抜けてたことかな?



なんで俺一味抜けてるんだアアアアアア!!!!!??
誰かこの状況を説明できる奴来い!そして俺に説明してくれ!
確かゾロいじって、船の裏行って…あー頭痛UZEEEEEEEEE!!!
どういうことだよおい!冷静?いまそれどころじゃねぇよ!
ここどこ!?後ろを見ればジャングルっぽい樹海で目の前には海!?なんかデジャブ!!
ふざけンじゃねェぞ!!ナメやがってよォォォォオ!!!!





『ア、アヤ様大丈夫ですか?』

「全然…」


ごめん刃九郎、お前から見たら砂浜転げまわって地面叩いてる変な人だよね…。
おいでおいで、そんな木の上止まってないでこっちおいで。

畜生なにやってんだよ俺…あの一味でおもひでのアルバムつくろーとか薄々夢を抱いていたのに…。
オールブルーとかラフテルとか写真撮ってみたいとか思ってたのに…。
よりにもよって最後の写真がゾロの落書きマヌケ顔かよ!!うわああああん!!
なんなんだよ!しかも別れの記憶も無いって!帰るに帰れないじゃん!
これは罠だ!ニアが俺を陥れるために仕組んだ罠だ!
うう…メリー号…この際小舟二号でいいからぬくもりが欲しい…。
刃九郎はいるけどさ、フカフカだけどさ、かわいいけどさ。
どうしよう、目的も何もかも全て白紙に帰っちゃったよ。
ストーリー抜けたら鬱イベントどうこう言ってる以前の問題ジャンよ。
目的、目的を作ろう。
そうしないと精神がぶっ壊れる、なんかもう世界の重みに耐えられなくなる。
まずエースは助けよう、お約束お約束。
グランドラインは制覇しよう、どうせならやってみたいよね。
空島は行こう、一味とか関係なく行きたい。
あとはあとは…。






むなしい…なんか開放的だけど虚しい。
仲間…仲間が欲しい、どんちゃん騒ぎできる仲間が欲しい。
かといってもうあそこに戻ることはできない、船長…いやルフィ以外の下につくのは気に入らない。
となると一から海賊船を作るしかないよね…。
くそっ、改めてどうしてこうなった!魔が差したってレベルじゃねーぞ!
あーもう!楽しく自分のやりたいように生きたかっただけなのに!
あーもう頭痛で頭が痛い!ついでに手足も痛い!
なんなんだよ!俺がなにしたって言うんだよ!



もうやだ…心折れそう、誰かに側にいてほしい。
…いないこともないけどね、癒しが。



『…アヤ様?どうなさいましたか?』

「いや、なんでもないわ…うう」


やばいこの子が今の俺の精神の要石だわ、この子を俺から抜き取った瞬間すべてが崩れるってくらい支えになってるわ。
さて、ぐちぐち言ってても始まらないしやれることからやろうかね。
空元気でも虚勢でもはってないと本当にやってられねーよチクショー。





















鴉は海に夢を馳せる
第十七話 一匹鴉


























まずここどこ?無人島ってのは分かるけど…グランドラインどっち?
まぁ適当に島探してみようかな、ついでにそこら辺に海賊船あったら襲って金ぶん捕ろう。
強盗でも背に腹は変えられない、良心じゃ飯は食えないし戦もできないんだ。
この先生きのこるには良心を捨て悪の道に走るしかない、自由と幸福を手に入れるためなら俺は悪にだってなってやる!
よし気合入ってきた!もう何も怖くない!

「刃九郎、おいで」

『分かりました、アヤ様』

そういやこの子の部下も作ってあげないとね、んでカラス軍作ったらグランドラインを無双してやる。
俺TUEEEEしてやる!もういい常識などとその気になっていた俺の姿はお笑いだったぜ!
手配書がどこまで上がるのかためしてみるのもいいな!自由気ままに海賊も海軍も襲いまくって金を奪ってやるか!
ははははははは!






うん、空しい…。
船長ー、ゾロー、ナミさーん、ウソップー、サンジー…。
仲間がいないと……寂しい…。
なんで…こんな事になったんだよ…。































飛行時間約十数分程度、そこそこゆっくりめに飛んだからまぁそんなもんか。
島の名前は…コーカス島?聞いたことないな。
原作には出てない島か、少しだけワクワクしないこともないな。
島全体の大きさは大体あのバギーんとこの島と同じくらい。
街と森の割合が6:4くらいで、結構さかんな港町って感じかな。
イメージとしてはあの空島前の…ジョヤ?だっけ、そこに近いかもしれない。
んーまずはグランドラインの情報とここら辺の海賊の情報を手に入れようか。
ていうか財宝持ってくればよかったかも、すっかり存在忘れてた。
ていうか出た記憶もないんだからそんなのいちいち覚えてないか。
森の方からグルッと回って島に上陸、まぁ情報収集は酒場というお約束。
時間としてはすっかり夜だから問題ないよね?ああでも姿は少女なんだよな。
まぁ気にしない気にしない、めんどくさいし。







酒場は結構でっかいね、ていうかこの西部劇みたいな扉初めてみたわ。
酒場の中は大賑わいっていうかそこらで飲み比べやら喧嘩やらやってる。
羨ましいね、その雰囲気ぶち壊したくなってくる。
もしかして海賊…いや剣とか持ってるからもしかしなくても海賊だね。
とりあえず開いてる隅っこのカウンターに腰かける、ああもう酒臭いなぁ。
さっさと情報集めたら出ていこうかな、こんなカビ臭いところ。

「マスター、コーヒー」

「おいおいお嬢ちゃん、ここはガキの食事屋じゃないぜ?」

「いいから持ってきなさい、モタモタしないで」

ああもう鬱陶しい、へらへら笑うな胸糞悪い。
その無駄にでかい図体とヘラヘラ笑う首をお別れさせてやろうか。
ああもう気分が悪い、どいつもこいつも幸せそうにしやがって。

『アヤ様、気をお沈めください…』

「私は落ち着いてるわ、機嫌は悪いけどね」

ああ刃九郎のその声は今は止めてほしい、頭が痛くなるから。
コーヒーはまだか、くそっこんなにイライラするんなら紅茶でも頼んでおくんだった。

「コーヒーお待ち」

おせぇよまったく、あーカフェインじゃイライラは収まらないのかなぁ。
なんでこんなに気分があれるんだろう、刃九郎も怯えちゃってるのに、落ち着かないと。

「マスター、グランドラインについての情報はある?」

「は?おいおいお嬢ちゃん、一人でグランドラインに行くつもりかい?」

「それが何?あなたに関係あるの?」

一人じゃ悪いのか?一人でいることがそんなに悪いのか?


『―!!アヤ様!』

「何?そんなに叫ばなくてもきこえてるわよ」

『…一般人に殺気を向けるのはどうかと』

殺気?ああ、知らず知らずのうちにだしてたのか?
ああ、確かにカウンターの向こうのマスターも泡吹いて倒れたわ。
酒瓶の割れる音がいちいちうるさい、いっそのこと全部壊してしまおうか。
あーあ、グランドラインのことについて聞こうと思ったのに台無しじゃん。
貧弱なくせに、よくも海賊集う酒場なんて開こうと思ったもんだ。
それとも俺が強すぎるのか?原作壊してしまうくらいに?はははっ。
そうか、これは原作を壊さないように神様かなんかが一味から俺を追い出したのか!
そんなことのために俺は一人になったのか!










――そんなことのために、俺をこんなところに閉じ込めるのか!!










そんな神様何ていうもののために俺は一人きりか!!










――大衆のため何ていうもののために俺がこんな苦しい思いをするのか!!










くそっ!なんで俺ばっかがこんな目に!
俺はただ自由に楽しく生きたかっただけなのに!
自分で選ぶ権利すら与えてもらえないのか俺は!



『アヤ様!!落ち着いてください!!』


ふと気づくと、周りの喧騒はピタリと止んでいた。
酒場の中はまるで嵐でも通りすぎたみたいに滅茶苦茶で、そこらに人が倒れていた。
これが…俺の力か。


「刃九郎、グランドラインに向かうわ」

『…アヤ様?』

「さっさといきましょう…やれやれ、面倒くさい」

グランドラインは…あっち、だと思うけど。
さっさと向かっちゃいましょうか、私の目的もあるしね。



[35488] 第十八話 世界はさ…厳しいよな、俺に
Name: きな粉餅◆264e7e68 ID:fbc467fd
Date: 2012/11/05 22:39
まるで夢を見てるみたいだ、今自分は空を飛んでいて風まで受けているというのに。
いや空を飛んでいるということが非常識で夢みたいなことだけど、でもこれは間違いなく現実で今の自分の常識なんだ。

でもまるでフィルターがかかったみたいに見える景色が嘘くさくて。
一面に広がる海がどこか遠くの写真でも見ているみたいにみえてさ。
望遠鏡で除いてる景色みたい、カメラのシャッター越しに見てる世界みたい。
自分はどこに向かっているんだろうか、もはやそれすら分からない。
隣を並んで飛んでいる刃九郎が不安そうにこちらを覗き込んでいる。
なんでそんなに不安気にこっちを見てるんだ?まるで知らない人でも見てるみたいじゃないか。
大丈夫だ、お前は一人じゃないし俺も一人じゃないんだから。
しかしゆっくりめのスピードとはいえもう二時間ほど飛びっぱなしだ。
眠くなってきたし、少しねむれる場所が欲しいな。
そんなことを思っていたら少し向こうにメリー号よりは少し大きい船が見えた。
でかい旗に二本の角の生えたドクロが不気味にワラッテイル、海賊船だ。
ちょうどよかった、眠かったんだ。





カッと音を立てて甲板に着地すると、全員が毛皮のような服を着た男たちがこっちを訝しげに睨む。
人を観察するような目で見るな、不愉快だ。
少し遅れて追いついてきた刃九郎を腕に止まらせて頭を撫でてやる。
疲れているところをすまないな、一仕事だけ頼みたい。


「刃九郎、ここにいる者を皆殺しにしなさい」

『…了解しました』


なるべく静かに、だ。
俺の睡眠を邪魔しないように、俺の頭を痛くしないように。
よかった、これで静かに眠れる。
水の音みたいな音がうるさいが、小雨の様だと思えば逆に心地よい。
そこら辺のロープを枕代わりに、布団は…寒くないしべつにいいか。
寝よう、寝れば少しでも嫌なことを忘れられるから。
























鴉は海に夢を馳せる
第十七話 世界はさ…厳しいよな、俺に
























『どうしたのです?なぜそんなに荒れておられるので?』

頭に響く嫌な声、陽炎みたいにぼやけた曖昧な姿、またお前か。
気持ちが悪い、機嫌が悪い、俺に話かけたいならこの頭痛が収まってるときにしてくれ。

『それはありえませんよ、あなたが今の姿で逃げつづける限りね』

どういうことだ、会話は相手が理解できるように言え。
あと人を小馬鹿に見下したような言い方をするな、癇に障る。
俺が逃げている?バカも休み休み言え。

『ふふふ、私としては理解してもらわない方が都合がいいのですが』

ふざけるな、馬鹿にするな、俺を見下すな。
何なんだお前は!くそっ頭が痛い、なんで俺がこんな目に!

『そうやって逃げてるうちは収まりませんよ』

うるさい、逃げた訳じゃない。
俺は何からも逃げてない、ただあいつらが閉じ込めたから。

『…ま、私から言うことは特にはございませんので』

くそ、また頭が痛くなってきた。
何で俺がこんな目に、俺は、俺はただ――――――。

『お互いギブアンドテイクで行きましょう、私のプレゼントは既に開封されましたし』

どういうことだ、勝手に話を進めるんじゃあない!




『後は貴方が進むだけです、面倒ですが頑張ってください』




























うるさい雨の音と感触でで目が覚めた、最悪の朝がやってきたよ。
うわ、雨に濡れてベタベタじゃん服…スケスkゲフンゲフン。
何で俺こんなところで寝てるんだっけ、酒場にいた記憶があるんだけど。
ここは、船?メリー号!?…じゃないな、変な期待させやがって。
ていうか何だこの船、死体しか乗ってないじゃん幽霊船かよ。
うわーミンチよりヒデェや…見事に全部穴開いてバラバラって。
アナアナの実の能力者とでも戦ったのかな、ご冥福をお祈りします。


あれ刃九郎は?刃九郎はどこだ?


『お目覚めですか、アヤ様』

「…目はさめたけど気分は優れないわね」


いたいた、一際でかい死体の上に乗ってたわ。
一瞬大男の着てた毛皮が黒いのとふさふさ加減で分からなかったわ。
あーねむい、できることならずっと眠っていたい。
いや永眠は勘弁、永遠の夜を眠る気は流石にないぜ。
んーなんか変な夢見た気がする、全然思い出せないけど。
あー何かここ最近変な夢ばっかだなー、夢見てる所為か寝てる気がしないし。
そもそも何か少ししか眠れないし、ぐっすり寝かせてほしいんだけど。
そんなささいなことも俺には許されないのかよ畜生。
あーなんかもうなんにもやる気が起きないー、んーでもグランドラインいかないと。
グランドラインはー…どっちだろ?たぶんあっちかな?
勘で適当に進んでれば多分着くでしょ、どっかの巫女さんなみの適当さだね。

「刃九郎、いくわよ」

『…了解しました』

「?どうかしたの?なんかあった?」

『…!いえ何でもございません』

?へんな刃九郎、変なものでも食ったのか?
ていうかこの船なんか鉄臭い、雨で死体の血が流れたのか海も変な色してるし。

「ほら刃九郎、死体に近づいたら死体の匂いが移っちゃうわよ?」

そんなものに触るんじゃありません、ハゲタカやハイエナじゃないんだから。
あ、でもカラスモ死体にたかるよね…いやなんでもない、そっとしておこう。
とにかくこの高貴なるアヤ様の部下ならもっとちゃんとしたものを食べなさい。
絶対死体とか生ごみとかそんなものは認めんぞ!絶対にだ!
可愛い僕にそんなもん食わせられるか!あと癒し!すっごい癒し!
血と生ごみに汚れた癒しとか誰得だよ、誰も得しないよそんなもん。
あ、そうだ恒例の宝物あさり…。
恒例…の…。
う、ううう…泣いてねーし…畜生…。


















少々飛んでたどり着きましたローグタウン、海賊王が死んだ町だね。
さっきの船から500万ベリーくらい見つけたから何かいろいろと買えるでしょ。
当面の目標は船かな~…船、船かー…うう、なんでこんなことに…。
さっきの船でももらっとけば…いやいやあんな血なまぐさい船に俺はともかく刃九郎を乗せたくない。
あ、でも血だらけの船のマストに大量に乗るカラス、そしてそれらを操る大ボスであるこの俺…!!
か、かっこいい…。
でも人間にもそばにいてほしい…誰か仲間になってくれる人いないかなー。
あ、そういやギンのこと忘れてた。
また会えるかもしれないとか言っといて…なんで飛び出したんだ俺…。
二重人格障害なんて患った覚えねーぞ畜生…!第一もう一つの人格があったとして一味飛び出す理由なんかないし!
うう…頭が痛い、眠りたい、先々刻まで寝ていたというのに…。
そうだ、こんだけでかい町なら薬局とかあるだろ!なら睡眠薬とかも…!
うっし気合はいってきた!これでようやく私も眠れる、眠らせ姫かrゲフンゲフン。
あ、あとお腹空いたな…どんだけ飯食ってなかったかも覚えてないって相当だよな。
そういや刃九郎って俺が話しかけないと滅多に話しかけてくれないよね、ちょっと寂しいな。
いや君の爪が肩に食い込む感触があるだけ寂しくないよ、痛いけど。
それでも人のぬくもりはまた違うものがあるんだ、主に女子のはな。
さて、とりあえず行くところは処刑台、薬局、スーパーって所かな。
船は…500万で買えるのか?怪しいものだ。












薬局行って睡眠薬、はい完了。
ゆっくrぐっすり眠れるね、やったねアヤちゃん睡眠時間が増えるよ!
いかん虚しい、刃九郎も何か考え事してるみたいに黙っちゃって動かないし喋らないし。
うう、肩の爪に温もりはないのか…その爪で傷ついた自身の血は温かそうだな。
絶対そんなもんで温まりたくないけどな。
次はスーパー…って隣やないかい、なになに『海賊時代セール』?
おいおい、この町海軍基地あっただろうが何海賊推奨みたいに言っちゃってるんだよ。
ていうかそのセールいつまで続くんだよ、年単位のセールって。
しかも十パーセントオフ!?この店マジでどうなってやがる!?
と、とりあえず食いもん食いもん…おお卵が安いな。
いやでも調理できる船がないからな…船…グスッ。
保存食の肉…またお前に頼る生活が始まると言うのか燻製肉よ。
とりあえず刃九郎が軽く持てそうな範囲で買っておくか、刃九郎にキャリーは任せた。













おーこれが大海賊時代を築いた男の処刑台か、んーロマンがあるね。
まぁ海賊王なんてなる気はないけどね…海賊王か…船長…ぅぅ。
いかんいかん、過ぎたことを嘆いてどうするんだ俺!知らぬ間に過ぎてたけど!
たまたま偶然ばったりであいましたーとかで…たまになら会えるかな。
でも俺一味抜けたときに仲間に何て言われたかも言ったかも覚えてないんだよな。
喧嘩別れとかだったら超気まずいじゃん、どうしよう。
ま、まぁアラバスタとかでっかいイベントならあっても仕方ないよね!
そのときに…仲間の元気な姿見れれば…。
な、なんか俺が依存症みたいじゃないか!ちがうよ?そんなんじゃなくて…。



はぁ、自由に残るは虚しさとは。
世界っていうのは厳しいな…俺には特別に。



[35488] 第十九話 私怨と名上げと召喚…いやなんでもない
Name: きな粉餅◆264e7e68 ID:fbc467fd
Date: 2012/11/13 20:33
いい船長ってのには3つの『N』が必要なんだなあ…!『三つのN』!
1つ目は…『名が売れている』だ、2つ目は『仲間が裏切らない』。
…そして3つ目は冒険やお宝を『望む』…いいだろ?船長の3つの『N』だ。
っていうのを港のすっごい片隅に建ってる古ぼけたラーメン屋で考えてみました。
我ながら上手にできたと思うよ、でも刃九郎にいったら
『…いいんじゃないでしょうか』とかそっぽ向きながら言われたよ、悲しかったよ。
あぁここの豚骨チャーシューマシマシラーメンが五臓六腑に染み渡るでぇ…。
うん、ていうかこの店ラーメン屋なのにカウンターに酒瓶とかが並んでいるのはなぜ?酒場をそのままラーメン屋にしたの?
あと立ち食いなのもなぜ?駅とかにある蕎麦屋じゃないんだからさ。
か弱い乙女(見た目に限る)が港の片隅のラーメン屋で立ち食いってどんな状況だよ。
というか大海賊時代にラーメンとかミスマッチにも程があるだろ…。
ワンピースの世界も常識に囚われないね、だからあややの姿でここにきたのかね。
いやそれだったら早苗さんでもよかですけどね、大海賊時代に吹き荒れる奇跡の風。
お前の奇跡で世界がヤバい。



うんそれでね、俺グランドライン行きます。
いやそれは確定事項だったんだけど、グランドライン行って海賊団始めるよ!
んでそのためには仲間が必要な訳で。
でもルフィみたいに幸運Exモードじゃないからあんないい仲間達がグランドライン前で見つかる訳がない訳で。
そうするとグランドラインで仲間作ろうって話になって、でもそのためには名前が売れてる必要があるよね?
そういう訳で俺が出した結論は、『海軍に喧嘩売ってそこそこ高めの懸賞金かけてもらって注目度を上げよう』ってことです。
ついに俺も海賊の旗揚げになる訳だ、夢がひろがりんぐだね。
さらにここにはスモーカー大佐がいるよね、あれ?今大佐?後で大佐になるんだっけ?
まあいいや、奴には個人的な私怨があるのだよ。
前世の記憶、あやふやな記憶の中でも貴様への恨みは忘れぬぞ…!
首を洗って待つがよい…フフフ、ハハハ、ハーッハッハッハッハァ!







































鴉は海に夢を馳せる
第十九話 私怨と名上げと召喚…いやなんでもない
























さてやってきました断頭台、海賊王が死んだこの場所から俺の新たなる伝説浪漫大活劇が始まるという訳だ!
いやールフィ達の時とは違って快晴だから景色がすごくいいね。
爽やかな昼下がり、断頭台に登る俺、ザワつき不思議そうな目で俺を見る野次馬共。
駆けつけてくる海兵、向けられる銃口、叫ばれる警告…ムードとは一体なんだったのか…。

『そこの君!直ちにその断頭台から降りなさい!これは海軍直々の命令である!』

っせーな!もうちょっとこの景色を堪能させろよ!こっちはいろいろあって癒しが足りないんだよ!
海軍が何様だってんだコンチクショー!俺をここから降ろしたいならブルドーザーでも持ってきな!
さて、名前を宣伝するのはいいけどどうやってしようかね。
なるべく一般人を巻き込みたくはないけど…そうなりゃ海軍ボコるのが一番手っ取り早いかね。
見たところ今俺に銃を向けてる海兵がざっと見て八人くらい?んで俺に向かって拡声器で叫んできたのがリーダ格か。
つまりリーダー合わせても九人、おいィ?あもりにも謙虚すぐるでしょう?
あーもう直接海軍本部に突っ込んで嵐竜巻巻き起こした方がよかったかも。



とりあえず銃を向けられたままっていうのは落ち着かないよねね。

「刃九郎、ちゃっちゃと片付けちゃって…狙うのは武器だけね?」

『了解しました』

言うやいなや俺の肩から飛び立つ刃九郎、飛び出す力で俺の肩が痛い。
そして刃九郎が俺を取り囲む海兵を横から横へと通りすぎると同時に、海兵の銃が真ん中のあたりで両断される。
いやはやお見事、流石我が海賊団戦闘部隊裏隊長(予定)。
そうだ、海賊団の名前も考えておかないとな。
かっこいいのがいいけど…んー俺のセンスだとどうも厨二臭くなるな。
黒鴉海賊団とか…いかん自分のナンセンスさに笑えてくるわ。
もう刃九郎海賊団とかでいいんじゃないかな、あいつもよくやってくれてるしね。
てか俺が戦ったのってバギーの獣野郎と黒猫海賊団の雑魚共だけかよ…。
刃九郎に至っては鮫仕留めて今の海兵の銃両断しただけだし、なんという宝の持ち腐れ。
もっと戦わせてやりたい…でも自分も戦いたい。
ガイアが俺にもっと戦えと囁いている…!

『…アヤ様、いかがなさいましたか?』

「…いや、なんでもないわ」

おかえり刃九郎、あー戦わせてあげたいなぁ戦いたいなぁ。
いかんいかん落ち着くんだ俺、どこぞやの戦闘民族じゃないんだから。
いや海軍を\デデーン/して無双状態になっても俺としてはアリだけどね。
そんなことだらだらと考えてたらいつの間にか海兵さん達がログアウトしてた。
そろそろ本命かな…さぁこいスモーカー!ここがお前の死に場所だぁ!
いや殺しはしないけど血祭りにあげてやる…貴様の罪はそれほど重い!
まぁ冗談はさておいて、そろそろ待ってるのも暇だし名前売り出しのパフォーマンスの開幕といきますか!



まず広場の中心に全力で上昇気流を発生させます、んでもって風でこれでもかというくらい雲を呼びます。
はい完了、分単位とかからずに黒雲覆う空の完成です。
ね?簡単でしょう?
もちろんその間も自分が作っていますアピールを忘れない、具体的に言うと元気玉を生み出すかの如く片手を上に上げ笑いながら大衆にアピール。
これで何も起こらなかったらただの痛い子だけどね、でも事実として雷雲ができてるからしっかりアピールできてるでしょ…できてるよね?
流石に快晴から雷雲まで一分掛からずなるってのがありえないってことくらいは分かってるよね?
うん分かってるはず、さて後は大佐が来るのを待つかな…。


とか思ったらもう見えるとこまで来ちゃってたわ、広場の横の入り口の野次馬の向こうのどでかいバイクの横でコート羽織るとこが見えたわ。
そして一直線に近づいてくる白い煙の線、密度高いなオイ。
この暗い中でも目立ちすぎだろ…一体何の煙なんだ。
原作でもルフィつかんでたし、煙っていってもいっぱいあるよね?
あーでもワンピースって漫画は海賊力学で成り立ってるからな…深く考えるだけ馬鹿か。

「海軍本部大佐″白猟のスモーカー″だ、大人しくお縄に付きな」

「本日旗揚げのアヤです、カラスは縄では飼えませんよ?」

「なら煙で籠を作ってやろうか?」

「結構です、元々飼い慣らされる性分でもないので」

はい口喧嘩終了、しかし話終わると同時に煙になって乙女の柔肌をつかもうとするのはどうかと思うぜスモーカーさんよ。
お前の煙がどんなものかは知らないが煙は煙!⑨と一緒に高いところに登っているのがお似合いだぜ!
とりあえず距離をとるために団扇で一仰ぎ、おら飛んでけ!

「なっ!?てめェ能力者か!」

「Exactly(その通りでございます)」

いきなりの団扇の突風で広場の真ん中に飛ばされるスモーカー、まさかこれで終わりとは言うまいな!
ついでに貴様の武器の海楼石もいただいておいた!これで勝つる!
いやまぁあややに効かないけどね。
さてなす術もあるまい!もはやおまえなんか怖くねぇ!野郎ぶっ殺してやる!
貴様は絶対に許さんぞ!じわじわとなぶり殺しにしてくれる!
そして貴様への恨み、確実にはらしてくれる…!








アレは忘れもしない、夏休みの事だった…。
当時学生だった俺はワンピ好きの友達と共に夜の夏祭りに来ていたのだ。
あ、もちろん友達って男だよ?残念ながら俺には女性と縁がなくってね…。
いや若いころはなくはなかったのだが、いやモテモテだったが膝に矢を受けてしまってな…。
まぁそんなことはどうでもいいとして、とにかく夏祭りに来ていたんだ。
んで当てもなく二人っきりでぶらぶらしてると、突然かき氷を持った小学生の低学年くらいの男児が俺にぶつかってきた。
もちろんその手にあったかき氷は俺の着ていた愛用の黒い甚兵衛にシューッ。
普通なら俺はここでブチ切れて…いやそんな度胸はないか、ないな。
まぁ普段なら紳士的な態度とはかけ離れた態度でその男児に接することになっていただろう。
だが、その日の俺は前日にその友達から借りたワンピースのアーロン編からラブーン編を読んでいたのだ。
そう、ここでその日の俺はあのスモーカーの台詞を試してみたくなったのだ。







結論から言おう、言われたガキは渡された金を持って礼も言わずにさっさとどこかへ消えてしまった。
んでもって元ネタ知ってる友達には大爆笑されるハメになった…!
さらにその友達がそのことを夏休み明けにクラスの間ネタにし、俺のあだ名は『スモーカー』になったのだ…!
しかもそのせいで先生からはタバコ吸ってるのかと勘違いされ指導室に呼び出された!



…思い出したらスモーカーにじゃなくて友達に恨みを持ってきたよ。
いやいや、スモーカーにも罪はある!よって断罪する!
え?俺が言わなきゃよかった?その意見は先日に受付終了させていただきました。
さぁかかってこいよスモーカー!怖いのか?








あれ?スモーカーさんどこいった?
広場の真ん中に飛ばしたよな?あれ?
…まさか!上か!



見つけた!ふふふ、俺が過去を振り返っているうちに不意をつこうとしたようだがそうはい神崎!
たとえ貴様が上から襲ってこようとも…。








あれ…もしかしてスモーカーさん落下してません?
何で飛んだんだよ…なにがしたいんだスモーカーさん。
そんなこんなで広場の真ん中に着地するスモーカーさん…あれ浮かび上がった?
敵を前に遊ぶってそれでいいのか海軍本部大佐…あれでも飛んだんじゃなくて浮かび上がった…?






…あ、そういや上昇気流発生させてたっけ。
しかも全力の…あーそれで吹き飛ばされたってことね、やっと納得したわ。
そういや煙だったねスモーカーさん、まさか本当に高いところに昇るハメになったか。
援軍にきたらしき数十人の部下もなにやってんだあの人見たいな目で見てるよ…。
いかんいかんもう十分黒雲集めたし上昇気流止めよう、さすがにアワレすぎるわ。
上昇気流止めたから部下の人たちもその目止めてあげて!ちがうんだこれには深い訳があるんだよ!
スモーカーさんカワイソス、一重に俺の所為だけど。
どうしようこのグダグダな感じ、もうスモーカーさんも満身創痍だし。
どりあえず広場の真ん中でorzになりながら息切らしてるスモーカーさんに駆け寄ってみるか。
そして刃九郎、俺のことそのジト目で見るの止めようか。
せめてなんか言ってくれよ…せめて。







「…ぐっ、クソッ!」

「残念ながら、檻に入るのは貴方でしたね」

鎌鼬ベーリングを逆に相手にかけてやる!するとぉ~!
うん普通に風の檻ができるわけだよ、名前募集中。
まぁロギアで有効なのはスモーカー相手くらいだけどね、煙になったら風に飛ばされ生身だったら切り刻まれる。
クロコダイルとかでも有効かも、多分戦わないけど。
他のロギアは無理だな、雷にマグマに光って風じゃ対向できないよ。
ちなみに周りの部下の人達には刃九郎が対応、刀も銃も真っ二つ。
そのなかにたしぎさんもいたけど、まぁ相手が刃九郎じゃあね…。
でも刀が真っ二つにならなかったのは十分すごいところだと思うよ?
刀もたしぎさんの刀の使い方もね。
さーて、なるべく懸賞金をあげてほしいんだけどどうしようかね?
ここにいる海軍の人たちを【見せられないよ!】にしてもいいけど俺の飯がまずくなる。
スモーカーさんを××するのも恨みはあるけど気が引ける。
というわけで

「海軍本部大佐もこの程度ですか…これじゃ殺す気も起きませんね~?」

「――ッ!!」

名づけて『煽りに煽って懸賞金UP大作戦』!ふははは俺はお前のプライドを破壊しつくすだけだぁ!
ついでに見せつけるようにスモーカーの武器をくるくると回してはスモーカーを突っつく!
屈辱的であろう!無様なり無様なり!
しかも周りにはお前の部下もいるしなぁ!ギャハハハカキクコカクカコカカカカァ!

「この有様で本部の大佐ですか…いえそもそもそれでも男ですか?」

男である経験を生かして割り出した女に言われて一番傷つく&むかつく言葉ランキング第一位!『それでも男か』だぁ!
やばいよねこの言葉の力は、もう俺だったら度胸とか置いといて絶対ブチ切れるもん。
男女平等とは女のための言葉であるとは誰の言葉だったか。
まぁそんな話はおいといて、計画を進めようではないか!
おやおや歯切りなンかしちゃってどうしたのかな~スモーカーくゥン?
悔しかったら反撃してもいいんじゃよ?
やばい楽しくなってきた。



うんでもいい加減にしておこうか、俺も鬼じゃないしね。
だからいい加減そのまとわりつくようなジト目をこちらに向けないでくれるかな刃九郎。
マジで勘弁してください意外とそれ傷つくんですホントにごめんなさい。
よしさっさと締め括ってグランドライン行こう。
あ、この武器はいらないからスモーカー返却。
ポイッとな…あ、スモーカーさんの頭に当たった。
ごめんごめん、そんなつもりはなかったんだいや本当に。

「さーてグランドラインでも目指しますか、あそこならマシな人も見つかるでしょうし」

よしこれで最後にしよう!さぁ刃九郎早くしろ!
なるべく優雅に歩きつつ退場、海軍達の目から離れた瞬間猛ダッシュ!!
サーキットの風になる!速い速すぎるぜ!
目指すはあのデッカイ山!ラブーンの…名前忘れた!
よしそこ行こう!なるべく速く行こう!



[35488] 第二十話 俺TUEEは無いと言ったな、アレは嘘だ
Name: きな粉餅◆264e7e68 ID:fbc467fd
Date: 2012/11/24 15:19
HEYトム!最近気づいたんだけど空を飛んでいるとき刃九郎が何も話しかけてくれなくて寂しいんだよ!
なんだってマイク?それは君が話しかけてないからさ!
と言う訳で刃九郎とおしゃべりしようと思ったんだけどね、さっきから名前を読んでるのに反応してくれないんだなこれが。
ご主人様悲しいよ、反抗期早すぎ笑えないお願いだから少しは反応してくださいマジで寂しいです。
もしかして今になってつけられた名前が中二病くさい事に気づいたというのか…!
しかし寡黙でクールな雰囲気を漂わせるダンディな刃九郎にクロとか可愛らしい名前は似合わないと思うし…。
いや名前関係ないよね…関係ないよね?だいたい俺のセンスじゃないし!
おーい刃九郎ー?ルックアットミー…プリーズ…。
ほらちょっとでいいからさ…その前に向いてる顔をこっちに向けてください…。

もう、泣いてもいいですか?
まて俺刃九郎に何をした?例のケムリン攻略大作戦か?でも名をあげるよー!みたいなこと事前に言ったし…。
たぶんそれには刃九郎を怒らせるようなものはないから…呆れた?
ま、まさか…。
これが…『カリスマ不足』だというのか!?
うううう嘘だッ!ありえない断じてありえない!
俺にカリスマがないなどと、そのようなことがあろうはずがございません!
だってカリスマって大妖怪ならスキルとして持ってるはずだろう!
イコールあややの体を持つ俺にだって…!
カリスマ…DIO様とかおぜう様とか蟲の王とかバーン様とかヒトラーとか?



カリスマ…カリスマってなんだ…!人を惹きつける魅力みたいなもんだっけ!?
くっ…俺にあるわけがない…!冗談抜きでヤバい!
このままだと俺の唯一の癒し要素がゴーアウェイ!この広い海で一人きりとか俺絶対死ぬ!
『死因:寂しさ』とかになる!俺のメンタルマジうさぎ並!
草食系とかマジ勘弁!一体どうすれば…!



『アヤ様、船が見えました…どうやら海賊船のようです』

「…うむ、ご苦労」

『…アヤ様?一体どうなされましたか?』

とっさに受け答えしたら頭の心配された!?
カ…カリスマ!もっと俺にカリスマを!人生で使うカリスマを全てここで絞り出して…!
俺の人生で使うカリスマなんてなかったか!どうする!どうするよ俺!
ままままだ慌てるような時間じゃもう目の前に海賊船いるじゃないですかやだー!
ええい!こうなったらこの海賊との戦いで絶対的強者の余裕を…!








































余裕の刃九郎無双だ、火力が違いますよ。

うん俺が暴れると海賊船ぶっこわしかねないもんね、自重自重。
いや結構軽く殴ったんだよ?マスト折ってそのまま彼方に飛んでくってどうよ?
ごめん何とか海賊団の船長、あんたの無駄にでかい図体と胸毛とボロボロのアロハシャツは忘れない。
たぶん死んで…いや今のは死んだかも…、部下達も刃九郎に海にボッシュートされたし。
一味揃って海の藻屑…せめてグルメな海王類に食されることを祈っておこうか。
しかし最近の俺バイオレンスに染まってきたな、いかんいかん俺は常識人のはずだ。
きっとあれだ、肉食系のゾオンの実食ったら凶暴になるとかいう理論だ。
それで妖怪と化した俺は伝説の超バイオレンスになったのか、そうだきっとそうだ。
この際だからついでに告白すると、ヨークシティ出て現在二日目で潰した船は八隻になります。
寝泊まりも全部そこらで済ましてる、睡眠薬のお陰で体調もバッチリだぜ。
それにしてもひどい有様だな…。
いやー結構でかい船だったんだけどね、クリークにはおよばないけどさ。
俺がふざけて団扇振り回しただけでいまや木片がアートを象ったなにかだからね、うん。
刃九郎にも『私がやりますので…』とか言われちゃったよ、もうやだ。
あー人類滅びないかなー。
ごろごろだらだらいい気分、働かずに貪る惰眠がうまい。
あ、新聞あるじゃん。
結構野蛮そうな海賊団だったのに、船長が人間とゴリラの合成獣だったし。
ああ見えて意外と知的だったのかな、たぶんそれはないから暇つぶし見たいなものかな。
ていうか俺ここの文字なぜか読めるんだよね、ご都合主義ワロス。
流石にこれはあややの恩恵ではないだろ…ないだろ?
まぁそんなどうでもいいことは置いといて、新聞チェックチェック。
ていうか新聞には興味ないから新聞に挟まってる…いくつかあるな。
手配書手配書…。

















俺の手配書あったァー!!イエーッ!
来たんじゃない俺の時代!?ま、待て落ち着け俺!冷静になれ俺!
クールになれ…よし落ち着いたすごく落ち着いた。
まさか一発で出るとはな…正直あと二つ三つは海軍基地襲わないといけないかと思ってたし。
スモーカー大佐マジ乙、お前のことは(恨みと共に)忘れない。
いかんいかん落ち着きすぎた、俺の手配書俺の手配書…。
えーとどれどれ…。

























″旋風のアヤ 懸賞金四千五百万ベリー″

























…お、おお。
思ったより格好良いいな…旋風か、懸賞金上がったら竜巻とかにならないかな。
いやーこれで俺も島に顔出しゃ誰もが手配書と俺を二度見する有名人ってわけだ。
しかも四千五百万ってかなりだよな、スモーカー倒しただけでそんなにいくもんなのかね。
本部大佐だからか?まぁいいけど、ていうかしょっぱなからルフィ船長越えちゃったよ。
うーん俺の…ていうかあややのクールに駆け抜ける横顔がベリーナイス。
というかこの写真いつ撮られたんだ?刃九郎ちょっと写ってるけど画質荒いな。
遠くからとったのか?だがそれでも俺が気づかないとは…すごいカメラマンだ。
あ、カメラといえば地面に這いつくばってるスモーカーさん記念にパシャッてもよかったかな。
まぁ流石に俺もそこまで外道ではない…いやいや外道どころか紳士ですしおすし。
さーて手配書で有名人になったことだしグランドラインで仲間集めしようかね。
あとあややの体で悪魔の実食べれるかとか刃九郎に悪魔の実とかも面白そうだね。
うっし…まずは山目指そう!山登りはお手の物!天狗だし!










































鴉は海に夢を馳せる
第二十話 俺TUEEは無いと言ったな、アレは嘘だ

























































すっごい嵐で前が見えない!グランドラインの入り口やべー!
風の膜作って雨を弾くようにはしてるけどそれでも羽根が濡れる位の雨ってすごいな。
あの灯台の光がなかったら確実に迷ってたわ、目印になる物なんにもないし。
山は暗すぎて見えないし、これ船で行くとなると本当に勇気がいるな。
どうせ空飛べるんだからおとなしくカームベルトから入っときゃあよかったぜ。
失敗したな…いやまあ別に多少濡れるだけだしいいけどさ、ちと寂しい気持ちになるね。
本来なら皆と夢を打ち明けあう筈だったんだがな…ああもう未練タラタラだな俺。
いいもん別に寂しくないもん平気だもん、俺には刃九郎がいるもん。
あ、今刃九郎は濡れないように俺の腕の中にいます。
抱えられてます、文句は言わせません遠慮も却下しました。
この冷たい嵐を抜けるにはお前のぬくもりが必要なんや…精神面的な意味で。
あーもふもふ、もふもふ刃九郎かわいいよ刃九郎かわいいよクンカクンカはぁはぁ。
ふぅ…。
しっかしこれ風の膜作れるのはいいんだけどあんまりスピード出すと壊れちゃうんだよな…まだまだ風を使いこなせてないか。
もうちょっと細かい風の管理をできるようになるといいんだけどね、いろいろと。


















見えた…アレが、えーと…ダウンアッパーブイストームじゃなくて…。
ノックストリームだっけ?打ち上げる波見たいな奴。
oh...本当に川が山登ってる、常識に囚われない幻想郷でも自然がそんな物理法則無視したりしないよ?
まぁ悪魔の実とかもう完全に生物学無視してるけどさ、まぁこの世界は面白不思議力学でなりたってるってことでFAっと。
いやー本来ならここで(ry。
まぁそんな事愚痴ってても仕方ないし、さっさと山に登っちゃいますかね。
猿田彦…ではないか、案内する人もいないしね。
あー一刻も早くこの嵐から抜けたい、雨嫌い湿気嫌いナメクジとか大嫌い。
でも俺雨男だったんだよね…しかも今の気質は風雨だしね…。
はぁ…憂鬱だわ。




ノックストリームはあっさりスルー、まぁ飛んでるから海流とか関係ないし。
あとはノックストリームに沿って川を登るだけの簡単な道筋です。
んでもってやって参りました山頂、見えたぞグランドライン!
このあややより、新の強者の歴史が始まるのだ!世紀末海賊伝説あややの拳!
まぁあややの速度で殴ったら確かにお前はもう死んでいるとかできそうだね。
さーて…いやー本当にワクワクしてきた、なんか知らないところにいるとドキドキするよね。
廃墟とか、古い街並みの所とか…しかもここはお宝なんかが本当にあるからね!
本当の大冒険だぜ!お宝だぜ!そして原作キャラとかストーリーだZE!
テンション上がってきた、しかも俺の行動が原作に歪みを起こしたりもするかもしれないんだぜ!?
ヒャッハー原作破壊だーみたいな!いや多分しないけどさ、一部を除いて。
さて、嵐も過ぎ去り…でっかい山みたいなのが前方に見えますね。
何を隠そうラブーンです、いや本当にでかいな。
深海をこんなでかいのが泳いでるのか…なんか深海とか宇宙とかにも夢があるよね。
まぁラブーンはスルーで、悲しいけどここで介入しちゃうとアラバスタ編からダメになっちゃうんだよね…。
んじゃま、島探そう島。
あのイガラムさんとかビビちゃんとかいる島以外の島見つけよう、ログポースも欲しいし。
















































えーと…ロッカーアイランド?変な名前だな。
島としてはそこそこでかい、ナミさんの島くらいかな?実際見てないけど街が数個あるからそのくらいだと思う。
けっこう自然豊かだね、四割くらいが緑の山で一割が平地の森、五割が川って感じ。
街の雰囲気は…どうだろ、なんか港がある街が一つと後は住宅街と農地みたい。
グランドライン一発目の街が地味だった…死にたくはない。
まぁ見たところ港町が一番デカくって人通りも多くて賑わってるんで、そっちいこうかな…。



げっ、街の真ん中にある白くてデカい建物ってもしかしなくっても海軍本部?
まーそうっスよね、海賊が集まるグランドラインの玄関みたいな島に海軍基地が無い方がおかしいですよね。
うわー面倒なことにならなきゃいいけど…。
まずは飯と睡眠薬の補充かな…あと刃九郎用にタオル見たいなのが欲しいな。
っていうか刃九郎抱きっぱなしなの忘れてた…あ、刃九郎寝てる。
可愛い奴め、まぁ寝かせといてあげようか。
んじゃま、美味しそうな飯屋でも探しますかな。



[35488] 第二十一話 その男の名はニック
Name: きな粉餅◆264e7e68 ID:fbc467fd
Date: 2012/11/22 18:20
よりによって一番でかい飯屋が海軍本部の真正面、窓からは訓練中の兵士がランニングしてるのが見える始末ってどういうことだよオイ。
しかも刃九郎連れてったらペットは入店禁止だとかで追い返されるし、刃九郎はペットじゃねーよ!我が海賊団戦闘隊長だぞ!
哀れかな刃九郎、起き抜け一発ペット扱いだもんな…テラヒドス。
でも俺の肩の上でしょんぼり首を落としてる姿はいっちゃ悪いがかわいいぜ…。
まぁそれは置いといて入れないもんはしかたないのでそこから百数十メートル離れた酒場で我慢することにした。
汚ないなさすが酒場きたない、でも結構でかいな。
団体様歓迎サイズの酒場、しかも夕日も沈んできたとあって結構中は盛り上がってらっしゃる様子。
大方グランドラインに無事到着できた海賊団がお祭り騒ぎしてるんだろ、俺だって仲間がいたらお祭り騒ぎしたいわ。
あー妬ましい妬まSHIT、さっさと仲間が欲しい。
ていうか入り辛い…なんか盛り上がってるところに入るのってすっごい勇気がいるんですけど。
ちょっとだけ…ドアの間から覗いてみるか、いやドアっていうか西部劇っぽいドアだからドアの間っていうかもう入り口から覗くってだけだけどね。
ジー…おお、やっぱりなんか海賊団がお祭り騒ぎしてる。
ほんとに海賊かどうかって見分けやすいな、大体は海賊と一般人は世紀末スタイルと村人Aだしね。
さてどうしよう…ここは一つ大胆不敵にいこうか。
いやいや戦いになるのは怖くないが空気を壊して白い目で見られるのは怖い…。
やっぱこっそり入ろう、そーっと。


そ、そーっと。
よし気づかれてない、セフセフ。
ちょうど真ん中陣取って騒いでくれてて助かった、ぐるっと壁にそって奥のカウンター行こう。
しっかし結構な人数の海賊団だな、百は越えるんじゃないか?
そう思うとこの酒場かなりでかいな、正面から見たところそんなにでかく感じなかったから奥に広いのかな。
あーもう鬱陶しいな、机や椅子は倒されてるし酒瓶は割れて地面に転がってるし樽なんかも破片になってばら撒かれてるし。
騒ぐにしても最低限のマナーは守れよな、これだから海賊=荒くれ者みたいなイメージがつくんだよ。
礼儀正しい海賊だっているかもしれないだろ、お前らのせいで勘違いされたらどうするんだ。
もちろん口に出しては言わないよ?KY、ダメ絶対。
ふぅ、海賊避けながら一分歩いてやっと席に座れた。
前言撤回、広いわこの酒場超だだっ広いわ。
あー疲れた、お腹すいた眠くなってきた。
あーこの木製机の冷たさが頬に染みるー。

「マスター強めの酒一瓶~」

「あん?お嬢ちゃんここは子供が粋がって来る場所じゃないぜ?」

うっせ~なハゲ、ハゲ散らかすぞコラ。
その冷風吹く頭に旋風が到来するぞ?芝刈り機の通った草原みたいにすんぞ?
まあそんな事言っても仕方ないので、新聞から拝借した手配書をピラピラっと見せる。
なんだよそんな怪訝な顔してみることないだろお前、背中に生えてる羽とか見えないのか?
こちとら怖い海賊だぞ、四千五百万ベリーだぞ、イーストブルーじゃ最強だぞ。
まぁ実際新世界でも結構渡り合えると思うけどね…細かい風の制御とかできたら。

「…こりゃあ偽装手配書か?よくできてるじゃねえかお嬢ちゃん」

「いいから酒持ってこいっていってるんですよ」

俺がピッと人差し指を右から左に流すと、酒場のマスターの横にあったワインの瓶が真ん中で二つに切れる。
これぞなんと南斗文々拳奥義空裂断衝、風の力を薄く薄く伸ばして風の刃を作る奥義!
最近になって風の扱い方がそこそこ手馴れてきたのでこういう技を作ったりしてたりする、いやだって刃九郎最近構ってくれないし…。

「次二つになるのは貴方の首ですか?それともお酒、持ってきてくれますか?」

オラ酒持ってこんかいダラズ、今の俺は機嫌が悪い。
丁寧に持って来い、スチュワーデスがファーストクラスの客に酒とキャビアをサービスするようにな。
なんだダッシュで取りにいくかと思ったらしぶしぶって感じだったな、こういうことに慣れてるのかね。
足は震えているがな、いやぁなんか人の優位に立ってると楽しいねぇ。

『…アヤ様』

おお刃九郎が復活した…のはいいけどなんでそんなに俺の目を見つめてくるんですかねぇ?
いやいやそんなに真剣に見つめないでくだしあ、もちろんさっきのはジョークジョーク!お茶目なジョークだって!
だからそんなにじっと見つめないでください、すいませんマジでごめんなさい反省してます。
こ、こういう時は軽めな態度でいったほうが良いなうん。
なんか真剣な雰囲気もちょっとフワッフワした態度で臨んだ方がいいって銀髪の侍が言ってたし。

「んー?どうしたの刃九郎、あぁさっきの店のペット扱いに関してはもう気にしなくていいと思うわ」

『いえそうではなく…いえ、なんでもありません』

正直怒られるかと思ってものっそい焦ってたせいでなんか早口になっちゃった。
あれでも刃九郎なんか余所余所しいな、落ち込んでるって訳でもなさそうだし…。
…もしかして刃九郎俺になーんか隠してる?ご主人様に隠し事とはいい度胸だな。
さとりんだったら余裕で隠し事を見抜けるだろうが…んー、命令してみるかな?
いやでも基本どころか一から十まで俺に従順ないい子の刃九郎が隠し事…、なんかものすごい事隠してるのか俺に言いにくい事なのか?
もしかして最近俺の話聞いてくれない原因?だったらさっさと取り除かないと俺の精神面にも関わってくるし…。
刃九郎から言ってくれる事は…どうだろ、まぁ少しだけ待ってみるかな。

「…ロッカーアイランド自慢の赤ワインだ、お嬢ちゃん」

「ありがとうございますマスター、会計の時は先ほど割ったワインも含めて払いますので」

一応そういう所しっかりしとかないとね、常識的に考えて。
おいなんだその得体の知れないような物見る目線は喧嘩売ってんのかあん?

「ハハハ!さっきお嬢ちゃんが割ったのは飾り用の瓶に入れたトマトジュースだよ」

「ではトマトジュースの代金を払いましょうかね」

「…お嬢ちゃん変わってるって言われた事ないかい?」

おいそれどういうことだ!俺が常識的に振舞っちゃ悪いのかよ!
くそう世間がひどい、常識的に振舞ってもふざけてもダメならみんな死ぬしかないじゃない!
ちくしょうみんなしねばいいのに。
もう酒飲んで愚痴って寝る!止めてくれるなよ刃九郎!







「あ、それとここって魚料理あります?」

「おう、なんだお嬢ちゃん魚好きか?」

「いえこの子に食べさせてあげたいので」

「カラス?お嬢ちゃんのペットか?」



















































鴉は海に夢を馳せる
第二十一話 その男の名はニック























































そそそんなに落ち込むなって刃九郎、そんな日もあるってだからそんなに魚に顔突っ込んでピクリともしないのやめなって。
それ怖いんだよ、普通の人から見たらそれ完全にホラーだからね?一メートル近い魚に体から食われるカラスの図だよ?
あと生魚だからその頭突っ込んだ穴から血が出てるし、更に怖いしていうかそれ息できんの?
いやまあいいけどさ、いいじゃんペット可愛いじゃん。
式神もペットも同じようなもんだって、藍様もゆかりんに虐待受けてたし。
何の慰めにもなってない?だってこんな状況になったことないから無理だって!
れれれ冷静になれ、まずは落ち着いて話し合おう刃九郎。
ほらマスターも困惑してるし!許してくれって頭下げてるし!だからまずは頭をその魚の血の海から出そうか!
皿から血がこぼれて大惨事になりかけてるって!マジやばいって!主に俺のSAN値が!
でも口に出せない俺マジチキン!カラスだけに!上手くないよねそれにそもそも刃九郎もチキンだね!
どうしようこれなんか普通に頭痛いんだけど…俺もう酒飲んで寝ても良いですか?
マスター…すまねぇ俺はどうやら(SAN値の耐久力が)ここまでのようだ…。
後は任せた…俺ァもう寝る、俺には手がつけられない。
主人失格?今に始まったことじゃないからね。

「おいお嬢ちゃん!酒飲んでないでちっと手伝ってくれよ!」

「ふふふどうせ私は主人失格ですよ~」

あーこの辛口ワインがなかなかいけるね、ちとぶどうの風味が強すぎるかもしれないけど。
あーでもこのチーズと合うわー奇跡のコラボレーションだわーていうかこんなアメリカンコミックに出てくるようなチーズの存在が奇跡だわー。
そして旨いわーまじ美味いわー、あーあーこの味に夢中すぎて他の事には全く耳が貸せないわー。




「おいあんた」

「…はい?私の事ですか?」

「そうだ、あんた"旋風"だな?」



あーもーこっちが気持ちよく酒に酔いながら現実逃避してるってのに鬱陶しいなもう。
面倒臭く思いながらカウンターに背を向けるとなにやら銃やらサーベルやらを構えたさっきの海賊団面面。
俺の前にはおそらく船長でも気取ってるであろうキャプテンハット&ルックのデブ。
おいおいこっちが折角雰囲気をぶち壊さないように細心の注意を払って酒飲んでるってのにその対応はないんじゃないのかね。


「それで?私がその"旋風"だったらどうだっていうんです?」

「いやなに、ちっとばかし俺たちが名前を売り上げるのに手伝ってもらおうと思ってね」


そりゃ三下の考えそうなこって、あーあーやっぱり女の体じゃあ舐めくさられるのかね。
全く、雑魚が群れてるだけの弱小海賊団の身の程ってもんを弁えてほしいわ。
相手するの面倒臭いな…そもそも相手にしてあげる価値もないしね。
さぁさぁ皆さんお待ちかね、お約束の時間がやってまいりました。


「刃九郎――ゴー!」

『了解!』


魚の体からズボリと頭を抜いた刃九郎が一瞬で俺の近くの海賊手下A~Zとデブ船長を吹き飛ばす。
吹き飛んだ輩はそのまま向こうの出口付近でどさどさと山を築いていく。
やっぱ刃九郎って戦ってるときが一番輝いてるわ、なんかもう歴戦の戦士の風格だもの。
早く部下とか与えてあげたいな…、んでもってカラス特攻隊で無双したい。


「あ、マスターもう一杯お酒を~」

「へ?あ、ああ今持ってくるよ」


さてさて俺は再びティータイム…じゃなかった、アルコールタイムといきますかね。
後ろの海賊団の阿鼻叫喚がうるさい、身の程知らずに喧嘩売ってきたあいつらが悪い。
俺は悪くねぇ!オレハワルクヌェ!うんチーズやっぱ美味い、トマトと合わせて食べたいね。
俺トマト食えないんだけどね、でも俺プチトマトしか食ったことないんだよなぁ…。
うんまぁどうでもいいね、さて酒が来る間刃九郎による公開無双ショーを…。

もう終わってるし、一分とかからず全滅っスか刃九郎先輩マジパネェ。
南無三、せめて痛みを知らず安らかに眠るがいい海賊達よ。
まぁ殺してはいないだろうけど、少しは身の程と海の恐ろしさを理解できたんじゃないかな。
高くついたがいい授業だったろう、感謝しろ(刃九郎に)。
あーちと酔ってきたかも、なんか気分がいいねぇ。
おいでおいで刃九郎、一緒に飲み食いしようぜ!
そういやカラスってなんか食べちゃいけないものとかあるのかな。
猫とかはたまねぎとかダメだって聞くけど…まぁゴミ漁ったりしてるって事は大体はなんでもいけそうだけどね。
まぁさっきの食べ残しの魚と水でいいと思うけどね、流石に酒はいかんでしょ多分。










「まさかカラス一匹であのアンルベルの一味を倒しちまうとは…一体あんたは何者だいお嬢ちゃん?」


あん?マスター…じゃないね、なんか三つくらい隣に座ってた茶髪のショートの優男に話しかけられた。
いやいやお前が何者だよ、あと何とかの一味って…ああ今さっき刃九郎にぼこられた可哀相な一味か。
いやしかし怪しいやつだな、まぁとりあえずお約束どおりに返してみますか。


「人を名乗らせたいのなら自分から身の内を明かすのが一般常識でしょうに」

「ああこりゃ失礼…俺はニック、『ウィー・ニック』だ」


ニックさんね…年は大体二十に差し掛かったくらいで身長はそれほどでかいってわけでもないな。
まぁあややの体からすると結構でかくは見えるがね、まぁせいぜい180前後ってところか。
そんなに筋骨隆々ってわけでもなし、がりがりってわけでもないけど…戦闘はできるのか?まぁ警戒だけはしとくけど。
なんか友好的な笑顔がむかつくな…裏がありそうってわけではないけどへらへらしてるの見るとイライラするZE。
べ、別に前世で自分が笑顔が苦手で人付き合いが苦手だったから嫉妬してるとかそういうわけじゃないんだからね!
とと、そういやこっちが名乗ってなかったわ。


「アヤです、懸賞金は四千五百万で二つ名は"旋風"」

「四千五百万…それに"旋風"か、なるほどアンルベルの一味じゃ歯が立たないわけだ」

「私を知っておられるので?」

「噂になってるよ、かの"白猟のスモーカー"を弄んだ女の子がいるってね」


…マジですか、スモーカーさん本当に強く生きてください。
私は必死に部下や上司や町の人たちの目線に耐えながらこれから暮らしていく貴方を心から応援しております。
あーこれはスモーカーさんの怒りがルフィ達じゃなくて俺に向くかもしれんね、まぁ返り討ちっスけどね。


「それで貴方は私に何のようですか?首を取りに来たってのなら死出の道案内くらいはさせてもらいますけど」

「い、いやそんなつもりはかけらもないよ?僕だって身の程くらいはわきまえてるさ…そういえば君の仲間は?」

「…生憎この子と二人旅です」


んだよ仲間がいないとおかしいのかよ?いやまぁおかしいですよね。
まぁこれから募集かけてくからね、それまでは刃九郎と二人っきりのランデブーだぜ。
寂しくねーし!ぜんっっっっっぜん寂しくねーし!!!


「そうか…いや実は、その、頼みたいことがあるんだ」

「とりあえず話だけは聞きますけど」


ろくでもない事と面倒くさい事と厄介な事はお断りだぜ、俺は面倒が嫌いなんだ。
ていうかこいつ海賊に頼み事するってどんな神経してるんだ、それとも見た目が女の子だから侮ってるのか?
残念だが俺は心は男で体は化け物だ、か弱い女の子という概念にはグレイズすらしてないぜ。










「………俺をお嬢ちゃんの仲間にしてはもらえないかね?」





…あーはいはい、なるほど強者に従おうって感じですか。
んー…今のところ困ったこととかないしなー、あ、そうだログポース。
まぁそれはおいといて、まぁ仲間が増えることにはやったねアヤちゃんなんだけど…。


「残念ながら私たちは飛んできたもので、船を所有してなくてですね…船ほしいんですけどねぇ」

「そりゃ本当かい!?なら逆に好都合かもしれない!」


うおビビッた、何でそんなことに食いついて来るんだよ。
あーまてまて話し聞くからそんなに話したくてうずうずしてますみたいな顔を俺に向けるんじゃあない。
ちょうどマスターが向こうから酒持ってきたからそれ飲みながら聞くってばだから落ち着け。



























話をまとめると、ニックはグランドライン出身の海賊(三日前一人で旗揚げ)で、仲間を探してここにきたらしい。
なんせここはあのサボテンの所と同じくグランドラインの玄関だから、海賊が集まりやすいらしい。
隣の島だったのでなんなくここについたのだが、この島はニックの住んでいた島と違ったことが一点あった。

そう、ニックの島には海軍本部がなかったのだ。
堂々と海賊旗を掲げて一般港に船を止め(普通海賊は島の裏とかに止める)、あっさりと船を海軍に差し押さえられてしまったのだと。
海賊になったのが三日前で島とか襲ってなかったためにニック自身は捕まらなかったとか。
しかしこいつ最高にアホである。
んで仕方なくなけなしの金(大体の金は船と一緒に回収)で酒場にきたら赤いカラス(魚の血で)がここらでは有名な海賊団をぼこってて、カラスを操ってたのが結構な有名人で更に船をほしがっていたと。
はんはん、そういう事ね…。



「頼む!俺と船を救ってくれ!」


図々しいなこいつ…、まぁじゃあ軽く入団テストをばしてみるとしますか。


「貴方って何かできます?」

「航海術と家事は一通り、医術は応急程度、戦いはちょっとした自信がある」


…ぱっとしないな、いまいち輝くものがない。
医術も俺には必要ないし家事だったら俺だってできる、あーでも航海術は結構貴重かもな。


「他にはなにか?」

「…実は俺は悪魔の実の能力者なんだ」


なん…だと…?こんな戦闘してるより農業してたほうが遥かに似合いそうな奴が能力者だと…?
うーんでも能力によるかも、ゾオンとかだったら必要ないし。


「ではその実とは?」

「パラミシア系『ヒモヒモの実』」


ヒモヒモの実…派手さには欠けるが実用性はありそうだ。
戦闘でも使えそうだし生活面でも結構役に立つかも…。
んーじゃあとりあえず。


「じゃあ今後ともよろしくお願いします」

「…ずいぶんと軽いな」

「もたもたしてるの嫌いなんで」


うし、酒飲み終わった。
んじゃ早速良くとしますかね。


「レッツゴー海軍本部、目的は船の奪還です」

「了解!これからよろしく頼むぜ船長!」


お、おお…船長か、言われて嫌な感じはしないね。
そんじゃまあ、さっさと船(マイ睡眠場所)ゲットしにいきますか!











































後書きコーナー


アヤ「いやはや最近リアル系の仕事がマッハで俺の寿命がやばいと作者が煩いです」

アヤ「いやーなんかいろんな人が壊れ系にすんの?みたいに言ってますけど残念ながら作者にそんな技量と度胸はないのでね!」

アヤ「あとストーリーが急展開杉とか思ってる人も、後々補足ネタばらし見たいなの入れていく予定なので…」

アヤ「流石に今ネタばらしは早すぎだろJKってのが…」

アヤ「まぁ勢いと骨組みなんで、生暖かい目で見守ってください」

アヤ「あとノックストリームってあれですね、空島ですねすいませんなんかもう曖昧で」

アヤ「あとスモーカーさんをロギアとか言ってたりね、もう本当に穴の中に三泊三日したいです」

アヤ「あ、あと改行多いって言ってくれた人どうもご指導ありがとうございます」

アヤ「なんか作者の中でストーリーの時間経過をスペースで強引に表そうとするっていう技量の低さが伺えますね」


アヤ「まぁそんなこんなで私は元気です…え?今回これで終わりですか?」

アヤ「手抜きすぎワロタ、まぁ他ご指導等ありましたらコメントお願いします」

アヤ「なるべくやさしく言ってくださいね?作者の心金魚すくいの網くらい弱いので」



[35488] 第二十二話 念願の船奪還大作戦!
Name: きな粉餅◆bd53e913 ID:fbc467fd
Date: 2012/11/23 20:28
新進気鋭の紐人間 『ウィー・ニック』

職業:海賊
能力:ヒモヒモの実(パラミシア系)
住んでいる所:海賊船オーバークルーズ号(現在は海軍に差し押さえられ中)

三日前に海賊になったばかりの新米海賊である、髪は茶髪のショートで背はそこそこ高いがムキムキという訳でもない。
言ってしまえば標準体型である、本人はそこそこ筋肉はついているほうで引き締まっていると言っているが定かではない。
昔から父親に憧れて潜水漁師を目指すようになったが、たまたま行商人が(悪魔の実と知らないで)売っていた悪魔の実を食べカナヅチになり仕方なく断念。
代わりに自分の能力の応用性を知り、戦いに憧れ海賊になった模様。
航海術や医術は潜水漁師になる為に地元の漁師に習ったとか。
性格は単純で嘘をつくのが苦手、顔に出るタイプで人付き合いはいいが商売だと失敗するタイプ。
世界を知らないが故に海軍に船を差し押さえられたりと、いろいろと間抜けな一面がある(いや一面も何も彼にはその面しかないが)。
船のオーバークルーズの由来は『自分の知らない世界に行ってみたい』という彼の願望から付けられた。
なおオーバークルーズ号は地元の漁師が作ってくれたらしい。
それを作ってもらうために一生懸命雑用をしたりと根は真面目なのだろう(二度目だが単純ともいう)。
今年で二十一歳、まだまだ夢を追い続ける若さがある(本人談)。
あと年齢と外見の割にもてないのを気にしてるらしい、おそらくそういう星の下に生まれたのであろう。



<能力>
彼の能力は『自分の体を紐に変える』ではなく『体から紐を作り出す』という物だ。
紐とは糸の集合体である、男が女性にたかり生活する事をヒモというがそれとは関係ない。
あと超ひも理論とも多分関係ない(そもそも超ひも理論がよく分からない)。
ゴムゴムの実を食べた者をゴム人間と呼ぶならばヒモヒモの実を食べた彼はヒモ人間だ。
決してヒモ男などと呼んではいけない、間抜けなりにも彼は海賊であるので怒りを買うと恐ろしい目にあうかもしれない。
糸は紐を作るための材料になるわけだが、糸にも沢山の種類がある。
毛糸・鋼糸・綿糸と、様々な糸から彼は紐を作り出せる(糸自体は長く持たせられないらしい、紐にしてからでないと操ったとき消滅してしまうとか)。
毛糸や綿糸の色も自由自在なので、自分で服を作ったり周りの色に自分と糸を溶け込ませて奇襲したりもできる。
鋼糸で糸を作って鋼の鎧、剣や盾なども作り出すことができる。
かなり応用性に秀でており、かなりの状況に対応でき更に生活でも役に立つ優れもの。



<アヤのメモ>
特に危険というわけでもなく、特筆すべき点はなし。
ただ私を年下としてナメてみている傾向があるため一度立場をその身に分からせてやる必要があるかもしれない。
そういえばメモを取ってみることにしたがこれを書く時に私口調が一番しっくり来る。
これもあややの影響なのか、この点より今後メモを取る時は私口調で書くものとする。
自分のメモを読み返す際に違和感を覚えるのはどうも嫌だからだ。











「…これでよしっと」

「何書いてるんだい?」

「いやちょっとメモ書きを」


さっき歩いてたら雑貨店が店頭売出しセールでメモ帳売ってたからつい買っちゃったぜ、しかも冒険日記用とメモ書き用で二つ。
だって俺のソウルが俺にもっと宝を使いまくれと囁くんだもの、仕方ない仕方ない。
なんか俺金結構使うの渋るんだけど一定量溜まってたら満足するもんでオーバーした分使っちゃうんだよね。
しかもメモ帳だぜ?大きめサイズで写真まで貼り付けられる優れものだぜ?こりゃ買うしかないっしょ。
大冒険を綴った物語がメモ帳を埋めていく……胸が熱くなるな。
しかし買って一番最初のメモがこの隣のおっさんの事だとはね、そんなことよりおにゃのこの事書きたいわ。
まぁでも我が海賊団の人間の仲間第一号だからね、大目に見るとしますか。
船もゲットできるし、あーやっと安眠場所が手に入る…。


『アヤ様、一体何故このような男を仲間に?』

「ん?なんとなく面白そうだから」


寂しかったなんて口が裂けても言えるわけないだろ常識的に考えて…。
なんて言うの? ほら人肌恋しいって感じ? あ、もちろん男とアッーなんて事はノーセンキューで。
いやでもしかししばらくはこいつと二人きりか……、いや刃九郎もいるけど人数としては数えないでさ。
うら若く(実年齢不詳)か弱い(ゴジラ基準)乙女と男が船の上で二人きり…こりゃあやばいな。
まぁ刃九郎というファイナルウェポンがいる限りありえないね、飛び掛かってから着地するまでに刃九郎なら八回は殺せるしね。
さて冗談はさておいて、問題はどうやって船を奪還するかって事なんだけど…。
力ずくで言っちゃっても俺的には全然OKだし、ニックにも俺の強さを誇示できるチャンスでもあるし。
問題点は……えーと……。
まるで俺が力尽くでしか物事を解決できないようなド低脳みたいに見えるって事くらいかな?まぁそんなことはありえないけどね。
この灰色の脳細胞を持ち更にカリスマあふれるパーフェクトでさいきょーな俺が妖精並みの知能とかバギーが黄猿倒すくらいありえないね。


「そういえばお嬢ちゃ……じゃなかった船長、船を取り返すのにいい名案とかってあるのか?」

「作戦は何もない作戦とノープラン作戦と臨機応変作戦がありますがどれがいいですか?」

「…行き当たりばったり、と」

「正直ここら辺の雑魚海兵を相手に考えてやる作戦なんて欠片も持ち合わせていませんし」


なんなら『闇夜に紛れて皆殺し作戦』でもいいんじゃよ?
いや流石にそれはしないけど、イメージ悪くなったら町でブラブラ買い物とかもできなくなるかもしれんし。
あ、買い物といったら睡眠薬買うの忘れてたな、後で買いに行かないと。
これ完全に睡眠薬中毒者だな、妖怪だしそのままぽっくりなんて事はないだろうけど。
ていうかこの世界の睡眠薬妖怪にも効くのか……それとも妖怪には薬物への耐性ってないのかな。
んじゃ万が一あの監獄長と戦う時は注意しなきゃならんかね、まぁないと思うけどね。
そう思うとやっぱり妖怪の力でもこの世界じゃ油断できないか、無双って訳にもいかないのね。
まぁそれも後半に限るけどさ、前半じゃクロコダイルすら敵にならんし。
とと、そんな事考えてたらもうついちゃったし、まぁ百数メートルしかなかったけどさ。


「…ついたね、ていうか船長まさか本当に行き当たりばったり?」

「私は嘘や捏造が大嫌いですので」

「そうか……いや確かに俺は戦いに憧れて海賊になったけどまさかいきなり海軍支部が相手とはね」

「そこらの野良犬でレベルでも上げる気だったんですか?なんなら寝ててもらっても全然構いませんけど」

「男が女の子一人戦いに出してのうのうと寝てるわけにもいかないさ!」

「まぁ死んでもらったらそれはそれで船は私だけの物になりますし、一向に構いませんけどね」


さて、では今回のミッションの概要を確認しよう。
今回のミッションの目的は一般港の横の海軍専用港に収容されている海賊船オーバークルーズ号の奪還だ。
海軍専用港は支部と同じく三メートルくらいの有刺鉄線付きの塀に囲まれていて、更に見回り兵とサーチライトが巡回している。
そこを闇に溶け込み潜り抜けてオーバークルーズ号に巻かれた差し押さえようのロープを切りそのまま海に出る事。
ラッキーな事に船を阻む鉄の門とかがあるわけでもない、一般的な港の作りだ。
ミッション失敗を挙げるなら『俺かニックが捕縛or殺される事』、まぁ俺は有り得ないのでいかにニックを捕まらせず殺されないようにするかがポイントだ。
後は『オーバークルーズ号が何らかの形で破壊される事』も失敗になる、大事な睡眠場所に沈んでもらう訳にも行かない。
とりあえずロープを切るのは俺と刃九郎だけで十分事足りる、船にたどり着くのも問題ない。
ただ問題は船の出港だ、帆を広げ碇を上げて出港するのを海軍がのんきに見守ってくれるはずがない。
即座に行動し、更には出港を妨害する海軍の足止めも必要になる。
まぁ足止めなんかは刃九郎の独壇場になるだろうし、帆を広げりゃ風は俺が作り出せる。
初っ端から全速全身ができるからそんなに鬼畜ミッションって訳でもない。
うっしゃじゃあまずはこの塀を越える所からだ! さっそく難関だな! よし飛ぼう。
ニック? 勝手に何とかするでしょ、乗せてあげるなんて甘い真似をすると思ったら大間違いだぜ。
なんて思ってたらニック紐を有刺鉄線に括り付けてあっさり梯子を作ってるし、結構能力の使い方うまいじゃん。


「そういや船長も悪魔の実の能力者だよね、船長の悪魔の実ってなんなんだい?」

「あー……"幻獣種トリトリの実モデル烏天狗"です」

「幻獣種!? そんなの絵空事かと思ってたのに……!」


不意打ちはあぶねーあぶねー……適当に考えたけどまぁいいか、この先何かやっても幻獣種なら仕方ないってなるだろ多分。
ていうか烏天狗って今の俺以外にこの世界に存在するのか? ていうかそもそも烏天狗の存在がこの世にあるのか?
んーまぁなかったらそんときゃなんとか誤魔化すしかないよね、まぁなんとかなるなんとかなる。













































鴉は海に夢を馳せる
第二十二話 念願の船奪還大作戦!





























さーて俺の物になる予定の船はどこかなっと……あったあったあの船か。
大きさはメリー号よりは二周りくらいでかい、全体的に黒が多いな……さすが俺の(物になる予定の)船。
いやニックが死ぬなんて欠片も思ってませんのことよ? まぁ死んでも死ななくてもどの道俺が船長だから俺の物だし。
しかし一人で海に出るのにあんなでっけー船に乗るなんて贅沢な奴め、俺なんて二人三人四人で小船に乗ってたっていうのに。
んーこっからだと結構見にくいけどそんなに雁字搦めにロープが張ってあるって訳でもなさそうだな。
って事は刃九郎一人で十分事足りるか、っていうか俺の出番あんまりなさそうだな。


「刃九郎、先に行ってロープ切ってて……できる?」

『造作もありません、お任せください』


流石刃九郎、頼りになるぜ。
あっという間に暗闇に溶け込んで行ってしまった、黒いからなお分かりにくいね。
刃九郎が捕まる心配も無いし、俺は捕まっても何とかなるから問題はやっぱりニックだね。
ニックの服装は白いシャツに茶色のベスト&青のジーパン、うんこりゃ目立つわ。
どうすんだよこれ、いまさら着替えてこいなんていう訳にもいかないし……。


「……貴方その格好何とかならないの?隠れる以前の問題ですよ」

「ん?ああ一応"何とか"はできるよ」


いうがいなや大量の"黒の紐"を自分の体に巻きつけ始めるニック、なんか見た目的にこっちは触手に飲まれていく人を見てる気分なんだけど。
黒の毛玉が小さくなったと思ったそこにはまさしくジャパニーズ忍者がいました、いやでもさっきの服の上から紐巻いてるからだろうけどさっきより太って見えるね。
たぶんそれものすっごい暑いと思うのは俺だけ?


「まぁこれで何とかはなったけど……意外とこれ暑いから手早く終わらせたいね」


あ、やっぱり暑いんだそれ。
まぁ分かりきったことだけどさ。


「それじゃ行きましょうか」

「ちょっと待った、船長のその格好も結構目立つと思うんだけど……」


あーあややの格好って白色が多いもんね、まぁ大丈夫でしょ多分。
見つかったら実力行使で押し通るし、もしくは逃げ切るし。


「私は大丈夫です、海兵くらい叩き潰す実力はありますので」

「……確かに幻獣種の実なら余裕で突破できそうだけど、もしよかったら俺の」
「全力でお断りします」


誰が野郎の体からできた紐なんか身にまとうか、綺麗なお姉さんだったら喜んで着るけど。
いやいやそんなに落ち込むなよ、常識的に考えたら分かるだろその位。
ていうかそう考えると本当に悪魔の実って不思議だな、こいつの紐しかりルフィのゴムしかり。
前にも言ったけどロギアなんかもうね、生物学者に中指立てちゃってるレベルだからね。
まぁそれは置いといて、ていうか船まで二百メートル位だからあややのなら海兵に見つからないスピード出して余裕で辿り着けるし。
んー倉庫なんかが意外と多いから回り道とかして海兵に見つからないようにしてもいいけど、突っ切っちゃえばすぐそこだし。
というかいざとなったら飛べばいいし、なんかワンピースで飛行能力って結構珍しいんじゃなかったっけ?
……だったらこいつ引っ張って船まで飛んでもいいかな? あーでもサーチライトがうざいな。
一瞬なら鳥と勘違いして見逃してくれたりしないかな? そこまで甘くないか、影がでかいし。
今考えると隣の港のほうからぐるっと海の上通って飛んできてもよかったな……今からでも遅くないか?
あーでも隣のニック君が完全にやる気モード入っちゃってるわ、こりゃもう行くしかないか。


「じゃあ改めて行きましょう」

「了解!」


あ、馬鹿何デカイ声出して――


「何者だ!!」


ばれたじゃねーかアホ!どうすんだこれ!
くそっこうなったらプランBしかない! プランB『なるようになれ作戦』始動!


(どどどうしよう船長! やっちゃったよ俺!)

(まずは落ち着きなさい、こうなったら誤魔化す必要はありません)

(え?そりゃどういう――)


位置についてー……よーいドン!
ニックを引っ張り全速力……を出すとニックが灰になりそうなのでかなりスピードを抑えて飛行する。
数秒で船に乗ったと同時に海軍港に警報が鳴り響く、もちろん侵入者を捕まえる類のものだ。
だが残念、君たちが探す所に俺たちはいない! まさか数秒で船に乗ってるとは思うまい!
よし後は早くここから脱出するだけだ! ハーリー! ハーリー!


「ニック!碇を上げなさい!」

「ちょっと待って船長なんか体が浮遊感で気持ち悪くて吐き気が」

「吐きながらでも何でもいいからとっとと動く!」


あ、ちょっと素が出ちゃった。
まぁいいか、俺は帆を広げないと……まぁ飛んで巻きつけてあるロープ取りゃいいだけだし。
幸い帆がいっぱいなんていう面倒くさい造りじゃなくてメリー号みたいな感じだし。
フライアンド……暗くてロープがどこにあるのか分からんね、知らない船だし。
えーと……あ、あったあったこれだっていうかなんで片結びなんだ! 絶対海兵がやったんじゃねーよこれあのアホ! 面倒くさいことしやがって!
もしかして他の奴も――全部片結びじゃねーか! あのアホ後で絶対殴る! んで正座させる! 
もういい切断する! 正直面倒くさい!

うしおk! おお広がった広がった! 下のあのアホも……おkサイン出してるなってサーチライト当てられてるじゃねーか!
後は風を吹かせて出港! 猶予が欠片もない! 全速前進DA!
げっ、もう海兵集まりだしてるし! 仕事が速くて感心だけどこういう時だけはなんかむかつく!
急げ急げ――! おお動いた! もっと早く動いてくれマイシップ!
あーもう海兵パンパンうっさいわ! 発砲しないでくださいお願いします!
うわあの運ばれてるのまさか大砲!? 船長ー! ルフィ船長助けてー!
あややの力でも大砲は――結構何とかなりそうだけど今の俺には無理! 後で対策考えよう!
うわ大砲撃ってきやがった! もう無理無理早く早く射程範囲外に!





































「……助かった」


まさかこんな所でルフィ見たいなことする羽目になるとは……もう嫌だ薬も買い忘れたし。
あー疲れた、もう絶対こんな事は御免だわ。
絶対あの馬鹿殴る、というか説教以前に立場を分からせないといかんわ。






































後書きコーナーですよ後書きコーナー

アヤ「はい毎度清くも正しくも無いアヤです、今回小説の書き方についてご指摘をその辺直しました」

アヤ「あと毎回誤字のご指摘もありがとうございます! おじょうちゃんで変換したのにこのポンコツ変換機め……」

アヤ「いや気づけなかった自分も悪いですけどね」

アヤ「あと前の話とか結構書き直したりしてます、自分で書いた小説見るのって恥ずかしいですねー」

アヤ「あーそういえば以前にあややの能力をつけるならヒトヒトの実モデル烏天狗といっていた方申し訳ありません」

アヤ「今回そうしようと思ったんですけど烏天狗って人なの? でも天狗って山伏がなんたらだから人? みたいに作者が考えた結果」

アヤ「ワンピースの世界で烏天狗の存在の有無が分からない以上烏天狗を『鳥の化け物』として扱うことにしました」

アヤ「普通にトリトリの実モデルカラスでもよかったのですが……原作などと被ったらもう見れた物じゃなくなりますしね」

アヤ「まぁそんな感じです、あとこのコーナー独り言マンセーですがオリキャラとか交えて話しても面白そうですね」

アヤ「というか紐の能力既出らしいですね……まじですか、被ってないことを祈ります」

アヤ「いやいやもう出しちゃった以上どうにでもなーれです! マジでごめんなさい先行者様!」


アヤ「あ、今回初めに入れたニックの説明に関しましては別に私が書いたものじゃありませんよ?」

アヤ「念の為いっただけです、それではまた次回」

アヤ「まだ小説で何かアレな部分がありましたらご指導お願いします」



[35488] 第二十三話 道に迷うとなんか一周回って楽しくなってくる
Name: きな粉餅◆264e7e68 ID:fbc467fd
Date: 2012/11/24 15:59
SIDE ウソップ ~海上レストラン『バラティエ』外部 船側面部~

待て待て待て!いっぺんにいろんな事が起こりすぎて収拾がつかねェ!
あの有名な"海賊艦隊"提督ドンクリークが襲ってきたと思ったらそのガレオン船がバラバラになるしナミのやつはメリー号ごと宝を掻っ攫って逃げやがるしアヤのやつは前触れもなく行方不明!?

「なんでこんな非常事態に限ってそれに輪をかけようとするんだうちの女衆は!」

「それが女ってヤツなんだろ、諦めろウソップ」

いやいやいや何でそんなに達観してるんだよゾロ! 被害にあってんの俺達だぞ!?
どうするウソップ! お前の今するべき事はなんだ! 逃げるしかできねェけど!
逃げるっつったってメリー号はナミのやろーが持ってっちまったし……第一ナミが何処に逃げたかも分かりゃしねえ!
そもそもアヤのやつはなんで行方不明になってんだ! まさか海に沈んじまったんじゃ……。
いやそんなマヌケなやつでもなさそうだし……いろいろと底が知れねェやつだが仲間見捨てて逃げたってわけでもねーだろうし……。
あああああどうすりゃいい! 考えろウソップ! 今残ってるメンバーでお前が一番頼りだウソップ!
ルフィは何考えてるか分かんねえしゾロに至ってはドンクリークとやり合う気満々だ! 馬鹿か!
相手は三千人……いやギンのやつが大半は一人に壊滅させられたって言ってたな、一人で艦隊を瀕死に追い込むってどんな化け物だよ……!
だが瀕死になってようが相手はあのドンクリーク! 俺が宙返りしたって勝てる相手じゃねェ!
がんばれルフィとゾロ! 掩護射撃は俺に任せろォ!

「んで船長、結局おれ達ァどうすんだ? 戦闘か?」

「おまえらはナミを追ってくれ、おれはこの船のケリつけてくる」

「んじゃアヤのやつは?」

「あいつはいい、大丈夫だ」

「了解」

……おれが必死になって頭働かせてるうちになんか二人で決めてるし! 新入りだからって除け者にするなよ!
耐えろキャプテンウソップ……こいつらにいつかおれのすごさを分からせてキャプテンと呼ばせるその日まで!
……で? 結局おれはどうすりゃいいんだ?

「聞いたろウソップ、船長命令だ」

「え? お、おう戦闘だな! ええ掩護射撃は任せろ!」

「違ェよバカ、おれ達の船と航海士を追うぞ」

な、なんだ違うのか……ビビった、いやビビってねェビビってねェ!
しかし追うってどうやって追うんだ? アヤのやつみたいに飛ぶわけにもいかねえだろうし。
あ、そういやヨサクとジョニーの船があったな! あれ借りりゃいいのか!

「んでもナミのやつがどこに言ったかなんて分かんのか?」

「まだあそこにメリー号が見える、それ追ってけば問題ねェ」

マジか! ほんとだメリー号が向こうに見える……いやホントによく見えたなアレ。
目ぇ凝らさねェと分かりゃしねぇよあんなの、やっぱこいつらバケモノだ。

「じゃあアヤのやつはどうすんだ?」

「あいつはいいってよ」

「いやいいって……」

「大丈夫って事だろ、あいつの事構ってたらキリねェぞ」

……妙に手慣れてる感じがするな、まさか前にもこんなことあったのか?
いやちょっと出かけてくる気分で船降りられたらたまったもんじゃねェけど。

「あいつはいっつもそうだ、泣きそうなツラしてなんか探して人に構ってほしくてバカやってる」

泣きそうなツラァ?あいつがそんなタマなのか?
おれから見りゃあいつも十分バケモノだし底が見えねェ感じだし……。


「迷子になってるガキみてぇなもんだ、ほっといたら勝手に帰ってくるだろ」





「アイツだァ!!!首領クリークあいつです!!あの男です!!!我々の艦隊を潰した男!!!」


SIDE OUT




















SIDE アヤ ~オーバークルーズ号 甲板~

「何故今貴方がこうして説教をさせられているのかお分かりですか?」

「……海軍港で叫んだからです」

「そうです、では何故貴方はあそこで叫んだのですか?」

「……ちょっとテンション上がっちゃって」

「確かに冒険の経験の無い貴方にはあそこは大変テンションが上がるシチュエーションだったのでしょう、しかしあそこがもしグランドラインの後半の支部だったら? 能力者も強者もたくさんいるでしょう、この船なんか一瞬で蒸発させてしまうだけの戦力がある、そんな状況でも貴方はテンションを上げて叫ぶことができたのですか? そう、貴方は少し考えが無さ過ぎる」

見てのとおり説教中なう、一発かるーく頭を殴ったあとに正座させて現在説教中。
全く役に立たなかったしねこの馬鹿、このまま海に突き落としてもよかったけどそれは俺の良心がストップをかけてきたので止めておいた。
ちょっとこいつには立場を分からせてやる必要があるからね、あと説教されるのはいやだけどするのって楽しいね。
いまなら夢の説教五時間ができる気がする……! まだ始まって三十分しかたってないけどこの勢いなら四時間半突っ走れるよ俺。

『……アヤ様、顔が笑ってますよ』

え? マジで? いけないな何か俺の開かれてはいけない扉が全力全開になったかもしれないな。
いやいやこの子を反省させるには仕方の無い事なのです、ふふふ。

「船長説教長いぜ……子供じゃないんだから一回きりで反省するって」

「あ?」

「なんでもございません反省しておりますなにとぞ御慈悲を!」

この野郎まだ反省が足りないと見える、こりゃあ説教の時間を延ばすほかあるまい。
いやこれは手遅れ過ぎて説教では反省できないのかもしれないな、だったら方法は一つしかあるまい。
即ち体罰、その身をもって俺の恐ろしさと自分の犯した業の深さを知るがよい。

「え? 船長なんで指を鳴らしながらこっちに来てってちょっと待って話せば分かる――」

「問答無用」






























鴉は海に夢を馳せる
第二十三話 道に迷うとなんか一周回って楽しくなってくる





























さてはれて俺の物となったこの船オーバークルーズ号、なかなかデカイね。
まぁサウザントサニー号よりはちょっと劣るけど二人と一匹住むにはやっぱり贅沢すぎるっしょ、キッチンに大浴場も完備されてるし。
ただ風呂が男女に分かれてないんだよね……交代で入るのかー、まぁ元男だし全然構わないがね。
覗こうものなら刃九郎のエアカッターが炸裂するからね、ニックのひき肉の完成だね。
ていうかキッチン広いんだけど、超広いんだけどなにこれ普通に宴会できるよこれ。
やばいな……ここに腕のいいコック置いたらまさにユートピアができるね、甲板から直だし甲板で宴会ってのも乙かな。
他は宝物庫と食料庫もあるし普通の小部屋も数個……医務室もあるけどニックは応急処置レベルっていってたな。
コックも欲しいけど医者も欲しいね、航海は……まぁなんとかなるといいな(願望)。
あとは雑魚寝室と砲弾とかが置いてある倉庫が船の最深部、大砲は十門か。
しっかしよくもまあこんな質のいい海賊船を仕入れたもんだ、あんなアホ男が。
あーさっさと他の仲間が欲しいね、あのアホ男だけが航海の頼りとか命綱なしのバンジーのほうがよっぽど生存率高いわ。
さっさと次の島……次の島?

あ、ログポース……忘れてた……。
いやいやまだ望みを捨てるには早い! あのアホ男が持ってるかもしれないし!
甲板に急いで飛び出すとマストにぶら下げられたアホ男が目に入る、滑稽……じゃなくて!

「ニック! 貴方ログポース持ってます!?」

「え!? まさか船長持ってないのかい!?」

あ、駄目だこりゃこの旅終わったわ。
いやいや! ちょっと待てちょっと待て!

「貴方自分の故郷の島からあのロッカーアイランドに行ったんでしょう!? どうやって行ったの!」

「おれの故郷の島はロッカーアイランドよりもグランドラインを進んだところにあるからログポースじゃ行けなかったんだよ! だからエターナルポースで来たんだ!」

くそっ! なんてこった! やっぱこいつ頼りにならん!
あーもうどうするんだよロッカーアイランドに行こうにも完全に入った瞬間海兵に囲まれるのは目に見えてるし!

「なら貴方のエターナルポースで貴方の故郷に向かいますよ!」

「……それならとっくに捨てちまったよ、男に帰る故郷は要らないのさ」

こいつ殺す! マジで殺す!
どうするんだよ完全に将棋やチェスで言う詰みの状態じゃねーか!
こんな広い大海原にこんな阿呆と二人きりで遭難とかいやだー! 絶対やだー!

『アヤ様……二時の方角に船が見えます、おそらく他の海賊船かと』

それは本当かい刃九郎! やっぱ頼れるのはお前だけだわ!
よしその海賊船にログポース譲ってもらおう! あとついでに宝と食料も譲ってもらおう!

「ニック! 舵を二時の方角に!」

「へ? それはいいけどこの縄ほどいて欲しいな船長」

「自分でほどく! とっとと動く!」

やはり天はこの俺を味方している……! 風はッ! 『俺に向かって吹いている』!
もはや恐れることなどなにもない! 天が味方している以上俺は無敵だ!
いかんフラグに見えてきた、いやまぁログポースは手に入ったも同然だしね、テンション上げてもいいよね!


「面舵いっぱーい」

その緩い感じむかつくなこの野郎、一体誰のせいでこうなったと思ってやがる。
まぁ船を運んできてくれたことには素直に感謝するがな、同時に厄介事も運んできたけど。
あーもう遅い! もう俺一人で行く!

『私はどうしましょう』

「留守番よろしく!」

大体距離にして二百メートル! 大きさはこの船よりも小さい! 旗は新聞読んでるけど見たこと無い!
相手は弱小←結論、楽勝だね……んじゃ行きますか! 俺に見つかった不運を呪うがいい!
















うんフラグって訳でもなくただの雑魚海賊団だったわ、船長も無名で顔面ワンパンKO。
あーなんか逆にテンション下がるわ、面白みに欠けるっていうかね。
そんなこんなでものの二分で敵船は全滅、船長は現在ピクリとも動かないってことはご臨終?
まぁ身も知らない奴のことなんかどうでもいいさね、うんちゃんと腕にはログポースつけてるって事は夢を持って海に出たんだね。
可哀相にね、まぁ世の中弱肉強食……弱いやつが悪い。
しょぼいお宝とそこそこの食料を甲板に出してたらちょうどオーバークルーズ号が近づいてきた。
遅いっての、もう終わっちゃったよ。
本当に役に立たないやつ、全く先が思いやられるわ。

「船長ご無事……ですよねー」

「遅い、ログポースは手に入ったからさっさと次の島に向かうわ」

「了解」

さてさて次の島はどんな所かな、面白いところならいいな。



[35488] 第二十四話 さぁ真の海賊団の結成だ
Name: きな粉餅◆264e7e68 ID:533829ea
Date: 2012/11/30 05:40
今夕方の……この船時計無いから時間わかんないや、とにかくそろそろ夕日も沈んできた時間帯。
現在俺は甲板の縁に腰掛けながらニックと刃九郎の模擬戦闘(刃九郎は攻撃禁止)をボケーっと眺めている。
いやー刃九郎こうして見るとやっぱり速いね、ニック相手だから力を超セーブさせてるけど全然追いつけてないわ。
まー妖怪相手に普通の人間が敵うはずないんだけどね、でも追いつく位はしてもらわないとこの先生きのこれないから頑張ってくれニック。
ていうかグランドライン……いやこの世界生き残りたければまず人間止めないとお話にもなりゃしないからなー。
とか考えてたら早速刃九郎に振り回されてふらふらになったニックが俺の足元に倒れこむ。
おおニックよ、このくらいでへばってしまうとはなさけない。

「む、無理だって船長……全然捕まらないよあのカラス……」

「だーかーらー、相手の一手も二手も先を読むんですって」

「い、いやいや! そんなレベルじゃねェってあのカラス! 絶対無理だ!」

「無理じゃありません、とりあえず今日は刃九郎を捕まえられるまではご飯は抜きです」

「そんな!? あんまりにも酷すぎるぜ船長ぉー!」

あーもーうっさいな、戦闘に憧れて海賊になったんならその位の事はお茶の子さいさいでクリアしてほしいな。
俺たちが目指してるのはあの海賊王の船以外誰もたどり着いたことのないラフテルだぜ?
ここらの雑魚共相手ならまだしもそこまで行くとなると四皇に七武海に得体の知れないレベルの奴等と競い合うようになるんだからこの位の修行で音を上げられても困るな。
多才で器用貧乏ですじゃ確実に後半ら辺で役に立たなくなってくる、となるとゾロみたいに人間止めて強さをMAXまで上げるしかないじゃん。
全てお前のためなんだよ、お前のキャラのためなんだよって事でロッカーアイランドを出て数日間ニックを(刃九郎が)しごいてるがいやーひどいね。
刃九郎の完全なるワンサイドゲーム、ニックも紐で網を作ったり布みたいな壁作ったり紐を張り巡らせたりしてるんだけど一回も掠りすらしてないからね。
それどころか刃九郎よく見ると時々止まってちらちら様子見てるし、ニックお前気使われてるじゃねーか。

「第一速すぎるわあのカラス! 怪物!?」

「速いだけじゃなくて貴方の紐の強度なら余裕で突き破れますよ、第一まだ一割も力出させてませんし」

「嘘だァ!?」

まぁ一割どころか1%も出させてないけどね、こうしてみるとやっぱ刃九郎って妖怪なんだな……妖怪にしたの俺だけど。
こりゃあ初期ヤムチャとナメック星ベジータくらい差があるね、刃九郎の攻撃禁止命令解除したらニックもう三桁単位で乙ってるからね。
いやしかしグランドライン後半に入りゃ俺や刃九郎でも相手になるかどうかの化け物共がいるやもしれんしさ。
そう考えると強くならなきゃいけないのはニックだけじゃなさそうだね、といっても刃九郎や俺がどうやって強くなるかだよな……。
戦闘の経験はここらの奴等じゃ積めないし、肉体のレベルは人間のレベル基準じゃとっくに天元突破してるし。
となると技を覚えるしかないね、豊富な技で空中から敵をハメ殺す、反撃は許可しないィ――ッ!
いいねいいねェ! 風を操るってかなり応用のきく技術だからかなりいろんな事ができそうだね、夢が広がりんぐwwww
うはwwwwやばいテンション上がってきた! どんな技がいいかなどんな技してみようかな!
……ハッ! いかんいかん、落ち着け俺、最近テンションが一人歩きするな。
いやでもやっぱいろんな事できるってワクワクするよ、ただ試すのが当分先になりそうだけど。

「はい休憩終了ー、さっさと試合に戻った戻った」

「げふっ!」

ニックの腹を下駄の下の長い部分の先で蹴飛ばして刃九郎の止まっている甲板中央まで転がし、俺はそのまま部屋の中へ。
うーん考えれば考えるほどやらなきゃいけないことが多くて困る、とりあえず当面の目標(後半に入る前にやっておくこと)を挙げるとすると

1.ニックを強くする(戦闘の経験を積ませる事も含む)
2.仲間を増やす(そしてその仲間を1と同じようにする)
3.技開発(主に俺、なるべくこの世界じゃ珍しいという飛行能力を活かしたものが望ましい)
4.カラス集め&刃九郎強化(刃九郎強化方法を探すこと)

こんな感じかな?
1はとりあえずどうにでもなりそう、2は……どうだろ、そこらの島でなんとか勧誘活動でもしてみようかな。
3は広範囲技でもない限り船の上で試せそうだ、マストの上か何かで秘密の特訓でもしようかね。
4は、んーどうしよう? カラス集めは見つけ次第で、刃九郎強化は―本人に聞いてみようか。
それとももっとあややの血をこれでもかってくらいにぶち込めば更に強化されたりするかな?
……もはやカラスとは言えないようなおぞましい妖怪Xができそうだからとりあえずそれは保留にしよう。
まー当面の目標は決まったし、とりあえず二人ががんばってる間メシでも作ってようかな。
あーコック欲しい、でもコック仲間にするのって結構大変そうだよな。
既に『コック』という職についているやつを『海賊のコック』にするんだからそれはもうジョブチェンジと同じだよね。
んー、アラバスタにつくまでには航海士とか医者とかも仲間にしておきたいな。
アラバスタって結構近かった覚えがあるな、えーと……イガラムのおっさんの所、巨人古代島、チョッパーの所、たぶんそれだけかな?
ていうことは二つか三つで到着か、それだけの島で仲間集めろっていうのはいささか俺にはきついかもしれんね。
ルフィみたいにいい仲間を引き寄せる幸運が欲しい、あれはなんなんだろうかいい船長にはいい仲間が出来るって引力なのか。
いい船長かー、名は十分知れ渡ってるし力もあるし、カリスマ……カリスマってなんだ?
うーん……、あーなんか最近同じことで悩みまくってるけど全然答えが出ないじゃんどうしよう。
難しいな、もう深く考えずになるようになれでいいか。
Let it be.どうにでもなーれと、よし吹っ切れたさぁメシ作ろう。
ていうかこの船食料庫の中五割魚で四割乳製品ってどうよ? タンパク質豊富すぎじゃね?
残りの一割は小麦とかそこら辺だし、野菜食えよ野菜、あの紐ん中にはタンパク質しか詰まってないのか? なるほどだから脆いのか。
まぁ砲弾が凹む刃九郎の攻撃力じゃ脆い以前の問題だね、さて今日は魚のグラタンでも作ろうかな。
あー野菜食べたいな菜食主義者にでもなろうかな、今なったらこの船で食べれるもん無くなっちゃうからなんないけど。
栄養大事超大事、まぁ野菜ないしどうせならガッツリ体力付くよう大盛りチーズ増し増しだな。
いやー仲間を気遣うなんて俺も船長らしくなってきたかねぇ、これで俺の海賊団も……。
俺の……あ、そういえばまだ名前付けてないじゃん。
まぁいいか明日で、どうせ今日はメシ皆で食べた後ニックが倒れるまで扱くし。













「第一回海賊団の名前と海賊旗を決めましょう船内会議ー」

「いえーい……、人数少ないから悲しいだけだな」

『……』

「うっさいですニック、こういうのはノリが一番大事なの」

という訳で朝っぱらだが関係なくすっかり忘れられてた我が海賊団の名前を(実質二人で)決めたいと思いまーす。
あとオーバークルーズ号にさっきまで掲げてあった海賊旗はニックの前で海に捨てましたー、ちょっとだけ反省してまーす。
はい反省終了、さてさて早速だがまずは簡単に決められそうな海賊旗から決めていこうかね。
まずは部屋に備え付けてあった紙とペンで軽く下書きチックの骸骨の頭を描きます。
背後にペンと扇子を描いて、次にあややの頭の茶碗帽を実際に紙の横に置いて眺めながら適当に骸骨の頭の上に書き足します。
カラスの羽はどうしようかな……あ、そうだ。

「刃九郎」

『なんでしょうか?』

「翼広げてちょうだい」

『?分かりました』

んーナイスベリーナイスよ刃九郎、そのままちょっちこっち向いて待っててくれ。
えーとそこが骨で羽根がこういう感じに付いてて、後はこの羽にちょっとボリュームをつけて……。
うんok、えーと次は……下にカメラでもぶら下げておけばいいかな? えーとカメラカメラ。
んー他になんか無いかなーあややであややで…………! いやでもそれは……でも俺描けるし……。
いや考えてしまった以上実行に移さねば男が廃る、こういう所でも常識に囚われないのが俺流。
とりあえずいったん書き直し、えーと大きさはこの位で髪の毛は――。
うんこんな感じかな! 最後は配色だが俺は何故か毎度毎度色を塗ると残念になるのでニックにしてもらおう。

「はいニック、これが我が海賊団の海賊旗です」

「お、できた? どれどれ……なにこれ」

「斬新でしょう?」

俺が書いたのはきめえ丸、先ほどの海賊旗の骨をまんまきめえ丸に変えただけだ。
もちろん羽も生えてるぜ可愛いぜ……いやーこの見てるとイラッとする顔がたまんないね。
いやいいでしょこのくらいフリーダムでもいやむしろ文句は言わせねぇ、海賊旗の文句は俺に言え!

「いやだってこれ骸骨じゃないし……」

「海賊旗が骸骨と誰が決めたんですか? 世の中には新しい風が必要なのです」

「なにこの……船長に似てるような似てないような奴は」

「き……いえ射命丸です、可愛い可愛い射命丸ちゃんであってそれ以上でもそれ以下でもありません」

「いや何シャメイマルって!? こいつ見てるとなんかイライラするんだけど!」

「うっさい、私が決めたんだからそれは宇宙の真理より絶対です描きなさい」

しぶしぶといった風にニックがペンキで海賊旗をデザインしはじめる、うわそんな風にペンキ使うのかすごいな。
俺がやったら絶対乾いてないペンキとペンキが混じって汚い色ができたりムラができたり円がいがんだりするわ。
うーんこれはもしやニックのアピールポイントが増えたんじゃなかろうか、いやないな今後役に立たなさそうだし。
さてニックが旗を製作してる間に海賊団名考えちゃいますかな、ニック呼んだ意味? 色塗り係。
んー海賊団の名前……黒ひげ白ひげ麦わらに、道化黒猫魚人ってなんか適当な名前多くね?
それだったら天狗海賊団でいいじゃん、あーでもこの世界だと天狗っているのかどうか分からんな。

「ニック、天狗って知ってます?」

「? いやごめん聞いたこと無いな」

「そうですか……んー」

だったら白ひげとかみたいに黒翼、いや麦わらみたいに団扇? 団扇海賊団ってダサいな。
カラス……烏、鴉、駄目だなこの中のものを使ってつけると何故かどうしても厨二になる。
他にあややに関係ある物からなら猿田彦、人間禁制、竜巻…………!!!
来た……来た! 俺の心にビビッと来たぜ! これはいい格好いい最高の名前だ!
厨二臭いのはもはや置いといてあややにぴったり二文字ぴったり!

「船長、船の色塗り終わったよ……本当にこれにするの?」

「ええ、早速掲げなさい……今私も海賊団の名前を決めました」

「へぇ、どんな名前?」

名のモチーフはあややのテーマソング、さぁもう勘のいい皆さんはお分かりかな?
そう我が海賊団の名は―――

















「風神海賊団……今日からこの船は風神海賊団です!」





























鴉は海に夢を馳せる
第二十四話 さぁ真の海賊団の結成だ





























さて海賊団名が決まって旗も掲げられた日の真昼間、海の向こうに見えるはロッカーアイランドより幾分か小さい島。
俺達が真に海賊団になって始めて上陸する記念の島だよ、胸が熱くなるな……。
取り舵いっぱい追い風順風、いやー清清しい気分だ! この眠気を睡眠薬かなんかでどうにかできればなお完璧だな!
そういや睡眠薬も買ってないんだった……手帳なんか買う前に睡眠薬買おうぜ過去の俺よ。
あー頭痛い、今さっきまでの俺の清清しい気分返せ畜生……ふぁぁ。
んー島の特徴はと、特に無いけど森がたくさんで真ん中にでっかい山があるよって位かな。
いやまぁどっちかというと島に山があるんじゃなくて造山活動でついでに島が出来ましたって奴だろうね。
あんま地理に詳しくないからよくワカンネ、まぁそこそこ自然豊かで麓には小さな村が見えるな。
島の向こうは飛ばないと見えないけど、今マストに全体重任せてるから飛び上がれない。
なんかもうテンション下がってきた、このままマストにこべり付いてチーズ蒸しパンになりたい。
とか思ったけどマストの下の甲板から俺を呼ぶ声がする、まぁニックしかいないけど。

「船長ー、島が見えたけどどうするー?」

「……とりあえず上陸用意ー」

「りょーかーい」

うう、でもこのまま素通りって訳にも行かないし……なにより俺は睡眠薬と野菜が欲しい。
あー俺はこのまま惰眠をむさぼってニックにパシらせてもいいかも……いやしかし船長としての威厳が……。
うーん仲間が増えるかも……やったねアヤちゃんむにゃむにゃ……。

『……まもなく島に到着します、起きてくださいアヤ様』

「うううー、睡眠薬と野菜買ってきて……」

『私の声はアヤ様以外に聞こえません』

ちくせう、あーもーわかったよ起きるよー。
いかんさっきテンション上げた反動で更に眠気がリバウンドしたぁ。
腕動くー足動くー羽動くー体動くっ! ふぅ、やっぱ眠い時は勢い付けないと起きられないわ。
さてさて島の冒険だー、わーい……ハッ! いかんいかん顔洗ってこよう。
マストの上からスカイハーイ、これ結構気持ちいいんだよね。
飛行機が飛び立つ瞬間浮遊感に包まれるじゃん? あれの短いバージョンみたいなさ。
えーとキッチンキッチン……。


うん幾分か目が覚めたよ、さて見知らぬ大地に降り立とうかね。
まぁ見たところ小さい村が一つあるだけだし危険そうなもんは何一つ無いね。
上陸できそうな所は……あの森の所の海岸でいいかな。

「ニックー、船あそこに止めてー」

「あいよー」

舵取り場にいるらしきニックから返事の声が聞こえるー……いかんぼやけて聞こえてきた。
どんだけ眠いんだ俺……だってルフィの所にいた時だって睡眠薬飲んでないのにこれほどは眠くなかったはず……。
あれか、お昼寝タイムがニックの訓練の時間に呑まれたからこんなに眠いのか。
おのれニック、まぁ冗談はさておいて……ん?
森の陰に人影、しかも一人や二人じゃない……うわ軽く二十人チョイいるじゃん。
んー格好を見るに海賊じゃないね、あの村の村人さんかな? なんか皆さん武器持ってらっしゃるけど。
銃は……無くて全員サーベルか、こりゃちょうどいいや。

「ニック、なんか島の人達が臨戦態勢に入ってるから貴方一人で何とかしなさい」

「あいよー……え? 俺一人?」

「話し合うも良し、実力行使で黙らせるも貴方に任せます」

ジャストタイミングで舵取り場から甲板に上がってきたニックに船長命令、戦闘経験にはちょうどいいでしょ。
まぁ話し合いも有りって言ったけど海賊相手に大人しく話し合って仲良くしましょうなんてのは有り得ないからね。
我が風神海賊団初戦闘はニックVS島人多数か、盛り上がりはしないけどまぁオープニングのイベント戦だと思って妥協しよう。

「……不安だけどちょっと行ってくる」

シュルルっと紐を伸ばして海沿いの木の一本に絡ませると、そのまま全身を紐にして最初の紐に纏わり付くように島へ渡っていくニック。
その姿はなんとなく地面を這って蠢く芋虫っぽくてキモかった……っと、後でこの日記ニックに見せてみよっと。
いやでもなんかカラフルで虹みたいに見えないことも無いことも無いな、うん無いわ。
さーてとりあえずニックが村人をどうにかするまでゆっくりゆっくり船を進ませておこうかね。
よし、甲板の縁に座って観戦しようかな……おっとニック選手ここで手を上げて丸腰アピールだ!
しかしさっきの行動で悪魔の実の能力者だということがばれている為意味が無い! 馬鹿かアイツは。
おーっと島人達がこぞってニックに刀を振り上げて襲い掛かる! ニック選手絶体絶命!
ニック選手ここで紐を全方向に撃ち始めました、これは刃九郎にやっていた技……島人には効果は絶大だぁ!
一本紐に当たればそれが島人に纏わり付いて動けなくなる、更に紐に纏わり付かれてバランスを崩した島人が隣のバランスを崩して更にその島人が紐に――。
いやこれは狭い所に大人数で集まりすぎた事が災いしたな、うんニックもただの島人相手じゃこんなもんか。
追い風いっぱーい、島に上陸用意ー……ふぁぁ。



碇を降ろしてマストを縛って、と……よし準備完了。
あやや大地に立つ、おお島人がごろごろ転がってるね。

「ニック、お疲れ様でした」

「お疲れさん……いやなんか戦いって感じがしなかったな」

「命をかけた戦闘なんですから立派な戦いです、まぁ貴方は殺しはしなかったようですけど」

「殺す必要が無いなら殺さなくてもいいだろ?」

「まぁ必要が無ければ、ですがね」

俺も無駄な殺生はしたくないし、それでいいんじゃないかな。
それはそうとこの島人さん達一体どうしましょうかね、とりあえず話だけでも聞いてみようかね。
まぁ一番先頭に転がっているこの白髪気味の屈強そうなおっさんでいいかな。

「さて、質問よろしいでしょうか?」

「……だれが海賊なんぞに」

ほーう?海賊なんぞ……ですか、これは寛大な心を持つ俺も怒らざるを得ないね。
怖い恐い海賊を怒らせたらどうなるか教えてあげようかなぁ?
付近にいたまだうら若い二十歳程の女性の胴に縛られたニックの紐を引っ張り、女性を無理矢理stand upさせる。
ちょっと乱暴だったか女性が少し苦しげな呻き声と短い悲鳴を上げるけど、ひとまずは我慢して無視。
転がってるおっさんにも見えるようにしっかりおっさんの目の前に女性を転がしてやると、おっさんの顔がいきなり緊張し始めた。

「な、なにを!」

「いいですか?今から貴方にいくつか質問をしていきます」

おっとその前に、まずは俺がどれだけの力を持ってるか分からせないといかんね。
とりあえず皆さんこちらを向いてるので、隣にあった木を片手で水平チョップして叩き折る。
うわ我ながらすげぇ、人間一人じゃ抱え込めない位の太さの木だったけど一発で折れた。
いかんいかん俺が驚いてどうする、話続行。

「質問に答えないと貴方の目の前でこの女性を殺します、はぁ?って聞き返しても殺します、くしゃみをしても殺します
 誰かが余計な動きをしても余計なお喋りをしても殺しますし、殺した後は違う人を貴方の前に転がして再び質問します」

「ちょ、船長!?」

「貴方は黙っていなさいニック、どうしても海賊には話すつもりが無いのなら別に構いませんが……答えていただけますか?」

「……」

緊張した顔のまま無言で頷くおっさん、いいね素直なのは美徳だよ。
いやもちろん殺したりはしないよ? でも恐ろしさを武器に交渉や取引をするのも手段の一つだからね。
まぁ台詞が言いたかったってのも理由に含むけどね、しょうがないじゃんこんな台詞言うシチュエーションめったに無いんだもん!

「まず、貴方達はむこうの村の村人ですか?」

「……そうだ」

「何故この人数でここに集まっていたのですか?」

「島の近くに海賊船が見えた、それだけでは不満か」

「不満ではありませんが、次から質問に関係の無い発言は慎んだほうがよろしいかと忠告します」

スッと右手を上げるとおっさんも周りの島人も揃って体を強張らせる、人質にされてる女性はもう半泣きだ。
……なんか、ゾクゾクしてきた。
いかんいかん、なんか本当に目覚めてはいけない方向に目覚めそうだな。
俺はノーマル俺はノーマル……オーケー大丈夫俺はノーマルだ。
しっかし近海に海賊が出たとて二十人前後が武器用意して二キロ近い村からここまで待ち伏せできる位に速く来れるもんかね?
監視塔でもあるのか? いやそんなもんは見当たらなかったけどなぁ。
まぁそこら辺はどうでもいいか、とにかくこの村での目的は睡眠薬と野菜だけだ。
別に島の村の監視事情はそこらに落ちてる小石の数の次くらいどうでもいい。
何より既に眠くてはっちゃけるテンションすら残ってないんだよこっちは……。
さてどうしようかな、このまま人質とって村まで案内してもらうとしましょうかね。
流石にここから友好的に行くってのも虫がいいからどうせなら悪役スタイル継続で。

「ではとりあえず村まで案内してもらいましょうか」

「……村の皆には手を出さないと誓えるのなら」

「それは貴方達の態度しだい、ってことになりますね」

あーこれはやっちゃったかもしれんな、今のが引き返せるチャンスだったかも。
まぁもう決めちゃった以上どこまでも突っ走るしかないか、ニックには……後でなんか弁明しとこう。
超不満そうな顔してるし、仕方ないじゃん……海賊になるってこういうことよ。
刃九郎は……あいっけね船の上だわ、呼んどかないと。





























後書きコーナー

アヤ「はいこんにちわ万年寝不足気味のアヤです」

アヤ「えー今回海賊旗の設計等の回でしたが、海賊旗のモデルはbokusyouさんの感想からいただきましたー」

アヤ「……いやすごいっスね、説明かっこいいよ説明まるで私がかっこいいキャラみたいじゃないですか」

アヤ「いやー感動しました、割とガチで……あ、風神海賊団は作者の無い頭から搾り出しました」

アヤ「あとボリュームも上げてみましたが……なんか三人称視点っぽい分になってしまいますね」

アヤ「さてはて本格的に海賊になった訳ですけども……いやールフィ達から距離が開いちゃって原作に絡ませ辛いこと」

アヤ「まーフラフラしてればそのうち何とかなるんじゃないかと思ってるんで適当にやっていきますけどね」

アヤ「あと生存率0%の紙の試練(試験)が迫ってきてるんでちょっと更新が遅くなってます……申し訳ない」

アヤ「あとクリスマスも近いですね、予定なんて無いのでただの平日ですけど」


アヤ「あれ半分以上雑談になってる? まぁグダグダになるのもアレなのでここらで〆ます」

アヤ「ご愛読ありがとうございました! 次回の更新にご期待ください!」



[35488] 第二十五話 幼女と少女の違いとアウトとセーフの境界を誰か教えてください
Name: きな粉餅◆264e7e68 ID:533829ea
Date: 2012/12/15 14:45
海岸から村まで山道で坂道で獣道ってさぁ……何でこんな面倒くさい場所に村おったてたんだこの島人は、もうちょい交通面考えようよ。
しかも海岸から歩いて三十分ってなんなの、野生人なの? 自然に囲まれてると血が騒ぐの? 馬鹿なの?
キーキーってこれ何の鳴き声? 鳥ってレベルじゃないよねプテラノドンでも住んでんのこの森?
あとこの変に甘い臭いは何? 嗅いでると気持ち悪くなってくるんだけど……うぅ吐きそう。
もうその内ドス○ァンゴとかナルガ○ルガ出てきそうだし……俺だったらこんな所住んでたら二日でストレス死するわ。
うーっ、足元を意識するとこの靴の異常さが目立つね……歩きにくいけど転ばないってなんか変な感じがする。
ちょっとした突っかかりで転びそうだけどどうなんだろ、いや幻想卿じゃあ長距離移動が歩きってのがおかしいんだろうね。
流石に人質巻き込んでこの三十度後半位の坂道転がるのは俺も痛そうだし人質の方も死にかねんのでご遠慮したいところだ。
欲を言うならその嫌悪感と憤怒と絶望の入り混じった複雑な顔でこちらを逐一睨み付けて来るのもやめて欲しいかなー……。
うん……いや人質なんて正直一時のテンションとこれで交渉が捗るといいな位のノリでやったんだよね、今は本気で後悔してる。
一時のテンションに身を任せるとこうなるんだってのは生前嫌ほど経験した覚えがあるんだけどな……反省。
あー、その結果がこれだと考えるとどっと疲れた……自業自得なんだけどさぁ、いや本当にねぇ? 何やってんだ俺は。
もう食料と薬貰ってさっさと船に帰ろう、目的達成したらニック引っ張って飛んでっても別にいいし。
あ、そういや船誰もいないけど島人に焼き払われてたりしないよね? いやそんなことしたらどうなるか分からない程阿呆でもないだろうけど。
やっべテンションが上がんねぇ……眠い頭痛いもう帰りたい……あ、あとなんかお酒飲みたい。
酔いつぶれたらぐっすり眠れたりしないかな、まぁここで睡眠薬もらえるんなら別にいいか。
そんなこんなで十五分位歩いてたら無言の行進に堪えかねたのか村人の行列の後ろからニックがこっそり歩いてきた。
なんでそんな後ろめたそうにこそこそしてるんだ、やっちまった事はもう仕方ないんだから堂々と胸張りゃあいいんだよ。
冗談ですごめんなさい反省してます……いやでも威厳を見せるためには俺までこそこそしてちゃいかんよな……。


(……船長)

(あーはい、何の用でしょう?)

(いや、えーと、その人質の女の人どうすんのかなって……)

(やる事終えれば開放しますよ、それがなにか?)

(……いや俺海賊になったんだなーと改めて思っただけですよ)

(はぁ、まぁなんであれ自覚を持つことは結構)


そういやニック戦いに憧れたんならなんで海軍入らなかったんだろうか……もしくは冒険家、いや冒険家はそんな戦いしないか。
まぁニック軽そうだしね、海軍にはちょっと……いやかなり向いてないだろうね、ていうか船持ってたけど船長とかも向いてなさそう。
お前本当に俺に拾われてよかったな……俺とかルフィみたいな船長とかじゃなかったらその性格はどう考えても海賊には-にしかならんしな。
外道海賊団だったら即効お払い箱だぜ? いやまぁ俺個人としちゃ嫌いじゃあないっていうか気に入ってるけどさ。
やっぱ大事な大事な(人間だけなら)初船員だからね、しごいて鍛えてラフテルまで引っ張って行きますよ?
でもやっぱ戦えなくてもいいからスキルを持ってる人が欲しいなーこの村にいたらスカウトしようか。
あーあとお腹空いたかも、島人脅してご馳走になるってのもいいかもしれんね、いや人間的には駄目だけどね。
だが今の俺は海賊の船長だ、先陣を切って部下に海賊のなんたるかを教えねばならんのだ!
俺海賊になって一ヶ月位しかたってないけどね……いやー今思えば波乱万丈の一月を過ごしてきたんだなぁ。
一ヶ月前の俺はまさかこんな風になるとは死んでも思わないだろうな、まぁ無人島で死に掛けてはいたけど。
あーこの森歩いてるとあの無人島思い出して腹立つな! 羽虫がそこらじゅう飛んでるし! キモい!
というか本当に薄暗くて湿気多くて気持ち悪い森だな……大事なことだから二回目も言うけどこの島人はなんでこんな所住もうと思ったんだ?
他の島との交流とか商業とかやってないのかね……運動量的にも気分的にも入りにくい事この上ないわ。

……っと、開けた所に出たって事は着いたか? やっとか、もう森とか金輪際入りたくないね。
んーざっと見て村の大きさは……ウソップの村位かな? ジャングルもどきの樹海の真ん中にしては綺麗な家の建て方だな。
てっきりログハウスをワイルドにした様な家が乱雑に並んでるかと思ったけど、なんかフツーの家ばっかだし。
そういやこんな原始的な島に住んでる割には皆ふつーの格好してるしな、本当になんなんだこの村一体。
ってか気づいたら村人に超注目浴びてる、まぁ同じ村人縛り上げて人質にとってたら目立ちますわな。


「……ここが私達の村だ」

「へぇ、なかなか綺麗な場所じゃあないですか」

「海賊に褒められたとて、嬉しくもなんとも無い」

「そうですか、まぁこちらも村を褒めに来た訳ではないですし……早速食料と水を持ってきてください」

「……それを持って来たら村を出て行ってもらえるんだろうな?」

「さぁ、貴方達の対応次第でもありますし……私の気分次第でもあります」


縄を解いてにっこり笑顔で対応してやると舌打ちと共に去っていく村長、おいなんだ今の態度はぁ?
あまり私を怒ら(ry 言っとくけどそこで後ずさってるヒモ人間もだぞコラ。
まぁ手荒な真似は好む所ではないし……だからといってコロサズの信念を持ってる訳ではないからね。
今の私は相手によっては仏にもなるし鬼にもなる……っていっても他の海賊よりはよっぽど優しい存在だよ?
怒らせれば他の海賊なんかよりも性質が悪くなるっていう自負はあるけれどもね? ははは。
ごめんなさい大丈夫です怒ったり手荒な真似はしないですだからそのじっとりした目を止めてくださいまし刃九郎様。
ふえぇ……刃九郎恐いよぅ、その冷たい目線だけで人が殺せるよぅ(※俺にしかわかりません、他の人にはただのつぶらな瞳に見えます)。
もうお前がナンバーワンだよ……俺の恐いモノ格付けチェックの中では四皇と大将含めてもダントツで刃九郎だよ。
さて……人質を取ったまんまだから行動が限られるな、しかしいろいろとやりたい事もあるし。
となると……んーまぁそうだなぁ。


「ニック、人質パス」

「へ? お、俺がこの人預かるの?」

「ええ、村の人が妙な行動を起こしたなら躊躇せず『殺しなさい』」

「こ……殺すって、俺が?」

「他に誰がやるのですか? 刃九郎? 貴方も海賊になるのなら『覚悟』が必要です」


そういやここからアラバスタ戦争やマリンフォード戦争、もしかしたら空島戦争や魚人島戦争なんかにも加担するかもしれんのだよな。
船長としていっちょ船員に人の生死に触れさせておくかな、まぁ流石に縛り上げてこいつ今から殺せなんて事はしないけど。
俺としてはここを漫画の世界で自分の世界じゃないって楽観的な判断をすりゃ人を殺せるだけの覚悟はある……つもりだし。
力に至っては話すまでも無いしな……いや、この力があるから今の俺は人の命をここまで軽く見れるのかも知れんな。
なにより死にたくないしね……てか自由に楽しく冒険したいけど死にたくないから人を殺すって今思うと完全に俺思考が海賊だな。
とにかく俺は人を殺せる、ニックは……どうだろうね、ここでヘタレて逃げ出すんならまぁそれも有りかもしれんね。
やっぱ戦闘だけに憧れて海賊やり続けますってのはきついよ、この世界の新聞がそれを否応にも見せてくれるし。
海賊の危険性を知らしめる為に海軍が圧力かけてるって新聞売りのカモメから聞いたけど、それでも尚酷い事件もある。
今回ちょっと海岸で戦わせてみたけどあの戦法も集団相手に戦うのに有利ってのもあるだろうけど流石に相手を労わり過ぎてる。
証拠に島人は誰も彼も一人で三十分も山道を歩き続ける事が出来たしね、優しい……のも分かるけど。


「いいですね、『絶対に殺しなさい』……さもなければ私が貴方を殺します」

「!!!……わ、分かりました船長」

「よろしい、刃九郎もニックと一緒にいなさい」

『……了解ですアヤ様』


ん、いい子いい子刃九郎かわえぇのうかわええのぅ。
ニックもこれで海賊の恐ろしさと人の命について考えることが出来るでしょう……。
とかまぁ今長々と考えてみたけど正直今回だけでそんな事悟ってくれるとは微塵も期待できないね。
このやり取りでこの村の人々にも恐ろしさが伝わったっしょ、一応だけどニックに考えさせる事もできたしそれだけで今は十分かな。
ていうか逆に一朝一夕で優しい人が人の命云々を悟られて豹変されてもねぇ? 俺じゃあないんだから命軽々しく見すぎだろって話でさ。
いや俺はいいんだよ? 体は妖怪心は超転生人の(頭のねじのはずれ具合も)特別な男(性別は女)なんだから。
対するニックは正直憧れだけの一般人……そういやウソップとかもそうだよな、そう考えるとすげーなウソップ。
とにかくニックは(命云々の意図も全く含まれない訳じゃあないけど)やらせて面白そうだからやらせただけだようん。
恐ろしさ見せつけときゃ村人に対する交渉とかしやすそうだし、俺この島では悪人気取って過ごすことに決めたんだ。
理由? 男(オス)だけとの船旅と睡眠不足でストレスが溜まってるからさHAHAHA!
そういや島に来た時ほど眠くなってないな、テンション上がってきたからかな?
んーまぁ別にいいけどさ……さてとぶらぶら歩きますかね。
えーと食事所に花屋に魚屋っていろいろあるね、これで交通面がパーペキなら俺から言うことは何もないんだけど。
お、お、この木の看板で出来た十字マークがお医者さんかね? さっきの店屋とかよりもずいぶんとこじんまりしてるな。
いやていうか周りの民家と全然変わらないんだけど? ちっちゃいなオイこんなんで医者やっていけるのか?
っていうかRPGじゃないんだから、なんでこんな閉鎖的な村に住んでるのにこんな看板を……。
まぁ面倒くさいしどーでもいいや、俺ここで睡眠薬貰ったらさっさと食料と水を貰って帰るんだ。
つー訳でオラ客だぞお客様だぞ神様だぞ丁重にもてなして下さいお願いしますーっと。


「い、いらっしゃー……!!?」


変に軋むドアを開けるとお出迎えしてくれたのはエプロン姿で銀髪ロングの幼女A、医者の娘さんかね?
んー内部はそこそこいい造り、清潔感あふれる木の壁に新品同様真っ白な布団のベッド、流石はお医者さんって所。
あーこの薬品のにおい俺嫌いかも……んーなんだろう生理的に受け付けないって言うか? とにかく嫌い。
まぁ今ん所綺麗だから良しにしとくか、これでボロボロの汚い内装だったら睡眠薬貰わずに帰ろうって考えてたけど杞憂だったね。
おそらく村に一個だけの医者だし、一つだけの医者がボロボロ汚い所ですとかそんな村絶対御免無理だわ。
んでもって机とか医療器具とか薬が並んでる棚だとかあるのはいいけどそこにセットでいる筈の肝心のお医者様が見当たらないんだけど?
どうしよ、この幼女Aから聞くにしても俺の目の前で突っ立ったままガタガタ震えてるだけで何も話してくれそうに無い。
というか俺そんなに恐い? もしかして俺の手配書見たとか? あーそれだったら分かるかも……なんせ懸賞金アーロン越えだもんね。
懸賞金かけられると一気に知名度上がるらしいし、大体悪い意味で……いや懸賞金って危険度ランクの意味だしね。
ぷるぷるぼくわるいかいぞくじゃいやごめんなさい今思いっきり悪い海賊でしたわ……どうしようとりあえず駄目元で聞こうか。


「お嬢ちゃん、ここのドクターはどこでしょう?」

「…………あ、わ……ぅ……………」


……駄目だこりゃ、話にならない以前に言葉として成り立ってないよ。
んーなんとかこの子をリラックスさせれりゃいいんだけど……えーとなんだっけ副交感神経がなんかになりゃいいんだっけ?
って言っても漫画で知った知識だから全然わかんないけどね、どうしよう人をリラックス方法かー……。
思いつかない! とりあえず落ち着くまで待ってみようか? いやこの恐がりようだとそれも望めないし。
……えーと、いかん何故か俺まで緊張してきた! うぅ年下ってどうやって接すればいいのか全然わかんないよ。
落ち着け落ち着け大丈夫だ俺は出来る子俺はやれる子、子供の扱いなんて生前……やった覚えがないね。
いやユーモアセンスあふれる俺なら人を笑わせる事なんてお茶の子さいさいで余裕の筈……! え……と、あうぅ……。
無理! 助けてくだしあ俺には幼女を笑わせることなんて天地がひっくり返っても不可能でした!
どうしようもうその瞳の防波堤がクラッシュ五秒前!? 紳士であるこの俺が幼女を泣かせるなんて畜生にも劣る下劣な行為をする訳には!


「あ、あのね? 大丈夫だよ? 別に恐いことしようって訳じゃ無いから、薬が欲しいだけだから!」


なんかもう素が出っ放しだけどこの際もう気にしない! だから泣き止んでください!
うわ語尾強めちゃったからか更に瞳のウルウルがァ!? もう完全に詰みの状態じゃねこれ俺が何しても駄目じゃねこれ?
女子の集団での白い目線と個人での泣くという行為(嘘泣きも含む)は近所のガキ大将も戸惑わせる伝説の奥義だから!
や…止めろまじで勘弁してくださいあああ俺の個人的なトラウマがggggくくく黒マテリア!!!?



「………わ、私を、攫いに来たんじゃ……無いんですか?」





……………………………………………………………………………………はいィ?































鴉は海に夢を馳せる
第二十五話 幼女と少女の違いとアウトとセーフの境界を誰か教えてください





























あ……ありのまま今起こった事を話すぜ! 俺は『薬屋に入ったと思ったら誘拐犯扱いされていた』!
なにを言っているのかわからねーと思うが俺もなにを言われたのか分からなかった……。
頭がどうにかなりそうだった……偏見だとかデマカセだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねぇ……。
もっと恐ろしい決め付けの片鱗を味わったぜ……。
ていうか……え? 酷くね? 俺店に入っただけだよ? そんなに今の俺人攫いそうな悪人面してんの? 背景にどす黒いオーラが見えるの?
しかも薬くださいって言ったよね? そんな優しい言葉が掻き消える位恐ろしい存在なのかいこの俺は?
それともこの子可愛い見た目に反して虚妄癖者? 連れ去って欲しいの? かぁいいモード入ってお持ち帰りしようか?
まてまて一旦落ち着くんだ俺、どうすればいいんだ? ていうかさっきからこの子に混乱させられっぱなしだけど俺?
ヘタレじゃないですフェミニストです、根性が無いんじゃなくて優しいだけなんですやれば出来る子なんです俺は。
んでもってどうしようかな、ぼくはわるいかいぞくじゃないよ? 海賊やってる時点で悪いもくそも……さっきも同じような事言ったな確か。
ていうかなんで海賊=誘拐なんだよ……あーもしかしてこの村子供にそういう教育してるのか?
成歩堂、それなら大分納得がいくってそんな子供心に情報刷り込まれたら見知らぬ俺が否定しても意味ねーじゃん!
どうしよう? もう何をやってもどうにもならないような気がするんだけど? もう脅して薬だけ貰っちゃう?
あーでも流石にこの幼女(推定九歳前後)に睡眠薬がどれとか分かりそうにないな……知らずに劇薬渡されたんじゃsyレならんし。


「……あ、あの…………海賊、さんです……よね?」

「え? ええまぁそうですね」


……あ、このアンサーもしかしてものっそい逆効果ではアリマセンノコト?
うぐぐやっぱり恐縮し始めてるし、ていうか悪人気取ろうと思ったのにぜんっぜんできてないじゃん俺……やべぇ情けねぇ。
ま、まぁ? 幼女相手に悪人気取るのもどっかのベクトル兎みたいでアレだし? 別に全然俺がヘタレって訳じゃ(ry。
うんそうそう、第一相手は幼女だからね(大事なry)悪人気取る交渉術とか必要ないし。
逆に高圧的な態度で怯まれちゃったらそっちのほうが面倒なだけであって俺がヘタr(ry。


「えーと、ただ今日は薬を貰いにきただけだから別に誘拐とかしませんよ?」

「あ……え、と………なんの薬でしょうか……?」

「睡眠薬を、ですのでドクターを呼んで欲しいのですが」


おお……やっと話が通じた、やべぇこれは全米が泣くレベルの超パーフェクトコミュニケーションだわ。
ふぅ、そういや生前は妹とか弟とか従兄弟とかもいなかった気がするから年下との会話ってかなり経験がない気がするな。
たった一人にこの有様……本当にそう考えると幼稚園とかの先生ってどの位精神力いる仕事なんだろうかね。
まぁ知ったら自分の器の無さを再確認させられそうだから知りたくもないけど。
……で、なんでこの子はこっちを見たままもじもじしてるんでしょうか? あの先生呼んで欲しいんだけど?
そろそろ俺の精神力が限界を超えそうなんですが、いやうざいとかそういうんじゃないんだよ?
ただ慣れない年下の相手に疲れただけで……って誰に向かって言い訳してるんだ俺は。


「……あのーお嬢ちゃん? ドクターはどこにいるんですか?」


「………あ……わ、私です」

「え?」


「私が……ドクター、です」


……はい?
なん……だと……? ってギャグにしゃちゃあ笑えないよお嬢ちゃん? いやいや割とマジで。
いやいや、それは流石に無いって……医者になるのがどれだけ大変かってそういやチョッパーも三年位で医術マスターしたんだっけか?
いやでもしかしマジで? 嘘だろ承太郎。
この世界は一体どうなってるんだよ、医者ってかなりの学力必要だよね? ていう事は俺の学力はこの幼女以下……。
う、嘘だ……信じられない……! 神童ってこういう子の事を言うのか……いやしかし流石に……。
うぅ、ワンピースの世界だから仕方ないと割り切るべきなのかそれとも素直に悔しがるべきなのか……。
常識に囚われなさ杉ワロタ、よし幾分か落ち着いたそうだな漫画の世界だから仕方ないな!
別に俺の学力が低いわけじゃないんだしね、そう考えると気持ちが楽になるね。
ふぅ……さて現実逃避の時間は終了と、しっかしマジかこの子いいな凄いな仲間にしたい……。
いやでもそんな事したら本当に誘拐犯になってまうし、この子がこの村の唯一の医者なら取る訳にもいかんし。
ていうか俺本当に悪人になりきれてないな……悪に対して悪になるのは全然抵抗ないし心も痛まないんだけどな……。
まぁ仲間にしたいという八割の冗談はさておき、んじゃあ早速薬を持ってきてもらおうかな。
いざ服用しようとなったら少しだけニックに飲ませて反応見ればいいだけの話だしね、そうだね。


「じゃあ薬を貰えm「エリー! エリーはいるか!!!」」


なんつー嫌らしいタイミングで入ってくるんだ村長……あ、この子エリーっていうんだふーん可愛いね。
……んでもって扉開けて人様の顔を見た直後に天敵でも発見したネズミの様な顔をするのはどーかと思うね俺は。
いやまぁそれは置いといてそんなに汗だくで息切らしてどうしたんだ村長は、無理な運動は老体に響くぜ?
後そんなに大声出すとまたこの子、エリーちゃん泣いちゃうんじゃねとか思ったけどきょとんとしてるだけでした。
俺だけか……俺だけなのか! 畜生、いや別に全然悔しくねーし。


「え、そ……村長さん? どうしたんですか?」

「奴らが来た! とにかく裏の森に逃げろ! 奴らはまだ海上だ、今ならまだ――」


……奴らって誰ぞ、んでもって現在進行形で人質とって脅してる筈の俺は無視ですかさいですか。
いやそれほどまでにヤバイ奴らなのか……? こりゃあちと事情を聞く必要があるかもしれんね。


「一体何事ですか、こちらが人質を取っている事をお忘れになってる訳でもなさそうですし」

「ぐっ……食料は渡す、約束は守る! だから今だけは見逃してはもらえんか……!!」

「事情を説明してそれ次第、こっちも無償で情けかけるような善人でも聖人でもないですし」

「まずはこの子と村の皆の避難が先だ!! その後でならいくらでも話す!!! だから頼む!!!」


お、おお……いや別にいいけどさ……そんな土下座なんてしなくてもっていうか土下座なんてこの世界にあったのか。
本格的にヤバイ奴らっぽいね、まぁここら近海で大暴れしてる海賊かなんかかな?
ていうかとにかくそろそろ頭上げてくんないと気まずくて仕方が無い。


「まぁこっちは食料さえ貰えりゃそれでいいですし……」


って俺が返答する前にもう外出てっちゃってるし! 人の話は最後まで聞けよあの爺さん……。
何をそんなに急いでるのか、第一相手は海上なら陸に上がってここに来るまで最低でも二十分は掛かるだろうに。
まぁ村人避難させるんなら刃九郎とニックにもついていくよう命令しとこうかな……。



SIDE OUT











『任務を遂行するものたちに告ぐ、これより行う任務は世界政府による『正義』の為の行動である。
 我らの任務を阻む者は世界の悪とし、如何なる事態になろうと任務を達成せよ。
 目標を除く任務達成の妨げとなる者の抹殺を許可する、これは世界の意思である。
 繰り返す、如何なる事態になろうと任務を達成せよ。
 失敗は許されない』










SIDE ニック ~名も無い島中央 イザベル村広場~

……なんか俺、神様に嫌われるような事でもしたのかな? 海賊になったのがいけなかったのかな?
そうだよな、いい年して家に置いてあった海賊の冒険譚なんかに憧れたのがいけなかったのかもなぁ。
でもさ神様よ……少し俺への罰にしちゃこの量の『海軍』は酷すぎないかな。
八隻の海軍軍艦なんてさ、もう少し大悪党にぶつけるならまだしも俺はまだ一人だって殺めた事無いんだぜ?
あんまりだろこんな仕打ちはさぁ……あ、でも俺まだ名前売れてないから見逃してもらえたり……。
駄目だよな、村人に船長の命令とはいえ危害加えちゃったりしたもんなぁ。
しかしなんであんな戦争起こせる位の戦力携えた海軍がこんなグランドラインの入り口あたりに来るんだろうか?
……考えても仕方ないよな、とにかく俺は一体どうしたらいいんだろ。
とにかくこの烏、ジンクロウ? と一緒に行動してれば船長に合流できる筈だから……。
でも船長がいくら強いからってあの軍隊を相手に戦えるのか? というか俺見捨てられたりしないよね?
……いやあの人がいくら鬼で悪魔でドSでもそこまで外道ではない、よな?
というかドサクサに紛れて人質の女の人も逃がしちゃったし……せ、船長~……。



[35488] 第二十六話 『気に入らない』
Name: きな粉餅◆264e7e68 ID:533829ea
Date: 2012/12/30 10:28
上空十数メートル付近飛行中、村から船が止めてある方と反対側のでっかい山の中腹に避難する村人たちとそこへ向かう村長&エリーたん発見……。
あれ? 確か俺このミニ診療所もどきに入ってからそう話し込んでない(殆どが無言状態)けど既に町がゴーストタウン状態なんですが?
結構小さい村だけど皆が皆避難する速度が半端じゃないな、あれか逃げ足は雑魚敵とモブキャラの特権ってか。
というか村長もう山の入り口にまで差し掛かってるし、エリーちゃん抱えて俺が診療所出る十秒程度でこの百メートル走りきったのか……。
お年寄りをあなどっていたかも知れんな、あとそういや診療所の中でも避難する音とか聞こえなかったけど防音設備が整ってるのか?
それとも実はこの村の人は全員ジャパニーズNINJAだとか? 得体も知れない忍術でドロンってか?
冗談かましてる場合じゃないや……あ、あの一人村中央の広場でアホ面かましてるのはうちの第一船員ニック君じゃないかって人質いないし。
どさくさで逃げられたなあのアホ、これは船に帰ったらちょっとHANASHIAIが必要だな……刃九郎は、まぁ俺ニックについてろとしか言ってないから命令違反でもないしセーフで。
んでもって? この島を囲う形でいちにー……八隻の海軍船、と? あの馬海軍共はこんなグランドライン入り口で戦争でも起こす気か?
それ以外に海賊船含む船が全く見えないから奴らってのは十中八九海軍で間違いないな、近海の海賊のほうがよっぽど楽だったのに。
八隻って準バスターコールだよな、まさかここをオハラみたいに地図から消そうってわけじゃあないだろうな? ……だったら十隻でバスターコールしてくるか。
今の所情報がなさ過ぎてなんとも言えんな、やれやれ行く先々の島で異変が起きて退屈しないわ、まぁ暇で眠くなるよりはいいのかな。
さて、俺にはいくつか選択肢がある訳だが……まぁとりあえずはそこのニックを拾ってから考えるとしようかな。
飛行を解いてニックの真後ろまで急降下、チッついでに背後からOSHIOKIしようと思ったのに風の音の所為で気づかれたか。


「せ、船長! よかったてっきり見捨てられるかと思ったよ!」

「見捨てませんよ、今この場に人質がいないことに対する罰をまだ与えてないですし」

「ヒイッ!? ち、ちがうんです船長これはあのほらバタバタしてるなーって思ってたらいつの間にか」

「それ言い訳にもなってないですしなにより見苦しいです、男なら一本や二本失うことを覚悟しなさい」

「一本二本って何の単位!? 髪の毛とかだよね腕とか骨じゃないよね!? この年で体が足りてませんとか洒落にならないですよ!!?」

「無能に脳は必要アリマセンよね?」

「まさかの頭蓋骨から脳にかけてのコース!? でも頭蓋骨とか脳って本って数えないからまさかの脳神経!!?」


やっぱこういう時ニック面白いわ、もうニックの役割ウソップみたいなムードメーカーってのも有りかもしれないね、ちょっと考えとこう。
てか漫才やってる場合じゃないよねそういや、んーまぁこのまま村見捨てて逃げちゃってもいいけど海上で海軍船に囲まれる可能性があるからちと厳しいか。
風を操るっても船の減加速ができる位だし、相手の船を転覆させる事もできない事はなさそうだけどそんな風起こしたら自分の船にまで被害受けそうだし。
うーん……やっぱその辺の細かい風の加減は修行しないといけないな、できるようになったらもう海上戦闘はさいきょーなんだけどね。
という事は陸上で全滅させてやったほうが安心できるかな、まぁ本当にあれがバスターコールで島にバカスカ砲弾打ち込まれるようならそん時は考えよう。
殆ど運任せだな……神様にでも祈っとこうかな、うん祈る神様思いつく限りで軍神と祟り神と魔界神しかいないわ。
とにかく村人追っかけて事情を吐かせた上でノリと気分で行動決定、しかし我ながら平常運転すぎて困るね。


「さて、行きますか」

「ヒィッ!! ごめんなさいゴメンナサイまだこの歳で彼女もできないまま死にたくないです!!」

「あーもーうるさい、貴方への罰は船の上で与えますから」

「う……そ、そうだ船! 船長オーバークルーズ号どうしよう!?」

「……まぁ海軍があの海賊旗見て海賊船じゃないと判断してくれれば」

「な、なるほど、確かにあのマヌケな旗なんてジョリーロジャーに見えない……! 船長まさかそこまで計算して……」


いやいやそんな尊敬に満ちたキラキラ目を男から向けられても困るんだけど、しかも計算したわけじゃないし……ってあと今きめぇ丸を馬鹿にしたな?
まぁニックへのペナルティに追加しておくとして、勘違い……してくれるといいなぁ、まぁ希望は持っておこうレベルで。
いやでも……保険はかけておくに越した事はないよな、とりあえず刃苦労を船に置いておくか。


「刃九郎、貴方は船番を……海軍が船を沈めようとしてきたら片っ端から海の藻屑にしちゃって結構」

『了解しました』


相変わらず命令をするや否や直ぐに船に飛んでいく刃九郎、どっかの紐にもこのくらいの有能さが欲しいね。
ざっと見て大体海軍船が島に到着するまで五分村まで来るのに三十分、いやあの山道でも走れば十分は短縮できるかな、能力者だったらもっと早く来れそうだし。
更にあの山の中腹の避難場所を見つけ出すのにあの人数でもかなりの時間掛かりそうだな、島を形成するくらいでかい山だし。
時間はそう長くはないけど超切羽詰ってますって訳でもないって感じかな、んじゃさっさとあそこまで飛んでいきますかっと。
……そうだ、ついでにニックへのお仕置きも兼ねてみようかなフフフ。


「よいこらしょっと」

「……あれ? 船長なんで俺の後ろ首持ってるんです? えちょっと待って首がぐえっばばば!!?」


よーいどんで軽くスピードをつけて山の周りを三週、もちろんニックは後ろ手で宙ぶらりんにぶら下げたまま。
二週目後半から悲鳴も聞こえなくなったけど死んではいないでしょ多分、まぁ刃九郎との修行見てる限り頑丈さには定評があったし。
んでもって避難場所に到着、比較的木がなくて開けた平らな場所にざっくらばんに掘られた隠し穴……隠し穴? いやもうちょっと隠そうとしようよ。
どんだけ山広くても二メートル×二メートルの土がひっくり返ってたら明らかに不自然だろ常識に考えて、土かぶしたらいいってもんじゃないよ?
ちょっと周りの草集めて敷いとこう……うーん微妙だけどさっきと比べたら百万倍こっちの方がましだわ。
んじゃお邪魔しますっと……あ、穴の蓋(木製)どけたら上にカモフラージュしてあった草がばさって落ちた……。
もう気にしないことにした、うわ中薄暗恐っ! いやもうちょっと明かりの事考えようよっていうかこの島の人本当に評価していいかどうか悩むな。
妖怪の目が利いてなけりゃ完全に真っ暗だな……ていうかあややって鳥目じゃないんだな、カラスって夜目利くのか?
まぁ利くんならなんでもいいか、天然の穴にしては壁の整い方が綺麗過ぎるから人工的に掘ったのかなこの穴、それとも元々あったのを綺麗にしたのか?
うーんやっぱり一人で推測するにはこの村の人達の事は謎に包まれすぎだな、お……薄ボンヤリと光が見えてきたぞ。
うわ……この広さはもう穴っていうか空洞だな、村一つの人間全員入ってその倍くらい釣りがある。
真ん中の明かりは……なんだあれ、石? なんか石っぽい様な水晶っぽい様なモンが水色っぽい感じに光ってる。
その光石(仮名)の隣にいるのは村長さんと妄想少女エリーちゃんか、おっとこっちに気付いたな。


「……きたか」

「ええまぁ、いやーそこらにあるただの村かと思えばまさか海軍に追われるお仲間だったとはねぇ」

「貴様ら海賊と一括りにするな、我々は犯罪者なんぞではない」

「さいですか、よいこらしょっと」


とりあえず村人達のいるスペースとは別の不自然に開かれた入り口付近のスペースのでっかい岩の上にニックを下ろす。
寝言でなんか助けを求めてる気がするけど気のせいだろうん、まぁうるさかったんで腹に一発拳いれて黙らせた。
死ぬ? まぁ大丈夫なんじゃない? ギャグ補正掛かってたら火でも爆発でも妖怪の拳でも死にゃしないよ。
んでもって俺はそのでっかい岩の隣にあった変な形(例えるなら海岸にあるあの、波止める宇宙人みたいな名前の奴に似てる)に腰掛ける。


「さて、これで場所と時間は整いました……話してもらいますよいろいろと」

「……本来なら部外者である貴様に話す必要はないが」

「こんだけ面倒事に巻き込まされて今更部外者なんて水臭いですねぇ、犯罪者じゃなくても今私達は同じ穴の中にいるのですから」

「ふん……あまり、聞いても貴様が楽しい内容でもないと思うがな」


最後の最後まで面倒くさい引き伸ばしをする村長だったが、観念したのか一呼吸置いて昔話を始めた。




























鴉は海に夢を馳せる
第二十六話 『気に入らない』






























SIDE ??? ~昔話~

これは昔の話、グランドラインの半ばのとある島のとある村で男の冒険家と女の医者の間に女の子が生まれた。
男と女の経緯については省かせてもらおう、それを語ると人の人生を纏める事になるのでとても長くなってしまうから。
少女は何の変哲もなく生まれ祝福され育ったが、少女が齢六つ程になった頃ある異常が起きた。
といっても周りからすれば何も異常がないように見えただろう、異常が起きたのは少女にだけなのだ。
言葉を覚えた少女の頭の中に、何者かが語りかけてくるのだ。
もう一度言っておこう、少女は何の変哲もなく日々を過ごしてきたし、その日が何かしらの特別な日だった訳でもない。
少女は唯の人の子であるし、この世界の特別――悪魔の実を食べた能力者――だった訳でもない。
唐突に少女に響く謎の声は少女に様々な知識を与え、人の身では生涯で知ることのない様な事まで教え込んだ。
少女は天才とされ、母親の医学を学んでは齢九つで母を超え父の冒険知識を学んでは十になる頃にはまるで自ら秘境に行き幾年も冒険した様に知識を曝け出した。
村人が挙って流行り病に倒れた時、村を救ったのは少女の母親ではなく少女であった。
村が嵐に揉まれて飢餓に苦しんだ時、村を助けたのは少女の父親ではなく少女であった。
その時には既に少女は天才ではなく、神童とまでされていた。
その噂を聞きつけ他の島から数え切れない程の人が少女の知識に感嘆の息を漏らし、数々の天才が心をへし折られた。
そして……ついに少女は、世界政府の役人にその知識を曝け出した、いや曝け出してしまった。
これ程までの才知、おそらく海賊に悪用されようものならば海軍は未曾有の被害を食らうことだろう。
そう考えた海軍は、少女の身柄を海軍に預けるように村に言った、いや言ったというのは正しくないかもしれない。
世界政府の言葉は海賊の蔓延るこの時代には絶対的な強制力があったから。
しかしもう少女の存在は村に無くてはならない物になっていた、少女の父母は既にこの世にいなかったから。
いや、そんな事は関係なかったのだろう、医者も冒険家も世界政府に掛かれば少女の両親よりも優れた者を用意できる。
少女は、少女の知識は神と同様にされ、村では一種の宗教と化していたのだ。
村人は世界政府に黙って島を、村を捨てて逃げ出した、当然それはこの時代では世界に対する反逆行為に値する。
だがそこに……少女を守ろうとする意識はなかった、村人は打算的な欲で少女の知識を守ろうとした。
そして、その打算的な欲は今村人達を殺そうとしている。
少女の声は村人達を助けようとはせず、黙っているだけだ。
これが真実、とある不幸な少女のありのままを語った真実だ。
村長は……果たしてこの真実の何割を語り、何割を隠したのやら。
人間なんて、真実を見れば結局はそんなものなんだろう。


SIDE OUT





SIDE アヤ ~避難用地下空洞~


「これが真実だ……この村のな」

「……ふ、くく、あっははは!」

「何だ? 何が可笑しい!」

「可笑しい? おかしいのはあんた等でしょう? 『我々は犯罪者なぞではない』でしたっけ? あはははは!
 犯罪者じゃない? 犯罪者なんかよりもっと低俗で馬鹿みたいじゃないですか! 唯の自業自得に一人の人生巻き込んで!
 ええ? 自分勝手で醜くて! いやそれだったら海賊も一緒のようなものですかね?」


指をさして笑う俺に村人は誰一人として言い返してこない、逆切れする奴も、涙を浮かべる奴もいない。
そうだよなぁ、逆切れしたって泣いたって言い返したって今この現実が変わるわけでもないもんな、自分達が許されるわけでもないもんな?
謝罪も反省も後悔もこんな風になったら全く意味がない、誰も許してくれないし現状もどうにだってならない。
自分達の私利私欲で勝手に滅びてくれるのは結構、心底どうでもいいしそんな様子、見たら見たで俺の食う飯が旨くなるだけだし。
助けてやろうだなんて微塵にも思わないけど……一つだけ、一つだけ気に入らないな。
未だに石の上でうめき声を上げているニックの脇腹を靴の底の地面につける部分で蹴り上げた。
「げはっ!?」とかいう悲鳴と共に起き上がるニックにとりあえず人差し指で額をはじいて目を覚まさせ、そのまま胸倉つかんで顔を引き寄せる。


「ニック、この村人達を見張ってろ……誰も逃がすな、さっきの様に」

「え? あ……せ、船長?」

「返事は」

「は、はい」


いい返事だ、さて……じゃあ気に入らない部分だけ、いつもみたいに、自分の好き勝手に俺が無理矢理変えてやるとしますか。
入り口の木の板を蹴り上げて外すと、暗闇に慣れた目が痛くなる光とそれを塗りつぶす位の数百人の人影が飛び込んできた。
もう既に囲まれてたって訳か、それでもまぁ銃弾とか爆弾で穴を吹き飛ばそうとされなかっただけ幾分かましか?
穴から這い出てくる俺に数十の銃口と数百の視線が向けられる、まぁ銃も視線も、今の俺には大して恐がるようなもんでもないけど。
所狭しと周りをぐるっと囲む海軍の中から格別にでかい、正義のコートを肩から背負った大男が俺の前に歩み出てきた。
三メートルくらいの体の上の顔にはふざけている様な笑顔が張り付いていて、見てるだけで吐き気がしてくる。


「海軍本部准将のコープだ、えーと? 君は……旋風のアヤで間違いないかな?」

「ええ、間違いありませんよ」

「あのスモーカー君を赤子扱いしたという話は聞いているよ? 何故そんな力があるなら正義のために使えないのかな?」

「女の子を大勢の人間で追い掛け回すことが正義なら、私は悪人で十分です」

「君は分かっていないね? あの子が一体どれだけ恐ろしい存在であるか? あの子が海賊に悪用されれば世界がどれだけ歪んでしまうか?」

「へぇ、『悪用』ですか……女の子を、人の人生をモノ扱いするような輩にそんな事諭されたくないです」

「海賊に利用されれば物扱いなんて易しい「もういいっつってんだよクソが」」

思いっきり天狗のスピードを最大限利用してその巨体の懐に飛び込んで、脇腹から肺に向けて膝を打つ。
人間じゃ絶対に反応できない一撃を、持てるだけの妖怪の力による絶対的な暴力を、この目の前のクソ野郎に向けてぶつけた。
悲鳴を上げる暇も無くその巨体が周りの海軍と木を巻き込んで、数十メートル先まで飛んでいくのを俺はまるで他人事みたいに見てた。
我ながら馬鹿みたいな力だ、頭数も道具も策もこの力の前では何の役にも立たないって位の。
いいね、折角持ってる力なんだから……この力で俺は気に入らない事を無理矢理捻じ曲げて俺が気に入る方向にしてやる。
そう思うとなんだか凄い爽やかな落ち着いた気分だ、眠気も迷いも強風にぶっ飛ばされたみたいだ!


「さて、私が此処に立った以上此処は人間絶対禁制の御山の領域……此処に立入らんとする欲深き人間共は、
 旋風に吹かれて山を転げ落ちるがいいわ!」


たとえ百人千人一万人に囲まれてたって関係ないね! こうやって向き合ってしまえば後は小細工無しで思いっきり風を吹かせてしまえばいいだけだ。
今の俺は天狗だ、妖怪だ、人間に遠慮なんてする必要もないしな、ましてやこんなカス共に。
いきなりトップを失ってうろたえる阿呆共に向けて団扇を思いっきり仰ぐと、山の土が捲れ返ってその上に立っていた海軍が纏めて宙へ放り出される。
反対方向ではその煽りを受けてそこら中の木が根元から千切れ飛んで、海軍の人の群れの中に次々に突っ込んでいく。
人間が紙吹雪みたいに舞う、その中心にいる俺にはかすり傷一つどころか埃一つだって付く事はない。
銃弾だって風の壁にはじき返される、サーベルは持っている奴が吹き飛ばされる、能力者も例外なく宙に浮いては地面に叩き落される。
楽しい、愉しい! 力を手に入れたら犯罪を犯したくなると聞いていたけどまさかここまで面白いなんてな!
なんて言ったらいいんだろう! ゲームでチートを使って遊んでいるような、なんでも世界が思いどおりになりそうな充実感!
これだけ力があったらやりたい事がやりたいだけできる! これほど楽しい事が果たしてあるのか? いや、無いね!
竜巻を起こせば人が飛ぶ、突風を起こせば森が剥がれる、なんだろ……興奮するね!
数百人いた海軍が半分以上吹き飛ばされ、残った奴らが尻尾巻いて逃げ出す所がまた面白い。
ゾクゾクする、なるほど……これが海賊か、これが自由か! 時代が来るのも分かるね。


はは、はは……って、もう誰もいないじゃん、もっとこの優越感に浸らせてくれたっていいのに。
しかしまぁ自分でやっておいてなんだけど酷い状況だな、山一面が荒野になっちゃってるし。
倒れてた奴も飛ばされた奴も回収されちゃって、ここに残るは俺一人、と。
すごい疲れた、あーテンション上がると楽しいけど下がった時の、この虚無感と孤独感……はぁ。
しかしまぁ、とりあえず一個だけ決めた、海軍は敵だ。
そういやオハラでも集団リンチみたいに多で少を虐めるような真似してたしな……全員がそうとは言わんが。
とにかく海軍は敵だ、決めたからにはもう海軍相手に容赦もしてやらん。
何より俺が気に入らないからな。
さて、もう帰ろう、帰りたい。
すでに(俺が蓋を蹴飛ばしたから)開いている穴に飛び込むと、村人とニックから信じられない様な物を見る目で見られた。
まぁ一人で海軍八隻分の人数と張り合って無傷で帰ってきたらそりゃあそうなるか。
でも幻想郷じゃよくある事です、うん、ゆかりんだったら一瞬であの人数位空気にできるし。
さて……あとニックは何故俺を見て怯えてるんでせう? そんなに俺が恐いか? まぁ力的に恐いだろうけどさ。


「ニック、帰りますよ」

「は、はい分かりました」

「……うわ従順なニックって気持ち悪」

「サラッと酷い!? あれ……いつもの船長?」

「貴方にとって船長とは何人もいる者なのですか?」

「いや違うけど……」


……あーそういやさっきなんか虫の居所悪くてニックに語感強くして命令しちゃったかも、それが原因か。
まぁ今は大分すっきりしてるしもう大丈夫だと思う……多分ね、んであとこの村から食料もらうんだっけ。
いやもういらない、この村から一刻も早く去って家に帰りたい、じゃなくて船に帰りたい。
まぁ何も貰わずに帰るってのもあれなんで。
顔を下向けてるどうでもいい村長をおいて、その隣にいるエリーちゃんを肩に担ぐ。
「え……?」とかいう声がエリーちゃんからしたけどまぁ気にしない、村人も村長もその行為に対して何も言わないし。
まぁなんか言ったって力尽くで黙らせるけど、あ首筋に入ってくるロングヘアーがくすぐったい。
さて、こんな辛気臭い穴とっとと抜け出しちゃいますか、この村の今後? 知ったこっちゃねぇ。
外道と呼ばれようと気に入らない村の今後まで面倒見てやる気も無いな、ていうかそれは聖人君子のやる事だ。


「ニック、早く」

「え、あ、はいはい」

「ぁ……あの……」

「話は後で聞くからねー」


勇気を振り絞って話しかけてくるエリーちゃん、だがアヤ意外にもこれをスルー。
とにかくこんな天使をこんな腐れ村に置いておけるか、俺は船につれて帰るぞ。
もたもたしてるニックの後ろ首を再び掴むと、俺は穴が見えなくなる様即効で飛んでいった。
エリーちゃんが恐くない程度に早く、だけど。



[35488] 第二十七話 男子三日会わざれば刮目して一ヶ月くらい会わないと「お前だれ?」ってなる
Name: きな粉餅◆264e7e68 ID:f00947cd
Date: 2013/01/20 17:34
暇である、超絶退屈である。
エリーちゃんをあのくそったれの島からキャプチャーしてから数日、ていうか三日位たった今日の午後のティータイム時。
俺はとてつもない事に気が付いてしまった……そう、あの島から野菜もらってねーじゃんっていう死活問題だ。
折角ヒャッハー島だー食料よこせ! と勢い良くノリノリ悪党スタイルで乗り込んだのに海軍全滅させてハイ終了って。
まぁエリーちゃんという即戦力を手に入れたけど? 病気以前に栄養管理の問題だよ、そろそろたんぱく質と脂質がつらい。
さて現在何をしているかというと上記の事を考えながら船長室でダラダラしている、ちなみにニックは刃九郎と修行、エリータソはそれに同伴。
船長なのにハブられ感ぱねぇ、かといってエリーちゃんの隣で見てるだけってのも、ねぇ? 船長としてなんか恥ずかしいし、うん。
アドバイス出そうにも『戦闘の勘を無理矢理身につけろ!』てきな事言っちゃったし……ていうか俺自身力だけに頼ってるし。
というかこの船長室驚くほど暇を潰せるものが何にもない、ここにある物を挙げると……。
何処の物かも分からない地図が俺の後ろにべたーっと貼ってあるのと、後は棚に置いてあるアンティーク(超絶安物揃い)。
俺の座っている椅子(座り心地良好)、机(ニック厳選『置いといたらなんかカッコよく見える本シリーズ』が数冊置いてある)。
他に俺の買ったメモ帳二冊、ペン、棚の横に立て掛けてる釣竿、船長に必要そうな小物がいくつか、以上! 死ねばいいのに!
折角この部屋デザインは黒っぽい木で出来ててなんとなく落ち着く雰囲気と威厳のある雰囲気が両立してるGOODな感じなのになにか残念。
まぁ下手に暇つぶし用具置いても雰囲気壊れると思うんだけどね、主にそこの釣竿とか。
さっき暇つぶしと食糧確保の為にやってたんだけどね、一時間しても一匹も釣れないしそもそも野菜が釣れる訳じゃないしで断念。
くそっ、なにか暇つぶしになるものは無いのか! いや俺も結構いろいろ試したんだよこれでも。
とりあえずエリーちゃんと親睦を深めようと思ったら俺を見るや否やそそくさと逃げ出すし(代わりにニックに懐いている様子、死ね)。
ニックの修行付き合ってもアイツスローすぎて欠伸が出るし、俺と刃九郎が戦うと船壊れそうだしそもそも戦ってくれないし。
実験料理には圧倒的に調味料が足りないし(塩とか胡椒、ワインがあっても醤油とかマヨネーズがない、オリーブオイルはあるけど)。
眠いから寝ようとしたら浅眠りで三時間くらいしか寝れずしかも二度寝も出来ないし、その時間帯だと皆寝てるし……S.H.I.T!
なんなんだよこれ何の罰ゲームだよこれ、三日でこれだからねこんな状態が一週間も続けば魔女も退屈で絶滅危惧種に認定されるわ。
どうしよう……島は未だに見えないし、俺もニックみたいに修行しようかな、でも修行って言ったって何すりゃいいのか。
んー……そういやこの世界って他の漫画の世界の技術みたいなの使えるのかな、流石に死神やら念やらスタンドやら武装錬金やらは使えないだろうけど。
秘孔とか波紋&黄金の回転とかそーいう技術的な面での代物なら使えるんじゃあないだろうか、やべぇオラわくわくしてきたぞ。
とりあえず波紋はできるわけがないし秘孔は生きのいい木人形がニックしかいないし失敗が恐いので却下。
黄金の回転は……危険物取り扱い注意って感じだけどマスターして風を回転させることが出来たらもう敵無しだよね。
とりあえず部屋の小物置から定規(どっちかっていうとメジャーに近い様な木製の道具、一センチ間隔で点が打たれてる)を引っ張り出す。
えーと、まずは十六センチと九センチで長方形を作って……あ、そういや模造品じゃ黄金の回転できないんだっけ?
……あれ? 積んだ? 流石に自然の物から黄金長方形を見るとか無理ゲーだし……。
いやいやまだなにか違うものがあるはずだ、えーと……さっぱり思いつかない! こんな時に限って……畜生恨むぜ俺の脳!
そんなこんなでかなわない現実に打ちひしがれつつ机に頭を預けてたらノックも無しに船長室の扉が開かれた。
開いたのはもちろんニック、なんだ無様な俺を笑いに来たか哀れに思って木人形になりに来てくれたか?
っていうかニックの肩には刃九郎いるし後ろには俺から隠れるようにエリーちゃんいるしなんかニックのほうが船長っぽいんだけど?
ちょとsyレならんしょこれは? 早くも海賊団壊滅の危機、原因はニック、犯人は俺。
っていうかニック結構慌て気味だけどどしたん? 空からおにゃのこでも降ってきた?

「せ、船長! 海軍! 海軍の、船が!」

おにゃのこじゃねーのかよ、マジ萎えるわー……海軍だぁ? 心底どうでもいいわあんなクソ共。

「……面倒なんでニックちゃちゃっと全滅させてきてください」

「そんな事、近場の八百屋で、買い物行く位の感じで、言われても……」

「大丈夫ですって、刃九郎相手にするより五十三万倍位簡単です」

「て、ていうかもう俺修行で限界……」

あー? 情けないのう、なんでもかんでも船長に頼って許されるのは登場数十コマ以内のモブ海賊員Aだけだぞ。
……ん? まてよ、これはもしかしたらあれじゃないのか? タイミング的に天の神様が俺に秘孔の究明をしろと囁いているのではないか?
上手くいけば野菜も強奪(ゲット)できる か も……仕方ねーな、部下に頼られちゃあヤるしかないよなぁー?
久しぶりに……野菜のスープにありつけるかも知れねーなら俺は神様だって殺してみせるぜ。
今宵の俺は野菜に飢えている……他にもキャベツのクリーム煮が食べたい、ていうか具沢山のあつあつシチューが食べたい。
昼真っ盛りだというのに腹が鳴った、これは神様からのGOサインに他ならぬ、男には行かねばならん時がある。

「ニック、貴方留守番、私行く、オーケー?」

「え、いやいいけど……なんでカタコト?」

「気分です、さー今日は美味しい野菜が食べれるといいなー」

ちなみにこの船長室は甲板の真ん中にあるドアに入って直ぐの階段を下りた最初のドアのところにあるんで、意外と来やすかったり。
船長室としてそれでいいのかとも思うがね、まぁ部屋の配置決めたのニックだしね、ちかたないね。
うわドア開けて隣見たら直ぐそこにもう海軍船あるじゃないですか、ていうか何人か縄梯子かけて乗り込もうとしてるし。
あーもうこうやって目の前にするとやっぱり面倒くさいなぁ……いかんいかん、シチューにありつく為だ。
とりあえずこの縄梯子何とかしないと……あ、外れた、しょっぺえフック式だなオイ。
もうチョイ外れないようにこのフックに工夫しとけよ、ハンガーとなんら変わらないじゃんよ。
あ、縄梯子外したら上ろうとしてた海軍が何人か海に落ちた、合掌。
ていうかこの海軍船はあの海賊旗もどきの可愛いきめぇ丸ちゃんで海賊船だって分かったのか、すげぇ。
あの島に来た海軍共は誰一人として(多分)気付かず完全にスルー&放置の状態だったのに。
……あん? なんか海軍船から煙が上がってんですけど? 火事? 焚き火? 料理室?
どれも違うよなぁ、っていうかあの不自然に濃い煙はもしや……マジで?

「見つけたぜ……『旋風のアヤ』」

ゲェ! ケムリンことスモーカー! まさかここまで追ってきたの!? うっわないわー。
ルフィとかならまだなんとなく分かるけど、ほらドラゴンとか絡んでるし、でもこんなか弱い女子を追って自分の持ち場の海軍基地飛び出してくるとかないわー。

「なんですかスモーカー君、海軍辞めて女の子のおっかけでも始めたんですかぁ?」

「黙れ……! てめェをひっ捕らえる、覚悟することだな!」

「すいませんチェンジでー」

「……殺す!」

おいおいおいおい恐いなぁー、ひっ捕らえるがいつの間にか殺すに変わっちゃってるよこの人、切れやすい若者なのかね?
そういやスモーカーさんって歳いくつなんだrおっとっと危ないなー煙なんか飛ばしてきてってヤベェ部下からの鉛玉が雨あられ、一旦上空に避難。
女の子相手に集団チキン戦法とか引くわー、それでも男かお前らコノヤロー、男なら刀一本でかかってこいやっ。
ンーこのくらいの高さなら弾も当たらないかな……多分、まぁ船にいても当たらないけど船が傷つくのは嫌だし……早いとこ船大工が欲しいな。
さてと、まずはこの集団を無力化しつつ野菜を掠め取りつつ秘孔実験……はどうしようかなー、スモーカーさんの部下でやるのはちょっと。
まぁ現状で恨みのパラメータは高いだろうからあんまり変わんないと思うけど、流石に部下殺したら洒落にならんだろうし。
あー前の島の准将? ぶっ殺して『お前の上の席空けてやったから野菜寄越せ』ってやればよかったかなー。
うわケムリン飛んできたし……どうしようかな、このまま下に吹き飛ばしたら海に落ちてスモーカーさんの人生オワタるよな。
私怨もあるし海軍はクソどうでもいいけどなにも主要キャラを殺すこたぁーねーしよー、まぁ奴さんヤる気満々で海楼石の十手もどき構えてますけど。

「海に突き落としてやる……」

「きゃーしんじゃうー(棒)」

「お前には真面目って文字はねェのか!」

「私の辞書のその文字が書いてあったページは先日コーラこぼしたんで破って捨てましたけどなにか?」

ちょっとしたジョークなのに青筋前回でめちゃくちゃ恐い目でこちらを睨んでくるスモーカー、恐すぎワロえない。
まずはスモーカーを無力化するのが先決か、二度と逆らいたくないという決定的敗北を刻んでやらないとね。
あとロギア対策に海楼石欲しいな……海楼石ってどうやって手に入れたらいいんだろ。

「そういえば軽い世間話なんですけど、その海楼石ってどうやって手に入れました?」

「……何故これが海楼石って分かった?」

質問に質問で返すなァ――ッ! こ の 田吾作がッ!
いやしかしどうしようかな、まさか貴方の事なら何でも知ってますとか答えるわけにも行かないし、ウエッ。

「ヤマ勘って事にしといてください、もしくは風の噂」

「……お前に教える義理はない」

「えーいいじゃないですかー教えてくださいよー貴方には使いませんから」

「海軍本部で支給されたヤツだ、別に俺が作らせたモンでもねェ」

チッ、なんだよじゃあ海軍本部に乗り込んで自分で取って来いって事か? 流石に残機がいくつあっても足りやしないぜ。
だったらどうしようかな……!
いやしかしそれは人として……あ、今の俺妖怪だった、え? これいいの? 実は俺魚人島の途中から見てないからこれがストーリーに関わるか知らないし……。
まぁいいか、盗む、っていうか奪い取る、そもそもスモーカー君が俺を追ってきてる時点でストーリーの影響もクソもないわな。

「そろそろ遊びは終わりだ! ホワイトアウト!」

「うわっ!?」

一面のけ、煙が! 体に纏わり付くっ! キメェ! なんだこの梅雨に服が体にくっつくのの強化バージョンみたいな感触!
だがこんなもの風で吹っ飛ばして……! ぐえっ! の……喉に海楼石の十手が! 苦しいって!

「終わりだって言っただろうが、これでお前も牢獄行きだ『旋風のアヤ』」

……いや俺能力者じゃないから意味無いんだけどね、しかしここで能力者じゃないってバレルのはちょっと……いてて。
どうしようかな、なんか道具持ってなかったっけ……スカートのポケットの中にメモ帳入ってた、だから何だって話だけど。
んーこうなったらちょっとしたハッタリで誤魔化すしかないよな、苦しそうな演技でもして。
っていうかスモーカーさん十手マジで苦しいですってば。

「……お……ぅ」

「大人しくしろ、殺したって構わねェんだ」

「……黄金……の……回転」

「あァ?」

「……敬意を払いたまえ、スモーカー君」

とにかく意味深な台詞をスモーカーに聞かせた後、右手に風を集めてNARUTOの螺旋丸の様に回転させる(あんなに整わないけど)。
後はその風圧で纏わり付く煙と十手を吹き飛ばして弾き飛ばす、よっしゃぶっつけ本番でやった割にはなかなか様になったんじゃないか?
螺旋丸かー覚えても面白そうかも、ただ強い相手だと近づきたくないから遠距離技を覚えたいんだけどね、螺旋砲弾とか作ろうかな。

「……どういう事だ、確かにてめェの首に海楼石を当てていた、能力は封じていたハズだ」

「ハァ……ゲホッ、せ、世界には貴方の想像を超えた、『技術』があるんですよ、『能力』じゃあない『技術』が」

まぁ大嘘ですけどね、うぇ喉痛いぜ……女の子だからもうチョイ繊細に扱ってくれたっていいじゃあないっスかスモちゃん。

「お前がますます危険であるこたァ理解したぜ……ここで絶対に捕らえる」

「できますかね? ……これなーんだ?」

さてここで見せますのはさっき風で弾き飛ばしたついでに風で拾っといた十手でございます。
さぁスモーカー君、君はこの十手無し+相手に十手を持たせてしまった状態で戦うことが出来るのかね?

「てめェ……!!」

「いやー実際焦りましたよ、正直に言うとナメてました、そこは謝罪しましょう」

まさかあそこまで早いとは思わなかった、が、さっきみたいに俺を一面の煙で覆おうとすれば即この十手に当たる。
これを取り返そうと煙を伸ばしても同じ、そしてそもそも俺に十手をあてがっても意味が無いことは証明済み。
さあチェックメイトだぜスモーカー、なかなかハラハラさせてくれやがったお礼と共に私怨に対する復讐の続きといこうか?

「さーて覚悟の程はよろしいでしょうか?」

「……話は変わるが、お前一人旅じゃあ無かったようだな」

「? ええまぁ仲間が二人いますが」

「そうか、で、『仲間は放っておいてよかったのか?』」

「!!」

あ! やべぇまだスモーカーの部下達が下にいるじゃん! クソっ、まさか自分を囮にしやがったのかコイツ!
ちっくしょう!! つったってそんなに上に上がってたわけじゃないし下には刃九郎もニックもいる……!
信じるしかねェ……いやニックってそういや修行で限界とか言ってなかったか!?
頼りになるの刃九郎だけかよ! いやあんな狭い船の中で二人も守りきることが出来るのか……!?


「……遊んでいる時間は無くなりました、とっとと終わらせんぞクソ野郎!」

「だったらさっさとお縄につくんだな!!」




























鴉は海に夢を馳せる
第二十七話 男子三日会わざれば刮目して一ヶ月くらい会わないと「お前だれ?」ってなる
































俺を怒らせたなスモーカー……! 正々堂々戦いに来る勇ましさを評価してやろうと思ったが、まさかこんな卑怯な手に出るとはな!
だが空にいる以上ここは俺のフィールド、俺の世界よ! 実力差は歴然! 貴様に勝てる道理など無いわッ! 

「徹底的にブチノメシテ二度と敵に回したくないという気持ちで一杯にさせてやります……!」

「フン、ようやく真面目にやる気になったな……だがお前の思いどおりにはさせん!」

またも煙で一面を囲って俺を捉えることにしたか! だがもうその手には乗らんぞ、一歩身を引くだけで貴様の全身が見えて隙だらけだ!
このままこのお前の十手でボッコボコにしてやんよ! さぁかかってこいや……って正面の煙から銃が出てきたぁ!?
くっそ、まさかここまで小細工してくるとは、頬に銃弾掠ったぞ! 多分脳天に食らっても死にはしないだろうけど!

「男だったら近接オンリーで立ち向かってきたらどうです!?」

「海賊を捕らえるのに必要なのは男気じゃねェ! 実力だ!」

見損なったぜ……いや、プライドを捨ててこれだけ全力でかかって来る所は褒めるべきなのか!?
まったくヤになるね! 不殺の信念で戦ってるとはいえここまで苦労させられるとは! 天狗の体も万能じゃないか!
せめて固まってくれてたら前みたいに逆鎌鼬ベーリングで捕まえてやるのに! ずっと煙と通常の体の中途半端な状態でとどまってやがる!
しゃあない、こうなったら天狗のスピードで一気に懐に潜り込んでそのまま十手で殴り抜けてやる!
もう一歩だけ身を引いて完全にスモーカーの煙全てが視界に入るようにする、うわ銃弾飛んできた危ねえ! 距離とったらすぐ銃弾か!
だがここから急加速! 人間の反射神経じゃあ捕らえられないし人間のスピードじゃあ避けられないぜ!
……あれ? ちょ、チョイ待って何回も急加速して潜り込もうとしてるんだけど、その度にかわされてる!? 嘘だぁ!?
なんで……ってコイツ俺が突っ込んできた風圧でわざと吹き飛ばされて距離をとってやがる! 小ざかしい真似を!
しかも距離とったら容赦なく銃弾が飛んできやがるし! 攻守共に優れてるって訳かよ! ブラボー……おおブラボー!
なかなか鬱陶しい戦法だ……だが完璧じゃあないな、スモーカー大佐よぉ!
こういう時は逆の発想だぜ、相手がこっちを近づかせないようにしてくるってんなら――

「――相手に近づいてきてもらえばいいんですよねぇ!」

「な……くっ!? 体が引っ張られるだとッ!」

吹き飛ばしても駄目なら吸い込んでやる! この吸引力はダ○ソンなんか比べ物にならないぜーッ!
っと、また煙でバラバラになって逃げようってか! 残念ながら一部の煙だけでも近くにあるんなら十手が当たるんだよ!
この煙がどこの部分か知らないが……思いっきり、どつく……いやド突く! 決まったッ!
突き出した十手が煙にぶち当たって止まった、この感触は……骨、ではなさそうだな。
そのまま十手が当たった部分に拡散していた煙がどんどん集まってきたと思うと、そのままスモーカーの形を作る。
突きが当たった部分は……鳩尾か、手加減したとはいえ人の身ではかなりの力のハズ、鳩尾にぶち込まれちゃあ勝負あったな。

「て……てめェ……ぁ」

「残念でした、まだまだ勝たせませんよ」

君の作戦は完璧だったが、実力に差がありすぎたようだな、まぁ実力ってか体の力量っていうか。
技術面と戦略面では君は完全に俺を上回っていたぜ、俺も力に頼ってばかりの戦法だとこの先生きのこれないかもしれんな。
まぁとにかく終わりだ、そのまま煙にならずに落下していくスモーカーの手をキャッチする、重……くはないな。
鳩尾突かれてそのまま気絶したか、まぁ多分内臓とかは痛めてないと思うから大丈夫だとは思うけど。
……ってそんなこと言ってる場合じゃねぇ! ニックにエリーちゃんに刃九郎! 待ってろ今助けに行くぜ!
くっそスモーカー重くは無いけどガタイがデカイから邪魔くせぇ! 担ぐと前が見えねーじゃねーか!
しゃーないから肩を貸すような姿勢……飛びにくいッタバコ臭いッ! こいつここから落としてやろうかなぁ! 俺タバコの臭い駄目なんだよ!
もう背負うわ! あー大分マシだってマジで早く行かないと! 勝負が終わっても邪魔をしよるかコイツは!




……両船共になんにもなってませんな、いったいこれはどういうことかな? 少なくとも甲板に刃九郎にやられた海兵の死屍累々できてるかと思ったんだが。
とりあえず海軍船の甲板に着地、あれ? 向こうに乗り移ってるヤツいなくない? もしやもうあいつ等全員捕まって……!
とか思ってたらなんか一般兵AだかBだか知らない奴が俺の前までしゃりしゃり出てきおった、お? なんだ上司の敵討ちかやんのかコラ。

「……その様子だとウチの大佐はやられたようですね」

「まぁ見たまんまですけどね」

「そうですね、全く、私達に『手ェ出すな』と言っておいて負けるとは……」

……あん? 手を出すなって言って……? だってさっきコイツ下の俺の仲間達ほっといていいのかって……。
……!! こ、この煙野郎! まさか俺を炊きつけるためにあんな挑発しやがったのか! くっそまたやられたって訳か!
どこまでもやってくれやがる……、今度会ったら地上戦でボッコボコにして虐めて遊んでやるぜこの野郎。

「……私達が上司から手を出すなと言われてる以上、私達からは手を出せませんが、どうします?」

「いやー私も疲れましたし、もういいですよ、海軍は嫌いですけどこの男は嫌いじゃないんで」

好きって訳でもないけどな、いやでも今回の件でワンピースの中でも好きなキャラの上位に食い込んできたかもしれん。
とにかくこのスモーカー君邪魔だし下ろすぜ、ああスモーカー君が担架で運ばれていく……なんかシュール。
ていうかもう疲れた、お腹空いた……もう夕方時だし、ご飯の時間だし戦いたくないでござる。

「では私達はここで引き上げさせてもらいます」

「あ、ちょいとお待ちになってください」

「? なにか御用ですか?」

「失礼ですが、野菜、分けてもらえませんかね?」

そういや最初の目的忘れるところだった、危ない危ない……シチューシチュー。
その後(なんか首を傾げられたが)上司の命を見逃してもらったとか何とかの口実ででかい袋一杯の野菜を貰った。
これで次の島まで野菜に困ることはなさそうだ、今日のメニューは野菜たっぷりシチューに野菜炒めにサラダにしようかね。
あ、そうだついでにスモーカーにはもう一つやっておかなきゃいけない事があるわ。

「あ、それともう一つだけいいでしょうか?」

「なんでしょうか、もうこれ以上の野菜は部下達の栄養不足に関わりますので渡せませんが……」

「いえ、スモーカー君に一つだけ伝言をして欲しいのです」

「伝言ですか、長くなりそうならメモを取りますが」

「一言二言なので大丈夫です……『アラバスタでまた会おう』、そう伝えてください」

「アラバスタ? アラバスタ王国の事ですか?」

「ええ、近いうちにそこで会うことになると思います……あ、後タバコ控えるようにも言っといてください、ではまた」

そのまま袋を持ってオーバークルーズ号に飛び乗る、これで原作も進む……と思いたい。
ていうかこのスモーカー君はルフィに会ったのだろうか? まぁいざとなったらスモーカー→俺→ルフィって感じに繋がりを作ってやればいいかな。
いやーまさかここでスモーカーに会うことになるとは思わなかったぜ、スモーカーがストーカー……。
畜生、さっき戦ってる時に言ってやれば面白かったかもなぁ~惜しいなぁ、アラバスタで言ってやろっと。
あー疲れた、でもメシ作らないと……面倒臭いけどしゃーないな、あ……雪降ってきた、ここら辺はもうそろそろ冬島気候か?
場所的に考えてチョッパーの所が近いかもなー、ちょっとチラッと見るだけなら大丈夫かな? ルフィ達に会いたいなー……。
まぁアラバスタまでその気持ちをぐっと飲み込んで我慢することにしよう、後どの位だろアラバスタ? 一応ログは大丈夫だと思うけど。
でかい王国で結構な確立で通るらしいからなアラバスタ、クロコダイルが(名目上)守ってるから大抵の海賊はスルーしてくらしいけど。
隣を見たら既に海軍船が出発していた、さっき話したスモーカーの部下さんがこっち見てたから一応敬礼しといた、され返された。
やっぱ本職はびしっとしてるなー……うー寒さむ、キッチンの暖炉つけとこう……今日は温かいシチュー確定だな。
全く、退屈は凌げたけど……今回みたいにハラハラするのは少し勘弁して欲しいかな。
とにかくメシだメシ、メシ食ってから考えよう。


「ニックー、メシ食いたかったら皿運び等々手伝いなさーいコノヤロー」





























後書きコーナーも久しぶりな気がする

アヤ「ハイこんにちはー、相変わらず遅筆なくせに内容が薄っぺらいですねー」

アヤ「感想でも短い薄いキンクリしすぎなどのごもっともな意見を頂いてます、ホントどうしようもないですねー」

アヤ「あとものすごく今更ですが新年明けましておめでとうございます、まさか年跨ぐとは思いませんでした」

アヤ「適当に書くだけ書いて一万超えたら満足して適当に打ち切ろうかと思ってたんですけどね……」

アヤ「あ、あと質問いただきました『旋風ってせんぷうですか? それともつむじかぜですか?』って事ですが」

アヤ「これはつむじかぜって読んでください、まぁどっちでも格好いいんですけどね」

アヤ「今回一人称戦闘シーンがものすごい難産でした、まじ難しかったです、緊張感がどうやっても出せない」

アヤ「妥協してキンクリしようかなとか思ったんですけど友達が『死んでも妥協するな』とか心理テストの名前のヒーローみたいな事言ってくれやがりまして」

アヤ「自分の持てる限りを尽くして頑張った結果まぁ今回出来上がりました、もうここまで来ると言い訳チックですが」

アヤ「神龍にもっと文章力が欲しいって頼みたいです、あと幻想郷に行きたいです」

アヤ「まぁのんびり成長しつつ頑張っていくので勘弁してください……」

アヤ「余談ですけどスモーカーさん動かしやすいっスね、台詞回し難しいけど」



[35488] 第二十八話 遠くを目指す前に中継地点を決めとかないと大体やる気が無くなる
Name: きな粉餅◆264e7e68 ID:5217d150
Date: 2013/03/26 22:25
人が本当に落ち着けるのは寝る時と食事の時だ、というのが俺の考えだったりする、まぁ時と場合によって変わるけど。
スモーカーをK.O.して現在は夕食中、本当の落ち着きの内一つを消失した俺にとっては至高の時間とも言える。
ちなみに今俺達がいる食事所withキッチンは甲板の上に建っている建物の一階、つまり甲板と直通の部屋にある。
甲板で修行して時間になったら即メシ、甲板で宴している時も料理が追加しやすい、というなかなか便利な間取りだと思う。
まぁそれは文句の言いようが無いが……この船どこもかしこも大人数での冒険を想定してるからとにかくスペースとかがでかいし余計なものが多すぎるんだよね。
必死にこの船造ってくれたニックの地元の漁師さん達には悪いけれど、俺船長なのにまだこの船内で回ってない部分が多々あるし。
それどころかまだ知らない部屋とかが突拍子も無く飛び出してきても不思議じゃない。
暇を持て余す時間があるなら船の中を探索しろって? 方向音痴飛び越して方向感覚喪失してる俺は一本道だって迷っちまうぜHAHAHA。
現にこうして今航海しているのもニックやエリーちゃんの航海術に全てを任している訳であって、正にルフィ状態、船長の威厳もヘッタクレも無いね。
……まぁそれはさて置きこの食事所withキッチンはキッチンを除いてもスペースが滅茶苦茶余る。
数あるテーブルのど真ん中の一つのテーブルで三人と一羽がぽつんと座って食事を食ってる絵はそれはもう寂しい。
更に刃九郎がほとんど業務会話しかしない事と、エリーちゃんが俺をまだ微妙に恐がってる所為で話すのがほとんど俺とニックだけなのでこの至高の時間すら俺に落ち着きは無い。
海賊団としてこれは流石にどうなのとか思うんだけど、何とかしないと本気でこの船内部壊滅の危機かもしれない、それと俺の胃がヤバイ。
何とかニックが俺が恐くないってのをエリーちゃんに教えようとしてくれてるのが逆に辛い。
しかもそのニックは俺の優しい所を教えようとして言葉を詰まらせるんじゃありません! 俺に優しさが無いみたいじゃん!
……俺、そんなに恐いかな? エリーちゃん頭良いからニックみたいに頭すっからかんじゃないし、未知の物に対する危機管理能力高いのかもしれない。
そもそも海賊であるって事が原因なんだけどね、それはもうどうしようもないし、手配付いちゃってるから止めようもないし。
あーもう酒飲まなきゃやってられねぇという建前を付けて、俺の席にだけ透明のグラスが二つほど置いてある、一つはすでに飲み終えて空だ。
ニックも飲むのに誘ったが、修行で限界すぎて酒飲んで酔っ払ったらそのまま吐きそうだから止めておくらしい、そこまで過酷だったか……頑張れ。
ごめんニック、刃九郎も俺もいきなり強くなったクチだからその苦労は分からないんだ……そもそも俺戦闘の技能だけならニック以下かもだし。
まぁなんだかんだで本人も一日の終わりに嬉々として自分の修行報告を俺にしてくるからそこまで精神的には苦ではないっぽいけど。
現在の席割は俺の隣にニックと刃九郎、俺の正面にエリーちゃんといった感じだ、エリーちゃんが俺の隣といわず膝の上とかに来てくれる日は来るのだろうか。
ていうかエリーちゃん刃九郎も意外と平気なんだよね……修行終わった後に羽撫でてたりしてたの見たし、俺だけぼっち、船長とは一体……うごご。
そろそろ本気でエリーちゃんとのパーフェクトなコミュニケーションを考えよう……まぁ今日はもう遅いから明日からでいいかななんてのは浅ましい考えでしょうか。
いかんいかん、食事を楽しむんだ俺、モノを食べる時は誰にも邪魔されずなんていうかこう救われてなきゃあ駄目なんだ……何一つ救われてないけど。

「……話題に出してないけど海軍の船追い払ったんだよね?」

「強敵でしたとさ」

「随分軽いね、まぁ船長らしいけど……」

「褒めてます?」

「どっちかと言うとそうなるのかなぁ」

「どっちかと言うと褒められました」

あんまり嬉しくないね、どうせならしっかり褒めてもいいのよ?

「そういえば船長……それ、何?」

「んぐ?」

まぁいろいろ考えつつ林檎酒と俺が試行錯誤した末生み出したシチューもどきのあったか温野菜のミルクスープ煮もどきを楽しんでたらニックに指を指された。
人の事指差すなよ……とか思ったんだが、どうやらその人差し指は俺自身じゃなく俺の背中に引っ掛けてある(というかスカートのベルトに挟むようにしてる)物を指してるらしい。
スモーカーからサポシで奪い取った十手でした、あまりにも軽いんで存在を忘れてましたごめんスモーカー君折角借りたのに。
この十手見た目俺より長いくせに超軽い、先っぽが海楼石って言ってたけど他の刃(?)の部分なんで出来てるんだ? 触り心地は石だがなんとなくプラスティックみたいでもある。
まぁその存在を思い出すやいなや椅子と背中で十手を挟んでいたんで十手の出っ張りの所為で背中がヒリヒリしたりと妙に鬱陶しい、忘れたままなら良かったのに。
あ、存在と一緒にコレの言い訳考えるのも忘れてた。
なんて説明したら良いだろう海軍本部大佐に勝利して強奪しましたテヘペロなんて言っちゃった日にはエリーちゃんは更に俺を恐がるだろうし。
やっと話しかけて挨拶してくれるようになったんだ(距離を開けて)、海賊の横暴(俺的には軽いお茶目)をしてると知れたら……。
天敵から身を隠す小動物のようにもう顔すら見せてくれないんじゃあないだろうか、ありありとその光景が浮かぶ。
それは本気で避けたい、なんとしてでも避けたい、これ以上仲間に恐がられると俺の胃がオープンしてしまう!
テスト終了五分前の受験生並に必死に頭を回してニックの質問に無難に無難な回答を出す、よしスモーカー君、君は今日から私のファンだ。

「ほらあれです、さっきの海軍船の一番偉い人が私の追っかけ見たいな人でね、快く野菜と一緒に譲ってくれたんですよ」

「……海軍が海賊追っかけるのは当然なんじゃないかな」

「ベクトルが違うんですよあれはもうストーカーです、あの人私のこと大好きなんです、いや困った困った、海賊は嫌われてなんぼですのに」

「それはそれで問題があると思うんだけどさ……俺時々船長の事がすごく恐いんだけど」

はっはっは、こんな可愛らしくて優しくてまるで天使のようなレディーになんてことを言うんだこのヒモ男、ぶちころがすぞ。 
チラリと正面にいるエリーちゃんに目線を投げかけたけど、本人は俺の作ったサラダを食べていて特に気にしていない様子、それはそうと可愛い。
ありがとうスモーカー君、君のおかげで内部崩壊を免れたよこの恩はアラバスタあたりまでは覚えてると良いな。
スモーカーのおかげでシチューもどきが美味い、とろみもコクの付け方も奇跡並みに美味くできた、チーズを少量だけ入れたのは正解だったね。
こりゃあ自分の中でもトップクラスの出来だ、まぁ結局のところ人が作った飯が一番美味しいってのは世界の真理だけど。
その他にはサラダと牛肉のステーキがそれぞれ大皿に、輪切りにしたパンとマーガリン&ジャムが各自の前に小皿で置いてある。
いろいろあって疲れたのでメニューは微妙に手抜きだったりする、仕方ないね。
……今更だけどなんか西洋風、東洋風が変な風に混ざっちゃって奇妙珍妙な食卓が出来上がっちゃってるけど、まぁ美味しかったら問題ないよねっ。
ちなみに刃九郎だけそこら辺で襲ってきた海王類の肉を食べている、あいつら肉食の癖に妙に脂が乗ってて旨いんだよね、不思議。

「いやーやっぱり船長の料理は美味いね、特にこの肉なんてさ」

「まー肉なんて味付けさえ知ってれば誰でも焼けるんですけどね」

「いやいや、この味付けも焼き加減も完璧に俺の好みのど真ん中だって」

「いいからあんたはサラダも食べなさい、エリーちゃんも美味しい?」

「は、はい、美味しいです」

さりげなくコミュニケーション作戦撃沈、いや焦るな俺……ゆっくりゆっくりだ。
ニックは肉ばっか食ってるしエリーちゃんのフォークはサラダに偏ってるし……君達は三角食べというモノをご存知だろうか?
二人とも嫌いって訳じゃないらしいんだけど、やっぱ自然と好きな方にフォークが向いちゃうらしいんだよ、まぁ気持ちは分かるけどね肉旨いよね野菜も美味いね。
今度からはロールキャベツとか肉詰めピーマンとか野菜と肉を一緒に食べれるものを作ろうかな……。

『私も機会があるならば……食べてみたいですね』

「刃九郎も? うーん……海王類でも料理してみようか、やったことないけど……」

刃九郎もそういう料理に興味があるんだ……いや普段刃九郎っていざメシ食うかって時に自分で海王類の肉引っ張り出してくるからさ、料理食わないかと思ってた。
どうしようかな、牛とか豚じゃなくって海王類を食材に豪快な料理を作ってみるかな……あーでもエリーちゃんにも食べれるようにしないとな。
刃九郎の好みとかも全然分からないけど……まぁ期待されてるんなら頑張ってみようか、ファイトだ俺。
主に海王類の体を捌く方法の研究を。


































鴉は海に夢を馳せる
第二十八話 遠くを目指す前に中継地点を決めとかないと大体やる気が無くなる









○月○日、今日も――は何時もと変わらない。
俺の――はこの――は見たことも聞いたこともないという、つくづく無能な奴だ。
お前が分からないなら他の奴を連れて来い、ああまた――――の時間がやってくる。
アイツに会いたい、今日もアイツは来てくれなかった、アイツも忙しいんだって事位は自分でも分かってるつもりだ。
ああ、手が震える、ノートパソコンのスイッチが上手く押すことが出来ない。
今日は―――――――――――しよう、ああ、次にアイツがここに来るのはいつだろうか。
白い壁が恨めしい、白い天井が恨めしい、ここの臭いはいつまで経ってもなれない。
体に染み付いてしまいそうだ、―――――にまで染み付いてしまった日には俺は―――しまうだろう。
アイツに会いたい。




















今日は嫌な夢を見て目が覚めた、ここ最近同じような夢をずっと見てしまう、よく覚えてないけれど多分同じ夢。
もしかしたらいい夢なのかもしれないけれど、こうして目覚めてイライラが取れないって事は悪い夢なんだろう、知らんけど。
現在時間は時計で確認したら午前二時だった、どうせ布団に包まってても暇なだけだろうしここの部屋(俺の寝室、船長室横)には何も無いのでとりあえず甲板に出る。
そしたら冬島気候のど真ん中に入ってたのか昨日とかと比べ物にならない位雪が降ってた、下駄を履いても下駄の棒の部分が埋まるんじゃねコレってくらい。
しかも甲板の広さもあって見渡す限りの白銀世界、すっげー積雪量的にここで雪祭りが開催できるよなにこれぱないの。
俺が結構暖かいほうの育ちって事もあってか雪が降ってるのは見るけどこんなに積もってるのは生涯で一度も見たことない、現在一人で年甲斐も無く大歓喜中。
ああでも寒っ、今俺がパジャマ代わりに使ってる黒いワンピース(半袖)でだとここに立っているだけで苦行に近い、ていうか肌が痛い。
仕方が無いので船の船長室近くにある服置き場にて置いてあった男物の赤いジャージと手袋とマフラーとフカフカブーツを引っ張り出してきた、オラぬくぬくすっぞ。
このジャージニックのかな、勝手に借りちゃったけど……まぁいいか、明日借りたよーって感じで軽く報告しとけば大丈夫でしょ。
さて、雪で遊ぶといったらまぁ雪合戦が基本だけど、残念ながら遊ぶ相手がいないので一人で雪だるまでも作ろうかね。
べ、別にこれっぽっちも寂しくなんてないんだからねっ、この震えは寒いだけなんだからっ! 全然寂しくないから勘違いしないでよねっ! グスン。
しっかし何度も思うけどこの甲板広すぎる、二十五メートルプールも余裕ではいるだろコレ、ここで一人で遊んでると寂しくて仕方ないんだけど。
外側をぐるりと軽く回っただけで直径約二メートル大の雪球が完成しちゃった、圧縮して更に不恰好な部分削りとって直径二メートルだよ、すごいね。
次は適当に転がしながら体と頭が4:3になるように頭を作っていきます、これが雪だるまの黄金比ってなんか本で読んだことがあるんだよな、なんだっけ。
おお、風で転がすと楽で良いな、傍目から見ると転がしてる雪以外の雪が舞い上がって大変なことになってるけど。
これ冬島気候抜け出したら甲板溶けた水でやばいことになってるんじゃあなかろうか、まぁそん時の事はそん時の俺に任せることにしようか。
さてこの約百五十センチメートル位だと思われる雪玉をあらかじめ作っておいた雪玉の上に乗っけて雪だるまの完成、わーパチパチいえーい。
……さてこの後どうしようか、三十分も経ってないんだけど、ああそうだ折角だから顔作ろう顔、というわけでキッチンにGO。
んーと使う食材は定番の人参と……食べるつもりでキッチンに出しっぱなしだったミカンと適当に目に付いたアスパラでいいか。
人参を鼻、ミカンを目、アスパラを口……アスパラ短くて顔のバランス悪いけどまぁいっか、この使った食材は明日自分で食べることにしよう。
明日の献立は人参のステーキ(アスパラを添えて)&デザートに冷やしミカンで決定、人参ステーキなら二人とも喜んで食べてくれるかな。
うん十分が経過しました、朝皆が起きるまで五時間程度ありますね(現在時刻十二時、ニックの修行開始時間が五時半で起床時間五時)。
しばらくは自作の『きゅーきょくさるのEX』を眺めつつ風の刃で形を整えつつ写真を撮りつつと暇を潰してたけど、一時間もしたら急激にやる気が萎えてくる。
むしろよくも一時間も時間を潰せたもんだ、誰か褒めてくれ、ついでに暇を潰せる道具をくれ、ゲーム○ーイと真・女神○生でいいから。
ふぅ、俺は何をやってるんだ……あー暇だ、かといって明日朝早くから修行のニックを起こすのは気が引けるし、エリーちゃん起こすなんてもってのほかだ。
刃九郎……は最初は俺に付き合ってくれていたんだが、目を羽で擦りながら賢明に起きようとしてくれているのを見るのが辛かったので最近は十二時からの睡眠命令を出している。
まぁ、要するにこの孤独感は自業自得な訳だけど、いやでも眠れないのは俺の所為じゃないし、睡眠薬はもうちょいエリーちゃんと仲良くなってから頼みたいし……。
あ、やっぱり完全に俺の自業自得じゃん……いやもういいや、なんか考えるのがだるいし自虐も面倒くさい、思考停止。
とりあえず甲板の上の出っ張ってる建物の様な所の一番上まで飛んでごろんと横になると、バスッて体が全部雪に埋もれた、上から降る雪の挟み撃ちで俺が雪だるまになりそう。
こうしていると、あまりの静かさに耳が痛い、なんかの漫画で呼んだことあるなぁ雪が音の振動を吸い取って静寂を作り出すっての。
静寂の中に一人、二人くらいだったらロマンティック(笑)なんだろうけど一人だとぼっちの時にやーいぼっちって言われてる気分になるね。
止めて欲しいねぇ一人っきりで寂しいってのにそれに拍車をかけるような事するの、擬人化スキル無い俺が雪に言っても仕方ないけど。

「……船長?」

一時間くらいかな、孤独に暇をもてあましてたら何故かニックがここに上がってくる用のハッチから首だけを出してこっちを見ていた。
何時からいた……いや今来たところか、話しかけずにずっと俺の事を見てたってんなら相当の変態だし、ていうかそれだったら俺も気付くだろうし。
ていうか今何時か知らんけどなんでこんな時間に起きてるんかね、いやまぁ俺が言えたこっちゃ無いけどさ?
とりあえず横になったまま体を転がして肩を地面につけつつ首だけをニックの方に向け……む、むけゲホッ、雪が邪魔でニックが見えない!
雪に埋もれてて忘れてたわこんだけ積もってるっての、でも起きるのはだるい、アザラシになりたい。
とりあえず手で雪を掻いて目の前の視界だけは確保したぜ、で? 何の話だっけ、ああ目の前のヒモ男はなんで起きてるんだっけ?

「どうかしましたか? こんな時間に、眠れないとか?」

「いやどっちかっていうとこっちの台詞だけどさ」

「先に言ったんだからこっちの台詞です」

「……まぁ喉渇いたから起きただけだけどさ」

「へぇー」

「聞いたの船長だよね……?」

「いや平凡すぎてどうでも良いなと」

両者要領を得ない中身の無い言葉の応酬って、なんとなくふわふわした感じが安心するよね。
上半身だけ体を起こすと、髪の毛やジャージに積もってた雪が一斉にドサドサ下に落ちた、まだ微妙についている所為か体中に変な違和感がある。
うわジャージにへばりついてる雪が大変な事になってる、払っても取れないし、あー面倒臭いなぁもういっかほっとけばそのうち溶けるかな。

「……プフッ」

それを見たニックが後ろ向いて手を押さえて口から息をもらしやがった、何笑ってやがりますかこのヒモ野郎は。

「おいなんか口から息が漏れましたよニックちゃーん?」

「い、いや船長もなんか女の子っぽい所というか可愛らしいとこがあるなって」

うわぁい二つの意味で全然嬉しくないしプラチナムカつくんだけど、その緩い口永遠に開けないよう綺麗に固定してやろうかメーン?
俺今の見た目十代の少女だけど中身二十代も折り返し過ぎたおっさんだからね、本格的に加齢臭と体脂肪が気になり始める頃だからね。
うん言ってて悲しくなってきたけどまぁそれは置いとこう、ていうか心の隅のゴミ箱フォルダから闇の彼方に葬ろう。
違う違う話が逸れた、このヒモ田ヒモ男君はただ起きてきただけと、だったら水飲んで早く寝とかないと明日が辛いぜ?

「もう寝たらどうです? 明日朝起きるのが辛いって言っても叩き起こしますよ」

「あー……いや、目ェ覚めちゃったよ、船長は寝ないの?」

「寝ない、ってよりも寝れないが正しいですねぇ」

「そ、そうなんだ……あ、そうだ喉が渇いたんだ、どう? 一杯だけ、さ」

「明日の修行に響くからって言ったのは何処の誰でしたっけ~?」

「い、一杯だけなら大丈夫だようん、それに寝付くには少し必要かな~と」

「さいですか、まぁどーせ持て余すのに忙しかった時間です、偶の洒落込み位付き合ってあげましょうかね」

「はいよ」と言ってニックが建物の屋根に積もった雪を足で払いのけて木で出来たハッチの蓋を空けて梯子を音を立てながら降りていく。
ハッチの梯子を降りてすぐそこの階段を下りたらキッチンは直ぐだから、ニックがこの場所に戻ってくるのに三分と経たなかった。
手に持ってるのは……ビール瓶かな? なかなかグッドなチョイスじゃあないか、酒盛りするにしても寝付く為の薬にするにしてもパーフェクトだ、ウォルター。
とりあえず屋根の縁から足をぶら下げて腰掛けて隣にニックを座らせる、なんで雪と一緒に落ちそうになってるんだこの男。
後コップは持ってきてないのね、あの泡味わって飲むのがまた良いのに……まぁいいか、今日はビールの喉越しオンリーで楽しもうかね。

「んじゃあ、えーと、この良き旅路に乾杯」

「あ、乾杯」

早速ニックが持ってたビールを一つ拝借し、その瓶の蓋を親指でコイントスみたいに弾き飛ばして一気に呷る、妖怪の力ってこういう所便利。
あ~この喉にくる炭酸がたまらんねコレ、一方ニックは栓抜きを持ってきてなかったようで自分の能力で空けようと頑張ってる模様。
必死に鋼のヒモ作って引っ張ってるのはいいんだけど、手に付く雪と汗の所為で瓶に水分が付き、それが凍って尚滑ってる模様。
しゃーないので俺の瓶同様親指で蓋を弾き飛ばしてあげた、滑らないのかって? んなもん力尽くですよ。

「……船長のその力は能力なの? それとも自分の力?」

「両方」

「俺は今両方に自信を失くしたよ」

「多分修行してれば恐らくそのうちきっと何とかなると思いますよ」

「ものすごく曖昧なフォローをありがとう、更に不安になってきた」

「だーいじょうぶ大丈夫、やれば出来る成せば成る」

そのうちニックも覇気でドン! とかやらないかなぁ、うーんニックがやるとなんかギャグっぽいかな……え? ルフィでも? それ以上いけない。
まぁニックもそのうち強くなるでしょ、ウソップでさえそこそこ強くなったしニックはなかなか使い勝手のいい悪魔の実の能力者だしね。
今度ちょっとニックと練習試合でもしてみようかな、どれだけ自分もニックも能力を掌握できてるか見てみたいし。
あぁ、酒が回ったのかちょっといい気分になってきた、雪見酒に月見酒……うーんそういうのはビールには合わないかなぁ。
やっぱそういうのは日本酒だよね、日本酒……あーでも月見ならワインも捨てがたいなぁ。
いやビールもいいよ、特になにか話をかけようとして必死にタイミングを探している隣の仲間に話を聞くのには丁度いいかもね。

「それで、一体何の話なんです?」

「……何の話って?」

「貴方は喉渇いて起きただけでこんな所来るんですか? どーせ私の事探してたんでしょう」

「……敵わないね、船長には」

うんどちらかと言うと君が隠し事をするのが不得意すぎていると言うのが原因なんだ、別段凄い人じゃなくてもそれくらいは察せると思う。
そりゃあ隣でチラチラ なにかをはなしたそうに こちらをみている! ▼ みたいな事やってたらね、誰でもわかるわ。

「えーと、話したい事は……二つあって」

「はいはい」

「一つは、そのジャージなんだけど」

「物置から勝手に拝借しました」

「あーなるほど……次からは事前に言ってくれたらもっと綺麗にして貸すよ」

「いえ、勝手に借りた物にそこまで望みませんけど……」

いやー……そんな事を気にしてたのか、勝手に借りてた物を怒らずに次はもっと綺麗にって、いやー……真面目だなぁうん。
ちょっとなんか自分の適当さとニックの溢れる善意が俺の胸にダイレクトアタックしてきたね、あー胸が痛い。
やめてそんな照れくさそうでいて優しい笑みで俺を見ないで! 溶ける! さながら気を叩き込まれたカラクリの様に溶けるっ!
いかん……いかん! 危ない危ない危ない……危うく浄化されてしまう所だった、なんでコイツ海賊やってんのホント。
落ち着いた、すごく落ち着いた、やめやめこの話は早くも終了ですね! 次の話に行こうか!

「そ、それで? 二つ目ってのは?」

「えっと……その……」

「ん? なんか言いにくい事なの?」

「え、エリーちゃんの事なんだけど」

エリーちゃんの事? あんまり懐いてくれなくて困ってるとか? それだったらむしろこっちが相談に乗ってほしいけどね。
それとももしかして……ほ、惚れたとか? そ、それはいかんよニック君! 相手は見た目小学生の穢れを知らぬ少女だよ!?
こ、この言いにくそうな感じ……ヤバイ! 俺の憶測が確信に近づいてきている! 止めるんだニック! 殺されるぞ! ア○ネスに!
どどどどどうするよ俺!? 船長として正してやるのか!? しかし人の恋路を邪魔するわけには……!
あァ! どうすりゃあいいンだァ! ちくしょう来いよア○ネス! 仲間の為に戦ってやンよォかかってこ

「あの子、仲間にするの……?」

「……へ?」

仲間に……? ん? これはどういう質問だ? 仲間同士の恋愛は海賊としてまずいんじゃあないですかって事か?
いやいやそれだったら年齢の事を最初に気にするべきだろうし、え、君はもしかして小学生なら当然結婚できるだろJKみたいに考えているのかな? かな?

「いや……あんな小さな子を海賊の仲間にするなんてのは、えと、この先危ないんじゃないかって……」

……あ、ああうんそういう事ネ? エ? モチロンワカッテマシタトモ、アタリマエジャアナイデスカ、ネェ?
まぁ確かにこの先危険になっていくだろうけどさ……うーん、助ける為とはいえ無理矢理元住んでた場所から引っぺがして船ン中入れたわけだし……。
あ、もしかして俺が恐がられてる理由ってそれなんじゃ……いやよそう俺の勝手な予測で皆を混乱させたくない……。

「まぁしばらくは海軍から引き剥がすためにこの船の中で働いてもらいますけど……うーん」

「えと……それは仲間にするって事なんじゃ……」

「んー、まぁしばらくは?」

そりゃ俺だってエリーちゃんには普通の幸せな暮らしをして欲しいけど、海軍が狙ってるってなると話は別だ。
一番最初に出てくる問題としてどこで暮らさせるんだよって話、何せ海軍なんてこの海のどこにでもいるし。
海軍がいない未開の地にエリーちゃんを置いていくわけにもいかないし、海軍の権力が届かない場所って言っても……。

あるじゃん、そういえば。
あーでもコレをするなら……いや元々の俺の目的に+αするだけだしいいかな。

「ニック、白髭海賊団って知ってます?」

「まぁ、海賊なら誰でも知ってると思うけど」

「その海賊団は強いのもあるんですが、自分らの縄張りと称して魚人の島を保護したりしてるらしいんです」

「へー……やっぱ強い海賊ってすごいんだなぁ」

「いやそうではなくて、分かりません? その縄張りでは海軍の権力は無と化すのですよ」

「……ああ! なるほど!」

「そゆこと、エリーちゃんはそこで保護してもらいます」

幸い、白髭のおっさんはエリーちゃんの力を利用しようと思うほど小者ではない。
なんとか話を通せば(無断で置いていくのもなんなので)無料でとはいかないけどなんとかなるだろう。
酒か労働かあるいは……恩義か、そうするとエースを助けるついでに白髭のおっさんをちょちょいと助ければ……。
いやエースが助かれば白髭のおっさんもかなりの確立で生存するだろう、多分。
よし決定、しばらくの目標は定まった。

「……で、その縄張りってのはどこにあるの?」

「縄張りの発見に白髭との接触、やる事は山積みですね」

「あ、分からないんだ」

「私にだって分からない事くらい……ある」

他にも戦争の参加に人命救助エクセトラエクセトラ、もっと細かく挙げていくと胃が痛くなるからこの辺で。
戦争の参加っていっても白髭勢に短時間でそこまで取り入る事をしなくちゃいけないってのは……きついな。
退屈しなさそうだけど……そこは喜ぶところか否か。

「まぁ今やれる事から始めますかね」

「今やれる事って?」

今やれる事……んー。



「この雪の除去方法の考案と海王類の捌き方の研究ですかね?」




















さくしゃ:まて はなせばわかる

あや:もんどう むよう


――後書きコーナー

アヤ「はい失踪寸前までいきましたこの小説、全部言い訳の仕様が無く作者のせいであります」

アヤ「弁明は見苦しいので省略、言い訳する前に手を動かすべきですね、すみませんこのような作者で」

アヤ「さてさてえー前回からいくつか感想頂き真にありがとうございます、すみませんこのような作者で」

アヤ「えーと……『あの時スモーカー君を無視して船に戻ってたらどうだったの……』」

アヤ「…………そのはっそうはなかった」

アヤ「えーと『台詞と地の文の区別がなく、無駄な行空けがある』……」

アヤ「無駄な空行については今回デストロイしました、地の文と台詞……ええと、えと」

アヤ「もうちょっと三人称小説の勉強が必要ですね……(ラノベを取り出しながら)」

アヤ「さて、今回はこの辺で」

アヤ「随時感想、指導、罵倒など募集しています……作者がですけど」


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