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[15302] 【完結】リリカルなのは ~生きる意味~(現実→リリカル オリ主転生 最強 デジモンネタ)
Name: 友◆ed8417f2 ID:11075f73
Date: 2015/01/12 02:39

前書き&警告





あけましておめでとうございます。
ゼロ魔版ととらハ版で、ゼロの使い魔と炎の使い魔とリリカルフロンティアを投稿している友です。
早速ですが、上記の2つの小説が行き詰ってしまい、気分転換に新しい小説を投稿する事にしました。




この小説を読むに当たっての注意点としては、


1、この上なく最強物です。


2、ご都合主義がオーバードライブします。


3、中途半端に原作崩壊すると思います。


4、勢いだけで書いています。


5、オリ主ですが、デジモンネタ満載になると思います。


6、その他にも、ネタが混じってくるかもしれません。


7、若干、管理局アンチになるかも知れません。


8、ハーレムです。



以上を読んで、気に入らない人は読む事をお勧めしません。

自己責任でお願いします。

それでも、読んでくれるという人は、お楽しみください。



[15302] プロローグ
Name: 友◆ed8417f2 ID:11075f73
Date: 2010/01/04 15:51
プロローグ いきなり転生。いきなり(俺的)死亡フラグ。



ふと目を覚ました。

しかし、自分の視界に写ったのは自分の部屋の天井ではなく、真っ白な空間。

「何処だここ?」

俺は思わず呟いた。

昨日、確かに俺は自分の部屋で寝たはずである。

俺はしがない中小企業の会社員で26歳。

仕事の出来は最悪(クビにならないのが不思議なくらい)。

特技は特になし。

趣味はTVゲームとかアニメとか、インターネット。

特にデジモンが大好きだ!

インターネットでは二次小説を読み漁るのが毎日の日課だ。

最近ではリリなのにはまったな。

自分の善い所は思いつかない。

悪い所は思いつきすぎで書ききれん。

まあ、現実逃避はこのぐらいにしておこう。

「っていうか、このパターンって、二次小説でよくある転生とかそういう系の出だしにそっくりでは?」

俺が疑問に思っていると、

「気が付いたか?」

目の前に突然老人が現れた。

「うおっ!?何者だ爺さん!?」

俺は驚いて尋ねた。

「信じられんかもしれんが、ワシは神じゃ」

その言葉を聞いて、俺は一瞬呆気に取られる。

「マジ?」

俺は思わず問いかける。

「マジじゃ」

その自称神の爺さんは即答した。

俺は半信半疑だったけど、話を勧める事にした。

「それで、その神様が何で俺なんかの前に?っていうか、ここは何処?俺はどうなったんだ?」

俺はさっきから気になってることを尋ねた。

「う・・・・む・・・・・」

神様は、口を濁す。

「真に言いづらいことなんじゃが、お主は死んだんじゃ」

「は?」

神様の言葉に、俺は思わず声を漏らした。

「ワシの部下のミスでのう・・・・・・間違って殺してしまったんじゃ・・・・・・・因みに死因は心臓麻痺じゃ」

その神様は申し訳なさそうに言っている。

「・・・・・・そうか・・・・」

俺は、自分が死んだと聞いても、さほど驚かなかった。

まあ、死因が心臓麻痺と聞いて、何処のデスノートだよと思ったのは秘密だ。

「俺は死んだのか・・・・・・お父さん、お母さん、先立つ不幸をお許しください・・・・・・・」

俺はとりあえず親より先に死んだ事の親不孝を謝罪した。

「で、俺が死んだのはいいけど、俺の行き先は地獄?それとも親より先に死んだから、三途の川の畔で石を積み続けなきゃいけないのか?」

俺は気になることを聞いた。

「いや・・・・お主、其処は怒る所じゃろ?こちらのミスで死んだんじゃぞ。それに、行き先は少なくとも、その2択ではなく、天国か地獄かと問うところではないのか?」

神様は呆気に取られたように尋ねてくる。

「ミスなんて誰にでもあるでしょ?ミスを如何こう言う資格なんて俺には無いし。普段からミスを連発している俺はミスぐらいで怒るなんてしないさ。後者の質問は、俺は善人のつもりは無いし。故意的に悪い事はしようなんて思わなかったけど、俺の行動は、結果的に悪い方向ばかりに行ってるし」

今言った通り、俺は普段の仕事からミスを連発している。

やる事なすこと全てが裏目に出て、悪い方向ばかりに行っている。

「お主・・・・・後ろ向きじゃのう・・・・・・・」

神様は呆れたように言ってくる。

「純然たる事実だ」

俺はきっぱりと言い放った。

「寧ろ死んだ方が世の為になったんじゃないのか?めんどくさがりの俺は、これといって生きる意味も無かったし。生物として、一番大事な子孫を残すことも、26歳の身にもなって、恋人どころか、女の知り合いが1人もいないんじゃ話にならんでしょ?」

「そこまで言うかのう・・・・・・」

「まあ、俺が生きてたのも、俺を育ててくれた親に感謝してたからだし、死ぬのが怖かっただけだからな・・・・・・死んじまったもんは仕方ないさ」

「お・・・・・・お主・・・・・・・」

神様はでっかい冷や汗を流している。

よほど呆れたことであろう。

「つ~わけだ。ミスを如何こう言うつもりはないから、地獄でも三途の川の畔でも案内してください」

「だからお主は、何故その2択なんじゃ・・・・・・・」

神様はそうため息を吐きながら言うと、顔を上げる。

「まあ、結論から言えば、お主には転生をしてもらう」

「転生?」

「うむ、記憶を持った転生じゃ。第2の人生を楽しむと良い。それに、今の話を聞いて、おまけを付けることにした」

「おまけ?」

俺はそのおまけという言葉が気になった。

「それは後々分かるわい。今度の人生では、幸せになるように頑張るんじゃな」

神様がそう言うと、指をパチンと弾いた。

すると、俺の意識はどんどんと遠ざかっていった。

「あやつ・・・・・神を同情させるとはなんちゅう奴じゃ・・・・・・」








そして、

「おんぎゃーーーーーーっ!!(うぉおおおおおおおおおおっ!?)」

俺は新たな両親の元に転生した。


















はい、俺の名前はユウ・リムルート、3歳だ。

俺が転生して早3年。

赤ん坊の3年間は恥ずかしいの連続でした。

思い出したくも無い・・・・・・・・・

3歳になって、ようやくある程度の事は1人で出来るようになったので、あの恥ずかしい日々からおさらば出来たのだ。

そうそう、どうやらこの世界は、「リリカルなのは」の世界らしい。

時空管理局やら魔導師やら、ロストロギアやらの話をよく聞くので、ほぼ間違いないだろう。

因みに、俺の両親は2人とも時空管理局の局員で、両者ともSSランクのスーパーエースらしい。

父親がレイジ・リムルート、近接戦闘の達人で、母親がリーラ・リムルート、こちらは砲撃の達人である。

2人揃えば勝てない物は無い最強コンビである。

なんじゃそりゃ。






それで今日。

両親の仕事場である、本局に来ています。

理由は俺の魔導師適正の検査。

両親がSSのエリートだから、その子供である俺はかなり期待されているらしい。

まあ、確かに両親ともアレだからな、期待されるのは仕方ない。

少なくとも、リンカーコアはあるだろうな。

もしAAA~Sぐらいあったら、原作に介入するのもいいかな~。






とか思ってたときもありましたよ。

しかし、実際は、予想の斜め上を行った。

「ユウちゃん!凄いわ!SSSランクオーバーよ!しかも炎熱と凍結の魔力変換資質持ちよ!」

母さんが嬉しそうに言った。

「は・・・・・・・?」

俺は思わず声を漏らす。

ちょっと待て!SSSオーバーってなんだ!?

それに魔力変換資質は持っていたとしても1つだけのはずだろ!?

「凄いぞ!流石私達の子だ!」

父さんも嬉しそうだ。

しかし、俺は内心気が気でなかった。

この結果を聞いて、この世界が全く知らない世界だったら、「最強オリ主キタァ~」とか言って、飛んで喜んでいただろう。

だが、この世界には、なのはが・・・・・・既に「主人公」がいるのだ。

まあ、この世界が完全に「リリカルなのは」と同じとは思っていないが、それでもなのはに主人公補正がかかっている可能性は高いだろう。

故に、俺はこう言おう。










「何その死亡フラグ」















[15302] 第一話
Name: 友◆ed8417f2 ID:11075f73
Date: 2010/01/04 15:52

第一話 永遠の別れと新たな出会い



ウィース!6歳になった利村 ユウです。

え?名前が違うって?

運命の悪戯かあの神の悪戯か。

現在の家は第97管理外世界の地球の日本。

利村というのは、日本での苗字です。

両親、俺共に黒髪なので、十分日本人で通じます。

しかも海鳴市ですorz。

そして、今年から入学する小学校は聖祥小学校ですorz。

ん?何で6歳で小学生なのかって?

俺は早生まれで1月25日が誕生日なのです。

まあ、なのはと同じ学年なのかも分かりませんが・・・・・・

ごめんなさい、同じ学年です。

現在のミッドチルダの新暦から逆算すると、丁度なのはと同じ学年です。

なのはと同じクラスじゃないことを祈るのみです。

死亡フラグがまた立ちそうです。

え?何でそれだけで死亡フラグなのかって?

決まってるじゃないか!初っ端から主人公を超える最強キャラはそれだけで死亡フラグなんだよ!

RAVEのゲイルとか、ダイの大冒険のアバン(最後には復活したけどキルバーンがいなかったらそのまま死んでたって話だし)とかバランとか、武装錬金のブラボー(生きてたけど死なせるかどうかで悩んだらしいし)とか、初代ロックマンXのゼロ(X2で復活したけど死んだ事には変わりなし)とか・・・・・・・・・

強キャラは死ぬ可能性が高いし、運が良くても後遺症が残る重傷を負うことが多いから・・・・・・orz

主人公の傍にいる最強キャラ。

思いっきり今の俺は当てはまりますorz。

とりあえず生き延びるために魔法の訓練とか、筋トレとかも欠かしてません。

そこで気付いたんだが、今回の人生のこの身体、無茶苦茶スペックたけーんだよ!

鍛えればガンガン身体能力上がってくし!

頭の方も、一度覚えた事は忘れねーし!

頭がよくなったのは純粋に有難いと思ったね。

前世では即行で忘れる頭をしてたからな。

未だに前世の事をはっきりと覚えてるのがその証拠だ。

ああ、唯一つだけ欠点があったね。

それは、魔力の制御が無茶苦茶下手糞ってところ。

魔力の手加減ができないんです俺。

魔力を出したり止めたりは出来るんだけど、その調節が全く出来ない。

つまり、0か100かってこと。

そのお陰で、管理局が使ってる普通のデバイスじゃ俺の魔力に耐え切れずに木っ端微塵。

幾つ壊したか、数えたくも無い。

ただ、2つだけ俺の使えるデバイスがある。

俺の父さんが使ってるブレイズと、母さんが使っているアイシクルだ。

2人のデバイスは、2人の魔力を存分に使えるようにした特注品らしい。

詳しい事は知らん。

その2つだけは俺の魔力に耐えることができる。

まあ、それぞれ両親が使ってるから今の俺はデバイス無しってこと。

とりあえず、小学校に入学しても目立たないようにしておこう。







俺の祈りも通じず、なのはと同じクラスになってしまいました。

この時のなのははまだ根暗だったんだっけ?

と、思ってたんだが、そんなことはなかった。

しかも、なのはには双子の姉がいて、高町 桜と言うらしい。

髪型はポニーテールだ。

恐らくその姉がいた為に、それほど根暗にはならなかった模様。

それとも、士郎さんが重傷を負ってないだけか?

どちらにしても、やはりこの世界は「リリカルなのは」とは違うと確信。

しかし、高町姉妹共にAAAの魔力資質を持っているため、原作に近い流れになる可能性も否定できない。

まあ、余り係わり合いにならない方が身のためだろう。






入学して1ヶ月がたった。

正直、授業がつまらん。

元々勉強が好きではない上、既に知っている内容を教えられても子守唄にしか聞こえない。

しかし、授業中に寝るのは拙いので根性でおきている。

小テストも何回かあったが、目立ちたくはないので70点前後をキープ。

良くは無いが、悪くも無い点数だ。

これなら、アリサにも目を付けられる事は無いだろう。

その代わり、目立ちたくない一心で行動しているため、自然と存在感が薄くなってるのか、俺には友達がいません。

まあ、精神年齢30歳越えで、小学生と遊べというのも厳しいものがあるが・・・・・・






で、そんなある日。

昼休みに弁当を食べて、何となく校庭を散歩していた時、

「ッ・・・・い、痛い・・・・・・・」

そんな声が何処からか聞こえた。

俺はその声の聞こえた方に行くと、

「・・・・・・高町?」

なのはが足を押さえて蹲っていた。

どうやら、足を痛めたらしい。

「大丈夫か高町?」

まあ、見て見ぬ振りするのもカッコ悪いので俺はそう声をかけた。

「え・・・・・?」

なのははこちらを振り向くが、誰?といった感じだ。

「同じクラスの利村 ユウだ。まあ、俺は存在感薄いし、分からなくても無理ないけど」

「あ・・・・・う・・・・・ご、ごめんね」

「謝らなくてもいいさ。それより、足、怪我してるんだろ?」

俺がそう聞くと、

「あ、ううん。大丈夫!」

なのはは、慌てたように足を引っ込め、立ち上がろうとする。

だが、

「あっ!いっ・・・・・!」

直ぐに足を押さえて蹲ってしまう。

「ほら、無理すんな」

なのはの前でしゃがむ。

「保健室まで連れてってやるから」

俺がそう言うと、

「そ、そんな、いいよ迷惑だし。自分で行けるよ・・・・・痛っ」

なのははそう言う。

「・・・・・・はぁ」

俺はため息を吐いた。

この世界のなのはは、根暗にはなっていないようだが、迷惑をかけないようにと「いい子」でいようとしてるのは変わりないらしい。

治癒魔法を使えば手っ取り早いのだが、まだ魔法と出会っていないなのはの前で使うことは出来ない。

まあ、流石に此処でほっとくのもアレなので、俺は強攻策に出た。

「最初に謝っとくぞ。悪いな」

「え?・・・・きゃっ!?」

俺は有無を言わさずになのはを抱き上げた。

俗に言うお姫様抱っこである。

身体を鍛えているのでこの位は余裕である。

前世の俺では考えられんな。

「えっ!?あのっ!利村君!?」

思ったとおり、なのはは恥ずかしいのか顔を真っ赤にしている。

「ほらほら、騒ぐと誰かに見られる可能性が上がるから黙っててくれ」

「あ、あぅ・・・・・・・」

それで気付いたのか、縮こまって大人しくなる。

それを確認すると、俺は保健室へ向かった。





運良く誰ともすれ違わずに保健室に着いた俺は、保険の先生に任せて保健室を出ようとした。

「あ、あのっ、利村君!」

部屋を出る前に声をかけられ、俺は振り向く。

「そ、そのっ・・・・・・あ、ありがとう」

なのはは、顔を赤くしながらお礼を言ってきた。

「どういたしまして」

俺はそう言って部屋を出た。

そういえば、顔を赤くしていたが、

「もしかして・・・・・・フラグ立った?・・・・・・まさかな、ありえん」

俺は、一瞬よぎった有り得ない考えを即座に否定し、教室に向かった。







それから8ヶ月。

今日は俺の誕生日である。

両親は管理局のエースであり、忙しいが、この日だけは必ず帰ってくる。

なまじ俺が大人っぽいせいで、構っている時間は少ないが、その辺はちゃんと俺も理解しているので、関係が悪いという事は無い。

っていうか、誕生日が楽しみって・・・・・・

精神が身体に引っ張られてるのかな?

と、その時部屋の中に、転送用の魔法陣が浮かび上がる。

お、来た来た。

俺はそう思って、魔法陣から少し離れる。

そして、転移が完了すると・・・・・

――カツーン

「え?」

俺は思わず声を漏らす。

オレンジ色の宝石と青い宝石だけが転移されてきた。

そして、その宝石には見覚えがある。

「ブレイズ!アイシクル!」

その宝石は両親のデバイスであるブレイズとアイシクル。

「どうして!?父さんと母さんは!?」

『坊ちゃま・・・・・・・・マスターたちは・・・・・・・』

ブレイズが言いにくそうに言葉を紡ぐ。

「おい!どうしたんだよ!父さんと母さんは如何したんだよ!?」

嫌な予感がした。

『マスターたちは・・・・・・・・死にました・・・・・・・』

その瞬間、俺は頭の中に物凄い衝撃を受けた。

「おい・・・・・嘘だろ・・・・・?嘘って言えよ!おい!」

俺は思わずブレイズとアイシクルを拾い上げて叫んだ。

2つのデバイスは何も言わず、記憶したと思われる映像を映し出した。






映像には、とある無人世界と思われる緑に覆われた場所を映し出した。

そして、その中に存在する魔法生物とそれと戦う両親を含めた管理局員たちがいた。

だが、その魔法生物は強力で、まともに戦えているのは俺の両親の2人だけでしかない。

他の局員たちは次々と負傷し、戦闘不能になっていく。

そんな中、両親は魔法生物と渡り合う。

しかし、その魔法生物のスピードは速く、甲殻も硬い。

やがて両親も押され始める。

俺は、この魔法生物に両親が殺されるのだろうと思っていた。

しかし、両親は一瞬の隙を突いて、その魔法生物にバインドをかけた。

2人が全力を出して、何とかその魔法生物の動きを止められるようであり、両親も必死だ。

だがその時、モニターに両親の上司と思わしき人物が映り、

『これよりアルカンシェルを使用する。レイジ・リムルート執務官とリーラ・リムルート執務官補佐以外は直ちに撤退!執務官、執務官補佐両名は、そのまま敵の捕縛を続けたまえ!』

「なっ!?お待ちくださいクルーザー提督!それは私たちに死ねと!?」

父さんは叫ぶ。

『異論は認めない!これは命令だ!』

通信は、それだけ言って一方的に切れた。

「提督!提督っ!!」

父さんは叫ぶが、反応は無い。

周りにいた局員は転送されていき、誰もいなくなる。

「ぐ・・・・・・リーラ。お前だけでも逃げろ」

父さんは母さんにそう呼びかける。

「それは無理よ。これは貴方だけでは抑えきれないわ」

母さんはそう言った。

「だ、だが!ユウはどうなる!?」

「あの子なら大丈夫。昔からしっかりしてるもの。私たちが居なくてもきっと大丈夫・・・・・・」

母さんはそう呟く。

「・・・・・・そうだな・・・・・そのお陰で、余り甘えてもらえなかったからな・・・・・・」

「本当ね・・・・・・考えてみれば、余りにもしっかりしてたから、仕事を優先して構ってあげる時間がとても少なかったわ・・・・・・・今更気付くなんてね・・・・・・」

父さんの言葉に、母さんは自傷気味に笑った。

「ブレイズ、アイシクル。お前たちにユウのことを頼みたい」

『そんな!マスター!』

父さんの言葉にブレイズが叫ぶ。

「ここでバインドを張り続けているだけなら、貴方たちの補助は要らないわ。だから、ユウを・・・・・・私達の息子をお願い・・・・・・」

『マ、マスター・・・・・・・イ、イェス・・・・・・マスター・・・・・・・・』

母さんの言葉の重みを受け取ったのか、アイシクルはその願いを受け入れた。

「ありがとう・・・・・」

母さんはブレイズとアイシクルに礼を言う。

「聞こえるか?ユウ。すまない、折角の誕生日なのに、父さんと母さんは帰れそうにない」

父さんがそう謝罪する。

「ゴメンね、ユウ。誕生日プレゼントなんだけど、貴方は前からデバイスを欲しがっていたわね?本当なら、新品のデバイスをプレゼントしたかったんだけど、私達が手に入れられたのは、かなり高性能のインテリジェントデバイス。それでも、貴方の魔力量には耐え切れないわ。だから、母さんたちのお古で悪いんだけど、ブレイズとアイシクルを貴方に送るわ」

「私達が手に入れたインテリジェントデバイスは、私達のタンスの中にある。如何するかは、お前が決めなさい。そして、お前は幼いながらも大人の考えが出来る子だ。だから、この映像を見て、お前は管理局を恨むかもしれない。それについては、恨むなとは言わない。だが、それを生きがいにはしないで欲しい・・・・・・・私達が望むのは、お前の幸せだ」

「私達は、余り親らしい事はしてあげられなかったけど・・・・・・・貴方の事は、本当に愛しているわ。私達の息子、ユウ」

「すまない、ユウ。これでさよならだ」

父さんと母さんは顔をあげると微笑み、

「「誕生日おめでとう、ユウ」」

その言葉を最後に、映像は途切れた。






「・・・・・・・・・父さん・・・・・・・母さん!」

俺はその場で蹲り涙を流す。

『『坊ちゃま・・・・・・』』

俺は、何も考えられないまま立ち上がり、外へ向かう。

外は激しい雨が降っていたが、俺はそんな事を気にもせずに外に出た。

目的があったわけじゃない。

ただ、ジッとしていたくなかった。

俺は目的もなく町を彷徨う。

やがて、臨海公園に辿り着いた。

海は荒れており、公園内に水飛沫が降り注ぐ。

俺はその水飛沫をモロに受けるが、それでも気にはならなかった。

俺は、雨で分かりづらいが、ずっと涙を流し続けている。

「父さん!・・・・・・母さん!」

例え前世の記憶があったとしても、あの2人は紛れもなく俺の父さんと母さんだった。

その2人が死んだと頭で分かっていても、認めたくはなかった。

その時、視界の片隅に何かを捉えた。

「え・・・・・・?」

こんな心理状態で、何故気付いたのかわからない、ただ気になった。

俺は其方に歩いていく。

そこにいたのは、1匹の猫だった。

しかし、僅かだがその猫には魔力を感じた。

そして、良く見ればその猫の額には宝石のような物。

其処から導き出される結論は、

「・・・・・使い魔・・・・・か?」

俺は呟く。

『そのようです。しかし、契約が切れているようなので、間も無く消滅するでしょう』

アイシクルがそう説明する。

その言葉を聞き、俺はその猫に念話で呼びかけた。

(聞こえるか?)

(・・・・ぅ・・・・・・え?)

その猫は頭を上げ、此方を見つめた。

(あ・・・・・あなたは?)

(・・・・・・唯の通りすがりの魔導師さ・・・・・・・・1つ聞く・・・・・・生きたいか?)

(え?)

(生きたいのかと聞いているんだ・・・・・・・このまま消滅してもいいのか?)

(・・・・・・・私は・・・・・・唯の使い魔です・・・・・・契約が終われば、後は唯消えるだけです)

(使い魔の役目を聞いてるんじゃない・・・・・・君の気持ちを聞いてるんだ)

(・・・・・・・私は・・・・・・・消えたくありません・・・・・・)

その言葉を聞けただけで十分だった。

(分かった・・・・・俺と契約しよう。契約内容は「一緒に居て欲しい」だ)

(え?その契約内容では・・・・・)

猫も、契約内容に束縛能力が無いことに気付いただろう。

(構わない。俺は君を束縛するつもりは無い。元の主の所へ戻りたければ戻ればいいし、別の場所へ行きたければ行けばいい。契約内容は俺の願いだ。もちろん、君がその願いを聞く必要は無い)

(そ、それは・・・・・・いえ、契約しましょう)

その猫は一瞬渋ったが、気を取り直して契約を受け入れる。

俺は魔法陣を発生させ、使い魔との契約を行なう。

俺のリンカーコアからラインが繋がり、目の前の猫の使い魔に流れていくのが分かる。

「な、なんですかこの魔力量は!?」

目の前の猫が声を上げて叫んだ。

どうやら俺の魔力量にビックリしているらしい。

「落ち着いて。言い忘れたけど俺の魔力ランクはSSSオーバーだ」

「な、なんですかそれは!?」

その言葉に更に驚く猫の使い魔。

「その辺の話は家に帰ってからするよ。とりあえず、俺の名前は利村 ユウ。本名は、ユウ・リムルート。君の名前は?」

「あ、失礼しました。私はリニスと申します」

その聞き覚えのある名前を聞いた瞬間、俺は固まった。

「リ、リニス?プレシア・テスタロッサの使い魔の?」

俺は思わず呟いた。

「え?そうですけど・・・・・・良く知ってますね?」

「そ、そのプレシアには、アリシアって言う娘が居たり・・・・・・?」

「はい・・・・・その通りです・・・・・・」

続けてリニスは頷く。

「も、もしかして、アリシアの遺伝子を元にプロジェクトFでフェイトって言うアリシアのクローンを生み出したりなんてしちゃってたり?」

俺は半ばテンパって尋ねた。

「ななな、何で知ってるんですかぁ~~~~!?それを知っているのはプレシアと私とアリシアと、あとはごく一部の研究者だけですよ!!」

リニスはメチャクチャ驚いたように叫んだ。

って、ちょっと待て、今聞き捨てなら無いことが・・・・・・・

「え?アリシアって、もしかして生きてる?」

「当たり前じゃないですか!それよりも、何であなたがプレシア達の事とフェイトの正体を知ってるんですかぁ~~~~!?」

そういわれて、俺はまずったと感じた。

テンパってて喋りすぎた。

「・・・・・あ~っと・・・・・その辺は家に帰ってからな」

「仕方ないですね。ちゃんと教えてもらいますからね!」

俺は冷や汗を流しながら、やはりこの世界は「リリカルなのは」とは違うのだと、再度確信させられた。






家に着くと、俺はリニスに説明を始めようとしたが、

『坊ちゃま、先ずはお風呂に入ってください。そのままでは体調を崩してしまいます』

ブレイズの言葉で、今の自分はずぶ濡れである事に気付く。

「それもそうだな」

俺は風呂場に向かい、浴槽に湯を張る。

脱衣所で濡れた服を脱ぎ、風呂場に入る。

1人になると、両親を失った悲しみが再び湧き上がる。

俺が涙を堪えていた時、

――ガチャ

と、風呂場のドアが開き、

「失礼しますね~」

猫耳を生やした茶髪の女性が裸で入ってきた。

アニメで一度だけ見た、リニスの人間形態である。

「ぶはっ!?」

俺は思わず噴出す。

「ななな、何しに来たんだよリニス!」

「あら?良く分かりましたね?」

取り乱して叫ぶ俺に対して、リニスはあっけらかんと言う。

「そ、そりゃあ、その猫耳を見れば、大体の見当はつくよ・・・・・」

本当はアニメを見たからなのだが、今の所はそう言っておく。

「それもそうですね」

リニスは、自分の頭の猫耳を触りながら言う。

ま、前隠せ!前っ!

「で、で?な、何しに来たんだ!?」

俺がそう尋ねると、

「はい。背中を流しますよ」

リニスはそう答える。

「い、いや、そんな事までやってもらわなくても大丈夫だよ」

「貴方みたいな子供が遠慮する事無いですよ。それっ♪」

リニスは楽しそうな声を上げ、強引に俺の身体を洗い始める。

と、時々やわらかい物が身体に当たって、気が気でない。

まあ、身体は幼い為に反応はしなかったが、心は30歳過ぎているため、否応なく女性の裸体に目が行こうとする。

い、いかん!煩悩退散煩悩退散!!

このように天国のようで地獄の入浴は過ぎていった。






で、現在家のリビングでリニスと向かい合ってます。

「さて、それでは、何故貴方がプレシア達の事や、フェイトの正体を知っているのか教えてもらいましょうか」

リニスの目は、さっきとは打って変わって真剣である。

まあ、俺も誤魔化すつもりは無い。

「信じられないかもしれないけど、俺には前世の記憶がある。因みに死んだ歳は26歳だったから、今の精神年齢は30歳超えてるな」

「『『え?』』」

俺の言葉に、リニスと2つのデバイスは声を漏らす。

「で、その前世ではとあるアニメが放映されていて、「魔法少女リリカルなのは」というタイトルだった。まあ、詳しい話は省くけど、そのアニメの世界観とこの世界は細かい差はあれど、そっくりなんだ」

「・・・・・・・・」

リニスは俄かには信じられないといった顔だ。

「まあ、信じられないのも無理は無いけど・・・・・・」

俺はそう呟くが、

「いえ、ユウと私は現在精神も僅かにリンクしています。少なくとも、ユウが嘘をついていない事は分かります」

「あ、そうなの」

『それに、坊ちゃまの言うとおりであれば、坊ちゃまが昔から大人びた考えを持っていたことも説明がつきます』

アイシクルもそう言って、信じてくる。

「ユウ、続きを」

リニスが先を促す。

「あ、ああ。それで、そのアニメの登場人物の中に、フェイトやプレシア、アリシア。そして、リニスもいたんだ。尤も、アリシアはかなり昔に事故で死んだって言う設定だし、リニスもフェイトに魔導師としての訓練を施した後、契約が切れて消滅してるって話だ」

「・・・・・・・」

リニスは、なんとも言えない顔をしている。

「プレシアは、死んだアリシアを生き返らせたいがために色々な事を行なった。その中で、プロジェクトFと呼ばれる人造魔導師を生み出す計画に手を出し、フェイトを生み出した。けど、フェイトはアリシアとは全く違っていた。それによって、フェイトを自分の娘と認められなかったプレシアは、フェイトの虐待を続け、最終的に、失われたアルハザードへ行くために、ロストロギア「ジュエルシード」を求めた。プレシアはジュエルシードの回収をフェイトに命じ、フェイトはプレシアに笑ってもらいたい一心で、ジュエルシードを回収していった。その中でフェイトは、物語の主人公である高町 なのはと激突を繰り返し、最終的に分かり合えるが、プレシアはジュエルシードの暴走によって発生した虚数空間に、アリシアの遺体と共に落ちていった。と、掻い摘んで言えばこんな感じ」

「・・・・・・そうですか」

リニスはそう呟くと顔をあげる。

「人物は兎も角として、出来事は全く違いますね」

リニスはそう言った。

「そうなのか?」

「ええ。先ず第一にアリシアは生きてます」

「うん。それはさっきも聞いた。・・・・気になったけど、アリシアって何歳なんだ?」

「今年で7歳になります」

「そっから違うのか・・・・・・ん?じゃあ、何でフェイトが生まれたんだ?俺が知ってるアニメではアリシアが死んだからプレシアは違法行為にまで手を染めたんだが・・・・・・・」

「あ~~~・・・・・・それは・・・・・その~~~~~~」

リニスは口を濁す。

そして、目を合わせようとしない。

「どうした?」

俺は尋ねる。

「・・・・・・・・・アリシアが5歳の時に、「妹が欲しい」と言ったらしく・・・・・・その時にはプレシアの夫も既に他界していて・・・・・・・アリシアの願いに答えたいが為に・・・・・・・・・・」

「プロジェクトFで、フェイトを生み出した・・・・・と?」

「その通りです・・・・・・」

リニスは頭を抱えるような仕草をする。

「む、娘の鶴の一声で、違法行為に手を出すって、どんな親ばかだよ・・・・・」

俺は呆れ半分でそう言った。

「ご尤もです・・・・・・」

リニスもやや暗い雰囲気を漂わせる。

「ん?じゃあ、何でプレシアはフェイトって名付けたんだ?フェイトって言うのは、プロジェクトの名前だから、リニスの言うプレシアならもっと違う名前を付けてもよさそうなんだけど・・・・・・」

「はい・・・・・・プレシアも本来は、違う名前にする心算だったらしいのですが、アリシアがプロジェクト名を聞いたときに、「じゃあ私の妹の名前はフェイトだね!」って言い出しまして、結局その名がそのまま定着してしまったんです」

「あはは・・・・・・子供らしいな・・・・・・」

俺はその話を聞いて苦笑する。

「とりあえず、アニメみたいな事態にはならないようだな」

俺はそう呟いた。

















ん?じゃあ、なのはとフェイトの友達イベントがつぶれたって事か?















[15302] 第二話
Name: 友◆ed8417f2 ID:11075f73
Date: 2010/01/04 15:55

第二話 原作開始前まで




リニスとの情報交換を終えて少しすると、俺は再び両親を失った喪失感に襲われた。

突如様子の変わった俺にリニスは驚いたが、再びブレイブとアイシクルが例の映像を流し、リニスに説明した。

すると、リニスは俺を抱きしめ、

「泣けば良いじゃないですか。前世の記憶があると言っても、今の貴方は7歳の子供なんですから」

リニスにそう言われ、俺は我慢が出来なくなった。

「くっ・・・・・うっ・・・・・うあっ・・・・・・うあああああああああああああああああああああああっ!!!」

俺は、生まれ変わってから初めて、思いっきり泣いた。







【Side リニス】





私は今日、消滅する筈だった。

プレシアは契約を続けても良いと言ってはいたが、私は思った以上に高度な使い魔で、プレシアの負担になることは分かっていた。

これ以上の契約は、プレシアの害になる。

そう判断した私は、プレシアとの再契約を断り、アリシアと、教え子であるフェイト、その使い魔であるアルフには何も言わず、誰の目にも留まらないところで消えようと思っていた。

ランダムで転移した先は、第97管理外世界 地球。

転移した所は、雨が降っていた。

転移によって魔力が尽きたため、私はその場で倒れた。

あと5分ほどで消えるだろうと思っていたときだった。

誰かが念話で話しかけてきたのだ。

私は、何とか頭を上げ、その人物を視界に捉えた。

その人物は少年だった。

歳は、アリシアやフェイトと同じぐらいだろうか?

だが、その瞳には深い悲しみが浮かんでいた。

その少年から、「生きたいか?」と問われ、最初は断った。

しかし、再度問われたとき、プレシアやアリシア、フェイト、アルフの顔が浮かび、私は思わず「消えたくない」と答えてしまった。

その少年は私と契約するといったが、その契約内容は、「一緒にいて欲しい」という、束縛能力が全く無いものであった。

私はその事を伝えようとしたが、その少年はその事は分かっているようだった。

彼は、とても優しい心の持ち主なのだとわかった。

そして、私はその契約内容で契約した。

そこで驚いた。

少年と契約を繋ぎ魔力のラインが通った瞬間、大魔導師と呼ばれたプレシアですら比較にならないほどの魔力が流れてきた。

その少年が言うにはSSSオーバーという話だが、この魔力量なら納得できる。

それから、私の名前を言った時、彼は驚いた顔をして、私がプレシアの使い魔であったことや、アリシアのこと。

更には私たちしか知らないはずのフェイトの正体まで言い当てて見せた。

それが気になった私は、彼を問い詰めようとしたが、「家で話す」と言われてしぶしぶ納得した。

それに、それ以上に気になったのは、精神リンクから感じ取れる彼の心。

現在の彼の心は非常に不安定だ。

ここで問い詰めるのは得策ではないと思った。

彼の家に着いた時、彼は話し出そうとしたが、デバイスの助言により、先にお風呂に入ることにしたらしい。

しかし、彼がお風呂に入って少しすると、精神リンクから、彼の悲しみが伝わってくる。

その悲しみに耐えられなかった私は、人間形態となって、風呂場へと向かった。

突然入ってきた私に彼は驚いたようだが、その甲斐あって、彼の心の悲しみは薄らいだ。

それでもおかしいですね。

この位の歳なら、女性に欲情などするはず無いのですが。

彼の顔を真っ赤にする反応を見て私はそう思った。

そういえば、何処となく対応も大人っぽかったですね。

どういう事でしょうか?

その時の私はそう思っていたが、その後の話を聞いて、彼は前世の記憶があり、精神年齢が30歳超えであることを知って納得した。

アニメ云々の話は、正直信じられませんでしたが、少なくとも彼が嘘をついてないことはわかります。

その話が終わった後、彼の心が突然悲しみに溢れかえりました。

彼の、いえ、正確には彼の両親のデバイスが記録した映像を映し出し、彼の両親の最後を見せました。

それを見た瞬間、私は思わず彼を抱きしめました。

そして、こう言いました。

「泣けば良いじゃないですか。前世の記憶があると言っても、今の貴方は7歳の子供なんですから」

その言葉で、彼は耐え切れなくなったのか、大声を上げて泣き始めました。

そして、彼が泣き疲れて眠るまで、私は彼を抱きしめ続けました。

私は泣き疲れて眠っている、新たな主であるユウを見つめ、頭を撫でながら思う。

私は彼を支えたい、と。

そして呟く。

「プレシア、アリシア、フェイト、アルフ・・・・・・私はユウの使い魔になります・・・・・・・・・何時会えるか分かりませんが・・・・・・生きていればきっと会えます・・・・・・・・・・それまで、お元気で・・・・・・・」

私は、彼の「一緒に居て欲しい」という契約内容であり、願いを受け入れた。






【Side  Out】






翌日。

あの後、泣き疲れて眠ってしまったらしい。

既に次の日の朝だった。

運よく今日は休日なので、ゆっくり休める。

すると、台所の方からいい臭いと、トントンという包丁を使う音が聞こえてきた。

俺は気になり、ベッドから降りて様子を見に行った。

そして、台所には、

「あ、おはようございます、ユウ。もう少しで朝食の用意が出来るので待っててくださいね」

リニスがエプロンをして、料理本を片手に朝食の用意をしていた。

俺は一瞬呆気に取られる。

「リ、リニス・・・・・・?」

「なに呆けているんですか、ユウ。あ、もしかして、私が家事を出来ないとでも思っていたんですか?これでも家事は得意な方なんですよ。まあ、この世界の朝食については知らないので、料理本任せなんですけどね」

リニスはそう言って微笑む。

「リ、リニス・・・・・何で?」

何で居てくれるのかと問おうとした所。

「私は貴方の使い魔ですよ。それに、契約内容は「一緒に居て欲しい」って言ってたじゃないですか。だから、私は自分で考えて、貴方と一緒に居ると決めたんです」

リニスの言葉に、自然と涙が零れた。

「・・・・・・ありがとう」

「いいえ。じゃあ、朝食にしましょう」

「ああ!」






リニスの作った朝食は美味かった。

本当に初めて和食を作ったのかって思えるぐらいだ。

朝食を終え、リニスが洗い片付けをしている時、

――ピンポーン

と、呼び出しベルが鳴る。

「あ、リニス。俺が行くよ」

「では、お願いします」

俺はリニスに声をかけて玄関に向かう。

俺が玄関を開けると、

「ユウ・リムルート君だね?」

知らないおっさんがいた。

それでも、俺の本名を知ってるって事は管理局関係か。

「どなたですか?」

俺は念のために尋ねる。

「私は時空管理局の者だ。君に重大な知らせがある」

その言葉を聞いて、俺は恐らく両親のことだろうと予想した。

「君の両親だが・・・・・真に残念な事に、異世界での任務中に魔法生物と戦闘になり、亡くなった」

「・・・・・・・・そうですか・・・・・・・父さんと母さんの最後は・・・・・・」

「2人とも立派だった・・・・・・2人は普通に立ち向かって敵わぬと見るや、その身を犠牲にした自爆魔法で、魔法生物と相打ったのだ」

そのおっさんは、それらしい雰囲気でそう説明する。

だが、その瞬間、俺の心には怒りの炎が沸きあがった。

「それで、君のこれからだが、管理局の児童施設で保護する事に決まった。君は両親の才能を余すことなく受け継いだ天才だからね。将来は両親以上の管理局員になれることだろう。さあ、来たまえ」

そう言って、そのおっさんは手を差し伸べてくるが、俺は許せなかった。

あの状況を見れば、両親に対する対応はともかく、最善の手だったに違いない。

此処で、本当の事の結末を言って、両親に対する謝罪があれば、俺はそれで許す心算だった。

だが、謝罪どころか、事の結末を隠蔽した管理局を俺は許せなかった。

「・・・・・・・・・出てけよ・・・・・」

俺は呟いた。

「何?」

そのおっさんは、怪訝な顔をする。

「出てけッつったんだ!!」

俺は叫んだ。

「な、何を!?」

「俺はもう管理局なんかに頼る心算は無い!!管理局が俺に関わるな!!いいから出てけっ!!」

俺の怒りの言葉と共に、体中から魔力が溢れ出す。

「ぐぬっ!?」

その魔力の噴出にたじろぎ、管理局員と思われるおっさんは下がる。

「両親を失ったことによる錯乱か!?仕方ない、力ずくで!」

そのおっさんはデバイスを展開し、バインドで俺を縛り付ける。

だが、そんな物は無意味。

「あああああああああああああっ!!!」

咆哮と共に更に激しく噴出す魔力にバインドは弾け飛ぶ。

「なっ!?バカなっ!」

そのおっさんは驚愕する。

その瞬間、

「其処までです!」

いつの間にか、俺の目の前にリニスがいて、手から発生させた黄土色の魔力刃をおっさんに突きつけていた。

「貴方が何者か知りませんが、ユウに手を出すのならば容赦はしません」

リニスはそう言い放つ。

「や、やめるんだ。私は時空管理局員だ。その子を保護しに来たんだ」

「ユウ?」

おっさんの言葉に、リニスは魔力刃を突きつけたまま、俺に呼びかける。

「俺は管理局の世話になる心算は無い。出てってくれ」

俺は、おっさんにそう言った。

「そういう事です。お引取りください。この子の生活が心配で保護するというのなら、これからは私が面倒を見ます。この家の貯えも確認しましたが、ユウが成人するまでの貯えは十分あります。ご心配なく」

そう言って立ちはだかるリニスの気迫に押されたのか、おっさんはそそくさと、逃げるように去っていった。

「ふう・・・・・・」

リニスは一度ため息をつくと、

「それにしても、何をあんなに怒っていたのですか?」

リニスはそう尋ねてくる。

俺は先程おっさんから言われたことをリニスに話した。

「・・・・・・・ふざけていますね!」

リニスも怒りを露にした。

俺は、ずっと考えていた事をリニスに話した。

「リニス、俺に魔法を教えて欲しい・・・・・」

俺の言葉に、リニスは頷いた。

「もちろんです。ちょっとスパルタでいきますよ」

リニスの答えに、俺は微笑んだ。






それから1ヶ月。

学校から帰った後、夕方はトレーニング。

夜は魔法の勉強。

休日はリニスと共に魔法の実践。

リニスは俺と契約した所為か、SS並みの能力を誇っている。

父さんと母さんのデバイスである、ブレイズとアイシクル共に俺とは相性が良く、2つとも俺を認めて「坊ちゃま」から「マスター」になった。

因みに、俺のバリアジャケット姿だが、前世からの趣味丸出しと言っておこう。



それから、度々管理局や親戚を名乗る人物がやってきて、何かと俺に取り入ろうとしてきたが、管理局員はもとより、親戚を名乗る人物も見覚えが無かったので、丁重に御帰りいただいた。

もし本当に親戚だったとしても、知らない人は他人と変わりない。

しつこい奴は、少々乱暴になったが・・・・・・・・

そんなある日。

――ピンポーン

玄関のベルが鳴る。

「・・・・・・また管理局か?」

やれやれと思いながら、俺は玄関へ向かう。

玄関を開けると其処には、

「久しぶり・・・・・でいいのかしら?私を覚えてる?ユウ君」

翠の髪を後ろで縛った見た目20代の女性。

「・・・・・・はい・・・・・・お久しぶりです・・・・・・・・リンディさん」

原作の登場人物でもある、リンディ・ハラオウンがそこにいた。

実は、母さんとリンディさんは同期であり、友人だった。

かなり小さい頃だが、俺とも面識がある。

まあ普通の子供なら覚えていないだろうが。

「ご両親の事は、残念だったわね・・・・・・」

リンディはそう呟く。

「いえ・・・・・・」

「それから・・・・聞いた話だけど、あなたは管理局の保護を断っているそうね」

「・・・・・はい」

「・・・・どうして?」

「・・・・・管理局に関わりたくないだけです」

「・・・・・・・・管理局の事が、信じられない?」

「・・・・・・・信じたくない・・・・・と言った方が正確ですね」

リンディさんの言葉に、俺は答えていく。

その時、

「ユウ、また管理局の人間ですか?」

リニスが家の中から現れる。

「ああ。管理局の人だが、母さんの同期で、一応知り合いのリンディ・ハラオウンさんだ」

「そうですか。初めまして」

リニスはリンディさんに一礼する。

「ええ。初めまして、リンディ・ハラオウンです。貴女は?」

「失礼しました。私はユウの使い魔で、リニスと申します」

「ユウ君の・・・・・使い魔?」

「正確には、契約が切れて消滅寸前だったリニスと再契約しただけですが・・・・・」

俺は、補足して説明する。

「そう・・・・・」

「失礼ですがリンディ。ユウを保護しに来たというのなら、このままお引取りください。ユウは、管理局にはいきません」

「なっ・・・・・」

「リニスの言うとおりです。俺は管理局を全く信用して無いので。では」

俺はそう言うと、玄関を閉めた。

「ちょ・・・・」

リンディさんは何か言ったようだが、俺は構わずにドアを閉めた。

「・・・・・・・・・取り付く島もなし・・・・・・か・・・・・・・」

リンディさんは少し悲しそうに呟いて、家の前を去っていった。







それから1年。

もう直ぐ無印の開始時期だが、ジュエルシードが海鳴市にばら撒かれるかどうかも分からないし関わるつもりも無いが、準備しておくに越したことは無い。

それで、俺は現在図書館に来ている。

理由は、応急処置関係の本を読むためだ。

今の俺の頭は一度覚えた事は大概忘れないため、本を読むだけでも直ぐに覚わる。

応急処置なら治癒魔法を使えばいいと思うが、万が一魔法とは関係ない人が巻き込まれた時の為だ。

まあ、関わらないですむならそれに越したことは無いんだけど・・・・・・生まれつき死亡フラグが立っている身としては。

とまあ、そんなこんなで本を探していると、車椅子の少女が少し高い所にある本を取ろうと手を伸ばしているではないか。

まさか、こんな所ではやてと遭遇するとは・・・・・・

まあ、見て無ぬ振りはカッコ悪いので、

「どれを取ろうとしてるんだ?」

とりあえず声をかける。

驚いたはやては此方を向いた。

「どれ?」

俺はもう一度尋ねる。

「あっ、そ、そのもう2つ右の奴です」

「これか?」

その本を取り出す。

「はい、そうです」

そして、俺ははやてに本を差し出す。

「おおきに」

そう笑顔でお礼を言ってきた。

その後、俺の顔をじっと見てくる。

「な、何?」

「いやぁ、おんなじ位の歳やなぁ」

「まあ、俺は8歳だけど、早生まれだからついこの間8歳になったばっかだな」

「そうなんか?私も8歳なんや」

「そうか、え~と、俺は利村 ユウ。君は?」

知ってるけど、一応尋ねる。

「あ、私は八神 はやていいます」

「八神だな」

「はやてでええで」

「そうか、なら俺もユウで構わない」

「ユウ君やな。よっしゃ、覚えたで」

俺たちはそのまま本を読むための机に向かう。

まあ、世間話ぐらいなら大丈夫だろう。

まだヴォルケンリッターは出てきてないはずだし、もし襲われたとしても、今なら余裕で返り討ちにできるだろう。

襲われたくは無いけどな。

「うわっ!ユウ君難しそうな本読んでるな」

はやてが、俺の読んでいる本を見てそう言った。

まあ、応急処置の為に、医学関係の本だからな。

「そういうはやては何読んでるんだ?」

「私は料理の本やで。私、料理が趣味なんや」

「そうか・・・・・」

はやては、明るく振舞っているが、俺と同じく両親がいないんだよな。

俺にはリニスやブレイズ、アイシクルがいたけど、はやてはずっと1人なんだよな・・・・・・

足も悪いってことは、闇の書の主だろうし・・・・・・・

まあ、下手に原作に関わって世界滅亡なんて洒落にならんから、放置しとくしかないだろうな。

気がつけば、結構な時間が経っていた。

「そろそろ帰らなきゃな・・・・・」

俺はそう呟くと立ち上がる。

「あ、もう帰るんか?」

そういうはやての顔は少し寂しそうだ。

俺は軽くため息をつくと、

「はやて、俺を見かけたときは気軽に声をかけていいからな」

その言葉を聞くと、はやては驚いた顔をして顔をあげる。

「うん!」

そして、笑顔で頷いた。

俺は、本を返して図書室を出ると、軽く頭を抱えた。

「あ~~~~~。何で原作には関わる心算は無いのにあんなこと言っちまったんだろ」

軽く嘆いた。

『マスターは自分で思ってるほど冷たい人間ではありません』

『そうです。マスターは優しい人なんですから』

2つの相棒がそれぞれそう言ってきた。

「俺は優しくないよ。臆病なだけさ」

『相変わらずですね、マスター』

相棒の言葉に苦笑すると、まだ寒い2月の空を見上げた。







あとがき



やってしまった。

妄想全開小説。

勢いのみで書いてます。

話が強引なのは勘弁してください。

では。




[15302] 第三話
Name: 友◆ed8417f2 ID:11075f73
Date: 2010/01/05 00:19



第三話 無印開始。




その夜、海鳴市全体に降り注ぐ魔力反応を感じた。

あれ?やっぱジュエルシードは落ちてきたんか。

まあ、関わる心算は無いので放置しておく。

リニスがその魔力反応について聞いてきたが、前世のアニメの事を話し、放置するという事を伝えた。

下手に首突っ込んで被害が大きくなったら洒落にならんからな。

更に深夜。

(・・・・・誰か・・・・・僕の声を聞いて・・・・・・力を貸して・・・・・・魔法の・・・・・力を・・・・・・・)

ユーノの念話か。

とりあえずは原作通りだな。

ユーノには可哀想だがこれも放置。

明日になったらなのはが気付くだろうし・・・・・・・

じゃあ、お休み。




翌日。

とりあえず、何事も無く1日が終わった。

ユーノの様子を見に行くという選択肢もあるが、係わり合いにはなりたくないので、さっさと帰る。

その夜。

再び魔力反応を感じる。

そんな時、

『マスター・・・・・本当に放っておいていいんですか?』

ブレイズから声がかかる。

「ああ。俺が下手に介入して被害が大きくなったら大変だし」

何より、死亡フラグが立っている身としては、命の危険があることは、御免被りたい。

『マスターは、本当にそれで後悔しないんですか?』

「・・・・・・・・それは」

『マスターが言っていたではありませんか。この世界はマスターの見ていたアニメの世界とは似ているだけで違う世界だって』

「・・・・・・・・・・」

『もしかしたら、なのはに思いもよらないアクシデントがあるかもしれないんですよ』

「・・・・・・・・・・・・・・」

『『マスター!』』

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

相棒達の言葉に、俺は答えられない。

確かにブレイズ達のいう事も一理ある。

けど、もし俺が介入した事で、状況が悪化する事が、俺にとって一番怖い。

だから、俺は動けなかった。

その時、

(ユウ、聞こえますか?)

リニスから念話が入る。

(何だ?リニス)

(確か、お醤油が切れていたので買ってきてくれませんか?)

(はぁ?こんな遅くにか?)

(ええ、そうしないと、明日のお弁当が作れないので)

(・・・・・・仕方ないな)

そう答えて、俺は立ち上がる。

明日の弁当の為だと自分に言い聞かせて。

『マスター、その序に様子を見ていきましょうよ』

ブレイズがここぞとばかりに言ってくる。

「む・・・・・」

『マスター、介入しろとは言ってませんよ。ただ様子を見に行くだけです』

「・・・・・そう・・・・だな・・・・・・買い物の序に様子を見てくか・・・・・・」

ブレイズとアイシクルの言葉に、俺は頷く。

まあ、気にならなかったと言えば嘘になるし。

俺は、夜の街に出た。








【Side 桜】



今、私は後悔していた。

目の前には、ジュエルシードの思念体。

今の私は、壁に叩きつけられたダメージで動けない。

ジュエルシードの思念体は此方に襲いかかろうとしている。

そして、思念体の前に立ちはだかる、妹のなのは。

妹の足元に転がる赤い宝石。

オロオロしているフェレットのユーノ。

原作とは流れが変わってしまった。

全部私のせいだ。

私が、興味本位で首を突っ込んだ所為で、今、自分だけではなく、なのはも危険に晒している。

私の脳裏には、今までのことが走馬灯のように思い浮かんできた。







私の名は高町 桜。

実は転生者よ。

私をこの世界に送り込んだ神が言うには、何でも神の部下のミスで、私の運命の人を死なせてしまったらしい。

その言葉を聞いた瞬間、私は思わず叫んだわ。

25歳にもなって、男の人と付き合ったことなんて一回も無かったから。

まあ、インターネットやアニメが趣味で、半分引きこもりみたいだった私にも原因はあるだろうけど。

それで、その神が言うには、その運命の人を別の世界に転生させたから、私の希望があれば、私も同じ世界に送ってもらえるそうだ。

まあ、家族も他界して、天涯孤独だった私は、その案を受け入れた。

でも、その神が言うには、その運命の人は、性格が物凄く後ろ向きらしい。

だから、無理して好きになる必要は無いそうだ。

そして、私は転生した。

あの好きなアニメ、「リリカルなのは」の主人公、高町 なのはの双子の姉として。

ある程度未来を知っていた私は、少しでも未来を良くしようと思った。

お父さんが怪我をして入院した時も、なのはの傍にいて、なるべく寂しくさせないようにした。

その甲斐あってか、なのはは明るいままだった。

しかし、他人に迷惑をかけないように「いい子」でいようとする所は直せなかった。

そうそう、家族は、私が前世の記憶持ちだという事は知っています。

怪訝に思ったお父さんや恭也兄さんが聞いてきたので、その時に暴露しました。

元々隠す心算も無かったし、聞かれれば話す心算でした。

アニメ云々は黙っておきましたが。

それで今日、アニメの通り、なのはは塾の帰りにフェレットのユーノを拾った。

その時には、私にも念話が聞こえたので、私にも魔力があるようだった。

そしてその夜。

ユーノの念話で、なのはが家を抜け出した。

心配になった私は、なのはの後を追った。

ユーノが入院している動物病院に行くと、丁度なのはがジュエルシードの思念体に襲われている所だった。

「なのはっ!」

私は思わず叫んだ。

「桜お姉ちゃん!?」

なのはは、ビックリしたように此方を向く。

だが、そのせいで、思念体の動きから目をそらし、その瞬間を狙って思念体がなのはに襲い掛かる。

「なのはっ!危ない!」

私は叫んだ。

なのはは、気付くのが遅れたが、何とか直撃だけは避けた。

だが、その衝撃に吹き飛ばされる。

「きゃあっ!」

私は、転んだなのはに駆け寄る。

「なのは、大丈夫?」

「う、うん。桜お姉ちゃんは、何で此処に?」

「え?えっと・・・・・なのはが慌てて出て行くのが見えたから気になって」

私は、それらしい理由を述べる。

「そうなんだ」

「って、そんなこと言ってる場合じゃない!」

思念体が、再び此方に体当たりを仕掛けてくる。

私達は、慌てて病院から逃げ出した。

「一体何がなんだか分からないけど、一体なんなの!?何が起きてるの!?」

なのはが叫ぶ。

「君には、資質がある。お願い、僕に少しだけ力を貸して」

なのはの腕に抱かれたユーノがそう言った。

「資質!?」

「僕は、ある探し物のために「はいストップ!」」

説明しようとしたユーノを私は止めた。

「ここまでに至った経緯は後でいいから、この場を乗り切れる方法を簡潔に説明しなさい!」

私はそう怒鳴る。

今はアニメでもなんでもない、現実として只今ピンチの真っ最中なのだ。

そんな経緯を聞いてる暇なんて無い。

「そ、そうですね・・・・」

「なのは!今はそのフェレットのいう事を聞いてた方が助かる可能性は高いわ!」

「わ、わかった」

だがその時、上空から思念体が落下してくる。

嘘、アニメより来るのが早い!

目の前の道の真ん中に思念体が落下する。

くっ、拙い。

「なのは!私が何とか時間を稼ぐからなのははそのフェレットのいう事を聞いて!」

私はそれだけ言って思念体に向き直る。

「そんな!桜お姉ちゃん!」

「君っ!お姉さんを助けたかったら、僕の言うとおりに!」

ユーノがなのはに向かって叫ぶ。

なんとかなりそうね。

私は、思念体が落ちてきたときに割れたアスファルトの欠片を拾う。

「てやっ!」

私はその欠片を思念体に投げつける。

だが、それは容易く弾かれる。

しかし、思念体は此方に気を向けたようね。

計算通り。

後は私が時間を稼げば。

その時、声が聞こえる。

「我、使命を受けし者なり・・・・・・・・・・・えと、契約の元その力を解き放て・・・・・・」

レイジングハートの起動パスワード。

その声を聞いて、私の心に安堵感が広がる。

だが、これで何とかなると気を抜いたのがいけなかった。

思念体の攻撃に気付くのが遅れ、私は弾き飛ばされた。

「きゃああああっ!!」

「風は空に・・・・・・星はッ、桜お姉ちゃん!?」

私の悲鳴になのはは起動パスワードを中断してしまう。

「き、君っ!?」

ユーノは予想外の事に思わず声を漏らした。

私はそのまま壁に叩きつけられる。

全身を痛みが襲った。

「がはっ!?」

肺の空気が押し出される。

そのまま私は地面に倒れる。

身体の傷みと、意識が朦朧とすることで立ち上がれない。

思念体が、止めを刺そうとこちらに身構える。

「だめぇっ!!」

その瞬間、目の前に手を広げて立ち塞がるなのは。

その際、レイジングハートが地面に落ちて転がる。

そして、思念体が今にもこちらに飛びかかって来ようとしていた。




私は思わず叫んだ。

「お願い!!私は如何なってもいいから!誰か妹を!なのはを助けて!!!」

そう叫ばずにはいられなかった。

私の瞳からは涙が零れる。

その瞬間飛びかかってくる思念体。

なのはは目を瞑り、

「助けて!!利村君っ!!!」

そう叫んだ。

その時、

「ブレイズ!ブレイブシールド展開!!」

『Yes, Master♪』

黄金の盾が現れ、思念体を受け止めた。




【Side Out】







【Side なのは】




もう訳が分からなかった。

塾に行くときに声が聞こえ、フェレットを拾った。

家にいたら、フェレットを見つけたときの声が聞こえ、その声に呼ばれるまま病院へやってきた。

そこでは、逃げ回るフェレットと、ドロドロした良く分からないお化け。

しかもフェレットが喋るし。

私は混乱していたけど、途中で桜お姉ちゃんが来て、私は桜お姉ちゃんと一緒に逃げた。

「一体何がなんだか分からないけど、一体なんなの!?何が起きてるの!?」

私は思わず叫びました。

「君には、資質がある。お願い、僕に少しだけ力を貸して」

抱いていたフェレットさんがそう言います。

「資質!?」

私は思わず聞き返しました。

「僕は、ある探し物のために「はいストップ!」」

説明しようとしていたフェレットさんの言葉を、桜おねえちゃんが止めました。

「ここまでに至った経緯は後でいいから、この場を乗り切れる方法を簡潔に説明しなさい!」

桜おねえちゃんはそう叫びます。

「そ、そうですね・・・・」

「なのは!今はそのフェレットのいう事を聞いてた方が助かる可能性は高いわ!」

「わ、わかった」

結構強引だけど、その通りなの。

だけどお姉ちゃん。

フェレットさんが喋ることには驚かないの?

疑問に思いましたが、そんな暇はありませんでした。

目の前に道路に、ドロドロのお化けが落っこちてきたの。

「なのは!私が何とか時間を稼ぐからなのははそのフェレットのいう事を聞いて!」

桜おねえちゃんはそれだけ言うと思念体に向き直る。

「そんな!桜お姉ちゃん!」

私は桜おねえちゃんを止めようとしました。

「君っ!お姉さんを助けたかったら、僕の言うとおりに!」

でも、フェレットさんにそう言われて踏みとどまります。

「これを!」

フェレットさんは、首にかけていた赤い宝石を私に差し出してきます。

私はそれを受け取りました。

「・・・・・あたたかい」

その宝石はとてもあったかく感じました。

「それを手に、目を閉じて、心を澄ませて、僕の言葉を繰り返して」

フェレットさんはそう言います。

桜お姉ちゃんは、ドロドロのお化けに石を投げつけたりして、気を引いている。

私は桜おねえちゃんが心配になった。

けど、

「いくよ!いい!?」

フェレットさんのその言葉で気を取り直し、

「うん!」

しっかりと頷いて目を閉じました。

「我、使命を受けし者なり」

「我・・・・・使命を受けし者なり・・・・・」

フェレットさんの言葉を繰り返します。

「契約の元、その力を解き放て」

「えと・・・・・契約の元、その力を解き放て」

ですが・・・・・

「風は空に、星は天に」

「風は空に・・・・・星は「きゃああああっ!!」ッ桜お姉ちゃん!?」

突如聞こえてきた桜お姉ちゃんの悲鳴に、私は思わず其方に気を向けてしまいました。

「き、君っ!?」

中断してしまった事にフェレットさんは、叫びました。

桜お姉ちゃんは吹き飛ばされ、壁に叩きつけられました。

「がはっ!?」

桜お姉ちゃんは、苦しそうな声を上げて地面に倒れます。

ドロドロのお化けは、今にも桜お姉ちゃんに襲いかかろうとしていました。

それを見て私は思わず飛び出しました。

「だめぇっ!!」

私は手を目一杯広げて、桜おねえちゃんを守るように立ち塞がりました。

その際に、フェレットさんから受け取った赤い宝石を落としてしまいました。

でも、そんなこと気にしていられません。

桜おねえちゃんが死ぬなんて絶対にイヤだから。

桜お姉ちゃんは、飛び出した私に気付いたのか、

「お願い!!私は如何なってもいいから!誰か妹を!なのはを助けて!!!」

そう叫びます。

その言葉の中にも、私に対する愛情が感じられました。

やっぱり、桜お姉ちゃんは私の大好きなお姉ちゃんです。

その時、ドロドロのお化けが私たちに向かって飛び掛ってきました。

私は思わず目を瞑りました。

足も震えています。

目を瞑ったとき、1人の男の子が思い浮かびました。





その男の子は、小学校に入学して直ぐのころ、私が足を痛めて動けなくなっていた時、保健室まで運んでくれました。

だけど、お姫様抱っこは恥ずかしかったの。

それから私は、事ある毎にその男の子を目で追っていました。

授業中の彼は、何時も眠そうな顔をしていて、それでも指名された時はしっかりと答えています。

彼は、よく見てみるととても大人っぽくて、まるで桜お姉ちゃんみたいです。

桜お姉ちゃんは確かテンセイシャだっけ?

私には良く分かりません。

アリサちゃんには、根暗だの、冷めてるだの言われてます。

ちょっと酷いの。

彼は、ちょっと人付き合いが苦手なだけで、本当はとっても優しい子だと思うの。

そうじゃなきゃ、あの時に私を助けたりしないはずなの。

でも、そんな彼も、一年生の3学期に入って少しした後、とても落ち込んでる時期があったの。

私は、何度か話しかけようとしたけど、どうしても雰囲気から声をかけることが出来なかったの。

そんな彼も、時間が経つにつれて、元に戻っていったの。

そして、3年生になった今でも、その彼を目で追ってるの。

あの時、私を助けてくれた男の子を・・・・・・・






私は、思わず叫びました。

「助けて!!利村君っ!!!」

その時、

「ブレイズ!ブレイブシールド展開!!」

『Yes, Master♪』

その男の子の声と、電子音声が聞こえました。






【Side Out】





やばい、何でこんな事になってるんだ?

様子を見ていた俺は、原作と違う流れになっているなのは達を見て動揺していた。

アニメにはいなかった高町 桜というなのはの双子の姉が一緒にいることで、僅かに事の起こりが違う。

『マスター!助けるべきです!』

ブレイズが叫ぶ。

「で、でもよ・・・・俺が介入して流れが悪くなったりしたら・・・・・・・」

『何言ってるんですか!今のマスターならあの程度の思念体、瞬殺です!』

「け・・・・けど・・・・・・」

俺は未だに腹を括れない。

第一、 俺には死亡フラグが立っているのだ。

此処で介入して無事でいられる保証は無い。

『あ~~~~~!も~~~~~~!じれったいですね!簡単に言いますよ!今のマスターはカッコ悪いです!!』

ブレイズがきっぱりとそう言った。

「・・・・・・・・・・・」

その時、高町 桜が壁に叩きつけられ、それによって、なのはも起動パスワードを中断してしまった。

その上なのはは、姉を庇ってレイジングハートを落としてるし。

あ~~~~!も~~~~~!

俺がどうするか嘆いていると、

「お願い!!私は如何なってもいいから!誰か妹を!なのはを助けて!!!」

高町 桜の叫びが聞こえた。

その瞬間、俺は吹っ切れた。

ええぃ!ド畜生!!どうにでもなりやがれ!!

俺は駆け出した。

思念体が2人に向かって飛び掛る。

それでもなのははその場を動こうとしない。

「助けて!!利村君っ!!!」

なのはが叫んだ。

おい!何でそこで俺の名が出てくる!?

俺は怪訝に思ったが、強化した脚力でなのはの前に到達すると、左手を突き出し、

「ブレイズ!ブレイブシールド展開!!」

俺は叫んだ。

『Yes, Master♪』

ブレイズは、機嫌が良さげな声で返事をする。

俺の左手の先に五角形で、太陽のような模様――勇気の紋章――が刻まれた黄金の盾が具現される。

ブレイブシールドは、微動だにすることなく思念体の体当たりを受け止めた。

「はぁ~。な~んで飛び出しちゃったんだろうな~?」

俺は思わず呟く。

「係わり合いになるつもりは無かったのに・・・・・・」

『何時も言ってるじゃないですか♪マスターは自分が思っているほど冷たい人間ではありません♪』

『そうですよ。目の前で助けを求められて放っておけるほど、マスターは冷酷ではありません♪』

ブレイズとアイシクルは機嫌の良い声でそう言う。

「そうかなぁ・・・・・・」

俺はため息を吐きつつそう呟く。

その時、

「り、利村君・・・・・・?」

信じられないといった表情で、なのはがこっちをみていた。

「いよぉ、高町姉妹。こんな時間に何やってるんだ?」

俺は、場違いな質問をした。

「り、利村君こそ・・・・」

そう返された。

「俺はお使いの帰りに、偶々お前らを見かけただけだ」

右手の買い物袋を見せながらそう言った。

その時、ブレイブシールドの向こうで、思念体が動き出したのを感じる。

「はぁ~、高町、ちょっと持っててくれ」

そう言って、買い物袋をなのはに預ける。

「えっ?うん・・・・・」

なのはは、ちょっと困惑していたが、買い物袋を受け取った。

俺はブレイブシールドを消すと、思念体と向き合う。

「あ~あ。結局関わることになるのか・・・・・・」

俺は諦めたように呟く。

『いいじゃないですか。それに、これだけは言えますよ。今のマスターは、とってもカッコいいです♪』

ブレイズはそう言う。

それがおだてだとしても、俺の心は少し軽くなった。

「そうか・・・・・それなら、とことんカッコつけるとするか!」

『Yes, Master♪』

俺はオレンジ色の宝石が付いたペンダント、ブレイズを左手に握る。

「身体に宿すは太陽の炎・・・・・・心に宿すは勇気の炎・・・・・・この手に掴むは守護する力・・・・・・・燃えよ灼熱!!ブレイズ!セット!アップ!!」

『Stand by, Ready. Set up.』

俺はオレンジ色の光に包まれる。

「な、何この桁違いの魔力・・・・・・」

ユーノが呆然と呟く。

俺はバリアジャケットを纏う。

それは黄金の鎧に銀の胸当て、銀のフェイスガード。

背中にはブレイブシールドが2つに別れ、翼のようについている。

そして、両手には肘まで包む黄金の籠手に、爪のように3本の剣が付いた武器。

簡単に言えば、ウォーグレイモンです。

それを元にしたバリアジャケットです。

何故か高町 桜が俺の姿を見てポカーンとしている。

俺の格好が変わったことに驚いているようだ。

俺のバリアジャケットはデバイスと融合しており、バリアジャケットそのものがデバイスでもある。

俺はそれを纏って思念体と向き合った。

思念体が飛び上がり、俺に突っ込んでくる。

俺は、それに対し、左腕を横薙ぎに振るう。

「ドラモン・・・・・」

思念体が上下真っ二つになる。

続けて、右腕を振り上げた。

「・・・・キラー!!」

更に左右真っ二つとなり、合計4つに分かれてべちゃべちゃと地面に落ちた。

だが、その切り裂かれたそれぞれはもぞもぞと動き、再び1つになろうとしている。

やっぱり普通の攻撃だけじゃ倒すのは無理か。

「あのっ!どなたか存じませんが、あれはジュエルシードと呼ばれるロストロギアの思念体です。攻撃するだけでは倒せません!早く封印を!」

ユーノがそう言うが、最大の難問があった。

「いや~、俺、封印術式もってないんだよ」

俺の言葉に、ユーノは固まった。

「・・・・・・・えええっ!?あれだけ凄い実力の持ち主なのにですか!?」

俺は頷く。

持ってないものはしょうがないだろ。

すると、ユーノは先程落ちたレイジングハートを拾って、

「それなら、これを使ってください。レイジングハートには封印術式がインプットされています」

俺に差し出してくる。

だが、

「それも無理だ。俺は魔力の制御が下手糞でね。普通のデバイスなんて俺の魔力の負荷に耐え切れず木っ端微塵だぞ」

俺の言葉に、ユーノは再び固まった。

「じゃ、じゃあどうすれば・・・・・」

「そのデバイスを高町姉妹のどっちかに渡せ。その2人はどちらもAAAクラスの魔法資質を持ってる」

俺はそう言った。

「そ、そうか」

ユーノはテンパっていたので、その事を忘れていたらしい。

「そ、それなら・・・・私が・・・・・」

高町 桜が無理に起き上がろうとしている。

「そ、その身体じゃ無理だよ桜お姉ちゃん!」

なのははそう言う。

そして、覚悟を決めた顔になると、

「私がやるよ!」

そうはっきりと言った。

高町 桜はそれを見ると、

「お願いできる?」

そう尋ねる。

「うん!」

なのはははっきりと頷いた。

その時、思念体が再生を完了させ、再び動き出す。

「うっ・・・・・」

その様子に一瞬たじろぐなのは。

今の決意はなんだったのかと言いたいが、まあ、普通の女の子にあれはキツイだろう。

柄ではないが、俺は口を開いた。

「高町」

「え?」

俺の呼びかけに、なのははこちらを向く。

「心配すんな。ちゃんと守ってやる。今だけでもいいから俺を信じろ」

俺がそう言うと、なのはは一瞬戸惑ったが、

「・・・・・・信じるよ!」

はっきりと、そう頷いた。

「よし!行くぞ!」

「うん!」

それと共に襲い掛かってくる思念体。

それを軽く裏拳で吹っ飛ばす。

壁に叩きつけられる思念体。

「おらぁっ!!」

其処に追撃のドラモンキラー。

壁ごと思念体は粉々になる。

これで時間は稼げただろ。

その時、後ろで桜色の光の柱が発生する。

「成功だ!」

ユーノの声が聞こえる。

光が治まると其処にはアニメの通りのバリアジャケットと杖を持ったなのはがいた。

「ふぇええ!?どうなっちゃったの!?」

なのはは、自分の姿が突然変わってしまったことに驚いているようだ。

「落ち着け高町。説明は後でしてやるから、今は封印を」

「え、えっと、封印って、どうやるの?」

「えっと、僕達の魔法はプログラムと呼ばれる・・・・・」

ユーノが時間が無いというのにベラベラと説明しようとしていたため、

「ちょっと待てフェレットもどき!素人のなのはにそんなこと言って分かるわけ無いだろ!」

手っ取り早く黙らせる。

「高町、心を落ち着かせろ!心の中にお前の呪文が浮かぶはずだ!それを唱えろ!」

「えっ?う、うん!」

なのははレイジングハートを構えて目を瞑る。

その間にも、思念体は再生を開始する。

なのはは、目を開けると杖を掲げる。

「リリカル・マジカル」

「封印すべきは忌まわしき器、ジュエルシード!」

「ジュエルシード!封印!」

『Sealing mode. Set up.』

なのはの声でレイジングハートがシーリングモードに変形する。

そして、桜色の光の帯が思念体を締め上げる。

『Stand by, Ready.』

「ジュエルシード シリアルⅩⅩⅠ!封印!!」

『Sealing』

光の帯が思念体を貫き、消滅させていく。

そして、後には小さな青い宝石、ジュエルシードだけが残った。

「これが、ジュエルシードです。レイジングハートで触れて」

ユーノにそう言われ、なのははレイジングハートを翳すと、ジュエルシードがレイジングハートに吸い込まれる。

すると、なのはのバリアジャケットが解除され、レイジングハートも待機状態になる。

「あれ?終わったの?」

なのはは、実感が湧かないのか呆けた声を漏らす。

「はい・・・・・貴方のお陰で・・・・・・ありが・・・・とう・・・・・」

ユーノはそこまで言って、力尽きて気絶する。

それを確認した俺も、バリアジャケットを解除した。

「あっ、あのっ!利村君っ!私聞きたいことが!」

思ったとおり、なのはは俺に聞いてこようとするが、

「ちょっと待て、聞こえないか?」

「え?」

俺にそういわれてなのはは耳を澄ます。

パトカーのサイレン音が聞こえてきた。

そして、なのはは、現場の惨状を確認する。

「・・・・・・もしかして、私達・・・・ここにいると大変アレなのでは・・・・・・」

「・・・・・・まあそれは別にしても、補導対象であることには間違いないな」

俺は、買い物袋を拾いながら、なのはの言葉に答える。

「じゃ、じゃあ早く逃げないと・・・・」

なのははそう言うが、

「高町姉、走れるか?」

俺は高町 桜に尋ねる。

「だ、大丈夫よ・・・・・くっ・・・・・」

痛みを堪えようとする高町 桜を見て、

「全然大丈夫そうには見えないな・・・・・・しかたない、文句は後で受け付ける」

「えっ?」

高町 桜が、声を漏らした時、俺は彼女を抱き上げた。

「ちょ!?」

「あっ!」

2人が声を上げる。

何でなのはまで?

「ほら、なのは、逃げるぞ」

「う、うん・・・・・」

俺の言葉になのはは応え、俺は高町 桜を、なのははユーノを抱き抱えながらその場を後にした。








あとがき


とりあえず無印編に入ってみた。

流れとしては、原作沿いだったりそうじゃなかったり。

それに一人称は難しいです。

それから、皆様感想ありがとうございます。

結構好き放題やってたんで、全て反対意見であることすら覚悟してたんですけど、意外と賛成派も多かった。

これはビックリです。

まあ、この小説はこのノリで行くつもりなので覚悟しててください。

では。





[15302] 第四話
Name: 友◆ed8417f2 ID:11075f73
Date: 2010/01/17 13:53

第四話 事情説明






俺は、アニメでなのは達が逃げたであろう公園まで来ていた。

気付けば、なのはをかなり引き離していたらしく、振り向くと息を切らせながら必死に走ってくるなのはの姿。

そういえば、なのはって運動音痴だったけ。

「ぜはーっ!・・・・・ぜはーっ!・・・・・り、利村君・・・・・速過ぎるの・・・・・・・」

息を切らせる声からして、限界ギリギリだという事が分かる。

「あはは・・・・・わりぃ、わりぃ・・・・・・」

俺は苦笑しながら謝る。

なのはは、息を整えてこちらを見た。

すると、なのはの顔が、何となく不機嫌になった気がする。

「た、高町・・・・・どうした?」

俺はそう尋ねる。

「り、利村君・・・・・い、何時まで桜お姉ちゃんを抱いたままなのかな?」

そう言うなのはの額には、怒りマークが浮かんでいる気がした。

ああ、大好きなお姉ちゃんを俺みたいな奴に抱かれ続けてりゃ、不機嫌になるのも仕方ないな。

俺はそう判断し、近くのベンチに桜を降ろす。

「ッ!・・・・う・・・・・」

桜はその拍子に声を漏らす。

やはり痛むようだ。

「少しジッとしてろ」

俺はそう言うと、治癒魔法を発動させる。

左手の先にオレンジ色の魔法陣が発生し、魔法陣の光が桜を包む。

怪我は余り酷くなく、1分ほどで殆ど治せた。

「これで大丈夫なはずだ」

俺がそう言うと、桜は身を起こし、怪我をしていた部分を確かめるような動きをして、

「あ、ありがとう・・・・・」

そうお礼を言ってきた。

「どういたしまして」

俺はそう返しておく。

すると、

「桜お姉ちゃん!もう大丈夫なの!?」

なのはが桜に詰め寄った。

「うん。もう大丈夫よ、なのは」

桜は微笑んで答える。

「よかったぁ~」

なのはは安心した表情でそう言った。

すると、2人はこちらを向き、

「そうだ!利村君!さっきのアレは何だったの!?」

なのはがそう叫んだ。

やっぱ聞いてくるよな。

とりあえず、誤魔化せないだろうし・・・・・・

なのははともかく、桜の目が怖いんだよ!

さっさと吐けやゴラァ!的な視線です。

「・・・・・とりあえず、『アレ』の内容を1つずつ質問してくれ」

俺は、そう答えた。

「じゃ、じゃあじゃあ、さっきのドロドロのお化けは何だったの!?」

なのはが一つ目の質問をする。

「さっきのは、ロストロギアに集まった思念体が実体化したもの・・・・・・ロストロギアって言うのは、さっき高町が封印した青い石な。思念体の説明は言ってもわからんだろうから省略する」

俺はそう答える。

「ううっ・・・・それじゃあ、余り説明になってないの・・・・・」

なのははそう漏らす。

仕方ないだろ、魔法を理解して無い奴には説明できねーんだよ。

「2つ目・・・・・貴方は何者?」

突如として、桜が核心を突く質問をしてきた。

「あっ!それ私も気になるの!」

なのはも便乗する。

如何説明したもんか・・・・・・

「ん~・・・・・・なんと言うか・・・・・・数年前からこの街に住んでる異世界から来た魔法使い・・・・って所か?」

とりあえず要点だけを押さえた分かりやすいシンプルな答えを言った。

「ま、魔法使い!?」

なのはが驚く。

「因みに、さっき高町が使った封印も魔法だぞ」

「ええっ!?それじゃあ私、魔法少女になっちゃたの!?」

「まあ、そうなるな。喜べ、主人公。「魔法少女 リリカルなのは」のスタートだ」

「にゃぁああああっ!?なんなのその題名!?」

なのはがアニメタイトルに突っ込む。

「さっき、リリカル・マジカル言ってたのは、何処のどいつだ?」

俺がそう聞くと、

「にゃぁあああああああああああっ!?」

なのはは、恥ずかしいのか、顔を真っ赤にして叫んだ。

「まあ、とりあえずこれから頑張れ主人公。応援ぐらいはしてやる」

「だからなんで主人公なの!?それに主人公っていうなら、利村君の方が、ずっと凄かったの!」

なのははそう返してくる。

「バカモン。初っ端から最強の主人公など、大部分は駄作の烙印を押されるわ!」

最強物は世間一般には受け入れられにくい。

俺は好きだが。

「そして、俺の立ち位置は、多くの作品で死亡役となっている主人公の近くの強キャラという立ち位置だな」

それは、純然たる事実である!

「にゃぁあああっ!利村君、死ぬなんて駄目なの!」

なのはは、俺の言葉を聞くと必死に叫んだ。

この反応は予想外。

「おい高町。何も今すぐ死ぬって訳でも、100%死ぬってわけでもないから、そんなに取り乱すな」

「にゃ・・・・・」

なのはは、はっとなって落ち着く。

しかし、次に何かに気付いたのか、顔が不機嫌になる。

「どうした?高町」

俺が気になって尋ねると、

「むぅ~~~~、なのはだよ」

突然そんな事を言った。

「は?」

俺が聞き返すと、

「私の事は、なのはって呼んで」

なのははそう言う。

名前で呼べ?

何故に?

「さっきは、なのはって呼んでくれたよね」

「え?」

俺が首を傾げると、

『確かに言いましたね』

ブレイズが肯定する。

「マジ?」

俺が確認を取ると、

『口を滑らせて2回ほど』

アイシクルが補足した。

「うぐ・・・・・・」

俺が、どうしたもんかと悩んでいると。

「確かに、『高町』だけじゃあ私とごっちゃになるわよね」

桜がそんな事を言ってきた。

「じゃあこうしましょ。私のことは「高町」って呼ぶ。なのはのことは、「なのは」って呼ぶ。これでオッケー」

桜は、ニコニコしながらそう言う。

「ちょっと待て!何でそんな結論になる!?」

俺は慌てて待ったをかけた。

「別にいいじゃない。何か問題ある?」

「ある!主に俺の精神面で!」

前世から考えても、家族と親戚以外でロクに女性と関わった事が無い俺にとっては、相当な精神負担である。

「さっきは「なのは」って呼んでたじゃない」

「それは、その時のテンションで、口を滑らしただけだ!」

「ふう・・・・・・ああ言えばこう言う」

桜は、呆れたような口調で言った。

何かそれが癪に障る。

「やかましい!大体なんで名前で呼ばせようとしてるんだよ!?」

少々声を荒げてしまった。

「そんなの、可愛い妹の初恋を成就させようっていう姉心からじゃない」

桜は、何でもないようにそう答えた。

俺は耳を疑う。

「は!?」

「にゃにゃっ!?さ、桜お姉ちゃん!?」

なのはは、顔を真っ赤にして取り乱した。

おい、そういう反応するってことは図星か!?

ありえんだろ!?

大体、きっかけは・・・・・・・・・・あ~・・・・そういえば一年生の時にあったな・・・・・・・あの時にフラグ立ってたのか・・・・・・

俺は思い当たる事があり、少し凹んだ。

そして、先ず始めに確認しなければいけないことは、

「正気か、高町!?」

なのはの精神状態を疑う事だった。

いや、俺に惚れるなんてありえんだろ。

「にゃっ!?利村君、そこは本気か?って聞く所だと思うの!」

なのははそう言ってくるが、

「狂って無ければ、洗脳か!?それとも誰かに脅されているのか!?」

俺は割と本気で尋ねた。

「にゃぁああっ!?洗脳されてる訳でもなければ、脅されてるわけでもないの!」

「ならば、目を覚ませ高町!俺よりいい男など幾らでも・・・・・っていうか、世界の男の9割は俺よりいい男だぞ!」

これは俺の本音である。

「そんなこと無いの!利村君はとっても優しくていい男の子なの!」

「俺は優しいんじゃなくて、臆病なだけだ!」

「それは嘘なの!臆病だったら、さっきは助けに入ってくれなかったの!」

「さっきの奴は確実に俺より弱かったからだ!言うなれば、俺は弱い者いじめをしただけだ!俺より強かったら、絶対に逃げてる!」

「それでも助けてくれた事には変わりないの!」

なのははしつこく食い下がる。

『なのはの言うとおりです!マスターは自分を過小評価しすぎです!』

『それにマスターは、強い敵に会ったとしても、助けを求められたら立ち向かうタイプです!自分1人なら、言うとおり逃げるでしょうけど・・・・・・・』

なのはの言葉にブレイズとアイシクルが同意した。

「お前らは俺を過大評価しすぎだ!」

『いいえ、今までのマスターの行動を統計した上での、適切な評価です』

俺たちが言い合っていると、

「にゃぁああっ!?ペンダントが喋ってる!?」

なのはが俺の首にかかっているブレイズとアイシクルを見て驚いた。

今頃気付いたのか?

「り、利村君!何でペンダントが喋ってるの!?」

なのはが尋ねてくる。

「こいつらは俺のデバイス。さっきなのはが使ったレイジングハートと一緒だな」

『初めまして。なのは、桜、私はマスターの相棒のブレイズといいます』

『同じくマスターの相棒のアイシクルです。以後よろしくお願いします』

「は、はい、こちらこそ」

なのはは礼儀正しく返事を返すが、テンパっているのが良く分かる。

「所で利村君」

「ん?」

桜に呼ばれて其方を向く。

「貴方のさっきの姿って、ウォーグレイモンを元にした姿よね?」

その言葉を聞いた瞬間、俺は固まった。

何で桜が知っているんだ?

この世界ではデジモンは無かったはずだぞ。

「その反応は図星ね」

そう言うと、桜は笑みを浮かべ、

「やっぱり貴方も転生者ね」

驚愕の一言を放った。









【Side 桜】



今、私はクラスメイトの利村 ユウに抱きかかえられている。

学校での彼は、正直、冴えない奴だった。

授業中に眠そうにしてるわ、テストも良い点を取ってるとは聞かないし、体育でも、これといって活躍しているわけじゃない。

いい噂もなければ、悪い噂も無い、一言で言えば、「目立たない」奴だった。

けど、今の彼は如何だろう?

ジュエルシードの思念体を、全く寄せ付けずに圧勝してたし、今も同年代の女子1人を軽々と抱き上げ走っている。

なのはが運動音痴とは言え、これだけのハンデがあるのに、なのはよりも速い。

如何見ても普段の彼からは、想像が付かない。

何より、一番驚いたのは、彼が魔導師であり、しかもそのバリアジャケットが前世のアニメでやっていたデジモンアドベンチャーに出てくる、ウォーグレイモンにそっくりだったのだ。

デジモンか・・・・・私も結構好きだったのよね。

特に無印は最高よ!

あれ?っていう事は、彼って転生者?




暫くすると、彼は公園に入っていった。

そこで漸くなのはを引き離していた事に気付いたらしく、苦笑しながら誤っていた。

なのはは、息を整えてこちらを見ると、顔が不機嫌になる。

「た、高町・・・・・どうした?」

彼はそう尋ねる。

「り、利村君・・・・・い、何時まで桜お姉ちゃんを抱いたままなのかな?」

そういえば、先程から私は彼に抱かれたままだ。

更に、そう言うなのはの姿を見て、確信した。

なのははヤキモチを焼いている。

そういえば、さっきの思念体に襲われた時も、彼の名前を呼んでたっけ。

これは、姉として応援しないわけにはいかないだろう。

私が考えを巡らしていると、彼は近くのベンチに私を降ろした。

「ッ!・・・・う・・・・・」

私は、その際身体に走った痛みで声を漏らす。

すると、

「少しジッとしてろ」

彼はそう言うと、左手をこちらに向け、オレンジ色の魔法陣が発生させる。

魔法陣の光が私を包むと身体の痛みがどんどん消えていく事がわかった。

1分ほどで殆ど痛みを感じなくなった。

「これで大丈夫なはずだ」

彼がそう言って、魔法陣を消す。

私は、試しにあちこちを動かしてみるが、痛みも無く、ほとんど問題ない。

魔法の凄さを私は実感して、

「あ、ありがとう・・・・・」

思わずお礼を言った。

「どういたしまして」

彼は、当然の事だと言わんばかりにそう返した。

「桜お姉ちゃん!もう大丈夫なの!?」

なのはが心配そうな顔で詰め寄ってきた。

「うん。もう大丈夫よ、なのは」

私は、なのはを安心させるように微笑んで答える。

「よかったぁ~」

なのはは安心した表情でそう言った。

そこで、私は彼に質問しようと視線を向けたとき、同時になのはも彼の方に振り向き、

「そうだ!利村君!さっきのアレは何だったの!?」

なのはが私の代わりにそう叫んだ。

とりあえず、私は彼に、嘘ついたら容赦しない的な視線を送っておく。

「・・・・・とりあえず、『アレ』の内容を1つずつ質問してくれ」

私の視線に観念したのか、彼はそう言う。

「じゃ、じゃあじゃあ、さっきのドロドロのお化けは何だったの!?」

なのはが一つ目の質問をする。

「さっきのは、ロストロギアに集まった思念体が実体化したもの・・・・・・ロストロギアって言うのは、さっき高町が封印した青い石な。思念体の説明は言ってもわからんだろうから省略する」

「ううっ・・・・それじゃあ、余り説明になってないの・・・・・」

なのははそういうが、私ももし尋ねられたら、「ジュエルシードの思念体」としか答えることは出来ない。

それに、それ以上の事を聞いても余り意味は無いため、

「2つ目・・・・・貴方は何者?」

私は次の、一番疑問に思う質問をした。

「あっ!それ私も気になるの!」

なのはも便乗する。

彼は、少しの間悩み、

「ん~・・・・・・なんと言うか・・・・・・数年前からこの街に住んでる異世界から来た魔法使い・・・・って所か?」

なんともシンプルな答えを言った。

異世界というのは、恐らく次元世界のことを指していると私は判断する。

「ま、魔法使い!?」

なのはが驚く。

「因みに、さっき高町が使った封印も魔法だぞ」

「ええっ!?それじゃあ私、魔法少女になっちゃたの!?」

「まあ、そうなるな。喜べ、主人公。「魔法少女 リリカルなのは」のスタートだ」

その言葉を聞いたとき、私の中でほぼ確信した。

彼は、神の言っていた転生者だと。

前世では私の運命の人だったらしいが、なのはが彼の事を好きなようなので、なのはに譲るつもりだ。

まあ、前世では全く知らない赤の他人なので、運命の人と言われてもピンと来ない。

「にゃぁああああっ!?なんなのその題名!?」

なのはがアニメタイトルに突っ込む。

正式名称だとは口が裂けても言えないわね。

「さっき、リリカル・マジカル言ってたのは、何処のどいつだ?」

「にゃぁあああああああああああっ!?」

彼の言葉に、なのはは恥ずかしいのか、顔を真っ赤にして叫んだ。

「まあ、とりあえずこれから頑張れ主人公。応援ぐらいはしてやる」

「だからなんで主人公なの!?それに主人公っていうなら、利村君の方が、ずっと凄かったの!」

それは私も思う。

「バカモン。初っ端から最強の主人公など、大部分は駄作の烙印を押されるわ!」

正論だけど、それは創作小説での話でしょ。

私は好きだけど。

「そして、俺の立ち位置は、多くの作品で死亡役となっている主人公の近くの強キャラという立ち位置だな」

なんとも後ろ向きな発言だと私は思った。

其処は、最強オリ主だと喜んでもいいだろうに。

実際、私たちにとっては今は現実なのだ。

危険な事に巻き込まれる上では、力があったほうが良い。

「にゃぁあああっ!利村君、死ぬなんて駄目なの!」

「おい高町。何も今すぐ死ぬって訳でも、100%死ぬってわけでもないから、そんなに取り乱すな」

「にゃ・・・・・」

なのはは、はっとなって落ち着く。

しかし、次に何かに気付いたのか、顔が不機嫌になる。

「どうした?高町」

彼が気になって尋ねると、

「むぅ~~~~、なのはだよ」

突然そんな事を言った。

「は?」

「私の事は、なのはって呼んで」

なのはの言葉に、彼は何故に?という顔をしている。

「さっきは、なのはって呼んでくれたよね」

「え?」

彼は首を傾けているが、今思えば、確かに言っていた。

『確かに言いましたね』

彼の首にかかっているペンダントが点滅し、そう声を発した。

彼のデバイスだろう。

でも、2つあるのは何故?

「マジ?」

『口を滑らせて2回ほど』

「うぐ・・・・・・」

彼が、なにやら悩んでいるようなので、私はなのはの応援に回ることにした。

「確かに、『高町』だけじゃあ私とごっちゃになるわよね」

私は、少し考えて口を開いた。

「じゃあこうしましょ。私のことは「高町」って呼ぶ。なのはのことは、「なのは」って呼ぶ。これでオッケー」

「ちょっと待て!何でそんな結論になる!?」

彼が待ったをかける。

「別にいいじゃない。何か問題ある?」

「ある!主に俺の精神面で!」

「さっきは「なのは」って呼んでたじゃない」

「それは、その時のテンションで、口を滑らしただけだ!」

「ふう・・・・・・ああ言えばこう言う」

私は呆れる。

名前ぐらいでそんなに嫌がらなくても。

いや、嫌がっているというよりは、苦手にしてるといった方が正解ね。

もしかして、女の子と殆ど付き合ったことが無いとか?

「やかましい!大体なんで名前で呼ばせようとしてるんだよ!?」

彼のその質問に、

「そんなの、可愛い妹の初恋を成就させようっていう姉心からじゃない」

私は本音で答えた。

「は!?」

彼は、鳩が豆鉄砲食らったようにポカンとした。

「にゃにゃっ!?さ、桜お姉ちゃん!?」

なのはは、顔を真っ赤にして取り乱した。

可愛い反応だわ。

彼は暫くポカーンとしていたが、正気を取り戻すと、

「正気か、高町!?」

なんとも呆れた質問をなのはにしていた。

そこは、「本気か?」って聞く所じゃないの?

「にゃっ!?利村君、そこは本気か?って聞く所だと思うの!」

なのはも同意見らしい。

「狂って無ければ、洗脳か!?それとも誰かに脅されているのか!?」

更に彼の予想は斜め上に走り出した。

脅しはともかく洗脳なんか出来るわけ無いでしょうに。

そんなに信じられないの?

「にゃぁああっ!?洗脳されてる訳でもなければ、脅されてるわけでもないの!」

「ならば、目を覚ませ高町!俺よりいい男など幾らでも・・・・・っていうか、世界の男の9割は俺よりいい男だぞ!」

そこまで自分を卑下する事も無いだろうにと私は思う。

「そんなこと無いの!利村君はとっても優しくていい男の子なの!」

「俺は優しいんじゃなくて、臆病なだけだ!」

「それは嘘なの!臆病だったら、さっきは助けに入ってくれなかったの!」

「さっきの奴は確実に俺より弱かったからだ!言うなれば、俺は弱い者いじめをしただけだ!俺より強かったら、絶対に逃げてる!」

「それでも助けてくれた事には変わりないの!」

彼となのはが微妙な言い争いを繰り広げているが、私は神の言っていた事に納得していた。

こいつ、想像以上に後ろ向きだわ。

『なのはの言うとおりです!マスターは自分を過小評価しすぎです!』

『それにマスターは、強い敵に会ったとしても、助けを求められたら立ち向かうタイプです!自分1人なら、言うとおり逃げるでしょうけど・・・・・・・』

彼らのデバイスもなのはに賛同して、彼を褒め称える。

後者は微妙だが。

「お前らは俺を過大評価しすぎだ!」

『いいえ、今までのマスターの行動を統計した上での、適切な評価です』

「にゃぁああっ!?ペンダントが喋ってる!?」

なのはが驚く。

「り、利村君!何でペンダントが喋ってるの!?」

なのは、今更よ。

「こいつらは俺のデバイス。さっきなのはが使ったレイジングハートと一緒だな」

『初めまして。なのは、桜、私はマスターの相棒のブレイズといいます』

『同じくマスターの相棒のアイシクルです。以後よろしくお願いします』

「は、はい、こちらこそ」

なのはは礼儀正しく返事を返すが、テンパっているのが良く分かる。

しかし、このままいくと、話が進まない気がしてきたので、私は、爆弾とも言える質問を投下した。

「所で利村君」

「ん?」

こちらを向く彼。

「貴方のさっきの姿って、ウォーグレイモンを元にした姿よね?」

その言葉を聞いた瞬間、彼は固まった。

その反応を見て、再度確信する。

「その反応は図星ね」

私は、一呼吸置いて笑みを浮かべ、

「やっぱり貴方も転生者ね」

彼の顔が驚愕に染まった。









【Side Out】




【Side なのは】




今、私はフェレットさんを抱いて走っています。

私の目の前には、桜おねえちゃんを抱きかかえた利村君。

ううっ、ちょっぴり桜お姉ちゃんが羨ましいの。

でも、さっき「なのは」って呼んでくれて嬉しかったの。

そんな事を考えているうちに、利村君との距離はどんどん離れていきます。

り、利村君・・・・・・速過ぎるの。

利村君は、桜お姉ちゃんを抱きかかえているにも拘らず、私との差は縮まる所か、開く一方です。

普段の利村君は、体育では活躍してなかったのに・・・・・・

私が運動音痴というのも原因なのかも知れませんが。

私は、利村君を見失わないように必死で走りました。

そして、もう少しで見失いそうになると思ったとき、利村君は、公園に入っていきました。

た、助かったの・・・・・・





利村君は私を引き離していた事に気付いていなかったらしく、苦笑しながら誤ってきました。

私は、息を整えて利村君を見ます。

そこで気付きました。

桜お姉ちゃんが、未だに利村君に抱きかかえられている事に。

何故かそれを見て、ムカっときました。

「た、高町・・・・・どうした?」

私の様子に気付いたのか、利村君がそう尋ねてきます。

「り、利村君・・・・・い、何時まで桜お姉ちゃんを抱いたままなのかな?」

私は平静を装おうと思いましたが、声が震ってしまいました。

利村君は、近くのベンチに桜お姉ちゃんを降ろしました。

「ッ!・・・・う・・・・・」

桜お姉ちゃんはその拍子に痛そうな声を漏らしました。

私は心配になりましたが、

「少しジッとしてろ」

利村君が左手を桜おねえちゃんに向けると、オレンジ色の円になにやら良く分からない模様が描かれたモノが現れました。

私は驚きで声を失いました。

1分ぐらいすると、

「これで大丈夫なはずだ」

そう言って、光の円に模様が描かれたモノを消しました。

「あ、ありがとう・・・・・」

桜お姉ちゃんが利村君にお礼を言うと、

「どういたしまして」

利村君は当然の事だと言わんばかりにそう言いました。

「桜お姉ちゃん!もう大丈夫なの!?」

私は、桜お姉ちゃんに尋ねます。

「うん。もう大丈夫よ、なのは」

桜お姉ちゃんは微笑んで答えてくれました。

「よかったぁ~」

私は、桜お姉ちゃんが治った事で安堵の言葉を漏らします。

そこで、私は、利村君に聞きたいことがあったのを思い出しました。

「そうだ!利村君!さっきのアレは何だったの!?」

私がそう聞くと、

「・・・・・とりあえず、『アレ』の内容を1つずつ質問してくれ」

そう言ったので、私は尋ねました。

「じゃ、じゃあじゃあ、さっきのドロドロのお化けは何だったの!?」

「さっきのは、ロストロギアに集まった思念体が実体化したもの・・・・・・ロストロギアって言うのは、さっき高町が封印した青い石な。思念体の説明は言ってもわからんだろうから省略する」

「ううっ・・・・それじゃあ、余り説明になってないの・・・・・」

よく分からない単語ばっかりなの。

「2つ目・・・・・貴方は何者?」

桜お姉ちゃんが質問しました。

「あっ!それ私も気になるの!」

私も便乗します。

利村君は、少しの間悩み、

「ん~・・・・・・なんと言うか・・・・・・数年前からこの街に住んでる異世界から来た魔法使い・・・・って所か?」

その答えを聞いて、私は驚愕しました。

「ま、魔法使い!?」

思わず叫びます。

「因みに、さっき高町が使った封印も魔法だぞ」

その言葉で、私は更に驚きました。

「ええっ!?それじゃあ私、魔法少女になっちゃたの!?」

「まあ、そうなるな。喜べ、主人公。「魔法少女 リリカルなのは」のスタートだ」

「にゃぁああああっ!?なんなのその題名!?」

魔法少女はともかく、何でリリカルなの!?

「さっき、リリカル・マジカル言ってたのは、何処のどいつだ?」

「にゃぁあああああああああああっ!?」

余りに的を射ている言葉に、私は叫びました。

た、確かにリリカル・マジカル言ったの。

「まあ、とりあえずこれから頑張れ主人公。応援ぐらいはしてやる」

「だからなんで主人公なの!?それに主人公っていうなら、利村君の方が、ずっと凄かったの!」

私は思ったことを叫びました。

「バカモン。初っ端から最強の主人公など、大部分は駄作の烙印を押されるわ!」

だからなんで作品を例に挙げるの!?

「そして、俺の立ち位置は、多くの作品で死亡役となっている主人公の近くの強キャラという立ち位置だな」

その言葉に、私は思わず我を忘れて叫びました。

「にゃぁあああっ!利村君、死ぬなんて駄目なの!」

「おい高町。何も今すぐ死ぬって訳でも、100%死ぬってわけでもないから、そんなに取り乱すな」

「にゃ・・・・・」

私は、利村君に言われてはっとします。

ですが、同時にガッカリしました。

さっきは「なのは」って呼んでくれたのに。

「どうした?高町」

「むぅ~~~~、なのはだよ」

私はむくれてそう言いました。

こうなったら、意地でも「なのは」って呼んでもらうの。

「は?」

「私の事は、なのはって呼んで」

私の言葉に、利村君は首を傾げます。

「さっきは、なのはって呼んでくれたよね」

「え?」

利村君は首を傾けているけど、確かに聞いたの。

『確かに言いましたね』

何処からともなく援護がきたの。

「マジ?」

『口を滑らせて2回ほど』

「うぐ・・・・・・」

利村君はなにやら唸っていますが、

「確かに、『高町』だけじゃあ私とごっちゃになるわよね」

桜お姉ちゃんが口を開きました。

「じゃあこうしましょ。私のことは「高町」って呼ぶ。なのはのことは、「なのは」って呼ぶ。これでオッケー」

桜お姉ちゃんは、嬉しい援護をしてくれました。

「ちょっと待て!何でそんな結論になる!?」

ですが、利村君は納得しませんでした。

「別にいいじゃない。何か問題ある?」

「ある!主に俺の精神面で!」

「さっきは「なのは」って呼んでたじゃない」

「それは、その時のテンションで、口を滑らしただけだ!」

「ふう・・・・・・ああ言えばこう言う」

利村君は名前で呼ぶことを認めません。

桜お姉ちゃんは呆れます。

むぅ・・・・・いい加減に観念するの!

「やかましい!大体なんで名前で呼ばせようとしてるんだよ!?」

利村君が叫びました。

「そんなの、可愛い妹の初恋を成就させようっていう姉心からじゃない」

桜お姉ちゃんの言葉に、私は一瞬固まりました。

「は!?」

「にゃにゃっ!?さ、桜お姉ちゃん!?」

私は桜お姉ちゃんに詰め寄ります。

な、何で分かったの!?

私は恥ずかしくなって、まともに彼の顔を見ることが・・・・・・・・

「正気か、高町!?」

何でその質問なの!?

「にゃっ!?利村君、そこは本気か?って聞く所だと思うの!」

「狂って無ければ、洗脳か!?それとも誰かに脅されているのか!?」

な、何で私の意思を認めようとしないのーっ!?

「にゃぁああっ!?洗脳されてる訳でもなければ、脅されてるわけでもないの!」

「ならば、目を覚ませ高町!俺よりいい男など幾らでも・・・・・っていうか、世界の男の9割は俺よりいい男だぞ!」

そんなこと無いの!私からしてみれば、利村君がいい男の子じゃなかったら9割は、いい男の子じゃないと思うの!

「そんなこと無いの!利村君はとっても優しくていい男の子なの!」

「俺は優しいんじゃなくて、臆病なだけだ!」

「それは嘘なの!臆病だったら、さっきは助けに入ってくれなかったの!」

「さっきの奴は確実に俺より弱かったからだ!言うなれば、俺は弱い者いじめをしただけだ!俺より強かったら、絶対に逃げてる!」

「それでも助けてくれた事には変わりないの!」

利村君は、自分の善い所を全然認めようとしないの。

『なのはの言うとおりです!マスターは自分を過小評価しすぎです!』

『それにマスターは、強い敵に会ったとしても、助けを求められたら立ち向かうタイプです!自分1人なら、言うとおり逃げるでしょうけど・・・・・・・』

またもや声が聞こえます。

「お前らは俺を過大評価しすぎだ!」

『いいえ、今までのマスターの行動を統計した上での、適切な評価です』

よく見ると、利村君の首にかかってるオレンジ色と青色のペンダントがピカピカ光って其処から声がしてるの。

「にゃぁああっ!?ペンダントが喋ってる!?」

それに気付いた時、私は叫びました。

「り、利村君!何でペンダントが喋ってるの!?」

私は利村君に問いかけました。

「こいつらは俺のデバイス。さっきなのはが使ったレイジングハートと一緒だな」

『初めまして。なのは、桜、私はマスターの相棒のブレイズといいます』

『同じくマスターの相棒のアイシクルです。以後よろしくお願いします』

「は、はい、こちらこそ」

私は利村君のペンダントに頭を下げました。

お、驚きすぎて頭が上手く回らないの。

「所で利村君」

桜お姉ちゃんが利村君に声をかけました。

「ん?」

利村君は、桜お姉ちゃんの方を向きます。

「貴方のさっきの姿って、ウォーグレイモンを元にした姿よね?」

その言葉を聞いた瞬間、利村君は固まった。

うぉーぐれいもんって何?

「その反応は図星ね」

桜お姉ちゃんは、一呼吸置いて笑みを浮かべます。

「やっぱり貴方も転生者ね」

そして、驚くべき一言を口にしたの。



【Side Out】





俺は、開いた口が塞がらなかった。

今、こいつは何て言った?

貴方“も”転生者?

じゃ、じゃあ、もしかして・・・・・・

「ま、まさか・・・・・・」

俺は声を漏らす。

「その通り。私も転生者よ。利村君」

その言葉で、俺は更に驚愕した。

「ふえ?桜お姉ちゃん、今、利村君のことテンセイシャって・・・・・・」

「ええ。彼も私と同じように前世の記憶を持ってるってことよ」

「ふぇえ!利村君もなの!?」

なのはが驚いた声を上げる。

っていうか、ちょっと待て!

「おい!なのはは転生の事を知ってるのか!?」

俺は思わず問いかけた。

「ええ。家族は皆、私が前世の記憶持ちってことは知ってるわ。特に隠すことでもないしね。まあ、他の人に言っても信じないでしょうけど」

確かに言ってる事は納得できる。

俺だって、リニスや、ブレイズ、アイシクルには、前世の記憶持ちという事は言ってあるし。

「それにしても、ちゃんとなのはのこと、名前で呼んでくれてるのね」

俺はその一言で固まった。

しまったぁああああああっ!また口滑らせたぁあああああっ!

「り、利村君・・・・・その・・・・・・・」

なのはは顔を赤くしてモジモジしている。

「なのは、折角だから、あなたも彼のこと名前で呼びなさいよ」

こいつはまた、爆弾を投下してくれやがりました。

「おい!」

俺は詰め寄ろうとしたが、

「貴方だけ名前で呼ぶなんて不公平じゃない」

「だったら・・・・!」

「今更苗字呼びに戻すのは無しよ!」

逃げ道塞がれたぁ!

「ほら、なのは」

桜はなのはを促す。

「う、うん・・・・・じゃ、じゃあ・・・・・・ゆ、ユウ君?」

なのはは顔を真っ赤にしながら、それでいて何処か嬉しそうな顔で俺の名前を呼んだ。

あ~~~~~畜生!そんな顔されたら断れねえだろうが!

「・・・・・・・・・・はぁ・・・・・好きにしてくれ」

俺は諦めた・・・・・・・

だが、このままなのはにフラグが立ち続けるのは拙い!

なのはの様な美少女の相手は、俺なんかじゃ釣り合わん!

何より、なのはにはユーノがいるだろ!

故に、少しでもフラグを折る為に俺は行動に出た。

「その代わり!めんどくさいからお前のことも桜って呼ぶからな!お前も俺のことはユウで良い!」

「なっ!?ちょっと!私は苗字でいいわよ!」

桜はそう言うが、

「煩い!散々好き勝手決めてくれやがって、だったらこっちも勝手に決めさせてもらう!」

こう言っとけば、なのはの印象も少しは悪く・・・・・・

「桜お姉ちゃん、ユウ君の言ってる事も、一理あるの」

なってはいなかった。

それどころか、俺の援護までしてます。

何でだ!?

(俺に名前を呼んでもらって、なのはも俺の名前を呼ぶことが出来て嬉しかったので、他の人への対応は余り気にしてなかったと知るのは後の話である)

桜は、なのはが特に嫌がってないことを知ると、

「わかったわ、ユウ。これでいいわね」

桜は、残念だったわね、と言う様な笑みを浮かべ、そう言った。

「あ・・・・ああ・・・・・・」

目論見が外れた俺は、力なく返事を返すことしかできなかった。







その後、ユーノが目覚め、原作と同じようなやり取り(違うと言えば、俺と桜の自己紹介が入ったぐらい)をした後、とりあえず高町家に向かうことになった。

俺はまあ、夜道で女の子2人は危ないだろうと思い、送っていくことにした(8歳の男子がいても余り変わらんだろうが)。

やはり2人の外出は、高町家の人たちにはバレバレであり、2人は恭也さんから説教を受けた。

しかし、その説教は家族への思いやりに溢れており、若干羨ましく思ったのは秘密にしておく。

そして、その次に気になるのはやはり自分だろう。

「君は?」

と、問われたので、

「2人のクラスメイトの利村 ユウです。買い物の帰りに2人を見かけたので、夜の道に女子2人は危ないだろうと思って、送ってきただけです。では、俺はこれで失礼します」

そう言って帰ろうと思い背を向けた。

だが、

「ちょっと待ちたまえ」

突如肩を掴まれた。

俺が振り向くと、其処には高町家の大黒柱である士郎さんがいた。

っていうか、いつ間に?

噂の神速って奴か?

「な、なんでしょう?」

士郎さんの顔は笑っているが、何とも言えない迫力に、若干引いてしまう。

「君のような子供が1人で夜の道を歩くのは危険だろう。私も付いて行こう」

士郎さんは、思いもよらない事を言った。

「あ、いえ、お気になさらず。此処からは10分ぐらいの所なので大丈夫です」

俺はそう言って断ろうとしたが、

「その僅かな油断が万が一を起こす原因になるんだ。遠慮しなくてもいいよ」

士郎さんのその言い方を聞くと、絶対に引かないだろうと思い、

「わかりました。お言葉に甘えさせていただきます」

そう答えた。





そして、特に何事もなく家に着いたのだが、玄関の前に来ても、士郎さんは帰ろうとしない。

「あの、ありがとうございました。もうここまでで大丈夫です」

俺はそう言ったが、

「いや、こんな遅くに君を買い物に行かせたご両親に『お話』があるんだ」

『お話』のフレーズが妙に気になる。

なのはの『お話』は、やはり家族の影響なのだろうか?

「いえ、その、家の親は・・・・・・・」

俺は口篭った。

ちょっと言い辛かった俺は、家の玄関を開ける。

「ただいま」

俺はそう言って家に入る。

「にゃあ」

猫形態のリニスが足元で鳴いた。

リニスよ、よりにもよって猫形態か。

続けて入ってきた士郎さんが家の中を監察する。

そして、当然の如く、位牌と共に飾ってある俺の両親の写真を目にした。

それを目にすれば、両親がどうなっているか一目瞭然だろう。

「ふむ・・・・・やはり君は家族がいなかったか・・・・・・恭也や桜、なのは達のやり取りを見ていた雰囲気を見て、もしやと思ったんだが・・・・・・・」

士郎さんは、既に見当はついていたらしい。

すげー洞察眼です。

「・・・・・・ええ・・・・・両親は1年と少し前に事故で亡くなりました」

俺は仕方なく白状する。

ただし、“事故”ではないが。

「君は、それから1人暮らしなのかい?」

その問いに、

「1人じゃありませんよ」

俺はそう言って、足元のリニスに目をやる。

「リニスがいましたから」

「にゃあ」

俺の言葉に同意するようにリニスが鳴いた。

「ふむ・・・・・・」

士郎さんは顎に手をやり、なにやら考え込む仕草をする。

少しすると、

「すまないがユウ君。電話を貸してくれるかい?」

士郎さんがそう言ったので、電話機のあるところに案内する。

士郎さんがダイヤルをプッシュすると、

「もしもし?桃子か?士郎だが、今日から家族が1人増えるが構わないか?」

俺はその言葉に驚愕した。

も、もしかして・・・・・・・

「うむ、わかった。これから連れて行く」

そう言って、士郎さんは受話器を置く。

そして、こちらを向き、

「そういうわけだ。今日から家に来なさい」

そう言う訳ってどういう訳!?

「いや、ちょっと待ってください士郎さん!何でそんな話になるんですか!?」

俺は叫んで問いかける。

「君のような10歳にも満たない子供を、放って置けるわけ無いだろう?丁度家には空き部屋もある」

いやいや、そうではなくて、いきなり見ず知らずに等しい子供を引き取ろうとするなんて、どういう御人好しですか!?

「いえいえ!今までもちゃんとやって来れたので、これからも大丈夫ですよ!」

主に家事をやったのはリニスだが・・・・・・・

「今までが大丈夫だからといって、これからも大丈夫という保障は無い」

俺の反論も容易く打ち砕かれる。

「お、俺にはリニスもいるんですよ!飲食店経営者として、動物を連れ込んじゃ拙いでしょ!?」

「店につれてこなければ問題は無い。今日からフェレットも来ることだしな」

俺の最善の言っても軽く破られた。

こうなったら最終手段しか・・・・・・

「俺は外見は8歳ですが、精神年齢は30歳超えてますんで大丈夫ですって」

これは桜が前世の記憶があることを、既に家族に打ち明けたという事で使える手だ。

「む・・・・・?それは・・・・・」

「ええ。お宅の桜さんと同じく俺にも前世の記憶があります。だから、心配しなくても大丈夫です」

俺は、此処まで言えば諦めるだろうと思っていた。

だが、

「だが、幾ら記憶があると言っても、この世界での君は8歳でしかない。それだと色々と不都合があると思うが?」

「うぐ・・・・・・」

士郎さんにそう言われて、俺は言葉を詰まらせた。

確かにその通りである。

買い物や家事程度なら、リニスでも大丈夫だが、如何せんリニスには戸籍という物が無い。

つまり、身元の保証が出来ないため、そういうものが必要な事が出来ないのだ。

っていうか、前世云々はあっさりと信じるんですね。

「・・・・・・・と、年頃の娘さんがいる家に、精神年齢30歳超えの男が住み着くのは問題あるのでは?」

最早俺に手は殆ど残されていなかった。

「自分からそう言ってくる人物に、その心配は不要だと思っているが?」

苦肉の策ですら、あっさりと一蹴される。

(これはユウの負けですね)

リニスが念話でそう言ってくる。

認めたくは無いが、俺は口で勝てる気はしなかった。

士郎さんはニコニコしているが、なんともいえない迫力に俺は勝てる気はしない。

これが管理局員だったら、問答無用でボコっている所だが、士郎さんにそんなことは出来ない。

寧ろ善意100%なのが、ある意味管理局より厄介である。

(ユウ、寧ろ此処でこの方についていった方がいいかも知れません)

リニスから思いもよらない提案が来た。

(な、何で!?)

俺は聞き返す。

(管理局が未だに貴方を保護しようとしてくるのは、しっかりとした身元保証人がいないからです。ですので、此処でこの方に身元保証人なっていただければ、管理局も貴方を保護しようとする口実が無くなる訳です。まあ、ユウがこの方を信じられないと言うのなら、話は別ですが・・・・・・)

リニスはそう言った。

リニスの言うとおり、最初の頃よりは頻度は低くなったものの、管理局は未だに俺を保護しようと度々やってくる。

その時に使っている口実が、身元保証人云々というわけだ。

俺はそれを聞くと、少し考える。

確かに、いい加減管理局を相手にするのもウザくなってきた。

それに対して、士郎さんたち高町家なら、信頼することも出来る。

だが、そうなると確実に原作に関わる事になるだろう。

俺が迷っていると、

(ユウ、貴方にはまだ家族は必要です)

リニスがそう言ってきた。

家族。

その響きに俺は懐かしさを覚える。

(そうか・・・・・そうだなリニス。けど、少し違うぞ)

(え?)

(俺にとっては、リニスも・・・・・それにブレイズやアイシクルも家族さ)

(あ、ありがとうございます)

リニスは少し驚いたようだが、嬉しそうに念話を返してきた。

俺は念話を終えると、士郎さんに向き直る。

「本当に・・・・・宜しいんでしょうか?」

俺は最後に確認を取る。

「もちろんさ」

士郎さんは笑顔で答えた。

「それなら・・・・・・今日からよろしくお願いします」

俺は、士郎さんに頭を下げた。

「ああ。それじゃあ、本格的な引越しはまた今度にすることにして、今日は、数日間の着替えや貴重品だけを用意すればいい」

「分かりました」

俺はそう言うと、旅行用のバッグを引っ張り出し、着替えや貯金通帳などの貴重品。

そして、両親が残してくれた一度も起動させていないレイジングハートと同型のインテリジェントデバイスをバッグに入れる。

そのバッグを肩に担ぎ、

「リニス」

リニスを呼ぶと、猫形態のまま俺の懐に飛び込んでくるので、バックを担いでいない方の手で抱き上げる。

士郎さんに準備が出来た事を伝えると、士郎さんと共に、再び高町家へ向かった。






士郎さんによって高町家の玄関が開かれると、

「お帰りなさい」

桃子さんが出迎えた。

その後ろには恭也さんと美由希さん。

驚いた顔でなのはと桜がいた。

俺も士郎さんの後に続いて縮こまるように高町家の玄関を潜った。

「えっと・・・・・お邪魔します・・・・・・」

俺は少し小声になってしまった。

「違うわよ、ユウ君」

桃子さんが言った。

「今日からここが、あなたの家よ」

そう言って、ニッコリと微笑む。

その笑みから導き出される答えは、

「えっと・・・・・その・・・・・・た、ただいま・・・・・?」

俺は疑問系になってしまった。

「「「おかえり」」」

桃子さん、恭也さん、美由希さんが同時に言った。

その言葉を聞くと、何故か瞳から涙が零れた。

「え?あれ?何で俺泣いてるんだ?」

俺はそれに気付くと慌てて拭う。

俺のその様子を見て、高町家の皆は微笑ましく見つめてくる。

俺は気を取り直し、

「今日からご厄介になります!よろしくお願いします!」

俺は頭を下げた。

「ええ。よろしくね」

桃子さんがそう返した。

すると、なのはと桜が俺に前に出てきて、

「ゆ、ユウ君・・・・・今日から家に住むって本当?」

なのはは顔を赤くしながら尋ねてきて、

「ああ。まあ、今日から頼む」

「う、うん・・・・・」

俺の答えに頷いた。

「それにしても、何でそんなことになったのよ?」

桜はそう尋ねてきた。

「士郎さんに、俺の両親がいない事が知られちゃってね」

俺は答える。

「え!?両親がいないって・・・・・・まさか・・・・・」

桜は驚愕した表情を浮かべる。

「ああ。俺の両親は、1年以上前に事故で亡くなってるよ」

その答えに、なのはも驚愕する。

「そ、そんな!じゃ、じゃあ、1年ぐらい前にユウ君が落ち込んでたのって・・・・・・」

なのはの言葉に俺は内心驚いた。

気付いてたの?

俺は平静を装ってた心算だけど・・・・・・

「まあ、そういう事だ。気にすんなよ。気を使われると返って疲れるから」

俺はそう言って、士郎さんたちに向き直る。

「皆さん、俺を家族として受け入れてもらい、ありがとうございます。それで、俺を受け入れてもらうに当たって、話しておきたいことがあるんです」

俺は、既に決めていた事を口にした。




居間に、俺と高町家の全員が集まる。

ユーノもなのはに抱かれている。

「ではまず、士郎さんや、なのは、桜には話したんですけど、俺は桜と同じく転生者です」

「転生者って・・・・・ユウ君も前世の記憶があるって事?」

美由希さんがそう尋ねてくる。

「はい」

俺は頷き、

「それは間違いないわよ美由紀姉さん。今回の人生じゃ知らないはずのことを知ってたから」

桜が補足する。

その言葉に、一番驚いているのはユーノである。

そういえば、なのはと桜に話したときは、まだ気絶してたっけ。

「まあ、この家ではその程度如何でもいいでしょうけど、此処からが大事な所です」

俺は一呼吸置き、

「俺は、この世界の人間ではありません」

地球での秘密を明かした。

「え・・・・?この世界の人間じゃないって・・・・・・?」

美由希さんが声を漏らす。

なのはと桜は先程少しだが話したので、それほど驚いてはいない模様。

士郎さん、桃子さん、恭也さんは、真剣に俺の話を聞こうとしている。

「世界は、この世界一つだけではなく、他にも数多くの世界が存在しています。俺達は、それらを総称して、次元世界と呼んでいます。そして、俺はその中の1つ、ミッドチルダという世界の生まれです。その世界では、科学技術だけでなく、魔法文明も発達しています」

「ま、魔法!?」

美由希さんが驚く。

さっきから美由希さんばっかりが驚いてるな。

「まあ、素敵ね」

桃子さんがそう言う。

驚いてる・・・・・・のか?

「まあ、口で言っても信じられないでしょうから、証拠を見せます。リニス」

俺は猫形態のリニスに声をかける。

リニスが俺の腕の中から飛び降りると、光に包まれ人間形態に姿を変える。

「初めまして、私はユウの使い魔、リニスと言います」

リニスはお辞儀をしながらそう名乗った。

あ、全員固まった。

今度は士郎さん達まで固まっている。

「にゃぁああああああああっ!?ネコさんが人間になったぁ!?」

なのはの叫び声で、その場が動き出す。

すると突然、桜に引っ張られ、

(ちょ、ちょっと!リニスってもしかしてプレシアの使い魔のリニス!?)

小声でそう問いかけてきた。

(ああ。契約が切れて消えそうになってたのを見つけてな。再契約して俺の使い魔になってもらってる。まあ詳しい事は後々話すよ)

俺はそう答える。

桜は少し納得いかない顔をしていたがしぶしぶ下がる。

そして、俺は続ける。

「リニスは俺の使い魔です。使い魔って言うのは、主・・・・・リニスの場合は俺ですね。主から魔力を貰って存在します。そして、その代わりに使い魔は主を助ける。簡単に言えばそういう関係です。とまあ、此処まで見せれば魔法云々は信じてくれると思いますが・・・・・」

「ああ。それだけ見せられれば。信じるしかないだろう」

「俺が話したかったのはそれだけです。だから、何だって訳ではないんですが、ただ、知っておいて貰いたかったんです。これから家族になる人達に、隠し事はしたくありませんから」

「そうか、ありがとう」

「いえ・・・・・」

俺が話を終えると、

「ねえねえ、ユウ君。今の話を聞いてると、ユウ君って魔法使いなんだよね?」

美由希さんがニコニコしながらそう聞いてくる。

「ええ、そうですが・・・・・」

「じゃあ、私にも魔法って使えるのかな?」

そう言われて、俺は美由希さんの魔力を探ってみるが、案の定何も感じない。

「残念ですけど、魔法を使うにはリンカーコアという特殊な器官が必要になります。こればっかりは先天性の問題なのでどうすることも出来ません。何より、地球の人々の殆どはリンカーコアは持ってないんです。まあ、突然変異で稀に大きな魔力を持った人は現れますが、比率としては1億人に1人ぐらいの割合です」

「何だ、残念」

美由希さんは口ではそう言っているが、大して気にしていない雰囲気だ。

恐らく、駄目元で聞いてきたんだろう。

「まあ、その1億人に1人しか持たない資質を、なのはと桜は持ってるんですけどね」

俺はつい言ってしまった。

まあ、元々ユーノの正体は暴露する心算でいたので特に問題は無い。

士郎さん、桃子さん、恭也さん、美由希さんの視線がなのはと桜に集中する。

その視線に2人は一瞬たじろいだ。

「さて、次はなのはの番だぞ」

俺はそう言った。

「ふ、ふぇ?」

なのはは何のことか分かっていなさそうに声を漏らす。

「他人の事なら特に首突っ込む気はなかったけどな、家族なら話は別だ。お前が話さないなら、俺が言うけど?」

「あ・・・・・う・・・・・・」

何のことか気付いたなのはは、如何しようかと迷っているようだ。

「なのはがどうかしたのか?」

恭也さんが尋ねてくる。

「ええ。ちょっと魔法関係に首突っ込みまして・・・・・」

その言葉に、恭也さんはピクリと反応する。

なのはは、ユーノと顔を見合わせると、ユーノは申し訳なさそうにして頷く。

姿はフェレットなのでそんな気がしただけだが。

すると、ユーノはなのはの元からテーブルの上に飛び乗る。

そして、

「こんな姿で申し訳ありません。僕は、ユーノ・スクライアといいます」

ユーノは喋りだした。

「フェレットが喋った!」

美由希さんが驚く。

とは言っても、先ほどのリニスほどではないが。

「君も使い魔なのかい?」

士郎さんは割と落ち着いてそう尋ねる。

「いえ・・・・僕は・・・・・・」

「スクライア一族は、遺跡などの探索の為に、変身魔法を得意としている。で、元々ユーノは人間だけど、魔力が空っぽになったから、元の姿より省エネな、小動物の姿になってるってところだろ?」

俺がそう言うと、

「あ、気付いてたんですね・・・・・・・その通りです・・・・・」

すると、

「ふぇえええええええっ!?ユーノ君って人間だったの!?」

なのはが盛大に驚いた。

「ごめんなのは。そういえば言ってなかったね」

ユーノが謝る。

そこで俺はふと思った。

「なあユーノ。魔力さえ回復すれば人間に戻っても問題ないんだよな?」

「え?う、うん。今の問題は魔力だけだからね」

「そうか・・・・」

俺はブレイズを首から外すと、左手に握る。

そして、ブレイズを通してユーノに魔力を送り込んだ。

俺が普通に魔力を送ったら俺の魔力に耐え切れずユーノがボロボロになってしまうが、ブレイズに送る量を調節してもらっているため、問題は無い。

「う、嘘・・・・・・空っぽだった魔力が満タンに・・・・」

ユーノが大層驚いている。

「これで問題ないだろ?」

「う、うん」

ユーノが頷くと、床に飛び降り、光に包まれる。

そして、その光が収まると、黄土色の髪に、民族衣装のような服装をした少年がいた。

「これが、僕の本当の姿です」

その姿を見ると、聞いていたとは言え、高町家の人々の驚きは隠せないようであった。

そして、ユーノは事の起こりを話し出した。

とある世界の遺跡で、ジュエルシードと呼ばれる21個のロストロギアを発掘した事。

それを、管理局まで運ぼうとしたが、輸送船が何らかの事故に遭い、ジュエルシードが海鳴市にばら撒かれてしまった事。

ジュエルシードを発掘してしまったのは自分なので、その責任を取るために単身この世界にやってきて、ジュエルシードを回収しようとした事。

しかし、結局は力及ばず、2つ目のジュエルシードの思念体に敗北し、念話で助けを求めた事。

そして、その念話に応えたのがなのはと桜であり、なのはの力を借りてジュエルシードを封印しようとしたが、突然の事態に2人は対処できなくなり危険に晒してしまった事。

そして、その時に俺が助けに入り、時間を稼いでいるうちになのはの力を借りてジュエルシードを封印し、今に至る事を説明した。

ユーノは話し終えると頭を深く下げた。

「申し訳ありません。僕の所為で、なのはさん達を危険な事に巻き込んでしまいました」

ユーノはそう言うが、

「あのさ、私達を巻き込む巻き込まないの前に、ユーノの何処に責任があるのか分からないんだけど」

桜がそう言う。

「それは・・・・・僕がジュエルシードを発掘してしまったから・・・・・・」

ユーノはそう呟く。

「あのな、スクライア一族は遺跡の探索や発掘で生計を立ててるんだろ?だったら発掘する事自体は仕方ないんじゃないか?それがお前らの生き方なんだから。お前が言うように発掘してしまったことが責任になったら、スクライア一族が生きていくこと自体が責任重大になっちまうんじゃねえのか?」

俺がそう言うと、ユーノははっとした。

「でも、まあ、お前が来てくれなかったら、海鳴が大変になってたことは間違いないんだし。封印術式もって無い俺じゃ、負けないことは出来るけど、勝つ事は出来ないからな」

俺がそう言うと、

「お父さん!お母さん!」

なのはが声を上げた。

「私に、ユーノ君のお手伝いをさせて!」

なのははそう言った。

「なのは!?」

ユーノが驚愕の声を上げる。

「ジュエルシードが海鳴に落ちてきたのはユーノ君の所為じゃないけど、このままじゃ皆が危ないんでしょ!?私、そんなの嫌だ!それに、私には皆を助けられる力がある!だから、お願い!お父さん!お母さん!」

なのはの言葉に俺は驚愕した。

此処までの決意をするのは、街中に大樹が現れるジュエルシード事件が終わった後のはずだからだ。

恐らく、俺の一言がなのはに自分からジュエルシードを集める決意をさせてしまったんだろう。

士郎さんは、なのはの言葉を聞くと、腕を組んで考える。

なのはは頑固なので考えは変えないだろう。

「私は、反対しないわ」

桃子さんが何と最初に許可の意を示した。

「なのはの初めての我侭だもの・・・・・なのはの好きなようにやらせてあげたいの」

桃子さんはそう言った。

だったら、俺がすべき事は、少しでもなのはの危険を減らす事だ。

最早、死亡フラグだのなんだの気にしてる場合ではない。

「ふぅ・・・・・それなら、俺も協力するよ」

俺は口を開いた。

「ユウ君!?」

なのはも驚いている。

「戦闘関係は俺とリニスで引き受けます。なのはは封印に集中させて、ユーノがなのはのサポート。そうすれば、なのはの負担はグッと減る。そして、万が一俺が戦闘に出れない場合に備えて、なのはにもリニスの魔法特訓を受けてもらう。これなら、なのはが危険な目に遭う可能性がかなり低くなります」

俺はそう説明した。

そこに、

「私にもデバイスがあれば、なのはを手伝えるんだけどね・・・・・」

桜が少し悔しそうにそう呟いた。

「桜は、なのはを手伝いたいのか?」

俺がそう尋ねると、

「当たり前でしょ!私の大切な妹なのよ!」

そう真っ直ぐな瞳で言ってきた。

俺は、バッグからインテリジェントデバイスを取り出し、

「これは、レイジングハートと同型のインテリジェントデバイス。まあ、俺が持ってても使えないし、桜が使ってくれてかまわない」

俺はそう言って桜に差し出す。

「ホント!?」

桜は嬉しそうに手を伸ばし、そのデバイスを手に取った。

そのデバイスは白銀色に輝いている。

「これで私もなのはを手伝えるわ!父さん、安心して。なのはは私が必ず守るから」

桜が士郎さんに向かってそう言った。

士郎さんは一度、大きく息を吐き、

「わかった。お前たちの好きにしなさい。ただ、必ず無事に帰ってくること、私が言いたいことはそれだけだ」

士郎さんの言葉を聞くと、なのはは顔をパッと輝かせ、

「ありがとう!お父さん!お母さん!」

そう言った。



そしてその後、

「ユウ!早くデバイスの起動パスワードを教えてよ!」

桜が俺に詰め寄ってきた。

桜自身も結構ワクワクしているようだ。

「わかったわかった。じゃあ、そのデバイスを手に持って心を落ち着かせろ」

そう言うと、桜は言われたとおりに落ち着き、目を瞑った。

「我、使命を受けし者なり」

「我、使命を受けし者なり」

桜は俺の言葉を繰り返す。

「契約の元、その力を解き放て」

「契約の元、その力を解き放て」

その雰囲気に、周りで見ている高町家の人々+ユーノも黙っている。

「風は空に、月は天に」

「風は空に、月は天に」

デバイスが徐々に光を放ってくる。

「「そして!不屈の魂はこの胸に!この手に魔法を!レイジングソウル!セットアップ!!」」

桜が白銀の光に包まれる。

「自分の杖とバリアジャケットを想像しろ!」

俺はそう叫んだ。

「もう決まってるわよ!」

桜はそう返事をする。

そして、その光が消えた時、

「にゃ!?桜お姉ちゃん、その姿って・・・・・」

思わずなのはが声を漏らした。

桜のバリアジャケット姿はなのはとほぼ同じであり、違う所といえば、青いラインの所が桜は赤色であり、後は髪型がポニーテールであるという事だけ。

杖の方も、レイジングハートと同じ形で、デバイスコアが白銀で、レイジングハートではピンク色だった部分が赤くなっていることだけ。

「ふふっ!なのはとお揃いだね」

桜は笑顔でそう言った。

その時、

――カシャ

っと、シャッターを切る音がした。

其方を見れば、いつの間にかデジカメを構えている桃子さん。

「桜、可愛いじゃない」

そう言って、もう一度シャッターを切る。

「か、母さん!何写真撮ってるの!」

桜は恥ずかしいのか顔を赤くする。

しかし、桃子さんは止まらず、

「なのはも、同じ格好になれるのよね?ねえ、やってみてくれない?」

「にゃぁあああああっ!?」

桃子さんの言葉になのはは叫ぶが、結局桃子さんに押し切られ、無理矢理セットアップさせられる羽目になった。

お揃いの2人の姿を見て、更にご機嫌になる桃子さん。

2人の姿をどんどんカメラに収めていく。

こうして、いつの間にか魔法少女撮影会場となった高町家での、俺の初の夜は過ぎていった。









あとがき


やりたい放題やりました。

色々と原作外れまくり。

いきなり正体暴露。

そして、桜の魔法少女化。

更には、一人称の大変さを知った第四話でした。

三人称に比べると、書く量が2,3倍近い。

それぞれの心理描写を書かないといけないんですんげー大変。

まあ、とりあえず勢いとノリだけで書いてるんでこんなもん。

なのはのイメージが星なので、桜のイメージは月です。(単純)

デジモンネタからなんか引っ張ろうと思ったんですけど、なんかイメージに合うものがいなかった。

故になのはとお揃いにしました。

そして、皆様感想ありがとうございます。

既にPVが17000を超えるという信じられない事が。

何でだろ?





皆様の質問には、この場で答えようと思います。






Q、他の形態はあるのか?

A、あります。ブレイズがウォーグレイモンなら、アイシクルは・・・・・・・それに・・・・・・




Q,主人公はオメガモンの形態になれるのか?

A、半分正解と答えておきます。




Q,私の運命の人←実はストーカー?

A、そうではなくて、神様が決めていた運命の人です。序に言えば、主人公の今回の人生は、神様の計らいにより、その当たりの設定が無制限になってます。




Q、主人公の両親をあっさり切り捨てすぎじゃないのか?

A、後の伏線でもありますのでお待ちを。




Q、リニスの戸籍とかはどうしてるのか?

A、今回の話の中にも出てきますが、リニスに戸籍はありません。



では、これにて。





[15302] 第五話
Name: 友◆ed8417f2 ID:11075f73
Date: 2010/01/17 14:31
第五話 新しい生活




あの後、俺は自分にあてがわれた部屋に案内された。

その部屋は、既に整理されており、普通に暮らしていける部屋であった。

・・・・・・いつの間に用意したんだ?

俺は疑問に思ったが、考えたら負けだと思ったので、気にしないようにした。

因みにリニスは、猫形態で同じ部屋である。

まあ、1年以上同じ屋根の下で暮らしているので、特になんとも思ってはいない。

と、その時、

――コンコン

と、ドアがノックされる。

「どうぞ~」

俺がそう言うとドアが開き、

「入るわよ」

桜が入ってきた。

「桜か。どうした?」

俺がそう聞くと、

「決まってるでしょ。話を聞きにきたのよ。何でリニスを使い魔にしてるのか。あと、これからの事もちょっと」

そう言ってきた。

「ああ、そういえばそうだったな。まあ、立ち話も何だから座ってくれ」

俺がそう言うと、桜はベッドに腰掛ける。

俺は、置いてあった勉強机のイスに座り、桜と向き合う。

リニスが俺の膝に乗ってくる。

こういう所は猫っぽい。

「リニスについては、1年以上前に契約が切れて消えそうになってたリニスを偶然見つけて、再契約したってだけなんだけど」

俺はリニスを撫でながらそう言う。

「本当に?」

桜がそう聞き返してくると、

「本当ですよ。プレシアとの契約が切れた後、1人消えようとランダムで転送した先にユウが偶然いて、そこで契約しただけです」

リニスがそう言う。

「ふ~ん・・・・・まあ、それは良いとして、問題はこれからよね。なのはとフェイトはやっぱり友達にさせときたいし・・・・・・・・」

俺はそれを聞いて、あ、と思いだした。

「あ~~~~・・・・・・・その~~~~・・・・・・・フェイトのことなんだが・・・・・・・・」

俺は少し言い出し辛く、言葉を濁す。

「どうしたのよ?」

桜が尋ねてくる。

「多分だけど、フェイトはジュエルシード事件に関わってこないぞ」

そう言った瞬間、

「ちょ!?何でよ!?」

桜が問い詰めてくる。

「いや、テスタロッサ家は、アニメと違って家庭円満らしいんだよ」

「へ・・・・・?」

俺の言葉に、桜は呆気にとられた顔をする。

「リニスの話じゃ、アリシアは今現在でも俺たちと同い年で存命中らしい」

「え・・・・・・・?ちょっと待ってよ!それじゃあフェイトは生まれてないんじゃ・・・・・!?」

桜は一瞬呆気に取られるが、大事な事を思い出し再び問い詰めてくる。

「心配するな。ちゃんとフェイトもいる。何でも、アリシアの「妹が欲しい」の一言でプレシアがフェイトを生み出したとか」

「は・・・・・・・・・?」

桜はポカーンとしている。

余りにもアニメと違いすぎているので、考えが追いつかないらしい。

「あと、なのはとフェイトを友達にさせたいんなら、ジュエルシードの事件が一段落したら、時の庭園を探して、こっちから行けば良いんじゃねえの?こっちにはリニスもいることだし。リニスの里帰りについていくみたいな感じで同行すれば、それなりに歓迎してくれると思うけど?」

俺がそう言うと、

「・・・・・・え?あ、そうね・・・・・その手があったか」

まだ驚きから立ち直っていないのか、今気付いたようにそう言う桜。

「フェイトとなのはの友達計画はそれで良いとして、あんたはこれからどうするの?」

桜は気を取り直して、そう尋ねてくる。

「そうだな・・・・・・・こうなった以上、ジュエルシードに関わる事は決定事項だしな。死亡フラグが立っている身としては、自分の安全を確保しつつ、ジュエルシード集めを手伝うぐらいだろ」

俺はそう言った。

「死亡フラグって・・・・・・あんた何処まで後ろ向きなの?最強オリ主だって考えとけばいいじゃない」

桜にそう言われ、

「俺が主人公?絶対にありえん!」

俺はそう断言した。

「そんなに自信に満ちた態度で断言しなくても・・・・・・・」

桜は呆れた様子である。

「これが俺の前世から続く性格だ。悪かったな」

それを聞くと、桜は一度ため息を吐き、

「まあ良いわ・・・・・・あんたが自分をどう思っていようと、なのははあんたに惚れてて、頼りにしてるんだから、しっかり守ってあげてよ」

そう言った。

「惚れてる云々は一時の気の迷いだろうけど、とりあえず死なない程度に頑張らせてもらう」

俺はそう答える。

「あんた、未だに惚れられてる事認めようとしないのね・・・・・」

「当たり前だろ。俺なんかが、なのはみたいな美少女に分類される女の子とつり合う訳無いだろ!」

俺は自信を持って答えた。

「はぁ~~~~・・・・・・その自信をもう少し前向きに持ってくれば、かなりカッコいいんだけどな~・・・・・」

桜は大きくため息を吐いた。

その後に何か言ったようだが、声が小さくて聞き取れなかった。

まあ、俺に対する呆れた感想だろう。

「まあ、明日からはお願いね」

「ああ」

桜の言葉に俺は頷く。

すると、桜は立ち上がり、部屋のドアへ向かう。

「それじゃ、おやすみ」

部屋から出る前に、桜はそう言った。

「あ、ああ。おやすみ」

俺もそう返す。

こうして、俺の非常に長く感じた一日は、終わりを告げた。








翌日。

俺は日の昇らないうちから目が覚めた。

「う~ん・・・・・・」

どうやら、慣れていない寝床の為に、いつもより早く目が覚めたらしい。

「ユウ?もう起きたのですか?」

猫形態になって、俺の枕元で丸くなっていたリニスが顔を上げる。

「ああ。布団や枕に慣れてないせいか、目が覚めちゃってね」

時計を見ると、6時を指している。

二度寝するにも微妙であり、なにより目が冴えてしまって寝れそうに無い。

「リニス、軽く身体動かすか?」

俺はリニスに尋ねる。

「付き合いましょう」

リニスはそう返事をした。




俺はジャージに着替えて庭へ出る。

そして、リニスが防音結界を張る。

「じゃあ、ブレイズ。身体強化たのむな。強化具合は30%ぐらいで」

『了解です』

俺はブレイズに魔力を流し込み、ブレイズが魔力を調節して俺の身体を強化する。

自分自身でも身体強化は可能だが、それだと常に100%になってしまうので、幾らリニスでも相手は出来ない。

よって、俺はブレイズかアイシクルを通さないと手加減が殆ど出来ないのだ。

序に言っておくと、ブレイズの身体強化がパワー重視で、アイシクルの身体強化はスピード重視である。

リニスも身体強化を済ませ、俺たちは向き合う。

因みに、リニスの身体強化具合は、50%から60%といった所だ。

「ふっ!」

俺は拳を繰り出す。

それをリニスは左手で受け止める。

「はっ!」

リニスは、右足で回し蹴りを放ってきたので俺は左腕で受け止めた。

そのまま、拳と蹴りの応襲を繰り返した。





【Side なのは】



――♪~♪~♪~♪~♪~♪♪~

私は、いつもの携帯のアラームで目を覚まします。

手探りで床に落ちた携帯に手を伸ばし、アラームを止めてベッドから起き上がります。

う~ん、と伸びると、制服に着替えて部屋を出ます。

と、そこで丁度別の部屋から出てきたユーノ君とバッタリ会いました。

「あ、ユーノ君、おはよう」

私は笑顔で挨拶します。

「あ、う、うん。おはよう・・・・・」

ユーノ君もそう返してきます。

実はユーノ君もこの家に居候する事になりましたが、昨日はフェレットの姿で過ごすと言っていました。

ユーノ君が言うには、フェレットの姿なら、フェレット相応の食事で済むので食費も浮きますし、寝床も場所を取らない為、迷惑をかけることが少なくて済むという話でした。

しかし、お父さんやお母さんは、それを良しとしませんでした。

結局、お父さんやお母さんに押し切られ、ユーノ君は家でも人間の姿で暮らすことになったのです。

その事を思い出していると、私の部屋の向かい側の扉が開き、桜お姉ちゃんが出てきました。

「ふわぁ~~~~・・・・・・おはよ、なのは、ユーノ」

桜お姉ちゃんは一回欠伸をした後、私たちに挨拶しました。

「おはよう、桜お姉ちゃん」

「おはよう」

私とユーノ君も挨拶を返します。

「あれ?ユウはまだ寝てるの?」

桜お姉ちゃんはそう尋ねてきました。

「どうだろ?僕達も今起きた所だから」

「あ、じゃあ私が起こすね!」

私はそう言って、ユウ君の部屋の前に行きました。

ちょっとドキドキするの。

私はユウ君の部屋のドアをノックしました。

「ユウ君、朝だよ!」

私はそう言いますが、中からは返事が返ってきません。

「ユウ君?」

私はもう一度いいますが、今度も返事はありません。

「ユウ君、入るね?」

私はドアを開けて、ユウ君の部屋の中に入りました。

しかし、ベッドにはユウ君の姿はありませんでした。

「ユウ君?」

私は周りを見渡します。

すると、ユーノ君が何かに気付いたのか、窓の外を眺めました。

そして、私のほうを見て、

「なのは」

窓の外を指差しました。

私は、ユーノ君に促されるまま、窓の外を見ました。

窓から見えた庭では、ユウ君とリニスさんが組み手をやっていました。

でも、その速さが尋常じゃないの。

ユウ君の動きは、明らかに小学3年生が出来る動きじゃありません。

少し見ていて、私はおかしい事に気付きました。

「音が聞こえない?」

驚く事にユウ君とリニスさんの組み手の音が全く聞こえなかったのです。

「よく見てなのは。防音結界が張ってある」

ユーノ君の言葉でよく見ると、ユウ君たちの周りには、見えない膜のような物が覆っている事に気付きました。

「あれは?」

「結界魔法の一種で防音結界。その名の通り、結界内からの音と外からの音を完全に遮断する結界だよ。その結界を張っていると、結界の中からの音は外に聞こえないし、逆に外からの音も中には聞こえないんだ」

結界っていうのは良く分からなかったけど、とりあえず私は納得しました。






【Side Out】






軽い組み手を終えた後、なのはが朝食だと呼びに来た。

気付けば、1時間ほど時間が経っていた。

俺は部屋に戻って制服に着替え、居間に行く。

俺、リニス、ユーノを加えた高町家の食卓は、賑やかだった。




俺、なのは、桜の3人は学校なので、揃って高町家を出る。

通学バスに乗り込む時、アリサとすずかに何か言われるかと思ったが、丁度この日は、2人はバスには乗っていなかった。

そして学校に着き、教室に入る。

「アリサちゃん、すずかちゃん、おはよう!」

「アリサ、すずか、おはよ!」

なのはと桜は、アリサとすずかに挨拶をする。

「おはよう!なのは、桜」

「なのはちゃん、桜ちゃん、おはよう」

アリサとすずかもそう挨拶を返した。

一方、俺は誰とも挨拶を交わすことなく自分の席に着く。

誰も友達がいないのでそれは仕方ない。

アリサやすずかも、偶々なのは達の後に来た程度にしか映っていないだろう。

だが、それは甘い考えだった。

ふと気がつくと、なのはがこちらに近付いてくる。

「むぅ~~!ユウ君、何でさっさと自分の席に座っちゃうの?」

なのはは、不機嫌だ。

「いや、俺って特に親しい友達いないし」

俺は答える。

「だったら、今日からでも皆と仲良くするの!」

なのははそう言うが、

「俺の性格的に無理」

俺はきっぱりと言った。

俺は、何かとつけて人付き合いが苦手なのだ。

と、言うより、前世では、自分の自覚無しに相手を怒らせることが多かったため、友達と呼べる相手など、片手で数えられるぐらいしかいなかった。

因みに、その数少ない友達は、俺と同じようにゲームやアニメが趣味で、尚且つ人付き合いが上手い奴。

そう言った限られた人種(と言って良いのかは分からないが)しか、俺が付き合っていける友達はいなかった。

あ、因みに全員男だぞ。

そんな前世からの経験+死亡フラグ回避の為に目立たないようにしていた事で、未だに友達はいないのだ。

はやて?

はやてとは、顔見知りになっただけで友達まで行ってないと思うが・・・・・・

因みに初めて会った後も、図書館で何回かはやてに会ってます。

一応声はかけられるが、ちょっと世間話をするだけだ。

まだ、友達とは言えんだろ?

そんな事を俺が考えていると、

「なのは、何でそんな奴に話しかけてるのよ」

アリサが近付いてきた。

まあ、確かに俺は「そんな奴」ですけど。

「そいつね、昨日から家に居候することになったの」

アリサの後ろで桜がそう言った。

いきなり暴露するのか。

何となくこの後の予想が出来た俺は耳を塞ぐ。

「「ええぇ~~~~~~~っ!!」」

アリサとすずかが驚きで叫んだ。

驚くのは当然だろう。

特に目立たないクラスメイトが、自分の親友の家に転がり込んだというのだ。

接点が全く無い上に、いきなりすぎる。

「な、何でいきなり!?」

すずかがそう尋ねる。

「昨日、ユウが独り暮らししてるのを父さんが知って、そのまま家に連れて来たんだ」

桜が答える。

「独り暮らしって・・・・・・両親は?」

アリサが疑問を口にする。

「家の両親は、一年以上前に事故で死んでるよ」

俺は仕方なく答えた。

その言葉で、アリサとすずかはバツの悪そうな顔をする。

「あ、その・・・・・・なんていうか・・・・・・」

「・・・・・ごめん・・・・・」

2人は謝る。

「気にするな。気を使われると返って疲れる」

俺はそう言っておく。

「そうそう、言っておくけど、こいつ根暗で冷たい印象があるかもしれないけど、ただ性格が後ろ向きなだけで、根はいい奴よ」

桜がそう言った。

「おい、根暗で冷たいというのは認めるが、いい奴って何だ、いい奴って?俺はそんな善人じゃねえぞ」

俺は思わず突っ込んだ。

「ね?」

桜が2人に目配せする。

「た、確かに」

「後ろ向きだね~」

何故か2人は苦笑しながら納得していた。







相変わらず眠たくなるような授業を乗り越え、放課後になる。

そういえば、神社の方でジュエルシードが発動するんだっけ?

俺は、何故かなのは、桜、アリサ、すずかと一緒に帰る事になっており、今は海岸沿いの道を歩いている。

なのはと桜はどうやらユーノと念話しているらしい。

そのまますずかの家ですずかと別れ、アリサはそこで迎えが来ていた。

アリサは乗っていくように誘ったが、なのは達はそれを断る。

やがて、高町家の近くまでやってくるが、

――ドクン

魔力の波動を感じた。

「い、今のって!?」

「もしかして・・・・・」

なのはと桜が声を漏らす。

「ジュエルシードが発動したんだ。近いぞ」

俺はそう言って駆け出す。

2人も後を追ってくる。

アニメと同じように、ジュエルシードは神社で発動している。

石段の前まで来ると、そこでユーノが合流した。

「皆!」

「ああ、行くぞ!」

ユーノの言葉に俺は応えて、石段を駆け上がる。

その時、

「ねえ、ユウ!」

桜が声をかけてくる。

「何だ?」

俺が聞くと、

「最初は私となのはに任せてくれない?」

そんな事を言って来た。

「何でだ?」

「私達は素人なのよ!少しでも実戦で魔法に慣れとかなきゃ!」

俺は桜の言いたい事を理解する。

「そういう事なら分かった!けど、危ないと思ったら直ぐに飛び込むからな!」

「お願い!」

桜はなのはの方を向くと、

「なのは!そういう事だから、最初は私たちだけで行くわよ!」

「わ、わかった!」

なのはは、若干戸惑ったようだが、しっかりと返事を返した。






【Side 桜】




「なのは!そういう事だから、最初は私たちだけで行くわよ!」

「わ、わかった」

私の言葉に、若干の戸惑いが入ったが、しっかりと返事をするなのはの姿を見て、私は前を向く。

そして、白銀の宝石、レイジングソウルを手に取り、

「レイジングソウル!セットアップ!」

『Yes, Master. Stand by, Ready. Set up.』

レイジングソウルは、私の言葉に応え、起動する。

杖状になったレイジングソウルを手に持ち、バリアジャケットを纏う。

「起動パスワード無しで起動させた!?」

ユーノが驚いている。

一応、昨日寝る前に試したから私は別に驚かないけどね。

ユーノは気を取り直し、

「なのはもレイジングハートを!」

「うん!」

なのはも制服の中からレイジングハートを取り出す。

そこで私達は石段を登りきった。

「グォオオオオオオオオッ!!」

そして、目の前にはジュエルシードに取り込まれ、真っ黒な犬の怪物がいた。

これって本来は子犬なのよね?

面影が、全く無いわ。

「原住生物を取り込んでる!」

ユーノが焦った声で言った。

「ど、どうなるの?」

なのはが尋ねた。

「実体がある分、手強くなってる!」

ユーノの言葉に、

「大丈夫!・・・・・・多分」

なのははそう言って、一歩踏み出す。

そして、

「なのは!レイジングハートの起動を!!」

ユーノの叫びに、

「へっ?起動って何だっけ?」

なのはは気の抜ける発言をする。

アニメで見たときは呆れたけど、実際その立場になると焦るわ。

その時、犬がこちらに突っ込んでくる。

「あっ!」

「『我は使命を』から始まる、起動パスワードを!」

「ええっ!あんな長いの覚えてないよ!」

やっぱりアニメの通りになったわね。

このままほっといても大丈夫かもしれないけど、万が一という事もある。

私は、なのはの前に立ち、レイジングソウルを構える。

「守って!レイジングソウル!!」

『Protection.』

私の声に応えて、レイジングソウルは白銀の魔力障壁を張る。

あ、やっぱり私の魔力光って白銀なんだ。

そのまま犬は突っ込んできて、私はそれを受け止める。

「くぅ・・・・」

衝撃があり思わず声を漏らすが、十分耐えれる範囲だった。

犬は弾かれて後退する。

「さ、桜お姉ちゃん・・・・・ありがとう・・・・・」

なのはは驚いたようだが私に礼を言って来た。

それよりも、

「なのは!戦闘が始まっても戦う準備して無いって、危ないじゃない!」

私は怒った。

「これはゲームじゃないのよ!命の危険だってあるんだから!戦いに入る時は準備を万全に!わかった!?」

「あ、あうぅ・・・・・ごめんなさい」

なのはは謝ってくる。

「それは後でいいわ。早く起動させなさい!」

「う、うん・・・・・レイジングハート?」

なのははレイジングハートに呼びかけた。

すると、

『Stand by, Ready. Set up.』

レイジングハートが起動する。

「なのはも起動パスワード無しで起動させた!?」

レイジングハートが杖となり、バリアジャケットを纏う。

「えっと・・・・封印ってのをすればいいんだよね?レイジングハート、お願いね」

『All right. Sealing mode. Set up.』

なのはの言葉に応えて、レイジングハートがシーリングモードに変形する。

桜色の帯が犬を締め上げる。

私はこれで終わったと思った。

でも、

「グォオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」

その犬が一度雄叫びを上げると、体中から角のような突起物が飛び出し、更に醜悪な姿に変わる、それと同時に、締め上げていた桜色の帯が引きちぎられた。

「嘘っ!?」

私は思わず声を漏らした。

こんなこと、アニメでは無かった。

「ユーノ!一体何が起きたの!?」

私は叫んでユーノに問いかけた。

「た、多分、原住生物を取り込んだジュエルシードの放出するエネルギー量が増えたんだと思う!こうなったらそのままじゃ封印出来ない!ダメージを与えて弱らせないと!」

ユーノが言った。

その時、

「グガァアアアアアアアアアアアッ!!」

更に醜悪となった姿の犬が突っ込んできた。

「くっ!!」

私はレイジングソウルを構え、プロテクションを張る。

そのプロテクションに犬が突っ込んできた。

「くうっ!・・・・・ううっ・・・・・」

その威力は先程とは比べ物にならない。

「桜お姉ちゃん!」

なのはが叫ぶ。

「だ、大丈夫・・・・・」

私はそう答えるが、はっきり言って拙い。

――ピキッ

と、プロテクションに罅が入った。

「ううっ・・・・・」

幾らAAAの資質があるとはいえ、魔法初心者である私の障壁はやはり脆いようだ。

アニメのように都合よく行かない事を、改めて実感させられる。

――ピキピキッ

罅が広がる。

その時、

「チェーンバインド!!」

緑の魔力光のバインドがその犬を締め上げ、動きを止める。

そして、

「おらぁ!!」

次の瞬間、飛び込んできた影に、その犬は吹き飛ばされた。





【Side Out】






俺は、一歩下がって様子を窺っていた。

桜が最初からセットアップしていたお陰で、特にピンチになることは無いと思っていた。

なのはが起動パスワードを忘れた時も、桜がなのはを庇って黒い犬をプロテクションで受け止めた。

そして、その後に言った言葉、

「なのは!戦闘が始まっても戦う準備して無いって、危ないじゃない!これはゲームじゃないのよ!命の危険だってあるんだから!戦いに入る時は準備を万全に!わかった!?」

その桜の言葉には同意した。

アニメで見ていたときも、戦闘準備が完了する前に戦場に立つなど、無謀にも程があると思ったものだ。

なのはは謝り、レイジングハートを起動させる。

そして、ジュエルシードを封印するために、シーリングモードで黒い犬を締め上げた時に変化が起こった。

突如、黒い犬から感じる魔力が増大したのだ。

それに伴い、黒い犬にも変化が現れる。

その犬が雄叫びを上げると、体中から角のような突起が飛び出し、それによって締め上げていた帯が引きちぎられた。

その犬は更に醜悪な姿になり、なのは達を睨み付ける。

「ユーノ!一体何が起きたの!?」

桜が叫んでユーノに問いかけた。

「た、多分、原住生物を取り込んだジュエルシードの放出するエネルギー量が増えたんだと思う!こうなったらそのままじゃ封印出来ない!ダメージを与えて弱らせないと!」

ユーノが言った。

その時、

「グガァアアアアアアアアアアアッ!!」

変貌した犬が桜たちに向かって突っ込む。

「くっ!!」

桜はレイジングソウルを構え、プロテクションを張る。

そのプロテクションに犬が突っ込んだ。

「くうっ!・・・・・ううっ・・・・・」

桜は声を漏らしながら必死に耐える。

「桜お姉ちゃん!」

なのはが叫ぶ。

「だ、大丈夫・・・・・」

桜はそう言うが、はっきり言ってヤバイ。

――ピキッ

と、プロテクションに罅が入った。

「ううっ・・・・・」

魔法初心者の桜では、障壁の構成が甘い。

――ピキピキッ

罅が広がる。

「ユーノ!」

俺はユーノに呼びかける。

「わかった!」

ユーノは直ぐに頷くと、

「チェーンバインド!!」

緑の魔力光のバインドを放って、その犬を拘束した。

そして、俺は身体を強化し、

「おらぁ!!」

その犬を蹴り飛ばした。

その犬は吹き飛び、地面を転がる。

桜はプロテクションを消すと、その場で座り込む。

魔法初心者でありながら、いきなり相当な魔力を消費したのだから無理も無い。

「ユーノ!桜を守ってろよ!」

「わかった!」

俺の言葉にユーノは頷く。

俺は黒い犬に向き直ると、その犬は立ち上がろうとしていた。

俺は足元にオレンジ色の魔法陣を発生させ、左手を横に伸ばし、掌を上に向ける。

「ブレイズ、魔力調節を任せる。ちゃんと手加減しろよ」

『分かってますよ。マスター』

ブレイズはそう返事を返す。

俺は左手に魔力を集中させ、更に『炎熱』の魔力変換資質で魔力を炎に変換する。

俺の左の掌の上に炎が集まる。

その時、黒い犬は立ち上がり、こちらを見ると、一気に突っ込んできた。

「メガ・・・・・・」

俺は、炎を集めた左手を後ろに引き、

「・・・フレイム!!」

前に突き出すと共に、豪火球を放った。

「グギャァアアアアアアアアッ!!」

その豪火球は、黒い犬に直撃した。

その黒い犬は炎に焼かれていく。

俺はなのはに呼びかけた。

「なのは!封印だ!」

「う、うん!」

なのはは驚いたが、直ぐにレイジングハートを構える。

再び桜色の帯が黒い犬を締め上げた。

今度はその犬に反抗する力は無く、その犬の額にシリアルナンバーが浮かび上がる。

『Stand by, Ready.』

「リリカル・マジカル ジュエルシード シリアルⅩⅥ!封印!!」

『Sealing』

その犬は、桜色の光に包まれ、変貌した身体を分解させていく。

そして、取り込まれたであろう子犬と、ジュエルシードだけがその場に残った。

なのはがレイジングハートをジュエルシードに近づけると、ジュエルシードがレイジングハートのコアに吸い込まれた。

俺はそれを見届けると、

「まあ、予想外の事はあったけど、上出来だな2人とも」

俺はなのはと桜にそう言った。

「えへっ!」

なのはは無邪気な笑顔を見せ、

「まだまだ甘いわよ。この程度の相手に苦戦してるようじゃ・・・・・ね」

桜はそう呟いた。









因みに、何故この場にリニスがいないのかと言えば・・・・・・

「リニスー!3番テーブルお願い!」

「はい!」

「そのあと5番テーブルも!」

「は、はい~!」

桃子さんによって、翠屋のウェイトレスをやらされていたりする。








あとがき


第五話如何でしたでしょうか?

前半はともかく、後半はそれなりに上手くできたと思います。

皆様のアドバイスに従って、スッキリと纏めてみましたが如何でしょうか?

こんなものでよろしいでしょうか?

まあ、個人的にはアイシクルの出番が無いのが心苦しい。

次回には少しは出番ありますが、本格参戦はもっと後なんですよね。

それはともかく、1話当たりのPV数が10000を超えました。

前作、前々作を通して初めてのことです。(一応18禁では超えてましたが、あれは別で・・・・・)

勢いで書いた物が超えてるって・・・・・・ちょっと複雑です。

ゼロ魔とリリフロについては、次話の完成度が、ゼロ魔については5%。

リリフロが50%ってところですね。

スランプ続行中のため、今しばらくお待ちください。

では、質問タイムです。







Q、アリシアも転生者なのか?

A,その心算はありません。自分は転生者を多くすると、なんか面白いと感じる事がなくなるので、これ以上出さない予定です。



Q、リニスが翠屋でウェイトレスやってる姿が想像できたんですけどデフォですよね?

A、デフォです。




Q、砲撃魔法等を受けバリアジャケットが損傷を受けた場合、融合しているデバイスにも多大な損傷を与え下手をすれば両親の形見でもあるデバイスを消滅させる危険性があるのではないか?

A、この設定が活かす部分がなさそうだったので書かなかったのですが、一応、コアが左胸の内側にあって、このコアを破壊されない限りリカバリー可能な設定です。それ以前に、Sランクオーバーの攻撃でも、傷1つ付かないので壊れる心配は無用なんですけど・・・・・・最強にも程がある・・・・・






では、これにて。



[15302] 第六話
Name: 友◆ed8417f2 ID:11075f73
Date: 2010/01/24 12:46

第六話 遭遇。金色の魔法少女



無印が始まって1週間。

その間のジュエルシード集めはどうなっていたかアニメではやっていなかったが、特に問題もなく5つ集める事ができた。

前の神社の犬以外は、俺が手を出さなくても問題なかったし、なのはも桜も、リニスに魔法を教えてもらっているからか、危なげもなく事態を収拾している。

正直、俺って要らないんじゃねって思うぐらい。

因みになのはは、既に砲撃使いとしての片鱗を見せ始めていたりする。

遠距離攻撃魔法について教えたら、いきなりディバインバスターをぶっ放しました。

なのはは、新しい魔法を覚える事に関しては、俺よりも上だと思ったな。

桜も似たり寄ったりだけど。

それで、今日はアニメの通り翠屋JFCのサッカーの試合の日。

なのはと桜も、アリサ、すずかと一緒に応援に行く事になっている。

ユーノはフェレットモードで同席。

そして、何故か俺も一緒に行く事になっていた。

いや、キーパーがジュエルシード持ってるだろうから良いけどさ。






そして河川敷のグラウンド。

サッカー選手達がグラウンドを走り回っている。

それを応援するなのは達。

アニメではベンチに何人かいた補欠要員がいないのが少し気になったが、まあ些細な事だろうと思い、気にしないようにした。

俺は、応援する傍ら、サーチャーを飛ばして、キーパーが持っているはずのジュエルシードの反応を探した。

だが、

「あれ・・・・・・?」

俺は思わず声を漏らす。

「ユウ君?どうしたの?」

俺の声になのはが尋ねてくる。

「あ、いや、何でもない」

俺はそう答えたが、内心おかしいと思っていた。

キーパーが持っているはずのジュエルシードの反応が何処にも無い。

ベンチの荷物はもちろん、分からないように探知魔法でキーパー自身も調べたが、ジュエルシードの反応は無かった。

どうやらこの世界では、キーパーの少年はジュエルシードを拾ってないようだ。

俺は、めんどくさい事にならなきゃいいなと思いつつ、ため息を吐いた。

そんな時、

――ピピィーーーーーーッ

ホイッスルが鳴り響く。

俺が其方を見ると、翠屋JFCの選手が足を抑えて倒れていた。

どうやら接触プレーがあり、足に怪我をしたようだ。

士郎さんはその選手に駆け寄り怪我の具合を見ている。

マネージャーも救急箱を持って駆け寄り手当てを施すが、その選手は、士郎さんの手を借りて歩くのがやっとといった所だ。

「ああ・・・・・大丈夫かなぁ?」

アリサたちが心配そうな声を漏らす。

翠屋JFCには、補欠が居ない。

今日に限って、休みが出たそうだ。

このままだと、人数が足らなくて棄権せざる負えなくなる。

すると、ふと士郎さんが此方を・・・・・いや、俺を見た。

そして、俺と目が合うと、ニッコリと笑って此方に歩いてくる。

あ、なんかやな予感。

そして、俺の前に来ると、

「すまないユウ君。突然だが、試合に出てくれ」

「あ、やっぱり?」

士郎さんの言葉に、俺は思わず声を漏らした。

「今日は運悪く補欠が居なくてね。今日だけでいいんだ。やってくれないか?」

士郎さんがそう言うと、

「別にいいじゃないユウ。出なさいよ」

桜もそう言った。

「なのはも、ユウのカッコいい所見たいわよね?」

そうなのはに振る。

「え?えっと・・・・・・その・・・・・私もユウ君に出て欲しいな」

なのはは、若干顔を赤くしながらそう呟く。

「っていうか、アンタ運動できるの?」

アリサがそう言ってきた。

まあ、学校じゃ手を抜いてるから、その質問は当然だろうな。

「ああ。その辺は心配しなくていいわよ。コイツ、学校じゃ手を抜いてるけど、本当は運動神経抜群で、序に頭も私並に良いから」

桜がそう暴露した。

「うぉい!何勝手に人の評価を上げてやがる!」

俺は思わず叫んだ。

まあ、確かにこの身体はハイスペックだし、頭も前世の記憶と、今回の記憶力のお陰もあって、今の所は余裕だけど。

「本当の事なんだから良いじゃない」

「だからって、人を優等生みたいに言うんじゃねえ!俺はそんな碌な人間じゃないっつーの!」

俺はそう言ったが、

「はいはい、それは分かったから、出るの?出ないの?」

桜は見事にスルーし、要点だけを聞いてくる。

俺は、一回ため息を吐き、

「わかった。出るよ」

俺はそう答えた。






それで今、俺は翠屋JFCのユニフォームを着てグラウンドに立っている。

まあ、とりあえず出しゃばらないようにしよう。

俺がそう思っていると、俺にパスが来る。

そして、俺がそのボールを受け取ると、相手選手がボールを奪おうと突っ込んでくる。

なんていうか・・・・・うん、遅い。

俺は相手選手をかわすと、前に出ているチームメイトに向けてパスを出した。

チームメイトは、そのパスを受け取るとシュートを放つ。

そのシュートはゴールネットに突き刺さった。

うん、小学生はシュートを決めた奴に目が行きやすいから、パスを出すだけにしとけば目立たないだろう。

俺はそう思って試合に臨んだ。





【Side なのは】



今日は、お父さんがオーナー兼コーチをしている翠屋JFCの試合の日だったのですが・・・・・・

思わぬトラブルで選手が怪我を負ってしまい、人数が足らなくなってしまいました。

すると、お父さんはユウ君に試合に出るようにお願いしました。

ユウ君は少し迷っているようでしたが、桜お姉ちゃんがちょっと話しただけで、ユウ君は出てくれることになりました。

なんか桜お姉ちゃん、ユウ君の性格を熟知し始めているようで、上手い事その気にさせたようです。

それから、ユウ君の入った翠屋JFCの快進撃が始まりました。

最初は、ユウ君がボールを受け取った時です。

相手チームの選手が、ユウ君からボールを奪おうと、物凄い勢いでユウ君に突っ込んできました。

しかし、ユウ君は何でもないようにあっさりとその相手をかわして、更に此処しか無いと言う様な絶妙なパスを出し、それを受け取った選手がシュートを決めました。

その後も、ユウ君の活躍は凄かったです。

シュートはしないものの、ボールを受け取った時のキープ力と、絶妙なパスで次々とチャンスを作っていきます。

いつの間にか、ユウ君を中心に試合が動いていると思えるほどになっていました。

そして気付けば、翠屋JFCは5対0という大勝利をその手にしていたのです。







【Side Out】





何でだ?

試合が終わって俺は不思議に思っていた。

アニメでは2対0だった筈なのに、5対0という快挙を成し遂げた翠屋JFC。

そして、周りのメンバーから送られる尊敬の眼差し。

何でそんな目で俺を見る!?

俺、なんかしたか?

ただ、適当にパスを受け取って、適当に来た相手をかわして、適当にノーマークだった味方にパスを出しただけ。

うん、適当だらけ。

尊敬される事など何一つしてないぞ。

はっ、何を俺は思いあがっていたんだ。

俺が尊敬されるわけ無いだろうに!

つー訳で、これは単なる俺の思い込みってことだな、うん。

この後は、アニメの通り、翠屋で食事となった。

だが、俺は早々に切り上げ、気になっていた今回のジュエルシードの行方を捜すことにした。

出来れば、リニスにも手伝って欲しかったが、リニスはウェイトレスが忙しく、頼めそうに無かった。

なのはと桜は、そろそろ疲労が蓄積している頃なので、元々協力してもらう心算は無い。

ユーノは現在アリサとすずかに揉みくちゃにされているので、これも誘えない。

俺は仕方なく、1人でジュエルシードを探すことにした。

1人では封印出来ないが、見つけてからなのは達を呼んでも大丈夫だろうと考えていた。





アニメでは、信号機の所でジュエルシードが発動していたので、翠屋から歩いていける範囲の交差点を中心に、ジュエルシードを捜索する。

だが、一向に手がかりなし。

やがて日が傾いてきた為、そろそろ帰るかと思っていた。

だがその時、

「ッ!?」

結界が張られる。

だが、感じる魔力は、リニスの物でもユーノの物でもない。

「結界!?でも、一体誰が!?」

俺がそう漏らすと、

『マスター、2時の方向、200m先で魔力反応を確認。戦闘している模様です』

アイシクルがそう報告する。

「戦闘!?・・・・・わかった、行くぞ!」

俺は駆け出した。




反応があった地点に着いたとき、俺は呆然とした。

街中で暴れまわる赤い鬣をもった巨大な猪。

恐らくジュエルシードの暴走体だろう。

なんか、デジモンのボアモンに似てると思ったのは俺だけの秘密だが、まあ、こっちは如何でもいい。

問題は、その猪と戦っている2人。

1人は、オレンジ色の長い髪に、犬耳と尻尾がついた女性。

もう1人は、金髪のツインテールと黒いマントをはためかせ、鎌のような金色の魔力刃を発生させたデバイスを構えている少女。

どっから如何見てもフェイトとアルフです。

「何でフェイトとアルフがいるんだよ?」

俺は思わず呟く。

『あの2人がリニスの言っていた2人ですか?』

ブレイズが質問してくる。

「ああ、金髪の女の子の方がフェイトで、もう片方がフェイトの使い魔のアルフだ」

俺はそう説明する。

その間にも、フェイトたちは巨大な猪に立ち向かう。

猪は、その巨体を生かした突撃で体当たりを仕掛けるが、フェイトは一瞬で猪の後ろに回りこみ、一撃を加える。

更に、猪が止まった瞬間にアルフが横から殴りつけ、猪を横転させる。

しかし、猪は大したダメージを受けていないのか、ケロッとして起き上がる。

「なんてタフな奴だい!さっきから全然堪えてない!」

アルフが叫んだ。

「はぁ・・・・・はぁ・・・・・思ったよりも強い」

フェイトも肩で息をしていた。

その様子を見ていると、

『確かにリニスの言うとおりあの子は強いですね。少なくとも、今のなのはや桜では相手になりません』

ブレイズが感想を述べる。

『ただし、今回の相手は相性が悪いようです。あの子はどうやらスピード主体。一撃の攻撃力が低い。アレでは猪の防御力の前では歯が立ちません』

アイシクルがそう判断する。

すると、

『マスター、助けましょう』

アイシクルがそう言ってきた。

「は?」

俺は思わずそう返す。

『強大な敵に襲われ、ピンチになるヒロイン』

『そのヒロインのピンチに颯爽と現れるヒーロー』

『そして、ヒロインを救い、名も告げずに去ってゆく』

『これほどカッコいい役はありません』

『『そうすれば、彼女のハートはあなたのものです』』

「このアホウ共」

俺は自分のデバイスたちの考えに呆れる。

『いえ、ですけど、あの子は結構マスター好みじゃないですか?』

『なのはの次はあの子ですね』

「まあ、確かにフェイトは可愛いと思うけどさ・・・・・・って言うか、アイシクル。なのはの次って何だなのはの次って!?」

『それは当然オトす事に決まってます』

アイシクルは、さも当然のように答える。

「聞いた俺がバカだった・・・・・・」

俺は頭を抱えた。

その時、

「このままじゃ埒が明かない。アルフ!少しだけ時間を稼いで!サンダーレイジで決める!」

「あいよっ!」

フェイトの言葉に、アルフは返事をする。

「うぉりゃぁあああああっ!!」

アルフは、猪に殴りかかり、怯ませる。

その隙に、フェイトは上空に飛び上がり、魔法陣を発生させた。

「サンダー・・・・・・・・」

フェイトはバルディッシュを振り上げる。

だがその時、猪がフェイトの方を向き、鼻先から高熱の息を放った。

「レイッ・・・・・うぁあああああああっ!?」

サンダーレイジの発動中だった為、思わぬ反撃をモロに受けるフェイト。

「フェイト!!」

アルフが悲痛な叫び声を上げる。

落ちて行くフェイト。

それを見た俺は、

「だぁああっ!畜生!マジでボアモンみたいな攻撃しやがって!仕方ない!アイシクル!!」

俺は右手でアイシクルを掴んだ。

『Yes, Master. Stand by, Ready. Set up.』

俺は青い光に包まれた。







【Side フェイト】



油断した。

今までの攻撃が全部突進だけだったから、遠距離攻撃は無いと決め付けていた。

まさか、あんな攻撃があったなんて。

身体はダメージで上手く動かせず、飛行魔法も制御できない。

私は落ちていく。

「フェイト!!」

アルフが悲痛な声を上げる。

ゴメンアルフ、失敗しちゃった。

私は心の中でアルフに謝る。

アルフが私を助けようと私に向かって走ってくるが、アルフのスピードでも間に合いそうに無い。

私は死を覚悟した。

それから思い浮かぶのは、優しい母さんと、大好きな姉さん。

「・・・・・・・・・母さん・・・・・・姉さん・・・・・・・ゴメンね・・・・・・・」

私は、そう呟き、涙を流す。

私は、最後にせめてアルフの姿だけはこの目に焼き付けようと思い、朦朧とする意識の中、目を開ける。

そして、私は見た。

アルフの後方で輝く、青い魔力光を。

そして、次の瞬間、

――ガシッ

私は誰かに受け止められた。

一瞬、私はアルフが奇跡的に追いつけたのかと思った。

でも、目を開けてみると、目の前にはバリアジャケットと思われる青い鎧を着た人物。

全身を機械的な鎧で覆い、両肩には3連装のミサイルランチャーに見えるものと、背中には機械的なウイングがあり、そこから魔力が放出されている。

顔も鎧に包まれているので、顔は分からなかったけど、黒い瞳が印象に残った。

「大丈夫か?」

声をかけてくる。

声からして男の子。

歳は背丈からして、私と同じくらいかな?

「・・・・・・あ、貴方は・・・・・・・?」

私は何とかそう尋ねた。

「通りすがりの魔導師だ。なんか危なそうだったんで首を突っ込ませてもらった」

その人はそう言った。

その時、

「危ない!!」

アルフの声が響く。

其方を見れば、さっきの猪が、再び鼻先から高熱の息を放ってきた。

すると、彼は左腕で私を胸元に抱き寄せ、攻撃から庇う体勢になる。

そして、右手をその攻撃に突き出すと、青い魔力光のシールドで容易く防ぎきった。

一方、抱き寄せられた私は、顔が熱くなるのを感じていた。

何でだろう?

彼のバリアジャケットは固くて冷たい筈なのに、暖かいと感じてしまうのは何故だろう?

「飛べるか?」

彼が突然そう言ってきた。

「・・・・あっ。は、はい!」

私は少し慌ててしまった。

私は彼から離れる。

「フェイトぉー!大丈夫だったかい!?」

アルフが泣きそうな顔で飛んできて、私に抱きついた。

「心配かけてゴメンねアルフ。私は大丈夫」

私はそう言ってアルフを宥める。

それから、アルフは私を助けてくれた彼の方を向くと、

「誰だか知らないけど、フェイトを助けてくれて感謝するよ」

礼を述べる。

「礼には及ばない。偶々見かけただけだからな」

彼はそう言って、ジュエルシードの暴走体に向き直る。

「奴の動きは俺が止める。封印は任せた」

「う、うんっ!」

彼の言葉に、私は反射的に頷いた。

何故か分からないけど、彼の言葉は信じられた。

彼は地上に降りると、ジュエルシードの暴走体を見据える。

ジュエルシードの暴走体は、前足を何度か地面に擦り付けた後、一気に彼に向かって突撃した。

それに対し、彼は肩にあったミサイルランチャーから、一発のミサイルを放つ。

それは煙の尾を引き、ジュエルシードの暴走体に直撃する。

その瞬間、氷漬けになる暴走体。

私は驚いた。

「凍結の・・・・・魔力変換資質・・・・・」

そう呟くが、たったあれだけで完全に凍りつかせた彼の実力も底が知れない。

「今だ!」

彼の言葉で、私は気を取り直し、魔法陣を展開する。

「サンダー・・・・・・・・・レイジィイイイイイイイ!!」

私の放った稲妻が、氷漬けの暴走体に直撃する。

「ジュエルシード シリアルⅩ!封印!!」

そのまま、私はジュエルシードを封印した。

そして、その後に残ったのは、ジュエルシードと、取り込まれていた原住生物。

私はバルディッシュでジュエルシードを回収する。

その後、私は彼に向き直った。

「あ、あの・・・・・助けてくれて・・・・・ありがとう・・・・」

私はお礼を述べる。

「気にするなよ。困った時はお互い様だ」

彼はそう言う。

「わ、私はフェイト・テスタロッサです。こっちは使い魔のアルフ。いつかお礼をしたいので、名前を教えていただけないでしょうか?」

私は自分とアルフの名前を言って、そう尋ねた。

しかし、

「ああ、別に名乗るほどのもんじゃねえし。お礼も気にしなくていいから」

彼はそう言って背を向ける。

「まあ、もし縁があったらその時にな。それじゃ、またな!」

そのまま彼は飛び去ってしまった。

「あ・・・・・・」

私は思わず手を伸ばしたが、既に彼は遥か彼方。

幾ら私でも追いつけないスピードだ。

「行っちゃった・・・・・・名前・・・・・聞けなかったな・・・・・・・」

私はポツリと呟く。

「フェイト?」

アルフが不思議そうに私の顔を覗き込む。

「フェイト・・・・・もしかして、惚れちゃったのかい?」

アルフのその言葉を聞いたとき、顔が一気に熱くなった。

「ア、アルフ!?」

私は思わず叫んでしまった。

私の反応を見て、アルフは笑った。

「あはは!フェイトにも春が来たねぇ~」

「ア、アルフ!そんなんじゃ・・・・」

「無いって言いきれる?」

「う・・・・・・」

アルフの言葉を否定しようとしたが、再び言われたアルフの言葉で詰まってしまう。

「ほらね」

「ううっ・・・・・で、でも、名前も聞けなかったし・・・・・また会えるかも分からないし・・・・・・・」

私はそう呟く。

「心配しなくても大丈夫さ。アイツが最後になんて言ったか覚えてるかい?」

「え?」

アルフの言葉に私は首を傾げる。

「アイツは、最後に『またな』って言ったんだよ。だから、また会えるさ」

アルフはそう言った。

私は、もう一度彼が飛び去った方を向いて、

「また・・・・ね・・・・・・」

小さく呟いた。







【Side Out】






ふう・・・・・・フェイトに会ったのは予想外だが、とりあえずシリアルⅩのジュエルシードが見つかってよかった。

あれが確か大樹になるジュエルシードだったからな。

っていうか、何でフェイトはこの世界に来たんだ?

『マスター、やりますね』

突然アイシクルがそう言ってきた。

「何がだよ?」

俺はそう尋ねる。

『先程のフェイトを助けた時ですよ。成り行きでも、私達が言った通りになりましたからね』

「は?」

俺は何のことだと首を傾げる。

『強大な敵に襲われ、ピンチになるヒロイン』

『そのヒロインのピンチに颯爽と現れるヒーロー』

『そして、ヒロインを救い、名も告げずに去ってゆく』

『先程のシチュエーションは正にその通りです』

『『確実にマスターに惚れましたね』』

デバイス達の発言に俺はまた呆れた。

「このアホデバイス共。そう簡単に惚れるわけあるか!」

俺はそう言う。

『いえいえ、人を好きになる事に時間など関係ありません』

『まだまだ純粋であるこの時期の女の子ならイチコロです』

2つのデバイスは、懲りずにそう言う。

「・・・・・・今更だが、ホントにお前ら人間臭いデバイスだよな」

俺は、頭を押さえて呟いた。

『何を今更』

『私達は、マスターが生まれる前から存在してるんですよ』

『いわば、リニスと同じく私達もマスターの保護者なのです!』

『そして、親ならば、子供の恋愛を応援するのは当然の事です』

『『そして、最終的には、男の夢であるハーレムを!!』』

「このアホデバイス(×2)が!!」

馬鹿なことを言う2つのデバイスに、俺は思わず叫んだのだった。








あとがき

やりたい放題な第六話です。

とりあえず大樹イベントを消して、フェイトとの遭遇です。

ご都合主義の如くフラグ立てました。

突っ込みどころは置いといてください。

一応、アイシクル使いましたが、大して活躍してない。

本格的な活躍は、もう少し後です。

言わずもがなメタルガルルモンのイメージです。

サッカーの方も、とりあえず主人公出しときました。

突っ込みどころ満載なのはあしからず。

それから、勢いだけで書いている小説ですが、何故か一話当たりのPV数が10000越えしているので、今回からは感想に対してしっかりと返信するようにします。





>空我様
感想ありがとうございます。
自分の考えは、極々単純です。
では、次も頑張ります。






>ゾゴジュアッグ様
感想ありがとうございます。
前作と前々作が3人称だったので、1人称でやるのは今作が始めてです。
感想を元に、色々と試して行きたいので、ご意見お待ちしてます。
では、次も頑張ります。





[15302] 第七話
Name: 友◆ed8417f2 ID:11075f73
Date: 2010/01/31 15:55

第七話 魔法少女達の邂逅。




さて、今日は原作で言う第四話。

つまり、すずかの家でお茶会があり、なのはとフェイトの出会いのイベントである。

何故か分からないが、フェイトもこの世界に来ているので、原作どおりになのはとフェイトは今日出会う可能性が高い。

因みに、桜とリニスにはフェイトと出会ったことを言っていて、そして今日、リニスをフェイトと会わせて、話を円滑に聞く予定であった。

・・・・・・・・そうだったのだが・・・・・・・・







「ゲホッ!ゴホッ!グホッ!ゲホッ!」

俺、只今自分のベッドで寝込んでます。

熱も40度近くまで上がって、苦しい苦しい。

病気は魔法で治せないからキツイよ。

おかしいな、前世はバカは風邪引かないを地で行ってたのに・・・・・・・

インフルエンザすら予防接種無しでかからなかったのに・・・・・・・・

あう・・・・・・考えるだけでも頭が痛い。

それで俺の看病役に、うつる心配の無いリニスが付く事になった。

なのはも「看病する」って言ってたが、もしうつったら大変だし、とりあえずフェイトとは会わせておきたいので、予定通りにすずかの家に行くように言った。






【Side 桜】




ユウが風邪を引いた。

アニメでは、今日フェイトと遭遇する筈なのだ。

ユウの話では、フェイトがこの世界に来ているらしいため、アニメの通りにフェイトと会う可能性が高い。

だから、リニスと一緒に行って、フェイトから話を聞こうと思ったんだけど・・・・・・・

間が悪いというか何と言うか。

リニスもユウの看病で一緒には行けない。

なのはも「看病するの~!」って叫んでいたが、近くにいるとうつる可能性もあるので、ユウの看病は、使い魔であり病気がうつる心配の無いリニスが行ない、私達は予定通りすずかの家にお邪魔することにした。





なのは、フェレット形態のユーノ、恭也兄さんと一緒にバスに乗って月村家へ向かう。

いや、すずかの家は何度見ても大きいわ。

家も結構大きい方だけど、桁違いね。

なのはが呼び鈴を鳴らすと、玄関のドアが開き、メイドのノエルさんが出迎えてくれた。

「恭也様、桜お嬢様、なのはお嬢様、いらっしゃいませ」

ノエルさんはそう挨拶する。

「お招きに預かったよ」

「こんにちは~」

「おはようございます」

恭也兄さん、なのは、私の順で挨拶を返す。

「どうぞ、こちらへ」

私達は、ノエルさんに案内されて家の中に入っていった。

案内された部屋では、アリサ、すずか、すずかのお姉さんの忍さんが優雅にお茶を飲んでいた。

この光景を見るたびに思う。

忍さんはともかく、アリサとすずか。

あんたらホントに小学3年生!?

そんな事を思っていると、

「なのはちゃん、桜ちゃん、恭也さん!」

すずかが声をかけてくる。

「すずかちゃん」

「おはよ、すずか」

なのはと私は応える。

「なのはちゃん、桜ちゃん、いらっしゃい」

そう言ってきたのは、すずかの専属メイドのファリンさん。

明るくていい人なんだけど、ちょっとドジも目立つ人ね。

「恭也、いらっしゃい」

そう言って忍さんが恭也兄さんに近付いていく。

「ああ・・・・・」

恭也兄さんはそれだけしか答えないが、見つめあう2人の周りにはストロベリー空間が発生している。

私にしては砂糖を吐きたくなるぐらいね。

その後、ノエルさんとファリンさんがお茶を入れに行く。

そして、恭也兄さんと忍さんは揃って別の部屋へ。

私となのはは、アリサとすずかがいるテーブルの席についた。




【Side Out】




【Side なのは】





「相変わらずすずかのお姉ちゃんとなのはと桜のお兄ちゃんはラブラブだよね~」

アリサちゃんがそう言うと、すずかちゃんが微笑み、

「うん!お姉ちゃん、恭也さんと知り合ってから、ずっと幸せそうだよ」

そう言いました。

「恭也兄さんも、昔と比べると性格丸くなってるかな?」

桜お姉ちゃんがそう言いながら、部屋を出て行く2人を見ます。

私もお兄ちゃんと忍さんをみました。

2人はとっても幸せそうな顔をして、部屋を出て行きます。

私も・・・・・ユウ君とあんな風に・・・・・・

「なのは、ユウとああいう関係になりたいな~なんて思ってるでしょ」

桜お姉ちゃんが行き成りそう言います。

「にゃにゃっ!?さ、桜お姉ちゃん!?」

何で分かったの!?

「顔、ニヤついていたわよ」

桜お姉ちゃんは自分の頬に指を当てながら笑顔でそういいます。

あ、あうう・・・・・お姉ちゃんには敵わないの・・・・・

「ちょっと!なのはってもしかして!?」

アリサちゃんが行き成り叫びました。

「ええそうよ。なのは、ユウにベタ惚れだもんね~」

桜お姉ちゃんは、そう言いながらこっちに視線を向けてきます。

「あ、あうあう・・・・・・・」

私は恥ずかしさの余り、口が上手く回りませんでした。

多分、今の私の顔は真っ赤なの。

「そうなんだ・・・・・へ~・・・・・なのはがアイツをね・・・・・」

アリサちゃんは、ニヤつきながらそう呟いて私を見ます。

「なのはちゃん、何時からユウ君の事を好きになったの?」

すずかちゃんがそう尋ねてきます。

すずかちゃんの目が興味津々といった雰囲気です。

「それは私も聞いてなかったわね。なのは、この際だから言っちゃいなさいよ」

桜お姉ちゃんまで・・・・・・・

3人から迫られる私に、逃げ場はありませんでした。

私は渋々白状します。





入学した手の頃、足に怪我をして動けなくなっていた所を、少し強引だったけど助けてもらった事。

それが切っ掛けで、事あるごとに彼を目で追うようになっていた事。

その中で、虫すら無闇に殺さないようにする彼の優しさを知った事。

そんな彼を見続けている内に、いつの間にか好きになっていた事を。





「ふ~ん・・・・・・よく見てたんだ」

桜お姉ちゃんが少し感心したように呟きます。

「アイツの上辺だけを見てると、とてもそうは思えないわね」

「それだけ、なのはちゃんがユウ君の事をよく見てたってことだよ」

アリサちゃんとすずかちゃんがそう言いました。

私は、少し恥ずかしくなって俯きます。

あ、いい忘れてましたが、今は場所を移動して、庭のテーブルに座っています。

そこで、子猫たちと戯れています。

しかし、その時、

――ドクンッ

「「ッ!?」」

ジュエルシードの波動を感じました。

桜お姉ちゃんも気付いたようです。

(なのは!桜!)

ユーノ君が念話で呼びかけてきます。

(うん!すぐ近くだ!)

私がそう返すと、

(どうする?)

ユーノ君の言葉に、私は悩みます。

(え、え~っと・・・・・・・え~と・・・・・・)

私はアリサちゃんとすずかちゃんを見て考えます。

すると、

(ユーノ!ジュエルシードに向かって走っていきなさい!)

桜お姉ちゃんがそう伝えます。

(そうか!)

ユーノ君はお姉ちゃんの考えを理解したらしく、私の膝から飛び降りて森に向かって走っていきます。

「ユーノ君!?」

私は一瞬驚いた声を上げましたが、そこで、私も気付きました。

ユーノ君は私達がアリサちゃんとすずかちゃんから離れる口実を作ってくれたのです。

「あらら~?」

「ユーノ、どうかしたの?」

すずかちゃんとアリサちゃんが不思議そうな声を漏らします。

「うん、何か見つけたのかも。私、ちょっと探してくるね」

「一緒に行こうか?」

私の言葉に、すずかちゃんがそう聞いてきますが、

「大丈夫よ、私も一緒に行くから」

桜お姉ちゃんがそう言って立ち上がりました。

「すぐ戻ってくるから待ってて」

そう言って、私と桜お姉ちゃんはジュエルシードの反応があった方へ走っていきました。





【Side Out】





【Side 桜】




私達がアリサとすずかから見えないところまで来ると、人間に戻ったユーノが待っていた。

そのまま合流して、ジュエルシードの所へ向かう。

「桜お姉ちゃん!」

「ええ!」

なのはが私に呼びかけ、レイジングハートを手に取る。

私もそれに応え、レイジングソウルを手に取った。

「レイジングハート!お願い!」

「行くわよ!レイジングソウル!」

『『Stand by, Ready. Set up.』』

デバイスが私達の呼びかけに応え、起動する。

なのはは、この前の神社の出来事を教訓に、ジュエルシードと相対する前にデバイスを起動させるようにしていた。

いい傾向ね。

その時、ジュエルシードから感じる魔力が強くなる。

「発動した!」

なのはが叫ぶ。

「此処だと人目が!封時結界を張らないと!」

ユーノがそう言って立ち止まる。

「封時結界・・・・・って、なんだっけ?」

なのはが首を傾げた。

そんななのはに私は軽く拳骨を落とす。

「この前リニスに習ったでしょ!魔法効果内と通常空間との時間進行をずらして、結界内と外を遮断するって!」

「あうっ!そ、そういえばそうだったね」

なのはは頭を押さえながら、焦った表情をする。

「帰ったら、リニスに頼んでまたお勉強ね」

私の言葉に、なのはは冷や汗を流す。

「お、お手柔らかに・・・・・・・」

そんなやり取りをしている間にも、ユーノは手で印を組み、結界を張る。

周りの景色の色が変わる。

その時、森の奥から光が溢れた。

そして、








「にゃぁ~~~~ご」






巨大な子猫がそこにいた。














































はっ!

いけない、余りのショックに意識が飛んでたわ。

いや、アニメで見て知ってはいたけど、アニメで見るのと実際に見るのとでは大違いだわ。

覚悟はしてても、見事に固まった。

横を見れば、なのはとユーノも目を点にして固まっている。

ああなると分かっていた私でも相当なショックを受けたから、この事を知る良しもなかった2人のショックは相当なものだろう。

「・・・・・・あ・・・・・・あ・・・・・あ・・・・・・・あれは・・・・・・・・?」

「・・・・・・・・た・・・・・・・・多分・・・・・・・・・あの子猫の大きくなりたいっていう思いが・・・・・・・正しく叶えられたんじゃないかな・・・・・・・・と・・・・・・・・」

「そ・・・・・・・そっか・・・・・・・・・・」

2人が、何とか声を絞り出す。

「だけど、このままじゃ危険だから、元に戻さないと」

気を取り直したユーノがそう発言する。

「そ、そうだね。流石にあのサイズだと、すずかちゃん、困っちゃうだろうし」

なのはもそう言う。

「なのは、あれは既に困る困らないの問題じゃないと思うわよ」

とりあえず、私は突っ込んでおく。

「・・・・・・襲ってくる様子も無さそうだし、ささっと封印を・・・・・」

私の言葉をスルーして、なのはがレイジングハートを構える。

その時、頭上を金色の魔力弾が通り過ぎる。

そして、巨大な子猫に直撃。

子猫は苦しそうな鳴き声をあげる。

私達が振り向くと、電柱の上に立つ、フェイトの姿があった。

「バルディッシュ、フォトンランサー電撃」

フェイトは、バルディッシュからフォトンランサーを連射する。

すぐに私は行動に出た。

『Flier Fin』

足に白銀に輝く翼を発生させ飛び立ち、猫の前に立ちはだかると、

『Wide area protection.』

魔力障壁を張って、フォトンランサーを防いだ。

だが、すぐに猫の足元にフォトンランサーが打ち込まれ、猫は転倒する。

「魔法の光!?そんな!?」

「桜お姉ちゃん!大丈夫!?」

ユーノは驚き、なのはは心配そうに近寄ってくる。

「私は大丈夫よ。けど・・・・・」

なのはにそう言って、視線をフェイトに向ける。

フェイトは近くの木の上に降り立ち、此方を見下ろしてきた。

「同系の魔導師・・・・・・・ロストロギアの探索者か」

フェイトはそう呟く。

「間違いない、僕と同じ世界の住人・・・・・・・それにこの子、ジュエルシードの正体を・・・・・」

ユーノがフェイトの発言でそう確信する。

すると、フェイトは視線を私のレイジングソウルと、なのはのレイジングハートに向ける。

「バルディッシュと同系の・・・・・・インテリジェントデバイス」

「バル・・・・・・・ディッシュ・・・・・・?」

フェイトの言葉でなのはが呟く。

「ロストロギア・・・・・・・ジュエルシード・・・・・・・」

フェイトがそう呟くと、

『Scythe form. Set up.』

バルディッシュの先が変形、鎌のような魔力刃が発生する。

「申し訳ないけど・・・・・頂いていきます」

その言葉と共にフェイトが斬りかかってくる。

『『Flier Fin.』』

私達は飛んでその一撃を避ける。

しかし、間髪いれずアークセイバーを放ってきた。

「くっ!ラウンドシールド!!」

私達の前にユーノが立ちはだかり、アークセイバーを防ぐ。

だが、その一瞬で、フェイトは上に回りこんでいた。

サイズフォームのバルディッシュがなのはに振り下ろされる。

――ガキィ

なのはは、レイジングハートでその一撃を受け止めた。

「なんで・・・・・・なんで急にこんな・・・・・・」

なのはが鍔迫り合いのまま問いかける。

「・・・・・・・悪いけど・・・・・答えられない・・・・・・」

あれ?ちょっと台詞違わない?

「如何いう事・・・・・?」

なのはがもう一度問いかけるが、フェイトは答えず、互いに弾きあう。

なのはが猫の前に着地し、フェイトは木の上に降り立つ。

そして、それぞれのデバイスを構える。

互いににらみ合っているが、猫が動き出した時、なのはは其方に気を向けてしまう。

そして、フェイトがその隙をついてフォトンランサーを放つ。

やっぱりこうなるのね。

でも、黙ってみている心算は無い。

こういうときの為に覚えておいたこの魔法。

『Flash move.』

私は一瞬でなのはの前に移動する。

『Protection.』

そして、障壁を張ってフォトンランサーを防いだ。

「なのは!戦闘中には相手から目を離さない!戦いの基本でしょ!」

私は、なのはに向かって叫んだ。

「あ、う、うん、ごめん、桜お姉ちゃん・・・・・」

なのはのその言葉を聞くと、私はフェイトを見る。

フェイトはなのは以上に私を警戒していた。

暫くにらみ合いが続くが・・・・・・・・

「・・・・・・・・ふぅ」

私はため息を吐いて構えを解く。

「え・・・・・・?」

フェイトも不思議そうな声を漏らした。

そして、フェイトを見上げて、

「降参よ」

そう言った。

「「「え?」」」

なのは、ユーノ、フェイトの声が重なる。

やっぱり突然過ぎたかな?

「だから、この場は降参って言ったの。今の私たちじゃあなたには勝てないから」

「さ、桜お姉ちゃん!?」

「桜!何言ってるのさ!?」

なのはとユーノが驚いた声を上げる。

「ユーノには悪いんだけどさ、これでも少しは相手の力量が分かるつもりよ。今の私たちじゃ、あの子には勝てないわ。それともユーノは、か弱い女の子に勝てない戦いに挑めって言いたいの?」

「い、いや、そういうわけじゃ・・・・・」

ユーノが少し焦った表情をした。

私はフェイトに向き直り、

「そういう事だからさ、あなたが封印しちゃって良いわよ。安心して。封印の途中で後ろから撃とうなんて思ってないから」

そう言った。

フェイトは、私への警戒を緩めぬまま巨大な子猫の元へ向かう。

そして、稲妻のような魔力によってジュエルシードを捉え、封印する。

そして、後には気絶した子猫とジュエルシードだけが残った。

フェイトは、バルディッシュでジュエルシードを回収する。

そのまま無言で立ち去ろうとした時、

「待って!」

なのはがフェイトを呼び止める。

フェイトは足を止めた。

「何であなたはジュエルシードを集めるの!?」

なのはが問いかける。

「理由は言えない・・・・・だけど、ジュエルシードは私が集めなきゃいけない物なんだ」

フェイトはそう答えた。

でも、「私が集めなきゃいけない」って如何いう事?

フェイトは再び立ち去ろうとしたが、再び足を止める。

「あなた達に1つ聞きたい。青い鎧のバリアジャケットを着た魔導師に心当たりは無い?」

そう言って、フェイトは振り返る。

でも、青いバリアジャケットって、誰かいたかしら?

私はアニメの登場人物を思い浮かべるが、細かい所まで覚えてないので分からない。

「私は知らないわ」

私はそう答える。

「ユウ君は金色だし、私も知らないよ」

「僕にも思い当たる人はいないよ」

それぞれの答えを聞くと、

「そう・・・・・ありがとう」

少し、残念そうな表情を浮かべてフェイトは立ち去った。

その後姿を、なのはは何か言いたげに見つめていた。









あとがき



第七話完成。

でもイマイチ。

リニスとフェイトは此処で再会させる心算はなかったので、強引に主人公に風邪をひいてもらいました。

まあ、この話は自分でもつまらないと思うので、突っ込まないで。

では、返信です。







>帝様
感想ありがとうございます。
一人称は初めてだったので、皆様の意見を元に色々と試している所です。
大分組み方も分かってきたので、話の組み立て方も意見してくださるとありがたいです。
まあ、誉めていただいた矢先の作品がこれですが(汗)
次回は頑張ります。





>星の弓様
感想ありがとうございます。
このデバイス達には実は秘密が?
次回も頑張ります。




>蒼蛇様
感想ありがとうございます。
デバイスについては、セイバーズは出てこないと思いますが、Xモードなら出てくるかも?
とりあえず先をお楽しみに。




>雑食性様
感想ありがとうございます。
前書きにも書いてある通り、最強この上ないと思います。
次回もお楽しみに。




>俊様
感想ありがとうございます。
リニスとの再会は次回になると思います。
お楽しみに。
あと、多分アリサとすずかが惚れるのは無印編が終わってからで、桜はA`S編の終盤になると思います。
其処まで続けばですが・・・・・
では、次回も頑張ります。





>DF様
感想ありがとうございます。
気に入っていただけて嬉しいです。
これからも頑張りますんでよろしくお願いします。
では、次も頑張ります。




>一見さん様
感想ありがとうございます。
ゼロ魔とリリフロの方は泥沼のスランプにはまってます。
チマチマと書いてはいますがいつになることやら・・・・・・
気長にお待ちください。
XモードはStS編まで続けば出てくるかも?
では、次回も頑張ります。




>ボルボロ様
感想ありがとうございます。
仰る通り、ムカつく主人公にならないように気をつけたいと思います。
では、次回も頑張ります。




>一輝様
感想ありがとうございます。
気に入っていただけて嬉しいです。
では次も頑張ります。




>剣様
感想ありがとうございます。
主人公は、前世がマジにバカだったので、其処まで考えが至らないのです。
転生して、記憶力は良くなりましたが・・・・・
まあ、フェイトの理由は次回明らかに?
お楽しみに。





>天弧様
感想ありがとうございます。
最終形態は大体決まってます。
秘密ですが・・・・・・(バレバレかも知れませんが)
因みにオメガソードをそのまま使って闇の書を初期化したら、守護騎士消えますね。(夜天の魔導書の初期状態には守護騎士プログラムは無かったですし)
では、次回もお楽しみに。




>1様
感想ありがとうございます。
はい。
仰るとおり、桜の必要性は無印編においては全くありません。
元よりこの小説は勢いのみで書いているので、単なる思い付きが特に考えもせずに出ています。
因みに桜はA`S編の終盤のアイデアの為だけに作ったキャラです。
では次回もお楽しみに。




>nemesis様
感想ありがとうございます。
桜については1様への返信をご覧ください。
主人公の精神年齢の低さについては、作者自体がガキっぽい大人なので、仕方ないです。
まあ、主人公については精神が身体に引っ張られてるってことにしといてください・・・・・・・お願いします。
視点変更ですが、一人称で小説を書くのがこの作品が初めてですので、色々試していた所です。
これは、皆様の意見を元に直していくので意見していただけると嬉しいです。
では、次回も頑張ります。





[15302] 第八話
Name: 友◆ed8417f2 ID:11075f73
Date: 2010/02/07 10:27
第八話 海鳴温泉での一騒動。




さて、体調も回復して、やってきました連休日。

温泉への小旅行です。

参加者は、高町家一同はもちろん、アニメの通りアリサとすずか、忍さん、ノエルさんとファリンさん。

あと、俺とフェレット形態のユーノ。

そして、人間形態のリニスである。

リニスの事は、アリサたちには俺の元家庭教師で、独り暮らししていた時に度々面倒を見てもらっていて、現在はなのはと桜の家庭教師をしている、と説明している。

あながち嘘ではない。

(魔法の)家庭教師だし、(毎日)家事全般などの面倒をやってもらっていたし、現在もなのはと桜の(魔法の)家庭教師だし。

まあ、翠屋のウェイトレスもやっているので、この旅行についてきても、さほど不自然ではないだろう。

ユーノはアリサたちには既にフェレットとして紹介していたのでしょうがない。

ともかく、俺たちの乗った自動車は、山道を走っていった、





俺達が宿泊する旅館は、山の中にある。

自然に囲まれ、静かな所で心も落ち着く。

うん、アニメじゃ良く分からなかったけど、いい場所だ。

って言うか、海鳴市って色々揃いすぎだろ。

海、山、川、街。

代表的なモン全部揃ってんじゃねえか?

まあそれはさて置き、早速温泉へ・・・・・・・・

「キュッ!?キューーーーーーーッ!!」

「こら、ユーノ。暴れんじゃないわよ」

・・・・・・の前にユーノの救出だな。

ユーノは現在、アリサによって女湯に引きずり込まれようとしている。

ユーノが人間と知っているなのはと桜、そして美由希は、苦笑しながらもどうやってアリサに諦めさせるかと手を出しあぐねていた。

まあ、俺は人の不幸を見て楽しむ人間ではないので、助けてやる事にする。

不幸ではなく、幸運かもしれないが。

俺は、男湯に向かって歩いていき、アリサの横を通り過ぎる時、ユーノの首根っこを引っ掴み、アリサの腕からユーノを引っこ抜いた。

「キュッ!?」

「あっ!?」

声を漏らすユーノとアリサ。

「ちょっと!何すんのよ!?」

当然噛み付いてくるわな。

「ユーノはオスだからな。男湯に入れるのが妥当だろ?ユーノもそう思わないか?」

俺はそういいながらユーノに視線を落とす。

ユーノは凄まじい勢いで頷いている。

「そういうわけだ。ユーノは俺が連れてくぞ」

「なっ!?ちょっと!」

アリサが後ろで騒いだが、俺は逃げるように男湯の更衣室の中へ。

流石に此処へは追ってこれまい。

無駄に精神年齢高いからなあいつ等。

(あ、ありがとう・・・・・助かったよ、ユウ)

ユーノが念話でお礼を言ってくる。

「でも、ちょっと位はあのまま連れてかれても良いかな~、なんて思ってたりしてたんだろ?」

更衣室に誰もいないことを確認すると、俺はユーノに話しかけた。

「ぶっ!?何言ってるのさ!ユウ!」

ユーノが叫んだ。

フェレット形態で分かり辛いが、顔は真っ赤だ。

「別に隠さなくても良いだろ?それは男として当然だし」

俺がそう言うと、

「まあ、そりゃちょっとぐらいは・・・・・・」

ユーノはそう呟く。

やっぱコイツ淫獣だわ。

因みに、俺は後が怖いからそういう覗きの類は出来ん。

まあ、それはさて置き、

「ユーノ、折角だから、お前も元に戻って温泉入れよ」

俺はユーノにそう言う。

「良いの?」

「別にいいだろ」

金は払ってないだろうが、まあ、それは置いておく。

「じゃあ、お言葉に甘えて」

ユーノは床に飛び降りると、人間に戻った。

「さてと、んじゃ、入るか」

俺たちは、服を脱いで温泉へと向かった。





俺たちは、湯に浸かっていた。

「ふう~~~~・・・・・・気持ち良いな・・・・・・」

俺は呟く。

「ホントだね~・・・・・・・・・」

ユーノも俺の呟きにそう答える。

「最近忙しかったからなぁ。ま、俺は殆ど何もしてないけど・・・・・・・」

「何言ってるのさ。なのはや桜が危険になったらすぐに飛び出せるように気を張り詰めたくせに」

「気のせいだ。俺はそんな事まで頭は回らんぞ」

「じゃあ、無意識でやってたって事だね。どっちにしても、君も頑張ってたって事には変わりないよ」

何でこう俺の周りの奴らは俺を持ち上げようとするんだか。

「お世辞だろうけど、ありがとうと言っておくよ」

「だからお世辞じゃないって」

ユーノは苦笑しつつそう言った。




風呂から上がると、リニスが待っていた。

なのは達は旅館の探検に行ったらしい。

あ、そういえば、この後アルフが絡んでくるんだっけ。

それを思い出した俺は、リニスを連れて、なのは達の後を追う。

因みに言っておくが、ユーノはフェレット形態に戻っている。

なのは達4人に追いついたとき、丁度アルフがなのはと桜に絡んでいる所だった。

(リニス・・・・)

(はい・・・・・)

俺はリニスに念話を送り、

(レッツ・ゴー♪)

(了解です♪)

リニスが若干楽しそうな顔をしてアルフの方へ向かった。






【Side なのは】




温泉から上がった私達は、旅館の中を探検する事にしました。

私達4人は、お風呂上りで皆髪を下ろしてます。

とは言っても、アリサちゃんとすずかちゃんは余り変わりませんが。

私と桜お姉ちゃんは、それぞれツインテールとポニーテールだった髪を下ろしてます。

普段は髪型の違いで一目瞭然の私たちですが、こうやって髪を下ろすと、双子だけあって違いが分かりません。

髪の長さも同じぐらいです。

それでも、アリサちゃんとすずかちゃんはどっちがどっちだか分かるみたいです。

ちょっと前にも、桜お姉ちゃんの悪戯で、お互いの髪型に変えてみたんですけど、そのときも一目で見破られました。

何で分かったのか聞いてみると、「「雰囲気!」」と、声を揃えて言われました。

ううっ、鏡で見比べても全く違いが分からなかったのに・・・・・・

まあ、それはさて置き、私達が談笑しながら廊下を歩いていると、

「ハァーイ!おチビちゃんたち!」

いきなり声をかけられました。

私達がそっちを向くと、オレンジ色の髪をした、知らないお姉さんがいました。

そのお姉さんは私たちに近付いてくると、

「君達かね~♪ウチの子をアレしてくれちゃってるのは♪」

そう言いながら私と桜お姉ちゃんに顔を近づけてきました。

「・・・・う・・・・・え・・・・・・?」

そのお姉さんは、睨み付けるように私達を見てきたので、私は思わず声を漏らしました。

「あんまり賢そうでも強そうでも無いんだけど・・・・・・ただのガキンチョに見えるんだけど・・・・・・」

私は、ちょっと怖くなって一歩後ずさります。

でも、反対に桜お姉ちゃんは一歩踏み出しました。

「失礼ですが、あなたは誰ですか?私達は、あなたに絡まれるような事をした覚えは無いんですけど?」

桜お姉ちゃんは、臆することなくそのお姉さんを睨み返しながらそう言いました。

そのお姉さんは、少し私達を観察するような目で見た後、

「アーッハハハハッ!」

突然笑い出しました。

「アハハハハ!ゴメンゴメン!人違いだったかな~?知ってる子に良く似てたからさぁ~」

そのお姉さんはそう言います。

「ああ・・・・・・そうだったんですか・・・・・」

私はそう呟きました。

ちょっとホッとしたの。

「アハハハ、あんた達、そっくりだけど姉妹かい?」

そのお姉さんは、そう尋ねてきます。

「はい♪双子の姉妹で、そっちの桜お姉ちゃんが姉になります」

私はそう答えました。

「そうかいそうかい。お姉ちゃんは大切にしなきゃダメだよ~♪」

そう言いながら、その人は私の頭を撫でました。

「はい♪」

私は嬉しくなって頷きました。

ですが、その人の手が離れた時、

(今のところは挨拶だけだけど・・・・・・)

念話が送られてきました。

私は内心驚愕します。

桜お姉ちゃんは、怪訝な目でそのお姉さんを見ます。

(忠告しとくよ。子供はいい子にして、お家で遊んでなさいね。おいたが過ぎるとガブッ!っといくわよ)

「あ・・・・・あ・・・・・・・・あ?」

その脅しとも言える念話に不安に駆られる私ですが、いつの間にか、そのお姉さんの後ろに、リニスさんがいることに気付き、声を漏らしました。

目の前のお姉さんはリニスさんに気付いていないらしく、未だに私と桜お姉ちゃんを睨み続けます。

そして、リニスさんがゆっくりと右腕を振り上げ、

――ゴンッ!

「あだっ!?」

躊躇することなくそのお姉さんの頭に拳骨を落しました。

リ、リニスさん、幾らなんでも行き成り過ぎでは!?

幾ら絡まれてるといっても、行き成り見知らぬ人を殴るのは如何かと思うんですけど!

「ったいねぇ~!・・・・・誰だ!・・・・・・い・・・・・・・・?」

そう叫びながら振り返ったそのお姉さんが、リニスさんを見て固まりました。

何で?

「・・・・・・・久しぶりですねぇ~・・・・・・・アルフ」

リニスさんは、そういいながらそのお姉さんを見下ろします。

その顔は、少し怒っている顔です。

「リ・・・・・リリ、リニス~~~~~!?」

そのお姉さんは、ビックリしたように叫びました。

知り合い?

それに、お姉さんに犬のような耳と尻尾が見えたのは気のせいでしょうか?

「リ・・・・リニス・・・・生きて「まあ、聞きたい事は沢山あるでしょうけど・・・・・」」

リニスさんが、そのお姉さんの言葉を遮るように喋りだします。

「私から言いたい事が先ず1つ。何で私がお世話になっているお宅の娘さんに絡んでいるのかという事です!」

リニスさんは、何ともいえない迫力を醸し出しながらそのお姉さんに詰め寄ります。

「え・・・・・?お世話になってるって・・・・・・・?」

そのお姉さんは、ギギギと首をブリキの人形のように動かし、私と桜お姉ちゃんを見ます。

その顔には冷や汗が浮かんでいました。

「リニスはつい最近から、私となのはの家庭教師よ」

桜お姉ちゃんが、意地の悪そうな笑みを浮かべていました。

その言葉を聞くと、そのお姉さんの顔に流れる冷や汗の量が、目に見えて増えていきます。

「これは・・・・・久々にお仕置きが必要ですね・・・・・・・」

リニスさんがそう呟き、そのお姉さんの首根っこを掴みました。

「リ、リニス!ゴメンよ!知らなかったんだ!許して~~~~~~~!」

そのお姉さんは泣きそうな声を上げながらリニスさんに引き摺られて行きます。

そして、廊下の角を曲がったあと、

「リニス!ゴメン!許して!これには訳が!お願・・・・・キャ、キャイィイイイイイイン!!」

まるで犬の鳴き声のようなお姉さんの悲鳴が響きました。






【Side Out】





「ホントにゴメンよ!お嬢ちゃんたち!」

現在、アルフはなのはと桜に土下座して謝ってます。

リニス、一体何をしたんだ?

そうは思ったが、考えたくなかったので考えないようにした。

「あ、あの、それはもう良いですから、頭を上げてください!えっと・・・・アルフさん!」

なのはがそう言う。

名前教えて貰ったんだな。

因みに、適当に理由をつけて、アリサとすずかにはこの場を離れてもらっている。

「まあ、本当に反省しているようだから、もう良いわよ」

桜もそう言った。

「そうですね。2人もそう言っていることですし、今回はこれで勘弁してあげましょう。

リニスがそう言って、アルフを許す。

アルフは立ち上がり、

「あうう・・・・・やっと終わった・・・・・」

涙を流しながらそう呟いた。

そして、アルフは気を取り直し、俺を見た。

「所で、アンタは誰だい?」

そう聞いてくる。

「俺は利村 ユウ。まあ、リニスの現在の主だな」

「アンタがリニスの契約者だったのかい。凄いね、リニスを使い魔にしてるなんて」

アルフは感心した様子で言ってくる。

まあ、リニスって、かなり優秀な使い魔だからな。

俺は、バカみたいな魔力量のお陰で如何ってことはないけど。

「それよりも、アルフがいるって事は近くにフェイトがいるという事ですね?」

「う、うん・・・・」

「呼んでください。フェイトを交えて話を聞きます」

「わ、わかったよ」

アルフは頷いて念話をする。

その時、

「リニスさん、フェイトって誰ですか?」

なのはがリニスに尋ねた。

「私の教え子で、なのはや桜と同年代の女の子です。優しい子ですから、きっとなのは達とも仲良くなれますよ」

リニスはそう笑顔で言った。






【Side フェイト】





私は、ジュエルシードを追って山の中にいた。

アルフは例の2人の白い魔導師を見てくるといって、宿泊施設に行っている。

私もジュエルシードの位置を大体割り出し、今夜には回収できるだろうと思っていた。

そんな傍ら、ふと思い出す私を助けてくれた青い鎧の魔導師。

最近、時間があるとあの人の事を考えてる気がする。

顔も名前も分からない。

分かっているのは、黒い瞳と、凍結の魔力変換資質の持ち主という事だけ。

其処まで考えて、ふと笑みを零す。

顔も見たこと無いのに、好きになるなんておかしいな。

そう思って、私は空を見上げる。

青い空。

あの人のバリアジャケットも青・・・・・・

あう・・・・・また考えてる。

私は、頬が熱くなるのを感じていた。

その時、

(フェイト!フェイト、聞こえる!)

アルフから念話が来た。

少し慌ててる?

(聞こえるよアルフ。例の魔導師達は如何だった?)

私はアルフにそう返す。

(それ所じゃないんだよ!リニスが・・・・・・・リニスが生きてたんだよ!!)

「えっ!?」

アルフからの報告に、私は自分の耳を疑った。

リニス。

母さんの使い魔で、私の魔法の師。

そして、バルディッシュの生みの親。

まだ小さかった私や姉さん、アルフの面倒を良く見てくれた。

でも、『私を一人前の魔導師に育て上げる』という母さんとの契約内容を果たしたリニスは、私達に何も言わずに消えたはずだった。

母さんから聞いた話では、リニスに再契約を持ちかけたが、リニスは母さんへの負担を考慮して再契約をしなかったらしい。

事実、母さんはリニスとの契約は負担が大きいと言っていた。

リニスがいなくなったと知ったとき、私は姉さん、アルフと一緒に泣いた。

その時の悲しい気持ちは忘れられない。

でも、アルフはリニスが生きていたと言った。

正直、信じられない。

でも、アルフがリニスの事で嘘を吐くとも思えない。

だから私は、

(分かったアルフ!すぐにそっちに行く!)

自分の目で確かめる為に、飛び立った。







アルフの位置を頼りに、私は飛んだ。

全力で飛ぶ。

私のスピードは、魔導師の中でもトップレベルだ。

それは母さんやリニスも認めていたし、自分でもスピードには自信があるとハッキリと言える。

それでも、アルフの場所へ向かう時には遅いと感じてしまう。

もっと速く。

何よりも速く。

もっと・・・・・もっと速く!

そして、やっとアルフのいる場所に辿り着いた。

到達時間を考えれば、恐らく同距離を移動した中では最速だろう。

でも、それでも私は「やっと」と感じてしまう。

そして見た。

アルフの隣にいる、リニスの姿を。

「リ・・・・ニス・・・・・・?」

私は確かめるように呟く。

「久しぶりですね、フェイト」

リニスは、そう微笑んで答えてくれた。

「リニス・・・・・リニス!」

私は思わず、リニスに向かって抱きついた。

涙が止まらない。

「リニス!リニス!」

私は何度もリニスの名を呼ぶ。

「あらあら、泣き虫ですねフェイトは」

そう言いながらも、リニスは私を優しく抱きしめてくれる。

このリニスは本物だ。

本物のリニスだ!

私は暫くリニスの胸で泣いた。






「落ち着きましたか?フェイト」

暫くして、リニスが私の頭を撫でながらそう言った。

「・・・・うん」

私はちょっと恥ずかしくなって、俯きつつ頷いた。

「あ、あの~・・・・・」

そこに、どこかで聞いた事のある女の子の声。

私がそっちを向くと、この前の白い魔導師の女の子がいた。

「フェイトちゃん・・・・・・・で、いいんだよね?」

確かめるようにそう尋ねてきた。

「うん・・・・・・君は?」

私がそう聞くと、

「私、高町 なのは。なのはだよ」

その子は笑顔でそう答えた。

すると、その子にそっくりなもう1人の女の子が傍に来て、

「で、私がなのはの双子の姉、高町 桜よ。よろしくね!」

その子も笑顔でそう言った。

ふと見ると、遠慮しがちに立っている1人の男の子。

「君は?」

気になった私は問いかけた。

その子は、ポリポリと頭を掻きつつ、

「俺は利村 ユウ。リニスの現マスターだ」

そう言った。

彼がリニスのマスターだと知った私は、

「ありがとう。あなたのお陰でリニスとまた会えた」

私はお礼を言う。

「いや、俺の方が面倒見られてたって言うか、感謝する方なんだが・・・・・・」

彼は、遠慮しがちにそう言う。

「でも、あなたが居なかったら、リニスは消滅してた。本当にありがとう」

「はあ・・・・どういたしまして?」

彼は、また自信なさげに言う。

「それでフェイト、何であなたはジュエルシードを集めてるんですか?」

リニスが、一番の疑問をぶつけてきた。

「フェイト・・・・・」

アルフが心配そうに私を見てくる。

「リニスなら大丈夫。話すよ」

私は、ジュエルシードを集める理由を話し出した。







【Side Out】






フェイトが話したジュエルシードを集める理由はこうだ。

先ず、フェイトが時の庭園で次元跳躍魔法の練習をしていた所、フェイトの魔法が暴発。

近くを航行していた輸送艦(ユーノが乗っていた艦)に直撃。

輸送艦からジュエルシードが流出。

地球に落ちる。

現在、プレシアは謝罪やら賠償やらで奔走中。

その間、フェイトは先に地球に来てジュエルシードを回収。

幸い死者や重傷者はいなかったので、上手くやれば罪に問われる事はなく、精々事故としての軽い罰を受けるだけとの事。

因みに、ユーノがフェイトの魔法が直撃した輸送艦の乗員だった事は、今初めて知ったらしい。

「えっ?じゃあ君があの輸送艦の乗組員?」

「うん、ジュエルシードを発掘したのも僕なんだ。だから、僕が集めなきゃと思って・・・・・」

「そうだったんだ・・・・・ゴメンね、私の所為で・・・・・・」

「いや、事故だったんだから仕方ないよ」

フェイトは、なのはと桜の方を見て、

「じゃあ、君がジュエルシードを集めてるのは・・・・・」

「うん、ユーノ君のお手伝い。でも、私は自分の意思でジュエルシードを集めてる。自分の暮らしてる街や、自分の周りの人達に危険が降りかかったら嫌だから」

あ、その台詞は言うんだな。

「私は、そんななのはが心配だから」

桜もそう言った。

「そうだったんだ・・・・・・ゴメンね。この前は攻撃しちゃって・・・・・・」

フェイトは申し訳無さそうに頭を下げた。

「仕方ないわよ、フェイトだって必死だったんだろうし」

桜がそう言って許す。

「・・・・・ありがとう」

フェイトが微笑んでそう言った。

「じゃあ、これで私達、お友達だね♪」

なのはが嬉しそうに言った。

「え・・・・?友・・・・・・達・・・・・・?」

フェイトが呆気に取られたように呟く。

「うん♪」

「・・・・・・私で・・・・・よければ・・・・・・・・・でも・・・・・どうすればいいの?」

フェイトは自信なさげに問いかける。

「・・・・・・・簡単だよ」

なのはの言葉に、フェイトは驚いた表情をして顔を上げる。

「友達になるの、凄く簡単」

そして、なのはは一呼吸置き、

「名前を呼んで。初めはそれだけでいいの。“君”とか“あなた”とか、そういうのじゃなくて。ちゃんと相手の目をみてはっきりと相手の名前を呼ぶの。私、高町 なのは。なのはだよ!」

「なの・・・は?」

「うん!そう!」

小さく呟かれたフェイトの言葉に、なのはは嬉しそうに答える。

「それで、私は高町 桜」

桜ももう一度名乗る。

「桜・・・・・・?」

「そうよ。よろしくね」

桜も笑顔で答えた。

「あなたの名前は?」

桜が問いかける。

「フェイト・・・・・・フェイト・テスタロッサ・・・・・・」

フェイトが名乗ると、

「うん!よろしくね!フェイトちゃん!」

なのはがもう一度嬉しそうに頷いた。




そんな様子を少しはなれた所で見ている俺、ユーノ、アルフ、リニス。

ユーノも3人に気を利かせたのか先程離れてきた。

アルフは、アニメの無印最終回の時のように号泣している。

何だかんだで和解している模様。

俺はリニスに問いかける。

「さて、これからどうする?」

「そうですね・・・・・フェイトと協力体制を取るのはもちろん、定期連絡の時にプレシアに会いに行こうと思います」

「そうか・・・・・・」

「ですがその前に・・・・・・」

リニスは、楽しそうな笑みを浮かべ、

「皆で親睦を深めましょう♪」

そう言った。






そして、夕食時。

「フェ、フェイト・テスタロッサです・・・・・」

「アルフです・・・・・・・」

自己紹介するフェイトとアルフ。

すると、拍手が巻き起こる。

フェイト達は、俺達の夕食に招待した。

というか、リニスが引き込んだ。

フェイトは、恥ずかしいのか顔が真っ赤だ。

とりあえず皆には、フェイトとアルフは、リニスの教え子だと説明した。

アリサとすずかはアルフに怪訝な目を向けていたが、なのはと桜がこう説明した。

前に勘違いからフェイトと喧嘩になった。

それで、フェイトの義姉であるアルフが怒って、なのはと桜に絡んできた。

アルフは、栗色の髪の双子なんて早々いるもんじゃないと判断して、なのはと桜に目をつけたらしい。

でも、今は誤解も解けて、友達になったと説明した。

かなり強引な説明である。

まあ、それでも本人たちは納得しているようで、今では5人で楽しそうにおしゃべりしている。

と、其処へ、

「ユウ君」

士郎さんからお呼びがかかった。

「なんですか?」

俺は尋ねる。

「お酒はいけるクチかい?」

とんでもない質問をしてきやがりました。

その顔を見ると赤い。

酔っ払ってるよこの人。

「いやいや!何言ってるんですか士郎さん!8歳の子供に酒勧めます!?」

俺は思わず問いかけた。

「君の精神年齢は36歳だろ?」

「精神は36歳でも、身体は8歳です!それに前世でも酒は苦手でした!」

俺はそう言う。

「まあ、そういわずに一杯だけでいいから」

まだ勧めてきますよこの酔っ払い。

でも、こういう人は幾ら断っても勧めてくる事は分かっているので、

「じゃあ、一杯だけなら・・・・・」

俺はそう言ってお猪口を受け取り、そのお猪口に士郎さんはお酒を注ぐ。

「ふう・・・・・」

俺は一度ため息を吐いて、覚悟を決める。

「せいやっ!」

気合一発、俺は酒を飲んだ。

その瞬間、俺の意識は暗転した。







【Side 桜】




私達がフェイトを交えて、交流を深めていると、

――バタッ

と、何かが倒れる音がした。

気になった私達が顔を向けると、父さんの横でユウが倒れていた。

「ユユユ、ユウ君!?」

それに気付いたなのはが慌てて駆け寄る。

私も気になって傍に行った。

ユウの顔を見ると、

「きゅう・・・・・・・」

顔を赤くして目を回していた。

「父さん?もしかして、ユウにお酒飲ませた?」

私は父さんに問いかける。

「あ、ああ・・・・・まさかお猪口一杯でそうなるとは思わなかったからな・・・・・・」

え?お猪口一杯?

「情けないねぇ~・・・・・一口でそれかい」

そう言ったのは、ほんのりと頬を赤くしているアルフ。

アンタも酒飲んでんのね。

すると、なのはが、

「お父さんの・・・・・バカッ!!」

そう叫んだ。

あ、父さんが白くなって固まった。

「ユウ君!ねえ!大丈夫!?」

そんな父さんに全く構わずなのははユウを介抱する。

すると、リニスが近付いてきて、

「あ~・・・・・これはユウにお酒飲ませましたね?」

リニスがユウの状態を診てそう判断する。

「ユウはお酒に異常に弱いですからね。私も前に悪戯心でお酒を飲ませた事があるんですが、その時は次の日の朝まで起きなかった上に、お酒を飲んだ記憶まで飛んでましたから」

リニスはそう説明した。

すると、リニスはユウを抱き上げる。

「ユウは明日まで起きないでしょうから、風邪をひかないように布団に寝かせてきますね」

そう言って、リニスはユウを連れて行った。





その夜、布団に入って眠ろうとした所、ジュエルシードの反応を感じた。

私となのはは起き上がる。

アリサとすずかが眠っている事を確認すると、私達とユーノは外へ飛び出した。

フェイトとアルフ、リニスと外で合流する。

でも、やっぱりユウの姿は無い。

「リニスさん、ユウ君は・・・・・」

なのはが尋ねるが、

「無理ですね。ユウはお酒を飲んだら、恐らく大地震が起きようと目覚めないと思います」

リニスはそう言う。

「はぁ~・・・・・情けないねぇ!リニスのご主人様は!」

アルフが呆れたように言う。

その言葉に、なのははむっとして、

「そんな事無いよ!ユウ君はとっても強くて優しい男の子だよ!」

そう叫んだ。

「そうは見えないけどねぇ・・・・」

それでもアルフはそう呟く。

その時、

「見えた!」

フェイトの言葉で前を見ると、ジュエルシードの光が立ち上っている。

ジュエルシードは、川の中で発動しているようだった。

私達がデバイスを起動させて橋の所まで来ると、

「ギャオォオオオオオオオオ!!」

川の中から、巨大な蛇が現れる。

頭は黄色い甲殻に覆われ、体は緑の鱗に包まれている。

何て言うか・・・・・・シードラモン?

「ジュエルシードの暴走体だね・・・・・・気をつけて!」

フェイトがそう言う。

すると、その暴走体が口から氷の矢を吐き出す。

アイスアロー?

「やらせない!」

ユーノが前に出て障壁を張る。

「せやっ!!」

その隙に、アルフが横から殴りつける。

そのシードラモンもどきは怯む。

その時、

「フォトンランサー・・・・・ファイア!」

フェイトが上空からフォトンランサーを放つ。

「グォオオオオ!」

シードラモンもどきは、苦しそうな鳴き声を上げた。

「なのは!行くわよ!」

「うん!」

私の呼びかけになのはは答える。

『『Shooting mode.』』

レイジングソウルとレイジングハートがシューティングモードに変形する。

そして、空へと飛び上がり、

「ダブル!」

「ディバイン!」

私となのはが叫び、

「「バスターーーーーーーーーッ!!」」

同時に砲撃を放つ。

シードラモンもどきに一直線に向かう白銀と桜色の閃光。

「ギャォオオオオオオオオオオオ!!」

それは直撃して爆煙に包み、シードラモンもどきは川の中に沈む。

「ナイスよなのは!」

「うん!」

私の言葉に、なのはは嬉しそうに頷いた。

「ヒュー!中々の威力じゃないかい!」

アルフが感心したように声を発した。

「うん。単純な砲撃の威力なら、2人とも私より上だ」

フェイトもそう認める。

そんな時、

「5人とも、油断するのはまだ早いですよ」

リニスがそう言った。

次の瞬間、

「グギャァアアアアアアアアアアアアアッ!!」

咆哮と共に、川の水面が爆発したように水飛沫を上げる。

其処から現れたのは、頭部の甲殻が金色になり、稲妻のような角を生やし、身体も赤く変色したシードラモンもどきだった。

今度はメガシードラモン!?

似すぎじゃない!?

「この前の神社の犬と同じだ。ジュエルシードの放出するエネルギー量が増えたんだ!」

ユーノが叫ぶ。

言われなくても分かるわよ。

メガシードラモンもどきは、角から稲妻を放ってくる。

サンダージャベリン!?

だからなんでそんなにデジモンにそっくりなのよ!

単なる偶然であろうが、私は心の中で叫ばずにはいられない。

ユーノは流石に受けきれないと感じたのか飛び退く。

「アークセイバー!!」

「ディバインシューター!!」

フェイトが魔力刃を、なのはが魔力弾を放つ。

それぞれはメガシードラモンに直撃するが、アークセイバーは弾かれ、ディバインシューターは表面を僅かに焦がすだけに止まった。

私は焦りを覚える。

あれだけの防御力だと、ディバインバスターでも効果は薄いだろうし、スターライトブレイカーもなのははまだ覚えていない。

ユウがいたならドラモンキラー一発で終わるんだろうけど、リニスの話では明日の朝まで起きないだろうし・・・・・・

もう!何で父さんはユウにお酒なんか飲ませたのよーーーーっ!!

私は思わず叫びそうになる。

そんな時、

「仕方ありませんね」

そう言ってリニスが前に出る。

「あなた達は下がっていなさい。これの相手は私がします」

そう言って、リニスはメガシードラモンもどきと相対する。

「リニス!1人じゃ無理だよ!」

「リニス、危ない!」

フェイトとアルフは叫ぶ。

しかし、リニスは構え、

「ギャォオオオオオオオオオオッ!!」

メガシードラモンもどきがサンダージャベリン(仮)を放ってくる。

それをリニスは見事な宙返りで避け・・・・・・え?

私はその瞬間思わず固まった。

そんな間にも、リニスは黄土色の魔法陣を発生させ、

「貫け・・・・・・轟雷!」

右手に魔力を集中させる。

「サンダー・・・・・・スマッシャーーーーーーーッ!!」

凄まじい威力を持った、特大の雷撃砲を放った。

リニスのサンダースマッシャーに飲み込まれるメガシードラモンもどき。

「グギャァアアアアアアアアァァァァァ・・・・・・・・!」

流石に非殺傷だったようで、メガシードラモンもどきは気絶している。

もし殺傷設定だったら跡形も無いわね。

「さあ、誰でも良いですから封印してください」

リニスは笑顔でそう言う。

フェイトとアルフは、驚きの余り固まっており、私も別の理由で固まっていたのでなのはが封印する。

『Sealing mode. Set up.』

レイジングハートがシーリングモードに変形する。

桜色の帯が気絶しているメガシードラモンもどきに巻きつく。

「リリカル・マジカル ジュエルシード、シリアルⅩⅦ 封印!」

『Sealing.』

メガシードラモンもどきが光になって消える。

後にはジュエルシードが残った。

それをなのはが回収する。

その時、フェイトとアルフがリニスに詰め寄った。

「す、凄いよリニス!」

「前より強くなってるんじゃないのかい!?」

そんな2人にリニスは笑って答える。

「今の私は、ユウから流れてくる膨大な魔力のお陰で、SSランク並みの能力があるんですよ」

リニスの言葉に声を失う2人。

「ちょ、ちょっと待ってよ・・・・・じゃあ、リニスのご主人様のあの坊ちゃんは・・・・・・」

アルフが恐る恐る尋ねる。

「ユウの魔力ランクは、軽くSSSオーバーですよ」

その事実に再び絶句する2人。

そりゃ私も初めて聞いた時は驚いたわよ。

でも、今はそんな事よりも気になる事がある。

言ったら色々拙いだろうから言わないけど、心の中で叫ばせてもらう。

リニスーーーーーーッ!!

何であなた穿いてないの!!

そりゃ、リニスはバリアジャケット無いから浴衣のままなのは仕方ないけど!

けど!何で下着も穿いてないの!

アレなの!?

外国人は偏った知識しかないって奴!?

それと一緒なの!?

大昔は着物は下着履かなかったらしいけど!

それを知ってたの!?

私は心の中で叫び続けた。

それから、前言撤回。

この場にユウがいなくて良かったと心底思った。

ありがとう、父さん。









あとがき

やりたい放題な第八話完成。

やりたい放題やってます。

此処で既に和解成立。

本当に勢いだけで書いてます。

それから、今回も主人公欠場。

リニスが戦闘面で活躍していない事に気付き、リニス無双・・・・・というか一撃。

思いつきだけで書きました。

では、返信を。





>俊様
感想ありがとうございます。
予想通り、因縁つけてるときの再会です。
こんなもんで如何ですかね?
それから、フェイトの質問に答えられなかったというのは、お約束というか、ご都合主義です。
では、次も頑張ります。



>大様
感想ありがとうございます。
お待たせしました。
八話を投稿させていただきました。
次も頑張ります。



>ネメシス様
感想ありがとうございます。
気に入ってくれたようで嬉しいです。
ジュエルシードを集める目的は今回明らかになりましたが、納得しますかね?
因みにプレシアは元気です。
では、次も頑張ります。



>kyouya様
感想ありがとうございます。
この小説は勢いだけで書いているのである程度は覚悟してます。
多分A`S編までは行くかな~?
ともかく、次も頑張ります。



>星の弓様
感想ありがとうございます。
デジモンもどきなら出てきます。
っていうか、今回も出ました。
ルーチェモンは流石に出せませんが・・・・・
では、次も頑張ります。



>ねこ様
感想ありがとうございます。
桜の事については、第七話に書いた1様への返信をご覧ください。
主人公の性格は、自分の性格を元に、カッコよくした性格です。
まあ、殆ど別物になりましたがね。
では、次も頑張ります。





[15302] 第九話
Name: 友◆ed8417f2 ID:11075f73
Date: 2010/02/14 15:40


第九話 本領発揮!灼熱のブレイズ!!




うぃーっす。

ユウです。

温泉のジュエルシードだけど、気がついたら終わってた。

というか、次の日の朝だった。

何でだ?

え~っと、あの時は夕食にフェイトとアルフを招待して、その後・・・・・・・・

ダメだ、思い出せん。

一体何があったんだ?

まあ、俺が居なくても無事封印出来たみたいだし、無問題。

・・・・・・やっぱり俺って要らないんじゃね?







温泉旅行が終わって数日後。

そろそろ次のジュエルシードを見つける頃だろう。

ああ、そういえば、アニメではなのははアリサと喧嘩したが、この世界ではそういう事は無い。

魔法の事も家族には話してあるし、フェイトとも既に友達になっているので、悩む事はなく、いつも通りである。

そして、特に問題なく学校が終わり、放課後。

今日は、アリサとすずかは習い事があり、先に帰ったが、なのはと桜、序に俺は、今日は何も無いのでジュエルシード探しに集中する事にした。






なのは達は、フェイトと念話で連絡を取り合いながら街を捜索していた。

やがて日も暮れて暗くなってきた時、とあるビルの屋上に俺達は集まっていた。

「大体このあたりだと思うんだけど・・・・・大まかな位置しか分からないんだ・・・・・」

フェイトが呟く。

「はぁ・・・・・確かにこれだけゴミゴミしてると、探すのも一苦労だわね」

アルフもそう言った。

「確かに・・・・・大変そうだね・・・・・・」

なのはが、ビルの屋上から下を見下ろしながら呟く。

「ここは、ちゃっちゃと魔力流でも流し込んで強制発動させた方が手っ取り早いんじゃない?」

桜が、アニメと同じプランを提案する。

「そんな!こんな街中じゃ危険だよ!」

当然の如くユーノが反論する。

その言葉に俺は、

「逆に、今見逃して、真昼間の街中で発動した方が危険だと思うのは俺だけか?」

俺はそう尋ねた。

「そ・・・・・それは・・・・・・」

ユーノは黙り込む。

「まあ、ユーノとアルフがしっかり結界張ってくれれば被害は無いだろうし、これだけの魔導師が揃ってるんだ。そうそうの事じゃ心配ないと思うけどな」

俺はそう言う。

「私もユウの言うとおりだと思うわよ。ユーノとアルフが結界維持、フェイトが周辺に魔力流を撃ち込んで、私となのはが封印。これで決まり」

桜がそう言った。

因みに桜よ、また俺は要らない子か?

「私も賛成。みんなで力を合わせれば大丈夫だよ」

なのはが笑顔でそう言った。

「・・・・・皆がそう言うなら反対はしないけど・・・・・」

ユーノが心配そうにそう言った。

「じゃあ、決まりだね・・・・・・・そういえば、リニスは?」

リニスが居ない事が気になったフェイトが尋ねてくる。

「・・・・・・今頃翠屋でウェイトレスやってるよ」

俺はそう呟いた。

「「?」」

フェイトとアルフは何の事だと首を傾げる。

因みにリニスは、既に翠屋の看板娘に近い存在になっている。

それはともかく、ジュエルシードの強制発動の為に準備を始める。

「広域結界!」

「展開!」

ユーノとアルフが結界を張る。

「フェイト、オッケーだよ」

アルフがフェイトに呼びかける。

「うん」

フェイトが頷いてバルディッシュを掲げ、魔法陣を展開する。

「はぁああああああああああっ!!」

空を雷雲が覆い、雷が鳴り響く。

稲妻が走り、やがて、とある一角に落ちたとき、光の柱が発生した。

「見つけた!なのは、やるわよ!」

「うん!」

桜の言葉になのはは答える。

2人がデバイスを構え、魔力の光がジュエルシードに向かう。

「リリカル・マジカル!」

「ジュエルシード!シリアルⅩⅣ!」

「封!」

「印!」

桜色と白銀の光に包まれ、ジュエルシードは封印される。

「やった!」

なのはは嬉しそうな声を上げた。

全員は、ジュエルシードの傍まで飛んでいく。

ジュエルシードは静かに浮いていた。

だが、俺はふと別の魔力を感じたような気がした。

俺は辺りを見回す。

「ユウ君?どうしたの?」

そんな俺の様子が気になったのか、なのはが尋ねてくる。

「あ、いや、気のせいだったみたいだ。何でもないよ」

俺はそう言ったが、どうしても不安は拭えない。

そんな俺を尻目に、フェイトがジュエルシードを確保しようとバルディッシュを向ける。

その時だった。

――ドォオオン

先程の魔力流の雷が近くに落ちた。

「「「きゃっ!?」」」

「うおっ!?」

その事にビックリして軽い悲鳴を上げる俺達。

しかし、

「なっ!?」

「嘘っ!?」

俺と桜が思わず声を漏らした。

雷が落ちた場所から、もう1つの光の柱が立ち昇る。

「そんな!?ジュエルシードがもう一個!?」

なのはが叫ぶ。

「くそっ!さっき感じた魔力はコイツだったのか!」

俺は思わずそう言葉を吐いた。

「いけない!早く確保しないと共鳴して封印が破れる!」

ユーノが叫んだ。

それを聞くが早いか、桜が封印したジュエルシードにレイジングソウルを突き出した。

だがその時、

――ガキィ

「えっ?」

「フェイト!?」

同じくジュエルシードを確保しようとしたフェイトのバルディッシュとかち合ってしまった。

「しまっ・・・・・・」

桜が叫ぼうとしたがそれより早く2人のデバイスに罅が入り、

――ドォオオオオオオオオオオオオオオオオン

凄まじい魔力がジュエルシードから放出される。

「きゃああああああああああああああっ!?」

「うわぁああああああああああああっ!?」

桜とフェイトが悲鳴を上げながら吹き飛ばされる。

「桜!」

俺は咄嗟に近くに吹き飛んできた桜を受け止める。

「大丈夫か?」

「な、なんとか・・・・」

桜が答えたことに安堵する。

フェイトの方は自力で持ち直したようだ。

俺は桜を降ろす。

だが、その時フェイトがバルデッシュを待機状態に戻し、ジュエルシードを見つめる。

その様子を見た俺は、アニメのフェイトの無茶を思い出した。

「まさかっ!」

フェイトはジュエルシードに向かって駆け出す。

アニメでは、たった一個を押さえるのにギリギリだった筈。

しかし、今は2つあり、しかもお互いの魔力に反応してますます放出される魔力が多くなっている。

「あのバカッ!」

俺は思わず飛び出した。

ジュエルシードを掴もうとしたフェイトを、ギリギリで抱きかかえジュエルシードから飛び退く。

「何を!?」

フェイトが叫ぶ。

「それはこっちの台詞だ!死ぬ気かお前は!?」

俺は思わず言い返した。

「あんなもん素手で掴んだらただじゃ済まないぞ!」

「でも、このままじゃ・・・・・!」

そう言い合っている間にもジュエルシードが連鎖反応を起こしていき、次元震が断続的に起こる。

「チィ!言い合っている暇は無い!なのは!俺がジュエルシードを黙らせる!お前は直ぐに封印しろ!!」

俺はなのはに向かって叫ぶ。

「えっ?でも、どうやって!?」

なのはが問いかけてくるが、それに答えている暇は無い。

「黙って見てろ!ブレイズ!セットアップ!」

『Stand by, Ready. Set up.』

俺は黄金の鎧を身に纏う。

そして、空中へ飛び上がり、ジュエルシードを見下ろす。

「全員離れてろ!巻き添え食うぞ!!」

俺はそう叫ぶと、両手に魔力を集中させていき、圧縮した魔力球を作り出す。

俺の炎熱変換の時の魔力光はオレンジだが、超高熱、高密度により、その魔力球は黄金に輝く。

俺は更に魔力を加えていき、その魔力球を巨大化させ、直径が約3mになった。

その間、約3秒。

そして、それを俺はジュエルシードに向け、放った。

「ガイアフォーーーーース!!!」

ガイアフォースは2つのジュエルシードから放出される魔力をものともせずに吹き飛ばし、ジュエルシードに直撃する。

圧縮された魔力が解放され、ジュエルシードを飲み込み、天を突く黄金の柱を築き上げた。

「なっ!?」

「す、すごい・・・・・」

「これが・・・・ユウの本気・・・・・・・」

それぞれがその光景に目を奪われ、言葉を漏らす。

そして、その黄金の柱が消えた時には、沈黙した2つのジュエルシードが転がっていた。

「なのは!封印だ!」

俺は、呆けていたなのはに声をかける。

「へっ?あ、うん!」

気を取り直したなのはは、ジュエルシードに向かってデバイスを構える。

「リリカル・マジカル!ジュエルシード シリアルⅩⅣ シリアルⅡ。封印!!」

沈黙したジュエルシードは桜色の光に包まれ、再び封印された。

それを確認した俺は、ホッと息を吐き、地上に降りる。

そして、呆然とこちらを見ていた桜、フェイト、ユーノ、アルフに気付く。

「どうした?」

俺は尋ねる。

「あ・・・・・いや、話には聞いてたんだけど・・・・・・改めて凄さを知ったと言うか・・・・・・・」

ユーノが歯切れ悪く答える。

「まさか此処までなんてね・・・・・」

桜も驚いた様子である。

「情けない奴だと思ってたけど、まあSSSオーバーってだけはあるね」

情けない奴で悪かったですねアルフさん。

「す、凄かった・・・・・・」

フェイトも呆然と呟く。

いや、まあ、実を言えば、俺も驚いている。

ガイアフォースを実戦で使ったのは初めてだ。

でも、まさか、魔力の柱が空まで届くとは・・・・・・

やっぱ俺の魔力はチートだな。

そんな事を思いながら、夜空を見つめた。









あとがき

第九話完成。

短いな・・・・・・

まあ、今回はガイアフォースをぶっ放したかっただけですし(爆)

次回はプレシア、アリシアとの出会い&時空管理局との邂逅ですんで長くなりそうですが・・・・・

因みに今日はバレンタインデーですが・・・・・・・

自分に言わせて貰えば、

バレンタイン?

何か特別なことでもあるの?

俺にとっちゃ普通の日だけど?

ってことで、いつも通りの更新です。

まあ、ともかく返信です。




>すがり様
感想ありがとうございます。
この小説は最強テンプレ系なんで嫌う方も多いと思います。
しかし、バカにしている気は毛頭ございませんのであしからず。



>メビウス様
感想ありがとうございます。
最終形態のヒントは、ウォーグレイモンとメタルガルルモン、そして、・・・・・
では、次回も頑張ります。



>月の亡霊様
感想ありがとうございます。
温泉で男湯は映ってなかったので入ってないという設定です。
時空管理局との邂逅では一波乱あるのでお楽しみに。
では、次も頑張ります。



>totoro様
感想ありがとうございます。
フェイトが主人公の正体に気付く所はもう決めています。
では、その時をお楽しみに。



>俊様
感想ありがとうございます。
やはり、リニスとアルフの再会はこれしかないと思いました。
プレシアとの出会いは次回をお楽しみに。
時空管理局とも一波乱ありますよ。
では、次も頑張ります。



>帝様
感想ありがとうございます。
ラスボスですか?
なんていうか、主人公にかかれば、どんなラスボスもラスボスに成りえないんですが・・・・・・
というわけであっさり終わるかも知れません。
寧ろ、時空管理局との一波乱かもしれません。
では、次も頑張ります。



>ラングース様
感想ありがとうございます。
アースラ組は出てきますが、そのときに一波乱ありますよ。
お楽しみに。



>AQUA様
感想ありがとうございます。
前回、前々回と出番が無かったので、今回は主人公大活躍です。
短いですが・・・・・・
もちろん海のジュエルシードの時も活躍する予定です。
では、次回も頑張ります。



>nemesis様
感想ありがとうございます。
フェイトが主人公の正体を知るのは、今しばらくお待ちを。
少なくとも無印編の中で正体を知ります。
主人公の卑屈さは、A`S編までは続くかと・・・・・
少しはマシになると思いますが・・・・・
桜については、気をつけます。
では、次回も頑張ります。



>天弧様
感想ありがとうございます。
主人公の出番が前回と前々回無かったので、今回は大活躍です。
因みに、リクエストですが・・・・・究極体の中でもトップクラスの奴らばかりなんで、難しいなぁ・・・・・
A`Sの最後なら出せるかもしれないんですが・・・・・
ともかく、次回も頑張ります。



>星の弓様
感想ありがとうございます。
今回は主人公大活躍です。
次回もお楽しみに。



>DF様
感想ありがとうございます。
ロイヤルナイツですか・・・・・
う~ん・・・・バリアジャケットでならいずれ出てくるんですけど・・・・・
ともかく、次回も頑張ります。





[15302] 第十話
Name: 友◆ed8417f2 ID:11075f73
Date: 2010/02/21 11:01


第十話 時の庭園の再会。そして、時空管理局との邂逅。



次元震が起きた翌朝。

遠見市のマンション屋上に俺達は居た。

このマンションは、フェイトの部屋があるマンションで、今日は、フェイトがプレシアへの定期連絡の為に時の庭園へ向かう為、リニスがフェイトについて行く序に、俺たちもお邪魔する事にしたのだ。

因みに学校は、士郎さんや桃子さんにお願いして、適当に理由を作ってもらって欠席の連絡をしてもらった。

フェイトの家にお邪魔すると言ったら、2人は快く了承してくれた。

因みに、その時にお土産である翠屋のお菓子詰め合わせを渡された。

そして、フェイトが転移魔法を唱えだす。

「次元転移。次元座標 876C 4419 3312 D699 3583 A1460 779 F3125。開け、誘いの扉。時の庭園、テスタロッサの主の元へ」

その呪文と共に、魔法陣が展開され、光に包まれる。

そして、俺達はその場から消え去った。






視界が戻ると、俺達はとある薄暗い部屋の中に居た。

「時の庭園に来るのも久しぶりですね」

リニスが呟く。

「此処がフェイトちゃんの家?」

なのはが辺りを見回しながら、そう尋ねる。

「うん・・・・・ついて来て」

フェイトがそう言って、前を歩き始める。

俺達はその後を追って部屋を出た。

長い廊下を歩く俺たち。

しっかし、まるで城みたいな家だな。

廊下を見渡しながら俺は思う。

これは、アニメを見ていた時も思ったことだ。

やがて、廊下の先に玉座の間への扉が見える。

玉座の間なんて、何で一般家庭(?)にあるのやら。

フェイトがその扉を開けると・・・・・・

「お帰りフェイト!」

その瞬間、元気のいい声を上げて、誰かがフェイトに抱きついた。

「きゃ!?ね、姉さん!」

フェイトは少しビックリした声を上げて、その誰かに声をかけた。

まあ、姉さんって言ってるから、アリシアだろうけど。

すると、

「お帰りなさい、フェイト。無事なようで安心したわ」

玉座の方から声がした。

「ただいま、母さん」

フェイトは嬉しそうな顔をしてそう言う。

そこで俺たちも扉を潜り、

「久しぶりですね、プレシア」

そうリニスが言った。

玉座には、驚いた顔のプレシア。

だが、そこで俺はふと思った。

なんか若くねえかな。

アニメでは50歳越えてたはずだけど、今のプレシアは、精々30代と言った所だ。

「リ、リニス・・・・・・生きてたの?」

プレシアが驚愕した顔で呟く。

「リニス?・・・・・・リニスだぁ!」

アリシアは喜びの声を上げながら、リニスに抱きつく。

「アリシアも久しぶりですね」

そう言いながらリニスはアリシアの頭を撫でる。

そして、プレシアに向き直ると、

「ええ、偶然転移した先に、膨大な魔力を保有した魔導師がいたので、再契約したんですよ。それで今回、フェイトに偶然にも出会ったので、こうして付いて来たというわけです」

そう説明した。

「そう・・・・それで、気になってたんだけど、其方の子供たちは?」

プレシアがそう聞くと、フェイトが若干顔を赤くしながら、

「む、向こうの世界で友達になったの・・・・・それで・・・・・」

フェイトの言葉を聞くと、プレシアは少し驚いた顔をした。

しかし、直ぐに優しそうな表情になり、

「そう・・・・友達が出来たの・・・・・良かったわね、フェイト」

「うん・・・・」

プレシアの言葉に、フェイトは顔を赤くして俯きながらも頷く。

プレシアは、俺たちに向き直り、

「あなた達の名前を教えてくれるかしら?」

そう尋ねてきた。

すると、

「た、高町 なのはです!聖祥小学校3年生です!」

なのはが緊張した面持ちで、自己紹介した。

「高町 桜です。なのはの双子の姉になります。これ、つまらない物ですが」

桜は流石に前世の記憶があるためか、普通に自己紹介し、お土産の翠屋のお菓子詰め合わせの袋をプレシアに差し出す。

「あら、ありがとう」

プレシアはそう言って受け取る。

「それは、家でやってる喫茶店のお菓子なんです。喫茶翠屋という名前なので、もし気に入ったら是非来てください」

流石、喫茶店の娘。

店の宣伝も忘れない。

「ええ、そうさせてもらうわ」

プレシアは、微笑んで頷く。

「ユーノ・スクライアです。ジュエルシードを発掘した隊の指揮をしていました」

ユーノの、その言葉を聞くと、プレシアは申し訳無さそうな表情になり、

「そう・・・・・あなたが・・・・・・ごめんなさいね。私がもっとしっかりしていれば・・・・・」

プレシアはそう言いながら頭を下げる。

「あっ!いえっ!事故であれば仕方ありません!それに、フェイトのお陰で、ジュエルシード集めも捗ってますし」

ユーノは慌ててそう言った。

「そう言ってもらえると助かるわ。ありがとう」

「いえ・・・・」

そして、最後にプレシアは俺に顔を向けた。

俺は名乗ろうと思い、

「俺は「レイジ君?」えっ?」

プレシアの呟きに思わず声を漏らした。

プレシアは、少し驚いた顔をして、俺の顔をじっと見てくる。

すると、はっとして、

「あ、ごめんなさい。子供の頃の知り合いによく似てたものだから。でも、考えてみれば、レイジ君は私と同い年なんだから、あなたがレイジ君な訳ないわよね」

プレシアは、1人納得する。

だが、レイジというのは父さんの名前である。

そして、プレシアは30代半ばといった所。

父さんも生きていれば、目の前のプレシアと同じ位の歳だ。

だから、俺は確かめる事にした。

「あの、あなたが言っているレイジというのは、レイジ・リムルートの事ですか?」

俺は、そう尋ねる。

すると、再びプレシアは驚いた顔をする。

「え?ええ、そうだけど・・・・・・」

それを見て、確信した俺は、

「俺は、ユウ・リムルート。レイジ・リムルートの息子です」

そう名乗った。

「そう・・・・・レイジ君の・・・・」

プレシアは、そう呟くと、なにやら物思いに耽っている。

その時、

「ねえ、ユウ君」

なのはが俺に話しかけてきた。

「何だ?」

「リムルートって何?」

なのはがそう尋ねる。

「リムルートっていうのは、俺の本当のファミリーネームだけど・・・・・・言ってなかったけ?」

「初耳よ。まあ、ミッドチルダ出身なのに、思いっきり日本人の名前だったからちょっと不思議に思ってたんだけどね」

桜がそう言った。

プレシアは顔を上げ、

「所で、レイジ君は元気にしてる?」

そう聞いてきた。

俺は、言い辛かったが、

「・・・・・・・父さんは・・・・・一年以上前に・・・・・事故で・・・・・」

俺のその言葉で察したのか、

「そう・・・・・ごめんなさい」

プレシアは申し訳無さそうな顔をして謝る。

「いえ・・・・・気にしないでください」

俺はそう言った。




暫くして、気を取り直したプレシアは、フェイトからの報告を聞く。

ジュエルシードはなのはが集めた分を含めて、既に10個集まっている事と、俺がリニスの契約者だという事に大層驚いていたが。

その中で、アリシアの自己紹介も行い、何やら姉同士で桜とアリシアは気が合うようだ。

それで、報告が終わると、

「母さん・・・・・あの・・・・・・」

フェイトがプレシアに小声で何やら話しかけている。

プレシアはフェイトの言葉を聞くと若干驚いた顔をしたが、

「あなたの好きなようになさい・・・・・」

そうフェイトに言った。

フェイトは少し不安そうにしながら俺達の前に来る。

「あの・・・・・なのは、桜、ユーノ、ユウ・・・・・・・皆に、聞いて欲しい事があるんだ・・・・・」

フェイトはそう呟いた。

「あ、あの・・・・・・私ね・・・・・・・」

フェイトは少し言い辛そうにしていたが、

「私は・・・・・正確に言えば・・・・・・母さんの本当の娘じゃないんだ・・・・・・」

「「えっ?」」

フェイトの言葉に、なのはとユーノが声を漏らした。

「私は・・・・・本当は・・・・・姉さん・・・・・・アリシア・テスタロッサの細胞を元に作られた・・・・・・クローンなんだ・・・・・・・・」

フェイトの告白に、言葉を失うなのはとユーノ。

俺と桜は、黙ってフェイトの言葉を聞いている。

「皆は・・・・・・こんな私でも・・・・・・友達でいてくれる?」

フェイトは不安で押しつぶされそうな表情をしている。

俺はアニメを見て知識としては知っていたが、実際にフェイトがクローンだという事を聞いてこの場で思ったことを素直に口にした。

「クローンだから何だってんだ?」

「え?」

俺の言葉にフェイトは驚いた表情をする。

「全くね。フェイトがクローンってだけで友達やめると思ってたの?だったら心外だわ」

桜もそう言った。

「クローンって言っても、多少生まれ方が違うだけで、ちゃんと心を持った人間だろ。クローンだろうがフェイトはフェイト。それで良いじゃないか」

「桜・・・・・ユウ・・・・・・・」

フェイトは何やら涙ぐんでいる。

「ふ、2人の言うとおりだよ!ちょっと驚いたけど、フェイトちゃんは私達の友達だよ!」

なのはが少し遅れてそう言った。

「僕も、そんな事は気にしないよ」

ユーノも笑顔でそう言う。

「皆・・・・・・ありがとう」

フェイトは涙を流しながら笑顔で礼を言った。




暫くして、

「それにしても、レイジ君の息子・・・・・か」

プレシアは、俺を見ながらなにやら遠い目をする。

まあ、昔を懐かしんでいるのだろう。

だから、俺はこう聞いた。

「プレシアさんは、父さんとはどのような関係で?」

その質問に、

「そうね・・・・・・やっぱり幼馴染って言葉が一番しっくりくるかしら」

プレシアは、懐かしむようにそう呟く。

「昔は、よく一緒に遊んだわ。私と、レイジ君と、そしてあの人・・・・・・」

プレシアが再び遠い目に・・・・・

あの人というのは、多分プレシアの夫だろう。

「そうですか・・・・・・」

俺はそう呟いた。

すると、再びプレシアは俺の顔を見て、なにやら考え込む表情をした。

「何か?」

気になった俺は尋ねる。

「ねえ、ユウ君」

「はい?」

「アリシアかフェイト、どっちか貰ってくれないかしら?」

「は?」

プレシアの言葉に俺は素っ頓狂な声を漏らし、

「「「なっ!?」」」

アリシア、フェイト、そしてなのはは、驚愕した声を上げた。

何言ってるんですかアンタ!?

「か、母さん!?」

「母様!?いきなり何言ってるの!?」

フェイトとアリシアが叫ぶ。

そりゃ当然だろう。

「アリシアもフェイトも、大事に育てすぎた所為か、ちょっと常識知らずな所があって・・・・・・・・・男の子の知り合いも、一人もいないのよ。このままじゃ、将来が心配で・・・・・」

プレシアは、そう続けた。

幼馴染の息子というだけで、其処まで勧めるって、どういう感覚してるんですか!?

俺は、口を開こうとしたが、

「だめぇええええええええええええっ!!」

なのはの叫びに止められた。

「だだっ、ダメです!それだけはダメです!!」

なのはは必死に否定する。

「あら、なのはちゃん。ユウ君のこと意識してるの?」

プレシアの言葉に、なのはは顔を真っ赤にする。

その反応を見ると、

「うん。それならいっその事、2人とも貰ってもらって、なのはちゃんも含めて、一夫多妻制の世界に移住するのもありかしら?」

これまたとんでもない発言をかますプレシア。

「な、何言ってるんですかプレシアさん!!」

俺は思わず叫んだ。

「あら、2人じゃ不満かしら?母親の私が言うのも何だけど、2人とも将来は美人になるわよ」

いや、それはストライカーズ見てましたから知ってますけどね!

フェイトは美人になってたし、同じ遺伝子を持つアリシアも同じでしょうけど!

俺が言いたいのはそういう事ではなく。

「いや、俺なんかじゃ2人には釣り合いませんって!」

俺はそう言った。

「あら、謙遜しなくても良いわよ。私、これでも人を見る目はある心算よ。あなたの第一印象を見て、この子なら大丈夫って思ったのよ」

なら、今このときだけ、貴女の目は狂っています。

俺は、誰かに助けを求めようとしたが、なのはは「一夫多妻制?・・・・・でも、フェイトちゃんたちなら・・・・・・・」とか言ってるので当てにならん。

桜は面白そうな笑みを浮かべているので却下。

リニスは笑顔だが、我関せずを貫いている。

味方は居なかった。

だがその時、

「あははは!フェイトはダメだよプレシア。フェイトには好きな相手がいるんだ」

アルフが言った。

「「「「「「「え?」」」」」」」

フェイトとアルフ以外の声が重なった。

「ア、アルフ・・・・・・」

フェイトは顔を赤くしている。

フェイトって好きな相手いたの?

「本当なの、フェイトちゃん?」

なのはが尋ねた。

「う、うん・・・・・・でも、顔も名前も知らないし・・・・・・・・」

「如何いう事?」

フェイトの言葉に桜が問いかける。

「あ、あの・・・・・・・まだ、なのは達と会う前なんだけど・・・・・・ジュエルシードの暴走体を相手に負けそうになった所を、青いバリアジャケットを着た魔導師に助けられたんだ・・・・・・バリアジャケットは顔も覆ってたから、顔は分からなかったし、名前も聞けなかった。ただ、分かっているのは、黒い瞳と、氷結の魔力変換資質の持ち主ということだけなんだ・・・・・・・」

そのフェイトの話を聞いた瞬間、

――ゴスッ!

俺は頭を床に打ち付けた。

リニスもじっと俺を見てくる。

・・・・・フェイトが言ってるのって俺じゃねーか!

(フフフ・・・・・・マスター、私達の言った通りでしょう)

アイシクルが念話してくる。

(黙ってろ!)

俺は念話でそう返す。

「ちょっと、いきなり如何したのよ?」

桜が尋ねてきた。

「何でもない・・・・・足を滑らせただけだ」

流石に、此処で名乗り出るような真似は、俺はしない。

「あっそ、ところでアンタもその青いバリアジャケットの魔導師に心当たりは無い?」

「・・・・・・・知り合いには居ないな・・・・・・」

俺はそう答えた。

嘘は言ってない。

本当に“知り合い”に青いバリアジャケットの魔導師は居ない。

俺のその言葉を聞くと、フェイトはガッカリした表情になる。

すると、

「大丈夫ですよフェイト。その人にはきっと会えます。案外、身近な人かもしれませんよ」

リニスはそう言いながら、視線を俺に向けてくる。

くぉらリニス、慰めるのは結構だが、俺に繋がるようなヒントを言うんじゃない。

幸運にもフェイトは、それがリニスの励ましだと受け止め、特に気にしてはいないようだった。





その後、プレシアからの話では、プレシアもやる事は殆ど終わり、今日中にでも海鳴市へ来れるそうだ。

その報告を聞いたフェイトは、とても嬉しそうな表情をしていた。

まあ、この歳で母親と離ればなれになっていたのは寂しかったのだろう。

プレシアは、準備が出来た後にアリシアと共に来るらしいので、俺達は先に海鳴市へ戻った。

思ったよりも結構な時間が経っていたらしく、海鳴市では、もう学校が終わる時間だった。

そのため、このままジュエルシードの捜索を開始する事にする。

丁度、発動しそうなジュエルシードの反応を感じる為、臨海公園へと向かった。





俺達はバリアジャケットを纏い、現場へ到着する。

確かアニメでは、今回の暴走体は木の化け物だった筈だが、

「ウォオオオオオオーーーーーーッ!!」

もう突っ込まん。

木の化け物がジュレイモンもどきになっていようと、もう突っ込まん。

此処まで来ると、例の神がなんか運命弄くってんじゃないかと思う。

「フォトンランサー!ファイア!」

「「ディバインシューター!シュート!」」

3人が牽制に数発の魔力弾を放つが、

――キィン

ジュレイモンもどきは、バリアを張ってそれを防いだ。

アニメと同じようにバリア張るんかい。

「うぉう!生意気に、バリアまで張るのかい!」

アルフが叫んだ。

「うん・・・・強いね・・・・・・・油断せずに行こう」

フェイトが呟いた。

すると、ジュレイモンもどきは無数の木の実を放ってくる。

俺達は直ぐに飛び退いた。

木の実が地面に当たると、

――ズドドドドォ

爆発を起こした。

やっぱチェリーボム。

桜も俺と同じように予想していた所為か動揺は無かったが、なのはとフェイトはかなりビックリしていた。

「俺がバリアを砕く!お前たちで決めろ!!」

俺は3人に呼びかけた。

「う、うん、わかった!」

なのはが返事をする。

『『Shooting mode』』

レイジングハートとレイジングソウルがシューティングモードに変形する。

そして、2人はそれを構え、フェイトもバルディッシュを構えた。

「貫け轟雷!サンダー・・・・・・・」

「「ディバイィィィィィン・・・・・・」

それぞれが砲撃を準備する。

それを見た俺は、右腕を振りかぶり、

「ドラモンキラー!!」

一気にドラモンキラーを突き出した。

ジュレイモンもどきはバリアを張るが、

――バリィン

俺は難なく砕き、余った勢いでジュレイモンもどきに攻撃した。

「ヴォオオオオオッ!?」

相当なダメージを与えたようで、ジュレイモンもどきは苦しそうな叫び声をあげる。

俺は直ぐにその場を飛び退いた。

その瞬間を狙い、

「・・・・・・スマッシャー!!」

「「・・・・・・バスターーーーーーッ!!」」

金色、桜色、白銀の3つの砲撃が放たれた。

「オオオオオオオオオッ!!」

断末魔の叫びを上げつつ消滅するジュレイモンもどき。

ジュエルシードが浮かび上がる。

「リリカル・マジカル!」

「ジュエルシード、シリアルⅦ!」

「封印!」

3人がジュエルシードを封印した。

フェイトがそのジュエルシードを回収する。

そして帰ろうかと思ったその時、

「ちょっと待ってくれ」

少年の声が聞こえた。

俺達が振り向くと、其処にはデバイスの杖を持った黒髪の少年の姿。

「時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ。詳しい話を聞かせてもらいたい」







【Side 桜】




「時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ。詳しい話を聞かせてもらいたい」

そう言ってきたのはクロノだった。

まあ、アニメと同じタイミングだし、来ても不思議じゃないわね。

その時、

『ちょっと待ってくださるかしら?』

プレシアさんの声が響き、紫色の転送魔法陣が浮かび上がる。

其処に、プレシアさんがアリシアを連れて転移してきた。

「あなたは?」

クロノが問いかける。

「私はプレシア・テスタロッサ。このアリシアと、そこにいるフェイトの母親で、管理局に今回のジュエルシードの事を依頼した本人よ。まあ、それ以外でも名前ぐらいは聞いた事あるんじゃないかしら?」

プレシアさんはそう言った。

「あなたが、大魔導師と呼ばれた・・・・・・・わかりました。お話をお聞かせ願いたいので、一先ず私達の艦、アースラへお越しください」

「ええ、その心算よ」

クロノの言葉に、プレシアさんは頷く。

「君達も、それでいいか?」

クロノは此方に尋ねてきたので、

「ええ」

私は頷いた。

「じゃあ、僕の近くへ」

そう促され、私はクロノの近くへ歩み寄る。

それにつられて、なのは、フェイト、ユーノ、アルフも近くへ寄る。

プレシアさんとアリシアも傍へ来た。

でも、

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・ユウ」

ユウとリニスは動かなかった。

「ユウ?」

私はユウに呼びかける。

すると、

ユウは無言で私達に背を向けた。

「ユウ君!?」

「君っ!?」

なのはとクロノが驚いたようにユウに呼びかける。

ユウはゆっくりと口を開いた。

「・・・・・・・・俺は管理局の指図を受ける心算は無い・・・・」

そう言って、クロノを睨んだユウの目を見て私は絶句した。

明らかに敵意の篭った目。

信じられなかった。

今までのユウは、ジュエルシードの暴走体相手でも、あんな目を向けたことは無い。

暴走体に向けるときの目は、「余り痛めつけたくはないけど、暴れるならしょうがない」といった感じだった。

前になのはが言っていた、虫も無闇に殺さない優しさという事も、それを見ていて頷けた。

多少・・・・っていうか、かなり後ろ向きな性格だけど、優しくて温和な性格。

これが私が感じたユウの性格。

怒っている所なんて見たことも無かった。

でも、今のユウは明らかに怒りの感情をクロノに向けている。

「ど、どうしちゃったの!?ユウ君!!」

なのはもそれを感じたのか、動揺しながらユウに問いかける。

「なのは・・・・・桜・・・・・・フェイト・・・・・・ユーノ・・・・・悪いけど、管理局が関わってくるのなら、俺が協力できるのは此処までだ」

「「「「ッ!?」」」」

その言葉に声を失う私達。

ユウはそのまま歩き出す。

「おい!」

クロノが前に出て、デバイスを構えた。

その瞬間、

『やめなさい!!クロノ!!』

モニターが開いて、翠の髪の女性が叫んだ。

恐らくリンディさんだろう。

その言葉で、動きを止めるクロノ。

そして、

『待って!ユウ君!!』

リンディさんがユウの名を呼んだ。

リンディさんの声で足を止めるユウ。

知り合い?

ユウは振り向き、

「久しぶりですね、リンディさん・・・・・」

ユウは呟く。

だが、その顔に感情は無い。

『ええ・・・・久しぶりねユウ君・・・・・』

少し沈黙があったが、

『・・・・・お願いユウ君、話だけでも「リンディさん」ッ!?』

リンディさんの言葉を途中でユウが止める。

「前にも言った筈です。俺は“管理局”を全く信用していないと」

いつものユウとは思えない一方的な言葉。

ユウは再び背を向ける。

「話が聞きたいのならリニスから聞いてください・・・・では」

ユウは再び歩き出す。

私達は驚愕の余り動けない。

「ふ、ふざけるな!!そんな勝手が許されると思っているのか!!」

クロノが叫んでユウにデバイスを向ける。

「僕達時空管理局は「次元世界の平和と安定を守る法の番人・・・・・・正義の組織・・・・・か?」ッ!?・・・・・・そのとおりだ!!」

クロノの言葉を続けるようにユウが言葉を発し、クロノはそれを肯定する。

「けど・・・・・・俺には関係ないね」

ユウはそう言い放った。

「何っ!?」

「お前らが勝手に決めた事を、俺が守らなきゃいけない筋合いは何処にも無い」

ユウは再び歩き出す。

「貴様っ!!」

クロノは遂に我慢の限界に来たのか、デバイスに魔力を込める。

『待ちなさい!!クロノ!!』

それに気付いたリンディさんは慌てて止めようとしたが、それよりも一瞬早く魔力弾が放たれた。

――ドォン!

その魔力弾はユウに直撃し、ユウは爆煙に包まれる。

「ユウ君!?」

なのはが悲鳴に近い声を上げた。

だが、風が吹いて煙を吹き飛ばすと、その中からは無傷のユウの姿があった。

「・・・・・・・・自分達の意にそぐわなければ、威嚇も無しにいきなり攻撃を直撃させる・・・・・・・それがお前たちの正義・・・・・・か?」

そう言って睨み付けるユウに、

「ち・・・・ちが・・・・」

クロノはたじろぐ。

次の瞬間、ユウは目を見開き、

「ふざけるな!!!」

その叫びと共に生み出される黄金の巨大な魔力球。

「ちょ、いきなりガイア・・・・・!」

私の言葉は最後まで続かなかった。

言い終わる前に、クロノに向かってガイアフォースが放たれる。

「なっ!?」

クロノはその魔力に驚愕する。

絶対に止められない力の差。

絶望的なその差に呆然となるクロノの横を、ガイアフォースは通過した。

ガイアフォースは海の上を通過し、遥か空へと消える。

そして、驚く事にガイアフォースが通過した海は、真っ二つに割れていた。

「嘘・・・・・・・」

誰が漏らしたかは分からない。

ただ、その事実に驚愕し、その場にいた全員は呆然としていた。

そして、私が正気を取り戻した時、ユウは既にその場にはいなかった。







あとがき

第十話完成。

結構やりたい放題やりました。

ご都合主義の如く、プレシアさんと主人公の父が幼馴染設定。

プレシアさん、全然性格違います。

そんで、時空管理局との邂逅。

大人しくユウがアースラについていくと思ったら大間違い。

ブチギレました。

大人しい奴ほど、怒った時には怖いのです。

では、返信を。




>AQUA様
感想ありがとうございます。
ラスボスといえるラスボスは出てこないと思います。
恐らく無印編では時空管理局との絡みがメインになるかな?
勢いで書いているのでどうなるか分かりません。
では、次回も頑張ります。



>俊様
感想ありがとうございます。
話し以前にユウがブチギレました。
因みに翠屋での話し合いは自分も考えているのでお楽しみに。



>ラングース様
感想ありがとうございます。
俊様の返信にも書いてあるとおり、翠屋での話し合いは考えてます。
その話し合いまで持っていくのに一悶着ありますがね。
では、その時をお楽しみに。



>クロポン様
感想ありがとうございます。
ハーレムの予定ですので、アリシアにも当然フラグ立てる予定です。
どうやって立てるかは決まってませんが(爆)
あと、ユウへの応援ありがとうございます。
次回もお楽しみに。



>紅猫様
感想ありがとうございます。
話し合い云々以前にユウは管理局の話を聞きません。
なのは達は・・・・・どうなるのかなぁ・・・・・?
家族も交えての話し合いは考えているので、その時をお楽しみに。
では、次回も頑張ります。



>星の弓様
感想ありがとうございます。
今回は如何だったでしょうか?
クロノが悪者になった感が・・・・・
では、次回も頑張ります。



>かな様
感想ありがとうございます。
表現ではSSSオーバーとなっていますが、正確に言えばSSS以上で計測不能なのです。
もう1,2個Sがついても不思議じゃないです。
何というチート。
では、次回も頑張ります。






[15302] 第十一話
Name: 友◆ed8417f2 ID:11075f73
Date: 2010/04/04 09:45

第十一話 それぞれの思い。




【Side 桜】



ユウがいなくなった後、気を取り直した私達はアースラに案内された。

転送によって、アースラ内部に現れる私達。

なのはは、物珍しそうに辺りを見渡しながら、念話でユーノに質問していた。

それよりも、私はさっきのユウの事で頭が一杯だった。

何故ユウはクロノに対して、いや、管理局に対してあんなに嫌悪感を露にするのか?

いつものユウなら、嫌な事は適当に受け流す筈だ。

少なくとも、あんな感情的になる事は無い。

次から次へと、疑問は尽きない。

気付けば、いつの間にかリンディさんが居るであろう部屋の前であった。

クロノは扉を開け、

「艦長、来てもらいました」

そう言った。

その部屋は、アニメで見た通り、茶釜、盆栽、猪脅しなど、和風の物が飾ってある。

リンディさん、和を間違えてるんじゃないですか?

適当に並べればいいってもんじゃないですよ。

そんな私の思いは露知らず、

「お疲れ様、まあ皆さん、どうぞどうぞ楽にして」

正座し、笑顔でそう言うアースラ艦長、リンディ・ハラオウンがいた。

私達は、とりあえずお言葉に甘えてたたみの上に座る。

すると、

「久しぶりですね、リンディ」

リニスがリンディさんに声をかけた。

「ええ・・・・・お久しぶりね、リニスさん」

リンディさんもそう答える。

「リニスさん、知り合いなんですか?」

なのはがリニスに問いかける。

「ええ、一年ほど前に少々・・・・」

リニスは微笑みながら答える。

でも、その笑みは表面上だけに思えた。

すると、リンディさんは姿勢を正し、

「先ずは先程、此方の執務官が軽率な行動を取ってしまった事を謝罪します。本当に申し訳ありませんでした」

そう言ってリンディさんは頭を下げる。

「か、艦長!?」

クロノが驚いている。

「クロノ執務官。先程のあなたの行動は、此方の指示に従わなかったとはいえ、あの場での最善の行動とは思えません。挙げ句、威嚇も無しに攻撃を直撃させるなど、軽率な行動以外の何物でもありません。当事者である彼はこの場にはいませんが、皆様にも謝罪をすべきです」

リンディさんの指摘に、クロノは言葉を詰まらせる。

「ぐ・・・・は、はい・・・・・申し訳ありませんでした・・・・・」

クロノは納得がし辛いようだったが、渋々と頭を下げる。

2人は、頭を上げると、

「では、皆様の話を聞きたいと思います」

そう言った。





ユーノがジュエルシードを集める事になった経緯を説明した。

「なるほど、そうですか。あのロストロギア・・・・ジュエルシードを発掘したのはあなただったのですね」

ジュエルシードの経緯を聞いたリンディさんがそう言う。

「はい・・・それで、僕が回収しようと・・・・・」

ユーノが頷き、同時にそれがジュエルシードを回収しようとした理由である事を言った。

「立派だわ」

リンディさんはそう言うが、

「だけど、同時に無謀でもある」

クロノが直球にそう言った。

その言葉に、ユーノはしゅんとなる。

アニメと同じやり取りだが、実際にその言葉を聞いたら、私はクロノにカチンときた

「それはあなたが言える筋合いは無いと思うわよ。執務官さん」

皮肉を込めてそう言った。

「なっ!?どういう意味だ?」

クロノが若干イラついた声で尋ねてくる。

「だってそうでしょ?あなた達が何時プレシアさんから依頼を受けたのかは知らないけど、ジュエルシードが海鳴市に散らばってから今日まで、一体幾つのジュエルシードが暴走したと思ってるのよ?」

「そ、それは・・・・・・」

私の言葉で、クロノは声を詰まらせる。

「確かにユーノ1人じゃ無謀だったかもしれない。でも、ユーノが行動したから、私となのははユーノと出会い、魔法の力を、この街を守る力を手に入れることができた。もしユーノがすぐにジュエルシードを追ってこなかったら、今頃海鳴市はメチャクチャね。だから、今頃しゃしゃり出てきて偉そうな事言ってんじゃないわよ」

「そ、それは、此方にも事情が・・・・・・・」

「何?別の場所の火を消していたからこっちの対応が遅れましたとでも言いたいの?だったら、危険を冒してまで行動したユーノに感謝こそすれ、説教なんてする資格はないわよ」

「うぐ・・・・・・」

私は、言いたい放題言ってしまう。

「ど、如何したの桜お姉ちゃん!?そんなこというなんてらしくないよ!」

なのはの言葉に私はハッとなる。

「・・・・・・・ゴメン・・・・・言いすぎたわ・・・・・・クロノもユーノのことを心配して言ってくれてたのに・・・・・・・」

私は謝罪する。

「いや・・・・・僕の言い方も悪かった。すまない」

クロノも謝ってくる。

私も先程のユウの行動の理由が分からなくて、若干イライラしているらしい。

因みに、アニメではこの後なのはがロストロギアとは何かの質問をしていた筈だが、この世界では、ジュエルシードを集める上で、ロストロギアとは何たるかを既にリニスから教わっているので、そんな質問はしない。

だから、私は今一番気になっていた事をリンディさんに質問する。

「話は変わるんですけど、管理局ってユウに何かしたんですか?幾ら攻撃されたからって、威嚇とはいえ、いきなりガイアフォースで反撃なんて、ただ事じゃないと思うんですけど・・・・・・・」

「あのっ!それ私も知りたいです!ユウ君は普段あんなことする子じゃないのに・・・・・・・」

私の言葉になのはが続く。

その言葉に、リンディさんは視線を床に落とした。

「艦長?」

不思議に思ったクロノが声をかける。

「1つだけ・・・・・・思い当たる事があります・・・・・・」

リンディさんは、辛そうな表情をしながら呟いた。

「・・・・・・皆さんは・・・・・・ユウ君のご両親が既に亡くなっていることはご存知かしら?」

リンディさんはそう尋ねてくる。

「「え?」」

その言葉に、プレシアさんとアリシアは驚いた表情をした。

そういえば、父親が死んだとは知っていても、母親も死んでいるとは聞いていなかったわね。

「・・・・・・私達は、事故で亡くなったと聞いています」

私はそう答えた。

「そうですか・・・・・・ユウ君のご両親・・・・・・・レイジ・リムルートさんと、リーラ・リムルートは、管理局に所属していたわ・・・・・」

「「「「「「えっ?」」」」」」

リンディさんの言葉に私達は驚いた。

ユウは、そんな事一言も言ってなかった。

「2人ともSSランクの魔導師で、2人揃えば負け無しと言われたスーパーエースコンビだったわ。そして、ユウ君の母親のリーラと私は同期で、友人だった・・・・・ユウ君と知り合いなのもそのためね」

リンディさんは、昔を懐かしむように語る。

しかし、すぐに苦しそうな表情に変わった。

「私も報告で聞いただけだけど・・・・・リーラ達は去年の始めごろに、とある世界で強力な魔法生物と戦闘になったわ・・・・・・・」

私はその話を黙って聞いている。

なのはやフェイト達もリンディさんの言葉を真剣に聞いていた。

「もちろんリーラ達も応戦した・・・・・・・それでも、その魔法生物には敵わなかった。だから、リーラとレイジさんは、仲間の武装局員達を救うために、その身を犠牲にした自爆魔法で魔法生物と相打った・・・・・・・・そう聞いているわ・・・・・・・・・」

リンディさんは辛そうに語った。

「そうか・・・・・・・彼からしてみれば、管理局の所為で両親を失ったと言っても過言ではない・・・・・・か。彼のあの時の態度はそのためか・・・・・・」

クロノが納得したように頷く。

「レイジ君達が死んだ事にはそんな理由があったのね・・・・・」

プレシアさんは、悲しそうに呟いた。

フェイトやアリシアは、今にも泣きそうな表情をしていた。

ユーノも悲しそうな表情をしている。

「・・・・・・・・・・・」

しかし、リニスは何処か不機嫌そうだった。

かく言う私も、リンディさんの語った出来事に疑問を持った。

「あの、リンディさん」

だから、私は尋ねた。

「何かしら?桜さん」

リンディさんはそう返してくる。

「・・・・・・本当に・・・・思い当たる事はそれだけなんですか?」

私は確認するように問いかけた。

「えっ?」

「どういうことだ?」

リンディさんは声を漏らし、クロノが質問の意味を私に尋ねてくる。

「本当に・・・・・ユウが管理局を嫌う理由は、それだけしか思い当たる事は無いんですか?」

私は再度問いかける。

「え、ええ・・・・・私が思い当たるのはそれだけよ・・・・・・・・」

リンディさんはそう答えるが、私はどうしても納得できない。

「何か気になる事でもあるの?」

私の態度が気になったのか、リンディさんはそう尋ねてくる。

「気になる事って言うか・・・・・・・ユウは、そんな逆恨みのような事をするとは思えないんです」

リンディさんの言った通りなら、ユウは管理局に対して多少の嫌悪感は持つのかもしれない。

けど、あれほど敵意を剥き出しにするほど嫌うとは、到底思えなかった。

「私も桜お姉ちゃんと同じです。ユウ君は、そんな事じゃ恨んだりしません!」

なのはも真剣な顔で叫んだ。

「そ、そう言われても・・・・・・」

リンディさんは困った表情をする。

「・・・・・・さすがなのはと桜ですね」

リニスが突然そう呟く。

「「えっ?」」

私となのはは声を漏らし、

「如何いう事?」

リンディさんはリニスに問いかける。

「なのはと桜の言うとおりという事です。そのような理由であれば、ユウが管理局を嫌う事など無かったでしょう」

リニスは淡々と言葉を発する。

「貴女は・・・・・ユウ君が管理局を嫌う理由を知っているの?」

リンディさんがそう尋ねた。

「ええ、全て知っています」

その言葉に驚愕する私達。

「なら教えて!何故ユウ君はあそこまで管理局を拒絶するの!?」

リンディさんは必死で問いかける。

しかし、

「それは私の口から言っていい事ではありません」

リニスはそうキッパリと言い切る。

「ですが、強いて言うなら、貴女が考えていたユウが管理局を嫌う理由を、先程の理由と思っていた事自体が、ユウが管理局を嫌う理由でもありますね」

リニスの言っている事が理解できない。

リンディさんがさっき言った事を、ユウが管理局を嫌う理由と思っていた事が、ユウが管理局を嫌う理由って如何いう事?

見れば、リニス以外の全員が頭に?を浮かべたような表情だ。

「それは・・・・・如何いう・・・・・・?」

「これ以上はお話し出来かねます」

リンディさんの質問を即答で却下するリニス。

これ以上に何を聞いてもリニスは答えないだろう。

それをリンディさんも察したのか、

「そうですか・・・・・・わかりました」

そう言って引き下がった。

暫く沈黙が続くが、

「・・・・・・あの・・・・」

フェイトが口を開いた。

「これからジュエルシードに関してはどうなるんでしょうか?」

その質問に、

「ジュエルシードに関しては、只今より時空管理局が全権を持つことになります。あなた達は・・・・・・」

「手伝わせてください!」

フェイトがそう言った。

「私は最後まで責任を取りたいんです!」

「・・・・・・・・」

フェイトの言葉にリンディさんは考える仕草をする。

「フェイト・・・・・」

プレシアさんは心配そうな表情をフェイトに向ける。

「勝手な事を言ってごめんなさい母さん。でも、私がそうしたいんだ」

フェイトの真剣な顔を見ると、

「・・・・・・・わかったわ」

プレシアさんはそう呟く。

けど、

「その代わり、私も一緒よ」

更にそう言った。

「え?」

フェイトが一瞬ポカンとするが、徐々に嬉しそうな顔になる。

「あ・・・・う・・・・・」

なのはが言い出そうかどうか迷っている。

恐らくユウのことを考えているのだろう。

「大丈夫ですよ。なのは」

そんななのはに、リニスが声をかける。

「ユウは自分の考えを他人に押し付けたりはしません。なのはが時空管理局に協力したからと言って、ユウから嫌われる事はありませんよ」

「リニスさん・・・・・・はい!」

リニスの言葉が後押しになったのか、なのはの顔から迷いが消える。

「リンディさん!私も協力します!」

なのはがそう言った。

「なのはさん・・・・・・」

「私にも協力させてください!フェイトちゃんも心配だし、何よりこの街は私達が住んでる街なんです!最後まで付き合せて下さい!」

なのはは真剣な顔で言った。

「なのはが協力するなら、私もセットで付いて来るわよ。AAAランクの魔導師2人はお得じゃないかしら?」

私はそう言う。

「し、しかしだな、次元干渉に関わる事件だ。民間人に介入してもらうレベルの話じゃない」

クロノがそう言うが、

「魔導師4人は、管理局なら喉から手が出るほど欲しいんじゃないかしら?管理局内でも5%に満たないAAAランク以上の魔導師なら尚更ね。年中人手不足の管理局さん?」

私がそう問いかけると、リンディさんは困った顔をする。

「失礼だけど桜さん?あなた本当に8歳?同年代と話してるようにしか思えないんだけど・・・・・・・」

リンディさんは、普通なら失礼だが、的を射た質問をする。

確かに私は精神年齢ならリンディさんと同じくらいだからね。

「さあ?どうですかね」

私はとりあえずはぐらかしておいた。





【Side Out】




【Side なのは】




私達が管理局に協力することを決めた後、私達は一旦家に戻る事になりました。

それにユウ君の事も心配だし。

「ただいまー!」

私達が家に入ると、美由希お姉ちゃんが駆け寄ってきました。

「桜、なのは、リニス、ユーノ君・・・・・」

「姉さん、どうしたの?」

美由希お姉ちゃんに桜お姉ちゃんが尋ねました。

「うん・・・・・ユウ君と何かあったの?さっきユウ君帰ってきたんだけど、不機嫌みたいで・・・・・・何も言わずに部屋に引きこもっちゃったのよ・・・・・・・」

「あ・・・・うん・・・・・・ちょっとね・・・・・・・」

私は言葉を濁しながらそう言いました。

「ユウの事は私達に任せて」

桜お姉ちゃんがそう言います。

「うん・・・・・お願い・・・・・・」






私達はユウ君の部屋の前にいました。

――コンコン

と、私はノックします。

「ユウ君・・・・・あの・・・・入っていいかな?」

私はダメ元でそう尋ねます。

「ああ」

意外な事に、すんなりと答えは返ってきました。

少し驚きながらも私達はドアを開けて、ユウ君の部屋に入ります。

「とりあえずおかえり」

ユウ君はそう声をかけてきました。

「あ、ただいま・・・・・・」

私は思わずそう返します。

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

私達の間に、沈黙が流れます。

でも、それでも私は思い切って口を開きます。

「ユウ君・・・・・あのね、私達「管理局に協力するんだろ?」っ!?」

私の言おうとした事を、ユウ君が先に言いました。

「うん・・・・・・」

私は頷きます。

「それならそれでいいさ。お前たちが決めた事に、俺が如何こう言うつもりは無い」

ユウ君は、いつもの表情でそう言います。

「なら、何でユウ君は、管理局を嫌ってるの?」

私は尋ねました。

「・・・・・・・・俺が管理局を嫌うのは個人的な理由だ。だから、なのはや桜が管理局を如何判断しても、俺はお前達を拒絶したりしないから安心しろ」

ユウ君は笑みを浮かべます。

でも、何故かその笑みは悲しそうに思えました。

それ以上何を聞いても、「個人的な理由だから」としか答えてくれませんでした。





その夜、お母さんやお父さんに時空管理局に協力する事を説明して、私と桜お姉ちゃん、ユーノ君はアースラへと乗り込んだのでした。









あとがき

第十一話完成。

出来はどうだろうな・・・・・・

納得できるかな・・・・・・?

あと、アリシアが空気だ。

それはともかく、第十話でPVが既に11万突破。

感想も1話当りの数が前作前々作を含めて最高記録を更新しました。

勢いだけで書いているこの作品が、記録更新というのも自分としては複雑のような・・・・・・・・

でも、応援していただけるのはとても嬉しいです。

では返信です。




>かな様
感想ありがとうございます。
アニメでのクロノの登場シーンは2人の真剣勝負に横槍入れてるみたいなモンですからね。
見る人が見ればムカつくんじゃないでしょうか?
この小説では主人公最強なんで、主人公と比べれば誰でも雑魚に成り下がってしまいますが・・・・・・・
あと、真実を知ったときの心理描写は、なるべく頑張ろうと思っています。
では、次回も頑張ります。



>nemesis様
感想ありがとうございます。
引っ張りすぎですかね?
ですが、近々知る予定です。
お楽しみに。
では、次回も頑張ります。



>AQUA様
感想ありがとうございます。
とりあえず、2つの質問の答えは無印編の中で知る事になります。
お楽しみに。
では、次も頑張ります。



>たぬき様
感想ありがとうございます。
今回の話でもあるとおり、リンディも真実は知りません。
真実を知るときをお楽しみに。
では、次回も頑張ります。



>ぷてらのどん様
感想ありがとうございます。
勢いのまま書いているので、どうなるかは予想つきません(爆)
ただ、A`S編もご都合主義オーバードライブで行くつもりです。
では、次回もお楽しみに。



>ユキ様
感想ありがとうございます。
ラスボスとか全然決めてないんですよね。
勢いのまま書いているので、その時にならないと、作者にも予想つきません(爆)
ともかく、次も頑張ります。



>賞味期限切れのモス様
感想ありがとうございます。
海を割るのは、モーゼのイメージではなく、デジモンアドベンチャー02の35話ぐらいにあった、ブラックウォーグレイモンのイメージです。
チートには変わりありませんが。
では、次回もお楽しみに。



>星の弓様
感想ありがとうございます。
クロノは本当ならなのは達よりも強い筈なんですけどね~。
本当に目立ちません。
ユウの両親の死にはおある理由がある・・・・・・かも?
では、次回をお楽しみに。



>投影様
感想ありがとうございます。
まだ真実は明らかにしませんでした。
その時を楽しみにしててください。
では、次も頑張ります。



>ルファイト様
感想ありがとうございます。
真実を知るのは何時なのか?
その時を楽しみにしててください。
フェイトがもしユウの正体を知っていたのなら追いかけたかも。
では、次回をお楽しみに。



>俊様
感想ありがっとうございます。
ご都合主義全開の設定でしたが、意外性がもてたのなら何より。
単なる思い付きですが・・・・・・
真実を知るときをお楽しみに。
では、次も頑張ります。



>バーニー様
感想ありがとうございます。
モーゼではなくブラックウォーグレイモンのイメージですね。
アリサとすずかは無印編が終わってから堕とす心算です。
ではその時をお楽しみに。



>ラングース様
感想ありがとうございます。
クロノは原作でもフェイトに直撃コースの魔法を放ってましたからね。
このぐらいはやるかと思いました。
その結果逆鱗に触れる事になりましたが・・・・・・
真実を知るのは何時なのか?
お楽しみに。
では、次も頑張ります。



>芭那様
感想ありがとうございます。
管理局自体に関しては程度はともかくアンチを貫く心算です。
アースラ組についてはどうなるか分かりませんが・・・・・・
では、次も頑張ります。



>紅猫様
感想ありがとうございます。
フェイトがユウの正体に気付くのも真実を知るのも近々の予定です。
お楽しみに。
クロノは、まあ、ストーリー上仕方ない・・・・のか?
では、次も頑張ります。



>ああああ様
感想ありがとうございます。
クロノが管理局員としてユウと向き合おうとする限り、ユウは話も聞いてくれません。
クロノ個人なら・・・・・・・
フェイトがユウの正体を知るのは近々の予定。
では、次回をお楽しみに。



>ガンダム様
感想ありがとうございます。
勢いで書いているので、この先どうなるのかは自分にも分かりません。
外伝についてですが、確かに自分でもそんなようなストーリーは思い描きましたが・・・・・・
完全オリジナルを書こうとすると、レベルがガクリと落ちてしまうのです。
オリジナルを書く文才が欲しい。
ともかく、次回も頑張ります。



>られる様
感想ありがとうございます。
まあ、確かに見方によっては子供の駄々っ子そのものですからね。
そう思われるのも無理ないかも・・・・・
キャラ劣化にも気をつけます。
では、次回も頑張ります。



>管理局嫌い様
感想ありがとうございます。
何処までアンチになるか微妙ですが、管理局アンチ気味に進んでいくと思います。
クロノってフルボッコにした方がいいんですか?
キャラ劣化に繋がるので微妙なとこなんですけど・・・・
ともかく、次回も頑張ります。



>ノヴァ様
感想ありがとうございます。
いや、クロノは普通に連絡を受けて、現場に到着したら件のロストロギアを回収している魔導師を発見した。
クロノは普通に職務質問をしようとしたけど、ユウがそれに対して挑発的に反抗した。
その挑発に我慢できなくなったクロノが攻撃を直撃させた。
クロノが攻撃を直撃させた事以外は特におかしい所は無いと思いますが・・・・・?
クロノフルボッコはやったほうがいいんですかねぇ?
ともかく、次もお楽しみに。



>ハンター様
感想ありがとうございます。
桜は中二病・・・・なのか?
あんまり意識はしてませんでしたが・・・・・
因みに前書きにも書いてあるとおり、この小説はハーレムですよ。
では、次も頑張ります。



>麒麟様
感想ありがとうございます。
一応、キャラの劣化には気をつけている心算です。
これからも気を付けますので指摘があったらお願いします。
では、次も頑張ります。



>パウル様
感想ありがとうございます。
勢いで書いているのでどうなるか分かりませんが、恐らく管理局自体は一切信用しないでしょう。
個人はともかく。
無印の最後如何しよう?
ともかく、次も頑張ります。



>IINON様
感想ありがとうございます。
気に入っていただけたようで嬉しいです。
では、次もお楽しみに。



>鱧様
感想ありがとうございます。
ガイアグレイモンって・・・・・必殺技のガイアフォースとウォーグレイモンが混ざってます。
まあ、それはともかく、真実を知ったときには悩んでいただきますよ。
では、次も頑張ります。



>114様
感想ありがとうございます。
基本ユウは管理局を一切信用してません。
普段は優しいですが、管理局に対してだけは、ああいう態度をとります。
因みにユウは、自称冷たい人間なので。
まあ、精神年齢が低いのは作者の精神年齢が低い為です。
ともかく、次回も頑張ります。



>AMAS様
感想ありがとうございます。
その通りです。
あと、ブレイズやアイシクルをそれぞれ個別で使っているときはSSSランクぐらいですね。
では、次も頑張ります。



>ねこ様
感想ありがとうございます。
頻度は如何あれ、管理局アンチ気味に進むと思います。
両親の死の真実については、もう少し後ですね。
スカさんと組む・・・・・・それもアリなんだろうか?
それはともかく、次もお楽しみに。



>メビウス様
感想ありがとうございます。
ユウの魔王化?
言うなれば、スターライトブレイカーをディバインシューター一発で押し返すようなモンですかね。
ちなみにフェイトがユウの正体に気付くのは近々。
お楽しみに。
では、次も頑張ります。



>ルシィファー様
感想ありがとうございます。
あの映画の通り進んだら確かに死亡フラグですね。
ならデカ剣はヒロインの誰かに渡って仇を取るんですかね。
そうなったらこの物語が終わるんでやりませんけど。
もどき位は出そうかな・・・・・・
では、次回もお楽しみに。





合計30名への返信・・・・・
1時間以上かかりました。
嬉しい悩みですね。

では、次も頑張ります。




[15302] 第十二話
Name: 友◆ed8417f2 ID:11075f73
Date: 2010/04/04 09:46
第十二話 絶対零度!氷雪のアイシクル!!




なのは達がアースラへ行った翌日。

学校では、なのはと桜が暫く欠席するとクラスメイトに知らされる。

そして、そのHRが終わった直後、

「ちょっと、あんた何か知ってるんでしょ?キリキリ吐きなさい!」

アリサからそう言われる。

知っていると断定する所がまた凄い。

まあ、知ってるんだけど。

「確かに知ってるけどさ、口止めされてるから勘弁な」

俺はそう答える。

「どうしても教えてもらえないの?」

すずかからもそう問われる。

「まあ・・・・・すまん」

俺は謝る。

「まあいいけどさ。桜もついてることだし心配ないと思うけど」

アリサは一度ため息を吐いてそう呟く。

「で?何でアンタはそんなに不機嫌そうにしてるのよ?」

突然アリサからそう問われる。

「は?何の事だよ?」

俺はそう尋ねる。

「アンタ、自分で気付いてないの?」

「ユウ君、不機嫌な顔してるよ」

アリサとすずかからそう言われる。

「そんな顔してるか?」

俺が問い返すと、

「うん」

「思いっきり」

2人揃って頷かれる。

「そうか・・・・・」

自分が不機嫌になっている理由は分かっている。

管理局に出会った事によって、父さんと母さんが死んだ時の事、そして、その後の管理局の対応を思い出したからだ。

なるべく平静を装ってた心算だが、全然出来て居なかったらしい。

「何か嫌なことでもあったの?」

すずかがそう聞いてくる。

「まあ、そんなようなもんだ」

俺はそう答えた。

「よければ相談に乗るけど?」

すずかはそう言ってくる。

「ありがとう。でもいいよ。これは俺の個人的な問題だからな」

すずかの気遣いに感謝しつつも、そう言って断る。

「そうなんだ・・・・・・でも、相談したくなったらいつでも言ってね」

すずかはそう微笑んで言った。

「ありがとう」

俺はすずかに礼を言った。





放課後、ジュエルシード探しが無くなった俺は、ゆっくりと歩いて帰路についている。

その途中、図書館が見えたので、気分転換にと思い、寄る事にした。

図書館の中は静かで、気持ちを落ち着けるには丁度良かった。

俺は適当に本を取り、テーブルの椅子に座る。

本に目を走らせて入るが、ただそれだけ。

はっきり言って、読んでるわけではない。

そんなふうにボーっとしていると、

「あっ、ユウ君やん」

聞き覚えのある声が聞こえた。

俺が振り向くと其処には車椅子に乗ったはやてがいた。

「ああ、はやてか」

俺がそう言うと、

「どないしたん?そんな不機嫌そうな顔して。嫌な事でもあったんか?」

いきなり核心を突いて来た。

「・・・・・・はあ、偶に会うだけのはやてにまで分かるなんて、俺ってそんなに顔に出やすいのかなぁ?」

俺はため息を吐きながら呟く。

はやては首を傾げながら、

「何のことかよう分からんけど、分かるに決まっとるやん。ユウ君の事やからな」

そう微笑んで言った。

いや、その言い方は、俺に気があるように聞こえるんだが・・・・・・・

まあ、はやては8歳だし、そんな事は無いだろう。

「ふう・・・・・はやての言うとおり、ちょっと嫌な事があった・・・・・と言うより、会いたくない奴らに会って、嫌な事を思い出したからかな」

俺はそう言った。

「そうなんや・・・・・・私で良かったら相談に乗るで?」

「その気持ちだけでいいよ。これは俺の個人的な事だからな」

「そう言うなら、無理に聞こうとはせえへんけど、力になれることがあったらいつでも言ってや」

すずかと似たような事を言うはやて。

「その時は、そうさせてもらうよ」

俺はそう答えた。



はやてのお陰である程度気分が紛れた俺は、再び帰路に着く。

ふと見れば、翠屋が見える。

丁度、喉も渇いていたので寄る事にした。

俺が入り口を開けると、

「いらっしゃいませ・・・・って、ユウですか」

ウェイトレス姿のリニスがそう言った。

「よう、頑張ってるな」

俺はそう声をかける。

その時、

「あらユウ君。こんな時間に珍しいわね」

桃子さんが声をかけてきた。

「ええ。これからは暇になりましたので」

俺がそう言うと、桃子さんは考える仕草をして、

「それなら悪いんだけど、お店を手伝ってくれないかしら?今日、バイトの子が休んで少し大変なのよ」

そう言ってきた。

「ええ、構いませんよ。皿洗いぐらいなら手伝います」

俺はそう答える。

接客作業など俺には無理だ。

ところが、

「ありがとう。じゃあ、接客作業お願いできる?」

そう言われた。

「いや、ちょっと待ってください!接客作業は無理ですよ!人付き合い苦手だし、赤の他人と向き合うなんて俺には無理です!」

「大丈夫よ~。すぐに慣れるわ。逆にユウ君ぐらいの年齢なら、失敗しても逆に微笑ましいぐらいよ」

桃子さんはそう言う。

いや、確かに周りから見ればそうかもしれませんが、俺は精神年齢30代半ばですよ?

因みに俺は恥を掻いた事をとことん引っ張るタイプだ。

前世では、時折恥を掻いた事をフラッシュバックのように思い出しては、1人で叫んでたような男ですよ。

だから、あんまり恥をかくようなことはしたくないんですけど。

しかし、

「ほらほらユウ。手伝ってくれるなら早く着替えましょうね」

リニスに引き摺られるように更衣室へと連れて行かれる。

因みに桃子さん。

俺にピッタリの制服があるのは何でですかね?

もともと手伝わせる心算だったんですか?

そのまま俺は、なし崩し的にウェイターをやる事になった。






――10日後






俺は、極限まで集中している。












目の前の困難を乗り切る為に・・・・・・















耳を澄ませ、一切の聞き漏らしが無いように・・・・・



















マルチタスクによる分割思考も、最大限に発揮させる。


















手にも汗が滲む・・・・・・
















俺は待つ・・・・・






















その時を・・・・・・
























そして・・・・・・その時は来た!

















「シュークリーム2つ!」

「コーヒーとショートケーキ」

「オレンジジュースとコーヒー!」

「ソーダとコーラ。あと、ピザ」

「スパゲティとサラダとコーヒー」

「シュークリーム6個とオレンジジュース3つ」

「あ!あとコーヒー!」

「チーズケーキとコーヒー」

「パフェちょーだい」

「コーヒー2つ」

俺は翠屋の店内のほぼ真ん中で、次々と注文される。

しかも、テーブル番号もバラバラ。

注文される物を俺は、メモしていった。

そして、注文された分を全部メモした所で、

「復唱しま~す!一番テーブルの方がシュークリーム6個とオレンジジュース3つ。2番テーブルの方がソーダとコーラとピザ。5番テーブルの方がシュークリーム2つとコーヒー。7番テーブルの方がコーヒー2つ。8番テーブルの方がスパゲティとサラダとコーヒー。10番テーブルの方がオレンジジュースとコーヒー。カウンター席1番の方がパフェ。カウンター席2番の方がコーヒーとショートケーキ。カウンター席3番の方がチーズケーキとコーヒー。・・・・・・・・・以上、訂正は御座いますか?」

俺がそう尋ねると、

「「「「「「「「おぉ~~~~~~~~~!」」」」」」」」

感心するような驚きの声と共に、拍手が沸いた。

間違いが無い証拠だ。

俺は内心ホッとしながら、

「では、少々お待ちください」

一礼して注文を厨房に届けた。

何故か、これが翠屋の名物のようなものになっていた。

幾ら忙しかったからといって、マルチタスクまで使って同時に注文を受けたのが拙かった。

俺の能力に目を付けた桃子さんが、俺の限界を試すように次から次へと注文を受ける数を増やし、何故か、俺が翠屋を手伝う時には、俺が注文を全て受けるようになっていた。

俺は、魔法で鍛えたマルチタスクと、生まれ変わりで得た記憶力で、何とか乗り越えている。

楽をする心算が、逆に仕事を大変にしてしまった。

やっぱり、ズルはするもんじゃないと改めて思ったのだった。







【Side 桜】



時空管理局に協力してから10日。

この10日間で5個のジュエルシードを封印した。

だけど、尽くデジモンとそっくりだったのは驚いたわ。

原作では巨鳥だった筈のジュエルシードも、バードラモンの亜種の、セーバードラモンにそっくりだったし・・・・・・・

まあ、強さも見た目通り成熟期だったから、苦も無く倒せたんだけど・・・・・・

そういえば、一度だけ完全体の敵が出てきたわね。

プレシアさんの雷であっさり倒されたけど・・・・・・・

流石は大魔導師だと思ったわ。

今のリニスとどっちが強いかしら?

まあ、それはともかく、残りのジュエルシードは6個。

只今アースラチームが捜索をしているが、まだ見つかっていない。

多分アニメの通り海の中なんだろうけど。

アニメと同じやり方を申し出ても、危険だと言う理由で却下されるがオチね。

今回は急いでるわけでもないし、気長に行きましょ。

と、その時、呼び出しコールが鳴る。

「はい」

私はモニターを開く。

『桜か?クロノだ。ジュエルシードが見つかった。出動準備を頼む』

「分かったわ。場所は?」

クロノの言葉にそう尋ねる。

『海鳴市近海。海中だ』

クロノはそう答えた。







私、なのは、フェイト、ユーノ、アルフ、プレシアさんが海の上に転送されると、

「ギャォオオオオオオオオオッ!!」

メガシードラモンもどきが暴れていた。

って言うか、また?

温泉の時よりも大きいけど・・・・・・・

「あれって・・・・・温泉の時にもいたよね?」

なのはが尋ねるように呟く。

「うん。それに、その時よりも大きい。多分、前よりも強い」

フェイトが、メガシードラモンもどきを見て言った。

その時、メガシードラモンもどきがこっちに気付き、頭部の角から稲妻を放ってくる。

「っと!」

それに気付いた私達は散開してかわす。

「ディバイィィィィィン・・・・・・バスターーーーーーーーーッ!!」

そのまま、なのはがディバインバスターを放つ。

「グアッ!?」

直撃したメガシードラモンもどきは怯んだ。

今までの特訓のお陰か、私達の魔法の威力は上がっている。

「サンダー・・・・・スマッシャーーーーーー!!」

フェイトが強力な雷撃砲を放つ。

「ギャァァア!!」

水棲型の為か、電撃は効き易く、苦しみの声を上げるメガシードラモンもどき。

「これはおまけよ!!」

私も追撃にディバインバスターを放った。

「ゴァッ!?」

直撃して、海面に倒れるメガシードラモンもどき。

その時には、既にプレシアさんの準備は完了していた。

雷鳴が轟く。

だがその時、私はふと思った。

アニメでは、フェイトがサンダーフォールで海中に電気の魔力を流し、ジュエルシードを強制発動させた。

今、プレシアさんが放とうとしているのはサンダーレイジ。

しかし、Sランクオーバーのプレシアさんが放つサンダーレイジは、フェイトのそれを遥かに凌ぐ。

そして、海水は電気を通しやすい。

ならば導き出される答えは・・・・・・・

そこまで思い至った時、私は叫んだ。

「プレシアさん待った!!」

だが、とき既に遅し。

「え?」

プレシアさんがそう漏らしたのは、眼下に稲妻を放った後だった。

サンダーレイジは、海中に沈んだメガシードラモンもどきに降り注ぐが、海中では電気が拡散してしまい、十分なダメージを与えられない。

それどころか・・・・・

その瞬間、周りの海から5つの光の柱が立ち昇った。

エイミィから緊急通信が入る。

『拙いよ!残り5つのジュエルシードの発動反応!今のプレシアさんの電撃で、発動しちゃったみたい!』

焦った声で、エイミィが叫ぶ。

そして、その光が収まると共に、5体の暴走体が姿を現す。

しかもそれは、

「ゴァアアアアアアアッ!!」

亀の甲羅を背負って、巨大なハンマーをその手に持つ水棲獣。

「ウウウウウウゥゥゥゥゥゥ・・・・・・・・」

超巨大なクジラ。

「ギエェェェェェェェェェ!!」

濃い青の身体に、白い手足。

イカの足のような触手を、背中から2本生やした巨人。

「キチキチ・・・・・・・・」

肌色の甲殻を持ち、体中に刃物を付けた巨大なアノマロカリスに似た生物。

「ウォオオオオオオオオオォォォォォォォォ・・・・・・・・」

水色の身体を持った人型だが、よく見れば手足は無数の触手が集まって出来ている生物。

何ていうか、上からズドモン、ホエーモン完全体、マリンデビモン、アノマロカリモン、ダゴモンね。

メガシードラモンも含めれば、水棲型完全体デジモンもどきの総進撃だった。

ちょと拙いんじゃないのこれ?







【Side Out】






――ドクン

翠屋で、手伝いをしていると、強力なジュエルシードの波動を感じる。

「ッ!?」

「ユウ!」

リニスも気付いたのか、少し焦った表情で俺に呼びかけてくる。

「ああ、この波動・・・・・1個や2個じゃない・・・・・・・5個・・・・・いや、6個のジュエルシードが同時に暴走している!」

っていうか、何でアニメと同じく6個が同時に発動してるんだよ!

アースラが、アニメでフェイトがやっていた事を容認するとは思えないし・・・・・・・

「如何するんですか?」

リニスが俺に問いかける。

「俺は・・・・・・・」

俺は迷っていた。

確かに、なのはや桜、フェイトを助けに行きたい気持ちはある。

けど、管理局には関わりたくない。

俺がそんな思いに悩んでいると、

「ユウ君・・・・・・」

その声に振り向けば、桃子さんが沈痛な面持ちで立っていた。

「桃子さん・・・・・・如何したんですか?」

そんな様子の桃子さんに、俺は尋ねた。

「ユウ君・・・・リニスさん・・・・・・・お願いがあるの・・・・・」

桃子さんはそう言ってきた。

「何ですか?」

俺はそう聞く。

「・・・・・・桜となのはを、助けてあげて欲しいの」

「えっ?」

桃子さんの言葉に俺は若干驚いた。

「ど、如何してですか?」

俺は思わず問いかける。

「よく分からないけど・・・・・胸騒ぎがするの・・・・・・・何か良くないことが起こりそうな・・・・・・・・この胸騒ぎは、あの人が怪我をした時にも感じたわ・・・・・・」

桃子さんはそう言いながら、カウンターにいる士郎さんに目を向ける。

そして、俺に視線を戻し、

「だから、桜となのはに何か起こるんじゃないかって心配になって・・・・・・お願い、ユウ君、リニスさん」

桃子さんはそう言って頭を下げる。

俺はちょっと慌てた。

「ちょ、桃子さん!頭を上げてください!其処までしてくれなくても助けに行きますから!」

慌てながら俺はそう言う。

桃子さんは頭を上げる。

「ユウ君・・・・・」

そう呟く桃子さん。

俺はエプロンを外しながら、

「なのはと桜の事なら、俺達に任せてください」

そう言ってリニスを見る。

リニスもエプロンを外していた。

「行くぞ、リニス」

「はい!」

俺の言葉にはっきりと応えるリニス。

俺達は、店の出入り口に向かう。

そして、店を出る時、

「お願いね・・・・・ユウ君・・・・・・」

桃子さんのそんな呟きが俺の耳に届いた。







【Side なのは】




私達は今、6体のジュエルシードの暴走体を相手に戦っています。

先程クロノ君も応援に来てくれましたが、ハッキリ言ってかなりピンチです。

相手は6体。

それに対して此方は、私、桜お姉ちゃん、フェイトちゃん、ユーノ君、アルフさん、プレシアさん、クロノ君の7人なんですが、ユーノ君は攻撃魔法が得意ではないのでサポートに回っており、実質6対6です。

私が相手にしているのが、亀の甲羅のような物を背負って、ハンマーを持った怪物です。

桜お姉ちゃんが、青い巨人を。

フェイトちゃんが、古代生物のアノマロカリスに似た生物を。

プレシアさんが大きなクジラを。

アルフさんが最初にいた大きな蛇を。

クロノ君が水色の身体をした、よく分からない軟体生物のようなものの相手をしています。

ですが、実際に互角に戦えているのはプレシアさんとクロノ君。

あと、弱った蛇さんを相手にしているアルフさんぐらいです。

プレシアさんは、大きなクジラが時折放ってくる、潮吹きを防ぎつつ、稲妻を落として攻撃しています。

けど、あれだけ巨大なだけあって、耐久力もかなりのもので、倒すのには暫くかかりそうです。

クロノ君は、敵が無数の触手を振り回して攻撃してくるのに対し、回避する所は回避して、攻撃する所は攻撃する、という方法で、確実にダメージを与えていきます。

ですが、それも倒すまでには暫くかかりそうです。

アルフさんは、弱った敵が相手とは言え、硬い鱗の前に必死です。

フェイトちゃんは、アノマロカリスに似た生物を相手にしていますが、此方も硬い甲殻の前に苦戦してます。

しかも、アノマロカリスに似ているくせに、砂を吐いたり、前足をクロスさせて、魔力斬撃を飛ばしたりしてくるの。

桜お姉ちゃんは、青い巨人を相手に攻撃しようとしますが、青い巨人の背中にある2本の触手がそれぞれ意思を持っているかのように動き、桜お姉ちゃんを攻撃します。

少し距離を取ったところで、口から墨を吐いてきて攻撃します。

それは、シールドで防げそうな攻撃なんですが、桜お姉ちゃんは必死に避けて、絶対に受け止めようとしません。(後で聞いた話では、猛毒っぽかったから、だそうです)

かく言う私も、さっきから暴走体相手に5発ほどディバインバスターを直撃させたのですが、あんまり効いてないみたいです。

私のとっておきなら何とかなるかもしれませんが、あれは溜めに時間がかかるので、こんな乱戦状態の時に使おうとしたら、流れ弾に当たる危険があります。

そんな事を考えながら、もう一発ディバインバスターを直撃させます。

その暴走体は、爆発の煙に包まれますが・・・・・・

「ゴァアアアアアアアアアアッ!!」

煙が切り裂かれ、咆哮が上がります。

予想通り、大したダメージを受けていません。

その時、その暴走体がハンマーを持っていた腕を振りかぶり、こっちに向かってハンマーを投げつけてきました。

「きゃっ!?」

突然の事にビックリしましたが、私は何とかかわします。

私の横を私より5倍ぐらい大きなハンマーが通り過ぎます。

それを見て、私はゾッとしました。

幾らなんでも、あれは受け止めきれないと思います。

私は気を取り直し、暴走体を見据え、レイジングハートを構えます。

でも、その時、

「なのは!危ない!!」

フェイトちゃんの悲鳴に近い叫びが響きました。

「え?」

フェイトちゃんの叫びに、私は後ろを振り向くと・・・・・・・

「そんなっ!?」

先程のハンマーが私に迫ってきてました。

信じられない事に、ハンマーはまるでブーメランのように反転してきたのです。

もう回避は間に合いません。

私は、少しでもダメージを減らそうと、咄嗟に障壁を張ろうとして・・・・・・

――ドンッ

「えっ?」

突き飛ばされました。

視線を向けて確認すると、其処には桜お姉ちゃんの姿。

その時の時間の流れが、とてもゆっくりに感じます。

何で?

何でそこにいるの?

そこにいると危ないよ、お姉ちゃん?

巨大なハンマーが桜お姉ちゃんに迫ります。

「「「「「桜(ちゃん)!!!」」」」」

皆が叫びました。

「桜お姉ちゃん!!」

私も思わず叫びます。






すると・・・・・・・








桜お姉ちゃんは・・・・・・








そんな私に向かって・・・・・・・














微笑みました・・・・・・・・









その微笑を見た瞬間、私の瞳に涙が溢れます。

それでも、迫り来るハンマーは止まりません。

「さくっ・・・・・・・・!」

私がまた叫ぼうとした瞬間、

「ブレイブトルネェェェェェェェド!!」

黄金の竜巻がハンマーを貫き、粉々に砕きました。

突然の事に、その場の全員が驚愕します。

私と、覚悟していた桜お姉ちゃんにいたっては、呆気に取られました。

更に次の瞬間、

「サンダー・・・・レイジ!!」

辺り一帯に雷が降り注ぎ、6体の暴走体を怯ませます。

見れば、上空にリニスさんがいました。

そして、ハンマーを貫いた黄金の竜巻が収まると、そこには、黄金の鎧を纏った、ユウ君の姿がありました。






【Side Out】





【Side フェイト】




私達がジュエルシードの暴走体を相手に戦っていた時、なのはが戦っていた相手から、なのはに向かってハンマーが投げつけられる。

なのはは一瞬驚いたようだが、何とかそれを避けた。

それを見てホッとする私。

でもその時、投げられたハンマーが弧を描いてなのはの方に向かって行った。

私は思わず叫んだ。

「なのは!危ない!!」

私の声で、なのはは戻ってくるハンマーに気付いた。

けど、なのはじゃ避けられないタイミング。

私でも間に合わない。

でもその時、桜がなのはを突き飛ばした。

なのはは、ハンマーの射線上から逸れる。

けどその代わり、桜が直撃コースにいる。

「「「「「桜(ちゃん)!!!」」」」」

私も含めた皆が叫んだ。

「桜お姉ちゃん!!」

なのはも叫ぶ。

ハンマーが桜に直撃すると思われた瞬間、

「ブレイブトルネェェェェェェェド!!」

黄金の竜巻がハンマーを貫き、粉々に砕く。

突然の事に、私も含めてその場の全員が驚愕した。

更に、

「サンダー・・・・レイジ!!」

雷が降り注ぎ、全ての暴走体を怯ませる。

見れば、上空にリニスがいた。

「リニス・・・・・」

それから、ハンマーを貫いた黄金の竜巻の方へ視線を戻すと、竜巻が収束し、黄金の鎧を纏ったユウの姿があった。

「ふう・・・・危ねえ危ねえ・・・・・・ギリギリだったぜ。桃子さんの予感が大当たりだな」

ユウはそう言いながら桜となのはに近付いていく。

私も一旦そっちへ向かった。

「よう。大丈夫だったか?」

ユウは桜に声をかけた。

「あ・・・・・うん・・・・・・ありがとう・・・・」

桜は、未だにボーっとしているのか、少し言葉に詰まる。

「お姉ちゃん!!」

その時、なのはが桜に泣きながら抱きついた。

「お姉ちゃん!お姉ちゃん!」

なのはは、抱きつきながら泣き続ける。

「ごめんね、なのは。私は大丈夫よ」

桜は、泣き続けるなのはをあやす。

なのはは、目を擦りながらユウに向き直り、

「えぐっ・・・・・ユウ君・・・・・・・ありがとう・・・・・・・」

ユウにお礼を言った。

「お礼なら桃子さんに言えよ。桃子さんが言ったんだぜ。お前達を助けに行ってくれってな」

ユウの言葉に、2人は軽く驚いた顔をした。

「お母さんが・・・・・」

なのはが呟く。

そんな2人の姿を見て、私は羨ましいと感じた。

なのはがユウに好意を抱いている事は聞いた。

なのはにとって、好きな人が助けてくれるのは、とても嬉しい事だろう。

私は、青いバリアジャケットの人を思い出す。

彼とは、あの1度きりで、あれ以来会っていない。

やっぱり、あの人は私のことは何とも思っていないのかな。

そう考えると、少し悲しくなる。

と、その時、

「すまない、時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ。君に頼みがある。ジュエルシードの封印に協力を・・・・・・」

「やなこった」

クロノの協力要請を、全部聞く前に一蹴するユウ。

「ユ、ユウ君!?」

なのはもその答えに驚いている。

かく言う私も、その答えには驚いた。

「誰が管理局なんかに協力するか!」

ユウは一方的にそう言う。

「そ、そんな事を言ってる場合では・・・・・」

クロノはユウに何かを言おうとしたが、

「なのは!」

「えっ!う、うん!」

「桜!」

「え、あ?ええ!」

「フェイト!」

「は、はい!」

ユウは私達の名を叫び、私達は反射的に返事をしてしまう。

「俺がジュエルシードを黙らせる!封印は任せた!リニス!ユーノ!アルフ!なのは達のサポートは頼んだぞ!」

ユウはそう叫んだ。

その言葉に呆気に取られる私達。

「あ、あの・・・・・ユウ君?ジュエルシードの封印には協力しないんじゃ・・・・?」

なのはが、先程の言葉と矛盾したユウの行動を尋ねる。

「ああ・・・・管理局に協力するなんて死んでもやだね。けど、俺はお前らには協力しないとは言ってないぜ」

そのユウの言葉で、再び呆気に取られる私達。

少しすると、

「クスッ」

桜が笑みを漏らした。

「何それ?どういう屁理屈よ?」

桜が笑みを零しながらそう問いかける。

「屁理屈だろうが何だろうが、俺の気分の問題だ!」

ユウはそっぽを向きながら答えた。

そんなユウの様子に、桜はやれやれといった表情で、

「ま、いいわ。とにかく、いつも通りに行けば良いわけね」

そう言いながら、レイジングソウルを構えた。

「いつも通り?」

私は首を傾げる。

「そうよ。ユウがジュエルシードを黙らせる。ユーノ達がサポート。私達が封印。いつもと何も変わらないじゃない」

桜の言葉に、ふと考えてみると、確かにその通りだ。

「そうだね・・・・・いつも通りだね!」

なのはが笑みを浮かべて言った。

「うん!」

私も頷く。

「じゃあ、行くぜ!」

「「「「「うん(ええ)!」」」」」

ユウの言葉に、私達は応える。

ユウが前に出た。

「6体か・・・・・ブレイズじゃ面倒だな。アイシクル、広域殲滅で一気に決めるぞ」

『了解です!・・・・・あ、マスター』

「何だ?」

『折角の私のお披露目なのですから、どうせならカッコ付けてください』

「何でだよ?」

『いえいえ、どっちにしろ今のマスターはカッコいい位置づけにいるのですから、とことんカッコつけて欲しいだけです』

「・・・・・・・・ま、いいけどさ」

『ありがとうございます。マスター・・・・・・・・フフフ、フェイトの反応が楽しみです』

ユウはデバイスと、よく分からない事を話していた。

それにしても、私の反応が楽しみって、如何いう事?

私が疑問に思っていると、ユウは黄金のバリアジャケットを解除した。

その行動に驚く私達。

すると、ユウは首にかかっている『青色』のデバイスを右手で掴んだ。

「身体に宿すは凍てつく吹雪・・・・・・心に宿すは固めし絆・・・・・・この手に掴むは信じる力・・・・・・・吹けよ氷雪!!アイシクル!セット!アップ!!」

起動パスワードと思われる呪文と共に、デバイスを起動させるユウ。

そして、次の瞬間、『青色』の魔力光に包まれた。

「えっ?」

私はそれを見て、思わず声を漏らした。

「この魔力光って・・・・・・」

そして、その光の中から現れたのは・・・・・・・

青色の機械的なバリアジャケット・・・・・・・

両肩にはミサイルランチャー・・・・・・・

背中のウイング・・・・・・・・・

正に、私が探し求めていた姿だった。

「その姿は・・・・・・・アンタだったのかい!」

アルフも気付いたのか、驚いた様に叫ぶ。

その時、リニスの与えたダメージから回復したのか、ジュエルシードの暴走体が一斉に動き出す。

ユウは、その暴走体達の中心に行く。

そして、6体の暴走体が一斉にユウに襲い掛かった。

「「ユウ(君)!」」

私となのはが叫んだ。

「アイシクル、全砲門展開」

ユウは静かに呟く。

『Yes, Master. All weapons, Full open.』

デバイスが応えた瞬間、全身のバリアジャケットの装甲が展開していき、内部から無数の砲門が姿を見せる。

そして、

「グレイスクロスフリーザー!!」

その全ての砲門から、一斉に無数のミサイルが発射される。

全方位に発射されたミサイルは、襲いかかろうとした暴走体全てに直撃、瞬く間に凍らせていく。

しかも、暴走体だけには止まらず、海をも凍らせていく。

あっという間に青い海だったこの場所は、まるで北極や南極のように見渡す限り氷の世界となった。

その光景に声を失う皆。

でも、私の心は嬉しさで一杯だった。

あの人は、私の傍にいてくれた。

私を守ってくれていた。

嬉しさから、瞳に涙が滲む。

「今だ!叩き込め!!」

ユウが叫ぶ。

私達は気を取り直す。

「なのは!とって置き、行くわよ!」

桜が叫んだ。

「うん!」

なのはが答える。

2人はそれぞれ桜色と白銀の魔法陣を発生させる。

『Starlight Breaker.』

なのはは、空気中の魔力を集めだす。

集まる魔力が、まるで星が集まっているように見える。

『Lunarlight Breaker.』

桜は、デバイスコアから漏れ出した光で円を描き、其処に魔力が集中していく。

描かれた円は白銀に輝き、まるで満月の様に見える。

私も負けじと、今使える最強の魔法を準備する。

『Phalanx Shift.』

私は周りに無数のフォトンスフィアを生み出す。

「アルカス・クルタス・エイギアス。疾風なりし天神、今導きのもと撃ちかかれ。バルエル・ザルエル・ブラウゼル」

私が呪文を唱えると共に、フォトンスフィアが輝きを増す。

「フォトンランサー、ジェノサイドシフト!!」

リニスがそう叫ぶと、数え切れないほどのフォトンランサーがリニスの周りに発生する。

「コイツはオマケだ!」

ユウは両手を合わせて、両腕を上に上げている。

更に、その両手には物凄い冷気が集まっているのが分かる。

そして、次の瞬間、一斉に放たれた。

「全力全開!!スターライト・・・・・・・ブレイカーーーーーーーッ!!」

「一撃必殺!!ルナライト・・・・・・・・ブレイカーーーーーーーッ!!」

なのはと桜が特大の集束砲を。

「フォトンランサー・ファランクスシフト。撃ち砕け、ファイア!!」

私は、フォトンスフィア一基ごとから、無数のフォトンランサーを放つ。

「撃ち貫け!ファイア!!」

リニスがフォトンランサーを嵐のように放ち、

「コキュートスブレス!!」

ユウが、合わせた両手を獣の口のようにして、眼下に向ける。

その瞬間、両手から凄まじい冷気の魔力が放出された。

私達の攻撃は、氷漬けになった暴走体を砕き、凍った海を割り、大きな水飛沫を上げる。

しかも、その瞬間ユウが放った冷気の魔力により、水飛沫が上がった状態で凍りつき、海の上に巨大な氷の花を咲かせた。

「・・・・・・・・な、なんつー出鱈目なバカ魔力・・・・・・・僕に対する当て付けか?」

クロノが呆然と呟く。

『ジュエルシード・・・・・6個全部の封印を確認したよ・・・・・』

エイミィが、呆気にとられながらも、何とか報告する。

と、その時、

『ユウ君!』

ユウの近くにモニターが開き、リンディ提督が慌てた様子でユウに呼びかけた。

『どうして!?どうしてあなたがアイシクルを!?』

リンディ提督が、必死な様子でユウに問いかけた。

「・・・・・・・・・・・・」

でも、ユウは何も言わずに、背中のウイングから魔力を放出し、物凄いスピードで飛び去る。

『ユウ君!!』

リンディ提督は叫ぶが、ユウはもう既に遥か彼方。

『ユウ君・・・・・』

リンディ提督は気落ちした様子で呟く。

「無駄ですよ、リンディ」

リニスが言った。

『えっ?』

「いくら管理局員として話を聞こうとしても、ユウは絶対に話を聞いてくれません」

リンディ提督にそう言うリニス。

『なら、如何すればユウ君に話を聞いてもらえるの?』

リニスに尋ねるリンディ提督。

すると、リニスは一度ため息を吐き、

「仕方ありませんね。ならヒントをあげます。ユウは、管理局は嫌っていますが、あなた方自身は、それほど嫌ってないようですよ」

『えっ?』

リニスの言葉に、リンディ提督は声を漏らす。

すると、リニスは足元に転送用の魔法陣を発生させた。

「今の言葉の意味が判ったのなら、喫茶翠屋までお越しください。現在は私もユウも、其処のお手伝いをしていますので・・・・・・場所は桜となのはが良く知っていますよ」

リニスはそう言うと、私と母さんに向き直った。

「プレシア、フェイト。前のお土産を食べたなら分かると思いますが、翠屋のシュークリームは絶品ですよ。是非アリシアも連れて来て下さいね」

リニスは私達に笑みを向けながらそう言った。

そのまま、リニスは転送でその場から消える。

余りの展開の速さについていけなかった私達は呆然となる。

そして、後には妙な静けさと、海の上に咲いた巨大な氷の花が残った。







あとがき

第十二話完成!

結構やりたい放題やりました。

そしてやっと!

やっとフェイトがユウの正体を知りました!

心理描写があんまり上手くなかったかな?

おまけに超絶一斉攻撃。

ルナライトブレイカーは、スターライトブレイカーよりも圧縮率が高く、見た目は極太レーザーです。

スターライトブレイカーのように、拡散しません。

しかも、スターライトブレイカーよりも、射程と一点の破壊力は高いです。

制御は難しいですが・・・・・・・

まあ、こういう設定です。

さて、次回は翠屋での話し合いの予定。

お楽しみに。

因みに今回から、返信は感想版で行ないます。

何故か感想数が増えたので・・・・

では、次も頑張ります。




[15302] 第十三話
Name: 友◆ed8417f2 ID:11075f73
Date: 2011/05/03 21:31
第十三話 真実




【Side なのは】



ユウ君とリニスさんがいなくなった後、私達はジュエルシードを回収し、一旦アースラに行きました。

ジュエルシードをリンディさんたちに預けます。

「ロストロギア、ジュエルシード、全21個。確かに回収しました」

リンディさんは、回収任務の終了を宣言した。

その時私は、気になっていた事をリンディさんに尋ねる事にした。

「あの・・・・リンディさん」

「なぁに?なのはさん」

「何でリンディさんは、ユウ君がアイシクルを持っていた事に驚いていたんですか?」

そう聞くと、リンディさんは顔を俯かせる。

「・・・・・・・アイシクルは・・・・・ユウ君の母親、リーラのデバイスなの・・・・・・・」

「え?」

「報告では・・・・・アイシクルは、自爆魔法でリーラと一緒に消えた筈・・・・・・・存在する筈がないの・・・・・・」

リンディさんが驚く事を口にする。

「それって、ただユウがデバイスに同じ名前を付けただけじゃ無いんですか?」

桜お姉ちゃんがそう問いかけます。

しかし、リンディさんは首を振り、

「・・・・・・あなたたちは、アイシクルと話した事はある?」

そう問いかけてきます。

「「はい」」

私と桜お姉ちゃんは頷き、フェイトちゃんも頷きます。

「あなた達が持ってるインテリジェントデバイスと比べてどうだった?」

「えっと・・・・・とても面白い性格でした」

私がそう答え、

「うん、なんて言うか、とても人間っぽいデバイスだったわ」

桜お姉ちゃんがそう言います。

それを聞くと、リンディさんは頷き、

「それほどまでにデバイスのA・Iを成長させるには、長い年月が必要だわ。少なくとも、数年で其処まで成長する事はありえないわ」

リンディさんの言葉に、私は納得しました。

つまり、其処まで人間に近い性格をしたデバイスは、長い年月を経た証拠。

ユウ君のお母さんが使っていたデバイスと、同一の物である可能性が高いって事です。

私のレイジングハートも受け答えはしてくれるけど、まだまだ機械っぽいもんね。

「じゃあ、アイシクルもブレイズも、ユウの両親が使っていた物に、ほぼ間違いは無いって事ですね?」

桜お姉ちゃんが、確認するように問いかける。

リンディさんは頷き、

「ええ・・・・・・やっぱりユウ君はブレイズも持っていたのね。アイシクルを持っていたからもしかしたらと思ったんだけど・・・・・」

そう呟くと、リンディさんは考え込む仕草をする。

「リンディさん?」

私は気になって尋ねると、

「なのはさん、翠屋っていうのは・・・・・・」

「あ、はい。家でやってる喫茶店です」

私はそう答える。

「そう・・・・・・・・クロノ、エイミィ」

リンディさんがクロノ君とエイミィさんに呼びかける。

「はい」

「なんでしょうか?」

2人は返事をする。

「私はこれから休暇を取ります。2人には指揮代行をお願いします」

「えっ!?」

「艦長!?何故いきなり!?」

リンディさんの言葉に、2人は驚いた声を上げます。

「先程、リニスさんは言ったわ。ユウ君は、管理局は嫌っているけど、私たち自身は然程嫌っていないと。だから、個人的に会いに行けば、話を聞けるかも知れないわ」

リンディさんは、休暇を取る理由を説明をする。

「そういう事ですか。それなら、僕達はサーチャーで監視を・・・・・」

「それはダメよ!!」

クロノ君の言葉に、リンディさんは叫んで否定する。

クロノ君たちは少し驚いてます。

「ユウ君は唯でさえ管理局を嫌っているのよ。監視している事が知れたら、それだけで信用を失うわ」

「で、ですが、サーチャーのステルス性能を限界まで上げれば・・・・・・」

リンディさんは監視を無くす理由を述べますが、クロノ君はそれでも食い下がります。

ところが、

「無駄ね。リニスの探知能力を舐めない方がいいわ」

プレシアさんがそう言いました。

全員が其方へ顔を向けます。

「リニスは万能タイプだけど、主の補助を目的とするだけあって、補助系の魔法のほうが得意なのよ。お陰で思った以上に高性能になって、維持するのにも一苦労だったけど」

プレシアさんがリニスさんの説明をします。

「随分とリニスさんに詳しいんですね」

リンディさんがプレシアさんにそう言います。

「リニスは元々、私が生み出した使い魔よ。能力を把握していて当然よ」

プレシアさんの言葉に、アースラの人達が驚いた顔をします。

「あ、あなたがリニスさんの元々の主だったんですか!?」

リンディさんがそう尋ねます。

「ええ。しかも、ユウ君の魔力のお陰で全体的に能力が底上げされているようだから、いくらステルスを使っていたとしても、探知魔法を使われたら、あっという間に気付くでしょうね」

「う・・・・・・・」

プレシアさんの言葉にクロノ君が言葉を詰まらせました。

「ユウ君は、私達を信用して無いでしょうから、間違いなく探知魔法を使うでしょうね」

「あ・・・・・・・」

畳み掛けるようにリンディさんが言葉を発しました。

何も言えなくなるクロノ君が、少し可哀想に思えます。

「そういうわけで、エイミィ、絶対に監視をしようなんて思わないように」

「りょ、了解です」

リンディさんが念を押すように言った事に、エイミィさんは、若干引きつった顔で返事をしました。

すると、

「艦長」

クロノ君がリンディさんに声をかけました。

「何?クロノ」

「僕も一緒に行って宜しいでしょうか?」

クロノ君が意外な事を言いました。

リンディさんも、ちょっと驚いてます。

「意外ね。あなたがそんな事を言い出すなんて」

「僕も気になるんです。何故彼は、管理局をああも毛嫌いするのか・・・・・・確かに、管理局にも多少の問題はあるかも知れません。ですが、管理局が次元世界の平和を守っているのも事実です」

クロノ君はそう言います。

「・・・・・・いいでしょう。許可します。ただし、ユウ君の前では、決して執務官の態度を取らない事」

「・・・・分かりました」

リンディさんの言葉に、クロノ君は頷きます。

「エイミィ、大変だろうけど、指揮代行をお願いね」

「お任せください」

リンディさんは、エイミィさんに代わりを頼む。

「じゃあ、桜さん、なのはさん、案内をお願いできる?」

リンディさんは、私達にそう言ってくる。

「いいですけど、その話には、私達も加わらせて貰いますよ」

桜お姉ちゃんがそう言いました。

その言葉に、私も頷きます。

「わ、私も!」

フェイトちゃんも声を上げました。

「・・・・・そうね。あなた達なら、ユウ君も幾分か気を許すでしょうから」

リンディさんはそう言います。

そして、最終的に私、桜お姉ちゃん、フェイトちゃん、アリシアちゃん、プレシアさん、アルフさん、ユーノ君、リンディさん、クロノ君で翠屋に向かう事になりました。





【Side Out】





俺は翠屋に戻り、桃子さんに2人が無事だった事を報告して、再び接客作業に回った。

慣れるとは思っていなかったが、人間やれば出来るようで、今はすっかり慣れた。

暫くお客がいたが、夕方が近い為に、今は誰もいない。

その時、店の入り口の扉が開く。

「いらっしゃいませ」

俺は、営業スマイルを浮かべて挨拶した。

だが、

「何やってんのアンタ?」

そんな声に、入ってきた客を確認すると、桜となのは。

「げ・・・・・・」

しかも、その後ろには、フェイト達テスタロッサ家。

そして、リンディさんとクロノ。

「ユウ君、そんな露骨に嫌そうな顔しないで。今回は、私達個人で此処に来たの。管理局は関係ないわ」

リンディさんがそう言う。

「・・・・・・まあ、そういう事なら・・・・・」

俺は釈然としなかったが、個人で来ているというのなら、とりあえずはお客だ。

俺は、テーブルへと案内する。

すると、なのはが桃子さんの方へ行き、何やら話している。

桃子さんは頷き、貸切の札を持って、店の入り口に掛けた。

「?」

俺が首を傾げていると、

「さあ、色々と話してもらうわよ」

桜がいきなりそう言った。

「は?何をだよ?」

俺がそう聞くと、

「決まってるじゃない。何でアンタが管理局をあそこまで嫌っているのかをよ」

桜はそう言ってきた。

「前にも言っただろ。それは個人的理由だって」

俺がそう言うと、

「だから、その個人的理由を聞かせて欲しいって言ってるの!」

桜はそう言ってくる。

すると、

「その話、私達にも聞かせてくれないか?」

その言葉に振り返ると、士郎さん、桃子さん、恭也さん、美由希さんの高町一家がいた。

「・・・・・・・・・」

俺に逃げ道は無かった。






とりあえず、テーブル同士をくっ付けて、大きなテーブルにし、俺達はそれぞれ席に着く。

そして、

「まずは、時空管理局という組織が、どのような組織か説明していただきたい」

士郎さんが、リンディさんたちに向かって、そう切り出した。

「そうですね・・・・・・簡単に言いますと、次元世界をまとめて管理する、警察と裁判所が一緒になったところで、各世界の文化管理や、災害救助、そして、危険なロストロギアの回収及び管理が主な活動となっています」

「そして、管理局では、質量兵器・・・・・つまり、こちらの世界で言う、拳銃やミサイルなどの武器の使用、製造及び保有が禁止されており、非殺傷が可能な魔法が主力となっています」

リンディさんとクロノがそう説明する。

「あの、ロストロギアって何ですか?」

美由希さんが小さく手を上げながら質問する。

「ああ・・・・遺失世界の遺産・・・・って言っても分かりませんよね。えっと・・・・・次元空間の中には幾つもの世界があります。それぞれに生まれて育っていく世界。その中に、ごく稀に進化しすぎる世界があるんです。技術や科学、進化しすぎたそれが、自分たちの世界を滅ぼしてしまって。その後に取り残された失われた世界の危険な技術の遺産。それらを総称して、ロストロギアと呼びます。使用方法は不明ですが、使いようによっては世界どころか、次元空間を滅ぼすほどの力を持つ、危険な技術のことです」

リンディさんの説明に、息を飲む美由希さん。

「そのロストロギアの中でも、特に危険なものの回収と管理が、管理局の最優先事項です」

クロノが付け足す。

まあ、此処までは、時空管理局に対してそれほど悪い印象は無いだろう。

自分の所属する組織を悪く言う奴は少ないと思うが。

「それで、ユウ君は何で時空管理局を其処まで嫌うの?リンディさん達がやってる事は、悪い事じゃないよ?」

なのはがそう尋ねてくる。

「なのは、勘違いしているようだけど、俺は別に、管理局の行動を否定してるわけじゃない」

「え?」

俺の言葉に、なのはは声を漏らす。

「管理局のやっている事は確かに必要な事だ。管理局のお陰で救われた世界も多いだろう。それは俺も認めてる」

俺の言葉が意外だったのか、リンディさんや、クロノは驚いた表情を見せる。

「けど、何度も言ってるけど、俺が管理局を嫌っているのは個人的理由だ。管理局のやっている事とは別問題だ」

俺がそう言うと、

「ユウ君、その理由を聞かせて欲しいの・・・・・・お願い」

リンディさんは真剣な顔で言ってくる。

俺は、手を前に出し、人差し指を立てる。

「理由その一。俺は時空管理局なんて名付ける傲慢者が設立した組織なんて興味ない」

「なっ!?時空管理局の設立者が傲慢者とはどういう意味だ!?」

当然の如くクロノが叫ぶ。

予想通り。

「だってそうだろ?時空を管理する所なんて名付けるあたり、神様気取ってる傲慢者としか思えないけどね。人間なんかに時空が管理できるかよ。、時空警察とか、時空警備隊とかだったら、まだ印象は良かったんだけどな」

まあ、神様と言ってもあのじーさんだが・・・・・・・

続けて、俺は2本目の指を立てる。

「理由その二。質量兵器を廃止する事は立派だが、その所為で万年人手不足。才能と本人の意思があれば、本来は守るべき幼い子供だろうと前線に出す本末転倒なところ」

その理由には思い当たる所があるのか、リンディさんは俯く。

「まあ、別に子供が戦うなと言いたいわけじゃない。子供にも主張はあるだろうし、時には戦わなけりゃならない時もあるだろうさ。第一、俺達も子供だからな(俺と桜はちょっと違うが・・・・・)。俺がおかしいと言いたいのは、子供を前線に出すのが特例でも何でもなく、それが当然の事と認めている大人たちの考え方だ」

そして、3本目の指を立てる。

「・・・・・・・理由その三。管理局は権力が集中しすぎてるから、ある程度階級が上がれば、ある意味好き放題できる所」

「それは・・・・如何いう?」

リンディさんが質問してくる。

「聞きますけど、時空管理局は、管理局が法を決め、管理局が法を適用して、管理局が法を執行してるんですよね?」

「え、ええ・・・・そうだけど・・・・」

リンディさんが頷くと、

「それは問題だな・・・・」

恭也さんが呟いた。

流石に今のはおかしいと高町家の大人たちは思っただろう。

「ふ、ふえ?如何いう事?」

高町家の中で、ただ1人だけ意味が分かってないなのはが首を傾げている。

そういえば、なのはだけは三権分立を知らないな。

学校では、まだ習ってないし。

「え~と・・・・・つまり、管理局では、違法行為がし易いって事よ。日本では、権力分立、もしくは三権分立って言って、法を決める。法を適用する。法を執行する。の、3つをそれぞれ受け持つ機関があるの。そのそれぞれの機関が互いに指摘し合えるようになってるから、権力の集中、濫用を抑えることが出来るの。でも、管理局はその3つが集中してるから、ある意味管理局の好きなように・・・・・・・大げさに言ってしまえば、管理局が無罪と言えば、有罪の人でも無罪になるし、有罪といえば、無罪の人でも有罪に出来てしまう・・・・・・ってわけ」

桜がなのはに説明する。

「管理局がそんな事をするはずが無い!!」

クロノが怒鳴った。

「怒鳴らないでよ。今のはなのはに分かりやすく説明する為に大げさに言っただけなんだから」

クロノの怒りを見事に受け流し、そう言って宥める桜。

「けど、管理局では、そういう事も出来るってことで間違いないわよ」

桜が念を押すように言った。

「クロノが時空管理局を信じている事については何も言わないさ。それは個人の自由だからな。けど、いくら組織を信じようと、その組織を動かしているのは、あくまで人間だ。人間なら、いくらでも間違いを起こす可能性はある」

俺がそう言うと、

「それは・・・・・・・」

クロノは言葉を詰まらせる。

「最初は平和の為に戦っていたとしても、その思想はいつしか捻じ曲がり、自分が居なければ平和が守れない。自分の行なうことは全て正しいと思うようになったりするんだよ。その時に、間違いを指摘できる奴はいるのか?」

「それは・・・・・・しかし・・・・・管理局がそんな事・・・・・・・」

クロノはいい感じに悩んでるな。

「“世界は、こんな筈じゃない事ばっかりだ”からな。時空管理局だって、例外じゃない」

「ッ!?」

俺の言葉に、クロノは動揺する。

すると、

「・・・・・・・・それなら・・・・・君は如何なんだ?世界を左右するほどの力を持つ君は?君も自分のやっている事が正しいと、本当に言いきれるのか!?」

クロノはそんな質問をしてきた。

「俺は、自分が絶対に正しいなんて、これっぽっちも思っちゃいねえよ」

俺は即答した。

その答えに、クロノは呆気に取られる。

見れば、なのはやフェイトもポカンとしていた。

「第一、正義なんてモンは、人の数だけ在るんだ。何が正しくて、何が悪いかなんて考えても、答えなんか出やしないさ」

「そ、それなら・・・・・君は何の為に戦っているんだ!?」

クロノが叫ぶように問いかけてくる。

まあ、自分の正義を否定されたようなもんだからな。

「まあ・・・・・・突き詰めれば、全部自分の為だろうな」

俺は少し考えてそう答える。

「何!?」

「自分に火の粉が降りかかれば、鬱陶しいから払う。目の前で助けを求められたら見捨てるのは気分が悪いから助ける。知り合いが危険な目に遭うのは嫌だから助ける。家族が傷つくのは最悪な気分になるから絶対に守る。簡単に言えば、俺の日常が崩されるのが我慢ならないから戦う。全ては俺の自己満足。俺は、自分が正義の味方だなんて思っちゃいない。俺は、自己中心的で臆病者の偽善者なんだよ」

俺は、ハッキリとそう言い切った。

黙り込む皆。

「・・・・・・幻滅したか?」

俺は、なのはやフェイトの方に向かってそう言った。

「えっと・・・・・その・・・・・・」

なのはは何やら言いよどむ。

まあ、俺に対するイメージが崩れた事だろう。

これを機に、俺なんかよりも、他のいい男に目を向けてくれれば・・・・・・

「私はそうは思わないわ」

桜が口を開く。

「アンタの後ろ向きは、今に始まった事じゃないし・・・・・・第一、自分から正義とか言ってる奴より、よっぽど信頼できるわ」

「それに、お前は自分の為と言っているが、俺だって、家族を守りたいのも、忍を守りたいのも、俺がそうしたいからだ。最終的には自分の為だろう」

桜と恭也さんがそう言う。

「それにユウ君の言う、崩したくない『日常』の中には、私達も含まれているんでしょ?もちろん、フェイトちゃんたちの事も」

桃子さんがそう言ってきた。

「・・・・・・・・・・・・」

確かにその通りなので、なんか恥ずかしくなり目を逸らす。

「その想いは、守られる側から見れば、間違いなく『優しさ』よ」

桃子さんは微笑んで言う。

「・・・・・・・私も・・・・・・そう思う・・・・・」

なのはがポツリと呟いた。

「ユウ君、自分で自分の事悪く言ってるけど、私達、何度もユウ君に助けてもらった」

「ユウが助けてくれた時、とても嬉しかったし、感謝もしてる」

「だから、ユウの行動理由は、私達から見れば、何も間違って無いわ」

なのは、フェイト、桜の順でそう言ってくる。

「お前ら・・・・・・」

「だからさ、いい加減に本当のこと話してよ」

桜が言った。

「え?」

「管理局を嫌う、本当の理由。アンタ、さっきから興味ないとか、おかしいとか言ってるけど、一言も「嫌いだ」とか、「嫌だ」なんて言ってないじゃない。第一、後ろ向きのアンタがそんな上から目線で管理局を嫌うわけ無いでしょ」

桜の言葉に、俺は若干驚いた。

高町家とフェイト、アルフ、ユーノは、桜の言葉に頷いている。

リンディさん、クロノ、プレシアさん、アリシアは驚いた表情を浮かべている。

「・・・・・・・・・・」

俺は少し考える。

其処へ、

「話すべきですよ。ユウ」

リニスがそう言ってきた。

「・・・・・・・」

俺は俯く。

「お願い、ユウ君」

「ユウ・・・・・お願い・・・・・」

「ユウ」

なのは、フェイト、桜の言葉。

「ユウ君」

士郎さんが口を開く。

「私達は、君のことも家族だと思っている。話してくれないか?」

士郎さんの言葉。

「・・・・・・・・・・・・・・・」

俺は、首に掛かっているブレイズとアイシクルを外し、テーブルの上に転がした。

2つのデバイスはテーブルの上を転がり、丁度テーブルの中心で止まる。

そして、あの映像を映し出した。







【Side 桜】




私達のお願いに折れたのか、ユウは首に掛かっていたブレイズとアイシクルを外して、テーブルの上に転がした。

2つのデバイスは、私達が囲んでいるテーブルの中心で止まると、映像を映し出した。

その映像には、巨大な生物と戦う男性と女性。

そして、多くの武装局員が映っていた。

「リーラ・・・・・・」

「レイジ君・・・・・・・」

リンディさんとプレシアさんが呟く。

どうやら、この男性と女性がユウの両親らしい。

「この人達が・・・・・・ユウ君のお父さんとお母さん・・・・・」

なのはが呟く。

ユウの両親と魔法生物は激闘を繰り広げ、その中で武装局員たちは次々と脱落していく。

管理局側が不利なのは、誰の目から見ても明らかだ。

この前聞いた、リンディさんの言った通りなら、この後はユウの両親が自爆魔法で魔法生物と相打つということだったが・・・・・・

しかし、映像の中のユウの両親は、魔法生物の一瞬の隙を突き、魔法生物を2人がかりのバインドで動きを封じ込める。

その時、モニターにユウの両親の上司と思わしき人物が映り、

『これよりアルカンシェルを使用する。レイジ・リムルート執務官とリーラ・リムルート執務官補佐以外は直ちに撤退!執務官、執務官補佐両名は、そのまま敵の捕縛を続けたまえ!』

「「「「なっ!?」」」」

「ッ!?」

言い放たれた言葉に、リンディさん、クロノ、プレシアさん、ユーノは驚愕した声を漏らす。

私は、驚愕の声を漏らす事を、何とか我慢した。

「なっ!?お待ちくださいクルーザー提督!それは私たちに死ねと!?」

レイジさんは叫ぶ。

『異論は認めない!これは命令だ!』

通信は、それだけ言って一方的に切れる。

こんな事って・・・・・・・・

「ねえ?アルカンシェルって?」

なのはがユーノに尋ねる。

ユウに聞かないところは気遣っているのだろう。

「あ、うん・・・・・・発動地点を中心に百数十キロ範囲の空間を反応消滅させる魔導砲・・・・・って言えばわかるかな?」

ユーノの言葉に、絶句するなのは。

そして、同じく言葉を失う、父さんや母さん、恭也兄さんや美由希姉さん。

映像の中では、ユウの両親以外の局員は転送されていき、誰もいなくなる。

「ぐ・・・・・・リーラ。お前だけでも逃げろ」

レイジさんはリーラさんにそう呼びかける。

「それは無理よ。これは貴方だけでは抑えきれないわ」

リーラさんはそう言った。

「だ、だが!ユウはどうなる!?」

「あの子なら大丈夫。昔からしっかりしてるもの。私たちが居なくてもきっと大丈夫・・・・・・」

リーラさんはそう呟く。

「・・・・・・そうだな・・・・・そのお陰で、余り甘えてもらえなかったからな・・・・・・」

「本当ね・・・・・・考えてみれば、余りにもしっかりしてたから、仕事を優先して構ってあげる時間がとても少なかったわ・・・・・・・今更気付くなんてね・・・・・・」

レイジさんの言葉に、リーラさんは自傷気味に笑った。

「ブレイズ、アイシクル。お前たちにユウのことを頼みたい」

『そんな!マスター!』

レイジさんの言葉にブレイズが叫ぶ。

「ここでバインドを張り続けているだけなら、貴方たちの補助は要らないわ。だから、ユウを・・・・・・私達の息子をお願い・・・・・・」

『マ、マスター・・・・・・・イ、イェス・・・・・・マスター・・・・・・・・』

リーラさんの言葉の重みを受け取ったのか、アイシクルは応える。

「ありがとう・・・・・」

リーラさんはブレイズとアイシクルに礼を言う。

「聞こえるか?ユウ。すまない、折角の誕生日なのに、父さんと母さんは帰れそうにない」

レイジさんが、謝罪の言葉を口にする。。

「ゴメンね、ユウ。誕生日プレゼントなんだけど、貴方は前からデバイスを欲しがっていたわね?本当なら、新品のデバイスをプレゼントしたかったんだけど、私達が手に入れられたのは、かなり高性能のインテリジェントデバイス。それでも、貴方の魔力量には耐え切れないわ。だから、母さんたちのお古で悪いんだけど、ブレイズとアイシクルを貴方に送るわ」

リーラさんの言葉を聞いたとき、私は思わずレイジングソウルを手に取った。

もしかして・・・・・・

「私達が手に入れたインテリジェントデバイスは、私達のタンスの中にある。如何するかは、お前が決めなさい。そして、お前は幼いながらも大人の考えが出来る子だ。だから、この映像を見て、お前は管理局を恨むかもしれない。それについては、恨むなとは言わない。だが、それを生きがいにはしないで欲しい・・・・・・・私達が望むのは、お前の幸せだ」

「私達は、余り親らしい事はしてあげられなかったけど・・・・・・・貴方の事は、本当に愛しているわ。私達の息子、ユウ」

「すまない、ユウ。これでさよならだ」

レイジさんとリーラさんは顔をあげると微笑み、

「「誕生日おめでとう、ユウ」」

その言葉を最後に、映像は途切れた。





「・・・・っく!・・・・・・えっぐ!・・・・・・こんなっ!・・・・・こんなのっ!・・・・・・酷すぎるよ!・・・・・・えぐっ!・・・・・・」

「ユウ・・・・・・っく・・・・・・・・辛すぎるよ・・・・・・可哀想だよっ!・・・・・・ひっく!・・・・・・」

「・・・・・こんなのって・・・・・・・こんなのってないよ!」

なのは、フェイト、アリシアの3人は、泣きじゃくっている。

私は、レイジングソウルを手に持ったまま固まっていた。

このデバイスは、ユウの両親の形見ともいえる物だったから。

それを私は、あんな軽い気持ちで受け取って・・・・・・・

今になって罪悪感が押し寄せてくる。

「あのっ・・・・・ユウ・・・・・・私っ・・・・・・そのっ・・・・・・」

私は謝罪の言葉を口にしたかったが、上手く口が動かない。

けど、

「謝る必要は無いぞ。お前にレイジングソウルを渡したのは、その方が良いと俺が思ったからだ。俺が持ってても使えないしな。タンスの奥で埃被ってるより、お前に使ってもらった方が、レイジングソウルにとっても幸せだ。そう思うだろ?」

『もちろんです』

レイジングソウルはそう返事をした。

「父さんと母さんだって、きっとそう言うと思う」

ユウの若干悲しみが混じった微笑と言葉に、不意に胸と目尻が熱くなった。

「ッ・・・・・・・・ありがとう・・・・」

私は何とか涙を堪え、レイジングソウルを握り締めながらそう呟く。

その時、リンディさんとクロノは、顔を真っ青にしていた。

「こ、こんな事が・・・・・・・・」

クロノは信じられないといった表情で呟く。

「これだけの仕打ちをされれば・・・・・・管理局を嫌うのは当然ね・・・・・・・・」

リンディさんは俯きながら呟いた。

だが、

「普通ならそうでしょうね」

リニスが続ける。

「え?」

リンディさんが声を漏らした。

「実を言えば、ユウは、此処までなら何とか割り切ろうとしていたんですよ」

リニスが信じられない事を口にする。

「「「「「「「「「「「なっ!?」」」」」」」」」」」

ユウとリニス以外が驚愕の声を漏らす。

「リンディ、提督としての貴女に聞きます。先程見た映像の作戦は、どう思いますか?」

リニスが、リンディさんに問いかける。

リンディさんは少し渋っていたが、

「・・・・・・・・・・最善か如何かは別にして、格上の相手に対しては、有効な手だとは思うわ」

提督としての答えを口にした。

確かに、あの強力な魔法生物を相手にして、勝つ事だけを考えれば、有効な手である事には間違いない。

「そうでしょうね。ユウも、それを分かっていたからこそ、何とか割り切ろうとしていたんですよ。ユウの両親がずっと戦ってきた組織でもあるわけですから。ユウは、自分で自分のことを悪く言っていますが、本当に優しい人なんです。普通なら恨んでもおかしくは・・・・・・いえ、恨むのが普通の筈なのにです!・・・・・・ユウは、此処までの仕打ちを受けておきながら、あなたたち管理局を許そうとしたんです!・・・・・・・・ユウの両親に対する、謝罪さえあれば!」

「ッ!?」

リニスの厳しさを増していく言葉に、リンディさんは声を漏らす。

リニスはリンディさんを見据える。

「前に言いましたね?貴女が考えていたユウが管理局を嫌う理由を、報告で受けた理由と思っていた事自体が、ユウが管理局を嫌う理由でもあると」

「え、ええ・・・・・・」

リニスの言葉に、リンディさんは気圧されながら頷く。

「先程の映像の出来事があった翌日、1人の管理局員がユウを尋ねてきました。そして、ユウの両親が亡くなったことを知らせました。其処まではいいです。ですが、その後、ユウが両親の最後を尋ねた時の言葉が、『2人とも立派だった・・・・・・2人は普通に立ち向かって敵わぬと見るや、その身を犠牲にした自爆魔法で、魔法生物と相打った』でした。この言葉だけを聞けば、ユウの両親を持ち上げつつ、管理局に対する反抗心は湧きません。ですが、真実を知っている身としては、この言葉はユウの両親に対する侮辱以外の何物でもないんですよ」

「・・・・・・・ええ」

リニスの言葉にリンディさんは力なく頷く。

「しかし、ユウに言わせればそんな事如何だっていいんです」

「え?」

コロッと態度の変わったリニスにリンディは声を漏らした。

「ユウにしてみれば、管理局が真実を偽ろうが何しようが、関係ないんです」

リニスは、そこで一旦言葉を区切ると、再び鋭い視線を向ける。

「ユウが許せないのは、両親に対する謝罪が一度もなかった事です!あの映像の中、『すまない』の一言でもあれば!両親の死を伝えた時、両親に対して頭の1つでも下げていれば!ユウはこんなにも管理局を嫌う事は無かったでしょう!!」

普段冷静なリニスが、怒りを剥き出しにしている。

リニスにとっても、それほどまでに許せない事なのだと感じた。

そういう私も、管理局に対する評価が地の底に落ちている。

「ですので、今更管理局が何をしようが、ユウが管理局を許す事はありません。全ては最早手遅れです」

リニスが、止めを刺すように言った。

リンディさんもクロノも此処までハッキリ言われてしまっては、何もいう事が出来ないようだ。

しかし、まだリニスの言葉は止まらなかった。

「そして、管理局を疑い続けていると、信じられない仮説すら浮かび上がってきたんですよ」

リニスがそう続けると、

「リニス、それは言わなくていい。その仮説は、証拠も何も無い、単なる当てずっぽうだ」

ユウがそう言って止めようとする。

「いえ、聞かせて頂戴。その仮説というものを・・・・・・私は、ユウ君が管理局をどう思っているか、その全てを知りたいの」

しかし、リンディさんが話すように促した。

「では、遠慮なく。私達が立てた仮説は・・・・・・・・ユウの両親は、意図的に殺されたのかもしれないというものです」

リニスが信じられない事を口にした。

「そんなの出鱈目だ!!」

クロノが叫ぶが、

「クロノは黙ってて!!!」

私はテーブルを叩きながらそれ以上の声で叫び、クロノを黙らせる。

「ユウも言ってたじゃない!この仮説は証拠も何も無い当てずっぽうだって!文句は全部聞いてからにして!」

クロノは驚いた顔で私を見る。

よく見れば、殆どの人が驚いた顔で私を見ていた。

「リニス、続きは?」

私はそれを気にせず、リニスに続きを促した。

「ええ・・・・・・先程の映像を見て、おかしいと思いませんでしたか?いくら強敵とはいえ、管理局の中でも5%に満たないAAAランク以上の魔導師・・・・・・・・しかも、SSランクという管理局でもトップクラスの魔導師2人を、あっさりと切り捨て過ぎでは?・・・・・と」

リニスの言葉に、私はハッとなる。

確かに、SSランク魔導師2人は、大きな損失になる。

万年人手不足の管理局なら尚更だ。

「リンディ、貴女に聞きます。ユウの両親は、上司からすれば、扱いにくい部下だったのではありませんか?」

リニスはリンディさんに尋ねる。

「ええ・・・・・・あの2人は正義感が強くて、納得できない事には反論する事も多かったし、時には命令無視までしたことがあるわ。本来なら2人とも提督にまでなれるほどの戦果を挙げているのに、執務官と、執務官補佐止まりだったのはその為ね」

リニスの質問に、リンディさんは頷いて答えた。

その答えを聞くと、

「やはりですか・・・・・・これで、この仮説にも信憑性が増しましたね。保守的な上司からすれば、そんな言う事を聞かない駒は必要ありません。しかし、戦力としては申し分ない。では、その駒を超える戦力を持ち、まだ何色にも染まっていない真っ白なスペアがあったとしたら?」

「えっ?・・・・・スペ・・・・ア・・・・?」

なのはが意味が分からないのか声を漏らす。

だが、私はその瞬間その意味に気付き、ユウを見た。

同時に、大人たちもユウを見ている。

「まさか・・・・・・」

「気付いたようですね。7歳でありながら、SSSランク以上の魔力を持ち、普通なら善悪の判断も曖昧な子供。育て方によっては、命令に絶対服従する傀儡にすることも容易いでしょう」

「つまり仮説というのは、ユウを意のままに操る駒とするために、管理局が意図的にユウの両親を殺した・・・・と?」

恭也兄さんが、確認するようにリニスに問いかける。

リニスは頷き、

「それが、あの提督の独断か、上層部の命令かは知りませんけどね」

そう答えた。

「そんな・・・・・そんな事する筈が・・・・・」

クロノは仮説とはいえ、受け入れられないようだ。

そんなクロノの様子を見て、

「この仮説を立てた理由は、もう1つあるんですよ」

リニスが言った。

「この場の大人たちに聞きます。あなた達がユウの両親の死を知らせて、保護する為に来た一番最初の人物だったと仮定して、ユウに両親の死を教えた時、ユウは両親を失った事による錯乱を起こしたと判断しました。あなた達なら如何しますか?」

リニスは大人達に問いかける。

「もし錯乱を起こしたのだとしたら、一旦引き下がって落ち着くのを待つわ。錯乱なら一時的なものでしょうし、そこで無理に連れて行っても、信じてはくれないでしょうから」

プレシアさんが言う。

父さん、母さん、恭也兄さん、美由希姉さん、リンディさんも頷く。

「普通ならそうですね。しかし、ユウを迎えに来た管理局の人間は、バインドで縛り付けてまでユウを連れて行こうとしましたよ」

「そんなっ!?」

リンディさんが叫ぶ。

「証拠の映像もありますよ。ブレイズ、アイシクル」

リニスが2つのデバイスに呼びかけると、また映像を映し出した。

そこでは、ユウと管理局員と思われる男性が話をしている。

「私は時空管理局の者だ。君に重大な知らせがある。君の両親だが・・・・・真に残念な事に、異世界での任務中に魔法生物と戦闘になり、亡くなった」

「・・・・・・・・そうですか・・・・・・・父さんと母さんの最後は・・・・・・」

「2人とも立派だった・・・・・・2人は普通に立ち向かって敵わぬと見るや、その身を犠牲にした自爆魔法で、魔法生物と相打ったのだ。それで、君のこれからだが、管理局の児童施設で保護する事に決まった。君は両親の才能を余すことなく受け継いだ天才だからね。将来は両親以上の管理局員になれることだろう。さあ、来たまえ」

これがさっき言っていたことね。

確かにあの真実を知った後じゃ、ユウの両親を侮辱しているようにしか聞こえないわ。

リニスの言った通り、謝罪の一つも無いし。

しかも、さり気に管理局員になることが決まってるし。

「・・・・・・・・・出てけよ・・・・・」

映像のユウは、呟く。

「何?」

「出てけッつったんだ!!」

怒りの感情を露にするユウ。

「な、何を!?」

「俺はもう管理局なんかに頼る心算は無い!!管理局が俺に関わるな!!いいから出てけっ!!」

ユウの身体から、映像でも分かるほどの魔力があふれ出す。

「ぐぬっ!?」

その魔力の噴出にたじろぎ、管理局員は下がる。

「両親を失ったことによる錯乱か!?仕方ない、力ずくで!」

信じられない事に、その管理局員はデバイスを展開し、バインドでユウを縛り付けた。

そこで映像が終わる。

「・・・・・と、いう事です。この後はユウが自力でバインドを振りほどいて、私がこの局員を追い払いましたけどね。ですが、その後も何度も管理局がユウを取り込もうと接触してきましたよ。面倒は私が見るので結構ですと何度も言ってたんですがね。実際、ユウが高町家に引き取られる一週間ぐらい前にも管理局がしつこく尋ねてきてるんですよ。いつもの如く追い払いましたけどね」

リニスがそう纏める。

「・・・・・・1つ、聞かせてくれないかしら?」

リンディが俯きながら尋ねる。

「何でしょうか?」

リニスが聞く。

「何故あなた達は、リーラとレイジさんの死の真相を公にしなかったの?これだけの証拠があるなら、間違いなくクルーザー提督を罪に問う事が出来たはずよ」

リンディさんはそう質問した。

「簡単です。確かに罪には問う事が出来るでしょうが、大した罰にはならないと思った・・・・・・いえ、十中八九ならないと確信してたからですよ」

答えたのはユウだった。

「え?」

リンディさんは声を漏らす。

「先程も言いましたが、管理局は権力が集中している為に、ある程度罪と罰を自由に出来ます。そして、普通に犯罪者だろうと魔導師として管理局に奉仕すれば、相当罪が軽減されるんです。万年人手不足の管理局が提督となれるほどの人材を軽々と手放すわけは無い。ですので、例え自分が両親の死を告発した所で、その提督が事実を隠蔽した事も、両親の名誉を守る為だとか理由をつけてしまえば其処までです。罪になるのは報告を偽った事ぐらいで、罰といえば、降格や俺に対する謝罪と賠償が精々でしょう。幽閉なんて殆ど無いと言っていいでしょう。降格になったところで俺には関係ないし、言われてから行なう謝罪と賠償に、何の意味がある?それなら、最初から無いほうがいい」

ユウは、そう言いきった。

ユウは、全く管理局を信用していない事が改めてハッキリとわかった。

「そんな事・・・・・」

「無いとは言い切れないだろ?」

クロノの言葉をユウが続けるように聞いた。

「くっ・・・・・・」

クロノも心当たりがあるのか、否定できない。

「まあ、そういうことだ」

クロノとリンディさんが何も言えなくなり、俯く。

と、その時、店の入り口が開き、見知らぬ男性が入ってきた。






【Side Out】




店に入ってきた男性は、大き目のアタッシュケースを持っていた。

すぐに士郎さんが立ち上がり、その人の傍へ行く。

「申し訳ありません、お客様。只今貸切となっておりますので・・・・・」

そう言って、申し訳無さそうにお引取り願おうとしていた。

「ああ、いえ。お客ではないので」

その男性はそう言って手を前に出しながら士郎さんを制す。

「実は、此方のお宅がユウ・リムルート・・・・あ、いえ、利村 ユウ君を引き取ったとのお話をお伺いしたので、お邪魔させてもらった次第です」

俺はその言葉で、その男が管理局員である事に気付く。

「・・・・・・失礼ですが、時空管理局の方ですか?」

士郎さんもその事に気付いたのか、そう問いかける。

その質問にその男は驚いた表情を浮かべる。

「あ、え、ええ。その通りです。・・・・既にご存知であったとは、驚きです」

「それで、ご用件は?」

士郎さんは尋ねる。

大方俺を引き取りに来たとでも言うつもりなのだろう。

「実はですね。ユウ君を引き取りたい「お断りします」ので・・・・・」

これ以上無いほどに即答する士郎さんの言葉に固まる局員。

「ユウ君は既に私達の家族です。そのようなふざけた事を仰らないで頂きたい」

士郎さんの言葉に俺は感動する。

しかし、その局員は気を取り直し、

「い、いえ、もちろんタダではございません!」

その局員はそう言うと、アタッシュケースを開ける。

その中には、金、金、金。

軽く見ても、5000万位はあるだろうか。

すげーな、おい。

「こ「お引き取りください!」ッ!?」

それだけのお金を見ても、全く揺らぎもせずに先程以上の即答を見せる士郎さん。

凄いです。

俺だったら少なくとも揺らぐぞ。

その答えに再び固まる管理局員。

「家族をお金で売るような真似をする等と思うとは・・・・・・見損なうな!」

士郎さんの言葉が敬語ではなくなった。

しかも、士郎さんから発せられる気迫は、凄まじいものだ。

この姿こそ、御神の剣士としての士郎さんの姿なのだろう。

直接向けられているわけではないのに、腰が引けてしまう。

それを直接向けられている管理局員は、堪ったものでは無いだろう。

いつもの局員なら、此処で引き下がっていたのだが、

「仕方ありませんね・・・・・・・」

そう呟く局員。

その瞬間、俺はその局員が魔力を溜めているのに気付いた。

大方、断られたら実力行使も許可されていたのだろう。

俺は叫んだ。

「危ない!士郎さん!」

その瞬間、局員はデバイスを展開させ、杖を前に突き出し、魔力弾を放った。

だが、次の瞬間に士郎さんの姿が一瞬消える。

魔力弾は外れ、気付いた時にはデバイスの杖は叩き落され、士郎さんに腕を後ろで捻り上げられている局員の姿があった。

これが神速ですか?

魔力で強化してなかったとはいえ、全く見えなかった。

すると、その局員にバインドが掛けられる。

「・・・・・・民間人への魔法攻撃・・・・・・・・・軽犯罪では済まない罪だ・・・・・・・」

クロノが暗い雰囲気を纏わせながら、縛り上げた局員に告げる。

「時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ・・・・・・民間人への魔法攻撃の現行犯で、あなたを逮捕します・・・・・」

クロノは辛そうにそう言った。

自分が正義だと信じて疑わなかった管理局がこんな事をしたのが信じられないのだろう。

縛り上げられた局員は青ざめる。

まあ、この局員は切り捨て可能だろうから、誰が命令したかまでは分からないだろう。

クロノは歯を食いしばると、縛り上げた局員にショックを与えて気絶させる。

すると、士郎さんはリンディさんに向き直る。

「リンディさん、確かにあなた方は信用に足る人物だと思います。しかし、一部とはいえ、このような輩がいる時空管理局を信用する事は出来ません。家族を預ける事など論外です」

「私も同じ意見ね」

士郎さんの言葉に、プレシアさんが同意する。

「・・・・・・はい・・・・・返す言葉もありません・・・・・」

リンディさんは俯きながらそう呟く。

リンディさんも、相当のショックを受けているようだ。

リンディさんは俺の方を向くと、

「ユウ君、今まで本当に御免なさい。ユウ君の気も知らないで勝手な事を・・・・・・」

そう謝ってきた。

「・・・・・まあ、俺が黙っていたのも原因ですけどね」

俺はそう呟く。

「いえ・・・・あれだけの事をされていれば、管理局が全く信用できずに、それに所属している私の事も信用できなかったのもわかるわ・・・・・」

「そうですか・・・・・・」

リンディさんの言葉に、一応頷く。

すると、

「すまない、ユウ」

クロノも謝罪してくる。

それには俺も驚く。

クロノは最後まで管理局を信じきると思ってたからな。

「僕がバカだった。自分でも、“世界はこんな筈じゃ無いことばっかりだ”と分かっていた筈なのに、自分が信じていた管理局だけはそんな事は無いと、心のどこかで思っていたんだ。君に言われて、その事に気付いたんだ・・・・・・・時空管理局も、あくまで“世界”の一部に過ぎないと・・・・・・管理局にも、“こんな筈じゃ無い”事が溢れているんだと」

「そ、そうか・・・・・・」

いや、そこまで悟るなんて逆にビックリ。

管理局がそんなことする筈無いって駄々こねるかと思ってたし。

「それでユウ、先程の映像のデータ、僕にコピーさせてくれ」

「如何するんだ?」

「この映像を証拠に、クルーザー提督を告発する」

クロノはそう言った。

「いや、そんな事しなくていいって。大した罪にはならないだろうし」

「それでは僕の気が済まない。少しでも君に償いたいんだ!僕が説得して、少しでも重い刑にしてみせる!」

クロノは力強く語る。

「ふう・・・・・好きにすればいいさ」

俺はそう言って、クロノのデバイスに映像データを送る。

「けど、罰が謝罪と賠償だったら要らないって言っとけ」

「ああ。そうならない様に全力を尽くすよ」

その言葉を聞いて、口元が緩む。

やっぱり、クロノ自身はいい奴だな。

「クロノ」

俺はクロノに声を掛ける。

「何だ?」

「次に個人的に来る時があったら、その時は何か奢ってやるよ」

俺の言葉に驚きの表情を浮かべたが、すぐに笑みを浮かべ、

「ああ、その時を楽しみにしているよ」

そう言うと、リンディさんと共に立ち上がる。

「それでは、私達はこれで・・・・・」

リンディさんは呟く。

「わかりました」

士郎さんはそう言うと、

「管理局員として来られると困りますが、翠屋のお客として来て頂けるなら、いつでも大歓迎ですよ」

営業スマイルを浮かべてそう言った。

「はい、その時は喜んで」

リンディさんも笑みを返した。

すると、リンディさんとクロノは先程の局員を連行しながら、転送魔法でその場から消えた。





俺がそれを見送って少しすると、

――ガバッ

と、なのは、フェイト、アリシアに抱きつかれる。

って、何でだ!?

「お、おい!?」

混乱する俺は尋ねる。

「えぐっ!ユウ君、私は居なくなったりしないからね!」

「ぐすっ!ユウ、寂しくないから。私がずっと傍に居るから!」

「ユウ、ゴメンね。うぐっ!そんな辛い思いをしてたなんて・・・・・私、何にもわかってなかった・・・・ぐすっ!」

いや、そんな事言われても・・・・・・

「・・・・・ところでさ、フェイトの好きだった人ってユウで良い訳?」

桜、何故こんなときに余計な事を!?

フェイトは涙を流しながら顔を赤くして頷いてるし。

「そうだよ!何で言わなかったんだい!?」

アルフが叫んで問いかけてくる。

「んな恥ずかしいこと言えるかぁ~~~~!!」

俺は叫ぶ。

多分、顔は赤いだろう。

「あらあら、やっぱり2人ともユウ君に貰ってもらったほうが良いかしら?アリシアもこの分だとユウ君にお熱だろうし・・・・」

プレシアさんがすんげー事を言ってます。

「それは困りますよ。ユウ君にはなのはのお婿さんになって貰って、翠屋を継いでもらう心算なんですから。それとも桜の方かしら?」

桃子さんがそう微笑みつつプレシアさんと談笑する。

いや、桃子さん、冗談でもそんなこと言わないでください。

先程から親バカとシスコンの視線が痛いです。

「か、母さん!!何で私が入ってるのよ!!」

桜が叫ぶ。

そりゃ当然か。

「あら?桜もユウ君に気が有るんじゃないの?」

桃子さんはそう尋ねる。

「な、何言ってるの!?そんなわけ無いじゃない!なのはの初恋の相手を奪おうだなんて思ってないわよ!」

桜は顔を真っ赤にしながら叫ぶ。

「ふ~ん・・・・・じゃあ、なのはの相手じゃなければ、その気になってたかも知れないって事よね?」

美由希さんが意地の悪い笑みを浮かべながら、そう言った。

「姉さん!!」

更に叫ぶ桜。

「う~ん・・・・・これは本気で一夫多妻制の世界を紹介した方がいいかしら?」

「「結構です!!」」

プレシアさんの呟きに、俺と桜が同時に答えた。

「あらあら、息ピッタリね」

「「桃子(母)さん!!」」

桃子さんの言葉にも、同時に突っ込んでしまう俺達。

この後、俺達は大人たち(桃子さんとプレシアさん)に暫くからかわれ続けたのだった。








あとがき

ご都合主義全開の第十三話完成。

入れたいこと詰め込みすぎてグダグダしてます。

矛盾点もいくつか?

そう思っても気にしないように。

賛否両論ありそうな内容です。

話の筋も通ってるか微妙な内容。

まあ、リンディさんやクロノとは一応和解?

管理局相手は全く。

納得できるかな?

とりあえず、こんなんで。

では、次も頑張ります。





[15302] 第十四話
Name: 友◆ed8417f2 ID:11075f73
Date: 2010/03/28 07:45

第十四話 転校生




ジュエルシード事件が終わって一週間後。

現在は、小学校の朝のHRである。

そして、なのは、桜、アリサ、すずかが驚きで固まっている。

何故ならば、

「アリシア・テスタロッサだよ!よろしくね!」

「フェ、フェイト・テスタロッサです。よろしく・・・・・・・」

目の前で聖祥小学校の制服に身を包んだアリシアとフェイトが、自己紹介していたからだ。

因みに、俺はこうなる事を知っていた。







ジュエルシード事件が終わると、テスタロッサ一家は時の庭園へと戻っていった。

別れ際には、フェイト、アリシア、なのはが、別れを惜しんで泣いていた。

ただ、俺はその際プレシアさんが浮かべた笑みに引っ掛かりを覚えたが。

それから、数日後のことだった。

俺が街を歩いていると、

「う~ん、中々いい物件がないわねぇ~・・・・」

聞き覚えのある女性の声。

俺がそっちに顔を向けると、不動産屋から出てくるプレシアさんの姿。

何やってんですかアンタ?

「プレシアさん?」

俺は声をかける。

すると、プレシアさんは此方を向き、

「あら、ユウ君じゃない」

そう微笑みながら話しかけてくる。

「何やってるんですか?」

俺は、そう尋ねる。

「ええ、暫くこの街に腰を据えようかと思って」

「はい?」

プレシアさんの言葉に、俺は間抜けな声を漏らす。

「アリシアとフェイトに友達ができた事だし、離れ離れにするのも可哀想でしょ?折角だから、暫くこの街に滞在しようと思ってるの」

「暫くって・・・・・どの位?」

「そうね。この国には、義務教育期間って言うものがあるらしいし、少なくともそれが終わるまではこの街にいるつもりよ」

「義務教育ってことは・・・・・・アリシアとフェイトを学校に通わせるってことですか?」

「ええ。学校なら、同年代の子供たちも一杯いるから、アリシアとフェイトにはいい刺激になると思って」

「なるほど・・・・・何処の学校・・・・・って、聞くまでも無いですね」

俺は一瞬疑問に思ったが、このプレシアさんの性格なら、少し考えただけで分かった。

「言うまでもないけど、当然、聖祥小学校よ♪」

思ったとおり。

「ですよね。なのはや桜たちには・・・・・」

「もちろん秘密にしといてね。アリシアとフェイトにも秘密にしてあるんだから」

プレシアさんは、笑顔でそう言う。

「まあ、それは良いですけど、住む所は決まってるんですか?」

俺がそう聞くと、プレシアさんは苦笑し、

「それがね、なるべくなら高町さんのお宅に近い所を探してるんだけど、中々いい所が無くて・・・・・・」

どうやら家探しは難航している模様。

「そうですか・・・・・・ん?」

俺は、そこでとある事を思いついた。

「だったら、自分の家貸しましょうか?」

俺はそう言う。

「え?」

プレシアさんは意味が分からなかったのか、声を漏らす。

「いえ、今、俺は高町家に居候してますんで、元々住んでた家が空き家になってて、士郎さんたちに管理して貰ってる状態なんですよ。俺も多分成人するまでは居候状態が続くと思いますんで、期間的にも丁度良いかなと・・・・・高町家から歩いて10分位の所なので、それなりに近いですよ」

「あら、いいの?」

「ええ、その家に住んでもらう序に管理してくれれば、士郎さんたちへの負担も減りますし」

「なるほど、一石二鳥って訳ね」

「その通りです」

「じゃあ、お願いしようかしら」

「分かりました。士郎さん達には話を通しておきます。もちろんなのは達には秘密で」

「ええ、頼むわね」




と、言うわけで、なのはや桜たちには知られないように暗躍(?)しつつ、テスタロッサ一家が俺の家に住めるように手配する。

そして、週明けの本日、アリシアとフェイトが転校生として聖祥小学校に来る日である。

朝のHRが始まると、

「では、早速ですが、今日からこのクラスに新しいお友達がやってきました」

先生がそう切り出す。

その言葉に、クラスがざわめく。

なのは達も、誰が来るのか分かってない。

「じゃあ、入ってきて」

先生がそう言うと、教室のドアが開き、2人の人物が入ってくる。

その人物を見た瞬間、なのは、桜、アリサ、すずかの4人が驚いた表情をして固まった。

「2人とも、自己紹介をお願いできる?」

先生に言われ、

「アリシア・テスタロッサだよ!よろしくね!」

アリシアが元気良く挨拶し、

「フェ、フェイト・テスタロッサです。よろしく・・・・・・・」

フェイトは恥ずかしさからか、頬を赤くさせながら自己紹介した。

「アリシアさんとフェイトさんは、双子の姉妹です。みなさん、仲良くしてあげてください」

先生がそう締めくくる。

HRが終わると、俺は何時もの如く机に突っ伏し、クラスメイト達は例の如く一斉にアリシアとフェイトの周りに群がる・・・・・・・

前になのはが一目散に駆け寄った。

「フェ、フェイトちゃん!アリシアちゃん!な、何で!?」

なのはは相当驚いているのか、そう叫びながら問いかける。

「あ、なのは」

「そ、それが・・・・・・私達も母さんに昨日いきなり・・・・・・・」

アリシアは既に順応しているが、フェイトは困惑気味らしい。

だが転入生、しかも、アリシアやフェイトのような外国人(正確には異世界人)と知り合いとなれば、子供たちの好奇心を駆り立てるには十分だ。

「何々!?高町さん知り合いなの!?」

「どういう関係!?」

そう言いながら、3人を囲むクラスメイト。

「にゃぁあああああああああっ!?」

なのはの声が響く。

その傍ら、

「で、何でアンタはそんなに落ち着いてるの?私も、これでも結構驚いてるんだけど」

桜が俺に近付いてそう言ってきた。

「まあ、俺は知ってたからな」

俺は隠す心算もなく、そう言った。

「はぁ?」

桜は声を漏らす。

「ちょっと前にプレシアさんに会って、話を聞いたんだ。その時に丁度物件を探してたから、俺が元々住んでた家を紹介したって訳だ」

その言葉に、ちょっと呆気に取られた表情をする桜。

「じゃあ、今フェイトたちって、アンタの前の家に住んでるって事?」

「まあ、そうなる」

俺は頷く。

「ふ~ん・・・・・・まあ、いいけど」

桜は納得して、視線を3人の方へ戻す。

そちらでは、次から次へと質問するクラスメイト達を、アリサが取り仕切っている。

そんな中、

「好きなタイプは?」

という質問があった。

「えっ?そ、それは・・・・・・・」

フェイトは頬を赤くして俯くだけだったが、

「好きなタイプっていうか、好きな人ならいるよ」

アリシアはそうハッキリと口にした。

「なにぃーーーーーーーーっ!?」

「そんなーーーーーーーーっ!!」

「狙ってたのにぃーーーーーーーーっ!!」

「羨ましいぞぉーーーーーーーーーっ!!」

「何処のどいつだぁーーーーーーーっ!?」

男子の多くがショックを受けたように叫ぶ。

すると、アリシアは俺の方を向いて笑みを浮かべた。

「何処のどいつかって言うと・・・・・・・」

アリシアは、小走りに俺の方へ走ってきて、

「此処の・・・・・・」

俺の腕に抱きつきながら、

「コイツ♪」

そう言った。

おい!そんなことしたら!

「「「「「「「「「「何ぃーーーーーーーーーーーーーーーーー!!??」」」」」」」」」」

絶叫が響き渡る。

耳が痛い。

「何故利村なんだぁ~~~~~~~~~~!!」

「あんな根暗をぉ~~~~~~~~~~!!」

「如何見ても冴えない奴じゃないかぁ~~~~~~~~!!」

好き放題言われてます。

全部本当の事だから、別にムカつきはしないけど。

と、其処へ1人の男子生徒が俺の前に来る。

「ちょっと良いかな?」

キザったらしい仕草をしながら、その男子生徒は俺にそう言ってくる。

コイツはクラスメイトの金野 力(かねの つとむ)。

とある大会社の社長の息子で、名は体をあらわすが如く、金の力で色々と無茶をやらかす問題児だ。

俺が嫌いなタイプの人間である。

「何だ?」

俺は、めんどくさくなりそうだと思いながらそう聞き返した。

「アリシアさんのような可憐な花に、君のような雑草は似合わない。即刻別れたまえ」

金野の言葉に俺は呆れた。

「俺が雑草というのは認めるけど、別れるも何も、付き合ってるわけじゃないんだけど・・・・・」

俺はそう返す。

「ふむ、そうか。しかし、君のような低俗な人間は、彼女の傍にいる資格すらないよ」

「そうなんだよな~・・・・・・・俺なんかより良い男なんて、世の中にいくらでも居るって言ってるんだけどよ~・・・・・・」

その言葉は本音である。

その言葉に、金野は呆気に取られた表情をする。

大方、噛み付いてくると思ってたんだろう。

「・・・・・・・其処まで分かっているなら、何故君は彼女の傍にいる!?」

「いや、別に俺から言い寄ってるわけじゃないし。序に言えば、知り合って間もないし」

俺はあっけらかんとして答える。

俺の答えに、金野は言葉に詰まる。

「・・・・・は、はん!其処まで自分を卑下するなんて、余程人の出来ていない両親に育てられたらしいね!」

両親という言葉に、チクリと胸が痛む。

俺が、心を落ち着けようと目を瞑った瞬間、

――バチィ!バンッ!バチン!ドゴッ!

突如そんな音が聞こえ、目を開けると、宙を舞って床に叩きつけられた金野。

そして、俺の前に並ぶ、なのは、フェイト、アリシア、桜の姿。

何があった?






【Side 桜】



本当に驚いた、まさか、こんなにも早くフェイトとアリシアが転入してくるなんて。

あのプレシアさんの性格なら、その内転入させるとは思ってたけど、こんなにも早いとは思わなかった。

HRが終わった後、なのはが一目散にフェイト達に話しかけた為に知り合いという事が知れ渡り、フェイトとアリシア共々クラスメイトたちに囲まれている。

そんな中、私は全然驚いてなかったユウが気になり近付いて話しかける。

「で、何でアンタはそんなに落ち着いてるの?私も、これでも結構驚いてるんだけど」

私はそう問いかける。

「まあ、俺は知ってたからな」

ユウは、何でもないように答えた。

「はぁ?」

何でアンタが知ってるの?

「ちょっと前にプレシアさんに会って、話を聞いたんだ。その時に丁度物件を探してたから、俺が元々住んでた家を紹介したって訳だ」

なるほど・・・・・・って、ちょっと今気になる言葉が。

「じゃあ、今フェイトたちって、アンタの前の家に住んでるって事?」

私は確認する為にそう聞いた。

「まあ、そうなる」

ユウは頷いた。

「ふ~ん・・・・・・まあ、いいけど」

私は、とりあえず納得して、視線を3人の方へ戻す。

そちらでは、次から次へと質問するクラスメイト達を、アリサが取り仕切っている。

そんな中、

「好きなタイプは?」

という質問があった。

「えっ?そ、それは・・・・・・・」

フェイトは頬を赤くして俯く。

まあ、フェイトにそんな事聞いても恥ずかしくて答えられないわよね。

「好きなタイプっていうか、好きな人ならいるよ」

でも、アリシアはそう口にする。

「なにぃーーーーーーーーっ!?」

「そんなーーーーーーーーっ!!」

「狙ってたのにぃーーーーーーーーっ!!」

「羨ましいぞぉーーーーーーーーーっ!!」

「何処のどいつだぁーーーーーーーっ!?」

煩いわね男子。

すると、アリシアは此方・・・・・・というか、ユウを見て笑みを浮かべた。

「何処のどいつかって言うと・・・・・・・」

アリシアは、そう言いながら小走りにユウの所に走ってくる。

「此処の・・・・・コイツ♪」

そう言いながら、ユウの腕に抱きつき、満面の笑みを浮かべる。

あ、なのはとフェイトが若干不機嫌な顔に。

私は、この後の反応を予想して耳を塞いだ。

「「「「「「「「「「何ぃーーーーーーーーーーーーーーーーー!!??」」」」」」」」」」

絶叫が響き渡る。

危ない危ない。

「何故利村なんだぁ~~~~~~~~~~!!」

「あんな根暗をぉ~~~~~~~~~~!!」

「如何見ても冴えない奴じゃないかぁ~~~~~~~~!!」

男子達は、ユウの事を好き放題言っているが、当の本人は何処吹く風といった様子。

と、其処へ1人の男子生徒がユウの前に来た。

「ちょっと良いかな?」

その男子生徒は金野 力(かねの つとむ)。

典型的なボンボンで、いけ好かない奴。

ハッキリ言えば、私はコイツが嫌いだ。

コイツは過去、私に気があったのか、何かと気を引こうと財力をチラつかせて言い寄っていた。

当然私はそんな奴を気に入る筈もなく、突っぱね続けていた。

しかし、何度もしつこく言い寄ってくるので、我慢できなくなった私は、思わず(グーで)殴ってしまった。

そうなればボンボンのやることは変わらず、仕返しの為に例の如く財力で高町家に圧力を掛け様とした。

でも、それに気付いたアリサが、バニングス家(大会社と言っても、アリサの家とは天と地)から圧力を掛けてくれて、事前に解決してくれた。

その時は、アリサにとっても感謝したわ。

そして、それから金野はアリサと私、序になのはとすずかにも頭が上がらなくなっている。

「何だ?」

ユウは、めんどくさそうな表情で聞き返した。

「アリシアさんのような可憐な花に、君のような雑草は似合わない。即刻別れたまえ」

その台詞を聞いて、私は思わず吹き出しそうになった。

カッコつけようとしているのだろうが、ありきたり過ぎて全然カッコよくない。

「俺が雑草というのは認めるけど、別れるも何も、付き合ってるわけじゃないんだけど・・・・・」

「ふむ、そうか。しかし、君のような低俗な人間は、彼女の傍にいる資格すらないよ」

「そうなんだよな~・・・・・・・俺なんかより良い男なんて、世の中にいくらでも居るって言ってるんだけどよ~・・・・・・」

普通なら怒る所なのだが、ユウはのらりくらりとかわしている。

まあ、恐らくユウにとっては本音を言ってるんだろうけど。

でも、後ろ向きも此処まで来ると逆に感心するわ。

私だったら、間違いなく殴ってる。

あ、金野が呆気に取られた顔をしてる。

まあ、此処まで言われて、言い返してこないとは思っていなかったのだろう。

「・・・・・・・其処まで分かっているなら、何故君は彼女の傍にいる!?」

「いや、別に俺から言い寄ってるわけじゃないし。序に言えば、知り合って間もないし」

金野の言葉を、正論・・・・・というか、事実で返していくユウ。

金野には、これ以上文句は言えないだろうと思っていた。

だが、

「・・・・・は、はん!其処まで自分を卑下するなんて、余程人の出来ていない両親に育てられたらしいね!」

金野にとっては苦し紛れの言葉だったのだろうが、両親の事を言われて、僅かにユウの表情が曇った所を私は見逃さなかった。

その表情を、なのはとフェイト、アリシアも見逃さなかったのか、私達は一瞬視線を合わせる。

それだけで、私達は通じ合った。

念話など必要ない。

私達は、アイコンタクトで各々の行動を取り決めた。

一番初めに行動を起こしたのはなのは。

――バチィ!

左手で見事な平手を金野に喰らわせる。

そのよろけた所へ、

――バンッ!

フェイトがスピードの乗った、右の平手・・・・・というかほぼ掌底に近いものを叩き込んだ。

また跳ね返った所に、

――バチン!

アリシアが、勢いのいい左の平手を喰らわせる。

最後に回りこんだ私が、

――ドゴッ!

右アッパー叩き込む。

金野は見事な放物線を描いて床に落ちた。

「アンタ!ユウの両親をバカにすると、私達が許さないわよ!!」

私はそう言い放つ。

例え知らないとはいえ、ユウの両親を侮辱する事は許せなかった。

「アンタね!さっきからユウの事をバカにしてるけど、アンタがユウの何を知ってるのよ!全てに恵まれて、何一つ不自由しなかったアンタに!」

私は思わず叫んでしまった。

「お、お前ら・・・・・・」

ユウがポカーンとして私達を見ている。

其処までやった時、私達は自分たちのやったことに気がついた。

拙い、これって下手をすれば停学ものじゃ・・・・・・・

私達は思わず顔を見合わせる。

そんな時、

「はいは~い」

アリサが手を叩きながら、みんなに呼びかける。

「皆、私達は何も見てないわ。そいつが其処に転がってるのも私達は何も知らない。OK?」

アリサの言葉に、皆が頷く。

私達がポカンとしていると、

「今のは如何見てもアイツが悪いわよ。桜もあんなに怒った事は意外だったけど、皆ちゃんと分かってくれる」

アリサはそう言ってくれた。

どうやら皆誤魔化してくれる模様。

一安心ね。

特にフェイトとアリシア。

転入初日で停学なんて、シャレにならないわ。

私はそう思いつつ、転がってるバカを気にもせずに、1時間目の授業に備えて自分の席に着くのだった。







あとがき

結構やりたい放題な第十四話完成。

う~ん・・・・・やっぱりオリジナルに入ると、レベルがガタ落ちするなぁ・・・・・・・

とりあえず、フェイトとアリシアの転入編。

如何だったでしょうか?

「何処のどいつ」と聞かれて「此処のコイツ」と言わせることを何となくやらせてみたかった。

それだけだと短すぎたので、四苦八苦しながら作ったのが、完璧モブの金野君。

哀れ4人のコンビネーションアタックに撃墜されました。

でも、出来はビミョー。

最後も無理矢理纏めた感じだし。

今回はこんなんで。



話は変わりますが、そろそろとらハ板に移った方が良いでしょうか?

勢いのまま始めた小説ですが、既にこの時点でリリフロのPV超えちゃってるんですよね。

まだ、リリフロの半分も行ってないのに・・・・・・・・

この分だと、ゼロ炎のPVも近いうちに超えそうです。

まあ、相変わらず自分では決められないので、皆様の意見を聞きたいと思います。

では、これにて。





[15302] 第十五話(前編)
Name: 友◆ed8417f2 ID:11075f73
Date: 2010/04/04 09:48
第十五話 誘拐事件




5月の下旬に入ったある休日。

桃子さんに買い物を頼まれた俺は、フェレットモードのユーノと共に街に来ていた。

店を回り、頼まれたものを大体買い終えた俺は、メモを確認する。

「頼まれたものは、大体こんなもんかな?」

独り言でも問題ない口調で、俺は肩に乗っているユーノに話しかける。

(そうだね。これで全部だった筈だよ)

ユーノもそう言っているので、高町家に戻ろうとした時、

「あら、ユウじゃない」

そう声をかけられた。

俺が其方を向くと、

「アリサにすずかか・・・・・」

2人の名を呟く。

「珍しいな。2人が歩いてるなんて。稽古の帰りか何かか?」

俺がそう聞くと、

「まあね。それに、歩きって言っても、もう少し行った所に、鮫島が迎えに来てくれるはずだから」

アリサがそう言う。

「ユウ君は?」

すずかが尋ねてくる。

「俺は桃子さんに頼まれた買い物が終わった所。居候の身だからな、この位は手伝わないと」

俺はそう答えた。

「そっか」

すずかは微笑んで頷いた。

すると、2人は俺の肩に乗っているユーノに気付いた。

「あ、ユーノじゃない」

「ホントだ。そっちも珍しいね。ユーノ君は大概なのはちゃんか、桜ちゃんと一緒に居るのに」

2人がそう言う。

「そうか?家じゃあ結構一緒に居るけど・・・・・・まあ、一緒に外に出歩く事は珍しいか?」

俺は、自問自答するように呟く。

まあ、家じゃユーノは人間の姿に戻ってるし。

その時、黒いワゴン車がスピードを落としながら走ってきた。

そして、俺達の近くを通り過ぎようとした時、開いていたドアから手が伸びてきて、アリサとすずかを車内に引きずり込んだ。





【Side すずか】




私は一瞬何が起こったか分からなかった。

アリサちゃんと一緒にユウ君と話してたら、いきなり口を塞がれて後ろに引っ張られた。

「んん~~~ッ!?」

私はもがくが、強い力に押さえつけられて振りほどけない。

「アリサッ!すずかっ!」

その声に目を開けば、ユウ君が慌てて駆け寄ろうとしていた。

だが、ワゴン車らしき室内の奥の人物が、ユウ君に向かって手を伸ばす。

その伸ばされた手には、何かが握られていた。

私はそれに気付いた時、目を見開いた。

それは、ドラマや映画でも見たことがあるサイレンサー付きの拳銃。

「ん~~~~~~~っ!!」

私はユウ君に逃げてと言いたかったが、口が塞がれている為声を出す事ができない。

そして、

――バスッ!

無常にも発砲音が聞こえた。

思わず視線を向けると、倒れていくユウ君の姿。

「ん゛~~~~~~~~っ!!??」

思わず叫ぼうとする。

そして、車の中の人物達は、そんなユウ君を気にする素振りも見せず、ドアを閉める。

「うまくいったな」

「ガキの死体が1つ増えたが、まあ、些細な事だ」

その言葉を聞いたとき、思わず涙が溢れる。

「おやおや、泣いてるぜ」

「化け物にも涙は流せるんだな」

その言葉を聞いて絶句する。

この人たちは月村の秘密を知っている。

私が震えていると、

――ガンッ

車の天井に衝撃音が響いた。

「何だ?」

「さあ?多分、飛んできた石か枝が当たったんじゃないのか?」

「それもそうか」

男たちは、そう言いながら笑い声を上げ、ワゴン車は走っていった。





【Side Out】




【Side ユーノ】



なのはの友達のアリサとすずかが、突如走ってきたワゴン車の中に引きずり込まれそうになったとき、ユウが助けようとして何かに撃たれた。

あれって確かこの世界の質量兵器で拳銃って奴だったはず!

ワゴン車はそのまま走り去ろうとしている。

僕は、倒れたユウに慌てて駆け寄る。

「ユウ!大丈夫!?ユウ!」

僕は必死に呼びかけた。

この時の僕は周りが見えていなかったが、周りには運よく誰もおらず、フェレット状態の僕が喋っている事に気付く人はいなかった。

「そうだ!先ずは怪我の確認を・・・・・」

と、其処まで言った時、

――ガシィ!

と、いきなり首根っこを掴まれる。

見ると、ユウの右手が僕の首を掴んでいた。

すぐにユウが飛び起きる。

「ユウ!?怪我は!?」

僕は宙吊りにされながらもユウが心配だった。

ユウが握っていた左手を開く。

すると、

――カツンッ

と、握りつぶされた銃弾が地面に落ちる。

嘘っ!?

あの至近距離で銃弾受け止めたの!?

僕が驚愕していると、

「ユーノ!全身を強化しろ!!」

「へっ?」

いきなり言われたユウの言葉に、僕は声を漏らす。

「ピッチャー第一球・・・・・・」

だが、ユウは僕の首根っこを掴んだまま。

「振りかぶってぇ・・・・・・・・」

右足を軸にして、大きく左足を上げる。

そして、僕を掴んだ手は肩の後ろに回る。

「ちょ!?ユウ!まさかっ!?」

僕は、ユウがやろうとしている事に気付き、慌ててユウに声をかける。

しかし、ユウはそんな僕の声にも耳を傾けず、

「投げましたぁっ!!!」

僕を思いっきり投げ飛ばした。

「きゅううううううううううぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!??(うそぉおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!??)」

宙を舞う・・・・・というか、勢い良く飛ばされる僕。

慌てて僕は全身を強化する。

そして、落下すると思われる地点には、アリサとすずかを攫ったワゴン車。

――ガンッ

僕は、何とかそのワゴン車の天井に着地する。

(ユウ!いきなり何するのさ!!??)

僕は思わず念話でユウに文句を言う。

(悪い悪い。時間がなかったんだ。お前はそのままへばり付いて、2人の傍にいろ。俺もお前の魔力を辿ってすぐに行く!)

ユウのその言葉で、ユウの意図を察知した僕は、渋々納得する。

(そういう事なら仕方ないけど、せめてもう少し何をするか教えて欲しかったよ・・・・・・)

とりあえず愚痴っておいた。

(いや・・・・まあ・・・・・すまん)

ユウは謝って来る。

僕は、とりあえず振り落とされないように、必死に天井にへばり付くのだった。





【Side Out】





うむ、とりあえずは上手く行った。

思わずノリで投げちまったからな。

まあ、結果オーライ。

ピッチャーというか、どっちかと言えば、外野からのバックホームと言った方が正しいのかもしれないが・・・・・・

前世では高校まで野球をやっていたからな。

しかも外野手。

ベンチにも入れなかったが・・・・・

昔取った杵柄って奴か?

にしてもヤバかった。

後一秒身体強化が遅かったら死んでたな。

余りにもビックリしたから、躓いて転んだし。

それはともかく、俺はユーノの魔力を頼りにワゴン車を追いながら念話をする。

(リニスっ!聞こえるか!?)

俺がそう送ると、

(ユウ?如何したんですか、そんなに慌てて・・・・・)

リニスはそう応える。

(リニス!いま何処だ!?)

(今ですか?翠屋ですけど・・・・・)

(そうか!緊急事態だ!アリサとすずかが誘拐された!)

(ッ!?)

(ユーノを引っ付けといたから、魔力を追って追跡してる!お前は士郎さんでも恭也さんでも誰でもいい!大人達にこの事を!)

(分かりました!)

リニスはそうハッキリと返事をして念話を切った。

これでとりあえず大人たちには知れ渡る。

さぁて、人目も無くなってきたようだし、気合入れて追うとするか!

俺は脚力を強化し、ユーノの魔力を目印に、一気に加速した。





【Side アリサ】



いきなり車に連れ込まれた私達が連れてこられたのは、山奥にある廃ビルだった。

そこで私は、すずかとは別の部屋に監禁された。

同じ部屋の中には、私達を攫った実行犯らしき人物達を含め、6人の男たちがいて、私は手を後ろで縛られている。

私は怖くてたまらなかったが、口を開く。

「ちょっとアンタ達!どうせ身代金目的の誘拐でしょ!?だったら私1人いれば十分の筈よ!すずかは解放して!」

私の言葉に、男たちは一瞬顔を見合わせるが、突然笑い出す。

「くははははは!まあ、俺達は金目的だからお嬢ちゃん一人いれば事足りるわけだが、雇い主の目的は、もう1人のお嬢ちゃんの家だからな!」

私はその言葉を聞いて、疑問に思う。

「すずかの家が目的?如何いう事よ!」

私は思わず問いかけた。

私の問いに、男たちはニヤニヤと笑みを浮かべ、言った。

「お嬢ちゃんは知らないだろうから教えてやるよ。もう1人のお嬢ちゃん家の一族はな、人間じゃないんだよ」

「えっ・・・・・・?」

私はその言葉を聞いたとき、思わず声を漏らした。

「人の姿をしているが人じゃない。人の血を吸って生きる化け物。つまりは吸血鬼さ」

「嘘よっ!!」

私は叫んで否定した。

すずかが化け物なんて信じたくなかった。

「嘘じゃないさ。その一族は吸血鬼なだけあって、全体的に身体能力が高い。心当たりがないか?」

そう言われ、私は思わず考えてしまった。

確かに、すずかは体育の成績がずば抜けて良い。

「心当たりがあるようだな?」

私の態度で悟ったのか、そう言われて、私は動揺する。

「た、確かにすずかは体育の成績は一番よ!けど、唯それだけだわ!」

私は、必死に反論する。

「それは子供だからだな」

「そ、そんな・・・・・そんなこと・・・・・・・」

私は否定しようとするが、声が弱々しくなってしまう。

「もう少しすれば嫌でも分かる。あの月村の一族は、人間とは違うと」

「ち、違う・・・・すずかは・・・・・すずかは・・・・・・」

私の友達と言おうとしたが、言葉が出てこない。

「まあ、そんな事で悩む事はもう無い」

「えっ?」

突如言われた言葉に、疑問の声を漏らす。

「あのお嬢ちゃんとは、もう会う事も無いだろうからな」

「なっ!?如何いう・・・・・・!?」

私が其処まで問いかけようとした時、

「おおっと、他人の心配をしてる場合じゃないよ。先程から我慢できない奴が一人いるんでね」

私が、何の事かと疑問に思ったとき、同じ部屋の中にいる6人の男の中の1人が、他の男たちとは違ったギラついた目で私を見ている事に気付いた。

それに気付いた時、本能的に悪寒が走った。

「な・・・・・何・・・・・?」

私は、その男から少しでも離れるように身を捩って後ろに下がる。

「その男は真正のロリコンでね。ああ、幼女趣味の事だよ。つまり、君のような年頃の女の子が大好きでね、しかもそんな女の子の泣き叫ぶ姿を見ると、更に欲情するという正真正面の変態なんだよ」

先程の男がそう言うと、

「ぎひひ・・・・・兄貴ぃ~、俺、もう我慢できねえよ。犯っちまって良いだろ?」

その男は下品な物言いで私に近付いてくる。

「い・・・・・いや・・・・・・・・・・」

一歩一歩近付いてくるたびに、私は身を捩って逃げようとする。

「う~~~ん、そそるねぇ~・・・・・兄貴、良いだろ?」

「ふん、物好きめ・・・・・・まあいい、好きにしろ。ただし殺すなよ。身代金が取れないからな」

リーダー格と思われる男は、私にとって死刑宣告に等しい言葉を発した。

「へへっ・・・・流石兄貴、話がわかるぅ」

その男は私に近付いてくる。

「や・・・・・やだ・・・・・・来ないで・・・・・・」

私は恐怖心から、普段は絶対に吐かない弱々しい声を発する。

何をされるかは分からないが、碌でもないことは確かだ。

「泣き叫んでも構わないよ。どうせ誰も来ないから・・・・・寧ろ、泣き叫んだ方がそそるからね」

ニヤニヤしながら近付いてくる。

周りの男たちも、歪んだ笑みを浮かべるだけ。

「や、やだ・・・・・・誰か・・・・・助け・・・・・」

私は思わず助けを請う。

「ふふふっ・・・・・お姫様のピンチには王子様が助けに来るのが相場だけど、どうやら君には王子様は来ないようだね?」

そんなことは分かってる。

物語みたいに、そんな都合のいい話があるわけ無い。

でも、願わずにはいられない。

ヒロインのピンチを救ってくれる王子様ヒーローを。

けど、そんな願いも空しく、私にその男の手が伸びる。

「いやぁああああああっ!!」

私は思わず目を瞑って悲鳴を上げた。

その瞬間、

――ドゴォ!!

突然の破砕音。

「やめんか!この変態ロリコンがぁっ!!」

――バキャァ!

「ぷぎゃっ!?」

聞き覚えのある声と、打撃音。

そして、良く分からない声。

――バキッ!

「な、何だこのガキャ・・・・ぎゃっ!?」

――ガスッ!

「ぐぇっ!?」

――ドガッ!

「がふっ!?」

――ズガッ!

「うぎゃ!?」

――ドゴッ!

「ぐふっ!?」

連続で聞こえる打撃音と、それに続く悲鳴。

やがて静かになり、私は恐る恐る瞼を開く。

すると、外に隣接する壁には大きな穴が開いており、部屋の中には倒れ伏す6人の男達。

そして、

「助けに参りました。お姫様」

お姫様わたしの前に跪く、王子様ユウの姿があった。






【Side Out】







誘拐犯達のアジトは、海鳴市の山奥にある、5階建ての廃ビルだった。

俺は、その廃ビルから少し離れた所の木の影で、ビル内に潜入しているユーノと念話で連絡を取り合っていた。

(それで、アリサとすずかは別々の部屋に監禁されてる。アリサは一階の部屋。すずかは5階の部屋だよ)

(そうか、とりあえずこっちは後10分ぐらいで恭也さん達が到着する予定だ。恭也さん達が来たら、救出作戦の開始だな)

(わかった。それまで僕は、変化が無いか監視しておくよ)

(頼む)

ユーノとの念話を一旦区切ると、

(((ユウ(君)!!)))

「うおっ!?」

いきなり馬鹿でかい念話が届き、俺は驚く。

送り手はなのは、桜、フェイトだった。

(さ、3人とも・・・・・行き成り何だ?)

俺がそう返すと、

(((アリサ(ちゃん)とすずか(ちゃん)は、無事なの!!??)))

返って来た言葉に俺は驚く。

(何でお前らが知ってるんだよ!?)

俺は思わず聞き返す。

(私達、今、恭也兄さんたちと一緒に、そっちに向かってるのよ)

桜の言葉に、俺は更に驚く。

(何でだよ!)

(・・・・・あのねえ、なのはとフェイトが、アリサとすずかが誘拐されたって聞いて、ジッとしてられると思う?)

(・・・・・・・・無理だな。来るなと言っても、勝手について来そうだ)

俺は少し考えて、そう結論を出す。

(でしょ?だったら、勝手に動かれるより、一緒に行ったほうが安全だっていう事になったわけよ。アリシアだけは、無理を言って置いてきたけど)

(・・・・・・それもそうか)

確かに、知らないところで予想外に動かれるより、傍にいたほうが危険は少ない。

渋々納得すると、

(ユウ!!)

今度はユーノが慌てて念話を送ってきた。

(今度は何だ!?)

俺はそう返す。

(拙いよ!アリサに犯人たちが襲いかかろうとしてる!)

(何っ!?チッ!桜、なのは、フェイト!状況が変わった!先に突っ込む!!)

(ちょっ!?)

俺は一方的に念話を切断する。

俺はすぐに駆け出し、サーチャーを飛ばす。

アリサがいる部屋の中を確認すると、一人の男がニヤニヤと笑みを浮かべながら、アリサに近付いている。

俺は、ビルの敷地内に入ると、正面の入り口に向かわず、アリサがいる部屋のすぐ横の壁に向かう。

そして、拳を強化し、

「おらぁっ!!」

――ドゴォ!!

拳で壁を粉砕する。

俺は飛び込んですぐ、アリサに手を伸ばす男が目に入った。

「やめんか!この変態ロリコンがぁっ!!」

――バキャァ!

「ぷぎゃっ!?」

俺は勢いのまま、その男の顔面に飛び蹴りをかました。

男は変な声を上げて気絶する。

俺はすぐに周りを確認する。

突然の事に呆けた男が5人。

「な、何だこのガキャ・・・・」

――バキッ!

「ぎゃっ!?」

最初に気を取り直した男の顔面に拳を叩き込む。

――ガスッ!

「ぐぇっ!?」

続けて近くにいた男の腹に蹴りを入れ、

――ドガッ!

「がふっ!?」

そのまま後ろから襲い掛かろうとした男に後ろ回し蹴りを放つ。

――ズガッ!

「うぎゃ!?」

その状態から、正面にいた男の顎を蹴り上げ、

――ドゴッ!

「ぐふっ!?」

最後に呆けていた男にボディーブローを喰らわせて沈黙させた。

とりあえず、男達が完全に気絶している事だけ確認して、アリサに駆け寄った。

アリサは、余程怖かったのか、普段は見せない怯えた様子で、縮こまって目を瞑っていた。

しかし、辺りが静かになったのに気付いたのか、ゆっくりと目を開く。

俺は、アリサの恐怖心を少しでも和らげる為に、ある事を思いつく。

そして、俺はアリサの前に跪き、

「助けに参りました。お姫様」

ベッタベタな台詞を口にした。

「あ・・・・・・・・」

アリサは声を漏らす。

俺は、笑われる事を覚悟でこんな事をしている。

これでアリサの元気が出れば御の字だ。

しかし、何故かアリサは顔を赤くして固まっている。

「アリサ?」

俺は思わず声をかける。

「へっ?あ、ユ、ユウ!?」

アリサは、漸く気付いたのか、少しビックリしていた。

「ああ、そうだけど、大丈夫か?」

「え、ええ・・・・大丈夫よ・・・・・」

アリサがそう言うと、俺はアリサが縛られたままなのに気付く。

「アリサ、ちょっとジッとしてろ」

俺はそう言って、アリサを縛っていた紐を解く。

「あ、ありがとう・・・・・・って、アンタ!撃たれたんじゃなかったの!?」

アリサは礼を言ってきたが、連れ去られた時の事を思い出し、声を上げる。

「その話は後だ。ユーノ!」

俺がユーノの名を呼ぶと、物陰からフェレットモードのユーノが出てくる。

「ユ、ユーノ!?何で此処に!?」

驚くアリサを置いといて、俺はユーノに話しかける。

「ユーノ、アリサを頼めるか?」

(いいけど・・・・・魔法の事は・・・・・)

「そんなもん、今更だろ?」

(それもそうだね)

ユーノは半ば呆れつつ頷く。

「アンタ、何ユーノに話しかけてるのよ?」

不思議に思ったアリサが尋ねてきた。

すると、ユーノが光に包まれ、変身魔法を解除する。

「へっ?」

アリサが素っ頓狂な声を漏らす。

フェレットが人間になったのだから、驚くのも無理ないだろう。

俺から言わせれば今更だが。

「この姿では始めましてだね、アリサ。ユーノ・スクライアです」

ユーノは、アリサに向かって自己紹介する。

対するアリサは、ユーノを指差しながら口をパクパクさせて、

「ユ、ユーノが人間になったぁっ!!??」

盛大に驚いた。

その反応にユーノは苦笑し、俺は当然の反応だと感じる。

「それじゃあユーノ、アリサを頼んだ。あと10分ぐらいで恭也さん達も到着するから、それまで守ってやってくれ」

「わかったよ」

俺の言葉にユーノは頷く。

すると、

「ちょっとユウ!何平然としてるのよ!フェ、フェレットが人間になったのよ!?」

アリサが叫んでくる。

「いや、俺は元々知ってたし。っていうか、高町家の人間は、皆知ってるぞ」

俺はそう答える。

「じゃ、じゃあ、なのはや桜も?」

「当然」

俺は頷く。

アリサは驚きで固まる。

「じゃあ、俺はこのまますずかを助けに行くから。お前はユーノの傍に居ろよ」

俺は、そう言って踵を返して部屋の出口へ向かおうとした。

「・・・・・って、待ちなさい!」

だが、後ろから呼び止められる。

「なんだよ?」

俺は聞き返す。

「私も行くわよ!」

アリサは信じられない事を言った。

「無茶言うな、危険すぎる」

俺はそう言う。

「無茶でも何でも私は行くわ!すずかは私の友達なのよ!」

「けどよ・・・・・ッ!」

そこまで言った時、この部屋に近付く足音に気付く。

「おい、何があっ・・・・ぐふっ!?」

「げふっ!?」

部屋に入ってきた2人の男を、騒ぐ前に鳩尾に拳を入れて気絶させる。

時間をかけると、すずかに危険が降りかかるかもしれないと思った俺は、

「仕方ない!ユーノ、すまんがアリサのフォロー頼む!」

仕方なくアリサも連れて行くことにした。

「わかったよ」

ユーノは頷く。

「じゃあ、行くぞ!アリサはユーノの傍を離れるなよ!」

「わかったわ!」

俺達は部屋を出る。

「ユーノ、すずかは5階だな?」

「うん。僕が見たときは、すずかが捕まってた部屋に、4、5人いた筈だよ」

「わかった」

俺達は、ビルの階段を駆け上がっていく。

途中に見張りが居ると思ったが、意外にも誰も居らず、あっさりと5階に辿り着いた。

「なんか拍子抜けね」

アリサも思ったのか、そう呟く。

「けど、油断は禁物だ」

俺は釘を刺すように言った。

周りを警戒しつつ廊下を歩き、すずかが捕まっているという部屋の入り口に辿り着く。

そして、最大限に警戒しながら、ドアを開ける。

部屋の中は薄暗い。

慎重に部屋の中に入ると、

「おやおや、これは何とも可愛らしいナイト様が来たものだ」

その声に、アリサがバッと其方を向く。

俺は元々知っていたので、特に驚きもせずに其方を見た。

其処には、ソファーに座った男と、その後ろに控えている両腕に刃物を付けた4人。

そして、ソファーに座った男の傍らに、縛られて座り込んでいるすずかの姿。

「すずかっ!!」

アリサが叫んで駆け寄ろうとした。

だが、

「来ちゃダメ!!」

すずかの叫びに足が止まる。

「危なかったですねぇ~・・・・・その線を越えないほうがいいですよ」

その男は、何かムカつく口調でそう言う。

俺達と男の中心辺りに、線が引かれている。

「試しに其処の石でも投げてみなさい。私の言っている意味がわかりますよ」

俺は足元に転がっていた石を拾い、男に向かって投げた。

そして、その石が線を越えた瞬間、

――シャキキン

後ろに控えていた4人が人間離れした動きで飛び出し、石を粉々に切り裂いた。

「なっ!?」

アリサは驚愕する。

今の動きは普通の人間に出来る動きじゃない(俺は出来るが)。

恐らく、夜の一族の自動人形だろう。

ってことは、すずかを攫ったのは夜の一族絡みか。

「・・・・・今の動き、普通の人間じゃないな」

俺は確認の為に、そう問いかける。

「その通り。これらは人間ではない。我々夜の一族の遺産、自動人形だ」

その男はそう言った。

「え・・・・・夜の一族・・・・自動人形・・・・・?」

アリサが声を漏らす。

「何も知らんらしいな。ならば教えてやろう」

男がそう言うと、

「やめてっ!」

すずかが叫ぶ。

だが、男の言葉は止まらない。

「我々は普通の人間とは違う。人間の血を用いてあらゆる事を可能にする者・・・・・・それが夜の一族」

「人間の・・・・・血・・・・・・」

男の言葉にアリサは唖然としている。

「じゃあ・・・・・下の男たちが吸血鬼って言ってたのも・・・・・・・」

「ほう・・・・少しは聞いていたか。吸血鬼というのも、夜の一族の噂が変化して伝わった物だろうな」

アリサの呟きに、男は答える。

「そして、その夜の一族の中でも月村は名家!しかし、その月村の当主があんな小娘であってたまるものか!」

その言葉で、俺は大体理解した。

つまりは、コイツは自信過剰の単なるバカ。

すずかを攫った理由も、大方忍さんを月村の当主の座から引き摺り落とす為だろう。

「え~と・・・・・言いたい事は何となく分かったけど、忍さんに手を出したら、恭也さんが黙ってませんよ」

俺はそう言う。

近接戦闘に限ってだが、俺は恭也さんや士郎さんに勝てる気がしない。

神速で近付かれて、防御無視の一撃を喰らって終わるだろう。

「恭也・・・・・御神の剣士だな。ふん、その位の対抗策は考えている。それがこの自動人形たち、戦闘特化型だ」

男が後ろに控える4体の自動人形を指しながらそう言う。

そう言えば、とらハ3のノエルは、人間らしさを求めた芸術品って言ってたっけ。

それでも戦闘能力も中々のモノだったけど。

つまり、目の前に居る自動人形たちは、完全に戦闘を目的として作られたものという事だ。

少なくとも、普通の自動人形たちよりかは強いのだろう。

とは言っても、普通の自動人形が、どの位強いのかも俺は知らないが。

まあ、夜の一族の人間でも敵わないって言うぐらいだからそれなりには強いのだろう。

「そして、この戦闘特化型の自動人形は、あと5体いる。お前たちは無視させてもらったが、御神の剣士には全てをぶつける。いくら御神の剣士と、エーディリヒ型2体とはいえ、戦闘特化型9体ならば確実に葬れる」

今の物言いからすると、この世界のノエルさんとファリンさんも自動人形らしい。

つーか、何でこの男は一族の秘密をベラベラと喋ってるんだか。

やっぱりバカか?

アリサは、今の話が信じられないのか、呆然としている。

「う・・・・嘘よねすずか!この男が言った事なんて、全部嘘よね!?」

アリサはすずかに叫んで問いかける。

「・・・・・・・・・・・」

すずかは、苦しそうな表情で目を瞑っていたが、

「・・・・・・・・・・本当だよ・・・・・・」

静かに、そう呟いた。

「・・・・・・・月村の一族は・・・・・・人間じゃないんだよ」

そう呟いて瞼を開いたすずかの瞳は、血のように赤く染まっていた。

「すずか・・・・・その目っ!?」

アリサが驚いたように叫んだ。

「この赤い瞳が、夜の一族の証。人の血を吸う吸血鬼、化け物なんだよ!」

すずかは、自虐的に叫ぶ。

「ゴメンねアリサちゃん・・・・・・私・・・・・ずっとアリサちゃん達の事騙してた。私は人とは違うのに・・・・・・化け物なのに、騙して皆と友達になろうとしてた・・・・・・だからね・・・・・・」

顔をあげたすずかの赤い瞳からは、涙が溢れていた。

「私の事はいいから・・・・・・逃げて・・・・・・・」

すずかはそう言った。

その瞬間、

「そんなこと出来る訳ないじゃない!!!」

アリサが叫んだ。

「夜の一族!?吸血鬼!?化け物!?確かに聞いた時は驚いたわよ!信じられなかったわよ!」

アリサは感情をぶちまける様に叫び続ける。

「けど!それが如何したって言うのよ!?」

「っ!?」

アリサの言葉に、すずかは驚いた表情になる。

「すずか!ハッキリ言うわ!アンタが吸血鬼だろうと化け物だろうと、アンタは私の友達よ!!」

アリサがキッパリと言い切った。

「アリサちゃん・・・・・・・」

すずかは呆然とアリサの名を呟く。

「アリサの言うとおりだな。そんな事、俺がすずかを見捨てる理由にはならない」

俺はそう言って歩き出す。

「それにな、お前は化け物なんかじゃない。れっきとした人間だ」

「っ!?」

俺の言葉にすずかは驚く。

「血を吸って並みの人間以上のことが出来るのも、俺から言わせれば一種の特異体質に過ぎない」

すずかは、そんな考えをしたことがなかったのか、驚愕の表情で俺を見ている。

俺は、そこまで言うと、線の前で立ち止まる。

「そういえば、1つ確認しとくぞ。その自動人形、命令を聞くだけで自我は無いんだな?」

俺は、男に問いかける。

「その通りだ。エーディリヒ型は心などという無駄な機能が付いているが、こいつらにはそんな物は無い。故に、相手が女子供だろうと情けをかける事は無い。命令のままに戦うだけだ」

俺はその言葉を聞くと、

「そうか・・・・・・・安心した」

俺はそう言って、躊躇せずに線を踏み越えた。

すると、それが合図となり1体が猛スピードで突っ込んでくる。

「駄目っ!ユウ君逃げてっ!!・・・・・・人間じゃ自動人形に敵わな・・・・・・・」

すずかが叫ぼうとする。

確かに並みの人間では、反応できずに腕の刃物で首を切り飛ばされていることだろう。

だが、

――ドゴォ!!

俺は、無造作に突っ込んできた人形を殴り飛ばす。

その人形は、骨格が砕け、突っ込んできた以上のスピードで壁に激突。

そのまま壁をぶち破って外へ吹き飛んだ。

「なっ!?」

その男は驚愕の声を漏らした。

「遠慮なくぶち壊せる!」

俺は拳を突き出してそう言い放った。

それと同時に残りの3体の人形が動き出す。

俺はすずかに向って言った。

「すずか・・・・・良く見とけよ。お前が自分の事を化け物と言ってたことが、どれだけちっぽけな事か!」

すずかは、呆然とした表情で頷いた。

俺は自動人形が攻撃してきたので跳躍して避ける。

そして、そのまま右足に魔力を宿らせ、

「円月蹴り!!」

空中で回し蹴りを放つと、青い魔力斬撃が放たれる。

それは、人形の1体を切り裂いた。

だが、空中にいる時を狙って、残りの2体が俺に襲い掛かる。

左右から振るわれる刃。

狙いは首筋。

「ユウ!」

「ユウ君!」

アリサとすずかの悲鳴のような叫び。

だが、

――バシィ

右から振るわれた刃を左手で、左から振るわれた刃を右手で摘むように受け止める。

「甘い!」

――バキンッ

そのまま受け止めた刃をへし折った。

そして、へし折った刃を捨て、両手で2体を真下に殴り落とす。

床に激突する2体。

俺は落下する途中、両手の指に、爪のような赤い魔力刃を発生させる。

そして両手を振りかぶり、

「カイザー!ネイルッ!!」

両手をクロスさせるように腕を振り、自動人形を2体纏めて切り裂いた。

――ズドドドドドォ!

その際に放たれた魔力斬撃が、最下層までの床に大きなX型の穴を開けており、アリサ、すずか、序に男は呆然となっていた。

俺は呆然となっていた男に歩いて近付き、

「おらっ!」

腹に蹴りを入れて吹き飛ばした。

吹き飛ばされた男は、ガラクタの山に突っ込む。

俺はそれを確認すると、すずかに近付き、

「大丈夫だったか?」

そう声を掛けつつ、縄を解く。

「うん・・・・」

すずかは、まだ驚いているのか、呆然としている。

すると、

「すずかっ!」

アリサが駆け寄ってきて、すずかに抱きついた。

「良かった・・・・・怪我は無い?」

「うん、大丈夫だよ、アリサちゃん」

2人は見つめ合う。

どうやら、言いたいことがあるのに出てこないようだ。

それでも、互いに何を言いたいかは察しているようで、

「「クスッ」」

2人一緒に微笑んだ。

と、その時、

――ドゴォオオオオオオオン!!

と、爆発音のようなものと地響きが発生する。

「な、何!?」

アリサとすずかは抱き合いながら辺りを見回す。

だが、俺は先程人形を吹き飛ばした穴から、桜色、金色、白銀の光が見えていた。

そして、感じる魔力もあいつらのものだ。

「なのは達だな。ド派手にやりやがって・・・・・」

俺が呟く。

「ちょっと、今の爆発音と地響きがなのは達の仕業って如何いう事よ!?」

アリサがそう言ってくる。

「俺も含めて、なのは達には秘密があるんだよ。まあ、俺は後で説明する心算だったけどな」

「それならいいわ。ちゃんと後で説明しなさいよ」

「ああ」

アリサの言葉に、俺は頷いた。

その時、

――ガラッ

先程男を吹き飛ばしたガラクタの山の方から音が聞こえる。

俺が振り向くと、ガラクタの山の中から、銃を向ける男の姿。

俺がそれに気付いた瞬間、

――ドォオン!

銃声が鳴り響いた。








要望があったので、2話に分けました。



[15302] 第十五話(後編)
Name: 友◆ed8417f2 ID:11075f73
Date: 2010/04/04 09:49
第十五話(後編)







【Side 桜】



ユウが先に突っ込むと連絡が入ってから約5分後。

飛ばしてくれたノエルさんのお陰で、私達は現場のビルに到着した。

此処にいるメンバーは、恭也兄さん、忍さん、ノエルさん、ファリンさん、私、なのは、フェイトである。

私達がビルの敷地内に入ると、玄関の前に、左腕に刃を付けて、右手に鞭を持った5人の人影。

「「「「「・・・・・・殲滅目標確認・・・・・・・御神の剣士・・・・・・及びエーディリヒ型2体・・・・・・・・」」」」」

その人たちは、まるで生気が感じられない。

「な、何?この人たち・・・・・」

なのはもそれを感じ取ったのか、そう呟く。

「自動人形・・・・・・・」

忍さんが呟く。

自動人形って・・・・・確かアニメのなのはの原作のとらいあんぐるハート3に出てきたっていうやつ?

私はとらハ3は知らないのよね。

二次小説でなら何回か見かけてるけど。

「なのはちゃん達は下がって。ノエル!ファリン!ブレード!!」

「はい」

「はいです!」

忍さんの言葉にノエルさんとファリンさんが返事をする。

すると、2人が両腕に刃物を取り付けて現れた。

「恭也・・・・・・」

「ああ」

忍さんは恭也兄さんに心配そうな声を掛ける。

恭也兄さんは2本の小太刀を抜いた。

その瞬間、

「「「「「排除する!」」」」」

相手の5人は一斉に動き出した。

相手は、恭也兄さんに3体、ノエルさんとファリンさんに1体ずつ襲い掛かる。

「くっ!」

恭也兄さんは2体の攻撃をそれぞれの小太刀で受け止めるが、

「チィ!」

もう1体の攻撃は止める事が出来ずに飛び退く。

恭也兄さんは、着地した瞬間に駆け出し、刀を一閃するが、

「何っ!?」

相手の動きは思った以上に速く、避けられる。

その隙に、後ろから斬りかかられるが、

「く!」

直ぐに反対の小太刀で受け止める。

「はああっ!」

そのまま力を加えて弾き飛ばした。

「強い・・・・・」

恭也兄さんは、小太刀を構え直してそう呟く。

「・・・・・・戦闘特化型・・・・・!」

忍さんが気付いたように口にした。

「恭也!ノエル!ファリン!気をつけて!その自動人形たちは戦闘だけに特化されたタイプ!戦闘能力だけなら、きっとイレインよりも上だよ!」

忍さんが恭也兄さん達にそう言う。

「なるほど・・・・・手を抜いていたら負けるか・・・・・・・ならば!」

その瞬間、恭也兄さんの姿が掻き消える。

これは恭也兄さんの神速!

次の瞬間、相手の1体が切り裂かれる。

切り裂かれた自動人形は崩れ落ち、切断面から機械の内部が見える。

「ロ、ロボット!?」

なのはが驚いた声を上げる。

他の1体と戦っていたノエルさんが相手に左腕を向け、

「照準固定・・・・・・距離17・・・・・・・風向き参考・・・・・・・・・・・ファイエル!!」

――ドン!!

とノエルさんの左手の拳が飛んだ。

これが噂のロケットパンチ?

その拳は、見事に敵の1人に命中、吹き飛ばす。

「ファリン!」

「了解です!お姉さま!」

ノエルさんがファリンさんに声を掛ける。

吹き飛んだ方向には、ファリンさんが居て、

――シャキン

ファリンさんが吹き飛んできた自動人形を切り裂いた。

これで残りは3体。

しかし、その3体の様子がおかしい。

「「「脅威度上昇・・・・・・戦闘レベル・・・・・最大」」」

3体がそう言うと、右手の鞭に電撃が走り始める。

「っ!?」

恭也兄さんが声を漏らす。

そして、鞭が振るわれ、恭也兄さんの左手の小太刀に鞭が巻きついた。

更に、

――バチィ!

「ぐあっ!」

小太刀に電流が流れ、恭也兄さんは小太刀を取り落とす。

そして、飛び掛ってくる2体の人形。

「くうっ!」

恭也兄さんは飛び退く。

「恭也!」

忍さんは心配そうな声を上げた。

ノエルさんとファリンさんも、一旦、恭也兄さんの傍へ来る。

「恭也様、大丈夫ですか?」

「ぐっ・・・・・」

恭也兄さんは、左手を動かそうとしているが、電撃により一時的に麻痺しているらしく、上手く動かす事が出来ない。

そして、再び3体の自動人形が動き出そうとした時、

――ドゴォ!!

ビルの最上階の壁をぶち破って、人型の何かが飛んでくる。

3体の自動人形は急遽動きを変え、回避した。

――ドォン!

その何かが地面に落ちる。

それは、今戦っている自動人形と同型の自動人形だった。

私は、飛んできたビルを見上げる。

そこからは、ユウの魔力が感じられる。

そして、ビル内から破砕音が聞こえる。

アイツ、結構暴れてるわね。

「ねえ、桜・・・・・今のって・・・・・」

フェイトが確認するように問いかけてくる。

「ええ、間違いなくユウね。好き勝手やってるわ」

私は呆れたように呟く。

ユウはアリサ達に魔法を隠す心算なんて、これっぽっちも無いらしい。

私は、なのはとフェイトに目配せする。

2人は、何も言わずに頷いた。

その時、自動人形の3体が再び襲い掛かってくる。

恭也兄さんは、電撃のダメージで、まだ上手く動けない。

ノエルさんとファリンさんが恭也兄さんの前で刃を構える。

だが、3体の自動人形は、電撃の鞭を振るった。

3本の鞭が迫る。

その瞬間、私は前に出た。

そして、右手を突き出し、ラウンドシールドを張る。

鞭は、ラウンドシールドに弾かれる。

「そんな攻撃、ユウやリニスの攻撃に比べたら、全然大した事無いわよ!」

私はそう言った。

「さ、桜?」

恭也兄さんは驚いた顔で私を見ている。

そういえば、恭也兄さんの前で、まともに魔法使った事って無かったけ。

「恭也兄さん、此処は私達に任せて」

「い、いや・・・・しかし・・・・・」

恭也兄さんは難色を示す。

そりゃ小学生の妹が戦うなんていったら止めるのが当然ね。

「大丈夫よ。なのは!フェイト!行くわよ!」

兄さんをスルーして、私は2人に声を掛ける。

「「うん!」」

2人は頷く。

「レイジングソウル!」

「レイジングハート!」

「バルディッシュ!」

「「「セッート・・・・アップ!」」」

『『『Stand by, Ready. Set up.』』』


私達はデバイスを起動させ、バリアジャケットを纏う。

「へっ?」

「ふええっ!?」

「・・・・・!?」

元から知っている恭也兄さんは別だが、忍さんやファリンさんは大層驚いている。

ノエルさんも口には出てないが、驚いた表情をしている。

「それじゃあ、さくっと終わらせるわよ!」

私の言葉が合図になり、動き出そうとした3体の自動人形を、

「「「バインド!」」」

私達はバインドで縛り上げる。

魔法に対する対処法なんてあるわけ無いから、あっさりと捕まった。

私達は砲撃を準備する。

『『Shooting mode』』

レイジングソウルとレイジングハートがシューティングモードに変形し、

「貫け轟雷!」

フェイトは雷の魔力を溜める。

そして、一斉に放つ。

「「ディバイィィィィィィィン・・・・・・・バスターーーーーーーーーーーーッ!!」」

『Thunder Smasher』

白銀、桜色、金色の魔力砲撃が放たれる。

――ドゴォオオオオオオオン!!

ド派手な音と光を放ち、跡形も無くなる自動人形。

呆然となる恭也兄さん、忍さん、ノエルさん、ファリンさん。

流石に今のは驚いたでしょうね。

私がそんな事を考えていると、

――ドォオン!

銃声が鳴り響いた。






【Side Out】





倒れていくすずか。

「すずかっ!」

叫んで支えようとするアリサ。

その時、俺は後悔していた。

夜の一族は、常人と比べて、身体能力が高い。

常人なら確実に気絶する一撃でも、夜の一族なら耐え切れるかもしれない。

俺はそれを失念していた。

銃が撃たれる瞬間、俺よりも僅かに早く気付いたすずかが、アリサを突き飛ばし、銃弾を受けたのだ。

「てめぇ!!」

俺は強めの魔力弾を男に放ち、今度こそ気絶させる。

そして、直ぐにすずかに駆け寄る。

「すずか!すずかしっかりして!」

アリサが涙を流しながらすずかに呼びかける。

「血、血が・・・・・血が止まらない・・・・・!」

アリサは少し混乱している。

「ユーノ!」

「わかってる!」

俺とユーノは急いで治癒魔法を使う。

表面の傷は、みるみる塞がっていくが・・・・・

「くそっ!駄目だ!」

俺は思わず叫んでしまった。

「内臓が傷ついている!表面の傷は直せても、このままじゃ・・・・・!」

俺は、医学関係の本を読んでいたので、すずかの今の危険さが良く分かった。

「そんな!すずかは・・・・すずかはどうなるのよ!」

アリサが涙を流しながら叫ぶ。

治癒魔法じゃ内臓まで直せない。

かと言って、病院に連れて行く余裕もない。

俺は考える。

「うっ・・・・・」

すずかが意識を取り戻し、声を漏らす。

「すずかっ!」

アリサが呼びかける。

「ア、アリサちゃん・・・・・・?」

「すずか!しっかり!」

「アリサちゃん・・・・・怪我は無い?」

あろう事かすずかは、非常に危険な自分より、アリサを心配した。

「ッ・・・ええ!すずかのお陰で私は大丈夫よ!」

「そう・・・・・よかった」

アリサの答えを聞いて、すずかは力なく微笑む。

しかし、すずかの顔色は悪い。

どんどん血の気が引いていく。

「すずかぁ!」

アリサが泣きそうな声で叫ぶ。

「アリサちゃん・・・・・」

「何!すずか!?」

すずかの呟きに過敏に反応するアリサ。

「・・・・・・私達・・・・・・友達だよね・・・・・?」

その言葉に、アリサは涙を流す。

「ええっ!すずかは私の友達・・・・・・親友よ!!私だけじゃない!なのはも!桜も!フェイトも!アリシアも!皆あなたの友達よ!」

アリサはすずかの手を握りながら叫ぶ。

アリサの言葉に、すずかはニッコリと微笑む。

しかし、顔色からして、すずかも限界が近い。

ふとその時、とらハ3の忍さんが、恭也さんの血で切断した腕を結合させた事を思い出した。

「すずか!!1つ聞く!血を飲めば助からないか!?」

俺は叫ぶように問いかけた。

「ッ・・・・・・・・!」

僅かだが反応を見せる。

「沈黙は肯定と受け取るぞ!もう一度聞く!血を飲めば助かるんだな!?」

先程よりも核心を持った言葉で問いかける。

「・・・・・・・・・・」

すずかは答えない。

だが、否定はしていない。

俺は肯定と受け取った。

俺は、右腕の袖を捲くると、左腕ですずかを抱き起こす。

そして、袖を捲くった右腕をすずかの口の前に差し出した。

「俺の血を飲め!」

俺はそう言った。

「そ・・・・れは・・・・・・・」

しかし、すずかは躊躇している。

恐らく、人前で血を飲む事に抵抗があるのだろう。

友達の前なら尚更だ。

だが、このままではすずかは助からない。

「頼む!飲んでくれ!俺はお前に、生きてて欲しいんだ!」

俺はそう頼む。

「ユウ・・・・・君・・・・・・・・」

すずかは呟く。

「もう、身近な人が居なくなるのは・・・・・・・・俺の日常が崩れるのは・・・・・・・嫌なんだよ!」

これは、俺の本心。

俺は、両親の死を思い出し、涙声になってしまう。

「・・・・・・ユウ君・・・・・・・・」

すずかは俺の名を呟くと、ゆっくりと口を開き・・・・・・・

「ッ・・・・・・・」

差し出した俺の腕に噛み付いた。

噛まれた時の痛みに少し声を漏らしそうになったが、声を漏らすとすずかを不安にさせてしまうと思い、何とか声を飲み込んだ。

すずかは、コクコクと俺の血を飲んでいる。

それに伴い、噛まれた所から、徐々に力が抜けていく。

俺は少し辛くなってきたが、逆にすずかの顔色は見る見るうちに良くなってきたので、俺はもう少しの辛抱だと思い、耐える。

そして数分後、すっかり顔色の良くなったすずかが俺の血を飲む事を止め、傷を舐め始める。

すると、噛まれた時に出来た傷の痛みが徐々に引いていき、傷跡すら残らずに治ってしまった。

すずかは俺の腕から口を離すと、

「ありがとう・・・・・ユウ君。もう大丈夫。もう少しすれば、内部の傷も治るから・・・・・」

すずかは、若干顔を赤くしながら、俺に向ってそう呟いた。

「そうか・・・・・よかった」

俺は微笑んで言った。

俺はゆっくりとすずかを床に寝かせる。

「すずかっ!」

アリサがすずかに声を掛ける。

「アリサちゃん・・・・・泣かないで。私はもう大丈夫だから」

すずかは横になったままだが、さっきよりもハッキリとした物言いでアリサに言った。

「すずか・・・・本当によかった」

アリサは涙を流しながら笑顔でそう言った。

「あの・・・・アリサちゃん・・・・・・今の見て・・・・・怖くなかったの?」

すずかが、若干不安げに問いかける。

「バカチン!何で怖がらなきゃいけないのよ!ユウはすずかが危なかったから、自分の意思で血をあげた!すずかは危なかったから差し出された血を受け取った!いわゆる輸血みたいなものじゃない!何でそんな事を怖がらなきゃいけないのよ!」

アリサは、すずかの不安を吹き飛ばすように、元気よく言った。

「うん・・・・・・そうだね・・・・・何言ってるんだろ、私」

アリサの言葉にすずかも微笑む。

俺はお邪魔かと思い、2人から離れようと立ち上がろうとした。

だが、

「うっ・・・・・・」

目眩がして、再び座り込む。

「ちょっと?ユウ、大丈夫?」

俺の様子に気が付いたアリサが尋ねて来る。

「あ、ああ・・・・・ちょっと立ち眩みがしただけだ」

俺はそう言って、顔に手を当てる。

「ユウ君、無理しない方がいいよ。私、結構血を貰っちゃったから、貧血を起こしてるんだと思う」

すずかが、心配そうにそう言ってきた。

「そうか・・・・・まあ、それは仕方ないな。すずかが死ぬよりかはずっと良い」

俺は、軽く微笑みながらそう呟いた。

「えっ!?そのっ!?ユウ君!?」

何故かすずかは顔を赤くしてアタフタしている。

「ん?どうかしたのか?」

血の気が足りなくてボ~っとしていた俺は、すずかの慌てていた理由に気付かなかった。

と、その時、廊下を走る足音が聞こえる。

すると、すぐに部屋に駆け込んできた。

「大丈夫か!?」

最初に入ってきたのは恭也さんだった。

続いて、忍さん、ノエルさん、ファリンさん。

そして、なのは、桜、フェイト。

「すずか!」

「すずかお嬢様!」

「すずかちゃん!」

忍さん、ノエルさん、ファリンさんは、すぐに横になったままのすずかに駆け寄り、

「アリサちゃん!すずかちゃん!大丈夫だった!?」

「アリサ!すずか!怪我は無い!?」

「アリサっ!すずかっ!無事!?」

なのは、桜、フェイトは攫われた2人の心配をした。

俺の心配をしないのは信頼の証だろうが、今は少しだけ心配して欲しい。

今は貧血で結構キツイのだ。

すると、恭也さんが近付いてきて、

「ユウ、怪我は無いか?」

と聞いてきた。

俺は内心お礼を言いつつ、

「はい、怪我はありません。ああ、それから犯人は其処のガラクタに埋まってる奴と・・・・・・」

俺はガラクタの山を指差しながら言い、

「あと、1階に8人ほど転がってます」

「そうか。それと何があった?」

「え?」

恭也さんの言葉に、俺は声を漏らす。

「君の顔には何時もより血の気が無い。恐らくだが、すずかちゃんに血を与えた・・・・・違うか?」

恭也さんには敵いません。

「はい、その通りです。すずかが致命傷を負ったので、すずかを助ける為に・・・・・・」

俺は白状した。

「そうか・・・・」

恭也さんは軽く微笑む。

「とりあえず、話は後で聞こう。今は休むんだ」

「はい、お言葉に甘えさせてもらいます」

俺はそう言うと、貧血の為か、あっさりと意識を手放した。







「うっ・・・・・・」

俺は眩しさで、目を覚ました。

俺は身体を起こすと、周りを確認する。

見慣れない部屋のベッドの上だったが、俺が寝ていたベッドの周りには、なのは、フェイト、アリシア、アリサ、すずかが眠っており、少し離れた椅子ではユーノと桜、リニスが寝息を立てていた。

更に部屋を見渡すと、時計が目に入る。

丁度日付入りの時計だったので確認すると、今は翌日の朝だった。

すると、部屋の扉が開き、ノエルさんが入ってきた。

「あ・・・・・ノエルさん・・・・・・」

「お気づきになられたのですね利村様。昨晩、増血剤を投与いたしましたが、ご気分は如何ですか?」

そう言われて、普通に起き上がっても問題ないことに気付く。

「あ、はい。悪くありません」

俺はそう答える。

すると、ノエルさんは姿勢を正し、

「利村様、昨日は、すずかお嬢様を救って頂き、真にありがとうございます」

礼儀正しく礼をした。

「いや、其処までしてくれなくても良いですよ。俺がそうしたかったからそうしたんです」

俺はそう言うが、

「いえ、これは私自身が言いたい事なのです。重ねて御礼申し上げます」

「はあ・・・・・・」

俺は、なんだか背中がむず痒くなった。

すると、そのやり取りの声で、なのは達が目を覚ます。

「う~ん・・・・・」

「ふわぁ~・・・・」

暫く寝ぼけたような顔であったが、俺と目が合うと、

「ユウ君!」

「ユウ!」

なのは、フェイト、アリシアに次々と抱きつかれる。

「おわぁ!?」

因みに、なのは達が落ち着くまで暫くの時間が掛かった。






ここは、月村の家で、昨日、俺が気を失った後、この家に運んだそうだ。

今、俺達は居間に集められている。

そして、忍さんの口から、夜の一族について語られていた。

因みに、魔法の事は、昨晩なのはや桜、フェイト、リニスから説明したそうだ。

まあ、手間が省けて助かった。

忍さん曰く、夜の一族は人の血を力の源に、いろんな事が出来る。

西ヨーロッパで発祥して、古くから細々と続いている一族。

普通の人より、筋力や敏捷性が優れている事。

ノエルさんとファリンさんは、その夜の一族が作り出した、自動人形で、2人はその中でも人間性を求めたエーディリヒ型であること。

自動人形である証に、ロケットパンチも見せてもらった。

忍さんは、一旦説明を切る。

なのはやフェイト、アリシアは驚いた表情をしている。

アリサは、昨日の男からある程度聞いていたので、それほど驚きは無い模様。

とりあえず、此処まで聞いて俺の言いたい事は・・・・・・

「ロケットパンチ付けるなら、回転加えたほうが威力上がりますよ」

だった。

前世はそれなりにロボット好きだったのだ。

普通のロケットパンチなんて古すぎる。

「後は、回転させる代わりに、ロケットパンチの手に、ドリルとか付けても良いんじゃないですかね?」

因みに元ネタは、前者は某勇者王。

後者は、某ゲームオリジナルスーパーロボット3号機だ。

一同は、しばし唖然としていたが、

「ぷっ、あははははは!」

忍さんが笑い出し、

「いいわね!そのアイデア頂きかも!」

そんな事を言った。

俺にしてみれば、場を和ませる為の冗談だったのだが・・・・・・

忍さんは、冗談なのか?本気なのか?

「くすくす・・・・・でね、さっきの話の続きなんだけど・・・・・」

忍さんは笑いながら話を続けた。

「聞くまでも無いと思うんだけど、一族の間の約束で、『誓い』を立てるかどうか、選んで欲しいの」

忍さんはそう言う。

「『誓い』・・・・・ですか?」

なのはが首を傾げながら問いかける。

「今まで知った一族の秘密を『忘れて』過ごすか・・・・・・知ったまま、一族と共に秘密を共有して生きていくか」

忍さんのその言葉に、

「「「「「忘れたくありません!」」」」」

一同が一斉に答える。

「まあ、俺も、怖がる事でもないし、バラそうとも思わないし」

俺も遅れてそう言う。

「皆・・・・・・」

すずかが呟く。

「すずかちゃん!私達、ずっと友達だよ!」

なのはが、

「私は昨日言ったけど、すずかが親友なのには変わり無いわよ」

アリサが、

「ちょっとぐらい普通じゃないからって何よ?魔法使いの私達の方が、もっと常識はずれだと思うけど?」

桜が、

「人と少し違っても、すずかはすずかだよ」

フェイトが、

「私だって、すずかと一緒にいたいよ」

アリシアが、それぞれの言葉を口にする。

「皆・・・・・ありがとう・・・・・・」

すずかが涙ぐむ。

「うん!皆はすずかの友達で良いとして・・・・・・」

忍さんは俺の方を見る。

「ユウ君は男の子で、すずかとも同い年だから、すずかの婚約者で・・・・・」

何言ってるんですか忍さん!?

つーか、アナタも桃子さんやプレシアさんの同類ですか!?

俺は思わず声を上げようとしたが、

「「「「それは駄目!!!」」」」

なのは、フェイト、アリシア、アリサの叫びに止められた。

っていうか、なのはとフェイトとアリシアはともかく、何でアリサまで?

なのは、フェイト、アリシアも不思議に思ったのか、アリサの方を向く。

3人の視線で我に返ったのか、アリサは自分の行動に気付き、顔を赤くする。

「も、もしかして・・・・・アリサちゃん?」

「アリサも・・・・・ユウの事・・・・・・」

「好きになっちゃったの?」

なのは、フェイト、アリシアの言葉に、アリサは顔を赤くする。

おい、マジか?

俺が驚愕していると、

「あ・・・・あの・・・・・・」

すずかがオズオズと言い出す。

「わ、私は良いよ・・・・・・こ、婚約者でも・・・・・・・」

すずかは、顔を真っ赤にしながらそう言った。

「す、すずかちゃんも!?」

なのはが驚愕の声を上げる。

「まあ、なのは達がユウを好きになるのも納得だったわ・・・・・」

「ユ、ユウ君優しいし・・・・・・それに血も貰っちゃったし・・・・・・・」

アリサもすずかも、俺への好意を認める発言をする。

マジかい!?

「・・・・・・・ユウ、アンタ、一体何人の女を引っ掛ければ気が済むの?」

桜が冷ややかな視線と、棘のある言葉で俺を突いて来た。

「お、俺の所為なのか!?」

俺は思わず叫ぶ。

『いやはや、流石マスターです!』

『私達が手を貸さずとも、着実にハーレムを築きつつあります』

『『これでプレシア女史の力を借りれば、見事ハーレムエンド!』』

「お前らは黙ってろ!!!」

俺は思わずふざけた事をのたまうデバイス共をゴミ箱に叩き込んだ。

「ユウよ・・・・」

恭也さんの言葉が響く。

「お前の人柄を今更如何こういう事はしないが、なのはや桜との仲はこの俺を倒さねば認めんぞ!」

何処からとも無く二刀小太刀を抜き、俺に殺気を向ける恭也さんシスコン

話をややこしくしないでください!

「ユウ・・・・最早今更ですよ」

リニスが何か悟りきった表情してるし!

ユーノは苦笑してるだけだし!

とりあえず、味方が居ない事を悟った俺は、

「三十六計逃げるにしかず」

俺はそう呟いて逃走を開始した。

「待てっ!ユウ!」

恭也さんシスコンは追いかけてくる。

俺は身体強化を掛ける。

今の俺は、デバイスを持ってないので勝手に全力強化になるのだ。

しかし、それに付いて来る恭也さんって一体・・・・・?

恐るべきシスコンパワー。

因みに、この追いかけっこは、恭也さんの体力が尽きるまで続いたのだった。








あとがき

やりたい放題な第十五話完成です。

前回短かった分、今回長くしました。

とらハ設定も結構入れました。

まあ、オリジナルや若干強引な所もあるかもしれませんが・・・・・・

とらハ3をやった事ある人しか分からないと思いますが、この世界では、ノエルとファリンの2人がかりだった為に、イレインとの戦いでも、原作のような大きな損傷が無かったと思ってください。

にしても、後半はユーノが空気になったな・・・・・・

あと、途中でグダグダになってしまった所もいくつか。

しかし、それを差し引いても、前回よりは遥かにマシであり、リリフロの方でやった誘拐ネタよりかは、上手い事書けたと思います。

あと、とらハ板には次回ぐらいから移動しようかなと思っております。

では、次も頑張ります。





[15302] 第十六話
Name: 友◆ed8417f2 ID:11075f73
Date: 2010/04/04 09:51

第十六話 計画




5月も終わりに近付いたある日。

学校の昼休み。

屋上にて、

「・・・・・・・何でこうなってるんだ?」

俺は思わず呟く。

「ユウ君?如何したの?」

なのはが尋ねてくる。

如何したもこうしたも無い。

「ユウ?何か嫌なことでもあるの?」

フェイトが問いかけてくる。

嫌ではないが、肩身が狭い。

「それとも何か気になるの?」

続けてアリシア。

気になるといえば、周りからの男子の嫉妬の視線が無茶苦茶痛いです。

「もう!これだけの美少女に囲まれてるんだから、もっと嬉しそうな顔しなさいよ!」

アリサがそう言う。

美少女って自分でハッキリと言うか普通。

いや、大いに肯定しますけどね。

むしろ、それだけの美少女軍団に、何故俺のような碌でもない男が混じってるのかと疑問に思うのは、間違いではないと思う。

昼食の時間の現在、休み時間が始まった途端に、なのは、フェイト、アリシア、アリサ、すずか、序に桜に、一緒に昼食を食べるために、屋上まで強制連行・・・・・・・もとい、お誘いを受けて此処にいる。

そういうわけで、現在一緒に昼食を食べているが、先程も言ったように、周りの男子の嫉妬の視線が無茶苦茶痛い。

それは当然であろう。

なのは、桜、フェイト、アリシア、アリサ、すずかは、同じ学年の中でも、トップクラスの美少女たちである。

当然、男子の多くに人気があり、男子からすればアイドル的存在だ。

噂では、ファンクラブがあるとか。

その噂を聞いたとき、小学3年生でファンクラブ作る会員の将来が少し心配になった。

俺には関係ないので如何でもいいが。

まあ、そんなアイドル達に囲まれた男子が居るとすれば、嫉妬の視線を向けられるのは当然の事。

普段は空気と同化している俺だが、これだけの目立つ人物達と一緒に居ると、目立たない方が逆に目立つ。

桜はその視線に気付いているようだが、我関せずといった風だ。

桜に向けられてるものじゃないからな。

他の5人は、その視線に気付いていない。

故に、俺に気兼ねなく接してくるので、その度に嫉妬の視線が厳しくなる。

殺気と言っても良い位に。

こうして、気の休まらない休み時間は過ぎていくのだった。





放課後。

俺は、終了のチャイムが鳴ると同時に、手早く荷物を纏めて教室を飛び出した。

これ以上の殺気の視線には耐えられん。

約5名の俺を呼ぶ声が聞こえた気がしたが、気のせいにしておく。

俺は学校を出て、暫く走る。

学校からある程度はなれた所で歩きに変更した。

今日は、翠屋の手伝いは無いので、ゆっくり帰っても問題ない。

そして、ふと見ると図書館が見える。

俺は、静かな所でゆっくり過ごしたかったので、図書館に寄る事にした。

図書館に入ると、俺は適当に本を取り、テーブルの椅子に座る。

さて読もうと思ったとき、

「逃げる事なんて無いんじゃないの、ユウ?」

後ろから声がした。

俺が振り向くと、其処にはアリサを先頭に、なのは、フェイト、アリシア、すずか、桜の姿があった。

「・・・・・・・なんで此処に?」

俺は尋ねる。

「学校が終わった途端、アンタが逃げ出したから、気になったのよ」

「ユウ君の場所は、ユウ君の魔力反応を辿ってきたんだよ」

アリサとなのはが答える。

「なるほど・・・・・・まあ、逃げるように飛び出したのは、殺気混じりの嫉妬の視線に耐え切れなかっただけだし、図書館に来たのも、静かで落ち着けると思ったからだ。お前たちから逃げたわけじゃない」

「嫉妬の視線?」

フェイトが、何のことかと首を傾げる。

「分からないなら気にするな」

俺はそう言っておく。

「ともかく、図書館は公共の場だからな。静かにしてろよ」

「そのぐらい分かってるわよ」

俺の言葉に、皆は頷いた。





【Side なのは】



私達は、ユウ君に習って読書をする事にしました。

ユウ君は、難しそうな医学書。

怪我した時の応急処置に役立つそうです。

桜お姉ちゃんは、同じく難しそうな参考書。

この2人は流石大人の精神なの。

アリサちゃんは、犬の本。

すずかちゃんは猫の本。

相変わらず犬と猫が大好きな2人なの。

そして、私とフェイトちゃん、アリシアちゃんは、同じ系統の本を読んでるの。

それは・・・・・・・恋愛小説なの!

少しでもユウ君を振り向かせる為に、少しでも研究するの!

ユウ君、未だに私達の気持ちを気の迷いだと言って聞きません。

私は、こんなにユウ君の事が大好きなのに・・・・・・・・

と、そんな事を考えていると、ユウ君は本を読み終えたのか、立ち上がって本を返しに行きました。

すると、途中でふと何かに気付きました。

私はユウ君の視線を追うと、其処には車椅子に乗った女の子が少し上の方にある本を取ろうとして、必死に手を伸ばしていました。

ユウ君は、すぐにその子の方へ歩いていきます。

そして、その車椅子の女の子が手を伸ばしていた先にある本を取り、その女の子に差し出しました。

うん!やっぱりユウ君は優しいの!

その女の子は、一瞬ビックリしたような表情をしてます。

私は、いきなり本を取ってくれた見ず知らずのユウ君にビックリしているのだろうと思いました。

しかし、ユウ君は手を軽く上げて、気軽に声を掛けました。

知り合い?

すると、その女の子は、すぐに満面の笑みに変わりました。

その瞬間直感したの。

あの笑顔は、私達と同じ、ユウ君に好意を持っている笑みだと。

その時に気付きましたが、フェイトちゃんとアリシアちゃん、アリサちゃん、すずかちゃんも私と同じ事を考えているのか、食い入るようにユウ君とその車椅子の女の子を見つめていました。

桜お姉ちゃんだけは、呆気に取られたような表情をしていましたが・・・・・・・・・

すると、2人がこっちに歩いてきました。





【Side Out】




俺はある程度本を読み終え、本を返す為席を立った。

すると、とある本棚の前で、必死に手を伸ばす車椅子の少女。

俺は、そういえば前にもこんな事あったな~、と思いつつ、其処に向って歩いていく。

そして、その少女が手を伸ばしていた先にある料理本を取り、その少女に差し出した。

その少女は、一瞬呆気に取られた顔をしていた。

俺は軽く手を上げ、

「よっ!はやて」

その少女、はやてに声を掛ける。

はやては俺を認識すると、

「ああっ!ユウ君やん!」

満面の笑みでそう俺の名を呼んだ。

「久しぶり・・・・・ってほどでもないな。元気してたか?」

俺はそう尋ねる。

「うん!勿論や!」

はやては元気良くそう答える。

俺は軽く微笑む。

その瞬間、

――ゾクッ

っと、物凄い悪寒を感じた。

その悪寒に振り向くと、物凄い視線で俺を睨む、なのは、フェイト、アリシア、アリサ、すずか。

桜は呆気に取られた顔をしている。

そういえば、はやてと知り合いだって事は言ってなかったけ。

とりあえず、このままだと何かやばそうだから、みんなにはやてを紹介するか。

「はやて、ちょっと一緒に来てくれ」

「?」

はやては首を傾げたが、俺の後ろを付いて来る。

なのは達がいる机に近付くと、

「「「「「ユウ(君)!!その子誰!?」」」」」

なのは、フェイト、アリシア、アリサ、すずかに同時に問われる。

ちょっと俺は引いた。

「こ、こっちは八神 はやて。ちょっと前から図書館で顔見知りになった子だ」

俺はそう言うと、はやてに向き直り、

「はやて、この子達は、俺が居候してる家の娘さんと、その友達だ。学校のクラスメートでもあるな」

簡潔にはやてに説明する。

「そうなんや。私は八神 はやていいます。よろしゅう」

はやては、車椅子に座ったまま頭を下げる。

「え、えと、高町 なのはです」

「フェイト・テスタロッサです」

「アリシア・テスタロッサ。フェイトのお姉ちゃんだよ」

「アリサ・バニングスよ」

「月村 すずかです。はやてちゃんのことは、時々見かけてたよ」

「た、高町 桜よ。なのはの双子の姉になるわ」

自己紹介を返す6人。

「え~と、なのはちゃんに、フェイトちゃんに、アリシアちゃんに、アリサちゃんに、すずかちゃんに、桜ちゃんやな。うん、覚えたで」

はやては、1人1人の顔と名前を一致させる。

「はやて、最初に大事な事を尋ねるわ」

アリサがそう切り出す。

「あなた、ユウの事どう思ってる?」

「えっ?」

「おいっ!いきなり何を聞いてるんだ!?」

俺は思わず叫ぶ。

何だその質問は?

はやても何かほんのり頬を染めてるし。

「ユウは黙ってて!これは私達にとって大事な事よ!」

俺はアリサにぴしゃりと黙らされる。

アリサははやてに向き直り、

「ハッキリ言っておくわ。桜はどうかわかんないけど、なのはも、すずかも、フェイトもアリシアも。そして私も。皆、ユウの事が好きなの。勿論、ただの友達としてじゃなく、1人の男としてね」

アリサはとんでもない事を言う。

そうやって改めて言われると、恥ずかしいんだが・・・・・・

「いや・・・・・アリサ?俺はそんな碌な人間じゃないから・・・・・・」

「アンタは黙ってなさい!」

「はい・・・・・!」

再び黙らされる俺。

カッコ悪っ。

はやては、アリサの言葉に一瞬戸惑っていたが、すぐに真剣な顔になり、

「いきなりやなぁ、アリサちゃん。ほな、私もハッキリ言わせて貰うわ・・・・・・・」

そこではやては一呼吸置き、

「・・・・・私もユウ君の事が好きや。勿論、1人の男の子としてやで」

そうハッキリと言った。

っていうか、お前もかはやて。

何で俺なんかを好きになるんだか。

もっといい男が他にも沢山いるだろうに・・・・・・

俺はそう思っていたが、アリサははやての言葉を聞くと笑みを浮かべ、

「クスッ!あなたとは仲良くやれそうだわ。これからよろしくね、はやて」

そう言って、アリサは右手を差し出す。

「こちらこそよろしゅうな、アリサちゃん。それに皆」

はやてもそう言いながら、アリサの手を握り返した。




それから少しすると、なのは達とはやては、完全に打ち解けあっていた。

会話に華を咲かせている。

そんな中、

「はやてちゃんは、いつユウ君に会ったの?」

すずかの質問があった。

「え~っとなぁ・・・・・初めて会った時は今日みたいに本棚の手の届かない所にあった本を取ってくれたんや」

はやての言葉に皆はうんうんと頷いている。

「それで、同じ位の歳やったからちょっと話してな。その後もこの図書館でちょくちょく会うことがあったんよ」

「へぇ~、そうなんだ」

「それにユウ君は、ほんまに優しいからなぁ。人が落とした本を拾ったり、私みたいに困っとる人が居ったら助けてあげたり・・・・・」

はやてはそう言うが、

「いや、その位は当然の事だろ?」

俺はそう突っ込む。

「でも、当然の事を、当然のように出来るのは、きっと凄い事だよ」

アリシアがそう言う。

「いや、助けてるって言っても、自分の気付く範囲だし・・・・・俺って結構抜けてるから、困ってる人を見逃してる事なんて、しょっちゅうだと思うが・・・・・・」

俺は、自分が思ってる事を言った。

「それでも、気付いた事を見て見ぬ振りする奴よりよっぽど立派と思うけどね」

アリサがそう言う。

「・・・・・・・誉め殺しだな・・・・・」

俺は思わず呟く。

「それだけユウは、いい人って事だよ」

フェイトが笑顔で言う。

俺は反論する気にもならなかった。

お前ら全員フィルター掛かりすぎだろ!?

俺はそんな善人じゃないって、何回言えば分かるんだぁ!!

俺は心の中で叫んだ。

「ところで話は変わるけどな、ユウ君がなのはちゃんと桜ちゃんの家に居候してるって如何いう事なん?」

はやてが突然尋ねてくる。

その途端に、全員の雰囲気が暗くなる。

「あの・・・・・ユウ君・・・・・・・お父さんとお母さんを事故で亡くしてて・・・・・・・」

なのはが言いにくそうに答える。

「ゴ、ゴメンなぁ。まさか、ユウ君も両親がおらなんだなんて思わなかったんや」

はやてが慌てて謝ってくる。

「気にすんなよ」

俺はそう言っておく。

「はやて、ユウ“も”ってことは、はやても両親がいないって事?」

桜が核心を持って尋ねる。

まあ、桜は知ってるからな。

図星を突かれたはやては俯く。

「うん・・・・・私も両親を事故で亡くしてな・・・・・・今は、お父さんの友人の人が財産の管理をしてくれとるんや。せやけど、その人も忙しいみたいで、滅多に家には来れんのや・・・・・・だから今は独り暮らしやな」

桜はその言葉を聞くと、考える仕草をする。

そして、

「ねえ、はやてって誕生日何時?」

「誕生日?6月4日やけど・・・・・・?」

それを聞くと、桜は再び考える仕草をする。

「6月4日か・・・・・・もう目と鼻の先だし、その日は休みだから・・・・・・・」

何やらブツブツと呟き、

「うん!いい事思いついた!」

桜は皆の方を向き、

「はやての誕生日にさ、はやての家に遊びに行かない?」

「え?」

桜の言葉にはやては声を漏らす。

「ああ、それいいわね!」

アリサがすぐに同意する。

「お誕生日会だね」

すずかがそう言うと、

「丁度その日は休日だからさ、前日からお邪魔して、丸一日遊び倒すって言うのは如何?はやての今までの誕生日の分も含めて」

桜が更に提案する。

「賛成!」

アリシアが声を上げ、

「私もいい考えだと思うよ」

フェイトも同意する。

「ケーキとかなら家で用意できるしね」

なのはも頷く。

なにやら物凄い勢いで予定が組まれている。

「じゃあ・・・・・俺は・・・・・・」

「当然アンタも来るのよ!」

問答無用かよ!

全く意見聞く気も無いのか、その一言で決まってしまった。

こうなると、俺が行くのは決定事項だからな・・・・・・・

流石に男1人は勘弁だから、ユーノも巻き込むか。

俺は俺で自分の考えを巡らす。

多分桜の目的は、最初からヴォルケンリッターと面識を持つ事だとは思うけど・・・・・・

そういえば、はやて・・・・っていうか、闇の書に監視が付いてるんだっけ・・・・・・

多分アリアとロッテだろうけど。

まあ、闇の書が目的だとしても、知り合いが監視されてるっていうのはいい気分じゃないしな。

なんとかするか。

そこまで考えていると、大筋の予定が纏まったのか、皆で盛り上がっていた。




その夜。

――コンコン

と、部屋のドアがノックされる。

「どーぞ」

俺がそう言うと、ドアが開き、桜が入ってくる。

「ちょっといい?」

「ああ。はやての事だろ?」

桜の言葉に、俺はそう返す。

「うん。ヴォルケンリッターとは争いたくないし、はやても・・・・・・出来ればリインフォースも助けたいから・・・・・・」

予想通りの言葉。

俺は頭を掻く。

「う~ん・・・・・・正直に言えば、守護騎士の事を考えなければ、はやての事を助けるのは簡単なんだよな~~」

俺はそう漏らす。

これでも少しは考えていたのだ。

「ちょ!?如何いう事よ!?」

桜が驚いた顔で尋ねてくる。

「ブレイズとアイシクルの切り札を使えば、闇の書を初期化して夜天の魔導書に戻せるんだよ」

「えっ?で、でも、闇の書って主以外が無理にアクセスしようとすると、主を吸収して転生しちゃうんじゃ・・・・・・」

桜が問題点を挙げる。

「無理にアクセスしようとすれば・・・・・だろ?アクセスも何も、問答無用で初期化しちまえば問題ない」

「で、出来るの?」

桜が驚いた顔で問いかけてくる。

「出来る」

俺は断言した。

桜は俺をじっと見つめている。

「ふ~ん・・・・・後ろ向きのアンタが其処まで断言するぐらいだから、間違いないと思うけど・・・・・・・そうした場合の問題点は?」

桜が気になる事を尋ねてくる。

「このまま闇の書を初期化した場合の問題点は2つ」

俺は手を前に出し、人差し指を立てる。

「先ず一つ目。初期化するって事は、当然リインフォースの記憶も初期化される。つまり、真っ白な状態に戻る。記憶喪失と違って、記憶が戻る事も無い」

「それって・・・・・」

「ああ。つまりそれはリインフォースを一度殺す事と大差ない」

「・・・・・・・・・」

俺は続けて中指を立てる。

「2つ目。守護騎士プログラムは夜天の魔導書の初期バージョンには組み込まれていない。つまり、闇の書を初期化した時点で、守護騎士達は消える」

「ちょ!それは駄目よ!!」

桜が叫ぶ。

「ああ・・・・・だから今の状態で初期化するなんて事はしないさ」

俺の言葉に、桜はホッとした表情になる。

「まあ、A`S編の最後に出てきた暴走した防御プログラムを初期化して、もう一度リインフォースに組み込むのがベストだとは思うんだが・・・・・・」

「そっか・・・・リインフォースが消えたのは、新しい防御プログラムを生み出す可能性があったからだっけ。直した防御プログラムを組み込めば、新しい防御プログラムを生み出す必要が無い。そうすれば、リインフォースも消えなくて済む・・・・・」

「最悪、リインフォースを初期化すれば暴走の心配は無いしな。やりたくは無いけど、完全に消滅させるよりは、はやての悲しみも和らぐと思う」

「そうだね・・・・・・」

「まあ、それ以前の問題は、どうやって守護騎士達に闇の書が壊れている事を納得させるかだけどな」

「如何いう事よ?」

「あのなあ・・・・・・守護騎士達の性格を考えてみろ。闇の書が壊れてるって言って、納得すると思うか?」

「・・・・・・・思わないわね。アニメのなのはとフェイトがそれを伝えようとした時も、自分たちが闇の書の一部だから、自分たちが闇の書のことを一番良く分かってるって思い込んでるくらいだし」

桜はため息を吐く。

「自分の事は、自分が一番良く分かってないと言っても過言じゃないしな」

俺がそう呟くと、

「・・・・・・・アンタ、その言葉を自分自身に聞かせてやりなさい」

桜は呆れた顔で俺に向ってそう言う。

「どういう事だよ?」

訳のわからなかった俺は、聞き返す。

「分からないならいいわ。ともかく、守護騎士達をどうやって納得させるかだけど・・・・・・・・」

桜が話を戻す。

「まあ、どっちにしろ蒐集は必要だから、無理に納得してもらう必要は無いけどな。はやてと一緒に事情説明をして、管理局に見つからないように蒐集する事だけ気をつけてもらえれば、罪に問われる事もないだろうし。6月から蒐集を始めれば、12月までには隠れながらでも間に合うだろうし・・・・」

「蒐集って言えば、アンタが蒐集された方が手っ取り早いんじゃない。完成間近まで魔力を蒐集させて、アンタの魔力が回復した時点で闇の書を完成させるって言うのは?」

「それは俺がゴメンだ。俺はガイアフォースやコキュートスブレスを乱射してくる奴なんか相手にしたくねえぞ」

俺はその事を想像してゾッとする。

「あはは・・・・・・それは私もゴメンね」

桜はその事を失念していたのか苦笑する。

「ともかく、何とか守護騎士達に協力体制を取り付けないとね。そのためにはやての家に泊まりこむ計画を立てたんだし」

桜はそう言う。

「やっぱりか」

「もしもの時は、守護騎士と『なのは的お話し合い』はよろしくね」

桜が笑みを浮かべて俺に言ってくる。

「『なのは的お話し合い』はともかく、人任せかよ!」

「当たり前でしょ。私達じゃ守護騎士には敵わないだろうし。カートリッジシステムも付いてない私達のデバイスじゃ尚更ね」

桜の言葉を聞き、そういえば管理局に協力しないから、このままじゃデバイスのバージョンアップが出来ないという事に気付く。

まあ、そっちは後々何とかしよう。

「まあ、そっちはもしそうなったらな」

「頼りにしてるわよ」

俺の言葉にそう返す桜。

とりあえず、これからまた忙しくなりそうだと思う俺だった。





あとがき

第十六話完成。

とりあえず、これからの計画を話し合うの回でした。

A`S編は、完璧原作ブレイクです。

続けられるかなぁ?

っていうか、早くも20万PV突破してるし。

皆様、本当にありがとうございます。

ともかく次も頑張ります。





[15302] 第十七話
Name: 友◆ed8417f2 ID:11075f73
Date: 2010/04/18 07:24

第十七話 キャットファイト!




6月3日。

学校が終わった俺達は、はやての家の前に居た。

勿論一度帰って、色々準備はしている。

今、この場にいるメンバーは、俺、なのは、桜、フェイト、アリシア、アリサ、すずか、ユーノ、猫形態のリニスといつの間にか子犬モードを習得したアルフである。

はやての家の前に来ると、

(ユウ、この家は、やはり監視されてるようです)

リニスが念話で報告してくる。

ここはアニメの通りか・・・・・

(じゃあリニス、予定通り頼めるか?)

俺がリニスにそう言うと、

(はい、任せてください!)

リニスはそう返事を返すと、俺の腕から飛び降りて、監視者の元へと向う。

「あれ?リニスさん、如何したの?」

すずかが尋ねてくる。

因みにアリサもすずかも、リニスが俺の使い魔で、猫形態と人間形態になれることを知っている。

「ん?縄張り争い」

「縄張り争いって・・・・・リニスさん普通の猫じゃないんだし・・・・」

アリサがそう言うが、

「リニスって、あれでも結構猫っぽいところがあるんだぞ。冬にコタツで丸くなったりとか・・・・・・」

俺は、リニスの目的を悟られないように、冗談半分で問いに答える。

「まあ、心配する事はないさ。少しすれば戻ってくるよ」

俺はそう言って、はやての家に向き直り、呼び鈴を押した。

少しすると玄関が開き、

「皆、いらっしゃい!」

はやてが満面の笑みで出迎えた。

「「「「「「おじゃまします」」」」」」

俺達は、はやての家に入った。





【Side リニス】



私は、あらかじめ聞いていたユウの話を元に、監視をしているであろう双子の使い魔を探す。

探知魔法を使い、監視の元を探る。

そして、反応があった。

場所は、はやての家から少し離れたビルの屋上。

私は気配を消しつつ、そのビルの屋上へ向った。




そのビルの屋上では、やはり猫の双子の使い魔がいた。

私はその2匹の後ろに人間形態となって降り立つ。

着地した時の音で私に気づいたのか、

「誰だ!?」

その2匹は慌てて振り返った。

私はその2匹に問いかける。

「あなたたちは、何故あの子を監視しているのですか?」

しかし、

「ふん!誰だか知らないけど、教える理由が無いね!」

片方の使い魔がそう言う。

「そうはいきません。私のマスターは、特に何もしていない知人が理不尽に監視されているという状況が気に入らないので」

「なら、あなたのマスターに伝えて。あの子には関わらない方が身の為よ。魔導師であるなら尚更ね」

もう1匹の使い魔のほうがそう言ってくる。

こちらは、もう1匹に比べると冷静な性格のようですね。

「その理由は、『闇の書』ですか?」

「「ッ!?」」

私がそう言った瞬間、2匹の雰囲気が一変する。

「アンタ、何で闇の書のことを・・・・!?」

「いえ、そんな事は如何でもいいわ。闇の書の事を知っているのなら、あの子から手を引きなさい!」

2匹は焦ったように言ってくる。

「それは無理ですね。私のマスターは、知人を見捨てられるほど冷酷な人ではないので・・・・・」

私がそう言うと、2匹は人間形態に姿を変える。

「最後の警告よ!あの子から手を引きなさい!それがこの世界の為よ!」

私はその言葉を聞くと、クスリと笑みを零した。

「何が可笑しい!?」

もう1匹が叫んでくる。

「そんな風に脅しても無駄ですよ。私のマスターは、世界より身近な人の方が大切ですから」

「「なっ!?」」

私の言葉に驚愕する2人。

「故に、あなた達のやっている事を見逃すわけには行きません。あなた達がこのまま去るというのであれば、何もしません・・・・・・・・が、しかし、このまま監視を続けるというのであれば・・・・・・・」

私はそう言いながら、右手に魔力を込めつつ威嚇する。

「少々不本意ですが、無理にでもお引取り願いましょう」

私の言葉に、

「ふざけるなっ!」

「あなたなんかに父様の計画を邪魔されるわけにはいかないわ!」

2人は身構え、臨戦態勢に入る。

私は一度ため息を吐き、

「仕方ありませんね・・・・・・では、始めましょうか!」

私はそう宣言すると共に、結界を展開。

人目を防ぐと共に、2人に逃げられないようにする。

「はぁああああああああっ!」

血の気が多いと思われる方が、殴りかかってくる。

私はそれを左手で受け止めるが、

「ッ!?」

思った以上の威力に、声を漏らす。

だが、僅かに痺れた程度なので問題ない。

「せいっ!!」

そのまま回し蹴りを放ってきたので、私は飛び退いてそれを避ける。

着地と同時に、私は複数の魔力弾を作り出し、

「フォトンランサー・・・・・・ファイア!」

2人に向けて放った。

しかし、冷静な方の使い魔が前に出て障壁を張り、私のフォトンランサーを容易く防いだ。

「はん!その程度の攻撃でアリアの障壁が破れるもんか!」

そう叫んだのは、防いだ方の使い魔ではなく、もう1人の方だった。

「おりゃぁああああああっ!」

その使い魔が再び突っ込んでくる。

私は、身体能力を強化し、迎え撃つ。

「ふっ!」

――バチィ!

魔力が篭った拳と拳がぶつかり合う。

「チィ!」

私の攻撃は、相手の攻撃に打ち勝ち、相手は飛び退く。

その時、

「ッ!」

もう一匹の使い魔が放ったバインドが、私を拘束しようと迫ってくる。

「くっ!」

私は何とか空中に退避する。

だが、

「甘い!」

その動きを見越して先回りしていた先程の使い魔。

「はぁあああっ!」

「くうっ!」

何とか防御したが、その使い魔に叩き落される。

私はビルの屋上に叩きつけられる。

だが、身体強化のお陰で大したダメージではない。

私は立ち上がり、

「中々やりますね・・・・・ならば、貫け轟雷!」

私は砲撃魔法を使う。

「サンダー・・・・・・スマッシャーーーーーーッ!!」

雷撃砲を2人に向け放った。

私のはなった砲撃は2人を飲み込む。

2人は爆煙に包まれる。

私はその爆煙に目を凝らしていたが、

「これも防ぎきりますか・・・・・」

思わず声を漏らした。

私の視線の先には、障壁がかなり揺らぎながらも、サンダースマッシャーを防ぎきった相手の姿。

だが、其処で気付いた。

あそこには一人しかいない事に。

「ッ!?」

直感のまま私は飛び退く。

一瞬遅れて、もう1人の使い魔がその場に拳を振り下ろしてきた。

「チッ!外した!」

その使い魔は、気を取り直すとすぐに私に向って格闘戦を挑む。

「はぁあああああっ!」

次々と拳を繰り出してくる相手。

「くっ・・・・」

私は何とかその攻撃を捌く。

私は間合いを取ろうとしたが、もう1人が魔力弾を放ってきて妨害される。

再び接近してくる相手。

相手は拳を繰り出しながら、

「思ったとおり!!アンタは余り接近戦が得意じゃないね!!」

核心を持ってそう叫んだ。

それは私も分かっている。

相手と比べると、私の方が身体強化は上だが、技量では相手の方が遥かに上だ。

このまま近接戦闘を続けていれば、いつかは押し切られるだろう。

「その通りです。たったこれだけのやり取りで、私の弱点を見抜くその洞察眼は、流石は年の功といった所でしょうか」

私はポツリと呟いた。

その瞬間、相手に青筋が浮かんだ。

「何だって!?」

「いえいえ、私はこれでも5歳にも満たない若輩者ですから。年長者の方の経験は流石ですと申したのです」

私はそう言いいますが、これは相手からすれば、暗に年寄りと言われているようなものですね。

「このガキンチョがぁああああっ!!」

叫びながら突っ込んでくる。

「お、落ち着きなさいロッテ!」

もう1人が止めようとしていますが、もう遅いです。

怒り任せの一撃は、軌道が読みやすく、紙一重で避けて相手に肉薄する。

確かに私は近接戦闘が得意ではありませんが、あくまでそれは戦闘技術が低いというだけの話。

一撃の威力は劣りませんよ。

私は、体内に魔力を溜め込み、それを電撃に変換。

そして、一気に解放する。

ユウに教えてもらった零距離攻撃魔法。

「テスタメント!!」

私の身体中から電撃が放出される。

「うぁあああああああああああっ!?」

相手はその電撃をモロに受け、気を失う。

最初ユウから教えてもらった時は、実戦で使えるかどうか疑問でしたが、案外役に立つものですね。

「ロッテ!?」

もう1人が声を上げる。

私は其方に向き直り、

「集え、七つの輝き・・・・・・」

呪文を詠唱する。

「眼前の愚者を裁く光となれ・・・・・」

私の前に、7つの魔力球が生み出される。

その一発一発に込められた魔力は、サンダースマッシャーに匹敵する。

それを相手に向け、

「セブンヘブンズ!!」

一気に放った。

「なっ!?」

相手は驚愕しながらも障壁を張るが、

――ドゴォォォォォォォン

大爆発に包まれる。

その爆煙の中から、力なく落下していく相手。

私はバインドを使い、地面への激突を防いだ。

「さて、気は済みましたか?」

私はバインドで縛り上げた相手に向ってそう尋ねる。

「くっ」

その相手は、私を睨み付ける。

「1つ言っておきますが、私・・・・・いえ、私のマスターはあなた達のやろうとしている事を間違いとは思っていません」

「っ!?」

「正しいとも思ってませんがね・・・・・・・・ですが、そのやろうとしている事によって知人が犠牲になる事が、マスターは気に入らないのです。よって、私のマスターはあなた達の邪魔をします」

「そんな・・・・・自分勝手な・・・・・・・」

「ええ、自分勝手ですね。でも、それはあなた方も同じなのでは?」

「ッ!?・・・・・・・・あなた達・・・・・一体何処まで知って・・・・・・?」

「さて、何処まででしょうか?」

私は彼女に近付く。

「今日の所はこの辺りで勘弁します。ですが、次からちょっかいを出して来るならそれ相応の覚悟をしてください」

そういいながら、彼女に手を翳す。

「ああ、1つだけいい忘れてましたが、守護騎士達に蒐集はさせる心算なのでご心配なく。あなた達の方法も、蒐集は必須条件ですよね?」

私はそう言うと、電気ショックで彼女を気絶させる。

こう言っておけば、蒐集終了間際までは恐らく手を出してこないだろうとのこと。

さて、ユウの所に戻りますか。





【Side Out】




日が暮れたころにリニスが戻ってきて、結果を報告してきた。

流石にリニスにはリーゼ姉妹も敵わなかったようだが、セブンヘブンズとテスタメントを使わせるとは流石だな。

因みにこの2つの魔法は、言うまでもなく俺が教えた。

ネタに走ってるけどな。

まあ、俺の魔法もネタに全力疾走してるから別にいいだろ。

因みに現在は、晩飯を食った後、格闘ゲーム大会が開かれている。

因みにゲームはCAPC〇N VS S〇K2。

こっちの世界にもあったのかよ!?

現在の戦績は、

1位タイ なのは、アリサ。

この2人、コンボが上手い。

っていうか、オプションでゲージ無限にしてるから、超必殺技を無限に決めてくる。

一回喰らえばそのまま体力0まで持っていかれる。

前世でも友達によくやられたな・・・・・・・・

3位 俺。

俺の信条は一撃必殺。

覇王〇とロ〇クがお気に入り。

怒りゲージで一撃必殺狙います。

無限コンボは出来ない事は無いが、俺の性には合わん。

4位 すずか。

流石になのは達の友達なだけあって中々強い。

でも、無限コンボは性格的に出来ないのでこの順位。

無限コンボやってきたら、俺じゃ勝てん。

5位 はやて。

暇な時にゲームはやっていたらしい。

それでもやりこんでいた訳ではないので、この順位。

6位タイ フェイト、アリシア、ユーノ。

流石に初心者なので経験者には敵わない。

でも何故かこの順位。

最下位 桜。

桜・・・・・何故か格闘ゲームだけはさっぱりだったりする。

何故に超初心者であるフェイトやアリシアにも負ける事ができるのか不思議だ。






そんなこんなで既に深夜。

時計の針は、23時59分。

あと1分弱で日付が変わる。

それは、闇の書起動の時でもある。

まあ、今の俺達ははやてに向ってクラッカーを準備しているわけだが。

そして、いよいよ秒針が残り5秒を回る。



5。




4。




3。




2。




1。




――パパパパパパァン!!



0と同時にクラッカーが鳴り響く。

「「「「「「「「はやて(ちゃん)!誕生日おめでとう!!」」」」」」」」

俺達の声が唱和する。

はやては嬉しさに涙を流しながら、

「皆ぁ・・・・・ほんまにおおきに・・・・・」

そう礼を口にする。

その瞬間、

――ドクンッ

「「「「「「ッ!?」」」」」」

アリサとすずか、はやて以外の魔導師組がその波動に気付き、そちらに振り向く。

――ドクンッ

本棚にあった闇の書が光を放ち始め、浮かび上がる。

『Ich entferne eine Versiegelung.』

そこで、アリサ、すずか、はやても異変に気付いた。

「な、なんや!?」

はやてが思わず声を漏らす。

闇の書がはやての前に移動する。

はやては、訳が分からず怯えている。

そして、闇の書を縛っていた鎖が弾け飛び、凄い勢いでページが捲られていく。

最後のページまで捲られると、再び閉じ、

『Anfang.』

その言葉と共に、更に闇の書が輝く。

「ええっ!?・・・・・え?」

はやての胸からリンカーコアが浮かび上がり、それに呼応するかのように闇の書が魔法陣を展開。

目を開けていられないほどの眩い光を放つ。

「「「「うっ!?」」」」

「「「くっ!」」」

俺達は目を庇う。

そして、光が収まったのを確認し、目を開けた瞬間・・・・・・

全員固まった。

そう・・・・・・“全員”。

俺と桜でさえも・・・・・・・・

何故ならば・・・・・・・




「闇の書の起動を確認しました」

そう言って跪くのは、ピンクの髪のポニーテール、烈火の将シグナム。

これはアニメの知識で知っているので問題ない。




「我ら、闇の書の蒐集を行い、主を守る守護騎士にございます」

同じく跪く金髪の女性、湖の騎士シャマル。

これも問題ない。




「夜天の主の元に集いし雲」

青い犬耳と尻尾を生やした男性。

盾の守護獣ザフィーラ。

これも知ってる。




「我ら守護騎士、ヴォルケンリッター」

赤毛の少女、鉄槌の騎士ヴィータ。

アニメと多少台詞は違うが、これも問題ない。

その次が大問題だ。




「何なりとご命令を・・・・・・我が主」

黒髪の男性・・・・・・・

アニメには居なかった5人目の守護騎士がそこにいた。






あとがき

はい、結構やりたい放題やった十七話でした。

先ず最初にセラフィモンなリニス。

え?セラフィモンは負けフラグだって?

良いじゃないのセラフィモンが勝ったって。

セラフィモン、かなり重要な位置に居るにも関わらず、可哀想な役ばっかじゃないですか!!

フロンティアでは、復活後約5分で敗北、デジタマ化。(悲)

漫画のVテイマー01では、10ページと持たずに敗北。(哀)

デジアド02劇場版においては登場後約10秒で敗北ですよ!!(号泣)

まともな扱いなんてゲームのバトルエボリューション位じゃないですかぁ!!(怒)

ですので、この小説ぐらいは(セラフィモン自身ではありませんが)良い役を。

因みに、ぬこ姉妹とは協力する気ナッシングです。

さて、そして最後に出てきた5人目の守護騎士。

言っておきますと、オリキャラではありません。

予想つく方は多いと思いますが、正体は次回に。







[15302] 第十八話
Name: 友◆ed8417f2 ID:11075f73
Date: 2010/04/25 14:47
第十八話 五人目の守護騎士。そしてO☆HA☆NA☆SHI。






【Side ????】




次々と乗っ取られていくエスティア。

もはや持たないだろう。

挙げ句の果てに、アルカンシェルの制御まで奪われるとは・・・・・・・

完全に闇の書を甘く見ていた。

だが、乗組員を全員退艦させる事ができた事だけは不幸中の幸いだ。

このことは既にグレアム提督に報告した。

グレアム提督なら、選択を間違えたりはしないだろう。

・・・・・すみませんグレアム提督。

嫌な役をやらせてしまいましたね。

私は、胸ポケットから何時も持ち歩いている1枚の写真を取り出す。

そこに写るのは、愛する妻と3歳の息子。

・・・・・・すまない。

私は心の中で謝罪の言葉を呟く。

管理局員として働く事で、いつでもこうなる可能性があったことは覚悟していた。

だが、こうしていざとなると、どうしても未練が湧いてくる。

もっと妻と共に居たかった。

息子を自分の手で立派に育ててやりたかった。

「・・・・・・リンディ・・・・・・クロノ・・・・・・・」

妻と息子の名を呟く。

死は覚悟している。

だが、出来る事ならば、

「最後に・・・・・・もう一度・・・・・・・・会いたかった」

思わず口から願いが零れてしまう。

情けないなと自傷気味に笑いつつ、最期の時を待つ為に目を閉じる。

その時、

『その願い、叶えてやろう』

「ッ!?」

突如聞こえたその声に、目を開けて其方を向く。

其処には、宙に浮かぶ闇の書。

『汝も夜天の主の元に集う雲となれ。さすれば願いは叶う』

私はその言葉の意味を理解する。

それは、私に闇の書の守護騎士になれと言っている。

確かに守護騎士となれば、次の主・・・・・もしくはその次の主の時に、2人に会える可能性はある。

何故私をと思ったが、そんな事は如何でもいい。

管理局員として、そのような悪魔の誘惑を受け入れるわけにはいかない。

「私は・・・・」

断る、と、声に出そうとした。

だが、ふと手に持った写真に目がいく。

愛する妻と息子。

言葉が止まる。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

沈黙が続く。

燃え盛る炎の中、私が出した答えは・・・・・・・・・

「・・・・・・・・・・・・・・・受け入れよう」

悪魔の誘惑に乗る事だった。

その言葉を聞くと、闇の書が光を放ち、ページが捲られていく。

そして、私の身体が光に包まれ、気が遠くなっていき、

『Absorption.』

その言葉と共に意識が暗転した。




















意識が浮上していく。

闇の書の起動。

跪く私達の前には主と思わしき少女。

主の他にも何人もの少年少女がいたが、その少女が主であることは、一目見て分かった。

私の周りに居る4人の守護騎士達。

実際に会うのは初めてだが、まるで、昔から知っているかのように記憶から情報が引き出される。

「闇の書の起動を確認しました」

烈火の将シグナム。

「我ら、闇の書の蒐集を行い、主を守る守護騎士にございます」

湖の騎士シャマル。

「夜天の主の元に集いし雲」

盾の守護獣ザフィーラ。

「我ら守護騎士、ヴォルケンリッター」

鉄槌の騎士ヴィータ。

そして私は・・・・・・・

「何なりとご命令を・・・・・・我が主」

魔導の騎士・・・・・・・・クライド。






【Side Out】





俺達は、暫く固まっていた。

アニメには居なかった5人目の守護騎士。

呆然としていたが、

ガクッとはやてが崩れ落ちる。

見れば、はやては目を回していた。

どうやらアニメの通り驚きすぎて気絶したようだ。

それが切っ掛けで、再起動していく俺達。

アリサとすずかも、この前の誘拐事件で非常識には抗体が出来ていたらしく、はやてのように気絶はしていない。

「ああっ!はやてちゃん!?」

「しっかり!」

なのはとすずかが一目散にはやてを介抱する。

「あ~~~、アンタ達?アンタ達が誰かは知らないけど、アンタ達の言ってる主って言うのがはやての事だったら、とりあえずは大人しくしといてね」

桜が何とか守護騎士達に向かってそう言う。

その後、何とかその場を落ち着けた俺達は、はやてをゆっくり休める為にベッドに運んだ。










翌日。

「う・・・・・ん・・・・・・」

はやてが目を覚ました。

「あ、はやてちゃん!」

なのは達がはやての傍に寄る。

「あれ・・・・・?なのはちゃん・・・・・・?皆・・・・・・・?」

はやては、寝惚けているのか、状況を把握していないらしい。

因みに守護騎士達に話しかけても警戒されるだけで、まともに言葉も交わしていないために、名前も聞いていない。

まあ、主であるはやてが気絶してるし、最初の守護騎士達は、命令を聞くだけの存在だったらしいから、仕方ないのかも知れないが・・・・・・・

と、その時、はやてが守護騎士達に気付く。

「えっと・・・・あなた達は・・・・・・・」

はやてがそう呟くと、

(我々は、闇の書の守護騎士です)

シグナムの念話。

恐らくは、関係者以外に聞かれない為だろうが、俺には丸聞こえだ。

「えっ?」

いきなりの念話にはやてはビックリした様子。

(思念通話です。心の中で念じていただければ(別に念話で話す必要は無いぞ))

「「「「「「ッ!?」」」」」」

このままでは、話が長くなると思い、俺は念話で割り込みをかけた。

はやてと守護騎士が驚いたように俺の方を向く。

「この場に居る全員は、魔法のことを知ってるからな」

俺ははやて達にそう言った。

はやては、またビックリした表情を浮かべた。

逆に、守護騎士達には警戒心を与えたようだが・・・・・

俺は、俺、なのは、桜、フェイト、ユーノが魔導師であること。

リニスとアルフは、それぞれ俺とフェイトの使い魔であること。

アリサ、すずか、アリシアは魔導師ではないが、魔法のことを知っているという事を、簡単に説明した。

「ほえ~・・・・ユウ君たちが魔法使いさんやったなんてなぁ・・・・・・」

はやてはそう漏らす。

「ところで、いい加減向こうの紹介をしてくれるように頼んでくれないか?昨夜からずっとダンマリだから、名前すら聞けないんだよ(知ってるけど)」

俺がそう言う。

「ああ、それもそうやな。皆、自己紹介してくれへんか?」

はやてがそう言うと、守護騎士達は跪き、あっさりと自己紹介を始める。

「剣の騎士。烈火の将、シグナム」

「湖の騎士、シャマル」

「盾の守護獣、ザフィーラ」

「鉄槌の騎士、ヴィータ」

アニメでも知っている4人が自分の名を名乗り、いよいよ謎の5人目の番になる。

そして、その5人目の守護騎士が口を開いた。

「魔導の騎士、クライド」

その言葉を聞いた瞬間、俺は桜に引っ張られた。

(ちょ、ちょっと!クライドって、確かクロノのお父さんの名前じゃ・・・・!?)

桜が慌てながら小声で話してくる。

念話じゃないのは、シャマルに傍受される可能性があるからだろう。

(あ、ああ・・・・その筈だ・・・・・)

俺はなんとかそう答える。

(なら、何でクライドさんが守護騎士と一緒に出てくるのよ~~~!?)

(俺に聞くな!)

俺も結構混乱している。

まったく持って予想外だ。

「桜お姉ちゃん、ユウ君、如何したの?」

俺達の様子を不思議に思ったのか、そう尋ねてきた。

「え?あ?え~っと・・・・・・」

俺は答えに困った。

すると、

「あ、あはは・・・・・気のせいかも知れないけど、クライドさんって、何処となくクロノに似てる感じがしたから・・・・・」

桜は、それらしい理由を述べる。

その時、クライドさんが僅かに動揺した。

が、なのは達はそれに気付かず、

「・・・・・・そう言われてみれば・・・・・・確かにクロノ君に似てるかも・・・・・・」

クライドさんの顔を見ながらそう呟いた。

「クロノって?」

アリサが尋ねてきた。

見れば、すずかとはやても首を傾げている。

「クロノ・ハラオウン。ミッドチルダ出身の14歳の男子で時空管理局執務官。若干頑固な所が玉に瑕だが、相当な魔法の使い手で、少なくともなのは達以上の腕前は持ってる」

俺は簡単に説明する。

一応、アリサとすずかにも、次元世界と管理局の事は説明してあるので、何となくは分かったようだ。

はやては相変わらず良く分かっていないようだが・・・・・・

その時、

「そうか・・・・・クロノは立派になっているか」

クライドさんが呟いた。

俺達はクライドさんに顔を向ける。

「クロノを知ってるの?」

フェイトが問いかける。

クライドさんは、一呼吸置いた後、

「・・・・・・・私の生前の名はクライド・ハラオウン。クロノの父親だ」

その言葉に、なのはたちは驚愕する。

クライドさんは言葉を続ける。

「私は、死の間際に闇の書と取引をした。もう一度、家族と会うチャンスを貰う代わりに、闇の書の守護騎士となる事を・・・・・・・今回は契約を守ってくれた様で、クライドとしての人格と記憶は残っているが、おそらく今回だけだろう・・・・・次の主の元へ行くときには、それも消える」

クライドさんはそう言った。

「・・・・・・クロノやリンディさんには、連絡を取ろうと思えば取れますが・・・・・・・」

俺がそう言うと、クライドさんは首を振った。

「いや、今の私は亡霊のようなものだ。何より、今の私の立場は管理局と敵対する立場にある。人格と記憶は残っているが、闇の書の意志に逆らう事は出来ない。そのような状態で会っても、2人を苦しめるだけだ」

「そんな・・・・・!でも、2人に会うために取引したんじゃないんですか!?」

なのはが悲しそうな表情で問いかける。

「・・・・・・そうだ・・・・・・私はその場の気の迷いで闇の書と取引をした・・・・・・結果的に2人を苦しめるかもしれないという可能性を考えずに・・・・・・」

「で、でも・・・・・・!」

「やめろ、なのは」

俺はなのはを止める。

「ユウ君・・・・・」

「クライドさんの気持ちも察してやれ」

「・・・・・・・・・」

なのはは俯く。

恐らく、クライドさんは今も2人に会いたくて仕方ないのだろう。

だが、2人と敵対する可能性がある現在としては、会っても2人を苦しめるだけかもしれない。

その可能性がクライドさんを押し止めているのだろう。

「・・・・・・御免なさい、クライドさん・・・・・・」

なのはが謝ると、クライドさんは微笑み、

「良い子だな、君は」

そう呟いた。





その後、はやては守護騎士達から、闇の書の説明を受けた。

それを聞いたはやての反応は、

「そっか~、この子が闇の書ってモノなんやね」

割と軽いノリで闇の書を持ちながら呟いた。

「はい」

シグナムが頷く。

「物心付いた時には棚にあったんよ。綺麗な本やったから、大事にはしてたんやけど・・・・・・」

「覚醒の時と眠っている時に、闇の書の声を聞きませんでしたか?」

シャマルが尋ねる。

「う~ん・・・・・私、魔法使いちゃうから、漠然とやったけど・・・・・・・」

はやては一呼吸置き、

「でも、わかった事が1つある。闇の書の主として、守護騎士みんなの衣食住キッチリ面倒みなあかんいう事や。幸い住むとこあるし、料理は得意や。皆のお洋服買うて来るから、サイズ測らせてな」

はやての、メジャーを取り出しながらそう言った言葉に、守護騎士達は呆気に取られた顔をした。

クライドさんだけは、微笑んでいたが。

「あ、買い物なら付き合うよ」

アリシアが便乗する。

「私も!」

なのはも言い出し、アリサやすずかも言い出す。

最終的に、守護騎士とリニスを除いた女性陣がはやてに付いていく事になった。

俺?

女子の買い物に付き合えるわけないだろ。

しかも衣服の買い物だぞ。

無理に決まってるだろ。

元々衣服のセンスも無いし。

まあ、そんなわけでなのは達を送り出す。

はやての話では、昼までには帰ってくるとのことだ。

皆を送り出した後、俺は守護騎士達に向き直り、

「で?俺に言いたいことでもあるのか?殺気を向けられるのは良い気分じゃないぞ?」

俺はそう尋ねた。

さっきから、守護騎士達は俺に殺気を飛ばしてくるのだ。

すると、シグナムがレヴァンティンを起動させ、俺に突きつける。

「答えろ。貴様らは管理局の魔導師か?何の目的で主に近付いた?」

威圧感を感じさせながら、シグナムが問いかけてくる。

「・・・・・とりあえず、俺は管理局員じゃない。寧ろ、管理局を嫌ってる側だ。はやてに近付いた目的って言っても、はやてとは図書館で偶然出会って、そのまま顔見知りになったってだけなんだが・・・・・・」

「そんな話、信じられるか!」

ヴィータがグラーフアイゼンを起動させ、叫んだ。

まあ、そういう反応をするだろうな。

クライドさん以外は頭が固そうだし。

「まあ、信じられるわけないな。けど、アンタ達はいくら口で言っても納得してくれそうにないし、納得させる自信も俺にはないからな・・・・・・それでアンタ達の気が済むのなら相手になるぞ」

俺はデバイスを握りながら言った。

「上等だ!」

ヴィータが叫ぶ。

「ちょっと、ユウ!?」

ユーノが困惑した表情で叫ぶ。

「つー訳だ。ユーノ、転送を頼む。山奥の修行場な」

俺は、ユーノの言葉を無視してそう言った。

「・・・・・・はぁ、分かったよ」

ユーノは観念して転送魔法陣を展開する。

「場所を変えるぞ」

俺は守護騎士達に言う。

「いいだろう。主の住処を戦場にする訳にはいかんからな」

シグナムが頷いた。

そして、俺達は、はやての家から消えた。




俺達が現れたのは、海鳴市の山中。

そこでリニスに結界を張ってもらい、俺は守護騎士に向き直る。

「なら、始めるか。先に言っとくと、ユーノとリニスに手は出させないからな」

俺が呟くと、ヴィータが前に出る。

「アタシが相手だ!」

グラーフアイゼンを俺に向かって突きつける。

「・・・・・・そういえば、今のあんた等は、バリアジャケット・・・・・・・騎士甲冑が無いんだったな・・・・・・」

俺はそう言う。

「ああ。けど!お前なんかに甲冑は必要ねえ!」

しかし、ヴィータは気丈にもそう叫んだ。

「・・・・・その言葉は、これを見てから言ってくれ。ブレイズ、セットアップ」

俺はブレイズを起動させる。

その瞬間あふれ出す俺の魔力。

「「「「「なっ!?」」」」」

驚きの声を漏らす守護騎士達。

俺はバリアジャケットを纏う。

「さあ、来い!」

俺は、そう叫ぶ。

「ぐっ!舐めんなぁっ!!」

ヴィータは目の前の現実を振り払うようにグラーフアイゼンを振りかぶる。

「テートリヒ・シュラーク!!」

そのグラーフアイゼンを思いっきり振り下ろした。

それに対して俺のした行動といえば、左腕を上げることだけ。

――ガキィ!!

金属同士の衝突音が鳴り響く。

俺は、微動だにせずヴィータの一撃を受け止めた。

「なっ!?」

その事に驚愕するヴィータ。

流石にビクともしなかったのは予想外らしい。

「チィ!」

ヴィータは一旦飛び退き、鉄球のような魔力弾を4発準備する。

『Schwalbefliegen』

そして、その4つの魔力弾を、グラーフアイゼンで一気に打ち込んだ。

「くらえぇっ!!」

4つの魔力弾は、一直線に俺に飛んでくる。

これは誘導弾という事は分かっているが、あえて俺は動かなかった。

そのまま4つの魔力弾は俺に直撃する。

しかし、この程度では、ブレイズのバリアジャケットには、傷1つ付かない。

爆煙が晴れて俺の姿を確認したヴィータの表情が驚きに染まっている。

「この程度か?」

あえて俺は、挑発するような態度で問いかける。

守護騎士達に話を聞いてもらうには、全力の彼女達を圧倒する必要があると思ったからだ。

すると、ヴィータは明らかに敵意を持って俺を睨み付ける。

「舐めやがって!グラーフアイゼン!カートリッジロード!!」

『Explosion.』

ヴィータの命令で、グラーフアイゼンがカートリッジを装填する。

『Raketenform.』

そして、ラケーテンフォルムに変形。

スパイクとジェット噴射口が付いた形態になる。

ジェット噴射口から火を吹く。

そして、その勢いのままヴィータは数回回転。

「ラケーテン・・・・・・・」

そのまま勢いを殺さず俺に襲い掛かった。

「ハンマーーーーーーーッ!!」

俺は、右手のドラモンキラーを盾の様に構え、その攻撃を防御する。

受け止めた瞬間、勢い良く後ろに押されだす。

「ぶちぬけぇえええええええっ!!」

ヴィータは気合を込めて叫ぶ。

だが、俺が足を踏ん張ると、押される勢いは徐々に弱まり、やがて止まる。

「なっ!?馬鹿な!?」

「ヴィータちゃんのラケーテンハンマーをっ!?」

「受け止めただと!?」

その様子を見ていたシグナム、シャマル、ザフィーラは驚愕の声を漏らす。

ヴィータは驚愕の表情を浮かべるが、

「はぁああああああっ!!」

俺は力を込めて、勢い良くヴィータを押し返した。

「うわっ!?」

ヴィータは吹き飛ばされた勢いに耐え切れず、少し振り回される。

ヴィータはすぐに体勢を立て直すが、俺はその一瞬でヴィータの目の前にドラモンキラーを突きつけていた。

ヴィータは信じられないといった表情を浮かべている。

俺は一旦ドラモンキラーを下げ、

「これでどっちが舐めていたかハッキリしただろ?全員で掛かって来い!」

全員に向かってそう言った。

「そっちこそ舐めるなっ!」

ヴィータは叫んで再び突っ込んでこようとしたが、

「待て、ヴィータ!」

シグナムが止める。

「シグナム!でも・・・・!」

「悔しいが、奴の強さは我々の個々の強さを遥かに超えている!奴の言うとおり、全員で掛からねば勝てん!」

シグナムがそう叫ぶ。

俺はその言葉に若干驚いていた。

アニメでは、ベルカの騎士に1体1で負けは無いとか言ってたからな。

まあ、それだけ状況把握が確りしてるってことだな。

「へ~、流石烈火の将、リーダーだけあって、状況が分かっているらしいな」

あくまで俺は挑発的な態度を取り続ける。

でも、内心謝りまくりです。

舐めた口利いてすみません。

馬鹿にした態度とってすみません。

いや、もう何でもいいからすみません。

俺の言葉に、シグナムは敵意を持って俺を睨み付ける。

うぅっ、心が痛い。

「我ら騎士を侮辱した態度、その身を持って償え!!」

シグナムが叫び、レヴァンティンを構える。

「レヴァンティン!カートリッジロード!!」

『Explosion.』

カートリッジロードと共に、レヴァンティンに激しい炎が宿る。

「紫電・・・・・・一閃!!」

シグナムが斬りかかってくる。

「はぁああああっ!!」

俺はドラモンキラーで迎え撃つ。

――ガキィ!!

ドラモンキラーの刃とレヴァンティンがぶつかり合い、激しい火花を散らす。

「おらっ!!」

俺が押し切る。

「くっ!」

シグナムが飛び退くが、俺はそれを追撃する。

「はっ!」

左腕のドラモンキラーを突き出す。

「やらせん!」

だが、そのシグナムの前にザフィーラが立ち塞がり、障壁によってドラモンキラーを受け止める。

手加減したとはいえ、ドラモンキラーを防ぎきるとは流石だなと感心する。

だが、俺は右手を振りかぶり、魔力を込める。

「ドラモンキラー!!」

魔力が込められた本当の一撃を放つ。

俺の突き出したドラモンキラーは、障壁に当たると一瞬止まるが、難なく突き破る。

しかし、

「盾の守護獣を・・・・・舐めるなぁ!!」

ザフィーラは、ドラモンキラーを素手で横から挟むように受け止めた。

「ウソォ・・・・・」

その行動に、俺は思わず声を漏らす。

ザフィーラは、身体を張って俺の一撃を受け止めたのだ。

俺が一瞬呆けた瞬間。

『Blaze Cannon』

かなり強力な魔力弾が俺に直撃する。

「どわっ!?」

ダメージは無いが、俺はビックリした。

どうやら今のはクライドさんが放ったものらしい。

「うぉらぁああああああああっ!!」

続けてヴィータが真上からラケーテンハンマーで殴りかかってきた。

「うおっと!?」

俺は飛び退く。

だが、ヴィータの一撃は地面に叩き込まれ、土煙を上げる。

「くっ」

土煙によって視界が塞がれる。

その瞬間、

「縛れ!鋼の軛!!」

俺の周囲の地面から、鋼の軛が俺を串刺しにせんと突き出てくる。

「ちぃ!!」

俺は右腕に魔力を込め、かなり強く地面にドラモンキラーを打ち込んだ。

――ドゴォォォォォォォン

俺の一撃は、地面ごと鋼の軛を吹き飛ばし、半径5mほどのクレーターを作った。

それと同時に土煙も吹き飛んだため、俺は周りを確認する。

その時、視界の片隅に、旅の鏡を発生させているシャマルの姿を捉えた。

「やべっ!アイシクル!!」

俺は瞬時にバリアジャケットをアイシクルの物に変更する。

そして、シャマルが旅の鏡に手を入れる寸前、

「うぉおおおおおおおっ!!」

俺は全力で背中のブーストを吹かし、全速でその場を離脱した。

一瞬遅れて俺がいた場所にシャマルの手が突き出される。

「ああっ!外しちゃった!」

シャマルが残念そうに声を漏らす。

俺は空中に退避した所で、

「あっぶね~・・・・・危うく蒐集される所だった・・・・」

流石に今のは油断しすぎたな・・・・・

俺は気を引き締めなおし、

「だったら、一気に終わらせる!アイシクル!全砲門展開!」

『Yes, Master. All weapons, Full open.』

バリアジャケットの装甲が展開していく。

「グレイスクロスフリーザー!!」

俺は守護騎士達に向けて無数のミサイルを放った。

守護騎士達には広域殲滅は無かった筈だから、これは防ぎきれないだろうと思っていた。

だが、その時クライドさんが前に出る。

そして、持っている杖を構え、

「シュバルツファーター、カートリッジロード!」

杖がカートリッジを装填すると、無数の魔力刃がクライドさんの周りに発生する。

これって・・・・・・

「スティンガーブレイド!エクスキューションシフト!!」

クライドさんは、その魔力刃を一斉に放った。

流石父親。

クロノと同じ魔法だ。

無数の魔力刃が、俺の放ったミサイルを撃ち落していく。

威力としてはこっちの方が上だけど、ミサイルは何かに当たったら爆発するようになってるからな。

ともかく、この位で驚いてはいられない。

直撃はしなくても、解放された冷気は空気中の水分を凍らせて、守護騎士達の視界を塞いでいる。

ならば利用しない手は無い。

俺はアイシクルのスピードを活かし、一直線にシャマルに向かって突っ込んだ。

「なっ!?」

氷の霧の中から突然突っ込んで来た俺にシャマルは反応できず、

「先ず1人」

俺は指先にカイザーネイルの魔力刃を発生させてシャマルの首筋に突きつけた。

初めにシャマルを狙った理由は、旅の鏡が厄介だからだ。

俺はすぐ振り返り、

「ブレイズ!」

再びバリアジャケットをブレイズの物に変更する。

その俺の前に立ち塞がるのはザフィーラ。

ザフィーラは障壁を張り、身構える。

確かにドラモンキラーなら受け止められる可能性があるだろう。

だが、俺はかまわずザフィーラに向かっていく。

俺は地を蹴り、水平に飛ぶ。

そして、頭上で両手のドラモンキラーを合わせ、回転を始める。

「何っ!?」

ザフィーラは驚愕の声を漏らす。

「ブレイブトルネード!!」

俺は黄金の竜巻となり、ザフィーラに突っ込んだ。

「ぐ、ぐぉおおおおおおっ!?」

俺は、ザフィーラの障壁を紙の如く打ち破り、ザフィーラに直撃しないように調節して吹き飛ばす。

俺は回転を止めて着地する。

その瞬間、かなりの魔力を感じた。

其方を振り向くと、シグナムがレヴァンティンのボーゲンフォルムを構えている。

「駆けよ!隼!」

『Sturmfalken.』

魔力光で輝く矢が放たれた。

それに対して、

「ブレイブシールド!!」

背中の装甲を両腕に装備し、前面で合わせて盾にした。

――ドゴォォォン!

直撃と同時に爆発が起こる。

更に、

「轟天爆砕!」

ヴィータがグラーフアイゼン、ギガントフォルムを振り回し、更に巨大化する。

「ギガント!シュラーーーーーク!!」

ヴィータは凄まじい大きさのハンマーを俺に向かって振り下ろした。

――ズドゴォン!!

そのハンマーの下敷きになる俺。

「はぁ・・・・・はぁ・・・・・・手こずらせやがって・・・・・」

ヴィータは肩で息をしているようだ。

「ああ、我らヴォルケンリッターの最強の攻撃を同時に受けたのだ。無事では済むまい」

シグナムもそう言っている。

いや、残念なんだけどさ。

俺はそう思いながら、自分を押しつぶしているグラーフアイゼンを持ち上げる。

「なっ!?まさか!?」

それに気付いたのか、ヴィータは驚愕の声を上げる。

ハンマーの下から、グラーフアイゼンを持ち上げる俺の姿を捉えると、シグナムも驚愕の表情になった。

「ば、馬鹿な・・・・・我らの最強の攻撃を受けて・・・・・・無傷だと!?」

シグナムはそう漏らした。

「よいしょっと・・・・」

俺は、自分の上からグラーフアイゼンを退けると、

「今のは流石に痛かったぞ。タンコブできたし」

そう言いながら頭を擦る。

とは言っても、シグナム達からすれば無傷に等しいか。

俺は気を取り直すと、

「じゃあ、そろそろ決めさせてもらうぞ!」

俺は両手の間にガイアフォースを生み出し、

「ガイアフォース!!」

残った3人の中心に向けて放った。

「くっ!」

3人はそれぞれ散開しようとしたが、

「弾けろ!!」

――ドォオオオオオオオン!

俺の合図と共に、ガイアフォースが3人の中央で破裂。

凄まじい衝撃が辺りを襲う。

「ぐあああああっ!」

「うわぁあああああっ!」

「くぅううううううっ!」

それは、バリアジャケットの無い3人に耐え切れる物では無いだろう。

3人はそれぞれ吹き飛ばされていく。

そして、それぞれが地面に激突した。

「・・・・・・・大丈夫かな?」

思ったよりも派手に地面に激突した為に、ちょっと心配になる俺。

拙いかなと思った俺は、

(ユーノ!リニス!ヴィータとクライドさんの治療を頼む!俺はシグナムの所へ行く!)

(分かった)

(了解です)

ユーノとリニスに念話を送り、返事を貰う。

俺は急いでシグナムの所へ向かうと、

「げ・・・・・」

シグナムが激突したと思われる地面はかなり抉れており、シグナムも頭から血を流し、身体中をボロボロにして気絶していた。

俺は慌てて治癒魔法を施す。

幸いにも、それほど骨折などの重傷は無い様で一安心。

俺の気持ちにも、若干の余裕が出来る。

改めてシグナムの身体を確認すると・・・・・・

「ッ!」

俺は慌てて目を逸らした。

シグナムの今の格好は、闇の書から現れたときと同じ、黒いインナーのような服装だ。

つまりはボディラインがはっきりと分かる物。

それで、シグナムはスタイルが良い。

しかも所々ボロボロ。

つまり目の毒だ。

思わず欲望に負けて其方に目を向けてしまいそうになる。

いかん!煩悩退散、煩悩退散!喝!!

俺は治癒魔法を継続しつつ必死に煩悩を振り払っていた。

そして、暫くすると、

「う・・・・く・・・・・」

シグナムが身動ぎし、意識を取り戻す。

「気が付いたか?」

俺はシグナムの顔だけを見るように注意しながら話しかける。

「くっ・・・・・貴様はッ・・・・・っう」

シグナムは勢い良く起き上がろうとしたが、身体の痛みに顔を顰める。

「無理するな。まだ治ってないんだ」

俺は口で注意しながら治癒魔法を続ける。

「どういう心算だ?」

シグナムが問いかけてくる。

「どういう心算って・・・・・怪我させちゃったから、治療してるだけだが・・・・・・」

俺はそう答える。

「何故だ?貴様は管理局の人間なのだろう?」

シグナムの言葉に、俺はため息を吐いた。

「はぁ・・・・・だから違うっての。俺は管理局が嫌いなんだ」

呆れたように言う。

「しかし・・・・」

「よく考えてみろ。管理局だったら、はやてが闇の書の主と分かった時点で確保する筈だ。はっきり言ってこんな1対5なんて危険な真似するわけないだろ?」

「むぅ・・・・・・確かに・・・・・・ならば、何故お前はこのような危険な真似をした?」

「まあ、俺は口でアンタ達を納得させる自信が無かったし、何よりアンタ達は騎士だからな。結果は如何あれ、戦った方が相手のことを理解できるだろ?」

「ふっ・・・・・確かにな。少なくともお前の刃には、やましい感情は感じられなかったからな」

シグナムが軽く微笑む。

「そういう事だ。そういえば、謝罪がまだだったな」

「謝罪?」

「ああ、お前たちに全力を出させる為とはいえ、色々と挑発的な態度を取ったからな。済まなかった」

俺は頭を下げる。

「おかしな奴だ・・・・・」

シグナムは呟く。

「自覚してるよ」

俺はそう返した。

やがて、治療が終了する。

「よし、大体治ったろ?」

「ああ、問題ない」

シグナムは起き上がる。

「・・・・・そういえば、名はなんと言った?」

シグナムが問いかけてくる。

「ユウだ。ユウ・リムルート。日本での名は利村 ユウ」

「そうか・・・・・・ユウ、お前達が管理局員で無いことは信用しよう」

「そっか、ありがとな」

俺は一応信用してくれた事に感謝した。

と、その時、

――ブチッ

と、何かが引きちぎれる音がした。

「何だ?」

俺が何の音かと周りを見渡した時、

「ん?」

シグナムが声を漏らした。

俺が、シグナムの方に顔を向けると、

「ブッ!!??」

俺は思わず吹き出した。

再度言うが、シグナムの服装は闇の書から出てきた時のままで、薄手のインナーのような物。

しかも、シグナムの服は、背中が半分開いており、前の服を支えているのは首に掛かっている細い所のみ。

そして、そこが先程の戦いで傷ついていたらしく、たった今千切れたようだ。

つまり、前の服を支える物が無くなってしまったという事。

ともすれば導き出される答えは1つ。

生で見てしまったという事だ。

「#$%&#$%&!!!???」

声にならない声を上げる俺。

「如何した?」

当のシグナムは、全く意に介してないようで、隠しもせずに俺に近付く。

それに耐え切れなくなった俺は、

「ぬがぁああああああああああああああああああっ!!!」

叫びながらその場を走り去ったのだった。









あとがき

やりたい放題の十八話完成。

とりあえず5人目の守護騎士は多くの方が予想していた通りクライドさんでした。

守護騎士になった理由は納得できますかね?

その辺りの説明がちぐはぐ&グダグダになってしまったような気が・・・・・・・

それはともかく、ヴォルケンファンの皆様御免なさい!

フルボッコとは行かないまでも、圧倒してしまいました。

けど、まともに話しても言う事聞かないと思ったので・・・・・・・

御免なさい。

最後のやり取りは、まあ、思い付きです。

ともかくこんなんで。








話は変わりますが、今更ながら恋姫無双(無印)をダウンロードショップで購入してやってみる。

普通に面白かった。

そんでもって、俺のデジモン大好き妄想頭がフル回転。

セイバーズ辺りとならクロスできるんじゃね?

と馬鹿なことを考えてみる。

まあ、やるとしても、3つある小説の1つを完結させてからですけどね。

では、次も頑張ります。



[15302] 第十九話
Name: 友◆ed8417f2 ID:11075f73
Date: 2010/05/02 21:59
第十九話 闇の書の真実




戦いを終えた俺達は、一度集まっていた。

一度話したシグナムや、元から大人なクライドさん以外の3人は、悔しそうだ。

特にヴィータの機嫌が悪い。

流石に5対1で負けるとは思ってもみなかった様だ。

「あ~~~・・・・・・っと、とりあえず気は済んだか?」

俺は気まずそうにそう尋ねる。

「・・・・・・とりあえず、お前の目的を聞かせろ」

シグナムがそう尋ねる。

因みにちゃんと服は直したようだ。

「目的っつってもね・・・・・・・ただ単にはやてとは知り合いになっただけだし。まあ、はやてが闇の書の持ち主だって言うのなら、はやてを助ける事が目的になるのか?」

俺は、一応本当のことを言う。

「主を助けるだと?どういう事だ?」

シグナムが怪訝な表情で尋ねてくる。

「これははやてを交えて話した方がいいからな。後で話すよ。もうすぐ昼だから、はやて達も戻ってくる頃だろうし」

俺はそう言って話を終わらせる。

守護騎士達は、渋々と従った。





「ただいま~~~・・・・・って、うわっ!?」

帰ってきたはやてが、ボロボロになった守護騎士達を見て、驚きの声を上げる。

「ど、どないしたん?皆ボロボロやないか?」

はやてがそう尋ねると、

「主・・・・これは・・・・その・・・・・」

シグナムが言いよどむ。

「皆が買い物に行ってる間、暇だったから、力比べの模擬戦をしてたんだよ」

「へ?」

俺の言葉に、呆気に取られた顔をするはやて。

「結果は、まあ、見ての通り」

俺がそう言うと、

「ユ、ユウ君無傷で勝ったん!?」

はやてが驚きながら尋ねてくる。

「無傷じゃねえよ。タンコブできたし」

俺は頭を擦りながらそう答える。

「「ええっ!?ユウ(君)に一撃入れたの!?」」

今度は、なのはとフェイトが驚愕の声を上げた。

「って、なのはちゃん達驚くのそっちなん!?」

はやてが2人の言葉に突っ込む。

「当然だよ!この前、私と桜お姉ちゃん、フェイトちゃん、アルフさん、ユーノ君で、ユウ君と模擬戦したんだけど、まともなダメージも与えられずにあっさりと負けたんだよ!」

なのはが、そうまくし立てる。

「うん!何をやってもユウには通用しなかったから!」

フェイトもそう言う。

「ユ、ユウ君って、そんなに凄いん!?」

2人の言葉に、はやてが驚きながら尋ねる。

「ええ、ユウは、次元世界最強の魔導師って言っても過言じゃないから」

桜がそう言った。

「マ、マジなん・・・・?」

はやてが、信じられないといった表情で問いかけてくる。

「次元世界最強かどうかは知らないけど、そんじょそこらの魔導師よりは、チートすぎる才能を持ってることは確かだな」

俺はそう答える。

世の中上には上がいるんだし、俺が絶対最強とは思えない。

寧ろ、精神的に弱いし俺。

「まあ、こういう後ろ向きな性格のお陰で、強さを鼻にかけた奴には、ならなかった訳だけど・・・・・・」

桜が補足する。

「だから、守護騎士達が負けた事は、別に恥じる事じゃない。寧ろ、一撃入れたことを誉めるべきね」

そう言った。

「ほえ~・・・・・ユウ君には驚かされてばっかりやなぁ・・・・・」

はやてがそう呟く。

「とりあえず、着替えさせたら如何だ?」

俺は、皆が持っていた買い物袋に目をやりながらそう言った。






守護騎士達の服装は、アニメの通りのものだった。

クライドさんは、黒を基調にした服装である。

あと、ザフィーラは狼形態になっていた。

全員が着替え終わると、シグナムが口を開いた。

「さて、聞かせてもらおうか。先程お前が言っていた意味を」

「え?何のことなん?」

はやてが首を傾げる。

「ああ、俺も闇の書についてはある程度知識を持ってる。その説明だ。まあ、信じる信じないはそっちに任せるが」

俺がそう言うと、桜が突っついてくる。

(ちょっと、話すつもりなの?)

そう小声で尋ねてきた。

(ああ。流石に証拠は無いけど、そうなる可能性がある程度には頭に入れて欲しいし)

俺はそう答えた。

俺ははやて達に向き直り、

「まあ、俺は遠まわしに言うのは得意じゃないからはっきり言うが、はやて」

真剣な顔ではやてを見る。

「ど、どうしたん、ユウ君?」

ちょっと戸惑った様子で聞き返す。

「このままだと、はやては助からない」

俺がそう言った瞬間、

「ちょっと!それどういう事よ!!」

アリサが叫んだ。

「聞いての通りだ。このままだと、もって今年いっぱいだろう」

俺の言葉に、言葉を失うなのは達。

「な、何言うてんのやユウ君。冗談にしては、笑えへんで」

はやてが引き攣った表情でそう言う。

「・・・・・・・・・」

俺はただ、真っ直ぐにはやての目を見る。

「・・・・・・本当・・・・・・なんやな・・・・・・・・」

はやてが声を絞り出す。

「ああ」

俺は頷く。

「原因は何だ?」

ザフィーラが問いかけてくる。

「原因は闇の書だ」

俺のその言葉で、全員の視線が闇の書に集中する。

「闇の書は、一定期間蒐集が無いと、主の魔力や資質を侵食する。はやての足が悪いのも、それが原因だろう」

その言葉に、はやては自分の足を見る。

「それならば、闇の書を完成させれば問題ないのではないか?」

シグナムがそう言うが、

「闇の書を完成させて・・・・・・・どうなった?」

「何?」

「今までの主は、闇の書を完成させてどうなったんだ?」

「それは・・・・・大いなる力を手に入れて・・・・・・・」

「その力で何をした?」

「それは・・・・・・・」

俺がそう聞くと、シグナムたちは思い出そうとしているが、言葉が出てこない。

「無差別破壊だ」

俺はそう断言した。

「何でそう断言できるの?」

シャマルが尋ねてくる。

「俺の知ってる闇の書の知識を教えてやる。闇の書・・・・・いや、本当の名は『夜天の魔導書』。本来の目的は、各地の偉大な魔導師の技術を蒐集して、研究するために作られた、主と共に旅するだけの資料本みたいなものだ。だけど、歴代の持ち主の誰かがプログラムの改変を繰り返し、その機能に障害が起こった。その代表的なものが、転生機能と無限再生。前者が旅をする機能、後者が破損したデータを自動修復する機能が暴走した結果だ。それで、一番タチが悪いのが、持ち主に対する性質の変化。さっき言った一定期間蒐集が無いと、持ち主自身の魔力や資質を侵食し始める事と、完成したら、無差別破壊の為に持ち主の魔力を際限なく使わせる事だ」

俺は、アニメでユーノが言っていた情報を話す。

「出鱈目言ってんじゃねえ!!第一、証拠はあるのかよ!!」

ヴィータが叫ぶ。

そりゃ信じられるわけはないな。

「証拠なんかあるわけ無いだろ?あくまで俺が『知ってる』ことなんだからよ。まあ、無限書庫で調べれば裏づけぐらいは出来るのかもしれないけど・・・・・・」

俺はそう言うが、

「それは無理だろう。無限書庫は、時空管理局の本局にある。管理局と関わらないで無限書庫を使うのは不可能だ」

クライドさんがそう言う。

確かに。

「・・・・・・・・主を救う方法はあるのか?」

シグナムが、そう尋ねてきた。

「シグナム!?こんな奴のいう事を信じるのかよ!?」

ヴィータがシグナムに詰め寄る。

「ユウの言っている事が正しいかどうかは別にして、嘘は言っていまい。お前も刃を交えたのなら、それは分かっているはずだ」

「・・・・・・・」

ヴィータが俯く。

「あの・・・・・」

フェイトが口を開く。

「母さんに頼んで、闇の書を直してもらう事は出来ないのかな?」

フェイトがそう言った。

「そっか!母様ならそういう事得意そうだし!」

アリシアもそう言うが、

「それは無理だ」

俺はその案を却下する。

「どうして?」

すずかが尋ねてくる。

「ふざけた事に、闇の書には、無理に外部からアクセスしようとすると、主を吸収して転生する機能が付いてるんだ」

俺はそう説明する。

「そっか・・・・・・」

フェイトは気落ちする。

「それで、手はあるのか?」

シグナムが尋ねてくる。

「手は2つ。1つは、ほぼ確実に成功する手で、はやては確実に助かる。2つ目は、成功率は全くの未知数だけど、成功すれば、皆纏めてハッピーエンド。どっちを選ぶ?」

「一つ目と二つ目は何が違うんだよ?」

ヴィータが問いかけてくる。

「一つ目の方法は、闇の書を初期化して、夜天の魔導書に戻す方法」

「ちょっと待って!たった今、闇の書の修復は不可能だって・・・・・」

シャマルがそう言ってくる。

「無理にアクセスすればな。俺がやろうとしている方法は、アクセスとかそんなことをせずに、『闇の書』そのものを問答無用で初期化する事だ」

「そ、そんなこと出来るの!?」

「ブレイズと、アイシクルの切り札なら出来る」

俺は断言した。

「闇の書を初期化して、夜天の魔導書に戻せば、はやてへの侵食は無くなり、はやては助かる」

「だったら!さっさと初期化すれば!」

ヴィータは叫ぶが、

「その場合、あんたら守護騎士は消える事になる」

俺はそう言った。

「「「「「なっ!?」」」」」

守護騎士が驚愕する。

「何でだよ!?」

ヴィータが叫ぶ。

「夜天の魔導書の初期バージョンには、守護騎士プログラムは組み込まれていない。守護騎士プログラムも歴代の主の誰かが組み込んだものだ」

「そんな・・・・・・」

ヴィータは声を漏らす。

「だが、我ら守護騎士、主のためならば消える事も「あかんて!!」ッ!?」

シグナムの言葉の途中で、はやてが叫んだ。

「消えるなんてあかん!!折角・・・・・折角家族が出来ると思っとったのに・・・・・・消えるなんて許さへん!!」

はやては涙を滲ませながら叫ぶ。

「と、あんたらの主は言ってるが?」

俺がシグナム達に尋ねると、

「・・・・・・・・・もう1つの手は?」

シグナムが問う。

「まあ、はっきり言って夢物語に近い手だが?」

「構わない、教えてくれ」

「じゃあ言うが、これは、はやての意思の強さが問題になってくる」

「私の?」

俺の言葉に、はやてが首を傾げる。

「まずは蒐集して、闇の書を完成させる」

「ちょっと待てよ!お前の話が本当なら、闇の書を完成させたら、はやては・・・・・!!」

俺の言葉の途中でヴィータが叫ぶ。

「最後まで聞け。そりゃ闇の書を完成させたらはやては闇の書に取り込まれる」

ごくりと、はやては唾を飲み込む。

「そして、そこで何とかして、夜天の魔導書の管理者権限を取り戻せ」

「へ?」

俺の、何とも無責任な言葉に、はやては声を漏らす。

「そして、管理者権限で夜天の魔導書から暴走したプログラムを分離させろ。そこで俺が暴走したプログラムを初期化して、初期化したプログラムをもう一度夜天の魔道書に組み込む。これで皆ハッピーエンド」

俺が其処まで言うと、

「ちょ、ちょっと待ってや。ユウ君簡単に言うとるけど、そんな簡単に行くん?」

「それは知らん。さっきも言ったように、成功率は未知数だ」

更なる無責任な言葉に、はやては呆気に取られる。

「ふ、ふざけんな!そんな成功する根拠の無い事をさせられるか!!」

ヴィータが怒鳴る。

「・・・・・・失敗した時は、如何するんや?」

はやてが尋ねてくる。

「失敗した時は、そのまま放って置くと、世界を1つ滅ぼしちまうからな。その時は、お前ごと闇の書を初期化する」

「私はどうなるんや?」

はやては、ほぼ確信している事を確認するように尋ねてきた。

「はやてが取り込まれた時点で、はやては闇の書の一部として認識されるだろうから、その状態で初期化すれば、はやても消える事になる・・・・・・・」

俺はそう呟く。

「つまり、死ぬって事やな」

はやての言葉に、俺は頷いた。

そして、俺は口を開く。

「もし、そうなった時は、俺も後を追うさ」

「「「「「「「えっ!?」」」」」」」

俺の言葉に、全員が驚愕する。

「はやてを殺したら・・・・・・・いや、はやてだけじゃない、シグナム達守護騎士のみんなも殺す事になったら、俺はそれに耐え切れないだろうからな・・・・・・・・俺は、仲間を自分の手で殺して平気でいられるほど強くはない」

「な、何を言っている!?我ら守護騎士は、主の僕。言わば道具だ。主の事はともかく、我らの為にそんなことをする必要は・・・・・・」

シグナムがそう言うが、

「それは、今までの主での話だろ?はやてはそんなことを望んでない筈だ」

「その通りや。私がみんなに望むのは、僕とか、道具とか、そんな関係やない。私が望むのは、家族になってもらう事や」

「そういう事だ。だから、はやてがアンタ達の主である限り、アンタ達は“ヒト”なんだ」

「「「「・・・・・・・・・」」」」

シグナム、ヴィータ、シャマル、ザフィーラは呆気にとられた顔をする。

クライドさんは微笑んでいた。

「そういう事やから、私が選ぶのは2つ目の手や」

はやてが言った。

「ユウ君にああまで言われたら、絶対に成功させるしかないやないか。あれこそホントの殺し文句やな」

落ち着いて考えてみれば、先程の発言は、結構そういう風に取れるかも・・・・・・・

「まあ、当面の行動は、管理局にばれない様に蒐集することだな。その為には、魔導師からの蒐集は避けるべきだ」

「仕方あるまいな。管理局に見つかれば蒐集し辛くなる」

「それだけじゃない。はやてほどの魔導師は、管理局にとって、喉から手が出るほど欲しいだろうから、何だかんだ言って、管理局で働かされる可能性が高い」

「なるほど」

「あと、蒐集した生物は、俺が魔力を与えて回復させる。そうすれば、管理局にも気付かれにくいだろう」

「・・・・・・・・・・・・」

ヴィータは暫く考え込んでいたが、

「とりあえず、テメーの言ってる事を全部信じたわけじゃねえ。けど、蒐集することは、あたし等の使命だ。だから、蒐集することに反対はしねえ」

ヴィータはそう言う。

「ああ。とりあえず、管理局に見つからないように蒐集してくれれば、俺からは何も言わない」

と、その時、

「私も手伝う!」

「私も!」

なのはとフェイトがそう叫ぶ。

この2人なら、当然そう言うと思った。

だから俺は、

「駄目だ」

その言葉を却下する。

「どうして!?」

なのはが叫ぶが、

「危険すぎる」

俺はそう言った。

「で、でも、ジュエルシードの暴走体よりかは!?」

「確かにジュエルシードの暴走体よりは弱い奴が多いだろう」

「だったら!?」

「けど、相手は無数にいるんだ」

俺の言葉に、2人はハッとなる。

「確かに1対1なら、お前たちが勝てない生物なんて、竜種なんかのほんの一握りぐらいだろう。けど、それだけで生き残れるほど、自然界は甘くない。一瞬の油断が、取り返しの付かない事に繋がるんだ」

「でも・・・・・」

「俺は、そんな自然界の中で、お前達を絶対に守れると断言できない。自分の身は、自分で守ってもらわなければいけない」

俺がそう言うと、なのは達は俯く。

「私もなのは達には悪いけど、ユウの意見に賛成よ。いくら資質があるといっても、あなた達はまだ9歳。戦闘も含めた、あらゆる経験が足らないわ」

桜もそう言った。

「桜お姉ちゃん・・・・・・」

なのはが呟く。

「ちょ、ちょっと、それならユウも一緒じゃ・・・・・・」

アリサがそう言うが、

「ユウの資質は、私やなのは達の資質と比べると、天と地ほどの差があるの。私達の資質でも、魔導師の中ではトップクラス。数字で言えば、普通の魔導師を10とすれば私達は100」

「へ~、なのはちゃん達って凄いんや」

はやてが感心した声を漏らすが、

「ユウは10000よ」

「い、いちまっ・・・・・」

桜の言葉に絶句する。

「い、いくらなんでも大げさよね?」

アリサは俺にそう聞いてくるが、

「いや、資質だけで考えれば、確かにそのくらいだ。経験や戦闘技術で上下するけどな」

「う、嘘・・・・・・・」

「もっと分かりやすく言えば、俺は防御に徹すれば、原爆の爆心地でも、生き残る自信はあるぞ。流石に無傷とはいかないだろうけど」

「・・・・・・・・・・」

「だから、俺にとって怖いと思える相手は、神話クラスの相手だけだな」

俺の言葉に、絶句するなのは達。

「再度言うけど、それだけの力を持っていても、絶対になのは達を守れるかといえば、Noと言わざるをえない。例えば、なのはとフェイトが別々の場所で同時にピンチに陥った場合、俺は一人しかいないから、助けられるのはどちらかだ」

俺の言葉に、俯くなのは達。

俺は追い討ちをかける様に言葉を続ける。

「そして蒐集は、他の生き物を襲って魔力を奪う、言わば通り魔みたいな事をするんだ。そんなことを、お前達にさせる訳にはいかない」

俺はそう言った。

だが・・・・・・

「それでも・・・・・それでも私達だってはやてちゃんを助けたいの!」

なのははそう言った。

「ユウが私達のことを心配してくれる事は嬉しい。でも、私達も、はやてのことが心配なんだ」

フェイトもそう言う。

俺は頑固な2人にため息が出る。

「・・・・・・・はあ、仕方ない」

俺は顔を上げると、

「だったら、力を示して貰おう」

「「えっ?」」

俺の言葉に2人は声を漏らす。

「なのは、桜、フェイト、アルフ、ユーノの5人で、守護騎士と模擬戦をしてもらう。その中で、守護騎士と互角に戦えると判断したら、蒐集に連れて行ってもいい」

なのは達は、守護騎士達を見る。

「ただし、負けた時点で、お前らの魔力を蒐集させてもらう」

俺の言葉に、驚いた顔をする桜。

「こうでもしないと、お前らは勝手について来るだろうからな」

俺は思った事を言った。

その瞬間、なのはの顔が引き攣る。

やっぱり図星か。

「そうすれば、闇の書のページも溜まるし、なのは達にも危険さが分かって一石二鳥だ」

俺は、守護騎士達に向かってそう言う。

「ま、あたし等は闇の書の蒐集が出来るなら、特に文句はねえよ」

ヴィータがそう言う。

「それじゃあ、はやては、守護騎士達のバリアジャケット・・・・・・騎士甲冑を考えてくれ」

「騎士甲冑?」

俺の言葉に、はやては首を傾げる。

「はい、我々は、武器は持っていますが、甲冑は主に賜らなければなりません」

シグナムが説明する。

「自分の魔力で作りますから、形状をイメージしてくだされば・・・・」

シャマルが補足した。

「甲冑か~・・・・・・そう言われてもな・・・・・・」

はやては、手を頭に当てて考える。

「別に鎧に拘る事はないぞ?バリアジャケットの強度は、使い手のレベルで決まるから、見栄えで防御力が変化するなんて事はないから」

俺がそう言うと、

「そうなんか?それなら、服でええか?騎士らしい服」

はやてが思いついたように言った。

「ええ、構いません」

シグナムが頷く。

「ほんなら、資料探して、カッコえぇ~の考えてあげなな」

はやては楽しそうに微笑んだ。

「それじゃあ、はやてのバリアジャケットを考える時間と、守護騎士達の回復期間を合わせて、2日後の学校が終わった後に模擬戦をするか」

俺の言葉に、

「うん!」

「わかった」

なのは達は頷き、

「そんなら、それまでに形状を考えておくわ」

はやても頷く。

こうして、守護騎士となのは達魔法少女組の模擬戦が決定した。







あとがき


ご都合主義全開な十九話の完成。

突っ込みどころ満載です。

守護騎士の態度がコロッと変わっていたり、はやてが簡単に運命受け入れてたり、ユウが管理局を嫌う理由を聞かなかったり・・・・・・

とりあえず、その全てはご都合主義ということで。

本当ならバトルまで書きたかったんだけど、中途半端に説明が長くなったので、ここで切りました。

故に、今回は、盛り上がる所がありません。

ああ・・・・・空気になるキャラが多い・・・・・・・

ともかく、次も頑張ります。







[15302] 第二十話
Name: 友◆ed8417f2 ID:11075f73
Date: 2010/05/09 07:31
第二十話 守護騎士VS魔法少女





【Side なのは】



ユウ君が、はやてちゃんが持っていた闇の書について教えてくれた。

何でも、このままだとはやてちゃんは助からないらしいの。

でも、ユウ君にははやてちゃんを助ける方法があるみたい。

それで話し合った結果、助ける前段階として、闇の書を完成させる必要があるそうです。

ユウ君やシグナムさん達が、魔力を集める時の注意について話し合っていたとき、私とフェイトちゃんも手伝いたいと言いました。

でも、ユウ君は危険すぎるという理由で、私達の申し出を却下しました。

それでも、はやてちゃんを助けたかった私達は、食い下がりました。

すると、ユウ君はある条件を出してきました。

それは、シグナムさん達と互角に戦う事。

それが出来れば一緒に行っても良いと言いました。

それから2日。

今日は、シグナムさん達との模擬戦の日です。

学校が終わった後、海鳴の山にある特訓場にきています。

クレーターや地割れが増えていましたが、2日前のユウ君とシグナムさん達の勝負の跡だそうです。

それを見て、私は気を引き締め直しました。

絶対に勝って、連れてって貰うの!

因みにこの場には、模擬戦をする私達とシグナムさん達の他に、ユウ君とリニスさん、はやてちゃんにアリサちゃんとすずかちゃん、そしてアリシアちゃんがいます。

いわゆる立会人という奴です。

そして、ユウ君たちから少し離れた平地に、私、桜お姉ちゃん、フェイトちゃん、ユーノ君、狼形態のアルフさんと、シグナムさん、ヴィータちゃん、シャマルさん、狼形態のザフィーラさん、クライドさんが向かい合っていました。

私達は、デバイスを起動させます。

「レイジングハート!」

「バルディッシュ!」

「レイジングソウル!」

「「「セーット!アップ!」」」

私達がバリアジャケットを纏うと、アルフさんは、人間形態に姿を変えて身構えます。

ユーノ君も気を引き締めました。

「それがお前達の武器か・・・・・」

シグナムさんが私達を見て呟きます。

「ならばこちらも!行くぞ!レヴァイティン!!」

『Sieg.』

シグナムさんの言葉にデバイスが応え、ペンダントの形から、一本の剣に変わりました。

シグナムさんがその剣を掴むと、シグナムさんの服装がバリアジャケットに変わりました。

「導いて!クラールヴィント!!」

『Anfang.』

シャマルさんのデバイスは、ペンダントのチェーンから外れると、そのまま指輪としてシャマルさんの指に納まります。

そして、シャマルさんもバリアジャケット姿に変わります。

「やるよ!グラーフアイゼン!!」

『Bewegung.』

ヴィータちゃんのデバイスは、ハンマーの形に変わります。

そして、それをヴィータちゃんが一振りする間に、ヴィータちゃんの姿はバリアジャケットに変わっていました。

「・・・・・・・」

ザフィーラさんは、アルフさんと同じように人型に変わり、拳を握り締めます。

「シュバルツファーター、セットアップ」

『Yes, Master.』

クライドさんのデバイスは、杖型で、バリアジャケットは黒い服に銀の装飾がなされた物です。

そして何故か、クライドさんは顔に、仮面を被っていました。






【Side Out】





守護騎士達のバリアジャケットは、4人はアニメの通り。

クライドさんは、何処かクロノを思わせる、黒い服に銀の装飾がなされた物だ。

しかも、何故か仮面を被っている。

ガンダムOOのミスターブシドーみたいな仮面。

「・・・・・はやて、クライドさんの仮面は?」

俺ははやてに尋ねる。

「ああ、あれかぁ?クライドさんに頼まれたんや」

「クライドさんに?何でまた?」

「何でも、万が一管理局に顔を見られたら、クライドさんの家族に迷惑がかかるかも、っていう理由や」

「なるほど・・・・・」

はやての言葉に俺は納得する。

クロノはクソ真面目だし、リンディさんも本質的には真面目な性格をしてるからなぁ。

クライドさんの正体を知れば、悩みまくる事間違い無しだな。

まあ、今は模擬戦の観戦に集中しよう。

「それじゃあ、開始の合図は、このコインが地面に落ちた瞬間ね」

俺は、1枚のコインを取り出して言う。

みんなは頷く。

「それじゃ・・・・・・」

俺は、コインを親指で弾く。

コインは弾かれ、回転しながら弧を描き、

――キィン

地面に落ちた瞬間、

「はぁああああっ!!」

フェイトが持ち前のスピードを活かして、先制攻撃を仕掛けた。




【Side フェイト】




『Scythe form.』

私は、バルディッシュをサイズフォームに変形させ、リーダーと思われるシグナムに斬りかかる。

けど、

――ガキィ

その一撃はあっさりと止められる。

シグナムのレヴァンティンによって。

「お前の相手は、私がしよう」

シグナムはそう言う。

「シグナム!」

「烈火の将、シグナム!いざ参る!」

シグナムは、力尽くで押し返してくる。

「くっ」

私には、それに対抗する力は無い為、無理に逆らわず、後ろへ飛び退く。

「はぁああっ!!」

でも、シグナムは追撃を仕掛けてきた。

「くぅっ!」

私は、なんとかその一撃をバルディッシュの柄で受け止める。

強い・・・・・

私はそう思った。



【Side Out】





【Side なのは】




私は、ヴィータちゃんと対峙している。

「アタシは鉄槌の騎士ヴィータ。お前、何ていうんだっけ?」

ヴィータちゃんがそう名乗ってきます。

「なのは。高町 なのは」

私は名乗り返しました。

でも、

「タカマチ ナヌ・・・・・ナノ・・・・・・」

ヴィータちゃんにとって発音が難しいのか、うまく呼んでくれません。

「ええい!!呼び難い!!」

ヴィータちゃんが叫びました。

「逆ギレ~!?」

その言葉に、私も思わず突っ込んでしまいます。

「ともあれ、勝負というからには手加減しねー。蒐集は、お子様が遊び半分でやるような事じゃねーんだよ」

ヴィータちゃんが、グラーフアイゼンを突きつけながら言ってきました。

「遊び半分じゃないもん!私は本気だよ!それに、子供って言うなら、ヴィータちゃんだって子供なの!」

私は、レイジングハートを構えながら叫ぶ。

「アタシは子供じゃねえっ!!」

ヴィータちゃんは怒って殴りかかってきました。

『Protection.』

私は障壁を張って防ぎます。

「うおおおおおおっ!」

「くぅぅ・・・・」

ヴィータちゃんの一撃は、とても重い。

「中々かてえじゃねえか」

ヴィータちゃんはそう呟きます。

「今度はこっちの番だよ!」

私はそう言って一旦下がり、魔力弾を4発発生させる。

「ディバインシューター!!」

それをヴィータちゃんに向け放ちました。

「そんなモンで!」

『Schwalbefliegen』

するとヴィータちゃんも、鉄球のような魔力弾を4発発生させ、グラーフアイゼンで打ち出しました。

ヴィータちゃんの4発の魔力弾はそれぞれを相殺します。

「あっ!」

私は驚いた声を漏らす。

「おりゃぁあああああっ!」

ヴィータちゃんが魔力弾の爆発で出来た煙の中から飛び出し、殴りかかってきました。

「きゃっ!」

それを咄嗟にレイジングハートで受け止める。

「どうした!?こんなモンか!?」

「まだだよ!」

私は、気を取り直してヴィータちゃんに向き直りました。





【Side Out】



【Side 桜】




『Divine Shooter』

『Stinger Ray』

私の放った魔力弾を、クライドさんが迎撃する。

ハッキリ言って、勝てる気がしないわ。

相手は、私達と同じミッド式。

しかも、魔法に出会って1ヶ月そこらの私とは違い、時空管理局の提督にまで登り詰めた熟練者。

序に、カートリッジシステムまで搭載している始末。

資質、経験、武器の内、資質は負けてない、というか、多分私のほうが上だろうけど、経験と武器が圧倒的に負けてるわね。

いくら精神年齢が30代半ばと言っても、戦闘に関しては、全くの素人。

なのは達よりも広い考え方はできるけど、ただそれだけ。

そんなことを考えていると、

『Stinger Snipe』

クライドさんが、高速の魔力弾を一発撃ち出す。

「あぶなっ!」

私は間一髪それを避ける。

私は一瞬ホッとするが、今クライドさんが使った魔法を思い出す。

たしか、今のは誘導弾だったはず。

「くっ!」

私は咄嗟に上昇する。

その一瞬後に、後方から魔力弾が通り過ぎた。

その魔力弾は、クライドさんの頭上で弧を描くように動き続けている。

「よく避けたね」

そう言って、クライドさんは口元に笑みを浮かべる。

「じゃあ、次は如何かな?スナイプショット!!」

クライドさんが杖を振り下ろすと、頭上で弧を描いていた魔力弾が加速して私に襲い掛かってくる。

「このっ!」

私は必死になってその魔力弾を避けた。





【Side Out】





模擬戦が始まって5分程経つが、ユーノを除いた4人は、見事に苦戦している。

なのははヴィータの猛攻の前に防戦一方。

フェイトはシグナムの技量の前に攻めあぐねており、桜に至ってはクライドさんに翻弄されている。

アルフは、ザフィーラと格闘戦を行なっているが劣勢で、

ユーノとシャマルは最早バインドの掛け合いである。

どちらもサポートタイプだから、仕方ないといえば仕方ない。

『マスターは、状況を如何見ます?』

ブレイズが質問してくる。

「そうだなぁ・・・・・・ハッキリ言って、なのはの勝率はほぼ0に等しい。フェイトや桜でも良くて勝率一割ってところか」

『やはりその位でしょうね。圧倒的に場数が違いますから』

アイシクルも同意する。

「だな。今のあいつらじゃ、守護騎士には敵わないさ」

と、そんなことを話していると、

「グラーフアイゼン!カートリッジロード!!」

『Explosion.』

ヴィータの命令で、グラーフアイゼンがカートリッジを装填する。

『Raketenform.』

そして、ラケーテンフォルムに変形。

ジェット噴射により、ヴィータがその場で数回回転。

「ラケーテン・・・・・・」

その勢いのままなのはに襲い掛かる。

『Protection.』

なのはは障壁を張るが、

「・・・・ハンマァァァァァァッ!!」

ラケーテンハンマーは障壁を砕く。

「ええっ!?」

なのはは驚愕するが、

「おりゃぁあああああああっ!!」

ヴィータはラケーテンハンマーを振り抜く。

ラケーテンハンマーは、レイジングハートに直撃し、破損させる。

レイジングハートのデバイスコアにも罅が入った。

「レイジングハート!?」

その事実がなのはにショックを与え、

「ぶっとべぇぇぇぇぇぇっ!!」

なのははヴィータに吹き飛ばされた。

「きゃぁあああああああっ!!」

なのはは地面に叩き落された。

「なのは!」

アリサが叫んで走り出した。



一方、フェイトとシグナムは、

「レヴァンティン!」

『Explosion.』

カートリッジロードと共に、レヴァンティンに激しい炎が宿る。

「紫電・・・・・・」

シグナムはそれを振りかぶる。

『Defenser』

フェイトは咄嗟に障壁を張ったが、

「・・・・・一閃!!」

シグナムの一撃の前に容易く砕かれ、レヴァンティンの刃は、バルディッシュのコア付近に直撃する。

「バルディッシュ!?」

バルディッシュのフレームもひび割れ、デバイスコアにも影響が出る。

「おおおおおおおっ!!」

シグナムは剣を振りぬいた。

「うぁあああああああっ!!」

フェイトは、悲鳴を上げながら、地面に叩き落される。

「フェイト!!」

アリシアも我慢が出来なくなり、飛び出した。




撃墜された2人に気付いた桜は、勝敗を悟っていた。

「これは負けね・・・・・・まあ、最初から分かってた事だけど・・・・・」

桜はそう言ってため息を吐く。

しかし、桜は顔を上げ、

「でも、このまま成す術無くやられるのは癪だから、せめて一矢報いてやるわよ!」

桜は、クライドさんの放った魔力弾を見て、今度は避けようとせず、レイジングソウルのシューティングモードを構えた。

「ディバイン・・・・・・バスターーーーーッ!!」

桜の放った白銀の砲撃は、クライドさんの放った魔力弾を飲み込み、そのままクライドさんに襲い掛かる。

『Blaze Cannon』

対するクライドさんも、避けられないと悟ったのか、砲撃を放った。

砲撃同士がぶつかり合い、一瞬拮抗するが、

「こんのぉおおおおおっ!!」

桜が砲撃に込める魔力を増やし、力尽くで押し始める。

徐々に押されていくクライドさんの魔力砲。

だが、

「シュバルツファーター、カートリッジロード」

クライドさんは冷静にデバイスに命令を下す。

『Load Cartridge.』

クライドさんのデバイスがカートリッジをロードした瞬間、クライドさんの砲撃魔法が一気に増幅され、あっという間に桜のディバインバスターを押し返していく。

「このっ・・・・・!」

桜も負けじと魔力を込めるが、押し返されるスピードは減衰するものの、押し切られるのは時間の問題。

だが、桜の目は何かを狙っていた。

次の瞬間、桜のディバインバスターは完全に押し切られ、桜は砲撃魔法に飲み込まれた。

・・・・・かに見えた。

『Flash move.』

クライドさんの後方に、桜が現れる。

桜は砲撃に飲み込まれる寸前に高速移動魔法で避けていたのだ。

桜は思いっきり振りかぶり、

『Flash Impact』

渾身の力を込めて振り下ろした。

――ガキィィィン!

だが、その策ですら、クライドさんは読んでいた。

シュバルツファーターで、レイジングソウルを受け止めている。

「惜しかったね・・・・・」

クライドさんは、そう呟くと魔法を発動させる。

『Break Impulse』

発動させたのはブレイクインパルス。

――バキィィィィィン!

シュバルツファーターに接触していた部分を中心に、レイジングソウルの柄が砕け散る。

デバイスコアにも罅が入った。

「レイジングソウル!?」

桜は慌ててレイジングソウルのコアをキャッチする。

だが、次の瞬間には、桜はデバイスを突きつけられていた。

桜はクライドさんの目を見た後、ため息を吐き、

「降参よ」

降参の意を示した。






3人が負けたため、アルフとユーノにも勝機は無くなり降参する。

俺は3人の元まで歩いていくと、なのはとフェイトは落ち込んでいた。

「これで分かっただろ?今のお前達じゃ、無事で済む保障はないって」

2人は弱々しく頷く。

すると、

「では3人とも、デバイスを出してください」

リニスがそう言った。

3人がリニスに顔を向ける。

「其処まで破損してしまうと、自己修復機能だけでは対処不能です。本格的に修理しないと」

リニスは理由を述べる。

その理由を聞いて、3人はひび割れたデバイスを差し出した。

リニスは3つのデバイスを受け取る。

「これはまた手酷くやられましたね・・・・・」

リニスはそう呟く。

「リニス、ちょっといいか?」

「はい?」

俺はリニスを連れて、その場から少し離れる。

「そのデバイスの修理の時にちょっと頼みたい事があるんだが・・・・・・」

俺は、自分の考えを話した。

リニスはそれを聞いて、

「それはいいですけど・・・・・・やはりユウは優しいですね」

リニスは微笑む。

「甘い、の間違いだろ?そんなことは良いから頼んだぞ」

「はい、お任せください」

リニスはハッキリと返事をする。

それから皆の方を見ると、丁度3人が蒐集されている所だった。

これがあいつらの為とはいえ、蒐集されて苦しそうな表情を浮かべる3人を見たとき、どうしても罪悪感が湧いて、胸が痛んだ。





あとがき

第二十話完成。

守護騎士達の名誉挽回でした。

でも、シャマルとザフィーラは殆ど出番無し。

どうしてもバトルが思いつかなかった。

あと、バトルシーンが結構手抜きかも。

まともにバトルしてるの桜とクライドだけ?

後は何か物足りない気が・・・・・

まあ、こんなもんで如何でしょう?

にしても、PVがもうゼロ炎に追いついてしまった。

まだ、投稿数が半分にも満てないのに・・・・・

ともかく次も頑張ります。



[15302] 第二十一話
Name: 友◆ed8417f2 ID:11075f73
Date: 2010/05/16 15:36

第二十一話 守護騎士達の思い。





【Side なのは】



シグナムさん達との模擬戦から一週間。

ユウ君は、毎日夜遅くまで蒐集に行っています。

そのせいで睡眠不足があるようで、授業中にうたた寝してます。

そんなユウ君を見ている事しか出来ないのが悔しくてたまりません。

きっと、フェイトちゃんも同じ気持ちです。

でも、魔力を蒐集されてしまったので、今の私達にはどうする事も出来ません。

そんな思いを持ったまま、今日も学校が終わりました。

ユウ君は、何時も直接はやてちゃんの家に向かってます。

因みに闇の書のことも、お父さんやお母さん達には説明済みです。

当然口止めはしてありますが・・・・・

その時に、お母さんとお父さん、お兄ちゃん、プレシアさんに説教を受けてたのは、当然だと思うの。

その日、リニスさんからデバイスの修理が終わったとの連絡があり、私と桜お姉ちゃん、フェイトちゃんはリニスさんのところにデバイスを受け取りに行きました。

「はい。とりあえず、3つとも修理は完了しました」

そう言って、リニスさんは、デバイスを差し出してきます。

「ありがとうございます」

私達は、それを受け取って、お礼を言いました。

「感謝はユウにしといてくださいね。デバイス達の修理に使った部品代は、ユウが財産から出してくれたモノですから」

そのリニスさんの言葉を聞いて、私達は驚きます。

「ユウは、本当にあなた達の事を心配してくれてるんですよ。その証拠に、今渡した3つのデバイスには、ある機能が追加されています」

「ある機能?」

リニスさんの言葉に、フェイトちゃんが首を傾げます。

「あなた達が守護騎士に負けた理由は、大きく2つあります。それが何か分かりますか?」

リニスさんは、そう質問してきます。

「え、え~っと・・・・・・」

私は、あの時は必死でそんなことは何も考えていませんでした。

でも、

「主に武器の差と、経験の差ね」

桜お姉ちゃんが、あっさりと答えました。

「正解です。守護騎士達は、長い年月を戦い続けてきた、百戦錬磨の達人達です。その経験は簡単に覆せる物ではないでしょう。そして、もう1つ、彼女達の使う魔法は、ベルカ式と呼ばれる物です」

「ベルカ式?」

「はい。私達の使う魔法は、ミッド式と呼ばれ、主に中遠距離を中心に、オールラウンダーに戦うものです。しかし、ベルカ式は、遠距離や広範囲攻撃をある程度度外視して、対人戦闘に特化した魔法です。そして、そのベルカ式の一番の特徴は、カートリッジシステムと呼ばれる機能です。儀式で圧縮した魔力を込めた弾丸をデバイスに組み込んで、瞬間的に爆発的な破壊力を得るものです」

その話を聞いて、私はヴィータちゃんのデバイスが、薬莢のようなものを排出した所を思い出しました。

その直後の攻撃で、プロテクションを破られて私は負けたの。

「もしかしてあれが・・・・・・」

私は思わず呟きます。

「そのカートリッジシステムを、あなた達のデバイスに組み込みました」

「「えっ?」」

リニスさんの言葉に、私とフェイトちゃんが驚きの声を漏らしました。

「これもユウの要請です。あなた達には、必ず必要になるものだから、だそうです」

「ユウ君・・・・・・」

ユウ君、ちゃんと私達のこと、考えてくれてるんだ。

「ですが、プレシアはカートリッジシステムを組み込むことは、最後まで渋っていましたけど・・・・・」

リニスさんはそう呟きます。

「え、どうして・・・・?」

フェイトちゃんが疑問の声を漏らしました。

「カートリッジシステムは、身体への負担が大きいのです。使い始めは平気かもしれませんが、負担が蓄積されて、数年後には大きな事故へ繋がる可能性もあるのです。あなた達のような、身体が出来ていない子供は特に」

私達は、その話を真剣に聞いています。

「ですから、今回の闇の書の件が片付いたら、しっかりと検査を受けてもらいますからね!」

リニスさんは、真剣な顔でそう言いました。

「「「はい!」」」

私達は、しっかりと頷きます。

それじゃあ、早速・・・・・

「待ちなさい」

「にゃ・・・・・?」

私が動き出そうとした所を、桜お姉ちゃんに首根っこを掴まれて止められます。

「どうせなのはの事だから、守護騎士にリベンジしに行くつもりだったんでしょ?ついでにフェイトも」

「え・・・・・」

「う・・・・・」

見事に図星でした。

「アンタ達は・・・・・」

桜お姉ちゃんは呆れたように呟きます。

「アンタ達は、さっきのリニスの話、ちゃんと聞いてた?確かに武器のハンデは無くなったのかもしれないけど、まだ経験の差があるわよ。しかも自分のデバイスの性能も確かめずに。このまま行っても、デバイスの性能に振り回されて、この前の二の舞になるのがオチよ」

桜お姉ちゃんの言葉に、私達はシュンとなります。

「・・・・・・というわけで、1ヶ月間みっちり修行するわよ!」

桜お姉ちゃんの思いがけない言葉に、私とフェイトちゃんは思わず顔を上げました。

「私だって納得してるわけじゃないのよ。みんなでユウを見返してやりましょ!」

桜お姉ちゃんの言葉に、

「「うん!」」

私とフェイトちゃんは頷いた。






【Side Out】













【Side シグナム】




蒐集を開始して、一週間ほどが経過した。

現在の闇の書のページは、約80ページ。

その内の約60ページは高町姉妹とテスタロッサのものだが・・・・・・

3人を蒐集した時は、驚いた。

未熟だが、潜在能力は高そうだ。

成長した暁には再戦したいものだ。

蒐集そのものは、今のところ特に問題は無い。

まあ、我々が蒐集する生物を1匹仕留めている間に、ユウが5匹ほど仕留めていて驚いたのは記憶に新しい。

しかし、戦う時のユウの顔は辛そうに見える。

戦う事自体が怖いのか、それとも相手を傷つける事が怖いのか・・・・・・・

アイツの心は、正直言って戦士のものではない。

最高の戦士の資質を持っていながら、戦士に向かぬ心の持ち主。

だが、そんな心の持ち主でありながら、我らが不意打ちなどで危険な目に遭うと、一目散に飛んできてその状況を打破する。

ユウは、仲間が傷つく事を嫌がって・・・・・いや、恐れていると言っていい。

ユウの過去に何かあったのだろうか?

私を負かした男だからか、何故か気になる。

機会があれば、聞いてみるか・・・・・・・・





【Side Out】










【Side ヴィータ】




アイツの第一印象は、怪しい奴だった。

はやての近くに居る魔導師。

しかも、あたし達全員を手玉に取るほどの実力。

おまけに、闇の書のことも詳しすぎる。

管理局の回し者だって、疑わない方が無理だ。

アイツの言っていた闇の書の真実を全部信じた訳じゃないけど、蒐集することに変わりなかったから、とりあえず様子見にしておく。

でも、この一週間のアイツの様子を見て、少なくとも悪い奴じゃないという事はわかった。

何よりも、はやてが信頼してるし。

でも、はやてがアイツの事を好きって聞いたときには驚いた。

アタシには良く分からない感情だけど、はやてがアイツの事を話すときには、とても嬉しそうな表情をしている。

そういえば、アイツと戦った時に吹っ飛ばされたアタシを治療してくれた奴・・・・・・

たしか、ユーノって言ってたっけ?

そいつに助けてくれた時の礼をまだ言ってなかった。

はやても、「助けてくれた相手には、ちゃんとお礼を言わなあかんよ」って言ってたしな。

でも・・・・・・なんて言うか、アイツにやられて気絶してたアタシが目を覚ました時、ユーノはいきなり「大丈夫だった?」って笑顔を向けてきた。

なんかしらねえけど、思わず顔が熱くなった。

それ以来、ユーノの顔を見るたびに何でか顔が熱くなる。

そのせいで、礼を言おうと思っても上手く言えない。

今までこんな事なかったのに・・・・・・

如何しちまったんだろ、アタシ・・・・・・





【Side Out】














【Side シャマル】




蒐集が始まって一週間。

ユウ君の発案で、管理局に気付かれないように、蒐集した生物は治療し、ユウ君が魔力を与えて直ぐに回復させるようにしている。

確かにそれなら直接蒐集の現場を見られない限り、管理局に気付かれる可能性は低いだろうけど、ヴィータちゃんは、「めんどくせー」ってグチを言いながらやってる。

私も最初はユウ君も管理局に見つからない為だけにやってると思っていた。

でも、それは違った。

私もユウ君と一緒に蒐集した生物の治療を行なってる時に気付いた。

ユウ君は、回復させた生物達に、「大丈夫か?」とか「いきなり襲ってゴメンな」と、謝りながら治療している。

そして、生物達が元気になって自然に戻っていくと、ユウ君は、それを優しく微笑みながら見送る。

本当に嬉しそうに・・・・・・・

それを見て、私は彼が本当に優しい人なのだと分かった。

ユウ君が生物達を回復させるのは、管理局に見つからない為とかそんなのじゃない。

単純に、生物達が心配だからだ。

確かに蒐集そのものでは限界以上に魔力を搾り取らなければ命に関わる事は無い。

けど、自然界は弱肉強食。

蒐集によって弱った所を外敵に襲われたら一溜まりも無い。

私は、何となく「優しいのね」と呟いたら、「単なる偽善だよ」と彼は言った。

確かに見る人が見ればユウ君のやっている事は単なる偽善なのかもしれない。

でも私は、傷つけた生物達を放っておくよりも、自分で傷つけた生物達を助けて善人振るよりも、自分の行なった罪を認めて、受け止めるユウ君の姿は、とても立派に思えた。

私は、そんなユウ君を見て、自然と微笑む。

その時心に生まれた感情に、私はまだ気付いていなかった。





【Side Out】

















【Side ザフィーラ】




蒐集を始めた我々。

だが、ユウの実力はやはり群を抜いている。

我らの将であるシグナムや、突撃隊長とも言えるヴィータも当然ベルカの騎士の中では突出した実力を持っているが、ユウの前では霞んでしまう。

戦いの技術だけで言えば、ユウはまだまだ荒削りで隙も多い。

だが、身体強化によるパワーとスピードは、その隙を埋めても有り余るほどの力を持っている。

それは全て、ユウの持つ莫大な魔力による賜物だろう。

例え、完成された闇の書の主ですら、彼に敵うかどうか・・・・・・・

正直、彼を蒐集すれば、闇の書のページが全て埋まるだろうと思う。

彼ほどの者なら、その位は気付いているだろう。

しかし、何か理由があるのか、彼はそれを言い出さない。

そうでなければ、主の命の危機とあらば、自分から蒐集してくれと言い出すだろう。

彼はそういう男だ。

まあ、何を考えているのかは分からないが、心配することは無いだろう。

主はユウを信頼している。

ならば守護獣である我が彼を信じなくて如何する。

だが、主云々は抜きにしても、彼は信用できる。

何となく、そんな気がする。





【Side Out】












【Side クライド】




私は気になっていた。

利村 ユウ。

本名は、ユウ・リムルート。

リムルート・・・・・・それは、生前の友人と同じファミリーネーム。

気になった私は、彼と2人きりになったときに尋ねた。

「ユウ君、君の父親は、レイジ・リムルートかい?」

私の質問に、

「え? ええ、そうですけど・・・・・父さんとは知り合いだったんですか?」

少し驚いた顔をしてそう聞いてきた。

「ああ。彼とは友人同士だったんだ。母親は・・・・・・」

私がそう呟くと、

「リーラって聞いたことあります?」

母親であろう名前を口にしたので、その名前を思い出す。

「リーラ・・・・・・・そういえば、リンディの友人にいたな・・・・・・そうか・・・・・彼女が母親か」

「はぁ?・・・・・・知らなかったんですか?」

ユウ君は、ちょっと呆気に取られたような表情で問いかけてくる。

「ああ。私が生きていた時には、レイジに恋人が居るという話は聞いていなかったからな」

ユウ君はそれを聞くと、

「・・・・・ってことは、クライドさんが闇の書に吸収されたのが11年前・・・・・・・・クロノは当時3歳で俺とは5歳差だから俺が生まれる2年前・・・・・・・・つーことは出会って1年程度で・・・・・・ヘタすりゃ出会って即行で結婚したってことか・・・・・・・・」

なにやらブツブツと呟いている。

「所で、レイジは元気にしてるかい?」

私は、気軽に尋ねてみる。

「・・・・・・・・・・」

その途端、ユウ君の表情が重くなった。

「すみません・・・・・両親は、もう・・・・・・・」

その言葉で悟った私は、

「すまない・・・・・軽率過ぎた・・・・・・」

頭を下げて謝罪をする。

「いえ・・・・・友人であれば、気にするのは当然ですから・・・・・」

彼はそう言って、無理に笑顔を作る。

「・・・・・今度、2人の墓前に挨拶しに行ってもいいかな?」

私はそう尋ねる。

「はい、そうしていただければ、2人もきっと喜んでくれます」

ユウ君もそれに頷いた。

・・・・・・その為にも、闇の書の問題を早く解決させなければな。

私は、その決意を胸に、気持ちを切り替えるのだった。










あとがき


結構やりたい放題な二十一話の完成。

多少短いですがすみません。

ネタが思いつかなかった。

やっぱり自分はこういうイベントとイベントの合間の話が苦手です。

盛り上がる所と盛り上がらない所の差が激しいと言いますか・・・・・・・

書いててテンションが上がりません。

バトルとかなら、結構ノリノリで書くんですけど・・・・・・・

とりあえず、ユウがシャマルフラグを立て、シグナムにも若干立てました。

ユーノもヴィータフラグを立てましたね。

如何するか迷った挙げ句、ユーノのお相手はヴィータで行こうと思います。

さて、なのは達の修行ですが・・・・・・結果は次回をお楽しみに。

では、次も頑張ります。








[15302] 第二十二話
Name: 友◆ed8417f2 ID:11075f73
Date: 2010/06/06 15:41
第二十二話 守護騎士VS魔法少女Rリベンジ





【Side 桜】





特訓を始めて一ヶ月。

自分で言うのも何だけど、私達は、かなりレベルアップしたと思う。

なのはやフェイトにも、新しい魔法を覚えさせたしね。

ユーノも、リニスとプレシアさんに専用のデバイスを作ってもらったし。

それにしても、この一ヶ月、ユウの姿を見るのは歯痒いものがあった。

その、もっとも例たる出来事が、蒐集を始めて2週間位経ったある日のこと・・・・・




学校での算数の授業の時、ユウは居眠りをしていた。

今までは、何時も眠そうにはしていたが、決して居眠りはしなかった。

でも、それは仕方ないと思う。

いくら強くて大人の精神を持っているといっても、身体はまだ8歳の子供なのだ。

夜遅くまで蒐集しているため、どうしても睡眠時間が削られる。

大人なら大丈夫だっただろうが、子供の身体では辛い。

よって、授業中に睡魔が襲ってきて、我慢できずに眠ってしまったのだろう。

問題は、授業中に眠ってしまう事が1回や2回ではなく、ほぼ毎日眠っているという事。

それには、流石の先生も我慢の限界に来たらしい。

突然黒板に数式を書き出す。

書かれた数式は、

《2x+6=12》

私はそれを見て唖然とする。

先生が書いたのは簡単とはいえ方程式。

小学生が習うものではない。

実際に多くの・・・・・・というか、私以外のクラスメートは全員首を傾げている。

そして、先生はユウに近付いていくと、教科書でポンポンとユウの頭を軽く叩き、

「利村君、起きなさい」

ユウを起こす。

「・・・・・んが?」

ユウは目を覚ますが、まだ寝惚けているようだ。

「利村君、黒板の問題をやってみなさい」

先生にそう言われ、ユウは少々ふら付きながらも立ち上がり、黒板に向かっていく。

先生からしてみれば、ここで分からない問題を出し、普段の授業の大切さを理解してもらおうという魂胆なのだろう。

そして、普段のユウならそれを理解し、ここで「わかりません」と答えるはずだった。

でも、ここで問題が出た。

ユウは現在寝惚けており、まともな思考が出来ていない。

よって、ボーっとして黒板の問題を見た後、

《x=3》

と、正解を書いてしまった。

「せ、正解です・・・・・・」

先生は呆気に取られた表情で呟く。

流石に小学3年生が中学生レベルの問題を解けるとは思ってなかったのだろう。

そして、少しした後、

「・・・・・・・あ」

正気に戻ったユウが、自分の仕出かした事に気付いたらしい。

ユウの頭に、でっかい冷や汗が見えた。






とまあ、こんな事もあり、私達の修行にも身が入る。

そして今日、いよいよリベンジを果たす時が来た。

「それじゃあ、フェイト、桜、なのは、それにユーノとアルフも頑張ってね」

アリシアがそう言う。

「ええ、アリサ、すずか、アリシア。本当にありがとう」

アリサ、すずか、アリシアは、私達が修行をしているとき、飲み物の差し入れをしてくれたり、簡単なマッサージなどをしてくれたり、私達の修行を支えてくれた。

「どういたしまして」

「アンタ達は、ユウ達に目に物見せてやりなさい!」

すずかとアリサがそう言う。

「うん!」

「本当にありがとう!」

なのはとフェイトもお礼を言う。

そして、ユーノが転送のための魔法陣を描いた。

私達は、その魔法陣に入る。

その場に光が満ち、私達は転送された。





【Side Out】







蒐集が始まってから、一ヶ月と一週間。

正直、デバイスが直った途端になのは達が再戦を申し込んでくると思ったんだけど・・・・・・

この一ヶ月、何の音沙汰も無い。

あいつらの性格から、諦めるってことはありえん。

一体何やってるんだか。

まあ、それは置いといて、今日も俺達は蒐集に来ている。

今日は砂漠の無人世界。

もしかして、アニメでやってたあの砂漠か?

と、そんなことを考えていると、

――ドォン!

と、目の前の地面が爆発したように吹き飛び、そこから巨大なワームのような生物が姿をあらわす。

アニメにも出ていたあのワームだ。

シグナムやヴィータでも苦戦したらしい相手。

そんなことを考えていると、そのワームが襲い掛かってくる。

俺達がその場を飛び退くと、ワームは俺達がいた場所に突っ込む。

「紫電・・・・・・一閃!!」

「ラケーテン・・・・・・・ハンマーーーーーッ!!」

シグナムとヴィータが攻撃を仕掛ける。

――ズシャ! ドゴン!

斬撃と打撃を喰らったワームは仰け反る。

だが、直ぐに体勢を立て直した。

「何っ!?」

「効いてねえのか!?」

シグナムとヴィータが驚愕する。

「あれだけの巨体だ。対人攻撃では効果が薄い」

クライドさんが冷静に分析してそう言った。

「それなら!」

俺は、アイシクルを起動させ、バリアジャケットを纏う。

「喰らえ!」

俺は前面の武装を展開し、ミサイルを放つ。

ミサイルはワームに直撃し、見事に凍りつかせた。

「やっぱすげぇ・・・・・・・」

ヴィータが呟く。

「ああ・・・・あれ程の巨体をあっさりと氷付けにするとは・・・・・・見事と言う他無いな・・・・・」

シグナムも感心したように呟いた。

「シャマル、蒐集を」

俺はシャマルに呼びかける。

「え?あ、はい!」

シャマルは呆けていたのか、慌てて旅の鏡を発動させ、ワームから蒐集を行なう。

「蒐集完了。これで170ページを越えたわ」

シャマルがそう言う。

170ページか。

大分遅いペースだけど、管理局にばれない様に細心の注意を払ってるから仕方ない。

まあ、もう直ぐ夏休みだから、その時にどれだけ稼げるかだな。

出来れば夏休みの間に500ページ近くまでは行っておきたい。

守護騎士達には、今年いっぱいがタイムリミットと説明したが、この世界には、アニメではいなかったクライドさんがいる。

クライドさんが居る分、はやての魔力が余分に侵食されている可能性があり、単純計算なら、タイムリミットは約1ヶ月半早まる事になる。

だから、11月中旬までに・・・・・

出来れば、余裕を見て10月中には完成させたい。

と、そんなことを考えていると、目の前に転送用の魔法陣が浮かび上がる。

其処から現れたのは、言わずもがな、なのは、桜、フェイト、アルフ、ユーノの5人。

すると、桜が口を開く。

「ユウ、私達が何しに来たかぐらい、分かってるわよね?」

「そりゃあな。俺はもっと早く来ると思ってたんだけど?」

俺はそう返す。

「そんな直ぐに行っても、返り討ちに遭うのが目に見えてたからね。けど、遅れた分、前の私達と同じと思わないほうが身の為よ」

桜は自信満々にそう言った。

「ははっ・・・・・凄い自信だな」

俺は思わず苦笑する。

「リベンジってわけか・・・・おもしれぇ!」

ヴィータがグラーフアイゼンを突きつけながら言う。

「フッ・・・・・この一ヶ月で何処まで腕を上げたか見せてもらおうか」

シグナムもやる気満々である。

「じゃあ、ルールは前と一緒って事で」

俺はそう言って、その場から下がる。

なのは達はシグナム達を見据えると、

「じゃあ、私達の新デバイスのお披露目よ!」

桜が叫んだ。

なのはがレイジングハートを掲げる。

「レイジングハート・エクセリオン!!」

フェイトがバルディッシュを掲げ、

「バルディッシュ・アサルト!!」

自分の相棒の名を叫ぶ。

この2人はアニメと同じ。

続いて桜がレイジングソウルを掲げ、

「レイジングソウル・バースト!!」

新しいレイジングソウルの名を叫ぶ。

更には、ユーノも緑色のひし形の宝石を掲げた。

え?

これには俺も驚く。

「レジェンド!」

ユーノが叫ぶ。

「「「「セーット!アップ!!」」」」

4人はデバイスを起動させ、光に包まれる。

やがて光が収まり、4人の姿が見える。

なのはとフェイトのデバイスとバリアジャケットは、アニメの物と同じ。

桜はなのはの物の色違い。

ユーノは黄土色のインナーに、金の鎧、籠手、具足というド派手なもの。

そして、緑色のひし形の宝石が2つ、ビットのように浮遊している。

「おいおい、ユーノの奴派手だな・・・・・」

俺は思わず呟く。

っていうか、どっかで見たことあるような色合いなんだけど・・・・・・なんだっけ?

俺はそう思ったが、戦闘が始まりそうだったので、頭を切り替えた。

「おら!いっくぞーーーー!!タカマチ何とかぁーーー!!」

ヴィータがそう叫びながら、ラケーテンハンマーでなのはに殴りかかる。

「なのはだってばぁーーーーっ!! な!の!は!」

なのはは思わずヴィータの言葉にツッコミを入れてしまう。

しかも無防備に。

ヴィータは容赦なくラケーテンハンマーを振り下ろした。

だが、

――ガキィ!

ヴィータのラケーテンハンマーは、“緑色”のラウンドシールドに止められる。

「何っ!?」

ヴィータは驚愕の声を漏らす。

見れば、ユーノの傍で浮遊していた宝石の1つがなのはの前にあり、それがラウンドシールドを張っている。

「私達はまだ、1対1であなた達に勝てるとは思ってないから! だから、私達は“皆”で、“あなた達”に勝つよ!」

なのははそう叫び、レイジングハートを構える。

「アクセルシューター!!」

なのはは、12発もの魔力弾を同時に放つ。

アクセルシューターは、目の前に張られていたラウンドシールドを避けるように動き、守護騎士達に襲い掛かる。

「やらせん!!」

ザフィーラが、皆を守ろうと前に出ようとするが、

「おっと、アンタの相手はアタシさ!」

ザフィーラに向かってアルフが殴りかかる。

ザフィーラは、アルフの拳を受け止めた。

「アンタの防御力は厄介だからね。アンタを引き止めておくのがアタシの役目さ!」

アルフが、ザフィーラを他の守護騎士から引き離すように攻撃を加える。

「ぬぅ!そう簡単に行くと思うな!!」

「ハン!そのセリフは、これを受けてから言いな!」

アルフは構え、右腕を振りかぶる。

「むっ?」

ザフィーラは身構えた。

そして、アルフは拳を握り締める。

「獣!」

アルフが叫ぶと、右手に魔力が集中していく。

「王!」

って、ちょっと待て!

まさか・・・・・・

俺の混乱を他所に、アルフは右手を繰り出した。

「拳!!」

突き出したアルフの右拳から、狼の頭を模した魔力波が放たれる。

うぉい!?

何故に獣王拳!?

まあ、本場の獣王拳は獅子の頭なんだけど・・・・・・

アルフの放った獣王拳は、ザフィーラに向かって飛んで行く。

ザフィーラは、驚いたものの、障壁を張って防ごうとした。

だが、

――ビシッ

と、障壁に罅が入る。

「なっ!?」

ザフィーラが驚愕の声を漏らした。

おいおい、バリアブレイクのオマケ付きかよ。

そして、障壁は砕かれ、ザフィーラは爆発に呑まれる。

「どんなもんだい!」

アルフはそう叫ぶ。

すると、爆煙の中からザフィーラの姿が現れる。

「・・・・・我は盾の守護獣ザフィーラ・・・・・この程度の攻撃でどうにかなる程・・・・・柔じゃない!!」

ザフィーラは、そう叫んでアルフに向かって殴りかかる。

「ハッ!上等!!」

アルフも拳を繰り出す。

2つの拳はぶつかり合い、衝撃を撒き散らした。




一方、他の守護騎士達は、

『『Panzerhindernis.』』

ヴィータとシャマルは全方位障壁を張って、アクセルシューターの嵐を防ぎ、シグナムとクライドさんは回避と迎撃を繰り返していた。

アニメでは、アクセルシューターでヴィータの障壁に罅が入ったが、ヴィータとシャマルに向かう数が少ない所為か、まだまだ余裕そうだ。

更に、シグナムとクライドさんがアクセルシューターを撃ち落しているため、どんどん魔力弾の数が少なくなっている。

だがその時、フェイトが複数の魔力弾を生み出す。

「プラズマ・・・・・」

フェイトの言葉から、俺はプラズマランサーでの攻撃と思っていた。

だが、

「・・・・・シュート!!」

違った。

うぉい!

お前もかフェイト!

プラズマシュートって、マグナモンかよ!

放たれた魔力弾は、シグナムとクライドさんを狙っていた。

それに気付いたクライドさんは、直ぐに急上昇して攻撃範囲から逃れ、シグナムは魔力弾を弾き返そうとレヴァンティンを振りかぶる。

タイミングを合わせ、気合を込めてレヴァンティンを薙ぎ払うように振る。

そして、レヴァンティンの刃が魔力弾に触れた瞬間、

――ドゴォ!ドドドォン!

爆発を起こした。

他の魔力弾も、誘爆してシグナムの近くで爆発する。

「ぐあっ!!」

シグナムは苦しそうな声を上げる。

シグナムは、痛みを堪えて、何とか目を開く。

その視界には、

『Haken Form.』

「はぁああああっ!!」

バルディッシュのハーケンフォームを振りかぶるフェイトの姿。

「くっ!」

『Schlangeform.』

シグナムも、迎え撃とうとレヴァンティンのシュランゲフォルムを起動させる。

――ドゴォン!

魔力の衝突による爆発が起こる。

更に、上空に逃れたクライドさんには、

『Load Cartridge.』

クライドさんの更に上で、レイジングソウルを振り上げている桜の姿。

そして、そのレイジングソウルには、白銀の魔力光が、まるで剣の様に纏われている。

「スプレンダーブレード!!」

桜はレイジングソウルを振り下ろす。

そこから放たれる魔力斬撃。

インペリアルドラモンの技・・・・・・・

テメーもか桜・・・・・・・っていうか、テメーだろデジモンの技フェイト達に教えたの!

その魔力斬撃の直撃を受けて、爆煙に包まれるクライドさん。

だが、

『Stinger Ray』

爆煙を切り裂いて、数発の魔力弾が桜に向かって放たれた。

しかし、その魔力弾は、桜に届く前に緑色の障壁によって阻まれる。

いつの間にか、ユーノのビットの1つが桜の前に来ていた。

そして、良く見れば、先程激突したフェイトとシグナムも、シグナムは爆発に吹き飛ばされ、若干のダメージを負っていたが、フェイトは桜と同じようにユーノのビットが障壁を張った事により、ほぼ無傷だった。

なんつーか、息合いすぎだぞ。

「シグナム!クライド!」

シャマルが、少なくなった魔力弾を掻い潜り、2人のサポートに回ろうと2人の元へ向かおうとした。

しかし、

「シルバーブレイズ!!」

緑色の魔力弾が飛んでくる。

「はっ」

シャマルは、それを間一髪避ける。

シャマルが魔力弾が飛んできた方を向くと、ユーノがいた。

つーか、ユーノ。

どっかで見たことある色合いだと思ったら、ペガスモンかよ。

それからお前が攻撃魔法使う所見たのなんてアニメを通して初めてだぞ。

まあ、威力はアクセルシューター1発分ぐらいだったけど・・・・・・

それでも牽制ぐらいには使えるか。

シャマル相手ならそれで十分だし。

「シャマル!」

障壁を張りながら、ヴィータが叫んだ。

「よそ見してる暇は無いよ!ヴィータちゃん!!」

そう叫んだのは、いつの間にかレイジングハートをバスターモードに変形させたなのは。

なのはは、バスターモードを構え、

「いくよ!レイジングハート!!」

『Yes, Master.  Load Cartridge.』

レイジングハートは、カートリッジを2発装填する。

なのはは、ヴィータに標準を合わせる。

「これが!桜お姉ちゃんから教わった新魔法!」

レイジングハートに魔力が集中する。

「ポジトロン!レーーーーザーーーーーーーーーーッ!!」

放たれる砲撃。

しかも、ただの砲撃ではなく、砲撃自体に回転が加えられている。

ならば、威力・・・・特に貫通力はディバインバスターの比ではない。

「いいっ!?」

ヴィータは思わず声を漏らす。

ポジトロンレーザーがヴィータの障壁にぶち当たる。

その瞬間、一瞬にして障壁に罅が広がり、

「や、やべぇ!?」

ヴィータは、瞬間的にその場を離脱する。

その一瞬後に、障壁は破られた。

標的を失ったポジトロンレーザーは、そのまま一直線に突き進む。

それは、十数キロ先まで届き、クッキリと砂漠に軌跡を残した。

「マ、マジかよ・・・・・」

驚愕するヴィータ。

なんとまあ・・・・・しかし、今の威力なら、スターライトブレイカーも貫通するんじゃねえのか?

射程も飛躍的に延びてるし。

アニメでヴィータを狙った時の距離は、多く見積もっても数キロ。

今のは軽く十キロ超えてるし。

まあ、本物のポジトロンレーザーは、東京から北海道や九州まで届いてたけど・・・・・・

それにしても、あいつらは連携が格段に上手くなってる。

恐らく1対1なら、まだ守護騎士が勝つ。

でも、今のあいつらは、お互いの能力をしっかりと把握して、それぞれの攻撃が次の攻撃に繋がっている。

そうは言っても、まだ荒削りは否めないが、そこは、ユーノがしっかりとフォローしている。

つーかユーノ。

デバイスを手に入れたからか、鉄壁に磨きがかかってるな。

あ、ヴィータのラケーテンハンマーと、シグナムの紫電一閃と、クライドさんのスティンガースナイプ同時に受け止めてら。

正確には、ラケーテンハンマーを自分が発生させたラウンドシールドで。

シグナムとクライドさんの攻撃を、ビットのシールドで受け止めている。

防御なら、ザフィーラと同等?

いや、それ以上か?

「レイジングソウル!ブラストモード!!」

桜がレイジングソウルに呼びかける。

『Blast mode.  Drive ignition.』

レイジングソウルが、レイジングハート・バスターモードにそっくりの形態に変形する。

それを見たクライドさんが、

『Blaze Cannon』

桜に向かって、先に砲撃を放つ。

だが、桜は冷静にブレイズキャノンを見据えると、カートリッジを2発ロード。

「ポジトロンレーザー!バージョンF!!」

なのはと同じ砲撃・・・・・いや、なのはのポジトロンレーザーよりも、高回転で高密度のポジトロンレーザーを放った。

桜の放ったポジトロンレーザーは、一方的にブレイズキャノンを蹂躙していく。

恐らく、射程を犠牲に威力を高めたものなのだろう。

ただ、射程を犠牲にしているとは言っても、ディバインバスター並みの射程はある模様。

魔力制御が難しそうだな・・・・・・

因みに桜よ。

バージョンFのFは、ファイターモードのFなのか?

クライドさんは、数発カートリッジをロードするが、ポジトロンレーザーは全く衰えることなくブレイズキャノンを押し切った。

「くっ!」

クライドさんは咄嗟に避ける。

その時、

――ドン

「なっ?」

クライドさんの背中に何かが当たる。

クライドさんが振り向くと、

「何っ!?」

シグナムが同じく驚いた顔でクライドさんを見ている。

いや、シグナムとクライドさんだけではない。

ヴィータとシャマルもいつの間にか一箇所に誘導されていた。

「そぉれぇっ!!」

「ぐぉおおっ!!」

その時、狙ったように(実際、狙ったのだろうが)ザフィーラがアルフに吹き飛ばされて4人と同じ場所に集められる。

「ユーノ!!」

桜が叫んだ。

「分かってる!!」

ユーノが応えると、2つのビットを操る。

ビットは、光に包まれ交差すると、バインドが発生する。

「サンクチュアリバインド!!」

ええぃ、桜!

そんなものまで教えたのかよ!

サンクチュアリバインドは、5人纏めて縛り上げる。

「しまった!」

シグナムが叫ぶ。

「なのは!フェイト!やるわよ!」

「「うん!」」

3人が空中に集まり、それぞれのデバイスを掲げる。

すると、3人の頭上に、桜、白銀、金の3色が交じり合った巨大な魔力球が生み出される。

込められている魔力は、スターライトブレイカーの約1.5倍。

それでも、3人で作り出しているので、溜め時間は半分以下。

考えたなあいつら。

そして、

「「「メガ・・・・・」」」

3人がデバイスを振り下ろすと同時に、

「「「・・・・・デェェェス!!!」」」

巨大な魔力球が眼下に放たれた。

――ドッゴォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!

凄まじき大爆発が起こる。

正直予想外。

まさかここまでやるとは・・・・・・

ある程度戦えれば蒐集に連れてっても大丈夫だとは思ってたが、5人で戦ったとは言え、ほぼ完勝に近い。

まあ、約束通り蒐集に連れて行くが、一言だけ言わせて貰おう。








やりすぎだテメーら。









あとがき

やりたい放題やった二十二話でした~。

あるぇ~?

ユーノが超鉄壁に。

実際、ユーノが居なかったら、勝てません。

威力はなのは達が上でも、戦い方は守護騎士のほうが格段に上です。

ユーノの鉄壁の防御があったから、ここまで完勝できたのです。

そして、デジモンネタが大量に出てきました。

フェイトにエクストリームジハードを使わせたかったけど、場面がなかった。

まあ、ちょっとは自重したほうがよかったかな?

ともかく、次もがんばります。






[15302] 第二十三話
Name: 友◆ed8417f2 ID:11075f73
Date: 2010/05/30 09:31


第二十三話 状況進展






【Side リンディ】




あのジュエルシード事件から、約4ヶ月。

今、アースラは地球に向かっていた。

その理由は、巡回ルートであること。

そして・・・・・・

「くそっ!」

クロノが自分の席で、悔しそうな声を上げる。

既に、何度この声を上げたのか分からない。

「・・・・・クロノ君・・・・・不機嫌ですね・・・・・・」

エイミィが、クロノを見ながら呟く。

「・・・・・・仕方ないわ・・・・・・クルーザー提督の処分があれじゃ・・・・・・ユウ君に合わせる顔が無いのよ・・・・・・」

私は、エイミィの言葉にそう答える。

「そうですね・・・・・あれだけのハッキリとした証拠があって、尚且つ、クロノ君が必死になって調べ上げたクルーザー提督の不正行為の資料を公表したにも関わらず、数年の懲役・・・・・・しかも、執行猶予も付いて、その間に今まで以上の働きを見せれば、懲役も免除、もしくは減刑ですからね・・・・・・・・・・私もこれには納得いきませんよ!」

エイミィが珍しく不機嫌な声で言った。

「本当に・・・・・ユウ君の言った通りになったわね・・・・・・・・」

私は俯きながら呟く。

「あの子に言われたんですよね? 罪に問う事は出来ても、大した罰にはならないって・・・・」

「ええ・・・・そうよ・・・・・・・言われた時は私も信じられなかったし、そんなことがあるなんて疑いもしてなかったわ・・・・・・いえ、恐らくそんなことがあっても、それは、公平な審議の結果だと思い込んでいたでしょうね・・・・・・・今回は、その対象がユウ君の気持ちを良く知った上での事だったから、今までとは違った視点で見ることが出来たんだわ・・・・・」

私は、ユウ君の言っていた通りになったことに、ため息を吐く。

その時、

「間も無く、第97管理外世界、現地名称地球に到着します」

そう報告が来た。

すると、クロノが席を立つ。

「・・・・・では艦長、僕は予定通り休暇を取ります」

「ええ。許可します」

クロノは転送ポートへと歩いていく。

だが、その足取りは重く感じる。

それも仕方ないと思った。

「・・・・・じゃあ、行ってきます。母さん」

「いってらっしゃい。ユウ君によろしくね」

「・・・・・・はい」

クロノは若干俯き気味に返事をして、転送されていった。





【Side Out】






なのは達と守護騎士達の対決から早2ヶ月。

現在は、9月の中旬。

闇の書のページは550ページを越えた。

やはり、なのは達の加入は大きく、戦いにも余裕が出てきている。

で、今日の俺はと言えば、

「いらっしゃいませ」

翠屋の手伝いをしています。

理由は、無理しすぎと言われ、ほぼ強制的に蒐集を休まされたのだ。

まあ、最近は余裕も出てきているし、何よりあいつ等も強くなってるから問題は無いので、こうやって久しぶりに翠屋を手伝っているのだ。

その時、再び店の入り口が開く。

「いらっしゃいませ」

俺は、営業スマイルを浮かべて挨拶する。

が、来店した客を見て、俺は驚く。

「やあ、久しぶりだな」

私服姿のクロノ・ハラオウンがそこにいた。





クロノは、俺と話がしたいという事だったので、俺は士郎さんと桃子さんに許可をとって、店の一角の席で向かい合っていた。

因みに、認識阻害の結界も忘れない。

クロノは、俺と向き合うと、いきなり頭を下げた。

「すまない!」

いきなりの謝罪に俺は驚いた。

「い、いきなりなんだよ?」

俺は問いかける。

「クルーザー提督の事だ」

クロノの言葉で、俺は理解した。

「あ~・・・・なるほど。その様子だと、やっぱり重い罪にはならなかったようだな」

俺は確認するように問いかける。

「ああ。クルーザー提督に出された判決は、懲役数年。その上、執行猶予が付いて、その間の貢献度によっては、減刑・・・・・・場合によっては懲役の免除も有り得る・・・・・・・クルーザー提督の過去の不正も出来る限り調べて公表したんだが、それが限界だった・・・・・・・・すまない!僕の力不足だった!あれだけ大口を叩いておきながらこの程度とは!本当に済まない!!」

クロノは、テーブルに擦り付けるように頭を下げる。

「そこまで気にするなよ。元々そうなるだろうと思ってた事だし・・・・」

「だが!それでは僕の気が済まない・・・・!」

「でも、クロノが頑張ってくれたからこそ、執行猶予が付いたとはいえ、懲役が掛かるほどの有罪になったんだろう?」

正直、俺はそこまでの罪になるとは思ってなかった。

それが、執行猶予があるとはいえ、懲役になる程の罪と判断されたのだから、クロノがどれだけ頑張ってくれたのかが良く分かる。

「・・・・・・・なら、せめて僕に出来る事があったら言ってくれ!出来る限り協力する!」

クロノは、真剣な表情で言ってくる。

「協力するって言われてもな・・・・・・・・・・・・」

俺はそう呟いたが、とある事を思いつく。

「じゃあ、早速で悪いんだけど・・・・・・・」

俺は、クロノに説明を開始した。






【Side ユーノ】




僕は今、時空管理局の本局に来ていた。

理由は、無限書庫で闇の書の情報の裏づけをして欲しいとの、ユウからの要請だ。

ユウは、偶々来たクロノのつてで、無限書庫の利用を承諾してもらったらしい。

僕は、クロノに案内されて無限書庫へと入った。

その途端、目を奪われた。

目の前に広がるのは、見渡す限りの本、本、本。

あらゆる情報がここに集まっているらしいから、この光景は頷けるとしても、これの殆どが整理されて無いというから気が滅入る。

まあ、だからユウは僕に頼んだんだろうけど・・・・・・・

捜索や調査は、スクライア一族の十八番だ。

つまり、この無限書庫から、闇の書の情報を発掘して欲しいと、ユウは言っているのだろう。

この光景を見て、発掘と表現した僕は間違って無いと思う。

「ここが無限書庫だ。知っていると思うが、ここはあらゆる世界の情報が集う場所。しかし、その殆どが整理されていない。ここから目的の情報を探し当てるのは至難だ。君達が何を調べようとしているのかは知らないし、聞かない約束だ。手伝いの人員も断られたしね。だけど、無理だけはしないでくれよ。気軽に休憩室も使ってくれてかまわない。話は通しておく」

「十分だよ。ありがとう」

クロノの言葉に頷いてお礼を言う。

「それじゃあ、僕はこれで」

「うん」

クロノは無限書庫を出て行く。

僕は、無限書庫に向き直ると、

「さてと・・・・それじゃあ頑張ろう!」

気を入れなおし、探索魔法を発動させた。





【Side Out】






ユーノを無限書庫に行かせて数日。

俺達は、荒野の無人世界で蒐集をしていたのだが・・・・・・・

ヴィータが不機嫌だ。

蒐集対象の生物達にも、やや八つ当たり気味に攻撃している。

因みに、ユーノを無限書庫に行かせた当日には、当然の如く詰め寄られた。

曰く、何故ユーノを管理局に行かせたのか?という質問攻め。

俺は、俺の持っていた闇の書の情報の裏付けのためと言って、そのつてはクロノと教えた所、なのはやフェイトたちは安心した。

しかし、ヴィータはどうしても納得しなかった。

・・・・・これって、やっぱりだよな?

前々から、ヴィータはユーノの前では様子がおかしかったり、顔を赤くする事があったからもしかしてと思ってたけど・・・・・

ヴィータ、ユーノに惚れてるよな?

多分、自覚はして無いだろうけど、間違いないだろう。

アニメとは違うとは思ってたけど、これは全く予想してなかった変化だ。

まあ、恋愛は個人の自由だし、俺が如何こういう事じゃない。

ともかく、言いたい事は、ヴィータの我慢が限界に来たという事だ。

「ああ!!もー我慢できねえ!おい!ユウ!」

ヴィータが叫ぶ。

「テメーは前から色んな事を知ってるけどよ! それの証拠が何処にもねえって言うのはどういう事だ!? テメー本当は管理局の回し者じゃねえだろうな!?」

まあ、確かにヴィータがそう言いたくなる気持ちも分からんでもない。

俺の持ってる情報は、前世の記憶の情報であり、証拠なんか何処にもあるわけが無い。

「ん~・・・・・俺が持ってる情報については、前から言っている通り、『知ってる』からとしか言いようが無い。管理局は嫌いだから、回し者じゃないって事だけは確かだぞ」

とりあえず、前世やアニメ云々言っても、ふざけてるとしか思われないのでこう言っておく。

「フザけんな!だったらせめてテメーが管理局が嫌いな理由を言え!!」

ヴィータの叫びに、

「それは私も聞きたいな」

シグナムが便乗した。

俺がシグナムを見ると、

「あ、いや。今更ユウを疑うわけではないが、ユウの過去に何があったのか、いささか興味があってな・・・・・」

何故かシグナムは少し焦ったような素振りでそう続けた。

「あ、実は私も気になってました」

シャマルも軽く手を挙げながら言った。

「あ、あのっ・・・・!」

なのはが守護騎士達を止めようとしていたので、俺は手でなのはを制す。

「いや、話すよ。わだかまりは無いほうがいいしな」

俺はそう言って、ブレイズとアイシクルに例の映像を流すように促した。










で、何でこうなってるんだ?

「えっぐ・・・・ひっぐ・・・・・やっぱり可哀想だよ~~・・・・・・」

俺の左腕に泣きながら抱きつくなのは。

「ううっ・・・・・ぐすっ・・・・・・ユウっ・・・・・!」

同じく俺の右腕に泣きながら抱きつくフェイト。

美少女2人に、泣きながら抱き付かれています。

俺は、助けを求めるように守護騎士達に視線を向けるが、

「あっ・・・・・いや・・・・・・何ていうか・・・・・その、悪ィ・・・・・」

ヴィータは、バツが悪そうに謝罪を口にしながら顔を逸らし、

「ユウに・・・・・このような過去が・・・・・・・」

シグナムは、何か思う事があったのか、物思いに耽っている。

「ぐすっ・・・・・御免なさいユウ君・・・・・気軽に聞いていいことじゃなかったわ」

シャマルは涙を滲ませながら謝り、

「こんなことが・・・・・」

「ああ。アタシもこれを見たときはハラワタが煮えくり返ったね」

狼形態のザフィーラの呟きに、同じく狼形態のアルフが同意を示し、

「・・・・・・・・・・・」

クライドさんは無言。

元管理局員として、色々思うところがあるのだろう。

桜も、何処か暗い雰囲気だし、今の俺の状況を何とかしてくれそうな人物は居なかった。

ともかく、この状況は、なのはとフェイトの2人が落ち着くまで続いた。








時は流れ、10月に入った。

闇の書のページは600ページを越え、ユーノも無限書庫での調査を終え、報告に戻ってきている。

「それで、僕が無限書庫で闇の書について調べた結果だけど・・・・・・・結果から言って、ユウの言っていた通りだよ」

ユーノの言葉に、全員が息を飲んだ。

「無限書庫で調べたデータでも、闇の書が完成すると、無差別破壊以外に使われた記録が無い。そして、正式名称も古い資料によれば“夜天の魔道書”。本来の目的は、各地の偉大な魔導師の技術を蒐集して、研究するために作られた、主と共に旅する魔道書。破壊の力を振るうようになったのは、歴代の持ち主の誰かが、プログラムを改変したからだと思う・・・・・って、これはユウも言ってたよね。その改変の所為で、旅をする機能と、破損したデータを自動修復する機能が暴走しているんだ。それが、転生機能と無限再生。そして、闇の書が、真の主と認識した人間でないと、システムへの管理者権限を使用できない。つまり、プログラムの停止や改変が出来ないんだ。無理に外部からの使用を操作しようとすれば、主を吸収して転生しちゃうシステムも入ってる。だから、管理局では、闇の書の破壊や永久封印は不可能って言われてるぐらいなんだ。僕が調べてわかったことはこのぐらいかな?」

ユーノが言葉を切ると、ヴィータが口を開く。

「あのよう・・・・・ユーノを疑うわけじゃねえんだけど、その情報は信用できるのか?結局は管理局が集めた情報だろ?」

ヴィータはそう問いかける。

「ああ。それは信用できると思うよ」

そう言ったのはユーノだった。

「実際に無限書庫を利用してわかった事だけど、噂通り殆ど整理されてなかったんだ。そんな状態で、1つ残らず闇の書の情報だけを改変するのは難しいと思うよ」

「そっか・・・・・」

ユーノの言葉に、ヴィータは若干気落ちした雰囲気を見せる。

いや、ヴィータだけではない。

シグナムやシャマル、ザフィーラも暗い雰囲気を漂わせている。

主の為にと完成させてきた闇の書が、結果的に主の命を奪う事に繋がっていたのだ。

守護騎士達の中では、信じていた者に裏切られた気分なのだろう。

「大丈夫だよ」

ユーノがヴィータにそう声をかけた。

「え?」

ヴィータが顔を上げる。

「ユウが何とかしてくれる」

ってコラ!

人任せかよ!?

「今までの付き合いで分かると思うけど、ユウってば凄い後ろ向きの性格をしてるんだ。だから、出来ない事を出来るなんて言う見栄を張ったりしない。だから、ユウが何とか出来ると言ったら、本当に出来るってことだよ。だから大丈夫。はやてはきっと助かるよ」

ユーノはそう言ってヴィータに微笑みかける。

あ、ユーノの微笑みを見たヴィータの顔が真っ赤だ。

っていうか、ユーノの奴は気付いてるのか?

すると、ヴィータは照れた顔をユーノに見せないようにするかのごとく俺の方を向き、

「おい!ユウ!ユーノがここまで言ってるんだ!アタシもテメーの事を信頼してやる!だから・・・・・だからゼッテーにはやてを助けろよ!いいな!?」

そう叫んだ。

「まあ、助けられるかどうかのキモははやて自身だけど・・・・・はやてが運命に打ち勝ったのなら、後は俺が片付ける」

俺はそう応えた。

「今の言葉、忘れんなよ!」

ヴィータはそれで満足したのか、そう言って踵を返す。

闇の書のページ、残り約60ページ。

決戦の時は近い。







あとがき


結構やりたい放題やった二十三話の完成。

相当時間が進みました。

ここまで急いだ理由は2つ。

1つはネタが無かった事。

もう1つは、あのままグダグダやってると、更新が止まりそうな気がしたからです。

今回は短めですが、次回から、闇の書の最終決戦へと入ります。

さて、皆様が満足できるものを書けるだろうか?

ともかく次も頑張ります。





[15302] 第二十四話(前編)
Name: 友◆ed8417f2 ID:11075f73
Date: 2010/06/06 15:38
第二十四話 それぞれの戦い




闇の書の完成まであと少し。

恐らく、あと一週間前後だろう。

それまでにあらゆる状況を想定しておかなければならない。

そして、今俺が思いついている一番最悪の状況がある。

その状況になった場合の対応策は・・・・・・

「やっぱりこれしかないかな・・・・・・・?」

俺は1人呟く。

その方法は、かなり高いリスクが伴うが、保険をかけておくに越した事は無い。

俺は、とある所に通信を開いた。







そして、一週間後。

遂に闇の書が完成した。

闇の書を発動させる場所は、生き物の少ない荒野の無人世界。

これは、万が一の時の為に、少しでも被害を小さくする為だ。

その無人世界に、俺達は転移してくる。

今、ここにいるメンバーは、俺、リニス、なのは、桜、フェイト、アルフ、ユーノ、はやて、ヴォルケンリッター。

そして、プレシアさん、アリシア、アリサ、すずかもいた。

アリシア、アリサ、すずかの3人は、どうしても見届けたいという理由でここに居る。

流石に危険だと断ろうとしたが、3人の意思は固く、プレシアさんが護衛に付くという条件で、渋々許可を出した。

「ほな、そろそろはじめよか?」

はやてがそう言い出す。

が、

「あ、ちょっと待て」

俺は待ったをかける。

「ほえ?」

はやては、何故にと首を傾げる。

「もうそろそろだと思うんだが・・・・・・」

と、俺がそう呟いた時、転送用の魔法陣が浮かび上がった。

「「「「「「「「!?」」」」」」」」

それに警戒する一同。

だが、俺はそれを知っていた。

転送されてきたのは、

「「「「クロノ(君)!?」」」」

なのは、桜、フェイト、ユーノが驚いた声を上げる。

「ッ!」

クライドさんが僅かに動揺する。

「な、何でここに!?」

桜が問いかけたが、

「俺が呼んだ」

俺が答える。

俺はクロノに向き直ると、

「アースラは?」

そう尋ねる。

「君の要望通り、アルカンシェルを装備して、この星の衛星軌道上で待機してもらってるよ」

クロノの答えに、俺は頷く。

「どういう事だ?」

シグナムが尋ねてくる。

「万が一の時の保険だ」

俺はそう答える。

「つまり、最悪の場合に陥った時、アルカンシェルで全てを消滅させる・・・・・・と?」

「ああ。俺達の都合で、この世界全てを滅ぼすわけには行かないからな。いくら少ないとは言っても、この世界にも命は存在するんだ」

シグナムの言葉に、俺はそう答えた。

「そうか・・・・・」

シグナムは頷く。

だが、恐らくシグナムの考えている最悪の状況と、俺が考えている最悪の状況は違いがあると思う。

俺は気を取り直し、クロノの方を向く。

「これから行う事は、話したとおりだ」

「・・・・・・闇の書の修復・・・・・か。本当に出来るのか?破壊や永久封印は不可能とまで呼ばれた代物だぞ」

「出来なきゃやろうなんて思わないさ」

クロノの言葉に、軽口でそう返す。

「フッ、違いない」

クロノは軽く笑った。

俺は、はやてに向き直り、

「じゃあはやて、始めてくれ」

はやてにそう促した。

「じゃあ、私達は離れているわ」

プレシアさんがそう言って、アリシア、アリサ、すずかを連れて、転送魔法でその場からはなれた場所に転移する。

はやてはそれを確認すると、手に持った闇の書を見つめ、

「・・・・・・我は闇の書の主なり・・・この手に力を・・・・・・・封印・・・・・解放!」

はやてがそう唱えると、

『Freilassung.』

手に持った闇の書から、黒い稲妻のような魔力が発生し、はやてを包む。

それと共に、はやての身体が急速に成長していく。

髪が伸び、銀髪に変わる。

黒い衣を纏い、漆黒の翼を背中に生やす。

はやてだった者は、空を見上げながら涙を流す。

「・・・・・何故だ・・・・・・何故分かっていながら、破滅の扉を開けたのだ・・・・・・?」

そう呟いた。

「決まっている!はやてとお前を救うためだ!」

俺は迷いなく答える。

「無理だ・・・・・我を蝕む闇は止められん・・・・・」

「そんなの、やってみなくちゃわからないだろ?」

俺はそう言うが、リインフォース・・・・・・闇の書の管制人格は、聞いていない。

「我は直に意識を無くす・・・・・・・その前に・・・・・・我が主を闇に落とした者に・・・・・・・永遠の闇を!」

一方的にそう言うリインフォース。(まだ名前は付いていないが)

「シグナム・・・・・・如何だ?」

俺は、シグナムに確認を取る。

「・・・・・・・意思は残っている・・・・・」

シグナムは呟く。

「なら・・・・」

俺は、戦いの前に幾つかの想定される状況に応じたプランの1つを選ぼうとした。

だが、

「・・・・・しかし、今はお前達と戦いたくて仕方が無い」

そう言うシグナムを良く見れば、必死に身体を押さえつけているように見える。

「なるほど・・・・・意思は残ってるけど、俺達のことを敵と認識するようにされたのか・・・・・・・・それなら、皆!」

俺は、みんなに呼びかける。

「プランβだ!」

「「「「「「「「「「「了解!」」」」」」」」」」」

俺の声に全員が応える。

その瞬間、皆が動き出す。

「勝負だ!高町 なのは!!」

「負けないよ!ヴィータちゃん!!」

なのはは、ヴィータと。

「決着をつけよう・・・・テスタロッサ!」

「負けません!シグナム!」

フェイトはシグナムと。

「お手柔らかにね。ユーノ君」

「こちらこそ」

ユーノはシャマルと。

「往くぞ!雷の守護獣よ!」

「かかって来な!盾の守護獣!」

アルフは、ザフィーラと対峙する。

ここで、本来はクライドさんと桜が戦う筈だったのだが、

「・・・・・・・・」

クライドさんが向いたのは、クロノの方だった。

クライドさんはデバイスを構える。

「お相手願おう!クロノ・ハラオウン執務官!!」

クライドさんはそう叫ぶ。

因みに、クロノにはクライドさんのことは話していない。

クライドさんの意思を無視して、話す気にはならなかった。

「あなたは?」

クロノが尋ねる。

「5人目の守護騎士。魔導の騎士!」

「そんな!?闇の書の守護騎士は4人だった筈!」

「私は、今回より新たに組み込まれた守護騎士。知らぬのも当然だ」

驚愕するクロノに、クライドさんは冷静にそう言う。

「まあ、あの人が言ってる事は本当だ。クロノ、相手してやってくれ」

俺はクロノにそう言う。

クライドさんがクロノを相手に選んだのなら、俺はそれを尊重しよう。

「桜は、俺のサポートを」

「オッケー!」

俺の言葉に、桜は答える。

「では、私は招かれざる客の相手をしましょうか・・・・・」

リニスはそう言うと、とある一点を見つめ、

「そこ!」

1発のフォトンランサーを放つ。

何も無いはずの空間でフォトンランサーが爆発を起こした。

煙が晴れていくと、仮面を被った2人の男。

変身したリーゼ姉妹だ。

やっぱりこのタイミングを狙ってきたか。

「くっ・・・・気付かれるとは・・・・・」

片方がそう漏らす。

「私達を甘く見ないで欲しいですね」

リニスはそう言って、変身したリーゼ姉妹と対峙する。

「ユウ達の邪魔はさせませんよ!」

リニスは2人に向かっていった。

俺は、リインフォースに向き直る。

「行くぞ!ブレイズ!」

『Stand by, Ready. Set up.』

俺はブレイズを起動させ、バリアジャケットを纏う。

リインフォースは右手を上に掲げる。

『Diabolic emission.』

黒紫色の魔力球が生み出され膨れ上がっていく。

「デアボリック・・・・・エミッション・・・・・・」

その言葉で、魔力球が圧縮され、

「闇に・・・・・沈め・・・・・」

一気に魔力が解放される。

辺りを蹂躙しようと魔力が荒れ狂う。

だが、それを俺は、

「ドラモンキラー!!」

右腕のドラモンキラーを思い切り振り上げた。

その威力で、デアボリックエミッションは真っ二つに切り裂かれ、四散する。

「何・・・・・?」

リインフォースは、静かに動揺した表情を浮かべる。

そこへ、

「ポジトロンレーザー!バージョンF!!」

間髪いれず、桜が砲撃を放った。

「盾」

『Panzerschild.』

リインフォースは障壁を張る。

桜の放ったポジトロンレーザーが障壁に当たり、揺るがせる。

「そぉれっ!!」

桜が更に魔力を込めると、障壁に罅が入った。

「スレイプニール・・・・」

リインフォースの背中の羽根が羽ばたき、その場を離脱する。

その瞬間、桜の砲撃が、障壁を貫通した。

俺は、離脱したリインフォースの行き先に先回りする。

「ドラモン・・・・・」

俺は右腕を振りかぶる。

それに気付いたリインフォースも右腕を振りかぶった。

『Schwarze Wirkung.』

その右腕に、黒紫色の魔力を纏わせる。

「・・・・・キラー!!」

俺のドラモンキラーとリインフォースのシュヴァルツェ・ヴィルクングがぶつかり合う。

激しい魔力の激突で、衝撃を撒き散らす。

「おらぁあああああっ!!」

結果は俺が押し切り、リインフォースの右腕を弾いた。

リインフォースは吹き飛ばされ、俺は追撃をかけようとした。

だが、いつの間にか、周りに無数の紅の短剣が浮かんでいた。

『Blutiger Dolch.』

その無数の短剣が一気に襲い掛かってくる。

「うわっ!」

「きゃっ!?」

不意打ちに俺は声を上げたが、ダメージは無い。

「桜!大丈夫か!?」

「だ、大丈夫よ!直撃は受けて無いわ!」

桜は若干動揺した声で返事を返した。

俺は、リインフォースに向き直る。

流石に蒐集を繰り返しただけあって、今までの相手とはレベルが違う。

とは言っても、俺にとっては十分どうにかできるレベルだが。

ともかく、はやてが目を覚ますまでの時間稼ぎが今の役目だ。





【Side ヴィータ】



今、アタシはなのはと1対1の勝負をしている。

心を操られてるのは納得いかねーが、なのはとの決着は付けときたかったから、丁度良いといえば丁度いい。

「おらぁっ!!」

「やあっ!!」

アタシのグラーフアイゼンとなのはのレイジングハートがぶつかり合う。

鍔迫り合いをする中でアタシは思う。

なのはは強くなったと。

1回目の対決は、あっさりとアタシが勝った。

砲撃の威力と防御の硬さは中々のものだと思ったけど、戦い方がてんで素人だった。

だから、接近戦に持ち込んだら対処仕切れなかったし、ラケーテンハンマーでバリアを砕いたらどうする事もできずにやられてた。

2回目の対決・・・・・っていうか、あれはチーム戦といったもんだったけど、アタシ等の惨敗だった。

油断した・・・・・って言うのも言い訳にしかならねえ。

まさか、たった1ヶ月であれだけ腕を上げるなんて思っても見なかった。

ユウは、あいつらの成長速度はデタラメだといってた事があった。

そん時は、テメーが言うなと流したけど、実際は言うとおりだった。

そして、今回の勝負。

正真正銘の1対1。

ベルカの騎士に、1対1で負けはねえ!

って、言いたい所だけど、なのはの強さは今までの蒐集で分かってるし、断言はできねぇ。

けど、

「へへっ・・・・」

思わず笑みが零れてしまう。

「ヴィータちゃん?」

その事を怪訝に思ったのか、なのはがアタシの名を呟く。

「久しぶりだぜこの感覚・・・・・・勝つか負けるかわからねえ、この緊迫感・・・・・・・背中がゾクゾクすらぁ」

シグナムがバトルマニアなのも、この感覚にハマったからだ。

すると、なのはも笑みを浮かべた。

「私は、そういうのは良く分からないけど、全力を出して競い合うのは大事な事だと思うよ。終わった後に笑い合うことが出来るならね」

そう言って、お互いに間合いを取る。

そして、お互いに笑みを浮かべた後、

「いっくぞぉおおおおっ!!」

「やぁあああああああっ!!」

アタシ達は再び激突した。







【Side Out】





【Side シグナム】




「おおおおおおおっ!!」

「はぁあああああっ!!」

高速での斬り合いを繰り返す。

――ギィン!

互いに弾きあい、間合いが広がる。

「プラズマシュート!!」

テスタロッサが、複数の魔力弾を放った。

確かこれは誘爆性がある魔力弾!

「同じ手は食わん!レヴァンティン!!」

『Schlangeform.』

連結刃となったレヴァンティンを薙ぎ払うように振るう。

テスタロッサが放った魔力弾を全て打ち落とした。

『Blitz Rush.』

「ッ!?上!」

テスタロッサが持ち前のスピードにより、攻撃を仕掛けてくる。

『Haken Form.』

テスタロッサのデバイスが、大鎌の形態に変形した。

「はぁあああっ!!」

振るわれる大鎌。

「でぇええええいっ!!」

私は、迎撃の為に連結刃のままレヴァンティンを振るった。

――ドゴォ!

魔力の激突により、爆発が起こる。

再び間合いが開く。

結果は、お互いに小さいが傷が出来ていた。

「やはり強いな、テスタロッサ」

『Schwertform.』

私は、レヴァンティンを剣に戻しながら言った。

「それにバルディッシュ」

自然と笑みが零れるのが分かる。

『Thank you.』

「あなたとレヴァンティンも・・・・・・シグナム」

テスタロッサも同様に笑みを浮かべていた。

『Danke.』

「このような状況だが・・・・・・何と心躍る戦いであろうか。礼を言うぞテスタロッサ。ここまでの戦い。長き時の中でも、数える程度しかない」

私は、鞘を具現し、レヴァンティンを鞘に納める。

「この心が操られているというのがやや不満だがな・・・・・・・・その所為で手加減できん。死なせないようにする自信は無い。許せよ、テスタロッサ」

私は、そう言い放つ。

「構いません・・・・・・全力の貴女を倒してこそ、意味があります」

テスタロッサは、そう言うと5つの魔力球を生み出した。

それは、テスタロッサの前に十字に配置される。

私は、鞘に入ったレヴァンティンのカートリッジをロードする。

「飛竜・・・・・」

テスタロッサは、魔力球の後ろでデバイスを構える。

「エクストリーム・・・・・・・」

そして、お互いに見つめ合い、自然と笑みが零れる。

それが合図となり、

「・・・・・一閃!!」

鞘から引き抜かれ、連結刃となったレヴァンティンがテスタロッサに襲い掛かり、

「・・・・・ジハード!!」

テスタロッサの魔力球から砲撃が放たれた。






【Side Out】






【Side シャマル】




私達は、お互いに攻撃が得意じゃない。

クラールヴィントも多少の殺傷能力は持っているけど、シグナムのレヴァンティンやヴィータちゃんのグラーフアイゼンには遠く及ばない。

それは、私ではユーノ君の防御を絶対に破る事は出来ない事を意味している。

でも、それはユーノ君も同じ事で、ユーノ君の攻撃では、私の防御を抜く事は出来ない。

故に、自然と私達の戦いは、どちらが先に相手をバインドで封じ込められるかになってくる。

一番最初の時は、互角か、やや私のほうが優勢だった。

でも、今のユーノ君はデバイスを持ち、ユーノ君自身も成長してる。

手数ではユーノ君の方が上。

まともにやったら押し切られる。

「チェーンバインド!」

ユーノ君がバインドを放ってくる。

そして、浮遊している2つのビットもバインドを放ってきた。

完全に囲まれている。

普通なら逃げられない。

だから私は、

「空間転移!」

私はその場から消え、ユーノ君の後ろに現れる。

「そこっ!」

私もユーノ君にバインドを放つ。

「シルバーブレイズ!」

ユーノ君は魔力弾を放って、バインドを破壊した。

やっぱり、一瞬でも気を抜いたら負ける。

私は気を引き締め、今まで以上に集中した。




【Side Out】




【Side ザフィーラ】



「うぉおおおおおおおおっ!!」

「おりゃぁああああああっ!!」

我の拳とアルフの拳がぶつかり合う。

「ハッ!やっぱり強いね!」

「当たり前だ!守護獣とはいえ我もベルカの騎士の1人!舐めてもらっては困る!」

互いに弾き合い、間合いが広がる。

「じゃあ、コイツをまた受けてみるかい!?」

アルフは右手を振りかぶる。

獣王拳の構え。

確かにあれは脅威だ。

バリアブレイクの効果も付与しているため、我の障壁でも防ぎきれん。

だが、我とてあの時の敗北から何もしなかったわけではない!

我も、アルフと同じような構えを取る。

「喰らいな!獣王拳!!」

アルフが右腕を繰り出し、狼の頭を模した魔力波が放たれる。

我は、我に襲い来る魔力波を見つめる。

振りかぶった右腕に魔力を込める。

これは、ユウから伝授された、獣王拳と双璧を成す技。

我は右腕を繰り出す。

「覇王拳!!」

拳を模した魔力波が我の拳から放たれる。

「なっ!?」

アルフは驚愕の声を上げる。

アルフの獣王拳と我の覇王拳がぶつかり合い、相殺する。

「今のは・・・・?」

アルフが呟く。

「覇王拳。お前の獣王拳と、双璧を成す技・・・・・・だそうだ」

我はそう答える。

「ハッ・・・・・そうかい。まあ、これで互角だね。だったら、正々堂々、タイマン勝負だ!」

「望む所!」

再び拳が激突した。




【Side Out】




【Side クライド】



『『Stinger Ray』』

お互いの魔力弾が相殺し合う。

『Blaze Cannon』

間髪いれず、クロノは砲撃を放ってきた。

「シュバルツファーター、カートリッジロード」

カートリッジをロードし、こちらも砲撃を放つ。

『Blaze Cannon』

同じ砲撃魔法同士がぶつかり合う。

私とクロノには、大きな魔力の差は無いが、こちらにはカートリッジがある。

私の放った砲撃は、クロノの砲撃を押し返す。

しかし、それはクロノも承知の上だったようで、危なげなく避ける。

そして、

『Stinger Snipe』

スティンガースナイプを放ってくる。

『Stinger Snipe』

対する私もスティンガースナイプを放つ。

お互いの操作する魔力弾が、私達の間で激突を繰り返す。

幾度か激突を繰り返した後、互いの頭上で弧を描くように停滞する。

そして、一呼吸置いた後、

「「スナイプショット!!」」

同時に口にしたキーワードで、魔力弾がぶつかり合い、相殺する。

その様子を見ながら私は思う。

クロノ・・・・立派になった・・・・・

私の心に沸き立つのは、喜びと嬉しさ。

・・・・・・そして、出来れば自分の手でここまで育ててやりたかったという、ほんの少しの悔しさ。

今更、私が父親だと名乗り出るつもりは無い。

そんな資格は、私には無い。

だがクロノ・・・・・・

大きくなったお前の姿を、もっと私に見せてくれ。

この位は、許して欲しい。




【Side Out】





【Side リニス】



例の2人は、前の敗北を教訓にしてか、無理に攻めてこない。

常に一定の距離を置いており、以前の敗北の要因であるテスタメントとセブンヘブンズを警戒している事が分かる。

しかし、このままでは時間が経つばかりで何も進展しない。

ユウから聞いたあの2人の目的が闇の書の永久封印なら、暴走が始まる前に私を倒したい筈。

しかし、あの2人から私を早く倒そうという意思は感じない。

寧ろ、戦いを長引かせるような・・・・・

私をここに引き付けておく、時間稼ぎのような動き。

私は怪訝に思いながら攻撃を繰り出した。




【Side Out】











要望があったので2つに分けました。



[15302] 第二十四話(後編)
Name: 友◆ed8417f2 ID:11075f73
Date: 2010/06/06 15:39
第二十四話(後編)








「おらぁああああああっ!」

リインフォースが召喚したワームを、ドラモンキラーで真っ二つにする。

「ええい!はやて!いい加減に起きろ!!」

俺は思わず叫ぶ。

が、そう簡単に起きるわけが無い。

すると、リインフォースは手を掲げた。

「天神の導きの元・・・・・・」

リインフォースが呟くと、リインフォースの周りに無数の魔力スフィアが発生する。

「ファランクスシフト!?」

桜が叫ぶ。

確かにフェイトも蒐集されてるから、リインフォースにも使えるだろう。

しかし、そんな甘いものではなかった。

「星よ集え・・・・・・」

続けてリインフォースが唱えると、発生した魔力スフィアに空気中の魔力が集中していく。

「ま、まさか!ファランクスシフトとスターライトブレイカーの合わせ技!?」

桜が、更に驚愕した声を上げた。

だが、集まる魔力を見て気付いた。

「いや、違う!」

俺は叫ぶ。

「集いし星よ、月となれ・・・・・・・」

集まる魔力がまるで満月のように輝く。

それは、桜のルナライトブレイカー。

ファランクスシフトのスフィアは30を越える。

ならば、それら全てがルナライトブレイカーになっているという事だ。

まさか、ファランクスシフト、スターライトブレイカー、ルナライトブレイカーの全てを合わせた魔法を使ってくるなんて考えもしなかった。

「ちっ!そんな大技撃たせるかよ!」

俺はリインフォースに攻撃しようと動き出した瞬間、

「2人とも!避けろぉ!!」

突然聞こえるヴィータの声。

俺達が其方を振り向くと、ギガントシュラークが直ぐそこに迫っていた。

ヴィータは、なのはそっちのけで俺達に攻撃を加えようとしていた。

「桜!」

俺は咄嗟に桜を突き飛ばす。

その瞬間、

――ドゴォ!

ギガントシュラークの直撃を受け、俺は地面に叩き落される。

「ユウ!」

桜が叫ぶ。

だが、その瞬間、

夜天の煌きルナライトブレイカー ファランクスシフト

白銀の輝きが放たれた。





【Side リンディ】




私達は、アースラから戦いの様子を見ていた。

「ふわぁ・・・・・なのはちゃん達、すごく強くなってますね・・・・・・」

エイミィが呆然と呟く。

それは私も思った。

ジュエルシード事件からまだ半年も経ってはいない。

ジュエルシード事件の時ですら、AAAランクの強さは持っていたが、今のなのはさんたちの強さはAAA+。

いえ、もしかしたらSランクに届いているかもしれない。

物凄い成長速度だ。

しかし、先程から私は、1つの戦いが気になっていて仕方がなかった。

それは、クロノと魔導の騎士と名乗った守護騎士との戦い。

魔導の騎士は、仮面を被っていて、顔を確認できない。

でも、彼の戦い方、デバイスを持つときの癖、そして声。

あの人に似すぎている。

私はそう思うが、その考えを否定する。

私は何を考えているんだろう。

あの人は死んだ。

11年前に。

けど、見れば見るほどあの人に見えて仕方が無い。

「艦長?」

そんな私を怪訝に思ったのか、エイミィが心配そうな表情で尋ねてくる。

「あ、いえ、何でもないわ」

私は、そう答え、考えを切り替えようとする。

それでも、その戦いから目を離すことは出来なかった。





【Side Out】





【Side クライド】




「はぁ・・・・・はぁ・・・・・・」

クロノは肩で息をしている。

流石に限界だろう。

しかし、武器の差、経験のハンデがある中で、ここまで喰らい付いたクロノには驚かされる。

そして、限りなく勝ち目が薄い今でも、クロノの目に諦めの色は無い。

本当に立派になった。

「見事だったぞ、クロノ・ハラオウン執務官。そんな君に敬意を表して、私の全力で君を倒そう!シュバルツファーター!」

『Load Cartridge.』

シュバルツファーターがカートリッジを3発ロードする。

私の周りに、無数の魔力刃が発生した。

すると、クロノもデバイスを掲げ、魔力刃を発生させた。

しかし、その魔力刃の数は、私の半分程度。

それでも、クロノには諦めの色は微塵も無かった。

「最後の勝負だ!」

クロノは叫ぶ。

「受けて立とう!」

私はクロノの言葉に応える。

そして、

「「スティンガーブレイド!エクスキューションシフト!!」」

同時に魔力刃を放った。

お互いの魔力刃はぶつかり合い、爆発を起こす。

だが、数の差は大きく。

私の魔力刃は、半分以上残ってクロノに襲い掛かる。

そして・・・・・・・・クロノをすり抜けた。

「幻影!?」

その時、

「うぉおおおおおおおっ!」

上空からクロノがデバイスを振りかぶって急降下してきた。

だが、

「これも幻影・・・・・」

私はそれが幻影であることを見抜き、放置する。

クロノはデバイスを振り下ろすが、思ったとおりすり抜ける。

その時、後ろに気配を感じた。

幻影ではなく、はっきりとそこに在るという感覚。

「後ろっ!」

私は、振り向きざまにデバイスを薙ぎ払った。

――カァン!

手応えはあった。

しかし、余りにも軽すぎる手応え。

「なっ!?デバイスだけ!?」

私が弾き飛ばしたのはデバイスだけだった。

「うぉおおおおっ!」

聞こえた声に振り向けば、先程放置した幻影の影から、クロノが飛び出す。

「幻影の死角から・・・・・!」

その事を認識するとほぼ同時に、私の胸部にクロノの右手が押し当てられる。

自然と、笑みが浮かんだ。

次の瞬間、

「ブレイクインパルス!!」

クロノが放ったブレイクインパルスの衝撃に私は吹き飛ばされ、地面に勢い良く叩きつけられた。

「ぐ・・・・はぁ・・・・・・」

身体中に痛みが走る。

まともに動かす事ができない。

・・・・・私の負けか。

見ると、クロノが上空からゆっくりと降りてきていた。

そして、私に歩み寄ってくる。

「・・・・・・何で、そんなに嬉しそうなんですか?」

私の笑みを浮かべる顔を怪訝に思ったのか、クロノはそう尋ねてくる。

「嬉しいさ・・・・・私を越えるほどに、お前が立派に育ってくれたんだ・・・・・・」

私は思わず本音を漏らす。

――ピシッ

仮面に罅が入る。

「それは・・・・如何いう・・・・?」

クロノはそう呟くが、

――ピシシッ

仮面に罅が広がる。

そして、

――パキィン!

「強くなったな・・・・・クロノ」

仮面が砕け、私の素顔が露になった。




【Side Out】





【Side リンディ】



――ガタッ!

私は思わず立ち上がる。

「クライド!」

あの人の名を叫ぶ。

何故!?

どうして!?

確かめたい!

傍に行きたい!

私は艦長!

簡単に艦を離れるわけには!

でも!

何で!

あの人が何故!?

あらゆる考えが頭の中を駆け巡り、ぐちゃぐちゃになる。

私は混乱の極みにいた。

このままでは狂ってしまいそうなほどに。

けど、

「行って下さい!艦長!」

エイミィが叫んだ。

「エイミィ!?」

「艦の事は我々にお任せを!」

「アレックス!?」

「転送準備、完了しています。艦長、お早く!」

「ランディ!?」

3人の行動に私は驚く。

「さあ!艦長早く!」

エイミィに促される。

「ッ!・・・・・・・ごめんなさい。皆、後をお願い!」

私はそう言い残して転送ポートに駆け込んだ。




【Side Out】




【Side クロノ】




「強くなったな・・・・・クロノ」

魔導の騎士と名乗っていたその男。

その男の素顔を、僕は良く知っていた。

直接会った記憶は殆ど無いが、写真でその顔を何度も見ている。

ユウたちが戦っていた方で大爆発が起こったが、それを気にする余裕もなかった。

「・・・・・・父・・・・・・・さん・・・・・・・・・・?」

僕は呆然と呟いた。

「フッ・・・・・そう呼ばれる資格など、私にはとうに無いものを・・・・・・」

そう自傷気味に呟いた。

その時、近くに転送魔法陣が発生する。

そして、

「クライド!」

母さんが転送されてくると同時に叫んだ。

「やあ・・・・リンディ・・・・・」

父さんと思わしきその人は、ゆっくりと身体を起こし、母さんに微笑みかける。

「本当に・・・・・・本当にあなたなの!?」

母さんが震えた声で問いかける。

「確かに私は、クライド・ハラオウンだった者に間違いは無いよ」

父さんはそう認めるように呟いた。

「けど・・・・今ここにいるのは、家族に会いたいが為に悪魔の誘惑に乗ってしまった、ただの情け無い男だ」

父さんはそう言った。

けど、

「クライド!」

次の瞬間、母さんは父さんに抱きついた。

「クライド・・・・・クライド・・・・!」

母さんは父さんに抱きつきながら涙を流す。

「リンディ・・・・・」

父さんは、母さんの背中に手を回す。

その時、ふと父さんと目が合う。

「父・・・さん・・・・」

僕は自然と父さんに歩み寄る。

父さんの近くまで来ると、父さんは僕の頭に手を乗せ、

「偉いぞ、クロノ」

そう言いながら、父さんは僕の頭を撫でた。

その言葉に、どのような意味が含まれていたのかは分からない。

まるで、幼い子供にするような仕草だったが、僕は何故か嬉しくなった。

「うっ・・・・く・・・・・・父さん・・・・・」

自然と、目から涙が溢れる。

「・・・・・会いたかった・・・・・・・・会いたかったよ!父さん!」

僕は思わず、父さんに抱きついた。




【Side Out】




【Side リニス】




夜天の煌きルナライトブレイカー ファランクスシフト

莫大な魔力に振り向けば、30を超える集束砲が、ユウ達に向かって放たれた。

「ユウ!」

私は叫ぶ。

その瞬間、私はバインドで拘束された。

「やっと隙を見せたな!!」

片方の仮面がそう言う。

「うぉおおおおおっ!!」

そして、もう1人が蹴りを放ってくる。

「がっ!?」

私は吹き飛ばされるが、バインドで拘束されながらも何とか制動をかける。

「このまま押し切る!!」

2人は、一気に勝負を決める為に、接近してきた。

しかし、私は口元に笑みを浮かべる。

「掛かりましたね」

私が呟くと、

「何!?」

片方が怪訝な声を上げ、

「まさか!?」

もう片方が気付いたように上を見上げた。

あの2人の上空には、巨大な雷球が存在している。

「「なっ!?」」

2人は驚愕した声を上げる。

私は、その技の名を口にする。

「アセンションハーロー!!」

その言葉と共に、雷が2人に降り注ぐ。

「「がぁあああああああっ!?」」

2人の叫び声が響いた。

そして、雷が収まると、2人は満身創痍で、変身魔法も解けて、元の姿になっていた。

「ぐ・・・・畜生・・・・・」

リーゼロッテが、そう吐き捨てるように呟いて気絶する。

「ごめんなさい父さま・・・・・でも、時間稼ぎはできました・・・・・」

リーゼアリアが、そう懺悔する様に呟き、気絶した。

しかし、言い残した言葉が気になる。

時間稼ぎ?

私は気付いたように空を見上げた。

遥か上空には、とあるデバイスを構えた初老の男性。

そして、その男性に向かって突撃する桜の姿があった。





【Side Out】





【Side 桜】




夜天の煌きルナライトブレイカー ファランクスシフト

私にとっては防ぎきれない絶望の光が放たれる。

焼け石に水だとしても、私は全力でシールドを張り、目を瞑った。

――ドゴォオオオオオオオッ!!

私の周りを集束砲が通過する感覚。

でも、私のシールドに負荷は殆ど掛かってはいなかった。

「えっ?」

不思議に思った私は目を開ける。

すると、私の前に展開されている黄金の盾。

「ブレイブ・・・・・シールド・・・・・?」

ユウのブレイブシールドが私を守っていた。

やがて、集束砲が収まり、私はユウを探す。

「ぐぅ・・・・! き、きっつ・・・・・」

着弾点に、起き上がろうとするユウの姿。

流石に今のは、幾らユウでも堪えたようだ。

私は、直ぐに気を張り詰め、リインフォースを見上げる。

と、その時、偶然にも視界に映る。

リインフォースのはるか上空で、デバイスを構える初老の男性。

時空管理局提督、ギル・グレアムが、氷結の杖・デュランダルを構えていた。

「ッ!?」

私は彼の狙いに気付く。

グレアム提督は、このまま闇の書を封印するつもりだと。

その瞬間、私は弾かれたように行動に出た。

「レイジングソウル!フルドライブ!!」

私は、レイジングソウルのフルドライブモードを起動する。

『Burst Mode.』

レイジングソウル・バーストモード。

形状は、なのはのエクセリオンモードと同じ。

「A.C.S起動!」

すぐさまA.C.Sモードを発動させ、それを構える。

「やらせない!!」

私は、高速でグレアム提督に向かって突撃した。

砲撃では、避けられてしまう可能性があるので、私はA.C.Sを選択したのだ。

今にもエターナルコフィンを発動しようとしているグレアム提督。

私はかまわずに突撃した。

正直、後先考えてなかった。

A.C.Sは捨て身の攻撃。

そんなものでエターナルコフィンのような大魔法にぶつかれば、私自身無事では済まない事。

そして、そんな結果をユウが受け入れる筈もなかった。

激突の瞬間、

――ガシィ!

「えっ?」

「なっ!?」

私とグレアム提督が声を漏らす。

私のレイジングソウルと、グレアム提督のデュランダルはぶつかっていない。

私とグレアム提督の間には、いつの間にかアイシクルを起動させたユウがいて、レイジングソウルとデュランダルを、それぞれの手で掴んで止めていた。

しかし、エターナルコフィンは発動していたようで、デュランダルを掴んでいた方のユウの手から徐々に凍り付いていく。

「ユウ!」

私は、ユウの名を叫ぶ。

すると、ユウは私の方を向き、

「無茶すんな、このバカ!」

そんなことを言った。

その時、

――バサッ

羽音が聞こえる。

ユウの後ろに、闇の書のデバイスを開いたリインフォースの姿。

それに気付いたユウは、

「チッ!離れろ!」

レイジングソウルを掴んでいた手を離し、その手から魔力波動を放って、私とグレアム提督を吹き飛ばす。

「ユウッ!!」

私は思わず叫んだ。

「・・・・・・お前も、我が内で・・・・眠るといい・・・・」

リインフォースが呟き、ユウの身体が光に包まれる。

ユウの身体は、大半が凍り付いているので、咄嗟の行動が出来ない。

「・・・・・・・桜」

ユウが私の名を呟く。

「クロノに伝えろ・・・・・・プランΩだと」






そして、







その言葉を最後に、







『Absorption.』






ユウは闇の書に吸収された。






「ユウーーーーーーーッ!!!」





私の悲鳴がその場に響いた。







あとがき


やりたい放題やった第二十四話の完成です。

場面がコロコロ変わって分かり辛いかもしれません。

あと、人によっては、クロノ達に協力を仰いだのは納得できないかも・・・・・・

そして、リーゼ姉妹。

かませ犬ならぬかませ猫にしかならなかった。

一応、今回の話の中心は、クライドとクロノ、リンディの再会。

そして、ユウが闇の書に吸収される所だったんですけど・・・・・・・

文章の量が多くなってそこまで目だって無いかも。

クライドとクロノの再会は、あんなもんで如何でしょう。

何か物足りない気もしますが・・・・・・

クロノ君、少々幼児退行?

そして、ユウたちと闇の書の戦い。

とりあえず、ユウにもダメージ与えられそうな魔法という事で、ルナライトブレイカーをファランクスシフトでかましてみました。

流石にあれならちったぁ効くよね?

それから、闇の書に吸収されるまでの流れは、納得できるかな?

元々、吸収されるつもりではいたんですけど、ユウ君強すぎて悩みました。

悩みに悩んだ挙げ句、あんな感じになりましたが、如何でしょうか?

今回はこの辺で。

では、次も頑張ります。





[15302] 第二十五話
Name: 友◆ed8417f2 ID:11075f73
Date: 2010/06/06 15:36

第二十五話 生きる意味(前編)





【Side グレアム】



前回の闇の書の悲劇より11年・・・・・・

闇の書の転生先を見つけ、永久封印の目処もたった。

闇の書の主であるあの少女を犠牲にする事は辛いが・・・・

これ以上、闇の書の悲劇を繰り返すわけにはいかんのだ。

そう、もうクライドのような悲劇を繰り返さない為にも・・・・・・・

全てが終わったら、どんな罰でも甘んじて受けよう。

そう考えていた。

だが、リーゼ達の報告を聞いて、私は驚愕した。

闇の書の主である八神 はやてを監視していたリーゼ達が、何者かに襲撃され、敗北したというのだ。

そして、八神 はやての家の周りには、強力な結界が張られ、中の様子が全く分からなくなってしまった。

時期的にそろそろ守護騎士が目覚める頃。

何故この大事な時に・・・・!?

襲撃者について調べると、直ぐに見つかった。

それは、同じ海鳴市に住む、利村 ユウ。

本名、ユウ・リムルート。

類稀な魔導資質を持ち、優秀な猫が素体の使い魔を従える少年。

彼が八神 はやてと面識を持った事は完全に誤算だった。

SSSオーバーの魔力を持つ彼は、クロノからの報告で管理局に対して、これ以上無いほどの嫌悪感を有しているらしい。

本来ならば、守護騎士が目覚めれば、何れ主の為に蒐集を開始する。

そして、闇の書が完成する寸前に、守護騎士と共に闇の書を確保し、守護騎士を蒐集して闇の書を完成させた後、デュランダルによる凍結魔法で永久封印するという手順を踏む計画だった。

しかし、彼が闇の書側に付くとなれば、話は大きく変わってくる。

彼は、八神 はやてを救うために蒐集を行なうだろう。

だとすれば、リーゼ達だけでは、彼の相手は不可能だ。

彼は、闇の書が完成した時点で暴走することは知っているようだが、甘く見すぎている。

闇の書は、人間が・・・・・・それも、八神 はやてのような単なる子供に何とかできるものではない。

それを、何とかなると思っているのだろう。

幾ら資質は高くともやはり子供だ。

そこまでの考えが至っていない。

やはり、恨まれるのを覚悟で、最後に隙をみて封印するしか無いだろう。

そう思い、行動した。

その結果が・・・・・





「ユウーーーーーーーッ!!!」

辺りに響く悲鳴のような叫び声。

彼は、目の前で闇の書に吸収されてしまった。

しかも、デュランダルを持ったまま。

なんという事だ。

これでは封印も出来ない。

何たる失態。

「そ、そんな・・・・・・ユウ・・・・・・」

彼と共に居た少女が呟く。

すると、その少女が私を睨み付ける。

「ああもう!余計な事してくれたわね!折角考えてた計画がメチャクチャじゃない!」

その少女は、私に向かって吐き捨てるように言った。

「しかし!闇の書は君達が考えてるような甘いものでは・・・・」

「知ってるわよそんなこと!」

私の言葉を遮って少女は言った。

「幾ら魔力が強くたって如何にもならないことぐらい分かってたわよ!けどね!ユウには何とか出来る手段があった!ユウは、後ろ向きで自分を過小評価しすぎる性格をしてるけど、それは逆に言えば、出来ない事を出来るなんて言ったりする見栄を絶対に張らないって事!ユウが、自信を持って出来ると言った事なら、ほぼ確実に出来るってことよ!だから、今回だって何とか出来る方法を持ってた筈!それに、ユウは全員助ける事を目指してたけど、最悪、はやてや守護騎士を犠牲にする覚悟もあった!アンタはそれを台無しにしたのよ!」

少女は叫び続ける。

「別にアンタのやろうとした事が間違ってるとも思わないし、正しいとも思ってない!でも、犠牲になるのがはやてだった!私達はそれが気に入らない!」

その少女の言葉に、私は、

「子供に・・・・・子供に何が分かるっ!!」

思わず叫んでしまった。

怒鳴るつもりなど無かったが、一度箍が外れてしまうと、口から次々と言葉が出てきてしまう。

「私はっ!私はクライドを!・・・・・自分の部下をこの手で撃たねばならなかったのだ!そのときの気持ちがお前に分かるか!? だからこそ、最低限の犠牲で闇の書を封印しなければならなかった!もう二度と、クライドのような悲劇を繰り返さない為に!!」

「知らないわよそんなこと!!第一、アンタがやりたかったのは、悲劇を繰り返さない為じゃない!単なる復讐でしょ!?」

少女の言葉に、私は胸を貫かれたような衝撃に襲われた。

「・・・・・・・・・・そうだな・・・・・その通りだ・・・・・・」

私は呟く。

「私は許せなかった!闇の書を!そして、クライドを撃つ事しかできなかった自分を!故に、その時に私は誓ったのだ!どんな方法を取ろうとも、必ず闇の書をこの世から無くすと!」

これは、今まで自分すら気付いていなかった・・・・・いや、気付かない振りをしていた本当の本音。

「それで、その答えがはやてを犠牲にする事!?それでクライドさんが喜ぶと思ってるの!?」

「クライドはそのようなことは認めんだろう・・・・・・だが、これは私の問題だ!」

私はそう区切り、次の言葉を発しようと・・・・・・

「そこまでです、グレアム提督」

何者かに名を呼ばれ、私は其方に振り向き、

「なっ!?」

驚愕した。

そこには、クロノとリンディ提督に肩を支えられているクライドの姿。

「ク、クライド・・・・・?」

私は信じられなかった。

何故彼がここに居る?

クライドは11年前に死んだ筈。

「グレアム提督、クライドは、闇の書の守護騎士となっていたんです」

リンディ提督がそう言った。

「ほ、本当なのか、クライド?」

「はい、私は、家族と再び会えるチャンスを貰う代わりに闇の書の守護騎士になるという取引をしました。我ながら情け無い話です」

そう言って、クライドは自傷気味に笑う。

「グレアム提督、復讐などはお止めください」

「だ、だが、私はお前を・・・・・・」

「グレアム提督、私は、自ら進んであの役を引き受けたのです。グレアム提督が気にすることではありません。そして何より、『私』は、『今』『ここ』にいます」

クライドは、そう言うと、視線を闇の書の管制人格に向けた。

「そして何より、『未来』は、子供達が切り拓いていくものです!」

クライドがそう言ったとき、不自然なほどに沈黙を保っていた闇の書の管制人格が光に包まれた。





【Side Out】








・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




・・・・・・・・・・・・・・




・・・・・・・




・・・



「・・・・・ウ・・・・・・ユ・・・・・・・・・ユウ・・・・・・・・ユウ!」

俺の名を呼ぶ声がする。

「ユウ!起きてください!朝ですよ!」

その声に、俺はゆっくりと瞼を開く。

「あ、やっと起きましたね」

そこには、人間形態のリニスの姿。

「リニス?」

俺は尋ねる。

「ほら、早く起きてきてください。朝御飯が冷めてしまいますよ」

「え・・・・・・?」

俺は起き上がる。

ここは、自分の家のベッドの上。

「すぐに来てくださいね」

リニスはそう言って、部屋を出て行く。

「・・・・ここは・・・・・?」

俺は疑問に思ったが、すぐに答えに行きついた。

「そうか・・・・・ここは夢の中か・・・・・・」

闇の書が見せる自分の望んだ世界。

俺は立ち上がる。

自分の部屋を出て、朝食を食べていた居間へと向かう。

俺は居間へと続く扉の前で立ち止まる。

「俺の・・・・・望んだ世界・・・・・・・」

俺の、望んだ世界は・・・・・・

その思いを胸に、俺は扉を開けた。

そこには、

「おはよう。ユウ」

「おう、ユウ。おはよう」

朝食をテーブルの上に並べている母さんと、座って新聞を読んでいる父さんの姿。

「父さん・・・・・母さん・・・・・・」

俺は思わず目尻が熱くなる。

「うん?如何したユウ?」

「ユウ?」

父さんが、そんな俺の様子に気付いたのか、心配そうな声をかけてきて、母さんが俺の顔を覗き込む。

「・・・・・っく・・・・・・・ううっ・・・・・・」

俺は我慢できなくなり、涙を流した。

父さんと母さんがいる普通の生活。

これが、俺の望んだ世界・・・・・・・・








【Side はやて】




私は今、車椅子に乗って真っ暗な暗闇の中におった。

「眠い・・・・・・」

この場所はとても眠い。

あかん、ユウ君は私を信じてくれとるんや。

起きなあかん。

そうは思うけど、凄く眠い。

すると、目の前に銀色の髪と赤い瞳をもった女の人が現れた。

『そのまま御休みを、我が主。目を閉じて・・・・・心静かに夢を見てください』

その女の人がそう言ってくる。

この人がユウ君の言っとった闇の書の管制人格ってやつなんやろか?

「・・・・・・夢?」

私は呟く。

『健康な身体。愛する者達と、ずっと続いていく暮らし。眠ってください。そうすれば、夢の中であなたはずっと、そんな世界にいられます』

確かに、そんな世界には憧れるわ。

けどな・・・・・

「・・・・・・ちょっと・・・・近くに来てくれへんかな?」

私は、管制人格さんに呼びかける。

『なんでしょうか・・・・・・主?』

管制人格さんは近くに来て、律儀にも跪いとる。

けど、丁度ええわ。

私は、可能な限り上半身を仰け反らせる。

『主・・・・・?』

「ふん!!」

管制人格さんが怪訝そうな声をかけて来たけど、私は構わずに、思いっきり頭を振り下ろした。

――ゴチン!

正にそんな擬音語がピッタリの音がした。

簡単に言えば、私は、管制人格さんに思い切り頭突きをかました。

『ッ~~~~~~~~!!?? あ、主? いきなり何を!?』

管制人格さんは頭を押さえつつ、涙眼でそう問いかけてきた。

こういったら何やけど、かわええ反応や。

「っしゃっ!!目ぇ覚めたで!!」

私は気合を入れなおすように叫ぶ。

『あ、主!?』

「なあ、管制人格さん。確かにさっき言ってたような世界には憧れとる」

私は言った。

『ならば何故?』

「決まっとる。それはただの夢やからや」

『え?』

「私は、夢で満足するほど大人しい子やないで。それを現実にしてこそ意味があるんや!」

『主・・・・・・』

「だから、私は目覚めなあかん。外で頑張ってくれとるみんなの為にも・・・・・・何より、私自身の為に」

『私の感情は、騎士達の心と深くリンクしています。だから騎士達と同じように、私もあなたを愛おしく思います。だからこそ、あなたを殺してしまう自分自身が許せない・・・・・・・自分ではどうにもならない力の暴走。あなたを侵食する事も、暴走してあなたを喰らい尽くしてしまうことも、止められない』

管制人格さんは、悲しそうな表情でそう言う。

「覚醒の時に、今までのこと少しはわかったんよ。望むように生きられへん悲しさ。私にも少しは分かる!シグナムたちと同じや!ずっと悲しい思い、寂しい思いしてきた・・・・・・」

私は、一呼吸置き、

「せやけど、諦めたらあかん!今のマスターは私や!マスターが諦めん限り、貴女も諦めたらあかん!」

『主・・・・・・』

「私がマスターである限り、諦める事はゆるさへんで!リインフォース!!」

『リイン・・・・・・フォース・・・・・・・?』

「貴女の名前や!もう“闇の書”とか“呪いの魔導書”とか言わせへん。私が呼ばせへん!」

『私の・・・・・名前・・・・・・・』

「そうや!強く支える者、幸運の風、祝福のエール。“リインフォース”。それが私が付けた貴女の名前や!」

リインフォースが大粒の涙を流す。

『主・・・・・私に・・・・・・名を下さるのですか・・・・・・・・?』

「当たり前や!リインフォースは私の家族や!家族に名前があるのは当然やろ!?」

『私を・・・・・・・家族とまで・・・・・・』

すると、リインフォースは立ち上がる。

『わかりました、我が主。家族を守る為に、私も運命に逆らってみましょう』

「うん」

リインフォースの言葉に、私は頷く。

『では主、まずはこれを・・・・』

リインフォースがそう言って手を前に翳すと、そこに一本の杖が現れた。

『主の杖です』

差し出された杖を、私は掴む。

その瞬間、私の服装が変化し、背中に黒い羽根まで生える。

これがバリアジャケットって奴やな。

『それから、魔導の知識をあなたに譲渡しました』

言われたとおり、魔力の扱い方や魔法の知識が頭の中にある。

『守護騎士プログラムも切り離し済みです。さあ、お行きください主』

「・・・・え?」

リインフォースの言葉に、私は声を漏らす。

『私は、この場で転生機能を一時的に停止させます。その間に闇の書を破壊すれば、闇の書は転生せず、破壊する事が出来ます。無限再生は止められませんが・・・・・・管理局のアルカンシェルならば、問題ないでしょう』

「そんなことしたら、リインフォースが!」

『良いのですよ主。私は罪深き魔導書です。主はそんな私に、綺麗な名前と心をくださいました。長き時の中でも、これほど嬉しい事はありません・・・・・・だから私は、笑って逝くことができます』

「あかん!そんなんあかんて!」

『大丈夫です。守護騎士達もあなたの傍にいます。何も心配することはありません』

「違う!心配とかそんなんや無い!」

『主・・・・・お願いです。私を、この無限の地獄から救ってください・・・・・・』

「助ける!絶対に助けるからお願いや!逝かんといてリインフォース!」

『そのお気持ちだけで十分です。ありがとうございます。主』

リインフォースがそう言うと、足元にベルカ式の魔法陣が現れる。

「リインフォース!」

私は、リインフォースに手を伸ばそうとした瞬間、白い光に包まれた。

『主・・・・・私は、世界で一番幸福な魔導書です』

そんな呟きと共に、リインフォースは微笑んだ。

「リインフォースッ!!」

その瞬間、私は外へ弾き出された。





【Side Out】




【Side 桜】




リインフォースが光に包まれて少しすると、光の中から、はやてが弾き出されるように飛び出した。

「はやて!」

私は咄嗟にはやてを受け止める。

「ッ!桜ちゃん」

「はやて、大丈夫?」

私はそう声をかけるが、おかしい事に気付く。

はやての今の姿は、アニメの通りの杖を持っており、バリアジャケットも同じだが、髪の毛と瞳の色が元のまま。

つまり、リインフォースとユニゾンしていない事をあらわしている。

如何いう事?

はやては、私に振り向くと、

「お願いや桜ちゃん!リインフォースを助けて!」

はやてはそう叫ぶ。

「ど、如何いう事?」

私はなんとかそう尋ねる。

その時、精神操作が解けたのか、守護騎士達と、なのは達が集まってきた。

「はやて!」

ヴィータが一目散に飛んでくる。

「ヴィータ!」

「はやて、無事だったんだな!」

ヴィータが嬉しそうにそう言う。

「主はやて・・・・・」

「はやてちゃん・・・・」

「主・・・・・」

シグナム、シャマル、ザフィーラも安堵の表情を見せている。

すると、転送用の魔法陣がその場に現れ、プレシアさん、アリサ、すずか、アリシアが転移してくる。

非魔導師の3人は、プレシアさんの魔法で宙に浮かんでいる。

「状況が変わったようだから様子を見に来たんだけど、どういう状況なの?」

プレシアさんが尋ねる。

すると、

「お願い皆!リインフォースを助けて!」

はやてが泣きそうな声でそう叫ぶ。

「リインフォース?」

なのはが首を傾げる。

「夜天の魔導書の管制人格のことや!リインフォース、転生機能を一時的に停止させるって・・・・・あの中に残ったんや!」

はやては、黒く巨大な淀みを指差す。

「そんな・・・・・・・・そういえば・・・・ユウは?」

フェイトが気付いたように辺りを見回す。

「そういえば・・・・・何処に行ったの?」

アリシアも気付き、尋ねてくる。

私は言い辛かったが、

「ユウは・・・・・・・闇の書に吸収されたわ」

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

全員が驚愕した表情を浮かべる。

「まさか・・・・・ユウが吸収されるとは・・・・・・・」

シグナムが呟く。

闇の書に吸収能力が有るだろうことは、予想の範囲という口実で皆に知らせてある。

「それで如何すんだよ?ユウが吸収されることなんて想定してねえぞ!」

ヴィータが言う。

皆も焦りの表情が窺える。

だが、私はその時、ユウが吸収される寸前に言った言葉を思い出した。

「そうだクロノ!ユウ、“プランΩ”って言ってた!」

私はクロノに叫ぶ。

「プランΩ?リニスさん、知ってる?」

なのはがリニスに尋ねる。

「いえ、私もそんなプランは聞いてませんが・・・・・」

リニスも知らない事らしい。

クロノを見ると、驚愕の表情を浮かべていた。

「・・・・・・プラン・・・・Ωだと・・・・・・・」

クロノは震える声で呟く。

「ど、如何したの?」

私は尋ねる。

「プランΩ・・・・・策なんて言える物じゃない・・・・・・・・・ユウが闇の書に吸収された場合に行うもの・・・・・・・・」

「い、いったい何なの!?」

嫌な予感がした。

「八神 はやて。及びに管制人格が闇の書の内部から脱出した後、アルカンシェルで全てを吹き飛ばす」

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

再び全員の顔が驚愕に染まる。

「ちょっと!それ如何いう事よ!」

アリサが声を上げる。

「聞いての通りだ・・・・・ユウは、自分諸共闇の書を消滅させろと言ったんだ」

「嘘・・・・・だよね・・・・・・・」

すずかが、一途の望みを託すように聞くが、

「・・・・・・こんな事、冗談で言えるわけ無い」

クロノが絞り出すような声で言った。

クロノも、握った拳が震えている。

「何で・・・・・そんな選択を・・・・・・」

「ユウは・・・・・・“自分では、闇の書の夢から自分で覚められるほどの心の強さを持ってないから”と言っていた」

クロノの言葉に、私は俯く。

「それから・・・・・リニスの事は、プレシア・テスタロッサか、母さんに頼んでくれ、と・・・・・・」

そのクロノの言葉に、リニスは表情を青ざめさせる。

「ユウ・・・・・・」

リニスは呟く。

「「「「「「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」」」」」」

全員が、この後の行動を決めかね、沈黙してしまう。

「・・・・・・・・アイツは・・・・・・・本当にバカなのよ・・・・・・・」

私は思わず呟く。

「桜お姉ちゃん?」

なのはが私の名を呟く。

「アイツは・・・・・・どれだけ大切に思われてるか・・・・・・全然分かって無い・・・・・・・・・・・何時だって、自分を卑下して、みんなの気持ちを否定して・・・・・・・・・なのはも・・・・・・フェイトも・・・・・・アリシアも・・・・・・はやても・・・・・・・アリサも、すずかも・・・・・・リニスからも・・・・・・・・皆からとても想われる事を認めようともしない・・・・・・・」

私は、呟きながら目尻が熱くなるのを感じる。

「それに・・・・・・・私だって・・・・・・・・」

ユウが闇の書に吸収されて、初めて気付いた。

私自身の、本当の想いに・・・・・・

「桜お姉ちゃん・・・・・・・もしかして・・・・・・」

なのはが、気付いたように呟く。

私は、懺悔するように呟いた後、涙を拭って顔を上げ、闇の書の闇に向き直る。

「お、お姉ちゃん!?如何するの!?」

私の行動に驚いたのか、なのはが声を上げる。

「決まってるじゃない!1人じゃ起きられないって言うのなら、叩き起こすだけよ!!」

私はそう答えた。

「んなっ!? そんなデタラメな・・・・・!」

クロノが驚いた声を上げる。

すると、リニスが私の横に並び、

「私も協力しましょう」

そう言った。

その姿を見たなのはが、

「そうだね・・・・・・それがいいかもしれない」

私の案に同意する言葉を呟く。

「お寝坊さんのユウ君を、私達で起こしてあげよう!」

なのはがみんなにそう言った。

すると、

「そうやな・・・・・ユウ君だけや無く、リインフォースも起こしてあげなあかんし・・・・・」

はやてが同意し、

「私も手伝う!」

フェイトもそう言った。

「どのみち、このままでは埒が明かん。僅かな可能性でも、賭けてみるべきだろう」

シグナムがそう言い、守護騎士達も頷く。

「君達は・・・・・・」

クロノは、若干呆れたような顔をするが、

「だが・・・・・ユウに借りを作ったまま消えられるのは、僕としても不満だ。僕もその賭けに乗らせてもらおう」

クロノの言葉に驚いたのは、グレアム提督だった。

「ク、クロノ・・・・!?」

すると、クロノはグレアム提督の方を向き、

「グレアム提督、彼女達を管理局の定義に当てはめるのは無粋ですよ」

クロノはそう言った。

「彼女達は、最善や確率などで作戦を決めているわけではありません。ただ、彼女達がやりたいと思ったことをやっているだけです」

クロノは続ける。

「確かにそれは、管理局から見れば無謀なのかもしれません・・・・・・ですが、それこそ新たな未来を切り拓く道しるべになると僕は思います!」

クロノはそう言い切った。

「なら決まりね」

私の言葉に、みんなが頷く。

「ならゴチャゴチャ言わないわ!ありったけの魔力と想いを込めた一撃を叩き込む!!これだけよ!!」

「「「「「「「「「「了解!!」」」」」」」」」」」

私の言葉に、みんなが唱和する。

「なら、シャマル!」

はやてがシャマルに呼びかける。

「はい!皆の回復と補助ですね!」

シャマルは分かっていると言わんばかりに頷き答えた。

「聖なる風よ・・・・・・大いなる闇に立ち向かいし戦士達に、安らぎと祝福を与えよ・・・・・・」

シャマルは両手を横に広げた後、そのまま両手を天に翳し、

「セイント・エアー!!」

光の粒が私達を包んだ。

「これって・・・・・怪我が治ってる?」

なのはが自分の身体を確かめるように呟く。

「それだけじゃない。力が漲って来る」

フェイトが気付いたように言った。

「私に出来るのはこれくらいだから・・・・・・お願いね、皆」

シャマルはそう言うと、少し寂しげな表情を浮かべた。

すると、

「任せろシャマル。お前の想い、私が一緒に届けてやる」

シグナムがそう言った。

「ええ、お願いねシグナム」

シャマルが笑みを零す。

「それじゃあ、あたし等は露払いだね!」

「うむ!盾の守護獣の名は伊達ではない所を見せてやる!」

「サポートは、僕達に任せて!」

アルフ、ザフィーラ、ユーノがそう言う。

「なら、行くわよ皆!」

「「「「「「「「「「ええ(うん)(おう)!!!」」」」」」」」」」

その時、黒い淀みが膨れ上がる。

「夜天の魔導書・・・・・呪われた闇の書と呼ばせたプログラム。闇の書の・・・・・闇」

はやてが呟くと、黒い淀みが砕ける。

アニメでは、虫と獣が融合したような化け物だったけど、今、そこにいたのは・・・・・・

「ディアボロモン・・・・・・」

私は、小声で呟く。

その姿は、デジモンのディアボロモンそっくりだった。

でも、そんなことは気にしていられない。

「よっしゃ、先ずはアタシが邪魔な結界をぶっ壊してやる!」

ヴィータがそう勇んで飛び出すが、ディアボロモンの胸部にある砲口に魔力が集中する。

その魔力量は、スターライトブレイカーに匹敵する。

「いけない!ヴィータ!」

私が叫ぶとほぼ同時に、魔力弾が放たれた。

それは、一直線にヴィータへ向かう。

「やばっ!?」

ヴィータは逃げようとしたが、それも遅く、

――ドゴォォン!

ヴィータが爆炎に包まれた。

「ヴィータちゃん!?」

なのはが声を上げる。

すると、煙が吹き飛ばされ・・・・・・

ヴィータの前で、3枚のシールドでヴィータを守るユーノの姿があった。

「ヴィータ!大丈夫?油断しちゃ駄目だよ!」

「お、おう・・・・すまねえ・・・・」

そう礼を言うヴィータの顔は赤い。

それにしても、スターライトブレイカークラスの砲撃を防ぎきるなんて、ユーノの防御って凄いわね。

すると、ヴィータは気を取り直し、

「そんじゃあ、いっくぞぉおおおおおっ!!」

グラーフアイゼンがカートリッジをロードする。

『Gigantform.』

グラーフアイゼンが巨大なハンマーになる。

「おら!ユウ!!はやてを泣かすのは許さねえからな!さっさと起きろぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

ヴィータが巨大なハンマーを振り上げ、

「轟天!雷鳴!!」

ヴィータの叫びと共に、ハンマーに電撃が宿る。

「ハンマースパーーーーーーーーークッ!!!」

そのまま思い切り振り下ろした。

――バキャァァァン!

ヴィータの一撃は、一枚しかないがアニメより強固な結界を見事に砕いた。

「ユウ!フェイトを泣かしたら絶対に許さないからね!だから、早く起きな!!」

アルフは、チェーンバインドでディアボロモンの両手を縛りつけ、動きを封じる。

「ユウよ!お前は長き時の中でも稀に見る善人だ。この場で死なすわけにはいかん!!」

ザフィーラは、鋼の軛を発動させ、砲口を串刺しにし、砲撃を封じる。

その時、シグナムはレヴァンティンのボーゲンフォルムを構えていた。

「ユウよ・・・・・この気持ちがそういうものなのか私にはまだ分からない・・・・・・だが、私はお前に消えて欲しくは無い!シャマルも同じ気持ちだ!だから、目覚めろ!ユウ!!」

シグナムは弓矢を引き絞る。

「羽ばたけ!火の鳥!!」

シグナムの弓矢は激しい炎を纏った。

「シャドーウイング!!」

シグナムが矢を放つと共に、炎は更に激しさを増し、火の鳥を形作った。

火の鳥は羽ばたき、ディアボロモンに向かい、左肩部分に直撃、左腕を吹き飛ばす。

続いて、クロノがデバイスを掲げ、巨大な一本のスティンガーブレイドを発生させていた。

「ユウ・・・・・君には借りを作ってばっかりだ・・・・・・君のお陰で、父さんも戻ってきた・・・・・・・だから、少しぐらい、礼を言わせろ!!」

クロノは、その叫びと共にデバイスを振り下ろす。

「スティンガーブレイド!!ベルセルクシフト!!」

クロノの放った巨大なスティンガーブレイドは、ディアボロモンの右腕を切断する。

更に上空では、プレシアさんが巨大な魔法陣を発生させている。

「ユウ!こんな美少女達を放っておいて、勝手にいなくなろうとしてんじゃないわよ!!起きなさい!」

アリサが、

「ユウ君!お願い、起きて!!」

すずかが、

「ユウ!夢なんかで満足しないで!私達と一緒に生きようよ!」

アリシアがそれぞれの想いを叫ぶ。

「ユウ君・・・・・・あなたにはアリシアとフェイトを貰ってもらうつもりなんですからね。こんな所でいなくなるのは許さないわ。起きなさい!!」

プレシアさんがその言葉と共に巨大な雷を落とした。

その雷は、ディアボロモンに直撃し、その余波で千切れていた腕を粉々に引き裂く。

「ユウ・・・・・私はもう、あなた以外を主とするつもりはありませんよ!起きてください!」

リニスは、7つの魔力弾を発生させ、

「セブンヘブンズ!!」

それを放った。

その攻撃は、ディアボロモンの頭を吹き飛ばす。

そして、残った私、なのは、フェイト、はやては、それぞれの最強の魔法を準備していた。

因みに、なのはとフェイトは、既にフルドライブを発動させている。

「ユウ君!リインフォース!私達は、皆で幸せになるんや!だから、はよ起きるんや!!」

はやての、

「ユウ・・・・大好きだから・・・・・一緒に居たいから・・・・お願い!起きて!ユウ!!」

フェイトの、

「好きだよユウ君・・・・・だから、起きて!!」

なのはの想い。

「全力全開!!スターライト・・・・・」

「雷光一閃!プラズマザンバー・・・・・」

「響け!終焉の笛!ラグナロク!」

「「「ブレイカーーーーーーーーッ!!!」」」

その想いと共に、特大の砲撃を放つ。

そして私は、この一言を・・・・・・

「ッ・・・・・起きろバカァァァァァァ!!!」

その叫びと共に、ルナライトブレイカーを放った。

4つの特大砲撃は、ディアボロモンを粉々に引き裂き、粉砕する。

「はぁ・・・・・・・はぁ・・・・・・・はぁ・・・・・・・」

私は肩で息をする。

出来る限りの事はやった。

後は待つだけ。

私はそう思い、高度を下げながら息を吐き、何気に着弾点を見る。

そして、立ち上っていた煙が風で吹き飛ばされ・・・・・・・・

「なっ・・・・・・」

私は絶句した。

私の視線の先には、小型化したディアボロモンの群れ。

よく見れば、粉々になったディアボロモンの破片1つ1つが、小型のディアボロモンとなっていた。

その小型のディアボロモンが、一斉に私の方を向いた。

恐らく、皆よりも高度を下げていた所為。

そして、一斉に私に向かって砲撃が放たれる。

「ッ!?」

私は咄嗟に動こうとしたが、先程の全力の砲撃の所為で、魔力が激減しており、上手く飛行が制御できなかった。

私の視界いっぱいに広がる魔力弾の嵐。

「桜お姉ちゃん!!」

なのはの悲鳴が響いた。





あとがき

やりたい放題の二十五話が完成。

この話で決着つくかと思ってたんですが、長くなりすぎたので二話に分けます。

ユウの切り札も次回にお預け。

楽しみにしてた人ごめんなさい。

そんで今回は原作とはちょっと違い、リインフォースが闇の中に残りました。

話の流れが強引かな?

あと、全体的に話がグダグダになった気もする。

守護騎士達にもデジモン技をかまさせてみた。

あと、メガデスよりも集束砲同時斉射の方が強いので、4人娘はああなりました。

さて、次回は早めに投稿できると思うのでお楽しみに。





[15302] 第二十六話 (2013年11月14日 改訂)
Name: 友◆ed8417f2 ID:11075f73
Date: 2013/11/14 22:27
第二十六話 生きる意味(後編)






父さんと母さんが居て、普通の生活をする。

それが、俺の望みだった。

でも・・・・・本当にそれでいいんだろうか?

俺を信じてくれたあいつ等を裏切る真似をして・・・・・・本当にいいんだろうか・・・・・?

家族での朝食が終わる。

「さて、ユウ」

父さんが俺に声をかけてきた。

「何?父さん」

「何時までここに居るつもりだ?」

「えっ?」

「お前には、待ってる人たちが居るんだろ?」

父さんの言葉に、俺は俯く。

「それは・・・・・・でも・・・・俺なんかが・・・・・・」

俺がそう言いかけた所で、

「おい、ユウ」

「えっ?」

父さんに呼ばれて、俺はそっちを向く。

その瞬間、

「バカ息子ォーーーッ!!」

「がっ!?」

思いっきりアッパーカットで吹っ飛ばされた。

「ウジウジ悩むな!それでもお前は私達の息子か!?」

父さんがそう怒鳴る。

「ユウ、耳を澄ませてみなさい」

母さんがそう言ってくる。

俺は目を閉じ、耳を澄ます。

「聞こえる筈よ。貴方を呼ぶ声が・・・・・・」

母さんが呟く。

『おら!ユウ!!はやてを泣かすのは許さねえからな!さっさと起きろぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!』

ヴィータ・・・・・

『ユウ!フェイトを泣かしたら絶対に許さないからね!だから、早く起きな!!』

アルフ・・・・・・

『ユウよ!お前は長き時の中でも稀に見る善人だ。この場で死なすわけにはいかん!!』

ザフィーラ・・・・・

『ユウよ・・・・・この気持ちがそういうものなのか私にはまだ分からない・・・・・・だが、私はお前に消えて欲しくは無い!シャマルも同じ気持ちだ!だから、目覚めろ!ユウ!!』

シグナム・・・・・・

シャマル・・・・・・

『ユウ・・・・・君には借りを作ってばっかりだ・・・・・・君のお陰で、父さんも戻ってきた・・・・・・・だから、少しぐらい、礼を言わせろ!!』

クロノ・・・・・・・

『ユウ!こんな美少女達を放っておいて、勝手にいなくなろうとしてんじゃないわよ!!起きなさい!』

アリサ・・・・・・・

『ユウ君!お願い、起きて!!』

すずか・・・・・・・

『ユウ!夢なんかで満足しないで!私達と一緒に生きようよ!』

アリシア・・・・・・

『ユウ君・・・・・・あなたにはアリシアとフェイトを貰ってもらうつもりなんですからね。こんな所でいなくなるのは許さないわ。起きなさい!!』

プレシアさん・・・・・

『ユウ・・・・・私はもう、あなた以外を主とするつもりはありませんよ!起きてください!』

リニス・・・・・・・・

『私達は、皆で幸せになるんや!だから、はよ起きるんや!!』

はやて・・・・・・・・

『ユウ・・・・大好きだから・・・・・一緒に居たいから・・・・お願い!起きて!ユウ!!』

フェイト・・・・・・・

『好きだよユウ君・・・・・だから、起きて!!』

なのは・・・・・・・・

それぞれの声が聞こえる。

そして最後に、

『ッ・・・・・起きろバカァァァァァァ!!!』

桜の泣きそうな声が聞こえた。

俺は目を開ける。

「皆・・・・・・なんで・・・・・?」

「ユウ・・・・・貴方は自分では他の人を幸せに出来ないと考えてるかもしれないけど、他の人の幸せは、貴方が決める事じゃないのよ」

母さんは俺に向かって微笑む。

「ユウ、貴方は、あの子達のことが嫌い?」

母さんの言葉に、俺は首を横に振る。

「そんなことはないよ・・・・・」

「じゃあ、あの子達の辛い顔を見ると如何思う?」

俺はなのは達の辛い顔を想像する。

「・・・・・・そんな顔には・・・・させたくない」

答えはすぐに出た。

「じゃあ、貴方が今ここで消えれば、彼女達がどう思うかは分かるわよね?」

「・・・・・・・うん」

「なら、如何すればいいかは、分かるわよね?」

「・・・・・・うん!」

答えは初めからわかってた。

この世界で、俺が生きる意味は、確かにあった。

けど、俺はその事を認める自信がなかっただけ。

「俺は・・・・・・・・・俺は!・・・・・・あいつらの笑顔の為に、俺は生きる!」

俺はその言葉を口にした。

「ハッハッハ!その意気だぞユウ!1人の女といわず、お前を想ってくれる女の子全員を幸せにしてやれ!」

父さんは俺を茶化すように言ってくる。

「まあ、冗談は置いといて、決心はついた様だな、ユウ」

父さんは真剣な顔で言ってくる。

「うん・・・・・俺・・・・・戻るよ・・・・・・・」

俺はそう呟く。

「それならユウ、あの子も助けてあげて」

母さんがそう言うと、いつの間にか周りの景色が消え、闇になっている。

そして、母さんの後ろには寂しそうにたたずむリインフォースの姿。

しかし、こちらには気付いていないようだった。

「あの子も幸せにしてあげないと可哀想よ。だからユウ」

母さんの言葉に俺は頷く。

「わかってるよ母さん」

俺は、リインフォースに歩み寄る。

「リインフォース・・・・・」

俺はリインフォースに呼びかける。

「お前は・・・・・」

「お前はこんな所で何やってるんだよ?」

俺は、リインフォースに尋ねる。

「・・・・・・・・・・」

リインフォースは無言。

「何ではやてと一緒に外に出なかったんだ?」

「無理だったからだ。私がこの場で転生機能を停止させなければ、闇の書の完全破壊は叶わない」

リインフォースの言葉に、

「嘘だな」

俺はハッキリと言った。

「防御プログラムは、元々夜天の魔導書の為のプログラム。だから、防御プログラムを夜天の魔導書から切り離した時点で、転生機能は無効化されているはずだ」

俺がそう言うと、

「・・・・・確かにその通りだ」

「ならば何故?」

「今回の主は・・・・・・私には眩しすぎる」

リインフォースは呟く。

「私は、罪深き、血塗られた魔導書だ。そんな私で、今回の主を汚したくは無い・・・・・・」

リインフォースは懺悔するように呟く。

「はやてはそんなこと気にしないと思うぞ」

俺がそう言うと、

「そうだろうな・・・・・主は優しい。こんな私でも、受け入れてくれるだろう・・・・・・」

「だったら・・・・・」

「しかし、だからこそ今の主を汚したくないのだ!」

リインフォースはそう言う。

「・・・・・お前は・・・・・それでいいのか?」

俺は大事な事を尋ねる。

「私は・・・・・主のために最善の方法を取っているだけです・・・・・」

「なら、何で泣いているんだ?」

リインフォースの瞳からは、大粒の涙が止め処なく流れている。

「・・・・・・・・確かに・・・私の罪が許されるのなら・・・・・・・・主と共に過ごしたかった!だが、私は今まで、幾つもの世界を滅ぼし、幾億もの命を奪ってきた。そんな私の罪を誰が許すことが出来ようか?」

リインフォースは泣きながらそう叫ぶ。

まるで、唯の女性のように。

だから俺は、

「確かに罪を許すことはできないかもしれない。 けど、一緒に背負っていくことはできる」

そう言ってやった。

「えっ?」

「お前が自分の罪を許すことができないから、はやての傍に居られないと言うのなら、お前の罪、俺にも半分背負わせてくれ!」

「な、何を………?」

「お前は、ここで消えていい奴じゃない。 お前にも、幸せになる権利がある………いや、お前こそ、誰よりも幸せにならなきゃいけないやつなんだ。 少なくとも、俺はお前には幸せになって欲しい」

「な、何故………?」

「確かにお前は今まで、『闇の書』として多くの世界を滅ぼしてきたのかもしれない。 けど、その度に心を痛め、誰よりも苦しんで来たのは、他ならぬお前だ」

「あ…………」

リインフォースは涙を零す。

「だから、一緒にここを出よう」

俺は手を差し出す。

「し、しかし………」

リインフォースはまだ渋っている。

「さっきも言っただろ? お前が自分の罪を許せないから傍に居られないと言うのなら、その罪を俺が半分背負ってやるって」

「…………お前の気持ちは正直嬉しい………だが、なんの関係もないお前に、私の罪を背負わせる訳にはいかない」

俺の言葉に、リインフォースはそう返してくる。

ったく、頭硬いんだから。

「そんな事は関係ない。 俺はお前を助けたい。 だからお前の罪を背負う。 それに、俺は少なからず古代ベルカの血を受け継いでいるしな」

「何………?」

リインフォースは怪訝な声を漏らす。

「見てろ」

そう言って、おれは右半身から青の魔力光を、左半身からオレンジの魔力光を発生させる。

そして、2つの魔力光が交わる身体の中心から、その2種類とは違った魔力光が発生する。

その魔力光が、俺の身体を包む。

この魔力光こそ、俺の本当の魔力光。

青やオレンジの魔力光は、その魔力光が劣化した色に過ぎない。

「な・・・・・・・」

その色を見て、リインフォースは驚愕している。

その色は『虹色』。

かつて、古代ベルカを治めていた『聖王』の証。

そして、今の俺の瞳の色も、右は青に、左は赤に変化しており、これも聖王の特徴である、オッドアイとなっている。

「そんなバカな・・・・・・聖王の血筋は、遥か昔に途絶えた筈・・・・・・」

リインフォースは、信じられないといった表情で呟く。

「確かに聖王の血筋は途絶えた。でも、それは虹色の魔力光を発現できる血筋が途絶えただけだ。虹色の魔力は発現できなくても、聖王の血を受け継いだ家系は、今も続いていた。それが、俺の父さんと母さんの家の血筋。そして、ブレイズとアイシクルはその2つの家系に代々伝わってきた、聖王の武具」

俺は最初、ブレイズとアイシクルは父さんと母さんの魔力に耐えられる特注品だと思っていた。

けど、修行の途中で俺の虹色の魔力が発現した時、真実をブレイズとアイシクルから聞いたのだ。

俺はリインフォースを見つめ、

「という訳だ。 まあ、聖王の血を受継でいるからって、王様になる気も威張り散らす気もないから、畏まったりはしないでくれ」

俺は一呼吸おいて、手を差し出し、

「一緒に皆の所へ帰ろう、リインフォース」

そう言った。

その言葉にリインフォースは涙を零し、

「…………はいっ」

しっかりと頷き、俺の手を取った。


俺は、父さんと母さんに向き直る。

「じゃあ、もう行くよ、父さん、母さん」

俺は少し名残惜しさを感じるが、父さんと母さんにそう言う。

「ええ・・・・ユウ、一つだけお願いがあるの」

母さんがそう言ってくる。

「何?母さん」

「貴方の立派になった姿を、私達に見せて」

母さんの言葉に、

「うん、分かったよ」

俺はハッキリと頷いた。

俺は、ブレイズとアイシクルを取り出す。

そして、

「ブレイズ、アイシクル、プロテクト解除!」

俺はデバイスに呼びかける。

『『Yes, Master.  Joint Progress.』』

ブレイズとアイシクルが浮かび上がり、2つのデバイスが1つとなる。

そこには、澄んだ水色の宝石が存在していた。

俺は、その宝石を握る。

「目覚めろ、真の聖王の武具・・・・・・オメガ!!」

その瞬間、そのデバイス、オメガが起動する。

俺は光に包まれる。

左腕にはオレンジを基調としたアーマーが装着され、手には竜の頭のような手甲が。

右腕には青を基調としたアーマーが装着され。狼の頭を模した手甲が装備される。

そして、中央の頭から足にかけては、白を基調とした鎧が装備され、背中には外側が白、内側が赤のマントがはためく。

オメガモンの姿を模したバリアジャケット。

「すごいぞユウ」

父さんが感心した声を漏らす。

俺は左腕を一度振る。

すると、左手の竜の手甲の口から、大剣が飛び出る。

俺は、その大剣を振り上げ、そこで一度止まる。

「・・・・・父さん・・・・・母さん・・・・・例え、夢でも幻でも・・・・・また会えて、嬉しかったよ・・・・・」

俺は振り返らずにそう言った。

俺は振り上げた大剣に魔力を込める。

「断ち切れっ!!グレイソーーーードッ!!」

俺は、渾身の力を込めて、大剣を振り下ろした。

その瞬間、空間は真っ二つになり、俺とリインフォースはこの空間から脱出した。






俺達が脱出した後、

「それにしても、ユウの奴、最後まで私達のことを夢の住人だと思ってたなぁ・・・・」

「まあいいじゃありませんか。少しでもユウが変わってくれたんですから」

「そうだな・・・・・・頑張れよ、ユウ」

「頑張ってね、ユウ」









【Side なのは】




「桜お姉ちゃん!!」

私は思わず叫んだ。

一発一発がディバインバスターに匹敵するほどの魔力弾が、嵐の如く桜お姉ちゃんに襲い掛かる。

お姉ちゃんは、集束砲の疲労からか、上手く動けない。

あれだけの魔力弾を受けたら桜お姉ちゃんでも唯ではすまない。

でも、その時だった。

もう駄目と思ったとき、突然小型化した怪物の1体が弾け飛び、そこから虹色の光が飛び出したの。

その虹色の光は、既に放たれていた魔力弾を追い越すスピードで桜お姉ちゃんのところに到達し、桜お姉ちゃんが虹色の光に包まれました。

そして、その虹色の光は、桜お姉ちゃんに向かって放たれた魔力弾を、全部何でもないように受け止めました。

「綺麗・・・・・」

私は思わず呟きます。

「なっ!? 虹色の魔力光!?」

シグナムさんが驚いた声を上げます。

見れば、ヴィータちゃん、シャマルさん、ザフィーラさんも驚愕の表情を浮かべています。

すると、徐々にその虹色の光が収まっていき、その光が消えると、桜お姉ちゃんの近くに銀色の髪で赤い瞳の女の人。

「リインフォース!」

はやてちゃんが叫びます。

どうやら、あの女の人が夜天の魔導書の管制人格らしいです。

リインフォースさんは、はやてちゃんに微笑みます。

そして、右手に青い狼の頭のような手甲、左手に竜の頭をおもわせるオレンジ色の手甲、更に頭から足までを白い鎧で覆った、右目が青、左目が赤い人が、虹色の魔力光を纏いながら、桜お姉ちゃんを守るように立ちはだかっていました。

その姿は、正に騎士というに相応しい姿をしています。

「ま、まさか・・・・・聖王!?」

ユーノ君が驚愕した声を漏らします。

「せい・・・・おう・・・・・?」

私は、何のことかと首を傾げます。

「ユウ!」

リニスさんが叫びました。

え?ユウ君?

ユウ君らしき騎士が私達の方に振り向きます。

「ユウ・・・・・よね・・・・・・?」

桜お姉ちゃんが、確認するように呟きます。

「ああ。悪かったな、心配かけて」

そう頷きました。

「全くよ!心配かけさせないで、このバカ!」

桜お姉ちゃんは、泣きながらも嬉しそうにそう叫びます。

ユウ君は、バリアジャケットで顔は見えませんが、微笑んだ気がしました。

すると、リンフォースさんがはやてちゃんに近付きます。

「申し訳ありませんでした。主」

リインフォースさんは、はやてちゃんに謝ります。

「それはええけど・・・・・・もう目の前から居なくならんといてや」

はやてちゃんは泣きそうな顔でそういいます。

「はい・・・・・主」

リインフォースさんはそう言って頷きました。

その時、

「すまない、折角の再会に水を差してしまうんだが・・・・」

クロノ君がそう切り出しました。

「ユウが出てきたのなら話は早い。このままアルカンシェルで「必要ない」えっ?」

クロノ君の言葉を、ユウ君が否定しました。

「ここは、俺が片を付ける!」

ユウ君はそう言ってマントを翻しながら、闇の書の闇の怪物達に向き直った。

その仕草が、まるで物語の中に出てくる騎士様のようで、私は見惚れます。

フェイトちゃんや、はやてちゃん達も、きっと同じです。

その瞬間、再び怪物たちが一斉砲撃を放ちました。

数え切れないぐらいの魔力弾が、ユウ君に迫ります。

「「「「「「「「「「ユウ(君)!!」」」」」」」」」」

皆が一斉に声を上げます。

でも、ユウ君は、

「これ以上・・・・・俺の目の前で誰も傷つけさせない!!」

そう叫んで左手を振り上げると、竜の頭のような手甲の口から、大きな剣が飛び出しました。

そして、左手を身体ごと大きく振りかぶり、

「うぉおおおおおおおおっ!!」

魔力弾の着弾の瞬間に、思いっきり薙ぎ払った。

驚く事に、その一振りで無数の魔力弾は全て弾き返されます。

「凄い!」

誰かが声を上げます。

跳ね返った魔力弾が怪物の群れの一部に降り注ぎ、吹き飛ばします。

次に、ユウ君は、右腕を軽く振りました。

すると、右手の狼の頭のような手甲の口から、巨大な砲身が飛び出します。

その巨大な砲身を、眼下の怪物達に向け、

「ガルルキャノン!!」

その砲身から、物凄い魔力が凝縮された魔力弾を放ちました。

その魔力弾は高速で地面に向かう。

予想される着弾点の周りから怪物たちが逃げるように散り散りになります。

でも、

――ドッゴォォォォォォォォォォォォォォン!!

そんなのは全く関係ありませんでした。

魔力弾は地面に着弾した瞬間、超爆発を起こし、怪物の群れを飲み込みます。

ユウ君は、また砲身を別の群れに向け、放つ。

――ドォン!

今度は着弾前に別の方へ向け、また放つ。

――ドォン!

更に別の方向へ向け、放ちます。

――ドォン!

合計4箇所に撃ち込まれた魔力弾は、全ての怪物を飲み込みました。

「凄い・・・・・・・」

私は自然と声を漏らします。

正に圧巻といえる物でした。

でも、ユウ君は、まだ気を抜いている様子はありません。

私も、目を凝らすと、爆煙の中に、まだ何かいるのが分かります。

煙が晴れると、そこには、また先程とは違う怪物が存在していました。

なんていうか、イモリの身体にクモの足をくっ付けた様な怪物です。

「・・・・・・アーマゲモン」

桜お姉ちゃんが、なにやら呟きましたが、私には何のことか分かりません。

「あれが・・・・・闇の書の闇のコアです」

リインフォースさんが呟きました。

すると、ユウ君のバリアジャケットが光に包まれ、水色の宝石になりました。

「ユ、ユウ君!?」

突然バリアジャケットを解除したユウ君に、私は驚いた声を上げます。

「さあ、最後の仕上げだ・・・・・・オメガよ、剣となれ」

『『Yes, Master.  Paladin Mode.』』

ユウ君の言葉にオメガと呼ばれたデバイスが応えると、水色の宝石が輝き、白い長剣へと姿を変える。

ユウ君は、その剣に手を伸ばし、両手でしっかりと握った瞬間、光に包まれ、白を基調として所々に金色の装飾が成されたバリアジャケットを纏い、背中には天使の翼を連想させるような純白の翼があった。

ユウ君はその剣を正眼に構え、怪物を見据える。

そして、一呼吸置き、次の瞬間、

「うぉおおおおおおおおおおおっ!!」

背中の翼を羽ばたかせ、一気に突撃しました。

ユウ君は一直線に怪物へと向かいます。

でも、その時、怪物が大きな口を開け、そこに凄い魔力を集めていました。

その魔力量は、簡単に見積もって、スターライトブレイカーの3倍以上。

それほどの魔力が凝縮された魔力弾が、怪物の口から放たれました。

「「「「「「「「「「ユウ(君)!!」」」」」」」」」」

皆が一斉に声を上げます。

でも、ユウ君は全く速度を落とすことなくその魔力弾と激突し・・・・・・・

あっさりと真っ二つにして、その魔力を四散させた。

その様子に私達は声を失います。

怪物は、同等の魔力弾を次々と放ちます。

ですが、それは全てユウ君に切り裂かれ、四散し、ユウ君の足止めにすらなっていませんでした。

「ユウ!!」

桜お姉ちゃんが叫びます。

「いっけぇーーーーーーーっ!!」

「オメガソーーーーーーード!!」













――ドスッ













桜お姉ちゃんの声に応えるように、ユウ君が剣を怪物の頭に突き刺しました。

怪物の大きさからすれば、ユウ君の刺した剣は、針で刺された程度に思えました。

でも、その一突きで怪物の動きは、ピタリと止まった。

ユウ君はゆっくりと剣を引き抜き、怪物に背を向けて、血振りをするように剣を振り、

『『Initialize.』』

デバイスの言葉と共に、怪物が眩い光を放つ。

その光に、思わず目を庇いました。

光が収まり、目を開けると、怪物の姿は消え、ユウ君の後ろには、直径20cmぐらいの光の球がありました。




【Side Out】







オメガの能力、『初期化イニシャライズ』。

対象を問答無用で初期化してしまう能力だが、これは本来のオメガの能力ではない。

オメガの本来の能力は『消滅デリート

対象を完全に消滅させてしまう能力だが、今の俺ではオメガを完全に使いこなせない為に、能力を劣化させた『初期化イニシャライズ』しか使えない。

だが、そのお陰で、今回はリインフォースを救うことが出来た。

「リインフォース!」

俺はリインフォースを呼ぶ。

リインフォースは、呼びかけに応えて、俺の傍まで飛んで来た。

俺は後ろの光の球を指し、

「初期化した防御プログラムだ。これを組み込めば、お前には問題が無くなるだろ?」

俺はそう言った。

「気付いていたのですか?このままでは私は消えなければいけなかったことに・・・・・・」

「まあな。でも、これがあればその必要も無いだろ?」

「・・・・・・はい」

リインフォースは、光の球に向き直り、両手を伸ばす。

そして、まるで抱くような仕草で光の球を吸収した。

俺は、その様子を見て、思わず笑みを零す。

「ユウ!」

桜を先頭に、皆が俺の方に飛んでくる。

俺はバリアジャケットを解除し、オメガもブレイズとアイシクルに分離した。

「うっ・・・・?」

と、その瞬間、身体全体から力が抜け、体勢が崩れる。

「ユウ!?」

咄嗟に桜に支えられる。

流石にオメガの使用はキツかったか・・・・・

オメガフォームで大暴れした上に、パラディンモードで『初期化イニシャライズ』まで発動させたんだ。

かなり身体に負担がかかったな。

魔力も枯渇寸前だし・・・・・・

「ちょ、大丈夫!?」

桜が心配そうに声をかけてくる。

「ああ・・・・魔力を使いすぎただけだ。心配ない」

「魔力の使いすぎって・・・・・まあ、あれだけの威力なら頷けない事も無いけど・・・・・・」

桜は驚いたように呟く。

すると、突然シグナム、ヴィータ、シャマル、ザフィーラが跪く仕草をする。

「聖王陛下!聖王陛下とは知らず、今までの数々の御無礼、真に申し訳ありません!」

シグナムがそう言った。

「ちょ、皆!?いきなり如何したん!?それに、聖王陛下って一体何のことや!?」

守護騎士の突然の行動に驚くはやて。

「あ~~・・・・つまりなはやて、簡単に言えば、俺は、シグナム達の国の王族の末裔なんだよ」

俺ははやてに分かりやすく説明する。

「「「「「「ええっ!?」」」」」」

なのは達が驚く。

「じゃ、じゃあユウ君って、もしかして王子様ってこと!?」

なのはが気付いたように声を上げる。

「お、王子様って・・・・・・まあ、そうなるのか?」

なのはの言葉に若干呆れながらも、一応肯定する。

けど、俺は王子様なんて柄じゃねえぞ。

やりたくも無いし。

「まあ、とりあえずシグナム達? 俺に対してそんなに畏まらないでくれ。俺は確かに聖王の血を継いでいるけど、王様なんかになる気は無いんだ。第一、むず痒い」

俺はシグナム達にそう言った。

「し、しかし!」

やっぱりお堅いシグナム達は受け入れ辛いか・・・・・

まあ、こういうときは、

「じゃあ、命令。俺とは今までどおり接する事。これは絶対命令ね」

俺はそう言う。

こう言われれば納得するしか無いだろう。

「わ、わかりました・・・・・あ、いや、わかった」

まあ、最初は不自然だが仕方ないだろう。

すると、クロノが近付いてきた。

「ユウ・・・・・」

その顔は辛そうだ。

「逮捕か?」

俺は何でもないように答える。

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」」

皆が驚愕した表情を浮かべる。

「何でよ!?」

桜が叫ぶ。

「蒐集活動。闇の書の発動。その他諸々。挙げ句の果てにロストロギアの無断使用」

オメガは、確実にロストロギアに分類される代物だろう。

「立派な重犯罪者の仲間入りだな」

「ッ・・・・・」

クロノは僅かに声を漏らす。

「まあ、最初は俺が首謀者になって逮捕されようと思ってたんだが・・・・・」

「ユウ!何言って!?」

「そうするわけにはいかない事に気がついたんでね」

「え?」

俺は、桜やみんなを見て言う。

そして、クロノに向き直り、

「悪いけど、全力で抵抗させてもらうぞ」

俺は、そう言い放った。

「・・・・・・・」

クロノは辛そうに拳を握り締める。

その時、

「エイミィ、聞こえる」

リンディさんがアースラに通信を繋ぐ。

『はい、何でしょう?』

エイミィさんが応える。

「今回の戦闘記録で、ユウ君が映っている部分・・・・・・特に虹色の魔力光を出している所は絶対に削除しておいて」

「「「「「「「「「「『!?』」」」」」」」」」」

リンディさんの発言に、俺を含めて皆が驚く。

「今回の出来事は、ユウ君が合意の上で闇の書に蒐集され、はやてさんが自力で管制人格と共に闇の書内部より脱出。そして、皆さんの力で闇の書の闇を破壊した・・・・・・以上です」

「どうして・・・・・?」

俺は思わず呟く。

「ユウ君。今回のケースは、あなたが聖王であることに問題があるの」

「?」

リンディさんの言葉に、俺は首を傾げる。

「ミッドチルダには、時空管理局とは別に、聖王教会という組織があるわ。聖王教会は、その名の通り、『聖王』を崇め称える宗教組織。聖王教会は、時空管理局と関係が深く、次元世界にも大きな影響力を持つわ。故に、時空管理局が聖王であり、闇の書を救ったユウ君を逮捕したりしたら、聖王教会との関係は一気に悪くなる。しかも、ユウ君の両親が時空管理局の提督によって殺されたも同然である事は、既に公表されている。つまり、時空管理局は聖王の血縁者を2人も殺していたことになる。そうなれば、聖王教会の時空管理局に対する評価は地の底に落ち、最悪・・・・・・・」

「最悪、次元世界レベルの戦争にまで発展する危険性があるわね」

リンディさんの言葉を引き継いで、桜が言った。

「そういう事よ・・・・・・」

リンディさんは頷く。

「よろしいですね?グレアム提督」

リンディさんはグレアム提督に確認するように問いかける。

グレアム提督は深く頷き、

「ああ。私も協力しよう。迷惑をかけた、せめてもの償いだ」

そう言った。

と、そこでリンディさんは神妙な顔から、優しく微笑む表情に変わり、

「とまあ、こんな理由を付けてみたけど、実際の所、ユウ君を逮捕するなんてしたくないのよ。確かにユウ君のしたことは、管理局の法には引っ掛かるけど、結果的に殆ど被害はなし。それに・・・・・・」

リンディさんはクライドさんに寄り添い、

「クライドを・・・・・取り戻してくれた・・・・」

そう言った。

「リンディ・・・・・・」

クライドさんはリンディさんの名を呟きながら、リンディさんの肩を抱く。

・・・・・・・この2人も万年新婚夫婦なのか?

2人の世界に入ってしまった2人は置いといて、

「ユウ君!じゃあ、これからも一緒にいられるんだよね!?」

なのはが問いかけてくる。

「ああ。そうだな」

俺は頷いた。

そこで、俺は皆に確認しておかなければならない事があった。

「なあ、皆・・・・・」

俺は、みんなに問いかける。

「本当に・・・・・・俺でいいのか?」

俺はそう言った。

すると、俺の肩を支えていた桜が微笑み、

「バカね、自分がどれだけ思われてるか教えてあげるわ」

そう言って、桜は俺の頬に手を添え・・・・・

「んむっ?」

「「「「「「「「「「ああっ!!??」」」」」」」」」

皆の叫び声が聞こえた。

俺は、一瞬状況が理解出来なかった。

目の前には、桜の顔。

そして、唇に感じる柔らかい感触。

自分が桜にキスされてると気付いた瞬間、顔が一気に熱くなった。

しかも、桜の舌が俺の口の中に侵入し、俺の舌が絡めとられる。

余りに突然な事、しかも、前世も含めてのファーストキスという事実に、上手く思考が働かない。

しかもディープキス。

俺は頭が真っ白になった。

「ぷはっ」

暫くして、桜が離れる。

桜は頬を染めながら、

「前世も含めた、私の本当のファーストキスよ。ここまでされて分からないなんて、言わせないんだから!」

「あ・・・・・ああ」

そう言った桜の言葉に、俺はボーっとしながら頷く事しか出来なかった。

「さ・・・・ささ・・・・・・桜ぁーーーーーーーッ!!いきなり何してるんですかぁ!!!」

「にゃぁあああああああああああああああっ!!桜お姉ちゃん!!いきなりユウ君に何するのーーーーーーーっ!!!」

「桜ちゃぁぁぁぁん!!抜け駆けはズルイでぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」

「桜ぁーーーッ!!いきなり抜け駆けしてんじゃないわよぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

「桜ずるい!!私もキスするぅぅぅぅぅ!!!」

上から、リニス、なのは、はやて、アリサ、アリシアが大爆発。

因みに、他の方にはいきなりのディープキスは刺激が強すぎたらしい。

顔を真っ赤にしている。

そんな皆に、桜は、

「私は一番出遅れてるからね。遠慮はしないわよ。あと、ユウのファーストキスは私が貰ったからね」

意味深げな笑みを浮かべながらそう言った。

その瞬間、ギャーギャーと喚きながら皆が桜に詰め寄る。

それを見て、

「・・・・・悪い気は・・・・・しないな・・・・・」

俺は呟く。

俺は、そんな様子を眺めた後、何気なく空を見上げた。

空には、雲1つ無い青空が広がっている。

「ありがとう・・・・・父さん・・・・・母さん・・・・・」

青空の向こうで、父さんと母さんが微笑んだ気がした。

そして、

(幸せになりなさい、ユウ)

(私達は、いつでもお前を見守っているぞ)

空耳かもしれないけど、そんな声が聞こえる。

その声を聞いて、少しでも良いから、前向きになろうと、俺は思った。






あとがき

やりたい放題やった二十六話の完成です。

こんな感じになりました。

ユウの聖王設定。

チートに更に磨きがかかりました。

無茶すぎるか?

でも、リインフォースのフラグを立てるためにはこの位しないと・・・・・

まあ、どっかで見たことある流れでしょうが、オメガモンといったらこの流れしか思いつかない。

あと、オメガの能力と、初期化の流れは納得できたでしょうか?

そこが一番心配です。

それで今回、桜がデレました。

如何でしょう?

最後の纏まりが上手くいかなかったな・・・・・

とりあえずA`S編もこれにて終了。

空白期か・・・・・

オリジナルを作るのは苦手です・・・・・・

多分更新が止まるかも・・・・・・

その前に、リリカルフロンティアをそろそろ更新したいなぁ・・・・

とりあえず、次も頑張ります。





[15302] 第二十七話
Name: 友◆ed8417f2 ID:11075f73
Date: 2010/06/27 17:44


一応注意:今回の話は、一時的なキャラ崩壊があります。一応ご注意を。





第二十七話 ユーノの里帰り






突然だが、今俺達はとある異世界に来ていた。

理由は、数日前に遡る。






闇の書事件から数日後、身体の調子も漸く戻ってきた俺は、何時もの通り、高町家の皆+ユーノと朝食を食べていた。

因みに、この数日間で、“看病”と書いて“そうだつせん”と読む、女の戦いがあった。




闇の書解決の翌日。

朝起きた⇒何故か布団の中に桜が⇒これ以上無いタイミングでなのはが部屋に&リニスが起床⇒ポジトロンレーザー&セブンヘブンズ⇒ブレイブシールドで防ぐ⇒そのせいで少し回復していた魔力がスッカラカン⇒俺、倒れる⇒3人が大慌て⇒何故かフェイトやはやて達が次々と来客⇒俺が倒れた事を知る⇒誰が看病するかで揉める⇒魔導師組、バトルロイヤルに発展(ユーノ、ヴィータ、ザフィーラ、アルフ以外)

簡単に言えば、こんな流れ。

因みに勝利者は、魔導師組が争っている間に、3人仲良く看病役を掠め取ったアリサ、すずか、アリシアの非魔導師組だったりする。

意外だったのが、リニス、シグナム、シャマル、挙げ句にリインフォースまで俺への好意を認めるような言動があったことだ。

何時フラグ立てたよ俺?




てな事があったが、現在は静かな朝食。

その朝食の席で、桜が思い出したように言った。

「そういえばユーノ。 ユーノって、無限書庫の司書に誘われたらしいじゃない」

「う、うん・・・・・そうなんだけど・・・・・」

桜の言葉に、ユーノは頷く。

ユーノは、アニメの通り無限書庫に誘われているのだ。

「む、ユーノはそれほどに優秀なのか?」

恭也さんが尋ねる。

「まあ、無限書庫は、普通なら何人かでチームを組んで、数ヶ月単位で目的の資料を調べるのが常識な所だから。 それをユーノは、たった1人・・・・・しかも2週間で、目的の資料を調べ上げたから、無限書庫の人たちからすればユーノは、喉から手が出るくらい欲しい人材だろうね」

俺はそう説明する。

「ほう」

恭也さんは、納得といった表情をする。

「それで、ユーノは如何するんだ?」

俺が尋ねると、

「うん・・・・・正直余り乗り気じゃないんだ・・・・・リンディさん達はともかく、時空管理局自体には、もう余り良い印象がないから・・・・・」

ユーノはそう言った。

「そうか・・・・まあ、それはお前の将来に関わる事だからな。 俺達が口を挟むことじゃない」

ちょっと暗くなった雰囲気を変えるため、俺は、前々から気になっていた事を尋ねる事にした。

「なあユーノ」

「え、何?」

「お前、ジュエルシード事件の時からずっと居るけど、スクライア一族の方には連絡してあるのか?」

俺がそう尋ねた瞬間、まるで、時間が止まったかのようにユーノは動きを止めた。

そして、高町家全員の顔が、ほぼ同時にユーノの方を向く。

その瞬間、

「あああぁーーーーーーーーーッ!!!!!忘れてたぁーーーーーッ!!!!」

ユーノが大声を上げた。

・・・・・っていうか、忘れてたのかよ!?

「どどど・・・・・どーしよう!?」

ユーノは、珍しくとても焦った様子だ。

「如何するもこうするも、早く連絡を取るべきだろう」

恭也さんがそう言った。

「でも、ユーノ君の部族って、遺跡発掘の旅で、いろんな世界を回ってるんでしょ?まだ、同じ世界にいるのかな?」

美由希さんが、思い出したようにそう言った。

「え、え~っと・・・・・・」

ユーノは混乱して、上手く考えが纏まらないようだ。

「・・・・・ミッドチルダに行けば、何処の世界にいるか、手がかり位つかめるんじゃないのか?」

俺がそう言うと、

「だったら、クロノやリンディさんに頼んで、スクライア一族の居場所を調べてもらった方が手っ取り早くない?」

桜がそう言った。

確かにそっちの方が簡単だ。

「そ、そっか!」

ユーノは、食べかけのご飯を口にかき込むと、慌ててリンディさんに連絡を取りに行った。

ご飯を残さない所は、律儀である。



その後、無事リンディさんと連絡が取れ、現在のスクライア一族の居る世界が分かり、現在に至る。

因みにここに居るメンバーは、俺、リニス、ユーノ、なのは、桜、フェイト、アルフ、はやて(リインフォースユニゾン)、シグナム、ヴィータ、シャマル、ザフィーラ。

何処からか聞きつけた(多分なのは経由だろうが)フェイトやはやて達もついて来たのだ。

尚、アリサ、すずか、アリシアの非魔導師組は、何があるか分からないので何とか残ってもらう事に成功する。

その代わり、埋め合せとして3人と今度デートする事を約束させられたが・・・・・・

それはともかく、今居る場所は、砂漠のど真ん中にある岩山の上。

「で、ユーノ。スクライア一族は何処に居るんだ?」

俺がそう尋ねると、

「あ・・・・・・・・」

ユーノが何かに気付いたように声を漏らした。

それにやな予感がした俺は、

「おい、もしかして、スクライア一族の居る場所を聞いてこなかったってオチか?」

そう尋ねた。

「・・・・・・・ゴメン!」

ユーノは勢い良く頭を下げる。

「・・・・はぁ」

俺はため息を吐いて頭を掻く。

「どうするの?」

桜が尋ねてくる。

「如何するって、ユーノにスクライア一族が集落を作りそうな場所を聞いて、サーチャーを飛ばして隈なく探せばいいんじゃないか? これだけの人員がいれば、それほど時間は掛からないと思うけど・・・・・・・」

と、そこまで言った時、リニスが何かに気付いたように空を見上げた。

俺もそれに釣られて空を見る。

そこには、黒い影が見える。

「何だ?」

俺が声を漏らした時、

「伏せてください!!」

リニスが叫んだ。

その言葉で、ヴォルケンリッターたちは反射的に行動した。

シグナムははやてを庇いながら伏せ、他のメンバーも伏せる。

一瞬送れて、リニス、桜、ユーノ、フェイト、アルフも伏せた。

だが、

「ふ、ふえ?」

なのはだけは訳が分からず立ち尽くした。

その間にも、巨大な影が迫る。

「なのは!あぶねえっ!!」

「きゃっ!?」

俺はなのはに飛び掛るように抱きしめながら押し倒す。

次の瞬間、巨大な影が俺のすぐ後ろを通過した。

それによって衝撃波が発生して、俺達は吹き飛ばされまいと踏ん張る。

衝撃波が収まると、

「あっぶね~・・・・大丈夫か、なのは?」

「う、うん・・・・・ありがとう」

そう言うなのはの顔は赤くなっている。

まあ、抱きしめてるからな。

俺は、そう思いながら顔を上げる。

するとそこには、全長20mほどの巨大な怪鳥が飛んでいた。

どうやら、俺達を餌と思っているらしく、空中を旋回して、再び俺達に襲いかかろうとしている。

「チッ、仕方ない」

俺は起き上がると、左手に炎を発生させる。

「メガ・・・・・・」

俺は、向かってくる怪鳥にメガフレイムを放とうと、左手を振りかぶる。

そして、俺達のいる場所から約100mの所に差し掛かった所で、メガフレイムを放とうとした瞬間、

――ドオォォォォォォォォン

突如、砂漠が爆発した様に砂を巻き上げ、怪鳥を包み込んだ。

「ギャァァァァァァァァァ!!」

すると、怪鳥の断末魔の鳴き声がした。

砂煙が晴れてくると、そこには、

「デカッ!」

俺は思わず声を漏らす。

「こ、これは大きいな・・・・・」

シグナムも若干動揺した声でそう呟く。

俺達の目の前には、胴の直径が30mほどもある巨大な蛇のような生物がそこにいた。

しかも、全長は砂に隠れて分からないが洒落にならないほど長い。

下手すれば、1kmを超えているかもしれない。

なのは達も、開いた口が塞がらない状態だ。

その蛇の口には、先程の怪鳥が咥えられており、既にその怪鳥は絶命している。

すると、その蛇は上を向き、口を大きく開けると、

――ゴクン

と、20mもある怪鳥を一飲みにした。

その光景に、声も出ないなのは達。

怪鳥を飲み込んだ蛇は、俺達を見る。

なのは達は身構えた。

だが、蛇は興味をなくした様に俺達から視線を外し、再び砂の中へ消えていった。

少しすると、

「な、なんなのよこの世界は!?」

桜が声を上げた。

流石に今のはショックがデカかったようだ。

「あ、そういえば・・・・」

ユーノが思い出したように言う。

「この世界の砂漠地帯は、危険度S級だから気をつけるようにって、リンディさんが・・・・・」

「それを早く言いなさい!!心臓に悪いわよ!」

ユーノの言葉に、桜が叫んだ。

「そんな世界に来て、ユーノ君の一族は大丈夫なんか?」

はやてが尋ねる。

「ああ、それは大丈夫。危険なのは砂漠だけで、それ以外はいたって平和だから。砂漠地帯の大きさも、この世界の20分の1も無いって話だし」

ユーノの言葉に、この世界への転送で20分の1以下の確率に遭遇する俺達って何だろうと俺は思う。

「そういう事なら、さっさと移動するぞ。俺はともかく、お前らの身が危ないからな」

俺はそう言った。




――2時間後。

漸く砂漠が終わった。

この2時間で、10m級の巨大な虫に襲われること68回。

20m級の怪鳥に襲われること36回。

50m級のワームに襲われること10回。

100m級の竜種に襲われること5回。

1000m級の蛇の様な生物に襲われること1回。

シャレにならん。

はっきり言って、危険度S級を確実に超えている。

とりあえず、50m級のワームまでならば、なのは達でも相手に出来たが、100m級の竜種からは俺しか相手に出来なくなった。

ポジトロンレーザーすら耐え切る鱗ってどんだけだよ!!

ガイアフォースやコキュートスブレスで黙らせたが、流石に疲れる。

俺達は、砂漠を越えて10kmほど進んだ所にあった岩山で休憩している。

驚く事に、砂漠の終わりにあった山脈を越えたら、世界が変わったように森が広がっていた。

「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・・」

俺は息を整える。

「大丈夫か?ユウ」

シグナムが声をかけてくる。

「ああ、少し疲れたけどな」

俺はそう言う。

「すまんな、我らが未熟な所為で、お前に負担を掛けた」

シグナムはそう言ってくるが、

「仕方ないって。 あんな生物を相手に出来る方がおかしいんだよ」

俺はそう言う。

「フッ・・・・そういう自分を悪く言うところはまだ変わらんな」

シグナムは、薄く笑ってそう呟く。

闇の書事件以来、少しは前向きになろうと意識はしているが、後ろ向きな性格はすぐには直せんな。

「まあ、スクライアの集落を探すのは任せて、今は休め」

シグナムはそう言いながら、水の入ったペットボトルを差し出してくる。

「ああ、サンキュ」

俺はそれを受け取って、口をつける。

周りでは、なのは達がサーチャーを飛ばして、スクライア一族の居場所を探しているようだ。

少しすると、

「あっ! それらしい集落を見つけました!」

シャマルが声を上げた。

「場所はここから北西へ20kmほど行ったところです」

思ったより近くに居たな。

「よし、じゃあ行くか」

俺達は、そこに向かって飛び立った。




暫く飛ぶと、森の中にある広場に、テントで作られた集落があった。

「あ!あれはスクライア一族のテントだ!間違いない!」

ユーノが叫ぶ。

それを聞いた俺達は、集落の真ん中あたりに降り立った。

いきなり集落の真ん中に降りた俺達が気になったのか、人が集まってくる。

「誰かな?君達は?」

その中で杖を突いて、一番の年長者らしき老人が尋ねてきた。

「長老!」

ユーノがその老人の前に出た。

「ユーノです。ただいま戻りました!」

長老は、驚いた表情をして目を見開いた。

「ユーノか!? 無事じゃったのか! 心配したぞ!」

「も、申し訳ありません・・・・・」

長老の言葉に、ユーノは少しバツが悪そうな顔をする。

音信不通の原因が、忘れてたからでは仕方ないだろうが。

「それで、あちらは・・・・」

長老が、俺達の方を見る。

ユーノは姿勢を正し、

「別の世界で出会った、友人達です!」

はっきりとそう言った。

そんなユーノの姿を見た長老は、ニッコリと笑顔になり、

「ホッホッホ、ユーノよ。 よき友人達に巡り合えた様じゃな」

「はい!」

長老の言葉に、ユーノはハッキリと返事をする。

長老は、振り返って一族皆の方を向くと、

「皆の者!ユーノの帰還祝いじゃ!今夜は宴じゃ!」

長老がそう言うと、「オー!」という声と共に、皆が準備を始める。

「というわけじゃ。皆さんも今夜はゆっくりとしていきなされ」

長老の言葉に、

「ありがとうございます」

俺は頭を下げた。





【Side 桜】




その夜は、正にドンチャン騒ぎだった。

広場の真ん中でキャンプファイヤーのように火を囲っている。

踊りも踊ったりして、みんな楽しそうだ。

ユーノは一族の人達に囲まれてるし、アルフは骨付き肉に夢中。

なのは達は何でかお酒を飲んだらしく、妙にハイテンションだ。

かく言う私もお酒飲んだし。

静かにご飯食べてるのは、ザフィーラ。

あと、ヴィータ・・・・・・・・は、静かだけど、ドサクサに紛れてユーノの隣をキープしてるし、女の人がユーノに寄ってきたときには、黒いオーラを出して威嚇している。

この世界に付いて来る時には、「アタシはユーノが心配だから行くんじゃねーぞ!アタシははやてが心配だからだ!間違ってもユーノの為じゃねーからな!ホントだかんな!!」って言ってたのに。

典型的なツンデレね、ヴィータって。

ああ、ユウは、お酒を一口飲まされて、一発でダウンしたわ。

ユウの一番の弱点よね、お酒って。

因みに、今、ユウの頭は私の膝の上。

役得役得。

そんな時、はやてとのユニゾンを解除したリインフォースが近付いてきた。

「何をやっているのだ?桜」

そう言ってくるリインフォースは何故かニコニコしている。

「特に何も・・・・・って、何でそんなにニコニコしてるのよ?」

「アハハハハッ! 何故かとても気分がいいのだ♪ 不思議だなお酒というのは♪」

そう言いながら笑うリインフォースは、普段とかけ離れている。

リインフォースって、笑い上戸だったんだ。

っていうか、ユニゾンデバイスって酔っ払えたのね。

因みにその横では、

「ううっ・・・・・ユウ~~~! 私は一番付き合いが長いのに何で私の気持ちに気付いてくれなかったんですかぁ~~~~~~!?」

リニスが涙を流しながらグチを零している。

リニスは泣き上戸なのね・・・・・

その時、シャマルに言い寄る男が1人。

「失礼、私と一曲如何でしょうか?」

どうやらシャマルを踊りに誘っているようだ。

シャマルは、ニッコリと笑って、

「何ふざけたこと言ってるんですか? リンカーコア引っこ抜きますよ?」

とんでもなく物騒な事を言った。

怖っ!

笑顔がいつも通りなのが更に怖いわ。

良く見れば、シャマルの頬がほんのり赤く染まっている。

どうやら、シャマルも酔っ払ってる最中のようだ。

「しぐなむ~、よっぱりゃってりゅんじゃないんれすかぁ~~~?」

「な、何をひうか、てすたろっしゃ。我らベルカのきひ、酒を飲んでも呑まれりゅことなど・・・・・・」

「そんなりょりぇちゅの回らない言葉でひわれても、しぇっとくりょくありましぇん」

と、どちらも呂律の回ってない声で言い合っているのは、フェイトとシグナム。

どっちも酒に呑まれてるわね。

「おにょれ~~~私をぐりょうしゅるのはゆるしゃんぞ」

そう言いながら、レヴァンティンを起動させるシグナム。

「うけてたちましゅよ、しぐなむ」

フェイトもそう言ってバルディッシュを起動させた。

2人がデバイスを振りかぶった瞬間、

――ゴウッ!

2人は桜色の閃光に飲み込まれた。

「あはは~~。2人とも、駄目だよ喧嘩は~~。 ちゃんと『お話』しなきゃ」

いい笑顔でレイジングハート・バスターモードを構えていたなのはが言った。

やっぱり、それが『お話』なのね、なのは。

「テメーらアタシのユーノに近付くなーーーーーっ!!」

ヴィータはそう叫びながら、酔いか怒りか、顔を真っ赤にして、グラーフアイゼンを振り回している。

因みに、当のユーノは酔いつぶれてお寝んね中。

にしても、凄い事言ったわねヴィータ。

「ユウく~ん」

という声に振り向けば、いつの間にか近くに来てユウに抱きついているはやて。

抜け目が無いわね。

「フ~・・・・・・」

そんな様子を見て、ため息を吐きながら肉を齧るザフィーラだった。







あとがき

やはり、完全なオリジナルを書くと、レベルがガタ落ちすると痛感した二十七話の完成です。

グダグダ、つまらん、訳分からんの3拍子が揃ってます。

今回は何とも言えんです、はい。

すいません。

次も頑張ります。






[15302] 第二十八話
Name: 友◆ed8417f2 ID:11075f73
Date: 2010/08/17 21:11
第二十八話 波乱のデート。 そして、新たなるフラグ!?



ユーノの里帰りから数日。

今日は、アリサ、すずか、アリシアの非魔導師3人娘とのデートの約束の日である。

事前の約束があるため、魔導師組が尾行するなんて事にはならない・・・・・・・・はず。

あ、因みにユーノはスクライア一族の所へ戻った。

いつでも連絡は取れるようにしてあるが、ヴィータは微妙な顔をしてた。

まあ、寂しいのだろう。

会いに行こうと思えばいつでも会えるので、駄々をこねる事はなかったが・・・・・・




ともかく話を戻すが、今日はユーノの里帰りについていけなかった非魔導師3人娘との埋め合わせのデートである。

家を出る時の、なのはと桜、リニスの視線は痛かった・・・・・・・

とりあえず、待ち合わせの場所まで行くと・・・・・

「ちょっと!遅いわよ!!」

いきなりアリサに怒鳴られました。

待ち合わせ場所には既に、アリサとアリシア、すずかがいて、何故かファリンさんまでいる。

「いや、遅いって・・・・・待ち合わせの時間まで後30分あるんだけど・・・・・・・」

そうなのだ。

俺にとって、何気に前世からも含めての初デートなので、早めに来たんだけど・・・・・・

「うっさい!男なら1時間前に来て待ってるぐらいの気概を見せなさい!」

それって、待ち合わせの時間の意味あるのか?

そう言うのなら、待ち合わせの時間をずらした方がいいのでは?

アリサの言葉にそう思ったが、口には出さないでおく。

「まあ・・・・・すまん」

とりあえず謝っておく。

そして、改めてアリサ、すずか、アリシアの姿を見ると、何時もより容姿に気を使ってるのに気付く。

デートだから当然かも知れないが。

でも、改めて思うと、まだ9歳なんだよな、こいつら?

いくらなんでも、精神年齢高すぎないか?

「ところで、何でファリンさんが居るんだ?」

俺は気になったことを尋ねる。

「あ、それはね、私達子供だけだと、不都合があるかもしれないからってお姉ちゃんが・・・・・・・」

すずかがそう言った。

「あ、なる程。保護者代わりってことね」

俺は納得して頷く。

「そういう事なのです。今日は私もご一緒しますね」

ファリンさんが笑顔でそういった。





行き先は、デートの定番である遊園地。

先ずはジェットコースター。

「んんっ・・・・・・・・!」

悲鳴を堪えるアリサ。

「きゃうぅ・・・・・・!」

小さく悲鳴を漏らすすずか。

「あははっ! すっごぉーい!」

笑顔で声を上げるアリシア。

「キャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!」

一番大きな悲鳴を上げるファリンさん。

あ、俺は特に如何という事はなかった。

前世では情けなく悲鳴を上げてた所だが、今なら、普通にこのジェットコースター以上の機動ができるから、この程度は慣れっこだ。




次、お化け屋敷。

「きゃぁああああああああああああっ!!」

突然出てきたお化けの人形に、思いっきり悲鳴を上げるファリンさん。

「ううっ。 結構リアルね・・・・・」

アリサが震えながら、そう言って俺の右腕にしがみ付いている。

因みに、左腕にはすずかが。

背中にはアリシアがピッタリとくっ付いている。

お化けの人形が出てきて脅かすたびに、ひしっとくっ付いてくる。

因みに、俺は内心ガクブルでした。

俺はホラー系駄目なんだよ・・・・・・・

そして、またお化けの人形が飛び出る。

うおっ!?

俺は悲鳴を上げるのを何とか堪える。

だが、

「うきゃぁ!?」

ファリンさんが情けない声を上げる。

そのまま進んでいくと、

「きゃぁああああっ!?」

「ひゃぁあああっ!?」

「やだぁああああああっ!?」

「ふぇええええええええええん!!」

ファリンさんの悲鳴が次々と響く。

お化け屋敷を出る頃には、

「えっぐ・・・・・・ぐすっ・・・・・・」

ファリンさんは目に涙を浮かべていた。

「あ・・・・あの・・・・大丈夫ですか? ファリンさん・・・・・・」

「ふぇええ・・・・」

泣き声を漏らすファリンさん。

「ファリン、もう大丈夫だから。 ね?」

そう言いながら、ファリンさんを慰めるすずか。

あの、ファリンさん?

あなた、保護者代わりに付いて来たんですよね?

如何見ても逆なんですが・・・・・・





お次はメリーゴーランド。

俺としては、微妙なんだが、今の歳ならセーフ・・・・・なのか?

「きゃはははははっ!!」

さっきとはうって変わって、満面の笑みを浮かべているファリンさん。

いや、ホントにあなた保護者代わりに付いて来たんですか?




「すずかちゃ~ん! 次はあれ乗りましょ! あれ!」

ファリンさんは、次の乗り物を指差しながら言った。

「ファリン! もうすぐお昼だから、先にご飯だよ」

すずかはそう言う。

そんな様子を見て、

「何気にファリンさんが一番楽しんでるよな・・・・・・」

俺はそう呟く。

「ホントね・・・・・ファリンさん、性格が少し幼いかなと思ってたけど、まさかここまでとは・・・・・」

アリサも同意する。

「まあ、偶には良いんじゃないかな?」

アリシアがそう言った。





遊園地内のレストランで食事を取っていると、放送のチャイムが鳴り、

『ただ今、警察より園内に近場で起こった強盗の犯人達が潜伏しているとの情報が入りました。 お客様は速やかに退園してください。 繰り返します・・・・・・・・』

そんな放送が流れた。

何だこのお約束的展開は?

レストランの中にいた客達が我先にと逃げ出していく。

「ごごご、強盗犯~~~~!? 大変ですぅ~! すずかちゃん! 早く逃げましょう!!」

ファリンさんがテンパッた様子でそうまくし立てる。

「ファリン落ち着いて」

そんなファリンさんをすずかが宥めようとする。

「ともかく、俺達も避難した方がいいな。 行くぞ」

俺はそう言って立ち上がる。

「そうね」

アリサ達は落ち着いた様子で立ち上がった。

「・・・・・・何でそんなに落ち着いてられるんだ、お前らは? はっきり言って、ファリンさんの反応の方が正しいぞ」

俺は、落ち着きすぎているアリサ、すずか、アリシアに尋ねる。

「だって、魔法だの何だのに関わってから、普通の強盗犯って言われても驚くほどじゃないし・・・・・・」

「この前みたいに直接誘拐されたわけでも無いし・・・・・・・・・・」

「それに、私達には、最強の騎士ナイト様がついてるし!」

アリサ、すずか、アリシアの順でそう言った。

特にアリシア。

最強の騎士ナイト様っていうのは俺のことか?

この前のオメガフォームとパラディンモードの印象が強かったのか?

「そうか・・・・・ともかく、行くぞ」

既に店の中には誰も居なかった。

俺を先頭に店の出入り口のドアに手を掛ける・・・・・・前にドアが開いた。

「あら?」

手が空振り、思わず声を漏らす。

「なっ!? まだ客がっ!?」

そんな声が聞こえたかと思うと、目の前に銃が突きつけられた。

俺は、反射的に魔力で身体強化を施す。

その瞬間、

――ドォン!!

頭に衝撃が走る。

脳が揺らされ、意識が遠くなる。

俺は、子供相手にいきなり発砲するなよと思いながら意識を手放した。






【Side ファリン】



「え?」

何が起こったか一瞬分からなかった。

ユウ君がドアを開けようとする前にドアが開いて、何故かいきなり銃が突きつけられて・・・・・・

そして、銃声と共にユウ君が軽く吹き飛ぶように倒れた。

「ユ、ユウ君!?」

私は思わず叫んでしまいました。

すずかちゃん達が慌てて駆け寄っている。

「バ、バカ野郎! 何いきなり撃ってやがる!!」

怒鳴り声が聞こえる。

私が其方に振り向くと、4人の男達が戸惑うように話し合っている。

「す、すまねえ兄貴・・・・つい」

「ついで済むか! 殺っちまったら重罪確定じゃねえか!」

「ど、どうしやす? 兄貴?」

「ぐ・・・・そこの女とガキ共を人質に取って逃げるぞ! こうなった以上、捕まったら俺達は終わりだ!」

「「「ヘ、ヘイ!」」」

その男達はナイフを取り出し、

「お嬢さんたち、悪いけど俺達と一緒に来てくれねえか?」

そう脅しながら言ってくる。

「すずかちゃん達は下がってください」

私は、すずかちゃん達を庇うように前に出た。

男の1人が私を捕まえようと手を伸ばしてくる。

「えいっ!」

でも、私は逆にその手を掴み、その男を投げ飛ばしました。

「ぎゃっ!?」

床に叩きつけられた男は悲鳴を上げます。

普段はドジな私ですが、これでも夜の一族が作った自動人形です。

普通の人間には負けません。

「な、何だこの女!?」

「片手で投げ飛ばしやがった! 何て馬鹿力だ!」

私は残りの男達を倒そうと動きだそうとしました。

その瞬間、

――バキュン

突然銃弾がすずかちゃん達の目の前の床に撃ちこまれました。

「そこまでだ。 それ以上動けば、後ろの嬢ちゃん達の命は無いぜ」

その言葉に、私の動きは止まります。

いつの間にか、リーダー格らしき男がすずかちゃん達に銃を向けていました。

「あ・・・・・」

私は、後悔しました。

銃が1つだけだとは限らない事に気付けなかったから。

すると、先程投げ飛ばした男が立ち上がりました。

「ぐ・・・・・げほっ!・・・・」

その男は咳をしながら私に近付いてきます。

「このアマ!!」

――ドゴッ!

「あうっ!」

私は、その男に頬を殴られて床に倒れます。

「テメェ・・・・・舐めてんじゃねぇぞ!!」

“外見”が女の私に投げられた事が屈辱なのか、その男の顔は怒りに染まっている。

――バキッ!

「うっ!」

身体を起こした私は、また頬を殴られる。

「ファリン!」

すずかちゃんが心配そうな声を上げる。

そんなに心配しなくても大丈夫ですよ・・・・・・

私は自動人形です・・・・・・

女でもなければ、人間でも無いんですから・・・・・・・

だから、泣かないでください、すずかちゃん・・・・・・・

また男が私を殴ろうと拳を振り上げる。

私は殴られる事を覚悟して目を瞑る。

でも、

――ドドドゴォ!

「「「ぎゃっ!?」」」

爆発音のような音がして、私は目を開ける。

その瞬間、

「女の人は、もっと丁寧に扱え! このボケが!!」

――ドゴッ!

そう叫びながら私を殴ろうとした男の頭を掴んで床に叩きつける、ユウ君の姿があった。





【Side Out】




「このアマ!!」

――ドゴッ!

「あうっ!」

そんな声が聞こえ、意識が覚醒する。

まだ頭がグラグラするが、状況を確認しようと周りを見渡す。

その時、

「テメェ・・・・・舐めてんじゃねぇぞ!!」

――バキッ!

「うっ!」

ファリンさんが殴られて床に倒れる所を目撃した。

その瞬間、朦朧だった意識が完全に覚醒する。

状況を確認する。

アリサ、すずか、アリシアは俺の周りに。

そんな3人に、銃を向ける男とその両隣にいる男2人。

そして、再びファリンさんに近付くファリンさんを殴った男。

俺は、3人を人質にとられてファリンさんが抵抗できない事を瞬時に悟った。

俺は瞬間的に動いた。

床に倒れたまま魔力弾を3発作り出し、それを1発ずつ銃を向けていた男とその両隣にいる男達に向かって放つ。

その瞬間俺は立ち上がり、ファリンさんに向かって拳を振り上げていた男に向かって駆け出した。

――ドドドゴォ!

「「「ぎゃっ!?」」」

魔力弾が3人の男に着弾したのとほぼ同時に、俺は床を蹴って跳び上がり、ファリンさんに拳を振るおうとしていた男の顔を掴む。

「女の人は、もっと丁寧に扱え! このボケが!!」

――ドゴッ!

思っていた事をそのまま口に出し、男の頭を床へ叩き付けた。

男は気絶し、動かなくなる。

俺はすぐにファリンさんへと駆け寄る。

「ファリンさん! 大丈夫ですか!?」

ファリンさんは床に倒れた状態で上半身だけを起こし、呆気に取られた顔で俺を見ている。

大方ビックリしたんだろうけど。

そんな時、ファリンさんの顔に殴られた跡があることに気付く。

少し痛々しい。

俺は、試しに治癒魔法を発動させてファリンさんの頬に手を添える。

だが、やはり人間の身体とは違うのか、治る気配は無い。

「う~ん・・・・・やっぱり無理か・・・・・・それにしても、女の人の顔を殴るなんて、最低な野郎だな」

俺は、ファリンさんを殴った男を一瞥して呟く。

「あ、あの、ユウ君?」

「はい?」

ファリンさんに名を呼ばれてファリンさんに向き直る。

「ユウ君は、私が自動人形であることは知ってた筈ですよね?」

「はい。 前に聞きましたから」

ファリンさんは確認するように問いかけてきたので俺は頷く。

「それがどうかしたんですか?」

俺がそう尋ねると、

「いえ・・・・あの、私は自動人形ですから、人でも無ければ、女でもありませんから・・・・・・・・」

ファリンさんは、遠慮がちにそう言う。

「何言ってるんですか? 確かに人間じゃないかもしれませんけど、俺から見たら、ファリンさんは十分に女の人だと思いますが・・・・・・」

「ふえっ!?」

ファリンさんは顔を赤くして声を漏らす。

あれ?

何か変な事言ったか俺?

「ユ、ユウ君!? な、何言ってるんですか!?」

「いや、普通に思ったことを言っただけなんですけど・・・・・・ファリンさんはちょっとドジかも知れませんが、逆にそこが可愛らしくて、素敵な女性だと思ってますよ」

俺はそう言って笑いかける。

「あ・・・・・・」

すると、ファリンさんは声を漏らして何故か涙を零した。

「え? あの? ファリンさん!? 何で泣くんですか!?」

いきなり涙を流したファリンさんに俺は焦った。

「ね、ねえ・・・・ファリンさん・・・・・・もしかして堕ちちゃった?」

「うん・・・・・多分・・・・・・・・・ファリン、自動人形だってことにコンプレックス持ってたみたいだから・・・・・・・・・」

「あ~~・・・・・・そこにあんな風に言われればイチコロかぁ・・・・・・・」

「あはは・・・・・・ユウって見境無いね・・・・・・・・」

「それが意識してやってるわけじゃないから、逆にタチ悪いのよ」

「でも、その優しい所がユウの良い所なんだよね」

「クスッ、そうだね」

「また女が増えた事を知ったら、桜やなのはが暴れそうね」


後ろで3人が何やら話していたようだが、声が小さくて聞き取れない。

ともかく、俺は、目の前で泣き止まないファリンさんを慰めながら、この現状を如何するのかを考えるのだった。








あとがき


やりたい放題やった割にはどこか面白みに欠ける二十八話の完成です。

あれ?

非魔導師3人娘とのデートだった筈なのに、何故かファリンの独壇場。

フラグ立てちゃったし・・・・・・・

性格が何か違うか?

う~ん・・・・・この先どうなる事やら・・・・・・・

まあ、次も頑張ります。




[15302] 第二十九話
Name: 友◆ed8417f2 ID:11075f73
Date: 2010/08/17 21:11
第二十九話 クリスマス・イブ



さて、日が過ぎるのも早いもので、今日は12月23日。

明日はクリスマス・イブだが、翠屋にとっては忙しい一日となるので、高町家では、一日早いクリスマスパーティーのようなものが開かれている。

士郎さん曰く、イブは地獄の忙しさらしい。

因みに、俺も当日の戦力として駆り出される事を宣告されている。

学校はサボり。

高町夫婦公認だし、自分にとって小学校の勉強など如何でもいいので問題ない。

当日に戦力にならないなのはと桜(桜は体力的問題)は、今夜の内に値札とポップを作る役である。

あと、桃子さんがやけにニコニコしていたが、明日、頼もしい援軍が来るらしい。

俺は誰だろうと首を捻るが、恭也さんの恋人の忍さん位しか思いつかない。

まあ、明日になれば分かるだろう。







そして翌日。

「何でだよ………」

俺は思わず脱力する。

今、開店前の翠屋の中にいるのだが、俺の目の前には、

「じゃあ皆、今日はお願いね」

桃子さんがそう言い、

「了解です」

「はい!」

リニスと忍さんが返事をすると、

「頑張らせていただきます」

「こちらこそよろしくお願いします」

「はい、一生懸命頑張ります」

「頑張りますぅ」

「任せときな」

「これも主の頼み。 役割は果たそう」

続けて返事をしたのは、順にウェイトレスの制服を着たリインフォース、シグナム、シャマル、ファリンさん。

更にサンタクロースの格好をした人間形態のアルフとザフィーラ。

ホントになんでこうなった?

リニスは元々翠屋のウェイトレスだし、忍さんも偶にヘルプに入ってくれるからまだ分かる。

何でシグナム、シャマル、ザフィーラ、アルフとファリンさんまで居るんだよ?

「ホント助かるわ。 バイトの子も予定が入ってる子が多かったから如何しようかと思ったけど、はやてちゃんとフェイトちゃんが快く貸してくれたの」

桃子さんがそう言う。

そうなのか。

因みにはやては今日は病院でリハビリ。

闇の書が夜天の魔導書に戻り、はやてへの侵食が止まったので、麻痺は既に無くなっているが、筋力的に衰えている為、まだ歩く事は出来ない。

しかし、足自体は既に動かせるので、歩けるようになるまでそれほど時間はかからないらしい。

あと、ヴィータはスクライア一族の所へお邪魔しているらしい。

何でも、遺跡の発掘作業の手伝いだそうだ。

ハンマーで岩を砕き、ドリルで穴を掘るヴィータ。

……その様子が、簡単に想像できてしまうのは何故だ?

「ん? シグナム達とアルフは分かりましたけど、ファリンさんは何で? 忍さんの付き添いならノエルさんですよね?」

俺は気になったことを尋ねる。

「ふえっ? 私じゃお邪魔でしたか……?」

ファリンさんは泣きそうな顔で俺を見てくる。

「えっ? いや、邪魔とかそんなんじゃないです! ただ気になっただけで……」

俺は慌ててそう言った。

すると、桃子さんが、

「あらあら、ユウ君も罪作りな男の子ね」

と微笑んでいる。

そういえば少し前の非魔導師3人組とのデートの後に、「アンタまた女引っ掛けたのね!」って、いわれの無い罪で桜となのはからダブルポジトロンレーザーを受けたんだが……いや、まさかそんなわけ…………。

俺はそう思いながらファリンさんを見ると、

「はうぅ……」

桃子さんの台詞で頬を染めるファリンさんの姿。

マジですか!?

「あ……いや………何と言うか…………」

そんなファリンさんに何か言おうとしたが、

――ゾクッ

と、背中に悪寒が走る。

振り返れば、リインフォース、シグナム、シャマルがもの凄い目で俺を見ていた。

俺が如何するか困っていた時、

「う~ん、無自覚女たらしなところは恭也と一緒だけど、鈍感じゃないだけまだマシかな?」

なんて事を忍さんが言った。

いや、分かってたんですか?

何か釈然としない雰囲気だったが、開店時間が迫ってきたので、その話は打ち切りとなった。





開店時間になった途端、なだれ込んで来るお客達。

何時もの比ではない。

今日の桃子さんの作戦としては、お客にはテーブルに着いたら各自その場で声に出して注文してもらい、俺がその注文を何時もの如く1人でメモし、厨房に伝える。

シャマルは、レジ係。

リニス、リインフォース、シグナム、ファリンさんと、その他従業員がウェイトレス。

あと、アルフとザフィーラは、店の前でサンタクロースの格好をして、客の呼び込みをしている。

因みに、獣耳と尻尾は隠していない。

まあ、イブだし、衣装の一部としてしか見られないだろうけど。

アルフは、男性ウケが良い。

まあ、使い魔とはいえ、容姿は良いし、スタイルも抜群。

大概の男なら好感を持つだろう。

意外だったのが、ザフィーラ。

何と子供受けが良い。

窓から外を覗いた時、ザフィーラの腕にぶら下がってる子供もいたぐらいだ。

それをザフィーラは特に嫌な顔もせず、子供に付き合っている。

元々、ザフィーラは無口だけど、面倒見の良い性格してるからな。

そんな風に考えていると、次々に注文が入る。

俺は慌ててメモしていった。





昼過ぎになると、お客が絶え間なく入ってくる。

何時もより、男性客が多い。

それは、呼び込みをしているアルフの所為もある。

あとは、いつも居ない、リインフォース、シグナム、シャマル、ファリンさんといった美女達がウェイトレスをしていることも原因だろう。

悲しい男の性だな。

ともかく、さっきも言ったが、今日の客の量は、何時もの比ではない。

そうなると、ウェイトレスの仕事が増え、目まぐるしく動く事になる。

俺は、ふと目の前を通ったファリンさんを見ていた。

そういえば、アニメのファリンさんって、初っ端から目を回して、ドジッ子ぶりを披露したっけ。

俺がそんな事を思いながら見ていると、ファリンさんの目の前に子供が飛び出す。

「おっとと……」

ファリンさんの身体がふらつく。

そこへ、狙ったように別の子供が走り回る。

「はわっ?」

更にファリンさんの身体がふらつき、ファリンさんが回りだす。

おい、このパターンって………

「はわ~~~……」

やがて目を回したファリンさんは、手に持っていたトレイを投げ出すように………

「って、やべっ!」

それに気付いた俺は思わず駆け出す。

宙を舞うトレイと片付けようとした空の食器。

目を回して仰向けに倒れようとしているファリンさん。

「ちぃ! 間に合え!」

俺は身体能力を強化し、それと同時に宙を舞うトレイと食器にばれない様に浮遊魔法をかける。

そして、右手で床に倒れる寸前のファリンさんを受け止め、左手で宙を舞っていたトレイをキャッチすると、食器が割れないように調節しながら、自然にトレイの上に乗るように受け止めた。

「「「「「「「おお~~~~~~~~」」」」」」」

それを見ていたお客からは、感心した声が上がる。

「はっ!」

我に返ったファリンさんは、

「ふええ~ん! ユウ君ごめんなさい~~~!」

泣きそうな声を上げるのだった。



因みにそのとき厨房では、

「あちゃ~、やっちゃったか………」

「まあ、ユウがフォローしてくれるだろう」

皿洗いをしていた忍さんが頭を抱え、恭也さんが宥める光景があったとか。





それから少しして、ほんの僅かな休憩時間。

「あ~~~…………頭いてぇ…………」

俺は、椅子に座りながら頭を押さえる。

頭痛の原因は、マルチタスクを全開で使い続けた事による、まあ、知恵熱みたいなものだ。

ここまでぶっ続けで使い続けたことは初めてで、頭が痛い。

「ユウ君、大丈夫ですか?」

シャマルが声をかけてくる。

「ああ、大丈夫。 ちょっと頭が痛いだけだし、少し休めば直るよ」

俺は、心配かけまいとそう言った。

「そうですか。 あ、これ栄養ドリンクです」

シャマルはそう言いながら、液体の入ったコップを差し出してくる。

「ああ、ありがとう」

俺は、何の疑いもせずにそれを受け取った。

ここで、この栄養ドリンクの確認をしなかった事が、失敗であった。

俺は、その栄養ドリンクが入ったコップに口をつける。

そして、少し喉が渇いていた俺は、半分ぐらい一気に飲むつもりで、栄養ドリンクを胃に流し込むように飲み込んだ。

その瞬間、

「がはっ!?」

もの凄い衝撃が味覚を襲い、俺の意識は暗転した。





【Side シグナム】




「がはっ!?」

突如聞こえたユウの苦しみの声。

私は一瞬、管理局の敵襲かとも思い、急いで休憩所へ駆け込む。

そこには、驚愕するシャマルと、倒れ伏すユウの姿。

「ユウ!」

私は一目散にユウへと駆け寄り、抱き起こす。

「ユウ! しっかりしろ! ユウ!」

私はユウを揺さぶって声をかけるが、完全に意識が無いのか反応が無い。

「まさかっ!」

最悪の予感が頭をよぎり、私はユウの胸に耳を当てる。

だが、その心配も杞憂だったようで、心臓の音は問題なく聞こえてきた。

それにホッとするのも束の間、私はシャマルに問い質した。

「シャマル! 一体何があった!? 誰がユウをこんな目に!?」

私の問いにシャマルは首を振り、

「わ、わからないわ………その栄養ドリンクを飲んだら急に…………」

床に落ちていたコップと零れた液体を指差しながら言った。

「くっ………ならば毒か………おのれ………!」

私は、日常の中で油断していた事に悔しさを感じ、拳を握り締める。

だが、

「そんなはず無いわ! だって、その栄養ドリンクは私が作ったものよ! 肌身離さず持ってたから、毒を入れるなんて不可能だわ!」

シャマルの言った言葉の中に、聞き捨てなら無い言葉が聞こえた。

「ちょっと待てシャマル。 今何と言った?」

私はシャマルに確認する。

「え? 肌身離さず持ってたから、毒を入れるなんて不可能だって………」

「違う! その前だ!」

私は言葉を荒げてしまう。

「えっ? その栄養ドリンクは私が作ったもの………?」

シャマルの言葉を聞いて、私の聞き間違いで無いことを再確認する。

「シャマル………一応聞くが、その栄養ドリンクには何を入れた?」

私がそう聞くと、

「えっと……セイヨウサンザシ、ホンオニク、ローヤルゼリー、ナルコユリ、グレープフルーツ、ドクダミ、ショウガ、ウナギ、マグロの目玉、梅干、セロリ、マソタの粉末、ムカデ、イモリ、マムシ、アガリクス、冬虫夏草、紅茶キノコ、スッポン、オットセイエキス………他にも色々と身体に良さそうな物を………」

私はそれを聞いて頭を抱える。

「このっ……バカモノォ!!!」

私は思わず叫んだ。

「ひゃうっ! シ、シグナム?」

シャマルは何故怒鳴られたのか分かっていない表情だ。

と、そのとき、

「何の騒ぎだ?」

「如何したの?」

皿洗いをしていた恭也と忍が騒ぎを聞きつけてやってきたようだ。

「何でもありません。 シャマルの奴が、栄養ドリンクという名の化学兵器で、ユウを気絶させただけです」

「化学兵器って……シグナム酷い……」

シャマルが何やら言っているが無視だ。

私の腕の中にいるユウに気付いたのか、恭也が慌てた表情になる。

「お、おい! しっかりしろ! ユウ!」

「安心してください。 気絶しているだけです」

私は、安心させるためにそう言う。

だが、

「そうじゃない! 今ユウに抜けられたら、この先が乗り越えられんぞ!」

その言葉で私ははっとなる。

そうだ、今はユウの変わりにリインフォースが注文を受けているため、ウェイトレスが一人減るのも大きな痛手だ。

その事に気付くと、どうにかしてユウを起こさなければと考える。

すると、

「こういう時は人工呼吸ね」

忍がそんな事を言った。

「じ、人工呼吸!?」

私は思わず声を上げる。

「お、おい忍。 何を言っモガッ……」

恭也が何か言おうとしたようだが、忍に口を塞がれる。

「いーのいーの。 面白くなりそうなんだし」

「し、しかしだな……」

「良いから良いから」


2人は何か小声で話していたようだが、良く聞き取れなかった。

「ほら、どっちでも良いからチューっと一発…」

「チュ、チュー!?」

忍の言葉に私は焦る。

「ほら、早くしないと皆に迷惑がかかっちゃうよ」

忍のその言葉を聞いて、

「う、うむ……そうだな。 こ、これは皆に迷惑がかかる故の、仕方のない処置だ……」

私は自分に言い聞かせるように呟く。

「そうそう。 ほら、早く」

「う、うむ………」

私はそう頷いて、腕の中のユウに顔を近づけていく。

「シ、シグナむぐっ……」

なにやらシャマルの声が聞こえた気がしたが、気にしていられない。

徐々に近付いていくユウの顔に、自分の顔が熱くなる。

ドクンドクンと、自分の心臓の音がやけにうるさい。

そして………

私は………

ユウの唇に………

自分の唇を………

押し付けた………

「ん………」

その時、ユウの瞼が動き、

私とユウの眼が合った。





【Side Out】





俺が気がついた時、シグナムの顔がどアップで目の前にありました。

そして、唇には柔らかな感触。

そんで、ばっちりとシグナムと眼が合ってます。

これって、シグナムにキスされてるんだよな?

Why?

何で?

どうして?

俺が混乱していると、慌ててシグナムが離れる。

「い、いや、ユウ! これはだな……!」

シグナムも顔を真っ赤にして、良い感じに混乱してるし。

俺は周りを見渡して、シャマルと恭也さん、そして、ニヤニヤしてる忍さんが目に入った。

そんな忍さんを見て、大体は理解した。

大方、忍さんの口車に乗せられて、キスするように誘導させられたんだろう。

「……忍さん、シグナムに何言ったんですか?」

俺がそう尋ねると、

「べっつにぃ~。 ただ、眼を覚まさせるには、人工呼吸をした方がいいって言っただけ」

忍さんの言葉に俺は呆れる。

「そ、その通りだ! 人工呼吸で仕方なく!」

シグナムも顔を真っ赤にしてそう言う。

だが、先程のシグナム曰く人工呼吸は、鼻をつままれていなかった為に、人工呼吸にはなりえないという事は、言わない方がいいんだろうか?

そういえば、俺は何で気絶したんだ?





その後、すぐに仕事に復帰したが、何故か体の調子が良い。

今までの仕事の疲れが吹っ飛んだようだ。

何故だ?

ああ、因みに学校から帰ってきたなのは達と、リハビリを終えたはやてが同じぐらいの時間に来たが、その時に、忍さんがなのは達に、シグナムが俺に人工呼吸という名のキスをしたことを話したために、

「「「シグナム…………ちょ~~っとO☆HA☆NA☆SHIしようか?」」」

なのは、フェイト、はやてがシグナムを連れて行こうとした。

「お、お待ちください! 主はやて! テスタロッサに高町も! 今抜けては翠屋が!」

シグナムは翠屋が忙しい事を理由に何とか逃れようとしたが、

「ああ、大丈夫よ。 ピークも過ぎたし、私も手伝うから」

と、桜が言った為に、

「桜ぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

「「「じゃあシグナム………逝くよ」」」

「ちょ、今『いく』のニュアンスが……!」

3人に引き摺られていくシグナム。

とりあえず、無事に戻ってこられる事を祈っておくのだった。





あとがき

どうもです。

一応マシな出来と思う二十九話の完成です。

って言うかPVが50万突破してるし!

うっそぉ~~。

皆様本当にありがとうございます。

さて、今回クリスマスネタという事で頑張ってみましたが、本来書くつもりは無かったので苦労しました。

まあ、普通の日常編よりかはマシな出来だと思います。

とりあえず、次回は本物のデジモンを出すつもりです。

さて、一体何が出るんでしょうか?

お楽しみに。



[15302] 第三十話
Name: 友◆ed8417f2 ID:11075f73
Date: 2010/09/19 16:35

第三十話 次元を越えし、漆黒の竜人




【Side ????????????】



『…………よ、私がお前に伝えられるのは、これだけだ』

『俺はアンタに会えてよかった。 アンタはこの俺の存在を、必ず意味があると言ってくれた』

俺は、俺の存在に意味があると言ってくれた者にそう言う。

『……例えそれが、忌み嫌われるものだとしても………』

俺はそう呟き、目的もなく歩き出す。

『何処へ行くんだ?』

俺を追い詰めた少年の1人がそう問いかけてくる。

『……何処でもない、何処か……』

俺はそういい残して、この世界から姿を消した。




それから、幾つの世界を渡っただろうか………

何処の世界も、俺の存在を認めてくれる世界はなかった。

そして、俺はまた、世界を渡る………




【Side Out】



【Side クロノ】



僕達は今、とある管理外世界へ向かっている。

つい先日、次元震が確認された世界だ。

そして、その世界で、局所的だが空間の位相が不安定になっている。

しかも、その空間の位相が不安定になる部分は移動している。

その調査の為に、アースラがその管理外世界に向かっているところなのだ。

そうなのだが………

「クライド………」

「リンディ………」

アースラのブリッジでは、何というか、その、俗に言うストロベリー空間が発生している。

その出所は、言わずもがな、母さんと父さん。

この2人、この前の闇の書事件が終わってから所かまわずこのような空間を振りまいている。

因みに父さんだが、かつて殉職したクライド・ハラオウンだという事は認められたが、闇の書の誘惑に乗ってしまった事は、管理局員にはあるまじき行為だという事で、殉職した時点の提督から相当な降格を言い渡された。

まあ、そのお陰でこうやって同じアースラに配属する事が出来たのだが。

その所為で、父さんと母さんは所構わずイチャ付いている。

この前の休暇の日なんて……

久々に家で家族水入らずで過ごしたのだが、その夜………

その……何というか………こ、声が駄々漏れで………

思わず防音結界を使った………

その内弟か妹が出来そうな雰囲気だ………

と、ともかく、話を戻すが、とある管理外世界の次元震と空間の位相が不安定な原因を突き止めるために、アースラが派遣されたのだ。




【Side Out】




今日は、1月25日。

この日は、俺の誕生日であるが、それ以前に父さんと母さんの命日でもある。

この日は朝早くから墓参りの為に家を出る。

一緒に行くのはリニスのみ。

士郎さんと桃子さんには、お昼までには帰るとだけ伝えてある。

前日に用意していた花と、墓掃除用の道具を持って丘の上の墓地へと向かった。

その途中、黒猫を見かけ、構ってやろうと近付いたが、すぐに逃げられた。

まあ、墓参りぐらいは静かにやりたいので、なのはや桜達にばれない様にリニスに頼んでジャミングまでかけて貰う徹底振り。

だが、ここまで徹底したことが裏目に出る事など、この時の俺は知る由もなかった。






【Side クロノ】




件の次元震と空間の位相が不安定になっている世界に到着する。

その世界は岩だらけの荒野の無人世界。

空間の位相が不安定になっている所は相変わらず移動しており、その原因を探るべく、僕と父さん、そして、数十人の武装隊がその世界へ転送される。

空間の位相が不安定になっているところへの直接の転送は危険な為、少し離れた場所に転送する。

その世界に転送された僕達は、移動している空間の位相が不安定になっている場所へと飛び立った。



その場所は、岩場の渓谷であった。

僕は、エイミィに通信で確認を取る。

「エイミィ、現在の空間異常の位置は?」

『え~っと……あと500mぐらい北だね』

「了解」

エイミィの言葉で僕達はそこへ向かう。

飛行魔法で岩山を越え、

『もうすぐだよ。 注意して』

「ああ」

エイミィの警告に従いながら地上を注視していると、谷底を移動する、黒い『何か』を目撃する。

「あれは?」

僕は、父さんや武装局員と共にその黒い『何か』の移動先に先回りし、待ち構える。

そして、その『何か』の姿を正面から視認した時、

「……ユウ?」

思わずそう呟いた。

いや、その『何か』がユウでないことは一目瞭然だ。

その黒い『何か』は、身長が3mほどもある人型。

そして、全身が闇に染まっていると思わせるほどの漆黒。

明らかに人間とは思えない生物。

だが、その『何か』の纏っている装甲は、大きさと色が漆黒なのを除けば、ユウのブレイズ発動時のバリアジャケットに酷似しすぎている。

すると、僕達の姿を確認したのか、歩いていた『何か』は立ち止まる。

そして、

「何者だ、貴様達は?」

信じられないことに、言葉をかけてきた。

「なっ!? 喋れるのか!?」

僕は、思わず驚愕する。

「もう一度聞く。 貴様らは何者だ!?」

先程よりも若干イラつきが入った言葉で再び問いかけられる。

「私達は時空管理局という組織の者だ。 今、この世界で局所的だが空間の位相が不安定になっている。 我々は、その調査に来た」

僕よりも早く、父さんが答えた。

僕も、その言葉で落ち着きを取り戻し、相手を見据える。

「そして、その空間の異常の中心部分に来た結果、君に遭遇したんだ」

僕はそう言う。

すると、相手は僅かに俯き、考え込む仕草をする。

「なるほど……空間の異常か………」

そう呟くと顔を上げ、

「その空間の異常の原因ならば、間違いなく俺だろう」

そう言い放った。

「なっ!?」

僕は一瞬驚愕するが、

「何故そんな事をする!?」

そう相手に問いかける。

「………理由などない」

若干間が空いたあと、相手はそう言った。

「なんだと!?」

その理由に、僕は思わず声を荒げてしまう。

理由もなく空間の異常を作り出す相手に、一瞬怒りを覚える。

「俺はそういう存在なのだ。 存在するだけで、空間に異常をきたし、世界を不安定にする存在。 俺はそのように生み出された」

だが、その怒りもこの一言で一気に冷めた。

「俺は本来、心を持たずに生まれてくる筈だった……だが、何の因果か、俺は心を持って生まれてしまった……世界を歪ませる存在であるにも関わらず!!」

僕はその言葉を聞いて、深い悲しみを感じた。

自分の意思とは関係なしに世界を歪ませる存在。

もし自分がそのような存在だとしたら、その苦しみは想像を絶するだろう。

いっその事、心など欲しくはなかったと思えるほどに………

「俺は、俺の存在の意味を知りたい……そのために幾つもの世界を回ってきた」

その相手はそう語る。

「だが、何処の世界も俺の存在を受け入れてくれる世界はなかった……」

相手のその言葉に、僕は内心、心苦しくも納得していた。

世界の安定を脅かす存在など、受け入れるわけにはいかない。

例えそれが、本人の意思でないとしても。

「………どうやら、貴様達も答えは同じようだな」

「ッ!」

相手の言葉に思わず反応してしまう。

すると、相手が構える。

「待ってくれ! 僕達は無闇に争うつもりはない! 君の身柄は管理局で保護する! 身柄の安全も保証する!」

僕は必死で呼びかける。

「フン! 今は無くとも、いつかは俺を排除するつもりだろう? 俺は世界の安定を歪める存在だからな」

「そんなことはっ……!」

そんなことは無いと言い掛けて、現在の管理局の現状からして、無いと言い切ることは出来なかった。

「第一、俺は誰かに指図されるという事が嫌いでな。 俺の行動を制限されるという事は我慢ならん!」

相手の言葉を聞いて、僕達は仕方なくデバイスを構える。

正直、彼とは戦いたくない。

だが、このまま彼を放っておくと、次元世界全体に危機が及ぶ可能性がある。

故に、力尽くで彼の身柄を確保する事に決めた。

本人の意志に関係ない事での強制確保は、本当に心苦しいが………

僕は、武装局員に確保の命令を出す。

だが、その考えが本当に甘かった事をすぐに思い知らされる事になるのだった。




【Side Out】






【Side 桜】



朝起きたら、ユウがいなかった。

魔力反応も無いし、私は思わず慌てて父さんと母さんに報告した。

でも、父さん曰く、ユウはリニスと一緒に、朝早く出かけて行ったそうだ。

昼までには戻ると言っていたので、それまでは心配する必要はないだろうとの事。

確かにリニスがいれば、私達の索敵能力に引っ掛からないぐらいのジャミングは出来るだろうけど……

何でそんなことしてるんだろ?

今日はアイツの誕生日なのに。

今日は休日だし、翠屋も特に忙しくないからいいんだけど。

そんな事を考えながら、なのはとゲーム(格闘以外)をやっていた。

そして、大体午前9時を回った位だった。

『マスター』

待機状態のレイジングソウルが声をかけてくる。

「何? レイジングソウル」

『アースラからの緊急通信です』

「えっ? アースラから? 繋いで」

私がそう言うと、モニターが開き、エイミィさんが映る。

しかし、その表情は切羽詰った表情だ。

『いきなりゴメン! ユウ君いる!? ユウ君に直接繋ごうと思ったんだけど、捉まらなくて!』

エイミィさんは、慌てた様子でそう捲くし立てる。

「えっと……ユウは朝から出かけてて……行き先は私達にもさっぱり……でも、昼までには戻ってくるって聞いてますけど………」

私がそう言うと、

『そんな……それじゃ間に合わない………ゴメン2人とも! 何とかユウ君探してきて! このままじゃクロノ君たちがやられちゃうよぉっ!!』

エイミィさんは半泣きになりながらそう叫ぶ。

尋常ではないエイミィさんの様子に、ただ事ではないと感じた私は、

「恭也兄さん! 美由希姉さん!」

家にいた2人を呼び、

「2人とも大至急ユウを探してきて! 私となのははクロノ達の応援に行くから!」

「わかった!」

2人は、何も聞かずに頷いてくれた。

「ユウを見つけたら、アースラに連絡を取るように伝えればいいから!」

私はそれだけ言うと、エイミィに転送を頼んだ。




【Side Out】




【Side クロノ】



「ブレイズキャノン!!」

僕は、相手に向かって砲撃を放つ。

「フン!」

だが、相手は腕に装備している3本の爪のような剣がついた籠手を振るう。

大して力を込めていないように思えるその一振りで、砲撃魔法は切り裂かれ、四散する。

はっきり言って、相手は無傷だ。

そして、こちらで今動けるのは、僕と父さんのみ。

武装局員達は、既に全員脱落。

というより、戦う資格すらなかったらしい。

相手が戦う前に発した咆哮と共に、凄まじい衝撃波が発生し、僕と父さんはプロテクションで罅が入りながらも何とか防いだが、他の武装局員達は防ぎきれず、大地や岩に叩きつけられ、全員が戦闘不能となった。

僕と父さんは、負傷した武装局員から相手を離すために、相手を引き付けつつ場所を変える。

その際も、幾度も攻撃を加えているが、軽く弾かれたり、防御するまでもないのか、攻撃魔法に正面から突っ込んできた時もあった。

その全ては、無意味と思えるほどに、全く効いていなかった。

「「スティンガースナイプ!!」」

僕と父さんは、同時にスティンガースナイプを放ち、相手を翻弄するように操作する。

だが、相手は全く気にしてないように僕達を見続ける。

「くっ!」

僕は思わず声を漏らす。

そして、僕と父さんは、相手の無防備な後頭部と、腹部に魔力弾を直撃させる。

しかし、その相手は微動だにしない。

「そんな豆鉄砲では、この俺にダメージは与えられんぞ」

相手はそう言い放つ。

僕は焦り始める。

僕達の魔法は、相手に全くダメージを与えられない。

例え、僕の魔法の中の最強の威力を誇る、スティンガーブレイド・ベルセルクシフトでも、ダメージが与えられるか危うい所だ。

僕が如何するか考えていた時、

「クロノ! 奴の上を撃て!」

父さんがそう叫ぶ。

僕は父さんの言った奴の頭上を見る。

そこには、崖の上から迫り出した大岩が見えた。

その瞬間、父さんの言いたい事を理解する。

僕と父さんは同時にデバイスを構え、

「「ブレイズキャノン!!」」

同時に砲撃を放つ。

「む?」

相手は、見当違いの方向に放たれた砲撃に声を漏らす。

砲撃は、大岩が乗っていた崖の一部を砕き、支えを失った大岩が落下した。

相手は、油断していたのか、逃げる素振りすら見せずに、その大岩の下敷きとなる。

更に崩れた崖が空いていた隙間を埋めるように雪崩れ込んだ。

「これなら……」

僕がそう呟いた時、

「クロノーーっ!!」

「クロノ君!」

聞き覚えのある、2人の少女の声。

其方を向くと、よく似た白いバリアジャケットを纏った2人。

「桜! なのは! どうしてここに!?」

僕は思わず問いかける。

「エイミィさんに頼まれたの。 クロノ達がピンチだから助けて欲しいって。 本当はユウの方が良かったんだけど、今日は朝から何処行ったか分からないから、私達が先に応援に来たの」

「そうか、助かる」

僕はそう言うと、生き埋めにした大岩の方に向き直る。

「それで、相手は?」

なのはが尋ねてくる。

「ああ。 今はあの岩の下敷きだ」

僕がそう言うと、

「ええっ? 大丈夫なの?」

なのはが驚いているが、

「先ず間違いなく生きている。 だが、これも何時まで持つか………せめて1時間……いや、30分持てばいい所……」

と、僕が言いかけた瞬間、

――ドゴォォォン

大岩が砕け散り、細かい瓦礫も全て吹き飛ぶ。

「「「「なっ!?」」」」

突然の事に驚愕する僕達。

「30秒しか持たなかったか………」

父さんが、残念そうな表情で呟く。

「この程度で俺を倒せると思っていたのか?」

そう言いながら、瓦礫を吹き飛ばしたときに起こった砂煙の中から、奴が現れる。

「「なっ!?」」

桜となのはが、驚いた声を漏らした。

恐らく、ユウのバリアジャケットとそっくりな相手の姿に驚いているのだろう。

「嘘……ユウ君のバリアジャケットそっくり……」

なのはが思ったとおりの言葉を漏らす。

しかし、

「な、何で………」

桜が震えた声を漏らした。

だが、それは単なる驚きの声ではない。

確実に恐れが混じった声だった。

よくみれば、肩も震えている。

「さ、桜お姉ちゃん?」

なのはも、桜の様子がおかしい事に気付いたのか、桜に声をかける。

しかし、桜は驚愕と恐れの表情をしたまま、

「ブ、ブラック………ブラック……ウォー………グレイモン…………」

そう呟いた。




【Side Out】




【Side なのは】



「ブ、ブラック………ブラック……ウォー………グレイモン…………」

桜お姉ちゃんが驚愕と恐怖が入り混じった表情と声で、そう呟きます。

それにしても、『ぶらっくうぉーぐれいもん』って何だろ?

私がそう思っていると、

「貴様、何故俺の名を知っている?」

相手が突然そう言ってきました。

え?

今のって、あの人(?)の名前なの?

すると、桜お姉ちゃんは、

「その前に、ちょっと聞かせて………デジモン、ダークタワー、ホーリーストーン、チンロンモン………この単語に聞き覚えは?」

震えた声で、そう問いかけました。

でも、私には1つも聞いた事のある単語がありません。

「……全て知っている……だが、それが如何した?」

相手のぶらっくうぉーぐれいもん?さんが如何でもいい様に答えました。

「……そう」

それを聞くと、桜お姉ちゃんが、諦めたように一度目を伏せる。

そして、

「レイジングソウル!!」

桜お姉ちゃんの呼びかけで、レイジングソウルがブラストモードに変形します。

でも、次に放たれた桜お姉ちゃんの言葉に、私は驚愕しました。

「非殺傷解除!!」

桜お姉ちゃんは、躊躇無く命令を下しました。

そして、私がその事を認識した瞬間、

「フルパワー! ポジトロンレーザー!バージョンF!!」

手加減無用の一撃が放たれました。

桜お姉ちゃんの一撃は、ぶらっくうぉーぐれいもんさんを飲み込み、そのまま崖の壁にぶつかります。

そして、その一撃は巨大な崖全体に罅を走らせ、一気に崩壊させました。

「なっ!? 桜!? いきなり何を!? しかも非殺傷を解除するなんて!?」

驚いたクロノ君が叫びました。

ですが、桜お姉ちゃんは焦りと恐怖を隠そうともせずに、

「逃げるわよ!!」

そう叫びました。

「さ、桜お姉ちゃん!?」

私は、桜お姉ちゃんが何故そう叫んだのかが分かりませんでした。

非殺傷解除のポジトロンレーザーを直撃させたら、いくらなんでも唯ではすまないと思うの。

でも、

「ブラックウォーグレイモン相手に、まともに戦って、勝てるわけないわよ!!」

桜お姉ちゃんがそう叫んで、私の手を掴むと、本当に逃げ出そうとしました。

「ちょ、桜お姉ちゃん!?」

私は慌てて引きとめようとしましたが、

「何処へ逃げるというのだ?」

そんな言葉と共に、瓦礫が吹き飛び、一瞬にしてぶらっくうぉーぐれいもんさんが私達の前に立ち塞がります。

「くっ……」

桜お姉ちゃんは、悔しそうな声を漏らしました。

驚く事に、ぶらっくうぉーぐれいもんさんは、無傷と言っていいほどダメージを受けていませんでした。

「如何いうわけか、貴様は俺の事を知っているようだな? 今の一撃も全く躊躇が無かった。 どうやら初めから効果が薄いと分かっていたな。 まあ、そいつらの豆鉄砲よりは遥かにマシだが」

ぶらっくうぉーぐれいもんさんは、桜お姉ちゃんからクロノ君たちに視線を移してそう言います。

「ならば、少しは骨があるか?」

ぶらっくうぉーぐれいもんさんは桜お姉ちゃんに視線を戻すと構えを取ります。

「さあ! 俺を楽しませろ!!」

そう叫ぶと、突っ込んできました。

桜お姉ちゃんは、私の手を引っ張り、その攻撃をかわします。

すると、

「なのは! フォーメーション対ブレイズ戦!!」

桜お姉ちゃんはそう叫びました。

「う、うん!」

私は、少し驚きましたが頷き、レイジングハートを構えます。

「おおおおっ!!」

ぶらっくうぉーぐれいもんさんが再び突っ込んできます。

今度はその攻撃を私達はギリギリまで引き付け、

『『Flash move.』』

高速移動魔法で左右それぞれに避けると、すかさず相手の後ろで合流し、デバイスのバスターモードとブラストモードを構えます。

「ダブル!」

「ポジトロン!」

「「レーザー!!」」

私はポジトロンレーザーを、桜お姉ちゃんは、ポジトロンレーザー・バージョンFを同時に放ちました。

2つの閃光はぶらっくうぉーぐれいもんさんに直撃、そのまま大地に叩きつけました。

魔力の爆発により、煙が辺りを覆います。

その時、

「「スティンガーブレイド! エクスキューションシフト!!」」

クロノ君とクライドさんの2人が、数百本の魔力刃を放ち、追い討ちをかけます。

「これなら少しぐらいは……」

クロノ君はそう呟きますが、

「淡い期待なんか持たない方が良いわよ。 よくて軽く殴られた程度のダメージじゃないかしら?」

桜お姉ちゃんがバッサリと切り捨てます。

「………桜。 君はあいつを知っているのか?」

クロノ君がそう問いかけました。

「……知識としては……だけどね」

桜お姉ちゃんはそう呟きながらも、全く油断はしていません。

すると、次の瞬間には、本当に殆どダメージを受けていないと思われるぶらっくうぉーぐれいもんさんが飛び出してきたの。

桜お姉ちゃんは、距離を取ろうとしますが、相手は猛スピードで一直線に向かってきます。

桜お姉ちゃんは、崖を背にするように動き、

『Flash move.』

再び高速移動魔法でその攻撃を避けました。

勢い余ったぶらっくうぉーぐれいもんさんは、そのまま崖に激突しました。

でも、その瞬間、私は絶句しました。

崖に一瞬にして罅が広がり、崩れます。

その幅は、先程桜お姉ちゃんがポジトロンレーザーで崩したものよりも大きかったのです。

という事は、ぶらっくうぉーぐれいもんさんの攻撃力は、私達の魔法よりも上だという事になります。

私が驚愕して、呆然となった一瞬でした。

「バカ! なのは! 危ない!」

桜お姉ちゃんがそう叫んだ瞬間、

「はぁああああっ!!」

崩れた崖の中から、ぶらっくうぉーぐれいもんさんが飛び出し、一瞬にして私の目の前にいました。

ユウ君のドラモンキラーと同じ形の武器が振り上げられます。

私は咄嗟の事で動く事が出来ません。

「なのは!!」

桜お姉ちゃんの悲痛な叫びが聞こえます。

そして、それが私に振り下ろされようとした瞬間、

『Blitz Rush.』

一瞬にして私は引っ張られ、その一撃から逃れる事が出来ました。

「なのは! 大丈夫!?」

私を助けてくれたのは、フェイトちゃんでした。

「フェイトちゃん!? 何でここに!?」

「私達も、エイミィに頼まれたんだ。 クロノ達を助けて欲しいって。 ユウは、姉さんやアリサたちが探してくれてる」

「そうなんだ………えっ? 私“達”?」

フェイトちゃんの言葉に、ちょっと気になったところがあり、そう聞き返したと同時、

「シャドーウイング!!」

火の鳥がぶらっくうぉーぐれいもんさんに直撃し、

「ハンマースパーーーーク!!」

電撃を纏った巨大なハンマーが叩き落しました。

「シグナムさん! ヴィータちゃん!」

シグナムさんとヴィータちゃんがいて、私がそう叫ぶと、

「響け! 終焉の笛! ラグナロク!!」

更に、巨大な砲撃が撃ち込まれました。

「はやてちゃん!!」

私が上を向くと、リインフォースさんとユニゾンしたはやてちゃんがいました。

「あたし等もいるよ!」

そう言って出てきたのは、アルフさん。

それに、シャマルさん、ザフィーラさん、ユーノ君がいました。

「みんな………」

私は思わず呟きます。

「なのは! 感動してる最中悪いけど、ブラックウォーグレイモンがあの位でやられる訳ないから、気を引き締めなさい!」

桜お姉ちゃんにそう言われます。

桜お姉ちゃんの言うとおり、ダメージを殆ど感じさせないぶらっくうぉーぐれいもんさんが煙の中から姿を現しました。

私達は、気を取り直して、ぶらっくうぉーぐれいもんさんに向き直った。






あとがき



やりたい放題やった第三十話の完成です。

一話で終わらせるつもりでしたが、収まりきらなかった。

いや~、こっちにも出てきましたブラックウォーグレイモン。

ちなみにコイツは、デジモンアドベンチャー02を見た事ある人なら分かると思いますが、チンロンモン登場の回から、VSウォーグレイモンの回に戻ってくるまでの間のブラックウォーグレイモンです。

にしても、自分のデジモン至上主義が浮き彫りになったなぁ………

でも、公式設定なら、完全体で核弾頭数発分の破壊力持ってますから、究極体は完全体の約10倍。

ってことは、軽く見積もって、核弾頭数十発分の破壊力を持つ計算になりますから………

なのはが好きな方には不満かもしれません。

でも、実際にアニメでも、なのははスターライトブレイカーでも海に水柱立てただけですが、ブラックウォーグレイモンは海割ってますし。

まあ、ともかく次も頑張ります。




[15302] 第三十一話(前編)
Name: 友◆ed8417f2 ID:315f8cfe
Date: 2010/09/19 16:30


第三十一話 激突! 最強チートVS究極!!




【Side アリシア】




私達は、エイミィのお願いでユウを探していた。

公園や、近場の遊び場を探してみるけど、ユウの姿はない。

「あ~も~! ユウの奴何処に行ったのよ~~!」

アリサがそう声を上げる。

ユウの捜索には、私とアリサ、すずか、それにファリンも加わっている。

母様には、ユウの魔力反応を探してもらい、見つかったら連絡してくれる手筈になってる。

「アリサ、落ち着いて」

私はそう声をかける。

「でも、本当にユウ君何処に行ったんだろう?」

すずかがそう漏らす。

確かに、何時ものユウなら、出かけるなら出かけるで、行き先ぐらい伝えているはずなんだけど。

そのユウが、行き先も告げずにリニスと一緒に何処かに行く所なんて………

「あの、今日は、ユウ君にとって特別な日とかではないんですか?」

ファリンがそう聞いてきた。

「え?」

「私は、まだユウ君の事を良く知らないんですけど、今日はユウ君にとって特別な日だったりしないんでしょうか?」

もう一度ファリンがそう言った。

「今日って……1月25日だから………」

「誕生日だよね、ユウ君の」

私達はそう言う。

そう、今日はユウの誕生日であり、実はプレゼントとかも用意している。

「でも、誕生日だからって、誰にも言わずに行く所なんて………」

アリサがそう呟くが、私はユウの誕生日と聞いて、何か大事な事を忘れている気がした。

「アリシアちゃん? 如何したんですか?」

ファリンが考え込む私に気付いたのか、そう問いかけてきた。

「うん……ユウの誕生日に、とても大事な事があった気がするんだけど………」

私はそう呟く。

「ユウの誕生日に? すずか、心当たりある?」

「ううん、私には何も……」

2人には心当たりが無いらしい。

でも、絶対何かあった筈。

私は考え続ける。

ユウの誕生日……誕生日……誕生日………

その時、脳裏に閃く言葉があった。

『『誕生日おめでとう、ユウ』』

その言葉を思い出し、今日は何の日で、それと同時にユウの居場所も見当が付く。

「分かった!」

私は思わず叫んだ。

「ど、どうしたの? アリシア」

アリサがビックリした顔で問いかけてくる。

「ユウの居場所!」

「えっ? ど、どこなの?」

すずかが慌てた様子で尋ねてくる。

「お墓だよ!」

「「「えっ?」」」

私の言葉に、ユウが何故そんなところにいるのかと3人は首を傾げる。

「今日は、ユウの両親が死んじゃった日なんだよ!」

私はそう言うと、墓地へ向かって駆け出した。



墓地のある丘を登る道を駆け上っていく私達。

すると、逆にその坂を歩きながら降りてくるユウとリニスの姿があった。

思ったとおり、お墓の掃除やお墓参りをした後のようで、バケツを下げている。

「ユウ!」

私はユウに呼びかける。

すると、ユウは軽く驚いた表情になり、

「アリシア? アリサにすずかにファリンさんまで……一体如何したんだ?」

そう言って尋ねてくる。

すると、

「『一体如何したんだ?』じゃ、なーい!! アンタがほっつき歩いてる間に、なのは達が大ピンチになってるんだから!!」

アリサが突如叫んだ。

思わず耳を押さえる私達。

「ほ、ほっつき歩いてたわけじゃないんだが……って、なのは達がピンチってどういう事だよ!?」

驚くユウに私達は説明を開始した。




【Side Out】




【Side はやて】



アリサちゃん達がユウ君を探す間、私達が敵の足止めをするって事やったんやけど………

正直、ユウ君がおらんくても、私らが集まれば、敵を倒せるんやないかって思っとった。

でも……

「紫電一閃!!」

「ラケーテン!ハンマーーーーーッ!!」

シグナムとヴィータの2人が必殺の一撃とも言える攻撃を同時に繰り出す。

「フン!」

でも、相手は両手を上げて腕についている籠手で受けとめた。

普通なら防御されても、少しぐらい傷が付いたり、勢いで押す位してもいいんやけど、相手は微動だにしない。

しかも、その籠手には、傷もついていなかったんや。

「はぁっ!!」

相手はそのまま2人を弾き飛ばす。

「くっ……」

「うわっと」

2人は体勢を立て直して着地する。

その時、

「なっ!?」

相手はヴィータの目の前に接近していた。

「ヴィータ!」

私は思わず叫ぶ。

ユウ君のドラモンキラーと同じ形の武器が振り上げられる。

ヴィータは体勢が悪くて避けられそうにない。

でも、

「ヴィータ!」

ヴィータの目の前に、緑色の魔力障壁が3重に展開される。

相手の攻撃が、そのシールドに阻まれ、一瞬止まる。

「ッ!?」

ヴィータがその隙に飛び退く。

その瞬間、シールドが破られてつい一瞬前までヴィータがいた所にドラモンキラーが突き刺さった。

「す、すまねえユーノ」

ヴィータがシールドを張ってくれたユーノ君にお礼を言う。

でも、ユーノ君は険しい顔をしたまま、

「なのはのスターライトブレイカーも防げる強度があるのに……唯の攻撃が何て威力だ」

そう呟く。

その瞬間、

「「ダブルポジトロンレーザー!!」」

「エクストリームジハード!!」

桜色と白銀、金色の大砲撃が相手に撃ち込まれる。

相手はその砲撃に飲み込まれた。

でも、直ぐに平然として現れたんや。

相手の……えっと、桜ちゃんが呼んどった名は、ブラックうぇ~?……うぃ~…?

分からんからブラックさんや!

そのブラックさんが着てる鎧に傷一つ入ってないって、如何いう材質なんやろか?

「覇王拳!!」

「獣王拳!!」

ザフィーラとアルフさんが同時に攻撃する。

でも、ブラックさんは籠手を盾のように構えると、それだけで防ぎきった。

この場にいる全員は、シャマルの魔法でブーストがかかっとるはずなんやけど……

これだけの攻撃を受けても、全然ダメージが無いって如何いう事や!!

「ああっ! もうっ! 何て硬さだい!! 桜! アイツの鎧は一体何で出来てるんだい!?」

攻撃が効かない事にイライラしてたアルフさんが桜ちゃんに尋ねる。

流石に桜ちゃんもそんなトコまで知ってるわけ………

「アイツの鎧はクロンデジゾイドって言う金属で、簡単に言えば、ダイヤよりも遥かに硬いし、その金属で武器を作れば、ダイヤなんか簡単に破壊できる位の代物よ」

って、知ってるんかい!

「もう少し言えば、アイツにまともなダメージを与えたいなら、少なくとも核弾頭ぐらいの威力が必要なんだけど……」

桜ちゃんの言葉に私は驚いた。

核弾頭って、洒落にならんのやけど……

そんな事を思っていると、

「どうした? もう終わりか? だとしたら期待外れだったな」

ブラックさんはそう言う。

期待外れやったらこのまま見逃してほしいんやけど……

「俺はもう飽きたぞ……これで終わらせてやる!!」

ブラックさんはそう言うと、両手を頭上で合わせる。

そして、高速で回転を始めた。

それを見た桜ちゃんが、

「皆! 防御魔法を全開にしつつ、アイツから出来るだけ離れて!!」

そう叫んだ。

私達は、その忠告に従って、防御魔法を展開しながら、ブラックさんから離れようとしたんやけど……

「ブラック! トルネード!!」

回転していたブラックさんが見る見るうちに黒い竜巻となり、あたり一帯を吹き飛ばす。

その暴風に私達は巻き込まれた。

「「「「「きゃぁあああああああっ!!?」」」」」

「「「「「うぁあああああああああっ!?」」」」」

私を含めて、皆が吹き飛ばされる。

多分、防御魔法を発動させてなかったら、風圧だけでもズタズタにされていたのかも知れない。

そのまま全員は、地面や崖に叩きつけられた。

「あうっ………つ~~~……」

私は、痛む頭を押さえながら、起き上がろうとしたんやけど……

『主!!』

ユニゾンしてるリインフォースが叫ぶ。

その声に顔を上げると、目の前には、ドラモンキラーを振り上げるブラックさんが……

私がその瞬間思ったことは、「アカン、私死んだ」だった。

私は、思わず目を瞑った。

その一瞬がとても長く感じて…………

――ガキィィィィン!

突然金属音が響き渡った。

その音に眼を開けると………

私に襲い掛かろうとしていた黒いドラモンキラーを、横から割り込んで止める黄金のドラモンキラーが受け止めていた。




【Side Out】





あっぶっね~~~~~!!

無茶苦茶ギリギリではやてへの攻撃を、俺は左手のドラモンキラーで受け止めることに成功した。

つ~か、何でブラックウォーグレイモンがいるんだよ!!??

俺はそう思ったが、とりあえず右腕を振りかぶり、

「ドラモンキラー!!」

ブラックウォーグレイモンに、手加減無用の一撃を叩き込んだ。

もちろん非殺傷解除済み。

吹っ飛んでいくブラックウォーグレイモン。

崖に激突し、瓦礫に埋まった。

「はやて! リインフォース! 大丈夫か!?」

俺は、そう声をかける。

「ユ、ユウ君……」

はやては、ボロボロの姿で、俺の名を呟く。

「すまん……俺が遅れた所為で……」

俺はそう謝る。

そして、俺は周りを見渡す。

致命傷は無い様だが、ボロボロの姿のなのは達。

普段の俺なら本物のブラックウォーグレイモンと戦う事など、全力で拒否する筈だ。

だが、ボロボロな皆の姿を見ていると、無性に腹が立ってくる。

ブラックウォーグレイモンが瓦礫を吹き飛ばして姿を見せた。

「フッ……今度こそ、少しは骨のありそうな奴が来たな……」

ブラックウォーグレイモンは、嬉しそうな声で呟いた。

「…………ブラックウォーグレイモン」

俺は相手の名を呟く。

「貴様も俺を知っているか……ならば、俺が如何いった存在かも知っているな?」

「……ああ」

俺は、ブラックウォーグレイモンの問いにただ頷いた。

「そうか………ならば、貴様は俺を如何する?」

ブラックウォーグレイモンはそう問いかけてきた。

だから俺は……

「知らん」

そう答えた。

「何だと?」

俺の答えに、ブラックウォーグレイモンは呆気に取られた声を漏らす。

「お前が世界の安定を崩す存在だろうが、幾つ世界を滅ぼそうが俺は知らん。 俺の周りに火の粉が降りかからなけりゃ、誰が何処で何しようが如何でもいい。 俺の知らないところの出来事なんて、俺には関係ない。 第一、俺にはアンタの存在や行動を否定する権利も無ければする気もない。 いや、誰かの存在を否定する権利なんて、何処の誰にも有りはしないか………」

「……………」

ブラックウォーグレイモンは、黙って俺