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[36050] CLANNAD 岡崎篇
Name: 谷口◆6ed29ed7 ID:a1a87c82
Date: 2012/12/11 23:51
汐‥。


渚‥。

~汐の葬式~
「熱の出た娘さんを外に連れ出したんですって!」
「父親なのに、どうしてだろうな?」


 様々な場所で岡崎の行動に対する苦言を連呼する中、椅子に腰かけて汐の棺桶を茫然と眺める岡崎 朋也の姿があった。何もできなかった自分の無力さと何もかも失ってしまった絶望感に打たれてしまった岡崎は、こうして棺桶を眺めるということしかできなかったのだ。
 そこで、ボーっと見ていると1人の男が岡崎の元にやってきた。
「お前が悪いわけじゃない」
と言ってくる男を見ようと岡崎はゆっくりと顔をあげる。情けない顔をし、顔の周りにはひげを剃らずにいたため、草むらみたいに伸びていた。
「‥‥おっさん」
 顔をあげると、古河 渚の父 古河 秋生の姿があった。情けない顔をして、周りの声が聞こえないようになっていた岡崎におっさんの声は届いた。葬式というのに、火のついてないタバコを咥えて岡崎を慰めに来たのだ。
「慰めならいいぜ。俺が‥‥汐を殺したんだ」
後悔しても‥後悔しても…しきれないぐらいの思いに岡崎は涙を流した。拳を膝の上で強く握りしめうなだれている姿を見た秋生は、岡崎の肩に手を置いた。
「周りは、お前の苦しみ、悲しみ、そして、汐にやった行動を知らない。気にするこったねぇよ。でもな!お前がそんな顔していたら、汐だって‥‥渚だって‥‥」
秋生は、渚を口にした途端、下をうつむいてしまった。
 秋生だって、自分の無力さを感じているのだろうか?渚が死んでしまった事を自分のせいだと思っているのか?俺の気持ちを分かろうと、暗い過去をひっぱりだして、一緒に悲しんでくれるのだろうか?
そんなことを思っている岡崎は、すっと立ち上がり秋生の肩を掴んだ。

「おっさんは、渚を立派に育てたじゃねぇか!俺は…渚が残してくれた最後の子供さえも死なせるバカだ。おっさんのように、小学校や中学校‥俺が渚に会った高校でさえも行かせることができなかった。俺は、汐の願いを叶えようと外に出た。でも、その願いは大きな代償を払ったんだ。それは…汐の死だ‥。渚は、俺の恨んでいるに違いない。きっと、俺のことを嫌いになったかもしれない。俺は、おっさんや早苗さん、渚や汐を大事に思ってくれるたくさんの人の願いを殺してしまった。だから、俺は…おれ‥は」
岡崎の思いは、強く秋生の胸に突き刺さった。

「バカ野郎!!」
大きな声が秋生と岡崎の後ろの方で聞こえた。
 そこには、汐と同じ幼稚園の園児だった。一気に注目が集まる。
「なんで、汐ちゃんを殺したんだ」
まだ、小さい子供の言葉でさえ、岡崎の胸には強く突き刺した。何も言えず、ただうつむくことしかできない岡崎に近くに居た園児と同じように周りの人も同じことを言ってるようにみえた‥‥おっさんでさえも‥‥。



 汐の葬式は、終わりを迎えた。出火される時、そこには岡崎の姿はなかった。


~葬式場の外~
岡崎が葬式場の外で2~3段しかない階段の上に座りながら、寒い風に当たりながら、園児の『殺した!』という言葉が頭を周っていた。
 「朋也‥ここに居たの?」
聞き覚えのある声が耳元でした。涙でぐしゃぐしゃになった顔を向けると、

「杏」
‥‥藤林 杏 の姿がそこにあった。
 藤林 杏は、汐の先生で岡崎の同級生だった。心配な顔をして、そっと近づいてきた。

「汐ちゃん‥が亡くなったことをご冥福お祈りします」
「わざわざ、そんなこと言いに来たのか?どうも‥今は1人にしてくれ」
少し強い言い方になってしまったが、本当に1人にしてほしかったのだ。
 それでも、近くにいようとする杏は、話しかけてきた。
「あんたらしくないわね。自分のせいにしないようにね!汐ちゃん!朋也といる時が、一番輝いて見えた。やっぱり、親子なんだって思えた。渚さんが亡くなったときも、朋也が申し訳なさそうにしていた。そして、汐ちゃんを渚さんの両親に押し付けて、ここでうなだれていた。あの時と何も変わってない。そんな顔していたら、汐ちゃんも渚さんも悲しむと思う。だから‥」
「喜べってか?」
「え?」
慰めの言葉は、逆に岡崎を怒らせた。
「喜べばいいのか?杏!」
恐い顔をしながら、杏に話しかけた。
「違う‥違うの!でも、そんな顔をして‥」
「俺が殺したんだ!汐も…渚も……」
バッ
杏は、岡崎が肩を落とすと、その背中を抱きしめた。何も言わない岡崎は、ただ‥ただ‥下を向きながら肩を落としていた。杏は、抱きしめたまま動かない。

「朋也‥‥あなたのせいじゃない。だから、自分を責めないで」
温かい吐息が岡崎の耳に触れた。その吐息は、『自分を責めるな』と言わんばかりの温かい想いと願いがこもっていた。杏は、すっと背中から手を離して去って行った。
「俺が、汐や渚を殺した。でも、おっさんや杏は俺が殺したとは思っていない。
『殺した!』あの園児もきっと、汐の友達だったんだよな‥‥あと、10年‥‥20年生かせてあげていれば、素敵な人とも会えて、俺と渚のように‥俺も満足できたかもしれない。なんで、まだ!5年だぞ!なんで死なないといけないんだ!ちくしょう!!」
大きな声で空に叫んだ。何も知らない空に、月明かりが町を照らしている。澄んだ空に星が輝いている。その1つ1つは、渚か‥汐かもしれない。何1つ叶えてやることができなかった岡崎は、空を見上げることしかできなかった。
 あの桜道で渚と出会わなければ、渚も汐も悲しむことができなかったのに…悔やんでも、悔やんでも仕方がない。岡崎は、自分の無力さを改めて知った。



 岡崎は、夢を見た。渚や汐が生きていて、渚がエプロン姿で3人分の朝ごはんを作っているところ‥汐がランドセルを背負って「パパ!見て?」とランドセルを見せる姿‥‥。すべて夢なのに、違う温かさを感じた。


~古河店~
 汐の葬式が終わって20日が経った。
岡崎は、寒い冬景色を眺めながら、歩いていると早苗さんが泣きながら走ってきた。
「俺は、大好きだ!!!!早苗~」

遠くでおっさんの声が聞こえた。
「またか‥」
なぜか、懐かしく感じだ。あの時、渚の家に初めて行ったとき、早苗さんのせんべいパンやおっさんに怒鳴られたり、渚の笑顔‥すべてが夢のような日々に感じた。
「岡崎さん‥。こんにちは」
早苗さんが岡崎に気づき挨拶してきた。
「こんにちは」
岡崎は、申し訳なさそうな顔をした。それを見た、早苗は笑顔で岡崎の手を握ってきた。いきなりのことで慌てる岡崎を笑ってくる。
「早苗さん‥こんなとかおっさんに見られたら‥」
「貴様!何をしてやがる」
と言ってると岡崎の後ろで聞き覚えのある‥早苗さんの‥番犬‥違う。もっと、恐ろしい何かが後ろにいることに気が付いた。
 ゆっくり後ろを見ると…おっさんがいた。
「貴様!渚の代わりに早苗を取るつもりか!!」
「違う!誤解だ。早苗さん、手を離してください」
「離しちゃうんですか?う~」涙目をする早苗。
「貴様!早苗を泣かせるな!殺すぞ!」
「どうすればいいんだー」
なんとか、その場を収めた岡崎は、久しぶりに笑った。今まで、笑う事ができなかった日々をこの人たちは岡崎の日々を変えてくれた。
「久しぶりに笑った気分はどうだ?」
「笑ったというより焦ったわ!」
「アハハハ」おっさんは、呑気に笑い、早苗さんもクスクス笑っていた。岡崎をつられながら笑った。
本当にいいのだろうか?岡崎は、頭の中でそう思った。

3人は店の中に戻ろうとすると、店の中に1人の女の子がいた。


〈作者の感想〉
ありがとうございます。
CLANNADの汐の死後の世界を書かせていただいています。岡崎 朋也の前に現れた謎の女の子の正体を2話で書かせていただきます。みなさんの感想やアドバイスを楽しみに待っています。
1話 汐との別れ
読んでくださりありがとうございます。



[36050] 2話 岡崎の思い
Name: 谷口◆6ed29ed7 ID:a1a87c82
Date: 2012/12/06 00:00
店の中に女の子がいた。
おっさんは、ゆっくりと近づき、
「誰だ!!!!!」と怒鳴りつけた。
お客だろ?と岡崎の脳内は反応した。
びっくりしたのだろうか?こちらを見た。どこかで見たことがある姿だった。
 その子の手には、星か?と疑うものを持っていた。すると、岡崎の後ろにいた早苗さんが近づいて‥「風子ちゃん!こんにちは」
そうだ!
岡崎は、思い出した。汐のお友達になった変人がいたと…。
「こんにちはです。風子!お線香焚きに来ました」
「汐の‥岡崎さん?」
 そう!まだ、汐のお墓までも作ってない状態だった。仏壇なんてあるわけがなかったのだ。おっさんも早苗さんもお墓を作ってないことや仏壇がないことは知らない。言えなかった。お金がなかったのではない。いや、なかったのだ。
 でも、岡崎が一番作らない理由は、そんなことじゃない。

汐が死んだ‥。

それを認めたくなかったのだ。黙り続ける岡崎に何かを感じた風子は岡崎の近くまで歩み寄ってきた。

「岡崎さん!風子!汐ちゃんが大好きです。汐ちゃん‥まだいますよね?どこかにまだいますよね?岡崎さん!」
何を言ってるのか分からなかった。しかし、彼女なりのやさしさなのだろうか‥。いつものようにふるまう風子を見て、涙を流した。
「あぁ‥まだいるさ。ありがとうな」
岡崎は、風子の頭をやさしくなでた。『まだ‥いる』そう思いたかった。渚‥。汐が死に渚は今何を感じているのだろうか?渚のことだ!優しく抱いてくれるだろうか?いや、きつく怒るだろうか?3人で生活したかった。そう考えながら涙を流した。岡崎は、大粒の涙を床に1つ1つ落としていった。

「風子!岡崎さんを責めません」
「え?」
「風子!岡崎さんを責めません。きっと、汐ちゃんも岡崎さんの子でよかった!と思っているはずです。風子は…岡崎さんを褒めます。そして、お疲れ様でした」
風子は、笑顔でそう答えた。
「あ‥ありがとう」
岡崎は、風子を見て答えた。おっさんも早苗さんも笑顔で岡崎を見た。


~外~
 おっさんと早苗さんの邪魔にならないように、岡崎は、風子を連れて寒い外を歩いていた。風子は、岡崎の気を使っているのか?何も言わない。岡崎も何も話すことがないため話さない。沈黙の間が続いた。
 商店街まで来ると…。渚との思いや汐との思いがこみ上げた。風子は、岡崎の手をそっと握った。
「どうした?」
岡崎は、風子が手を握ってきたことに何を感じたのか?風子に聞いた。
「岡崎さんの手温かいです。風子!ぽかぽかしています」
「そうか‥」
風子の手をそっと握り返した。周りの人は、どう見えるのだろうか?
兄妹‥? 恋人‥? 友達‥? 夫婦‥?
ありえねぇ‥と頭に浮かべながら‥クスッと笑った。
「どうしたんですか?何か岡崎さん気持ち悪いです。離してください」
「お前が繋いだんだろうが…」
「風子は、いきなり繋がれて「好きだ」と言われたんです」
「お前…無茶苦茶だな」
「それは、風子を馬鹿にしてるのですか?」
「そうだよ」
「風子!今のは少しカチンときました。私は、おバカじゃないです。平均的な人間です。近所の人も私を「平均的な人間だ」って言ってきます」
「どんな近所だ!!見てみたいわ」
 こんな会話、昔交わしたことを思い出した。あの時は、汐もいたな‥。風子が汐と友達になりたいって岡崎の家に来たときのこと思い出した。
「風子!汐ちゃんを欲しいです」
あんまり変人なものだから、大変困った奴だったな~と想いながら風子を見ていると風子が顔をゆがめて岡崎を見た。

「なんですか‥?気持ち悪い顔して見ないでください。風子‥気分が悪くなりました」
「お前…傷つく言葉発しすぎだろ」
「それとも‥」
「?」
「風子を汐ちゃんだと思っていましたか?少し嬉しいです」
「全然思ってねぇよ!どうみても、真反対の人間だろうがお前は‥」
「酷いです!いくら岡崎さんでも、それはダメです!私は、新の人間です。お姉ちゃんの婚約者も「お前は、新の人間だ」と言いました」
「公子さんの婚約者って芳野さんか‥いいそうだな」
なんとなく納得してしまった。芳野さんともしばらくあっていなかった。


 元、ミュージシャンだったが、いろんなことがあり今では、電気工で働いている。岡崎も18の時からお世話になっていた。汐の件があり、辞めてしまったが…「いつでも戻ってこい」と言ってくれている。熱くて、たまにアホらしい人だけど…そろそろ戻ってもいいんじゃないかと思うようになっていた。岡崎は、風子に頼んだ。
「お前さ‥芳野さんに会わせてくれないか?」
「岡崎さんが‥芳野さんに会えば簡単ですよ」
「違うんだ!俺は、あの件以来人との会話を避けてきた。芳野さんとの会話もだ!だから、申し訳なくて1人じゃ会えない。わがままを言うがお前に付き添ってもらいたいんだ!お願いだ」
岡崎の気持ちが届いたのか?風子は、頷いた。公子の家に向かった。


~公子の家~
ピンポーン
とインターホンのチャイムが鳴った。
(はーい)
公子さんの声だった。
「風子です!」
(ふぅーちゃん!鍵開いてるわよ)
「あの‥芳野さんいますか?」
(祐介?ちょっと待ってね)

1分後

(はい!芳野だ!)
「風子です!」
(どうした?鍵開いてるぞ)
「聞いてほしいことがあります」
(なんだ?)
すると、風子は、1歩後ろに下がり岡崎を前に立たせた。岡崎は、インターホンを眺めて、強く拳を握った。
(どうした?切るぞ!)
早く話さないと切られてしまう!しかし、岡崎は、もう1歩前に出ることを躊躇っていた。しびれを切らした芳野のインターホンは切れた。
「どうして言わないですか?」
「悪い‥やっぱり無理だ」
下を向き、唇をぎゅっと噛んだ。
ピンポーン
風子は、インターホンを押した。
「何!押してるんだよ」
「岡崎さん。逃げちゃダメです。風子、汐ちゃんがいなくて寂しいですけど…逃げてないです。岡崎さんは、すべて自分の責任にしてますけど…風子は……風子は…岡崎さんは汐ちゃんの良き父だと思っています」
(はい?)
芳野の声がしたのだが、岡崎は、その声は聞こえていなかった。『良き父』汐を殺したのに…『良き父』‥岡崎は風子の目を睨んだ。
「良き父だと?俺は、汐を殺したんだぞ。何も知らないお前なんかに分かるか?よく、そんな言葉言えたよな…お前に慰められるほど‥俺は…」
岡崎は、怒鳴りつけてしまった。必死に分かろうとしてくれた風子の気持ちを考えず、怒鳴りつけてしまったのだ。怒鳴りつけられた風子は、下を向いて涙をぽろぽろ流していた。
ガチャリ
と公子の自宅のドアが開いた。そこに居たのは、芳野さんだった。
インターホンで聞いていたのだ。あまりの怒鳴りつけ方に駆け付けてきたのだ。
 芳野は、ゆっくりと近づいてきた。岡崎は、1歩1歩後ろに下がっていく。
「久しぶりに現れたと思ったら‥どういうつもりだ?」
風子の肩をそっと抱き、家に置いて、また来た。
「少し話そうか?」


~公園~
芳野に連れて行かれた岡崎は、うつむいたままベンチに座った。
「汐ちゃんが亡くなったのは、自分の責任だと感じているのか?」
「あぁ‥そうだ!俺が汐を殺したんだ」
「それは、どうして?殺したと感じるんだ?」
「俺は、汐の願いを少し叶えようと冬の寒い外に連れ出して‥‥殺してしまった。
俺が悪いんだ!」
「そうやって逃げるのか?」冷たく言い放つ芳野に岡崎は芳野を睨んだ。
「あんたに分かるのかよ!自分の願いを叶えて、いろんなことをして、今では、奥さんもいれば、電気工で働いて充実して!いいよな?『逃げ』とか言えば、それで済むと思っているんだからな」
散々と芳野の思いや感情を踏みにじって言った。しかし、芳野平然としている。逆に岡崎の額に汗がついていた。
「気が済んだか?それで、お前は、どうしたい?汐ちゃんが死んだのは、お前の責任じゃない‥これは、安易な考えかもしれない。だが、実際にお前は殺してない。これは、明確だ!少人数が言うかもしれない。それを真に受けるな。少なくとも俺は、お前の味方だ」
「芳野さん‥すみません」
「気にするな!俺も安易だった」
芳野さんは、ほっと息を付き、立ち上がった。
「岡崎よ!奥さんを失い…娘を失ったかもしれない‥だが、お前は生きている。お前ができることはなんだ?それは、2人の分まで生きることだ!違うか?」
「そうです‥でも、俺は………う‥しお‥を」
「岡崎!俺が全部聞いてやる言ってみろ」
男2人で殺風景の公園にいた。岡崎は、汐の死後の思いを語った。日は暮れて、最後まで付き合っていた芳野は、岡崎の相談にのった。


~岡崎の思い~
岡崎は、汐の死後の思いを語った。
「俺は、汐を殺したんです。汐は、俺に『旅行したい』って言ってきました。俺は、最初は断ったんですけど…日に日に弱くなっていく汐の願いを叶えようと外に出しました。俺は、雪の降り積もる中、汐の手を引いて歩きました。でも、汐は、力尽きて‥‥死にました。俺が、連れ出さなかったら、渚のように学校に通えたのかもしれない。いや、そうしてやりたかった。なのに…俺は、渚が残した最後の願いまでもを壊してしまった。そのあと、葬式で周りの人に『人殺し』や『考えろ』とかいろいろ言われました。渚のおっさんも早苗さんも俺を慰めてくれました。しかし、心の中では俺を殴りたいはずなんです。俺は、渚の死後も仕事と自分のことで手一杯でした。おっさんに5年間任せて、俺が育てたのは、ほんのわずか‥本当に俺は親なんですかね?情けなくなりますよ。これなら、最初から渚に会わなければ、渚も汐さえも死ぬことなかったのに…」
今までの過去を話し、渚のこと汐のことの思いを口にした。岡崎は、体を丸めて泣いた。勝手に流れてくる涙は止まらない。


‥芳野はそっと背中を撫でた。
「つらかったんだな!でも、ほんのわずかが汐ちゃんにとって、とても大きなことだったんだ。嬉しくて仕方がなかった。だから、岡崎に『旅行したい』って言ったんだ。きっと叶えてくれると信じて‥。岡崎!お前は、良い父親だよ。風子もそう言ったんだろ?誰が見たってお前を責めることはできない。岡崎‥生きるんだ」


芳野の思いは、おっさんや早苗さん。風子や杏の願いと同じだった。風子に怒鳴ってしまったことを後悔する岡崎はさらに涙を流した。
「俺‥生きます!絶対‥渚や汐のために生きます。芳野さん‥風子に謝らせてください」
「おう!」


~公子の自宅前~
ガチャリ
扉が開き、風子が出てきた。
「岡崎さん‥すみません」
「俺こそ‥すまない。お前、俺のこと思ってくれたんだよな!ありがとうな!」
と言い、頭を撫でた。
「岡崎さん!風子のデリケールな頭を撫でないでください」
「デリケートだろ?お前の頭は、NOTデリケートだ」
「岡崎さん!それは、凄い繊細って意味ですか?」
「そうだそうだ」
「風子!先ほどのことは、トイレの水に流します」
全然意味が違うが‥知るまでほっとくことにした。


~岡崎の自宅~
汐の匂いと渚の匂いがした。


懐かしく近くにいるように感じた岡崎は、渚と汐が大好きだった団子を抱きしめて
就寝した。


〈作者の感想〉
ありがとうございます。
2話も無事にやり終えました。
皆様ありがとう



[36050] 3話 懐かしき仲間達 前編
Name: 谷口◆6ed29ed7 ID:a1a87c82
Date: 2012/12/10 00:22
~春原からの電話~
プルル~
と誰もいない個室で電話が鳴った。
風呂場にいた岡崎 朋也は電話が鳴っていることに気づかずにいた。

何分した後、岡崎は、濡れた体をタオルで拭いていると…
プルル
また電話が鳴った。

岡崎は、居留守を使おうとするが、もし早苗さんだったり、おっさんだったらややこしくなると察知し、電話番号を見た。

その電話番号は、懐かしい電話番号だった。

受話器を取り、「もしもし‥岡崎です」
相手は…少しの間無言になり「久しぶりだな!岡崎」
相手は…どうやら「誰だ?オレオレ詐欺なら切るぞ」
岡崎は、分かっていた。相手は春原だった。
相変わらずと言った口調でいきなり『久しぶりだな!』という礼儀のない奴と言えば‥春原以外いないと思っていたからだった。

「オレオレ詐欺じゃないんっすけど‥覚えてないの?」
「誰だ?」
「はぁ~お前ね!ほら、クラスで1番イケメンでスポーツ万能で妹から好かれる人物はだ~れだ?」
「そんな奴は知らないが…クラス1番のパシリでスポーツ万能のフリしていて妹から心配されている奴なら知ってるぞ!」
本音を言われて内心傷つく受話器の相手は硬直していた。
「それ、春原って奴だよね?」
「よく分かったな!お前は誰だ?クラスメイトか?」
「俺が春原だよ!!!岡崎!!!誰が‥1番のパシリだ!」
「違ったか?ラグビー部にいじめられていただろ?」
「ふん!あいつらは、卒業後コテンパンに‥」
「やられたのか?」
「‥‥そっす」
泣きながら答えた。春原と話すのは、渚の葬式以来だった。
「お前は元気か?渚ちゃんの子供の汐ちゃんだっけ‥元気か?」
まだ、春原や一ノ瀬‥他の奴には言ってなかった。知っているのは、同級生では、藤林 杏 と椋 だった。一応‥風子もか!
「そのことなんだけどさ‥今度会わせたいんだ!みんな集まって」
「どうした?いきなり!まぁ‥いいけどさ」
春原は、渋々承諾してくれた。持つべきはパシリだな!と確信した。
「誰誘うんだよ?」春原は、メンツを聞いてきた。
 しかし、そんなこと決めていなかった。知っている奴は、全部‥みんなに知ってほしかった。なんて言われようと、殴られようと…岡崎は、覚悟していた。

「もしもし!聞いてる?」
「あぁ‥今のところ、お前の天敵は全員来る!」
「天敵?誰それ?俺に天敵居たっけ?」
「もう1度蹴られれば思い出すだろ?春原」
「いや…思い出したっす」
「それは、何より、今のところ‥3月中旬かな?また分かったら連絡するわ」
「おう‥おやすみ」
「おやすみ‥パシリ」
「誰が‥」プツン
電話を切ってやった。久々の仲間の声を聴いて思い出に浸っていた。
 汐が死んでから30日が過ぎていた。
「確か‥49日で最後の審判が言い渡されて、あの世に行くんだよな」
どうでもいい‥知識を口にした。

~岡崎の考え~
渚が死んで‥5年以上経過していた。
一体、あの世には何があるのだろうか?渚は、だんごに囲まれて楽しく歌っているのだろうか?汐も17日後には、渚が迎えに来てくれるのだろうか?
俺は…汐を殺した‥。いや、芳野さんは、言ってくれた。『お前は、良き父だ』風子も同じこと言ってくれた。あの渚の葬式の時、俺は、渚の両親以上に折れてしまった。渚が死んだのは、渚が残した子供のせいと決めつけて、無理押し切っておっさんや早苗さんに汐を預けてしまった。
 俺が持っていたら‥渚の死を汐のせいにしてしまうからだ。3人で一緒に暮らして、成長して、旅して‥歌って‥。
そんなことができなくなってしまったのは、汐が生まれてきたからだと思っていた。でも‥違った。
 俺は、仕事で感情を押し殺していた。たとえ、芳野さんや社長の命令でも休まず働き、帰ったら酒を飲んだ。気は収まらなかったが、保つことはできた。
5年後‥早苗さんに騙されて、汐と旅をした。そこで、知った。
汐は、俺を待っていてくれたんだって‥。必要としてくれていたと…。嬉しかった。こんな身勝手な俺を『居てほしい‥』と言ってくれた。
 一生離さないと決断したのに…その決意は、自分で壊してしまった。
今でも、思う。あの時、渚に話しかけなかったら、きっと、おっさんや早苗さんにも会えなかっただろ‥もちろん、汐にも。
 それでも、なぜか‥その道の方が良かった。渚にとっても汐にとっても‥俺にとっても。汐は、俺を恨んでいるだろうか?きっと、恨んでいる。結局、少しの時間だけしか傍に居てやれなかった。「どうしたらいいんだ?」自分に問いかけるも、「分からない」としか返ってこない。答えは、まだ見つからないままだ。

~仲間集め~
次の日
岡崎は、汐を通わせていた幼稚園に向かった。そこで、ある人物に会うためだった。
「せんせい~さようなら」
「は~い!みんなさようなら」

相変わらず元気な振る舞いを見せる。汐の担任で、岡崎の同級生である‥藤林杏に会うために来た。
すべての園児が帰り、殺風景となった幼稚園に岡崎は、足を入れた。
岡崎の姿に気づいたのは、ボタン(大)だった。
「ブブー」
こいつも元気だった。体は、BIGになったけど…。
ドドド
「え?」
ボタンは、岡崎に会えてうれしいのか勢いよく突っ込んできた。
焦る岡崎は、逃げようとするもボタン姿は目の前まで迫っていた。
「え‥ボタン‥待て!」
キキィ~
足を止まらせて、頭を出してくるボタンに岡崎は、汗でぐしょぐしょになった顔で笑った。
「朋也‥」
外で、ボタンと騒いでいるのに気が付いたのか?杏の姿がそこにあった。
「よぉ!相変わらず元気そうだな?」
「うん‥ありがとう。朋也も元気そうね」
「まぁな!いろいろあったけど、めそめそできないからな」
「そうね‥で!用件は何?」
「あぁ‥ちょっと汐のことでな」
岡崎は、みんなを集まらせてすべてを話すことを杏に話した。
杏も岡崎の意見に乗ってくれたが…全員を集めるのは、難しいと考えた。

「全員は無理か?」
「運良ければ、できると思うけど…なかなかその日には無理じゃないかな?それに、なんて言って集めるの?」
「話したいことがある…とか。理由はたくさんあるだろ?」
「簡単な理由じゃ‥みんな「電話で話して」って言うに決まってるわよ」
「‥だよな」
「決まった人はいるの?」
「今は、1人」
「誰?」
「1番のパシリ」
「あぁ‥あいつね」
どうやら『一番のパシリ』で、だいたいの人物は想像つくらしい。哀れだな春原。
「他には‥誰?」
「葬式に来なかった連中かな?今のところ来てくれたのは、お前とお前の妹と風子だけだからな」
「風子?誰よそれ」
風子のことを話していなかった岡崎は、自分の言葉を悔やんだ。改善の余地を図ろうとするが…『真実を言わないと殺す』という意志の伝わる眼差しに追い込まれ話すことにした。
「渚が留年する前に伊吹 公子っていう美術の先生がいたこと知ってるか?」
「知らない」
あっさり答えた。
「はぁ‥その公子さんの妹さんが俺たちの同級生だったらしいんだけど、登校初日で事故に遭って、ずっと植物状態だったんだけど、今は回復して汐の友達だったんだよ」
「へぇ~あ!でも、噂なかった?」
「噂?」
「ほら!事故で死んだ子が学校に現れるとか‥いう噂よ」
そんなことあったような?なかったような?曖昧な思い出を遡るがよく分からなかった。
「思いだせねぇ」
「あっそ!ねぇ!その子に会わせなさいよ」
いきなり言い出す杏に戸惑いが隠せなかった岡崎は、さらに慌てる。
「やめとけ‥あいつは、まだ幼いんだ!」
「岡崎‥ますます会いたいたくなってきた」
ガクリと首を落とした。もう、会わせるという選択しかなかったのだ。

~風子と対面~
日曜日
岡崎は、商店街前で待っていた。それは、杏と無理やり約束させられたからだった。
「いい!岡崎‥日曜日よ」
「はぁ?何が」
「その風子っていう女に会わせなさい!分かった?」
「日曜日は(1用事がある 2用事がない。1を選択すると…「岡崎!!」って言って首を絞められる気がしたので2を選択した)用事がないからいいぜ」

そして、今の現状に至る。
はぁ~
「な~に‥ため息ついてるのよ」
杏が来た。岡崎は、振り向くと杏の私服にうっとりしてしまった。
「な~に!うっとりしてるのよ?岡崎」
「‥‥はっ!してねぇよ」
「遅いわよ。反応」
「ちっ!(すまん!渚!!)」
あまりにマジマジと見てしまったので、渚に謝る岡崎であった。
商店街から公子さんの自宅に向かっていると公子さんの近くの公園で知っている声が2つ聞こえた。
「ほら~来てみろ~」
「わぁ~」
岡崎は、気になって公園を見てみると、無邪気に遊ぶ芳野さんと風子の姿があった。岡崎は、近づき芳野さんに声をかけた。
「楽しそうっすね」
その声に、青ざめた芳野が振り返る。
「いつからいた?」
青ざめた芳野に対し、岡崎は満円の笑みで答えた。
「『ほら~来てろ~』」ってところからです。芳野さん」
「なっ‥お前だけには、聞かれたくなかった」
芳野さんがブルーな時、風子が岡崎の元までやってきた。
「岡崎さん!こんにちはです」
「元気そうだな」
「風子!毎日元気抜群です」
「そうか!今日はな。お前に会いたいって奴を紹介しに来たんだ」
と言って、後ろを向くと杏の姿があった。腕を後ろで組んで、『少しは女の子に見えるでしょ』って言わんばかりの姿が岡崎の後ろにあったが、岡崎は、目を下に向けた。
「風子に興味がある人ですか?誰ですか?」
「こいつ」
と岡崎は、前に腕を組んでいる杏を指さした。風子は、見るなり前進して、杏の元に歩いて行った。
「こんにちは。あなたが風子ちゃん?」
流石、ダテに幼稚園の先生と思うほど、冷静でやさしい杏だった。
「こんにちはです。伊吹 風子と言いますです」
「私は、藤林 杏っていうのよろしくね」
「よろしくです」
自己紹介までは、順調に済んだようだった。問題は、この後だった。
「風子の友達になってくれる証です」
星型の木彫りを出した。うまくできていると褒めてやりたいぐらいの代物だった。
「ありがとう。素敵な星ね」
この一言が大きな問題になるとは、誰も想像していなかった。

~風子vs杏~
「違います‥」
「え?」
何が違ったのか?分からない岡崎と杏は頭の上に『?』がついている状態だった。
「どうした?風子‥」
「これは…」
杏の手のひらから木彫りを取り上げ、掲げて宣言した。
「これは!ヒトデです」

岡崎と杏の背中に電撃が走った。
それもそのはず、今まで星と思っていたのに…いや、誰がなんと言おうと星としか言えない代物がなんと‥ヒトデだったのだ。

「ヒトデ?うわぁ~センスないわね」
「酷いです。ヒトデのセンスは、この可愛いところです」
「可愛いって…これじゃあ星にしか見えないわよ」
風子の背中にヒトデが走った。(ヒトデって…)
「このどこが、星という隕石の塊なんですか?どう見ても、ヒトデです」
風子の迫力に負けじと杏も反論する。
「この星が100歩譲っても星よ!何万歩譲っても、星よ」
「どこがですか!一目でヒトデって分かります。ヒトデを侮辱する人は、ヒトデをあげる資格ありません」
「それが、星っていうならもらってあげるわよ」
「まぁまぁ!」
岡崎は、中正に入るがあまりの迫力に小さくなってしまった。

結局‥夕方まで『星』か?『ヒトデ』か?の討論の末、木彫りの作り直しが余儀なくされた。
「風子って言ったけ‥あんた。なかなか根性あるわね」
「風子とここまで言い合う人間は、あなたが初めてです」
「星やヒトデなんて、どうだっていいわよ!久しぶりに楽しかったわ。ありがとう」
「こちらもです。ヒトデはどうでもよくないですけど…」
杏は笑顔になり、風子との関係を深めたようだった。岡崎は、疲れ果てていた。
ついでに、芳野さんはまだ、ブルーだった。

~帰り道~
すっかり外は真っ暗となった。岡崎と杏は、2人で商店街沿いを歩いていた。
 すると、杏は、岡崎の肩にそっと頭を置いた。
「なんだ‥眠たいのか?」
「少し疲れちゃった」
「あれだけ、くだらないことで言い合えばな」
「女にもプライドがあるのよ」
「はいはい」
良い匂いのする杏に少し動揺隠せない岡崎だったが、本来の目的を忘れそうになっていた。
「結局‥誰を呼ぶかな?」
「‥じゃあ、手分けして連絡しましょう」
「いいのか?」
「いいわよ!椋にも手伝わせるし‥」
「いいのか?了解取らなくて」
「あの子なら、優しいし大丈夫でしょ。それより、あんたは、大丈夫なわけ」
「何が?」
「気づいているくせに、全員に言うってことは、デメリットが大きいのよ!空気の読めないパシリとかに何か言われても…」
「平気だ!ありがとうな」
「うん」
商店街を抜けると待ち合わせの場所であった商店街前に着いた。
「岡崎!今日は楽しかった。ありがとう」
「いや、こちらも『女のプライド』を観させてもらったよ」
「もっと見たいなら見せてあげるわよ」
「遠慮しておくよ。怖いしな!何かあったら連絡してくれ」
「うん。おやすみ」
そういうと杏は、夜道の中帰って行った。
 岡崎も、少しぬくもりの戻った風に吹かれながら、家に帰った。

(作者の反省)
まだまだ、文章力がないですけど、勉強していきます。
懐かしき仲間達は、前 中 後でやっていきます。



[36050] 4話 懐かしき仲間達 中編
Name: 谷口◆6ed29ed7 ID:a1a87c82
Date: 2012/12/09 23:03
岡崎は、藤林 杏の協力を得て、残りわずかな日をすべて仲間集めに回した。
最初は‥藤林 杏の妹である椋と直接会って許可を得なければならないと思った。

~椋との約束~
岡崎は、椋が通っている看護学校の校門前に立っていた。
「ここか‥」
綺麗な学校が門から見えた。その中には、看護を目指している男や女の姿があった。
 その中に、一人だけオドオドしている人物が見えた。
困った顔をしながら、右も左も分からない子供のようにオロオロしていたのだ。
岡崎は、生徒ではないが、一般人も入っても問題ないという軽い気持ちでオロオロしている女の元まで歩いていった。その子は、岡崎を見るなり、慌ててこちらへ来た。
「岡崎さん‥なんで‥ここにいるんですか?」
紛れもなく椋だった。
「オロオロしている子がいるから、もしかしたらと思ってな!やっぱり、藤林だったか」
「心配して‥くれたん‥ですか?」
頬を赤く染めながら岡崎に言う。
「まぁな!」
「ありがとうございます」
岡崎と椋が話していると周りの生徒であろうか?女が「彼氏?」みたいに騒ぎ立てた。
「ここでは、誤解を生むからな!近くの喫茶店でも行かないか?少し話したいことがあるんだ」
「誤解?」椋も周りで騒いでいる女に気が付き、目を丸くした。
「そうですね‥」
トボトボ歩いていると、椋が自然と岡崎に急接近していたことに気付いた。岡崎は、咄嗟に左を向いていたが、緊張は隠せなかった。鼓動が次第に大きくなり、椋も岡崎の右手に触れるほどの距離だった。
 岡崎の右手と椋の左手が付きかけた時、「ここにしないか?」と岡崎が回避行動をとった。
 そこは、椋が想像していなかったほどのおしゃれな店だった。
「ここに‥ですか?」
「嫌か?」
「いえ‥ここに‥し‥ます」
緊張しているのか、椋の言葉もおぼつかないようだった。
中に入ると、外以上のおしゃれな店だった。ピンクのカーテンに、1枚1枚仕切りがあり、外からじゃ中の様子が分からないようにまでされていた。
「うへぇ‥」言葉が見つからない岡崎とあまりの仰天ぶりに動揺が口から出てしまった椋は、「こちらへどうぞ!」と言う店員についていくことしかできなかった。
引き返すことなんてできなかった。

仕切りに閉ざされた中は、以外と普通だった。別に凄いことを期待していたわけではなかったが…少し落胆してしまった。
「注文どうしますか?」
ニコニコした店員が言ってきた。
「どうする?藤林?」
「そうですね‥私、オレンジジュース‥この200%で」
「200%!!!果汁ってことだよな?」
『200%の果汁』に驚きの隠せない岡崎は、店員を見た。すると、若い店員は笑顔で「果汁を使いきった究極のジュースですよ」自信満々に言った。そのあとに、
「恋人サービスがありまして‥一緒にドリンクを飲んでいるところを撮影できますけど…どうしますか?」
「え?」岡崎は、椋と恋人同士と思われていることに冷や汗をかいた。
椋も赤く染めて「お願いします」と答えた。
「かしこまりました」というと店員は、去って行った。

「え?藤林‥」岡崎は、椋の大胆な行動にさらに驚いた。
「はっ!わ‥わたし‥あぅ~」
「(可愛い!!)」と岡崎は思ってしまった。(いかんいかん)と訂正した。大事な話があるのに、まさか‥こんな羽目になるとは思っていなかったからだ。
「藤林‥2人で飲むってストーロー2本ってことだよな‥多分」
「だと思います」
 しかし、現状は違った。

「あぁ‥」汗が机にこぼれ落ちた。

「お待たせいたしました」岡崎の動揺をすべて吹き飛ばす笑顔は、責められないほどだった。ストーローが交差して、真ん中にハートマークがあり、一緒に吸いこんだら分かれて飲める形のあのストーローだった。

「嘘だろ‥」

「はーい!撮りますので、飲んでください」
店員は、完全に恥ずかしがっていると勘違いしているように、「早く!」と言わんばかりにせかされている気分に陥った岡崎の横で椋がストーローに唇をつけた。
「おか‥朋也君!早く!」積極的になっていた。椋の口から『朋也君』と言われるのは、初めてだったのだ。岡崎もストーローに口をつけて、「(どうにでもなれ!)」という気持ちでジュースを吸った。
 その瞬間、酸っぱ過ぎるジュースを岡崎は、ジュースを吐いてしまった。さらに、そのジュースは椋の口の中にもの凄い勢いで流れ込んだ。
「うっ‥ごく‥ごく」と一気に飲み干す椋の頬はへこんでいた。
 結局、一口も飲めなかった。岡崎は、お冷を口に含んだ。
「岡崎君‥さっき‥」
「ごめんな!酸っぱ過ぎて、吐いちゃった」
「え?じゃあ、私が飲んだのは、岡崎君の吐いたジュース‥」
「あ!悪い‥なんか飲みたいものあるか?」
顔色を確認しながら、頭を下げた。椋の顔は、赤く染められて真っ赤になって動かなくなった。
「椋‥椋!!!!」

喫茶店で話すことができず、店員にお会計の時に、もらった破り捨てたい写真をポケットに入れ、背中に椋を乗っけていた。

「うっ‥」
椋が目を覚ますと‥夕焼けが広がっていた。
「あ!ここは?」
周りを見渡すと、公園だった。ベンチで腰かける岡崎の姿があった。
「お!目覚ましたか?」
「は…はい」
「今日は、悪かったな」
「いえ‥あの、ここは?」
「あぁ‥気絶したお前をおんぶして運んだんだけど…ここぐらいしか思いつかなくてな。すまん」
「いえ‥おんぶ‥ですか‥」
赤く染める顔を見た岡崎は、そっとポケットの写真を渡した。
「え?」
「これは、お前が持っていてくれ!俺には、渚っていう奥さんがいるからな」
「渚さんに怒られてしまいますね!分かりました。大事にします」
「まぁ!杏には、なるべく内緒な」
「大丈夫です。私、僚生活なんです」
「そうだったのか…知らなかった」
僚生活と聞かされ、門限とか大丈夫か?と不安していると椋が口を開いた。
「今日の話ってなんだったんですか?」
すっかり忘れていた岡崎は、頭を掻いた。
「そうだったな!藤林‥実は‥」
すべてを話した。これから、起こすことを‥。
「分かりました。協力します。宮沢さんや相楽さんの電話番号なら分かりますし‥それに、そういう話でしたらみなさん来てくれると思います。」
「いや…。この話は、みんなが来てから言うつもりだ。だから、内緒にしてくれないか?まだ、汐が生きていると思っている奴もいるんだ。だから、電話で話すことじゃないだろ?」
「そうですね!岡崎君‥分かりました。協力します」
「ありがとうな」
「ただし、条件があります」
「条件?」

椋の口から出た『条件』という言葉に首をかしげた岡崎。
 その岡崎を見て言った。
「私は、協力します。ですが、今日のことは、誰にも言わないでくださいね!例え、お姉ちゃんでも‥」
真剣な椋に岡崎も真剣に頷いた。
「分かった。杏には言わないし、誰にも言わない」
「ありがとうございます」
「いや、手伝ってくれるんだし、それくらいの願いは聞くぜ」
椋は、笑い出した。岡崎も右腕を胸にドンとつけて笑った。
「それでは、日が暮れますので、帰ります。今日はありがとうございました」
「俺こそ、ありがとうな。またな」
「はい」
日が暮れる瞬間まで一緒にいてくれた椋の背中を見ながら岡崎も帰って行った。

~春原との電話2~
ピッピッ ピッ!
岡崎は、ある人物にかけていた。
「はい!」
「もしもし。パシリか?」
「あんた‥いきなりパシリって……どういうことだ!!!!」
春原に電話をした。
「お前、妹いたろ?芽衣ちゃん」
「あぁ‥可愛い妹がどうしたって?」
「実は、子供ができたらしい‥」
「‥‥マジかよ!!!」
ブチン
電話が切れた。
 そして、5分後―春原から掛かってきた。
「もしもし。岡崎です」
「この大大うそつきが‼!子供なんてできてないじゃないか!!」
「信じるなよ」
「こっちは、馬鹿にされたわ」
「良かったな。最高のご褒美だったろ」
「んなわけあるかよ。で!なんの用件なんだ?」
「あぁ‥実はな!全員で集まりたくてよ!芽衣ちゃんも誘ってくれないか?」
「あのね‥さっき、兄妹関係にひび入ったばっかなんだよ」
「春原‥芽衣ちゃんに『俺の彼女になってください。兄だけど、愛さえあれば関係ないよね!』って言ったんだろ!」
「アホか!!兄に愛って、ありえるか!!あんたのせいだろうが」
「じゃあ!頼んだ」
岡崎が切ろうとすると、春原が改まった声で話しかけてきた。
「なぁ!岡崎?」
「なんだよ‥」
「渚ちゃんがいなくて‥寂しくないのか?汐ちゃんも小さいしさ!母親いないのって…」
「それ以上言わないでくれ‥」
「悪かった!芽衣には言っておくよ」
「『俺と結婚してくれ』ってか?」
「アホ‥」
ブチン
受話器を置いてやった。

シャワーを浴び寝る体勢に入った岡崎は、春原の言葉を思い出していた。
 まだ、何も知らない春原や他のメンバー‥みんなが知って、俺はどうしてほしいんだ!慰めてほしいのか?どちらにせよ!時間がないんだ。明日から、全力で…。


(作者の感想)
ありがとうございます。
岡崎の思いを告白するのは後編以降となります。
後編は、みんなが集まるところまでです。
ややこしくてすみません。看護学校に行っている椋ちゃんは、うまくいってない様子でしたね。
今のところ、24話体制でいこうと考えています。
ありがとうございました。




[36050] 5話 懐かしき仲間達 後編
Name: 谷口◆6ed29ed7 ID:a1a87c82
Date: 2012/12/11 23:50
 ベットの中に潜り込んで眠っている岡崎の目を覚まさせたのは、一筋の光りだった。
「ん~ん~」と唸りながら時計を見た。長い針が12にさしており、短い針が10にさしていた。時計を見て、「10時か‥寝よ」ともう1度布団をかぶって数秒も経たないうちに布団から勢いよく岡崎が飛び起きた。
「じゅ、10時!!やべぇ~1秒も無駄にできないというときに‥」
急いで洗面所で顔を洗い、伸びている髭を剃って歯磨きをしているうちに、出かける体制が取れるまで結局、11時になってしまった。
「はぁ~行くか!」
岡崎は、まだまだ肌寒い外に出た。

~天才少女 現る~
 誰を探すか全く決めずに、外に出てきてしまった岡崎は、整理していた。
まず、藤林 椋は、宮沢さんと美佐枝さんに確認してくれて、杏も誰かに確認してくれるんだよな。春原は、今のところOK。春原に芽衣ちゃんの確認もしてもらうことになったし、残ったのは、一ノ瀬 ことみ と 坂上 智代だな。
 しかし、ことみは、現在アメリカにいる。どうやって、報告するか決めかけていた岡崎は、道の真ん中で頭を抱える。
「(最初は、坂上にするか。しかし、電話先を知らない‥って、俺何もできないじゃんか‥はぁ~)」何もできないと思った岡崎は、商店街を抜け、いつの間にか学校に通る桜道にさしかかっていた。
「ここは、渚と…」

出会い
「あんぱん‥この学校は好きですか?私は、とってもとっても好きです。でも、何もかも変わらずにはいられないです。」
見知らぬ女生徒。俺に向けられた言葉ではなかった。たぶん、ここの中の誰かに語りかけているのだろう。
「楽しいこととか‥嬉しいこととか‥全部変わらずにはいられないです。それでも、この場所が好きだと言えますか?」
「見つければいいだろ?」
「え?」
渚は振り向いた。風で桜の花びらが舞い、渚の髪がなびいた。
「次の楽しいことや嬉しいことを見つければいいだけだろ?ほら、行こうぜ」
「っん」


 そして、俺と渚は出会った。

 桜の木には、まだ花開くことないつぼみがあった。そのつぼみは、まだ青かった。「(渚と会ってよかったのだろうか?あの時、気にせずにいたら、きっと、渚は幸せだったのかもしれない)」
岡崎は、思い出と自分の心情を重ねながら学校の門まで歩いて行った。

 上っていくと、そこに懐かしい雰囲気を帯びた女の子がいた。岡崎が、近づくとその懐かしさを帯びた女の子が振り向き笑った。右手には、スーツケースをもっていた。頭には、サングラスをかけている。高校の時より、大人になったー一ノ瀬 ことみだった。
 あの天然キャラ&天才少女を忘れるはずがなかった。岡崎は、笑顔であいさつをした。
「久しぶりだな」
「朋也君もお久しぶり」予想のあいさつと違った。
 昔なら‥「こんにちは。朋也君。名前は、一ノ瀬 ことみ。平仮名3つでことみ。呼ぶときは、ことみちゃん」とでも言うと思っていたが、さすがに変わってしまったようだ。
「どうしたの?朋也君」なぜか、笑ってしまいそうになった。
「いや、大人になるものなんだなって感心しちまった」
「そうかな?私も20歳超えたんだから、それはそうだよ」
 やはり、大人になったのか…話し方まで変わってしまったことに少しがっかりした。岡崎は、今話すべきではないかと考えた。
「少し、時間いいか?」
「うん。いいよ」
桜道を2人で下りながら、岡崎は、ことみに話を進めた。
「アメリカから日本に帰ってきたのか?」
「う~ん。少し違うかな‥里帰りなんだ」
「里帰り?」
「う~ん。簡単に言えば、休暇を過ごしに来たの」
「なるほど。しばらくいるのか?」
「う~ん。なるべく、いるつもり」
「そうか、あのさ、ことみ」
「何?朋也君」
「その‥3月中旬高校の友達が集まる日を開くんだ。来ないか?いや、来てほしい」
「なんだか‥面白そうなの。予定がなかったら行ってみるの。これ」
ことみから渡されたのは、白い紙に書かれた電話番号だった。
「これ、私の携帯電話の番号。電話してね」
「おう!サンキュー」
そういうと、ことみは、下に停めてあった車にスーツケースを乗せた。岡崎は、何のスーツケースか気になったがいきなり聞いて、中から下着でも入っていたらと思い気づかないフリをした。ことみに、電話番号を教えてもらい、ことみは車に乗って行ってしまった。残ったのは、坂上 智代だった。ここで、坂上 智代と交流のあった美佐枝さんに声をかけることにした。

~美佐枝さんと坂上 智代~

 春原がいたときに、毎日のように来ていた僚も今は、もう行かない。どこから入ったらいいのか。困っていると玄関口でラグビー部であろう、大きな男がたくさん出てきた。「こら~まて~」懐かしい声が玄関内から聞こえた。
 中から出てきた、少し老けた美佐枝さんは、右手には洗濯叩きを持ちラグビー部を追っていこうとした。
「相変わらずだな!美佐枝さん」
岡崎が声をかけると、美佐枝さんは、岡崎の顔を見るなり、洗濯叩きを背中の後ろに隠した。しかし、岡崎はバッチリ見ていましたよという目で美佐枝さんを見て、背中に隠していた洗濯叩きを取り出した。
「はぁ~」一つため息をついた美佐枝さんは、岡崎に近づいてきた。
「大きくなったわね。岡崎‥」老けた顔で、あの頃の元気が少し足りない顔をしていた。
「美佐枝さんも変わらないな」
「そんなことないわよ。こう見えても、おばさんになったわよ」
「そうか‥なぁ?」
「うん‥どうした?」
美佐枝さんは、渚が死んだ時、お葬式に来てくれた。いや、大抵のみんなは来てくれた。渚の安らかな眠りを見て、おっさんや早苗さん。そして、俺を慰めてくれた。ただ、汐の死を知らなかったのだ。
「美佐枝さん。3月中旬空いてるか?」
「いきなりね。どうして?」
「3月中旬‥高校のみんなと会うんだよ。その時、春原が「美佐枝さんに会いたい」って口にしたからよ誘っているんだ。どうかな?」
驚いた顔をした美佐枝さんは、ゆっくりと笑顔に変わった。
「そう。あの春原がね。ついに、私に感謝し始めたか」
「凄い感謝している。恩返しがしたいって言ってたんだ」
「分かった。そこまで言うなら、会ってやろうじゃない」
「そこで、頼みがあるんだ」
「何?」
「坂上 智代っていたろ?」
「今でも連絡する仲よ」
「本当か!美佐枝さん。頼みがある。坂上 智代の電話番号を教えてくれないか?」
美佐枝さんは、少し顎に手を当てて考えて「ちょっと待ってね」といい僚の中に入って行った。

 すこし、待っていると、美佐枝さんが白い紙に書いた坂上 智代の電話番号を渡してくれた。「ありがとうな。助かる」とお礼を言った。
「この貸しは大きいわよ。また来なさい」
美佐枝さんは、そういうと僚の中に入っていった。岡崎は、玄関前で深々とお辞儀をして家に帰った。

日が暮れた時、岡崎は、美佐枝さんから渡された電話番号にかけた。
「もしもし。坂上です」変わってない口調であった。
「もしもし。岡崎です。久しぶりだな」
「朋也か‥久しぶり。元気にしているか?」いきなりテンションが上がる智代。
「元気だ。そっちは、どうだ?」
「私は、元気だ。でも、なぜこの電話番号を」少し疑問の声で聞く智代。
「あぁ、これは美佐枝さんが教えてくれたんだ。ダメだったか…」
「いや、美佐枝さんなら安心だ。で!用件はなんだ?」手取りが早いのも変わらなかった。
「3月中旬予定空いているか?」
「随分適当な言い方だな。中旬は、特に予定はないが…どうした?」
「3月中旬に高校卒業した仲間関係で会う事になってるんだ。それで、智代も何度か面識あるから来ないか?」
「いいのか…私なんか呼んで」少し小声になる。
「実はな、春原が「智代の胸揉みたいな!」って言ってきたんだ。あいつ「もう1度蹴りくらいたいな」まで言ってきたんだ。それで、「智代呼ばなかったら、岡崎てめぇを殺す」まで言われたんだ。来てくれないか?」
「ほぉ‥胸だと、あいつには二度とそんな口が言えないようにしてやらないとな。行く。いつだ?」殺す気満々の声に変わった。
「まだ、決まってないんだ。決まったら連絡するよ」
「分かった。楽しみに待ってるよ。おやすみ」不気味な声でさわやかな感じだった。
 これで、すべてが整い、後は、頼んだ仲間からの連絡を待つだけになっていた。

~数日後~
1本の電話がかかってきた。
「もしもし。岡崎?」春原からだった。
「おう!春原、どうした?」
「芽衣の件だよ。あいつ、汐ちゃんに会いたいけど、大学1年でいろいろしないといけないから無理だってさ。悪いな」
「そうか‥なら仕方がないな。春原は、いつでもOKなのか?」
「そりゃ‥5年以上働けば、立派な‥「パシリか?」違うよ。上司さ」
他愛もない話をして春原と会話を終えた。

~さらに数日後~
藤林 椋から電話がかかってきた。
「もしもし‥岡崎君?」
「そうだけど、どうした?」
「相楽さんには、話したんだ‥宮沢さんに電話したら…「ごめんなさい。周りのお世話しなくてはならないので、楽しんでください」とのことです」
「そうか‥ありがとうな」
「いえ、それでは」

結局、行けることになったのは、俺と藤林 杏 & 椋 と春原と美佐枝さんと智代と ことみ だけか‥いつものメンバーになった。と思いながら‥。

 みんなと会うのを3月18日とした。

(作者の感想)
ありがとうございます。
まだまだ力不足ですが、今度の話で告白となります。


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