「それでそのヤーファの客人とやらは何処かへと旅立ってしまったのかい?」
「ええ、一応引き止めてはいたのですが『面倒なので失礼する』として―――去っていかれましたよ。これが人相書きになります」
自分が居ない間に、レグニーツァにて起こったことの報告を受けていた煌炎の朧姫(ファルプラム)アレクサンドラ=アルシャーヴィンは、文官から渡された人相書きを手に取る。
その絵が鮮明であり写実的であるかは分からないが、絵の中には三人の女性と……一匹のネコがいた。
自分より長い黒髪に独創的な衣装をした女性。格好は普通というか身軽な印象で金色の髪を頂点で結っている女の子、長い白髪を腰まで伸ばした女性、衣装はどこか重そうな着物を着ていた。
そんな三人のインパクトが薄れるぐらいに……直立したネコ……外套を着込んで眼帯をしているのだ。
体格こそ人間サイズではないものの、やはりこの絵を描いた人間の精神状態を疑いたくなる。
「けれど……このネコさんは、喋ったあげく「サカガミ」と名乗ったんだねマトヴェイ?」
「はい。航海中は色々と悩みましたが、やはり喋りもするし、自由騎士と同じような剣術で海賊船を沈黙させました……字は「ジュウベイ」。『坂上十葉官兵衛』とヤーファの文字で書くそうです」
海の男であるマトヴェイの言は偽りが無い。船乗りの掟として、不義理は犯せないのだろう。
サカガミの姓を名乗り、リョウと同門であろう……ネコ。
頭に引っ掛かるものを感じながらも、サーシャはその旅人達と一度会っておくべきであったかと、少し後悔する。
そんな自分の苦悩など知らぬのか……朱灰色の幼竜は、机によじ登り机に投げ出された絵を見て―――喜ぶような表情を見せた。
その絵を取って頬に撫で付ける様を見せていた。自分がリョウに甘える時の仕種のようなそれを見て――――サーシャに天啓が降りてくる。
「思い出した!! このネコは間違いなくリョウのお父上だ!!」
「何故そこまで断言できるのですか?」
老文官の言葉に頭に浮かんだことを『そのまま』伝える。
そう。あれはいつぞや夜伽の後の『後戯』の際に聞きだした話の一つだった。
リョウのご両親、武士である父君と巫女姫であった母君の出会いの話とその後の――――顛末の一つ。
それを怨念の話と見るか悲恋と見るか……人によって評価が分かれようが、それでもその時は話半分に聞いてきたことの一つだった。
語り終えると同時に、サーシャ以外の全員が何ともいえない表情をしていた。
目の前の女性の「生々しい話」を聞かされて、文、武官一同。どんな顔をすればいいのか分からなかった。
しかし一堂の中で勇気を出して、リプナ市長ドミトリーは話の続きを促した。
「では戦姫様、このお客人たちの目的をご存知ですかな?」
「マトヴェイに語ったとおり、観光とリョウの様子見じゃないの?」
「まぁそう考えるのが当然ですが、ヤーファ人の全てが自由騎士のような人物なわけはないでしょう」
「―――ドミトリーは、この中に『不審』な人間がいると見たんだね?」
リプナに着いた後に、この客人たちの接待の相手をしていた男の証言。それを今までとは違い、為政者としての態度で受けるサーシャ。
頷いたドミトリーは、中でも「カズサ」「ヒヨノ」なる女性は、普通ではないと感じた。
ただの武士ではなく……恐らく戦姫などの「国」持ちの領主であろうと見えたと伝えてきた。
「まぁヤーファの詳細な政治体制は僕も知らないからね。しかし……仮にもしも、そんな『人間』を派遣するなんて、何かあったんだろうか?」
自分とリョウが戦姫エレオノーラの別荘で会っていた時に彼は、この事を知っていたのだろうか?
仮に知っていたとしても伝えるべき事項でないと考えたのか、それとも……数週間前に会ったというのに再び会いたくなるのは……この黒髪の「カズサ」なる女性が、もしかしたらばリョウと色々あったご主君である「サクヤ」なのかもしれないからだ。
サーシャの心の中に明確な嫉妬心が芽生えてしまう。もしも知っていて教えなかったということも考えられる。
国公事に関わることだったらば簡単に自分にも教えられないはず。
(けれど私的なことで、今回の来訪を黙っていたのかな……?)
胸が締め付けられる思いだ。ヴァレンティナやエリザヴェータ相手ならば、ここまでの事は無い。
まだお互いに知り合って一年も経っていないのだ。けれど、ヤーファから来たこの人たちはリョウと同じ「長い時間」を過ごしてきた人なのだ。
(駄目だな……弱気になりすぎだよ……)
と気持ちを諌められたのか、腰に差している双剣が炎を出していた。それは特に自分を害するものではないが、それでも尻に火を点けられた気分だ。
見ると、レグニーツァの入り口で彷徨っていた幼竜も自分の胸に飛び込んで見上げてきた。
名前はまだ付けていないが、いずれ立派な名前を付けてあげようと思う。
「成るように成るしかないね。彼の行動を全て知れるほど僕らも大きな木々じゃないからね」
「『鳥』というには大きすぎ、熱すぎますからな」
『不死鳥』の止まり木になるには、レグニーツァ及びジスタートは、まだまだかもしれない。ただ彼はどこそこに留まっていられる人間でもないのだろう。
苦笑してから気持ちを切り替える。付き合いの長さで情の深さが決まるわけではないのだから
「いずれ直接会ってみたいね。それで奇態なヤーファのお客様の話題は兎も角として、他の大きな報告事項は?」
「大きいというわけではありませんが、ライトメリッツとオルミュッツが不穏な空気を見せております。報告が数日前なので戦になった可能性もあるかと」
「穏やかじゃないね。ザウル」
あの会談でティグルヴルムド・ヴォルンは、リュドミラ・ルリエの心を掴んだはずだが、どんな変節があったのだろうか。
そうして考え込んでいた自分にもう一つの話が上がる。諜報官というか、間者の頭というか、まぁそんな部署の武官からの報告に少し耳を疑った。
「―――カザコフ卿がプシェプスにやって来た? ……目的は?」
「私的なものだろうと思われます。供のものも殆ど居らず、妻子を伴った私的な旅行だと思われますが……」
「まぁ比較的近場のルヴーシュの戦姫との仲が最悪なのは、聞き及んでいるけれども……」
ただの観光であれば別に領主として、そこまであれこれ言う立場にない。
客人としてお金を落としてくれるならば、それを拒めるわけではないのだ。
とはいえ、用心しておくに越したことはないだろう。
(まずはリュドミラだね。彼女は最後まで手強く立ちはだかるよエレン、ティグル……)
ここからは見えないものの窓の外の景色。その向こうに見えるはずのタトラ山脈。
凍てつく冷気と険しき山々、それらを想像して何気なく寒気を覚えてとことこと着いてきた幼竜―――火を象徴して暖かい子を抱き上げて、再び窓の外の景色―――城下町の様子に目を遣る。
この景色を砕くようなことがあれば、その時は再び戦場に立つ。
そこに――――またリョウ・サカガミという自分だけの「騎士」がいてくれれば嬉しい。と思ってサーシャは、再び仕事に邁進することにした。
† † † † †
「こちらオルミュッツの騎兵長であり衛兵長でもあるピピン殿、今回のことで色々と世話になったんだ」
「こういっては何ですが、このような形では、お初にお目にかかります風の戦姫殿」
戦士として鍛え抜かれた身体。槍のような、壁のような印象を受ける長身でありながらも筋肉を程よく付けた中年の男性が挨拶をする。
衛兵でありながらも、恐らくその鍛錬は騎士の時代から衰えたことがないだろう人間だ。
「あなたの噂は色々と聞いている。先代、リュドミラの母の時代には冷壁将軍と呼ばれた人物だと聞いている」
「私は戦姫様の騎士でありますが、同時に大公閣下の一番槍でもありましたから、大公様が隠居されると聞いた時に同じく閑職に退かせていただいたのです」
鍔の長い帽子を幕舎に用意された机の上に置きながらピピン殿は、苦笑して身の上話はその辺でいいのではないかと伝える。
彼の武勇伝でも聞きたかったのかエレンは、一度だけ肩を竦めてから経緯と結果のほどを聞くことにした。
自分―――ティグルも交えたその説明は、まずオルミュッツに入った時から始まる……。
公国オルミュッツに入ったティグルはまず指示された通り、中央広場にて人目を少し気にしつつも「イクユミヤ」を三度ほど打ち鳴らした。
矢を番えられていない弓を引っ張るティグルに少しだけ住民や広場の商人達は訝しむ思いであったが、それでも打ち鳴らした弓の音が響くたびに身体の芯に響くようであった。
その後、少し目立つもののティグルは、そそくさと広場を退散してから街の薬師の下へと向かうことにした。
オルミュッツの薬師……というよりも施療院の人は院内に居なかったものの奥に呼び掛けるとやってくる辺り、ここのご家族も、あの「シノビ」にやられていたのだろうと察せられる。
薬師―――女性の方は疲れている様子であった。リョウの言葉を信じるならば広場での「祓い御稜威」で何とかなったはず。
それとなく探りを入れることにすると、寝込んでいた息子、薬師の義母が容態の急変を伝えたとの事。
「悪くなったんですか?」
「いいえ、苦しげな様子が無くなったんですが……、今度は熱が出てきて、ただ喋れるぐらいにはなったので、義母に呼ばれていたのです」
どういった呪いを掛けたかはリョウでも分からなかったので、そこは推測に過ぎないが、回復に向かったと見ていいだろう。
そうしてから、手紙一通と『薬袋』を取り出す。
院内にある植物は、薬に関しては素人なティグルから見ても見事なもので、『生成』は可能だろう。
「!? これは……!?」
「西方の『自由騎士』より託されたものです。私の事は信じられないかもしれませんが……どうかリョウの事は信じてください」
「―――少しお待ちいただけますか?」
深く一礼をして、薬師殿は匙を使い、袋の中の『特効薬』を適量測ってから二階に上がっていく。
(後は……天に任せるのみだ……)
説客というのは、こうした『説得工作』が通じなかった場合、殺される運命にある。リョウの渡した薬が、快復させるのか、それとも悪化するのか……。
信じるしかないのだ。そうして静かに心穏やかにして、半刻ほど経とうとした頃に、薬師の女性が降りてきた。
少しだけ泣いているような様子。どちらなのか分からないが、それでも結果を問う。
「ありがとうございます。旅のお方……! 息子の熱が下がって起きあがれるようになりました……!!」
「リョウ・サカガミが渡したのは、まず特効薬だそうです。手紙の中身にあると思いますが、時間をかけて『毒』を抜く解毒薬の精製をお願いします」
「オルミュッツの医者全てを使ってでも生成させます。となると……これを皆の所に届けなきゃいけない」
薬師の女性は少し動転しているようだが、リョウもまさか最初からこの展開になるとは読んでいなかっただろう。
本来ならばこの女性―――オルミュッツの「騎兵長」の奥さんの信用で、全ての患者の快復をするはずだったのだが……この家の子供までが、そんなことになっていようとは……。
少し予定違いながらも、自分が全ての人間に届けてくるのが肝要だろう。
しかし自分で言っておいて自分のような信用あるかどうか分からぬ男を招きいれてくれるとは限らない。
と考えていると、二階から一人の老女という割りには腰がしっかりした女性が降りてきた。
「それならば私が付き添おうか。孫も私の様なババアよりは、母親の手で看病してほしいはずだよ」
「お義母さん……」
「若いの、エスコートを頼もう」
「喜んで」
この街で自分など外様も同然だ。自由騎士の伝言役と言っても、それに信用がつけられるかどうかなど別の話だ。
―――そうして二刻するかしないかの内に、老人―――何でも、宿屋の侍女長をやっている女性の言葉が全ての患者の家族に伝わり、全てが終わった。
特効薬を全ての家に回って渡すよりも、広場に来させて持って行かせた方がいいという、老女の献策は実ったのだった。
予想外に早い仕事。しかしながら、少しばかり騒ぎになりつつあるので、即座に次なる行動に出る。
「ありがとうございました」
「礼を言うのはこちらの方だよ……これからどうするか?」
一礼をして、身仕舞いをしたティグルに問い掛ける老女。その言葉をはぐらかすことも出来たが、とりあえず協力してくれた人物なのだ。
真実を語らなければ、恩知らずである。モーラに窘められる気分を思い出しつつ、一応の事情を話す。
自分はライトメリッツと同盟関係にあるブリューヌ貴族の一人で、戦姫リュドミラ=ルリエとも話したこともある。
そして―――今回、ライトメリッツとの戦争になった原因も知っていると―――。
「なるほど、道理でお嬢様らしくない対応だと思ったが……そういうことだったとは……それで伯爵殿は、これからどうする?」
「タトラに向かおうかと、大公閣下―――戦姫殿のお父上も同じく取り返すこと出来れば、無駄な血を流さなくて済む」
「……ならば私の息子を就けよう。存分に使いなされ」
そうして老女は二階から降りてきた時と同じくしっかりとした足で街門の方へと歩いていく。
驚きつつも荷物をまとめてティグルもそれに続く。そうして衛兵詰め所に入っていく老女。
少しすると、―――20代後半だろう人間、軽装の騎士風の男が槍一本を持って出てきた。
その後に老女も出てきた。
街に入る際には見なかったが、この男も衛兵なのだろう。しかし何故出てきたのやら。
「大公閣下の捜索に協力するピピンと申します。伯爵閣下、どうかよろしくお願いします」
「え?」
言われたことの意味が、少し分からなくなってしまった。だが老女は得心したように頷くのみだ。
そしてピピンなる男の規律正しい敬礼に驚くのみだ。
「では皆、後は頼んだぞ。私はヴォルン閣下と共に再びタトラに大公様をお救いに行く」
『はっ! 隊長もお気をつけて!!』
この男がオルミュッツの公都の門番の中でも一番に偉い人なのだと思い、何故そんな人が自分に協力してくれるのだろうと思う。
「私の一人息子を救ってくれたのは、閣下だと母から聞きましたので、それに大公様は私にとっても尊敬すべきお方でしたので、今度こそ―――お救いしたいのです」
その目に決意の程を見てから、旅の供をこちらからもお願いする事にした。
「礼には及びません。詳しい事情は、道すがら―――旅支度もありますので」
慌てるピピン殿だが、こちらとしても分からぬ旅路であったのだ。道案内してくれる人が現れて本当にほっとしていると、先程の薬師―――関係から察するに、ピピン殿の奥さんがやってきた。
手には旅道具らしき一纏めの荷物。受け取ったピピン殿は準備完了したと言ってきて、出立を促す。
「よろしいんですか、奥様と一言なくて……」
「昔から心配掛けっぱなしなので、今更です。今は、両閣下のお命を守ることが私の使命ですので」
心残りを置いて生きたくないと言うピピン殿の決意は固く、だからこそこの人は絶対に生きて返してあげようと思った。
何が何でも、自分の黒弓の力を使ってでも―――成し遂げることが増えた瞬間だった。
そうしてオルミュッツ国民の見送りの元、その時は知らなかったが、かつて『冷壁』と呼ばれた将軍と共にタトラ山へと赴くことになった。
† † † †
一息つく形で話が途切れる。その間に暖めておいた葡萄酒(ヴィノー)を二人の前に差し出す。
喉を湿らせるそれを口にして一心地突く二人、日数から考えるに自分達がぶつかる三日前には、彼らはタトラに上がり大公閣下の再捜索にかかったはず。
「それで大公閣下を取り返せなかったってのは……『見つける』ことは出来たんだな?」
「ああ、近くに行けば見えなくなる変な「まやかし」でもあったのか、まぁそれは何とかなったんだけどな」
苦笑しつつ語るティグル。『結界』を解いた術も含めて説明を求めていく。
――――タトラに入った後に、山師的な嗅覚でティグルは、大公の居場所を探していく事にした。
如何に、人質にしているとはいえ、排泄や食事は欠かせないし、監視役の人間の『補給』なども必要なのだ。
人質は生きているからこそ意味があるのであって、特に戦姫のような激発すれば万の人間も鎧袖一触な人間の縁者なのだから、扱いは慎重になっているはずだと当たりをつけて捜索を開始した。
下手人があの「忍者」であるならば、ティグルは確実に大公は五体満足で生きているはずだとして―――タトラにある人の痕跡―――それに目を点けて探索して言った。
山に入って二日目になって―――遂にティグルとピピンは遠くにある―――山小屋を発見した。
降り積もる雪に隠れきれず残るものを元にして、見つけたそれに間違いないと確信するも……。そこに近づけなかった。
「おかしいですな。道は正しいはずなのですが」
「まるで幻でも見せられているようだ……」
400アルシンあるか無いかの距離。無論、雪山に建てられた小屋、可能な限り雪崩で流れないなだらかな傾斜ではない所に、作られているのだが……険しいわけではない。
元の山道、最初の出発点に戻るとやはり目指した所に、山小屋はあるのだ。
おかしな限りだが……ここまで来るとティグルもそれとなく察しが着いていた。
恐らく、ロドニークからの帰り道で自由騎士リョウが使った「光の勾玉」による幻惑と、捕虜生活の時にエレンが副官である女性の部屋に潜りこんだ際の「空気の屈折」などによるもの……そういった「まやかし」の類が使われているはず。
山に登る前のブルコリネ平原の様子から察するに、そろそろ両軍がぶつかり合う頃だと思うので、助けを求めるのも一計だが……そもそもそのぶつかり合いを止めたくて、ここまでやってきたのだ。
山を降りる事はありえないとして『イクユミヤ』に矢を番える。あの黒弓と同じ要領で力を込める動作をする。
朱色の和弓はティグルの技量全てを費やしても更なる「先」を見せるかのように、扱いに「楽苦」する。
四百アルシンの先すらあるのではないかというほどに、楽しめる。
踏足、組足の取り方。弦の引っ張り方。姿勢の変え方。
それら全てをどこまでも改良して「先」が、あるかのように思える。
リュドミラの父や、今にも山の下で命の華を散らしあう戦士達には、不謹慎かもしれないが、ここまでとは思っていなかったのだ。
山小屋に対して照準を合わせる。鏃の先端に黒弓とは違う色の力が集まる。
『黄金色』のそれらが十分に集まった瞬間に、それらを飲み下すと同時。ティグルは弓弦を離して、番えていた矢をタトラの山に飛ばした。
黄金色の軌跡を残しながら、目測四百アルシン先の山小屋に進む―――少し上向いた所にあるそれを目指した矢は―――途中で何かを砕きながら、山小屋への真実の「道」を白日の下に晒した。
「まさか戦姫様以外に、このような事を出来る方がいるとは……いやはやお見事です」
「俺としては、こんな力よりも山小屋にまで届かなかったことが不満だ」
ティグルとしては山小屋の屋根を吹き飛ばして、敵を混乱することも目論んでいたのだ。
しかし、これにて四百アルシン先の山小屋に突入をかけることが出来るようになった。声を掛けつつも山の険道を進みながら、山小屋を目指す。
大公閣下を移動させるとしても、あちらも思い切った行動が取れないだろう。
希望的観測にしか過ぎないかもしれないが、下手人がどこから「まやかし」を突き破ったか分かったならば、その方向からの襲撃を警戒するはずだ。
全てが憶測任せの行動だ。だが最後に全てを決するのは、その憶測を「現実」のものとするための「勇気」。
ピピンと共に山小屋に突入を仕掛ける。残り3アルシンという所で、林の中を突っ切ろうとした瞬間に、クナイや「シュリケン」なるものが飛んできた。
「ティグルヴルムド殿!!」
瞬間、自分の前に立ち塞がったピピンが、ミスリルの槍を振り回す―――というより風車のように振るった。
飛び道具の類がそれによって封じられると同時に、ティグルは林を出て己の身に雪が積もるも、ようやく辿り着けた山小屋に安堵する。
「っ! あの時の弓使い!!」
「アルサス領主ティグルヴルムド・ヴォルン!」
山小屋の屋根に立ちながら、こちらを睥睨する―――同じ顔の女子。襲撃の時、果敢にエレンに斬りかかった双子だと気付く。
見ると歳はオルガと同じぐらい、背も似たほどだろうと改めて気付かされたが、それ以上のものが見えた。
「大公様!!」
ぐったりとした様子で、双子に「担がれた」中年の男性。それに気付いたピピンの声で身じろぎする大公。
見た瞬間に和弓が「鳴る」感覚を覚える。イクユミヤが伝えるものとはつまり……、あの大公の身にも呪いが掛けられているということだ。
ピピンに見えているかどうかは分からないが、ティグルの目には大公の身に茨のようなものが何重にも巻き付き、自由を奪っているように見えていた。
リョウの言うとおりならば、イクユミヤの弦を鳴らせば―――と思うも、流石に現在そんなことは出来ない。
双子による攻勢は止まらない。飛び道具を躱しつつ矢を番えるも……百戦錬磨のティグルですら、狙いを着けるのは容易ではないのだ。
下手をすれば、大公閣下に当たると思いつつ、短剣を抜きつつどうしたものかと思う。
あちらも、こちらの腕を知っているだけに山小屋の屋根から降りようとはしていない。
「ティグル殿! 私が突破を掛けます。数秒でいいからあの女子達の攻撃を止めさせてください」
「危険だ。俺はあの双子がどういったことを出来るか知っている。二人がかりならば戦姫と打ち合える人間だ」
とはいえこのままでは千日手だ。こちらでもあちらでもいいから何か膠着を抜けるためのアクションが欲しい。
などとどこに隠し持っていたのかと言いたくなるほどの飛び道具の乱舞を避け続けていると、あちらに変化が現れた。
林を抜けて、影のようなものが飛びながら、山小屋の屋根に降り立った。
『サラ様!』
「結界を崩され、見に来たら……お前か、ティグルヴルムド・ヴォルン」
双子の言葉でやってきた人間の正体を知る。金髪の忍。ザイアンを殺したのが誰かと問いを発した女だ。
「エルル、アルル。貴様らは大公を連れて城砦に行け……人質の無事をリュドミラ・ルリエに見せてやるようだ」
「戦は―――どちらに微笑んだの?」
「決着着かずだ。戦乙女として祈りを捧げるのは、まず城砦に行ってからにしておけ」
どちらが『エルル』で『アルル』なのか分からないが、一方が神妙な面持ちでそんなことを聞いてくると、即返すサラという忍者。
しかし警戒は緩んでいない。隙の一つでも出来ると思っていたが、予想外にこちらを見てきているのでティグルとしても何も出来なかった。
やり取りの終わりと同時に、エルル、アルルなる―――耳の長い双子達は、屋根の上から去ってしまった。
「っ!」
即座に後を追おうとしたピピンとティグルの眼前に立ち塞がる忍者。
リョウがいないから舐められているのか、それとも秘策でもあるのか、既に必殺を放てる距離ではある。
前衛にはピピン。倒そうと思えば倒せないわけではない。
「ティグル殿……あの女が全ての黒幕ということでよろしいのですかな?」
「ああ、知る限りではテナルディエ公爵の暗殺者……狙ってきたのは俺のはずなのに……」
「如何に戦姫と言えども、所詮は人の子だな。情に付け込めば……ブルコネリで命を散らした将兵も、まさか主君の親の為に戦っているなど思いもしまい」
嫌な笑いをする女。視線も自然ときつくなるのを避けられない。この女は領民とリュドミラの親を人質にして、戦争を誘発した。
裏側の事情を知ってしまえば、人によっては馬鹿馬鹿しくなるかもしれないが、だが親兄弟、己の子供の為に戦うことほど戦士としての誉れは無い。
ザイアンとて敗走する自軍の将兵を守るために自分に一騎打ちを挑んだのだ。
(その気持ちが分からないのか)
女というものは総じてそういうものなのだと、分かっていても……。ティグルは歯軋りしたい気分だった。
「何を言うかと思えば、そんなことか、オルミュッツの騎士達は、長くルリエ『家』に仕えてきた騎士だ。先代戦姫様が心底惚れられた大公閣下は我らにとっても尊敬すべきお方だ。戦士の覚悟を舐めるなよ暗器使いごときが」
「ならば……貴様も、ブルコネリで死んだ連中と同じくなるだけだ」
クナイを取り出すシノビと槍を構えるピピンが対峙しあう。一瞬だけ、ピピン殿がこちらに視線を向けた。その意味を知れないほどではない。
しかし……刺し違えるなどという結果を齎したくないとして、それに頷くことだけはしなかった。
「姫様の心を乱して、我が子に災いもたらした貴様を―――我が槍に賭けて倒す!!」
轟っ! という音と共に、突き出される穂先とクナイが打ち合う。何合もの打ち合い。その距離で打ち合う限りは毒を撒き散らすことは出来ないだろう。
隙を見出してティグルはピピンを援護する矢を放つ準備をする。雪が撒きあがり、踏み込まれる足と共にその下の土も噴きあがる。
騎士と忍びの土俵違いというには拮抗している戦いの間隙を縫って、ティグルは――――――矢を放った。
ピピンはそれを見ながら『後ろ』に倒れこんだ。ピピンの後ろより放たれた8アルシンの距離を進む矢。
斬り合いを中断させられたサラは考える。恐らくこの男のことだ。躱した所で上体だけを起こして、槍を突き刺してくるに違いない。
しかし飛び来る矢を完全に躱すことは、不可能だ。
(ならば!!!)
望んだ仇敵が、そこにいる。というのならば―――――数瞬の思考。高速での考えの下での行動を甲賀忍者「双樹沙羅」は、実行に映した。
後ろに飛び退きながら手を突き出す。得物を滑らなくするための手袋一枚。布一枚のそれを前に出して矢を―――『受け止める』。
鏃が薄布を突き破り、掌を貫き手の甲に突き出た一矢。その痛みが……心地よい。
ザイアン様も、この男の矢に貫かれて死んだのだ。ザイアンと同じものを共有しているのだと気付くと同時に恍惚と同時に沙羅は、噴き出る血とヴォルン伯爵の念を下に―――呪いを「放った」。
「死ね!! ティグルヴルムド・ヴォルン!!!」
言葉と共に―――ティグルに呪いの「波動」が放たれた――――。それは硬直するように、弓を放った体勢のままのティグルを直撃した――――。
† † † † †
「―――以上が経緯だ。その後、サラなるシノビはタトラの城砦に向かったと思われる」
「ちょい待て。かなりはしょったぞ。何でお前は五体満足なんだよ?」
葡萄酒の三杯目を呷ったティグルの説明に誰もがツッコミを入れざるを得なかった。そこまで怨念強い呪詛を受けて何故、ティグルは無事なのか……。
そんな自分達の疑念はティグルからすれば、更に疑問だったようだが、それでも追加の説明を受けていく。
「あれ? リョウからすれば不思議じゃないと思っていたんだけど……、もう少し言うと、慌ててそれを『弓』で受けて払ったんだよ」
「呪詛返しか……咄嗟によくそんなこと出来たもんだ」
思わず感心してしまう。聞く限りでは本当に避けられない奇襲だったはずなのに。とはいえティグルは忍の放った呪詛をイクユミヤで返したそうだ。
人を呪わば穴二つ。相当な呪詛の反射だったはず……だというのに、まだサラという忍は生きているのだ。
その場にいれば適切な解説が出来ただろうに、もどかしい限りではあるが、詳しく聞くと……「祓った」呪詛は、そのまま忍に返されたのだが……。
「消え去ったか……」
「すまないな。色々と手を回してくれたのに、満足行く結果を出せなくて」
「別に謝ることじゃないだろ。俺達だって完全な勝利を得られなかったんだから」
だが、消え去った呪詛というのが気になる。確証こそ無いが……もしも、サラなる女忍がザイアン・テナルディエと深い仲であり、それが―――。
思いついた推論でしかない事がリョウの中に重くのしかかる。その推論が真実であった場合が……重すぎる。
(重い決断を再びティグルに強いるかもしれない。もしくは、何も知らせずに俺が斬り捨てるか?)
知らなくてもいい深い事情にまでティグルを突っ込ませなくてもいいはずだ。城砦内部に対して大公閣下の呪いを解く「祓い」を行いつつ、その双子と「くノ一」を殺してしまえば、それで万事解決だ。
「ピピン殿には悪いが、城攻めをする必要もある。恐らくだが、ネズミ一匹すら入れるなとか言われているはずだからな」
完全な篭城作戦。それを破らなければならないのだ。それは少なからずピピンの同僚にも再び殺傷を与えるだろう。
「その辺はお構いなく。ただ、タトラの城砦はライトメリッツの戦姫に対抗するために築城されたものです。下手に攻撃を仕掛けるのはいたずらに犠牲を増やすだけなのは、ヴィルターリア殿がよくご存知のはず」
「忌々しいことにその通りだ。あの砦は厄介の一言に尽きる」
挑戦的な笑みを浮かべたピピンに対して腕組みをして、語るエレオノーラ。
山城攻めというのは面倒なものである。叡山にて「羅刹」に魅入られていたとはいえ、生臭坊主を殺した時のことを不意に思い出してしまった。
「なぁリョウ、もう一度、大公閣下の救出を出来ないか?」
そんな風に苦い思い出に浸っているときに、ティグルはそんなことを言ってきた。
呆れるでもなく、それが一番だと思うのは、自分とて出さなくていい犠牲をもう出したくないからだ。
「捕らえたオルミュッツの人質変換に紛れて砦に入るってのはどうだい?」
「サフィールの意見も一つだが、二度目の轍を踏むかね? 第一、まだ戦時体制なんだから交渉に応じるとは思えない」
「俺自身が入れなくてもいい。とにかくタトラの城砦に『矢』を入れられればいいんだ」
サフィールの意見を取り下げると同時にティグルはそんなことを言ってくる。諦め切れないのは分かる。
そして……、ピピンの心意気に彼は応えたいのだ。
「タトラの城砦を見下ろせるだけの高い所、そこから矢を放ち―――あのシノビの呪いを無効化させた上で、要塞内に入り込み、決着を着ける――――こんなプランしか思いつかないぞ」
「最上じゃないか。エレンの風とリョウの風を使った上で城砦に入り込めば、後はピピン殿に説明してもらった上でリュドミラの杞憂は取り除けるはず」
「………お前も言うようになったよな。褒めてるから怒るなよ」
てっきり正面の門をぶち破って入るとか言うと思ったが、それ以上の奇策を用いてきたものだ。
「だが正面を威圧する部隊も必要だぞ。誰が指揮するんだ?」
「指揮しなくても旗だけかざしていれば、そこにエレオノーラがいると思うんじゃない?」
偽兵として砦正面に陣取らせる。というサフィールの意見に、隠し道を見つけておいたというティグルに抜かりが無くなってしまった。
そこから100人いるかどうかの決死隊を引き入らせて、リュドミラと忍達を釣り上げる。
決まった計画。確実性があるかどうかは、分からないが、恐らくこれが一番、犠牲を出さないで終わらせる戦いだろう。
「では偽兵部隊を率いるためにもサフィール殿には、――――私の衣装に着替えてもらうので男共は出ていけ」
衣装箱から予備の戦姫衣装を取り出して笑顔でそんな事を言うエレオノーラ、言われたサフィールならぬフィグネリアは、面食らったのか口をあんぐり開けてエレオノーラを見返している。
「やれやれ、そこまで徹底する以上、文句は言えんわな。ティグル、ピピン殿一度出ようか」
「そうだな。少しリョウと話たいこともあるしな」
「私は捕らえられた騎兵達を見舞ってきていいですかな? 逃がしはしませんのでご安心を、万が一の時は躊躇わず殺してしまってよろしいですよ」
男三人がフィグネリアを見捨てる形で幕舎をそれぞれの理由で出て行く様子に、当のフィグネリアは心底焦っている。
「ま、待て男三人、特にリョウ! あんたは―――」
「さぁサフィール殿、この衣装に着替えてもらえるかな? 私の気に入りの衣装なんだ。だからリュドミラやオルミュッツ兵達も騙せるぞ」
「ちょっと! この歳でこんな若い格好出来ない! スカート短すぎ、装飾が若すぎ―――」
エレオノーラの笑顔での『悪ふざけ』に絶叫交じりの言葉が後ろに聞こえている。
幕舎を出てもフィグネリアの言葉は続いていた。いつもの戦姫衣装を手にフィグネリアに迫っている様子がありありと思い浮かぶ。
『だ、だからこんな格好しなくてもいいって、というか他にあんたが戦姫として着ている衣装無いの!?』
『大丈夫だ。私の知り合いの戦姫達も「黒パンツ丸見えミニスカ」「華をあしらったドレス」「乳強調ヘソだしシースルー」と歳に関わらず着ているからな! 大丈夫。問題ない!』
『説明になっていないんだけどエレオノーラ!! た、助けてヴィッサリオーーーン!!! あんたの娘がアタシをいじめるーーー!!!』
あいつ絶対にサフィールがフィグネリアだと気付いて、そんな事しているな。と分かる会話内容である。
まぁそんなこんなで何となくフィグネリアの状況に対して合唱して『冥福』を祈る。
そうしてからピピンとティグルを案内した騎士を見つけて、捕虜としたオルミュッツ騎兵にピピンを案内するように頼む。
ピピンと分かれると同時に、ティグルは案内するように幕営内で一番人気の無い所まで歩いていく。
「同伴小便」というわけではないが、何かを察したのだろうかティグルも無言だ。
「―――何か、聞きたい事がありそうだな?」
「お前が言い辛そうな顔をしていなければ、何も聞きだそうとは思わなかった」
タトラの冷風が吹きすさぶ幕営の端、少し足を平原に向ければ幕営の外に出られ、男連中ならば用を足そうとする場所にてティグルは風を受けながら真剣に聞いてきた。
髪をなびかせながらタトラ山を向きながら、話すかどうかを真剣に考える。
自分の胸の内だけでどうにかなることであれば、特に話す必要も無かったこと。それだけだ。
だが『可能性』に気付いてしまったばかりに深刻な顔をしてしまったのが失点だ。
「聞かなくてもいいことかもしれないんだが」
「それを判断するのは俺だ。第一、友人と信じている人間なんだ。隠し事はしてほしくない」
「………」
嘆息をして、自分が伝えるのを躊躇った事の詳細を伝える。『もしかしたら』、『あるいは』、『不確定だが』などと散々前置きした上で、ティグルの呪詛返しが「サラ」に通じなかった原因を伝えた。
「―――そんなことがありえるのか?」
「聞いた話だけならば、な。人を呪うってのは結構、リスクが高いんだ。相手の『霊力』が高すぎると効かないことも多い……特に『命』が「一つ」じゃなければな」
「……なんて事だ……。しかし、そうだとしたらば、あの忍を殺すことは出来ないぞ」
「生かしておくつもりなのか? あの女は絶対にお前に厄をもたらすぞ。―――それはあの女の『後』を継ぐものでも変わらない」
戦国の世の常としてザイアン・テナルディエは殺した。自分もそれを最良とした。
もしもあの時、約定どおり一騎打ちが果たされたとしてザイアンを捕らえたとしても、その首を刎ねていただろう。
捕虜としての身代金支払いぐらいには応じるかもしれないが……。
「だからこそだ。あの時、俺はザイアンに対してあの結末が相応だったかどうか分からない。ただ、あいつの心ならば、フェリックス卿とは違う『道』を示していたかもしれないんだ」
「……本気か?」
「―――『生まれた』後に、どういう判断をするかなんて分からないし、俺だってそんな未来の『心』まで責任を持てない―――だが、ネメタクムに「テナルディエ」がいなくなるような事態は避けたい……あの土地は、家の者が継ぐべきものだ」
それに対して代官を立てる。自治都市化、共和制など多くの意見を述べる事は出来る。ティグルとてそれぐらいは検討しているはず。
フェリックスと対決すること出来れば、勝敗に関わらず……あの家は次第に没落するだろう。縁故のもの全てを殺し尽くした先代の行いが呪いのように響いている。
「自由騎士リョウ・サカガミ、―――サラ=ツインウッドの『未来』を『生かしてくれ』―――もちろん俺が決着を着けること出来れば、それが一番だが、もしもの時は……頼む」
「もしもの時とか言うんじゃない。恨みをぶつけるのがおまえ自身だと言って『未来を生かす』ならば……お前が絶対に決着を着けろ」
もしもの時、それはティグルが負けてしまった場合を考えてのことだとは分かった。
そんな時は、絶対に来させない。この男が恨みも何も全て呑み下して、『未来』のために行動するならば……自分もそうするだけだ。
ここからも、見える険しき山の上にいるべき囚われの姫君「二人」を救い出す。
因果と言う『魔物』を殺して未来の為に生かすのだと――――。
そして若者二人の決意を含めて、その日の内に、タトラ城砦攻略戦が開始された――――――。
あとがき
何だか川口先生自ら『佳境』という言葉に釈明があり、心配していた1、2巻程度ではなくもう少し続くそうです。
これで我が作品も、まだ戦える。10年は無理だけどな。
では感想返信を
>>almanosさん
感想ありがとうございます。
実際、原作の彼女がこんな風な決断を下すかどうかは分かりませんし、父親との関係もどんな感じなのか分かりませんが、こうしました。
最近のアニメ作品は駄目親父が多すぎる。みんな細田監督の作品を見習うんだ! とか言いたくなるほど。
紅茶に関しては、後々ありますね。まだティグルはミラから紅茶をご馳走してもらっていませんので、次話辺りに入れられればいいかな。ぐらいには考えております。
そしてエレンとフィーネ。原作の彼女らも本当にどうなるか分かりません。
ただリーザの父親オジロンの一件でエレンの「くさくさ」した態度を鑑みる限りでは、整理が着いていなさそうな印象を受けます。
今作のフィーネとエレンの関係は原作ゆえの因縁もありますが、まぁこんな感じで弄って弄られてといった感じです。
リムよりも明け透けに傭兵時代の態度で話せる相手といった感じにしました。
原作でのテナルディエ公爵家の悲劇を考えるに、ちょっと天国にいるフェリックスが可哀想過ぎるわー。と最新刊では考えてしまう。
色々苛烈なことをやっていたとはいえ、努力して王に迫るほどの栄華を誇った故郷が後継ぎ一人いないだけで、この転落劇。
ただ、ミラはこの一件で、公爵家を見限りました。すぐさまとは言いませんが、いずれは参戦するでしょうね。まぁそこは原作どおりになります。
>>エキシボさん
お久しぶりです。そして感想ありがとうございます。
オリ主の扱いは適度にしておかないと、どうなるか分かりませんからね。下手すればバランスブレイカーしかねん。
ただ原作のティグルがいまいち「痒い所に手を伸ばせない」人間と言えばいいのか、微妙に悲劇の英雄道を歩いている人間なので、オリ主であるリョウも前に出ざるを得ない部分もあるんですよね。
『ここまでやるとやりすぎかな?』 という線引きが難しい所も少々ありつつも書いております。
これからも何とかこのペースとクオリティを維持していければいいなと思っていますので、何かあれば一筆お願いします。
読者の感想や意見こそが作者の力でもありますから。後は原作に対する愛ですね。
>>放浪人さん
感想ありがとうございます。
ちなみにこちらの将軍。他作品だと池田秀一さんとかが声を当てている『剣豪将軍』様です。
お金が無いので、銭を稼ぐために、剣聖「塚原師君」より伝えられた「一の太刀」で「暴れん坊将軍」とかしている……書いていて何の話か分からなくなった。(苦笑
まぁ義輝様モチーフの美少女戦国武将、リョウにとっては、姉ちゃんみたいな存在で、可愛がられつつも、ちょっと目を離すとどうなるか分からないお方。
サクヤにいじられ、カズサにいじめられ、挫けず生きる「雪姫」様の明日はどっちだ!(意味は後々分かります
傭兵時代に会っていた幼少のエレンと会っていたフィーネ。彼女の活躍はこれからですね。まぁ最新刊は様子見程度。
本格的にティグルと絡むのは次巻ぐらいじゃないかと、いきなり行方不明の「二人」を捜索しろとか言われてもおかしくないですが。
エレンは、過去バナが出てきて、その心根が段々と読者に伝わってきましたからね。事情を知る人間には、仕方ない行動も見えてくるんですよね。
その辺りを説明し酌量させる為にもフィーネが出てきたのではないかと思います。
まぁフィーネもエレンもヴィクトール王に「なめた態度」でいる辺り、似たものどうしな気もしますけどね。(苦笑)
Q,これは魔法少女ですか?
A,はい、メインヒロイン(笑)です。
なんだこの会話のドッジボールは……とまぁ、通販で手に入れたいんですけどねぇ。ちなみに外伝として魔弾学園なるものをちょくちょく書いています。
果たして投稿して日の目を見る事はあるのかどうか、夏学園祭り小冊子と同じく気長にお待ちください。
さてさて、今回もこんな所ですかね。やみなべさんの作品が再び読める事に少し感激しつつ、執筆を続けていこうかとは思っています。
お相手はトロイアレイでした。次回もお楽しみに。