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[8408] 天駆ける竜の人生 (ワンピース オリ主転生)
Name: 思いつきで投稿◆9abf2946 ID:d4d903c6
Date: 2009/09/06 05:13
・この作品は作者ので思いつきで出来ています。

・主人公は強キャラになる予定です。

・ご都合主義が多々あります。(原作キャラとも多くエンカウントします)

・キャラの性格や口調などに間違いなどがあるかもしれません。(特にこの作品のキャラは口調が独特な為大目にみて下さい)

・作者の独自解釈や独自設定が多々入っています。

・中二っぽい

以上のことをふまえて読みたくない人は読まないで下さい。

あと、誤字や矛盾点の指摘がありましたら気軽に感想掲示板まで



[8408] 第一話
Name: 思いつきで投稿◆9abf2946 ID:d4d903c6
Date: 2009/05/02 00:52
side???


動けない……
どんなに動こうともがいても全く力が入らないし目も開けない。
自分の置かれたいる状況が判らない。
これはどうなっているんだ?
どんなに考えても何も判らない一瞬パニックになりそうな思考を何とか落ち着かせ最後に覚えている事を思い出そうとする。


(そう、俺は……)









第一話









「やっと終わった、さあお楽しみの時間だ。」


ようやく終わった学校とバイト、毎週楽しみのジャンプの発売日だというのに読む時間がとれずにずっと続きを気にしながらレジ打ちをしてのようやくの帰り道、個人的に最近注目のワンピースの続きを予想しながら夜道を足早に急ぐ。
横断歩道をわたっていたらトラックに撥ねられた。


(確かに青色に変わった信号を見てから渡ったはずなのに…)


撥ね飛ばされながらも意外と頭は落ち着いていた、数メートルもの距離を飛び地面に転がり落ちた自分の目に映るのは楽しみにしていたジャンプとそのまま近くの電信柱に突っ込んで行くトラックの姿だった。


(ざまあみろ……)


それを見ながら意識は沈んでいった。
それが俺の最後の記憶、そして気がつけばこの状況、おそらくあのまま死んだのだろう。
しかし死んだとすればこの状況を受け入れられるわけでもない、意識はあるのに動けもせず目すら開けれない、耳も聞こえなければもちろん話すことも出来ない、八方塞がりのこの状況を永遠に受け入れるしかないのかと諦めと絶望の入り混じったこの境遇を打破したいが足掻く事すらできない。


(もうどの位こうしているだろうか?)


感覚もなくどのくらい時間が経ったかも判らない、本来なら気が狂ってしまうほどの間こうして過ごしていた。
しかし不思議と此処は安心できる気がした。
だがやはり見えないという恐怖はあり、何度も何度もいるかもわからない神に祈った、ただひたすらこの状況から脱したいと…


(気のせいか?)


ここしばらくして少しずつ感覚が戻ってきた気がする。
その考えは日に日に大きくなっていきついに俺はある確信にも似た仮説を思いついた。


(俺は死んでいない、なんとか助かったんだ、動けない程の大けがだが少しづづ回復してきている。)


いつか回復し動けるようになる日を希望に思い描きながらまた長い時間を過ごしていると急な異変が起こった。


(何だ!?)


感覚的にしか判らないが確かに何らかの異変が起きようとしているのが判った。
何かに押される用に窮屈な道を通ると急に明るくなってきた……


「オギャー、オギャー」


歓喜に震え叫んだ声は赤ん坊の泣き声のよう…いやようではなく間違いなく赤ん坊の泣き声だった。



(何がどうなっている!?)


復活の歓喜がけし飛び急な不安がおしよせてきた。
そして周りの慌ただしい声、


「お生まれになられたぞ。」


「もう片方のお子様がまだお生まれになっていない、気を抜くな!!」


混乱する頭に届く声、その声はどこか失敗を恐れているように聞こえた。


「生まれたかえ?」


室内に入ってきた赤ん坊の父親が周りに沢山いる医者の責任者の男に声をかける。


「これは!!ロズワード聖!!はい、第一子のお子様がたった今お生まれになられたところです。」


「そうか…男かえ?」


「はい!元気な男のお子様です!!」


「そうかえ、それじゃあもう一人の子も丁重に扱うんだえ、もし何かあったらお前たち下々民の命では償いきれんのだからな。」


「はい!それはもう必ず。」


完全に上から目線で話す父親に文句を言う事も無く絶対に機嫌を損ねないように低姿勢で対応する男、それもそのはずこの父親は天竜人と呼ばれる世界貴族なのである、少しでも機嫌を損ねればあっさり殺される事は目に見えている。
それは今日たった今生まれた子と、今まさに生まれようとしている子の双子に何かあっても同じ事、そしてそれはこの男だけではなくここで出産に携わっている全ての医者にも等しく当てはまる事である。
もし何かあれば…そんな恐怖と闘いながら今までに培った医療の全てを使い作業に当たる。
そんな緊張に満ちた分娩室にいることもしらずにただ混乱する赤ん坊は必至に今聞こえた内容について考えを巡らせる…


(ロズワード聖?どこかで聞いたような……)


この時まだ自分の身になにが生きているのか把握できていないのであった。








あとがき

勢いで書いてしまった……
でも全力で書いてこうと思うのでよろしくお願いします。



[8408] 第二話
Name: 思いつきで投稿◆9abf2946 ID:d4d903c6
Date: 2009/05/05 15:38
あの訳のわからない時間が終わってからもしばらく状況がつかめずにいた俺だが耳元で行われる会話などで情報を集めること数日……
ここがあのワンピースの世界で俺はこの世界に転生してしまったようだ。
しかも幸か不幸か…いや絶対に不幸だあの世界貴族ロズワード一家の長男に生まれてしまった。
しかもチャルロスの双子って……鼻水決定じゃないかorz









第二話









あれから一週間の日々に渡るお祭り騒ぎが模様され次々に祝いに来る金持ち達…
しかし見事なまでに全員がロズワードより低姿勢だ、顔には出さないが完全に義務のようなもので来ている、おそらくすでに取り入ることすら諦めているのだろう、この父親を見ていればわかる、完全に来る奴らに対しての態度が上から目線で、この男の目には完全に自分達「天竜人」とそれ以外の人間が別の生き物に見えているかの様だ。


(こんな奴に育てられればあんな奴らになるだろうな…)


不覚にも一瞬チャルロスとシャルリアに同情してしまう程だった。
ワンピースには色々と不遜な奴が多いけどこれ程なで不遜な奴も珍しいだろう。
しかしその反動か身内には中々に甘かった。
口調には現れなかったが行動の所々にそんな所が見え隠れしていた…ような気がする。
俺とチャルロスにはそれぞれ大きな部屋と10人もの世話係がつけられ常に万全の状態で育てられた。




俺が生まれて半年、最近は赤ん坊という無駄に時間のある生活の中でこれからの身の振り方を考える…


1.このまま天竜人として権力者となり君臨する。


2.まだ見ぬ珍しいものを求めて旅に出る


3.海賊王に俺はなる!!


1はないな、3も別に海賊王になりたいとは思わないし…やはり2だな、別にそれ以外にも考えれば選択肢はあるだろうが、せっかくワンピースの世界に生まれたからには冒険したいと思う、しかし保障もなくそんな危険な旅に出る勇気はない。
となると護衛をつけるか実力をつけるになる訳だが…護衛をつけていたらやりたい事も満足にできないし天竜人だと名乗っているようなものだ、此処は後者だな。
天竜人だというのは権力を振りかざすにはいいかもしれないが、旅をするには邪魔なことこの上ないだろう……しかも無条件で嫌われそうだし。
しかし実力を付けるか…親父に言えば稽古をつけてもらえる奴を呼べるかもしれないし、最悪自分の原作知識で師匠を探すしかないかな?
そうなるとまた天竜人だというのは邪魔になるな……


(ルフィの兄弟とかならよかったのに……いや風船に括りつけられて飛ばされるのはイヤだ。)


そんなこんなと考えていると部屋の外が騒がしくなってきた、おそらくチャルロスがまたなにかしているのだろう。
チャルロスは最近ハイハイが出来るようになりそれにともなって悪戯を始めるようになった、と言っても精々まだ物を壊したり誰かを困らせたりする程度でまだ銃をぶっ放したりはしないが、
このまま咎める者が誰もいなくて我がままに育っていけばそう遠くない日に人を撃つ奴になるだろう、咎める者がいないから悪い事だと認識せずにそれが常識となる、おそらくロズワードも
そんな感じなんだろうけど…まあ考えていても仕方がないな、それよりどう強くなるかだ。


(いっその事悪魔の実でも食うか?)


普通ならそうそう手に入れる事の出来ない悪魔の実を宝物庫に複数保管してあるという天竜人ならでわのとっておきの手段ともいえる。


(しかし泳げないのは嫌だな、でも悪魔の実の能力は鍛えれば鍛えるほど強くなるっていってたしな、どうせ食べるなら先延ばしにせずにさっさと食べる方がいいし…)


どちらにしてもまだ鍛えることは不可能なので考えるのをやめた…それにしてもチャルロスの野郎うるせーな、一回叩いてやろうか。


side使用人


外が騒がしい、おそらくまたチャルロス様が悪戯をなさっているのだろう、日々悪戯の対応をしそれに対して文句どころか嫌な顔一つ出来ないこの職場では半年前の日にどちらのお子様に配属されるかでこうも環境が違うなんて思いもしなかった。
騒がしく我がままで周囲を困らせてばかりのチャルロス様、怖いくらい物静かでほとんど手のかからないシュバルツ様、シュバルツ様はまるで何時も何かを考えているようだ。
赤ん坊など思ったことをそのまま行動に移すはずだ、深く考えてから行動するなど生後半年ではありえないはず、しかしまるで様々な事に対して観察し理解してから行動しているように見えて仕方がない。
もしもこの段階で思考能力があるとしてそんな思慮深い権力者へと成長したなら…よそう、こんな考え恐ろしくて仕方がない、それにもしそうなろうとも赤ん坊の悪戯にも注意出来ない私たちにそんなことどうしようもない。


sideシュバルツ


さっきから使用人の一人がジッとこっちを見ている。


(何だ?……はっ!!)


俺の頭に一瞬にして答えがはじき出された。
おそらく俺の今の状況が羨ましいんだな…そう俺は今俺の世話係のメイドで一番かわいいのマリンに抱き上げられている。
その豊満な胸に体を預ける俺が羨ましくて仕方がないとみた!!
どうだこの俺の名推理は、何だ?文句あんのかあるならかかってこいや使用人!!ただし大将が来るけどな!はっはっは……はっ!!?
イカンイカン思考が天竜人風に毒されてきていた。
家具から哺乳瓶の一本一本まで超高級品で用意されているこの生活によって感覚が麻痺してきている今日この頃、思い出せあの飢えた日々を!!
週五回一日五時間休日は十時間レジを打ち続けPS3を手に入れようと奮闘したあの日々を!!
……ふう、落ち着いた、どうしたんだね君?悩み事があるなら受付はこっちだよ。


sideマリン


(どうしたんでしょうか?)


今私の腕の中におられるシュバルツ様について考える、シュバルツ様は今のところ見ている限りいい意味でチャルロス様とは似ていない。
お父上様に似ているチャルロス様はすでに頬に肉がつき始め少々お肥りになられているがシュバルツ様はそんなこともなく顔立ちもお母上様に似ておられて将来的にこのお二人の双子は全然似ていない顔立ちになるだろう。
しかしシュバルツ様はときに妙な行動をされる時がある、今も何かを考えた様に見えるが急に何か思いついたように使用人の一人を見て笑いだしたと思ったら……また何かを思い出した様な顔をして今度は決意をした様にその使用人に向けて手招きのようなものをしだした。
このようにシュバルツ様は一人で百面相をしたりすることが時たまあるが、赤ちゃんが百面相?あり得ないシュバルツ様はただ表情が豊かなだけだ。
それにしても……


(かわいい……)


そうシュバルツ様は大変かわいらしいお子様だ、それは私だけではなく同じ世話係りのメイド全員の共通認識だ。
どうも男の使用人の人達には通じない認識らしいが…それよりも将来どのような方になられるのかそれはこれからの教育しだいだ。
将来は立派な方に成られるように今は全力でお世話にあたろう。


sideシュバルツ


「シュバルツ様、何か御用でしょうか?」


(あ、ヤベっ、ホントに来ちまった。)


手招きしていたら本当に来てしまった使用人の男に対し俺は誤魔化すようにマリンに抱きつく。
不思議そうに下がる使用人をしり目に反省する俺。
どうも俺は考えている事が顔に出やすいらしい、気をつけねば……
つーか赤ん坊に何か御用でしょうかって聞くなよ、普通答える訳ないだろう。
まあ、仕事だから仕方ないか。
今までメイドなどの女性のまえでは極力不審かつ嫌われないようにふるまってきたつもりだ、だいたい女性に嫌われたくなどない。
俺は普通に男の子なんだ。
将来鼻水になって嫌われても、せまてまだ赤ん坊の内位は可愛がられたいんだ。
恐怖ではなく普通に愛されたいんだ。
そんな俺のささやかな夢を叶えるためにはやはり家出は必須、そして家出をするからには遠くに行く、遠くに行くには強くなるしかないと俺は思う。
何度も言うがやはり強くなるしか今の俺には思いつかない、だが今は無理なのでとりあえず眠いし寝よう。


結局この後およそ四年半にわたり特に俺は行動を起こさなかった……そして五歳のある日親父に初めて連れて行かれた奴隷オークションである三人と出会う。









あとがき

スイマセンまた勢いで書きました。
駄文ですがどうかこれでご勘弁を。
主人公は決して善人ではありませんただ女性の前では猫を被ります。



[8408] 第三話
Name: 思いつきで投稿◆9abf2946 ID:d4d903c6
Date: 2009/05/05 01:08
どうも皆さんお久しぶり!!
この高いテンションの訳を聞いてくれこれはこの五年に渡る俺の二度目の人生で一番の朗報だぜ!!!
なんと俺とチャルロスは双子なのに欠片も似ていないし鼻水も垂れてこない!!
これほど嬉しい事があっただろうか、あまりにも嬉しくていつもはとらないような奇行な行いをしてしまい周りから心配されたりもしたが今の俺はそんな事なんて気にしないぜ!!
テンション高すぎて思わずこんなセリフが出ちまうぜ、


「私が天に立つ。」


何てな、ハハハ……ごめん自重するorz









第三話









ここ最近体を自由に動かせるようになってから自分なりに体を鍛え出した。
しかし俺はどう鍛えたらいいかわからずにとりあえず前世で読んだ漫画の内容で出来そうな物を選んでやってみる。
同じ漫画の世界だからイケるんじゃないかな?と思いながらやってみると


(意外とイケる!!)


意外なことに中々に出来栄えでした、基礎的な修行自体はね…このまま主人公のように超人的な戦闘力を得る事が出来るかどうかは判らない、ホントの事を言うと走りこみや筋トレなどの現実でできるような事しかしてません。
なにせ体がまだ小さいのと一人でコソコソとやっていることでまだ漫画見たいに火の上で腹筋と背筋を繰り返すとか、手で歩くとか無理です。
何よりやっぱり指導者がいないのが決定的だ、そこら辺はやはり親父に頼むしかないな。
俺は親父とはとりあえず当たり障りのない関係を築いている、チャルロスはもうこれでもかという程の我ががままを始めているが、もう本当にちょっとでも欲しいと思ったものはすぐに手に入れるしそのくせ扱いがかなりおざなりだ相変わらず付き人や召使いを困らせている。
前に一度俺の世話係の一人を欲しがって騒ぎを起こした事があった。
その時に俺に叩かれて以来チャルロスは俺を苦手としているので俺がいる前ではおとなしくしているようだ、そのせいか心なしかチャルロスの扱いに困った人たちが俺の世話係につきたがっているらしい。
ああ、それともう一つ一年前に妹が生まれた、言うまでもなくシャルリアの事が…こちらは俺に懐いているのか?
まあ、チャルロスよりはましだと言っておこう。
そんなこんなで過ごしているある日、


「シュバルツ、チャルロス、二人とも今日はでかけるえ、朝食を食べたら出かける準備をしなさい。」


「お父上様何処に行くんだえ?」


俺も同じ疑問を持ったがチャルロスが先に聞いたので黙って答えを待つことにした。


「今日はシャボンディ諸島のヒューマンショップでオークションが開催する、そこに買い物に行くえ。」


「ホントかえ!?お父上様、あちしそこへ行くの初めてだえ!!」


「奴隷のオークションですか?父上」


興奮するチャルロスと疑問をぶつける俺、確かに自分で見ていても対照的な双子だと思うが…もし俺が前世の記憶を持たないで普通の生まれ方をしていたら目の前のチャルロスの様にはしゃいでいたのかもしれない。
そう思うとゾッとするが、現にこの家にもすでに奴隷がいてそれに対して何も出来てない時点で奴隷達からすればそんなに違いはないのだろうと思う。


「二人とも欲しいのがいたら好きなのを買うとええ。」


「父上は何か欲しい奴隷でもおられるのですか?」


「ああ、なんでも珍しい事に億越えの船長が競りに出されるらしい、私の船長コレクションに加えることにした。」


(コレクションね……)


今まで散々悪事を行ってきている訳だし仕方がないのか?
考えるのはよそう、それに何年か耐えれたらあの事件で助かるかもしれないし。
そして出掛ける準備としてシャボン玉で出来たマスクを被り奴隷が掲げる神輿のような台に乗せられ俺たちは聖地・マリージョアを後にしシャボンディ諸島へと向かった。




(此処が原作に出ていたあのシャボンディ諸島…)

地面からシャボン玉が浮き上がり大きな番号の書かれたヤルキマン・マングローブが生えるこの諸島をまさか歩く日が来るとは……あっ!私歩いてないんですけどね、担ぎあげられているだけに、ヨホホh(ゴメン、自重する)。
どうやら俺達は今60番代から70番代を通り5番MGにあるヒューマンショップに向かっている様だ。
それにしても……


(本当に誰も動かねえな。)


俺達が通る間は水を打ったような静けさと微動だにしない人々……怖いくらいに静かだ。
そんな中、音を立てるのは俺達だけ、いつもうるさいチャルロスがさらにうるさく感じる。
そんな感想を持ちつつ代り映えのしない光景が続いているとどうやら目的地に着いたようだ。
ヘコヘコしながら案内する店長に案内されVIP席について間もなくオークションが始まった。




(腐ってやがる…)


どこぞの反逆者じゃあないが此処にいる奴らを見ているとそう思えてしかたがない。
まあ、俺も善人のつもりはないが此処にいる奴らは天竜人予備軍みたいなもんだ、奴隷をもはや人と認識していないのだと思う。
特にさっきから意気揚々と一番積極的に参加している奴、お前だよ愚弟。


「300万ベリーだで!」


もう競り落とすのが楽しくて仕方がないようだ、明らかに不必要な数を競り落としている。
というか意味わかってないだろ、周りの真似をしてるだけだ。
使った金額も既に5000万近くなっている明らかに適当な値段配分だ。


「チャルロスいい加減に無駄遣いはやめんかえ、そんなにいらんだろ。」


「お父上様わかったえ、次で最後にするえ。」


やっと親父が注意した、遅いよ、というかまだ買うのかよ、チャルロスが入札した後明らかに誰も入札しねーし、いくら欲しくても天竜人とは競いませんって感じだな。


side司会者


(やったぜ今日は大もうけだ。)


今日は天竜人の奴らが来るってんでどうなるかと思ったら、大成功じゃねーか何も分かってねえ馬鹿ガキが相場の二倍三倍でポンポン買っていきやがる。
他の客からしたらたまったもんじゃないだろうがうちとしちゃ大助かりだね。
さてもうひと儲けさせてもらいましょーか。


「さあ、皆様ご注目今朝入荷したばかりのエントリーNo.17番、あの女ヶ島の九蛇海賊団出身ハンコック・サンダーソニア・マリーゴールドの美少女奴隷三姉妹セット大特価145万ベリーからどうぞ!」


「148万!」


「150万!」


「160万!」


(よしよしいい具合に上がり出したな…さてあの馬鹿ガキはどう動くかな?)


そう思っているとすぐに答えが返ってきた。


「1000万ベリー!!」


sideシュバルツ


(なんだと!!?)


思わず声に出さなかった事を自分で褒めてやりたいくらいの驚愕に襲われた。
まさかあの未来の海賊女帝が売り出される日が今日この場所だなんて夢にも思わなかったからだ。


「むふ~ん、あれで最後にするえ、ごひゃ「1000万ベリー!!」!?」


俺は気づけば叫んでいた。
隣でチャルロスが突然叫んだ俺に唖然としていたが知ったことじゃねぇ。


side司会者


「(やったぜ!!)1000万!1000万ベリー出ました、これ以上のお客様はおられますか?」


いるわけがねぇ、こんな大金ポンと出す奴がそうそういるかよ、いたとしても世界貴族相手に競うわけがねぇ。
釣り上げてくれるとは思ったがここまでとはな、奴隷にここまで出すとは馬鹿兄弟様々だぜ!!


「えー、1000万以上の方はいらっしゃらないようなのでこの17番の美少女奴隷三姉妹は1000万ベリーで世界貴族のシュバルツ聖に落札とさせていただきます!」


そして俺は意気揚々と木槌を振り下ろした。


sideシュバルツ


コツンと司会者が手にもつ木槌を振り下ろすのを見て俺は我に返った。


(しまった!)


と後悔するが既に終わったこと、無かったことに出来るはずもなく次の競りに入った。


「兄上!あれはあちしが目を付けたんだえ!」


「チャルロス、あれはシュバルツが競り落としたからシュバルツの物だ、諦めなさい。」


チャルロスが猛然と抗議して親父がなだめるがパニックに陥っている俺の頭には全く届かなかった。
どうする?原作では奴隷として思い出すだけで叫び出すほど酷い目にあったと書いてあったが……


「シュバルツどうだえ、ここはひとつ弟に譲っては?他のもっと良い奴を買ってやるえ」


あまりにもチャルロスが煩いので親父が俺に妥協を求めてきたが


「いえ父上、あの子達でなければダメなのです。」


「どうしてもか?」


「はい、どうしてもです。」


「チャルロス、シュバルツがここまで言うのだから仕方がないだろう、諦めなさいそのかわり好きなだけ買うとええで」


落札してしまった以上せめて少しでも酷い目にあわせない事にしよう。
その為にはまずこの愚弟に近づけないように気をつけようと。
不機嫌そうに次々と落札していくチャルロスを見ながらそう俺は決心した。









あとがき
この作品はご都合主義、ご都合主義です。
大事なので二回言いました。
みなさんの期待にそえたかわかりませんが書かせてもらいました。
誤解を招かないように言っときますが「天に立つ」という発言にはなんら意味はありません、「腐ってやがる」も言ってみたかっただけです。
あと自重うんぬんにつきましては書いてる途中で思いつき書いたごめんなさいとしか言えません。



[8408] 第四話
Name: 思いつきで投稿◆9abf2946 ID:d4d903c6
Date: 2009/05/05 01:07
オッス!オラ、シュバルツ、トラックにひかれて死んだはずのオラはドラゴン○ールで生き返るはずったんだ。
しっかしシェ○ロンのヤツ間違えてオラをワンピースの世界の天竜人ちゅー奴に転生させちまったんだ。
なっちまったのもんはしょうがねぇ、これから宇宙の帝王シャルリアや人造人間チャルロス、魔人ロズワード達をぶっ飛ばすために修行しねーとな!!
そんじゃいくぜ!か~め~は~め~hゴメン全然自重できてねえ。









第四話









さてあの後どうなったか未だ混乱が収まりきらない頭だが状況を整理してみようハンコック達を受け取って家に帰ってきた……以上
たったこれだけだ、これだけの間にもう俺は一つの失敗をしかけてしまった。
俺の思考が混乱しているのはその失敗のせいだ。
出来るだけ三人を酷い目にあわせないようにと決心したと思えば、店の奴らはサービスしますとばかりに


「只今お買い上げの奴隷達に紋章を焼きつけてりますので少々お待ち下さい。」


と抜かしやがった。
はっきり言ってとてつもなく余計なことだ。
俺の決心を初っ端から挫こうとしてくれやがった、とっさに


「私が買った分の奴隷にはしなくていい!!」


と叫んでしまった。


「シュバルツ所有物にはちゃんと印をつけんといかんえ。」


などと親父が言ってきたが


「それなら私に考えがありますので、父上はお気になさらないで下さい!!」


そう叫んで俺は店の奥に走った。
結果としてエントリーNo順に焼印を押していた事とチャルロスが無駄に買ったため数が多く時間がかかったため俺が飛び込んだ時はギリギリ間に合った。
これからは極力気を配ろう。
そして…なんと今は俺の部屋で三人と向き合っている状態だ……しかし


(凄く可愛い……)


そう三人とも可愛いんだ。
ハンコックもこの頃は確か12歳だったか?まだ美人より可愛いといった方がしっくりくる、将来は絶対美人だな…いや知ってるけど。
五歳の俺が言うのも何だがやはりかわいい。
ハンコックだけではなくサンダーソニアもマリーゴールドもいい。
実際に見てみるとサンダーソニアは目が可愛く愛嬌がある。
そしてなによりマリーゴールド


(お前は一体何が起こった?あれか太ったのか?痩せてたら美女だったのか?)


そうマリーゴールドは普通に美少女だったのだ。
まあ美少女であることに問題はないむしろOKだ。
そんな事よりなんとかコミュニケーションをとらないと


「えーっと、俺はシュバルツ君たちの名前は?(本当は知ってるけど…)」


「……」


「……」


「……」


(えっ!?三人とも無視)


三人は怒っているのかそれとも警戒しているのか、俺を見ながらも完全に無視を決め込んでいる。


sideハンコック


(どうするか?)


私が奴隷?いや私達が奴隷など絶対に認めたくない。
こんな状況昨日の夜には…いや今朝起きた時だって考えもしなかった。
今はこの広い部屋に私達とこの子供ひとりだけ、しかし逃げ出すにはこの首輪を外すしかないし此処が本当に天竜人の家だというのなら暴れるわけにもいかない。
シャボンディ諸島に上陸するときに船長が世界貴族には絶対に逆らってはいけないと何度も言い聞かされた。
なんでも少しでも傷つけると海軍本部から大将が軍を率いて討伐に来るとか……一緒に買われた男、聞いたところによると一憶を越える懸賞金が賭けられているらしいが一切抵抗しなかった所を見るとおそらく本当なのだろう。
冗談ではない大将どころかその男にさえ今の私達では敵わない。
すでに背中に紋章の焼印を押されかけるなどという恐怖を味わった、しかし私達九蛇のものはこれくらいでは決して屈したりはしない。


「えーっと、俺はシュバルツ君たちの名前は?」


もちろんこんな質問に答える気はない、それは妹達も同じだ。
しかし男をじっくり見るのは初めてだないや男自体がほぼ初めてだが……


「ねえ、名前は?」


うるさい奴だ答える気がないというのに


「名前は?無いの名前?」


「うるさいぞ男、名前くらいある!!」


「じゃあ名乗ってよ、俺は名乗ったんだからさ、それとも変な名前で名乗れないの?」


「無礼なことを抜かすな、ちゃんとハンコックという名があるわ!!」


「じゃあハンコックって呼んでいい?」


「いいわけあるか!絶対に呼ばせたりせん!」


「じゃあ何て呼べばいいの?」


「呼ぶ必要はない!」


「何で不便だろ?」


「こんな所すぐに出てっ行ってやる、私達は国へかえるんだ!」


「別に出ていくのは良いけど此処を勝手に出て行ったらすぐに捕まるよ、そしたら酷い目にあわされるよ、第一に首輪が取れないでしょ?」


「くっ……首輪さえ無ければお前などに…」


「じゃあ、首輪外す?」


sideサンダーソニア


どういう事だ?首輪を外すなどと……逃げられないという自信の現れか?
私が疑問に思っているとこのシュバルツとかいう子供はあっさりと持っていた鍵で私達に付けられた首輪を外してしまった。


「なぜ外した?」


姉様の疑問は尤もだ普通は奴隷の枷を解くなどありえないハズだ……


「俺は君達を買ったが奴隷として使うために買ったんじゃない」


「ならば何故買ったの?」


気がつけば私は疑問を声に出していた。
わからないこの年頃の男というのはみんなこんなものなのだろうか?


sideシュバルツ


「ならば何故買ったの?」


いきなりサンダーソニアが割り込んできた、何故と聞かれても……原作知識があるから思わず買いましたなんて言えるわけがない。
悪いがここは適当な理由を捏造させてもらおう。


「何故って、友達が欲しかったからだけど。」


「友達?お前は友達を金で買うのか?」


ですよね……初っ端から大失敗しました三人のお顔がキツイです。
なんとかせねば……


「ごめんなさい、でも俺が友達を作るにはこれくらいしか方法が無いんだ。」


これは本当だ、屋敷は奴隷としてこちらを恨んでいる者達と雇われた使用人やメイド達中には割と仲がいい人もいるがやはり友達ではない、町に出ても一般人は微動だにしないだろうし友達が欲しいと言うのも嘘ではない。


「別に私達でなくともよかろう?」


「君達が一番年が近かったんだ、それに君達でなければだめなんだ」


そう原作登場人物と友人とか憧れます。


「そうか……それなら仕方がない…」


あれ?こんな理由で納得ですか?


「これも私が美しいから、それなら仕方がない。すまない二人とも巻き込んでしまって。」


「いえ姉様それは仕方がないわ。」


「そうよ仕方がない。」


え!?……なんか変な方向に話が向かっているけど…二人も納得ですか?
九蛇の理屈か?


「お前その正直な心に免じてお前の友人になってやろう、私の名はボア・ハンコックだ、ハンコックと呼ぶことを許そう、友よ。」


「私はボア・サンダーソニアよ。」


「私はボア・マリーゴールド、好きに呼ぶといいわ。」


なぜかわからないが認められたらしいので結果オーライか?
さっきまで絶対呼ばせないって言ってたのにもう許可出してるし、つーかこんなセリフ美女か美少女でなければ叩いてるぞ、いやいいけどね、かわいいし。


「さっきも言ったけど俺はシュバルツよろしくね。」


「ああ、よろしく頼む。」


「よろしくね。」


「よろしく。」


こうして俺達は友達になった。
どうでもいいけどこの時はまだ「わらわ」とか「~じゃ」とかいう喋り方じゃないんだな。


sideハンコック


「ああ、よろしく頼む。」


「よろしくね。」


「よろしく。」


何故私達は友という言葉を受け入れたのだろう?
いやおそらく答えはもう出ているのだろう、ソニアやマリーもおそらく同じ事を思っているハズだ。
友達か……本心かどうか…本当にそう思っているならそれでいい、今は友の振りをしていよう、しばらくは様子見だな。









あとがき

先に進まない…でも次がもう書けるので連投するかも。



[8408] 第五話
Name: 思いつきで投稿◆9abf2946 ID:d4d903c6
Date: 2009/05/06 16:35
ハンコック達三姉妹と友人関係を築いて二週間、意外にも関係は良好である。
本当は受け入れた振りをして内心疑っているんじゃないかと思ったが三人ともそんな素振りは欠片もない。
これは一体どういう事だろうか?
まあ疑ってもわからない以上考えても仕方がない、それに関係がいい事に異論はないし。









第五話









sideチャルロス


ムカつくえ~、ホントにあの兄上はムカつくえ~。
あちしが先に目を付けたのに横取りしたえ~!
何日もするのにまだムカつくえ~。
前もあちしを叩いたし、お父上様にも叩かれたことないのに!!
お父上様まで兄上を贔屓してるえ!!
せっかく新しい奴隷を買ったのに蹴っても、花瓶で頭を殴ってもちっともイライラが収まらんえ!
絶対いつか仕返ししてやるえ!!


sideハンコック


あれから二週間ここでの生活が特に不自由はない、あるとすれば大半がシュバルツの部屋で過ごす事だけだ。
しかし、自分達の環境が極めて特殊かつ幸運なのはわかる。
先日偶然にも自分達と同じ時に買われた者たちを見たが……思い出したくもない。
それほどの状況だった、ある者は肉体的にまたある者は精神的に様々な苦痛を与えられていた。
そのうえ、与えている側は何故苦しんでいるのかもわかっていないようだった。
おそらくシュバルツに買われていなければ私達もこうなっていたのだろう、この時は三人でシュバルツに心から感謝した。
よくよく思い出したら焼印を押されそうになった時もシュバルツが飛び込んできて助けてくれた事を思い出した。
最初は友人を金で買う最低な者かとも思ったが確かにこのような立場なら友人を得る方法もそれこそ買うくらいしかないだろう。
私達も海賊だ善人を気取るつもりはない。
その後の態度も悪くない、おそらくこの年頃でこの対応が出来るのはシュバルツがかなり利口なのだろう。
前に弟という奴を見たが…顔立ちから身の振り方までまるで似ていない、この身の振り方からシュバルツが男だから利口というわけでもなさそうだ……それとその弟が何故かこちらを睨んでいたな。
最初はまだ疑っていたが、騙しているわけでもなさそうだ、それに前から現女帝の船長が


「男は美しい女に弱い。」


と言っていた、九蛇では美しいというのは強いという事、私は新入りだが既に九蛇海賊団でも上に入る方の腕前に見た目も美しい、うん疑う所など微塵もない。
ゆえにシュバルツの友達になりたいという言葉を疑う必要もないしその正直さに免じて友人になってやった。
そうよ私は寛大で美しいから……などというのは嘘だ。
そう、あの時に美しいから仕方がないなどと言ったがあれは嘘だ。
美しいから何をしても許されるのは美しい方だ。
ソニアやマリーもそれはわかっているが、同意したのは私と同じ気持ちだったからだろう。
そう私達は奴隷になるなど認めたくなかったのだ。
だからシュバルツの言う友達という言葉に乗ったのだ。


(だが…それも悪くない。)


ここ数日少しずつだがそう思えるようになってきていた。


sideシュバルツ


ハンコックが何か考え事をしているみたいだが、


(一体何を考えているんだ?まさか外に出たいのかな?)


そんな風に考えているいと


「はい!よそ見しない!」


サンダーソニアに足を引っ掻けて転ばされた。


「何回言わせるの、訓練中によそ見しない!実戦でそんなことしてたらすぐ死んじゃうわよ!」


そう俺は今稽古をつけてもっている最中である、少なくとも女々島の精鋭で作られる九蛇海賊団にこの歳で入る三人ならそこらの海兵などよりよほどいいと思い頼んでみたら、


「友の頼みなら仕方がない、恩もあるしな」


というお言葉と共にあっさり協力してくれる事になった、予想以上にハンコックは素直な性格のようだ。
もちろん公然と天竜人を殴らせる訳もいかないので家の中にある大きな部屋から他の者達を追い出して中が見えないようにしてからだが。
しかし五歳では無理なトレーニングは体に悪いし筋トレを今までより減らして体力をつけるランニングなどを増やした。
三人との訓練も修行とかいうのよりは眼を閉じないとかそんな基礎的な事ができるようになるための組み手で勝つためのものじゃないむしろ慣れるための訓練だ。
そのためか向こうも殴ったりせずに主に投げや足払いをしてくる。
力をつけるとかそういった類の訓練はもっと大きくなってからやる事にした。
あ~六式とかつかいてえ。
コビーで出来るなら頑張れば俺にも出来るはず……ゴメン、コビーの努力を馬鹿にするようなことを思った、しかし同時に希望にもなってるぞコビー。





ハンコック達が逃げるまであと四年それまでに出来る限り鍛えてもらってその後は海軍に頼もう、天竜人に臆せずに稽古を付けてくれるとなるとガープくらいかな?
親父に頼めば将官クラスの師匠がすぐにつけられるだろう。
武器も欲しいな。
せっかくの世界貴族という立場、利用するだけ利用させてもらうぜ。
しかし友達という言葉はとっさに出たかなりいい加減なものだったがなってみると凄くいい。
そうこの世界に生まれてから大抵は一人だった、いや人数的には沢山いたがこんな風に過ごすことは無かった。
朝起きて朝食を食べ、午前中は遊んで昼食をとり、午後もやはり遊んでおやつを食った後昼寝して起きて風呂に入り夕食を食し寝る。
ゲームをしてもみんなワザと負けるし、こんなくだらない生活サイクルの繰り返しだ。
そこに友達が入り遊びの時間を訓練と対戦相手のいるボードゲームなどで遊ぶだけでずいぶん違う気がする。
この間親父に


「シュバルツ、奴隷の首輪は外してはいかんえ」


などと注意されたが適当に誤魔化しておいた。
この時の俺の言訳はかなり無理があったけど通った。
この事から思うに親父はあまり我儘を言わない俺の願いは聞いてくれる可能性が高いことが分かった。
いや、もしかしたらどうでもいいだけかもしれないが……




そんなこんなでハンコック達が俺に買われて数ヶ月が経ちここ最近はすっかり打ち解けたので前々から考えていた計画を行動に移す事となった。
そう、その計画とは……




「「「キャーーー!!」」」


「ああああああああ!!」


今俺達4人は大絶叫中である、何故か?
それは俺達がただ今絶賛降下中だからである……ジェットコースターで。
そう俺達は今シャボンディーパークに来ていた。
しかもお忍びで、本来なら天竜人がお忍びとかあり得ないだろうがそこは俺、メイドに普通の服を買ってきてもらったからだ。
俺は親父に言って俺専属の世話係を減らしてもらっていた、今の俺の世話係はメイドが三人だけだ。
この三人を選んだ理由は簡単だ俺と比較的仲が良く俺のこういった行動にも口止めしておけば黙っておいてくれるという寛容さがある人達を選んだ。
護衛にはハンコック達が強いから平気だと言っておいた。
親父も天竜人に攻撃してくる奴なんかいないと思っているのか許可してくれた。
以上の事があり今日シャボンディパークで遊ぶという事態が成立してる。
ちなみに3人のメイドさんは別行動で好きに遊んでもらっている。
ジェットコースターの後はコーヒーカップにゴンドラ、観覧車と乗り継いで遊んでいた。


「高いな~ここ」


「ホント!人が小さく見えるわ。」


などと言いながら俺が何気なく下を見ているとふと視界にどこかで見た様な男が飛び込んできた。


(あれ?あの男何処かで見たような……)


「どうしたシュバルツ、何かあったの?」


急に黙った俺に気がついたサンダーソニアが声をかけてきた。


「いやちょっと見たことがある人がいた気がして」


「このシャボンディに知り合いがいるのか?」


「ううん、いないけど……」


「なら気のせいよ、そもそも貴方と知り合うような人が此処に居るわけないでしょ?」


「そうだよな、気のせいだよな…(でも何処かで見た気がするんだけどな……)」


観覧車を降りて次のホラーハウスに向かっている間に俺の頭からその疑問は消えていた。









あとがき

だめだベタな展開しか思いつかない。
なんかいつの間にか仲良くなってるし……
奴隷を仲間にするにしても少数だよな……男と女どっちにしよう。



[8408] 第六話
Name: 思いつきで投稿◆9abf2946 ID:d4d903c6
Date: 2009/05/06 16:34
シャボンディパークは見た目以上に楽しい、この世界の科学力を考えると出来すぎだろう。
しかし予想以上にハンコック達が楽しんでくれている。
ふふふ、まだまだ子供だな。(ハンコック達→12歳、シュバルツ→5歳)









第六話









ホラーハウスから出てきてもうあらかた回ったな最後に残ったメリーゴーランドに乗ることになったが……見た目が五歳でも中身はそこそこの年だ。
ちょっと恥ずかしくなり見ているから三人で乗って来るようにと言って俺は柵の外でまっていることにした。


「シュバルツ!!」


回ってきた三人が俺を呼び手を振っている。
俺も三人に向かい手を振り返す、そしてある事に気が付き俺の表情は固まった。
そう、そのある事とはハンコック達の乗る牛や豚などの作り物の後ろの馬の作り物に紫のサングラスをかけた髭面のおっさんが大はしゃぎで乗り回っていたのである。
たしかにシュールだが問題はそこじゃない、この男さっき観覧車から見た男である。
そしてその時の疑問が解決した。
この男レイリーである。
遠目から見た時は、まだ若く黒髪のせいでわからなかったが近くで見るとあの特徴的な髭や右目の傷でわかった。
しかしあの冥王、海賊王の右腕と言われるシルバーズ・レイリーがメリーゴーランドに乗って大はしゃぎしながらクルクル回っていくなんて……いやシャボンディパークが好きなのは知ってたが、イメージが一瞬で吹き飛んだぞ。


「どおしたシュバルツ、唖然として?」


「何かあったの?」


「呆けているわね。」


ポカンとしている俺の所へ遊び終わったハンコック達が戻ってきて様子のおかしい俺に気が付き心配したのか声をかけてきた。


「いや……チョット…」


未だ混乱している俺の頭では上手く返事を返せなかった。
てかレイリー何でまだ回ってんだよ!二回目か?そんなに好きなのか?


(落ち着け俺、落ち着くんだ)


何とか冷静になり心の中にとめどなく溢れてくるレイリーへのツッコミを抑え込む。
ポジティブになれ俺これは弟子入りのチャンスじゃないか?
しかもおそらく作中最上級の人物への。
しかしどうやって交渉するか……


「おいシュバルツ!」


またしても反応しなくなった俺を心配してハンコックが慌てた様子で呼びかけてきた。


「ん?…なに、どうしたの?」


「どうした?じゃない」


「貴方の様子がおかしいから心配して声をかけたんでしょ。」


マリーゴールドが呆れたように補足してくれた。
どうやら俺は相当に考え込んでいたようだ。
思い切って俺はハンコック達に話してみた。


「ねえ、あそこの人、どう思う?」


三人は俺の指さす方向を見て


「とても楽しんでいるようだな。」


「ええ、いい年した大人なのにね。」


「大はしゃぎみたいね。」


と口々に的外れなお言葉を下さった……いや実際そうなんだけどね、三回目行ってるし。


「そうじゃなくて、何処かで見たことない?」


「いや、知らんな、私達は男自体此処に来るまで見た事もなかったからな。」


「私も知らないわ。」


「私も…もしかして観覧車で見たのってあの人?」


「うん、あの人海賊だよ、前に手配書を見たことがあったんだ。」


これは嘘である、手配書など見た事ないがあれ程の大物が手配されてないなどあり得ないだろう。


「そう…でもそれがどうしたの?賞金首がいるなんて此処では珍しくもないでしょう?」


「そうだけど…あの人確か凄い賞金首なんだ、だからあの人に弟子入りしようかと思って…」


「なんだ、私達では不満だというのか?」


しまった、ハンコック達の機嫌が悪くなってきたので慌ててフォローに入る。


「いや、そんな事はないよ、でもあの人に教えてもらほうが都合がいい事があるんだ、ほら男同士だし。」


「男同士?男同士だと都合がいいのか?」


「そうなんだよ。」


これも嘘だ、てか男同士の方が都合がいいってなんだよ、俺はそっち系じゃないぞ!!断じてな!
ただハンコック達は男というものについてよく知らないから俺は困った時の言い訳として、


「男は~」


とか


「男ってのは~」


とよく知らないのをいいことに言い訳に使っている。
あれ?よく考えればハンコック達の中で間違った男の知識が出来ていってないか?
まあ別にいいか、本編でも女々島でルフィが無茶苦茶な知識植えつけていったし。
それよりも弟子入りの件だ、


「そういう訳で俺、あの人に弟子入りしたいんだ。」


「そうか、わかった、でもどうするんだ?」


「とりあえず後をつけようと思う。」


「後をつけるって、そんなに強い人ならすぐに気づかれるんじゃないの?」


「別にばれてても困らないよ、どちらにしても後で接触するつもりなんだし。」


すでに俺達はメリーゴーランドから観覧車に移ったレイリーの後をつけている、すでにばればれだろう。
こうなりゃもう腹をくくっていくしかねぇだろ。




それからパーク内を尾行する事約二時間、レイリーは俺達に尾行されてる事を気にも留めずにパークで遊びまくっていた。
様々なアトラクションを最低二回ずつ乗り、周りの誰よりも大はしゃぎしていた。
特に観覧車で降りず、当たり前のように二週目に突入した時の係の人の慌てようは凄かった、降りた後説教されてたし。


「人違いか……?」


思わずそのシュールな光景に俺の口からそんな疑問がもれた。
そんなこんなでパークを後にした俺達は現在レイリーを尾行している。
このまま帰るのかと思ったが13番MGとは別の方向に向かっている。
レイリーが角を曲がり俺達もその後を追ったがレイリーは忽然と姿を消していた。
慌てて辺りを見回したが影も形もなく結局その日俺達はレイリーを見つけることは出来なかった……


(やっぱり間違いない、冥王だ!!)


逃げられはしたものの新たな希望を見つけ出した俺はこれからの動きを考えるために家に帰る事にした。




あれから数ヶ月、ハンコック達が家に来てもう一年が経つ、あれから4人で何度かシャボンディ諸島に行きレイリーを探したが結局一度も見つからなかった。
いきなり家に突撃してぼったくられたらたまらないし、何故知っていたのか聞かれても困る。




「あら?……何してるのかしら、あの子供達?」


サンダーソニアが何かに気がついた。
俺もそちらに目を向けると。
複数の子供達が誰かを……虐めてる!?


「ニュ~…止めてくれー!!」


あれ?この喋り方はまさか?









次回、助けたタコに連れられてぼったくりバーへ!!?









あとがき

悪魔の実アンケート
主人公にはどの実がいい?

1.天竜人だけにドラドラの実

2.作者お気に入りのオニオニの実

3.自然系 例 カゼカゼの実

4.その他、超人系・動物系

どうぞご協力をお願いします。



[8408] 第七話
Name: 思いつきで投稿◆9abf2946 ID:d4d903c6
Date: 2009/05/07 23:38
あれは!!!もしやハチ!!?
これはチャンス!!助けなくては!!
俺は気がつけば駆けだしていた。





……結果としてハチは助けたがチョット失敗した。
どう失敗したかといえばこんな感じだ。




子供A・B・C・D・Eが現れた。

子供Aはハチを攻撃した。

ハチは3のダメージを受けた。

子供Bはハチを攻撃した。

ハチは4のダメージを受けた。

子供Cはハチを攻撃した。

ハチはひらりと身をかわした。

子供Dはハチを罵倒した。

ハチの精神力が2減った。

子供Eはヘラヘラしている。

子供Eの馬鹿さが2倍に上がった。


シュバルツが駆け付けた。

→・戦う
 ・逃げる
 ・大将を呼ぶ
 ・ハンコック、君に決めた!
 ・パルプンテ

シュバルツの攻撃。

子供Aに15のダメージ、子供Aは気絶した。

子供Bは驚いて動けない。

子供Cは驚いて動けない。

子供Dは驚いて動けない。

子供Eは言う事を聞かない。

シュバルツの攻撃。

子供Bに13のダメージ、子供Bは気絶した。

子供Cの攻撃。

シュバルツはひらりと身をかわした。

子供Dの攻撃。

シュバルツはひらりと身をかわした。

子供Eは混乱している、わけもわからず自分を攻撃した。

子供Eに2のダメージ。

シュバルツの攻撃。

子供Cはひらりと身をかわした。

シュバルツの攻撃はハチにあたった。

会心の一撃!!ハチに56のダメージ、ハチは気絶した。

子供Cはこけて動けない。

子供Dは逃げ出した。

子供Eは混乱している、わけもわからず子供Dを攻撃した。

会心の一撃!!子供Dに17のダメージ、子供Dは気絶した。

シュバルツの攻撃。

子供Cに15のダメージ、子供Cは気絶した。

子供Eは混乱している、わけもわからず自分を攻撃した。

子供Eに3のダメージ、子供Eは気絶した。

戦いに勝利した。

経験値を5手に入れた。

ハチへの罪悪感が1上がった。

落し物、気絶したハチを拾った。


とまあこんな形だ、俺はハチを引きずりながらハンコック達の所へ戻った。









第七話









「助けに行ったんじゃなかったの?」


戻るなりサンダーソニアに聞かれた。
失礼な!しっかり助けたじゃないか!チョット……失敗したけと。


「まあいいだろう、助けたんだし。それより、手伝ってくれてもいいじゃないか。一応俺の護衛だろ?」


「なにを言ってる、もう一年も私達が稽古をつけているのだ、あれ位出来て当然であろう?」


「姉様、一回避けられてたわよ、もっと厳しくしないと。」


「そうだな、明日からもっと厳しくするか。」


なんか罰ゲーム見たいになってきてるし。
そんなこんなでワイワイ話してるうちに、ハチが目を覚ました。


sideハチ


ニュ~失敗したな、久しぶりにレイリーのとこに行こうとしたら、子供たちに魚人だってばれちまった、どうしよう。


「コイツ手がいっぱいあるぜ!」


「ほんとだ、きもちわりー!」


そんな事言いながら子供たちが俺を蹴ってきた、


「ニュ~やめてくれ!」


「やめるかよこのタコ」


逃げることも出来ずにボコボコにされてたら突然一人が蹴り飛ばされたんだ。
そいつが他の奴らをやっつけて…それからどうなったんろう?
気がつけば終わってた、どうやら俺は気絶してたみたいだ、何故か頭がスゲー痛いけど殴られたせいかな?
俺が目を覚ますと、俺を助けてくれたやつと人間の女が三人話していた。
その一人がこちらを向いて俺が起きたのに気がついて声をかけてきた。


「起きたの、頭の怪我大丈夫?かなり良いヤツがはいったみたいだけど。」


「ニュ~、大丈夫だ、お前達が助けてくれたんだろ?ありがとう」


「あら、お礼なんていいのよ、むしろこっちがあやm「あーーーー!!」何よ、シュバルツ煩いわね。」


「お前平気か!?酷い目にあったな!でももう大丈夫だぞ!!」


緑髪の女と話ていたら男の奴が急に遮るように割り込んできた、なんか凄い汗かいてるけどこいつ確か俺を助けてくれたヤツだ。
こんなに心配してくれてるなんて、コイツ良い奴だな~。


sideシュバルツ


よかった、どうやら俺が気絶させたあたりはうまい具合に忘れてくれたらしい。
バラそうとするサンダーソニアの言葉を遮り俺は会話に割り込んだ。


「お前平気か!?酷い目にあったな!でももう大丈夫だぞ!!」


正直ばれてないかドキドキだ、冷や汗がとまらん。


「ニュ~、ありがとよ、そんなに心配してくれるなんてお前いいやつだな。」


「いや、当然のことをしたまでさ、気にするな。ところでお前、なんでこんな所にいたんだ?」


俺は期待しながら聞いた。


「俺か?俺は知り合いの所へ行くとこだったんだ。」


「へ~そうなのか。」


「お前たちは何してたんだ?」


待ってました、その質問!!
俺は出来る限り不自然にならないように答えた。


「ああ俺達は、人を捜してたんだ、それが中々見つからなくてな。」


「そうか、じゃあな、早く見つかるといいな。」


そう言ってハチは去って行こうとしたので俺は慌てて止めた。


「おい、待てよ。まだ動くなよフラフラしてるじゃないか。俺達ボンチャリがあるし送って行くよ。」


「だけどお前ら人探ししてんだろ、探さなくていいのか?」


「いいよ、どうせそうそう見つかんねえし、なあハンコック?」


「ああ、そうだな、お前さえいいならまた今度探せばいい。」


「そういう事、さあ何処に行くんだ?」


「ニュ~、重ね重ねすまねえ。」


「かまわねえよ、それで何処に行けばいいんだ?」


「ああ13番MGまで行くところだったんだ。」


「わかった、じゃあ後ろに乗れ。」


こうして俺達は13番MGに向かった。


「着いた、ここだ、ありがとよ。」


「凄いわね、この看板。」


「ええ、ぼったくる気が前面に押し出されているわ。」


知ってはいたが実際に見ると凄い看板だ。
しかし店はやや新しいな。


「お礼と言っちゃなんだが、何かのんでいけよ、俺が言えばタダにしてくれるハズだ。」


「そうか、それじゃお言葉に甘えようか。」


よし、条件はクリアした、後は気に行って弟子にしてもらえるようにしよう。
ハチを先頭に俺達は店に入った。
カランカランと扉に付けられた鈴が鳴る。


「いらっしゃい、何に…あら?はっちゃんじゃない!」


「ニュ~久しぶりだな~、シャッキー。」


「どうしたの?その怪我」


「面目ねえ、諸島の中を歩いてたら魚人だってばれて子供達に虐められたんだ。そんで、コイツらに助けてもらって送ってもらったんだ。」


「そうなのありがとうね、貴方達……あら、天竜人がこんな所まで何か御用かしら?」


いきなりばれた!?


「そんなに驚かないでよ、ただ知り合いから貴方の事を聞いたことがあるだけよ。」


「知り合い…ですか?」


「ええ、貴方付きのメイドさんよ、彼女達とは前に知り合ってね、時々来るのよ貴方達の事はよく聞いてるわ。」


「そうなんですか?」


「そうよ、全然天竜人らしくない、いい子だって、あと最近他の女に盗られたって嘆いてたわよ。」


なんだ、だったら彼女達に連れてきてもらえばよかった。
あと盗られたって何を?
まあいい、それよりも


「あのー、聞きたい事があるんですけどいいですか?」


ハチの手当をしている彼女に俺は声をかけ思い切って聞いてみた。


「何かしら?」


「俺達人を探してるんですけど、レイリーって人の噂知りませんか?」


「レイリーなら家にいるわよ、今はいないけど。でもどうしたの、彼に何か用?」


「実は俺、レイリーさんに弟子入りしたいんです。」


「……弟子?何故と聞いてもいいかしら?」


「俺、大きくなったら外にでて世界中の不思議をいっぱい見てみたいんだ!!」


「そう……ふふふ、聞いた通り変ってるわね。いいわ伝えといてあげる。了承するかはわからないけどね。」


「ありがとうございます!!」


思わぬところでプラス要因が働き気に入ってくれたようだ。


「お礼なんていいわよはっちゃんを助けてくれたんだし。それに私も気にいったわ。でも今日はもう帰りなさい、彼が帰ってきたら連絡あげるから。」


「はい、お願いします。」


「お前らありがとな、気をつけてかえれよ。」


そうして俺は子電伝虫の番号を伝えてバーを後にした。









あとがき

突然にオリキャラを思いついた…と言ってもほぼ他の漫画のキャラそのままだが。
このキャラが旅に同行するかもしれない。
シュバルツはまだしばらく実はたべません。



[8408] 第八話
Name: 思いつきで投稿◆9abf2946 ID:d4d903c6
Date: 2009/06/02 22:47
あれからもう一年も経つ。
俺もいよいよ旅立ちの準備をしだした、と言っても欲しいものを親父に言って用意してもらうだけだが。
レイリーはまだ帰ってこない。
そう、俺達は月に一度くらいのペースでシャッキーの所へ行っているが、レイリーは未だ帰ってこない。
その間に、シャッキーとはだいぶ仲良くなった。
ハチにももう一度会って色々と話した。
タコ焼き屋になりたいと夢を俺に語っていた。
熱く語るハチの隣で材料には困らないな、とか共食いじゃか?とか思っていた。
でも将来海賊になるんだよな、何かあったんだろうか?
そんなこんなのある日、いきなりシャッキーが


「このままただレイリーを待つより海軍に行って基礎でも学んできた方がいいんじゃない?」


と提案してきた、正直このまま待っていてもらちが明かないのでそうする事にした。
という訳で只今海軍本部のセンゴク元帥の部屋です。









第八話









「少々お待ち下さい、間もなくセンゴク元帥が参られます。」


そう言って大佐の人が下がっていった。
只今部屋にいるのは俺とヤギだけです。
今日はハンコック達はお留守番です。
誰もいないのをいいことに俺は部屋を歩きまわり物色していると……

ガタン!!

うっかりと机の上のインク瓶を倒し書類をダメにしてしまった。
しかし俺は慌てません、なぜならこの部屋にはヤギがいるからです。
俺は落ち着いてインクまみれの書類を処分しました。
一応反省した俺は大人しく待ちます。
しばらく待っていると一人の男が入ってきた。


「どうもお待たせしました、シュバルツ聖。」


「いえ、突然お邪魔しまして申し訳ありません。」


やっぱり元帥でも敬語なんだな、とか思いながら普通に返事をすると


「!!!…………」


なんかメチャクチャ驚いた顔をした元帥さんがいた。


「どうかしましたか?」


「あ…いえ、その……申し訳ない、少々驚きまして。」


「ああ、もしかしてこの話し方ですか?」


「ええ、まあ」


「あまりお気になさらないで下さい、変ってるとよく言われますし、そちらの方が目上ですから私に対して敬語を使う必要はありませんよ。」


「そうですか……しかし一応他の世界貴族の方々への示しもつきませんし、それより本日はどのようなご用件で?」


「ええ実は、強くなりたいんですよ私、ですから稽古をつけてくれる方を探していまして、誰か海軍の方で私の師匠になっていただける方がいらっしゃらないかと思いまして。」


「強く……ですか?ですが何故強くなる必要が?護衛もおられるでしょうし、もし何かあれば大将も出ます。」


「大将が出るのは何かあった後でしょ?抑止力にはなりますが、時にはそれが効かない場合もあります。」


「ですがご自身が強くなる必要はないでしょう?」


ああだこうだと一向に進まない討論を続けているといきなり後ろから声がかけられた。


「それなら~…実際に訓練の様子を見てもらったらどうかねぇ~?」


この喋り方はもしや!!?


side黄猿(ボルサリーノ)


天竜人が来たと聞いて一応挨拶しようと思ったら何やら面白い話をしてなさる。


「それなら、実際に訓練の様子を見てもらったらどうかねぇ~?」


「黄猿!!」


「黄猿?……もしかして大将の?」


「こりゃあ~ご存じとは~……驚いたねぇ~あっしはついこの間大将になったばかりなのにねぇ~~」


「ええ、武勇伝は聞き及んでいます。はじめまして、私はシュバルツと申します。」


「こりゃ~どうもご丁寧に……あっしはボルサリーノ…まぁ、黄猿とでも呼んでくだせぇ、しっかし天竜人と話すのは初めてだが……聞いてた話とだいぶ違うねぇ~」


「私は変り者なので、他の方達はたぶん聞いている通りだと思いますよ。」


「それよりも……なんでも強くなりたいとか…どうですかねぇ…兵士達の訓練でも見て行きなさらんか?何なら本部の中を案内しますよ~」


「ええ、是非お願いします。」


「それじゃあ黄猿、頼んだぞ。」


「わかりました、ではこっちへ……」


そして案内のために部屋を出るとき


「あと言い忘れていましたが、先ほどセンゴクさんを待っている時にそこのヤギさんが机の上の書類を食べてましたよ。お止する事が出来ずに申し訳ありません。」


と言って頭を下げなさった。


「いいえ、シュバルツ聖に責任はありませんどうぞお気になさらず。」


こりゃあ、思っていたより良い子の様だ……仲良くなれそうだねぇ~
そんなこんなで…訓練場へ向かっていると~何を思ったのか急に歌いだされた。


「ああ~あああああ~あ、ああ~あああああ~」


何やらわからんが……いい感じの曲だねぇ~~


sideシュバルツ


黄猿(邦○さん)が現れ一緒に訓練場に向かっているが……だめだもう我慢できない!!
我慢の限界に来た俺はついに歌い出してしまった。


「ああ~あああああ~あ、ああ~あああああ~」


「どうなされたんでぇ…いきなり、でもいい曲だねぇ~……あっしもご一緒しても……いいかねぇ~?」


「もちろん。では……」


「「ああ~あああああ~あ、ああ~あああああ~、むむーむむむむーむむ、むむーむーむーむーむーむーむー」」


そして俺達は二人でハモり……
歌い終わる頃には10年来の親友のようになっていた。









「ところで、黄猿って悪魔の実の能力者なんだよね?」


「おーー…よくしってるねぇ~…あっしは”ピカピカの実”を食べた光人間でねぇ~」


「凄いね!!俺能力者って初めて見たよ!!」


「そうかい…探せばちょくちょくいるよぉ~」


「うん、家にも何個かあるけど食べた人を見るのは初めてなんだ。」


「そりゃ~すごいねぇ~……普通家に何個もあるもんじゃないからねぇ~……どんな実かわかるかい?」


「うん、悪魔の実の図鑑で調べたら、”ネコネコの実”、”オリオリの実”後はわからないのが4つ。」


「おーー、6個もあるのか……すごいねぇ~」


そう、今家の宝物庫には6個の悪魔の実がある、最初は4つだけだったが、この一年で新たに2つ集める事に成功した。
同時に悪魔の実の図鑑も手に入れて調べたら2つの能力がわかったという事だ。
逆にわからない4つは図鑑の製作者も知らない実という事になるな。
少なくとも2つの内1つは行き先が決まってもう手元に無いが……




そんなことを話しながら俺達は寄り道をしつつ訓練場に向かった……









あとがき

レイリーに弟子入りすると思ってた人たちには申し訳ないがもうしばらく待ってください。
さて……これからどうなる事やら、みなさんのお気に召すかはわからないが頑張って書くのでよろしく。



[8408] 第九話
Name: 思いつきで投稿◆9abf2946 ID:d4d903c6
Date: 2009/05/10 03:01
あれから本部の色々な場所を黄猿と回り二人で悪戯をした。
被害者には悪いが天竜人と大将の二人に文句を言えなかっただろう、てか基本的には誰がやったかわからないようにした。
例えば寝ている中将の腹の上にケチャップをかけておいたり。
また、他の中将の部屋からお茶と煎餅を盗ってきて参謀のお婆さんと三人でお茶を飲んで仲良くなったりした。
そしたらお茶を飲んでる時に本部中に響く声で


「なんじゃこりゃ~~~~~~~!!!」


って聞こえた。
そんなこんなで訓練場に着いたんだが……









第九話









結果的に訓練は無理と判断した。
訓練場に入っただけだ他の訓練兵達が動揺して訓練にならなかった。
この上一緒に訓練させてくれというのは難しいだろう。
訓練内容から見ると全部が全部凄い人という訳もなく今やっている方が相手のレベルも高く此処でやる必要はないだろう……例外で動揺もなくやっている人もいが、タバコ吸いながら訓練しちゃダメだろ。
そんな事を考えながら訓練を見ていたら急に子電伝虫が鳴りだした。


「おー…こちらぁ黄猿ぅー、何か御用かねぇ~……もしもし……あれぇ~おっかしいねぇ~~返事がないねぇ~~」


「あのさ黄猿それ黒電伝虫だけど…そっちのじゃない?」


「あー…こっちか……こちらぁボルサリーノ……」


「黄猿のオジキやっとでたのか。」


「おーー……戦桃丸君。」


「おーじゃねえだろ、また黒電伝虫に話しかけてたんじゃねえだろうな!!」


「話しかけてましたよ。」


「誰だ?今の声オジキ誰かいるのか?」


「おー…丁度人を案内していてねぇ~。」


「大将が案内を任されるなんてどんなやつなんだ?」


「いやぁ……ちょっと天竜人をねぇ~。」


「!!!天竜人!!そいつはまた厄介なものを押しつけられたな。」


「いやぁ…それがねぇ…話してみると意外といい子でねぇ~、仲良くなったんだよぉ~。」


どうも会話の相手はあの戦桃丸のようだ、俺は話してみたくなって黄猿に頼んでみると電伝虫を俺に渡してくれた。


「もしもし、初めましてシュバルツです。それと普通に話してくれてかまいませんよ。」


「そうか、わいは戦桃丸世界一ガードの固い男だ。したがって世界一口の固い男だ。」


「そうですか。」


「あっさりか!お前は世界一スルーの上手い男だな!!」


「ところで黄猿に何か用があるんですか?」


「さっき重要な報告書が上がってきたんで黄猿のオジキに見てもらおうと思ってな。」


「そうなんですか…てか普通にばらしましたね機密とかじゃないんですか?」


「あ……今のは質問に答えんたんじゃねえぜ、黄猿のオジキに報告したんだぜ。」


「そうですか。黄猿、俺にかまわずに行っていいよ。」


「そうかい…すまないねぇ~。」




黄猿はそういって近くの海兵に俺をまかせて行ってしまった……歌いながら


「ああ~あああああ~あ、ああ~あああああ~」


どうやらえらくお気に召したようだ。
それで俺の面倒をまかされた人はあの黒檻のヒナだった。
まだ能力者じゃあ無いらしい、当然だな…”オリオリの実”は家にあるし、最近集めた4つの内の一つが”オリオリの実”だ、おそらくこのままだと、ヒナの手に渡る事はないだろう。
なんか悪い気がするな……別に欲しい実じゃないし、あげようかな?
その時俺の頭に名案が閃いた。


sideヒナ


どうしよう?
何時も道理に訓練していたら行きなり大将・黄猿が来て私に天竜人の子供を押しつけていった。
これではもう訓練できない……それどころか少しでも粗相をしたらすぐに有罪決定の軍法会議にかけられてしまう。
本当に厄介で面倒だ。
考えているうちに向こうから話しかけてきた。


「どうもはじめましてシュバルツと申します。」


…………はっ!?


「どうかしました?」


「あ…いえ、失礼しました。わたしはヒナ少尉です、ご無礼をお許しください。」


「無礼?無礼とかありましたか?」


「いえ、少々考え事をしておりまして…返事が遅れまして申し訳ありません。」


「そんな事ないですよ、全然気にしな無いで下さい。」


「はっ!ありがとうございます。」


「そんなに硬くならずに、私の方が年下ですし。敬語も不要ですよ。」


「しかし、そういう訳にもいきません。」


「そうですか……」


何やら残念そうにされてしまった。
悪い事をしたような気がする。
しかし、天竜人を見るのは初めてだが聞いていた印象と全然合わない気がするわね。
驚愕よ驚愕、ヒナ驚愕。


「別に私につきっきりでいなくても、勝手に見学させてもらいますので、訓練にもどられても構いませんよ。」


「いえ、これも仕事の内ですのでお気づかいなく。」


「そうですか。」


その後しばらくの沈黙が降りた。


「…………」


どうしよう?
また同じ疑問に逆戻りだ。
だめだ、全然いい考えが浮かばない、この子はいい子みたいだからこのまま何もしなくても問題ないだろうが……


「あの、よかったら俺に稽古付けてくれません?」


「え!?…稽古…ですか?」


「ええ、実は今日此処に来たのも私の師匠になってくれる人を探しに来たんですよ。それで是非ヒナさんにお願いしいと思いまして。」


驚きだ、今日何度目の驚きだろう、それに事何故私に頼むのだろう?


「何故?…と聞いてもよろしいでしょうか?私でなくても貴方のような立場ならもっと強い人を指導に付けてもらえるでしょう?」


何時の間にやらやや敬語が抜けかけていたが向こうも気にしていないので無視することにした。


「あまり強すぎる人にいきなり教えてもらうよりもいいと思いまして。」


「それもそうだけど、ごめんなさい、実は私今伸び悩んでいて出来れば訓練に集中したいの。」


そう私は今まで常にトップを維持してきて周りから優等生と見られてきたが最近伸び悩んできている、別にトップを維持する事に固執する気も無いけど将来の事を考えると少しでも実力をつけておきたい。
本来なら天竜人の頼み事を断れるはずがないが、この子ならわかってくれるんじゃないかと思いつい断ってしまった。
しかし私の考えは次の一言で覆される事となった。


「伸び悩んでいる……じゃあ、どうでしょう?もし引き受けてくださるなら、お礼として我が家にある悪魔の実を差し上げますよ。」


今日は一体何度驚けばいいんだろう?
私は驚愕のから逃げるようにそんなどうでもいい事を考えていた。


sideシュバルツ


「それもそうだけど、ごめんなさい、実は私今伸び悩んでいて出来れば訓練に集中したいの。」


まさに渡りに船これならいける。


「伸び悩んでいる……じゃあ、どうでしょう?もし引き受けてくださるなら、お礼として我が家にある悪魔の実を差し上げますよ。」


物で釣っているから何か嫌な感じがするけれども、後々仲良くなればいいや、別に今も悪い関係な訳じゃないし。
しばらく考えていたようだがやがて決心したようにこちらを向き


「よろしくお願いします。でも加減はしませんよ。」


と了承してくれた。
それから二人で訓練所、内容などを決めてセンゴク元帥にも了解を取り浮かれながら家に帰った。




しかし、そんな気分も吹き飛ぶような、家に帰った俺に予想だにしなかった事態が待っていた……









あとがき

弟に書いてるのがばれたのでアイディアを出すのに協力してもらう事になった。
ちょっと強引にヒナを出しましたが…まあそこら辺はご容赦を。



[8408] 第十話
Name: 思いつきで投稿◆9abf2946 ID:d4d903c6
Date: 2009/05/17 20:24
俺はヒナにどの実がいいか聞いたところ、あっさり”オリオリの実”を選んだ事に内心やっぱりなどと考えながら家に帰ったところにいきなり凶報を叩きつけられた。
それはチャルロスの奴が俺のいない隙にハンコック達に悪魔の実を食べさせたという事だった。









第十話









sideチャルロス


やったえ~!大成功だえ!
いっつも一緒にいるお気に入りの奴隷達を化け物にしてやったえ!!
久しぶりにあの昔の夢を見て朝からムカついてたらちょうど兄上が出掛けて行くのを見たえ。
絶対に仕返ししてやろうと思っていたら何時もは連れている奴隷を今日ちょうど置いていったえ。
これは絶対にチャンスだえ、仕返ししろとご先祖様が言ってるに違いないえ。
兄上は未だにあんな古い奴隷をつれてて絶対に頭悪いえ、でもやっと飽きたみたいだえ、これであいつらに何しても怒られる事はないえ。
あちしはあの奴隷達も大嫌いだえ、このあちしとすれ違っても頭一つ下げんえ、それに兄上と一緒とはいえまるで自分の家のように歩いとるえ。
まえに文句言おうとしたら


「チャルロス、この子達は俺のだ、お前がとやかく言う必要はない。」


とか言って相手にもしなかったえ、しかもあの奴隷達後ろでヘラヘラ笑っとったえ。
奴隷があちしの事を笑うなんて死刑だえ。
兄上に捨てられてもう奴隷達を守る物はなくなったえ、どう仕返しをしようか考えてると急に前兄上が集めていた物を思い出したえ。


「おい!お前!!」


「はっ、何か御用ですか、チャルロス様?」


「お前、最近兄上が集めている物知ってるかえ?」


「はっ、確かシュバルツ様は悪魔の実をコレクションされていたかと。」


「そうだえ!それは確か食べると化け物になるヤツだえ?」


「はい、食べたものは悪魔の力が身につきます、化け物の一種と見ても間違いありませんが。」


「そうだえ、それを持ってくるえ、あの奴隷達に食べさせてやるえ!」


「そ、それはシュバルツ様がお怒りになられますのでおやめになられたほうが……」


「大丈夫だえ、見てみるえ、あいつらとうとう兄上に捨てられたえ、要らないものをどうしても怒るわけないえ。」


「しかし、万が一お怒りになられたら……」


「お前煩いえ!!つべこべ言わずに持ってくるえ!!でないとお父上様に言いつけるえ!!」


「は、はい!!只今お持ちします!!」


ふう、やっと行ったえ、あいつホントにノロマだえ。


「チャルロス様!お持ちしました!!」


あいつが果物みたいなのを3個持ってきたのを確認してから、あちしは意気揚々と兄上の部屋に向かったえ。


sideハンコック


今日はシュバルツが一人で出掛け珍しく私達だけが部屋に居る。
流石に海軍本部に行く事は止めておいた、一応私達は海賊だしな。
そんな事を考えていると突然部屋の扉が勢いよく開いた。
何事かと思いそちらに目を向けるとそこには愚弟とそのお供がいた。


「どうした?いきなり騒々しい。」


「そうよ、無礼よ。」


「ノック位しなさい。」


私だけでなくソファーに座っていた、ソニアやマリーも口々に注意をしだした。


「お前達あちしに向かって無礼だえ!!」


「そうだぞ、お前達チャルロス様に向かってなんとご無礼な!!」


「無礼は貴方達でしょう?勝手に人の部屋に入ってきて。」


「此処はシュバルツ様の部屋でお前達の部屋でも無かろう、第一そこのお前、何故シュバルツ様のベットに乗っている?」


「何故も何も……何を喚いているんだコイツは?」


私に向かって話す男の質問がわからずに思わず二人に訪ねてしまう。


「何故って言われてもねぇ……私達大抵はこの部屋にいるものね?」


「そうねベットに乗るのもいつもの事だしね……そうしなきゃ寝れないじゃない。」


「っ!!?お前達シュバルツ様と同じベットで寝ているのか?何と無礼な!!」


何やら男が驚き無礼だ等と行ってくる煩いが、もう二年もこうして暮らしているのに……今更なにを言っているのだろう?
ベットも大きく4人で寝てもまだ余っているし何も問題は無いと思う、二人も訳がわからないと首をかしげている。


「そんな事はどうでもいいえ!!あちしを無視するなえ!!」


「申し訳ありません!チャルロス様。」


愚弟が何やら怒って割り込んできたがさっきから訳がわからん。


「お前はさっきから何がしたいんだ?」


「お前奴隷の分際であちしに対してなんて口のきき方するえ!!やっぱりこいつ等ろくでもないえ。おい!!早くこいつ等にあれを食べさせるえ!!」


「はっ!!」


何だ?こいつ等何を食べさせる気だ?
すると男が妙な模様のついた果物を私達に渡した。


「なんだこれは?本当に食べ物か?」


「それは兄上がお前達に用意した果物だで食べてみろ!!」


「馬鹿かお前は……そんな嘘に騙されえるか、それならシュバルツが直接渡すだろう、毒でも入っているんじゃないか?」


「お前無礼だえ!いいから食べるえ!!」


「馬鹿じゃないの貴方?」


「食べる訳ないでしょ。」


「お前達!いくらなんでも無礼がすぎるぞ!!」


「そうだえ!いくら兄上でももう庇いきれんえ!!お父上様に言いつけてやるえ!!いくら兄上でもここまで奴隷に好き勝手をさせてたら怒られるで!!」


!!?シュバルツに迷惑がかかる……


「ま、待て!!」


「何だえ?食べる気になったかえ?」


「わかった、食べる!食べるから父親には報告しないでくれ!!」


「そうだえ!最初からそうすればいいえ。」


「すまない、ソニア、マリー…」


「いいわよ姉様、気にしないで。」


「そうよ、別に食べても死にはしないでしょう。」


元々自分達が奴隷であることには変わりがない、この二年間楽しい事が沢山あって忘れかけていた、シュバルツには本当によくしてもらっているし私達にとってとても大切な人だ。
間違えても迷惑はかけたくない、これも立場を忘れ調子に乗りすぎた私達が悪い、すまない二人とも……もう一度心の中で二人に詫び私は手に持っている実を食べた。
二人も私に続きそれぞれの実を食べた……が、不味い…凄まじく不味い。
表情を見るに二人も実も不味いようだ。
しかし助かった、ただ不味いだけですむなら安いものだ。
しかしその時私達を絶望へ導く言葉がかけられた……


sideマリーゴールド


不味いわねこの果物……しかしそんな大切な弟に迷惑をかける事に比べればなんでもなかった。


「やった~!やったえ!これでこいつ等は化け物になったえ~!!」


!!?化け物?


「どういう事!?」


「それは食べると化け物になる実なんだえ~!!」


「嘘を言うな!!そんなものあるわけない!!」


姉様が吠えるように叫んだ、そうだそんなわけない!!


「本当だ、それは悪魔の実と言って食べると悪魔の能力を手に入れる、お前達はもう普通の人間ではない。」


「そうだえ~、お前達はもう化け物なんだえ~、兄上ももうお前達なんかいらないんだえ~。」


「ふざけるな!!シュバルツは私達を捨てたりしない!!」


「そんな事ないえ~、兄上は買えばお前達の換えなんかいくらでもいるえ~。」


そんな訳ない……でも化け物になった私達をシュバルツがどう思うのか…そう思うだけで恐ろしくて仕方がない。
それに、私達でもこれ程恐ろしいんだ、姉様はもっと恐ろしいだろう、姉様は気づいていないけど私達は気付いている、私達の大切と姉様の大切は違う事に。
私達はシュバルツを弟のように思っているもちろん大切だ捨てられたくない…でも姉様はおそらく捨てられると生きていけない位に思っているハズ……
馬鹿弟と付き人が部屋から出て行った後も姉様は顔を青くして一言も話さなかった……




そして数時間後シュバルツが帰ってきた。


sideシュバルツ


あまり期待はしていなかったが、思わぬ収穫をうけてご機嫌で帰宅したが……なんだこの重い空気は?
部屋に居るのに明かりも点けずにいる三人、三人が三人ともこちらを向こうともしない、むしろ俺を怖がっているように見える。
一体何があったのか?考えててもらちが明かないので聞いてみる事にした。


「どうしたんだ?三人とも暗い顔をして…何かあったのか?」


「「「…………」」」


三人そろって答えてくれない…こんな事初めてあった日以来だ。


「どうしたんだよ?話してくれないとわからないよ。」


「シュバルツ……あのね、もし、もしよ……私達が「ソニア!!」」


サンダーソニアが何か言おうとしたが、ハンコックが飛びかかって止めてしまった。


「おい!どうしたんだよ、喧嘩するなよ!!」


理由も分からず喧嘩を始めた二人を何とか引き離して事情を聴いた俺はその瞬間二度目の人生の中で一番の怒りに襲われた。
今すぐにあの愚弟を殴り飛ばしたかったが今は錯乱しかけているハンコックをどうにかしなければならない。
俺はハンコックに力いっぱい抱きついて言った


「大丈夫だよ、俺はお前達がどうなっても嫌いになんかなったりはしない、それにただ能力者になっただけだろ?大丈夫だからそんな事、一々気にするなよ」


「本当か?」


恐る恐るハンコックが聞いてきたので俺は自信満々に答えてやった。


「ああ、本当だ。俺はハンコック達を嫌いになったりはしない、絶対だ、誓うよ。」


「くっ……う…、うわぁぁぁぁ~~!!」


安心したのかハンコックは俺に抱きつき思いきり泣いた……









泣き疲れたのか寝てしまったハンコックを二人に任せて俺はアイツを探して部屋を出た。









探す必要も無かったアイツは食堂で夕食を食べ終わった所のようだ。
しかし今の俺には関係ない、自分でもどんな顔をしているのかわからなかった。


「ひっ!!!!」


馬鹿が見てこんな表情をするくらいだからよっぽどなんだろう、しかし今の俺には気にしている余裕はない。
口調もいつもの取り繕ったものを使う気もない。


「おい!チャルロス!俺の居ねぇ間に好き勝手やってくれたみたいだな!!」


「ひぃぃぃぃ、兄上、ま、待ってく「歯ぁ食いしばれやぁーーーーーーー!!!!」」


俺は自分でも驚くほどのパンチを放っていた。
顔面に俺の拳がめり込んだ馬鹿は、ゴスッ!!と鈍い音と共に料理を巻き込みながらテーブルの上を5メートル程滑って行った。




一瞬の沈黙の後使用人達が騒ぎ出したが俺は気にすることなくそのまま食堂を後にし部屋に帰って4人で寝た。









次回 ようやく届いた旅の荷物、しかしその中には予想にもしなかった物まで入っていた、ちょっと待てよ……これは何処かで見た様な?









あとがき

どうもみなさんお久しぶりです。
この一週間思ったよりも忙しく前回の投稿から一週間もたってしまいました。
来週も忙しい事が決定していますがまた投稿させてもらうつもりです。
こんな作者ですがどうぞこれからもよろしくお願いします。



[8408] 第十一話
Name: 思いつきで投稿◆9abf2946 ID:d4d903c6
Date: 2009/06/02 22:47
やあみんな元気かな?
俺の活躍見てくれた?
そう俺は前回愚弟チャルロスに渾身の一撃を叩きつけた。


「俺のこの手が真っ赤に燃える、お前を倒せと轟き叫ぶ!!ばあああくねつ! ゴッドフィンガァァァ!」


という訳であの次の日の朝、親父に呼ばれてえらい剣幕で怒られたが、俺が完全に無視していると諦めたように


「シュバルツ、お前しばらく部屋で大人しくしてるえ。」


などと言われ部屋の前に見張りを置かれたので仕方なく部屋で遊んでいる。
しかし別に何も困ることはない何故なら前から頼んでいた物の内の第一陣が届いたからだ、それは……


・海楼石を刃の部分に仕込んだ刀


・体長2M近い虎


・長距離でも使えて盗聴されにくく改造した子電伝虫









第十一話









謹慎初日……


今朝起きたらハンコックに抱き枕にされていた。
今まで枕にされたことはあったが抱き枕にされたことはなかった。
二年間の成長を実感した朝であった……




今まで食事は食堂で食べていたから3人とは別々だったが、今日は部屋で4人で朝食をとっていた。
ハッキリ言ってこっちの方が全然いい。
ヒナに修行をつけてもらえる事を話したら、ハンコックに睨まれた。
なんでも


「男同士でないならわざわざ他の奴に習う必要はないだろう。」


との事だった。
どうやって言い訳しようか考えていたら部屋のドアがノックされ


「シュバルツ様、お荷物が届きました。」


「わかった、中に入れておいて。」


俺付きのメイド達が大人が3人は入れそうな箱を俺の部屋に運び込んだ。


「ありがとう、下がっていいよ。」


「失礼しました。」


メイド達が出て行った所を見計らってマリーゴールドが訪ねてきた。


「その箱何が入っているの?」


「ああ、たぶん前に親父に頼んでおいた物が届いたんだろう。」


「頼むって…何か必要な物があったの?」


「うん、前に俺が海に出ようって計画している事は話しただろ?」


「そう言えば、いつだかに言っていたな……本気だったのか?」


「本気だよ、だけらこうして少しずつ準備しているんだ。」


「そうか…もちろんその時は私達も連れて行くんだろうな?」


「ハンコック達が来たいならね。」


「そうか、では答えは決まっているな。」


「そうね。」


「うん。」


なんか三人とも当たり前のように付いてくる気だ……別にいいけど七武海にならなくてもいいのかな?


「何が入っているの?開けてみてよ。」


サンダーソニアにせかされて箱を開けてみた中には刀と体長2メートル程の虎と小さな箱が入っていた。
俺が海楼石を仕込んだ刀を注文したからで虎も”ネコネコの実”モデル:タイガーを戦斧に食べさせるように、Dr.ベガパンクに依頼したからだ。
小さい箱の中には、離れた場所でも連絡を取れるように子電伝虫を強化してもらった。
あとは手紙が入っているのを見つけた。
どうやらDr.ベガパンクからのようだ。


「…………」


中身を読んでみるとお礼と一通りの説明書きが書いてあった。
説明は殆ど読まなくてもわかりそうなことばかりで一応書いたって所だった。
また、お礼と言うのは親父が武器などの制作を依頼する際に結構な額を払ったからその礼と悪魔の実を物に食わせると言うアイディアに対する礼だった。
この世界ではまだベガパンクはこのアイディアを思いついてなかったみたいだ。
最もどうせ数年のうちに思いつくだろうから実用化が少し早まっただけだろうが。
家からの資金提供もこの発明を早める結果にもなったようだ。
もともとこの発明をする上で絶対に動物系の悪魔の実が必要になる訳だから簡単には出来ないだろう。
後は注文していた船が出来ればほぼ準備万端だな。




それはそうと四人で話し合い虎の名前を決める事にした。


「それで、この虎の名前はどうしよう?」


「……虎子だな。」


「いいえ姉様、虎美よ。」


「何言ってるの、虎恵に決まってるじゃない。」


「オイ!!いくら虎だからってそんなに拘ってんだよ!!真面目に考えろよ。」


あれか女々島では皆こんなネーミングセンスなのか?
そんな訳ないよな、みんな普通の名前だったハズだし。
自分の名前が決められているなんてわかるはずもない虎、一応俺の相棒になることだし仲良くなっておくか。
そう思った俺は虎に向ったが何をしてコミュニケーションをとればいいかわからずにとりあえず


「お手。」


等とやってみた。


(おいおい、虎相手にお手って……)


などと内心自分で自分に突っ込みを入れていると…


「ガウ。」


ヒョイっとお手をしてくれた虎に対して


(お前もするのかよ……)


等とで虎にまでツッコミを入れていたが、仲良くやっていけそうなのでまあいいか。
そんな事をしていると後ろで三人は虎子と虎美と虎恵のどれにするか揉めていた。


(だめだコイツ等早く何とかしないと。)


仕方なく俺はパンパンと手を鳴らして注目を集めいい放った。


「はいはい、俺が決めました、この子の名前はラジャです。決まりったら、決まり文句は受け付けません。」


「そうか……シュバルツが決めたなら仕方がないな。」


そう言って引き下がったハンコックを見て二人も納得したようだ。


「そういう訳で君の名前はラジャに決まったよ、よろしくなラジャ。」


「よろしく頼むぞラジャ。」


「よろしくね。」


「よろしく。」


「ガウ。」


わかっているのか、いないのかはわからないがとりあえず返事はしてくれた。


こうして俺に、相棒ができた。









補足説明
ラジャ…刀と一緒に送られれ来た虎の事。絵本に出てきた虎の名前を付けた。
体長は約2メートルもある虎、正体は”ネコネコの実”モデル:タイガーを食べた戦斧。
将来自分の鍛えた体と併用して使おうと思いシュバルツが注文した。
今現在はシュバルツが振りまわせるようになるまで特に出番はない。
元の姿は2メートル程の長さの戦斧、叩き斬る事に向いている、先の部分がとがっていて突きをすることもできる。イメージはDQのクロコダインのグレイトアックス。
斧獣型?はあまりならない、一応柄から伸びるように刃の部分が上半身になることが出来る。
獣型は虎、一応そのまま戦闘可能。









あとがき

また思いつきでやってしまった。
セルセルの実にしようかとも思ったけどそれだと人魚フォームができないしパシフィスタにしました。
これはないだろ、と思うかもしれませんが、やってしまったためもう取り返しは付きません。
作者を虐めないでください。
さてこれからイヴが加わるわけですが、うまく生かしきれるかどうか……。
しかし全力で書くので見守っていてください。
ではまた次回のあとがきで。



[8408] 第十二話
Name: 思いつきで投稿◆9abf2946 ID:d4d903c6
Date: 2009/06/02 22:47
あれから二ヶ月、謹慎も解けて訓練に入ったのだが……
誰かあの二人を止めてくれ


「ええい!いい加減にやられてしまえ!!」


「謹んで遠慮させてもらうわ。」


そうハンコックとヒナの二人です。
なんかこの二人非常に仲が悪いんです。
どちらかと言うとハンコックが突っかかって行ってヒナがあしらうみたいな感じなんですけどね……
未来の七武海と大佐が戦うと洒落になりません。
いや本来なら大佐じゃ話にならないだろうけど、今の二人はちょうど同じくらいの強さ見たいなんだよね、成り立てとはいえ一応二人とも能力者だから中々に洒落に成らん。
今も巻き込まれたサンダーソニアとマリーゴールドがオリオリの力で拘束され転がっているし、今俺はラジャにまたがって二人の戦いを見ている状態だ。


(これって、俺の訓練じゃなかった?)


毎回思う疑問を持ちつつ転がっている二人の枷を解きに行った。
だってこの二人の力が無いとあの二人止らないし……









第十二話









話は遡る事一月半前一向に堪える様子の無い俺に対して諦めたのかそれとも気づいてないのか親父は約二週間の謹慎を解いた。
そして早速その次の日からヒナを交えて六人で鍛錬を始めたのである。
とは言ったもののラジャはほとんど居るだけだが時々サンダーソニアやマリーゴールドとじゃれるように戦い?をしてる……そして俺は当たり前の事だが集中的にボコられている。
それと始める前にヒナから『六式全書』という分厚い本を貰った。
前に話し合った時に


「六式とか使いたいな。」


って言ったのを覚えていたらしい。
驚いた事に別に六式は別にCP9秘伝とかではなくこんな本が出る程に海軍や政府内では有名な技らしい。
もっともその技を会得するのにかなりの身体能力が要り大半が挫折するらしいし、能力者に成れば動物系以外はあまり必要じゃなくなるので使用者はいないらしい。
居ても大体は一つか二つ使えればいい方だそうだ。
中身に軽く目を通したが確かに生半可な身体能力で使えるものじゃない、普通に考えても何も鍛えてない奴が指銃とかやっても突き指か骨折するだけだ。
逆にこれが出来たら、後は動物系の実を食べるだけで戦闘力が上がるだろう、その上鍛えればまだまだ上がる、そんな奴らを倒したとか……改めてあの三人(ルフィ、ゾロ、サンジ)の強さが伺える。
それはさておき、俺はまずは『剃』を習得したいと思う。
その為にはまずは下半身の力を強化しなくてはならない、それにどこぞの漫画でも足腰は武術で最も重要な場所だと言っていたな。
とりあえずは最近は重りを付けて暮らしていたがそれをもっと重くして今まで以上にトレーニングして筋肉の持久力と瞬発力を上げる事と、四人ともっと本格的な組み手をやることだった。
そうやって訓練する事一ヶ月半少しずつ重りを重くしている、謹慎中は5キロの重りをしていたが訓練に入って10キロにして、今現在は15キロだ大体訓練に入ってからは週に1キロ増やすペースだこのままいけば一年で約60キロの重りを付けての訓練になる、明らかに俺の体重以上になるだろう。
今現在ではこの15キロで毎日精一杯だ。
それもそうだろうなんたって俺は七歳だ既に体重の半分以上ある、こんな訓練して壊れない俺の体に少し驚いている。


「離せ!!ソニア!マリー!」


「ダメよ姉様。」


「そうよ、毎日会うたびに喧嘩してたらキリがないじゃない。」


二人に取り押さえられ、離せと叫ぶハンコックと抑えつけながらなだめるサンダーソニアとマリーゴールド。
そしてそれを眺めるヒナ、毎回相手をさせられているが別に迷惑といった感じには見えない。
むしろからかっているようにさえ見える、いや実際にからかっているんだが。
どうも口ではハンコックよりヒナの方が一枚も二枚も上だ。


「ヒナさん、筋トレ終わりましたよ。」


「あらそう、じゃあ組み手の方に移りましょうか。」


訓練はこんな感じで過ぎていく……




俺の重りが重くなったり。




四人と訓練したり。




皆と出掛けたり。




そんな感じで俺の一年は過ぎて行った。




そしてこの日、俺の目指す夢の旅に最も重要な物の一つが届いた。
そう、船である。


「この船で旅をするの?」


サンダーソニアが尋ねてきたので俺は嬉しくて興奮したまま答えた。


「おお、どうだ速そうだろ。無風でも進めるように注文したんだ。」


「変なのが付いておるな。」


「でもこの船、少し小さくない?」


「そんな事ないよ、これは1人から5人まではいけるよ。」


ハンコックが言う変なのとは俺の居た時代では別に変でも何でもないただのスクリューだ。
ただこの時代ではまだ使われていないけどね。
俺は別に大した事を行ったつもりじゃなかったけど設計者に言った時は凄く驚かれた。
最も動かす動力としてやっぱり人力になるから大きい船には適していないので実用はしないだろうけどね。
協力してくれたのは政府の船を造っている所だ。
本当はウォーターセブンのトムさんに頼みたかったが、海列車の制作に時間を裂くために断られてしまった。
仕方がなく政府御用達しの造船所に頼んだ訳だが、流石に民間船から軍艦、政府の高官の船まで造るだけあってかなりの技術の船ばかりだったので安心して任せた。


「しかしどうするんだ?どうせ人力なら漕ぐのと変わらないだろ?」


「まあ、基本は帆船で急いでる時しか使う気はないよ。そんなに急いで旅する訳でもないしさ。一応動力としては足で漕ぐ事と、ラジャに走ってもらう事の二つがあるけど。」


「ラジャを走らせるの?可哀そうじゃない。」


「別に無理にさせるつもりはないよ只の運動不足を解消させる道具みたいなもんさ。それよりも試乗してみようよ。」


そう言って俺達は船に乗り島から離れない位置で船に乗った。
以外にもラジャは回し車が気に入ったようでずっと走っていた。
その様子は虎としての威厳などは欠片もなくどちらかと言うと黄色いハムスターに見えてしまった。
一時間ほど乗った後異常は無くこれで旅をするのに問題はなさそうだ。


「これで最低限の旅の準備は整ったね。」


「いつ頃旅立つんだ?」


「慌てないでよ、今の俺の強さじゃ何処かでそれなりの強さの奴に会ったらそこで終わりでしょ。だからもっと大きくなって、強くなってからだよ。」


「強くか…なら覇気を覚えるといいかもしれんな。」


「(忘れてた、そう言えばあったな覇気とか言うの。)覇気…それで俺は強くなれるの?」


「ああ、使えるのと使えないのでは大きな差があると思うぞ。」


「どうすればいいの?教えて。」


俺は期待に溢れて尋ねたが答えは予想外な答えだった。


「覇気を使うにはな…こう、グッ!と力を込める感じでな。」


「いや……抽象的すぎて判んないんだけど。もっと具体的に教えてくれない?」


「そう言われても…そんな感じだしな。なあ、ソニア、マリー。」


「そうね、こう、スッと研ぎ澄ますようにするのよ。」


「そう、フン!とお腹に力を入れるのよ。」


「いやいや、全員違うじゃないか。そうじゃなくて訓練法とかないの?」


「いや、私は気が付けば使えていたしな。」


「私も普通に使えるようになったから。」


「私もよ、何と無く使えるようになってたわ。」


「結局小さいころからの訓練していればいつの間にか使えるようになるってこと?」


「おそらく、そうだと思うがな…正直いって小さいころから周りの人間が使っていたから無意識に感覚で覚えたんだと思う。」


「そうか…それなら仕方がないね、気長に覚えるとするよ。」


「すまんな、私達も手伝えるように努力する。」


「ありがとう、でも今日はもう遅いから帰ろうか、明日も早いしヒナさんを待たすと悪いしね。」


そう言うとハンコックの機嫌が悪くなり出した。


「別にあんな奴、待たせておけばいい。」


「そう言う事は言うなよな。」


「しかし…別にアイツが居なくても訓練は出来るだろう?」


「何言ってんだよヒナさんが居ないと訓練になら「シュバルツ!!もう黙れ!!」!?ちょ…何を、痛い痛い!!」


俺はいきなりハンコックに顔面を前からヘッドロックをかけられ浮かされた。


「ハンコック離してくれよ!!足が床から離れてるし!!つーか胸に顔が突っ込んでるし!!……まあこれはこれでいいかもしれないけど。」


「何か言った?」


最後にぼそぼそと言った本音が聞こえたのかサンダーソニアが聞いてきた。


「言ってないよ!全然言ってない!!それより助けて!!」


疑問に思ったようだがそれよりも俺を助ける事にしてくれたようだ。


「姉様!そんなに怒らないで!!」


「そうよ!可哀そうじゃない!!」


「こいつがあんな奴の事を庇うから悪い!ここで矯正せなばならん!!」


「何で怒ってんの!!?いい加減に離せよ!!」


何とか二人で引き離してくれたので助かったが、酷い目にあった。
全く最近は時々こんな感じで我儘を行ってくる将来の蛇姫としてのハンコックに近づいてきたのかな?


「いい加減にしてよねハンコック、俺も怒るよ。」


「ふん!お前が悪い!!」


「そんな事言うなら俺はもう知らないからな、謝るまで口きかないよ。」


精神年齢からすればとてつもなく幼稚な言い方だがハンコックの反応が面白くてついついこんな言い方をしてしまう。


「そ…それは…か、構わん!私も知らん!!」


今日は何時もと違い謝らなった。
前にもこんな事になった時、サンダーソニアとマリーゴールドが俺に協力してくれて3対1になり3人で楽しくしているのをハンコックがちらちら見てる感じになった事があった。
それ以来俺とこんな風な喧嘩をした時はすぐ謝ってくるようになったが今日は違ったらしい。
それから家に帰る道ハンコックは話しかけてこなかった。


(今日は頑張るな…。)


そんな事を考えていたら後ろから声をかけられた。


「シュバルツ。」


「(やっぱり謝るんだ…。)何?謝る気になった?」


そう言って振りむいた俺の目にはハンコックの顔のどアップだった。
ハンコックは満面の笑みでが目の前にあることで不覚にもドキドキした時だった。


「メロメロ甘風(メロウ)!!!」


此処で俺の意識は途絶えた。









(…………此処は?)


覚醒しきらない頭でボーっと室内を見回す、見覚えのある室内、俺の部屋だった。


(何で俺は寝てんだ?……そうだ、船が届いて、それに乗って……いつ帰ってきたっけ?あれからどうなったんだ?)


疑問を自分で解くよりも誰かに聞いた方が早いと早速俺を例の如く抱き枕にしている人を起こす事にした。


「ハンコック、起きてくれ、聞きたい事があるんだけど。」


「う…ん…」


「おはようハンコック、俺昨日自分でベットに入った記憶が無いんだけど何があったかわかる?」


「あ…ああ、それならお前が突然倒れてな私が此処に運んで看病してやったんだ、おそらく疲れていたんだろうな。」


「そうなの?ありがとう」


「そ、そうだとも、それに私とお前の仲で礼など不要だ。」


ちょっと焦った感じだが教えてくれたハンコックに礼を言って二人で食堂に行き朝食を食べることにした。
その時サンダーソニアとマリーゴールドにも同じことを聞いたが焦った感じではぐらかされてしまった。
昨日はあれから何かあったのだろうか?
俺の疑問は解ける事はなかった。









あとがき

今回出てきた船ですが元ネタはト○コのスター○ュンが登場したときに竜みたいなのに乗ってるときこれカッコいいな、とか思ってやっちゃいました。
まああんな乗り方はしませんけどね。
あと今回はもう一話出しますんでそちらもよろしく。



[8408] 第十三話
Name: 思いつきで投稿◆9abf2946 ID:d4d903c6
Date: 2009/06/02 22:47
舟が届いてから半年、今日でヒナとの鍛錬も最後だ。
もともとフィッシャー・タイガーが襲撃してくる事を知っている俺はこれを機会に家を出るつもりだ。
だからヒナに責任が行かないように訓練は一年半という期間の元行ってきた。
なんでもこれは正式な任務としてヒナに言い渡されていたらしく、この任務を行う際にヒナは中尉に昇格していたらしい、しかも上の方では無事に戻ると思われていなかったらしく、戻った際には大尉に昇進させると言い渡されていたらしい。
これを聞いた時はやはり海軍も天竜人に良い感情はないんだなと思った。
しかし結果としてヒナは一年半で二階級昇進したわけだし、顔も知らない奴らにどう思われようとどうでもいいからな。
この一年半で大分成長したと思う重りを外せば、四人にも簡単には負けないようになった……能力なしでの話だけどね。









第十三話









「それじゃあ最後の組み手と行きましょうか。」


「うん!お願いします。」


そう言って俺はヒナに向かって駆けだした。
今は重りを付けていないので思いっきり動ける、予想に反して俺の体が耐えれたので今の重りは80キロになっている、そのおかげかここ一ヶ月でどうにか剃が形になってきた。
剃を使いヒナの後ろに回り込むが、既に組み手で何度か使っているためかこちらの動きに目がついてきている。
俺の回し蹴りを片手で受け止めてもう片方の手で突きを放ってくる。
しかし俺は体を後ろにそらしてかわし、そのまま地面に手をつきバク宙の要領で回り蹴った足とは違う方の足で顎を狙うがヒナは一歩下がるだけであっさりとかわしてしまった。
俺は舌打ちしながら下がり間合いを取る事にした。


「流石ですね、あっさり見切られるとは。」


「大分形には成ってきてるけど貴方の剃はまだ不完全、というかまだ地面を蹴る回数が少ないのね、普通の剃より少し遅いわ。」


「そうですか……」


そう言って俺はまた地面を蹴った。
今度は正面から数発の突きを放つがこれをヒナは落ち着いてガードする、今度はお返しとばかりに打ち込まれて俺は守り一辺倒になってしまった。


(なんとかしないと。)


焦る自分を落ち着かせ一つ一つをしっかりとガードしながら反撃の機会を伺う。


(ここだ!!)


ヒナが俺を蹴り飛ばそうと足を振り上げた瞬間俺は軸足に足払いをかけた。
しかし逆に読まれていたようでヒナはそのまま軸足で飛び足払いを避けて上から蹴りおろしてきた。
ガードをしたが元々体重が軽い俺は数メートル後ろまで蹴り飛ばされておまけにガードした腕までしびれてしまった。
この威力から考えてガードしていなかったらそれだけでお終いだっただろう。
そんな事を考えているうちにヒナが追撃を仕掛けてきた。
休んでもいられないので剃で素早く回り込み蹴りを入れるという方法でなんとか抵抗するが何時までも持たずにこのままではいずれ捕まるのが目に見えている。
仕方がないので俺は一か八かの賭けに出る事にした。
俺はその場で動かずにヒナを迎え撃った。


「どうしたの?もう逃げないの?」


「ええ、勝たせてもらいます。」


「上等、見せてもらいましょうか。」


そう言って突っ込んでくるヒナに向かって俺も剃で突っ込んだ。
先ほどまで迎え撃つ姿勢でいた俺がまさか突っ込んでくると思わなかったのかヒナは一瞬驚いた顔をしたが構わずに突っ込んでくる。
俺はそこで先ほど拾っていた石をヒナの顔にめがけて投げつけた。
お互いに突っ込んで居たためにかなりの速度で石は飛びそれに驚いたヒナはとっさに顔をそらして石をかわしたが石を見送った直後に俺が既に懐に潜り込んでいたので、ガードも間に合わず俺は勝利を確信しながら全力で突きを放った……


「で?何で俺が倒れてるの?」


「ふふふ、御免なさいね、でも一年半で此処まで出来るなんて驚愕よ、ヒナ驚愕。」


そうヒナは間に合わないと思った瞬間能力を発動させたようだ。
対応が間に合わないと悟ったヒナは何とか体をひねり突きだけを避けて後はあえて自分の体を通らせることで俺の体と片腕を拘束し、さらには驚き硬直してる俺の両足を振り向きざまの蹴りで拘束しやがった。
こうして結局一回もヒナに勝つことなくヒナとの組み手は終了した。


「まあ、色々な事があったけどありがとう、おかげで勉強になったよ。」


「あらそれはお互いさまよ、私は能力だけでなく昇進までしたんだから、それにきっと普通に訓練してるよりもずっと実力が付いたわ、感謝よ、ヒナ感謝。」


「それならよかったよ、今までありがとう、俺も感謝してる。」


「それはよかったわ、それじゃあこれで訓練は終了するけれど、元気でね。」


「はい、そちらもお元気で。」


最初に言われた通りにヒナとの訓練は厳しかった、全然手加減をしてくれないが……俺の望んだ通りだったので嬉しくもあった、仮にも天竜人の俺にこんな対応の出来る奴は少ない。
そう思うい俺はヒナに心から感謝した。
こうして俺達とヒナの訓練は終了した。


ヒナとの訓練が終わった次の日、俺達は久しぶりにシャッキーのバーへ顔を出していた。


「久しぶりね、ごめんなさいまだレイリー帰ってこないのよ、こんなに長いのは私も初めてだわ。」


「久しぶり、シャッキー、気にしないで、別に焦ってる訳じゃないし、まだしばらくは旅に出たりしないよ。」


「今日はなんの御用?」


シャッキーが訪ねてきたので挨拶もそこそこに本題に入る事にした。


「うん、実は俺近々家出をしようと思うんだがレイリーに弟子入りしたいし、この近く、出来ればこの店の近くに住みたいと思うんだ。それでいい場所ないかな?」


「それなら家に住んでもいいわよ。」


「本当!?ありがとう、じゃあお言葉に甘えさせてもらうとするよ、それと俺付きのメイドの人達の行く所を探しているんだ。三人にはもう事情を話して了解してもらったんだけど別の働き口を紹介しないといけないし、ほら俺が出て行ったとなるとあの人達が責任取らされるかもしれないでしょ?」


「そうね……、それなら家で働いてもらおうかしら、人数的には今でも問題ないけど、あの子達が入ってくれると大繁盛するでしょうし。ふふふ、大儲けできそうね。」


などと、笑顔で話すシャッキーを見ててチョット未来の客に同情したがこれであの人達の働き口を見つけられたので一安心だ。
そんな時に俺に新たな問題が叩きつけられた


「所で貴方料理とかの家事は出来るの?」


「!!!?」


し、しまった~~~~!!武器とか船とかは用意万端だが此処に来て初歩的な問題を抱える事となった。


「その様子じゃ全然ダメみたいね……。どうするの?今から覚える?それとも今から家事ができる仲間を探すの?覚えるなら此処でメイドさん達に家事を教えてもらえば?航海術なら私が教えてあげるわよ。」


「そうするしかないか…じゃあそれもよろしくお願いします。」


「はいはい、お願いされるわね。」


こうして俺はまたやることが増えた。
まあ、まだ時間は幾らでもあるしいいか。


「そう言えば貴方達三人とも能力者になったらしいわね、どんな能力なの?」


「ああ、私は”メロメロの実”を食べた。」


「私は”ヘビヘビの実”モデル:アナコンダよ。」


「私は”ヘビヘビの実”モデル:キングコブラ。」


「超人系と動物系なのね。」


そうハンコック達が食べたのは、原作通りの実だった。
二人の体型は別に変ったりしなかったが、それだと本当に何があったんだろう?
そんな事を考えながらも勝手に話に花を咲かせる4人を見ていたがある程度時間も経った。
結局今回もレイリーは帰ってきていない見たいなので、後は適当に町を捜して帰ることにした。


「じゃあ、俺達そろそろ帰るよ。」


「あら、まだ早いいんじゃない?」


「うん、でも町でレイリーさんを捜してから帰ろうと思ってね。」


「そう、それなら多分賭博場のある無法地帯かパークかだと思うけど。」


「わかった、ありがとう無法地帯の方を調べてみるよ。」


「気を付けてね、貴方達目立つから。」


「わかったよ、気を付ける、じゃあね。」


シャッキーに手を振るとハンコック達と4人で無法地帯に向かった。




賭博場を中心に捜したところ自分でも驚くほどあっさりとレイリーは見つかった。
しかしそれ以上に驚いたのは……


「目立つな。」


「ええ、目立つわね。」


「一発で見つかったわね。」


「人違いか?…いや人違いであってほしい。」


ハンコック、サンダーソニア、マリーゴールド、俺の順にそんなコメントを貰った本人は


「ぶわっくしょん!!!」


と大きなクシャミをしながら賭博場から出てきた……パンツ一枚で……









あとがき

はじめてまともに戦闘を書いてみたが難しいですね。
あと、これ読んでレイリーのイメージ壊れた人、ごめんなさい。



[8408] 第十四話
Name: 思いつきで投稿◆9abf2946 ID:d4d903c6
Date: 2009/05/30 17:00
三年近く捜し続けてようやくレイリーを見つけた俺達、しかしこの凄まじく声のかけづらい雰囲気をどうしたものかと考えながらも後を付けたが、前回同様あっさり見抜かれまた角に消えたレイリーを慌てて捜す俺達だが今回は後ろから声がかけられた。


「私に何か用かな?」


!!?驚いて一斉に振り返った俺達の目の前には当たり前のように佇み不敵な笑みでこちらを見る冥王が居た……パンツ一丁で。









第十四話









あの後事情を説明した俺達はシャッキーの知り合いである事を話、服と飯を奢る事で話を聞いてもらう事になった。
そこで俺達は年単位でレイリーの帰りを待っていた事を伝えた。


「そうかそうか、それはえらく待たせてすまなかったな。」


「いえ、僕が勝手に弟子になりたいと決めて待ってただけですから。」


「うーん…………」


俺の弟子入りに関してレイリーはしばらく考えた後


「よかろう、私は君を弟子にするとしよう。」


と意外とあっさりと弟子入りを認めてくれた。


sideレイリー


(捨てる神あらば拾う神ありとは本当のようだな……最も服は自分で賭けたんだが。)


服を買ってくれた子達が食事まで奢ってくれると言うもんでついてきてしまった。
まあシャッキーの知り合いらしいし今日はまだ何も食べてないうえ食事代も賭けてしまったため次の予定もたってない、ここは有り難くご馳走になるとするか。




「うーん…………」


食事をしながら話を聞くどうやら私の手配書をみて弟子入りしに来たらしい、その為に何年も待っていたとか。
別に海賊に成りたいわけではないらしいが……
さてどうするか、しばらく遊ぶ金もないし丁度シャッキーの所にもどってしばらく大人しく仕事をしていようと思ったところだ。
鍛えても構いわしないが…まあ潰れればそれはそれまでだろう。
見たところ少しは鍛えてあるみたいだしな。
なにより


(ロジャーが火をつけた新しい時代、ただ成り行きを見守るだけでなくその時代に生きる者を自分で育てるのも悪くないかもしれんな。)


「よかろう、私は君を弟子にするとしよう。」


「本当ですか!?」


「ああ、鍛えた力をどう使おうとも何も言う気はないが、甘やかしはしないし、潰れたらそれ以上は埋めるくらいしかせんぞ。」


「はい!頑張ります!!」


元気な返事とそれを祝福する女の子達の声を聞きつつ食事を再開する。


(弟子か……そお言えば正式にそんなものを採るのは初めてだな。)


そう考えると今まで無かった状況に、久しく感じる事の無かった高揚感が少しずつ出てきた。
年甲斐もなくわくわくしてきた、これ程わくわくしたのはいつ以来だろう?




……おそらく最後にシャボンディパークに行った時以来だろう。


sideシュバルツ


埋めるとかなんとか怪しい単語を聞いたが気がしたがここはあえて気がつかない振りをしよう。


「それでは私はこれで帰るとしようかな、暫くはシャッキーのバーに居るから都合がついたら来なさい。」


料理を食べ終わったレイリーが立ち上がりながら言ってきた


「それじゃあ明日から通ってもいいですか?」


「君らの都合がよければ何時でも来なさい。」


「はい、ではさようなら。」


「うむ、……そう言えば昔シャボンディパークの帰り道にコソコソついて来た子供達が居たが…」


「あ、それ多分僕達です、やっぱり気づいてたんですね。」


「やはりそうか、シャボンディパークを出たところからついてくる子供達が居たので何かと思いつつも撒いた記憶があってな。」


(出たところからじゃなくてパーク内でも二時間くらいつけてたんだけどな……)


どうやらパーク内では浮かれすぎて気づいていなかったようだ。
海軍も冥王を打ち取りたいならシャボンディパークで襲撃すれば成功してたかもな……ダメだガープとかも一緒にはしゃいでそうな気がする。
そうな事を考えながらもレイリーと別れて俺達は帰路に着いた。


「よかったな、了承を貰えて。」


「そうだね、明日からまた忙しくなりそうだ。」


強くなった自分を思い描いたが、そんな事を考えた俺は次の日からそんな事を考える余裕は一切なくなった。




次の日




「こんにちは、シャッキー、レイリーさん、今日からよろしくお願いします。」


「いらっしゃい、よかったわね弟子入りが認められて、これから大変だろうけど頑張ってね。」


「おお、来たか。堅苦しい敬語は不要だ、しかし…そうだな雰囲気を出すために師匠とでも呼んでもらうかな。」


「はい、師匠お願いします。」


「わははは、自分で言っといて何だが照れくさいな。」


などと全然照れてもいない様子で話していたが急に真面目な表情になり


「一応師匠として鍛えると約束したが、私は弟子というものは初めてでなやり過ぎて壊してしまうかもしれんからそこら辺は覚悟していてくれ、別に拘束する気はない辞めたくなれば何時でも辞めればいいが、辞めない限りは文句を一々聞く気はないからそのつもりで。」


「はい、解りました。」


言い回しにやや怖い表現があり、しかも真顔で言われた事もあり正直躊躇しかけたがそんなことは顔に出さずに言いきれた。


「よし、覚悟があるならもう言う事はない、では始めるとしようか。」




こうして俺の地獄の日々は始まった。









あとがき

今回は色々あって短いorz
あと色々と修正したことすまないと思っている。
前の作品を修正したせいでもしかしたら文がおかしいかしれないがもしあったら感想掲示板までよろしく。



[8408] 第十五話
Name: 思いつきで投稿◆9abf2946 ID:d4d903c6
Date: 2009/06/04 21:19
繰り返される地獄の日々。
そしてある大事件の模様を教えよう。









第十五話









修行初日。


「まずは現段階でどれくらいできるか見せてもらうとしようか。」


そんな言葉から始まり軽く手合わせをする事になった。
俺が師匠に向かって攻撃をする、それを師匠は避ける。
ただそれだけの事だが……


(全然当たらねえ……。)


解りきっていた事だが突き付けられてみると結構堪えるものだ。
俺は今までに出来るだけの準備、ことさら戦闘に関しては特に力を入れてきたはずだった。
重りも取り全力の剃で師匠の前後左右、あらゆる角度に回り込み刀を振るう。
刀に関しては誰に習った事もない、ただ全力で振りまわしているだけだ。
しかし師匠はヒョイヒョイと事もなげに避け続ける。
今の俺の実力じゃあ一撃も入れることは出来ないだろう、そう思ってはいたが……その場から一歩も動かす事が出来ない。
フェイントを入れても工夫をしても一撃どころかその場から動かす事も出来ない。
疲れた様子もない、むしろ攻撃してる俺の方が圧倒的に疲れている。
そばで、見ているハンコック達もこの光景に唖然としている。
ハンコック達は師匠がどう言う存在かしらないから無理もないと言えばそうなんだが。


「ハァ…ハァ…ハァ…」


「どうした?もうそろそろ限界かな?」


膝をつき息も荒く刀を構える俺と最初の位置と変わりない場所に佇む師匠、圧倒的にも程がある実力、ヒナやハンコック達でも能力抜きなら俺は全力を出させる事くらいは出来る。
今までに予想外の事ばかりしていたせいで忘れかけていた、この男は年老いても海軍大将と渡り合う実力を持っている事に。
この恐ろしくも嬉しい事実は俺のやる気を著しく揺さぶってくれた。
俺は力を振りしぼり師匠に特攻した……




「それでは、今回はこの辺で終わりにしようか。」


最後に力を振り絞った猛攻も五分と持たずに終わりおよそ一時間半に渡るこの訓練は終わった。
一時間半、師匠はこの短時間に冥王と呼ばれる存在感を俺達に刻みこんでくれた……もっともこれでもほんの一部だろうが。


「どうでしたか?あれが現段階での俺の限界です。」


昼食を取りながら午前の結果を聞いてみる。


「ふむ、悪くはない。」


「本当ですか!!」


一歩も動かせずに呆れられたかと思ったが意外な一言に一瞬浮かれかけたが


「あくまでその歳では、だがね。」


そんな喜びも一蹴されてしまった。
そりゃそんな簡単に強く成れるわけないよな。


「今は八歳だったかな?その歳ならばそれだけ出来れば上出来だよ、あくまで普通と比べるとな。」


何やら含みを持たせて言ってきた。


「君が普通でいいと言うならばこのまま無難に育てるが、どうかな?」


「もちろん全力で鍛えて下さい、いずれ師匠も越えますから。」


試すような口調に少しカチンとなり思わず要らない事まで付け加えてしまった。


「ほう、私を超える…か、それは楽しみだ全力で鍛えねばならんな。」


「ふふふ、大きく出たわね、これから大変よ。」


実に楽しそうなお二人に若干失敗したかと思ったが、俺の夢のために此処は大き出よう。


「ええ、越えて見せますので全力で鍛えて下さいね、師匠。」


「わははは、わかった全力でな。」


愉快そうに笑った後昼食を終え午後の修行に入る事にした。




「聞いたところ六式を使いたいらしいな、ならまずは身体能力を上げねばならない。」


「はい、今現在は剃だけ使えます。」


「ふむ、しかしそれだけではダメだな、特に攻撃に関してが全く出来ていない。後は剃もまだ完全ではない、やはり暫くは午前に体力系、午後に筋力系、そして最後に組み手で行こう。
剣に関しては振っていれば自分なりの使い方が出来て行くだろう。」


「はい、それでお願いします。」


「それではさっきの重りを付けなさい、その方が効果的だろう。」


「はい。」


師匠に言われて重りをつけて普通の筋トレを開始した……回数はチョット異常だったけど。
なんでもこれ位は笑ってやらないとこれからの訓練はやっていけないらしい。
内容は1セット

・腕立て・・・・・・・・・300回

・腹筋・・・・・・・・・・300回

・背筋・・・・・・・・・・500回

・スクワット・・・・・・・500回

・ダンベル(20キロ)・・500回

これを休憩を間にはさみ5セットこれをやると午後が丸々潰れた。




最後に師匠との組み手。
今度は向こうも攻撃してくる、最も一割にも届かない力でだが……それでも全く相手にならなかった、ちくしょう。
約30分ほどで組み手が終わり俺はボロボロで動けなくなった。


「今日はこの辺でやめておくとしよう。」


「…ありが…とう…ございました。」


力尽きた俺は途切れ途切れに礼を述べ今日の修行は終わった。


「大丈夫か?シュバルツ。」


帰り道にハンコック達が心配そうに聞いてきた。


「正直、大丈夫じゃないね。」


俺は素直な感想を述べたが自分でも顔が笑っているのがわかった。
強くなる……その思いがこの厳しい状況を嬉しさに換えているようだ。


「どうした!!やはり可笑しくなってしまったか?」


「笑ってるわ、頭でも打ったのかしら?」


「不味いわね……。」


しかしハンコック達には違うように伝わったらしくえらく心配されてしまった。
家に帰り死んだように眠った俺は次の日も修行に行き、またボロボロで帰宅、そしてまた修行に行くの繰り返しの日々を送った。
修行に体が慣れて少し余裕が出てくるとすかさず師匠は課題を上げてきた、それに慣れるとまた上げる。
組み手の相手は時々ハンコック達に変わったりもしたし、師匠は時々居なくなって、大金を持って帰ってくる事もあれば、大負けして帰ってくる事もあった。
居なくなる事があっても二、三週間で帰ってくるし、今はまだ毎日絶対師匠が必要というわけでもなかったので問題はなかった。
要するにまだまだ基礎的な事ばかりだが着実に身体能力は上がり剃も完成した。




そんな修行を初めて半年程経ったある日の事……


「ハァ…ハァ…ハァ…」


やや息を切らしながらも崖を登る男が居た。
しかしそれは只の崖ではない、それはまさに世界一の崖その名も” 赤い土の大陸(レッドライン)”その高さは数千メートルもありとても人が登れる高さではない。
その男の名はフィッシャー・タイガー、魚人にして冒険家でもある。
彼の目的は聖地・マリージョアに住み権力を振りかざす天竜人に奴隷として支配される魚人達を解放するためである。
途方もない距離それを登り切るまでもう数メートル、そしてついにその頂きに手をかけたその時、


「!!!しまった!!」


フィッシャー・タイガーが手をかけた部分が崩れてバランスを崩してしまう。


(落ちる!!)


そう思った時、崖の上から差し出された手がフィッシャー・タイガーの手を掴んだ、それはまだ小さい子供の手だった。
驚くべき事に子供はまだ成長しきっていない細い腕で大人の魚人を支えている。


(子供が?何故?)


疑問を浮かべたが少年の瞳に宿る強い光を見て彼は自然と少年と言葉を合わせていた。




「ファイトーーーー!!!」




と少年が叫び




「いっぱーーーーつ!!!」




その叫びを合図に二人は力を合わせフィッシャー・タイガーを崖の上に引っ張り上げた。
そして……









ドッカーーン!!!!









「へっ?」


何やら熱い友情の夢を見ていた気がするが突然の爆音に目が覚めた。


「姉様!!屋敷の外の方で大きな爆発が起こったみたい!!」


気がつけば他のみんなも既に起きていたようでサンダーソニアが窓から外の様子を見ていた。


俺はいきなりの事に上手く頭が回らなかった。
慌てて窓に走り外の様子を見てみると、そこには焼ける屋敷やそれに乗じて逃げる奴隷達の姿が映った。
その光景を見て混乱していた頭が覚醒しある出来事を思い出した。


(フィッシャー・タイガー、ついに来たか!!)


素早く状況を理解した俺は前からの考えをついに行動に移す事にした。


「みんな聞いてくれ、どうやら何者かがマリージョアに襲撃をかけて来たみたいだ。」


「馬鹿な!!此処に奇襲をかけるなど正気の沙汰ではないぞ!!」


驚愕を露わにするハンコック達だがそれを落ち着かせるように俺は言い聞かせた。


「普通はそうだろうけどこの襲撃の犯人はそんな事を気にするような奴じゃないみたいだ。」


「なら早く避難しないと!!」


「慌てないでマリー、これはチャンスだ、俺は前から計画していた家出をこれに乗じて実行する。」


「なにもこんな時にしなくても!」


「だけどソニア、普通に考えて親父達が許可を出すわけないし家出になる事は必須だ。それにこの機会を逃すと暫くは無理だよ、絶対に警備が強化されるだろうしね。」


「わかった、シュバルツお前が言うなら、私は何処へでも行こう。」


ハンコックが賛同したことでサンダーソニアとマリーゴールドも覚悟を決めたようだ。
やや戸惑いながらも了承してくれた。


「よし、じゃあハンコック達は此処から必要最低限の荷物を運んでくれ、俺は宝物庫にある物を取って来るから、ラジャは先に船へ、行けるな?」


「「「わかった(わ)」」」


「シュバルツ様大変です、何者かがマリージョアに侵入し、屋敷を襲撃して奴隷の首輪を外しています!!」


丁度いいところでメイドが駆け込んで来たので他の二人を連れて船に行くように言っておいた。
そして俺は宝物庫に急ぎそこから用意していた悪魔の実が入った袋と大金の入った箱を持ち船に駆けた。
途中ですれ違う者達の顔は、屋敷の者達から首輪の外れた奴隷達まで入り混じりまさに大混乱と言えるものだった。
上手く逃げ切れて船に飛び乗ると既にラジャ、そしてメイドの三人は既に乗っているようだ。
しかしハンコック達三人はまだ来ていないようだった。


「シュバルツ!」


そこで大きな呼び声が聞こえた。
ハンコック達がこっちに向かって走ってきている。
しかし安心したのもつかの間、船から飛び降りてハンコック達に向かって駆けだした俺の視界の端にある光景が見えた。
それは燃える建物が次々と凍っていくというものだった。


(これは!……まさか青雉!?)


今はまだ中将だが未来の海軍大将が側い居る、追いつかれたら脱出できるとは思えない。


「急げ3人ともこのままじゃ不味い事になる!!」


赤々と燃える建物がつぎの瞬間には凍りついていく、その異様な光景に恐怖を感じた俺はハンコック達を急がせた。
あと少しで合流できる、そう思った時に俺達の間が氷の壁がせり上がってきた。


「これは!?シュバルツ無事か!!?」


「ああ、大丈夫だ!それよりもこうなったら合流は無理だ!此処からは別々に逃げよう!シャッキーのバーまで逃げれそうか!?」


「しかし、お前一人で逃げれるのか!?」


「俺は万が一掴まってもどうにもならないさ、それよりハンコック達が捕まると逃げ出した奴隷として酷い目にあうかもしれない、だから早く逃げて!!」


「わかったて…お前達も無事に逃げきれよ!!」


「気をつけてね!!」


「絶対に逃げ切りなさいよ!!」


そう言ってハンコック達は違う方に逃げて行った。
その後すぐに背の高い男がこっちに歩いてきた。


「あららら、まーだこんな所に天竜人が残っていた…しかもまだ子供じゃないか、親はなにやってんだろうねぇ。逃げ出した奴隷に襲われそうになってたじゃないか。」


どうやらさっきの氷の壁は俺を守る為にだしたようだ。
まさに有難迷惑だ。
ハンコック達が逃げ切るまで少しでも時間稼ぎをするか…別に攻撃はしてこないだろうし。


「ああ、どうもこりゃ、あー俺ァ海軍中将のクザンってもんです、まあ…こんな時までヒザつきをやれとか言わないでしょう?」


「別にそれは構わないが。」


「それじゃあ保護しますんでこっちについてきてもらえますか?」


「いや、その必要はない、家の者達と船で逃げるからそちらは事態の収拾に向かってくれて結構ですよ。」


青雉は俺の後ろの方に泊まっている船を一瞥した後、


「そうですか、じゃあお言葉に甘えるとしましょうかね…。」


そう言ってまた燃える建物の方に歩きだした。
俺の方も時間稼ぎはもう十分だと思い俺も船に乗り込みシャボンディ諸島に向かって出港した。
燃える街、それから逃げるように走り回る人々、凍る家々、それらが段々小さくなっていくのを見ながら俺はハンコック達の無事を祈る事しかできなかった。









あとがき

さて本格的な修行風景はまた今度ということで今回はフィッシャー・タイガーの事件と半々で書かせてもらいました。
さてハンコック達と無事再開できるのか、それともこのままさよならなのか答えは次回ということで。
あ、それとシュバルツの剣術どうしよう?
ただ振るだけにするかそれとも何か技を覚えさせようか……作者的には覚えさせたいが技が思いつかない、何かいい技を思いついた人は感想掲示板まで!!
それともいっそのこと飛天御剣流でも使っちまおうかな。



[8408] 第十六話
Name: 思いつきで投稿◆9abf2946 ID:d4d903c6
Date: 2009/06/04 21:19
昨夜のワンピース界の大塩平○郎ことフィッシャー・タイガーの乱……長い夜だった。
ひとまず無事に逃げだす事に成功した俺達が、シャッキーのバーに着いた時はもう明け方になっていた。
ハンコック達とはもちろん会っていない。
無事に逃げきってくれていればいいが。









第十六話









思わぬところで初めての航海となった俺は当然のごとく航海術など持っていなく思うように船を動かせず、毎日のように来ている場所でさえこんなにも時間がかかってしまった。
今回の事で航海術の大切さが身にしみてわかった、今度シャッキーにしっかりと習っておこう。
実際スクリューが無ければ何処に行ってたかわからない。
どうにかバーにたどり着いて扉を開けて中に入ると、そこにはハンコック達の姿は無かった。


「あら、無事だったのね。」


「え?無事って?」


「これよ、これ。」


差し出された新聞を読んで見ると昨晩の事件について一面の大見出しが書かれていた。
長ったらしい文を要約すると…

・冒険家フィッシャー・タイガーが昨晩聖地・マリージョアを襲撃した。

・フィッシャー・タイガーは世界貴族の屋敷を次々と襲撃するという、天をも恐れぬ大犯罪を犯した。

・その際に奴隷を解放し、何千人と言う奴隷が大脱走をした。

・一部の奴隷は駆け付けた海軍等の手により捕縛されたが、およそ奴隷の八割強が逃亡に成功した。

・世界政府はこの異例の犯罪を起こしたフィッシャー・タイガーに対して懸賞金を賭け全力で追跡する模様だ。


「うん、これがどうしたの?」


「違うわよ、それもあるけど、下よ下。」


「ん?」


よく見ると下にも記事が載っておりそこに


「天竜人一名行方不明。昨晩起こったフィッシャー・タイガーの聖地・マリージョアに襲撃した事件の際に世界貴族、シュバルツ聖が行方不明となり未だ発見できずにいる模様。
これに対し海軍本部はフィッシャー・タイガー又は逃げ出した奴隷により誘拐された可能性が高いとの見方をし、現在大将黄猿指揮の元大規模な捜索が開始されている。……え?何これ?」


「貴方の捜索が大規模に行われてるのよ。まあ今現在犯人はフィッシャー・タイガーと思われているからこのシャボンディ諸島で捜索される事はないでしょうけど。」


「どうやらフィッシャー・タイガーと逃げ出した奴隷達はマリージョアを横切って新世界へ逃げたようだからな、そうそう見つからんだろう、しかし攫われたと思ったらあっさりと顔を出しに来て妙なところで意表を突く、流石は私の弟子だな。」


と訳のわからん所で褒められた。
本当に心配してたのかこの人達?


「それよりも、ハンコック達来てない?」


「いえ、来てないけど一緒じゃないの?」


「実は逃げる時にはちょっとあって別々に逃げたんです。」


「あら大変、それじゃあ急いで探さないと。」


そんな会話をしているとバーの扉が勢いよく開いた。
驚きつつも皆が扉に注目すると


「シュバルツ!!居るか!?」


ハンコックが飛び込んできた。


「ハンコック無事だったんだね!」


俺が声をかけると俺を見つけたハンコックが勢いよく抱きついてきた。


「よかった、無事だったんだな!!」


「心配したんのよ。」


「無事でよかったわ。」


ハンコックの後でサンダーソニアとマリーゴールドも入ってきた。


「二人とも無事だったんだね、よかったよ。」


「まあ、何はともあれ全員無事でよかったわ。それで、これからどうするの?家に住む?」


「うん、そうさせてもらうつもりだけど。」


「だけどそうすると不味いんじゃないかしら?貴方の捜索が行われているし…メイドの子達はいいとしてもハンコックちゃん達は見つかると誘拐犯にされる可能性があるんじゃない?」


「シャッキーや私はそう簡単にはやられはせんが、その子達は目立つからな、見つかりやすいぞ。」


ハンコック達は俺と一緒にこの諸島をよく歩いていたし美人なので顔を覚えられているだろう。
町に出たら間違いなく注目の的だ、いや外に出なくても店に来た客や他にも見られる要因はある。
何時俺の顔写真が公開されるかわからないし……何とかしないと。


「ハンコックどうする?一度故郷の島に戻るか?」


「シュバルツお前……私を一緒に居たくないのか?」


親切心で言ったつもりなんだけど、そんなにショックな顔をしないでくれ。


「あら、酷い事言うのね。」


「酷いじゃない、シュバルツ。」


「酷いぞ。」


「わははは、大した女泣かせだな。」


「「「こんな子に育てた覚えは……」」」


あれ?なんか俺が悪い事をしたみたいな雰囲気になってるんですけど?なにこれ?
シャッキーに始まりサンダーソニア、マリーゴールド、師匠にメイドさん達にまで?
あと師匠それ何か違う気がしますよ。


「シュバルツ、私達はずっと一緒に居ると言ったはずだぞ、それなのに何故私を遠ざけようとする?」


「違うよハンコック、俺もずっと一緒に居たいよ。」


「では何故そんな事を言う?」


「このままじゃ何処に居ても外を歩けなくなるよ、もしハンコック達が誘拐犯だと思われたら守りきれない、だからほとぼりが冷めるまで暫くは離れていた方がいいと思うんだ。」


「しかし如何すればいいんだ?」


「だから波風立てないように離れておくのさ。」


ああだこうだと話していると見かねたのか師匠から提案が出てきた。


「どうだ、此処は正式に見つかってもいい立場に立つ方法があるが……最も簡単ではないがな。」


「どう言う方法だ教えてくれ。」


ハンコックが一瞬で食いついた。


「それはな、世界政府公認の海賊になればいいと思うのだが。」


「そうか、王下七武海だね。七武海になれば政府や海軍から逃げる必要はなくなる。」


「世界政府公認の海賊?王下七武海?」


ハンコックは七武海を知らないようだ。
七武海を知らないハンコック達にシャッキーが説明しているが、俺はそれを聞きながら少し驚いていた。


(まさかこんな所で、七武海が出てくるとは……もしハンコックが七武海になるなら、俺も負けないように強くならないとな。)


そんな事を考えていると聞き終わったハンコックが勢いよくこっちを向き


「シュバルツ、私はお前のために王下七武海になる!!」


などと力強く宣言してくれた。
俺は嬉しいが、かなり恥ずかしく顔が真っ赤になるのがわかった。
サポートする気満々の妹達、声援を送るメイドさん、シャッキーや師匠楽しそうに見ている。
まるで子供の成長を見守る親のような視線が恥ずかしく、何かご褒美をあげる約束でハンコックより大人のように振る舞おうとして、思わず


「ありがとう、もしハンコックが七武海になれたら、ご褒美に何でも好きなものやるよ。」


「本当だな!!絶対に約束したぞ!!」


「あ、ああ…わかった約束だ。」


またえらく食いついて来たが疑問に思う余裕もなく余程欲しい物があるんだなと勘違いした俺はそれを約束してしまった。
周りの大人達がやけにニヤニヤしているのを疑問に思う事もなかった。
そんなこんなでハンコック達は女ヶ島に帰る事になった。




数日後……


準備が整いった3人と見送りがバーの前に集まった。
なにやらシャッキーがハンコックに耳打ちしていたが聞いてもはぐらかされてしまった。
その後に何やらニヤニヤしながら俺を見て


「私達は此処までにしておくわ、貴方は港まで見送りに行ってあげなさいね。」


と俺に向かって言ってきた。


(今絶対に何か余計な事を吹き込んだ気がする。)


俺元々そのつもりだったので疑問はあるが、特に反論もなく変装をして港までハンコック達と4人で歩いて行った。
わかっていた事だがいつも道理ハンコック達は注目の的だった。
本当にここら辺を捜索されたらすぐに見つかるだろう。
俺達は今までの思い出を話しながらゆっくりと歩いて行った。




港に着いた俺達は船に荷物を載せて向かい合った。
4年も一緒に居たのにこれから暫くは会えないかと思うと何やらしんみりした感じになる。


「本当に大丈夫?島まで帰れる?」


「大丈夫だ、私達三人でも小型船なら操舵出来る。できるだけ近い島までログを辿って行ってそこから帰る方法を探すさ。」


「そうか…3人とも元気でね。」


「ああ、お前もな、次に会う時は七武海に成るだけでなく皇帝にもなり島にお前が自由に入れるようにしておく。」


「うん、頑張ってね、俺も負けないように強くなるよ。」


嬉しい事は嬉しいが、どうもハンコックの中では俺は女ヶ島で暮らす事に成って入るようだ。


「…………」


出港の準備も整い、いざ出発と言った所で何やらハンコックが赤くなりモジモジしだした。


「どうかしたのか?」


「あ、ああ、少しな。……シュバルツ大事な話があるのでこっちに来てくれないか?」


「ああ、わかった。」


手招きするハンコックの元に行ったら


「私は必ず約束を守る、だからお前も約束を忘れるなよ!!」


そう言って勢いよくキスされた。


「!!!?」


驚いて思考が停止した俺、真っ赤になって動かないハンコック、唖然としたサンダーソニアとマリーゴールド。


「…………」


「…………」


「…………」


「…………」


暫くの間4人とも動かなかったがようやく思考が動きだした。


「ど、どうしたんだよ急に!」


「…………」


しかし慌てる俺を無視してハンコックは固まっている。


「おい!聞いてる…って、気絶してるの!?」


なんとハンコックは自分でしておいて勝手に気絶していた、しかも立ったままで。
そのまま倒れそうになるハンコックを慌てて支えた。
軽く叩いても反応しないので仕方なく2人に預けたので、ハンコックに肩を貸しながらと言うなんとも締まりのない形で2人と別れのあいさつをした。


「楽しかったわよ、有難うシュバルツ!!」


「貴方には感謝してるわよ!!またね!!」


「また必ず会おうな!!」


ハンコック、サンダーソニア、マリーゴールドの三人は俺に見送られ出港した。




ハンコックが女帝として最初の航海に出るのはこの二年後のことである。









あとがき

ハンコック消えた…。
さあ次に登場するのは何時になるやら。
これからはシュバルツの成長を書くとしますか。
ああ、あと無理やりな約束やキスシーンとか入れんなとか思われたかも知れませんがそこら辺は思いつきなのであまり気にしないでください。



[8408] 第十七話
Name: 思いつきで投稿◆9abf2946 ID:d4d903c6
Date: 2009/06/09 00:12
あれからもう16年が経った。
俺ももう結婚して子供も居る。
悪いと思いながらも家と子供を任せて度々旅に出てしまう俺に妻は笑って


「いいのよ気にしないで、次の冒険談を子供達と一緒に待ってるわ。」


と言ってくれた。
18でシャボンディ諸島を旅立って4年後俺はイーストブルーのフーシャ村にたどり着いた。
その村で酒場を営む一人の女性に惚れてプロポーズした俺は、現在一姫二太郎の子供2人と妻の家族4人幸せな家庭だ。
旅に出てもう7年、あれから新世界を含めたグランドライン、ウエストブルー、サウスブルー、ノースブルー、イーストブルー。
世界中を旅して色々な人に会い、一言二言では決して語れない、それこそ長編の伝記が書けるような人生だった。
そして今、世界中を旅した俺は冒険家を引退して酒場を手伝おうと思う。
俺が帰ってくるたびに、小さな子供のように目をキラキラさせながらうちの子と一緒に冒険談を聞きに来た麦わら帽子がトレードマークの少年も、長年持ち続けた大きな夢を叶えるため、昨日島を旅立って行った。
これからあの少年にどのような冒険の日々が待ち受けているのでろうか。
そんな事を思いながら俺は今日もカウンターで妻と二人グラスを磨き続ける日々を送っている。




天かける竜の日々 -完-









「ん……夢か…。」


こんな夢を今朝見た、しかしこの出来事により、俺に新たなる夢ができたのはまだ俺だけの秘密である。




オイーッス!!それじゃあ本編、行ってみよーーーー!!!









ハンコック達と別れて四年あれからはハンコックに負けていられないと修行に励み前以上に過酷になっていく修行をこなした俺は自分でも成長したと自信を持って言える。
未だ師匠に一撃も入れれない事については何も言わないでくれ。
今回はそんな四年間の修行風景を語ろうか……









第十七話









ハンコック達と別れた翌日、俺は今まで以上のやる気で修行に望んだ。
その結果に要らない事までべらべらと話してしまった。
そのいらない事とは、前世で見た漫画の修行内容などを、自分で思いついたように言ったことだ。
言った瞬間にしまったと思ったらもう目の前には面白い事を聞いたとばかりに笑う師匠の顔だった。
それからは地獄の日々により磨きがかかったしまった。




「ぎゃぁぁぁぁーーーーー!!!こ~~ろ~~さ~~れ~~る~~!!!」


「ふむ、中々火加減が難しいな。」


(この修行…わかっていたつもりだが……半端ねえ!!)


「これは殺人未遂だ!!」


今俺は火の上で腹筋と背筋をくり返している。
まさか本当にこの修行をやりこんな台詞を吐く事になるとは思わなかった。
しかも実際にやったやつよりやばいやつだ、なぜなら俺は今重りを付けたままやっているからな!!
その後は手で歩かされたり色々な修行をやらされたが結局一週間くらいで師匠の方が飽きてしまい元の修行法をグレードアップさせたものになった、凄まじくいい加減で気変わりの早い師匠だ。
相変わらず体力作りと筋トレを続けて師匠と組み手というものだった。
ただし行き成り重りを100キロにされたが。




俺はただ修行を付けた貰うのは気がひけたのでシャッキーには店の手伝いを、師匠には美味い酒を差し入れしてる。
ちなみにシャッキーのバーは大繁盛だった。
可愛いくて美人のメイドが3人いる。
ハッキリ言って俺はやることがない、故に俺は他の場面で手伝う事にした。
呼び込みをするメイドに誘われてふらふらと着いて来て酒を飲む、しかし出された領収書に書かれた額を見て払えないと言うとシャッキーが奥の扉に押し込む。
扉を開ければ招き猫ならぬ招き小僧として俺が座布団の上に正座しながら歓迎するように頭を下げているている。
そして俺は頭を上げながら


「いらっしゃいませ、カモ野郎。」


などと言う台詞と共に取り立てを始める。




そんな修行や店の手伝いを繰り返しながら開いてる時間に料理や最低限の応急処置、航海術の勉強をした、それだけでなく洗濯・掃除・裁縫などおそらく必要のない事まで叩き込まれてしまった。
曰く、


「これを出来るようにならないと絶対に貴方はゴミに埋もれて死ぬわ。貴方、生活面でもレイリーにそっくりだもの。」


だそうだ。
メイドさん達も見事に色んな痛いところを突いてくれた。
確かに俺はこのまま一人で旅立ったら飯もろくに食えずに死ぬだろう。
保存食だけでは厳しいとこがある。


「ふふふ、貴方の負けね、頑張って立派な主夫になりなさい。」


「いやなんか目的が変わってますが…。」


「それが嫌ならだれか可愛くて性格がいい美人で家事の出来る恋人を作って2人旅でもしなさい。」


などといい加減で無責任な事を言ってきた。
少し呆れながらもついついそんな場面を想像してしまう。
恋人と二人旅か…なんかいいなそれ。
そんな事を考えていると


「今凄く貴方から石に成ってしまいそうな気配がするわよ。」


と言われた。
顔に出ていたらしい、気をつけねば。


「情けない、男なら家事の一つや二つ軽くこなして見せんか。」


師匠に呆れたように言われてしまった。


「どこの誰がそんな事言ってるのかしら?そこまで言うなら男らしく皿洗いでもやってもらいましょうか。」


等とシャッキーから冷たい視線が師匠を射抜いた。
この後夜まで師弟仲良く皿洗いをしたのは言うまでもない。
後、どうでもいいけど師匠皿割り過ぎバラティエでのルフィを思い出した。
そのせいで朝まで正座させられててたし……止めなかった罰として俺も一緒に……畜生!!
次の日の修行が足がしびれたせいできつかった。
つーか師匠組み手で足ばかり狙うの止めろ!!
もちろん俺も師匠の足を狙ったがな。




朝から決まったコースを走り、午後からは筋トレして、最後に組み手をする。
基本的にこのサイクル何だが、師匠事態は俺が走り終えるまで起きてきたりはせずに、筋トレの時もほとんど付いてたりはしない、組み手の時だけ相手をする。
あれ?師匠組み手の時以外要らなくね?
実際に午後は大体コーティングの仕事に行っているし。
暫く過ごして居ると一緒に暮らしているせいか師匠の自由な態度がより際立ってきた。
やる気がある時は突然


「よし、では最近頑張っている弟子に褒美として修行メニューを三倍にしてやろう。」


などと実に楽しそうに言いやがった。


「ちょ…師匠今の三倍とか死にますよ!!」


「なにを言っているんだ?三倍の修行をすれば三倍の速さで強くなれるんだぞ、やったね、得したね。」


「そんな訳あるかーーー!!誰か助けてーーーー!!」


「わはははは、さあ逝くぞ!!」


「字が違うーーー!!」


俺は師匠に襟首を掴んで引きずられたまま店を後にした。




またやる気のない時は遊びに行って2、3日帰ってこなかったりした。
それでも俺に組み手の相手がいない事があって出来るだけ多く帰るようにはしてくれているようだ。
修行は当たり前だが年々厳しくなっていった。
そしてこんな感じで四年が過ぎた。




師匠曰く


「まあ、身体能力に関しては最低限は出来るようになったな、これからは基礎トレーニングは午前に回して午後は全部組み手に回そう。」


との事で最近はもっぱら浦原さん方式でより実戦に近い組み手(武器あり)である、最近やっとラジャを振れるようになってきた。
あとは『鉄塊』と『指銃』も出来るようになった。
苦労したぜ、鉄塊は失敗して何回も師匠のボディーブローをくらって吐いたし。
指銃は突き指や骨折までしながらやっとのことで習得した。
それら全てを駆使して攻撃するが未だに一撃も食らわせれない、師匠も同じ時間動いてるハズなのにピンピンしてる。


「ハァ…ハァ…クソ…またダメだった。」


「そう簡単に私に勝てるわけなかろう。」


「でも、未だ一撃も入れられないじゃないですか。」


「私に一撃入れられるものなんて、そうそう居はせんよ。」


「それは、そうかも知れませんが……。」


やはり俺としても全く成長していないような気がして釈然としない。


「そんなに強くなりたいなら悪魔の実でも食べればよかろう。」


「で、でももう残ってるのはどんな能力かわからない実だし、それに泳げなくなるし。」


「何を情けない事言っとる、大体泳げなくなるだけのメリットはある。」


すると師匠は何か閃いたような顔をしてニヤニヤしながら言った。


「どうだ?これから強くなったか確かめに少しばかり旅をしてみないか?」


「旅…ですか?」


「そう、近くの島まで行って適当な海賊か山賊でも倒してきてはどうかな?その旅費としてその要らない悪魔の実を私が売ってきてやろう。」


「勝手に売らないで下さい。」


「何を言っている、要らないものを売っても問題ないだろう?それに私に任せれば1億と言わず3億で売ってきてやるぞ。」


「3億……(確かにお得だが家出する時にそれ位持ち出してきたし特に要らないんだがな。まあ金はいくらあっても困らないし、あの実は要らないからいいか)よろしくお願いします。」


俺は部屋から最後の悪魔の実を持ってきて師匠に預けた。


「よしよし、では確かに預かって…こ、これは!!」


「どうしたんですか師匠!?」


師匠が何やら実を凝視ししている、何やら尋常な様子ではない。


「こ、これは動物系幻想種”ドラドラの実”まさかあの伝説の悪魔の実をこんな所でお目にかかるとは!!」


「”ドラドラの実”?何ですかそれ?なんか強そうですけど……。」


「いや私も見聞で見ただけなんだが、この実は食べると竜の力を得る事が出来、自然系の悪魔の実をも凌駕する最強の実と言われる悪魔の実なんだ。」


「そ、そんなに凄い実だったですか!!?」


「任せろ弟子よ、私がこの実を5億いや10億ベリーで売ってきてやろう。」


「ちょ……待って下さい師匠!!(最強の実!?なら食べるしかないじゃないか!!)」


「落ち着け馬鹿弟子、力は修行すれば手に入るが金は修行では手に入らんのだぞ。」


「それは俺の実です返して下さい!!俺が食べます!!」


「そうか……仕方がないな。」


最強……その言葉に踊らされて俺はやけに師匠があっさりと返してくれた事に疑問も持たずにドキドキしながら悪魔の実を口に運び、齧った。
この時後ろを振り向くと怪しく笑った師匠の顔が目に入っただろう。


(不味い…凄まじく不味い、みんなこんなのを食ったのかよ。)


俺は一口目であっさりと食べるのをやめた。
別に一口でも全部でも変わらないので別にいいだろう。


「師匠、これで俺は竜の力が付いたんですか?」


「竜?何を言っているんだ?私は何にも知らんぞ?」


「へ?……でも今、師匠伝説の悪魔の実だって……。」


「あ、それ嘘、怖がって悪魔の実を食べれない弟子に対してのリップサービス。」


「じゃ、じゃあ俺が食った実は何の能力?」


「そんなもん私が知るわけないだろう、だが大丈夫、どんな実でも十中八九強くなるから安心しなさい。」


「ふ、ふざけるなーーーー!!このクソ師匠!!!」


俺は剃で駆けだし師匠に向かって獣厳を繰り出した。


(憎しみと日ごろの鬱憤を乗せたこの攻撃を師匠に叩き込みたい!!)


そう思いながらもおそらく受け止められるだろうと思われたこの拳は何と予想に反して師匠を吹き飛ばした。


「…………」


自分でも唖然として言葉が出ない、師匠が吹っ飛んだ事もそうだが何より俺の腕が巨大化して蒼い鱗までついていたのだ。
しかもよく見ると腕だけではなく体中に鱗が付いていて羽や尻尾まである。
一時的に身長が伸びていつもより目線が高い。


(こ、これは……竜の腕!!いやこの場合竜の体!!?この体は……てことは本当に”ドラドラの実”だったのか?)


そんな事を考えていると何時の間にやら起き上がってきた師匠が背後に居た。


「良かったな、私に一撃入れれて。弟子が成長してくれて嬉しい限りだよ。」


明らかに怒りの声を出しながら肩に手を置いてきた師匠に対し俺は何とかしなければ命にかかわると思い。


「は、はははこれも師匠のご指導の賜物です。」


「そうかそうか、では今日は特別に深夜まで特訓を付けてやろう。」


ご機嫌とりは大失敗したようだ。


「ちょ!待って下さい師匠、もう俺は限界です!!」


「大丈夫、大丈夫、これ位で壊れるような鍛え方はしていないからな。」


「助けてーーーーーーーー!!!!!」


結局俺はその日2度にわたってボコボコにされた。









補足説明

ドラドラの実……シュバルツが食べた悪魔の実。
ドラドラの実モデル:リンドブルム。
動物系幻想種という珍しい悪魔の実で竜の力を使えるようになる。
レイリーが言ったように自然系をしのぐ強さがあるわけではない。
特別な所は他の動物系よりも大幅な身体能力の強化が出来る、翼が生えてて空を飛べる等。
見た目は人型はそのまま。
人獣型では人と竜の中間、『シャイニ○グ・ウィンド』のヒョ○ウン見たいな感じ(翼はもっと大きいが)身長は2メートル80センチ程。
獣型は完全な竜、体長は約6メートル、色は蒼。









あとがき

さて今回の話で不本意ながら悪魔の実を食べてしまった主人公ですが、今後はどうなる事やら。
冒頭の部分は完全な思いつきですが、これが今後どう影響するかはわかりません。
それではまた。



[8408] 外伝一話
Name: 思いつきで投稿◆9abf2946 ID:d4d903c6
Date: 2009/09/06 05:17
気が付けば次の日になっていた。


(あの後一体どうなったのだろうか?)


「姉様起きたのね。」


ソニアが話しかけてきたが状況がわからない。


「ソニア此処は何処だ?」


「何処って船の中だけど…姉様、大丈夫?」


「船……ああ、故郷に帰る所だったな、何時の間に出港したんだ?覚えがないのだが。」


「姉様があの後気絶しちゃったからそのままマリーと私の二人で姉様を乗せて出発したのよ。」


(……あの後?…!あの時、シュバルツと…く、口付けを!!?)


思い出した。
シャクヤクに女が好きな男を待たせて船出をする時は口付けすると聞かされ、したのはいいが恥かしくて気が遠くなってしまったんだ。


(思い出したら急に恥ずかしくなってきた!どうしよう次にあった時にまともに顔を見れない気がする。)


「姉様どうしたのまた顔が真っ赤よ!」


「ソニア、どうしよう!?わ、私はどうすればいい!!?」


「どうしたの姉様!落ち着いて!!」


「私、わた…し………。」


「姉様ー!!マリー!姉様がまた気絶したーー!!」









外伝1話









sideサンダーソニア


姉様が二度目の気絶から目覚めたのはもう日が沈んでいた。
あれから数日…あの姉様をシュバルツから離して大丈夫とは思っていなかったが…予想とは違った感じで大丈夫じゃなくなった。
私達は姉様が気力を無くして寝たきりになるんじゃないか、最悪すぐに戻る事になるかもしれない、と思っていたが…あれから姉様は起きてる時は口付けが忘れられないのだろう。
急に赤くなって布団の上をゴロゴロしたり、悶えたりしている。
酷い時には気絶したりもする。
このまま暫くはまともにシュバルツに顔を合わせる事も出来ないだろう。
もしかしたら姉様がこの状態になったのは自分の気持ちに正確に気が付いてないからかもしれない。
いや気が付いているが、
どうしたらいいのかわからないと言った所だろう。
恋と言う物は私達の生活では聞いたこともない物だったが、シュバルツとの生活の中で何と無くだがわかってきていた。
私やマリーはそうだろうけど、肝心の姉様がシュバルツに夢中でわかっていかったようなので、仕方がなく屋敷に居た時に仲良くしていたメイドの人に貰った恋愛小説を渡して見た。




あらから数日が経った。
あの日から姉様が小説を離さない。
何時も持ち歩き何度も読み返しているようだ。


(これは失敗したかもしれない。)


そう思いマリーと話し合う事にした。


「どうしましょう、姉様がどんどんダメになって行くわ。」


「困ったわね…声をかけてもかなりおざなりな返事しかしてくれないし、私ここ数年でシュバルツの事とヒナを撃つ事以外でこんなに集中している姉様を初めて見たけど…あの本一体どんな内容なの?」


「さあ…知らないわ、これを読めば恋愛についてよくわかると言われたけど、あんまり興味なかったし、姉様があんな状態になって初めてあの本の存在を思い出したんだもの。」


「貴方ねぇ…。」


呆れた様に此方を見てくるマリーに私はどう返していいやらわからない。


「だってしょうがないじゃない、あんなになるなんて思わなかったんですもの。」


どうしようか二人で考えていると勢いよく扉が開いた。
中から姉様が出てきたのを見て声を失った。
中から出たきた姉様は、今まで見たことが無いくらいの覇気を全身から放っていた。


「ソニア、マリー……。」


「「は、はい!!」」


覇気が強すぎて思わず委縮してしまったが何とか返事を返す事ができた。
そんな私達の様子も気にせずに


「私は必ず七武海になる、その為にお前達に力を貸してほしい、改めてよろしく頼む。」


一瞬なにを言われたのかわからなかったが言葉の意味を理解した瞬間


「もちろんよ!!」


「全力でサポートするわ!!」


と力強く返答した。


「よろしく頼む。」


そう嬉しそうに言った姉様に私は最近の疑問をぶつける事にした。


「姉様ここ最近その本をずっと読んでたけど、何が書いてあったの?」


「そうそう、それになんだか今の姉様やる気に満ち溢れているわ、その秘密がその本にかいてあるの?」


「ああ、その通りだ。」


そう言って姉様は手にもっていた本を見詰めて言った。


「この本には私の知らない事がたくさん書いてあった。」


「一体何が書いてあったの?」


私も同じ疑問を持っていたためマリーの問いかけに口をはさむ事なく姉様の答えを待った。


「この本に書いてあるには、私がシュバルツと一生共に居る方法が書いてあった。」


「そ、そんな方法が書いてあったの!!?」


マリーは驚愕のあまり叫んだが、逆に私は驚きのあまり声が出なかった。
そして姉様がその答えを言う。


「この本に書いてある通りならば”ぷろぽうず”と言う儀式をすればいいらしい。」


「そのぷろぽうずのやり方はわかって居るの?」


「ああ、その方法とは…大きな目的、この場合私が王下七武海に入る事、それを果たしてシュバルツに会いに行き……跪き指輪をさし出して『私と結婚してください。』と呪文を唱えるらしい。すると夫婦と言うやつになる事が出来て一生一緒にいれるらしい。」


世界にはまだまだ私達の知らない事が沢山あると痛感した瞬間だった。


「凄いわ姉様!さっそく儀式を行わないと!!」


「落ち着いてマリーその為には目的を果たさないとダメなのよ。」


「その通りだマリーだから二人の力を借りたい。」


「わかったわ、任せて姉様。」


「私達どんな事もしちゃうわ。」


その日から私達3人は毎日我武者羅に頑張り続けた。


幾つもの島を超えたり。


修行をしたり。


帰り方がわからずに迷って変なお婆さんに助けてもらったり。


そのお婆さんがあの本の作者だったり。


恋愛についてよりお婆さんから詳しく教えてもらったり。


そして旅をする事3ヶ月…とうとう懐かしき故郷、アマゾン・リリーに辿りついた。




故郷に辿りつき懐かしい顔ぶれに帰還を祝福された後、皇帝に呼び出された。


「3人共良く帰ってきたな、お前たちの帰りを心から嬉しく思う。」


「「「有難うございます。」」」


「そして久しいなニョン婆…いや先々代皇帝グロリオーサと言った方がいいか?」


!!?先々代皇帝!?驚く私達を尻目に話は進んで行く。


「只のニョン婆で結構、他の者ニュも只の婆とお伝えください。」


「それで、何をしに戻ってきた?」


「特にニョニもすりゃせんわ私はただ村の外れにでも住まわせてくれればそれでいい。」


「よかろう、3人を連れて来てくれたそうだし特別に許可しよう。もう下がれそちらの3人も、今日はゆっくりと疲れを癒すといい。」


そうして皇帝との謁見は終わった。




翌日から姉様は鬼気迫ると言った様子で修行の日々を開始した。
私達もそれに続く様に毎日修行に打ち込んだし、九蛇海賊団の戦闘員として海に出る事もあった。




そうして一年半が経つ頃、皇帝が倒れた。
何やら原因不明の病らしい。
ニョン婆様が診ているようだがその甲斐なく亡くなられた。
次の日から新しい皇帝を決める為に武道大会が行われ、姉様は見事に優勝し皇帝に選ばれた。


「やったわね姉様!」


「姉様おめでとう!夢への第一歩ね!!」


「有難うソニア、マリーお前たちの協力があってこそだ、礼を言う。」


私とマリーで祝福して姉様も喜んでくれた。
次の日から姉様は皇帝として言葉遣いを変えた。
そして皇帝就任から一週間後、私達は新生九蛇海賊団として初めての航海に旅立った。
やる気と覇気に溢れた姉様に引きずられるように九蛇海賊団の戦士全員が大暴れした。


幾つもの海賊団を沈め。


海軍を退けた。


商船を襲うと言う意見も出たが姉様はそれを却下して民間人には手を出さないようにしていた。
連日のように新聞に九蛇海賊団の記事が載り、気が付けばアマゾン・リリーに帰らずに幾つもの島を渡っていた。
一度区切りを付け約五ヶ月ぶりに帰還する途中、ついに姉様の手配書がでた。


”海賊女帝” ボア・ハンコック 懸賞金9800万ベリー


初頭の手配では異例と言ってもいいくらいの値段だ。




アマゾン・リリーに帰還して数日、次の航海に備えていると急に見張り台にいた者が叫んだ。


「中枢の船がこちらに向かってきている!!」


sideハンコック


「中枢の船がこちらに向かってきている!!」


その声と共に周りが騒然とした。
慌てる者達に声をかけ落ち着かせねば。


「静まれ!騒いでも何も変わらん!護国の戦士達を集めろ!子供と老人を九蛇城に避難させるのじゃ!!」


「「「「「はい!!」」」」」


どうにか静まって対応を取り始めたが…これからどうするか。


(一体どうやって 凪の帯(カームベルト)を越えて女ヶ島まで来れたのだ?いやそんな事よりもこの状況は不味い、一度限りの海上戦ならともかく島に何度も攻めてこられたら何時までも持ちこたえられん。)


「蛇姫様、護国の戦士が揃いました。」


「わかった、半分を船に乗せてもう半分を国の護りに回せ。その後門を閉じろ、絶対に中に入れてはならん。」


「かしこまりました。」




急ぎ出港して少しでも国から遠い位置で戦うようにしたが此処からでも大砲を撃てば届くだろう。
幸い三隻だけなので何とかなるとは思うが。
そう考えながら甲板で敵を観察しているとその中の一隻だけが前に出てきた。


「一隻だけか…舐められたものだ。」


「すぐに沈めて、他の二隻にも後を追わせましょう。」


わらわの呟きに隣に居たマリーが答えた。


「頼もしい物だ、頼りにしているぞ。」


「勿論よ、任せて姉様!」


「あら、私も忘れてもらっては困るわ。」


「勿論そなたもじゃ、ソニア。」


そうしている内にも中枢の船はどんどん近寄ってきてとうとう此方との戦闘可能範囲内に入った。
そして向こうの甲板に立っている者の姿を見た時わらわは反射的に飛び掛かってしまった。


「何故貴様が此処にいる!!?ヒナ!!!」


「あらあら、久しぶりに会った第一声がそれ?不満よヒナ不満。」


「ヒナ中佐!!」


「蛇姫様!!」


戦うわらわ達にお互いが加勢しようとするが思わず


「「手を出すな!!これはわらわ(私)の戦いだ!!!」」


お互いに部下達を止めて戦い続ける。
戦っている内に少しづつわらわが押し始めてきた。


「どうした!?鈍っているのではないか?」


「冗談でしょ!これからよ本番よ!!(この子ホントに強くなってる、流石に今回の件に選ばれただけの事はあるわ)」


「そこまで!!」


何者かが大声をだしながらわらわ達の勝負に割って入ってきた。


「ドーベルマン中将!!」


「ヒナ中佐、今回の件は自分に任せろと言うから任せてみれば、何だこの状況は?我々は戦いに来たのではないぞ。」


「申し訳ありません、飛び掛かってこられたものでつい…。」


「つい、ではない!今回の件で話し合いに来たのに根本から破壊する気かね?」


「申し訳ありません。」


「もう良い、君は下っていたまえ。」


「はっ!」


ヒナが怒られるのは構わんが、わらわ達の勝負を邪魔したのか気に食わん…折角邪魔な奴を消せる所だったのに。
そう考えていると今度はその男が此方を向いた。


「ボア・ハンコック殿かな?」


「そうじゃが…なんじゃ、貴様は?」


「私は海軍中将のドーベルマンと言う者だ。本日は貴殿に話があって此処までやって来た。」


「話?討伐ではないのか?」


「それはそちらの判断しだいだ。とにかく話を聞いてもらいたい。」


「(罠かもしれんが…もしかしたら戦わずに済むかもしれんな…)よかろう、話すがいい。」


「本当はもっとちゃんとした場所で話したいのだが…奥まで来てもらうと後ろの者たちが暴れそうだな…仕方ない、率直に言おう世界政府より貴殿に王下七武海への加盟要請が出ている受けるか否か近日中に返答を「受ける」もら…本当か?嫌に早いな。」


反射的に即答してしまったためか、ドーベルマンとやらが怪しげな眼で見てくるがわらわはそれどころではなかった。


(こ、これは…こんなに早く目的を果たせるとは…ま、まだ心の準備が、しかしもう返答してしまったし…どの道受けるのだからそれはいいが…いや、これは…。)


「どうした、何かあったのか?」


黙り込んだわらわを不審に思ったのかドーベルマンとやらが声をかけてきた。
とりあえずこの場は何とかせねば、この機会を逃す訳にはいかない。


「お前達が此処までどうやって来たのかはわからぬが、中枢の者たちはカームベルトを渡る手段を持ったと言う事だろう?」


「まあな…。」


「それならばわれらの国ももう絶対に安全ではない海上戦で負ける気はないが、何度も波状攻撃のように襲われてはかなわぬからな、七武海に加盟すればその心配もないのだろう?」


「そうだな…その通りだ。」


「それがわらわが加盟を了承する理由だ。(表向きはな)」


「わかった、無駄足に成らずに良かった。政府の方には合意を貰ったと伝える、それと…これを。」


そう言って懐から書状を取り出して渡してきた。


「それに書いてある事を守るようにとのことだ、破れば称号は剥奪される。」


そんな言葉を聞き流しながら書状に目を通す。
要約すれば


・未開の地及び海賊を対象とした略奪行為を特別に許可する。


・収穫の何割かを世界政府に差し出しだす。


・召集がある場合は駆け付ける事。


・世界政府の命には従う事。


他にもいくつかあったが主要はここら辺だろう。


「わかった、了承すると伝えてて構わぬ。」


「了解した、それと貴殿にかかっている懸賞金は破棄されるだろう。」


「わらわにはどうでもいい事じゃ。」


「では我々はこれにて失礼する。」


「勝手にしろ、それよりももう島に近づくなよ。」


「了解した、どの程度の距離になるかわからんが立ち入り禁止区域になるだろう、後日連絡する。」


そう言ってドーベルマンとやらは踵を返して船の中に戻って行った。
わらわも戻ろうとしたところでまた奴に声をかけられた。


「ちょっと聞きたい事があるんだけど、シュバルツ君はどうしたの?」


「ふん、貴様には関係の無い事だ。」


「あら、捨てられたの?残念だったわね。」


「ふ、ふざけるな!そんな訳無かろう、わらわ達は結婚するんだからな!!」


「え、結婚!?それ本当!?」


「当たり前じゃ、近いうちにじゃがな。」


「ああ、妄想ね、頭大丈夫?」


「貴様は、相変わらず失礼な奴じゃな!」


「お互い様よ、で…実際はどうなのよ?彼無事なの?」


「当たり前じゃ、あれはいい機会だから家出しただけじゃ。」


「家出って……ホント変わってるわよねあの子、まあ他の天竜人が無事なんだから、他より動けるあの子が無事なのはほぼ確信してたけど、やっぱりちゃんと聞くと安心できるわ。」


「お前に心配してもらっても何の意味もないわ。」


「それはそうだけど酷い事言うわね、これでも本気で心配してたのよ。」


「用はそれだけか?ならわらわは行くぞ。」


「ええ、有難う、それと一応彼だけじゃなくて貴方達の事も心配してたのよ。」


「お前の心配など要らぬ…………ではな。」


「ええ、さようなら。」


それを最後にわらわ達が振りかえることはなかった。




船に戻るといつも以上に歓迎された。
どうも国のために、と言ったところで勘違いが起こったようじゃ。
事実を理解しているソニアやマリーは苦笑いしておった。




後日正式な協定を結び島の海岸より3キロ以内に中枢の船は入らない取り決めとなった。
早速シャボンディ諸島に行こうと2人に言われたが、最後の口付けを思い出すと未だに恥ずかしくて踏み出す事が出来ない。
確かにわらわも会いたいのだが…そんな日々を過ごしているうちにニョン婆様にアドバイスを受けた。
曰く、


「はニャ嫁になるには修行が必要。」


との事だ。
女帝をしながら七武海としての活動、そして修行。
皆に見つからないように修行するために思うように時間が取れない。
それに指輪もまだ用意していない。


(シュバルツお前に会いに行くのは暫く時間がかかりそうじゃ。しかし待っていてくれ、必ず修行を納め、お前に相応しい指輪を手に入れ会いに行くぞ!!)


そう思いわらわは今日も包丁を握る。









あとがき

こんなのハンコックじゃない!と思う方、勢いと妄想で書きましたので今回の話はあまり気にしないで下さい。
あとニョン婆の恋愛理論は九蛇出身だけあって結構ずれてます。
つーかこの婆さんの話し方難しい。
では今回はこの辺で。



[8408] 第十八話
Name: 思いつきで投稿◆9abf2946 ID:d4d903c6
Date: 2009/06/09 00:06
哀れな俺は鬼畜な師匠レイリーの手によって能力者にされてしまった。
あれ?でも結果的には目的の実だったから騙されてないのか?
どちらにしても頭に来た俺は


傷心旅行に言って来ます、捜さないで下さい。

シュバルツより


P.S 冷蔵庫のプリンは置いといてね。


と置手紙を置いてシャボンディ諸島を後にした。









第十八話










帰った後の事を考えて少し怖くなったが


(暫くの間だけだよ。それにこれは世間を知る為の修行の旅みたいなもんさ。それより今は”美食の町”プッチに行ってそこで美味しい物食べまくろう。その後に”カーニバルの町”サン・ファルドでお祭り見て、キューカ島で遊んで帰ろう。)


自分に言い訳をしながら旅と言うより旅行のような計画を立てながら俺は覚えたての航海術で船を進めた。
よくよく考えると俺はマリージョアとシャボンディ諸島意外に言った事がないのだ。
まだ見ぬ街へ意気揚々と俺は”美食の町”プッチを目指した。




数日後、”美食の町”プッチに着いた俺は色々な店を回り思いっきり食べた。
大変満足していい気分で歩いていると何処かで聞いたような不快な声が聞こえてきた。


「うわあっち、あち熱っ!!コーヒーこぼしたっ!!あっちー!!畜生ぉ!!こんなコーヒー!!」


何やら煩い声とガシャァン!!と食器を叩きつけて割る音が聞こえてきた。
声の方を向くと俺の嫌いな奴ランキングで1、2を争う奴がいた。
俺はアイツに会う事があったら絶対に何かしてやろうと決めていたのだ。
早速実行に移すため俺は近くの服屋に入り、昔着ていた服に出来るだけ似ている服を探した。


sideスパンダム


ワハハハハ、タダで食べる飯は最高に美味いぜ。
本来なら美食の町一番のレストランで最高の料理を食えば数十万ベリーはくだらねえが、任務帰りなら経費で落せる。


「ワハハハ、おい店員!このメニューの此処から此処まで全部持ってこい!!」


「スパンダムさん、俺これ追加してもいいですか?」


「おう、好きなだけ食え食え!!」




「こちら、食後のコーヒーになります。」


ふぅ…デザートも食い終わって、最後にコーヒーを……


「うわあっち、あち熱っ!!コーヒーこぼしたっ!!あっちー!!畜生ぉ!!こんなコーヒー!!」


熱すぎて床に叩きつけたカップが割れたが腹の虫はおさまらねぇ……そうだ、いい事を思いついたぞ!


「おいコラっ!!クソ店員!!てめぇわざとこんなクソ熱いコーヒー出しやがったな!!俺が世界政府直下諜報機関、CP5主官と知っての狼藉かァ!!」


「え!いえ私は普通にコーヒーをお出ししただけで…。」


「ウソつけ!これは犯罪行為だぞ!責任者を出せ!!」


「た、只今呼んでまいりますので少々お待ち下さい!!」


ワハハハ、慌てて店の奥に引っ込んで行きやがった!!
このままオーナーにいちゃもん付けて領収書貰ったうえでタダにすれば数十万×5人で数百万はぼろ儲けだぜ!!


「た、大変お待たせしました、私が当店の責任者です。」


「おう!お前のとこの定員が俺にわざと熱いコーヒーを出したせいで俺の舌が火傷したじゃねぇか!!この落とし前どう付けるつもりだ?」


「そ、そう言われましても別段変ったコーヒーを出したりはしておりませんが…。」


「ウソつくな!無礼者めがァ!!このCP5主官スパンダムの言う事を疑うのかァ!!」


「い、いえ決してそんなつもりは……。」


「何なら訴えてもいいんだぜ、美食の町と言うだけあってこの町のレストランは競争率が激しいからな、もしNo.1が訴えられでもしたらすぐに順位が変わるんだろうなァ~。」


「そ、それはご勘弁を、我々は長年苦労してやっとこの地位を手に入れたんです、どうかそれだけは。」


「なら、それなりの誠意を見せてもらわないと。」


「わ、わかりました、今回のお食事代は無料とさせて頂きます。」


「んん??何だそりゃ!!そんなもんで済まそうってのか!?」


「で、では一体どうすれば?」


「そうだなァ~、飯代はタダ当たり前として…謝罪金と此処のレストランのタダ券、後は今回の食事の領収書をもらおうか、せめてそれ位の誠意を見せてもらわないとな。」


「りょ、領収書もですか?」


「んん??なんか文句あんのかァ!!?」


「い、いえとんでもありません、そうさせて頂きます。」


「わかればいいんだよ、良かったな俺が良心的でよ。」


やったぜ!さすが俺、この金で次の任務まで遊べるな。


「早くしろよ、もちろん謝罪金も半端な額じゃ「そこのお前、イジメはいかんねェ親父に言うぞ、ひぇっひぇっひぇっ……あ、間違えた。」だ、だれだてめぇ!!」


行き成り俺り後ろから声を掛けられて驚いて振り向くと十歳前半位の男が居やがった。


sideシュバルツ


無茶苦茶言ってやがる、この頃から嫌な性格してやがるな、まあまだ天竜人に比べれば可愛いもんだがな。
それよりもお仕置きをしに行くとするか。
俺の演技力の見せどころだな。


「そこのお前、イジメはいかんねェ親父に言うぞ、ひぇっひぇっひぇっ……あ、間違えた。」


ヤベェ…速攻で間違えた。
まあ、大丈夫だろう、気を取り直して演技再開だ。


「だ、だれだてめぇ!!」


「お前無礼だえ!あちしを天竜人のチャルロス様と知っての無礼かえ!?」


「て、天竜人ォ!!!?」


そう俺達は今、天竜人そっくりな服を着て顔をサングラスで隠しチャルロスに変装してスパンダムを虐める事にしたんだ。


「う、ウソつくな!!て、天竜人がこんなとこに居る訳ねェだろ!!」


「何処に居ようとあちしの勝手だえ。お前、あちしに対してそんな態度とっていいと思ってるのかえ?」


「天竜人を語るなんて貴様ら大罪だぞ!!」


「なら世界政府でも、海軍本部でも好きに報告すればいいえ、そうしてあちしが本物と証明された時、お前の首が社会的にも物理的にも飛ぶえ。」


「ヤ、ヤバいですよスパンダムさん確かチャルロス聖って天竜人は居ましたぜ。」


「そういや俺も聞いた事ある、一時噂になったロズワード一家の双子ですよ、それのダメな方がたしかそんな名前でした。」


何やら他のCP5の諜報部員がスパンダムに耳打ちしてるが正直丸聞こえだ、こいつ等本当に諜報部員か?
しかし面白いどうやら信じたらしくスパンダムの顔がどんどん青くなって血の気が引いていくのがわかる。


「じゃあ、早速五老星に連絡するえ、『自分の失敗を一般人に擦り付けて金をむしり取ろうとしていた役人が天竜人に暴言を吐いた。』ってな。」


俺が子電伝虫を取り出すとスパンダムが慌てて止めに来た。


「ちょ!待て!いや、お待ちください!!」


「何だえ?やっと自分の非を認める気になったかえ?」


「はい!私が悪かったです!ですから報告だけはしないで頂きたい。」


「どうするかな~、それなりに誠意を見せて貰わないとね~親父に言うぞ、ひぇっひぇっひぇっ……あ、また間違えた。」


ヤバいな俺の中で七光のバカ息子とチャルロスが被ってきてる。


「お願いしますこの通りです!!」


とうとう土下座しだしたスパンダムを見ながら


「わかったえ、五老星には報告しないえ。」


「ほ、本当ですか!?」


スパンダムが助かったとばかりに顔を上げてきたが何と無くそれが気に入らなかったのでもう少し虐めることにした。
もうまさに気分は黄○様だ。
助さん角さん懲らしめてやりなさい、なんてな。
さて印籠を準備しないと……そんなもんないけどね。


「かわりにお父上様に報告するえ。」


「そんな!それじゃあ大した変りないじゃないですか!!」


「それが嫌ならさっさと代金と迷惑料を店に払ってこの島から失せろ、二度とこの島に近寄るんじゃないえ。それと……」


俺は人型の最高威力で獣厳をくりだしてスパンダムの顔面を殴った。


「ガァ!!」


店の外まで飛んで行ったスパンダムを見ながら誰にも聞こえないように言った。


「これはトムさんとロビンの分だ受け取っておけ。」


まだやっていないがこいつがトムさんとロビンにする事に対して先払いで殴っておくことにした。
ロビンは美人だし、俺はトムさんは男として純粋にカッコいいと思っている。
それを将来不幸にするコイツを俺は絶対に殴ってやりたいと思っていた。
最悪ルフィ達に合わせてエニエス・ロビーに乗り込もうかと思った事もある。
だが思わぬところで機会が巡ってきてよかった。
慌てて駆けよる他のCP5がスパンダムを担いで逃げていくのを一瞥して、その後は俺も此処から去る事にした。
だって天竜人がなんか居るだけで周りの人を威圧してるもんな、俺なら絶対に居てほしくないよ、現に今誰も動かないし。
黄○様ごっこで盛り上がっていた気分もすっかり萎えてしまいトボトボと俺は店を後にした。





スパンダム達が慌てて出港したのを確認し俺は次の島に向かって船を進めた。









後日、店から請求書がしっかりと世界政府に届き、それによりスパンダムの給料がどうなったのかは俺の関与する所ではない。









あとがき

すいません。
今回はただ単に作者がスパンダムを殴りたくて書いてだけです。
今回はもう一話投稿させてもらいます。



[8408] 第十九話
Name: 思いつきで投稿◆9abf2946 ID:d4d903c6
Date: 2009/06/09 00:11
”カーニバルの町”サン・ファルドでお祭り見て大はしゃぎをしたあとキューカ島て遊んでいる。
今はプールに居るが俺は泳げなくなってしまったためプールサイドで泳いで他の客が泳いでいるのを見ながら読書をすることにした。
俺は今現在三式使いである、必死で鍛えてきた俺がこれなら俺と同い年で既に六式を使い任務に出ているルッチは化け物だな。
そう思いながら俺は『六式全書』を読んでいた。
俺は今まで剃・鉄塊・指銃の順で覚えてそれから発生した技も覚えた。
それに俺の能力は確実にこの六式を含めた体術系に相性がいい、俺は自然とやる気に溢れていた。
いよいよ残りの三つの技を覚えるためにまだ見ぬページを開き、


『月歩』……『剃』が出来れば多分出来ます。


『嵐脚』……『剃』と『月歩』が出来ればあと少しで出来ます。


「…………」


やってみると本当に出来てしまった。
これで俺は五式使いになった。









第十九話









あっけなく出来てしまいしばし呆然と本を見ながら


(世の中甘いんだか厳しいんだかよくわからないな……。)


等と考えていたが悪い事ではないしいつまでもこうしていてもしょうがないので、皆に土産を買って帰る事にした。


(じじいにちょっと悪戯でもしてやるか。)


そんな事を考えながら土産売り場に向かった。




「凄いな…。」


ポツンと一人でつぶやいた俺の目の前には広い土産売り場が広がっていた。


(流石にキューカ島ってだけはあるお土産の売り場がこんなに広いとは。)


どうやらバカンスに来るお客さんが多いからお土産の売り場も規模が大きいらしい。
プッチやサン・ファルドでも土産は買ったがこんなに大きくはなかった。


(さて何を買うか…。やっぱりキューカ島でしか売ってないお菓子とかかな?あ、後あのクソじじいには適当な嫌がらせを…。)


なんか師匠の部分で思考が黒くなったけど気を取り直して選ぶとするか。
周りからは


「まるで親子のようね。」


とかよく言われる。
どうも俺と師匠は仲がいいように思われているが、本当は別にそんなんじゃない……本当だからな!!
それから俺は選んだ品物を持ってレジに行き会計を済ませたあと船に乗ってシャボンディ諸島に帰った。




「ただいま。」


「おかえりなさい、旅行は楽しかった?」


「うん、いっぱい美味しい物食べて、遊んで、お祭りとかも見た。凄く楽しかっよ。」


「そう、良かったわね、これからも旅に出たらまた色んな事が待ってるわよ。」


「うん、楽しみだ…あ、それとこれ皆にお土産。」


「あら、ありがとう、皆シュバルツがお土産買ってきてくれたわよ。」


そうやってシャッキーが呼ぶと皆が集まってきた。
お土産を皆に渡していると師匠も来たので買ってきた物を渡す事にした。


「ほれ馬鹿弟子私にも土産を渡さんか。」


「おいおいクソ師匠、自分から土産をねだるなよ。まあいいか、ほら有り難く頂きな。」


「ふん、弟子が師匠を敬うのは当然だろうが。」


周りが微笑ましそうな顔で見ているが俺は内心で黒い笑みを浮かべていた。
師匠はお土産を貰って嬉しそうだったが開けたお土産の中から出てきた物をみて固まった。


「どうだプッチで買った入れ歯とサン・ファルドで買った”東の海(イーストブルー)”のとある島に住む先住民クマテ族のお面、そしてキューカ島でかった老人の歩行補助杖これで老後も安心だな師匠、この師匠思いの弟子に感謝するといいですよ。」


「あ、ああ、そうだな、丁度杖が欲しかった所だ。」


「そうでしょそうでしょこれで何時よぼよぼになっても大じょ…ガハッ!!」


「丁度馬鹿弟子に制裁を加えようと思っておった所だ。」


師匠が凄い速さで杖を繰り出して俺の額と胸と腹に三連突きを食らわせた。


「ふう、杖など久しぶりだな。」


「嘘つけ!!杖で戦った事なんかある訳ないだろ!!」


「煩いぞ馬鹿弟子、何日も勝手に修行を放りだしおって、今から夜中までの間にこの数日分の修行を全部組み手で叩き込んでやる。」


「上等だ!クソ師匠泣かせてやるよ!!」


「やれるもんならやってみろ馬鹿弟子。」


そう言って俺達は外へ出て行った。
杖を持った師匠に向かい獣人になって斧になったラジャを振りまわし戦った。
でも師匠に押されている。


「また馬鹿な事やってるわね。皆、馬鹿達は放っておいて晩御飯食べましょう。」


シャッキーに呆れたように笑いながら馬鹿にされた。




結局夜中まで暴れて疲れた所を狙われやられた。
そして気が付けば蓑虫みたいになってバーの前に吊るされている、もう夜も明けて朝になっていた。


「くそ、あんな武器与えるんじゃなかった。」


じじいに余計な武器を与えてしまった。
殺傷能力が無いに等しいから思いっきり殴って来やがる。


「自業自得よ。」


いつの間に後ろに来たのかシャッキーが話しかけてきた。


「助けてくれよ。」


「はいはい、手のかかる子ね、でも貴方が此処に住むようになってからレイリーがいつも楽しそうにしてるわ、有難う。」


「師匠が……冗談でしょ?」


「本当よ、お酒を飲むとよく貴方の事話してるわ、嬉しそうに『アイツは将来大物になるだろう』って。」


「嘘でしょ?俺そんな事言われた事ないよ。」


「ふふふ、素直じゃないのよ、貴方に面と向かって言ったりなんて絶対にしないでしょうね。」


唖然としている俺の縄を解きながらシャッキーは続けた。


「育てるのが楽しいのよ、自分で鍛えたり、成長していく所を見守ったり、レイリーは子供がいないから貴方の事息子みたいに思っていると私は思うわ。この間、置手紙を残していなくなった時も少し寂しそうだったわよ。」


(師匠の息子……俺が?)


縄が解け自由になった俺だったが疑問の答えを探して考え込んでしまった。




暫く座って考えていた。
いつの間にやらシャッキーは店の中に戻ったようだ。
その事にも気付かないほど考え込んでいたようだ。


「なにをボケっと座っとるんだ馬鹿弟子、さっさと修行を始めんか。」


いつものように見降ろしてくる師匠に


「わかってるよ、今やろうとしてたところだ。」


いつもの様に返して修行を開始した。




ただいつもよりちょっとだけ気合が入ってたかもしれない。









あとがき

だらだらと駄文をすいません。
今回はこれくらい楽しく過ごしてるといった感じを書きました?
↑自分で疑問系だし。
月歩と嵐脚がそんなに簡単に覚えれるか!六式なめんな!って方はごめんなさい。
なんかガレーラの屋敷でブルーノが剃できたら月歩と嵐脚もできるみたいな事言ってたもんでつい……。



[8408] 第二十話
Name: 思いつきで投稿◆9abf2946 ID:d4d903c6
Date: 2009/06/11 00:18
騙されたショックも何時もの事と割り切り気にしない事にした。
折角悪魔の実を食べたのだから使わないのはもったいないしな。
今日は師匠の監視のもと能力の検証をする事になった。
しかしその前に皆さんに言っておかなければならない事がある。
それは……


「私の道力は530000です。」


勿論嘘だ。
一度くらいこんなセリフ言ってみたいよね。









第二十話









「しかし本当に”ドラドラの実”とはな…嘘から出た実とはまさにこの事だな…いや私の読みにより一層の磨きがかかって来たのかもしれん。」


何やら感慨深く呟く痴呆老人の戯言は聞き流して早速始めよう。
動物系と言うからにはやはり六式と合わせての戦闘がいいだろうな。
人獣化してみると確かに身体能力が上がっている。
一通り動いてみたが剃のスピード、鉄塊の硬度が上がっていた。
指銃、嵐脚の威力も段違いだ。
ただ飛ぶことは上手く出来なかった。
いや飛ぶ事は出来るのだろうがまだ慣れずに上手くコントロールできないと言った所だ。


(そりゃそうだよな、翼があれば誰でも飛べるなら全部の鳥は飛ぶ練習なんかしないでも最初っから飛べるはずだもんな。)


しかし空を飛ぶと言うあこがれは俺を強く訓練に駆り立てた。
バランスを崩して落ちても俺には月歩があるので別に怖くもなかった。
これは後々の課題だな、最も2、3日で飛べるようになるとは思うが。
そして……


「竜と言えばやっぱりブレスだよな…どうやって撃つんだろう?」


とりあえず口から何かを飛ばす感じで行ってみよう。


「ハァァァァァーーーーー!!!」


精神を集中して体内に眠る力を感じ…それを吐きつける!


「ハァァァァァ…ゴホッ!ガハァ!う……オェェェェェ……。」


何か違う物が出てきた。




暫くお待ち下さい。




何とか落ち着いた俺の目に映ったのは、爆笑してゴロゴロ転げ回る師匠の姿だった。
ムカついたので


「嵐脚」


「うおっ!?」


突然の攻撃に驚きながらも慌ててかわしやがった。


「ちっ!」


「何舌打ちしとる!当たったらどうするつもりだ!!」


舌打ちした俺に怒鳴りながら立ちあがった師匠に


「当たればよかったと思う。」


と言ってやった。


「なにを!この馬鹿弟子!!」


この後暫く何時も道理の喧嘩になった。




暫くお待ち下さい。




何時ものようにボコボコにされた俺は痛みを押して検証を続けることにした。
しかしさっきの喧嘩は全くの無駄ではなかった。
人獣化した時に何やら強い興奮状態に陥った。
それは戦う時間が長引くにつれて徐々に強くなってきて、もしかしたらこのまま暴走状態に入るのではないかと思ったほどだ。


(そう言えば肉食種の動物系は凶暴性が増すんだったよな。)


そう考えていると師匠が声をかけてきた。


「お前の能力は長時間使わない方がいいな、特に獣型…私が監視している時以外に竜になるのは止めておけ。」


「やっぱり変だった?」


「それはお前が一番わかっているだろう。」


「うん、別に人獣型や獣型になるだけなら何ともないけど、戦ったり興奮するような事があると理性が飛びそうになる。なんかこう…破壊衝動的なものが。」


「それは動物系なら全てに共通したことだ、変身する動物により差はあるがな。肉食系は特にそれが顕著に出てくる、しかしお前さんのはその肉食系の中でも飛びぬけて凶暴性が増すようだ。これは身体能力が他よりも飛躍的に強化される代償みたいなものと推測される。人獣型よりも獣に近い…と言うかそのまま獣になる獣型はより強い破壊衝動をお前にもたらすだろう。」


「どうしよう、そんなんじゃ使えないよ。」


「なに、要は慣れだ慣れ、本来なら破壊衝動に飲み込まれないように精神力を上げる修行をするんだろうが生憎私はそんな修行方法知らん、これから暫くは私と人獣型になって戦え、そして慣れろ。」


「荒っぽいけどそれしかないか…この間杖の時に暴れたら20分くらいで暴走しそうになって慌てて元に戻ったからな。」


そう考え獣型は封印しようかと苦渋の選択を考えていると


「よし、次は獣型になって私と戦え。」


俺の決意をあっさり叩き壊してくれた。


「え!?何で…危ないから封印する位の覚悟してたのに。」


「馬鹿たれ折角使えるのだから使わねば損だろう。心配するな、お前が暴走した位で私がやられる訳ないだろう。」


非常に馬鹿にしたような回答をしてくれた。


「泣いて後悔するなよ!!」


そう叫ぶと共に俺は竜になり師匠に飛び掛かった。









「(………この状況の時ってたしか)知らない天井だ…って言うんだよな、外だから天井ないけど。」


お約束をしつつ起き上がろうとしたが…


「いっ!……たぁ、なんだこの痛みは……。」


激痛に襲われ起き上がることができなかった。
何やら体がだるく節々が痛い。


「おお、起きたか…具合はどうだ?」


「どうって…何があったんだ?体中が痛いんだけど。」


俺の言葉を聞いた師匠はどこか納得したように


「ふむ、覚えておらんか…まあ当然だろうな。お前さん戦いだして暫くは普通じゃったんだが…いやパワーとかは普通じゃなかったが、それはそうと大体2分くらいで意識が飛んで、後は本能のままに暴れているだけのようだったぞ。」


「!!?本当に…俺、何も覚えてないんだけど…。」


「まあ予想はしていたいたがな、前に動物系の能力に目覚めたばかりの者が暴走したのを見たことがあるのだが、それと似ておった…もっとも食べた実の差か体格の差か此処までの事にはならなかったがな。」


そう言った師匠の言葉を聞きながらようやく俺は周りの状況をみたが驚いた。
地面は割れ抉れ、岩などは砕け、地面が凍っている所もあった。
何より15番MGの木が何かが突っ込んだように抉り割れていた。


「師匠…あれは、もしかして俺が何かしたんでしょうか?」


師匠にむかい恐る恐るそう問いかけると



「ああ、あれはお前が突っ込んだせいでああなったんだ。まあそれで止まったから良しとしておけ、体中が痛いのはそのせいだろう。意識があれば鉄塊が使えて無事だったのだろうがな。」


俺は問題を忘れる事にした。


「暫くは能力のコントロールだな!さて明日から頑張らないと!!」


「お前、自分のした事から目を反らす気だな。」


「そ、それよりも何で凍ってるんですか?」


「それはお前さんがブレスを吐いたからだろう。良かったな無意識とはいえ出せたのだから訓練次第で使えるようになるだろう。それよりもあの折れたMGはどうするつもりだ?」


「あー!あー!きーこーえーなーいー!!」


そう言って俺は耳を押さえながら家に向かい走りだした。


「あーあー、どうするかな…海軍に言いつけようかな。」


そしてそんな俺をからかうように追ってくる師匠。
お前は小学生か!!
そんな馬鹿らしい追いかけっこをしていると本当に向こうから海軍が来てしまった。


(海軍をやり過ごさないと家まで大分当周りになるな…。)


俺は真面目に考えているのに


「おお!噂をすれば…まああれだけ派手に暴れれば当然だな。あ~あ、暴れた誰かさんは逮捕されるのだろうな~。」


馬鹿師匠が悠長にそんな事を言っているのが頭にきて


「師匠。」


「ん、なんだ?」


「囮作戦です。」


そう言って隙をつき海軍の方に師匠を投げ飛ばし


「冥王シルバーズ・レイリーが居るぞ!!!」


と力いっぱい叫んだ。
その後、大騒動になるのを予想し、近くの物陰に潜んで逃げる隙を窺っていたが一向に騒動の音が聞こえてこない。
どうしたのだろうと思い様子を覗いてみると…覇気であっさりと片づけた師匠がこちらに歩いてきていた。


(ヤバい!海軍より厄介な敵を作ってしまった…なんとかせねば。)


急いで思考を巡らすがいい案が思いつかず剃で逃げる事にした。
急いで逃げようと足に力を入れた所で


「何処に行くのかな?シュバルツ君。」


満面の笑みで俺の肩に手を置いてこられた。


「い、いや…かっこいい師匠の勇士をシャッキー達に報告せねばと思いまして。」


「ああ、それなら構わんよ…シャッキーは私の実力はよーく知っているからね。それよりも私は愛弟子が修行中に非業の死を遂げた事を皆に告げねばならんのだよ。」


「いや俺まだ生きてますが……。」


「なに、後数秒だけさ。」


「誰か助けてーーー!!」


これから俺の修行はより一層厳しさを増す事だろう。




生きてればの話だが……。









あとがき

能力について書いてみましたがこんな感じでいいのかな?
と自分自身で考えています。
もっとこうした方がいいと思った方は感想掲示板まで。
作者が納得する設定なら使わせてもらうかも。



[8408] 第二十一話
Name: 思いつきで投稿◆9abf2946 ID:d4d903c6
Date: 2009/06/11 00:22
悪魔の実を食べてから三年が経った。
日々繰り出される師匠の杖攻撃を避けてるうちに何と『紙絵』を習得してしまった。
これは自分でも予想外だ。
しかし師匠は、紙絵をする俺の動きをさらに見切って当ててくるから全然意味がない。
俺は調子に乗って


「見える、見えるぞ!私にも敵が見える!!」


などと言いながら調子に乗っていると


「戦いとは、常に二手三手先を考えてするものだ!」


と言うセリフと共に滅多打ちににされた。


「師匠…キャラ被ってるぞ……。」


そんな言葉と共に俺は意識を失った。


「おいおい、冥王ともあろう人が何ガキ虐めてんだ?」


意識を失う寸前にそんな声が聞こえてきた。
こ、この声はシャ○…大佐?









第二十一話









覚醒する意識、後頭部の柔らかい感触。
こ、これは!?……なんてことはない、いつもの通り、気がついたらバーの中でメイドさんに膝枕されていた。


「お、気がついたか。羨ましい体勢しおってさっさと起きんか。」


「はっはっはっ、大丈夫か坊主、しっかしあの天竜人が冥王に弟子入りとは、面白い奴だな。」


俺が起きた事に気づいた師匠と赤髪の男が話しかけてきた。
赤髪?


「あ、アンタまさか、赤髪のシャンクス…さん?」


「お、知ってるのか?天竜人にまで知られるとは俺も有名になったもんだぜ。ああ、それとさんは付けなくていいぜ、敬語とかもなしだ。」


「あ、ああ、俺はシュバルツだ、よろしくな。」


あのシャンクスがいる事に驚いたが、えらくフレンドリーに接してくれたおかげで別段緊張もせずに話す事ができた。
それから俺が弟子になった経緯を話したりシャンクスの冒険談を聞いたり、ロジャー海賊団の事を二人から聞いたりした。


「ところでお前さん、左腕はどうした?ついに鷹の目にでも負けたか?」


「ん?ああ、コイツの事か。いやこれはちょっと面白い奴がいてな、そいつに懸けてきた、今はまだただのガキだが腕一本失う価値がある男だと俺は思ってる。」


「まあ悔いが無いならそれで結構、しかしお前さんがそこまで言うとはなどんな子なんだ?」


「ああ、そいつはモンキー・D・ルフィって言ってな。」


「ほう、あのDの一族か……。」


「ああ、そのうえコイツ船長のあの言葉と同じ事言ったんだぜ。」


そう言ってシャンクスはルフィと出会ってからの事をそれはもう原作に載っていない事まで色々と楽しそうに話してくれた。
いつの間にか日も暮れ出してシャンクスは今晩ここに泊まる事になった。




次の日の朝修行をしているとシャンクスが話しかけてきた。


「よう、シュバルツどうだ調子は、お前さんどれくらいの腕前なんだ?」


「さあ、自分でもよくわからないんだ、でもいつも師匠にボコボコにされるからまだまだ大した事何と思うよ。」


「はっはっはっ、あの冥王に勝つ事が出来る奴なんざ両手、いや片手で数える程しかいないぞ。」


「でも弟子入りして五年半になるのに未だにまともに一撃も入れられないんだぜ。」


「他の奴と戦った事無いのかよ?」


「あると言えばあるけど、あれも全部組み手だし、弟子入りの前だから今の実力とは全然違うよ。」


「そうか……なら闘って見るのが一番手っ取り早いな。」


「それはいいけど…本気で行っていいの?」


「はっはっはっ、いくら冥王相手でも未だ一撃も食らわせれないなら大丈夫だろう、遠慮せずに来いよ。」


「(言ってくれるな…流石は未来の四皇だ。)そう…じゃあ行くよ!!」


「嵐脚”線”」


一直線に飛ぶ鎌風をシャンクスに向かって放ち、同時に剃で移動し横から居合抜きで斬りかかった。
しかしシャンクスは半歩横にずれるだけで鎌風を避け、俺の移動にもしっかりと目が付いてきていた。
俺の居合抜きに対してシャンクスは腰の剣を少しだけ鞘から抜き受け止めた。
ガキィィン!!と甲高く鉄と鉄がぶつかり合う音と鳴り響きそれと同時にお互いに後ろに飛び距離を取った。


「おいおい、遠慮すんなとは言ったが行き成り本気で斬りかかってくるとはな。」


「何?怒ったの?」


「いや、いい度胸だ、気に入ったぜ。ほれどんどん来いよ。」


「言われなくても。」


月歩で俺はシャンクスの上に飛びあがり。


「嵐脚”乱”」


嵐脚の乱れ撃ちを放った。
シャンクスはその鎌風の連撃を最低限の動きで捌いていく。


着地して次の攻撃に移ろうとする俺に向かい


「次はこっちから行くぜ。」


そう聞こえた瞬間にシャンクスが凄いスピードで俺の横に回り込みパンチを繰り出してきた。
とっさに鉄塊を使うがその上から衝撃が襲い鉄塊が揺らいだ。
そのまま連撃でパンチを打ってくる、まずいと思い紙絵に切り替えて回避に専念するが完全に防戦一方になってしまった。


(片腕のくせになんて連撃だ、もし両腕だったり師匠の攻撃スピードに慣れてなかったら当たりまくってるだろうな。)


「はは、良く避けるな、でも避けてるだけじゃ勝てないぜ。」


「わかってるよ!!鉄塊”空木”」


「うおっ!!」


カウンター用の鉄塊でシャンクスの拳をはじき返し追撃に移る。


「鉄塊”砕”」


「おっと。」


突っ込んだ俺を軽く飛んでかわしたが俺の追撃はまだ終わらない。


「鉄塊”輪”」


回転しながら連続で攻撃する俺の懐にシャンクスは潜り込んでカウンターを入れた来た。


「まだまだ甘いな。」


「(まずい!!)鉄塊”剛”!!!」


今度はかなり力を入れてきたのか、俺の鉄塊をあっさり破りぶっ飛ばした。


「グッ!!」


崩れ落ちそうになる体を何とか持ちこたえさせて膝をつきながらもシャンクスを見る。


「へえ、あれを耐えるか…大抵の奴なら今ので終わるんだがな。……ならこいつはどうだ?」


そう言った途端にシャンクスから何かとてつもない威圧感が叩きつけられた。
ビリビリと肌が痛くなり意識が飛びそうになる。
段々とその圧力も強くなってきている。


(これは!!覇気か!?)


「ガァァァァ!!!!」


その威圧感に負けそうになった時、俺は獣化して咆哮をあげていた。
そうしなければ意識が飛ぶ、無意識のうちにそう判断した俺は気がつけばそれを実行していた。


「動物系か?見たことない奴だな、ドラゴンみたいで強そうだ。なにはともあれ俺の覇気に耐えるとは大した奴だ、割と本気で出したんだがな。(つーか、今アイツも少しだが覇気出してたな…無意識にか?確かにこれは将来が楽しみな奴だ。)」


「ハァ…ハァ…」


覇気が収まった事で余裕ができたがそれでも俺の体の具合も良くない。


(次の攻撃で動きを止め、俺の最大の技で決める!!)


俺は前から密かに練習していた未完成の技を放つために人獣型になり構えた。
シャンクスも感じ取ったのか真面目な顔になり剣を抜き構えた。
剃で駆けだしシャンクスに正面から突っ込む。
人型に比べて圧倒的に早いがそれでもシャンクスは驚くことなく俺を見据えて対処してきた。


「十指銃」


十本の指で繰り出した指銃をかわしたシャンクスは剣を横薙ぎに振るってきたが、これを俺は地面にくっつく様にしゃがんでかわし体を起こすと共に一気にシャンクスの懐に飛び込んだ。


「激竜葬!!」


剃で飛びこんだ勢いをそのままに自分の体をまっすぐ伸ばし槍に見立てて突っ込んだ。
しかしシャンクスは刀の腹で俺を受け止めた。
俺は鉄塊を使っているためにダメージはない。


(ここだ!)


最初から止められる事を予測していた俺は両手でシャンクスの腕と肩を掴み


「ハァ!」


未だ慣れないも氷のブレスを吐きシャンクスを軽く凍らせた。
最もそんなカチカチに凍らすことなど出来ずに精々一瞬動きを止められるかどうかだろう。


「くそっ!」


悪態をつきながら動こうとするがシャンクスは動けない。
最も長くは持たないだろう、既に表面は割れ抜け出しかけている。
動けないシャンクスを放り出して俺は空に飛び上がった。
100メートルほど上昇した所で獣化し、月歩で勢いを付けて降下だした。
途中で数回月歩を使ってさらに勢いを付け、鉄塊玉をして標的に体当たりする。
これが俺の最強の技…


「ドラゴンダイブ!!!」


下に驚愕したシャンクスの顔が見えた。


「ちょっと待てぇぇぇ!!」


そんな叫びもむなしく俺はシャンクスに突っ込んだ。




「ふう、驚いたな。」


シャンクスは全くのノーダメージだった。
当たり前だ…コイツ避けやがった。
俺はこの攻撃の反動で動けない。
この技はまだ未完成で俺の体にも少しだがダメージが行く。
本来とどめの技だから此処で決まるのでいいんだが、やはり避けられた時の事も考えるべきだな。


(それは今後の俺の道力の上がり次第か。)


起きれない体でそんな事を考えていると


「どうした?負けてそんなにショックか?」


「つーか、あの場面で普通避ける?空気読めよ。」


「いや、あれの直撃は洒落にならんし、どうしても受け止めれないって事はないが、此処はそんな命掛ける場面じゃないしな。」


「もういいよ、それで…俺の評価は?」


「ま、努力賞ってところかな?」


そんな言葉と共に放たれたパンチを受け俺は意識を失った。


(とどめは刺すのかよ……。)




「ん、……どうなったんだ?って聞くまでもないか。」


慣れ親しんだ後頭部の柔らかい感触でいつもの如く気絶した事がわかった。


「ありがとう。」


「いえ、お気になさらず。」


お礼を言ってカウンターの方へ行くとシャンクスが酒を飲んでいた。


「お、気がついたのか、てかお前気絶するといつもあんな美味しい状況になるのか?」


「え?あ、ああそうだけど、それよりも俺の実力はどうだった?」


「ああ、中々のもんだと思うぜその年にしちゃ上出来だ。これからまだまだ伸びるだろうし、どうだお前ウチに入らないか?」


「いいよ、誘ってくれるのは嬉しいけど俺は将来冒険家になりたいんだ、だから海賊になる気はないね。」


「そうか、そりゃ残念だ。ああ、それから俺は4、5日此処に居るからその間また見てやるよ。」


「そうなの?でもそんなに船を開けていいの?一応は船長でしょ?」


「一応ってお前な…まあウチは副船長が優秀だから平気だよ。それにお前さんの師匠を借りてるからなその間位面倒をみるさ。」


シャンクス達は元々レッド・フォース号を師匠にコーティングしてもらいに来たらしい。


「まあ、そっちがいいならお願いするよ。」


「おう、お願いされてやるよ。」


こうして俺達は数日間だが師弟関係になった。
まあ結局ボコボコにされただけだったが。









補足説明
激竜葬(げきりゅうそう)…剃+鉄塊で相手に向かって自分を槍に見立てて突撃する。追尾も可能。

ドラゴンダイブ…上空100メートルから標的めがけて月歩を複数かけて落下する技。
落下の際には自身には鉄塊をかけ剃の速度で横回転する(鉄塊玉)を使う。
獣化時の必殺技。









あとがき

シャンクスを出してみました。
この時期に本当にここにいたかは知りませんが。
そして何よりこの戦闘描写…ありえない…色んな意味で。
技名にしてもセンスゼロですね…。
まあこれが作者の現在の限界です。
毎度こんな駄文に付き合ってくれる皆様に感謝いたします。



[8408] 第二十二話
Name: 思いつきで投稿◆9abf2946 ID:d4d903c6
Date: 2009/06/13 01:46
ここ数日シャンクスとの訓練…てか組み手をやっているけどもうすでに組み手じゃない。
それは師匠にも言えることだ。
ほぼ実戦に近くとりあえず大きな怪我をしないようにするだけで基礎的な特訓もなく、ずっとやり合うだけの浦原さん方式になってきた。
何時も道りにぶっ飛ばされた後、何時も道りに膝枕で目覚め何時も道りに昼飯を食べながらシャンクスと話していると


「あとどれ位かかるんだろうね、コーティング作業。」


「さあな、だが繊細な作業だからそれなりの時間がかかるだろうな、ウチの船は割と大きいからな。」


「そういえばシャンクスって新世界に行ったことあるんじゃないの?なんでまたコーティングしてんの?」


「ん、ああそれは俺が行った事あるのはオーロ・ジャクソン号で行ったんだ、そのまま16年前にローグタウンで船長が処刑されてから俺の海賊団を結成してレッド・フォース号でを旅してきたんだ、だからまだレッド・フォース号じゃ新世界には行ってないんだよ。」


「そうなんだ、やっぱり仲間が増えると増築したりするの?」


「ああ、この間もウォーターセブンって島で改築したんだぜ、そうそうウォーターセブンって言えば2年ほど前に海列車って言う海の上を走る妙な物ができたらしいぜ。」


「ああ、そう言えばそんな話を新聞で読んだな。」


「お前、新聞なんか読んでるのかよ、几帳面だな。」


「いや新聞読んでるだけで几帳面な訳ないだろ、俺ももう16だぜ。」


「そうかい俺が16の頃なんかもう海賊見習いをしていた頃だな。お前さんやっぱりウチの船に来ないか?」


「ならないって言ってるだろ。」


「ああ、わかったよ。」









第二十二話









「しかし、海軍もいい加減だよね、こんな目と鼻の先に冥王と赤髪がいるのに気付きもしないなんて。」


「なんでも丁度マリージョアで世界会議をやってるらしい、それで海兵が警備にあたってるから此処が手薄なんだろ。」


「それで…(そりゃ各国の王達を守りながら赤髪と戦うなんて御免だろうな。)」


「まあ、王達も国から護衛の兵士を連れた来てはいるだろうが、此処まで近くて海軍が動かないって訳にもいかないんだろうな。」


「そうか……(そういえばこの世界会議でワポルがビビを叩くんだっけ?まあ別に死ぬわけじゃないからいいかなとも思うし、でもそれよりもビビに会ってみたいな。)」


「どうした?急に黙りこんで。」


「あ、いや別に……ただ何と無く世界会議ってどんなのかなって考えてただけさ。」


「そんなに気になるんなら見に行けばいいじゃないか。」


「いやそんなあっさりととんでもない事言わないでよ。」


「何ビビってんだよ、警備なんて見かけ倒しで雑魚ばっかりだ。お前なら逃げる位できるだろ。」


「うーん…(そんな事言うなよなますます見に行きたくなるじゃないか。)」


「男なら細かい事は気にせずに行っちまえよ。万が一掴まっても天竜人なら大した罪にはならないさ。」


「そうかな?」


「おう、第一お前冒険家になりたいんだろ?なら自分の見たい物にリスクがあるからとか一々気にすんな。」


「(確かに一々デメリットばかり気にしてたら冒険家になんかやってられないよな)……わかった、俺見に行ってくるよ。」


「よし、それでこそ俺の見こんだ男だ、一発かましてこいや!!」


「いあ別に暴れる訳じゃないから、こっそりと見るだけ騒ぎなんか起こさないよ。」


そう言って俺はバーから出て行った。









「んー!んー!」


「おいおいあんまり騒ぐなよ。」


俺は縛られて足もとに転がる海兵に向かいそう言いながら殴りつけて気絶させた。
俺はシャボンディ諸島に残っている海兵の一人を素早く倒して海兵の着てる服を奪った所だ。
此処からなら自力で飛んでいける距離だしな。
いやいやながらもずっと住んでた土地だ、何処からなら飛んでっても見つからないか位はわかる。
そのまま会議をしている建物の近くに降り海兵になり済まして近くをうろつきビビに会うつもりだ。
別に建物の中に用は無いから細かい確認はされないだろう。


「さて行きますか。」


こうして俺は数年ぶりに聖地・マリージョアに向かった。




「さてビビは何処かな?」


上手く警備の海兵に紛れ込んだ俺はビビを探してうろついていた。


(しかし人が多いな、まあ当たり前かそれぞれの王が護衛に100人連れてきたとして170ヶ国いるとして17000人そこに海兵が2000人警備に居るとしてさらにそれぞれの王の家族や世話役、国の重鎮が……やめだやめ!数えてられるか!!…まあそのおかげでこんなにアッサリと潜り込めた訳だし良しとするか。)


そんな事を考えながら歩いているとようやく目的の人物と一緒に居るであろう人の姿を見つける事に成功した。
しかし何やら様子がおかしい、ビビの姿もない近づいて耳を澄ましてみると……


「まだ見ずが……ゴホッ!!マ~~ママ~~~~♪まだ見つからないのか!国王が戻られる前に一刻も早くビビ様を見つけ出すのだ!!」


「はっ!!」


慌てて走って行くアラバスタの兵士と思われる者、そしてこのセリフ、おそらくビビが行方不明なのだろう。


(誘拐?いやこの警備の中それは無いだろうと思うが…だがもしそうだとしたらかなりの実力者の仕業か、いずれにせよ何かあったのなら俺としても嫌だ、急いで探しだすとしよう。)


俺は再びビビを探しに動く事にした。




そして程なくしてビビを見つけた。
と言うか普通に居た……一人で退屈そうに地面に棒で絵を描いていた。
周りの大人達もまさか王女とは思っていないのだろう誰ひとりビビが一人で居る事を気にしていなかった。
取り合えず俺は接触を図ってみた。


「ねえ君迷子?良かったら俺が家族の所に連れて行ってあげようか?」


「貴方誰?それに私迷子じゃないわ。」


こちらの言葉に反応したビビが不思議そうに俺に答えてくれた。


「これは失礼、俺はシュバルツって言うんだ、見ての通り海兵さ、君みたいに一人でいる子供を親御さんの所に案内したりするのが仕事さ。」


「そう、私ビビ。でも迷子じゃないわよ。」


「じゃあ何でこんな所に一人で居るんだい?」


「パパは会議に行っちゃってイガラム達も忙しそうだったから、邪魔にならないように一人で探検しに来たの。」


「探検?(なんてアグレッシブな王女だ…たしかワポルに叩かれたり挑発されたりしても我慢して受け流すような出来た子だったハズなんだけどな。)」


「うん、何か面白い事がないか探してたの。」


「でも地面に絵を描いていたみたいだけど?」


「うん、面白い事が見つからなかったの。」


「そうか…じゃあもうそのイガラムさんの所に帰りなさい、皆心配してるよ。」


「でも、怒られる……。」


「(それがわかってて何故抜け出して来たんだ?)俺も一緒に謝ってあげるからさ。」


そう言いながら俺はビビに手を差し出した。


「うん。」


ビビは渋々といった感じだが戻る事を了承してくれた。
こうして俺達はイガラムがいた所に向かってお互いの事を話しながら歩き出した。
手を繋いで歩きながら仲良く話している所など知らない人から見れば兄妹に見えたかもしれないな……そう言えば俺にも妹が居たような…まあ別にいいか。
そんな事を考えているとビビから驚きの一言が飛び出した。


「ねえ、シュバルツ私の友達になってくれない?」


「友達?」


「うん……ダメ?」


不安そうに俺の様子を伺ってくるビビを前に断ることはできなかった。
断る気もないがな。


「もちろん、ビビさえ良ければ俺から頼みたいくらいさ。」


「ありがとう!!」


嬉しそうにお礼を言ったビビを見ながら


(一国の王女とお友達ね……あ、俺一応天竜人だった。)


等と考えながら歩いていると丁度会議が終わったのか大きな扉が開き中から豪華な服を着込んだ連中が出てきた。
どうやら会議が終わり王達が出てきたようだ。
100人を超える王達の姿を見ていると


(そりゃこれだけ居ると、ちょっとしたことで戦争になるわな。)


そう思っていると行き成りビビが大きな声をあげた。


「パパ!!」


どうやら親父がいたようだ。
俺もビビが見ている方を捜してみるとすぐに見つけられた。
俺が原作で王と言ったらこの人とワポル位しか知らないせいか、周りの王より威圧感があるように感じた。
ビビの声が聞こえたのかアラバスタの王ネフェルタリ・コブラの顔がこちらに向き嬉しそうな顔になりビビの事を見ていたが、そのビビの繋いでいる手から俺の方に視線が移ると少し驚いた顔になった後…


「おんどりゃ~~!!ウチの娘になにさらしとんじゃ~~~~!!!」


一瞬で般若みたいな顔になりこちらに駆け出して来た。


「何だいきなり!!?」


「パパ!?」


ビビまで驚いているのも無視して俺に一直線で駆けてきたその勢いで


「必殺!キングチョップ!!!」


必殺技を繰り出して来た。


「鉄塊」


俺の頭に直撃したが反射的に鉄塊を使ってガードしてしまった。


「いたたたっ!」


勝手に攻撃して、そのせいで痛めた手を押さえて転がりまわる、一国の王として威厳の欠片も無い姿を公衆の面前で披露している。
あまりにも情けないその姿に少し引きながらも俺は声をかける事にした。


「あ、あの~大丈夫ですか?」


「煩い!敵の情けなぞ要らん!!」


「いや…敵とか言われても、俺は別に何もして「こ、国王!!いっだい……ゴホッ!!マ~~ママ~~~~♪一体何があったのですか!!?」」


嫌なタイミングで駆けつけてきたイガラム達と


「こいつがウチのビビを攫おうとしておったんだ!!」


「な、なですと~~!!クソカギャお前のせいか!!!」


「え!?ちょっと違うから、話を聞けよ!!」


勘違いが勘違いを呼び俺VSアラバスタ親衛隊で大乱闘が始まった。
仕方なく応戦する俺と束になって飛びかかってくる親衛隊。
手加減して怪我をさせないように気を付けながら、80人ほどいた護衛を全滅させたがまだ一番厄介な2人が残っていた。
そう、国王とイガラムである。


「くそ!なんて強さだ!!」


「だがウチの娘に手は出させんぞ!!」


(この何やら気合入りまくりで勘違いしている2人をどうにかしないと不味いな。)


そう考えていると俺の視界に置いてきぼりを食らわされたビビが映った。
ビビもこっちを向いていたので視線があった俺はビビにアイコンタクトで助けを求めた。
それが通じたのかビビが大きな声で


「いい加減にしなさい!私の話を聞いて、でないともうパパって呼ばないからね!!」


と叫んだ。
すると国王はもう全力で落ち込んだ後


「御免なさい!!もうしないからそれだけは許して!!」


そう言いながら情けない姿で娘に縋りついた。




それから約30分間ビビによるお説教タイムが繰り広げられた。
国王と護衛隊長がそろって正座しながら10歳の女の子に説教されている姿はとてもシュールだった。
手加減していたので兵士にも大した怪我はなくすぐに起き上がって国王たちと共に正座して説教を受けていた。
一見して間抜けな図だがこんなことができること自体がある意味凄い事なんだと思う。


「すまん、私の早とちりだったようだ。」


ビビの説教を受けて誤解が解けた国王が謝ってきた。


「いえ、俺も兵士の人達を攻撃しましたし、こちらこそ申し訳ありません。」


お互い悪かったという事で手打ちになった。
本来ならそんなことで済む訳はないのだろうがこれもコブラ国王の人柄だろう。


「しかし君は凄いな、アラバスタ最強の戦士でもあそこまでは強くないだろう。」


「いえ、俺なんてまだまだですよ俺の師匠とか、いやおそらく七千万位を超える賞金首なら俺を倒せるやつも一杯いると思いますよ。」


「そうか…海は広いな。私もまだまだ学ぶことが多い。」


そんな会話をしているとビビが話しかけてきた。


「ねえ、パパ、シュバルツ遊びましょう。」


「すまないなビビ、これから他の国の王とも話さなくてはならない事があってな…でもいいかビビもう勝手に何処かに行ってはならんぞ、お前は一国の王女なのだ。この世界会議では様々な国の王族が来ている下手をすると些細なことが国を巻き込んでの争いに発展する事もある。そんな事とは絶対にあってはならないのだ、国とは人なのだからな。国を代表する王族の愚かな振る舞いで民を傷つけるなどあってはならない。ビビお前は賢い子だこの意味がわかるな?」


と今まさに目の前で愚かな行いをした人とは思えないような事を言った。


「うん。」


「いい子だ、シュバルツ君悪いがビビの面倒を見てくれないか?警備の仕事もあるだろうから無理にと言えんが。」


「いえ、構いませんよ(もともとビビに会いに来たんだから問題ないんだよね)。」


「そうかすまん、ではよろしく頼んだぞ。」


「はい、任せて下さい。」


そう言ってコブラ国王は行ってしまい、残された俺とビビは護衛のイガラム達が見守る中で遊んだ。




そして追いかけっこ等の子供のころから絶対にやらなかったような遊びで遊んでいると楽しそうにするビビにつられて年甲斐もなくはしゃいでしまった。


(たまにはこんなのもいいな。)


そう思っているとついにあの男の姿が見えた。
そうワポルだ。
いかにも不機嫌そうな顔でこっちに歩いて来ている。
その不機嫌そうな視線がビビに止まり何かを思いついたように嫌やな笑みにかわった。
こっちに一直線に歩いてくるワポルに警戒している俺をビビは不思議そうに見ているがそんなビビの後ろにワポルが来ていかにもワザとらしく


「おおっと!!!手が滑ったわ!!!」


等と言いながらビンタを繰り出した。
しかしそこにはビビの姿は無くワポルの手は空を切る事となった。


「あん!?なんだ何処に消えた!!?」


辺りを見まわし、ようやく自分の後方20メートル程の所にビビがいる事に気が付いた、正確に言えば俺に抱えられたビビが、だが。


「な、なんだお前は、俺様の邪魔をしようってのか!!」


「邪魔?俺は手が滑った貴方のフォローをしただけですが。」


「グッ!う、煩い俺様は国王だ、お前ごときが偉そうな口をきくんじゃない!!おいこいつをひっ捕らえろ!王に逆らったものとして死刑にする!!」


痛い所を突かれた所と邪魔をされたことで俺に怒りが向たのだろう完全に逆切れしてきた。


(こんな事で死刑とかどんだけだよ、こんな奴の治める国なんか怖くて住めないな。)


そんな事を考えて居ると誰かが飛び出してきた、ドルトンだ。


「ワポル様!おやめ下さい!!」


ドルトンが止めようとするがワポルは聞く耳もたんっと言った感じで兵に命じて俺を拘束させた。
俺は特に逆らわずに捕まる事にした。
後で暴れるならビビ達の近くで無い方がいいと思ったからだ。


「シュバルツ!!」


「シュバルツ君!!」


ビビやイガラム達が慌てるが俺は落ち着き払って言った。


「ああ、大丈夫だ心配いらないよ俺の実力は見ただろこれ位の奴らなら特に問題ないさ。」


「でも…。」


「なにやってる、早くしろ!そのカバ野郎を船まで連れていけ!」


ワポルがせかして来たので俺は連れて行かれた。


「シュバルツ!!」


まだ心配そうにしているビビだったがイガラムに止められてこちらに来る事は出来なかった。
その際にイガラムが目で大丈夫かと問いかけてきたので俺は頷いておいた。
そして船の牢屋に入れられそのまま出港し、船はすぐに港を出たので俺にはますます好都合になった。
俺は獣人型になり縄を無理やり破って檻も嵐脚で破りあっさりと抜け出した。
暴れようと思い、扉を開けようとした所で外側から扉が開いた。


「な!?どうやって檻からでたんだ?」


開けたのはドルトンだった。
身構えた俺に向かい慌てた様子で弁解してきた。


「待ってくれ、私は戦いに来たんじゃない。今回の事誠にすまないと思うこの通りだ。」


そう言って頭を下げてきた。
多少ドルトンを知っているだけあり俺は構えを解くことにした。


「それで、何しに来たんだ?」


「君を逃がしに来た。」


「俺を…本気か?」


「今回の事完全にこちらが悪い、家臣として誠に申し訳なく思っている。しかしそう思っていながら私にはどうする事も出来なかった。本当にすまない。」


「ああ、別にそれはいいよ、正直言ってこの程度の船なら逃げ出すのは訳ない。」


「そうか、ならこのまま逃げてくれた構わない。小舟なら用意できる。」


「その辺は大丈夫だ自力で何とかできる、それよりもそんなことしたらあんたも怒られるだろう?」


「それは構わない、せめてもの罪滅ぼしだ、もともと今回は私の独断で逃がしに来たどんな罰も覚悟の上だ。」


「そうかい、なら一発位いいよな?」


「ああ、それは構わないが。」


「じゃあ遠慮なく。」


そう言って俺はドルトンの腹に一発食らわせて気絶させた。
これで俺が抜け出して暴れた事になるだろう。


「さーて、行きますか。」


そう言って俺は騒がないようにこっそりと抜け出しワポルを捜した。




程なくしてワポルを見つけた。
ワポルは船の自室と思われる部屋で爆睡していた。
俺はもう起こすのも面倒なのでそのまま馬鹿面さらして寝ているワポルを獣人形態でボコボコにした。


「ガー…ガー…ポガバッ!!グフォ!ギャ!な、なんだ!いたたた!!ガッ!ブゴボガボゲ~~!!!………。」


途中で起きたようだが反撃する暇もなくまた夢の世界に旅立ったようだ。
すっきりした俺はボロボロになったワポルをほったらかして外に出て竜になり飛び立った。
出港したばっかりだったこともありマリージョアまですぐに着いた。
ビビと別れた所まで行くとまだそこにはビビ達がいた。


「おーい、ビビ。」


俺が呼ぶとビビは俺に気づいて泣きそうな顔で走ってきた。


「シュバルツ!大丈夫だった?」


「ああ、見ての通りピンピンしてるぞ。」


「よかった……私もう会えないかと思って…ひぐっ……えぐっ……。」


ビビは堪えていたようだが泣き出してしまった。
仕方がないので暫くの間頭をなでておいた。
ようやく泣きやんだところで今まで見守っていたコブラ国王が話しかけたきた。


「無事でよかった、ワポルの奴は会議の時の事を根に持っていたんだろう、巻き込んですまなかったなシュバルツ君、そしてビビを助けてくれて有難う。」


「いえ、別に大した事なく抜け出せましたので気にしないで下さい。」


「しかし、もしかしたらこの後海軍本部に抗議が来て問題になるかもしれない、その時は言ってくれ出来る限り力になろう。」


「ああ、その事なんですが……実は俺は海軍じゃないんですよ。」


コブラ国王なら大丈夫だと思い、俺は冒険家で世界会議を見たいために海兵の振りをして忍び込んだんだとばらした。
コブラ国王やイガラムは驚いたようだが、あえて今回は何も聞かなかった事にしてくれた。
だが長く此処に居るのは良くないと思いそろそろ帰る事にした。
俺が帰ると聞いてまたビビが泣きそうになったが、俺は紙に子電伝虫の番号を書いて渡した。


「いつでも連絡して来てくれていいからね。困ったことがあれば力になるよ。」


「うん。」


「それじゃあ、また必ず会おう。」


「うん、バイバイ、元気でね。」


そう言って俺はマリージョアを後にした。




それから暫くの間毎日のように連絡が来るとは思わなかった。









あとがき

ビビを出してワポルをボコってみました。
これで後々アラバスタ編にかかわれますね。
関わるかはわかりませんが。



[8408] 外伝二話
Name: 思いつきで投稿◆9abf2946 ID:d4d903c6
Date: 2009/06/13 01:57
side???


俺の名はワン・ルーズ、正義の味方だ。
世界政府直下諜報機関に所属し日夜人々の為に働いている。
只俺には他の人とは違う所がある…そうそれは、俺に前世の記憶がある事だ。









外伝二話









この俺の推理によるとこれは俺が生まれ変わり、今まで生きていた世界とは全く違う世界に生まれたということだ。
事の始まりは17年前……




俺は前の世界ではしがないトラックの運転手だった。
40過ぎて朝起きるのが厳しいが、妻と子の為に欠伸を噛み殺して日々トラックであちらこちらへ荷物を届ける日々。
段々俺への態度が適当になってきた嫁と、小学校6年生になり俺に甘えてくることも何かねだる時以外なくなった息子。
俺を無視して食事の時もテレビばかり見ている。
最近の子供の見る番組はよくわからん、何で海賊が主役なんだ?
思わず息子に


「普通海賊は悪者だろ、見てて何が楽しいんだ?」


そう聞いた俺に息子は冷めて目で


「考えが古いんだよ。わからないなら聞かないで、今いい所なんだ。」


そう言ってテレビに視線を戻した。
わからない…何でこんな体がビヨンビヨン伸びるやつやアホみたいに口に剣咥えてるのが面白いんだ?
昔は良かった……主役はやはり正義の味方だった。
ウル○ラマン、仮○ライダー、ゴレ○ジャー世界を脅かす悪の怪人を華麗な必殺技で次々と倒していく。
俺も小さい頃はよくヒーローごっこをしたもんだ。
そんな思い出に浸りながら最近の唯一の楽しみである晩酌をする。
そうしているうちについつい飲み過ぎてしまったようだ。
次の日は二日酔いで頭がガンガンしていた。
しかしそんなことで仕事を休むわけにいかん、俺は気力を振り絞って仕事に出かけた。




なんとか仕事を終えた頃には二日酔いは治まり頑張った自分へのご褒美として安酒を一杯飲んで帰る事にした。
少々飲んでも事故を起こす事なんてない、今までの俺の経験だ。


(少し遅くなったな、急がないと。)


そう思い時計を見ながらスピードを上げ前を向いた所前に人がいた。
ゴンッ!!と鈍く何かを撥ねた音、何かじゃない人だ。
振りかえりながら


(くそ!何で飛び出してきやがった!!これじゃ俺が悪いみたいに……)


そこで俺の意識は途絶えた……おそらく電信柱か何かにぶつかって俺は死んでしまったのだろう。
何処のどいつだか知らないが俺の人生メチャクチャにしやがった。
死んでから暫くは自分の身に何が起こったのかわからなかったが、暗い空間に身動きも取れずにずっと居たんだ。
そしてある日、ついに俺は生まれた……この世界で。
しかも俺は生まれるとすぐに捨てられた。
どうも望んで生まれてきた子供ではなかったらしい。
上手く動かない口で俺を捨てて行った不細工な女…おそらく母親だろう、に対しての文句を言っていたがそのまま気を失い、次に気が付いた時は何処かの施設に居た。
どうもその施設に捨て子が居るから回収しろと連絡が行ったみたいだ。
拾われて3年どうにか心の整理を無理やり付けて過ごしてきた。
どうもこの施設には後ろに大きな組織みたいなのが居てそこからの資金で運営しているらしい。
小さいくせに寡黙で無口も俺に他の子供達は近づいてこようとはしない。
俺も別にガキみたいな遊びをしたいとは思わないので自然と一人になる。
大人達は何とか俺を子供達と仲良くさせようとしてるが適当にあしらっておいた。




さらに2年、俺が5歳になってすぐに此処に資金提供している所から人が来て


「世界政府の正義を守る為に働きたい子はいるか?」


唐突にそう言いやがった。
他のガキどもは意味がわかっらすに首をかしげる中俺はいの一番に志願した。
此処に居ても面白い事なんて何もないし、俺は前の人生で子供の頃に憧れたヒーローになってやろうと思ったからだ。
なにやら特別な訓練をして世界の為に戦う戦士になれるらしい。
この世界は前の世界とは違う所が沢山ある。
海賊王とか言うのが居たらしいし、現に海には海賊が星の数ほどいる。
もしかしたら俺の世界では無理だった夢を叶えれるかもしれない。


(この世界で金と名声と美人の嫁を必ず手に入れてやる!!)


俺はそう心に決めて厳しい訓練を耐え抜いて見せた。
俺の道力は現在2940だ。
この年齢では異例ともいえるだろう。
俺が現在所属しているCP9は他の政府機関とは一線を概している。
戦闘力では俺は、まああの猫に劣っているがそれももう時間の問題だろう。
この間食った悪魔の実で俺はまた一歩ヒーローに近づいた。


(いずれは俺がNo.1だ……後は嫁だな…最も、もう目は付けてあるが。)


そう考えていると、噂をすれば影とばかりに未来の俺の花嫁が向こうから会いに来た。


(まずは挨拶と婚約をしておかないとな、これから他の4人と5年間の長期任務があるし、結婚は帰ってからか。)


そうして俺は歩き出した。


sideハンコック


(急がねば……いやしかし、どんな顔をして会おう。)


それはマリンフォードに行き、収益の一部を政府に渡すと言う面倒な取り決めを律儀に守った時の帰りだった。
もともとわらわがこの面倒な取り決めを守っているのはひとえに称号を剥奪されないようにするためじゃ。
しかし今回はそんな事などどうでもよかった。
周りの目を盗み修行する事5年半…ようやくニョン婆様から合格を貰ってこのままシャボンディに向かう。
指輪も用意した、ニョン婆様が言うには指輪を沢山渡してはいけないらしい。
沢山の指輪を用意していたわらわ達にそうアドバイスしてきた。


(シュバルツに会いそうな宝石は……何でも似合いそうなので迷う。沢山用意した中からどうにか20個まで絞り込んだがまだ決まらない、シャボンディに着くまでになんとか半分くらいまで絞り込まなくては、ソニアとマリーに相談しよう。)


「初めましてハンコック殿、私サイファーポールNo.9に所属しているワン・ルーズと申します、以後お見知りおき…ってちょっと待てや!!無視すんな!!!」


(ダイヤか、ルビーか、サファイアか…どれにすればいいだろう。)


「おい!無視すんなって!聞けやコラ!!」


(ようやくシュバルツと夫婦に…それからどうしよう、アマゾン・リリーに連れて帰って九蛇城で…どうしよう、その後航海に出れない気がする。)


「聞こえてますかー!無視しないで下さーい!……お願いします俺の話を聞いて下さい!!!」


五月蠅い虫がわらわの明るい未来計画を遮ってきおった。


「なんじゃ先ほどから、鬱陶しいぞ!!」


そう言って振り向くと覆面で顔の下半分を隠した男が土下座の格好で無様に地面に張り付いていた。
わらわが声をかけたとたん嬉しそうに立ちあがり。


「ようやく気が付れましたか、何やら深く考え込んでおられたようで…何か御悩み事でもあるのなら私に話してみてはどうですか?なに遠慮は無用です、私達の仲ではないですか。」


等と馬鹿な事を言ってきた。


「私達の仲?なにを言っておる、貴様とわらわに何の関係がある、目障りじゃ失せろ。」


「ふふふ、照れずともいいんですよ、私と貴方は運命で結ばれると決まっているのです、つまり夫婦となる者としてお互いに支え合って行く義務があるのです。」


馬鹿が馬鹿みたいに自信満々に馬鹿な発言を覆面をしててもわかるような馬鹿面で言いおった。


(やれやれ…つまり、こいつもよく居る馬鹿と言うわけか。)


わらわの美しさに引かれこういった馬鹿な事を言ってくる輩は後を絶たない。
敵の海賊や政府の高官などにも居る。
基本的に海賊は石にして高官は無視する事にしているが。


「冗談はその馬鹿面だけにしておけ。」


そう言って立ち去ろうとしたら、鬱陶しい事にわらわの前に素早く回り込みよった。


(剃か…速いな。)


鬱陶しくもチョロチョロとわらわの進路を妨害する。


「馬鹿面等ではありません、そんなに照れなくてもいいのですよ。それよりもこれを……。」


そう言いながら奴が取り出したものは指輪じゃった。


「私と結婚して下さい。」


世にもおぞましい言葉を吐きながらそれを渡そうとしてきた。


「絶対に嫌じゃ!!」


全力で断った。
他に好きな人がいるからとかそう言った理由など一切関係なしで反射的に。
奴は信じられないような顔で唖然としていたが立ち去ろうとしたわらわの前に再度立ちふさがった。


「何故です!?断る理由がわからない!!」


「ふざけるな!そこを退け、受ける理由などない!」


「退きません!理由を教えて下さい!!」


「ええい!退かんか!!」


鬱陶しい程に喰らいついてくる馬鹿を石にしてやろうとした時に後ろから声をかけられた。


「何やら騒々しと思って来てみれば…止めておけ、七武海とCP9が戦うなど何の得もありはしない。」


振り向くと5メートルを越そうかという巨体が居た。


「なんじゃ貴様か…と言いたいところだが、助けてくれ。」


「何やら事情はわからんが海賊女帝が助けを求めるとは余程の事態の様だな、話を聞こう。」


「貴方には関係の無い事です、くま殿。」


奴がくまを追い払おうとするが何とかして巻き込んでやった。









「ならば断る理由を答えればいいだろう。」


話を聞いた後くまがそう切り出した。


「そうです!理由を教えて下さい!!」


要らぬ敵が出来たかもしれぬ。
仕方なく教えてやる事にした。


「そやつの存在全てが嫌じゃ。」


「的を射ている。」


「何を!貴様どっちの味方だ!!」


やはり馬鹿の様で先ほどまで取り繕っていた敬語も放り出してくまに突っかかって行った。


「俺はあくまで中立だ。」


仕方ない…一向に諦めようとしない馬鹿に現実を教えてやるとしよう。


「わらわには既に将来を誓った婚約者が居る、お前のような羽虫に付き合っている時間はないのだ。」


そう言い放ったわらわを唖然として見ていた馬鹿は


「馬鹿な事を言うな!お前は俺と結婚するんだ!!!」


「わらわはシュバルツと結婚するんじゃ、貴様はもう死んでおけ。」


わらわ直々に殺してやろうと思った時


「旅行するなら何処に行きたい?」


頭上からそんな声と共にくまが手を向けると馬鹿が忽然と消えた。


「…何をした?貴様の能力か?」


「さあな…答える義務はない。」


そう言って去って行った。
本来ならこのような態度許しはしないのだが、今回は特別に許してやるか。


(それよりも急いでシャボンディに向かわねば。)




急いで船に向かい出港した所でソニアとマリーに声をかけられた。


「姉様、いよいよぷろぽうずの時ね。」


「頑張らないとね。」


「そうじゃな…。」


そう言いながらも先ほどの馬鹿のせいで頭から嫌な事が離れない。


(わらわが断ったように、もしシュバルツに断られたら……。)


言いようのない恐怖に駆られ


「ソニア、マリー、すまぬが今回は止めにしないか?」


「ええ!?」


「どうしたの急に!?」


「今日は日が悪い気がする。」


驚く2人に苦しい言い訳をするが


「そう…姉様がそう言うなら、残念だけど仕方ないわ。」


「また今度にしましょう。」


2人とも会いたいだろうが私の言葉に無理やり納得してくれた。
2人の心遣いに感謝しながらもアマゾン・リリーに帰還する進路をとった。


(あと一年、シュバルツの18の誕生日に合わせてシャボンディに向かおう。)









sideルーズ


飛ばされた先はエニエス・ロビーだった。
邪魔をされ、その上飛んでる間に指輪まで落としちまった。


(あのくま野郎…絶対にぶっ殺してやる。いや、それよりも確かシュバルツとか言う奴…俺の女に手を出しやがって。何処のどいつか知らねぇが、絶対に見つけ出して消してやる。)


そう考えてながら廊下を歩いているとブルーノに合った。


「随分と妙な帰り方をしたようだな。」


「五月蠅い、どうでもいいだろうそんな事…ああ、くそ!あのくま野郎!!」


「七武海にちょっかいを出すようなことはするなよ。幾ら六式を使えても、あのレベルにはまだ勝てないだろう。」


「今は…だ。何れ七武海だろうと四皇だろうとぶっ殺してやるさ。」


「頼もしい事だ…それよりも次の任務だ、前にも言ったがウォーターセブンでアイスバーグと言う男から古代兵器の設計図を奪取する。」


「殺して盗ればいいんだよ、正義の味方の俺に逆らうんだからな。」


「お前のその自己中心的な性格は直した方がいい、任務に差し支える恐れがある。」


「五月蠅い、それよりも鍛錬するから付き合えよ、ぶっ殺したい奴が出来たんでな。」


「勝手に殺すな、指令にある人物だけ消してこそのプロだ。」


「そいつはとんでもない悪人なんだよ!!(俺の女を誑かしやがって、こんなに殺したい奴は俺が死ぬ原因になったあの飛びだし野郎以来だぜ!!)」


「そうか…。」


俺はまだ見ぬ邪魔者とくまを殺すために、より一層厳しい鍛錬に身を投じる事にした。









あとがき

すいません、自分で書いててこいつウザい、と思いました。
こいつの主観からしたら飛び出してきたことになってますが青信号で渡っていた人
を撥ねただけです。
こいつは書き始めた時から出す予定だったので今回出させもらいました。
今回馬鹿という単語を多用しましたがこれはこのルーズが馬鹿だと言いたいからです。
あと顔も自分では普通と言い張ってますが不細工なのを自覚してしっかりと顔半分を覆面で隠してます。
どんな顔かというとエニエス・ロビーの給仕のギャサリンを男にして三倍不細工にした感じです。
あとわかる人はわかると思いますが主人公とは前世からの因縁です。お互いにそれに気付く事はないでしょうが。
あとがきが長くなりましたね、今回はこの辺で失礼します。



[8408] 第二十三話
Name: 思いつきで投稿◆9abf2946 ID:d4d903c6
Date: 2009/06/14 21:10
ビビとの会合の数日後コーティングが終わりシャンクスも新世界へと旅立っていった。
あの日から2年が経ち俺はもう18歳になった。
前から決めていた事だが18歳に俺は旅立つ、それは師匠達にも言ってある事だ。









第二十三話









昨日は俺の出発祝いと誕生日祝いをしてくれた。
旅立つ朝、俺は師匠と最後の組み手をするために向き合っている。
毎日こうしていて慣れたのに、今日はいつもと違う事ばかりに目がいく。
初めてこうして向き合った時、俺はまだ背も低かったし、師匠も今よりもっと髪が黒かった、時間の経った事が伺える。


(今日で最後かと思うと感慨深いものだが……)


「どうした?何を馬鹿面さらしている、さっさとかかってこんか。」


「言われるまでもねえ!!」


(……ごちゃごちゃ考えるのは終わってからにするか!!)


俺と師匠はお互いに刀と剣を抜き打ち合いだした。


「ハァ!!」


気合を入れて俺が上から斬りおろすと師匠は剣でそれを受け止めながら斬りこんできたので俺も連撃の技で対抗する。


「武礼千萬」


下段、上段、突きなど様々な方向から斬り結びそのたびに辺りに甲高い鉄のぶつかる音が響いた。
お互いに振り被りひときわ甲高い音を立てて鍔迫り合いをする俺達。


「少しは出来るようになってきたな!!」


「そりゃ毎日やってりゃ嫌でも上達するさ!!」


お互いに軽口をたたきながら後ろに飛んで距離を取った。
いつもなら此処からは剃で回り込んで攻撃する所だが今日はあえて正面からの突破に拘った。
もう一度正面から突っ込んで来る俺に意外そうに師匠は言った。


「どうした、今日は背後に回らんのか?」


昔、勢いで言った言葉を俺は今現実にする気でいる。


「前に言ったでしょ、師匠を超えるって。」


一瞬驚いたような顔になった後師匠はニヤリと不敵な笑みを浮かべて言い放った。


「面白い、是非やってもらおうか。」


そう言った後はお互いに言葉を交わすことなくひたすら剣を交えた。
俺が刀を振れば師匠は剣で受け止め、師匠が剣を振れば俺はその斬撃をかわす。


(やっぱり師匠は凄い…おそらくスタミナだけならもう俺の方が上のハズなのに何時も俺の方が先にダウンするのは俺より圧倒的に無駄な動きが少ないからだ。これはおそらく経験値の差だな…俺の動きを読んでいる。)


これは俺の意地だが、今回は六式と悪魔の実の能力なしで戦いたかった。
そう思い俺はあえて刀一本で師匠に挑んだ。
俺の突きを横に体をずらして避け、そのまま俺に向かって斬りおろしをしてくる師匠。
俺はそれを刀で受け滑らす。
ガリガリと音をたてて刀の上を滑りながら剣が俺の横を過ぎて行く。


「上威下辰」


そのままの体勢から今度は俺が刀を振り下ろしたが、師匠は身をかがめてこれを避けた。
身を屈めた師匠が全身のバネをきかせて斬り上げてきたのを慌てて刀で受け止めるが、受け止めきれずに空中に撥ね上げられてしまった。


「クッ…!!」


刀を通して伝わる大きな衝撃に呻き声を漏らしながらも空中でバク宙をして体勢を立て直して着地した。


「どうした、私を超えるんじゃなかったのか?」


「言われなくても!!」


そう叫びながら俺はまだ少し痺れを残している腕にも拘わらずに駆けだした。
お互いの攻撃がより一層激しくなっていく。
傍から見ていると一進一退の攻防に入ったかのように見えるだろうがやはり少しずつ師匠が押してくる。
このままいけば何時ものように負けるだろう。
しかし……


(今日は勝つ!!絶対に!!)


そう心に決めて力いっぱい刀を振るった。


「躇突孟振!!」


「おおっ!!」


受け止めはしたもののガンッ!!と大きな音をたて剣をはじかれ師匠が後ろにのけぞった。


(ここだ!此処で決める!!)


一瞬で納刀し、抜刀の構えを取りながら全力で師匠の懐に飛び込んだ。
流石に師匠も体勢を立て直して身構えていたが、構わずに俺は突っ込んだ。


「伝皇刹華!!!」


気合と共に抜き放った俺の刀は師匠に向かって一直線に進んだが…


「フン!!」


師匠も腰にぶら下げていた杖を抜き放ち刀を持つ俺の手の甲を強打した。
カウンター気味になっていたせいか、師匠の一撃の方が早く決まり、その攻撃によって俺は刀をはじき飛ばされてしまった。
一瞬飛んでいく刀に目を向けたが次の瞬間目の前に突き付けられた杖の先があった。
暫くお互いに時間が止まったかのように動かなかったが


「残念だったな…今日も私の勝ちだ。」


師匠の言葉で時間が動き出した。


「クソ!勝てなかったか……。」


そう言って下を向く俺の頭を師匠の杖が直撃した。


「なにを言ってる、私は冥王と言われた男だぞ、まだまだお前如きが越えるには100年早いわ……しかし、まああれだけ出来ればそう簡単にはやられんだろ、六式や能力もあるしな。」


「でも……いたっ!!」


まだ落ち込んでる俺の頭を再度杖で叩かれた。


「別に何時までとは言っとらんだろう、これから海を周りもっと強くなってこい、私のようにな…私を超えるのはそれからだ。」


「師匠……わかった、俺はこの旅でもっと大きな男になってくる、だからまた何時か俺と勝負してくれ。」


「よかろう、期待して待っておるわ、では元気でな。」


そう言ってバーに入って行く師匠の背中に向けて俺は頭を下げながら言った。


「師匠、有難うございました!!俺に倒される日までお元気で!!!」


師匠は振りかえることなく軽く後ろ手で手を振ってバーの中に入って行った。




その後シャッキーやメイドさん達に見送られて俺とラジャはシャボンディ諸島から旅立った。




sideシャクヤク


「行ったわね。」


シュバルツの船が見えなくなった所でそう言った私の言葉にメイドの子達が反応した。


「そうですね。」


「でもシュバルツ様なら大丈夫ですよ。」


「はい、きっと大丈夫です、あの方は興味のある事に対しては並々ならぬ力を発揮されますし。」


「そうね。」


そうあの子は興味がある事とない事で差が激しい。
例えば航海術は凄い速さで覚えたけど、掃除は全く出来なかった。
修行は真面目にやるけど、それ以外は大抵だらけてる。
この子達に聞いたけどそれは昔かららしい。
まあ人間大抵はそうだけど、これだけ極端な子も珍しいでしょうね。


「さあ、戻りましょうか。」


そう言った時にメウちゃんが突然何かを見つけたようだ。


「あ、蛇が船を引いてる?」


その声に反応して振り向いた私の目に映ったのは大きな蛇が船を引いてこの港に向かってくる姿だった。
あれが噂に聞いていた船だとしたら


「あらあら、あの子も間が悪いわね。(今すぐ追いかけても、この広い海ですぐに見つけられるかしら?)」


どうやら、これからあの子達に残念なお知らせをしなければならないようだ。


sideシュバルツ


これから暫くはグランドラインを逆走しようと思う。
ここを目指す理由は二つ…

一つ、ルフィ達が辿った道筋を逆走して自分でも彼らが見たものを自分でも見てみたいからだ。
原作に登場した人達に実際に会いたいと言う理由もある。
これは別に急ぐ旅でもないしゆっくりとつもりだ。
しかしイーストブルーに行きたいとは思わない、グランドラインに比べて面白いものは少ないだろうからな。

二つ、久しぶりにハンコック達に会いに行こうかな……どうやってカームベルトを越えよう。
いやそれ以前に3人とも俺の事覚えてるかな…何か不安になってきた、9年も会ってないからな。
9年って言えば俺の人生が18年でその半分だろ…アマゾン・リリーに行ったら護国の戦士に殺されたりしてな。
いやまあ行き方とかどうなるかとか今考えても仕方がない、旅をしながら考える事にしよう。


(まずはウォーターセブンからだな。)


そう考え俺はログを辿り船を動かした。









補足説明

武礼千萬(ぶれいせんばん)………上段、下段、突き、様々な斬撃を連続で叩き込む技。

上威下辰(じょういかたつ)………上段から振り下ろす技。

躇突孟振(ちょとつもうしん)……相手の横を抜けながら全力で刀を振り切り捨てる技。

伝皇刹華(でんこうせっか)………抜刀術の技。









あとがき

さていよいよ旅立ちましたね。
剣技の技名は四文字熟語を当て字にしました。
めちゃくちゃ普通で特にすごい所はないですがまあそこら辺は適当に読み飛ばしてください。



[8408] 第二十四話
Name: 思いつきで投稿◆9abf2946 ID:d4d903c6
Date: 2009/06/15 23:59
俺はウォーターセブンを目指しシャボンディ諸島を出発して数日、俺は早くもグランドラインの難所の一つ”魔の三角地帯(フロリアン・トライアングル)”に突入していた。


(ここにブルックが居るんだよな。)


俺の目的は原作登場人物に会う事、だが敵側にまで一々会う気はない、ブルックには一応会いたいと思っているのでスリラーバークに行かないように捜している状態だ。
ブルックを捜して彷徨う事約一日半そろそろ諦めかけてきたその時あの歌が聞こえてきた。
しかし聞こえてきたのはあの歌ではない、何やら重い物を持ち上げるために鎖を巻いているような音だ。
警戒はしてみるものの霧が深くて前がよく見えずようやく状況確認ができた頃にはもう手遅れだった。
ガチャン!と大きな音と共に降ってきた歯の形をした門。


「え………えぇ~~~~~!!(やっちまった~~~!!)」









第二十四話









予想外の事が起こり混乱したが一瞬で落ち着きを取り戻した。
これは何が起こっているかがある程度わかっているからこその事で、行き成りこんな状況になれば未だにパニック状態だっただろう。


(さて、どうするかな?…このままあの歯みたいな門をぶち破って出て行くか。)


そう考えていざ実行しようとした途端、強い波が断続的に襲ってきてそれどころではなくなった。
スピード重視にしたためこういった強い波に流されやすいのが欠点のこの船で今舵から手を話す訳にはいかない。
仕方なく俺は波が落ち着くまで一度上陸する事にした。


「緊急事態だ、ラジャスクリューを回すから回し車を回してくれ。」


舵を取りながらスクリューを回したが上手く波に逆らえずに殆ど前に進まなかった。


(これは何時までやってても埒が明かないな、このまま無駄に体力使うのもあほらしいし。)


俺は抵抗するのをやめて波に船を任せた。
そのまま入り口のクモの巣まで流されると、今までの荒れようが嘘のようにピタリと波が止まった。


「もしかしなくても、俺…狙われてるよな?」


そんな事をつぶやきながら辺りを見回すと予想外の物を発見した。
それはブルックが乗っていたゴーストシップだった。
かつてのルンバー海賊団の船、これが此処にあると言う事はブルックが此処に居ると言う事になる。


(たしか5年前に影を取られたと言っていたが…此処に1年間も居たのか?いや大体5年と考えるとおおよそ数ヶ月ってとこか。)


なんにせよ此処にブルックがいると言うなら会っておく事にしよう、その為に捜しまわってこんな目に会ってるわけだしな。
戦闘準備を整えて上陸した俺は不気味な空気と肌寒さを感じながらも暫く辺りを散策する事にした。
ちなみに今回の装備は刀を腰にさし、斧になったラジャを背負い刀の反対の腰に塩を入れた小さな瓶をぶら下げている。


(さっさと抜け出したい所だが、此処に来てしまった以上あれを手に入れて帰るとするか。)


そう考え今度は島の中の方に向けて俺は歩き出した。




暫く歩いていると何やら獣のような声が聞こえてきた。
それは段々大きくなり近づいて来ているように思える。


(まさか……エロサロムか?)


刀に手を添えて音のする方に構えると、草むらをかき分けて犬が現れた。
しかしその犬は普通ではなかった。
なんと首が3つもあったんだ。


(そういえば、こんなのもいたな。)


低く唸りながらこちらに飛びかかれるように構えている三頭犬を見ていると、俺に構う事なくケルベロスは飛び掛かってきた。
もちろんこんな奴にやられるような鍛え方を俺はしていない、飛び掛かってきたケルベロスを軽く避け


「嵐脚」


嵐脚を放ち向かって左側の狐の首と胴体の一部を斬り飛ばした。


「グギャウッ!!」


悲鳴のような鳴き声をあげてのたうちまわったいるケルベロスを気にする事もなく俺は散策を続けるためさらに森の奥、ぶっちゃけ館を目指して足を進めた。
そしてある程度歩いた所で墓地に出た。


(此処からゾンビが出てくるんだよな。)


そう思いながらも歩みを止める事もなく俺はゾンビの待つ墓地に足を踏み入れた。
すると案の定地面から不気味な呻き声をあげながらゾンビ達が這い出てきた。


「アァ…アア!!」


「あ~~~…」


「グォーーッ!」


何も知らなきゃ驚くだろうが、ネタを知ってる者としては、明らかに俺をビビらせて楽しもうと寄ってくるゾンビ共に対してイライラして


「あぁ!…来るならさっさと来いや!!」


ついついキレ気味に叫んでしまった。
するとゾンビ達は


「アァ…アア!!」


「あ~~~…」


「グォーーッ!」


と同じように呻きながらゆっくりと……後退し始めた。


「待てやコラ!何逃げようとしてんだ!!」


思わず叫びながら後を追うとゾンビ達は


「ぎゃーーー!逃げろーーーーー!!」


「捕まったら殺されるぞ!」


「腐れヤベー!アイツ絶対に極道だ!」


短距離走の選手もびっくりのスピードで走りだした。
しかし


「ゼー…ゼー…」


「ハァ…ハァ…」


「ちょっとタンマ。」


数十メートルも走らないうちに力尽きて止まった。
苦しそうに呼吸を整えているゾンビ達に近づき、近くに居たゾンビに刀を突き付け


「だ・れ・が……極道だって?」


ニッコリと笑いながらフレンドリーに問いかけた。


「ひぃぃぃ!」


「スンませんでした!」


「許して下さい!」


「反省してます!」


「そうか…なら条件付きで許してやろう。」


「ほ、本当ですか!なんでもします!!」


「一つ、俺に真っ二つにされる。二つ、この塩を食べる。さあ、どっちだ?」


「そ、それってどの道死ねって事じゃないですか!!」


「あ、あんたさらりとそんな二択突き付けるなんて、この腐れ外道ー!!」


「…………」


「ギャー!」


俺は無言で腐れ外道呼ばわりしてきたゾンビを切り捨て、すっかりおびえ切ったゾンビ達に問いかけた。


「さあ…どっち?」




「「「「「「ぎゃーーーーーーー!!!!」」」」」」




その日一人の心やさしい冒険者の活躍で多くの人々に影が戻った。


「いい事をした後は気持ちがいいな。」


そう呟きながら屋敷に入ろうとしたが、屋敷の近くに何体かゾンビが倒れていた。
見た所影が抜けてるようだ。


(これは…俺以外に誰か侵入者がいるようだな、おそらくブルックだろう。)


そう思い俺は屋敷に入る事にした。


スポットライトがある井戸の近くの扉に行き声をかけてみた


「すいませーん、入りますよー。」


そう言った途端横にある井戸の滑車が勢いよく回り出した。
そして紐が巻かれ上がってきたのは使用人のシンドリーだった。


「いらっしゃい。」


その言葉と共に


「一枚、二枚、三枚、四枚、五枚。」


「おっと。」


次々と投げてくる皿をキャッチしていると扉の中から声が聞こえてきた。


「もういい!止めてやれ、こいつを入れてやれシンドリーちゃん。」


中から出てきたのはやはりホグバックだった。


「悪かったな、この女は昔、婚約していた大富豪の愛を確かめるためにそいつの宝物の十枚の皿を割ったら、婚約破棄され顔にハナクソまでつけて追い出された不幸な過去を持つ、皿嫌いの使用人シンドリーちゃんだ。」


「あ、そう。」


「おいおい、今の話聞いてそんなに薄い反応するやつ初めてだ。まあいい、それよりも俺はドクトル・ホグバック!!世にも名高き天才外科医だ!!フォスフォスフォス!!」


「ふ~ん。」


「おめェホントにあっさりしてるな!!こんなに薄いリアクションされたの初めてだ!!」


「六枚。」


「おっと。」


そう言いながら、また飛んできた皿をキャッチする俺。


「ちょ、シンドリーちゃん!もういいって言ってんだろうが!」


「七ま「ちょっと待て!!」」


ホグバックの言葉を無視してまだ投げようとしたシンドリーを静止して俺はホグバックを指差した。


「俺とそいつどっちの方が的っぽい?」


「…………。」


「え!?え!?何この空気!!?」


無言で見詰められ慌てるホグバックに向けてシンドリーは


「七枚、八枚、九枚、十枚!!」


そう言って皿を投げた。


「一枚、二枚、三枚、四枚、五枚、六枚!!」


それと一緒になって俺も持っていた皿をホグバックに向けて投げつけた。


「ちょ!お前まで!!いた!ちょ、痛いって!!何でお前ェまで一緒に投げてんだよ!!」


「あ、いや何と無く?」


「自分でも訳わからずに投げてんじゃねぇよ!!」


「ああ悪い、でも気にすんなよ、俺は気にしねえ!!」


親指を立てて元気よく言ってやった。


「少しは気にしろよ!!…まったく、まあいい俺よりも中に入っていいぞ。」


「どうぞ。」


そう言ってシンドリーが扉を開けてくれた。


「それじゃあお言葉に甘えて、お邪魔します。」


「おう、遠慮しねえで入れ。今お茶を…」


そこまで言っていたホグバックだが言い終わる前にシンドリーが扉を閉めてしまい一人外に取り残されてしまった。
仕方なく俺が扉を開けてやると表で一人呼びかけるように片手をあげて固まっているホグバックが居た。


「おい、何やってんださっさと入れよ。」


「え…あ、どうもすいません。」


そう言いながら申し訳なさそうに自分の屋敷に入ってきた。




入ってすぐの所にあるテーブルに腰かけホグバックが、俺は死者蘇生の研究をしているとかなんとか言っているのを適当に聞き流していると


「これでも飲めばいい。」


そう言ってシンドリーがコーンスープをお盆に入れて持ってきた。


(明らかに飲ます気ないだろ。)


「ちょ!シンドリーちゃん、そこまで勇敢なメニューは俺でも初めてだぞ!!」


「ごちゃごちゃ言わずに飲みなさい。」


そう言って俺とホグバックの前にスープを垂らして行った。


「せめてカップに入れればいいんじゃないのか?」


「そ、そうそうそれそれ!おめェいい事言うじゃねえか!!シンドリーちゃんカップに入れてきてくれ。」


「割る皿以外の食器はない。」


「そ、そうだったっけ!?悪いがこのまま飲んでくれ、大丈夫だこんな時のためにテーブルクロスは毎日3回取り替えてる。」


そう言ってホグバックは手本を見せるようにテーブルクロスにしみ込んだスープを無理やり絞るように飲みだした。


「いや、これ飲むのはもう無理だろう、濡れたテーブルクロスの上にコーンが落ちてるだけだし。」


「そ、そうか…まあ無理に飲めとは言わねェが。」


「それより、屋敷の中を見て回っていいか?」


「ああ、別に構わねェがどうかしたのか?」


「なに、ゾンビが出て来るなんて不思議な島にある屋敷だ、物珍しく思ってな、俺は冒険家をしているもんでついつい好奇心が疼くんだよ。」


「そうか、まあそれならいいぞ好きにしな。」


やけにあっさりと許可をしたのはおそらく絵や家具に扮したゾンビ達が居るからだろう。


「ありがとよ、それじゃあ適当に歩いてくる。」


そう言って俺は屋敷の中に居るかも知れないブルックを捜しだした。









あとがき

今回いきなりスリラーバークに入りましたが間違ってもモリアを倒したりはしません。
ゾンビのシンドリーがホグバックを攻撃したのはノリです。
あまり深く気にしないで下さい。
あとゾンビ相手にシュバルツが無茶苦茶してますが、これも適当にノリで読んでください。



[8408] 第二十五話
Name: 思いつきで投稿◆9abf2946 ID:d4d903c6
Date: 2009/07/04 00:30
うっかり迷い込んでしまったスリラーバーク。
しかし俺はめげずに探検を続けた所飛んでもない事に気が付いた。
そう、それは……ゾンビや透明人間、ゴーストまで出るなんて、此処はまるでゴーストアイランドのようだと言う事に!!
……え?皆、知ってたって!!?









第二十五話









ブルックを捜し屋敷を彷徨う事約1時間、何かもうこの屋敷の中にはいない気がしてきた。
仕方なく俺は近くにいる奴に聞いてみる事にした。


「おい、この屋敷の中にガイコツの剣士はいないのか?」


「え?お、俺のこと見破ってたのか!?」


行き成り声を掛けられて驚いた様子の絵画ゾンビにもう一度質問する。


「だから、この屋敷の中にガイコツの剣士はいないのか?って聞いてんだよ。」


「お、俺はそんな奴知らないな~。」


おそらく知っているのだろうが、しらばっくれる絵画のゾンビの横に刀を刺してもう一度聞いた。


「最後だ、この屋敷の中にガイコツの剣士はいないのか?」


「そ、そいつならもう屋敷の外に出て行った!!」


「そうか、ありがとよ。」


慌てて答えたゾンビにそう言って背を向けたとたんに無数のびっくりゾンビが俺に向かって飛び掛かってきた。
一々相手をするのも面倒なので、俺は近くの窓を割り外に飛び出した。




そのまま月歩で屋敷の外を飛んでいくと屋敷の前の方が光っていた。
何かと思い行ってみると


「屋敷を囲めェ~~♪レッツフェスタナイッッ♪」


ゾンビ達がミラーボールの下、ノリノリで踊っていたのでこっそり混ざる事にした。


「エッビッバァリ~フーワッフーワッゾンビナーイッ♪」


「ゾンビナイッ!!!」


「ラウンドandラウンandターンandダーイ♪」


「ゾンビナイッ!!!」


周りを見ながら、見よう見まねで踊っているとようやく一体のゾンビが俺の存在に気が付いた。


「おい!新しい獲物が紛れ込んでるぞ!!」


ゾンビ達が一斉にこちらに注目したが


「あ、どうぞお構いなく、続けて下さい。」


「「「「「「あ、こりゃすいません。」」」」」」


そう言って続けようとしたが、動きが止まり


「「「「「「って、そんな訳あるか!!!!」」」」」」


ツッコミを入れてきた。


「仕方ない、ではお前たちに二択をやろう……。」




「「「「「「ギャーーーーー!!!!」」」」」」




こうしてさらに多くの人達に影が戻った。
一仕事終えた所で向こうの方から剣と剣がぶつかる音が聞こえてきた。
急いで音の聞こえた方に向かうと、ついに目的の人物を見つけ出した。


sideブルック


最悪だ、本当に私の二度目の人生は最悪だ。
死した仲間たちの躯に囲まれ、ただ一人舵の利かない船に寂しく揺られ、今日か明日か日の変わり目もわからない海で数十年もただ波に揺られさ迷い続け、やっとのことで辿りついたこの島。
しかしここは恐ろしいゾンビ達の住むゴーストアイランド、私はゾンビに掴まり影を取られてしまった。
このもう盗る物も大してない体から影まで盗られてしまい、どうにか取り返そうとしたが、私お化けとかそう言った怖い物苦手なんですよね。
ある日私と同じように影を盗られた人が偶然差し込んだ日の光を浴び消滅するというガイコツなのに身の毛もよだつような光景を見てしまった。
この光景を見て、影を取り戻さねば私の目的は果たせない。
そう思い森に潜んで機会をうかがう事数ヶ月、偶然ゾンビの影が抜ける所を目撃し、弱点を知る事ができた。
魚と思っていたら実は塩だったりと、少々見当違いでしたが結果的に弱点を見つける事ができ、それから島中に彷徨うゾンビ達を次々浄化し、そしてようやく私の影が入ったゾンビを見つける事ができた。


(待ってて下さいラブーン、貴方はもう待っていてくれてないかもしれませんが、影を取り戻したら必ず貴方の元に戻ります!!)


そう決心して挑んだが、まるで私じゃないかのような強さ、太刀筋こそ同じだが根本的な身体能力に差がありすぎる。


「その邪魔そうなアフロ、切ってあげましょうか?」


「え…や…やめろ!!!アフロには手を出さないでください!!」


覚えていないのか!?


「…なぜわからない!!?……私の影なら…このアフロの大切さがなぜわからないんだ!!?……私の体の成長は止まっているからもう二度と伸びてはこないんですよ!!?」


「ヨホホホそれが何ですか?あなたに従っていた日の事など全て忘れました!!私は今モリア様アブサロム様を”主人”っとしているのですから……アフロを大切にするガイコツなどただ滑稽にしかうつらないのです!!!」


そう言いながら私のアフロに向かって突きの連打を繰り出して来た。


「うわァ!!!や…やめてくれっ!!!アフロだけはっ!!アフロだけはっ!!!」


必死で突きを防ぐが次第に防げなくなって行きついに目の部分に突きをくらってしまった。


「惨めな姿だ元ご主人。」


(強い…今の私では勝てない……なんとか、なんとかしてこのアフロだけは守らなければ!!)


「……すいません…参りまし「おい!!そこのゾンビ!ガイコツの代わりに俺が相手だ!!」…な!?なんですか!!?」


ガキッ!!


行き成り誰かの声が聞こえたと思ったら私の目から剣を抜いた私のゾンビと誰かが鍔迫り合いをしていた。



sideシュバルツ


あぶない所だった。
もう少し遅ければブルックと入れ違いになる所だった。
しかし…ついつい俺の悪い所が出てしまった。
ブルックが負けて逃走するのを見計らい声掛けるつもりだったんだが…俺も腐っても天竜人のようで、欲しいと思ったものに関しては周りに迷惑がかからない範囲なら少々強引に入手しようとする所がある。
今まで特に語る事は無かったが俺は武器の収拾が趣味の一つだ、海に出て冒険しながら見つけることがあれば是非集めようと思っていた。
特に気に入れば、刀や剣は名刀、業物、無名に拘わらず集め、その日の気分でもう一本持ち歩く刀を増やす時もある、もっとも二刀流はほとんど出来ないのだが。
ようするに俺はリューマの持つ刀に釣られ、飛び出してきてしまった。
こうなったらもうやる事は一つ


「おい、ゾンビ俺と勝負しろ、そして俺が勝ったらその刀俺によこせ。」


「ヨホホホ、行き成り斬りかかってきたと思えば、これまた行き成りですね。いいでしょうもし私に勝つ事が出来たならこの刀”秋水”を差し上げましょう。しかし私が勝ったら貴方の影を頂きますよ!」


「やってみろよ!!」


「酒樽舞曲(ポルカ)・ルミーズ!!」


「紙絵」


連続で放たれる突きをヒラヒラとかわしながら懐に潜り込み


「下威上辰!」


下から斬り上げたが体を反らした交わされた。


「おいおい、避けんなよ。」


「ヨホホホ、御冗談を!」


そう言いながら斬り合いをするが


(強い、いや重い!)


筋力が向こうの方がやや上で斬り合うたびに俺の腕に負担が掛る。


(長引けば長引くほど不利だな、獣化すれば筋力でも勝てるだろうが…コイツ相手に獣化すると負ける気がする。)


明らかに気のせいだが、そんな気がするので俺はあえて獣人型にならずに戦った。
しかし、長引けば不利になって行くので俺は出来るだけ早く決着を付ける事にした。
最も普通に時間をかけても勝てるだろうが、ネガティブなゴーストに会いたくないのでな。


(仕方ない…少々厳しいがあえて受けるか。)


「夜明歌(オーバード)・クー・ドロア !」


「迷狂死彗!」


お互いに勢いをつけて刀を振り斬撃を飛ばした。
斬撃同士がぶつかった事で衝撃波が起き、墓石等を吹き飛ばし周囲が荒れて行く。
粉塵が舞い上がったせいで、悪くなった視界にゆっくりと歩く様に向かってくる影があった。


「鼻唄三丁矢筈斬り!!」


「鉄塊”剛”!!」


得意の早斬りを繰り出して来たので間一髪鉄塊でガードした。
そのまま振り向きざまに追撃をかまし


「なっ!?」


驚くリューマの刀を持つ右腕を斬り落とした。


「何故っ!?確かに斬ったはず!!?」


「さあな、何故でしょう?」


驚くリューマに軽口を叩く様に返してはいるが、内心は冷や汗ものだった。
かなりギリギリで鉄塊を使ったため、もう少しで本当に斬られる所だった。


(最初から一撃くらうふりをして隙をつくつもりだったから間に合ったが、そうじゃなかったら斬られてた。)


「しかし利き腕を斬り落とされたからには俺の勝ちだろ。」


「ええ、そですね。左でも戦う事は出来るでしょうが貴方に勝つことはおそらく不可能でしょう、私の負けです。」


俺は未だ地面に刺さった刀についているリューマの手を外して投げ渡した。
そして地面に刺さっている秋水を抜き


「それじゃあこの刀は貰って行く「ドカァン!!」!グッ……!!」


行き成りの爆発に襲われ俺は刀を持ったまま十数メートルにわたって吹き飛ばされ、何本も木を突き破った後、ひときわ太い木にぶつかって止まった。


「なっ!?一体何が!!?」


驚くブルックが原因を探して辺りを見回すが何も見つからないようだ。


「クソ…これはっ!!」


「おいおい、折角伝説の侍に影を入れたのにやられちまったじゃねぇか!!」


「な、何者ですか!!?」


声のした方に視線を向けるがなにも居ない。
そう思った時空間に何かが現れた。


「何者、だって?おいらの名はアブサロムこの墓場を支配する男だ!」


「な、何ですかあの顔は!?まるでライオン…いやそれよりも今何もない所から現れた!!?」


「新しい侵入者が来たって言うから見に来たら、てめぇ俺の部下達を次々と浄化しやがって!…しかしお前ほどの使い手ならいい将軍(ジェネラル)ゾンビになるな。影を寄こせ!!」


(刀を手に入れて隙ができた時を狙っわれたか…これは暫くまともに戦えないな。)


何とか起き上がり刀を構えるが暫くまともな戦闘は無理そうだ。


「無理すんな、モロ直撃だったんだ動ける訳がねぇ…大人しくしてな、こっちもお前に死なれると困るんだよ。」


そう言って片手をあげてバズーカを構えながらこちらに近づいてくる。
そのアブサロムに向かい駆けだした奴がいた。


「ヨホーーー!!!」


ブルックだ。


「何!?」


意表を突かれたアブサロムはブルックの繰り出した突きを何とかかわしたが


ズバッ!!


かわした時に俺に背中を向けたため、後ろから飛び掛かった俺に背中を斬られた。


「やらっぱなしでいるかよ!!」


しかし飛び込むように斬りかかったためにそのままの勢いで俺は倒れた。


「この!てめぇよくも!!」


地面に倒れたままの俺に向かってバズーカを構えるアブサロム。


「させません!!」


再度アブサロムに斬りかかるブルック。
そのまま連続突きでアブサロムを攻撃しながら俺に向かって叫んだ


「逃げますよ!走れますか!?」


「すまない、俺は走れないが大丈夫だ。ラジャ!」


リューマに飛び掛かる時に下しておいた斧状態のラジャが虎型になり俺の元に駆けだして来た。
俺が吹き飛ばされた時もアブサロムに飛びかかろうとしたが、逃げるの隙を窺うために止めておいたのだ。
なんと俺とラジャはアイコンタクトで意思疎通ができるのだ、まあある程度何と無くだが。
だってラジャ喋れないもんね。
しかし俺…どうやって斧とアイコンタクトしたんだ?
やっぱりノリかな。
走り去るラジャの背中で船を目指しながらそんなくだらない事を考えていると。


「ヨホホホ、どうも御無事で何よりです。」


「あんたは?」


追いついて来たブルックに知っているが一応名前を聞いた。


「これは申し遅れました、私”死んで骨だけ”ブルックです!!どうぞよろしく!!先ほどは危ないところを助けていただき有難うございました。」


「気にするなお互い様だ。俺はシュバルツこいつはラジャだ。」


「ガウ。」


俺の紹介に合わせるように軽く鳴くラジャ、まるで、よう!とでも言っているようだ。


「どうもこれはご丁寧に、シュバルツさんとラジャさんですか…って!?と、虎!!?」


「気づいてなかったのかよ、並走までしておいて…まあ気にすんな噛みつきゃしないよ。それよりいいのか?影を取り戻さなくても。」


「仕方がないでしょう、どの道あのままだと取り戻せなかったでしょうし、恩人の貴方を見捨てて行くなど男として出来ません。」


「(男として、か……やべえ、このガイコツ素でカッコいい、俺もいつか使ってみよう。)どうする、俺はこのまま島を出るつもりだが。」


「そうですね、私も一度出るとしましょう、このままではどの道影を取り戻せないでしょうし。」


「そうか、それじゃあ島を出るまで協力するか。」


「それは心強い、是非お願いします!」


こうして俺達は協力してスリラーバークを脱出する事にした。









補足説明

下威上辰(かいじょうたつ)………下段から振り上げる技。

迷狂死彗(めいきょうしすい)……斬撃を飛ばす技。









あとがき

えーと、まず一言
ゾロ、ごめん!君の刀は頂いた!!
さてとなんかアブサロムに一撃入れられましたね…まあまだまだ未熟というこで。
それよりもどうしよう…ハンコックとの再会は近いうちに書こうと思うのだが、もうこうなったらシュバルツには墓場に入ってもらおうかな…人生の。
以上、こんなあとがきでごめん!!
ではまた次回!!



[8408] 第二十六話
Name: 思いつきで投稿◆9abf2946 ID:d4d903c6
Date: 2009/06/20 16:07
脱出のためにブルックと協力する事になり、俺達は船を目指して森を翔けているが、先ほどまでは出てこなかった動物(ワイルド)ゾンビが出てきて襲いかかってきた。
しかし走ってる間にある程度回復したために大したことなく切り抜けれた。
だが途中で本当の敵であるあのホロホロ軍団が俺達を襲ってきやがった。
俺は慌てて刀の峰ではたき落したが、ブルックがくらってしまい仕方なく俺が担いで走る事になった。
いや本当に刀に海楼石を仕込んでいてよかった、まさか自然系対策のつもりがこんな所で役に立つとは。
てかブルック


「私、今度生まれ変わったら肉を付けたい。」


お前…まだ復活する気かい!
そして結構切実だね。
まあそんなこんなで船まで辿りつき、門をこじ開けて脱出に成功した俺達は今現在また霧深い海を漂っている。









第二十六話









「何はともあれ脱出成功ってとこか。」


俺はそう言いながら船の甲板に座り込んだ。


「そうですね、最も私は何時かまたあの島に影を取り戻しに行くつもりですが。」


「そうか、すまないな俺を助けたために影を取り戻すチャンスを……。」


「いえ、どの道あのままでは負けてましたしお気になさらずに…それよりもこれを。」


そう言ってブルックが差し出したのは秋水の鞘だった。


「何でこれが?」


「私が逃げる時に私のゾンビが貴方に渡すようにと渡してきたのです。」


「そうか…まあ、このまま抜き身で持ってるわけにもいかないし有り難く貰うとするか。」


そう言って俺は抜き身のまま持っていた秋水を鞘に納めた。


「しかしどうやってあの斬撃を?私にも斬られたように見えたのですが。」


俺が斬られたのに平気そうにしているのが気になったのかブルックが聞いて来た。


「ああ、あれは当たったけどな、俺は自分の体を鉄の高度にすることが出来る特殊な体技を習得してるんだ。だから当たったけど斬れてないのさ。」


「そうだったんですか…それで逆にあの剣技は斬れてても普通とは違い相手の反応がすぐには現れないから私のゾンビは斬れてない事に気がつかなかったんだ。」


「それが隙になってあっさりと反撃を許したんだろうな。(まあ普通にやってももう少し時間をかければ勝てただろうがな。)」


納得した様子のブルックに今度は俺の疑問を尋ねた。


「また影を取り戻しに行くって言ってたが、あてはあるのか?」


「ありません。私の船は舵が壊れて居るのでただ漂う事しかできませんし。」


「そうか、悪いが俺の船に舵を直す部品は無いな。」


「ヨホホホ、お気持ちだけで結構です、それに今すぐ戻ったところでまた負けてしまうのが落ちです。」


本当なら辛いはずなのに。
わざと明るく言うブルックに何も言わずに話題を変える事にした。


「しかし、凄いなガイコツが動くなんて…能力者か?」


「これは鋭い、その通り私は”ヨミヨミの実”を食べた復活人間なのです。しかし貴方話私を見ても全然驚きませんね。」


「ああ、俺は冒険者だしな…一々不思議に出会うたびに驚いてたら身が持たん。(本当はただ知ってたからだが)それよりも飯でも食うか?」


「ほ、本当ですか!!?いやー、私何年もまともな食事をしていないので楽しみです!!」


「(コイツ…普通は見た目にかまけてそれどころじゃないんだろうが、事情を知ってる者か見れば一々不憫でならない。)それじゃあ準備するか、最も大したものは出来ないがな。」


そう言って俺は食事を作りだした。
その際にやたらうるさかったがあえて何も言わなかった。




適当に雑談しながら食事を終えた俺達はお茶を飲みながら食後の一服をしている。


「ご馳走様でした、私こんなに美味しい食事は久しぶりで、もうお腹がいっぱいです。あ、私お腹無いんですけど。」


「お粗末さま…てか顔ふけ、汚れすぎだ。」


そう言って俺はナプキンを渡して顔を拭かせた。


「あ、すいません。しかし貴方は本当に何も聞きませんね。普通こんなのがいたら私なら質問攻めにしますよ。」


「俺は好奇心が強い方だが、他人の言いたくない事まで詮索する気はない、まあお前が話せる範囲なら聞くがな。それに現代人の直感を舐めんなよ、最近の若者の想像力にかかればお前の過去などお見通しさ。」


「ヨホホまさか、いくら想像力豊かでも私の過去はそう簡単には当てれませんよ。」


そう言ってくるブルックに俺はチョットした悪戯心が芽生えた。


「いやそんな事はないぞ、おそらくお前はかつて海賊だった、そしてこの魔の海域でお前の海賊団は他の海賊団と戦闘、そして全滅。しかしお前だけ”ヨミヨミの実”の力で復活、お前の魂は天から舞い戻った。だがこの深い霧で体をすぐには見つけられずに見付けた時には既に白骨化していたってところだろう?」


俺がそう語るとブルックには相当驚いた様子で


「す、凄い!!当たってます!それで、その後も読めてるんですか!!?」



「続く。」


「ええ!?何で続くんですか!!?」


「知らないのか?最近はこう言った話は途中で話しを分けて二部構成にするのが流行りなんだぜ。(もちろん嘘です。)」


「そうなんですか!?知らなかった、およそ45年外の世界では色々な流行が出来ているんですね、教えていただき有難うございます。でもよろしければ続きを聞きたいな…なんて思ったり。」


「仕方ないな~、じゃあ俺の推理の続きを披露しよう。お前は舵の聞かない船に一人揺られ続けて約45年骨だけにコツコツ生きて、やっとのことであのスリラーバーグに辿りついた、そして何としてもこの海域を抜けたかったお前は舵を直す部品を探して島を彷徨った。しかし出てくるのはゾンビばかり、やがて捕まり影を盗られた、その後捨てられたが運よく戻れる地点で気が付いたお前はまたスリラーバークに戻って影を取り戻そうと奮闘すること数ヶ月、数多のゾンビを浄化し続けようやく自分の影の入ったゾンビを見つけて戦いを挑むも敗北した。そこの俺が飛び込んできたってとこか?」


「凄い!凄すぎる!!まさにその通りです!!いやー、最近の若者は凄い想像力をお持ちだ!!!」


驚きながらも褒めてくるブルックを落ち着かせ話を続けた。


「悪いが俺は旅を続けるんで、これ以上は何もできない、せめて食料だけでも分けよう。」


「いえ、お気持ちだけで結構です。」


「いいから持って行け、どうせ次の島で補充する気だからな。」


断ってくるブルックに無理やり予備として多めに積んでいた食料を渡した。
その後にせめてものお礼として歌と演奏を披露してくれた。


「何から何までお世話になりまして、何とお礼を言っていいやら…。」


「気にするな、困った時はお互い様だ。お前が影を取り戻す事を祈ってるよ。」


「はい!有難うございました!それではシュバルツさん、ラジャさんもお気を付けて!旅のご無事を祈ります!!」


そしてブルックは自分の船に戻り別れた。




中々初っ端から大変だったけど、秋水を手に入れたりブルックとあったりまだ次の島にもつかないのに面白い事が沢山あった。
次に待っている出会いに思いをは馳せながら、俺はログを辿りウォーターセブンを目指した。









あとがき

久々の更新なのにこんなに短くなって事を…本当にすまなく思う。
中身もあってないような物だし、まあなにはともあれ次は水の都ですね。
あ~なんか無性に空島編が書きたくて仕方がない。
でもそうすると原作を大きく捻じ曲げてしまう気がする。
何とかあまり影響を与えないように空島編を描けないかな?とか思ってます。
あと、ハンコックとの結婚の話を書いちゃった。
でも書いたところから続くかわからないので現在保留中。
近状報告をするとこんなところでしょうか、ではまた次回をよろしく!!



[8408] 第二十七話
Name: 思いつきで投稿◆9abf2946 ID:d4d903c6
Date: 2009/06/26 00:16
魔の三角地帯を抜けてウォーターセブンを目指している俺は只今飛行中である。
何故と問われれば少しばかり時間を戻す必要がある。




遡る事3時間前
思わず寝てしまいそうに穏やかな海、のんびりと舵を取りながらログを辿っていた俺はいきなり襲ってきた衝撃に眠気が吹っ飛んだ。
急いで船を揺らした元を探ると頭にコブを作った大きなカエルがクロールで逃げて行った。


「あいつがぶつかったのか…穴が空いてる!?」


どうもぶつかった時に側面の一部が割れてしまったようだ。
いくら軽量化したからってこんなに簡単に穴が空いてたらこの先やってけないよな…ベニヤ板かよ。
丁度いい機会だ修理ついでに改装でもしてもらおうかな。
とりあえずこのままでは不味いので簡単に塞いで俺が獣化して引っ張る事にした。




以上が現在のこの状況だ。
しかし飛んでいるためにログが見えない。
手でエターナルポースを持つと壊してしまうし、船に乗せてると小さくて見えないのだ。
大体の感覚で飛んでいると海列車が走って行くのが見えた。


(やったこれを辿って行けば島に着く。)


そう思い俺は海に浮かぶ線路を辿って行った。









第二十七話









線路を辿って行くうちに駅が見えてきた。


(もしやあれはシフトステーション!?ってことは俺一度ウォーターセブン過ぎたのか?)


どうも俺の勘は大外れだったようで目的地を通り過ぎていたようだ。
船を引っ張って飛ぶことおよそ3時間半疲れてきた俺はステーションで休ませてもらう事にした。


「すいませーん!ちょっと休ませてもらいますよ!」


船が流されないようにしてから、一応中に向かって叫び外にあるベンチに座った。
座って間もなく中の方からどたどたと騒がしい足音と子供の声が聞こえてきた。


「ばーちゃんばーちゃんホントだって!ホントにドラゴンが飛んでたんだって!!」


「ニャー!!」


「んががが!!ドラゴンらんて伝説の生き物らよ、こんなとこに居る訳らいさ。」


どうも俺が飛んでるのを見て、慌てて婆さんを連れて飛び出してきたようだ。
飛びだしチムニーを見るとやはり原作より大分小さい。
俺に気がついたようで俺に訪ねてきた。


「あ、ねえねえ兄ちゃんさっきドラゴンが飛んでるの見なかった!?」


「いや…俺は飛んでる姿を見てないが。」


嘘ではない、俺が飛んでる姿を自分で見た訳ではないからな。


「だから言ったらろ?ドラゴンなんているわけらいって。おめェら酔っ払ってんじゃらいかい?ウィ~~~~ッ!!」


「いや、酔っ払ってんのはあんただろ。」


思わず酔っ払いの戯言に突っ込んでしまい、ようやく婆さんは俺の存在に気が付いたようだ。


「何らいおめェ…客かい?」


「いや、船乗りだ…冒険家をやっている。勝手に休ませてもらってすまないな。」


「んがが!!そりゃ構わねぇがこんな所で止まるなんて珍しいね、此処から少し行けば島があるのに。」


「船に穴が空いてな、そいつと格闘しながら船を進めてやっと此処を見つけたもんで、一息つきたくなってな。」


「そりゃ大変らったね。此処から北に進んで行くとウォーターセブンって言う世界一の船大工の溜まり場があるら、そこに行って直してもらったらどうら?」


「ええ、元々そこへ行くつもりだったんで、そのつもりです。」


「そうかい、じゃあこれも何かの縁ら、紹介状れも書いてやろうかい?」


「紹介状?いいんですか?」


「ああ、丁度知り合いのアイスバーグって奴が新しい造船会社を立ち上げたとこら。腕は確からよ、元々船大工をしてたやつらを纏め上げて作った会社らからね。」


恐らく紹介状は宣伝代わりだろう。


「それじゃあお願いしてもいいですか?」


「まさせら、今……チムニー!ゴンベ!そんなとこに登るんじゃらいよ!危ねェだろ!!」


叫んだ婆さんにつられて上を見上げると2人が向こう側のホームに行くための橋の手すりに登っていた。
どうらやまだ探していたようだ。
婆さんが声と掛けたとたんお約束のように2人は海の向かって落っこちた。


「チムニー!ゴンベ!」


叫ぶ婆さんをほったらかして俺は仕方なく2人を助けるために駆けだした。
ホームから飛び出して人獣化して2人を受け止めた。


「ええ!?兄ちゃんが変身した!!?すごーーーーい!!!!」


「ニャーーーー!!!!」


そのまま空中を飛ぶ俺の腕の中で2人は落ちた事も全く気にせずにはしゃぎ回っていた。


「コラ!おめェ達危ない事すんじゃねェ!!」


ホームに着地した俺の方に慌てて駆け寄ってきた婆さんが俺の腕の中に居る2人に説教するが全く聞かないで


「兄ちゃんもっかい飛んで!」


「ニャー!」


もう一度飛んでほしいとねだってくる。
どうするか困って婆さんを見ると


「悪いが面倒みてやってくれらいか?その間に紹介状をかいてやるよ。」


諦めたように頼んで来た。


「仕方ない、行くぞ2人とも。」


「チムニーだよ!こっちはゴンベ、それであっちがココロバーちゃん!!」


「ニャー!」


「そうか俺はシュバルツだ。」


そう言って俺は獣型になり背中に2人をの出て飛び出した。




はしゃぎ回る2人を落とさないように気を付けながら飛んでステーションに戻ると婆さんに紹介状もらいステーションを後にした。


「気付けて行きらよ。んががが!!」


「じゃーねー!!シュバルツの兄ちゃん!!」


「ニャー!!」


3人に見送られ俺はまた船を引きずってウォーターセブンを目指した。









飛ぶ事2時間やっとの事でウォーターセブンにたどり着いた。
俺は海賊ではないため堂々と正面に船を止めてヤガラブルを借りて俺は造船所を目指していた。




造船所に辿り着いた俺は早速修理と改装を頼もうとしたところで何やら騒がしい声が聞こえてきた。


「だから言えばわかるってんだろが!!」


「社長は御会いしないとのことですので、お引き取り下さい。」


言い合いをしているのはフランキーとCP9のカリファだった。


(いきなりあのシーンかよ。)


カクとルッチに両側から抑えられ放り出されるフランキーを見ながら原作キャラが動いているのに少し感動してしまった。


(ハンコック達は登場回数とか少なかったし、ブルックの時はのんびりと見ている状況ではなかったためにそんなに感動などなかったな。)


そんな事を考えながらボケっと突っ立っていると何時の間にやら此方に来ていたカクとカリファに声をかけられた。


「おぬし、そんなところで何ボーっとしとるんじゃ?」


「わが社に何か御用ですか?」


「え?あ、すいません見たこともない規模の造船所だったもので思わず立ちすくんじゃって…今日は船の修理と改装を頼みに来たのですが…あ、それとコレを此処の社長さんに見せると良いって言われたのですが。」


そう取り繕って、紹介状をカリファに渡した。


「シフトステーションのココロさんからの紹介状ですね。わかりました、では此方へ…カク、船の様子を見てきて頂戴。」


「わかった。船はどこじゃ?」


「ああ、正面の港に停めてある小型で船の後ろにスクリューが付いてる奴だ。」


「スクリュー?何じゃそれは?」


「回転させる事で前に進めるようにする道具さ。」


「それは面白そうじゃ、是非見て来よう。」


そう言ってカクが俺の船の様子を見に行ったので待ち時間の間本社の中で待たせてもらう事になった。




「どうぞ、コーヒーです。」


「どうも。」


カリファに出されたコーヒーを飲んでいると扉を開けて誰かが入って来た。


「カリファ俺にもコーヒーを一杯くれ。」


「既に此方にご用意してあります。」


「ンマー!!流石だなカリファ。」


「恐れ入ります。」


「それはそうとそいつは…見ねえ顔だな、客か?」


「はい、ココロさんの紹介で…船の修理と改装を。」


そう話しているとカクが戻ってきた、パウリーを連れて。


「今戻った。」


「あ、俺の船どうでした?」


「ああ、あの穴は塞がないとダメじゃな。普通の海でもあれで航海するのは難しいじゃろ、ましてやこのグランドラインではあの穴でも致命傷になりかねん。しかし修復自体は別に大した時間はかからんじゃろう、4、5日で直せると思うぞ。」


「よかった、助かります。」


そう言ってるとパウリーが割り込んで来た。


「コイツの船か?面白い物が付いてたってのは。」


「面白い物?」


パウリーの言葉を聞いたアイスバーグさんが聞いて来た。


「ああ、俺は直接見てないんですが、カクから聞いた話だと…ってカリファ!!てめェまたそんなハレンチな服着やがって!!」


行き成り騒ぎ出したパウリーに驚いたが、そう言えばこんな奴だったな…と思いだしていた俺の横で


「で?面白い物ってのは何なんだ?」


何時もの事なんだろう、アイスバーグさんは騒ぐパウリーを軽くスルーしてカクに同じ質問をしていた。


「ああ、コイツの船にスクリューと言う船を加速させる装置がついとったんじゃ、造りは単純じゃが効率は良さそうじゃった。最も人力で常に漕いでるのは無理じゃろうがな。」


「そうか…船ってことはログを辿って此処まで来たのか?」


「いえ、俺はシャボンディ諸島から逆走して来たんですよ。」


「逆走?そりゃまた何でそんな事を?」


「ちょっと目的があって。」


「そうか、まあ何をしようとお前さんの勝手だ…しかしシャボンディから此処まででもう船を壊したのか?」


「此処の近くまで来た時にクロールする大きなカエルにぶつかられて。」


「大きなカエル?ンマー!!そりゃヨコヅナだな。そうかそりゃ悪かったなそいつは俺の知り合いでな、修理費はサービスしてやるよ。」


「本当ですか!?」


「ああ、カリファコイツの船の修理費を…。」


「こんなもので如何でしょう?」


そう言って既に計算された金額を提示して来た。
正直元がどれくらい掛かるのかわからなかったので困っているとカクが助け舟を出してくれた。


「大体修理費が半額位じゃな。改装は何をしてほしいんじゃ?」


「船の強度をもっと上げたいんだそして出来るだけ軽くしたい、あとスクリューをもっと軽く漕げて沢山進むようにしたいんだ。」


中々に無茶な注文だと自分でも思った。
しかし意外な事に


「ンマー!!これは面白そうな注文だ、今特に大口の依頼は無い事だしお前らでやってやれ。あと、ルルとタイルストンとルッチも連れていけ、俺も後で顔を出す。」


「「はい。」」


そういってカクとパウリーは行ってしまった。
これは、そうそうたる顔触れだな。


「いいんですか?そんなに人を割いても。」


「いいんだ、今は特に忙しくないしな、それにパウリーは職人として俺が育てたんだが、まだまだ一人前と呼べるようになったばかりでな。後、ルルってのは鍛冶などを担当してて船の補強には必要だろう、他の奴らも木びきや何やらで結局誰かが行かなきゃなんねえからな、これからいろんな経験を積ませてやりたいところなんだ。」


「まあ、其方さえよければ俺は一向に構わないんですけどね。ゆっくりした旅ですし時間は幾らでもありますから。」


「おーい!船まで行くぞ、お主も来い。どう改装するか細かく話し合わんとな。」


そう言って呼んできたカクの所に行くと未来の一番ドック職長達が居た。
5人と話しながら船まで行き船の改装の打ち合わせをしているうちに結構仲良くなった。
特にカクと何故かタイルストンと。
タイルストンはやたら五月蠅いが豪快で何故か気が合った。
改装の打ち合わせも終わり船をカク達に任せ、俺はこの町で会っておきたい男に会いに行く事にした。









あとがき

板変更させてもらいました。
今回はあまり実のない話しですね。
まあそれは今後に繋げるための布石ってことで。



[8408] 第二十八話
Name: 思いつきで投稿◆9abf2946 ID:d4d903c6
Date: 2009/07/04 00:29
船をガレーラに預けて彷徨う事3時間。
気分はもう変態求めて三千里だ……俺一時間で千里も走れないけど。
そうして裏町を散策していると


「おい!そこのにいちゃん、おこずかいよこせよ!!」


振りかえってみると小学一年生位の子供が2人居た。









第二十八話









「こっちです。」


頭にでっかいたんこぶを造った2人の子供に案内されながら歩いていると近くの路地から不快な音が聞こえてきた。


「おえ…う……おぇ~~~……。」


明らかに酔っ払いが吐いている音だ。
別に見たくもなかったが偶然にも視界にその音の元が入ってきた。
はっきり言って近づきたくない。
そう思っていると子供達が聞いても居ないのに説明して来た。


「あれはルーズって言うチンピラですよ。」


「そうそう、一年位前からこの裏町に住んでるんです。何時も酒を飲んでるか喧嘩してるんです。」


「そのうえメチャクチャ喧嘩が強くてもうここら辺では誰も近づこうとしません。」


「そうか。」


どうも只のチンピラらしい…むしろ浮浪者になりかけてる気もするがな。
どの道そんな奴に興味はなく適当に聞き流していると、どうもこっちに気がついた様だ。


「何だてめぇ…ジロジロ見てんじゃねぇよ。」


そいつはやられ役みたいなありきたりなセリフを言いながら睨んできた。


「いや別に…あんたに用事なんかないよ。」


「だったら失せろ…こっちは飲み過ぎて気持ち悪いんだよ。」


「はいはい…悪かったな、好きなだけ吐いてろよ。」


「何だとてめぇ…ぶっ殺す…う、おぇ~~~…。」


何やら俺の態度が気に入らず突っかかってこようとしたみたいだがまた吐きだしたので無視して立ち去る事にした。


sideルーズ


「何だとてめぇ…ぶっ殺す…う、おぇ~~~…。」


俺に向かって生意気な態度をとる奴をぶっ殺してやろうとしたが、また吐き気が襲ってきて吐いてる隙に何処かに逃げやがった。


「くそ…今度会ったらあのスカした面泣き顔に変えてやる。」


任務で此処に来て一年…猫と鼻とカリファはガレーラ潜入、ブルーノは酒場の店主に扮して情報収集。
そして俺はこの危険な裏町でいざ言う時に待機だ。
船大工なんか性に合わないし酒は飲むもので飲ませるものじゃない。
秘密兵器である俺をこの裏町で待機させると言うカリファの策は中々のもんだ。
普段から俺が話しかける度に


「セクハラです。」


と言っているが必死に自分の気持ちを抑えているが俺は気付いている、カリファの気持ちに。
カリファも悪くは無いが俺にはもう決まった女がいるので気持ちに答える事は出来ない。
そう言った時に無言で足早に立ち去った時の背中は寂しそうだった。
それは置いておくとして、この裏町での俺の生活はいたって単純。
日々厳しい鍛錬をして、疲れた体を癒す為にブルーノの酒場で酒を飲む。
時にガラの悪いチンピラを懲らしめて少しばかり生活費を貰う事にしている。
しかし一昨日、俺の元に舞い込んだ情報を聞き急いで港に走った。
何とハンコックが俺に会いに此処まで来てしまったのだ。
港に着いた時に俺の目に映ったのは出港してこの島を去る九蛇海賊団の船だった。
それでいい…今の俺は正義のために任務に挑む身、今会えば別れが辛くなる。
あと数年待ってくれ、必ず迎えに行くぞ。
そう心に決め俺はそれから一日酒を嗜みながら2人の未来に思いを馳せた。
少々飲み過ぎた様で今はこの有り様だがな。
その為にはまだ見ぬ邪魔者を排除しなければならない、急に思いだした存在への苛立ちを消すために軽く飲みなおして寝る事にしよう。


sideシュバルツ


見るだけで不快になるような酔っ払いを無視して俺はフランキーを探して続けた。
そして俺は2人の案内でフランキーが入って行った所に連れて行ってもらった。


「此処でいいのか?」


「はい!此処に入って行くのを見ました。」


「確かに海パンの変態です。」


そう言って2人は酒場を指した。


「有難う、もう帰っていいぞ。」


「「はい、すいませんでした!」」


子供達に礼を言いながら小さな酒場に入った。




中に入り見回してみたが此処はブルーノが潜入の為に営んでいる酒場ではないようだ。
適当に歩きながらフランキーを探すとカウンターでちびちびとコーラを飲んでるフランキーを見つけた。
フランキーらしからぬほど落ち込んでる…と言うか考え込んでいると言ったところか。
仕方なく隣に座って話しかけてみた。


「如何したんだヤンキーさん、元気ないじゃないか。」


「あん!?何だ兄ちゃんどう飲もうと俺の勝手だろ!!」


元気のないフランキーじゃ面白くないので元気を出させてやる事にした。


「まあいいけどね…隣で飲んでる奴がしみったれてると鬱陶しいんだよ。」


「アウ!!聞き捨てならねえな!!」


ヤバい、失敗した。
間違って喧嘩を売るような事を言ってしまった。
もう少し言葉を選べばよかった。


「なら聞かなければいい。」


「テメェが言って来たんだろうが!ふざけやがって、表へ出ろ!!」


余程虫の居所が悪かったのだろうか喧嘩を売られた、いや俺が売ったのか?


「……いいだろう。」


そう言って俺達は店の外に出て行った。
挑発しすぎたか?別にそんなつもりは無かったんだが…まあいい、なるようになるだろう。




「いい度胸だが兄ちゃん、俺様はスーパーな男フランキーだ、悪ィが俺と闘う以上おめェの未来は無いぜ。」


「それはどうかな?俺もそこそこだと思うぜ。」




そして喧嘩する事15分程した頃だ。
俺は六式を使わずにしているんだが…フランキーの攻撃によって周りの街がすっかり形を変えてしまった。
このあと始末どうするんだろう?
そんな事を考えながらフランキーの猛攻を避ける。


「フランキーボクシング!!」


左右から繰り出される攻撃を避けて反撃したのだが…考え事をしていたせいか手もと…いや蹴りだから足もとが狂って


「ハウッ!!!!」


俺の蹴りがフランキーの股間を直撃した。
あと足への感触がキモかった。


「ホデュア~~~~~~!!!!」


股間を押さえて転がりまわるフランキーを前にどうしたらいいかわからずに立ちつくす俺。
妙な構図が出来上がってしまった。
とりあえず居た堪れなくなった俺は謝る事にした。


「あの…大丈夫ですか?いや本当にすいません。」


「テメェ!すいませんで済んだら海軍はいらねぇんだよ!!ただで済むと思うなよ!!!」


「いや、本当に…男としてすまないと思ってる、変態さん。」


男として、って単語をこんな所で使っちまうとは。
軽くブルーになる。


「いや、そこんとこわかってくれてんならいいんだがよ。しょーがねぇな、おめェの正直さに免じて許してやるよ!!」


何かわからんがあっさりと許してくれた。
コイツ変態って言われるのが嬉しいのか?
まさに変態の中の変態だ。


「何かもう暴れる気がおこらねぇな…飲みなおすか。」


「ん?ならそっちで決着付ける?」


「おもしれえ…この俺様のスーパーな飲みっぷりについてこられるかな?」


こいつ挑発に乗りやすいな。


「こう見えてもよく冥王と飲み比べをする中でね、半端じゃないよ俺は。」


そう言ってまた酒場に入り飲み比べで勝負をする事になった。
どうでもいいけど俺が酒飲むのに対して自分だけコーラで勝負するのずるくない?
いやあれの一気も結構きついけどね。




「ジョ~~~ダンじゃ、なーーーいわよーーーう!!!」


「あ、それなんか違う。」


今現在意気投合した俺達は河岸を変えて飲む事にした。
つーか俺が酒飲んでほろ酔いなのになんでコーラしか飲んでないフランキーがキャラ変わるほど酔ってんだよ。
そんな事を考えながら肩を組んで歩いていると、俺達に絡んでくる者達が居た。


「何だ、この海パン野郎とスカした兄ちゃんは?この裏町ででけェツラすんじゃね……。」


此処でこいつ等が来るのかよ?
そんな事を考えているとフランキーが喧嘩を始めてしまった。
一言で言うと圧勝だ。


「テメェもだ!!」


フランキーの喧嘩を見ていると名前を覚えていない他の奴らが俺にまで攻撃して来たので、仕方なく適当にボコっておいた。


数分としないうちに相手は全滅した。


「この度この裏町をシメる事にしたフランキーだ、よろしくな!」


と言ったので


「あ、どうも冒険家のシュバルツです。」


こう合わせておいた。


sideフランキー


「あ、どうも冒険家のシュバルツです。」


後ろから何とも締まりのない自己紹介が聞こえてきた。
そう言えばまだ兄ちゃんの名前聞いてなかったな。


「アウ!兄ちゃんシュバルツって言うのか?」


「そうだけどそれがどうかしたのか?」


「いや、名前を聞いてなかったなと思ってよ。」


「ああ、そう言えば名乗ってなかったな。」


この兄ちゃんとぼけた事ばかり言ってるがタダ者じゃねぇな。
あの強さ…俺と闘ってる時ですら、まるで本気じゃねえみたいだった。
まあ一緒になって飲んでるうちに悪い奴じゃないのはなんとなくわかった。
このウォーターセブンに害を与えるような奴じゃなければ他で如何してようと別にどうだっていい。
それよりもこいつ等をほっといて他で悪さされたり野垂れ死にされたら目覚めが悪ぃな。


「おい、おめェら俺について来い、俺が面倒を見てやるよ、その代わり俺の事はアニキと呼びな。」


チンピラ達を纏めて引き取り、俺は裏町で腐ってる奴らを纏め上げる事にした。


ある時は酒場で飲んだくれてる女達を更正させ


またある時は食いもんがなくて倒れてる奴を拾った。




こう言うと長い事頑張ってるように聞こえるけど実は2日間の事だ。
そして2日をかけて家を造り


「存分に暴れろ!!」


「フランキー一家旗揚げだァ!!!」


「いやっほ~~~う!!!」


これからのウォーターセブンの裏町を取り仕切るフランキー一家を旗揚げした。


「アニキ~~!!」


「一生ついて行きますアニキ!!」


「フランキー一家万歳!!!」


子分たちが騒いでいるのを見ていると俺も満足できた。
しかしこれからが本番だ、トムさんが愛したこの水の都を俺なりのやり方で守ってやる。


「ああ、家が完成したのか…それはおめでとうさん。」


何処からともなく声がかけられた。
此処2、3日で聞きなれた声だ。


「おう!!おめェかシュバルツ、どうだこれぞ俺達のアジト、フランキーハウスよ!!この俺様が造っただけあってスーパーだろ!!」


「スーパー?いやどう見ても買い物は出来そうにないが。」


こいつは…またズレた事を言いやがる。


「そうじゃねえ…凄いだろって意味だ!!」


「あー、ハイハイすごいねー、驚いたよ。」


短い付き合いだが一つだけ言える事がある、それはこのシュバルツが、興味がある事以外は凄まじく淡泊だと言う事だ。
俺が子分達を集めるのにも興味があるから着いて来てただけだろう。
悪い奴じゃないんだが…興味がある物とない物に対しての温度差が激しすぎる。


「あ、こんちわっすシュバルツの親分!」


「あ、親分だわいな!」


そしてなんか…俺様よりこいつの方がザンバイやキウイ達つーか子分全体的に俺より慕われてるように見える。


sideシュバルツ


フランキーハウスが出来た様なので見に来てみれば


「あ、こんちわっスシュバルツの親分!」


「あ、親分だわいな!」


と声をかけられた。


「お前らのアニキはフランキーだろう?」


何で俺が親分なんだろう?


「そうっスよ、アニキはアニキで親分は親分ですよ!!」


ザンバイがよくわからない答えを返してきた。
わからん…俺がこいつ等にした事は初日にフランキーと一緒にボコボコにして、子分集めをしてるフランキーの後ろで見学して、家を建ててるフランキーとそれを手伝ってるこいつ等に差し入れしたり飯を奢ってやったりしただけだが…あれ?もしかして俺ってこいつ等からフランキーを顎で使ってる親玉みたいに見えてたとか?
まあいいや別に困ることないし、そう思ってフランキーの方を向くと何故かフランキーのが泣いていた。
驚いて


「ど、如何したんだ?フランキー…お前泣いてるか?」


「アウ!!この野郎、泣いてねぇよバーカ!!…こっち見んじゃねェ!!!悔しくなんかねェぞ!!」


よくわからんがほっておく事にした。


「よし、じゃあ完成祝いでもするか。誰か買い出しに行って来い!!」


そう言って何人かに買い出しに行かせた。


「おめェが仕切んな!!」


「あ、ゴメン、フランキー。」


もしかして俺カリスマ強かったり?なんてな。









次の日


船も直り俺はウォーターセブンを出る事にした。


「食料もしっかりと詰め込んだし、準備万端だな。」


「他に必要な物はあるか?」


見送りに来てくれたカクがそう聞いて来た。


「いや、十分だよ有難う、船も注文道理に出来あがってたし文句なしだ。」


本当にCP9なのが残念だよ。
そう思いながらもまた此処に来る事があってもその頃にはもういないだろうと思う。
ロビンを助ける理由もないし俺がエニエス・ロビーに行く事などないだろう。


「今回の作業はわしらにも為になったからのう、お互いさまじゃ。」


「それじゃあ行くよ、また機会があれば会おう。」


「うむ、それまで達者でな。」


そう言って俺は港を出た。




港を出た所で大きな声がかけられた。


「親分ー!!」


「シュバルツの親分!!」


フランキー一家だ。


「アウ!!シュバルツ、達者でやれよ!!」


「お気をつけて!!」


口々に叫んでくるフランキー達に大きく手を振りながら俺はウォーターセブンを後にした。




さて次はどうするか…ロングリング・ロングランドは行っても仕方ないだろうしな、空島は無理…行っては見たいんだけどね、行き方をゆっくりと探すとするか。
じゃあその為にジャヤに行くとするか。


「次はジャヤに行くぞ!!」


そう言って舵を切りジャヤのエターナルポースを取り出し進路を取ろうとした所で気がついた。
大きな蛇が船を引いているのを。









あとがき

久しぶりの更新。
カク達ガレーラとの事はあまり書かないことにしました。
次回ハンコック出ます。
では短いが終わります。



[8408] 第二十九話
Name: 思いつきで投稿◆9abf2946 ID:d4d903c6
Date: 2009/07/10 00:24
ウォーターセブンを出発した所で懐かしい人乗ってそうな船を見つけた。









第二十九話









法則その一、「九蛇」の旗を見たら海賊も商人もボートで逃げ出す。
さて、全速力で逃げ出しますか。
とも思ったがこの船にはボートが積んでないので無理だね。
つーかハンコックが七武海になったのは大分前に聞いたけど、会いに来なかったってことはもう忘れられたのだろう。
……てことはヤバいかな?
このまま攻撃対象になるかも知れないのでやはり逃げる事にした。


「ラジャ逃げるぞ、スクリューを回すから…って、ヤバ!こっちに来てる!!」


考え事をしている間にすぐそこまで船が来ていた。
まあいいや、いずれ行くつもりだったしカームベルトを越える手段もない、俺は覚悟を決めてその場に留まった。


sideサンダーソニア


姉様の状態が良くない…ようやく決心がついてシャボンディに着いたのに、シャッキーから丁度シュバルツが旅立った所だと聞くと姉様が倒れた。
急いで後を追ったけどこの広いグランドラインで何処に行ったかなど全くわからない。
取りあえずウォーターセブンに行くと言っていたと聞いて追ったが、全く見つからないまま目的のウォーターセブンに着いてしまった。
港の者達にシュバルツの事を聞こうとしたが、九蛇の悪名か姉様の七武海の称号に恐れをなしたのか一向に誰も捕まらない。
話さえ聞いてくれないなんて…。
海賊だから仕方がないのかもしれないがこのままでは姉様が危ない。
何とか話を聞いてもらえたが結局シュバルツの行方はわからなかった。
ウォーターセブンを目指しているはずのシュバルツより先に着いたのは、目的地が此処じゃなかったのか、フロリアン・トライアングルで迷ったか…まさか死んだりしてないでしょうね。
そのまま島を離れて当てもなく彷徨うか、せめてもの希望に縋ってこの島にシュバルツが来るのを待つか。
姉様の状態を心配した船員からはアマゾン・リリーに帰った方がいいと言われたが、この姉様の状態は島に帰っても意味がない。
幸いそれほど重い状態じゃないからまだ暫くは大丈夫だろうけど…これは病と言うより体力の問題だろう、ここ数日姉様が碌に食事をしてくれない、それ程ショックだったのだろう。


「痩せて酷い顔になってきてるわよ、このままじゃシュバルツにも嫌われちゃうわ。」


そう言って無理やり食事を食べさせたり


「姉様、あの時の事を思い出して。」


と言って悶えさせてりして何とか持たせてるが……このままでも一月位は余裕でもたせれるかも。
仕方なく近海へ出て当てもなく彷徨い時々ウォーターセブンに戻ると言った形をとる事にした。




あれから一週間
やはり無理がある…。最後にウォーターセブンに戻って航海の準備を整えたら、もう一度シャボンディに行ってシャッキーと何処に言ったか一緒に考えてもらおう。
そう思って再度ウォーターセブンに進路を取った。




暫く言った所で見張りから声がかけられた。


「サンダーソニア様、船が一隻見えたのですが襲いますか?」


本当ならそんな暇は無いのだけど…ここ最近意味もなく彷徨う事に戦士達もフラストレーションが溜まってるだろうし。


「仕方ないわね…手早く終わらせてよ。」


「わかりました。」


そう言って走って行くのを見送り私はマリーが見てる姉様の所に行く事にした。


sideシュバルツ


さてと…どうするかな。
結局追いつかれてしまった。
こうなったらハンコック達に取り次いで貰うか…戦って勝つか。
お互いの船の甲板に立ち九蛇海賊団と対峙しながらこんな事を考えるって…俺、結構余裕だな。


「おい、男もう逃げないのか?」


名前を知らない九蛇の船員が言って来たので適当に挑発する事にした。


「もう逃げられないでしょ、この状況。」


「それもそうね…船を捨てて逃げなくていいの?」


「いや船は捨てない、ボートは無いしね。」


「泳げばいいんじゃない?」


「いや、俺能力者だから、泳げないんだ。」


「ザハハハ、残念な子ね、泳げれば生き残れたかもしれないのに。」


別の船員があざ笑うように言ってきた。
そういえばこんな笑い方の奴がいたような…。
こんな事を考えているあたりやはり余裕があるようだ……いや現実逃避してるだけか?
どうでもいいけどあんたらのその服装結構危ないよ…口には出さないけども。


「まあ、泳げなくても生き残る方法は無くもないでしょ。」


「へぇ…どんな方法?」


俺はニヤリと笑いながらはっきりと告げてやった。


「例えば…襲ってくる奴らを返り討ちにするとか。」


その途端爆笑の渦が巻き起こった。


「「「あはははは!!!」」」


自分たちが俺に負けるわけないと言った感じだ。
しかし、笑う者もいれば怒る者もいる。
主に俺も僅かに顔を覚えてる矢筒を背負った奴と大砲のような物を脇に抱えてタバコを吸ってる奴だ。


「まあいいわ、この勇敢な子に実力の差を思い知らせてやりましょう。」


今いる中でのリーダー各と思われる奴がそう言った途端、かなりの数の船員が俺の船に向かって飛び掛って来た。


「仕方ないな…。」


そう呟き俺は向かってくる奴らに全力で覇気を叩きつけた。


「「!!?」」


飛び掛かる途中で覇気に当てられ気絶した者は、こっちの船に叩きつけられたり海に落ちたりした。
無事に船に着地した者も居たが、動揺して動けなかったようであっさりと意識を刈り取る事が出来た。
海に落ちた仲間を拾いに行った者達を除くともう此方に飛び込んで来なかった奴らが1割程相手の船に残っているだけだった。
正確に言うと海に落ちた奴らと俺の船に落ちてきた奴5割、海に落ちた仲間を拾いに言った奴3割、こっちに飛び乗ったはいいが俺にやられた奴1割、残り1割と言った所だ。


「まさか…覇王色の覇気!!?」


「こんな事って!!」


動揺する九蛇海賊団。
そして何より


「!!?…………マジ?」


九蛇より驚愕する俺。
反射的に俺の船に降りてきた奴を倒したのはいいがその後によくよく状況を確認すると大変な事になっていた。
何時もは師匠にどれだけ覇気を向けても何ともないので、実は出てないんじゃないかなとか思ってたんだが…しっかりと出てたみたいだ。
そのせいで驚きながらも俺を警戒する九蛇の戦士と、不敵な笑みで九蛇を戦士を威圧してるように見えて、実はある意味一番覇気にあてられて内心ドキドキの俺、と言う構図が成り立ってしまった。
ちょっと俺…凄くね?
ドキドキしながらも、一瞬で九蛇海賊団をほぼ壊滅状態にした自分を自画自賛して見たり。
そんな事をしていると向こうが慌ただしくなってきた。


「サンダーソニア様とマリーゴールド様を呼んできてちょうだい。」


「わかったわ。」


何やら不味い雰囲気になって来た。
あいつ等俺の事覚えてるかな?覚えてくれてれば楽なんだけど…いやダメか何人か船員倒しちゃったからもう後には引けないな。
一か八かの賭けに出る気分で待つ事にした。




そして暫く睨み合っていると奥から…懐かしい顔…懐かし……でかっ!!?
ちょ…!!?何あの2人でかっ!ちょっとでか過ぎでしょう!!3メートルはあるよ、しかも美人だから気持ち悪くない、けど違和感を感じる。
いや昔からでかかったけど、俺がまだ小さかったからじゃなかったんだな…別れた時よりもさらに身長が伸びている。
マリーゴールドも普通の体型だ。
別れ際に食べすぎには注意するように散々言ったのが効いたのか?
俺が驚いていると向こうも驚愕した表情で此方を見ている。
そのあと2人で何やらヒソヒソと話しだした。
俺だけじゃなく、他の九蛇の船員やようやく海から出てきた者達まで不振に思う程の怪しさだが、2人は気にする事もなく内緒話を続け、ようやく終わったのか此方を向き


「貴方…シュバルツよね?……その船は…ラジャも居るし。」


「船かよ!!?マリーも頷くな!!顔くらい覚えといてよ!!!」


物凄く恐る恐ると言った感じで聞いてくるサンダーソニアと隣で頷くマリーゴールドに思わず突っ込みを入れてしまった。


「だって凄く背が伸びてて顔も大人っぽくなってたから驚いたのよ!!なんか船の形まで微妙に変わってるし!!」


そう言うサンダーソニアに同意するように頷くマリーゴールド。


「船はついさっき修繕したんだよ!それに凄く背が伸びたとかソニアには言われたくないね!!2人とも俺より1メートルは余分に高いだろ!!てかさっきからマリー頷いてばっか!!」


「そんな事言われても、2人で漫才してるんだものどう入っていいかタイミングが掴めなかったのよ!」


ギャーギャー喚いてる俺達に


「あのー…お2人とも知り合いですか?」


恐る恐ると言った感じでタバコの人が話しかけてきた。


「え、ああ…そうよ、昔の馴染で私達と姉様が凄くお世話になった……そうだ!こんな事言ってる場合じゃなかったわ!シュバルツこっちに来て!姉様が大変なの!!」


「そうよ貴方しか直せないの!!」


何やらただならぬ雰囲気の2人に呼ばれて何事かと思いつつも、九蛇の船に移って2人について奥に行ってみると、ハンコックの部屋と思われる所に案内された。
ドアについてる窓から中の様子を覗いてみると…


「ああ…わらわは……。」


何やらベットの上で悶えている物体が居た。
苦しそうに悶えるって言うか、恥ずかしそうに悶えてる。


「……うん、なんか大変そうだね。」


やや呆れた感じで2人にそう言うと慌てた2人が


「違うのよ!今はあんなだけどさっきまでは本当に苦しそうだったの!!マリーがまたあの事を姉様に言ったから!!」


「ええ!?確かに言ったけどこんなに早くシュバルツが見つかるなんて思わなかったんだもの!それに元はと言えば原因はシュバルツじゃない!!」


「俺かよ!?何が何やらわからないけどこのノリで行くなら、きっと悪いのは俺じゃなくてソニアだな!!!」


「私じゃないわ、マリーよ!!」


「いいえシュバルツよ!!」


「よくわからんがソニアで!!」


昔に戻ったようにはしゃぎながら責任を擦り付け合う俺達。


「マリーよ!!」


サンダーソニアがマリーゴールドの責任だと言うと


「シュバルツのせいよ!!」


すかさずマリーゴールドは俺のせいだと言ってくる


「ならハンコックで!!」


さっきから同じ事の繰り返しで捻りがないので、何と無く此処にいない人を巻き込んでみた。


「姉様!?」


「姉様のせいなのね!!」


「その通り!ハンコックのせいだ!!」


結局よくわからんがハンコックが悪い事で落ち着いた。


「それで結局何がどうした訳?」


一向に話が進まないので改めて聞いてみたが…2人は俺の質問には答えずに俺の後ろを凝視していた。
何かあるのかと思い振りかえると……少しだけ開けたドアの隙間からハンコックが仲間に入りたそうな目で此方を見ていた。
とりあえず俺は


「お久しぶり。」


と言っておいた。


sideハンコック


何やら部屋の外が騒々しい。
どうもソニアとマリーが騒いでいるようじゃ。
あの2人が騒ぐなど一体なにがあったのだろう?
それに幻聴か…シュバルツの声が聞こえる気がする。
いや正確に言えばシュバルツの声ではないな…こんなに声は低くなかった、でも話し方はシュバルツの話し方のように聞こえる。
昔はよく4人で他愛もなく騒いだものだ…どうも昔を懐かしむあまり幻聴が聞こえてきたようじゃ。
私もいよいよ長くなさそうだな…せめて一目会いたかった。
しかし一向に幻聴が止む気配がない…何故か急に力が湧いてきたのでドアの外の様子を窺って見ると……幻覚まで見えだしたのか外にシュバルツが居た。




これは夢か…いやそんな事はどうでもいいあの楽しそうな輪に入りたい……でも入る切欠が掴めない、どうしよう。
思えば昔からそうじゃった。
何かとわらわが除け者にされる、大体はシュバルツとわらわが意見の食い違いから対立するような形になりソニアとマリーがシュバルツの味方をする。
シュバルツの味方をするのは気に入らないが、後から冷静になって考えると仕方ないのもわかる。
大抵意見が食い違う時はわらわの我儘が原因だったからじゃ。
ソニアとマリーがシュバルツにつくのは2人も向こうが正しいと思ったからだろう。
会ったばかりの時はわらわの味方についてくれていたが、いつの間にか2人にとってもシュバルツはわらわと同じくらい大切な存在になっていたと言う事だろう。
昔からそんな時に、このわらわだけ除け者のような構図か出来る。
やはり入る切欠は掴めなかったが、暫くして素直に謝ればすぐに輪の中に加われた。
しかし今回は謝るとかそういった問題ではなく純粋に入る事が出来ない。
しかも3人は何かを激しく言い合っており、わらわに気がつく気配がない。


「ならハンコックで!!」


どうしようかと考えていると行き成りわらわの名が呼ばれた。
何故呼ばれたのかはわからんぬが……ここだ!此処で行くしかない!!
ここで

「なんじゃ、誰かわらわを呼んだか?」

と言った、さも今呼ばれたから出てきましたみたいな雰囲気で行くしかない!!
そう思い、今まで扉の前で屈みこみ様子を窺っていたわらわは、いざ行こうと立ち上がり扉を開けようとした所で


「姉様!?」


「姉様のせいなのね!!」


「その通り!ハンコックのせいだ!!」


何かわらわが悪い事になっている。
困惑して動きを中途半端な形で止めてしまい、ソニアとマリーの2人と目が合った。
しまった…動きを止めた事で折角の機会を逃してしまった、2人もわらわに気がついたのだろうわらわを凝視して動きが止まっている。
此方に背を向けて戸惑っているような雰囲気のシュバルツはまだわらわに気がつかんようじゃ。
しかし立ちあがってから見てみるとシュバルツは大分背が伸びた事がわかる。
昔は小さかったのに今ではわらわより少し高いとは。
そう考えながら此方に気がつかないかな…と期待していると


「それで結局何がどうした訳?」


急に反応しなくなった2人に訝しげに聞くシュバルツ。
2人の視線を追ったのだろうシュバルツが此方を向いた。
見つめ合う事数秒、驚いた様子のシュバルツがわらわに声をかけてくれた。


「お久しぶり。」


そう聞いた瞬間にわらわは駆け出していた。
押し倒すような勢いでしがみつき力一杯思いのたけをぶつける事にした。


「シュバルツ…。」


sideシュバルツ


行き成り物凄い勢いで抱きつかれたせいで俺は尻もちをつ居てしまったが、美人に抱きつかれるのはいい事なので気にしない事にした。
数秒しか見えなかったがハンコックは凄い美人になっていた。
昔にはなかった大人の雰囲気と言うやつだろうか。


「シュバルツ…。」


「おう!覚えてたか!!」


ソニアやマリーと違い一瞬でわかってくれた事にテンションが上がりながら答えるとある事に気がついた。
痛い…ハンコックが全力で俺の胴体を締め付けてくるのだ。
俺なんか悪い事したかな?
最初はそんな事を考える余裕があったが段々強くなってきて本気で苦しくなってきた。


「シュバルツ!その…大事な話が有ってな!!」


しかしハンコックは真剣な表情で何かを伝えようとしてくるので、止める事が出来ずに我慢していたがとうとう限界が来た。


「わらわと…」


俺の意識はそれが限界だった。
慌てた様なハンコックの顔を見ながら俺の意識は遠ざかって行った。









あとがき

さて今回の天駆ける竜の人生は…

・シュバルツ無双する

・シュバルツ再開する

・シュバルツ昇天する

の三本でした。
…いやすいません真面目にします。
今回はハンコックの出番が少なかったが、次回からどんどん出そうと思う。
しかし…キャラの性格が壊れてんな…まあいいか。
ではまた次回ジャン、ケン、ポン!ウフフフフ。



[8408] 第三十話
Name: 思いつきで投稿◆9abf2946 ID:d4d903c6
Date: 2009/07/19 22:31
気がついたらハンコックにベットでホールドされていた。
久しぶりだなこれ…昔はよくこんなことがあったが、お互いに以前より成長してる訳でなんだか気恥かしい。
しかしそう思ってるのは俺だけだった。
流石は女だらけの国の出身というか相変わらず何と言う無防備。
そう言えば俺の家に住んでた時はサンダーソニアもマリーゴールドも普通の服を着てたような……この数年で野生に還ったのか?









第三十話









どうも聞く所によると俺は丸一日位寝てたらしい。


「何処に向かってるんだ?」


俺の疑問にハンコックは当たり前のように答えた。


「勿論アマゾン・リリーじゃ。」


え?……こ奴今何と言った?


「ゴメン…もう一回言ってくれない?」


俺が聞き返した事に、全く仕方のない奴だみたいな顔をしながら


「だからわらわ達の故郷アマゾン・リリーにじゃ。」


さっきの仕方がないなって感じの顔にちょっとムカっとしたが、改めて突き付けられた事実にそんな事はどうでもよくなった。
かわりに俺にもたらされた衝撃は疑問にとして口から出た。


「あそこって女の人しか入れないんじゃないの?」


「わらわが治める国じゃそんな事どうにでもなる。」


「そんな事ばかりしていいの?」


「いいのじゃ、わらわの意向が国の意向、あの国では全てがわらわの思うままじゃ。」


こいつ…お前の物は俺の物、って理論を持つジャイ○ンを越えやがった。


「俺まだ旅の途中なんだけど。」


「暫くは休みじゃな。」


「そんな勝手な…。」


ちょっと見ない間に予想以上の我儘になったな。


「じゃあ俺はこの辺でお暇を。」


そう言って部屋を出ようと


「待たんか、何処へ行く?」


「何処って……旅の再会ですけど。」


「無理じゃ…先ほどカームベルトに入った、そなたの船もちゃんと引いているがもうあの船で戻るのは無理じゃ。」


「じゃあカームベルトを出た所まで送ってよ。」


「嫌じゃ。」


完全否定された。


こいつ何がしたい?
そう考えていると突然モジモジしながら


「所で…その、返事を聞かせてはくれないか?」


と言って来た。
返事?……何かあったっけ?
考えてもわからないので俺は取りあえず聞いてみた。


「返事って何の返事?」


「な、何って……もう一度わらわに言わせようとは、お前も意地悪になったものじゃな。」


何でそんなに嬉し恥ずかしみたいな表情になってんのこの人?


「だけら、その……わらわと…結婚してほしいと……。」


今この人結婚とか言いませんでした?
もしかして決闘の間違いか?
自分の海賊団を一時的に半壊させた俺を国の闘技場で見せしめ処刑とか?
いや…でも今確かに結婚と聞こえた様な……。
一応確かめておこう。


「ハンコック…今俺の聞き間違いじゃなかったらプロポーズされた様に聞こえたんだけど…。」


真っ赤で俺の言葉に頷くハンコック。


「え?……本気で?」


再び頷いたハンコックを見てどうも間違いではないようなので取りあえず俺も頭を整理する事にした。
不安そうに俺を見るハンコックを見ながら、今までの人生で最高速度で頭を回転させる。
今まで考えたこともなかった……と言えば嘘になる、そりゃこんな美人が側に居れば将来もしかしたらって一度位考えるだろう?
小さい頃から一緒に居て気心もそれなりに知れてる。
別に嫌じゃない…むしろこんな美人と結婚するなんて勝ち組だろう…ただもうちょっとだけ冒険したかったな~とか、ルフィは?とか思ったがハンコックの態度からまぎれもない本当の告白だとわかってしまったので俺は真剣に考えて結果条件付きで受ける事にした。
前世からの気変わりの早さか、悪くないかも…とか思ってしまったのも手伝い


「わかったよハンコック……でも「おめでとう!姉様!!」あ、ちょっと待って、俺の話を「めでたいわね、姉様!!」おーい、俺の話まだ終わってないよ~。」


行き成り割り込んで来た2人に邪魔されて俺の言葉は届かなかった。
ハンコックに気をとられてたて気がつかなかったが、密かに部屋の外で聞き耳を立ててた様だ。
あと5年待って欲しいのに。
俺のその気持ちを無視され呆然としている間に勝手に決められる訳にはいかない。
俺は盛り上がる3人に向かって大声を張り上げた。


「ちょっと盛り上がるのもいいけど、俺の話も聞いてくれ!!」


俺の言葉が届いたのか3人とも騒ぐのを止めて、大人しく俺の話を聞く態勢になってくれた。


「なによもう…折角お祝いしてたのに、まさか今更断る気?」


いい所を邪魔されたさいかサンダーソニアが抗議してきたが、俺はそれを無視して話を切り出した。


「俺は確かに受けはしたが…考えてよ、俺は冒険家として10年以上旅に備えて準備して来たんだ、それは3人もよくしってるだろ?」


言い聞かせるように言う俺の言葉に3人は頷く。


「だが俺はまだ旅に出て一月も経っていない。」


そこまで言った所でマリーゴールドが俺の意図を理解したのか割り込んで来た。


「要するに…旅を続けさせろっていう事?」


「そう、まさにその通り。俺は結婚をあと5年待ってほしいと思っている。」


「5年…………。」


ハンコックが物凄く考えている……5年ってそんなに待てない物なのだろうか?


sideハンコック


「5年…………。」


シュバルツの口から出た言葉にどう反応して良いのかわからない。
断られなくてよかった?
あと5年くらい待てる?
いや、わらわは9年待ったのじゃぞ。
何時もならシュバルツの頼みを聞いてやる自信がある。
しかし9年ぶりの再会を果たしたばかりのわらわは、また5年も夢見た生活が遠ざかる事に我慢出来なかった。


「嫌じゃ、5年も待てん。」


はっきりと言ってやった。


「そうよ、姉様の気持ちも考えてあげて。」


「冒険なら私達と一緒でも出来るじゃない。」


ソニアとマリーもわらわの援護をしてくれる。


「そうだけど…それだと俺、海賊になるじゃないか。」


「シュバルツは海賊になるのが嫌なのか?」


「別に海賊が嫌いって訳じゃないんだ。でも俺の出身は3人共よく知ってるだろ?」


「勿論じゃ。」


肯定するわらわに対してシュバルツは続ける。


「万が一俺が目立って、親父や海軍に情報が入ったら、俺にとってもこの船にとっても面倒な事になるだろう?」


確かにその通りだ。
誘拐されたと思われている人物…それも天竜人が七武海の船に乗っているなど問題以外の何物でもないだろう。
最悪わらわ達が奴隷であった事まで辿りつかれるかもしれない。
背中に焼印は無いから誤魔化せるかもしれないが、どうなるかわからない以上避けたい事態じゃ。
つまりシュバルツには島に居てもらうしかない訳だ。
確かにシュバルツが小さい頃から努力しているのは知っているが……やはりもう離れたくないと思う自分も居る。


「せめてもう少し短くならんか?」


しばしの葛藤の末、両方無視できぬわらわは交渉に出る事にした。


「少しってどのくらい?」


「半年。」


「話しにならないね、せめて4年半だな。」


まあわらわも半年は余分に短く言っただけじゃ、此処から少しづつ交渉して短くせねば。
最悪例の奥の手も使うとするか。


sideシュバルツ


不味い明らかに俺が不利だ。
よくよく考えて見ると此処はカームベルト、ハンコックの意思なしで出る事は不可能と言っていい。
今更に気がつくと最初から俺の逃げ道は塞がれていたんだ。
ここはこの交渉で少しでも長引かせ、自由を手にする時間を増やす事しかできないのか?
落ち着け俺、これは駆け引きだ。


「ざわざわ…ざわざわ…。」


思わず俺の口から出た言葉にハンコック達が反応した。


「どうした行き成り?」


「寒いの?」


「いや別にそう言う訳ではないのだが…つい雰囲気作りを。」


「「「?」」」


3人とも訳がわからないと言った感じだったが


「そう言えばシュバルツってこう言う子だったわね。」


と言ったサンダーソニアの言葉を聞いて何処となく納得しやがった。


「何だそれは、どういう意味だ?」


俺の問いに


「だって貴方昔から時々今みたいに、突然訳のわからない事を言いだしたりするじゃない。だから私達はそういう時はあまり気にせずに流す事にしてるの。」


そう言ったサンダーソニアに同意するようにハンコックもマリーゴールドも頷いた。
ちょっとショックを受けた。
今度から気をつけようと思う。
それよりも気を取り直して交渉再開だ。


「じゃあ話を戻すけど、俺は4年以上譲る気はない。」


「わらわも待てて1年だ。」


その後もお互いに牽制し合い、手札をきり一進一退の攻防を繰り広げられた。




そして交渉開始からおよそ1時間、今は俺は3年半ハンコックは2年半と主張している状態でとまっている。
しかしそこでついにハンコックが動いた。


「こうなったら仕方がない…これはしたくなかったが、どうやらやるしか無いようじゃ。」


そう言って後ろの2人とアイコンタクトをしやがった。


「これは本来そなたに結婚を断られた時の為に用意していた物だが此処に来て役に立つとはな。覚悟しろシュバルツ…これはニョン婆様直伝男が使われると、どんな事でも言う事を聞かざるをえないと言われる程の恐ろしい技だ。」


そう言って怪しい笑みを浮かべながら自信満々に言い放ったハンコック。
てかお前最初から断らせる気なかったのかよ!!
内心で突っ込みを入れたのが悪かった。
その一瞬の隙をついてサンダーソニアとマリーゴールドが俺の後ろに回り込み、俺の体を2人で抑え込んだ。


「な!何すんだよ!!」


驚く俺を無視してサンダーソニアが腕を押さえマリーゴールドが俺の胴体を押さえた。
そしてハンコックが俺の両足を掴んで股を開かせて……


「ま!!?待て!それは……やめてーーーー!!!!」


ハンコックは容赦なく俺を攻めながら交渉を続けて来た。


「さあ、どうするシュバルツ…わらわも鬼ではない、2年でどうだ!!?」


5年と2年、半分以下になってしまったがこの時の俺に選択の余地は無かった。


「わかった!それでいいからもうやめてーーー!!!」


俺の必死の懇願にようやく3人は俺を解放してくれた。


「はぁ…はぁ…。」


荒く床に手をつき何とか落ち着こうとする俺。
そんな俺を余所に勝利に浸る3人。
ホントに…………









七武海が電気あんまとかないわ……









しかも意味もわからず手加減抜きてしてくるので、本気で潰れるかと思った。




数分経っても未だに起き上がれない俺に流石に心配になったのかハンコックとサンダーソニアが恐る恐る


「大丈夫か?」


「そんなに痛いの?」


と聞いてきたので


「痛い…メチャクチャ痛い、トラウマになった。」


と俺は素直に言った。
俺の様子に流石にすまなく思ったのか


「済まぬ。」


「ごめんなさい。」


結構真面目に謝ってきた。


「いや…もういいよ、ただしもう二度とやらないで。」


何時まで言っててもしかたがないので許す事にした。
そしてようやく起き上がった俺にさっきから黙っていたマリーゴールドが先ほどのやり取りを根底を覆す提案がなされた。


「ねえ、よく考えたら……シュバルツの旅に姉様がついて行ったらいいんじゃない?」


「「「!!?」」」


俺達は衝撃を受けた。
あれほどのやり取りが全くの無意味だった事に。
結局あっさりとその方向で決まり取りあえず暫く俺とハンコックの2人旅が決定した。


「でもハンコックは七武海でしょ、いいの海賊辞めて?」


「別に辞めはせん、ただ少し休むだけじゃ。」


「国は?」


「ソニアとマリーの2人に任せる。」


「良いのかそれで?」


「構わん全てはわらわの思うままじゃ。」


他の海賊団を牽制する役目を持っている七武海が休んで良いのかは疑問だが、本人がいいと言うし別にハンコックが居ないと何もできない訳じゃないしいいのかな?
もう俺はとやかく言うのを止めた。


「では行くぞ。」


「え…もう行くのか?」


「いや別に旅に出る訳ではない、旅の話はあとでもできるからな。今はまずこの船の戦士達にそなたを紹介するのじゃ。」


「ああ、そう言う事ね。」


納得はしたがそれはそれで凄く不安になった。
しかし考えている暇もなくハンコックに腕を掴まれて甲板まで連れて行かれた。
そして甲板に出た俺を待っていたのは……九蛇の女戦士にやたら可愛がられているラジャだった。
おいお前!俺が電気あんまで悶絶してる間に飯貰ったり、なでられたりモテモテですかこの野郎!!!
皆がハンコックが出て来た事に気付かない程の人気っぷりだ。
そこでハンコックが声を張り上げた。


「皆の者聞け!!」


そこでようやくハンコックに気がついたのか若干慌てた様子でハンコックの声に耳を傾ける。


「この男、シュバルツはアマゾン・リリーに住む事をわらわは認めた。」


その言葉で驚愕と共に俺に注目が集まる。
そりゃそうだろうなんたって行き成りすぎる。


「シュバルツはわらわ達がかつて世話になった大恩人である。その恩を返すためにわらわは一生シュバルツと共に居るつもりじゃ!!」


ざわめきが広まり、俺が見る感じやっぱりダメだろ、みたいな雰囲気になった時ハンコックが


「ダメか?」


とぶりっ子しながら不安そうに聞くと


「「「「「「いえいえ全然かまいません!!!!」」」」」」


と満場一致で了承しやがった。
何が起こったんだ?全員が一瞬で洗脳されたみたいだ。
そんな事を呆然と考える俺を完全に置いてきぼりにして


「さあ皆の者シュバルツを歓迎するための宴を行うぞ!!」


ハンコックの指示のもとすぐさま宴会が始まった。




まあ、一度認められれば特に何かを言われる事もなく宴会は進められた。
どうも俺の実力は認められているようなのと、ハンコックの恩人と言うのが効いたのか俺に不躾な態度を取ってくる者も居ない。
むしろ島の人間に比べれば男を見たことがあるようだが、やはり男が珍しいのか俺の方をチラチラ見てくる奴も居る。
しかし俺の隣にハンコックが寄り添うように居るので声はかけて来ないが。
ハンコックを初めに、サンダーソニアやマリーゴールド、次第に俺に慣れた戦士達も酒を注ぎに来てくれて少しは打ち解ける事ができた。
酒の事もあり、いつの間にか俺も騒いでた事に関してはもう無視してくれ。




宴会が終わり寝るために部屋に向かい……酔いに任せそのままハンコックと2人であんな事やこんな事をしてから眠りに着いてしまったのだが、そこは省略させてもらおう。




次の日の朝、目覚めた時に昨夜の事を思い出して、改めて覚悟を決めたのは俺だけの内緒話だ。




そんな色々な出来事があったが船は停まることなくアマゾン・リリーを目指している。









あとがき

今回はなんかぐだぐだして終わった気がする。
次回からアマゾン・リリー編を開始します。
シュバルツ結局受けちゃいましたね。
まあここで断ったら大激怒でしょうけど……主に作者が。
ではまた次回!!



[8408] 第三十一話
Name: 思いつきで投稿◆9abf2946 ID:d4d903c6
Date: 2009/07/25 23:30
歓迎を受けて数日、俺は少しずつ九蛇海賊団に溶け込んでいった。
危なく気がついたら皆と同じ服を着る所だった。
いや流石に着る前に気がついて止めたけどね。
むしろ着たらヤバいでしょ、海軍に見つかったら即逮捕だよあんなの。
こんなのを着る位なら今着てる上着にフリルを付けた方がマシ……なわけないか。
俺とハンコック達の昔話をしたり、俺の能力を見せたりした……それでハンコックが少し拗ねたりもしたが。
何でも自分だけ超人系なのが寂しかったらしい。
仕方なく獣化してハンコックを乗せて飛んでやったら機嫌が直った。
まるで子供みたいに感じたね。
他の人達も乗せてほしそうだったので乗せようとしたら、近くに居たハンコックがまるで開眼したように睨んだで皆逃げてしまった。
いや実際俺も怖かったよ…もうなんかこう目が光からビームとか出るんじゃないかと思ったし。
まあとにかくそれくらいの眼力だった。
あと気がついたらバキュラをラジャが倒して子分みたいになっていた。
バキュラの奴ラジャの二倍くらいの大きさがあるのに情けないな。
そんな事を思ったりもしたが実際この世界で体の大きさはそんなに強さの決め手にはならない事だし気にしなことにした。
調子に乗って俺も獣化してバキュラを見降ろしたりすると、もうメチャクチャビビりまくってしまい可哀そうなので二度としないようにしようと思った。
俺がこの船の皆と打ち解けるために色々としている間も順調に船は進み、とうとう女ヶ島アマゾン・リリーに到着した。









第三十一話









遠目からでも見える岩ほられた多いな九蛇の文字。
さらに近ずくと見えてくる大きな鉄ごしらえの門。
正義の門にしてもそうだがこんなデカイ鉄の門だれが造ってんだ?
開く門を見ながらそんなどうでもいい事を考える。
そして門が開くと聞こえてくる戦士達の帰還を祝う声。


「蛇姫様ー!」


「サンダーソニア様!」


「マリーゴールド様!」


3人を始めとして口々に戦士達の名が呼ばれる、戦士達もそれに応えて手を振り返したりしている。
しかしどうも俺の存在に気が付いたのか次第に声が消え、近場の人とヒソヒソと俺の事を話しだした。
それもそうだろう、男とばれている訳ではいないようだが、見かけないやつが一番目立つ位置に居るのだから。
ちなみに一番目立つ位置とはハンコックの横で、そのやや後ろにサンダーソニアとマリーゴールドが立っている位置だ、そりゃ嫌でも目立つだろう。
ハンコックはそんな事も気にも留めずに、港に着くと俺と腕を組み九蛇城に向かった。
どうも籠が用意してあったようだが今回は使わずに、城に向かう道を歩きながらハンコック自ら俺に色々と説明をしてくれた。
そんな様子にますます周りの人達の俺に対する疑問は深まるばかりだろう。
しかしそんな周りの視線を気にする事もなく、城に俺を入れた。


「御帰りなさいませ蛇姫様、あの…其方は?」


中から背の高い女の人が出てきてハンコックを迎えたが、俺に気がついて問いかけると。


「この者はシュバルツじゃ。本日からこの九蛇城に住む、部屋は…わらわの部屋だ。シュバルツこの者はエニシダじゃ、何かあったらこの者に言うといい。」


行き成りすぎて説明になってないような気がする。
実際に相手のエニシダさんは困惑していた。
それすらも意に返さず進むハンコックに、俺はもう連れられるがま奥に進んだ。




なんか謁見の間みたいな所につくとハンコックの連れている蛇が椅子のような形になり座れるようになった。
便利な蛇だな…俺も欲しいかも。
そう思った瞬間に俺の心を読んだかの如く、後ろからラジャが俺に覆いかぶさるように乗って来たので


「悪かったって、機嫌直せよ。」


と諌めながら下して、伏せの体勢になったラジャを背もたれに床に座った。
ハンコック俺を隣に座らせようとしていたが流石に今回は遠慮した。
向かい合うように座り、ハンコックが何やら国の事なのあかよくわからんが何人かの人と話しているのを聞きながら当りを見回すが、やはり世話をする人達が此方を見ている。
暫くすると用事が終わったのか立ち上がったハンコックにまた腕を引かれて場所を移す事になった。


「何処に行くんだ?」


俺の質問に足を止めることなくハンコックは応えた。


「湯浴みじゃ。」


「ああ、風呂か……で、何で俺の腕を引く?まさか一緒に入る気か?」


「勿論じゃ。」


「そうか。」


当然のように応えるハンコックに、もう俺は特に抵抗することなく引きずられていく事にしした。
子供の頃は一緒に入ってた事もあり、なんかもう今更で抵抗する気がなかったからだ。




「じゃあ俺先に入ってるから。」


「わかった。」


先に服を脱いだ俺はハンコックにそう告げ一足先に風呂場に入った。
湯気で細かい所はよく見えないが、高そうだ…家に居た頃を思い出す。
早速湯に浸かり寛いでいるとハンコックも入って来た……サンダーソニアとマリーゴールドも一緒に。


「どうじゃ湯加減は?」


「ああ、丁度いい…じゃなくて2人も一緒かよ!」


思わず普通に応えたがよくよく返した俺に3人は


「なんじゃ突然叫んで。」


「私達が一緒だと悪いの?」


「昔からそうじゃない。」


と平然と返してきた。


「そりゃそうだけど……もうお互いに成長してる訳だから、てか前隠そうよ。」


「隠す物など何もないわ。」


それはもう自信満々に返された。


「そう…もういいよ。」


言っても何も変わらないのでもうやめる事にした。
別に俺はそんなに純情な訳でもない、女の裸をみて赤面して鼻血を吹く様な漫画みたいな事もない…パウリーが見たら出血死しそうだがな。


「ではシュバルツわらわが直々に背中を流してやろう。」


ハンコックがそう言ってきた。


「ああ、それは良いが……男の前で全裸で仁王立ちするのは止めた方がいいぞ。」


「そなただけじゃ、別に気にする事は無い。」


「はいはい、それは光栄ですね。」


適当に応えているとまた腕を引っ張られた。
何か今日はやたら引っ張られるな。
そう思っていると3人に取り囲まれて隅々まで洗われた。
恥ずかしかったけど我慢してお返しに3人を俺が洗ったりもしたが、丁度終わった所で入り口の方から音がした。
何と積荷をかたした九蛇海賊団の人達が入って来たのだ。
あれ?ハンコックの入浴してる時は入らないんじゃなかったの?


「ハンコック、海賊団の皆は一緒に風呂とか入るの?」


「ん?ああそうじゃぞ。別に分かれてはいる必要はないからな。」


「姉様と入るのは海賊団の者達だけだけどね。」


「姉様と一緒の湯浴みは一種のご褒美よ、これが理由で海賊団に志願する者も居るくらいよ。」


ハンコックに続いて2人が補足してくれた。
やはり背中に印が無いのが影響しているようだ、ハンコック達も呪いではなく悪魔の実の能力と皆の明かしているし。
なんか原作よりハンコック達と国の皆の距離が近い気がするのは気のせいではなさそうだ。
まあ原作通りハンコック達の人気は凄いがな。
風呂から上がった後に国の人達に向かって、船の時と同じように説明…と言うかハンコックのお願いをして俺がこの国に居てもいいような感じになった。




その後は特別な事は無く食事を取って寝た。
しかし俺の知らないうちに、国中に俺の様々な噂が流れたようだが。




次の日、やや早く起きた俺は1人寝床から抜け出し九蛇城の天辺に登り景色を見ていた。
青い空、青い海、この果てしなく広がる世界と言う「何を悟ったような顔をしてるのよ。」現実逃避をしていたのだが、サンダーソニアに邪魔された。


「俺が黄昏てると変か?」


「物凄く変よ。それより姉様は?」


全く容赦なく言ってくるサンダーソニアの言葉に内心傷ついているが、そんな俺の事はお構いなしにハンコックの事を尋ねてきた。


「疲れたんだろう、まだ寝てるよ。」


「そう、帰って来たばかりだものね。」


「ああ、そうだな。」


そう答えて俺は立ちあがった。


「何処に行くの?」


「散歩してくる。」


適当に返事しながらその場を後にした。




「お早う御座います、シュバルツ様。」


「あ、どうもお早う御座います。」


こんな感じで普通に挨拶が出来る程度にとけ込んでる俺…なんか順応早くない?
自分でもそう思ってしまう程の順応ぶりだ。
まあこんなに軽く接してくれるのはまだ海賊団の人達だけだけどね。
何でこんなに俺が簡単に受け入れられたんだろう?
理由を考えてみよう。


1、ハンコックが女帝だから。

2、一応俺は初対面の相手に対して礼儀正しいから。

3、主力(ハンコック、サンダーソニア、マリーゴールド)を除いたとはいえ、国の精鋭で造られる九蛇海賊団を一瞬で壊滅寸前に追いやるほどの実力者と勘違いしている。

4、演技、実は全然認めてなくて闇討ちの準備をしている。


1と3が主な理由かな…2もなくは無いけど殆どないだろう。
4は…居るのかな?全体ではないにしろ多少は居そうな気がするな。
一応気を付けておこう。




sideハンコック


朝起きたら隣に居るはずのシュバルツが居なかった。
一瞬夢だったのかと思ったが周りの状況を見て昨夜の出来事が頭の中に蘇えってきた。
凄かった……修行にもあんなのは無かった。


「姉様、起きてる?」


昨夜の事を思い出しながら、しばし考え込んでいたがソニアが呼びに来て我に返った。


「ソ、ソニアか!起きているぞ!」


慌てて答えてしまった為か、ソニアが部屋に入ってきてしまった。


「お早う姉様…どうして裸なの?」


「昨日は飲み過ぎてな、その…凄く暑かったのじゃ!!」


「そ、そう…気を付けてね。」


思わず叫ぶように言ったわらわに若干引き気味にそう答え立ち去ろうとするソニア


「そ、そう言えばシュバルツは何処に行ったか知らないか?」


そう聞いたわらわに


「散歩って言ってたわよ。」


そう言って出て行った。


散歩……これは帰るまでに修行の成果を見せねば!!
船では料理など出来なかったので今しかない、わらわは急ぎ服を着て厨房に駆けだした。




sideシュバルツ


散歩に出かけて森の中等を適当に歩き戻ってみると


「シュバルツ、朝食が出来ているぞ。」


まるで自分が造ったように料理を見せてくるハンコックがいた。
いやまるでじゃなくてその格好は……


「もしかして…いや、まさか…本当の本当に…間違ってたら悪いんだけど…その…何と言うか…ハンコックさんが造ったとか?……何てことありませんよ「わらわが造ったそ。」ですよね!どう考えてもハンコックさんが造ったんですよね!!」


まさかハンコックが料理出来ると思わなかった俺はちょっと自信なさげに聞いてみた所、何とハンコックが造った事が判明した。
あまりにも慌てたのでさん付けになったほどだ。


「凄く美味しそうだね。」


何とか取り繕ってそう言いながらハンコックの隣に座り食べる事にした。




「シュバルツ…あ~んじゃ。」


「へ?」


普通に食べようとした俺に向かいハンコックが俺に食べさせようとして来た。
一瞬硬直したが取りあえず


「あーん。」


と食べておいた。


「どうじゃ?」


「うん、美味いよ。」


「そ、そうか…………お前に食べさせてもらうとより美味だなんて……。」


「え、言ってないから……おーい、ハンコックさん…。」


ハンコックは何やら嬉しそうにしながら妄想の世界に行ってしまった。


「仕方ないほっとくか。」


仕方ないのでハンコックを放置して食事を続けていると


「姉様、次の出港は何時にする、あらお食事中?」


マリーゴールドが来た。


「おう、マリーも食うか?ほれ、あーん。」


マリーゴールドにも食事を薦めてみた、あーんしたのは何と無くだ。
その途端、思わず冷や汗が吹き出すほどの怒気が横から叩きつけられた。
いや、もうこれ覇気だね…覇王色の。


「折角だけど遠慮しとくわ、私まだ死にたくないもの。」


マリーゴールドはそう言うと部屋から出て行った。
何でも無い様に振る舞っていたが、物凄く早足だった。
俺はそのまま必死に平然を装いながら食事を続けた、決して横を向かないようにしながら。


「…………。」


「…………。」


此方をガン見してくるハンコックを必死で無視しながら食事を続ける。
別に激辛料理でもないのにさっきから汗が止まらない。
既に料理の味もわからない。
食事中に此処まで窮地に陥ったのは俺の料理の修行中に出来た失敗作を、師匠とお互いの口に突っ込み合った時以来だ。
何とかせねば。


「あの…ハンコックさん。」


「なんじゃ?」


いかにも不機嫌な感じで返された。


「食べないんですか?」


そう問いかけた俺に対して暫く目の前の料理を見詰めた後、俺に向かっていかにも食べさせろと言った感じで口を開けた。


「え?……食べさせるの?」


頷くハンコックに仕方なく食べさせる俺…結局全部食べさせた。


まるで本物の恋人のようだ……あ、そう言えば俺達もう本物の恋人だった。全然実感がないな。
食べ終わる頃には機嫌も直ったのだが、その姿はとてもあの王下七武海とは思えなかった。
結局昼も夜もこんな感じだった。




その夜に俺の心配していたことが起こってしまったが。









あとがき

なんかラブコメしてしまった。
もう少しワンピっぽくしたほうがいいかなと思う今日この頃。
所でどうすればワンピースっぽいのだろうか?
バトル?
ギャグ?
いやもう何か書きたいものを書いてしまおうと思った。



[8408] 第三十二話
Name: 思いつきで投稿◆9abf2946 ID:d4d903c6
Date: 2009/07/19 22:30
「蛇髪憑き”八岐大蛇”!!」


「剃」


サンダーソニアの髪が七つの蛇の頭の形をとり俺に向かってくるが俺はそれを難なく避ける。
ギア2を使ったルフィの剃について行けなかったソニアとマリーはやはり俺の剃についてくる事は出来なかったようで、2人の攻撃は明らかに俺の通った後の場所を攻撃している。
何故俺がこの2人と闘っているかと言うと、俺の懸念した通りに俺の実力に疑問の声が上がったからだ。
九蛇海賊団の者達からは無かったが護国の戦士達が言いだしたようだ、最もごく一部の者達らしいが。
ハンコックは適当に圧力をかけて黙らせようとしたが、それじゃあ不満が残るだけなので、俺とその一部の戦士とで闘技場で戦う事にした。


「いいよ、要するに俺が弱いかもしれないからこの島に居てほしくないんだろ?だったら勝負でも何でもして実力を見せるさ。」


生意気に聞こえたが軽く見られてると思ったのかは知らないが、直訴に来た戦士達はえらく怒って帰って行った。
まあそんな事がありこの状況になっていると言ったわけだ。
正直自分で言い出して置いて全然やる気が起きない。
どうする…覇気を使って倒すか、いやあえて使わずに実力を見せるか……めんどくさいが覇気を使うのはある程度力を見せてから使う事にした、いや実際覚えたてで使ってみたかったりするし。
開始の合図と共に、それぞれが武器を構え一斉に飛び掛かってきた。


「消えた!?」


剃で移動するとどうも正面に居た奴には消えた様に見えたらしい。
これは近くに居たせいだろう、遠くに居た奴には俺の動きは見えてる様だ。
一番近くに居た2人の間を通り過ぎるついでに腹部に掌底を入れて気絶させ、そのままやや遠目に居る奴に向かって行った。
そいつは俺に向かって矢を放ってきたが余裕で見切れる速度だっために、的確に避けスピードを落とすことなく目標に到達、気絶させた。
他の奴らはあっさりと仲間がやられた事に動揺していた。
ぶっちゃけて最初から6人しかいないわけだし、既に半分やられた訳だ。
特に難しい事もなく、あと2人を気絶させ残ったリーダーっぽい奴と一対一の状況になった。


(あれ?こいつよく見ると原作にで出た気がする…。)


そんな事を考えながらも取りあえず覇気を叩きつけ気絶させた、周りで俺の実力を見ようと観戦してた奴らにまで被害が出てしまったが、まあいいだろう死ぬわけじゃないし。
こう言っちゃ悪いが


(俺って強くね?)


とか思っちゃうほどの圧勝だった。
思わず調子に乗って


「ソニア、マリー……久しぶりに遊ぼうぜ。」


軽く手招きしながら生意気な事を言ってしまった。
その途端周りの観客から物凄いブーイングを貰った。









第三十二話









sideマリーゴールド


シュバルツとシュバルツの実力に疑問を持つ者が戦う事になった。
あれからどれだけ腕を上げたかわからないが、そう簡単には負けないでしょ…船の子達から聞いた話だと物凄い覇気を放ってたらしい。
船に乗れる子たちは国でも特に腕の立つ子達、その子達を1人で圧倒したシュバルツ…一体どれほど成長したのか。
考え事をしているうちに姉様が開始の宣言を始めた。


「それではこれより武々を開始する、この勝負でシュバルツが勝てばこの島に住む事に今後一切異論をはさむ事は許さん、よいな?」


「「「はい!」」」


「ああ。」


戦士達の気合の入った声に対してシュバルツはあんまりやる気が感じられない。
この勝負の結果次第で今後が左右されると言う事がわかってるのかしら?


「では…始め!!」


姉様の開始の言葉と共に、一斉に戦士達がシュバルツに飛び掛かって行った。
その瞬間シュバルツは凄いスピードで移動して戦士を倒してしまった。
あっという間に残り一人に追いこんだシュバルツは私達の予想以上に腕を上げていたようだ。
杞憂だったわね。
そう考えていた時シュバルツが凄まじい覇気を放った。


「!!?…こ、これは!?」


「嘘!?覇王色!!?」


私も姉様もソニア姉様も驚いたがすぐにその驚きも治まった。


「驚いた…けど、シュバルツだものね。」


「そうね、何故かシュバルツだとありそうよね。」


「流石はシュバルツじゃ。」


確かに覇王色の覇気は数百万人に一人と言われる凄い覇気だが、それを出したのがシュバルツだと何故か根拠もなく納得出来てしまった。
あと姉様、それは何か違う。
そんな事を考えていると、いつの間にか武々は終わっていた。
予想以上の成長をしている様だ。


「ソニア、マリー。」


行き成りシュバルツに呼ばれた。
何かと思うと


「久しぶりに遊ぼうぜ。」


不敵な笑みを浮かべて、手招きをしながらそう言ってきた。
その途端周りから物凄い歓声があがった。
この国は強いものには寛容だ、護国の戦士を倒した事と珍しい男のせいか、シュバルツはあっという間にこの国の人気者になってしまった様だ。
まあ元からシュバルツの事を追いだしたがっていた者達はもうすでに闘技場に転がっているしね。
彼方此方から黄色い声援が送られてる、一番はしゃいでるのは姉様だけど…。
余りにも大きな声援で、慣れていないシュバルツは居辛そうだ。
此処は早く出て行ってあげよう。


「ソニア姉様。」


「そうね、行くわよマリー。」


そうして私達は闘技場に降りて行った。




闘技場に降りた私達はシュバルツの前に立った。
シュバルツは心此処にあらずと言った雰囲気を全身から醸し出している。


「どうしたの、ボーっとしちゃって。」


「いや…やっぱり背が高いなと思って。」


こうして対峙してみると完全に私達が見降ろす形になっている。


「貴方ね…本当にどうでもいい事ばかり気がつくわね。」


「本当に、これから私達と闘うのに余裕よね。」


私達が呆れていると行き成りシュバルツの姿が消えた。


「「!!?」」


驚いていると私の肩に重さが掛ったので急いで横を向くと、私とソニア姉様の肩に肘を置き宙ぶらりんに浮いているシュバルツがいた。


「どうだ、少しはやる気になっか?」


「そうね…思った以上に成長した見たい。」


「これは最初から全力ね、ソニア姉様。」


そう言って私達は人獣型になった。


「貴方は変身しないの?」


ソニア姉様の問いに


「まあ、使わないといけないみたいなら使うよ。」


「あら、随分生意気になったわね。」


「それじゃあ行くわよ!!」


そう言って飛び掛かったが、私達の攻撃がことごとく避けられる。
剃のスピードが段違いに上がっていて目では追えるけれど攻撃が追い付かない。
勿論私達は手を抜いたりしてない、それは子供の頃から当たり前として来た事だ。


「マリー、手数を増やすわよ。」


「わかったわ。」


ソニア姉様は髪を七匹の蛇に形を変えて攻撃し、それに合わせて私も攻撃をより激しくする。
しかしシュバルツはそれを容易くかわし全く当たりもしない。
ソニア姉様の八岐大蛇に合わせて取って置きの攻撃をする事にした。


「蛇髪憑き”炎の蛇神”!!」


今現在これが私達の最高の攻撃。
その攻撃も


「竜陣」


二本の刀で全て叩き落された。
避けられるかもしれないとは思ったが、まさか全て叩き落されるとは思っていなかった。
ソニア姉様もそれは同じだったようで一瞬体が硬直し、次の瞬間私達の目の前にそれぞれ刀が突き付けられていた。


「俺の勝ち…かな?」


そう言ってくるシュバルツを見て素直に負けを認める事が出来た。
成長した弟に追い越されたみたいね。




これでシュバルツがこの国に居る事に反対する者は居なくなり、むしろより一層の歓迎ムードになった。


sideシュバルツ


あの戦い以来、周りが俺の行動に対して過敏な反応をするようになった。
どうも調子に乗ってサンダーソニアとマリーゴールドに勝ったせいで、この国でハンコックの次に強いと認識されてしまったようだ。
原作でもハンコックの妹として美人よりも強さでキャーキャー言われてた2人を倒したせいか俺もこの国の人達にキャーキャー言われるようになった。
前世から合わせてのモテない人生に初めての訪れた転機…まあ見た目じゃなくて強さ重視のこの国だけの事だがな。
つーか転機が訪れたのはいいが、もうすでに墓場に片足突っ込んでるしな、いやその事についての後悔は全くないけどね…むしろハンコック見たいな美人と結婚出来るとか。
4年後にルフィが来たから別れろとか言われないよね?………いやいやいやいや、よくよく思い出してみれば俺冒険家だった!此処で一生過ごす訳にはいかない!!
危なくこの数日でモテまくり冒険心が消えかけていたようだ。
何年も修行しといて1ヶ月も旅してないうちに冒険終了とかないわ。
此処来るのも確かに目的の一つだから別に一月、二月いても構いはしないが、永住はごめんだ。
しかし此処から出るとなると方法は一つ、来た時と同じように九蛇海賊団の船に引っ張ってもらうしかない。
今この島には俺の船もあるが普通に出港すると海王類の餌食になるだろう、一匹二匹ならどうにかなるだろうが、船を丸のみにするような怪物が次々と襲ってくるとか身が持たん。
あのインペルダウンの最大の防御壁とも言われるこのカームベルトを越えるのは不可能だろう。
俺の刀を船底に刺しても意味ないよな。
しかし俺の一存で九蛇の船を出す訳にはいかないし。
ハンコックに言うしかないか。




「旅の準備?」


「うん…何時出るの?」


「そうじゃな…一週間後か、一ヵ月後か、一年後か……そのうちじゃ。」


「気まぐれか!!」


「良いのじゃ、わらわは暫くの間この生活を楽しむのじゃ!!」


なんかやたら力強く宣言しやがった。


「でも俺冒険家だからさ、冒険は続けるって言っただろ、このカームベルトを越えるには九蛇の船に送ってもらわないと。」


「何を言っている、そなたは此処に住むのじゃろう?ならばいつ出てもいいではないか。」


「いや、冒険家として…此処を拠点に動くのはいいけどずっとこの島に拘束される気はないよ。」


ハンコックも俺の言い分を無下には出来ない様で暫く考えた後


「嫌じゃ!わらわはまだしばらくそなたと此処に居る!!」


力一杯却下しやがった。


「でも俺は此処に居てもやることないだろう?」


「わらわと共に居る事だ。」


即答しやがりました。
仕方がないこれはハンコックをその気にさせるしかない様だ。


「いいかハンコック2人旅だ、その間2人きり…何をしててもいいんだぞ。」


その言葉にハンコックは反応した。


「何をしていてもいいとは…ずっとくっ付いていてもいいと言う事か?」


「ああ、それに俺の船は狭いぞ、自然と距離も近くなる。」


「そうか…自然と距離が近くなる、2人旅…甘美な響きじゃ。」


よし!乗って来た。


「それじゃあ早速準備しよう、そう言えば俺達2人とも能力者だし海に落ちた時とかのこと考えて誰か付き人的な人を乗せない?」


「それは…折角の2人旅なのに。」


どうもハンコックは付き人に否定的のようだ。
しまった話の展開が急すぎた、2人きりを強調してやる気を出させたのに速攻で前提を覆してしまった。


「まあ…あくまで乗りたいって人がいたらの話だし、それに誰かが舵を取っていてくれるならその間2人で一緒に居られるじゃないか。」


苦しい言い訳だが納得してくれたようだ。
どうも2人っきりはハンコックにとって魔法の言葉の様だ。


「とにかく検討してみてよ。」


そう言って今日はもう寝る事にした。




起きた時にホールドされてるのはもうお約束と言う事にしよう。









補足説明

竜陣(りゅうじん)…紙絵で相手の動きを読み間合い内には行った攻撃を即防ぐ技(制空圏)。









あとがき

戦ってみた、なんかシュバルツ強くね?って思った。
実際に今回の戦闘はほぼ原作のルフィの戦いをまねただけだし、そう考えるとシュバルツが能力なしてギア2と同等の動きしてるし。
まあそこら辺はいいか、どうせまだ七武海には勝てないだろうし。
ではまた次回。



[8408] 第三十三話
Name: 思いつきで投稿◆9abf2946 ID:d4d903c6
Date: 2009/07/25 23:27
取り合えず今日一緒に着いて来てくれる人を探して見る事にした。
海に落ちた時ようの非常要員だから能力者じゃない人になるな。
まあ今この島に居る能力者は俺とハンコック達3人しか居ないから他の人なら泳げれば誰でもいいんだよな。
ラジャについては論外だな斧だし、能力者だし。
別に蛇でも大丈夫かもしれないけど何か不安だし…やっぱり誰か1人来てもらう事にした。
ハンコックは俺に任せると言っているので勝手に決めさせてもらう事にする…実を言うともう誘う人は決めてあり、了解をもらえればその子で決めるつもりだ。
ぶっちゃけて言えばその子はマーガレットだ。
もしかするとがハンコックと仲が良くなって、石にされるイベントが起こらないかもしれない。
え?ルフィがインペルダウンに行けないかもしれない?
いやいやよく考えたら俺がエースを助けるために動く義理ないから、寧ろ戦力として呼ばれるハンコックの安全を考えるとルフィがジンベイやクロコダイル引きつれて白ひげ側に着く方がダメだ。
どちらかと言うと、何とかして俺も白ひげを迎え撃つ七武海の陣営に加わりたいと思うくらいなのに。
白ひげや周りの有名海賊団の船長達はダメでも周りの雑魚掃除くらいなら…でもそんな奴らにハンコックやられる訳ないよな。
まあもしルフィやエースと仲良くなるような事があったら俺に出来る限りで手を貸してやる事にしよう……まあそんな事は無いだろうけどな。









第三十三話









sideマーガレット


3日前、この島に衝撃の知らせが届いた。
国中の憧れともいえる九蛇海賊団がたった一人の人間、しかも男によって一時的とはいえ壊滅状態に追いやられたと言うのだ。
そんな事あり得ない、それが私を含めた戦士達一同の考えだった。
確かに見慣れない人が蛇姫様の隣に立っていたがあの人がその人物なのだろうか?
今現在その人は蛇姫様に連れられて九蛇城に入り、姿は確認出来ていない。
その日国中でその男に対して様々な噂が流れた。
海賊団のメンバーの人達が話した事も合わせて、蛇姫様と妹君の恩人だとか、覇王色の覇気を持っているとか、竜になる事が出来る能力者だとか…どれも嘘くさい話ばかりだった。




暫くして蛇姫様が妹君と一緒に男を引きつれて出て来た。
私は初めて男を見たがやはり一見して私達との違いがあった。
物珍しさからか皆が見ている前で、信じられない事が蛇姫様から伝えられた。
蛇姫様は自分の恩人で此処に暮らす許可を出す宣言された。
反対意見が出たが


「ダメか?」


そう聞かれる姿が余りにも可愛らしくて


「「「「「「「「「「全然構いません!!!!」」」」」」」」」」


国中合意で了承してしまった。
そう言って蛇姫様は城の中に戻られた。




その夜護国の戦士達が集められた。
言いだしたのはキキョウだ。


「此処は男子禁制の国、男は置いておけない。」


だそうだ。


「でも、貴方だって了承したじゃない。」


そう言うのは何時もメモを取っているネリネだ。


「それは……あの時はつい勢いで、でもこの国は今までそうやって掟を貫いて来たじゃない、今更それを無かった事にするなど出来ない。」


同じく反対派の子達がキキョウの意見に頷く。


「それを決めるのは、現皇帝の蛇姫様よ。」


それは尤もだ、掟も結局は何代も前のもう亡くなった皇帝が決めた物、結局は皇帝になれば変えられる。


「それに掟がなくなった訳では無く、あくまで特例としてあの人だけでしょ?」


続く様に言う肯定派の戦士の言葉にキキョウは返す事が出来ないようで、取りあえずこの後で蛇姫様に直訴するとだけ言い残し反対派の子達と言ってしまった。




次の日、キキョウは同じ不満を持つ者同士で蛇姫様に掛け合った。
その申し出はあっさりと蛇姫様に却下された。
しかし以外にも事の中心にる男が


「いいよ、要するに俺が弱いかもしれないからこの島に居てほしくないんだろ?だったら勝負でも何でもして実力を見せるさ。」


自信満々にそう言って来らしい…キキョウ達が物凄く怒ってた。
私はまだ護国の戦士になって日が浅い、しかしキキョウは戦士達の中でも中心の人物で勿論私よりも強い。
あの男は大丈夫だろうか…たしかシュバルツと言うらしい、何でも蛇姫様の次、妹君と同じくらい偉い立場に立つそうだ。
流石にそれは私もどうかと思う…強いならいい?わからない…でも蛇姫様が決めてあの男が護国の戦士を退けるほどの強さを持っているならもう追い出す理由は無い。
全ては明日の勝負しだい、そう言う事だ。









信じられない光景だった。
護国の戦士をあっさりと倒し覇王色の覇気まで放っていた。
一瞬意識が朦朧としかけたが、何とか耐えるともう闘技場の上で立っているのはあの男だけだった。
凄い…ただそれだけだった。
周りも誰も彼に出て行けなど言えないだろう。




その後シュバルツ様は妹君まで圧倒された、妹君は能力者なのに。
あの方が来てから国中驚きの連続だ。
一部では蛇姫様と互角なんて噂も出てきている。
あとキキョウの態度が戦う前と反対になっていた。
なんでも、男なのにあの実力を持っている所が凄いと尊敬したようだ。
そして今…何故か私がシュバルツ様に声を掛けられていた。


「ちょっといい?」


「はい……シュバルツ様!?」


男は人を驚かすのが好きなのだろうか?


sideシュバルツ


マーガレットを探して歩いたがあっさりと見つける事が出来声をかけてみた。


「ちょっといい?」


「はい……シュバルツ様!?」


どうも俺に声を掛けられて驚いた様だ、どうだ声を掛けただけで驚かれるなんてアイドル見たいだろ……この驚きが痴漢に会った時の驚きでない事を切に願う。


「驚かせてすまないが、少し聞きたい事があるんだけど……。」


「は、はい何でしょうか?」


「ちょっと此処では…折り入って聞きたい事があり場所変えてもいいかな?」


「はい。」


そう言って素直に俺に着いて来てくれるマーガレットに感謝しながら人気のない所に移動すると、後ろからメチャクチャ視線を感じた。
出来るだけ気づかない振りをしておいた。




場所移し改めて頼む事にした。


「話何だが…実は俺とハンコックで旅に出ようと思うのだが、2人とも能力者の為海に落ちると危険だ、故に誰かに同行を頼もうと思って。」


「もしかして…。」


俺が何を言いたいのか気がついたマーガレットに


「そう、マーガレット君に決めた。」


俺は某永遠の10歳のように宣言した。


「私…ですか?」


半分唖然として答えるマーガレットに慌てて付けたした。


「ああ、勿論嫌なら断れるよ。ハンコックは誰でもいいと言ってたし、君を誘ったのは俺の勝手だから。」


「いえ!頑張ります!!」


滅茶苦茶気合入れて返された。


「あ、でももっと沢山連れて行った方がいいのではないでしょうか?」


「俺の船大体5人くらいしか乗れないんだ、もしかしたら旅先で誰か乗せるかもしれないし3人で行く事になったんだ。」


「そうなんですか…あの、何故私を選んだのですか?それに名前も知ってらしたし。」


応えに困る事を聞いて来た。
さて、どう答えるか…。


「それは、名前は他の人に聞いたからさ。あと理由は………俺の勘だ。」


全く理由になってなかった。
しかし言ってしまった以上これで押し通すしかない。


「俺は感が鋭くてよく当たるんだ。君を見た瞬間に、これだ!って思ったのさ。」


苦しい…余りにも苦しい理由だ。
もう後には引けずに必死になっている俺。
とにかくもうこうなれば勢いで押し通すしかない。
俺はマーガレットの肩に手を置いて力一杯に思いを伝えた。


「そう、俺は一目見た時から君しかいないと思ったんだ!!」


そう言った途端とてつもない覇気が俺に叩きつけられた。
目の前にいるマーガレットは既に気絶している。
俺はゆっくりと彼女を地面に横たえ、恐る恐る振り向いた。
そしてそれを視界に捉えた瞬間前に向き直り全力で駆け出した。
何からとはあえて言わない。
ただひたすら走った、メ○スの様に俺は走った。




sideハンコック


やる事もなく暇なのでシュバルツを探して歩いていると、偶然廊下の窓から見覚えの在るような無いような者とシュバルツがコソコソと人気の無い場所へ向かって行くのが見えた。
怪しい…何をするつもりだあの娘。
この瞬間様々な考えがわらわの頭を駆け巡ったが、とにかく後を憑けてみた。
声をかけようと思ったが真剣な話しの様なので、少し待って見る事にした。
普通なら待ったりしないが、シュバルツの事なので特別じゃ。
しかし見てりるとどうも様子がおかしい。
何を話しているのかはわからぬが、先ほどシュバルツが娘を指差し何かを言った所、嬉しそうに返事をしておった。
その後にシュバルツと何かを話していたようだが、突然シュバルツが肩に手を追いて叫んだ。


「そう、俺は一目見た時から君しかいないと思ったんだ!!」


そんな声が聞こえ、一瞬呆然とした思考が怒りで埋め尽くされた。
何故そんな事を言ったのか、それはわからん。
少なくともその時のわらわはそんな事はどうでもよく、わらわはシュバルツの元へ歩み寄った。
どうも気配を消したりはしていなかったせいか、シュバルツは此方に気づき逃げ出した。
逃がさん!!
そう思いわらわも走った。
ただひたすら追いかけた、一言も発さずに。


sideシュバルツ


何この状況!!?
メロ○の如く逃走する俺、そんな俺に待ての一言も発する事無く追いかけてくるハンコック。
怒っている表情でもなく、悲しんでいる表情でもなくただ無表情。
正直言って非常に怖い。
元が美人だけに余計怖い。
何て言うんだっけこの表情……そう種割れだ!!
剃で逃げる俺に、素で走ってついてくるハンコック。
そして人通りが多い道に出た瞬間、今まで一言も発さなかったハンコックがようやく口を開いた。


「皆の者!シュバルツを捕まえよ!!」


覇気を纏って発せられた一言に押されるように人々は訳もわからず俺を追いだす。
角を曲がるたびに追う者が増える、立ちふさがるように立つ者のせいで、剃が使えなくなり目に見えて速度が落ちた俺。
取り囲まれると月歩や壁走りでなんとか潜り抜け、俺は九蛇城の中に逃げ込んだ。
上に逃げる度に逃げ場がなくなる。
このままじゃ捕まる!
そう思った俺は、昔ふざけて練習したあの移動方法を使う為に途中で拾ったラジャを連れ、さらに上を目指した。
とうとう一番上まで逃げ、逃げ場がなくなった所で


「もう逃げられんぞ、シュバルツ。」


追い詰めた俺に先ほどとは打って変わって不気味な表情で告げるハンコック。
捕まったら最後何をされるかわからない。
仕方なく俺はラジャを掴み斧の形態を取らせて構えた……空に向かって。
一瞬俺が武器を構えた事に動揺したハンコックだが、俺が斧を投擲するよ言うな構えでなおかつ空に向けた事に怪訝な表情をした。
俺はそんなハンコックの表情を気にする事もなく、全力でラジャを投げ


「ぴょっ!!!!」


と言う奇声を発しながら飛び、自分で投げた斧の上に中腰で乗り腕を後ろで組んで逃げた。
そう…某世界最高の殺し屋の様に。









あとがき

正直に言おう。
最後の部分がやりたいがためにこの話を書いた。
ですからお約束の勘違いを無理やり入れたことを許してほしいと思う。
あと…
最後の部分でラジャの存在意義の7割を使った(笑)
じゃあもう一話行ってみよう。



[8408] 第三十四話
Name: 思いつきで投稿◆9abf2946 ID:d4d903c6
Date: 2009/07/30 21:14
どうも皆さん主人公です。
前回逃げたは良いが、当然そんな長距離を飛べるはずもなく、森に墜落しました。
俺はこの数年間修行は欠かさずにして来たが、サバイバル系の訓練は全くと言っていいほどしていなかった事に今気がついた。
勿論そんな都会っ子の俺が森の中で生きていけるはずもなく、大人しく頭を下げて城に戻りました。









第三十四話









ハンコックの部屋にサンダーソニアとマリーゴールドに連れられて来た。
もうそれはがっちりと、その身長差からまるで捕まったエイリアンのように連れられて来た。
そのさいに2人から


「何したの?」


そう聞いてくるサンダーソニア。


「いやそれがさっぱりで。」


「じゃあ何で逃げたの?」


「覚醒した顔で追いかけられてつい…。」


「もう…本当に貴方って。」


珍しくお怒りのサンダーソニアに


「とにかく謝って仲直りしてきなさいよ。」


と言われた。


「それと何?あの変な逃げ方。」


あの有名なシーンを頑張って再現した俺に呆れた目を向けてくるマリーゴールドに俺は


「あれ凄くない?」


そう聞いてみた。


「凄い事は凄いけど…はぁ、もういいわ。」


諦めた感じのマリーゴールドを尻目に、サンダーソニアは怒りからか呆れからか珍しくノックなしで部屋のドアを開けてしまった。
そして中に居たのは……自分の蛇を槍のように構えて投げる練習をしているハンコックだった。


「「「「…………。」」」」


4人の間に沈黙が降りた。
状況が理解出来てしまい気不味いサンダーソニアとマリーゴールド。
見つかって恥ずかしいのか真っ赤になるハンコック。
昔の練習を思い出す俺。


「これは…その……違うのじゃ!!」


そう言って持ってた蛇を俺に向かって全力で投げて来た。
そしてその槍の様な蛇は俺の顔をかすめて壁に突き刺さった。


「おい!死ぬわ!!」


俺の抗議と騒ぐハンコック、巻き込まれた2人。
こんな感じでぐだぐだして結局誤解は解けてよかったが酷く疲れた日だった。









数日後俺達は旅に出た。
この何日で準備を整え、今は九蛇の船にカームベルトを抜けている。
マーガレットは初めての航海に浮かれているようだ。
この数日間は特に目立った事件もなくいたって平和だった。
ただひとつ言う事があるとすれば、俺のやった移動方が女ヶ島中で流行った事だ。
それはもう大人から子供まで。
そのうち九蛇戦闘方で敵に向けて自分の蛇を投げ、その上に乗って突っ込むと言う特攻技が出来るのではないだろうか。
まあそんな未来を予感しつつ船は進んだ。




カームベルトを出た所で俺達は別れ、別々の進路を辿る。
どうも聞く所によるとこのまま九蛇海賊団はキューカ島に行くらしい。
そんな観光名所に海賊が行く事はそれこそ普通はない、けどこれも七武海に影響で捕まる事は無いため問題は無いらしい。
まあ周りの観光客や施設経営者からすれば迷惑極まりない事だろう。
しかし皆そんな事は意にも介さず行ってしまった。
さて3人になったはいいが…その途端に緊張の真っただ中に落とされたマーガレット。
先ほどまでのはしゃぎ様とは打って変わって息すら極力しないようにしてる。
このままではマーガレットが死んでしまうかもしれないので何とかコミュニケーションを図る事にした。


「まあ取りあえず此処で立ち往生知る訳にもいかないので船を進めようか。」


俺の言葉に反応してハンコックが聞いて来た。


「所で何処の島の向かうのじゃ?」


「取りあえずこのエターナルポースに沿って行こうと思っている。」


そう言いながら俺は一つのエターナルポースをハンコックに見せた。


「それはどんな島を指しているのじゃ?」


「俺も知らん。」


「知らんって……大丈夫なのですか?」


流石に驚いたのか恐る恐るマーガレットも話に入って来た。


「取りあえずエターナルポースには”トアル島”って書いてある。」


「それはどのような島なのじゃ?」


「だから知らん。」


「知らんって…そなた、何故その島を選んだのじゃ?」


ハンコックの問に簡潔に答えた。


「だって物凄く気にならない?トアル島って名前が。」


「そ、そんな理由ですか!?」


マーガレットは早くも後悔丸出しで聞いてくる。


「そなた、他にログポースかエターナルポースを持っておらんのか!?」


流石のハンコックも若干焦り気味だ。


「あるよ。」


そう言って俺はエターナルポースが入った箱を見せた。


「なんじゃそれなら何処か別の島に行けばいいではないか。」


速効で進路を変える事を提案してくるハンコックと、首を縦に振り同意を示すマーガレット。


「どの道此処にあるエターナルポースの大半はどんな所かわからないものと、今乗せてる食料じゃたどり着くまでに死んでしまう奴しかないし同じさ。」


そう言って諦めさせた。
まあ確かに大半はそうだが、実は若干嘘を交えてあり本当はダメだった時の為に予備の食糧と、今積んである食料で辿りつける島が同じ方向にある事は確認済みだ。
まあトアル島がどんな所か知らないのは本当だが。
取りあえず2人をやり込めて進路をとトアル島に取った。









後悔開始10日目ようやく島が見えて来た。


「島です!島が見えました!!」


「うむ、エターナルポースが指す方向から見てもあれがトアル島で間違いなさそうじゃな。」


この10日で大分仲良くなった2人、やはり同じ体験をすると自然と中がよくなるな。


「もう本当に死ぬかと思いました。」


「そうじゃな、今晩で食料が尽きる所じゃった。」


まあ確かに何時つくかわからない島、減っていく食料、一種の恐怖体験だろう。
そんな2人に明るいニュースを教えてやろうと俺は予備の食糧の存在を明かした所。


「「早く言え!!」」


盛大に怒鳴られた。


「何でもっと早く言ってくれなかったんですか!!?」


「いやだって……こんなこともあろうかと!ってやりたかったんだ。」


「そうですか…もういいです。」


ここ最近で俺の性格を大分理解したのかマーガレットは諦めたように言って来た。


「大体乗せれるだけ食料乗せればこの船でも100日分は乗せれるし、それを3人食べても30日は余裕で行けるさ。」


「そうは言っても、何故予備の方が多いんじゃ?」


「その方がスリルあると思って。」


「わらわ達だけな。」


うわ…何時になく冷たい。


「御免なさい、もうしませんから許して下さい。」


「本当にもうしないで下さいよ。」


「これきりじゃぞ。」


素直に頭を下げ、何とか2人に許してもらった。


「さて…どんな島か早速見に行こう。」


そう言った俺にハンコックは断って来た。
何でも疲れたから少し寝るそうだ。
仕方なく俺とマーガレットの2人で街まで行く事になった。




「普通の村だな…。」


「普通ですね…。」


初めて他の島に来たマーガレットにも普通と言わせるほどこの島は普通だった。
島としての規模は小さく、村が幾つかある位で、海賊に襲われたら一発で壊滅しそうな島だった。
村を歩いていると俺達に幾つもの視線が向けられて来た。
最初は見慣れない者が歩いているので注目されたのかと思ったが、よくよく観察してみると俺ではなく主にマーガレットに視線が向けられている。
しかも主に男からだ。
マーガレットは可愛いしそのせいかとも思ったが、よくよく考えてみるとマーガレットの着ているのはアマゾン・リリーで着ているものと同じもので肌の露出が多いから注目されている事に気がついた。
俺は慌ててマーガレットの手を引き急いで近くの服屋に駆け込んだ。
女性の丁度女の店主だった事もあり、彼女にマーガレットを預け後で向かえに来る、と言い残し俺は服屋を後にした。
そしてまた一人で歩いていると今度は村の名物を売っている店があったのでハンコック達にも買って行こうとよる事にした。
トアル饅頭って…そのまんまだな。


「すいません、これ3つ下さい。」


「はい、毎度あり300ベリーです。」


俺は500ベリーを払いながら若干気落ちしていた。
この島には俺の冒険心をくすぐる物が何も無いからだ、饅頭を受け取りながら早くも次の島に思いをはせる俺に衝撃の言葉が投げかけられた。
そうそれは何気ない言葉。


「じゃあお釣り、200ベリーぬらべっちゃ。」


なん…だと…。
今このおばちゃん、ぬらべっちゃって言わなかったか?
俺の頭の中でぬらべっちゃがエコーしている。
そしてそのエコーと共に在る男の顔がぬら~と思い浮かんで来た。
まさか…奴がこの島に居る!!?
そう思った途端に俺の中の冒険心(悪戯心)が騒ぎ出した。









あとがき

えっと…特に書くことはない。
ではまた次回の感想で。



[8408] 第三十五話
Name: 思いつきで投稿◆9abf2946 ID:d4d903c6
Date: 2009/07/30 21:12
ぬらべっちゃ…。
もうその言葉が頭から離れない。
俺は居てもたっても居られずに、例のあの人を探しだした。









第三十五話









俺は服屋に戻るとおばちゃんに世間話をしながら聞き込みを開始した。


「いや~平和で良い島ですね。」


「そうでしょう、外じゃ大海賊時代なんて言ってますけど、この島じゃ今の所そんな気配微塵もしないぬら。」


島を褒められて嬉しのか上機嫌のおばちゃん。
ただ語尾に違和感があるけど。


「じゃあこの島は事件とかは何もないいんですね。」


なんだか誘導尋問してるみたいだ。
まあここで何もないとか言われたらそこまで何だけどね。


「そうですね…特に事件と言えるような事は無いぬら。」


終わった……いや待て他でも聞きこんでみよう。


「ただ事件と言えばこの前…」


「何かあるんですか!?」


再び巡って来たチャンスに俺のテンションも上がる。


「はす向かいの家出子牛が生まれた事ことくらいぬら。」


どんだけ平和だよ!!と思わず叫びそうになるのを必死で堪え、


「そうですか、ではおめでとうと伝えて下さい。」


そう言い残し、すっかりテンションが下がった俺はトボトボと店を後にした。


「毎度ありぬら~。」


なんか気の抜けるような言葉に送られ店をでる俺とマーガレット。


「どうかしたんですか?」


余りの俺の気の落ち様に、マーガレットが心配そうに聞いて来た。


「ああ、うん…なんかこう言ったら何だけど、面白味の無い村だなと思って…。」


「まあ平和でいいじゃないですか。」


「それはそうだけど…もうちょっとなんかこう…俺楽しませてくれる出来事とか無いのかな?」


そう言ってさらに気落ちする俺。


「じゃあ、もう一度事件を探しに行きましょうよ!」


「そうだな…探してみるか。」


「はい、行きましょう!」


何とか俺を元気付けようとするマーガレットに感謝しながらもう一度奴を探す事にした。
でもマーガレットよ、実は俺は事件を探しているのではなく例のあの人を探しているのだよ。
まあ口に出しては言えないけどね。




そうして俺とマーガレットは事件をさがして 村人に聞き込みを始めた。


Q:この島で最近事件はありませんでしたか?


A1:この間、向かいの家子のが始めて立ったらしぬら。


俺のテンションが下がった。


A2:昨日村長がぎっくり腰になったって聞いたぬらべっちゃ。


俺のテンションがさらに下がった。


A3:さっき船着き場で物凄い美人を見かけたって聞いたぬらべっちゃ。


俺のテンションが物凄く上がった……よくよく考えると俺の連れだと言う事に気がついた。


A4:ん~特に無いぬら。


絶望した。
それはもうこんな感じになる位→orz
しかし俺は諦めない。
質問をもう少し近づけて聞き込みを再開した。


Q:この島で悪さをする奴はいませんか?


A:居ないぬら。


orz
再びこんな感じになった。
しかしマーガレットは、俺がこんな感じになるたびに懸命に元気づけてくれる。
ええ子や、こんなに健気にされたら俺惚れてしま!!…今とてつもない悪寒が体を通り抜けて行った。


「どうかしたんですか?」


そう聞いてくるマーガレットに


「大丈夫、続けよう。」


と返して無かった事にして聞き込みを再開した。


Q:この島で悪さをする奴はいませんか?


再び同じ質問を違う人に尋ねる。


A:悪さをする人…確か山の近くの村にそんな人達が居ると聞いたことがあるぬらべっちゃ。


「やった…ついにやったぞ!!」


喜びマーガレットと手を取り合って喜ぶ俺。
そして若干引き気味な村人。
そして不機嫌そうなハンコック。
……? 今何か増えてなかった?
俺、マーガレット、名も知らぬ村人、あとハンコック……ハンコック!!?
そうハンコックが増えていたのだ。


「あれ? 如何したんだハンコック、船で寝ているんじゃなかったのか?」


極めて普通に対応する俺。


「寝ていた所、不穏な気配を感じて起きたので様子を見に来たのじゃ。」


「船は?」


「ラジャを残してきた。」


淡々と答えるハンコック。
冷たいが前の様に覚醒はしてないようだ。


「そうか、それじゃハンコックも一緒に行こう。」


話題を転換して逃げる事にした。


「山の近くの村ですよね!」


慌てて村人に確認する俺。


「そうぬら、村の北にある道を辿って行けば着くぬらべっちゃ。」


素早くこたえてくれた村人に感謝しつつも、俺は足早に駆け出した。


「さあ行こう、奴を成敗するぞ!」


このまま俺はハンコックに反論する暇を与えないことに成功し、事態をうやむやにする事に成功した。
この時発生したストレスは、奴にぶつける事を心に決めて。




そのまま言われた道を辿る事1時間半小さい森を抜けると直ぐに目的も村に着いた。
時間もいい頃なので俺達は一度食事を取りそれから奴を探す事にした。


「所でシュバルツ…その、奴とは誰じゃ?」


食事を取りながら俺にながらそう尋ねてくるハンコック。
マーガレットも聞きたそうだ。


「それは会えばわかる…俺はそいつに訪れる不幸の要因を取り除いてやりたいんだ。」


珍しく真顔で答える俺に神妙になるハンコック達。


「その者は不幸なのか?」


「ああ、不幸になる要因を持っている。」


「それを取り除くと?」


ハンコックに続いて聞いてくるマーガレット。


「俺は奴を救いたいと思っている。」


「そなたにそこまで言わせるとは…まさか女か!」


「いや…男だし、てかハンコックの中で俺がどんな風に思われているのかが垣間見えたよ。」


気落ちしながら答える俺に


「いや…それは自業自得じゃ。」


「ですね。」


とどめを刺す2人。
マーガレットよ、お前は一体俺の何を知っている。




俺に心に大きな傷跡を残した昼食を終え村をぶらついていた所に丁度良く騒ぎが起きた。
そう、例のあの人が現れたのだ。
俺的にはタイミングがいいが、奴的には最悪だろう。
やはり奴は不幸を呼び寄せる才能があるに違いない。
そう思いながら目の前でカツアゲをしてる奴をみる。
あの手配書そっくりだ。
余りに凝視しすぎたせいか、奴はカツアゲしていた人を放り投げこっちにやってきた。


「おい、お前なに見てるぬら。」


そう言って俺の胸倉を掴む男…そうデュバルだ。
何時も牛に乗っていたせいか余り体格を覚えていないのだが、こいつ意外と体格いいな。
そう思いながらも奴の手を持ち捻る。


「痛たたた!痛いぬら!おめェ、俺にこんな事してタダで済むとおも「それ。」ギャー!御免なさいぬら!許してほしいぬらべっちゃ!!」


間接技を決められながらも頑張って凄もうとする奴の腕をさらに捻ると、あっさりと態度を一変して謝って来た。
可哀そうなので条件付きで離してやる事にした。


「わかったから俺の言う事を聞け。」


「わかったぬら!何でもするから離すぬら!」


「よし。」


そう言って手を離す俺。
息も荒く地面に手をつくデュバル。
しかしそんな奴の様子を無視し俺は言い放った。


「俺がお前に言う事は、1つもうカツアゲをしない事、2つウィンクの練習をする事、3つ俺の言う事に逆らわない事。」


「1つ目と3つ目はわかるが、2つ目は如何言う頃ぬら? と言うか3つ目があれば他はどうでもいい様な気がするぬら。」


ようやく落ち着いたのか意外と冷静に聞いて来た。
確かに正論だ、しかし俺的には大きな意味があるのだよ。


「教えてやろう、まずウィンクが上手く出来ないだろお前。」


そう言ってデュバルを指差す俺。


「馬鹿にするな! それ位訳ないぬらべっちゃ!」


「ではやってみろ。」


「見てろ! このオラの華麗なウィンクを!」


そう言って奴は顔を歪ませた。


「「「「「「「「…………。」」」」」」」」


俺もハンコック達もデュバルの部下達も村人も皆固まった。


「どうだぬら! オラのウィンクは!!」


ウィンクを止めそう言い放つデュバルに、俺は肩に手を置き優しい口調で言ってあげた。


「ドンマイ。」


「なんだそのコメント!! もっと他になぬら!!」


「いやだって…。」


デュバルから目を反らし言いよどむ俺、そんなやり取りに割って入る奴がいた。
それはつい先ほどまでデュバルにカツアゲされていた男だった。
彼は優しい目でデュバルを見ながら


「これを上げるから元気だすぬら。」


そう言って自分のサイフを差し出した。


「要らんわ!!」


そう叫ぶデュバル。
俺は何てことを言ってしまったんだろう。
あれでマシだったんだ、ハンサムになっただけマシだったんだよ!
俺は…取り返しのつかない事をしてしまった。
この瞬間村でのデュバルの印象は、乱暴者から可哀そうな人にシフトした。









あれから暫く立ち、部下や村中の人から励まされたデュバルは、もう暴れる気がなくなったのか俺に聞いて来た。


「おめェは何であんな事を言って来たぬら?」


「俺はお前を不幸に対抗する力を与えに来た。」


「不幸? おめェに今不幸にされた気がするぬら。」


「あれは事故だ、お前が女の子にモテるようにしてあげようとしただけだ。」


「オラが…モテる?」


この話題に興味があったのかデュバルは食いついて来た。


「でもウィンクだけでモテるぬら?」


疑問を露わにするデュバル。
仕方なく俺は切り札を切る事にした。


「俺の言う事を疑うな…証拠として、ほら。」


俺はハンコックを指差し


「あれ俺の嫁。」


と言い放った。
デュバルには驚愕に顔を歪め


「な!? あ、あの美人が嫁ぬら!!? あ、貴方…いや貴方様は……神!!」


そう言って俺を拝みだした。
デュバルの部下達も…そして男の村人達も…恐るべしハンコック。
この時調子に乗って俺が地蔵の様なポーズで優しく覇気を出したのは余談である。




「所で話は戻るが、お前はこの先不幸になると出ている。」


「オ、オラが不幸に!!? 貴方様のお力でなんとかならないぬら!?」


もうこいつ等は完全に俺を信用している。
そう確信した俺は続ける。


「任せろ、お前らが幸せになれるように俺が示す道に進め。」


「「「「「ははー!!」」」」」


ひれ伏して祈るデュバル達、ちょっと宗教家とかの気持ちがわかった。


「ではまず言おう、デュバルお前の不幸の原因はその顔と出ている。故にその顔を変えればいい。」


「で、ですが顔を変えるなんて出来ないぬら!!」


絶望したように言うデュバルを鎮め言い放つ。


「俺に任せろ、お前の顔を変えてやる。」


「ホントぬら!!?」


「ああ、だが多少痛いぞ。」


「オラ頑張るだ!」


意気込むデュバルの覚悟を聞き俺も準備にかかった。


「動くなよ。」


そう言い俺は奴の顔を変え出した。


「目(ウイユ)! 鼻(ネ)! 頬(ジュー)! 口(ブーシェ)! 歯(ダン)! あご(マントン)!」


口に出した部分に力一杯蹴りを入れる、骨格を変える位強く。
そして


「整形(バラージュ)ショット!!!」


その言葉と共に連撃を叩き込んだ。


「ダバァアアア!!!」


そう言って吹き飛んで行くデュバル。
よく耐えた…これでお前は念願のハンサムになっているはずだ。
そう思い吹き飛んで言ったデュバルの顔を覗き込む。
その顔は見事に……ピ○ソの絵みたいになっていた。




やっぱり見よう見まねはダメですね。




今回の教訓[人生そう上手くいかない(デュバル限定で)。]









あとがき

今回はもうノリで書いた。
書き終えた後で今週のバギーと被ってた事に気がついた。
デュバルにはすまない事をしたと思う。
でも反省はしていない。



[8408] 第三十六話(大幅修正)
Name: 思いつきで投稿◆9abf2946 ID:d4d903c6
Date: 2009/08/04 16:18
在りのまま起こった事を話すぬらべっちゃ。
顔面が強烈に痛むので飛び起きたら皆がこっちを見てたぬら。
夢にまで見たハンサムの顔に成れたと思い鏡を見てみたら、そこには信じられない様な顔があったぬら。
ハンサムとかそんなチャチな物じゃねぬら。
まるで絵画の様な芸術的な顔がそこにあったぬら。
余りの素晴らしさにオラはもう話すのも忘れて鏡を凝視し続けたぬらべっちゃ。
ああ…こんな素晴らしい顔にしてくださって有難う、シュバルツさん。」


「……あのシュバルツ様、何故この島の言葉で話されてるのですか?」


頑張ってこの島の方言で話す俺に、やや躊躇しがちに聞くマーガレット。


「それに…先ほどから何をおっしゃっているのかがわかりません。」


「ふう…君もまだまだだね、マーガレット。」


「はあ…。」


やれやれと首を振りながら言う俺の言葉に、何と返していいのかわからないマーガレット。


「俺は先ほどから鏡を見て固まってるデュバル君の心の声を皆にわかりやすく代弁しているんじゃないか。」


そう上の部分は俺がデュバルの心の声を話しているのである。


「彼が喜んでいる事を周りの皆に分かりやすいように「「「「「そんな訳あるかー!!!」」」」」ですよね~。」


一斉にデュバルの部下から突っ込みを頂いた。
ちなみにデュバルはまだ固まったままです。
さて冗談はここまでにしてどうにかしないとな。










第三十六話










「如何言う事ぬら~!!」


いきり立ち此方に突っかかってくるデュバル。
その顔が泣いていて思わず「泣くデュバル」なんて頭に浮かんだ。
しかし変な顔にしてしまったのは悪かったので素直に謝っておこう。


「それは…ちょっとした手違いですまない。」


「この顔はおめェのせいぬら!」


ヒートアップするデュバル…何が悪かったのだろうか?
やはり見よう見まねでやったのが不味かったな。


「落ち着け!! 取りあえず元に戻すから。」


言い聞かすように出まかせを話す俺。
とにかく俺は全力で顔を元に戻す事にした。










数分後、そこにあったのは元道理の顔デュバルだった。


「戻って良かったぬら。」


しかもその顔は完全に元道理でとてもさっきの顔になったとは思えなかった。
蹴っている時は見えなかったが、強制的に力一杯骨格を歪めて行くのは恐怖映像だった。


「いやとにかくすまなかった。」


「本当に絶望したぬら。」


チクチクと此方を責めるデュバルに謝るしかない俺、まあ俺が悪い訳だし仕方がないが。
しかしこうなったら本当にサンジに蹴ってもらうしかないな。
俺には無理だし。
これ以上デュバルをどうこうする気も起きずに俺はこの島を出て次の島に行く事にした。


「じゃあ悪かったな、俺はこれで。」


そう言って立ち去ろうとしたが呼び止められた。


「待つぬら、俺としてもおめェと関わってもあまり良い目にあえる気がしねぇが、モテる方法だけは教えて行ってほしいぬら。」


どうもモテる事に対する執念だけは凄いらしい。
それに対して俺が言える事は…、


「え~と…強くなる事かな。」


俺の経験談で言える事はそれだけだった。


「強くなるとモテるぬら?」


「まあ…体験談で言うとあとはそれ位だな。」


「じゃあ如何したらオラ達が強くなれると思う?」


「如何したらって…ああ、これを覚えれば強くなれると思うけど…。」


そう言って俺は「六式全書」を荷物から取り出した。


「それを売ってくれ!」


「ああ、さっきのお詫びにあげるよ。」


興奮して言うデュバルに俺は「六式全書」をあげた。


「ありがとよ! おいテメェら、帰って特訓するぞ!!」


「「「「「おう!!」」」」」


そうしてデュバル達は俺に目もくれず走り去って行った。
今回は完全に俺の失敗だったな。


「行こうか。」


「はい。」


そう行った俺に答えてくれたのはマーガレットだけだった。


「ハンコック?」


そう呼びかけたハンコックの口からでた言葉に俺は考えさせられる事になった。


sideハンコック


シュバルツとの再会は嬉しかった。
しかし同時にその頃から不安でもあった。
わらわはシュバルツと公的会えるように七武海にもなった。
だがシュバルツは本心では如何思っているのだろう?
良く思い出せば、今も昔もシュバルツはやりたい事をやり続けて来た。
修行、家出、冒険、自分のやりたい事を思い立つままにやってきた。
そう言った意味では天竜人らしい我がままのし放題じゃ。
そのせいで見えない者達が多大な被害を蒙っている事も事実じゃ。
まあそんな者達の事はわらわからすればどうでもいい事じゃし、シュバルツも対して気にしてないのじゃろう。
しかしその対して気にしない者達の中にわらわも入っているのではないか、そう思うようになってしまった。
再会のときはその喜びで小さい事を気にしないようにしたが、わらわの言う事を聞かずに直ぐ冒険に旅立ったし、マーガレットも連れて来た。
この度の道中も何度も思ってしまった、思い出すと止まらず、シュバルツは周りを全て玩具にして遊んでいるように見えてしまう。
わらわは一番は何かと聞かれたら、躊躇なくシュバルツと答える自信がある…ソニアやマリーには悪いがな。
しかしシュバルツに同じ質問をした時何と答えるか、わらわと答えてくれるか、それとも冒険と答えるか、それとも玩具と言うか。
深く考えないようにしてきたが考え出すと止まらない。
わらわが今の状況を如何とらえていいかわからなかったのに対してシュバルツはわらわをあっさりと妻と呼んで見せた。
嬉しくはある…しかしそんなに簡単な物なのだろうか?
わらわはもっと重い物だと思っていた。
アマゾン・リリーの環境で育ったわらわだけの感覚なのか?
わからない…しかしこのまま1人考え込んでても仕方がなく、わらわは意を決して聞いてみる事にした。


「何考え込んでいるんだハンコック?」


シュバルツの目を見据え、わらわは真剣に言った。


「シュバルツ、わらわを妻と呼んだな?」


「ああ、そうだな。」


「それは嬉しい、だがそう呼ぶなら立場を明確にしてもらおう。」


sideシュバルツ


無言で考えるハンコック、一体どうしたのだろう?


「何考え込んでいるんだハンコック?」


すると考え込んでいたハンコックは意を決したような表情で答えた。


「シュバルツ、わらわを妻と呼んだな?」


「ああ、そうだな。」


「それは嬉しい、だがそう呼ぶなら立場を明確にしてもらおう。」


「立場を明確に?」


「わらわを妻と呼ぶなら口先だけではなく、公的にそう言った立場に立つ手順を踏んでもらおう。」


意味を理解していない俺にハンコックはさらに言ってくる。


「要するに届け出を出して、世間に対しても明確に立場を示せって事か?」


「そうじゃな。」


「だが俺の事は知ってるだろ?」


「ああ、知っておる。」


「ならわかるだろ?」


「何がじゃ?」


「何がって…だから俺の事が政府にばれると「だからどうした!!」どうしたんだよ行き成り。」


声を荒げるハンコックに事態のつかめない俺。
しかし次にハンコックが言った事に衝撃を受けた。


「そなたは…わらわと冒険とどっちが大切なのじゃ!?」


「え?」


「何時も冒険の事ばかり話して、わらわはその後ではないか!!」


「そんな事…。」


「ないと言えるか?」


睨むハンコックを前に否定できない俺。
よくよく考えて見ると、俺は何時も自分が楽しむ事しか考えて無かった。
自分が旅をするために周りを利用して来た。
家の立場を使って旅の船を資金を道具を用意した。
襲撃を利用して家出して、関係の無い者に罪を着せた。
アマゾン・リリーに居たいと言うハンコックを無理やり島から引っ張り出し旅に出た。
あの時ハンコック達と別れたのは本当にハンコック達の身を案じてだったのだろうか?
自分が見つかる可能性を少なくしたかっただけじゃないのか?
考えると俺の行動は天竜人そのものだった、ただ行動がやや控えめなだけだ。
自分のしている事を微妙に正当化しようとしている小細工があるだけ見苦しくすらある。


「どうなんじゃ?」


答えない俺に再度尋ねるハンコック。
俺は考えに考え…答えを出した。


「俺は…ハンコックが好きだよ、冒険より。」


「言葉だけでは信用が出来ない。」


そう言われるのも当然、俺は何時も口だけだったから。
だから今度は行動で示そう。
立場を明確にするにはあそこに戻るしかないな。


「うん、戻ろうか……マリージョアに。」










あとがき

突然に修正を入れ申し訳ない。
この旅読み返したところすさまじく自分勝手でいい加減な主人公になっていたことに驚き修正させて頂きました。
一度主人公の立場を見直そうと思いこのような形になりました。
そのため展開が大幅に変わりました。
作者もこの先どういった展開になるかを予測できない形です、そのため出筆が今までに比べて大幅に遅れるでしょうご理解いただけたら幸いです。
なお今後の展開によっては今までに書いた部分が変わるかもしれません。
このような事になり誠に申し訳なく思います。
では失礼させて頂きます。



[8408] 第三十七話
Name: 思いつきで投稿◆9abf2946 ID:d4d903c6
Date: 2009/08/18 15:24
思い立ったら吉日とばかりに猪突猛進に行動する俺の行動は、傍から見ると凄まじい迷惑である事が思い知らされた。
そしてハンコックとの事もはっきりとさせる為に一度マリージョアに戻る事になった。
家出少年が数年ぶりに家に戻ると言う事だ。
なんか気が重いな……そこ、ざまぁとか言わない。










第三十七話










ここ数日を重い空気で過ごした。
別に喧嘩をしている訳じゃない、ただ何と無く顔を合わせづらい雰囲気になってしまったのだ。
まあ顔は毎日合わせてるし、話もするがな。
ただ会話が長続きしなくて、嫌な沈黙が降りるのだ。
急遽呼びだした九蛇の船を待つ間、ここ数日で何度も思った事を思い返す。
俺は冒険をして何をしたかったのか。
そして俺はこれから如何して生きて行きたいのか。
冒険それは不確かな物で明確な決まりは無い。
冒険家とはある意味夢の職業ともいえるが、冷静にみればただの無職だ。
いやでもこの世界で夢は大事だよな…夢がないと海賊とかやってられないよな。
もう殆どの海賊はワンピースとか信じ出ないのか?
ただ利益の為に海賊行為をしているだけか?
思考が逸れた、とにかく俺は特に目的を持たずにその場その場での興味に従い行動し人に迷惑をかけて来た。
その事はもう取り返しがつかないしどうする事も出来ない。
とにかく今は家に帰ってハンコックの事を家の奴らに認めさせるしかないな。
まず俺がシュバルツである事を証明しなくてはな。
取りあえず、行き成りマリージョアに行っても入れてもらえる訳ないので、まず本人証明の為にマリンフォードに行く事にした。





九蛇の船が迎えに来てくれた。
急に呼びだしたにも関わらずに文句も言ってこない。
申し訳なく思いながらも船を引っ張ってもらい進路をマリンフォードに向けた。
ハンコックが保護した事にしても、行き成り連れて行くよりも先に報告位した方がいいよな。
そう思い俺はハンコックに海軍本部に電伝虫をかけるよう頼みに向かった。


sideセンゴク


何時もと変わりの無い午後、1つの報告で行き成りの慌ただしくなった。
慌てた様子で部下が電伝虫を持ってきて相手が王下七武海の1人ボア・ハンコックだと聞いた時は驚いた。
不動の女帝と言われるほどあの女は政府にかかわろうとしない。
称号を剥奪されないように最低限の事をする程度だ。
その女が何故連絡など…、相手の思考などわかるはずもなく受話器を取るしかなさそうだ。


「ボア・ハンコックか?」


「そうじゃ、センゴク元帥。」


「何の用だ?」


「保護した者がいる、引き渡す為に今其方へ向かっている所じゃ。」


「保護? 誰の事だ?」


「9年前に誘拐された天竜人じゃ。」


「何!!?」


驚いたのは私だけではない、電伝虫を持っていた者も、他の用件で控えていた者も驚愕を露わにしている。
この事件、ロズワード一家長男シュバルツ聖が誘拐されて9年あまり、未だに何も手がかりが掴めずに手をこまねいている海軍にロズワード聖が抗議をするのはもはや定例のようになってきていた。
この広い海で1人の人間を見つけるのは並大抵のことではない。
自分から此処に居ると騒いだり、世間に顔写真を公開でもしない限りはな。
恐らく犯人はあのフィッシャー・タイガーと思われるが、既に奴は死亡している。
奴が結成した太陽の海賊団も既に散り散りになっており、1人1人を捕まえる事など不可能だろう。
第一細かい船員もよくわからないのだからな。
奴らは体の一部に太陽の形をした印を付けているのでそれが見えれば判別も可能だが…奴らもそこまで馬鹿ではないだろう。
海軍や政府の人間が近くに居る時位印は隠すだろうし、見える位置にあるかどうかも疑わしい。
余り声を大きくして言えない事だが恐らくシュバルツ聖はもう亡くなられているのだろう。
こちらも口には出さないが既に捜索規模を大幅に縮小して久しいかった。
現在も捜索が打ち切られないのは単にロズワード聖が納得せずに海軍への抗議を頻繁に行っている事、そして海軍は天竜人を軽く扱ってはいないと言うアピールでもあった。
しかし我々が9年間探し続け見つけられなかった人物をこの女が見つけるとは…確かに天竜人に恩を売れるならこの女が動くのもわからなくもない。
我々の面目は丸潰れだがな。


「今何処だ? 本人確認を行うために此処に来てもらう必要がある。護衛も送らんといかんしな。」


「今はトアル島と言う島から直線でマリンフォードに向かっておる。」


「わかった、此方からも迎えをやる。」


くだらん意地とも取れるだろうが、此方が世界貴族を軽く見ていると捉えられる困る。
探し出せなかったならば、せめて護衛位はこなさないといかん。


「それと一度変わってくれ。」


「わかった。」


あっさりと変わるとは…本物なのか、それともバレない自信があるのか。


「もしもし、どうも変わりました…センゴク元帥ですよね、お久しぶりです。」


この口調…本人の可能性は高いな、周りは疑っているが。
あの話し方は天竜人の中でなら、ある意味で独特だ。
しかし失礼を承知で確かめさせてもらおう、もし本物ならば気になさらないだろう…多分。


「はて? 何処かでお会いした事がありましたかな?」


「昔一度だけ御会いしたはずなんですが…覚えておられないなら良いんです気にしないで下さい。」


「おお、そうでしたな、失礼しました。」


「いえ、お気になさらないで下さい。」


この後に特に確かめる方法は今のところない。
一応無事の確認等、適当な事を話して終わった。
再び海賊女帝にかわり、合流までの手順を話し合い最後に


「後は本人確認を行うので顔写真を送ってくれ。」


「わかった。」


此方の要望に了承をすると電伝虫は切れた。


「元帥…本物でしょうか?」


先ほどのやり取りに不安を持ったのか、待機していた者達が聞いて来た。


「今出来る事はやった、本人かどうか確認する事は今はできん。しかし此方の質問に答えた時の反応は確りとしていた。」


「そうなのですか?」


「うむ、始めの部分で失礼を承知で知らんふりをしたが気にしなかった事、前に会った事を覚えている…いや知っているだけかもしれんが、もしそうならば此方がとぼけた時に動揺がなかったのはおかしい…まあ肝が座っているだけかもしれんが。」


「…………」


結局の所本人かどうかはわからない。
誰も口を開く者はいなくなった。
そして間もなく電伝虫に取り付けられた機材から写真が印刷され出てきた。
急ぎ捜索にも使われている昔の写真と見比べる。
面影はある、断言はできないが。
他の者達にも意見を求める。


「どう思う?」


「断言はできませんが…恐らく間違いないかと。」


他の者達も同じような意見のようだ。


「まあ、詳しくは到着してから本人に確かめる事にする。捜索責任者は黄猿だったな。」


「はい。」


「何処に居る? 本部内には居るのだろう、直ぐに呼んで来い。」


「わかりま「もう来てるよォ……。」黄猿大将!」


どうやら呼ぶまでもなく来たようだ。


「速いな…と言う事は黄猿、話はもう聞いているな?」


「ええ…あの子…いやぁ…あの方が見つかったんでしょう…見つけたのは海賊女帝とか……。」


「急いで護衛に迎え、あと軍艦も3隻程連れていけ。」


「3隻も? わっし一人でも…護衛は出来ると……思いますが。」


「捜索を失敗した以上、護衛だけでも力を入れねばならん。必ず無事に此処まで連れて来い。」


「了解…。」


そう言って部屋を出て行く黄猿を見送り深くため息をつく。
イカンな…最近ため息をつく事が増えている気がする。


「とにかく、此方も全力で動くぞ。」


「「「はっ!!」」」


敬礼する部下達に指示を飛ばす。


「大将は全員居るな?」


「はっ! 黄猿大将を始めとして青雉大将、赤犬大将、3名とも本部に駐留されております。」


「中将は?」


「現在本部には9名おります。」


「到着次第出迎えるよう通達しろ。」


「はっ!」


「海賊に出し抜かれるなど。」


思わずもれた愚痴に部下が反応した。


「仕方ありません、写真などの資料もこの数年で容姿にも変化があったために見つけにくかったですし。それに写真を公開する訳にもいきませんし。」


それは尤もなことだ。
天竜人に恨みを持つ者は多い。
護衛も居ないのに写真公開して誰かに襲われて死んだりでもしたら目も当てられん。
誰にも見られないように殺し、違う場所に逃げれば大将に見つかる可能性も低い、安全に恨みを晴らせてしまう。
本来大将と言う枷があるので無事だが、それがなくなれば脆いと言う事が露見した事件だ。
まあ本来行方不明などと言う事件が起こった事など無かったのだがな。
今現在天竜人に直接喧嘩を売るような真似をした者はフィッシャー・タイガーしかおらん。
今後天竜人に手を出す様な輩がおらねば良いのだが。
しかし大将が間に合わない事態か…確か10年以上前にそう言って来られたのだったな。
まさか本当にそんな事態になるとは夢にも思って無かったのだが。
そう言えば誰かがシュバルツ聖に稽古をつけたのではなかったか?
確かそのような命令を誰かに出した覚えがある。


「確かシュバルツ聖に修行をつけると言う名目で誰かに命令を出した覚えがある。」


「え? 世界貴族の方に修行ですか?」


驚くのもわかるが今はそれどころではない。


「ああそうだ、誰かは忘れたが確かにそう命令したはずだ。本人確認に立ち会わせるからその者を探し呼んでおけ。」


「はっ!」


これで準備はいいだろう。
黄猿の合流まで数日、あの女は強い…やられる様な事はないだろう。
合流後の警備も過剰な戦力を送った事で心配は無い。
あとは到着を待つだけだ。
政府やロズワード聖への報告もせねばな。
これで間違ってたりしたら冗談じゃすまないな。
そう考えるとまたため息が漏れた。


sideシュバルツ


連絡から数日、顔写真を送った事で逃げる事は出来ない。
別に逃げる気とか無いが。
帰った時どう説明しようか…そればかり考えている。
フィッシャー・タイガーの仕業にするのは簡単だ。
攫われて9年間囚われの身だったと言えばいいだけだ。
フィッシャー・タイガーが死んだ後は太陽の海賊団のメンバーに囚われ続けていた。
そう言うのは簡単だ。
しかしそれはどうだろう?
その場でついた適当な嘘は何時かばれるだろう。
やはり家出しただけですと言うしかないな。
はぁ…気が重いな、やっぱりセンゴク元帥に会うんだろうな。
元帥に1対1で面と向かって家出しただけですと言う……最悪だな。
でも海軍の人達は9年間も探してくれてた訳だし、正直に頭下げよう。
覚悟を決めた時、突如頬を抓られた。
後ろから伸びた2本の手が俺の両頬を抓っている。
しかし俺は振りはらいも振り向きもせずに、無言で抓られ続けた。
俺が無言なのに痺れを切らしたのか向こうから声がかかった。


「今度は何をしたの?」


右から俺の頬を抓っているサンダーソニアは俺に今回の事を聞いてくる。


「ひぇつにぃ(別に)。」


そう答えると抓る力がさらに強くなった。


「全く貴方は…それに急に戻るって、いいのそれで?」


今度は左から抓るマリーゴールドだ。


「ほうきめひゃこおだし(もう決めた事だし)。」


2人が俺に聞いて来たのはわかる。
少しの時間仲が拗れるのはハンコックが原因だが、数日に渡っての仲違いは大抵俺が原因だからだ。
まあこの2人はどっちに原因があろうと理由は俺に聞きに来るがな。
てかいい加減に離してほしいな、痛いし。
そう言おうとした所で見張り台から声が上がった。


「中枢の船が見えたわよ!!」


迎えの船か偶然通りかかっただけかはわからないが、海軍の船が見えた様だ。
もし迎えの船だったら挨拶くらいしなきゃな。
そう思いながらも2人に離すように言う。


「いいくぁげんに……!!」


離せと言おうとした時に視界の端に光る物が映った。
その光る物はそれぞれ俺の両端に居る2人に向かって飛んでくる。
俺はほぼ反射で2人の腕を引き、無理やり下に押さえつけそれをかわさせた。
海軍の船から飛んできたそれは俺の押さえつけた2人の頭の上を飛んでいき、九蛇の船の通り過ぎ遥か後方で着水し、大きな水しぶきを上げた。
突然の攻撃にざわめく九蛇海賊団。
俺自身、行き成りの事に心臓の動悸が激しくなっている。
今のをかわせたのはほぼ奇跡に近かった。
屈んだ姿勢で海軍の船を睨みつける俺の前で何かが激しくが光った。
眩しい光から目を庇いつつも状況を確認しようとすると、光っている場所から独特の間延びしたような声が聞こえて来た。


「天竜人に…そんな事そしちゃ…イカンねぇ~~~。」


光が治まった場所に居たのは……黄猿だった。









あとがき

遅くなり申し訳ない。
しばらくあまり進まない展開が多くなると思う。
今回最後の部分で黄猿と戦いそうな雰囲気になったがこれは主人公に立場を再認識させるためであり戦ったりはしません。
あとセンゴクの思考がやけに説明臭かったのは大目に見てください。
最後に…ヒナをヒロインにしてほしいとの声が上がっているような気がするが、気のせいですよね?
作者的にはどっちでもいいのだが…まあ適当にします。
ではまた次回の感想で。



[8408] 第三十八話
Name: 思いつきで投稿◆9abf2946 ID:d4d903c6
Date: 2009/08/28 03:00
同じ出来事でも、物事は捉え方次第で様々な形に変わる。
要するに同じ事をしても人によっては全く違う事の様に対応されると言う事だ。
俺は今までの人生で一番その事を実感している。
俺達からすれば何時も道りのじゃれ合いでも、黄猿…いや政府から見れば大犯罪だったと言う事だ。
改めて自分の生まれを実感した出来事である。










第三十八話










「これは大問題だよォ…。」


そう言うと黄猿は指先を、未だ突然の事に驚き床に手をつけ起き上がっていないサンダーソニアに向け光を集め出した。
不味い!
そう思い俺は黄猿の指の前に達コースを塞ぐ。


「ちょっと待って下さい黄猿さん!!」


俺が前に出た事に黄猿は光を消しながら言った。


「どうもお久しぶりで…それとォ…そこをどいてもらえませんかねぇ……。」


そんな事を言ってきたが退ける訳もない。
しかし不味いぞ、この調子で海軍が攻撃してきたら。


「何故行き成り攻撃を?」


わかりきった事だが一応聞いておく。


「天竜人を傷つければ…わっし等が対応する事は…ご存じのはずでしょう?」


「まだ私が本人と確認された訳ではないでしょう?」


「それはそうだけどねぇ~…わっしの任務は貴方を本部まで護衛する事だからねぇ……何かあったら困るんだよォ…本人かどうかはその後の問題なんで。」


「先ほどの攻撃は私にも当る可能性があったのでは?」


「これでも一応は大将ですからねぇ~…自分の攻撃位は制御できますよ。」


「わかりました、今後この様な事は無いようにしますから引いて下さい、本部としても七武海と騒ぎを起こしても得は無いでしょう?」


「しかしねぇ…。」


中々引こうとしてくれない黄猿に困っていた所でようやく助けが来た。


「騒がしいな、何用じゃ? …いや要件自体はわかっている、何故行き成り攻撃を仕掛けて来た?」


「それがねぇ~…あんたの所の船員2人が天竜人に暴行をしててねぇ~~。」


「馬鹿な…そのような者がこの船に居るはずは無い。」


驚き否定するハンコック。
まあハンコックからすればこの船にそんな奴がいるなんて思ってないだろうな。
実際にやられた俺ですら暴行なんて思ってない。
てか頬っぺた引っ張って暴行とかあり得ないだろう普通。


「そうは言ってもねぇ…そこの2人が無礼を働いてるのをわっしは確かに見たんだがねぇ~~。」


そう言ってサンダーソニアとマリーゴールドを指差した。


「まさか、よりにもよってその2人が……」


そこまで言ってハンコックは何かに気がついたように黙ってしまった。
ハンコックもこの2人だからあり得るかもと思ってしまった様だ。
この2人を含めて俺達は小さい頃から割りとアグレッシブなスキンシップをしてきたしな。
知らぬ者からしたら十分無礼に見えるだろうと気がついたみたいだ。


「別に暴行されてた訳ではないですよ、仲が良くスキンシップを計ってただけです。」


黙り込んだハンコックをフォローするように黄猿に言う俺。


「スキンシップねぇ~。」


やや疑うように、しかし俺の言う事を無視する訳にもいかないで考え込む黄猿。


「黄猿さん、このまま九蛇と戦う訳じゃないでしょう?」


「まあ…それは~状況次第でしょう。」


そう聞いた途端に臨戦態勢に入る九蛇の面々。
一触即発の状態に内心頭を抱える俺。
帰る前から問題だらけだ。


「とにかく私は襲われたなんて思ってません、そちらも此方からの要請があって動くのが本来の手順でしょう?」


「それは…そうですが…。」


言い淀む黄猿。
本来通報や被害届があって動くのが普通。
確かに目の前で事件が起これば介入するだろうが、被害者と思ってた人が事件そのものを否定するならそれ以上の介入は不可能のはずだ…まあ余程の事なら別だろうが。
黄猿だって馬鹿じゃない、あれを本気で暴行なんて思ってないだろう。
七武海との争いだって起こしたくないはずだ。


「わかりました…わっしの勘違いで申し訳ない。」


「いえ、此方こそ紛らわしい事をしてすいません。それと…海軍の人達にも攻撃してこないように伝えてくれません?」


「あーー…それは大丈夫で、わっしが双眼鏡を覗いた所で偶然目に移り…急いで飛び込んで来たもんで…他の者達は知らないはずです。」


「そうでしたか、よかった。」


黄猿しかこの事を知る者はいないらしい。
安心しながら海軍の船に目をやりその数に驚いた。
4隻の船が此方に向かってきていたのだ。
海軍の軍艦3隻と見るからに豪華な造りの船が1隻。


「黄猿さん…あの船の数は?」


やや引き気味に4隻の船を指差し言う俺に


「護衛の船ですけど…何か?」


当たり前のように返す黄猿。


「過剰戦力では?」


「あー…確かにねぇ~でも見つけ出す事が出来なかった訳ですし……これ位はしっかりこなさないと、わっし達の立つ背がないでしょう?」


よくよく俺はとんでもない事をしてしまったと認識させられた。
此処までしてくれた人達に家出しましたとか。


「何やら違うのも1隻混じってますが?」


軍艦と共に来るやや小さい船を指差し言う。
最も軍艦に比べてやや小さいだけだから十分大きいのだが。


「あー……あれは政府の要人用の船ですよォ。」


そんな物まで持ち出してきたのか。
そして俺は考えるのを止めた。


side黄猿(ボルサリーノ)


ん~~…これは多分本物だねぇ~。
あの後何度か天竜人にあったが、相手が大将とか元帥とか言う事位で自分達と対等とは見ていないようだったしねぇ。
敬語で話される様な事は1度もなかった。
天竜人の事を研究して似せようとしたら、自然とわっしに対しても威圧的に接しなきゃならないはず。
九蛇とやけに親しそうなのは気になるが無理に聞く事はできないしねぇ。
このまま何事もなく終わってくれればいいんだがねぇ。
でもこの子は何かしでかしそうな予感がする。
前に話した時に家の事が嫌いみたいな事を言ってたからねぇ…まさか家出でした何てことないよねぇ。


「黄猿大将! 何事ですか!?」


おっと、わっしが飛び出してきたせいで要らん心配をかけたようだねぇ。


「何でもないよぉ~…ただ速く会っておきたかっただけだよぉ~。」


本当はダメなんだけどねぇ…わっしの一存で七武海と事を構える訳にもいかないからねぇ、今回の事は無かった事にするしかないねぇ。
まああの子の事だからまた歌でも歌って仲良くなったんだろうねぇ。


「では…あちらの船に移ってくれませんか?」


「あの船にですか?」


政府の船を指差し嫌そうな顔をしなさる。


「一応貴方を乗せるために来た船ですしねぇ…そう嫌な顔しないでやって下さい。」


「わかりました。」


未だ嫌そうな顔だが移って下さった。


「ではぁ…わっしも同乗して護衛させてもらいますんで。」


「わかりました……あと前みたいに気軽に話してくれて結構ですよ。」


…………やっぱり本物みたいだねぇ。


「そちらもぉ…前みたいでいいよォ。」


「わかったよ、黄猿。」


こりゃ間違いないねぇ。


sideシュバルツ


しかし要人用だけあって凄い設備だな…主に人が。
メイドも使用人も乗っている。
頭を下げられまくった。
会釈を返すだけで驚かれる…そして疑われる。
これからは今までとは違う意味で大変な生活を送る事になりそうだ。
そんな事を考えながら、他の人に聞こえないように黄猿に言う。


「あ、あとハンコックの船も一緒に来るので、そのつもりでお願いします。」


そう言った俺に黄猿が驚いたように反応した。


「あー…海賊女帝もかい?」


「うん。」


「あちらの方にはぁ…後日ちゃんと礼をしとくから大丈夫だよォ。」


「いや…それとは別に大事な話があってね、彼女にはその際に同席してもらわないといけないんだ。」


「大事な話? それは先にわっしが聞いてはダメなのかねぇ~。」


どうしよう…言わないと納得してもらえないかな?
でも此処で言ったら反対されるかも知れないしな。
まあ反対されても聞く気ないけどね。
それにそのうちわかる事だしな。


「実は…ちょっと待ってて。」


話す事を決めた俺は言いかけたが、勝手に話すのもどうかと思いハンコックに了承を得に行った。
既に九蛇の船との間に掛けられていた橋代わりの板は外されていたが、俺は気にせずに月歩で九蛇の船に向かった。





戻った九蛇の船の上ではサンダーソニアとマリーゴールドの2人がハンコックに説教をされていた。
可哀そうなので止めておく事にしよう。


「その辺にしとこうよ。」


「何故此処に居る?」


「ああ、ちょっと聞きたい事があってね。」


俺はハンコックの近寄り例の事を黄猿に話していいか聞いた。


「何を言っておる、どうせ知られるのじゃ構わんじゃろう。」


ハンコックはあっさりとその事を了承した。
寧ろ態々俺が聞きに来た事を怒っているみたいだった。
また覚悟がないと思われたのだろうか?


「勘違いするなよ、俺だって中途半端な気持ちじゃないんだ、ただハンコックの了解を得ずに勝手に話しちゃ悪いと思っただけさ。」


「ん、そうか…それなら良いのじゃ……すまぬ。」


どうやら誤解は解けた様で良かった。


「それじゃあ、そう伝えてくるよ。」


「わかった。」


そう言い俺はまた月歩で船に向かった。





空を翔けて来た俺に驚いた様な周りの人達がいたが一々説明するのも面倒なんでほっておいた。


「こりゃ~驚いた……月歩を使えるのかい?」


黄猿もやや驚いたようだ。
最も殆ど表情に出ていなかったから余り驚いてなかったのかもしれないが。


「一応六式は使えるよ。」


「そりゃ~…凄いねぇ。」


「でも黄猿からしたら大した事ないでしょ?」


「さあねぇ。」


しらばくれる黄猿に本題を話す事にした。


「黄猿さっきの事なんだけど…俺今度ハンコックと結婚するんだ。」


今度こそ本当に黄猿が驚愕するのが見れた。


「おーー………。」


何を言っていいかわからないようだ。
もう少し面白い反応をしてくれるかと思ったんだが……早口で話すとか
だめだ早口で話す黄猿とか想像できない。
多分他の大将や元帥でも見たことないだろう。


「黄猿…き~ざ~る~。」


目の前で手を振ってみるが反応が薄い。


「おー…生きてるよォ。」


いや別に死んでるとは思ってないけどさ。


「どうしたの?」


「いやぁ…少し考え事をねぇ…。」


そう言って黄猿はまた黙ってしまった。
部屋に入ってもそれは続き、手持無沙汰になった俺は取りあえず歌ってみた。


「ああ~あああああ~あ、「ああ~あああああ~」」


歌ってみると後半部分がハモった。
黄猿も歌っている…しかも先程と変わらない様子で。
未だ考え込んだ様な顔のまま…いや実際に考え込みながら反射で歌っている。
おそらく自分が歌っている事すら気がついていないのだろう。
こいつ…成長してやがる。
そう思った俺はさらに熱唱し、黄猿も考え込んだまま続く。


「「ああ~あああああ~あ、ああ~あああああ~、むむーむむむむーむむ、むむーむーむーむーむーむーむー」」


豪華な船の広い一室に2人の男の歌声が静かに、それでいて力強く響いた。





歌い終わった後よくよく考えたら、俺何してたのみたいな気分になった。
間違いなく今までの人生で1番カオスな時間だったね。










勝手に落ち込む俺の事など無視して船はマリンフォードに向かう。









あとがき

いや~最近はシリアス(笑)が続きますね。
まだまだ続きますよ。
それと前回のあとがきでヒナの事書いたが作者がヒナが堕ちるシーンが思いつかずに断念しました、スイマセン。
作者はヒナは大人の女性のイメージがあるためちょっとした事じゃ堕ちてくれない気がするんですよね。
まあそれを言うとロビンもそうなんですが。
ただそのロビンの事を考えた時にもしロビンがまだ十代前半の人格がまだしっかりと形成してないときに何かの縁があればいけるんじゃないかと思った。
そう思い試しに読みきりでそんな話を書いてみたが失敗しました。
なんか中途半端に拠り所みたいになって病んでいってしまった。
てか描写も中途半端で全然ロビンがヒロインじゃなかったのでボツにしました。
あとなんか本編で動物系の幻獣種とか言うのが出てきてましたね。
あの悪魔の実の名前によってはこっちの名前も変えないといけないかもしれませんね。
トリトリの実 モデル:フェニックスだった場合は、こちらもヘビヘビの実 モデル:ドラゴンにするかもしれません。
それと前に要望があったので別に人物紹介を載せておきます。



[8408] 登場人物紹介
Name: 思いつきで投稿◆9abf2946 ID:d4d903c6
Date: 2009/08/24 22:35
要望が在りましたので一応人物紹介させてもらいます。
ネタばれがあるかも知れないので嫌な人は読まないほうがいいかも。
設定は随時更新するのでそれにより変わる部分もあります、ご了承ください。



シュバルツ
本作の主人公、ワンピースの世界天竜人に転生した。
容姿と雰囲気はハ○ヒのキョ○みたいな感じ。
ただし髪と目は黒。
身長はハンコックより少し高い。(だがハンコックの身長を作者は知らないので何cmとは断言できない)
好きな物…気まぐれの為固定されない。
嫌いな物…弟と昔の髪形。
好きな人…三姉妹。
尊敬する人…1位ブルック、2位シャッキー、3位師匠。
備考…やや調子乗り。かなり考えなしで動く事あり。戦うと直ぐに頭に血が登り相手を挑発しだす癖がある。ケン○チの武道家タイプで言うと動のタイプ。

悪魔の実はちょっと待ってください。



他にも書いてほしい人物、物事等があれば感想掲示板まで。



[8408] 第三十九話
Name: 思いつきで投稿◆9abf2946 ID:d4d903c6
Date: 2009/08/30 05:23
シュバルツです……皆の反応が薄いとです。
ボケても誰もツッコミをくれません。
シュバルツです……そう思ったら反応が過度の時もあるとです。
曲がり角で人とぶつかったら、その人が土下座した後船から飛び降りようとしたとです…慌てて止めました。
シュバルツです……皆が俺から距離を置きます。
転校生の様な気分です。
勇気を出してトランプに誘ったら、皆態と負けようとします。
ババ抜きしてるのにロシアンルーレットしてるみたいに必死です。
仕方なく黄猿と2人でスピードをしました……黄猿早すぎです。
シュバルツです……シュバルツです……シュバルツです……。










第三十九話










黄猿とのスピードが終わった後、腹が減ったので食事を作ろうと思い厨房を探しているんだ。
どうでもいいけど本当に黄猿早すぎ。
しかし俺も中々早く、1ゲーム1分かからずに終わったし。
そんな事を考えながら歩いて、厨房を見つけたのでノックして返事を待ち、返事がもらえて中に入ると……厨房の中には四皇がいた……ごめん嘘。
目の前で固まった人を見てどう対応していいか迷う。
いや別に誰かさんに石にされたとかじゃないよ、俺がいる事に気がついた途端動きを止めたんだ……それも包丁を振り上げたまま。
どうも俺の前では動いてはいけないと思っているようだ。


「あの…動いてもいいですよ。」


そう言う俺の言葉と聞いても動こうとしない。
いや変な形の目の部分はやや動いた気がするが。
あの出っ張った目の先の方で黒眼が此方に向いた。
こうして見てみるとデメキンと見つめ合ってるみたいで嫌だな。



「……に…て……。」


小さな声で何かが聞こえた。
よく聞き取れなかったので聞き返す。


「え? 何か言った?」


「本当に動いてもいいの?」


俺の言った事に対して確認して来ているようだ。
どんだけ恐れられてんだよ世界貴族。


「うん……本当に動いてもいいですよ。」


「あ~~~ビビった。行き成り入ってくるんだもんな。」


全然ビビってない顔で言う奴。


「一応はノックしたんだけど。」


「いやまさか世界貴族の方が入ってくると思わなかったんで。」


てかこいつ、あいつだよな。
さりげなく聞きだす事にした。


「ああ、俺はシュバルツ以後よろしく。」


「ワンゼです、巷ではマッドなワンゼで通ってます。」


「え…どの辺がマッドなの?」


俺の問いへの返答に困っているようだ。


「どの辺って……なんか雰囲気がそこはかとなくマッドな感じしません?」


「いや別に。」


「そうか…俺の気のせいだったんだ。」


暗い影を背負い落ち込むワンゼ。
仕方ないので励ます事にした。


「別に良いんじゃない、ほらよく自称でそんな事言ってる人いるし。」


「え、ホント?」


「うん、巷とか言わなければいいと思うよ。」


俺がそう言うと何か元気が出て来たようだ。
どうでもいいけどこいつガープが説明してた時の四皇のシルエットに髪形そっくりだよな。
一時期、俺はワンゼは四皇の1人なんじゃないかと思った程だ…まあそんな訳ないが。


「所で何か御用で?」


俺が此処に来た理由を聞いて来た。


「ああ、ちょっと腹が減ったので食事を作りに。」


「それなら俺に任せて!」


自信満々に言い放つワンゼには悪いが、何か嫌な予感がする。


「俺は何でも作れるけど…何食べる?」


「えと…じゃあ「ラーメンする!?」いや…何かラーメンは地雷なきがす「じゃ、ラーメンにしますよ!!」……人の話聞いてよ。」


俺の嫌な予感は的中し、ワンゼはあり得ない作り方でラーメンを作った。
思い出した…こいつの鼻は中で鼻毛が網状になっていて、口に小麦粉を含んでよく捏ねて、鼻からたらすように出すと鼻毛で切れて麺状になって出てきた。
そのままドンブリに入れて、スープを入れて、親指も入れて完成だ。


「召し上がれ。」


「御免なさい。」


さあ食え、みたいに出してきたので、俺は丁重に断った。


「何で!!?」


食べてもらえない事に驚きワンゼは理由を聞いて来た。
それ言う必要あるの?
とか一瞬思ってしまったが、俺は正論で返す事にした。


「だって、麺を湯掻きもせずに直接入れたら硬いままじゃん、それに麺が器から飛び出してる所もあるし、具も盛り付けてないし。」


「そっか~…それは盲点だった。次からは気をつけます。」


「うん、そうしなよ。」


何かがずれた会話だった。


「まあ俺は自分で作る事にするよ、君は他の人の料理を用意してあげなさい。」


さりげなく俺はワンゼの料理を食べないように誘導する。


「わかった。」


そう言うワンゼと共に俺は厨房に立ち包丁を握った。










よし出来た。
俺は自分で作った簡単な料理を食堂のカウンターに運び食べ始めた。
厨房では未だせっせとラーメンやパスタを作る続けるワンゼの姿があった。
全部麺類だな…何か拘りがあるのか?
そんな疑問を思い浮かべていると食堂の扉が空き誰かが入ってきた。


「あー腹減った…何かくれー、チャパ。」


あれ? あれフクロウじゃね?
何でこの船に乗ってんだ?
俺の疑問はよそにフクロウはワンゼにラーメンを頼みカウンターに座る俺と1つ席を空けて座った。


sideフクロウ


あ~めんどくさい任務だ。
名誉はあるけど、俺は正直な事を思うと世界貴族とは関わりたくないんだ。


「ヘイ、お待ち!」


カウンターに置かれたラーメン……速かったな。
口のチャックを開けてラーメンを食べる…うまいな塩味か。
麺の硬さもさも丁度いい感じだ、ちょっと麺にヌルヌルするのがついてる気がするが。
しかし全く長官にも困ったものだ。
自分の覚えを良くするために必要も無いのにCP9から護衛を派遣するなんて。
俺に丁度任務がなかったのも悪かった~。
大将黄猿が居る以上何かが起こる心配なんてないに等しいのに。
しかし時間がずれてるとはいえ客が俺を会わせて2人しかいないとは。
隣の客を見て吹き出しかけた。


「ブッッ!! ゴホゴホッ!!!」


何で隣にシュバルツ聖が居るんだ!
危うくラーメンを吹きかける所だったんだな。
必死で飲みこんだ…ラーメン吹きかけて死刑なんて御免だ。


「大丈夫ですか?」


は、話しかけられたんだな。
これは返した方がいいのか? それとも動いてはいけないのか?
落ち着け俺は護衛だ、視界内でも動いていい権利があるはずだ。


「だ、大丈夫です。」


汗まみれになりながら必死でそう返す。
こんなピンチ初めてなんだな。


「落ち着いて、リラックスして、はい深呼吸。」


焦った俺は特に考えもせずに声に従う。


「吸って。」


「スー…。」


「吐いて。」


「ハー…。」


「吸って。」


「スー…。」


「吐いて。」


「ハー…。」


「吸って。」


「スー…。」


「吸って、吸って、吸って、吸って。」


「スー…、スー…、スー…、スー…ゴホゴホッ!!!」


ラーメン出るかと思った。


「あ、御免…まさか本気でやるとは。」


「い、いえ…それより何故ここに!?」


「え…何故ここにって、飯食いに。」


ふ、普通だ~~~!!!


sideシュバルツ


何を信じられないみたいな感じの顔してんだろう。
食堂で飯食うのは普通だろう。
しかしさっきフクロウが食べてたのワンゼが俺に出したラーメンだったぞ。
時間が経った丁度いい感じの硬さになったみたいだ。


「何故ここで食事を!?」


「食堂だから?」


さっきから何を聞かれているのかさっぱりわからん。


「言われば係の者が部屋まで持って行くはずです!」


「え、そうなの?」


ああ、そう言う事か。
言えばもってくるのに何故ここで食ってんのかわかんなかったと……癖です。


「もし食堂で食べるにしても、別に専用の部屋があります!」


「ああ、通りで要人専用の船とかいう割に食堂が質素で狭いと思った。まあいいですよ此処で、もう終わりますし。」


「はあ…。疲れる、チャパ…。」


俺にどう反応していいのか困ってるようだ。
しかも思わずもれた本音に慌てて口のチャックを閉めた。
聞かれなかったかビクビクしてる…聞こえてたが聞かなかった事にしとこう。


「あの…。」


「はい!!」


ビクッと反応するフクロウ。
なんか見てて可哀そうだ。


「頼みがあるのだけれど。」


「俺…私にできる事にら何でもやります! だから許して下さい!!」


「何の事ですか?」


「聞こえてない?」


「何が?」


取りあえず知らないふりをしたら安心してた。


「で…いいですか?」


「あ、はい…何ですか?」


「実は…俺の道力を計ってほしいんですけど。」


「チャパ! 道力を…で、でも道力は六式使い同士でもない限り計る意味はあまりなくて…。」


「大丈夫ですよ、俺こう見えても一通り六式は使えますから。」


「チャパ!!? ほ、本当ですか!?」


「ええ…それが何か?」


何当たり前の事言ってんの? みたいに行ってら驚き慌ててた。


「い、いえ何でも!」


信じたのかどうかはわからないが小さな声で


「俺の立場は…。」


とか言ってる。


「あの~いいですか?」


「あ、はい良いです。」


「えっと殴ればいいのかな?」


「自然体で攻撃してくれれば。」


そう言うので俺は自然に連撃を繰り出した。


「オラオラオラオラオラオラオラオラ!!!!」


「チャパパパパパパパパパ!!!!」


フクロウは食堂の端までボールのように飛んで行った。
俺は急いでフクロウの傍まで行き聞いた。


「どうでした?」


「チャパパ~、む……まさか、4040道力!!? ルッチを上回っている!?」


「マジで!? 俺そんなにあるの!!?」


「俺も間違いだと思ったが一撃一撃が4040を示していた、間違いない。」


フクロウも敬語とか忘れて驚いてる、どうもお世辞とかじゃないいみたいだ。


「そっか~4040か…俺も成長したな。」


自分の成長にニヤニヤを必死に抑えながら食堂を後にした。
まあ廊下に出て暫く歩いてから周りに誰もいない事を確認して……1人密かにワッショイワッショイした。









あとがき

今回は単行本を読んでいてワンゼをみて出したくなり書きました。
本来ならなかった予定ですが書いても書かなくても影響がないので書いてみました。
道力に関しては高いような、低いような、微妙な感じです。
意見があれば感想にお願いします。
でもくまとかは簡単にルフィのギア2をさばいてたのでいいかと思いました。
ギア2って獣化したルッチを張り合ってたので。
前に主人公が素でギア2のルフィみたいな動きしてたけど、あれは気にしないで下さい。
あとワンゼやフクロウの話し方が微妙なのも気にしないで下さい。
ではまた次回。



[8408] 第四十話
Name: 思いつきで投稿◆9abf2946 ID:d4d903c6
Date: 2009/09/12 20:17
本編第555話のネタばれが少し入っています。
嫌な人は読まないで下さい。





合流から数日が経ちいよいよマリンフォードに到着する。
要するにこれからセンゴク元帥に謝り倒さなければいけない訳だ。
仕方なく渡された昔の服を大きくした様な服を着て一応刀を腰にさしてラジャを背負い船を降りる。
しかし俺の前に信じられない光景が広がっていた。
別に白ひげが攻めて来た時のように、視界を覆い尽くすほどの兵士が待っていた訳ではない。
しかし船着き場から本部入り口までの道の両側に、海兵の人達が立っている。
そして何よりその船着き場に……元帥を先頭に大将おまけに中将らしき人までいる。


「敬礼!!!」


船がつき俺が降りる時にセンゴク元帥の号令で一斉に敬礼をした。
降りたくなくなった、このまま全力で地の果てまで逃げたい。
よくよく見ると海兵の他にも、久しぶりに見る顔があったが内心それどころではなかった。










第四十話










船から降りた所でかけられた声は話し方が独特の物で、忘れようもなかった。
元帥達を無視して1番に俺に声をかけて来た久しぶりに見る顔の1人……そう親父だ。


「良く帰ってきたえシュバルツ。」


もう俺が本物だと決めつけている話し方。
それだけの自信があって言ってるのか、それともどうでもいいのかわからないが一応喜んでくれているようだ。


「お久しぶりです父上。」


「シュバルツ兄様、無事で良かったアマス。」


近くに居た女性が話しかけて来た。


「お前…シャルリアか、大きくなったな。」


大分成長していたので驚いた。
原作を知らなかったら気付かなかったのではないかと思った程だ。


「これが本物の兄上なのかえ~?」


今度は疑う様な声、まあ言うまでもなくチャルロスだ。
こいつが迎えになんか来るとは予想外だ。


「兄上の振りして家に上がり込む気なんじゃないかえ?」


俺に向かいやや馬鹿にしたように問いかけてくるチャルロス…殴り飛ばしたいが此処は我慢しよう。
なるほどこいつは俺を偽物にするために此処に来たようだ。
そしてそれは俺が黙っている事を良い事にエスカレートしていった。


「お父上様、こいつ絶対に兄上じゃないえ! 兄上はあの日死んだんだえ!!」


周りに聞こえるように大声で言うチャルロス。
こいつはどうしても俺に死んでいてほしい様だ。


「ほらどうだえ、何も言わないえ。第一あちしとこいつが双子に見えるかえ?」


余りにもチャルロスが騒ぎ立てるので周りにも動揺が走っている。
とは言う物の動揺しているのは周りの海兵位だが。


「そんな事はどうだっていい事だろうチャルロス、私が本物かどうかはこの後決まる事だ。」


「ふん、直ぐに偽物と「うぉぉ~~~!!」何だえ! 五月蠅いえ!!」


行き成りの叫びに自分の声を遮られ不機嫌になったチャルロス。
この叫びの原因は1つ、ハンコックが船から降りて来たのだろう。


sideヒナ


全くもう、こいつ等ときたら…ヒナ落胆。
行き成り呼び出されたと思ったら、シュバルツ君が帰って来るなんて聞いた時は驚いたわ。
前の事もあって本人確認に呼び出された訳なんだけど、私まで中将に混じって出迎えとはね。
私からすればあの子が本物なんて誰が見つけたか聞いた時にわかっている事なんだけど、それを証明する方法がないのよね。
それにしても周りの兵士達、元帥の前だって事忘れてるんじゃないかしら。
まああの子を見ればそう言った感想が出てくるのもわかるけど…此処まで露骨に声をだされるとね。


「美しい!」


「あれが絶世の美女!」


世界一の美女か…あの子も大変ね。
しかし何があったのだろう、折角家出したって聞いてたのに態々戻ってくるなんて。
私はてっきりそのまま合流してアマゾン・リリーにでも永住すると思ってたのに。
それにあの弟さん。
修行時代にも出来の悪くて似ていない弟が居るとは聞いていたけど冗談だと思ってたのよね。
しかしいざ会ってみると聞いてた通りに似てなかったのよ…驚愕よ、ヒナ驚愕。
船の到着までの間少しの時間近くに居ただけだけどもこの弟は普通の天竜人だったわ。
そんな事を考えていると何時の間にやらチャルロスとか言う、あの子本当にシュバルツ君の弟? みたいな人が歩み寄って行った…何やら嫌な予感がするわ。
あの子の前で立ち止まって顔をジーッと見ている。
あの子も見られて嫌そうだ。
回りも音を立てずに見守るような状況になっている。
何人かは何かを感じ取ったかのような嫌な顔をしているが。
そんな周りの様子を気にも止めず当たり前のように言い放った。


「よし、妻にしてやるえ。」


「なっ!!!?」


「誰がお前などと!」


声を荒げて否定するあの子。
センゴク元帥ですら如何していいか迷っているようだ。
どうしよう…と言っても私に出来る事なんていし、此処でシュバルツ君がどう言う行動をとるかが問題になる訳だが、この時彼が取った行動は私の予想を越えていた。


「なんだえ、お前あちしが妻にしてやろう 「ふざけんな!!!」 ウォゲァア!!!!」


一瞬何が起こったのかわからなかった。
そう思う程のスピードで近寄ったシュバルツ君が弟の顔を殴りつけたのだ。
拳が顔面に当る鈍い音と共に凄い勢いで飛んで行った。


「ハンコックは俺の女だ!!」


私は声に出さなかった物の内心では、ナイス! と言いっていた。
あの子も真っ赤ね…嬉しそうだけど。
ただこんな所で力一杯叫ぶのはどうかと思うわ。
本人達は揃って頭に血が上っていてそれ所じゃなさそうだけど。
しかし何人かの将校は飛びだして行った。


「申し訳ないが、本物かどうかわかるまで拘束させてもらう。」


赤犬大将を先頭に数人の中将が飛びだし拘束にかかったが、意外な所で邪魔が入った。


sideシュバルツ


つい頭に血がのぼり、殴り飛ばしてしまった。
そのせいで数人の将校が俺を抑えようと飛び掛かってきたし。
天竜人かもしれない人と天竜人ではやはり向こうに天秤が傾いたようだ。
最も取り押さえるだけの様だが……あの本当に取り押さえるだけだよね?
何か剣抜いてる人いるんですけど。
赤犬とか無理だって。
内心愚痴りながら腰の刀に手をかける。
俺と赤犬が接触する直前に赤犬に向かってレーザーが飛んできた。


「黄猿!?」


驚いて飛んできた方を見ると指を赤犬に向けた黄猿がいた。
俺が驚いていると何時もの通りの顔で俺に言ってきた。


「わっしの任務はあんたの護衛だからねぇ~~。」


「如何言う事じゃい、お前さんの任務はもう終わったじゃろ?」


赤犬の問いに黄猿は答えた。


「わっしはセンゴクさんに”必ず無事に此処まで連れて来い”と言われたからねぇ~…まだセンゴクさんの部屋についてないよォ。」


完全に屁理屈だが黄猿は俺を援護してくれるようだ。
そして赤犬と黄猿が戦いを始めてしまった。
何か色々と不味くない?
しかしそんな事を言う暇もなく、その横を抜けた中将達が俺達の方に向かってくる。


「大人しくして頂こう!!」


「そう言うなら剣抜くな!!」


そう答えながら俺も腰の刀を抜いてしまった。
俺の刀と中将の剣がぶつかり甲高い音が鳴り響く。
背後からもう1人斬り掛かってくる。
俺はもう一本の刀、秋水を抜きそれを止める。


「これで!!」


今度は頭上から3人目が斬りかかってきた。


「お前ら完全に殺す気だろ!!」


「其方が大人しくしないからだ!!」


俺は叫びながらも何とか対応をしようとしたがこの体制では難しそうだ。


「芳香脚(パフェーム・フェムル)!!!」


鉄塊で受けようとしたが、今度は横から蹴り掛ったハンコックがそいつを止めてくれた。
ハンコックが蹴った剣は石になり砕けた。


「シュバルツに手を出すな!」


そう言ってそのままそいつと闘い始めるハンコック。
俺は俺で移動をしながら中将2人と斬りむすぶ。


「おいおい! 中将がこんな程度でいいのか!!?」


「生意気な!」


お互いに熱くなり挑発し合いながらさらに激しさを増して行く。


「シュバルツ、引け!!」


そう言うハンコックの言葉に反応し俺は後ろに飛んだ。
ハンコックは唇に指先を当てそのまま前に手を伸ばすと、指に引かれるように口元から大型のハートが現れた。
そのまま片手でそのハートの下の部分を支え、もう片方の手で真ん中の部分を引っ張り、まるで弓のように構え…放った。


「虜の矢(スレイブアロー)!!!」


ハンコックが手を離すとハートは割れ、中から大量の矢が飛び出した。


「不味い! 避けろ!!」


そう叫び中将達は一斉に飛んでその矢を避ける。
剣を盾にしたりして避けた者もいたが中将は全ての矢を避けきった。
流石中将と言った所か。
しかし剣を始め矢の刺さった場所は石に変わっていた。
一端距離を置き仕切りなおそうとした所で……


「止めんか!!!!」


行き成り…いやようやく静止の声がかかり俺達は動きを止めた。
センゴクさん、止めるのが遅くないか?
そうは思ったが口には出さなかった。


「そちらも大人しくしてもらおうか。」


そう言うセンゴク元帥の迫力に負け俺は刀を納めた。
その後一応の措置として手錠を掛けられる事になった。
本来中将は俺に剣を突き付けて動きを止めるだけのつもりだったようだが、俺が抵抗したためにややこしくなってしまったらしい。
それと俺の興奮するとすぐ相手を挑発する癖も原因のようだ。
ちなみに親父とシャルリアは気絶している。
殴りかかった時に無意識に覇気を出してしまったようだ。
これもまた止める者がいなかった原因の1つのようだ。





少し間を開け親父達が目覚めた後、場所をセンゴク元帥の部屋に移す事となった。
目を覚ました親父の説得…もとい命令で俺の手錠は外された。


「シュバルツがチャルロスを殴ったのは初めてではない。」


と言ったのも聞いたようだ。
周りは驚いていたけどな。
今現在センゴク元帥の部屋に居るのは、俺、ハンコック、センゴク元帥、大将3人、ヒナさん、親父である。
チャルロスは未だ気絶中で別の部屋でシャルリアがついている。
一同が揃った事でセンゴク元帥が口を開いた。


「ロズワード聖、この方がご子息のシュバルツ聖で間違いないのですか?」


「そうだえ、間違いないえ。」


どこに自信が在るのかわからないが親父は言いきりやがった。


「わかりました、しかし一応は状況整理などもしなければなりません。」


「勝手にすればいいえ。」


「感謝します。」


そう答え俺に向き直った。


「では一応…貴方が本物かどうかと言う事なのですが、黄猿からの報告では間違いないとの事なのですが。」


「わっしは間違いないと思うよォ。」


黄猿が答える。
どうやら俺と合流してからも連絡を取り合っていたようだ。
この分じゃハンコックとの事も伝わっているかもな。


「黄猿はこう言っているが…ヒナ准将、君の意見はどうだね?」


「はっ! 私も黄猿大将と同意見です。」


「根拠はあるのかね?」


黄猿の時とは違い、追及する。
まあ黄猿には報告の時に追求したのかもしれないが。


「完全とは言えませんがあります。」


「ふむ、聞こう。」


「はい、私がシュバルツ聖に武術の指導に当たるように命令を受けた時にペットを飼っておられたのですが、先ほども連れておられたので。」


「ペット? そんな物いたか?」


俺は何も連れていないので不思議そうに聞いてくるセンゴク元帥。


「これですよ。」


そう言って俺は背負っていた斧を下した。
俺の下した斧の形がみるみる姿を変え一頭の虎になった。


「ご紹介します、俺の相棒のラジャ…”ネコネコの実”モデル:タイガーを喰った斧です。」


「悪魔の実は同時期に2つ存在する事は無いので、間違いないと思います。」


俺の紹介の後にヒナさんが補足してくれた。


「確かに…証拠にはなりますな。ご無礼申し訳ない。」


「いえ、お気になさらないで下さい。」


完全ではないにしろほぼ信用してくれたようだ。
一番納得していないのは赤犬の様だ。


「ちょいと待って下さい、奪っただけかもしれん。」


「それはない、奪われたならあんなに懐く訳ないだろう。」


「そんな事わかるんですかい?」


赤犬はセンゴク元帥に言った。


「伊達に長年相棒を連れとらんわ、途中で主人と離された動物はあんなに大人しくない。」


どうもセンゴク元帥はそこには拘りがあるようだ。


「わかりました。」


センゴク元帥は信用しているのか赤犬が引いた。


「では改めて…この度は長くに渡り申し訳ない。」


そう言って頭を下げられた。
周りの海軍の人達もだ。
物凄く良心が痛んだ。
そして言いづらい…しかし此処で言わない訳にはいかない、正直に言わないといけない理由は無いが俺が納得できない。
後腐れなくしたいんだ。


「頭を上げて下さい。実は俺が謝らなければならないんです。」


「どう言う事ですか?」


「貴方達のは責任が全くないからです。実は……。」


俺は師匠達の事などは隠して、話せる範囲で全部話した。





「では今回の事は全て貴方の意図して行われた家出だったと?」


「はい、フィッシャー・タイガーの襲撃を利用し家出しました。あの襲撃がなくても何時かしてたと思います。」


もうなんか周りから呆れた雰囲気が流れた。
センゴク元帥の頭の痛そうなポーズがマジで申し訳ないです。


「家で1番の問題児はチャルロスと思ってたが、シュバルツだったんだえ。」


親父にまで言われた。


「すいません。」


そう言って俺は再び頭を下げた。


「いえ…犯罪行為ではないので我々には貴方を咎める事は出来ません。」


そう言ってくれた…呆れた感はあったが。


「ではシュバルツ聖何処であのような武術を?」


さっきの俺の動きが気になるようだ。
まあ本気では無かったとはいえ中将と斬り結んだからだろう。


「あれは…昔海軍に特訓を頼んだ事と、家を出てからある人に。」


「そのある人とは?」


「すいませんそれだけは言えません、お世話になった人達に迷惑はかけたくないので。」


師匠の事を海軍に言う訳にはいかない、悪いが沈黙を貫かせてもらおう。


「良いでしょう、では最後にボア・ハンコックとの事ですが…本気ですか?」


ハンコックを横目で見ながらセンゴク元帥は問いかけてきた。
何故知っているかは聞かなかった。
大方黄猿から報告でもあがったのだろう。


「本気です。」


俺は迷いなく真剣に答えた。


「世界貴族の権威を手に入れるための演技かもしれませんよ。」


「それはあり得ません。」


「何故そんな事が断言出来るのですか?」


「それは……。」


言えない…俺とハンコックが昔からの知り合いだとは。
それはハンコックが形だけとはいえ奴隷だったと言う事をばらす事になる。
センゴク元帥から目を反らす事は無かったが答えられず沈黙を続けていると、親父が割り込んできた。


「シュバルツ何の話だえ?」


この問題はまだ親父の知る所ではなかったようだ。
いやセンゴク元帥位しか知らないだろう。


「父上、私はこのハンコックと結婚します。」


周りの空気が少し変わった。


「…シュバルツ本気かえ?」


親父が俺に問いかけて来た。


「はい。」


今までにない親父の迫力だが俺は迷う事も怯む事もなく答えた。


「別にお前が誰を町で拾ってきて何人妻にしようと構わんえ。」


そこで一息つき再び言い聞かす。


「だがその女は海賊だえ?」


「はい…確かに海賊ですが。」


「海賊に我が家の権力を少しでも与える訳にはいかんえ、如何言う事をされるかわからんからな。」


ここで家の奴が今までだって散々好き勝手して来てるじゃないか、と言いたくなったが言わなかった。


「ハンコックはそんな事目当てではありません。」


「そんな事わからんえ、短い付き合いだ…本質までは読めん。」


「そんな事ありません。」


「見た目に騙されているだけだ、代わりは幾らでも用意してやるえ。」


「俺にハンコックに代わりはいません。」


「何故そこまで言えるえ? 何か理由があっての事だろう?」


「それは……。」


再び黙り込むしかない俺。
全く情けない姿だ。
そんな時まさかの事態が起こった。


「待ってほしい……。」


ハンコックが何か決意したよな顔で言いだそうとしている。


「待てハンコック!」


まさかと思い慌てて止めようとしたが違う方からの声でそれは遮られた。


「わらわとシュバルツは「認める。」…何?」


ハンコックの言葉を遮ったのは机の上の電伝虫だった。
受話器が外れていたので妙だとは思っていたが繋がっていたのか。


「何方ですか?」


俺は電伝虫に向かいそう問いかけた。
そして俺は自分の問いに返ってきた答えに驚愕した。


「我々五老星は、世界貴族シュバルツ聖と王下七武海ボア・ハンコックとの婚姻を認める。これは三大勢力の関係強化に繋がる事だ、反論は許さん。」









あとがき

こんな感じになりました。
黄猿対赤犬とか、五老星登場とか違和感がある部分はあると思いますが作者にはこんな理由しか思いつかなかった。
作者は五老星は三大勢力に気を使っている気がしたので。
つーか主人公ヘタレすぎ理由を考えていないとか…でも実際に嘘つかないでハンコックとの関係が元奴隷云々を隠すと理由が思いつかないのは作者だけか?
無理やりに戦闘を入れたのは今後につながると思います…多分。
あと中将は全力ではありません、あくまで捕えるためです。
こんな作品ですが今後もどうぞよろしく。
あと…七武海強すぎ!!
ではまた次回。



[8408] 外伝三話
Name: 思いつきで投稿◆9abf2946 ID:d4d903c6
Date: 2009/09/12 20:17
今回は何故か老人達の話。










外伝三話










side五老星


電伝虫を通してある報告がなされていた。


「よろしかったのですか?」


「構わん…この大海賊時代、三大勢力の陣営を崩壊させる訳にはいかん。」


胸元に傷を持つ男が言う。


「しかし依然として海賊女帝の目的は不明です。」


「その点は問題ない、以前の黄猿からの報告を此方に伝えて来た時に調べた。既に目的はわかっている。」


依然危機を訴える元帥に、長く下に伸びた髭を持つ老人がそう告げる。


「本当ですか!?」


「左様、調べると至極あっさりとわかった。」


驚く元帥に答える刀を持った老人。


「この件は我々が預かる、其方は口出し無用…其方がこの件を調べることも禁じる。」


「此方にはその情報を渡しては頂けませんか?」


「残念だがそれは出来ない、この情報はこの件の切り札になる物だ。それに電波を使った物では盗聴の心配もある。」


「そうですか。」


引き下がった元帥に言い聞かすように顔の左に傷跡を持つ老人が言う。


「此方の手にした情報から述べると、海賊女帝の保護した世界貴族はまず本物だ、海賊女帝の目的もその男自身で権力ではないだろう。」


「従って、其方が気にする事は無い。」


遠回しにこの件はこれで終わりだと言うのは額にシミがある、左右に別れた髭を持つ老人だ。


「了解いたしました。」


そう言って電伝虫は切れた。


老人達は手に持つ資料…CP8に調べさせた資料に目を落とす。
その資料とはここ数日だけで集められたシュバルツの報告書だ。
簡単だがシュバルツを知っている使用人やメイドなどから当時の人物像、周りに居た人間の特徴。
その事から辿りついた、ある人間屋(ヒューマンショップ)…職業安定所での記録であった。


「最初は権力目的を思ったがな。」


「まさか海賊女帝が奴隷だったとはな。」


「後は…この世界貴族の性格か。」


「資料によると世界貴族としては変わっているとの事だな。」


「奴隷を同じ部屋に住まわせて暮らすか、人がいいのかマセてるのか…まあそこはどちらでもいい、結果として海賊女帝はこの者に惚れた。」


「恋か……九蛇を縛るには1番の鎖だからな。」


「そう言った意味ではいい仕事をしてくれたな。」


「これで暴君ほど使えるようになってくれればいいが。」


「バーソロミュー・くまか…奴も何を考えているのかわからんが。」


「なに、使えるうちは使っておけばいい。」


「左様、それよりも今は此方だ。」


「まあ今以上に此方に有利な条件を与えて暫くは様子を見るか。」


「そうだな…他に目的があるなら反発するだろう。」


「うむ、ある程度信用できるようになれば元に戻そう。」


「意味もなく条件だけ突き付けていても不満を買うだけだ。」


「そうだな…それに他の七武海と差をつけて不満が生まれても困る、優遇もなしだな。」


「後は監視を置くかな。」


「賛成だが、相手は七武海…並みの者には勤まるまい。」


「するとCP9から出すか。」


「うむ、スパンダムに適切な者を派遣するように伝えておこう。」


「こんな所かな…まあ元々保険の様なものだ、では海賊女帝に与える条件は後々検討しよう。」


「そうだな……それで、この世界貴族の方はどうする?」


議題はシュバルツの方に移った。


「使いどころに困るな。」


「うむ、世界貴族と言うのは何かをさせるうえではただの足枷にしかならん。」


「全くだ…しかし道力が4040か、戦闘力としては惜しいな。」


「なに…そんなに人員に困っている訳でもあるまい。」


「左様、大きな戦闘力が1つ増えた位でこの情勢が変わる訳でもあるまい。」


「そうだな無理に使っても、CP9が1人増える位だろう。」


「そうだな、大将のように陣営に影響を与える程大きな戦闘力でもあるまい。」


「親善大使でもさせるか?」


「まさか…問題を起こすだけだ。」


「相手の国にとって世界貴族が式典等に出席する事が、誠意を見せているか、それとも邪魔になるのかはわからん。」


「普通に考えればとても誠意の方に取られる事は無いだろう。」


「しかしこの者なら…どうかな?」


「何とも言えんな、我々が見ているのは資料のみだ。」


「しかも古い資料だ、人は変わる…この者の人物像も調査対象に入れるとするか。」


「そうだな、何にしてもまだまだ様子見だな。」


「別に急ぐ事でもあるまい、じっくり時間をかければ良いだろう。」










sideロズワード


全く…チャルロスの奴、起きたと思ったらまた偽物だ何だと騒ぎ出しおった。


「いい加減にしなさい、このシュバルツは本物だえ。」


「どうしてわかるえ! お父上様納得いかんえ!!」


どうして本物とわかるか…そんな物、隣の女を見れば直ぐにわかるえ。
シュバルツの奴も気がついていないと思うが、私はこの者が昔家に居たシュバルツの奴隷であること位覚えとるえ。
シュバルツは昔からこの女と四六時中一緒に居たからな、何時かこんな事を言い出すんじゃないかと思ってたえ。
ただその女の事を認めなければ、シュバルツの奴はまた家を出るだろう。
また無駄に気を揉む日々に比べれば、この女の事を無視して暮らす方がまだ気が楽だえ。
チャルロスやシャルリアは小さかったせいか覚えとらんようだが…この分だと使用人にも覚えているのがいるかもしれんな。
まああの時の事件でかなりの数の使用人が入れ替わってるので、覚えているのはほんの数人だろう。
そいつらが何か言いださないか…それ位はシュバルツの奴が自分で何とかするしかないえ。
まあ自分で言い出した事だ、最低限位自分でやるだろう。
事実私がこの女の事を知ったのは、使用人の1人がこの女の手配書を持ってきた時だったえ。
声に出して言えんが私もシュバルツの事を諦めかけた時、その手配書が希望になったからな。
この女のが簡単にシュバルツから離れるとは思わん。
シュバルツが攫われたのなら、この女も一緒に攫われるだろう。
見た目は一級品だからな。
また攫ったのが例の魚人だとしたら大量の奴隷も一緒だえ。
この女は名目上奴隷でも扱いはやたらと良かったえ。
その事で家に居た奴隷達はこの女を羨み、妬んでいたえ。
そんな奴ら相手に只で済む訳はないえ。
つまりシュバルツはあの魚人達に捕まっていない。
何故戻って来れないのかわからなかった…まさか自分から出て行ってたとは思わんかったからな。
まあそれはさておき、とにかく不本意ながらあの女の手配書を見たせいで私の中でシュバルツの生きてる確率が上がった気がしたえ。
あの女とのシュバルツのやり取りは、傍から見ていてもかなり親密だったえ。
この女が安心して海賊をやっていける程度にシュバルツは安全な状況にある。
かなり私の希望が入っているが、そう思い捜索は諦めなかったえ。
……とにかくはチャルロス位は宥めておいてやろう。


「私が本物だと言っている。」


「そんなの「しつこいぞチャルロス、またぶん殴られたいか?」……。」


シュバルツの奴脅してるえ。


「兄様達喧嘩しないでほしいアマス!」


「シュバルツ、余り弟を虐めるでないえ。」


「……はい。」


数年ぶりに息子が帰って来たのはいいとして、如何してこう家の息子達は仲が悪いえ。
シュバルツは昔から親の私でも読めない奴…と言うか意図的に私を避けてる気がしたえ。
チャルロスの方はそうでもないが、シュバルツが居なくなった分甘やかして育てたからな。
これからもう少し位は仲良くなってくれればいいのだが。
とにかく家に帰るとするか。









あとがき

さて今回は外伝という形で書かせてもらいました。
てか何か親父カッコいい!!
こんな人だったっけ?とか思いました。
まあロズワードは身内には甘い人ということで。
あと五老星は一人一人の名前とかわからないのでほぼ会話文だけとさせて頂きました。
そしてハンコックとの事は何もかもすんなり行く程上手くありませんね。
今後二人には何らかの条件が付きつけられるでしょう。
ではまた次回。



[8408] 第四十一話
Name: 思いつきで投稿◆9abf2946 ID:d4d903c6
Date: 2009/09/25 23:14
思いがけない所からの援護射撃で俺達の願いは叶う事になった。
ただこれが良い事なのか悪い事なのかはまだわからない。










第四十一話










五老星の宣言に、誰も反対する事なく話は終わった。
先程の事でハンコックに対して言いたい事があったのだが、此処で言うのは不味いので家に帰って2人きりになるまで待つ事にしよう。
センゴク元帥の部屋から退室し、親父はチャルロスとシャルリアの所へ向かったので、俺とハンコックはヒナさんと話している。
最もハンコックは俺の後ろでヒナさんを睨んでいるだけで、殆ど話していないが。
それは昔からなので、俺もヒナさんもさほど気にしていないが。


「お久しぶりですヒナさん、挨拶が遅くなってすいません。」


「いいのよ、寧ろあんなに大勢の前で1番に私に声をかけてきたら変じゃない。」


俺の謝罪に笑顔で返してくるヒナさん。
此処はヒナさんの執務室で、他には誰もいない。
ヒナさんも気兼ねなく話せるようだ。


「しかしこんな行動に出るなんて驚いたわ。」


「俺もこんな事になるなんて、ほんの数日前まで考えてもいませんでしたよ。」


「まあ、元気そうで何よりよ。」


朗らかに話す俺達。
俺としても数年ぶりに姉に会ったようでいい感じだ。


「それにしても…相変わらず貴方は私が嫌いみたいね、ヒナ残念。」


ヒナさんはハンコックの方を向いて言う。


「別に嫌いではない…気に入らんだけじゃ。」


「あらそう。」


何なのだろうこの会話。
ハンコック、それは同じ意味ではないのか?
それとも嫌いではないが素直に会えてうれしいと言えないのかどっちなんだ?
しかもヒナさんはわかったようだ。
女性同士で通じる物があるのだろうか?
俺の理解力がないだけなのか?
結局わからなかった。
ただ考え込んでいる俺の方を見てヒナさんが、


「あら、まだまだね。」


と言っていたことから多分素直に言えない方だと思う。
その後はお互いに大まかに会ったことや昔話に花を咲かせた。
ヒナさんは億超えの賞金首を捕まえた事があるらしい。


「あれは個人の戦闘力が大きいタイプじゃなかったからね。勿論億越えだけあって、弱くは無かったけど。」


どうもヒナさんが捕まえたのは大きな事件を起こした訳ではなく、小中規模の犯罪を多く繰り返した奴だったらしい。
名前は聞いた事あるような無い様な奴だった。
大佐になった時に自分の部隊を持つようになったヒナさんは、ここ数年で数千万クラスの犯罪者を何人も捕まえたらしい。
そしてその億超えを捕まえた事で先日准将になったようだ。


「これも貴方がくれた能力の御蔭ね、ヒナ感謝。」


等と言われた。
しかし能力をそこまで鍛えたのはヒナさんだし、俺は稽古をつけてもらった報酬として渡したのだから感謝されるいわれは無いのだが…まあいいか。


「でも残念だったんじゃない?」


「何がですか?」


突然の質問の意図が掴めず聞き返す俺。


「ずっと修行してたんでしょ?」


その事で何を指しているのかがわかった。
俺が冒険家を目指しているのはヒナさんには言っていなかった。
小さい頃から修行していた目的を知ったからこそ、さして旅もせずに戻ってきてしまった事を勿体無いと思っているようだ。


「でも仕方がないですよ。」


実際に俺も勿体無いとは思う。
自分で言うのもなんだがフクロウに聞いた道力や先程の中将との事、能力の事などを考えても多分俺はあのルッチより上だと思う。
気がつかなかったがどうも俺は随分と成長していたようだ。
そこまで鍛えた力をこのまま放置するのも残念な気がする。
普通に生きて行く上では、そんな力必要無いだろうし、このままでは鈍って行くだけだろう。
何処かで鍛えたり出来ればいいのだが…こんなに直ぐ師匠の所には戻りたくないし。
てか次に会う時は越えるとか言っちゃったし。
次に会った時に手合わせしてボコボコにやられる事を想像してしまった。
ボロボロになって倒れる俺、その俺を馬鹿にしたようにニヤニヤ見降ろす師匠。


「どうした、私を越えるのでは無かったのか? まあ馬鹿弟子が私を越えるなど100年早いがな。」


とか言って馬鹿笑いしているのが頭に浮かんだ。
………絶対に嫌だ!
スゲームカつく!!
在りえて欲しくない…でも十分にあり得る。
これは…修行のやり直しだな!
不幸中の幸いか、時間は沢山ある。
五老星から認められはしたが、色々と話し合う事があるので直ぐには許可できないと言われたからだ。
どれくらい掛かるかはわからないが、早くて1週間、遅ければ1月以上もかかるらしい。
別に修行はその後でも出来るし、急がないからな。
ぶっちゃけて言えばこれからの予定なんて全くと言ってもいいほど無いので…暇だ。
マリージョアで大人しくしているのも性に合わないが、何処かへ行くとまた騒ぎになるし戻ってきた意味ないし。
俺が行けるのは精々シャボンディ諸島位だろう。
いやそれすらも暫くは控えた方がいいな。
師匠にも暫く会いたくないし。


「どうしたんじゃ黙り込んで。」


俺が急に黙ってしまった事に心配したのか、ハンコックが聞いて来た。


「ハンコック…俺暫く修行するよ。」


「何?」


「どうしたの突然?」


俺の急な宣言に2人は驚いたかのように聞いて来た。
それはそうだろう、彼女達からしたら俺が修行する理由など無いのだから。


「倒したい人が居るんだ。」


「誰じゃ?」


「師匠だ。」


「ああ…あの人か。」


師匠の事を記憶から掘り出すように言うハンコック。


「師匠ってさっき言ってた人?」


「そうです。」


「どんな人なのか聞いちゃダメ?」


俺が師匠と言う人について興味があるのかヒナさんが聞いて来た。


「名前は言えませんが…酒飲みで女好きで放浪癖まであるどうしようもない爺さんです……あの独特の髭とか、いつかツルツルに剃ってやろうと思ってます。」


「物凄くこき下ろすわね。」


俺の言い様に少し引いたように言うヒナさん。
俺は構わず続けた。


「ただ…」


sideハンコック


シュバルツの突然の修行宣言。
まあ、シュバルツ突然は何時もの事じゃが…とにかく今度は何をしようと思っているのかと思ったら、自分の師を越えたいとはな。
シュバルツにはもう少し落ち着いて欲しいのじゃがな。


「ただ…強くて、直ぐ人の事馬鹿にして、やたら強くて、酔う直ぐ騒いで、やっぱり強くて、冥王とか偉そうな通り名持ってて……。」


「今さりげなく凄い事聞いた気がするのだけれども…聞き間違えかしら?」


ヒナの奴が焦りながら言うが、シュバルツは師の事を思い出しているのであろう…全然聞いていない。


「俺はあの人を越えたいんだ。」


シュバルツは師匠を倒す! と、わらわ達を置き去りにして、勝手に1人で意気込んでおる。
それは別に良いのじゃが、もっと目先の事を考えてほしいのじゃが。
そう考えているわらわにヒナの奴が耳打ちして来た。


「ねえ…あの子の一直線な考え方、少し矯正した方がいいんじゃないの?」


「そうじゃな。」


「言いたい事はハッキリと言わないと、尽くしてばっかりじゃダメよ。」


「確かに…ここは手綱を握っておく必要がありそうじゃな。」


昔からシュバルツに対して強く言えん所があったが…これを機に少し強く言うようにするかな。


「シュバルツ。」


「ん、何?」


1人で意気込んでいるシュバルツに言う。


「修行をする事は大いに結構、しかしまずは目先の事…わらわ達の事を終わらせてから取り組むようにしてくれんか?」


「……はい、気をつけます。」


素直にそう言うシュバルツ。
しかし急に真面目な表情でわらわにだけ聞こえるように言ってきた。


「それはそうと…後で話があるから。」


この様子だと何もなさそうじゃと思ったが…やはりそうもいかんか。
まあいい、この際わらわも言いたい事が沢山ある、全部言ってやろう。


「……わかった、後で話そう。」


その後少し話した後、ヒナと別れてシュバルツの弟の元へ向かった。










sideカリファ


「……と言う訳でだ、そちらからも1人送ってもらう。」


行き成りの連絡を受けて、急遽現在の潜入任務に参加している全員を集めた。
ルーズだけは捕まらなかったが…全く何処で何をしているのか。
まあ、今回の任務には行かないでしょうし良いでしょう。
あの男に潜入が務まるとはとても思えないですし。
そして電伝虫越しに語られる今回の任務。
通常指令書でやり取りされる物だが、急ぎの為に今回は電伝虫を使って行われた。
それは王下七武海の1人と、ある世界貴族の調査任務。
ある意味しくじればそこで終わりかもしれない任務。


「此方の任務は残った者で続けますか?」


「そうだ、そっちから1人送れ。」


2人見張るのに1人しかいないのは厳しいと思い長官に尋ねた。


「1人だけですか?」


「こっちはジャブラを送る。」


「了解。」


「誰かはそっちで話し合って決めろ、いいな絶対にしくじるんじゃねぞ。それとこれが今回の目標だ」


そう言った後、備え付けの機械から今回のターゲットの写真が出てきた。
その間も長官は情報を伝えてくる。


「フクロウの話じゃお前らと同じく六式を使い、道力は4040らしい。」


「六式使い?」


「道力が4040じゃと? 聞いた事ないぞ、そんな数字。」


出てくる情報は大凡世界貴族らしくない物だった。
世界貴族で直接自分で戦う者など聞いたことが無い。


「これが…何じゃと!?」


カクが写真を手に取り確認すると、珍しく驚き声の上げた。


「どうしたの?」


「これじゃ…。」


「!!? こいつは。」


そう言って渡された写真に映っていたのは、2月程前に船の修理に来たシュバルツさんだった。
あのルッチですら驚きを隠せていないのだから余程の衝撃なのだろう。
そう言う私も何も言う事も出来ない。


「どうしかしたのか?」


事情を知らないブルーノが聞いてくる。


「私達この人…いえ、この方に会った事があるの……つい最近ね。」


「何だとォ!」


電伝虫越しに長官の驚きが伝わってきた。


「そりゃどういう事だ!!」


「実は…。」


ルッチが代表して説明した。





「……と言う訳でして、我々3人は一度お会いしているんですよ。」


「馬鹿野郎! 何でその時捕まえなかったんだ!!」


「存じ上げて無かったもんで。」


悔しがる長官に淡々と返すルッチ。


「クソォ! 俺の出世のチャンスが!」


「それで任務の方は何時から?」


そんな長官の様子を気にも留めずに続ける。


「準備でき次第すぐだ! 後は任せる!!」


そう言って通信は終わった。
力任せに受話器を置いたのだろう、大きな音を立てて切れた。


「しかしシュバルツ…聖が世界貴族だったとは。」


「私もその事件自体は知っていたけど…顔は知らなかったし、まさかあの人がそうだとは思わなかったわ。」


カクの言葉に私が答える。


「過ぎた事はどうでもいい、今はこの任務に誰を出すかだ。」


ルッチはそう言って切り捨てた。


「ブルーノしかおらんじゃろう。」


「そうね。」


「俺達3人は顔が割れている、ウォーターセブンに居た船大工や秘書が家に居れば不自然極まりない。」


「……わかった俺が行こう。何年もかかるほど長期の任務でもなさそうだし、店は暫く閉めるだけで言いだろう。」


私達の意見をブルーノは了承した。


「一応ルーズがいるにいるけど……。」


「あれが潜入任務など出来る訳ないじゃろう。」


「全くだ。」


「長官も奴を行かせるなど考えてはいないだろう。向こうがジャブラを送るのも、フクロウは顔が割れてるし、クマドリは一々五月蠅くて目立つ。」


私の言葉を皆は一斉に否定した。
一応聞いただけであり、私自身全くと言っていいほどあれを行かせる気など無かった。


「おう、今来たぞ。」


そう言って現れたのは、今話題に上がったルーズだった。
お酒の臭いをさせて……全く、無礼者。


「遅いぞ、何をしていた。」


「ちょっと用事でな。」


ルッチの問にいかにも嘘くさい事を答えるルーズ。
大方何処かで飲んでいたんでしょう。


「それで…どんな用件だったんだ?」


「もう終わった、お前さんには関係の無い話しじゃ。」


「何だよ、人が態々来たってのによ。」


「遅れなければいいだろう。」


「うるせえ。」


ブルーノの言葉を聞く気もない様だ。
何故こんな男がCP9の一角を担うかと言うと、単に実力ね。
道力はこの任務に着く時に計った3020からこの1年余りでどう成長したかわからなけど、どうも酒を飲む間にちょくちょく修行しているらしい。
恐らくもう少し上がっているでしょう、それに一応は能力者。
CP9のNo.2である事に嘘は無い。
だからと言ってその実力を除くと、一般の職員にも劣るけど。


「ん、ハンコックの写真じゃないか…珍しいな。」


「珍しい?」


「手配期間も短いし、張ってあった手配書も直ぐ剥がされて殆どお目にかかれないんだぞ。」


「そう言う事か。」


納得したように言うブルーノにルーズが聞く。


「何でここにあるんだ?」


「ああ…次の任務で関係していてな。」


「ハンコックが関係している任務か!? 俺が行くぜ!!」


嫌に食いつくわね。


「お前に潜入は無理だ、ブルーノに行ってもらう。」


「何言ってやがる、俺は立派に潜入任務をこなしてるじゃねぇか!」


本気で言っているんだろうか?
ルーズの主張を無視して話を進める。


「とにかく、ボア・ハンコックとシュバルツ聖の監視、何かあったら逐一報告する事、今回の任務はそれだ。」


「期間は此方の調査状況次第か。」


「うむ、此方の調査資料を元に五老星直々に審査されて、その上で最終的な決定が出るらしい。」


ルッチ、ブルーノ、カクが交わす会話から完全に置いていかれているルーズ。
全く状況がわかっていないようだ。


「おい俺を無視するな!」


置いて行かれるのが気に食わないようで怒鳴るルーズ。


「やれやれ、カリファ…説明してやれ。」


「何故私が。」


ルッチが私に振る。
めんどくさいのは全部私に押しつける。
この島での任務の時、ルーズの配置を決めて納得させるのも私に押しつけてきたし。


「それで…一体何の話なんだ?」


「セクハラです。」


「何でだよ!」


いけない…つい反射的に。
どうもルーズの存在を体が拒絶するのよね。


「今回の任務は世界貴族シュバルツ聖と、王下七武海ボア・ハンコックの婚姻の調査です。正確に言うとボア・ハンコックの狙いですが。」


「何だとォ!!!」


行き成りの叫びに驚かされた。


「何じゃ行き成り、五月蠅いのう。」


「叫ばずにいられるか! ハンコックは俺の女だぞ!!」


「「そりゃ在りえん。」」


カクとブルーノが一斉に否定した。


「畜生! 世界貴族が権力で無理やり脅したに決まってる!」


「世界貴族の権力に負けるような奴が七武海になるわけないだろう。」


2人の否定を無視して叫び続けるルーズにルッチが言う。


「おのれ…ぶっ殺してやる!!」


とんでもないい事を言いながら、勇んで出て行こうとするルーズを急いで止める。


「相手は世界貴族ですよ、我らは何があろうと手だししてはいけない領域です!!」


「知るか! 絶対にブチ殺す!!」


「ふざけた事を言うな…それならそれで、まず俺達がお前を殺す事になるぞ。」


「くっ…クソ! 俺は帰って寝る!!」


ルッチの宣告に流石に不利を悟ったのかルーズは帰って行った。


「本気だったのかしら?」


「本気なわけなかろう、わし達政府の人間が世界貴族に手を出したなど…成功しても失敗しても残りの人生どうなるかなどわかりきった事、あいつも政府の人間の端くれじゃその位は理解しているじゃろう。」


「そうよね。」


そうは答えたものの、私は嫌な予感が止まらなかった。









あとがき

最近話が先に進まない感じで申し訳ないが、これが作者の書き方なんで我慢して下さい。
今回はルーズが来ると予想していた人が多かったみたいなんですが作者は最初からこの二人で決めたいました。
ルーズはルーズできっと何か行動を起こしてくれることでしょう。
ではまた次回。



[8408] 第四十二話
Name: 思いつきで投稿◆9abf2946 ID:d4d903c6
Date: 2009/09/25 23:20
チャルロスと喧嘩しかけたが親父に諌められ、そのまま家まで引っ張って帰られた。










第四十二話











本部での事が終わり、数年ぶりに我が家に帰宅した。
焼けたせいか前と形が違う所がある。
しかも幾分か大きくなってるし。
親父が言うには


「焼けたので直すついでに少し大きくしただけだえ。」


との事だ。
そうほんの10億か20億ですんだらしい……全然ほんのじゃねえよ。
てか倍も差があるだろうが、価格位覚えとけよ。
それとハンコックの事を覚えている使用人が何人かいたので、2人で丁寧にOHANASHIしておいた。
まあそんな事よりも、あの五老星の通達の後は誰も反論することなく終わった。
俺達が式を挙げる事はない。
本来世界貴族は妻を取っても式なんて挙げない…世界貴族同士でもない限りは。
下々の者達を妻に迎える時、大体の世界貴族は妻をアクセサリーの様に変えたりする。
故に一々式などは挙げない。
だが今回は違う意味で式を挙げないようだ。
まあ政府と七武海との関係の密接さを世界中にアピールしたいのは山々だが、政府が海賊をそこまで懐に入れた事を公表するのは世間体的な意味で不味い様だ。
やはり海賊は全体的に見ると圧倒的に民間からの印象が悪い。
政府が許容するのは七武海で精一杯だろう。
まあどうせ知っている人は知っている、みたいな感じになるだろう。
クロコダイルを討ったのがスモーカーじゃなくて本当はルフィだとわかっている、みたいな感じで。
海賊相手の牽制……それとも革命軍かな。
まあ最もその程度の事を気にするのは雑魚だろう。
雑魚とかじゃ入手できない情報かもしれないがな。
どちらにしても、雑魚とかは政府が気にするほどの事じゃない。
四皇とかはこの事を知っても、特に気にしない気がする。
しかし五老星が出てくるとはな……まあ俺が帰ってくるだけならそんな事もなかったが、黄猿があらかじめセンゴク元帥に伝えていた事で話が通ってたみたいだ。
最もその話を知っていたのは五老星とセンゴク元帥だけの様だが。
他の人達には話を止めておいたようだ。
流石の親父も五老星の決定をどうこうする事は出来ない。
それにハンコックの方にも、色々と条件を突き付けて使うつもりらしい。
まあ不動とまで言われた者を使えるとなれば政府としても万々歳と言った所だろう。
ハンコックが思ったよりあっさりと条件を飲み過ぎて向こうも少し驚いていたが。
ハンコックがくまみたいに政府の言いなりにならなければ良いのだが。
問題はまだまだ沢山あるが俺は何よりも今不機嫌だ。
そしてこの不機嫌の原因をジト目で見つめている。
向こうも俺の言いたい事はわかっているようなので居心地悪そうにしているだけだが。


sideハンコック


この部屋も久しぶりじゃな。
数年ぶりに入ったシュバルツの部屋は襲撃の際にも特に被害無く、そのままで掃除などの最低限の事以外は放置されていたようじゃ。
まあそんな事よりも…先ほどから此方を責めるように見てくるシュバルツにいい加減何かを言うとするか。


「何じゃ先程から…言いたい事があるならはっきりと言えばいいじゃろ。」


「……じゃあ言わせてもらうけどな、さっき何を言おうとした?」


「さっき? 何時の事じゃ?」


「恍けるなよ、さっき俺が詰まった時に何か言いかけただろ。」


怒っているな。
恐らく何を告げようとしたかも予想はついておるのじゃろう。


「言わずとも、既にわかっているようじゃが?」


「ああ、大体はな……じゃあ言うがな、お前……さっき昔の事ばらそうとしただろ!」


「そうじゃ。」


「何でそんな事言おうとたんだ!」


「あの場は……それしか納得させられないと思った。」


そうあの時…シュバルツがセンゴクの問いに黙り込み答えられなかった時に、わらわは昔奴隷だったと告白しようとした。


「昔からのつき合いだと言えば俺達の関係が権力目的じゃないと証明できると思ったのか?」


「そうじゃ。」


浅はかかと言えば、浅はかじゃろう。
しかしわらわには権力目的で近づいていると思われるのが我慢ならなかった。


「そんな事言っても…納得はされても同情なんかしてもらえないぞ! 寧ろ政府に余計な弱みを握られる事になる!!」


「例え名目は奴隷であっても……わらわにとってあの日々は恥ではない!!」


「相手がどう思うかなんてわからないだろ!!」


「そんな事、言いたい奴らには言わせておけばいい!」


「俺が嫌だ! お前を勝手に蔑む奴らが居るなんて…俺には我慢できない!!」


「我儘言うな!」


「ああ我儘だよ俺は! てかお前に我儘とか言われたくない!!」


「何じゃと!!」


「何だよ!!」





「「はぁ…はぁ…。」」


叫び続けて息が切れる。
お互いに一通り喚き散らしてもまだ睨み合う。
最後の方はただの罵り合いになっていたが。


「話を元に戻すぞ、俺はお前が誰かに蔑まれるのは我慢ならない。」


「それはわらわの勝手じゃ、そなたにとやかく言われる事ではない。」


「関係ある……俺はお前が好きだ! だから我慢できない!!」


初めて言われた。
今までも何度か好きだと言われたが、正直本当かどうかわからなかった。
でも今回の言葉は嘘偽りがないと思う。


「なっ! ……此処でそんな事言うか…卑怯じゃぞ! こんな時だけ!!」


不意打ちに顔が赤くなるのがわかる。


「卑怯でも何でも構わない! てか恥かしくてこれ位の勢いがないと言えない……だが俺はお前が大好きだ! 嘘じゃない!!」


「恥ずかしい? わらわは普段から言っているのに、そなたは恥かしいから言わなかったのか!!?」


何じゃそれは、わらわは好きだと言ってもらえずにずっと不安だったのに。


「すまない…でも俺はそんなに素直じゃない、面倒な奴なんだ。」


「それではずっと悩んでたわらわが馬鹿みたいではないか。」


「すまない。」


だがここ数日の不安が無くなったので気分は晴れた。





sideシュバルツ


いくら親しい人でも言葉に出さなければ伝わらない。
そんな当たり前の事を痛感したな。
とにかく話題は変わりまくったが、都合のいい事にここ数日のお互いの不満等をぶつけ合うことで俺達の仲はまた一歩進んだ。
未だ問題だらけではあるがとにかくここ数日間の嫌な空気は払拭された。
しかし今後政府側から俺達にどのような要求が来るかはわからない。
……まあ今あれこれ考えても仕方がない。
でもさっきの言い合いだって俺がちゃんと理由を考えていなかった事でハンコックが庇おうとした事が原因なのに……これじゃ逆切れだよな。
俺は腹芸とかややこしい考えができないからな。
半分諦めの境地に入りながら寝た。











それからは数日間は特に何もなく過ごした。
ハンコックは何度か船の方に戻っているが、俺は基本的に家から出なかった。
暇つぶしに筋トレ等をしている位だ。
俺の部屋は昔ハンコック達3人と訓練していたときに、防音設備を完備しているから多少騒いでも大丈夫だ。
先日のハンコックとの言い合いもその御蔭で周りには聞こえてなかったらしい。
しかし俺は強い人に修行をつけてもらったにしては弱くないかと言うのが最近の疑問だ。
恐らくだが実戦経験の少なさが影響しているのではないかと思う。
しかし実戦をするためには外に出なければならない。
だが今の状況でそんな事をする訳にはいかない。
実際に家の中にもそこそこの強者はいる。
親父の船長コレクションだ。
だが彼等は俺を攻撃するなど出来ない。
そんな事が出来るなら最初から反抗に出ているだろう。
それに本物の強者なら、まず捕まらないだろうと思うしな。


「あ~~、ホントに暇だな。」


思わず口に出てしまう程に暇だった。
今日もハンコックは九蛇の船に行ってしまっている。
帰ってくるまで暇其の物だ。
その時事件は起こった。


「大変だ! 奴隷が逃げたぞ!!」


「なんだ、またか。」


呑気にそう言う程、こう言った事は時折あった。
奴隷は常に鎮静剤を与えている。
だが効力が切れたり、効きが悪かったりすると興奮して逃げ出す者いるのだ。
これは我が家だけではなく、どの家の奴隷でもある傾向だ。
誰だって奴隷になどなりたくは無い、命を賭けても逃げたいだろう。
それに家は親父が船長コレクションなんて、態々腕の立ちなお且つ気性の荒い奴等を集めているせいでこうなる確率は他の家より高のだ。


「気をつけろ! 暴れているぞ!!」


「ん? 暴れてる?」


珍しい事だった。
普通はさっさと逃げるのだが。


「シュバルツ様の部屋の方へ行ったぞ!!」


「早く捕まえるんだ!」


こっちに来るのかよ。
そう思いながらも俺はベットの上から動くことなく寝転がっていた。
数秒後、俺の部屋の扉が勢いよく開く。
扉を破るかのように開け飛び込んで来たのは、勿論騒ぎになっている奴隷だった。
男はかなり大柄でがっしりした体形だった。
一目で見てわかる程興奮している。
そいつは部屋の中を見回した後に俺を見た。
目が合う俺と奴隷の男。


「窓はそこだ、出て行きたければ好きにすれば。」


寝ころんだまま、部屋の窓を指差して俺は言う。
此処は1階だから逃げれるだろう。
その後に捕まるかどうかはこいつの運次第だ。
俺にとってこいつは興味がない存在なので、逃げようと捕まろうとどうでもよかった。
まあ、首輪がついている以上爆発するとそれまでなんだがな。
だが男は興奮して聞いていないのか、俺に向かって襲いかかってきた。


「逃げればいいのに。」


ため息を吐くように呟き、ベットからはね起き突進してくる男を避けて近くの壁に掛けてある秋水を手に取る。
そのまま激突し、ベットのを破壊する男。


「最後だ、逃げるなら別に良い。だがこれ以上俺の部屋を破壊するなら、悪いが斬るよ。」


秋水を抜き構える。
奴隷なんかにしている以上悪いのはこっちだ、散々悪い扱いして反逆したから斬るってのもなんだけど。
まあ、こいつも元海賊だろうから悪人には違いないんだし、初めて会った思い入れも何もない上に、こっちを攻撃してくる奴に優しくするほど俺は良い奴じゃない。


「うるせえ! 俺が助からない事位わかっている! だがこのまま飼われるのは我慢できん!! せめて1人くらい天竜人を道連れにしれやる!!」


「なるほど、大将が来ないうちに一矢報いると言う事か。」


「そうだ! 大将さえいなけりゃテメェらなんざゴミみたいなもんよ!! ホントはロズワードとか言う奴をぶっ殺してやりたかったが何処にもいやしねぇ!!」


「だから息子の俺で我慢しとくと?」


「そうだ!!」


「わかった、せめて気が済むように相手しよう。」


「ふざけんなァ!!」


俺の言い様が気に入らなかったのか奴は激昂し叫んだ。
そして俺に向かい拳を突きだした。
その途端何かが俺に飛んできた。


「なに!?」


俺はとっさに身を屈めて避ける。
飛んできたそれは俺の上を通過して後ろの壁を吹き飛ばした。


「能力か?」


「ドカドカの実の力だ! 俺は衝撃波を飛ばせるんだよ!!」


くまの弱体版かよ。
とにかく喰らうのは嫌だし倒すか。
そう思い飛びかかろうとしたら、横から誰かが割り込んできて男を蹴り飛ばした。
その男は振り返り俺に向かって叫んだ。


「俺が相手をします、下がって下さい!」


まるでヒーローの様に飛び込んで来た男、それはジャブラだった。
その時俺が思った事は……何故にジャブラ? だった。










あとがき

久々に更新させてもらいました。
何とかハンコックとの仲を修復したく考えていたんですがいい方法が思いつかずにこんな感じになってしまいました。
もう前半部分とか特にワンピースっぽくないのが自覚できています。
他にワンピース書いている作者さんたちを尊敬します。
今後はなるべくワンピースっぽくしていきたいと思うんですが。
ずっと考えていた結果今後の本編開始までの方針がほぼ決定しました。
とは言うもののまだ文章には起こしていないので投稿には時間がかかるでしょうが。
こんな作品ですがお付き合いしえ頂ければ幸いです。
ではまた次回。


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