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[4621] リリカルなのは~ワルガキのノルン~
Name: 管理局の虎◆3455d794 ID:c4ad9fb0
Date: 2008/12/18 21:57
どうも、管理局の虎です。この話は基本的には主人公視点のギャグでいこうと考えてます。パロあり、ネタあり、でいくつもりですので不愉快な気分になったら申し訳ありません

それと、ギャグなのでご都合主義的な部分も多く書くと思いますが、これはおかしすぎるという点とか、何かアイデアみたいなものがあったら感想に書いていただける嬉しいです

SSを書いて投稿するのは初めてなので、至らないところもあると思いますが、よろしくお願いします

※番外編の時間軸は、4話から5話の間です



[4621] プロローグ
Name: 管理局の虎◆3455d794 ID:0e220d18
Date: 2008/11/15 14:30
~プロローグ~

海鳴市 某所

「お、俺の家が・・・」

俺は我が家(ボロい山小屋)の前で、怒りに震えていた。用事をすませて帰ってみれば、暴れまわっている妙な生物。破壊された家(だったもの)・・・・・ふざけてやがる

「おい、珍獣。貴様に人間様の言葉が通じるとは思わんが、遺言だけは聞いてやろう。何か言い残すことはあるか?」

「・・・・・」

「返答はなし、と。聞くだけ無駄だったな。死にな」

ドカッ、バキッ、グシャ・・・・・

「ふっ、我ながら鮮やかな手並みだ」

まあ、所詮は言語を理解できない畜生。当然の結果だな。

コツン

「ん?何だこの石は」

足になにか当たったので、ふと見れば青い石があった。どうやら珍獣の腹から出てきたらしい

「なかなか、きれいだな。ちょうどいい、売り飛ばして宿代の足しにでもするか」

それにしても、家がぶっ壊れたのに、手に入ったのはちょっときれいな石。割にあわんな。

ひゅ~

「さ、さみい」

ちくしょう。俺が、何をしたってんだ。珍獣を殴りとばして、多少すっきりしたのに、またイライラしてきたぜ

ガサガサ

「む?」

「あ、あれ? こっちで確かに反応が・・・」

俺が、世の中の理不尽さに嘆いているとどこぞの茶髪のガキが森から姿を現した。まあ、ガキと言っても俺よりひとつかふたつ年下なだけだが(多分)

・・・・というか、つい癖で気配を隠してしまった。何やってんだか、俺は

「おい、なにしてるんだ?」

とりあえず、声をかけることにしたのだが・・・

「あっ!、そ、その石は!それは危険なものなんです!すぐに渡して下さい!」

ガキは俺の手にある、石を見るやいなやそんなことをほざきやがった・・・・こいつ、俺の質問を無視するとはいい度胸だ。しかも、俺が家と引き換えに手に入れた石を渡せだ?

舐めやがって。ふっ、地獄を見せてやる。なに、ちょっとしたお仕置きだ。少々、イライラしてるんでやりすぎちまうかも知れねえけどな

「落ちつくんだ、君。すぐに渡すから。ほら」

「す、すいません。ありがとうございます」

くっくっくっ、馬鹿が隙だらけだぜ!

ドスッ

「な、な・・に・・・を」

「馬鹿かてめえは、俺が拾ったんだから俺の物だ。危険だか何だか知らねえが俺の勝手だ」

「だ・・だめ・・です・・・本当に・・・危険・・・な・・・」

バキッ

「ふうっ、すっきりした」

悪いな、ガキ。恨むなら、俺がイライラしてるところに来た、自分を恨んでくれ
「さて、行くか」

生意気なガキを殴りとばし、気の晴れた俺は、今日の寝床を探すことにした・・・



[4621] 第1話
Name: 管理局の虎◆3455d794 ID:942a80e2
Date: 2008/11/16 22:42
~第1話~

さて、とりあえず、町に来た俺だが···考えてみれば、俺の知り合いは、何年か前に死んだ、俺に社会の常識とやらを教えたオッサンだけ。まあ、最近になって奴も実は、社会不適格者だったと気づいたが

他には、たまに山に来る、三人の男女だが···一方的に面識があるだけだしな

「···まずいな」

このままでは、野宿である。まさか、また山に都合よく家があるはずもないしな。金も持ってねえし····参ったぜ。ちっ、タダで泊まれるところでもあれば···

ピカッ

「ん? 何だ?石が光って···うわっ」

いきなり、拾った石が光りだしやがった。もしや、これが危険がどうこうってやつか?

ピカーン

そして、光に包まれた俺の意識は、闇に沈んでいった·····何てことはなく、光が収まって目が慣れてくれば、見知らぬマンションの前


~某マンション~


分けがわからんが····原因はおそらく、この石だな

「ここに、泊まれってことか? 困っている持ち主に力を貸すとは、なかなか感心だな」

····話かけるが反応なし。まあ、無機物だしな

「とりあえず、チャイムでも鳴ら···」

バンッ、ガツン

「えっ? ご、ごめんなさい。急いでたから」

い、痛え。この野郎、俺の顔にドアをおもいっきりぶつけやがった。決めたぜ、こいつを追い出してでも、ここに泊まってやる

「おい、てめえ」

「え?わ、私?」

何だこいつ?人の顔をジロジロと見て。というか、私? 女だったのか。なら、力尽くは勘弁してやるか。穏便に交渉といこう

「うっ、顔の骨にひびが!い、痛え!このままじゃ死んじまう!」

「ええっ!? だ、大丈夫!?」

「いや、ダメだ」

「ダメなの!?」

「ここに泊めてくれれば大丈夫かもしれない」

「そ、そうなの? い、いいよ、じゃあ、泊まっていって」

な、何てアホな奴だ。こんなに簡単に騙されるとは····さすがの俺も、少し罪悪感を感じるぜ。仕方ない、この石を宿代にやるか

「あ、ありがとう。お嬢さん。君は命の恩人だ。お礼に、世界に数個しかない幸運になる石をあげよう」

「え!?ジュエルシード!?」

は?ジュエルシード?適当こいて女に石を渡すと凄まじい反応だった。な、何だ?こいつの物だったのか?いや、確か珍獣の腹から出てきたはずだが···

「な、中に入ってて!」

ドン、ガチャ

女に押されて中に入る俺。····他人を中に入れて、自分は外にいる女。俺が言うのも何だが少しは警戒心を持とうぜ

「へえ、結構いいとこだな」

鍵を閉めて女を閉め出すという考えが頭をよぎったが、さすがにやめておいた

俺は、女が中に入ってくる様子はないので(何やってんだ?)中を見せてもらうことにした

「····あんまり家事とかはしないっぽいな」

部屋は俺の家より広かったが、コンビニ弁当やらドッグフードのゴミやらが転がっていた。まあ、俺も他人に言えるほどやったりしないが

ガチャ


しばらくして女が戻って来た

「おかえり」

「あっ、た、ただいま」

なぜ、どもる女よ

「よく分からんが用事は済んだのか?」

「う、うん」

「そうか」

「····」

「····」

な、何か視線を感じるんだが。やはり、追い出す気か?まあ、絶対出てかないがな

「あ、あの」

「何だ」

「ど、どうして、私と同じ顔なの?」

「は?顔?」

出ていってくれとか言うのかと思ったら、全然、関係ない話題だった。しかし、私と同じ顔?そういえば、そっくりだな。俺は男だが。だが、どうしてと聞かれてもな···

「生まれつきだ」

と、答えるしかない

「で、でも。すごく似てるよ?」

「でもも、くそもない。いいか、少女よ。世界には同じ顔の人間が3人いると言われている。だから、俺たちの顔が似てるのは、そのうちの2人が偶然、出会ったに過ぎないんだよ」

「えっ!? じゃあ、もう1人いるの?」

「ああ。この世界のどこかにいるんじゃないか」

多分な

「そ、そうなんだ」

挙動不審で、小動物みたいなやつだな。しかも、天然ボケくさい。俺と同じ顔だから、妙な気分だ。しかし、確かに驚きだ。いるもんなんだな、そっくりさんというやつは。などと、1人で頷いていると

ガチャ

「ただいま。フェイト」

「あ、おかえり。アルフ」

乳のデカいコスプレ姉ちゃんが入って来た。そういえば、こっちの女も変な格好してるな

「え? フェ、フェイトが2人?」

「···同居人か?」

俺の姿に驚いている間に、姉ちゃんについて聞いてみる

「う、うん。アルフっていうの」

「そうか。俺については、お前が説明してくれ」

とりあえず、アルフとやらに説明させることにする

「あ、アルフ。えと、この人、ここに泊まることになったの」

女の説明は、過程がすっ飛ばされていた

「···はっ!え? と、泊まるってどういうことなんだい?フェイト?」

正気に戻った姉ちゃんの疑問はもっともである。このフェイトという女は頭にお花畑でも咲いているんじゃないのか?ちっ、面倒な

「実は、フェイトさんが危なく死ぬところだった俺を助けてくれたんです。それで、行くところがないって話をしたら、泊めくれるって。ねっ、フェイトさん」

「え?う、うん」

「本当かい、フェイト?」

「うん、本当だよ」

「あの。俺、出ていったほうがいいですか?」

「い、いや。まあ、フェイトがそう言ったなら。あたしはかまわないけど」

「あ、ありがとうございます」

ふう、あぶねえあぶねえ。このアルフとかいう姉ちゃんは結構まともみたいだな。フェイトの頭がお花畑で助かったぜ

「ところで、あんたフェイトそっくりだね。名前は何ていうんだい?」

名前?そういえば、俺、オッサンにお前とか、貴様とか、でしか呼ばれたことなかったな····俺って名無しの権兵衛だったのか。まあ、俺もオッサンとか、ジジイとか、呼んでたからお互い様だな

思えば、オッサンの名前も知らんな。ふっ、俺たち2人の間に名前など必要なかったということだな

だが、これはある意味ラッキーだな。利用させてもらおう

「俺、名前が無いんです」

「なんだって?」

「名前が無いって····それじゃあ、家族とかは?」

家族ねえ。強いていえばあのオッサンだが、奴はすでにあの世の住人だしな。このまま、可哀想な少年の路線でいくぜ

「(今は)いません」

「·····」

「そんな···」

俺の演技もなかなかだな。2人の反応は、アルフは····少しだけ怪しんでるといったところか?フェイトは····かなりショックを受けている。目が潤んでますよ、おい。う、嘘は言ってないぞ

「(オッサンが死んでからは)ずっと1人ぼっちだったんで、名前なんか必要なかったんです。だから、もし良かったら俺に、名前をつけてくれませんか?」

今更、自分で自分に名前をつけるのもなんかやだしな

「うん。つけてあげる」

「まかせときな」

「2人とも、どうもありがとうございます」

(だけど、あんまりダサいのは勘弁してくれよ2人とも)

俺は、頭を捻っている名付け親(仮)の2人を見ながら割と失礼なことを考えていた

·
·
·

それから、紆余曲折あったが、とりあえず、俺の名前が決まった

その名も····ノルンである

俺とフェイトが似てるということで、フェイトの名前になぞらえたそうな。確か、どっかの女神の名前だったか?

「それじゃあ、せっかくなので自己紹介を。ノルンです。よろしく」

「あたしゃ、アルフ。よろしく」

「えと、フェイト·テスタロッサです、よろしく」

とりあえず、名前がついて、生まれかわった俺が自己紹介すると、2人も同じように返してきた。うむ、感心だな

「あの、ノルン。聞きたいことがあるんだけど」

「何ですか?フェイトさん」

「ノルンが持ってた、あの石はどこで見つけたの?」

あの石?ああ、フェイトがジュエルシードとか言ってたやつか

「ジュエルシードってやつですか? あれは、山で拾ったんです」

「近くに、同じような石はなかったかい?」

「多分、なかったと思います」

ちっ、敬語で話すのもいい加減、面倒になってきたな

「そっか」

「あの、普通に喋ってもいいですか。敬語だと喋りにくくて」

「ああ。あたしゃ、構わないよ」

「私も、別にいいよ」

「そうか、助かるぜ。アルフ、フェイト」

ふう、やっぱりこの口調が一番落ち着くぜ

「····」

「····」

「何だ?」

2人して珍妙な顔しないでほしいぜ。全く

「いや、いきなり切り替えるからちょっと驚いたんだよ。それと、ワイルドなフェイトみたいで何か新鮮でね」

「私も、ちょっとびっくりした。それに、自分に似てるから、何か···変な感じ」

「なるほどな」

ワイルドなフェイトね····確かにアルフから見れば、俺はさしずめ、グレたフェイトみたいな感じだろうな。というか、フェイト、変な感じはお互い様だ。

ぐう~

「····」 「····」

「····飯にしないか?」

「そ、そうだね」 「う、うん」

ふっ、まさかこの俺が、腹の音を聞かれて、人に気を遣われる日がこようとはな。···屈辱だぜ

·
·
·

そんなこんなでメシになったんだが、俺は、一人、静かに戦慄していた。それは·····

献立について、である。まず俺、コンビニ弁当。そしてフェイト、同じくコンビニ弁当。ここまではいい。別に、何の変哲もない普通の夕飯である。だが···

「なあ、アルフはあれ食うのか?」

「え、うん。アルフの好物だよ」

そう。最後にアルフ、ドッグフードである

最初は、コスプレにちなんだギャグだと思ったのだが、今のフェイトの言葉でそれは消えた

顔がマジだった。ふざけてる様子もない。というか、アルフは、すでに食いはじめていた

そういえば、部屋にドッグフードのゴミもあったな。日常的に食ってるのか? フェイトに比べて、割とまともな奴だと思ったんだが···

ドッグフードが好物だと?少々、認識を改める必要があるな

「う、美味いか?」

「うん? ああ。あんたも食うかい?」

「い、いや、遠慮しておこう」

こ、こいつ、大丈夫か?主に、山で暮らしていた俺の方が、まだマシなもの食ってたぞ

「···」

フェイトは平然と自分の弁当をちびちびと超スローペースで、食べはじめている。さっき、アルフの好物とか言ってたよな。····コイツがアルフにドッグフードだけを食べさせ続けているという線はどうだ?

「?」

いや、ま、まさかな?虫も殺さないような顔して、そんなことは····ないよな?

も、もういいや。とりあえず、俺も弁当を食おう

「いただきます」

そして、恐るべき食卓(俺、限定)は終わり、俺たちは眠りにつくのだった···




[4621] 第2話
Name: 管理局の虎◆3455d794 ID:6106b45e
Date: 2008/12/20 16:02
~第2話~

「この世は弱肉強食だ。弱者に人権は存在しない。そして、お前はワシより弱い。よって、お前が捕ってきた魚をワシが食うのは、自然の摂理だ」

「ふざけろジジイ。てめえが俺より強いだ? 寝言は寝て言えや!最近の勝負を思い出してみろ!あんたの時代はとうに終わってんだよ!」

俺は自分より、遥か高みで戯れ言をほざくジジイに、現実というものを教えてやる

「はっ、口先だけは一人前だな。では、なぜ、お前は地に這いつくばっている」

地に這いつくばっているだあ? 確かに、俺はジジイから見下ろされている。だが···

「這いつくばってねえよ! なんだ、この無駄に深え落とし穴は!人が食料集めている間に、何やってたんだてめえは!」

俺は、確かに、善人ではないだろう。しかし、このジジイよりは、人間としてまともだと、胸を張っていえる。断言できる。それは、もう確実に

「なに、最近ワシの負けが続いてる気がしてな。一計を案じたのだ。お前は、それに見事に嵌った。何をほざこうが、負け犬の遠吠えよ」

かなりムカつくが、確かに一理あるな。俺がジジイに、嵌められたのは事実だ。

くそっ、ジジイと二手に別れた時点で、もっと警戒するべきだった

「て、てめえ。ここから出たら覚えてろよ」

「ここから出たら?何か勘違いしてないかなチミ~。お前をそこから出すのはワシの心持ちひとつなのだ。どういう態度をとるべきなのか···わかるだろう?」

こ、このジジイ、調子に乗りやがって。ここから出たら、死刑だな

ふ、ふん。一時的な服従なんて屁でもねえ。最後に勝てばいいんだ。つ、 強がってねえからな? ほ、本当だぞ?

「···ど、どうか卑しいわたくしめをここから···」

ガバッ

ゆ、夢か···。恐ろしい悪夢だったぜ

オッサンとの戦いの中でも、特に屈辱的な敗北だったからな···アレは

俺の黒歴史の1つだ。きっと昨日、家族がどうとかでオッサンを思い出したせいだな

「朝か···」

ソファーっていいもんだな。俺の家(もうないが)の床とは雲泥の差だ。昨日もすぐに眠れたしな。···まあ、夢見は最悪だったが

「2人は、まだ寝てるみたいだな」

ちょうどいい、ほとんど日課になっている、朝の鍛錬でもしてよう

(···願··い)

ん?何か声がしたような···

(···力を···して)

(···助け···くだ··)

····まさか、俺ともあろうものが、どこぞのキチガイみたいに、電波を受信しちまったのか?

(···)

い、いや、幻聴だな。何にせよ、関わらんほうがいいな。俺の野生動物にも勝る直感がそういっている。それに、もう聞こえなくなったし、どうでもいいな。さっさと鍛錬にいくとしよう

·
·
·

「ふう。室内だと、限界があるな。今日はこんなところにしとくか」

2人も、そろそろ起きてくるだろう。結構、汗かいちまったな。あとで、シャワーとか借りるか

ガチャ

「よう」

「ん···ああ、おはよ」

汗をかいたので、上半身裸でくつろいでいたら寝ぼけ眼のアルフが起きてきた。耳とか尻尾付けたまま寝たのか

耳とか垂れてて本物みたいだ。すげえな、最近のコスプレは

「っ!?あんた、それフェイトの···やっぱり、あたしらを騙してたんだね!この!」

「は? な!?」

ドカッ

な、何だ?アルフのやつ、意識がはっきりするやいなや襲いかかってきたやがった

しかも、こいつ、女のくせにすげー重いパンチしてやがる。この俺が壁際まで軽々と吹っ飛ばされちまった。普通の奴なら、死んでるぞ

「ってえな、いきなり何しやがる!」

「惚けるんじゃないよ!あんた、魔導士だね!フェイトのバルディッシュを返しな!」

「はあ!?魔導士だ?それに、バングラデシュ?わけ分かんねえ事ばっかり言ってんじゃねえぞ!この乳デカ犬女が!」

イカレタ犬女に、俺は速攻をかましてやる。やられっぱなしは、むかつくからな。手加減なしだ!

「な!?はやっ···」

バギッ

「俺を舐めんなよ。犬女」

いきなり殴られて、わけがわからんが、久しぶりの強者との戦いだ。とりあえず、アルフをブチのめすのを楽しませてもらうとするぜ

「くっ、やってくれるじゃないか!」

「ふん、正当防衛だ」

へえ、あんまり効いてねえみたいだな。タイミングはバッチリだったと思ったんだが···まあいい、立てなくなるまで、殴りつづけりゃいいだけだ

バタンッ

「ふ、2人ともどうしたの!?」

ちっ、フェイトが起きてきやがったか。まあ、あれだけドタバタやってれば、当然か

「フェイト!こいつ、魔導師だったんだよ!バルディッシュを盗んで···」

「え? バ、バルディッシュなら、ちゃんと持ってるよ?」

『Yes.sir』

「え?」

何だ? 今、こいつら以外の声がしなかったか? それにしても、アルフの奴、フェイトの乱入で隙だらけになっちまった。完全に興ざめだぜ

「アルフ? どういことなの?」

「え?あれ?でも、ノルンの首に確かにバルディッシュが···」

「首?バルなんちゃらって、このネックレスのこと言ってたのか?」

チャラ、チャラ

「え?バルディッシュ?嘘···」

「悪いが、これは俺の物だぜ。昔からずっと身につけてんだ」

「ど、どうなってんだい、何であんたが···」

そんなこと、聞かれてもな。いつから持ってたかも、覚えてねえような物だし、俺も知らねえよ

「それより俺も、色々と聞きたいな。俺をぶん殴ってくれたアルフちゃん?確か、魔導師とか言ってたな?」

「だ、誰がアルフちゃんだい!ぶん殴ったって···ノルンだって、あたしのこと殴ったじゃないかい」

「怒るなよ。軽いジョークだ。それで、フェイト?魔導師ってのは、何なんだ?」

俺は、アルフを適当にあしらって、話を聞きやすそうなフェイトに、ターゲットを切り替えた

「そ、それは···」

「ご、ごめんフェイト。あたしのせいで··」

くっくっくっ、妙なコスプレして変わった2人組だとは思ってたが。何だか面白いことになってきたな

俺は困り果てる2人を見ながら、心の中で、邪悪な笑みを浮かべるのだった




[4621] 第3話
Name: 管理局の虎◆3455d794 ID:942a80e2
Date: 2008/11/15 14:49
~第3話~

「なるほどね・・・」

2人は、かなり渋りつつも、俺が心を込めてお願い(詰問)すると、最終的には色々と教えてくれた

それにより、分かったことは・・・

・魔法の存在(ちょっとだけ魔法を見せてもらった)

・魔導師と魔法について(ファンタジーとかの魔法使いにハイテクな科学をプラスしたような感じだな)

・フェイトは魔導師(それっぽいのは、格好だけだな)

・アルフは狼の使い魔(ドッグフード食ってたんだから、犬でいいだろ)

・バルティッシュってのは、デバイス(デバイスってのは、ようは、魔法使いの杖だな)

ここまでの事も、かなり興味深いが、俺にとって重要なのは・・・

・俺のネックレスがデバイスかもしれない(バルティッシュにそっくりだから、らしい)

・俺にも魔力があるから、魔法を使えるかも(まあ、さすがは俺だな)

この2つ。ああ・・・最後に1つ

・アルフが俺を襲ったのは、勘違い(こいつには、あとでお仕置きが必要だな)

「ノ、ノルン?どうしたんだい?」

「なんでもないよ。アルフ。大体、分かった。説明ありがとう」

おっと、邪悪な笑みがもれちまった。くっくっくっ、気分が良すぎて、口調もおかしくなってたか?。それにしても、魔法か・・・是非とも使ってみたい

よくある話みたいに、口封じで殺されるのかと警戒したが、2人にそんな様子もないしな。おめでたいことだ

・・・いや、油断しないほうがいいな。アルフの身体能力は身をもって経験ずみだ。フェイトに関しても、魔法がインチキでもなんでもなかったことから、見た目で判断するのは危険だ

1対1なら、そう簡単に、負けるつもりはないが、2人に力ずくでこられた場合は・・・まず、攻撃方法のわかりやすいアルフを速攻で倒し、人質にして・・・

ダメだな、魔法でどの程度のことができるのか分からないのがネックだ。とりあえず、遠距離から思いっきり殴られるようなものと仮定して、もろに喰らうとすると・・・

アルフとの戦いの間に、横からフェイトに魔法でやられたら、アルフに反撃を受けて終わりだな。となれば・・・

そうだな、こいつらの弱点は、情にもろいところか・・・降参したフリをして、1人を不意打ち。そいつをそのまま人質とするのが、ベストか・・・

まあ、なるべく敵対しないようにしつつ、魔法についてよく知るのが、今は、得策か

「・・・・・・来てほしい」

「え? ああ、悪い。フェイトちょっと考え事してて。何かな?」

フェイトが、何か言っていたようだ。いかん、いかん、重要な話の最中だったな。考え事ばかりに気を取られないようにしないとな

「そ、その、バルティッシュのこともあるし、母さんなら、ノルンについて何か知ってるかもしれない。・・・もしかしたら、家族なのかも・・・だから、私たちと一緒に来てほしい」

「フェイトの母親に会ってほしいってことか?」

フェイトの母親か・・・2人のように、甘い奴ならいいが、どんな奴か分からんからな・・・先に情報が欲しいな

「ノルンは、顔もフェイトにそっくりだしね。無関係ってことは無いんじゃないかい?」

「偶然じゃないってことか?まあ、顔だけならともかく、持ち物が同じなのは、出来すぎている気もするが・・・でも、フェイトの母親って、どんな人なんだ?」

「母さんは、優しい人だよ」

優しい?つまりは、フェイトを溺愛しているってことか?不味いな。俺は、そういう母親からすれば、娘に近づいた害虫のようなものだ

すべてが、フェイトのとりなしにかかってくる。果てしなく不安だ・・・会うのはやめておくか。この2人なら、無理強いはしないだろう

「ちょっと考えさ・・」 「あの人のどこが優しいのさ!フェイトに、いつも辛く当たって・・・」

「アルフ。母さんの事を悪く言わないで」

「フェイト。でも、あの人は・・・」

「アルフ、お願い」

「・・・分かったよ」

何だ?とりあえずしばらく考えるフリをして断ろうかと思ったが・・・想像したような人物とは、まったく違うようだな

「ノ、ノルン。ごめんね。母さんは、最近は、悲しいことがあって。ちょっと疲れてるけど、いつもは、優しい人だから」

「ああ。分かったよ」

アルフの言葉のほうが、遥かに信憑性があることがな。フェイト自身は母親を慕っているが、親子の中は、良くないといったところか・・・

フェイトの今の言葉は、昔は、優しかったと言ってるようなものだ。つまり、今は、優しくされてないんだろう

そうなると、会うこと自体、危険か?いや、俺とフェイトの容姿が似ているのを利用すれば・・・難しくはないな。命の危険がないとは、言い切れないが・・・

魔法を手に入れるには、必要な試練とでも割り切るか。まあ、死ぬつもりは、さらさらないが

「ノルン?」

「フェイト、お前の母親に会わせてくれ」

「!あ、ありがとう。じゃあ、こっちに来て」

フェイトのやつは、随分と嬉しそうだ。よっぽど母親が好きとみえる。アルフは、さっきフェイトにたしなめられてから黙りこくっている。

あまり会いたくないようだな。というより、フェイトに優しくない奴は、すべて敵だとか思ってそうだな

「私につかまってて」

つかまってて、ねえ・・・そういえば、アルフにお仕置きがまだだったな

あまり、直接的に危害はくわえられそうにないしな。一応、殴り返したし、適当にからかって勘弁してやるか。

「ああ」

だきっ

「////」

「な、なにしてんだい!?」

「つかまったんだが?」

ふう、なかなかの抱き心地だフェイト。抱き枕にほしいところだな。さて、主人思いの使い魔アルフ。どう出るのかな?

「な、なんか、いやらしくないかい?」

「別に普通だと思うが・・・なあ、フェイト?」

「////」

真っ赤になって絶句しちゃって、まあ。可愛らしいことで。さて、畳みかけるか

「ほら、アルフがいやらしいなんて言うから、フェイトが照れてるじゃないか。普通につかまってるだけなのに」

後ろから抱きかかえる感じで、できるだけいやらしく見えるようにやってるから、全然、普通じゃないがな。

「そ、そうなのかい?ご、ごめんよ。フェイト」

ぷっ、耳が垂れてるぜアルフ。意識してねえと吹き出しちまいそうだ。さっきまで、こいつら相手に、真剣に戦いを考えてた俺が馬鹿みたいだぜ

「アルフ、そんなにいやらしく見えるのか?ちょっと、俺と同じようにやって見せてくれよ。もし、そう見えたら、別のつかまり方にするから」

「あ、あたしかい?」

お前しかいないだろう?まあ、安心しろ。絶対、断らせないから

「他にいないだろ。それとも、嫌なのか?フェイトに触れるのが?さっき怒られたから」

「え?」

「そんなことあるわけないだろ!どきな!」

「おっと」

だきっ

「ア、アルフ?」

「////フェイト・・・」

くっくっくっ、計画どうり。題して、発情したメス犬といったところか。じゃあ、とどめといくか

「悪い、アルフの言うとおりだ。すごい、いやらしいな」

「////」「///わ、分かれば、いいんだよ」

アルフをからかって、楽しんだ俺は、その後、落ち着きを取り戻したフェイトの魔法で、どこかに移動した。というか、ワープした。なんでもありだな、魔法

それにしても、フェイトの母親については油断できないが・・・やっぱり、こいつら2人は警戒する必要ないかもしれん




[4621] 第4話
Name: 管理局の虎◆3455d794 ID:6106b45e
Date: 2008/11/15 14:49
~第4話~

「どうも、ノルンといいます」

「・・・」

突然だが、俺は、フェイトの母親と2人だけで話をしている。なぜ、こうなったのかというと・・・

俺たちが、テレポートみたいな魔法でフェイトの母親がいるところ(時の庭園とかいうらしい)に来たあと、まず、フェイトが母親に会いにいった

戻ってくると、母親は、俺と2人きりで会うとのこと。てっきり3人で会うと思っていたが、気難しい性格でもしているだろうと思い、快諾

そして、現在の状態になっているというわけだ

「お名前を伺ってもよろしいですか?」
「・・・プレシアよ」

・・・プレシアね。しかし、これが、あのフェイトの母親か。 まったく似てないな。俺の第一印象を率直に述べるなら、鬼婆とかいう言葉が似合いそう、といったところだ。もちろん言葉には、出さないが

「俺のことについて、プレシアさんなら、何か知っているかも、とフェイトさんがおっしゃっていたのですが・・・」

本当は、どうでもいいがな。重要なのは、魔法についてだけだ

「そうね・・・・あなたはフェイトの双子の兄弟。つまり、私の可愛い息子よ」

気色の悪い、猫撫で声だ。私の息子?無理があるんだよ婆さん。だが、好都合だ。そっちから、そういう話を振ってくれるとはな・・・

「じゃあ、プレシアさんは俺の・・・」
「ええ。お母さんよ」

生まれた時の記憶なんざなくてもわかる。十中八九、嘘だ。・・・まあ、ただの勘だが、俺の勘は当たるからな

おおかた、俺を何かに利用するつもりだろう。母親だと?ふん、白々しいことだ。いや、お互い様か・・・

「ずっと、ずっと会いたかったです」

「寂しい思いをさせて、ごめんなさいね。ノルン」

嘘、確定だ。プレシア。その名前は、あんたの娘がつけたんだよ

それとも、本当の名前でもあるのかい、お母さん?ふふ、なんてな

「お母さんは・・・ちょっと恥ずかしいな。呼びかたは、プレシアさんでもいいですか?」

個人的には、ばあさんを勧めたいところだが、仲良くいこうじゃないか。俺たちは、親子なんだろう?

「ええ、構わないわ」

さて、茶番は終わりだ。本題といくか

「ありがとう、プレシアさん。それと、このネックレスがデバイスかもしれないって話があったんですけど・・・どうでしょう?」

「デバイス?少し、よく見せてくれるかしら?」

「はい」

できれば、デバイスだといいんだが・・・そう簡単に、手に入るものでもなさそうだしな

「これは・・・デバイスではないわね。多分、ただの装飾品よ」

ちっ、そうそう都合よくはいかないか。仕方ない。少し頭をひねるか

こいつは多分、俺を利用することを考えている。いや、考えてなくても構わない。そういう方向に思考を誘導してやる

「そうですか・・・残念だな、魔法が使えれば、何か、プレシアさんの役に立てると思ったのに・・・」

「ふふ、安心なさい。デバイスがなくても、魔法を使うことはできるわ。でも、そうね・・・少し、お願いを聞いてくれるなら、お母さんが、用意してあげるわ」

想像どおりの展開だな。まあ、対価を求めるのは、当然か。親子を装っていても内心は、よくて、使い捨ての駒。最悪、それ以下だろうしな

「うん。俺、プレシアさんのためなら、何でもするよ」

我ながら、よく舌がまわるな

「ありがとう、ノルン。それじゃあ、あなたの妹、お姉さんかしら?とにかく、あの娘、フェイトのお手伝いをしてあげて」

こいつの目に映ってる俺は、生き別れの母との再会を喜ぶ、馬鹿なガキといったところだろう

「分かったよ。プレシアさん」

「少し、待っていなさい」

「はい」

ふう、予定とは少々違ったが、想像以上に上手くいったな。フェイトと容姿が似ていることから、話を進めるつもりだったが・・・

まさか、あっちから、ストレートに息子だと言ってくるとはな・・・

だが、これで、魔法を使うことができるようになりそうだ

・・・・・・しばらくすると、プレシアが戻ってきた

「これを持っていきなさい」

「これは?」

「簡単なストレージデバイスよ、詳しくは、あの娘に教えてもらいなさい。私は、少し休むわ」

これが、念願のデバイスか・・・なんであれ、ないよりましだ。ありがたく頂くとしよう

「ありがとう、プレシアさん」

とりあえず、あんたのお願いとやらも、聞いておいてやるよ。フェイトやアルフのことは、割と気に入ってるしな

俺は、やっと手に入れたデバイスを持って、フェイトたちの下に戻っていった





「あ、ノルン。どうだった?」

2人は、俺が行く前と同じ場所で待っていた。律儀なやつらだ

「あいつに、何て言われたんだい?」

「俺とフェイトは双子の兄弟だと」

プレシアの嘘だけどな

「ほ、ほんとに!?」 「ええ!?」

まあ、普通は、驚くか

「や、やっぱり。あのネックレスかい?」

確かに、そういう話だったら信憑性は、あるかもな。・・・あの鬼婆は、ほとんど関心を示さなかったが。ただの、装飾品とか言ってたな

「ああ、そうじゃないかな?でも、デバイスじゃなかったんだ。だから、プレシアさんが、こいつをくれたよ」

俺はアルフに、プレシアから、頂戴したデバイスを見せる。

「へえ、珍しいこともあるもんだね」

「やっぱり、母さんは優しいんだよ」

「・・・」

・・・フェイト、お前の目には、妙なフィルターでも掛かってんじゃないか? プレシアと少しの時間しか、話してない俺でも、アルフの発言のほうが正しいと断言できるぞ

「でも、そのネックレスはデバイスじゃなかったんだね」

「そうだな。だから、俺が襲われたのは、アルフのとんでもない勘違いだったんだ」

「そ、それは、もう謝ったじゃないか。あの時は、悪かったよ」

「あ、あの!わ、私のほうがお姉さんだよね?」

俺が、アルフを殴られた一件で、また、おちょくろうとしたら、いきなりフェイトが大きな声をあげて、妙な質問をしてきた。・・・お姉さんだと?

「・・・いや、俺が兄だろう」

「な、何で!?」

何でって、お前・・・確かに、俺は対人関係は、一般的に考えれば、最悪の部類だが・・・

単にちょっと気分屋なだけで、コミュニケーション能力そのものは、高いはずだ

身体だって鍛えているし、オッサンが死んで、あの町に来てからは、図書館で読書が日課になっているから。知識も豊富だ。・・・多分

金がないから、野性児みたいな生活は、していた。でも、それは面倒だからで、その気になれば・・・なあ?

・・・あれ?何か、はずだとか、多分とか、ばっかりじゃないか?

・・・もしかして、俺、ダメ人間?

い、いや待て。フェイトだって、アルフしか仲良さそうな相手はいないじゃないか。親ともうまくいってないし、対人関係は、俺と同レベルだろ

まあ、身体は女だしな。俺と比べても仕方ない。頭は・・・よく分からんから、保留で

そうだ。こいつ、マンションに泊まってたな。つまり、フェイトは、金を持っている。対して、俺は文無し・・・

ば、馬鹿!プレシアだよ、プレシア。あいつの金だろうが!落ち着け、俺。クールだ、coolになるんだ。お前は、デバイスを手に入れて、魔法を・・・魔法?

フェイト ← 魔導師(使い魔がいる)

俺 ← デバイスを手に入れた(数分前)

「ウン。フェイトガ、オネエサンダネ」

「そ、そうだよね!私が、ノルンのお姉さんだよね」

「ノ、ノルン?だ、大丈夫かい?なんか目が虚ろ・・」

「ダイジョウブダヨ、アルフ」

俺が、フェイト以下。頭がお花畑のフェイト以下・・・・・・



[4621] 第5話
Name: 管理局の虎◆3455d794 ID:942a80e2
Date: 2008/12/18 20:23
~第5話~

「ははは、ちょっと、やりすぎたかな?」

アルフは、バツが悪そうに笑う

「ノ、ノルン。大丈夫?」

「ああ」

フェイトのお姉さん発言により、自分を 見失いかけた俺だが、なんとか、アルフの手により正気を取り戻した。だが···

アルフの往復ビンタ、痛すぎ(正気に戻ってから、ちょっと喰らった)···頬が腫れてるぞ、絶対

まあ、今回は特別に許そう。一応、助かったし

「それでだな、どこまで話をしたんだったか···ああ、そうそう。プレシアさんが俺もフェイトの手伝いをしろってさ」

あまりのショックで、記憶が軽く飛んでるぜ。·····しかし、魔法を覚えて、町に戻ったら、もう少し世間に目を向けてみるか···

「母さんが?」

「そうだ。で?フェイトは、何を頼まれてんだ?」

こいつらみたいに、面白い奴もいるかもしれん···ふっ、らしくないか。それより、早いとこ魔法を覚えないとな

···まったく、俺としたことがなにをくだらん事を考えているんだ。世間に目を向ける?はっ、馬鹿らしい。俺は自分の好きなように生きる

「フェイトは、ジュエルシードを集めろって、言われたんだよ」

「あの石を?」

「うん」

あんなもの、何に使うんだか。鬼婆の考えることは分からんな。ん?ちょっと待てよ···まずいな、あれって、魔法を使えなくても集められるじゃないか。何とかして、この2人に魔法を教えてもらわなければ

いや、この2人なら···

「そうか···それじゃあ、2人に頼みがある」

「え?」 「なんだい?」

「俺に魔法を教えてくれ。頼む」

俺は、頭を下げて2人に頼んだ

相手を騙すためにではなく、心からこんなことをするのは、初めてだ···俺も、こいつらのお人好しに少し影響されてるのかもな···

「「···」」

やっぱり、ダメか···俺が人にものを、頼むなんざ···

「うん、もちろんだよ」

「あたしゃ、厳しいからね」

「そ、そうか」

お、驚かせやがって。さっさと返事しろってんだ。だが、まあ···

「···ありがとな」

「え?」 「何か言ったかい?」

「いや、なんでもない」

お姉さんだったか···気が向いたら、呼んでやってもいいかもな

·
·
·

「へえ、じゃあフェイトのデバイスは、意志みたいなのがあるんだな?。バルディッシュだっけか?」

俺は、2人にデバイスについて、詳しく聞いていた

「うん」

『Yes sir』

すげえな、バルディッシュ

「アルフは、デバイス使わないんだよな?」

「無くても使えるからね。ノルンだって、その気になれば無しでも使えるようになるさ」

なるほど。色々あるようだな。それにしても、俺がもらったデバイスは、武器みたいなバルディッシュに比べると、普通に杖っぽい

「他にも、こんなことができるよ。バルディッシュ」

『scythe form』

バルディッシュが斧みたいな形から、鎌へ変形した。おいおい、どんだけ高性能なんだ

「すごいな。バルディッシュは」

「あ、ありがとう」 『thank you』

フェイトよ、あくまでバルディッシュを誉めたのであって、お前を誉めたわけじゃないんだが···まあ、何も言うまい

···ああ。それから、俺のデバイスはなんというか、機械的でまんまシステムって感じだった

·
·
·

その後、バルディッシュが槍っぽくなったり、アルフが狼(ドッグフードが頭から離れず、でかい犬に見えた)になったり、色々あった

俺のデバイスに名前が無いこともわかったので、とりあえず、名前をつけてやった

バルディッシュに比べると、かなりしょぼいので、名前はツエ(命名、俺)にした。若干の反対意見(フェイト)があったが黙らせた

「そんで、バリアジャケットだったか?」

「うん、自分の身を守る衣服をイメージして」

身を守る衣服か···鎧とかか?いやいや、動くのに邪魔だろ。もっと考えろよ俺。そうだな···

「フェイトのその服もバリアジャケットなんだよな?」

「うん」

「露出激しくないか?」

「////そ、そうかな?」

いや、そうだろ。そんな薄着で身を守れんのか?

「ノルン、フェイトにセクハラするんじゃないよ」

アルフが俺を軽く睨む

「お、落ち着け、アルフ。それで身を守れるのか、疑問に思っただけだ」

おお怖っ。フェイトの事になるとアルフのやつは、すぐに頭に血が上るからな。それにしても、セクハラはないだろセクハラは

「あ、あまり見た目は、関係ないから」

「あ、ああ。参考になった」

そうだな···じゃあ、スーツっぽいのにしよう。ああいう服とか、着たことないからな

いつも拾いもの(そ、そんなに汚くないやつだぞ?)を川とかで洗って着てたし、実は、ちょっと着てみたかったんだ。ああ、ネクタイはちょっと息苦しそうだからいいや

「セットアップ」

『Ok』

「バリアジャケット、生成」

『Ok』

おお、ホントに自分のイメージどおりになったな。髪型まで、後ろで一本にまとまってる。しかも、何か動きやすい。なかなかやるじゃないか、ツエ

「どうだ?似合ってるか?」

「「···」」

何だ?2人して、口をポカンと開けてだらしのない。もしかして、似合ってなかったか?さっきまでの古着よりマシだと思うんだが···

「もしかして···ダサいか?」

「そ、そんなことないよ。似合ってる」

「う、うんうん。似合ってる。ちょっと防護服っぽくないから。驚いただけさ」

「そ、そうか」

あまり誉められると、逆に気を遣われてる感じがするな。まあ、いいか···

「じゃあ早速、魔法の訓練を初めてくれ。石を集める用事もあるんだろう?体力には自信があるからな。超スパルタで頼む」

ちなみに、俺はあとで、この発言をかなり後悔することになる

「う、うん」 「まかせな」

そして、地獄の特訓がはじまった···



[4621] 第6話
Name: 管理局の虎◆3455d794 ID:6106b45e
Date: 2008/11/15 14:52
~第6話~

「フォトンランサー!」

あうちっ!

「バリアブレイク!」

な、殴ったね!親父にも殴られたことないのに!(いないからな!)

「サンダーレイジ!」

フェイトの、会心の一撃!ノルンは死んだ

「チェーンバインド!」

「サンダースマッシャー!」

回避できません!直撃します!

「フォトンランサー・ファランクスシフト」

な、なんじゃこりゃあーー





訓練は数日の間続いたが、凄まじいものだった。というより、自分で望んだんだが・・・さすがの俺も死ぬかと思った

魔法で攻撃してもらい、コツを掴むとか無茶だったかもしれん。まあ、すでに終わったことだが

とりあえず訓練が一旦、終わったことについて感想を述べるならば・・・

俺は、生きてる。生きてるぞーーーー

と、叫びたい

・・・・・虚しいな

生きているのは当然か。非殺傷設定だし。それにしても、苦労した割には覚えられた魔法はそう多くない

2人に言わせれば、フェイトと魔力資質が似ていたこともあり、かなりの早さで覚えているらしいが(フェイトが少し凹んでた)・・・

あと、フェイトと戦闘訓練をして改めて思ったが、インテリジェントデバイス。あれは、いいものだ・・・ツエは、所詮、ツエだったからな

ああ、それと・・・

「・・・そろそろ良いんじゃないかい?」

「ああ。やってくれ」

今、俺たちは海鳴市に戻ってきている。ジュエルシードも集めなきゃいかんからな。いつまでも訓練にかまけていられない、ということさ

それで、俺とアルフが何をしているかと言うと・・・料理だよ。悪いか?ちょっと、台所とか見てたらやってみたくなったんだよ

アルフには手伝いを頼んだ。疲れて帰ってくるフェイトに作ってあげたいんだ、とか言えば一発でOKだった。ちょろいぜ

ボトッ

アルフの手により、鍋にシチューのルーが投入される。あとは煮るだけだ・・・なんか、ほとんどアルフまかせだった気がするが、気にしたら負けだ。それにしても・・・

「アルフは、フェイトについて行かなくてよかったのか?」

そう、フェイトはジュエルシード集めに行っている。アルフはついていくと思ったんだが、俺に魔法を教えていた

もっとも、あの特訓のようなものではない。単に俺が魔法を使って、それをアルフが見ていただけだ

「ノルンを見てやってくれって、頼まれたからね。それに、フェイトなら楽勝だよ」

見てやってくれって・・・フェイトよ、俺はどっかの赤ん坊か?まあ、確かにアルフがいたおかげで魔法の練習は、はかどったが・・・

しかし、フェイトなら楽勝ね・・・

「まっ、それもそうだな」

確かに、あの珍獣と同レベルならあいつの敵じゃないな。フェイトなら秒殺・・・いや、瞬殺だろう

「そろそろ、帰ってくるか?」

「そうだね、念話で連絡してみな」

「了解」

念話。これは、実に便利だ。覚えんのも楽だったしな。金のかからない携帯電話みたいなもんだ。相手も魔法使えないとダメってのが難点だが

しかし、ただ連絡するのもつまらんな。フェイトでもからかうか・・・

『フェイト、俺だ』

『あ、ノルン?あのね・・・』

おっ、繋がったな。さて・・・

『待て、落ち着いて聞いてくれ』

『う、うん』

素直な奴だ。自分の用件もあるだろうに

『俺、実はフェイトのこと・・・』

『私がどうかした?』

・・・普通すぎる。まだ、こういうのは早すぎたか・・・ちっ、つまらん。やめた

『いや、なんでもない。それで、どうかしたのか?もしや、ミスったか?』

『え?あ、ううん。ちょっと邪魔が入ったけど、ジュエルシードは手に入ったよ』

やはり、楽勝だったか

『さすがだ、姉さん』

『あ・・・。あ、ありがとうノルン』

・・・ああ、こういう方向でからかえばよかったのか。しかし、ちょっと邪魔が入った?

『邪魔されたのか?』

『同じように、ジュエルシードを探してる魔導師がいたの』

へえ、いるんだそんなの・・・何?

『おいおい、そいつは一大事だ。早く帰ってこい。話はそれからだ』

『う、うん』

他の魔導師か・・・恐らく、フェイトの性格からして殺してはいないはずだ

「どうかしたかい?フェイトには連絡取れたんだろ?」

「ああ、楽勝だったってさ」

そして、その魔導師にフェイトは楽勝だった・・・

身体を鍛えているから、俺には身体能力もあるが、魔法に関してだけならまだ半人前・・・

つまり、最初の実戦にはちょうどいい相手だ。ふっ、ただの石ころ集めが面白くなってきたな





「た、ただいま」

そして、フェイトが帰ってきた

「おかえり、フェイト。大丈夫だったかい?他の魔導師の邪魔が入ったんだろ?」

アルフがフェイトを気遣う。楽勝だったって言ったのに、過保護なやつだ

「うん。大丈夫だよアルフ。ありがとう。あれ?何か、いい匂いがするね」

む、気づいたかフェイト

「それは、俺とアルフの愛のシチューだ」

「シチューを作ったの?」

スルーですか。フェイト・・・突っ込んでくれないと少しきついんだが

「・・・馬鹿言ってるんじゃないよ、ノルン」

「・・・悪い。自分でも寒いと思ったんだ」

ありがとよ、アルフ。お前の優しさで目からしょっぱい汗が出そうだぜ

「2人とも、とりあえず飯を食いながら作戦会議でもしようぜ」

「うん」

「そうだねぇ、お腹も減ったし」

そんなこんなで、夕飯(作戦会議)になった・・・





シチューは普通に美味かった。アルフもドッグフードじゃなくてシチューを食べた(ちょっと驚いた)フェイトは、相変わらず小食だった(美味しいとは言っていたが)

だが、肝心の作戦会議は(俺にとっては)微妙だった・・・

まず、相手の魔導師はフェイトと同じくらいの女だと分かった。それで、俺が戦いたいと言ったらフェイトが滅茶苦茶、反対した・・・過保護すぎるだろ、お前

もちろん俺も反抗したが、民主主義とはかくも悲しきものだ。多数決という名の不平等。アルフは当然、フェイト側。即決であった

くっ、どうすれば・・・

「待て、いくら何でも理不尽すぎる。そうだ、偵察。偵察ぐらいならいいだろ?」

これだ、我ながらナイスアイデアだ

「それくらいなら、いいけど・・・」

かかったな!フェイト!お前は、このノルンとの知恵比べに負けたのだ。敵に会いさえすればこっちのもの・・・

「あ。それなら、あたしも行くよ。どんなやつか興味あるしね」

な、なにい!?

「いや、アルフ。偵察なんか1人で十分だろ」

お前が来たら、戦えないだろうが。まったく、空気を読め。空気を

「?なら、留守番してるかい?」

「いえ、なんでもないです」

あ、あぶねえ、完全にアルフじゃなく俺が待機する流れだった・・・

仕方ない、実戦を見るくらいならできるはず。場合によっては、乱入だ。それで我慢するとしよう

しかし、最近の俺、こいつらに調教されてる気がするぜ・・・



[4621] 第7話
Name: 管理局の虎◆3455d794 ID:82a7a9f4
Date: 2008/11/15 14:53
~第7話~

「ふう~」

いやあ、いいね温泉。最高だぜ

フェイトとジュエルシードを探しに行くか迷ったけど、こっちにしといてよかった~

あ~極楽、極楽

「って・・・アホかーー!」

何やってんだ、俺は。くそっ、これというのも例の魔導師が、呑気に温泉なんか来るからだ

女湯に偵察なんぞいけるか!ただの変態じゃねえか。おかげで、ほとんどアルフに任せることになっちまった

俺のイライラは最高潮だ。戦闘になったら、絶対に乱入してやる・・・とりあえず、さっさと上がるか

『アルフ。俺は、もう上がるぞ』

『ん?相手の魔導師、見てかないのかい?』

こいつ、俺に覗きをしろってか?いや、わかってて言ってやがるな・・・上等じゃねえかアルフ、今の俺をからかったことを後悔させてやる

『そうだな・・・なら、アルフが俺の母親って、設定で今から女湯に行く。俺に乳を飲ませるぐらいの心構えで、待機してろ』

もちろん行くつもりなんざ、微塵もないがな

『な!? 馬鹿言ってんじゃないよ!そんなことできるわけ・・・』

『美味しいお乳を頼むぜ。ママン』

これでよし

『ちょっと、ノルン!』

ふっ、このままシカトだ

『ノ、ノルン?聞こえてるんだろ?からかったのなら、謝るからさ・・・あたしゃ、母乳なんて出ないよ。だから、こっちに来られても・・・』

のぼせてるのか、コイツ?俺の年齢で母乳なんざ飲んでたら、変態だろうが。少し考えればわかるだろ

もちろん、そんなことは言わずにシカトを続ける

『それに、お乳なんか吸わせてんの誰かに見られたら、偵察どころじゃなくなっちまうじゃないか・・・』

お、気づいたか。まあ、この辺にしといてやるか

『反省してるか?』

『ノルン?してる、してるから!』

ぷっ、アルフ焦りすぎ。あとで、フェイトを騙くらかして、似たようなことでも言わせてみるか。反応が楽しみだ

『よし。じゃあ、俺は先に上がってるからな』

『あ、ああ。分かったよ』

さて、上がるとしよう・・・





うーむ、浴衣ってのもいいもんだな。風呂上がりには最高だ

それにしても、フェイトと同じ顔だからって、なぜ俺がコソコソしなきゃならんのだ・・・

『おい、アルフ。メスガキが3人いるんだが、どいつが魔導師だ?』

ちなみに、俺は風呂からあがった魔導師を偵察中だ。部屋でイメージトレーニングしてる(くつろいでた)間に、アルフに先を越されちまったからな

『ん、ノルンかい?見つからないよう注意しなよ。魔導師は、茶髪のフェレット乗っけてるオチビちゃんだよ。ふう』

へえ、あいつか。俺の獲物は・・・よし、顔は覚えた

『ところでお前、また風呂入ってんのか?』

『ん?まあね。それにしても、さっき私があがったとき、あんたどこにいたんだい?気配がまったくしなかったんだけど』

ほう、アルフも気づかなかったか

『一応、部屋にいた。まあ、俺は気配を隠すのには自信があるからな。山で暮らすには必須のスキルだっだんだよ』

それでも、アルフは犬だし、さすがに気づかれると思ってたんだがな・・・というか、お前が部屋に戻ってこなかっただけだろ

『へえ、面白い特技持ってたんだね』

『まあな』

しかし、魔導師の顔も覚えたし、やることもないな。イメトレ飽きたし。・・・ああ、だからアルフも風呂入ってんのか

『フェイトは?』

『もうすぐ、ジュエルシード見つけられそうだってさ。連絡してみな』

アルフのやつ、何かとフェイトに念話させたがる気がするんだが・・・気のせいか?・・・ま、いいか

『はいよ』

どれ、フェイトに連絡しますか

『あー、こちらノルン。聞こえますかー』

『ノルン?どうしたの?』

ん?

『いや、とりあえず相手を確認したから連絡したんだが・・・どうかしたのか?』

何か、いつもと感じが違う気が・・・

『そう。こっちも問題ないよ。あと少しでジュエルシードを見つけられそう』

『そうか、この後はどうする?』

・・・ああ、いつものぽやっとした感じが消えてるからか。気を引き締めているか、もしくは、集中してるといったところか

なかなかやるじゃないか、フェイト。少し見直したぜ、と言いたいところなんだが・・・

『夜になったら合流しよう』

『わかった』

普段とのギャップがありすぎて面白いだけだな。しかし、夜ね・・・俺も風呂入って時間潰すか・・・





さて、フェイトが無事ジュエルシードを封印したわけだが・・・なんで、あの魔導師は来ねえんだ?

「戻ろう、アルフ。ノルン」

「はいよ」

「いや、魔導師は?」

俺は戦いに来たんだが・・・

「戦わないなら、それに越したことはないはないよ」

甘い、甘すぎるぜフェイト

「そうそう、あんなのフェイトが相手をするまでもないよ」

いいこと、言うじゃないかアルフ

「そうか。なら、俺は残る。腕試しに相手をしてもらう」

「だ、ダメだよ。ノルンはまだ魔法覚えたばっかりなんだから」

ちいっ、フェイトがお姉さんモードに戻っちまった・・・さっきまでのお前はどこに行ったんだよ。俺は悲しいぜ

「まあ、ノルンでもいけるかもね」

ナイス、アルフ。でもってのが聞き捨てならないが

「大丈夫だって。危なくなったら逃げるから」

というか、負けるつもりはさらさらないがな。ん?誰かくるな・・・多分、あの魔導師だな

「で、でも」

「ほら、敵さんのおでましだ。ビシッとしろよ」

「え?」

まったく、来ないもんかとヒヤヒヤしたぜ。さあ、戦いのはじまりだ



[4621] 第8話
Name: 管理局の虎◆3455d794 ID:c4ad9fb0
Date: 2008/11/15 14:54
~第8話~

ええと、敵の魔導師が来たんですが・・・いきなりアルフが脅してます

「言ったよねぇ、いい子にしてなきゃガブリといくよって」

アルフ怖っ!キャラ違うぞ、お前

「昼間の女の人、あの子使い魔だったんだ・・・あ!?き、君はあの時の!君もやっぱり、その子の仲間だったんだね」

俺?おかしい・・・あんな小動物の知り合いは、いないはずだが・・・にしても、普通に喋ってるな。今さら驚かんが

「ノルンの知り合い?」

「記憶にないが・・・いや、まて」

・・・なるほど、俺が山で暮らしていたとき食料にしてた動物の子供か何かだろう

それが、あの魔導師の使い魔になったといったところか・・・

「・・・悪いが、謝るつもりはない。あのときは、腹が減っていてな。仕方がなかったんだ」

いつだか、さっぱりだが。食べたメシなんていちいち覚えてねえし。最近なら、多少はわかるが・・・

「え?は、腹?」

「にゃ?どういうこと?」

にゃ?・・・フェイトに負けず劣らず変なヤツだな。魔導師ってのは変人が多いのか?

「こいつの父ちゃん、母ちゃんを俺が食べちまったって話だ」

「「「ええ!?」」」

フェイト、お前まで驚くなよ・・・

「な、何を言「どうして、そんなひどいこと・・・わけを聞かせてよ!?」」

そんなこと、言われてもな・・・

「腹が減ってたから食べた。それだけだ」

「ひ、ひどい・・・」

ひどい、ひどいとうるせえやつだな・・・というか、フェイトが少し引いてるわ、アルフは白い目で見るわで、俺の心は深く傷ついたぜ

むかつくから、戦う前に八つ当たりさせてもらうぞ

「じゃあ、お前は腹が減っても肉や魚は食べないのか?」

「そ、それは、食べるけど・・・」

はん、それなら人のこと言えないだろうが!この偽善者が!

「なら、お前だって牛さんや豚さん、お魚さんの命を奪ってご飯を食べているってことだろう?そのなかに、そいつのお友達もいたかも知れないぞ?」

牛さんや豚さん・・・ぷっ、自分で言っといてなんだが、笑っちまうな

「そんな!?・・・ユーノ君。ごめんね。なのはを許して」

・・・言われた相手は信じられねえことにダメージを受けてるが

「え?いや、だから何の話を・・・というか、なのは。僕に牛や豚の友達はいないよ」

「そ、そうなの?お魚も?」

当たり前だろ。アホかこいつ

「う、うん。それに僕の両親は彼に食べられたりしてないから・・・多分。とにかく、僕が言ってたのはジュエルシードの話だよ」

あれ?そうなの?というか、ジュエルシード?こいつ、フェイトと勘違いでもしてんじゃねえか?

「!なんだが知らないけど、フェイトの邪魔をするなら容赦しないよ!」

ジュエルシードの名前に反応して、アルフが狼化して突っ込んでいく・・・って

「馬鹿!なんで、お前がいくんだよ!」

俺が戦るって言ったのにアルフのやつ。ちっ、仕方ねえ。できれば1対1が良かったが・・・

「させない!」

おお!小動物がアルフの攻撃を防ぎやがった。戦えたのか、お前

「くっ!」

「なのは!こっちは僕が引きつけるけど、2対1じゃ勝ち目はない。今日は逃げるんだ!」

悪い、小動物。逃がさないから

「やばっ」

「ユーノ君!」

・・・アルフと小動物がどっかに消えた。ミスったなアルフ。あとで笑ってやろ

「結界に強制転移魔法・・・いい使い魔をもっている」

フェイト、いきなりバトルモードだな・・・

「ユーノ君は使い魔ってやつじゃないよ。わたしの大切なお友達」

こいつ、逃げないのか?まあ、それならそれでやりやすいが

「・・・」

少し怒ってんなフェイト。アルフを侮辱されたとでも思ったか?しかし、悪いがフェイト・・・

「おっと、俺が戦るって言ったろ?」

今回ばかりは譲れねえぜ

「ノルン。でも・・・」

「大丈夫だ。アルフも言ってたろ?それとも・・・そんなに俺は信用できないか?」

まったく、過保護な姉ちゃんだ

「!そんなことないよ。心配なだけ」

「なら、そこで見てろ。俺の戦いをな」

さて、やっと戦えるぜ

「・・・話し合いで解決できないの?」

「残念だが、無理だ。お嬢ちゃん。俺はあんたと戦うのをずっと楽しみにしてたんでな。ツエ、セットアップ」

「Ok」

今度こそ、バトルスタートだ




[4621] 第9話
Name: 管理局の虎◆3455d794 ID:d8185a60
Date: 2008/11/15 14:56
~第9話~

「いくぞ!ハッ!」

「きゃあ!」

俺は、手始めに単純な身体能力で相手に 接近してツエでぶん殴る

ふん、デバイスを起動したからって魔法を使うとは限らないんだよ!

「Protection」

オートガード?インテリジェントデバイスか!

「くっ!」

ちっ、空に上がって距離をあけたか。遠距離が得意なやつなのか?

「ディバイン・・・」

魔力が集まっている・・・何かする気だな

「バスター!!」

「ちいっ!」 「ノルン!」

「ちょっとかすっただけだ!静かにしてろ!」

まったく、ホント過保護なやつ・・・

しかし、あぶなかった。なんとか、かわせたがフェイトのサンダースマッシャー並・・・いや、下手すりゃそれ以上だ

ん?おいおい、今気づいたんだが・・・

「おい!パンツ見えてるぞ!」

「にゃ!?」

・・・馬鹿かこいつ?隙だらけだ!もらった!

「Blitz Action」

俺は、相手の後ろで一瞬で移動する

「え!?」

「Protection」

また、バリアか。なかなか、優秀なデバイスだ。しかし、悪いが同じ手はくわないぜ

「くらいな!アルフ直伝、バリアブレイク!」

バリアをぶち抜き、俺の拳を叩きつける!

「きゃあーー」

落ちていく相手の魔導師。一気にきめるぜ!

「終わりだ」

ドガッ

「きゃ!」

俺は倒れている相手の顔面は・・・さすがにひどいから(女だし)その真横に踵を踏み降ろし、ツエを突きつける

・・・何か、こいつの外見のせいで苛めてる気分になるな

「俺の勝ちだな」

「ず、ずるい!」

「何がだ?」

まあ、なんとなく言いたいことは分かるが・・・

「そ、その。パ、パンツとか///」

「空に上がった、お前が悪い。だいたい戦いの最中に恥ずかしがってんじゃねえよ」

恥ずかしくなるようなこと言ったの、俺だけどな

「で、でも」

「うるさい。素っ裸にするぞ」

「///ええ!?」

本気でやるぞ?敗者に人権なしだ

「Put out」

「レイジングハート!?何で!?」

な、なんというデバイスだ・・・マスターの貞操の危機でも感じとったのか?しかし、ジュエルシードね・・・

「それを渡すから、お前のご主人を見逃せと?なかなかに策士じゃないか」

とりあえず、ジュエルシードをツエに収納する・・・まっ、このぐらいにしといてやるか

「レイジングハートだったか・・・その名前、覚えたぞ」

なんとなく、格好つけながらフェイトの所に戻る。こう、シュバッ!って感じで・・・別にいいだろ。気分だよ気分

「どうだフェイト?俺もやるもんだろ」

とりあえず、黙っているフェイトに話しかけてやる・・・それにしてもこいつ、律儀だよな。さっき俺が静かにしてろって言ってから、全然しゃべってなかったし

「うん。でも、あんまり心配させないで」

・・・いや、割と余裕だったろ。まあ、パンツがなかったら、こんなに早くケリはつかなかったと思うが

「待って!お名前・・・あなた達のお名前を教えて」

なにやら、立ち上がった策士レイハ(レイジングハートの意)のマスターが俺たちに向かって叫んでいる。いちいち、教えるわけねえだろうが

「フェイト・・・フェイト・テスタロッサ」

教えんのかよ!というか、何故に?

「・・・」

そんな目で見んなよ・・・ちっ、仕方ねえな

「・・・ノルンだ」

・・・そして、俺たちは帰還したのだった(もちろんアルフもな)

だが、ひとつ言わせてくれ。フェイトよ、名乗るんなら相手の名前も聞いていけよ・・・



[4621] 第10話
Name: 管理局の虎◆3455d794 ID:4f872113
Date: 2008/11/15 14:57
~第10話~

現在、フェイト宅。俺の前でアルフがドッグフード(おやつ)を食っている

「なあ、アルフ」

「なんだい?あげないよ」

要らねえよ!と、普段なら突っ込みをいれるところだが、アルフなりの冗談だとわかっているので(冗談だよな?)スルーして真面目な話にはいる

「前から思ってたんだが・・・フェイトのやつ小食すぎやしないか?」

目の前にあるのはフェイトの残飯(なんと罰当たりな)手をつけていないんじゃないかと勘違いしそうなほどだ

実際は、食べてないわけではないんだが、俺から見ればほとんど食ってないようなもんである。そのうち、ぶっ倒れるぞ?

「それは・・・あたしだってずっと心配してるさ。他にも、もっと休んで欲しいとも思ってる。でも、フェイトに言われたら・・・」

使い魔だからってか・・・一応、そういうの気にしてたのかよ。驚きだぜ。しかし、そういうことなら・・・

「どれ、俺がもう少し食わせてこよう」

食べ物を粗末にするのは許せんしな。今までよく我慢してたぞ。俺

「ノルン・・・頼むよ」

い、いつになく殊勝じゃねえか。ったく、いつもそうしてれば可愛げがあるのによ

ガチャ

「おい、フェイト」

俺はノックもせずにフェイトの部屋に侵入(飯を残すやつには必要ない)

「ノルン?どうしたの?」

フェイトはベッドで寝転んでいた

「飯だ」

「え?私はもういいよ」

そんなことはわかってんだよ。さっき食べたしな。だがな・・・悪いが今日の俺はひと味違う

「食え」

最大限の気迫を込めて、言い放つ

「ノ、ノルン?こ、怖いよ?・・・そ、そうだ。ジュエルシードを探しに行かないと」

逃げる気だな。というか飯を食わせて体力つけさせに来たのにジュエルシード探しになんて行かせたら本末転倒じゃねえか。ちっ、仕方ない

「ていっ!」

「はうっ!」

俺は当て身をいれてフェイトを気絶させる・・・って、気絶させてどうすんだよ!飯を食わせられねえだろうが!

ま、マズいな。多分、フェイトは俺にやられたことに、起きたときには気づく(多分)それがアルフの耳に入れば・・・

「ガブリといくよ」

なぜか、先日の戦闘前のアルフが頭をよぎる

「と、とりあえず、ベッドに寝かせとくか」

俺は考えないことにして、フェイトをベッドに運んで部屋を出たのだが・・・

「どうだった?」

部屋の前にアルフがいた。い、いきなり、出てくるなよ

「あ、ああ。なかなか頑固でな。飯は食わせられなかったが、俺の催眠術で睡眠をとらせた」

おいおい、なんだよ催眠術って・・・動揺して変なことを口走っちまったぜ

「そっか食べなかったかい・・・しかし、ノルンは妙な特技を持ってるねぇ」

ま、マズいな

「ふっ、ちょっとした豆知識だ。俺は少し出てくるぜ」

「そうかい、あたしはフェイトを見てるよ」

ふう、危機は去ったな(一時的に)とりあえず、(緊急事態に備えて)最高級のドッグフードでも買いに行くか(俺の金じゃないが)・・・フェイトが起きたとき、忘れてることを祈ろう





ドッグフードを購入し、家に戻る途中で思わぬものを発見した。先日の魔導師である

しかも、ものすごいネガティブオーラを放っていた。ベンチに座りながら、私ってダメな子なんですって感じで

あんな状態だと戦る気も失せる。どれ、ひとつ俺が喝をいれてやろう

「馬鹿者!!」

俺は後ろから忍びより、耳元で罵倒してやった

「にゃあ!?」

ぷっ、受けるなこいつ。にゃあ、とか前にも聞いたがお前は猫か?

「ノ、ノルンちゃん!?」

ノルン・・・ちゃん?こ、こいつ人を舐めてんのか?いや、落ち着け俺。所詮は敗者の戯れ言。勝者の余裕でスルーしてやる

「こんなとこで何してんだ?」

完璧なスルーだぜ

「ノ、ノルンちゃんこそ」

・・・そっちがその気ならこっちにも考えがあるぞ

「質問を質問で返すな!この愚か者が!しかも何だその言葉遣いは!敬語で話さんか!」

「にゃあ!ご、ごめんなさい!」

ふう。これでどっちが上かわかっただろう

「で?何でそんな落ち込んでんだ?財布でも落としたか?」

満足した俺は、慈悲の心で話を聞いやることにした。次に戦う時にこんな状態のままだったら話になんねえからな

「そ、そのノルンちゃん達のことで悩んでました」

・・・もういいや、ノルンちゃんで。というか・・・

「それだけか?」

なら、知ったことじゃねえな。負けたからってウジウジしてるようなやつは強くなれない。つまり、もう戦いの相手にならん

「あ、あと悩んでたら、友達とケンカになっちゃいました」

ああ、なるほど。負けて落ち込んでるところに追い討ちをくらったのね・・・

「そいつは災難だったな。話くらいなら聞いてやろう。1秒で10円な。はい、スタート」

「にゃ!そ、それじゃあ、ノルンちゃんたちは、なんでジュエルシードを集めてるの?」

なんだ?そっち系の話をするのか?俺はダチに関しての愚痴を聞くつもりだったんだが・・・まあ、金くれるならいいか

「フェイトが集めてるから。はい、10秒経過。100円ね」

「にゃ!は、早いよ!じゅあ、何でフェイトちゃんはジュエルシード集めてるの?」

フェイトは、あの鬼婆のためだよな。だが・・・

「そりゃあ俺は知ってるが、俺が言っていいのか?」

「あ・・・やっぱりいい。フェイトちゃんから聞くね」

そういえば、こいつ口調が戻ってんな。まあ、もういいけど

「なかなか、感心だな。あ、20秒経過ね」

「にゃ!そうだ!私、なのは。高町なのは!ノルンちゃん、私がジュエルシードを集めてるのはユーノ君に頼まれたから。でも、今は自分の意志で集めてるの」

ふーん。高町なのはね。何が言いたいかさっぱりだが、とりあえず自分のことを知ってもらいたいのかね。というか、ユーノって誰?

「はいはい。なのはちゃんね」

やべえ。ちょっと考えてたら何秒かわからなくなっちまった。とりあえず1分で
いいや

「ちゃんと覚えてね!あ、あと話し合いで解決はできないの!?」

「それは無理だな。どうしてもしたいならフェイトにでも言え」

というより鬼婆に

「・・・うん、分かった」

・・・なんか、決めましたって顔だな

「終わりか?」

「うん」

「じゃあ、100秒だから千円」

数えんの面倒くさくなったから適当だけど、大体、あってるだろ

「にゃ!そ、そうだった。えと、えと・・・」

ふう、これが俺自身の初収入になるのか・・・しょぼいな

「・・・足りないの」

「何?なら、素っ裸で帰れ。その服を売るから」

俺を騙したんだからな。そのぐらい当然だ

「そ、それはやなの!」

お、おいおい、泣くなよ。仕方ねえな

「じゃあ、100円でいい。なかったらマジで、はだかで帰れ」

「100円ならあるの!」

微妙に泣きながら百円玉を差し出すなのは(怯えすぎだろ)しかし、百円か・・・缶ジュースも買えねえぜ

「はいはい、確かに受け取りました。そんじゃ、またな」

「あ・・・うん!またなの!」

嬉しそうに手を振るなのは。目には涙の跡がある

ここだけ見れば、友達との別れを惜しむシーンだが・・・ぶっちゃけ、これカツアゲだよな?マゾなのかあいつ?

俺は1人、どうでもいいことを考えながら帰路についた・・・



[4621] 第11話
Name: 管理局の虎◆3455d794 ID:51b53872
Date: 2008/11/15 14:58
~第11話~

現在、どこかのビルの上。ジュエルシード探しの最中だ。ちなみに、アルフやフェイトとは別行動である

しかし、フェイトが当て身を食らったの覚えてなくて助かったぜ。アルフはフェイトのことになると容赦ないからな。それにしても・・・

「こんな広い範囲を探すのかよ」

かなり、かったるいんですけど

『ノルン。今からあたしが魔力流を発生させてジュエルシードを発動させるから、あんたの方でも周りに注意を頼むよ』

俺が軽く愚痴ってるとアルフから念話がきた。なるほど、いい考えだ

『了解だ』

・・・・・・あそこか

しかし、遠いな。おい

「ん?」

これは・・・結界か?

なのはも近くにいたってことか

『フェイト。ジュエルシードらしき光を確認したが、こっちからはかなり距離がある。それと、気づいてると思うが結界が張られた。多分、あの魔導師もいるぜ』

『わかった。ありがとうノルン』

『ああ。俺もすぐそっちに行く』

行くころには、終わってそうだけどな





そして、比較的はやく着いたんだが・・・何なんだ?このすごい光は?

『おい、アルフどうなってんだ?』

『あたしにも分からないよ!フェイトとあの魔導師がジュエルシードを封印しようとしたら・・・』

こうなったってか・・・とりあえず、フェイトだな

『フェイト、無事か?』

『ノルン?私は大丈夫。ただ、バルディッシュが・・・』

バルディッシュが壊れたのか・・・確か、自己修復機能があるとか前に言ってたが大丈夫なのか?

『・・・今から、ジュエルシードを封印する』

『何?』

封印って・・・バルディッシュなしでどうやって封印するつもりだ?というか、ひかってて見るからに危なそうなんだが

「くうっ!」

「なっ!?馬鹿!!」

あの馬鹿姉が!素手で掴みやがった!

「フェイト!」

・・・それでも、俺とアルフがフェイトに駆け寄るまでには封印は完了していた

・・・フェイトは意識を失って、手に重傷を負ったがな

「アルフ戻るぞ。八つ当たりなんかしてる場合じゃない」

俺はなのはを睨みつけているアルフに声をかける。まあ、気持ちは分からんでもないが・・・

なのはのせいってより、今回はフェイトが無茶しすぎだ。説教が必要だな

「分かってるよ」

俺たちは意識を失ったフェイトを連れて帰路についた・・・





「それで、フェイト?何てあんな真似をしたんだ」

俺は、アルフによる手当てを済ませたフェイトに、そう聞いたのだが・・・

「それは・・・ジュエルシードを手に入れるためだよ」

返ってきた答えはこれである・・・いやいや、そんなことは分かってんだよ。フェイト

「でも、俺やアルフだって居ただろ?相手のデバイスもバルディッシュと同じで破損してた。あんな無茶は必要なかったんじゃないか」

「そうだよ、フェイト。あんまり無茶しないでおくれよ」

「そしたら、2人がケガしてた。なら、やっぱり私がやってよかったよ」

・・・ダメだコイツ。早くなんとかしないと。どんだけ過保護で自虐的なんだよ。説教しても聞くのはその場だけだな

・・・仕方ない、以前に思いついたがあまりの恥ずかしさに使えずに封印した技をすか。あの技は、下手をすると命に関わるからな(俺的に)

『アルフ。笑うなよ』

『え?いきなり何言って「お姉ちゃん・・・」ぶっ!』

念話で器用にふき出すな、馬鹿犬。ちなみに、今の俺は目をうるませ、上目づかいでフェイトを見ている

「え!?ノ、ノルン?どうしたの?」

「お姉ちゃん、僕のこと嫌い?」

はあ、はあ。猫を被るのに慣れている俺でさえ、羞恥のあまり死にそうだ。誰が僕だ。誰が。キモすぎる

「そんなことないよ!」

そ、そうか。なら、さっさと俺の言うことを聞いてくれ

「じゃあ、もう無茶しない?」

「それは・・・でも・・・」

でも・・・じゃねえだろ!さっさと頷いてくれ。お、俺はもうダメだ。てか、肩を震わして笑ってるアルフ。後でシメル

「やっぱり嫌いなんだ・・・1人で危ないことして僕を1人にするんだ・・・お姉ちゃんの馬鹿・・・」

ああ・・・俺のアイデンティティが崩壊していく・・・

「!わ、わかったよ!お姉ちゃん、もう1人で危ないことしない」

フェイトが抱きしめてきた。やっと・・・やっと終わる。この羞恥にまみれた時間が・・・

「ホント?約束してくれる」

「うん。約束する」

勝った・・・俺は勝ったんだ・・・

「ありがとう。お姉ちゃん」

・・・そして、俺の精神は某ボクサーのように真っ白に燃え尽きて灰になった・・・





はっ!い、一体なにが・・・まて、落ち着いて考えろ

俺の名はノルン。ここは・・・フェイトのベッドか?何でこんなとこで寝て・・・

・・・思い出したぞ。禁断の技を使って精神力を使い果たしたんだったな。やはり封印だな、あの技は。ところで・・・

「フェイトとアルフはどこ行ったんだ?」

姿が見えんな・・・下にいるのか?とりあえず、アルフに念話をとばすか。フェイトはちょっとパスで(察してくれ)

『おーい、アルフ。下にいるのか?』

『あ、ノルン起きたのかい。いやあ、さっきはすごかったねぇ。でも、いきなり気絶するから、フェイトも私も驚いたよ』

・・・悪かったな。それだけキツかったんだよ

『ふっ、照れるからあんまり言うなよ。それで?2人とも下にいるのか?』

実際は照れるとかいうレベルじゃないがな

『いや、フェイトはお土産のケーキを買いに行ったよ』

ケーキだあ?土産ってあの鬼婆だろ?食ってるところをまったく想像できんな

だが、フェイトがいないのは助かるな。さすがの俺もアレの後、すぐに顔をあわせるのはキツい。まあ、少し時間を置けば問題ないだろ・・・もうちょっと寝るか

『そうか。俺はもうひと眠りするから、フェイトが帰ってきたら起こしてくれ』

『はいよ』

そういえば、アルフをシメルの忘れてたな・・・いや、もういい。さっさと眠って、すべて忘れちまおう。

そして、俺は報復よりも自分の恥を忘れることを優先したのだが・・・・眠っても忘れられなかったので(というかあんまり眠れなかった)報復としてアルフのドッグフードをすべて食い漁った(変な味だが食えなくはなかった)

そのため、帰ってきたフェイトに泣きながら仲直りとやらをさせれるまで、派手に喧嘩していた。だが、おかげで気は紛れわせることはできたので、何気に助かった俺であった・・・



[4621] 第12話
Name: 管理局の虎◆3455d794 ID:92275c60
Date: 2008/11/15 14:59
~第12話~

え~現在、我々は時の庭園にいます。鬼婆に報告にきたのですが・・・

何故か、私ことノルンとフェイトはバインドで宙づりにされ、鞭で打たれております。一応、フェイトがはじまる前に

「お願い、母さん。ノルンには・・・」

「黙っていなさい、フェイト」

「は、はい・・・」

とか、言ってくれたのですが無駄でした。フェイト弱っ!?それにしても・・・

いやあ、痛いですね。えっ?口調がおかしくいないか?ハハッ、おかしくならないとやってられませんよ・・・ブチ切れて、猫が剥がれちまいそうでね

「たったの4つ、これはあまりもにひどいわ」

なら、何個ならいいんですかねえ。クソババア

「はい、ごめんなさい母さん」

「はい、スイマセン」

逆らっても、鞭がとぶだけなのでフェイトに習って頷いておく。まあ、自分だけならともかくフェイトにもいきますからね。鞭は

「いい?あなた達は、この大魔導師プレシア・テスタロッサの子供。不可能なことなどあってはダメ。そう、どんなことでも成し遂げなければならないの」

無茶苦茶なババアですな。というより、大魔導師なら自分で集めてほしいものです

「こんなに待たせておいて、上がってきた成果がこれだけでは、母さんは笑顔であなた達を迎えるわけにはいかないの。わかるわね?」

「はい、分かります」

「はい、ワカリマス」

笑顔ねえ・・・というか、あなたって笑えるんですかね

「だから、覚えてほしいの・・・もう二度と母さんを失望させないように」

結局、鞭ですか・・・





そして、鞭打ちは終わった。過保護なのはともかく、フェイトがどうして自虐的な性格なのかは分かった気がした・・・

「大丈夫かフェイト?アルフのところに戻るぞ」

しかし・・・俺みたいに頑丈なやつならともかく、フェイトにこれはかなりキツいぞ。肉体的にも精神的にもだ・・・フェイトの土産も放置されてたしな

「ノルン・・・ごめんね」

お前が謝るなよ・・・あのクソババア、邪魔するのものがあれば潰せとか言ってたな・・・

フェイトの母親じゃなかったら、てめえを潰してるところだ。お前の言っていたとおりにな

「気にするな。こんなの余裕だ」

「・・・ありがとう、ノルン」

俺はフラフラのフェイトの肩を貸してアルフのところに戻った

「フェイト!ノルン!」

アルフは案の定、出てすぐのところにいた・・・フェイトは結構、声が出ちまってたからな。外にいるコイツにもやっぱり、聞こえてたんだな

「大丈夫かい!?ごめんよ2人とも」

「何でアルフが謝るの?私は平気だよ」

「俺も問題ないぞ」

悪いのは、どう考えても鬼婆だろう。フェイトは自分だとでも思ってるんだろうがな・・・

「だって、まさかこんなことになるなんて・・・知ってたら、絶対止めたのに」

だろうな。アルフならフェイトへのあんな仕打ちは許せんはずだ

「いいんだよ。母さんは私のためを思って・・・」

「思ってなんかいるもんか!あんなのただの八つ当たりだ!」

おうおう、さすがはアルフ。俺の言いたいことを、ほとんど言っちまった。だが、フェイトは・・・

「違うよ・・・だって親子だもん。ジュエルシードは母さんにとって、それだけ大切なものなんだよ」

これだもんな。はあ、親子か・・・俺なら本当の母親でもあんなのだったら即、絶縁なんだけどな

「私、なんとかして母さんを喜ばせてあげたいの。大丈夫だよアルフ。ジュエルシードを手に入れて帰れば、きっと母さんも笑ってくれる」

いや、フェイトさん?今日もジュエルシードを持って帰って来たんですが・・・

「・・・続けるのか?ジュエルシード集め」

「うん・・・だから、行こう。今度は失敗しないように」

・・・ったく、この馬鹿姉が。とりあえず、俺にできるのは1人で無茶しないように見ているだけか・・・

ああー、イライラする!





苛つきが収まらないまま、海鳴市に戻り、ジュエルシードを発見。相手は木の化け物だ。ちなみに、バルディッシュはいつのまにか回復してた。さすがだぜ

「生意気にバリアまで張ってるよ」

生意気かどうかはともかく、アルフの言うようにフェイトの攻撃を弾いたり、前の珍獣とはレベルが違いそうだ。ちょうどいい・・・

「やりがいがありそうだ。俺1人にやらせろ」

この苛つきを当たり散らしてやる

「ダメだよ。わたしもやる」

「・・・ちっ、わかったよ」

なのはの奴もいるみたいだから、実質3対1か。すぐ終わっちまいそうだな・・・

「アークセイバー!」

「ディバインバスター!」

「「撃ち抜け、轟雷。サンダースマッシャー!」」

マジで秒殺だった・・・つまらん

ジュエルシードか・・・あの時の大爆発みたいなのが鬼婆が無防備の状態で起これば・・・奴は事故死。フェイトから引き離せるかもな・・・

「・・・どうしたの?」

無理か。フェイトは多分、母親がいなくなったらダメになる。そう・・・生きていられないほどに

「なんでもない。あとは任せるぜ」

なのはを相手にするにしても、あんまり日も経ってないからな。前と変わらんからつまらんだろ

「うん」

・・・それに、フェイト。お前はもう少し母親離れしろ。俺が言えたことじゃないが・・・ダチでも作ってな

などと、俺にしては甘いこと考えていたら・・・

「ストップだ!ここでの戦闘行動は危険すぎる。時空管理局、執務官クロノ・ハラオウンだ。詳しい事情を聞かせてもらおうか」

何か出てきました・・・時空管理局って、確か警察みたいなやつだよな?ヤバくね?



[4621] 第13話
Name: 管理局の虎◆3455d794 ID:92275c60
Date: 2008/11/16 16:05
~第13話~

さて、クロノのとかいう管理局の奴にフェイトが危なく逮捕?されそうなところだったが、アルフの攻撃により脱出

そのまま、ジュエルシードをゲットしようとしたのだが・・・

「「フェイト!」」

撃墜された。クソ!なのはのような甘い奴じゃないということか・・・

ちょうどいい、鬱憤を晴らす相手になってもらうぞ。さっきので俺の怒りは最高潮だ!

『アルフ。フェイトを連れて先に戻れ。俺もすぐに行く』

『でも・・・』

『行け!』

俺は躊躇うアルフを叱咤する。まったく・・・俺なんか無視して、フェイトの心配でもしてろってんだ。さて・・・

「クロノだったか?俺はかなり苛ついててな。話をする気も聞く気もなし、邪魔をするやつは殺す。という危ないやつだ。さあ、どうする?」

「・・・抵抗するなら容赦しない」

ま、当然そうくるか。なら、俺も遠慮なく

「そうか・・・よ!」

「くっ!」

ガードされたか。しかも、オートじゃないとは・・・コイツ、戦いに慣れている。なら・・・

「やるな!」

「ジュエルシード!?そうか、僕を踏み台にして」

俺はクロノとやらを踏み台にジュエルシードへ飛ぶ

「さて、コイツの近くでの戦闘は危険なんだろ?それとも、俺ごと攻撃するか?」

忌々しいがコイツは強い。最初のフェイトとなのはへの介入。その後のフェイトへの攻撃。さらに俺の攻撃を手動で防御

魔法に関してはあちらが上だと考えられる。だが、それならそれで勝てる状況を作り出すまでだ

「危険なのは君なんだぞ!」

「ノルンちゃん!ダメだよ!」

そんなことは分かってるさ・・・というか居たのか、なのは。完全に視界から排除してたぜ

「そうか、なら助けてくれよ。武装を解除してな」

確か、時空管理局は法の守護者か何かなんだろう?

「何?」

「俺はこの世界の人間だ。魔法についても最近知ったばかり。この石については何も知らない」

「そんな嘘が・・・」

俺は構わずにしゃべり続ける。全部、嘘ってわけじゃないぜ?

「綺麗だから集めてただけだ。いきなり、危険だとか言われても信じられない。誠意を見せて、信じさせてくれ。時空管理局、執務官クロノ・ハラオウン」

どうだ?こういう真面目くさった奴は肩書きにこだわるタイプと見たが・・・

「・・・いいだろう。だが、僕が武装解除したら君も武装解除するんだ。いいな?」

ふっ、かかった

「わかった。俺の名にかけて誓おう」

勝った・・・魔法がないなら俺の勝利は揺るがない。ツエは俺にとっては武器ではなく、魔法の杖でしかないんだよ。執務官殿

そして、奴が武装を解いたのを確認し、俺も武装解除しようとしたのだが・・・

ピカーン

「何だ?」

「まさか、ジュエルシードが発動したのか!?」

「ノルンちゃん!」

俺が何もしていないのに、ツエとジュエルシード、首にかけているネックレスの3つが光りだし・・・

そして、光りが収まった時に俺の手には・・・

「バルディッシュ?」

何故か、サイズフォームのバルディッシュがあった

『違います』

人違い?らしい。日本語で返答がきた

「じゃあ誰だおまえ?」

『今は、それどころではありません』

それもそうだ・・・

「何だ?どうなっている?君がジュエルシードを封印したのか?」

奴は俺が話している間にちゃっかり武装していた。ふん、抜け目ない

「俺にもよく分からんが・・・戦えってことだろうよ!」

『Blitz Rush』

ナイスだ!名前も知らんがな

「速い!?」

俺はクロノを斬りつけて、吹っ飛ばす。さて、何か色々ありすぎてイライラも一緒に吹っ飛んじまった

「逃げるぞ。位置がバレないようにフェイトたちのところに転移できるか?」

俺は名も無きデバイスに聞いてみる

『可能です』

やるな。コイツ

「じゃあ、頼むぜ」

『Yes sir』

・・・いや、何でそこだけ英語?





「帰ったぜ」

「ノルン・・・良かった無事で」

「遅いから心配したよ」

戻ってきたら、フェイトは腕に包帯を巻きながら涙目になっていた。アルフも結構、心配してくれたらしい

とりあえず、俺は重大な報告をすることにした

「実はバルディッシュが分身した」

「「え?」」

『はじめまして』

何気に乗ってんなコイツ

「それって・・・ノルンのネックレス?デバイスじゃなかったって・・・」

「いや、何かデバイスになった」

そういや、ジュエルシードがなくなったんだよな。コイツが食っちまったのか?

まあ、とにかく内緒にしとくか。クロノあたりに取られたってことで

「デバイスになったって・・・どうやって?」

「ツエとネックレスが融合したんだよ」

『はい、マスターの言うとおりです。私はバルディッシュ・・・いえ、お兄様のようになりたかったのです』

本当にそうなのかよ!しかも、お兄様って・・・・まさか、ジュエルシードが発動してどっか消えたのはコイツのせいでは・・・

「なんでお兄様?」

『私があとから生まれましたので』

「か、変わったデバイスだねぇ」

言うな、アルフ。俺も思ってるんだから

「確かにそうだが・・・デバイスって性別ないんだろ?仮にバルディッシュを男して、お前も男だったらキモいんだけど」

どこの薔薇な世界だよ

『では、私は女性で。お兄様は男性ということで。今後はそのように扱ってください』

扱ってくださいって・・・どんだけ自己中なんだコイツ。バルディッシュのまで勝手に決めてるし

「良かったね。バルディッシュ。可愛い妹ができて」

『Yes sir』

こっちはこっちで普通に納得してるし。バルディッシュもいいのかそれで?・・・まあいいか

「で?お前、名前は?」

『ありません。先ほど生まれたばかりですので』

「じゃあ、鎌の姿で生まれたからカ『拒否します』」

まだ、何も言ってねえだろ

「じゃあ、サイズ」

『ひねりが足りませんね』

む、むかつくなコイツ

「なら、地獄の鎌!ヘル!ヘルサイズでどうだ」

というより、お前が地獄行きって意味で

『ヘルサイズですか・・・まあ、いいでしょう。マスターにしては上出来です。ヘルサイズで登録します』

こ、壊してえ。コイツ、ぶっ壊してえ。絶対、俺のことマスターとか思ってないし。いつか、しつけ直してやる。だが、今は・・・

「とりあえず、コイツの話はここまでだ。どうすんだ?ジュエルシード集め。管理局とかヤバいんだろ」

「・・・続けるよ」

マジですかフェイトさん

『いいのか?アルフ』

『ああ。フェイトがやるって言うなら、あたしもやる』

・・・なるほど、アルフは既にフェイトと何か話したのか。普段のアルフなら絶対止めるはずだからな

「わかった。俺も続ける」

「ありがとう。ノルン」

まったく、頑固な姉だな

『私も頑張りますよ』

「・・・」

突っ込む気も失せる・・・俺のデバイス、コイツで大丈夫なんだろうか・・・



[4621] 第14話
Name: 管理局の虎◆3455d794 ID:92275c60
Date: 2008/11/16 16:06
~第14話~

ああ、だりい。まさか、コソコソとジュエルシードを集めるのがこんなにつまらんとは・・・

『マスターは飽きっぽいですね』

「ほっとけ」

ヘルとの会話も慣れてきた。コイツ、無駄に察しがいいんだよな・・・

『まあ、今回はさすがにバレるでしょうし、マスターの望み通りになると思いますよ』

「人聞きの悪いことを言うな。まるで、俺が戦闘狂みたいじゃないか」

2人に聞かれたらどうすんだ

『その通りでは?』

・・・否定できんな。実際、クロノみたいのと戦った後だと、ジュエルシード集めとか物足りなく感じるんだよな

だから、今回のような派手な作戦はフェイトに負担がかかることを除けば大賛成したいところなんだが・・・

ジュエルシード6つを強制発動。その後、封印ね・・・

『アルフ。フェイトは本当に大丈夫なのか?』

『・・・多分、フェイトの魔力でもかなりキツいと思う』

やっぱりか。まったく、約束はどうしたんだか・・・

『お前、よく賛成したな』

『フェイトがやるって言うなら、あたしは全力でフェイトを守るだけだよ』

コイツも管理局が出てきてから、かなりマジになったよな・・・

『そうだな。敵がきたら、俺たちで叩き潰せばいいか』

『頼りにしてるよ。ノルン』

しかし、海上での戦闘か・・・今までのように身体能力だけには、あまり頼れないな。俺もマジになるか

『今までも普通に本気だったと思いますが』

「人の心の中に突っ込むな」

コイツ、実は俺の心を読んでるんじゃないだろうな

「大体、お前がサイズフォームと待機状態にしかなれないから、こんな無茶な作戦なんだろうが」

『それは申し訳ありませんね』

絶対、悪いと思ってないな

「死ぬ気でシーリングフォームとか無理?」

『マスターが一緒に死んでくれるなら、いいですよ』

要するに無理なんだろうが。ひねくれたやつだ・・・





そして、予定通りにジュエルシードが発動したわけだが・・・

「竜巻とか、洒落にならないんだが・・・」

もはや、天災だぞ。いや、人為的だけど

『そう言ってマスターは、お二人頑張っている中、一人傍観に徹するのでした』

「勝手に状況をねつ造するな!必死でやってるだろうが!お前も少しは真面目になれや!」

『了解』

まったく、馬鹿デバイスが・・・しかし、どうする?俺がぶっ放して、フェイトが封印はどうだ?

・・・ダメだな。俺の遠距離はフェイトに比べるとまだまだ甘い。竜巻を退けられたとしても、せいぜい一瞬。話にならねえな・・・ん?

『マスター』

「ああ」

なのはか、最悪のタイミングだ。クロノはいないようだが・・・

『アルフ』

『分かってる。フェイトの邪魔はさせないよ!』

そう言って、一番近かったアルフが突っ込んでいくと・・・

「違う!僕たちは戦いに来たんじゃない!」

「ユーノ君!」

何か、どっかで見たことあるようなガキが現れた。ああ。ユーノってあいつのことだったのか・・・だが、戦いに来たんじゃない?

「まずは、ジュエルシードを止めないとまずいことになる!だから、今は封印のサポートを!」

・・・なるほど、無茶してるフェイトを助けにきたのか。相変わらず甘いな、なのはの奴は

『なんと立派な・・・マスターとは月とスッポンですね。これがマスターなら、漁夫の利を狙うのは当然として、さらに、疲れきった相手にトドメをさしているでしょう』

・・・その通りなんだが、コイツに言われると腹立つな

『手伝わないんですか?』

「あいつらに任せるさ」

『管理局ですか・・・』

分かってるじゃないかヘル。必ず出てくる。この状況・・・俺じゃなくても漁夫の利を狙うはず

『ですが、傍から見てると最低野郎ですね』

「ふん、それがどうした」

俺はひどい奴なんだよ・・・





フェイトとなのはの協力。アルフとユーノとかいう奴のサポートで、無事にジュエルシードは封印された

そして、なのはの奴強くなってんなあ。また戦いたくなってきたとか思いながら、管理局を警戒していた俺だが・・・

網にかかったのは、何故か鬼婆だった・・・まあ、それもフェイトの

「母さん!?」

という言葉で分かったんだがな・・・ちっ!

「ボサッとすんなフェイト!」

明らかにお前が狙われてるだろうが!

「ノルン!?」

俺はフェイトをアルフの方に蹴り飛ばす
「ヘル!全力で防御しろ!」

『Yes sir』

ヘルに防御を頼むが、まるで紙のように簡単に突破される

「ぐああああああ!」

こ、コイツは効くぜ。伊達に大魔導師とかほざいてなかったんだな。あのクソババア

「クソッ・・・意識が・・・」

「「『・・・!』」」

そして、俺の意識は闇に沈んでいった。気絶する前にフェイトたちの声が聞こえた気がした・・・




[4621] 第15話
Name: 管理局の虎◆3455d794 ID:82a7a9f4
Date: 2008/11/16 17:59
~第15話~

「···うっ、ここはフェイトの家か?一体、あれからどうなったんだ?」

『目が覚めましたか、マスター』

「ヘルか?状況を教えてくれ」

正直、さっぱりだ

『マスターはプレシア·テスタロッサの攻撃を受け気絶。フェイト様とアルフ様により救出、帰還しました。ちなみに、ジュエルシードは3つ確保しました』

なるほど、2人に助けられたか···

「2人は?」

『お二人は、先ほど時の庭園に報告に参りました』

なに?あのババアに報告イコール鞭打ちじゃねえか

「俺を置いてか?」

『おそらく、フェイト様が気を遣ったのかと』

馬鹿姉が!フェイトに攻撃してきたり、もうあいつはどう考えても正気じゃねえ

「ちっ!ヘル。転移するぞ。できるな?」

『Yes sir』

·
·
·

···庭園には、前と同じようにフェイトが鞭打ちされて横たわっていた

「まったく、勝手に一人でいきやがって。ん?これは···アルフのマント?」

どこ行ったんだ、あいつ?

『マスター、向こうの扉が吹っ飛んでいます』

「なんだと?まさか、あいつ···」

···俺はブチ切れたアルフがいるであろう鬼婆の下に走った

「これは···」

「あら、ノルン。無事だったのね」

鬼婆が何か言っているが、俺の耳には入らなかった

「···アルフはどうしたんですか」

「あの使い魔ならうるさかったので消えてもらったわ」

···悪いなフェイト。もう無理だわ

「そうですか」

「ええ」

俺はクソババアが、背後を見せるまで待つ。ヘルは言葉に出さずとも察してくれるだろう

『Stand by』

ババアが俺に背を向けた、絶妙のタイミングで起動するヘル。さすがだ。愛してるぜ

「···」

『Scythe Slash』

俺は息を殺して近づき、ババアにヘルを全力で振り下ろす

「···どういうつもりかしら」

ちっ!ガードされたか!

「反抗期ってやつだよ。ババア!」

『Blitz Rush』

俺はそのまま、ババアに蹴りを入れて距離をとる

「そう···あなたもなの···!ゴフッ!」

なんだ?攻撃は防がれていたのに血を吐いた?···そうか。こいつはついてるぜ

「お前、体を病んでるな」

「···それがどうかして?今から消えるあなたには関係ないわ」

ふん、そうかよ

「ヘル。回避に集中する」

『鬼畜ですね。マスター。Blitz Rush』

さすがは俺のデバイスだ。俺の狙いも分かってるようだ

「···消えなさい」

「当たるかよ!」

なんで、自分でジュエルシードを集めにいかないのか?それは、体にあまり負担をかけられないからだ。なら、回避しまくって、持久戦に持ち込んでやるよババア!

·
·
·

「くっ!チョロチョロと!」

「ハアハア···どうした?もっとでかいの撃ってこいよ」

このババア。たまに血を吐きながらも結構、当ててきやがる。伊達に年喰ってねえってことか

「消えなさい!」

「グッ!」

しまった!足に喰らっちまった···クソッ!さっさとぶっ倒れればいいものを

「これで終わりね」

「そうかな?まだ動けるぜ」

這いずってだけどな

「ふん、減らず口を···これでどう?」

バインドか···

「念のいったことで」

「失敗作が随分と手間をかけさせてくれたものね···消えなさい、ゴミが!」

失敗作にゴミ?···よく分からんが、俺も終わりか···

俺もやられちまったよアルフ。情けないことにな。まあ、お前もミスったんだからお互い様だ

フェイト。お前はさっさとマザコンを卒業するんだな。この鬼婆は多分、近いうちに死ぬぜ?

俺は迫ってくるババアの魔法を見ながら、割とくだらないことを考えていた···

·
·
·

< フェイト side >

母さんは、アルフは逃げて、ノルンは私たちを騙してて兄弟じゃなかったと言った···本当は嘘だって分かってる。でも、母さんが笑ってくれるなら···

ごめんね、アルフ。ダメな御主人様で

ごめんね。ノルン。ダメなお姉ちゃんで

私にはもう、母さんしか···




[4621] 第16話
Name: 管理局の虎◆3455d794 ID:6106b45e
Date: 2008/11/17 14:31
~第16話~

···俺は···生きてるのか?

ババアに魔法を喰らって死んだんはずじゃあ···

『マスター。そろそろ起きて下さい。2話連続で、気絶からはじまるなど情けないにもほどがありますよ』

···地獄にきてまで、ヘルの毒舌が聞こえるぜ

『ちなみに、ここは地獄ではなく病院です。私もさっきまでスリープしていたので詳しくは分かりませんが、誰かが運んでくれたのでしょう』

そうですか···

「って、どこの誰が時の庭園から病院まで俺を運べるんだよ!」

『知りません。私が知っているのは、最後に諦めてしまった愚かなマスターを超優秀なデバイスが、ギリギリで転移させた事だけです』

なんだ、こいつが俺を助けたのか。何が超優秀なデバイスだ。素直じゃないやつ。だが、まあ···

「ありがとよ。ヘル」

『一生感謝して下さい』

···こいつに礼なんか言うもんじゃないな

「しかし、よくあの状況で転移できたな?」

『マスターが足を撃たれた時点で、逃げる準備をはじめてましたので』

「···」

こいつ···他人に最後に諦めたとか言っといて、自分はそれよりはるかに早く諦めてんじゃねえか。というか、だから最後のほうヘルの奴、静かだったのか



「あっ、良かった目が覚めたんやね」

俺が自分のデバイスのあまりな言動に呆れていると、病室に車椅子の女が入ってきた

「君は?」

とりあえず、猫を被る俺

「うち、八神はやて。えーと···」

なんだ?ああ。俺の名前か

「ノルンだ」

「ノルンちゃんか、よろしくな」

『ぷっ』

ふっ、こんなところになのはの同類が居ようとは···笑いをこらえているデバイスは無視だ

「一応、言っておくと俺は男だ」

言っても呼び方は変わらない予感がヒシヒシとするが

「そうなん?ノルンちゃんって男の子なのに綺麗やねえ」

···やはりか

「お前が俺を運んだのか?」

猫被っても、こういうタイプには無意味だな。普通にいこう

「ううん、うちは道で大ケガしてるノルンちゃんを見つけてお医者さんに連絡しただけ。うち、歩けへんし」

確かに、車椅子で俺を運べるわけがないな。だが、見つけたのはこの女か···

「はやてとかいったな···悪いが、俺は忙しい。いつか礼はするから···」

「ええよ。そんな気にせんで」

そいつは助かる

「そうか。じゃあな」

金とか持ってないんでな。さっさとおさらばだ

「ええ!そんなあっさりなん!?」

「なんだ?気にしなくていいんだろ?」

「それはそうなんやけど···って、まだ動いちゃあかんて!」

ちっ、なかなか面倒なやつだな。仕方ない。一応、命の恩人になるから···

「1つだ」

「え?」

俺は有無を言わさず畳み込む

「用事が済んだら会いにくる。俺にできることならなんでもしてやる。何か頼みたい事を1つだけ考えておけ。わかったな?」

「わ、わかった」

「よし。なら、適当に医者をごまかしておけ。頼むぞ」

「え?え?」

混乱するはやてを放置して、俺は速攻で病院を出た(無論、バレないように)

·
·
·

『それで?これからどうするんですマスター?』

「とりあえず、フェイト探す」

『奴を殺らなくていいんですか?』

ヘル···お前、俺より血の気が多いんじゃないか?

「さすがに、この体じゃ無理だろ。それに、時間が経つほどババアは衰弱していくはずだ。弱りきったところを狙えばいい」

アルフの仇はその時にとるさ

『なるほど、さすがマスター。ですが、フェイト様が時の庭園にいた場合は?』

「···ババアに気づかれずに転移しろ」

『無茶を言わないで下さい』

だよな。どうすっか···

「ところで、俺はどのくらい寝てたんだ?」

『正確には分かりませんが、1~2日といったところでしょう』

1~2日か···ババアは死んだか?

『マスター。あちらの方角で戦闘が行われているようですが···』

「戦闘?フェイトか?」

とりあえず、ヘルの指し示す方に行ってみることにした···


~臨海公園~


そこでは、フェイトとなのはが戦っていた。だが、そんなことより···

「アルフ!」

そう、アルフがいたのだ

「え?あ、ノルン!あんた今までどこに···」

「それはこっちのセリフだ馬鹿!生きてるんなら、さっさと連絡しろ」

『それは、マスターが寝ていたせいでは···』

黙ってろや、ヘル

「ノルン、あんた泣いて···ごめん。悪かったよ。心配かけて」

「ば、馬鹿。こりゃあ汗だよ。汗」

ちっ、アルフの仇とか考えてた俺が馬鹿みたいじゃねえか

『すいませんね、フェレットさん。マスターは、感情的になると興味ないものは目に写さないという悪癖があるので』

「い、いえ。お気になさらず」

ヘルが何か言ってるが、どうせくだらないことだろう

「それで?あの二人は何やってんだ?お前がフェイトに加勢しないんだから、何かあるんだろ」

このままだと色々と(俺が)恥ずいので、さっさと話しを切り替えることにする

「ジュエルシードを賭けた決闘だよ。あんたも手を出さないようにね」

「決闘ね···」

俺がいない間にすげえ展開になってんな。そういえば···

「アルフも鬼婆にやられたんだろ?よく無事だったな」

「私もって···あんたも鬼婆にやられてたのかい!?」

···何か、俺の事情がまるで理解されてないっぽいな。とりあえず、俺はアルフに今まであったことを話すことにした




[4621] 第17話
Name: 管理局の虎◆3455d794 ID:51b53872
Date: 2008/11/18 21:58
~第17話~


「そうだったのかい···あんたも大変だったんだね」

「アルフの方こそ、驚きだぜ」

俺たちは、簡単にお互いの今までを話した。念の為、ババアの病気の件については伏せておいた。アルフからフェイトの耳に入ったらヤバいしな。それにしても···

まさか、アルフの奴も転移で逃げていてなのはのダチに助けられていたとは···しかも、管理局にフェイトを助けてもらうように頼んだとくるんだから驚きだ。そうして、話しをしつつ二人で決闘を見ていたが···


ついにフェイトが勝負に出た

「アルフ、あれは···」

「ああ。フェイトは本気だ」

なるほど、やるつもりかアレを···ライトニングバインドで拘束した後、フォトンランサー·ファランクスシフトを発射。フェイトの必殺技だ

『お兄様もマジですね』

···馬鹿はシカトするとして、なのははどう出る?捕まった以上耐えきるしかないと思うが···

「フォトンランサー·ファランクスシフト···打ち砕け、Fire!」

やはり直撃か···これは、フェイトの勝ちか?


しかし、予想に反してなのはの奴は無事だった。まあ、結構ダメージは受けているようだったが···そして、なのはの反撃が放たれる

フェイトはフォトンランサーでこれを迎撃、紙屑の如く突破されるもなんとか耐えきった。これはどっちが勝つか分からなくなってきたな···と思ったのだが

「受けてみて、ディバインバスターのバリエーション」

最初の反撃など序の口だったらしい。何やら、なのはが必殺技っぽいのを出そうとする。しかも···

「バインド!?」

先ほどのお返しとばかりに、フェイトをバインドで拘束。なのは、恐ろしい子!

「これが私の全力全開!スターライト···ブレイカー!」

そして、フェイトは海の藻屑となり···決闘は終わりを告げた



···悪い、嘘だ。なのはが海に落ちたフェイトを救出したから、ちゃんと生きてるぜ。そして俺は···

「フェイトの負けか···やるじゃないか、なのはの奴」

「そうだね。最初はただのおチビちゃんだったんだけどねぇ」

『マスター、次に戦ったら負けるんじゃないですか?』

などと、アルフと二人で感慨にふけっていたのだが···

「きゃああああ!」

「「「フェイト!(ちゃん)」」」

いきなり、ババア(多分)にフェイトが攻撃され、ジュエルシードが奪われそうになる。相変わらずむかつくやつだ。だが···

「させるか!」

俺は、即座にジュエルシードの方に飛んで手を伸ばす。だが、掴めたのは···

「2つだけか···」

くっ、油断した。ババアにしてやられるとは···

俺はババアの魔法をくらって、横たわるフェイトを見ながら、1人怒りを募らせるのだった···

·
·
·


~次元空間航行艦船 アースラ~


フェイトは拘束。すぐに連行された。アルフが言うには、悪いようにはされないらしい。実際、アルフも拘束されていない。ちなみに、俺は···


「君は···」

「クロノだったか?俺はノルン。敵対の意志はないが、拘束は勘弁してほしいな」

現在、交渉中である

「悪いがそういうわけにはいかない。君は彼女と違って、我々に協力的な態度を示したわけでもないからな」

「おいおい、黙って此処まで来たじゃないか。アルフと同じ扱いでいいだろ」

堅物だなあ、コイツ

「分かりました。今はプレシア女史の確保が最優先です。彼もアルフさんと同じ扱いでいいでしょう」

「艦長!?くっ···分かりました」

何か、偉そうで美人の姉ちゃんが許可をくれた。しかも、堅物は逆らえないっぽい

「ありがとう。美人のお姉さん」

「なあ!?」

なぜか、堅物クロノが反応する。艦長に向かって、その態度は何だ!ってか?

「あら、ありがとう。私はリンディ·ハラオウン。この艦の艦長よ」

ハラオウン?ああ、コイツの姉ちゃんなのか。職場では艦長ね···真面目なやつだ。一応、今はあわせておくか。拘束されたらやだし

「ハッ!失礼しました。リンディ艦長!あなたのご配慮に感謝いたします」

適当に軍人っぽくやってみる

「え、ええ」

いきなりだったので少し引いていたが、俺はアルフと同じように拘束されずにすんだので気にしないことにした···


ところで、フェイトなんだが···

「···」

まったくしゃべらない。しかも、俺と目が合うと気まずそうに、さりげなく目を逸らす。俺とアルフがいなくなった後、ババアに何か言われたんだろうか···

そんなことを考えてるうちに、管理局の連中がババアのいる時の庭園に送りこまれていく。ババアもこれで終わりか···できれば自分でトドメをさしたかったが、まあアルフも生きてたしな。

あとは、管理局が何人か犠牲になって捕まえた後、牢屋か何かで病気で死んでジ·エンド···心配なのは、フェイトがどうなるかぐらいだな。

この時の俺は、そんなことを考えているだけで、もうババアに関わるつもりなんざ全くなかった。そう、あんな事実を知るまでは···




[4621] 第18話
Name: 管理局の虎◆3455d794 ID:32b07b0b
Date: 2008/11/18 18:03
~18話~

ババアが捕まるのを待つだけ。そう思っていた俺の目の前に映し出されたのは···

「もう終わりにするわ。この子をなくしてからの暗鬱な時間も。この子の身代わりの人形を娘扱いするのも」

俺···いや、フェイトに瓜二つな少女のカプセルだった

「っ!?」

明かされた真実に小さく悲鳴を上げるフェイト。だが、プレシアの言葉は続く

「聞いていて?あなたのことよ、フェイト。せっかく、アリシアの記憶をあげたのに、そっくりなのは見た目だけ。役立たずでちっとも使えない···私のお人形」

鬼婆は淡々と告げていく。

「···最初の事故の時にね。プレシアは実の娘、アリシア·テスタロッサをなくしているの。彼女が最後に行っていた研究は使い魔とは異なる···使い魔を超える人造生命の生成。そして、死者蘇生の秘術」

管理局員の誰かが、悲痛そうに言葉を呟く···俺が失敗作ってのはそういうことか。そんなに娘が大事なら、確かに俺の姿はババアからすれば見るに耐えんだろう···知ったことじゃないがな。それにしても···

「狂ってやがるな」

「···ああ。そういえば、あなたも居たわね。お人形にすら成れなかった出来損ないが」

「ふん、言ってろ」

お人形ね···何が違うんだか



その後も、ババアの話は続いた。そして···

「私はあなたのことが大嫌いだったのよ!」

最後のこの言葉が決定的だった。フェイトの手からバルディッシュが零れ落ち、砕け散った···

それは、フェイトの心が砕けた音でもあったのだろう。フェイトの目は虚ろになっていた。昔の···オッサンが死んですぐの頃の俺と同じ目だった···

·
·
·

~数年前~

「···お、おい。冗談だろ」

今日の朝も、いつもと変わらなかった。ジジイは俺を馬鹿にして、俺もジジイを罵っていた。それが、日課みたいなものだったから

「···ワシは千年生きるとか言ってじゃねえかよ」

俺が食料を集めて帰ってきた時、ジジイは静かに眠っていた

「ば、馬鹿野郎···」

もう、息をしていなかった···



それから、俺はしばらくの間、肉体は生きていたが、心が死んでいた。記憶も曖昧だが、起きる、食べる、寝るを繰り返すだけの日々だったように思う。またしばらくたった後、俺は周りの全てを敵とみなして生きるようになった。海鳴市に来たのもこの頃だ。そうしてずっと生活していき、そして···

フェイトたちに出会った。最初はただ、お人好しの家を仮宿にとかそんな感じだった。そして、魔法の存在を知り、それを自分も使えるようになるために利用してやると思っていた

けれど、いつの間にか一緒に居るのが楽しくなって···二人のことが好きになっていた。でも、恥ずかしくて···そんな気持ちに蓋をした。アルフが死んだと知ったときでさえ、怒りと憎しみでごまかした

そんな俺が、今できることは···

·
·
·

「···!ノルン!」

···少々、思い出に浸りすぎていたようだ。俺は、アルフの声で現実に戻ってきた

「大丈夫かい?まさか、あんたまでフェイトみたいに···」

「···安心しろ。ちょっと浸ってただけだ」

ここは···ああ、そうそう。フェイトを医務室まで運んだんだったな

「なのはたちは、戦いに行ったのか···」

医務室の画面上で戦っているのが見える

「本当に大丈夫かいノルン?さっきの話とか聞こえてなかったんじゃあ···」

聞こえてなかったというか、聞いてなかったな···手伝いにいくか、体ボロボロだけど援護くらいならできるだろうし。その前に···

「フェイト。お前にとっては母親がすべてだったのかもしれないが···一応、言っておくぞ」

···フェイトの意識なくてよかったぜ。あったら絶対無理だ

「大好きだよ、姉さん。愛してる」

「//////」

お前が照れるなよ、アルフ

「さ、さて。俺はなのはたちを手伝いに行ってくる。じゃ、じゃあな」

···な、何か、恥ずかしくなってきた。さっさとなのは達の援護にいこう




[4621] 第19話
Name: 管理局の虎◆3455d794 ID:92275c60
Date: 2008/11/29 12:24
~第19話~


なのは達の援護に来た俺は、傀儡兵とかいうガラクタをぶった斬って、派手に登場する

「俺、参上!」

「ノ、ノルンちゃん!もう大丈夫なの?」

ノーリアクションだった。というか、普通に心配された。ふん、大丈夫かだと?

「問題ない。俺は不死身だ」

···いや、問題ありまくりだな。今の一撃で体が悲鳴を上げている

「というわけだから、俺は後方支援に徹する。しっかり頼むぞ」

「え?う、うん」

うむ、いい返事だな。俺の矛盾した言動に、深く突っ込まないところが特にナイスだ


「あたしも手伝うよ」

アルフが現れた。って···ええ!?

「アルフさん!」

なのはは驚きながらも喜んでいる。おいおい、アルフさん。あんたは、フェイトの看病でもしてて下さいよ。お前と顔を合わせると、さっきの恥ずかしさが思い出されるんだよ···

しかし、そんなことを言えるはずもないので、俺はさりげなく二人から距離をとったのだが···


「ノルン」

···そっちでなのはと二人で話してりゃあいいだろうが!何でわざわざ、俺の方に来るんだよ

「な、なんだ?アルフ」

俺は平静を装う···せ、戦闘に関する話だよな?

「フェイトが元に戻ったらさ、さっきの言葉、もう一回聞かせてやっておくれよ」

やっぱり、さっきの話かよ!ってか、もう一回だと?

「無理」

いや、マジで

「いいじゃないかい」

なんだ、そのにやけた顔は。俺は絶対言わないからな

「恥ずかしいから、二度と言わん」

「そんなこと言わずにさ」

『ご安心下さい。アルフ様。先ほどのマスターの言葉は全て録音しましたので』

へ、ヘル!?貴様、無駄に静かだと思っていたら、いつの間にそんな真似を

「すぐに削除しろ」

『拒否します。ずっと私を無視するマスターが悪いんですよ。これは永久に保存しておきますから』

「叩き壊すぞ」

『···「大好「俺が悪かったよヘル。仲良くしような」」』

こ、こいつ。マジで録音してやがる。しかも、ヘルを俺が持ってるから、録音じゃなく俺が言ってるように聞こえるという始末だ···俺、コイツのマスターだよな?

「とりあえず、その話は後だ。アルフ。このガラクタ共を片づけちまおう」

「しょうがないねぇ。わかったよ」

これ以上、考え続けるとヤバい気がしたので、俺はさっさとガラクタとの戦闘にはいった···

·
·
·

そして、俺はボロボロの体で戦った。例えば、アルフがバインドで動きを止めた相手を斬り捨てたり、遠距離から壊れそうなガラクタを攻撃したりと色々とショボいながらも、頑張って戦っていたのだが···



なのはピンチ!このままではペシャンコになっちまうぜ!という状況になった時、少女は現れた。実は狙ってたろ?と、疑いたくなるような絶妙のタイミングだった

「「「フェイト!(ちゃん!)」」」

そう、フェイトが来たのだ。もちろん、俺も驚いたし、同時に嬉しかったさ···あの瞬間まではな

それは、俺とフェイトの目が合った瞬間だった。いやだって、普通見るだろ?さっきまで、虚ろな目してベッドで寝てたやつが派手に登場したら

「//////」

「「?」」

フェイトが顔を真っ赤にして、俺から目を逸らし下を向いてしまう。なのはとユーノ?は不思議そうにしていたが、俺は即座に悟ったね

フェイトは、あの時に俺が言ったことを覚えていると。アルフも多分、気づいている···冗談じゃないぞ。なんで、あんな状態だったのに覚えてんだ?

このままでは、俺の恥ずかしいセリフが他のヤツらにもバレてしまうのでは···そう思っていたところに、救いの神(でかい傀儡兵)が現れた。助かった···これで話をするどころではなくなるだろう

·
·
·

俺の危機を救ったジョニー(でかい傀儡兵の名前)は、フェイトとなのはの連携攻撃により速攻で破壊されてしまった。だが、ジョニーが現れたことをきっかけに、場は完全にシリアスな雰囲気になり、下らん話はまったく出なかった···ジョニー、お前の犠牲は無駄ではなかったぞ



そして、二手に別れることになり、俺は当然、なのはたちと行こうと思っていたのに···

「じゃあ、ノルンちゃんはフェイトちゃんと一緒に行ってあげて」

という、善意100%のなのはの発言&その場の流れで、フェイトたちと行くことになっていた···ジョニー、やはりお前の死は無駄だったかもしれん



「ノ、ノルン/////」

ババアのところに向かいながら、頬を赤らめたフェイトが話しかけてくる。い、いきなりですか?

「な、なんだ?早く、プレシアのところに向かわないとまずいんじゃないか?」

「う、うん。でも、その前に言っておきたかったの···ありがとうノルン。嬉しかったよ」

フェイトはそう言って、とびきりの笑顔を見せた

「···そ、そうか」

「うん···それじゃあ、行こう。母さんのところへ!」

何か、母さんとかすごい突っ込みどころのある言葉が聞こえた気がしたが、頭が軽くショートしたせいで突っ込みのタイミングを逃した···あれが、フェイトの本当の笑顔か。今までとはレベルが違うな

『アルフ。俺、シスコンに目覚めちまったかも』

『へっ!?』

俺の突然のカミングアウトにより、アルフがすっ転んでいるのが、視界の端に見えた···




[4621] 第20話
Name: 管理局の虎◆3455d794 ID:d8185a60
Date: 2008/12/02 15:47
~第20話~

え~鬼婆もといプレシアのもとに辿り着いたんだが···



「世界はこんなはずじゃないことばっかりだ!」

とか

「それでも、わたしはあなたの娘です!」

とか


なんか、すごい展開です。ぶっちゃけ、俺···

『マスター、完全に空気ですね』

「···言うなヘル。悲しくなるから」

いや、なんというか···コイツら存在感が違うんだよ。オーラっていうの?もう、俺は眩しすぎて近寄れねえぜ

『単に、体がボロボロで動きたくないだけでは?』

···まあ、それもあるんだけど。しかし、フェイトはホントにお人好しだな。あれだけ言われたのに、わたしはあなたの娘だもんな

『マスター。プレシアが···』

「ああ」

···結局、フェイトに差し出された手を振り払って自殺かよ。最後まで、鬼婆は鬼婆だったか

「母さん!」

っておい!お前まで行く気かよ!くそ、体が···

「フェイト!ダメだよ」

おお、ナイスだアルフ!まったく、危なくフェイトまでアルハザードという名の地獄に行っちまうところだったぜ···


ガラッガラッ


な、何だ?かなり、いやな予感が···

「早く、君たちも脱出するんだ!ここはもうもたない!」

やっぱりかよ!というか、クロ助。忠告はありがたいんだが、1人で行くなよ

「フェイト!アルフ!俺たちもサッサと行くぞ」

さっきの崩壊で姿は見えなくなってしまったが、近くいるであろう2人に声をかける

「わかってる!でも、さっきのでフェイトとはぐれちゃって···」

「なんだと!まさか···」


フェイトたちがいたところの下を見ると···どんどん、フェイトが落下していた

ちっ、どうする?確か、穴に落ちたら魔法が使えない虚数空間とか言ってたよな···

「アルフ!こっちでフェイトを確認した。お前は先に行ってろ。俺がフェイトを連れてくるから」

「そ、それなら、あたしも···」

「いいから行け!」

ちっ、ごちゃごちゃとうるさいやつだな。お前まで落ちたらどうすんだ

「···わかった。絶対、2人で戻ってきておくれよ」

「ああ」

行ったか···さて、やるとしよう


「はっ!」

俺はフェイトが居る場所まで飛ぶ。気分はノーロープバンジーだ

「ノ、ノルン!」

とりあえず、ヤバい状況なのでフェイトは無視。まったく、めそめそとしやがって

「ヘル。飛べるか?」

『無理です。既に、ほとんど虚数空間の中にいるようなものですから』

魔法なしで脱出しろってことか。とりあえず、フェイトを···

ガシッ

「泣いてる姉さんは嫌いだ」

「えっ、ノルン?」

ブンッ

「きゃあああああ」

俺はフェイトを上の方に、力の限り投げ飛ばす。ちょっと乱暴だが、魔法が使えるようになればバルディッシュがなんとかしてくれるだろ

『···で?マスターはどうするんです?』

「···どうしよ?」

さすがに、あんな上までジャンプは無理だよなあ

『まったく···仕方のないマスターですね』

ヘルが憎まれ口を叩きながらピコピコと光る

「ほら、あれだよ。案外、マジでアルハザードとかあるかもしれねえだろ?鬼婆がハッピーにやってたら、邪魔してやろうぜ」

『······』

俺の場をなごませるジョークは、シカトされました。まあ、さすがにそんなことにはならんよな

「ふう」

俺もオッサンぐらいの年までは、生きるつもりだったんだけどなあ···ああ、身体の方も限界っぽいな。なんか眠くなってきた···ぜ


·
·
·


~???~

どれくらい、眠っていたのだろう。目が覚めると俺は···

「何だここ?」

ふわふわと浮いてました



「···先が見えねえ」

見渡すかぎり、すべてが同じ景色。いや、景色なんて呼べるほど立派なものじゃないが···まさか、どの方向に行っても何にも変わらない無限地獄ってやつか?


「ん?」

そんなことを思ってた矢先に、何か向こうから飛んできた。あれは···

「ジュエルシード?」

俺の方に飛んでくる。そして···あっという間にへルの中に吸い込まれていった

『ゲプッ。ふう、ご馳走様でした』

「···」

いや、何やってんのコイツ?というか、ご馳走様って···

『おや、マスター。目が覚めたんですか。気づかなくてすいませんね。食事に集中していたものですから』

「あ、ああ。ついさっきな」

食事···さっきのってやっぱり、ゲップなんだ

「ここ、どこだか分かるか?」

『多分、虚数空間の中ですよ』

まあ、それ以外ないか

「落ちたら、即死ってわけじゃないんだな···鬼婆もその辺で浮いてんのか?」

『さあ?』

「?さっきのジュエルシードって鬼婆と落ちたやつだろ?なら、あっちから飛んできたんだから、あの方向に行けばプレシアがいるんじゃないのか?」

そういうことにはならないのか?

『ジュエルシードは私が呼び寄せましたが、どのくらいの距離かはさっぱりです···いくら進んでも辿り着けないかもしれませんよ』

マジかよ···まさに地獄だな。俺もヘルと話ができずに1人だったら、頭がおかしくなっちまうぞ。それにしても、呼び寄せた?

「お前、そんなことできたの?というか、なんのためにジュエルシード呼んだの?」

『ちっちっちっ、マスター。質問はひとつずつですよ』

···むかつくなコイツ

『まず、私のコアにはジュエルシードが使われています』

だろうね。お前ができた時にジュエルシードなくなってたし

『そして、私はデバイスと融合しているため、他のすべてのジュエルシードより優れているのです!つまりは、ジュエルシードのボス!リーダーです!』

何か、コイツのテンションおかしくね?

『ゆえに、我が下僕共を呼び寄せることができたのです!』

「いや、うん。分かった。それで?何で呼び寄せたの?ボスは腹でも減ってたのか?」

『ふっ、ここから脱出するためですよ。マスター』

な、なにい!?

「で、出れるのか!?」

『ふふふ、そのための食事ですよ。さあ!ジュエルシード10個分のパワーで次元を切り裂くのです!』

輝きが失われていたヘル(の刃)が、強烈な光を発する。ジュエルシード食い過ぎておかしくなってるっぽいが、そんなお前も今だけは女神に見えるぜ!

「よし!ブッタ切るぜ!」

『出る場所をイメージして、全力で振るうのです!全力で!』

「任せろ!」

イメージは···フェイトとアルフがいる場所。これで決まりだ!

「ハアッ!」

ブン

そして、俺は虚空に向かってヘルを振り下ろした···




[4621] 最終話
Name: 管理局の虎◆3455d794 ID:0e220d18
Date: 2008/12/08 20:55
~最終話~


ブン

虚数空間を抜けたその先は···

「「え?」」

牢屋でした。そういや、俺ら犯罪者だったな···まあ、フェイトとアルフいたし、どうでもいいか

「ノ、ノルン!良かった!」

ガンッ

「オウッ!」

いや、フェイト。喜んでくれるのは嬉しいが···手枷を付けたまま、突っ込んでくるのはやめてくれ

「あ···ご、ごめんね!大丈夫?」

「···だ、大丈夫だ」

文句のひとつも言ってやろうと思ったが、フェイトの潤んだ目を見て何も言えなくなってしまう

トントン

「ん?」

バチーン!

「い、痛っ!何すんだよ、アルフ!」

静かだなあとか思ってたら、いきなりビンタされた。俺はすぐさま報復···

「この、お馬鹿!ちゃんと2人で無事に戻ってくるって言ったじゃないかい!···まったく、こんなにあたしらを心配させて」

「アルフ···」

「わ、悪かったよ」

···報復してやろうと思ったが、フェイト以上にボロ泣きだったので、つい謝ってしまった。ダ、ダメだ。コイツらの前だと俺は···

『ヘ·タ·レ』

···他人(しかも、自分のデバイス)に言われるとかなり頭にくるな


「···でも、本当に良かった。無事で」

手枷ごと俺の背中にまわして抱きしめてくれるフェイト

「まったくだよ···グスッ」

アルフも俺の頭を抱えてくれる。む、胸がモロに···いや、なんでもないぞ

「···ありがとな。2人とも。心配してくれて」

そして、俺もリラックスして今の晴れやかな気分(アルフの胸)を味わおうとしたのだが···



「大丈夫か!?この部屋で小規模の次元振···が?」

完全武装の執務官殿がやってきてしまいましたとさ

·
·
·

「つまり、君はジュエルシードを使って虚数空間を脱出した。こういうことか?」

「ま、そういうこと」

とりあえず、事情聴取されることになったので、簡潔に(俺の都合のいいように)説明した。ヘルがジュエルシードを吸収したことなどは、もちろん秘密だ。ジュエルシードは全て虚数空間に、ということにした

「しかし、そんなことが可能なのか?」

「いや、知らんし。俺も無我夢中だったからな。ジュエルシードが光って、気がついたらあそこに···」

無我夢中だったのは本当だ。ほとんど、ヘルに言われるがままって感じだし

「君自身も詳しくは分からない、と?」

「ああ」

許せクロノ。どうも、ヘルについては知られるとヤバい予感がするからな。それは、もうビンビンに

「分かった。それじゃあ、あとはそれ以前のことだ。そうだな、彼女···フェイト·テスタロッサに出会った経緯から聞かせてもらう」

「はいよ」

事情聴取は、まだまだ続くようだ。はあ、メンドイなあ···

·
·
·

~海鳴市~


あれから、しばらくの時間が経った···鬼婆に関する事件(通称、PT事件らしい)の事後処理が終わった後、俺は結局、アースラで拘束されていたのだが···まあ、割と自由だったので、めちゃめちゃくつろいでたけど

現在、海鳴市にいる。なぜ、此処に戻って来ることになったのかというと···

「あの子(なのは)に会いたい」

という、フェイトの発言によるものである。裁判のために本局に行くことになるからその前に、とか何とかクロノが話したらそんなことを言いだしたのだが···

俺とアルフは知っている。それよりもずっと前から会いたがっていたのを。なんか、友だちになりたかったらしい。俺から見れば、2人は既に戦友?って感じだったんだが、フェイトの中では違っていたようだ

ああ、なんで過去形なのかというとだな···ちょうど今、お友だちになったからだ。2人で熱く抱き合って傍から見てるとイヤンな状態である。一応、ここまでの流れを説明すると···


「私で良かったら、君と友だちになりたい」

「だから、教えて欲しい。どうしたら、ともだちになれるのか」

「名前を呼んで」

「···なのは」

「なのはに何かあったら、私が助けに行くから」

···こんな感じだ。まあ、かなり端折ったけどな。しかし、フェイトのはじめての友達だから、めでたいことはめでたいんだが···

2人の間にピンクなオーラが見えるのは俺だけなんだろうか···アルフはアルフで号泣してるし。お前、実は涙もろかったんだな

それにしても熱烈な抱擁だ。もしかして、日が暮れるまでやってるんじゃないか?と、俺は少し心配になってきた(色々な意味で)のだが···

それは杞憂だった。この場には2人の世界に入っている、フェイトとなのはに声をかけることのできる勇者がいたのである

「コホン。すまないが、そろそろいいか?」

クロノである。ぶっちゃけ、ただの空気読めないヤツかもしれないが、しばらく黙って見てたからそれなりに気を遣ったんだろう···とにかく、あの桃色空間に割ってはいれるとは、なんともすごいやつだ。尊敬するぜ

「///あ、うん。でも、その前に···」

なのはが、何故か俺の方に寄ってくる

「ん?何だ、なのは。俺とも熱烈に抱き合いたいのか?」

「熱烈に抱き合うって···///そうじゃなくて、ノルンちゃんともお友だちになりたいの!」

お友だちね···というか、なのはの理論でいくとお互いに名前を呼ぶだけで友だちだろ?···俺、既に呼んでんだけど

「別にいいけど···なのは。これでいいか?」

とりあえず、コイツのお友だち基準が分からないので、改めて名前を呼んでみた

「うん!これでノルンちゃんもお友だちだね!」

これで正解だったらしい。一体、何をもって判断してるんだろうか···



その後、フェイトとなのはがリボンを交換してなのはと別れた···リボン交換の際、フェイトが

「ノルンは交換しないの?」

と、後ろで髪をまとめている俺を見ながら言いだし、なのはが家にリボンを取りに行こうとしたので俺が止めた。フェイトは、やはり本物の天然だと思った···

そんな天然の姉上様は現在、リボンを装着中である

「···似合うかな?」

リボンをつけ終えるやいなや、はにかみながら振り返り、俺とアルフに感想を聞いてくる。安心しろフェイト。リボンとかそれ以前にその笑顔が、抜群の破壊力だ

「最高だ」

「うんうん、可愛いよフェイト」

俺もアルフもベタ誉めである

「///あ、ありがとう。2人とも」

頬を赤らめると破壊力は二倍だな···フェイトのこういう顔を見れるようになるとはな。アルフも実に嬉しそうだ···コイツは俺よりもずっと長い間、フェイトと過ごしてきたから、嬉しさも一塩なんだろう···これからはコイツら2人が幸せに過ごせるといいな

「?ノルン、どうかしたの?」

「い、いや。なんでもない」

恥ずっ!何を考えてんだ、俺は。というか、じっと見たりしてるから変に思われちまった···気をつけよう



そんなこんなで、俺たちは海鳴市(というか地球)に別れを告げたのだった···



あれ?何か、忘れているような···俺の気のせいか?


第一部 完




[4621] 幕間(前編)
Name: 管理局の虎◆3455d794 ID:51b53872
Date: 2008/12/10 15:29
~幕間(前編)~


実は俺、悩みがあるんだ。別に嫌ってわけじゃないんだけど、なんというか理性と煩悩がだな···え?俺が誰かって?


「俺はノルン。一応、魔導師だ。趣味は···読書?えーと、姉の名前はフェイトで、アルフ···その姉の使い魔ね。そのアルフともそれなりに仲が良い。あとは···」

『···頭でも打ちましたか?いきなり、1人でブツブツと···キモいですよマスター』

「···お前、マスターに対してキモいって···いや、これは自己紹介をだな···」

この毒舌なお方は、ヘルサイズ。俺のデバイスだ。インテリジェントデバイスのようで、そうでないような怪しさ爆発なヤツだ。ジュエルシード取り込んじゃったし

『私に、マスターの自己紹介など不要です』

「お前にしたんじゃないんだが···もういいか、メンドいし」

とにかく、俺には悩みがあるのだ。まあ、予想はついてるとかもしれないが···フェイトたちのことだ。そう、はじまりは、ある夜のことだった···

·
·
·

「ふう~」

俺は1人で風呂に入っていた。ちなみに、共用ではなく個室だ。元犯罪者が贅沢すぎるというなかれ

コンコン

「ノルン?いる?」

ノックとともに、フェイトの声がする。何か俺に用事だろうか

「フェイトか?悪い、もう少しで出るから···「お姉ちゃんが、背中流してあげるね」は?」

ガチャ

なぜか、バスタオル一枚の姉上様が俺が入ってる風呂に侵入してきました

「ち、ちょっと。フェイトさん?一体、何を···」

「ほら、座ってノルン」

膝立ちでタオルを持ちながら、浴槽に浸かっている俺に座るよう促すフェイト。これは···あれか?噂のドッキリとかいうやつなのか?

「ノルン?」

「あ、はい」

目の前の光景に頭がついていかず、状況に流されるまま着席する俺

ゴシゴシ

「気持ちいい?どこか、かゆい所ない?」

「い、いや。全然、問題ない。気持ちいい」

「そっか」

·
·
·


···これが、全てのはじまりだった。ちなみに、あの後の俺は終始ボーっとしていた···一緒に風呂(浴槽)に入り、のぼせて倒れた俺は悪くないと思う

これ以後、フェイトは何かと俺の世話を焼いてくるようになった。飯の最中には、いきなり

「お姉ちゃんの分けてあげる」

とか

「食べさせてあげるね」

とか、言いだすし···後者はさすがに断ったが。他にも、夜になると

「今日は、一緒に寝ようね」

などと言って、添い寝してくる。しかも、寝ながら抱きついてくるのだ···抱きつくならアルフにしてくれ


そして、これが一番の問題だ。最近はアルフまで風呂やベットにフェイトと一緒に入ってくる。最初は少し照れていたが ···今では、ほとんど意識していない。どうも慣れてしまったようだ

しかし、あっちが慣れたからこっちもとはいかないのだ···アルフ、お前の胸はデカすぎる。俺はこのままだと、煩悩に負けちまいそうだ


誰か、なんとかしてくれないだろうか···




[4621] 幕間(後編)
Name: 管理局の虎◆3455d794 ID:82a7a9f4
Date: 2008/12/11 20:42
~幕間(後編)~


「そういうわけで、なんとかしてくれ」

とりあえず、理性がリミットブレイクしそうだった俺は、勇者を頼ることにしたのだが···

「···突然、入ってきたと思ったら、何を言ってるんだ君は?」

勇者クロノの対応は微妙だった。はあ、ダメなやつだな

「ったく、執務官ならもっと鋭い洞察力を持ってくれよ···いいか?かくかくしかじかでだな」

俺の悩みを、包み隠さず話す。それはもう、細かいところまで




「···君も色々と大変なんだな」

「そうか···分かってくれるか」

最初は呆れながら聞いていたが、俺が風呂の話をしたあたりから、クロノは何か複雑な表情を浮かべ、最後は慰めてきた。きっと、過去に似たような経験があるんだろう

「しかし、どうして僕にこんな話を?」

「いや、同じように姉がいるお前なら、分かってくれると思ってな」

まさに、その通りだったし

「?待て、僕は一人っ子だぞ」

「あん?おいおい、艦長がいるだろうが。それとも、親戚か何かなのか?」

「···艦長は、僕の母親だ」

母親···ママ、マム、マザー。要は母ちゃん

「はあ!?マジで!?」

あの顔で、クロノの母親だと!?

「本当だ。しかし、そんなに驚かれるとは···」

「ちょっと待て。艦長っていくつだ?」
「○○歳だ」

あ、ありえねえ···○○歳だと?これは絶対、何か秘密があるはずだ

「○○歳になった後、魔法で若返ったとか?」

「そんな事実はない。間違いなく○○歳だ」

そんな馬鹿な。だったら···

ゾクッ

「「 っ! 」」

な、何だ?今の悪寒は?これ以上、この話題はヤバい気がする

「は、話を戻すぞ」

「あ、ああ」

どうやら、クロノも今の悪寒を感じたようだな···女性の年齢の話はタブーだとかいうしな。今後、気をつけよう

「それでだな、俺だけ地球に戻すとかできないか?」

気を取り直して、俺の案を言ってみる

「それは···君は今回、巻き込まれた形だから、上に掛け合ってみればなんとかなるかもしれないが···」

「よし、頼んだ」

ダメもとの案だったんだが、何でも言ってみるもんだな

「簡単に言うな。色々と大変なんだぞ。まったく···しかし、いいのか?少しの間とはいえ彼女たちに会えなくなるんだぞ?」

「···今日の朝、起きたらアルフの胸を揉みながら、フェイトの寝巻きを半分脱がせていた」

幸い、2人は寝てたけどな

「···すぐに手配しよう」

クロノは、色々と察してくれたようだった···

·
·
·

「ノルン、1人で大丈夫?」

フェイトが心配そうな顔をして言ってくる

「大丈夫だって、海鳴市に戻るだけなんだから。フェイトこそ、裁判でとちるなよ」

「うん···でも、やっぱり心配だよ。そうだ!アルフに一緒に行ってもらって···」

「いや、無理だから」

「でも···」

ここにきて、フェイトが渋りだしてしまった···仕方ない

『ほら、アルフからもなんとか言ってくれよ』

念話でヘルプを頼む。きっと、アルフならなんとかしてくれるはず

『しょうがないねぇ、ノルンは』

アルフよ。この場合、しょうがないのはフェイトだと思うんだが···

「フェイト。あっちには、なのはも居るし、大丈夫だって」

なのはが居るって···俺個人の信頼はゼロなのか?アルフに頼った俺が馬鹿だったな。大体、そんなのでフェイトが納得するはずが···

「アルフ···分かった。でも、本当に気をつけてねノルン」

「···あい」

···納得したよ。まあ、いいんだけどさ。何か複雑だ



「んじゃ、行ってきます」

「「 行ってらっしゃい 」」

こうして、俺は2人に一時の別れを告げて地球の海鳴市へと向かったのだった···




おまけ

「か、艦長?どうしたんですか?いきなり、そんなに恐い笑顔をして···」

「ふふ、ごめんなさい。ちょっと、どこかで不穏な会話が行われている気がしてね···」

「は、はあ」




[4621] リリカルなのはA’s ~ワルガキのノルン~
Name: 管理局の虎◆3455d794 ID:d8185a60
Date: 2008/12/12 20:38
~第2部·プロローグ~


~海鳴市~


「海鳴よ!私は帰ってきた!」

無事に海鳴市に着いたので、とりあえず、叫んでみた


シーン


···何も起こらなかった。というか、1人で何やってんだ、俺は

「···さっさと、なのはのとこ行くか」

確か、翠屋とかいう喫茶店だったな。それにしても、なのはの喫茶店···ちょっとシュミレーションしてみよう

·
·
·

カランカラン

なのは「いらっしゃいませ。お一人様ですか?」 ← ウェイトレスA(なのは)

ノルン「ああ」 ← 客A(俺)

なのは「こちらへどうぞー」

ガシャン

フェイト「あっ!?」 ← ウェイトレスB(なぜか、フェイト)

チンピラ「おい、何やってんだ女!ズボンが汚れちまっただろうが!」 ← 客B(チンピラ)

フェイト「も、申し訳ありません」

チンピラ「100万だ。弁償しろや、弁償」

フェイト「そ、そんな」

なのは「待ってください」

フェイト「な、なのは···」

チンピラ「あん?てめえが弁償してくれんのか?」

なのは「今、あなたは足をかけましたね?」

チンピラ「なんだと?おいおい、俺のせいにする気かよ。何だ、この店は客に対して···」

なのは「あなたのような人のお話しは聞きません!全力全開!スターライト···ブレイカー!!」

チンピラ「え?ちょ、ぎゃあーー」

·
·
·

···いや、さすがにコレはないだろ。いたって、普通の喫茶店のはずだ(多分)つい、くだらない想像をしちまったぜ


『マスター、何かコチラに飛んできますよ』

いきなり、ヘルが喋りだした。コイツは、いつも突然だな

「飛んでくる?別になにも···」

ガンッ

「痛っ!な、何だ?···た、球?」

俺の足元に、何かの球が転がっていた。これが俺の後頭部に命中したらしい。くっ···誰だから知らんが、ふざけた真似をしてくれる

「す、すまん、お嬢ちゃん。大丈夫かの?」

球が飛んできたと思われる方角から、じいさんがやって来る。コイツか···俺の頭に一発くれやがったのは。しかも、誰がお嬢ちゃんだ

「おい、じじい。いきなり、何してくれてんだ。見ろ、この血を!人を殺す気か!それと、俺は男だ!」

「そ、そうか···とにかく、すまんかったな。坊主」

じいさんは俺にびびったのか、球を拾っていそいそと去ろうとする···って

「待てや、じじい」

「な、何かの?」

「何かの?じゃねえよ。手当てぐらいしてくのが礼儀ってもんだろうが···いや、手当てはいい。かわりに一発、思いっきり殴らせろ」

くっくっくっ、この俺が拳で社会の常識というものを教えてやるぜ

「ひ、ひぃ!」

じじいは、すっかり腰を抜かしている。ふっ、俺に出会った不幸を呪うがいい


「おい!止めろ!」

「あ?」

俺がじじいに制裁を下そうとした、直前に邪魔者が現れた。何だ?このチビは




[4621] 第1話
Name: 管理局の虎◆3455d794 ID:82a7a9f4
Date: 2008/12/13 13:40
~第1話~

さて、じじいを締めるか。と、いうところに、どこぞのチビが乱入してきたのだが···

「お、おお。ヴィータちゃん」

「大丈夫か?じいさん」

じじいを助け起こすチビ。何だか、よく分からんが···どうも、じじいの知り合いらしい

「お前···じいさんは、謝ったんだろ?何でこんなことすんだよ!」

目つきワリいなコイツ。というか、なんで怒鳴られてんだ俺?勝手にじじいが腰抜かしただけで、まだ何もしてないぞ

「黙れ、チビ。俺は何もしてねえ。そいつが勝手に腰抜かしたんだよ」

「なっ!誰かチビだ!お前だってあたしと大して変わんねーだろ!」

確かにそうだが···お前の方が小さいんだから、チビはチビだろ

「はっ!それでも、俺の方がでかいのは変わらないだろうがよ。チ·ビ」

「···お前、あたしに喧嘩売ってんのか?」

「お前が最初に首を突っ込んできたんだろ。ボケが」

「てめえ···」

短気だなあ、コイツ。俺もあんまり人の事は言えねえけど。しかし、こんなチビと殴り合いしても···ん?ああ、なるほど

「まあ、落ち着けよチビ。殴り合いしてもいいが、それだと俺が100パーセント勝つ」

「なんだと!」

「いいから、最後まで聞け。お前が持ってるその棒、確かゲートボールで使うやつだろ?なら、そいつで勝負しようじゃねえか」

さっき飛んできたのはゲートボールの球だったらしい···ゴルフじゃあるまいし、どうすりゃコッチまで飛んでくるんだか知らねえが

そして、チビとじじいの関係は恐らくチームメイトとかその辺だろう。この勝負、迷わず乗ってくるはず

「···いいぜ、やってやろうじゃねえか。後で吠えづらかくなよ」

よし、これで少しは面白くなってきたぞ

「こっちのセリフだよチビ。おい、じじい!てめえの棒を貸せ。とりあえず、さっきの殺人未遂はそれでチャラにしてやる」

「う、うむ」

けっ!何が、う、うむだよ。チビが来るまで、腰が抜けてて立つこともできなかった奴が、今さら年上の威厳のつもりなのか?なんかもう、哀れになってきたな···放っといて、チビで遊ぶとするか


「なあ、ただ勝負するだけってのも、つまらねえ。負けた方には、なんか罰ゲームにしないか?」

「なら、アイス奢れ」

アイスって···ガキだなコイツ

「ぬるすぎる。もっと凄いのじゃないと意味がない」

奢りなんかじゃあコイツは屈服しないとみた。もっと、こう···キツいのがいい。それに、こういうのは相手に提案させてこそ効果があるからな

「アイス一年分」

「まず、アイスから離れろ」

さっきと全然、変わってないぞ。そんなにアイス好きなのか?

「アイスを馬鹿にすんじゃねえ」

「いや、してないから」


こうして、俺はチビと罵りあいながら、闘いの場へと向かった···罰ゲーム、どうすっかなあ

·
·
·

俺とチビの戦いは思ったより白熱した。ゲートボールといっても、俺のチームなんざないので1対1の変則ルール。タイマンだったからな


「もらった!」

コツン

「そこだ!」

コツン

「オラアッ!」

コツン

「ぶっ飛べー!」

コツン


···見た目は少し地味だったがな。それとチビは思いのほか強く、戦いは長い間続いた(ギャラリーだったジジババは、いつのまにか居なくなっていた)


そして、ついに···


「あっ!」

チビが重要な局面でミスをした

「よし!ふっ、勝負を焦りすぎたなチビ。俺が次で決めれば、その瞬間に貴様の負けが確定する!」

「ま、まだ分かんねーだろ!」

「言ってろ」

馬鹿め、ここで俺が外すことなど···ありえん!

コツン

「ああ!」

「俺の勝ちだな」

「ち、ちくしょう。あたしが負けるなんて···う、うう」

な、何も泣くことはないだろ。泣くことは。くっ、罰ゲームが言い出しにくいじゃねえか

「や、約束どおり、俺のことはノルン様と呼ぶように」

罰ゲームは俺たちがお互いにチビとかてめえとか言っていたことから、負けた奴が勝った方の名前を様付けで呼ぶことに決まっていた

つまり、俺が負けたらこのチビをヴィータ様とか呼ぶことなっていたわけだ。少し安易かとも思ったが、相手にかなり屈辱を与えられると思い、俺も賛成したのだが···

「くそっ、ノルン様!これでいいだろ!···う、うう」

チビにとって勝負に負けたことは、俺が思っていた以上に大ダメージだったらしい。完全に、泣きっ面に蜂って感じだ。名前も呼んではいるがヤケクソ気味である

何か、タダのいじめになっちまった気が···熱くなっていたとはいえ、少し大人気なかったか?(大人じゃないけど)ちょっと俺の脳内と相談してみるか···


『馬鹿、このままやっちまえ』

いきなり、悪魔の姿をした俺が囁いてくる···やっちまえって、俺に何させるつもりだお前は

『最近のお前は腑抜けてるぞ。もっと、いたぶって泣かせちまえよ』

もう一匹の悪魔の俺が現れた···俺の脳内には悪魔しかいねえのか?

だが、確かに最近はいい子ちゃんになりすぎてる気がする。一匹目の意見は却下だが、二匹目の意見はいいかもしれんな。よし、さらに泣かせて···

『ダメだよ!ノルン』

天使フェイトがバルディッシュを持って現れた。どうやら、天使の俺は一匹もいないらしい

『『 げっ!フェイト 』』

『ハアッ!』

ズバッ

『『ぎゃあ!』』

悪魔どもが一瞬でブッタ切られる。悪魔、弱っ!というか、天使フェイト。ちょっと怖い

『ノルン。子供には優しくしなきゃだめだよ』

は、はい。天使様


···結論がでたな。子供にはできるだけ優しくするとしよう

「ぜ、全然ダメだなヴィータ。むしろウザい。やっぱり、呼び捨てに変更だ」

「え?」

泣きながら、間の抜けた顔なんかすんなよ。まったく···

「な、何だ?勝者の言うことが聞けないってのか?ちっ、お前の健闘をたたえてア、アイスでも奢ってやろうかと思ったのによ」

「お前···グスッ」

「ほら、いつまでも泣いてるんじゃねえよ。い、行くぞ!お前の好きなアイスを選べや、ヴィータ」

はあ、優しく接するとかやっぱり無理かも

「な、泣いてねえよ!あ、こら待てよ!ノ、ノルン」



その後、コンビニでアイスを買って(金はリンディママに貰った)2人で食べてからヴィータと別れた···結構、気の合うやつだったな。目つき悪いし、ガキだけど

それにしても、すっかり遅くなっちまった。早いとこなのはの喫茶店に向かわないとな




[4621] 第2話
Name: 管理局の虎◆e33eee67 ID:32b07b0b
Date: 2008/12/14 15:45
~第2話~


『ふう』

現在、ヴィータと別れてなのはの喫茶店に向かう途中なのだが···

「どうした?やれやれ、コイツは馬鹿すぎて話にならないな。自分がしっかりしないと、みたいな溜め息ついて」

『まさに、その通りの意味ですよ···私の苦労も知らずにポックンポックンとゲートボール···気楽なもんですねマスターは』

「意味が分からんぞ。はっきりと言え、はっきりと」

コイツの苦労?ずっと黙ってただけじゃねえか

『あの少女。多分、魔導師ですよ』

「···へえ、そうなの」

おいおい、また始まりましたよ。ヘルのおふざけが···そんなに構ってほしかったのか?

『あまり、驚いてませんね···実は気づいてました?』

「いや、全然」

それ以前に信用してないから

『···もしかして、私を疑ってます?』

「正解だ。とりあえず、魔導師だと思った根拠は?」

まあ、ヘルの説明によっては信じてやらんでもない

『魔力量と勘です』

「死ね」

『酷っ!実際にかなりの魔力量だったんですよ!?』

魔力量はともかくとして、デバイスのくせに勘とか、全くあてにならん

「いいですか?ヘルサイズさん。魔力がでかいからといって魔導師だとは断定できません。大体、魔導師だとしても俺たちには関係ないだろ。管理局じゃないんだし」

『···それもそうですね』

どうも、P·T事件のせいで微妙に管理局みたいな気分になっていたようだな···

「だろ?ちょっと警戒しすぎだと思うぞ···しかし、備えあれば憂いなしとも言うな。よし、俺の分まで引き続き警戒してろ」

『···Yes sir』

···お前、好きだよなソレ


·
·
·


~喫茶店·翠屋~


「ついに到着か」

このまま、スルーするのもいいが···俺にはビデオレターを届けるという任務があるからな(色々あったせいで、忘れかけていたが)

ガチャ

「すみません。こちらに高町なのはさんはいらっしゃいますか」

「あら?なのはのお友だち?」

この女、なのはに随分と似ているが···なのはの姉か?いや、恐るべき前例(リンディママ)がいるからな。注意せねば

「はい。ノルンといいます···あの、なのはさんのお姉さんですか?」

「ふふ。私はなのはのお母さんよ。高町桃子っていうの。よろしくね。ノルンちゃん」

「そうでしたか···はい、よろしくお願いします。桃子さん」

なのはママ、若いな。いくつだろ?···いくつでも、もう驚かんけどな

「ノルンちゃんは、礼儀正しいわね。ちょっと待っててくれる?今、なのはを呼んでくるから」

「あ、はい」

···猫被りがモロに素だと思われてんな。まあ、いいんだが


「何か食べるかい?なのはのお友達ならサービスするよ」

俺の前にメニューが置かれる。こいつは···なのはの父か?なのはママとの間にそれっぽい雰囲気があったし

「ありがとうございます。なのはさんのお父さんですか?」

「ああ、高町士郎という。なのはの父親で、この翠屋の店長をしている。君はノルンちゃん···いや、ノルン君の方がいいかな?」

「どちらでも構いませんよ」

ノルンちゃんにも、すっかり慣れちまったからな···

「そうか···ノルン君、なのはと仲良くしてやってくれ」

「ええ」

なのはパパは、それだけ言うと静かに離れていった。店長ともなると、やはり忙しいようだ


「ノルンちゃん!」

お、来たか

「久しぶり、なのは」

「えと···ノルンちゃんだよね?」

『当たり前だろ。何言ってんだ間抜け』

『あ、やっぱりノルンちゃんだね』

おい、何を基準に俺だと判断した···そういや、なのはの前で猫被ったことなかったかも

『周りに人がいるから、猫被ってんだ。あわせろよ』

『う、うん。分かったよ』

「俺だけ、一足先に戻ってくることになってね。はい、コレ」

「あ、フェイトちゃんからのお返事?」

「そう」

かなり嬉しそうだな

『そういや、ユーノは?』

『ユーノ君は、ちょっと前に帰っちゃったんだ』

『帰ったって···ああ、なんとか一族ところにか』

『うん』

確か、スクライアだったかな?···一族の奴は、全員フェレットになれんのかな?


そわそわ、そわそわ


「···ビデオ見てくれば?」

「うん!」

もしかして···ビデオを渡した瞬間から、そわそわしてたのか?どれだけ楽しみにしてたんだよ···

·
·
·

~海鳴市·某所~


ガサガサ

あの後、なのはパパにサービスしてもらって、少し早い夕飯にした。というか、奢りにしてもらい。なのはによろしくと言って、速攻で喫茶店を出た···まさか財布を落としていたとは

「コンビニでアイスを買った時はあったんだから、コンビニと喫茶店の間にある筈なんだが···ちっ、誰かに拾われたか」

ガサガサ

「くっ、見つからねぇ···」



その後、探し続けるも見つからずじまい···金がないので、ロイヤルでスウィートなホテルに泊まる予定が、公園で野宿になった


···拾ったやつ、マジで殺す



おまけ

「はやてちゃん。買い物の帰りにお財布を拾ったんですけど···」

「ほんまに?うわ、結構お金入っとるなあ。後でちゃんとお巡りさんに届けんとな」

「そうですね···でも、普通はこんなにお財布に入れて持ち運ばないと思いません?」

「そうやなあ、何かお金を持つのに慣れてない人のお財布みたいやな」




[4621] 第3話
Name: 管理局の虎◆3455d794 ID:c4ad9fb0
Date: 2008/12/14 21:58
~第3話~


「おはよう、実に清々しい朝だなヘル」

ほどよい冷たさのベッド(ベンチ)、独特の感触の掛け布団(新聞紙)から起き上がり、我がデバイスに朝の挨拶をする

『マスター、おいたわしや···』

ヘル、ここでの慰めは逆にキツいんだが···

「···行くか」

『財布探しですか?』

「いや、財布は放置でいく。出てきたら、拾った奴をぶっ殺す方向だ。幸い、サバイバルには慣れている。このままでも生活に関しては問題ないからな」

というか、昨日、散々探したからな。もう探すのメンドイ

『じゃあ、どこに行くんです?』

「図書館」

久々に、読書といこう。心に余裕を持たねばな。心に余裕を

『また、マスターには似合わないところに···』

「ほっとけ。これでも本は好きなんだよ」

まったく、失礼なやつだ···

·
·
·


~図書館~


「本を読むのも久しぶりだな」

フェイトに会ってから、とんとん拍子に色々とあったからな···


「あれ?もしかして、ノルンちゃんやない?」

「あ?」


読書にはいろうとしたら車椅子の女が話しかけてきた···車椅子?

車椅子 → はやて → 俺、助けられる →約束する → 逃亡

「はやてじゃないか」

俺は光の速さで取り繕った。やべえ、普通に忘れてたよ

「良かったあ、無事やったんやね。ずっと心配しとったんよ」

「そ、そうか。つい先日、俺も用事が終わってな。今日にでもはやての所に行こうと思ってたんだが···家の場所が分からなくてな」

よし!ナイスな言い訳だ。家を知らないのも本当だしな

「そやったんかあ···ところで、ノルンちゃん。約束、覚えとる?」

「ああ、もちろんだ。何か、思いついたのか?」

さっきまで忘れてたけどな···確か、俺にできることならなんでもするだったか?

「うん、ウチの家族になってくれへん?」

「は?」

家族になってくれって···プロポーズ?うーん、結婚か···まあ、別にいいか

「なーんて「いいぞ。結婚するか」···へ?」

「何だ?間抜けヅラして」

「いや、結婚って···家族っていってもそういう意味とちゃうんやけど···っていうか、冗談や冗談!」

なんだ、冗談だったのか。というか、結婚は俺たちの年齢じゃあ、無理だったな

「タチの悪い冗談だな」

「···一応、ちょっと前まではそのお願いにするつもりやったんやけど」

マジかよ···進んでるな、はやて

「で?本当のお願いは?」

「えっと、ウチとお友だちになってくれへん?」

「···流行ってるのか?」

フェイトになのは。そして、はやてだ。実は、何かの病気なのか?友だちウイルスとか

「流行ってる?」

「いや、こっちの話。わかった、友だちだな。ちなみに、どのくらいのレベルの友だちがいい?」

「レ、レベル?そんなんあるん?」

「ああ、1から10まである」

俺となのはのレベルが1として···フェイトとなのはのレベルが10といったところか

「そうなんか···レベル1はどんな感じなん?」

「ちょっと冷めた感じ」

まあ、俺にとっては普通だけど

「それじゃあ、寂しいやん。ほな、レベル10で」

レベル10!?なかなかの難易度の高いのを希望してくるな···いや、命の恩人との約束だ(忘れてたけど)きちんと守らねばならん。なんせ、この俺の命を救ったんだからな

「了解だ。よろしく、はやて」

「うん、よろしくや。ノルンちゃん」

果たして、俺にあの2人のようなピンクな空気は出せるんだろうか···

·
·
·

「ノルンちゃんって、どこに住んでるん?」

「唐突だな。それにしても、俺の住んでるところか···」

あれから、2人して読書に没頭していたのだが、一段落ついたのかはやてが話しかけてきた。どうも俺の家の場所が知りたいようだが···

「公園?」

「?公園の近くに住んでるんか?」

「いや、昨日は公園で寝たから」

財布を拾った、誰かさんのせいでな

「い、家とかないん?」

「ない」

ジュエルシード集めの時に使ってたのは、フェイトとアルフの仮宿だしな···その2人も今はアースラだ

「あかん!」

「馬鹿、静かにしろ。図書館の中なんだぞ」

あんまり騒ぐとブラックリストに載るからな

「そ、そやった···でも、ノルンちゃんみたいな子供が家無き子なんてあかんよ」

「はやても子供なのに、何言ってんだよ。大体、俺だって昨日は公園に泊まるつもりなんかなかったんだ···ちっ、見つけたらタダじゃおかねえぞ」

くっ、財布があればゴージャスな気分を味わえていたはずなのに···思い出したら、また腹が立ってきたな

「な、何かあったん?」

「ああ。財布を落としてな。誰かに拾われちまったみたいで、探しても見つからなかった···拾ったやつはぶっ殺す予定だ」

「ぶっ殺すって···物騒やなノルンちゃん(財布って、まさかシャマルが拾ったやつやないやろな···)」

おっと、いかんいかん。はやてをビビらせちまった

「はは。安心しろって。ちょっとボコボコにするくらいで本当に殺したりしないから。比喩表現ってやつだよ」

「(全然、安心できへんよノルンちゃん)お財布にどのくらいお金入れとったん?」

「結構、たくさん入れててな。まったく、最悪だぜ」

拾ったやつに使われちまってるかもしれん···くっ、ムカつくぜ

「ノ、ノルンちゃん。顔が怖くなっとるで(シャ、シャマルやシャマルがボコボコにされてまうでコレ!ウチがなんとかしないと)」

「わりいわりい、思い出したらイライラしてきてな」

「そ、そか。でも、拾った人も親切で拾ってくれたんやないかな?(シャ、シャマルー、まだ迎えに来たらあかんよー)」

はやてが妙なことを言い出した。しかし、親切で拾っただと?今時、そんな心のキレイな奴がいるのか?

「最近では、そういう考え方もありなのか?」

「あ、ありやあり、もうありまくりや(最近って···ノルンちゃん、ちょっと天然はいってるんやろか)」

そうか、ありまくりなのか···

「それなら、往復ビンタ程度で済ませてもいいかもな」

「そ、そやねー(親切で拾っても往復ビンタなんか···過激やなノルンちゃん)」

なんか挙動不審だな、はやてのやつ。まさか···

「もしかして、はやてが拾ったのか?それなら、デコピン一発で済ませてもいいぞ」

「そ、そうなんよ。実は昨日、偶然拾ったんや。ごめんなー(よ、よかったー!これでシャマルは助かるわー)」

「なんだ、それなら早く言ってくれよ」

道理で財布の話になってから、おかしなことを言い出すと思ったぜ

「まったく···」

バシンッ

はやてにデコピンをかましてやる

「いたっ!ちょ、ノルンちゃんのデコピンすごい痛いんやけど」

「当然だ。お仕置きだからな。よかったな、はやて。もし、見知らぬ他人なら両の頬が腫れ上がるまで往復ビンタだったぞ」

「そ、そうなんか(往復ビンタって、十回ぐらいと違ったんか···デコピンで終わってホンマによかったわ)」

しかし、ラッキーだったな。まさか、はやてが俺の財布を拾っていたとは···

「それで、財布は今どこに?」

「あ、ウチの家にあるはずや」

「よし、行くぞ」

「了解や」

俺ははやての車椅子を押して、図書館をあとにした···車椅子って、押してるとスピード出したくなるな




[4621] 第4話
Name: 管理局の虎◆3455d794 ID:6106b45e
Date: 2008/12/18 20:38
~第4話~


~八神家~


俺の現在地、はやての家。そう、はやての家だ。なのに···

「なんで、お前がここにいんだよ!ヴィータ!」

あれか?八神さんちのヴィータちゃんってオチなのか?

「そ、そりゃあコッチのセリフだ!なんで、お前がはやてと一緒に···」

「なんや、ノルンちゃん。ヴィータとも知り合いやったん?」

「ノルンちゃん···ぷっ」

···コイツはやはり、もっと泣かせておくべきだったな

「ああ。迷子になって泣いてたから、アイスを奢ってやったんだ」

「なっ!?」

「そうなん?ヴィータ」

「ち、違うよ!確かに、アイスは奢ってもらったけど···」

ふっ、愚かなりヴィータ···この俺を笑うから、そういう目に遭うのだよ


「ん?」

ヴィータがはやてに弁明しているのを聞き流しながら、家を見渡していると何かの視線を感じたので、さりげなく振り向いてみる

「···」

何だ、このアルフの仲間みたいな犬は?···ヴィータの使い魔か?ますます、ヴィータが魔導師の可能性が高くなったな。ヘルに後で嫌みを言われそうだ


「ヴィータとは知り合いみたいやけど、改めて紹介するな。ウチの家族、ヴィータとザフィーラや。他にも、あと2人いるんやけど···出かけてるみたいやから、帰ってきたら紹介するな」


どうやら、ヴィータの弁明は終わったようである。はやてが1人と1匹を紹介してきた。あと2人?···もしかして、1人は図書館からこっそりついてきてた変質者のピンクか?俺、かなり見られてたんだが···あとが怖いぜ

「よろしく、ザフィーラ」

とりあえず、初対面の犬に握手を求める

「あたしは、ヴィータだよ!知ってるだろ!」

「軽いジョークだろ。怒るなよ」

相変わらず、気の短いやつだな···

「よろしく」

「···」

改めて挨拶するも、犬にはシカトされた。まあ、アルフみたいに喋ったら怪しさ爆発だもんな···

·
·
·

その後、財布を取り戻した俺は、はやての家で昼食をごちそうになることに···あと、はやてが言っていた2人も帰ってきた

「シグナムだ」

やっぱり、変質者(仮)のピンクだった

「シャマルです」

主婦っぽいのに、ドジっ娘オーラがでていた

「お前、帰れよ」

黙れ、ヴィータ

「···」

ザフィーラは喋れるのか、いまだに不明である

「ヴィータ。そないなこと言ったらアカンよ。ノルンちゃんはウチのお友だちなんやから」

「ご、ごめん。はやて」

···この家の力関係が少し見えたな。はやて > ヴィータといったところか。まあ、単にはやての前では素直なだけかもしれんが

「···とりあえず、食べていいか?」

いい加減、腹が減ってきた。既にテーブルにはメシが並べられている。昼食なのに、無駄に豪華だ。作るのに時間をかけていただけのことはある

「うん、食べて食べて。たくさんあるから、遠慮せんでええよ」

「では···いただきます」

モグモグ

「お、美味いな」

「当たり前だろ!はやてのご飯はギガうまだかんな」

ヴィータ···わかったから、米つぶを飛ばすな

「よかったー。ノルンちゃんにも、気に入ってもらえて」

「いやいや、この飯を不味いと言うやつはいないと思うぞ。それにしても、ヴィータ。お前、箸持つの下手だな」

元、野生児の俺より下手って···かなりヤバくね?

「う、うるせえな。いいだろ別に」

「馬鹿、見てみろ。そこのシグっちを。あの箸さばき、蠅をつかめるレベルだぞ。あんな人が近くにいるのに恥ずかしくないのか?」

2人を比べてみると、ヴィータのダメさが露骨に目立つ

「シ、シグっちとは私のことか?」

「そうだが?」

まずい。何かすげえ警戒されてるから、親しみを込めた呼び名で呼んでみたんだが···逆効果だったか?

「···できれば、シグナムと呼んでくれ」

「了解」

お気に召さなかったらしい。くっ、しくじったぜ

「まあまあ、ノルンちゃん。ヴィータはまだ、お箸に慣れてないからしゃあないんよ」

「そうだそうだ。仕方ねえだろ」

「まあ、はやてがそう言うなら構わんが···」

他人の家の教育方針に、口を出すもんじゃないしな


「ところで、シャマルさんだっけ?貴女がはやての母親ですか?」

「ええ!?」

いや、そんなに驚くような質問か?

「ち、違いますよ。そんなお恐れ多い···」

恐れ多いって···はやて、実はどこぞの女王様なのか?

「ウチ、両親いないんよ。ずっと前に2人とも死んでもうた···」

「···そうだったのか。悪いことを聞いたな」

微妙な空気になってしまったな···

「あ、気にせんでええよ!それに今は、皆がいるから寂しくないんよ」

「そうだな。確かに、楽しそうだ」

···フェイトやアルフはどうしてるかなあ。まあ、自分から離れたんだけどさ(色々とヤバかったし)

「要するに、今はシグナムとシャマルさんに養ってもらってるわけか···」

「ちゃうちゃう。ウチが皆を養ってるんよ」

「は?」

はやてが養われてるんじゃなくて、はやてが養ってる?

「えー、シャマルさん?本気で?」

「は、はい」

···この人に敬語を使うことなかったな


·
·
·


「それじゃあ、俺はそろそろ帰るな」

色々なことが判明した昼食も終わり、雑談していたが日も暮れてきたので、そろそろ帰ることにした

「泊まってたらええのに」

「それは、また今度な。シグナム。その辺まで送ってくれないか?」

悪いな、はやて。魅力的な提案だが、安心して眠れなさそうなんでな···さっさと話をつけたほうがよさそうだ

「···わかった」

何だか知らんが、はやて以外の3人と1匹に俺は警戒されている。ヴィータやシャマルはそんなでもないが、シグナムと犬(ザフィーラ)は特にだ···はやては、まったく気づいてないが

「また遊びに来てなー。ノルンちゃん」

「ああ。多分、今日みたいに図書館で会うと思うから···そしたら、はやてが連れて来てくれ。じゃあな」

1人で来るのはちょっとキツいかもしれん

「またなー」

·
·
·

~公園~

「それで?何か話でもあるんじゃないのか?」

ここに来るまで、黙りこくっていたシグナムに話を促してみる

「やはり、気づいていたか···その魔力の大きさといい、私たちの警戒にも気づいていたことといい···貴様、魔導師だな?管理局か?」

「魔導師だが、管理局ではないな。それが?」

コイツも魔導師···いや、あの2人と1匹も全員そうなんだろう···当たっちゃったよ。ヘル(デバイス)の勘

「何の目的があって、主に近づいた」

主?意味はよく分からんが···多分、はやてのことだな。だが、そうなるとはやても魔導師なのか?そうは見えないが···

「···魔導師の友人は許さないと?お前たちも魔導師なのに?」

「質問の答えになっていないぞ···それから、我らは魔導師ではない。主はやての騎士だ」

そんなこと言われても···目的なんかないし。それにしても、騎士ね···

「···俺は、はやてに命を救われた。恩を返すために願いはないか?と聞いた。友人になってくれと言われた。だから、友人になった。それが全てだ」

「主はやてが?」

「そうだ」

俺にしては、かなり誠実な対応をしているな···自分でもビックリだ

「本当か?」

「はやてに聞いてみればいい。こっちからも質問いいか?」

「···少し、待ってもらっていいか?」

「どうぞ」

念話ではやてに確認か?本当に警戒されてんなー



「···疑ってすまなかった。だが、お前の質問に答える前に、改めて話したい事がある···おそらく、そちらの質問したいことにも関係があるはずだ」

少しして、シグナムから謝罪が。頭まで下げてきた。それにしても、改めて話したいことか···気になるな

「聞こう」

「感謝する···」


そうして、シグナムが話し出した内容は、少し···いや、かなり驚かされるものだった


·
·
·


「闇の書ねえ···」

「まさか、存在すら知らないとは···私が言うのもなんだが、魔導師の間では有名な物だぞ···もっとも、悪い意味でだがな」

「···まあ、魔導師になったばかりなんで」

俺は、名前すら聞いたことないな。ロスト·ロギアってのが、何なのか分かる程度だ

「それにしても···普通の人間にしか見えん」

「···それは、褒めているのか?」

「まあ、一応」

シグナム、ヴィータ、シャマル、ザフィーラはヴォルケンリッターといって、闇の書の主の守護騎士であり、魔法プログラムらしい···完全に人間だろ、メシ食ってたし

「しつこいようだが、我らのことは···」

「ああ、約束しよう。はやてのことも、お前たちのことも決して、管理局に言ったりしない」

「本当に感謝する···主はやては、蒐集を望んでいない。我らは、ただ平穏に暮らしたいだけなのだ」

「···大変だな。お前らも」

本来は、主の命令で蒐集···魔力を集めて闇の書を完成させることがコイツらの役目だそうだ。管理局に見つかるとヤバいのも、それ関係とのこと

「でも、はやてが莫大な力を求めるのなんか、確かに想像できんな」

「···ふっ、そうだな」

それから、闇の書を完成させるとすごい力が手に入るらしい。だから、はやてのような主は今までいなかったらしい···要は、欲望に忠実なヤツらだったってことだな


「しかし、こうも簡単に受け入れてくれるとは思わなかった。お前を疑うわけではないが···なぜだ?」

「そうだな···お前が俺より強いから、かな?」

だからといって、戦うことになったら簡単に負けてやるつもりはないがな

「?どういう意味だ?」

「俺のこと、その気になれば口封じに殺せただろ?なのに、頭を下げた···まあ、最初は微妙だったけどな」

自分より強いヤツにそこまでされて信じなかったら、そいつはクズ野郎だ···さすがの俺でも信じるさ

「それは···」

「だから、信じた。そんなところだ」

まあ、それだけってわけじゃないけど

「···そうか」


その後、俺はシグナムと別れた。他の騎士にも話はつけといてくれるらしい。いやー、助かるね。それにしても···ヘルの事といい、闇の書といい、管理局に秘密がドンドンできてんな···あれ?もしかして俺、結構やばいことになってる?




[4621] 番外編1
Name: 管理局の虎◆3455d794 ID:82a7a9f4
Date: 2008/12/18 21:58
~ノルンのある一日①~


「アリサ·バニングスよ」

「えと、月村すずかです」

「···」

なぜ、こんなことになっているんだ?俺は確か、なのはパパにツケを払いに来たはずなんだが···

ここは、なのはの部屋である。翠屋に着くやいなや、なのはママによってなのはの部屋へ連行。そして、部屋の中には、なのはのほかにどこかで見たような2人の少女が···そして、現在に至るわけである

「···」

『おい、なのは。何なんだ?コイツらは』

『アリサちゃんにすずかちゃん!2人とも、なのはの大切なお友だちだよ』

···話にならんな、この脳天気は

「ちょっと、黙ってないでなんとか言ったら?」

うるさい金髪だな。適当にからかうか···

「ひっ」

怯えたフリで、なのはの背中に隠れてみる

「「え?」」

「ノ、ノルンちゃん?」

「こ、怖い···」

ふっ、完璧だ。顔はフェイトにそっくりだからな。それなりに、破壊力もあるはず

「ア、アリサちゃん」

「う、うん···その、ごめんね。強く言いすぎたわ」

「ノルンちゃん?大丈夫?変なモノでも食べちゃったんじゃ···」

ちっ···やはり、これでなのはまで騙すのは無理か。ならば···

『なのは、実は俺って人見知りするんだ···頼む、助けてくれ』

『う、うん?いいけど···』

本当は、人見知りなんざしたことないがな

「えとね、アリサちゃん、すずかちゃん。この子はノルンちゃんって言ってね。前に話した、新しくできたお友だちの1人なの」

何?なのはのやつ、俺を話題に出したことがあったのか?

「そ、そうなの?なんか、なのはの話で聞いたのと全然、違わない?」

「そうだね。もっと怖い子かと思ってた···」

なのは···貴様は、俺のことをどんな風に話してるんだ

「うーん、いつもはこうじゃないんだけど···人見知りするんだって」

「人見知りぃ?」

「嘘···」

···こいつらの反応を見るに、ろくでもないことを話している気がするな。後で鉄槌を下してやるぞ、なのは

『お前···俺のことをどんなやつだって話してたんだよ』

『えっと···ちょっと、不良さんみたいな子だって』

不良さんって···

『···死んどくか?なのは?』

「にゃ!?ご、ごめんなさい!」

「「な、なのは(ちゃん)?」」

軽く脅しをかけたら、なのはが奇声をあげてしまった···まったく、アホなヤツだな

「悪い、びびったのはギャグだ。俺はノルン。よろしく、アリスにしずか」

「「 ···え? 」」

なのはの奇声に続いて、俺の豹変。2人は、頭がついていかない様子である

「今までのはギャグ、冗談。オーケー?あ、ちなみになのはもグルだから」

「ええ!?」

馬鹿、あわせろよ。さっきの奇声をごまかしてやろうってのに···

「ちょっと待ちなさい。今までのは単なる冗談だった。まあ、それはいいわ。微妙にというか、ほとんど納得できないけど···」

お、賢明だなアリサ

「ただね、ひとつ言わせてもらうわ!···私の名前はアリサよ!だれよ、アリスって!それに、こっちはしずかじゃなくて、すずかよ!す·ず·か」

「いや、さっき聞いたから知ってるし。わざとだし」

「はあ!?ちょっと、なんなのコイツ!頭おかしいんじゃないの?」

凄まじい突っ込みだ。だが、頭がおかしいとまで言われるとは···

『なのは、俺はなんだか魔法をぶっ放したい気分だよ···』

『ノルンちゃん!?ダ、ダメだよ!』

『ふっ、冗談だ···多分な』

ちょっとムカついたので、なのはを弄って鬱憤を晴らした

「はわわわわ」

「な、なのはちゃん?」

何を勘違いしたのか、なのはがまた奇声を上げていた

「な、何笑ってんのよ。あんた」

「いや、なに。また1人、うら若き乙女が死ぬことになるのかと思ったら···つい、ね」

単にアホな、なのはを見て笑っただけだが、適当にそれっぽいことを言ってみる

「ま、まさか···あんた、女の子に暴力を振るうつもり!?」

そんなことをするはずないだろ。ここには、なのはの家族もいるしな

「そんなことはしないさ···しかし、アリサ?女の子というのは、そこにいるすずかちゃんのようにおしとやかな女性のことを指すんだよ?いきなり奇声をあげたり、人の事を頭おかしいだのとほざくヤツは女の子とは言わない···ただのメスガキだ」

「なのはも!?」

当たり前だろうが

「メ、メスガキ···あんたねぇ、言っていいことと悪いことがあるわよ!」

「今の言葉は、俺の中では言っていいことに分類されるんだが?」

「常識で考えなさいよ!常識で!」

うーむ、コイツを怒らせるのも飽きてきたな···何より、耳がキンキンしてきた。適当に切り上げるか

「···ごめん、悪かった」

「ちょ、なんで突然、謝るのよ!」

「いや···俺って、非常識なヤツなんだな。知らなかったんだ···その、すまない。アリサ」

できるだけ反省したような顔で、ネガティブオーラを背負いながら謝る。少しだけ俯いた感じにするのがポイントだ

「わ、分かればいいのよ。分かれば」

「ありがとう。アリサ」

「ふ、ふん」


さて、そろそろ帰るか···

『なのは、俺はもう帰るぞ』

『なのははどうせ変な子なの、メスガキなの···』

···何を拗ねてんだコイツは

『ふう···俺は変な子の方が好きだぞ?』

『ホ、ホント?』

『本当』

普通のヤツなんか、面白くもなんともないからな

『ほら、さっさと玄関まで送れ。ナチュラルな感じにな』

『う、うん』

·
·
·


いやあ、なかなか有意義な時間だったようなそうでなかったような···微妙だ

それにしても、対照的な2人だったな。アリサは、かなり気が強かったが、すずかとかいうほうは、すごい大人しい感じだった···というか、俺のこと怖がっていた気がする。ほとんど喋らなかったし

なのはのヤツめ···俺のことをどう話したのか、いずれ詳しく聞かせてもらうからな。もちろん、お話の大好きなお話でな···




[4621] 番外編2
Name: 管理局の虎◆3455d794 ID:942a80e2
Date: 2008/12/20 13:04

~ノルンのある1日②~


今日は、はやての家に来ている。図書館ではやてに遭遇したためだ。特にやることもなかったので、はやてに誘われるまま八神家に。ところが···

「あれ?はやて、ここに入れておいたアイス知らないか?」

「アイス?それなら昨日、ヴィータがお風呂上がりに食べとったよ」

···俺が以前、八神家に来た時に冷蔵庫(他人の家の)に入れておいたアイスを食べただと?

「ちっ、仕方ない。買ってくるか···はやて、ちょっと出てくるぞ」

「そんなら、ついでにジュースも買ってきて。はい、お金」

「了解」

···ん?今、もしかしてパシリにされなかった?

·
·
·

「ありがとうございましたー」

コンビニから出た俺の手にあるのは···はやてに頼まれたジュースのみ。アイスは期間限定の物だったため、もう売っていなかった···ヴィータ、許すまじ
「···食べ物の恨みは恐ろしいと知るがいい」

ヴィータへの恨みを募らせた俺は、ある場所に寄ってから八神家に戻ることにした···

·
·
·

「ただいま」

「おかえりー。ん?何やソレ?ケーキ?」

「シュークリームだ。一個、食べていいぞ」

翠屋のシュークリームだ。かなり美味い

「ほんまに?ありがとうなー」

俺はこれを使い、ヴィータに復讐することにした。別にケーキとかでもよかったんだが、なのはのオススメとかいってこれを買うことに···食わせるために買ったわけじゃないんだがな

まあ、サービスのおかげで俺とはやてが食べられることになったのはラッキーだった。今度、美味かったと言っておこう

「むっちゃ美味しいわー」

「そりゃあ、良かった」

さて、そろそろ帰ってくるはずだ···俺はシュークリームを手にして玄関で待ち伏せることにする


「準備完了」

あとは、ヴィータが帰ってくるのを待つだけだな

「···む?来たようだな」

ふっ、思い知るがいいヴィータ。この俺の怒りを!

「俺のこの手が光って唸る!」

「お前を倒せと輝き叫ぶ!」

ガチャ

くらえ、ヴィータ!

「必殺!シューークリーームフィンガーー!!」

ベチャア!

決まった···

「···これは、一体、何のつもりだ?ノルン?」

あ、あれ?この声は···

「げえっ!シ、シグナム!?」

必殺技を決めた余韻に浸って、下に向けていた顔を上げてみれば···何故か、ヴィータではなく、顔面がクリームまみれになって血管をヒクヒクさせたシグナムがいた

か、顔の位置が俺より高い時点でおかしいと気づくべきだった···いや、今はそれどころではない。何とかして説得を···

「ま、待て、シグナム。これには、茶碗よりも深く、ヴィータの背よりも高い理由があるんだ」

「随分とくだらない理由のようだな···」

火に油!?ま、まずい···

「そういえば···お前は毎朝、鍛錬をしていると言っていたな。ちょうどいい、私が相手をしてやる。来い!」

「いや、俺はいつも1人でやってるんで遠慮···」


ズルズル···


ここから先は語りたくない。ただ、シグナムによる鍛錬は···鍛錬ではなく拷問であった、とだけ言っておこう



[4621] 番外編3
Name: 管理局の虎◆3455d794 ID:32b07b0b
Date: 2008/12/21 17:23

~ノルンのある一日③~


ふう、かれこれ一時間ぐらいか···


「ちょっと!ちゃんと聞いてんの!?あんたも少しは、お姉さんを見習って···」

「ノルンちゃん、ダメだよ。あんなに、フェイトちゃんを心配させて···少し、頭冷やそうか···」

「あの···アリサちゃん、なのはちゃん。少し落ち着いて···」

···さて、時間を少し遡ろう。フェイトから新しいビデオレターが届いた、とのことで俺はなのはに呼び出された。そして、アリサ&すずかも加えた4人で見ることになったのだが···ビデオレターは、全部で二枚あった

一枚目はなのは宛で、撮影は相変わらずアルフがしているらしかった。内容は···まあ、心暖まる内容だ。感想としてはアリサやすずかも、フェイトのいい友人になりそうだってところだ

それと、なのはとフェイトの親密度が分かる内容でもあったな。とにかく、一枚目を見てるときは、別に問題なかった。問題は···俺宛の二枚目だ

できれば1人で見たかったが、なのは宛のを俺も見たし、まあいいかと思い、全員での鑑賞を許可した···この時に止めるべきだった。二枚目の内容を一部、抜粋しよう

『ノ、ノルン。元気かな?お姉ちゃんは元気でやってるよ···ちょっと寂しいけどね』

『ご飯はちゃんと食べてる?あと、寝る前にはきちんと歯をみがくんだよ』

『危ないこととかしてない?なのはにも、あんまり迷惑かけないようにね』

『そうだ、1人でもちゃんと寝れてる?眠れなかったら、これを聞きながら寝るんだよ。あんまり、上手くないかもしれないけど···♪~♪』


以上、過保護全開のビデオレターでした。一体、フェイトの中で俺の年齢はいくつになってるんだろうか···

そして、冒頭に戻る···要するにビデオを見終わった後、俺は延々となのはとアリサに説教されているのだ

俺、何かしたか?···もう、いい加減ウザいな。実力行使といこう

「はっ!」

「「 はう! 」」

「きゃあ!」

とりあえず、馬鹿2人に当て身を入れて気絶させる。すずかが若干、怯えているが無視だ

「安心しろ。ただの当て身だ。俺はもう帰る。すずか、お前はこの2人の介抱を頼むぞ」

「は、はい」

···訂正する。かなり怯えていた。さっさと帰ったほうがいいな···ビデオレターは今度から1人で見るようにしよう。なのはにもあとで、俺宛のはすぐに渡すように言っておかねば

···結局デッキがなくて、またなのは達と見ることになるのだが、それはまた別の話である




[4621] 第5話
Name: 管理局の虎◆e33eee67 ID:942a80e2
Date: 2008/12/20 15:43

~第5話~


「平和だなあ~」

『そうですね。平和すぎて、マスターもたるみまくりです』

「まあ、何か起こるかなあって思ったら、実に退屈···もとい平穏な時が続いてるからな」

実は、ヘルに小言を言われるも仕方ないのだ。最近の俺の1日の過ごし方を少し紹介···なのはのところでは、ビデオ(フェイトの)を見たり撮ったりして、三人娘(なのは、アリサ、すずか)をからかったりして寛ぎ、はやてのところでも、はやてやヴォルケンリッターとダラダラしている(ゲーム、読書など)


「気が入ってるのは鍛錬の時ぐらい···マジでたるんでるな」

『まったくです』

あとは一応、なのはとはやて達が遭遇しないよう気をつけてはいるが···ぶっちゃけ、気をつける必要ないと思う

今のところ、あいつらの遭遇率0%だぜ?要するに気をつけてるとか言ったが、俺は何もしていない。きっと神か何かが会わせまいとしてるんだろう


「さてと···今日も、はやての家でゲームする約束をしてんだったな···行くか」

『マスター···』

しょうがないだろ、ヘル。やる事ないんだからさ···

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~海鳴市·某所~


突然ですが···はやてが倒れました。冗談じゃなくマジだ。結構、苦しそうな様子だった。いずれ、死ぬことになるかもしれない原因不明の病だとは聞いていたが···

倒れたはやてを病院に連れていき、そんな風に久々に真面目に考えていた日の夜。俺はシグナムに呼び出され···衝撃の事実を告げられることになった


「病気の原因が闇の書だと?」

「そうだ。そして、主はやてを助けるには闇の書を完成させるしかない」

闇の書を完成···なるほど、そういうことだったか。俺をこんな所に呼び出したのは···こいつは、燃えてきたぜ

「つまり、蒐集をする必要があるんだな?」

「協力してくれとは言わん。だが、私たちの事を知っているお前を放っておくわけにも···」

シグナムが何かグダグダ言っていたが、俺は聞いちゃいなかった

「任せろ」

「だから···は?」

「魔力を集めるんだろ?俺も協力するぜ」

かなり不謹慎だと思うが···はやてを助けるためという大義名分のもと、暴れまくってやる!

「いや待て、ノルン···」

「とりあえず、俺の魔力を蒐集するか?結構、魔力あるはずだぞ」

「ノルン!私の話を聞かんか!」

「イ、イエッサー、マム!」

いかんいかん、シグナムに怒られちまったぜ。はやての命が掛かってるからな。真面目にやらねえと

「コホン···いいか、ノルン?蒐集活動を行うということは、今までのように隠れているだけではなく、管理局ともいずれ戦うことになる」

「そうだな」

クロノにリンディママ。一応、なのはもか?そういえば、フェイトがなんかの試験を受けるとか言っていたような···

そうなると、フェイトやアルフもか?確かに、知り合いを殺すのはキツいな。というか、フェイトやアルフとは戦えるかどうかすら微妙だ

「お前の知り合いとも戦うことになるかも知れん。それでも、私たちに協力すると言うのか?」

「ひとつ聞きたい···殺すのか?」

「···主はやての未来を血に染めるつもりはない。主の命に背く以上、それだけは守らねばならん」

つまり、殺しはしないと。それなら、別に問題ないな···フェイトとアルフにエンカウントしたら、速攻で逃げよう

「じゃあ問題ない、俺も協力しよう」

「···本当にいいのか?」

「くどいぞ、シグナム」

「わかった···」


こうして、ついに管理局を敵にまわすことになった俺であった···


~八神家~


「···ノルンは、我々に協力してくれるらしい」

「よろしく、諸君」

シグナム以外の3人に改めて挨拶する

「お前、なんで···」

「愚問だな、ヴィータ。当然、はやてを助けるためだ」

あと、ちょっと暴れたいんで

「ノルンちゃん···」

おお、シャマルが感動している···別に珍しくもなんともないな

「いいのか?管理局と···」

「ザフィーラか···シグナムにも聞かれた。やってやるさ、何も問題はない」

本当は、ありまくりだがな(フェイトとかアルフとか)

「···そうか」

にしても、相変わらず寡黙だなザフィーラは···



「というわけで、まず俺の魔力を蒐集してくれ」

踏ん切りもつくし、自分が蒐集されておけば、あまり罪悪感も感じずに済む(なのは&クロノとかにな)それに、ページも埋まるだろうし

「いや、何がというわけでなのか意味が分からねえよ!?」

「そ、そうよ!そんなのダメ!」

なぜか、ヴィータ(多分)とシャマルに反対されました。なんで?

「シャマル、ヴィータ止めてやるな···これは、ノルンなりのけじめなのだろう」

シグナムだけは、複雑そうな顔をしながらも頷いてくれた。確かにそうなのだが···コイツが言うと、妙に格好よく聞こえるから不思議だぜ

「シグナム···分かったわ」

「···けっ、馬鹿野郎が」

ピンクの将の説得により、2人は納得してくれたようだ。というか、ヴィータ。だれが馬鹿だ、だれが


「行くぞ、準備はいいな?」

「ああ」

ち、ちょっとドキドキしてきたな。もちろん、顔には出さんが

『蒐集』

「ぐっ!」

闇の書から声が聞こえたと思ったら、胸からリンカーコア?(はじめて見たな)が引きずり出された

「···確か1人の人間からは、1回だったな?」

「その通りだが···お前、よく意識を保っていられるな」

いや、かなりキツいっす姉御

「ふっ、すぐに気絶するさ···それより、ギリギリまでやれよ。勿体ないからな」

ここまでやったのに、半分くらいしか魔力とれませんでした。とかなったら、最悪だからな


「···わかった」


シグナムの返答を聞くと同時に、俺の意識は闇に沈んでいった···なぜか、デアボリック·エミッションとかなんとか言ってるナイスバディな姉ちゃんの幻が見えた




[4621] 第6話
Name: 管理局の虎◆3455d794 ID:51b53872
Date: 2008/12/21 17:21
~第6話~


~シグナム side~

私の目の前で、主の友人であり私たちとも親しい少年が気絶している···ノルンの意志でやった事とはいえ、やはり気持ちのよいものではないな

「シャマル、ノルンを看てやれ」

「ええ···」

命に別状はないだろうが、万が一ということもある

「なあ、シグナム。何でコイツ···ここまでして、あたしたちに協力してくれんだ?」

「主はやてのためだろう。ノルンもそう言っていた」

私の見るかぎり、あの目は嘘をついているような目ではなかった

「でも···ノルンは、管理局の連中にも知り合いがいるって言ってたじゃんか」

「···殺したりしないのなら、問題ないと言っていた」


といっても、やはり懸念事項ではある···しかし、ノルンの思考回路は私もよく分からん。そういえば、主はやても以前にノルンのことについて言っていたな。確か、天然···だったか?

「信用できるのか?」

「私は···信用できると思うわ。今までだって仲良くしてきたじゃない」

「シャマル···今までの我々は蒐集活動をしていなかった」

シャマルの言いたいこともわかるが···今までと今では、状況が違いすぎる。ザフィーラのように、多少は警戒すべきだ

「それはそうだけど···」

「あたしは···コイツって、よく嘘ついたりするけどさ···裏切ったりとか、そういうのはしないと思う」

「ヴィータも信用するのか?」

意外だな。ノルンとは、この中でも特にいがみ合っていたいうのに···いや、子供の喧嘩のようなものだったからな。仲は良かったのだろう

「あたしとシャマルだけじゃないだろ。本当はシグナムとザフィーラだって···」

「···分かっている。だが、万が一ということもある。蒐集の際には、我らのうちの誰か1人と一緒に行動してもらうことにしよう」

···そうだな。ヴィータの言う通りだ。本当に疑っているなら、もっと直接的な行動をとっているはずだ···私も心の底では信じて···いや、信じたいと思っているんだろうな

·
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·

~ノルン side~

「ういっす」

「あ、起きたのね。体の調子はどう?」

起きたら、シャマルがおかゆを作っていた···誰か止めようぜ。いや、確かに俺は食えるけどさ

「体調は···別に普通だな」

シャマルのおかゆを食っても死なないくらいには

「そうなの?でも、しばらく魔法が使えなくなるから注意してね」

「分かってるって···そういや、他の3人は?」

もしかして···もう蒐集に行ったのか?

「早速、蒐集に行ったわ。はやてちゃんの体がいつまで、持つか分からないし···ノルンちゃんと私は、今日はお留守番。はい、今日の朝食よ」

留守番···まあ、魔法を使えないんじゃ役に立たないからな。今日は、仕方ないか

「サンキュ···でも、蒐集ってどの辺の世界でやってるんだ?」

いきなり、この次元世界···地球でやってたら、なのはがやられてそうだよな。魔力でかいし

「主···はやてちゃんの居場所がバレたら大変だから、できるだけこの次元から離れたところで、管理外世界を中心に蒐集していくつもりよ」

「なるほど」

シャマルのくせに、なかなか考えてるな。さすがは参謀といったところか。

「他にも、蒐集について少し説明しておくわね」

「ん、頼むわ」

それにしても···これ、おかゆだよな?メチャクチャ甘いんだけど


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「アークセイバー!」

『Arc Saber』

「ギャース!」

怪物にむけて魔力刃を飛ばす。人間はともかく、こういうのも殺さずに無力化しなくてはいけないらしい···結構、難しい

「ヴィータ!そっち行ったぞ!」

「おう、任せろ!」

それと、俺は基本的にヴォルケンの誰かと一緒に行動している。シグナムにはストレートに監視だと言われた···少しは捻ろうぜ、シグっち

「アイゼン!」

『ja』

しかし···相変わらず、ヴィータの武装はどっからどう見てもハンマーだ。こいつら、騎士とか言ってるのに剣を使ってるのシグナムだけなんだぜ。おかしくね?···まあザフィーラの無手だけは、漢らしいとか思ったけどさ


「ギャース!」

おっと、どうやら終わったようだな。今回はどれくらいページが埋まるのやら···


『蒐集』

「どうだ?」

「···ダメだ。あんまり埋まってねえ」


ちっ、やっぱり雑魚だと集まるページもショボいか···

「もう少し狩るか?」

「ああ、絶対はやてを助けるんだ···」

「···そうだな」

お前は無理しすぎな気もするがな···どうも、こいつを見てると少し前のフェイトを思い出しちまう···まあ、適当にフォローしてやるか

···こんな感じで、蒐集はしばらく続くのだった。しかし···怪物ってキモいな。いやマジで




[4621] 第7話
Name: 管理局の虎◆3455d794 ID:4f872113
Date: 2008/12/23 12:31
~第7話~


「ハアッ!」

「フンッ!」

俺ことノルン。只今、ザフィーラとガチンコバトル中である

「へっ···悪いなザフィーラ、こんな茶番に付き合わせて」

「なに、実戦訓練だと思えば悪くは···ない!」

「ぐうっ!」

やっぱ強いな···敵だったら、殺されてるか?ちっ、情けねえ

『2人とも、聞こえるか?ヴィータの所に管理局が来た。ザフィーラは援護に向かってくれ』

『心得た』

ザフィーラが飛びたっていく···ふん、ついに管理局が来ちまったか

『シグナム···なのはからは、奪えたのか?』

『阻まれたようだ。それと···救援に来たのはお前の姉だ』

『っ!』

そうか···来ちまったのか、フェイト。きっと、アルフも一緒だろうな

『今から私も、ヴィータの援護に向かう···加減はできんぞ?』

『油断のしすぎで、やられたりしてな』

『···心配するだけ無駄だったな』


酷えな、シグっち。これでも結構、ショック受けてんのに···まあいい、闇の書が完成するまでの辛抱だ。騙すことみたいなっちまうけど、ごめんな。フェイト、アルフ

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少しして、クロノが俺を保護しにきた···今のところ、予定通りだな。こいつが直々に来るとは思わんかったが

「よう、久しぶり」

「大丈夫かどうか聞こうと思ったが···必要なさそうだな」

シグっちに続いて、クロノにまで冷たくされました···俺、泣いちゃいそうだぜ


「どういう状況だ?」

だが、泣いてるわけにもいかないので、クロノにすっとぼけた質問をしておく

「···君と同じように、なのはが襲撃された」

「あの妙な男にか?」

「いや···4人組だ」

?何かコイツ、様子がおかしいな。気のせいか?

「そうか···途中で退いたのは、なのはの方に行ったからだったのか」

「···行こう。アースラでフェイトとアルフも心配している」

フェイトとアルフか···はあ、自業自得とはいえ、会うの気まずいぜ

·
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·

「「 ノルン! 」」

そして、無事にフェイトやアルフと再会しました···が

「良かった、無事で···」

「本当だよ···」

···罪悪感が爆発的に膨れ上がりました。か、隠し通せるかなあ?

「ノルン。なのはが、なのはが···」

「ああ、聞いたよ」

リンカーコアをやられたらしい。つまり、蒐集に成功したということだ···許せ、なのは。今度、お前んちでシュークリーム大人買いするから

それにしても、ページが埋まるのは喜ばしいんだが···フェイトのこの顔を見ていると、まったく喜べんな

「大丈夫だ。命に別状はないって言ってたろ」

···我ながら、白々しい。バレたら、タダじゃすまねぇな

「うん、そうだね。大丈夫だよね···」

「ぐわぁっ!」

こ、これは···俺の良心回路が悲鳴を上げているだと!?

「ノ、ノルン、どうしたの!?」

「い、いや、何でもない。大丈夫だ」

「そ、そうなの?」

お前の優しい心は、汚れきった俺の心には眩しすぎるぜフェイト···さっさと闇の書を完成させないと、俺の精神もヤバいな

·
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·


俺がそれを聞いたのは、なのはが目を覚まし、フェイトやクロノと一緒に偉いオッサンに会いに行っている時だった

「ギル·グレアム?」

「そう、グレアム提督はクロノ君の指導教官だった人なんだよ。それに···」

ギル·グレアム提督。現在は、それなりの年齢で地球の出身···etc。特に聞いてもいないのにペラペラと説明してくれた。ちなみに、説明してくれた女の名前は、エイミィ·リミエッタ。戦闘はともかく通信とかその辺ですごいらしい。アホ毛が特徴的だ

まあ、それはともかく···そのグレアムというオッサンの名前を俺は聞いたことがあった。しかも、管理局とは関係のない人間からだ。確か、聞いたのは···

·
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·

「そういや、はやて。生活費とかどうしてんだ?あれか、両親の莫大な遺産があったりするのか?」

「ん?そやねー。あったら良かったんやけど」

「む、ないのか?じゃあ、どうしてんだ?」

俺の推理がはずれるとは···しかし、そうなるとはやての金の出所がますます気になってくる

「お父さんの友人って言う人が援助してくれてるんよ」

「リ、リアル足長おじさんか!?」

そんなやつが、この世界に存在するとは···し、信じられん

「ふふ、そやね。でも、ウチが名前を知っとるから、ちょっと足長おじさんとは違うで」

「なんだ···ったく、俺の驚きを返しやがれ。で?誰なんだ?その似非足長おじさんは」

「似非って···相変わらず、ノルンちゃんは辛口やな。足長おじさんの正体は、ギル·グレアムさん。グレアムおじさんや」


·
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·


そうだ!はやてから聞いたんだった···あれ?でも、はやてがヴォルケンズの写真も手紙とかと一緒に送ってたよな?管理局の提督ならシグナムたちの正体ぐらい知ってるはず···別人?


というか、本人だったら···はやてを昔から監視してたってことか?そうだとしたら、闇の書の主の場所を管理局が知らないって、おかし···くないな


俺は以前、シグナムが言ってたことを思い出した

「管理局以外にも、闇の書の力を求める輩はいる···もっとも、闇の書の力を使えるのは、主だけなんだがな」

使えもしない力を欲しがるやつら···要するに、キチガイだ

つまり、今回のケースは管理局の内部にキチガイが居たということだろう。しかも、かなり計画的だ。だが、これは···どうすりゃいいんだ?


①シグっちたちに教える

②クロノあたりに暴露してみる

③キチガイ(グレアム)を始末する

④フェイトに相談する

⑤すべてを忘れて、アルフの胸へ


何か出てきた···この中から選べってか?それにしても、⑤はないだろ⑤は。俺、個人としては④か③を希望したいが、最も無難なのは①か···どうするよ?俺




[4621] 第8話
Name: 管理局の虎◆3455d794 ID:d8185a60
Date: 2008/12/25 13:30
~第8話~


悩みに悩んだ末に俺は···

「アルフ~」

「へ?ひゃあ!?···ノ、ノルン?」

なぜか、⑤を選んでいた···あったけえ、あったけえよ。おかあちゃん

「アルフ···」

さらに、問答無用でぶっ飛ばされなかったので···調子に乗って、そのまま顔を埋めてみた

ムニュ

「ノルン···どした?何かあったのかい?」

ポンポン

···優しく抱きしめられた後、背中を叩かれました。やばい、マジで何もかも忘れちゃいそう

「なんでもない。ただ···もうちょっとだけ、こうさせてくれ」

「ふふ、しょうがないねぇ」


そうして、しばらくアルフの胸で安らいだ俺だったが、結局どうすればいいか答えは出なかった(当たり前だが)しかし、すこし冷静になり気づいたこともあった···グレアムとかいうオッサンを始末したら、はやて達って生活できなくね?

·
·
·

神は無慈悲であり、運命とは残酷である。グレアムのオッサンの事で頭を抱えていた俺に、新たな問題が突きつけられた

「養子ぃ?」

「ええ。もちろん、フェイトさんも一緒によ。どうかしら?」

養子···いや、ぶっちゃけリンディママは嫌いじゃないよ?大金くれたしな。でも、今はそれどころじゃあ···待て。リンディママの養子になったら、クロノが俺の兄ってことか?


「兄さん!」

「ノルンよ···」


···いや、こんな危ない気配のする兄弟にはならんか。兄弟っても義理だし。むしろ、殺伐とした仲にならないか心配すべきだな

「えーと、フェイトに任せます」

「フェイトさん次第ってこと?ノルンさんは、それでいいの?」

「はい」

というか、俺らみたいな人造なんちゃらって、リンディママに引き取って貰えなかったら戸籍とかないんじゃあ···まあ、フェイトに任せとけば大丈夫だろ(多分)

·
·
·

「本当だあ、すごい近所だねー」

「うん、そうだね」

現在地、なのはの近所。何か、アースラの修理が終わってないとかなんとか。そのため、ここを拠点にするとのこと···って、おい!ヴォルケンリッターたちと遭遇しちまうじゃねえか!?

シグっちやザフィーラはまだしも、シャマルとヴィータあたり(特にシャマル)なんか、道端でバッタリとかモロにありえる···

ふっ···まあ、そん時はそん時で。神様でもあるまいし、俺ごときにそんな色々とできるわけがねえよな···か、考えるのが面倒になったわけじゃあナイデスヨ?


「わあ、アルフ可愛い」

ん?は、ははは。ちょっと色々ありすぎて疲れちまってるようだな。アルフが子犬に見えちまうとは。俺も少し休まねえと···

「新形態、子犬フォームだよ!」

「お前らアホかーー!」

「「「「 ノ、ノルン(ちゃん)? 」」」」


こいつらは、どこまで呑気なんだ?家が近所で嬉しい?こっちでは子犬にフェレットの姿で可愛いね?あまりにアホすぎて、スパイまがいのことをやろうとしてる俺が心配になっちまうわ!

「全員ちょっと、そこに座れ!Sit down!」

「「「「 ハ、ハイ! 」」」」

「お前たちが、久しぶりの再会で嬉しいのは分かる。十分に分かるさ。だけど、怪しげな敵に負けたんだぜ?普通はこう···アレだ。強くなる特訓とかするもんだろ?お友だち同士でキャッキャッ、ウフフとかしてる場合か?挙げ句の果てには、パワーアップが子犬?お前らは、俺を馬鹿にしてんのか?」

シグっちたち、メチャクチャ強いんだぞ?しかも、グレアムとかいうオッサンは何か企んでる。かなりヤバい状況だってのに···何なんだ?こいつらのお気楽な空気は!?

「でも、悩んでても仕方ないし···」

「そうだよ、ノルン。少し落ち着いて。ね?ほら、アルフも可愛いでしょ?」

「あ、あの、フェイトさん?俺が言いたいのはそういうことじゃなくてだな···」

悩んでても仕方ない···まあ、なのはの言うことも一理あるか?いやいや、呑気すぎだ

「可愛くないかい?ノルン」

「た、確かに、かわいらしくなったとは思うけど···」

ク、クウーンとか鳴くな。何だその捨てられた子犬みたいな目は。それは、お前の新しい技なのか?


結局、この後すぐにアリサとすずかが訪ねてきてしまい、うやむやなままに話は終わった。多少、八つ当たりがはいっていたことは否定しないが···俺、間違ってる?




[4621] 設定みたいなもの
Name: 管理局の虎◆3455d794 ID:51b53872
Date: 2008/12/25 13:16
ノルン·テスタロッサ

《無印》

馬鹿なのか頭が切れるのか、よく分からない子。かなり危ない奴だったが、フェイトとアルフに魔法を教わったりしてるうちに微妙に調教されてしまう。フェイトを天然だと思ってるが、自身も天然がはいっている。初対面の人間には猫を被ることが多く、なぜか姓を名乗らない人。ストレスか何かなのか、たまに暴れたくなるらしい

《A’s》

P·T事件においてシスコンに目覚めるも、何かやばいと思い2人と少し距離を置く。海鳴市に戻ったが、ちょっとした事情ではやてと友人になることに。その後、ヴォルケンリッターと遭遇。殺されかけるが、あまり自覚なし(シグナムたちがはやてに影響されていたので助かった)それからしばらくは、ダラダラとした日々を送っていたがはやての病の原因を知ってから状況が一変。違う意味でやばいことになってしまっている


《技能》

·身体能力

無駄に身体能力が高い。反射神経もずば抜けているはずなのだが···自分を故意に害しようとする場合にしか反応しないので、事故などには普通にあう

·気配遮断

隠れるのが異常に上手い。本気でやるとアルフのような狼でも見つけられない。しかし、魔力探知されると意味がないので、役に立つかは微妙

·直感?

自分に向けられる敵意や殺気などに敏感。勘は鋭いことは鋭いが、はずれる時ははずれる


《魔法》

身体能力と合わせるとAAAランクの魔導師に相当する実力がある。単純に魔法だけならば、未だに発展途上。しかし、魔法を覚えた当初、防御がフェイト以上に壊滅的であったため、機動性だけはすごいことになっている(殺傷設定だと命に関わるため)戦闘スタイルは非常に攻撃的。敵の攻撃は基本的に回避するか相殺。自身の攻撃はヘルの形態のせいもあり、遠距離が苦手だが、本人は近づいて超スピードで切りまくればいいとか、どっかの烈火の将みたいなことを思っている。アルフにも指導されているので、実はバインドとかも得意···最近は、ヴォルケンズの魔法を参考に色々と考えているらしい

[使用可能な魔法]

·フォトンランサー

もちろん、ファランクスシフトは使えない

·サンダースマッシャー

フェイトと撃ちあうと負ける

·サンダーレイジ

発動が遅すぎて使いものにならないらしい

·アークセイバー

唯一、得意といえる遠·中距離

·サイズスラッシュ

ブッタ切る!

·デフェンサー

一応、使える

·ブリッツアクション

最も得意な魔法、使用頻度も高い

·バリアブレイク

成功すると、相手をぶん殴れる

·チェーンバインド

ジャラジャラ

·ライトニングバインド

敵を罠に嵌めるのだ

·リングバインド

輪っかで束縛

[必殺技っぽいもの(本編で出るかは未定)]

·???

困ったときのヘル頼み

·???

ニート侍にちょっとアドバイスしてもらい、編み出してみたインスタント奥義

·???

永遠のロリータからアナタへ、迷惑千万なパクリ技を

·???

ドジなあの人の料理を食べるかわりに伝授された、プライバシーの侵害魔法

·???

守れないなら切り捨てろ、忠犬の助言から誕生した防御魔法?


《ノルンの人物相関図っぽいもの》

フェイト ← お姉ちゃん。大好き。でも、あまり表には出さない

アルフ ← 姉的存在。大好き。もちろん、表には出さない

ヘルサイズ ← 毒舌デバイス。戦友。管理局に詳しく調べられたやばい存在

プレシア ← (アルハザードへ)イカレタ鬼婆

なのは ← 姉の親友であり自分の友人。からかうと面白い。たまに怖い奴

アリサ ← なのはの友人。かなり突っ込みの切れ味が鋭い

すずか ← なのはの友人。大人しい。最初の頃、怖がられていた

ユーノ ← なのはの使い魔っぽいやつ。あまりよく知らないが、優秀らしい

クロノ ← 真面目なヤツ。近々、兄なるかもしれない

リンディ ← 優しくて良い人。海鳴に帰る時に大金をくれた。ふざけて心の中で呼んでたが本気でママになるかも

はやて ← 親友。車椅子に乗ってる。最近、やばいことになっている

シグナム ← シグっち。巨乳。女だけど、はやてのパパな人。一番、騎士っぽい
シャマル ← ドジ。料理が珍味。騎士というか主婦な人。一応、参謀らしい

ヴィータ ← 結構、気が合うやつ。かなり無茶するうえにロリなので、ちょっと心配

ザフィーラ ← 寡黙な男。漢らしい忠犬。シグっちと同じくらいマトモ

グレアム ← 悩みの種。計画的犯行をしているキチガイ。はやての似非足長おじさん

桃子 ← なのはママ。美人

士郎 ← なのはパパ。ダンディー

恭也 ← よく知らない(本当は名前も知らない)

美由紀 ← 恭也と同じ



ヘルサイズ

ノルンのインテリジェントデバイス?性別は女性?元々は、ノルンがプレシアから騙し取ったストレージデバイスとバルディッシュそっくりのネックレスだったもの。かなり人間くさい。でも、静かな時には静か。ジュエルシード10個内包(そのうち1つは核)完全に制御できる何気にスゴいヤツ。普段はノルンにキツいこと言ったりもするが、本当はベタ惚れ。彼女の中での優先順位はこんな感じ

ノルン > フェイト、アルフ > 自分 >>>>> はやて、ヴォルケンリッター >>> リンディ > (越えられなさそうで越えられる微妙な壁) > なのは > (断崖絶壁) > その他(敵以外)

決め方は、彼女の主観でノルンが大切にしてるかどうからしい。ちなみに、敵対するものは順位にすら入らない。絶対服従というわけではないが、ノルンが世界を滅ぼせと言えば、なんだかんだ言いつつも、多分やっちゃうぐらいに危ないやつ


《形態》

·スタンバイフォーム

バルディッシュと変わらない

·サイズフォーム

こちらも見た目は変わらないが···




[4621] 第9話
Name: 管理局の虎◆3455d794 ID:51b53872
Date: 2008/12/26 01:33

~第9話~

「ヘイ!そこのお嬢ちゃん!学校とか興味ない?あるよね?」

尾けられたりしないよう、慎重にシグっちたちの溜まり場に到着。俺は色々とありすぎて疲れていたので、ハイテンションで乗り切ろうとしたのだが···

「···いきなり、何言ってんだ?学校?」

「···頭でも打ったのか?」

「大丈夫、私が治療するわ」

「いや、手遅れだろう」

向こうの陣営(フェイトとなのは)との凄まじい温度差を感じることになりました。いや、俺が学校に行かされることになるかもしれないんだが···まあ、どうでもよかったすね

「まあ聞いてくれ、シグっち。バッドニュースだ。グレアムとかいうはやての生活を援助してるオッサンが居ただろ?」

「主はやての父親の御友人のか?それと、シグっちはやめろ」

···真面目な話はちゃんと聞いてくれるのな

「そう、そいつだ。そのオッサンと同じ名前の管理局の提督がいたんだが、どう思う?」

「何だと?」

「偶然···とは思えんな」

シグっちとザフィーラ、真面目な2人が黙り込んでしまう

「それじゃあ、あたしたちとはやては···」

「ずっと、管理局に監視されていたってこと?」

「落ち着け2人とも。その可能性があるって話だ。管理局そのものは、はやてのことには気づいてない」

まあ、オッサンが報告してないってことだな

「それでは、管理局の提督でありながら、情報を秘匿しているということか?普通ならありえんと思うが···」

「だから、別人の可能性もある。俺は最初、闇の書の力目当てかなーって思ったんだけど···管理局の提督なら、闇の書の力が主にしか使えないことぐらい知ってるよな?」

「確かにそうね。管理局とは何度か対立してるし、そのくらい調べられててもおかしくない···」

やっぱり、そうだよな···なら、昔からはやてを援助してたのは何でだ?

「じゃあ、別人じゃんか!」

「ヴィータ、それは楽観的すぎる···俺たちへの復讐が目的というのはどうだ?」

「なるほど、私怨か···確かに、提督ともなれば、過去の私たちの蒐集活動で部下を失っていてもおかしくはないな」

復讐ねえ。だとしたら、かなりの腹黒だな。こいつらが出てくるまでは、はやてに援助してたのにさ···ん?

「いや待てよ、2人とも。なら、何で蒐集活動をはじめても何もしてこないんだ?」

「む、それもそうだな···」

普通は、邪魔するだろ。というか、こいつらが出てきた時点で復讐しようとか考えないか?

「あー!もう、わけ分かんねえー!なに考えてんだよ。そいつは!?」

「まったく、同感だぜ。意図がサッパリだ」

本当、イライラするぜ。ヴィータじゃなくても怒鳴りちらしたくなるよな

「とにかく、情報が少なすぎるわ。ノルンちゃん、これを···」

なぜか、シャマルにサングラスを差し出された···とりあえず、ノリで装着してスパイっぽくしてみる

「···ああ、任せておけ。次の報告までに必ず情報を手に入れておこう」

「頑張ってね♪」

「「「 ··· 」」」

シャマルは、俺やはやてと(今回の件の参考にするつもりで)見たスパイ映画に影響されすぎだと思った···他の3人の呆れた視線が痛いぜ


「とりあえず、私たちは蒐集を続ける。しかし、目的は分からないが監視されている可能性がある以上、主はやての安全に一層、気を配って行動する必要がある。必ず一人は付いているようにしよう。それと、蒐集の際には背後にも注意しろ。いいな?」

そして、シグっちによる
華麗なスルーで作戦会議?は締められたのだが···

「「「 おう(心得た)(わかったわ) 」」」

「待て」

「?何だよ、ノルン?」

ヴィータ···まったく、やれやれだぜ

「何だよじゃない。こういう時はかけ声は統一させるべきだ。そう思うだろ?シグナム?」

「いや、私は別に構わないと···」

「ダメだから!いいから、かけ声を揃えてみろって。絶対、気合いが入るから」

烈火の将の名が泣くぞシグっち。イエッサー!とか承知!とか色々あるだろ?

「わ、分かった。なら、お前が考えてくれ」

「え?いいの?じゃあ、シグナムの声に合わせて···」

この後、俺がどんなかけ声にしたかは想像にお任せする···

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臨時ニュースです。レイハさんとバルディがカートリッジシステムとかいうのを搭載するためにストライキじみたことをおこしたそうです···負けたのが悔しかったんだろう。マスターと違って、血気盛んなヤツらだ。嬉しいぜ、同志たちよ。ちなみに、そのことを知ったヘルの第一声は

『素敵です。お兄様』

である。正直、少し引きました。いつまで経っても、これだけは慣れないな

「ちょっとあんた、もう少し愛想よくしなさいよ」

「アリサか···俺は疲れていてな。猫を被る余裕もないのだ」

そういや言い忘れていたが、ここは学校だ。面倒くさいので行きたくなかったんだが(今までは入学手続きすらしてなかった)フェイトが···

「ノルン、一緒に行こう」

とか、満面の笑顔で言うもんだから、つい頷いてしまい、気づけば制服すら用意されていたのだ

「だからって、睨みを利かせて追い返してどうすんのよ。フェイトの印象だって悪くなるでしょ」

「あんまり耳元でコソコソと喋るなよ。くすぐったいだろ。えーと、なんだっけ?···そうそう、印象が悪くなる?そんな下らないことでフェイトを悪く見るような奴が、お前らみたいな良い友だちになるとは思えん。よって問題なしだ」

机に突っ伏しながら、俺の率直な意見を述べてやる

「ハア、あのねぇ···フェイトがあんたを心配してんのよ。自分でも分かってんでしょう?」

「うっ」

確かに、生徒たちに囲まれながらも心配そうな視線を送っていたのは気づいていた。でも、やっぱり相手するの面倒くさいんだよなあ···

「ワタシ、ニホンゴワカリマセーン」

「馬鹿?」

···さすがは、アリサ。グサッときたぜ

「冗談だ。弟は、姉としか話せない照れ屋さんってことにしといてくれ」

「···あんたって、ホントーーーに勝手なヤツね。まあ、適当にフォローぐらいしといてあげるわ」

「サンキュ」

その後、学校ではフェイトやなのはたち以外とは、ほとんど会話せずにすんだ。···アリサ。一体、どんな魔法を使ったんだ?




[4621] 第10話
Name: 管理局の虎◆3455d794 ID:32b07b0b
Date: 2008/12/26 22:48

~第10話~

どうも、蒐集活動から戻ってくるところをヴィータやザフィーラが管理局に補足されたらしい。しかも、新装備のフェイトとなのはが現場に行ったとか。うーむ、やばいな。えっ、俺?俺は···

「最近、皆がうちにおらへんことが多いんやけど···ノルンちゃんは何か知らへん?」

「他の3人は知らんが···シャマルと俺はデートしてた」

「ちょ、何言ってるんですか!ノルンちゃん!///」

「いいじゃないか、シャマル。いつかはバレることだろ」

はやてやシャマルと買い物してました···しかし、そろそろ行かないと怪しまれるかも

「ノ、ノルンちゃんとシャマル、いつの間にそんな関係になってたん!?っていうか、シャマルってショタやったんか!?」

「ほら、ちょっと前にはやての家に泊まった時があったろ?あの時、真夜中にシャマルが俺に夜這いを···」

「ショタってなんですか!?それに、私は夜這いなんてしてません!」

さて、いつまでも馬鹿やってないで行くとするか

「安心しろ、はやて。冗談だよ。シャマルはノーマルで乙女のままだ···多分」

「多分ってなんですか!?多分って!」

「そ、そか。ノルンちゃんのいつもの冗談か。何か、残念なような嬉しいような···ちょっと複雑な気分やな」

お前、何を想像してた?顔が赤くなってるぞ···流石、風呂場でシグっちやシャマルの乳を揉んだというだけあって、エロいな、はやて

『シャマル、俺も現場に向かうから。あと、よろしく』

『え?あ、はい』

···少しからかいすぎたか?まあ、大丈夫だろう。一応、参謀だし。ジャミングとかもすごいし

「んじゃ、俺はそろそろ帰るな」

「夕飯は?食べて行かへんの?」

「ちょっと用事があってな···鍋だったよな?まあ、用事が終わって行けそうなら行くから」

鍋か···食いてえな。寒いし。ん?何か、2人の視線が···

「ノルンちゃん···」

「···ノルンちゃん、よだれ出とるで?食べてったら?」

くっ、涎だと?いかんいかん···ジュル

「はやて···それでも俺は、行かねばならんのだ!さらば!」

「遅くなっても取っといてあげるかんなーー!」

そいつは、有り難い。お礼にお前の家族の邪魔をしてきてやるぜ···なるべく早く帰らせるためにな

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さて、気合いを入れて戦場に来てみたんだが···

なのは VS ヴィータ

フェイト VS シグっち

アルフ VS ザフィーラ

という構図で、既に戦いがスタートしていた。しかも、割とガチでやりあっている···あれ?もしかして、これって俺やりたい放題じゃね?

いやいや、よく考えろ。2対1になっちまうんだからな。俺が援護に加わっても大丈夫そうなヴォルケン組は···シグっちだな。べ、別にフェイトが心配なわけじゃないぞ?

まあ、そういうわけでフェイトを援護しようと思ったのだが···

『ノルン、おそらく周辺にもう1人魔導師がいるはずだ。こちらでも探しているが、ジャミングされているのかもしれない。探索を頼めるか?』

クロノから指令がきた。当然、俺は···魔導師?ああ、シャマルね。あいつなら、はやてと買い物してるから。ここにいるわきゃねえだろ···などと、本当のことを言うわけにはいかないので

『···了解』

と、絶対に見つからない捜索任務を引き受けるはめになった(だって、シャマルいないし)···はあ、何で俺がこんなくだらんことを




[4621] 第11話
Name: 管理局の虎◆3455d794 ID:32b07b0b
Date: 2008/12/30 04:36
~第11話~

こちら、ノルン。シャマルを発見しました。いやね?何かいたんですよ。適当に探してたら、普通に結界の外側でオロオロしてるドジ主婦がさ···買い物はどうしたんだよ。買い物は

しかも、まずい事にほとんど同時にクロノのほうでも発見したらしく、後ろからデバイスを突きつけられている。本当、ドジだな···ちっ、仕方ない

「クロノ、あぶねえ!」

俺は、シャマルが不意をつこうとしてたということにして(当然、嘘だが)クロノを蹴り飛ばそうしたのだが···

「ノルン!?」

ガッ

「···」

なぜか、怪しい仮面野郎の蹴りを止めることになっていた···何だコイツは?

「え?え?」

「···」

バキッ

仮面野郎は俺に蹴りを止められて少し驚いていたが、すぐに気を取り直してもう一度蹴りを入れてきた。もちろん、俺にも···というか、シャマル。お前は混乱しすぎ

「「 ちっ!(ぐあっ!) 」」

くっ、ダサい仮面のクセになかなかの動きだな。俺は、なんとか自分で後ろに飛んだが、クロノは普通に蹴り飛ばされたっぽい

「仮面か···」

仮面をしてるってことは、顔を見られるとマズいってことだよな?このタイミングで闇の書に関わってきて、顔を隠す必要がある奴となると···

十中八九、ギル·グレアム本人。もしくは、そのオッサンの手のものだろうな。まあ、それ以外の酔狂な輩という可能性もなくはないが···


「···」

ん?仮面がシャマルに何か言っているようだな···

『シャマル、なんて言われたんだ?』

『あ、ノルンちゃん···闇の書を使って結界を破壊しろって言ってるんだけど』

闇の書で結界を破壊?···ヴォルケンリッターなら、主じゃなくても力を使えるのか?

『ふうん···確かに使えるなら使ったほうがよさそうだけど。とりあえず、俺は仮面と戦うから。判断はシャマルに任せるわ』

『ええ!?』

一方的に念話を切る···いや、こういう判断は参謀の役目だろ?俺は知らんよ

「さて···戦るか」

『Blitz Action』

一瞬で仮面の背後に回り、ヘルで斬りつけた。だが···

「···」

「ちっ」

簡単に防がれてしまった。動きだけじゃなくて、反応速度もはやい。俺と同じで接近戦が得意なタイプか···

それにしても、さっきの蹴りといい、今の防御といい。コイツ、明らかに手加減してるよな···舐められたもんだ

「ふん···アークセイバー!」

少し、距離を離して魔力刃を飛ばす

「···」

「ふっ」

かわしたか。だが、甘い。俺の改良した、アークセイバーは···

「?···!?」

自動追尾だ···速度は普通のより落ちるけどな

「馬鹿め。俺を見くびってるからそうなるのさ。そいつは、お前を真っ二つにするまで追い続ける···ほれ、もうひとついくぞ」

『Arc Saber』

よし。あとは、隙を見て切り刻んで···

ズガーン!

な、何だあ?あの凄いのは?誰かの必殺技が···

「···ああっ!闇の書か」

そうか、シャマルが闇の書を使ったのか。結界を破壊するためとはいえ凄い威力だな···

フェ、フェイトたちは大丈夫なのか?あんなのが直撃したら···なんか心配になってきたな

「ん?」

少し不安になりながらも、今は戦闘中だと思い出し、仮面のほうに視線を戻すと···

仮面は、アークセイバーをかわしながら、この混乱に乗じて逃げようとしていた···けっ、用は済んだってか?

「何だ、仮面ちゃん。逃げるのかい?」

このまま逃がすだけってのも面白くないので、少し挑発してみる

「···」

だが、仮面ちゃんは挑発には乗らず、俺に一瞥をくれただけで去っていった···あれは、仮面の下で睨んでたと見たね

『ノルン!大丈夫!?』

『ひゃあっ!フェ、フェイトか?俺は大丈夫だ。そっちは?』

『私は大丈夫。他の皆も無事だよ』

び、びびった。念話っていきなり繋がれて、大声を出されると心臓に悪いな。変な声が出ちまった。でも、フェイトたちは無事か···良かった

『そっか···あ、そうだ。敵さんはどうした?』

『ちょっと、分からない。ここを離れるようにって忠告されて···その後、全員逃げてったみたいだけど』

結構、危ないところだったってことか···シグっちたちの配慮に感謝だな

『そうか···』

『うん···ねえノルン、誰かと戦ったりした?』

む、これは···また、フェイトの過保護ウイルスが発現してるな

『一応、変な仮面と戦った』

『怪我とかはしなかった?』

まあ、戦闘してたからな。軽い怪我くらいあるにはあるが···内緒にしとこう。戦っちゃだめとか言われたら、洒落にならないし

『大丈夫だ。ところで、バルディッシュが改良されたんだって?もしかして、バリアジャケットも新しくなったの?』

深く聞かれるとバレそうなので、話題を変えることにする

『そっか、良かった···えと、バルディッシュ?うん、カードリッジシステムっていうのが新しく搭載されたんだよ。バリアジャケットも、前と少し違うよ』

『へえ、姉さんの新しいバリアジャケットか···可愛いの?』

『あ、今、姉さんって···///えと、か、可愛い?///自分じゃ分からないよ。お姉ちゃんには、その···に、似合わないかも』

···姉さんって、日常的に呼んだほうがいいんだろうか?というか、姉さん。大丈夫、似合わないとかありえないから

『そんなことないって、姉さんは何着てても可愛いよ。とりあえず、今からそっち行くけど、バリアジャケットは装着したままでいてね』

『う、うん///』

姉さんの新コスチューム、どんなんだろ···え?シスコン?いやいや、これぐらい普通だろ




[4621] 第12話
Name: 管理局の虎◆3455d794 ID:6106b45e
Date: 2009/01/12 23:17
~第12話~

あの後、姉さん···もとい、フェイトと合流し、新しいバリアジャケットや武装を見せてもらった···すごく可愛いかった。やばいね。ウチの姉は。もう、犯罪的な可愛さだよ

しかし、そんな次元世界一の麗しき姉の姿にも、1つだけ気になった···というか、心配になった点があった。機動性に全てをかけるのはいいとしても、ソニックフォーム、露出が激しすぎだろ!

あんな格好してたら、勘違いした次元犯罪者とか、高町なの··いや、止めておこう。これ以上は、俺の精神衛生上よろしくない

とりあえず、フェイトの話はここまで!アルフだ。アルフの衣装について話をしようじゃないか···フェイトのウフーンな格好なついては、またいずれってことで

といっても、アルフは···そんなに前と変わってなかったな。確か、黒いマントをつけて、手足に鎧っぽいのがあったような···

悪い。相変わらず、乳が目立っててさ。ぶっちゃけると、ほとんど視線が釘付けでした(乳に)···ゴメンな、アルフ。エロくて

「闇の書は完成前も、完成後も純粋な破壊にしか使えないの。それなのに···」

あー、そういや、アースラの面々とミーティング中だったな。ほとんど聞いてなかった···いや、シグっちたちに聞いたのと同じような話しばっかりだからさ

えーと、何だっけ?闇の書が爆弾?···あれ?いきなり、シグっちたちの話と違くね?破壊にしか使えないってことは、闇の書が完成したら

「はーはははは!ウチの病気を破壊したるでー!」

ドッカーン!

「あ、あかん。足も一緒に壊れてもうた···ガクッ」

こんな感じになるってことだろ?···って、はやて助からねえじゃん!まさか、シグっちに謀られた!?

···いや、それはないか。シグっちたち、かなりのはやてラブだし。知らずに蒐集してると考えるべきだな

「彼らは人間でも使い魔でもない、疑似生命体···」

でも、そうなるとはやてを助けるにはどうすりゃあいいんだ?分かったのは、闇の書が役に立たないってことだけ···シグっちにこんな報告したら殺されちまうんじゃね?

「闇の書で、はやてを助けるの無理っぽいよ~」

「何だと?では、どうすれば主はやてを助けられると言うのだ?」

「それは···分からん!」

「···死ね、役立たずが」

···ミ、ミーティング、真面目に聞いとこうかなあ。何か分かるかもしれないし

「人間でも使い魔でもないって···」

お、ちょうど、フェイトが喋って···暗っ!フェイト、暗っ!

「それって、私とノルンみたいな···」

「え?俺「違うわ!」」

フェイトが根暗化したかと思ったら、今度は、リンディママがお怒りに!?···ど、どういう状況だコレ?何か俺の名前も出てたし

「···ノルン。君、ちゃんと話を聞いてるか?」

ク、クロノの奴。まるで、狙いすましたように、聞いてきたな···だが、俺は負けん!

「ふっ、失礼だな。クロノ君(少し前からは)ちゃんと聞いていたとも。魔法プログラムについての話だろう?」

正直に話すと何を言われるか分かったもんじゃないので、耳に入ってきていたことを適当に話してみた···多分、こんな感じの話だったはずだ

「···フェイトと君は、足して2で割ったぐらいが丁度いいのかもな」

「ふふ、まったくね···フェイトさん。あなたたちは、生まれ方が少し違っただけで、れっきとした人間よ。だから、そんなことは言わないで」

何言ってんだか、よくか分からないが···俺、馬鹿にされてないか?大体、俺とフェイトがれっきとした人間って

「リンディさんってば、何を当たり前の···むぐうっ!?」

な、何すんだ、アルフ!

「ノルンはちょーっと、静かにしてようね」

いやいや、俺の話っぽいのに、何で黙ってなきゃいけないんだよ!?

「は、はい。すみませんでした///」

···あ、あら?何かフェイトが、お恥ずかしいところをお見せしました。みたいなリアクションを取ってる。お、俺か?俺のせいなのか?

「にゃはは···ノルンちゃん。ちゃんと、お話は聞かないと」

な、なのはにまで呆れられてる!?おかしい、俺は(途中から)真面目に聞いていたのに···何が間違っていたんというんだ?

·
·
·

えー、ミーティング終了後に、フェイトに叱られらました。最初から真面目に聞いてないとダメなんだって···叱られたっても、めっ!とか、やられただけだけどな

ちなみに、なのはの奴が叱られている俺を見て笑っていたので、ほっぺたをつねっておいた。当然の報いである···プニプニしてて、餅みたいだったな。今度、モチモチなのはとでも呼んでやるか

そんでもって、ミーティングとフェイトのお叱り?から解放された俺は···

ピンポーン

「おーい、誰かいないのか?」

八神家を訪れていた。しかし···

シーン

「留守かよ···」

せっかく、鍋を食いに来たのに···シグっちたちは、蒐集に行ってるんだとしても、はやてはどこに行ったんだ?

『マスター。少しよろしいですか?』

「ヘルか···今の俺は猛烈に機嫌が悪いからな。手短に頼むぞ」

鍋を食いっぱぐれたせいで、最悪の気分だ···しかも此処、寒いし

『では、単刀直入に申し上げますが···明日の闇の書に関する調べ物に、マスターも同行させてもらってはいかがでしょうか?』

「···調べ物?何の話だ?」

そんな話題、いつ出てたんだ?まったく、記憶にないんだが···

『···ミーティングの最後にクロノさんがユーノさん頼んでいた件ですよ』

ミーティングの最後?言われてみれば、2人で何か話してたような気が···それにしても、ヘル。お前、俺より真面目にミーティングとか聞いてたんだな



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