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[29786] ルーデル閣下が遠坂凛に召喚されたようです
Name: EKAWARI◆eaa9c481 ID:77d001b8
Date: 2011/09/16 19:57

 前書き


 はじめまして、こちらへの投稿はこれが初めてになります、EKAWARIといいます。
 普段は小説家になろうに投稿させてもらっているのですが、最近もしかして自分の作品って結構浮いているのかなあと思うことも増えたのと、同じ小説投稿サイトということでこちらとなろうはどれくらい客層が違うのかなと思い、今回こちらにも投稿してみました。
 そんな運びですので、同作品は小説家になろうにも投稿させてもらっています。
 ですが、小説の内容自体は小説家になろうに投稿したものと同じものですが、全く同じというのも芸がないので、後書きにのせていた裏設定を詳しくしてみました。
 でも、本質は同じでこの作品はあくまでも読みきり作品という形ですので、続きを書くことはありません。
 内容としては、もしも聖杯戦争に呼ばれる英霊が死後100年以内の現代&近代の英雄だけだったら?で、ドイツ空軍のルーデル大佐が凛に召喚されるという話になっています。
 短いですが、楽しんでいただけたら幸いです。



[29786] ルーデル閣下が遠坂凛に召喚されたようです
Name: EKAWARI◆db5e4551 ID:77d001b8
Date: 2011/09/17 07:52
 聖杯戦争という魔術師の大儀式がある。
 それは日本の冬木市という街で、数十年に一度の割合で開かれる、万能の願望器「聖杯」を求めての殺し合いの儀式。それに参加する7人の魔術師のことをマスターと呼び、彼らはそれぞれ聖杯戦争の主駒である英霊と呼ばれる存在・・・生前英雄と呼ばれたものが死後人々に信仰されることによって、精霊と同格にまで霊格を押し上げられ奉られた人間霊を示す・・・を呼び出し、従者《サーヴァント》として従え、敵のサーヴァントを自身の英霊を使って消していき、最後の一人が聖杯を手に入れるというそんな儀式だ。
 そして今、此度の聖杯戦争に呼び出されようとしている、一人の英霊《オトコ》がいた。


 男が目を開けると、そこは空の上だった。
 高度50m、すぐ下には日本の家屋らしからぬそれなりに大きな古い洋館が一つ。
 自身の状況は、自分を召喚した媒体である聖杯から知識として授けられている。だが、しかし、この状況はあまりにも与えられたものとは違っていた。
 マスターは通常、血を用いて描いた魔方陣で英霊を召喚し、マスターの前にそこから現れるものであると、男に与えられた知識ではなっていた。
 だが、今男は落ちている。そう、高度50mの上空から、マスターがいるらしき館に向かって落ちている真っ最中なのだ。そんな状況であるにも関わらず、此度の聖杯戦争において騎乗兵《ライダー》のクラスとして召喚されたこのドイツ人の英霊は、にやりと、嬉しそうな笑みを口元に浮かべて思考した。

(はは、全くなんてことだ。なんてマスターだ。いきなり、上空に放り出すとは、実に愉快!とんだ大物だ、そうではないか)

 思いながら魔力を身に纏って落下に備える。生前はこんなものとは全く縁がなかった身ではあるが、今の男の体は魔力で構成されている。人の姿をしていても、人ならざる者。それが今の男だった。
 そして、元々この男は常人では測れぬ器の持ち主でもあった。
 ライダーのクラスとして召喚された男の得物《ほうぐ》は爆撃機であり、爆撃機乗りであったわけだが、そんな中、生前は実に30回ばかり撃ち落されたことがある。そして、敵の真っ只中に墜ちようとも、自分にかけられた賞金10万ルーブル(現在日本人収入換算で約5億円)狙いのハイエナどもに命狙われようとも、軍用犬が自分を捜索していようとも、どんな時でも生きて自力で仲間の元へ戻ったという経歴を持つ男にとってみれば、既に人間ではない体を得ていることもあって、こんな50m上空からいきなり落とされたところで、別段大した脅威《もんだい》でもなかった。
 普通はこのあまりに無茶な召喚から召喚主《マスター》への怒りを覚えてもおかしくないはずなのだが、彼の場合、寧ろこの状況を楽しんでいるとさえ言っていい。
 体にかかるGの感覚が懐かしくて嬉しい。死んでからはとんと無縁の感覚だった。ああ、帰ってきたんだ。自分は生者の世界に帰ってきたのだと、また愛機に乗って飛べるのだと、思って男は震えた。武者震いだ。相手がソ連のアカ共じゃないのが惜しいところだが、それでもまた飛べるということが単純に嬉しかった。こんな、落下などどうでもいいくらいに嬉しかった。男にとってはそれだけのことなのだ、このイレギュラーな召喚は。

 かくて、男は館に激突する。

  * * *

 その日、冬木を管理するセカンドオーナーにして、遠坂家6代目当主遠坂凛は英霊を召喚するための儀式に挑んでいた。目指すは最優のサーヴァント、剣使い《セイバー》。
 狙ったカードを必ず実力で手に入れてやると意気込んで行った英霊降臨の儀。しかし、儀式を終えても光を放つ魔方陣からは何者も現れず、代わりに耳に届くは、居間から響く爆発の音。
「なんでよー!?」
 わけがわからないままに、駆け上がり、居間に向かって疾走する。
「扉、壊れてる!?」
 がちゃがちゃと歪んだ扉に手をかけ、埒が明かぬと判断するまでの時間はとんでもなく早かった。
「ああもう、邪魔だこのおっ・・・・・・!」
 言いつつ、扉を蹴破る。
 そうして見たもの。既に元の面影がなくなった、残骸だらけの居間と、その廃屋にてにこにこと笑顔を浮かべて佇む、彫りの深い顔立ちに高い鼻の西洋人らしき男。
 その服装といえば、黒い軍服にどこぞで見たような十字を首元につけている。はて、どこで見た格好か。わりと有名な格好のような気はしているのだけれどと内心ちょっと思いながら、深く考える前に男に言葉をかけられた。
「問おう。君が私のマスターかな?」
 直立の姿勢で右手をピンと張り、一度胸の前で水平に構え、それから腕を斜め上にするドイツ式の敬礼をして、案外と静かな瞳で年若い少女を見つめる西洋男。それに面食らった。
 先手を取られた。遠坂凛は、勝気な少女で攻め手にまわるととんでもなく強いが、逆に受身になると途端に弱くなり、ふいをつかれる行動にも弱い特質をもっていた。
 サーヴァント相手にはどっちが主従かはっきりさせるためにも、毅然とした態度で臨みたいと思っていたにも関わらず、つい動揺を表に出して「え?ええ」とそんな返事を返してしまった。言ってからしまったと口を押さえてももう遅い。わたしのマスターの威厳がなんて思いつつ、つい、反射的に頬を赤く染める。その様子を見ながら、目の前のサーヴァントらしき男は「うむ、実に惜しい」とかなんとかぼやいている。
「君があと5歳ほど若かったら私の好みストライクだったんだが」
 いや、何の話してんのよアンタ、と凛は思わず内心つっこんだ。皮肉なことに、それで彼女は我に返った。
「・・・ッ、確認するけど、アンタはわたしのサーヴァントで間違いない?」
 先ほどの発言といい、出来れば間違いであったほうがいいなとか内心思いつつ、そう尋ねる。たぶん、こいつロリコン。間違いなくロリコン。
「うむ。私が君のサーヴァントだな。それで君が私のマスターというわけだ。本当はあと10歳くらい若いマスターのほうが嬉しかったが、まあ、君もわりと幼く見えるし、悪くはない」
 いや、だからアンタ何の話してんだ。ていうか、10歳って、さっきは5歳っていってたのに、更に若くなっているのはどういうことだ、ごら。もしかしなくても本物のロリペド?いや、考えたくない。自分のサーヴァントがそんな変態なんて嫌過ぎる。と、凛は思うがそこで無理矢理思考を打ち切った。いや、本気で考えたくないから。自分のサーヴァントが筋金入りのロリコンの変態なんて。
「~!!そ・れ・で!クラス、何!?」
 相手のあまりにアレな言動を前につい逆上しそうになりつつ、凛がそう怒気を孕ませながら聞くと、この軍服を身に纏ったサーヴァントは、「ライダーだ」とそう答える。
「私にライダー以上に似合いのクラスもないだろう」
 という言葉はなんとなく誇らしげで自信有り気ではあったが、セイバーを狙っていた凛としては、あまり嬉しくはない。
「ドジったわ。あれだけ宝石を使っておいてセイバーじゃないなんて、目も当てられない」
 つい、苦い声でそんな言葉を漏らしてしまう。
 それを耳ざとく聞いていたのだろう、男は本当に不思議そうな顔をして、「む?君はセイバーを狙っていたのか。それは何故かね?」なんてことを尋ねてきた。それに凛はむっと眉を寄せながら「何故って聞くまでもないじゃない」と、苛立たしげに口にする。
「わたしは後方支援がメインの魔術師よ。どうせ組むなら剣と魔術の組み合わせのほうが映えるし、なによりセイバーのクラスは最優と呼ばれているわ。どの聖杯戦争でもセイバーのクラスが最後のほうまで残っているのがなによりの証拠よ。どうせひくなら誰だって最強のカードを望むものでしょ」
 そう口にすると、ははっと男は笑いながら、「君はおかしなことを気にするのだな」なんてことを言い出した。
「どういう意味よ」
「剣使い《セイバー》など、撃ち落せばそれで終わりではないか」
 至極あっさりと、当たり前のようにきっぱり言い切った男。
 その顔に、なんだか嫌な予感を覚えて凛は尋ねた。
「アンタ・・・聞き忘れていたけど、どこの英霊?真名は?」
「私かね?私はドイツ空軍、スツーカ部隊、ハンス・ウルリッヒ・ルーデルだ」
「・・・・・・」
(・・・誰?)
 遠坂凛は魔術師である。魔術師とは神秘を追うものであり、その性質は過去に向かっている。故に大昔の英雄の伝承にはある程度通じてはいても、現代や近代の英雄のことは詳しく知ってなどいなかった。寧ろ現代や近代で本当に「英雄」と呼ばれるほどのものが生まれるのかすら疑わしく思っているくらいだ。故に、ドイツ空軍のスツーカ部隊のルーデルだのいわれても、さっぱりわからなかった。ただ、見覚えのある制服デザインとドイツの名前で、流石に相手がナチスドイツ時代の軍人であることには気付いたのだが、それ以上は本当にわからない。
 まあ、この男のことを詳しくしっているのは日本でも極一部のお兄さん方くらいのものであろうが。
 だから、名前を言われてもわからなかった凛のことは、わからなくても責められないだろう。多分。
「スツー・・・?なにそれ」
「うん?爆撃機の種類だが、知らないのか」
「知らないわよ、そんなの」
 参った。真名がわかれば戦力もわかるっていうのが通説だけど、全然名前を知らないとなると戦力の把握もなにもない。なんか頭の痛い展開になってきたと思いつつ、尋ねる。
「・・・確認なんだけど、貴方の戦力って具体的にどうなの?生前貴方って何をしてきたわけ?」
 ふむ、と男は思案して、それからあっさりした様子で言う。
「戦時中は朝起きて牛乳のんで出撃して、朝食食って牛乳のんで体操して出撃して、昼飯食って牛乳のんで出撃して、夕食食って牛乳のんで出撃して、シャワー浴びて出撃して寝るという生活を繰り返してきただけだな」
 って、どんだけ出撃してんのよ!というか、牛乳好き!?牛乳好きなの、それ!?っていうか、言ってることが冗談染みているんだけど、もしかして、わたしからかわれている!?そうなの?なんてことをぐるぐる考えながら、据わった目でじろりと凛は目の前の男、ルーデルを見上げた。
「あのねえ、ライダー!怒るわよ?わたし、具体的にって言ったでしょ」
 言うと男はまた思案したような顔をしてから、流れるような早さで言葉を並べた。
「生涯の出撃回数は2500以上で世界一の戦車撃破王ということになっているな」
 2500回以上出撃って、どんだけ出撃しまくったのよこいつとか思いつつ、その中で無視出来ない言葉があったので、そのことについて確認をとる。
「・・・ということになっているってことは、実際は違うっていうこと?」
「まあ、そんなことはどうでも良かろう。それより牛乳はないのか?」
「・・・は?」
 ごそごそと、男は台所のほうに移動しながら、冷蔵庫を開けて、勝手に牛乳を引っ張り出す。
「って、アンタ何勝手に家捜ししてんのよ!?」
「はは、やはり、牛乳がなくては調子が出なくてな」
 いいながら男はマイペースにゴキュゴキュと牛乳を喉を鳴らして飲み干した。
「む・・・いかんな。紙パックとは如何なものか。あまり上質じゃないぞ、この牛乳」
 なら、飲むな。
「ライダー・・・あのねぇ」
 ぴきぴきと、怒りに青筋を立て始める凛。それに対して男はのんびりと、「ん?なんだ?君も飲むかね?」とか阿呆なことをほざいてきた。
「いらないわよ!」
「そうか」
 どことなく残念そうに見えるのはどういうことだ、ごらと凛が思うのは多分仕方ないことなんだろう。うん、多分。
「それで、再び聞くけど、ライダー。貴方って生前具体的に何をしたの」
 凛は男をじとりと見上げつつそう苦い声で言った。戦車撃破王とか言われても、それだけで戦力がわかってたまるか、とそんな気持ちだ。
「む?そんなに気になるのか。君は本当におかしなことを気にするのだなあ」
 はは、とかいいながら牛乳を飲む手は休めない。非常にマイペースである。
「しかし、前途した通りだよ。私がやったのは、アカ共を戦車といわず、装甲車・トラック・戦艦問わずに爆撃しまくっただけだ」
 はい?戦艦を爆撃?すると、何かを思い出したのか、ルーデルは眉を顰めてこんなことを言い出した。
「まあ、あまりにやりすぎたせいか、まわりには地上勤務しろだの、いい加減休暇をとれだの、暫く出撃禁止だのといわれることも多くて参ったものだがね。けしからんとは思わないか?休暇なんぞいらんから出撃させろというのだ。私は一つでも多くのアカ共の戦車を破壊してやりたいというのに、なのに休暇をとらせようとしてくるなんて。まあ、病院を抜け出して出撃したがね!」
 いやいや、アンタどんだけ出撃好きなんだ。というか、それって上官命令無視していたの、そうなの?と凛はあまりの男の言い分につい一歩後ずさる。
 更に男はぶつぶつと嫌なことを思い出したのか、おそらくは愚痴であろう文句を吐き出していく。
「総統閣下などは、頼むから地上勤務してくれーっとか何度も懇願してきたものだが、うむ、嫌ですと蹴ってやった。あとついに私に渡す勲章がなくなったとか言うのでな、親愛なる総統閣下は宝剣付黄金柏葉騎士鉄十字勲章なるものを新たに作って私に寄越そうとしてきたのだが、それを受け取る条件として「二度と私に地上勤務しろといわないのならば受け取りましょう」といったときの、あの顔はいやあ・・・見物だったよ」
 ちょっとまって。ちょっとまて、総統閣下って、やっぱりアドルフ・ヒットラー?ていうか、勲章を新たに作って?あのヒットラーに懇願されたのこいつ?え?思っていた以上に凄い駒もしかして引いた・・・?
「ま、私のことはそんなものだ」
 ぷはっと、牛乳を飲み終え、人心地ついたらしい男はそんな言葉で、説明を打ち切った。見れば、牛乳を飲み終えた男は今度はなにやら体操をはじめる。いや、なんでこんなところでそんなのやりはじめるのよとついツッコミたくなったが、ツッコンだらなんかもっとおかしなことになりそうだったので、理性を総動員してやめた。なんていうか、こいつが自分のサーヴァントじゃなかったら、関わりたくない。
 痛む頭を抑えてなけなしの理性で、凛は、「そ・・・そう。それで、アンタの宝具は?」と口にした。
「うむ。私の愛機《ほうぐ》だな!」
 ぱっと男がその質問こそまっていましたと言わんばかりの輝ける笑顔で顔を上げる。次の瞬間、壊滅しかけていた居間が更に全壊した。
「勿論、私の長い戦場の相棒、こいつ『Ju 87スツーカ』だよ!」
 すさまじい音を立てながらプロペラをまわす、なんか旧式の爆撃機がそこにあった。

「さて、マスター。私の話はもう聞き飽きただろう。それで、ここからが本題だ。先ほど私の具体的な戦力が知りたいと言っていたな?ならば話は早い」
 ごきごきと音を鳴らしながら、体操の最終仕上げをして、にっこりと笑顔で楽しげに語る目の前の男。凛は嫌な予感がして、思わず一歩後ずさる。
「今すぐ私と出撃だ!!」
「なんでよーーー!?」
 凛は全力でつっこんだ。男は意にも介していない。
「共に出撃すれば、私の戦力は自ずとわかるだろう。それに、敵が現れても問題はない。全部撃ち落してしまえばそれで終わりだ!」
「ちょ、冗談じゃないわよ。そんな危ない橋渡れるものですか」
 たじろぐ凛、段々近づいてくる西洋男。
「遠慮することはない。何、相手が剣使い《セイバー》だろうと問題はない。見事私が爆撃しよう。君は自分が引いた駒が最強でないと嘆くこともなくなる。名案だろう?君はただ、私の後ろの席に乗ればそれでいいのだ」
 ゴーイングマイウェイ。既に男は凛の反応など気にしちゃいない。
「それに、私を遥か上空50mから叩き落した手腕、君にはきっと才能がある!それにこの戦争はもう始まっているのだ。ならば休んでいる暇などはない。さあ、行こう。共に勝利をつかむのだ、マスター」
 言いながら男はがしっと、凛の肩を掴んでそのまま自分の愛機《スツーカ》に向かって歩き出したー。
「嫌ぁあーーーー!おろしてよ、この馬鹿ーーーッ!」
「さあ、出撃だ!!」

 こうして、アカイアクマと呼ばれるはずだった少女と、ソ連人民最大の敵だのスツーカの悪魔だのといった称号をもつ男は旅立った。さて、この二人のその後がどうなったのか。それは、他の聖杯戦争参加者と聖杯のみが知る。


 終われ。




[29786] ルーデル閣下が遠坂凛に召喚されたようです
Name: EKAWARI◆4b216901 ID:77d001b8
Date: 2011/09/16 20:43

 ご読了いただきありがとうございました。
 その後の聖杯戦争ですが、こんな感じで考えてはいたり。
 マーボー神父がバゼットから強奪したランサー、その正体は(FateEXにも出ていたけど、年齢とクラスを変えて)李書文。
 「ふむ、これも命令でな。恨むなよ」とか淡々といいながら、ランサーの兄貴と違ってなんだかノリノリで、案外神父とは上手くいっているようです。

 士郎によって召喚されるアーチャーな白い死神、シモ・ヘイヘ。
 その実直で寡黙、努力家で地味な作業にも地道に向き合うヘイヘの在り様に深い感銘を受ける士郎。ついでに、身長152cmなヘイヘに、身長コンプレックスもっている士郎は妙な安心を感じてしまった(ぉぃ)。というわけで、気付いたら士郎になつかれるヘイヘ。凄腕リアル・チートだけど命令に忠実な男、ヘイヘは士郎の意思を尊重して動くと思われ。個人的に本命。

 本来はアーチャーのクラスしか該当しない筈なのに、あまりに魔術適正がない奴らばかりなせいで、イレギュラーにキャスターのクラスとして桜に召喚されるエミヤさん。状況に戸惑いつつ、気付けば素敵に執事さん。エミヤさんのことは大好きですが、多分こいつはやっぱり途中で誰かを助けるために消えていく運命だと思う。だからきっと途中リタイア。

 アインツベルンによってセイバーのクラスとして呼び出される舩坂弘さん。そのあまりの不死身っぷりと、戦闘続行EXっぷりに周囲ドン引き。ターミネーt・・・げふんげふん。自爆しても普通に復活するよ。んでもって、きっとライダーなルーデル大佐に撃ち落されてもやっぱり復活する。
 普通は真名知られたら弱点をそこから知られるものですが、こいつの通称は「生きた英霊」。その伝説補正により、通常名を知られるとまずいだろう英霊とは逆に、名前を名乗ることによって一定期間靖国に眠る仲間からのバックアップを受けて、今までほとんどなかったはずの知名度補正が働き、能力がワンランクずつ上昇する。ただし、敵が「仕切り直し」スキルもちの場合、名を名乗ってもすぐに効果を失う。

 アサシンとして召喚されるのは、FBI初代長官のジョン・エドガー・フーバー。
 召喚したのは本来メディアを召喚して殺された例の無名のマスター。
 ぶっちゃけ一番不憫なグループ。
「マスター:男じゃ性欲解消の役にすらたたねえじゃん。弱そうだし」
「・・・・・・(外れひいたか)」
 どっちかというと暗殺以外のほうが優秀か。

 んで、最後バーサーカーですが、スターリンでよくね?(ちょ)と思っている。少なくともこの面子の中では一番伝説補正はもらえるよ。
 あれ・・・でも誰が召喚するのか・・・空きポジ的には蟲ジジイ・・・?
 ただ、スターリンが召喚された場合、ソ連大っ嫌いだぜひゃっほーなルーデルさんと、白い死神シモ・ヘイヘによって真っ先に狙われそうな予感。果たしてリアル人外チート共相手にどうするのか・・・一番知名度補正あるだろうし、バーサーカークラスは一個能力ランクが上がるらしいからそれでやりくりするしかないか。

 以下、こんな聖杯戦争中風景妄想。


 * * *

「アーチャーは、そのさ、凄いんだな」
「なにがだ?」
 きゅっきゅと、自分の愛銃の手入れをしながら、淡々と問うてくる自分のサーヴァントを前に、士郎は若干戸惑いながらも言葉を続けた。
「国を守り抜いたんだろ」
 ああ、自分の過去を見たのか、と思いつつ男は別段なんの色ものせず言い切った。
「何、俺はやれといわれたことを最大限にやっただけだ」


 空中にて、ヴィマーナにのったまま、ライダーと対峙するギルガメッシュ。
「調子に乗るな、雑種ッ!!」
 次々と王の財宝を開放させ、古今東西の名刀秘宝が次々とスツーカに乗り飛び回るライダーへと襲い掛かる。
「私に撃ち落せぬものなどない!!」
 旧式で扱いづらいと名高いスツーカ。だが、男にとってはそれは無二の相棒なのだ。なんの恐れもない。今、男は空に帰っている。
「ちょっと、アンタ、なんとかしなかったら承知しないんだからね!」
 後ろから聞こえる少女の怒声すらいとおしい。ここは空、男の庭、ならば何を恐れようか!
「ふ、人間と舐めていると、痛い目にあうぞ?英雄王」
 そして男は次々と飛んでくる財宝を迎撃していくのであった。


 その男はガーデルマンと、そう名乗った。
「私がこの世に干渉するのは一日に5分だけです」
「地上で召喚すれば治療を、空で召喚すれば援護射撃を。使い方は、よく考えてください」


「そんな、あんなに食らってもなんで立ち上がれるのよ!?」
 少女は驚きの声をあげる。満身創痍、そのはずの男の傷が次々と癒え出す。
「凛、驚きすぎよ。そいつは、最優のサーヴァント、セイバーよ。そんな簡単に倒れるわけがないでしょ?」
 冷静に雪の少女は告げる。ただ、実は冷静なのは表面だけであり、実際は彼女も自身のサーヴァントのデタラメっぷりにドン引きしていたのだが、それをいうのはかわいそうだろう。
「聖杯戦争とは、本当に面白い人間が集まるものなのだな」


「いや、キャスターさん、キャスターさん!」
 藤色の少女は涙をこぼしながら、目の前の赤い・・・魔術師というよりは騎士を思わせる男にすがりつく。男の体は既にぼろぼろで血まみれだった。なのに、その背は鋼のように硬くやはり広かった。
「桜」
 そう、名を呼ぶ声がいつかの誰かに重なった。
「桜、泣くことはない。私は元より死していたものだ。だが・・・」
 ずるり、男の体の中から剣が生える。それを男は鋼の瞳で引き抜いた。
「君を苦しめるものは全て私が連れて行く」
「キャスターさ・・・んぱ・・・い・・・・衛宮先輩!!」


 英雄王と対峙するは、ソ連人民最大の敵と謳われたスツーカの悪魔、しかし、そのあまりの物量攻撃を前についに、ライダーも地に伏せる。
「ふははは、見たか。これが王と雑種の違いだ・・・ッ!?」
 放たれたのは一発の銃弾。それがどこから放たれたのか、撃たれたあとも英雄王が知ることはなかっただろう。
 額のど真ん中に一発の銃弾。
「悪いな、シェロ。残しといたら危険そうなやつだったからな、排除させてもらった」
 たとえ生半可な武器では破れぬ黄金の鎧を纏っていようとも、その頭部への守りは別だ。その意味では「この男」が召喚されていたというのに、あまりに黄金の王は慢心しすぎていた。そう、伝説に曰く、半径300m以内であれば、白い死神の銃弾は確実に相手の頭へと当たったのだという。その伝承を再現して、男は自身のマスターに振り返った。
「さて、で、どうする。あれを放っておくのか?」
 湖の向こう、開かれた聖杯の穴からはのろいがあふれ出ていた。少年はまっすぐに前を見る。
「令呪に命じる」
 覚悟はもう出来ていた。
「アーチャー、あれを全力で破壊しろ」
「あいよ」
 いつもどおり淡々としていった「災いなす者」とソ連軍に謳われた男。だが、気のせいだろうか、その口元は僅かに笑っていた。
「じゃあな、シェロ。案外楽しかったぜ」

 そんな妄想。



[29786] 衛宮士郎がシモ・ヘイヘを召喚したようです
Name: EKAWARI◆db5e4551 ID:77d001b8
Date: 2011/09/25 13:16




 そう、それはまるで魔法のように現れた。
 
 白い白い服に身を包んだ小柄な男、顔立ちや肌の色から見たところ北欧系だろうか。にっと笑えば愛嬌がありそうな、そんな顔立ちの小さな男。それが、己が身長ほどもある銃を抱えて、俺に向けられた槍の穂先を弾き、真っ直ぐに俺を見ながら、一言。

「アンタが俺のマスターか」

 と、そんな言葉を放った。

「は・・・?マスター・・・?」

 意味がわからない。どうなっているんだ。いや、最初っからわからないことだらけだった。
 そう、俺・・・衛宮士郎は今日、学校で弓道場の清掃をやって、そして、校庭で人間ならざるやつらの戦いを目撃したんだ。吃驚して、見つかって、逃げて・・・そして、俺はあの男に・・・中華服に身を包んで槍を携えた、壮年の男の姿をした人間じゃないナニかに殺されたんだ。
 息絶えた瞬間を確かに覚えている。痛みも、無念も。なのに、次に目を開けた時、俺を殺したはずの傷は何故か治っていて、わけが判らないまま清掃し、落ちていた見知らぬ女物のペンダントを拾って、家に帰った。
 そして、俺を殺したあの槍をもった男が再び現れて、そして、せめて戦う武器をと思って庭の土蔵に駆け込んで、そしたら、突然古い魔法陣が光りこの白い男が現れた。
 これは、あの槍をもった奴と同じ、人間じゃない存在だ。俺は魔術師としては未熟だけど、それでもこの男もあの男も人間じゃありえない膨大な魔力を纏った存在だってことくらいはわかる。
 そんな存在が、なんで俺のことを「マスター」って呼ぶんだ・・・?
 その俺の疑問とかに気付いている上で無視しているのか、白い男は言葉を続ける。

「サーヴァント、アーチャー。召喚に従い参上した。これより俺はアンタの弓となる、ここに契約は完了した。これからよろしく頼む、マスター・・・って言いたいところだが、そんな悠長なことを言ってる間はなさそうだな」

 いいながら、男は前をまっすぐ、見る。見ているのは外か。そこには、白髪の壮年の男が変わらぬ様子でたたずんでいる。
 男の手から先ほど手にしていた男の身長に迫るほどの長さの銃・・・モシン・ナガンが消え、次に男の手に現れたのはスオミKP31サブマシンガンだった。

 相手の男はそんな俺と白い男・・・アーチャーというらしい。変な名前だな。の様子を見ながら、「呵呵呵《カカカ》!儂の一撃を受けて、何故に生きているかと思うていたが、魔術師であったとは!愉快、愉快!」なんてからっとした声で笑いながら、「どれ、面白くなってきた。それ、先制はそっちに譲ってやる。儂を少しは楽しませてくれよ?」なんていって、槍を手に不敵に笑った。その姿は、不覚にも自分を殺した相手だってことをつい失念してしまうくらい男臭くて妙にかっこいい。
 状況もわからぬままに、ちらりと、先ほど俺を守るように動いた白い男を見やる。
「なぁ、マスター」
「俺は、マスターなんて名前じゃないぞ。衛宮士郎って名前がある」
 そんな時でもないのに気になって、ついそんなことをいう。すると、「そうかい」とこっちもまたからっとした声で白く小柄な男はいって、それから「んじゃ、シェロ、俺はお前さんのサーヴァントだ。アンタの方針には従う。でだ、向こうさんはやる気満々だ。倒せっていうんなら可能な限り最大限に実行するが、お前さんはどうしたいんだ?」そんな言葉を、真っ直ぐに投げかけた。
 サーヴァントと、今男はいった。ということは、とてもそんな存在には見えないが、この男は使い魔だってことなんだろうか?馬鹿な。どう考えても俺の技量で呼べる存在じゃないのに、なんで現れたんだ?疑問はつきない。
「俺は・・・」
 ちらりと、目前に目をやる。壮年の中華服を纏った槍兵は不遜な笑みを浮かべたまま、こちらが仕掛けてくるのをまっていた。
「俺は、マスターとか、サーヴァントとか、アンタが何を言っているのかわからない。でも、わけのわからないままこんなところで殺されるなんてごめんだ」
 その俺の言葉を合図に、白い男・・・アーチャーは外に飛び出し、そして、中華服の槍兵へとその弾丸をぶちまけた。
 ガガガガガッ!そんな轟音が鳴り響く、薬莢がはじき出され、銃弾は全て壮年の男を殺す為だけに向かい襲う。それを、楽しそうな笑みさえ浮かべて、中華服の男は手に持った槍で信じられない動きで捌いていく。
 7kg以上もの重さを誇るサブマシンガンを身長150cm程の小男が正確射撃で振り回すのも信じられなければ、壮年の男の拳法の型が基盤となった槍裁き・・・あの動きは八極拳の一種なのだろうか、も人知を超えている。その光景を、そんな時でもないのに、何故か綺麗だと思った。
「どうした、仕舞いか!?これしきでは、儂は破れんぞっ!!」
 弾丸発射数の終わりが近い。それを見て取って、高らかに宣言する槍を手にした武人。それを前に、白いアーチャーは、呟くように言った。

「“白い死神(ベーラヤ・スメルチ)”」

 雪が降る。空が雲に覆われる。
 長く温暖な冬を迎えるそんな冬木の地に、雪が舞い降りる。ぱらり、ぱらり、ぱらり、ぱらりと、幻想的に舞い降りるそれは、やがて吹雪となり、壮年の男の視界を奪う。

「ぬっ!?」

 そして、伝説が再現される。

「そうかっ、アーチャー、おぬしの真名は、“災いなす者”シモ・ヘイヘか・・・ッ!」

 冬戦争。ソ連とフィンランドの間で起こった、フィンランド防衛戦。そこで活躍した白い死神、シモ・ヘイヘ。彼がフィンランド軍人として戦争に参加したのはたったの100日程。その僅かな間で五階級特進という異例の昇進を果たし、災いなす者とソ連軍に呼ばれ恐れられた、伝説の狙撃手。

 ―――伝説に曰く、彼の放つ銃弾は半径300m以内であれば確実に相手へとヘッド・ショットさせたという。
 ―――伝説に曰く、ヘイヘに気をつけろと叫んだソ連兵は、次の瞬間ヘイヘの銃弾をこめかみへと受け倒れたという。

 弾丸が迫る。英霊となり、伝説が概念という力へと変化して与えられた白い死神の銃弾が、圧倒的な死の空気をまとって、どこからともなく八極拳を極めた壮年の槍兵へと向かう。
 息すら忘れて、それをただ俺は見ていた。

「チッィイイイイ!!!」
 とんでもない気を飛ばして、大音声を上げながら、槍兵は鬼神の如き形相と動きで槍を振るった。それで、僅かに逸れる。弾丸は男の右耳を抉り飛ばして消えた。ぼたぼた、ぼたぼたと男の耳から大量の血が流れ落ちる。
 アーチャーの姿は見えない。どこにいるのか、俺にもわからない。

「はっ、くははははははっ!」
 右耳を失った男は心底おかしそうな声をあげて笑う。
「なんというっ、なんということだ!誇るがいい、アーチャーのマスターよ!!この儂に、おぬしのサーヴァントは一太刀入れることが出来たのだからなっ!」
 そうして、にやりと壮絶に八極拳使いの槍兵は笑った。
「呵呵《カカ》っ、全く愉快、愉快。これでこそ、聖杯戦争に召喚された甲斐があるというもの。やはり狩るのは鼠でなく、獅子でなければ張り合いがない!とはいえ、残念なことに時間切れよ。先ほどから儂のマスターが帰還しろと煩くて叶わぬ。まあ、楽しみも出来た。今日はここいらで引くとしよう」
 そういって、男はたんと、身軽な動きで背を向けてかける。
「ではな、年若いマスター。次は戦場で会おうぞ」
 
 幻想が消えていく。
 ぱらりぱらりと、まるで最初っからそこになかったかのように白い雪は溶けて消えた。
 すっと、白く小柄な男・・・あの槍使いの男がいうには、「シモ・ヘイヘ」というらしい・・・がすっと真面目な顔をして俺のいるほうにむかって歩み寄ってくる。
「とりあえず、追い返しとくだけ追い返しといたが、これでよかったか?」
 なんてことを言いながら手を差し伸べてくる。それで、思わず脱力して座り込んでいたことに気付いた。
「ああ、悪い・・・そのアンタに助けられた」
「何、俺は命令通りやっただけだ」
 いいながら、肩をすくめる白い男。

 その時、耳に聞き覚えのある少女の声と、全くない男の声が響いた。
「・・・っょと、ライダー、だから、勝手なことはやめてっていってるでしょ」
「はっはは、まあ、そう怒ることはないぞ、マスター。君は随分怒りっぽい。牛乳飲むかね?」
「いらないわよ!」
 ・・・ええと、聞き覚えある声と思ったけど、やっぱり気のせいかもしれない。

「さて、次のお客さんがきたみたいだ。で、どうするんだ、シェロ?」
 男は再び自分の身長ほどもあるモシン・ナガン銃を片手にそう尋ねてくる。
「いや、多分知り合いだ。大丈夫、アーチャーは下がっていてくれ」
「あいよ」

 そうして、運命《フェイト》一日目の夜が始まる。

「こんばんは、衛宮君」


  了



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