<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

ゼロ魔SS投稿掲示板


[広告]


感想掲示板 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[39254] 【完結】【「大隆起」と対決!】宰相ヴェネッサ、まかりとおる!【ルイズ魔改造】
Name: 山田太郎◆c8b14625 ID:55a6cbb5
Date: 2014/03/20 16:01
本作『宰相ヴェネッサ、まかりとおる!』は、某所でも指摘されているとおり、「人物造形」や「舞台設定」について、作中では充分には描写せず、もとは連作短編として一緒に収録していた「別作品」である「皇帝閣下の決断/走れ!ルイズ」(短編2作)の記述に依存している部分がまだ多く残っています。

よって本作をはじめてご覧いただくみなさまには、まず「皇帝閣下の決断/走れ!ルイズ」よりごらんいただくと、本作を、よりお楽しみいただけやすくなるかと思います。

【完結】のタグをつけておりますが、この欠点は、随時訂正していく予定です。(2014.1.19記)

******************
このSSは、隣接する平行世界のルイズさんたちと、その使い魔くんたちのシリーズのひとつです。
次の3点の特徴を共有する平行世界が舞台となっています。

・ルイズさんたちが才人くんたちをはじめとする実にさまざまな使い魔を召喚するのは、始祖ブリミルがハ
 ルケギニアを救うための試行錯誤。
・虚無の大魔法“生命”は、始祖ブリミルの時代とまったく代わらぬ効能のまま、6000年の時を経て、少数の
 特権階級だけを救う“邪術”になってしまった。
・“大隆起”は阻止することができない。

これらの平行世界は、以下のような物理的特徴も共有しています。

・宇宙は、過去から未来にむけて、無数に平行世界を分岐・生成していく。
・空間移動を可能とする技術や魔法は、同時に時間移動をも可能とする。

 (参考:J.p.ホーガン『量子宇宙干渉器』、『未来からのホットライン』、「星を継ぐ者」シリーズ)

上記の設定で、ゼロ魔板に、次のようなSSも書いています。
本作を面白いと思ってくださった方は、こちらもごらんいただけると嬉しいです。

○「あらゆる方向に顔を向けた使い魔」(長編・全20話・連載中)
○「皇帝閣下の決断/走れ!ルイズ」(短編2作)
○「邪術“生命”との戦い!」(中編・全6話・連載中)

*************
【あらすじ】

○『宰相ヴェネッサ、まかりとおる!』 (1)~(5)
  ガリア王ジョゼフを無力化したアルビオンの宰相ヴェネッサ。その正体は、“虚無”に加え、“神通力”を会得したルイズ。こんどは“大隆起”をめぐるロ
  マリアの教皇ヴィットーリオとの主導権争いにいそしむ。“聖戦”の発動を阻止し、6000年の間に邪法に堕してしまった“生命”の使用を防げるか?! 
 第1話「ロマリアの陰謀」
 第2話「イザベラ殿下、インド魔力を召喚!」
 第3話「始祖の遺した邪術、『生命』」
 第4話「『聖戦』の挫折」
 第5話「大隆起」【完結】


【更新履歴】
2014.1.19 『宰相ヴェネッサ、まかりとおる!』全般に対する補足説明を追加。
2014.1.19 『邪術“生命”との戦い』(1)~(6)を分離
2014.1.15 「皇帝閣下の決断」、「走れ!ルイズ~ルイズ、アンリエッタを追放する~」と分離
2013.12.19 「まえがき」を全面的に変更
2013.9.22  「あらすじ」を付加
2013.7.15 【チラ裏】から【ゼロ魔板】へ移転
2013.1.4 【チラ裏】に分離・移転
2012.12.28 第5話「大隆起」を投稿。『宰相ヴェネッサ、まかりとおる!』完結。
2012.12.25 第4話「『聖戦』の挫折」を投稿。
2012.12.20 第3話「始祖の遺した邪術、『生命』」を投稿
2012.12.19 第2話「イザベラ殿下、インド魔力を召喚!」を投稿
2012.12.17 『宰相ヴェネッサ、まかりとおる!』第1話「ロマリアの陰謀」を投稿



[39254] 第1話「ロマリアの陰謀」
Name: 山田太郎◆c8b14625 ID:55a6cbb5
Date: 2014/01/19 16:58
2012.12.17(初版)
今回の予告編は、ルイズが「大隆起」にどう対応するかについてのお話です。ルイズが提案する「ハルケギニアの救済」策とは?などについてとりあげます。

(23:43)ジョゼットの召喚失敗と、イザベラのインド魔術召喚の成功についての記述を増補

2013.1.4【ゼロ魔】板より移転
**************

 ガリア王ジョゼフは、グラン・トロワに侵入したルイズが、ガリア王家の秘宝 "土のルビー" に対してかけた虚無魔法 “リコード(記録)”により、弟シャルル(故オルレアン大公)の自身に対する妬み・そねみ・嫉妬を目の当たりにすると、涙を流して大泣きし、そのあと廃人のようになってしまった。

 ルイズはミョズニトニルン・シェフィールドに頼んで、彼女の実家(さと)にジョセフを連れて行かせることにした。教皇ヴィットーリオによる虚無の大魔法『生命』の発動を妨害するにはそのほうがよい。
 また、ジョゼフの命令で製造されていたヨルムンガンドや火石など、猛悪な兵器類もハルケギニアの平和にとっては脅威にしかならない。ルイズがシェフィールドにこれらの兵器の引き取りを求めると、彼女は快諾、ヨルムンガンドの専用輸送船にジョゼフも積み込み、大喜びで故郷のエーラーン・シャフル(地球でいう旧ペルシア帝国)にむけて旅だっていった。
 虚無の担い手が分散することは、エルフにとっても都合がよい。シェフィールドとジョゼフの夜逃げ船がサハラ(地球でいうトルコ・シリア・ヨルダン・サウジアラビア・北アフリカあたり)の上空を通過する許可を獲得するのに、ビダーシャルはきっと大いに活躍するだろう。

 さて、ガリアの後始末をジョゼフから丸投げされたイザベラ王女。

 彼女の根性と性格は、これ以上ないというほどひんまがっているが、暗愚ではない。それどころか知能の高さ、人の本性を見抜く目の確かさ、各種の実務処理能力など、歴代のガリア王族のなかでもきわめて高い水準の持ち主であった。
 そんな王女殿下が現在の状況をつらつらと沈思黙考するに、父ジョゼフの悪評はガリア全土にあまねくとどろきわたっているうえ、いままでの自分自身の振る舞いも人望を高める方向には一切向いていなかった。
 すなわち、ジョゼフ王ただひとりの嫡子として正式に立太子されているとはいえ、このまま女王に即位しようものならすぐに大叛乱が勃発し、王位を失うどころか命まで落とすはめにおちいることは確実だ。 

 そこでイザベラは、政権の掌握は摂政王太子の名義で行うこととし、最初に取り組んだのが、大赦の布告である。ジョゼフがオルレアン派として弾圧した人々の名誉回復である。
 不穏分子のご機嫌をとり、かれらが叛乱を起こすのをとりあえず少しでも先延ばしさせようという狙いである。

 そしてオルレアン大公の遺児であるタバサに密かに忠誠を誓う東薔薇騎士団のバッソ・カステモールを呼び出した。

「シャルロットを探し出して、連れてきてほしいんだ」

 イザベラは、カステモールに、ビダーシャルに作らせてあった解毒薬や、タバサに対して“オルレアン大公女シャルロット・エレーヌ"の名乗りを改めて許可する書類などを渡していった。
 
「シャルロットに王位についてもらう。あたしが女王になろうものなら、どんなにがんばっても結局内戦に突入して、悲惨な末路をたどらなきゃならないのは目に見えてるしね。そんなことはまっぴらごめんだ」

 “僭王”ジョゼフを打倒し、オルレアン大公シャルルの遺児であるタバサを王位につけようと密かな陰謀をめぐらせてきたカステモールにも、まったく否やはない。
 オルレアン大公夫人とタバサは、トリステイン魔法学院の級友たちとおぼしき連中にアーハンブラ城から誘拐されてから消息は知れないが、ガリア国内を潜伏しながら移動していると推測された。
 カステモールらが参加していたジョゼフ打倒のための秘密組織は、目的を変えて公然と姿をあらわし、全力をあげてオルレアン大公夫人母子の捜索にとりかかった。

 カステモールにともなわれて摂政府がおかれているプチ・トロワに母とともに出頭したタバサは、イザベラから、ジョゼフをアル・ロバ・カリイエのエーラン・シャフルに夜逃げさせたことを聞かされた上で、王位につくよう求められた。
 タバサは、アーハンブラ城からゲルマニアのフォン・ツェルプストー伯領をめざしてガリアの国土を縦断する潜航の旅を通して、伯父ジョゼフ打倒の機運がガリア全土に満ち満ちているのを見聞し、内乱を未然に防ぐにはイザベラの求めどおり自分が王位を継ぐしか無いという結論に達していた。

 こうして、”王継戦争”は勃発することなく、”ガリア女王シャルロット”が誕生する運びとなった。

             ※                       ※

 ロマリアは、アルビオンについて失敗を重ね続けた。

 プリンセス・オブ・モード(モード大公女)の身柄を確保しようとしたら、ホワイトヘイブン卿ヴェネッサなる女のグループに先をこされた。
 アルビオン戦役で、ヴェネッサの一党がレコン・キスタをあっという間に解体し、アルビオンの政権を握るのを、なすすべもなく傍観した。
 ヴェネッサ一党がモード大公女を即位させようとしたので、教会関係者を使い、ハーフ・エルフが女王になるなんてとんでもないと反対させたら、アルビオンにいたロマリア人の聖職者が根こそぎ国外追放された。
 ハーフ・エルフの女王ティファニアに異端認定を、ヴェネッサをはじめとするティファニアの支持者に破門を宣告したら、彼らは恐れ入るどころか“フォルサテの裔とその眷属(教皇と聖職者に対する蔑称)に、ロタール(始祖ブリミルの長子で、初代アルビオン王)の裔を侮辱する資格はない”として、”アルビオン国教会”を樹立し、教皇の権威を完全に否定した。

 ロマリア首脳部だけが、ひそかに把握してきた始祖の伝承によれば、初代ガンダールヴは、サーシャというエルフであった。そのうえ、ロタール、ルイ、シャルルら「みっつの王権」の初代となるブリミルの子供たちは、全員がサーシャから生まれたハーフ・エルフであった。
 だからロマリアは、この埋もれていた伝承を明らかにすることにより、ティファニア女王のアルビオン新政権をモラール・サポート(精神的支援)する選択肢だってあったはずだが、「聖地」への出兵にハルケギニアを動員するうえで、伝統的な”エルフに対する敵愾心”には手をつけないことを優先した結果が、このざまとなってしまったのである。

 アルビオンの宰相に就任したヴェネッサは、なかなかの凄腕であった。
 彼女の手により、ロマリアがアルビオン国内に永い時間をかけて営々と構築してきた諜報網は一掃された。
 ”虚無の担い手”たるティファニアやヴェネッサを、誘拐、もしくは暗殺するために送り込んだ優秀な使い手たちは、ことごとく返り討ちにあった。

 虚無の大魔法”生命”の発動には、四人の担い手・四人の使い魔・四つの指輪・四つの秘宝をそろえる必要があるのに、アルビオンがこのような有様ではとてもおぼつかない。

 しかしながら、トリステイン・ゲルマニア連合帝国の女王・皇妃(カイザーリン)のアンリエッタ、皇帝(カイザー)アルブレヒトとヴェネッサは、なにやら個人的にも親交が深いらしく、教皇が女王ティファニアに対して異端宣告を行ったにもかかわらず、ゲルマニア・トリステインは、アルビオンとの交易その他の交流を堂々と盛んに行い、恥じる様子も無い。

 さらにそのうえ、ハルケギニア最大の大国ガリアでも、ロマリアにとって見過ごせない事態が進行している。

 ハルケギニアに大動乱をもたらす策動の震源であったジョゼフ王に対し、ロマリアとヴェネッサは、競い合いながら彼の打倒に取り組んだものだが、ジョゼフが無力化されたあとには、これもヴェネッサに恩義を感ずる女王シャルロット・エレーヌ、摂政イザベラの政権が確立されようとしている……。

 そこで、教皇ヴィットーリオ・セレヴァレは、一発逆転のため、とっておきの切り札を切った。かねてから密かに手なづけていたガリア女王シャルロットの妹ジョゼットを、ガリア女王の即位式典の会場ですりかえ、”シャルロット”として即位させたのである。

 ジョゼットは、”恋人”ジュリオ・チェザーレ(教皇エイジスの使い魔)のいうがまま、”女王シャルロット”としてさっそく宣言した。

 「ガリア王国を統べる女王として、みなさまがたに宣言いたします。ガリア王国は神と始祖ブリミルのよき僕として、ロマリア皇国連合の主導する『聖戦』に、全面的に協力いたします。ハルケギニアに始祖の加護があらんことを」

 本物のシャルロットや、ガリア摂政イザベラは、捕らえられて軟禁された。
 即位式典に列席するためリュティスに参集していた皇妃アンリエッタ,皇帝アルブレヒト夫婦は、ガリアの重武装兵やロマリアの聖堂騎士団をひきつれた教皇ヴィットーリオとジョゼットに迫られ、”アルビオンに対する聖戦”への参加の表明を行うことを余儀なくされ、さらには”アルビオンの異端と密かに結びついているマドモアーゼル・ド・ラ・ヴァリエール(ヴァリエール家令嬢,ルイズ)の逮捕令”まで出すことを強要された。

 ヴェネッサがルイズの”偏在”(もしくはトリステインにいるルイズがヴェネッサの”偏在”)であることは、両親や姉たち、アンリエッタとアルブレヒト、キュルケやタバサ、コルベールなどにはルイズが自ら明かしていたが、ロマリアにもその情報が伝わったらしい。

 この逮捕令がとどいた時、ルイズの父ピエール(トリステイン摂政)や母カリーヌ、ゲルマニアのエルプグラーフィン・フォン・ツェルプストー(キュルケ)らは、ルイズを庇護するために”叛乱”を起こしてあげようか?とルイズに打診したが、ルイズは断り、
「いまはロマリアに従うふりをしていてちょうだい」
といって、アルビオンへ逃げた。
 
             ※           ※

「準備はいいかい?」
「わたしはとっくにできていますわ。でも、ジュリオ以外の人を使い魔にするつもりはありません」
 教皇ヴィットーリオは、優しくさとすように言った。
「ジョゼット、ジュリオはすでにわたくしの使い魔なのですよ」
「知っております。でも、聖下はおっしゃったではありませんか。強い想いは使い魔を引き寄せると」
「ええ」

 教皇ヴィットーリオとその使い魔ジュリオ・チェザーレ、シャルロットの名義ですりかわってガリア女王に即位したジョゼットがなにか色々と話している。

「もし、喚びだしたのがあなたでなかったら。この場所に召喚ゲートが開かなかったら。わたしはこれで頭を打ち抜くわ!」

 ジョゼットは、自分の頭に短銃をつきつけながら叫んでいる。ようするに、ジョゼットは自分の使い魔としてジュリオを召喚したいようだ。

「あなたを愛しているわ、ジュリオ」
「ぼくも君を愛しているよ、ジョゼット」

 ジョゼットは、左手で短銃を頭に突きつけたまま、呪文を唱えはじめた

 ジョゼットの目の前と、ジュリオの目の前と、この部屋の中に召喚ゲートが2枚現れたなら、ジュリオがジョゼットの使い魔として召喚されることになる。
 ジョゼットの目の前に1枚しか現れないなら、ジュリオではなく、どこかにいるなにか別の生物の前に召喚ゲートが開かれたということになる。その場合は自殺する、とジョゼットは言っているのだ。

 呪文が完成すると、ジョゼットはゆっくりと杖を振り下ろした。時間にすればわずかに数秒だが、ジュリオもジョゼットも、その間を永久のように感じた。

 ……召喚ゲートは、1枚も、部屋の中にあらわれなかった。

 ジョゼットがとつぜん崩れおれた。緊張が極まり、精神が耐えきれなくなったのであろう。

 ヴィットーリオはつぶやいた。
「ジョゼフが生きているかぎり、新たな『ガリアの担い手』は覚醒することができないのだろうか?」

 前王のジョゼフが夜逃げしていったエーラン・シャフルという国は、エルフの国サハラをさらに東に越えた、アル・ロバ・カリイエの一角にあるという。
 これからジョゼフの命をうばうため、そんな遠方の国に、成功するまで何度も繰り返し刺客を送り込まねばならない。
 気の遠くなるような困難な作業が待ち受けている……。
 
                 ※                   ※

 じつは、そうではなかった。
 彼らは先をこされたのである。

                 ※                    ※

 ガリアの”オルレアン派”と呼ばれる勢力の、特に活動的な者の中には、タバサ個人に忠誠を誓うものが多くいた。
 彼らは、ロマリアによる女王すりかえにすぐ気がついた。
 シャルルの遺児であれば誰でもよいわけではない。花壇騎士団の騎士としてすぐれた技量を見せた姉姫と、ロマリアのあやつり人形の妹姫と。彼らにとって忠誠に値するのはどちらか、いうまでもない。
 
 本物の女王たるシャルロット・エレーヌがきわめて厳重に警備されたのとくらべ、イザベラの警備は手薄だった。イザベラは、彼らの手引きによって脱出をはたし、ヴェネッサのもとに逃れた。

 ヴェネッサ=ルイズは、イザベラと語り合ううち、彼女が魔法がたいへん苦手なことを聞いた。系統魔法がさっぱりなのはむろん、コモンマジックも、ろくに成功させることができない。
 ルイズは思った。

 (爆発しないだけで、わたしとそっくりじゃない)

 「イザベラ、あなたの系統も、虚無なんじゃないかしら?」

 さっそく色々な実験がはじまった。そして、サモン・サーヴァント。
 人間が召喚されたら、召喚者は虚無の系統である可能性が高い。

 「我が名は、イザベラ・ド・ガリア。5つの力を司るペンタゴン。我に従う使い魔をここに召喚せよ!」

 ぶわっと空気がゆらぎ、召喚ゲートが形成された。その中から現れたのは、異国風の若い男。とまどいの表情をうかべ、周囲をきょろきょろと見回している。  
 
 禅師とともにバーラト国(インド)にわたり、数年間、優婆塞(うばそく)として仏教を学んだルイズには、それがバーラト国の貴人であることがわかった。

 成功である。

 ガリアにおける虚無の担い手であったイザベラの父ジョゼフは、今はハルケギニアを捨て、アル・ロバ・カリイエのエーラーン・シャフルに暮らしている。
 
 イザベラが、新たな『ガリアにおける虚無の担い手』、すなわち【ブリミルの次男ルイの裔たる虚無の担い手】に選ばれたようだ。



[39254] 第2話「イザベラ殿下、インド魔力を召喚!」
Name: 山田太郎◆c8b14625 ID:55a6cbb5
Date: 2014/01/19 16:58
2012.12.19初版
2013.1.4【ゼロ魔】板より移転
*********************************

 バーラト(=インド)の青年は、しばらくうろたえていたが、周囲を観察して、自分が目の前の連中によって元いた場所から見知らぬ場所に呼び出されたらしいとさとると、「面妖な。なんの邪術か!」とつぶやき、あることばを叫んだ。
 イザベラのサモンサーヴァントには、ルイズや、アルビオンの女王ティファニア、宰相ヴェネッサ、サウスゴータ太守夫妻らが立ち会っていたが、かれらハルケギニア人たちには、その叫びは

「インド魔力!」

と聞こえた。

 すると、青年の左右や背後を守るように、女神たちが出現した。この部屋のハルケギニア人たちは知らぬことだが、ドゥルガー、ヴィカラーラ、パールヴァティー、サティー、カーリー、ウマー、ガウリー、チャンディー、アンビカーなどと呼ばれる神々である。

 強力な土と風のメイジであるサウスゴータ太守夫妻が、杖を構えながら、虚無の担い手たちを守るように前に進み出たが、ルイズは手をふって彼らを下がらせた。
 神通力で召喚される、物理的肉体を持たぬ連中であり、系統魔法とはとても相性がわるい。虚無魔法ならあるていど拮抗できるが、ティファニアは性格的に荒事にむいておらず、イザベラはたった今虚無に目覚めたばかりで、とても戦える状態ではない。
 そのため、ルイズはヴェネッサとともに入れ替わりに前にでた。ヴェネッサがルイズの偏在であることは身近な人々にはすでにバレバレであるが、公式には別人とされており、マジックアイテムによって髪色や顔を変え、イザベラの使い魔召喚の儀式にも、別人として参加していた。
 ルイズとヴェネッサが法器をそっと振ると、8人一組のカンドーマが二組あらわれた。
 神通力には神通力、女神には女神である。
 
 カンドーマは梵名ダーキニー、空行母と漢訳され、もともとはインドの人食い魔女であったが、仏教に帰依し、護法尊となった女神である。日本にも京都市の伏見稲荷大社や愛知県豊川市の妙厳寺など、この女神をメインに祀る神社仏閣がある。
 
 ヒンドゥーと仏教の女神たちの代理戦争が勃発した。
 両陣営の戦力は、ほぼ互角し、ハルケギニアのメイジたちは手がだせない。
 青年は、女神たちの戦いを眺めるうちに、相手のダーキニーたちが自分の女神たちの攻撃を食い止めるばかりで、青年本人にむけていっさい攻撃を放たないことに気がついた。その様子をみて、ルイズはヴァネッサにカンドーマの指揮を任せ、青年のまえに進みでてうやうやしく膝をつき、サンスクリット語で呼びかけた。

「どうぞ、お気をお鎮めください」

 青年が腕をあげると、ヒンドゥーの女神たちは攻撃の手をとめた。ヴェネッサもカンドーマたちを下がらせる。
 ルイズが尋ねる。

「ご装束から察するに、あなた様はカーニャクブジャの王族のお一人とお見受けします」
「そのとおり。そなたは?」
「ボータ王“ラモトンドゥプ(女神の意図を成就する者)”の妃、ヴァリエル・プランセーともうします」

 トリステインなんていっても青年は知らないだろうが、ボータ(=チベット)はバーラトの隣国である。ルイズはそっちの情報で自己紹介した。 
 青年は一瞬考え込んだのち、言った。

「バハーリーワラー(山の民,チベット人をさす)の王が、西方からきわめて神通力の強い妃をめとったと聞いたが、そなたか?」
「はい。おそらくは私を指すかと」
「すると、ここはボータ国か?」
「いえ、大陸の、西の西の最果ての地、ハルケギニアでございます」
「……事情を聞かせてもらおうか」

 いって青年は女神たちを"奉送”した。彼にあわせてルイズとヴェネッサもカンドーマたちの召喚をとく。 
 ルイズは途中から、サンスクリット語をガリア語に切り替えていたが、青年にはそのまま通じた。さすが、サモン・サーヴァントの召喚ゲートの威力である。

「これなるは、ハルケギニア随一の大国ガリア国の先の王の嫡子にして同国の摂政王太子・イザベラ殿下です」

 イザベラが青年に目礼する。青年も名乗った.

「カーニャクブジャのハルシャと申す」
「太子さまです」

 ルイズがハルケギニア人たちに補足説明すると、ハルシャがルイズに向かっていった。

「余を知っておるのか」
「お名前ばかりは。ボータに入るに先立ち、師とともに、カーニャクブジャにしばらく滞在したことがございます」
「ほう」
「ご当地の、ジニャーナバジュラ上人より法を授けていただきました」
「仏教の輩(ともがら)であるな」
「はい。そのおりには、ご尊顔を遠望したこともあるやもしれません」

 当時のバーラトでは小国が乱立して潰し合っており、ルイズは指揮官を背に乗せた戦象を先頭に出征する軍勢をバーラトの各地で見ていた。この数年の間に国々の淘汰がすすみ、カーニャクブジャは周辺を併合して勝ち残っている強国のひとつである。
 ハルシャはうなずいたのち口をつぐみ、ルイズをじっとみる。ルイズは事情説明を再開した。

「イザベラ殿下が、生涯の伴侶(パートナー)を召喚するための"勧請の儀”を行ったところ、あなた様が召喚ゲートからおいでになったのです」

 “サモン・サーヴァント”のことだが、この説明だって、虚偽ではないだろう。

「ハルシャどのには、まだお妃はおられないと聞いておりますが?」
「うむ」

 ハルシャはうなずき、しばらく値踏みするようにイザベラの顔を眺めたのち、たずねた。

「……このハルケギニアなる地は、わがバーラトとはいかほど離れておるのだろうか?」
「バーラト国の西にエーラーン・シャフルが、さらにその西にエルフの国なるサハラのネフテスがあり、わがハルケギニアはさらにその西方に位置しております」
「……とてつもない遠方ではないか!」

 青年は感嘆すると、イザベラをみつめながらいった。

「それほどの遠方から私を呼びつけるなど、この姫も相当な神通力の持ち主とみえる」
「それで、ハルシャさま、イザベラ殿下の“伴侶の君”となっていただけるでしょうか?」
「いまカーニャクブジャは近隣諸国と存亡をかけた戦いの真っ最中じゃ。強力な大神通力者が味方についてくれるなら、大変にありがたい」

 いわれてイザベラはためらう。
 十年来のわだかまりがとけて、シャルロットやオルレアン大公夫人とようやく和解をはたすことができた。
 万人に愛されるシャルロットを神輿としていただき、自分は雑務や汚れ仕事を担当して、いっしょにすばらしいガリアを作ろう……。
 そう心を定めたとたん、ロマリアの陰謀によってイザベラの摂政王太子政権はくつがえされ、自分は身ひとつで命からがらアルビオンに逃げ込むはめにおちいった。
 ただし潜在的な味方はたくさんいる。
 彼らを効果的に組織し、シャルロットを救出してロマリアの野望を打ち砕くための戦いに、いますぐにでも取りかかりたいのに……。

 ルイズが、水のルビーと始祖の祈禱書を差し出してきた。指輪をはめてイザベラがページをめくると、ブリミルの言葉がみえる。
 ルイズがイザベラをはげます。

「だいじょうぶ。わたしも手伝うから。ちゃっちゃとバーラトを片付けて、太子殿下にはハルケギニアの始末を手伝ってもらいましょう」

 ハルシャが“なんの話だ?”という表情で聞いているので、ルイズはハルケギニアの情勢、とくにガリアの現状とイザベラの境遇について説明した。

「……そういうわけで、バーラト国の決着がついたら、われわれにお力添えをいただけるでしょうか?」
「……いや、約束はできぬ」

 思わず、ルイズとイザベラの顔色が変わる。と、ハルシャが続けていった。

「ただし、もし余が勝ち抜いて生き残ることができたなら、その時は能(あた)う限りの助力をハルケギニアに贈る」

            ※               ※

 コンクラート・サーヴァントの口づけをかわすと、ハルシャの額にはミョズニトニルンのルーンが刻まれた。
 ルイズが“世界扉”を開き、ハルシャ、イザベラ、ルイズの三人はアル・ロバ・カリイエに旅だっていった。

 直接にバーラトに行くのではなく、いったんボータ(チベット)に寄る。

 いやしくも王族たるイザベラを、身ひとつでバーラトなんかにやれない。ハルケギニア全体の沽券にかかわる。
 でもティファニアに命じられて今イザベラに付いているアルビオンの侍女たちに、はるばるアル・ロバ・カリイエまで行ってくれるよう一から説得するのはかなりやっかいだ。しかしボータの宮廷にはヴァリエール家からつれてきたルイズの侍女たちがいる。彼女たちはすでにアル・ロバ・カリイエで暮らしているし、ボータからみれば、バーラトはもうただの隣国にすぎない。ルイズも一緒に行くといえば、バーラトでイザベラの世話をするよう説得するのはそう難しくないだろう。ルイズが夫のチベット王にたのめば、チベット人の侍女や護衛兵、ハルシャへの援軍だって出してもらえるだろう。
 
 そのような判断である。

       ※                  ※
 
 3人を見送ったのち、“サウスゴータ太守夫君”のジャン・ジャックがヴェネッサに尋ねた。

「虚無の担い手をふたりもよそへやってしまって、こちらは大丈夫なのか?」
「もちろんよ。ただやっつけるだけなら、私ひとりでも大丈夫なくらいなんだから」

 ロマリア,ガリア、トリステイン・ゲルマニア。ハルケギニアの列強がアルビオンに攻め寄せる準備を着々と整えている情勢で、知らないものが聞いたらとてつもない大ボラだと判断するであろうが、ヴェネッサにさんざん翻弄された体験のあるジャン・ジャックとマチルダは、納得して、それ以上はなにも言わなかった。

       ※                   ※
 
 ラ・ロレーシュに、トリステイン・ゲルマニア、ロマリア、ガリアの大艦隊が集結していたが、飛び立つことはできなかった。
 夜になると、カンドーマたちがあらわれ、各国の艦隊司令官・館長・士官たちの首筋にプルバを突き刺していくのである。

 カンドーマに刺さされた者たちは、別に命はうばわれなかった。手でさわったり、目でみても異常はない。しかし、ぼんのくぼからのどぼとけにかけて、太い棒が首に突き刺さっているという異物感がある。しかも魔法をさんざんつかって精神力を使い果たしたような状態がつづき、時間をかけて休んでも、ちっとも精神力は回復しないのだった。魔法というよりは、呪いの範疇に属する技術である。

 カンドーマたちは、自分が刺した将校たちにささやく。ヴァリエール領の出身者には「一日」、トリステイン人には「三日」、ゲルマニア人には「一週間」、ガリア人には「一ヶ月」と。
 それだけの日数がたつと、カンドーマの呪いは自然に解けた。
 ただしロマリア人たちはいつまでも呪いが解けなかった。
 カンドーマは、ロマリア人にはこうささやいた。
「教皇聖下に、”解呪(ディスペル)”をかけてもらえ」
 
 ある勇ましいものが、
「魔法を使えなくてもフネは動かせる。出撃すべきだ!」
と軍議の席で主張すると、彼は次の日昏睡状態で発見された。彼のそばには、「教皇聖下に”解呪(ディスペル)”をかけていただくと目を覚まします」というメモが残されていた。

 カンドーマたちの襲撃を何度かうけると、交代要員は枯渇し、大艦隊はほんとうに行動不能となった。 
 
 艦隊が動けなくなると、今度はラ・ロレーシュに集結していた地上部隊の駐屯地への攻撃が始まった。
 ロマリアの諸侯軍や聖堂騎士団は特に念入りに攻撃された。ロマリア人の部隊では、准尉以上の士官がすべて刺され、将軍はひとりのこらず昏倒状態におかれたのである。

 すべて、教皇ヴィットーリオの精神力を消耗させるための嫌がらせである。
 
 カンドーマや、アルビオンが送り込んだ間諜たちは、「我らは始祖の再来であるロタールの裔たる虚無の担い手、ルイの裔たる虚無の担い手、シャルルの裔たる虚無の担い手のお三方に従うものである。我らが4カ国連合軍を根こそぎ滅ぼすのはきわめてたやすいが、無知ゆえに道をあやまっているだけの者たちを哀れみ、温情によって、命をうばわないでおいてやるのである。フォルサテの裔たる教皇聖下がはやく信仰の寸心をあらためて誤りを撤回なさり、四つの王権がふたたび団結できる日の一日も早からんことを」という主旨の宣伝を文書で、あるいは口頭で行いまくった。

 ゲルマニアの帝都ヴィンボドナの宮廷には、”世界扉”をつかってヴェネッサが直接出現し、アンリエッタとアルブレヒトに向かってこのような主旨の宣伝を行うことをなんどもやった。
 ヴィンドボナには、リュテスから聖堂騎士団がずっと張り付いてアンリエッタとアルブレヒトの監視についているのであるが、ヴェネッサは彼らをまずカンドーマで無力化したのち、彼らの目の前で、アンリエッタとアルブレヒトに「教皇聖下がみずから誤りを撤回なさるのをお待ちしている」と伝えるのであった。教皇に対するメッセージであると同時に、アンリエッタやアルブレヒトが「密かにアルビオンと連絡している」という疑念をうけないようにする配慮であった。



[39254] 第3話「始祖の遺した邪術、『生命』」
Name: 山田太郎◆c8b14625 ID:55a6cbb5
Date: 2014/01/19 16:59
2012年12月20日(初版)
 今回のお話ではJ.P.ホーガン『量子宇宙干渉機』・『未来からのホットライン』の宇宙観を参考にしています

2013年1月4日 【ゼロ魔】板より移転
********************

 ヴェネッサは、カンドーマを駆使してラ・ロレーシュに集結したロマリア,ガリア,トリステイン・ゲルマニアの連合軍を蹂躙し、無力化すると、今度はトリスタニアや、リュティス、ヴィンドボナなど各国の首都や、ロマリアの主要都市に出没して大暴れし、「フォルサテの裔たる教皇聖下が早く信仰の寸心をあらためて誤りを撤回なさり、四つの王権がふたたび団結できる日の一日も早からんことを」という言付けを残していくのだった。
                        ※                      ※

 イザベラは、カーニャクブジャによるバーラト(インド)統一に多大の貢献をはたした。
 特に、カーニャクブジャの3倍の国力を持つ敵国マーニヤケータとの決戦で放った特大のエクスプローションは、一兵の命も奪うこと無く敵の軍勢を無力化して、カーニャクブジャが逆転勝利をうるのに決定的な役割をはたした。カーニャクブジャがこの敵国を併合すると、もはやバーラトにカーニャクブジャに抗しうる勢力はなく、残る中小の弱小国は、ほとんどが抵抗することなくカーニャクブジャの軍門に下った。

 ハルシャの父ボージャ王は、あらためて全バーラトのマハー・ラージャ(大王)たることを宣言した。

 勝利の祝宴の席上で、ハルシャはイザベラに言った。

「そなたのおかげで、わが国は生き残り、勝つ事ができた。そたなたに召喚されたときに約束できなかったことを、やっとはたせるようになった」
「それでは、さっそくなのですが、お願いしたいことが……」

イザベラの”願い”を聞いて、ハルシャは言った。

「その願いは、バーラト国なら余裕でかなえてやることができるが、援軍などは必要とせぬのか?」
「はい。わが陣営にはヴァリエリー・プランセス(=ルイズ)がありますれば」

 ハルシャは、サモン・サーヴァントでアルビオンに召喚されたときルイズのカンドーマ召喚と対決しているし、バーラトに戻って最初の戦いでは、まだ虚無魔法の行使に不慣れであったイザベラの代理と称してカーニャクブジャ軍のために炸裂させた特大のエクスプローションを見ている。

「うむ、そうであるな。あの女性(にょしょう)なれば……」
「これからまもなく、私どもはハルケギニアで奪権の戦いを起こそうとかんがえています。私がガリアのほうへしょっちゅう出向く事を、お許しいただければと思います」
「むろんじゃ」
「わが君には、お手すきのおりにでも、わが故国の見物にお越しいただけると嬉しゅうぞんじます」
「なんか、余裕であるな」
「はい」

                      ※                      ※
 
 イザベラが虚無魔法を使いこなせるようになると、ただちにルイズはボティア(チベット)にもどり、ギャナク国(中国)の訪問にとりかかった。イザベラがハルシャにおこなったのと同じ内容のおねだりを、周国の「天子」に行うためである。
 ルイズと夫のツェンポ(王)・ラモトンドゥプは、もうひとりの妃・和寧公主ともにに周の都・洛邑に入った。和寧公主にとっては実家への里帰りとなる。
 
 周の側では、ルイズに大変な関心をもっていた。
 周の皇室から和寧公主がツェンポのもとに嫁いだのちも、チベットとギャナクの間にはなんどか小競り合いが発生したが、そのとき必勝を期して派遣した10万人近い遠征軍が一撃で無力化されるという事態を三回ももたらしたのが、この妃だと聞いていたからである。
 ルイズからの一撃をうけると、人的被害は生じないものの、ギャナクの諸国が将軍・士官・兵士たちにもたせた大量の宝器・霊具・宝剣・聖戟などの類いからすっかり霊気が消え去って、ただの金属の塊になってしまうのである。特に、チベットとの戦いのたびに、周の王族やギャナク諸国の王、各国の将軍たちが持つ、数千年にわたって受け継がれてきた国宝級の霊具がごっそりとガラクタと化してしまうのが、ギャナク諸国にとってはなによりも痛い。

 周の天子は、ルイズから“願い”の内容を聞くと、ただちに応諾することに決めた。
 ルイズの願いをかなえてやれば、その間は、ルイズがギャナク諸国に対してあの猛悪な牙をむくことはおきない。
 数十年、うまくいけば100年以上、ギャナク諸国とチベット国の間に紛争は起きなくなる。

 天子はツェンポと妃たちに、この願いをかなえること、配下のギャナク諸国にも、受け入れ準備を整えるよう命じることを約束した。

          ※                 ※

 ルイズは、宇宙を見たときのことをおもいだす。
 (なぜ、どうやって見たかは、本編で触れます)

 世界は、過去から未来にむけて、刻一刻と、無数に分岐をつづけ、それぞれの成長をつづけていた。すなわち、「平行宇宙」「平行世界」の生成である。
 なにかが発生する可能性が生じると、それらの可能性はすべて実現し、そこで世界は分岐する。
 石ころが風に吹かれてあちらにおちるか、こちらにおちるか。そのような結果生じた分岐の場合には、すぐとなりにほとんどそっくりの世界が存在して、ほとんど同じ成長を続けていく。
 その一方、歴史の流れにおおきな影響を与える重要人物が下した決断の違いによって発生した分岐は、となりあう世界の姿をたがいにまったく異なったものとし、それぞれ別個の歩みを続けていく。

 ルイズは、自分が活躍している時代の諸世界の“自分たち“を観察して、自分がこの時代のとてつもない重要人物であることを確認せざるをえなかった。
 各世界でルイズたちが召喚した使い魔は、じつに数百種類。いろんな世界のハルケギニアを観察しても、こんなにたくさんの種類の使い魔を召喚したメイジは他にはいない。
 なかには、なんの役にもたたないものや、名状しがたき者、召喚されたとたんにルイズやハルケギニアを破滅させる邪悪なものまである。
 ”始祖ブリミルよ!使い魔の召喚って運命の出会いじゃなかったの?わたしにだけこんなにいろんな種類の使い魔が来るなんて、いったいどういうことよ!”

 ルイズたちが時代を動かす立場を獲得しなかった世界、あるいは失敗して死んだりやる気をなくしたりして”役割”を投げ出した世界では、ハルケギニアはほぼ例外無く、悲惨な破滅を迎えていた。
 “わたしって、世界を救う使命をおびちゃったのね。ほんとは、ただの、ごく普通のメイジでありたかっただけなのに……”

 ルイズが生きる時代に、ハルケギニアの運命に決定的な影響を与える災害がふたつ。
 人災として、ガリア王ジョゼフの暴走。
 天災として、地下の風石の結晶の飽和による、大地の”大隆起”。
  
 ジョゼフの暴走を誰もとめることができず、彼がハルケギニアの支配権を握った諸世界では、その後の大隆起にたいしていかなる対策もとられることがなく、大隆起にともなう大地の浮上や転覆、表土や岩石、陸塊の落下により、ハルケギニアの大地に生きる人とその他の生物は、大隆起が続く数十年の間にほとんどが死滅してしまっていた。
 
 “大隆起”は、止めようも無い大災害であった。ただし災害に直面する人々の努力がうまく組織されるかどうかによって、救われる人々の規模に差が生じていた。
 ルイズは、それらの努力の中でも、教皇エイジスが実現につとめた虚無の大魔法”生命”に注目した。”生命”は「四つの四」(四人の担い手・四人の使い魔・四つの指輪・四つの秘宝)がそろって発動される。始祖ブリミルが子孫のために残した大魔法であり、”虚無の担い手”の一人に選ばれたルイズとしては、その効果がいかなるものか気になるのは当然のことである。

 ”生命”が実際に使われる場面は、使い魔として、ジャルパン国(=日本)からヒラガ・サイトくんがルイズの使い魔”ガンダールヴ”として召喚された世界においてのみ、観察された。

 サイトくんが召喚され、かつジョゼフ王の無力化を達成できた世界では、ルイズとサイトくんは、教皇エイジスによって発動された『聖戦』の尖兵となる。
 ガリアとロマリアの国境付近にわだかまる火竜山脈で、最初の隆起がおこる。
 教皇エイジスは、諸国の指導者に「『聖地』には始祖ブリミルの残した魔法装置がある」と称して欺き、エルフの国の奥深くにある『聖地』の占領を目指すハルケギニア諸国の連合軍を組織した。
 ルイズとサイトくんは、ハルケギニア連合軍の先頭にたってエルフの軍勢に大打撃をあたえ、「四つの四」が『聖地』にそろった。

 虚無の大魔法『生命』は、アルビオンの担い手ティファニアの使い魔『リーヴスラシル』とエルフたちを生け贄として、安全な異世界に続く大ゲートを開くものだった。
 
 しかしながら、ゲートを通ることができたのは、各国の首脳たちとマギ族の末裔、すなわちメイジたち。しかもその全てではなく、一万人に満たない、ごく一部の者たちだけだった。

 連合軍の大部分は聖地に置き捨てられた。
 2300万人を数えるハルケギニアの民のほとんどは、大隆起がいまにも発生しようとするハルケギニアの地に、そのまま放置された。
 始祖ブリミルがひきいた民”マギ族”が、ハルケギニアの地にすまうごく小さな部族のひとつであった6000年前には、『生命』の魔法はブリミルの民すべてを救うのに十分な力を発揮した。たとえそれが、エルフの半数の命を奪うものであったとしても。しかし、6000年の時を経てふたたび実行されたこの魔法は、ひとつの種族を踏み台にして、少数の特権者たちのみを救う、利己的な邪法に成り下がってしまったのである。
 
 動乱をかけぬけるなかで、ルイズと使い魔サイトくんは絆を深め、恋人同士となっていた。
 サイトくんが、ティファニアによって”リーヴスラシル”にされた世界では、サイトを失ったルイズたちの多くは、逃げ出した先の新世界でサイトの死を嘆きつづけ、ほどなく死んでしまう。
 サイトの死から立ち直ることができた少数のルイズたち、ティファニアがサイトとは別人を召喚した世界のルイズたちは、もといたハルケギニアのある世界に舞い戻り、サイトや、同じ道を選んだ魔法学院の同級生を中心とする仲間たちとともに、浮上と落下を繰り返す陸塊の間を逃げ惑う人々を少しでも救うおうと、必死に努力する。
 しかし人口の半数をふたたび奪われたエルフの怒りは激しく、エルフの地や、エルフの地の向こうのアル・ロバ・カリイエへ逃げようとサハラにはいったハルケギニアの難民達は、有無をいわさず殺害された。ハルケギニアの西方、アル・ロバ・カリイエのさらに東方には、地球と同様、数百万の人口を受け入れることが可能な大陸が存在しているのであるが、そんな知識をもたぬ人々は、西方へ脱出しようと思いつくこともなく、とざされたハルケギニアの大地のなかをさすらうしかなかった。
 結局、どの世界でも、ルイズと仲間たちは大隆起がうち続く数十年間を生き延びることができなかった。

 このような結末を観察して、ルイズは思った。

 (わたしが召喚する使い魔があんなに多様なのは、始祖ブリミルが『生命』に代わるハルケギニア救済の可能性を追求しているからかもしれない。

 と に か く 、 邪 術 と 化 し て し ま っ た 『 生 命 』 は 、 絶 対 に 封 印 せ ね ば な ら な い ! )

 それからのルイズの行動は、すべて教皇エイジスを押さえて『生命』の発動を阻止することを目標に据えたものになった。
 



[39254] 第4話「『聖戦』の挫折」
Name: 山田太郎◆c8b14625 ID:55a6cbb5
Date: 2014/01/19 16:59
2012.12.25初版
2013.1.4【ゼロ魔】板より移転
******************

 アルビオンのヴェネッサ一党がカンドーマを使ってまき散らす“呪い”はますます猛威をふるった。
 教皇のヴィットーリオが解呪(ディスペル)をかける対象は、昏倒して人事不省になったものが優先されたため、教会が、ラ・ロシェールに集結した各国の対アルビオン遠征軍やトリステイン・ゲルマニアやガリアなどの諸国に配置した諜報員、監視員たちのなかには、プルバが首に突き刺さったまま放置されるものが続出した。
 ロマリア以外の各国の王族・閣僚・諸侯・官吏・軍人たちも、「公の場」で“聖戦”に肯定的な発言をしたものは、その晩にひっそりと、あるいはその場で人々の前で公然と、カンドーマに“呪い”を受けるのだった。
 トリステイン摂政のヴァリエール公爵や、宰相マザリーニ枢機卿、アンリエッタ・アルブレヒト夫妻らなどは、教皇と公式・非公式に会う機会があるたびに、ヴェネッサ本人やアルビオンの諜報員、カンドーマなどから密かな接触をうけ、わざとことさらアルビオンに対する強硬意見を表明するよう依頼された。
 かれらはヴィットーリオと会見するにあたり、内心気が進まないながらも教皇に迎合する発言を行い、そのたびにヴィットーリオの目の前でカンドーマにプルバで刺され、衰弱したり、昏倒させられるのだった。
 「トリステイン・アルビオン・ガリアの担い手たち」に対し敵対する者は、いかなる高位の地位にあろうと安全はない、教皇ヴィットーリオすら無力だ、ということを示すための示威行動である。

 こうして、アルビオンに対する“聖戦”の戦意はどん底まで下がった。
 
 やがてアルビオンの諜報員やカンドーマを見かけると、“ロマリアの支配下から離れて味方につきたい”と申し出るものたちが続出するようになった。しかしヴェネッサは、“私たちは、教皇聖下が自発的に『誤り』を撤回してくださるよう促してるの。あなた達に決起でもされると事後処理がややこしくなるから、あともうほんのちょっと教皇聖下に従うふりをしておいて”と伝えて彼らを押さえた。

 そして、かねてからルイズの“依頼”を受け入れていたボティア(=チベット)、イラニア(エーラーン・シャフル)に加え、イザベラが工作したバーラティア(バーラト,=インド)、ルイズが夫婦で訪問して工作したチョウィア(周+ia,=中国)などでも“準備が整った”その日、トリステイン・アルビオン・ガリアの虚無の担い手たち(ルイズ・ティファニア・イザベラ)は、反撃を開始した。 

             ※                ※
 
 リュテス市長は、突然“摂政王太子イザベラ”の訪問を受けた。
 イザベラの要請をうけて市長は市庁舎の1フロアをイザベラと随員に明け渡した。
 イザベラはここを拠点に、リュテスと地方の諸官庁に“摂政王太子”の名義で“業務の正常化”に関する各種の命令を発し始めた。
 
 イザベラがアルビオンに脱出して後ほどなく、ガリア王政府は、“女王シャルロット”の名義で、イザベラに対する「摂政職の罷免」、「王太子の地位および王族の身分を剥奪して庶民におとすこと」、「みかけ次第逮捕投獄すること」などを命ずる勅令を発していた。
 しかし今やガリアの要職にある者たちの中には、首筋に“プルバ”が刺さったまま放置されているものがあふれている。今さら誰もイザベラの奪権に反対や妨害を行おうとするものはなく、ガリア全土の上級・下級の行政機関や王軍の駐屯地は、ジョゼットの“王政府”のもとを離脱し、イザベラの摂政府の統属下に“復帰”した。
 その間、わずか2日。
 そしてイザベラは、グラン・トロワの攻略にかかるでもなく、傍若無人にも、リュティス市内で自身の“結婚披露パレード”を敢行することを表明した。

 『来る虚無の曜日を期して、ガリア国摂政イザベラ・ド・ガリア殿下とバーラト国太子ハルシャ殿下の婚姻披露パレードを行う。有司諸官はよろしく凱旋門よりヴェルサルテイユ宮にいたるメインストリートの交通規制と沿道警備の手配を行うべし』。
 
 リュテス市の職員が運営スタッフの中核となり、パレードの実施準備に全力を挙げて取り組んだ。
 
 そして虚無の曜日。なおもロマリアに義理立てして、イザベラ夫妻の狙撃をたくらんだり、その他各種の妨害を試みようとするものはあったが、彼らは人知れず排除され、つつがなくパレードは遂行された。

 パレードの中核をなすのは、ルイズが開いた“世界扉”を通ってバーラトからやってきた40頭の戦象。武装ではなく、祭儀用の華やかな衣装をまとっている。その前後をバーラト兵1000人と、もとはラ・ロシェールに駐屯していたガリア兵1000人が警備する。彼らの装束も、戎装ではなく、きらびやかな礼装である。

 イザベラは先頭の象に夫ハルシャ太子とともに並んで乗り、沿道にあつまった市民たちににこやかな笑みを浮かべて手をふりながら、ベルサルテイユ宮殿に入った。ベルサルテイユ宮殿に属する警備兵の戦意はどん底まで落ち込んでおり、戦わずして彼らに道を開いた。
  
            ※                ※
 
 ベルサルテイユのグラン・トロワには、“偽シャルロット”のジョゼットが任命した閣僚や軍人など“王政府”の高官たちが集められていた。こっそり逃げ出そうとしたものもあったが、すべてイザベラの配下につかまって連れ戻されていた。

 イザベラが閣議の間に入って来た。
 多くの者が立ち上がって出迎えるが、席についたままのものが数人。ジョゼットとジュリオ、教皇への忠誠心が特に篤い財務卿フォーシェレの3人である。
 イザベラはジョゼットとジュリオを睨んだのち視線をフォーシェレに据えると、威圧するように睨みつけた。(お前はなぜ立って出迎えないのか)と尋ねているのである。
 無言の質問の内容を察したフォーシェレが、震える声をしぼりだしながら、言った。

「あ、あなたは職務を投げ出して他国へ出奔なさり、摂政の職を解任された。王太子の地位も王族の身分も剥奪された。ゆえに礼を示す必要はないのだ!」
「ふん、根性があるやつは嫌いじゃないよ」

 イザベラはフォーシュレを見下しながらいうと、文官が捧げ持っていた書類つづりをうけとった。
 書類つづりの表紙の中央には、交差する杖のガリア王家の紋章が描かれている。
 イザベラは受け取ったつづりを床に落とすと、わざとらしく数度ふみつけた。
 “王政府”の面々は息を呑んだ。
 中に綴じられた書類は王勅の原本で、国王のことばそのものである。通常なら、王家の紋章に対しても、勅書の原本に対しても、こんな振る舞いは王に対する反逆そのものとみなされる。
 イザベラは、意地悪げな表情を浮かべながら言った。

「たしかに普通なら王家の紋章や勅書の原本をこんな風にあつかったら不敬罪ものだけどね。でも、王ではない者が、王を勝手に名乗って出したもの。そんなモノは無効だ。勅書じゃない。ただの紙切れ!」
 
 言い終わると、つづりから無造作に書類を何枚かむしり取り、ビリビリと縦横に破って、これよ見がしに背後へむけて放り投げた。

「さて、」

 イザベラは、ジョゼットの“王政府”の面々の顔を見わたしながらいった。

「国王を別人にすりかえようなんて大それた所業は、本来は反逆罪で打ち首ものだ。だけど、今回、摂政王太子としては、お前たちをとがめないことにする。なにせ教皇聖下が命じたことだしね。当代の教皇といえば、ただのありふれた教皇じゃない。フォルサテの裔で、なおかつ虚無の担い手。つまり“始祖の再来”といっていいお方だ」

 続けて(まあ、あたしやアルビオンの女王さま、トリステインの公爵令嬢だってそうなんだけどね)とつぶやき、視線を大臣や軍人たちに据えて告げた。
 
「いまの一連の騒ぎは、虚無の担い手たちが二つに割れて、矛盾する指図や命令を下しているせいで起きてる。国家に忠実な臣下、信仰に忠実な信徒が混乱してしまったとしても、しょうがないじゃないか。“始祖の再来”の端くれとして、お前たちには申し訳ないと思ってるんだ。だから今回の騒ぎで、お前達が女王陛下を閉じ込めり、あたしを馘首(クビ)にしたことはとがめないよ」

 次に視線を上座に座っている“女王”に向けて言った。

「ジョゼット、お前もだよ。それにあんたはやっと巡り会った数少ない親族だしね」

 大臣たちの一部から、うめき声がもれる。
 ガリアの貴族や政府の高官の中でも、「北花壇騎士タバサ」を直接に知っていて、現在の“女王シャルロット”とは別人であることを識別できる者はさほど多くはない。しかし“ロマリアが故シャルル大公の遺児の姉姫と妹姫を入れ替えて即位させた”という噂は信憑性をともなってひそかに広範囲に流布していた。この噂がたった今、親族たるイザベラからはっきりと確認されたためであった。

 イザベラは、それまでの傲慢で意地悪げな表情や荒っぽい口調を改めて、うやうやしく告げた。

「女王陛下シャルロット・エレーヌおよび摂政王太子イザベラの名前で宣告する。ブリミル教の教皇が一国の王をすりかえるという陰謀に手を染めることなど許されないことであり、ありえないことである。したがって、今回、シャルロット女王陛下を別人とすりかえるような事件は【はじめから起こらなかった】とみなす」

 ジョゼットの“王政府”の高官たちからは、驚きと安堵のため息がもれた。
 イザベラは文章を読み上げるような口調で続けた。

「ロマリアは、王家から見捨てられ、忘れ去られていた、女王の妹にして王太子の従妹たるジョゼット姫を発見し、庇護し、このたびガリアまで連れてきてくださった。我々は、教皇聖下のかかるご配慮に感謝する」

 言い終えるとイザベラは口調を元にもどしてジョゼットとジュリオに言った。

「と、まあ、女王陛下とあたしはこのあたりが落としどころだと考えているんだけど、お前たち、それでいいね?」

 教皇ヴィットーリオの使い魔ジュリオ・チェザーレは、イザベラと手勢のグラン・トロワ進駐にただ一人抵抗し、衣装はぼろぼろ、全身あざや傷だらけになって閣議の間に引きずられて入り、ジョゼットの隣の席にむりやり着席させられていた。
 イザベラのこの問いにも、悔しげにうつむいたまま返事をしない。
 ジョゼットはジュリオの様子をみると、反抗するように背筋をのばし、イザベラをにらんで言った。

「私はシャルロット。ガリアの正統な女王です」

ジョゼットのことばにイザベラは一瞬怒りで顔をゆがめたが、必死に笑顔をつくりなおし、やさしく教え諭すような口調でジョゼットに話しかけた。

「ジョゼット、お前は世間知らずだからよくわからないのかもしれないけどね、お前がそんな風に意地を張り続けるなら、女王陛下とお前と、どちらが本物の“シャルロット”なのか、腕づくで決着をつけなきゃならなくなる。臣民を統治する使命を帯びた王権と、信徒を教化使命を帯びた教権が、血塗られた争いを行わなきゃならなくなるんだよ?」

 ジョゼットは、またもジュリオの様子を眺め、イザベラに向きなおって言った。

「私はシャルロット。ガリアの正統な女王です」

 この返事に切れたイザベラは怒鳴った。

「ジョゼット、いい加減にしな!
 女王陛下はね、花壇騎士として命がけの任務をいくつもこなしてきた筋金入りの戦士だ。人柄も、人の上に立つ者としての覚悟も、御殿でぬくぬくぐうたら暮らして着たあたしとは比べ物にもならない。王者の器をもつ人だ。だからあたしは女王の地位を譲ることにしたんだ。
 あんたには器量、覚悟、女王陛下よりも上回るものがあるっていえるのかい?」

 すごむイザベラに、ジョゼットは返事もできず、涙目になりながらちらちらとジュリオのほうをうかがう。
 その様子をみて、はたと気がついたイザベラは、閣議の間に連れてきた屈強なバーラト人の衛兵ふたりに合図を贈った。
 ふたりはジュリオの顔をテーブルに押し付け、両腕をうしろにねじり上げた。
 ジュリオが苦痛のうめき声をもらす。
 ジョゼットが叫んだ。

「やめて!ジュリオにひどい事しないで!なんでもいうこと聞くから……」
 
 イザベラは(ありゃ、これを最初からやってればよかったのかね)とつぶやくと衛兵に合図をおくってジュリオを押さえつけるのをやめさせた。

「じゃあ、皆に自己紹介を」

 ジョゼットは身の上を話しだした。

「わたしはジョゼット。本当はシャルロット陛下ではありません。ものごころついた時は、サン・マルガリタ修道院にいました。半年まえ、ジュリオにつれられてロマリアに行き、自分がガリアの王族だと聞かされました……」

 ジョゼットが真実の身の上をひとおおり語り終えたので、イザベラは優しげに笑みを浮かべてジョゼットを抱きしめながら言った。

「よくぞ、本当のことを話してくれたね……」

 閣議の間に、ハルシャ太子が入って来た。イザベラがジョゼットに向けていう。

「こちらはバーラト国太子のハルシャ殿下。あたしの“伴侶の君”だ。女王陛下やお母さま(オルレアン大公夫人のこと)には、親族として向こうの宮廷に挨拶に来て欲しいとお願いしたばかりなんだ。お前にも来てほしい。バーラトは、きれいな花や美しい動物がたくさんあるとってもいい国だよ。お前はひこれまでずっとひとりぼっちだったんだろ?お母さまに、思う存分甘えたらいいよ」

 ジョゼットは、せっかくのイザベラの勧めの内容をあんまり聞かずに言った。

「なんでもいうことを聞くから、ジュリオの命だけは助けて!」
「もちろんさ。お母さまやお前といっしょにバーラトに連れて行くよ」

                ※                    ※

 イザベラがリュティスの市庁舎に入って活動を開始したころ。
 ヴェネッサ一党に救出されたシャルロットは、ラ・ロシェールに現れた。
 ラ・ロシェールには、アルビオンから降下してきたティファニア、周帝国からハルケギニアにトンボ帰りしてきたルイズなども集まり、“対アルビオン諸国連合軍”の将兵を前に、演説を行った。陸空8万の兵士の頭上には、適切な場所に、虚無魔法“イリュージョン”を利用して、女王たち、虚無の担い手たちの姿が中継された。
 トリステインの“虚無の担い手”たるルイズが司会となり、ハーフエルフにして“アルビオンの女王、虚無の担い手”ティファニアを紹介した。
 壇上にティファニアが現れると、妖精のような可憐な容姿や豊かな胸に兵士たちの感嘆の声があがったが、ティファニアがベールを取り、エルフの血を受け継ぐ証の長い耳を見せると、感嘆の声は驚きの悲鳴に代わった。
 ティファニアは、父モード大公、母シャジャールについての思い出、自身のあゆみについて簡単に語り、いま自分が虚無の力を受け継いでいることを述べた。そして、この虚無を“すぐれた臣下”の助言に従って間違いなく使い、ブリミル教徒として、“始祖の再来の一人”として恥じることなく、君主としてのつとめを果たしたい、と演説を締めくくった。
 ついでガリア女王シャルロット・エレーヌが演壇にたった。イザベラとの事前の打ち合わせで、ロマリアによる「女王すり替え」事件は“存在しなかったこと”にすると決めてある。シャルロットは述べた。
「女王ティファニア陛下と実際に会ってみて、陛下のやさしい人柄、真摯な信仰を目の当たりにした。アルビオンの人々が彼女を真の女王として信頼し、揺るぎがないのは当然である。ゆえに私はアルビオンに対する“聖戦”は不要であるとの結論に達した。ティファニア陛下のひととなりを実際にお知りになれば、教皇聖下も同様の結論に達すると判断する。よってガリア国は、両用艦隊と地上軍を本国に撤収させる」
 ジョゼットがシャルロットの名前で行った“聖戦”支持を、撤回した。
 ついでルイズが壇上にあらわれ、自分たちが真実、“虚無の担い手”である事を示す、とつげ、壇上に“世界扉”のゲートを開いた。
 ゲートからは、リュティスで活動していたイザベラが現れた。
 ルイズ、ティファニア、イザベラの3人の“虚無の担い手”による“ディスペル”の重ねがけにより、ラ・ロシェールに集結していたトリステイン・ゲルマニア、ガリア、ロマリアの四カ国の将兵にかけられていたカンドーマの“呪い”は一瞬で解除された。
 シャルロットはさっそく全軍に撤収を命じ、自身は両用艦隊旗艦“デヴァスタシオン”に乗って帰国の途につく。イザベラもルイズの“世界扉”でリュティスの市庁舎に戻った。   

 トリステインとゲルマニアの陸・空軍の司令官たちは、この集会に先立ち、アンリエッタとアルブレヒトから封緘(ふうかん)命令を受け取っていた。
 命令の但し書きには、「集会の終了後に開封のこと」とある。
 内容は、ラ・ロシェールからの撤退と原隊への復帰を命ずるもので、トリステイン軍とゲルマニア軍は、ガリア軍を先に撤収させたのち、自らもラ・ロシェールを離れた。ティファニアは集会終了後ヴェネッサとともにアルビオンへもどり、ルイズはヴァリエール城に去った。

 それからほどなくして、教皇聖エイジス32世から、ハルケギニア諸国にむけて宣言が発せられた。

先日、古文書館において、驚くべき古文献が発見された。
 その文献によれば、始祖ブリミルが召喚した4つの使い魔のうちガンダールヴは、サーシャなるエルフの女性であった。さらに、ブリミルの長子ロタール、次子ルイ、三男シャルルおよびフォルサテに嫁いだ娘リュドミーラは、すべてサーシャとの間にもうけたハーフエルフであった。
 すなわちアルビオン女王ティファニア陛下は、血筋の面からいえば始祖の時代の伝統に立ち返った存在といえる。なおかつ、アルビオンの信徒たちによれば、アルビオンの女王陛下は、心優しく、ふるまいは誠に敬虔で、かの国の善男善女の手本たるにふさわしいという。
 よってここに、アルビオン女王陛下に対する異端宣告および、アルビオン女王の臣下たち若干名に対する破門宣告を撤回するものとする。
 始祖と神々の驚くべきみわざに感謝を


 この宣言をうけて、ラ・ロシェールに残っていたロマリアの諸侯軍と聖堂騎士団も、ようやく撤退に着手した。

 ジュリオは、教皇ヴィットーリオの宣言からほどなくして、バーラトを離れてヴィットーリオのもとに戻ることを許された.



[39254] 【完結】第5話「大隆起」
Name: 山田太郎◆c8b14625 ID:55a6cbb5
Date: 2014/01/19 16:59
2012.12.28初稿
2013.1.4【ゼロ魔】板より移転

******************************
 
 教皇特使がアルビオンに派遣され、「首長(Defender of the Faith)」たるティファニア女王をはじめ国教会の各級の聖職者たちに対して“聖エイジス32世の祝福”が与えられ、これによりアルビオンの教会組織会は、形式的にはふたたび教皇の権威下に入った。“カンドーマの呪い”を受けて教皇のもとに逃げ出していた各国の教会関係者たちも、“解呪(ディスペル)”を受けて順次もとの職場に復帰し、表面上は平和が回復されつつあるようにみえる。
 しかし一連の騒ぎの間に、ロマリアが数十世紀をかけて間に各国に張り巡らせていた諜報網は白日のもとにさらされ、完全に無力化されていた。

 教皇ヴィットーリオは、無私の人。純粋に、ハルケギニアの行く末を憂い、信仰に生きる正義の人であった。
 近来の彼の憂いは、ハルケギニアの破滅をもくろんだガリア王ジョゼフの難に、地中の風石が飽和することによって引き起こされる大隆起の難。
 ジョゼフの難は去ったが、大隆起の難への対処はこれからだ。
 その為には、「四の四」の足並みをそろえ、ハルケギニア諸国を「聖地」奪還に動員せねばならない、というのがヴィットーリオの確信である。
 彼と腹心ジュリオ・チェザーレは、そのためならいかなる汚い手段にも邪悪な企みにも、ためらいは持たなかった。

 大を生かすために小を切る。
 思うようにならない虚無の担い手や役にたたない虚無の使い魔は、命を奪い、都合のよいのが出現するまで取り替え続ける。
 一国の国王を取り替える。
 人の心や肉体を魔法や薬物で操り、必要によっては命を奪う。

 ヴィットーリオとジュリオは、道徳的な後ろめたさと、自分たちの決断で命を奪い、あるいは運命をゆがめることになる者たちへの申し訳なさに、心の中で血の涙を流しながら、断固として目標に向けて邁進し続ける覚悟であった。

 しかるにトリステインの担い手ヴァリエール公爵令嬢の実力は、彼らの想定を遥かに越えていた。
 アルビオンの女宰相ホワイトヘイブン卿がヴァリエール公爵令嬢の偏在である可能性に気付き、ヴァリエール城に刺客を差し向けたとたん、彼女の激烈な反撃が始まった。ロマリアの力量の総力をあげてトリステイン・ゲルマニア、ガリアの四カ国連合軍を動員させるところまでこぎつけたが、結局はまったく手も足も出せぬまま、ひねりつぶされたといってもよい。 
彼女の一党が圧倒的な力を見せつけたにも関わらず、ヴィットーリオやジュリオらにとどめをさして葬ることなく追求の手をゆるめた意図は不明であるが、生き残ったからには、“「四の四」をそろえて聖地に立つ”という目標を投げ出すわけにはいかない。

 そんなものおもいにふけっていたヴィットーリオにジュリオが書類つづりを差し出していった。

「聖下。火竜山脈の観測隊より、報告が届いております」

 ジュリオは、バーラト国でオルレアン大公夫人やジョゼットともにひと月あまりも“国賓”待遇で歓待をうけ、最近ようやくヴィットーリオのもとに出仕することが許されたばかりであった。

「見せてください」

 書類をうけとると、ヴィットーリオをゆっくりと目を通した。

「以前の結果と、変わりはないようです」
「というと、あと、四日ということですね」

 ヴィットーリオは頷いて言った。

「各国の首脳に警告の書状をおくる準備を」

                    ※             ※

 ガリアとロマリアの国境地帯にわだかまる火竜山脈。この山脈が突然、地震とともに宙に浮き上がった。
 全長120リーグもある巨大な陸塊は、晴天には、はるか離れたガリア中央部やアウソーニャ半島の中央部からも遠望された。
 ほぼ時を同じくしてヴィットーリオの警告の書簡が各国首脳のもとに届いた。
 書簡は、ハルケギニアの各地の地下で風石が飽和状態におちいりつつあり、全土のおよそ5割が浮上する可能性があると指摘していた。
 ハルケギニア諸国は驚愕し、各国のアカデミーはそれぞれの国土を調査した。
 その結果は、ヴィットーリオの警告を裏付けるものだった。

                 ※                 ※


 教皇ヴィットーリオが「大隆起」への対策を話し合う国際会議の開催を呼びかけ、ハルケギニア諸国の首脳たちがロマリア北西部の町アクアレイアに集まってきた。
 しかしトリステイン・ゲルマニアは皇妃アンリエッタと皇帝アルブレヒト、ガリアは女王シャルロット・エレーヌのみが現れ、ヴィットーリオが特に指名して参加を“依頼”した虚無の担い手(ルイズとイザベラ)が来ていない。アルビオンも“全権代表”と称して、新宰相のサウスゴータ女太守マチルダとその夫君ジャン・ジャックを寄越し、女王にして虚無の担い手たるティファニアは不参加である。
 すなわちこの場には、4人いる虚無の担い手のうち3人までが欠けていることになる。
 「四の四」が足並みをそろえて『聖地』に立たねば意味がないというのに……。

 ヴィットーリオは、腹立ちを押し殺し、熱弁をふるう。

「…。『聖地』には、始祖の残した巨大な魔法装置があります。この危機を乗り切るには、この魔法装置を用いるしかありません。そのために我々は『聖地』におもむく必要があるのです」
「エルフと、戦争…ですか?」
「いえ、必ずしも戦う必要はありません。まずは“交渉”です。我々が『聖地』に立ち入り、魔法装置を使用することを許可するよう、エルフたちに求めます。戦いとなるのは、エルフがこれを拒否した場合のみです」
「しかし、エルフが我々に『聖地』への立ち入りを許すでしょうか?」
「まずは、辞を低くし、頭をさげて、我々の窮状を訴えます。誠意をつくせば、たとえエルフといえど、我々の真心が通じるかもしれません」

 トリステイン・ゲルマニアの皇帝夫妻と、ガリア女王は、冷ややかな視線をむけてこのやり取りを聞くだけで、ひとことも発しない。

「皇帝閣下、皇妃陛下、なにかご意見はありませんか?」

 アルブレヒトはしばらくアンリエッタと顔を見合わせていたが、やがて口を開いた。

「聖下。その“始祖の魔法装置”というものは、『聖地』に“実在する”のか、それとも“実在すると伝えられている”だけなのか、どちらですかな?」

 ヴィットーリオは、一瞬ことばにつまる。
 『聖地』には、実際には“始祖の魔法装置”など存在しない。古くから開いている、異世界とつながった「ゲート」がひとつあるだけだ。
 …。
 
「……装置はまちがいなく『聖地』に存在します。ロマリアが送り込んだ間諜たちが命がけで確かめた情報です」

 とたんにアルブレヒトが一瞬目をすっと細めた。
 しばらく沈黙したのち、やがて口を開いた。

「その装置にはどんな機能がついておるのですかな。はたして現在われわれが直面しようとしている困難に、役にたつようなものなのですかな?」
「それは……」

 ここで断言してしまうと、どんな根拠で断言できるのか、動かしてみたのか、などさらにうるさく追求されるのが目に見え得ている。

「機能の詳細は伝えられていないのです。かつていちど、始祖がこの装置を使用して、彼が率いる民を救ったとしか、わかりません」
「ハルケギニア2300万人の民を確実に救えるかどうかは、不明なのですな?」
「……残念ながら“救える”とは断言できません」
 
 アルブレヒトが質問を終えると、今度はシャルロットが手を上げた。

「“四の四”がそろうことで初めて発動が可能となる虚無の大魔法“生命”について、詳細を開示していただきたい」

 ヴィットーリオは、またもことばにつまった。
 はたしてガリアの女王は、そして彼女の背後にいる3人の担い手たちは、“生命”についてどこまで知っているのだろうか。
 真実を隠したままいいくるめるべきか。あるかぎりの情報を開示すべきか。
 ヴィットーリオが判断にまよっていると、シャルロットはさらにたたみかけてきた。

「“生命”には、“犠牲”にみあう効果があるのですか?」

 “犠牲”!“効果”!
 ガリア女王は、そして彼女の背後にいる者たちは、“生命”について、何を、どこまで知っているのだろうか。
 ヴィットーリオが答えに窮していると、アルブレヒトとアンリエッタ、シャルロットの3人がおもむろに立ち上がり、アンリエッタがヴィットーリオにむけて告げた。 

「まことに恐縮ですが、私たちこれから所用がございますので……」

 引き止めるのも聞かず、退室していった。
 
 ヴィットーリオは顔色を蒼白にして立ち尽くしている。

 クルデンホルフ大公が
「ハルケギニア史上これほどの緊急事態はないというに、別に所用とは……」
と声をあげ、他の小国の首脳たちも同意のつぶやきをあげるが、トリステイン・ゲルマニアとガリアの3国を欠いた“国際会議”で何を決めようと、ハルケギニアを動かす力はない。途方に暮れた一同が、あてもなく議論を続けていると、アルビオンの全権マチルダが立ち上がっていった。

「アルビオンから皆さまに、提案があります」

 副使のジャンジャックと手分けして、一国に一通づつ、書類を配布していった。
 書類の文面は次のような内容であった。

             ※                     ※

とこしえの天の力のもとに
善神ズルヴァーンおよびオフルマズドの加護のもとに
大梵天と諸天善神の加護のもとに
千手千眼聖観世音菩薩の庇護のもとに
ハルケギニアを守護したもう神々と始祖ブリミルのご加護のもとに

グラン・チョウィア(大周)の一〇〇世皇帝の全権代表チャン・ウェイ
 および
グラン・イラニア(エーラーン・シャフル)のデーン・サーラール(教祖皇帝)の全権代表スィースィン
 および
虚無の担い手にして、かつグラン・バーラティア(バーラト)のマハー・ラージャの全権代表イザベラ・ド・ガリア
 および
虚無の担い手にして、かつグラン・ボティア(チベット)の大ツェンポの全権代表ルイズ・フランソワーズ・ド・ラ・ヴァリエール
 および
虚無の担い手にして、かつアルビオンの女王ティファニア・オブ・アルビオンのことば。

 ロマリア国の国主たる聖エイジス32世聖下
  および
 クルデンホルフ大公殿下
  および
 その他ハルケギニアの大小諸国の国主たちに告げる。

グラン・チョウィア、グラン・イラニア、グラン・バーラティア、グラン・ボティアおよびアルビオンの5国は、ハルケギニア諸国が直面する甚大なる困難を哀れみ、可能なかぎり多数の避難民を受け入れることで見解が一致した。5国が受け入れ可能な人数はそれぞれ、
 グラン・チョウィア:900万人
  グラン・イラニア:500万人
グラン・バーラティア:700万人
  グラン・ボティア:80万人
     アルビオン:40万人
である。すでにトリステイン・ゲルマニア連合帝国およびガリア王国が避難民の受け入れを要請してきたが、ハルケギニアの残る諸国の民を根こそぎ受け入れたとしても十分にあまりある数値である。

 本日ただいまより、トリステイン王国ヴァリエールの地にて、避難先の配分などの実務的作業に関する国際会議を開催する予定である。
 大隆起が継続している間、国民をアル・ロバ・カリイエの4国およびアルビオンに避難させることを希望する諸国は、よろしく全権代表をこの会議に参加させるべし。

                ※                  ※

 アクレイアに集結していたハルケギニア諸国の首脳たちは、教皇ヴィットーリオもふくめ、全員がそのまま、ルイズが開いた”世界扉”を通ってヴァリエール城に移動した。
 アル・ロバ・カリイエ諸国の代表も交えた国際会議の席上、ヴィットーリオは、もはや『聖戦』も「始祖の魔法装置」も「四の四」も「生命」も一切持ち出す事なく、ロマリア国の国主の立場で、ロマリア国民がよりよい条件が得られるべく、最善をつくした。

 ハルケギニアの民の“エクソダス(大脱出)“は、途中から、持ち上がる大地や頭上からふりそそぐ土砂・岩塊から逃げ惑いながら行われることになったが、ヴィットーリオは「私はハルケギニアを離れる最後の人間になる」と宣言し、ハルケギニア諸国の人々の組織的な脱出に最後まで全力を尽くした。


感想掲示板 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.02611517906189