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[37951] 【一発ネタ】転生したけど、《漢のロマン》を追い求めてみた【オリ主・リリカルなのは】
Name: どくいも◆a72edfa5 ID:b22ab982
Date: 2013/06/30 10:36
20XX年

世界はニコポの炎に包まれた!!
少女はすぐに懐き、美人妻は不貞を働き、転生者たちが暴走する。
原作ヒロインを巡って、転生者による寝取り寝取られが横行する。
まさに時代は、大ニコポ時代であった。

……が、しかし、純愛は滅びてはいなかった!!






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


さて、さて、私の名前は『泉こなた』。
この世界やよくあるネット二次創作小説風に言うならば、『リリカルなのは世界』に舞い降りた『転生者』と言ったところであろう。
……TSですが何か?
もうどっかで聞いたことがあるようなこの名前から、私が地球出身、元男子学生現女子高生であると多くの方は予想するであろう。
そう予想した方、残念でした大外れ!!
今の私はミッド生まれであり、現在は紆余曲折あって、とある次元世界において、研究者兼、デバイスマスターをやっているのであった。
よくある流れなのかははなはだ疑問ではあるが、自称ペーパーとやらに、好きな【レアスキル】とやらを持って、漫画、アニメの世界に生まれ変わっていいと言われたのが発端だ。
このくそったれな世界に生まれ変わる前の純粋な私は、『ヒャッハ~~~生産チートだ!!』やら『ハーレムだ!!』やら狙っていたが、今ではこんなふうにごく一般的な研究者になるにとどまってしまっている。
まさか、この世界がこんなにくそったれな世界だとはだれが予想したであろうか?
いや、できない。


「……泉さん、お客さんですよ。」


はてさて、こんなダメダメな世界であっても、私には癒しとなる存在がいる。
それがこのメイドロボ、男のロマンの塊、超特殊型ガジェットである《桜》だ!
彼女こそこの私の【レアスキル】のよってできた【努力の結晶】、【私の嫁】であり、この私のこの世界における絶対の味方。
この世界における残りの私の人生は彼女をいかに改良し、完成させるかに費やす事であると言っても過言ではない。
もう、今日は、作業やらお客さんなんか無視して、桜と《にゃんにゃん》して過ごそうかとも考えたが、1分くらい真面目に悩んでいた時に、桜に『メッ!』してもらったことにより、正気に戻り、客間に出向くことを決意した。


「お~~す、久しぶりじゃん。ユーノ君。
 さて、今日はどんな用事だい?今日はうちにスカさんもクロ助、それにフェイトも来てないよ?」


さて、今回客間にいたのは、《淫獣》やら《元凶》やら《なかったことにされた人》やら、もうこれでもかと公式でもファンの間でもズタボロにされていた、ユーノ・スクライア君であった。
だが、この世界のユーノ君に関してはマジでかわいそう。
ジュエルシード発掘、運搬までの流れは一緒だが、輸送艇が壊れたのは『転生者』のせい。
さらに、墜落後に救難を求めたら、別の『転生者』が襲ってくる。
その後、なんやかんやあって、なのはが彼を拾うも、さらに他の転生者がなのはに《ニコポ》後の、ユーノの《害獣》認定。
助けてもらった本人に殺されかけ、デバイスもなくして異国の地をさまよい、日夜転生者たちに襲われまくるという何とも可哀そうな目にあっているのだ。
そもそも、この世界、アホみたいにたくさん『転生者』がいるせいでかなり《原作》から離反してしまっている。
ユーノはその最たる例であり、ある意味最大の被害者でもある。
一時期は、四肢切断されたことがあるほどだ。
ひ、ひでぇ……


「いや、せっかくこの世界の近くに来たんだから、今日は《心》にお土産を買おうと思ったんだけどね。
 君のお店、今日休業だったみたいだから直接訪ねてみた。」


が、私に関しては彼に対して、今この場に限ってはそこまで同情しない。
今の彼の横には、《心》がいるし、彼が可哀そうな経歴を持っているからと言って私の休日を壊す権利はないはずだ。


「……いや、親しき仲にも礼儀ありって言葉を知らないの?
 私、今日は休業ってことは私は《桜》とイチャイチャしたいってことか研究したいってことだ。
 悪いけど返ってもらえない?」


私の怒りの態度もなんのその、ユーノは紙袋から何やら箱を取り出した。


「まあ、そんなに怒らないでよ。
 今日は虎屋の《和菓子詰め合わせ》買ってきたからさ。
 これを一緒に食べながら、久しぶりに、少し会話をしよう。」

「許せる!!」


まあ、彼はこんな辺境にいるといる私にわざわざ大事でもないのに《茶菓子》を持参して、訪ねてくれたのだ。
少しはもてなしてやるか、と先程までの態度から手に平を返して対応することにした。


「で、ぶっちゃけ最近のミッドって、どうなってるの?」

「あ~、相変わらずだよ。
 《管理局》が《海》と《陸》内部分裂しながら、《黒の騎士団》とかの《テロ組織》と《教会》や《黒の教団》と協力しながら抗争中、人口は減少中。
これは近々、世界が管理できなくなりそうだけど……あそこは転生者が多いしなぁ、やっぱり世界の中心になるんだろうな。」


ユーノ相手に、益にもならない会話をしながら和菓子を食べる。
あ、このユーノ君は今現在、別に管理局とはとくに関係がない、ただの遺跡ハンターである。
しかも、スクライア一族からは、彼の余りの転生者からの絡まれっぷりのせいか、一族から除名されているので、完全にフリーの遺跡ハンターである。
無限書庫?あそこなら、転生者同士の戦闘ですでに消し飛ばされたよ。
ミッドか……もう未練はないとはいえ、正直転生者は怖い。
彼らの多くは生前の漫画で見たような能力から、《僕が考えた最強な能力》までいろんな能力を持っている奴がいるからなぁ。
しかも、複数持ちもよくいるし、その中でも一番多いのは《ニコポ》《ナデポ》《愛の黒子》に類する、恋愛系洗脳能力だ。
噂だと、100人以上はいるらしい。


「……あ!」

「ん?《心》どうしたんだい?」


さて、そんな会話のさなか、ユーノの横で別の物を食べていた心が少し驚いたような声を上げたので、ユーノが気になって彼女に声をかけた。


「……いえ、珍しい味であったので……。
 この味は……バナナですか?」

「あったり~~~!
 どうだい?せっかくだから、今までにない味を混ぜてみたけど、どう?」


どうやら、《心》は自分の作った新しい味が気に入ったようで、やや遠慮がちに、しかし頬を緩ませながら、ぱくぱくとそれを食べていっているのが分かる。
ユーノも心がそれに気に入っているのが分かったのであろう。
私に向かって商談をする。


「うん、心がそれを気に入ったようだし……
 今心が食べてるやつはどれくらいストックがある?
 保存がききたいなら、買い置きをしておきたいんだけど……」

「え!いいの!
 け、けど、家にはまだ他の味の《エネルゴン》が残ってるのに、そんなの悪いよ、ユーノ君……。」


心はそう、ユーノに心苦しそうに言った。
そう、今《ユーノ》の横にいる彼女《心》もまた、《メイドロボ》。
《メイドロボ》。
それは機械の体に、人の心、この転生者による《ニコポ》、《ナデポ》が横行する世界において、唯一《男性を裏切らない女性》と言える存在である。
もちろん機械によるハックなど、抜け道がないわけではないが、それは私のスキルで製作段階から、ネジ一本レベルまで対策済み。

そして、この《メイドロボ》、《心》はそんな中でもかなりの高性能な1人。
魔導師としては、ランクAAクラス。
遺跡発掘に役立ち、且つユーノの魔法とかぶらない魔法を多数使え、感情知識は人間並みに豊富。
外見に関してはややオレンジがかった茶色の髪、お目めはパッチリ、可愛さが目立つやや日本人顔の少女のような外見。
そしてツインテールという、これ、どうみても「なのは」(幼)だろって見た目である。
なお、これはユーノ君の希望を聞いた結果このような外見であって決して私の意志ではない。
彼曰く、『いや、顔の細部はなのはと違うから、気のせいだよ』といていたが……それでもどうなんだこれは。


「まあ、とりあえず、中型の段ボール1つ分ならすぐに用意できるよ。
 値段は……これくらいかな?」

「うん、これくらいなら即決。
 今すぐに払えるよ。
 できれば、郵送でいいから、いつもの奴と一緒にこれからも送ってほしいな。」


ユーノの余りの即決具合に、思わず《心》が驚き、本当にいいのかと問い詰めていた。
話の途中で『だからユーノ君はお金使いが荒いの!!』とか、『今月は厳しいから無駄使いはだめなの!』とか、いろいろ聞こえたが、とりあえずは無視。
結局この後、これ以外にも、心用の《メイドロボアップデートツール》を多数買って、ユーノ達は帰って行った。


「……さて、もうこんな時間か。
 予約されてる《メイドロボ》もあるし、今夜は徹夜かな?」

「だめです!!」


結局ユーノ達が帰ったのが夜遅くであったため、他の《メイドロボ》製作用の時間が足りず、今から徹夜をして、完成させようとしたが、桜に反対される。
……自分で作ってなんだが、《メイドロボ》はかなり自由意志を持ってるせいで、こう、本人が主人の為ならと思ったら、主人の意志に背く行動をとることも多々ある。
其処がいいと言えばいいんだが……


「最近、桜、前より厳しくなってない?
 前ならこれくらいなら許してくれたのに……」

「そ・れ・は・泉さんが節操なしに《メイドロボ》製作依頼を受けるからです!!
 以前は、客がほとんどなかったから、徹夜なんてしませんでしたが……
 最近は1週間に3回はしてるじゃありませんか!
 せっかくの休日なんですから、今日くらいはきっちり寝てください!!」


そう、私は今この世界で、《メイドロボ》製作の仕事をしているのだ。
この世界、一見、美女率がかなり高いため、あまり需要がないように思えるが……。
ぶっちゃけ、その美女は『転生者』達の的になっている。
もう、《人妻》とか《彼氏持ち》とか関係なしに転生者が《ぽ》させまくっている。
しかも、転生者たちなまじ強力な力を持つ者が多く、法律に縛られない奴が多く、倫理観もかなりあれな感じになってるやつが多い。
ハーレム上等、喰い捨て有、寝取られた側の男を放置やズタボロ化なんてよくある。
特に、原作キャラに関わりがある女性キャラは軒並み転生者に喰われている。
(例外は『転生者』である、フェイトno.30ぐらいである。なお、フェイト自体、プロジェクトFの原作との差異か、現在24人くらい確認されているが)
そのせいで、《ぽ》された女性の豹変ぶりに恐怖を覚えて、《現実の女性》に恐怖を抱く男性が多数出現。
それにともない、現実の女性に対する人間不信、裏切らない《女性》をほしがる男性が多数出現。
そんな彼らに《メイドロボ》を供給することが私の仕事となったのであった。


「と・も・か・く!
今日の作業の残りは《コンボイ》さんに任せて、今日はもう寝ますよ!!」

「離せ―!ショッカ―!ブッ飛ばすぞー!!」


桜が私の羽交い絞めにして寝室の方へと輸送する。
くそ!無理に桜の身長を理想形にするんじゃなかった!!
背中に桜のいい形のおっぱいが当っている!さすが私作、いい弾力……じゃない!!
そんな私の様子をみて、桜が耳元に口をとせてこうつぶやいた。


「仕方ありませんね!この手は使いたくありませんでしたが……
 (今日はベットの上でサービスしてあげますから……イイですか?)ボソッ。」

「!!し、しかたないな~~。
 今回だけだぞ!」


さ、桜の方から《サービス》!!
こ、これは新鮮!!早くベットに向わなければ!!そうと決まればと、桜の腕からするりと体を抜け出し、走って布団へと向かう。
なんか後ろから、桜がしかたない娘を見るような眼で見てる気がするけど……気にしない!!
だって男の子だもん!!(少なくとも心は)







そう、これは転生者によるニコポナデポ祭りのなかで、現実の女性に疲れながらも、《理想の女性》を追い求める漢たちの話である。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


3時間くらいで書いた、後悔はしてない。
ベタな転生最強物を書きたくみたくなって書いてみたが、どうしてこうなった。

いや、多分ニコポナデポ転生者がいっぱいいると、人間不信になるだろうな~と。
そしたら、もっと別の物には知る人が増えるのでは?っと思って書いてみた。

この世界、スカさんは数の子全部NTR済み。
クロノもエイミィも母親も、猫師匠もNTR済み。
何というカオス。


……誤字脱字や感想がありましたらお願いします。
いつも道理タイトルは適当です。



[37951] 感想を見て、クロノ君の半生を妄想してみた(前篇)
Name: どくいも◆a72edfa5 ID:b22ab982
Date: 2013/07/01 05:51
※感想を見て思いついたものを書いてみます

注・この作品はおそらく、1話以上にカオスになる可能性があります。
  それに書き終ってから気づきましたが、結構鬱っぽい話です。
  一話目で出てきた色々酷い要素がさらに抽出されたな感じになると思われます。
  いや、それ以上の要素も盛り込まれていると思われます。
  それでもいいという方は……いろいろ覚悟してお読みください。



                     覚悟してお読みください。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


          「今日からよろしくお願いします、マスター・クロノ・ハラオウン。」


彼女に対する、第一印象はおそらく最悪であった。
そもそも、僕、……いや、僕たち家族、いや、僕達に関するすべての人はあの『転生者』とやらのせいでひどい目にあったのだ。
婚約者は寝取られ、母はすでに行方をくらませており、自身に関わりがある人間すべてがゆがめられてしまった。
また、僕自身も何人もの……しかも老若男女に抱かれてしまったのである。
こんな身も心もボロボロな自分がいまだに生きてのびているのは、ひとえに『転生者』たちへの復讐のため。
自分をこんな目に追いやった転生者達への恨みがなければ、とっくに自殺しているだろう。

それなのに、ユーノの奴は何を考えたか、その転生者が作った人形とやらを自分に渡してきたのだ。

ユーノの奴は『君自身のため』とか『今の君には必要な物だ』とか言っていたが、もはや彼が『転生者』の犬になったとしか思えなかった。

それでも、この人形を受け取ってしまったのは……ユーノと言う同じ境遇の仲間を失いたくないからか、この人形の製作者たる転生者を見つけて芋蔓式に殺しに行くためか……今となってはわからない。
ともかく結論から言えば、僕はその人形を受け取ったという事実だけだ。



それから、僕とそれの奇妙な共同生活が始まった。



「マスター、今日はどうされますか?」

「…………」


初めて、それが来た日から、一ヶ月が経過していた。
僕はそれの行動の一切を無視していた。
僕がそいつに言った事は《外に出るな》、《他者に迷惑をかけるな》、《俺の言うことを絶対に聞け》その3つだけだ。

僕としては、この人形は転生者からの手先であるとしか思えなかった。
おそらく、この人形は、自分や自分の知り合いに何らかの火が尾を及ぼす可能性がある……そう考えただけで、ボクはこの人形を身近に置くことに嫌悪感を覚えていた。
が、とりあえずこの人形は、自分が見ている限りすぐさま周りに危害を加えるわけではなさそうである。
(それも、すでに自分が何らかの洗脳を受けてる可能性があるので、絶対とは言えないが……)

となれば、おそらくこいつがおくられた真の目的は自分の見張り、そして、あれの情報を手に入れるためであろう。
そうとわかれば、対策はできる、絶対にあの情報を渡してなるものか!!
そう決心し、僕は管理局へと向かった。











「……遅いぞ。NO-12。」

「……すまない。すこし、仕事で遅れた。」


今僕がいるのは、管理局の形式上、現在使われていない倉庫である。
が、しかし、実はそうではない。
こここそが、対転生者の秘密結社、転生者の被害者同士が集まった管理局内に存在する極秘の組織、構成員はみな非転生者。
目的はただ一つ、転生者に対して復讐をすること只一つ。


その名も《しねしね団》という。


一見馬鹿げた名前だが、すでに何人かの『転生者』の抹殺に成功したことがあるほどの、強い力を持った組織らしい。
最近まで僕はこの組織の存在すら知らなかったが……
それほどの力がある組織なら、ぜひ協力したい、そう思い、僕はこの組織に所属した。


「……みな、そろっているようだな。」


そう言ったのは組織のリーダー《NO-0》であった。
その素顔は、自分を含めて、皆白い覆面をかぶっているためうかがい知れないが、この荒くれ者どもを統率するリーダーである。


「さて、今回は会議を始めるが……」

「そ、それより、うちの女房を奪ったあの男の情報は!!」

「あの、黒服の男は……」

「それより、黒の騎士団だ!!あいつらをどうにかしなければ、次元世界に真の平和は訪れん!!」


みな、復讐に燃えている者だからであろう。
みな自分勝手に、喚き始めるものが多い。
一見収拾がつかない場に見えるが……


静まれいいい


リーダーのNO-0が静止の大声を出す。
その一言で今まで騒いでいた、無頼漢全てが静まった。


「さて、今回集めた情報を一つ一つ話していく。
 心して聞くがいい。」


そうして、彼からの何人か転生者の居場所や能力についての情報が伝え有れる。
そう、彼はこの組織の頭として、《凄まじい情報収集能力》と《リーダーシップ》を持っている。

結局この日は、あくまで大体の転生者のいる場所や、自分たちが手出しできそうにない転生者についての情報であり、収穫がないままこの日は終わった。













さて、件の人形が来てから約半年、しねしね団に所属してから10か月くらいたったある日のことである。


「マスター、今日は……


――――――――――バキッ!


「……!失礼しました……。」


僕が人形を殴ったことによって、その人形は口は閉じた。
初めて会ったその日から、毎日話しかけてくる人形が煩わしく、あれ以降一つだけ、新たにこいつにルールを追加した。
それは《僕が殴ったらしばらく黙っていろ》と言う物であった。
結局僕がしねしね団に所属してからも、一向に集まらない転生者の情報、そして《管理局》の上層部からは《精神不安定》とされ、前線に出すのを却下され、ここの所ずっと書類作業しかさせてもらえない。

このまま、自分は転生者に一生復讐できないのではないか?
もしかして、この人形がいるからか?

そのような中、自分の気も知らず、話しかけてくるこの人形が憎かった。
だから、黙らせた。そして殴った。
そうしたところで、何も解決しないと分かっているのに……


――――――――ピリリリリリ


「……!もしもし。
 え……本当ですか!……はい、すぐにいきます。」


その時かかってきた電話。
……それは、転生者が現れれたから、襲撃する。
その為の召集の電話であった……。












「………あああ、ワン、ワン!」

「ははは、もっと大声で鳴いてもいいぞ。
 見られてもいいならなぁ!
 もっと、大きな声で鳴けたら、ご褒美をくれてやってもいいぞ!」


自分たちの視線の先に、赤いバリアジャケットの白髪の大男。
そして、彼の手には魔力でできた縄が、そして、その先には裸の女。
……あの女には偶然ではあるが、見覚えがあった。
たしか、数か月前に彼女の旦那である、管理局のお偉いさんから妻が行方不明になったという捜索願が出されていたはずだ。

……とくに、彼の報告には妻が浮気をしていたとかそう言う報告を聞かない。
彼女の知り合いからは、とても清楚な女性であり、突然行方をくらませるような人ではないとのこと。
少なくとも、深夜だとはいえ、街中で裸で犬の真似をしながら、夫でもない男に媚びるような輩を清楚な女性だとは考えにくいが……。


「……ふん、洗脳能力持ちか……。」


洗脳能力持ち……!!
リーダーがつぶやいたその一言に一気に頭が熱くなるのが分かる。
おそらく、みんなも怒っているのだろう、特にリーダーからは凄まじい気迫を感じる。


「……三、二、一で突っ込むぞ。
 マスクはしっかり被れよ。」


リーダーの言葉を聞き、今自分が被っているマスクをしっかり深くかぶり直す。
このマスク、自分の正体を隠すだけではなく、どうやら転生者からの洗脳系の能力の効能を薄める作用があるらしい。


「3,2,1、……ゴー!」

「な、なんだ!!貴様ら!!」


突然飛び出した我らに、件の転生者は驚いたらしい。
こうして、ぼく達、しねしね団と件の転生者の戦いが始まった。
リーダーが指示を出し、その指示に従い僕ら団員が件の転生者を追い詰めていく。
赤いバリアジャケットをまとった転生者はどうやら、能力を持ってるらしい。
《無限の剣製》とか言いながら、無数の魔力をまとった剣を投げつけてきて、更にそれを爆発させるという、なかなかトリッキーな戦い方をしてきた。
当然、向こうは殺傷設定らしく、こちらにも多数の被害が出た。
何人もの団員が奴の剣の犠牲になった。
……が!


「shoot!」

「……!ぐわあああぁぁぁぁ!!」


とうとう奴に、致命傷となりえる攻撃を当てるのに成功する。


「(……今だ!)」


その隙を見逃さず、僕はデバイスに魔力を走らせるが……


「……ダメッ!!」

「……は、離せ!!」


転生者が連れていた、裸の女が魔法を使いながら僕の方に突っ込んできた。
突然の予期せぬ方向からの攻撃に、ボクの姿勢は大きく崩れてしまった。
何とかそれを振りほどこうとするが……


「あの人は私のご主人様なの!!
 アンタみたいな、ゴミが触れるのも畏れ多いのに、攻撃するなんてもってのほかなのよ。
 恥を知りなさい!この蛆虫め!」



―――――――――ズキッ―――――――――



―――ご主人様は、あんたみたいなふにゃちん野郎と違って、最高の雄なのよ!
    アンタはそこで一生うずくまってなさい。

―――ごめんねぇ。母さん家族よりも……そして、あの人よりも大事な物を見つけちゃった。
   クロノはもう一人でも大丈夫よね♪大丈夫、時々連絡を入れるから、それじゃあね。



「ああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

「おい、NO-12!!
 っち、NO-12が使い物にならなくなった!!
 みんな、こいつを無視して、転生者を追え!絶対に始末しろ!!」


その女の言葉を聞いた瞬間、そして、その女の眼の色を見た瞬間、僕は思い出してしまった。
かつて、あんなにも思いあっていたはずの婚約者が、ゴミを見るような眼でボクを見つめるあの時の冷たい視線を。
頼もしくも暖かかったのに、全く温かみの感じなくまるで別人のようになってしまった母の残酷な言葉を。


「あああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………。」


結局、僕はそこで心が折れてしまった。
その後、自分がどうやって家に帰ったかは思い出せない。

ただ、その後のしねしね団からの報告と、管理局の書類で分かったことは、件の転生者が管理局の手によって捕まったこと。
洗脳された女の洗脳解除は困難であること。
そして、件の転生者は、結局殺されるのではなく、刑務所行になるだけだという事であった。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


続きや文章推敲は明日!!
とりあえず、勢いで書きます!!

感想や誤字修正がありましたらお願いします!!

あと、こんな一発ネタに沢山の感想、誤字脱字の指摘、ありがとうございました!!



[37951] 感想を見て、クロノ君の半生を妄想してみた(中篇)
Name: どくいも◆a72edfa5 ID:b22ab982
Date: 2013/07/01 08:23
※前篇は鬱でごめんね!
 多分これからちょっとマシになるから安心してね!
この話は全力でメイドロボとの純愛を応援するSSです!!

……まあ、カオス成分はやめないけどな!



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「……今日は休まれた方が……


――――――――――――ぺちっ


「……失礼しました。」


自分の、威力がほとんど抜けてしまった拳が、人形の顔にあたった。
結局あの転生者襲撃失敗の日以来、自分の心の中にあった、芯のようなものぽっきりと折れてしまった。
あの日以降、しねしね団では自分のせいで転生者に逃げられたとして、組織内で干されてしまい、最近では集会にすら呼ばれなくなった。
あの女の言葉を思い出すたびに、寝るたびに悪夢を見る。
そのせいで体調も崩し、仕事にも手がつかない。
最近では、局内で周りから、邪魔者扱いされているのがありありとわかる。
ユーノなど数人の貴重な知り合いからは、時たま連絡が来たりはしているが、返事をする気力もなく、すべて無視している。
局内でも、しねしね団からもはみ出し者扱いの自分、こんな自分に生きていく価値はあるのだろうか?


「………。」


そんな自分の体調不良をさらに増加させるのは、この人形。
この人形、自分がしねしね団を抜けたのに、未だに僕に付きっきりなのである。
もう、僕には全く情報価値がなくなっているというのに。
……すでに、復讐に関しても心が折れてしまっているというのに。


「………。」


無言のまま、仕事に行くために出口へと向かう。
そして思う。
……自分は何で生きているのだろう?
希望もない、野望もない、あるのは空虚なこの心だけ。
先ほど鏡を見てみたが、その顔もひどい物であった。
頬はへこんで、眼は血走り、まるで死人が歩いているようであった。
こんな自分なら、いっそ死んだ方が……


「……待ってください。」


扉に手を掛けた瞬間、突然、今まで黙っていた人形に手をつかまれた。
今までになかった行動ではあるが……すでに自分は驚くには疲れすぎていた。
振り払おうとしたが、思ったよりそのつかむ力は強く、その手を振りほどけなかった。


「……マスターは現在、精神バイタル。
 体温共に異常が見られます。今日、仕事に行くことは……」


――――――――――――バシッ!


僕は、今朝とは比べ物にならないくらいの力で、強く人形を殴りつけた。
これだけ強く殴れば、この人形もすぐに手を離すだろうとおもった。
何時もこれだけで、すぐにだまるような人形だ、こうすれば……


「…………。」


しかし、その人形のとった行動は自身の予想から大きく外れたものであった、
確かに人形は口をつぐんだ。
しかし、ボクの腕をつかんでいるその手の力は一向にゆるむことはなかった。


「………っち、こいつ……!!


………………う……!」


手を振り上げてでも、人形の手を振り払おうとしたが、その時今までの疲れが一気に来たのだろう。
ボクは人形に腕をつかまれたまま、その場で意識を失ってしまった……。


……意識を失うかどうかの刹那、柔らかい何かが僕の体を包み込んでくれた気がした……。













――――――――――――意識がはっきりしない……。
――――――――――――ここは……ベット?ボクは……寝てるのか?
――――――――――――いったい僕は……


「………体調はいかがですか?」


――――――――――――声がするけど……いったい……?
――――――――――――体が動かない……
――――――――――――首を動かすのもおっくうだ……


.             ピトッ!


「ふむ、どうやら、熱は先ほどよりは下がったようですね。
 けど、まだ高い事には変わりありません。今はゆっくり休んでください。」


――――――――――――額に冷たい物が……気持ちいい……。
――――――――――――確か、小さい頃母さんが、僕が熱出してくれた時、こうやって額に手を乗っけてくれた気が……
――――――――――――……母さん


「なにか、お腹に入れなければ治る病も治りません。
 ほら、口を開けてください。
 あ~~ん。」


――――――――――――暖かい……これはおかゆ?
――――――――――――手料理なんて、エイミィに作ってもらった以来だな。
――――――――――――……ははっ、おいしい。


「では、私は食器を……!」


.              ギュ…


――――――――――――いかないで……。


「……これがマスターの手……。
 ……大丈夫です。わたしは絶対にあなたのそばから離れません。
 だから、今はゆっくり休んでください。」


――――――――――――よかった……。














目が覚めたら、自分はベットの上にいた。
なぜか、恰好は寝間着であるし、外を見ると夕方、今から行っても仕事には間に合わないであろう。
そして、何より、寝ている自分の横に椅子に座ってこちらを見ている人形の姿が。
状況を見るに、おそらく体調を崩した自分をこの人形がここまで運んだのだろう。
……局を無断で休んでしまった。これは相当怒られるだろうな……。


「……体調は戻られたようですね。
よかった。」

「…………っつ!!!」


人形に話しかけられたことで、急激に頭が回り始める。
そして、今まで無意識に人形と繋いでいた手を振り払うかのように離す。
……!!いったいなんなんだ!この人形は!!


「いったいなんなんだよ!!おまえは!!
 ボクはもう、疲れたんだ!!これ以上ボクにかまうな!!
 ほっといてくれ!!ボクにはもう何も残ってないんだよ!!」

「………。」

「そうだ!ボクはもう死ぬ気だったさ!!
 自殺をしなかったのは、それをする気力もないから!
 もう、僕は生きていくのに疲れたんだ!もう、周りに振り回されるのは嫌なんだ!
 みんな僕を裏切るんだ!ボクの中は空っぽなんだ!だから僕を……!!」


その後の言葉を続けようとした瞬間、僕は人形に押し倒された。
内心すごく驚いた。が、ここで素直で驚くほど、その時の僕は元気がなかった。
いきなり自分を押し倒した、その人形を押し返そうとしたが……。
その人形はそのまま強く、抱き着いてき、こう言ってきた。


「お願いですから……それから先は言わないでください。」

「……。」


今までこの人形が勝手に行動することは時たまあったが……。
ここまで、行動的な動きを取るのは初めてであった。
それに対して僕は……


. バキッ!


「ぼくに抱き着くな!!!!」


今までに感じたことのない強烈な悪寒を感じ、全力で抵抗した。
多分、今までに出したことがないくらい大声で、そして、全力でこいつを殴った。
しかし、こいつは顔色一つ変えず、強く、しかし、決してこちらに負担をかけないように抱き着いたままであった。


「はなせ!!はなせよぉ!!聞こえてるのか!!!」

「…………。」


その言葉とともに、僕はこいつに何度も殴りつけた。
たぶん、魔力も込めたと思うし、今までにないくらいがむしゃらに殴っていたと思う。
相手が普通の人間であったら、おそらく、その威力で殺していたかもしれない。
……が、こいつは顔色一つ変えず、自分に抱き着き続けた。
もちろん、体調を崩した後に、拳を振るい続けて体力が持つわけがない。
ボクはすぐに体力が尽きてしまい、あっという間に、こいつのなすがままになってしまった。


「お願いだ……離してくれよ。

 もう、僕は疲れたんだ、いいだろ。」


もう、この時自分の心はボロボロであった。
もはや、初めの荒々しさは抜けてしまい、すでに泣き言になってしまっていた。


「どうせ、お前も僕の前から消えるんだろ?
 転生者の傀儡何だろ?
 僕に期待させないでくれよぉ。僕に優しくしないでくれよ……。
 もう、人を信じるのは疲れたんだ。もう、裏切られるのは沢山なんだ……。」
 

ボクは泣きながら、こいつにそう懇願していた。
その言葉を理解したのか、そいつの腕がやや緩み……
しかし、より一層力強く抱きついてきた。
おもわず、僕は小声で『ひっ!』っと悲鳴を上げてしまった。
そして、僕が何かを言おうとする前に……
こいつは、わずかに震えた声でこういった。


「お願いです。何もないなんて言わないでください。
 お願いです。生きるのに疲れたなんて言わないでください。
 もし何もないなら、私があなたの支えになります。
 生きるのが疲れたら、私があなたを癒せるように頑張ります。
 だから、私の前からいなくならないでください……。

 私も、貴方がいなくなったら、何も残らない物なのですから…。」

「……!!」


肩に感じるわずかな冷たさから、こいつも泣いているという事に気が付き、同時に頭が冷えてくる。
ユーノはこいつを渡す時、ボクになんて言った?


『この娘は、君のために作られたんだ。』

『この娘は、君のために動いてくれて、君と共に歩んでくれる。』

『できればこの娘と仲良くやってほしいな。』


こいつは……いや、この娘はもしかして僕と一緒なのか?
もし仮に、この娘が《スパイ》であれ、《本当にボクのために作られたもの》であれ、もし仮に僕がこの娘を破棄したらどうなる?
多分この娘は、文字道理、《何も残らずに》路頭に迷うことになるだろう。
もし彼女が本当に、《僕のため》に作られ、ユーノの言った事がすべて真実であれば、おそらく《彼女》は自分以外知り合いがいない。
ここで彼女を捨てでもしたら、彼女には一体何が残る?

……もしここで、僕が彼女を見捨てたら、今まで転生者によって受けた自分の行為をこの娘にしかえすのと変わりないのでは……?

彼女の微かな震え、その雰囲気。
おそらく彼女は、今全てを失うかどうかの瀬戸際。
いわば、僕の行動一つで、すべてが終わる。
彼女は僕しかいなく、僕には彼女しかいない……。
何と因果な事だろうか。

……結局この時どうすればいいか僕にはわからなかった。
この思考回路自体が転生者の罠なのか、又はこれらの考え全てが単なる僕の妄想なのか、はたまたはこの見識が真実なのか……。
ただ、その時僕が選んだ選択肢は、彼女の抱きしめに対し、涙を流しながら、抱きしめかえすことであった。
彼女は驚いたのか、わずかにピクリと体を動かした。
が、その後、再び、優しく、だが力強く、涙を流しながら、抱きしめかえしてくれた。

結局その日は、お互いに無言のまま抱き着いあい、一晩を迎えた。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2レンダァ!
というわけで、勢いだけで、中編を投稿!

誤字脱字がありましたらry








[37951] 感想を見て、クロノ君の半生を妄想してみた(後篇)
Name: どくいも◆a72edfa5 ID:b22ab982
Date: 2013/07/02 09:28
※勢いでの後篇です
 ……とうか、何でこんなにハッチャケ足りないSSを書いているんだ……。
 俺はシリアスじゃねえ!ギャグを書きてえんだ!
 それかメイドロボとのいちゃラブとかも!!
 くそ!これも俺の黒いフィールがいけねぇんだ!
 おのれ、ディケイドォ!(錯乱中)



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



あの風邪で倒れこんだ日から、から、僕らは徐々にだが打ち解け始めた。
とりあえず、ボクは、彼女が転生者の傀儡かどうかとか実は僕は騙されているんだとか、ひとまずそう言う思考はいったん考えないことにした。
(まあ、油断だけはしないつもりだが。)
というか、彼女を家に置くと決心したのは自分であるのに、なんで彼女に対して、こんなに宙ぶらりんな対応をしていたのかと気が付いた。
そもそも、転生者と関わるのが嫌なら、初めから受け取るべきではなかったし、彼女を受け取ってしまった以上、その責任はどういう形であれとるべきだ。
それとは別に、冷静な頭で、今ここで死ぬんだったら、転生者から解放された時点で死んだ方がまだましだ。
まあ、自分に対していろいろと言い訳をしながらではあるが、一旦は自分の体調も精神もボロボロ状態から日常生活を送れる状態まで戻ること、そして、彼女に対して普通に接してみることにした。

まず体調回復第一歩のためにしたのは、有給休暇の申請と、彼女との互いの自己紹介であった。
休暇申請は自分の状態回復のため、そして、彼女の状態を詳しく知るためであった。
休暇申請はあっさりと承諾された、と言うかいい加減休めと怒られて、予定より多くの休まされることとなったがここは割愛しておく。
さて、自己紹介と言っても、話し合ったのは、精々自分の好きなこと、自分の趣味、そんな所ではある。
とりあえず、久しぶりの《管理局》も《しねしね団》にもかかわらない休日を過ごしたからだろう、とりあえず体調は治ったし、彼女のことについても簡単にだが分かった

まず、彼女は《自分のマスターの奉仕をする》という事以外、特に大きなルールに縛られているわけではないという事だ。
そのためか、彼女は掃除や洗濯ができ、日常会話と言う、彼女の言う《奉仕》のための必須事項以外、いわば、一般常識であろうことを知らないことが多いのだ。
彼女いわく、初めに《基礎のプログラム》として、いくつかの初めから搭載された事(例えば、家事、会話、奉仕方法、人間の基本行動多数)はできるがそれ以外はあまり知らない。
いわば無垢の状態であるらしい。
そして、その傍から見ると、無垢というより世間知らずという欠点は、AI、いわば人工知能で学習して聞くから問題ないらしいが。

なお、この時初めて彼女に名前がないことをした。
一応、型版として『HMX―08』と言うのはあるらしいがそれが名前は流石にいやらしい。
名前を付けてくれと言われたからとりあえず、《スミレ》と言う名前を付けた。
……後から考えれば、もっと考えてから付ければよかったと少し後悔しているが、本人がうれしそうだから許してほしい。

……もしかして、彼女は《デバイス》や《プログラム》の一種なのかと尋ねてみたが、それとは似てはいるが厳密には違うらしい。
彼女のデータベース曰く、『転生者はデバイス相手にもニコポナデポできる方も多くいるらしいですから』とのこと。
……そんなこと、初めて知った。
まあ、冷静に考えれば、確かに魔導師相手に戦闘に有利にするにはその手段はかなり友好であろうし、もし好きな力をもらえると言われたら、その力をほしがる人はいるかもしれない。
けど、まさか、デバイスやプログラムを恋人にしたいという変人は……いや、噂に聞く《融合型》ならあり得るか?
そんなことをするくらいなら、普通に人間の女性から恋人を作れば良さそうな気がするが……。

そんな連休のある日、ふと彼女に尋ねてみた。


「というか、《スミレ》、君は『転生者』についての情報を僕に教えてもいいのかい?
 なんというか、君を作った人に怒られたり禁止されたりは……。」

「それならば、一向にかまいません。
 私はあなたのお役にたつために存在、マイスターに関して全く思うところがないと言えばうそになりますが、それでもクロノ……さんの方がずっと大事ですから。
 そもそも、元々禁止されてはいませんし、マスターの役に立つためなら、マイスターを殺すようなことでもしてもいいと言われています。」

「それはどうなんだ……。
 というか、未だに呼び捨ては慣れないのかい?」

「あうう……。
はい、すいません。なんだか、まだちょっと恥ずかしくって。
早く直したいとは思ってはいるんですが……」

「まあ、ぼくもできれば程度のことだから、そんなに深く考えなくていいよ。
 あせらず、ゆっくり直していってくれ。」

「はい!」


……『転生者』の創造物たる彼女をどこまで信用していいかは、甚だ疑問ではあるが、とりあえず彼女は自分を裏切ることはないらしい。
それ以外にも、いくつか転生者や彼女自身について尋ねた。
(なお、ここ数日で気が付いたが、どうやら彼女は『転生者』のことを聞かれるよりは《彼女自身》についてもっと尋ねてようだ。
色々と疑念はわき、そのことについてもいろいろ尋ねたが……結果としてはどうやら《嫉妬》らしい。)

まず一つは、やはり転生者は自称《神》とやらにある程度好きな能力を与えられて、ある程度好きな世界に生まれ変わった者達であるという事。
が、それも万能ではないらしく、さらに《神》にもかなり種類がいるらしく、もらった能力の差もかなりあるようだ。
例えば洗脳一つとっても、次元世界をいくつも同時に一瞬で洗脳し、支配するような力をもらったやつから、蟲一匹すら操れない程度の力の奴までピンキリらしい。
はじめ、其処まで強力な力を持った奴がいるならもう全次元世界がやばいんじゃないかとも思ったが……
どうやらそう言う強大な力を持った奴はほかの転生者から、リンチにされたり、封印されたりしているらしい。
まあ、冷静に考えればそうか、今だって、管理局は転生者に対抗するために転生者を雇っているし、転生者同士の組織なんかも数多くあるから、当然と言えば当然だろう。

で次に、『転生者』は『転生者』の能力が効き難いと言う物であった。
そしてそれは、物理的な物であればほとんど関係ないが、魔力的な物や精神的な、より抽象的な、非科学的な物であればあるほど効き難くなるらしい。
思わずその事実を聞いた時、なんだそれ、卑怯だろと大声で叫んでしまった。
まあ、彼女自身そのことについて、ほとんどそれについて詳しく知らないし、元データでも多分としか記載されてなかったらしい。
が、おそらくそれは事実であろうと僕は思った。
それだと、なぜ《管理局》の属する転生者がなぜあんなに洗脳系の力を持つ転生者に対する検挙率が高いかの納得がいく。

それ以外にもいろいろあるが……ボクにとって一番ありがたいのは、どうやら彼女は『転生者』の洗脳系能力の大半が効かず、そして、彼女のマスターたる自分も『転生者』の能力が効き難くなるらしい。
……いや、彼女自身が洗脳が効かなくなるのはまだわかるが僕も効かなくなるのはどういう原理なんだ?
一瞬洗脳の上書きと言う恐ろしい言葉が頭に浮かんだが、それとは違うらしい。
彼女いわく、彼女の体内にある器官の一つとやらが関係あるらしいが……。
そのことの情報は持ってないらしい、というか、そんな都合のいいものがあるならもっと量産しろと思わないでもないが、とりあえず、ここでストレス生活に戻ると日常生活に戻れなくなりそうなのでいったんは放置しておく。
それに加えて、いざ、転生者相手に無理やり襲われたときように、最低限の《自衛機能》として、《バリア機能》や《遠近両用戦闘プログラム》も搭載しているらしい。
……一瞬やり過ぎな気がするとも思ったが、転生者相手だとこれでも生ぬるいかもしれないと思い、見様に納得してしまった。

ともかく、こうして、この休暇のおかげで僕は体調を取り戻し、無事に管理局の仕事に復帰したのであった。












「ただいま~~~……ってあれ?」


さて、時が過ぎるのは早いものですでに、管理局復帰からすでに約半年たっている。
とりあえず、体調が復活したことで、仕事の方はミスはしなくなったし、自分の顔を鏡で見てもとりあえず、ちゃんとした健康な人の顔に戻っていた。
しねしね団からはもう全くと言っていいほど連絡が来なくなってはいるが……こちらに関してはすでに諦めているからどうでもいいのが本音だ。

さて、あの後スミレとの話し合いから生活は一変……と言うほど変わってはいないが、とりあえず、スミレには彼女の本来の役割であるらしい、《家事》をやってもらうことにした。
その時の彼女の喜びようは『これでやっとメイドロボとしての活躍がクロノさんに見せられます!』と、こちらがびっくりするぐらいであった。
なお、実は、まだ彼女と口をきいていなかった頃ですら、彼女はこっそりと、下手の掃除程度はしてらしい。
(冷静に考えれば、復讐に頭がいっぱいでまともに部屋の掃除をしていないのにやけに部屋がきれいだったとその時言われて初めて気が付いた。)
そして、彼女に家事を任せてみたところどんなふうになるか少し心配であったが……結局、普通に上手と言う程度の物であった。
すこしだけ、もしかしたら転生者性なのだから、手を合わせるだけですべての工程が終了するくらいのことを覚悟していたのだが、どうやらそう言う機能はついていないらしい。

が、ある意味これくらいの方がいいのかもしれない。
第一彼女自身、日にちがたつごとに、日々の料理のレパートリーや味付けなどドンドンうまくなっていってるし、もともとうまかった家事腕がどんどん成長しているのが目に見えて分かる。
彼女自身も家事の腕を上げるべく、味付けはどのくらいがいいか、今晩は何を食べたいかなども聞いたりしてくる。
こういうのは、人間でない彼女相手にいうのは変だが、なんだか、ひさしぶりに家族相手に交流をしている気がする。
これが彼女の製作者の狙いなのかと考えると非常に癪に障るが……まあ、彼女自身に罪はない、とりあえず、感謝しておこう。


「……っと、まだ買い物中か……今日は予定よりもかなり早く終わったし仕方がないか。」


どうやら、部屋の状態を見るに、彼女に鞄と外出用の衣服がないことに気が付いた。
つい、1ヶ月前、からとりあえず、彼女にもっと出かける様に頼んでみた。
それまで彼女には、ある程度の金銭の使用を認めていたし、それで彼女が食材や洗剤など家事に必要な物を買ってきてくれた。
……が、彼女どうやら、それ以外のものはほとんど買っていなく、着ている物は3着のメイド服のみ。(転生者お手製の魔法機能付きらしいが……)
身だしなみには気を付けてはいるようだが、それでも、彼女はいろいろもっと物を買ってほしい。
と言うか、ボクの個人的な意見として、もっと彼女にはいろんなことを知ってほしかったし、もっといろいろな事に興味を持てほしかった。
その為に、此処数か月間は、彼女と共に外出してみたり、いろいろな事を外で教えてみた。(その時、彼女にメイド服以外の服を着させるのには苦労した。)
その結果覚えたことが、ネットで買い物するよりスーパーで買い物した方が、日用品は安い事や、主婦の会話に混じることなど、どれも家事に関係することばかりであったが……それでも大分進歩したと言えるだろう。
そんなことを考えながら、とりあえず、テレビを付けて彼女の帰りを待つことにした。


「……遅いなぁ。
 何かあったのか?」


しばらく待ってみるが、どうにも彼女の帰りが遅い。
今日アイツもより早く帰ってきたうえ、特に連絡を入れてなかったからだが……それでも遅い。
彼女が帰ってくるのが遅れたのは、今まで一回しかない。(その時は奥様の井戸端会議に引きずり込まれたからと言う物であったが。)
一体何が……と思った瞬間外から爆発音が響く。
窓の外をみると、一軒の建物が燃えていた。














「いいかげん、あきらめやがれ!!さっさとその忌々しいプロテクションをきりやがれ!」

「………。」

「っち、なら、今から一般人を人質に……。」

「おおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!」

「!!っち、気づかれたか、……運のいい奴め!」


……あぶなかった。
燃えている建物が、彼女の贔屓をしていた《スーパー》だと気が付き、急いで周囲を確認してみたから運よく気が付けた。
どうやら、彼女は事件に巻き込まれて遅くなっていたらしい。
そして、彼女も襲撃者相手に連絡を取る暇もなかったのだろう、衣服はいくらか破れて、焦げ付いており、彼女の右手はその肘辺りから先がなくなっていた。
彼女をこのような眼に合わせた犯人に怒りがわくとともに、彼らは自分のよく知る人物であった。


「なぜ……なぜあなたたちがそんなことを!!《しねしね団リーダー》いや、NO-0!」

「……。」


そう、彼らは最近まですっかり連絡が取れなくなっていた、しねしね団であった。
どうやら今回は大掛かりな襲撃だったようで、ざっと見ても10人以上入る。


「……、ふん、転生者に恨みがある貴様なら、わかるだろう。
俺たちは転生者の存在を許さない。それは転生者が作り出したものも同様だ。
だから、それを壊す。単純なことだ。」

「……!!
 ふざけるな!彼女自身は別に転生者でも何でもないんだぞ!
 それに、何故はわざわざ建物をかわしてまでやった、一般人を巻き込んではそれはただの悪人だ!!」

確かに一時期所属していたし、彼らが、転生者のうらみを持つのはわかる。
がこれはあまりにもやり過ぎだ、少なくともしねしね団はテロ組織ではなかったはず。
というか、なぜ、団員たちはみな黙ってそんなことをしているのかが信じられなかった。


「ふん!転生者の道具に毒されたか!
 それに、転生者への復讐の為ならあれぐらいの犠牲など、些細なことだ!!
 我らが、転生者に対抗するには多少強引な方法が必要なのだ!」

「ふざけるな!!そんなことが……」

「待ってください!!それより、そこのNO-0とやら、貴方は……」


僕と0の会話に、スミレが混ざろうとした瞬間、0は叫ぶ。


「黙れえええぇぇぇぇぇぇ!!!」


0の言葉によって、一瞬口が閉じかけるが……


「クロノさん!!」


スミレの一言によって、すぐに口が動くようになった。
……と言うか今まで気が付かなかったが、何故自分は確固たる確証がないのにしねしね団が転生者復讐に対して強大な組織だとおもっていた?
なぜ、今周りにいる多数のしねしね団の団員はこんな無茶なリーダーのNO-0の命令におとなしく従っているのか?
そして、何故スミレの一言で、0の言葉に反抗することができるようになったのか?
これはもしや……


「NO-0、あなたはもしや……」


そのことに気が付き0に向かって確認を取ろうとするが、その前に彼は口を開いた。


「……そうだ、俺も転生者だ。
 しかも洗脳能力を持っているな。
 そう、悪いか?しねしね団を作った、そのリーダーが転生者で。」

「貴様!!みんなを騙していたのか!!
 あなたが今まで言っていたことは嘘だったのか!!
 ならなぜ、しねしね団を作った!!」


NO-0が転生者。
その言葉を聞き、頭に怒りが覚える。
それなら今までこいつは何のためにしねしね団を、そしてどんな悪事を企てて……。


「それは転生者の抹殺に決まってるだろ。」

「……は?」


が、その返事はあっさりとしたものであった。


「おい、転生者だから転生者を殺さないなんてことがあるわけないだろ。
 転生者だから、転生者の被害を受けないわけではない。
 俺は転生者に恨みを持っているし、さらに転生者はこの世界に不必要なものだ。
 だから、転生者を殺したいと思っている奴を集め、転生者を根絶やしにするための組織を作った。それだけだ。」

「……なら、今周りにいる団員は!!
 こいつらのことをあなたは洗脳を……」

「ああ!しているとも!けどこれはただの私利私欲の為じゃない!
 あくまで転生者を殺すためだ!
 俺の言っていたことは全部真実だよ。
 俺の家族が転生者によってめちゃくちゃにされたのも、恋人が転生者に寝取られたのも!
 こんな悲しいことが許されるはずがない。
 けど、それがまかり通るのが今の世界!
 転生者が上、それ以外は彼らのおもちゃ、まさに『転生者のおもちゃ箱』の如きこの世界!
 なら、俺が一転生者として、同じ転生者を殺し尽くさなきゃならない!
 多少の犠牲は出しても!おれがこの世界を守る!!」


むちゃくちゃだ!!そうは思いつつ、彼の眼は本気であった。
その眼には深い悲しみと怒りが見える。


「だが、俺は転生者なのに、《ほとんど効果がない程度の洗脳》と《弱い情報収集能力》しか能力をもたなかった。
 当然この計画に、ほかの転生者を参加させることはできねぇ。
 だから、非転生者だけの組織を《しねしね団》を多少の功績のでっち上げをしてでも、作った。
 俺なりに多くの人材を集めたし、武器も集めた、それなりに尽力は尽くしたさ。
 …けどだめだった。
 頑張って転生者を見つけても、人海戦術を使っても、お前みたいな高ランクの魔導師を組織に引き入れても、転生者相手に何もできなかった。
 だから、もう《しねしね団》が、いや、俺が転生者に対抗するためには、多少強引なことをしてでも、組織内の仲間を全員洗脳してでも、全力を尽くすしかねえんだ!!」


0はそう力強く叫んだ。


「……クロノ、おまえは同じ転生者に恨みがある仲間として戦いたくはない。
 それに、同じ転生者に恨みがある仲間として頼みがある。
 そこの人形に、自殺するように頼んでくれないか?」


0はそうぽつりとつぶやいた。


「今ここで、其処の人形を壊せば、もしかしたら、その人形を作った奴が怒ってこっちに来るかもしれない。
 その人形から、転生者に対抗する術が見つかるかもしれない。
 それにおまえが組織に戻れば、俺がお前を洗脳することになっても、お前をきっちりと転生者への復讐に役立てる。
 これを足掛かりに、この世界を直し、転生者を皆殺しにすることを誓う。
 ……だから、俺に協力してくれ。」


0はまるで懇願するかのように、ボクにそう言った。
0の言葉に対応して、スミレはこう言った。


「スミレはクロノの物です。
 もし、クロノがそれを望むならすぐにでも……」


「ふざけるな!!」


が、それは絶対に許さない!


「そうだよ!!世界はいつだって、こんなはずじゃないことばっかりだよ!
ずっと昔から、いつだって、誰だってそうなんだ!」


0の言いたいことは少しは分かる!!
けどそれは間違っている!!
もし、この世界に転生者がいなければ、僕は彼は平穏に過ごせたかもしれない。
だが、僕らは残念ながら、転生者が跋扈するこの世界に生まれ、酷い目にあった。
その過去を経験し、僕らは大きくゆがめられてしまた。
けど……!


「そう、こんなはずじゃない現実から逃げるか、それとも立ち向かうかは、個人の自由だ!
だけど、自分の勝手な悲しみに無関係な人間を巻き込んでいい権利は、どこの誰にもありはしない!

 たとえそれが、転生者よるモノでも!!強大すぎる力の前でも!!それは絶対に変わらない!!」


今まで腹の中にたまっていた何かが、飛び出した。
確かにボクの家族は、転生者によってめちゃくちゃにされてしまった。
そして、眼の前にいる0もおそらくは転生者でありながら、僕とそう変わらない状態なのだろう。
だが、それでも僕らは前に進まねばならない。
そして、僕らは復讐するにせよ、逃げるにせよ、それを言い訳に無関係な人たちを傷つけちゃいけないんだ!!

ボクは、そう自分に言い聞かせるかのように叫び、0を睨みつけた。
が、一方の0は、なんというか、ポカンとした顔をしていた。


「……あぁ、そうか、そうだったのか。」


そして、しばらく何かをぶつぶつつぶやいたのちに、突然、0は笑い出した、まるで何か愉快なことがあったかのように…………。
その後、意外なことには彼は無抵抗で降伏、その後今回の事件の首謀者として。管理局へとその身を引き渡されたのであった。



……こうして、ある意味僕は1歩後退し、2歩前進したのであった。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


後編だけじゃ終わらなかったよ……

感想や誤字脱字は(ry












[37951] 感想を見て、クロノ君の半生を妄想してみた(終篇)
Name: どくいも◆a72edfa5 ID:b22ab982
Date: 2013/07/03 05:49
※多分これでラスト
 前回はカオス成分が少なかったからここで一気に補ってみた
 後、多少のギャグとかも。
 それじゃあ、早速はじめます!!


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「………そろそろつくかな。」


今僕がいるのはとある、管理外次元世界。
僕自身あまりこの世界について知らないが……
どうやらこの世界あまり、開発が進んでいないようだ。
今はゴンドラのような乗り物に乗っているも、辺りに見えるのは森森森、っと、木ばかり。
それ以外は、象を超えるかのような大きさの体格な上にリンカーコアを持っている蟲や、はるか遠くからでも目視できる大きさのドラゴン。
……なんだこの危険世界は。
できる事なら、あまりかかわりたくはない世界だが、今回僕はわざわざユーノに頼み込んで、この世界に来たのだ。
目的を果たしてから帰りたい。


「クロノ……さん、見えてきましたよ。
 おそらくあそこが目的の建物でしょう。」


そしてやっと見えてきたのは、この大自然の光景にふさわしくない、一軒の大型の和風の建物。
まさしく、《城》と呼ばれる物であった。
そしてそこに住む者こそ、スミレの製作者にして、転生者である、《メイドロボの作り手》、『泉こなた』の住む城であった。









「おーっす、こんにちわー。
 ユーノ君から事前に聞いてはいるけど、私が『泉こなた』この城の主様なのだ!!
さて、君がクロノ君……でいいよね?

 うん、やっぱり生身で見ると凄いイケメンだねぇ。
 イケメン爆発しろ。」

「泉さん、いくら本人に出会えて、興奮しているからと言って、
 あまり、変なことを言い過ぎると、相手に変な誤解が……。」

「いやーどうせ、彼からしたら、私達転生者のことはもうわかってるでしょ?
 なら多少、ミーハーな態度を取ってもいいんじゃない?」

「……こんなくだらない会話をするくらいなら私は帰るわよ?
 というか、どう考えても、今回私まで来る必要なかったじゃない。
 こいつくらいなら、何かあったとしても《桜》1人で対応できるでしょ?」


さて、今僕はあの城の中にいて、ボクの目の前には3人……いや、おそらくだが1人と2体がいた。

自分の目の前の椅子に座っているセーラー服型バリアジャケットを着た女性が、転生者であり、スミレや他2体の産み親である『泉こなた』。
やや小柄な体格に、きゃしゃな体格、まるぶちメガネをして、一見戦闘に向かなそうだが……転生者は見た目で判断できないから何とも言えない。
そして彼女の後ろにいる、黒と白のロングスカートにカチューシャ、まさしく漫画に出てくるかのような格好のメイド姿の女性が《桜》。
おそらく彼女が、《泉こなた》の専属メイドなのだろうことはなんとなくその言動から察しがついた。
そして、その中で一際は異彩を放つのが、全体を青と白をベースとした、機械でできたような服(おそらくはバリアジャケットだろう)を着た黒髪の少女。
その機械の服からは武器になると思われる構造が多数見えるのが分かる。
名前は《霊夢》というらしく、さきほどから、やる気なさげにこちらや、自分の主人の方を向き、何度もあくびを繰り返していた。


「で~、クロノさん……、いや、親愛をこめてクロ助と呼ばせてもらってもいいかな?」

「……かまわない。」

「うん、いい返事!
 さ~て、今回はその娘、《HMX-08》の修理に来たんだよね。
 できればお名前を聞かせてもらっても?」

「……スミレと名を付けた。」

「スミレちゃんか!いい名前だね!スミレちゃんもいいご主人様に会えたみたいでよかったね!
 さて、なら早速修理に取り掛かるけど……
 どんな風に修理する?
 今から目の前で?それとも私が持ってる他の修理用のロボに任せる?好きなのを選んで。」

「それは、こちらが決めてもいいのか?」

「いや~、中には『俺のメイド(嫁)に要らん改造をされたくない!!』
 っていう理由で目の前で修理しなきゃいやだって喚く人が多いからね。
 それにメイドの中にも、できればご主人様の前がいいって希望する娘も多いしね。
 後後文句を言われたら困るから、事前にきっちり決めてから修理やら改造をすることにしてるんだ。
 ……近々、貼りつけるだけで修理できる《メイドロボ用包帯》なんて作ろうかと模索してるレベルだよ。
 あ~、なんだか、たちの悪い患者に絡まれる医者の気持ちが少しわかったような……って、話が脱線したね。
 ともかく、こっちもいろいろ苦労してるんだよ~。」


どうやら彼女はかなりおしゃべりな人物のようだ。
この後、30分くらいどんなふうに修理するかについて話し合い、結局、スミレの修理+強化をして、けれどそれをするのは、彼女の横にいた《桜》とその他作業用のロボたちがやる事となった。


「それじゃあ、桜、まかせたよ~~。」

「お任せください。泉さん。
 すぐに終わらせてきます。」

「それじゃあ、いってきますね。クロノ……さん。」


そうして、スミレが桜に連れて行かれたことにより、部屋にはボクと『泉こなた』、そして『霊夢』と呼ばれるロボだけになった。


「……で、何を話したいのかな?
 きっと、スミレちゃんの前だと言いにくい事なんでしょ?
 ほら、彼女の修理が終わる前にぱっぱと言っちゃって。めんどうだから、多分ごまかしとかもしないと思うよ?
 まあ、私の言うことを信じるかはそっち次第だけどね~。」


そう目の前の女、いや『泉こなた』は言ってきた。
……どうやら、ボクの意図は気付かれていたらしい。ならば遠慮することはない。さっさと話すことにしよう。


「どうして、ボクにスミレを渡した?」

「ユーノ君に頼まれたからそれ以上でもそれ以下でもないよ。」

「スミレの様な、いわゆるメイドロボはどのくらい量産している?」

「まあ、そこそこ。
多分100は超えてはいるけど……1000はいってないんじゃないかな?
 まあ、量産型と特別性がいて、スミレちゃんはいわゆる特別製だからね。
 量産型の生産台数までは覚えてないよ。
 それにメイドロボ《HMX》型以外にも、今横にいる、戦闘兼ビジュアル重視の《MSS》型とか、純粋な作業機械も作ったことがあるから……今すぐちょっと思い出すのは面倒だね。」

「……悪事を働いたことは?」

「小さい頃親に捨てられたときに少々。
 けど私の能力は《洗脳系》でも《戦闘用》でもないからね~。
 あんまり派手なことはやってないよ。ぶっちゃけ裏社会に、金や宝石を作って流しただけだよ。」


このように、僕と彼女の間でしばらくの間一問一答が繰り返される。
……が、彼女がしびれを切らしたかのようにこう叫んだ。


「~~~~だ~~~!
 クロ助、君はいったい何が聞きたいの?
 あれか?もしかして、君は確か腐女子系転生者『腐川』に襲われて、男相手にしか《スタンダップ》しない体になっているんだっけ?
それだから、これからしようとしてる、スミレとの夜の生活からどうしようっていう相談なのかい?
 それなら大丈夫、スミレはそんなゲ●な君でも大丈夫なように特別機能が……」

「……っつ!!
 それは違う!というか、何故そのことを!!
 もしやスミレに……。」

「いや、たんに転生者の間じゃ、その手の情報は広まってるからってだけの話だよ。
 一時期、ネットに《真夏の夜の淫夢》っていう、クロ助とグレアムの夜の特別講義(ゲイ的な意味で)映像が大量に出回ってたし……。
 これぐらいなら、管理局の掲示板でも探せば見つかるんじゃないかな?
 ……あれ?その顔、もしかして知らなかった感じ?
 なら、《ピーッ》や《プーッ》なんかも……」

「ぶうううううぅぅぅぅ!!!!!」


なぜかいろいろと知りたくない事実を知ってしまった。
というか、洗脳が溶けたばかりの頃、復讐に頭がいっぱいで、気付かなかったが、なんとなく男の管理局員のうち、なぜか何人かは態度がよそよそしく、なぜか数人はやけに親しげに話しかけてくると思ったら……。
……やばい、もう心が折れかかってきた、これは何とか早く言いたいことを言わなければ……。


「……とりあえず、その話はおいておこう。
 もうこれ以上、心の傷を掘り返されるのは嫌だから、本題をいう。
……いいか?」

「……なんかごめんね。」


なぜか向こうがこちらを、保健所に連れて行かれる犬を見るような眼で見ているが……。
ムシムシ。


「なら単刀直入に言わせてもらう。

 ……メイドロボの開発及び生産をやめてほしい。」


ボクのその一言に、彼女の眼が突然鋭くなる。


「……それは何でだい?
 もしやスミレの存在が気に食わなかったのかい?
 軍事転用が怖いのかい?
 それとも、転生者の存在そのものが気に喰わないのかい?」


彼女は先ほどまでのおちゃらけた雰囲気は一気になくなり、部屋の空気も緊迫した物になった。
けど、僕としても引くわけにはいかない。


「いや、違う。
 と言うか貴方はなぜ、メイドロボを量産しているんだ?
 作られたメイド側の気持ちを考えたことは?
 なぜ彼女たちに感情を与えた。
 ……彼女たちは可哀そうすぎる。
 生まれながらに、《奉仕する》と言う役目に縛られているし、ある意味では生きる目的と言う、人にとって一番大事な自由を彼女たちは持ってない。
 ある意味で、君は人々にメイドと言う名の心を持った奴隷を配っている。
 それに対して、あなたは罪悪感をわかないのかい?」


僕は思う。
スミレはいい娘だ。感情も豊かだし、人並み以上の知識もある。
しかし、それほどの可能性が秘めているのに、生まれながらにボクに縛られてしまっている。
いや、《メイドロボ》と言う存在自体、おそらくはそのような存在なのであろう。
機械の体と言うだけで、感情を持った物を生まれながらに奴隷として……


「……理屈的なことを言えば」


彼女が口を開く。
そして、冷え切った視線と口調で言う。


「ぶちゃけ、あれはしくみや形が違うとはいえ、ある意味じゃ《インテリジェンスデバイス》みたいなものだよ。
人格を持った、人の役に立つ機械。
ミッドの人たちだって、感情ある機械を私以上に奴隷、いや道具にしてるでしょ?
ならまだ、人の形をさせてるこっちの方が、愛着がわきやすいから、ずっとましじゃない?
 これのどこが悪い?
 機械一つに目くじら立てすぎ、感情が高ぶり過ぎだ、ボケめ。」

「……!!」


彼女の思わず《メイドロボ》、いや《スミレ》を物扱いする態度に苛立ち、思わず立ち上がりそうになるが……


「………と、まあ、口ではそんな風に言えるけど、実際私自身そう簡単に割り切れないよ~。
 ぶっちゃけあの子たちは、ある意味じゃ私の娘みたいなもんだしね。
愛着深いし、自画自賛みたいだけど、ある意味じゃ人間とあまり変わんない状態なんだもん。」


と、今までの冷たい口調はどこへやら、また口調が崩れたものへと戻っていた
しかし、その言葉には先程は感じられなかった温かみが感じられる。


「……正直初めはさ、ユーノがクロ助に《メイドロボ》を上げるって話、私はかな~り反対だったんだよ。
 正直《メイドロボ》はさ、《心が傷ついた人》や《普通の人》に渡せても、《怒れる人》や《厳しい人》にはあげたくないんだ。
 だってあの子たち基本純粋無垢でしょ?だから、人より有能なところがあるとはいえ、失敗もするし、全然万能じゃない。
 機械の体をもった、子供って表現が一番近いかもね。
 そんなメイドロボと付き合えるのは、心に余裕がある人や、彼女たちメイドを行動をやさしく見守れる人じゃなきゃダメだと思うのが私の自論だよ。」

「………。」


スミレに対する自分の初めの対応を思い出し、なんとなく彼女の言わんとすることを理解し、同時に、彼女とスミレに対して罪悪感が湧く。


「けどさ、今さっきクロ助がスミレと一緒に来たのを見たり、クロ助のスミレに対する思いを聞いて、その考えは間違いだって気が付いたよ。
 スミレはクロノの元に行って怪我はしたけど、今は幸せそうだし、クロ助もスミレのことを気に入ってくれてるみたいだしね。
 クロ助、君はスミレ、いやメイドロボと出会えて、よかったと思えるかい?
 まるで、お互い敵みたいな状態から出会いは始まっちゃって、どんな結ばれ方をしたかは知らないけど、君はスミレのことを好きだと心から言えるかい?」

「……もちろんだ。
 彼女への初めの感情は最悪だったけど、なれそめも、健全とは言い難いかもしれない。
 けど、ボクはスミレと出会えてよかったと思っているし、彼女のことを愛している。」


……これだけは間違いない。
今の僕の素直な感情である。


「愛してる、か……スミレもそこまで思われているとは、幸せ者だね。
……私はさ、そういうメイドロボと人の絆。そう言うのをもっとみんなに知ってもらいたい。
メイドロボも人も互いに手を取り合って更に幸せになっていく未来が見たい。
 私自身もメイドロボが好きだから、同じ幸福を、もっとみんなに分けてあげたい。
 だから、これからも、メイドロボを作り続けるだろうし、心の底から彼女たちを欲する人がいるなら、メイドロボたちを幸せにできるような人たちなら、メイドロボを渡していきたい。
 ……そう考えている。
 ……この返事でどうかな?」
 

……わかっていたが、彼女はメイドロボの生産をやめる気はないようだ。
けど、彼女がそこまで考えているなら……。


「……僕が言えることではないが、ならせめて、メイドロボを上げる人はきちんと厳選してくれよ。」

「……ふん、君に言われなくても!
私の『能力』をフル活用してでも、メイドロボと人間の間柄は、ハッピーエンド以外にはさせないよ!」


室内にやけに大きく彼女の声が響き渡った。
転生者、それは強大な力を持つ神に選ばれし者たち、しかし、個々人はやはり僕らと同じ人間なんだ。
転生者も僕らと同じ人間がゆえ、悪人も善人もいる。
そして、話して分かり合える奴だって当然存在するのであろう……。
なぜかそんな当たり前なことを、今頃理解できた気がした。

























「……このクッキー、うまいね。
 スミレちゃん、かなり腕を上げたね。まあ、私の桜ほどじゃないけどね!」

「恐れ入ります。」

「……別にこなた相手には、5円チョコでいいって言ったけど、スミレがどうしてもっていうから、特別に持ってきてやった。
 感謝しろよ。」

「クロ助は、相変わらずセメントだね~!
 よ!このツンデレ王子!!まあ、男のツンデレは一部の貴腐人が喜ぶだけだから、やめた方がいいと思うけどな!
 って、スミレちゃん、もしかして、クロ助は家でもこんなふうにツンデレなのかい?
 ……例えば、夜の生活とか。」


こなたはオヤジのような笑い方をしながら、スミレにセクハラをしていた。
そのため、傍に立っていた桜にいい音がするくらい、強く殴られていた。ざまぁ!
さて、時はたつのは早いものだ。
スミレの修理からすでに結構前のこととなってしまった。
結局あの後、ユーノやスミレ、フェイトや転生者関連のことで、何度かこなたの元に訪れ、交流を繰り返すようになった。
今現在も、彼女が保有しているらしい、別荘の一つに来ている。


「で、結局クロ助は……」

「ああ、ボクは『特務7課』。
 対転生者課って呼ばれてる、対転生者用の部隊の一つに入るよ。
 ……かなり派閥が分かれているし、僕がいわゆる、《原作キャラ》とやらなんだっけ?
 のせいで、かなりいろんなところからちょっかい出されるけど……。
 まあ、それなりに頑張ってはいるよ。」


そう、あの後も僕は普通に《管理局》に所属し続けている。
頭のどこかで、もう残りの人生は転生者に関わらず、ゆっくり過ごそうとも考えたが……。
やはり、僕はこの世界に広がる悲しみを一つでも減らしたいと思う。
7課に入ったのは、それが一番世界平和に貢献できそうなのと、知り合い家族の救出をこの手でしたいからである。


「あいかわらず、すっごい正義感と責任感だね~。わたしには理解できないよ。
まあ、せいぜいスミレを悲しませない程度に頑張んな。」

「お前に言われなくてもな。」


こなたとはあれ以来、口喧嘩仲間のような関係が続いてる。
初めは年下の女性相手にイイのかと悩んだ時期もあったが……
こいつが元男にしかも、実年齢、現年齢ともにこいつは自分より年上らしい。
なら情け無用である。


「で、クロ助は結局今回はどんな用事で来たんだい?」

「……これを見てほしい。」


実はこれ、今まで触れる事すら嫌な物でこれをここに持ちだすのには相当決心が必要だった。
思わず、悪寒で体が震えるが……それを察したのか、スミレは僕の手をそっと握ってくれた。
……心が落ち着いていき、息が整う。
そうだ、今の僕は一人ではない。スミレは当然だし、ユーノなど数多くの仲間がいる。


「これは……カセットテープ型デバイス?
 こんなの初めて見たよ。けど仕組みは単純っぽいね。
 ……で、これがどうしたの?と云うか、これはなに?」

「ああそれは……、《エイミィの寝取られビデオレター》だ」

「ぶおおおおぉぉぅぅふ!
 ちょ、おま、いったいなんじゃそりゃ!」


こういうのは不謹慎だが、こなたがここまで慌てるのは初めて見た。
イイ物が見れた。


「ああ、実はエイミィを攫って行った転生者はずっと行方不明なんだが
 それでも定期的にその、エイミィと奴が映った映像媒体である、それが家に送り付けられるんだ。
 とりあえず、送りルートや映像から、管理外世界にいるらしい事は分かるんだが、僕や管理局じゃそれ以上分かんなかったから、君にぜひ、彼と彼女の居場所を突き止めてほしい。」

「あ~、いや、あくまで私はほかの転生者を敵に回したくないから、本当に情報だけでいいなら……。
 それに私はこういうことは専門外だから、多分望み薄だけど……
 それでもいいならやってあげるよ?」

「頼んだ。」


こなたにそう言うと彼女は複雑そうな顔ではあるが、了承してくれた。
おそらく以前の自分なら、転生者の手を借りるなんて手は絶対に使わなかっただろう。
それに、転生者逮捕につながるこのビデオは長い間、汚らわしいものとして、触ってもいなく、自ら転生者へのヒントを自分で遠ざけていた。

……今の自分は以前より転生者への復讐心は薄れてしまったし、昔の自分が今の自分を見たら裏切り者と罵るかもしれない。
けど、今自分のやっていることは自分なりに間違ってはいないと思うし、以前よりも平和のために尽力を尽くしているはずだ。

そう、ぼくの、いや僕とスミレの人生はこれからだ。
内心そう夢想し、スミレと僕二人だけで取り残された部屋で、僕と彼女の顔が重なった。







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「………人の家でイチャイチャするの、やめてもらえませんかねぁ」

「まぁまぁ」






くぅ~疲れました!
というわけで、怒涛の連続更新はいったんここまでです!
初めは、ほもぉに追い掛け回されたり、男の娘型メイドロボに《アーッ》されるクロノ君を書きたかったのに、どうしてこうなった……。

感想ry


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