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[8145] 【ネタ】フリーザの野望(現実→ドラゴンボール)憑依 
Name: 車道◆9aea2a08 ID:555837fb
Date: 2009/05/03 18:59
 ホッホッホッ。皆さん、こんにちは。私は全宇宙の支配者フリーザ様ですよ。

 ………………。

 だーっ!! なんで俺がフリーザなんだよ!? 普通、こういう場合はサイヤ人の戦士とかに憑依して、打倒フリーザを掲げて修行するべきところだろうが!?
 ラスボスに憑依して、どうしろってんだよ!?

「フリーザ様、仕事してください」

 現実逃避してたらザーボンさんに叱られました。
 うん、ゴメン。人に徹夜仕事を何日もさせといて、自分はサボるとか、やっちゃいけないことだよね。俺も、ここしばらく寝てないけど。

 一般人というか、ただのオタクな俺がフリーザになって最初に考えたのは、今の仕事を止めることである。
 まだ、惑星ベジータ健在のこの時期なら、しばらく問題はないが、このまま続けていればいずれ俺はスーパーサイヤ人に殺されてしまう。
 今すぐ地球を破壊してきてしまえばその心配もなくなるのだろうが、肉体はともかく精神は一般人の俺である。他に方法がないわけでもないのに、地球人皆殺しとか良心の痛む事はやりたくない。今のフリーザ軍の活動ですでに胃に穴が開いているというのに。

 で、最初はフリーザ軍を解散してしまえば済むと簡単に考えていたんだけど、そう簡単にいくほど甘い世界ではなかった。
 宇宙規模に広がったフリーザ軍の活動は、トップが止めようと言ったくらいでどうにかなるものではない。そもそも社員の多くが、戦い破壊することしか知らない脳筋ばかりなのだ。そうでなくて誰が、こんな死と隣り合わせの灰と青春な職場で働くものか。ここで、いきなり解散などをしてしまったら、全宇宙にならず者をばら撒く結果にしかならない。そんな胃の穴を増やすようなことはやりたくない。

 そもそも、憑依してから分かったことだが、フリーザ軍は父親であるコルド大王の後継者として相応しいことを示すために組織したらしいのだ。
 今現在、兄のクウラを押しのけて父親の後継者と見なされているフリーザが軍を解散などしてしまえば、不信感を持った父と兄がどう行動してくるか分からない。
 万が一にも、敵対する事になどなっては勝てる自信などこれっぽっちもない。
 正直なところ、フリーザの戦闘力がクウラやコルド大王に劣っているのかどうか俺は知らない。だけど、戦闘力で勝っていたとしても戦って勝てる確率は恐ろしく低いだろうと予測している。
 なにしろ、体はフリーザでも中身は喧嘩もほとんどやったことのない日本人の俺なのだ。意気地はないし、格闘の知識や経験もない。
 人間、体を鍛えただけで強くなれるほど便利にはできていない。戦闘に関する知識、技術、経験などがあって初めて強者足りうるのだ。
 今の俺は、ソードワールドRPGなんかで例えると、全能力値オール200くらいで冒険者技能0という、やたらとバランスの悪いキャラということになるのかもしれない。
 この例で分かりにくければ、レベル1のカツ・コバヤシを、まともに動かせもしないグランゾンに乗せて、いきなり最終マップに放り込んだようなものとでも思ってくれ。
 そんな俺が、圧倒的に格下の相手ならともかく、同格の存在に勝てるはずがないのだ。

 そんなわけで、できるだけに穏便な方法を取ることにした俺が考えたのが、解散ではなく方針の大幅転換である。

 ついでに言うが、社員の中には、
「もうすぐ子供が生まれるんだ。これからバリバリ働かないとな」
 なんて、言っている者なんかもいたりして解散は難しいのだ。胃の調子的に。

 これまでのフリーザ軍の活動は、環境のいい惑星に住む人間を皆殺しにして、それを他の宇宙人に売り、その金で新しい技術を買う。そんな仕事であったが、俺はこれを地回りにすることを考えた。
 宇宙にならず者は多い。ならば、こちらは兵を送って、そのならず者から守ってやるかわりに謝礼を受け取ろうというわけである。
 ぶっちゃけヤクザだが、それでも今の仕事よりはマシなはずだ。
 ところがどっこい、言うは易し、やるは難しとはよく言ったもので、組織の方向転換というのは簡単ではない。
 やたらと処理しなくてはならない案件が多いのだ。
 これまでの仕事を続けるなら、俺がやらなくてはならない仕事はほとんどなかったのだが、今までの活動の停止と、新しい仕事の導入。人員の適切な振り分けなどやること多い。ザーボンさんとドドリアさんが事務仕事のできる人じゃなかったら過労死してた自信があるね俺。
 うん。ザーボンさんはともかく、ドドリアさんが事務仕事ができるって意外だったよ。今は、こき使いすぎて寝てるけどね。
 ただ、他に事務仕事ができる人がいないんだよね。フリーザ軍は基本的に脳筋ばっかだし、人事に関する仕事だと、戦闘力の低い下っ端に任せると「こんな雑魚の決めた事に従えるか!」って暴れる馬鹿がいっぱいいるんだよね。
 おかげで、この巨大組織の人事をたった三人でまとめなければならないというこの事実。死ねと?

「フリーザ様」
「なんですか?」
「私、頑張りましたよね? もう、ゴールしてもいいですよね?」
「逝くなー!!」

 ザーボンさんが、限界突破してヤバイことになってました。

「わかりました。睡眠を取ってきてください。ついでにドドリアさんを起こしてきてください」

 ドドリアさんも、一週間ぶりの睡眠とはいえ、三時間も寝てるんだし、もう充分だよね。フフフフフ……。
 なんだか、宇宙の帝王に相応しい邪悪な笑みを浮かべた自覚がありますが、疲れきったザーボンさんはノーリアクションです。ゾンビみたいな顔でフラフラしながら部屋を出て行きました。
 これが、私の日常です。




「フリーザ様!!」

 一ヶ月ぶりに布団に入ろうとしたところで、アプールさんが叫びながら寝室に入ってきました。殺意がわきました。今ならやっちゃっても情状酌量の余地があるよね?

「前に発見した、高い科学力を持った異星人の住む惑星なのですが……」

 ああ、科学力に反比例して戦闘力の低い住人しかいない星ですね。たしか、あそこは多くのならず者に狙われているので、兵を守りに送ったはずですが。

「壊滅しました!」

 ブホォーッ

「どういうことですか? 我が軍の兵でも守りきれないような強力な異星人が現れたとでも言うのですか!」
「いえ、それがその……、やったのは我々が送ったサイヤ人です」
「またですか!」

 ええ、サイヤ人の暴走は今に始まったことではありません。
 自分たちを戦闘民族だなどと称している、あのサルどもは、闘争本能の赴くままに破壊の限りをつくすので、守るという行動に徹底的に向いていない。
 しかも、やたらと勤勉なのも問題です。惑星守護に派遣すれば、行った先で守護対象まで全滅させてくる。
 送らなければ、戦わせろと抗議をしてくるは、放っておいたら勝手に出て行って、適当な惑星の異星人を全滅させて、ただでさえ低いフリーザ軍の評判を地に落としてくれるし。

 しかも、最近では、
「フリーザは惑星ベジータを破壊してサイヤ人を滅ぼすつもりだ。そうなるまえにフリーザを倒すんだ」
 なんて、噂をばら撒いている奴がいるらしく、いちいち反抗的なのが増えています。
 だめだ、こいつら……はやく何とかしないと……。

「ホントにサイヤ人滅ぼしてやりたいんですが」
「全面的に同意しますが、この時期にやると問題が残ることになりますよ」

 そうなんだよね。急な方針転換で、まだ外部の不信感が拭えてないってのに、身内の兵を滅ぼすとか外聞が悪いよね。

「ですので、フリーザ様から、ベジータ王に厳重に注意をお願いします。我々が言っても、その……」

 そうですね。自分より強い相手の言葉しか聞かない、あのサルどもには、私以外が文句を言っても聞き流されてしまいますね。

 後に、私は注意だけで済ませた自分の考えを後悔することになる。





「やっちゃいました」
「やってしまいましたね」
「まあ、いい加減、限界でしたから」

 上から順に、私、ザーボンさん、ドドリアさんのセリフです。
 私の前には、ベジータ王含め、数人のサイヤ人が死んでいます。下手人は私たち三人。
 このサルどもは、私を倒すとか寝言をほざきながら突っ込んできたので、さっくり死んでもらいました。
 我慢にも限界というものがあります。ただでさえ、洒落にならない仕事量にアップアップ言ってるのに、その仕事をさらに増やしてくれるサイヤ人が、こちらを殺そうとしてくれば温厚な私も、ぶち切れるってもんです。
 本来なら、ネズミ一匹殺せないヘタレな私ですが、睡眠不足でいい感じのテンションなおかげで殺人に躊躇いも罪悪感もありません。さすがに、これはベジータ王の自業自得です。

「いっそ、この勢いでサイヤ人を皆殺しにしませんか?」

 ザーボンさんが、寝不足のテンションで物騒なことを言い出しました。

「ああ、それなら惑星外に出てるサルは始末してきますよ」

 眼の下に隈を作ったドドリアさんが、うつろな眼で同意してます。

「ああ、それならいっそ惑星ベジータごと吹き飛ばしてしまいましょう。きっと綺麗な花火が見れますよ」

 私も、なんだか、取り返しのつかないことを言ってるような気がします。

 いいじゃないですか。どうせ、生きてても人に迷惑をかけるしかできない害虫みたいな種族です。ここできれいさっぱり駆逐してしまいましょう。





 私が、フリーザに憑依してから何年が経ったでしょう? 憑依前の記憶も、おぼろげなものになってきました。
 サルどもを滅ぼしてからフリーザ軍の活動は順調です。事務仕事を手伝ってくれる人も増えました。
 といっても、もうサイヤ人が全滅したかというとそうでもなく、フリーザ軍には三人の行き残りがいますし、惑星ベジータを破壊した時に、事前にその事を知っていたとしか思えない迅速な行動で行方をくらませた者たちもいるので、全滅とはいきません。

 ある日、サイヤ人の生き残りのラディッツさんが弟を迎えに行くといって、地球という星に出かけて帰らぬ人になりました。
 地球か……、何もかもが懐かしい……。
 ってか本気で懐かしいな。そういえば、なんか思い出さなければならないキーワードがあったような……。
 気になったので、後を追って地球に行ったベジータさんたちを盗聴してたらドラゴンボールという言葉が出てきました。

 おお! それだ!
 たしか、ドラゴンボールは何でも願いをかなえてくれる奇蹟のアイテムだったよな。
 あれを集めれば、これまでの活動で、うっかり命を奪ってしまってたり、守りきれなかった多くの命を蘇らせることができたはず。
 よし、ザーボンさんドドリアさん。行きますよナメック星へ!


 その後、フリーザ様の姿を見たものはいない……。





おまけ

 ある日のギニュー特戦隊。

「ギニュー隊長ーっ!!」
「どうしたジース!!」
「フリーザ様が、軍の方針を変えるとかで、惑星を攻めて、そこの人間を皆殺しにする仕事はもうやらないそうです!!」
「なに!? では、我々は、これからどうなるのだ?」
「はい! ヒーローになれとのことです!」
「ヒーローだと!?」
「我々の助けを求める弱き者を救い、暴虐な異星人を倒す正義の味方になれとのことです」
「うおォォォォ! 正義の味方だと! カッコイイじゃないか!」
「ですよねー!」
「よし、これから正義の味方に相応しい、スペシャルファイティングポーズの練習をするぞーっ!!」
「「「「オオー!!」」」」

 そんな彼らも、ナメック星で帰らぬ人となりました。


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蛇足

行方をくらませたサイヤ人たちは転生者や憑依者です。
彼らは、ある者は地球に行き悟空の仲間になり、ある者はナメック星に行き不死の肉体を欲し、ある者は他の戦闘力の高い異星人の元へ行き仲間を集い、ある者はスーパーサイヤ人を目指し修行に明け暮れました。
そして全員が、行った先でフリーザが、いかに倒すべき悪であるかを吹聴してまわったのです。
つまりは、そういうことです。


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この話はこれで完結しています。
続きを期待している方は、次からの話を読むことを、お勧めしません。



[8145] ラディッツの野望
Name: 車道◆9aea2a08 ID:555837fb
Date: 2009/04/17 20:17
 俺の名はラディッツ。宇宙最強の戦闘民族サイヤ人の生き残りだ。
 他の生き残りの二人は、俺の事を弱虫ラディッツなどと呼ぶが、別に俺が弱いわけではない。二人が強すぎるだけなのだ。
 俺も、サイヤ人として標準的な強さを持っているが、奴らはエリート戦士なのだ。下級戦士である俺が勝てなくても当然だ。
 そんな俺は、今、地球というゴミのような戦闘力しかない奴らの住む星に来ている。
 俺たち生き残りのサイヤ人は、フリーザ軍という、有料で宇宙の治安を守る仕事に従事する組織に属している。
 銀河の破壊者の伝説を持つ民族が、他人を守る仕事だとか情けない限りだが、これは俺たちの雇い主にして、軍のボスであるフリーザの方針なのだからしょうがない。
 といっても、我々サイヤ人は自分より弱いものになど従わない。つまり、フリーザは強いのだ。俺はもちろん、二人の仲間よりも。

 我々サイヤ人は、基本的には他の強力な種族の異星人に比べると、平均的な戦闘力しか持たない。その我々を強戦士の種族として成り立たせているのは、月を見ると本領を発揮する体質による。
 なんと、月を見て本領を発揮したサイヤ人の戦闘力は10倍にも上昇する。これにより、下級戦士に過ぎない俺でも、他の種族の最強クラスの戦士と並ぶ戦闘力を得るのだ。
 更にである。仲間の一人は、通常時で、本領を発揮した俺以上の戦闘力を持つのだ。そいつが本領を発揮した時に、どれほどの戦闘力を持つことになるのか察してもらえるだろう。
 だが、その仲間が本領を発揮してすら敵わない。それが、フリーザなのだ。そんな相手に逆らえるはずがない。これは、別に俺が弱虫だとかヘタレだとかとは関係がないのだ!

 それは置いといて、現在のフリーザ軍は有料の治安維持組織なのだが、最初からそうだったわけではない。組織の前身は、むしろ治安を乱す側であったのだ。
 フリーザが、何を思って組織の方針を変えたのか俺は知らない。仲間の一人がフリーザの側近に尋ねたことがあるのだが、
「私が、知りたいくらいだよ……」
 と答えた時の、俺たちを見る目のハイライトが消えてて、やたらと恐ろしかった。もう二度と聞くまいと誓った瞬間だ。
 ただ、それとは関係がないのだが、組織の方針転換の頃に、前の方針の頃の使命を受けて送り出された下級戦士の子供がいる。俺の弟であるカカロットだ。
 繰り返すが、現在のフリーザ軍は、宇宙の治安を守る側だ。つまり、弟が前の使命に従って、この星の住人を皆殺しにしようものなら、フリーザ軍の抹殺対象になってしまう。幸いなことに、この星の住人は滅ぼされていないようだが、油断はできない。
 正直なところ、弟が殺されたからといって、痛むような良心は持ち合わせていない。
 だが、現在のフリーザ軍の活動は、攻めることより守ることを優先としたもの。そういう仕事では、最強クラスの戦士が一人いるより、ある程度強い戦士が複数いるほうが、やりやすいのだ。こんなぬるい星では、大した成長をしていないだろうが、それでもいないよりは役に立つはず。だから、俺たち三人の仲間に加えるために弟を迎えに来たのだ。

 さっき見た地球人は、戦闘力5のゴミだった。多分、あれがこの星の住民の平均的な数値なのだろう。となれば、スカウターで適当に高い戦闘力の奴を探せば、カカロットも見つかるはずだ。
 おっ、早速、見つかったか。戦闘力は……、2000だと……?
 どういうことだ!? あいつは、下級戦士だぞ!? こんなゴミしかいない星で、この俺を越える戦闘力を持つなどありえん。まさかとは思うがスカウターの故障か?
 むっ、他にも反応がある。3000!? まだ反応がある!? 一つ、二つ、三つ……。馬鹿な!? 戦闘力2000~4000の奴が十人近くいるだと!? どうなってやがるんだ?
 ちっ、反応が近づいてくる。こっちに気づいたとでも言うのか?
 来たっ! 何!? こいつら、サイヤ人だと!? どうなってやがる!

「ラディッツか、原作通りだな」
「ああ。それに、お仲間じゃなさそうだ」

 こいつら、何を言ってやがる。そういえば、惑星ベジータが隕石の激突で消し飛ぶ少し前に、何人かのサイヤ人が行方をくらましたと聞いたことがあるが、こいつらがそうなのか? だとしても、何故地球にいる?
 そんな俺を無視して、やつらは自分たちだけで話をしてやがる。

「どうする? こいつも仲間にするか?」
「必要ないだろ? 弱虫ラディッツなんて、仲間にしても大して役に立たないよ」
「そうだな。弱い上に性格は卑劣。改心の余地のない悪党。ここで始末したほうが早い」

 こいつら、ふざけがって。

「だぁっ!!」

 気合と共に、エネルギー波を撃ち込んでやる。油断しやがって、まともに食らわせてやったぜ。
 響く爆音と、舞い上がる土煙、そして、それが晴れた時……。

「くだらない技だな。埃を巻き上げるだけか」
「まあ、弱虫ラディッツじゃこんなもんだろ」

 奴らは、どいつもこいつも無傷で立ってやがった。
 ダメだ、俺の実力じゃこいつらには勝てない。

「終わりか? じゃあ、次は俺の番だな。攻撃の見本ってやつを見せてやるぜ」
「たちだろ。俺たちの番だ」

 こいつら、俺を殺す気だ。嫌だ。死にたくない。

「待ってくれ、同じサイヤ人だろ。仲間じゃないか!」
「はっ! 一緒にすんなよ。俺たちは、異星人を皆殺しにして、他の宇宙人に売るなんて商売をやってる悪党とは違うんだよ」

 何を言っているんだ? そんなのは何十年も前の話だろ。そう言おうとした瞬間、奴らの一人の拳が俺の腹にめり込み、声が出せなくなる。

「今までやってきた悪行の報いだ。せいぜい後悔しながら死にな」

 全身に衝撃が走る。俺を囲んだ奴らが、よってたかって俺を殴りつけている。
 朦朧とした意識の中、奴らの誰かの言葉が聞こえる。

「いいことを教えてやるぜ。この星には、ドラゴンボールって言う、どんな願いもかなえてくれる不思議なアイテムがあってな。うまくいけば、ベジータやナッパがお前を生き返らせてくれるかもしれないぜ」

 言葉の後に聞こえる嘲笑。何を言ってやがるんだこいつら……。
 そうして、意識が失われる。


「汚い花火だぜ」

 自分に対してかけられた、そんな言葉をラディッツが聞くことはなかった。




「ラディッツが、やられましたぜ」
「ああ。脱走兵ごときにやられるとは、情けない奴だ」
「いや、無茶言わんでください。戦闘力2000~4000の奴が十人近くいてリンチされりゃあ、俺だって生きて帰れませんぜ」
「ふん。しかし、面白いことを言っていたな。ドラゴンボールか。地球に行くぞ」
「ラディッツを生き返らせるんで?」
「ああ、この仕事は頭数が物を言うからな。あんなのでもいなくては困る」
「脱走兵たちは、どうします? 戦闘力を考えれば役に立ちそうですが」
「いらん。ラディッツごときに、一対一の勝負を挑むこともできんような腰抜けに用はない」


 かくして、ベジータとナッパも地球へ向かった。







おまけ

 ある日の界王星。

「いくぞ! バブルスくん。グレゴリーくん」
「ウホッ!」
「はい!」
「とうっ! ジャスティスファイティングポーズ!!」
「…………」
「…………」
「…………」
「やはり、三人ではジャスティスファイティングポーズが決まらんな」
「はい。やはり、このポーズは五人でやらないと」

 むう。しかし、この星には現在ワシら三人しか住んでおらん。閻魔の奴を呼ぶか? だめだ、それでも四人にしかならん。

「ウホ、ウホ、ウホッ」

 どうしたバブルスくん? 時計? おおっ!! もうこんな時間か、急いでテレビをつけねば、ジャスティスボンバー・ギニュー特戦隊が始まってしまう。
 この番組は、何十年か前に急に方針転換をしたフリーザ軍の広報が作っている、正義の味方ギニュー特戦隊の活躍を描いた番組なのだが、ギニュー特戦隊の実際の活動を元にした構成の内容になっており、更には本人たちが主役を勤めているという画期的な人気番組なのだ。
 番組を作っているフリーザ軍の悪名を知らん者がほとんどいないだけに、始まった頃はどうなるかと思われたが、今では銀河最高の視聴率を誇るものになっておる。もちろんワシもはまった。
 先週の、死んだと思われたギニュー隊長がボディーチェンジで体を入れ替えて他の隊員を助けに来たところは、手に汗握ったわい。

 しかし、フリーザめ。悪逆の限りを尽くした後の、急な組織の方針転換。何を企んでいるのかと思ったものだが、こんなイカス番組を作りおって。けしからん奴だ。
 閻魔などは、死んだら地獄行きは確定していたが、これなら天国に送ってもいいと言い出しおった。
 しかし、そんなことは許さん。奴を天国になど行かせてたまるものか。
 奴は、フリーザは死んだら界王星に呼ぶのだ。そうすれば、ここの住人は四人。あと一人いれるだけで、ジャスティスファイティングポーズができるようになるのだ!



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フリーザの野望は一話で完結しています。続きはありません。
今回のラディッツの野望は、フリーザの見てないところではこんなドラマがありましたという、ただそれだけの話です。
続きではないのです。



蛇足

地球に来たサイヤ人たちは、カリン塔に登ったり天界に行って気の制御を学んでいます。つまり、ラディッツイジメでは、気を解放していません。
ラディッツ視点だとアレですが、彼らは、もちろん悪人ではありません。自分たちが正しいと思っているからこその、ラディッツリンチです。

ナメック星に行った者たちは、ナメック星人相手に修行して1万~3万くらいに成長しています。

強力な異星人を集めて敵対組織を作っている者たちは修行が滞って、千~二千。集めた仲間も、それより低いくらいです。しかし、盗聴を恐れてスカウターを捨てたので、自分たちが弱小であると気づきません。

スーパーサイヤ人を目指して修行に明け暮れている者たちは、五百~千五百。とかく我流の修行は効率が悪いのですが、スカウター(以下略
ただし、二人だけサイヤ人の限界を越えたものがいます。
一人は、ターレスについていった者。神聖樹の実でドーピングして十万いきました。
もう一人は、ブロリーと一緒にいて、死ぬ思いで修行をしています。本人曰く、「俺なんでまだ生きてるんだろう?」戦闘力百万という変身前のフリーザなら倒せそうな強さですが、ブロリーには、まったく歯が立たないので強くなった自覚がありません。まだまだフリーザには届かないと思っています。



[8145] ネイルの野望
Name: 車道◆9aea2a08 ID:555837fb
Date: 2009/04/18 19:45
「おーい! また手合わせ頼むわ」

 そんな声に振り返ると、何人かの男たちが、こちらに向かって手を振っている。
 そう、男たちだ。この星の住人である我々に雌雄の区別はない。つまり、彼らは異星人である。しかも、サイヤ人という悪名高い種族の。

 私の名はネイル。このナメック星の最強の戦士にして最長老様を守る者だ。

「またですか?」

 いけないと思いつつも、漏れ出てしまう不機嫌な声に、しかし彼らは気にした風もなく笑顔で答えてくる。

「硬いこと言うなよ。どうせ暇なんだろ?」

 そんなわけがあるか! 最長老様をお守りするのは、私の存在理由と言ってもいい最重要任務だ。お前たちのために使ってやる時間などあるものか!
 そう叫んでやりたいところだか、それは許されない。彼らの申し出には応えるように最長老様に言われているのだから。


 私は、最初から彼らが気に入らなかった。ある日突然に、このナメック星にやってきて、この星を守ってやるから自分たちに協力しろと言ってきたこいつらが。

 彼らの話では、この星はフリーザという者に狙われているらしい。正確には、この星にあるドラゴンボールが。
 私も、フリーザのことは最長老様より聞いたことがある。
 曰く、宇宙の帝王を名乗る略奪者。曰く、自身の欲望のためなら、宇宙を滅ぼすことも厭わない究極の悪。この宇宙で二番目に恐るべし怪物。
 そう、二番目だ。一番は、別にいる。

 それは銀河の破壊者。闘争と破壊と滅亡の使者。宇宙の全ての生命の敵。スーパーサイヤ人と呼ばれし者。

 スーパーサイヤ人は、千年に一人、サイヤ人の中から現れるという。
 つまり、目の前の彼らの中から現れる可能性もあるのだ。そんな奴らをナメック星に、それも最長老様の近くに置きたくないというのが私の考えだ。
 だけど、そうはいかない。
 彼らは、一応紳士的に振る舞っているのだし、我々ナメック星人は、身を守る以外での戦闘を好まない。気に入らない、危険になるかもしれない、という理由で追い出すわけにはいかないのだ。
 それに、我々ナメック星人の中には、彼らに同調する者たちもいた。
 その者たちは、彼らと憑依だの転生だのと話していたが、その意味は私には分からない。分かりたくもない。
 そうして、この星に根を下ろした彼らは、最初に最長老様に面会することを望んだ。
 本来なら許されないはずのことだが、彼らと意気投合した仲間が勝手に連れてきてしまった。
 彼らの願いは、最長老様のお力で潜在能力を解放してもらうこと。そして、できればドラゴンボールを使って不死身の存在になること。
 一つ目の願いは、すぐに叶えられたが、二つ目はそうはいかない。あれは、力、知恵、そして心の清らかさなどの七つの試験を受けて合格して初めて願いを叶える資格が得られるのだ。何の試練もなく、しかもサイヤ人を不死身にするなどという願いのために使わせるわけにはいかない。
 そう伝えた時、彼らはあからさまに顔を顰め、ある者は舌打ちし、つばを吐き捨てた者もいる。
 彼らの言い分では、この星を守ってやるために必要なことなのに、くだらない決まりを待ちだすなということらしいが、それを言うなら我々としては、最長老様を不老不死にでもすれば後は何とでもなるのである。それをやらないでサイヤ人を不死身にしてやらなければならない理由はない。

 そうして、潜在能力を解放して力をつけた彼らは、私に修行のための手合わせを求めてきた。
 高い戦闘力を秘めたサイヤ人であり、さらに潜在能力を解放した彼らであるが、それでもまだ私の方がパワーは上だったのだから、その申し出は当然のものだったのかもしれない。
 だが、私の本分は最長老様をお守りすることである。
 彼らの修行のために、最長老様から遠くに離れるというわけにはいかず、かといって、修行の巻き添えで最長老様に何事かがあっては本末転倒にもほどがある。
 だから私は、修行ならできるだけ自分たちだけでやってもらえるようにと言っているのだが、それが叶えられたことがない。




 その日、私は珍しく自分から彼らの元へに訪れた。いや、初めてかもしれない。
 最長老様の言葉を伝えるためである。

「最長老様が、巨大なパワーを感知した。もしや、あなた方の言うフリーザが来たのではないか?」

 そう言った瞬間の彼らの顔は、いい見世物になりそうなものだった。

「ちょっと待て! もう来たのか!」
「いや! 考えてみたら、そろそろ来てもいい頃だ!」
「マジかよ! 今来られても俺たちじゃ勝てないぜ」
「というか、俺たちの中にはネイルに勝てる奴もいないだろ? この面子じゃ全員でかかっても、フリーザには傷一つつけられないよ!」
「畜生! せめて不死身になってれば……」
「いや、不死身になってたってひっくり返せない戦力差だろ! 常識的に考えて」
「だったら、どうしろってんだよ!」

 いい感じにうろたえているようだが、いつまでも見物しているわけにもいかない。

「それで、あなた方はどうするつもりなのですか?」

 言ってやると、今度はスクラムを組んで小声で相談し始めた。

「どうするよ。こんなところで死にたくないぜ俺は」
「それは俺もだ。いっそ逃げ出すか? 戦っても無駄死にだぞ」
「それなら、降伏するって手もあるな。今の俺たちの戦闘力ならフリーザも重宝してくれるはずだ」
「でも、フリーザはスーパーサイヤ人の出現を恐れてるんじゃないか? 殺されね?」
「馬鹿、フリーザが恐れているのは徒党を組んだサイヤ人だ。このくらいの人数なら問題ないと考えてくれるかもしれん」

 どうでもいいが、彼らはナメック星人の聴覚を侮っているようだな。丸聞こえだ。

「いや、俺たちで勝てないなら、勝てるものを生み出せばいい。ないものなら、あるところから持ってくればいいんだよ」
「どういうことだ? 何か考えがあるのか?」
「ああ、もちろんだ。つまりだな……」

 そうして、相談か終わった後の彼らの言葉に、私は激しい怒りを感じることとなる。

「ふざけるな!!」

 一喝した私の声には、憎悪すら込められていたのではないだろうか。それほどの怒りを覚えずにはいられない提案だったのだ。
 彼らの提案とは、私に他のナメック星人と合体してパワーを高めてフリーザと戦えというものだ。
 それが、何を意味するのか分かっているのだろうか? 確かに合体をすれば私は絶大な力を手に入れられるだろう。だが、合体をして吸収された者はどうなると思っているのだ?
 その者の記憶は私の中に残る。だが意思は消える。その心は永遠に失われるのだ。死者を蘇らせるドラゴンボールですら復活が不可能な消滅。それが合体なのだ。
 怒りに震える私に彼らは更に言い募る。
 それでも……、自分が消えることになってでもナメック星を救いたいという者がいるのではないかと。

 そうして、ほどなくしてその者は現れる。それは、最初に彼らを受け入れた者たちの一人であった。
 その者との合体は簡単に済んだ。そして私は手に入れる。絶大なパワーを、そして記憶を。
 それは、ドラゴンボールという漫画の知識。このナメック星に訪れる危機の正体。フリーザという巨悪の存在。ある日、漫画の世界の住人であるナメック星人に憑依してしまった自分。合体によって得られるパワーへの欲求。そして、自分が吸収される側であっても漫画のキャラクターに過ぎないネイルの肉体を逆に乗っ取ることで自我を残せると信じた愚かしい楽観。
 それらを手に入れた私は、フリーザを殺すことを考える。倒すのではない殺すのだ。
 絶大なパワーを手に入れた私だが、フリーザに変身を許してしまえば勝ち目はない。フリーザとはそれほどに強大な敵なのだ。

 私は飛ぶ。フリーザの宇宙船が降り立とうとするそこへ。
 そして、宇宙船が目視できる距離まで近づいたところで私は力を解放する。
 手加減はしない。自身の内にある力の全てを振り絞り、それを解き放つ。
 狙うのは、宇宙船の中に感じる巨大なパワー。邪悪というか死霊のように暗く淀んだそれ。
 解き放たれたエネルギーは一撃で宇宙船を消し飛ばした。フリーザといえど、変身する暇もなく不意打ちをくらえば生き延びることは不可能。

 そして、そこには何も残らずナメック星は、宇宙は救われたのだ。




「大変です。ギニュー隊長!」
「どうした、ジース!」
「ナメック星に行ったフリーザ様と連絡がとれなくなったそうです」
「なんだとーっ!! よし、すぐに我々もナメック星に向かうぞ! あと長官と呼べ。フリーザ長官と!」
「今から撮影の予定が入ってますが、どうしますか?」
「待たせろ! 俺たちはなんだ?」
「正義の味方です!!」
「そうだ! 正義の味方は何をおいても誰かを助けるものなのだーっ!!」


 こうして、人気番組ジャスティスボンバー・ギニュー特戦隊は、謎の番組終了を遂げることとなる。








おまけ


「クソッ、このベジータ様が、こんな下級戦士共に……」

「おーい。ベジータが逃げるけどどうする。こいつもトドメ刺しとくか?」
「いや、ナメック星編のこともあるし逃がしとこうぜ」
「そうだな」

「貴様ら……、感謝などせんぞ……、必ず……、俺を逃がしたことを……、後悔させてやる……」

「おー、逃げた逃げた。次はナメック星だな」
「いや、今恐ろしいことに気づいてしまったんだが……、何しにナメック星に行くんだ?」
「何って? ナメック星のドラゴンボールで……、あっ!!」
「そうだよ。俺たちでベジータとナッパ倒しちまったから、ピッコロ死んでねえ。ついでにヤムチャたち三人も」
「あちゃー、これじゃあブルマに宇宙船の依頼する言い訳がないぞ」
「普通に頼むわけにはいかないのか?」
「毎日、大量の食事を用意してもらってる上に重力室とか作ってもらってるくせに、更に頼むのか?」
「…………」

「おーい。なにやってんだ、おめえら。サイヤ人は倒したんだし帰って飯食おうぜ」

「……こう考えてみればどうだろう? なにもフリーザを倒そうとしているのは俺たちだけじゃない。ナメック星のことは、あっちに行ったやつらに任せよう」
「……そうだな。仲間を信じよう。信じる力だ」
「人造人間編に備えなきゃならないしな」
「ん? ドクターゲロは殺しただろ?」
「馬鹿。未来からセルが来るかもしれないだろ。完全体にならなくても脅威だぞあれは」



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まさか、まだ書くことがあるとは思ってませんでした。
さすがに次はないかな?



蛇足

ナメック星人のトリッパーは憑依者しかいません。

実は、フリーザ軍の種族名もない宇宙人のなかにも、転生者や憑依者がいます。彼らは、フリーザ軍の方針転換にもしやと思っていますが、確認はしません。違ったらこわいから。

戦闘力の高い異星人を集めた組が、打倒フリーザを掲げてナメック星にやってきて、壮絶な三つ巴の戦いが起こったりします。

ターレスについて行った者は、このタイミングでは、まだフリーザを越えていないことを理解しているので参戦は諦めます。

ブロリーといる者は、もはや今を生きることで精一杯なのでフリーザがどうとか考えている余裕はなくなりました。
スーパーサイヤ人になりましたが、やはりブロリーには叶わないので自分の実力を正しく評価できていません。



[8145] ドクター・ゲロの野望
Name: 車道◆9aea2a08 ID:555837fb
Date: 2009/04/23 23:42
 ワシの名は、ドクター・ゲロ。元レッドリボン軍の科学者だ。
 うん。この顔、姿、どう見ても、間違いなく、ドクター・ゲロだ。

「なんでじゃーっ!!」

 叫んでみたけど、悪い夢は覚めてくれなかった。
 うん。分かってるんだ。これは現実だ。俺が、なんでか漫画の世界にいることも、なんでか自分の数倍の年齢の年寄りに憑依しちゃってるのも、それが悪名高いドクター・ゲロなのも現実だ。

 泣いてもいいよね?

 というわけで三日三晩、泣いてたら、腹が減りました。こんな時でも腹は減るんだから現実って嫌だよね。
 冷蔵庫を開けたら、変な生物のホルマリン漬けなんかが、いっぱい入ってて気分が悪くなったので中身を全部廃棄しました。あんなのと一緒に入ってたもん食いたくないしね。
 それで買出しに出かけたんだけど、住んでる研究所が人里はなれた荒野にあったので、危うく行き倒れかけました。何考えてるのよドクター・ゲロ。バカなの? 死ぬの?
 いや、実際死ぬのか。自分の作った人造人間に殺されて。
 まあ、俺は人造人間なんか作らないから大丈夫なんだけどね。というか作れません。ボディは天才科学者でも中身は凡庸な日本人です。あんなアンドロイドだとかサイボーグなんか作れるわけないでしょ。
 昔に描いたらしい図面とか色々残ってるんだけど、なに書いてあるんだか、さっぱり分かりません。どうしろと?
 というか、この設計図カプセルコーポレーションに持っていったら高く売れないかな?
 まあ、金に困ってるわけじゃないんだけどね。俺が憑依する前に取ったらしい特許とかあるし、生活には困りません。そうでなきゃ人造人間作るとか無理だよね。金を食いそうな研究だし。

 とりあえず、俺がやらなくてはならないことは存在しない。人造人間は作れないし作れたとしても、ベジータみたいに悟空の仲間になってあとの戦いに参加してくれるってわけでもない。つまり、世の平穏のためには、ニート生活を満喫してればそれでいいってことだ。堕落しそうだな。さっさとボケ老人になりそうだわ。
 かといって、就職するってのもね。この歳で雇ってくれる企業があるとも思えないし、このボディがドクター・ゲロってのも問題だ。なにしろ、有名な天才科学者だからね。そっちの技能を求めて採用とかされても、役に立てません。

 困ったもんだと、とりあえず今日も地下の研究所に篭もります。そこにはセルを製作研究中のコンピュータがありましたが、今は違います。さすがは、高性能コンピュータ。プログラムの書き換えとかしなくても、命令のキャンセルを受け入れてくれました。
 あんなバケモノより、可愛いメイドさんとか作ってくれよとか冗談で入力したら、そっちの製作に入りました。スパイカメラも世界中のメイドさんのデータをとる作業に移りました。マジか!?
 ただし、データ取りと培養に時間がかかるらしく、完成には十年ほどの歳月が必要らしいです。この老体は、それまで生きていられるんだろうか? というか、今はいつなんだ? レッドリボン軍壊滅後だってことは間違いないようだけど、ピッコロ大魔王出現前なのか、フリーザ親子来襲後なのかすら分からんぞ。新聞くらい取ってろよドクター・ゲロ。
 いや、研究所のコンピュータには、その辺のデータが入ってるのかも知れないけどファイルのパスワードが分からん。
 地下のコンピュータの方は、向こうで勝手に本人識別してくれるんで、今までに集めた武術家のデータを見れば分かるんじゃね? と思って聞いてみたら、そのデータは不要になったので削除しましたとか言われました。

 ええ、分かってます。俺がバカなだけです。



 数年の歳月が過ぎました。
 地下の研究所からメイドさんが誕生しました。予定よりかなり早かったのは、製作途中だったセルを流用したせいです。そのせいで、やたらと頑丈なメイドさんが生まれました。
 見た目の年齢は18歳くらい。華奢な体なのに、出るところは出てる、これなんてエロゲボディ。長い黒髪は膝まで届くほどで、それが胸とか局部とかを隠している。
 いい仕事するなぁ、地下のコンピュータ。

 この美人メイドさんは家事万能の老人介護も完璧さんで、なおかつ見た目に合わない怪力だが、その自覚がないドジッ娘さんという萌え要素もたっぷりです。
 あれ? 俺、介護されて生きていく気満々?
 欠点があるとすれば、名前が、セルのまま入力されてて改名を受け入れてくれないこと。
 人造人間セルが美人萌えメイドさんってどんな原作レイプだ。

 セルが生まれた後、地下コンピュータは次のメイドさん製作に入りました。究極のメイドとは、一体のみで表現するのは無理だそうです。次は、金髪、ツインテ、ツンデレ、ロリッ娘メイドですね分かります。
 ここで、俺は、大変なことに気づきました。メイドさんの着替えの用意がありません。予定より早かったからね。
 困った俺は、とりあえず自分の服を貸しました。ぶかぶかの服を着た美人さんって萌えね? って思ったけど、別にぶかぶかじゃなかった。
 わかってたさ……。自分の身長がセルと変わらないことくらいな……。

 というわけで、セルの服を買出しに出かけます。メイド服を着てないメイドさんなんてメイドさんじゃないからね。
 もちろん、徒歩じゃありません。前に車を買いました。街まで遠いから。
 いろいろ買い込んで、車に積んでたらストリートチルドレンに遭遇しました。ナイフを喉元に突きつけられてます。え? こんなところで俺、死ぬの?
 風が吹いたような気がしたなと思ったら、ナイフを持った子供が足元に倒れてました。なにかと思ったらセルの仕業でした。メイドさんつえぇぇ。

 ストリートチルドレンは二人、黒髪の男の子と金髪の女の子でした。あれ? どっかで見たような。

 二人は、17号と18号でした。まだ12歳くらいの子供。本名は違うけど、どうでもいいよね?
 二人は、親を亡くした子供で、しかたなく金を持ってそうな老人を襲って生活しているそうです。
 そういえば、この二人は元は普通の人間だったらしいけど、どういういきさつで人造人間にされたのかと思ったら、こんなことをやっていてゲロに捕獲されて改造されたのね。
 さて、どうしようかね。俺は不幸な境遇の子供を救って回るような善人じゃないけど、この二人が根は悪い子じゃないって知ってるしね。

「きみたち、ウチで働かないかね?」

 とりあえず提案してみました。嫌なら、ここでお別れです。

「どういうつもりだ?」

 17号が聞いてきました。まあ、金を強奪しようとした相手に、こんなこと言われたら疑うよね。

「年寄りの、ただの気まぐれだよ」

 実際、それ以外に言いようがないね。長らく、人と顔を合わせない生活をしてて人恋しかったってのもあるけどね。そうじゃなかったら、こんな追い剥ぎまがいのことやってる子供なんか引き取りません。
 給料はほとんどでないけど、仕事は簡単だし衣食住にも困らないよって言ってやったら、17号は悩んでたけど、18号が頷きました。いいのか? こんな怪しい年寄りについていって。

「では、買い物のやり直しですね」

 セルがにっこり笑って言いました。
 そうだね。ウチで世話する以上、二人にいつまでもボロボロの服を着せておくわけにはいかないしね。
 18号に合うサイズのメイド服ってあるのかしら? 17号はどうする? 執事服か?




 四人で暮らし始めて数年が経ちました。
 最初は、人見知りの激しい子猫のようだった二人は、今ではすっかり懐きました。セルに。
 俺? 邪魔なジジイ呼ばわりされてますよ?
 うっかり17号とか18号とか呼んで、変な呼び方するなって殴られたりもしたしね。
 そんで、一生、俺みたいなボケ老人の世話になっているわけにもいかないと一念発起したらしい二人は、セルに教えてもらったり、研究所の本棚をあさって勉強をしたりして、今ではいつでも技術者として働けるようになりました。天才じゃないか? 俺なんか今だに、ちんぷんかんぷんだぞ。そんなだから、ボケ老人扱いされるわけだが。

 ちなみに、地下のコンピュータが製作中の人造メイド2号は、現在胎児の状態です。ぶっちゃけキモイです。これを見て、数年後には美少女メイドになるなどと誰も信じまい。
 でも、セルと二人の子供たちは、誕生を楽しみにしています。
 その三人は、今出かけています。買いたい物があるんだそうです。
 というわけで、俺は一人でお留守番です。来客なんかないけどね。
 あれ? 誰か来たみたい……。



「盛大に吹っ飛んだな」
「ああ、これでドクター・ゲロの研究所は木っ端微塵。人造人間編も無事解決ってわけだ」
「まだ、地下が残ってる。一応、セル誕生回避のために潰しておこう」
「ああ、それもあったな」






「なあ、お前たちは何にしたんだ?」

 黒髪の少年の質問に、私は大きな熊のヌイグルミを見せました。

「いや……、あのジジイに渡すプレゼントに、それはないんじゃないか?」
「私もそう思う」

 金髪の少女も、疑わしそうな半眼でこっちを見ています。失礼な、そんなことは私だって分かっています。でもね、

「こういうのは、気持ちが大切なんです。こちらが心を込めて選んだ物を送れば、きっとドクターは喜んでくれますよ」

 そう言って笑いかけると、少年は顔を赤くして髪の毛を掻きながら、プレゼントを選ぶ作業に戻ります。
 実は、明日はドクター・ゲロの誕生日で、私たちは、ドクターに贈るプレゼントを買いに街まで来ています。ケーキを作る材料は、もう買いましたよ?
 それにしても、普段はドクターをクソジジイと呼んでいるくせに、誕生日の事を知ったら祝いたがるなんて、ツンデレですね二人とも。
 くすくす、くすくくす。笑いを漏らしていると、二人の顔がどんどん赤くなっていきます。おっと自重しなくてはね。
 このことを知ったらドクターは、どんな顔をするでしょうか? 明日が楽しみです。



 三人が研究所に帰ったとき、そこには瓦礫の山と、それに潰された老人の遺体と対面することになる。






おまけ

 ある日の閻魔様。


「ここでは、お前が天国に行くか地獄に行くかが決まる」
「はいはい、地獄ですね。分かってますとも」
「お前は、それでいいのか?」
「言いも悪いもないだろ。ドクター・ゲロが悪党だってことは、よく知ってるしね」
「ふむ。これを見ろ」

 その言葉と共に現れるモニター。そこに映し出されるのは……。

『ギニュー隊長からのお言葉だ。よく聞けよ』
『ジャスティスボンバー・ギニュー特戦隊を見るときは、部屋を明るくしてテレビから離れて見ろよっ!!』

「いかん、間違えた」
「何と間違えてるんだおっさん!」
「今、銀河で大人気のジャスティスボンバー・ギニュー特戦隊のDVDだが?」
「閻魔様、まだDVDで買ってるんですか? そろそろBDに切り替えましょうよ」
「やかましい! ワシはもう、二度とベータやVHDのような失敗はしないと誓ったのだ!」
「そうじゃねえだろ!」
「すまんすまん。こっちだ」

 そうしてモニターに映し出されたのは、瓦礫の中から引っ張り出された老人の遺体と、それに取りすがり泣く金髪の少女。そして、強く拳を握り締め涙を堪える少年の姿。
 別の場所。地下を映したモニターには、培養槽が破壊され、中から引っ張り出された後、踏み潰されたのだろう、ぐちゃぐちゃに潰れた小さな生き物を前に、泣き崩れるメイドの姿もある。

「これを見てなんとも思わないというのなら、地獄に送ってやろう」

「…………」
「どうだ?」
「……ってんだよ」
「うん?」
「どうしろっていうんだよ!? 俺は、もう死んでるんだろ!! どうしようもないだろ!」
「たしかにな、だが、こちらで善行を行えば、一日だけ現世に戻ることもできるようになる。それに、あの子達は天国に行くことになるだろう。ならば、おぬしは、天国に行ってあの子らを待つべきではないのか?」
「…………」

 閻魔に言う彼の答えは、決まっていた。




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なんか、段々とギャグから遠ざかってる気がしたので、いっそ泣ける話に挑戦してみた。

フリーザ様やゲロに憑依した日本人と、サイヤ人に転生した日本人に性格面での大した違いはありません。
かたや、自分が悪の大将や元凶ポジションのため、それを改善して平穏に持っていこうとする者。かたや、悪を倒しヒーローになれるポジションに生まれ、それを目指す者。
単に、スタート地点が違っただけなのです。

というか、転生組は自分がそういう立場のオリ主なら多分こうするだろうなってのを書いてるだけなのに、どうしてこう悪党臭くなるのか。


蛇足

この後、三人は瓦礫の中からゲロの研究資料なんかを持ち出してカプセルコーポレーションに売り払い、金を貰う変わりに17号と18号は、そこに就職しました。それだけの知識と技能があるので。ただし、三人とも、ドクター・ゲロがかつて属していたレッドリボン軍とブルマ――というか悟空の対立を知っているので、自分たちがドクター・ゲロと接点があることを秘密にします。
セルはメイドとして雇われ、社長宅に住み着いたサイヤ人たちのお世話係として働きますが、お互い自分の事を話したりしないので、一度だけセルという名前に変な顔をされただけで、特に何事も起こりません。



[8145] トランクスの野望
Name: 車道◆9aea2a08 ID:555837fb
Date: 2009/04/25 19:37
 俺の名はトランクス。ドクター・ゲロの作った人造人間のせいで荒廃してしまった未来の地球からやってきた戦士だ。
 俺の目的は、人造人間が現れる前に心臓病で亡くなった孫悟空さんに、薬を渡すことである。
 母さんは言っていた。孫悟空さんが生きていれば、人造人間なんか倒してくれていたはずだと。
 だから俺はここにいる。この過去の世界で人造人間が倒されたとしても、俺の世界の人造人間が消えてなくなるわけではない。
 だけど、その戦いで人造人間を倒すヒントのようなものを得られるかもしれない。そんな希望をもって俺は過去に来た。

 だが、何かがおかしい。今日のこの時間、地球にはナメック星で孫悟空さんに倒されたフリーザが、その父親を連れて復讐に来たはずである。
 なのに、そんな気配がまったくない。地球に帰ってくるはずの孫悟空さんの気配も。
 どういうことなんだ? まさか、俺が過去に来てしまったせいで歴史が変わってしまったのか!?

 そう思っていたとき、空から邪悪な気を感じた。
 桁違いに大きな気が一つ。それには及ばないが、やはり大きな気が四つ。それに、小さな気がいくつも。
 こいつが、フリーザか!! ならば、孫悟空さんもすぐに現れるはずだ。
 その考えは正しく、すぐに孫悟空さんが仲間たちと一緒に現れた。って、アレ?
 どうして普通に地球にいるんだ? それに、気を抑えているんだろうけど随分と弱そうに……。
 いや、待て。そんな筈はない。孫悟空さんが、そんなに弱いはずがない。気の抑え方が巧妙なだけだ。にしても、孫悟空さんたちと一緒にいるのは誰だ? クリリンさんやヤムチャさん、天津飯さん、餃子さんは分かるんだけど、知らない戦士が十人くらいいるぞ? しかも、尻尾だって? この時代に、サイヤ人は悟飯さんと父さんと孫悟空さんの三人しか生き残ってないんじゃなかったのか?
 って言うか、悟飯さんと父さんとピッコロさんがいないじゃないか。どうなってるんだ本当に。

 敵の宇宙船からヘルメットを被った奴らが大量に出てくるけど、孫悟空さんたちの敵じゃないな。次々と倒していく。
 おっ、次は、敵の一番大きな気を持つ奴と、次いで大きい幹部らしい四人がでてきたぞ。あいつらがフリーザと、その父親なのか? 何か違う感じがするんだが。
 とりあえず、一番気の大きい奴をフリーザ(仮)と呼ぼう。あの四人――地球人に似た顔に角の生えた奴と、羽を生やした奴と、カメレオンみたいな顔をした奴と、巨漢の男は幹部でいいや。大した気も感じないし。

 って、やられたー!?
 孫悟空さんと他のサイヤ人らしき人たちが、フリーザ(仮)に、クリリンさん、ヤムチャさん、天津飯さん、餃子さんが敵の幹部にやられたぞ。どうなってるんだこれは。

 ちっ、このまま見ていたら、本当に孫悟空さんたちが殺されてしまいそうだ。
 とりあえず飛び込んだ俺は、背中の剣を抜き、餃子さんに止めを刺そうとしている巨漢の男を切り捨てる。

「何者だ貴様!」

 フリーザ(仮)が怒鳴りつけてくるが、返事をしてやる義理はない。次いでヤムチャさんを倒した羽を生やした奴に向かって走る。
 そいつは、もう動けないヤムチャさんを捨て置いて俺を迎え撃とうとするが、遅いっ! 俺の振るう一刀の斬撃で、そいつは真っ二つになる。
 フリーザ(仮)を含めて、あと三人。
 奴らの注意も引けたし、とりあえずはもう慌てなくても、やられて動けないらしい孫悟空さんたちが止めを刺される心配はなさそうだな。

 一息ついたところで、土の中から生えてきた腕が俺の足を掴んできた。

「なんだ?」

 呟いた瞬間、攻撃の気配を感じてそちらを見ると、足元の地面に両手を埋めた角の生えた奴が、口から気功波を撃ってこようとしていた。察するに、俺の足を掴んでいるのは、奴の伸ばした腕か。おそらく、こうして相手の動きを封じて逃げ道を塞いだ上で攻撃をすることを得意としているんだろうが、やはり甘い。
 この程度、避けるまでもない。剣を鞘に収め、気功波を両手で受け止めると、それに自分の気を上乗せして返してやる。よほどの戦闘力の差がなければできない手段だが、俺とこいつの実力差なら簡単だ。
 気功波を投げ返されたそいつは、避けることもできず、顔面に直撃を受けて倒れた。
 直後、カメレオンに似た奴が分身を作り、俺にまとわりつかせてくる。
 天津飯さんと戦っていたのを見た限り、こいつは相手のエネルギーを吸収する能力を持っているのだろう。だけど……、

「無駄だ!」

 気合と共に弾き飛ばしてやる。こいつが吸収できるエネルギーなど俺にとっては微々たるものだ。そして、一瞬で抜き放った剣による斬撃。それで終わりだ。
 あとは、こいつを倒すだけだと、フリーザ(仮)の前に立った俺の後ろから驚愕に満ちた声が聞こえてきた。

「トランクス……だと……」

 なに!? 何故、俺のことを知っているんだ。
 俺は、この時代ではまだ生まれてもいないのに!?
 驚愕に動きが止まった俺の隙を見逃さず、フリーザ(仮)が殴りかかってきた。
 とっさに、両手でガードしたが、そのガードごと吹き飛ばされる。
 くそっ、こいつは幹部たちとはレベルが違う。油断していい相手じゃない。

「何者かは知らんが、貴様程度ワシの敵ではない」

 フリーザ(仮)は、そんなことを言って俺を嘲笑うが、そんなことは分かっている。このままの状態で戦っても勝ち目はない。だけど……。

「確かにお前は強いな。けど、スーパーサイヤ人に勝てるほどじゃない」
「なに!?」

 スーパーサイヤ人が何なのか知っているのだろう。驚愕の表情を浮かべたフリーザ(仮)を前に、俺は真の力を解放する。
 瞳は緑に、逆立つ髪は金に。それが、スーパーサイヤ人の姿だ。

「ありえん! スーパーサイヤ人など、ただの伝説だ!」

 叫びと共に、フリーザ(仮)は気功波を撃ち放ってくる。だけど無駄だ。その程度の攻撃はスーパーサイヤ人となった俺には通用しない。

「終わりだ!」

 気合の声と共に気功波を弾き、繰り出す斬撃はフリーザ(仮)の胴を切断、更に何度も切りつけてバラバラにしたあと、気功波で完全に肉体を消滅させる。
 あとは、フリーザ(仮)たちが乗ってきた宇宙船に残っている奴らか。そう思って、そちらを見ると勝てないと悟ったらしく逃げ出そうとしているのが眼に入った。
 だけど、逃がしてやるつもりはない。何者かは知らないが、これまで幾つもの星を侵略してきた奴らなのだろう。そんな奴を見逃すほど、俺はお人よしじゃない。それに、スーパーサイヤ人になった時は、ちょっとした興奮状態になるんだ。今の俺には、その衝動を抑え切れそうにない。
 宇宙船が飛び立ち、地球から離れようとしたタイミングで、気功波を撃って宇宙船ごと吹き飛ばしてやった。

 しかし、あれは本当にフリーザだったのだろうか? それなら孫悟空さんが倒すはずなのだが。
 その疑問には、謎のサイヤ人の一人が答えてくれた。奴の名はスラッグ。フリーザと同類の悪党で、地球を改造して惑星クルーザーにしようとしていたらしい。
 なるほど、やはりフリーザではなかったか。しかし、分からないことがある。俺は、母さんからも悟飯さんからも、スラッグなんて奴の話は聞いたことがない。幼い頃から、何度も孫悟空さんの武勇伝を聞かされて育ったのにだ。
 いや、今はもっと重要なことがある。俺の名を呼んだ誰か。そいつは、何故俺の名を知っていた?
 
 だけど、その疑問はすぐに解消されることになる。

 なんでも、彼らは予知能力を持っているんだそうだ。
 俺のことも、その予知で知っていたが、すでに大きく歴史が変わっているので、今更未来からやってくるとは思わなかったらしい。
 それなら、ここで来るはずのフリーザ親子が来なくて、代わりのようにスラッグが現れたのは歴史が変わったせいなのかと聞いてみたら、多分そうだろうと答えが返ってきた。
  聞くところによると、彼らの仲間は多く、ナメック星にも行っており、フリーザはそこで倒されたのだろうとのこと。人造人間もドクター・ゲロをすでに倒してしまっているので、誕生しないらしい。
 あと、父さんは地球に襲撃をかけてきたのを撃退した後、地球には現れていないことや、悟飯さんはチチさんの許しが出なくて修行をしていないことや、ピッコロさんも自分が加わる必要がないだろうと言って仲間にならなかったらしい。
 違いすぎる……。これじゃあ、人造人間を倒す手がかりなんか手に入れようがないじゃないか。
 落ち込む俺に、彼らの一人が寄ってきて肩を叩いてきた。

「人造人間に勝てるように修行すればいいじゃないか。なんなら修行に付き合ってやるぜ」

 ありがたい言葉だが、スラッグにも勝てなかった人たちと修行をしても、大して成長できるとは思えない。
 俺は、自力で人造人間を倒そうと心に誓い。とりあえず心臓病の薬を孫悟空さんに渡して未来に帰ることにした。



 その後、トランクスが人造人間に勝てたかどうか、誰も知らない。





おまけ


 ネイルは戦闘タイプのナメック星人である。
 元々、数値にして42000というフリーザの側近の幹部すら大きく上回る戦闘力をもちながら、更に他のナメック星人との合体を経てもはや桁違い強さの超戦士となった。
 だが、それでも届かない域というものがある。
 その具現が、今彼の目の前にいた。

「ふん。フリーザを倒したというからどれほどのものかと思ったが、しょせんはその程度か」

 嘲笑うのは、コルド大王。彼が殺したフリーザの父親である。
 迂闊だったとネイルは思う。
 漫画でも、コルドは悟空に復讐するために地球を訪れたフリーザと共にいたのだ。フリーザがナメック星から帰らなければ、調査に来るのは当然の事態である。
 別にその事を忘れていたわけではない。だが、漫画ドラゴンボールにおいて、コルドのポジションは噛ませであり、印象が薄い。
 だから油断した。甘く見ていた。
 ある意味ではフリーザ以上に危険な能力を持つギニュー特戦隊を倒したことで気を抜いてしまっていた。
 その代償が、今力尽きようとしている自分であり、コルドの連れてきた戦士たちによって蹂躙されているナメック星である。

「くそっ! こんなところで死んでたまるか!」

 気合の声と共に殴りかかったのは、ネイルではない。何年も前からナメック星に住み着き、フリーザの危険性を説いたサイヤ人の一人である。
 だけど、彼の戦闘力は合体前のネイルにすら届いていない。コルドが無造作に振った腕に顔面を殴りつけられ、吹き飛び近くの大岩に叩きつけられる。

「フンッ、虫ケラめ」

 吐き捨てる声に、反論はない。サイヤ人たちは勿論、超戦士となったネイルですらコルドの前では虫ケラにも等しいのだから。
 もはや、この星に未来はない。そんな絶望の中、一人の男が叫んだ。

「そうだ! 合体だ! ネイルがもう一度他のナメック星人と合体してパワーアップすればコルドだって倒せるはずだ!」

 我ながらいい考えだと自画自賛するサイヤ人に、ネイルは怒りに満ちた視線を送る。
 バカなことを言うな。合体は吸収される側からすれば死にも等しい自我の消滅をもたらすのだ。そんなことが許せるものか、それに……、

「なるほど、その合体でパワーアップしてフリーザを倒す力を手に入れたというわけか。ならば」

 その言葉と共に、コルドはエネルギー波を撃ち放つ。
 それは幾つもに分裂し、生きのこったナメック星人たちを襲う。
 そして数瞬後には、周囲に生あるナメック星人はいなくなる。

「これで、貴様はワシには絶対に勝てなくなったというわけだ」

 コルドは笑う。それは、絶望を招く嘲笑であった。



 この日、ナメック星は宇宙から消滅した





「クウラに、連絡せよ」
「はあ、なんと?」
「この宇宙には、我ら一族を倒しうる種族も存在する。その相手にフリーザは倒された。だから、そういう奴を捜して皆殺しにせよとな」





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一度書いて面白くなかった代物に、スラッグを混入してみた。

感想のゲロの人気に嫉妬。
客観的に見ると、ニートな生活な上に、美人萌えメイドやツンデレなお子様二人と楽しく暮らしたゲロはフリーザ様より遥かに恵まれていると思うんですけどね。
しかし、断罪物を求められてる?
書けませんよ。そんな自虐的なもの。

ナメック星組全滅。
問答無用のフリーザ殺し犯たちは地獄行きになるのかな?
別に断罪じゃありませんよ?





蛇足



まともに戦わなければ自分たち一族を倒しうる存在もいると言うことを実感したコルド大王は、宇宙に存在する強者を積極的に捜し倒すことをクウラに命じたわけです。
もちろん、地球は捜索範囲外です。ベジータを倒したサイヤ人がいるって程度の認識だし。

ガーリックジュニアは、現れて描写の暇もないほどあっけなく転生サイヤ人に倒されています。不死身になっていなかったので、復活できません。

ターレスは、一緒にいる転生サイヤ人の助言も合って、フリーザの支配圏を避けて行動しています。地球も、悟空が送られる程度には認知されているので近づきません。

ブロリーは、一緒にいる転生サイヤ人の勧めで、劇場版に出てくるような強者と戦い、それを倒すことを目的として行動します。

そんなわけで出てこない劇場版の敵は、クウラかブロリーに倒されたとでも思ってください。



[8145] セルの野望
Name: 車道◆9aea2a08 ID:555837fb
Date: 2009/04/26 18:56
 俺が生まれたのは、変な乗り物の中だった。
 足元には何か真っ二つになった卵があって、自分がそこから出てきたことが理解できてしまう。
 そして、自分の手を見ると、そこには節足動物じみた前脚。
 虫か!? 虫になったのか俺は!? 日野日出志か!!

 何故か虫に生まれ変わるという理不尽にひとしきり悩んだあと、とりあえず外に出ようとした俺は、今度はどうやって外に出ればいいのか悩むことになった。
 何しろ今までに、こんな乗り物に乗った記憶がない上に、今の俺は虫なのだ。どうすればいいというのか?
 そうして、三日ほど外に出る努力をした俺は無理だという結論を下した。

「って、ここから出られずに飢えて死ねと言うのか!」

 叫んでみたら、口からビームが出てきた。
 なんぞこれー!?
 って、おや? 乗り物のガラス――アクリルかもしれんが――の部分に穴が開いたぞ。ひょっとして今のビームのせいか?
 いや、今はそんなことはどうでもいい。俺は自由への扉を開いたんだ。ひゃっほーい!


 上がったテンションは、外に出た瞬間下がりました。
 ここどこよ? どこに行けばいいのよ? 
 困った俺は、自分が出てきた乗り物に眼を向けた。あれ? どっかで見たような……。
 なんだっけ? えーと……、そうそう漫画だ。ドラゴンボールに出てきたタイムマシーン。

 なんですとーっ!!

 どういうことだ、キバヤシ!!
 ある日、眼が覚めたら虫になっていたという日野日出志展開のあとは、ドラゴンボールだと!?
 なんだこれ? 夢か? 寝直したら自分の部屋で眼を覚ましたりするのか!?

 ないな。虫になって三日過ぎてる。夢ならとっくに目覚めてる頃だ。
 あと、腹が減った。虫になった俺は何を食えばいいんだ?

 ん? 虫? 真っ二つになった卵? ドラゴンボールに出てきたタイムマシーン。
 まさか! 俺ってセルなのか? ドクター・ゲロの研究所の地下コンピュータが作った最強の人造人間の……。

 嫌過ぎる。最強とか言ってもただのバケモノじゃん。パワーアップの方法が人を食うことだったりするし。




 土に潜り木の根を食って生きた数年後、俺は脱皮して原作初登場時のセルの姿になった。
 なんかセミみたいだな。原作のセルも登場して数日で死んだし。
 さて、これから俺はどうしようかね? 本来はラスボスポジションの一人であるセルに俺が憑依したってことは、何もしなければ世界は平穏なのか?
 いや、でもドラゴンボールって、むやみやたらと世界の危機が起こるんだよね。ナイトウィザードには負けるけど。
 しかも、こっちは強さのインフレが激しいから各ラスボスに主人公側の成長フラグになってもらわないと、次で勝てなくなる恐れがある。
 だからって、他人の成長フラグのために死にたくはないよなー。
 待てよ。考えてみれば、この時点でセルの事を知っているのは俺だけだよな。ということは普通に悟空たちの仲間に入れてもらえるんじゃないのか?
 原作でセルは人を喰ったり、17号18号を吸収してパワーアップしてたけど、普通に修行して強くなれないってことはないよな?
 なんつっても、この体にはピッコロやサイヤ人やフリーザの細胞が使われてるんだ。単純に才能だけで考えても、悟空よりも上のはずだ。
 中身がごく普通の日本人な上に、ついさっきまで土の中にいて脱皮したての俺じゃあ、悟空どころかヤムチャにだって勝てる自信はないが、これから修行すれば魔人ブウ編で活躍することも可能かもしれん。

 善は急げだと街に行った俺は、住人をパニックに陥れてしまいました。
 うん。考えてみれば、俺って見た目はどこに出しても恥ずかしくないバケモノだよね。
 でもさ、犬が国王やってたり、ギランみたいな怪獣が天下一武道会に出て何も言われないのに、なんで俺はバケモノ呼ばわりされるんだ? 悪役補正でも効いてるのか?
 たそがれてたら、警察を呼ばれました。Z戦士を目指すラスボスが警察に御用になるとか嫌過ぎる。というか、いきなり銃を抜くなよ。まずは、職務質問から始めてくれ。
 うお!? 撃ってきた!? 殺す気満々かよ! いや、かわせるし当たっても効かないんだが、心臓に悪いぞ。てか、この世界の警察、引き金軽いな。
 流れ弾が周りの人に当たっても悪いし、全部受け止めてたら、警察の人たちの顔が更なる恐怖に歪んできた。あれ? なんかマズイことしちゃったかな?
 警察がどこかに連絡したと思ったら、今度は戦車がやってきました。ちょっと待てよ! 警察と軍隊仲良すぎるだろこの世界。
 別に戦車を持ってこられても負けるとは思わないけど、あんなんに迫ってこられたら怖いわ! 肉体はともかく、中身はただの一般人だぞ俺!

 しょうがないので逃げる俺。速い、速すぎるぞ俺。車でも追いつけない俊足っぷりだ。
 街から離れたところまで逃げて一息吐いてたら、空に何かの影が見えました。
 鳥か? 飛行機か? スーパーマンか? いや、サイヤ人だ!
 サイヤ人?
 なんで、サイヤ人がいるんだ?
 どう見ても、悟空でもベジータでも悟飯でもないし、それに数が多い。見間違いかとも思ったけど尻尾あるしな。
 なして?
 考えてたら撃ってきた。右腕に当たった、千切れた。いてえぇぇぇぇ。

「ちょっ、まっ」

 こっちの言葉も聞かずにガンガン撃ってくる。
 いや、遠いし聞こえてないだけかも知れんが。
 畜生! 俺が悪役なら、てめえらだって悪役のくせに!
 問答無用で殺しにかかるサイヤ人から逃げる俺。集団で追い掛け回すサイヤ人。イジメだコレー!

 
 逃げて逃げて、ついに追い詰められた俺に、俺を囲んだサイヤ人たちが全力を込めた気功波を撃ち込んだ。グッバイ俺の人生。

 地球をも揺らす爆音のあと、巨大なクレータが生まれ、そこに動く者がいないことを確認したサイヤ人たちは飛び去っていく。

「やれやれ、これで人造人間編も完全に終わったな」

 そんな言葉が最後に、聞こえてきたが、どういうことだ? まさか、セルのことを知ってる?
 考えてみれば、ここは地球のはずだし、サイヤ人がいるというのはありえない。
 まあ、ありえないといえば、俺も同じか……。って待て!? 俺と同じなのかひょっとして?
 となるとマズイな。話が通じればいいんだが、あの様子だとセルのことはサーチ&デストロイで解決するつもりだろう。
 なんつっても、人を喰いまくってパワーアップするバケモノだ。俺が奴らの立場でも同じ事を考える。
 とはいえ、黙って殺される気はない。
 なら、どうする? 一番いいのは、奴らを叩きのめして、お話を聞いてもらうことなんだろうけど、現時点では俺よりあいつらの方が強い。
 だからと言って、人喰ってパワーアップってワケにもいかん。それじゃあ普通に悪役だしな。

 え? なんで俺が生きてるかって? 爆発の瞬間新たな能力に目覚めました。なんと、気を消す能力です。ショボイ言うな!
 おかげで、土に潜って隠れてて、あいつらに見つからずに済んだんだ! 多分。
 でも、これからどうしよう? あいつら多分悟空の仲間になってるだろうしな。なんとか悟空に仲介してもらう? 無理! 絶対に無理だ!
 悟空も俺のこと聞かされてるかもしれないし、大体なんて言って説明するよ。
 帰って、土に潜って一生を過ごそうかな? ……やっぱりヤダ。日の射さない地中で木の根をかじる一生とか、悲しすぎるだろ。
 これからどうするかはともかく、いつまでも地中にいても、後ろ向きな考えしか浮かばないし、地上に出よう。
 そして、自分の体のチェック。って、うおっ! 右腕は付け根からなくなってるし、尻尾は半ばで千切れてるし羽はもげてるし満身創痍じゃねえか。よく生きてたな俺。
 まあ、セルボディだし気合を入れればすぐに治るんだろうけど、体力消耗するし、気合を入れて気を隠していられる自信がないからな。
 あと、考え無しに逃げ回ってたけど、ここはどこだ?
 まあいいか。万が一にもあいつらが戻ってきたら命がないし、場所を移動しよう。どこか隠れられる所へ……あれ……意識が……。



 眼が覚めたら、ベッドで眠ってました。なんだ、やっぱり夢だったのか。ほら両手を見たらちゃんと俺の……、セルの手じゃねえか……。

「眼が覚めたみたいですね」

 上体を起こした俺に誰かが声をかけてきました。女の声です。見たらメイドさんでした。美人です。どういう状況?
 聞いてみたら、今日は仕事が休みで、家族と車で出かけたら俺が道端で倒れてたのを見つけたそうです。
 だからって、こんな死にぞこないのバケモノを拾って帰って介抱までするか普通? というか、休暇中なのにメイド服?
 突っ込む前に、俺の事を聞かれました。さて、なんと答えたものだろう?
 本当のことを全部話してもしょうがないよな。そもそも信じてもらえないだろうし。だからと言って、命の恩人相手に嘘をつくのも心が痛む。
 ここは、この肉体であるセルの説明をしてしまおう。漫画の知識だけどな。

「実は、俺はドクター・ゲロという科学者の作った人造人間なんだ」

 言った途端、メイドさんが驚きに息を呑んだ。なして?

「といっても、完成させたのはドクター・ゲロが作ったコンピータなんだけどね」

 また驚くメイドさんに、俺は説明を続ける。
 世界中の武術の達人の細胞とデータを使った究極の人造人間の研究。完成には時間がかかりすぎると、研究をコンピュータに任せ別の人造人間の製作に移ったゲロのこと。結局、自分の作った人造人間に殺されたゲロのこと。コンピュータの作った人造人間が完全体になるには、ゲロが作り、ゲロを殺した人造人間を吸収する必要があること。その人造人間が誰かに倒されてしまっていなくなっているので、タイムマシーンを使って過去の世界に来たこと。そして、過去に来た時点で気が変わって完全体とかどうでもよくなったことをである。

「気が変わった? どうしてですか?」

 どうしてと言われても、その時点で俺が憑依したからだとしか言いようがない。言わないけど。

「では、今のあなたの目的は?」
「平穏に暮らすことかなあ?」

 悟空と一緒に、世界を守るために戦うってのも無理っぽいしね。
 こちらの話が終わったあと、メイドさんはしばらく考えてから口を開きます。

「実は、私もドクター・ゲロの作った人造人間なんです」

 な、なんだってーっ!?
 聞いてみると、ドクター・ゲロはある日突然人造人間の製作を止めて、コンピュータの方にも別のものを作らせたそうです。そうして生まれたのが彼女。究極萌えメイド。人造メイド、セル。
 なんだそりゃー! 漫画と違うにも程がある。何、乱心しまくってんだよ! ありえないだろ……。ん?
 まさか、ドクター・ゲロも俺と同じなのか?
 メイドさんを見る。俺のボディと同じコンピュータが作ったとは思えん美人さんだ。
 間違いない。きっと、中身が入れ替わったんだ。
 とはいえ、そのことを言ってもしょうがないんだろうな。中身が入れ替わった後のゲロしか知らない彼女にとって、それは別人だと言っても意味がないのだ。
 それで、今ドクター・ゲロは? と聞いたら彼女は顔を伏せた。
 すでに死んでいるのだ。
 俺の知っている漫画のように自分の作った人造人間に殺されたわけではない。彼はもう人造人間の製作を止めていたのだから。
 ある日、彼女が出かけている時に研究所が爆破され、瓦礫に押し潰されたのだという。
 地下の研究所も荒らされていたことから、それが何者かの仕業とは分かったが犯人までは分からない。
 犯人に対する復讐を考えなかったわけではない。だけど、自分たちが、どこにいる何者かも分からない犯人への復讐のために生きることを、あの優しいドクターは望まない。そんなことより自分たちの幸せを望んでくれているはずだ。そんな気がしたのだ。そうして彼女たちは新しい生活を生きることにした。

 なんとなく、俺には犯人が分かったが、言わないことにする。なんとなくだが、彼女の言うようにゲロに憑依した誰かは復讐など望んでいない気がしたし、この優しい眼をしたメイドさんが誰かを憎んだり殺したりする姿など見たくない。
 そして、彼女は言う。

「それで、平穏に暮らすのが目的と言いましたが、それなら私たちと一緒に暮らしませんか」

 あなたも私たちと同じドクターの子供と言える者なのだからと、彼女は続ける。

 だけど、俺はこんな姿だし、見つかったら誤解した人たち(サイヤ人とかサイヤ人とかサイヤ人とか)に命を狙われそうだから迷惑になるんじゃないかと言ったら、彼女は悪戯っぽく笑って言った。

「大丈夫ですよ。私も素体の段階ではあなたと同じだったんです。そのデータが残ってますし、今から手を加えても、あの子たちなら外見を整えるくらい簡単だと思いますよ」

 その代わり、他の人造人間を吸収する能力はつかえなくなりますけどね。と続けてきたが、そんな能力はどうでもいい。ぜひお願いします。
 って、あの子たちって誰?

「ドクターも子供たちです。血は繋がってませんが、天才ですよ」

 むう。ゲロに後継者がいたとは初耳だ。


 その後、会った子供たちが、どう見ても17号と18号だったりして驚いたとかいろいろあったが、それよりも重要なことがある。ついに俺は人間の姿を手に入れたのだ。

 鏡に写るのは、尻尾が生えてたり、三つ目が会ったり、鼻がなかったりしない、ごく当たり前の整った顔の人間。

「おおっ!!」

 低い身長。

「おおぉっ!!」

 長い金髪。

「おおぉぉっ!!」

 たゆんと膨らんだ双球。

「うおおぉぉっ!!」

 どこに出しても恥ずかしくない、美少女がそこにいた。ロリ巨乳だった。

「なんじゃこりゃああぁぁっ!!」






おまけ


 触れるもの全てを砕く豪腕が唸る。
 その一撃をくらえば、確実に命がないと知る彼は、必死で身をかわす。
 だが、それは、かすりすらしなくても相手を吹き飛ばす。それが、今戦っている相手の実力。
 反撃の余裕などない。あったとしても、ダメージなど与えられるものか。

「くそっ!」

 苛立ちと共に、ターレスは言葉を吐き捨て自分を襲う相手を睨みつける。
 敵の名は、ブロリーと言った。



「どういうつもりだ!」

 詰問し防御するのは、ターレスについて行き神精樹の実を喰らい力をつけたサイヤ人。

「自分で考えてみろよ!」

 楽しそうに答えを返し攻撃を繰り出すのは、ブロリーについて行き、死と隣り合わせの人生で力を高めたサイヤ人。
 争い戦う二組のサイヤ人は、どちらも攻められている側が、自らに降りかかった不幸に苦虫を噛み締めていた。



 この星に集まろうと決めたのが、誰だったか彼らは知らない。興味もない。重要なのは、打倒フリーザを誓いスーパーサイヤ人を目指した者たちが、時が来たら集まろうと約束したことだけ。

 彼らは、転生者である。自分たちが漫画やアニメで知っているドラゴンボールの世界の、サイヤ人という種族に生まれ変わった者たち。
 最初、自分以外の転生者の存在を知らなかった彼らは、いかにしてこの世界の巨悪であるフリーザを倒して生き延びるかということを考えた。
 そして、いつしか他の転生者の存在を知り、集まった彼らはいくつかのグループに分かれる。
 原作の主人公と共に有り、その仲間として生きようとする者たち。この世界では実現が可能な不老不死を求める者たち。自分たち以外にも仲間を集い、数という力を求める者たち。そして、原作で最強の代名詞の一つして数えられるスーパーサイヤ人を目指して修行に明け暮れることを誓う者たちである。

 スーパーサイヤ人を目指す者たちは、他のグループのように皆で仲良く行動したりはしない。他人など修行の邪魔だと考えるからである。そうでなければ、他のグループに属して、そこで修行することを選んでいただろう。
 そして、彼らはそれぞれの道を進む。
 ある者は超重力の惑星に向かい、ある者は戦場を求め、ある者は強者に師事することを望み、ある者は原作で強者になる者と共にあった。
 彼らの行き先はバラバラで連絡も取れない。
 だから、彼らは約束したのだ。フリーザとの決戦の時、つまりはナメック星編が始まる頃に集まろうと。
 そして、その約束の日。ターレスという原作で強者であったサイヤ人についてった彼は、その惑星で命を失った仲間たちと、その屍を前に立つ一人のサイヤ人に再会した。

 そのサイヤ人の名前に意味はない。重要なのは、そいつがブロリーという原作――いや、劇場アニメだが――において最強とされる者についていったものだということだ。
 彼は最初、そいつを詰問しようとした。

「これは、お前がやったのか!!」

 そんな怒りの声は、口から出ることはなかった。その前に、そいつが殴りかかってきたからだ。
 計算違いにも程があると彼は思う。
 彼が、ついていったターレスというサイヤ人は、悪党である。いや、サイヤ人は全体的にそちらの傾向の強い種族なのだが、それはさておき、ターレスは自身の力を高めるためなら、人の住む惑星が幾つ滅んでもなんとも思わない男である。
 そんな者について行って、なんの影響も受けない筈がない。否、元々彼にもターレスに近い傾向があったのだ。そうでなくて、ついて行こうなどと考えるはずもない。
 そうして悪に染まり、幾つもの星を滅ぼすことで力をつけた彼は考える。かつて誓いを立てた仲間たちは自分にとって邪魔な存在になるのではないかと。
 仲間たちは、フリーザを倒す誓いの元に修行を選んだ者たち。つまりは正義の側の精神を持つ者たちである。そんな連中が今の自分の行為を認めるだろうか?
 それに、もし認められても困る。彼の力の元である神精樹の実は量産が効くような代物ではない。仲間が増えれば、それだけ自分の成長が阻害されてしまうではないか。
 だから、彼は仲間たちの抹殺を考え、約束の地に集った者たちを皆殺しにした。これによってフリーザと戦う戦士が減ってしまったなどとは思わない。
 彼は、自分の戦闘力がフリーザには到底及ばないことを知っている。その自分に倒されるような奴らが生きていても役には立たない。
 それが彼の考え。
 集まった、かつての仲間たちを皆殺しにしたあと、彼は遅れてやってくる者の存在を考え、罠を張ることにした。少し離れたところで隠れ、後から来た者に罪を擦り付けて動揺したところを襲うという策である。この手なら、相手が多少手強くても倒せる可能性が高まるし、なにかの間違いで自分より強くなった奴がいても、誤解を解こうとする相手はこちらを殺そうとは考えないはずだ。
 しかし、そこに現れたものに対して、その策は意味を成さなかった。そいつは仲間の死にも、身に覚えのない冤罪にも動揺せず、彼に襲い掛かってきたのだから。

 そいつは、別に彼の策に気づいているわけではない。ただ、仲間の死などどうでもいいほどの歓喜を感じていただけなのだ。
 彼がそうであったように、そいつは自分が共にあったブロリーの影響を強く受けていた。
 闘争と破壊を好む銀河最強の戦士の影響をである。
 ブロリーと過ごした年月は、そいつに強いストレスを与え続けた。そいつはブロリーと共にあることで、信じられないほどの力を得た。だが、その力を思う存分に振るう機会が訪れたことはない。
 強くなりすぎたそいつの前に立ち、戦えるほどの戦士は一人しかいない。そして、その一人であるブロリーはそいつから見ても強すぎてやはり戦いにはならない。
 だが、ここに来てそいつは自分と戦える敵と出会った。もちろん、本気を出してしまえば簡単に倒せてしまえるレベルでしかないが、それでも戦いができるレベルの相手にそいつはひどく喜んだ。
 だから、戦うことにした。相手が、かつては仲間だったとかそんな理屈はそいつにとって意味がない。あるいは、彼が殺した仲間たちのような低いレベルの戦士しかいなければ、そいつも暴走はしなかったのだろうが、それは言ってもしかたのないことである。




「カカロットーっ!」
「だから、俺はカカロットじゃねえって言ってるだろ!」

 叫びと共に繰り出される拳を回避して、ターレスはエネルギー弾を顔面にぶつけてやるが、やはり効いた様子はない。
 舐めやがってとターレスは舌打ちする。
 相手は伝説のスーパーサイヤ人だ。本気でかかってこられていたなら、自分など最初の一撃で粉砕されていただろう。

「こんなことなら、この星に来るんじゃなかったぜ」

 別の場所で戦っているらしい相棒を思い、愚痴を吐く。
 そもそも、何の用があるのか知らないが、用事があるからとこの星に来た相棒について来たのが運のつきだったなと思い。だけど、ターレスは諦めない。こんなところで死んでも良いと思うような潔さは持ち合わせていないのだから。



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なんか、やっちゃった感が強いです。今回。



蛇足

セル二号(仮名)の姿は、転生サイヤ人たちに潰された妹に使われるはずだったデータが使用されています。
外観を変えただけなので、メイドセルと違って、鍛えればZ戦士を越えられますが鍛えません。
セルと一緒にメイドとして働くので、転生サイヤ人たちと会ってギョッとしたりしますが、知らないフリをします。

ブロリーは相棒の影響で少しだけ話の通じる存在になっています。
相棒の方は、ブロリーの影響で、あんまり話の通じない人間になっています。

ターレス組は生き延びます。
ブロリーは、ターレスが悟空ではないと気づいていて遊んだだけなので。
相棒の方は、せっかく見つけた戦いになる敵をここで潰すのは惜しいと思いました。他に、もっといい敵と遭遇すれば始末しても惜しくないと考えるようになります。



[8145] ヤムチャの野望
Name: 車道◆9aea2a08 ID:555837fb
Date: 2009/05/02 00:01
 俺の名はヤムチャ。随分前に、武天老子様に弟子入りした武道家だ。
 同じく武天老子様の弟子である悟空やクリリン、それに天津飯や餃子と共に武術を極めようと頑張ってきた。
 だが、最近は限界を感じてきた。
 いや、違うか。これは、身の程を知ったと言うほうが正しい。
 俺は、悟空をライバルと思い、あいつに負けないように修行をしていた。実際最初の頃は、俺とあいつにはそれほどの差はなかったと思う。
 だけど、いつの間にかあいつと俺の間には大きな差がつき始めていた。
 その差が決定的になったのは、ピッコロ大魔王が現れた頃だろう。
 あいつは俺が――武天老子様でさえ敵わない相手だったピッコロ大魔王を倒す実力を手に入れていた。
 それでも、俺は諦めなかった。修行を続ければいつかは悟空に追いつけると信じていた。
 だが、次に合った時、俺とあいつの差は更に大きくなっていた。

 そして、更に時間が過ぎた頃、ブルマの家で世話になっていた俺の前に知らない男が訪ねてきた。
 そいつは俺にこう言った。

「地球に危機が迫っている。ヤムチャ、お前の力を貸して欲しい」

 何のことを言っているのか分からないでいる俺に、そいつは自分の事をサイヤ人だと言った。
 なんでも、サイヤ人というのは悟空と同じ種族で、高い戦闘力を持つ宇宙人なんだそうだ。そして、自分たちと悟空以外のサイヤ人は、人の住む惑星に行き、そこの住人を全滅させて、他の宇宙人に売る仕事をしていて、ある強力なサイヤ人がこの地球を狙っているのだと。
 正直、そんな話をすぐに信じたわけではない。だが、そいつから感じる気は俺よりも、あるいは悟空以上に大きくて、逆らうことなどできなかった。
 そうして俺が連れて行かれたのは天界。かつて悟空が修行を積んだ場所である。
 そこにはクリリンに天津飯や餃子もいて、俺と同じようにサイヤ人を名乗る者に連れてこられたらしい。
 ここで修行すれば、俺たちも悟空に追いつけるかもしれない。そう思った俺たちは、張り切って修行をした。そして、実際に随分と強くなったと自分でも理解できた。
 だけど、地上でサイヤ人たちと修行をしていた悟空は、もっと先に行っていた。
 考えてみれば当然のことだ。結局のところ、俺たちは悟空がすでに通った道を後になって追いかけているにすぎない。そんなことで追いつけるはずがないのだ。
 だからといって、泣き言は言えない。クリリンも天津飯も餃子も、その差を感じていて、それでも諦めていないのだ。俺だけが逃げ出すような無様なことができるはずがない。

 そうして、また悟空と同じ修行をしようと考えた俺たちだが、それは早々に諦めることになった。
 悟空とサイヤ人たちのやっていた修行は、ブルマの親父が作った超重力の部屋に篭もってのものだ。
 元々、地球の十倍の重力の星だという惑星ベジータで生まれた強靭な肉体を持つサイヤ人たちにとっては、適切な修行法となるそれは、俺たち地球人には合わない。
 十倍までならなんとか耐えられても、それ以上となると、ただ体を壊すだけで修行にならないのだ。
 それでも、俺たちは修行を続けたし、結果として力をつけたと思う。だけど、やっぱり差は広がる一方だった。

 そして、地球を狙っているというサイヤ人が現れた時、俺たちは集まり戦った。
 でも、俺たちは何をしに行ったのだろう? 俺たちが戦ったのは、サイヤ人が土に埋めた種から生まれたサイバイマンというバケモノだった。
 そう、俺たち地球人はサイヤ人と戦っていない。やってきた二人のサイヤ人と戦ったのは、あいつらと悟空。サイヤ人たちだ。
 そのことに、文句を言ってもしかたがないことは理解している。二人のサイヤ人――特に片方は強すぎて、俺たちが戦って勝てる見込みはほとんどなかった。だけど、それでも戦うのが武道家というものだ。だけど、奴らは俺たちが戦うのを許さなかった。
 その時、俺は気づいた。あいつらの俺を見る見下した目に。
 全員が、そういう目をしていたわけではない。最初、俺の前に現れたサイヤ人だけは、純粋に俺を仲間だと思い案じるような目をしていたと思う。
 だけど、他の奴らは違った。 舐めるな! そう思った。だけど、あいつらは悟空と同じで、俺よりずっと先にいる奴らで、だから何も言えなかった。

 それから俺は自分がどうすればいいのか分からなくなった。
 だって、そうだろう? 俺がどれだけ頑張っても、あいつらには追いつけない。あいつらがいれば、俺なんかいなくても地球は守れる。それが分かっていて、どうして修行を続けられるってんだ。


 その後、どこに行こうとしていたのかは自分でも分からない。気が付けば、俺はカメハウスの前に来ていた。
 そして、そこには武天老子様がいる。

「なんじゃ? ヤムチャではないか。珍しいのぉ、最近はクリリンも修行があるからと、ほとんど外に出ているのに」

 クリリンの名を聞いて、胸がチクリと痛む。
 そうだ。クリリンや天津飯も俺と同じ立場のはずだ。なのに、どうしてあいつらは、修行を続けられるんだ? ひょっとして武天老子様が何か言ったのか。
 どうしても気になった俺は、そのことを尋ねてみることにした。

「何も言っとりゃせんよ。そもそも、ワシに何かを言う資格なんかないじゃろ?」

 どういう意味だろうか? そんな考えが顔に出たのかもしれない。武天老子様は、困ったように頭を掻きながら、言葉を続けた。

「ワシは、とっくに諦めた人間なんじゃよ。お前さんらよりもずっと昔にな」
「そんなことは……」
「あるんじゃよ。ワシや鶴の奴、それに武泰斗様は、大昔にピッコロ大魔王と出会ったときに、心がポッキリと折られてしまったんじゃ」
「え? しかし、武泰斗様は……」
「見事、ピッコロ大魔王を封印し世界を救ったな。じゃが、あれは武術の技ではない。ワシら武術家では、ピッコロには勝てない。そう確信してしまったんじゃよ」

 つまり、武術家としての心はとっくに折れてしまっているのだと武天老子様は言う。

「じゃが、お前たちは違う。お前たちは、あくなき鍛錬でついには、ワシらでは届かなかった、ピッコロ大魔王を倒せるほどの力を手に入れたではないか」

 それは、そうかもしれない。だけど、今のピッコロは悟空が倒した頃よりも力を上げているし、俺が悟空に追いつけないという事実にも違いはないのだ。
 そんな俺を見て、武天老子様はため息を吐いて、更に言葉を続けた。

「クリリンは、悟空とは違った意味で純真な奴なんじゃよ」

 眩しいものを見るような眼で語る武天老子様は、なんだか嬉しそうな羨ましそうな顔をしていた。

「あやつとて、自分がもう悟空には追いつけないことぐらい分かっておる。じゃが、それとこれとは話が別なんじゃ」
「話が別?」
「あやつは、悟空の事をライバルだと思っておる。そのライバルが先にいるなら追いかけて隣に並ぶ。そのために修行をする。そう考えているだけで、できるかどうかは別の話なんじゃよ」

 多分、天津飯も似たようなものなのじゃろうと続ける武天老子様に、俺は頭を下げて、そこから立ち去る。

 武天老子様の言葉は、理解できる。だけど、納得するためにはやるべきことがある。だから俺は……。





「なんの用だ? 殺されにでも来たか?」
「お前をぶっとばしに来た」

 こっちを見もしないで言うピッコロに不敵に答えてやると、殺気を込めて睨みつけてきやがった。
 大抵の奴ならビビッて逃げ出すんだろうが、俺には通じない。

「バカが」
「わかってるさ」

 地を蹴り跳びだした俺は、奴の顔面に突きを入れる。それをピッコロは首だけを動かして避けてみせる。
 そんなことに、一々驚いてはやらない。更に、並の武道家なら、腕が何本にも見えるだろう連続攻撃を繰り出す。
 だけど、それすらピッコロは涼しい顔で捌いていく。そうして振るわれる奴の拳が俺の腹に突き刺さる。
 くそっ! 俺も、天下一武道会で悟空と戦った頃のピッコロなら越えているはずなのに、こいつも俺の先を行ってやがるのか。

「フン。やはり、その程度か」

 腹を押さえ、後ろに下がった俺に、追撃をかけることもしないで、ピッコロは吐き捨てる。

「舐めるな!」

 気合の声と共に殴りかかる俺だが、やはり俺じゃあ敵わない。すぐに、ボコボコにされてしまう。
 分かってたさ。ピッコロに勝てるのは悟空だけだ。俺じゃあ、どれだけ頑張っても強くなってもこいつには勝てない。

「だけどな! 負けられないんだよ!」

 足はガクガク震え、視界も朦朧として、もう戦える状態じゃない。けど、そんなことは関係ない。

「俺と同じで、悟空に置いて行かれた奴になんか負けられるか!」

 そうさ。こいつも俺と同じなんだ。
 俺も、クリリンも、天津飯も、ピッコロも、悟空をライバルと思っていて、それでも追いつけなくて置いて行かれたって意味じゃあ同じだ。
 こいつは確かに俺より強いが、とっくに悟空やサイヤ人たちは、その更に先に行っている。
 こんな奴にも勝てないで、悟空のライバルを名乗れるもんか!







 俺は、生きてるのか?
 そういえば、悟空が言ってたな。今のピッコロは前のピッコロ大魔王のような物凄い悪い奴じゃないって。
 まったく、悟空には敵わないな。
 けど、すっきりしたぜ。
 俺は多分、勘違いをしていたんだろうな。
 追いつけなくても、追うことは無駄にはならない。
 そんなことも分からなかった俺は、気持ちの上で悟空に負けていて、クリリンたちはそうじゃなかった。ただ、それだけなんだ。






おまけ1


「酷い目にあったぜ」
「ああ、まったくだな」

 同意してやったら、ターレスの奴、俺を胡乱気な眼で睨みつけてきやがった。

「いや、お前のせいだろ」

 失礼な奴め。だが、その通りではある。
 まさか、ブロリーについていった奴があれほど強くなってて、挙句あんな攻撃的になってるとは考えてなかった。というか、そもそも生きてるとは思わなかった。
 俺も、あっちについて行った方が強くなれたかも……。
 いや、ないな。死ぬわソレ。ターレスは原作のように配下を持ってない。その分、多くの神精樹の実を俺とターレスは独占していて強くなっているはずなのに、あいつには、まったく歯が立たなかった。
 多分、あいつはそれだけ生と死が隣り合わせの厳しい修行を積んできたのだろう。そんな生活で生きていられる自信は微塵もない。

「しかし、話には聞いてたが、あれがスーパーサイヤ人か。あれほどの戦闘力とはな、本気を出してこなかったから、なんとか逃げられたが、本気を出されてたら確実に殺されていたな」
「いや、多分それは違う。お前は勘違いをしている」

 俺もターレスも、相手の気を探る術を知らない。
 だから、相手の身のこなしやスピードで強さを測るしかないわけだが、これは相手の方が圧倒的に強い場合、手加減をしてきたり本気を出してこなかったりすると戦闘力を正しく図ることができない。
 それでも、俺は自分が逃げ切ったのではなく見逃されただけだと分かるし、俺と同レベルの戦闘力のターレスが、自力でブロリーから逃げ延びられるはずがないと理解している。
 あいつは確かに強くなっていたが、俺と戦った時にスーパーサイヤ人になっていたわけでもないのだ。当然、ブロリーは、あいつより遥かに強い。そんな相手から逃げられるはずがないではないか。

「なんだ? それじゃあ、奴らは何のために俺たちを襲ってきたんだ?」

 その疑問はもっともだ。が、俺に聞かれても困る。闘争と破壊の申し子と、その仲間が何を考えて俺たちを襲って更に見逃したのかなんて分かるはずがない。
 なんにしろ、もっと神精樹の実を収穫する必要があるな。

「そうだな。もっと強くなって、今度こそあのスーパーサイヤ人をぶん殴ってやらないとな」

 いや、それは無理っぽいぞ。俺たちが神精樹の実で強くなる以上の速度であいつらは強くなりかねん。
 だけどまあ、ぶん殴るのは無理でも逃げられるだけの強さは欲しいな。どんな気まぐれで見逃されたのかは知らないが、次も同じ気まぐれを期待するのは危険だしな。




おまけ2


「機嫌がよさそうだな」

 口下手なくせに話しかけてくるブロリーに、俺は笑顔で答えてやる。
 ああ、ご機嫌だとも。三十年以上生きているが、こんなに楽しい気分は初めてだ。
 戦闘民族であるサイヤ人は、戦いに喜びを感じるようにできている。だけど、満足できる戦いというのものには簡単には出会えない。
 何しろ、俺たちは、いわゆる脱走兵だ。サイヤ人の王から逃げ出し身を隠し、ベジータ王がフリーザに倒された今は、そのフリーザから隠れて旅を続けている。
 そんな俺たちが遭遇する敵というのは、大して力を入れていない攻撃でも簡単に壊れてしまうような相手ばかりで、楽しみなど感じようがない。
 こうなると、伝説のスーパーサイヤ人の気持ちが分かる気がする。
 全宇宙で暴れまわっていたスーパーサイヤ人というのは、敵を欲していたのではないだろうか? 戦いを欲して、しかしその望みが叶えられず、苛立ちのままに眼に写る全てを破壊していた。ただ、それだけではないだろうか。

 ただ、俺と違うのは、伝説のスーパーサイヤ人には真実敵になりうる相手がいなかったのに対し、俺はフリーザ相手に逃げ隠れしている身分であることである。
 俺の場合は、苛立ちのままに暴れまわればフリーザに知られ、そのまま始末されてしまう。
 ちょっと前に、スーパーサイヤ人に覚醒した時は、これでフリーザとも戦える力を得たのだと喜んだものだが、それは勘違いだと。ブロリーと戦ってみてすぐに分かった。
 スーパーサイヤ人に覚醒しても、俺自体が弱いままなのだから大した戦闘力ではなく、変身前ならともかく最終フリーザには勝てないだろう。
 だから、結局俺には、ゴミのような戦闘力の奴らか、ブロリーのように強すぎる相手と戦うしか選択肢がないわけである。
 あるいは、もう少しで俺の忍耐も尽きてフリーザに戦いを挑んでいたのかもしれないが、その前に俺はあいつに出会った。
 あいつは、俺から見ても大した戦闘力を持っているとは言えない相手だった。スーパーサイヤ人になるまでもないのだから、多分ラディッツよりも弱いのではないだろうか。
 だけど、あいつはゴミではなかった。俺が遊んでも簡単には壊れなかった。
 はっきり言おう。楽しかったのだ。だから、ある程度遊んだ後は見逃した。それと同時に、他の誰かと遊んでいたらしいブロリーも切り上げてきたが、そちらはどうでもいい。

 そんな機嫌のいい俺に、ブロリーが手合わせを提案してきた。
 正直、ブロリーとの勝負は気が進まない。戦いにならず、一方的にボコボコにされるだけのそれを楽しめと言うのも無理があるだろう。
 だが、強くなるための一番の早道だし、真実伝説のスーパーサイヤ人であるブロリーは、放って置けば本気で全宇宙の破壊者になりかねない。
 まあ、今日は気分もいいし相手をしてやるか。


 気軽に請け負ったことを後悔する数分前の話である。



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ヤムチャにはDr.ウイローと戦ってもらうつもりだったけど、長引きそうだったので止めました。




蛇足


ブロリーの相棒はスーパーサイヤ人になれば、楽勝で最終フリーザを倒せますが気づいてません。



[8145] 打ち切り
Name: 車道◆9aea2a08 ID:555837fb
Date: 2009/05/03 18:57
 その老婆は、全てを失った人間であった。
 彼女の人生におけるケチのつき始めは、親しい友人の死。
 その友人の死自体は、心臓病という誰に責任のある物でもなかった。だが、その後、彼女の友人は次々と命を奪われることとなった。
 それを行ったのは、かつてドクター・ゲロが生み出した二体の人造人間。
 強大な戦闘力を備えた二体は、その力を思いのままに振るい、眼に写る全てを破壊して回った。
 彼女の友人たちは、強い正義感を持つ者たちである。ゆえに、暴虐な人造人間の振る舞いを許せず立ち向かい。そして、倒された。
 彼女は、親しい友人たちと、夫を一度に失ったのだ。
 だが、彼女の不幸は、それで終わらない。


 生き残ったのは、心臓病で死んだ友人の息子と、彼女自身の息子。
 友人の息子は、人造人間たちの暴虐に震える人々を救うため、果敢に人造人間に戦いを挑み続け、ついに命を落とした。

 彼女は思い出す。心臓病で亡くなった友人の事を、どんな巨大な敵にも退かず戦いを挑み勝利した彼のことを。
 彼が生きていれば、世界はこんなことにはならなかったのかも知れない。そう思った彼女はある機械を作る。
 それがタイムマシン。時空を越え、過去と未来を行き来する乗り物。彼女の息子は、それを使って過去に飛ぶ。
 別に、過去を変えたからと言って、今が変わるわけではないことは理解している。
 だけど、人造人間が倒されて救われる世界があってもいいではないか。それに、打算がないわけでもない。あるいは、過去に戻った息子が人造人間の弱点を掴んでくるかもしれないのだ。

 そして、息子は人造人間の設計図を持ち帰る。
 彼女は、それを調べ、ついに人造人間の停止装置を完成させる。それにより、人造人間は倒され世界は救われた。
 だけど、彼女の不幸はまだ終わっていなかった。
 この時代の人造人間は倒されたが、過去ではまだ暴れている。だから、息子はもう一度だけ過去へと旅立つことになっていた。だけど、息子は過去へ行かなかった。
 タイムマシンは、なくなり、それがあった場所には中身のない衣類と置き捨てられた荷物。
 最初、それが何なのか彼女には分からなかった。だが、長い調査の後、彼女は知る。ドクター・ゲロの研究によって作られたもう一体の人造人間の存在を。そして、そいつが息子の命を奪いタイムマシンで過去に行ったことを。
 大きな視点で見れば、これで世界は救われたことになる。なにしろ、この世界に残った最後にして、もっとも危険な人造人間もいなくなってくれたのだから。
 だけど、彼女は救われない。親しいもの全てを亡くし、息子まで失った彼女に救いなどあるものか。
 そうして、復興が進む世界で彼女は閉じこもりある物を開発する。

 彼女は考えていた。
 彼女の友人が何度も救ってきたこの世界。もし、友人が救わなければ、この世界はどうなっていたのだろうか?
 レッドリボン軍が世界を征服していたら? ピッコロ大魔王が世界を支配していたら? サイヤ人が地球人を皆殺しにしていたら? フリーザが地球を破壊していたら?
 それは、彼女にとって歓迎できる事態ではなかったが、そうなっていれば少なくとも人造人間が生み出されることはなかった。彼女から全てを奪った憎むべき敵は存在すら許されなかった。
 もちろん、そうなっていれば彼女の憎むべき相手が変わっていただけなのだろうが。

 彼女は考える。
 なぜ、この地球は何度も悪党に狙われるのかと。悪党は悪党同士で殺しあっていればいいのにと。
 そして、ある可能性に思い至る。トランクスや人造人間の行った過去と、この時代は今では、まったく別の世界として成立している。
 だが、もしかしたら他にも別の世界があるのかもしれない。そして、その世界でも同じように悪がいるのかもしれない。
 もしも、そいつらを噛み合わせれば、悪党同士で潰しあいをさせられるかもしれない。
 過去がどうなろうと、この世界の自分には意味がないと考えるだけの想像力はもうない。もはや、正気を失いつつある彼女には、その結果多くの人間が巻き添えにあい命を失うかもしれないと考える思考力が残っていない。

 そうして彼女は、タイムマシンを発展改良させたマシンを作り出す。
 それは、過去の世界において世界の壁を破壊する装置。多くの可能性を秘めた複数の平行世界を一つにする機械。
 それが効果を発揮するのは遠い過去。それを確認する術を彼女は持たない。だけど、彼女は自分の発明品の成功を疑わず、現実にそれは正しく稼動する。

 そして起動を確認した時点で、老婆はその生涯を終える。


 彼女の知る過去に、スラッグという宇宙人が地球にやってきた事実はない。フリーザに兄はいないし、ターレスという友人そっくりの顔のサイヤ人もいなければ、ブロリーなどというスーパーサイヤ人も存在しない。
 だけど、世界の壁は取り払われて、全ての可能性が一つになり、それらは一つの世界に集められる。

 ただし、そこに彼女にも予想のつかない事態が起こる。
 彼女の作った装置は、平行世界だけでなく、まったく別なる世界との間にある壁すらも破壊した。
 その世界は、同じ可能性を持つ世界ではなく、それどころか、この世界とその平行世界をフィクションという形で知る者たちの住む世界であった。それゆえに融合はしなかったが、お互いに影響しあうことに違いはない。
 この世界では、死者の魂はあの世に行くようにできている。だが、別なる世界には死後の世界というものがない。死者の魂というものも存在しない。
 だが、こちらの世界の影響を受けた結果、その世界でも死者の魂というものが生まれ始めた。
 とはいえ、その世界には死者の魂が行くべき受け皿が存在しない。だから、その魂たちは壊された世界の壁を抜けこちらへと渡り、そこに住む生き物たちの中に入り込む。
 人に、獣に、植物に。入り込んだ多くの魂は、その瞬間に自我をなくす。
 人の記憶を治める容量を持った脳を持つ生き物が相手でないと、魂は自我を保持できない。そして人であっても相手の自我に負けて消えてしまう場合がほとんどであったからである。
 ただし相手が、深い眠りの中にいた場合は本来の自我をより深く眠らせ肉体を乗っ取ることができたし、自我のない赤ん坊であったなら、魂たちはそのまま自分が生まれ変わったのだという認識で自我を残すことができた。

 そうして、この世界をフィクションという形で知る彼らは世界を変える。その結果が、彼女の望むものになるのかどうか、それを知る者はいない。




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誰にとってもどうでもいい反省文


私は、自分が読んでみたいと思ったものを、書いてみるということをやろうと思いました。
で、私が読んでみたいと思ったのはフリーザに憑依した人が苦労しまくる話でした。
それで投稿してみて、結構感想がついたなと思った私は、感想に返事を返すことにしたのですが、感想だけ書いても返事があるかどうか確認する人もいないだろうし、同時に適当に思いついたものを書いて投稿することにしました。これが間違いの始まりです。

ありがたくも、次に書いたものにも多く感想がついた時、私は自分がそれなりに面白いものを書いているのだと勘違いしてしまいました。
考えてみれば、ドラゴンボールの二次だから好評だっただけで、私の書いた物が面白かったからというわけではなかったのにね。

そうして、調子に乗って書いているうちに、私は大切なことを見失っていました。
今の私は、自分が読んでみたいと思ったものを書いているのでしょうか?
否。私は、自分を見失ってました。
というわけで、唐突ですが、このシリーズは終わりということにさせていただきます。

今まで、読んでくださった人にありがとう。
続きを期待してくださった人にはごめんなさい。


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