~プロローグ~
海鳴市 某所
「お、俺の家が・・・」
俺は我が家(ボロい山小屋)の前で、怒りに震えていた。用事をすませて帰ってみれば、暴れまわっている妙な生物。破壊された家(だったもの)・・・・・ふざけてやがる
「おい、珍獣。貴様に人間様の言葉が通じるとは思わんが、遺言だけは聞いてやろう。何か言い残すことはあるか?」
「・・・・・」
「返答はなし、と。聞くだけ無駄だったな。死にな」
ドカッ、バキッ、グシャ・・・・・
「ふっ、我ながら鮮やかな手並みだ」
まあ、所詮は言語を理解できない畜生。当然の結果だな。
コツン
「ん?何だこの石は」
足になにか当たったので、ふと見れば青い石があった。どうやら珍獣の腹から出てきたらしい
「なかなか、きれいだな。ちょうどいい、売り飛ばして宿代の足しにでもするか」
それにしても、家がぶっ壊れたのに、手に入ったのはちょっときれいな石。割にあわんな。
ひゅ~
「さ、さみい」
ちくしょう。俺が、何をしたってんだ。珍獣を殴りとばして、多少すっきりしたのに、またイライラしてきたぜ
ガサガサ
「む?」
「あ、あれ? こっちで確かに反応が・・・」
俺が、世の中の理不尽さに嘆いているとどこぞの茶髪のガキが森から姿を現した。まあ、ガキと言っても俺よりひとつかふたつ年下なだけだが(多分)
・・・・というか、つい癖で気配を隠してしまった。何やってんだか、俺は
「おい、なにしてるんだ?」
とりあえず、声をかけることにしたのだが・・・
「あっ!、そ、その石は!それは危険なものなんです!すぐに渡して下さい!」
ガキは俺の手にある、石を見るやいなやそんなことをほざきやがった・・・・こいつ、俺の質問を無視するとはいい度胸だ。しかも、俺が家と引き換えに手に入れた石を渡せだ?
舐めやがって。ふっ、地獄を見せてやる。なに、ちょっとしたお仕置きだ。少々、イライラしてるんでやりすぎちまうかも知れねえけどな
「落ちつくんだ、君。すぐに渡すから。ほら」
「す、すいません。ありがとうございます」
くっくっくっ、馬鹿が隙だらけだぜ!
ドスッ
「な、な・・に・・・を」
「馬鹿かてめえは、俺が拾ったんだから俺の物だ。危険だか何だか知らねえが俺の勝手だ」
「だ・・だめ・・です・・・本当に・・・危険・・・な・・・」
バキッ
「ふうっ、すっきりした」
悪いな、ガキ。恨むなら、俺がイライラしてるところに来た、自分を恨んでくれ
「さて、行くか」
生意気なガキを殴りとばし、気の晴れた俺は、今日の寝床を探すことにした・・・