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[43623] 黄金のエンプレスコロシアム【オリジナル】
Name: 独情構◆03fd381f ID:73d3c21e
Date: 2022/07/27 01:47
ミックスファイトのSSです。

男女がプロレスリングで勝負し、敢え無く敗北した男が相手の女に射精させられる。
そんなシチュエーションが好きで投稿します。

一応、登場人物や団体などストーリーとして設定していますが、それらを気にしなくても単品で楽しんでもらえるよう頑張ります。

【追加】
■2020/07/28
些末な部分ですが、主人公のリングコスチュームは、黒いプロレスタイツとリングシューズのシンプルな出で立ちです。長州力などのイメージです。
■2022/07/27
七話からヴァリステック・インパルス編に入りますが、これは基本的にヴェルエポックのタッグ(タケル&他女子メンバー)と他団体のタッグ(女子選手二名)の戦いとなります。
女子同士の戦いの描写が入ることになりますが、男子(タケル)負けの流れは変わりません。



[43623] 第一話「鮮烈!極熱新星の爆誕!!」
Name: 独情構◆03fd381f ID:73d3c21e
Date: 2020/07/23 12:45
【黄金のエンプレスコロシアム】

第一話「鮮烈!極熱新星の爆誕!!」

■第一話:①
主要駅より在来線で20分ほど移動したこの町に住居を移す。
児玉タケルは今年高校を卒業し、4月より大学へ入学する。
一人暮らしを開始するタイミングとして、連想されやすい大学入学であるが、その財政状況は必ずしも良好とも言えない。
児玉タケルも例に漏れず、一人暮らしに充てる潤沢な予算を確保とはいかない。
両親に負担をかけずアルバイトと学業を両立させても大学に通うには家賃で足が出てしまう。
金に悩む若者に解決案を提示したのは、タケルの伝手で知り合った一人の女性だった。


+++::::::::::::::::::::::::::::::::::+++

『本日、ヴェルエポックデビュー戦!!猛き闘魂新星!こだま~~~た~~け~~~る~~~!!』
公民館より借り受けたスピーカーから大音響のロック系BGMが鳴り響き、男性が一人リングへの花道を進む。
花道といっても色とりどりのスポットライトやスモークが焚かれているわけではない。
観客席を区分けして入口用ドアからリングまでの通路を確保しているに過ぎない。
商業目的の企業ではなく、趣味を楽しむための私的な集まり故だが、こういった素朴な手作り感を好む人々もいる。
長く続くプロレスブームもあって、ヴェルエポックの興行は毎回公民館の体育館をそこそこ埋めていた。
「うおおおおおおおおお!!」
ロープを潜ってリングに立った男は咆哮を上げながら両腕を突き上げ観客にアピール。
この男、本名を児玉タケルといい、リングネームとしてもそのまま使用している。
現在18歳で今年の春より大学に入学予定である。
タケルはアピールを終えて対面のコーナーを見据えた。
視線の先にいるのは女性一人のみ。
タケルのデビュー戦の相手を務める御剣花純は、タケルより先にリングインを済ませ、赤コーナーにもたれていた。
彼女の年齢は19歳で、タケルの1年先輩となる。
因みに、タケルをヴェルエポックに誘ったのも彼女である。

「よろしくタケルくん。いい試合しましょ?」
花純が握手を求め、タケルに手を伸ばした。
それを握り返すタケル。
お互いに力を込めているわけではないが、タケルの掌には一般の女性とは明らかに異質な感触が伝わっている。

■第一話:②
花純の身長は170cm前後で、女性としては長身の部類に入る。
漆黒で艶のある髪を肩まで伸ばし、体をリングコスチュームの競泳水着で覆っている。
バスト85cmの胸が、水着の白ストライプを歪曲させる色気のある体型だ。

これから目の前の色気立つ女とのプロレスに臨まねばならないタケルの心境は、既に乱れていた。
大学の先輩に当たる花純に、自分の団体を手伝ってほしいと聞いて、それを受諾したのは自分の意思である。
しかし花純の説明とタケルの理解が足りなかった。
端的に説明すると、花純が参加しているヴェルエポックは女子プロレス愛好家女子の団体であり、試合内容のマンネリ化を打破すべく男性レスラーとのミックスファイトが企画されたという経緯である。

女子との対戦は初めてという訳ではないタケルだが、運動による体温変化とは別の意味で、体が・・・正確には下腹部が熱くなっていることを自覚する。
このまま試合が始まれば、自分はどうなってしまうのか?
自問自答を続ける程に、タケルの中で解消しようのない胸苦しさが渦巻く。
タケルの悶絶を嗅ぎつけたかの如く無情のゴング音が体育館内に響き渡った。
カアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!

■第一話:③
「いっくよおおお!!!」
ゴング音がタケルの耳に届く頃には、既に花純が接近していた。
ダン!
思い切りのいい踏込から女体が浮かび上がる。
タケルの視界は、花純の白いリングシューズで覆われた。
ゴシャ!!!
「ぐうべええ!!!」
花純のドロップキックが、タケルの顔面を真正面から打ちぬいた。
キックの衝撃エネルギーは、タケルの後頭部をコーナーポストに叩きつける程であった。
意識混濁に陥ったタケルは、防御姿勢すら取れずに花純によって捕縛される。
「よいしょっ!」
ボディスラムで持ち上げられたタケル。
パワーをアピールする為、姿勢を維持する花純。
女が大の男を持ち上げる光景に観客からは喝采が送られた。

「あ、御剣さん・・・ちょっと・・・」
タケルの口から小声が漏れる。
花純が掴んでいるのは、タケルの肩と股間。
肩はともかく股間を女性に握られている体勢は、タケルにとっては死活問題である。
「男と女が戦えばこうなるよね?覚悟があってリングにあがったんでしょう?」
「俺は先輩と戦うなんて・・・ぐううう!!!」
タケルの抗議は、パワースラムによって遮断された。
花純の全身を被せる叩き付けを味わったタケル。
せき込むだけで最早言葉を紡ぐどころではない。
密着している花純の身体と水着の繊維がタケルの興奮を加速させていく。
「フォール!!」
花純がタケルを押さえこんでピンフォール宣言。
それを聞き逃さず、すぐにレフェリーの女性がマットを叩き始めた。
「1!2!・・・」
「ふん!!!!」
試合開始1分たたずに秒殺される訳にはいかないと、フォールを返したタケル。
「くはあっ!!」
タケルはフォール返しの勢いのまま、横転してロープ際まで逃亡。
想定外の実力を持った花純に対して、認識を改めなくてはならない。
「やりますね、御剣さん・・・・」
「やるのはこれからよ!」
感嘆するタケルに向って、花純は滑り込むように低空ドロップキックを放った。

■第一話:④
ズダン!
追い打ちを受けたタケルの身体は、サードロープの下を潜って、場外に落下してしまった。
「くうう痛てて・・・花純さんはどこだ!?」
場外に敷かれた安全マットに腰を打ち付けた痛みを堪えながら、リングに視線を向けるタケル。
しかしリング上の何処にも女子プロレスラーの姿は見当たらない。
「とっびま~~~す!!!」
上方からの声を聴いたタケルが視線をコーナーポストに移した。
そこにはポストの上で両手を上げてアピールする花純の姿。
照明の光を浴びた彼女の競泳水着は独特の光沢を放ち、女性として魅惑的なプロポーションをより映えさせる。
水着の女がポストから跳躍した。
それを見て素早くタケルが身構える。
プロレスラーとして回避は許されない状況だが、この後に自分が受けることになる衝撃を想像してタケルの背筋は冷たくなった。

■第一話:⑤
御剣花純は、現在でこそヴェルエポックのプロレスラーと大学生という二束の草鞋を履いているものの、それ以前の高校までは競技水泳を続けていた履歴を持つ。
競泳選手としての花純のキャリアは上々であり、大学以降も競技を続けることを周囲から期待されていた。
そんな彼女が何故、プロレスに専念し始めたか、ここでは置いておく。
花純の才能は単にスピードを競うレース競泳に止まらず、飛込競技にもその才能を如何無く発揮していた。
飛び込み台より脚力のみで高度のジャンプ、落下中に幾度もの回転や捻りを加え、ノースプラッシュで着水。
美しい流線型の女体がプールへ飛び込む様に、会場中がため息をついた。

そんな花純がプロレスリングで舞い踊る。
コーナーポストから離れた彼女の体がまずは前方一回転。
続いて一回転捻り。
さらにそこから後方半回転。
そして最後は対戦相手である男子プロレスラー、児玉タケルの下へ着地!
「がああああああああ・・・・!!!」
「あん・・・!」
花純の股がタケルの顔を挟み込んで、二人は地面へ落下した。
タケルの受けたダメージは甚大であるが、花純もまた股間に強すぎる刺激を受け、思わず短い悲鳴をあげてしまったのだ。
互い違いで重なり場外マットにダウンする二人。
いわゆる69の体勢だ。
レフェリーが二人に対して場外カウントを開始する。
「1、 2・・・」
20が数えられる前にリングへ復帰しなければならない。
しかし花純はこの時、自分が頭を埋めているタケルの股間が固くなっていることを感じていた。
「これは・・・勃起してるわね・・・・」
タイツ越しに頬を突いてくるタケルの一物は、立派な硬度で屹立している。
男とプロレスする以上、予想していた事態だ。
しかし、いざその場面に立つとなると、花純の内側からプロレスに掛ける物とは別の情欲が燃え上がり始めた。

■第一話:⑥
「立って!!」
グロッキー状態のタケルの髪を掴んでリングへ押し込む花純。
押し込む際に、タケルの股間部を掴んで刺激する。
「あうん!」
敏感になった陰茎を擦られ、タケルは甘い声で喘いだ。
このままでは、タイツを突き上げて勃起した様子を、体育館に集まった観客に晒す羽目となる緊急事態。
恥をかきたくない一心で、タケルはマット上でうつ伏せに徹する。
これではプロレスにならないが、何とか勃起が収まるまでやり過ごしたい所だ。
「えい!どうした!ほら立て!」
そんな逃げ腰のタケルに対して、容赦ないストンピングが浴びせられる。
「うう!ぐえ!・・・」
タケルの背中へ花純の足裏が叩きつけられる度に、マットが揺れ、彼女の脚力の卓越ぶりが観客にも伝わる。
ストンピングは背中に止まらず、うつ伏せになっているタケルの首や腰、尻にも万遍なくヒットしている。
「あ!そこは!潰れる・・・!!!」
腰付近を踏まれるたびに、その重みでペニスが潰れるのだ。
タケルは、この体勢が非常にまずい状況を呼び込んでいる事を悟った。
マットで擦られた一物は、先ほど以上に強く大きく勃起している。
この状態では、最早誰の眼にも誤魔化し様が無い。
そして血行が増幅したペニスは感覚も鋭くなっている。
このままストンピングされ続ければ、タイツの中で射精するであろうことは、想像に難くない。
それ以前に激しすぎるストンピングによって、自分の意識が失われる可能性すらある。
脱出方法を思案するタケルに、突如変化が訪れた。

花純がストンピングを止めて、自分の両足をタケルのひざ裏に乗せる。
続けてタケルの足首を折り曲げて、自らの膝小僧に引っ掛けた。

「まずい!」と思考するもののどうしようもないタケル。
脇を叩かれ、みすみす両手を花純に奪われてしまった。
「いくぞ~~!!せ~~~~のっ!!」
数回の振り子運動で勢いをつけて、花純の両手両足にロックされたタケルの身体が浮き上がっていく。
ロメロスペシャルが完成した瞬間、場外の観客からはどよめきが起こった。
吊り上げられたタケルの股間は大きく盛り上がっている!
しばらくして場内のあちこちから嘲笑が響いている。
「やめて・・・見ないで・・・」
プロレスの最中に勃起してしまう恥を晒したタケルはパニックに陥った。
自分は、女性に関節技を掛けられ興奮した変態であると、宣言したも同じことだ。
「でっかいチンポね!このままいっちゃう?ほうら!!」
そう言うと激しくタケルの体を揺すりだす花純。
「んぎっ!ぎいい!!離して!」
ロメロによる全身の痛みとタイツの生地でペニスを擦られる快感が同時に襲い掛かる。
このままではリングで射精という最悪の事態が現実となってしまう。
それだけは何としても回避したいタケル。
タケルも背に腹は替えられないと、このまま試合を続ける決意を固めた。
「うあああああ離せええええ!」
痛みを無視して猛烈に抵抗するタケル。
ロメロスペシャルの体勢が大きく揺らぎ崩れていく。
このまま技を維持をすることは不可能と判断した花純がタケルを解放する。
「勃起が収まらない・・・・こんな事になるとは・・・」
「私が攻め続けて試合の体裁を保ってあげる!」
四つん這いのタケルの髪を掴んで引き起こした花純。
タケルをロープに押し込み十分な反動をつけて、向かいのロープへ走らせた。
勃起したままで少々動きがぎこちないが、ロープワークをこなしたタケルが花純に向って駆け込んでくる。
「そおおおれええええ!」
花純が繰り出すのは右腕を伸ばしたクローズライン。
しかしタケルがここで反撃に出た。
花純と接触する瞬間、タケルは上体を前屈させて花純の体を自分の背中に乗せた。
「ひゃ!!??」
ダッシュの勢いに任せて、花純の身体はショルダースルーで宙に放り上げられる。
ドシン!
背中からマットに落下した花純は、この試合で初めてダメージを負った。
「あうううう・・・やったわね・・・」
背中を押さえ立ち上がろうとする花純にタケルが組みついた。
花純をリフトップした勢いで反転させたタケル。
「うりゃあ!!」
「おほっ!!!」
旋回式バックブリーカーで背中に再びダメージを受けた花純。
口から唾液が飛び散る。
素早く花純を解放したタケルが攻めつづける。
「次はこれだ!」
両足を取られ花純の身体が反り返される。
タケルの逆エビ固めがリングの中央で極まった。
タケルは躊躇せず体を傾けて、花純の反り返りをより厳しい角度へ向けていく。
「んんんんん・・・・ノー・・・・・」
怒濤の反撃に対応できない花純は、自分の胴体を引き延ばされる感覚を味わいながらも降参を固辞し続けた。
「おらあああ!どうだあああ!!」
勃起を観客たちに悟られたタケルは今すぐリングから逃げ出したい衝動に駆られる。
しかし試合放棄だけは長年プロレスに人生を捧げてきたタケルにとって、あってはならない事であった。
そんなタケルに次なる誘惑が迫っていた。

■第一話:⑦
抜群の柔軟性を誇る花純の胴体がエビの如く反り返っている。
照明光を反射する水着と併せて、水面から身を躍らせる人魚を連想させる幻想の美。
逆エビ固めの角度をきつくしていくタケルの眼前には、そんな花純の股間が映る。
限界まで水流抵抗を突き詰めた競泳水着。
その生地一枚を隔てた秘所へタケルの意識は吸い込まれていく。
骨格の歪さなど意識させない洗練された花純の腰。
そこからすらりと伸びる長い脚。
股間をハイレグにガードする水着。
肉体派の若き男が夢中になるのも無理はない。
刺激が強すぎる女体であった。
・・・ここに顔を埋められたらどうなってしまうんだ?
格闘の最中に闘う意思を薄め、欲情の色が濃くなっていくタケルの内面意識は、その動きにも表れ始めていた。

いつの間にか、花純を反り返す逆エビの力は弱まり、逆にタケルの方が上半身を前屈させている。
「私の股が気になるの?これなら喜ぶかしら、タケルくん?」
反り返しの痛みを感じなくなった頃、花純は反撃を開始した。
花純の太腿が開かれたと思うと、一瞬でタケルの顔を咥えこんでしまったのだ!
まるで大型魚が稚魚を丸呑みするかの如く。
「んがああああ!!?・・・これは・・・・花純先輩の・・・」
ズシン!
水着の感触とその向こうにある性器の存在を理解すると同時に、タケルの頭はマットへ突き立てられた。
フランケンシュタイナーに似た体勢で叩き付けられたタケルの頭は、依然として花純の股間に捕われたままだ。
「観客の前でプロレスしてるのにHな事を考えていたわけね。これはおしおきね!!」
花純は垂れた前髪を掻き揚げると、腿に力を込めヘッドシザースを強める。
「はあ・・・はあ・・・・ん!!?んんんん・・・!!!!」
眼、鼻、口を塞がれたタケルは空気を求めて足掻き始めたが、花純には大した障害とはならない。
タケルが手足をばたつかせれば、花純は両腕を突っ伏して体を持ち上げチョーク状態で抵抗を制する。
花純自ら体を横回転させて、ねちっこく締め上げ、タケルの体力を奪う。
時にはわざと力を抜いてタケルに小休止させ、その意識を繋ぎ止めさせる。
「名付けてシャーク・バイト・チョークかしら。どう?リングと言う大海原でサメの餌になった気分は?」
「ああ・・・あああ・・・」
最早タケルに抵抗する気力は残されていない。
顔面を紅潮させて花純の股に顔を埋めるのみだ。
しかしタケルのペニスは以前に増して強く屹立していた。
同年代を比べてもビッグサイズな竿は、タケルのショートタイツすら突き破らんばかりの勢いで大きくなっている。
「もう・・・これじゃお仕置きの意味ないじゃない!なんで君が気持ちよくなってんのよ!!」
花純は拘束を解いてタケルを解放した。
「ぜーぜー・・・あああ・・・・」
チョーク天国から抜け出してもらったタケルは無我夢中で新鮮な空気を吸い込んだ。
意識は徐々に回復していくが、体力は根こそぎ失っている。
やはり試合続行は不可能である。
「まいりました・・・花純先輩・・・フォールして試合を終わらせてください。」
敗北宣言を紡ぐ口の動きも弱々しいタケルであった。

■第一話:⑧
「ただフォールしても客は満足しないでしょう?」
薄笑いを浮かべて花純が語り始める。
「タケル君をヴェルエポックに誘ったのは、興行のマンネリを打破する為だって説明したよね?マンネリなのは、今まで女子の試合だけで興行を組んでいた私達の力不足よ。それは認める。でもタケル君となら一つ上のレベルのプロレスが魅せられるはずなの。だから・・・頑張れ男の子!!」
マットに寝ながら話を聞いているタケルは少々赤面した。
花純が自分にそこまでの期待を込めていたことなど露知らずであった。
思慕していた女性にそこまで言われると男として奮起したくなるもの。
「おれ・・まだやれます!」
男の根性を見せんと、タケルは傷ついた肉体に鞭を打って立ち上がった。
「そうこなくっちゃ♪決着つけましょ!!」
破顔して歩み出した花純が徐々に加速し、タケル目掛けて跳躍する。
容易くタケルの頭頂部近くの高度に達した花純のボディが照明に照らされ、そのボディラインを会場中に見せつけた。
輝く女体から両足を突き出され、タケルの顔面を撃ちぬいた。
と思われたが、タケルはこれを太い両腕によるガードで耐えている。
さすがに後ずさりはしたものの男の意地でダウンは免れた。
「そら!」
着地して隙を晒す花純目掛けて組みつかんとタケルが両腕を伸ばす。
「んああああ・・・」
止む無くそれを自分の両手で受け止める花純。
男と女が両手で握りあう手四つの体勢となった。
「はああああ・・・」
この好機を逃すまいと全力を腕に注ぎ込むタケルと、自分の指にかかる凄まじい圧力に苦悶する花純。
「やあああ・・・んん・・・」
首を振って腕の痛みを誤魔化そうとするが、花純の指は無慈悲に変形していく。
「このままダウンを奪えば後は好きに料理出来る!」
決定的なチャンスを間近にして高揚するタケル。
しかしここから想定外の反撃が彼を待っていた。
花純が自分の胸をタケルに寄せてきたのだ。
ブルーカラーの競泳水着が接近する様子をタケルはただ見つめるしかない。
二人の身体は両手の指でがっちりつながったままなのだ。
「あ・・・花純さん・・・ちょっと・・・」
「受けなさい!ハッピー・ニプル・プレス!!」
花純の胸とタケルの胸がぴったり重なり・・・・更に押し込まれてぐにゃりと潰れていく。
花純の乳首攻撃はそれだけに止まらない。
おっぱいをらせん状に動かすことでタケルの胸を、いや乳首をピンポイントに攻めているのだ。
「んん・・・おおおお・・・」
これにはタケルもため息を吐きだして、快楽に耐えるしかない。
女性との経験も無ければ、乳首攻めの経験も無い彼には未知の快楽。
乳首を中心に全身へと波及する快楽の波が、彼の思考を奪い、ペニスに更なる活力を供給する。
「あらあら・・・元気過ぎじゃない?まだ余裕?」
乳首でタケルをつつく花純は、タケルの巨大化ペニスに股間を突き返されている状態だ。
「ペニス・シザース・クラッチ!!」
「あああああああ!!!!」
タケルはペニスを花純の太腿に挟み込まれ、一際甲高い悲鳴を上げた。
「はさみ心地抜群のおちんちんねえ♪ほらほら!!」
花純の太腿が前後に動いて、ペニスを強い圧力を以って扱き出す。
「いいやああああ!!やめてえええええ!!!」
タケルの喉からとうとう懇願の声が漏れた。
度重なる性的刺激の悶絶に緊張の糸が途切れてしまったのだ。
「あ・・・泣いちゃったわね・・・」
会場に気まずい空気が流れ始めている。
痛みをともなう格闘技とはいえ、片方が泣きじゃくる様子は実に悲壮な情景である。
コーナーに磔の刑に処されながら、乳首とペニスを攻め続けられたタケルの身体は、蒸気を噴出しているのかと見間違うほどに火照っている。
体中を伝う汗がタケルの肉体を輝かせるが、観客の視線は聳え立った陰茎に注がれていた。
■第一話:⑨
試合中、勃起している様は観客の知る所だが、現在の状態は凄まじい物がある。
タケルのマッシブな体に見合うビッグペニスがタイツを押し上げ、生地越しでもそれとはっきり分かる程にパワフルな勃起である。
亀頭に当たるであろう個所からは半透明の液体が滴っており、それがカウパーであることは、成人の観客にはすぐ理解できた。
そして観客の注目を最も引いたのは、ペニスの波打つ鼓動だ。
血管を浮き上がらせ肥大化したペニスがビクンビクンとうねる様子は、タケルの射精が近づいている証拠。
このサイズであれば凄まじい量の精液が噴出するであろうことは容易に推測できる。

「決着をつけましょう!タケルくん!」
タケルの巨大ペニスに臆することなく花純が組みついた。
花純が両腕を回してタケルを自分の後方へ投げ放つ。
オーソドックなフロントスープレックスだが、ペニスが勃起し過ぎてバランスが崩れたタケルには、受け身など不可能であった。
「があああああ!!」
顔面からマットに突っ込んだタケルが、痛みのあまり転げ回る。
転がる間、ペニスが地面にこすれることで床オナニーと同様の快楽を無意識に味わうタケル。
最早、空気すらペニスが貪欲に快感として貪っている。

花純はタケルを立たせると仕上げに取り掛かった。
「は!や!えい!これなら・・どう!?ほらほら!!まだよ!!しっかりしなさい!!!」
辛うじて立ち上がったタケルを待っていたのは、競泳水着から繰り出される打撃の嵐。
ジャブで顎を打たれ、脳を揺さぶられる。
エルボーがこめかみを貫き、体中が痺れる。
ボディに抉り込んだ拳で、内臓をかき回される。
「ぶうう・・・げはああああ・・・!!!」
堪らずに後退してロープブレイクを練らすが、それよりさきに花純の美脚がタケルの頭部を薙ぎ払った。
臀部の割れ目に水着が食い込むほどの開脚から放たれたハイキックは、タケルの蘇った闘志を彼方へ蹴り飛ばしてしまったのだ。
「か・・・・はあ・・・・」
意識を手放したタケルの視線は虚ろに泳ぎ、片膝をついてダウン寸前の状態となる。
すでにノックアウト宣言があってもおかしくないが、花純はここからフィニッシュを決行する。
距離の離れたグロッキーのタケル目掛け、助走をつけた花純が飛びあがった。
膝立ちのタケルはそれを無意識に目で追ったが、最早体が動くことは無い。
ただビクンビクンと肉棒が脈動しているのみだ。
タケル自身の意思で射精を望んだのか、ペニスが望んだのか、その瞬間は間もなく訪れることになる。

■第一話:⑩
浮遊した花純の片足がタケルの膝に接地した。
タケルの膝を中継地点にして、花純の身体が再度飛び跳ねる。
いわゆるシャイニングウィザードに似たムーブであるが、タケルの頭に叩き込むのは膝ではない。
「シャイニング・デルタ!!!」
花純が必殺技を叫ぶと同時に、自らの両足を大きく開いた。
タケルの視界に広がるのは青い水着生地に包まれた花純の秘所。
高速で近づく花純の股に成す術も無いタケルだが、その視線はまっすぐだった。
自分を打ちのめそうと迫りくる股間。
水着のクロッチ部分が食い込んで女性器がわずかばかりはみ出た瞬間をタケルは見据えていた。
そして・・・
「ぶおおおおおお!!!!」
タケルの顔面に叩き付けられた花純の股間が、その勢いのままタケルを敷き潰した。
「フォオオオオル!!!」
人差し指を頭上にかざして、力強いフォール宣言が花純の口から放たれた。
「ワン!ツー!・・・」
観客も一緒になってカウントを叫ぶ。
一般的な体育館と比較して小型の設計であるものの、公民館併設の体育館が観客の叫び声で震えている。
水着越しの女性器を顔に押し付けられ、地鳴りの如きの歓声を体中に叩き付けられているタケルの興奮は、とうとう彼自身の肉体的かつ精神的許容量を超過した!
「スリイイイイイイイ!!!!!」
どびゅううううううううううううう!!!!!!
カウントスリーが数えられた瞬間、タケルのペニスより大量の精液が噴出された。
「いいいいいいいいいいいいいい・・・・!!!!?!!!!?!」
花純の股に圧し掛かられて、タケルの表情は誰にも確認できないが、恐るべき音量の絶叫が放たれている。
「す、すごい・・・・」
勝利を収めた花純は、ただ茫然と白濁の噴水を眺めるだけだ。
観客からは、まるで波しぶきが打ち付ける岩礁を、椅子代わりに腰かけた人魚姫に見えていた。
カン、カン、カン・・・・
やがて試合終了を知らせるゴングが鳴らされると、タケルの精も根も果てたのか、精液の勢いも衰えてゆく。
ゴングの残響音も収まるころには、完全に射精は停止した。
花純が立ち上がり、両腕を振って観客に勝利をアピールし始めたが、タケルが動く気配は無い。
タケルの意識は快楽の果てに追いやられ気絶しており、介抱に来たヴェルエポックメンバーの呼びかけにも反応は無い。
担架に載せられて搬送されるタケルを見送りながら、勝者として観客へのアピールを続ける花純。
「最高のデビュー戦だったわ、タケルくん。あなたを誘って本当に良かった・・・」
花純にとっても男子とここまで戦った経験は無かった。
ヴェルエポックでの興行に行き詰っていた彼女には、今回のミックスファイトは良い刺激となったのだ。
プロレス好き女子たちの同好会に過ぎなかったヴェルエポックが、タケルという超新星を加えてどのように変容していくのか。
それは、花純やほかの所属女子レスラーにも予想できない。
そして勿論、変わりゆくのはヴェルエポックだけではない。
児玉タケルもまたヴェルエポックレスラーたちと肌で触れ合うことで、プロレスラーとして大きく変貌することになる。
今は医務室で安息の寝息を立てるタケルだが、その一物は射精を終えたというのに勃起状態を保ち、掛けシーツを突き上げてテントを建てている。
この男の剛直な闘魂を誇示しているかの如きペニスには、医務室へタケルを運んだ女子たちも息を飲むばかりであった。
タケルの次の試合はその日のうちに決定した。

【試合結果】
児玉タケル ● ― ○ 御剣花純
(15分59秒 シャイニング・デルタ ⇒ フォール)


■第一話完



[43623] 第二話「連弾!音が誘う魔性の諧謔!!」
Name: 独情構◆03fd381f ID:73d3c21e
Date: 2020/07/23 12:45
【黄金のエンプレスコロシアム】

第二話「連弾!音が誘う魔性の諧謔!!」

■第二話:①
とある昼下がり。
近場のショッピングモールへ昼食の買い出しに向ったタケルの耳元へ、ピアノ音が届いてきた。
高尚な音楽とは無縁のタケルではあるが、メロディーが有名なクラシックであることは理解できた。
近年のテレビCMにも起用された耳心地の良い音楽は、春の温暖な空気と相まって聞く者の精神までリラックスさせてくれる。
タケルは音楽の発生元を聴覚のみで察知し、自身の右手側前方に目を向ける。
その一角は大型の宅地開発を中心に造成された、所謂セレブ区画であった。
さぞ、名のある名家の嗜みなのだろうと、タケルは感想を思い浮かべた。
皮肉などではなく寧ろ感心そのものであった。
ピアノの主が住んでいるであろう豪勢な屋敷から流れてくる音は、それ程にタケルの心を解きほぐしていたのだ。
クラシックとの意外な邂逅から3日後、タケルは再びヴェルエポックのリングに降り立った。
■第二話:②
街の女性有志によって立ち上げられた女子プロレス活動サークル「ヴェルエポック」。
主な活動内容は、プロレス好きの女子たちによる興行である。
地元の公民館で開催される女子プロレスは、少々活気に乏しいこの街において、住民たちを大いに沸かせくれるイベントだ。
そして評判が評判を呼び、現在ではプロレス好きが遠征して興業を見に来る程となっている。
そんな「ヴェルエポック」だが、前回の興行から大きな岐路を迎える。
それまで女子選手同士の試合に終始していた興行に、男子選手を参加させるミックスファイトを導入したのだ。
記念すべきミックスファイト・エキシビジョン第一回の児玉タケルvs御剣花純の試合は、激しい技の応酬の末に花純が必殺のシャイニング・デルタで決めた。
タケルを射精ノックアウトする壮絶な決着で幕を閉じた男女混合試合は、興行中一番人気を獲得するに至り、次回興行でもマッチングが確約されていた。
最初に花道を歩むのは、前回より興行に参加している「ヴェルエポック」唯一の男子レスラー、児玉タケル。
惜しくもデビュー戦を白星で飾れなかったものの、彼の熱い闘魂は観客に伝わったらしく、前回以上の声援を全身に浴びせられる。
「うおおおおおおお!!」
前回同様、両腕を掲げガッツポーズでアピールするタケル。
今日こそは念願の初勝利を掴もうという執念が表情に宿っている。

タケルに続いて、反対側の入り口から女性が花道を通って、リングに歩んできた。
黒髪をミディアムに揃え、薄い口紅を引いた端正な顔立ちの女性だ。
「今日もリングに音符を描くのか!?リングの上のピアニスト!三坂杜 杏~~!!!」

花純と比較して小柄だが、少女のあどけなさを伴う色気が全身から立ち上っている。
「よろしく・・・お願いします。」
リング中央で向かい合う両者。
ゆっくりと頭を下げて挨拶する彼女の姿から育ちの良さを察したタケルは、条件反射で自らもお辞儀する。
「こ、こちらこそよろしくお願いします!」
不慣れな作法故に声が上ずってしまっているが、最低限の礼を返すことには成功した。
少女はそんなタケルの様子を微笑みながら見つめている。
少女のリングコスチュームは白のワンピース型。両腕には指無しアームカバー、足にはニーはブーツを装着しており、どちらのアイテムもホワイトカラーで統一されている。
花純程のバストサイズは無いが、女性らしさをアピールするには十分な育ち方である。
「先日の・・・デビュー戦、なかなか見応えのある試合でした。今日の試合も盛り上げましょう。」
「評価してもらえて幸いです・・・。全力で相手しますよ!」
レフェリーによって二人はそれぞれのコーナーに下がる。
間を開けずに試合開始のゴングが鳴った。

■第二話:③
ゴングの後、両者はじりじりと距離を詰め、試合前に挨拶を交わしたリング中央で、再び顔を合わせた。
「・・・」
「タケルさん・・・まずはこれでいかがでしょう?」
先に動きを見せたのは、女子の杏の方。
両手の掌をタケルに向け、それをまっすぐに伸ばした。
誰がどう見てもプロレスの基本形の一つ、手四つの誘いだった。
両手もしくは片手でお互いの指を絡め合う力比べ。
男子と女子のパワー差を常識的に考えれば、杏の誘いは無謀でしかない。
しかし杏の試合相手を務めるタケルは、警戒心を露わにする。
デビュー戦で対戦した御剣花純を通して、ヴェルエポック所属レスラーの実力は理解している。
花純に惨敗を喫したタケルにとって、常に格上に挑む心構えを持ち続けなければならないのだ。
組み合った杏は如何なる行動に出るのか?
口に含んだ毒霧で不意打ちか?
組んだ瞬間に金的蹴りか?
あらゆるパターンを脳内でシミュレートした上で、タケルは手四つに応じた。
いかなる反則技も対応できる自信と覚悟を持って、杏の誘いに乗るのだ。
ヴェルエポックの女たちに勝利する為には、これくらいの判断力は備えて然るべきと、タケルは前回からの成長ぶりを観客にもアピールしたかった。
絡み合う10本の指と指。掌と掌。
会場を静寂が包み、二人の静かなる攻防を観客も固唾を飲んで見守るのみ。
しかしすぐに悲鳴が静かな空気を切り裂いた。
「ぐがあああああああ!!!???」
悲鳴の主は児玉タケル。
タケルは、彼より小柄な杏との手四つ状態で、泣き叫んでいる。
「うううう・・・・」
そして片膝を着き、杏に対して頭を垂れる姿勢に追い込まれてしまうタケル。
何が起きたと動揺する観客達であったが、すぐにその原因が二人の両手であることに気付いた。
杏の指が、タケルの手にめり込み、その腕が捩じられている。
既にタケルの10本の指は握りを形成していない。
捻じ込まれた杏の指によって、無理やり開かされた状態だ。
握力勝負は誰の目にも杏の完全勝利である。
杏はその結果を微笑で以って確認しているようだ。
「握力は苦手の分野でしょうか?しかし殿方相手に加減は出来ません。このまま攻めさせていただきます。」
静かに呟くと、杏は自身の体幹を軸にして、タケルの身体を振り回し始めた。
「あああ!?な、何をする気だ!!?」
潰された手の痛みで杏の動きを気にしている余裕のないタケルは、回転運動にただ従うしかない。
「まだまだ・・・」
杏の回転運動は続く。そして加速していく。
小柄な女性が、まるでハンマー投げ競技の如く、男子プロレスラーを砲丸に見立て振り回す。
そんな非常識な光景を、観客は固唾を飲んで見つめるしかない。
「ぎゃあああああああああ」
技の被害者となったタケルは、振り回されながら地獄の痛みを味わっていた。
回転が速まれば速まる程に、自身の手にかかる負担は増していく。
その激痛が回転によって飛びかけた意識が呼び戻される。
杏とタケルの圧倒的過ぎる握力の差が、このフィンガーロック・ジャイアントスイングを可能にしている。
「そろそろ限界でしょうか?それでは・・・失礼。」
それは救いの声だったか。
杏から突如、タケルの指は解放された。
降参の声を出す事すら忘却してしまう痛みが失せた瞬間、タケルの思考は完全に緩みきった。
そして思考を緩ませたまま、コーナーポストへ突っ込む羽目になった。
「げおおおおおおおお」
背中から強い衝撃、咽る肺、そして両手から伸びる鈍い痛み。
コーナーで尻もちをついて、タケルの動きは止まった。
今はこのダメージを受け入れる時間が欲しい。
何度も咳払いしながら、徐々に肉体の被害状況を把握していくタケル。
その分析結果は惨澹たる内容であった。

■第二話:④
タケルは、自分の指が全く動かないことに気付いた。
正確には、指を僅かに動かすだけで、耐えがたい痛苦が返って来るのだ。
杏の握力によって、タケルの手は圧殺されたという事になる。
恐らくレントゲン写真を撮れば、タケルの指の骨に亀裂が発見されるだろう。
「つうう・・・あんな小さな人が何てパワーなんだ・・・」
タケルも自分より体格で勝る男子レスラーとは幾度となく対戦している。
不利な体格差があっても、手四つ等の力比べも逃げずに挑んできた。
自分以上のパワーに挑戦し続けることで、タケルの膂力は鍛え上げられてきたのだ。
そんな積み上げ、練磨してきた力が、より一層の怪力によって蹂躙された。
これまでも力負けは経験してきたが、今回の敗北はタケルにとって異質であった。
手四つの段階で完全に力負けしていたのだ。
自分と三坂杜杏の握力には、大人と子供ほどの開きがある。
経った今喫した手四つの敗北は、この事実を分かりやすく公衆に見せつけた。
観客からは杏のパワーを賞賛する声援が浴びせられている。
当の杏は気を良くしてか、微笑を浮かべてタケルの下へ歩み寄っている。
「やべえ・・・!!」
杏の追撃を予感したタケルが身を起こそうとするが、それは間に合わなかった。
白いブーツが、コーナーにもたれたタケルの頬を擦りつけた。
「ぐうう・・・」
熱さと痛みが、タケルの頬に走る。
「さあ・・・試合はこれからですよ?」
白いアームカバーに包まれた杏の右腕が、タケルの髪を掴もうと伸びてくる。
彼女の握力にかかれば、人間の頭骨ですら無事の保障は無い。
既に圧倒的握力の恐ろしさを理解しているタケルは顔面の痛みを無視して、回避行動を取った。
タケルはコーナーから前転で杏の横をすり抜け、リング中央で立ち上がる。
指は痛みを発しているが、なんとか腕を胸の位置まで上げて構え直したタケル。
指を駆使する掴み技は最早使用できないであろうことは、タケル自身がよく理解している。
「いかがなさいました?女から逃げるなんて、それでも男ですか!?」
タケルの回避を逃亡と受け取ったのか、杏が少々の怒気を含んだ口調で、タケルを叱咤する。
そして再びタケル目がけて自らの右腕を伸ばした。
得物を見据えた蛇のごとく伸ばされた杏の右腕。
しかし蛇の牙が得物を捕えることは無かった。
「セイッ!!」
「あん!??」
乾いた打撃音がリングに木霊する。
タケルの左足が、杏の右腕を打ち払った音である。
タケルは左足を戻す勢いを殺さず、続けて右後ろ回し蹴りで、杏の腹を蹴り飛ばす。
「かふ!!」
体重差がそのまま杏を吹き飛ばすエネルギーとなり、彼女はロープ際まで転がされてしまう。


■第二話:⑤
「あれは前の試合で私が見せた蹴り・・・タケル君、成長しているじゃない!」
リングサイドから試合を見守っている御剣花純が、タケルの連続蹴りを見て感嘆した。
タケルのデビュー戦で相手を務めた花純は、容赦のない蹴りの連打でタケルを散々打ちのめしている。
そんな自分の技の被害者であるタケルが、今リングで杏に使用したのだ。
先輩として感無量である。
後輩の成長ほど嬉しいものは無いのだ。
花純は、タケルの初勝利を心の中で念じた。
「もし勝てたらお祝いのキスでもしてあげようかしら・・・」

■第二話:⑥
「さすがに・・・あのまま楽勝とはなりませんか。」
タケルのキックラッシュでコーナーまで吹き飛ばされた三坂杜杏は、誰にも聞き取れない小声で呟いた。
握力に自信のある杏は最初の奇襲の勢いで、そのままタケルからピンフォールを奪う予定であった。
しかし、タケルの意外な地力と隠し札により、そのプランを崩された形となった。
タケルの身体に触れたくとも、その足によって杏の手は悉く払われてしまうのだ。
攻め手を失った杏の表情が僅かに曇る。
一目で高貴な家の生まれと分かる美貌の彼女は、その動作一つ一つが観客を引きつけてしまう。
杏が溌剌とした表情で相手を攻めれば、観客も自然と興奮する。
彼女が意気消沈すれば、会場の空気も冷める。
そんな法則を杏自身は自覚し、それを逃れられない宿命として受け止めている。
相手がどれほど高い壁であっても、自分は下を向いてはいけないと、杏は自分に言い聞かせてプロレスの道を歩んできた。
「せや!」
タケルが飛び上がりドロップキックで杏の胸を打ちぬいた。
「きゃ!」
小さな悲鳴と共に回転する杏の身体。
小柄な彼女は、タケルのドロップキックを受け、派手に吹き飛ぶ。
回転してマットを移動する杏の目に、ある物体が映りこんだ。
プロレス会場では見慣れた物だが、決して人から注目を浴びる対象ではない物体。
「あれを利用させてもらいますか・・・・」
杏はタケルに蹴られた勢いを止めず、転がってロープ下をくぐり抜けた。
エプロンから場外へエスケースした杏は、タケルが追いかけてくるのを待った。
一方のタケルは少々、逡巡していた。
打撃戦に集中することで杏を圧倒出来てはいるが、一度でも彼女に掴まればもう次は無いとタケルは理解しているのだ。
そんなタケルの渦巻く思考は、杏の声によって切り裂かれる。
「この臆病者!マットの上でしか戦えないのですか?花純さん相手に射精する変態はさっさとリングから去りなさい!」
途端に観客からタケルに向けてヤジが飛び交った。
「行けタケル!男だろ!」
「杏ちゃんにぶっかけてやれ!」
「またチンチン見せて!インスタ映えするわ!」
最早タケルに選択肢は無い。
「いくぞおおお!!」
前回の敗戦に触れられ内心はずたずたのタケルが、ロープ下を潜って場外マットの上に降り立った。
「せい!はあ!」
杏が苦手とする打撃技で攻め立てるタケル。
戦術はリングでも場外でも変わらない。
杏の超握力が活かせる組み合いは、タケルにとっては自殺行為でしかない。
「ぐは!!」
相変わらずタケルの足技に対応できていない杏は、後方へ押しやられていく。
厄介なタケルの足をキャッチしたいところだが、中々成功しない。
クリーンヒットだけは避けている杏だが、このままではノックアウトは必至であろう。
そんな状況を客観的に分析したからこそ、場外戦に移行した。
杏の作戦通りにタケルはまんまと場外に降りて来てくれた。
全ては杏の掌であった。
聡明な彼女は物体を握りつぶすだけでなく、相手の精神を掌握することにも長けていた。
両家の嗜みとも言える。
そんな彼女はタケルの蹴りを受け流しながら、じりじりと後退している。
そして反撃の平手打ちを放った。
「それは、もらえない!」
タケルは杏の右腕をスウェー気味に躱す。
そのスウェーの勢いで身を捻り、思い切りのいい後ろ回し蹴りを放った。
「見切りました!」
ガキィ!!
まるで鉄を蹴ったような感触を、タケルは右足を通じて味わった。
「これは・・・鉄柵!!」
タケルの足は実際に鉄を蹴っていたのだ。
杏が自分の身体を壁として、隠していた場外に備えられた鉄柵。
そこにタケルは誘導されてしまった。
そしてタケルの足は鉄柵に挟まれている。
蹴りの威力が災いして、柵を歪めそこに巻き込まれた形だ。
「ぐああああ・・・」
タケルは懸命に足を柵から引き抜こうと手を掛けた。
しかし、歪んだ鉄柵はびくともしない。
「タケルさん・・・お気の毒に・・・。」
憐憫なのか、無表情なのか、形容できない顔色の杏がタケルの傍に立った。
「・・・」
杏が無言で鉄柵を掴む。
タケルの足を、鰐の口の如く巻き込んだ鉄柵だ。
その鋼鉄製の柵を杏は事も無げに折り曲げていく。
パフォーマーが風船を使って、プードルなどの動物を形作る大道芸の如くである。
「う、うぎゃああああ!!!」
無論、鉄柵を捩じり変形させれば、そこに挟まれたタケルの足は一層圧迫されてしまう。
杏は鉄柵を足枷として、タケルの足を押し潰してしまった。
絞った雑巾のような形状へ姿を変えた鉄柵は、タケルの足に食い込んでしまっている。
本来であれば加工機を使用して加工される鉄。
それを素手で実行する杏の恐るべき握力。
人間にここまでの腕力を備えさせるには、どれほどの鍛錬が必要なのか。

■第二話:⑦
三坂杜家は社交界ではピアニストの家系で知られている。
この国が鎖国時代にあった頃。
とある好事家の大名が、貿易相手であるオランダの商人から勧められて購入したピアノ。
ピアノが奏でる流麗な音色に魅了された藩主は、配下の藩士に命じてピアノの演奏技術を習得させた。
その藩士こそが、三坂杜家の先祖に当たるとされている。
血のにじむ修練によって得た藩士の演奏技術は、藩主はじめ大勢の人々を天上の快楽へと導いたとも三坂杜家の文献には記されている。
しかし、問題となるのはそのピアノ演奏の修練方法である。
これ程の演奏技術の秘訣は、膨大な練習時間と百年以上に渡って蓄積された技術体系の賜物であると、同業のピアニストたちは推測している。
その推測は正しい。
確かに三坂杜家はピアノ演奏を習得する為の独自のシステムを保有している。
その内容は、幼少からの躾レベルから開始される筆舌に尽くしがたい、常識外れの代物である。
その一つに鉄造の鍵盤修練行がある。
仰々しい名前が付けられた練習方法だが、なんのことはない。
演者がピアノ鍵盤を模した道具で、楽譜通りに鍵盤を押してゆくだけのありふれた練習法である。
一般との違いは一つ、鍵盤を押すための荷重には、凡そ100キログラム毎センチメートルが必要とされること。
それ程に、鉄造の鍵盤修練行で用いられる鍵盤は重いのである。
三坂杜家の人間はこれを日常とすることで初めて、ピアニストを目指す許しが一族の長から与えられるのだ。
この過酷な修練がピアノ演奏のスキルにどれほど好影響を与えるかは、凡百の知り得るところではない。
何にせよ、三坂杜家のご息女、三坂杜杏は生まれて以来続けてきた修練で得た握力を、プロレスリングというコンサートにて存分に振るっている。

■第二話:⑧
「ぐあ、ぐあ、やめてくれえええええ!!」
鉄柵ライン際の観客席の目前では、杏がタケルの腹上に跨ってアイアンクロー攻撃を仕掛けている。
タケルは自らの腹に乗っかった杏の尻の感触を楽しむどころではない。
鉄柵の枷で圧迫された右足。
そこに杏は追撃を仕掛けているのだ。
杏の両手に鷲掴みされた太腿は、蕎麦の生地をこねるように圧力をかけられている。
杏がこねる度に、筋肉が断裂したかのごとき激しい痛みがタケルを襲う。
先程までの攻勢は見る影も無く、泣きじゃくり許しを乞うタケル。
「ふうう・・・殿方がみっともない。赤子ではあるまいし、もっとシャンとなさって?」
タケルに跨りその足を破壊せんと、鉄柵を捩じり続ける杏は、事も無げに言い放つ。
大の男の嗚咽に興奮気味の杏。
タケルから更なる絶叫を求めて、杏はタケルをリングへ上げる。
「おおお・・・俺の脚が・・・」
髪を掴まれリングに押し上げられたタケルだが、足の痛みで立ち上がる事が出来ない。
足を挟んでいた鉄柵は、リングサイドで試合を見守っていた花純たち、ヴェルエポック所属女子レスラーの共同作業によって除去された。
足の拘束具は無くなったものの、タケルが受けたダメージは大きい。
鉄の締め付けを受け続けた自らの右足から返ってくるのは痛みのみ。
しかし、倒れたままではプロレスにはならない。
痛みを根性で押さえこみ、タケルは左足とロープを頼りに立ち上がる。
「く・・・右足は使い物にならないか・・・」
悔しさを滲ませるタケルの独り言。
杏の恐るべきクロー攻撃は分かっていたのに、タケルは場外まで迂闊に追いかけたことで、現状を招いてしまったのだ。
マイナスの感情が渦巻くタケルの胸中などお構いなしに、杏は接近してきた。
「それ!!」
ぱあん!!
空気を切り裂く炸裂音と共に、タケルの上体が後方へ傾く。
大きく振りかぶった杏の右平手が、タケルの頬を張ったのだ。
「おう!?」
左足一本で己を支えていたタケルは、背中からロープに倒れ込み、その反動で弾かれた。
待ち受ける杏は、駆けてくるタケルの腰に組みつき、その体を回転させた。
風車のプロペラの如く高速回転させられたタケル。
その背中が、杏の折り曲げた膝に叩きつけられる。
「ぐはああああ!!!」
再び場内に絶叫が響く。
風車式バックブリーカーによって、タケルの身体は杏の立膝の上に置かれてしまった。

■第二話:⑨
強打した背骨の痛みに悶えたまま、タケルは自分を見下ろす三坂杜杏の顔を見つめた。
令嬢のイメージに相応しい洗練された顔立ちであった。
一種の彫刻すら連想させる美しき女神の相貌。
プロレスリングでなければ、接近することは許されないであろう品格の頂点。
杏は立膝の体勢でタケルを固めていたが、やがて右手をタケルの股間へ伸ばした。
同じく左手はタケルの胸に添えた。
「タケルさん・・・あなたの奏でる音がこの試合のフィナーレとなります。しっかり音を出してくださいね。」
不気味で意味不明な宣言を紡ぐ杏の真意を測りかねるタケル。
すぐに衝撃がタケルの意識を襲った。
「はああああううううううううん!!!」
タケルの口から発せられた嬌声に、会場に度肝が抜かれる。
とても男が出したとは思えない切なさを含む声色。
「いいいいいい!!!」
「おうううはうううううううう!!!」
タケルの悲鳴がリングに戦慄を走らせる。
その独唱が、杏の変形バックブリーカーの威力を知らしめているのだ。
「素晴らしいテノールですわ、タケルさん。もっと聞かせてください!」
中学生時代の合唱コンクールしか歌の経験の無いタケルに、賛辞を呈する杏。
彼女の両手は一層激しくタケルの肌を突く。
バックブリーカーとピアノ奏法を合体させた杏の恐るべきフィニッシュホールド『愛撫狂想曲』。
普段は女子同士の試合で繰り出される必殺技が、今宵は男子の児玉タケルを相手に惜しみなく披露された。
「んんん・・・だめだ・・・声を・・・おさえられないいいいいいいいい!!!!」
歯を食いしばりせめて悲鳴を出すまいと抵抗するタケル。
しかし、大胸筋の中央を割るように杏の細い指が走った途端、抵抗の意思は甘く溶かされてしまう。
強めの指圧でタケルの全身をまさぐりながら、杏が声をかけてきた。
「私の見込んだ通り・・・。あなたの悲鳴を、御剣さんとの試合で聞かせてもらいました。」
杏は続ける。
「私の演奏ならあなたの声を調べに乗せて、天上のシンフォニーをお客様に届けられると確信しました。さあ、フィニッシュですよ!!」

■第二話:⑩
リング中央で反り返り、悲鳴とも喘ぎ声とも区別のつかないメロディを奏で続けるタケル。
タケルをバックブリーカー状態で固め、その全身をピアノ鍵盤に見立て、せわしなく愛撫を続ける杏。
途中、タケルが打撃で挽回する場面はあったが、試合はほぼ杏の独壇場であった。
【ヴェルエポック】二戦目となるミックスファイトの勝敗が決しようとしている。
杏は片手でタケルの黒パンツをはぎ取ってしまう。
杏の激しい打鍵による全身への快楽によって、タケルのペニスは雄々しく屹立し、血管が浮き出る程の脈動を打っている。
「んんはああああ・・・・!!!ううううおおおおおおお!!!」
最早、タケルに抵抗する術は無い。
自身をエクスタシーの楽器に変えられた彼は、パンツをはぎ取られて公然に姿を晒す羽目になった性器を、隠す素振りも見せない。
「凄いサイズ・・・。御剣さんの試合でも見せてもらいましたけど・・・見惚れてしまいました。」
頬を紅潮させ微笑を浮かべる杏。
彼女もまたタケルの巨大な一物に心ひかれた一人であった。
「さあ行きますよ!!」
深呼吸した杏が、意を決してタケルの勃起した肉棒に手を添えた。
「ひいいいいいいいいいいいいい!!!!」
それまでの甲高い悲鳴を上回る高さの絶叫が体育館に木霊した。
勿論、全てタケルの口から放たれた声だ。
「おほほほおおおおおおおいいいいいいいい!!!」
悲鳴にしても人間というより、獣の唸り声と呼んだ方が似つかわしい。
しかし、観客にとっては妙に聞き心地のいいメロディが奏でられている。
「音楽は奏者の感情を吐きださねば、その真価を人々に伝えることは出来ません。タケルさん、あなたの全てを吐きだして!!!!」
それまで杏が右手で扱いていたペニスは、一際巨大化した。
それに合わせて、演奏方法も変化する。
竿と陰嚢に対して、指先で突き刺すようにタッチする杏。
「ひいいい!!!?」
びくりと痙攣するタケル。
杏の指先が風を切るような速度でタケルの急所を優しく叩き続ける。
指で撫でられるほどに、充血してゆくペニス。
「これで終曲です!!!」
杏の指が限界まで膨張した竿を鋭く弾いた瞬間、白濁液の噴水が放射された。
「ぎいいえええええええええええええ!!!」
ドクン、ドクン、ドクン!!!
タケルの心拍と同調したかのごとく、痙攣を繰り返し射精するペニス。
カン!
カン!
カアアアアアアアアアン!
演奏終了を告げるゴングが鳴り響く。
しかし、タケルの精液は留まる事を知らず、リングに白き雨を降らせ続けている。
そんな中、観客へお辞儀をする三坂杜杏。
高貴な家の令嬢に相応しき格式高い所作であった。
人生で一度きりとなるであろう芸術的体験に、観客のスタンディングオベーションはいつまでも止む事は無かった。

【試合結果】
児玉タケル ● ― ○ 三坂杜杏
(20分44秒 愛撫独奏曲~白き泉より薔薇を添えて~ ⇒ TKO  )



■第二話完




[43623] 第三話「黒船!太平洋を越えるダイナマイトボディ!!」
Name: 独情構◆03fd381f ID:0cb8d448
Date: 2020/07/28 02:03
【黄金のエンプレスコロシアム】

第三話「黒船!太平洋を越えるダイナマイトボディ!!」

■第三話:①
今春から大学に通っているタケル。
華の大学生と呼ぶほどのキャンパスライフを謳歌している訳ではない。
しかし高校までの校則に縛られた生活とは比較にならない、自由奔放な自活生活に慣れ始めた所だ。
今日も講義が行われる教室へ向かうべく、広い大学構内を歩いて移動中である。
春の薫りをまとった柔い風を受け緑道を歩くこの時間を、タケルは気に入っている。
時間はまだ午後三時を回った所だが、早くもあちらこちらで運動系サークル活動に精を出す大学生の声が聞こえてきた。
カリキュラムは大学生各々が決める為、サークルの時間帯もそれぞれである。
自分自身に合った生活リズムを全うできる人生唯一の四年間がいかに貴重であるか、社会に出てから思い知るのは若者の常であろう。
ズガアアアアアアアアアン!!!
凄まじい爆音が、体育館からタケルの耳に、飛び込んできた。
思わず講義の事が頭から飛び出てしまったタケル。
すぐさま音の出どころである体育館へ小走りした。
「まさか・・・爆弾テロじゃないよな?」
荒唐無稽とも言い切れない不安な社会情勢を頭の片隅に置いて、タケルは扉が開きっぱなしになっている体育館に到着した。
扉部分から中を覗くと、そこではレスリングサークルの面々が集結し、練習に励んでいる光景が広がっていた。
男子はシングレット、女子はレスリングウェア。
そんなレスリング部の中で、ひときわ目立つブロンドヘアーの女性が、タケルの目に止まった。
「外国人なのか・・・?」
明らかにアジア系とは異なる顔つきの女子レスリング部員。
「行っちゃえ!アリス!!」
「踏ん張れ!鴨田!」
「ぶん投げろー!!!」
周囲を囲むレスリング部員がそれぞれ声を掛けている。
円周に集まった人々の囲いの中央では、先ほどの外国人女性とレスリング部員の男性が、スパーを行っている最中だったのだ。
「レスリングのサークルに留学生が参加しているのか・・・?」
誰からの説明を受けることなく、次第に状況を呑みこんでゆくタケル。
しかしアマレスをやっているだけで、さっきのような爆音が起こるだろうか?
タケルの頭に揺らめき続けていた疑問は、すぐに霧散することになる。
鴨田と呼ばれていた男子が高速のタックルを仕掛けた。
しかし、そのタックルは相手に触れることは無かった。
「スローリーよ鴨田!イエアアアアア!!!」
鴨田を遥かに上回るスピードで円の軌道を滑るブロンドヘアー。
既にアリスと呼ばれた女子が鴨田のバックを取っていた。
鴨田もすぐさま抵抗を試みたものの、何故か膝から崩れ落ちるようにへたり込んでしまった。
「ジョーブツして!!ソオオオオオオオイ!!!」
片言交じりの日本語と共に、超高速ブリッジで鴨田を投げ飛ばしてしまう。
「な・・・なんだあのパワー・・・・」
鴨田の悲鳴をよそにタケルの着眼点は、その恐るべき放物線に注がれた。
おそらくは110kgを超えるであろう鴨田の身体は、アリスの投げっぱなしスープレックスにより、文字通り宙を舞ったのだ。
プロレスでもあり得ない放物線軌道とはっきり分かる高さと飛距離。
哀れ鴨田のたくましい肉体は、バレーボールの打ち上げレシーブのごとく飛んで行ってしまった。
ドゴオオオオオオオオオン!!!
人体が恐るべき高さから床に叩きつけられたのだ。
ボールとは次元の違うバウンド音が発生した。
シングレットを履いた鴨田はエビ固めに似た格好で、体育館の床に鎮座して動かない。
「これが・・・さっき聞いた爆音の正体か・・・」
存命しているか怪しい鴨田の惨状を目の当たりにして、硬直してしまうタケル。
「ハ~イ!タ・ケ・ル!!ナイストゥミーチュー!!!」
左腕に圧倒的な、しかし実に心地よい弾力を感じる。
「うわ!」
突然の柔い刺激に、タケルは素っ頓狂な声を上げてしまった。
先程まで鴨田とスパーをしていたアリスが、放心中のタケルに接近していたのだ。
タケルがまず驚いたのは、アリスのバストサイズ。
概算でもBは100を超えているはず。
それ程の巨乳の持ち主であった。
胸を左腕に押し付けるなどという生易しい物ではない。
タケルの腕がアリスの腕の中に埋まってしまっていると、言った方が正確だろう。
タケルは突然、片腕を弾力性極まりない乳房の牢獄に閉じ込められたと、言っても過言ではない。
「ア、アリスさん?」
「初めましてよ、タケル。あなたに会いたかったわ。」
爆音の正体が判明して霧の晴れたタケルの脳内。
そこに新たな疑問の渦が発生している。
何故、外国人が自分の事を・・・。
「スマホ動画であなたの試合をみせてもらったの。それ以来、いてもたっても居られなくてね・・・。とうとう留学までしちゃったわ!!」
「それじゃあ、アリスさんもヴェルエポックに参加する積りなんですか?」
タケルは戦慄していた。
自分の痴態が、想像以上にネット世界に拡散している事実に。
「敬語はノーよ。アリスと呼んでね!勿論すでにヴェルエポックへ参加を打診したわよ。」
「そう・・・。あそこには沢山の強い人たち上がいるから、アリスも満足できる戦いが・・・」
タケルの言葉をアリスは遮る。
「ウェイト!私の望みはタケル、あなたとのミックスシングルマッチなの!私もあなたが目的でリングに上がりたいのよ!私の挑戦状、もちろん受けてくれるわよね!?」
片目でウインクしながら、アリスはタケルの身体に密着していた。
御剣花純や三坂杜杏といった美女たちとリングで肌を合せたタケルだが、外国人女性のボディは未知数の体験である。
既にズボンの中では逸物がはじけ飛びそうなまでの膨張を続けている。
前述の二人との最大の違いはやはり、アメリカ南海岸の太陽と海によって育まれたビッグバスト。
過酷なトレーニングを続けたことで、常人を大きく超えた太さの腕を、すっぽり覆いかねない程のサイズである。
レスリングウェアの布地とその奥にある乳房の柔らかさが、タケルの心拍数を跳ね上げてゆく。
「プリーズ・・・タケル・・・」
瞳に涙を浮かべ、懇願してくるアリス。
「・・・分かった!分かったよ!挑戦を受けるからさ・・・!!」
顔を接近させてくるアリスに耐えきれず、挑戦を了承するタケル。
同じ大学構内にいるはずの花純あたりに相談すべき事だが、アリスに押し切られる形で承諾してしまった形だ。
「サンクス・・・タケル!!」
固まっているタケルの頬に、アリスは素早く口づけする。
「うわ!!!」
仰天したタケルが顔を震わせた。
「これくらいはただの挨拶と同じよ?試合じゃもっと凄いことして、エキサイトさせてあげるわ!天国へ行くカクゴを決めておいて!!」
必勝宣言をタケルに告げたアリスは、堂々と体育館へ戻っていく。
その背中を見送りながら、タケルは前の二戦に劣らぬ激戦と快楽を覚悟した。

■第三話:②
街の女性有志たちが立ち上げた女子プロレスサークル、ヴェルエポック。
そこに唯一男子レスラーとして参戦している児玉タケルは、本日も意気揚々とリングへ上がる。
デビュー以来、戦績は芳しくないものの、会場をヒートアップさせるそのファイトは早くもヴェルエポックファンから好評を得ている。
黒のパンツを履いたのみのシンプルな出で立ちで対戦相手を待ち受けるタケル。
対戦相手は既に分かっている。
同じ大学に通う留学生のアリス・ミレイラが、今回の試合相手である。
「恐ろしいパワーだが・・・俺も三坂杜さんとの試合からフィジカルトレーニングを見直している・・・。必ず突破口はあるはずだ・・・。」
タケルは三坂杜杏の恐るべき握力を思い出し、それを糧にアリスとの戦いに臨まんとする。
杏からは手痛い敗北を与えられたが、いい経験になったとタケルは認識していた。
手強い女性との戦いに高揚感を覚えるようになったタケルだが、同時にこれまで全ての試合で射精させられている。
マットを汚す行為に恥じらいを覚えつつ、そこで刻まれた強烈な快感が忘れられない。
タケルにとって、それはヴェルエポックに参加し続ける密かな動機にもなっているが、中々それを受け入れられずにいる。
迷いを生じたタケルの耳に陽気な音楽が飛び込んできた。
向い側の花道に視線を移すと、本日の対戦相手アリス・ミレイラが歩んできていた。

『遠くアメリカ合衆国より太平洋を越えて、黒船空母がヴェルエポックへ強襲離陸!!全てが日本とはけた違い!!“ザ・アメリカンダイナマイト!!”アリス・ミレイラ~~~!!!』
実況の景気良い紹介が済むと、両腕を上げてアピールするアリス。
アメリカ国旗柄のマントを投げ捨てると、観客からどよめきが起きた。
現れたのは、パープルカラーのレスリング・シングレットに包まれたボディ。
そして突出した超合衆国サイズのバスト。
大きく張り出した乳房は、シングレットの生地を破かんばかりの窮屈さである。
「す、すごい・・・」
大学構内でも一度見たはずのレスリングウェア姿のアリス。
しかし、リングと言う特殊な環境で目の前に捉えた時、その迫力は筆舌に尽くしがたい物がある。
「タケル!私のバストが気になるのは分かるけど、見とれて実力が出せないなんて言い訳はノーよ!?あなたを天国へ送る為の準備は出来ているの。忘れられない一日にしてあげるわよ?」
宣言すると、アリスはその大きすぎる胸で、タケルの分厚い胸板をプッシュした。
「う!!」
余りの大きさ、柔らかさに後ずさりしてしまうタケル。
一瞬触れただけなのに、体全体がアリスのバストに包まれたのではないか、と錯覚してしまったのだ。
リボンでポニーテールにまとめたブロンドヘアーをかき上げて、コーナーへ下がるアリス。
その表情は、既に自分の勝利を信じて疑わない微笑を浮かべていた。

■第三話:③
カアアアアアアン!!
試合開始のゴングが鳴り、タケルは前進を開始する。
前回の試合相手、三坂杜杏は、その人並み外れた握力でタケルの指を早々に破壊してしまった。
タケルは、前回の轍を踏むまいと、アリスの戦い方を注意深く観察することにした。
それについては、やはりレスリングサークル所属という点がヒントとなるだろう。
タケルが大学で目の当たりにした、豪快過ぎるスープレックス。
あれを喰らえば、致命傷となり得る威力だ。
「アリスにバックを取らせてはいけない・・・。」
タケル自身、レスリング専門という訳ではない。
専任者相手となれば、遅れを取らざるを得ない。
しかし、長いプロレス経験の中でレスリング技術は自然と培われている。
タケルがアリス相手に易々とバックを取られることは無い。
「まずは打撃で様子見するか。」
アリスの狙いが組みつきと読んだタケル。
ローキックを打ち、アリスへ牽制を開始する。
「アウ!!!ンンノオオ!!!」
レスリングらしく腰を落して構えていたアリスだが、タケルのローキックに攻めあぐねている。
「ヤア!」
アリスはタケルの蹴りにタイミングを合わせ、足を掴みに行く。
しかし、タケルもローキック一辺倒ではなく、軌道を変化させてアリスの上腕部や頭部に蹴りを叩きこむ。
前回の三坂杜杏戦でも見せた蹴りのラッシュ。
その技術は更に磨かれ、タケルの代名詞となりつつある。
「アウ!ノー!!」
タケルのキックを受け続けたアリスが、とうとうダウンしてしまう。
「タケル、ストロングね・・・ちょっとブレイクタイム!」
アリスはマットを転がり、コーナーまで非難すると、両掌を上げてタイムのジェスチャーを見せた。
観客からはアリスの滑稽な様子に笑いが湧き起っている。
朗らかな空気が体育館を包み始めた所で、アリスが立ち上がった。
「ンフ♪さすがタケルね!私もこれからがホンキよ!!!」
アリスは自分の胸を叩いて本気アピール。
パープルカラーのシングレットは、アリスの巨大すぎるバストに突き上げられている。
間近でそれを眺めるタケルの目には、実際のサイズ以上の物に映っているかもしれない。
「・・・なんだ?さっきまでとはまるで別人見えるが・・・?」
この時、アリスの雰囲気が変化したことを察したのは、対戦相手のタケルだけであった。

■第三話:④
「カモン!!!」
両手に腰を当てたアリスが仁王立ちで、タケルを挑発した。
「そりゃああああ!!!」
ここまで打撃でアリスを圧倒しているタケル。
再び打撃を叩きこみに行く。
タケルは右の掌底を突き出し、アリスの胸を狙い打つ。

ヴォイイイイイイイイン!!!

「あれ?」
あまりに柔くあまりに弾む。
未知の感触を覚えたタケルは困惑した。
「ワンモア!」
アリスは相変わらず両手を腰に当てて身動きしていない。
その表情から先程のタケルの掌底によるダメージは見受けられない。
「そりゃ!」
大ぶりのモーションで右足を振り上げたタケルが、その足をアリスに突き出した。
タケルの右足が杭打機の要領で、アリスの胸に深く沈む。

バヨオオオオオン!!!

「うおおおお!!!?」
トランポリン競技の様な光景で吹っ飛んだのはタケルの方である。
観客からは驚きの喚声が湧く。

リングの上で発生した事象は誰の目にもはっきりしていた。
アリスのダイナマイトサイズの乳房が、その弾力を以って、タケルの蹴りをその体ごと押し返してしまったのだ!!

「そんな・・・ことが・・・?」
身を以って味わったタケル本人は、アリスの防御術に理解が及んでいない。
体感したからこそ不可思議も倍増したという事である。

「くそ!そんな馬鹿なことがあるか!!!」
背後のロープに背を預け、タケルが突進。
右腕を振ってラリアートを繰り出す。
狙うはアリスの持つ魔の乳房。
磨き続けた自分の技はアリスのおっぱいに劣る現実を見ないタケルは、童話のドンキホーテと化している。

ボイヨオオオオオオオオオン!!!!

結果はやはり変わらず、アリスの爆乳はタケルのパワーを弾き飛ばしてしまった。
しかし、弾かれたタケルの背は再びロープに押し込まれ、その反動を倍増させて跳ね返る。
先程とは比べ物にならない加速を手に入れたタケルが、再びアリスに接近する。
「正面が駄目なら後ろはどうだ!」
観客の誰もがタケルがもう一度吹き飛ばされる光景を予想したが、タケルの動きはこれまでとは変化していた。
タケルはアリスの横側を抜けてその先のロープへ飛び込む。
身体を反転させて、三回目のロープワークで、アリスの背中へ駆け出したタケル。
「ホワッ?」
真正面からタケルがぶつかりに来ると構えていたアリスだが、自分をすり抜けたタケルの位置を見失っていた。
「これを受けてみろ!」
タケルが、無防備なアリスの後頭部を、鷲掴みながらジャンプする。
虚を突かれたアリスは腰を落す暇もなく浮きあがった。
その視界は真っ白なマットで一杯となる。
タケル、乾坤一擲のフェイスクラッシャーである。
このままアリスの顔面はマットにめり込み、悲惨な傷を負うことになるはずであった。

バイイイイイイイン!!!

「え!?おわああああ!!!?」
大きすぎるアリスのバストは、彼女の顔より先にマットへ接地することになった。
一瞬潰れた胸は、弾性による跳ね上がり、アリス自身の身体を浮き上がらせる。
強く地面に叩きつけられたバスケットボールが、より高く跳ね上がることと同じ出来事である。
常識外れのアメイジングバストは、人間をある種のバスケットボールにしてしまったのだ。
アリスと共に上空へ投げ出されたタケル。
しばしの滞空時間を過ごした後で、マットに背中から落着することとなった。
「ぐふ!!」
あまりに常識外の攻防に思考が追い付かないタケルは、受け身を忘れてしまう。
強かに打ち付けた背中が痛む。
内臓に重圧がかかりせき込む。
だが、それはこの試合においてダメージには数えられないだろう。
タケルは、これからアリスのバストによって、それを存分に叩きこまれることとなる。

■第三話:⑤
「中々考えたわねタケル!でも私のバストを破るにはパワー不足よ!!」
四つん這いで消耗しきったタケル。
悠々と立ち上がり、自らの胸を持ち上げてノーダメージをアピールするアリス。
既に二人の明暗は分かれている。
だからといって、将棋の様に投了が許されないのがプロレスだ。
「く・・・うわあああ!!!」
空元気と分かる声を発して、空手チョップを振るタケル。
しかし、タケルの右腕はアリスの両乳によって挟み込まれてしまう。
「アハ!スローリィ&ウィークよ、タケル!」
アリスは両腕で自らの乳房をこねくり回し、タケルの右腕にこすり付けはじめた。
「ん!んぐうう・・・なんだこれ?」
まるでタケルの腕を陰茎に見立てたパイズリである。
シングレットの生地と布一枚を隔てた生乳の感触を明確に感じ取ったタケル。
たったそれだけで、タケルのペニスが黒いプロレスタイツを突き上げた。
「ふうう・・・ぐうう・・・や、やめて・・・」
ヴェルエポックのリングで女性たちとプロレスする度に、勃起してきたタケル。
最早その巨根はタケルにとっての代名詞となりつつある。

「ようやくエレクチオンねタケル・・・」
タケルは、アリスが明らかに上気している様子を見て、青ざめる。
「ノーエスケープよ!」
アリスは体勢を変化させて、タケルの両脇に自分の両腕を通す。
そしてタケルを前かがみにさせて、背中をロックした。
タケルの首は前傾し、アリスの爆乳にすっぽり格納されてしまう。
リバースネルソン+バストシザースの恐るべき締め技がリングに現れた。
「む~~~う~~~~~!!!!」
前かがみ且つ両腕を羽交い絞めにされたタケルは身動き取れずに、アリスのバストで圧殺されている。
首を振ってにげようとするが、右を向いても左を向いてもあるのはパープルカラーのシングレットのみ。
性格にはアリスの乳房によって張り出たシングレットである。
柔らかくも強固なその環境は、おそらく人類で初めてタケルが体験する過酷で幸福な空間である。
「ふううううああああ・・・出して・・・出してくれええええ」
「タケル、ギブ?ノーよ!もっとハッスルしよー♪」
タケルの抵抗をけらけら笑いながら見守るアリス。
彼女のバストに捕えた以上、獲物が逃れる方法は無い。
「ひゅうう・・・ぐう・・が・・ああ・・・」
激しく抵抗していたタケルだが、あまりの窮屈さに呼吸困難となっている。
「アっ!ソーリー!タケル、アーユーオーケー?」
アリスはタケルをバストから解放してあげた。
生き荒く深呼吸を繰り返すタケルだが、とてもではないが自力で動ける状態でないと分かる。
「今度は呼吸できるようにしてあげるわ!」
タケルの上半身だけを起こしたアリスが、今度は背後からタケルの頭部をバストで挟み込む。
「ぎいいいいいい!!!」
後頭部から乳房で挟みこまれる形になったタケル。
先程の様に口と鼻が覆われる事態は免れているものの、アリスのバストは容赦なく圧力をかけてくる。
アリスは自分のバストを両手で押し込み、更なるプレッシャーをタケルの後頭部へ送り込み続ける。
工具の万力によって頭蓋を割られる事と同じである。
一方で、厳しい圧とは正反対の柔和な重みも伝わってくる。
如何なる人工物でも敵わない天然のアメリカンおっぱいの弾力と温かみ。
アリスの胸は、男が求めるサイズ、感触を最高レベルで兼ね備えた逸品中の逸品であった。
「あはああああ・・・・おおおおお・・・・・いいいいいいい・・・・」
そんなアリスに苦しめられているはずのタケルの様子は、やがてリラックスした物へと変化していった。
先程までの地獄の責め苦を受けた罪人の如き表情は消え失せ、今は母親に抱かれて眠りにつく赤ん坊の様に穏やかな表情だ。
赤ん坊との違いは、タケルは既に大学生の年齢であり、巨峰のごとき突きあがった股間の一物である。
既にプロレスタイツを濡らしている切っ先。
今にも噴火しそうな危険をはらんでいる。

■第三話:⑥
自ら技を外したアリスが立ち上がった。
「そろそろフィニッシュの時間よ!タケル、スタンダップ!!!」
ポニーテールをかき上げてアリスは手招きする。
「ふう・・・・く・・・」
度重なる巨乳殺法で満身創痍のタケルも弱々しく立ち上がった。
クライマックスの瞬間を肌で感じた観客は閉口し、試合の行方を見守るのみとなった。

「オーケー!レッゴー!!」
タケル目掛けてアリスが姿勢を低くして突撃する。
試合序盤では散々打撃で邪魔されたタックルだが、最早タケルはでくの坊も同然。
「あふううう・・・」
見事、アリスはタケルの捕縛に成功した。
しかし、通常のレスリングと違い、タケルは倒されることも無く直立したままである。
「捕まえたわ!覚悟はオーケー?」
アリスは身を屈めて、タケルのペニスをバストで挟み込んでいた。
所謂、パイズリの姿勢だ。
「おほ、おおお・・・」
囚われたタケルはというと、アリスのバストにペニスを挟み込まれたこともり、脳内を快楽に支配されてしまっている。
目尻に涙を浮かべ、口端からは涎が溢れ出ている。
アリスがバストを手で動かして刺激を与えると、タケルの身体が痙攣を始める。
黙っていてもタケルのペニスが豪快に射精で爆発することは明白である。
「ノープロブレム!タケルをゴートゥヘブンさせるのは私よ!!ホオオオオオラアアアアア!!!」
アリスは両乳を持ち上げて、タケルのペニスを反り上げた。
「くはあああああああああああああああ!!!!!!」
アリスの動きに逆らえず、タケルはつま先立ちで反り返ってしまう。
「これでフィニッシュ!ボルカニック・エルプション・スクリューーーー!!!!!!!」
突如、アリスがその場で飛び上がり、錐もみ回転した。
アリスのバストに挟み込まれていたタケルのペニスは逃げる事も出来ずに、その回転に巻き込まれる。
アリスの巨大で柔らかい乳房に囚われたまま捩じられたペニス。
「んひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」
その刺激に堪らず、タケル自身も空中回転してしまう。
そして、鋭い回転の中でペニスの鈴口より純白の液体が噴射された。
「おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

ドヴァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!

アリスとタケルの空中錐もみ回転と同時に、まき散らされる白濁液。
まさに火山の大噴火の惨事を連想させる恐るべきボルカニック・エルプション・スクリュー。
「ぐへあ!!!!」
マットに叩きつけられたタケルだが、アリスは尚も彼のペニスを解放しない。
「ベリーベリーホットなミルク・・・ノー、これはホワイトマグマよタケル・・・」
自らの巨大なバストをタケルの精液に汚されながらも、アリスは笑顔のまま射精を続けさせた。
「ふうううう!!!あああああ!!!!ほおおおおおおお!!!!」
二度、三度と噴火を繰り返す陰茎の活火山。

これまでもタケルはリングで射精してきたが、今回は中でも群を抜いている。

そこにゴングの音が鳴り響いた。
カン!カン!カアアアアアアアアアアアアン!!!!

■第三話:⑦
実況席の机の上にあるゴングを鳴らしたのは、ヴェルエポックに参加している女子大生レスラー、御剣花純であった。
「もう十分でしょう。アリス、あなたの勝ちよ。おめでとう。」
拍手をしてアリスの勝利を讃える花純。
しかし、その表情は険しい物であった。
失神したタケルを介抱するのは同じく三坂杜杏だ。
両名ともタケルとは、ヴェルエポックのリングで熱戦を繰り広げ、親睦を深めた仲である。
「アリスさん、見事なお手前でした。」
杏もまたアリスに賞賛の言葉を送るが、表情は冷たい。
タケルとの戦いで彼と特別な絆を結んだと思っている彼女たちが、“新参者”の増加を喜ぶ道理もない。
停滞気味であった街の女子プロレスサークル『ヴェルエポック』。
男子レスラー、児玉タケルを招き入れたことで、その動きは再加速することになる。
その激しさは、やがて街のみならず、日本中を巻き込むほどに大きくなる。
しかし、それはまだしばらく未来の話である。


【試合結果】
児玉タケル ● ― ○ アリス・ミレイラ
(30分4秒 ボルカニック・エルプション・スクリュー ⇒ TKO  )



■第三話完



[43623] 第四話「芳香!リングに香るスィートトラップ!!」
Name: 独情構◆03fd381f ID:0cb8d448
Date: 2020/08/20 01:38
第四話「芳香!リングに香るスィートトラップ!!」

【第四話:①】
大学生とヴェルエポックのレスラーという二束の草鞋を履く生活が続く児玉タケル。
充実はしているものの、やはり日々の生活に癒しの空間を求めたくなる。
タケルは殺風景で狭いアパートの部屋に彩りを加えるべく、駅前に並ぶ雑貨屋、アンティークショップなどを渡り歩いていた。
中々自分の目指す彩りに辿り着けないまま時間が過ぎていた所に、一軒の花屋が視界に入ってきた。

「お花か・・・まあ見るだけなら・・・」
観葉植物を置くことを考えていなかったタケルだが、既に数多くの店を回った後である。
変化を求めるように花屋『がちもんめ』のドアを開けるタケル。
中には店主が一人で店番と花の世話を担当していた。
黒髪を結い上げ、肩に流した大人の女性であった。
見るからに貞淑と言う言葉が当てはまりそうな人。
しかし、それに背反するような近寄りがたい凛然さも兼ね備えている女性。
「いらっしゃいませ。」
透き通る温かみと心地よいしっとりさを伴う声色であった。
「あ・・・はい・・・」
花屋の声を聞いただけで夢心地に至るタケルの脳内。
鏡を眺めることが出来たら、タケルは赤面になっていた。

リクエストに関して簡単なやり取りをこなしただけだが、タケルはとても正常ではいられなかった。
一目ぼれに似た反応だったかもしれない。
美しき店主から勧められた観葉植物とその鉢を購入して、おぼつかない足取りで店を後にしたタケル。
花の芳香に吸い寄せられ花粉の運搬役を任される虫も、案外同じ感覚だろうか。
タケルは、そんなまとまらない思考をループさせながら、家路に着くのであった。

【第四話:②】
タケルの住む街の女性たちが結成して、始まった女子プロレスサークル【ヴェルエポック】。
プロレスへの情熱を持ち寄ったことで形を成した興行を、街の体育館を借りて開催している。
不定期な催しながら、そのガッツあふれる女性たちの美しいバトルは、徐々に評判を集めいている。

そこに突如参戦した現役大学生男子レスラーの児玉タケル。
ミックスファイトという新たなコンテンツを加えたヴェルエポックの人気は、更に上昇していく事となった。
今回で4戦目となるタケルも、サークルの空気に慣れたようで、片手を上げてアピールしながらリングへ上がった。

「そろそろ白星が欲しいな・・・今日の相手はどんな人だ?」

過去にこなしたタケルのマッチメイクは、当日の試合開始まで伏せられてきた。
デビュー戦では、ビビッド・マーメイドの異名を取る御剣花純。
二戦目では悪魔の指弾令嬢、三坂杜杏。
三戦目は乳圧のカーペットボミング、アリス・ミレイラ。
いずれも女子レスラーとしての実力、女性的魅力、男を籠絡する技術を兼ね備えた女傑たちであった。
コーナーポストにもたれ掛りながら、彼女たちとの死闘を思い出すタケル。
どれもタケルにとっては、強烈な記憶となって、脳内と体に刻まれている。
それは恐怖でもあり、楽しい過去であり、また自分を熱くさせるカンフル剤でもあった。
「・・・まずい」
タケルはまだ試合が始まってもいないのに、逸物が充血し始めていることに気付いた。
少しずつ着用している黒いプロレス用パンツが持ち上がり、テントを張っていく様子が見て取れてしまう。
「俺は・・・このリングに何をしにきているんだ?」
4戦目にして、タケルはヴェルエポックのリングで戦う理由について自問した。
3戦して3戦とも相手の女性の手で射精させられ、ノックアウトされているタケル。
自分は女性相手にプロレスをきちんと出来ているのか?

「あらあら・・・!あなたは店に来てくれた学生さんね?」
「あなたは・・・。花屋の・・・」

暖かい声がタケルの思考を遮断する。
いつの間にかリングインを済ませていたタケルの対戦相手が、目の前に立っていたのだ。

『百花繚乱のヴェルエポック!しかし、一番、花が似合うのはやはりこのお姉さん!ヴェルエポックに咲いたラナンキュラス、華折瑞月~~~~~!!!!!』

「ご紹介に与りました。華折瑞月と申します。今日は胸をお借りしますね?」
口端を持ち上げ笑顔で挨拶した瑞月。
日本人が連想する美人の大人と言うべき彼女の笑顔は、タケルの悩みを暖かく溶かしてしまう。
「はい・・・華折さん・・・いい試合にしましょう・・・」
握手を交わす両者。
しかし、タケルの方は夢遊病患者の如く、目線も膝も揺れている。
タケルが精神の均衡を取り戻す暇も与えず、試合開始のゴングは鳴らされた。


【第四話:③】
華折瑞月は、ピンクのレオタードの上にスカートやフリルで装飾したリングコスチュームを着用している。
華やかな女性らしいコスチュームであり、激しく動いた際に舞い上がるスカートの陰からのぞく股間部には、男性客を集める効果も見込める。
プロレスとは相反する淑やかな雰囲気を醸し出す瑞月。
そのギャップが人気の理由だろう。

「試合が始まってしまいましたね。じっとしていてもプロレスにはなりませんので・・・先手をいただきます。」
タケルに朗らかな雰囲気で話しかける瑞月。
しかしその動きは鋭かった。
瑞月は飛び上がったと同時に、腰を捻転させ右足を鎌の如く振り払う。
突風を起こしながら、ローリングソバットが、タケルを襲った。
「む!」
不意打ちを仕掛けられたタケルだが、冷静に瑞月のリーチを見切り、蹴りを回避できた。
鼻先をかすめる形で、瑞月の右足が振りぬかれた。
そこに一陣の風と共に鼻腔を擽る薫りが漂う。
「甘い香りが・・・一体これは?」
タケルが訝しんだ。
思えば、体育館に入場した時から違和感はあった。
普段は無い花の香りが漂っていたのだ。
タケルは入場時、まるでテーマパークの植物園に入ったような錯覚を覚えたものだ。
観客達も変わった趣向と思いつつ、別段変わらずに感染しているようだ。

「私が試合に出場する時は、いつも自家製の香水を置かせて貰っています。」
タケルの困惑を感じ取ったのか、瑞月が香りの謎について説明してくれた。
タケルが体育館を見渡すと、館内の四隅に大型のアロマポットが設置されていることに気付いた。
「気に入ってもらえると嬉しいです。」
にっこりと笑顔を作り、サイドにまとめた髪を整える瑞月。
整った体型の女性がピンクのフリル付レオタードを纏い、児玉タケルの前に立っている。
そのリングには、桃を連想させるフルーティな香りで充満している。
戦いの場に相応しくない香りだが、タケルはこの環境に慣れ始めていた。
いや、空気に乗って漂う、香りの分子から逃れる術などありはしない。
タケルは今、リングの四方に張られたロープと瑞月の仕掛けたアロマという二重の檻によって、閉じ込められたのだ。

【第四話:④】
「えい!えい!やあ!!」
「ふ!」
リングでは華折瑞月が、児玉タケルに向って、掌底ラッシュを仕掛けている。
守勢に回るタケルだが、両手でラッシュを凌いでいる。
そしてタケルが瑞月の動きを見切り、反撃を開始した。
「どりゃ!!!」
瑞月が更に前進して腕を振るタイミングに合わせて、タケルが跳躍した。
宙に浮きあがったタケルが両足を揃えて、瑞月の胸に突き指す。
「がふううう!!!!」
タケルのドロップキックで、瑞月が後方へ吹っ飛ばされてしまった。
ダウンだけでは足らず、後転するほどのカウンターをもらったのだ。

「行きますよ!そら!!」
瑞月の頭を掴んだタケルはそのまま引っ張り上げる。
そして立たせた瑞月の首目掛けて、剛腕によるラリアート。
タケルのラリアートで再びマットに叩きつけられた瑞月。
首と後頭部へのダメージは甚大でないようだ。
両手で頭を押さえ、うつ伏せのまま動けない。

「どああああ!!」
倒れた瑞月に容赦ないエルボードロップを浴びせるタケル。

女相手に厳しい攻めを展開するタケルに、観客はブーイングを浴びせ始めている。
しかし、タケルの意識には手加減する思考は微塵も無い。
ヴェルエポックでこなした過去3試合。
その全てで女子レスラーの技に圧倒されるだけでなく、勃起と射精という恥辱の敗北を喫しているのだ。
これ以上の黒星は貰いたくない。
一心不乱に瑞月を攻め立てるタケル。
瑞月を立たせると、対応する時間を与えない高速バックドロップで後方へ投げつける。
「きゃふ!」
大人びた女性が悶絶させる嗜虐的な体験が、タケルの心を惑わし始めている。
ただでさえこの試合ではあまり嗅ぎ慣れない香料が焚かれており、タケルは違和感を持ちながら進めている。
タケルは、精神の乱れが自分の肉体にどんな影響を与えるか、過去の試合で思い知っている。
「あう・・・」
目を閉じてタケルの技に耐えている瑞月。
美しい黒髪が乱れ、顔とマットに広がっている。
「く・・・フォールだ!!!」
ただ瑞月を見ているだけで、股間に熱を感じたタケル。
これ以上はまた体が反応してしまうと判断し、瑞月に覆いかぶさってフォールに入る。
タケルの胸板が瑞月の膨らみを押し潰す。
その感触にも耐えて、スリーカウントで試合を終わらせたいと考えているのだ。
瑞月自身も香水を使用しているようで、甘い香りが一層タケルの嗅覚を刺激してくる。
「あ・・・甘い・・・なんて甘い香りなんだ・・・」
レフェリーは瑞月の肩がマットに着いていない判断を下し、フォールカウントを保留していた。

「もっと押し込まないと・・・」
タケルは自分の脳内にまで薫りが充満している錯覚を覚えながら、懸命に瑞月の身体に密着する。
「そう・・・もっと・・・」
瑞月の唇が動き、言葉を紡いだ。
「え・・・瑞月さん、なんて?」
タケルが聞き返そうとした瞬間であった。
瑞月の両足が蛇のごとくタケルの腰に巻きついた。
「うわ!!!!」
瑞月が突如動き出したことに動揺するタケル。
思わず瑞月の身体から上体を起こしてしまう。
「もっと体を擦って、香りを味わってくださいな!」
マットに座り込む格好となったタケルを追いかけ、瑞月の両腕が伸びる。
「捕まえました!」
タケルの両脇を瑞月の腕が通り、背中に回されている。
これでタケルは、瑞月の両手足に巻きつかれる格好になってしまった。
密着した瑞月の身体からは、香しいフルーツフレーバーが、奔流となって立ち上り始めた。


【第四話:⑤】
「ううう・・・・この香水、ただの香水じゃない?」
「あら、人体に有害な反応は起こしませんよ?ふふふ・・・」
先程までタケルに攻め立てられていたはずの瑞月は、妙に上機嫌である。
逆にタケルは瑞月の反撃に動揺したのか、動悸が激しくなっている。

マットに尻もちをついたタケルの上半身に瑞月がしがみ付いている瑞月だが、ここから何か技に派生する様子は無い。
いや、瑞月は体を上下に動かして、タケルに自分の身体をこすり付けはじめている。
ペットが家具に体をこすり付けて自分の匂いを擦り付ける行為は広く知られているが、ここでそれが何の意味を成すというのか。
観客も固唾をのんで試合の行方を見持っている。

「ん・・・ああああ・・・・」
「タケルさん?さっきから体調が優れないようですけど・・・試合を止めてもらいましょうか?」
瑞月は体をこすり付ける動作を続けながらタケルに聞いた。
相手を慮る思いやりに満ちた声色。
この声を聞けば、瑞月が心優しい大人の女性ということが、理解できるだろう。
しかし、今はプロレスの最中である。
誰もがここでは勝利に眼光を光らせる獣となるリングだ。

「ノーだ!まだやれる!」
タケルが叫んで、試合続行を求めた。
そしてタケルは座った体勢から一気に立ち上がった。
上半身には相変わらず瑞月がしがみ付いてる。
しかしその重りを物ともしない動作であった。
「どあ!」
タケルは瑞月を抱えて、立て膝の上に落とした。
マンハッタンドロップだ。
「きゃあああああ!!!」
尾骶骨を痛打した瑞月の甲高い悲鳴が響く。
お尻を擦りながらダウンした瑞月に、タケルが追い打ちをかける。

タケルは、瑞月の腕を取って立たせた。
すかさずハンマースルーで、向かいのロープへ瑞月を走らせる。
自分も背にロープに身を預けて、反動を利用して駆けだすタケル。
お互いにロープの反動を受けて、リングの中央で交差する二人。
跳躍して右腕を伸ばし、瑞月の細い首に巻きつけるタケル。
タケルが飛び上がった勢いを活かした力強いネックブリーカードロップを繰り出した。
「んきゃ!」
後頭部を強かに叩きつけられた瑞月。
大技を受けて立ち上がれないと思いきや・・・。
「あらあら、技に切れ味がありませんよ?やはり体調が崩れているのでは?」
瑞月はダウンカウントを取られる前に立ち上がってしまった。

「・・・手ごたえが無いとは思っていたが・・・くう・・・こ、これは・・・!!?」
一方のタケルは消耗が激しい。
肩で息をしている状態である。
いや、それ以上の変化がタケルの身体に起こっていた。
「これまでの試合を見ていましたけど、やはり大きいですね。」
うっとりした表情で瑞月は、タケルの股間を注視している。
タケルのペニスは、いつの間にか完全に勃起していた。
瑞月との試合中にその兆候はあったが、黒いショートタイツ越しでも分かるくらいに、一物が激しく脈打っている。
「おかしい・・・俺の身体、どうなっているんだ・・・」
タケル自身、自分の身に起きた異常の原因を把握できていない。
あるのは息苦しさと股間に集中する、耐えがたいもどかしさ。
息を吸い込めば、嗅覚は甘いフルーツの香りに支配される。
タケルは、体中を廻る疲労感と快楽に耐えきれず、ついに膝を着いた。
「とうとう香気が全身に回ったようですね。うふふ・・・。」
微笑をたたえて瑞月が、膝を着いたタケルの下へ歩み寄って来た。

【第四話:⑥】
児玉タケルと華折瑞月の試合が始まってから、30分近くが経過した。
いつしか公民館の体育館全体に、葉月が設置したアロマポットから発散される香りで充満していた。
建物の外まで、桃を思わせる甘い香りが、漏れているかもしれない。
風向きによっては、町中の人々が香りによる陶酔感を味わっている可能性すらある。
リングで瑞月と戦うタケルは、それに加えて瑞月自身から香るアロマにも惑わされている。
瑞月が調合したという香水によって、タケルは力強い勃起を続ける羽目に陥った。
タケルの息は荒く、全身から発汗が止まらない。
単なる試合による運動疲労ではない事は、タケル自身が気付いている。

「そろそろ限界の様ですね。私も勝ちたい気持ちは持っています。だから、最後まで全力を尽くします。」
落ち着いた様子で、瑞月はタケルに語りかけた。
「それは、こっちだって同じ・・・うはああ!!!?」
タケルが言い切る前に、瑞月はコブラツイストで絡みついていた。
タケルの背後から絡みつく瑞月は、まるで蔓植物だ。
頑強なロックではないが、どこまでも絡みつく柔らかさ。
女性の胸や太ももを味わえる魅惑のコブラツイストだが、タケルにとって瑞月の技はそれ程のダメージは無い。
これまでタケルが戦ってきた女子レスラーと比較しても、瑞月はプロレスの為の身体作りが出来ていないのだ。
「くは!うおおおお・・・・!!!」
しかし、そんな女性らしい瑞月のコブラツイストで、タケルは喉の奥から悲鳴を絞り出されている。
「そんなに効きますか?あなたを倒せるなら、私のプロレスにも自信が持てます。」
口端を持ち上げて、瑞月は笑う。
「おかしい・・・この香りのせいで、体がおかしくなる・・・ああああ・・・・」
タケルの狂おしい悶絶は、瑞月との接触と甘い香りが原因だ。
腰を捩じられ、わき腹を圧迫されるほど、肺の空気が絞り出される。
足りない空気を補充しようと、強く空気を吸い込んでしまう。
アロマを過多に含んだ空気を取り入れてしまうのだ。
そして、吸えば吸うほどタケルの味わう快楽は増していく。
比例してペニスの膨張も硬度が高まる。
呼吸を繰り返す度に、怒張がタケルの黒色タイツを突き上げる。

「このままではまた・・・それだけは・・・」
我武者羅に動いて脱出を試みるタケル。
「あ・・・動いちゃ駄目です!」
体格で上回るタケルに暴れられては、瑞月もコブラツイストを維持出来ない。
しだいに、固めた手足がほどけ始めていく。
このまま脱出できると安堵したタケルだが・・・。
「大人しくしてください!ふううう・・・」
瑞月は、すぐそばにあったタケルの耳目掛けて、息を吹き込む。
「あはああああ・・・・」
情けない声を出して、タケルの意識は甘く溶けていく。
瑞月は体中から香水の香りを醸し出しているが、その吐息まで甘かった。
甘い吐息でタケルの思考は桃色に染まる。
タケルは動きを止め、アロマと関節技に身を委ねる。
「ん・・・うん・・・観念したのでしょうか?」
念入りに息を吹きかけながら、瑞月はタケルの身体を揺すってみた。
「おう・・ああ・・・」
呆けた声をわずかに上げただけのタケル。
アロマ仕込みのコブラツイストは覿面の効果を挙げていた。
瑞月はタケルを解放した。
それだけでなく、タケルと向かい合って持ち上げてしまう。

「凄いサイズ・・・その・・・ドキドキしますね・・・」
瑞月はタケルの股間を目の前に持ってきた。
そしてビッグサイズのペニスの屹立ぶりに、驚きの表情を浮かべた。
「聞こえていますか?危険な技ですけど、受けてくださいね?」
「ううう・・・」
ツームストン・パイルドライバーの体勢となって、向き合う二人。
タケルの顔は、瑞月の股間に潜り込まされる形となっている。
無論、瑞月は自分の股間にも香水を丁寧に塗っており、タケルの鼻はその香りを吸い込み続けている。
瑞月の股間に挟まれた温もりを味わい、どうしようもない強烈な射精への誘惑によって、タケルの思考はもはや形を成していない。
「あああ・・・甘い・・・なんていい香りなんだ・・・」
もっとこの香水を味わいたいと、タケルが瑞月の股間に頭をより深く潜り込ませた瞬間。
「やあ!!!」
瑞月が膝を折り、タケルの頭をマットに突き立てた。
大技ツームストン・パイルドライバーによって、タケルは瑞月の尻に敷かれてしまった。
「ぐえ・・・・」
手足を投げ出し、大の字でダウンしたタケル。
その顔は、瑞月のヒップに押し潰されている。
タケルの視界は、ピンクのレオタードで覆われた。

「まだまだ!行きますよ!」
タケルを立たせた瑞月。
ハンマースルーでタケルをロープへ送り出した。
先程と同様の場面だが、両者の立場は逆転している。
「ううう・・・これが・・・最後の反撃チャンスだ!!!」
一時的に、瑞月との密着から解放されたタケルが、最後の力で逆転を狙った。

「うおおおおおお!!!!」
「やああああああ!!!!」
走る二人が同時に跳躍し、互いに右腕を伸ばす。
タケルと瑞月が同じタイミングで、同じ技を繰り出す。
狙いは、ジャンピング・ネックブリーカー・ドロップである。
先程はタケルが瑞月に技を極めたが、今回は逆の結果となった。

タケルの右腕は正確に、最短距離で瑞月の首を捉えようとしていた。
しかし、瑞月の右腕はタケルの首より先に、タケルの勃起したペニスにヒットしたのだ。
「あぎいいいいい!!!」
急所への予期せぬ痛打によって、タケルは姿勢を崩してしまう。
そこに、タケルの固いペニスを弾いた瑞月の右腕が絡まる。

ズドオオオオオオオオオオン!!!

「ぐへええ・・・・」
「あら・・・・その・・・ごめんなさいね・・・」
ジャンピング・ネックブリーカー・ドロップ合戦を制した瑞月だが、勝利の歓びより先に
タケルへの申し訳なさが湧きあがってしまう。

「あああ・・・・」
瑞月の謝罪が届いたのか判断できないが、タケルは仰向けにダウン。
最早虫の息である。

【第四話:⑦】
「これでお仕舞にしましょうか・・・」
香水の力を借りてタケルの圧倒し続けた瑞月。
いよいよ勝利に王手をかけた。

「ううう・・・この香りを何とかしないと・・・」
処刑宣言を下されたタケルは、うつ伏せに体勢を変えて、立ち上がろうとする。
四つん這いになり四肢に力を込めるが、まるで力が入らない。
手足に力は入らないが、ペニスは先程以上に脈打っている。
瑞月が意図せずに当てた打撃も、むしろ快楽の後押しとなっているようだ。

「させませんよ。このままギブアップしてもらいますので。」
「うわあああ!!!」
瑞月がタケルの両足を掴み、弓なりに反らした。
逆エビ固めだが、瑞月はタケルの顔の先に腰を下ろしている。
非情にきつい角度で背骨を折り曲げられたタケルは絶叫するのみだ。
「ぐはあああああ!!!」
しかし、瑞月のフィニッシュホールドはそれだけで終わらない。
「ここの香水は特に調合を工夫しました。自信作ですから、楽しんで・・・」
背骨の痛みに堪えるタケルの眼前に広がるのは、瑞月の開脚した股間。
これまでの桃に似た香りだけではなく、ローズアロマ、柑橘系と思われるこれまでとは違う香りも配合されているようだ。
そんな香りが染みついた股間が、鰐の顎のごとくタケルの顔面を挟み込んだ。
「んおおおおおおお・・・・」

ヘッドシザースと逆エビ固めの複合関節技とそこに混ざり込む特製アロマ。
これこそ瑞月が打倒タケルに向けて用意した“プリゾン・デ・パルファン”である。
「降参してくださいますか?」
降参を促す瑞月だが、タケルの両足をさらに引絞り、攻めをきつくしていく。
タケルは反り返されるほど、顔を瑞月の股間に埋めることになる。
そして、瑞月の股の中で、空気を貪るのみだ。
「香りが・・・またああああ・・・・あいいいいいい・・・・」
特別に調合した香水を沁みこませたレオタードのクロッチ。
特濃の香りが、タケルの脳内を破壊していく。

「もっと欲しいですか?それならば!」
限界までタケルの脚を引っ張る瑞月。
「ごおおおおおお・・・・いいいいいいいいいいい・・・・」
ついに、タケルのペニスに決壊の時が訪れた!

どぶううううううう・・・・・・・!!!!

タイツを障害ともせず、ペニスの先端から白濁液が噴出する。

「うわあああああああああああ!!!!!」
香水から与えられた快楽で自分を見失い、実力で劣る瑞月に追い詰められたタケル。
その末路はこれまでの試合と同様、火山の爆発を連想させる派手な射精であった。
「すごい・・・なんて量・・・・」
技を極めながらタケルの豪華な射精ぶりを見届ける瑞月。
弓なりに反りかえったタケルの腹はマットから浮き上がり、ペニスは観客の方向を向いている。
“プリゾン・デ・パルファン”によって、マットとタケル自身の重みから解放されたペニスは、何の遠慮も無く射精を続けている。

「お、あ、あ、んんんんん・・・・・」
全てを出しきったタケルは白目を向いて意識を手放した。

そして試合終了を告げるゴングが鳴らされる。

カンカンカンカアアアアアアアアアアアン!!!

レフェリーに右手を上げられ、勝利コールを伝えられた瑞月。
サイド三つ編みをかき上げて、はにかんだ笑顔を浮かべ、勝利の余韻に浸っている。
観客に向けてお辞儀し終えた瑞月は、他の女子選手たちに介抱されるタケルに近寄った。
未だ意識を取り戻さないタケルの耳元に小さな声で伝えた。
「今日のフレグランスはまだ実験途中なんです。宜しければ、私の店に来て、モニターになってくださいませんか?もっと凄い香水にも、あなたなら耐えられるはずです・・・いいお返事を待ってますね・・・」
瑞月の言葉が届いたかは不明だが、タケルの萎んだペニスは再びいきり立つのであった。

【試合結果】
児玉タケル ● ― ○ 華折瑞月
(35分55秒 プリゾン・デ・パルファン ⇒ TKO  )

■第四話完



[43623] 第五話「神秘!剛と柔のカーマ・スートラ!!」
Name: 独情構◆03fd381f ID:186502a9
Date: 2022/05/05 18:58
【黄金のエンプレスコロシアム】

第五話「神秘!剛と柔のカーマ・スートラ!!」

【第五話:①】
春の温かみある日差しが心地よい日曜日。
児玉タケルは、町内にある総合公園へ散歩に出かけた。
市内でも最大級の面積を誇るその公園には、アスレチックやサイクルロードなども備えられている。
そんな巨大公園の芝地には、家族連れや散策の為に訪れた人々が大勢寛いでいた。
のどかな光景の公園内で、少々風変わりな光景が、タケルの目に飛び込んでくる。
女性の集団が集まり、不可思議なポーズを取っているのだ。
それが単なるポーズではなく、健康体操としてのヨガであることを、タケルは察した。
「TVで見たことはあるけど、生で見るのは初めてだな・・・」
女性たちから怪しまれないよう、遠くから集団のヨガ体操を観察するタケル。

トレーナーと思しき女性と向き合う形で、様々な姿勢でストレッチを続ける集団。
四つん這いから猫が腰を捻るようなポーズ。
仰向けになり上半身と下半身を逆側に捩じるポーズ。
タケルにも見覚えがあるオーソドックスなストレッチであった。
「みんな、体が柔らかいんだな・・・プロレス向きかも・・・」
突拍子もない考えを頭に浮かべながら、女性たちのヨガ教室を眺め続けるタケル。
一通りメニューを終えたのか、女性たちは解散して休憩時間になったようだ。
思い思いに背筋を伸ばして体を休める者、芝生の周りに配置された林道へ散策に出かける者もいる。

そんな中でトレーナーと思しき女性は、ヨガ体操を続けていた。
先程までのポピュラーな形ではなく、両腕で自身を支えて両足を右腕に絡ませるポーズ、逆立ち状態から体を丸めて両足を地面に着けるポーズ等々、明らかに高難易度のヨガだ。
それを涼しい顔で次々とこなしていくトレーナー女性。
ノースリーブのシャツとレギンスという無防備でスポーティーな格好をしているが、一番タケルの目を引いたのは、彼女の褐色肌である。
インド系と思しき特徴的な肌の色だ。

「本場インドの人なのかな?凄い技をこなしているな・・・」
自分にあの真似は不可能と思いつつ、呑気に芝生の上に寝転がるタケルであった。

【第五話:②】
街の女性たちが結成した女子プロレスサークル『ヴェルエポック』。
プロではない一般人女性のみの構成であったヴェルエポックだが、高レベルな試合内容、地元を活性化させるイベント構想、ネット配信による広報などにより、その人気は高まり続けている。
そんな女性たちの趣味の集まりに、最近になって黒一点が混じった。
現役大学生の児玉タケルが、ヴェルエポック初の男子プロレスラーとして電撃参戦を果たしたのだ。
男女混合試合が可能となったヴェルエポックの評価は更に高まり、アマチュアのレベルを超えはじめていた。
そんな追い風の発生源となった児玉タケルが、今日もヴェルエポックのリングに上がる。
公民館の敷地内に建てられた体育館は、既にプロの興行にも迫る勢いで見物客を集めている。
美女揃いとされるヴェルエポックの女子プロレスラー達と肌を合せるタケルの奮闘ぶりが、サークルの評判を呼んでいるのも事実である。
右腕を折り曲げて力瘤で男らしいパワフルなパフォーマンスが、タケルにとって観客への挨拶代りである。
そして、タケルの本日の相手を務める女性が、反対方向から歩いてきた。
赤い長布を体に巻きつけた衣装の女性。
これまでのタケルの対戦相手と一番の違いは、その肌の色である。
赤布から見える肌は茶褐色だったのだ。
「外国人?」
既にアメリカ人留学生と対戦したタケルは、海外勢の脅威を、その身に刻まれている。
緊張するタケルに対して、長布を解いてその身を晒す女性。
胸と股間をガードするシンプルな白のビキニタイプのコスチュームである。
シンプルだがその肌の色がコントラストとして映えている。
「始めまして!タケル君!あなたとは初めての対戦になるけど・・・手加減はしてあげないわよ?」
女性の口から流暢な日本語が述べられ、相手を外国人と思っていたタケルは呆気にとられる。
『ヴェルエポックに神秘の太陽あり!インドのカーマスートラが日本上陸!今宵、リングの上に奇跡の華が咲き誇る!アーシャ・ラクシュ・御衣野―――!!!』
コールと同時に、両手を合わせ片足立ちになるアーシャ。
所謂ヨガポーズの一つである。
タケルはその様子をまじまじと眺める。
プロレスに関係あるか分からないヨガだが、アーシャのポージングはバランスが素晴らしく、マットに根付いた一本木と見紛う程であった。
「・・・とにかく油断ならないな。」
ヨガの真価などまるで分からないタケルだが、これまでの試合と同じく慎重に戦う計画を立てた。
もっとも過去の試合では、同じ計画を立てて、全てが敗北に繋がっているが。

【第五話:③】
カアアアアアアアアン!!
試合開始のゴングが鳴り、両者がリング中央で向き合った。
「しゃ!」
タケルは右足を振ってミドル気味に回し蹴りを放つ。
対するアーシャは胸の高さで両掌を合わせて、タケルの蹴りをスウェー気味に回避した。
まるでヨガ体操の様に、滑らかな動きである。
「く!まだだ!」
蹴りだけでなく、掌底打ちや腕を振るうラリアット気味の打撃も織り交ぜ、アーシャを攻め立てる。
しかし、タケルの大ぶりな攻撃は空を切るばかり。
それとは対照的なアーシャの動きは、まるで川を流れる水のごとし。
大きく回避するでもなく、身を反らしてタケルの手足を寸前で躱し、その慣性を殺すことなくフットワークに繋いでいる。
リングを周回する軌道で動くアーシャを、タケルはコーナーへ押し込めないでいるのだ。
「まるで・・・マットの上でマラソンしているみたいだ・・・」
アーシャの掴みどころのない動きに、戸惑いと不気味さを感じるタケル。
加えてタケル自身の疲労もある。
一旦、小休止を入れることを決めたタケルだが、そこにアーシャが付け入る。
「呼吸がまるでなっていわね・・・チャクラが歪んでしまっているわ。」
アーシャはここぞとばかりに、右足を一直線に伸ばして、蹴りを繰り出した。
「危ない!」
槍の一突きと見紛う鋭い一撃。
タケルは首を捻って躱した。
「いいえ。甘いわ!」
アーシャは回避された右足を、タケルの首めがけて振り下ろした。
左足一本で立ちながら、直線起動から曲線軌道への変化。
しかも、斧のような重みをしっかり保った振りおろしキック攻撃である。
「ぎゃう!!」
首に重い攻撃を受けたタケルが片膝をついてしまう。
これまで回避行動に専念していたアーシャが、突然、攻勢に出たことに観客も色めき立つ。
「ヨガを続けることで体幹・・・いえ、チャクラの波長を整え自らの体を大樹とすることが出来るの。」
「何を意味の分からないことを・・・」
「分からないから体で覚えるの。」
膝立ちになったタケルの顔に、アーシャの足が巻き付いた。
重みでマットに引き倒されてしまうタケル。
「うぐう・・・はなせ!!」
ヘッドシザースで首を圧迫され続けるタケル。
タケルは褐色肌の太ももに接している為、アーシャの温もりを直に味わっている。
これまでのミックス戦と同様、苦しみと性的興奮が、タケルの中で湧き上がってきた。
「まずはラクダのポーズから始めようかしら?」
もがくタケルの耳にアーシャの声が飛び込んできた。
次の瞬間、アーシャは体を横に転がす。
抵抗できずにタケルも回転せざるを得ない。
タケルの態勢は仰向けからうつ伏せにシフトさせられた。
「う・・・何が起きているんだ?」
アーシャの行動の意図がつかめず、狼狽するタケル。
しかし、それに構わずアーシャは、背中合わせになったタケルの首を掴み、持ち上げる。
「ぐは!!」
タケルの首が後方へ反り返され、頚椎が伸びていく。
タケルは寝そべったまま苦痛に耐えるが、アーシャは更に前かがみとなり、ストレッチを続けた。
「な・・・なんだこれ?うわあああああああ!!!」
首が危険な角度へ曲げられていくことを察したタケルは、アーシャの動きに合わせて上体を持ち上げざるを得なかった。
やがて、タケルが膝立になった。
「これが、ラクダのポーズよ!」
「これはまさか、ヨガポーズなのか!!?」
タケルの体は、アーシャによって、ラクダのポーズに固められていた。
膝立になり首をのけ反らされているのだ。
脱出したくとも、タケルのふくらはぎに、アーシャが腰を下ろして固定してしまっており、脱出が不可能となっている。
アーシャの指はタケルの首に食い込み、首を引き延ばし続けている。
「あがあああああ!!!」
呼吸困難と首のダメージで意識混濁となったタケルは、無我夢中でアーシャの腕をつかみ、ロックを外そうと力を込めた。
しかし、強固に固定されたアーシャの腕はまるで動かせない。
「ヨーガの神髄は肉体と宇宙を繋ぐチャクラ。単純な筋肉では突破できないわよ?」
「何を言ってるんだ?」
聞きなれない単語に戸惑うタケルだが、思考より先に脊髄と頚椎を捻じ曲げられる痛みに支配されてしまう。
しばらくタケルを絶叫させた後、アーシャは自ら技を解いた。
「私のヨーガ・プロレス・・・タケルには骨の髄まで沁み込ませてあげる。試合が終わるころには立派なヴィーラに変身できるわ。」
束ねた黒髪を弄りながら余裕をもって、アーシャは声を掛ける。
しかし、相手のタケルはラクダのポーズを強制された痛みでマットに這っている。

【第五話:④】
「次はもっと優しいポーズにしましょうか?」
「うう・・・」
既にアーシャのペースで進む試合。
タケルは辛抱の時間を強いられるが、既にパンツの中でペニスは勃起を始めている。
ヴェルエポックに参戦して以来、女性レスラーたちに嬲られる中で、新たな性癖が萌芽していることは疑いようもない。
アーシャの褐色肌に密着されながら、ヨーガのレッスンを受けるが如き戦いで、タケルの被虐性は更なる攻めを求めているのだ。
「このまま終わってたまるか!」
しかし、一方でタケルの闘争心もまた燃え上がっている。
痛みに耐えて立ち上がり、ファイティングポーズをとったタケルが、猛然とアーシャ目掛けて突撃を敢行。
迎え撃つアーシャは、先ほどと同じように両手を胸元で合わせて構える。
先ほどの回避行動と同じくリングを周回して、タケルを煙に巻く作戦だ。
タケルはお構いなしに体ごと飛び込んでいく。
先ほどのようなリーチに限りのある打撃ではなく、フライング・ボディアタックで全身を浴びせかける。
「ほう!!」
アーシャは息を発して、右足で前蹴りを放った。
つま先まで伸びた槍の如きキック。
「ぐぼおおおお!!!」
当然のようにタケルの腹を貫くアーシャの蹴り。
しかし、タケルは唾液を漏らしながらも、口角を上げていた。
アーシャが伸ばした右足は、タケルの両腕により、キャッチされていたのだ。
「すらあ!!」
「ひゃああ!!」
ドラゴンスクリューの回転がアーシャを巻き込み、マットへ叩きつける。
背中を強打したアーシャが咽る。
ようやく見せたその隙をタケルは見逃さない。
タケルは、アーシャの右足を放さず、自分の両足を絡ませて引き延ばす。
膝十字固めだ。
「うぐ・・・」
膝関節が逆側への負荷を駆けられている状態のアーシャ、さすがに苦悶の表情だ。
「ギブか!?」
タケルが降参を聞くが、アーシャは耐えるのみで回答しない。
マットに転がされ、白いパンツを上方へ向ける格好のアーシャには余裕も無い。
そう判断したタケルは、ここが勝負所とアーシャの膝へ体重をかけていく。
「ギブあ・・・ぐううううう!!!?」
再三のギブアップ勧告を口にしたタケルだが、途中で喉が潰され、最後まで言葉にできなかった。
おかしい。自分はアーシャの膝を掴んで、折り曲げている状態だというのに・・・。
混乱したタケルには理解しようも無いが、試合を見ている観客には当然はっきりと見えている。
アーシャは、膝十字を極められた状態で、タケルの首に両腕を回してスリーパーをかけているのだ。
「タケル、ギブするの?」
苦痛の表情は消え失せ、優しい笑顔のアーシャ。
「がう・・ぐう・・・」
頸動脈への圧迫よりも、気管への圧迫を優先するスリーパー。
タケルは猛烈な呼吸困難による苦痛に苛まれる。
起死回生の膝十字固めだが、アーシャはそれをかけられたまま反撃に出たのである。
膝を逆側に反り返されながら、自身の負傷をいとわぬ反撃ということになるが、当のアーシャは余裕綽々の雰囲気だ。
「ぐ・・・ぞおおおお!!!」
ついにタケルが喉の苦しみに負けて、アーシャの右足を解放。
タケルは即座にアーシャの腕に指をかける。
がっちりはまったスリーパーを外すことは出来ないが、僅かな隙間を作ることは出来た。
「うおおおおお!!」
続いてタケルはアーシャを背負う形で、立ち上がる。
男子のパワーならではの返し方に、観客から拍手が送られる。
タケルのパワーはそれだけで終わらず、背後のコーナーポスト目掛けて、後ろ向きに突進。
このままアーシャを押しつぶしてしまおうという考えだ。
しかし、その行動はアーシャの戦術を覆すほどではなかった。
「はい!」
アーシャはスリーパーを解いて、タケルの首を両足で絡めとる。
そして、勢いよく自ら背を反らした。
アーシャのパワフルな逆フランケンシュタイナーで、タケルは後方へ投げ飛ばされていしまう。
「ぎゃあああ!!!」
自らの後ろ向きに突進した勢いと、逆フランケンシュタイナーのパワーが合わさり、タケルの後頭部がコーナーに叩きつけられる。
リング全体が振動し、タケルの惨状が観客たちにも伝わった。
観客のどよめきが起きるものの、タケルはコーナーにへたりこんでしまっている。

【第五話:⑤】
「ううう・・・」
アーシャのテクニックを活かした投げ技により、後頭部に衝撃を受けたタケル。
コーナーを背にして、座り込んでしまい全くの無防備である。
立ち上がろうにも、頭部へのダメージが響いて、体が言うことを聞いてくれないのだ。
アーシャは動けないタケルの髪を掴んで立たせると、ヒョイと持ち上げてしまう。
肩と股間を掴むボディスラムの態勢だ。
「あ・・・は・・・・」
アーシャの攻撃を受け続けたタケルの中で、これまでの試合と同様に勃起衝動が湧いていたが、股間をわし掴みされたことで完全にペニスが立ち上がってしまった。
「あなたのアートマンを掌に感じる・・・まるで乾いた大地に深く深く根差した大樹・・・」
黒いパンツ越しに勃起したペニスを握りこむアーシャ。
「おお・・・やめて・・・ああああ」
アーシャがペニスを握りこむたびに、タケルの心拍が激しくなっていく。
これでは過去の試合と同じ展開である。
タケルもこのままで終われないと、足を激しく動かし、アーシャから逃れようと足掻く。
しかし、アーシャにとってそれ程問題になる抵抗ではない。
「や!!」
「ごふ!!!」
タケルはマットに落とされ背中を強打してしまう。
すかさずアーシャがタケルの左足を掴み、右足を跨がせる。
そしてアーシャはタケルの首に腕を回し固め技に入る。
「んぐうう!!これは・・・?」
ストレッチプラムに固められたことは理解するタケル。
しかし、通常の技との違いは、被害者である自分の両足が組まれていることだ。
「これが半分の魚の王様のポーズ。よく捩じれて柔軟運動にピッタリ!」
両足が絡んでいる状態でストレッチプラムの力が加えられ、より負荷が大きくなっている。
「があああ・・・!!!」
首を振り回して足掻くタケル。
その首にかかったアーシャの細腕は、タケルが暴れるほど食い込んでいく。
タケルの組まされた両足には、アーシャが足を引っかけているので解けない。
残った左腕でロープを求めてもまるで届きそうにない位置だ。
「ほうら!!もっと捩じってあげる!!」
アーシャが朗らかな笑顔で、タケルの体を一層捩じっていく。
「はあああ・・・・」
アーシャのほっそりした褐色肌に絡みつかれ、悶絶しつつも陶酔感を味わうタケル。
パンツの中の勃起したペニスは、先走り汁で濡れ始めている。
これまでタケルが女性レスラーとの戦いで味わった快楽を、今回はアーシャのヨガレスリング技で体験している。

【第五話:⑦】
「十分に体はほぐれたかしら?」
荒縄の如くタケルの腰に捻りを加え続けていたアーシャが技を解く。
「あああ・・・・腰が・・・・」
マットの上を蠢くタケルは、腰と足の痛みにより、低く悲鳴をあげる。
しかし、悲鳴を上げたところで、全身の痛みから逃れられるものでもない。
タケルは激痛に苛まれながらマットを這い、場外へのエスケープを目指す。
そんなタケルの視界に入りこんだのは、褐色の踝。
アーシャはタケルを先回りして、退路を塞いでしまった。
タケルが動きを止める様子を確認し、アーシャはタケルの顎を蹴り上げる。
「ぎゃん!」
蹴られた勢いで仰向けになった所に、追い打ちのストンピング。
それもタケルの突きあがった股間目掛けて容赦なしに踏み抜く。
「がおお!!!」
グリグリと足を捩じってタケルのパンツを踏みにじるが、その奥にあるペニスは強靭に硬化しており、反発する力でアーシャの足に抵抗を続ける。
異質の痛みを味わうと同時にタケルの中には強烈な快感が迸る。
女性に踏みつけられたペニスが、まるで別の意思を持つ生き物の如く、更なる攻めを待望しているのか。
タケルの逸物はより太く、より激しく脈打つ。
「あなたのそれは正しく蛇の神・・・このままではあなたにとって良くない影響が現れるわ。私がそれを猛り狂う神を沈めてあげないと・・・」
アーシャは神妙な面持ちで、タケルのパンツに手をかけた。
そしてひざ下へ引きずりおろす。
「うわあああああああ!!!!」
さすがのタケルもこれには堪らず、素っ頓狂な悲鳴をしぼりだす。
ここは二人きりの空間ではない。
公民館付設の体育館には見物人たる観客も大勢入っているのだ。
アーシャはタケルの黒いパンツを膝下から引っ張り、完全に剝ぎ取ってしまう。
「か、返し・・・」
タケルが言いかけた言葉を最後まで聞くことなく、アーシャはリングの外へパンツを放り捨てた。
絶望の表情を浮かべるタケルをアーシャがリフトアップ。
アーシャはまたしてもボディスラムでタケルを叩きつけると見せかけ、タケルの顎を支点にして自らの肩に乗せた。
「一気の反らすわよ?ほら!!!」
「ぐえええええええええええ!!!!」
タケルの体は恐るべき角度でエビ反りとなる。
通常の逆エビ固めを超越し、タケルの両足はアーシャの両手に掴まれて、とうとうタケル自身の肩に届いてしまった。
「ががが・・・・ぎいいいいい・・・・・」
言葉にならないうめき声を上げて悶絶するタケルだが、背骨に損傷は無い。
アーシャが試合で仕掛けた関節技により、柔軟性が遥かに向上している為である。
・・・という内容の説明を試合後にアーシャから受けることになるタケルであった。

【第五話:⑧】
試合も終盤。
アーシャはタケルを自らの肩上に乗せて、折り曲げてしまった。
サーカスの軟体芸で見られる極限のエビ反りポーズをタケルに強制し、それをアーシャは自分の肩に乗せている体勢だ。
観客からは拍手が自然と湧きあがり、二人の芸術的なポージングに称賛を送る。
しかし、被害者のタケルは最早それすら届かない。
「ひいい・・・・ひいいい・・・・」
自分の体がどうなっているのか把握出来ない恐怖。
アーシャにパンツを奪われて裸体である羞恥。
なにより女性にプロレス技を受け続ける快楽。
それらの感情が一つになって、タケルのペニスへ集中する。
それらを受けたペニスは赤黒く変色し、先出汁によって鈍く照っている。
タケルが体を反り返されているため、その生殖器はタケルの顔と同じ方向へ力強く突き出ているのだ。
まるでタケルをバズーカに見立て、アーシャがそれを肩に乗せて砲身を構えているようだ。
「行くわよ、心を落ち着けて?」
アーシャが静かに宣言する。
同時にタケルは、アーシャの肌から熱さを感じ取る。
「あ、あつい?」
「ヨガとアカシャはプラーナで繋がる・・・」
アーシャの言葉の意味を理解することも出来ず、タケルの視界は目まぐるしく変化する。
アーシャがタケルを抱えたまま、走り出し、コーナーを駆けあがったのだ。
そして、アーシャはコーナー最上段に立つ。
タケルは背骨の痛みも忘れて、顔面蒼白だ。
「た・・・たかい・・・」
タケルは残った力を振り絞り抵抗を試みるが、アーシャの姿勢は全く揺るがない。
不思議なオカルトパワーに守られているのか、と思わずにはいられない。
そんなタケルの焦りを知ってか知らずか、アーシャがコーナーから跳びあがる。
「ヤドカリを砕く槌・・・!」
タケルは意識を失う数瞬前、たしかにアーシャの言葉を聞いた。

ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!

アーシャは、タケルをエビ反り状態のまま、パワーボムでマットに打ち込む。
「グウヴェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!!!!」
顎下と反り返った足底からマットに着弾させられたタケル。
技が決まった瞬間に彼の意識は遠い宇宙へ霧散していく。
そして我慢の限界を突破したタケルのペニスは強すぎる衝撃を受け、射精してしまう。
マットに貼りつけられたタケルの股から一直線に伸びる白の軌跡。
逆エビ固め状態で固定されたタケルから噴出する精液。
それはリングロープを抜けて場外マットまで届いた。
タケルのKOが確認され、試合終了のゴングが鳴らされる。
カンカンカンカアアアアアン!!!
ゴングが鳴り終わるころ、タケルの射精も勢いが収まり、終焉を迎えるのであった。
「タケル、あなたはナーガの化身としての運命を背負っているのかもしれないわ。」
アーシャが身を屈め、タケルの耳元に囁くが当の本人は意識を失っている。
そのペニスも既に縮んで平常時のサイズに戻っていた。
自分を待ち受ける運命を露知らず、タケルは戦いで受けた傷を静かに癒し続けるのであった。


【試合結果】
児玉タケル ● ― ○ アーシャ・ラクシュ・御衣野
(20分50秒 ヤドカリを砕く槌(雪崩式変形パワーボム) ⇒ TKO  )



■第五話完



[43623] 第六話「悲恋!鮮血のヴァージンロード!!」
Name: 独情構◆03fd381f ID:186502a9
Date: 2022/06/13 01:25
【黄金のエンプレスコロシアム】

第六話「悲恋!鮮血のヴァージンロード!!」

現役の大学生であり、街の女性たちによってアマチュア女子プロレス活動サークル「ヴェルエポック」に参加する児玉タケル。
大学生生活とそれを維持するためのアルバイト等、多忙な若者である。
加えてヴェルエポック唯一の男子レスラーとして、トレーニングも欠かしてはならない。
レスラーとしては、敗北続きのタケルだが、戦えば戦うほどに次戦への期待は増していく。
抑えきれない衝動を昇華するべく、早朝の歩道をランニングで駆けていく。
既に季節は春を迎えているが、早朝の時間帯ではまだ寒さを覚える気温である。
そんな湿り気と涼しさの混じった空気を裂いて、走り抜ける感触は他の季節では味わえぬ心地よさだ。
街路樹として植えられた欅の香りと、新緑の葉から零れる弱弱しい陽光も、その心地よさに花を添えてくれる。

タケルの体からわずかに汗が染みだした頃、昔なじみの声が届く。
「タケル君、おはよう!」
ホワイトカラーのジャージで身を包んだ女性が、タケルの傍に着いて、並走を始めた。
走り抜ける空気の流れに乗って、亜麻色のロングヘアーが後方へ伸びていく。
早朝の薄暗い背景の中で、輝いてみえる美しさだ。
「おはよう、守奈!」
隣で走る女性に返事を返すタケル。
彼女の名前は、綴宮守奈。
タケルにとっては幼稚園からの友人。いわゆる幼馴染である。
お互いの家族同士でも親しい付き合いがあり、タケルも夏にはキャンプ、秋にはハイキングなど、守奈の家族には世話になってきた。
そんな二人も今年から大学進学した。
これまで仲良く親交を重ねてきた自分たちは、これまで通りに日常を重ねる物と考えていた守奈だが、彼女にとって大きな変化が訪れた。
タケルが引っ越して、一人暮らしを開始したことである。
タケルは大学進学以前から、家族はもちろん、守奈にもその事を伝えていた。
タケルにとっては、大学生の一人暮らしなど珍しくもなく、時折実家にも帰る積りであった。
しかし、守奈にはこの事が人生の大きな窪みとなる気がしてならなかった。

守奈は覚えている。
二人の親たちに見守られながら、タケルと手を繋いで幼稚園に通っていた思い出。
小学生の頃、二家族一緒にキャンプへ行き、一緒に川で遊んだ思い出。
中学生の頃、タケルの付き合いでプロレスのTV番組を一緒に見た思い出。
そのまま興奮して二人でプロレスごっこを始め、一緒に障子を蹴破ってしまった思い出。
二人揃って叱られながらもプロレスで触れ合ったタケルの肌の感触を反芻した思い出。
その夜、ひっそりとプロレスごっこを思い出して、秘め事を始めた思い出。
高校生の頃、日ごとに逞しくなっていくタケルを見つめながら、いつか正式な交際が始まる予感に悶絶していた思い出。
居ても立っても居られなくなり、ネットやアングラ系の書籍で、その手の情報を入手した思い出。
その学習成果を活かし、初めてタケルの実家の正門以外から家宅へ侵入した思い出。
タケルの部屋に設けられているパントリーに暗視カメラを仕込んだ思い出。
そこから送られる情報を観察して、タケルのあらゆる行動を確認し、自慰のネタに使った思い出。

いくらでも溢れてくる守奈にとっての二人の思い出。
守奈は、タケルから一人暮らしの話を聞いても、取り乱さずに平静を装っていた。
その情報自体、タケルの身の回りを完璧に把握している彼女にとっては、とっくに前提となっている。
やるべきことは一切の違和感をタケルに感じさせず、自分も一人暮らしに興味があると伝えること。
タケルとは一旦別の大学へ進学して、少々の距離を置くことで、彼は守奈への警戒感を抱くことすらないはず。
そこに、このタケル監視生活を維持するポイントがある。
来たるその時まで、自分はタケルにとっての友人であり、少々気心の知れた幼馴染のポジションを保持しなければならない。
タケルには、女性への免疫が無いことを守奈は勿論知っている。
そんなタケルにとって、綴宮守奈だけはその例外である異性。
一人暮らしを続けたタケルが、やがて距離を置いた守奈を求めることになるのは自然である。
守奈から無理やりなアプローチは必要ない。
魚が自分から網に潜り込むのを待つことが、漁の基本である。
守奈は、タケルの新たな部屋に仕掛けたカメラから情報を手に入れ、悠々自適に大学ライフを過ごすものと油断していた。

守奈の算段が崩壊したのは、些細な切っ掛けが発端であった。
タケルのアルバイトである。
いや、単なるバイトなどは問題にはならない。
その業務内容に大いなる問題がある。
街の女性たちが立ち上げた女子プロレスサークル・ヴェルエポック。
そこがアルバイト先だったのだ。
あろうことか、タケルはサークル唯一の男子レスラーとして参加し、女性たちとプロレスで肌を合わせ続けている。
配信された映像で、扇情的なコスチュームを装着した女たちと絡むタケルを見るたびに、もどかしさでたまらなくなってきた守奈。
そして毎回試合のクライマックスで、相手の女性に射精に追い込まれるタケル。
最早お約束とも思える展開に、守奈は精神の均衡を徐々に崩していった。

暫く並走した後、小さな公園で小休止をとる二人。
タケルがジョギングを開始した時間からそれなりに経ち、辺りは大分明るくなっている。
早めに出勤するサラリーマンの姿も見受けられる。
街全体が目覚めたかのように、公園内にも陽光が降り注いでいる。
そんな輝き日の中で、守奈は意を決してタケルに話を切り出した。
「タケルくん・・・あのね・・・」
「ん?なんだ守奈・・・」
「あら!!タケルくんじゃない!」
守奈の決意を挫く溌溂とした声が、公園に響いた。
いつの間にか、タケルと守奈の二人に女性の一団が接近していた。
「御剣さん、おはようございます!」
タケルは、自分をヴェルエポックへ誘った先輩に声を掛ける。
女性の一団は、ヴェルエポック所属レスラーたちだったのだ。
皆、トレーニングウェアに身を包んでいる見目麗しい集団。
早朝でなければ街を駆けるだけで、大勢の注目を集めていたであろう。

タケルとヴェルエポック女子レスラー達のやり取りを傍で観察する守奈だが、その表情は険しい。
タケルとの対戦経験のある女性ということは、即ちタケルを射精の快楽へ導いた人間ということ。
守奈は静かに奥歯を噛む。
自分はまだタケルにそういった行為を働いたことが無い。
考えれば考えるほど、胸の拍動が強くなっていくのが分かる。
そんな守奈の心痛を露知らず、タケルは御剣花純と談笑を続けている。

「ヴェルエポックの試合を動画サイトに上げているんだけど、評価がうなぎ上りなの。特にタケル君の試合がね!うふふ・・・もううちの看板レスラーよねえ?」
タケルに右腕を両腕で抱き寄せる花純。
タケルは自分の腕で体を味わわされる羽目になった。
ジャージ越しでも分かる花純の胸のふくらみが、タケルの血流を加速させる。
「いや・・・そんなこと・・・」
言葉にしたつもりでも言葉にならない。
それほどにタケルの意識は平静を失い始めている。
そこに別の女性が追い打ちをかけてきた。

三坂杜杏がのぼせたタケルの背中に指を這わせる。
「あううう・・・・!!」
極度に鍛えられた杏の指だが、その見た目は息を呑むような美しさと儚さを内包している。
その白い指が、タケルの背中を上から下へゆっくりなぞっていく。
タケルは背中に立てられた杏の指から強烈な快感を味わう。
逃れたくとも右腕に花純が抱き着いていて、ふりほどくことが出来ない。
「謙遜なさらないで。あなたの魅力は私が理解していますので・・・」
静かな態度で淡々と述べる杏。
グリグリと指をタケルの腰にねじ込んでいく。
「んはああ・・・三坂杜さん・・・それはああ・・・・」
タケルは思わず上ずった声を出してしまう。
とてもではないが、我慢できる刺激ではない。
腰骨から伝導する杏の指力が、自らの股間を内側から貫いている感覚だ。
花純に抱きつかれている感触、杏のツボ刺激、タケルは完全に勃起してしまう。
ランニング用のウェアを下から突き上げるペニスが実に目立ち、もしも警官に見られたら確実に聴取を受けるはずだ。

焦るタケルの後頭部に柔らかいボールの感触が伝わる。
「グッモーニン、タケル!!」
「あ・・・アリス・・・はろー・・・」
タケルの後頭部を爆乳で挟み込んでいるのは、アリス・ミレイラ。
アメリカからの留学生であり、タケルと同じ大学に通っている。
彼女もまた現在はヴェルエポックに所属し、試合をこなしているレスラーだ。
「私もタケルとの試合以来、体が火照って、火照って・・・早くタケルとリターンマッチしたいわ!ハリアッ!」
「ううう・・・アリス・・・まずい・・・・」
タケルは顔を真っ赤にしてアリスのおっぱいサンドイッチに耐えて続けている。
しかし、トランクスの下にある亀頭は既に濡れ始めていた。
血管を浮かべ怒張したペニスは、トレーニングウェアすら突き破るかもしれないと思わせるほどに、力強く勃起してるのだ。

最早口を噤んでペニスの猛りを沈めようと、思考を遮断したタケル。
その鼻腔に花の香りが広がる。
「すっかり女性に囲まれて・・・両手に花・・・・では足りませんね?」
タケルの左腕側に接近したのは、華折瑞月。
彼女もまたヴェルエポックでタケルの対戦相手を務めている。
試合ではタケルを自身が調合した芳香剤で翻弄した瑞月だが、本日も香水を用いているようだ。
公園に植えられた木々や花とは別種の心地よい香りが、タケルにも届いた。
「瑞月さん・・・あの・・・今は・・・」
しどろもどろな受け答えのタケルだが、今はこれで精一杯である。
「タケルさん、私もあなたとの再戦を望む一人です。折角ですから、この場でリベンジ相手を選んでくださって?」
タケルの左耳に唇を近づけ、提案する瑞月。
彼女の吐息がタケルの耳の中に注ぎ込まれていく。
「ん!!んんん・・・!!!?」
試合でも受けたテクニックが、タケルの血流を爆速で加速させる。
勃起し巨大化したペニスはなおも膨張を続けているようで、ズボンの上からでもその形を確認できる程だ。

「いい提案ね。タケル君が自分で相手を選ぶなら不満は無いわね。」
タケルの正面に立ったのは、アーシャ・ラクシュ・御衣野。
褐色肌の目立つインド系の美女だ。
タケルとの試合では、ヨーガとプロレスを組み合わせた技で、昇天までさせた強豪である。
「しゃ!」
「あうううう・・・!!!」
突然、アーシャが右足を振り上げ、タケルのウェア越しに勃起したペニスを狙う。
しかし、アーシャの蹴りは寸前で停止。
タケルのペニスを打つことはなかった。
しかし、アーシャはあろうことか右足のつま先でゆっくりと、タケルの勃起したペニスをなぞり始めた。
「くはあああ・・・・・!!!」
「どう?私と再戦すると宣言すればこのままイかせてあげる!」
微笑みながらアーシャは片足立ちのまま、右足を器用に動かす。
アーシャもジャージを着用しており、スニーカーを履いている。
にも拘わらず、アーシャの足の動きは実になめらかで、その姿勢はぶれない。
彼女の体幹が盤石であり、そのヨーガテクニックが半端なレベルではない事の証明となっている。

アーシャの再戦アピールを皮切りに、タケルを拘束した女子レスラーの口々から、指名を求める声が投げかけられる。
当のタケルは思考する状態ではなく、噴火寸前の逸物の制御に全神経を使っている状態である。
回答するどころではない。
そこに守奈が大声で割り込んできた。
「私、タケル君とプロレスします!!!」

街の女性たちが立ち上げた女子プロレスサークル・ヴェルエポック。
見目麗しい女性たちの激しいプロレスは町内に留まらず、その外にまで広く評判を呼んでいた。
そんな女たちのバトルジャングルに一人降り立った男子レスラー。
それが児玉タケルだ。
大学の先輩である御剣花純に誘われるまま、ヴェルエポックのリングで唯一の男子レスラーとして戦い続けてきたタケル。
ここまで戦績は全敗と惨憺たるものであるが、そのキャラクター性は大いなる評価を得ていた。
毎回、試合のラストでの盛大な射精ムーブが人気を博しているのだ。
ヴェルエポックが公式に配信している試合動画ではさすがに検閲済みだが、観客の一部にはそれをスマホ等で録画して配信する者もいる。
美女レスラーに敗れ屈辱を味わうタケルに、自身を重ね快感を得る男性客は、着実に数を増やしている。
歪な娯楽とも言えるヴェルエポックの男女混合試合だが、平穏な街だからこそこのような刺激が好まれたのかもしれない。
そんなヴェルエポックの中核となりつつあるタケルは、本日の対戦相手には困惑していた。
今回、タケルの相手を務める女性は、彼とは幼いころからの友人である綴宮守奈だ。
彼女とは小さいころから遊び、また運動も共にこなしてきた。
タケルは大きくなってもプロレスへの興味を失わず、トレーニングを欠かさない日々を送ってきた。
守奈もまたそんなタケルに付き合ってくれて、トレーニングを補佐してきた。
タケルは、実りの多いトレーニングを積めたのは、守奈のお陰と感謝している。
守奈にとっては、タケルと付き合う時間が人生の他のどの時間よりも濃密で幸福な時間である。
タケルの時間を占有している感覚を、守奈は持ち続けてきた。
補助する立場とは言え、ハードなトレーニングメニューについていけたのは、タケルへの恋慕とそれ以上の感情による支えがあってこそであった。
そんな綴宮守奈は、タケルとは逆側の入り口から入場してきた。
そのコスチュームは、誰もが注目せざるを得ない大胆なデザインであった。
純白色のストラップレスドレスであり、スカートの裾は足が隠れるほど長いデザイン。
頭からベールを被り、手にはブーケを持っている。
隣でエスコートする人物がいないこと以外は、バージンロードを歩く花嫁そのものである。

守奈がリングに上がり、二人は対峙した。
「守奈・・・そのコスチュームすごいな・・・」
タケルは正直な感想を述べる。
それしか反応の仕様が無かったからだ。
「うん・・・デビュー戦だから・・・派手にしようかなって・・・」
守奈は小さな声で答える。
俯きながら話したことで余計に聞き取り辛い。
「似合ってるよ・・・まるで花嫁さんみたいだ・・・」
またしても見たままの状態を述べるタケル。
最早思考は正常ではない。
「そ、そんなつもりできたわけじゃないよ~~!!!」
両手を振るって懸命に否定する守奈。
試合前だというのに顔が赤面している。
そんなやり取りを笑いながら見ていた観客から、試合開始のゴングを求める声が上がり始めた。
二人の関係を察した人々は、そんな二人の真剣勝負を望んでいるのだ。
残酷な要求だが、アマチュアサークルとはいえヴェルエポックはプロレスの集団だ。
プロレス勝負以外に、魅せる物は無い。
要望が怒号に変わる前に、試合開始のゴングは鳴らされた。

カアアアアアアアン!!!!

「行くぞ守奈!」
「うん!来てタケル君!」
ゴングが鳴らされると、二人はリング中央へ歩み出て、示し合わせたかのように同時に両手を伸ばした。
二人は指を絡ませて、力比べの態勢に入る。
しばらく拮抗していた力比べだが、やがてタケルが優勢に立ち始める。
体格で勝るタケルが有利なのは自然な話である。
どんどん押し込まれる守奈は背を反らして、抵抗を続けた。
守奈は、試合開始前に入場用コスチュームのパーツを外して、ショートスカートで試合に臨んでいる。
そんな彼女の背はどんどん曲がり、ついにはブリッジ状態にまで押される。
「だ・・・大丈夫か・・・?」
「ん・・・苦しい・・・かも・・・」
懸命にブリッジして耐えている守奈だが、両眼を瞑って余裕はないと分かる。
そんな守奈の上からタケルは圧し掛かっている。
タケルには、目を閉じた守奈が口づけを待っているかのような姿勢に見えてくる。
「・・・もり・・・」
「タケルくん?・・・えい!!」
みるみるタケルの力が抜けていくのを肌で感じた守奈。
守奈は、隙を見て、勢いよくブリッジでタケルを跳ね上げた。
「ぐは!」
「今度は・・・私の番!」
仰向けに倒れたタケルの腹に、守奈が勢いよく座り込む。
タケルの腹筋に守奈の尻圧がかかる。
すかさずタケルの黒タイツの中のペニスが盛り上がり始めた。
守奈のヒップの感触によって、タケルの意識とは別にペニスへ血流が集中してしまったのだ。
一度勃起を始めた逸物はすぐには収まらない。
それどころか、まるで自ら意思を持っているかの如く、更なる刺激を渇望している。
幼馴染の守奈相手にも、粗相を始める自分の一部を恨めしく思うタケル。
そしてタケルの意識が下腹部に向いたことで、守奈のマウントポジションを許すことになった。

「痛くするけど、ごめんなさい!」
謝罪と共に守奈が平手打ちを雨あられと浴びせかける。
「うわ!くう!!」
頬にビンタを受けたタケルが両手を構えてガードに移行する。
顔面のガードを固めたタケルに対して、守奈はタケルの胸に手を下ろす。
熱い胸板が心拍と共に躍動し熱を放っている。
その柔い感触と温度に、守奈の胸は高鳴っていく。
タケルとのプロレスごっこで技の掛け合いをしてきたタケルと守奈。
当然、安全に配慮し、最大限に手加減したごっこ遊びであった。
そんな遊びの中でも、守奈の脳にはその思い出が刻まれてきた。
ヘッドロックでわざとタケルに自分の胸を押し付けた記憶を思い出すと、守奈の股が僅かに湿り気を増した。
こうしてタケルに馬乗りになっているだけで、守奈の煩悩は爆発しかけ、全身の血流がスピードアップしている。
「タケル君・・・」
熱に浮かされたまま守奈は両手で、タケルの胸板をさすり始める。
彼の温もりを、肌を、その下から浮き上がる筋繊維の一本までその手で感じたかったのだ。
リングの上で一つになる二人。
それは、守奈がこれまで幾万回と夢想してきた憧れ。
今、自分がプロレスの試合をしていることすら、守奈にとっては思考の遥か彼方の事項となっていた。
「ふん!!」
「あ!!」
タケルの力強いブリッジに跳ね上げられ、守奈の体はマットに転倒。
「折角のチャンスなのに隙だらけだったぞ?大丈夫か、守奈?」
タケルの呼びかけに、守奈は答えない。
「・・・」
黙って立ち上がり、構えを取るだけであった。

組み合いからの攻防を終えた二人は、打撃戦の攻防に移る。
守奈がミニスカートと栗色のロングヘアーを翻して、ミドルキックを放つ。
対するタケルは、片腕と片膝でそれをガード。
お返しとばかりに掌底を振って反撃する。
まるで空手の組手のようなスピーディーな打撃の応酬が繰り広げられる。
しかし、時間が経過するにつれて、明暗は明らかになった。
タケルが前蹴りで足を上げれば、守奈はそれをキャッチして残りの足を払ってダウンを奪う。
慌てて立ち上がったタケルが唐竹チョップを放てば、守奈は回転しながら片手でそれを払う。
回転の勢いのままに、裏拳をタケルの顎にヒットさせる。
「かふう!!?」
よろめいたタケルはその場にストンと尻もちをついてしまった。
「つ・・・強い・・・?」
タケルは守奈の完璧な防御と反撃に困惑している。
タケルと共に守奈もレベルアップしてきた。
そこはタケルもよく知っている。
しかし、タケルと守奈の間には大きな差が存在するはずである。
幼いころのプロレスごっこでも、それ以降のプロレストレーニングでも同様だったはず。
タケルはそれを考慮して、守奈相手には常に手加減してきた。
少なくともタケルは、守奈を泣かせたことは無かった。
タケルの中で、守奈はか弱い女性であり、自分が守ってあげなければならない儚い花の様な存在であった。
それが今では、ウェディングドレスを模したリングコスチュームを装着して、自分を圧倒している。
タケルの混乱とは裏腹に、彼のペニスは大きく膨らみ始めている。
ヴェルエポックのリングの魔力なのか、連敗によりタケルの被虐心が増大しているのか。
既にタケルのショートタイツを持ち上げ、勃起を始めているペニス。
これで大きく勃起すればするほど、巨大なペニスはタケルの動きを阻害することになる。
この試合、実力で上回っているはずのタケルにとって、苦しい状況に陥ったと言える。

「や!」
「がう!」
座り込んでいるタケルの背中目掛けて、サッカーボールキックを打ち込んだ守奈。
続けてタケルを立たせて近くのロープへ押しこんだ。
ロープはその弾力で守奈のロープスルーの勢いを増幅させた。
タケルは正面のロープへ走らされ、背中でその反動を受ける。
プロレスのロープワークを経て、戻ってきたタケル。
そのタケルを、守奈は正面から抱き止め、ひょいと持ち上げる。
そして、タケルの股間を自分の膝へ叩きつけるように落とした。
「ごお!!」
守奈のマンハッタンドロップで股間を強打したタケルが、マットを転げて悶絶する。
「ちくしょう!」
マットで身を縮めていたタケルが、突如両足を守奈の足目掛けて突き出す。
反撃の低空ドロップキックだ。
「ふ!」
しかし、その奇襲すら守奈には通用しなかった。
タケルのキックをジャンプで回避した守奈は、そのまま両手足を広げて落下。
ボディプレスをタケルに浴びせかけた。
「ぎゃう!!」
重量級ではない守奈だが、それなりの高さから落下したため、タケルの内臓を十分に圧迫していた。
「タケル君の上に覆いかぶさっちゃった・・・」
小声で守奈は呟く。
このまま全身をタケルに委ね、捧げてしまいたい。
守奈は自分の秘めた想いに従い、タケルの発達した胸筋の上に自分の頭をくっつけた。
そこにレフェリーの声が届く。
「フォール!ワン、ツー!!!」
「ひゃ!!」
守奈は、自分がタケルに対してピンフォールの態勢を取っていることを即座に理解し、素早く離れた。
危うく試合が終わってしまうところであった。
守奈がタケルとの試合を望んだ理由は実に単純だ。
ヴェルエポックの女子レスラー達が羨ましい。
自分もタケルと深い関係を築きたい。
それだけである。
ヴェルエポックが試合を披露する公民館付属体育館にて、守奈はこっそり観客に紛れ、タケルの試合をチェックし続けてきた。
そして毎回、タケルはフィニッシュで恍惚の射精を相手女子にさせられてきた。
女として、タケルの近しい人として、守奈は誰にも負けないという秘かな自負を持っていた。
しかし、その独りよがりな自身は、ヴェルエポックレスラーたちによって粉砕された形になった。
最早、我慢の限界であった。
当初は、ヴェルエポックに参加して、女子同士の試合で一人ずつ粉砕してやろうと計画した。
その場合、順当に自分の強さを証明する事にはなる。
しかし、タケルの反応はどうだろうか。
普通にレスラーとして称賛してくれるだろうが、それだけの話で終わってしまう。
寧ろ、守奈もタケルと対戦して、その中でそれまでのミックスファイトでは味わえない快楽を与えてやればいい。
人間は強すぎる刺激で脳内物質を噴出すれば、もうその記憶から逃れる術など無い。
危険薬物と同じ理屈である。
人生最大最高の射精を、タケルに味わわせる。
そしてそれが可能なのが、地球に守奈一人であるという事実を突きつけてあげれば、タケルは自分から守奈を求めるようになる。
それは、これまでのままごとの延長などではない。
タケルと守奈の人生が、融合して運命共同体に進化する時である。
タケルの動きは、これまで共にこなしたトレーニング、盗撮盗聴による情報収集で完璧に把握している。
リングの上でタケルをいいように転がすなど、今の守奈にとっては実に容易い行為であった。

「まだまだやれるぞ、守奈!」
立ち上がったタケルが、守奈に掴みかかろうと突進する。
「うん!私もまだまだ満足していない!」
守奈も立ち向かうように、タケルへ歩を進ませる。
タケルの太い腕によって、守奈の体が逆さまに持ち上げられた。
守奈の肩と股間を掴んで、ボディスラムで叩きつけようとするタケル。
しかし、守奈はリフトアップされる勢いを利用して飛び跳ねることで、タケルの腕から逃れた。
「これならどう?痛いかな・・・?」
背後からタケルの体に腕を回した守奈が、コブラツイストをきめた。
守奈の左足は、タケルの左足に乗っかり、両腕を廻してタケルの体を締め上げる。
「うわわ・・・も、守奈あああああ!!!」
体を捩じられる痛みと共に、密着してきた守奈の柔いボディの感触が押し付けられてくる。
タケルの脇下に守奈の体が乗りかかり、抵抗し辛い位置をキープされている。
体を揺すって脱出を図るが、まるでタケルの思考を先読みするように、守奈はその動きに合わせる。
いくらタケルが暴れても、吸盤で貼り付いているかのように守奈は密着し続け、コブラで締め上げ続ける。
「あああ・・・呼吸が出来ない・・・」
体をねじ上げられた状態で激しく動き続ければ、もうまともな呼吸など不可能だ。
タケルは、想定以上の精度を誇る守奈の技術に制圧されてしまった。
それでも屈して堪るかと、ギブアップの声だけは口を噤んで固辞するタケル。
そんなタケルを見て、守奈は片手をタケルのショートタイツに向かわせる。
狙いは、先ほどから大きくそそり立つタケルのペニスだ。
守奈が、黒タイツ越しにペニスの先端を摘まんで弄り始め、刺激を送り込む。
普段の盗撮行為のお陰で、タケルの好みは把握済みだ。
こうして、下着と共にペニスの先端を摩ることで、タケルの快感は倍増以上と、守奈が積み上げた研究記録が示している。
それを証明するかのごとく、タケルの口から大きな喘ぎ声が漏れ出る。
「お・・・!!ぐううう・・・!!!ひいいいいいいいいんんん!!!?」
「うん・・・気持ちいいみたいね!良かった!」
自分の努力がタケルから評価されている気がして、守奈の心は高揚する。
駄目押しとばかりに、守奈がタケルの頬に唇を寄せた。
タケルへの初キスを済ませたが、守奈の頭は既に次の展開への移行に、思考を巡らせている。
頬へのキス程度で済ませる気は無い。
守奈が目指すのは、タケルにとって一生消えないほど心に刻み付けられる絶頂なのだ。

コブラツイストを解いた守奈。
開放されたタケルが、うつ伏せにダウンした。
あばら骨が折れそうなねじれ技を受けたが、彼も大層なタフネスの持ち主である。
そう簡単にはノックアウトとはいかない。
「今度こそ捕まえてやる!」
タケルは、守奈の足元から低空タックルで反撃に出た。
「う!?」
不意を突かれた守奈は、今度こそタケルに捕まってしまい、押し倒されてしまった。
ここで、タケルは守奈に馬乗りとなり、優位なポジションを奪い取りたいところ。
しかし、この場面でも守奈の行動が、タケルの選択肢を先回りで潰していた。
「ふがっ・・・・があああああ!!!」
「そうはいかないよ、タケル君?」
ダウンと同時に、守奈は両足をタケルの腹に巻き付けて、ボディシザースを仕掛け終えていたのだ。
守奈の肌が露出している太腿は、蔦の如くタケルの腹回りをぐるりと一周して巻き付いている。
「ぐううう・・・」
全身から汗を噴き出し、顔を真っ赤にして耐え続けるタケル。
呼吸すればするほど、タケルの骨と呼吸器官は悲鳴を上げる。
更にまずいことに、タケルの勃起したペニスは、守奈の太腿締めに巻き込まれ圧迫されていた。
「タケル君の・・・すごい脈打っている・・・私の近くで・・・あああ・・・」
両手をマットについて、シザースを続ける守奈。
その股間には、タケルの巨木の如くに勃起したペニスが密着しているのだ。
「ぐうう・・・このままでは・・・」
タケルは腹だけでなく、ペニスまで囚われている。
守奈のコスチュームは、何故か薄手生地で作られているらしい。
タケルは自らのペニスを通して、守奈の女性器の形状を感じ取っていた。
守奈の太腿の輪が縮むほど、より強くこすれ合う両者の股間。
非常に強い圧力で責められるタケルのペニスだが、むしろそれを喜びと感じているのか、一層に勃起は強靭となっていく。
このままでは、守奈のシザースがタケルの意識を刈り取るより先に、ペニスの巨大化がタケルのショートタイツをぶち抜いてしまうかもしれない。
「うあああ!!!放せえええ!!!」
焦りに焦ったタケルは、自分を挟殺せんと絡みつく守奈の太腿目掛けて、容赦なくエルボーを落とす。
「いたいわ!やめて!」
苦痛で表情を歪めた守奈は、両手を付いて背を反らす。
タケルの腹とペニスは、守奈の腿が上方へ持ち上がことで更なる圧力を加えられてしまう。
「ぎゃあああああああ!!!」
首をあらん限り伸ばし、大粒の涙をこぼして絶叫するタケル。
尋常でない悲鳴が、彼の限界を観客たちに伝える。
「ああ・・・来る・・・またいっちまう・・・」
そしてタケルは自身の生命の危機と共に、猛烈な射精の欲求に襲われた。
それを知ってか知らずか、グイグイと腰を動かして刺激を送り続ける守奈の股間。
まさに獲物を加えた肉食獣のごとくである。
「まだまだいかせないよ、タケル君?」
守奈はボディシザースを解いて、タケルを苦しみから解放した。
「んんんん・・・・」
コブラツイストに続いて、絶体絶命の窮地でタケルは対戦相手の守奈に救い出された。

大の字になって荒い呼吸を続けるタケルは、中々立ち上がれない。
全身に関節技で蓄積したダメージがあり、痛みが引くことは無い。
汗まみれでマットにダウンしたタケルは、最早敗北者同然だが、守奈はまだ試合を終わらせる気が無いらしい。
「もっともっと痛めつけないと、最高の快楽まで届かないですもの!」
守奈は破顔一笑して、タケルの髪の毛を掴んで無理やり立たせた。
そして、タケルの体をロープに押し込んで、反対側のロープへ振る。
なす術も無くロープの反動で戻ってきたタケルの顔面に、守奈はドロップキックをぶち込んだ。
翻る白のスカートとそこからのぞく白いレオタードを目に焼き付け、タケルはマットを転がっていく。
「があああ!!!」
燃え上がる炎に炙られたような痛みに悶えるタケルの腹に、容赦なくトゥーキックを突き刺す守奈。
ヒートアップするにしたがって、守奈の技は切れ味を増していく。
守奈がタケルを前屈状態にして、一気に持ち上げると、パワーボムの準備態勢に入る。
「ん!!あううう・・・・!!!」
逆肩車で持ち上げられたタケルの表情は、形容しがたい物であった。
怯えているようでもあり、焦っているようでもあり、それでいて心地よさそうな表情を浮かべているのだ。
「タケル君・・・タケル君・・・はあ・・・」
パワーボムでタケルを持ち上げた守奈は、その顔を振って巨大すぎる肉棒に頬ずりをしていた。
守奈の本能が、自身の最も欲する物を求めている。
守奈の頬ずりで、タケルのペニスは手淫と同じ快楽を浴びてる。
「ぐああああ・・・・」
タケルは自分の逸物が一層充血したことを察する。
爆発寸前の爆弾を火にくべている感覚である。
「えーい!」
ズゴン!!
タケルの悶絶を消し飛ばす勢いで、パワーボムが炸裂した。
大きく痙攣したタケルの体は、ゆっくりマットに横たわる。
「うええ・・・」
頭蓋骨越しに響いた二人分の体重により、タケルの脳は荒波にさらされるヨットの様に揺られている。
タケルは口許から唾液を垂らしつつ、ロープをくぐり場外へエスケープ。
余りにも過酷な攻めに避難を余儀なくされる。
タケルが場外に降りたことを確認したレフェリーは、すかさず場外カウントが告げる。
カウント20までにリングへ復帰しなければ、タケルのリングアウト負けとなってしまう。
「逃げたまま終われないよな・・・」
全身にダメージを負い、そこに被虐の快楽を感じ取ってしまったタケルが立ち上がる。
タケルの呼吸は荒いが、まだ戦えると両腕を折り曲げ、マッスルポーズでアピール。
黒いショートタイツを大きく持ち上げてそそり立つペニスも健在なままだ。

守奈はタケルが健在であることを確認すると、リングを駆けてトップロープを飛び越え、タケル目掛けてダイブする。
「私のこと、ちゃんと受け止めてね・・・?」
飛び技の形を取っているが、内心ではタケルに抱き止められる光景を夢想している守奈。
戦えば戦うほど、守奈の頭の中には、タケルとのメイクラブで満たされていく。
タケルの逞しい肉体と肉棒は既に守奈を虜にしていた。
盗撮画像だけで満足していた守奈はもういない。
今夜、リングの上で事を果たす為に、守奈はもう止まれないのだ。
情欲のままにトペ・スイシーダで突撃した守奈は、空飛ぶ弾丸だ。
タケルに抱き止めてもらうという、欲求のままに飛び出した彼女とタケルが接触する。
「うああああ!!!」
タケルは思わず、両腕を伸ばし、空から舞い降りた守奈を抱き止めてキャッチすることに成功した。
しかし、トペ・スイシーダの勢いを殺すには至らなかった。
タケルは守奈の勢い付いた体を完全に停止させることができず、後方へ倒れ込んでしまう。
そしてそれが丁度フロントスープレックスの形となった。
「んぐおおおおお!!!?」
守奈の体は弧を描いて場外マットの上に叩きつけられた。
それも顔面からである。
いわゆる受け身失敗。
危険なプロレス事故だ。
守奈を抱えたタケルの方は、スープレックスを成功した形となり、ダメージは無い。
この試合において、タケルが初めて痛恨のダメージを守奈に与えたことになる。
「ぐう・・・ぎいい・・・」
人間とは思えないうめき声を上げて、守奈はのたうつ。
「も、守奈・・・ごめん。受け止めきれなかった・・・。」
気まずい気持ちで守奈を心配するタケル。
試合中ではあるが、プロではないタケルにとっては、守奈のケガの心配を優先してしまう。
やがて、守奈が上半身を持ち上げた。
端正な顔は流血で赤く染まっている。
強打したのは額部分で、そこからの出血が激しいようだ。
「守奈・・・ぐへええええええ!!!!」
守奈の後から近づき介抱しようとしたタケルだが、その守奈から裏拳を受けてしまう。
勢いよく振りかぶった守奈の拳は、タケルの頬にヒットし、そのままタケルを吹き飛ばした。
「が・・・」
場外マットを蹴られたサッカーボールの様にゴロゴロ転がり、観客の座席前まで吹きとばされたタケル。
状況が吞み込めずに、混乱するばかりだ。
四つん這いになったタケルの前に、鬼の形相の守奈が立った。
その手には、観客から奪い取ったパイプ椅子が握られている。

「タケルくん・・・タケル・・・・ばああああああああああああ!!!!」
狂乱した守奈がタケルの背中と後頭部目掛けて、パイプ椅子を乱打。
顔を鮮血で濡らし、白のウェディングドレス状のリンコスにも赤い斑点を作った今の守奈に、試合前の清楚な印象は微塵も残っていない。
凄まじい勢いで叩きつける為、パイプ椅子はすぐにひしゃげてしまった。
そして守奈はすぐに別の観客をどかせて新たな椅子を補充し、同じくタケルに振り下ろす。
それを延々と繰り返し、タケルを叩きのめした守奈。
ただでさえ消耗激しいタケルは、逆上した守奈によって、いよいよ瀕死にされてしまった。
「・・・これは邪魔!!」
「があああ・・・」
守奈はうつ伏せのタケルから黒のショートタイツを剥ぎ取ってしまった。
そして目いっぱい両手で引っ張り、そのまま引きちぎってしまう。
観客が間近にいる状態で、タケルは股間を守る衣服を失ったことになる。
そして、タケルの逸物はうつ伏せ状態でも分かるくらいに巨根となっていた。
「いまいあまいあいああいいあいかあかああうせええええうるてうえあえああげがるあらあわかがあらねええいあえっはっれえたたあたあああけええええするるうううう!!!!」
最早、人間の扱う言語かすら怪しい守奈の声。
戦慄する観客たちの視線を浴びながら、守奈はタケルを担ぎ上げた。
そして、リングの鉄柱目掛けて走り出した。
守奈は背中にタケルをおぶって、前傾姿勢で走り続ける。
守奈の両肩からはタケルの両足が伸びだしている状態だ。
そして当然、タケルの勃起したビッグペニスは、守奈の頭上に乗って前方へ突き出ている。
まるで守奈から猛々しい三本角が生えた様相である。
異様な姿だが、守奈にとっては思い出深いシルエットなのだ。
幼いころに一緒に眺めた生物図鑑の中で、タケルが一番好きと言った生き物を、守奈は強く記憶に刻んでいた。
「グレイテスト・コーカサス・ホーン!!!!」
守奈は、自らの頭上にあるタケルの股間を、リングの鉄柱に叩きつけた。
「ぎいいいいいああああああああああああああああああ!!!!!」
鉄柱に叩きつけられたタケルの股間。
上向いたペニスから勢いよく白濁液が立ち昇っていった。
リングの一角から間欠泉の如く上昇する精液の水柱と共に、試合終了のゴングが鳴らされた。
カンカンカアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!
「リングアウト!!ドロー!!!」
レフェリーから宣言されたのは、両者リングアウトであった。
守奈の逆上によって、皆が場外カウント忘れていたが、レフェリーだけはきっちり職務を全うしていた。

「ふ、くくく、くくく・・・」
いつの間にか射精を終え、ぐったりしているタケルを姫様だっこしている守奈。
流血は止まらず、顔面は全て赤一色、白かったコスチュームも赤黒い範囲が大半となっている壮絶な状況だ。
栗色のロングヘアーも血を浴びて、艶を失っている。
試合終了後、すぐに治療を受けるべき二人だが、守奈は気絶したタケルを所持したまま体育館の隅へ走り出す。
体育館の隅には器具庫があり、その室内に二階へ上がるための階段が設置されている。
その階段を、守奈は駆けあがっていく。
タケルを抱えながらスピードを落とさない、凄まじい体力だ。
そして守奈は、体育館の二階へ到達した。
ここには観覧席は設けられていない簡素なキャットウォークだ。
柵が設けられているだけの二階通路に立つ守奈。
全ての人間の視線が、守奈と彼女に抱えられた全裸のタケルに集中している。
「起きて、タケル君・・・」
突然、慈しみの表情に変化した守奈。
そのままタケルの頬に口づけをする。
「う・・・もりな・・・」
守奈の唇の感触か、全身に走る痛みか、タケルの意識は覚醒した。
「だれも邪魔できない場所に行こ?私たち二人だけの家に・・・・ね?」
「・・・え!?」
次の瞬間、タケルの体は浮遊感を覚える。
そしてまた次の瞬間には、猛烈な空気抵抗が襲い来る。
「わ!・・・わあああああああああああああああああ!!!!!?」
「タケルくん・・・タケルくん・・・タケルくん・・・」
飛び技の失敗で頭部を強打した守奈は正気を失っていた。
元々正気から逸脱していたが、その逸脱した状態を支える正気をも無くなった状態である。
そんな守奈は心の奥にある欲望、つまりタケルと添い遂げるという悲願を、シンプルに追求して実現してしまったのだ。
守奈はタケルを抱えたまま、体育館二階の柵を足場に飛び降り自殺を敢行。
あとは二人が体育館の床に叩きつけられ、凄惨な心中現場ができあがるはずだ。

ボスン!

「間に合ったわね、ほんと、とんでもない子だわ・・・」
「ステイツなら拳銃でスーサイドされる所だったね」
二人の体は、一階で待ち受けていた分厚い大層マットに着地していた。
守奈の体はマットに受け止められ、無傷で生還となった。
それはタケルも同様で、飛び降り心中による外傷は皆無であった。
しかし、守奈の必殺技“グレイテスト・コーカサス・ホーン”による射精で意識が弛緩したところに、心中の恐怖を味わったことで、タケルのペニスはパニックを起こしていた。
射精前と同じか、それ以上に力強くペニスはいきり立っていた。
「はああああああああああああああ・・・・・」
そして死の予感により、再び絶頂を迎える。
安全マットに大の字になったまま、タケルの肉棒から精液が噴き出した。
「きゃああ!」
「もう・・・せっそうなさすぎ!」
「ふふ、タケルさんらしいですね」

幼馴染の綴宮守奈と死闘を演じた児玉タケル。
最後は結局、射精させられた挙句、心中騒動までおこされてしまったが、黒星続きのタケルにとっては初めての引き分けという結果であった。
一戦ごとに成長が見て取れるタケル。
その今後に、より一層の期待を持たせる戦いであったと言える。

【試合結果】
児玉タケル ▲ ― ▲ 綴宮守奈
( 16分03秒 場外20カウントによる両者失格 )



■第六話完



[43623] 第七話「ヴァリステック・インパルス編① 不死鳥天女!日輪に飛ぶ!!」
Name: 独情構◆03fd381f ID:186502a9
Date: 2022/07/27 01:47
第七話「ヴァリステック・インパルス編① 不死鳥天女!日輪に飛ぶ!!」


【第七話:①】
無機質な壁が敷き詰められた巨大な地下空間。
元々、音楽の修練の為に作られた秘密部屋だが、現在、そこに鎮座するのは四角いプロレス用リングだ。
そこに集っているのは、複数の女達。
そして女たちに交じって、男が一人。
リングの中には女二人と男一人が戦っている。
男・・・ヴェルエポック唯一の男子プロレスラーである児玉タケルは果敢に攻め込むが、決定打を中々与えられない。
タケルを迎え撃つのは、同じくヴェルエポック所属の御剣花純と、三坂杜杏のタッグだ。
今回は、タケルの特訓として、1対2の変則マッチをこの地下リングで行っている。
そして、三人の戦いを見守るのは、その他のヴェルエポック女子レスラー達。
タケルが音を上げてリングから逃亡を図った場合、彼女たちの手により押し戻される事となる。
そして、既にタケルは10回以上リングの外へ飛び出していた。
決して、タケルはリングから逃げる気は無かった。
それでも花純と杏の猛烈な攻撃により、タケルが意図せず場外へ押し出されてしまうアクシデントは発生する。
そんなタケルを捕まえては、ペナルティと称して彼に性的制裁を実行し、射精まで導く女子レスラー。
そのような光景が10回繰り広げられた事になる。
どんなに大声で悲鳴を上げても、決して地上まで届かない地下牢獄のプロレス地獄。
それがここ、三坂杜大邸宅の地下3階ヴェルエポック専用プロレスリング道場なのだ。
この街どころか、世界を見渡しても、そうそう並ぶ家格がない三坂杜家。
その資本力にかかれば、令嬢の為に地下にプロレス道場を増築するなど造作もない。
リングでは、御剣花純が児玉タケルを追い込んでいる所だ。
「参ったしなさいよ、タケル君!!!ほらああ!!!もっと苦しみたい?」
「んんぐううううう・・・」
コーナーの追い詰められたタケルの顔に、花純が自分の股間を押し込んで窒息攻め。
ロープに両足をかけてタケルの逃げ道を奪った上で、その顔に座り込む荒業ブロンコバスターである。
滑りのいい生地で編み上げられたブルーの競泳水着が、タケルの顔に跨り密着している。
そしてそんな卑猥な技によって、タケルは大いに興奮させられてしまい、ショートタイツを突き上げてペニスが勃起してしまっている。
射精しただけでは終わらないハードな特訓デスマッチは、タケルのマゾヒズムを大いに刺激し、増大させているようにも思える。
しかし、今回のトレーニングにはきちんとした目標が定められていた。
その目標とは、女子プロレス交流イベント“ヴァリステック・インパルス”である。
【第七話:②】
ヴァリステック・インパルスとは、アマチュアサークル活動などをメインにする女子プロレス団体を、一堂に集めて大規模交流戦を開く催しである。
最近、ネット界隈で話題に上り始めたヴェルエポックにも、誘いの声がかかったという事である。
そんなイベント開催の起因となったのは、ある国家戦略特区の開発計画にまで遡る。
割愛して簡潔に説明すると、上記の計画に選定され開発の進んだ港湾都市にて、計画開始の節目となる今年に大規模記念イベントが企図された。
その計画立ち上げ携わった政財界の大物による力強い後押しによって、イベントの一環としてヴァリステック・インパルス開催の運びとなった次第である。
交流戦には大小様々なマチュア女子プロレスサークル、その他格闘技関係の団体にも参加が呼びかけられている。
規模の差はあっても、その参加者たちは選定委員の課すハードルを越える女性たちである。
いずれも勝るとも劣らない猛者揃いであることは想像に難くない。
そして、公示されたヴァリステック・インパルスのルールもプロレスファンの期待を煽る内容であった。
簡単に整理したルールの内容は、以下のとおりである。

Ⅰ.本イベントは、全参加団体による総当たりリーグ戦である。
Ⅱ.試合は二人1チームのタッグで行う。
Ⅲ.試合のルールは、一般的なプロレスのタッグマッチに則るものとする。
Ⅳ.各団体は試合ごとに二名の出場者を選定し、勝敗をつけること。
Ⅴ.団体所属者であれば、試合の出場者は何度でも変更可能である。

ヴァリステック・インパルスはリーグ戦ということもあり、数日間にわたり行われる。
そして試合ごとにタッグメンバー二名を入れ替え可能である。
各参加団体は、戦略を駆使して持てる最適なカードを繰り出すことが出来るのだ。
メンバーを固定する理由さえ無ければ、ファンにとっては団体のお目当てレスラーの活躍が見られる機会と巡り合える内容だ。
ネット上では、参加が公示された格闘団体の名によって、大きく盛り上がりを見せている。
ヴェルエポックも負けてはなるものかと、代表レスラーの追い込みに力を入れているという次第だ。
その代表の一人とは言うまでもなく、ヴェルエポック唯一の男子である児玉タケルである。
【第七話:③】
「んぐはあああああ!!!」
代表内定のタケルが、三坂杜杏のアトミックドロップを受けて悶絶の大声を上げた。
どれだけ人間が大声を張り上げても、この地下空間から外に飛びだすことはない。
杏の硬い膝に突き上げられた自分の尻を手で押さえ、タケルはヨロヨロと前進する。
口から唾液が零れ意識は朦朧である。
そんなタケル目掛けて、杏と花純のタッグが合体攻撃を仕掛ける。
「御剣さん!」
「うん!杏ちゃん!」
構えも取れない夢遊病者状態のタケルに、二人はダッシュから勢いをつけて、跳躍。
二人の呼吸が合ったヒップアタックで、タケルの顔面を狙い打った。
横並びとなった二人の尻肉を正面から受けたタケルは、恍惚な弾力で押し出されリングを転がっていく。
「がはあああああ!!!!」
そして、タケルは転がっていく勢いのまま止まれずに、サードロープの下をくぐって場外へ転落してしまった。
タケルは立ち上がってリングへ復帰するより早く、場外に待機している女子レスラーたちに捕らわれる。
「あああ・・・・やめ・・・・・くううううううう・・・・」
女子達はタケルを場外マットにねじ伏せ、全身に愛撫を開始する。
場外転落のペナルティという名の淫乱プレイである。
タケルの顔を舐め、胸を摩り、ショートタイツから勃起したペニスを露出させ、全てを弄り倒す過酷過ぎる罰だ。
二人で攻められ火照ったタケルの体は、更なる情欲の炎に炙られ、限界まで熱量を上昇させていく。
血管を浮かべ、太くいきり立つイチモツから白濁液が噴射されるのも時間の問題であろう。
地下リングに響くタケルの嬌声など気付く由もなく、夜空の月は煌々と三坂杜邸を照らすのであった。
【第七話:④】
ヴァリステック・インパルス開催日。
港湾都市はセレモニーのお祭り状態である。
広場には出店やパビリオンが出展し、そこら中に人だかりができている。
天気も晴天に恵まれ、人の流れはますます増えていくだろう。
街のシンボルとして設立された地上200m級タワーと、それに合わせて付設された大広場。
港湾都市らしく、海と港を臨むその場所に、ヴァリステック・インパルスのリングが設置された。
リングと場外マットはあるものの、あとはそれを取り囲んで備えられたパイプ椅子だけの簡素なものだ。
常時一般開放されている大広場だけに、人々は椅子だけでなく遠足シートや立ち見でイベントを観覧している。
仰々しさの漂わない、庶民向けのプロレス・イベントであることは、誰の目にも明らかである。
小さな子供を含めた家族連れも大勢押し掛けており、賑やかかつ和やかな雰囲気のまま、皆がイベント開始を楽しみにしている様子だ。

そしてついにイベント開始のアナウンスが、音響スピーカーより伝わる。
続いてヴァリステック・インパルス第一試合の組み合わせが発表される。

<ヴェルエポック>児玉タケル・御剣花純
vs
<P・W・P フェニックス女子プロレスリング>清左亜紗美


まずは、選手控室代わりのテントより、ヴェルエポック側の二人が花道を歩みだす。
強めの潮風が花道を歩む御剣花純の黒髪を浮かせる。
その表情はリラックスした微笑であり、道の両脇の観客たちに手を振っている。
青い競泳水着と白ブーツのみの飾り立てしないリングコスチュームだが、それが却って花純自身のボディの美しさを際立たせる。
そのパートナーを務める児玉タケルは、やや緊張しており、ぎこちなく手を振っている。
そんな緊張したタケルを見た花純は、にっこり笑顔で寄り添った。
「タケル君、いつもとは違うリングだけど・・・ちゃんと私の事守ってね♪」
「うわ!は、はい!先輩!!」
年上の美女がタケルの右腕に抱き着くと、一層体を硬直させてしまう。
女性から頼られると嬉しくなり、舞い上がってしまうのは若さ故。
と言っても、ヴェルエポックのリングで、花純はタケルを叩きのめした上に射精にまで導いているのだが。
そんな二人がリング近くまで歩んだ所で、観客が突如ざわついた。
不穏な気配を感じた二人が身構えたものの、既に手遅れであった。
「ぐわ!」
「きゃ!?」
ヴェルエポックレスラー二人の後頭部に、鈍器で殴られたが如き衝撃が走った。
視界がノイズ入りテレビ画面の様に乱れ、膝下の感覚が失せていく。
そのままタケルは花道の上に、うつ伏せで倒れてしまう。
歪む視界の中で捉える事が出来たのは、花純が乱入者に襲撃されている光景であった。
乱入者・・・いや、タケルと花純を襲撃した犯人こそ、他ならぬ当試合の対戦相手である清左亜紗美だ。
亜沙美のリングコスチュームは、深紅のワンピース。
そして、それにデザインされた黄金の刺繍が目立つ。
ワンピースコスチュームの胸から腹部にかけて、団体のシンボルともなっているフェニックスが刺繍されている。
黄金の不死鳥をその身に宿した清左亜沙美が、ヴェルエポック代表タッグに試合前の奇襲を仕掛けたことになる。
亜沙美は、花純に狙いを定め、容赦なきストンピングの豪雨を叩きつけていく。
「あん!!た・・・タケル・・・」
さすがの花純もたまらず、タケルに助けを求めようとするが、そのタケルも後頭部のダメージが響いてまともに動けないでいる。
「おらあああ!!!」
何十回もの踏みつけの後で、亜沙美が花純を抱え上げた。
亜沙美が激しく動くたびに、荒々しくその長い髪が乱れる。
プロフェッショナルだけあって、亜沙美の身体はプロレスに相応しい仕上がりである。
かといってそれが男性を引かせる要素とはならない。
女性らしい美しいプロポーションは保たれたままであり、寧ろ健康美として魅力的に映るのが、清左亜沙美のボディである。
自団体の興行では、この魅惑の体を弾ませて縦横無尽にリングを舞うように飛ぶファイトから、彼女には不死鳥天女の二つ名が与えられている。
そんなプロフェッショナルの女子プロレスラーである彼女は、今回のヴァリステック・インパルスにはゲスト枠として招聘された。
【第七話:⑤】
アマチュアサークル活動の人間が中心のイベントにおいて、プロの自分が遅れをとることはあり得ない。
ヴァリステック・インパルスでは、それを証明する。
イベント決定後、タッグ戦による交流イベントだが、自分がタッグを組んでは他の参加者たちが気圧されてモチベーションを保てないだろう。
プロレスイベントを目当てにするお客さんも白けてしまう。
それらを回避する為に、わたしは自らにハンデを設ける。
私はヴァリステック・インパルスを、単独で戦い抜く。

ヴァリステック・インパルス参戦表明後、マスコミ取材に対してこのように宣言した亜沙美。
その言を守って、P・W・P代表の清左亜沙美は、タッグパートナーを用意せず、たった一人で参戦したのだ。
このリーグ戦を亜沙美は全試合を一対二で戦い抜くことになる。
いくらアマチュア相手とはいえ、あまりに過酷な条件を設定したと思われていたが、亜沙美には気負う部分もない様で、軽快なリフトアップからのボディスラムを披露。
場外マットに叩きつけられた花純は、悲鳴を上げることも出来ず、のけ反って口を開いて悶絶している。

間髪入れずに亜沙美は花純の髪を掴んで無理やり立たせると、平手打ちで頬を殴打する。
一発で終わらずに、二発三発と両手のビンタで花純へスラッピングを続ける。
「こ・・・この!」
花純も頬を赤くしながら懸命に反撃を繰り出す。
エルボーで亜沙美の肩を打ち、トゥキックで腹をえぐり、全力を籠めた右腕のラリアートで亜沙美の首を薙ぐ。
しかし、それらは僅かに亜沙美を後退させるだけでダウンはおろか、悲鳴の一つも彼女は漏らさなかった。
ヴェルエポックでの試合では、相手女子レスラーと互角の攻防であった。
しかし、舞台が変わり、相手が格上のプロフェッショナル・プロレスラーとなった途端、自分の技が通用しない。
花純の端正な顔は弱気で歪み、目じりには涙が溜まり始める。
「ああ・・・うそ・・・んきゃ!!?」
そこに亜沙美の貫禄あるフロントハイキックが、花純の顔面に叩き込まれた。
なす術なく花純は観客席まで吹っ飛ばされてしまう。
試合開始のゴングも鳴らない内に、場外乱闘が始まり、そして試合参加レスラーの一名がグロッキー状態となっている異常事態だ。
しかし、観客の盛り上がりは既に最高潮に近づきつつある。
ヤジや歓声が、既にクライマックス級と言える。
そんな人々の声に応えるべく、亜沙美が花純をツームストン・パイルドライバーに捕えた。
「いやああああ!!!放して!放してええ!!」
「アマチュアではここまではやらないでしょう?でもね、私たち本物のプロは相手を殺すか、自分が殺されるかの境界で戦っているのよ!!」
ツームストンによって逆さまにされた花純。
その股間に声をかける亜沙美。
本当に殺人技となりかねない状況に、観客たちにも緊張が走る。
花純の“頭上”には、安全なリングマットではなく、インターロッキングブロックが敷かれた野外広場だ。
頭から倒れるだけで一大事になりかねない、プロレス危険地帯だ。
花純が懸命に足を振り、亜沙美の頭に打ち付けるが、技の姿勢はまるで崩れない。
いよいよ絶望的状況に花純が青ざめ始める。
「タケル君・・・たすけ・・・」
自分の頭がコンクリートに叩きつけられ粉砕される無惨な未来を想像した花純は、恥も外聞も無く滝の様な汗と涙を流す。
涙で歪んだ視界には、ようやく立ち上がったパートナーのタケルが映る。
タケルは脳震盪に苦しみながらも、花純と亜沙美に近づいていく。
しかし、その足取りは覚束ず、歩みはゆっくりしている。
そんなタケルを見て、口角を持ち上げる亜沙美。
亜沙美は助走をつけてジャンプ。
亜沙美は膝で花純の頭部をがっちり固定し、地面へ落下していく。
「フェニックス・ドライバーーー!!!!」
「ぐぎ!!!!!」
ゴチン!
周囲にいる誰の耳にも、頭蓋骨に深刻なダメージを連想させる衝突音が聞こえた。
亜沙美のツームストン・パイルドライバーによって、花純の頭頂部はコンクリートの地面に打ち込まれたのだ。
しかも、亜沙美は地面に落とすタイミングに合わせ、花純の膝裏に両腕を絡ませていた。
これにより、花純の下半身は、足と尻で丁度アルファベットの“W”を描くように股裂きされる。
この両足と尻が、まるで羽根を広げる不死鳥を形作るように見えることから、亜沙美のツームストン・パイルドライバーには、フェニックスドライバーの名前が命名されたのだ。
【第七話:⑥】
亜沙美が両手を放すと、花純の身体は背中から地面に吸い込まれるように倒れ伏した。
仰向けに倒れた花純の体には、時折痙攣は起こるが、意識は残っていない。
タケルが近くから声をかけるも、花純に反応はない。
ヴェルエポック代表タッグの片割れ、御剣花純は、試合開始前に失神ノックアウトという不名誉極まりない記録を打ち立てる羽目となった。
試合開始前の奇襲に始まり、花純を徹底的に嬲った清左亜沙美は、えげつない反則技を繰り出した後とは思えない優しい笑みを絶やさず、リングインを終えた。
そしてようやく試合開始のゴングが鳴らされた。
カアアアアアアアアアアアン!!!
そして同時に、場外にいる児玉タケルに対する場外カウントが開始。
「そんな・・・御剣先輩の介抱が先だろ!!」
抗議の声を上げたタケルだが、無情なカウントは止まらない。
このまま20数えられる前にリングインを済ませなければ、ヴェルエポックはリングに立つことなく、初戦を落とすことになる。
「タケル君・・・行って・・・」
「先輩!?」
「このまま負けちゃうなんて悔しいよ・・・」
「いいんですか?」
「先に行って戦って。お願いよ!私も後から必ず行くからね・・・」
このまま病院の集中治療室行きになってもおかしくない花純が、タケルのほほに手を添える。
彼女の熱は、タケルの下へ届いたようだ。
タケルもそれ以上は言葉を発せず、リングへ向かって走り出した。
場外カウント20前に、ヴェルエポック側代表の一人、児玉タケルがリングに降り立つことが出来た。
ここで両者は初めてリングで顔を合わせることになった。

タケルはリングで亜沙美と向き合うことで、彼女のプロレスラーとしてのストイックさを察する。
厳しいトレーニングと命がけの実戦で鍛え抜かれた肉体と、人々の視線を集める整った顔立ち、集客に役立つだろう扇情的な赤いコスチューム。
これがプロレスを生業とする芯の通った格闘技者。
ヴェルエポックで苦闘続きのタケルでさえ、亜沙美の醸し出す強者の空気に気圧されてしまう。
「だからといって・・・退く理由にはならない!」
「へえ・・・やる気なのね?」
両者が両手を絡ませて、力比べに入る。
タケルもヴェルエポックの一員として、逃げることは出来ない。
いきなり全力を振り絞り、亜沙美を押し込みに行く。
「アマチュアにしては上出来ね。プロレベルなら・・・話にならないわよ?」
そんなタケルの思いを込めた全力に対して、亜沙美は涼しい顔だ。
実際に、組み合ってから両者の位置は動いていない。
タケルが亜沙美を押し込もうと前のめりになっているが、亜沙美は背を反らすことも無ければ、後退りもしない。
「く!ぐ・・・!」
いくらタケルが押し込む力を強めようとも、まるでびくともしない。
ここまで強固な相手は、ヴェルエポックにもいなかった。
「はい。あなたのターンはここまで。今度は私が押し込む番よ!」
亜沙美が宣言と共に、タケルを押し返し始めると、一気に二人の身体が動き出す。
タケルは全力で踏ん張っているが、亜沙美はお構いなしに押していく。
圧倒的パワー差に加え、亜沙美の突き出したバストがタケルの胸板で押し潰れる。
その柔い感触が、タケルの精神をかき乱す。
あっという間にロープへ押しこまれたタケルが、ハンマースルーで反対側へ走らされる。
「くそ!とにかく反撃だ!」
自慢のパワーをねじ伏せられたショックに落ち込む間もなく、亜沙美は追撃してくるはず。
タケルは素早く意識を切り替え、右腕を伸ばしてラリアートの準備に入った。
しかし、またしても亜沙美の上を行かれる。
接近するタケルに対して、亜沙美も自らロープの反動を受け、助走していた。
十分な勢いで跳躍し、タケルに尻を向ける。
「わわ!!!?はぶうう!!!!」
猛スピードで接近する両者。
回避する術がない状態で、タケルの顔に亜沙美のヒップアタックが正面から着弾した。
赤いコスチュームが張りつく亜沙美の臀部。
その谷間部分に丁度鼻をつっこむ姿勢になってしまうタケル。
尻打撃によりそのまま後方へ吹き飛ぶかと思われたタケルだが、亜沙美の尻はその顔に密着したままだ。
何事かと観客にどよめきが起こるが、そのメカニズムは外部からでは解明のしようがない。
「ふ!・・・ぐ・・・・」
亜沙美の尻に捕らわれたままのタケルにも事態が把握できない。
尻肉による強烈な圧迫を受け続け、のけ反ったタケルには反撃方法が思いつかないでいる。
「あなたは、今、不死鳥の嘴に咥えられた獲物なのよ?」
プロの亜沙美にとって、打撃が相手に触れる前にその重心をずらし、威力を殺して力加減する程度、実に容易な技術である。
亜沙美はヒップアタックがタケルに当たる直前、空中で自ら尻を僅かにひっこめることで、威力を減らしたのだ。
結果として、タケルにとってはのけ反る程度の力しか伝わっていない事になる。
そしてもう一つ、亜沙美は臀筋に力を込めてタケルの顔面を締め上げ、これにより自身の体重を支えているのだ。
亜沙美は、臀筋の締め上げのみで自重を保持する驚異的な体幹を、長いプロ生活で身に着けていた。
亜沙美が自分の体を前方に倒して空中回転を始めた。
「ぐお!?」
亜沙美の回転に引き込まれ、タケルの身体も同じく前転させられる。
凄まじい筋力で保持されたタケルは、亜沙美の尻に敷かれながらマットへ叩きつけられた。
「私の尻でフォールしてあげる!」
「むうぐうう・・・」
フェイスシッティング状態でフォールカウントが入るが、ここはタケルがカウント2で返した。
亜沙美は追い打ちせずに立ち上がり、コーナーの傍でタケルの回復を待った。
「二人がかりだろうと、私にかかればこんなものね。でも、この程度じゃ、お客さんも満足できないわよ!早く立ちなさい!」
黒髪をかき上げ、凛々しく声をかける亜沙美。
「・・・・これぐらいで参ったするか・・・・!」
タケルもゆっくり立ち上がり構えるが、疲労困憊であることは、見るからに明らかだ。
加えて女性とのミックスファイト故に、タケルの股間にも変化が起きている。
長時間、亜沙美の逞しくもふくよかな尻肉に、顔を埋めていたタケル。
性的興奮は自然な現象と言える。
連日行われた三坂杜邸地下リングでの特訓にて、タケルは心身ともに嬲られ続けてきた。
その体には、女による痛みと快楽が、これでもかと刻み込まれている。
ヴェルエポックの面々は、タケルが女性への免疫をつけてくれればと、訓練を発案した。
しかし予想通りというか、タケルの女性への興奮体質は一層悪化していた。
亜沙美のヒップの弾力が今でも顔に残るタケルの欲情は増すばかりであり、それに比例してショートタイツをペニスが突き上げていく。
「う・・・毎回の事だけど・・・こんなんじゃ・・・だめだ・・・・」
自然と内股気味になってしまうタケル。
そんな弱気な姿勢になるタケルを見て、亜沙美は見慣れた様子で口角を上げている。
【第七話:⑦】
プロレス形式のタッグマッチリーグイベント、ヴァリステック・インパルス。
そんなタッグマッチにおいて、原則を曲げて単独での参加が認められた清左亜沙美。
P・W・P フェニックス女子プロレスの看板にして、代表でもある彼女。
亜沙美が、プロレスラーとして歩んできたキャリアは、決して平たんではない。
それどころか、嵐の大海原を筏で渡る様な苦難の連続であった。
中学卒業と共に団体入りした彼女を待ち受けていたのは、厳しいトレーニングとそれを遥かに上回る先輩たちのイジメであった。
それに加えて新人の役割として、ありとあらゆる雑用という名の無報酬奴隷労働もあった。
同期の練習生が脱走、再起不能のケガ、イジメに耐えかねた自殺未遂等々の理由で、去っていく中で亜沙美はデビューの権利を勝ち取った。
見目麗しい亜沙美は観客の注目を浴び、会社もそんな亜沙美をアピールした。
ファン感謝イベントでは、リングの上で男性ファンと取っ組み合いイベント。
テレビ番組出演の際には、本職アイドルたちにまじって水中運動会。
休む間もなく、商店街やデパートをはしごしてグッズ即売会。
労働基準法無視の無期超過労働をこなせたのは、亜沙美の類まれな身体的才能とプロレスを愛する心を支えにしたからに他ならない。
そんな亜沙美がスターダムを邁進し、団体のチャンピオンにまで至る頃には、プロレスや芸能界、その他アングラなやり取りにすっかり精通してしまっていた。
身体も心も未熟な少女のまま過酷なプロレスの世界に入った亜沙美は、常識的な青春やカリキュラムを経ずに、裏社会に触れ過ぎたのだ。
単に来場した観客へ試合を見せるだけが、チャンピオンの役目ではない。
団体の先頭として看板として、これまで以上に自身の団体を売り込まねばならない。
経営計画、試合、営業活動、スポンサーの接待等々苛烈なスケジュールで忙殺され続けた亜沙美。
苛烈過ぎる搾取体制にて、フェニックス女子プロレスのチャンピオンは成り立っていた。
一方で少女時代からの下積みは、亜沙美にプロレスラーとして、女性として厚みを作り上げることとなった。
本日の試合、ヴェルエポックのタッグとの対戦では、それが活きている。
すなわち男性とのミックスファイトの経験が、今回の優位を作り上げているということだ。
未成年時代から顔売りの名目で、アングライベントのリングに立たされ続けていた亜沙美。
身体の出来上がっていない未熟な少女が、大の男と格闘する恐るべき地下格闘技にて、懸命に生き残りの術を模索していた日々。
厳しくも亜沙美を大いに成長させた時期であることは確かであった。
成人を迎えるころには、男性の弱点を知り尽くし、嬲ることに陶酔感すら覚えるほどになっていた。
そんな表世界と裏世界の欲望と暴力に塗れた人生を歩んで来た亜沙美にとっては、目の前で勃起しながら構える男子など、物の数ではない。
自信と余裕故に亜沙美は、タケルを嘲り笑える。

「きつそうにしてるけど・・・楽にしてあげましょうか?」
「う・・・」
タケルは、亜沙美の笑みと視線に気づいて、怖気づいた。
ヴェルエポックでは当然のように自分の生殖器を狙われていた為、感覚がマヒしていたが、改めて外部の人間に勃起した姿を見られるのは恥ずかしいことだ。
亜沙美も敢えて宣言することで、タケルの意識にプレッシャーを与えている。
言葉だけでタケルの行動を縛り上げる亜沙美の試合巧者ぶり。
タケルは間合いを測らずに蹴りや掌底を繰り出して牽制するが、亜沙美は躱しもせずにガードポーズのまま距離を詰めていく。
そしてタケルが不用意にはなった拳を、亜沙美がキャッチ。
関節を極めながら、タケルの背後に回り、その首にも腕を巻き込んで絡ませた。
「はい。あっという間に捕まっちゃったわね。遅すぎるわよ、あなた?」
「んぐう・・・がう・・・」
タケルはチキンウイングフェイスロックで顔と腕を固められてしまう。
亜沙美は惜しみなくタケルの背面に、自分の胸と股間を密着させている。
タケルが足掻くほど、亜沙美の赤いコスチュームに守られた巨乳が潰れ歪む。
「そんな暴れっぷりじゃ弱すぎるわね。ほら、もっときつくしちゃうよ!」
タケルの抵抗をものともしない亜沙美の技。
首と関節の負荷による次第にタケルの動きも少なくなってきている。
このままでは関節が外れるか、呼吸困難で失神するかのどちらかだ。
しかし、そんなタケルのピンチにも関わらず、股間から突き出したペニスは一層膨張し、硬化していく。
タケルは、女に技を極められる快楽に、すっかり溺れてしまっているのだ。
亜沙美も男相手に手慣れた様子で、胸と股をタケルの体に擦り付けている。
「ギブアップを許すわ。しないならこのまま首を絞め潰すわよ?」
それを聞いたタケルが、背後に向かって、突進する。
危機感が彼の底力を目覚めさせたようだ。
タケルに背負われる態勢で、亜沙美がコーナーポストへ叩きつけられた。
「んおう!!?」
「これならどうだ!!」
タケルは、怯んだ亜沙美の首に腕を伸ばす。
肩越しに頭を掴むと、前方へ亜沙美の身体を叩きつけた。
「がう!!!?」
腰を強打した亜沙美に動揺が生まれる。
フライングメイヤーで反撃に成功したタケルが、更なる追撃に移る。
タケルが両腕を亜沙美の首に回してスリーパーを仕掛けた。
タケルは腕を食い込ませて亜沙美を窒息に追い込もうとするが、その視界に亜沙美の足が映り込んだ。
柔軟な股関節を活かした反撃のキックが、タケルの頭に届いた。
「う!!」
頭部にショックを受け、タケルのスリーパーが緩んでしまう。
その隙にスルリとタケルの捕縛から抜ける亜沙美。
「調子に乗らない!」
すかさず亜沙美が膝で、タケルの顎をかちあげた。
タケルの首が後方へ折れ曲がり、一時的に意識が消失する。
よろめいたタケルの背後に回る亜沙美。
亜沙美は、タケルの足に自分の足をかけて、逆の足を両腕で抱き込んだ。
そのまま勢いよく後方へ倒れ込み、タケルを巻き込んで円周運動を開始する。
「うわあああ・・・この技はまさか・・・!!?」
亜沙美に下半身を固められ、タケルはマットの上を転がり続ける。
「自分の状態を理解した?もっと回すわよ!!」
亜沙美が得意技のローリングクレイドルを披露したことで、激しく盛り上がる観客の声援。
技を受けているタケルは激しい回転により、脳が揺さぶられ意識を手放しそうになってしまう。
しかし、亜沙美の技はここで驚くべき変化を遂げる。
「あああ!!?そこは!!!!」
タケルの悲鳴は観客の声にかき消された。
亜沙美はタケルの足をロックする腕を一本のみとして、空いたもう片方の手でタケルの勃起したペニスを握っていた。
ローリングクレイドルによって回転しながら、タケルのペニスに対して、手淫攻撃を開始していたのだ。
「この技、男の人は皆喜ぶの・・・このままいっちゃう?」
亜沙美はイチモツをしっかり握り、ローリングクレイドルを続ける。
タケルの身体は亜沙美のなすがままに転がり続け、エッチ攻撃への防御も出来ない。
「ここは・・・耐えるしかない!!!」
悲壮な決意で射精を我慢し続けるタケル。
やがて、ローリングクレイドルの回転が停止した。
「タフ過ぎるわ、あなた・・・普通の男なら十回はお漏らししているところよ?」
過度の回転は、当然、仕掛けた亜沙美の脳も揺さぶっていた。
くらくらする頭を抱えながら、亜沙美は上半身を起こした。
一方のタケルは、ショートタイツをペニスが突き上げたまま微動すらしない。
ローリングクレイドルと手コキの合体テクニックにより、精も根も尽きていた。
亜沙美がタケルの盛り上がったタイツの先端を軽く指で弾いた。
「あ!」
びくんと体を震わせて悶絶するタケル。
「でも次でトドメよ!最高の技で仕留めてあげるから!」
宣言すると、亜沙美はコーナーをかけ上がり、腕を浮きあげてアピール。
コーナーポスト最上段から一瞬だけ身を屈めると、全身をばねとして跳躍する。
後方へ一回転し、手足を伸ばしてタケルの下へ舞い降りてくる。
亜沙美のムーンサルト・ボディプレスが、身動き取れないタケルへ迫る。
赤いコスチュームを突き上げる大きな乳房を凝視しながら、タケルはやがて来るであろう着弾の瞬間を覚悟して待った。
「させないわよ!!」
「ごう!!?」
タケル目掛けて硬化する亜沙美は、乱入者のドロップキックを受けて、マットに叩き落された。
何者かと目を凝らすと、それはヴェルエポックの御剣花純であった。
ゴング前に亜沙美が奇襲し、必殺のフェニックス・ドライバーでノックアウトしたはずの女である。
タケルが孤軍奮闘している間に意識を取り戻した花純は、他のサークルメンバー達から介抱を受け、何とか戦線復帰の時を迎えることが出来たのである。
【第七話:⑧】
「御剣先輩・・・大丈夫ですか・・・?」
瀕死の児玉タケルが、花純に心配そうな声を掛ける。
花純はその声を聞いて、背中まで伸ばした漆黒の挑発をバサッとかき上げて回答する。
「私ならもう回復したわ。児玉君が持ちこたえてくれたお陰ね。」
花純は回答と共にウインクで、自分の健在を伝えた。
タケルもそれを聞いて安堵し、立ち上がった。
「それなら先輩・・・お願いしていいですか?」
息が上がり限界も近いタケルが、目の前に凛々しく立つ花純へ弱弱しく右手を差し出した。
「カワイイ後輩のお願いですもの!もちろんOKよ!!」
花純がタケルの右手をがっちり握り、タッチが成立する。
タケルはロープをくぐりコーナー近くのエプロンサイドへ退避。
パートナーである花純のファイトを見守ることになる。
リングでは、ヴェルエポックの御剣花純とP・W・Pの清左亜沙美が睨み合う。
両者は、前傾姿勢で今にも相手に襲い掛かろうかという殺気を放っている。
「私の後輩が世話になったわね・・・覚悟はいい?」
「彼、後輩なの?プロレスがお粗末だったわねえ・・・下の方は立派過ぎるくらいなのに勿体ないわね・・・」
亜沙美の言葉と共に、花純が右足を振り上げた。
花純の右足は捻りを加えながら、亜沙美の首を削ぎ落さんと加速する。
しかし、タイミングを同じくして亜沙美もまた右足で蹴りを繰り出していた。
二人の美脚が衝突し、激しい打撃音を炸裂させる。
「・・・ふ!」
「うん!」
右足をマットに着かせると同時に、花純が平手打ちで亜沙美の頬を狙う。
亜沙美は、背を後方へ反らして、平手打ちを回避する。
姿勢を戻す勢いを利用して、亜沙美が右拳を花純の顔へ突き出した。
花純の端正な顔が潰されると思われたが、花純は顔を横へ急転回することで、亜沙美のストレートを受け流してしまった。
しかし、顔を回したことで花純のロングヘアーが靡いてしまう。
その髪の毛を、亜沙美が掴む。
「もらった!」
「いぐ!!?」
亜沙美は掴んだ髪を引っ張って、花純を引き寄せる。
そして右腕を巻き付けてヘッドロックに固めた。
頭蓋骨を軋ませる亜沙美のヘッドロックに、じっと耐える花純。
動かない花純を見て、亜沙美はロープへ向かって走る。
そしてリングロープに花純の顔を押し付けた。
「く・・・!?」
花純はこれから自分がされる事を理解し、戦慄する。
「いくわよおおお!!」
亜沙美は片手を突き上げアピールすると、花純の顔をロープで擦りながら走り出した。
「いたああああ!!!!」
頬をロープで擦られながら悲鳴を上げる花純。
亜沙美は、花純の美人顔に赤い擦り跡を生み、ロープ一本分を走り終えた。
休む間もなく、隣のロープに再び花純の顔を押し付けた。
「もう一本!!!」
「いや!いや!きゃあああああああ!!!」
首を振って抵抗する花純だが、二本目のロープに力づくで押し込まれてしまう。
そして、ロープ擦り二本目が開始する。
「びいいいいいいい!!!」
花純は涙を流して、更に甲高い悲鳴を上げる羽目になった。
しかし、それだけで終わるヴェルエポックの看板娘ではない。
二本目のロープが終わりに近づくと、花純はコーナー目掛けて足を出した。
花純の足がコーナーポストで踏ん張ることでストッパーとなり、二人の動きが静止する。
「抵抗する気?」
ロープ擦りを邪魔された亜沙美が、自らが掴んだ花純の顔を覗き込む。
その隙を花純が捕える。
「今度はあなたの顔を潰してあげる!!」
花純の両手が亜沙美の顔を掴み、コーナーへ叩きつける!
「がふ!!」
「よくも女の子の顔に酷い事してくれたわね!」
花純の左足が亜沙美の顔面を捉え、亜沙美の顔は再びコーナーポストに叩き込まれる。
花純は攻撃の手を緩めずに、何度も蹴りを乱打。
亜沙美は、花純のキックの度に、顔からポストへ突っ込む。
「骨まで砕いてあげるわああ!!!!」
ヒートアップした花純は、満足せず殺意を籠めた足を亜沙美の後頭部へ向ける。
「甘い!」
あわや頭蓋骨を粉砕されると思われた亜沙美だが、ここは躱した。
「しまった!」
コーナーポストをへこませた花純の右足。
しかし肝心の獲物は、コーナーを脱出済みである。
「せいやあ!!!」
亜沙美はその場跳びからドロップキックを放つ。
その打点は花純の顔に合わされており、彼女のバネの強さが表れている。
「ぎゅ!!」
不安定な姿勢で両腕ガードした花純は勢いよくダウンさせられてしまう。
だが、花純は自ら後転することでマットに叩きつけられずに、ロープまで到達した。
「私にだってプライドがあるの!」
ロープの反動ではじき出された自身の身体を宙に躍らせる花純。
両腕を十字に組み、フライング・クロスチョップで亜沙美の首を狙う。
「うん!!」
首を切断するごときスピードで接近するクロスチョップに対して、亜沙美は背を反らし回避する。
「ちゃんと受けなさいよ!!」
空中から前転受け身でマットに降りた花純が文句を言いながら、亜沙美目掛けてラリアートで突進!
「美しい回避ムーブだって、プロレスの華よ!」
亜沙美は身を屈めて再び、花純の攻撃を回避。
花純のラリアートは、亜沙美のロングヘアーに触れるだけで終わった。
続けて目の前のロープへ飛び込み、ロープワークで加速する亜沙美。
花純もまたラリアートを回避されたと気づくと、前方のロープに突っ込み、ロープワークをこなして再び亜沙美へ向けて走る。
リング中央にて再び交差する女二人。
バイイイン!!!
二人の体重に似つかわしくない衝突音が、晴天の広場に響き渡った。
【第七話:⑨】
正面衝突を起こした御剣花純と清左亜沙美の身体は、密着したまま静止していた。
二人は互いの爆乳を淫らに潰し合いながら、直立不動で睨み合っている。
二人がリングで交錯した際に繰り出した技は、奇しくも全く同一の物であった。
花純は自らのバストを突き出して亜沙美を吹き飛ばしてやろうと考え、もう一方の亜沙美も同じ技で花純を返り討ちにしてやろうと考えていたのだ。
バストアタック同士の打ち合いは互角の結果に終わり、現在、二人は両手を腰に当てて密着している状況となった。
「プロレスで金を取るだけのことはあるわね!中々の感触よ!」
花純が目の前の亜沙美に感想を述べた。
少しでも動けば唇が触れてしまいそうな至近距離だ。
「あなたこそ、イイものをもっているわ。プロのリングでも通用するかもね?」
亜沙美もまた花純の資質を素直に認めた。
戦士同士がお互いを認め合う美しい光景だが、当事者たちはこれまで以上に闘争心を燃やしているようだ。
先ほどから互いに胸相撲で押し合っていて、花純も亜沙美も譲る気配は微塵も無い。
花純の強情ぶりを眺めて、亜沙美は笑みを浮かべた。
「じゃあ・・・こんなのはどう?」
突然、亜沙美の両腕が花純の脇を通り、その背中に回される。
「え?な、なに?」
亜沙美の抱擁に、何が起きたのか理解できずにいる花純。
その花純の口腔内に亜沙美は素早く自分の舌を滑り込ませた。
続けて亜沙美は、ベアハッグで花純を強く抱きしめた。
「んんん!!!?」
花純が目を白黒させる内に、亜沙美の舌がのたうって花純の粘膜を蹂躙する。
亜沙美は舌だけでなく、自分の唾液もふんだんに注ぎ込んでいく。
花純の口の中で二人の唾液、舌が絡まり続ける。
花純はされるがままで、両手を下方に垂らして、身震いしているだけだ。
亜沙美は花純の肉体が弛緩していることを確認し、舌を抜いてあげた。
二人の唇と唇の間には粘度を保った唾液が糸を引いている。
「女同士は初めて?」
亜沙美はケラケラ笑って、放心状態の花純に話しかける。
「私はプロレス一筋で生きてきたけど、今回の様に表のリングだけで戦ってきたわけじゃないわ。とても電波には乗せられない裏のリングにも立たされてきたの!」
花純との膠着状態を動かしたのは、亜沙美の裏のキャリアとも呼ぶべきアンダーグラウンドでの戦いの経験であった。
亜沙美がデビュー仕立ての時期、団体の儲けとコネの為に参戦させられた、格闘技とは程遠い悪趣味な見世物興行。
プロレスだけでなく格闘技関連組織の食い詰め者や新人、あるいは望んで参戦する者。
そんな輩を、老若男女の柵を取り払った悪辣過激なルールで戦わせるアンダーグラウンドの遊興が存在した。
その非合法リングで、時には凄惨、時には淫乱な戦いを続けてきた亜沙美。
亜沙美は、そこで嬲られては嬲り返す死闘を通し、成長してきた。
通常のルールではありえない相手への性行為も戦いに組み込むことが認められた戦場で、格闘能力だけでなく、相手を巧みに絶頂へ導く性交技をも我が物としている。
表と裏の技を統合し己の身に宿す女子プロレスラー、清左亜沙美は人類最強の一人として数えられるに相応しいファイターかもしれない。
「あ・・・?ああ・・・」
十数秒のキス攻撃を受けた花純は、それだけで体を震わせてろくな反応を示さない。
何かを言葉にして紡ごうにも、亜沙美によって舌を嬲られ過ぎて、まともに口を動かせないのだ。
「敏感に反応してくれるじゃない!」
亜沙美は微笑んで自分の技術の効果を確認する。
花純の頬は赤く染まり、口端からは唾液が垂れ落ち、競泳水着に収まった大きな胸の先端には、くっきりと乳首が立っていた。
「もっとしてあげるわ!」
花純の胸に狙いをつけた亜沙美が、水着越しに立った乳首を、口に含もうと顔を寄せる。
花純は逃げることも出来ずに、されるがままだ。
そこに颯爽と飛び込む影。
「先輩!」
コーナーで控えていた児玉タケルが、パートナー救援の為に、亜沙美へドロップキックを敢行。
「きゃあああ!!」
不意を突かれた亜沙美の肩にキックが当たり、そのまま亜沙美は吹き飛ばされた。
ぐったりして動かない花純を抱き起したタケルが心配そうに声をかける。
するとそれまで全身弛緩していた花純の身体が、突如、動き出した。
ぶちゅううう・・・
「うううんんんん・・・!!」
花純はタケルの頭を掴んで引き寄せると、強引に唇を合わせ、舌を口中へ侵入させた。
先ほど自分が亜沙美からされたディープキスを、タケル相手に再現しているかのようだ。
しばらく二人の身体は固まり、唇と絡み合う舌だけが躍動する。
時間にして一分程度、花純は満足したのか、ようやくタケルを解放した。
「ああ・・・せ・・・先輩・・・」
タケルの顔は紅潮し、コーナーで休んだことで猛りの鎮まっていたペニスは再び怒張を見せた。
「ふふ・・・お口直しさせてもらっちゃった・・・!」
花純もまた興奮したのか、頬が赤く染まっている。
二人の視線が交わり、熱は更に高まっていく。
思えば、タケルにとっては射精させられた初めての女性こそ御剣花純であった。
通常の性交ではなく、プロレスの試合で興奮のあまり、射精してしまったのだ。
ある意味、鮮烈な体験であったが、タケルにとっては花純こそ初めての相手という点に偽りはない。
花純は、両腕をタケルの背に回して、抱き寄せる。
おっぱいが軽くタケルの胸板で潰れるが、それすら心地よさそうに、笑みを浮かべた。
「元気になって、おれも嬉しいです・・・」
緊張気味にタケルが言葉を紡ぐが、花純の胸と自分の逸物が彼女の体に触れる感触で今すぐにでも射精まで達しそうだ。
【第七話:⑩】
「隙あり!」
タケルと花純の甘い空気を切り裂く怒声。
それは、清左亜沙美の口から発せられた叫びであった。
二人が濃厚な口づけを続けている間に、亜沙美はロープの反動を利用して跳躍していたのだ。
亜沙美のフライング・ボディプレスが、抱き合うタケルと花純に迫る。
「タケル!」
「はい!先輩!」
二人は呼吸を合わせて、飛び掛かってきた亜沙美の腹にパンチを打ち込む。
「ご・・・!!?」
勢いよく飛び込んだばかりに、二人の拳は深く刺さり、亜沙美のダメージは大きくなった。
続けてタケルと花純が二人で、亜沙美を持ち上げる。
亜沙美の着用する赤いコスチュームの股間を二人で引っ張り、頭上高く亜沙美を逆さまにした。
「せーの!」
「えい!!」
「ごあああああ!!!!」
ヴェルエポック組二人の息が合わさり、亜沙美を後方のマットに叩きつけた。
亜沙美の肺から空気が絞り出され、背中の骨が歪むほどの衝撃が襲い掛かる。
「タケル君、タッチお願い!」
消耗の激しい花純からタッチの申し出が来たものの、タケルは少し逡巡する。
折角収まっていたペニスのイキリ立ちが、先ほど花純からされた接吻のせいで再発しているからだ。
「お願いよ!」
しかし、語気を強めて花純が迫ってくると、タケルも諦めて受諾するしかない。
「え・・・はい・・・。」
テンション低めに返事をして、タッチを受けたタケル。
ツープラトン・ブレーンバスターをまともに受けた亜沙美は、依然として仰向けにダウンしたままである。
これならば追撃も容易だろうと思われた矢先、花純がタケルの盛り上がったショートタイツに触れる。
「がんばって、タケル君!」
花純なりのエールなのか、勃起したペニスをタイツ越しに摩り上げ、エプロンサイドへ引き揚げていく。
「う・・・はああ・・・・」
油断すれば即座に射精してしまいそうになるほど巧みな手淫であった。
タケルの動きは途端に鈍くなり、その間に亜沙美が動き出した。
「やってくれたわね・・・」
身体を起こした亜沙美だが、艶のあるロングヘアーは大いに乱れ、髪が顔に貼り付いてしまっている壮絶な状態だ。
「アマチュアメインのイベントだから、軽く手加減してあげていたけど、エースの私がここまでやられては団体の威信に関わるわ。悪いけど、潰させてもらうわ!!」
強がりなのか、ハッタリなのか、肩で息をしている清左亜沙美の瞳に闘志が宿った。
「力も技の精度も相手が上・・・どう攻めればいいんだ?」
序盤の攻防で彼我の戦力差を思い知らされているタケル。
加えて自分も勃起した性器というハンデを背負わされている。
「手加減はもうしてあげないわ!」
攻めあぐねているタケルにはお構いなしに、亜沙美が突進してきた。
大きな胸が揺れ動き、それに合わせて、コスチュームに刺繍されたフェニックスの図柄も躍動しているように錯覚してしまう。
「ここは迎撃で!」
走ってくる亜沙美に合わせ、タケルの右足が前方に振り上げられる。
フロントハイキックで亜沙美を突き刺す狙いだ。
しかし、本気宣言をした亜沙美には通用しない。
亜沙美は、タケルの右足を跳躍して躱すと、その足を蹴って再度跳躍した。
「重みを感じない!?一体、何が起きているんだ・・・がはああああ!!!」
タケルの足を足場にして、飛び立った亜沙美が真上から覆いかぶさる。
亜沙美のおっぱいを胸板で味わいながら、ボディプレスを受けたタケル。
序盤の攻めでさえきつすぎたのに、本気を出した亜沙美には太刀打ち出来そうもない。
亜沙美の空中殺法はまだ終わらない。
タケルをロープに振り、戻ってきた所を股で挟み込む亜沙美。
タケルの身体は、人工衛星ヘッドシザースで高速回転させられる。
「んんんん・・・!!!」
亜沙美の股間がタケルの顔をしっかり咥えこみ、高速回転の中でもまるで緩む気配が無い。
巨大扇風機のごとく突風を巻き起こしながら、タケルは頭からマットに叩きつけられた。
ドゴ!!!
「あばあああ!!!」
観客は亜沙美の華麗な技に魅了され、声援を送る。
その声援を受けた亜沙美が更に機動力を高めていく。
プロフェッショナルは、観客の声を己の力に変換する術を心得ているのだ。
ふらふらと立ち上がるタケルを見て、亜沙美が走る。
タケルの喉の高さまで跳びあがり、脛で潰すレッグラリアート。
「ぼは!!!」
ようやく立ち上がったタケルは気道を蹴り潰されて、マットに叩きつけられる。
喉を押さえて咽るタケルの腹を、亜沙美の両足が容赦なく踏み潰す。
「はぎいいい!!!」
唾液を吐き出したタケルの身体から飛び跳ね、亜沙美は空中で一回転。
再びダブルフットスタンプで、タケルの腹を貫く。
まるでトランポリン運動のような高等技術に、観客の応援と拍手が止むことはない。
「プロレスなんだから受けもしっかりしてもらわないと!ほら立って!」
タケルの髪を掴んで強引に立たせる亜沙美。
膝を震わせて立つだけのタケル。
タケルの意識は混濁状態であり、とてもプロレス技を受けきれる状態ではない。
それでもなお、タケルの陰茎はショートタイツを突き上げ、立派な山となっている。
忘我の境地であっても、彼のペニスだけは脈動し、噴火寸前である。
「試合中にそこまで勃起を維持できる人も珍しいわよ・・・」
亜沙美もあきれ顔で、タケルの盛り上がったタイツを眺めている。
「辛そうね、楽にしてあげるわ!」
亜沙美はドロップキックでタケルの顔面を撃ち抜きダウンを奪う。
タケルはガードも出来ずに後方へ吹きとばされる。
「よいしょ・・・」
仰向けで寝たタケルの下腹部に、腰を下ろす亜沙美。
「うぎ・・・」
亜沙美の尻の割れ目に、ちょうどタケルのペニスが挟まれる姿勢になる。
ショートタイツによってカバーされている勃起ペニスだが、亜沙美の尻の重みをしっかり受け止め押しつぶされている。
その柔くもボリュームたっぷりの感触を、ペニス自身が楽しんでいるかのように、拍動は激しくなっていく。
「地下リングで男たちを沢山いかせて来たけど、特に喜ばれたのよ?これ・・・」
タケルの顔を見下ろし、亜沙美が微笑んだ。
女子プロレスラーとして年季が入った人物だが、世間が認める美人である清左亜沙美。
そんな美女が肌露出の多い深紅のワンピースコスチュームを着て、リングを飛翔する美しさに見惚れない者はいない。
亜沙美はゆっくりと腰を前後に動かす。
つられて亜沙美のヒップに圧し潰されているタケルの陰茎も擦られる。
「ぐうう・・・あああああ・・・・」
ショートタイツの中で尻圧を受け、更に巨大化するタケルの生殖器。
タケルも最早正気を保てない。
強すぎる尻の刺激で射精感が、腰の奥から立ち上ってくる。
「ほうら・・・私のお尻に出しちゃっていいのよ?」
「だ・・・ダメだ、もう・・・」
単にタケルから3カウントを取るだけでは飽き足らず、試合中に射精の屈辱まで刻み込もうとする亜沙美。
プロフェッショナルのベテランレスラーとはここまで冷酷に人を攻められるものなのか。
タケルは今更ながら清左亜沙美の恐ろしさを骨の髄まで理解させられた。
【第七話:⑪】
清左亜沙美の尻コキによって、児玉タケルのペニスから精液が吹き出ようとした瞬間、タケルのパートナーである御剣花純がリングに乱入した。
「神聖なリングで何やってんの!!!」
ヴェルエポックではお馴染みの景色となったタケルの射精ノックアウトを棚に上げて、花純が亜沙美の顔に横からドロップキックを炸裂させた。
「あは!!?」
タケルの剛健なペニスの感触に陶酔気味であった亜沙美にとって、正しく青天の霹靂。
亜沙美はマットを転がり、そのまま場外まで落下してしまう。
「タケル君、大丈夫?」
亜沙美の空中殺法に叩きのめされ、尻でいかされようとしていたタケルを心配して、花純が近寄る。
「あ!だめだあああああ!!!」
既に我慢の限界に達していたタケルが叫ぶものの、花純はそれが何なのか気付けなかった。
そして、股間から白濁液が噴出した。
タケルのショートタイツからしみ出した精液は飛距離を伸ばし、顔を近づけていた花純に着弾。
「きゃあああああああああああ!!!」
顔を両手で覆い、花純が悲鳴を上げる。
長髪を振り乱して、顔にかかった精液を拭おうとする花純。
しかし、それは致命的な隙であった。
「うふふ・・・男殺しのテクがこんな場面で役立つなんて・・・ツキも私の物よ!!」
「どこ?どこにいるの?」
回復した亜沙美が花純に接近する。
視界を奪われた花純は、闇雲に腕を振り回して攻撃するが、亜沙美を捉えることは出来なかった。
「行くわよ!」
花純の腹にミドルキックをお見舞いする亜沙美。
そして亜沙美は、苦痛で前屈みになった花純の腰に乗っかり、両足を花純の腰、足に引っかけた。
トドメに花純の両手をキャッチ。
亜沙美が体を後方へ反らし、花純の両腕を逆手羽先折りにして、肩関節を逆に押し込む。
ジャッキーパロが考案したとされる芸術的関節技“パロ・スペシャル”だ。
「きゃあああああああああああ!!!!」
腕を逆に回された花純の口から甲高い悲鳴が上がった。
亜沙美が圧し掛かる重みと、両足を固められ動けない窮屈さ、そして肩関節を攻められる痛み。
全ての苦痛が花純の全身に襲い掛かっている。
加えて先ほどのアクシデントにより、花純の視界は封じられている。
パートナーのタケルは、亜沙美の猛攻で蓄積したダメージと射精の疲労感で放心状態である。
「痛いいいいい放してええええ!!」
頭を振って態勢を崩そうと試みる花純だが、亜沙美の技は崩れない。
亜沙美もロデオジョッキーの如く、暴れる花純を制御している。
「二対一だからって好き放題に乱入してくれたわね!あなたは関節を破壊するだけじゃ足りないわ。尊厳そのものを破壊してやる!!!」
自らが望んだ事とはいえ、二人のチームワークには辟易していた亜沙美。
プロフェッショナルレスラーとして、アマチュアに思知らせようという気概が溢れている。
亜沙美はそれまで両手で持っていた花純の腕を、自らの脇で挟み込んだ。
これにより花純の肩の痛みはほぼ収まった。
チキンウイング式関節技の力が大分弱まった為である。
しかし、それ以上の悶絶をすぐに花純は味わうことになる。
亜沙美は花純の両腕を脇に抱えたまま、腕を伸ばして花純の水着に掴んだ。
「あう!何をするの?」
「ビクトリー・ザ・フェニックス!!!」
花純は尻に強烈なプレッシャーを感じ取り、表情をしかめる。
亜沙美が花純の競泳水着を両手で掴み、全力で引っ張り上げているのだ。
パロスペシャルで相手を固めたまま、水着をひっぱり相手の尻に食い込ませる。
これが、亜沙美が裏のリングで得意としたビクトリー・ザ・フェニックスの全貌である。
花純は前屈体制で亜沙美の重み、脇に固められた両腕、両足で絡めとられた膝、そして水着生地が食い込んでくる痛みに、耐え続ける羽目になった。
ブレーンバスターなどでコスチュームの股間部を引っ張られる経験は、花純にもある。
しかし、この技による食い込みはそれの比ではなかった。
本来股間をカバーしてくれる生地が、細長く強靭な紐同然の細さとなり、自分の大陰唇、小陰唇、肛門を圧迫してくるのだ。
「かああああ・・・・いやあああああああ!!!!」
全身の汗を流し抵抗するが、それすら逆効果になる。
花純が亜沙美を乗せたまま暴れるほど、手足の関節に痛みが走り、水着は尻の奥まで更に食い込む。
もちろん、身動きせずとも亜沙美は自ら体を上下させて花純に刺激を与え続けている。
花純の目尻から涙が溢れ、口から唾液が零れ、健康的な肌からは滝の如く汗水が垂れ落ちる。
ヴェルエポック代表としての矜持と、本物のプロレスラーのテクニックへの絶望が、彼女の中で混濁する。
降参だけはすまいと口を紡ぐが、これほどの激痛への覚悟には足りていない。
そこに亜沙美が、花純に向けて一言。
「先に行っておくけど、今そちらの試合権はそこでイキ果ててダウンしている坊やだよ?試合権のないあなたに降参ルールは適用されないわ!」
鼻を鳴らして説明する亜沙美。
亜沙美の尻コキ固めからタケルを救出すべくリングに乱入した花純だが、亜沙美が指摘した通り、タケルとタッチしたわけではない。
「そ・・・そんなああああ・・・」
ギブアップによる救済が無い以上、破壊されるまで技に耐えなくてはならない。
「アハハ!得意気に乱入したからには覚悟は出来ているでしょうねえ?」
嗜虐的な笑みの亜沙美。
このまま花純の体を破壊することも可能である。
「タケル君!タケル君!目を覚ましてええええ!!」
「・・・うう・・・先輩の声・・・・?」
喉が張り裂けそうな叫びを発した甲斐もあり、パートナーのタケルは意識を取り戻した。
そしてタケルの視界に飛び込んできたのは、先輩レスラーの生尻であった。
花純の尻が水着を食い込まされ変形している様を目の当たりにしたタケルは、やはりというべきか、再び勃起してしまう。
「ぐう・・・せっかく収まっていたのに・・・とにかく先輩をたすけないと!!!」
痛みとペニスの疼きが響く体を引きずり、タケルが弱弱しく腕を伸ばす。
亜沙美が掴んでいる水着を取り戻したかったが、一歩遅かった。
ブチイッ!!!
タケルが触れるより先に、花純の水着が限界に達した。
亜沙美の恐るべきパワーにより引き絞られ続けた水着生地が、花純の尻を支点にして裂けてしまった。
そして、花純は亜沙美の重みのままに顔からマットに突っ込んでしまう。
「ぎゃう!」
「先輩~~~!!!」
うつ伏せに倒れた花純は、タケルの声に反応しない。
その臀部にあるはず水着は破け、肌を晒している。
「!!!?うぎゃ!!!!!」
花純を抱き起そうとしたタケルの視界が急回転し、後頭部に鈍痛が走る。
「残念だけど、彼女を助けさせないわよ!」
亜沙美がタケルの背後から抱き着いて、ブリッジでタケルを投げていた。
既に試合時間は30分を越えているが、それでも亜沙美のスタミナに陰りは見えない。
恐るべき体力である。
亜沙美は、フォールへはいかず、スープレックスを解いた。
そして、タケルのショートタイツに手をかけて、ずり下ろしてしまう。
「うわああああああああああああああ!!!」
ジャーマンのダメージで立ち上がれないタケルだが、自分のタイツが亜沙美の手に握られている光景に、悲鳴を上げる。
「もう逃がさないわ、完璧なノックアウトで壊してあげるわよ!」
亜沙美が大声で宣言すると、タケルのショートタイツを左右に引っ張り、そのまま破いてしまう。
花純のコスチュームに続いて、タケルのコスチュームもまた破壊されてしまった。
タケルは全裸にブーツだけの姿で、戦わなくてはならない。
【第七話:⑫】
「最後の勝負、行くわよおお!」
「く、くそおおお!!」
二人は両手を握り合い、力比べに入る。
しかし、タケルの方は股間を晒したままだ。
つまりタケルは、巨大化したペニスを揺らせながら、動いているのだ。
本来ならば下着に収まってなくてはいけない勃起ペニスは、固定する者がなければ、大きく揺れ動くことになる。
そして動くたびに、タケルの股間に難とも言えない痛みと快感を生み出し続ける。
ただでさえパワーで圧倒されているタケルに、更なるハンデが課されている事になる。
「あら、足に何か当たっているわね?」
亜沙美は悪びれずに、むき出しの肉棒へわざと足を当てて反則攻撃を繰り返す。
「くあ!うわ!」
力比べで両手を塞がれているタケルは、生殖器に亜沙美の足が触れるたびに悶絶の声を漏らす。
亜沙美に攻められるたびに、肉棒の血管は波打ち、その太さは膨張していく。
赤黒く変色した陰茎は、巨木の如き硬さを持った。
亜沙美がそれを見て、素早く技を仕掛ける。
「もらった!」
亜沙美がタケルの頭を脇に抱えた。
そしてタケルの左足を自分の右腕で抱え込んだ。
フィッシャーマンズスープレックスの態勢だが、それだけで終わらず、亜沙美は右手でタケルの勃起したペニスを鷲掴みする。
「ぐあああ!」
タケルは首、左足、性器の三か所を捕らわれたことになる。
そして、亜沙美はスープレックスでタケルを後方へ叩きつけた。
「いぎいいいいいいい!!」
「ミルク絞り原爆固め!!!気持ちよかった?」
ミルク絞り原爆固めとネーミングされたフィッシャーマンズスープレックス+ペニスしごきの投げ技。
威力が高かったらしく、タケルはホールドを解けない。
「まだ終わらせないわよ。」
またしても、亜沙美は自らホールドを解いた。
休む間もなく亜沙美が、タケルの肩と股間を掴んで持ち上げてしまう。
「はああ・・・」
睾丸を掴まれて至福を感じてしまうタケル。
タケルは抵抗する間もなく、コーナーポストへ足をかけられた。
コーナーのトップロープに両足をかけられ逆さ吊りにされるタケルの姿。
それはまさしく捕食を待つばかりの罠にかかった獲物そのもの。
先ほどの変型スープレックスの威力により、更にダメージを重ねたタケルには、コーナーから脱出する体力は残されていない。
花純の敵討ちをしたいところだが、自らの無力さを思い知らされるだけの結果となった。
そして、タケルにトドメを指すべく亜沙美が歩み寄る。
大きな胸を揺らし、長髪をかき上げ、逆さまになったタケルの前に立った。
タケルが視線を亜沙美に向けるが、赤いコスチュームの股間と大きな胸に隠され、彼女の顔を見ることは出来ない。
「最後は天国まで昇天させてあげる。」
亜沙美の声がタケルの耳に届くと同時に、亜沙美は体を躍らせて、コーナーを上る。
「うわ・・・またお尻が・・・」
「そうよ、さっきは邪魔が入ったけど、今度は最後までしてあげるわ!!!ホラホラホラアアア!!!!」
亜沙美は、逆さ吊りになったタケルの股間に、自分の尻を合わせた。
そして自分の尻肉に渾身の力を籠める。
二つの肉に挟み込まれ圧迫されるタケルの肉棒。
それに抗うかのようにそのサイズは膨張し、硬度は上昇していく。
「つぶれるううううう!!!」
「動かすわよ!!!えい!えい!」
亜沙美の腰がダイナミックに動き、タケルの勃起ペニスを縦横無尽に翻弄する。
手淫など比べ物にならないしごきテクニックに晒され、射精感を高まっていくタケル。
「また、いくうううううう!!!」
「天国までいっちゃいなさい!!!」
ドブウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!!
「かあああああああああああああああ!!!!」
タケルの絶叫と共に、ペニスの先から白濁液が噴出される。
本日二度目の大噴火であった。
亜沙美の股下で爆発でも起きたかのような射精。
爆炎の中から不死鳥が復活する寓話の体現であった。
「どう?天国まで行きそうな快感だったでしょ・・・・あら、気を失っているわね・・・」
タケルは限界を越えた二回の射精により、意識が途絶していた。
コーナーポストに逆さま吊りにされて、ペニスから精液を漏らしながら気絶しているタケルは、言い訳のしようもない敗残者である。
「折角だから三人まとめて撮ってもらおうかしら。」
ヴァリステック・インパルスの取材を進めていた報道陣をリングサイドに呼んだ亜沙美の計らいにより、オープニング戦に参加した三名は翌日のスポーツ新聞で一面を飾ることになった。
その構図は、全裸で寝かされたタケルと花純、そしてそれらを踏みつけてガッツポーズを取る亜沙美といった内容である。
ヴァリステック・インパルスに意気揚々と臨んだヴェルエポックの代表二名だが、その初戦は本物のプロによって鼻を折られる結果になってしまった。
二日目以降の巻き返しはあるのか。
ヴェルエポックの華麗で苛烈な戦いは始まったばかりである。

【試合結果】
<ヴェルエポック>       <P・W・P>
児玉タケル     ● ― ○ 清左亜沙美(単独出場)
御剣花純
(44分29秒 レザレクショナル・フェニックス ⇒ TKO  )

■第七話完




[43623] 第八話「ヴァリステック・インパルス編② 極悪埃及令嬢!全てはナイルの果てに!!」
Name: 独情構◆03fd381f ID:186502a9
Date: 2024/04/19 01:53
第八話「ヴァリステック・インパルス編② 極悪埃及令嬢!全てはナイルの果てに!!」


【第八話:①】
三坂杜大邸宅の地下3階ヴェルエポック専用プロレスリング道場。
プロレスタッグバトルリーグ戦『ヴァリステック・インパルス』一日目を終えたヴェルエポックのサークルメンバーが、地下室に備えられたリングに集合していた。
ヴェルエポック代表のタッグとして、初日のメンバーに選ばれた児玉タケルと御剣花純であったが、結果は圧倒的惨敗に終わった。
相手は、フェニックス女子プロレスのエースである清左亜沙美だった。
彼女はプロフェッショナルとして、アマチュアサークルなどに後れを取らないと豪語しており、初日の結果はその発言を裏付ける内容となった。
それは、ヴェルエポックの二名が、亜沙美一人によって、完膚なきまでに粉砕されてしまった事を意味する。
更に、いつも通りというべきか、タケルは試合中に射精という屈辱まで味わわされている。
気を取りなおして二日目に臨みたいところだが、ヴェルエポックでも指折りの強者である花純が敗れた影響は尾を引く。
初日に意気揚々と参戦したタケルと花純の表情は、現在、この世の終わりを目撃したかの如く陰鬱となっていた。
「同性相手にキスされた挙句、裸まで晒されちゃった・・・どうして助けてくれなかったの、タケル君!?」
「いやその・・・ごめんなさい・・・」
試合では、亜沙美に圧倒される時間が長く、足をひっぱった印象の強いタケル。
花純から責められて口ごもり、俯くのみだ。
しかしタケルの反応を見て、からかい甲斐のある後輩と、花純は嬉しくなる。
「ふふ、いいのよ。タケル君が私の為に頑張ってくれたのは、ちゃんと分かっているもの。」
体育座りで暗い表情のタケルの傍へ、花純がすり寄り肩に抱き着いた。
花純に抱き着かれて、タケルの心拍は急上昇する。
試合では口直しと称して、ディープキスまでされているのだ。
今日の戦いは、タケルにとって初体験の多いタッグマッチだったと言える。
敗北は悔しいが、得る物は多かったと、タケルは自分たちの戦いぶりが次につながるものと信じることにした。
タケルの中では敗戦の記憶よりも、早く明日のリングに立ちたいという意欲がわき出しており、体が火照り始めた感覚すら覚える。
「明日、ヴァリステック・インパルス二日目には、私と組んでいただきますよ、タケルさん。」
「やん!!」
タケルに絡む花純を押しのけて、傍に座ったのは三坂杜杏。
ヴェルエポック所属する女性レスラーの一人である。
ミディアムヘアーと整った顔立ちから高貴さが醸し出される杏。
そんな彼女がアマチュア女子プロレスサークルのヴェルエポックに関わるようになった経緯を、タケルは未だに知らない。
世界でも指折りの高い家格の家に生まれた彼女には、筆舌に尽くしがたい英才教育が徹底されてきたことは想像に難くない。
タケルの中には、杏への同情と隔絶の感情が同時に芽生えていた。
タケルは、自分の様な平凡すぎる大学生に親しみを込めて、両手を握る杏を見ていると、居心地の悪さを感じ始める。
タケルもそういった逆差別の感情を表に出さないよう注意しているが、どうしても自分と杏を比較してしまう。
他のメンバー達ならこんな事は無いというのに、杏の高貴さがタケルを差別者に貶めている。
「明日こそ勝ちましょう!三坂杜さん!」
自分の内側から湧き出でる悪感情を振り払う意味で、大きな声で杏に呼びかけるタケル。
それに対して、杏は口端を持ち上げ、柔和の笑顔で応えた。
【第八話:②】
アマチュア女子プロレスタッグリーグ戦イベント、ヴァリステック・インパルス二日目。
ヴァリステック・インパルスは、とある港湾都市の記念イベントの一環として、アマチュア女子プロレスのサークルを集め、最強サークルを決定しようというイベントである。
ヴェルエポックもこのイベントに参加はしたものの、一日目は惨憺たる結果であった。
本イベント唯一のプロ団体であるフェニックス女子プロレスリング。
そして、これまた本イベント唯一の単独出場したエースの清左亜沙美によって、児玉タケルと御剣花純のヴェルエポックタッグチームは粉砕されてしまった。
プロ相手とはいえ、たった一人に二人が敗れたヴェルエポックにとって、二日目はサークルの威信がかかった分水嶺の一番となる。
崖っぷちに立たされたヴェルエポックが、本日送り込むのは、児玉タケルと三坂杜杏のタッグだ。
昨日と同じくテントから出てきた二人が花道を歩んで、リングへ向かう。
児玉タケルは黒のショートタイツに黒のシューズというシンプルな出で立ち。
良く鍛えこまれた肉体が太陽を浴びて照り返る。
黒髪を短めに揃えた青年が、ガッツポーズで見物人たちにアピールした。
一日目と比べて、はるかに増えた観客たちから盛大な拍手を送られ、タケルは上機嫌だ。
初日に惨敗したヴェルエポックであったが、その試合内容は大いに評価されている模様で、ネットで集計された投票でも、他の試合を引き離して一番に輝いていた。
試合内容では魅せた。
後は勝利で強さを魅せ付ける。
タケルと杏に課せられた期待と使命は重い。
しかし、タケルはそれに関して、柔軟な受け止め方をしている。
緊張している素振りは見られない。
それは、パートナーの三坂杜杏も同じである。
ホワイトカラーのワンピース型コスチュームを着用した杏。
腕には指無しアームカバーを装着し、ミディアムヘアーを揺らして、タケルと並んでリングへ歩んでいく。
杏はリングへ上がると、四方の観客へ向けてお辞儀をして挨拶を済ませた。
前回のような敵の奇襲攻撃も無く、リングイン出来たことに安堵するタケル。
反則攻撃には慣れていないタケルだが、通常の試合になれば互角の戦いが出来ると自信を持っている。
ヴェルエポックでは連戦連敗のタケル。
しかし、今回は三坂杜杏とタッグを組んで戦うのだ。
弱気な態度でパートナーの足を引っ張るわけにはいかない。
タケルは杏と並んで自軍コーナーに立ち、相手チームの入場を待った。
やがて視線の先ある花道を歩む一団が、タケルの視界に入る。
異様な風体であった。
一団は白装束を纏い、その顔もヴェールに覆われて確認できない。
「まるで砂漠を移動する人たちみたいだ・・・」
タケルはテレビなどで見たことがある、ラクダを曳いて砂漠を渡る民族を連想し、完走をそのまま述べる。
一方、隣に立つ杏は口を閉じてだまったままである。
しかし、その表情には微かだが不安の色を含んでいる。
タケルは、そんな杏の不安を露知らず、会場に現れた一団の行動を注視している。
異様な風体の一団だが、特に目を引くのは彼らが運搬する棺の存在だ。
大人が丸々収納できるサイズであり、棺そのものが眠る人間を模したデザインである。
タケルには、エジプトのピラミッドにて発見されたファラオの棺に見えた。
リングの前に設置された棺の蓋が、数人の手によってゆっくり持ち上げられた。
そして、棺の中に格納されていた遺体が、その上体を起こした。
【第八話:③】
当然、棺に納められていたのは死体などではなく、正真正銘の存命している人間である。
黒髪をショートにまとめた褐色肌の美女。
青のセパレートタイプのコスチュームを纏い、手足には包帯を巻いている姿は、ミイラモンスターを連想させる。
しかし、その女性はクリーチャーとは真逆の気品を感じさせる顔立ちだ。
額には高価そうな金のティアラを装備し、肘にはパット、足にリングシューズ。
一応、プロレススタイルの戦いをすると連想できる。
そんな対戦相手を目にして、タケルは胸の高鳴りを自覚してしまう。
自分の対戦相手はきまって美女ばかりであることに、運命を呪いたくなったタケルだが、ここで逃げ出すわけにもいかない。
その隣に立つ三坂杜杏は、戸惑いの表情を浮かべていた。
「シャリーファ・・・」
杏が人名と思しき単語を小さく紡ぐと、ミイラ女が反応した。
「久しぶり・・・杏・・・」
アラブ系と思われる女は、流暢な日本語で答えた。
「三坂杜さん、知り合いの人ですか?」
タケルが疑問をぶつけると、杏はすぐに回答した。
「ええ・・・彼女とは以前、中東で開催されたパーティーで・・・」
「必要ないでしょう、私の紹介なんて・・・私がここに来た理由は、あなたをマットに叩き伏せることだけ。リングで死ねるなら、あなたにとっても本望の最後のはずよね?」
物騒な言葉で宣戦布告するシャリーファに、杏は黙って相手を見つめるだけであった。
ただならぬ雰囲気を感じたタケルだが、シャリーファに続いてリングに上がる女レスラーの姿に気付く。
「・・・」
シャリーファに続いてリングインしたのは、覆面を被った女性。
マスクウーマンは無言でシャリーファの傍に立ち、ヴェルエポック陣営を見つめる。
青い覆面、青のワンピース、脚部にはロングスパッツを着用し、まさに往年の覆面女子プロレスラーといったコスチュームだ。
肌と覆面後頭部から露出したブロンドヘアーから、彼女が白人女性であることは推察出来る。
タケルは、覆面女子レスラーの正体について、推測を重ねた。
しかし、どの道、この二人に勝利できなければヴェルエポックは二日連続で敗北することになるのだ。
それだけは避けなければならない事態であると、自分の言い聞かせるタケル。
そんなタケルの傍に立つパートナーの杏は、シャリーファと名乗った褐色美女レスラーとの会話以降、俯いて黙ったままであった。

【第八話:④】
<ヴェルエポック>児玉タケル & 三坂杜杏
vs
<大国際格闘交流会・女子プロレス部>シャリーファ & マスク=ザ=チェイン

「ファイトッ!!!」
カアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!
レフェリーの宣言により試合開始のゴングが鳴った。
ヴェルエポックにとっては、リーグ二日目にして、初めてリングに立って聞いたゴング音である。
ヴェルエポックの先鋒は、児玉タケル。
リング中央へ歩み、大国際格闘交流会・女子プロレス部の先鋒であるマスク=ザ=チェインへ接近する。
チェインも同じく接近し、両手を上げて力比べを誘ってきた。
「昨日とは違うぞ!」
昨日は、清左亜沙美によって力比べで潰される屈辱を味わったタケルだが、今日の相手は二人ともアマチュアの人間であるはず。
そんな油断にも似た思いで、チェインとがっちり指を絡ませた。
「うりゃ!」
「ふ・・・!」
チェインの背骨を押し曲げようと力を籠めたタケルだが、次の瞬間、顎から脳内まで衝撃の一閃が駆け抜ける。
組み合った瞬間、チェインは跳びあがって、膝でタケルの顎をかちあげていた。
膝蹴りで大きく揺さぶられるタケルの脳。
タケルは試合開始早々、ふらついて千鳥足状態になってしまう。
そんなタケルの足に向かって、チェインは自らの足を伸ばし挟み込んだ。
カニばさみでタケルは前方へもつれ、ロープへ寄りかかってしまった。
そこに富んできたのは、エプロンサイドで待機していたシャリーファの蹴り。
シャリーファは、ロープに持たれたタケルの顔面にハイキックをお見舞いして、チェインの下へ弾き飛ばしてしまう。
「せ!!」
「ごぶ!!」
ハイキックを受けて後ろ歩きでたたらを踏んだタケルに、背後から抱き着いたチェインが、電光石火のジャーマンスープレックスを放つ。
美しいアーチを描いて、タケルを後方に落とし、ブリッジを維持してフォールまで持っていく一連のムーブ。
淀みなく繋がれたフォールに、チェインの熟練ぶりが見て取れる。
「なんの!」
前屈状態でマットに張りつけられたタケルだが、これだけで沈むはずも無く、フォールカウント1で肩を持ち上げた。
転がってチェインから距離を置くタケル。
相手タッグの連携攻撃に、意表を突かれた形だが、ダメージは少ない。
タケルもまた激闘を続けて、タフネスに磨きをかけている。
ファイティングポーズを取り直して、継戦の意思を見せるタケルに対して、チェインはステップを踏んでリングを周回し始めた。
ルチャドーラらしい軽快な動きを見せながら、飛び技を狙っているようだが、タケルも警戒している。
意を決したマスク=ザ=チェインが、後方へ伸びる金髪を風に浮かせて走り出した。
「どあ!」
タケルは接近してきたチェインの首目掛けて、太い右腕を振るった。
ラリアートのカウンター狙いであったが、チェインはこれを腹ばいに伏せて躱す。
攻撃を回避されたタケルは、振り返ってチェインを追跡しようとしたが、その前に背中から痛みが伝わる。
チェインは腹ばいのまま四肢の力で跳びあがり、タケルの背中へカンガルーキックをお見舞いしたのだ。
「同じ手はくらうか!」
このままロープに突っ込めば、先ほどと同じくシャリーファによる攻撃が待っている。
タケルは両手を前に突き出してロープを掴み、そこで自身の姿勢を保った。
これでロープに体を預ける事態は回避できた。
そしてタケルはすぐさま振り返って、チェインの追撃に備える。
「え!?」
タケルが振り向いた先には、チェインともう一人、シャリーファが立っていた。
タケルとチェインがやりあっている間に、シャリーファはリングインしていたのだ。
動揺するタケルが落ち着くのを待たず、二人は同時に拳を叩き込む。
「ぐう!」
一段目は腹、次に頬、三段目以降は各自でバラバラに攻撃地点を散らして、タケルの身体をサンドバッグにする。
男らしく攻撃に耐える所を見せたいタケルだが、チェインもシャリーファも打撃の技術は達者で、防御をかいくぐってパンチを当ててくる。
「ごぐ!べう!」
次第にタケルのガードは下がり、大国際格闘交流会・女子プロレス部の二人に打たれるままとなってしまう。
両腕が垂れ下がり、立ってるだけのでくの坊となったタケルを、チェインとシャリーファが二人ががかりでロープへ振る。
自分の意思で止まることも出来ずに、ロープワークで戻ってしまうタケル。
そんなタケルを、二人が待ち受けて、ダブルショルダーチャージを叩き込んだ。
「おおお!!!」
腹に砲弾を受けたかのような衝撃で、タケルはマットに叩きつけられてしまう。
「チェイン!」
「・・・!」
タケルにヒップを落とし追い打ちするチェイン。
そしてすぐにシャリーファとタッチを済ませる。
「そりゃあ!」
「ぐう・・・!!」
ヒップドロップを腹に受けた衝撃に咽るタケルに対して、シャリーファは足を組んでサソリ固めでタケルをマットに這わせる。
足と腹がきつく攻められ、タケルも苦悶の声を上げる。
両腕で体を持ち上げロープを目指すが、シャリーファは体重をかけ、タケルの抵抗を阻害してくる。
膝に負担がかかり不気味な音を立てる。
タケルは焦り、腰の上のシャリーファを振り落としたいが、彼女の技は綺麗に極まっているようで、然程苦にせずサソリ固めを続けている。
【第八話:⑤】
関節技を仕掛ける女と仕掛けられた男のせめぎ合いが、リングで続くうちに、観客からブーイングが飛び始めた。
ブーイングの標的は、タケルの今回のパートナーである三坂杜杏だ。
大国際格闘交流会の二人が連携してタケルを追い詰めている。
それにも関わらず、ヴェルエポックの代表として参戦している杏は、タケルの助けを全くしない。
観客はその点を非難しているのだ。
そんなブーイングを一身に浴びる杏の表情は、靉靆たる物である。
白のアームカバーを装着した両手でロープを握りながら、杏はエプロンサイドに立ち尽くすだけだ。
体調不良でもなく、紛れもなく自分の意思で身動きを取らない杏。
そんな杏に対して、一番文句を言いたいはずのタケルは、黙ってサソリ固めに耐えているのみ。
しばらく時間が経過し、反り返されていたタケルは解放された。
「ぐうう、痛え・・・」
涙目でタケルは立ち上がる。
片手は自信の腰に添えられており、シャリーファから受けたダメージが累積していることは疑いようもない。
シャリーファは動きの鈍くなったタケルの髪を掴んで、脇に挟み込む。
ヘッドロックだ。
「ぎいいいい・・・・!!!」
タケルの顔面が、青い布で巻かれたシャリーファの胸と右腕に挟まれ、骨ごと軋む。
「調子に乗るなよ!」
タケルはシャリーファのくびれた腰に両手を回し、持ち上げていく。
後方へ倒れ込み、バックドロップでシャリーファの後頭部をマットへ叩きつけることに成功する。
「きゃ!」
悲鳴を上げ、マットを転がっていくシャリーファ。
二対一の苦境から初めてタケルが反撃した形だ。
「ふう、相手の攻勢を断つことはできたけど・・・追撃は難しいな・・・」
タケルの身体は、相手タッグから受けたダメージを貯め過ぎていた。
このままシャリーファへ追い打ちをかけても、マスク=ザ=チェインの妨害を受けることは明白。
そして再び敵に流れを明け渡すことになるだろう。
必要となるのは味方との連携。
息の合ったコンビネーションで、敵タッグの牙城を崩すこと。
タケルは、タッグパートナーの三坂杜杏に視線を向けた。
気まずそうな表情でコーナー傍に立つ三坂杜杏。
タケルは既に彼女と対戦し、その実力を嫌というほど叩き込まれている。
この苦境を打開するには、何としても彼女に戦ってもらわなければならない。
「三坂杜さん・・・タッチを受けてください・・・」
「・・・はい」
二人は手のひらを軽く合わせ、タッチを成立させた。
タッチを受けた三坂杜杏がロープを潜ってリングへ入り、逆にタケルはエプロンサイドへ移動する。
タケルがエプロンサイドからリングを見ると、悪寒が全身を突き抜けていく。
先ほど自分が戦っていたリングとは、明らかに空気が変貌しているのだ。
その原因は、シャリーファである。
彼女から強すぎる殺意の暴風が、三坂杜杏目掛けて吹き付けている。
タケルが感じた違和感こそ、その殺気に他ならない。
タケル相手の時でも手加減抜きで潰しにかかっていたシャリーファであるが、三坂杜杏に対しては、彼女の生命活動の停止以外に終着点は無いという意思を嫌でも感じてしまう。
「み・・・三坂杜さん・・・」
心配して声をかけるタケル。
「大丈夫です・・・これも因果なのでしょう・・・」
三坂杜は振り返って、タケルに笑顔を見せた。
しかし、その笑顔には陰鬱な影がかかっている。
ヴェルエポック内でも、御剣花純に並ぶ傑物レスラーである三坂杜杏。
そんな彼女が、明らかにシャリーファとの戦いを、拒絶している。
タケルの不安が一気に膨れ上がっていく。
プロレスリングに死の事故は常につき纏うものだ。
今の精神状態でリングに立てば、杏に重大な事故が起こりかねない。
タケルの不安は、それを予感しての物に他ならない。
三坂杜は一人、殺意の充満したマットを歩み出した。

【第八話:⑥】
“大国際格闘交流会”のワードに耳目を傾ける人間がどれだけいるだろう。
その名称は、ありふれた言葉の繋ぎである。
しかし、今回ヴァリステック・インパルスに参戦した大国際格闘交流会は、とてもではないが市民同士のコミュニティとは趣もスケールもかけ離れた活動集団である。
その起源については、はっきりと記録には残っていない。
何せ、その始まりは紀元前にまで遡らなくてはならないのだ。
紙が発明される以前、石などに刻んで記録を行う時代か、さらにその以前に組織の原型は出来上がっていたというのが、大国際格闘交流会メンバーの認識である。
アジアで生まれたのか、中東で立ち上げられたのか、はたまた地中海で発足したのか。
正確な起源の記憶は失われて久しい。
しかし、その交流会は現代でも存続している。
大国際格闘交流会では、いわゆる上流階級同士による国を越えた交流イベントが盛んに催されており、その中でもプロレス部門は大変な人気を博している。
経済に余裕のある富裕層が参加メンバーなだけあって、プロレスイベントには金に糸目を付けない予算が割かれている。
良家の子女たちにとって、そのリングに立つことは淑女の嗜みとして常識化していた。
現在より10年前。
大国際格闘交流会のプロレスリングには、新緑の旋風が吹き荒れていた。
歴史ある女子プロレスの部において、最高峰とも呼べる才能が集結していたのだ。
その中心に立っていた少女こそ、他ならぬ三坂杜杏であった。
三坂杜の名は現代日本において、ピアニストの名門、巨大複合企業体の経営者一族として、知られている。
江戸時代より一角の武家であり、更にピアニストとしての功績も積み上げてきた三坂杜一族。
時代を経た後も、社交界で上流階級の人間をその演奏で虜にして、強力なコネクションを構築。
やがて日本を代表するほどの財と格を手に入れた三坂杜。
三坂杜の家が、大国際格闘交流会サロンへの参加を打診される事は当然の流れであったと言える。
大富豪とはいえ新参者である三坂杜に対して、歓迎するメンバーがほとんどであった。
しかし、当然というか、古い組織故に先達として示しをつけようという者も少なからず存在した。
世界の頂点クラスに位置する人間たちも、庶民と同じ願望を秘めていたのだ。
何にせよ、格闘技による交流が全てのサロンにおいて、権威付け、格付けは、誰にとってもシンプルな方法で実現できる。
早速、ジュニアクラス部のプロレスリングに上げられる運びとなった三坂杜杏。
当時は勿論十代の少女である。
そのデビュー戦は鮮烈な物になった。
相手の少女は、杏より年上かつプロレス経験も豊富なカナダの大御所食品企業の令嬢であった。
新人の杏を嬲ってやろうという彼女の嗜虐的な笑顔は、試合開始直後までであった。
ゴングが鳴り、リング中央で組み合う二人。
手四つ状態で組み合った二人の内、カナディアンガールの方が、即座にギブアップを宣言してしまった。
杏にはその気は無かったが、彼女の強すぎる指の力によって、相手の手は砕かれてしまっていたのだ。
涙と涎を振りまき、担架に乗せられ退場していくレスラー生命を絶たれた少女。
それを眺めながら会場で杏の実力を見せつけられたライバル達。
これまで続けられてきた少女たちのプロレスリングが、一瞬にしてお遊戯会と化した。
そして杏の一戦以降、少女たちによる死に物狂いのプロレスサバイバルが幕を開けた。
大国際格闘交流会では高レベルなバトル自体、これまでも繰り広げられてきたが、あくまで高貴な家柄な者同士の“競技”であった。
しかし、三坂杜杏という天上より舞い降りた才能を目の当たりにした少女たちは、正気の仮面を自ら剥ぎ捨てるようになってしまう。
まず急所への攻めが活発となり、それに起因する反則負け判定が頻発するようになった。
当初は、大人たちがそれを窘める指導を行っていたが、次第にそういう教育的指導は廃れていく。
名家の洗練された令嬢たちによる血で血を洗う過激な闘争、その倒錯した光景はサロンメンバーにとって実に魅力的であった。
そのリングで戦うのが、自分の娘であるにも関わらずだ。
過激化の一途を辿る大国際格闘交流会サロンでは、必然的に参戦者の負傷率がうなぎ上りとなっていた。
同じくそのケガの具合も、重傷化の発生率が高まっていった。
英才トレーニングを受けた少女たちが戦う場である。
安全面を担保するルールが取り払われていけば、これも当然の流れであった。
流血や細部の骨折などは序の口で、次第に内臓損傷、瘢痕などその後の生活に支障をきたす負傷者も増え始めた。
そこから眼球や脊髄の損傷といった、重い障害を残す負傷が増加する事態に至るまで、然程時間はかからなかった。
世界中で最も恵まれた家に生まれ、輝ける人生を送るはずであった少女たち。
それがいつの間にか、数世紀前の戦場の如き修羅場で戦い続ける状況となっていた。
そんな状況で、再起不能レベルの重い怪我を負った名家の令嬢は、どんな運命をたどるであろうか。
名家同士の婚姻などは望むべくも無く、それどころか家格に相応しい教育すら施されないケースすらあり得る。
彼女たちには落伍者としての烙印を押されてしまう、あまりにも過酷な運命が待っている。
そして家の後継者たる令嬢の負傷は、その家の没落と直結する。
サロンに参加する名家は、自らの意思でサバイバルバトルを始めたことになる。
格闘技ルールの改変以前から、表社会と裏社会にて、争いと融和を続けてきた家々であるが、
大国際格闘交流会の戦いがその新たな要素と化したのだ。
更にその闘争には、サロンメンバーの新旧も絡む。
富や名声を集めて名家に成り上がる者たちは世界中で常に生まれ続けている。
しかし、その家格を維持できる者は少ない。
法律に則った手法やそれを少々逸脱する程度では、歴史の長い名家に並ぶことなど到底かなわない。
そこに突破口として現れたのが、大国際格闘交流会の新たな潮流であった。
要するに、大国際格闘交流会のリング上でサロンメンバーの令嬢を再起不能にしてしまえば、敗れた娘の家のパワーを大きく削ることが出来るという話だ。
お嬢様達のプロレスリングは、家を守り、そして他の家を攻撃する手段となった。
ここまで来れば、凶器攻撃への緩い判定も自然と不文律となった。
歴史あるサロンが、野蛮に堕落した理由は、何も三坂杜杏だけが原因ではない。
彼女自身、ピアノと並行して修練を続けるプロレスの成果を披露しているに過ぎない。
そこには悪意などない。
しかし、大国際格闘交流会を取り仕切る大人たちは、そうではなかった。
彼らはサロンに起こった暴力的な潮流に乗じて、自身とその家をより上位へ持ち上げようとリング外で暗躍した。
かつては家のランクをリング内に持ち込ませず、純粋な気持ちで切磋琢磨を続けてきた大国際格闘交流会であった。
しかし僅かな切っ掛けで欲望の奔流がリングになだれ込み、欲望と暴力のデスマッチ交流会に変貌していった。
その圧倒的過ぎる財力を持ち寄って結成されたサロンであるが故に、治安を守る公権力も通常通りには力を振るえない。
むしろ、そういったポジションの人間をサロンの招待客として囲い込み、懇意の仲を構築してきたのが大国際格闘交流会である。
瑞々しい少女たちのクリーンファイトも、悪逆極まるデスマッチも、ゲストの欲望を大いに満足させてきた実績があるのだ。

【第八話:⑦】
修羅場と化したリングで、三坂杜杏は懸命に戦い続けた。
デスマッチ形式かつ凶器持ち込みもほぼフリーとなった無法のリングにおいて尚、
彼女は安易な反則に手を染めず、クリーンファイトに徹していた。
白いシンプルなワンピース型コスチュームに身を包み、敵の悪辣戦法に屈せず、自身は無手による純正レスリングで試合を制する。
見目麗しい容姿と相まって、彼女が大国際格闘交流会のトップレスラーへと駆け上がるのは一瞬であった。
そしてその杏を追いかけるように、同じく上位へと食い込んだ若き才能があった。
エジプトの歴史ある大家の令嬢であるシャリーファである。
青のワンピース型コスチュームを着用したシャリーファもまた、並みいる強豪達をなぎ倒していきリーグのトップへと躍り出たのだ。
杏と同等の実力を秘めていると評価されていたシャリーファであったが、杏とは決定的な違いがあった。


「ぎゃふ!げええ!!!ぶえあ!!!」
「うふふふ・・・・なんて顔なの?とても歴史あるカルダイナ家のお嬢様とは思えないわねえ?」
デスマッチ形式が恒常化してしまった大国際格闘交流会のプロレス部門。
本日は、サロンメンバーの所有する客船の甲板上に設けられたリングでの試合がマッチングされた。
全長400メートルに及ぶ規格外サイズの豪華客船だが、そこに招かれたゲストたちの目当ては大国際格闘交流会の試合だ。
ライトアップされた甲板に設えたプロレス用リングで繰り広げられるセレブ令嬢達の死闘。
エジプトのトップランカー、シャリーファとアメリカのディアナ・カルダイナの試合だが、内容はワンサイドゲームかつ凄惨な物であった。
開始早々にシャリーファはディアナの四肢を破壊し、そこに更なる追い打ちをかけた。
リング内には予めいくつもの凶器が放置されており、シャリーファはそれらを的確に利用していた。
ディアナの関節が外れた肩目掛けて、鉄製バットを何度も振り下ろし破壊。
受け身不可能となった彼女をスープレックスで叩きつける等ラフファイトの限りをつくしたシャリーファ。
凶器とプロレス技の波状攻撃でディアナの身体は骨ごと粉々に破壊され、その麗しい見た目の顔もメリケンサックを装着したシャリーファのパンチで満遍なく抉られている。
凶悪極まる攻撃を続けたシャリーファの青いコスチュームも、ディアナの返り血を受けて、赤黒く変色してしまっていた。
尚も終わらないシャリーファの凶行。
そしてそれを満面の笑みで眺めるサロンメンバーの大人たち。
太平洋上をクルーズする誰も介入できない豪華客船上にて、天上の宴と地獄のプロレス処刑が同時に開催される狂った夜であった。

1時間以上にもわたる暴行と凌辱の末に試合終了のゴングは鳴らされ、ディアナの処刑は完了した。
ブロンドヘアーは引きちぎられ、かつての白磁の肌も最初からその色だったかのように青痣と鮮血色に変化していた。
手足や腰などは、成型に失敗したガラクタ人形の如き異形と化している。
そんな死体一歩手前となったディアナの傍では、彼女の父親にしてカルダイナ企業グループ代表取締役であるロバート・カルダイナが調印を行っていた。
グループのあらゆる権限を、シャリーファの父親が代表を務める企業へ渡す内容である。
ロバートは震えを懸命に抑えながらサインを書き終えると、涙目で娘の様子を伺った。
辛うじて呼吸を行っているが、危険な状態であり、直ちに医療処置が必要と一目でわかる。
シャリーファが調印書を自ら掲げ上げると、甲板に集まったサロンメンバーから大きな拍手が起こった。
残酷な見世物への賞賛とメンバー間の抗争が終結したことへの拍手である。
これでカルダイナの全ては、シャリーファの父親の物となり、またその父親は大きな働きをしたシャリーファに褒美を与えるだろう。
こういう時の褒美とは大抵、シャリーファが負かした相手の身柄だ。
つまり、シャリーファは自分が下した相手をペットとして飼うという倒錯した趣味を持っているという事である。
その事は、大国際格闘交流会のメンバー達の間では有名かつ信憑性の高い噂だ。
それ故に、ロバートは娘のディアナがこれから歩む過酷な運命に涙を流すのだ。

【第八話:⑧】
カルダイナの惨事から5日後に組まれた三坂杜杏とシャリーファの頂上決戦。
豪華客船にはあらゆる娯楽を地上と同じか、それ以上のレベルで揃えられている。
客は優雅な船旅を約束されるわけだが、この船旅では大国際格闘交流会のプログラム以上の娯楽は存在しない。
三坂杜杏vsシャリーファの時間無制限完全決着シングルマッチは、午後八時にゴングが鳴らされた。
試合の決着後、2人のどちらかが味わう惨状を期待して、ゲストたちも応援の声を送り込む。
そしてその欲望は。別の意味で果たされることとなった。
序盤こそ杏の正統派レスリングに付き合っていたシャリーファ。
しかし、次第に嗜虐的ファイトスタイルを押し出し始めた。
シャリーファはマットに放置されるパイプ椅子を皮切りに、釘バットやチェーンを振り回して杏を追い詰めた。
試合時間が経過するにつれて、リング内には凶器が次々と投入されていくので、ファイターは武器不足に悩むことはない。
この凶器の投げ込みは、大国際格闘交流会プロレス部門の過激化によって、既にお馴染みの光景となっていた。
まだ少女と呼べる年齢であった杏は凶器に打たれ赤く腫れた腕を押さえながらも、涙目で懸命にシャリーファへ立ち向かった。
そんな杏の真っすぐな姿勢に、シャリーファは苛立ちと更なる暴力の愉悦を同時に湧きあがらせていた。
「きゃ!」
「とうとう捕まえたわ、杏!あなたも私の玩具になるの!」
試合開始から10分。
ロープ際で、杏はシャリーファが手にした鎖によって、囚われの身となってしまった。
鎖は杏の細い首に巻き付けられ、その呼吸路を塞いでおり、シャリーファが力を籠める度に杏は苦痛の表情を浮かべる。
「しゃあああああああ!!!」
シャリーファが鎖を絡ませたまま、杏の身体を乱暴に振り回し、マットへ叩きつける。
次第に増していくラフファイトの激しさに、ゲストたちも満悦の表情でリングを眺めている。
少女たちを生贄に捧げる野蛮な闘争に、上流階級の人間たちも普段の紳士淑女ぶりは全て捨てて熱狂しているのだ。
既に大国際格闘交流会のモラルは、地に落ちたと言っていい。
しかし、それを咎める者はいない。
世界の上流階層に居座る者達が、この堕落した空気を求め、受け入れているからだ。
「せい!」
「ぐ!!」
杏は尻もちを着いた状態で、右足を振り上げてシャリーファの頭部を攻撃した。
頭部に衝撃を受けたシャリーファが思わず、鎖を手放しダウンさせられる。
杏は荒い呼吸で空気を貪りながら転がってシャリーファから距離を取るが、シャリーファは新たな凶器を手にして杏に迫る。
シャリーファが手にしたのは竹刀。
ただの竹刀ではなく、改良されたウレタン塗料によって、一般流通の竹刀を危険なまでに硬化した殺人も可能な道具である。
シャリーファには最早、通常のレスリングに付き合う意思は消え失せている。
杏と同年代の少女であるシャリーファは、大人たちの空気に感化され、それを更に先鋭化させる気質を備えていた。
躊躇なく振り下ろされる強化竹刀を、杏はパイプ椅子で防御した。
他と比較すれば大人しい部類のパイプ椅子だが、シャリーファの凶行を一時的に凌ぐ役には立ったようだ。
「ふふふっすぐに破壊して、杏で遊んであげるわよ!」
シャリーファはお構いなしに竹刀を乱暴に振り回し、パイプ椅子に凹ませていく。
スクラップになるのも時間の問題だ。
防御手段を失えば、今度こそ杏に回避方法は無くなる。
清楚な杏だが、眼前に迫った最後の刻に焦燥を浮かべている。
助け舟は、杏にも、シャリーファにも、観客にも予期せぬ所から飛んできた。
シャリーファが杏のパイプ椅子を破壊せんと最後の一振りを構えた瞬間、爆音と閃光が船上にて炸裂した。
ゲストたちは最初、それがこの試合の演出であると勘違いした。
試合を盛り上げる花火の積りが、火薬の扱いをミスして、誤爆したのだと。
しかし、それは意図して起こされたもの。
船上にて爆薬が炸裂し、ブラックカラーで統一された軍隊装備を身に着けた一団が、混乱に乗じてなだれ込んで来た。
そして、すぐさまゲストを守るべく配置されていたボディガード達と交戦が始まった。
「何が起きたの!!?」
杏とシャリーファの立つリングも、その銃火に晒されてしまう。
マシンガンの銃弾がリング付近を飛び交い、どちらかが投げた催涙弾の煙がリングを巻き込む。
リングで残忍極まるクイーンを演じたシャリーファも、これには堪らず、身を伏せ両手両足を縮めて防御態勢を取ることにした。
「あ・・・あ・・・・?」
一方の杏はその場で立ち呆けていた。
先ほどまでシャリーファの竹刀に恐怖を味わわされ、畳みかけるように爆音と銃声を浴びてしまった杏は、一時的なパニック状態に陥ってしまったのだ。
そんな正気を失った杏の視界に、銃火に怯えて震えているシャリーファが入った。
「シャリーファさん、試合中に不用心ですよ?」
杏はシャリーファの腕を取って立たせ、その腰を抱き込んだ。
「杏!!?何をしてるの?今はそれどころじゃ、ぐあああああああああ!!!!!!」
杏がシャリーファを抱え上げ、自ら立てた膝の上に叩きつける。
シャリーファの背骨を破壊するバックブリーカーだが、この技には続きがある。
杏は膝の上に乗せたシャリーファの全身に、十本の指を駆使して指圧し始めた。
「はああ!!?何よ、これええええ、おおおおおおおうううううう!!!!」
杏が指を動かし、シャリーファの肌を押す度に、大声が響き渡る。
シャリーファの口から漏れる声は、快楽に悶える嬌声のようであり、針を刺されたような悲鳴でもあった。
杏がシャリーファに仕掛けた技こそ、現在彼女が習得中の“愛撫独奏曲”。
まだ杏には全楽章を演奏する力量はないが、完成すれば必殺中の必殺となり得るフィンガーテクだ。
未完成の技でも同年代であるシャリーファに対しては、十分な威力を発揮する愛撫独奏曲。
シャリーファは最早抵抗する素振りも無く、ろれつの回らない状態で呻くのみとなっている。
同じく意識が混乱したままの杏は勝負所と見たのか、更に激しく指を奔らせ、シャリーファの局部を攻め立て、彼女の限界を突き破った。
「ああああぬおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
青色のコスチュームの股間部を湿らせ、二度三度大きく痙攣を起こすシャリーファの身体。
白目を向き、股間の染みは広がり液体が滴り落ちている。
痙攣の後、意識を失っているのか、反応は無くなっていた。
「シャリーファさん・・・」
シャリーファが静かになった事で、杏も落ち着きを取り戻していた。
シャリーファをマットに寝かせた杏が周囲を見回すと、リングの外でリング内以上の喧騒が巻き起こっていた。
突如、戦場に殺到した武装集団とゲストたちを警護するボディガードによる戦闘は拡大していき、船に安全と思える場所は無くなっていた。
榴弾の炸裂により、そこかしこで火災が発生しており、最早船を捨てて脱出するほかないように思える。
そのような思考を続けていた杏だが、リングを囲った金網のオブジェにロケット弾が弾着した所で、全ての思考を断ち切られた。
轟音と眩しい炎が遥か頭上で発生し、くみ上げられた鉄の檻が崩れていく様子を目の当たりにしながら杏はその場に伏せた。
杏の付近で爆発が起きたのは不幸であったが、災いが転じてそれが突破口となった。
リングを囲っていた金網が先ほどの着弾で崩壊し、外部へ単独脱出が可能になっていたのだ。
リングに留まっていては危険と判断した杏は、ロープを飛び越え、金網の残骸を乗り越え、甲板に降り立った。
ゴングが鳴る前にリングから逃亡という形になった杏だが、もうゴングを鳴らす人間も、それを防止する人員もここには残っていない。
突然の砲火に晒されたゲスト達は散り散りとなって、甲板や船内を逃げまどっている。
杏は寒々とした海風を、リングコスチュームのみ着用した身体で受けながら、周囲を見回した。
彼女の目に映ったのは、豪華客船を取り囲む複数の船舶、機銃やロケット弾を浴びせかけるヘリ、ワイヤーを伝って続々と船に乗り込む戦闘員たち。
そして、杏たちが乗船している客船もこれらを排除せんと、甲板上に警備隊員達が上がってくる。
手には銃火器を所持しており、非常に高いレベルの戒厳令が敷かれたと、杏は察した。
更に周囲を取り囲む船舶やヘリに対して機銃掃射が始まり、正しく戦闘状態に入ってしまう。
目の前を乱舞する激しい戦闘の光景に眩暈を起こしそうになる杏を保護したのは、三坂杜家の警護要員達であった。
杏一人が甲板に残されていては、恐らく生還は絶望的であっただろう。
身内の警護チームによって、杏は守られ、素早く脱出の算段をつけることが出来た。
そして脱出の際にチームの医療担当から杏の精神が限界に達していると判断された為、杏には鎮静剤を注射され、彼女は夢心地のまま搬送されていった。
騒動の翌日、杏は三坂杜家出資の大病院の病室で目を覚ました。
そこで家族と警護担当から、騒動の概要と顛末を、聞かされることになった。
あの夜、大国際格闘交流会の客船を襲撃してきた一団は、同じく大国際格闘交流会メンバー子飼いの武装集団であった。
それもメンバーの内の一人ではなく、結託したサロンメンバーは判明しているだけで50名にも上るという。
彼らに共通するのは、大国際格闘交流会の女子プロレス部門にて敗退し、その権力を大きく削られていた事。
敗退者たちによる復讐こそが、あの夜に発生した銃撃戦の原因であった。
双方に死傷者多数だが、船に乗り込んで来た賊を殲滅せしめた事も、併せて杏に説明された。
そこまで話を聞いていた杏はようやく思い出した。
あの夜、リングの上に放置してきたシャリーファの事を。
シャリーファの反則攻撃と、武装集団の銃撃によって一時的パニック状態に陥った杏は、隙をついてシャリーファに反撃しノックアウトしていた。
杏は、意識のないシャリーファをその場に置いて、自分一人だけ修羅場から逃げ出したことになる。
杏に少しでも落ち着ける時間があれば、自分の護衛チームにシャリーファの保護も頼むことが出来ていただろう。
しかし、銃弾と砲弾が飛び交う戦場にそんな暇は無く、杏も護衛チームに保護された後、有無を言わさず処置されてしまった。
杏にはシャリーファを救うだけの余裕と時間が無かったのだ。
涙ぐむ杏に対して、三坂杜グループ総帥である彼女の祖父は、大国際格闘交流会からの脱退を告げた。
元より総帥は、格闘技を通して世界中の事業家たちとの親睦を深めるという理念が失われたサロンに対して、軽蔑の感情を持っていた。
ましてやその騒動に孫娘が巻き込まれた事態に当たって、大国際格闘交流会に残留する意思は完全に消え失せていた。
こうして三坂杜杏ならびに三坂杜グループは、大国際格闘交流会から登録抹消される。
杏には、もうシャリーファや他の少女たちの安否を知る手段は無くなっていた。
そして、大国際格闘交流会のあの夜の騒動や少女たちの凄惨なプロレス勝負について、表ざたになることは無かった。
世間に知れ渡る上流階層の生活ぶりなど、氷山の一角ですらない。
それが秘密の趣味となれば猶更である。

【第八話:⑨】
そして現在、数奇な運命と言うべきか、日本の街イベントにて催されたアマチュアプロレス大会にて、かつて少女であった女子レスラー達が対峙している。
2人とも前回の勝負から時間を経て、その体も成長した。
ミディアムヘアの三坂杜杏は、純白のリングコスチューム。
ショートヘアのシャリーファは、青のリングコスチューム。
両者は、プロレス用の衣装を立派に着こなせるレディへと変貌していた。
そんな二人が共通の記憶を思い浮かべながら、再びプロレスリングで激突する。
「はっ!」
「むう!」
先にシャリーファがローキックを仕掛け、それを杏が足を上げてブロック。
すかさず杏が掌底打ちでシャリーファに切り返す。
「捕まえた!」
杏の伸ばした右手を容易くキャッチしたシャリーファ。
杏が繰り出す打撃のスピードが、余りにも遅すぎた。
「三坂杜さんにまるで覇気が感じられない・・・どうなっているんだ?」
コーナー越しに二人のやり取りを見守っているタケル。
先ほど、シャリーファとチェインの攻撃を受けて、体を休めている。
そんなタケルの目にも、杏の体捌きから、キレが失われていることは明らかであった。
「あううう!!」
ハンマーロックで関節を固められた杏が、苦痛の表情で呻いている。
「そらああああ!!!」
杏を捕えたままコーナーポスト付近まで連行するシャリーファ。
そして杏の頭を鷲掴みして、コーナーマットへ叩きつける。
「きゃああああ!!」
杏が悲鳴を上げたが、シャリーファは容赦なく、二度三度と連続で杏の顔を叩きつけた。
シャリーファは杏が上体を前屈させ消耗したのを見ると、股間に手を差し込んでリフトする。
「まだ大人しくしているつもり?私はあなたを殺す気でこのリングに上がっているのよ?」
逆さまにした杏に聞こえるボリュームで、シャリーファが語り掛ける。
そして、自分の身体を浴びせかけて杏にパワースラム。
「ごほ!!!!」
シャリーファの体重によって、肺の空気を吐き出してフォールされた杏。
空気を貪るより先にブリッジで、シャリーファを持ち上げ、フォールを返した。
「く!!とう!!!」
呼吸が荒れた状態で、杏はシャリーファの腰にしがみ付くタックルを繰り出す。
しかし、シャリーファは杏の肩に両手を置いて、その勢いを殺していた。
間髪入れずに、シャリーファが杏の背中と後頭部に、ハンマーナックルを浴びせかける。
「ふぐ!いやああ!!」
シャリーファが幾度となくハンマーナックルを落とすうちに、杏の身体は沈んでいきマットに腹ばいとなってしまう。
そこにシャリーファがストンピングを連発。
タケルと同様、杏もまた歯が立たない有様である。
不甲斐ないヴェルエポック陣営に向かって、リング周りの観客たちからヤジが飛び始めるが、杏にはどうしようもない。
杏がシャリーファに対して思うのは、贖罪ただ一点のみ。
シャリーファに対して、あの夜の暴動において、杏は自分一人が脱出したことを悔いているのだ。
試合に集中しようとするほど、シャリーファへの申し訳なさをより強く意識してしまう悪循環に陥っている。
そんな杏の不調を、シャリーファは見抜いていた。
シャリーファは幼少より、他人をよく観察し、その脆弱箇所の発見が特技であった。
肉体のみならず、精神の弱体部分は文字通りの重りとなって、その人間の動きを鈍らせる。
優れた観察眼を持つ彼女は、必然的に敵対者の弱みに付け込む技術を磨き続けることとなった。
他人への過度な遠慮を心の奥底に持つ三坂杜の箱入り娘が、自分と遭遇すれば案山子となることを、シャリーファは確信してこのリングへ上がったのだ。
シャリーファの連続ストンピングで動きを止めた杏。
レフェリーストップが入る前に、シャリーファが杏の髪を掴んで立たせた。
そこに、シャリーファのタッグパートナーであるマスク=ザ=チェインが歩み寄る。
杏はシャリーファに散々叩きのめされグロッキー状態であり、2人を相手に抵抗できる余力はない。
シャリーファとチェインの二人がかりでロープに振られた杏は、ロープワークをこなして二人の下へ帰還するだけで精一杯だ。
そこに撃ち込まれるダブルドロップキック。
杏の顔を正確に貫く四本足の飛び蹴りを難なくこなす、大国際格闘交流会タッグの二人の動きは整然としており、幾何学的芸術の雰囲気を醸し出す。
一方、マットを転がりダウンした杏は無様にのびてしまった。
清楚な純白のコスチュームを纏う女子プロレスラーのピエロぶりに、それまで野次を飛ばしていた観客も、次第に嘲笑で杏を煽り始める。
俯いている杏の表情は、観客の位置からは窺い知れない。

【第八話:⑩】
シャリーファとチェインが、再び杏へ接近する。
手心を加える気は無く、シャリーファは前言通りに杏を破壊する意図が明白である。
2人のただならぬ気配に恐怖を覚えた杏が、座ったまま後方へ下がる。
そこにあるにはコーナーポスト。
戦いの舞台であるリングでは、当然、逃亡など不可能である。
すぐに杏は捕まり、両手を引かれて立たされた。
杏の表情は絶望の色を浮かべており、最早プロレスで戦うことなど微塵も考えられない状態と言える。
こんな状態で、大国際交流格闘会タッグチームの強力無比なツープラトン技を受ければ、最悪の事故も起こり得る。
意図した死亡事故の危険に迫られる杏だが、本人の精神はこの試合を早く終わらせてもらいたいという打算に支配されていた。
「う・・・んぐ・・・もうやだ・・・」
杏の頬に涙が伝い、赤く染まっている。
まるで幼児が泣きじゃくっているような光景。
そんな杏を見て、嗜虐に満ちた笑みを浮かべるシャリーファ。
過去にも、試合中に精神が折れた対戦相手を大勢見てきた。
そんな無抵抗と化した相手を徹底的に蹂躙征服する愉悦こそが、最大の生きがい。
シャリーファは、口角を持ち上げ、チェインと共にツープラトン技の準備を整える。
杏を、コーナーポストの上で、合体パイルドライバーに固める二人。
しかも、シャリーファの狙いは、二人で杏の脳天を場外に叩きつける断崖式合体パイルドライバー。
手加減しなければ、杏の首と頭蓋骨は完全破壊される危険技だ。
そしてシャリーファには、手加減する配慮など欠片もない。
「おいきなさい!!!」
満面の笑みでシャリーファが、場外の地面に向けてパイルドライバーで降下しようとジャンプ。
タイミングを合わせて、チェインも跳びあがる。
覆面で表情の読めない彼女には、相方を制止する気配が感じられない。
二人掛けパイルドライバーで完全にロックされた杏は、このまま場外に頭部を打ちつけられ絶命・・・するはずであった。
そこに割り込んだのは、杏のタッグパートナーにして、この試合においてはただ一人の段税レスラーである児玉タケル。
三人がコーナーから跳びあがるタイミングで、タケルは横からドロップキックをお見舞いし、合体パイルドライバーを分断させた。
杏は、拘束から解放され、場外マットの上に両手足を着いて着地することが出来た。
しかし、杏が命の危険を脱出しても、ヴェルエポックタッグの危機は続いている。
シャリーファとチェインは変わらず杏をターゲットに定め、二人がかりで襲い掛かる。
ダブル・喧嘩キックで杏の顔面を狙い打つ大国際格闘交流会タッグだったが、そこにも児玉タケルが立ちはだかった。
2人のブーツを、タケルは胸で受け、杏への被弾を防いだのだ。
「うお!!」
女とはいえ、二人分のキックを受けたタケルは、場外マットにダウン。
「は!!」
そんなタケルの身体を飛び越えて、杏がシャリーファとチェインの首目掛けて、両腕ラリアートを食い込ませ反撃に出る。
杏から反撃の痛打を受けたシャリーファとチェインは、揃って薙ぎ倒された。
喉へクリーンヒットした事で、2人は咽びながらエプロンを登り、リングへ復帰していった。
大国際格闘交流会タッグに対して、一矢報いた杏であるが、レフェリーが彼女に向けて場外カウントを続けている。
カウント20までにリングへ戻らないと、ヴェルエポックタッグは場外負けを宣告されることになる。
「タケルさん、大丈夫?」
杏は、蹴りを受けてダウンしたタケルの心配をするが、タケルからの返事は意外な物であった。
「三坂杜さんの方こそだいじょうぶですか?」
「え?」
痛烈なダメージを受けたはずのタケルの返事は、杏の胸を撃ち抜いた。
「今日の三坂杜さんはまるで試合に集中できてないでしょう?俺たち、アマチュアのサークルですけど、プロレスを見せているんですよ・・・?」
タケルの口調に、杏を責める語気は無い。
「あの、それは・・・」
杏は口ごもる。
自分の中にあるのは、シャリーファとの過去の因縁。
それが全力を引き出すことを妨害している。
しかし、それを言葉にして、タケルへ説明したとして、何の弁明にもならない。
それを理解してしまうからこそ、杏は黙るしかないのだ。
支離滅裂な思考の迷宮に嵌った杏だが、感情で絶えず揺れ動く人間故に、最適な行動を選択できないでいる。
ヴェルエポックのリングでは常に凛とした雰囲気を漂わせる杏。
その余りに頼りなく儚い弱弱しさ。
タケルは、初めて見る杏の姿に驚いているが、それを表には出さず、杏へ伝えるべきことを伝えた。
「勝ちに行きましょう!俺たちヴェルエポックのタッグは、熱くて強いという所を、試合を見ている人たちに証明しましょう。三坂杜さんがどんな苦しみを抱えているのか、俺には分かりません・・・でも・・・」
「タケルさんからのお気持ち、十分受け取りましたわ!ここからが本番です!ヴェルエポックの本気、お集りの皆様にお目に掛けましょう!!」
杏の中にあるしこりが解消されたわけではない。
未だに彼女の中に暗く重い塊が残り、心拍を乱し続ける。
それでも、パートナーのタケルの熱は、彼女のボルテージを上げていった。
悩みぬいても答えが出なければ、内から呼び起こされた熱に、身を委ねるのみ。
杏は、とにかく燃え上がる事に、意識を集中する。
このリングには、自分がいて、過去の因縁があって、そしてかけがえのない仲間がいる。
ロープを掴んだ杏が、エプロンサイドへ登り、ロープを潜ってリングへ復帰した。

【第八話:⑪】
試合の権利を持つシャリーファと三坂杜杏。
先ほどまでは、相手の連携に押されっぱなしの杏であったが、タッグパートナーの児玉タケルから応援を受けたこともあり、活気を取り戻した動きを見せ始めた。
「とあ!」
試合再開早々、杏は勢いよくジャンプして、フライング・ニールキックを叩き込む。
それをギリギリでガードしたシャリーファの額に冷や汗が浮かぶ。
別人と思うほどの技のキレであったのだ。
シャリーファも意識を切り替え、本気で杏に仕掛ける。
「しゃあ!」
杏の腹めがけて、プロレスシューズと包帯で装備した右足を、槍の如く突き出す。
刺されば、内臓も無事で済まないトゥキック。
しかし、杏は刃物同然の危険なシャリーファの右足を、事もなげに両手でキャッチしてしまう。
「なに!?」
これには、シャリーファも驚きの表情を露にした。
真剣勝負モードに徹した杏の五感は、鋭敏化され、また自慢の握力も、大きく増大されていた。
「ふううううん!!」
この試合で初めて発揮される杏の超握力。
シャリーファのシューズに包まれた脛と脹脛に、杏の10本の指が食い込んでいく。
まるでフランスパンを握り潰すかのように、杏はシャリーファの足を破壊せんと、力を籠める。
「んぎい!!!」
驚愕色から悶絶色に表情を変えたシャリーファが、残った左足で延髄切りを試みる。
片足を掴まれた際の対処法として見栄えのする反撃だが、杏はそれを苦も無く片手でキャッチしてしまう。
シャリーファの右足を掴んでいた両手の内、左手だけ放してシャリーファの延髄切りを防いだのだ。
これでシャリーファの両足は、杏の両手で捕獲されたことになる。
「覚悟なさって!!」
杏がシャリーファに声を掛け、その場で回転を始めた。
ジャイアントスイングである。
しかし通常のジャイアントスイングが、両脇で相手の足をロックしているのに対して、
杏はシャリーファの両足に自分の指を食い込ませて握っている。
「ぎゃあああ!!!」
エジプトの代表企業の令嬢とは思えない、獣の咆哮の如き悲鳴を絞り出すシャリーファ。
回転の勢いで飛び出そうとするシャリーファの慣性は全て、杏の10本の指によって食い止められていた。
その指は、シャリーファの足に突き立てられている。
回転するほど深く深く突き刺さる杏の指。
このままでは、シャリーファの両足が破壊されてしまう。
「はあ!」
そこに飛び込んで来たのは、タッグのリーダーを救うべく、タッチ無しでリングに乱入したマスク=ザ=チェイン。
青い覆面と青のワンピース型コスチュームのチェインが、ジャイアントスイングを続ける杏に接近し、エルボーを打ち込みに行く。
「そうは、いきません!!」
そんなチェインに対して、杏はバットを振るって迎撃しようとする。
勿論、野球に使用されるバットなどではく、囚われの身で振り回されているシャリーファの事だ。
杏の恐るべきパワーが、シャリーファをバットにして、チェインの身体を打ち据える。
「ぎゃ!!」
「ごお!!」
大国際格闘交流会タッグの二人が同時に悲鳴を上げる。
「まだまだ!!」
二度三度とシャリーファの身体が、凶器となって、パートナーの身体にめり込んでいく。
人間の身体を撃ち込まれるチェインにも、凶器として人間に撃ち込まれるシャリーファにも甚大なダメージが蓄積されていく。
このような事態を想定できる者などいないだろう。
「うわあああ!!!」
シャリーファを鷲掴みにした杏のバッティングに、チェインが堪らずダウン。
そして、杏もシャリーファの身体を解放する。
シャリーファも、チェインもぐったりして、起き上がれない。
それ程に強烈な武器攻撃であったということだ。
先ほどまでの劣勢は嘘のように、ヴェルエポック側に勝利の光明が差し始めていた。

【第八話:⑫】
「これまでやられた続けた分、お返しします!」
ジャイアントスイング打撃で、敵タッグを叩きのめした三坂杜杏が、悠々と歩み寄る。
前半劣勢続きのヴェルエポックとして、存分にやり返さなければ気はすまない。
アマチュアとはいえ、団体同士の抗争戦でもある当イベントには、レスラー個人だけでなく所属団体としてのプライドもかかっている。
それ故に、試合の内容も過激化することは避けられない。
街の周年イベントの空気からは大きく外れた血生臭さが、潮の香に混じり始めていた。
杏によって、チェインは場外へ蹴り落とされ、シャリーファはその握力に捕らわれた。
シャリーファに待ち受けていたのはロープ振りから連携されたのど輪落とし。
なす術も無くロープへ走らされ、戻ってきた所に喉を鷲掴みされ、マットへ頭から叩き落された。
「か・・・え・・・」
体をピクピクと微動させているが、今にも意識を手放しそうなシャリーファ。
手足に包帯を巻いて、古代エジプト王朝の貴人ミイラを演出したコスチュームの彼女だが、まさしくこのまま棺送りにされてもおかしくない状態に見える。
本調子を取り戻した三坂杜杏は、ヴェルエポックでも屈指の強豪。
その実力は、大国際格闘交流会相手にもワンサイドゲームを展開するほどであった。
「三坂杜さん・・・凄い・・・あんなに強かったのか?」
コーナーで控えているパートナーにして、この試合で唯一人の男性である
彼もまた杏の手によりコテンパンに叩きのめされた過去がある。
そしてフィニッシュに、あろうことか人前で射精までさせられている。
杏の有志を見ていると、図らずもあの快楽がフラッシュバックし、一物が膨れ上がり始める。
パートナーを頼もしく思いつつも、自分に刻まれた強烈な記憶に悩まされるタケル。
その心中に、女だらけのリングに一人、男として参加する気恥ずかしさが急にこみ上げてきた。
そんな懊悩とした悩みを抱えるタケルの口から突如、悲鳴が発せられた。
「ぐああああああ!!」
エプロンサイドに立つタケルの股間を、背後から鷲掴みする手があった。
「・・・」
その手は、マスク=ザ=チェインの物であった。
杏に蹴散らされたチェインは、場外マットを駆けて敵陣コーナーの直下まで移動していたのだ。
男子の股間を鷲掴みする反則だが、レフェリーはリング上の杏とシャリーファに集中している為、試合権の無い者同士の乱闘まで処理することは出来ない。
「んはああ・・・おおお・・・」
タケルの悲鳴に単なる苦痛だけでなく、快楽に耐える悶絶の声色が加わり始める。
チェインは単純にタケルの球を握り込むだけでなく、強弱を付けて刺激を送っている為だ。
男を殺す力ではなく、男を悦ばせる技。
タケルのペニスはすぐさま勃起状態となり、ショートタイツを鋭く突き上げる一本の剣となった。
「あふ・・・すごいいいい・・・・」
股下に滑り込ませたチェインの手を排除しようとすることなく、快楽に身を任せるタケル。
顔を真っ赤にして、膝を震わせるその姿に、男子(アマチュア)プロレスラーとしての矜持は微塵も残ってはいない。
そんなパートナーの異変に、杏は即座に気付いた。
「タケルさん!!何をなさっていらっしゃいますか?」
淫行の加害者はチェインの方であるが、タケルが女の手淫により、絶頂を迎えようとする光景は杏から冷静さを奪い取ってしまう。
更なる追撃を加えようとしたシャリーファを放り出し、杏はタケルの下へ向かう。
そしてその行為が、ヴェルエポックタッグに再び危機を呼び込む。
「やっと隙を見せたわね!」
虫の息でダウンしたはずのシャリーファが、突如跳ね上がって杏の腰へ掌を押し当てる。
「きゃああああああああああああああああ!!」
杏が大きな悲鳴を上げたかと思うと、派手に倒れ込む。
倒れた後もマットを這いずって悶え続ける杏。尋常な痛がりようではない。
「殺してやるよ!!」
シャリーファが嗜虐的スマイルを浮かべ、ストンピングで杏の全身を打ち据える。
それを皮切りに、彼女の反撃が始まった。
杏の首へギロチンドロップ。そして咽る杏にすかさずチョークスリーパー。
呼吸器官にダメージを受けた杏は吸気も呼気もまともに出来ず、肺をパンクさせられてしまう。
パートナーのタケルがリングに入って救助しなければならない場面だが、そのタケルはチェインのテクニックで昇天させられようとしている。
ヴェルエポックのチームワークは、完全に分断されてしまったのだ。
タケルはエプロンサイドから引きずり落とされ、場外マットに叩きつけられてしまう。
ペニスへの手コキ攻撃で、踏ん張る足腰すら機能しない有様であった。
チェインはようやくタケルから離れて、コーナーポストは登っていく。
コーナー頂上から場外までの高低差を想像すると、女性の体重ですら単純なフットスタンプで殺人級の威力を実現可能だ。
「う・・・うう・・・・」
タケルもチェインの殺気に気付いたのか、立ち上がって逃げようとするが、先ほどまで続いた手淫技が強烈過ぎたのか、中々動き出せない。
短時間弄られただけにも関わらず、タケルの逸物は隆々とそそり立っているのが、ショートタイツ越しにも分かる。
それこそがチェインの超人的テクニックを物語っているのだ。
場外マットに寝たまま動けないタケルを覆面越しに見据えるチェイン。
狙いを正確に定め、コーナーポストより飛翔!
チェインの身体は、前方宙返りを複数回繰り返した後、尻を下方に向けて、タケルの上に着弾した。
「ぐごええええええええ!!!」
「ん・・・・・!」
前方二回転式ヒップドロップ。
恐るべき空中運動によって、チェインの尻はタケルを正確に圧し潰した。
それも股間にあるペニスを、である。
「うはああああああああ!!」
全身を痙攣させるタケル。
先ほどまで限界ギリギリで耐えていた射精感が、チェインの尻爆弾によって、噴火しようとしている。
それでも射精を我慢しようと、歯を食いしばって力むタケルであった。
しかし、チェインは腰を激しく動かしだした。
薄手のコスチューム越しにタケルの性器の上に座った形のチェインが腰を動かせば、タケルは堪ったものではない。
折角、自力で抑え込んでいた精液が、チェインの尻肉の圧力で再びせりあがってきていた。
「あう!ふああああ!!」
「ふ・・・く・・・」
絶頂寸前の至福とも苦悶とも言えない表情で喘ぐタケル。
その上を取るマスク=ザ=チェインの表情は、青い覆面で隠され伺い知れない。
男を射精させようと尻を動かすチェインにも、タケルの勃起したペニスの感触は伝わっているはず。
覆面の奥にある素顔は淫乱色を浮かべているのだろうか。
ついにタケルの限界は崩壊した。
「ふはっあああああああああ!!!」
タケルの黒ショートタイツと、チェインの青レオタードのハイレグ。その隙間に染みが広まっていく。
そして白濁液が二人の間からあふれ出た!
タケルは観客の目を気にする余裕も無く、絶叫し、腰を震わせ続けている。
震動の度に、精液が漏れ出す。
小舟の船底に穴が空き、そこから海水が侵入するような光景であった。

【第八話:⑬】
「見なさい!あなたの大事な殿方が、生き恥を晒して震えているわ!」
「タケルさん・・・なんてことを・・・」
チョークスリーパー状態のまま立たされた杏は、ロープ際まで移動させられていた。
呼吸不能で命すら危険な状態で視界に映るのは、パートナーの男とまぐわう覆面の女。
実際には、2人の性器はコスチュームで隔たれていて、触れ合っているわけではない。
とはいえお互い薄手の布地である為、その感触は十分に伝わっている。
タケルが大量の射精に至ったことからも、それは簡単に分かる事だ。
タケルの激励で一度は回復した三坂杜杏の精神は、タケルの痴態で再び闇の底へ沈んでいく。
タケルのヴェルエポックデビュー戦。それをリングサイドから観戦していた杏。
御剣花純に散々叩きのめされ、リングで射精の恥辱を受けたタケルに対して、どうしようもない欲情を抱いた。
杏自身も、自らの必殺ホールドでタケルのペニスを攻め立て絶頂まで導いた自負がある。
思えば、自分が男を意識したのはあれが人生で初めてかもしれない。
育ちの関係もあって、男性関係は厳しく制限され続けてきた人生で、ここまで感情を揺さぶられた異性はタケル一人のみ。
かつて大国際格闘交流会で深いトラウマを負った杏。その後の人生において、親しい交流を持てたことは無い。
女子プロレスサークル「ヴェルエポック」に参加したのも、プロレストレーニングを続けてきた杏の欲求を発散したいという理由からだ。
情熱を傾けつつも、どこかで空虚さも感じていた杏の中に、タケルの存在はパズルピースの如く、ピタリと嵌った形になる。
自分が愛するプロレスで、異性と交わる神聖なリング。
聖域が汚されている。自分の過去に関わる因縁が、純白のマットを汚泥で塗りつぶそうとしている。
「死ね!」
シャリーファが、動揺して棒立ちの杏に延髄切りを見舞う。
「げえ!!?」
思考を寸断されて杏は倒れ込む。その杏を場外へ蹴り落としてしまうシャリーファ。
狙いを、タケル一人に絞る積りだ。
「・・・」
意識が深い闇へと沈み、場外マットに横たわる杏はぴくりとも動かない。
腹ばいになっている為、その顔はマットに向いており、誰にもその表情は窺えなかった。

【第八話:⑭】
「ぐごお!!がああ!!ふぐ!!」
リングでは孤立した児玉タケルが、マスク=ザ=チェインによって羽交い締めにされる。
そこに叩きこまれるシャリーファの打撃。
拳を作った反則のナックル。つま先を伸ばした足先蹴り。爪を立てたひっかき攻撃。
あからさまな反則攻撃でいいようにタケルを嬲り続けるシャリーファ。
レフェリーも反則カウントを宣言して止めさせるが、すぐに反則を繰り返すいたちごっこである。
二人がかりで攻め立てられ、タケルもダウン寸前の状況。
そして女二人に攻められることで、その興奮も普段の試合以上なのか、タケルの股間は再びショートタイツを突き上げて勃起している。
やがてそれがシャリーファの嗜虐的な視線を集めることとなった。
「さっき出したばかりよねえ?元気過ぎるじゃない。」
タケルの黒いショートタイツの両手で掴み、躊躇なくずり下ろすシャリーファ。
「で・・・でかいわね・・・・」
窮屈な履物から解放されたタケルのペニスは、脈を打って直立していた。
さすがのシャリーファも気圧されたのか、神妙な面持ちになっている。
ショートタイツを場外へ放り捨てたシャリーファが、タケルの巨大なペニスをターゲットに定めた。
それを察したタケルも恐怖と興奮に息を呑む。
これまで散々なぶりものにされた自分の急所が、目の前の嗜虐の女傑によって、どんな目に遭わされるのか。
タケルは相変わらず、マスクザチェインの羽交い締めから逃れられず、両腕が封じられたままである。
防御もままならないタケルに対して、当然のように反則攻撃を仕掛けるシャリーファ。
包帯を巻いた右手でタケルの肉棒を鷲掴みすると、手を上下に動かして手淫を開始した。
「あう!!」
これまで受けてきた技のどれとも違う感触が、タケルのペニスから走った。
違和感ある電流・・・そして大雨で発生した濁流が所外物を粉砕するかのような射精感が溢れてきた。
「くあ!ううう!!!」
目を閉じ、歯を食いしばって、射精だけはしてなるものかと我慢するタケル。
しかし、ペニスとは別の個所から新たな快感が襲い来る。
シャリーファの右手はそのままタケルのペニスを扱き続け、左手はタケルのわき腹を撫で始めていた。
特に変わったことの無い愛撫に見えるが、タケルの身体は激しく痙攣している。
尋常でないタケルの様子に観客たちもざわつき始めた。
「くあ!!があ!!」
チェインによって拘束されているが、それでもなお激しく震えるタケル。
口から涎があふれ出て、視線は定まっていない。
「ちょっと撫でたくらいでこの様なの?日本の男子レスラーは大した事無いわねえ?」
シャリーファは気分よく笑顔となって、両手を動かし続ける。
「ふぎいいいいい・・・あああ・・・だめだああああ・・・・」
ビクン!ドクン!限界を迎えたタケルのペニスが赤く熱を発し、震動を始めた。
「大勢の前でいっておしまい!!」
シャリーファはタケルの正面から横側に移動し、フィニッシュを仕掛ける。
「ぬおおおおおおお!!!」
シャリーファの強烈な手淫がフィニッシュとなり、タケルのペニスから精液が噴射された!
ドシュウウウウウウ!!!
消防用ホースから勢いよく放水するように、タケルのペニスから白い精液が放出され続ける。
「凄い!全く途切れないわ!!」
射精の最中にも尚、手淫を続けるシャリーファの顔には達成感と支配感に満ちた笑顔が浮かんでいる。
巨大ペニスから特大の射精をさせた証が、彼女を感動させているのだ。
「がああああ・・・や、やめ・・・・」
「こんなに喜んでるじゃない?こんな嬉しい事、病みつきになるでしょう?杏が貴方にここまでしてくれたの?」
ドプウウウウウ!ドックン!ピュウウウウ!!
「んああああああああああああああ!!!!」
杏の名前を出されたタケルの中に、更なる動揺が走った。
かつて三坂杜杏の変型バックブリーカーによって、失神するほどの射精を経験した児玉タケル。
彼の中にはあの記憶が残り続け、興奮剤にもなっている。
シャリーファの手淫によって喚起されたその記憶がフラッシュバックされ、タケルに更なる発火を促す。
「ぎいいいいいいいいいいいい!!!うわああああああああ!!!!」
タケルが泣き叫んでも、シャリーファは手を止めず、またペニスからは精液が噴出し続けている。
「うわご!?あがああああああ!!?」
やがて嬌声を上げていたタケルの身体が不規則に硬直し始めた。
「これだけ射精したんですもの!あなたの身体は無事で済まないわ!」
タケルのペニスを扱きながらシャリーファが呟いた。
包帯に巻かれた腕が上下する度に、タケルの身体は激しく震えている。
その目は正常ではなくほとんど白目である。
そしてシャリーファが最後のひと撫でをすることで、タケルは最後の精液を放った!
「げふっ!!!!」
ようやくペニスからの射精が途切れ、シャリーファも一仕事を終えたため息をついて、手を放す。
タケルは、マスク=ザ=チェインに羽交い絞めにされた状態のまま身動きを取らない。
その口端からは唾液が垂れており、意識が無い事は明白。
タケルはシャリーファの手淫によって射精した挙句に気を失ってしまったのだ。
【第八話:⑮】
マスク=ザ=チェインは、タケルを解放する。
意識のないタケルは受け身も取れずに、マットに腹這いとなった。
試合の権利は三坂杜杏とシャリーファにあるのだが、乱闘続きの展開によって、ヴェルエポックの児玉タケルが一足先にノックアウトされた。
波乱のリングに、大国際格闘交流会・女子プロレス部の一応セコンドである白装束集団の手で、棺が運び込まれた。
サードロープの下をくぐらせる形でリングインした棺は、シャリーファが入場時に使用した物であった。
「それでは児玉タケル。今からあなたを入棺してあげるわ!ここに入れられたが最後。あなたは私という女王に忠誠を誓う下僕になるのよ!」
大げさな芝居動作だが、シャリーファが口にしたことは全て現実となる。
世界中のセレブが集う大国際格闘交流会には、日本人の一人からあらゆる人権をはく奪する事など容易いこと。
児玉タケルという一個人を自らの所有物とする宣言であった。
そんな地獄の沙汰は、当のタケルの耳には届かない。
過剰すぎる射精により、精も根も果てたタケルの意識は彼方の闇に沈んでいる。
ショートタイツを剥ぎ取られ、ブーツを残して全裸となったタケル。
性器を隠すことも出来ない状況の彼に対して、大国際格闘交流会の二人はトドメを刺しに行く。
シャリーファとマスク=ザ=チェインが両側からタケルを抱え上げる。
ツープラトン・ブレーンバスターの構えだが、2人の背後つまりタケルを叩きつける場所には棺が設置されている。
文字通りタケルへのトドメが、棺への入棺となる流れだ。
逆さまになっているタケルだが、いまだに意識を取り戻す気配はない。
「冥府へ!」
シャリーファが叫ぶと、チェインはそれを合図と察する。
2人は後方へ倒れ込み、タケルの身体を棺へ叩きつけた。
「ごば!!!?」
ツープラトン技がタケルへの気付けとなったのか、着弾の瞬間にタケルは目を覚ます。
しかし、最早どうすることも出来ない。
うめき声を上げる以外、彼は身じろぎすら取れない。
それは深刻なダメージのせいであり、また棺によって体が固定されている為でもあった。
「ううう・・・・何が・・・・?」
目覚めたばかりで意識が朦朧としているタケル。
激しい射精の挙句、ブレーンバスターをもらい、棺に納められているのだ。
自分の状況を理解できないのも無理はない。
そしてシャリーファとチェインが二人がかりで、棺の蓋を持ち運ぶ。
かなりの重量らしく、二人がかりの作業でも運搬の速度は遅めである。
タケルも、その蓋が棺に封をするためであることは理解できていた。
しかし、逃げ出そうにも疲労が貯まりきった体では何もできない。
「ふふふ・・・次に蓋が開けられた時には地球の裏側よ。貴方は故郷の土を踏むことなく、そこで一生私に尽くすのよ…」
シャリーファから最後の言葉が紡がれると、棺に蓋が落とされた。
「う・・・く・・・・こんな・・・・」
タケルは真っ暗になった棺の内部でじっとしている他無い。
先ほどのシャリーファの言葉が本気であれば、タケルの人生はもう終わったも同然ということになる。
体力回復に努めて、棺から脱出のチャンスを伺う。
その一点に望みを賭ける。
タケルはあらゆる状況を想定しながら静かに深呼吸を続けた。
そして、その様な思索は無意味とすぐに思い知る。
【第八話:⑯】
「貴方は結局、何も変わらなかったのですね。」
大国際格闘交流会タッグがギョッとして、後ろを振り向く。
そこに立っていたのは、三坂杜杏。
対戦中の女子プロレスサークル・ヴェルエポックの参戦レスラーだ。
シャリーファは気を取り直して、杏と向き合う。
かつて辛酸をなめさせられた相手を徹底的に嬲りつくす。
それが、シャリーファにとっての参戦理由。
杏のパートナーの児玉タケルを徹底的に凌辱した事もまたそれの一環。
この後、タケルの身柄をエジプトへ移動させれば、杏から命と同等の宝物を奪うこととなる。
そこまでやってこそ復讐である。
ろくなコネすら持ち合わせていない日本人の若者など、家の力を使えば奴隷にでもそれ以下の存在にでも落としてしまえる。
脳内で図面を引いていたシャリーファだが、杏の復帰は想定していなかった。
とはいえ、既にダメージが深刻な杏を、マスク=ザ=チェインと二人がかりで仕留めるだけの安易な作業が追加されるだけ。
試合の最後にもう一度嬲ってやろうと、シャリーファは秘かに舌なめずりすらしていた。
まずは杏の正面に、青い覆面のチェインが立つ。
シャリーファは、そこから距離を置いた。
2人がやり合ってる所に、横やりで杏を刺す意図は明らかだ。
しかし分かっていても、それを防げないのが一対多の戦い。
まずチェインが、杏に仕掛ける。
跳躍からのローリングソバット!低めの打点のロードロップキック!肩から突っ込むショルダーチャージ!
チェインらしい空中殺法が次々披露され、それらが杏の華奢に見える体に撃ち込まれる。
「ごふ!」
杏はチェインの猛攻を捌き続けたが、さすがに飛び技全てを受け流すことは出来なかった。
チェインの体重が乗った打撃は確実に杏を消耗させていく。
それでもチェインのフライング・ニールキックを、杏は出がかりで捕まえることに成功した。
マットに叩きつけようとしたが、それより先にチェインの両足が杏の首に絡みつく。
ヘッドシザースで逆に叩きつけられる杏。
そのまま腿で首を絞められ、呼吸困難に追い込まれた。
「くくく・・・何かあるかと思ったけど、杞憂だったわね」
ほくそ笑むシャリーファが、マットで足掻く杏に近づいていく。
チェインの相手にならないほど弱った杏を見て、シャリーファは油断したのだ
タイツを装着したチェインの足に絡め捕られている杏に向かって、シャリーファが腕を伸ばす。
シャリーファの両手に巻かれた包帯。
一見、ただのコスチューム装飾品に見える布である。
しかし、これこそがシャリーファの実家財閥がその技術の粋を集めて開発した未発表の開発品である。
体内の患部に対して、体外から衝撃を与え、患部のみを破壊する治療が存在する。
大がかりな装置を複数必要とするそのシステムを可能にしたのがシャリーファが装着する布“アムン”である。
それは、生体電流、静電気程度の僅かな電力で起動し、人体に作用するナノテクノロジーの最前線技術であった。
軽く触れるだけで、人体から活力を奪うことも、強すぎる(性的)刺激ことも可能な人類にとっての福音ともなる魔法。
そんな奇蹟のツールを、シャリーファは自分の欲望の為だけに独占している。
先ほどの様な軽い脱力感覚では済まさない。
全力の拳と共に、杏を破壊する刺激を叩き込む。
シャリーファは、決意と共に拳を構えた。
「私も・・・これ以上は容赦できません」
シャリーファが拳を向かわせると同時に、杏の声が届く。
そして、シャリーファの眼前に黒一色の壁が出現する。
グギュ!
「ギャアアアアアアアアア!!!」
右腕から発する鈍い痛みに、堪らず叫び声を上げるシャリーファ。
杏はチェインに捕まったまま、近くにあった棺を持ち上げ、シャリーファに叩きつけたのだ。
包帯を巻いたシャリーファの右拳は複雑で歪な形に変形しており、骨折して使い物にならない事は火を見るよりも明らか。
激しい痛みを発する自分の右腕を抱えながら、杏から離れようとするシャリーファ。
ヨタヨタとおぼつかない足取りである。
そんなシャリーファが背を向けた場所から別の悲鳴が上がる。
「くああ!きゃん!!」
シャリーファが振り向くと、杏がチェインに対して棺を振りかぶっている様子が目に飛び込んで来た。
大の男が収まるサイズの頑丈な作りとなっている棺。
それを杏は軽々と振るっている。
恐るべき腕力である。
「ふがあ!!」
チェインは飛び立つ暇も与えられず、棺の下敷きにされてしまう。
棺の下で蠢くチェインだが、彼女の膂力ではともではないが持ち上がりそうにない。
「まだお仕置きは済んではいませんよ?」
杏はチェインを行動不能にすると、身を躍らせてチェインへ迫る。
「ひっ!」
最早、戦闘不能で降参すべきだったシャリーファであるが、気が動転してそこまで考えが及ばなかった。
右腕を粉砕されているシャリーファに、抵抗の術は残されていない。
彼女は杏に捕まると、無理やりロープスローで走らされた。
ロープの反動を受けて戻ってきた所に、シャリーファを待つのは杏の指。
指穴無しアームカバーを装着した杏の右腕が向かう先は、シャリーファの股間であった。
杏の指が、青色のパンツ越しに奥深くへ挿入されていく。
「んオウ・・・!!?」
下品な悲鳴を上げたシャリーファの目が焦点を失う。
それ程、強烈な刺激であった。
走り込んだ勢いそのままに体重を前のめりに掛けてしまったことで、杏の指は通常の挿入を遥かに超える力で、シャリーファの秘部を貫いたのだ。
そして杏による制裁はそこで終わらない。
「せい!」
「ぐおおおおおおお!!!?」
杏はシャリーファの股間に指を突っ込んだまま、片手でリフトアップを開始。
体重全てがシャリーファの奥深くに突っ込んだ杏の指に集中しているが、杏はまるで意に介さない。
一方、無慈悲な突き上げを外陰部より奥深くで受け止める羽目になったシャリーファは、絶叫し続けている。
過去のどんな性体験よりも容赦なく、破壊力にあふれたパワー。
シャリーファの股間から愛液が、顔の孔から体液が、噴水の様に噴出し始めた。
「ギイイイイブウウウウ!!!ギュウウブイイイイ!」
降参をレフェリーに伝えたいシャリーファであったが、獣の鳴き声にしか聞こえず、正確な意図で言葉を紡ぐことは出来なかった。
杏の腕がいよいよ真上を向いた。
天に向けられた右腕の先には、股間から貫かれたシャリーファが乗っかっている。
古代から存在し、現代では禁忌とされる串刺し刑の再現。
「ほおうう!!ぐうああああ!!」
杏によって片手で掲げられたシャリーファが、よがり声とも悲鳴とも思える遠吠えを叫び、体を前後に痙攣させ続ける。
体を揺すった所で勿論、この状況から脱出できるものではない。
シャリーファの膣は既に杏の右腕を受けいれてしまっている。
繋がった二人はいかなる衝撃でも離れることは無い。
シャリーファの思考は既に股間から走る電撃の如き痛みと快感で破裂してしまっている。
何かを具体的に考えることは不可能。
そして悪女に鉄槌が・・・いや悪女を鉄槌にする時が来た。
「エイ!!!」
杏は腕を振り下ろして、シャリーファをワンハンドスラムでマットに叩きつけた!!
ズゴオオオオオオオ!!!!!
榴弾の着弾音を思わせる爆音が、正午を迎えた港町を駆け抜けていく。
リングに発生した爆音が収まった時、そこには首をマットに埋めた女体が残されていた。
不発弾の様な不気味な物体だが、それはシャリーファの身体である。
杏のワンハンドスラムを受け、頭から逆さ落としされたシャリーファは頭部だけマットを貫いて、そこを支点に残った体を真上に向けている。
ジュウポ・・・
そして通常のスラムと違い、杏はシャリーファの股間に右腕を深くまで突っ込んでいたという事実。
杏がシャリーファの股から腕を引っこ抜くと同時に、愛液の噴水が開始される。
「・・・・」
マットに頭を埋めたシャリーファから何か声が発せられたようだが、それを聞き取れる者はいなかった。
噴水は止まらず、マットをシャリーファの体液が侵食していった。
ここでようやく試合終了のゴングが鳴り響いた。
試合権を持つシャリーファの完全ノックアウトにより、波乱だらけのタッグマッチは幕を閉じる。
カンカンカンカアアアアアアアアアアアアアアン!!!

【第八話:⑰】
「タケルさん、大丈夫ですか!?」
三坂杜杏が、パートナー児玉タケルを救出すべく、棺をの蓋を持ち上げる。
先ほど、杏が凶器にして振り回したビッグサイズの棺である。
それに収容されたタケルは気を失っていた。
杏の棺捌きによって、猛スピードでかき回される羽目になったタケル。
そこら中に体を叩きつけた挙句、頭部も棺内部で打ち付けてしまったのだろう。
杏は、パートナーを棺から担ぎ出すとマットに横たえる。
「お目覚めはやはりこのメロディーですわね」
ブーツを残して全裸のタケル。
その男性器に指を伸ばす杏。
ピアノを演奏するかのように、ペニスを摩りだした。
ペニスだけでなく、タケルの全身をくまなくタッチし始める。
「ん・・・は・・・・!」
タケルの鼓動は早くなり、その表情は苦しみと快楽で変化を続ける。
そしてタケルは目を覚ました。
「・・・!!三坂杜さん・・・!?試合はう!!?おおおお!!!?」
覚醒した次の瞬間、タケルは状況を理解する時間も無く、勃起させられた。
「よい朝ですよ、タケルさん?さあ一日の始まりはこれで・・・・」
杏のタッチスピードが、目にも止まらないレベルに上昇。
そしてタケルのペニスも熱さと固さを最大まで高めた。
「んんううううあああああああああ!!!!」
ダビュウウウウウ!!!!
シャリーファに続き、杏にも射精させられてしまうタケル。
白い水柱が、太陽光を浴びて、七色に照り返る。
まるで、ヴェルエポックの初勝利をお祝いするように、光は天空へ伸びていくのであった。

【試合結果】
<ヴェルエポック>
児玉タケル & 三坂杜杏(○)
vs
<大国際格闘交流会・女子プロレス部>
シャリーファ(●) & マスク=ザ=チェイン

(50分07秒 鉄槌狂騒曲 ⇒ TKO)

■第八話完



[43623] 第九話「ヴァリステック・インパルス編③ リングの教典!女教師とヤンキー女子の放課後大乱闘!!」
Name: 独情構◆03fd381f ID:186502a9
Date: 2025/03/05 01:05
【第九話:①】
プロレスタッグバトルリーグ戦“ヴァリステック・インパルス”。
その大会二日目にして、女子プロレスサークル“ヴェルエポック” は初勝利を挙げた。
彼女たちは試合終了後、ミーティングと休息もかねて三坂杜杏の邸宅で過ごす事が日課になりつつある。
メンバー達が一堂に集まる中で、特に上機嫌なのは、本日サークルの初勝利をもたらした二名の内の一人、三坂杜杏である。
その傍に立つ残りの一人、児玉タケルはというと、やや表情が硬い。
対戦相手二人に加えて、パートナーであるはずの杏にまで射精させられた事が原因だ。
試合が終わって数時間経ったが、試合中射精の快楽に身を震わせ続けている。
美女三人立て続けの激しい陰茎攻めには、さしものタケルもタジタジである。
「タケルさん・・・勝利は全てあなたのお陰です」
突如、杏がタケルの腕に組み付いてきた。
まるで恋人の様な絡みだが、彼女のパワーもあって振りほどくことなど、タケルには不可能だ。
「あなたの激励があって私は過去を振り切ることが出来ました・・・やっぱりタケルさんは私のベストパートナーですわ!」
瞳を潤ませ、頬を染めて、タケルに密着する杏。
かつて自分が関わった因縁の決着。
杏にとっては、今日行われた大国際格闘交流会とのタッグマッチは、暗い過去との決別儀式でもあった。
そんな大事となった試合は、試合そのものだけでなく、試合後も混乱が生じていた。
大国際格闘交流会タッグのシャリーファが、杏のフィニッシュ技によって重篤な状態に陥り、病院の集中治療室行きになったのだ。
一命を取り留めたことは、大会開催本部から通達されており、タケル達も胸をなでおろした。
そしてもう一つの大事が、同じく大国際格闘交流会のレスラー、マスク=ザ=チェインの正体である。
杏によって棺の下敷きにされたまま試合を終えたチェインは、ゴングの後で救出された。
治療の為、覆面をはずしてみると、杏にとって旧知の女性がその正体であると分かった。
彼女の名前は、ディアナ・ガルダイナ。
かつてアメリカに存在した大企業の令嬢である。
ディアナの家もまた大国際格闘交流会サロンに所属していて、彼女はそこで組まれたシャリーファとの試合に敗北していた。
サロンが後付けで決定した規定により、ディアナの父親が所有するあらゆる資産は没収。
そしてシャリーファの一族に吸収されたという経緯であった。
その後のディアナは、シャリーファの付き人兼愛護動物として扶養されることとなった。
そんな環境で、ディアナが筆舌に尽くしがたい扱いを受けてきたことは、想像に難くない。
“ヴァリスティック・インパルス”の試合で重傷を負った二人とシャリーファ陣営が混乱している隙を突き、三坂杜グループの私兵団が彼女の身柄を攫う事に成功した。
その後、シャリーファのグループとのいざこざはあったものの、既にバックボーンを失って久しいディアナに対して固執する事はほとんどなかった。
それよりもシャリーファの身体こそが、彼らにとっての重大事であったのだ。
こうして、シャリーファの虐待から救出されたディアナは、三坂杜配下の病院にて治療を受け続けている。
ディアナにとってあまりにも過酷な時間であったが、三坂杜杏たっての希望で、彼女の生活にはグループのバックアップが決定された。
彼女が自分の人生を取り戻せるかは、これからにかかっている。
リングで戦った者同士、タケルはディアナの回復とこれからの人生に希望を持ってくれるよう願った。
プロレスとは、相手を叩き潰すだけで終わってはならない。互いを立てる姿勢もまた必要とタケルは考える。
願わくば、回復した彼女ともう一度、しがらみ無く戦いともタケルは思っていた。
彼女の華麗な空中技に魅了されたのか、彼女によって精液を搾られた記憶がタケルの深い部分に刺さったからなのか。
それは再びリングで相まみえた時に理解できるだろう。
「タケル、またボッキシテマース!」
「きゃっ!」
アリス・ミレイラが、そのバストで杏を弾き飛ばして、タケルの隣を奪った。
アリスの指摘通り、タケルのズボンは不自然な盛り上がりを見せていた。
タケル自身も気づかないまま、今日の試合で受けた刺激がぶり返していたようだ。
「明日はまた試合がアリマース。早めに慰めてあげないと試合に差し支えルヨ?私のバストで一気に搾り取ってアゲマショウカ?」
巨乳をタケルの腕に擦り付けて、色目使いで見つめてくるアリス。
試合時と違って金髪を下ろしている今の姿は、セクシーフェロモンを放つ米国美女そのもの。
その視線を受け止めきれないのか、タケルは赤面しながら自分の視線を泳がせてしまう。
アリスに絡みつかれるだけで、アリスとの試合がフラッシュバックする。
特にフィニッシュとなった、ペニスを胸で挟み込んだまま放つドラゴンスクリュー『ボルカニック・エルプション・スクリュー』の威力と快感は、未だに深くタケルの脳裏に刻まれたままだ。
ヴァリスティック・インパルス二日目の試合は、パートナーの三坂杜杏の尽力によって、白星を挙げられたも同然であるとタケルは理解していた。
三日目の試合もまたパートナーに頼らざるを得ないだろう。
そして、そのアリスが備えた天然の必殺武器の爆乳は如何なる難敵であろうと粉砕する希望が詰まっている。
タケルは次の試合への不安を消して、覚悟を決めた。

【第九話:②】
ヴァリスティック・インパルス三日目。
この日、ヴェルエポックの試合は既に日の沈んだ時間帯となった。
前の試合が長引けば、その後の試合の開始時間にも響いてくる。
イベントを開催中の港町は既に日が沈み、街灯が点灯する時間になっていた。
野外リングの周りにも証明による明かりが灯されている。
選手や観客が視界不良に陥ることは無いだろう。
しかし、リングの周囲は実に異様な光景が広がっていた。
前日までの試合との明らかな違いは、観客であった。
これまでヴェルエポックの参加した二試合では、老若男女や家族連れなど多様な観客が試合を見に来ていたが、今回は明らかに観客の構成異なっている。
明らかな違法改造を施されたバイクや自動車。そして華美な・・・ストレートな印象を言葉にすれば、ヤンキーファッションな若者たち。
そういった客層が、広場を取り囲むように陣取っているのだ。
当然、違法駐車となり、取り締まりの対象だ。囲いの外側では警察官数名が少年少女に解散を呼び掛けている。
しかし、警官に従うどころか、マフラーから爆音を放ち、威嚇行為に及ぶ始末だ。
さすがに国家権力であろうと、この人数差では分が悪い。
取り締まり側も攻め手が無いようである。
そんなリング外の喧騒を他所に、イベントは着々と進行していく。
違法改造車両の爆音に負けない大音量が響き、“ヴェルエポック”側の入場が始まった。
花道を歩むのは、アマチュア女子プロレスサークル“ヴェルエポック”所属の唯一の男子レスラー、児玉タケル。そして、米国出身にして“ヴェルエポック”最大級バストの持ち主、アリス・ミレイラ。
タケルは黒のショートタイツ、アリスはパープルのレスリング・シングレットを着装している。
そして人々の視線を独占するアリスの巨乳。
シングレットを突き上げてなお余りあるスーパージャンボサイズの乳房。
“ヴェルエポック”でタケルと対戦した際には、それを武器として活用して勝利を収めている。
殺気だった不良たちの視線に晒されながらも、タケルは堂々とリングへ歩んでいく。
鍛え上げた肉体は、試合場に渦巻く暴力的雰囲気すら跳ね返す。
先日の初勝利は、タケルに自信と生気を与えている。
もっともその勝利は、パートナーである三坂杜杏のワンマンファイトに依る所が大きい訳であるが。
そんなタケルの右腕にしがみ付いて歩調を合わせるアリス。
殺気だった若者たちに物おじせず投げキッスでアピールするなど余裕すら伺わせる。
素行不良で鳴らした強面の少年たちも、このアピールには赤面の反応。
アリスの底抜けに明るい色気は、リングの周りに伝播し、渦巻く毒気を中和していた。
ロープを潜ってコーナー近くに立った二人は、対面の花道を見据えて相手タッグのリングインを待つ。
やがて“ヴェルエポック”が入場した花道とは反対側の花道に照明が当てられた。
リングに近づく二人の女性。
一人はこの場に相応しい衣装の金髪女性。天然パーマの髪をポニーテールにまとめている。
羽織っているのは白装束である。
白地の長ランであり、その丈は膝まで伸びている。白装束の背中や腕には漢字で物騒なワードが印字されており、万人が思い浮かべるヤンキーのイメージそのものだ。
さぞその形相も恐ろしい般若顔なのだろうと戦々恐々でその顔に視線を合わせるタケル。
そこにはあどけなさを残した美少女の顔があった。
ヒールを演じているが、その内心は外見通りのおしとやかな性格かも知れない。
タケルは、そんな根拠のない期待を胸の中で膨らませ始めている。
そして、天然パーマ美少女ヤンキーレスラーと共に歩むタッグパートナーの女性。
こちらは20代半ばといったところか。
ブラウンヘアーの髪を背中まで伸ばした大人の女性である。
こちらも見目麗しい美貌の持ち主で、前髪の両サイドから伸びる髪、いわゆる触覚ヘアが目立つ。
服装は上下共にジャージであった。ヤンキーファッションに比べたらインパクトは弱いが、それを吹き飛ばすインパクトの爆乳を彼女は備えていた。
ジャージを不自然に膨らませるサイズの乳房。タケルのパートナーを務めるアリス程ではない。
しかし、女性の体格を基準にすると、こちらの方がバランスとしては適正とも思えてくる。
リング中央で向き合う両軍。レフェリーから反則の説明が行われ、四人はそれぞれ握手する。
「・・・」
ヤンキー少女は無言のままヴェルエポックタッグと握手すると、早々に自軍コーナーへ引き揚げた。
「あら・・・ごめんなさい。気難しいところのある子なんです。」
その様子を見たパートナーの女性が敵であるヴェルエポック陣営に謝罪した。
「気にしないでください。今日は正々堂々と試合しましょう。」
タケルは動じない振りで、応じる。
しかし、どうしても彼女の大きな胸が気になり、ドギマギしてしまう。
タケルが懸命に気にしない振りをするほど、次第に不自然さが目立ち始める。
「ふふ・・・男らしいんですね。今日は胸を貸してもらいますね。」
朗らかな笑顔を見せると、ジャージの女子レスラーも自軍コーナーへ移動する。
「ああ・・・目を奪われちゃったなあ・・・」
大学生のタケルにはまだ強すぎる大人の色気。
これまでこなしてきた試合を振り返ると、全ての試合でタケルは相手女性の身体的誘惑に抗いきれずに、押し切られてきた。
その事実を反省しつつ、自らの内心に深く刻まれた女性の恐ろしさとそれに溺れたい欲望に再び負けそうになってしまうタケル。
「タケル!試合前にボッキするつもり!?それはノーよ!」
「う・・・すまん!アリス・・・。」
アリスに嗜められ、気まずい表情を浮かべたタケル。
誘惑の多いリングに若い男が立つ事は無謀であるのか。
耐性の無さを嘆きつつも、タケルは気持ちを新たにして切り替えた。
自分一人の戦いではない。
今は、ヴェルエポックの威信を背負って、アリスと共に戦いへ臨むのだ。
「もう大丈夫だ!俺は・・・」
「タケル!勝てたら私からもタップリご褒美あげるわ!ハッスルしましょ!」
タケルの苦悩などお構いなしにアリスが胸を押し付けてきた。
「うわああ・・・!」
折角の精神統一も即座に乱されては、意味を為さない。女たちが集まる四角いジャングルで戦い抜くには、まだまだ経験が足りない証拠である。
ムクムクと起き上がり始める男根。闘志を高めるべき場面で、これは余りにも見た目に問題がある。
タケルは前屈み気味になって、勃起して黒いショートタイツを突き上げるペニスを隠そうとする。
しかしアリスは怪訝な表情で追い打ちを仕掛けてきた。
「ホワッツ?体調が悪いの?大丈夫と言ったのは嘘なの?噓つきはデドリーシンよ?」
「・・・何も問題ないよ・・・俺は元気・・・」
「イッツグッド!先発はタケルに任せたわ!」
ポンとタケルの肩を叩いて、自分はロープを潜ってエプロンサイドに移動するアリス。
彼女は笑顔で親指を立て、パートナーを戦場へ送り出した。

【第九話:③】
<女子プロレスサークル・ヴェルエポック>児玉タケル & アリス・ミレイラ
vs
<私立南空台高等学校・プロレス部>日乃川ナツメ & 久美苗美沙子
タッグマッチ60分一本勝負。
「ファイトッ!」
カアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!
リーグ三日目。ヴェルエポックにとって三戦目開始を知らせるゴング音が、薄暮の空に響いた。
まず、リーグ参加レスラーで唯一の男子である児玉タケルと現役高校生アマチュア女子プロレスラー日乃川ナツメが向かい合う。
タケルはシンプルな黒のショートタイツに、黒いリングシューズ。
ナツメは白装束の特攻服を脱いで、赤色のワンピース水着姿となっている。
彼女が着用しているコスチュームは学校指定の水着であり、左胸部に“南空台高等学校”と印字されている。
タケルは自分より小柄なナツメを前にして、打撃で攻める方針を立てた。
体格で勝っている以上、リーチで突きながら、隙を作って組み付く。
自然な流れで戦えば、自ずと勝利は転がり込んでくる。
男女の差異を考慮した戦略をくみ上げるタケルだが、それが過去に一度も通用した例は皆無である。
今向かい合っているヤンキー少女に対しても、いつ劣情を催すことになるのか。
タケルの不安はその一点のみ。
緊張しながらタケルは掌底を相手に向ける打撃を繰り返す。
ナツメの方は、体重が乗りきらない微妙な間合いでそれを防御。
ときおり蹴りで反撃を試みるも、それはタケルがきっちりカットして威力を殺している。
「よし!このまま崩してやる!」
ナツメの反撃に脅威無しと判断したタケルが、より間合いを詰めて攻撃テンポを早める。
タケルは、エルボーや前蹴りも混ぜて、女子高生ヤンキーレスラーを攻め続けた。
「く・・・!」
「今だ!」
ナツメの両腕が下がったタイミングを見逃さず、その腕を取ったタケル。
ここからナツメの身体を振り回して、ロープスルーに繋げるつもりだ。
そこに怒声が飛び込んでくる。
「調子に乗んな!!!」
グム!
「ぶごおお!!!??」
タケルが引き寄せようと力を籠めた瞬間、その流れに乗ってナツメは膝蹴りを繰り出していた。
その膝が、タケルの股間にめり込んだのだ。
「ふあああ・・・・」
タケルは顔面蒼白となり、項垂れ、うつ伏せダウンしてしまう。
痛打を受けた個所に両手を添えるタケルだが、痛みは引くことなく全身に流れ続け、彼の身体を硬直させている。
そこに容赦なくナツメのストンピングが打ち下ろされた。
「死ね!死ね!オラああ!!!」
無口から一転して物騒な掛け声を発するナツメ。
どうやら見た目通りの喧嘩屋女子高生のようだ。
背中や後頭部に足蹴にされても尚、タケルの両手は股間を押さえることに使わざるを得ない。
それほどにペニスへの急所蹴りは効果ありであった。
しかしこのままでは反則技からのコンビネーションにより、タケルは意識を刈り取られかねない。
「タケル!今、レスキューするわ!」
束ねたブロンドヘアーと爆乳を揺らして、タケルのタッグパートナーであるアリス・ミレイラがリングへ躍り出た。
場外エスケープすら出来ないタケルを見かねての乱入だ。
混戦の兆しを見せるリングに清廉な声が響いた!
「日乃川さん、やめなさい!」
「!?」
アリスがタケルの元に到着する前に、対戦相手の一人、久美苗美沙子がリングに入ってナツメを制止していたのだ。

【第九話:④】
「児玉くん!大丈夫?」
「・・・うう」
レフェリーの判断により試合は中断されることになり、タケルには回復時間が与えられた。
鈍い痛みが股間から発せられている状況で、ヴェルエポックの対戦相手である久美苗美沙子によって、タケルは介抱されている。
試合開始時に、美沙子はジャージを脱いで、リングコスチューム姿になっていた。
それはパートナー、日乃川ナツメと同じく学校指定のワンピース水着。
学校名が印字された赤い競泳水着型だが、ナツメとは違い、体の各所が水着から零れている。
特に顕著なのは胸部。
美沙子のビッグバストは、競泳水着を大きく突き上げて谷間を作り上げている。
見目麗しい美沙子の顔立ちと合わさって、男を虜にしてしまう魔性のボディであった。
そんな美沙子によって、タケルはリングの上で膝枕されている。
美沙子は、自分のパートナーが冒した反則行為によって傷ついたタケルの治療役を自ら買って出た。
そういった事情で美沙子は生肌の太腿にタケルの頭を乗せ、傷ついたタケルの股間を優しく撫で続けている。
「・・・ああ・・・うう・・・ふああ・・・」
タケルの身体はいまだに痛みに縛られているものの、美沙子の献身的な治療によって大分楽になっている。
「あの・・・ありがとうございます。試合の最中なのに・・・」
「いいのよタケル君。プロレスであろうと大怪我に繋がる危険な行為は見過ごせません。」
まるで自分が小学生に戻ったような錯覚を覚えるタケル。
間近で見る美沙子の美貌とその所作は、母性と包容力を感じさせる見事な物であった。
そんな美人教師によって、股間を摩られるシチュエーションにも邪な感情を抱いてしまうタケル。
その股間は痛みを伴いながらも大きく隆起していた。
勃起したペニスが黒いショートタイツを突き上げ、その回復ぶりをアピールしているようだ。
「・・・」
タケルはそんな状況に押し黙って赤面する。
美沙子はそんなタケルの心境を察してか、薄い笑みを浮かべてタケルの頭を撫でる。
「プロレスは激しい競技よ。自分の身体を完璧にコントロールするのも難しい話よね?」
タケルは黙ったまま美沙子の話を聞き入っている。
「これまでの試合でもタケル君は射精してしまっているけど、ここで抜いてしまおうかしら?その方が却ってポテンシャルを引き出せるんじゃない?」
タケルはギョッとした表情を示す。
たしかに過去の試合では、女性レスラーとの対戦という事もあり、性的興奮に負け続けてきた。
しかし今置かれている状況は、それらとは少々異なる。
試合中断している間に射精など、言語道断とタケルは考えた。
試合の攻防における結果として、性欲が暴発してしまうならばまだ試合の一部と見なすことは出来る。
それが試合以外の時間、それも対戦相手に抜いてもらう行為は、あまりにも不純なのだ。
「そんな必要はありません!」
敬語で声を出し、タケルは美沙子の提案を拒絶した。
美沙子の愛撫を惜しみながらタケルは寝返りをうって、彼女の看護から離れる。
「あら・・・ごめんなさい・・・辛そうにしてるから・・・」
献身的な看護を続けてくれた美沙子の申し訳なさそうな表情を見て、タケルの中に強烈な後悔と焦燥が発生した。
「タケル?いつまでも敵の世話になっていてはダメよ?」
パートナーのアリスがいつの間にかタケルの傍に立っていた。
「ああ・・・痛みは引いたから、試合再開しようか。」
「ホント、エナジー漲ってるね!怪我する前よりパワフルじゃない?」
タケルの回復ぶりを証明するかの如く、股間のイチモツは固く屹立し、黒のショートタイツでテントを形作っている。
恥ずかしそうに両手でそれを隠し、タケルはエプロンサイドへ退避した。
そうしてヴェルエポックチームは、アリスに試合権を移し試合再開をレフェリーに申し込むのであった。

【第九話:⑤】
アマチュア女子プロレスサークルリーグ戦イベント<ヴァリスティック・インパルス>三日目に組まれた<ヴェルエポック>vs<私立南空台高等学校・プロレス部>のタッグマッチ。
試合は、南空台高校の日乃川ナツメがヴェルエポックの児玉タケルに対して、急所蹴りの反則を行ったことで、急遽タケルの回復時間が儲けられる波乱が起こった。
あのまま反則負けの裁定もあり得たナツメであったが、ヴェルエポック側が試合続行を希望した為、試合再開が決定された。
気を取り直して、ヴェルエポックはアリス・ミレイラがリングイン。
南空台高校は日乃川ナツメが続投する。
二回目のゴングが鳴らされ、2人がリング中央で接敵した。
ナツメの方は得意の打撃技を出さずに、アリスの出方を窺う。
というより攻めあぐねている。
あまりに巨大なアリスのバスト。
シングレットに格納されて尚、はち切れそうな胸を前にして、ナツメは自分の打撃が通用するのか不安を抱えているのだ。
一方のアリスは薄い笑みを浮かべて、自然な構えを取っている。
軽く足踏みしながらアリスもまた攻めの機会を探っている状況。
膠着の緊張に耐え兼ね、ナツメが右の回し蹴りでアリスの横腹を狙う。
「テイクイットイージー!」
明るい声で蹴りに反応したアリス。
アリスは素早く腰を屈めて、ナツメの蹴りをバストで受けて見せた。
バヨン!
「うわ!」
素っ頓狂な声で尻もちをついたナツメ。
アリスの胸を蹴った際の反発力を受けて、ダウンさせられたのだ。
「カモン!カモン!」
痛みが無いのか、アリスは笑顔を絶やさず、ナツメにジェスチャーを送る。
余裕だらけの態度だ。
対照的に、ナツメの表情は驚きと怒りに彩られている。
「アリスのディフェンス・・・あれは俺との試合でも見せた・・・」
エプロンサイドから試合を見守りながら、タケルは自身とアリスの対戦を思い出していた。
その試合では、アリスの巨乳によって自分の打撃技が悉くはじき返される驚異の防御を見せつけられたタケル。
記憶によりその戦慄を思い起こすタケルであったが、タッグを組む上ではプラス材料となることは間違いない。
事実、アリスは胸でナツメの技を捌きながら、ロープ際まで相手を追い詰めていた。
「このバケモノが!」
罵り言葉と共に、ナツメの右足が跳ね上がる。
自身の身体と右足が一本の直線となる片足立ち。
そこからナツメの右足が、刀を振り下ろすかの如く、アリスの脳天目掛けて落とされる。
空を切り裂きながら放物線を描いた踵は・・・
「サムライキャッチ!」
グニュウウ!
ナツメの右踵落としはアリスの両乳によって見事、挟み込まれていた。
「な、なんだこれ!?」
ナツメが焦りの表情で、アリスのバストから右足を引き抜こうともがくが、びくともしない。
「ふふふ・・・私の谷間はブラックホールなの!足を踏み入れたら命チョウダイしまーす!」
揶揄われたナツメが激昂し、片足で跳びあがった。
残った左足でアリスの顔面を狙って、捨て身の回し蹴りを放つ。
ところが、アリスはナツメの右足を解放すると、すばやく上半身を屈めて蹴りを回避してしまう。
「うぎ!」
勢いあまって体の前面からマットに落着したナツメに、大きな隙が生まれた。
それを見逃さず、アリスがナツメの背中に座り込む。
アリスの両手が、ナツメの細い顎に差し込まれ、首を後屈させる。
「うあああ・・・やめ・・・ろ・・・」
呼吸が阻害される苦しみと共に首と背骨が破壊されていく痛みが、ナツメの中に広がっていく。
両手を伸ばしてロープブレイクしたいが、アリスの膝によって確保済みだ。
レスリングで鍛えた膂力を遺憾なく発揮するアリスによって、ナツメの身体が反り返っていく。
「ただのキャメルクラッチだと思わないでね!キャメルクラッチ・ヴァイスバストスペシャル!」
突如、アリスのキャメルクラッチが変化する。
ナツメの両側頭部をアリスのおっぱいが挟み込んだ!
「な、なんだ!?」
視界まで覆いつくす巨大なバストによる挟み込み。
それまでとは全く異なる柔い包み込みに、ナツメの焦燥は加速していく。
「私のバストならこんな事も可能よ!」
アリスはナツメの頭を自らの谷間に封じたまま、キャメルクラッチを再開する。
「うあああああああ!やめろ・・・・!があああああ・・・・!!」
頭を包み込むのは柔らかい乳房であるが、キャメルクラッチによる関節の激痛も同時に押し寄せる。
天国と地獄を内包する恐るべき関節技がリングで完成していた。

【第九話:⑥】
試合の行方をエプロンサイドから見守るヴェルエポック陣営の男子レスラー、児玉タケル。
その股間は再びショートタイツを持ち上げていた。
アリスとナツメの戦いを見ている内に、かつてのアリスとの試合を思い出して、そこで味わった強烈過ぎる快感も一緒に蘇っていたのだ。
今、ナツメが受けている背面からのバストスリーパーは、タケルも受けた経験がある。
その至福とキャメルクラッチの合わせ技。
最早ナツメは正気を保っていられないであろう事は、簡単に想像できる。
この試合の趨勢が、ヴェルエポックへと大きく傾いたことになる。
「日乃川さん!おっぱいに打撃を打ち込んで!」
「こ、こうか!?」
日乃川ナツメのパートナーにして、私立南空台高等学校・プロレス部顧問教諭である久美苗美沙子のアドバイスが響いた。
それに従い、ナツメがアリスの巨大バストに拳を打ち込んでいく。
「oh!?暴れちゃ駄目よ!」
アリスにダメージは大して与えられてない模様だが、ナツメを挟み込む巨乳はどんどんずれていく。
「うおおおおお!」
「あう!ノオオオオ!」
ついにナツメの頭を挟み込んでいたアリスの胸は外れた。
すかさずナツメは右腕を目いっぱいに伸ばした。
その先にはタッグパートナー美沙子の右手があった。
ようやく触れ合う二人の掌。
南空台高等学校女子プロレス部タッグは、この試合中初めてのタッチ交代を成立させた。
「頑張ったわね、日乃川さん!後は・・・先生に任せて!」
左胸部に“南空台高等学校”と印字された赤いワンピース水着を着こんだ成人女性がリングに躍り出る。
南空台高等学校プロレス部顧問、久美苗美沙子がついにリングに立つ。
先ほどは対戦相手の一人、児玉タケルをパートナーの凄惨な反則から救出すべくリングに立ち入った美沙子。
試合中でも身内の不祥事を見過ごせない高潔な教育者魂を見せた。
ロングヘアーと特徴的な前髪そして巨大な胸を揺らして、ナツメの背に跨ったままのアリスと向き合った。
「日乃川さんから降りてください。」
「カマン!セ・ン・セ・イ!」
ナツメを解放しないアリスに対して、試合権を委譲された美沙子が口頭注意を行う。
しかし、アリスの方は聞く耳持たず、ナツメの上から美沙子に向かって挑発を飛ばす始末だ。
やがて痺れを切らした美沙子の方がアリスに掴みかかった。
美沙子は力づくで、ナツメの上からアリスを引き離すつもりだ。
そんな美沙子の動きは、アリスの想定通りであった。
美沙子の右わきに、アリスは自分の頭を潜り込ませる。
肩を支えに美沙子の身体を簡単に持ち上げたアリス。
「え!?」
美沙子は自分の身体が宙に浮いた事で驚嘆する。
アリスは美沙子が落ち着く前に、さっさと近くのコーナーポストへ運搬すると、そこに座らせた。
そしてアリス自らもロープに足を乗せると、美沙子目掛けてエルボー連打をお見舞いする。
「きゃん!あう!」
顔だけでなく、水着を押し上げる巨乳に対しても、肘を叩きつけるアリス。
美沙子はコーナーポストに座ったまま、ダメージを貯めていき、頭を垂れてしまう。
「瞬殺してあげるわ!ゴートゥーヘル!」
アリスは美沙子の首を右腕で固め、後方へ体を倒す。
コーナーから二人の身体が宙に浮き、美沙子の頭がマットに突き立てられた。
「んがあああ!!!?」
高さを得た二人の体重が女教師レスラーの首に集中し、その骨まで軋ませる。
両手を投げ出し大の字にダウンして動かない美沙子。
勇んでリングインしたプロレス部顧問久美苗美沙子は、アメリカからの留学生アリス・ミレイラによって瞬殺されてしまったのだ。

【第九話:⑦】
ヴェルエポックのアリス・ミレイラが、南空台高校プロレス部を圧倒する展開に、観客も沸き立ち始めていた。
これまでの試合と違い、その客層は明らかに外見が攻撃的なヤンキーがメインである。
試合展開に合わせて、持ち込んだバイクで空ぶかし、クラクションを鳴らしている。
それは彼らなりの応援文化であろう。
マナーに沿っているとは言えないが、試合内容に魅了されている点ではプロレスとしては成功と言える。
しかし空気の違う試合会場でも、アリスの陽気なスタイルは変わらない。
相手タッグ二名を叩きのめした後もフォールには行かず、コーナーに乗ってアピールを続けている。
アリスは自慢の胸を持ち上げて揺らすセクシーアピールを開始すると、観客の少年たちも大きな声援を返した。
アリス一色に染まった感のある試合会場だが、試合はまだ終わってはいない。
「アリス!後ろだ!」
「そりゃあ!」
トップロープに足をかけているアリス目掛けて、南空台高校プロレス部の日乃川ナツメが襲い掛かった。
ナツメはパートナーである久美苗美沙子とタッチして試合の権利を渡したばかりだが、アリスに椅子代わりにされていた事もあって、自軍コーナーへ戻るタイミングが無かった。
ナツメが起き上がる頃には、美沙子は既にマットでダウンしてしまっていたのだ。
先ほどキャメルクラッチ+おっぱいサンドによる屈辱を受けていた事もあり、ナツメの頭にはアメリカ爆乳娘への復讐心で支配されてしまっている。
ナツメは小柄な体を宙に躍らせ、ドロップキックを放った。
「あう!!?」
タケルの声掛けも間に合わず、アリスは背中に蹴りを被弾。
あわやコーナーポストから場外へ転落かと思われたが、アリスが慌てて身を屈め両手でロープを掴み堪えることが出来た。
しかし、最上段でしゃがみこんだアリスは隙を晒した事になる。
「乳だけじゃなく、尻もでけえな!」
パープルのシングレットを着用するアリスのボディラインは、くっきりと尻周りも強調している。
胸のサイズが目立つ故に注目度が低いが、アリスのヒップラインもまた立派な物であった。
そんなお尻目掛けて、ナツメは渾身のナックルを打ち込む。
「あふ!おおう!」
尻に打撃を叩き込まれる度に、アリスの悲鳴が漏れる。
これまで乳房を利用したブロックで悉く攻撃を遮ってきたアリスだが、尻への攻撃には対処の仕様が無い。
「やめろ!」
ここでアリスのパートナー、児玉タケルがリングに乱入した。
タケルはドロップキックで、ナツメの攻撃をカットしようと勢いよく飛び込む。
「あう!」
タケルのカットは成功し、ナツメは背中からダウン。
「アウチ・・・タケル、サンキュー!」
アリスはお尻を擦りながらコーナーから地上へ帰還を果たした。
ナツメのパンチ攻撃は殊の外強烈だったらしく、アリスはいまだに苦悶の表情でお尻を手で撫で続けている。
「アリス!」
「タケル!私たちのツープラトン!見せてやりましょう!」
立ち上がろうとするナツメを標的に定め、ヴェルエポックタッグが走り出した。
しかし、その突進はすぐに停止させられた。
タケルとアリスの二人を、復活した久美苗美沙子がその両腕で捕えていたのだ。
「おいたはそこまで!えい!」
美沙子は二人まとめてDDTをお見舞いして、ヴェルエポックへの報復を果たす。
「くう・・・効いた・・・」
DDTで脳天からマットに突っ込んだタケルには、脳震盪が起きていた。
彼は素早く転がってロープ下から場外へ避難した。
リングでは試合の権利を持ったアリスと美沙子が再び相まみえる。
先ほどはアリスの挑発に乗せられて意識寸断状態にまで追い込まれた美沙子だが、二度目の回戦では互角の攻防を演じた。
ロックアップからのアームロック。
ロープワークからの飛び技。
互いの間合いギリギリで飛び交う鋭い蹴り技。
ボディスラムなど基本技の応酬。
アマチュアながら、どれも高いレベルに達しており、見ごたえのある試合組み立てである。
しかし今回の試合でメインの客層である非行少年達の視線を釘づけにしているのは、プロレスの内容以上に2人の立派過ぎる巨乳。
組み合う度にアリスと美沙子の胸が擦れて潰れ合う。
飛び跳ねる度にコスチュームに封じられた胸が揺れる。
いつの間にか、少年達の野次も応援もバイクのエンジン音も鳴りを潜めていた。
神聖なるプロレスリングで行われる女神達の熱闘に対して、不良と呼ばれた彼らは敬意とそれを遥かに超える欲情を催しているのだ。

【第九話:⑧】
「セイ、ギブ!ほらあ!ほらああ!!」
「んぐう・・・ノオオ!」
リングの上では、留学生レスラー、アリス・ミレイラと女教師レスラー、久美苗美沙子の死闘が続く。
アリスが美沙子をベアハッグに捕え、その体を上下に激しく揺さぶっている。
わき腹から背中にかけて過剰な圧力が美沙子を襲う。
美沙子は顔を真っ赤にして、骨と内臓を潰しにかかるアリスの圧殺抱擁に耐え続ける。
アリスもまた最初の奇襲の様に美沙子を攻めきれない焦りから、必要以上に消耗してしまっている。
加えて、ベアハッグでは、丁度美沙子の胸にアリスが顔を突っ込む体制にならざるを得ない。
否が応でもアリスは巨乳の谷間で呼吸困難となる。
いつものヴェルエポックのリングならば、アリスがそのバストサイズに物を言わせる場面は多々ある。
しかし、現在、相対している女教師のスタイルはアリスにとっても攻めづらい条件が揃っていた。
「あん・・・苦しいですか、アリスさん?これならどうです?」
技を極めながら自分の谷間で喘ぐアリスを見た美沙子の反撃が始まった。
両手でアリスの頭部を掴んで胸元に押し込み、両足でアリスの腰をシザース。
「ぎい・・・ううううむうううう・・・」
「ギブアップします?うふふ・・・」
今度は美沙子先生がアリスに降参を問いただす。
形勢は逆転し、美沙子の万力締めにアリスが悶絶する羽目になった。
パートナーである児玉タケルがカットに入るべき場面だが、彼もまた場外でピンチに陥っていた。
「アリス!?まずい!たすけに・・・ごふぁ!!?」
「今度は邪魔無しだ!逃がさねえぞ!」
場外からアリスのピンチを確認したタケルがリングに上がろうとした所に、強い衝撃が襲い掛かってきた。
日乃川ナツメがエプロンサイドから、ジャンピングラリアットで飛び込んで来たのだ。
ラリアットは、タケルの延髄に直撃。
美沙子のDDTを受けたばかりでダメージの残る首に再び打撃をうけたタケルの動きは停止せざるを得ない。
「ミナソープロレス部の流儀を叩き込んでやる!」
場外マットでダウンしたタケルに、馬乗りとなったナツメが瞳を爛々と輝かせ口角を上げる。
ナツメはすかさず馬乗りパンチで、タケルの顔面を殴打し始めた。
「がう!ぎゃ!」
昏倒寸前の状態にあっては、パンチを防御する事もままならない。
ナツメの拳が顔にめり込み、痛みと衝撃が電流となって全身を走る。
通常であれば命の危険を感じる所だが、これまで散々美女たちに叩きのめされ、射精させられる経験を重ねてきたタケルである。
ナツメが尻に違和感を覚える程に、ペニスを膨らませてしまう。
「な、なんだよこれ・・・」
ナツメは尻の下で急速に怒張する男性器を感じ取り、困惑の反応を示す。
「プロレスやってるのに興奮してんのかよ、変態野郎!」
「い、いや・・・これは・・・」
口ごもるタケルの頬に、ナツメのビンタが飛ぶ!
「うわ!」
「いいわけすんじゃねえ!てめえはもう半殺しじゃ済まねえぞ?外婦威怨(ゲフィオン)の処刑方法であの世に送ってやる!!!」
タケルの腹から立ち上がると、ナツメはタケルのショートタイツに手をかける。
そしてタケルが手を伸ばすよりも早く一気に脱がせてしまった。
「うわああああああ!!!」
両手で股間を隠し、腹ばいになってペニスを隠そうとするタケルであったが、その常人離れしたサイズの肉棒を隠しきれない。
「やっちまいな!」
そんなタケルを前に、ナツメが叫ぶ!
すると、観客席の鉄柵を越えて数人の少女たちがタケルを拘束にかかる。
少女たちは全員が白い特攻服を着用している。
その腕部や胸部には“外婦威怨”の刺繡が確認できる。
「あああ何を・・・?」
ショートタイツを奪われ、シューズのみとなったタケルは、チェーンによって両手両足を拘束されていた。
プロレスの範疇を越えた反則行為にタケルは戦慄する。
「トドメにコイツを繋ぐぜ?」
タケルは目を疑った。
ナツメはチェーンを手にしている。
そのチェーンの片方はバイクに取りつけられていた。
そして今、ナツメの手により、勃起して硬直化したタケルのペニスに括りつけられる。
「ま、まさか・・・」
金属の冷たさに、硬くなったペニスが震える。
「峠を攻めるぜ?振り落とされるなよ!!」
赤水着のナツメはバイクに乗り込むと、チェンジペダル、アクセルレバー、クラッチレバーを操作しバイクを発進させた。
「うわああああああああああああああああ!!!!!!」
バイクの張力のままに、タケルの男性器は引っ張られていく。
バイクは最初、微速前進。徐々にスピードを上げて、タケルの身体を引きずる。
「ふがあああああああああああああああ!!!!」
タケルの身体を引っ張るチェーンだが、括られる箇所は首でも上半身でもない。
股間に聳え立つ立派なペニスである。
タケルの巨大ペニスは、タケルの身体を引きずる張力に耐える恐るべき強度を保っている。
「ああああああ・・・・ふあああああああ・・・・」
バイクの生み出す張力に激痛を浴びせられ続けてきたタケルだったが、やがて変化が訪れる。
引っ張られる痛み、地面にたたきつけられる痛み、場外の四隅をコーナーリングする際に鉄柵に衝突させられる痛み。
それらを自分に味わわせているのは、まだ高校生の年下の女子。
口は悪いが、パーマヘアーのポニーテールを風に靡かせ、バイクを乗りこなす姿は凛々しくも美しさを伴っている。
シートに乗せたヒップが赤水着で彩られる光景も、タケルの位置からでないと見ることの叶わない贅沢なシーンである。
激痛と共に上昇する射精感。タケルのペニスは赤熱化し、血管を浮かび上がらせ先出汁を漏らし始めていた。
「おううううう・・・だめだああああああ・・・・」
そんなタケルの反応など露知らず、ナツメは鋭いコーナリングと同時に急ブレーキをかけた。
「くああああああああああああ!!!!!?????」
大きな慣性のままに宙を踊るタケルの身体。
観客は、交通事故の再現VTRの如き光景に、呆気を取られてしまっている。
ゴシャアアアアアアアアアア!!!!!!!
「うがあああえええええええええ!!!!!!」
タケルはペニスに繋がれたチェーンに引っ張られ、鉄柵に衝突。
鉄柵はなぎ倒されて散乱した。
驚くべき衝撃であり、それを一身に受けたタケルは、試合続行不可能なダメージを受けている筈である。
「どうだ?外婦威怨名物処刑“デスロード故辺覇唖厳”!!!」
ナツメがバイクから降りてタケルへ歩み寄り、その勃起したペニスにストンピングをお見舞いした。
その瞬間・・・
「う、う、あああああああああああああああああああああああ!!!!」
どびゅるるるるるるるる・・・・
ナツメの足踏みがトドメとなり、タケルは盛大に精液を噴出してしまう。
「わわ!!?なによ、これえええ!!!??」
ナツメも動転して、男言葉を忘れてしまった。
「あふううう・・・」
この試合最初の射精を終えて萎縮していくタケルの男性器。
チェーンのきつい縛りも、サイズ変更に伴いズレ落ちて外れていく。
ペニスへの圧迫から逃れることが出来たタケルだが、その身に負ったダメージも甚大である。
バイクを利用した絞首刑ならぬ絞チン刑は、タケルを完全にダウンさせてしまったのだ。
もしもタケルに試合権があれば、TKOを告げられていたであろう。
「ううう・・・・」
場外で大の字になって息を荒くするタケル。
ヴェルエポックタッグチームは、その片翼を失った。

【第九話:⑨】
ヴェルエポック唯一の男子、児玉タケルが南空台高等学校・プロレス部の女子高生、日乃川ナツメから凄惨なリンチを受けている頃、リングの上でそれに気づく者はいなかった。
レフェリーはアリス・ミレイラと久美苗美沙子の試合に集中し、その二人は互いの相手しか意識に無い状況であった。
それ程に、リング上の状況は逼迫していた。
美沙子の悩ましい圧迫攻撃に追い詰められたアリスは、自らロープに倒れ込みブレイクした。
元はこちらから仕掛けたベアハッグだというのに、屈辱的なロープブレイクに追い込まれたのだ。
アリスの中に焦りと怒りが増大していった。
その後も、ラリアットを躱されて、逆にラリアットの逆襲を受ける。
ブレーンバスターを仕掛けても、力比べの末に力負けしてブレーンバスター返し。
あらゆる場面で、アリスは美沙子に技を返されて始めている。
最初に叩きのめされたことで、美沙子はリラックスした状態となり、緊張がほぐれたのだろうか。
本来の実力を発揮した女教師に、アリスも次第に防戦を余儀なくされる。
「や!」
「ふぎゃ!!」
ロープに走った美沙子が反動を受けフライング・ニールキックで、アリスの肩を打ち抜く。
左肩に腫れを作り、アリスはマットを転がる。
そして双方とも胸が暴れるように揺れている。
倒れたアリスを休ませず、美沙子が持ち上げた。
アリスの左脇に美沙子が頭を差し込み、両手を使ってリフト。
「NO!NO!」
「それ!」
美沙子はマットに片膝となって、アリスの尻を自分の膝に落とした。
アトミックドロップの一撃が、アリスの尻から脳天までを痺れさせる。
すかさずそこに覆いかぶさる美沙子の豊満ボディ。
フォールはカウント2で返したものの、誰が見ても劣勢なのはアリスの方だ。
「タ・・・タケル・・・」
消耗したアリスがパートナーの名前を呟いた。
自軍のコーナーを見ても、そこに立っているべきパートナーの児玉タケルは不在である。
「危険を感じたらすぐにギブアップして!」
「うえええええ・・・・」
美沙子がアリスをドラゴンスリーパーに捕え、その首を捩じり落とさんと力を籠めた。
アリスの左腕も同時にロックされており、脱出は困難。
おまけに美沙子の巨乳がアリスの胸を上から押し付け、更に窮屈を強いる拷問状態である。
「ふぎいいいい!!」
「ギブ?タップしなさい!!!」
語気を強め屈服を求める美沙子。
それだけは固辞するアリス。
2人とも体を揺すって、技を極め、あるいは技から逃れようとする。
「くううううはあああああ!」
アリスは苦し紛れに右手で美沙子の長髪を掴み、力任せに引っ張った!
「いたっ!!」
髪を引っ張られて顔を歪めた美沙子。
そして締め技に隙が生まれてしまう。
「たりゃ!」
アリスは左足を振り上げて、見事に美沙子の額に蹴りをヒットさせた。
「いや!?」
頭部に衝撃を受け、技を放してしまった美沙子。
アリスは美沙子の髪を掴んだまま立ち上がり、頭部を自分の股で挟み込んだ。
「ゴートゥーヘルよ、ミサコセンセー!!」
胴体をクラッチされた美沙子が持ち上げられ、パイルドライバーの準備態勢が整う。
後はアリスが尻もちを着くだけで、美沙子に致命傷を与える事が出来る。
しかし、ここで南空台プロレス部に一条の光が差し込んだ。
「やらせねえぞ、アメリカ乳房あああ!!!」
「日乃川さん!?」
逆さまに捕れた美沙子の視界に飛び込んできたのは、場外からロープ下を潜ってリングインした日乃川ナツメ。
そのナツメが二人の下へ駆け寄って来る。
ナツメは二人の前で飛び上がり、ドロップキックをパートナーである美沙子の腹に打ち込んだ。
「うええ!!?」
「ホワッ!!?」
ナツメの飛び蹴りがパイルドライバーを崩し、美沙子はアリスの上に乗っかる形で難を逃れた。
「ヤンキーガール!!」
乾坤一擲の技を台無しにされたアリスが、美沙子を押しのけてナツメに向かっていく。
自慢の巨乳で彼女を圧倒した経験が、アリスの思考に驕りを生み出していた。
ナツメが身構えた時、そのパートナーの美沙子がアリスの膝にしがみ付いた。
「アウ!?」
体勢を崩したアリスを見て、ナツメが逆に接近。
まずは腹に前蹴り。そして胸にパンチをめり込ませた。
「イギイイ!!!」
胸を利用した防御術はアリスの特技だが、姿勢を崩された今、それは全く機能していない。
それどころか、巨大な質量をもった乳房は無駄な重量としてアリスの動きを封じる重りと化している。
「おせえ!」
腕を上げてガードポーズを取ろうとしたアリス。
それよりも速くナツメの振り上げた蹴り足が、アリスの側頭部を打ち抜いた。
さすがのアリスもナツメの鋭い打撃を防御無しで受け続けては、ダウンを免れない。
アリスは意識を手放し、崩れ落ちていった。
しかし、それまで膝を捕まえていた女教師レスラーが、それを許さなかった。
アリスが倒れる前に、スリーパーホールドで支えてあげる美沙子。
美沙子はアリスを解放することなく、スリーパーを極めたまま回転し始めた。
「ぐううええええええ!!!?」
首を潰されながらぶん回されるアリス。
首に全ての負荷が集中した状態では、思考もままならない。
しかし、スイングされて目まぐるしく回転し続ける視界の端に、アリスは希望を見る。
パートナーの児玉タケルが、エプロンサイド下まで帰還していたのだ。
リングから見えるのはタケルの上半身のみだが、コーナーまでの移動に時間はかからない。
それまでアリスが南空台部活コンビの攻撃に耐えきれば、タケルへのタッチ交代に望みが生まれる。
無呼吸状態無重力地獄を味わいながらも、アリスは歯を食いしばって耐え続けた。

【第九話:⑩】
「日乃川さん!来て!」
「了解だ!美沙子先生よ!」
「ううう…ホワッ?」
スイングスリーパーを続けてきた久美苗美沙が回転を止めた。
しかしアリス・ミレイラが解放されることは無かった。
それどころか、美沙子はパートナーの日乃川ナツメを呼びだした。
ツープラトンの準備合図である。
美沙子がスリーパーで固めたまま、ナツメはアリスの両足を掴んで自らの肩に担いだ。
アリスは首を美沙子に、膝裏をナツメに支えられたまま、マットから宙に浮いた状態になった。
「行きますよ!」
「死ねえええ!」
美沙子とナツメが掛け声と同時に自ら倒れ込む。
マットに背を着ける際に、2人は膝を立ててアリスの背中と腰に打ち込んだ。
「がはああああああああ!!!!」
背骨と腰骨の軋む衝撃と痛みに、アリスは唾液を吐き出す。
アリスが致命傷を受けマットの上でのたうち回る傍らで、レフェリーによってナツメは自軍コーナーへ戻された。
しかし勝負は決まったも同然である。
後は、試合の権利を持った女教師の美沙子が、アリスにフィニッシュの技をかけるだけだ。
「最後の技、受けてもらいますよ?」
美沙子がアリスの金髪を掴んで引き起こした。
「Oh・・・」
視線を泳がせるアリス。
最早、抵抗の素振りすら見せない。
美沙子はアリスをロープに振り、自分もロープワークからラリアットの構えで走る。
2人がリングの中央で接触する瞬間、誰も予測していなかった逆転劇が始まった。
アリスが跳躍し、振りぬかれた美沙子の右腕は空を切る。
「うぐ!!?」
ラリアットを空振りした次の瞬間、美沙子の視界が紫色で埋め尽くされた。
空中のアリスが、自らの巨乳で美沙子の顔を包み込んだのだ。
「ボルカニック・エルプション・スクリューーーーーー!!!!!」
美沙子を胸の谷間に押し込んだまま、回転を開始するアリスの身体。
美沙子の身体もそれにつられて一緒に回転させられてしまう。
「あうんんんん!!!!!」
ゴガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!!!!
激しい回転をしながら両者はマットへ着弾。
2人分の体重でリングは激震し、爆音を夜の港湾都市に響かせた。
下敷きとなったのは南空台高校プロレス部の顧問教師だった。
久美苗美沙子もこの反撃にはダメージを負っており、大きな胸を上下させて荒い呼吸になっている。
「yes!yes!イエエエエエエイ!!!」
アリスが顔面を紅潮させ、ピースサインを掲げる。
ノックアウト寸前の状況から憎き女教師に一矢報いたのだ。
その達成感も大きい。
パープルカラーのシングレットに包まれた巨乳で、美沙子の顔を圧し潰す体勢のまま、アリスは投げキッスパフォーマンスで猛烈にアピールを続けた。
「アリス!タッチだ!」
「OK!後はマカセター!!」
コーナーに戻ったタケルに、アリスがカタコトの日本語で応えて腕を伸ばす。
2人の掌が触れ合い、タッチ交代が成立となった。
「タッチされてしまいましたか・・・あの・・・児玉君?その・・・タイツはどうしました?」
上半身を起こしてタケルのリングインを確認した久美子だが、すぐに視線はタケルの股間に集中する。
「ええと・・・剝がされてしまいまして・・・」
ヴェルエポック唯一の男子レスラー、児玉タケル。
彼は、試合開始時には身に着けていたはずのショートタイツを、紛失していた。
先ほどの場外乱闘にて、日乃川ナツメによってショートタイツを剥ぎ取られて以降、タケルは下半身丸出しであったのだ。
レフェリーが試合続行を両者に指示すると、2人は気まずそうに構えた。
まずは南空台高校プロレス部顧問教師の久美苗美沙子が、手を伸ばして、児玉タケルの頭部に手をかける。
ヴェルエポックの児玉タケルも美沙子の後頭部に手を伸ばす。
2人は自然とロックアップの形となり、互いを引き寄せようと力を籠めた。
「うおおお・・・」
「ん・・・ううう・・・」
互いに汗を滲ませながら膠着状態を保っていたが、やがてタケルが力負けし始める。
いや、単なる力負けではなく、タケルは眼前で波打つ美沙子の巨乳に魅了され、引き寄せられているのだ。
その証拠に、剥き出しになっているタケルの肉棒は、既に硬さを取り戻して勃起状態である。
赤い水着に納めてなお暴れまわる女教師の卑猥なビッグバスト。
タケルはまたしても女の魔性に引きずり込まれていく。
「うう・・・く!これでは・・・!!」
「あら?体力が戻っていないのかしら?このまま攻めさせてもらっちゃってもいいですか?」
日乃川ナツメのリンチによって既に一度射精させられているタケル。
体力の消耗についての指摘で図星をさされた格好である。
股間から一物を立てたタケルは、頭を美沙子の両手によって谷間に押し込まれた。
「むうぐうう!!!?」
「さあ授業開始のチャイムですよ!」
大胆にもタケルを自分の胸で挟み込んだ美沙子が宣言と同時に、力強く進撃を開始した。
「うわああ、と、止められない!!」
タケルは自分の顔が美沙子の大きな胸に埋まっている状況に興奮して、全身の力が抜けたまま押されていく。
そして二人はロープへ到達した。
「そおおれえええええ!」
美沙子はロープに到達しても押し込む力を緩めない。
タケルの首はトップロープに掛けられて後屈し、その上に美沙子の身体圧し掛かる。
「・・・ぐう・・・・むおおおお・・・・」
巨大なおっぱいによるギロチン刑を受けて、タケルは窒息と首破壊の恐怖を味わう。
ロープとおっぱいで首をサンドイッチにされながらも、タケルは死に物狂いでもがき、脱出のチャンスを求め続けた。
しかし、同時に覆いかぶさる美沙子のボディと密着する悦びも感じずにはいられない。
タケルが暴れるほど、美沙子の胸が、体が、ぶつかり合う。
美沙子の股とタケルの陰茎が擦れ合う。
「んんん・・・うはあああああ!!!」
「ああ・・・児玉君のあそこが、熱いわ・・・」
乳房を利用したギロチン攻撃を仕掛けている美沙子も当然、タケルの股間から屹立する男性器の熱い脈動に感づいてる。
「男子だから仕方ないのよ・・・恥ずかしくないからね?」
美沙子は自分の胸で圧殺しているタケルに話しかけると、自らの太腿でタケルの肉棒を挟み込み、圧力を強めていく。
「ぐうあああああああ!!」
「もう楽になっていいのよ?」
一層、激しく暴れて跳ね上がるタケルの身体。
しかし、美沙子の身体はタケルから離れず、そのバウンドが美沙子の足とそれに挟まれた肉棒に伝わっていく。
「ああうううううううううう!!!」
ついにタケルのペニスは限界を迎えて、白濁した液体を噴出させた。
どびゅるるるるるるる!!!!!!
2人がせめぎ合うロープ際から反対側のロープを飛び越える放物線軌道に、白いラインが描かれる。
児玉タケルは、本日二度目の射精を、女教師である久美苗美沙子によって迎えた。

【第九話:⑪】
日乃川ナツメが生まれた家庭は、いわゆる中流家庭に属していた。
奢侈に流れることは許されない生活。
とはいえ日々の生活の不安とは無縁。
そんな平均的な水準の家庭。
人並みに愛情を、人並みに躾を、人並みの幸福と苦痛を受け止めながら、日乃川ナツメは成長するはずであった。
それ以上でも以下でもない環境で、彼女が人間のおぞましさを刻み付けられる人生を歩む羽目になった切っ掛けはなんだったのであろうか。
ナツメに家族との思い出は苦痛だけであった。
母は金切り声を上げてナツメを叩き、父もまた理不尽に彼女を虐げた。
加えて二歳年上の兄も、ナツメに対して辛辣な態度だった。
両親から叱咤を受けて弱ったナツメを、更にイジメるのが兄。
そして連日連夜繰り広げられる夫婦喧嘩。
小学校に上がる頃には、幼いナツメの精神は既にすり減っていた。
そんな脆弱な精神はナツメの言動に大きな影響を与えた。
過敏に怯え、行動一つ一つに躊躇する控え目過ぎる性格。
目聡いクラスメイトがナツメをイジメ始めるまで、然程時間はかからなかった。
加えて、担任教師も嫌味な態度でナツメに接し続け、ナツメはカースト最下位であるという空気を蔓延させた。
誰からも否定され、自分を肯定する術の無いナツメにとって、世界の全てが恐怖そのもの。
このまま人の悪意に呑み込まれ、ナツメは暗い人生を歩み続ける筈であった。
しかし、極端な理不尽が人に著しい変化をもたらす事もある。
ある日、ナツメが精魂を込めて書き上げた読書感想文が、クラスメイトの手により焼却炉へ投函されてしまった。
クラスメイトによると、ごみと間違えたとのことだが、そのにやついた表情から悪意による行動であることは明らかである。
悪気はなかった。
ナツメも不注意だった。
許してやれ。
いつまでも変わらない空気。
自分にだけは重箱の隅をつつくが如き厳しい目を向ける人間達。
これまでも、明日からも変わらない世界。
その日の放課後、グラウンドに備えられた蛇口で水分補給するクラスメイトの後頭部に、ナツメはバットを振り下ろした。
それから一年も経つ頃には、ナツメの評価はすっかり変化していた。
ナツメの徹底的な報復行為は、彼女を以前とは別の意味で孤立させた。
暴力に走ったナツメを世間は受け入れなかった。
かといって、あのまま理不尽に膝を着き続ける人生であっても、ナツメは他人から認められることはなかったであろう。
どうすることが、彼女にとっての正解だったのか。
答えの出ない無限の内面問答を続けながら、ナツメは非行を続けた。
その過程で、彼女の天性の格闘スキルは花開いたが、それを自身の人生に正しく役立てる事も無い。
気が付けば、一角の暴走族を率いるヤンキーガールとなっていた日乃川ナツメ。
他人に暴力を振るうことに躊躇の無い彼女は、相手が同性でも異性でも喧嘩で負け知らずだった。
そんな彼女に転機が訪れたのは、高校入学後のことであった。
私立南空台高等学校。
かつては県内でも知られた進学校であったが、生徒による賭博、暴力、不純異性交遊などの違法行為とそれを隠匿していた教員たちの問題行動が明るみとなった事で評判は地に落ちた。
それ以降は、志願者が激減。
経営陣は、急場を凌ぐべく、かつてのカリキュラム方針を破棄する決断を下した。
学力の低い学生たちも受けいれるヤンキー高校転身へと舵を切ることになる。
そこに入学した日乃川ナツメは、やがてプロレス部の部室で仲間たちと過ごすようになる。
当時のナツメにはプロレスに対して興味も知識も無く、適度に荒れた部室が心地よかったという理由だけで居場所を選択したに過ぎなかった。
男仲間たちは、筋力トレーニングの器具を弄ったり、部室に備え付けられたプロレスリングに上がって遊ぶことが日常となっていた。
ある日、いつも通りに授業をボイコットし、プロレス部部室にやってきたナツメ。
同じく学業に打ち込む気のない仲間たちとのんびりするつもりであったが、その日は仲間たちの笑い声も聴こえてこない静寂が部室を支配していた。
違和感を持ちながら入室したナツメの瞳に、目を疑う光景が映る。
部室に転がる人体。リングに仁王立ちする女。
「誰だてめえ!」
ドスを効かせた声で、リングの女に怒鳴るナツメだったが、気圧されていることは明らかな声色だ。
「今日、この学校に赴任した久美苗美沙子です。日乃川ナツメさんですね?初めまして。」
リングに堂々と立つ美沙子は、黒のスカートスーツを着用しているのみ。
パンプスは、床に揃えて置かれており、美沙子は素足でリングに上がっていた。
そして異様なのは、ナツメの不良仲間である学生たちがリングや部室にダウンしている状況である。
「懐かしいプロレス部の人たちに挨拶しようと思ったのですけど・・・何やら歓迎されていなかったようでして・・・」
「当たり前だ!私らはここをたまり場に使ってるだけだ!」
「ここは部活の為の施設ですよ?放課後のお付き合いでしたら、学校の外で行うべきです。」
「何者なんだ!こんな事して・・・」
「私は、今日、赴任してきたばかりの久美苗美沙子です。よろしくね。・・・と言ってもさっきの集会でも自己紹介はしましたけど。」
サボりのナツメ達は知らぬことだが、この日は朝から集会があり、そこで新任の教師たちが紹介されていた。
ナツメにとっては、イジメ時代に苦い経験を味わわされた教師と言う人種。
意識せずともナツメの言動は過激化していく。
「なるほど、生意気な生徒にやき入れって訳だな。」
「あの・・・先に手を出してきたのはあの子達の方で・・・」
ため息交じりに状況を説明する美沙子先生だが、既にこれから起きるだろう暴力沙汰を回避不可能と察しているようだ。
諦めの表情で、自身の潔白をナツメに説明しようとする。
そんな説明の導入部分を待たずに、ナツメは右拳を美沙子目掛けて突き出していた。

【第九話:⑫】
「・・・」
対戦相手のヴェルエポックレスラーが射精させられる様子を見て、ふと昔を思い出した日乃川ナツメ。
試合は、序盤こそ巨乳アメリカンレスラーに押されたが、徐々に南空台高校プロレス部タッグが盛り返し、現在はプロレス部顧問教師である久美苗美沙子がリングで大暴れしている状況である。
ロープへ押しこまれたタケルが、美沙子によって反対側へロープスルーされた。
射精したてでやや勃起が収まったペニスを揺らしながら、タケルは反転してロープへもたれかかり、再び美沙子の下へ。
美沙子はスピンキックをタケルの胸へお見舞いし、その動きを止めさせる。
「ゲホ!!」
硬直したタケルが息を吐き出すと、今度はその後頭部目掛けてカミソリの如き鋭い軌道のハイキックが叩き込まれた。
「ぐお!!?」
意識を刈り取られ、腹這いダウンを喫するタケル。
タケルはここまで、美沙子に対してまるで反撃出来ていない。
タケルの挙動は経験豊富な美沙子に先読みされ、闘争心も美沙子の魅惑的乳房の前に頽れる。
教師として、多くの学生に触れて来た美沙子。
彼女の頭脳には、職業柄、若者が行動を起こすシミュレーションを即座に計算する機能が備わっていた。
学生の通信簿を見れば、どんな意識と実績で生活してきたか分かる。
それを根拠に、教師はその学生の人生を見通す。
学生の頃から他者と積極的に関り、プロレス部でも精力的に活動していた久美苗美沙子。
スポーツに偏ることなく、学業にも真剣に向き合い、また地元のボランティア活動にも参加していた。
社会を見通し、それを構成する個人を観察する。
幼いころから培った観察眼は、久美苗美沙子の格闘能力にも十分活用されている。
序盤にてアリス・ミレイラに攻め込まれたのも、観察材料を得る為に過ぎない。
美沙子の脳内であらゆるシチュエーションが計算され続ける状況では、最早、このリングに美沙子の躍動を止められる者はいないのかもしれない。
その女教師が、ほぼ全裸の児玉タケルを、マフラーストレッチに固めた。
「ぐううあああああああ」
タケルの左足が巻き上げられ、美沙子の首に掛けられる。
背骨が引き延ばされ激痛が走る中、タケルは両手を着いて逆さ吊り拷問を味わい続ける。
「タケル君、降参かしら?」
「ノー!ノー!」
「それじゃあ、授業始めますね!春はあけぼの・・・」
「う、うはあ!!?」
美沙子は右手でタケルの足を押さえ、空いている左手でタケルのペニスに手淫を開始。
ショートタイツをナツメによって奪われていたタケルには、急所への快楽攻撃を防ぐ手立ては無い。
美沙子は筆を操るように、ペニスを握って上下左右に走らせた。
「枕草子・・・当然、予習してますよね?」
「あう!はううううう!!!」
美沙子は、枕草子の一文を、タケルの男性器を用いて空に書き記しているのだ。
まさに、古文の授業風景そのものである。
リングの上で授業を開始する美沙子先生の板書に、普段の授業では寝入っている観客の不良たちも視線がくぎ付けにされている。
美沙子の筆さばきはなかなかの物で、関節技の痛みと古文タッチの精巧な合わせ技は、タケルを昇天へと導く。
カウパー腺液がペニスを濡らし、マットへ滴り落ちていき、タケルの限界が近い事を知らせる。
「あと少し!タケル君がんばって!・・・火桶の火も・・・」
「んん・・・くあああああ!!!!」
「白き灰がちになりて・・・わろし!!」
「うわあああああああああああああああああああああああ!!!!」
どびゅるるるるるるる・・・・びゅうううううう!!!!!
美沙子が最後の平仮名を、タケルのペニスで描き切ると同時に、射精が始まった。
美沙子のテクに、タケルは耐えきることが出来なかったのだ。
精液の噴出が終わると、美沙子はマフラーホールドを解いた。
「ああ・・・」
タケルは、快楽と関節技のダメージにより、放心状態でダウンしたままである。
「次は体育の時間!」
美沙子が、タケルの両足を脇に抱え込み、その体を腹ばいに横回転させた。
タケルの背に尻を乗せた美沙子は、更にタケルの両足を引っ張り、腰骨を破壊にかかる。
「あが!ううううう!」
反り返された体から激痛と骨が折れ曲がる音を受け取り、タケルの肺から空気が絞り出されていく。
「ロープまで腕立てで移動しなさい!ほら!早く!」
自分の背に跨る女教師に声を掛けられたタケルは、急き立てられるように這いずってロープを目指す。
美沙子の重みと柔らかな尻、女性から逆エビ固めを極められる屈辱を味わいながらタケルは力を絞り出さざるを得ない状況に追い込まれていた。
「ぐうう・・・ノー!」
レフェリーからのギブアップ確認に拒否の声を上げながら、タケルはロープに向かって這い進む。
美沙子を乗せ、馬となる過負荷運動。
水着越しに桃尻を感じられる事は幸せだが、逆エビ固めによる関節の痛みと、腕立ての疲労が、タケルを追い詰めている。
「貴方ならできる!タケル君!ロープまで逃げるの!」
自ら追い詰めるタケル目掛けて、檄を飛ばす美沙子。
まるでテレビドラマの中で、生徒に愛の鞭を振るう熱血教師である。
美沙子はタケルの上に座ったままではなく、何度も立ち上がり、また尻を落とした。
美沙子が座り直しを行うたびに、タケルに重量がかかり、空気を吐き出さざるを得ない。
勿論、関節の軋み具合も深刻になっていく。
「ぐあ!げほ!げほ!」
痛みと窒息に苛みながら、タケルは全身を真っ赤にしてロープへ進み手を伸ばした。
死に物狂いでロープを掴みロープブレイクに成功した時には、肩で息をしながら倒れ伏す状態であった。
そんなタケルを仰向けにした美沙子が声をかける。
「汗まみれね、水分足りてる?」
「はあ・・・ぜえ・・・」
美沙子の問いかけに、荒い呼吸でしか答えられないタケル。
「これは危険ですね・・・それでは水分補給しますね」
「んぐう・・・・むあ・・・・!!!?」
美沙子は、倒れたタケルの顎を持ち上げ鼻をつまみ、そして唇を重ねる。
人工呼吸であるが、美沙子は大胆にもタケルと舌を絡ませた。
美沙子の舌がタケルの舌を捕え、エスケープを封じると、次第に二人の口腔内は唾液で満たされていった。
「むうう・・・ふわあ・・・・」
「むお・・・あぶう・・・」
2人の舌が唾液の洪水の中で踊り狂い、やがて美沙子の下に位置するタケルへ唾液が垂れ流されていく。
「ご!ごふぉ!ぶああ!!」
美沙子から送り込まれる唾液を誤嚥して咽るタケルであったが、美沙子の舌使いからは逃れられない。
鼻呼吸しようにも美沙子の指に塞がれ、逃げようにも巨乳と共に圧し掛かられてはもがく程度の抵抗しかできない。
そんな地獄を味わわされてながら、タケルは美沙子から送られる唾液を貪らざるを得ない。
「むうううう!おううううう!」
「んん・・・ふううう・・・・ぷは!!!」
長い長いディープキス式人工給水処置が終わった時、タケルは天をうつろな視線で仰ぐだけの放心状態となっていた。
「はあーーーー、はあーーーー・・・」
口周りはあふれ出た唾液で塗れ、脳裏には長時間味わい続けた美沙子の舌触りを反芻し続ける。
「回復できたみたいね、先生、嬉しいわ!」
荒い呼吸を繰り返すタケルを見下ろし、安堵の笑みを浮かべる美沙子。
赤水着を着こんで尚、存在感を示す爆乳に遮られ、タケルからはそれを見ることは出来ない。
しかし彼女の表情が見えずとも、傍で声をかけてくれるだけで、タケルの焦りは解されていく。
もしもこんな人が担任であれば、登校の苦痛などとは無縁の学生生活であっただろう。
家庭の外で、初めて長期に渡り、触れ合う大人。
子供達は意識せずとも、自らの人生に多大な影響を与える教師という存在に重きを置く。
それが良い記憶であれ、悪い記憶であれ、卒業した後も事あるごとに思い出してしまうのが教師なのだ。
タケルはプロレスを通して、対戦相手の久美苗美沙子を人生の師に位置づけようとしていた。

【第九話:⑬】
南空台高校プロレス部タッグがヴェルエポックタッグを追い込み、試合も終盤に近付いている。
現在、リングで試合を行っているのは、久美苗美沙子と児玉タケルである。
そのヴェルエポック代表レスラーのタケルが、南空台高校プロレス部顧問教師の美沙子によってノックアウト寸前まで追い込まれている。
リングでは美沙子の攻勢が続く。
タケルの頭を脇に挟みヘッドロックを極めた美沙子は、タケルの頭を腕と巨大な乳房で圧迫しながらロープまで移動した。
「う、うぐ・・・苦しい・・・」
顔を真っ赤にして頭部の圧迫感に耐えるタケル。
その股間からは再び男性器が勃起していた。
先ほどから受け続けた技の痛みが、タケルの秘かな性癖を覚醒させてしまったのか。
それとも単に美沙子先生との接触に快楽を覚えているのか。
「男の子だからある程度は仕方ないけど・・・さすがに児玉君のそれは見過ごせません。」
美沙子はタケルの勃起した肉棒を注視し、再びそれを懲らしめようと教師の執念を燃やしていた。
「タケルを放シテ!」
「やらせねえ!」
タケルの窮地に飛び出したのは、ヴェルエポックの巨乳アメリカンレスラーのアリス・ミレイラ。
アリスのカットを防ぐべく、南空台高校プロレス部の日乃川ナツメもエプロンサイドからリングに乱入した。
「どいて!」
「返り討ちにしてやる!」
アリスがショルダータックルで強行突破を図るが、ナツメはこれをマットに伏せて回避。
続けて足を絡めて、アリスを転倒させることに成功した。
「行かせねえ!」
小柄なナツメがアリスの背中に乗りスリーパーを掛け、アリスの救出劇を阻んだ。
「タケル!タケル!」
ナツメの腕が首に食い込んでも構わずにタケルへ近づこうと、アリスは這いずって前進を続けている。
試合も終盤に差し掛かり、アリスの身体にも疲労が貯まって動きが鈍くなっているのだ。
軽量のナツメとはいえ、彼女を背負ったままの移動は、アリスの体力を更に消耗させた。
「児玉君!廊下に立っていなさい!」
タケルは、トップロープとセカンドロープの間に上半身を通し、両腕をトップロープに掛ける形で捕縛されていた。
プロレス試合の最中にいつまでも勃起を続けるタケルに対して、美沙子先生は体罰を敢行したのだ。
「心が乱れてるから、下半身まで乱れるの!」
美沙子が怒鳴りながら、身動きの取れないタケルの頬を張った。
「あう!」
ビンタで頬に赤い腫れを作りながらも、タケルのペニスは更に硬くなっていく。
教師である美沙子の飴と鞭によって、すっかりタケルの精神は彼女の管理下に置かれてしまっている。
そんなタケルに、美沙子は新たな責めを追加する。
美沙子は自分の胸の谷間に指を入れ、手のひらサイズの鉄棒を取り出した。
両手で伸ばしたそれは、黒板を指し示す用途の指示棒であった。
美沙子はロープ越しにタケルの首を指示棒で突っつき、胸、腹へとゆっくりなぞる。
「あうう・・・やめ・・・!」
情けない声で悲鳴を上げるタケル。
美沙子の思わぬ凶器攻撃に、タケルは戸惑いと新たな興奮を覚えている。
「面白い位声をあげるわね・・・体のどこを突いても気持ちいいのかしら?」
「やめてください!先生!」
「児玉君のためなの!」
美沙子は、いよいよ指示棒をタケルの男根へ向ける。
「おぐううううう!!?」
陰茎部、陰嚢とペニスをぐりぐり攻め立てられると、タケルの限界が近づいてくる。
美沙子の右手は指示棒を操り、左腕は身動きを封じられたタケルの首にスリーパー。
そして巨大なバストは、タケルの背中に密着させ擦り付けている。
赤い水着を隔てているとはいえ、その肉感が極上の感触であることに変わりはない。
タケルは息苦しさとロープの捕縛による窮屈さ、そして美沙子の攻めによって、新たな絶頂へ上り詰めようとしている。
「うふふ、先生のテクも中々でしょう?いっちゃいそうなの?」
美沙子は指示棒を繰り、タケルの勃起したペニスをなぞった後、先端部を優しく撫で始める。
冷たい金属棒に敏感な部位を刺激され、射精感が突き上げてくる。
「あう、あう、先生ええええええ!!!」
「もう、タケル君たら・・・立ってなさいとは言ったけど、勃ってなさいとは言ってませんよ?」
ペニスの先端をほじくるように弄ぶと、美沙子の指示棒がペニスから離れた。
「ううう・・・・ああ・・・・」
全身から汗を噴き出し喘ぎ続けたタケルはようやく指示棒の愛撫から逃れることが出来た。
しかしその精神は千々に乱れ、男根は射精寸前のまま興奮を維持している。
そんなタケルに、美沙子がトドメの一打を放つ。
「これ以上耐えさせませんよ!」
美沙子が腕を振るい鋭い指示棒の一撃が、タケルの勃起ペニスを襲う。
「ふおおおおおおおおおおおおお!!!!」
指示棒が、ペニスに叩きつけられた瞬間、タケルの限界は崩壊。
タケルのペニスより、白濁液が場外目掛けて噴出した!
びゅぼおおおおおおおおおお!!!!
「あぐ!いい!ぬおおおおおおおおお!!!」
ペニスが震え、精液が飛び出す度に、タケルの咆哮が暗闇の港町に木霊する。
タケルの股間から放物線を描く白の噴水を眺め、美沙子は恍惚の表情を浮かべた。
「ふふ、男の子は元気が一番ですよ。」
教育現場に立ち、多くの男子生徒を見て来た美沙子。
学問、運動、文化活動・・・それらに打ち込むエネルギッシュな若者には、どうしても惹かれてしまう。
そんな拘りがたまに行き過ぎてしまうのは、彼女にとっての欠点ではあるのだが。

【第九話:⑭】
「タケル、お待たせ!」
「あう!!?」
タケルを射精させて既に決着した気分の美沙子が、背後からの衝撃に抗えず、ロープをすり抜けて場外へ転落してしまう。
タケルを救出したのは、ヴェルエポックタッグの片翼、アリス・ミレイラだった。
アリスは、日乃川ナツメのスリーパーを振りほどき、久美苗美沙子の背中にドロップキックを叩き込む事に成功したのだ。
「あ、ありがとう・・・アリス・・・」
アリスにロープを解いてもらい、拘束から脱した児玉タケル。
しかし、その表情は憔悴しきっている。
女教師プロレスラー久美苗美沙子の攻めによる二度の射精は、タケルから闘志を奪いきるほどに苛烈であった。
「休んでて!タケル!」
タケルの消耗ぶりを見て、タッチの決断を下すアリスだが、その背後から金髪のポニーテールを揺らして日乃川ナツメが迫る。
「そりゃ!」
タケルに気を取られて無防備になったアリスの背中に、ランニング・ダブルニーが突き刺さった。
「うぐええ!!?」
突如、背中に走った痛みと衝撃でつんのめり、前方のロープにもたれ掛かるアリス。
「立て!」
「く・・・」
ダウンしていたタケルの髪に手を伸ばすナツメ。
タケルを立たせると、ナツメがコンビネーション攻撃を開始する。
左手による裏拳、左の後回し蹴り、そしてコンビネーションの最後は右ストレートパンチ。
この三連撃で全裸のタケルをノックアウトすれば、リングに復帰した美沙子によるフォール勝ちが確定となる。
パートナーとして最善の選択肢であるが、ナツメの計算にはタケルのタフネスが抜け落ちていた。
タケルにヒットしたのは一撃目と二撃目まで。
三撃目のストレートは、タケルの手によって受け止められてしまった。
「なに・・・!?」
「見切ったぞ!そらあ!!」
タケルは、ナツメの右手を掴んだまま背後に回り込み、低空バックドロップを仕掛けた。
「ぐは!!?」
軽量級のナツメはあっけなくリフトされ、後頭部をマットに打ち付けられてしまう。
「アリス!」「OK!タケル!」
タケルと一緒になって、アリスもナツメへの攻撃に加わる。
2人でナツメをロープへ振り、戻ってきたナツメにダブル・ラリアートをその首に叩き込んだ。
「うわあああああ!!!」
ナツメは二人がかりの打撃を首に受け、勢いよく空中で一回転。
派手な音を立ててマットに轟沈となった。
体の芯まで響くダメージに悶絶するナツメに対して、タケルがダブルフットスタンプで腹を貫き、続けてアリスがコーナーからのボディプレスでその細身を圧し潰す。
「ゲホおおおお!!!」
ストライカーとして優れた資質を持ち、それを喧嘩とプロレスで伸ばし続けてきたナツメ。
しかし、その小柄な体格の為、体格差に悩まされてきた事も事実である。
「私のおっぱいで溺レナサーイ!!」
ナツメの上に覆いかぶさったアリスは退かずに、乳房でナツメの顔を挟み込んだ。
小ぶりな顔は巨大な胸で覆われ、ナツメの鼻と口は柔い肌で塞がれてしまった。
「ぐうう・・・!!?」
ナツメが屈辱的な攻撃に耐え、アリスのわき腹にパンチで反撃を続ける。
2人が膠着している状況で、タケルは場外へ降りて、先ほどリングからはじき出された久美苗美沙子を探していた。
現在、試合の権利を持つのは、児玉タケルと久美苗美沙子の2名である。
決着をつける為にも、美沙子に会心の一撃を叩き込み、逆転しなくてはならない。
しかし、先ほど美沙子がアリスによって叩き落された箇所には、既に彼女はいなかった。
タケルは訝しながら先ほど場外へ移動した際に、ナツメから奇襲を受けたことを思い出した。
その可能性を頭に浮かべた瞬間には、タケルの肉体は反応し、反転していた。
そこには正に宙を舞う美沙子のボディが、タケル目掛けて落下してくる光景があった。
「・・・ぐうう!!!」
美沙子のボディプレスを受ける前に振り向いたことで、タケルは美沙子の身体を受け止めることに成功した。
「え!?児玉君・・・私の作戦を読んでいたの?」
タケルの虚を突いたと思えた美沙子のエプロンサイドからの奇襲フライングボディプレス。
しかし、神がかりな反応を見せたタケルによって、美沙子の身体は抱え込まれてしまった。
「どりゃ!」
タケルは立て膝の姿勢となって、美沙子の身体を横にして膝の上に叩きつける。
「あがあああああ!!!」
シュミット式バックブリーカーで腰を打たれた美沙子の口から悲鳴が上がった。
タケルは美沙子を逃さず、エプロンサイドへ移り、ダブルアームスープレックスの体勢に入る。
両腕を後方で固められた美沙子が振りほどこうとするが、タケルのパワーの前には無駄な抵抗であった。
タケルは渾身の力で美沙子を持ち上げ、後方へブリッジ。
美沙子はエプロンサイドから、投げっぱなしダブルアームスープレックスで、空中へ放り投げられてしまう。
「きゃああああああああああああ!!!」
赤い水着の巨乳美女が宙を舞い、長い対空時間を経て、場外マットに墜落する。
女性相手にやり過ぎとも見られる危険技であるが、ここまで南空台高校プロレス部タッグチームと肌を合わせて来たタケルには、これが決して過剰な技ではないという考えがあった。
胸を上下させて荒い呼吸を繰り返す美沙子を立たせたタケルが、彼女をロープ下からリングに押し込み、続いて自分もリングに復帰した。
「タケル、オカエリ!」
タケルがリングに上がると、笑顔のアリスが駆け寄って来る。
それまでアリスと寝技の攻防を繰り広げていたナツメは、四つん這いで息を切らしていた。
アリスのバストを活用した窒息攻撃に長時間晒されては、さしものヤンキー娘もまともに動くことは出来ない。
後は、先ほどリングに運び込んだ久美苗美沙子を抑え込むだけである。
2人がマットに伏しているはずの美沙子を確認しようと視線を向けると、そこにはロープを掴んで立ち上がろうとする女教師の姿があった。
「はあ・・・はあ・・・先生が生徒の前で、試合を諦める所なんて・・・見せられません・・・」
乱れた長髪を直す余裕もなく、巨大な乳房を揺らし、足を震わせながらようやく立ち上がった美沙子。
弱弱しく両手を胸元に構える姿には、凛とした闘志よりも、悲壮感が漂っている。
先ほどまで、喧騒に包まれていた試合会場には最早声を上げる者は無く、静寂が一帯を包み込んでいた。

【第九話:⑮】
既に試合時間は50分を経過しているリングで、児玉タケルとタッチを済ませたアリスが、久美苗美沙子と向かい合っている。
タッグマッチ参加者四名全員が体力の限界を迎えている極限状況において、誰が膠着を破るのか。
「イックワヨ~~~!」
アリス・ミレイラはランニング・エルボーパットで、久美苗美沙子の首を凹ませた。
「まだまだです!」
美沙子は打撃を受けても怯まず、アリスの頬を平手打ちで張る。
2人とも体力も集中力も途切れている状態だが、その限界を超えて互いの身体を叩き合う。
しかし、互角に思えた攻防も、すぐに優劣が付いた。
タッチして間もないアリスが美沙子を押し始めたのだ。
日乃川ナツメの上から乳房による圧殺攻撃を続けていたアリスは、その間に僅かだが体力を回復出来た形である。
対する久美苗美沙子は、タケルの逆襲を受け、断崖式投げっぱなしダブルアームスープレックスによって、場外マットに上空から叩きつけられたばかり。
美沙子は、立っていること自体不思議なほどのダメージを受けている体だ。
勢いに勝るアリスが、ビッグバストを使った強烈な打撃を開始した。
ロープの反動を利用した旨からの体当たり。
それもわざと美沙子の巨乳に狙いをつけて、自分のバストを衝突させに行くアリス。
「んごあ!!!」
派手な音を立てダウンした美沙子だが、これで追撃は終わらない。
「タケル・・・最後は二人でフィニッシュよ!!!」
「おう!任せろ!」
アリスは、エプロンサイドに立つパートナーの児玉タケルを、リングに呼び込んだ。
タケルは、プロレス用ショートタイツを試合中に失い、全裸のままである。
最早、この試合が終わるまでは、リングシューズ以外は裸でいなければならない。
タケルは最後の技を美沙子に叩き込むべく、アリスと共に美沙子に接近する。
ヴェルエポックタッグが死に体の美沙子を捕まえ、最後のツープラトン技、合体パワーボムの準備に入った。
「く・・・ダメ・・・持ち上がらない・・・タケル・・・ソーリー・・・」
しかし、体力の消耗したアリスでは美沙子を持ち上げることは出来なかった。
「簡単には・・・終わらせませんよ・・・」
美沙子もまたプロレス部顧問の意地で、懸命に体重を落として踏ん張っている。
「構わないよ。俺が久美苗先生を持ち上げる!」
タケルは力強く宣言すると、美沙子の頭を下げさせ、パワーボムの準備態勢に入った。
「うおおおおお・・・・」
「タケル君、凄いパワー・・・もうだめええええ・・・・!!!」
アリスからタケルに交代してからは、やはりパワーが違う。
美沙子はしばらく踏ん張って耐え続けていたが、ついにタケルの手で持ち上げられてしまう。
「タケル!素敵よ!これでトドメイキマース!!!」
補助役となったアリスが、持ち上がった美沙子の肩に手をかけた。
このまま二人が同時に力を籠めれば、三人分の体重が美沙子の後頭部に叩き込まれることになり、確実に試合は決着する事になる。
ヴァリステック・インパルス二日目に続いて二勝目をもぎ取れるか、ヴェルエポックにとっての分水嶺。
勝利を確信したタケルとアリスに、一つの影が飛び込んで来た。
「ここで終わらせるかあああ!!!」
「きゃ!!?」
先ほどまでリングの隅でダウンしていた日乃川ナツメが復活し、合体パワーボムに割り込んで来たのだ。
スピアーで突撃したナツメが、アリスの背後に衝突した。
衝撃によって美沙子の身体を支えていたアリスは前方につんのめる。
マット目掛けて倒れ行くアリス。
その先には、剥き出しのペニスがあった。
日乃川ナツメによって、ショートタイツを剥ぎ取られた事で、下半身を晒したまま戦い続けてきた児玉タケル。
タケルは現在、持ち上げた美沙子が陰となって、視界が塞がれている状態である。
そんなタケルの男性器に突然、巨大で柔らかいおっぱいの感触が襲い掛かってきた。
「うはああああああああ!!!?」
「タ、タケル!!」
体勢を崩したアリスは、偶然、その胸の谷間にタケルのペニスを挟み込んでしまった。
瞬間、タケルのペニスは怒張し、勃起を果たした。
「くうう・・・何が・・・?」
我慢する暇もなく、タケルの腰の奥からせり上がる狂おしい射精感。
「今、外すわ!我慢してダケル!」
青ざめた表情で、アリスは自分の乳房を持ち上げ、タケルのペニスを解放しようと離れる。
その救助行動が、致命的だった。
シングレットの感触、巨大バストの抱擁感、火照ったアリスの熱・・・短時間とはいえ、それらを耐えきるにはタケルは敏感過ぎた。
「ああああああああ!!!!」
タケルは全身を痙攣させ、股間の性器より白濁した精液を噴出してしまう。
かつて、アリスの『ボルカニック・エルプション・スクリュー』によって射精へ追い込まれたことがあるタケルにとっては、偶発の事故とは言えアリスのフィニッシュ技が再現されたような物である。
タケルの意識を途切れさせるような快楽は、パワーボムの体勢すら崩してしまう。
そしてその変化を、美沙子は正確に察知していた。
「最後の最後まで・・・勝負はわかりません!」
脱力したタケルの手から美沙子は脱出を敢行する。
体を持ち上げ、前方へ回転しながら、タケルの背中側を美沙子は落下していく。
そして美沙子はタケルの背後から両足を引っかけ、タケルの身体を巻き込んでマットにお尻から着地した。
「・・・・!!!?」
美沙子の両足にロックされ、視界が回転し困惑するタケル。
射精の快感もあって、タケルは思考がまとまらないままマットに抑え込まれてしまった。
パワーボムの危機的状況から、回転エビ固めで切り返す美沙子のテクニックが炸裂した逆転劇。
「うわあああ・・・!!!」
逆さまに固められたタケルの口から悲鳴があがった。
「ふふふ・・・またここを攻めて欲しいのかしら?」
全裸のタケルは、当然ペニスも丸出しである。
エビ固めされたタケルの股間から勃起したペニスは、いつの間にか美沙子の両胸に挟み込まれている。
美沙子は、タケルを抑え込みつつ、巨大バストによるパイズリ攻撃を始めた。
「くう・・・はああああ・・・・くおおおおおお!!!」
「児玉君のここ、燃えてるみたいに熱いの・・・試合中なのにいけない事だわ・・・」
赤い水着の巨乳にもみくちゃにされる男性器もまた真っ赤に発熱している。
タケルと美沙子の炎の様な闘魂が混ざり合い、更なる業火で火柱を生み出す。
既に数回の射精を果たして、精液で塗れたタケルの巨根が最後の噴火をしようと震え出した。
「おお!!はおおおおおお!」
「これならどうかしら?」
美沙子は唇から舌を露出し、火山の加工の如く発熱するペニスの先端を、優しく舐め上げた。
どびゅうううううううう!!!!
「ひいいいあいいいいいあいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」
「きゃっ!!!?・・・ああ、私ったらイケナイ先生だわ・・・・」
この試合、最後の射精はこれまでで最高の圧力をもって噴火する。
美沙子の谷間を、顔を、髪を白く染め上げ、更に数メートル噴出していくタケルの精液。
恐るべき射精力だが、それが何度も噴き上がり、周囲を濡らす。
これにはタケルを射精に導いた美沙子も驚きの表情である。
しばらくしてようやく射精が終了したタイミングで、試合終了のゴングが鳴らされた。
カンカンカンカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!
「ドロー!」
レフェリーの口から引分けが宣言される。
最後に試合の権利を持っていたのは、アリス・ミレイラと久美苗美沙子であった。
美沙子は、タケルを完全にフォールしていたが、タケルには試合の権利は無い。
試合時間の60分を使い切り、決着が付かなかった為、この試合は引分けという結果である。

【第九話:⑯】
試合を終えた両軍は、互いの健闘を称え、握手を交わした。
「さすが若い子はタフですね。先生も年甲斐もなく燃えちゃいました。」
「ありがとうございます。久美苗先生も凄く手ごわかったです。」
久美苗美沙子と児玉タケルは握手して笑顔で会話する。
タケルにとって、教師である美沙子とのプロレスは、普段以上に学びが多い内容であった。
「そう言われると照れますね・・・うふ!今日の児玉君には花丸をあげます!」
全身が精液に塗れた美沙子が、タケルに近づき、その肩に両手を置いた。
「あ・・・・先生・・・」
タケルは頬を染め、身動きせずに、美沙子の行動を待った。
ちゅ・・・
美沙子の唇が、タケルの頬に押し当てられ、その柔らかい感触と熱を伝えていく。
美沙子からキスを受けると、タケルのペニスはすぐさま起き上がり、硬度を取り戻した。
「・・・・あの・・・・これは・・・・」
タケルも気恥ずかしくなり、両手でペニスを隠す。
「あらあら、試合中に何度も出したし、今更恥ずかしないはずでしょう?」
微笑んでタケルの慌てる様子を見つめる美沙子。
彼女にとっては、一試合交わっただけのタケルも、可愛い生徒である。
パチ、パチ、パチ・・・
2人の耳に拍手の音が届いた。
リングの外を見まわすと、観戦していた不良少年、少女たちが熱闘を繰り広げた四名に、賞賛の拍手を送っているのが見えた。
リングの周りに乗り付けたバイクのエンジンは既に切られ、全員が立ち上がっている。
こういうイベントでは、野次を飛ばす事が楽しみである彼らは純粋なプロレスの闘争にすっかり魅了されていたのだ。
「それでは観客の子たちにも挨拶しましょうか、児玉君!」
「は・・・はい!先生!」
タケルは美沙子と手を繋いで、リングを回って、観客に挨拶して回る。
ヴァリスティック・インパルス一日目、二日目と過酷な戦いの連続に疲弊していたタケルだが、南空台高校プロレス部との試合は、その内容も試合後も彼の胸を満たす物であった。
自分は、こんなプロレスを目指していたのかもしれない。
その実現を手伝ってくれたのは、今夜初めて肌を合わせた女教師かもしれない。
観客に向かって手を振る久美苗美沙子先生の横顔を見つめて、この出会いに感謝を捧げるタケルであった。
「タケル~~~~!!敵とフレンドリー過ぎるのは、ビッグプロブレムよ!!!」
「うお!!?アリス!!!」
タケルに突如、抱き着くアリス・ミレイラ。
タケルは、アリスと美沙子の巨乳美女二人に挟み込まれる形となった。
ペニスの勃起もより巨大に、より硬くなっていく。
「今日は勝利できなくてくやしいわ!慰めのヴェーゼよ、タケル!」
チュ!チュ!チュ!・・・・
「うぶぶ・・・あう・・・まて・・・」
タケルの顔を両手でつかみ、キスを連発するアリス。
たちまちタケルの顔は、アリスのキスマークだらけになってしまった。
「あ!二人とも、先生の前でなんてことを!」
美沙子もタケルに抱き着き、アリスと二人でサンドイッチにする。
「う、うはああああああああ!!!!」
巨乳の挟み撃ちに耐えきれず、またしても射精させられるタケル。
既に月が昇った夜空に、その嬌声と射精音はいつまでも響き続けるのであった。




「つきあいきれねえよ・・・」
三人の乱痴気騒ぎを尻目に、一人でリングを後にする日乃川ナツメ。
「ふん、今度はタイマンでやろうぜ・・・」
プロレスの試合をやる度に、己の至らなさを思い知らされるのは、若さの証明なのか。
恩師との出会いで、己の力を向ける目標をはっきりと意識したナツメ。
ヴェルエポックとの出会い。
そこに所属するたった一人の男子レスラー児玉タケルとの出会い。
彼女の若く、激しい青春はまだまだ続く。



<女子プロレスサークル・ヴェルエポック>児玉タケル & アリス・ミレイラ
vs
<私立南空台高等学校・プロレス部>日乃川ナツメ & 久美苗美沙子

【試合結果】
<ヴェルエポック>
児玉タケル & アリス・ミレイラ
vs
<私立南空台高等学校・プロレス部>
日乃川ナツメ & 久美苗美沙子

(60分 引分け:制限時間切れ)

■第九話完


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