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[6658] 流されたゆたうワカメのごとく(Fate・憑依・壊れ・ギャグ・R-15?)
Name: 犯人◆d1587eef ID:e7e812b9
Date: 2009/02/19 00:14
激しくノリだけで書いています。

R-15程度?の描写があります。

設定の改悪がひどいです。

type-moon作品の雰囲気を愛している人やキャラに思い入れがある人は気分を大きく害する恐れがあります。

一人の男と複数の女が絡む話に嫌悪を覚える人は読まないほうがよいと思われます。



といっても文句をぶちまけるのは自由なのでそれを感想に書くと作者のマゾ精神が満足すると思います。


以上のことに注意してそれでも読んでくれる方のみ、どうぞ。


2・18  キャラクター紹介を追加しました。



[6658] 流されたゆたうワカメのごとく(Fate・憑依)
Name: 犯人◆d1587eef ID:e7e812b9
Date: 2009/02/16 03:51


    

 そういうものをよく読みあさっていた。読むたびに「わははこいつバッカでー」と文字通り人事のように笑っていた。

 うん、もうしません。君たちがどれだけ辛かったか、どれほど不安だったか、先が見えるだけにやがて来ることがわかっている不幸がどれほど恐いか、この身を持って実感したから。

 でもさあ、どうせ憑依しちゃうならもう少しましなのに、と思うのよ。たとえば最近の流行り(俺の主観時間)だと、某使い魔の青銅のあいつとかさ。まだ努力とかで才能を伸ばしてなんとかなりそうな見込みが感じられるじゃない。そしてあわよくば原作ヒロインをゲット!とかさらにさらに漢の浪漫ハーレムを!とかを心の支えにして日々を頑張ってゆけそうじゃないか?

準主要キャストのくせに、能力が皆無なキャラになっちまったらどうすればいいのかなあ。


なんで、ヘタレ?なんで、エリート家系の中の落ちこぼれ?出涸らし?


なんで、青いワカメなんだよおおおお









流されたゆたうワカメのごとく







 現在、高校一年生。憑依してから半年ほど経過しています。

ブラウニーとは既に友達です。正直、聖杯戦争とかのこれからを考えると不安でしょうがなく、守ってくれそうな人が欲しいけれど、まだこいつぐらいしか味方になってくれそうな算段が今のところたってません。 

てか、実際こいつ好い人過ぎます。誰かが見守っててあげないといつか騙されそうです。こいつ早く何とかしないと・・・・という話題で某寺の子と仲良くなってしまいました。だってこいつ庇護欲をそそりすぎるんだもん。




桜は、なんとか黒化を食い止めるため、今更ながら優しくしてます。

ていうかこいつを味方に出来るかどうかが俺の死亡フラグの大半を管理している気がしますよマジでいやマジで。

しかし、原作の衛宮家の光景から想像できないくらいどんよりしてますよこの子。いや、ぶっちゃけこうしてしまったのはこの家なんだろうけど。普段は死んだ目、話しかけると必要以上にビクッと。

にこやかに話しかけたら、「今度は何をたくらんでるの、やさしくするふりで次は私をどんな地獄に突き落とすの」みたいな目で見られた。軽くへこんだ。

未だに笑顔は見せてくれないが、ビクビクプルプルは見せなくなってきている。時折ジジイに連れられていくときは相変わらず目が魚屋の店先に並ぶ魚のそれになっているけど。無力な兄を許してくれ。おれの安全が確保されたら出来ることはしてやるから。




そして、うっかり女王凛。この子確かに優秀だけどほんとに詰めが甘いわ。途中までは完璧なのに最後でしくじる。赤つながりか、ここぞ、でしくじるところは某赤い彗星と同じ気がする。

なんとかつながりを作っときたいので、桜をダシにしてみた。「この前桜が・・・」みたいな話を振り続けたら、こちらへの関心が石ころレベルからクラスメートレベルまで進化しましたよ。

うん、進化したにしても前段階がひどすぎだったと思うんだがどうだろう。

最近は桜が衛宮家に行かないときは弁当を作ってもらってるのだが、凛におかず交換を申し出ると受けてくれる。その味に嬉しそうな顔をしているので、やはり妹の成長に喜びを感じているようだ。

つぎのおかず交換の日には遠坂家の料理レベルも成長していたので、妹の成長にライバル心も感じているようだ。

ともあれ頼りに出来る人材は今のとここいつしかいない。頑張って信頼を得なければ。マキリの魔術をなんとか理解して、凛に教えれば桜の体は何とかしてくれるだろう。

ルールブレイカーとか士郎が投影する手もあるが、やつの体にかかる負担がわからんし、キャスターが士郎の前で確実にルールブレイカーを使ってくれる保証もない。






てなわけで今、間桐家の書庫で魔術書を読み漁っているわけですが、今更ながらに猛勉強を始める俺に家族は無関心です。

「役立たずが何を無駄なことをしとるのか」「兄さん、結局無駄に終わったらまた私にあたるのかな」とか考えてそうです。欝だ。

半ば駄目もとで勉強してたけど、以外に俺が読める範囲でなんとかなる知識だった。

ていうか、俺が普通に閲覧できるとこに桜の胸の蟲に関する記述のある書まで置いとくのはどうなんだろう。

外部からは結界があるんだろうけど、内部に対してのセキュリティ薄すぎじゃね?桜が造反したらどうするつもりなんだろ?

ああ、そういえば、あっさり背かれて取り出されて「ぷちっ」ていうシーンがあったっけ。桜の洗脳と行動パターン認識に絶対の自信があるんだろうな。やっぱ妖怪も長生きしすぎると耄碌すんだろーね。

まして俺の反逆なんてそれ以上に警戒されてないんだろう。

したところで高が知れてるだろうし、オリジナルのワカメくんはどうせ知識つけても魔術行使できないから無駄だし、プライド高いせいでここで得た知識を他の魔術師のとこへ持ってくなんてことしない、と思われてるのか。

甘い!ジジイのように奸知に長けたキャラは自分の頭の中だけで世界が完結してるもんだから、想定外のことですぐ潰されるんだよな。
死に際の捨てゼリフはだいたい「ば、馬鹿な・・・。」とか「こんなはずでは・・・。」とか、そんなん。

くくく、てめーのようなやつは俺のような小物の手にかかって死ぬのが相場なんだよ、と下品に笑ったところで自分の立ち位置を再確認してまた鬱になった。










そんなこんなで原作開始時間までわずか。予定より早くとうとうライダーを呼び出す日がやってきました。あのナイスバディを拝めるのは楽しみだ。朝からワクテカが止まりません。

「桜よ、委細承知しておろうな。」
「はい、お爺様。」
「大丈夫だ。お前ならやれるさ。頑張れ。」
「はい。がんばります兄さん。」

笑顔をみせて応える妹と胡乱気な目で「とっととやれ」と促してくる爺。
桜がようやく懐いてきました。このごろは勉強中の俺に夜食とか作って持ってきてくれる。礼を言ったり褒めてやるとはにかんだように笑顔を見せるようになった。

例の蟲によるごにょごにょのあと、精を補充する役目は当然俺なわけだが、そのときに優しくしてやってるのも大きかった気がする。

しかしこれは喜んでばかりもいられん。桜が家に居易くなったということは衛宮家に行く頻度が下がったということで、桜と士郎、セイバー、凛の絡みが減ることに他ならない。   
 
接点が少なくなったせいで桜を助けるときに間に合わなかったりしたら、即ち、あいつらが桜を救ってくれるついでに俺も助けてくれる目がつぶれてしまうかもしれん。

士郎あたりはそれでも助けてくれそうだが、助ける助けないの方針をめぐって他のメンバーと齟齬が起きそうだ。あいつらのピンチってそういう仲間内の不和の直後にもあった気がするし、気をつけておかねば。
 
 とかなんとか考えてる間にライダー召喚。いろいろジジイに因果をふくまれてます。説明終了し、いざ権利を譲渡!

 いやライダーさん「えー」みたいな顔やめてください。目は口ほどにものを言い、とかいうけど、目が隠れててもそれ以外だけであなたの心情を雄弁に物語ってますよ?

もう少し気を使って?うん、あなたの嫌いなペルセウスと俺の類似性については承知してますから。つか中身別物のはずなんだけど。

俺と慎二って結構中身似ていたのかな。みんな違和感を感じてなかったみたいだし。またここでもライダーとも人間関係の構築に悩まなければならんのか・・・鬱だ。

「わかりました。ワカ・・シンジ。あなたをマスターとします。」
「今ワカメって言おうとしたよね?いえすいませんナンデモナイデス」
眼帯の上からでも睨んでみせるとはさすがメデューサ。
「駄目よライダー、兄さんを苛めないで。」
「サクラがそういうなら・・。」

なんだろう。この瞬間マキリのヒエラルキー最下位に落ちた気がする。

 そんなこんなで始まってしまいました、聖杯戦争。はたしてどうやって生き残ればいいのか。
 



ワカメの臆病が冬木市を救うと信じて・・・









続かないんじゃないかな。





[6658] 平田くんのように自分がギャグ作品の主人公だと気づいたときには遅かった訳で
Name: 犯人◆d1587eef ID:e7e812b9
Date: 2009/02/16 04:30
キャスター拾いました。










 流されたゆたうワカメのごとく  第二話
  










 キャスター落ちてました、雨の中。





当然のごとく吸い尽くされました。優しくじゃなく、激しくええそれはもう激しく。

「この」俺は士郎との仲は良好だったので、一成とも結構仲よしだったおかげで柳洞寺に運び込むのを手伝ってもらうことが出来た。こいつも士郎に負けず劣らずお人好しだ。



そんなことはどうでもいい。なんでこのタイミングで葛木先生いないの?あわよくば仲間に引き込もうと思ってたのに。桜といいこの人といいなんか俺精気提供機になってる?


で、今正気に返って気まずい空気が流れてるわけなんだなこれが。


「・・・えーと。」

「その・・。いきなりこんなことをしてごめんなさい。実は・・・」

「はい、魅了とか洗脳とかその類の魔術を仕掛けつつ嘘の説明するのやめてください。」

「!?気づいていたの?いえ、よくみれば悲しいくらい微弱な魔術回路の名残が感じられるわね。あなた魔術師?」

聞いてて悲しくなりました。

「そう。なら私をここに連れてきたのも何らかの思惑あってということね。何が目的?」

急にきっつい目つきに。恐いから止めて。ワカメ目をそらしちゃう。

「いえ別に何も。「嘘をおっしゃい」いえ本当なんですってば。」

「あなたも聖杯を欲しがる魔術師なんでしょう。願いは・・・その悲しい魔術回路をまともにしたいってところかしら。」

もう泣いてもいいですか?

「一体私に何を望むの?言っておくけどあなたのサーヴァントになるのはお断りよ。第一無理ね。私もついてないわね。マスターから逃げ出したかと思えばまた魔術師の虜なんて。」

「いえ。最初から無理だったのね。私なんて元からこういう運命だったんだわ。いつもいつもこうして男の欲望に慰み物にされながら都合のいい道具にされるのよ。あの時イアソンに騙されたときにそう決まってしまったんだわ。」

うわあ。先に泣かれちゃったよ。しかもこれ絶対面倒くさいパターン入っちゃったよ。

「いえ!本当に何も利用しようとか慰み物にとかそんなんじゃないですから!」

「男はみんな最初はそう言うのよ!大体・・・・」




一時間経過。やっと納得してくれた。

「じゃあ本当に私をどうこうする気はないのね?」

「ええ。わかってくれましたか。」

納得したら、今更のように恥らうキャスター。双方全裸で小一時間わめきあっていました。

「そう・・。ありがとう。」

頬を赤らめる。なんかかわいいぞこの人。堅物葛木先生をもめろめろにしたのはこれかと納得。



「間桐。」

ああ、そういえば一成に服を買ってきてもらってたんだっけ。

「まっ間桐!貴様弱っている婦女子になんということを!」

「いや待て誤解だ一成!」


一時間経過。またこのパターン。

「まあ、出会ったその日に愛が芽生えることもあるだろう。早合点して申し訳ない、メディアさん。」

キャスターさん、他に説明の仕方は無かったのか?

「ふむ、ここは寺だ。行く当ても無き者がしばしの宿坊として使うのも是。まして我が友の思い人ならなおのことだ。メディアさん、しばし此処に逗留されるがいい。間桐、いつでも会いに来るがいい。」

・・・えーと。概ね願いどおりの展開なんですが、なんか違う。

そしてキャスターさん、貴女はなぜ意味ありげな視線を俺にくれっぱなしですか?


この人、ダメ男に引っかかってしまうタイプだ。間違いない。原作で葛木先生に出会ったのは本当に幸運だったんだな。







家に帰ったら桜が鼻をふんふんさせて俺に尋ねました。

「兄さん、今日はどこに行っていたんですか?」

目が恐い目が恐い桜。あと背後から金属が背中に押し当てられる感触。

「さ、桜?ライダー?俺は今日一成のうちに行ってきただけだぞ?」

「へえ・・。お寺に女の人がいるんですか・・・。」

「シンジ。この場での虚偽は死を意味します。」(チクッ)

黒になってる!黒化してる!なぜだ!失敗したのか!こうならないよう細心の注意を払っていたのに!あと当たってる!首筋に鋭利なものが!

「にいさん。」

「は、はい!(ひらがな棒読み?こ、こええ!)」


「蟲が疼くんです。今夜お願いできますか?」

「はいただ今!」

「ライダーも手伝ってね。」「わかりました。」「ちょっと待ておい!」



間桐家の夜は更けていく・・・。





翌日、キャスターさんにくれぐれも人を殺すほど町中から吸い取らないようにと念を押してきました。

当然、その分俺から吸い取りました。

神話の代から伝わる技はすごかったです。













勢いのまま続きを書いてしまった。葛木せんせはまっとうに日の当たる世界で一教師として幸せに生きてゆくことになっております。




[6658] 途中からグダグダになるよりはしょっぱなにグダグダさを見せ付けておきたかったわけで
Name: 犯人◆d1587eef ID:e7e812b9
Date: 2009/02/16 13:51
ジジイによるともう五騎のサーヴァントが揃ったらしい。実はキャスターさん経由で知っていたが。

昨日キャスターさんに小次郎さんを紹介してもらった。すげー美形だった。設定上慎二もそこそこ美形なのだがニセモノとはいえ英雄の美形っぷりはやはりチートだ。

ちょっと落ち込んでるとキャスターさんが「大丈夫。男は顔じゃないんですから」と後ろから抱きしめてきた。あててんのか?あててんのかぁ?おおおおお。桜やライダーほどじゃないが


ペチペチ。スーッ。
嬉しくないものもあててきました。


「今誰のことを考えていました?」

「いえ別に全く何も」

ルールブレイカーだよ、ルールブレイカー。そういやこれでいつでも桜を自由に出来る算段がたったわけか。だがしかし彼女らを引き合わせるのは危険な気がする。主に俺の身の安全的な意味で。











流されたゆたうワカメのごとく  第三話













昨日はそんなことがあったわけだが、とうとう聖杯戦争開始まで秒読みに入ったか。

アレ?そういや凛ってこの後間違ってアーチャー呼んじゃうんだよな?

ちゃんとセイバー呼んだら楽勝でいけるんじゃね?

思い立ったが吉日、つーか時間が無い、今日の夜にでも凛に連絡を取ってなんとか凛がサーヴァントを呼び出すところに立ち合わせてもらおう!

今の俺は一応友人だし、桜の兄だし、これで俺が「間桐の魔術師」だったら魔術師として絶対に遠坂の魔術を見せてはくれないだろうが、実質一般ピープルと変わらない俺ならば土下座でもかませば立ち合わせてくれるかも・・・



「ふざけないで」はい、即答。ですよねー。

ドライでビジネスライクに見えるが実は情に厚い、けどやっぱ基本はドライな人ですよね、凛という子は。

「やっぱり、間桐家も気になるのね。魔術師不在だから今回は参加しないとしても。でもお断りさせてもらうわ。私はこの聖杯戦争に賭けているの。

でも以外ね、慎二。アンタも根っこの部分じゃ魔術師してたんだ。まあ、私が聖杯を手にするのを見てなさい。アベレージ・ワンの所以を見せてあげるから。」

じゃあね、と立ち去っていく。ヤバイヤバイこれは。俺と桜とライダーとキャスターさんの安全が遠のく。あと士郎とか一成とかタイガーとか。

こうなったら。





「で、そこに侵入したい訳なんですね。」
いかにもそうですキャスターさん。
「慎二様の頼みなら否やはないけれど、私の存在が敵に回るかもしれない相手に知れるのは考えものですわ。」
実は耳寄りなお話が・・・。






上手いこと遠坂邸の結界の条件の変更と他者から俺への認識阻害をかけてもらうのに成功した。恨むなよセイバー。これでより強い魔術師のサーヴァントになれるんだ。

だから、一晩着せ替え人形になるくらいは、な?頼むよ?

「よし、後は人知れず凛のフォローをするだけだ「兄さん」」

うわひゃ?さ、桜サン?

「姉さんの家に何の用なんですか?」

「あ、いや、これはだな「こんな夜更けに」」

「いや聞いてく「姿を見えなくして」」

「だから「いやらしいことをしに行くためなんですね?」」

「いや待て待てそもそもなんでお前は俺を認識できるんだ?」

「兄さんに眠っている間に蟲を埋め込みました。」

俺に人権およびプライベートは無いようです。

「兄さんが私に注いでくれた精が魔力になって、滋養になり育まれた蟲です。いわば私た
ちの愛の結晶といっても「いやいや待て」なんですか。」

だからその目はやめて。



~説明中~
    

説明終了。

「つまり兄さんはそのガングロ男じゃなくてパツキンナイチチ美少女が欲しいから姉さんのところへ行くんですね」

伝わってなかった。首筋チクチクされてる。当然だがそこにライダー来てるのね。

「そうじゃない。これも全て強い味方を引き入れるためなんだ。お前(たち)を守るためなんだよ。」

「兄さん・・。(ウルウル)」

なんとかごまかされてくれた。全てを語ってはいないが嘘はついていないはずだ。

「じゃあ私は帰りますね。」

「おう。気をつけてな。」

あとで蟲はルールブレイカってもらおう。





なんだかんだで遠坂邸侵入成功。さすがキャスターさん。

凛はっと、おお、召喚する時間間違ってやがる!さりげなく、あくまでもさりげなく時計の針を・・・。

「バレるに決まってるでしょ!」

おお、これがガンド!ちょ、あぶね、うわ、勘弁してくれ、うあああっと!

「避けるなっ!当たりなさいよ!」

無茶言うな、逃げるに決まってんだろ!くそ、認識阻害が解けかかって、どこか隠れるとこは、それか武器は、お、何だこの宝箱?

「あ、馬鹿、それに触るな!」

え?おい!押すな!

「うああああ」

「きゃっ!」





てなわけで、やってきました例の宝箱の中。


___箱の中には、一組の男女がしょんぼりと座ってゐた___


ガッ!!

いてえ殴んなよ!

「なんか失礼かつ能天気なことを横で考えられた気がしたのよ。
って、アンタ慎二じゃない。」

「殴ってから今気づいたのかよ。」

「なんでここに居んのよ。」

「お前ともつれ合ってこの箱に__」

「そうじゃなくて、ウチに侵入した理由となんで時計なんか進めたのか、よ。」

「お前が間違った時間に召喚しようとしたから。」

「それはわかったわ。あの時反射的に時計を見比べて正しい時間を知ったわよ。」

「自分に味方するような行動をとったのがわかったならもう少し友好的なアプローチをするような考えはなかったのかよ。」

「より正確な情報を聞き出すためには相手より圧倒的に優位な立場を作っておく必要があると思わない?」

うわあすげえいい笑顔でとんでもないことのたまってくれやがりましたよこの人。おれの周りこういう微笑をする女ばかりだな。

「いや、ぶっちゃけ俺も聖杯戦争に参加を強制されててだな、んでも聖杯に興味ないんでお前に勝ち残ってもらってお目こぼしに預かろうかと」

「卑屈ね。」

ぐっ。わかってることとはいえストレートに言われるとけっこうくる。

「でもアンタの間抜けな行動でばれたけど、実際その認識阻害、たいしたものだったわよ?あんたの魔術?それともサーヴァントの実力?どっちにしろそこそこいけたんじゃないの?」

「賭けに出る気はないよ。確実にお前や桜たちと生き残りたいんだ。」

「へえ。そのためならこのくらいのことはするってわけね。ま、嘘はなさそうね。」

「信じてくれるのか?」

「騙す気ならもう少し気の効いたこと言うでしょうし。」

「容赦ないな。ほんと美綴達以外のやつらにもお前の本性を見せてやりたい。」

「あら。そう簡単にはがれる化けの皮じゃないわよ。」

顔を見合わせ笑いあう。少し空気が和んできた。よかった。今夜のせいで本格的に敵対関係になったらどうしようかと__あれ?これは・・・

「ちょっちょっと!それに触っちゃダメ!」

ああ、例のステッキか。って押すな、おい、

「「あ」」

俺を押し倒した凛が床の上のソレを掴んでしまった。





カレイドルビー爆誕!!

脱出成功!

「「「「あ」」」」←(正気に返った凛と俺と桜と、心配で来てたキャスターさんの視線が交錯した瞬間)




   その後は。

「兄さん!やはり一抹の不信感が拭えず確かめに来たら案の定!しかもなんて上級者向けのプレイを!」「慎二様?そういう衣装と小道具を使ったプレイは必ず私も交えてと仰ったばかりではないですか!」「いえあの違うのよこれは決してそういうのじゃ」「やはり一度絞めておくべきでは?サクラ?」「やっぱ居たのライダーうわやめて刺さる刺さる刺さる!」「何をしていたのです?シンジ」「ていうかその人達誰よ?慎二のサーヴァント?」「私もそのローブのヒト気になってました。主に兄さんとの関係について。いえ。これは姉さんについてもはっきりさせておくべきですね。何なんですか恥ずかしくないんですか姉さんは。そんな格好を。あれ?そのステッキ見たことがあるような?」「キャー!見ないで桜!」「あはは。お久しぶりですねえ桜ちゃん?」「喋った?知性を持ったアーティファクトまで使っての擬似3P?なぜそんな高度なプレイに私を呼んでくれなかったんですか!」「お前はしゃべるなこの摩訶不思議アイテム!」「あなたこそ質問の答えのみ喋りなさいシンジ。」「すいませんすいません」


混沌とした状況は最初のドタバタで何故か呼ばれてしまっていたエミヤアーチャーを加えさらに加速し、件のステッキによる記憶消去で決着がついた。

俺と凛の記憶は消されなかった。理由を聞くと、

「あはは。そのほうが面白くなりそうだからですよー。」

そして未だ茫然自失の凛に、

「しばらくキャスターさんのところへお邪魔してきますねー。」

「っな!!一体どういうつもりよ!」

「しばらく退屈しなさそうなんでー。」







翌日。
「・・・あれからどうした?」

「・・・アーチャー叩き起こして掃除。そっちは?」

「・・・眠ってた桜ベッドに運んだら起きて、夜這いと思われてそのまま絞りとられた。」

「・・・アンタ妹に、いえ、私がとやかく言うことじゃないわ。間桐の魔術の一貫なのね。アンタのほうが被害者っぽいし。」

「・・理解が早くて助かる。アーチャーそこに居るの?」

「ええ。アンタは見えないんだっけ。・・あのキャスターは?」

「一成に無理やり用事作って今朝寺に行ったけど、寝てる間にアレ(口に出すのもはばかられる)が柳洞寺まで運んでくれたらしい。」

「アレどうしてる?」

「今のところおとなしい。キャスターとアサシンが居るあそこで存在を気づかれてないらしいぜ?」

「今のところ、ね。」

「「ハア・・・」」


凛とかなり仲良くなれました。望んでいたのとはかなり違う形で。

忘れてたけどセイバーどうしよ?

ランサー前哨戦どうしよ?

今はただ溜息しか出てこない。










スラップスティックって好きですか?
凛と恒例のおかず交換しながら。場所は屋上ですが、作者のイメージでは高架下の赤提灯屋台です。アーチャーは寡黙な屋台の親父。
今後もワカメくんに安息の日々をおくらせるつもりはありません。

気が向いたら続きも書く、かも。



[6658] 話の収拾って、最後に爆発してみんながアフロになればつくんじゃないかな、とか思ってるわけで
Name: 犯人◆d1587eef ID:e7e812b9
Date: 2009/02/17 05:38
今、目の前で化け物同士の戦いが繰り広げられています。

ぶっちゃけ引いてます。これからを生き抜く気力が持っていかれそうです。

ランサー兄貴、手ぇぬいてあれなのかよ。

アーチャーもすげえ。他の英雄はそういう生き物として見ればそう納得できんこともないんだが、元一般人がどうやってあそこまでいけるんだ?

親友のたどり着いた境地に目頭が熱くなると同時に今後の付き合いを考えたくなる光景です。

アレ?確かこの戦闘って互角で終わるんじゃなかったっけ?弓兵が槍兵にあわや必殺技まで出させそうになるっていう・・・。アーチャー普通に押されてる?







流されたゆたうワカメのごとく  第四話 前編







おっと終わったようだ。こうしてはいられん。士郎を救わねば。

ここで凛があの宝石を使ってしまうのは損失だからな。

よく考えてみたが、凛はあのドタバタのせいでアーチャーと喧嘩していないので令呪がまるまる残っているのだ。

これは原作に比べ大きなアドバンテージといえる。ついでに宝石も温存させて後を楽にしようというワカメの知恵なのだ。





あ、ありのまま今起こったことを話すぜ!

「襲われる士郎を助けようと思ったら、自分が襲われる側だった」

な・・・何を言っているのかわからねーと思うが、俺も何をされたのかわからなかった・・。

頭がどうにかなりそうだった・・・。ご都合主義とかバタフライ効果とかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。
もっと恐ろしいものの片鱗をっておい!早い!早いよ!ランサーさん!

ちなみに俺がどうやって士郎を救うつもりだったのかというと、単に原作で士郎が襲われた廊下の近辺にトラップをあくまでも軽く桜に仕込んでもらい、遠隔で俺が発動するという単純なものだった。



~昼間・学校~

「あー桜、今いいか?」

「なんですか?」

「ちょっと放課後に力を貸して欲しいんだが。」

「何にですか?」

「これこれこういうわけで、聖杯戦争絡みで俺が学校で襲撃されたときに敵の気を引けるように仕掛けを作っときたいんだ。士郎や藤村先生も巻き添え食うかもしれんだろ?そのためにも。」

「わかりました!ええ、お二人のことも考えてさしあげないといけませんよね。藤村先生にはお世話になってますし、衛宮先輩は私の理想の兄ですから!」

「・・・ちなみに俺は?」

「兄さんは私の理想の”オス”__男性です!」
今言い直した。

なんか思考様式に人間以外のものが混じってきているような気が。早く蟲とってやらないと。
頬を染めてすごいいい笑顔でいやんいやんとはにかんでみせる、愛する妹にかける言葉を俺は持たなかった。
雁夜さん、桜の育て方はこれでよかったんですか。

全てが終わった後、蟲とかいろいろ解除してやってもこの後天性格は矯正できない気もする。


放課後、桜は嬉々として立派な蟲トラップを造りあげてくれました。

俺が遠隔操作することが可能なそうです。

・・・うん。俺に埋め込まれた例の蟲の恩恵らしいんだけどあまり考えたくない。
ていうか俺の中のやつ、刻印蟲の類じゃないよな?




ライダーは俺の傍に居ない。とっとと桜のところへ行ってしまった。いや、真のマスターは桜だからそれで正しいんだが、釈然としないのも事実。

前回記憶を消されたとはいえ俺の傍にキャスターさんの関与をなんとなく察知してるから放置してるんだろうなあ。

簡易トラップは当然発動しても大して効果のないものだが、はなから様子見のランサーはちょっとでも怪しいものがあれば、ランサー好みのタイマンイベント発生以外は素直に引いてくれると期待していたのであったが・・・。





~再び夜~

校庭をはさんで校舎とは反対側にいた俺のほうが士郎より早く発見されたわけだ。アーチャーは当然我関せずの構え。

うわああんヤバイマジヤバイ

「大丈夫か慎二!」士郎!?

「貴様何してる!」とあのランサーと向かい合う。

士郎、お前本当にいいやつだよな。けど今は素直に逃げろよ!

!?アーチャーが足止めの援護射撃をしてくれてる?遠坂・・。いやこれは一般人で桜の先輩の士郎を助けてくれてると見るべきか。

なんだかんだでまだ俺とは明確に味方になったわけではないし。俺がここでやられても聖杯戦争に参加した魔術師としての運命と割り切るだろう。悲しいけどそれが俺の扱いなのよね。

ってヲイ。せっかく温存した令呪は使用してないだろな。

とにかくこうなったら、

「士郎、おまえんちになんか武器はあるか!(士郎んちに行ければなんでもいいんだけど)」

「親父の銃があったような!」

爆弾発言してる辺り士郎もテンパッてる!

「ハァハァ、じゃあそれを取りに行くぞ、アレから逃げきるのも隠れるのも無理だ!」

「い、いやしかし、」

「いいから言う通りにしろ!俺はお前よりはアレを知ってる!」

「!?慎二お前も魔術をしってるのか?」

なんとか理由をつけて士郎んちでセイバーを呼ぼう!


なんとか逃げ込んだ衛宮邸、飛び込む土蔵、そして_____





「問おう。あなたが私のマスターか。」


セイバー召喚!

当然鎧袖一触で撃退、そして協会へ出向いて、バーサーカーイベント、そして同盟締結!





と、思っていたのだが、

俺はこのときまだ知らなかった。

この世界は、ギャグおよびだめんずうぉーかー補正がかかっているということを。
いざランサー撃退、というところでランサーを追って予想外の人が衛宮家に駆け込んできた。

「ダメットさん!?」

「な、初対面の人間に対しなんという失礼な物言いをするのですか!」











本作品においては私が愛するキャラほど壊れていきます。
桜もキャスターさんもすごく愛してます。





[6658] 四話 後編  創作は楽しいけど「夢オチ」という単語がふと頭をかすめることもあったりするわけで。
Name: 犯人◆d1587eef ID:e7e812b9
Date: 2009/02/17 20:31
前回に続き目の前で家を破壊しつつ人外の戦いが繰り広げられています。

ダメットさん・ランサー対セイバー対アーチャー

事態は益々混沌と化しているようです。あ、また壁が。ハンパに干渉しすぎたツケですか?
凛直しきれるかな。手で修理できるぶんは手伝ってやらなけりゃな・・。

「俺の家・・。親父との思い出・・・。ばかとらとの日々・・・。」

すまん士郎本当にすまん。こうもグダグダになるのならもう少し原作をなぞろうとするべきだったかもしれない。

「ハッハア!嬉しいねえ!やはりこうでなくちゃな!」

「やるな。しかし未だ間合いを掴みかねている様子。斬られるまでに捉えきれるかなランサー。」

「やれやれやっと追いついてみれば敵が増えていてしかもそれぞれ敵対している様子。どうしたものかな、マスター?」

?さっきも思ったが、言葉ほど余裕が感じられない。なんだろう、調子悪いのかアーチャー?いや!ランサーが強い?

「ランサー!そこの少年、私を不愉快な呼びかたをしましたが、察するに本名を知っているようです!単なる偶然の目撃者ではない様子。排除しておくべきです!」

うわあ矛先がまたこっち向いた!

と、思ったら、

「まあ待てよ。てことはその小僧は「こっち」の関係者だっていうことだろ?今殺しちゃまずくなったってことじゃねえか?いいのかい、あの旦那の言付けに逆らうことになっちまうぜ?」

「くっ。確かに。ここは引きます!」

あ。やっぱ神父の例の意向で初手は様子見なんだ。つかダメットさん自分の意思で神父のところいるの?

「人をダメ呼ばわりした報いは必ず受けてもらいますよ!」

怨敵認定された!また俺余計なことした!?
俺のスキルに「女難」ある!絶対ある!きっと「うっかり」以上のデメリットだ!

「そういうわけで、仕切り直しだセイバー。またな。小僧、拾った命、冥加にすごせよ。」

「くっ。待てランサー!決着はついていない!」

去っていく主従。一安心、と思いきや____

「貴様は残ったかアーチャー。ではこの場で貴様だけでも倒すとしよう。」

「やれやれ猪突なことだ。こちらはそちらの、おそらくはマスターを守るため尽力していたというのに。」


そろそろ止めないと、というところであかいあくまが到着した。3倍の速さでは来れなかったらしい。

ゼーハーと息を切らし、うつむいて膝に手をあててクールダウン中。

面を上げて、
「(はあはあ)ちょっと、(ぜえぜえ)待ちなさい。い、今どうなっているの?それ誰?ランサーはどうしたの?いったい__」

そこまで言ったところで、屋敷の半壊に続き自分の憧れだった少女の形相に茫然自失のブラウニーに気づく。

「(首筋ピン、背筋シャン、表情キリリッ)あら、今晩は、衛宮君。」

「もう遅いと思うぞ。」
「うるさい。」









流されたゆたうワカメのごとく   第四話 後編














そんなこんなでとりあえず壊れた家を応急修理。ざっと見えるところだけ何とかして後は冬木の管理と聖杯戦争の運営に関わる部署のものが何とかしてくれるらしい。

で、ちゃぶ台囲んで現状の確認となったわけだが、

「___なるほど。つまり衛宮君が最後のマスターになったわけね。」

「さっきからちょくちょくその単語を聞くけど、マスターって何だよ?」

「・・・そうね。衛宮君は魔術の世界に疎い独学の魔術師だったわけだから知らないのも無理ないわね。」

俺にはわかる。なんでこんなやつが最良の従者を、という怒りが。
笑顔の額に井桁うかんでるし。

しかしなんだかんだで原作準拠の呼び出し方になってしまったな。当初の計画では俺がキャスターさん作のクリーチャーにライダーとともに襲撃され、士郎が巻き込まれてピンチになり、セイバーを呼ぶとかいう猿芝居でも打つつもりだったのだが。

まあなんだかんだで士郎の令呪も凛の宝石も消費せずに済んだし、終わりよければ
おっと。説明終わりそうだな。


「____というわけよ。詳しくは教会で聞くのね。なんでも答えてくれるわよ?」

「よし、じゃあ、行こうか。」
と言った俺に、

「はあ?何言ってるのよ。私がそこまで付き合う義理も無いでしょ?」


・ ・・へ?

ああ!そういえば凛が教会まで送ってくれたりしたの、士郎がセイバー止めてアーチャー守ってくれたりしたから借りを返すためだっけ?ことによっては令呪まで使って。


しまったああああ!今回凛に迷惑かけただけじゃん!






桜とライダー、キャスターさんまで呼び出し、俺が送っていくことになりました。

だってこの後バーサーカーの襲撃がありそうだし。ヤツには全戦力を用意しておかないと。それでも充分とは思えないけど。

「悪いな、慎二。わざわざつきあわせてしまって。」

「あ、ああ、気にするなよ。俺を助けようとしてお前は巻き込まれたんだもんな。」

「いや、それでもだよ。遠坂はもう完璧に俺のこと競争相手だって割り切っちまったみたいだしな。」

ごめん。俺がお前と凛の一本目のフラグ叩き折った。

「だからやっぱりありがとう。」

痛。純粋な視線が痛。なんだろうこの罪悪感。

アレ?なんか別の熱い視線も感じる。・・・ライダー?眼帯越しの熱視線とは相変わらずな。しかしなんで俺と士郎をハァハァ言いながら見てるんだ?


3Mほど後方
「どうも初めまして。なぜか初めましてな気がしませんけど。間桐慎二の 義 理 の 妹 の桜と申します。」

「あらどうもご丁寧に。わたくしメディアと申します。ああ、姓はありませんの。 ま だ 。 そのうち 間 桐 になるかもしれませんけれど。」

「なぜかしら。ごく最近にもこういう心温まる会話を楽しんだような気がします。私」

「まあ奇遇ですわね。わたくしもですわ。」

「うふふふふふ」
「ふふふふふふ」

聞こえない。聞こえないったら聞こえない。
つかキャスターさん魔術師相手にも本名ばらすのな。ホロウでも本名叫んでまわってたけど、名前知られたところで呪詛とか跳ね返すぐらいの自信があるんだろうな。魔術ではなく呪術方面は特に。浮かれてるだけの線も濃厚だけど。

とかやっているうちに教会到着。

「じゃあ神父に会ってくるか。」
「待ってもらおう、アサシン。」

セイバー?

「少し話したいことがある。残っていただこうか。」

「じゃあ俺一人で話を聞いてくるよ。」

「あっおい士郎!」

行ってしまった。
「しょうがない、か。ていうかなんで俺をアサシンと?」

「隠してもわかる。私に全く実力を悟らせないとはかなりの手練。だがこれほどの魔術師が呼び出したサーヴァント、見ての通りの実力のはずがない!それほどの偽装の巧者、アサシンとあたりをつけるのは当然。暗殺者とマスターを二人きりにさせるほど私が間抜けだと思うか?」

魔術師、のところでキャスターさんを指差す。自信たっぷりに。

あー、そうね、そう思うのも無理ないかもね。さっき凛は全く俺についての話はしなかったし。
魔術師でもないやつが参加してるとは普通思わんよなあ。

「ふっ。私の完璧な洞察力に言葉もないか。」

「いや、そっちのがキャスターのサーヴァント。マスターなし。」

「え?」

「そっちがライダーのマスターで、ライダー。俺はライダーの代理マスターね。」

キャスターさん、桜、ライダーと順番に指差していく。

「え?え?」

「慎二様。殊更本当のことをばらすこともなかったのでは?いい具合に勘違いしてくれてましたし。」

「そうです、シンジ。」

「士郎とセイバーは最初から仲間になってもらうつもりだって言ったろ?まずは相手に包み隠さず話して信用してもらわなきゃ。」

「兄さん、あまり派手にやるのは。蟲を中継したお爺様に対する偽装工作と偽情報も限度があるんですから。」

「すまん、そっちは迷惑をかけるな。」

「いえ、いいんです。兄さんの頼みですから。」

「えええええ?」




~セイバー石化中~ 注・ライダーはキュべレイを発動していません




「戻ったよ。ってセイバー?」

「こ、こ、」

「どうしたんだ?」

「この聖杯戦争はどうなっているんですかーーーー!!!」

「あーあー、恥ずかしい」
「自信満々に」
「カッコつけた分空回りですね」
容赦ないな女性陣。

「ま、まあ気にするなよセイバー。すごく妥当な推理だったと思うぜ?感心したもん俺。」

「ラ、ライダーのマスター・・・。」
すがるような目を向けるセイバー。
そしてそれを見た女性陣からゆらりとオーラが立ち昇り、さらなる精神攻撃を開始した。



帰り道。同盟の提案をしながら。予想通り士郎は乗り気だがセイバー渋め。
「もうなんかいろいろあって疲れました。私の知識はもはや通用しないようです。」

あ、セイバーの口調が固くなくなってる。やっぱ俺としてはさっきまでのは違和感あったんだよね。

「では顔合わせも済んだところですし、解散して帰りましょうか。」

「あらあらメディアさん、なぜうちの兄さんを引っ張っていこうとするんですか?お一人でお帰りくださいね?」

「この女狐。置物になって自分の寺の狛犬の横に並びたいのですか?」

「慎二。お前、その、なんて言うか・・。」

「ああ、わかってる。いいたいことは伝わってるよ。」

「頑張れよ」「ああ、頑張るよ」

?またライダーのねっとりとした視線が絡みつく。



「ふうん。ずいぶんと暢気な集団ね。」


はい来たーーーーー!

バサカ襲来!

「そんなことで勝ち抜けると思ってるのかしら。まあ、どっちにしても勝つのは私とバーサーカーだけどね。」

「○○○○――――○○○○○○!!!!」

うお!実際対峙してみるとハンパないプレッシャーだ!こりゃ勝てる気しない!





____戦況は思わしくない。
キャスターさんの上空からの爆撃は当たってはいるがゴッドハンドを削るに至っていない。
桜はいうに及ばず、ライダーも決定打に欠ける。ベルレフォーンを使うには間合いが悪い。
頼みのセイバーは、今、剣を杖にして支えている状態だ。やっぱアーチャー抜きでは難しいか?

危ない!ここで士郎が助けに入る場面か?
って士郎すでに倒れてるし!

え、え、ナニこの場面。ひょっとして助けに入るの俺?アヴァロン無いのに?生身の俺が?

畜生、行くっきゃねーーーー

「キャスターさん全力で俺の体強化してーーー!」
神よ。初めてあなたに祈ります。

「拳がサーヴァントにダメージを与えられるようになるくらい」の強化で、あの竜巻のような攻撃にどれほどの効果があるのか?
間に合ええええええええええ


わが道を走る名前のロボットアニメの主人公ならここで「神様信じちゃう!」とか言うんじゃね?

なんかイリヤが止めさせたようにも見えたけど。

「ふうん?刻印蟲が___。いったい今回の聖___どうなる__ね?」

何を言ってるんだ?よく聞こえない。

「じゃあね。楽しかったわお兄ちゃんたち。また遊ぼうね。」



さらばロリブルマ。できればもう二度と会いたくない。

「兄さん!無茶しすぎです!」「そうです!死んでしまうかと!」
抱きついてくる二人。

「サクラをこの身空で未亡人にする気ですか!」
ライダー、いろいろ飛ばしてる。

「シンジ。」

うん?

「そう、呼ばせていただきます。思えば貴方は最初から私に信を置いてくれ、先ほども助けられた。騎士として、それに応えましょう。」

おお、いつのまにか好感度稼いでいたっぽい!

「あくまで暫定的にですが、手を組ませていただきましょう。よろしく頼みます。」

よっしゃ!とりあえず同盟締結!戦力強化!




こうして長い夜が終わった。





わけも無く、今回の戦闘でまた魔力を消費したキャスターさんに吸い取られた。あの人そのためにバカスカ撃ってたんじゃね?
明け方近くに帰ったら当然桜が待っていた。「ご飯冷めちゃったなー」とか言いながら。
ご飯の代わりにいただかれました。

ワカメ、乾燥ワカメになっちゃう。










戦闘シーン?そんなものは飾りです。今回から戦闘が始まりましたがあくまでもふざけ続けます。重い話など書けん。
ライダーのキャラを広げようとして失敗した感が拭えません。
アーチャーもそうだったけど、神父初登場回で出番とセリフなし。
ちょっと更新は滞るかも。
意外と好評いただけているようでなによりです。



[6658] 五話 やっぱりこういうグダグダ話が書きたくってこういうの始めたりしたわけで
Name: 犯人◆d1587eef ID:e7e812b9
Date: 2009/02/19 00:19
さて、と。嵐の一日がなんとか終わったけど、凛どうしよ?

凛の仲間フラグに必要なのはバーサーカーと学校のブラッドフォード・アンドロメダ。

バーサーカー前哨戦に凛とアーチャー来なかった。

ライダーのマスターは俺。一応俺。俺ったら俺。

よってアンドロメダなんて設置してません。あ、ぶっちゃけ一般ピープルの心配までしてません。自分大事。

でも仲間も大事。セイバーや士郎をこっちに引き込むにはアレはご法度だし、虎や一成を巻き込むのも気が引ける。
キャスターさんにもアンドロメダの件と同様の理由で街中からちゅーちゅーするのなるべく控えてもらってるし。

おかげで今日も腰が・・・。

閑話休題。そういうわけで・・・・・。

凛を仲間にできなくなるかもしれないんだな、これが。

って、冗談じゃねえ!











流されたゆたうワカメのごとく   第五話












とりあえず後で何とかして口説き落とすとして、現状での凛がいないデメリットを見直そう。

凛が仲間にならないってことは士郎の師匠も手に入らないってことだ。どうするか…って

うちキャスターさん居るじゃん。

なんとか頼めないかな?





特訓タイムin衛宮邸


ダメでした。なんというかあの人天才肌。いや実際天才なんだろうけど。人に教えるのに致命的に向いてない人だった。

「そこでグッといってガッと込めてドバァーッとやればいいのよ!わからないの?」

わ か る か !
   
すごく長嶋元監督式だった。

途中みんな疲れて腹ペコライオンによる音頭のもとメシにすることになり、なぜか士郎とキャスターさんが先生と生徒の立場を入れ替わって料理の授業が始まることになった。
「女体盛り」という単語について特に熱心に質問していたのは聞かなかったことにしたほうがいいな絶対。

セイバー、期待するな。お前が喜ぶ類の料理ではない決してない。

士郎がその質問にきちんと答えられていたのもまたビックリだ。藤村組の方たち、ナニ作らせてんだ。虎にチクってやる。

「桜、お前が士郎の先生するとしたら、どう教える?」

「まず蟲を用意します。」

はいアウトォ!

「そしてこちらに既に3ヶ月壺につけたものがあります」

「料理教室の流れで出すな!ていうか士郎にそれ埋め込む気か?」

「?」

「なんでそこで不思議そうな顔をする。」

ってそうか。桜は俺にも躊躇無く蟲を埋め込む子だった。誰のせいでこうなったんだ。うん、一部俺のせいだ。ごめんよ桜。

「?どうしたんですか兄さん?」

頭を撫でる俺とされるがままの桜。妙に嬉しそう。おお、これが伝説のナデポ!やばいこれはハマる!

そのあと羨ましがったキャスターさんにもなでなでを強請られたり、ライダーが羨ましそうにしてたり、タイガーが乱入してきてキャスターさんが例のゴミ袋変化で隠れたり、ライダーは落ち着いて霊体化してたり、そういえばセイバーは消えられなかったりで、結局なんだかんだでタイガーにみんなを紹介することになった。

「へー、ライダーさんとメディアさん、セイバーちゃんっていうの。
んーじゃまずセイバーちゃん、日本へはどういう用事で来たのかな?」

「望むものを手に入れるためです。」

「へー、それってナニ?」

「大事な人たち、いえ、私の子供といってもいい、そんな存在と、その人たちの幸福です。
そしてそれをこの手にするためには、士郎の協力が必要なのです。」

「しろおおおおぉぉぉぉう!!!こどもとか協力とかどういうことよう!!」

がおーー!!
おお。初めて見た。あれが虎竹刀。

「ちなみに私は慎二様と」

「私は兄さんと」

「乙女ロード…」

「……がーーーーー!!!」

うわ、タイガーが無差別モードに入った!

結局士郎の魔術回路の問題は解決しなかった。

ダメだ。やはり俺たちには凛が必要だ。出来るだけ早急に。

とはいえ、何の進展も無かったわけでもない。すっかり忘れてたがキャスターさんには「陣地作成」スキルがあるのだ。衛宮邸が間桐邸、柳洞寺に続く拠点として強化されたのは大きい。工房のレベルも上がったし。


虎が帰った後、

「凛の説得だけど、どうする?」

「やはり遠坂邸へ説得に行くのはリスクが大きいんじゃないですか。」

「だよなあ。ケンカ売ってると思われるよな。向こうの本拠地でそれは不味い。」

「学校で明日話しかければいいんじゃないのか?」

「シロウ、この状況下でのんきに学校に来るほうが異常なのです。」

「怪しまれないためにあえて危険を承知で日常生活を続けるのもありでしょうね。
けどこの地の魔術師の顔役で、聖杯戦争の元締めの一つである遠坂の、たった一人の人間よ?参加してるマスターの一人ってことはばれてるわ。
なにか学校という場所に行く特別な理由でもなければ、こないと考えるのが自然ね。」

「じゃあ俺は行くべきなのか。」

「「「「「却下」」」」」

「な、なんでさ。マスターであることはばらさないべきなんだろ。」

「もう全員にばれてるだろが。」

そうなのである。セイバー、ライダー、キャスター、アサシンはこちら側、ランサーとバーサーカー、アーチャーにもすでに主従ともに顔合わせ済み。
誰に隠すというのか。ギルか?ジジイか?出るかわからん真アサシンか?

改めて考えるとそうそうたる味方の数だな。
バーサーカー倒した後で同盟解消(する気ないけど)後、セイバー本気でこの陣営に勝てるつもりなんだろうか?
まあ小次郎さんとは会ってないし、ベルレフォーンも本気のキャスターさんも見せてないもんな。実際結果はわからんなあ…繰り返すが同盟破棄しないけど。

「おまけにシロウはセイバーを私のように霊体化させて同行させることが出来ないではないですか。」

「でっでも、やっぱり学校には行かないと、」

「ふ、ふふ、ふふふ、」

あ、やば。

「シロウ!貴方にはマスターとしての自覚が足りない!これは私が心構えから叩き込む必要があります!」

「じゃ、俺らは帰ろうか。」「ええ。」「そうですね。」「また日を改めるということで。」

「え?え?」

引き摺られて道場へドナドナされていく士郎。



しっかし、どうしたもんかなー。アンドロメダも葛木先生のマスター化もなければ凛は学校に来なくなっても不思議ないし。原作知識も当てにならんし。






「ひいいいいいーーーー」

「避けられます!貴方は絶対にこの剣を避けられます!大丈夫、出来ます!気持ちの問題です!もっと熱くなりなさい!」




お。松岡修造式だ。













ワカメだけ活躍するのもなんなので、ブラウニーにも出番を与えました。
オチ的な意味で。
なんかこのライダーも愛しくなってきました。
感想の半分くらいが「もっとやれ」なので、
もっと愛しちゃっていいですか?
感想お待ちしてまーす。



[6658] 六話 前編 ワケワカメというフレーズを最初に考えた人は天才だと思うわけで
Name: 犯人◆d1587eef ID:e7e812b9
Date: 2009/02/20 20:26
士郎のようにとりあえず学校へ行くっていうのはどうかと思ったが、実際のところ、学校へ行くという選択肢は悪くない気もする。

俺たちのような学生マスターの存在が既にランサーとダメットさんコンビ、神父、ジジイ、バーサーカー陣営にまでばれているからだ。よって学校を襲撃してくることだってありうる。

ならば前もっての備えとしてこちらが罠を仕掛けておくことだって出来る。相手が学校に俺たち用の罠を張るならそれを逆手に取ることもできるかもしれん。

けど、まあこれは一般人の被害を考えない場合の話である。繰り返すがそれは士郎の趣味じゃない。あいつのそれを甘さと断じるのは簡単だが、強さでもあることを俺は知ってるからな。

そういうわけなんで、トラップを張るのはやめだが、向こうに張られて無差別テロされないように注意はするためにやはり学校へも行ったほうがいいだろう。正義感あふれる身内への点数稼ぎのためにもね。

さらにもう一つ、なるべく学校で守らねばならない、身内に抱えた爆弾の存在を思い出した。

その名はタイガー。キャスターさんが原作において人質作戦を敢行したのを思い出したのである。ジジイならやりかねん。あのジジイがいつまでも俺たちの思惑に気づかないなどありえん。

あーもうあの虎ほんとに世話が焼ける!!

てなわけでなるべく学校に行こうということになったら士郎が嬉しそうです。令呪は軽々しく使うなよ?

なんだかんだでこの笑顔のため頑張ってしまう俺は甘い。

「ハァハァ。」

どうしたライダー?












流されたゆたうワカメのごとく  第六話 前編














凛も来てました。まあ予想の範疇でした。

とりあえず説得を開始してみる。

おおおガンドガンドまたガンド!

「ちょ、問答無用かよ!」

「うっさいわね!さっきもどっかの馬鹿が能天気に説得に来てたのよ!サーヴァントも連れずに一人でのほほんと!」

うわぁ最悪のタイミング。そりゃ怒るわ。




一旦退却。変に人目を避けたのが不味かった。ていうか士郎くん空気読んで。




仕切りなおし。

今度は教室で。やばい単語は出せんので、とりあえず後ほど話し合う場を設けることだけでも取り付けられれば。

「遠坂さんちょっといい?」

「あら間桐くん、なにかしら?」(オーラから察する意訳:話しかけんな)

「後でちょっと話があるんだけど。」

「ごめん今日はちょっとこれから忙しいの。」(てめーとは敵だっつってんだろが)

「いつなら暇があるかな?」

「ごめんちょっとまだはっきりわからないの。暇になったらこちらから連絡するわね。」(いつだと?おとといじゃヴォケ!)


泣きそうになりました。

「ははっ。手ひどく振られたみたいだな、慎二?」

「美綴。ああほんとにな。」
ここでは、俺は普通に副部長してるのでこいつとも仲がいい。果てしなく陰湿なあのジジイの家で生活していると、こいつのこういうカラッとした性格にはほんとに癒される。

「あんたも桜も最近弓道部のほうを休みがちだけど、どうかしたのか?」

「ちょっと家の中でゴタゴタしててな。まだしばらく行けそうにないみたいだ。」

「そっか。大変だな。桜がこのごろ様子が変わったような気がしたけど、そういうことだったんだな。」

「様子が?」

「ああ、思い出したように変なノートにたまに何か書いてるんだ。」

「………ああ、心配をかけちまったようだね。兄貴として礼を言っとくよ。」

「は、なんのなんの。なにか相談に乗れることがあったらいつでも来なって言っといて。」

「ああ、そうしとくよ。」

はあ。和む。思えば最近殺伐とした世界に生きすぎていたかもしれない。
んお?あててる?背中とほっぺたに天国と地獄ををダブルであててきてる?

(慎二様、目移りしては嫌ですわ。)

(わ、わかったからその二つを押し付けるのやめて。)

そうなのである。場合によっては凛との対決もあったので、キャスターさんに憑いてもらっているのだ。

「どうした慎二?」

「い、いやなんでも、ちょ、あ、そこは、」

「慎二……あんたの家のそれ、なんかよっぽどひどいゴタゴタのようだね。桜だけじゃなくて、あんたもいつでも相談しに来なよ?あたしでよければ力になるからさ?」

「う、うん、そうする。」

「そういや会長の一成もなんかこのごろおかしかったな。」

「一成が?どういうことだ?」

「いや、なんか深夜に徘徊していたとかいううわさがあってさ、目撃者は何人もいるんだけど、それを指摘すると否定するんだってさ。生徒会長がそれだと示しがつかないだろ?けど本人は知らぬの一点張りだし、結構職員室でやりあってたみたいだよ?」

「ちょ、マジか?」
詰め寄る。

「お、おい、どうしたんだよ。」

「ああ、ごめん。そのうわさ本当?」

「あ、いや、べつにいいんだ。うーん、あたしは本人に確かめたわけじゃないからなんとも言えないけど、あんた親友だろ?本人に聞いたらいいんじゃないの?あんたにゃほんとのこと話してくれるだろ。あいつの性格からいって。」

「それもそうか。」

(念のため聞くけど、)

(わたしではありませんわ)

(じゃあ調べて見る価値あり、か)

(慎二様。直接面と向かって訊くのは)

(わかってる。どんな条件付けの暗示がされているかわかったもんじゃない)

訊いた瞬間グッサリでタイガー道場行きがあったもんな。

(個人的には気が進まないのですが)

(でも危険を冒さなければならないときも)

(いえ、そうでなく、あの小姑を助けることが、です)

(?)

キャスター昼ドラ劇場「嫁姑骨肉の争い」
「メディアさん、少しこの味噌汁、出汁が採れていないようではないですか?」
「メディアさん、板葺きの本堂はそういう雑巾がけをすると傷むのです。」
「メディアさん、このふすまはなんですのっ!埃が残っているじゃないっ!」
「朝起きたら一番に朝刊を取りに行くのが仕事でしょう!」
「あんたの飯なんか不味くて食えたもんじゃないわ!もう出前取りました!」
「ああもう、使えないヒトねっ!そんなんじゃとても慎二の嫁とは認められないわ!」

「ああ、お義母さま、そんな、どうか、どうか、」


(…うそでしょ?)

いや、そんなイベントがたしかホロウであったような気もするけど、この世界に来て普段の一成を見てるとまさかねぇ。

(ああっ!アナタまでそんなことおっしゃるのね!私の味方なんて誰もいないんだわ!)

(ああ、そうじゃない、そうじゃないんです、キャスターさん)

(だってアナタったら未だに私のことを名前ですら呼んでくださらない)

(いや、それとこれとは)

(きっともうアナタの愛なんて冷めてしまったんだわ。いいえ、最初からなかったのよそんなもの)

またこのパターンか。…しゃーねえ、ここは、

(そんなはずないだろう?俺は君を愛しているよメディア)

(えっ?)

(愛していると言ったんだよメディア)

(ああ…うれしいですわアナタ、もう一度おっしゃって)



「……さっきから一人でわたわたとなにやってんだ、慎二?」

「はっ?あ、いや、その、だな。」

「本当にあんたの家、大丈夫なのかい?やっぱここはあたしが一肌脱いで。」

「いや大丈夫だ!お前が出るほどのこっちゃないよ!」

(とりあえず一成を探ってみよう、いいですね、キャスターさん?)

(…………)

(んんっ、いいですね、メディアさん?)

(はい♪わかりましたわ慎二様♪)



とりあえず凛との同盟は置いておくか。まずは一成を操るやつを探るとしよう。





「…やっぱ心配だな。よし、ここは一つ、」

「美綴、なんか言ったか?」

「いや、なんにも。」













今回もあんまり場面が進んでいませんが、どうでもいいところに時間をかけることがこの駄文のレゾンデートルですのでご了承ください。

感想の欄に最強化SSの希望があったのですが、その予定はありません。
ワカメは最弱であるからこそワカメなのであり、それこそがワカメをワカメたらしめているのですから。
すなわち飛べないワカメはただのワカメで、ワカメよ、ワカメだ!ワカメだ!お前はワカメになるのだ!とワカメの穴で鍛え抜かれたワカメがワカメマスクなのであり、尾張名古屋はワカメでもつわけで何のことやらわけわかめということなのです。

あ、なんか綾子登場の希望がわりとあったんで、出しました。
いまのところ綾子を壊すつもりはありません。
もっとやれとか言うなよ?いいな絶対言うなよ?わかってるな?空気読めよ?



[6658] 六話 インターミッション  私、実は、もっとやれが怖いんです。
Name: 犯人◆d1587eef ID:e7e812b9
Date: 2009/02/21 23:05
「そうなんですよ。本当に凛さんってばいじり甲斐があるんです。ふふっ。」

「えー、あはは。そんなことがあったんですか。」

「ええ。もう少しですね。」

「はい。それではまた。」

あれは…なんなんだろう。一成が仏頂面の神父と向かい合って話しているのか?

でもそれにしてはおかしい。一人の声しかしないし、神父も一成も喋っているような挙動がない。第一聞こえてくるのは女の声だ。

何なんだ?これは。この教会で何をしているんだ?

「ふむ。では…潜り込んだ鼠の始末をつけるとするか。」

__え?

そこで、あたしの意識は、すっと、刈り取られた。













流されたゆたうワカメのごとく  第六話 インターミッション











なぜ、こんなことになったのだろう。

あたしは、ただ、慎二の心配を取り除いてやりたかったんだ。

あたしはあの兄弟が意外といってはなんだが精神的にも肉体的にもタフであることを知っている。


桜は柔和な雰囲気をまとっているが、怖いぐらいとても強い子だ。あの子のことをなんでも言うことを従順に聞いてくれそう、とかいろいろ言う事きかせてえとか言っている部員達がいるが、そいつらにはあの子のナンパの断り方を見せてやりたい。

しつこいナンパ野郎どもがあたしと桜と、もう一人いた連れを相手に強行手段に出ようとしたとき、「殺しますよ?」という言葉が本来の意味で使われるところをはじめて見たんだ。止めなければ物理的に実行していたと思う。

結局向こうから全速力で走ってきた慎二がナンパ野郎の後ろから蹴りをかまし、ダッシュで逃げていったんで、慎二とそいつらの鬼ごっこが始まってうやむやになったわけだが。

そんな怖いところもみせる子だが、あの子が兄を見る目はいつも優しい。兄、弟、父、息子、恋人、夫…そういったあらゆる男性への思慕の念に溢れている。


慎二は普段バカばっかりやっていて、しょっちゅうポカをやらかして周りを沸かせている。面倒見がいい割に抜けたイメージが蔓延しているのが、女のあたしが慎二を差し置いて部長になった理由である。

けどあいつは、なんというか、中心がブレていないんだ。衛宮は一種の鈍さもあって物事に動じないんだが、慎二は動じるが芯が揺れてない。

突発的なアクシデントやらに慌てた風でも、頭の中ではきっちりと対応している。

弟の漫画で読んだフレーズだけど、「男はへその下」だったか。おたおた不恰好にびびりまくっても、丹田の力は縮んでいないっていう。

乱暴なOBとやりあったときも、人の機微に疎い衛宮が他校のヤツに因縁をつけられてたのをなんとかしたときも、あいつはそうだった。

そういう兄妹だからあたしは好きなのだ。




その二人が、なんだか最近様子がおかしい。不安が透けて見えるのである。あの二人に限って、お互いが無事である限りそんなものとは絶対に無縁だと思っていたのに。

なのであたしはおせっかいもいいとこなのは百も承知で、まずは事情を知るべくつけていたのだ。家の中のこと、といっていたが、ここのとこ慎二たちがいつも出歩いていて、おそらくは外に心配事があるだろうことをあたしは知っている。

まずは昼間気にしていた一成のことを解決するためにあいつの所へ話しに行くだろう、と思い、そいつが終わったら尾行開始と意気込んでいたのだが、

慎二は一成と話をすることもなく、後をつけだした。

普段のあいつと一成のやり取りを見る限り、互いに胸襟を開くような付き合いをしているのを知っている身としては、不思議に思うと同時に興味が湧いた。

そして一成をつける慎二、それをつけるあたしという構図ができあがったのだが、不思議なことに間もなく慎二を見失ってしまった。

不思議だったがとりあえずおそらく一成の尾行をつづけているはず、と思い、一成を直接あたしが追う格好でスニーキングミッションは続いていた。

が、いつの間にか、そう、ほんとにいつの間にか慎二が姿を現していたのである。なにやら見知らぬ少女と話をしていた。

ずいぶんと小さな子だったし、外国の子であったようなので、迷子か?慎二も相変わらず面倒見がいいと思いつつ、ならば尾行任務はあたしが引き継いでやろう、と一成を追い続けたのだ。



正直に言うとこのときのあたしには、慎二の役に立ってみせて、気を引きたかったところがあったのだろう。



ここでへんな色気を出したことを、ほんのすぐ後にこんなにも後悔することになるなんて思ってもいなかった。



しばらくすると教会についた。寺の子がなぜこんな真逆なところに?と思いつつ、そのある種のミスマッチに興が乗ってしまったあたしは中にまで入ってしまった。

そこには神父が待っていて、一成はそいつに近づくと、鞄からなにか変な棒を取り出した。すると一方的に喋る声が響き、あたしは気を失い、そして____






さらにさらに紆余曲折があって、







摩訶不思議な奴等の前にさらにさらに摩訶不思議な格好で立つ羽目になっている。



「おっおおお、お待たせ!まっ魔法少女カレイドインペリアルトパーズっ、参上よっ!」



いやーーーーーーー!見ないでぇぇぇぇぇ

















インターミッションなのでいつもよりさらに短いです。
ええ、今回もいつものごとくやってしまいました。
すいません、前回の綾子壊さない宣言は嘘でした。
だってまともな人間はこの話の中で生きていけないんです。

うっ。もっとやれがノドに詰まってしまった。んぐんぐ、ふう。
こんどは一杯もっともっとやれが怖い。
本日の一席「もっとやれ怖い」寒風の中、お後がよろしいようで。
テケテン テケテン テケテン



[6658] 六話 後編 やはり魔法少女は適齢期というものがあるけれどギャップ萌えもまたあるわけで
Name: 犯人◆d1587eef ID:e7e812b9
Date: 2009/02/22 14:01
「とりあえず、俺たちはそっちを追おうと思う。」

「私たちはどうすればいいんですか?シンジ」

「とにかく今は情報が欲しい。放課後はジジイのほうを引き続き探っててくれ。」

「俺は引き続きセイバーとの鍛錬でいいんだな。」

「あまり大人数だと尾行がばれるしな。」

「それに私の認識阻害も効きが悪くなります。」

「そんなこと言って二人きりになりたいだけじゃないんですか?」

「あらいやだ。余裕のない子はこれだから。」

「ちょ、メディアさんも桜もやめて。」

「メディアさん?いつの間に名前で呼ぶように…兄さん?」

「恐い…俺は今まで女性の何を知っていたというんだろう。親父…女は違う生き物だって言ってたの、本当だったんだな。」

士郎、そりゃアレはホムンクルスだったからだ。思えばこいつの知り合いの女性で一番まともなの美綴か…次点がタイガーとネコさん。

うん、美綴が最後の砦だな。











流されたゆたうワカメのごとく  六話 後編










というわけで二人で一成を尾行中なのだが…

(慎二様。あとをつけられています)

(へっ?誰に?)

(先ほどの美綴とかいう小娘のようですわ)

(あちゃー。変に気を引いちまったか。よせばいいのに)

(慎二様がよろしければ、すぐにも始末を付けますが)

(ちょ、穏やかじゃないな)

(あの小娘もきっと慎二様を狙っているんですわ、あつかましい)

(いやまさかそれはないだろ。とりあえず撒くか。少し早いけど認識できなくして)

(わかりましたわ)

そうしてしばらく一成を追い続ける。美綴はまだあきらめていないようだ。しょうがねえな。どうするかな__



(慎二様。アインツベルンが居ます!)
「なに!?」

って、しまった?

「あはっ。へーえ、こそこそ何かしてたんだ?ちょうどいいわ、遊びましょ?マキリのお兄ちゃん?」

(もう、うかつですわ)

「はあ、しゃーねえか。イリヤスフィール、なんの用だ?」

姿を見せる。チッ、尾行は中断だ。バーサーカーは……よし連れてない。どうするか。

ここでやってしまってもいいのか?いや、バーサーカーを呼ぶ気があるなら令呪を使えば一瞬だ。そうなるとメディアさん一人じゃ荷が重い。その後逃げればとりあえず令呪一回消費させたってことになるけど、逃げ切れる保証もないし。

「とりあえず、お話しましょ?」

「お、おい?」

とかいいつつおれの腕を引っ張る。




んで、公園。

「シンジって呼ぶね?」

「いきなり呼び捨てかよ。」

「ふふん、ちょっと話してみたかったんだ。

聖杯への悲願は他の2家に勝るとも劣らないはずのマキリ。だっていうのにやっていることが不可解すぎる。まじめに勝ち抜く気があるように見えない。

マスターを失ったキャスターを従えたかと思えば、きっちりと支配下に置くでもなく、魔力量も半端なままにしている。

セイバーと同盟を組んだみたいだけど、実質野放しで一方的に庇護しているようにしかみえない。偽書で支配権奪うくらいしてもいいのに。キリツグの息子なら簡単に騙されてくれるでしょ?信用されてるみたいだし。

いったいマキリはこの聖杯戦争でなにがしたいのかなあって。」

「さてな。それをいう必要はないぜイリヤスフィール。」

このおこちゃま、苦手だ。こちらをなにもかも裸にするような目ぇしてやがる。この半目きらい。

び、びびってないぞ?

「あはは。イリヤって呼んでよシンジ。」半目を止める。

「やっぱキャスターがついてるか。ついてたのがライダーなら今ので操れる自信あったんだけどなー。」

な?今まさに危なかったのか!?メディアさんナイス!お城に持ち帰りされてお人形さんにされるところだったぜ。

「それでどうする?ここで私とやる?ほっといたら次は何を仕掛けてくるかわからないよ?」

「いや、今はその気はないよイリヤ。」

「ふーん?ずいぶん余裕なんだね。じゃあやっぱり遊ぼうよ。」

「結局そうなるのね。」

(慎二様、危険ですわ)

(わかってる。けど多分今日はもうちょっかいを出してこないと思うよ)

(まったく、本当に女に甘いんですから)






その後は、本当に遊んだ。ゲーセンでプリクラとったり、クレープ買い食いしたり。

一番白熱したのはメディアさんによるイリヤの服選びだったけど。この人本当にかわいい女の子が好きだな。

はっ!?この二人が組んでしまったらあらゆる女の子が着せ替え人形になってしまうんじゃね?いやいやまさかな。






ひとしきり遊んで、もう夜。今は河川敷を散歩している。

「ふふ、今日は本当に楽しかった。ありがとうねシンジ。」

服とぬいぐるみを抱えて花が咲いたように微笑うイリヤ。ぬいぐるみはおれのプレゼントである。メディアさんにも日を改めての何かのプレゼントを約束させられた。またネコさんとこで士郎といっしょにバイトすっかな。


「慎二様。誰か来ますわ。」

と、そこに。
「イリヤ。」
「ここにおられましたか!」

セラリズコンビが殺到してきた。例の物騒な武器を細腕に携えて。

「マキリのマスター!離れなさい!」

「ちょ、ここで事を構える気はないぜ。」

「どうしたのよ。セラ、リズ。」

「向こうの橋でランサーとアーチャーがやり合ってる。」

なに?

「それに、もう一人なにかが。」

「イレギュラーなクラスかもしれません。どこの陣営かわかりませんが卑怯な真似を。」

「おまえらのとこがそれを言うの?」

しかし、イレギュラーだと?まさかギルガメッシュか?

「金色の鎧着た男だったか?あ、いや、鎧着てなくてもいい。金髪の優男か?」

「男じゃなかった。」

ナニ?

「リーゼリット!何を敵と話しているのです!」

「落ち着きなさいセラ。今橋でその戦いが起こっているのね?」

「ええ。ここは城へ引き上げましょう。」

「そうね。そうしようかしら。シンジ、それじゃここで解散ということでいいかしら?」

「あ、ああ。わかった。元気でな、イリヤ」

「元気で?あはっ、やっぱりシンジって面白い。じゃあね、また!」

「ばいばい。」

「あなたはまた!」

「セラ、うるさい。」

「あ、最後に一つ、シンジ、自分の体のこと、気づいてる?」

何のことだ?って今はそれどころじゃないか。



てなわけでアインツベルン一行とは別れた。
「慎二様、いかがしますか?」

「とにかく見に行ってみよう。」






「凛!アーチャー!」

「ほほう。今日は千客万来の日らしい。いや、百鬼夜行かもしれんな。」

膝を着いていたアーチャーが双剣を構えようとする。凛は俺たちの到着からずっと、呆然としたままだ。

「よせ、アーチャー。今はやりあうつもりはない。」

「そうしてくれると助かるな。何せ今の私はランサーにやられて虫の息寸前なのでね。」

「凛、おい、凛!しっかりしろ、何があった!」

「…え、慎二?」

「ああ、どうしたんだ?」

「慎二!綾子が!」

な、美綴がまさか巻き込まれたのか!?

「美綴がどうなったんだ!いったい何が。」

「あんな…あんな酷いことになるなんて…向こうにランサーと一緒にいるわ。けれど…」
「けれどなんだ!」

「ダメ。あんたはあそこに行っちゃダメ。あんな姿を見られたら生きていけないわ。」

そんな酷い目にあわされたって言うのか、そのイレギュラーに!

「クソッ!俺はアイツを助けに行くぞ!」

「ダメよ!慎二。女としてのあの子のことを考えるなら、あんたは今のあの子を見ちゃダメ。」


なん・・・・だって・・・・・。



女として、だって。それはつまり……そんな目にあわされたのか。くっ。



ああ、俺があの時ちゃんと止めていたら。すまん美綴。なんと言っていいのか・・・。



「だったら、なおさら助けないわけにいくか!」

「ダメよ!お願いやめてあげてーーー!」







凛を振り切り、その場所へと辿り着いた俺とメディアさんの目の前に居たのは。


俺を親の敵のように睨むダメットさんと、


こらえきれず腹を抱えて転げまわって笑うランサーと、




オレンジ色のリボンとフリル大盛りな衣装に身を包んで例のステッキを持った美綴だった。




「いーーーーやーーーーー!」


アア、オレガアノトキチャントトメテイタラ。スマンミツヅリ。ナントイッテイイノカ・・・。















以前あとがきで書いたとおり、本来美綴の出番はありませんでした。元のプロットであったシーンは、こうです。



「皆の衆、待たせたな。魔法剣士華麗奴金剛、推参。」



小次郎さんがカレイドになる予定でした。うん、変えてよかった。
良かったですよね?華麗奴金剛のほうが読みたかった人います?



[6658] 七話 誰にでも黒歴史はあるっつか今まさにライブで作ってるわけで
Name: 犯人◆d1587eef ID:e7e812b9
Date: 2009/02/23 00:18
「ハァハァ。間、間に合わなかったのね…強く生きるのよ、綾子…。」

「うっうっ……慎二、あんたにだけは見られたくなかった…」

「あ、いや、その、美綴?似合ってるぞ?」

「バカ!そのフォロー逆効果!」

「ふ、また会いましたね、あのときの無礼な少年、いや間桐慎二!貴方のことは既に調べがついています!さあ尋常に_」

「うわあああああん!もう、もうお仕舞いよ!」

「あら。なかなかいい衣装だわ。こういうのもいいかも…。」

「貴女はキャスターですね。さあ尋常に_」

「い、いやほら、ちょっと魔法少女になっちまうくらいよくあることだよな!夏休み明けとか、休み前と比べてこのくらい変身してるやつよく居るし!」

「そ、そおよお。長い人生こういうことが一回や二回はあるわよお。」

「いや、二回はお前くらい__あべし!」

「じ、尋常に…。」

「ハーッハハヒヒヒヒ、クックッフハッハハッハヒ!もう勘弁してくれえ。俺の負けだって!」

「ランサー!貴方も真面目に!」

「んなこと言っても、こりゃ無理だぜマスター。ここからどんな勝負を始めるんだよ?宴会の余興大会か?なんなら俺の犬の物真似を披露するぜ?」

「くうっ。なんで、なんでこうなるのですか。こんなんじゃ、こんなんじゃまたあの人にあいそを尽かされてしまいます。うわあああん!」

「うええええええん!」

「あっ美綴!」「綾子!」

その日、冬木に、夜中に時速100キロで泣きながら走る女、

「ターボ泣き女」の都市伝説が誕生した。












流されたゆたうワカメのごとく  第七話









「とりあえず、どうする?」

白々しい空気が流れる。

「一戦やらかす雰囲気でもなくなっちまったな。

しかし、あの嬢ちゃんはなんだい?

俺がアーチャーの奴を仕留めようとしたら、いきなり変な名乗りを上げて割り込んで来て、魔術でもルーンでも外法や他のモンでもないような攻撃をかましやがった。

んで顔真っ赤にして恥ずかしがりながら名乗りをあげるわセリフを噛むわでな。

正直負ける気はしなかったが勝つ気もしなかったぜ。」

「えーと、」

説明すっと長くなるわけで、つか説明できんし。

「うっ、うっ、負けません。挫けません。いつか、いつかあの人が私に振り向いてくれるその日まで。」

「うちの相棒もこんなんなっちまったし、今日のところはアーチャーの奴をやっただけで引き上げとくぜ。次こそお前らんとこのセイバーとケリつけるところまでやりたいもんだがな。」

「ほう。止めを刺さずに見逃して行くのか。自分が死んだ理由を忘れたか?クランの猛犬よ。」

来てたのかアーチャー。流石に怒りを隠せないみたいだな。

「ハ。自分の性分のせいでいろんな目に会ったし死にもしたが、ただの一度も後悔しちゃいねえよ。」

こいつ。本当に強い。なんというかあり方が。これがアイルランドの英雄か。

しかも原作であったパワーダウン要因が「日本じゃ知名度が低い」ってだけかよ。

こりゃあバーサーカーより難敵かもわからんね。


「じゃあ、引き上げるとすっか。」

「今度はあんなふざけた乱入はさせません!完膚なきまでに格好よく貴方を地べたに這い蹲らせてあげます!私は、私は、ダメなんかじゃないんです!」

なんかダメという言葉にトラウマでもあったのか?





ランサー主従は去って行った。





「ランサーは去ったけど、美綴のほうはどうしようか。」

「ていうかアレ、柳洞寺にあったんじゃなかったの?」

「わからん。ただ、ここんとこ一成の様子がおかしかったらしくて、俺がそれを追ってたらなぜか美綴も一成を追い回してたんだ。」

「本当に何を考えてるのかしらアレ。それじゃ一成が何か知ってるかも…って駄目ね、アレは、」

「ああ、記憶をいじれるからな。」

「とにかく綾子を探しましょう。」






家に電話をかけたが、居なかった。

町中を探し回ったが、美綴の姿はなかった。

最後の望みを賭けて再び電話すると、



「ああ。今しがた帰ってきましたよ。エエ、トテモゲンキデス。ナンノモンダイモアリマセンシンパイナイデスヨ」

「実典くん。実典くーーん?」




「駄目だ。なんかされてる。なんかこう、色々と。多分帰ってきていないな。学校にも来るか怪しい。」

メディアさんはまだ上空から怪しいものを探してもらっている。

「綾子…。わたしがアレをもっと厳重に封印していたら。」

「いや。アレはきっとそんな封印をものともしなかったはずだ。俺があのとき宝箱を開けたばっかりに…。」

「一般人を聖杯戦争に巻き込んでしまうのは本意ではないわ。綾子をアレから解放するまで手を組みましょう。」

「ああ。こっちからも頼みたい。」

まさかこんな理由で手を組むことになるとは思ってもいなかったよ。

命の危険はない、と思いたいが、アレは本気で何をするか全くわからない。

アレも遠坂にあったものだ。ならばうっかり美綴を殺してしまわないとどうして言えよう。

必ず救い出さねば…。








そして今日の顛末の報告と改めて凛をセイバーやメディアさんたちと顔合わせするべく、メディアさんと合流し衛宮家へと俺たちは向かったのだが、

「桜とライダーはまだ来ないのか?」

「ええ。連絡もありません。」

「どうしたのかな。イテテ。」

士郎…。今日もしごかれまくったみたいだな。

でも、嘘みたいだろ?今日からさらに師匠が増えるんだぜ?

「今晩は。」
「失礼します。」

お、来たみたいだ。




「兄さん、大変です。」

「どうした?」

「お爺様が姿を消しました。」

来たか。そろそろ何かを始める気だな。直接対決はまだまだ先だろうが、

「お前の胸の刻印虫になにか干渉してきそうな気配は、」

「ええ、ありません。何かしてきても私でどうにかできそうです。もう、この子は私ですから。」

「そうか。」

少し複雑な気分だ。桜が小聖杯として出来上がりつつあるということでもあるんだからな。

だが、今桜を蟲から解き放って戦力を削ぐわけにはいかない。

「いいんです。私が自分で決めたことだから。兄さんを、みんなを、守るんだって。」

「桜…。」


「んんっ!慎二様?」

「慎二。その、そういうのは二人きりでやらないか?今はみんないるんだし。」

「場を弁えていただきたいものです、シンジ。」

「あら、なぜ邪魔をするのですセイバー?」

「……。ねえ。ここっていつもこうなの?」

「ふっ。羨ましいのかね?凛。」

「は。冗談。そんなの心の贅肉よ。早くごたごたを片付けて勝ち残ることしか考える暇ないわよ。」

おお。有名フレーズ来た!




「よし!とりあえず新メンバーも増えたことだし、みんなでメシでも作るか!」

「賛成です!」

「たっだいまー!きょーおーのごっはんはなーんじゃろげー♪」

真っ先に反応したライオンと変な歌とともに帰宅(?)したタイガーの腹ペココンビに続き、皆で料理をすることになった。

士郎に凛に桜にアーチャー。ここのシェフの充実度は異常だな。

ランサーあたりジャンクフードとマーボー漬けでブーブー言ってるんじゃないかな。食にこだわるサーヴァントの中じゃ多分あいつがセイバーの次だ(アーチャーは作ることに関してはこだわるが自分で食べるのはぞんざいそうだ)。



「いたっ!慎二様~、指を切ってしまいました。舐めて治してください。」

「いっそ切り落としてあげましょう。存外いい出汁など採れそうもないですけど。」

「はーやーくー!おっなかすーいたー!」

「日々おいしいご飯を食せる幸福。ああ、あの戦いの中、こんな日があればきっと皆生き残れた。べディヴィエール、ガウェイン、パーツィバル、トリスタン・・・貴方達にもこれを味あわせたかった・・・。」




「賑やかね。ていうか毎日こうなの?」

「大体な。」

「…苦労してそうね。」

「わかってくれるか。」

「まあ半分くらい自業自得そうだけど。」

「ぐ。」

「なんにしても、しばらく宜しくね。」

「ああ。」

つかの間の安らぎを感じた次の日、あんな危機が俺を待っていたとは、

このときはまだ思っていなかった・・・・・。





















と、いうわけでカレイド絶賛失踪中です。一日の出来事を書くだけにだいぶ省略しても4回投稿ぶんもかかってしまいました。1~3話あたりまではもっと話の進みが速かったのですが。ペース落ちつつも相変わらずゆる~くいこうと思います。

小次郎さん大人気にフイタw

どうやら私のもっとやれへの認識はまだ甘かったようです。
こうなるとお蔵入りにしてしまったのが惜しまれる、かも。




おまけ

「えっくし!」

「どうしたのですランサー?」

「いや、なんでも。しかし今日もマーボーかよ。」

「あの人が手づから作ってくれたマーボーですよ?ありがたく頂きなさい。」

「じゃあせめて外食のときくらいまともなもの食おうぜ?」

「時間の無駄です。」

「つかなんだよこのマーボーカレーって!」

「美味しいではないですか。」

「(この女、味覚障害じゃないか?)マーボーうどん、マーボーおでん、マーボーピザ、…まともなもん食いてえ…。」



[6658] 八話 前編 やはりシリアスも必要じゃないかと思ってみたわけで
Name: 犯人◆d1587eef ID:e7e812b9
Date: 2009/02/23 20:55
気になることがある。原作ではもう、この時期にはギルガメッシュはあの青年の姿で出歩いていたはず。

ニアミスがないのは運だとしても、このところ広範囲にわたる調査を繰り返しているし、美綴の捜査のことがあってそれを強化しているのに、メディアさんの報告にもギルガメッシュらしきやつが浮かび上がってこない。

なので、ここは危険を承知で教会へと調査を広げた。
先日のアーチャーのダメージは未だ回復しておらず、藪をつついてランサーを出してしまうのは覚悟の上だ。どの道もうサーヴァントとしての敵はランサー、バーサーカー、ギルのみなのである。
もちろんみんなはギルのことはまだ知らないが。

そして、俺にとっては驚愕の事実が判った。教会地下に何もなかった。

ギルを現界させ続けた状況証拠がなにも出なかったのである。

今現在、この世界において、神父はギルを現界させていない?











流されたゆたうワカメのごとく 第八話 前編












美綴の行方はまだわからない。というか、アレが俺たちから何かを隠そうとしたら、見つけ出すのは不可能かもしれない。


士郎の特訓は夕べから開始している。なんというか、やはり遠坂凛はすごい。

溢れんばかりの才能を持ち、その上に胡坐を書くことなく研磨しつづけただけのことはある。

士郎の特性、異能を俺が助け舟を出すこともなく見抜き、あいつが持つたった一つの力を鍛え抜くべく指導を開始している。


ジジイの行方も知れないが、桜曰く、この冬木のいたるところにジジイの自らのスペアともいうべき蟲のコロニーがあるそうだ。

おまけに、そいつがレーダーに対するチャフの役目も果たしている。

それがため、メディアさんの自ら出歩かないタイプの探索網は断ち切られてしまうらしい。

現状、捜査を進めて何かの収穫がありそうなのはジジイの線だけである。
よって、ジジイの手がかりを脚で探すこととなったのだ。




チーム分けは俺とセイバー、桜とライダーである。

凛は相棒が負傷中なため士郎の特訓を続けている。

メディアさんは凛とともに衛宮邸から俺たちのバックアップである。

有事に巻き込まれたらもう一方のチームに連絡もままならないかもしれないので、両チームを監視して異常をもう一方に伝えて欲しいし、衛宮邸にも一人サーヴァントが欲しい。

一応ドラゴントゥースウォリアーも撒いて貰っているし、持たせてもらっている。







そんなわけで捜査を続けているのだが、

「あれだ。戦力重視でチーム分けした弊害だな。」

ぶっちゃけおれの蟲への理解度は低いし、セイバーはこういうことにはなっから向いていない。

桜チームと比べて仕事の進み具合はダンチだった。

「ここも痕跡が消されてたか。巣の残渣しか残っていない。」

「次へ向かいましょうか。」

歩きながら考える。

しかし、不安の材料はどんどん増えているというのに、問題はちっとも解決しやがらない。

ギルを使わないくせに、ランサーはあちこちのちょっかいに使う神父は何を考えている?

目的なんかないと思っていたが、サーヴァントの争いになぜあのステッキは割って入った?

ジジイは何のために姿を消した?

わからない。全て意味があるようにも思えるが、全て単なる気まぐれでそうしているのかもわからん。


「シンジ。」

「どうしたセイバー?」

「あまり思いつめないで下さい。貴方には皆がついています。」

「あ、ああ、顔に出ていたか?」

「私もかつて多くの民を率いる王としての苦悩を抱えたことがあります。

そのときの私と、同じような顔をしていたものですから。」

「そうか。セイバーはそんな時、どうしてた?」

「私には、頼れる義兄がいました。頼もしい臣下がいました。彼らが知恵と力を貸してくれる限り、そんな苦悩は消し飛んでしまいましたよ。

ですが、それを失ったとき、それが私の落日だった。臣下の、友の、身内の裏切り。いえ、不満の流出だったのですね。

私は祖国を外に広げ、外敵から守ることばかり考えていた。それこそが王としての使命だと。

国の中へ目を向けていなかったから、内なる不満に気付けなかった。

こちらに来て、本を読みました。我が祖国は数百年後にも、私のように外にしか目を向けないエドワードという王を出したのですね。高潔な騎士道を言い訳にした暴威を振るう、悪しき前例を私は作ってしまったわけです。」

「セイバー、それは、違う。」

「いいえ。私のなしたことの中の悪、その最たるものがそれです。その事実は変わらない。私は生涯抜き身の剣だった。自らが納まり、ともに安らぐ鞘を持たなかった。」

「セイバー…。」

「だから、今こうして、新しい時を生きている指導者に賢しらな口を利いてしまうわけです。老賢人の威厳はとても持ち合わせていませんが。

_全てを抱え込まないで下さい。困難なときには頼ってください。」

そういって、俺になんとも言えない笑顔を向けてくれた。

「ありがとう、セイバー。やっぱお前は王だよ。」

「ふふ、いつでも当てにしてください。あなたには、私がついているのですから。」




それまでの穏やかさは、嵐の前触れだったのだろう。そこに__猛犬が死を告げるために現れた__

「よう。これで三度目だな。」

「ランサー!」






これが、悲劇の始まりだった。


俺はこの日のことを生涯忘れることはなかった。







ランサーの一撃をセイバーが流す。この戦い、1対1での勝利は無理だ。なんとしてもライダーの到着まで粘らなければ。

バゼットさんの相手はドラゴントゥースウォリアーに任せる。正直時間稼ぎでしかないが、基本的に彼女は対多数の攻撃手段や広範囲の武器を持たない。

ここで足止めしてまずランサーを2対1で倒し、その後でバゼットさんを倒す。これが正しいと信じる。

既に令呪は発動した。__来る!

「来たか!ライダー!」

「お待たせしました。_どうやらまだ無事だったようですね、セイバー。」

「ふん、私を誰だと思っている。」

「ほう。もう一騎も来たか。これでもう全員と顔を合わせた事になるわけだ。
初手は全て様子見をしろと言われているが、二騎以上と同時に対峙するなら緊急時には倒す許可も貰っている。
この状況は?マスター。」

「先日は実力未知のセイバーと一度圧倒したアーチャーとの対戦でしたが、今回は実力者とばれているセイバーと、ライダーです。全力を出しなさい。」

「だ、そうだ。悪いが生かして返す気はない。」

「吼えたな、ランサー。高くつくぞ。」

「騎兵の力、決して三騎士に劣るものでない。身をもって知ってもらおう。」

サーヴァント達が激突する__!












ここからシリアスな展開です。慎二は生涯最大の危機を乗り越え、大きく成長することになります。



[6658] 八話 後編 これが私なりのシリアスなわけで
Name: 犯人◆d1587eef ID:e7e812b9
Date: 2009/02/23 21:00
正直に言って、甘かった。

バーサーカーのゴッドハンドのような、一度一度違う手段で倒す、といった攻略法に沿って戦わねばならない相手でもなければ、二対一で圧倒できる、そう思っていた。

バーサーカーやギルガメッシュのようにある種反則のような能力を持たないランサーこそ、単純に与しやすい、そう思っていた。

_だが、純粋に彼は強い。

二人に既にその真名を教えてもある。手管はわかっている。だというのに。

その実力に殆ど制限を受けていないクー・フーリン、アイルランドの英雄は強い。

その動きは早く柔らかく、一撃は強く重い。動じぬ巌の如くもあり、折れぬ柳のようでもある。

「相手を強さで上回る」それだけのことをこの武人に対してすることが、なんと難しいことか。

甘かった。

令呪を持たないメディアさんをここに呼ぶことは出来ない。

ここで全滅の憂き目にでも会えば、それはおれのせいだ。くそっ。くそっ。

どうすれば…。








流されたゆたうワカメのごとく 第八話 後編








こうなったら、俺に出来るのは何とかして残りのライダーの令呪を使ってでも全滅だけは_

「シンジ。」

セイバー?

「言ったでしょう。全てを抱え込むなと。困難なときなら頼れと。」

「そうですシンジ。あなたの味方はそんなに弱くない。」

ライダー。

わかったよ。諦めない。

アイツを仕留めるためには「わかっていても避けること、とめることが出来ない」そんな攻撃しかない。なら。

「ライダー!距離をとってくれ!」

「させるか!」

槍の一閃。それをセイバーが受ける。


この距離。令呪を使う。

「ライダー!」「わかっています!」

_ベルレフォーン。天馬の突進によるメドゥーサ最強の攻撃手段。そこに令呪を乗せたこの一撃、受けれるかクー・フーリン!



「騎英の手綱(ベルレ・フォーン)!!」




「ランサー!その一撃、必ず受け流しなさい!」令呪!?
「おおおおおっ!」


ドオオオオオオオン!



ベルレフォーンが通り過ぎた後、満身創痍になりながらも、

ランサーは眼光鋭く立ち、こちらを見据えていた。



まずい!今はライダーと分断されている!


「シンジ!」



「突き穿つ(ゲイ)_



セイバーが駆け寄ろうとする!違う!俺を守ろうとするな!ランサーはマスターを狙うような戦いをする奴じゃない!ランサーが狙うのは



_死翔の槍(ボルク)!」



「かわせセイバーーッ!」

「なッ!」


ゲイボルクの強さを「グングニルに匹敵する」とも称されていたが、正にそれに相応しい。

セイバーが吹き飛ぶ。


「セイバー!」

吹き飛ぶ?ならば多少なりとも流せたということ。ベルレフォーンが効いていたか。

ならセイバーの命にまでは届いていないかもしれない。

「ライダー!セイバーを連れてここを離脱だ!」

ありったけのウォリアーを投げつけ、叫ぶ。

「わかりました!」

ライダーが俺とセイバーを抱えて跳ぶ。

ランサーは_追って来れない!



頼むセイバー!もってくれ!








衛宮邸。メディアさんが駆け寄る。大規模な戦闘は観測されていた。手当ての準備はできている。

「慎二様!」

「セイバーを!」

擬似的ながら不死の薬すら作ってみせる魔女メディア。

今はその力に頼るしかない!







_果たして。

一命は取り留めた。だが状況は予断を許さない。

「ゲイボルクが万全な状態で放たれたものでなかったのが幸いしました。」

「しかし、ある種の呪いでしかセイバーの命を留めることが出来ませんでした。セイバーはあまりにも多くの祝福を受けています。それが、呪いとどんな干渉をしあうのか想像もつかないのです。」

そうか。

「セイバーさん…。」

「セイバー…。」

「士郎。すまない。おまえから信頼されてセイバーを託してもらっていたって言うのに。」

「いや。俺がそこにいたら、きっとセイバーを死なせていたよ。この戦争は俺が考えていたほど甘いもんじゃなかった。俺がもっと早く自覚を持って戦場に立って、令呪を使えたら。」

「互いに自分を責めてもしょうがないわよ。慎二。今日は桜とライダーと一緒に帰りなさい。」

「ああ…。」








夜。

「シンジ。やはり浮かない顔ですね。」

「そうか?そうだろうな。」

「兄さん。そんなに気になるのなら、セイバーさんについていてあげては?」

「でも、」

「私は今日の調査の成果を調べるために書庫にいます。

兄さんはセイバーさんの傍に居てあげてください。」

「サクラ。」

ライダー?

「私も、今日はセイバーのところへ行っても構いませんか?」

「うん。そうしてあげて。」



桜。ありがとう。








_衛宮邸

セイバーの意識はまだ戻らない。


「なあ、セイバー。

俺、まだまだお前と話したいことがあるんだよ。

人の上に立つ心構えとか、戦場に立つものの覚悟とか、いっぱいさ。」



__騎士として、それに応えましょう。よろしくお願いします。



__私は生涯抜き身の剣だった。自らが納まりともに安らぐ、鞘を持たなかった。



__あなたには、わたしがついているのですから。



「くそ。くそ。くそ…。」


!?突然セイバーの体が光を放つ。

「セイバー?」

セイバーがむっくりと起き上がる。

「良かった!セイバー!せい・・・ばー・・・?」

おもむろにセイバーが服を脱ぎ始める。?  ??

「お、おい…?  って、なあああああ?」



なんで、なんでなんで、なんでセイバーの股間に、


ぶ っ と い エ ク ス カ リ バ ー が あ り や が り ま す か ?

そっそういえば、読んだことがある。

原作でのセイバーのフェラのシーンで、「扱いには慣れておりますれば…」ってセリフ、
あれはセイバーとギネヴィアが結婚したときマーリンがセイバーを擬似的に一時男にしたから(ピー)の扱い知ってたんだっけ?


メディアさーん!?  以前の祝福がどう干渉しあうかわからないって、これはないでしょ!

ガシッ


「せ、せいばあ…?」

「(ハァハァ)シンジ(ハァハァ)。」

「お、落ち着け。いや落ち着いてくださいお願いします。」

「体が熱いんです。」

ドサッ

「ギャーーー!」

「大丈夫です。」

「よっよかった、止めてくれるんだな?ね?そうでしょ?そうだと言ってよセイバー!」

「扱いには慣れています。」

ちょ、あてがってる!先っちょが、先っちょがあああ!


「ちっがあう!そういうセリフが聞きたいんじゃない!」


「ああ、シンジ、」


「なっ、なんだ?」





「 あ な た が わ た し の 鞘 だ っ た の で す ね ♪ 」

「やめてー!エクスカリバー収めないで!」



ドサッ

はわわ、はわわ、な、なんだ?

「危ないところでしたねシンジ。」

「ラ、ライダー。」

思わず抱きつく。

うわあああんもっとはやくきてよおおおおんもぉばかばかばかぁ。

ほんとにもうだめかとおもっちゃったんだからね!

「らいだぁぁぁぁぁん」


「はっ」
気づいた。

「ライダー!どうしたんだその鼻血!」

「いえコレは。」

「まさか敵が?」

「え、ええ。己の内なる巨大な敵と戦っていました。おかげで危うく間に合わないところでした。」

「?そうか。とにかく、勝ったんだな?」

「ええ。もう惑わされたりしません。わたしの正義(ジャスティス)はひとつ(シロウ×シンジ)なのですから。」

「他のみんなは無事なのか?」

「そこにキャスターが倒れています。」

「メディアさん!」

「大丈夫。鼻血の海に沈んでいるだけです。」

「キャスター相手にそんなすごい精神攻撃を?いったいどんな強敵だったんだ…。」

「大丈夫です。それがわたし達に立ちはだかることはもうないでしょう。」

「そうか。やっぱりライダーは頼りになるなあ。」

抱きつく腕にも力がこもる。

「いえ。それほどでも。」

さらに鼻血が溢れる。よっぽど激しい精神戦だったんだね。

ガシッ

「へ?」

「ハァハァ」

セイバー復活―!

あ、よかったエクスカリバーはもう無い。

「シ、シンジ…私のほうが鞘で構いません。あなたのエクスカリバーを!」

「こうなったらもう致すしかないのかもしれませんね。」

ライダー!裏切るのか!だでぃあなざあああああん!



アッー



2時間後。

すー。すー。

ライダーとセイバーは全裸で満足げに寝息を立てている。


「か、帰ろ…」


ガシッ

「慎二様♪」


アッー!





「た、ただいま…。」

「兄さん…。看病をしにいったんですよね?

なんで干からびて帰ってきているんですか?

す ご く 知りたいです。」




ワカメの夜は、終わらない。















いやあ実に尻ASSな展開でしたね。この(貞操の)危機を乗り越えた慎二くんは大きく成長しました。やはりこういうのは外せないところだと思うんです。

この物語に足りなかったのはきっとそういう部分であると絶対の確信を持って判断し、今回のエピソードを挿入しました。

ナニか私は間違っていたでしょうか?



[6658] 九話 前編 一区切りついても書くものは変わらないわけで
Name: 犯人◆d1587eef ID:e7e812b9
Date: 2009/02/28 00:42
お茶を飲みながら。

「なるほど。そんなことがあったか。」

「どうしたらいいんすかね。」

「お主もいろいろと災難なことだな。だが羨ましいぞ。山門に括られているこの身では、彩や風雅を愛でる機会もない。ましてや強敵との出会いなど。」

代われるモンなら代わって欲しいけどね。

「あの槍兵も一度顔合わせと手合わせと称して来たっきりで、それきり無しの礫だ。また来てくれぬものか。」

うーん。求道者とバトルジャンキーで気が合うのかもしれんな。

「小次郎さんも、もっといろいろなところに連れて行けたらいいんですけどね。」

「それは贅沢というものだな。もとより一度生を全うした身、ここでこうしていることは余禄に過ぎん。それに、先ほどは愚痴をこぼしてしまったが、自分なりにこの境遇を楽しんでいるのだ。気にかけることではない。」

「はあ。そういうもんですか。」

あなたを喚んだヒトは、一度目の人生で掴み損ねた幸せを意地でも取り戻す気満々なんですけどね。

達観しているなー、この人。佐々木小次郎って若くして死んだ剣士ってのが世界に浸透したイメージなのに、才気走った若者っつーより年齢を重ねた老剣豪みたいな感じだ。

だから相手してて和むんだけどね。他の奴らが生き急ぎすぎなんだよ。みんなしてこういうところを見習ってれば、もっと穏やかな聖杯戦争になるんだけどな。

って、現実逃避してちゃ駄目だよな。とにかく、俺の目的は、みんなで生き残ること。

そのためには、聖杯を出現させない。サーヴァントさえ殺させなければ、そうなる確率は高い。あと、聖杯を望む奴らを抑えるか倒す。神父にジジイにアインツベルン。

イリヤとは、なんかやりにくくなってしまったなー。こないだ一緒に遊んだし。ヘブンスフィールだ、ホムンクルスとのハーフだっつっても印象は人間と変わらないし。

いや普通にうちのサーヴァントたちより人間に近いし。場合によっちゃ殺さなきゃだけど、なるべくしたくねーなー。

はー、考えること多すぎる。












流されたゆたうワカメのごとく 9話 前編













とはいっても、時間は有限なわけで、いつまでものんびりしてるわけにもいかない。先日の調査結果について話し合うべく、衛宮邸に集まったのだった。

「結論から言うと、今現在お爺様は冬木に居ません。」

「聖杯戦争の只中に?あの間桐蔵硯が?くさいわね。ただ逃げたわけじゃないと考えるべきね。」

「ええ。逃げたとも既にやられたとも思えません。あの人の厭らしさを知る身としては。それに、居なくなる直前に結構な量、「食べた」形跡がありました。」

「――人を、という意味ですか、サクラ。」

「ええ。」

なんともいえない空気が流れる。ここのところランサーのような正々堂々とした渡り合いが続いていたから忘れてたけど、こういうのも確かに聖杯戦争の本質なんだよな。

他2つとはすっきりと決着を付けられそうだけど、やはりあの糞ジジイとだけは無理だな。
ほら今もこういう話になるとウチの士郎君が激昂して「止めなきゃ!」とか――アレ?



「士郎どこ行った?」



「ふむ。そういえば。凛?」
「セイバーが居残り訓練させてるんじゃなかったの?」
「セイバー?」
「サクラが夕飯の仕込を任せたのでそれにかかっているものとばかり。」
「桜?」
「ライダーに昨日ライダーが壊した2号の修理を頼まれてたんじゃ。」
「ライダー?」
「ゴミ袋を間違われて出されるところだったキャスターだと思い追いかけて裸足で陽気に駆けていったと。」
「どういう間違いかね。キャスター?」
「遠坂凛が地獄の補習とレポート提出を課していると聞いて放置していました。」

「と、いうことらしいぞ?間桐慎二。」

なんともはや。最近ぜんぜん活躍してなかったようにみえたが、見えないところでいろいろ頑張ってたんだなあ。やはりブラウニーだ。人が見ていないところで、というのが「らしい」なあ。

って、そういえばあいつの目に見える活躍ってあったっけ?……えーと、俺のせいで空気と化してる?

「で、凛、結局補習は?」

「もう終わってるわよ?」

「じゃあ今何してるんだ?」






見つからない。連絡も取れない。





「おいおいおい。どうすんだよ。」

「なにかに巻き込まれていると考えるのが自然ですね。」

「そうね。この状況下だものね。」




「置手紙がありました!」

「へっ?」

「それでその手紙にはなんと?サクラ。」

「えーと、


「俺の生き別れの妹が今アインツベルンの連中のところにいるそうです。

なんでも、
「昔愛情ゆえに狂って妻と子供を殺したり、次の妻が襲われそうになったら襲った奴を有無を言わさず撃ち殺したりしたこともある上に、現在はロリコンにもなったガチムチマッチョ」
と四六時中一緒に居るはめになっているそうです。

隣にいたどう見ても嘘を付けそうにない人に確かめたら、「うん。全部本当」と応えたので、本当だと思います。

妹をそんなところに一人にするわけにいかないので、勝手だけどアインツベルンの所へ向かいます。なんとかして妹だけでも逃がすつもりでいるので、後をお願いします。」


……だそうです。」



あほー!何してんだあのばかー!ていうか騙されんな!いや、騙してねーのか?衛宮切嗣とイリヤの関係とか話しておかなかったのがこう響くとは!にしてもセラとリズからのヘラクレスの評価ひでぇ。


「シンジ!早く士郎を助け出さねば!」

「先輩をほうっておくわけにはいきません。私も!」

「サクラが行くならわたしも。」

「弟子を見殺しにするのも気が引けるわ。」


というわけで、アインツベルン城へと乗り込むこととなった。

いま一つ気が乗らないメディアさんと不調のアーチャーも置いていくわけにはいかない。なにしろアイツを相手にするには攻撃手段の多様さがものを言うのだ。手札を全て出し切る勢いでなければ。




「……というわけでやって来ましたアインツベルン城。」

雰囲気出てるなぁ。夜の城って恐いよね?しかもナニが仕掛けられてるかわからんし。

「で、どう攻める?」

「考える間はありません!一刻も早く突入しなければ!」

「待ちなさいセイバー、急ぐのには賛成だけれど、少し考えなきゃ。何せ相手はアインツベルンなんだからね」

今ここで、凛がうっかりしていないということはあまり危険はなさそうだな、と思う俺は間違っているのだろうか。

「そうですセイバー。ここは慎重を期すべきです。」

「慎二様。ここは私に。」

「なにかあるのか?」

「セイバーとあの坊やのラインから坊やの居所を探り、相手の目を掻い潜って救出しましょう。」

「よし、早速頼む。」

「おお!」

「腐ってもキャスターということですね。」

感心するセイバーと相変わらずケンカ腰のライダー。こんなときぐらい仲良くして。

「はい♪お任せください。…ってあら?」

「どうした?」

「その…それが、ラインがあまりにも脆弱すぎて辿れませんでした。」

んなにぃ?

「まったく使えない人ですね。」

桜。お前もやめて。

「うるさいわね!大体この場合使えないやつなのはあのボーヤでしょう?もう少しきちんとサーヴァントと繋がっていたらちゃんと上手くいっていたわよ!」

「なに先輩をバカにしているんですか!自分の無能を棚において!もう一度いったら殺しますよ?」

「あー何度でも言ってやるわよ!あのボーヤはボンクラよ!なに?満足にサーヴァントに魔力も供給できないくせにマスターですって?ナメてんのよ!聖杯戦争を!」

「いくら先輩が魔術師としてダメダメのズタボロだからって言いすぎです!そりゃサーヴァントの面倒も自分ひとりじゃみれない人ですけど、あれでも魔術師なんですよ!」

「あんな貧弱な魔術回路しかない子なんて認められないわよ!ないよりはマシな程度じゃない!」

「ないよりは一億倍もマシじゃないですか!」





「その辺でやめておきなさいよ。敵地で騒ぎすぎよ?それに、そこで慎二が地面にのの字書いてるわよ。」

「「あ」」

ふん、ふん、どうせ俺は出涸らしだよ、悪かったね、ないよりマシ程度の回路すらなくってさあ。

「シンジ…そう、気を落とさないで下さい。まるで魔術師とは思えなかったおかげで初対面のとき私のことは欺くのに成功してたじゃないですか。立派な武器ですよ。」

「ありがとうセイバー。でも、どーゆー慰め方だよ。」

「プッ。」「ふっ。」

笑った!今ライダーに笑われた!あとアーチャーも!

「うわああぁん」

「ああ、泣かないで下さい。」







「ああもう、こんなんで本当に大丈夫なのかしら?組む相手間違った気がしてしょうがないわ。」

「君の迂闊さは今に始まったことではない。」
「うるさいわね!」










投稿再開です。4日投稿しなかっただけで3ページ目からも弾かれそうになったチラシの裏のスピードにビックリです。



[6658] 九話 インターミッション
Name: 犯人◆d1587eef ID:e7e812b9
Date: 2009/03/03 22:59



9話 インターミッション




ザクッ、メリメリ、ミチャリ。

右の肩口から背中にかけて裂けてゆく。

「ほう…」

これは、助からぬかな?慎二が言っていたのは、これか。なるべくこうならぬよう、速やかに間桐臓硯を止めると言っていたが…

ズルリ。

黒い影が降り立つ。ふむ、鍛え抜かれた体躯ではあるが、いささか均整と言うものが取れておらんな。これが暗殺に特化したと云う存在か。なるほど、佐々木小次郎が異端であろうというもの。正統なアサシンとはこういうものか。

「間に合わなんだか。」

もう、この石段で魔女を悔しがらせながら共に茶を飲むこともないか。

真なるアサシン…ハサン・サッバーハは、此方を一顧だにせず、蟲を拾って石段を降りてゆく。

「挨拶の一つもなしか。もとより、饒舌な暗殺者など聞いたこともない。」

その動きは、獣じみた、というよりいっそ昆虫のようでもある。脚を素早く交差させつつ進み、それに乗っかる上半身を微動だにさせない。そして音を立てない。くっくっ、まるで油虫よ、と思ったところで、そろそろ限界が訪れる。

「あっけないものだな。本当にランサーとの手合わせ以外にすることもなかったか。」


がさり。草が揺れ、音を立てる。

……?何者かが傍に寄ってくる。ほう。今わの際を看取ってくれる者がいる、か。
見ればそこそこに整った容貌。なにやら面妖な裾や袖の飾りはいただけないが、まあ、贅沢は言えん。最期に見た人の形をしたものが、あのアサシンでは無粋が過ぎると言うもの。

「ちょ、早くしなきゃ。」

何をしてくれると言うのか。もとよりサーヴァントのこの身に葬式の準備など無駄。

などと埒外なことを考えているうちに―――

傷は塞がり、欠けた部分を構成するエーテルは補われていた。いや、むしろいまのこの身はマテリアルにすら近い。

「なんと。」

「あはは。こんばんは、佐々木小次郎さん?ちょっとお話があるんですよ。ええ、少し時間もかかるので、歩きながら。」

先程とは違う声。見れば目の前の娘ではなく、杖?から聞こえてくる。

といっても、山門に括られている身では、そうも…何?

「ええ、もう束縛されてはいませんよ。」

面白い。一体何が起こったのか、何をするつもりなのか、何をさせようというのか…

「ではゆっくりと歩きながら語らうとしよう。こんないい夜に娘と二人、月を眺めながら彷徨うのも風流。」

「うわ、時代がかった気障。あんましあたしの好みじゃないなあ。」

「二人きりでもないですよー。」

「はっはっ。それは残念。」




はてさて、どんな面白い話を聞かせてもらえるものか。













暗躍していた方々が、表に出てきます。



[6658] 九話 後編 そろそろ伏線の回収とかに入らないとまずいわけで
Name: 犯人◆d1587eef ID:e7e812b9
Date: 2009/03/04 01:51
現在、窓から潜入済み。まずは2階を探す。ぷんっ。

「し、慎二さま、機嫌を直してくださいな。」

「そうですよお、兄さん。私たちは兄さんが魔術回路がないことなんて気にしません。」

ふん。いまさらそんなこと言われても機嫌直さないもんね。

「慎二様は何も出来なくてもいいんです。私たちが支えますから。」

「ええ、私が面倒を見てあげますから。」

「さらりと「たち」を外しましたね、サクラ。」


「…ヒモだな。」

「るっさいわ。」

「ああもうあんたたち!いいかげんにしなさいよ!ここは敵地よ敵地!わかってんの!」





「侵入者、みつけた。」



怪力メイド が あらわれた

「姉さん…。」
「リンですね。」
「ふむ、凛だな。」

「ちょ…なによその「あーあ」みたいな顔は!私一人が悪いみたいじゃない!」










流されたゆたうワカメのごとく 9話 後編












ブンッ!!
ドガ!!「のわ!」

無言でいきなり例のハルバートを振り下ろしてくる。高そうな家具がぶっ壊れるけど気にした素振りはない。


ちびるかと思った。な、なんだよあのハルバート?ホムンクルスとはいえあの細身で片手で振り回してる威力じゃない。

よし、ここは二手に分かれて――

「発見された以上もたもたはしていられないわ!対バーサーカーの要になるセイバー・アーチャー・ライダーは私と先行して士郎を探す!足の遅い残りはここでこいつを片付けてから追う!アーチャー!体調がどうとか泣き言聞かないわよ!」

仕切られた!?俺マジでいる意味ない!てか俺が最初のターゲットにされてるっぽい!

「ここは任せました!」

だだだだだだっ!

あっほんとにみんな行っちゃった!

ブゥーン!!
「避けちゃだめ。」
「無茶言うな!」
ガスッ!!

とかいっている間にも、リズは攻撃を緩めない。ちょ、これマジでやばくね?

ピシリ。

は?って、床崩れる!この城見かけどおりの耐久力じゃないのね!

ガラガラガラ

「うひゃあ」
「あ」
落ちる!


「兄さん!」
「慎二様!」



いつつ…って、分断された!ただ今タイマン状態!

「ひぃぃぃぃぃぃ!」

逃げること脱兎の如く!


「今行きます!」「あっ!キャスターさん、飛ぶのはずるいです!くっ、階段を探さないと!」




「侵入するだけでは飽き足らず、破壊工作まで!やはりマキリもトオサカも品位というものを知らないと見えますね。」

お小言メイド が あらわれた!


ひえええ、状況がマッハで悪化していく!いや、壊したのアンタのところのメイド!うわ!あぶね!

「だから避けちゃだめ。大丈夫。全部殺さない。」

大部分はどうなるんdeathか?答えはこの後すぐ!

「慎二様!」
「させません!」

メディアさん?助かった!って、おお、小言メイドのほうも頭脳派らしく魔術戦もなかなか堂に入ってる!

「キャスターを相手に魔術で挑もうと言うの?」

「ええ。気づいていると思うけど、この城にはその対策もなされているのよ。とくにこそこそとしたアサシンとキャスターは力を発揮できないようにね!」

なるほどそれで身内の馬鹿力には無力だったんですねわかります!

ガキン!とまた俺のいた空間をハルバートが容赦なく(こんなの手加減してるっていわねえ!)打ち据えていく。

「早く片付けてまたシロウに遊んでもらう。」

あの男、ここでフラグ建ててやがった!人がリアルタイムに死ぬ思いで助けに来ているって言うのに、自分はメイドさんとキャッキャウフフか!男の敵め!

「何をしているのです!早くしとめなさい!」

「殺すとシロウ怒る。イリヤも。」

「衛宮士郎もそいつも、敵のマスターなのですよ!」

「ケーキ。」

「うっ。」

「プディング。タルト。エクレア。おいしかったね?」

餌付けまでしてやがったか!一体何本フラグ建てる気だあの一級フラグ建築士!そういう技術ばかり成長しやがって!戦いの最中だって判ってんのか!後で殴らざるをえない!

「なんでジト目でため息つくんですか?メディアさん。」

「いえ。なんとなく慎二様が考えていることがわかってしまったので。」

それでなんで?わからない。

「だからシロウは終わったら連れて帰る。」

「くっ…仕方ありませんね。ええ。盟約者たる衛宮切嗣の息子でもあることですし。」

いや絶対違う理由で転んだろお前ら。



と、ドアが乱暴に押し開かれる。


バン!

「ハァハァ、無事ですか兄さん!」

「桜!」

「ここは任せて、先輩のところへ行ってください!」

「けど後衛二人じゃ!俺でもマトにくらいはっ」

う、自分で言ってて悲しい。ていうか今日の俺こんなんばっか。

「大丈夫です!兄さんは誰でも出来る役をこなしてください!」

「そうです!人質を救出するだけなら慎二様でも!」

今晩の君たちも本当に容赦ないね。だが尤もだ!

「すまん!ここは任せる!」

「はい!」

「くっ!待ちなさい!」

そういわれて待ったヤツを俺は知らない。ていうかそのセリフをいうヤツは、それで本当に止まると思っているんだろうか?言う意味あんの?謎だ。




片っ端からドアを開け、中を確認していく。

はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…畜生、部屋多すぎなんだよこの城。ていうか絶対使わねー部屋が大部分だろ。次はここだ!

バン!

口にテープ。椅子ごとロープで縛りつけ。うん、典型的な「捕われの人質」だ。しかしこの城には激しくミスマッチ。

「!むーむーむー!」

「ここにいたか士郎!」ベリベリベリッ。ぶつっ。ぱら。

申し訳程度の俺の武器であるナイフでロープを切る。

「助けに来てくれたのか慎二!」

士郎のヤツが感動の面持ちを見せる。

「だあっしゃあ!」バキ!

出会い頭に容赦なく一撃!

「痛!なんでさ!」

「やかましい!くだらねー嘘、あ、いや、嘘じゃなくて都合の悪いとこ隠した真実に騙されてホイホイ付いていって拉致されやがって。おまけに人が心配してる最中にメイドさんと遊んでただぁ?ふざけろこの野郎!」

「しょ、しょうがないだろう!怪力のメイドが遊んで~って視線をぶつけてくるんだぞ?横にあのハルバート持って!それが終わったらイリヤに厨房に立たされて後ろからバーサーカーがプレッシャーぶつけてくるんだ!不味いもの作ったら俺が食われるかと思ったよ!」

「あんまりのんびりもしてられん、まずは逃げるぞ。」

「あ、ああ。そうだな。お前のせいで5秒くらい無駄にした気もするけど。」




と、そうは問屋が卸さなかった。


「へえ。どこへ逃げるのお兄ちゃんたち?」

「ひっ。」

「イリヤ。」

イリヤが部屋の入り口に仁王立ちしていた。相変わらずミニマムなサイズをまるで感じさせない重圧だ。情けないが正直ビビる。


「イリヤ、こんなことをしちゃいけないんだ。人を殺してでも願いをかなえようなんてのは、間違ってる。」

士郎君、人それを蛮勇と言う!

「関係ないわ。アインツベルンは悲願を叶えるために何百年も犠牲を払いながら準備してきたの。今回の聖杯戦争だってそう。何があろうと何をしようと聖杯を手に入れるわ。わかった?シロウ。」

眼光は鋭く、プレッシャーはきつく、だがしかし淡々と告げる。

「だけど、それでも――」

「おしゃべりは終わりよ、お兄ちゃん。今日は楽しかったね。じゃあね。殺しだけはしないであげるから。」

やべ、今度はメディアさん居ない。あたまのなか、が、ぐんにゃりとする、ちく、しょ――



「それはまだ困るな、アインツベルンよ。」





――^―は?

ことみね、き、れい?

「くっ!バーサーカー!そっちの相手はもういいわ!こっちに来なさい!」



あたまがはっきりしない。

バーサーカーが、突進してくる。言峰は、それを、いなす。
迫る刃を、横っ飛びしながらデカイ剣の横っ面をはたいた勢いで逃れる。
つま先立ちで、だらりと垂らした腕を肩で振り回す。なんだろう、あの動き。

言峰は、黒鍵を左右に4本ずつ、爪のように広げて構える。ああ、戦国バサラ懐かしい。こっちにはなかったな。ていうか黒鍵て投擲武器じゃなかったの?

ぼやけた視界には、言峰がまるで襲いかかろうとする獣のシルエットのように見える。
影絵のように見えるその姿からは、表情など窺い知れる筈もないのに、なぜだろう、ヤツがまるで、肉食獣のように歯をむいて凄惨な笑みを浮かべたように見えた。

それはまるで、俺の知る言峰綺礼のイメージとは似ても似つかなくて、でも、あのイメージは何かがひっかかる――




「シンジ、シロウ!無事ですか!」

「ほう。バーサーカーを追ってきてみれば、意外な顔に出くわす。」

「しばらくみないうちに、随分と戦闘スタイルが様変わりしたのね?そんな愉快な動きはアンタからは習わなかったわ。」




ああ、みんな無事だったか。早く、引き上げよう。この頭を、何とかしなくちゃ。

メディアさんは、まだ?これを何とかしてもらわないと、歩けもしない。


もう一匹、今度は見慣れた青い獣が降り立つ。
「よう。てなわけで、選手交代といくか。」


獣と化け物の打ち合う姿をアーチャーの背中から眺めながら、そこで意識がぷっつりと切れた。


メディアさんと小次郎さんのラインが切れたことを聞かされたのは、翌朝だった。










すいません。今回はあまり、もっとやれませんでした。
次は、また番外編を挟むと思います。ギャグ以外に意義のないこの作品で、設定を改悪してまでのこじつけはどうかとも思わないでもないのですが、この話の決着を付けるためにどうしても必要だったので。

基本をギャグで行く方針にはなんの変わりもないのですが。



[6658] キャラクター紹介
Name: 犯人◆d1587eef ID:e7e812b9
Date: 2009/02/19 16:00


間桐慎二

青いワカメ。

ありがちな憑依オリ主。特に力は無い。女難の相あり。うっかりあり。精気タンク。

覚醒しない。異なる世界を渡って強くなっていたりしない。

愛のままにわがままに僕は君だけを傷つけなかったりしない。

中途半端に原作知識を持っているが、それを活かしきれていない。

当初自分の保身だけを考えていたが、情が湧くと他の者を切り捨てることが出来なくなってしまうためずるずると守らねばならない範囲が広がりつつある。

生存計画の効率よりも、宇宙の意思のせいでギャグ的に空気を読んだ行動を取ってしまう。その様は「体が勝手にシャワー室へ・・・」の某ギャルゲ主人公のよう、とは宇宙の意思の談。





間桐桜

ワカメ乾燥機一台目。

Zeroで間桐に縛られてしまい、何の希望も見出せなかった生活の中に希望と女の幸せを見出してしまったせいで、間違った方向へ覚醒したヒロイン。

「幸せになったもの勝ち」を地で行く。ワンフォアブラザー、オールフォアブラザー。

間桐慎二を偏愛しているが、衛宮士郎にも別の意味で傾倒している。本人曰く「理想の兄」とのこと。当然士郎から伝授されつつある料理の腕は兄のためにも花丸急上昇中。

ワカメから、聖杯戦争を勝ち抜くことは考えておらず、生き残るために行動するつもりであることを伝えられており、全面的に支持している。そのために蟲蟲大行進な儀式にもやる気を出している。ジジイには気づかれていないがジジイの実力に迫りつつある。兄からの命あらばすぐにでも反旗を翻す気まんまん。

最近出てはいけない本能が顕現しつつある。

本人主観で幸せな日々が続いていたので、ジャプニカの学習ノートは購入していなかったが、最近兄の周りに女がちらつくようになったため、購入した。種類はもちろん「ふくしゅう」である。






遠坂凛

うっかり女王、冬木の影番。

聖杯戦争開始現在、今のところ本編から大きく外れていない役どころだが既にカレイドルビーを披露しており、いろんな外面とメッキがはがれるのは時間の問題かと思われる。

原作と違い慎二との仲は悪くない。が、恋愛、性愛、偏愛、執愛、溺愛、その他愛が絡む関係には今のところ進展する気配はない。

桜に刺激され、中華の技を匠の域にまで昇華させつつある。

他の面々ほど派手な事をやらかすキャラではないが、主人公が愚痴をこぼすことが出来る相手という貴重な立ち位置なので、今後もその手の役どころが回ってくるだろう。






ライダー(メドゥーサ)

ワカメ乾燥機一台目についてるオプションパーツ。桜の生い立ちに共感して守ることを決意する。

同時に、最近は上の兄弟を精神的に大きく圧倒しつつある桜に、「自分に出来なかったことを平然とやってのけた」としびれあこがれてもいる。

ペルセウスへの恨み骨髄であり、中身含めて慎二にその匂いを感じ取っているため厳しい。時に理不尽。

この慎二はライダーに苛められても桜にあたったりしないので遠慮しない。

姉達とは心で分かり合っていたが、表現がひどく不器用であったためそこを悔いている。そのせいもあって桜と慎二に自分達を投影しているので二人の幸せを願っている。自分もそこに入っていきたいとも思っている。

男達に蹂躙される運命だった姉達を守っていたこともあり、男が女を犯すことが許せない。(ただし桜と慎二(プラス自分)のみオーケーらしい。)
そこがどう歪んだのか、薔薇や菊が咲き乱れるアッー!な世界に開眼してしまう。最近のマイブームは士郎×慎二の誘い受けらしい。






キャスター(メディア)

ワカメ乾燥機二台目。

神と男に人生を振り回された女だったが、実は本人にも男で身を持ち崩す素養があった。

騙される女特有の「運命の出会い」を信じており、今は慎二に嵌っている。

ホロウ同様、遠坂と知り合ったのを機に、戸籍の購入と入籍を画策している。相手は当然慎二。

この話においてもアサシン(佐々木小次郎)を呼び出している。アサシンと慎二が仲良くなってしまい、アサシンに嫉妬すると同時にアサシンに会うためにも慎二が来てくれるようになったことを喜んでいる。

それはそれとして妬ましいものは妬ましいのでアサシンに八つ当たりしている。

慎二の頼みで魔力ちゅーちゅーは最低限と決められているため、ガス欠気味。だがそれをダシにしてしょっちゅう慎二の体を張った燃料補給を強要しているあたり、ちゃっかりさん。

じつは最近効率の良い吸い取り方を覚えたため、少し魔力の貯金がある。いざという時は慎二のためそれを使うことも厭わない。慎二はそれを知らないので、必要なとき以外キャスターを前線には出したくない、と考えている。

かわいい女の子とかわいい衣装が大好物。すでにセイバーちゃんお着替えセットを用意している。

件のステッキに操られ、柳洞寺に歩いて帰ったことがある。ステッキは柳洞寺にあるはずだが、未だ鳴りを潜めている。キャスター、そして偽とはいえアサシンにもその存在すら気づかれていない。



[6658] 番外編 その1 ライダーの幸せ
Name: 犯人◆d1587eef ID:e7e812b9
Date: 2009/02/23 20:52
この番外編は本編とは全く関係がありません。ええ本当にこれっぽっちも、です。







流されたゆたうワカメのごとく   番外編  その1 ライダーの幸せ












 ~ ふくしゅう より抜粋~


_月_日
お爺様がご飯に文句を言う。骨粗鬆症のために煮干しを大量に与えてやっているのに何が不満なんだろう。

_月_日
兄さんがまたあのメディアさんのところへ行った。昨日はあんなに「桜かわいいよ」とささやいてくれたのに。別にいまさら関係を切れとは言わないのに、なんでコソコソと行くのかなあ。悪いと思うんならなんでするのかなあ。

_月_日
青い犬さんにセイバーさんが深手を負わされた。看病に行ったはずの兄さんが干からびて帰ってきた。どんな看病だったんだろう。そう訊ねたらなぜかお尻を押さえた。ほんとに何をしていたんだろう。

_月_日
兄さんは毎日自分のご飯が卵尽くしと山芋尽くしなのに飽きたという。じゃあこんどは牡蠣尽くしにしようかなあ。明日の夜が楽しみ。うふふ。

_月_日
せっかく奮発して牡蠣尽くしにしたのに、兄さんはあの寺の番犬のところへ遊びに行くという。番犬に会いに行ったはずなのに帰ってきたら女狐から吸い取られていた。女狐死ねばいいのに。

    _月_日
     めぎつねとかどろぼーねことかはほんとなんでいきてるんだろうそういえばたしかきょうはいつもならにいさんとふたりきりでいるひだったなそうだにいさんはあしがあるからあるいていっちゃうんだまんなかだけのこして____





__ガタガタガタガタ__
シンジが震える音だけが部屋の中に響いています。

「あら。何をしているんです?兄さん。」

       ギ ギ ギ ・ ・ ・
読んでいたノートから顔を上げて、油の切れた蝶番のような音を立ててシンジが振り向きました。

「あらあらうふふ♪いけないことをしてたんですね♪もう、兄さんったら♪」

「さ、桜?いやあのこれは…今日はポストが赤かったから…あと今日の1メートルは100センチだったし…それにおはようはグッドモーニングでグーテンモルゲンなわけだから…。」

「さああっちに行きましょうね。」
ズリズリズリ
「助けてー!!」

いつもと同じ平和な風景。この幸せがずっと続けばいい。そのために私は決意を新たにする。

どうやら私のノートは読まれずにすんだようですね。

パラッ





~ライダーのノートより抜粋~

ランサー「ハッ、ハッ、どうだ俺の ゲ イ ボルクの味は」

シンジ「アッー!!突き穿たれちゃうー!」

シロウ「慎二!!大丈夫か! クソッ、ランサー!止めろ!掘るなら俺を掘れ!」

シンジ「そんな、士郎!せめてお前だけでも無事で!!」

シロウ「慎二、お前だけをそんな目に合わせられるか!!」

シンジ「士郎……」

シロウ「慎二……」

ランサー「おうおう、麗しい愛だな。だがしかしランサーさまは6人までなら同時にオッケェェェェェ」

シンジ・シロウ「「アッー!!」」




はっ。思わずひたってしまいました。


「大丈夫ですよー。キュウリはワカメと相性がいいんですから。あ、このキュウリあとでお爺様のご飯に出しちゃおうかな。」

「たーすーけーてー!酢の物になっちゃう!」

そろそろ助けてあげましょうか。
「桜、わたしも混ざります。」

今はもう遠き日々、姉妹で幸せに過ごしていた時を思い出します。

見守っていてくださいね、私は今、幸せですよ__

「ライダー、さっきのノートは何?」

「たいしたものではありませんよ。ええ、全く。」







爽やかな青空の下、間桐家の家族達は今日も元気です!












だってみんながもっとやれっていうから……

数少ない読者がどこまで耐えられるか知りたくてやった。今では反省している。

Type-moon作品の読者は評価が辛口だと期待していたのに、酷評がまだ1割に満たない、ならばこれで__と思った次第であります。

これでももっとやれと言えるものなら…もっとやります。


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