――――遠坂邸の地下。
午前二時。自身にとって最も調子の良い時間。
魔術師、遠坂凛は工房でサーヴァント召喚の儀をとり行っていた。
遠坂家の直ぐ下に流れる霊脈の上に位置するこの工房の床に、溶解した宝石で描いた召喚の陣を敷く。
凛は聖杯からのバックアップの下、降霊の詠唱を開始する。
「――Das material ist aus Silber und Eisen.(素に銀と鉄)
Der Grundstoin ist aus Stein und der Groβ horzog des Vertrag.(礎に石と契約の大公)
Der Ahn ist meiner groβer Meister Schweinorg.(祖に我が大師シュバインオーグ)
Schutz gegen einen hcftiger Wind.(降り立つ風には壁を)
Schlieβ alles Tor, Geh aus der Krone.(四方の門は閉じ、王冠より出で)
Zikulier die Gabelung nach dem Konig.(王国に至る三叉路は循環せよ)――」
十年来の目標だった聖杯戦争。それは遠坂家代々に継がれる宿願でもある。
前回の聖杯戦争で父が亡くなって以来、聖杯戦争へ参加するための準備を重ねてきた凛にとって、詠唱の間違いなどはありえなかった。
凛は高揚する自分を抑えて、一文一文確実に詠唱する。
「――full, full, full, full, full.(閉じよ、閉じよ、閉じよ、閉じよ、閉じよ)
Es wird funfmal wiederholt.(繰り返すつどに五度)
Nur ist es die volle Zeit gebrochen.(ただ満たされる刻を破却する)――」
自身を作り変えるための自己暗示を呟き、魔術回路が起動する。
「――Anfang」
魔術回路が開き、魔力が廻り始める。
その際に体に痛みが走るも、それは慣れたもので凛には苦痛になりえない。
「――Satz.(告げる)
Du uberlaβt alles mir, Mein Schicksal uberlaβt Alles deinem Schwert.(汝の身は我が下に、我が運命は汝の剣に)
Das basiert auf dem Gral, antwort wenn du diesem Wille und diesem Vernmnftgrund folgt.(聖杯の寄るべに従い、この意この理に従うならば応えよ)
Lidg des Gelubde hier.(誓いを此処に)
Ich bin die Gute der ganze Welt.(我は常世総ての善と成る者)
Ich bih das Bose der ganze Welt.(我は常世総ての悪を敷く者)
Du bist der Himmel mit drei Wortseelen.(汝 三大主言霊を纏う者)――」
召喚の陣が光輝く。
このまま何の問題もなく儀式が完了すると思われたが、突然魔力の流れが歪む。しかし、それは一瞬のもので凛は気にしないことにして詠唱を続ける。
(こんなところで失敗なんてあってたまるまんですか…!)
「――Komm, aus dem Kreis der Unterdruckung(抑止の輪より来たれ)
der Schutzgeist der Balkenwaage(天秤の守り手よ)――!」
凛の詠唱を終えたことによってさらに陣は光輝き、別の次元からある者を召喚する――!
と、思われたが一向に召喚されない。ついには陣からの光はおさまり工房に静けさが戻る。
「…え? ちょっと、なんで何も起こらないのよ!?」
術式も詠唱も完璧。まさか自分が失敗したのではないのかと、何か間違いが無かったかと魔道書を読み返して確認する。
「…まさか、失敗……?」
凛の心が絶望に支配されていく。総てこのときのためにしてきた準備が総て無駄になったかもしれないからだ。
再度、魔道書を読み返すが至らない点は見つからない。不安で一杯な精神が徐々に苛立ちへと変換されていく。
その時、突如、上の階から破壊音が響く。
「!! 居間の方から…!!」
いったい何事かと急いで上の階に上がり、居間に向かう。
「もう! なんなのよ! いったいぜんたい…」
召喚の失敗による苛立ちも募り、焦ってドアを開けようとするが、何らかの衝撃で壊れてしまったのかドアノブをひねっても開けることが出来ない。
それがさらなる苛立ちになり、凛はドアを蹴り破った。
「どうなってんのよ!!」
中に入るとそこには、無残にも破壊された家具と、その残骸の上に緑色の鎧をつけた口の大きい男がいた。
*
「いつつ、なんなのだこれは。雑な召喚などしおって、俺様を誰だと思っているのだ。もしこれでむさい男がマスターだったら殺すぞ。むかむか」
ランスは自分にまとわりついている何かの残骸を払いのけ立ち上がると、自分の周りをきょろきょろと見渡す。
(…そばにマスターなどいないではないか、コスモスめ。今度あったらお仕置きだ)
召喚される前に、ランスはコスモスという名のエンジェルナイトに、自身が参加するこの聖杯戦争についてある程度説明を受けていた。
『貴方はこれからサーヴァントとして聖杯戦争に参加するのですが、まずは、第一にそばに居るであろうマスターを守る事を優先してください』
『何故この俺様が見ず知らずの他人を守らねばならんのだ? 女ならともかく、むさい男なんて守りたくないぞ』
『マスターは貴方をその世界に留めておくための存在です。マスターが殺されれば貴方も終わりだと思ってください』
『うぬぬ…』
『相手側のサーヴァントもマスターを殺せば、マスター共々倒すことができる場合があるようです。少なくとも必ず有利にはなります』
詳しい情報は聖杯が齎してくれる、と言ってそれ程長々とした説明ではなかったが。
やれやれと首を振り、ランスは自分に聖杯戦争での敗北条件などを説明したコスモスを犯す妄想を始める。すると、突然目の前のドアが開き、黒髪の少女が入ってきた。
ランスはその少女の姿を確認すると、今考えていることを全て忘却し、直ぐに頭を切り替える。
「…ふむ。89点だな。もう少し胸に膨らみがあれば尚良かったんだが」
「…は?」
凛は、理解しにくいことを突如言い出した、おそらく自身が召喚したサーヴァントだと思われる男のセリフに唖然とする。
ランスはそんな凛のことは構わずに舐めるように凛の体を見回す。
ランスに視姦され、凛はさらに苛立ったが、取り敢えず状況を確認するために己が召喚したこの男に話しかけることにした。
「…で? あんたが私のサーヴァントってことで間違いない?」
「おう、俺様こそ究極優秀英雄王ランス様だ! 惚れていいぞ」
マスターが美人だったため、機嫌よくがはは、と笑い、ランスが答える。それに対して凛は少し不快そうだ。
あまりにも堂々と視姦してきたので逆にそれほど不快ではなかったが、それでも不快なものは不快なのである。
「…その英雄様は、召喚に応じてくれたってことは、一緒に戦ってくれると受け取っても良いのよね?」
脾肉をこめた凛の質問にすぐに答えようとしたランスだったが、口を開いた所で踏みとどまる。
その様子に凛が首を傾げる。
(…まてよ、これはこの娘とやるチャンスなのではないか?)
ただ無償で戦うことが癪だったランスはこれをこの少女との性交の良い機会だと判断した。
(そうすれば俺はヤれてウハウハで、この娘も俺にメロメロ…。流石俺様)
「ねぇ、どうなのよ? まあ、たとえ言う事を聞かない積もりでも令呪で」
「条件がある」
「…条件?」
召喚に応じて召喚されたはずのサーヴァントに、聖杯戦争に参加する条件を提示されたため、凛はキョトンとする。
「聖杯が目的で召喚に応じてくれたんじゃないの?」
「なに、ちょっとした儀式みたいなものをやらせてもらうだけだ」
「何? やっぱり英霊だし、忠誠の儀…とか?」
「まーそんなかんじだな」
まあそれなら、と言って、ランスがこれから行うことに許可をだす凛。
それに、ムフフとランスが笑みを零す。
「儀式はな…、これだぁぁぁぁあ!」
「っきゃあ!?」
ランスはニヤリと笑うと凛に飛びかかった。
凛は突然の出来ごとについて行けず、あっさりランスに組み伏せられてしまった。前から押し倒され、両腕はいつの間にかに片手で押さえつけられている。恐るべき早業である。強引な行為はこの男には十八番なのだ。
「ちょ、ちょっと! いきなり何するのよ!?」
とにかくランスから離れようと、肉体強化を使ってまで暴れ回る凛だったが、寝技が得意なランスにあっという間に組み伏せられ、スカートが捲れて黒い下着が丸出しになる。丁度、ランスの身体が両足の間に入ってしまっているので閉じることもできない。
「うむ、いい眺めだ」
がははは、と下品に笑うランス。
「これが俺様が聖杯戦争に参加する条件なのだ。セックスさせてもらう代わりに、君のためにいくらでも戦ってやるぞ?」
凛はランスをキッと睨みつけると、ランスにしっかりとホールドされている令呪のある方の腕をグイっと押し出す。
「ふざけないで! 何が忠誠の儀よ! これ以上すると令呪で命令するわ!」
「何を言う。これは歴とした俺様のハイパー兵器を使った神聖なる儀式だぞ? それにここまできて、もう止まれるか」
凛の忠告も、すっかり臨戦状態になってしまったランスには届かない。
ランスは凛の腕を片手で抑えつけたまま器用に腰の甲冑を外し、すっかり熱りたっている逸物をとりだす。腰に差してあった黒い剣が何かを叫んでいたが、ランスも凛もそれどころではなかった。
「ひっ…!」
男性の性器など生で見たことなどなかった凛は、そのランスの凶暴なフォルムに思わず顔を引き攣らせて小さく悲鳴を上げる。
「ん? 見るのは初めてか? やっぱり処女だったのか。まあ俺様は寛大だからな。初めてはなるべく優しくしといてやる」
強引に襲っておきながらこの言い草である。
ランスは自分の逸物を下着越しに凛の秘部に当てがうと、そのままそれを使って愛撫するように揺すり、凛の秘裂とランスの逸物が下着の布越しに擦れあう。
「まずはしっかり濡らさなければな」
「ひうぅ!? …こ、この…いい加減、…私の言うこと、聞けぇー!」
「がははは! 直ぐに気持ちよく…ん? …ぐおっ!!」
遂に我慢の限界に達した凛がランスへの令呪を発動し、ランスの体に強力な束縛が入る。
だがそれほど明確な命令ではなかったせいか、ランスの動きを封じるに留まっていた。…それはランスが令呪に抵抗していたからなのだが。
「うぐぐぐ、…ま…負けるかあああ!!」
「え!? う、うそッ!」
令呪による強制力を強引に突破したランスに、凛は驚嘆する。
ランスの体は令呪に逆らったペナルティによってかなり鈍っていたが、このまま行為を続行する分には十分だった。
「大分体が重いが、もう逃げられんぞぉ」
「くッ、…今すぐ離れなさいよ、この変態! 鬼畜!」
「がはははっ! それは褒め言葉だ!」
ランスは大口を開けて笑うと、そのまま挿入前の前戯を再開する。ランスはもうさっさと入れたかったのだが、処女が相手となると濡れていない時に入れたところで自分が痛いだけなので少し丁寧にする。マスターが美人で気分が良いということもある。
「もういい加減このパンツも邪魔だな。おりゃっ」
ランスは凛の下着を開いている左手で掴み、そのまま無理矢理引き裂いてしまう。
凛の秘部を守る物が完全になくなり外気に晒される。処女のせいか、初々しいふっくらとした綺麗な肉の割れ目だ。股を開かされているため秘裂の中がうっすらと覗き見える。
「…酷い」
「うむ、中も綺麗なピンク色だな」
「うぅ…」
凛はもう半泣きである。
しかし凛の目に溜まった涙などは、ランスには行為を行うときにさらなる興奮を促すアクセントにすぎなかった。
凛はランスを悔しさやら羞恥心やらで涙の浮かんでいる瞳でキッと睨みつける。
「あんた…覚えときなさいよ…、絶対、あとで後悔させてやるんだから…」
「うほほほっ! では、そろそろ本格的に始めるとするか」
凛の呪詛などランスは聞く耳も向けずに、鼻息を荒くしながら無骨な手で愛撫を始める。
「ひゃうぅ…っ、このっ」
「おう、やっぱり処女だけあってなかなかに締まるな」
無骨とは言え、ランスの指が一本入っただけで凛の膣はキツキツだった。
ランスは少しずつピストン運動させながら、徐々に速度をあげていく。ランスの指が動くたびに膣壁が摩れ刺激されていく。
凛は他者に秘部を刺激されるという新しい感覚に困惑していた。
「あっ、んっ、…くぅっ」
「ほれほれほれ~」
時折、甘い喘ぎ声を漏らしながら、声をだすまいと、歯を噛み締めくぐもった声だす。
ランスによる愛撫で、秘所の内部が熱く潤い分泌液を出しながら秘肉が痙攣を始めていた。
「なんだ、もう感じているのかこの淫乱女め、 アソコがもうひくついてるぞ?」
「し、知らないっ!」
もう濡れ濡れだぞ、と自身の愛液で汚れた手を見せつけてくるランスを、視界から外すように首を横に向ける凛。顔は羞恥心で真っ赤に染まっていた。
ランスはよし、と呟き、先程から臨戦状態で待機していたハイパー兵器を手に取り、すっかり熱く潤った秘裂へとあてがう。
「うーん。なかなか濡れてきたし、いよいよ開通式だ! よかったな遂に大人の女の仲間入りだぞ」
「……ッ!?」
ねちっと、亀頭を女陰の入口へ正確に押当てる。
「や、やめなっ」
「とおーっ!」
凛の静止の声も虚しく、ランスは容赦なく突入した。
他者を受け入れたことのなかった凛の淫部にランスの凶暴な肉棒が突き刺さり、結合部からは処女の証である破瓜の血が流れる。
「ぐっ! …うぅ、……うっ…」
凛は悔しさと痛みで遂に泣き出してしまった。
だがランスはそんなことなど気にせずに、まだ破瓜の衝撃でズキズキと痛み、みりみりと軋む膣の中を強引に動かす。常に自分本意のこの男に気遣いなど無縁だった。
「…な、にが…優しく、よ……。滅茶苦茶に痛いじゃないのよ…」
「がはははっ! こういう時はむしろ動いた方がいいのだ」
「ぐ、…うっ、あっ、くっ」
ランスの言う通り、凛の膣は無意識に、膣壁を守るためにじわじわと潤滑液を分泌させて痛みを軽減させようとしていた。
それが、ランスのハイパー兵器の動きを良くし、腰の動きが増していく。
「くぅぅ、うっ」
「お、だいぶ動かしやすくなってきたな」
「くっ、うっ、く、――えっ? なっ、に…これっ? …あっ」
動く度に、ただズキズキと痛むだけだった凛の膣が、次第にピリピリとした痺れにも似た別の感覚に変換を始めていた。
ランスはそれに直ぐに気づくと、数多くの経験を元に女性の快楽の坪を刺激する。それが着火点になり、凛のなかで快感の波が広がっていく。
「っ、うっ、あっ、あんっ」
次第に凛の声も甘い喘ぎ声に変わっていく。
腰から背筋にぞくりとした、甘美な刺激が行き渡り、腰が麻痺してガクガクと痙攣する。
(なんで、私……犯されてるのにこんな――っ)
「あぅっ、くぅっ、っ」
「もっと声を出せ! せっかく気持ちいいのに勿体ないぞ。おらっ」
ランスは凛の腕から手を離すと、凛の膝の裏から腰に手を回して、繋がった状態で強引に持ち上げる。
その時に、ランスの肉棒が更に深々と突き刺さり、先端が子宮を叩く。
「ひぐっ、あ、あぁぁっ!」
連続して来る絶間ない強烈な快楽の刺激に、凛は身悶えながら妖声をあげることしか出来なかった。
結合部は、破瓜の血などは溢れ出す愛液でとっくに薄れ、ジュクジュクと淫魔な音を立てながらランスの肉棒が出入りする。
床は少女の汁で染みが出来ていた。
「なかなかにいい具合だぞ。それにこの濡れよう、お前これでもホントに処女か?」
「ひゃうっ、あっ、くっ、勝手な、こと…っ」
「まあ、俺様が気持ちよければそれでいいのだ。がははは」
もはや凛に、ランスの発言に声を大にして反論する余裕はどこにもなかった。
「あんっ、あっ、んっ、あぁっ」
「そーいえば、名前を聞いてなかったな。名前はなんというのだ?」
腰はしっかりと振りつつ、ふと思ったことを質問するランス。
凛はなんで今それを聞くのかと思いつつ、健気にも、悶えながら答える。
「あうっ、遠坂っ、りっ、ん、よっ」
「リンというのか。なら凛、俺様はまだまだいけるが、ここらで一発中に出すぞ」
ラストスパートに入り、ランスは凛の腰を突き上げる動作を一気に加速させた。
「あっ、うっ、いやっ、中は…中には出さないでぇぇっ」
「うおおおお、俺様の皇帝液をくらえっ!」
どびゅっ! どびゅるるっ!!
ランスは、ずんっ、と深々と肉棒を膣に突き刺し、亀頭を子宮口に密着させて、どぷ、どぷ、と汚れの知らなかった子宮に特濃の精液を叩きつける。
「いっ、……あぁぁぁぁっ」
凛は反射的に弓なりになってビクビクと痙攣している。大量の精液は膣内に収まりきらず、結合部から溢れ出し凛の太腿を汚す。
かなりの量を出したのにも関わらず、僅かに縮んだがランスの得物は凛のなかで未だ健在だ。
「あぁ…あぁぁ……」
凛は蕩けた表情をしながら、快楽の余韻で体をビクビクと痙攣させていた。
「あへ…あへへ、えがったー」
「ぅ……っ、…もう良いでしょ、さっさと放しなさいよ…」
凛はランスから離れようともがくが、腰をしっかりとランスに固定されて身動きが取れなかった。それと、行為の後だったので、まだ体に力が入らないと言うのもある。
しかし、そんな凛の頼みなど、常人よりはるかに上回る体力を持つランスには聞きいられるはずもなく、むしろここからが本番だった。
「なにを言っている。まだまだこれからではないか」
ランスの逸物が再び凛のなかで膨張を始める。
「――えっ!? ウソ、まだっ」
「がははは! お楽しみはこれからじゃー!」
部屋の中を少女の悲鳴と男の笑い声が響く。
すっかりシッポリしているランスの様子を、投げ出された相棒の魔剣カオスはただただ見つめていた。
『寂しくなんかないもん…』
――――――その日、不思議なことに凛の魔術回路が一本増えた!――――――