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[36717] 【ネタ完結】神様転生をドラゴンボールGT風に再現してみた (リリなの世界、パロディ)
Name: ゴメス◆ccc9b51a ID:34cc10f3
Date: 2013/02/19 18:00
 もしも神様転生の神様がマイナスエネルギーを溜め込んでいたら……
 そんなしょうもない妄想から神様転生と神転オリ主を愛しつつ皮肉ったお話です。
 本作は「ハーメルン」にも投稿しています。

◆◆◆


 第97管理外世界通称「地球」は、世界中の全てが火の海と化していた。
 第三次世界大戦が勃発したわけではない。多くの者には原因すら知ることが出来ない、その戦い。
 火山の大噴火、止まぬ大嵐、絶えず降り注ぐ轟雷。それは「リンカーコア」を持たぬ普通の人間の目には、見えるままの原因不明の大災害にしか映らない。

 しかし、それは「戦い」であった。

 世界中のあちこちで繰り広げられている「超封時結界」内での戦いの影響が外の世界に現れた時、結界から弾かれた者には自然災害に見えるというだけの話である。


 その戦いの影響は地球だけでなく、次元外全ての世界にも及んでいた。
 とある学者は言った。「この戦いが続けば、半年も経たず全ての世界が次元震に飲まれて消える」と――。

 事態を深刻に受け止めた時空管理局は持てる全戦力を地球に結集、ただちに結界内での戦いを止めるべく出動した。

 しかし、五分と立たずして彼らを待っていたのは信じ難い「全滅」の二文字だった。
 管理局最強魔導師全員を注ぎ込んでの結果である。
 世界中の誰もが絶望し、この世の終焉を悟っていた。

 だが唯一、彼は、彼らだけは諦めていなかった。そうすることが義務であるように、彼らは「ソレ」と戦い続けていた。
 その光景、事情を知る者はこう言う。


 ――転生者たちのマッチポンプと――。




「お・ま・えええええええええええええええええ!!」

 見た目十歳ばかりの少年が、吠える。
 瞬間、男とも女とも取れるその中性的な容姿が赤い爆発と共に変貌していく。
 140センチにも満たない小さな身体は180センチ以上の筋肉質の男の物へと、澄んだ翠色の瞳は右は真紅、左は碧のオッドアイへと変わっていく。そして肩まで掛かる長さの柔らかい質感の金髪は、腰に着くほどの長い銀髪へと変化していった。

 スーパーテンプレ人4――その変身だった。

 彼――オリー・シュベルトは一人の女性の骸を地に下ろすと背後を振り向き、そこに佇んでいる巨漢の姿を睨みつける。

「この子が何をしたんだよおッ!」

 彼のオッドアイが映すのは、限界を超えた「憤怒」。普通の生物ならば視線だけで息の根を止めることが出来る、凶悪な感情だった。
 しかしそれを浴びても尚彼の前に立つ巨漢――『転生神』ワッシ・ノミスージャンの表情は変わらない。呆れも侮蔑の色も無い、そこらの蟻を見るような、何事も無いような目でオリーを見下ろしていた。

「この子は何も関係無かった……! それを……虫けらのように簡単に殺しやがって!」

 ハアアアアアア!と声を上げ、オリーは己のリンカーコアから全魔力を引き出し、赤い魔力光を全身に纏わせる。その魔力のランクは計測不能のEX! 人間の可能性を遥かに超えていた。

「許せねえ……! お前だけは許せねえ!!」

 抱いた憤怒のまま叫ぶオリーにノミスージャンが返したのは、嘲笑。

「ふん、そのわしを生み出したのは誰だ?」
「なにっ!」

 一歩前に出て、今度はノミスージャンが叫ぶ。

「お前だオリー・シュベルト! お前達が神の元で転生、チート能力を願い過ぎたから、こんなことになったのだ!」

「PT事件でテスタロッサ親子が死に、闇の書事件で八神はやてが氷の中に消え、JS事件でミッドチルダが滅び、時空管理局の治安維持能力が著しく低下したのも、全てお前達のせいだ!」

「散々世話になっておいて、このわしを許せねえだと? ふん、勝手なことを言うな!」

 転生者が生まれる際、そして転生者が神から能力を貰う際、神はその身にマイナスエネルギーを溜め込む。
 そのマイナスエネルギーは能力の百や二百程度であれば神の内で消滅させることが出来るのだが、彼ら転生者の欲望はその限度を超えてしまったのだ。
 生まれ変わりたい、楽をして強く生まれたい――そんな転生者達の欲望が神の許容量を上回った時、ノミスージャン達「世界の修正力」という存在が世に解放された。
 彼らはそれぞれ転生者達の居る世界全てを破壊し、またゼロから再生するという役割を持っている。

 確かにこの惨状を引き起こしたのは「世界の修正力」であるが、元々の原因は彼の言う通り、オリー達神に転生を願った者、チート能力を願った者達にあるのだ。

「……それは、俺も悪かったと思ってるさ。いつかゼンセノンの爺さんも言ってたもんな。転生や能力付加にやたらめったら神様を使っちゃいけねえって……」

 それが事実であっても、オリーには認められないものがあった。彼の足元で倒れている彼女――この世界に元から居た存在についてのことである。

「だけどそれとこれとは話は別だ! やっぱお前は、俺が倒す!」
「勝手な言い分だな。すまないと思うなら死んで詫びろ!」

 例え原因が自分にあっても、関係のない人間まで巻き込むことは許せない。偽善と知りながらもそう叫ぶオリーに、ノミスージャンは正論だけを突きつける。

 その時だった。

 ノミスージャンの全身から虹色の魔力光が放たれた瞬間、この街が……海鳴市全体が砕け散った。
 ただ彼は身体の内から力を引き出しただけに過ぎないと言うのに、たったそれだけで街が一つ消えたのだ。
 チート能力「瞬間移動」で上空に逃れていたオリーはその被害には遭わなかったが、あまりに桁外れなノミスージャンの力に慄然としていた。

「な、なんて魔力だ……」
「どうだ? 今までの踏み台転生者達よりも、桁違いに強いだろう?」
「!?」

 オリーに感知されるよりも速く、既に彼の姿は背後にあった。
 背中に殺気が当てられるとオリーは急いで瞬間移動を発動し、彼と距離を取ろうとする。
 しかし、彼の気配はどこまでも着いてきた。地に移動しても、海に移動しても、どこに移動しても彼はオリーの背後に張り付いて離れなかった。

「くそっ!」

 振り向き様にチート能力「王の財宝」を発動し、手当たり次第に武器を投擲するが、ノミスージャンはその全てを指一本で弾き飛ばしてしまう。
 だが、オリーにとってもそれは牽制の攻撃に過ぎない。ノミスージャンが刃物に気を取られている隙に瞬間移動で距離を取ると、足元にチート能力「ぼくのかんがえたさいきょうのまほう」を発動する為の魔法陣を展開した。

「喰らえッ! 10倍!スターライトブレイカアアアアア!!」

 前方に突き出したオリーの両手から、これでもかと言うほど圧縮された魔力光線が発射される。
 光の速さで疾走していくその光線は間違いなくノミスージャンの姿を捉え、大地を揺るがすほどの大爆発を巻き起こした。

 しかし爆煙が晴れた時、そこにあった彼の身体には傷一つ付いていなかった。

「あ……」
「念の為言っておく。わしはピンピンしているぞ」

 10倍スターライトブレイカーはオリーの最強の魔法である。この技で葬ってきた地雷系転生者は数知れず、倒せなかった者は誰一人としていなかった。
 しかし、ノミスージャンにはそれすら効かなかったのだ。オリーはこの時、はっきりと思ってしまった。
 勝てるわけがない、と。

「今のがお前の最高の技なら、絶対にわしには勝てん! ドゲザヨージョ・ブラスタァァァ!!」

 絶望を肌で感じ硬直する彼の元に、ノミスージャンの攻撃が容赦なく襲い掛かっていく。
 先の10倍スターライトブレイカーの数百倍はあろうかという光線が彼の身を飲み込もうとした時、

 横合いから現れた影が彼の身体を突き飛ばし、光線の射線から逃れさせた。

「……! ダイ!」

 靡く銀色の髪と両目の虹彩異色はオリーと同じスーパーテンプレ人4となった者の姿だ。彼を突き飛ばした影の正体は彼の生涯のライバルにして「神様転生者」の一人、名をステップオン・ザ・ダイと言った。

「何を諦めている! この戦いで消えていった他のオリ主達のことを忘れたか!」
「ダイ……すまねえ」

 ここに来て加勢に来てくれたのは有難い。だが、あの『転生神』ワッシ・ノミスージャンの力は二対一でもどうしようもないほどだ。
 ノミスージャンの方もそれを知っているからか、余裕の笑みを浮かべたままだった。

「セイト・ラックとシラヌ・テンジョーを倒したか。だがわしの力はあの二人よりも桁違いに上だぞ?」

 ダイもまた自分と彼との力の差を理解しているのだろう。彼の言葉に対しては強ばった表情を返すだけで、言葉を返すことはしなかった。
 しかし彼は、ノミスージャンではなくオリーに向かって言った。

「……お前が勝てない相手じゃ、俺にも勝てない」

 虚勢も張らず、紛れもない事実のみを口にした。
 事あるごとに自分が最強オリ主だと言って突っかかってきた昔が懐かしいな、とオリーは思った。
 だが、オリーは知っている。敵わぬことを知っても、彼は諦めることをしない男だということを。

「ユニゾンするぞ、オリー・シュベルト。さっさと準備しやがれ」

 それは神を倒す為、彼らに残された最後の手段だった。





次回「ユニゾン! 究極のスーパーオリ主」

 もうちょっとだけ続くんじゃよ。



[36717] 最終回
Name: ゴメス◆ccc9b51a ID:34cc10f3
Date: 2013/02/19 20:55

    ~前回のあらすじ~


 「世界の修正力」の頂点に立つ転生神、ワッシ・ノミスージャンは強かった。
 圧倒的な戦闘力の前には、スーパーテンプレ人4の力を持ってしても全く歯が立たなかった。

「馬鹿な……10倍スターライトブレイカーが効かねぇなんて……」
「今のが最高の技なら、絶対にわしには勝てん! ドゲザヨージョ・ブラスター!!」
「ぐわああ!」

 絶体絶命のピンチの時、ノミスージャンの必殺技からオリーを救ったのは、オリーの長年のライバル――ステップオン・ザ・ダイであった。

 ――そして、ロンドン、タイ、カナダへとそれぞれ散り散りになっていた仲間達が、一斉に彼の元へと駆けつけてきた。

「フッ、今更重ねてきた罪を償おうとは思わない。この血塗られた右腕で神を殺すのもまた悪くない……手を貸そう、オリー・シュベルト」
「ボクも居るよ」
「チュニーボ!? それに、ティーン・エッス!」
「はあ……関わりたくないな……まじ眠いし」
「サギ! 比階入サギ! お前も来てくれたのか!」

 彼らはいずれも神によって能力を授かり、この世に第二の生を受けた転生者である。今までは決して仲が良かったわけではないが、この世界の危機を前にして初めて全員が団結したのだ。

「ユニゾンするぞ、オリー・シュベルト。さっさと準備しやがれ」
「ユニゾン……ユニゾンだって? そうか、その手があったな……。俺もお前もユニゾンデバイスじゃねえけど、チートを使えば出来ねぇこともねぇか」
「時間稼ぎはボクに任せて。二人は急いでください!」

 ノミスージャンの猛攻から、身を盾にしてオリーとダイを守る転生者達。
 そして二人のスーパーテンプレ人4の心が一つになった時、奇跡は起こった――。

「だ、誰だ貴様は……!」
「俺か? 俺はオリ主でも踏み台転生者でもない。俺は、原作を愛する者だ!」

 人間同士のユニゾンを成功させた二人は、全く新たな究極戦士「原作を愛する者」へと生まれ変わったのである。
 傷ついた仲間達は時間稼ぎという役目を終えたことで、一様に勝利を確信した。

「なーにやってんだバーカ! トロトロやってんじゃねえよ、このノロマ!」
「ぬう……ノロマだと? ちょっとパワーが上がったぐらいでいい気になるなぁ!」

 スピードにパワー、原作を愛する者は、全てにおいてノミスージャンを上回っていた。


「終わりにしようぜノミスージャン、コイツであの世に送ってやる。

  ト リ ッ パ ー ・ ク オ リ テ ィ ! ! 」


「ぬわーーーーーーーーーーっっ!!」


 そして原作を愛する者が放った最大最強の一撃が炸裂し、勝負は決まったかに見えた。

 だが、

「やべえ! もう解けちまったのか!」
「くそったれ! 後一秒で良かったのにっ!」

 やはり人間同士のユニゾンには無理があったのか、最悪のタイミングでユニゾンが解除されてしまい、ノミスージャンを完全に消滅させることが出来なかった。

 大ダメージを負ったノミスージャンだが、ユニゾンが解けた二人を蹂躙するのにはその状態でも十分だった。今度は再びオリー達が痛めつけられる側となり、とうとう恐れていた最悪の事態が起きてしまった。

「世界の修正力よ! わしに力をくれい!」

「っぐぐ! この星には落とさせねえ!」

「オリー!!」

 ノミスージャンがこの星ごと吹き飛ばさんと放出した究極の技、「ハンゴツゴーシュギ・マイナスエネルギーボール」を受けたオリーが、命を落としてしまったのだ。

 その瞬間、勝利を諦め、悲しみと絶望に暮れる転生者達。
 しかし、まだ終わっていなかった。

 なんと! 巨大なクレーターの中から死んだ筈のオリーが出てきたのだ!

「馬鹿な! 神がまた貴様を転生させたとでも言うのか!? そんな筈はないっ! 転生神はわしの筈だ!」
「へっへへ……」

 天に向かって高々と伸ばされたオリーの両手の上には、直径百メートルにも及ぶ巨大なエネルギーボールが浮かんでいた。
 それは次元の壁を乗り越えて彼の元に集まってきた、各世界に生まれた転生者達の力。理屈の闇に立ち向かう、理不尽の光だった。

「オリ主のみんなー! 俺に力を分けてくれぇー! 空に向かって、手を上げてくれー!!」

 玉はみるみる膨らんでいき、さらに巨大化していく。
 ネギま世界から、fate世界から、ゼロ魔から、ポケモンから、ドラクエから、コズミックイラから、ISから、そして、このリリカル世界から――その他無数に溢れる様々な世界から送り込まれてくる各「オリ主」達の力によって、ついにその直径は二千メートルを超えた! 

「コイツはなぁ! オリ主達みんなの願いだ! 無茶苦茶にぶち壊された、世界の叫びだ!!」
「よ、よせやめろ……」

 ここに頭にバンダナを巻いた少女が居れば、雄々しくノミスージャンを見下ろすオリーの姿を見て「神様みたい……」と表現するかもしれない。
 しかし、彼は神様ではない。

 ――神様に力を貰った、オリ主であった。

「喰らえ!!」

「ぬ、ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっ!!?」

 オリーが投げつけた「超ウルトラオリ主玉」によって、遂にノミスージャンは消滅した。

 そして、その後だった。

 疲労困憊と言った彼ら転生者達の前に、目映い光と共に一人の老人が現れたのは。



                最終回
       【 さらばオリ主…… また逢う日まで 】




「わしのミスじゃ。ごめんちょ」

 数々の奇跡(チート)を起こし、やっとの思いで最後の「世界の修正力」を倒したオリー達の前に、白ひげの巨漢の老人が姿を現した。
 何となく、出てくるだろうとは思っていた。
 今回の騒動の元を辿れば、彼のところへと行き着くからだ。

「……と、今回も言いたいところじゃが、わしが全て悪いわけじゃない。まあお前さん達の願いをホイホイ叶えちゃうわしに責任が無いとは言わんが……」

 今回の騒動、「世界の修正力」が生まれてしまった原因は、転生者達の願いの量が彼――「神様」の許容量を超えてしまったことにある。願い過ぎた転生者に非があるのは当然として、叶えすぎた神に非があるのもまた確かであった。
 しかし転生者である彼らの、誰が「欲望の肯定者」であるこの神を非難出来るものか。

「そんなことはいい」

 きっぱりと、オリーが言った。
 一同の視線を集めながら、既にスーパーテンプレ人4の姿ではなく通常状態である中性的な顔立ちの少年に戻っていた彼が浮かべていたのは、いと儚げな笑みであった。
 そう、何かを悟ったような。

「今回のことで、いや、その前から……俺達が転生したことで、死んでしまった人達が居る。それは全部悪いのは俺達だから、その人達には関係ねぇ」

 だからさ、とオリーは続ける。

「やり直させてくれねぇかな? もちろん、全部無かったことにしろなんて言わない……だけど、あんたから貰ったこの力で、今度はみんなを助けたいんだ!」

 力強い意志の宿った瞳を向けて、オリーは願った。ノミスージャン達世界の修正力によって否定された「願うこと」を、自分勝手と知りながらもあえてもう一度選んだのだ。
 そんなオリーの言葉に、ダイ達が続く。

「俺からも頼みたい! フェイトやはやてやなのは……ミッドの連中も、俺のせいで死んだようなものなんだ。頼む」
「気づくのが遅すぎたようだ……貴方から授かったこの呪われし闇の力は、弱き者の為に振るうことで浄化される」
「関わりたくない……けど、好きな人の為には全力で関わるのが俺だ。眠いけどよろしく」
「ボクからもお願いします、神様」

 どこまでも傲慢で、どこまでも己が信じる道を突き進むのが、彼ら「オリ主」である。
 愛し過ぎるが故に時に暴走することもあるが、「原作」をとことん愛するのが、彼ら神様転生者である。
 その最後の我が儘――願いに、転生神は微笑んだ。彼もまた、どこまでも欲望の肯定者であった。

「行くぞ、オリ主達」

 そしてその瞬間、全ての次元世界に光が瞬いた。崩壊したミッドチルダも含めて、全ての世界に。


 ――転生神の力が、世界そのものを転生させたのだ。










 夕暮れの公園で、一人孤独にブランコを漕いでいる少女が居た。
 歳は幼く、普通の家庭であればとっくに家に帰っている筈の時間である。しかし、少女には帰る場所が無かった。
 父親は仕事で重傷を負って入院。母は家計を安定させる為に喫茶店で必死になって働いている。歳の離れた兄と姉もまた、その手伝いの最中で家には居ない。
 故に家に帰っても、そこには誰も居ないのだ。
 だからこそ少女は、泣き出しそうな気持ちを抑えながらもブランコを漕ぎ続けていた。

 そんな時である。

「よう」

 見も知らぬ同い年ぐらいの少年が、馴れ馴れしく少女の元へ話しかけてきたのは。

「あっ……」

 その少年の顔を見ると、何故だろう。今初めて逢った筈だと言うのに、頭の中では彼と過ごした数多の思い出が蘇ってくる。

 初対面では、ない。

 どこかで、逢った、気がした。

 ハッと何かの電波を受信したかのように、少女の頭に唐突に一つの単語が浮かび上がってくる。それはどこか鼻につくところもあるが、それ以上に親しみやすい単語だった。

「来てくれたんだね、オリ主……」

 満面の笑みでそう言った少女の顔には、既に陰りは無かった。




 オリ主がいたから楽しかった……。



 キザで傲慢で――優しくて……。



 そんなオリ主が、みんな大好きだったから……。




 これで、神様転生のお話は お し ま い 。







          【 THE END 】


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