無限に広がる大宇宙。星間航行が確立した文明からすれば夢と希望で満ち溢れている一方、理不尽で満ち溢れている。 「何故、こうなった・・・」 これはSFゲームの要塞と共に転移した、一人の人物の物語。なお好き勝手やっていく内、気づかぬ内に恐れられてしまうよう。 *リメイク版を舞台とした、物語になります。*「サイト管理者」「代表O5−1」から「ネオ・代表O5−1」に改名。 ※重要※『ハーメルン様』からのお引越し小説です。アカウントロックされてしまった為、こちらに移転しました。その件や投稿については運営様に事情を話し、活動――投稿許可を頂いております。 ※重要※ピクシブ様のほうでも投稿しており、マルチ投稿となります。「FC2」と呼ばれるサイトのほうでも、投稿しております。
VR。ヴァーチャルリアリティ。仮想現実。 本来であれば経験することができないことを、特殊な装置によって疑似体験ができることを指す。体感型、に該当する。 体感型というのは専用コンソールを利用して、外装に五感を投入し、仮想の世界で現実にいるかのように遊べるゲーム一般を指す言葉である。 最初は軍事や医療などで使用を前提にしていた技術の関係もあり、コストは高額。一般家庭の所有者は殆どいなかった。 それもそうだ。 ちょっとしたアミューズメント程度であっても巨大な装置の中で横になり、専用の筐体を必要としていたのだから。 しかし、今はどうか。 その技術は次第に洗練され、非常に簡素化された。今ではLANケーブルを繋いだヘッドセットを装着するだけで仮想現実の世界を脳に投影可能となり、遂には家庭用ゲームとして登場するにまで至った。 そう。 家庭用として、一家に一つ以上は必ずあるまでに至ったのだ。 技術の発展と進化。 つまり、人間は素晴らしいということである。 高価であることには変わりなかったものの、自宅で好きな時に好きなだけ、となれば誰もが手を伸ばす。 老若男女問わず、だ。 当然であろう。己の好きな容姿を創り、憧れた幻想の世界を体感出来る。そんな素晴らしいゲーム機が手に入るのだ。まさしく、夢のような世界。 家庭用のVRヘッドセットの登場は過去に登場した最新ハード達と比べても、例を見ないほどの熱狂に包まれた。 無論、危険だという声もあった。脳に影響を及ぼすという危険性も当初は存在していたが、そういった事件はゼロ。 その理由としては、幾重にも強固な安全プログラムによって守られているからだ。今となっては馬鹿げた妄想だったんだと、笑い話となっている。 熱狂の渦は止まることを知らない。誰もが無限の可能性を秘める世界の普及は、まさに【新時代】のそれであった。 体感型VRという名で区分されるゲームは全世界で数多く発売されており、ファンタジーやSF、ガンシューティングゲーム。 他にもカードゲームやボードゲームなどもあり、幅広いジャンルのゲームが発売されていた。 さて、だ。 その内の一つ、SFで最もプレイされている人気ゲームについて紹介しよう。 WSO。 またの名を、World・star・online。 宇宙を舞台としたWorld・star・onlineは、一つの勢力の主として戦略を練り、準備を整え、宇宙の覇権を争う。 このWSOはプレイヤーに明確な達成すべき目標やストーリーを用意せず、提供した世界観の中で自由に行動するタイプのゲームだ。 このゲームは何も、覇権を争うだけではない。そして、自由度が高い。 冒険オンリーでも良し 軍拡のみでも良し。 どのゲーム共通の縛りプレイも可。 科学技術の研究、艦船の設計・既存艦の改造と製造、そして外交や戦闘を通じて自らの勢力範囲を広げていく。同盟も可能である。 戦闘艦、星雲、星団、ブラックホールなど、宇宙の様々なものがリアルに再現されている。これらのグラフィックはゲームプレイの臨場感を高めるだけでなく、宇宙の神秘的な雰囲気を感じさせてくれた。 宇宙開拓リアルストラテジー系のゲームでもあり、シュミレーション系ゲームでもあるのだ。ややこしいが、これがまた人気であったのだ。 自分だけのアバターだって創造可能だ。 人類種のみではあるが、獣人やエルフも人類種の区分に入る。 「助けて◯ビワン・ケ◯ービ、貴方だけが頼りなのです」世界の艦船や武器・兵器、「問おう、貴方が私のマスターか?」世界のアバターを取り入れることすら出来るのも、人気に含まれていた。 このWSOはプレイヤーに明確な達成すべき目標やストーリーを用意せず、提供した世界観の中で自由に行動するタイプのゲームなのである。 しかし、それも一昔前の事。 現在では、下火になってしまっていた。 原因は、あれである。 運営する会社が、何故かバトルファンタジー要素を入れてしまったのだ。 勿論、SFが付く。 しかし、それがまずかった。空は飛べるし、遥か遠い空間への移動可能で、手からビームも、宇宙の彼方への旅だって出来るようにしたのが駄目だった。 ―――混ざってるぞ、これはいったいどういうことだ!? ―――なんてこった!ヤベェぞ!? ―――これでは、楽しめることが楽しめないぞ・・・!! これにより、プレイ人口は急低下。 なんなら、だ。アインストールする人間だっていた。 批判殺到されていた運営は、てんやわんやの大騒ぎ。 無論、謝罪もした。 しかし、それが駄目だった。 『てへペロ、お酒の勢いでやっちゃいました♪』 結果、ふざけるなよ怒りが殺到。当然である。 一応この後、彼らなりの改善は行った。 空を飛ぶ。 遥か遠い空間への移動可能。 手からビーム。 宇宙の彼方への旅。 それらの要素は「神」にしか出来ないとし、「神」に至る「神化」の重課金とアイテムを以って可能としたのだ。 しかしながら、だ。 プレイ人口が戻ることもなかった。逆に更に、低下の加速を速めただけだった。当然である。運営は頭を抱えた。 こうして、熱狂していたWSOは「オワコンブームのゲーム」となった。そんなゲームでも続けている人間というのは、いつの世でも存在する。 ◆◆◆◆◆ とある勢力―――ギルドの長は、要塞内部に居た。半球状の大きなドーム型の部屋、その中央に位置する司令官席に深く座っていた。 ギルド名は―――ブリリアンス。 なんとなく決めただけの名前で、特に意味はなかった。 軍事においてトップクラスの組織であり、大量の艦隊と天体兵器を所有する存在。”今回”の宇宙においてはこれで以って、ありとあらゆる勢力を制覇、そして宇宙はブリリアンスと同盟勢力によって管理されている。今回は、そういったロールプレイだった。 玉座にも似た司令官席に座るギルド長―――黒髪の女性は、要塞に集結していた艦隊と天体を視界に収めると、満足したのか大きく頷いた。 その直後、席を立った。 彼女が纏うは、ネイビー色を基調とした高級将校用の軍服。 黒色の襟付きシャツ。ネイビー色の上着。幾つもあるエポレット付きの金色の肩章。スラリとした脚を包むスラックス。そして、腰まで届く肩掛けマント。 「・・・どうしようか、やることが無い」 立ち上がってはみたが、それは座りっぱなしで疲れた腰を伸ばしただけ。ギルド長は、再び腰を下ろす。 彼女の名前はスヴェート。リアルでは会社員をしている。 今日も一人しかいないギルドを、自分だけがプレイし維持している。 「・・・ギルドメンバー、募集しても来なかった」 重い溜息を吐くギルド長スヴェート。 創設時より、自分ただ一人。普通に寂しい。基本的に一人が好きな私でも、流石に堪えてしまう。オワコンブームだからだろうか。 「・・・・・・」 まぁ、流石に一人という訳ではない。 正確には、NPCである。 視線を、たった一人にしてNPCのほうへ送る。自分が創造し育てた、子供へと。 「寂しいな」 「そうですな、スヴェートさま」 「だが、お前がいるから寂しくない」 「そうですな」 抑揚のない無機質な声だ。ちなみに声音はダリフラ世界で登場する、七賢人の副主席の声優さんである。 そう。 このNPCこそ、このゲームで会話用のAIを搭載されたキャラクター。内政を統べる者。肌を一切見せない、金色の紋様が入った豪華な白い礼服を総身に纏い、灰色の仮面を装着した男。 それが、彼なのである。 ちなみに、名前は覚えていない。 適当にしてしまったが為に、あまりにも長い長い名前となってしまった。そのため、「仮面男」もしくは「副主席」と呼んでいる。 呼びやすいし、何よりも覚えやすい。 というか、見た目すらも「副主席」なのであるのだから、とても覚えやすいものである。 「今日で最後か。であれば、だ」 スヴェートは左手を持ち上げ、時間を確認する。ふむ、まだメンテナンスまで一時間あるか。目の前に浮かんだ操作画面コンソールウィンドウを指で弄りながら、要塞に集結していた軍を除き、各方面のブリリアンス軍に指示を飛ばす。 ―――全ての敵対勢力の拠点を潰せ。 満足げに頷くスヴェート。 ブリリアンス軍の前には、どの敵対勢力も敗北するしかない。「宇宙連邦」を含む同盟勢力を除き、敵対戦力はブリリアンスよりも戦力は下。 ブリリアンスが負けることなど、あり得ないのというものだ。 ――フハハハ!見ろ、ゴミのようではないか! ――降伏します通知が沢山来ているな。 ――何を言っている?降伏は受けつけない、貴様達はこの宇宙で、唯一無二の掟に背いた。これは罪人への、裁きなのだ。 そうして58分が経過した頃だった。ログアウトする準備をしていた時、突如としてこのようなメッセージがウィンドウに表示された。 『今日でサービス終了します♪』 スヴェートは絶句した。 嘘だろ運営。メンテナンスの筈だろう。突然過ぎる。 視界の隅に映る時計には23:59。メンテナンスと表示されていた欄にはサーバー停止と表示され、時間までもあった。―――サーバー停止時間0:00、と。 23:59:35、36、37…… 理解が、感情が、何もかも追いつけない。 終わるのか、楽しみが、消えるのか・・・。 常時二桁のログイン数とはいえ、このゲームが・・・。 23:59:48、49、50…… 一つだけ、運営に宣言したい。 23:59:57、58―― 殴り込みしてやる。 新作が出たとしても実行してやるからな! 0:00:00 0:00:00……1、2、3
理解が、感情が、何もかも追いつけない。 終わるのか、楽しみが、消えるのか・・・。 常時二桁のログイン数とはいえ、このゲームが・・・。 23:59:48、49、50…… 一つだけ、運営に宣言したい。 23:59:58、59―― 殴り込みしてやる。 0:00:00 0:00:00……1、2、3 WSOよりブラックアウトした彼女は慣れた手つきで、WSOに入る為に現実世界で被っていたヘッドセットとブラグを取ろうとする。 「……ん?」 スヴェートは違和感を感じた。 おかしい、ヘッドセットを被っている筈なのだが、ヘッドセットを被ってる感が全く以って感じられない。 スヴェートは目を開ける。 見慣れた現実世界にある、私の部屋では無い。此処は先程からも居た、WSOゲームの要塞司令部。 「・・・どういうことだ?サーバーダウンが延期したのか?」 時間は正確の筈。いや、間違いなくそうだ。 今頃はサービス終了と共に、強制排出がなされている筈なのに・・・。 時計を確認する。 ふむ、0:01:18。 であれば、だ。 表示されている時間が狂っている筈が無い。いったい、何が起こっている・・・? 困惑しながらも、辺りを見渡すスヴェート。 先ほど自分が目を閉じた時から、何も変わっていない。私は要塞司令部内の中央に位置する、王座にも似た司令官席に座っている。 というか待て。 今更ながら、気がついた事がある。目の前に浮かんでいた、コンソールウィンドウが消えている・・・。 「・・・??」 まさか、他もだろうか。 そう思い、やってみる。あ、どうやら、全てのようだ。本来なら浮かんでいる筈のシステム一覧すら、全く以って出てこない。 そもそも、そういった感触が無いのだ。 あれである。まるで、システムから独立したというか、切り離されたというか・・・。 「どういう状況だ、これは?」 「どうかされましたかな、ギルド長」 どうかされましたかな、か。 どうかしたいよ、本当に。・・・・・・・・・ん? 考えるポーズをしていたスヴェートは視線を、初老の男性の声が聞こえたほうへと向けた。 「副主席?」 「はい」 そこには、仮面男こと副主席が小さく首を傾げていた。 あらまぁ、イイ声。「これは、VIRMの意思である」の副主席の声優そのものではないか。・・・・・・嘘だろ。絶句してしまうスヴェート。コイツ、無機質な声どころか動作まで・・・。 「体調が優れないのですか?先ほどから挙動不審、落ち着きがない御様子だ。自室に戻り、休まれたほうが宜しいかと」 改めて、副主席を上から下までじっくり見る。 白色の礼服を総身に纏いし、仮面を装着している男。紛れもなく自分が副官として選んだ、無機質な声で話すだけだった副主席。 しかも、自分から聞いてきたとは…。 彼だけではない。 キビキビと動いていたB1バトル・ドロイドが、どうしんだろう雰囲気を醸し出しながら此方を見ている。 念の為、だ。 夢かどうか確かめるため、痛みがないか自分のほっぺをビンタしてみる。・・・うむ、痛かった。というか、痛覚なんぞ感じない筈なのだが。 「は、はは・・・」 「・・・?」 乾いた笑みが止まらない。 本当に現実世界なのか? それとも、”WSO世界であってWSO世界”なのか? 確か、某小説で「異世界に転移する」や「ゲームの力を持って現実世界に転移」というものがあった。 となると、今の状況に当てはまるのは後者の「ゲームの力を持って現実世界に転移」か。 非現実的過ぎるが、実際にこのような非現実的な出来事に私はいるのだ。 何がどうあれ、五感があるのだ。夢ではないのは確実だろう。 「はぁ、気が重い」 運営と連絡が取れないどころか、親友も同然のフレンドすら連絡が取れないこの状況。 完全に孤立していると見てよいだろう。 「さて・・・」 何が起こっているか、ちっとも分からんが、直ぐさま状況把握に務める必要があるようだ。
状況把握に努め、既に1週間が経過した。 あぁ、そうだ。 状況把握していた、そして今後も行っていくそのリストがあったな。確認も含めて閲覧しておこう。ーーー 【状況把握リスト】 ・敵対ギルドへ差し向けた艦隊の所在ならびに天体兵器(超兵器とも呼称される)の所在 ・現在地 ・元の世界、地球に帰還出来るのか? ・現有戦力 ・etc…。ーーー 以上が、状況把握リストの内容だ。 先ず、一つ目。 WSOゲームが永久終了する瞬間まで、敵対ギルドへ差し向けていた艦隊と天体兵器の所在に関してであるが、…何の成果も得られませんでしたーッ!!(*某進撃の巨人に登場する元団長風) 唯一得られたのは、あれだ、反応消失しているということだ。 艦隊と天体兵器の位置情報だって、同様に無いのだ。 我がギルドの戦力の殆どが手元に無いこの状況。…敵対ギルドが報復にやって来たら、フルボッコ間違いなしである。 ちなみにであるが、敵対ギルドは一つや二つではない。 敵対ギルドは、何百もある。 ふふふっ、楽しかった! あ〜はっはっはっはっ!……こんな現象が起きるなんぞ微塵も想像なんてしていなかったのだから、仕方がないというものである。いや、本当に。 つまり、だ。 全ての艦隊と全ての天体兵器は手元に無い。その事実に私は、嫌でも認識させられる。 …本当、なんでこんな事に……シクシクと泣こうと決意したのは内緒だ。 次に、2つ目。 現在地だ。 此処はいったい何処なのかだが、…悲しいことに、分からんとしか。 いやだって、そうだろう。いつもなら眼前に薄いウィンドウが展開され、マップが表示される筈が今もなお眼前に現れていないし、要塞に記録してある銀河地図も、全然知らない銀河系であるからか、役に立たない。 一応、どこかの太陽系に属しているのは分かる。 何ならポツンっと浮かぶ準惑星ケレスと同等の準惑星が、我が要塞近隣にあるということも分かる。 周囲の状況をより明確に把握する為、調査隊を出動させた。 調査の結果、この太陽系は地球が属する太陽系ではなかった。 惑星そして衛星の数は地球が属する太陽系と同じであれど、違う。 ということは、だ。 私含む地球人類が誕生した宇宙なのか、それとも観測されていない、多元宇宙の何処かなのかは断言出来ないが、この太陽系は絶対に地球が属する太陽系でないのは間違いなし。 簡単に纏めると、宇宙旅行に該当するだろう。 ……こんな宇宙旅行があって溜まるか!! ……ふぅ。 3つ目は、元の世界に戻れるのか、だ。 ……これに関しては何とも言い難い。 ネガティブともポジティブとも、そのどちらかも判別しずらい。 前提として地球と同宇宙の何処かなら、まだ帰還できる可能性はあるだろうが、…正直なところ現状では0に等しいだろう。 それだけならまだしも、世界移動をしているなら、尚のこと不可能。 地球がある座標は、持ち合わせていない。 仮にその方法を確立出来たとして、座標が分からなければ宇宙で米粒一つを探すようなもの。 ネガティブかポジティブか、そのどちらを述べるならば……帰還は………ネガティブ寄りだろう。 だがそれでも、可能性が一つでもあるのなら、行動しなくてはならない。 オラ、ワクワクすっぞ!……私はこんなキャラではない、きゃー、恥ずかしい! ごほん…。 さて、最後に4つ目は…現状の戦力についてだ。 1つ目の通り、敵対ギルドへ差し向けた艦隊と超兵器は手元に無い。 現状の戦力は限られている。 無論、戦力補充はここ1週間ある程度回復した。 とはいえ、だ。 資源が満足といって良い程無い為、しばらく戦場の主力はフリゲート艦が中心となるだろう。 保有する艦艇数は造船中を除き、合計で二百隻ちょっと。 この戦力はフリゲート艦ではあるものの、フリゲート艦の構成次第では、駆逐艦中心そして巡洋艦を旗艦とした艦隊と、渡り合える程の戦力だ。…ただし、多数の敵艦隊となると話は別だが。 ちなみに我がギルドの戦力は、WSOを初めたばっかりのギルドを一方的に蹂躙出来る程の戦力を保有している。 以上で、状況把握リストの内容だ。 そして現在も行っているもの、リストを纏めた。ーーーー 【今も行っている事リスト】 ・資源確保 ・軍拡 ・本拠地を確保 ・引き続きこの星系の調査 ・etc…。ーーーー 以上が、その内容だ。 資源確保に赴いた採掘艦は、現在も採掘艦による採掘が行われている。 採掘艦は【X8小型汎用艦】を使用。 X8小型汎用艦の外見は、SFバージョンの輸送船を彷彿させるような外見だ。 色は黄色と黒が基調となっている。 X8小型汎用艦は小型倉庫を備えている他に汎用艦ロボットポットが2室あり、汎用艦ロボットポットより汎用UAVを放出し、資源の採掘ならびに採取を行うことが可能で、更に建物の建設も行うことが出来る。 また、基本的な防衛火力として、有砲身型の45mm砲をx2装備している。 とはいえ、単艦だと何かあったら心配。 単艦ではなく護衛艦隊と共に採掘、そして採取を今も行っている。 WSOでもそうだったが、随伴する艦艇がいれば、採取した資源がX8小型汎用艦に納まりきらなくとも、その随伴する艦艇にも積載することが可能なのである。 随伴する艦艇があれば、そして積載量が高い艦艇であれば有る程、積載する上限が上がるのだ。 資源採掘と採取し、上限まで積載し次第帰還し要塞に納め、納めた後は資源採掘と採取へ戻る。 そのルーティンを繰り返しだ。 資源確保はX8小型汎用艦だけでない。 この星系中に採掘ステーションを建設予定し、更に資源を確保していく次第だ。 2つ目の軍拡だが、それに関しては現在も続行中だ。 3つ目の本拠地確保だが、星系調査が済み次第だ。 本拠地といったらこの要塞があるのだが、この要塞は要塞ごと移転する。 本拠地は大陸型惑星の予定だが、未だこの星系調査の最中の為、終わり次第この要塞は直ちに移転する。 そしてそろそろ、本要塞は移転準備が間もなく完了する。 最後に4つ目だが、引き続き星系調査は行われている。 そろそろ、か? 「ギルド長、報告ガアリマス」 OOMコマンド・バトルドロイドが報告にやって来た。 「星系調査ガ完了、並ビに本要塞の移転準備が完了シマシタ」 「本拠地となる惑星の調査も、完了したか?」 「ハイ、完了シマシタ」 そうして、調査報告がOOMコマンド・バトルドロイドより語れ始めた。 この星系は地球が属する太陽系と、同数の惑星があること。 人類の環境に適する惑星が一つあり、その惑星は衛星軌道上には月とほぼ同じの衛星が確認された事。 etc…。 「報告ハ以上トナリマス」 「そうか」 本拠地となる惑星。 その惑星は地球と瓜二つであることが、最後にそう報告された。 「遂に終わったか」 静かに目を閉じる、その時間は10秒。 そして、カッと目を見開き、声高に言い放つ。 …癖なんだ、許せ。 「これより本要塞は移転シークエンスに入る!」 「ラジャラジャ」 「第1、第2艦隊を除き、展開している全ての艦隊は直ちに宇宙港へと戻れ!」 「ア〜、X8小型汎用艦トソノ護衛艦隊モデスカ?」 「そうだ、直ぐに取り掛かれ」 「ラジャラジャ」 命令を確認したOOMコマンダー・バトルドロイドは上下に首を振り、足早で去る。 その直後、要塞司令部は忙しくなった。 こうして、本要塞は地球と瓜二つの惑星軌道上へと移転したのだった。 〜〜〜本要塞移転後から3日後〜〜〜 フフっ、司令官席に座り、優雅にコーヒータイムを勤しむ私。 コーヒーカップを口に近づかせ、匂いを楽しみながらちょびちょびっと飲んでいく。 その姿はまるで貴族令嬢のようであるが軍服姿ではなくドレス、コーヒーでなくティーであれば更にだろう。 平和って良いな〜。あぁ、コーヒーが美味い、最高かな。 『緊急警報!緊急警報!未確認物体を確認!太陽系内に未確認物体を確認!』 「…っ!?ゴホッゴホッ!?」 突然の事に喉が詰まってしまったのか、咳き込んでしまい、更にはうっかりコーヒーカップを離してしまう。 重力に従い床へと落下し、パリンっと音を立ててコーヒーカップは無残に割れ、中身の黒い液体をぶち撒けた。 ……訂正する。平和が、終わった。 あぁ、コーヒーが…!?……ではなく、あぁっ、遂にこの時が!?