鳥肉のみならず海老に茸と具沢山のチキン(?)ライスを彩るフンワリトロトロの金色の卵。
彼女はそれをスプーンで救い口に運ぶ。
チキンライスの濃厚な美味が卵によって和らげられ、
卵の美味と合さって新たな味へと昇華する。
「・・・ふまい。 この卵自体も仄かに和風の味付けをしておくとは。
味の濃いチキンライスに負けていないのは何故だ」
「卵の甘味とチキンライスの主の旨味を感じる舌の場所が違うんだ。だから味が際立つ。
オムレツチキンライスってのはホント、計算され尽くして完成してる料理だ。
ほれ、チリケッチャップ」
「ふまぁ~~い・・・、辛味と酸味で一層引き立つな」
クールビューティが劇画調になったり男を前屈みにする恍惚の表情になったりして
手を動かす。口を動かす。咽喉を動かす。
その内、目を口からレーザーを出す・・・なんて事は流石にないが、
外の飯屋でyuzanが如く「この料理を作ったのは誰だっ!!」ぐらいは
やって料理人を泣かせているかもしれない。
ショウ・アリス邸の居間台所、
アナスタシアがそのテーブルを陣取り何故か我が物顔で昼食を食べていた。
いるならついでとショウも近況というか予定を語る。
「50階層、俺達 俺とアリスで攻略しちまっていいか?」
「ふむ?」
「前提条件として、攻略してもクラ―ケンは弱体化しないと思う。
というか、弱体化のしようがない。
アレの特徴は基本的にパワーでもスピードでも数でもないからな。
一番厄介なのは、水面の向こうにある本体まで辿り付くことと、
触手の絡め取り、状態異常付加、そして超回復、本体の高い魔法防御以上はないんだ。
そのどれもが欠けてもボスとしては成り難くなる。
俺の結論は、高火力集中の短期決戦に如何に持ち込むかがミソだ。
その点、40階層真ボスはどんなけ強かろうが辛抱強くチマチマ削って
超々長期戦闘で勝つことも可能だったからな」
「ふむ・・・」
食べながらでもシッカリ話しを聞いているのかアナスタシアの表情はシリアスだ。
しかし、マルチタスクでも処理し切れないのか表情は目まぐるしく変わる。
「次に、50階層のフィールドモンスターが40階層と対してレベル差がない。
状態異常攻撃がなければ。
それがソレだけデカいともいえるけど、当らなければ如何って事もない」
「本当の所は?」
「俺がクラーケン狩りに厭きた。食材も大味で大したことがない。
ハンバーグにしたら食えなくもないけど・・・
これならレッドドラゴンの方がよっぽど美味い食材だ。
当らないとはいえアリスが状態異常攻撃に弱いから、その為のアイテム確保。
クラーケンのドロップアイテム『深蒼珠』が状態異常無効なんだよ。
『海神の矛』は俺達は使わないから、ギルドでもっていってくれたらいい」
「ふむ・・・、御馳走様。
君は如何なのだ?」
「俺は称号で、毒以外の状態異常にならない」
「称号? 君のは聞いていないな」
食事が終われば一服と見た目に似合わず渋く茶を啜る麗人がソコにいた。
「『絢爛舞踏』ってHP,SPの回復率を上げるやつだ。状態異常無効もな。
毒だって、結局±でHPが減らないし。
モンスターソロ撃破、数か経験値で獲得できる」
「君の場合はその全てがソロだろう? どれだけ殺せばいいのだ」
「たしか・・・レベル40辺りで取れかな。 ソロでボス撃破数体かもしれない」
「ソロで攻略にも動くバカなど君しか存在しない」
「これが未攻略ボスモンスターをソロ撃破しまくってたから真にバージョンが上がってな、
HP,SP消耗し続けてステータス値を大幅に上げる『反転狂化』ってスキルが出てきた」
「それは・・・大丈夫なのか?」
「先にSPが尽きてタイムアップだ。HPも半分は残る。
制限時間最大3分、インターバルと完全回復で最小30分」
「他のスキルも併用することを考えれば実質1分か。
なるほど、なるほど、・・・君にHP,SP回復とは思ったが、
『真・絢爛舞踏』へと繋がることを考えればコレほど君にあった称号はないのだろう。
こっちは、漸く50階層の探索が始ったばかりだというのに、
君は何処までも先を行くな」
「・・・少しペースが遅くないかい?」
「寧ろ40階層が急ぎすぎたのだ。
実際、それまで全く君に追付けておらず、君の存在すら気付いていなかったのだ。
その上、アリスが強くなり過ぎたために表向きソロ転向ということになって
動きが鈍るものが多い。アレでも人付合いがよく経験値稼ぎの必要がないくらい
助っ人として動き回っていたからな」
「・・・・・・」
「時に、ギルドは我々の攻略を主としたものだけではなくてな、
特定の者を陰ながら見守り応援するアイドルギルドや、
そういった物を製作販売するアダルドギルドも存在する。
ダッチワイフもアダルドギルドからの肖像権侵害ということでの押収物だ。
そこは直接害になるわけでもないし、珠に世話になるから偶に釘を刺す程度だが。
プロマイドやフィールド上での個人不特定の盗撮程度ならば大目にみるしかない。
人は目的のみでは生きていけないからな。
因みに、コレが君のプロマイド『知られざる英雄』だ」
アナスタシアが今更ながら胸元から取出すモノは
何故か皺一つないにも関らず妙に生暖かい。 寧ろソコが追求されるべきだろう。
「・・・見事に刀で顔が隠れてるな」
「攻略ギルドの有志で監修をさせてもらった」
「をい」
「因みに、私も君の料理はお金を出していいほど好ましい」
「それをするとアンタは遠慮がなくなって毎食食いにくるのが目に見えてるからしないぞ。
金もらったって毎日ウチで宴会なんぞされたくないからな」
「冗談はさておき、
公の攻略ギルドが『白の騎士団』しか存在しないのは何故だと思う?」
「支援のギルドを含めて全体的に組織として完成されすぎてるからだろ?
手をだされていないジャンルならまだしも、入り込む余地がない。
しかも、『万軍の女帝』なんて言われる実績をそなえたカリスマのアンタがいる。
余程の同好の士でもない限り集まって対抗しようとは考えない。理由がない。
公の攻略ギルドになって『白の騎士団』に並ぶまでに至れない」
「その通り、満点の回答だ。
それでも、『白の騎士団』の攻略メンバーに入れるほどのソロや
正式にギルドに加入していないパーティのツワモノ多数ある」
「それにしたって、自動で情報を受け取れるサービスがないくらいで
別にハブってるわけじゃなく最低限公平だから好意的だろ」
「世の中には組織の恩恵に浸りながら不満を抱え、
頂点にたって権力を握りたがる俗物が多々いるということだよ。
そういった連中が私を地に下すために君とアリスを御旗にと狙っている」
「・・・そいつ等、アホだろ」
「言ってやるな。当人達はレベルを上げる間を惜しんで企んでいるくらい至って真面目だ。
60階探索に入った君達に追付けるものなら話しぐらい聞いてやるがいいさ。
どうせ『白の騎士団』以下ギルドは自身のパーティで50階層ボスを倒さない限り
50階層の町へ移転することはないのだから」
「・・・そいつら、どうやって俺とアリスを口説き落とすつもりなんだ?
武力行使は「論外だな。アリスでも素手でも十二分だ」・・・
お金は不自由していないし、装備にしても
「あるかもしれないが制約が強過ぎて使いにくいだろうな。だからこそ連中に回る」
・・・色仕掛けか? 最高のオンナノコを嫁にした俺に対して
「しかも、最高の女と名高い私の身体を幾度となく弄んでいるしな」
世間評判的には最高でも、ダッチワイフの方が余程そそられるけどな」
「・・・君、私の事が嫌いだろう」
「そういう煩わしいのを排除する話はどうなったんだ。
そもそも、アリスがいない時に一人でメシ食いにくるなよ」
「そういう権利ばかり主張する輩ほど弱いくせに生きしぶといのだよ。
義務を果さないからね。
因みに、アリスからは快く許可を頂いているからこそ食事に来れた」
「英雄の義務とか、民主主義とか、文民統制とかアホな事いいそうだ。
・・・俺の大嫌いな人種だよ。何にしても相手したくねー」
はぁぁぁ、と男女は肌の色の違いなど些細に仲のいい姉弟のような深い溜息を付く。
「ただいま~~♪ アナスタシアさん、いらっしゃ~い♪」
「お帰り~~」
「レッドドラゴンの肉、ムネとバラ(腹)とモモでよかったよね?」
「おうおう、ゴッソリ取って来た?」
「取って来たー♪ 取って来たー♪」きゃっほー♪
お使いから帰ってきた幼児の如く嬉々として帰ってきたアリスは早速
着の身着のまま兜と武器を片付けた紅の戦装束のまま獲物の具合をショウに求める。
「まてまてまて、君たちは一体何をしている。根本的に何か間違えていないか?」
「だって、倒し方しだいで食材として取って来れるしな」
「レッドドラゴンのお肉、どんな調理の仕方しても美味しいんですよ。
牛の美味しさに豚と鳥の間くらいのモッチリとした肉質で、鰐(爬虫類)っぽくて。
ああっ、レッドドラゴンの鱗と皮,牙と爪と骨、ギルドに下してきました」
「今夜はバラでシャブシャブにするか。
ムネの照り焼きも捨て難いし、モモでバンバンジーかタタキもいいな」
「きゃー♪ きゃー♪」
「・・・ゴクリ」
「取り敢えず、ストック用の角煮でも作りながら何するか考えるか」
「いや~~ん♪」クネクネ
その日の夜、アナスタシア以下愉快な仲間達が襲来し
赤竜のバラ肉シャブシャブに舌堤を打ったのは言うまでもない。
「人は目的のみに生きられるものではない。癒しを活力にして前に進めるのだよ」
ショウの戦い方は、繊細でありながら大胆で計算されつくしており、
一見は常戦必勝といっても過言ではない。
そもそも退く場合でも敗退ではなく、
威力偵察で相手を丸裸にした上で次は必ず撃破するために撤退する。
極論、調べることすら敵わない相手に遭遇したらサッサと撤退することも厭わないのだ。
その逆、要点なのに調べるまでもなく撃破してしまうような敵は何度となく撃破する。
時には嬲る様に、時には戯れる様に、許されるなら人を囮にだってするかもしれない。
ショウはアリスに言った
「何を使ってもいいから一人でクラーケンを撃破しろ」と。
ショウはアリスにクラーケンの倒し方を何一つ言っていない。
しかし、その全てを聞いてきた。ショウがクラーケンを倒す処を常に見てきた。
足りないものは既に分っている。レベル、もしくは圧倒的な攻撃力。
ないのなら補えばいいとステータス値を一時的に向上させる強壮薬を用意した。
その攻撃力でもってクラーケンを倒し得るレベルまで赤竜狩りで経験値を稼いだ。
戦いに、夢も希望も熱意も欲もいらない。
必要なのは、倒すという意思と、それを成し得る手段。
「今日、50階層ボスを倒してきます」
「ん、何かいるものは?」
「・・・お弁当?」
「あるよ」
ショウの手で何処から取出したかドンとテーブルの上に置かれる三段重箱。
キリリと決めていたアリスの表情が、喜びと困惑にフニャりと崩れた。
「え、えっと・・・お茶?」
「冷たい緑茶,ホット烏龍茶、あるよ。 紅茶は知らん」
水筒二本追加。
「テザートっ!!!」
「重箱の一番下な。 果物取り合わせだ」
「う~~、う~~」じたばたじたばた
「う~~? そんなワケの分らないものは流石に用意できないぞ」ニヤニヤ
後は、些細な不安も薙ぎ払ってくれる心強い支え。
その全てが揃っている。
その日、人々の間に激震が走った。
攻略ギルド『白の騎士団』の『真紅』のアリスによる単独連続のボス撃破 階層攻略。
しかも、素で広域攻撃が可能な強力な武器『海神の矛』を『白の騎士団』に献上して。
対して、『白の騎士団』の対応は拠点を移転することなく静観の構え。
「何故、英雄の功績を認めない」とか「言ってくれれば協力したのに」などと
コレを機に自分の票を稼ぐため人の良さそうな顔をして囀っていた身のほど知らずも、
アリス自身に「私が勝手にやっただけ」
「仲間を盾にして殺す何時までも低レベルな人なんて、いるだけ邪魔」
と辛辣に拒絶されて、憤慨した取り巻きごと黙らざるえない。
んで、ショウ・アリス邸が人で座る場もないほど賑わっていた。
「ちょと待て、貴様等。理由をつけて人の家にメシ食いにくるんじゃない」
「またまたそんなこと言っちゃって。
それでもちゃんと用意していてくれる・く・せ・に♪」
「ええいっ、頬を突付くな秋刀魚女、ケツを触るな鮭トバ女、
俺の手は食物じゃない齧るな猫幼女」
ショウはオンナノコ達に集られ身動き出来ない。既に料理は一通り出揃ってはいるが。
「なして秋刀魚っ!!?」
「美味しそうでも、お手軽過ぎるっ!! 何処ぞで幼馴染み正ヒロインでもしてろ」
「・・・鮭トバ?」
「美味しそうでも、食い処が難しそうっ!! 何処ぞで不思議(ry」
「ふにゃー――」
「俺を助けろ、俺のヨメーっ!! 表向きお姫様正ヒロイーン!!」
「ごめーん、ショウで好き勝手に片付けてー」
アリスはアリスでオンナノコやら男に集られていた。
「「「まさか、SEISAIによるUWAKI容認っ!!?」」」
「んなワケあるか。生憎と普通の料理には困ってないんだよ!!
スイーツになってから出直してきやがれ」
「ぎゃぼっ!!?」「・・・ぐふっ」「にゅー」
そして何故かショウの側に陣取っているアナスタシア。
「はっはっはっ、君は異性にモテモテだな」
「アンタがいうなアンタが。
ついこの間までボッチだったのに、なんでこんな事に・・・俺は幼稚園の保父さんか?」
「自身を偽らない君は、居心地がいいのだよ。
何より、いつも美味しい食事が出来る」
「寧ろ、メシが本命だよな」
「高い金を出して美味しいモノが食べられるのは当然のことだ。
君の料理は食べ易くてホッとさせられる。高い金では得られないものだ」
「そりゃ、俺の料理には俺の愛が篭ってるからな」
「皆、その愛がある家に帰りたいだけなのだよ」
「・・・なんて、綺麗な言葉で片付けようとしても俺は誤魔化されないぞ、
ヒロイン崩れのヨゴレ女。
エロゲーで主人公にツマミ食いされて、主人公覚醒のために怪物に寝取られてろ」
「本当に君は容赦ないな。
正直な話、攻略ギルドを掲げている以上は我々も攻略に専念したいのだが
最近は権利ばかり主張して本当に義務を果そうとしない輩が多くてね、
我々もそんな輩の面倒をみたくはないのだが組織である以上はそうもいえない」
「組織の再編成をしたいけど、他のギルドの繋ぎがあるからそれも出来ない、と」
「うむ。
周囲の目をきにせず一人先を走り始めたアリスは我々にとってもあり難い。
それを理由に気のない連中の相手をマトモにしなくてもいい」
「それとウチを溜まり場にするのは別の話だ」
チッ・・・
「皆舌打ち!!?」
むっつりエロエロ主人公のクセに。目指せハーレムエンド。
「ハーレムエンドってなんやねんっ!!!」
レベルというのは、レベルが上がれば上がるほど上がり難くなるのは当たり前である。
ましてや、高レベルであるにも関らず高レベルのモンスターと戦えないのなら尚更。
ゲーム的には中盤にも関らずカンストまでカウントダウンが入っているショウは、
今のままでは殆どレベルアップが望めない状態となっていた。
スキル外スキルも中々新たな発想など出るものではなく、装備も既に最高峰の一角。
ボスも既に、装備だけでも、テクニックだけでも、レベルだけでも
手におえない次元にきている。
ショウが、先に進むには並び立つアリスの成長が必要なのだ。
皆の出資で家を増設した共用スペース 隠れ家『 The Nest 』の管理人になったのは
ショウにとっても渡りに船なのかもしれない。 料理に関してはショウの趣味なので
気に食わなければ食うな、食うなら食材なり何か使えるもの持って来いで済ませられる。
リアルと違って料理は料理として幾らでもストックしておけるし、
AIウェイトレスも置ける。
必ずしもショウが常に『 The Nest 』に詰めておく必要がない。
何時しか1つの噂が流れるようになった。
真のツワモノ達の隠れ家、この世界のありとあらゆるモノが揃い限れた会員しか入れない
其処に行きたいのなら、攻略中階層の町を探すしかない。
彼女には嘗て仲間がいた。
一人の裏切りで、自身と彼女以外の皆が死んでしまった。
その彼女にしても、仲間が死ぬ際の機転で助けられたようなもの。
助けていなければ、或はその仲間が生残れたかもしれないと彼女は思っている。
そんな時1つの噂を聞いた。
この世界にあるありとあらゆるものが揃うというのは流石に眉唾でも
仇の情報ぐらいは手に入るのではないか、と。
途中、噂に名高い『真紅』のアリスに通りすがりに助けられ、
彼女は攻略中階層の町に辿り付き、見付けた。
『 The Nest 』
周囲と異なり、明らかに生きている人間の気配を感じる店。
中は、丸テーブルが幾つか並び、壁の前に衣装も華やかに立つAIウェイトレス。
そして、奥のカウンターには何かしら料理を作っているマスターと思しき
作務衣に前掛エプロンの粗野な感の男の姿があった。
「はじめてで紹介もないのだが、大丈夫か?」
「・・・サービスだ。食え」
マスターにカウンター席を顎で示され、彼女の前に出されたのは、
鉄皿に乗ったステーキ,白の握り飯,浅漬け野菜,ポタージュ。
「マスター? ・・・ここは、この世界の全てが揃っていると聞いた」
「そのステーキは赤竜の肉でな、色々下拵えとジックリ蒸し焼きが美味くなるコツだ」
話が噛み合わない。
この世界では必ずしも食事は必要ではない。だが空腹を感じないわけでもない。
例えば、現実において1週間栄養ドリンク単一味だけで過したとしよう。
それで必要な栄養が一通り取れるように調整されてあるとしても
健康で真っ当な人ならストレスで精神が何処か歪にならざるえない。
その香ばしい香に、彼女の御腹がグゥ~~と抗議を上げた。
スパイスが仄かに効いている肉はジューシーで、
シッカリとした噛み応えなのにザックリと噛切れてしまう。
白の握り飯は、塩を振っていないが確かな甘味をもってオカズの味を引き立てる。
浅漬け野菜は、適度に水気が抜けて濃厚な野菜の旨味と爽やかさが肉の味を一進させる。
ポタージュはクリーミーな味が一瞬肉の味を忘れさせ、肉への渇望を促す。
彼女が我を取り戻した時、目の前の皿は全て綺麗に平らげられていた。
皿に汁が残っており、彼女が口の中で味を反芻してしまう以上、
何を抗議しようと良い訳だ。
「いい、食いっぷりだった。 サービスのサービスだ」
料理の片付いた皿を下げられて変わりに出されたのは
果物が載ったアイスクリームと湯気を立てる烏龍茶。
濃厚なミルクの味と果物の酸味がマリアージュし、烏龍茶の爽やかさと暖かさが祝福する。
完 食 。
「違うんだ・・・違うんだ、私は・・・腹ペこキャラじゃないんだ」
「何も泣かんでも・・・それで、本当の御注文は?」
「はっ ゴホンゴホン。
仇の情報が欲しい」
「個人情報は基本的に扱ってないんだけどな
仇の情報を提供できたとして・・・あんたは、何を支払える?
うちは基本的に物物交換だが、物がなければ労力でもOKだ」
「私自身の身体を含めて何でも。 今となってはソレ以外望む物はない」
「その時は、『The Nest』に借り1つな。
その前に、アンタの事を含めて仇について知りうる限りの情報。
指標がなけりゃ、分るものも分らん」
彼女の名前はスミカ、ジョブは魔法戦士。 仇はアベル、当時は神官。
彼女の話を聞きながらマスターは何処かへメールを送る。
待ち時間は一瞬
「故意であれ偶然であれ、珍しくない良く聞く話だ。
ヒット。ブラックリストに乗るほどの小悪党でよかったな。
アンタはヤツに何を望む?」
「死を。 マスターが止めようが私は奴を殺す」
「害悪撒き散らす、実質チンピラだからな。抹殺自体は止めはしない。
だが、この程度を相手にアンタをレッドネームにするのは勿体無い。
御膳立てもしてやろう。アンタが好きに料理しろ。
まぁ、誰も食わないだろうけど、な」
行き成りデスゲームになったと言われて、誰が信じることができるだろうか。
ログアウト不可。死んだ者が蘇えらない。
そして、消えたログアウトの代りに追加された死亡者リスト。
現実で本当に死んでいるか確認する術はない。
今の御時世では長時間ログインも珍しくなく、事が発覚し救出されうるのは最低3日以上。
現実1分がこの世界では1日であるため3日は11年9ヶ月ということになる。
しかも、事が発覚したからといって直に救出されるとは限らない。
創作モノでは1年以上VR装置に繋いで・・・なんてのもあるくらいだ。
1年、365日、8760時間、525600分、この世界では1460年。
1ヶ月でも、30日、720時間、43200分、この世界では120年。
1週間でも、7日、168時間、10080分、この世界では27年と7ヶ月。
そんなに待っているくらいなら、自分で如何にかしたほうが早い。
そんな風に前向きに考えられるものは決して多くはないだろう。
如何なるにしても取り敢えず生き延びなければ。
この考えが大半であり、当然と言えるだろう。
もっとも、余裕が出てきて危機感を覚えるか、堕落してしまうか更に分れるが。
そして、何が起ころうと自分だけは大丈夫だと最初から変な自信があるもの。
その根拠が何処からくるのか、そういう輩に限ってズル賢く、平気で人を貶める。
人を謀っている自覚があるから直接的な復讐に対して用心深い。
だが、自分が一番賢いと思っているのか謀られるとは露とも思わない。
「まさか、本当に死んでしまうとは思わなかったんだ」
歴戦の感で余りいい格好とは言えないスミカに対し、身形のイイ男アベルが
フィールドの地面にも関らず躊躇なく土下座する。
だが、その言い分はオカシイ。
アベルはその後だけでなく前も何度か死亡者の最期に引っ掛っているのだ。
強盗など犯罪行為を行ったイエローや殺人のレッドでないからと
自分が健全だといいたいらしいが、そんなものはいくらでも抜け道があるのが常。
「そこのあんただって分るだろ。俺だって必死だったんだ」
「俺に振るなよ。俺は唯の立合い人で聴衆、手だしする気はないんだから。
申したては其処の裁判官 兼、判事にしてくれ」
二人の間に立つショウにしてみれば、スミカを連れてココに行けと指示されただけである。
後はスミカの責めでアベルの土下座謝罪なのだから、何とも言い様がないのだ。
アベル貴様、ちっ使えネエなと思っているな。
「・・・私は、こんな下らないヤツのために何年も費やしてきたのか。
皆、報われないな・・・」
アベルの悪びれもせず情けない姿に、
仇が今だ元気であるにも関らずスミカから刺々しさが抜けていく。
もう、その身に殺気など欠片もなく武器を仕舞いアベルに背を向けて歩き出してしまった。
懐から何かを取りだし、スミカに突き刺そうとするアベル。
アベルの気配に気付き、振り返ろうとするスミカ。
遅すぎて、その身に何かが刺さる。
間に入ったショウが、沈黙のコックよろしくアベルの腕を捻りアベル自身に向けたから。
「な、ぜ・・・」
「スミカよ、煮ても焼いても食えないモノに対して人が甘過ぎるぜ。
口ではなんとでも言える。行いが全てってこった。
コカトリスの嘴を木ではさんでおけば雑アイテム扱いだし、
確かにコレで人をさしても攻撃認定はされないけど、石化させられるわな。
俺? 俺はフレーム(骨)を破損しない程度に捻っただけだから
人に対する攻撃認定にならず警告もない。
まっ、コイツに人望があるなら誰なり探しにきて高価な金の針使ってくれるだろ。
モンスターに破壊される前に助けてもらえるといいよなー」
余りにも軽薄に物言いショウは用事は終わったとばかりに去って行く。
残されたスミカに、アベルが目で慈悲をこう。助けてくれ、と。
石化しても直接死ぬわけではなく行動不可能になるだけ。
だが、モンスターにそうと気付かれた時は攻撃されて死んでしまうだろう。
「・・・結局、私はどれだけ強くなろうと人を殺せない。
いや、あの頃から対して強くもなっていないか」
スミカの物言いにアベルの目が希望で輝く。
「神にでも救いを請うんだな。 悪魔ですら聞き届けてくれるとは思えないが」
散々騒いたせいで引き寄せられたのか、幾つもの気配が迫ってくる。
脱兎の如く逃げるスミカ。 取り残されるアベル。
モンスターは、機敏なスミカよりも、身動きしないアベルを選んでいた。
「う~~ん、おいちー♪」
カウンターで隣の椅子に兜を置きスイーツに顔をほころばせる真っ赤な衣装のオンナノコ。
そして、カウンターの向こうでそれを見て顔が見ていられないほどだらしがないマスター。
空気がピンク色に見えるほどスイーツな匂い。 咽るっ!!!
スミカは思わず回れ右した。
take.2
カウンターで紅の衣装の女騎士がグラスを鳴らす。
彼女が『真紅』のアリスである事を、スミカは知っていた。
因みに、グラスの中身がブランデーではなく烏龍茶であることまでは分る訳がない。
「・・・御二人は付合っているのか?」
「俺の嫁だが、何か?」「いや~~ん♪」
「・・・納得した。 非常に」
ハードボイルドにしてみようが今更だ。
ハーフボイルドの方がまだ渋い「はーどぼいるどw」だ。
「んで、今日は如何した?」
「礼を言いに。 ありがとう」
「気にすんな。
あんたを助け、引き込むのは『The Nest』の総意だ。
あの場を拵えたのも皆、俺は何も大した事はしてねえよ」
「そんな事はない。マスターに命を救われ、本来私がすべき裁きまで下させてしまった。
それに、御腹が空いてまたマスターのご飯を食べたいと思ったときに、
私を助けてくれた仲間が笑っていたのを思い出したんだ。
モンスターの肉で作った鍋が不味くて、それが可笑しくて、その時と同じ顔で」
「メシってのは、唯の栄養補給じゃねえ。其処に人の心が篭る。
そりゃきっと・・・どんな出来だろうが極上の味だっただろうさ。
・・・サービスだ。 今日のカレーは泣けるほど辛いぞ」
アリスの手招きにスミカは隣の席に座る。間を置かずに出される料理。
スパイスの香に誘われるようにスミカはスプーンを手に取り一匙掬い口へ。
肉や野菜,香辛料の旨味の後にガツンとくる衝撃。
汗が吹き出る。涎が涌き出る。それ以上に涙が零れる。
「ああ、辛いな。 本当に辛い」
アリスは自分が思っている以上に美少女である。
彼女なら余程奇抜な衣装でない限り何でも似合うといっても過言ではないだろう。
だがしかし、アリスは着飾ることを好んでいなかった。
自分が選ぶ衣装は地味だと否定されてしまうこと。
着飾るのが自分のためではなく結局人のためであり人が選ぶこと。
着飾る時、つまらない社交のパーティにでなければならない事が多かったこと。
それは着飾る事に価値を見出せなくなり、嫌になって当然というものだろう。
アリスの心を全肯定してくれると言っても過言ではない彼が現れた事により
全てが鮮明で新鮮なものへと変った。
彼がみすぼらしく冴えない格好からある意味アリスと揃いの装備へと変えた時、
その鋭くカッコイイ凛々しさに受けた衝撃は、
神槍でハートを打ち抜かれメテオインパクトが起ったとしか言い様がない。
だから、アリスは思う。 場にあった衣装で着飾りたい。
戦う時は紅の装束、家で寛ぐ時は地味で楽な服。
Q)では、『The Nest』のマスターであるショウの隣に立つ時は?
A)ウェイトレス
何せ、経験値稼ぎの赤竜狩りに1日よくて6時間しか使えない。
それ以外は常にショウと一緒にいられるのだ。アリスも色々楽しみたい。
首回りを大きく開けて胸を柔かく布で覆いながら腰をコルセットで締め、
さり気無くフリルをあしらった色気と可愛らしさと清麗さを成立させたミニスカメイド
肌の露出は殆どないのに身体の線が緩やかに出る和服ならではの仄かな色気が漂う女中姿。
カットジーンズからハミ出たオシリや切り詰めシャツで剥き出しのオヘソもセクシーな
アメリカン娘風
腰骨まで見せるのが当然なくらい深く危険なスリットのアオザイ
そして、背中が大きくあいてオシリがチョットみえちゃってるミニスカチャイナドレス。
「ちなみに、はいてません♪」 きゃるん☆
「ダカラ、ハケト言ッテルダロウガァ!!!」
「きゃ~~~♪」
嬌声を上げながら逃げるオンナノコと、俺様オマエ丸齧リと号機よろしく暴走している男。
ハイハイばかっぷるばかっぷるってな毎度の光景である。
「いちゃつくのなら、バックヤードへ行きたまえ」
「ヨメにパンティをはかせてるだけですが、なにか?」キリッ
「いや~~ん、はかされちゃったぁ♪」
「因みに、俺が厳選したレースの見せパンだ」キリリッ
「だから、バックヤードでやってこいと」
ドチラに転んでもイイゾモットヤレと囃し立てている周囲に対して、
年長?組を代表して良識を説いてみせるアナスタシアだった。
今日のメインは、マーボー豆腐であって唯のマーボー豆腐にあらず。
濃厚な豆腐の小ブロックに絡む肉味噌は、味噌の旨味と共に
赤くはないもののシッカリと唐辛子の美味さを感じさせる。
油を控えているので沢山食べられるのが嬉しい一品だ。 男なら丼にしてガッツリいける。
付け合せは菜物の浸しで、その爽やかさがマーボー豆腐を味を洗い流し、振り返させる。
擦ったコーンを出汁で溶いたスープは、コーンポタージュよりもサラリと甘美味い。
カウンターの定位置に陣取ったアナスタシアはウンウンと堪能しつつ
ショウの今後の方針を含む近況報告に耳を傾けることを欠かさない。
「俺は83 アリスは58。
60階層ボスはケルベロス,オルトロスの地獄の番犬兄弟。
普通に戦えば不死身だな。
ドチラか一方を攻撃してもHPは減らないし、身体が欠けても復元しやがる。
戦い方はフェンリルの上位で全属性の魔法も使う感じか
ブレスを吐くように発動させるから、出て来るまで攻撃か状態異常か広域かわからん」
「・・・話しを聞いているとお手上げのようにしか聞こえないが?」
「その当たりは50階層の各処にヒントがちりばめられているみたいだぞ。
まぁ、俺は一人でも攻略可能は方法を見付けたけどな、
でもアリスと一緒に倒す」
「ふむ? ・・・ふむ」
「クラーケン狩りの方が経験値稼げるけど、
アリスには美味くないから赤竜狩りをチマチマやってもらってる」
「いっそう、レッドドラゴンが哀れに感じてくるな」
「それでも食うくせに。 そこっ、ソレは俺のもんだ」
「ぐふおっ!!?」
ウェイトレスをしているアリスのオシリを撫でようとした男の額に炸裂するコイン。
更にアリスの膝蹴りが炸裂し、絶景を拝む前に天井しか認識できていないだろう。
踊り子?さんに御触りは厳禁なのである。 みせつけてんのよー!!!
『 The Nest 』のバックヤード・・・つまり店のバックヤードは
そこの店員プレイヤーの許可がなければ部外者立ち入り禁止となっている場所である。
バックヤードで作業中で呼ばれても分るように店内の様子はバックヤードから分るが、
客がいる店内からはバックヤードの様子は分らないようになっていた。
店長を追ってバックヤードへやってきたミニスカチャイナのウェイトレスは、
声を上げる間も無く壁に身体前面を張り付かせられる
ウェイトレスの丸出しの背中 肩甲骨の間を店長の 男の手が抑え、
もう一方の手が背中のみぞを撫で下りていく。
「ショウさんはいいよなー。皆のヨメだったはずのアリスちゃんが~~」
「爆ぜろ、リア充」
「知ってるでござるか? アリス嬢、ノリノリで格好してるでござるよ。
シ ョ ウ 殿 だ け の た め に 」
ブッコロース 心の中だけで
「弱気だな、オイ」
剥き出しの背中の、見えているパンティの中へ滑り込んでくる手。
因みにこのパンティ、全てレースのように見えるが
肝心の部分はちゃんとした生地になっているので居部は見えないようになっている
実用性の高い見せパンだ。
パンティの中に刺し入れられた手でオシリを揉まれているだけでなく
首筋を食まれたので嬌声が零れそうになったウェイトレスは
思わず前の壁にしゃぶりついた。
壁に涎が伝い流れていく
「てか、勝てるかあんな愛想が悪いだけの完璧超人」
「知ってるでござるか? あの人・・・ボッチだったでござるよ」
「誰だよ、あんな怪物を世間に解き放ったのはっ!!!」
「アリスちゃんで~~す☆」
「「「「ノウッ!!!」」」」
ウェイトレスは、オシリを後ろに突出させられ前戯もソコソコに
既に湿っているパンティの局部をずらされ潤っている膣に男根を挿入されてしまった。
ウェイトレスは上半身壁に貼り付き、壁に涎を塗りたくることしかできない。
「今、アリスちゃんの声が聞こえたっ!!!」
「聞こえない聞こえない」
「例え、バックヤードで盛られても店内には聞こえないでござるよ~~~」
「あの二人なら、客がいてもバックヤードで盛ってそうだけどな。 今も」
「「「「のおおおおおおおっ!!!」」」」
「五月蝿い、そこのバカ男どもっ!!!
そんなんだから、貴様らはモテナイんだ」
「「「「ぐふっ!!?」」」」 男たちは死んでしまった・・・
男は、挿入したままの男根を軸にウェイトレスの身体の柔らかさを使い
ウェイトレスの片足をもって後背立位から対面立位へと変えた。
潤む瞳に切なげに開き振える唇の蕩けた表情で自身の涎に濡れたウェイトレスの顔を
男は敢えて唇を避けて舐めて綺麗にしていく。
ウェイトレスは脚を男の腰に絡め全身で男に抱き付き押し潰されながら、
嬌声がこぼれそうな自分の口を自分の手で抑える。
ウェイトレスは自分で自分の口を抑えているつもりだが、腕から力が抜けて
下歯に指が引っ掛っているのでハヒハヒと嬌声が漏れていた。
「実際、アリスちゃんが御人形さんから可愛いオンナノコに変ったのって
ショウさんに出会ってからなのよね~~」
「最近は自分から衣装を色々注文してくれるし」
「ホント、変れば変わるものよね」
「ぐぬぬぬぬ、私の手で女にするつもりだったのに」だむだむ
「「「うっっわぁ・・・マジものの百合だよ」」」
対面立位からI字開脚の変則立位松葉崩しへ。
最期が近いのか男の強い動きに、ウェイトレスは足が地につかず
股間から裂かれてしまそうだ。
ウェイトレスの口を塞がないために唇同士のキスはなく、
頬を啄まれ耳をはまれ、耳腔に舌を挿入されて舐め回されるので
ヌチョヌチョと湿った音にウェイトレスの思考は塗り潰され・・・
皆のアイドルと一緒に消えて一人戻って来たショウに、
『 The Nest 』にいた皆の視線が集中する。
その顔がスッキリと男前を増しているような気がするのは被害?妄想のせいだろうか。
「ま、マスター、今席を外していたのは何をしていたでござるか?」
「あ? 在庫の確認だよ。
なんせ、調理前の材料から料理そのもの,飲料,その他アイテムの各々に
別々のアイテムボックスが店舗そのものに態々用意してあるんだぜ。
こんな処で開けて見られないっての」
「アリスちゃんは?」
「赤竜肉の在庫は限界ギリギリまであるからな、今日は狩りにいかなくていいってな。
処で、皆はどんな動物が好きだ?
俺は猫好きだが、犬派の性格らしい。犬も好きだが。
こら、そこの女子、ガタガタ反応し過ぎだ」
男子はショウが何を言っているかわからず首を傾げるばかりだ。
一部の女子はアリスが何をしているのか検討を付けたらしく
丸で麻薬の禁断症状にたえているかのような様相に、男子にすら退かれていた。
その登場に店内は沈黙した。
頭を飾るのは、先の垂れた犬耳。剥き出しの背中の下オシリを隠すフサフサの尻尾。
腕は獣のもので、肉球のピンクがやけに眩しい。
ミニスカチャイナウェイトレス 黒毛犬娘アリスである。
アリスが歩く度に足の肉球からポミュポミュと音が聞こえる。
恥ずかしいのか少し身を縮こまらせて、動きの1つ1つが乙女乙女している。
アリスの向う先にいるのは当然、ショウだ。
「わふぅ?」にあう?
「ん~~、可愛いぞ~~♪」
「くぅ~ん♪ くぅ~ん♪」
ショウにハグされ髪を手櫛され、
犬アリスのオシリに生えている尻尾が嬉しそうに左右にゆれた。
「萌へあっ!!?」
百合と言われた女が、耳と鼻と目から血を噴出させてテーブルに突っ伏す。
それに、仲間の一人がモウダメダ。イカセテヤレと首を振り、
彼女の仲間達は彼女を残してテーブルを移した。
「そ、そ、そ、そ、そ、そ、そ、そ、そ、れは!!!」
「見てのとおりだ。
犬1つにしても柴,ドーベル・・・結局、最後の決定はアリスまかせだし」
犬のようにしか声を出せないアリスは接客に回り、
肉球ハンド両手で頑張って御盆を挟んで運ぶので非常に愛らしい。
アリス一人では回らないのでAIウェイトレスも二人が居なかった間に続き接客しているが
コチラもいつのまにかトラ猫耳と猫長尾をつけて両手とも肉球にも関らず器用に
両手各々で盆を運んでいた。
終始沈黙を貫いている客ですら萌え血を垂れ流しているくらいである。
「セットで一つ」
「どのセットだ?
猫だけでも白,黒,三毛,トラ、虎でも黄と白、兎でも白,黒、キツネ,タヌキ」
「私は猫だ。黒猫をよこせええええっ!!!」
「テメエがつけても黒豹にしからなねーよ。
ハイハイ、製作者はコイツな。連絡先はコレだぞ~~~」
人々がわき目も振らずメールをする光景は、不気味を通り越して清々しさすら感じられる。
だからだれも気付かない。
アリスが愛想笑いにも関らず愛想笑いになっていないのは上気して艶があるからで、
アメリカンなウェイトレスの恥女っぽい格好を平気でこなすのに
今更獣オプションをつけたくらいでモジモジするわけがないと言う事を・・・
「きゃうぅっ・・・」 栓が動くよぅ・・・
誰かがいった。『 The Nest 』にはこの世界の全てが揃っていると。
それは間違っているが、ある意味では正解でもある。
最初は攻略を目指していた者の中には自分が戦力にならないと判断を下し趣味に走り
突っ切ってしまうほどの猛者は割りとザラにいたりする。
そういった者が試作品を『 The Nest 』に持ち込むのだ。
装備なら、使ってくれそうな人へ渡してくれと。
或は、消費アイテムならチョット試して見てくれ、と。
それは何も、マスターであるショウに直接交渉するとは限らない。
食材採取に出ているショウに代り留守番をしているアリスに、そのつもりはなくとも・・・
ある錬金術師が画期的な薬を作った。 巨乳薬である。
そのシステムは、上限を超えて回復した分をオッパイにストックするが故に巨乳になり、
ストックしきれない分が母乳となって出てくる副作用がある、プレイのためのものだ。
しかし、巨乳薬にはちがいない。
出てくる母乳は濃縮されて、生産者?によっては
ハイポーション級のHP回復だけでなくSPも回復させたりする。
だが、巨乳薬にはちがいない。
因みに、ある錬金術師は天才的な発想と頭脳を持っていたが、
残念な事に彼女はいなかった。
泣きながら自分で安全性と効果を確かめたのは割りと如何でもいい話だ。
今、アリスの手にはその巨乳薬がある。
アリスの胸は小さくない。男の大きな手に丁度収まる、割りと大きい部類に入るだろう。
だがしかし、アリス以上に大きな胸の女性は周囲にはザラにいた。
アダルトなアナスタシアは成熟した立派なオッパイを持っている。
乳パンチでモンスターを倒した逸話をもつ爆大なサイズのマッチョな女戦士もいる。
某鍛冶士娘など厚着しているので分難いが、裏切ったなと言わせるほど大きかったりする。
美・・・もとい神・・・ならぬ甘乳だと好評価されているアリスが
もう少し大きくてもいいかな~~などと考えていることを、
オッパイで見栄をはった御陰で鎧に隙間ができ命が助かったナイ娘や
一応は大人なのに全てにおいてサイズゆえに猫幼女と呼ばれる娘を始めとした
その御同類の娘達が知った日には激怒では済まされないかもしれない。
ない娘達に希望を与えるために把握しておかなければならないと理論武装し
アリスは躊躇なく エイ☆ と薬を飲み込んだ。
ありす は、ねんがん でもないけど ばくにゅう を てにいれた
見る見る間に成長していく乳房に、アリスはアワワッと身体のバランスが崩れる。
幸いにして家の居間台所なのでテーブルの上にオッパイをおくような
だらしのない格好を他人にみられることはない。
ワンピースは首の紐を緩めても胸がパッツンパッツンで頂点まで零れそう。
「うわぁ、すっごい。こんなに大変なんだぁ」
アリスが嬉々として弾力を楽しむオッパイは、既に自身の顔よりも大きく見え
ポニョンポニョンと柔らかな感触をみせてくれるが、
余りにも柔らかすぎで零れそうでアリスもテーブルから移動できない。
幸いにしてコレ以上大きくなることはなさそうだが・・・
これはいよいよもって腕で抱え持たなければならないだろうとアリスが考えていると、
丁度ショウが帰ってきた。
「おかえり~~♪」
「ただいm・・・・・・ああああああああっ!!?」
ショウがアリスをみて硬直するのも暫し、顎が外れそうなほど叫び驚愕する。
「えっ!!? 何っ? 何が如何したの!!?」
「あ、あ、アリスッパイがこぼれてるうううううっ!!!」
「大きくなっちゃった」きゃるん♪
アリスが慌てていないので、
ショウもビークールやヒッヒッフーや素数など御約束を取り戻して漸く戻って来た。
「アリスッパイがこぼれそうなのですがががががが」
「うん、ちょっと大きくなりすぎちゃって、今のままだと身動きできないかな」
「ああ、それなら・・・」キリリ
アリスが少しでも困っているとわかると復活するのがショウくおりてぃ。
アリスのその爆乳は、柔らかさをそのままにサイズが大きくなっている感なので
簡単に下へ垂れてきてしまう。垂れでも丸みは保ったまま乳首はしっかり前を向くが、
精神衛生上あまりよろしくない。
そこでショウがとった手は実に単純だった。
背中を介した帯で各々乳を堤み胸元でクロスして首後ろで結ぶ。
いわゆる一枚布性の簡易ブラジャーだが、爆乳には以外に有効的だった。
「しっかし、アレだな。プルンプルンがポニョンポニョンになっちまった。
知ってるか? コレ脂肪の塊なんだぜ・・・」
「SHIBOU!!?」
驚いたせいで何もする気がなくなってソファで寛ぐショウの膝の上、横座りに
ワンピースの胸から上を肌蹴け代りに簡易ブラのアリスが劇画調に恐れ戦いているが、
そのオッパイはやはりショウがポニョンポニョンと優しく弄んでいたりする。
「脂肪の塊・・・のはずなんだけど、この弾力はなぁ・・・
オッパオか? オッパオがつまっとんのか?」
「お、おっぱお?」
「母乳です。 アリス乳業ミルクタンクさん」
「うきゅ!!?」
罵倒?に小動物のような悲鳴をあげようと誤魔化されない。
ショウは知っている。アリスが時々御バカになってやらかしてくれる事を。
恥女みたいな格好でウェイトレスをすることに関しては、自慢かつ鑑賞で良しとしよう。
ノーパンだって見られるまえに履かせれば済む話だ。無論、自身の手なのは譲れない。
だが行き成りオッパイを大きくするような肉体改造は頂けない。
身体が資本なのに重心が崩れるのは致命的だ。
現に今のアリスはオッパイが柔らかすぎて流動し、急な動きをすると余計にふらつく。
一時的なものであれ、恒久的なものであれ当分は人前に出せない。
等々真剣な事を考えながらもショウはモニョンモニョンと極大アリスッパイを弄ぶ。
「これだけ大きいとミルクの匂いもしてくるな」
「ええ~~そんなことないよ~~」
アリスの言葉を否定するようにプシッと軽い噴出音と共に湿る簡易ブラの頂点。
ショウがアリスの乳房の根元を摘む。
プシィァと簡易ブラの頂点からシミが広がってくる。
「・・・アリス乳業」
びくぅっ!!?
「ミルクタンク」
ドキドキドキドキ
「絞ろうか、母乳♪」
「うひゃああああああっ」
―― どこから取り出したるは200ml ――
―― 根元から絞っていくように乳牛搾乳 ――
―― 絞りに絞って片パイで漏れなくイッパイ ――
―― ふたパイ合わせて200ml瓶二つで400ml ――
流石にアリスもグッタリ。
心なしアリス自身もオッパイもやつれてはいるが、HP,SPの減少は全くない。
「ふふん♪ これで、インターバルが分ければアリスを店ぐらいには出せるな」 ニヤソ
「うぅ~~、穢されちゃったよぅ。 私、も~も~おうしさんだよぅ」
「あああああっ!!? しまっつたあああああっ!!?」
びくううっ!!!
「俺とした事が直飲みで味見しなかったなんて、なんてこっったぁ!!」
なんてこっったぁ!!
「・・・え? そんなにショック受けること? 今更」
「アリスさん、素材の味見は極めて窮めて究めて重要なのですよ」キリリ
まぁ、アリスを味わいまくってるから味の想像はつくけどな。
―― ただいま二人エッチ中。 対面座位で交尾中。 ――
「っというわけで一時間が経過しました。
今にも零れそうなくらい乳首に母乳が滲んでいるわけですがー
セックスすると倍で充填されるのかな? かな? かなかなかなかな?」
「そ、そんなことわかんないよぉ」
アリスは自分を奥まで貫いている熱をもった圧倒的存在感に身動きを繰り返す。
純粋にエッチに没頭できず理性を覚醒させたままの蛇の生殺しなので
嬉しい恥ずかしい火照りテリテリ状態だ。
自身の組んだ腕の上にのったアリスッパイは、汗以上に中身が詰って
パツンパツンで艶々のテカテカ。
乳輪も乳首も相応に大きく赤ん坊に無理で完全大人用だ。
「では、 い た だ き ま す 」
「ひうっ!!?」
ショウはアリスッパイの乳首を摘み寄せ、両方とも口に含む。
それだけで乳首から全身に快感電流が走りアリスの身体が撥ねた。
じゅるるるるるるるるるるるるるるるるるるる!!!!
「ぴああああああっ!!?」
るるるるるるるるるるるるるるるるるるるる!!!!
「でちゃうぅっでちゃうぅぅっわたしがでちゃうにょおおおおおっ!!!」
るるるるるるるるるるるるるるるるるるるる!!!!
「うあっ・・・あっ・・・・・・あっ・・・・・・・・・a」
「ごちそうさまでした」
妙に濃くマッチョになって誰ダコイツな男、もとい、漢が厳かにいう。
抱き抱えているのは、丸で人形のようにグッタリと力が抜けたオンナノコ。
目は正しくレイプ目でハヒッハヒッとか細い吐息と生命力が尽きかけている感。
吸い尽くされたアリスッパイはというと、元のサイズよりかは大きいものの
爆乳というには余りにもボリューム不足で萎びている感がいなめない。
「クリームのように濃厚で以上に芳醇、砂糖では得られない濃い甘さ。
まるでそのままアイスクリームの原液になりそうな一品」
アリスが果てているのは何も無理に母乳をつい尽くされたからだけではない。
吸えば吸うほどに丸でドーピングしているかのように存在をましていく男根が
下からアリスを蝕んでいたのである。
魂まで吸われてしまいそうなアリスッパイの吸引との相乗効果により、
アリスは理性を中途半端に残したまま果て続けてしまった。
最早、指一本動かす意思も残ってない。
「御陰で、この身体に満ち溢れる力、返そうではないか」
漢がオンナノコの身体を腕で支え、股間に腰を叩き付ける。
だが、オンナノコは丸でダッチワイフの様にカクカク動かされるだけだ。
「フン! フン!! フン!!! フン!!!!」
「・・・っ、・・・っっ、 ・・・っっっ、 ・・・っっっっ」
丸でパイルバンカーを打ち付けるかのように男根がオンナノコに幾度も打ち込まれる。
が、オンナノコは反応らしい反応も出せず今にも尽きそうに吐息が喘ぐだけだ。
「フンッッッッ!!!!!!」 ホアタァッ!!!!
ズビュルルルルルルルルルルルル
「ぅ・・・ぁ・・・」
丸でホースの先から噴出す様に胎奥へ流し込まれる熱い熱い精液に
魂が抜け切ってしまっていたかのようなオンナノコも流石にビクビクと反応していた。
「アリスッパイ乳、マジやべえっ!!!
何が一番やばいって、滋養強壮効果ありすぎて飲みすぎると世紀末的にキャラ変わる」
その後、『真紅』のアリスが爆乳になってウェイトレスをしているという噂に男子よりも
女子が食い付き、女子の間で意中の男子に自分のオッパイを飲ませようというブームが
流行ったかは定かではない。
『アリスπ牛乳』:牛乳嫌いでも味わって飲めてしまう美味さ甘味。
2本も飲めばHP,SP全て回復し、4本のむと根本的にキャラが変わる。
原材料は不明ったら不明。
ある錬金術士の新作『巨根薬』を御楽しみに!!!
続かないっ!!!
・・・多分