朝から、驚きのニュースがやっていた。
何と、昨日フェレットを連れて行った病院に車が突っ込んだらしい。
らしいと言うのは、病院の壁は車でもぶつかったように壊れているのに、その車の姿がどこにも見えないらしい。
器物損壊で、逃げたのだろうか?
「…なのは、ショック受けてるんだろうな」
「どうかした、ゆう?」
驚きでテレビを凝視していた俺に、母さんが声を掛けてくる。
ちなみに、『ゆう』とは母さんの俺の呼び方だ。
『YOU』ではなく、平仮名的な発音で『ゆう』である。
なんで『すけ』を略しているかは、俺は知らない。
「いや、昨日言ってたフェレットを連れてった病院が、車に突っ込まれたみたいで」
「へぇ、そうなの…」
料理を作りながらなので、対応がおざなりな母さん。
母さん、普通の子供だったらその投げやりな対応に怒ると思うんだけどどうだろう?
「…朝は行く時間が無いし、今電話しても迷惑だろうから、帰りにでもちょっと寄ってくる」
「ん、了解。 はい、出来上がったからちゃっちゃと食べて、学校に行ってらっしゃい」
「うぃ」
母さんは、今日も何時も通りにマイペースです。
まぁ、別に今日が何か特別な日では無いから、当たり前は当たり前だけど。
+++
果たしてなのはは、昨日行った病院での出来事を知っているのか居ないのか?
そんな事をウダウダ考えながら、バスを待つ俺。
知ってるのか、知らないなら話さないといけないだろう。
俺が合流するまでに、アリサが話してないかなぁなんて儚い期待もするけれど、どうなんだろうか?
来たバスへと乗り込み、なのは達が居るであろう最後尾へと歩く。
「あ、おはよう雄介くん!」
「おう、おはようなのは」
朝の学校へのバス、何時も通りの時間に乗ればなのは達が居るのは当然で…って、あれ?
見つけたなのはが座っているのは、最後尾の一個前の席。
それ自体は、別になのは達が座る前に誰かが座ってれば良くあることだけど。
「…なのは、アリサとすずかは?」
「えーっと、今日は乗ってこないみたい」
いつも俺より先に乗っているはずの二人が、居なかったのだ。
アリサとすずかは、実は割りとお嬢様なので偶にこういう事をする。
いや、塾とかの帰りにたまに乗せてもらう俺が、何か言えるわけでも無いけれど。
「と言う事は、今日は先に行ってるんだな多分」
「そうだね、帰りもどこかで拾ってもらうんじゃないかなぁ?」
まぁ多分、そうだろう。
…あれ、という事は…?
「ほら、雄介くん早く座らないと?」
そう言いながら、自分の隣を指すなのは。
そこは二人がけの席の、なのはの隣であるのはもちろんで。
(…良しそうだ、落ち着け俺。 クールになれ、別にこんなの初めてでもないぞ? うん、今までもなのはと二人きりで座るなんてあっただろう俺?)
「…お邪魔します」
「どうぞ~」
笑顔のなのはがまぶしいっ!
…神様、これは何かの罰なのでしょうか? それともご褒美?
どっちかって言うと、誤報日とかの方が正しい気がするよこんちくしょう。
なんの誤報かなんて、知らないけどな!
って言うか、俺も慣れないとなぁ…
+++
結局、きっとなのはにはバレてないとは思うけど、盛大にテンパッていたせいで、フェレットを連れて行った病院のことは話し忘れてしまった。
ただまぁ、教室に着いたら先に来ていたアリサとすずかが、どうも二人も朝のニュースで知ったらしくて、なのはにそのことを話していた。
「え、えーっとね? その件は、そのぅ…」
なぜか歯切れの悪いなのは、俺の席はなのはの左斜め後ろなので会話が十分に聞こえるのだ。
取りあえず、荷物を片付けたら合流するとしよう。
+++
「そっかぁ、無事でなのはの家に居るんだ?」
アリサの言葉に、頷くなのは。
先ほど歯切れが悪かったのは、なんと件のフェレットは既になのはの家に居るらしかった。
なのはの席の周りに、それぞれ椅子を引いてきて集まる俺たち。
いや、俺は椅子に座らないで立ってるんだけど。
「でも、凄い偶然だったね。 たまたま逃げ出してたあの子と、道でバッタリ会うなんて」
聞けば、昨晩何故か胸騒ぎがして出かけたなのはは、その途中でフェレットを拾ったという。
すずかの言うとおり、凄い偶然だ。
なのはは胸騒ぎがして病院の方には行っていたようだけど、そうであれ逃げ出したフェレットがなのはの家の方に行くとは限らない。
「まるで、そのフェレットがなのはを探してたみたいだな」
「あはは、はは…」
何でか、奇妙な笑い方のなのは。
引きつってるような、そうでないような…?
どうしたと言うのだろうか?
アリサとすずかも、不思議そうな顔をしている。
「ともあれ、それは置いといて…なのは?」
「え、な何雄介くん?」
俺の突然な呼びかけに、さっきの奇妙な笑い方を引っ込めるなのは。
「さっきからの話を聞いてると、昨日の夜は一人で外に出かけてたのか?」
「…えっと、うんそうだよ?」
俺の質問に、何てこと無いように答えるなのは。
思わず、自覚はあるが眉がを寄せてしまう。
「一人で夜中に出歩くなんて、危ないだろ」
「…えっと?」
キョトンとするなのは、どうやら解ってないのかも知れない。
何となく、腕を組む。
「だから、夜中に小学生が一人で出歩いちゃダメだろう? 恭也さんとか、士郎さんが居るだろう?」
「え、え~っと…」
困惑したような様子のなのは、視線をフラフラと宙に彷徨わせている。
何だか、言い始めたら止まらなくなってきた。
「一人で行くんじゃなくて、誰かに声は掛けれなかったのか? 子供一人で夜中に歩き回るなんて、危ないしお巡りさんに見つかったら迷惑かけることにもなるんだぞ?」
「う、うん」
「いくらフェレットが心配でも、そうやって出掛けてなのはが怪我してたら、今度は俺たちが心配してたんだぞ? どうせもう、恭也さん辺りには怒られてるだろうけどな…って、何だよアリサ?」
ふと気がつけば、アリサが何とも言えない表情をしていた。
あえて言うならば、何かを言いたくて仕方が無いけど言えないような感じの顔。
そして何故かすずかは、下を向いて肩を震わせている…笑ってるよな、アレ?
「…あー、取りあえずアンタに言いたいことがあるわ」
「何だよ?」
盛大にさっきの俺よりも眉根を寄せつつ、わざわざ俺を指差して。
…ん? よくよく見れば、アリサの口元もまるで笑いを堪えてるように震えている。
「アンタは、なのはのお父さんか何かなの?」
「…は?」
意味が解らない、一体何のことだろう?
と言うか、すでに堪えるのは止めたのか口元が笑ってるぞアリサ。
「さっきからアンタ、まるで娘が心配なお父さんみたいなこと言ってるわよ?」
「…」
言われて、さっきまでの自分の言動を振り返る。
…うわぁ、凄く恥ずかしい。
「ま、まぁまぁアリサちゃん、雄介くんもなのはちゃんを心配してたんだよ?」
そう思うなら、笑わないでくださいすずかさん!
つーか、笑うな!
「だって、ねぇ…」
アリサ、ニヤニヤするなぁ!
なのはは困った顔で何も言わないけど、それの方が今は恥ずかしいんだけど!
不味い顔が熱いし、もの凄く恥ずかしいんだけど!
「…別に、良いだろうがっ」
言い捨てて、顔を背ける。
恥ずかしすぎて、特になのはが見れない。
「照れてるわね?」
「雄介くん、照れないで照れないで」
「ふ、二人ともぉ…雄介くんは私のこと心配してくれたんだから、ね?」
アリサにすずか、覚えてやがれっ!
なのは、そんな純粋な目で見ないでくれっ!
何だこの理不尽な恥ずかしさはっ、朝のアレはこれがあるからですか神様っ!?
+++後書きとコメレス
…なんか、上手く話が切れない。 何でだろう?
>沙さん
んー、一応管理局員は適正ゼロでも大丈夫は大丈夫ですよ?
原作キャラで言えば、ゲンヤさんやレジアスはちゃんと資質ゼロだと明言されてましたし…確かww?
まぁ、ミッド出身だからかも知れませんけどこの二人は。
六課に限るなら、グリフィスにシャーリーとアルトにルキノの四人は資質が『ある』とは言われてないです。
この内、アルトに限ってはミッドでは無く管理世界出身みたいですが。
あと、無印やA,sで言うならエイミィが明言はされてないです。
だから、きっと多分だいじょーぶww まぁ、苦労はするかも知れませんけど。
TUEEEEEEEとなれる要素がないと思うので、きっと大丈夫なはずですww
>ヒラヒラさん
ありがとうございますww これからも一途にほのぼの行かせて頂きたいと思いますww